TOPIC No.3-44 うなぎ(鰻)


01.
 ウナギ byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
02.
 世界で初めてシラスウナギの人工生産に成功−ウナギの完全養殖の実現に目処がつく− by(独)水産総合研究センター養殖研究所
03.
 うなぎネット
04.
 ウナギの産地偽装問題 by YAHOO! Japanニュ−ス
05.
 シラスウナギ漁の巻 ★2000年度製作★
06.
 中国産うなぎほど安全な食品はない!1(2007年07月17日)byうなぎを見れば日本が見える
07.
 中国の鰻蒲焼事情(1)平成13年07月11日 by北田水産株式会社
08.
 中国の鰻蒲焼事情(2) 福建省南平市のアンギラ種養殖事情 平成13年07月19日 by北田水産株式会社


養殖ウナギの価格上昇 店は活況、生産業者は三重苦

2010年07月24日 中国新聞ニュ−ス

 創業117年の老舗「宮川本店」でウナギを焼く職人=21日、東京・築地

 猛暑のなかで迎える26日の「土用の丑の日」。うなぎ屋や小売店の活況をよそに、養殖ウナギの価格上昇が関係者を悩ませている。稚魚シラスウナギの不漁に、飼料や養殖用重油の高騰が加わり、生産業者は三重苦。小売価格への波及も懸念される。

 東京・築地の創業117年の老舗「宮川本店」。普段は1日50食前後の売り上げだが、最近は100食以上出ることも多い。小売店でも売り上げが増加。セブン―イレブン・ジャパンは、うな重弁当の予約が「昨年より10%以上伸びた」。

 だが宮川本店の渡辺安良社長の表情はさえない。日本養鰻漁業協同組合連合会によると、生産者からの出荷価格は、昨年の1キロあたり2300円から2650円に上昇し、影響は大きい。

 昨年12月から今年1月にかけて国内業者が水揚げしたり輸入したりした養殖用稚魚の合計は20トン。昨シーズンの28トンから大幅に減少した。稚魚1キロあたりの価格は、ピーク時で80万円と昨シーズンの約2倍だ。

 稚魚の不漁は、マリアナ諸島西方だった産卵場所が南下したためとみられ、東大大気海洋研究所の塚本勝巳教授は「日本海流(黒潮)に乗れず、フィリピンの方に行ってしまったのでは」と指摘。

期待はウナギ登り /三重

2010年05月03日 毎日新聞〔三重版〕

 世界で初めてウナギの「完全養殖」に成功した独立行政法人水産総合研究センター養殖研究所を訪れた。海中を表現した青白い蛍光灯の光が満ちた研究室には、かえったたばかりの透明で柳葉状の子魚が泳いでおり、「研究所で育った成魚は1匹数十万円するのだろうか」と思わず、金に換算してしまった。

 現在のウナギ養殖は、河口などで捕獲した天然のシラスウナギ(稚魚)を育てるだけで、産卵や孵化(ふか)は技術的に困難とされている。さらに追い打ちを掛けるように、天然稚魚の漁獲量が激減しており、深刻な問題になっているのが現状だ。

 出荷できる成魚の量は、稚魚の漁獲量に大きく左右される。今回、完全養殖に成功したことで、卵から稚魚まで安く飼育する方法を開発すれば、安定したウナギの供給に一役買うと期待されている。しかし、水槽で飼育できる幼生の数には限りがあり、完全養殖の実用化への道のりは、まだまだ険しい。

 今回の成功は、ウナギ好きの日本人の期待を一身に背負っている。いつかスーパーの店頭に脂がのった「完全養殖ウナギ」が並ぶ日を信じている。【木村文彦】

「うなぎのふしぎ展」完全養殖ウナギの子魚公開 栃木・さかなと森の観察園

2010.05.02 MSN産経新聞

 「さかなと森の観察園」(栃木県日光市中宮祠)で開催中の「うなぎのふしぎ展」で、世界で初めて卵からの完全養殖に成功したウナギの子魚(しぎょ)が公開されている。5日まで。

 同園を運営する水産総合研究センターは4月初め、ウナギを卵から育てる完全養殖に世界で初めて成功。通常の養殖は天然のシラスウナギの子魚から育てるが、近年子魚が激減。捕獲量が不安定なため価格も安定せず、ウナギ養殖農家の経営を圧迫している。完全養殖の成功で、ウナギの安定供給が可能となるうえ、資源の保護も期待される。

 「うなぎのふしぎ展」では、マリアナ海域の珍しいウナギの標本や謎に包まれたウナギの生態をパネル展示。ウナギに実際に触れることのできるコーナーも。同センターは「子供たちに科学や水産に興味を持ってほしい」と話している。問い合わせは同園(電)0288・55・0055。

「完全養殖」ウナギの子、日光で初公開

2010年05月01日 asahi.com

完全養殖で生まれたウナギの子ども(生後22日目)=水産総合研究センター提供

目をこらし、ビンの中のウナギの子どもを見つける家族連れ=日光市中宮祠の「さかなと森の観察園」

 世界初の「完全養殖」に成功して生まれたウナギの子ども(仔魚(しぎょ))の初めての一般公開が、日光市中宮祠の「さかなと森の観察園」で始まった。5月5日まで。

 完全養殖は同園を運営する独立行政法人・水産総合研究センターが今年3月に成功。人工孵化(ふか)したウナギを成魚に育て、人工授精して孵化するサイクルを完成させた。

 公開しているのは3月27日に生まれたうちの3匹。体長は1・5センチ程度。全体は透明で目だけが黒い。目をこらすと糸状に踊っている姿がわかる。

 完全養殖への取り組みは1960年代に始まり、北海道大で産卵に成功したのが73年。同センターが、与えるエサとして、深海性のサメの卵の粉末に行き着いたのが96年。02年に稚魚のシラスウナギに成長。その後、成魚にホルモン注射して精子と卵を成熟させ、初の誕生となった。

 公開は同園の特別展「うなぎのふしぎ展」の一環で、産卵場所のマリアナ諸島海域でとれたウナギの標本なども展示している。「身近な生物にも不思議なことがいっぱいあることを知ってもらい、子どもたちに科学に興味をもってもらいたい」と同園。

 入園料は大人300円、中学生以下100円。最終日となる5月5日の「子どもの日」は中学生以下は無料。問い合わせは同園(0288・55・0055)。

温暖化を防ぐ林業 森の循環を守り、地球守ろう

2010年05月01日 西日本新聞朝刊 社説

 ■月のはじめに考える■

 ウナギの養殖が森を育てる…。そんな話を聞き、興味を引かれました。

 舞台は鹿児島県大隅半島の肝付町にあるウナギ養殖会社です。ビニールハウス5棟の中の池でウナギを育て、年間100トンを出荷しています。普通なら冬眠するウナギを早く大きくするため、ボイラー4台で沸かしたお湯を配管で循環させ、一年中、水温を28―30度に保つようにしています。

 燃料の重油高騰を契機にボイラーを順次取り換えようと2008年夏、木質バイオマス燃料用を1台導入することにしました。大隅半島周辺で生産された間伐材を地元の製材会社が加工したチップを使うことにしたのです。

 新しいボイラーは昨年初めから稼働し、これで養殖場の二酸化炭素(CO2)の排出量は年間約1200トン減りました。その削減分は東京の大手印刷会社など2社が買い取っています。

 ●CO2削減の一助に

 ここで注目したいのは、養殖場、製材会社、東京の企業が互いにメリットを受ける関係にある点です。

 養殖場にとってボイラー導入費は高額でしたが、年間の燃料代は15%ほど安くなり、排出削減分を売った代金は設備投資の返済にも回せます。製材会社はチップを製紙会社より高く買ってもらえ、利益につながりました。

 東京の企業は自社で定めたCO2排出削減目標の達成に活用します。政府が08年10月から試行的に始めた国内排出量取引では、大企業が資金協力で実現した中小企業の削減量は、大企業の削減分として認める制度が盛り込まれました。それを利用するのです。

 この話は今年の森林・林業白書に短く載っています。木質バイオマスを使った制度の利用申請が今年3月までに68件あり、約7万7千トンのCO2削減が見込まれると説明しています。こんな取り組みが増えつつあるのです。

 重油という化石燃料を木材チップに置き換えることは、直にCO2を削減するだけでなく、間伐材の利用が森林整備につながり、CO2を吸収して大きくなる森を育てます。ひいては地球温暖化防止に一役買っているのです。

 周知のように、日本は温暖化対策の京都議定書で、08年度から5年間平均でCO2など温室効果ガスを1990年に比べ6%減らす約束をしています。そのうち3・8%は、この森林吸収量で確保することにしています。

 しかし、単に森林があれば吸収源として認められるわけではありません。90年以降に新たに植林された森林か、下刈りや間伐などの適切な手入れが行われた森林に限る決まりです。

 そこで問題になるのが、日本の森林2510万ヘクタールの約4割を占める人工林をどう整備するかです。戦後、全国で植林されたスギなどが伐採期に入り、人工林の6割ほどが間伐の時期に来ています。ところが、林業の採算性の低下や山村の過疎化などで手入れがされない森林も少なくありません。

 このため、林野庁は2007年度から毎年55万ヘクタール、6年間で計330万ヘクタールを目標に間伐を進めています。それで、議定書の約束期間初年度の08年度は3・4%の吸収量を確保しましたが、もう一段の加速が必要な状況です。

 先のウナギ養殖場の貢献は、わずかかもしれません。でも、大河の流れも一滴の雨からです。これを本当の大河にするには、木を植え、育て、伐採し、上手に使う、「森の循環」を持続する必要性が叫ばれています。

 ●間伐の推進がかぎ

 中でも間伐は重要です。間伐を怠れば陽光が差し込まず、病害虫や風雪害に弱い細い木になります。間伐をすれば丈夫な木が育ち、草木も生い茂ります。それが表土の流出を防ぎ、多様な動植物も生息しやすくなるのです。

 こうした健全な森づくりには、何と言っても林業の再生と担い手の育成が先決です。林野庁も全国の林業経営者や森林組合などとともに、この取り組みを強めているさなかです。

 山仕事を効率化するため、伐採や材木を運び出すのに使う高性能機械の導入や、機械を利用しやすくする低コストの作業道整備に力を入れています。これで木材の安定供給と採算が向上すれば、林業経営も安定するでしょう。

 林業でも高齢化が進み、就業者も減り続けています。ですが、林野庁が03年度に始めた担い手育成の「緑の雇用」事業で、それまで毎年2千人足らずだった新規就業者が3千人を超えるようになったのは、頼もしい朗報です。

 国産材を使う仕組みも大事です。政府は公共建築物への木材利用を促進する法案の今国会での成立を期しています。九州では森林管理局や各県、製紙会社などが協力し、間伐材を使ったコピー用紙や封筒などの製造・販売に取り組み、利用拡大を図っています。

 私たちにもできることはあります。いま「みどりの月間」で展開中の緑の募金への協力や、植林などの森林ボランティアへの参加は可能でしょう。

 森の循環を守ることは、地球を守ることです。もちろん一筋縄ではいきませんが、私たちが森林の果たしている多様な役割に思いをはせ、手を携えていけば道は開けるはずです。

【GWどこ行く?】世界初、完全養殖ウナギ公開へ 日光・中央水産研究所

2010年04月28日 下野新聞

 【日光】ウナギの完全養殖に世界で初めて成功した独立行政法人水産総合研究センターは29日から、中宮祠の中央水産研究所日光庁舎「さかなと森の観察園」で特別展示「うなぎのふしぎ展」を開催、完全養殖で生まれたウナギの仔魚を公開する。

 ウナギの養殖はこれまで、漁獲した稚魚を成魚まで育てる方法が一般的だったが、近年は漁獲量が激減。完全養殖は、卵から育てたウナギの卵と精子を使って人工ふ化させた。三重県の同センター養殖研究所で成功し、今月初旬「世界初の例」として発表した。

 特別展示は、完全養殖で生まれたウナギの子どもや研究過程を解説するパネル、マリアナ海域で捕れた成熟ウナギの標本などを公開し、謎に包まれたウナギの生態に迫る。

 「世界で初めてウナギの完全養殖に成功したことを広く知ってもらいたい」と同センター。「うなぎのふしぎ展」は5月5日まで。開園時間午前9時〜午後5時。入園料は大人300円、小中学生100円。5月5日の「子どもの日」は中学生以下無料。問い合わせは同センター日光庁舎電話0288・55・0055。

どうしようウナギ高騰、稚魚の漁獲量激減で大ピンチ

2010年4月26日(月) 夕刊フジ

今夏の土用丑の日、ウナギは無事スーパーに並ぶのか?!

 ウナギが手の届かない存在になってしまうかもしれない。稚魚の漁獲量が激減し、ウナギ全体の卸値が高騰しているのだ。土用の丑の日は大丈夫か!?

 「今シーズンのシラスウナギは、例年にない不漁。この影響で、国産の養殖ウナギの供給量が激減し、卸価格が急上昇しています」(水産庁栽培養殖課)

 シラスウナギとはウナギの稚魚のこと。太平洋上で生まれて回遊し、河川に上って成魚になる。日本近海では12月から翌年の4月までが漁期だが、「2月末までの漁獲量が2・4トン。昨年同時期の22トンの10分の1にまで落ち込んだ」(同)。

 この影響で大打撃を受けているのが、ウナギの養殖業者。現在、国内で消費されるウナギ6万5148トンの99%が養殖もので、うち3分の1が国産なのだが、シラスウナギの不漁でウナギを育てることができず、供給量が激減。その影響は価格にも現れてきている。

 東京都中央卸売市場によると、昨年2月に1キログラムあたり1456円だった国産ウナギのかば焼きの卸値は1754円。中国産も同様で、同じく1101円だったものが1376円にまで上昇したという。

 「夏場まではなんとかなりますが、在庫分がはけてしまう夏から秋にかけ、ウナギの供給量はますます枯渇する。価格がさらに高騰するのは確実で、消費者のウナギ離れが加速しないか心配です」(築地市場関係者)

 関係者が危惧する背景には、このところのウナギをめぐる苦境がある。かつて、「土用の丑の日」に食べるハレの日のごちそうだったウナギが最近、急速に存在感を失いつつあるというのだ。

 東京・築地のうなぎ専門小売店「築地にっしん太助」の美延孝一さんは「ウナギを扱う鮮魚店が目に見えて減ってきた。アナゴはあってもウナギはないという店が目立ちます。素人にはさばきにくい食材のため、店でかば焼きなどに加工して出さなければならず、専門店以外は扱いたがらなくなった。食品偽装問題で、中国産ウナギのイメージが悪くなったのも痛い」とため息をつく。

 苦しい状況にシラスウナギの不漁が追い打ちをかけたというわけだ。美延さんは「廃業するウナギ屋も出てくるのではないか」と危機感を募らせる。

 シラスウナギは1960年代前半の200トンから年々減少しているが、ここ10年は10トン前後まで落ち込んでいる。異常ともいえる落ち込みの原因は何なのか。

 「ウナギの生態系は解明されていない部分が多く、はっきりした原因はわからないが、地球温暖化による海水温の変化の影響も考えられる」(海洋専門家)

 水産総合研究センターは今月、世界初のウナギの完全養殖に成功したと発表したが、実用化はまだ先。果たしてこの夏、ウナギは食べられるのか?

「完全養殖」ウナギ、初成功もコスト高〜い

2010年04月26日 Sponichi Annex

 独立行政法人水産総合研究センターがこのほどウナギの「完全養殖」に成功した。「生態を解明したらノーベル賞もの」と言われるだけあって、研究者たちが苦闘の末、50年以上かかってたどり着いた世界初の“偉業”。これで大量生産、安く食べられる時代がくる?

 「カメラのフラッシュはたかないでください。ウナギがびっくりして死んでしまいます」

 水産総合センター養殖研究所(三重県)の飼育現場は、青暗い照明に包まれている。「完全養殖」で誕生したウナギの仔魚(しぎょ)は約8ミリほど。25センチのボールに約200匹ずつ入れられており、強い光を浴びると死んでしまうというぐらいデリケートだ。

 天然ウナギを一切使わず、人工授精から育てた親ウナギから卵と精子を採り、2代目をつくるサイクルを循環させる「完全養殖」。成功までには多くのハードルがあった。

 人工授精の研究が始まったのは約50年前の1960年代。天然ウナギからの人工授精とふ化までは比較的順調に進んだが、深海で生まれる仔魚が何を食べているか全く分からなかった。遠洋から採取した仔魚の消化管の内容物をDNA鑑定しても分からず、ふ化しては餓死する状態が約30年続いた。

 90年ごろから研究を始めた同研究所繁殖研究グループの田中秀樹グループ長(52)は「ありとあらゆる餌を試しました。天然プランクトン、配合飼料、魚、エビ、カニ、クラゲ、エイのひれ、ゆで卵の黄身…。少しでも粒が大きいとのどを詰まらせ呼吸が止まる。永遠に分からないムダな努力をしているのではと言われて、一時は不整脈が出た」と振り返る。

 96年、サメの卵を主成分とした餌に仔魚が食いつき、餓死することはなくなった。しかし、次は水質管理との戦いだった。餌の食べ残しが水槽内に少しでもあると水が腐り、仔魚は死んだ。ろ過器や排水器を導入すると、仔魚は排水に吸い込まれた。

 水温や水流、塩分濃度の管理方法などの研究を重ね、ボール型水槽で水を循環させながら飼う方法を見つけるまでに2年の歳月を費やした。四角い水槽だと食べ残しの餌が水槽の隅に残ったが、ボール型だと残らず、水の循環もうまくいった。

 仔魚には1日5回、午前9時から2時間おきに、研究者が餌を与えている。餌を与える15分間だけボールの水の流れを止め、5回目の餌を与えたところで、毎日新しい水槽に引っ越しさせる。

 3月27日に鹿児島県の志布志栽培漁業センターで25万個の卵からふ化し、これらの手間をかけて現在、同研究所で約600匹弱、漁業センターで1万匹弱の「完全養殖」仔魚が育っている。しかし、養殖業者が育てられる稚魚(シラスウナギ)に成長させるには、まだまだ関門が待ち構えている。

 自然界のウナギでも成魚となるのは、数十万個の卵からわずか2匹程度とされる。養殖下でも仔魚の段階で細菌に感染したり環境に適応できない個体は死んでいくため、「飼育容量も問題もあるが、養殖研究所の約600匹弱の仔魚のうち、シラスウナギにまで成長するのは1匹いるかどうか」(田中氏)という。

 コスト面の問題もある。養殖池で育てられたシラスウナギはほぼ100%がオスになる。ストレスの影響ともされ、天然のウナギは回遊してくる中でメスになるが、人工で育てるとホルモン処理をしないとメスはできない。よって「完全養殖」のサイクルを継続させるためにはホルモン処理が不可欠。人体と鮭(さけ)由来のホルモンを使用するので食の安全性に問題はないがコストがかかる。

 加えて、ふ化からシラスウナギになるまで約半年、成魚になるまでに最短でも2年、個体によってはさらに数年かかることもコスト増につながる。「養殖技術が確立されたマダイやヒラメは養殖池の中で親が勝手に卵を産み、稚魚まで1〜2カ月で成長する。それでも1匹数十円のコストがかかる。ウナギの場合はシラスにするのに1匹100円を目指していますが、そこまでいくのに何十年かかるか…」(田中氏)という。

 「完全養殖」が流通ベースに乗るまでにはまだ時間がかかりそうだが、そもそも同研究所が目指すのは成魚ではなくシラスウナギの供給。天然のシラスウナギの捕獲量は年々減っており、特に今年は不漁。例年の1〜2割の漁獲高の地域もある。同研究所は養殖業者への種苗供給の安定化、資源保護の観点から、シラスウナギの大量生産を10年以内に成功させたい、としている。「完全養殖」を何世代か繰り返すことで、耐久性が高く生存率の高い種、速いサイクルで人工授精が可能な早期交配ができる種などが生まれる可能性もあるという。

 気になる「完全養殖」の味だが、人工授精で成長した1世代目の親ウナギもまだ食べた人はおらず未知の世界。田中氏は「もったいなくてとても食べられません。値段?シラスウナギになるのを見ずして死んでいった研究者もいます。先人の努力も加えればプライスレス」と話した。

知りたい!:消えたウナギ稚魚 産卵場所遠のき日本に着けず?漁獲量4分の1の地域も

2010年04月22日 毎日新聞 東京夕刊

 ◇中国、台湾も不漁 土用の丑ピンチ

 ウナギ養殖に欠かせない天然稚魚のシラスウナギの漁獲量が激減し、中国や台湾でも不漁だ。今月上旬、国内でウナギの「完全養殖」が世界で初めて成功したものの、量産までの道のりは遠い。今夏の土用の丑(うし)は安くウナギが食べられるのか。【小島正美】

 ヘッドライトで水面を照らし、体長5〜6センチのシラスを網ですくい取るシラスウナギ漁。毎冬12月〜翌4月、全国の太平洋岸の河口域で行われる。主な漁場は九州、四国、関東だが、今季はどこからも悲鳴が聞こえる。

 高知県では四万十川の河口を中心に、3月5日に漁を終えた。県しらすうなぎ流通センターによると、今季の漁獲量は155キログラムと前季の約4分の1。「こんな年は過去にない」と頭を抱える。

 宮崎県は3月20日に漁が終了。約40の養殖業者でつくる同県シラスウナギ協議会は「必要量の約4・5トンに対し、取れたシラスは1割程度の545キロ」と肩を落とす。他県産をかき集めているが「今夏は品薄だろう」。鹿児島でも昨年の2割程度の約1・5トン(2月末時点)で、過去10年で最低だ。

 水産庁によると、1960年代は年約100〜200トン取れたが、80年代に20トン前後に減り、00年以降は10トン台になった。今季は「5トン程度」が業界内の見通しだ。

 長期的な減少の背景にはシラスの乱獲が挙がっているが、最近は産卵場との関係が指摘されている。ウナギの生態に詳しい塚本勝巳・東京大海洋研究所教授によると、親ウナギの産卵場は通常、マリアナ諸島西方の海域だが、08年に赤道寄りに約100キロ移動したことが確認されたという。稚魚は海流に乗り日本沿岸に来るが、「産卵場が遠ざかったため海流に乗れず、多くがフィリピンやインドネシア方面に流れたのではないか」と推測する。

 日本にシラスを輸出している中国や台湾も不漁。国産の2倍以上の1キロ100万円以上でシラスが取引されたケースもあり、「国産、輸入を合わせ13トン前後を確保できればよい方」(輸入業者)という。今夏出荷のウナギは今季のシラス(1月採捕分まで)を半年以上かけて育てたものが多くを占め、値上がりは避けられそうにない。

 ウナギの養殖は現在、天然稚魚に頼らざるを得ない。人工シラスの供給を目指す国の水産総合研究センター養殖研究所(三重県南伊勢町)が今月8日、2世代目のウナギを人工ふ化させる「完全養殖」に世界で初めて成功したと発表した。しかし、卵からシラスに成長するまでの生存率は0〜5%と極めて低く、シラス量産の見通しは立っていない。

 舞田正志・東京海洋大大学院教授は「そもそも日本の川や湖に親ウナギがどの程度いるかもよく分かっていない。国がもっと戦略的に資源保護と養殖の研究を考えるべきではないか」と話す。

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 ■ことば

 ◇ウナギ

 ニホンウナギのほか、ヨーロッパウナギ、アメリカウナギなどの種類がある。川と海を行き来し、ニホンウナギはマリアナ諸島の西方の海域で産卵し、冬に日本の太平洋沿岸などに現れるとされる。川や湖で成熟し、産卵期に再び海に出る。国内で消費される養殖ウナギは約6万5000トン(08年)で、うち約7割は中国、台湾からの輸入品。

かば焼き縁遠く…シラスウナギ漁獲量激減

2010年04月19日 読売新聞 YOMIURI On-Line

 ニホンウナギの稚魚シラスウナギの漁獲量が2月末時点で昨季の10分の1に激減していることが水産庁のまとめでわかった。

 国産養殖ウナギの多くは日本近海で捕獲されたシラスウナギを育てたものだけに、卸価格は早くも「土用の丑(うし)の日」に向け急上昇している。乱獲による資源枯渇も一因と見られており、近い将来、ワシントン条約で規制対象となる日が来るかもしれない。

 シラスウナギの漁期は、太平洋を回遊した後、日本近海に来て川を上り始める12月〜翌年4月だ。水産庁によると、今シーズンは例年にない不漁で、2月末までの漁獲量は2・4トン。前年の同時期は22トンだった。

 国内で消費されるウナギの99%(約6万5000トン)は養殖で、そのうち3分の2は中国などからの輸入だが、3分の1は国産の養殖ものだ。シラスウナギを捕獲してから出荷できるまでに育てるには最低でも半年かかるため、1月末までにいけすに入れないと夏の土用の丑の日には間に合わない。日本養鰻漁業協同組合連合会の担当者は「中国からシラスを輸入して対応しているが、需要においつくかどうか」と焦る。

 価格にも影響が出始めた。ウナギ問屋によると、かば焼き店への卸価格は、昨秋は国産の養殖ものが1匹520円前後だったが、現在は570円に。中国産も470円前後から520円前後に上がっているという。店頭価格にはまだ影響していないが、「夏場に向け上がる心配もある」(問屋)という。

 不漁の原因について東大・大気海洋研究所の木村伸吾教授(海洋環境学)は「昨年のエルニーニョ現象の影響で海流の流れが変わり、シラスが日本近海にたどり着けなかったのでは」と分析する。

 乱獲による資源の枯渇を挙げる声もある。今シーズンの落ち込みは異例だが、シラスの漁獲量は1960年代前半の200トンから年々減少し、近年は10トン前後に落ち込んだ。水産総合研究センターの田中秀樹繁殖研究グループ長は「養殖用に天然の稚魚が大量に捕獲され、子孫を残せないウナギが増えている」と懸念する。同センターでは今月、ウナギを人工的に孵化(ふか)させる「完全養殖」に世界で初めて成功したと発表したが、実用化はまだ先だ。

 欧州で捕れるヨーロッパウナギは、稚魚が乱獲されたとして、2007年にワシントン条約締約国会議で輸出入の規制が提案され、日本も賛成して可決。昨年3月から輸出国の許可書がないと、輸出入ができなくなった。

 東京海洋大の田中栄次教授(資源管理学)は「漁獲枠を決めるなどしっかり資源管理しないと、ニホンウナギも規制対象に上る可能性がある」と警告している。

今年の一色ウナギ

2010年04月17日 asahi.com 愛知

●シラス減ったが希望も

 愛知県が誇るブランドのひとつ「一色ウナギ」。最新の情報をお伝えしよう。ウナギの養殖は12月に捕獲したシラスウナギを餌付けして「池入れ」し、ボイラーを使ってビニールハウスの中の温度を上げながら飼育。翌年の7月ごろ、すなわち「土用の丑(うし)」に間に合わせるよう育てるのが最短コースである。したがって12月漁模様を確認し、絶対量が確定したこの時期に一年の見通しが立つ。

 組合では例年どおり、今シーズンの予定と来シーズンに向けた予想などを話し合うための懇談会を開催した。国内のシラスウナギの池入れ量が過去3年間で最低の30トンであった(昨年80トン、一昨年50トン)。これでは日本のウナギ消費量6万トンの半分程度しか、供給できない見込みである。加えて、組合が進めている親魚の放流は、大きな個体と小さな物と、どちらがより効率的なのか。放流は川か海かなど模索中であることが報告された。東京大学の木村伸吾先生からは「エルニーニョが起こるとシラスウナギの漁獲が減る。貿易風の強さが分かれば予測できるので、南方振動指数で測ることが出来る」などシラス来遊量の変動要因について講演があった。

 気象庁がエルニーニョ終息の可能性を示した。ウナギの完全養殖成功のニュースが世界を駆け回った。今年を乗り切れば明るいニュースが待っている。 (中部水産・神谷友成)

余録:ウナギ完全養殖

2010年04月14日 毎日新聞

 季節を表す暦の七十二候で今ごろは「雁(かり)北へ渡る」にあたる。もともとの中国の暦では「熊鼠(くまねずみ)、鶉(うずら)と化す」ころだというから驚く。中国の七十二候では他にもスズメがハマグリになったり、タカがカッコウになったりするから楽しい

▲日本のことわざでも思わぬ物がとんでもない変身をとげることがある。その一つは「山の芋、鰻(うなぎ)になる」だ。物の変化の妙は人知ではかりがたいことや、つまらぬ人が意外な成り上がりをとげることを示す時に使われた

▲本当にイモがウナギになると信じたことわざではなさそうだが、江戸時代の百科事典の「和漢三才図会」には「久しく湿潤した薯蕷(やまのいも)が変じ鰻に化する場合がある」とある。昔の人はどこから生まれてくるのか分からないウナギの謎にそんな空想をたくましくしたのだ

▲ウナギ好きの日本人が遠い海で繁殖が行われるのを知った後も生態は謎で、養殖は天然の稚魚から育てるしかなかった。そのウナギの産卵から幼生の飼育をふくむ完全養殖に水産総合研究センターが成功したと先日報じられた。世界的に稚魚が激減する中での朗報だ

▲研究センターは卵から育てた稚魚をホルモン投与で成熟させ、その卵から幼生を大量にふ化させた。これにより完全養殖のサイクルが完成したが、今後なお幼生の成長速度を天然に近づけるエサの研究や、年間数億匹の稚魚需要に応じた量産方法の開発が課題という

▲「山の芋をかば焼きにする」とはひどく先走ることだ。まずは30年前の1割に減った稚魚の資源管理に力を注ぎ、将来の完全養殖の実用化をあせらず待つのがウナギのおいしさを子孫に伝える道だろう。

ウナギ:完全養殖「大量化の夢」−−三重・水産総合研

2010年04月13日 毎日新聞 中部朝刊

 独立行政法人「水産総合研究センター」(横浜市)は12日、世界で初めて「完全養殖」に成功したウナギの仔魚(しぎょ)を三重県南伊勢町の養殖研究所で報道陣に初公開した。

 卵から育てたニホンウナギから採取した精子と卵子を使い、2世代目のウナギを人工ふ化させた。地元の海水を使った九つの半円形のアクリル水槽で泳いでいたのは仔魚約600匹。3・6ミリで生まれた体長は約7ミリ。サメの卵で作った液体状の餌を与えている。

 志布志栽培漁業センター(鹿児島県志布志市)で3月27日にふ化した約2000匹を養殖研究所で飼育したが、既に約7割が死んだ。しかし、自然界でも数十万個の卵から成魚になるのは数匹といい、同研究所での生存率は高いという。

 同研究所繁殖研究グループの田中秀樹グループ長(52)は「10年以内に大量化に成功したい」と話す。【木村文彦】

ウナギを供養 商売繁盛願い放流

2010年04月13日 山梨日日新聞

甲府の料理店が「放生会」

「放生会」でウナギを放流する料理店関係者=甲府市美咲

 ウナギを供養して商売繁盛などを祈願する「放生会(ほうじょうえ)」と呼ばれる儀式が12日、「ウナギ神社」として知られる甲府市美咲1丁目の原山神社の近くの相川で行われた。

 同市徳行2丁目のウナギ料理店「竜由」の依田邦彦社長ら従業員が出席。同神社で神事を行った後、おはらいを受けた天然ウナギ15匹を相川に放流した。

 「ウナギに感謝をしながら、今後もおいしい料理を提供したい」と依田社長。消費不況の中、売り上げアップに向け、ウナギをさばくときのように、顧客の心をキャッチできる味にこだわる考え。

完全養殖のウナギ仔魚公開 三重の養殖研究所

2010年04月12日 下野新聞

 独立行政法人水産総合研究センター(横浜市)は12日、世界で初めて「完全養殖」に成功したウナギの仔魚を、三重県南伊勢町の養殖研究所で報道陣に公開した。

 水槽に入った仔魚はふ化時の約3ミリから約8ミリに成長。目だけが黒く、体は透き通り、全身をくねらせて泳いでいた。仔魚は卵から育てたニホンウナギの卵と精子を使い、人工授精した受精卵をふ化させた2世代目。

 鹿児島県の志布志栽培漁業センターで3月27日にふ化した一部を移送。研究所では約2千匹を容量5リットルの九つの水槽に分けて飼育し、12日現在で約600匹が成育している。自然界でも数十万個の卵から2匹程度しか残らないとされ、ウナギ飼育では通常の現象という。

 研究所の田中秀樹グループ長は「いまの飼育方法では仔魚から稚魚に大量に育てることは不可能だが、10年以内に成功させたい」と話した。

ウナギ完全養殖に成功/日本

2010.04.11 中央日報/Joins.com 東京=金東鎬(キム・ドンホ)特派員

日本が世界初、ウナギ完全養殖に成功した。うなぎを最高の健康スタミナ食品として好んで食べる日本人たちはこのニュースを歓迎している。

日本水産庁傘下水産総合研究センターは稚魚(シラスウナギ)を活用して人工ウナギを生産する「完全養殖」に成功したと8日、発表した。これは1960年ごろから完全養殖に挑戦し、50年ぶりの成功だと日本経済新聞が9日、報道した。

センターは2002年、ウナギにホルモンを注射して産卵をさせ、その卵を孵化させることに成功した。2〜5年にわたって45〜70センチの大きさの親ウナギに育てた。こうして育てたウナギに今年、ホルモンを注射して卵と精液を採取した後、人工受精で25万個の受精卵を得てこれを孵化させ、10万匹の稚魚を生産した。これら稚魚は現在、元気に育っている。

東京でうなぎ店を経営する60代の男性は「驚くべき成果」だとし「国産ウナギが完全養殖で大量供給されれば、これから負担のない価格でうな丼を楽しむことができる」と話した。ただ現在の方式では長年の養殖期間が必要だ。生産費用を減らすなど、完全養殖ウナギの大衆化までは時間がもっとかかる見通しだ。

これまでウナギは完全養殖が不可能な魚種として認識されてきた。主に太平洋で卵を生み、孵化した稚魚が陸地の川を逆って上り、育った後でまた海に帰る回帰魚種だったからだ。海洋と淡水を行き交う正確な経路も完全に明らかにされない状態だ。そのためこれまでの養殖は日本沿岸に移動した天然ウナギの稚魚を捕って育てる形態だった。日本産ウナギの99%はこうした稚魚を捕って育てた養殖だ。しかし日本では長年の間、ウナギを乱獲した結果、稚魚の捕獲量がますます減り、漁業資源の枯渇を心配してきた。最近、日本産では供給が絶対不足で消費量の70%ほどを中国など外国から輸入しているが、衛生面で問題が絶えない。

いがねばまいね・春:/4 小川原湖 「幻の味」天然ウナギ /青森

2010年04月10日 毎日新聞 地方版

 ◇豊かな恵みの「宝湖」

 甘辛く香ばしい香りに誘われてふたを開けると、濃いあめ色の輝きが現れる。脂がのって、ふっくらと焼き上げられたかば焼き。ウナギの年間消費量日本一の津市で学生時代を送ったせいか、時々無性に食べたくなる。

 日本で生産されるウナギは、08年の統計でみると約2万1000トンで、このうち天然ものは1・4%に過ぎない。この天然ものの中に小川原湖のウナギがあることはあまり知られていない。量にして国産の0・1%。「幻の味」を求めて出かけた。

 穏やかな水面は名物のシジミを取る漁師たちでにぎわっていた。

 「ウナギはシジミ漁師たちが漁の合間に取っているんです」と小川原湖漁協の管理課長、細井崇さん(37)。小川原湖は淡水と海水の混じる汽水湖で、シラウオやワカサギの水揚げでも知られる。栄養豊富な汽水環境がウナギにも適しているという。

 漁のシーズンは5〜10月、餌をつけた針を沈める「はえ縄」の仕掛けを使う。地元では1キロ4000〜5000円、東京では1キロ1万円ほどで取引される。国産養殖の約2倍という高級品だ。

 食の安全意識から国産、天然ウナギの需要が高まり、グルメ漫画でも取り上げられて人気に拍車がかかった。関東などの大消費地や地元の顧客と漁師が直接取引している。「幻」とされるゆえんだ。

 さて、肝心の味は?

 「実はあまり食べる機会が無くて……」と細井さん。昔は大漁だと漁師が近所に配り、身近な食べ物だったそうだ。地元ではかば焼きのほか、ぶつ切りにしてみそやしょうゆで煮込んだうなぎ汁にして味わっていたという。

 養殖との味の差を聞くと「全然違います!」。漁協事務所のあちこちから声が上がった。やはり食べてみなくては。

 車で5分ほどのレストラン「四季旬菜Kin一(きんいち)」を紹介してもらった。天然ウナギのうな重を出している。

 店の代表、沼山欽一さん(54)は「一口食べると違いに驚きます」と自信たっぷりに笑った。天然ウナギは皮が薄く、腹が黄色に輝いているという。身は軟らかくて臭みが無く、脂がのってふっくらしているのだとか。

 インターネットで見つけ、関東からも客が訪れる。沼山さんは「これが本来のウナギの味。『小川原湖にあるんだ』とぜひ来てほしい」。新幹線開業にも期待を寄せる。

 天然ものは予約が必要。シーズン前とは承知で聞いてみたが、やはりまだとのことだった。

 代わりにおいしい国産養殖ウナギをいただきながら心に誓った。「5月になったらもう一度『いがねばまいね』」【三股智子】=つづく

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 ◇メモ

 小川原湖は三沢、東北、六ケ所の3市町村にまたがって広がる。面積は約63平方キロで日本の湖沼では11番目の大きさ。豊富な魚種から「宝湖」とも呼ばれる。「四季旬菜Kin一」で天然ウナギを扱うのは5月中旬〜10月(予定)。天然ウナギのうな重3500円(養殖ウナギは2300円)ほか(天然ものは3日前までに要予約。東北町立野24、電話0176・56・4870)。

人工孵化ウナギから子・孫も、世界初「完全養殖」

2010年04月09日 読売新聞 YOMIURI On-Line

 ウナギを親まで成長させて、子世代、孫世代の稚魚を誕生させる「完全養殖」に世界で初めて成功したと独立行政法人・水産総合研究センターが8日発表した。

 これまでウナギの養殖は、天然の稚魚を捕獲して育てる方法しかなかったが、今回、完全養殖に成功したことで、かば焼きなどに用いられるウナギの安定供給に道を開くと期待される。

 同センターによると、天然の稚魚を育てた成魚の精液と卵をもとに人工授精させて誕生した子世代の稚魚は、成魚まで成長せず精子と卵を取り出すことが難しかった。

 今回、研究チームは、稚魚の成長を促すよう、サメの卵を使った特殊な餌などを開発。この餌を使って2〜5年かけて成育させた後、ホルモン注射を行うと、オスとメスが精液と卵を作るまで成熟することを突き止めた。

 先月26日、子世代のウナギの精液と卵を使って人工授精。できた受精卵25万個は高率で孵化(ふか)し、4月1日現在10万匹の稚魚が生存しているという。

 これまでの養殖は、日本沿岸で採取した稚魚を養殖業者が育てていたが、環境変化の影響などで捕獲量が激減。価格の高騰と共に、養殖業の継続が危ぶまれていた。水産総合研究センターの井上潔理事は「天然資源に依存しないウナギの養殖の道が開かれた。天然ウナギの保護に役立つ大きな前進だ」と話している。

ひたん寿し夏メニュー パプリカも登場!?

2010年04月08日 大分合同新聞

 夏に向け、地元野菜などを使った「ひたん寿(す)し」を売り出そうと、日田すし組合(三隅勝祥組合長)は7日、商品開発のための勉強会を日田市内のすし店で開いた。組合員らは旬の野菜などを使ったすしを持ち寄り、調理方法などの情報交換をした。

 「ひたん寿し」は高菜巻きのほか、ウナギやアユなど地元食材を使ったすしで、今年2〜3月に限定販売。好評だったため、夏メニューを開発している。

 同組合の4店舗がトマトやパプリカなど夏野菜を使った自慢の“新商品”を持参。野菜ソムリエの原田京子さん(48)=同市大鶴町=が「見た目でも楽しめるよう、豆などのカラフルな材料を使っても面白い」などと提案すると、店主たちは熱心にメモを取っていた。三隅組合長(65)は「春は予想を上回る人気だった。夏も多くの人に味わってほしい」と話している。

シラスウナギ漁期延長 鹿児島県、不漁受け27年ぶり

2010/04/02 373newscom(南日本新聞)

 鹿児島県内でウナギの稚魚・シラスウナギの不漁が続いていることを受け、県は3月末までだった漁期を15日まで延長する。全国的な不漁により、県外から調達できないため。漁期延長は27年ぶり。

 2月末時点の漁獲高は累計(概数)で373キロ。2005年から5年間の同期平均867キロの半分以下となっている。

 県は水産資源保護などのため、シラスウナギの漁期を12月1日〜翌年3月31日と定めている。県内水面漁業協同組合連合会と県内の養鰻(ようまん)、シラス採捕業者団体は3月3日、「稚魚が少なく危機的状況にある」として、伊藤祐一郎知事に漁期延長の要望書を提出。29日に許可され、採捕業者1459人が申請したという。

シラスウナギ不漁深刻

2010年02月18日 高知新聞

 養鰻(ようまん)用の種苗として取引される県内のシラスウナギ漁が極端な不漁にあえいでいる。一元集荷し県内20の養鰻業者に配分する「県しらすうなぎ流通センター」(高知市大津乙)に集まったのは、17日現在でわずか20キロほど。例年の約25分の1といい、養鰻業者らは深刻な事態に危機感を募らせている。

鹿児島県内の稚魚シラスウナギ不漁 例年の1割

2010/01/14 373newscom(南日本新聞)

ときおり小雪の舞う中、シラスウナギを探す採捕者ら=13日午後6時50分ごろ、大崎町の菱田川河口

 養殖ウナギ生産量日本一の鹿児島県で、稚魚シラスウナギの不漁が目立っている。今期の漁が解禁された2009年12月の県内漁獲量は35キロ。豊漁だった08年12月(867キロ)の4%程度しかなく、過去5年間の12月平均(332キロ)も大きく下回った。不漁は全国的な傾向で、養鰻(ようまん)業者らは危機感を募らせている。

 県水産振興課によると、1970年以降で「最低の数字」とされた04年度漁期の12月漁獲量は17キロで、今期はそれを辛うじて上回るレベル。漁期が終わる3月末まで、シラスウナギ採捕業者の不安はぬぐえない。「潮の流れ、水温などが影響するとされるが、原因がつかめない」と県水産振興課。

 養鰻業者も頭を抱える。シラスウナギの仕入れ値は、県内水面漁業協同組合連合会(事務局・県水産振興課)が立ち会いの上、採捕業者、養鰻業者が話し合って決める。08年12月はキロ52万円でスタートし、量が増えるに伴って月末には20万円まで下がった。ところが昨年12月は32万円で始まり、月末には逆に50万円まで値上がりした。

 今後、外国産に頼らざるを得ない状況も予想されるが、台湾産なども高騰。養鰻業者の経営悪化を懸念する声が上がっている。全国最大手の鹿児島鰻(大崎町)の斉藤和昭社長は「行政による支援とともに、業者、国、県が協力して成魚の放流など資源確保・管理を徹底することが不可欠だ」と訴える。

冬こそうまい! 寒の土用…静岡

2010年01月27日 読売新聞 YOMIURI On-Line

試食コーナーで冬のうなぎを味わう家族連れら(26日、三島市一番町の三島商工会議所で)

 27日の冬の土用の丑(うし)の日を前に、脂がのった冬のうなぎを食べてもらおうと、静岡県三島市内のうなぎ店28軒でつくる「三島うなぎ横町町内会」などは26日、同市一番町の三島商工会議所で「寒の土用うなぎまつり」を開いた。

 三島市は、富士山の伏流水に恵まれ、市外から仕入れた養殖うなぎを数日間水にさらすことで泥臭さが抜け、身が締まって味わいが増すため専門店が多い。一般に、夏の土用の風物詩のイメージが強いが、同商議所などによると、脂の乗る冬こそうまいという。

 試食コーナーで焼きたてのかば焼きが無料で振る舞われたほか、市内11軒のうなぎ弁当計910食が一律1000円で売り出され、完売する盛況ぶりだった。

「魚秀」が所得隠し1.2億円 ウナギ産地偽装の工作費

2010.01.18 MSN産経新聞

 中国産ウナギの産地偽装事件で当時の社長らが有罪判決を受けた水産物輸入会社「魚秀」(大阪市中央区)が大阪国税局の税務調査を受け、平成21年3月期までの2年間で、所得1億2千万円の申告漏れを指摘されていたことが分かった。ほぼ全額が所得隠しと認定された。偽装工作に支出した謝礼や報酬が対象で、重加算税を含め数千万円を追徴課税されたもようだ。

 関係者によると、魚秀は中国産ウナギを「三河一色産」と偽装するための謝礼や報酬の名目で、魚秀と水産物卸売会社「神港魚類」(神戸市)の取引仲介に協力した東京の商社2社に約4千万円、偽装ウナギを買い取った神港魚類の担当課長に1千万円、箱の詰め替え作業を担当した高松市の水産加工会社元専務に1億円をそれぞれ渡していた。

 国税局は、商社2社と担当課長に渡した計5千万円は、全額が不正行為に関係する費用で損金算入できないと指摘。元専務に渡した1億円についても、詰め替え作業の人件費など一部を除き同様に損金算入を認めず、所得隠しと判断した。

 魚秀は「税務調査を受けたのは事実。国税当局の指摘に従って修正申告した」としている。

 一連の事件では、魚秀の当時の社長らが兵庫、徳島両県警に逮捕され、不正競争防止法違反罪で起訴された5人に対して昨年4月、神戸地裁で有罪判決が言い渡された。

稚魚の増加願い 親ウナギを放流

2009年10月27日 読売新聞 YOMIURI On-Line

一色で愛知県養鰻漁業者協会 

佐久島沖で行われた親ウナギの放流

 愛知県養鰻(ようまん)漁業者協会(大岡宗弘会長)は26日、一色町小藪の旧一色漁協荷さばき場で、親ウナギの放流祭を開き、養鰻業者ら約100人が参加した。神事の後、関係者らが船に乗り、三河湾の佐久島沖で1600キロ(約3万2000匹)の親ウナギを放流した。

 近年はシラスウナギ(ウナギの稚魚)が減少し、シラスの確保が重要課題となっている。ウナギの産卵については、はっきりわかっていないが、太平洋のマリアナ諸島付近で産卵し、日本の河川に遡上(そじょう)すると言われている。このため、同協会では、シラスウナギの増加を図るため、海に親ウナギを放流している。

輸出制限のウナギ稚魚、大量に密輸 国際犯罪組織が関与か

2009年07月15日 琉球新報

 輸出制限されているウナギの稚魚「シラスウナギ」が、昨年末から今春にかけ大量に密輸出され、全国の税関で相次いで摘発されていたことが15日、分かった。国際犯罪組織などの関与があるとみて、税関などが捜査。(共同通信)

ウナギ稚魚の密輸出相次ぐ

2009年07月15日 大分合同新聞

ウナギ稚魚の密輸出相次ぐ

 資源保護の観点から輸出制限されているウナギの稚魚「シラスウナギ」が、昨年末から今春にかけて大量に密輸出され、全国の税関で相次いで摘発されていたことが15日、分かった。税関関係者が明らかにした。

 シラス漁は今期豊漁。養鰻業者によると1キロ当たり数十万円で取引され、養殖が盛んな台湾や中国などに持ち込んでもうける密輸ビジネスが横行。摘発されても罰金にとどまるケースが多く、麻薬密輸よりもリスクが小さいことから、外国の犯罪組織や日本の暴力団もかかわっている疑いがあるとみて、税関などが調べている。

 日本では12月〜翌年4月にシラスの輸出が禁止される。財務省関税局などによると、成田空港では3月9日、水や酸素を入れたポリ袋約50袋に小分けした生きシラス計140キロを、スーツケースに隠して香港に密輸しようとした台湾人4人を成田税関支署が摘発した。

 そのほか4月までに、日本人や中国、韓国人の密輸グループの約10件を摘発、計600キロ以上のシラスを押収したという。

 関西空港や門司などの税関でもシラスの密輸が摘発されており、輸出先はマカオや香港、台湾、韓国だった。

 養鰻業者によると近年、乱獲などによって東アジア一帯でシラスの漁獲量が減少し、取引価格も高止まりしている。

産地偽装 目立つウナギ

2009年06月25日 読売新聞 YOMIURI On-Line

 中国産のウナギのかば焼きを鹿児島産と偽ったとして、警視庁が東京・築地の食品加工会社の役員らを逮捕した。数ある水産物の中でもウナギの産地偽装は目立つ。その背景を探った。

 今月10日に食品加工会社役員らが逮捕された今回の事件を含め、昨年以降、警察に摘発されたウナギの産地偽装は少なくとも6件に上る。「ウナギの養殖場は少ないのに、市場には国産がたくさん出回っている。不自然だと思ってはいたんだが……」。築地の都中央卸売市場に水産物を卸している業者の言葉だ。

 警察が摘発を強めたのは昨春からだが、それまでこの業者が扱ってきたウナギの約4割は「国内産」だった。が、水産庁などの統計によると、2007年のウナギの流通量は10万3284トンで、国内生産量は2万2931トン。実際の比率は2割強に過ぎなかった。

 産地偽装はアサリなどでも発覚しているが、「これほど相次いで業者が摘発されている水産物はウナギぐらいではないか」と都水産物卸売業者協会はいう。取引価格が高いため買い手を欺いた時のうまみが大きいという理由とともに、業者が口をそろえて指摘するのが、かば焼きなどに加工されて流通することが多い点。「鮮魚として出回る魚と異なり、形状の違いや味の差が分かりにくくなる」(卸売業者)というわけだ。

 日本人の味覚の変化を指摘する声もある。

 日本で養殖されているのは「アンギラ・ジャポニカ」という種類で、中国から輸入されるのは主に「アンギラ・アンギラ」。同協会によれば、日本人は元々、アンギラ・ジャポニカのさっぱりした味を好み、硬くて油っぽいアンギラ・アンギラは敬遠してきた。

 食育・料理研究家の坂本広子さんの話では、日本人はウナギに限らず淡泊な食材を伝統的に好み、だしによる微妙な味わいの違いを大切にする繊細な食文化を築いてきた。しかし、外食産業やコンビニの普及に伴って、油っぽいことや味が濃いことへの抵抗感が薄れており、坂本さんは「こうした変化が偽装の横行につながっているのでは」と分析する。

 遺伝子配列の違いでウナギの種類を鑑定する方法を研究している静岡理工科大の常吉俊宏教授には、鑑定に関する問い合わせが水産加工業者などからしばしば寄せられる。「濃厚な味に慣れる中で、味だけでは国産かどうかを判別できなくなっていることの表れだろう」と常吉教授はみる。

 「国産ブランドにこだわる反面、本当の日本の味がわからなくなっている。今後も国産に偽装した外国産の食品にだまされ続ける可能性は高い」。坂本さんは消費者にそう警告する。(朝来野祥子)

中国産ウナギを鹿児島産と偽装、東京の「浜伸」社長ら逮捕

2009年06月10日 読売新聞 YOMIURI On-Line

 東京都中央区の食品加工会社が中国産のウナギのかば焼きを鹿児島県産と偽った産地偽装事件で、警視庁は10日、中央区銀座の食品加工会社「浜伸」の実質的な経営者で、取締役の中村驥(はやま)容疑者(67)(三鷹市中原)と同社幹部ら計3人を不正競争防止法違反の疑いで逮捕した。

 同庁幹部によると、中村容疑者らは昨年5月22日、調布市にある浜伸の工場で、中国産ウナギのかば焼き3000パックに、「鹿児島県産」などと印刷されたシールを張って、原産地を誤認させるような表示をし、翌23日、都内の卸売業者に171万円で販売した疑い。

 中村容疑者らは約3年前から、東京・築地市場で、1匹300円前後で仕入れた中国産ウナギのパックに、「鹿児島産」などのラベルを張り、「原産国 日本国(鹿児島県大隈地区産)」と記載された産地証明書をつけて、1匹500〜600円で販売していた。ピーク時は1か月で5000万円以上の売り上げがあった。産地偽装は2007年9月〜昨年8月で計52トン分、売り上げ総額2億1000万円に上っていたという。

 「浜伸」は、1976年に中村容疑者が設立。一時は都心の繁華街に割烹(かっぽう)居酒屋などを展開。その後、経営が悪化し、05年2月、民事再生手続きを行い、現在は休眠状態。

中国、台湾産を「徳島産ウナギ」…容疑の水産卸業者を逮捕

2009年05月04日 読売新聞 YOMIURI On-Line

 中国、台湾産のウナギかば焼きを徳島産と偽って販売したとして、徳島県警は4日、同県阿南市の水産物卸会社「アオキ淡水」社長青木義市容疑者(67)を不正競争防止法違反(虚偽表示)容疑で逮捕した。

 青木容疑者は容疑を否認しているという。

 発表によると、青木容疑者は、同社社員鳴鬼(なるき)富雄容疑者(63)(同法違反容疑で4月23日に逮捕)、同市の食品会社「丸源水産」社長片山利文容疑者(59)(同)と共謀、2006年6月〜08年2月、中国、台湾産のウナギかば焼き39トンを徳島産とした段ボール箱に詰めて偽装し、スーパーなどに計600回にわたり販売した疑い。

 アオキ淡水は、産地偽装したウナギを別の食品加工会社に販売したとして、同県から昨年12月、日本農林規格(JAS)法に基づき改善指示を受けていた。

中国産ウナギの産地偽装、魚秀社長らに有罪判決

2009年04月27日 読売新聞 YOMIURI On-Line

 中国産ウナギかば焼きの産地偽装事件で、不正競争防止法違反(虚偽表示)罪に問われたウナギ販売業「魚秀(うおひで)」(大阪市)社長・中谷彰宏(45)、水産物卸売業「神港魚類」(神戸市)元担当課長・北本順一(40)ら5被告と3法人の判決が27日、神戸地裁であった。

 佐野哲生裁判官は「消費者の信頼を大きく損ねた悪質な犯行で、社会的影響は極めて大きい」として中谷、北本両被告を各懲役2年6月、執行猶予4年、罰金200万円(求刑・懲役2年6月、罰金200万円)とするなど全被告に有罪判決を言い渡した。

 魚秀福岡営業所長・川上智行(42)、高知県南国市の水産加工会社元専務・横山圭一(40)の両被告は懲役2年6月、執行猶予4年、罰金200万円(同)、高松市の水産物卸販売会社元役員・稲山恵誉(よしたか)被告(44)は懲役2年6月、執行猶予4年、罰金400万円(求刑・懲役2年6月、罰金400万円)。魚秀と魚秀の親会社「徳島魚市場」(徳島市)は、いずれも求刑通り罰金1000万円、神港魚類は罰金500万円(求刑・罰金1000万円)だった。

中国・台湾産ウナギ、徳島県産と偽り販売

2008年12月19日 読売新聞 YOMIURI On-Line

 中国、台湾産ウナギを徳島県産に偽装し販売したとして、徳島県は19日、同県阿南市の水産物卸会社「アオキ淡水」と、同市の食品加工会社「タカラ食品」に対し、日本農林規格(JAS)法に基づき改善を指示した。

 県の発表によると、アオキ淡水は中国や県外の商社などから仕入れた中国、台湾産のウナギの産地証明書や伝票を徳島県産と偽装して、今年4〜10月、計68トンを水産物加工会社2社に卸していた。

 また、タカラ食品はアオキ淡水から仕入れた中国、台湾産ウナギをかば焼きなどに加工し、4〜12月に徳島県産と表示した箱に詰めて水産物販売会社7社に3・6トンを販売した。

中国・台湾ウナギ「徳島産」と偽装

2008年11月11日 読売新聞 YOMIURI On-Line

 徳島県は10日、同県阿南市の食品会社「丸源水産」(片山利文社長)が中国、台湾産のウナギのかば焼き計11・7トンを同県産として、スーパーに卸していたとして、日本農林規格(JAS)法に基づき同社に改善を指示した。

 発表によると、同社は2006年11月〜今年6月、中国産と台湾産のかば焼き計約7万匹分を「徳島産」と表示した箱に詰め替え、卸した。

ウナギ稚魚採捕を記録 内水面振興センター

2008年10月22日 宮崎日日新聞

 県内のウナギ養殖業者向けにウナギ稚魚(シラスウナギ)を採捕している財団法人県内水面振興センター(宮崎市佐土原町)は、設立以来14年間の活動を報告書にまとめた。

 稚魚採捕に関する詳細な記録はこれまでなく、同センターは「どこにもない貴重な資料」としている。

 同センターは適正価格でウナギ稚魚を提供し、暴力団など反社会的集団の資金源を絶つことなどを目的に、1994年11月に設立。シーズンには大淀川と一ツ瀬川で稚魚を採捕している。

「浜伸」のウナギ産地偽装、捜索受けた卸業者社長が自殺

2008年09月12日 読売新聞 YOMIURI ON-Line

 東京都中央区の食品加工会社「浜伸」によるウナギ産地偽装事件で、警視庁に不正競争防止法違反容疑の関連先として捜索を受けた三鷹市の卸業者「弥生」の神田真佐志社長(54)が12日午後0時55分ごろ、調布市内の知人男性宅で首をつって死んでいるのが見つかった。

 遺書はなかったが、現場の状況から、同庁では自殺とみて調べている。

 同庁幹部によると、弥生は、浜伸から国産に偽装したとみられるウナギのかば焼きを仕入れ、都内のスーパーに卸していた。同庁では11日、浜伸とともに、弥生や三鷹市内の神田社長宅を捜索、神田社長からも約3時間にわたって事情を聞いていた。

ウナギ産地偽装で、厳罰化の波!

2008年07月04日 日刊のモバイル記事 文章:志田 玲子(All About「よくわかる時事問題」旧ガイド)

超悪質! 産地も製造元もデッチあげ

ウナギ産地偽装問題で一斉捜索! 7月3日、兵庫、徳島両県警の合同捜査本部は、水産物販売会社・魚秀と卸会社・神港魚類の関係先26カ所を、家宅捜索。容疑は、不正競争防止法違反の虚偽表示です。調べによると、魚秀は4〜6月、中国産ウナギの蒲焼を国産と偽装した上で、卸会社3社に3.64トンを大量販売。このうち2社の取引は、神港魚類が仲介していました。おまけに、架空の会社を製造元にデッチあげるなど、手口は超悪質!

 捜査本部は、より罪の重い詐欺容疑も視野に入れています。事情聴取を受けた魚秀の社長は、観念したのかあっさり偽装を白状。一方、社長から口止め料として?現金1000万円を受け取った神港魚類の担当課長は、関与を否定。「(社長らが)自分に偽装責任をなすりつけるシナリオを作った!」と主張しているようですが、真相はいかに?

「やり得」を許さない仕組みが不可欠!

 さて、今年も昨年同様、「偽」の流れが引き続いているようですが、巷では「食品偽装に対する罰が手ぬるい!」との声が台頭。食品表示を取り締まる法律の1つ、JAS法(日本農林規格法)の厳罰化を求める機運が高まっています。

 一方、今回の事件の容疑=不正競争防止法違反の場合、虚偽表示罪の最高刑(個人)は、懲役5年または罰金500万円。これが詐欺罪となった場合は、2倍の懲役10年! ただ、相手をだます「故意」と、偽装で得た「不法の利益」の存在が必要なため、立証が困難しそう……。

 いずれにしても、消費者をあざむく食品偽装がこれだけ頻発している以上、「やり得」(偽装が得になる)を許さない法整備が必要!と言えそうです。

ウナギ産地偽装で「口止め料1000万円」、マルハ子会社に

2008年06月26日 読売新聞 YOMIURI On-Line

 ウナギ販売業「魚秀」(大阪市)と水産業界最大手「マルハニチロホールディングス」の100%子会社の水産物卸業「神港魚類」(神戸市)が中国産ウナギのかば焼きを国産の「一色産ウナギ」と偽って販売していた問題で、魚秀が先月、神港魚類の担当者に現金1000万円を渡していたことが分かった。

 担当者は農水省などに対し「不正に対する口止め料と受け止めた」と説明している。一方、偽装によって得た利益は少なくとも5億円に上ることも判明した。

 徳島・兵庫両県警では不正競争防止法違反の疑いもあるとして関係者から任意で事情を聞いている。

 神港魚類の担当課長(40)が魚秀の中谷彰宏社長から現金を受け取ったのは先月下旬。日本農林規格(JAS)法に基づき両社に改善指示をした農水省によると、魚秀側は同省に対し「不正は今年2月ごろ神港魚類と相談して始めた。

 現金は(一緒に偽装の手法を考えてくれた)謝礼の意味合いで渡した」と説明。これに対し、神港魚類側は「不正は農水省の調査を受けるまで知らなかった。現金は口止め料だと思う」と話している。

 一方、偽装の動機について、魚秀は「今年1月に発覚した中国製冷凍ギョーザの中毒事件の後、中国産品が売れなくなったため」と説明。

 ギョーザ事件後、中国産ウナギのかば焼きは価格が急落し、6月現在、1キロ当たり1800円〜1900円で、国産の4000〜5000円との価格差が広がっている。魚秀は偽装ウナギで今年3〜4月に約7億円を売り上げているが、同省では中国産として販売していれば2億円程度だったとみている。

 一色産ウナギで有名な愛知県一色町は、全国のウナギの約4分の1を生産している。市町村別では全国1位の生産高を誇り、太平洋に面している。今回偽装の舞台に使われた架空の製造会社の所在地は同県岡崎市にある「一色町一色」で、約30キロ離れた内陸部にあり、字名の一色は実在しなかった。

ウナギ稚魚、台湾が対日禁輸 11月から

2007年10月29日 中国新聞ニュース

 【台北29日共同】台湾の経済部(日本の経済産業省に相当)当局者は29日、養殖に使われ世界的に激減するウナギの稚魚、シラスウナギの資源保護のため毎年11月1日から3月31日までの5カ月間、日本などへの輸出を禁止する措置を今年から実施するとの決定を明らかにした。近く正式に発表する。

 5カ月間は台湾でのシラスウナギの漁獲シーズンに当たり、事実上の全面禁輸。稚魚の1−2割を台湾産に頼ってきた日本の養殖業への打撃は必至で、ウナギの価格が高騰する恐れもある。

 台湾は2001年にシラスウナギ輸出を解禁し、05年に8・5トン、06年には2・5トンを日本に輸出。しかし、農業委員会漁業署(日本の水産庁に相当)当局者によると、シラスウナギ不足が続く中での輸出に台湾の養殖業者の反発が強く、禁輸に踏み切る。

 日本政府も資源保護のためシラスウナギの輸出は認めておらず、日本の対台湾窓口、交流協会台北事務所は「台湾だけに輸出を求めることはできず、禁輸もやむを得ない」と話した。

コンビニが禁止薬物使用の中国産鰻を回収/h3>2007年07月17日 アメーバニュース

 冷凍食品大手の加ト吉は、13日、中国政府から安全性に問題があるとして輸出禁止処分にしていた中国の食品製造会社「甫田興和食品」(福建省)から鰻を輸入していたことを明らかにし、出荷を停止した。この中国食品企業は、禁止された薬物を使ったり検査・検疫を受けずに輸出したりしていたとして、中国政府が10日付で発表した41社のリストに含まれていた。

 この冷凍うなぎは、かば焼き用に加工され、加ト吉からサークルKサンクスなど国内の15社に販売されていた。サークルKサンクスは同日、「炭火焼うなぎ蒲焼重」(850円)の販売・予約を中止した。加ト吉では、「輸入時の細菌検査など厚生労働省の定める基準は満たしており、品質上問題はないと考えている」とコメント。週明けにも納品を再会する方針を発表している。

 群馬県のスーパーでも、販売していた中国産の冷凍うなぎ蒲焼から「マラカイトグリーン」の代謝物「ロイコマラカイトグリーン」が検出されたとして店頭からの回収を行なった。

 既に8割が販売済みであったが、微量のため継続して摂取しない限り人体に害はないという。マラカイトグリーンは国内でも観賞用の魚の白点病、尾ぐされ症状、水カビ病の治療に用いられているが、発がん性があることから、食用の養殖魚への使用は禁止されている。このうなぎは徳島県の卸売業者が中国から輸入して、関東地方を中心に販売していた。徳島県ではこのニュースを受け、卸売業者に自主回収を求めている。

 土用の丑の日を前に売り上げを見込んでいた小売業者にとっては、大きな痛手となった。

価格高騰必至 台湾がウナギ稚魚禁輸へ 国産養殖の2割

2007年07月05日 産経新聞

 【台北=長谷川周人】台湾から日本に輸出しているウナギの養殖に使う稚魚、シラスウナギについて、台湾当局が今年11月にも禁輸措置に踏み切る方向で専門家との詰めの協議に入っていることが4日、わかった。禁輸期間は3カ月程度に限定する見通しだが、日本の養殖業者への影響は避けられず、今後、ウナギの価格高騰を招く可能性が出てきた。

 台湾の農業委員会漁業署(水産庁)当局者によると、台湾は資源保護などを理由に稚魚の対日輸出を規制する方針を決め、「遅くとも今年10月までに結論を出す」方向で専門家と禁輸措置が及ぼす経済的影響について検討に入った。

 また、これまでの協議で「日台交渉の行方を見守る必要もあるが、措置は輸出削減ではなく、一定期間、売買を凍結する禁輸措置とする方針を決めた」という。

 台湾は2001年以降、稚魚不足に悩む日本側の要請に応じ、年間漁獲量の2割強に相当する約10トンを日本に輸出している。だが同時に、台湾が品薄となる時期に日本からの稚魚輸出を求めている。しかし、これに日本側が応じないため、「立法院(国会)から『不平等』との不満が出ている」(当局者)という。

 もっとも、台湾の外交当局者は「稚魚の売買凍結は、台湾産ウナギの競争力維持だけでなく、資源保護の観点からも当然の判断。日本への報復措置ではない」と話している。

 日本の業界調べでは、国産の養殖ウナギに使う稚魚は輸入が全体の2割を占め、その全量を台湾産に依存している。禁輸が実施されれば、品薄から稚魚、ひいては成魚の価格が上昇することになりそうだ。

 一方、欧州連合(EU)は09年からウナギの稚魚の漁獲規制に入る。このため、今後、欧州産稚魚を使う中国産ウナギの生産量の先細りが予想されている。 日本人が食べるウナギは全体の6割強を中国産に頼っている。

中国産うなぎから禁止物質 群馬のスーパーで販売

2007年07月14日 中国新聞ニュース

 群馬県は13日、県内のスーパーマーケットで販売されていた中国産の冷凍のうなぎかば焼きから、国内では養殖魚などへの使用が禁止されている合成抗菌剤「マラカイトグリーン」の代謝物が検出されたと発表した。

 県健康福祉局によると、観賞魚の水カビ病などの治療に使われる抗菌剤が、体内で酵素によって還元された物質が検出された。微量のため、継続して摂取しない限り健康への影響はないという。

 かば焼きは徳島市の水産物卸売会社「徳島魚市場」が輸入。群馬県内には約1350匹分納入され、うち約1100匹分が販売済み。残りは既に店頭などから回収されたという。

ウナギ稚魚の対日禁輸検討 台湾、今冬にも実施

2007年05月19日 中国新聞ニュース

 養殖に使うウナギの稚魚、シラスウナギを日本に輸出している台湾が、資源保護などを理由に対日輸出の禁止や規制を検討していることが、19日までに分かった。日本の水産庁に当たる台湾農業委員会漁業署の当局者が明らかにした。

 日本のシラスウナギは漁獲量が減り、近年、多くを台湾からの輸入に頼っている。早ければこの冬の漁獲分から規制が実施される可能性があるといい、ウナギの品薄や値上がりなどにつながって、日本の養殖業や食卓に大きな影響が出ることになる。

 台湾の漁業署によると、シラスウナギ不足に悩む日本の業者側からの要望もあって、2001年に日本向けの輸出を解禁。これまで年間5トン前後を輸出してきた。

クリアランス船最多更新 ウナギ稚魚など輸出

2007年03月21日 琉球新報

 【八重山】沖縄地区税関石垣税関支署は20日、2006年の八重山圏域の貿易概況を発表した。それによると、台湾と中国の貿易で石垣島を中継するクリアランス船(ク船)が5647隻で過去最多を更新した。また輸出総額は5億8148万円で、前年の1・7倍に増え、過去最高額を記録した。 06年のク船は5647隻で、過去最多を記録した前年の5167隻を上回り、石垣の外国貿易船の96・2%を占めた。ク船は02年と03年に約1・3倍ずつ増加。04年はほぼ横ばいの微増だったが、05年で約1・2倍、06年は約1・1倍とさらに増加傾向が続いている。

 総輸出額は5億8148万円(前年3億3961万円)で、前年比71・2%増で過去最高。ウナギの稚魚の輸出が活発で、魚介類および同調製品が前年より18・6倍に激増。そのほか、動植物原材料が14・9倍に増え、輸出総額を押し上げたほか、輸送機器(空コンテナ、船舶など)が約1・3倍に増えた。

 輸入額は5億8447万円で前年比37・7%の増。全体の55・7%を占めた「石油および同製品」のアスファルトが3倍に増えたほか、野菜および果実が3・9倍に増加した。

 同支署は「前年の事業であるウナギの稚魚の輸出などが輸出費を押し上げたほか、那覇から石垣島に食料品などを運送する際に使用したコンテナを、航路の関係上いったん台湾に運び込んで那覇に戻したことが全体の輸出総額を押し上げた」と分析した。

中国産ウナギから基準値22倍超の「殺虫剤」検出・・・厚労省が検査命令

2006/08/22(火) asahi.com

 厚生労働省は22日、中国・広東省と上海産のウナギから、最大で残留基準値の22倍を超える有機塩素系殺虫剤エンドスルファンが検出されたと発表した。 食品衛生法に基づいてすべての輸入業者に検査命令を出し、基準を満たさない場合は流通させないよう求めた。市場に出回ったものも一部あるが、ただちに健康に影響を与える恐れはないとしている。両地域以外の中国産ウナギは検査命令の対象外。

 7月以降に広東省と上海から日本向けに輸出された7件で違反が見つかった。

 名古屋検疫所が7月に調べた広東省産ウナギからは基準値(0.004ppm)の22倍を超える0.089ppmが検出された。

ウナギ品薄、小売り悲鳴 中国地方

2006/07/20 中国新聞地域ニュース

 真夏のスタミナ源として親しまれているウナギが、中国地方のスーパーなどで昨年より一―三割値上がりしている。稚魚の不漁による国産養殖物の減少に加え、中国産などに対する安全検査が強化され輸入量も減ったのが主な要因とみられる。今年は懐に厳しい土用の丑(うし)の日(今月二十三日、八月四日)になりそうだ。(河野揚)

 スーパーのイズミ(広島市南区)では、かば焼きが国産で一本千百円程度、中国産が五百―七百円と昨年より10―15%高い。「国産を半分に切って五、六百円にするなど買いやすくした」と工夫する。スーパーなどは加工品を中心に仕入れており、ハローズ(福山市)はかば焼きを中国産で約三割、国産で約一割値上げした。「特に輸入物の仕入れ値が高く価格転嫁せざるを得ない」と説明する。

 広島市中央卸売市場(西区)への六月の入荷量は、ウナギが前年同月比9%減の約八トン。加工品の焼きうなぎは約三十トンと21%減り、一キロ当たりの卸価格は16%アップの平均二千三百二十五円だった。荷受会社の広島魚市場(同)は「主力の中国産が不足している。盆時期まで高止まりの状況が続きそう」としている。

 なぜ輸入ウナギが少なくなったのか―。厚生労働省によると、数年前から一部中国産で使用が禁止されている抗生物質の検出例が相次ぎ、輸入物に対する検査が強化された。さらに、一定基準以上の残留農薬などを含んだ食品の流通を原則禁止するポジティブリスト制度が五月に導入され、中国では日本への輸出を見合わせる業者も出ているという。

 国産の品薄も追い打ちをかけている。農水省によると、昨年は稚魚が不漁で、その稚魚を育てる国内の養殖生産量は約二万トンと過去十年間で最低だった。

 一方、値上げを見合わせる店もある。丸久(防府市)は、かば焼きを一本約九百―千五百円程度に据え置く。「仕入れが高い分、利幅を減らし我慢している」という。

 卸、販売の老舗、小谷銀山本店(広島市中区)は生きたウナギを仕入れ、焼きたてを店頭販売する。仕入れ値は約一割上がったが、店頭では昨年と同じ一本千五百―千八百円。小谷隆春社長は「土用の丑の日までは値上げしない」と言い切るが、その先については「このままでは値上げを検討せざるを得ない」と渋い表情だ。

「ウナギ」じわり高値 輸入規制に稚魚不漁追い打ち

2006/07/13 The Sankei Shimbun 大阪夕刊から

≪関西では小ぶり使い価格据え置きも≫

 今月23日の「土用(どよう)の丑(うし)」を前にウナギに“高値の波”が押し寄せている。輸入水産物の規制強化によって値ごろ感のある中国産が品薄になり、その影響と稚魚の不漁で国産ものの卸値も上がっているからだ。ただ、店頭価格は「値上げ組」と「据え置き組」に分かれ、とくに値段に敏感な消費者の多い関西では、昨年より小ぶりのウナギを使うなど苦肉の策で価格を維持するスーパーも。業者にとってひときわ暑い夏となりそうだ。

 「みなさんが精をつけたいと思う時期に値段を上げるわけにいかない。利幅を下げて、ぎりぎりまでがんばる」。ウナギ卸売りの老舗、大巳(だいみ)(大阪府吹田市)の甚田倫弘会長はこう話す。

 同社の扱うウナギの大半は国産もの。中国産品薄の影響で産地からの仕入れ値が例年より2、3割上昇したが、百貨店などに納入しているかば焼きといった商品は価格を据え置いた。

 関西でスーパーを展開するイズミヤでは「中国産は100円値上げの698円」の一方、国産ものはやや小ぶりにして一匹の価格を昨年と同じ980円に。イオンも同様に「価格は据え置く」と話す。

 これに対し、西友は長焼きなど3商品の価格を10〜15%上げたほか、イトーヨーカ堂も、うな重など鹿児島産で200円アップの1280円、中国産は100円上げて798円に設定している。

 価格戦略の違いについて、大阪のある鮮魚卸関係者は「首都圏に比べて関西では景気回復の時期が遅れる。値上げをすれば、即座に売り上げに響く」と解説する。

 輸入減の引き金を引いたのは昨年、中国産ウナギの加工品から日本で禁止されている抗菌剤が検出されたため。中国産の野菜から残留農薬が相次いで見つかり、安全性を基準に農水産物の流通を詳細に規制する「ポジティブリスト」制度が5月末に導入された。

 これを受けて、制度導入前から「リストに引っかかる」と懸念した中国の生産業者からの輸入が激減。中国産を中心に流通量の7割以上を占める輸入ものが品薄となった結果、「国産も引っ張られて高くなった」(卸売業者)わけだ。

 追い打ちをかけたのがウナギの稚魚であるシラスウナギの不漁。一昨年、昨年とシラスウナギの不漁が続いたことで国内主要産地、鹿児島県の大隅養鰻(ようまん)漁協の関係者は「今年は昨年の半分程度しか養殖による収穫がない」と嘆く。

 今春のシラスウナギ漁は上向いたとはいえ、夏バテ防止で需要がピークを迎える今月下旬の出荷に間にあいそうにない。「価格異変」は当分、続きそうだ。

≪うな重100円アップ/値段よりも質の高さだ≫

 ウナギの高値に、ウナギ料理店などから「経営がしんどい」と悲鳴があがる一方、「もともと高級品なので影響はない」という業者もいる。

 創業約140年の老舗ウナギ料理店「魚伊」(大阪市旭区)の経営者、半田廣行さん(36)は「ウナギは、ほかの食べ物に比べて原価の占める割合が高いので、影響が出やすく心配だ」と話す。

 同店では昨年12月にメニューの約10%の値上げに踏み切り、うな重は100円アップした。昼食では、わずかな値上げでも影響は大きいという。「お客さんは事情を分かってくれて『しようがない』といってくれるが…」と半田さんは今後の動向にやきもきしている。

 一方、かば焼きを販売しているエン時(大阪市中央区)では「ウナギはもともとが高級食材。求められるのは値段の問題よりも質の高さだ。高くてもいい国産品は人気がある」と高値に動じていない。

中国産養殖鰻のマラカイトグリーン検出について

2005(平成17)年08月04日 厚生労働省 食品安全部監視安全課

中国産ウナギに発がん成分とみられる物質

2005.07.26 中央日報 金廷洙(キム・ジョンス)記者

最近、中国から輸入したウナギとウナギの加工食品から、発がん成分とみられる物質が検出された。食品医薬品安全庁(食薬庁)は26日、中国産ウナギ(活魚)7件とウナギ加工品(味付けウナギ)7件への検査を行ったところ、それぞれ1件と6件、計7件から有害な物質の マラカイトグリーンが検出されたと伝えた。

これによって、食薬庁は、該当製品全量(およそ70トン)を返送、廃棄した。また、関連メーカーや輸入会社の他の製品も回収し、検査の結果が出る時点まで、暫定的に流通・販売を禁止した。食薬庁・危害管理企画団のイ・ヨンチーム長は「味付けウナギ類は大手デパートやディスカウント店でも流通中」だとし「中国産ウナギの輸入会社34社のうち、検査対象に含まれなかった残りの会社にも検査を拡大する計画」だと話した。


中国産冷凍ウナギからまた抗菌剤=業者に販売禁止命令−静岡市保健所

2003年08月01日 YAHOO!Japanニュ−ス(時事通信)

 埼玉県内で販売された中国産の冷凍ウナギかば焼きから、食品衛生法で使用が認められていない合成抗菌剤「エンフロキサシン」が検出されたとして、静岡市保健所は1日、輸入販売業者「東海澱粉」(静岡市伝馬町)に販売禁止を命令し、同社は商品の自主回収を始めた。静岡県内の輸入業者が取り扱う中国産ウナギかば焼きから同抗菌剤が検出されたのは3度目。 

中国産冷凍うなぎ蒲焼きから抗菌剤検出 業者に回収命令

2003/07/15 asahi.com

 静岡市は15日までに、同市伝馬町の食品輸入販売業者「東海マリン」が輸入した中国産の「冷凍うなぎかば焼き」から、合成抗菌剤エンロフロキサシンが検出されたとして、この業者に同製品の販売禁止と全品の回収を命令した。

 6月30日に輸入された同製品8210キロは一括して埼玉県の市場に納品されており、うち2000キロほどがすでに流通している可能性があるという。

 7月3日に厚生労働省が決めた合成抗菌剤の検査強化方針を受け、埼玉県の衛生研究所で検査した結果、11日に0.16〜0.21ppmのエンロフロキサシンが検出され、14日に静岡市保健所に連絡があった。

 食品衛生法では、合成抗菌剤や抗生物質は検出されてはならないことになっている。ただ、同保健所によると、今回検出された濃度では、直ちに健康被害を及ぼすことはないという。

中国産ウナギ加工品の輸入検査を強化 合成抗菌剤検出で

2003/07/03 asahi.com

 厚生労働省は3日、中国産のウナギ加工品について、合成抗菌剤エンロフロキサシンが相次ぎ検出されたため、輸入検査を強化すると発表した。違反がないことが確認されるまで流通を認めない。

 3月に大阪検疫所、福岡検疫所の門司支所の検査で1件ずつ検出された。食品衛生法では、合成抗菌剤や抗生物質が検出されてはならないことになっている。ただし、今回検出された濃度では、直ちに健康に影響を及ぼすことはないという。検査強化まで時間がかかったのは、精密な検査法の開発など体制整備の必要があったためという。

 昨年1月以降に輸入された中国産ウナギのかば焼き、白焼きは5308件、約7万9千トン。昨年4月に別の抗菌剤をめぐり同様の措置がとられている。

中国産のウナギから水銀

2002.10.18 朝鮮日報 崔源奎(チェ・ウォンギュ)記者

 夏の保養食としてよく食べられている中国産のウナギから基準値を超える水銀が検出された。

 国立水産物品質検査院は9日、「仁川(インチョン)港から今月2日に輸入された中国産ウナギ14.9トンのうちの一部から許容基準値(0.5ppm)を超える1.0〜1.5ppmの水銀が検出され、すべて返送した」と明らかにした。

 外国産のハイガイ、アカガイなどの貝類と一部の魚から基準値を超える水銀やカドミウムなどのような重金属が検出されたことはあるが、ウナギから水銀が検出されたのは今回が初めて。

 ウナギは主に国内で養殖されたものが多いが、中国産や台湾産が国産よりも安いため、輸入が増えている状況にある。今年に入ってから今月7日まで、前年同期よりも40%も多い1497トンの中国産ウナギが国内に輸入され、ウナギの全輸入量も3645トンと昨年より13%増えた。

 海洋水産部は「今年、不適合判定を受けた外国産ウナギ(48トン)のうち、34トンが中国産」とし、「中国政府に対し、輸出前に重金属や抗生物質の検査を強化するよう要請するつもり」とした。

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