TOPIC No.3-32 燃料電池

01.燃料電池 YAHOO! News
02. 燃料電池
03. 燃料電池開発情報センター
04. なるほど!燃料電池 - いよいよ市場投入開始 by東京ガス
05. 燃料電池 byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
06.燃料電池自動車(FCEV:Fuel Cell Electric Vehicle)
07.開発すすむ燃料電池(2004年3月30日 読売新聞)


次世代型家庭用燃料電池を共同開発 大阪ガス。トヨタなど4社

2009.03.25 MSN産経新聞

 大阪ガスと京セラ、トヨタ自動車、アイシン精機の4社は25日、小型で発電効率が高い次世代型の家庭用燃料電池を共同開発すると発表した。平成27年までの実用化を目指す。大ガスと京セラの共同開発プロジェクトにトヨタとアイシンが加わる。

 家庭用燃料電池は今年5月から販売が始まるが、トヨタとアイシンは共同開発した家庭用燃料電池の22年度以降の発売延期を検討している。出遅れを避けるため、当初は先行グループと連携し、次世代型での挽回(ばんかい)を図る。

 家庭用燃料電池は都市ガスなどから生成する水素を燃料に発電と給湯を行う仕組み。発電時の排熱を給湯にも利用するため、エネルギー効率が高く、通常の給湯器に比べて45%程度二酸化炭素(CO2)の排出を抑制できる。

 大ガスなど4社が共同開発する次世代型の家庭用燃料電池は「固体酸化物形燃料電池」(SOFC)と呼ばれるタイプ。5月から「エネファーム」の名称で販売が始まる「固体高分子形燃料電池」(PEFC)に比べて排熱の回収率が低く、給湯できる量は少ないものの発電効率は10%程度高い。都市ガスなどから水素を生成する「改質器」が構造上不要なため、低コストで製造でき、省スペース化も可能になる。東京ガスも京セラと共同でSOFCの開発を進めている。

 トヨタとアイシンはPEFCの開発を続ける方針だが、ラインアップの充実や将来性を考えれば、SOFCは不可欠。大ガス、京セラの共同開発に参加することで、開発コストの低減や期間短縮が可能になる。

 大阪市内で記者会見した大ガスの平野茂樹常務は「最強のチームで実用化に向けてスピードアップを図りたい」と述べた。

トヨタが新型燃料電池車 マイナス30度でも作動

2008/06/07 FujiSankei Business i.

 ■形式認証2代目 年内リース販売

 トヨタ自動車は6日、水素で走る燃料電池車の新型「トヨタFCHV−adv」を開発し、量産化に必要な型式認証を国土交通省から取得したと発表した。2代目となる型式認証車で、マイナス30度Cの低温下で始動するようにするとともに、1回の水素充填(じゅうてん)で走行可能な距離を従来型の2倍を超える約830キロメートルまで伸ばした。年内に日本でリース販売を開始。売り先は未定だが、納入実績がある米国にも販売する見通し。ホンダも7月以降に次世代車のリース販売を日米で乗り出す方針で、燃料電池車の開発競争が熱を帯びそうだ。

 燃料電池車は、燃料の水素と酸素を化学反応させて作った電気で走る。走行時に二酸化炭素(CO2)などの排出がなく水しか出ないことから、「究極のエコカーに近いクルマ」として注目を集めているが、技術的な課題が多い。一つが電気をつくる際に同時に生成される水が寒冷地で凍結し走行を阻害する問題だ。

 すでにトヨタは、その課題を克服するための基礎研究に注力。燃料電池の制御技術を改良し生成水をコントロールする課題などを追求し、氷点下でも作動することを研究段階で確認していた。その成果を盛り込んだのが今回の新型で、マイナス30度で作動する型式認証車をトヨタとして初めて販売することにした。

 燃料電池本体の性能向上に加えて、燃費を左右する制御システムも改善。貯蔵する水素の圧縮率を高めた700気圧の高圧水素タンクを搭載することで、走行可能距離も増やした。

 トヨタは、ニッケル水素電池搭載の燃料電池車を2002年12月から日米で政府機関など向けに限定販売し、全体で17台を納入。05年6月には一部を改良し、国内で初めて型式認証を取得、日米で18台販売した。

 また、昨年9月には大阪−東京間の公道を走り切る試験を実施し、途中で燃料の水素を補充することなく完走。走行可能距離は通常走行に近い「10・15モード」で、従来の約330キロメートルから約780キロメートルに躍進していた。

積水ハウス、燃料電池付きエコ住宅

2008年02月29日 日本経済新聞 朝刊

 積水ハウスは今夏、燃料電池や省エネ機器を標準装備した「エコ住宅」を発売する。太陽光発電などと合わせれば電力使用量の大半を自家発電で賄え、家庭の二酸化炭素(CO2)排出量を大幅に減らせるという。燃料電池を標準装備した住宅の販売は国内で初めて。工場に比べ遅れている家庭のCO2排出削減対策に弾みが付きそうだ。

 新しい住宅に装備する燃料電池は天然ガスから水素を取り出して酸素と反応させ、電力と熱を同時に賄う方式を採用。給湯や暖房の効率が上がるほか、火力発電の電気を使う場合に比べ二酸化炭素排出量を2割以上減らすことができる。太陽電池も標準装備するため理論上の排出量はゼロになるという。

燃料電池車の事業化見極めは「2015年」、トヨタ・日産・ホンダが口をそろえる

2008年03月14日 NIKKEI BP net

 水素を利用する燃料電池自動車(FCV)の実用化に関し、自動車メーカーの同事業関係者は2008年3月13日、「2015年が事業化を見極めるタイミングになる」と口をそろえた。経済産業省が実施する「水素・燃料電池実証プロジェクト」(以下、JHFC)が開催したセミナーで、登壇した自動車メーカーの代表や大学教授が同様のコメントを繰り返した。

 燃料電池車は、同じ環境対応型の自動車では、電気自動車やハイブリッド車に比べて実用化までの道のりが遠く「飛行機にたとえるならハイブリッド車が巡航中、電気自動車が離陸上昇中とすれば、燃料電池車は滑走路を走行中」(早稲田大学大学院 教授の大聖泰弘氏)という状況である。車両の耐久性の向上や、車両と水素インフラ双方のコスト削減などが課題になっている。JHFC推進委員会委員長の石谷久氏(慶應義塾大学大学院 教授)は「これらの課題を解決し、2015年をメドに技術の成立性を確認し、国と産業界が燃料電池車の事業化を決断する」とのシナリオを描く。

トヨタ、日産、ホンダの燃料電池車開発が進展、課題は触媒電極の劣化抑制とコスト低減

2008.03.13 design Japan News

 自動車からの二酸化炭素排出低減に向け、ハイブリッド車やクリーンディーゼル車に注目が集まっているが、二酸化炭素排出ゼロの次世代自動車として大手自動車メーカーが開発に注力しているのが水素を燃料とする燃料電池車である。2月末に開催された「第4回国際水素・燃料電池展」の専門技術セミナー「燃料電池自動車実用化の最前線」では、トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業という国内大手3社の燃料電池車開発担当者が、現状の成果と今後の商品化に向けた開発課題について講演を行った。3社とも車両出力密度や航続距離を大幅に向上させる一方で、パワーソースとしてガソリンエンジンなどの内燃機関と異なる燃料電池の特性が公道走行テストなどで明らかになり、コスト低減とともに、触媒電極の劣化抑制をはじめとする耐久信頼性の向上が共通の開発課題として浮上している。

実走行評価の重要性

 最初の講演は、まもなくセダンタイプの燃料電池車「FCXクラリティ」のリース販売を北米で開始するホンダから。本田技術研究所四輪開発センター第1技術開発室第2ブロックシニアマネージャーの新村光一シニアマネージャーが、FCXクラリティの燃料電池スタック「V Flow FC Stack」の開発成果について語った。

 FCXクラリティは、大型SUVをベースモデルとしている従来の燃料電池車と異なり、低床・低全高のセダンタイプ車となっている。このデザインを実現するため、新構造を採用してに出力密度を高めたのがV Flow FC Stackである。従来は、水素と発電時に生成される水が水平に流れる「Side Flowセル構造」だったが、水素と水が上から下に流れる「Vertical Flow」を新たに開発した。重力の効果を取り込んで排水性が高くなったことによりセルの大幅な薄型化に成功し、重力出力密度は2003年モデル比で67%向上した。さらに「加速していないアイドル時のセル電圧の安定性も向上し、セルそのものの小型軽量化で熱容量が下がったことで低温時の始動性能も高まった」(新村シニアマネージャー)という。実際に−20℃指導後の50%出力到達時間は2003年モデル比で4分の1となり、−30℃でも始動できるようになったという。

 開発を進める中で、台上でのサイクルテストの結果と市場での走行実績との間で大きなかい離があることが問題になったという。原因は、燃料電池の起動時に正極電位が一時急上昇して触媒電極が劣化するという現象だった。新村シニアマネージャーは「当初の台上テストは、内燃機関を持つ車両をベースモデルにしており、起動停止のモードを組み込んでいなかったため。起動停止モードを付加したところサイクルテストと市場での走行実績の差は縮まった。開発当初は、発車と停止で燃料電池が劣化するということは考えていなかっただけに、いかに実際に走行させての評価結果が重要なのかを認識した」と語った。今後も、走行実績をベースにして耐久性評価を進め、その結果を開発にフィードバックさせながら段階的に耐久信頼性を向上させていく方針だ。

100分の1のコスト削減が目標

 トヨタからは、FC開発本部の河合大洋FC技術部長が講演を行った。ハイブリッド車開発で先行するトヨタだが、究極のエコカー開発に向けては長い走行距離をカバーしながらも二酸化炭素排出をゼロにできる燃料電池車を重要視している。「プラグインハイブリッド車といえども全エネルギー消費量の20〜30%しかカバーできない。将来のエコカーとして燃料電池車は有力な候補になりうる」(河合部長)とした。

 トヨタの最新の燃料電池車は「FCHV」2005年モデルになるが、講演では次モデル開発に向けた大幅な改良により性能が向上した「改良型FCHV」を紹介した。主に向上したのは、氷点下始動性、航続距離である。氷点下始動性については、当初から−30℃までの始動・走行できることを発表しているが、2007年にはカナダにおける寒冷地評価で最低気温−37℃での燃料電池システムの環境適合性を確認した。河合部長は、氷点下での燃料電池セル内における発電の状態を動画で紹介しながら「セル内で生成される水の凍結は、MEA(membrane electrode assembly)拡散層中の触媒層付近から始まる。また排水性の悪いリブ下が凍結起点になり易いようだ」と説明した。

 FCHVの航続距離は2005年時点で330km(10・15モード)と発表されている。しかし、改良型FCHVでは、水素タンクを従来の35MPaから70MPaにして使用可能水素量を1.9倍にして、補機損失の低減とブレーキ回生の増大による燃費効率の約25%の改善と、燃料電池システム効率を従来の55%から64%に向上することにより、780km(10・15モード)まで伸ばすことができた。「実用航続距離でもガソリンエンジン並みの500kmをやっと実現できた」(河合部長)という。

 また、ホンダの新村シニアマネージャーと同様にFCスタックの耐久信頼性についても触れた。市場走行データから、中・高速走行と比べて低速渋滞走行では性能劣化の進行が早いことが確認された。「この性能劣化は、加減速時の電位変動による電解質膜近傍の白金(Pt)の消失や粒子粗大化、始動・停止時の異常電位発生によるカーボン担体酸化が原因」(河合部長)とした。

 今後の開発目標は、2005年モデルと比べて、スタック耐久性が3倍以上、出力密度が2倍以上、そしてコストが100分の1となる。コスト低減について河合部長は「設計、材料の改良で10分の1、量産効果で10分の1で、100分の1にまで持って行きたい。低温始動性と航続距離の改善により、燃料電池車はいよいよ商品化段階に入ってきたが、量産普及期となる2030年までの各種取り組みが重要になる」と話した。

FCCJでのオープンな議論が開発を促進

 最後に講演したのは、日産自動車技術開発本部FCV開発部の萩原太郎部長。まず最初に、燃料電池車開発の最大の目的である二酸化炭素排出について、現状把握と今後の長期目標を説明した。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が示す、2050年に二酸化炭素濃度レベルを550ppm以下にするという目標を達成するには、新車の二酸化炭素排出量は2000年比で70%削減する必要がある。しかし「2050年にはBRICsなどで市場が拡大し、全世界の自動車保有台数は現在の3倍の24億台にまで拡大するため、70%削減しても総量が変わらない。さらに過激な目標が求めらるかもしれない」(萩原部長)という。そこで、重要になるのが、トータルの二酸化炭素排出を大幅に削減できる燃料電池車や電気自動車。萩原部長は「2050年には、新車の4分の1を燃料電池車や電気自動車が、3分の1をプラグインハイブリッドが占め、残りがクリーンディーゼルなどの高効率内燃機関の自動車になっているのでは」と予想した。

 日産は、2010年代の前半に燃料電池車と電気自動車を市場投入する計画。しかし、長い歴史を持つガソリンエンジンなどの内燃機関と比べて、燃料電池やリチウムイオン電池に関する技術開発はまだ課題は多いという。リチウムイオン電池については「当社で採用する予定のマンガンスピネルベースのリチウムイオン電池で、特定条件下の充放電時に起こる劣化の問題が報告されているが、ハイブリッド車や燃料電池車に搭載する場合にはあまり問題にならないようだ」(萩原部長)とした。

 燃料電池車開発については、ホンダ、トヨタと同じく航続距離や動力性能について大幅な進化を遂げた。日産の最新の燃料電池車はX-TRAILベースの「FCV 05年モデル」である。70MPaの高圧水素タンクの採用で、航続距離は500km(10・15モード)を達成している。加速性能は、0-100kmの加速時間で、20秒近くだったところを15秒以下にまで向上している。萩原部長は「低速走行の多い街乗りはガソリン車より良いが、高速時の伸びがまだ良くない。次の開発目標としては中位のガソリン車クラスまで持って行きたい」と語った。

 今後の大きな開発課題はやはり耐久信頼性の向上とコスト削減とする。耐久信頼性については、起動停止、負荷変動、アイドルなどの運転パターンによる燃料電池セルの劣化への対策が必要で、現在のFCV 05年モデルに搭載している燃料電池スタックの寿命は3年程度と見積もっている。この燃料電池セルの評価については、燃料電池実用化推進協議会(FCCJ)における2年前からの取り組みが大きく貢献したという。「燃料電池セルの評価方法は、MEAの違いなどを理由に標準的な方法がなかった。しかしFCCJやNEDOの研究プログラムに参加することで、共通の課題について議論する土壌が生まれ、開発の進展にも役立っている」(萩原部長)。

 コスト低減の方策としては、触媒の白金使用量を現在の10分の1にすることや材料革新による構成部品の原価低減、システムの簡素化を挙げた。萩原部長は「たとえば、水素タンクに使うCFRPは非常に高価なので、低グレードのCFRPでもタンクの強度を保てる技術を開発する必要があるだろう。コスト低減は、耐久信頼性向上よりも解決がひと回り難しいと見ているが、2015年時点までにどこまで下げられるか。量産時にはガソリン車の1.2倍程度になるようにしたい」と話した。(朴尚洙)

[WSJ] 「燃料電池車は本当に必要か?」――GMとトヨタが疑問符

2008年03月06日 IT Media News

かつて燃料電池に熱心に取り組んでいた両社がそれぞれに、燃料電池量産化の実現可能性に疑問を投げ掛けた。

ジュネーブ(ウォール・ストリート・ジャーナル)

 スイスで開催中のジュネーブオートショーでは3月4日、米General Motors(GM)とトヨタ自動車の経営トップがそれぞれ、水素燃料電池を近い将来量産化するという見通しの実現可能性に疑問を投げ掛け、燃料消費量と排気ガスを大幅に減らすためには電気自動車がより良い選択肢になるであろうとの見解を明らかにした。

 GMのボブ・ラッツ副会長は記者に対し、「最近のリチウムイオン電池の進化は著しく、将来的には電気自動車が充電なしで300マイル(約500キロ)は走行できるようになるかもしれない。大衆市場向けの製品としては燃料電池よりもはるかに現実味がある」と話している。

 「リチウムイオン電池で500キロ走行できるのなら、なぜわざわざ燃料電池が必要だろう?」と同氏は語り、さらに次のように続けている。「燃料電池自動車は依然として価格が高過ぎて大衆市場には向かない。コスト的に折り合いがつかない」

 またオートショーの別のイベントでは、トヨタ自動車の渡辺捷昭社長も燃料電池のコストの高さに懸念を示し、「液体水素燃料を生産し、消費者に広く配布するためのインフラも整っていない」と指摘している。こうした状況からして、同氏は「この先10年で燃料電池が普及するとは考えにくい」との印象を抱いているという。

 こうした発言は、燃料電池に対する自動車業界の姿勢の変化を示している。特にGMはこの2年間、石油消費量の削減に向けた多くの取り組みの1つとして、燃料電池技術の開発に力を注いできた。

 燃料電池は水素を使って発電するもので、未来のゼロエミッション自動車の燃料になる技術として何年も前から注目されてきた。数年前に、GMは燃料電池重視を理由に、トヨタとの燃料電池車の共同研究を打ち切っている。それ以来、トヨタは電気とガソリンを併用したハイブリッドカーの開発で先頭に立っている。ただし同社は燃料電池の開発にも取り組んでいる。

 GMはこの2年間、エコカーの取り組みをアピールすることで、環境への関心を高めつつある消費者に対するイメージアップを図っている。こうした取り組みのスポークスマンにはしばしばラッツ氏が据えられているが、同氏はデトロイトで「ミスター・ホースパワー(馬力)」と呼ばれることもあるくらいの大型車好きで知られている。

 GMのエコカー戦略の中心となっているのは、「Volt」と呼ばれる電気自動車だ。Voltは小型のガソリンエンジンを搭載し、走行中にバッテリーを充電できるようになっている。GMは2010年までにVoltの第1弾を投入したい考えという。将来的には、バッテリーの充電に燃料電池を使うことになる可能性もある。かつては環境保護派から軽蔑されていたGMだが、こうしたキャンペーンを通じて、同社も最近では環境保護主義者の間で支持を広げている。

 もっとも、ジュネーブでのラッツ氏の発言は同氏にとってはあまりタイミングの良いものではなかった。同氏は数週間前、ある記者に対し、地球温暖化は「まったくのたわ言」と発言したが、そのニュースがインターネットに広まるや否や、GMの環境路線に対する疑問の声が噴出したからだ。この騒ぎを受けて、ラッツ氏はGMのブログにコメントを寄せ、「自分の個人的な見解が会社の方針に影響を及ぼすことはない」と釈明している。

 自動車メーカーがすべて燃料電池に逃げ腰なわけではない。Daimlerのディーター・ツェッチェCEOはジュネーブで記者に対し、2010年には燃料電池自動車の生産を台数限定で開始する予定だと語っている。「需要が見込めるようであれば、この技術を従来の自動車駆動系の価格帯に納めることも可能だろう」と同氏は語っている。

新日石と三洋電が共同会社 家庭用燃料電池事業で

2007年11月15日 中国新聞ニュース

 新日本石油と三洋電機が共同出資し、家庭用燃料電池の製造販売会社を来年4月に設立することで基本合意したことが15日、分かった。生産技術を取り込みたい新日石と、研究開発費の負担を減らしたい三洋の思惑が一致した。

 新会社の資本金は5億円規模で、新日石が81%、三洋が19%を出資する方向で調整している。両社の家庭用燃料電池事業を統合する計画で、新日石が主導権を握って生産から販売までを一貫して手掛ける。

 燃料電池は、灯油やガスに含まれる水素と酸素を反応させて発電するシステム。二酸化炭素(CO2)排出量の大幅な削減につながる新エネルギーとして注目されている。ただ家庭用製品の価格は現在、1世帯当たり数百万円と高く、生産コスト引き下げが普及に向けた課題となっている。

 三洋は、携帯電話やノートパソコン向けの燃料電池は自社で事業を続ける方針だ。

寒冷地走行OK ホンダ燃料電池車、道のモニター終了

2006/05/09 北海道新聞

 冬季走行実験に協力するため、道が昨年二月から使用していたホンダの燃料電池車「FCX」のリース期間が四月で終了した。道はこれまで道内各地のイベントで展示や試乗を百回ほど行った。寒冷地での耐久性に問題はなかったが、普及には燃料となる水素の充填(じゅうてん)施設の整備が課題だ。

 燃料電池車は水素を燃料とし、空気中の酸素と化学反応させてできる電気で走る。二酸化炭素(CO2)を排出せず、究極のエコカーといわれる。ただ水素を使うため、寒冷地では燃料電池が凍結しやすいのが難点だった。そこでホンダは氷点下二○度でも始動できる燃料電池を開発し、昨年一月にリース第一号として道庁に納車。同二−四月と同十一月−今年四月の計九カ月間、モニター契約をした。

 道は、さっぽろ雪まつりをはじめ、各地で開かれた環境イベントなどの会場で展示し、体験試乗も行った。道職員が自ら運転して公務にも使ったが、凍結路面でも始動性能や燃費、航続距離に問題はなく、静音性も優れていたという。

 ただ札幌市から稚内市まで移動した際は、水素充填の専用トラックを同行させねばならなかった。実用化の最大のネックは水素ステーションなどのインフラ整備だ。

 道資源エネルギー課は「道内は冬に灯油を使う家庭が多いため、家庭のCO2排出量が多い。燃料電池車が普及すれば、環境保護に貢献できる」という。今後、データをホンダに提供し、開発に役立ててもらう。

エネオス、銀河時計を東京に設置

2006年05月09日 Carview.co.jpクルマ・ニュース

 ガソリンスタンドで知られる新日本石油ENEOSは、は、2005年に開催された愛・地球博から1年を迎えるにあたり、愛・地球博のブースで展示していた“銀河時計”をエネオスの虎ノ門ビル(東京都港区)の1階ロビーに設置した。

 銀河時計は、エネオスが開発するLPガス仕様燃料電池で発電した電力を利用して動いていて、太陽系の惑星の動きをイメージさせる。今後、環境クルマへの普及を考えられている燃料電池。エネオスではLPガス仕様家庭用燃料電池システム“ENEOS ECO LP-1”と灯油仕様家庭用燃料電池システム“ENEOS ECOBOY”を商品化し、積極的に燃料電池の普及を図っていて、いずれはクルマの燃料電池普及も行うのだろう。

 今回の展示は、そんな燃料電池普及を図るENEOSのシンボルとして設置され、“燃料電池のトップランナー”であるエネオスの取り組みを訴求する。

マクセル、水/アルミ利用の10W級燃料電池〜B5ノートPCで動作に成功

2006/04/24 PC watch

固体分子形燃料電池(PEFC) 4月24日 発表

 日立マクセル株式会社は24日、水とアルミニウムによる水素発生を利用した、10W級の「固体高分子形燃料電池(PEFC)」を開発したと発表した。

 室温で大量の水素の発生が可能で、従来の「直接メタノール型燃料電池(DMFC)」の5倍の出力を達成したとする燃料電池。筐体内に水とアルミニウムのカートリッジを備え、マイクロポンプで水を供給することで反応を起こす。

 新型のPEFCでは、新開発のアルミニウム微粒子化プロセス技術で水素の発生効率を向上させ、理論限界の95%程度にあたる水素発生(アルミニウム1gから水素1.3L)を実現。さらに、同社が磁気テープで培った分散塗布技術で膜-電極接合体(MEA)を最適化することで、280mW/平方cmの出力密度を実現したという。

 今回発表されたPEFCの主な仕様は、出力平均が10W、最大が20W、電圧が7.4V。本体サイズは100×60×160mm(幅×奥行き×高さ)、重量は920g。

 将来的には、モジュールのサイズを87×31×97mm(同)まで縮小して体積を70%削減し、リチウムイオン電池と同等以上のエネルギー密度を目指す。

●燃料電池が次世代電源の有力候補

 24日に行なわれた説明会では、同社の主任技師 西原昭二氏が登場し、開発の経緯や新電池の特徴を説明した。

 同氏は、モバイル機器の小型軽量化/高性能化とともに、資源の有効利用や環境保全のためにクリーンなエネルギーへの需要が高まっているとし、「燃料電池が次世代電源の有力候補である」と述べた。

 従来の燃料電池は、メタノール改質機や高圧水素ボンベなどを必要とし、複雑な補機やコスト高、発熱などの問題があった。今回開発したPEFCでは、室温での水素発生が可能であり、高温を伴う改質機が不要であるという。将来的にはアルミニウムの廃材をリサイクルして利用可能で、環境にやさしい電池になるという。

 質疑応答でアルミ合金や水の純度について問われると、同社は「合金でも経験上は遜色なく発電し、水については水道水でも水素が出る」と答えた。また、コストについては、「アルミニウムは1kgで700円程度であり、カートリッジでは数百円に、廃アルミニウムを利用した場合はもっと安くなるだろう」と説明した。

 実用化の時期については、利用されるアプリケーションの開発次第で、製品化のキッカケを探っている状態とし、主な用途については、バックアップや軍隊などでの特殊な用途が主になるとした。ノートPCについては、リチウム電池の方が適しているだろうと語った。

三井物産 家庭用燃料電池に参入 加社に資本参加 蓄電装置も強化

2006/04/22 FujiSankei Business i.

 三井物産は、家庭用燃料電池市場に参入する。家庭用燃料電池技術を持つカナダのベンチャー企業に資本参加し、年内にも日本市場向けに小型化を実現した製品を開発し、来年から日本市場に投入する計画だ。

 家庭用燃料電池は二酸化炭素(CO2)の排出を抑え、光熱費を削減できることから、液化石油ガス(LPG)、都市ガスを活用して水素を取り出すタイプが相次いで製品化されている。

 四月には新日本石油が灯油を燃料として水素を生み出す家庭用燃料電池を販売したほか、コスモ石油も来年から同様のタイプを投入する計画だ。ガス会社、石油元売りなどの相次ぐ参入で、今後、市場が拡大するとみられている。

 三井物産は、自動車向けなどの燃料電池で知られるバラードをはじめ、燃料電池で先行するカナダ企業に開発を委託することで早期に商品化にこぎつける。出力は一キロワットクラスを予定している。

 ◆長寿命で安全

 三井物産はこれとは別に、二〇〇四年六月にオムロンと共同で、燃料電池の基幹技術とみられている蓄電装置のキャパシター(電気二重層)の生産会社に資本参加しており、蓄電装置事業も強化する。資本参加した「パワーシステム」が、蓄電容量が従来機種の二倍になる新商品を年内にも開発する計画で、量産体制を整える。

 キャパシターは電気を蓄えるもので、バッテリーのような化学反応ではなく、既存のリチウムイオンに比べて寿命が長く、安全性に優れている。また、瞬発力に優れており、携帯電話、パソコン、エンジンとモーターで走行するハイブリッド自動車など幅広い用途が見込まれている。

 自動車や鉄道向けなどで用途が拡大する燃料電池には欠かせない基幹技術のひとつで、経済産業省も開発を後押ししているほか、産学共同研究も進んでいる。

 三井物産では、まず、複写機メーカー向けに売り込みたい考え。通常、複写機は立ち上がりに数分かかるが、キャパシターを搭載すれば、瞬時に立ち上がるという。

 ◆市場規模は拡大

 富士経済の調査によると、キャパシターなどの大型蓄電装置の市場規模は、今後、トヨタ自動車の「プリウス」に代表されるハイブリッド車の普及などで二〇一〇年には約六千億円を超えると試算されている。

 最近はJR東日本などが燃料電池列車の投入を計画しており、東芝や日本ケミコンなどが列車向けのキャパシターに参入している。

                   ◇

【用語解説】家庭用燃料電池

 水素と空気中の酸素を反応させて水と電気を取り出し、家庭で使う電気と給湯を賄う装置。燃料の水素を補給できれば、空気中の酸素と化学反応して自力で発電し続けるため燃料電池と呼ばれ、石油などを燃やすと排出される二酸化炭素の発生がないクリーンエネルギー。燃料電池は自動車やパソコンなどで実用化研究も進められている。

自転車のライト向け燃料電池、5000km走行テストをクリア

2006年04月21日 ElectronicsWeeklyから

 カナダのバンクーバーに拠点を置くAngstrom Power社は、自転車のライト向けに燃料電池を開発し、5000kmに及ぶ試験走行を完了した。テストコーディネータのAnnalise Czerny氏によると、「明るさ、燃料補給、全体的な使い勝手などに関するユーザーからの評価は極めて好意的なものであった」という。

 同社は、燃料電池を開発し、製品化している。マーケティングマネジャーのBrian Hall氏は「水素駆動、水素吸蔵、燃料電池、その他関連する知的財産に関して、我々はいくつかの特許を持っている」とElectronicsWeekly誌に対して明らかにした。電池は、圧縮水素と空気中の酸素の反応によって駆動する。同社が作った製品には、トーチ、2Wの電源、いくつかのむき出しの燃料電池、燃料補給スタンド、などが搭載されている。駆動時間は長く、少なくともリチウムイオン電池の2倍は長持ちするという。

 「自転車のライトは、容積が21cm3のカートリッジに蓄えられた水素で点灯する。燃料は単3のアルカリ電池10個分に相当する」といい(同社)、また「1回の燃料補給で、連続20時間の点灯が可能だ」と付け加えた。

 性能は高いものの、その市場は限られていると同社は見ている。「我々の販売対象は、軍隊や公共団体、政府など、コストよりも性能を重視しているユーザーである」とHall氏は述べた。

JR東日本、世界初となる燃料電池鉄道車両の開発に着手

2006年04月14日 carview.co.jp

 東日本旅客鉄道(JR東日本)は11日、世界初となる燃料電池ハイブリッド鉄道車両の開発を進めていることを明らかにした。

 JR東日本では、これまでディーゼルエンジンを搭載したハイブリッド鉄道車両の開発を進めてきたが、その実用化に目処が立ったため、次の段階として燃料電池を搭載した鉄道車両の開発を行う。

 燃料電池ハイブリッド鉄道車両は、水素を燃料とした固体高分子形燃料電池を搭載。燃料電池で発電した電力と、回生ブレーキなどで蓄電した電力を組み合わせて駆動する。

 水素を燃料とすることで、化石燃料への依存(現在では火力発電などで得た電力を使用)を少なくすることが目的。また、車両自体で発電を行うため、従来のように架線(電線)を張る必要がなくなり、地上設備のスリム化や景観の向上にもつながる。

 燃料電池ハイブリッド鉄道車両は、2006年7月から試験を開始し、燃料電池の性能や環境負荷の低減効果、水素の供給方法などについてデータを収集。2007年4月以降に本線走行を行う予定。

燃料電池車普及に20年?

2006/04/12 JIN BN

ガソリンエンジンと電気モーターを併用するハイブリッド車が2、3年の間に急速に普及しそうだ。「究極のエコカー」といわれる燃料電池車の開発が当初の見込みより大幅に遅れているからだ。

世界的に地球環境問題に対する意識が高まっていることに加え、ガソリン価格の高騰で省エネ車に対する需要が拡大している。その中でも、世界の自動車メーカーはハイブリット車に焦点をあて、開発、販売に本格的に取り組みだした。

燃料電池車の開発にブレーキがかかっているのは、まず装置そのもののコストが高い点だ。さらに、燃料の水素を供給するスタンドなどインフラ整備にも相当な時間を要することが分かり、普及まで「20年以上かかる」との見通しが出始めた。それなら「ハイブリッド」というわけだ。

トヨタは低価格車まで搭載する計画

この分野の先駆者で圧倒的なシェアを持つトヨタ自動車はハイブリッドシステムのコストを2008年までにいまの4分の1まで引き下げて、低価格の大衆車にまで搭載し、同社のシステムを世界標準にすることを目指している。ハイブリッド商戦はトヨタを軸に展開されることは確実だ。

もっとも、ホンダがトヨタを追撃する準備を進めているほか、日産自動車とフォードはトヨタからの技術導入で、GMはダイムラークライスラーと共同開発でハイブリット車に参入することにしている。

ただ、それでもいまのところトヨタの「ひとり舞台」。05年は約25万台を販売し、世界シェアの約80%。現在はプリウスをはじめアルファード、エスティマ、ハリアー、レクサスGSなど価格の高い車にしか搭載していないが、コストを下げることにより、カローラやヴィッツなど低価格車まで搭載する計画だ。

リチウムイオン電池の開発が鍵

そのためには、現在38万円といわれるハイブリッドシステム(ハイブリッドユニット、モーター、電池)のコストを08年までに8万円まで下げる計画だ。そして、年間100万台の乗用車に搭載し、圧倒的な優位性をさらに確実なものにする。そのキーとなるのが今のニッケル水素電池に代わるリチウムイオン電池の開発だ。

リチウムイオン電池というのは、充電して繰り返し使える二次電池の一種。ニカド電池やニッケル水素電池と比べ、軽量で電圧も3倍近く高いのが特長。一度に蓄えられる電気の量も多く、小型、軽量化に適している。

1990年代半ばから電子機器の電源として普及。携帯電話やノートパソコンに搭載されているが、値段が高いのが欠点だ。

トヨタは「この先3年間で勝負は決まる」との意気込みでリチウム電池の開発とコストダウンに全力で取り組むとともに、技術導入を希望する自動車メーカーに供与し、同社のシステムを世界標準化することを狙っている。

DCとブリヂストン、燃料電池車の提携を延長

2006年04月12日 Carview.co.jp

 ダイムラー・クライスラー日本(DCJ)と、ブリヂストンは、燃料電池乗用車パートナーシップ契約について、1年間延長することに合意した。

 両社は、2004年4月に2年間の燃料電池乗用車パートナーシップを締結し、DCJは、メルセデス・ベンツAクラスをベースとした燃料電池乗用車エフ・セル(F-Cell)を納車した。DC社は、これまで日本において経済産業省の“水素・燃料電池実証プロジェクト”に参加するとともに、東京ガスやブリヂストン、昭和シェル石油などにエフ・セルを納車し、走行実績を重ねてきた。

 今回の契約延長によって、日本におけるエフ・セル・プログラムは用途や利用地域が拡大され、DC社の燃料電池プログラムにおいて重要度を増すこととなる。また、ブリヂストンが主催する“第3回ブリヂストンこどもエコ絵画コンクール”で選出された受賞作品101点をデザインしたエフ・セルが、引き続きブリヂストンの環境に対する取り組みの一環として使用されていくという。

7月に世界初の走行試験 燃料電池列車でJR東

2006年04月11日 西日本新聞

 JR東日本は11日、燃料電池を搭載した列車の走行試験を7月から、世界で初めて開始すると発表した。試験を重ね、営業運転実現に向けて開発を加速する。

 燃料電池列車は、水素と酸素の化学反応を応用して発電する燃料電池を使ってモーターを回し、車輪を駆動させる仕組み。来夏から小海線の小淵沢(山梨県)?小諸(長野県)で営業運転を始めるハイブリッド列車の試作列車からディーゼルエンジンを外し、燃料電池や水素タンクを取り付ける改良を施した。

 時速100キロで走行できるなど山手線並みの性能を目指すが、燃料電池が高価な上に走行できる距離も50?100キロと、実用化に向けた課題は山積みだ。

ついに登場、燃料電池パワーパトカー

2006年04月10日 Response

 アメリカ初の燃料電池パワーパトカーが、ダイムラークライスラーによって生産され、稼働を始めた。導入したのはデトロイトにあるウェインステート大学内の警察で、燃料電池技術研究のためのプロトタイプの一環としても利用される。

 メルセデスベンツ『Aクラス』(旧世代)をベース車両に利用した『F-Cell』は、最高速度135km/hで航続距離は160km。電気モーター部分のパワーは88HP(65kW)だ。燃料補給はネクストエナジー社が新たに建設した水素ステーションで行われる。

 ダイムラークライスラーとしてはこれまでに燃料電池車としてダッジ『スプリンター』バン、メルセデスベンツ『シタロ』バスなどを生産しており、現在世界で100台ほどが稼働中。

 ハイブリッドに続き燃料電池の分野でも世界でトップの技術を誇るのは日本だが、ダイムラークライスラーはこの分野のパイオニアでもある。これまでに10億ドル以上を費やし、様々な研究開発を行っている。

 アメリカではカリフォルニア州知事、アーノルド・シュワルツェネッガーとパートナーシップを組みカリフォルニアの大気汚染対策チームに名を連ねるなど、環境問題を考えるメーカーというイメージがこのパトカーによってより高まりそうだ。 《Sachiko Hijikata, US editor》

日産、燃料電池車「エクストレイルFCV」の試乗会を実施

2006年04月09日 Carview.co.jp

 日産は、燃料電池車「エクストレイルFCV」の05年モデルの体験試乗会を日産本社ギャラリー(東京都中央区銀座)で実施する。

 日程は、4月8日(土)、9日(日)、15日(土)、16日(日)。5月以降の実施日程については、日産ギャラリーのウェブサイト上で発表される。

 エクストレイルFCVの体験試乗会は、基本的には助手席に乗車する形での同乗試乗になる。希望すれば、自分で運転することも可能(ただしゴールド免許取得者に限る)。

燃料電池車の検知器に…高性能水素ガスセンサー開発

2006年01月12日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 東北大学未来科学技術共同研究センターの山中一司教授(超音波工学)らの研究グループが12日、世界最高性能の水素ガスセンサーの開発に成功したと発表した。

 クリーンエネルギーとして普及が期待される燃料電池車の水素漏れ検知器などとして、2007年にも実用化を目指す。爆発防止を低コストで済ませることができるのが特長という。

 これまでに開発された水素ガスセンサーは、計測できる濃度に限りがあったり、検出に時間がかかったりして使用上の制約が多かった。複数のセンサーを組み合わせれば、性能を高めることができるが、コストがかさむのが難点だった。

 山中教授らが開発した高性能水素ガスセンサー「ボールSAWセンサー」は、直径1ミリの水晶球の表面に張り付けた膜が水素に反応して超音波を発生させ、その超音波を電気信号に変える仕組み。従来に比べ100倍も高感度で検出時間も最短2秒で済むという。

 実用化第一弾として、07年3月までに燃料電池車に液体水素を供給する「水素ステーション」に設置する水素漏れ検知器に使用する。山中教授は「この計測法は環境ホルモンなどさまざまな物質のセンサーにも応用できるため、企業などと共同開発を進めたい」と話している。

家庭用燃料電池、室内設置型開発へ 北ガス、松下などと共同

2006/01/06 北海道新聞

 北海道ガス(札幌)は五日、松下電器産業(大阪)、荏原製作所(東京)とそれぞれ個別に家庭用燃料電池を共同開発すると発表した。国内で初めてとなる寒冷地仕様とし、二○○八年度の発売を目指す。

 家庭用燃料電池は都市ガスや灯油、LPG(液化石油ガス)から取り出した水素と空気中の酸素を反応させて発電し、排熱を給湯に利用する。二酸化炭素排出量を削減できることなどから、ガス会社などによる開発競争が激化している。

 北ガスも○一年度から天然ガスを使った燃料電池の開発に着手。同社技術開発研究所(札幌市中央区)が中心となって北大構内や社員宅で実験を行ってきたが、従来の機器は室外設置型で北海道では凍結の問題が残り、室内に設置する寒冷地仕様の開発が必要と判断した。

 今年二月にも荏原製作所子会社の荏原バラード(東京)が製作した室内仕様の燃料電池試作機一台を技術開発所内に設置して実証実験を行い、○六年度からは経済産業省の燃料電池大規模実証事業に参加するほか、松下電器産業とも寒冷地仕様の開発を進める。北ガスは「なるべく小型化して価格は一台百二十万円前後に抑えたい」としている。

三谷商事と出光興産、LPG型家庭用燃料電池の実証運転

2006/01/06 NIKKEI NET

 三谷商事はガスなどの供給元の出光興産と共同で、液化石油ガス(LPG)を利用した家庭用燃料電池システムの実証運転を始めた。福井県松岡町の1世帯が導入。今後約2年間で省エネルギーや二酸化炭素(CO2)の削減効果を検証し、2008年以降の事業本格開始を目指す。

 三谷商事子会社でLPG販売のクリーンガス福井(福井県越前市)と、出光興産子会社の出光ガスアンドライフ(東京・千代田)が共同で始めた。今回の燃料電池システムは、LPGから取り出した水素と空気中の酸素を反応させて電気と熱を作り出すもので、発電能力は700ワット。

 システム導入により、家庭での電気やガスなどのエネルギー消費量を27%程度、CO2排出量を35%程度それぞれ減らすことができる見込み。クリーンガス福井は保守管理などのノウハウを蓄積。出光興産は2月末までに全国で33台の燃料電池を設置してデータ収集、システムの改善につなげる。

容積が約半分の燃料電池、松下電池工業が開発

2006/01/05EE TIMES Japan

 松下電池工業は、携帯機器向け燃料電池の外形寸法を50%削減することを可能にする燃料供給方法を開発した。ダイレクト・メタノール方式(DMFC:Direct Methanol Fuel Cell)に向けた供給方式である。これに燃料電池セルのスタック技術とLiイオン2次電池、電池管理システムを組み合わせることで、燃料電池を実現した。

 この燃料電池の容量は400ccで、清涼飲料水の缶に似た寸法である。松下電池によれば、これまで発表されている燃料電池に比べると、約半分の大きさだという。平均出力電力は13Wで、ピーク出力電力は20W。ノート・パソコンに搭載すれば、20時間程度の連続動作時間が得られるとする。(Mark LaPedus:EE Times)

松下、最小のパソコン向け燃料電池を開発

2006/01/04 NIKKEI NET

 松下電器産業はノートパソコン向けに、業界最小級の小型燃料電池を開発した。体積は他社の約半分の約400ccと、携帯に適する大きさ。燃料電池は急激な発電が不得意なため、既存のリチウムイオン電池との併用方式にした。2010年にも実用化する。化石燃料を使用しない燃料電池は自動車やデジタル家電の次世代電源として各社が開発を進めている。従来の試作品は大きいものではパソコンの底部ほどあり、携帯に不向きだった。

 燃料電池は本体下部に付けて使う。松下がノートパソコン用を試作するのは初めて。試作品はアルコールの一種、メタノールが燃料。200ccのメタノールを1回充てんすれば約20時間駆動が可能で、現在のパソコン電源の主力であるリチウムイオン電池のほぼ2倍長く使える。出力は平均13ワットで、最大20ワット。

貴金属使用量を大幅減、高性能燃料電池用電極開発

2005/12/27 科学新聞社/知財情報局

〜ダイレクトメタノール型燃料電離用・物材機構〜

 物質・材料研究機構エコマテリアル研究センターの森利之主席研究員、高橋基研究員らは、携帯型燃料電池として開発が進むダイレクトメタノール型燃料電池の負極材料に、プラチナと酸化セリウムからなる複合電極を新たに開発した。従来の合金電極に代わり、経済的で環境低負荷型の電極が開発され、携帯用燃料電池の普及につながることが期待される。

 電極は燃料電池開発で、高出力化につながる低いオンセットポテンシャル、高い電流密度などを実現する鍵を握る。次の携帯用電池として有望視されるメタノール型の燃料電池の開発では、白金・ルテニウム電極が発電に適する性能を持つが、ルテニウムの希少な点が普及の観点から課題になっている。このため森主任研究員らは、ルテニウムに代わる電極材料を探索。特に、環境低負荷の観点から酸化物に注目した。

 実験では、これまでの研究からナノ粒子化など高出力化につながる要素技術の開発に成功した酸化セリウムを適用した。白金・酸化セリウムの複合電極を作製して発電特性を調べたところ、従来の白金・ルテニウム合金電極に比べ、オンセットポテンシャルで約30mVの低下、電流密度で1.5倍向上していたことが分かった。

 この電極材料は、表面に酸素欠陥を多く持つ酸化セリウムで、ナノ粒子化に成功するとともに、酸化セリウムと白金の超微粒子とを高分散担持させる技術を開発したことで初めて達成された。白金の一酸化炭素被毒を除く目的だから、室温付近で絶縁性の酸化セリウムでも電極材料に使えるというアイデアが奏功した。

 また、従来の白金・ルテニウム電極の発電特性に相当すると白金の使用量を最大で34%削減できる。開発した電極の最適化を進めることで、より高い出力も見込める。ルテニウムを使わないことと併せて、経済性や環境低負荷性を兼ね備えた次世代型燃料電池の電極での活用が期待される成果になったとしている。

家庭用燃料電池システムの周辺機器仕様リスト改訂版を公表

2005/12/27 EICネット

 家庭用燃料電池システムの普及に向け、資源エネルギー庁は2005年12月27日、家庭用燃料電池システムの関連周辺機器(補機類)の仕様リスト改訂版を公表した。

 家庭用燃料電池システムは05年4月に完成披露した首相官邸に世界で初めてシステムが導入されたことを皮切りに、本格的市場展開に向けた動きが加速しているところ。

 普及のためには特に関連周辺機器の低コスト化が最重要課題と考えられており、05年4月にまとまった「定置用燃料電池市場化戦略検討会報告書」では、政府が家庭用燃料電池システム周辺機器に必要な仕様を公開し、周辺機器分野への新規企業の参入を容易にすることによって、企業間競争の中で低コスト化を達成することが必要との指摘が行われている。

 今回のリストは、この指摘を踏まえ、05年4月にまとめた仕様リストをさらに精査し、ほぼ一本化された「共通仕様」としたもの。メーカー各社の開発進展に応じ、共通スペック値を4月のリストから全面更新したほか、機器を1万台生産した時の目標コストも明示している。【資源エネルギー庁】

中国華能集団:汚染物排出ゼロめざす石炭発電会社設立

2005/12/27 中国情報局

 中国華能集団公司は23日、中国で初めて知的財産権を有する汚染物排出ゼロの石炭火力発電所を建設することを目指して、「緑色煤電有限公司」を国有企業7社との共同出資により設立した。27日付で第一財経日報が伝えた。

 出資したのは、中国大唐集団公司、中国華電集団公司、中国国電集団公司、中国電力投資集団公司、神華集団有限公司、国家開発投資公司、中国中煤能源集団公司の7社で、出資比率は中国華能集団公司が51%、他7社が各7%。

 新会社は、今後15年間にわたって、石炭ガス化水素製造と水素ガスタービンを融合させた循環型発電および、燃料電池発電の研究・開発、普及を行う。また、高効率石炭発電により、二酸化炭素の排出を最小限に抑え、汚染物の排出ゼロを目指すとともに、40万キロワット級の水素ガスタービンなどを建設する。投資総額は58億元にのぼるみこみ。

 工期は、「第11次五カ年規画」期間中の第1期、「第12次五カ年規画(2011−2015年)」期間中の第2期、「第13次五カ年規画(2016ー2020年)」の第3期に分けられ、2020年には汚染物排出ゼロ発電を実現する計画だ。(編集担当:伊藤亜美・如月隼人)

日産、自社開発燃料電池スタックを搭載FCの05年モデル

2005年12月26日 Responce

 日産自動車は、12月13日付けで、自社開発の燃料電池スタックを搭載した高圧水素式燃料電池車『エクストレイルFCV』05年モデルの国土交通大臣認定を取得したと発表した。これを受け、限定リース販売を開始する。

 同社は、2003年12月、燃料電池車の03年モデルで大臣認定を取得し、国内でリース販売を実施している。

 今回の05年モデルでは、03年モデルで実施してきた国内外での公道走行実験を通して得られたデータを活用するとともに、自社開発の燃料電池スタックなどの新技術を搭載し、03年モデルに比べ各種性能を大幅に向上させた。

 同社では、燃料電池スタックを自社で開発することにより、スタックのサイズを03年モデル搭載のスタックに比べ約60%に小型化しながら、発電能力(スタック最高出力)を90kWと大幅に向上させた。この結果、05年モデルでは、最高速度が150km/hまで向上した。

 また、05年モデルでは、高圧水素容器の容量を従来比15%小型化しながらも、燃料電池システムの効率を向上させることで、370km以上の航続距離を達成した。加えて高圧水素容器、燃料電池スタックの小型化を図るとともに、各種ユニットのレイアウトを見直すことで、ラゲッジスペースを荷室長で400mm以上拡大するなど、居住性の向上も図った。

 同社では、70Mpaの高圧水素容器を搭載し、航続距離を従来の1.4倍の500km以上に向上させた車両を開発しており、2006年2月にカナダで公道走行実験を行う予定だ。

日産自、高圧水素式燃料電池車「X−TRAIL FCV」05年モデルが大臣認定を取得

2005/12/26 NIKKEI NET

日産自動車、燃料電池車「X−TRAIL FCV」05年モデルの

国土交通大臣認定を取得

 日産自動車株式会社(本社:東京都中央区銀座 社長:カルロス ゴーン)は、12月13日、高圧水素式燃料電池車「X−TRAIL FCV」05年モデルの国土交通大臣認定を取得した。これを受け、本車両の限定リース販売を開始する。

 同社は、2003年12月、同燃料電池車の03年モデルにて大臣認定を取得し、既に国内でリース販売を実施している。今回の05年モデルでは、03年モデルで実施してきた国内外での公道走行実験を通して得られたデータを活用するとともに、自社開発の燃料電池スタックなどの新技術を搭載し、03年モデルに比べ各種性能を大幅に向上させている。

 同社は、燃料電池スタックを自社で開発することにより、スタックのサイズを03年モデル搭載のスタックに比べ約60%に小型化しながらも、発電能力(スタック最高出力)を90kWと大幅に向上させることが可能となった。その結果、05年モデルでは、最高速度が150km/hまで向上した。

 また、05年モデルでは、高圧水素容器の容量を従来比15%小型化しながらも、燃料電池システムの効率を向上させることで、370km以上の航続距離を達成している。

 さらに、同モデルは、高圧水素容器、燃料電池スタックの小型化を図るとともに、各種ユニットのレイアウトを見直すことで、ラゲッジスペースを荷室長で400mm以上拡大するなど、居住性においても、より実用性を向上させている。

 あわせて、同社では70Mpaの高圧水素容器を搭載し、航続距離を従来の1.4倍の500km以上に向上させた車両を開発しており、2006年2月にカナダで公道走行実験を行う予定である。

 同社は、燃料電池車の更なる実用化に向け、今後も積極的に開発に取り組んでいく。

韓国の現代自動車、2010年メドに燃料電池車を商用化へ

2005/12/20 NIKKEI NET

 【ソウル=鈴木壮太郎】韓国の現代自動車は2010年をめどに燃料電池車の商用化を目指す方針を明らかにした。ガソリンの代わりに水素で走る燃料電池車は次世代自動車の本命とされ、ホンダやトヨタ自動車はすでにリース販売を開始している。現代自も実証試験を通じて開発を急ぎ、先行する日本勢を追い上げる。

 現代自は燃料電池車の心臓部である「スタック」(発電装置)を米UTC―FCと共同開発中。多目的スポーツ車(SUV)の「トゥーソン」に搭載し、16日から米国で実証実験を始めた。車両は152リットルの水素タンクを搭載し、連続走行距離は300キロメートル。燃料電池車は氷点下での走行が課題だが、マイナス20度でも始動するという。

 現代自は今後5年間に32台の燃料電池車を米国の主要都市で走らせ、走行性能や燃費、耐久性などを調査。10年をめどに市販可能な車両を開発し、官公庁などに販売する。

水素車リース案否決 広島市議会委

2005/12/17 中国新聞地域ニュース

 広島市議会の経済環境委員会は十六日、一般会計補正予算案のうち、市がマツダ開発の水素ロータリーエンジン(RE)搭載車を一月から公用車としてリースする項目を賛成少数で否決した。二十日の定例会最終日の本会議で採決されるが、否決の可能性が高い。

 質疑や討論で、「マツダは経常利益を上げている。月四十万円のリース料値下げ交渉を」「話し合えば、『ぜひ使ってください』ということになるはず」などと疑問や反対意見が相次いだ。

 市は「リース料は燃料電池車を導入した横浜市(日産、月五十万円)や名古屋市(トヨタ、月百万円)に比べ、法外ではない」「今は燃料電池車に限られている国の補助の対象に加えられれば、市の負担は半減する」などと説明。理解を求めたが、採決では委員長を除く委員九人のうち、三人しか賛成しなかった。

 市は、水素RE車は地球温暖化の要因となる温室効果ガスを出さず、次世代エネルギーの水素利用の普及啓発も図れるとして、三十カ月リースで導入し、年約九十日のイベント利用を計画。来年一―三月分のリース料や保険料、水素代計百三十万円を盛り込んだ補正予算案を提案していた。

 これに対し、マツダは「市議会での正式な決定までコメントは差し控えたい。市とは引き続き水素RE車のリース販売に向け、前向きに話を進めていく」としている。(宮崎智三)

エコ型の火力発電会社設立 8社共同で

2005年12月24日「人民網日本語版」

 中国華能集団公司と、発電、石炭、投資などの分野の企業7社は23日、環境配慮型火力発電会社「緑色煤電有限公司」の共同設立に関する協力協定に人民大会堂で調印した。国務院の曽培炎副総理(中国共産党中央政治局委員)が、各企業の代表者と会見した。曽副総理は、新会社の設立について、エネルギー企業が科学的発展観を全面的に実行し、資源節約型・環境友好型の社会を築くために行う積極的な行動だと強調。「政府は、企業が環境に配慮した省エネルギー技術を開発することを奨励し、各社が緊密に協力してクリーンエネルギー技術の発展推進に努めるよう望む」と述べた。

 緑色煤電有限公司は、中国華能集団公司、中国大唐集団公司、中国華電集団公司、中国国電集団公司、中国電力投資集団公司、神華集団有限責任公司、国家開発投資公司、中国中煤能源集団公司の8社が共同出資して設立する。新会社は環境に配慮した火力発電事業を手がける。事業期間は15年が予定され、投資額は58億元。石炭ガス化による水素生成、媒体循環型の水素燃焼発電タービン、燃料電池発電、発電により生じた二酸化炭素の収集と密封保存の技術などの研究・開発を行い、発電で発生する二酸化炭素と汚染物質の排出をゼロに近づけることを目指す。40万キロワット級の水素燃焼タービンと燃料電池モデル発電所を建設する。

東レ、ダイレクトメタノール形燃料電池開発で発電性能を実用化レベルまで向上に成功

2005/12/16 NIKKEI NET

ダイレクトメタノール形燃料電池の開発について

―新規電解質膜開発で発電性能を実用化レベルへ―

 東レ(株)は、この度、ダイレクトメタノール形燃料電池(DMFC)(※1))の主要部材である高分子電解質膜とそれを用いた膜電極複合体(MEA)(※2))の性能を実用化レベルまで向上させることに成功しました。従来のフッ素系電解質膜(※3))と比較して、伝導度を損なうことなくメタノール透過性(MCO)を1/10以下に低く抑えた炭化水素系電解質膜を世界で初めて開発しました。さらにMEAでも、よりエネルギー密度が高い高温、高メタノール濃度での発電性能を大幅に向上することができました。

 本技術を用いることで、ノートパソコンや携帯電話などのモバイル電子機器等の小型化、長時間使用に大きく貢献できるものと期待され、東レは、今後、この分野への本格展開を推進していく計画です。さらに、本技術を応用して、自動車用電解質膜の開発にも取り組んで参ります。

(本技術の説明)

 DMFCにおいては、従来のフッ素系電解質膜を用いた場合、上述のMCO現象による性能低下が伴い実用化が困難でした。これに対して、各種の低MCO電解質膜が開発されてきましたが、発電に重要なプロトン伝導度も同時に低下するトレードオフ現象が起こり、やはり実用化レベルには至らず、低MCOと高プロトン伝導を両立する電解質膜の開発が待望されていました。

 東レは、従来の電解質膜を詳細に解析した結果、ポリマー中に存在する水がクラスタと呼ばれる構造で存在しており、このことがプロトン伝導だけでなくメタノール透過も促進していることを見出し、トレードオフ現象の原因となっていることを解明しました。さらに、電解質膜中のポリマーと水の状態に着目し、当社のコア技術である高分子化学にナノ構造制御技術を融合させて、ポリマー中の水がメタノール透過に影響せずにプロトン伝導のみに寄与する電解質膜を開発することに世界で初めて成功しました。

 さらに、低MCO電解質膜と電極との接触面積を飛躍的に増大する画期的な界面接合法を開発することで、従来のフッ素系電解質膜を用いたMEAと比較して、発電性能、耐久性、MCOを大幅に向上させることができました。

 なお、上記開発は、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)(※4))委託事業で実施した成果が含まれております。

■図1:当社技術のポイント  関連資料 参照

■ 補足説明

※1)ダイレクトメタノール形燃料電池(DMFC:Direct Methanol Fuel Cell)

 DMFCは、次世代のモバイル電子機器用電源として期待されています。自動車用や家庭用として用いられる水素を燃料とする固体高分子形燃料電池(PEFC)と比べて、システム全体の小型・軽量化や携帯性が期待できることを特徴としています。

※2)膜電極複合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)

 MEAは、DMFCやPEFCなどの燃料電池の発電を担う主要部材です。MEAは、電解質膜とそれを中心に燃料極と空気極で挟まれた構造をしています。燃料のメタノール水溶液は、燃料極で反応してプロトン(水素イオン)を生じ、これが電解質膜を透過して空気極で酸素と反応することで発電します。

※3)メタノール透過性(メタノールクロスオーバー:Methanol Cross−Over)

 DMFCの電解質膜における、メタノール燃料の透過現象のことをMCOといいます。特に、PEFCなどに用いられている従来のフッ素系電解質膜では、プロトン(水素イオン)が透過する際にメタノールも同時に透過しやすいという課題がありました。MCO現象に伴い、発電に使用されないメタノールが燃料ロスとなって無駄に捨てられるだけでなく、透過したメタノールが空気極でメタノール酸化反応を起こし、発熱や発電性能低下の原因となっています。

 これまでも、MCOを抑制した電解質膜は開発されてきましたが、プロトン伝導度も同時に低下するトレードオフ現象があり、低MCOと高プロトン伝導の両立というトレードオフの解消は困難な課題でした。従来のフッ素系電解質膜に対して、プロトン伝導度比を1.0に維持し、MCOのみを1/10以下に低減した電解質膜は、これまでの公開情報では見当たりませんでした。

※4)NEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)

 東レは、H13年よりNEDO技術開発機構 燃料電池・水素技術開発部の委託を受け、「固体高分子形燃料電池システム技術開発事業 固体高分子形燃料電池要素技術開発等事業 高効率ダイレクトメタノール形燃料電池の研究開発」を行ってきました。本リリースの技術内容は、当該事業の成果に基づくものです。

岩谷産業、LPガス改質型家庭用燃料電池コージェネを一般家庭で運転開始

2005/12/15 NIKKEI NET

LPガス改質型・家庭用燃料電池コージェネを一般家庭に設置開始

〜東芝燃料電池システム(株)と共同で2006年1月までに10台の設置予定〜

 岩谷産業株式会社(本社:大阪・東京、社長:牧野明次、資本金200億円)は、東芝燃料電池システム(株)と共同で、LPガス改質型家庭用燃料電池コージェネレーションシステム(以下、家庭用燃料電池コージェネ)を関東地区の一般家庭3軒※1(横浜市磯子区、埼玉県坂戸市、群馬県前橋市)に設置し、順調に運転を開始しております。

 当社は2005年度下期の大規模実証事業において新エネルギー財団(NEF)より10台分の助成金交付を採択されており、今後関東圏・近畿圏を中心に順次設置を進め、来年1月中にはトータル10台の設置・稼動を完了させる予定です。※2

 また、直売63万戸を含む290万戸のお客様にLPガスをお届けする当社としては、LPガス改質型を中心に来年度以降の大規模実証にも積極的に参画する予定で、2006年度30台以上、2007年度60台以上を目指し、この3年間で100台以上の設置を進める計画です。

 熱と電気を効率よく取り出す燃料電池コージェネの普及においては、各家庭に応じた最適なシステムを提供して行くシステム設計ノウハウが重要です。当社では2003年からガスエンジンを用いた家庭用コージェネレーションシステムの販売事業を展開し、既に300台近くの設置実績を得ています。これらのシステム設計・施工・燃料供給・メンテナンスといったコージェネシステムのノウハウに、燃料電池の大規模実証事業で得られる実績を踏まえた上で家庭用燃料電池コージェネの本格販売を開始する計画です。

【東芝燃料電池システム(株)製燃料電池コージェネについて】

 同社の燃料電池は現在実用化されているLPガス仕様燃料電池の中では、最小コンパクトサイズであり、定格700W負荷から30%負荷210Wまで高効率運転が可能であり、42dB以下の低騒音、DSS運転・連続運転のいずれも運用可能であるなどの特徴を有しています。

※1.設置済み (1)横浜市磯子区  2005年12月 3日  設置完了 (2)埼玉県坂戸市  2005年12月 9日  設置完了 (3)群馬県前橋市  2005年12月10日  設置完了

※2.2006年1月末までの設置予定 □茨城県 笠間市  □千葉県 市川市  □東京都 八王子市  □京都市  □兵庫県 明石市  □兵庫県 加古川市  □広島県 三原市 (以下 略)

ダイムラークライスラー、燃料電池バス3台を北京市に納車

2005年12月13日 Response.

 ダイムラークライスラーは、中国・北京で開催された第4回クリーン車両技術国際会議の冒頭にメルセデスベンツの『シターロ』燃料電池バス3台を北京市に納車したと発表した。

 ダイムラークライスラー・ノースイースト・アジアのティル・ベッカー会長兼CEOは「ダイムラークライスラーは、長年にわたる中国への取り組みや北京市とのパートナーシップの一環として、最新の燃料電池技術を備えたバスを中国に提供する」

 「燃料電池バスの運行は、北京の大気汚染を軽減する上で、小さいながらも重要で象徴的な第一歩で、北京をより住みやすく働きやすい都市にするための中国産業界および同国政府の取り組みに貢献したいと考えた」と述べた。

 今回の納車は、中国科学技術部および国連開発計画/地球環境基金の中国における、燃料電池プロジェクトの支援を受けて行われた。

出光興産、定置用燃料電池実証事業について

2005年12月13日 CarView.com

 出光興産は、財団法人・新エネルギー財団が実施する“平成17年度第2期定置用燃料電池大規模実証事業”の一環として、家庭用燃料電池25台の設置先を決定した。

 出光興産は、同社が開発した燃料電池システムを、同社子会社の出光ガスアンドライフの系列販売店を通じ、一戸建て住宅に設置。2006年2月までに、19県25戸に設置し、2年間運転する。なお、12月13日には、兵庫県・相生市と愛知県・知多市の一戸建て住宅に設置された燃料電池が運転を開始している。

 また、今回設置が決定した燃料電池は、普及率や利便性の高いLPガスを水素原料とするLPガス型家庭用燃料電池。同社は、ユーザーから運転データの提供を受け、今後の開発に生かしていくとともに、担当販売店によるLPガスの充填をはじめ、運転管理や保守点検などのサービス体制も構築していくという。

灯油仕様の家庭用燃料電池システムを来春に発売、新日本石油

2005年12月13日 日経ホームビルダー

 新日本石油は、灯油仕様の家庭用燃料電池システム「ENEOS ECOBOY」を2006年3月20日から商品化することを発表した。

 同社は今年3月に関東近辺を中心にLPG(液化石油ガス/プロパンガス)仕様家庭用燃料電池「ENEOS ECO LP-1」を商品化。都市ガスの供給がないエリアでも燃料電池を使えるようになった。今回は、荏原バラード、荏原製作所との共同で、灯油仕様の家庭用燃料電池システムを開発した。

ダイムラー日本 燃料電池車をリース 自動車研究所の実験に協力

2005/12/10 FujiSankei Business i.

 ダイムラー・クライスラー日本(東京都港区)は、メルセデス・ベンツの乗用車「Aクラス」をベース車にした燃料電池車「F−Cell(エフ・セル)」を日本自動車研究所(JARI、茨城県つくば市)にリースした。

 JARIが新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から受託して実施する「水素社会構築共通基盤事業」の水素充填(じゆうてん)時のコネクター標準化、実走行での評価などの各種試験に利用される予定。車両リースだけでなく、一部の実験には独ダイムラー・クライスラー(DC)が協力する。

 DCの燃料電池車は、世界各国で百台以上がリースされており、実際に公道走行。これまでの走行距離は百五十万キロ以上になるという。

 世界では、燃料電池バスが三十六台、「エフ・セル」が六十台が公道走行している。米物流大手のUPSはDCの商用車「スプリンター」をベースにした燃料電池車で小荷物集配業務で実証実験を行っている。

 日本では、経済産業省、国土交通省などが推進している「水素・燃料電池実証プロジェクト(JHFCプロジェクト)」に参加しているほか、東京ガス、ブリヂストン、昭和シェル石油に各一台リースしている。JARIへのリースは、国内四台目になる。

 日本でDCがJARIの燃料電池車の実験に協力することについて、DCの燃料電池駆動システム開発統括ディレクターのクリスチャン・モーディック氏は「二〇一二年から一五年を目標としている燃料電池車の完全商用化開始に向けた重要な前進」と話している。

家庭用燃料電池「1台50万円に」 エネ庁、量産へ支援

2005年09月24日 asahi.com

 電気と給湯をまかなえる家庭用の燃料電池を普及させようと、経済産業省資源エネルギー庁が本格支援に乗り出した。今年度から始めたモニター家庭での実証実験を広げるほか、耐久性能を大幅にのばす劣化対策や部品の共通化に向けた研究も始めた。省エネや温暖化対策にも役立つため、08年ごろからの大量生産の実現をめざしている。

 エネ庁は今年度、定置用燃料電池システム(家庭用燃料電池)の量産体制づくりと耐久性の検討を兼ねて、大規模実証実験を開始した。全国のガス、石油関連の計7社が、希望する個人住宅に400台設置する計画で、すでに半数に導入。今秋から残り分を受け付ける。発電出力は700ワット〜1キロワット、60度程度のお湯をつくることができ、「エネルギー効率70%増」「CO2排出量3割減」と、ほぼ期待通りの結果が得られた。来年度はさらに600〜700台の導入を図る。

 また、競争関係にあるメーカーを集め、(1)機器の劣化要因の情報を交換し、耐久性、信頼性を向上する(2)部品を共通化してコストを削減する、の2点について共同プロジェクトも立ち上げた。

 耐久性は3〜5年程度までのびてきたが、プロジェクトでは10年をめざす。また、現在1台800万〜1000万円程度のシステムを、部品を共通化して量産体制を整えることで、給湯器などと対抗できる50万円程度まで引き下げるのがねらいだ。

 エネ庁燃料電池推進室は「水素貯蔵など課題を抱える自動車に比べ、家庭用は技術的にほぼ確立している。信頼性と耐久性の向上が課題だが、実用化は見えてきた」と話している。

ホンダ・GM・BMW、燃料電池車で提携へ

2005/08/04 読売新聞 Yomiuri On-Line

 ホンダと米ゼネラル・モーターズ(GM)、独BMWの日米独の有力自動車メーカー3社が、水素を燃料とした燃料電池車などに関連する先端技術の共同開発で大筋合意したことが3日、明らかになった。

 第一弾として、車への水素補給技術の共同開発を目指し、本格的な研究を進める。次世代の主力車になると期待される燃料電池車普及に欠かせない技術で、日米欧の有力メーカー3社が提携を結ぶことは、世界の自動車メーカーがしのぎを削る燃料電池車そのものの開発競争の行方にも、大きく影響しそうだ。

 共同開発の第一弾となるのは、液体水素を燃料タンクに補給するための水素供給システムの技術だ。燃料となる水素は、マイナス250度以下の極低温で保管されているが、補給時に水素漏れが生じると非常に危険で、実用化には高い気密性や供給量を調節する高度な技術が要求される。

 3社は、車に水素を注入するノズルや充てん口の規格を統一するなど、基盤となる安全性の高い供給システムを構築する。

 3社は共同開発により、開発費負担を軽くすると共に、関連部品を共通化することで、現状では1台数億円と言われる燃料電池車の製造コストの削減を図る。資金・人材などの経営資源を燃料電池車本体の開発に集中し、他社に先行しようという狙いもある。

 共同開発するシステムは、今後の燃料電池車の世界統一規格になる可能性もあり、他の有力メーカーが合流することも予想される。さらに、エネルギー業界も巻き込んで、現在のガソリンスタンドのように車に水素を供給する水素ステーションなど、燃料電池車普及のためのインフラ面の整備が一気に進むことが期待される。

 燃料電池車を巡っては現在、トヨタとGMが研究開発を行う合弁会社設立を視野に提携協議を進めている。今回の3社提携をきっかけに、多額の費用がかかる燃料電池車本体の研究・開発で、有力メーカー間の合従連衡が一段と進む可能性も出てきた。

 燃料電池車 水素を燃料とし、排出するのは水だけという“究極のエコ・カー”で、ガソリンエンジンに代わる次世代の主力車と期待されている。GMやホンダが力を入れている燃料電池車は、水素と酸素の化学反応で発生させた電気でモーターを動かす。水素は世界各国で未来のエネルギーの本命とみられており、各メーカーが関連技術の開発を競い合っている。一方、BMWの水素エンジン車は、水素をエンジンで燃やして動力を得る点が異なる。

燃料電池車 世界標準狙う

2005/08/04 読売新聞 Yomiuri On-Line

製造費削減目指す 国際的な連携活発化か

 燃料電池車の関連技術開発をめぐり、3日明らかになったホンダ、米ゼネラル・モーターズ(GM)、独BMWという世界の大手自動車メーカー3社の提携は、他の大手メーカーの燃料電池車の開発戦略に大きな影響を与えるのは必至だ。

 共同開発には、ホンダなど3社が水素ステーションなどのインフラ面で世界標準となりうる技術をいち早く実用化し、燃料電池車本体の開発でも主導権を握る狙いがある。GMと提携関係にあるトヨタ自動車などの巻き返しも予想され、燃料電池車を巡る国際的な大型連携を探る動きが活発化しそうだ。

 世界の有力自動車メーカーは、技術的にはガソリン車と見劣りしない性能を持つ燃料電池車の開発にめどをつけつつある。ただ、その普及には、ガソリン車の100倍で1台数億円とも言われる製造コストの引き下げと共に、燃料となる水素を補給する水素ステーションなどのインフラを整備することが急務だ。今回の3社提携は、この二つの課題を克服する突破口となる。

 水素ステーションを現在のガソリンスタンド並みに全国配置するには、膨大な設備投資とエネルギー業界や政府との連携が不可欠だ。そのためには、水素補給システムなどを共通化することが必要だが、3社の技術が世界標準となれば、燃料電池車の普及を妨げる障害を一つクリアできる。

 自動車メーカーにとっても、自社の技術が水素ステーションなどの国際標準となれば、実用化段階での製造コストを大きく減らし、販売競争で優位に立てるメリットがある。

 特に、ホンダは、零下20度まで燃料電池内の水分が凍らずに始動できる独自技術を開発するなど、燃料電池車の開発では世界トップクラスの実績を誇るだけに、今回の提携を通じ、開発競争の主導権を握る狙いがあるものと見られる。

 一方、世界最大手のGMは、トヨタ自動車と燃料電池車の研究・開発を行う合弁会社の設立を視野に交渉を進めているが、幅広く提携することで、燃料電池車事業での優位性を確保できる。1978年から水素エンジンの開発を進めてきたBMWも、燃料電池車との共通規格化によって実用化へはずみをつける。

 世界の自動車メーカーは、原油価格の高騰や化石燃料の枯渇に備えるとともに、二酸化炭素の排出による環境問題へ対応するため、燃料電池車や水素エンジン車など環境に優しい「エコ・カー」の技術開発を急ピッチで進めている。

 関連技術の規格争いは、燃料電池車が普及した際の勢力図を左右しかねないだけに、今回の3社に限らず、トヨタや日産自動車、独ダイムラー・クライスラー、米フォード・モーターなど世界の有力メーカーが開発に拍車を掛けている。

 それだけに、技術開発分野を対象とした今回の提携は、燃料電池車開発の主導権を巡り、世界規模の合従連衡を促す起爆剤となりそうだ。

「ガソリン」と同等性能 2010年までに実現

2005/06/28 読売新聞 Yomiuri On-Line

GM燃料電池車開発担当ジョージ・ハンセン氏

 米ゼネラル・モーターズ(GM)アジア・パシフィック・ジャパンで燃料電池車の開発を担当しているジョージ・ハンセン氏は、読売新聞のインタビューに応じ、航続距離や耐久性など、ガソリン車と全く同等の性能を持つ燃料電池車を2010年までに実用化する技術的なメドがついたと述べた。2006年に期限を迎えるトヨタ自動車との燃料電池車を含む環境分野での技術提携については、「これまでと関係は変わらない」と述べ、延長されるとの見通しを示した。(加藤弘之、栗原守)

 ――燃料電池車の開発状況は。

 「既に1000億円以上投資している。燃料の貯蔵に液体水素を使う車と、700気圧の高圧水素を使う車の両方の開発を進めている。航続距離は液体水素で400〜480キロ、高圧水素は270キロで、加速性や乗り心地はガソリン車と変わらない。燃料電池の出力を落とさずに大きさを他社の8割程度まで小型化した。技術的には世界トップレベルにある」

 ――今後の見通しは。

 「技術面では2010年までに耐久性や信頼性などを普通のガソリン車と全く同じレベルにすることを目指しており、順調に進んでいる。将来的には、量産化や税制面の優遇措置などを受け、普及が進めばガソリン車並みの価格も可能だ」

 ――燃料電池車に力を入れる理由は。

 「人口増や中国、ロシアなどの経済発展に伴う所得増で、全世界の自動車保有台数は、現在の約8億台から2030年にはほぼ倍増する。燃料を石油だけに頼るのは限界があり、水素の利用はエネルギー安全保障の観点からも重要だ」

 ――トヨタとの関係は。

 「1999年からトヨタと燃料電池に関してテーマごとに協力しており、GMにとっても重要だ。ある程度競争を保たないと良いものは出てこないが、トヨタとはこれまで非常に良い関係にある。延長はそろそろ(結論を出す段階)だ」

 ――ハイブリッド車への対応は。

 「ハイブリッドはあくまでつなぎの技術。車をすべてハイブリッド化しても、(車の数が増えるので)ガソリン消費は増え、最終的に問題は解決しない。GMはあくまで燃料電池の分野に注力していく」

各社開発にしのぎ 高い製作コストが課題

 水素と酸素を化学反応させて生み出した電気を使う燃料電池車は、走行時に二酸化炭素や窒素酸化物を排出しない「究極のエコ・カー」として、各社が開発にしのぎを削っている。

 燃料電池は1960年代に、アメリカの有人宇宙飛行船の電力供給源として採用されて注目された。GMは68年、走行可能な燃料電池車の試作車を初めて製作するなど開発に最も力を入れており、2003年には液体水素を使う燃料電池車として初めて日本の公道走行認可を取得した。

 現在、日米独の3か国で路上の実証データの収集を行っており、2010年の実用化を目指し、今後は中国・上海での走行試験を始める。

 日本メーカーではトヨタ自動車とホンダが今月17日、国土交通省から燃料電池車として初の「型式認証」を取得するなど、高い水準に到達している。

 ただ、価格面では課題が多い。化学反応の触媒に白金を使用するなど、燃料電池車の製作コストは、「ガソリン車の100倍」とも言われ、現在、1台数億円程度する。ホンダでは「10年後に1000万円、2020年に300万〜400万円に下げられるかどうか」としており、一般消費者が手の届く価格にするには時間がかかりそうだ。

 各メーカーには、巨額の開発負担がのしかかっており、今後大手メーカー同士の提携が加速する可能性もある。

型式認証を初取得 7月からリース販売 ホンダも同時に

2005/06/18 読売新聞 Yomiuri On-Line

 トヨタ自動車は17日、同社の燃料電池車「トヨタFCHV」が国土交通省の型式認証を日本で初めて取得した、と発表した。これまで、燃料電池車は車両1台ごとに試験走行を目的にした国交省の大臣認定が必要だったが、一般車両と同じく販売を目的とした型式認証を受けたことで、将来の普及に一歩近づいた。

 トヨタFCHVは、2002年12月から中央官庁や愛知県などの自治体、民間企業など日米で16台をリース販売している。これを一部改良し、今年7月からリース販売を開始する新型「トヨタFCHV」が、国が新たに定めた圧縮水素ガスを燃料とする自動車の安全・環境基準を満たしたため、型式認証を受けた。

 新型車では、自社で開発した高圧水素タンクを搭載する。燃料の水素の貯蔵量は約10%増加し、航続距離は300キロから330キロに伸びる。モーターの出力も80キロ・ワットから90キロ・ワットに高め、加速性能を向上した。

 ただ、1台1億円以上かかる車両コストなど燃料電池車の普及に向けては、まだまだ課題は多い。トヨタでは「今後も普及に向けて、燃料電池車の改良は続けていく」(広報部)としている。

 また、トヨタと同様にリース販売しているホンダの燃料電池車「FCX」も同日、国交省から型式認証を取得した。

燃料電池車 究極エコ・カー開発が本格化

2005/05/20 読売新聞 Yomiuri On-Line

 走行時に二酸化炭素を排出しないため、「究極のエコ・カー」と言われる燃料電池車の開発競争が本格化している。国内では、これまでエンジンに当たる燃料電池(発電装置)の開発に成功したトヨタ自動車とホンダの独壇場だったが、日産自動車も年内に自社製燃料電池の搭載車を投入する計画で、大手3社が出そろう。環境技術のPRや実験的な要素が強かった燃料電池車も、普及に向け一歩ずつ前進している。

開発競争

 燃料電池車は、主に水素と酸素を化学反応させて起こした電気を利用して電動モーターで走る車だ。地球環境問題に対応する視点からも、将来的には現在のガソリン車やハイブリッド車に代わる次世代の主力自動車になると見られている。

 国内ではトヨタとホンダ、海外では米ゼネラル・モーターズ(GM)、独ダイムラー・クライスラーなどが燃料電池車の開発を進めている。ホンダは年内に米国で個人向けにも販売する方針だ。

 日産自動車は、これまでは米国製の燃料電池を搭載していたが、今後は自社製品に切り替える。トヨタも日野自動車と共同で燃料電池バスを開発するなど、乗用車以外でも実用化が進んでいる。

 三菱自動車などの中堅メーカーでも、将来の燃料電池車の普及に備える動きが増えている。燃料電池自体は他社から調達することを念頭に、燃料電池車用の車体構造や制御、安全に関する技術開発を進めている。

普及への壁

 ただ、普及には課題も多い。最大の問題は1台1億円と言われる製造コストだ。電気を取り出すのに欠かせない燃料電池の触媒には現在、白金などの貴金属が使われており、大幅なコスト削減には素材レベルの研究も欠かせない。1回の燃料タンクへの水素補給で走行できる航続距離を伸ばすことも重要だ。現在のガソリンスタンドに代わって、燃料の高圧水素を安全に保管できる供給拠点の確保など、インフラ面の整備にも課題が残る。

将来性

 燃料電池車はエンジンを搭載していないため、従来の車と全く違う規格の自動車が作れるメリットもある。

 トヨタが愛・地球博(愛知万博)で公開している電動車「i―unit」は、タイヤ部分にモーターが組み込まれているため、左右の車輪を結ぶ車軸やエンジンの回転を車軸に伝えるシャフトが無く、速度に応じて車の長さを変えることができる。小回りが利く配送車や1人乗り用の超小型車など、自動車の活動舞台が大きく広がる可能性もある。

 燃料電池車がに普及するにはまだ時間がかかりそうだが、今後、各社とも研究開発を加速させる考えだ。

トヨタ、GMが「燃料電池で合弁も」

2005/05/15 読売新聞 Yomiuri On-Line

 米ゼネラル・モーターズ(GM)のリチャード・ワゴナー会長兼最高経営責任者(CEO)が14日、愛知県豊田市内でトヨタ自動車の張富士夫社長らトヨタ首脳と行った会談を契機に、約20年来続く両社の提携関係が今後一段と強まる可能性が高い。

 両社は、従来の個別の技術提携などの枠を超え、燃料電池などの先端技術分野で、研究・開発のための合弁会社設立や次世代車の合弁生産などを模索すると見られる。販売台数で世界1位と2位メーカーの関係強化は、経営不振が続く全米2位のフォード・モーターだけでなく、日産自動車やホンダなど日本の大手自動車メーカーにも、大きな脅威となりそうだ。

 ■開発費の負担軽減

 提携を模索する先端技術のうち、焦点となっているのが燃料電池の分野だ。燃料電池車の開発には巨額の開発費がかかるが、両社が協力関係を強めれば、GMの開発費負担を軽減できるため、「GM支援の有力な選択肢」(大手自動車メーカー)とされる。

 今回の会談も、環境分野での提携関係を継続、深化させることを確認する狙いもあったと見られ、トヨタの張富士夫社長は会談後、「燃料電池については、合弁も含めて何らかのことを考えている」と、GMとの提携強化に前向きな考えを示した。

 ただ、燃料電池車の実用化は早くとも10年以降になると見られ、経営不振に悩むGMにとって収益面での即効性は低い。このため、既に実用段階にあり、短期間で効果が期待できるハイブリッド技術の供与の方が現実的との見方もある。

 ■技術の直接提供も

 GMは、独ダイムラー・クライスラーとハイブリッド車の共同開発を進めているが、販売開始は2007年からと大幅に出遅れていた。

 一方、トヨタは、主力ハイブリッド車「プリウス」の04年度の北米での販売台数が、ガソリン価格の高騰という追い風もあり、前年度比2・7倍増と大きく伸びた。06年からは米のケンタッキー工場で乗用車「カムリ」のハイブリッド車を生産する考えで、北米市場で競争力の強いハイブリッド車の分野で一段の攻勢をかける。

 トヨタは米カリフォルニア州にあるGMとの合弁会社「NUMMI(ヌーミー)」でプリウスの生産も検討しており、ハイブリッド車の生産技術を直接、GMに提供することも可能だ。

 また、トヨタが、GMに北米で生産するハイブリッド車を、相手先ブランドによる生産(OEM)で供給する可能性もある。

 トヨタとGMの提携関係は、1984年に「NUMMI」をカリフォルニア州に設立したのが始まりだ。90年代の「日米自動車摩擦」の時期を経て、96年にはGM製乗用車の日本での輸入販売が実現した。99年には電気自動車や燃料電池車などの環境技術分野で包括的な提携関係を築いた。

 これまで両社は、自動車市場でしのぎを削るライバル同士だ。しかし、両社の力関係の変化をきっかけに、新たな提携関係の強化が実現すれば、世界の自動車業界の勢力地図に大きな影響を与える可能性がある。

トヨタとGM、燃料電池車で提携強化

2005/05/11 読売新聞 Yomiuri On-Line

合弁会社設立も検討

 トヨタ自動車と米ゼネラル・モーターズ(GM)が、次世代のエコカーである燃料電池車の技術開発について協力関係を強化する方向で調整していることが11日、分かった。1999年に燃料電池車などの環境技術分野で結んでいる提携関係を強化する。

 具体的には、燃料電池車の研究・開発を行うための合弁会社の設立が検討されている。燃料電池や燃料を貯蔵する水素タンクなどの技術について、情報交換や共同使用を進める案も出ている。

 14日には来日するGMのリチャード・ワゴナー会長とトヨタの張富士夫社長が会談する予定で、この件について意見交換する可能性もある。

 燃料電池車は水素と酸素を化学反応させて走り、水だけを排出するため、究極のエコカーといわれる。ただ、現在は1台当たりの生産コストが数億円かかるため、普及は2010年以降とみられている。

 両社は燃料電池車の技術について情報交換をさらに進め、将来の普及促進につなげる狙いとみられる。

 GMはトヨタなど日本車に米国内のシェアを奪われ、業績不振となっている。トヨタはハイブリッド技術のGMへの供与などでの提携も模索している。

究極のエコ・カー 開発が本格化

2005/05/10 読売新聞 Yomiuri On-Line

 走行時に二酸化炭素を排出しないため、「究極のエコ・カー」と言われる燃料電池車の開発競争が本格化している。国内では、これまでエンジンに当たる燃料電池(発電装置)の開発に成功したトヨタ自動車とホンダの独壇場だったが、日産自動車も年内に自社製燃料電池の搭載車を投入する計画で、大手3社が出そろう。環境技術のPRや実験的な要素が強かった燃料電池車も、普及に向け一歩ずつ前進している。(深谷 敏之)

 ◆日産参入、3社競う

 開発競争

 燃料電池車は、主に水素と酸素を化学反応させて起こした電気を利用して電動モーターで走る車だ。地球環境問題に対応する視点からも、将来的には現在のガソリン車やハイブリッド車に代わる次世代の主力自動車になると見られている。

 国内ではトヨタとホンダ、海外では米ゼネラル・モーターズ(GM)、独ダイムラー・クライスラーなどが燃料電池車の開発を進めている。既に官公庁や企業向けにリース販売も行われているほか、ホンダは年内に米国で個人向けにも販売する方針だ。

 日産自動車は2月、自社製燃料電池を公開した。これまでは米国製の燃料電池を搭載していたが、今後は自社製品に切り替える。トヨタも日野自動車と共同で燃料電池バスを開発するなど、乗用車以外でも実用化が進んでいる。

 三菱自動車などの中堅メーカーでも、将来の燃料電池車の普及に備える動きが増えている。巨額の開発費がかかる燃料電池の自社開発をあきらめる一方、燃料電池自体は他社から調達することを念頭に、燃料電池車用の車体構造や制御、安全に関する技術開発を進めている。

 ◆製造コストや水素供給など課題が山積

 普及への壁

 ただ、普及には課題も多い。最大の問題は1台1億円と言われる製造コストの高さだ。リース車の場合、1台のリース料金はホンダが月80万円、日産が月100万円と高額ながら、「この価格でも赤字」(日産幹部)というのが現状で、データ収集の側面が強い。電気を取り出すのに欠かせない燃料電池の触媒には現在、白金などの貴金属が使われており、大幅なコスト削減には素材レベルのさらなる研究も欠かせない。

 1回の燃料タンクへの水素補給で走行できる航続距離を伸ばすことも重要だ。日産は、従来の倍の圧力に耐えられる燃料タンクを開発し、新型車の航続距離をガソリン車並みの500キロ・メートルまで伸ばす計画だが、他のメーカーは300〜400キロ・メートル台にとどまるだけに、性能アップを急ぐ必要がある。

 さらに、現在のガソリンスタンドに代わって、燃料の高圧水素を安全に保管できる供給拠点の確保など、インフラ面の整備にも課題が残る。

 将来性

 燃料電池車はエンジンを搭載していないため、従来の車と全く違う規格の自動車が作れるメリットもある。トヨタが愛・地球博(愛知万博)で公開している電動車「i―unit」は、タイヤ部分にモーターが組み込まれているため、左右の車輪を結ぶ車軸やエンジンの回転を車軸に伝えるシャフトが無く、速度に応じて車の長さを変えることができる。

 また、小回りが利く配送車や1人乗り用の超小型車など、「かつて無いような車も作れる」(ホンダ)だけに、自動車の活動舞台が大きく広がる可能性もある。

 燃料電池車が一般に普及するにはまだ時間がかかりそうだが、日産のカルロス・ゴーン社長が「魅力ある商品を開発できると考えている」と期待感を示すなど、今後、各社とも研究開発を加速させる考えだ。

家庭用燃料電池システムの周辺機器仕様リストを公表

2005/04/21 EICネット

 資源エネルギー庁は2005年4月21日、家庭用燃料電池システムの関連周辺機器(補機類)の仕様リストを公表した。

 家庭用燃料電池システムは05年4月11日に完成披露した首相官邸に世界で初めてシステムが導入されたばかりだが、本格的市場展開に向けた動きが加速しているところ。

 普及のためには特に関連周辺機器の低コスト化が最重要課題と考えられており、05年4月にまとまった「定置用燃料電池市場化戦略検討会報告書」では、政府が家庭用燃料電池システム周辺機器に必要な仕様を公開し、周辺機器分野への新規企業の参入をしやすくすることによって、企業間競争の中で低コスト化を達成することが必要との指摘が行われている。

 今回のリストはこの指摘を踏まえ、家庭用燃料電池システムのメーカに周辺機器類に要求される具体的な仕様をアンケート調査し、機器の種類ごとにその結果をまとめたもの。

 周辺機器類全般に要求される要素として(一)システム全体の発電効率を下げない低消費電力の達成、(二)家庭の電力負荷変動に対応できる出力範囲の達成と低負荷時の性能安定、(三)長時間耐久性、(四)低騒音、低振動であること、(五)低コスト化−−などの項目があることから、リストではブロワ・ポンプなど必要なものについては、消費電力、耐久性、騒音についての性能などを明らかにしている。【資源エネルギー庁】

新首相公邸が完成 世界で初めて家庭用燃料電池導入

2005/04/11 EICネット

 新首相公邸の完成披露が2005年4月11日、歴代首相、各省庁の大臣らの出席のもと行われた。

 新首相公邸は1929年に完成した旧首相官邸を改装したもの。旧首相官邸は大蔵省営繕管財局(当時)の技術者による設計だが、旧帝国ホテルを設計したアメリカ人建築家フランク・ロイド・ライトの建築にも通じるアールデコ様式風の雰囲気が特徴。

 改装にあたっては、さまざまな歴史の舞台となった旧官邸の面影は残しつつも、24時間対応可能な執務スペースや要人をもてなす茶室や和室など、公邸として必要な機能を充実させた。

 また、給湯や発電用に世界で初めて家庭用燃料電池2基を設置。新公邸の完成披露に先立ち、4月8日に行われた家庭用燃料電池導入式典では、小泉首相が電源を入れ、「もったいないという気持ちと環境技術を結びつけ、すばらしい環境を残していきたい」と挨拶した。【首相官邸】

家庭用コージェネ、続々登場

2005年04月02日 asahi.com

 大手都市ガス・石油会社が、家庭で使うお湯と電気を同時に供給するコージェネレーション(熱電併給)装置を次々と商品化している。先行した都市ガスを小型エンジンで燃やす方式に続き、今年は燃料電池も登場。新たな省エネ技術として普及が見込まれ、各社は商品戦略に知恵をしぼっている。

 今年2月、東京ガスは家庭用としては世界初となる燃料電池コージェネのレンタル受け付けを始めた。都市ガスから作り出した水素を燃料電池で酸素と反応させ、出力1キロワットで発電。排熱を利用して60度のお湯もわかし、台所や風呂などで使う仕組みだ。

 標準世帯で光熱費を年6万円程度節約でき、エネルギー消費量も26%減るという。レンタル料は年10万円。3月までの募集枠20台に対し約150件の申し込みがあり、広報担当者は「消費者の関心は高く、予想以上の反響だ」と話す。

 一方、1カ月遅れの3月に、液化石油ガス(LPG)から水素を取り出すタイプを投入した新日本石油にも、これまでに200件以上の問い合わせがあった。05年度中に関東圏で150台を貸し出す予定だが、「申し込みが枠を上回るのは確実」(同社)という。

 両社の製品は、燃料から水素を取り出す部分以外はほとんど同じ仕組み。ただ、燃料の都市ガスは主に大都市圏、LPGは地方で使われ、「おおまかなすみ分けは可能」(新日石の渡文明社長)とみられている。

 両社は水素エネルギー社会を見据えた先行投資として、燃料電池の開発を急いできた。しかし、今は製造コストが1台数百万円と高価なうえ、寿命も通常利用で3年程度と目標の10年にはほど遠く、技術的課題は多い。

 このため業界内では、本格的な普及は10年代以降との見方が一般的。家庭用コージェネでは当面、都市ガスを小型エンジンで燃やす方式が中心になるとみられている。

 ガスエンジン方式は、大阪ガスや東邦ガスなどが共同で開発し、03年春に「エコウィル」の商品名で発売した。今は全国の都市ガス会社約30社が取り扱い、約1万2千台が普及している。

 一方、東京ガスはこの陣営に加わらず、エコウィルを販売していない。発電効率が低く、熱回収効率は高いため、かなり多くのお湯を使う家でないと利点が出にくい、との理由からだ。

 あくまで「本命」の燃料電池の普及を急ぐ東ガスの戦略に対し、ほかの都市ガス大手も様子見のわけではない。大阪ガスは東ガスと同じ「固体高分子形」と呼ばれる燃料電池を05年度中に投入する。これとは別に、さらに発電効率が高い「固体酸化物形」の開発も進めている。

 大ガスでは将来、エコウィルと合わせ3種類のコージェネが並ぶことになるが、芝野博文社長は「消費者の選択肢が増えるのは好ましい。特徴をきちんと説明して販売していく」と話す。

 石油業界でも流れに乗り遅れまいと、動きが急だ。ジャパンエナジー、コスモ石油、出光興産が05年度中に新日石と同じLPG型を投入する予定。各社は寒冷地での利用を想定した灯油改質型も開発中で、製品の種類はさらに増える。

 家庭用燃料電池について、経済産業省は10年度に120万台、20年度で570万台の普及を見込む。コージェネだけでは電力需要をすべてまかなえないものの、電気は電力会社、ガスはガス会社から買う従来のエネルギー利用の形を大きく変える可能性がある。

     ◇

   〈主な家庭用コージェネレーションの比較〉

      ガスエンジン式 固体高分子形 固体高分子形  固体酸化物形

     (エコウィル)  燃料電池   燃料電池    燃料電池

             (東京ガス) (新日本石油) (大阪ガス目標)

燃料    都市ガス    都市ガス   LPG     都市ガス

発電出力  1キロワット   1キロワット 750ワット  1キロワット

発電効率  20%      34%    34%     45%

熱回収効率 65%      44%    42%     30%

商品化時期 03年3月    05年2月  05年3月   08年度ごろ

価格    75万円前後   年10万円  年6万円    未定

      (販売)   (レンタル)  (レンタル)

こんな静かに時速80キロ! - 燃料電池バイク「ENV」の開発に成功

2005/03/17 PC WEB/湯木進悟

 英Intelligent Energyは、水素燃料電池で駆動するバイク「ENV(Emissions Neutral Vehicle)」を発表した。プロトタイプとして開発が進められたものの、今後も実用化を視野に入れつつ、さらなる改良が重ねられていく。

 ENVは、着脱可能なPEM(Proton Exchange Membrane)型の燃料電池システム「CORE」を搭載し、加速時などに大電力が必要となるため、鉛蓄電池をあわせて利用するハイブリッド方式を採用している。これにより同社では、最長4時間の連続走行、最高時速50マイル(80キロメートル)の高速走行性能を実現したとされている。COREのエンジン音は、一般的なPCの駆動音と比較できるほど静かなようで、排出される水も非常にクリーンであるため、環境に優しい次世代の乗り物として紹介されている。

 アルミニウム製のフレームボディに、シックなツートンカラーを採用したというENVの設計は、プロデザイナーが集まる英Seymourpowellが手がけたとされ、今回の設計チームを率いた同社のNick Talbot氏は「私自身が何年もバイクに乗ってきた経験を生かしつつ、便利で使いやすく、見た目にもかっこよく仕上げることに心を砕いた。このプロジェクトで重要になってくるのは、新たな技術を冴えないデザインの製品で発表することを、絶対に避けねばならないという点だ」とコメントしている。

 Intelligent EnergyのCEOであるHarry Bradbury氏は「そう遠くない将来において、ENVで田舎まで出かけてから、COREを取り外してモーターボートに装着し、滞在先のログハウスでは、COREで電器製品を使用するといったことが可能になるだろう」と語って、ENVのみならず、多彩な製品の動力源としてCOREを活用できることをアピールした。同社は昨年中に、燃料電池で駆動する軽飛行機の開発にも成功したとされ、現在は南アフリカにおいて、学校や病院に、燃料電池で電気を供給するプロジェクトなども手がけているという。

 今後も改良を重ねることで、ENVは、さらなる走行性能の向上などが目指されるようだ。なお、騒音問題などと取り組む英Noise Abatement Societyの報告によれば、12秒の加速で時速50マイルに達する快適なライディングの最大の特徴は、あまりにも静かなエンジン音にあるとされ、安全性を考慮して、Intelligent Energyでは、ENVに人工的なエンジン音を出させる装備を追加することも検討しているという。

電車も燃料電池、2010年の実用化目指す

2004/12/06 読売新聞 Yomiuri On-Line
 排ガスや騒音が少なく、ディーゼル車両に代わる鉄道として期待される「燃料電池電車」の実用化が近づいてきている。

 鉄道総合技術研究所(東京都国分寺市)は台車のみの走行試験に成功し、今後、模擬車両を作って研究所内の試験路線を走らせる計画。2010年ごろを目標に世界初の実用化を目指している。

 同研究所は、出力1キロ・ワットのミニ車両で人を乗せた走行に成功させた基礎研究の成果を土台に、2001年度から本格的に研究に着手。今年2月には出力を30キロ・ワットに上げたシステムで、電車の実物の台車を時速50キロ・メートルまで加速させることにこぎ着けた。

 搭載する燃料電池には、今最も研究が進み、今後も高性能・低価格化が期待できる、自動車用の「固体高分子型」を採用。ボンベに貯留した水素と空気中の酸素を化学反応させて電気を生み出す仕組み。排出するのは水だけで二酸化炭素は出さない。電気でモーターを動かすので、ディーゼルエンジンのような騒音もない。

 計画している電車は2両1組。1両にモーターと電力変換装置(インバーター)、バッテリー、もう1両に燃料電池と水素ボンベを分散して積む。最高時速120キロ・メートル、走行可能距離は300―400キロ・メートルを設定している。

 課題は燃料電池の効率化。2両の電車を走らせるのに出力600キロ・ワットの電池が必要だが、電池数を増やすだけでは車両の台車と台車の間に収められない。このため電池を現在の約3分の1の大きさに縮小することが必要。実用化は、燃料電池メーカーの開発スピードにもよるが、同研究所の潤賀(うるが)健一・車両制御技術研究部長は「近年の燃料電池開発の進歩はめざましく、大いに期待できる」と話している。

ケータイ用燃料電池の開発に取り組むKDDIの狙い

2004/10/22 CNET Japan/永井美智子

 10月22日、東京ビッグサイトで開催されているWPC EXPO 2004において、「携帯機器向け燃料電池の姿が見えた」と題したセミナーが開催された。会場にはKDDI 技術開発本部 開発推進部 次長の沼田憲雄氏が登場し、「携帯電話事業者が語る燃料電池への期待」と題した講演を行った。

 KDDIは東芝と日立製作所の2社と、携帯電話機向け燃料電池の共同開発契約を結んでいる。10月初旬に開催されたCEATEC JAPAN 2004やWPC EXPO 2004では、充電器タイプのモックアップを展示した。

 KDDIが燃料電池に注目するのは、リチウムイオン電池だけでは携帯電話の高機能化に伴って増大する消費電力を賄えなくなるからだ。ネプロジャパンの調査によれば、現在でも約8割の人が電池切れで困ったことがあり、半分以上の人が携帯電話の充電を毎日行っているという。今後、地上デジタル放送を受信する端末が登場すれば、2時間程度の視聴で電池がなくなってしまう可能性がある。

 携帯機器用の燃料電池のエネルギー密度は1000Wh/kg程度と見られており、理論上はリチウムイオン電池の10倍程度になる。また、メタノールをつぎ足せばすぐ使えるため、充電時間がいらないという利点もある。

 事業者の立場から見ると、燃料電池は他の発電機に比べて環境に優しいという点も魅力だと沼田氏は言う。化学反応で生じるのは少量の水と二酸化炭素だけで、ニッカド電池などに比べて有害物質も少ない。このため、KDDIでは携帯電話の基地局にも燃料電池を使えないかと検討しているという。「停電時バッテリーや定常時電源の代替として利用できるのではないか」(沼田氏)

 ただし、燃料電池の実用化にはいくつかの課題がある。1つは技術的な問題で、メタノールの濃度や触媒となる白金の供給量、電解質膜の性能などに課題がある。2つめは商品化に関するもので、寿命などの耐久性やコスト、誤飲対策などの安全性の問題が挙げられるという。

 そしてもう1つが規制の問題だ。現在は、消防法や毒物劇薬取締法によってメタノールなどの販売は規制されている。これでは、カートリッジを買える場所が限定されてしまい、利便性が大きく損なわれてしまう。また、航空機内への燃料の持ち込みは航空法施行規則で制限されているため、出張や旅行の際に電話機を持って行くことができなくなる。KDDIはメーカーなどと共同で政府や関係機関に働きかけを行っており、順調に進めば2007年ごろに規制が緩和される見通しだ。

 燃料やカートリッジの標準化については、メーカーとの共同開発という形をとることで仕様決定に参加し、周辺仕様の標準化を図る考え。東芝と日立製作所の試作機はau共通充電器仕様に準拠させたといい、コネクタを統一することで充電器メーカーと端末メーカーが異なる場合でも利用できるようにする方針だ。

 2005年度には燃料電池内蔵型の試作機も登場する予定。実際の製品化については、「メーカーが良いと思う方式を採用してもらう。部品などを統一させる考えはない」(沼田氏)として、メーカーの意向を尊重するとしている。

「Honda FC STACK」を搭載した燃料電池二輪車を開発

2004/08/24 HONDA二輪製品ニュース

 Hondaは、四輪車で実績のある燃料電池技術を応用し、二輪車専用に軽量・コンパクトなHondaの燃料電池システム「Honda FC STACK」を搭載した燃料電池二輪車を開発した。

 氷点下での始動を可能とした高効率な次世代型燃料電池「Honda FC STACK」を、小型・軽量化するなど二輪車に最適なサイズに設計。四輪車で培ったノウハウを取り入れながら、更にシステムを小型化した二輪車専用燃料電池システムとしている。

 今回のモデルは、エンジンコミューターとして全世界で幅広い支持を得ている125ccスクーターをベースとし、EV駆動部を後輪スイングアームに集中配置して車体スペースを確保している。そして、車体中央部に「Honda FC STACK」を配置し、周囲に効率良く補器類を配置することで、同クラスのエンジンコミューターと同等の車体サイズを実現している。

 今後は更なる燃料電池システムのモジュール化による小型、軽量化を図り、エンジンコミューター同等の航続距離とユーティリティスペースの確保を目指す。

 Hondaは、かねてより化石燃料の代替、排出ガスの削減、地球温暖化への影響低減などという観点から、燃料電池を次世代のパワープラントととらえ開発を進めている。2002年12月には世界で初めて燃料電池乗用車「FCX」を日米で納車した。また2003年10月には氷点下での始動が可能な次世代型スタック「Honda FC STACK」を発表、このスタックを搭載した「FCX」の販売をアメリカでは今年後半、日本では来年より予定している。

高容量で水素貯蔵 広島大教授が新材料開発

2004/07/28 中国新聞地域ニュース
 広島大自然科学研究支援開発センターの藤井博信特任教授は、燃料電池自動車に搭載が可能な高容量水素貯蔵材料を開発した。水素化リチウムとマグネシウムアミドを八対三で合成。走行時を想定した一五〇度でも一気圧以上の圧力で水素を吸蔵・放出して発電につなげることができる。来年度、燃料供給システムの開発に着手し、実用化を目指す。

 開発した材料は粒子状で、従来の水素貯蔵合金の三倍以上の貯蔵容量を持ち、質量に対し7%の水素を出し入れできる。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が二〇一〇年までの目標としていた5・5%以上を一五〇度以下で吸蔵・放出するという基準を超えた。

 これまでの水素放出圧力が弱いという実用化への壁も、水素化リチウムの化学反応にアンモニアが大きくかかわっていることを解明。配合する金属の種類と割合を見直し、一気圧以上を確保した。

 藤井特任教授は市川貴之助手、冷海燕研究員とともに昨年までの研究で、リチウム系物質の有効性を確認していた。「一五〇度以下ではまだ水素放出反応が遅いというもう一つの壁がある。五年後の実用化に向け、触媒の選択などにより改善したい」と話している。

 今回の開発は世界で権威ある米国化学会の学会誌に今月、掲載された。

 産業技術総合研究所の秋葉悦男エネルギー技術研究部門総括研究員(水素エネルギー)の話 リチウムという軽い材料で高い吸蔵量を達成されたのは画期的。さらなる研究と、実用化に向けたエンジニアリングの行方にも注目したい。

 <水素貯蔵材料> 燃料電池は、水素と酸素を化学反応させて発電し、低公害自動車の動力源などとして使われる。鍵となるのが水素をより多く貯蔵し、高い圧力で放出するための合金などの材料。水素ステーションなどで吸蔵させ、放出させて発電に結びつける。クリーンエネルギーに欠かせない技術として、世界各国で開発競争が続いている。

最近の北米ハイブリッド車事情

2004年06月17日 グリーンビクルニュース

 ガソリン価格が高騰するなか、低燃費を誇るトヨタのハイブリッド車「プリウス」の人気が過熱している。今年1月に北米カーオブザイヤーを受賞したプリウスは米政府の税額控除の効果もあって順調に売上を伸ばし、今年1月〜4月末までの北米での販売台数はおよそ1万4千台。米国ではすでに品薄の状態が続いており、納車まで平均3ヶ月〜6ヶ月待ちの状態という。そして最近のガソリン価格高騰がこれに拍車をかけている。

 イラク戦争後の原油価格上昇に伴い、米国におけるガソリン価格は過去最高の1ガロン2ドル(1リッター約58円)に高騰。車社会アメリカの家計を圧迫している。そんななか、低燃費で高性能のプリウスの人気が一気に過熱した。北米でのプリウスの新車販売価格はおよそ2万〜2万6千ドル。しかし販売店では数千ドル上乗せしたプレミア価格での販売をはじめるところが出てきており、中古車市場では、程度の良い車が新車価格を上回る値段で取引されはじめている。米インターネットオークション大手のeBayでは、走行距離1000km程度の中古車で、2万4千〜2万6千ドル程度で取引が行われている。

 一方、ホンダのハイブリッド車「シビック」にも人気が集まっている。ガソリン価格の高騰にあわせて販売数が増え、5月には3千台の大台を突破。前年同月比184%増という大幅な伸びを記録している。1ヶ月程度で納車可能ということもあり、品薄のプリウスから移行してきた需要も販売数増加に寄与しているようだ。

 新車価格で標準的なガソリン車よりも3千ドル〜5千ドル程度高いハイブリッド車。米国での平均的なドライバーの場合、燃費の差によって価格差を取り戻すにはおよそ7年〜12年かかる。実際には購入時に2千ドルの税額控除が受けられるから、その価格差は3年〜7年で回収できる計算になる。しかもガソリン価格は高騰して日々の家計に響き、来年には税額控除の額が5百ドル減額される予定という。このような状況からすると、今回の"プリウス騒動"に見られる好調なハイブリッド車の売れ行きは、今まで環境への意識が高くてクリーンな車に乗りたいと思っていた人たちだけの購入から、実益重視の消費者層に裾野が広がりはじめた動きとも考えられる。専門家は、今後原油価格は緩やかに下落を続け、ガソリン価格も7月には上昇がとまり、徐々に適正価格に収束していくという見方をしている。しかし、消費者にとっては最近のガソリン価格高騰が一時的なものではなく、先行き不透明な世界情勢にこれからもガソリン価格が左右されるのではないかという不安があるようだ。

 思わぬ追い風を受けた北米のハイブリッド車市場。トヨタと技術提携を結んだフォードは、2007年までにハイブリッド車の年間販売台数を10万台にまで引き上げる目標を掲げている。また同じくトヨタと技術提携している日産も、2006年に「アルティマ ハイブリッド」投入を予定している。そして、"一人勝ち"のトヨタ自身、北米市場で年間40万台以上の販売実績のある「カムリ」のハイブリッド車を2006年にも投入する。トヨタはカムリについて、できるかぎりガソリン車との価格差を縮めることで、一気に普及にもっていきたい考えだ。数年後にふり返ってみたとき、今年2004年は、北米でのハイブリッド元年になる可能性がありそうだ。

米企業、超小型の燃料電池開発に成功

2004/06/22 CNET Japan(CNET News.com)/Michael Kanellos

 超小型の燃料電池を開発する米のメーカーが、ノートPCや携帯端末に搭載可能な製品の開発に成功した。

  MTI MicroFuel Cellsは米国時間21日、同社の「Mobion」というバッテリのプロトタイプを披露した。この製品は、従来のバッテリよりも長時間稼働でき、また他の燃料電池と比べて簡単に生産できるという。

 ダイレクト・メタノールを使った燃料電池は、メタノールを分解して電気をつくる。メタノールは触媒膜と反応し電気を発生するが、この際に副産物として二酸化炭素と水もできる。この技術はコンピュータメーカー各社から注目を集めており、とりわけPDAや携帯電話、ノートPCのメーカーらは、これがリチウムイオンバッテリを補完・代替するものになると期待を寄せている。

 MTI Microによると、この技術では水をメタノールタンクに注入する必要がなく、その点が競合他社のものとは異なるという。他の燃料電池のなかには、発電時の化学反応から生じる副産物の水を、再びメタノールに混ぜ合わせるタイプのものもある。

 こうした設計上の特徴を持つMobionには、有利な点が2つある。まず、この燃料電池には水をくみ出すポンプが必要ないことから、形状を小型化でき、構造も簡素化が可能。さらに、このバッテリは保持するエネルギーの密度が高い。他の燃料電池では、内部で保持するメタノールの割合が全体の25%ということも多い。メタノールの濃度が高ければ、それだけ機器の駆動時間も長くなる。

 しかし、高濃度のメタノールを使うことには別の面で問題がある。米連邦航空局(Federal Aviation Administration)では、旅客機の乗客が、メタノール濃度24%以上の燃料電池を機内持ち込むことを禁止している。MTI Microの最高業務責任者(COO)Alan Soucyによると、同社はこの規制を修正するよう当局に働きかけているという。

 現在いくつかの新興企業が、ノートPCや携帯電話、PDAに搭載する燃料電池の開発に取り組んでいる。燃料電池はまず、従来のバッテリを補完する目的で利用されることになるが、将来はそれに取って代わる可能性もある。これは従来のバッテリに比べ、燃料電池のほうが2〜10倍電力が長持ちすると考えられているためだ。

 シャープやNECのような日本のメーカーは、これまで最も強力に燃料電池の開発を進めてきている。燃料電池を搭載した第1世代の製品は発売が遅れているものの、なかには来年市場に投入されそうな製品もある。

 MTI Microでは、最初のターゲットとして業務用機器の市場を想定しており、たとえばRFIDリーダーのようにコンセントから離れた場所に設置される機器や、軍事目的で使われる機器への搭載を目指している。その後、家電市場に参入する予定だ。

 同社は現在DuPontやFlextronicsなどと協力しながら、自社の燃料電池を市場に出そうとしているところだ。

日立が炭化水素系MEAによる燃料電池の実験に成功、低コスト化を可能に

2004/03/04 CNET Japan/ニューズフロント

 日立製作所は、炭化水素系の膜/電極接合体(MEA)を使った固体高分子型燃料電池(PEFC)で4000時間の連続運転に成功した。同社が3月4日に明らかにしたもの。この炭化水素系MEAは、現在主流のフッ素系MEAに比べてコストが低いという。

 MEAは、燃料電池の最小構成単位に相当する発電部品。白金などの貴金属微粒子を含む触媒を材料とする薄膜電極を、電解質膜の両面に貼り合わせてある。燃料電池の性能は、化学エネルギーを電気エネルギーに変換するMEAの性能によって左右されるが、現在は発電電圧特性に優れるフッ素系電解質膜を用いたMEAが使われているという。ただし、「今後さらに低コストな電解質膜の開発が求められている」(同社)。

 同社は芳香族系エンジニアリングプラスチックを原料とする炭化水素系電解質膜の開発を進め、課題であった発電特性と耐久性の大幅な向上に成功したという。「同電解質膜ベースのMEAは、フッ素系MEAと同等の初期発電特性を示したほか、4000時間の連続発電試験でも安定した発電性能を維持できた」(同社)

 同社では、「この炭化水素系MEAと当社の金属セパレータを組み合わせることで、PEFCの低コスト化が可能となり、電気自動車用燃料電池への適用の可能性もある」としている。

「携帯機器向け燃料電池の本格普及は2010年」---NEC、東芝、カシオの取り組み

2003/09/17 CNET Japan/永井美智子

 幕張メッセで開催されているWPC EXPO 2003の初日となる9月17日は、携帯機器向けの燃料電池に関する各社の取り組みが紹介された。

 燃料電池は燃料と空気中の酸素を反応させて、電気エネルギーを生じさせる。エネルギー密度が高く、軽量で長時間の電源が確保できる上、燃料を注ぎ足せば継続して端末が使用できることから、電池切れの心配がないといった点で注目を集めている。

 特に携帯電話やノートパソコンなどでは、長時間利用できる携帯電源の必要性が高まっており、各社は携帯機器向け燃料電池の開発に力を入れている。NECでは6月に5時間連続駆動が可能な燃料電池搭載のノートパソコン試作機を発表し、2年以内に駆動時間を40時間にまで延ばす計画を発表している。

 矢野経済研究所が2002年8月に行った調査によれば、小型携帯機器向けの燃料電池の市場規模は2010年に440億円になるという。さらにNEC基礎研究所CNT応用研究センター長 研究部長の久保佳実氏は、「リチウムイオンやニッケル水素などによるモバイル電池の世界市場は2006年に約6000億円、2010年には8800億円と予測されており、このうち半分が燃料電池に置き換え可能とすれば、携帯燃料電池の潜在市場規模は2006年に約3000億円、2010年には4400億円になる」と期待を寄せる。

 現在携帯機器向けの燃料電池の技術として最も一般的なのが、メタノールと空気を直接反応させる「直接メタノール方式」だ。しかしこれでは、現在の携帯用電池と同じ大きさにした場合、携帯端末に必要なエネルギー量を十分に取りだせないという問題がある。この点を克服するため、各社では様々な取り組みを行っている。

 NECが取り組むのは、カーボンナノチューブの一種であるカーボンナノホーンを電極に使用することで、発電効率を高める方法だ。燃料電池では燃料に含まれる水素と空気中の酸素を化学反応させることでエネルギーを生み出すが、この際に触媒として白金を利用する。触媒はより細かいほど表面積が高くなり、反応が促進される。そこでNECではカーボンナノホーン上に白金を分散させ、触媒を微細分散させることでエネルギー発生の効率を高める方法を採用した。

 一方東芝は、高濃度のメタノールを利用したシステムを開発し、高出力電池の小型化に成功したという。通常高濃度のメタノールを利用するとクロスオーバーと呼ばれる、出力密度が下がる現象が起きてしまう。東芝 研究開発センター給電材料・デバイスラボラトリー研究主幹の五戸康広氏によると、「現在のシステムで最適なメタノールの濃度は3〜6%」という。しかし低濃度のメタノールで長時間端末を駆動させるためには大量のメタノールが必要となり、燃料カートリッジは大型化してしまう。

 そこで東芝では、発電反応で生成される水を活用して、電池内でメタノールを希釈する方法を採用した。これにより、燃料タンクには高濃度のメタノールを少量保管し、発電に利用する際には出力に最適な濃度にできるようになるという。

燃料電池の課題は山積

 一方、カシオ計算機はメタノールから水素を抽出し、酸素と反応させる「燃料改質方式」を採用する。これにより高い出力密度が得られるほか、安全性が高くなり、必要な分だけエネルギーを発生させることもできるという。ただし、メタノールから水素を抽出するための改質器が高価であることから、「技術革新がないとコスト面ではまだ難しい」とカシオ計算機 要素技術統轄部FC開発グループ グループリーダーの塩谷雅治氏は課題を挙げた。

 燃料電池にはその他、燃料自体の安全性の問題や、衝撃や燃料の液もれ対策などの課題がある。また、燃料のカートリッジのリサイクルシステムを確立し、利用者に周知させる必要もある。さらに、塩野氏によればエタノールをコンビニなどで販売する際の法整備も必要になるという。「かなりやらなくてはならないことがある」(塩谷氏)

 カシオ計算機では2004年から2005年にかけて実証実験を行い、その実験結果を踏まえて必要な法整備などを行うよう働きかけていくとしている。燃料電池の販売は2007年から2008年頃に開始する予定としており、携帯端末向けの燃料電池が市場に普及するのは2010年ごろになるのではないかと塩谷氏は予測した。

燃料電池の商用車 初お目見え

2003年07月09日 The Sankei Shimbun
 営業用ナンバー(通称緑ナンバー)を取得した、燃料電池搭載の商用車が9日朝、東京都内で初めてお目見えした。

 世界最大の自動車メーカー、米ゼネラル・モーターズ(GM)が開発した燃料電池車を米運輸大手フェデラル・エクスプレスが配送車として使用。江東区の同社有明営業所をスタート、近くのホテルなどへ荷物を運搬。

 車名は「ハイドロジェン・スリー」。液体水素を使い、1回の燃料充てん(68リットル)で約400キロを走行。1年間、丸の内など都心で配送作業、燃費などのテストデータを収集する。

 燃料電池車は環境問題の観点から、排ガスのない次世代低公害車として注目され、トヨタ自動車とホンダが昨年12月に、世界初の市販車を政府に納入した。

燃料電池の実用化へ新方向  広島大・藤井教授成功

2003/07/08 中国新聞地域ニュース
 リチウム系、水素3倍貯

 広島大自然科学研究支援開発センター長の藤井博信教授は七日、燃料電池普及に必要な水素貯蔵材料にリチウム系物質を使用、従来のランタンニッケル合金の三倍の貯蔵・放出に成功した、と発表した。反応が格段に早いなどの特長もあり、未来の車に載せる燃料電池実用化へ新たな道筋を示している。

 藤井教授は、水素貯蔵材料研究の第一人者。COE(中核的研究拠点形成プログラム)担当の市川貴之助手とともに、シンガポール大の研究チームが昨年十一月、科学誌ネイチャーに、リチウム窒素化合物が新水素貯蔵材料として有望と発表したのに着目した。

 化学反応の一部に焦点をあてて研究を進め、リチウムアミドなどを鉄玉と一緒に攪拌(かくはん)させる特殊な方法を使って触媒とともにナノスケールで複合化。調べたところ、著しく貯蔵量が増えていた。

 この方法では、一五〇度で、質量に対し6%の水素を吸蔵し、一五〇―二〇〇度で放出する。国際目標値である「6%以上の水素を一〇〇度以下で吸蔵放出する材料開発」に一歩近づいた。また水素化などの反応が格段に早く、十気圧以下で制御できるため、乗用車などで使用する際にも安全という。

 藤井教授は十三日から米国で開かれる国際会議で発表する予定で、三菱重工などと実用化に向けた共同研究の話が進行中。「触媒やナノレベルでの金属組織最適化などの改良を加えれば、国際目標値をクリアできると思う」と話している。

ホンダ燃料電池自動車の導入について

平成15年07月07日 環境省
 燃料電池自動車に関する社会的受容性の向上を図り、併せて大気汚染問題への対処のための有効な手段を見いだすため、環境省では、平成15年度から3年間地方公共団体と協力して燃料電池自動車啓発推進事業を行うこととしています。本事業では、燃料電池自動車を用いた様々な利用形態によるデータの収集等を実施するなど、需要サイドに立った有効かつ効率的な活用方法について検討・調査を行う予定で、環境省では、事業に使用する燃料電池自動車(ホンダFCX)を7月9日に導入することとなりました。

導入車種  ホンダFCX

納車日    平成15年7月9日(水)

燃料電池:世界初、灯油型の実証試験開始 出光興産

2003年07月07日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 出光興産は7日、灯油を用いた家庭用燃料電池を開発し、7月下旬から子会社のガソリンスタンドで耐久性などを調べる実証試験を実施すると発表した。灯油から燃料電池に必要な水素を取り出すのは、都市ガスやLPG(液化石油ガス)に比べて技術的に難しいとされており、「灯油を用いる実証試験は世界初」(同社)という。都市ガスで東京ガスや大阪ガス、LPGで新日本石油などが、それぞれ家庭用燃料電池の実証試験を既に行っている。【川口雅浩】

ヤマハ、大手二輪で初の燃料電池開発 メタノール型

2003年07月02日 The Sankei Shimbun
 ヤマハ発動機は2日、大手二輪車メーカーとしては世界初の二輪向け燃料電池を開発した、と発表した。

 メタノールと水を化学反応させて発電する「メタノール型」と呼ばれる方式。二輪車向けの燃料電池開発では、水素を燃料とする「水素型」の開発を進めている一部ベンチャー企業もあるが、メタノール型は水素型より小型にできるため、二輪車に適しているという。

 四輪車業界では、トヨタ自動車などがすでに燃料電池車を販売。今後は環境問題の観点から、二輪車でも燃料電池の開発競争が進みそうだ。

 ヤマハが発表したのは、約40センチ四方の燃料電池。この電池を搭載した市販車の開発時期については、未定としている。

 現在研究中の小型試作車は、5−6リットルの燃料で約200キロを走行でき、ガソリンスクーター並みの燃費となっている。

燃料電池、家庭用小型化競う

2003/07/01 中国新聞地域ニュース
運転効率安定が課題 2、3年後には市場投入

 次世代のクリーンエネルギーとして注目されている燃料電池の開発が、広島、呉を拠点に繰り広げられている。三菱重工業広島研究所(広島市西区)とバブコック日立呉事業所(呉市)。ともに家庭用の出力一キロワットの実用化を目指す。二〇〇五、六年には市場に投入する予定だが、課題は運転効率やコスト削減。本格的な普及は一〇年ごろになりそうだ。

 三菱重広島研究所のPEFC(固体高分子型燃料電池)開発センターは六月初め、出力一キロワットの家庭用で世界最小タイプを発表した。容積百八十リットルでエアコンの室外機程度の大きさ。ガス会社などに昨年十二月にサンプル出荷した旧型二台の取り換えを含め計三台を年末までに出荷する。

 4千時間突破

 水素と酸素を反応させて発電する燃料電池は、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)を全く排出しないのが究極の目標。当面、施設の整う都市ガスなどから水素を得る方式で開発が進む。だが、この方式ではCO2が発生するため、燃料電池の運転効率が火力発電所の発電効率の40―50%を上回らなければ、CO2を削減できない。

 三菱重の燃料電池は、安定運転では運転効率87%を記録する。火力発電と比較するとCO2を40%程度減らせる、という。吉田博久PEFC開発センター長は「安定運転時の効率は既に実用化レベル。今後は始動時など出力の変化で効率が落ちるのをどう抑えるかが課題」と強調する。

 耐久性をチェックするため、今年初めから燃料電池の連続運転試験も始めた。世界トップレベルの四千時間を突破し、今も運転が続く。〇六年以降の商品化を目指す。

 早い起動時間

 〇五年の商品化を予定する日立製作所を中心とした日立グループ。バブコック日立呉事業所は、化学プラントで使う大型の水素製造装置を手掛けてきた技術を生かし、都市ガスなどから水素を取り出す改質器の開発を担当。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から開発費の半分の補助を受けている。

 改質器はガスを管に入れて温め、水素を取り出す装置。管の外から温める「外熱式」が三菱重をはじめ国内の主流になっているが、日立は管の中のガスの一部を燃焼させて温める「内熱式」を採用した。

 呉事業所開発設計課のPEFCプロジェクトの谷田部広志主任技師は「外熱式に比べると、発電効率はわずかに落ちるが、起動時間が早いのが利点」と説明する。八月には日立製の最新型の燃料電池を搬入し、実証試験が始まる。

 50万円程度に

 業務用では、NTT西日本広島支店(中区)の二カ所のビルで百キロワットの燃料電池が稼働している。〇一年三月に設置。総投資額一億九千万円で、NEDOが三分の一を補助した。両ビルの使用電力の約30%と給湯の一部を賄う。広島支店は「維持費を入れても光熱費が年間約千四百万円安くなった」とする。補助がなくても十三年余りで投資を回収できる計算だが、初期投資の負担は重い。

 今、開発の進む家庭用では、各メーカーは耐用年数十年、年間約五万円の光熱費の節約を見込む。最終的には価格を五十万円程度に抑え、一気に普及させたい考えだ。

NEC、04年中に燃料電池内蔵PCを製品化

2003年06月30日 The Sankei Shimbun
 NECは30日、世界で初めてとなるメタノール燃料電池内蔵型のノートパソコンを2004年中に発売する方針を明らかにした。パソコンの高性能化に伴い消費電力が増加する中で、次世代電源の本命と期待される燃料電池利用のノートパソコンは、東芝も04年中の製品化を目指しており、各メーカーの実用化競争が一段と激化しそうだ。

 NECは現在、充電なしで連続5時間動く試作機を開発。これを2年以内にメタノールの濃度を上げるなどして、連続で約40時間使用できるように性能を向上させる計画。

 NECの試作機は、A4サイズの燃料電池内蔵型で、燃料を外付けする東芝のタイプとは異なる。濃度約10%のメタノール約300ccを使用し、連続で5時間動く。カートリッジでメタノールを補充すれば、さらに長く使用することも可能だ。

 電極には新しい炭素材料「カーボンナノチューブ」の一種を使うことで、発電効率を上げた。重さはパソコンが2キログラムで、うち燃料電池部分が900グラム。

 燃料電池をノートパソコンの電源に利用するには、メタノールの取り扱いを含めた販売方法や規格の標準化など実用化に向けて解決すべき課題も残されている。

三菱重工 世界最小の燃料電池開発

2003年06月02日The Sankei Shimbun
 三菱重工業は2日、世界最小の家庭用燃料電池を開発したと発表した。水素と酸素の化学反応を利用する次世代エネルギーの「ミニ発電所」として期待されており、同社は小型化で家庭への普及を目指す。

 新燃料電池はエアコンの室外機程度の大きさ。配管などを工夫し従来型の半分程度で、高さ1メートル、幅60センチ、奥行き30センチ。都市ガスなどから水素を取り出す方式だが、将来は灯油など他の燃料も利用できるようにするという。出力は1キロワット。

 三菱重工は、年内に企業向けに数台を試験出荷するが、価格は公表しない。製造コストが高く「商品化への課題は多い」(同社)という。2006年春までにもガス会社を通じて一般家庭へ販売できるよう改良を急ぐ。

 家庭用燃料電池は、環境に優しく電力を「自給自足」できるため、国がエネルギー政策の柱として実用化計画を推進。耐久性などが課題となる自動車用より普及が早いとの見方もあり、ガス会社や電機メーカーも開発を競っている。

キリンの工場で燃料電池稼働

2003年04月02日 The Sankei Shimbun
 排水処理で発生したメタンガスで発電する燃料電池が2日、茨城県取手市のキリンビール取手工場に導入され、発電を始めた。

 同社によると、導入されたのは、電解質に炭酸リチウムなどを使う溶融炭酸塩型燃料電池で、従来型より発電効率が高く、窒素酸化物(NOx)など有害物質の排出も少ないという。

 燃料電池の設備投資や保守は丸紅が行い、発生したすべての電力と蒸気はキリンビールが購入して同工場が使う。

 燃料電池は重さ約40トンで、出力は250キロワット。工場で使う電力の約4%、蒸気の約1%が燃料電池に置き換わり、二酸化炭素排出量は約2%削減できる。また電気料金も安くなるといい、実用性を調べて他工場への導入を検討するという。

外国メーカーの燃料電池自動車を大臣認定

2003年03月11日国土交通省自動車交通局技術安全部
 国土交通省は、今般、ダイムラー・クライスラー日本(株)及び日本ゼネラルモーターズ(株)からそれぞれ申請のあった燃料電池自動車(F−Cellとハイドロジェン3)について、道路運送車両の保安基準第56条第4項に基づき、公道走行が可能となる国土交通大臣の認定を行いました。

 ダイムラー・クライスラー日本(株)の燃料電池自動車は、外国メーカーが製作した圧縮水素を燃料とするものの認定としては初めてです。

 また、日本ゼネラルモーターズ(株)の燃料電池自動車は、液体水素を燃料とするものの認定としては初めてであり、航続距離に優れています。

 今回認定した燃料電池自動車は、自動車からは窒素酸化物や二酸化炭素などの排出ガスが全く排出されないという特徴を持つ、クリーンな次世代の低公害車として有力視されています。

 今後、国内の一般道路や高速道路において、公道走行試験が行われる予定であり、この間、実用性の調査・評価を行うとともに、安全・環境に係る技術基準等の整備に必要なデータの収集が行われます。

ブッシュ政権 水素燃料電池自動車を初認証

2003.02.20 海外ニュース

 EPAは2月11日、ホンダFCX(2003年型)が、「アメリカ水素燃料電池ゼロ・エミッション自動車(U.S. hydrogen fuel cell zero emission vehicle)」の最初の認証を受けたことを公表した。
 これは、EPAの「全国自動車・燃料排出研究所(National Vehicle and Fuel Emissions Laboratory)」によって選定された。同研究所は、燃料電池の経済効率性や排出物について試験・認証を行う、初の連邦関係施設。今後EPAは、国内で販売される新車につき、全ての排出基準を遵守するものであることを認証する責任を負う。

 ブッシュ大統領は、自動車、トラック、住居及び事業所用水素燃料電池の商用化に向け、技術開発を促進するため、水素燃料イニシアティブに12億ドル(1140億円)を充てることを公約している。このうちの7億2000万ドル(864億円)は、今後5年間に、燃料電池自動車や発電に利用される水素の生産、貯蔵、配送のための技術およびインフラストラクチャーを開発するための資金とされている。ブッシュ大統領は、「フリーダム・カー・イニシアティブ(FreedomCAR: Cooperative Automotive Research)initiative)」を設けて、水素燃料電池、水素燃料に関するインフラストラクチャー、および自動車の先進技術の開発に向け、今後5年間に、総額で17億ドル(2040億円)を投じることを提案している。【EPA】

燃料電池自動車の早期普及を目指すブッシュ大統領

2003年02月06日AP通信 wired Jaoan
 ワシントン発――ブッシュ米大統領は6日(米国時間)、議会に「通常より遠くまで見通す」よう呼びかけ、自動車用のクリーンなエネルギー源となる水素燃料電池の開発を加速する計画を承認するよう要請した。同大統領によると、水素燃料電池を使えば、公害を減少させ、外国から輸入する石油への依存度を減らせるという。

 ブッシュ大統領は国立建物博物館で行なった演説の中で、水素燃料電池の調査費として5年間に連邦予算12億ドルを投入するよう要請していることをアピールした。この予算の目的は、燃料供給設備を利用可能な場所に設置する方法を検討することだ。今から10年後かそれ以降に、水素燃料電池で走る自動車がショールームに登場したとしても、燃料を供給するスタンドがなければ誰も車を買いたいとは思わないだろう。

 「今日われわれが行なうことが、米国の未来に計り知れない違いをもたらすだろう」とブッシュ大統領は述べた。

 大統領は演説に先立ち、水素燃料電池を電源に使った各種製品――自動車、スクーター、携帯電話やノートパソコンのような携帯型電子機器など――のデモンストレーションを、約20分にわたって見学した。

 博物館の外の一角では、活動家の一団が、アラスカの北極野生生物保護区(ANWR)での掘削作業を含む、ブッシュ大統領のエネルギー政策に抗議していた。

 「石油ではなく、カリブー[北米のトナカイ]を」と書いたプラカードもあった。大統領は演説の中で、ANWRでの事業についても推進を表明した。

 大統領は、一般教書演説の中で最初に水素燃料電池について言及した際、燃料電池で走る自動車を今後20年以内に「実験室からショールームへ」移すための「新たな国家規模の取り組み」を確約した。

 ブッシュ大統領が要求している額のうち7億2000万ドルは、燃料電池調査費としてすでに計画していた額を超過する追加費用だ。すべてを含めると、2つのプロジェクトに対し、今後5年間に17億ドルをつぎ込むことになる。

 批判的な人々は、水素を動力源とする自動車が手頃な価格になって広く利用できるようになるまでにあと30年ほどかかると指摘し、ブッシュ大統領の短期的なエネルギー政策についても疑問を投げかけている。

 ブッシュ政権は1年前、内燃機関に代わる燃料電池技術を開発している自動車メーカーの援助を目的とした10年プログラムを発表した(日本語版記事)。

 新しいプログラム――ホワイトハウスはこれを『フリーダム燃料』(Freedom Fuel)と呼んでいる――は、未来の燃料電池自動車や設置型の発電設備で使う水素の生産、備蓄、供給に必要な技術とインフラを開発する研究の促進に焦点を合わせる。

 昨年、このようなプログラムには約3100万ドルが投じられた。議会はすでに、今会計年度はこの予算を4500万ドルに増やすことを計画している。ブッシュ大統領が議会に提出した2004年度の予算案は、『フリーダム燃料』プログラムに2億7300万ドルを要求している。

 ホワイトハウスの概況報告書は、水素がまだガソリンにくらべて4倍高価で、燃料電池は従来の自動車エンジンの10倍高いことを認めている。しかしこの報告書は、水素燃料電池構想が2040年までに、年間5億トン以上の炭素に相当する温室効果ガスを減少させ、石油消費量を1日あたり1100万バレル節減できるのではないかと予測している。

今後10年間に世界に導入される燃料電池自動車の数は80万台に

2003/01/28infoshop-japan.com
 今後10年間に世界に導入される燃料電池自動車の数は80万台に達するという。エネルギー調査部門ディイレクターで報告書を執筆したAtakan Ozbek氏は「昨年の報告書で、燃料電池自動車は2003年までに販売されるだろうと予測したが、これはトヨタやホンダによって米国、日本で実現した」と指摘した。

 Allied Business Intelligence(ABI)の報告書によると、日本と同様、欧州連合(EU)でも燃料電池への関心が強くなっているとしている。米国は、今後10年の前半が経過するまでに燃料電池自動車が早期に導入されるためには、より果敢に技術的課題やインフラ設計の解決に取り組まなければならないだろう。

 Ozbek氏は「昨年からEUにおいても、自動車用燃料電池分野に非常に活発な参入が認められている。日本は既にこの分野では米国と共に先行している。一方米国は重要なインフラ整備に向けて、石油業界も含めあらゆる燃料電池利害関係者を結集しなけらばならない」と連携の重要性を強調する。

 ABIは最新報告書において、燃料電池自動車出荷台数の予測と変化する燃料電池を取り巻くビジネス環境の分析をアップデートしている。自動車用燃料電池部門の地域的特性を明らかにし、今後10年の燃料電池普及のタイムテーブルを描く。

 報告書は、燃料電池使用の乗用車やバス、トラックの市場の機会を分析している。またフリート(法人利用の車両)、空港支援車両などの隙間市場の機会についても調査している。さらに、市場経済、環境両視点から技術的課題を詳しく記載している。業界の主要プレーヤーについてもその紹介だけに留まらず、彼らの保有する技術の現状や2002年から2012年まで短期的に見た最も可能性の高い自動車用燃料電池の用途についても予測している。

米GMとフェデックス、燃料電池自動車商用テストを実施

2002.12.24ジーウエスト
 米ゼネラルモーターズ(GM)とフェデラルエクスプレス(フェデックス)は17日、燃料電池技術推進のための共同プログラムとして、燃料電池自動車による商用テストを来年6月から実施すると発表した。これは日本で初めての、公道を試走する液体水素による燃料電池自動車で、両社はこの実験の分析結果を、経済産業省が舵を取るJHFC(水素・燃料電池実証プロジェクト)とも情報共有していく。

 同実験は、JHFCに公式参加する、GM初の水素燃料電池自動車を、フェデックスが2003年6月から1年間、東京都内における通常の集配業務車両として使用する。GMはその車両から得られるデータを収集、分析し、燃料電池自動車が実際の商用稼働の元で必要とされる性能、条件などの把握に努める。

 共同プログラムの実施に当たり、両社とも実験の意義と環境への配慮をアピールする中、当面の課題として、コスト削減、水素貯蔵システムに液体か固形のどちらを採用するかという点、水素インフラの拡充、などを挙げている。

燃料電池自動車納入式

平成14年12月02日小泉総理の動き
 平成14年12月2日、総理大臣官邸において燃料電池自動車の納入式が行われ、小泉総理は政府に納入された燃料電池自動車の市販車第1号(2つの会社から各1台ずつ)の試乗を行ないました。

 この日納入された燃料電池自動車は、水素と酸素を化学反応させて発生した電気を動力源とするもので、ガソリン車などに比べ燃料の効率性やCO2削減効果も高く、静粛性にも優れており、世界で初めて日本で市販されることとなったものです。

 小泉総理は、挨拶の中で「燃料電池自動車の完成はもっと先だと思っていたが、予想よりも早く世界に先駆けて市販されることになった。日本は自然との共生と経済発展の両方に成功したと言われるよう、今後とも技術開発面での活躍を期待します。」と述べました。その後、トヨタ自動車の奥田会長、本田技研工業の吉野社長から車の鍵の引渡しを受け、それぞれの車に試乗して官邸内駐車場を一周しました。

 納入式終了後には、福田官房長官と扇国土交通大臣が自ら運転して駐車場を1周し、関係閣僚も熱心に燃料電池自動車をのぞき込んでいました。

 小泉総理は、今年度以降3年間で、全ての一般公用車を低公害車に切り替えることを指示しており、政府を始めとする公的部門は率先して低公害車を導入しています。

燃料電池自動車 〜日本への大きな期待〜

2002.09.10 MRI TODAY エネルギー技術研究部 主任研究員 志村雄一郎

 燃料電池自動車に今、注目が集まっている。日本政府は、本年度、220億円の予算を燃料電池関連につけ、3年計画で本格的な燃料電池の実証試験を開始する。東京近郊には、新たに5ヵ所の水素ステーションが建設され、国内外の大手自動車会社5社がこの社会実験に参加する予定である。さらにトヨタ自動車とホンダは、年末までに燃料電池自動車の限定販売を開始することを発表するなど、他の国の追随を許さない官民の取り組みが進んでいる。

 従来、日本政府主導による新技術の開発は欧米の後追いが多く、こうした燃料電池自動車の大規模な走行実証試験も、実は米国のカリフォルニア州政府が中心となって開始したものの後追いである。日本政府は、ここ数年、米国に追いつけ追い越せとばかりに、燃料電池の研究開発・実証試験に大きな予算を分配してきた。 ところが、最近、その追いかけていたはずの米国の元気があまりない。特に今年の春先からは大きな動きが止まっている。偶然の一致か、この春以降、米国で自動車の燃費規制値の強化が先送りされることになってからは、米国発の燃料電池自動車の話題が減少している。

 日本では報じられていないが、米国国内では、燃料電池自動車開発は、米国の自動車会社が打ち上げたアドバルーンとの見方もある。つまり、米国の自動車会社は、将来の技術である燃料電池自動車の開発に力を入れているポーズを取って、短期の燃費規制値強化を政府に断念させたのではと。

 その背景には、今年の春が、5年間凍結されていた自動車の燃費規制を新たに強化するタイミングであったこと、米国の自動車会社にしてみれば実施されれば、売れ筋で利幅の大きな大型車(SUV)の販売が悪化する懸念があること等がある。

 このように、これまで先行していた米国は、純粋な動機から燃料電池自動車開発に官民が力をあわせているとは言えない見方もあり、この先の動きは不透明である。一方で日本は、幸か不幸か、大幅な政府の予算の増加と官民の協調により、ついに今年から「燃料電池自動車の普及」という先の見えない大航海の舵取りを世界の中で任されたことになる。

 多種多様なエネルギー源で走行でき、エネルギーセキュリティ面で優れた技術である燃料電池自動車の実用化の成功は、エネルギー資源輸入国である日本にとっては、今後の産業界のみならず国民にも大きく貢献することは間違いない。これからの数年、日本の官民による燃料電池自動車関連の研究開発・実証試験の取り組みは、今後の世界の燃料電池自動車の運命を決めるほど重要な役割を担うことになる。

低公害車用電池開発で提携 NECと富士重

2002年05月14日 The Sankei Shimbun
 NECと富士重工業は14日、電気自動車や燃料電池車など低公害車向けの新型電池開発で提携すると発表した。近く合弁会社を設立し、3年以内に事業化を目指す。将来は国内、海外の自動車メーカーへの販売も視野に入れるという。

 エンジンと電気モーターを併用するハイブリッド車用の電池では、トヨタ自動車が松下電器産業と提携し、ホンダも三洋電機と共同開発を検討中。自動車各社は低公害車の開発にしのぎを削っており、今回の提携で技術の主導権争いがさらに激しくなりそうだ。

 新会社NECラミリオンエナジー(資本金約5億円、川崎市)にはNECが51%、富士重が49%を出資。ハイブリッド車で現在の主流であるニッケル水素電池より、軽量小型で高性能な「マンガン系リチウムイオン電池」の開発と実用化を進める。

 富士重はこの電池を利用したハイブリッド車を2006年度までに市販し、既にハイブリッド車を量産しているトヨタやホンダを追走する考えだ。

 電気自動車や燃料電池車ではモーターを回すための電池が必要。小型、安全で低コストな高性能電池の開発が課題となっている。


国土交通省、水素燃料電池自動車を認定

2001/6/25〜6/30 ハコビーヤ
 国土交通省は、トヨタ自動車が申請していた水素を使った燃料電池車を「試験自動車」として大臣認定した。試験自動車とは、国土交通省が認定している、公道を使って走行試験ができる開発中の自動車で、水素を燃料とした燃料電池自動車の大臣認定は初めて。認定を受けたトヨタ自動車では、燃料電池車のナンバープレートを取得して3年間の公道走行試験を行う。現在はメタノールを燃料とする燃料電池自動車やLNG(液化天然ガス)自動車などが認定されている。

日石三菱とダイムラーの燃料電池車研究にマツダが参画

9:37p.m. JST April 10, 2000
 次世代の低公害車として期待されている燃料電池自動車の開発に向けて、ダイムラークライスラーの日本法人と日石三菱の共同研究に、マツダが加わることが10日決まった。ダイムラーとマツダが乗用車を持ち寄り、日石三菱グループの横浜製油所(横浜市神奈川区)内で、年明けにも走行実験をするほか、公道でのテストも計画している。

 ダイムラーと米フォードは、カナダの燃料電池メーカーに資本参加するなど研究開発で提携しており、日本ではマツダがフォード・グループの一員として参加することになった。

 燃料電池車は、水の電気分解とは逆に、水素と酸素を反応させて電気を取り出し、モーターを回して動力とする電気自動車。トヨタ自動車と米ゼネラル・モーターズが提携するなど、世界中で開発競争が続いている。

日石三菱とダイムラーの燃料電池車研究にマツダが参画

9:37p.m. JST April 10, 2000
 次世代の低公害車として期待されている燃料電池自動車の開発に向けて、ダイムラークライスラーの日本法人と日石三菱の共同研究に、マツダが加わることが10日決まった。ダイムラーとマツダが乗用車を持ち寄り、日石三菱グループの横浜製油所(横浜市神奈川区)内で、年明けにも走行実験をするほか、公道でのテストも計画している。

 ダイムラーと米フォードは、カナダの燃料電池メーカーに資本参加するなど研究開発で提携しており、日本ではマツダがフォード・グループの一員として参加することになった。

 燃料電池車は、水の電気分解とは逆に、水素と酸素を反応させて電気を取り出し、モーターを回して動力とする電気自動車。トヨタ自動車と米ゼネラル・モーターズが提携するなど、世界中で開発競争が続いている。

世界初、燃料電池搭載のバスを発売 ダイムラー

8:49p.m. JST April 07, 2000
 自動車メーカーのダイムラークライスラーは6日、低公害の燃料電池を利用したバスを、2002年末までに20―30台売り出す、と発表した。燃料電池搭載の自動車は、実験的に走った例はあるが、商業用に発売するのは世界で初めて。米欧の交通機関などに販売する予定だが、1台あたり120万ドル(約1億2000万円)もするとあって、同社も「製造コストの削減が最大の課題」(技術担当役員)といっている。

 燃料電池は、水素と酸素を結びつける化学反応で電気を起こす仕組み。動力源はモーターで、従来のエンジンに比べて二酸化炭素、窒素酸化物の排気が極めて少なく、音も静かだ。

 このバスに搭載する燃料電池は、250キロワット以上の電力を生む。最高時速80キロで300キロを走り、約70人を運ぶことができる。値段は高いものの、ダイムラークライスラーの子会社「エボバス」が、2年間の維持管理を担当し、燃料の充填施設などの整備支援にもあたる、という。

燃料電池の普及、本格化へ

2000年01月09日 共同通信社
 効率がよく環境汚染が少ない燃料電池を家庭や自動車向けに本格的に普及させるため、資源エネルギー庁は9日までに、民間企業や学術関係者と、制度見直しや社会インフラ整備の具体的検討に入った。2010年に原発2基分に相当する220万キロワットを、燃料電池で賄うのが目標で、2000年度政府予算案は、燃料電池の研究開発費を本年度の46億円から81億円に倍増させた。

トヨタとGM(米)、燃料電池自動車開発での協力を強める

1999年10月20日 19時10分[東京 20日 ロイター]
 トヨタ自動車と米ゼネラル・モーターズ(GM)は、両社が、水素を燃料とした燃料電池自動車開発での技術と成果を統合すると発表した。 トヨタの張富士夫社長は、共同声明の中で、両社が、それぞれの水素技術研究システムを統合することで合意した、と述べた。また、両社のコンセプトと技術を結合させる、という。 トヨタとGMは、今年4月、電気自動車、ハイブリッド自動車、燃料電池自動車などの先進技術を搭載した自動車の研究・開発を、共同で行うことで合意した。

日石三菱がダイムラークライスラーと燃料電池の開発へ

7:22p.m. JST October 14, 1999
 日石三菱は14日、ダイムラークライスラーの日本法人と、低公害の次世代燃料として期待されている燃料電池の開発や、その原料を供給できるガソリンスタンドの整備について共同研究を進めることで合意した。燃料電池について、日本の石油会社が自動車メーカーとの共同研究に乗り出すのは初めて。ダイムラークライスラーは2004年ごろに燃料電池車を市場に導入する計画で、日石三菱は「国内での燃料電池車の普及に向けて先べんをつけたい」としている。

 燃料電池は、水素と酸素を化学反応させて電気をつくる仕組みで、水素を取り出す原料には、石油やメタノール、天然ガスなどが使われる。自動車メーカーが開発競争にしのぎを削っており、海外ではメジャー(国際石油資本)なども協力している。

燃料電池車の部品開発

1999年10月8日 19時01分 共同通信社
 トヨタ自動車は8日、水しか排出しない究極の環境対応車「燃料電池自動車」の実用化に向け、出力を約3倍にまで高めて発電する電池装置など主要部品を開発したと発表した。

本田技研工業、燃料電池で走る「エコカー」実験車公開

6:47p.m. JST September 06, 1999
 本田技研工業は6日、2タイプの燃料電池車(実験車)を初めて公開した。2003年に市販する予定。燃料電池車の仕組みは、水の電気分解の逆の反応を利用し、水素と酸素を反応させて発生する電気を動力源に使うもので、電池からは水しか発生しない「エコカー」。世界のメーカーが開発を競い合っている。

 本田が公開したのは、水素を吸蔵合金に貯蔵して酸素と反応させる「FCX―V1」と、メタノールから水素を取り出すタイプの「FCX―V2」。V1にはカナダの燃料電池メーカー・バラード社製の電池、V2には自社製の電池を搭載した。吉野浩行社長は「燃料電池は業界の中で最大の技術競争が行われているが、普及するのは20―30年先」と説明した。

 燃料電池車は、独ベンツ(ダイムラークライスラー)が開発で先行。国内ではトヨタ自動車が96年に「吸蔵合金タイプ」、97年に「メタノールタイプ」の実験車を公開、奥田碩会長も「2003年に市販する」と話している。日産は今年5月、メタノールタイプの走行実験を始めた、と発表した。

トヨタ、セラミックス固体型燃料電池の開発に着手

1999年4月28日 (水) 8時10分 日刊工業新聞
 トヨタ自動車は、燃料電池電気自動車(FCEV)の実用化に向けセラミックスを用いた固体型燃料電池の開発に着手した。

 水素イオンを利用する燃料電池の主流はリン酸など液体電解質を使うものから固体高分子膜タイプに移行してきたが、トヨタは触媒電極の上にCVD(化学的蒸着)法やPVD(物理的蒸着)法などで導電性セラミックスをつくることで高性能な固体型燃料電池を開発しようというもの。

 トヨタは米ゼネラル・モーターズ(GM)とFCEVでの“強者連合”を結んでおり、今回のセラミックス型燃料電池の開発でFCEVで先行する「バラード―ダイムラークライスラー―フォード連合」に対抗する。

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