TOPIC No.3-24 野生生物

01.nature(ネイチャー)by asahi.com


生物の絶滅防止に新戦略 環境省、温暖化への対応も

2007年09月06日 中国新聞ニュース
 

 環境省は6日、生物種の絶滅を防ぎ、適切な方法で国土や天然資源の利用を目指す新たな自然保護行政の指針「第3次生物多様性国家戦略」の案をまとめた。

 国内のどの地域に多くの生物が生息しているかを地図にまとめるなどして保護対策を強化、地球温暖化問題への対応を新たに盛り込んだのが特徴。見直しは2002年以来5年ぶりで、年内に関係閣僚会議で決定する。

 生物種に新たに絶滅の恐れが生じないようにすることや、生物多様性の減少をもたらさない方法で国土利用を行うことなどを国の目的に掲げ、2010年に名古屋市への誘致を目指している生物多様性条約の締約国会議に向け、地球規模での貢献も盛り込んだ。

 戦略案は「現代は第6の大量絶滅の時代ともいわれている」と指摘。きれいな空気や水の維持、医薬品製造や、防災など自然の機能は、生物多様性が維持されることにより成り立つと、保護の重要性を強調した。

象牙取引を9年凍結 新たな輸出枠承認の後

2007年06月14日 中国新聞ニュース
 

 【ハーグ(オランダ)14日共同】ハーグで開催中のワシントン条約締約国会議で14日、アフリカの国々の間で意見が激しく対立していたアフリカゾウの象牙取引問題について、今回、新たな輸出枠を認める代わりに、それ以降9年間は新たな取引を行わないことで合意した。

 会議にはボツワナ、ナミビアなどが2002年以降に南部アフリカ4カ国で自然死し、政府が備蓄している象牙の定期的な輸出などを認めるよう提案。これに対し、ケニアとマリが20年間の取引凍結を求めて両者が激しく対立した。

 欧州連合などが調整役となり、非公式折衝を継続。当該国の閣僚も交えた14日未明までの討議で妥協が図られた。

 新たな輸出が認められたのはボツワナ、ナミビア、南アフリカ、ジンバブエの4カ国。締約国会議直前に開かれた常設委員会で、日本向けの輸出が決まった60トンに上乗せする形で認めるが、量については明らかにされていない。

象牙輸出、日本向け60トン承認・ワシントン条約、8年ぶり

2007/06/03 NIKKEI NeT

 【ジュネーブ=市村孝二巳】1999年以来8年ぶりにアフリカゾウの象牙の日本向け輸出が実現することが決まった。絶滅の恐れがある動植物の国際取引を規制するワシントン条約の締約国が2日、オランダのハーグで開いた会議で象牙60トンの輸出を認めた。輸入を求めていた日本と中国のうち、不正取引を取り締まる体制が十分整っているとのお墨付きを得たのは日本だけだった。

 日本への輸出が決まったのはボツワナ20トン、ナミビア10トン、南アフリカ30トンの在庫分で、アフリカゾウの生息数を脅かす密猟とは関係なく、病気や老衰で死んだゾウから採った象牙。ワシントン条約は1989年に象牙の国際取引を原則禁止したが、その後99年にボツワナなどから50トン分、500万ドル(約6億円)相当の日本向け輸出が実現したことがある。

 今回の60トンはすでに2002年の締約国会議で一応の輸出承認を受けていたが、ゾウの乱獲が減り十分繁殖しているかや、輸入国である日本と中国が取引を厳密に管理できるかどうかを確認してから最終的な判断を下すことになっていた。

ワシントン条約第14回締約国会議がオランダで開催へ 南部アフリカ3か国の象牙輸出の可否など検討へ

2007.05.25 EICネット

 ワシントン条約(CITES)第14回締約国会議が2007年6月3日から15日まで、オランダのハーグで開催される。

 ワシントン条約は、絶滅のおそれがある野生動植物の保護、採取・捕獲の抑制を目的として、野生動物やその体の一部についての国際取引規制を行っている条約。1975年に発効し、日本は80年に加入。2007年5月現在の締約国は169か国にのぼっている。

 今回の会合では、条約の対象となる附属書の改正提案、条約の運営事項、種の取引と保全に関する決議などが議論され、採択される予定。

 このうち附属書改正については、(1)附属書2掲載のアフリカゾウの個体群について、象牙の輸出を毎年可能とする提案(提案国:ボツワナ・ナミビア)と象牙取引を20年間禁止する提案(同:ケニヤ・マリ)の双方が提出されているほか、霊長目の仲間であるスローロリス属の附属書2から1へ移行案(同:カンボジア)、ヨーロッパウナギやホンジュラスローズウッドの附属書2への掲載案(同:EC)などが検討される(注1)。

 また、第12回締約国会議で採択されたボツワナ、ナミビア、南アフリカの南部アフリカ3か国の象牙輸出(注2)の可否についても、改めて議論が行われる見通し。この輸出の取引国に日本を含めることは06年10月開催の第54回常設委員会で合意が得られており、今回の会議では、条約事務局から日本国内の象牙管理の進捗状況報告が 行われる。【環境省】

押収象牙2年で40トン、密輸は日本と中国が中心

2007/04/28 NIKKEI NeT

 2004年末から06年末までに世界各国で押収された違法取引による象牙は40トン余に上り、推定でアフリカゾウ約6000頭分に達することが、ケニアとマリ両国政府による28日までの調査で明らかになった。

 これはワシントン条約で取引が禁止された1989年以降、最高の押収量という。摘発されるのは氷山の一角なので、両国政府は実際には2年間で4万頭近くのゾウが殺された可能性があり、推定個体数が60万頭ともいわれるアフリカゾウの種の存続に大きな影響を与えているという。

 違法象牙の主な消費地は日本と中国で、日本では印鑑向けの需要が根強い。中国では経済発展に伴い工芸品の象牙需要が急増し、価格が2年間で3倍に上昇しており、これが密輸増加の背景にあると分析している。

 この中には昨年、大阪南港で押収された約3トンも含まれ、ケニアなどは、企業の自主的な取り組みを重視した日本の密輸象牙監視態勢が不十分なことも密輸横行の一因だと指摘した。〔共同〕

絶滅危惧種、保存に光明 精子の幹細胞が卵子に ニジマス雄→雌、移植で実証

2006/02/07 The Sankei Shimbun【東京朝刊から】

 ニジマスの精巣から採取した精原幹細胞(精子のもとの細胞)を、雌の稚魚に移植すると卵子になることが、東京海洋大の吉崎悟朗助教授らの実験で分かった。この卵子を通常の精子で受精させ、正常なニジマスに成長させることにも成功。雄に由来する細胞だけで生殖が可能なことを初めて実証した。成果は米科学アカデミー紀要電子版に七日掲載される。

 吉崎助教授らは、遺伝子組み換え技術を使って精巣でだけ働く遺伝子に蛍光標識をつけ、雄の成魚から採取した精原幹細胞が移植後に成熟していく様子を追跡した。孵化(ふか)後数日のニジマスの稚魚の腹に移植された精原幹細胞は、自力で生殖腺に移動して増殖。雌の稚魚では、七カ月後には卵子の前段階の卵母細胞に、雄では半年後に精子になる途中段階の精母細胞になった。

 精原幹細胞から成長した卵子を雌のニジマスから採取し、普通のニジマスの精子と受精させると正常に孵化することも確認した。

 吉崎助教授らは、ニジマスの精原幹細胞を同じサケ科のヤマメの稚魚に移植し、ニジマスの卵子と精子をつくらせることにも成功した。この技術を応用すると、絶滅危惧(きぐ)種の雄から採取した精原幹細胞を近縁種に移植し、成長した精子と卵子による種の保存も可能になる。米ワシントン州に十六尾しか生存しない希少なベニザケの保存繁殖を目指し、すでに米国との共同研究に取り組んでいる。今回の成果からは、精原幹細胞のなかに「卵子になる運命」の細胞が存在するのか、それとも雌の生殖腺に入ることで「精子」から「卵子」へ運命が変更されるのかは不明だという。

 吉崎助教授は「同じ方法で、他の種ではできないという理由はない。精原幹細胞の採取は比較的容易で、成体の少なくなった種の保存に有効だ」と話している。

チョウザメ絶滅のピンチ キャビア目当ての乱獲

2005/10/05 The Sankei Shimbun

 卵が高級食材のキャビアとして珍重されるチョウザメの仲間が乱獲によって急減し、世界全体の漁獲量はピーク時の10%以下に落ち込んだとの調査結果を米マイアミ大などの研究グループが5日までにまとめた。

 旧ソ連圏諸国や北米、アジアなどに生息するチョウザメ類に関する初の包括的な生息調査。

 最高級品だと1キロ5000ドル(約56万円)以上で取引されるキャビアを目当てに密漁が後を絶たないことが主因で、グループは「このままでは近い将来に絶滅する種も出る」と指摘。日、米、欧州などの大消費国に違法なキャビアの取り締まり強化などを求めた。

 調査によると、ピーク時の1975年ごろには3万トンを超えていた世界のチョウザメの漁獲量は80年代以降急減し、ここ数年は2500トン程度になった。減少は、現在の主要な産地であるカスピ海と黒海で特に深刻だった。

 27種のチョウザメ類のうち25種に絶滅の恐れがあるとされ、既に絶滅した個体群があるものも19種。高級キャビアが取れるベルーガ(オオチョウザメ)、ロシアチョウザメなどは極めて絶滅の恐れが高いという。

 現在、キャビアの主要な輸出国はロシア、イラン、カザフスタンの3カ国。各国の国内法やワシントン条約で漁獲や輸出が規制されているが、密漁や密輸が横行し、ロシアでは密輸品の取引額は、正規品の2・5―4倍にも達するという。

 グループは「禁漁なども含めた強力な漁獲規制や密漁、密輸対策を行わない限り、チョウザメ漁は過去のものになるだろう」と警告している。(共同)

大型類人猿が絶滅の危機 国連環境計画が警告

2005/09/02 The Sankei Shimbun

 国連環境計画(UNEP、本部ナイロビ)の世界自然保護監視センターは1日、世界各地で木材伐採などの開発が進み、ゴリラやチンパンジー、オランウータンなどの大型類人猿が絶滅の危機にひんしていると警告する包括調査を発表した。

 インドネシアとマレーシアで現在の開発ペースが続けば、5年以内にオランウータンの生息地は47%も減少。特に現在約7300頭生息するスマトラ島のオランウータンは、50年後に250頭以下に激減する可能性があると警告している。

 また、西アフリカのナイジェリアとカメルーンに生息する西ローランドゴリラの亜種クロスリバーゴリラは、わずか約250―280頭しか生息していないことを確認。ゴリラやチンパンジーの間ではエボラ出血熱が流行しており、詳細な調査が必要と訴えている。

 調査は大型類人猿が生息する世界23地域で実施。現状のまま開発が進めば、2032年までに、オランウータンの生息地の99%、ゴリラの生息地の90%、チンパンジーの生息地の92%が大きな被害を受けると予測している。(共同)

「幻の魚」アカメ生態解明へ 愛媛大教授ら

2005/08/29 The Sankei Shimbun

 環境省のレッドデータブックで準絶滅危惧(きぐ)種に指定されているアカメ(スズキ目)の人工繁殖を目指す愛媛大学農学部の三浦猛教授(生殖生物学)と愛媛県松野町の水族館「おさかな館」の共同研究グループは29日までに、ホルモンを投与し生殖機能を刺激することでメスの卵細胞を確認することに成功した。生きた状態で雌雄を判別できたのは初めてという。謎に包まれていた「幻の魚」の生態解明につながると期待されている。

 アカメは、赤色の目玉が特徴で体長は最大約1.5メートルに達し、静岡県から九州にかけた沿岸や河口域で生息している。愛媛県でも捕獲されたことはあるが、個体数は減少。四万十川での生息が確認されている高知県では、絶滅危惧種に指定している。

 同館では、人工繁殖を目指して平成9年から飼育を始めたが、雌雄の判別さえ困難で、生殖や産卵、孵化(ふか)といった繁殖の仕組みや習性などはよく分かっていない。

 同館は、15年から三浦教授と共同研究を開始。今年5月、19匹に生殖機能を刺激するホルモンを投与し、7月に生殖腺にゴム管を通して顕微鏡で体内を見たところ、うち3匹でそれぞれ大きさが150−200マイクロメートルの卵細胞を確認できたという。

 同グループでは「ようやく生きた状態で雌雄を判別できた。生態を解明し人工繁殖につなげたい」と話している。

三重の海岸で渡り鳥大量死

2003年05月29日 The Sankei Shimbun
 三重県内の海岸で29日までに、渡り鳥のハシボソミズナギドリの死がいが大量に打ち上げられているのが見つかった。県と志摩半島野生動物研究会(同県志摩町)の調査を総合すると、2000羽近くに上る。

 三重県沿岸の海上は25日、東からの強風で荒れており、県は、沖合で羽を休め浮かんでいた渡り鳥が高波に巻き込まれて大量死したとみている。

 県環境部と同研究会によると、26日から28日までに、死がいは同県鈴鹿市の海岸で約450羽、津市の海岸で約800羽が見つかったほか、志摩半島沿岸で約500羽、同県海山町でも約100羽見つかった。ほとんどがハシボソミズナギドリだった。

 ハシボソミズナギドリはオーストラリアなどから太平洋を北上してベーリング海やオホーツク海に渡る。日本近海では春から夏にかけて見られるという。

絶滅危ぐのカモシカ 700頭以上が密猟死

2003年05月23日 The Sankei Shimbun
 体毛が超高級ショールなどの材料として高値で売れるために乱獲され、絶滅が心配されているカモシカの仲間チベットアンテロープ(チルー)が、中国北西部で一度に700頭以上も殺されていたことが分かった。米国の自然保護団体、国際動物福祉基金(IFAW)が23日、明らかにした。

 殺されたチルーのほとんどが妊娠中の雌で、5万頭以下しかいないとされるチルーの繁殖にも悪影響が出ることが心配されるという。

 IFAWによると、今月初め、中国の新疆ウイグル自治区周辺の山岳地帯で、9人の密猟者を中国政府当局が逮捕、712頭分のチルーの毛皮などを押収した。近くでは、皮をはがされたチルーの死がいがほぼ同数確認された。移動中の雌の群れが、武装した密猟者に襲われたらしいことが分かった。

 チルーは、中国のチベット高原を中心に生息するウシ科の動物。絶滅の恐れが極めて高いとされ、ワシントン条約で取引が禁止されている。

 毛から作られる製品は「シャトゥーシュ」と呼ばれ、そのショールは1枚数十万円から最高200万円近くになる。日本でも売られていたことがある。(共同)

保護や市民啓発へ 笠岡市がカブトガニ条例

2003/05/17 中国新聞地域ニュース
 全国で唯一、カブトガニ繁殖地が国天然記念物に指定されている笠岡市は、全国初のカブトガニ保護条例の制定を決め、十六日までに文化庁との協議をほぼ終えた。条例は絶滅を防ぐための幼生保護や市民啓発が狙いで、六月の市議会定例会に提案する。

 市立カブトガニ博物館によると、指定地となっている神島水道(一・九平方キロ)の沖合には推定で五十匹ほどの成体が生息。しかし、指定地内では一九七九年に二千四百三十六カ所で確認できた卵が、二〇〇二年にはたった二カ所に減り、放流した幼生が育つ海岸も潮干狩りなどで荒され、増殖は危機的状況になっている。

 このため、市は三年前から砂浜や干潟を守る方策の研究を始め、関係者すべての協力が必要と判断して条例化を検討。育成環境を乱すような行為の禁止を市民に求める一方、市の責務として夏の産卵期に「カブトガニ保護期間」(仮称)を設けて啓発活動をするなどの条項を盛り込んだ案をまとめた。罰則は設けない方針。

 笠岡市教委の安藤伸吾教育長は「これを機に市も力を注ぎ、カブトガニ保護の市民運動を盛り上げたい」と話している。

世界の亀25種類が絶滅寸前

2003年05月15日 The Sankei Shimbun
 世界各地に生息する亀約300種のうち200種に、国際取引や生息地の破壊などが原因で絶滅の恐れが高まっており、アジアの陸亀など25種類は、絶滅寸前の状態にあるとの調査報告書を、世界の専門家グループが15日、発表した。

 米国の環境保護団体、コンサベーション・インターナショナル(CI)や国際自然保護連合(IUCN)などの調査。25種のうちの多くは、日本でペットとして人気で、インターネットなどを通じて、1匹100万円近くで取引されているものもある。

 グループは「2億年以上昔から、今とほとんど変わらない姿で生息してきた亀を、絶滅のふちから救うのは、人間の責任だ」と指摘、今後、日本のペット取引にも厳しい目が向けられそうだ。

 極めて絶滅の危険が高いとされたのは、ガラパゴス諸島にすみ、体重が300キロにもなるガラパゴスゾウガメ、アジアのビルマホシガメなど。

 オーストラリアのカクレガメやベトナムのアンナンガメ、マダガスカルのヒラオリクガメなど、多くが日本でペットとして売られている。

 ペット取引のほか、中国などで、食用として広く取引されていることや、生息地の破壊が、主な理由だという。

 CIのラッセル・ミッターマイヤー代表は「違法取引の摘発強化や人工繁殖、普及啓発活動の強化が保護に欠かせない」と話している。(共同)

「レッドリスト」見直しの検討会を設置

2003年03月27日 The Sankei Shimbun
 環境省は27日、絶滅の恐れがある野生生物を分類した「レッドリスト」の見直し作業を始めることを決め、検討会を設置した。18年度末までに、保護の必要性が増したものを新たにリストに載せる方針。

 環境省は「何がリストに入るか具体名は現時点では白紙」としているが、これまで調査対象外だったジュゴンなど海のほ乳類も検討するという。

 検討会は9人の専門家で構成。ほ乳類、鳥類など約6万8000種類の動植物について、それぞれの生息状況を調査する。

 レッドリストの絶滅危ぐ種はIA、IB、IIの3種類あり、現在2663種が指定され、レッドデータブックとして刊行されている。

 リストは3年につくられた後、9年から12年にかけて順次改訂された。前回の改訂から時間がたったことから見直すことにした。

幻のニホンアシカ、保護へ

2002年12月14日 Yomiri On-Line
 「幻の海獣」と呼ばれ、絶滅したとされるニホンアシカが、鳥獣保護法の保護対象動物として、今月中にも政令に明記されることになった。

 専門家の間では「ニホンアシカはほぼ絶滅した」との見方が支配的で、しかも27年前に最後に目撃された場所が、日韓の領土問題で揺れる島根沖の「竹島(韓国名・独島)」とあって、実地調査すら難しいのが現実だ。今のところ、環境省が保護に動き出す気配はなく、韓国の研究者も「今更、保護対象にする意味がない」と冷ややかに話している。

 ニホンアシカはもともと、本州、四国、九州の日本近海に広く生息し、明治時代(1868年―1912年)前までは3―5万頭が生息していたと推定されている。明治以降、油や皮、肉の利用を目的に乱獲され、特に最大の繁殖地とされた島根沖・竹島では、明治後期の短期間に約1万4000頭もが捕獲されたという。その後、ほとんど見られなくなり、1991年には、当時の環境庁が絶滅の危機に瀕(ひん)する動植物をリストアップしている「レッドデータブック」に「絶滅種」と記載した。

 ところがその後まもなく、研究者の伊藤徹魯氏が「1974年に北海道礼文島で生け捕りされていた」「75年には、韓国の自然保護団体が竹島で目撃した」と、学会誌などに発表。これを受け、環境庁はレッドデータブックの記載を「絶滅危惧(きぐ)種」に改めた。

 昨年秋以降、環境省は鳥獣保護法改正の検討を進め、ジュゴン、アザラシ、ニホンアシカの海棲(かいせい)哺乳(ほにゅう)類を新たに対象とすることにした。保護対象に指定されると、原則として捕獲が禁止され、保護区が設定されることもある。しかし、レッドデータブックの執筆者である阿部永・元北大農学部教授は「恐らく絶滅していると思うが、情報がないから『絶滅の証明』が難しい」との見方を示している。「絶滅」と断定するには、「50年間目撃されていないこと」が条件とされている。

 一方、韓国国立環境研究所の元昌万(ウォンチャンマン)研究員は読売新聞の国際電話に対し、「韓国政府もアシカを保護対象にしているが、目撃がないのでもういないだろう。今更、保護対象に指定しても意味がなく、日本政府の政治的な意図が感じられる」とコメントした。この夏には、竹島を国立公園に指定するという韓国政府の方針が明らかになったばかりだ。

 環境省の黒田大三郎・野生生物課長は「政治的な意図は全くない。きちんと保護対象に位置づけることが主眼だ」と話すが、「単純に目撃情報を呼びかけて集まるものでもなく、どうしようか……」と頭を悩ませている。

伊豆鳥島:アホウドリ戻る 噴火の影響受けず

2002年11月24日 Mainichi INTERACTIVE
 今年8月、63年ぶりの噴火があった伊豆鳥島に、国の特別天然記念物・アホウドリが繁殖のために帰って来ていることが、山階鳥類研究所の現地調査で分かった。営巣地への噴火の影響が懸念されていたが、同研究所の佐藤文男さんら研究員4人が今月1日から18日まで、調査した結果、昨年よりやや多い272カ所で繁殖行動をとっていることを確認した。

 繁殖地は島の南東部にあるが、火山灰は島の北北東から北西にかけて積もっていた。佐藤さんらは「島に上陸すると、水蒸気や硫黄臭、地熱を感じるものの、アホウドリが影響を受けているような状況は見られなかった。南風が吹くことが多い夏場に噴火したのが幸いして、営巣地が守られた」と話している。

 硫黄山の噴火口からは今も強い刺激臭のある火山ガスが出ている。佐藤さんらはベースキャンプとしていた気象観測所跡から繁殖地までの約2キロの道のりを通う間、風向きによっては防毒マスクを使用することもあった。「これから西風が強くなる冬場に、火山ガスが営巣地に下りてこないか気がかり」という。 【菊池まり】

フカヒレが取れるサメ2種を取引規制へ

2002年11月16日 The Sankei Shimbun
 【サンティアゴ15日=本間圭一】当地で開催中のワシントン条約締約国会議は15日、ウバザメとジンベイザメを取引規制対象とする提案を可決した。輸出の際、輸出国政府の発行する許可証の取得が必要になる。2種類のサメは中華料理の高級食材であるフカヒレを取るため高値で取引されるようになり、漁獲量が増加していた。

 13日の委員会で輸出規制の対象とする提案が否決されていたが、閉会日の15日に英国などが再提案を行った。

霊長類の3種に1種が絶滅危機

2002年10月08日 The Sankei Shimbun
 ゴリラやオランウータンなど、世界中の約640種の霊長類の3種に1種近くが絶滅の危機にあり、特にアジアでの生息状況の悪化が深刻だとする調査報告書を米国の環境保護団体、コンサベーション・インターナショナル(CI)と国際自然保護連合(IUCN)などの専門家グループが7日、発表した。

 CIのラッセル・ミッテンマイヤー博士は「絶滅危機の霊長類は2年前の120種から195種に増えた。人間は自分たちの仲間である霊長類の最大の脅威になっている」と指摘した。

 「極めて絶滅の恐れが高い」とされたのは、ブラジルのクロガオライオンタマリン、中国や東南アジアのシシバナザルやオナガザルの仲間など55種。アフリカのマウンテンゴリラやインドネシアのオランウータンなど、日本人にもなじみの深い種も含まれている。

 「絶滅の危険がある種」を加えると、計195種に絶滅の危機が迫っており、うち35種がインドネシアに、中国、インド、ベトナムにそれぞれ15種類が生息するなど、アジアでの生息状況の悪化が目立った。

 ミッテンマイヤー博士は「人口急増による生息地破壊、肉や伝統的な医薬品目当ての狩猟などが、個体数減少の主な要因で、早急な保護策を講じないと、近い将来これらの霊長類は絶滅する」と警告した。(共同)

生態系乱す外来種ワースト100、日本生態学会が選定

2002年09月22日 Yomiuri On-Line
 ペットのウサギや金魚鉢のホテイアオイを野外に放たないで――日本生態学会はこのほど、国内に持ち込まれた外来動植物2000種のうち、生態系への影響が特に深刻な「ワースト100種」を選定した。今月末、市民向けの手引書を発行、外来種への警戒を呼びかけるという。

 選ばれたのは、アニメ番組の人気にあやかり北米からペットとして大量に輸入され、捨てられて野生化したアライグマ、スポーツフィッシングの流行で輸入され、愛好家が放流して全国の湖沼に拡大したブラックバスなど。人間の行為が原因となる生物をはじめ、チャバネゴキブリやアメリカザリガニ、ヒメジョオン、ハルジオンなど全国で見られる動植物も含まれる。

 また船と共に運ばれてくるムラサキイガイなど、生物種、侵入経路もさまざまだ。

 一方、以前から本州以南に分布するコウライキジを、分布していない北海道に放鳥するなど、生態系を無視した放鳥によって影響が出ているケースもあるという。

 外来種の多くは天敵がないため繁殖力が強く、在来の希少種を絶滅させる危険性があり、世界各地で侵入予防や撲滅などの対策が取られ始めている。こうした流れを受け、同学会でも国内の実情にあったリスト作りを急いでいた。

 選定の監修にあたった東京大学大学院の鷲谷いづみ教授は「外来種は、多様な生物が共存する環境を破壊する。その危機感を多くの市民に理解してもらうため、100種を明記した」と話す。

 同学会は9月末に、ワースト100を含む外来種の被害事例や、対策をまとめた「外来種ハンドブック」(地人書館)を出版する。

ジュゴンなど保護対象に

2002年09月12日 The Sankei Shimbun
 中央環境審議会は12日、ジュゴンなど7種の海のほ乳類を、来年4月施行される改正鳥獣保護法の対象にするよう大木浩環境相に答申した。同法の対象になると、捕獲は原則禁止される。

 7種は、沖縄が生息の北限であるジュゴンのほか、北海道にいるゼニガタアザラシなど5種のアザラシ、アシカ。環境省によると、いずれも生息数が少なく絶滅の心配があるという。

 海のほ乳類のうち、クジラは漁業法、ラッコとオットセイは「ラッコ・オットセイ猟獲取締法」など捕獲を規制する法律があるが、ジュゴン、アザラシ、アシカは保護するための法的な裏付けがなく、環境省が検討を進めてきた。

ジュゴン保護も焦点に【普天間移設】

2002年07月29日 The Sankei Shimbun
 米軍普天間飛行場代替施設の概要が29日に固まったことで、移設先の沖縄県名護市辺野古地区沖合の一帯で生息が確認されている、国の天然記念物ジュゴンの保護を求める動きが一気に表面化しそうだ。

 沖縄本島は、絶滅危ぐ種であるジュゴンの生息の北限とされ、ことし2月には国連環境計画が報告書の中で日本政府に保護区の設定を求めるなど、内外から関心が高まっている。

 地元の団体「ジュゴンネットワーク沖縄」によると、沖縄近海でのジュゴンの目撃情報は年々減少。辺野古地区のリーフ(環礁)内には、ジュゴンが餌場としている藻場があるため、基地建設で「ジュゴンはほぼ絶滅に向かう」と関係者は危機感を募らせる。

 政府は基本計画の策定後、速やかにアセスメント(環境影響評価)に入る方針だが、「ジュゴン保護キャンペーンセンター」(東京)は、地域や非政府組織(NGO)参加型の「透明度の高いアセス」を政府に強く求めていく考えだ。

 同センターは、9月に国際シンポジウムを東京で開き、保護プログラムをつくる方針。また、鳥獣保護法の改正(来春施行)でジュゴンが対象になる見通しとなった。保護運動は多様化、活発化しており、ジュゴンは基地移設にとって大きな焦点となりそうだ。

モンゴルのガゼル受難/絶滅危ぐ種「レッドデータブック」登録

2001.02.20 【モスクワ19日=高木桂一】The Sankei Shimbun
寒波逃れ露へ…大量密猟

 モンゴルの北東部ステップ地帯に生息し、国際的に捕獲が禁止されている「モウコガゼル」が、歴史的大寒波に見舞われている同国から国ォを越えてロシア領内に大量に逃れた末、ロシアの密猟ハンターに銃殺される事件が相次いでいる。

 ロシア公共テレビ(ORT)などによると、モンゴルでの大寒波の余波で今年初めから北東部にいた推定八万頭が、寒さがやや緩やかなロシアのシベリア地方チタ州に避難してきた。同州とモンゴルとの国境付近は動物保護区域となっているが、大半のモウコガゼルはさらに北上し狩猟解禁区に入り込んだため、地元の密猟者たちのえじきとなってしまった。

 これまでに百頭以上の殺害が確認されたほか、銃弾で負傷して森林内で死を待っているモウコガゼルも多いという。殺されたモウコガゼルは州内で、高価な食肉として闇(やみ)で売買されているとされる。

 モウコガゼルは、ウシ科のレイヨウの一種で外見はカモシカに似ている。モンゴルのステップ地帯や半砂漠地帯に生息する貴重な野生動物であり、国際自然保護連合が編さんした絶滅種、絶滅危ぐ種の「レッドデータブック」に登録され、狩猟禁止の対象として保護されている。

 チタ州の警察当局や動物保護専門家らは、ヘリコプターや四輪駆動車を使ってモウコガゼルをハンターたちから守るべく懸命の監視活動を続けており、これまでにハンター数人が逮捕された。

 露有力紙「新イズベスチヤ」は「ロシア領内に逃れてきたモウコガゼルが、春までに自力でモンゴルに戻らなければ皆殺しにされる事態は不可避だ。これを放置すれば、ロシアの国際的地位を下げることは間違いない」と指摘している。

皇居に生息する動物は3600種以上 調査まとまる

2001.02.14(19:19)asahi.com
 皇居に生息する動物は3600種以上、植物は1366種――国立科学博物館が5年前から続けていた「皇居の生物相調査」がまとまり、15日発表された。「西暦2000年の節目に正確に把握し、継続調査しては」との天皇陛下の発案がきっかけで、皇居の自然についてのこれほど包括的な調査は初めてという。鳥類の調査では、紀宮さまも参加し執筆している。予想を上回る生息数に、関係者も「都心に唯一残された自然のオアシス・皇居の森は生きていた」と話している。

 調査地域は、戦時中から昭和天皇の意向で自然のままに保たれてきた吹上御苑や道灌(どうかん)堀を中心とした58ヘクタール。

 哺乳(ほにゅう)類ではアブラコウモリ、アズマモグラ、ハクビシン、タヌキが生息。ただ、カエルでは、東京近郊に多いニホンアカガエル、ツチガエルなどが見られない。孤絶した場所で北米移入種ウシガエルに圧倒されたらしい。ワラジムシやダニ、ミミズの新種がみつかったほか、都区部で消滅してしまった昆虫の生存は枚挙にいとまがないという。

 鳥類は69種を確認。1965年から75年に行われた調査と比べると、鳥類の「都市化」傾向を反映して、カワセミ、コゲラ、ハクセキレイ、ヒヨドリが住みついた。一方でオオタカやノスリが1年中見られるようになったことで、カモの飛来が激減。サギやカワウの繁殖コロニーが消えたという。

 植物では、絶滅の恐れのあるヒキノカサ(キンポウゲ科)や、都区部では見つからなくなったコケ類23種などもみつかった。ただ一方で、昭和天皇の最後の著作となった植物誌「皇居の植物」(1989年)に記載された植物の多くが姿を消すなど、御苑の植生も変化している様子が浮き彫りになったという。

 同調査を掲載した「国立科学博物館専報」を入手したい人は、財団法人「科学博物館後援会」(03―5814―6757)へ。

ニュージーランドのシンボル鳥「キウイ」によそ者説

2001.02.12(10:24)asahi.com
 ニュージーランドの国鳥で、同国人の愛称にもなっているキウイが、実はオーストラリアからの「移民」だった可能性が高いという研究結果が、科学誌「ネイチャー」に発表された。

 ニュージーランド人の分子進化学者アラン・クーパー氏が率いる英オックスフォード大チームによる研究。色々な鳥の遺伝子配列を調べた結果、キウイはオーストラリアで他の走鳥類から分化した後、約7000万年前に当時海面上に出ていた陸地を伝ってニュージーランドに移ったらしいという。キウイは空を飛べない。

 クーパー氏は「国のシンボルが外から来たものだったことを残念に思う人もいるだろうし、(オーストラリアから)引っ越したキウイは趣味がいいと思う人もいるだろう」と語った。

塩水飲む新種の野生ラクダ、中国・新疆で確認か

2001.02.06(23:31)asahi.com
 中国・新疆ウイグル自治区南部で、塩水を飲んで生きている新種とみられる野生のラクダが確認された。ナイロビで開かれている国連環境計画(UNEP)の閣僚級環境フォーラムで明らかにされた。遺伝子解析を急いでいるが、生息数は少なく、新種と正式に確認されれば、ただちに絶滅を危ぐされる種にもなりそうだ。

 ラクダは2こぶ。中国と英国の合同調査によって1999年、169頭が新疆のロプノル湖の南でみつかった。遺伝子解析で、この地域のラクダの既存種とは3%の遺伝子の違いが確認されたという。ヒトとチンパンジーの遺伝子の違いは5%程度で、3%の違いは新種である可能性が大きい、とUNEPはしている。

 新疆の一帯は砂漠化が激しく、わき水が塩水となっていることが多い。今回の確認につながったのは、新種とみられるラクダが、日常的に塩水を飲んで生きていることがわかったからだという。

 見た目は既存種とさほど違わないが、こぶの間がやや開き、ひざ頭の毛がふさふさしているという。家畜化されたラクダと違い、ひざまずく機会がなかったからかもしれないと、研究者はみている。

 一帯には中国の核実験場があったため、最近まで人はあまり近づけなかった。野生種のラクダが地元の人たちにも触れることなく、生存する条件が整っていたとみられる。

     ◇

 <中川志郎・元上野動物園長の話> 私たちがふだん目にするラクダは家畜種で、野生のフタコブラクダは極めて数が少ない。一度に100頭を超す野生ラクダの新たな集団が見つかったとすれば、それだけで大きなニュースだと思う。ただ、こぶの間隔や毛の生え方などの違いは亜種レベルでもありえることで、新種かどうかは詳しく調べた上で慎重に判断すべきだろう。

ニホンザルの密売問題、再発防止策を文書通知 環境省

2001.01.31(20:24)asahi.com
 有害駆除されたニホンザルが無許可で飼育され、実験用に密売されていた問題で、環境省は31日、都道府県に対し、有害駆除を名目にして実験用にサルを捕獲する不正行為がないか十分に監視するほか、有害駆除された鳥獣を飼育、譲渡する場合には許可が必要なことを周知徹底するよう文書で通知した。

 通知は、サルの有害駆除の申請では、駆除目的や駆除後の処理方法を厳密に審査して、実験用の捕獲がないか監視する▽有害駆除したサルの飼養許可を出す場合には、捕獲許可と照合して不正がないよう注意する▽鳥獣保護員による巡回を積極的に行い、違法飼育などの疑いがある場合には警察と連携して、立ち入り調査を実施する、などを求めている。

 同省が、サルの密売業者の活動が発覚した熊本県と岐阜県を通じて31日までにまとめた調査結果によると、熊本の業者は118匹、岐阜の業者は83匹のニホンザルを飼育していたが、鳥獣保護法に基づく飼養許可を受けていなかったという。

実験用サルの購入問題で、文部省が実態調査へ

2000.12.24(21:14)asahi.com
 文部省は25日、熊本や岐阜の業者から無許可飼育のニホンザルを購入していた大阪大学大学院や金沢大学に事実関係を報告するよう指示したほか、国立大学動物実験施設協議会を通じて、他大学でも購入の事実がないかどうか実態調査に乗り出した。さらに全国の大学に対し、ヤミ業者から無許可飼育のサルを買わないよう、注意を呼びかける方針だ。

無許可で飼育のサル、実験用に公的機関に密売

2000.12.24(03:03)asahi.com
 脳の仕組みや脳神経の働きを研究している大阪大学大学院、金沢大学医学部、東京都神経科学総合研究所(都神経研)などの研究者が、無許可でニホンザルを飼育している複数の業者からサルを購入し実験動物として使用していることが朝日新聞社の調べで分かった。業者は、市町村が有害駆除目的で捕獲した野生のニホンザルを引き取ったり市町村の委託で自ら捕獲したりして山中で劣悪な環境の中、無許可飼育を続けていた。環境庁は「営利目的の業者が介在することで不要な捕獲や違法捕獲を招きかねない」と事態を重視、実態調査に乗り出す方針を固めた。研究機関にサルを供給する密売ルートが明らかになったのは初めて。

 鳥獣保護法は、捕獲したニホンザルを都道府県知事の許可なしに飼育、譲渡することだけでなく、譲り受けることも禁じている。罰則は6カ月以下の懲役、30万円以下の罰金。

 大阪大と都神経研は熊本市の業者から、金沢大医学部は大阪市の動物商を通じて岐阜市の業者から、それぞれニホンザルを購入している。熊本の業者は、熊本市と熊本県久木野村に飼育拠点を置く「アニマル研究センター」。朝日新聞が確認したところ、同村の飼育施設には約130匹のニホンザルが飼育されている。狭いおりに詰めこまれたり、サルの死体が敷地内に放置されたりしていた。

 関係者によると、この業者は、サルによる農作物被害が出ている全国の自治体に出向き、有害駆除を持ちかけ、捕獲許可を受けて捕獲。自治体から1匹2、3万円を捕獲費として受け取っている。さらに捕獲したサルやその子孫を実験用に1匹当たり15万―20万円と、合法的に繁殖されたサルの半値以下で密売していた。この業者は、「年に100匹以上売らなければペイしない。売り上げは年間1000万円単位になる」と話す。

 岐阜市内の業者は、岐阜県伊自良村に飼育施設を持ち、約50匹を飼育している「小森動物企画」。飼養許可を受けず、三重県や岐阜県内の市町村が有害駆除のために捕獲したサルを無償で譲り受け、動物商などを通じて大学や研究機関に転売していた。

 業者がヤミ飼育を続けていた背景には、(1)有害駆除したサルを実験目的で譲渡する場合、都道府県の中には飼養許可を出さない方針を明らかにしている所もある(2)許可を受ければ、施設を整備しなければならなくなる(3)飼養許可を取得すると、1匹ごとに毎年、三千数百円の更新費用が必要になる――などの事情があるとみられる。

 ヤミ業者からニホンザルを購入しているのは、関東、関西を中心に全国で数十施設の研究者にのぼるとみられる。研究分野も、脳の働きを解明している神経科学から外科、歯科、眼科など多岐に及んでいる。

   ◇

 <環境庁野生生物課の話> 事実であれば、大きな問題であり、関係県を通じて早急に実態を把握したい。有害駆除したサルは原則として安楽死が望ましいと考えており、業者の介在で安易な捕獲許可が出されたり、違法捕獲がなされたりしていないか、確認する必要がある。また、捕獲された野生サルを飼養許可証なしに研究機関などが譲り受けていれば違法行為にあたり、関係学会などを通じて、飼養許可証の確認など法的手続きを守るよう要請する。

   ◇

 <この2年間で40匹を購入した都神経科学総合研究所の話> 業者が出生証明書を発行しており、合法的に人工繁殖されたサルと信じていた。現地確認も拒否され、違法性には気づかなかった。

   ◇

 <年間に十数匹を購入していた大阪大の話> 捕獲許可は確認したが、飼養許可が必要なことは知らなかった。どんな業者なのか確認も怠っていた。

   ◇

 <金沢大の話> 業者による繁殖証明書がついたサルを、動物商を通じて購入しており、大学として違法飼育されていたサルかどうかを確認することは不可能だ。


凍り付いたオオハクチョウ、救出作業 釧路

2001.01.25(22:01)asahi.com
 北海道の釧路市動物園で、オオハクチョウが池で眠っているうちに氷上に凍り付いてしまう被害に遭っている。零下20度まで下がった25日早朝も2羽が動けなくなり、動物園職員が氷をナイフで削るなどして助け出した。

 凍り付く被害は毎年あり、今冬も8羽を救出した。うち6羽は幼鳥。厳冬の経験が浅い幼鳥たちは、寝ている間に少しずつ動き、凍るのを防ぐ知恵を身につけていなかったらしい。

 救出作業は、作業用のナイフで体毛の下の氷を縦50センチ、横25センチほど削り、少しずつハクチョウの体を起こしていくのがコツだという。

仏壇で越冬、アマガエルの「けろやん」 和歌山

2001.01.25(19:42)asahi.com
 和歌山県中辺路町の熊野古道沿いにある「とがの木茶屋」の仏壇に、1匹のアマガエルが入り込んで暮らしている。「けろやん」と名づけられ、茶屋に立ち寄る観光客らの人気者だ。

 居着いて5カ月余り。豆電球がついてほんのり暖かい釣り灯ろうの上がお気に入り。仏壇の中を跳び回って元気そのものだが、寒さを案じて茶屋では灯を絶やさない。

 「姿が見えないと心配。外に出るとモズに襲われるので、このまま春まで過ごして、無事に野へ帰ってほしい」と主人の玉置浅男さん(76)。けろやんには、玉置さんの心が一番温かい。

山中湖に5年ぶりにコハクチョウが飛来

2001.01.24(17:18)asahi.com
 富士五湖のひとつ、山梨県の山中湖に昨年暮れ、飛来した5羽のコハクチョウは、毎日、地元のハクチョウおじさん・羽田三二(さんじ)さん(76)のえさをもらって元気に泳いでいる。10年ぐらい前から、山中湖でハクチョウにえさを与え続けている羽田さんは「コハクチョウが飛んできたのは、5年ぶりですね」と話している。

 山中湖には、1963年夏、6羽のコブハクチョウが放され、以来、住みついている。現在、コブハクチョウは約20羽いるが、久しぶりに飛来したコハクチョウは、これらの「住人」と一緒に羽田さんのえさをついばんでいる。

 山中湖村観光課は「コハクチョウが飛来して、もう1カ月近くなるので、この分では春までいるでしょう。湖水は一部で凍っているが、今年も全面結氷は無理です。全面結氷は86年が最後です」と話している。

エゾシカ猟の鉛玉使用、来年度から全面禁止へ

2001.01.16(20:28)asahi.com
 国の天然記念物で希少種のオジロワシとオオワシがエゾシカ猟の鉛弾による鉛中毒の食物連鎖で死んでいるため、北海道庁のエゾシカ狩猟問題検討会は16日、散弾銃の鉛弾使用を来年度の狩猟期から禁止する方針を決めた。ライフル銃の鉛弾使用については、今年度の狩猟期から禁止して銅弾に切り替えており、これによってエゾシカ猟での鉛弾の使用が全面禁止となる。

 道によると、1999年度に道内での狩猟(わな、空気銃除く)を登録したハンターは道内者が7921人、道外者が3093人。エゾシカなど大型獣の狩猟に使われるライフル銃所持と散弾銃の所持者はほぼ7対3の割合。

エサ不足でカモが大挙飛来 福島市の阿武隈川

2001.01.13(09:50)asahi.com
 福島市岡部の阿武隈川に飛来するハクチョウやカモの数が増えている。大雪の影響で田んぼなどでえさを探せなくなったのが原因らしい。特に目立つのがカモ。水辺ばかりでなく、岸辺にある公園の遊歩道まであふれ出し、パンや米をもった人が来ると、あっという間に取り囲む。中には、駐車場で待ちかまえるちゃっかりした一団もいる。

 鳥の世話をしている日本野鳥の会福島支部の八木博さんによると、飛来数はハクチョウが約690羽、カモ類約1万2000羽で、例年を1、2割上回っているという。

東京のカラス、全部で何万羽?/野鳥の会など3年計画で広域調査

2001.01.09 The Sankei Shimbun
 東京で暮らすカラスは二万羽、それとも三万羽? ごみあさりや人への危害が問題になっている首都のカラスの実態を正確につかむため、日本野鳥の会などがこの冬から三年計画で初の広域調査に乗り出した。

 近郊からの“通勤族”の存在も考慮して東京都のほか茨城、埼玉、千葉、神奈川の四県の一部にまで範囲を広げ、夕方ねぐらに帰ってくる羽数をカウント。群れる機会が多い冬季を中心に、一般の人にも情報提供を呼び掛けて集計する。

 都内のカラスは、国立科学博物館付属自然教育園がまとめた約二万一千羽という数字がある。渋谷区の明治神宮など大規模なねぐら五カ所を調べた結果だが、小さなねぐらはほかにも多数あるとみられ「正確な数はつかめていない」(武藤幹生研究員)のが実情。

 しかも、カラスは一日十キロ以上の移動が可能なのに周辺の県のデータがほとんどないことから、東京駅から五十キロの範囲で羽数を本格調査することになった。生ごみとカラスの問題などを研究してきた日本野鳥の会東京支部や奥多摩支部が中心となり、神奈川県や川崎市も協力する。

 都内では年間約二千羽のカラスが駆除され、人への危害があった場合に巣を撤去する「緊急出動」も昨年から始まった。日本野鳥の会東京支部の川内博副支部長は「生息数が分からないまま駆除しても、減ったのかどうかすら分からない」と基礎調査の重要性を強調する。

 カラスに軽量PHSを取り付けて行動を調べている樋口広芳東大教授は「数や行動パターンなどが正確に分かれば、もっと有効なごみ対策などが打ち出せるはず」と話している。

ツル飛来数が過去最多に 鹿児島・出水平野

2001.01.08 The Sankei Shimbun
 ツルの越冬地として知られる鹿児島県・出水平野で、この冬最後の羽数調査が八日早朝から行われ、過去最多となる一万三千五百二十一羽のツルが飛来していることが確認された。

 これまでの最高は昨年十二月九日調査の一万三千百八十七羽で、四年連続で一万羽を超えるツルが同地で越冬することになった。

 内訳は、ナベヅル一万八百五十五羽やマナヅル二千六百五十五羽など。鹿児島県に飛来するツルと飛来地は国の特別天然記念物に指定されている。

福島で「矢ガモ」見つかる 保護作戦は難航

2000.12.23(20:47)asahi.com
 福島市方木田の馬川で、矢の刺さったカルガモの保護作戦が続いている。22日も、県鳥獣保護員が仕掛けた網で捕獲しようとしたが、警戒心を強めている「矢ガモ」は近寄らない。この日の作戦も結局、失敗に終わった。

 矢ガモは今月3日、馬川で近所の人が見つけた。左の羽に、洋弓用らしい長さ30センチほどの赤い矢が刺さっている。近くの大森川でも6日、矢が首筋に刺さった別の矢ガモが見つかった。弱っていたところを保護され、県鳥獣保護センターで治療を受けた。

 馬川の矢ガモは今のところ、矢の影響はあまりないようで、飛ぶことができる。保護員らが投網などを使って捕獲しようとしたが、何度も逃げられてしまった。カモは警戒心を強め、ねぐらの馬川にも近付かなくなり、捕獲作戦はいったん中止になった。

 馬川に戻ってきていることが確認されたため、え付けをして徐々に慣れさせ、21日、作戦を再開。え付け場所に、約10メートルの網を仕掛けた。ところが、カモはえ付けの場所に近寄らなくなった。22日もカモは近寄らず、200メートルほど上流で仲間と遊んでいた。

 保護にあたっている県北地方振興局県民生活課によると、飛んでいるうちに傷が広がってしまう恐れがあるという。「早く抜いてやりたいが、まだ人が怖いようだ」

飛行中に落下 ハト36羽“変死”/朝霞

2000.12.14 The Sankei Shimbun
 十四日午前七時半ごろ、埼玉県朝霞市浜崎、JR武蔵野線北朝霞駅前の路上で、二十三羽のハトの死がいが散乱していると朝霞署に通報があった。さらに、東へ約三百メートル離れた朝霞消防署浜崎分署近くの畑で、十三羽のハトの死がいが見つかった=写真。朝霞署の調べによると、上空を飛んでいたハトが突然、きりもみ状態となって落下するのを住人らが目撃しているが、付近一帯で猟銃の発砲音などはしなかったという。

 朝霞保健所で調べたところ、大量の小麦の粒がハトの胃からのど元まで詰まっていた。人為的に詰め込まれたものかどうかや、死因との関係は不明。朝霞署は動物保護および管理に関する法律違反の疑いで、小麦粒の中に毒物が含まれていなかったかなどを調べている。

冬の渡り鳥クロツラヘラサギが飛来 福岡市の瑞梅寺川

2000.12.11(21:21)asahi.com
 冬の渡り鳥クロツラヘラサギが、福岡県福岡市西区の瑞梅寺川河口付近に飛来している。クロツラヘラサギは、世界に約600羽しか生息せず絶滅が心配されている。干潟にとどまり、特徴の黒いしゃもじ型のくちばしを使い一列に並んでエサ探しをする様子などが愛鳥家たちの目を楽しませている。

首都圏のカラス何羽? 野鳥愛好家が3年かけ調査

2000.12.09(14:12)asahi.com
 東京にカラスは何羽いるのか――だれも答えを知らない数字を、首都圏の野鳥愛好家が今冬から3年間かけて数えることになった。東京都が今春、迷惑カラスの緊急捕獲に踏み切ったが、「基礎調査もなしでは効果があったかどうかすら分からない」と日本野鳥の会の各支部や都市鳥研究会が計画した。カラスの飛行能力を考え、神奈川、千葉、埼玉、茨城の4県にも調査範囲を広げ、一般の人にも協力を呼びかける。

 緊急捕獲作戦の根拠となったのは「2万1000羽」という数字。これは、冬場に集団生活する大規模「ねぐら」がある明治神宮や上野公園など都内の5カ所で、国立科学博物館付属自然教育園(東京・白金台)が調べた合計数だ。ところが、野鳥の会東京支部が1998年に始めた調査では、中・小規模のねぐらが30カ所近く見つかった。

 過去に確認されているねぐらでは、ここ2、30年で個体数が急増していた。だが、これだけでカラスの総数が増えたとは言い切れない。生ごみなどのエサが豊富という理由で、東京都心部に「出稼ぎ」に来ただけかも知れないからだ。

 国内には、もともと森林を好み「カアーカアー」と澄んだ声で鳴くハシブトガラスと、田畑や河川敷などに多く「ガアーガアー」とだみ声のハシボソガラスの2種類がいる。ごみ袋を突き破り生ごみをあさるのは、もっぱらハシブトの仕業だ。

 東京23区では圧倒的にハシブトが多いが、多摩川を越えて神奈川県に入ると、川崎市や横浜市でさえ両種が混在で、西に進むほどハシボソが増えてくる。

 千葉県では、もともとハシボソが優勢だった。県立国分高校の越川重治教諭によると、千葉市や習志野市など県東部では94年ごろからハシブトが増えて、ハシボソの方が減り始める場所も出てきた。

 こうした実態をより正確につかむため、東京駅から半径50キロの範囲内にあるねぐらの位置を確かめ、どんな種類がどれだけやって来るか調べる。東京では都市鳥研究会が16、17、23日の3日間でのべ60人を動員。神奈川県では今冬から県と川崎市がそれぞれ野鳥の会と協力、独自の調査も進める。

 ねぐらは、特別の知識がなくても見つけることができる。野鳥の会神奈川支部長で平塚市博物館の浜口哲一学芸員は「午後4時すぎ、高い空を飛んでいく方向にある。春先の繁殖期でなければ近くによっても危険はない」と話す。

 調査の中心となる東京支部の川内博・副支部長は「種類や数はなかなかわかりにくいだろうが、ねぐらの場所だけでも教えてもらえれば大変助かります」と協力を呼びかけている。

 問い合わせは日本野鳥の会東京支部(ファクス03・5273・5142)へ。

操縦士を仲間と勘違い、ツルが渡りの最長記録

2000.11.13(18:01)asahi.com
 鳥の格好の操縦士を仲間と思い込まされたツルの一群が、超軽量機に導かれて、米ウィスコンシン州からフロリダ州まで約2000キロの旅を終えた。人間に先導された「渡り」の最長記録だそうだ。

 生後ずっと人間に飼育され、これまで一度も南へ渡ったことがないカナダヅルに旅の仕方を覚えさせるのが狙い。85万ドル(約9200万円)をかけた実験で、12人の生物学者と3機の超軽量機が、11日まで約40日間かかって成功させた。

 先頭機の操縦士は、灰色のダブダブの操縦服に身を包み、ヘルメットにも同色の布を張った。録音テープでツルの鳴き声を聞かせながら、毎日2時間だけ飛行。残り2機が、はぐれた鳥を群れに戻したり着陸地点を探したりしながら旅を続けた。

 10月3日に13羽で旅だったが、ほかの渡り鳥の群れと交錯したり、雨風に巻かれたりして、途中2羽が行方不明になった。

「猿害」対策に七面鳥 長野・戸隠村の農業委員が導入

2000.10.30(10:33)asahi.com
 秋の収穫期になると、人里に現れては畑の農作物などを荒らす野猿に手を焼いている長野県上水内郡戸隠村の農業委員会の委員が、猿への対抗策として「七面鳥」を今年から飼い始めた。七面鳥の独特な鳴き声が猿に嫌悪感を与えるらしいという村職員の話から「用心棒」として七面鳥を大抜てきしたものだ。効果のほどはまだ未知数だが、これまで様々な手段を講じてきた村の人たちにとって、この用心棒の出現に寄せる期待は大きい。

 農業委員らは七面鳥を自宅の庭先や、畑のわきに飼育小屋を建てて3羽から9羽ほど飼育している。委員の1人、原山一男さん(51)も自宅近くの畑のわきに飼育小屋を建て、9羽の七面鳥を飼っている。

 6月中旬に飼い始めてからすでに3カ月以上が経過したが、実際の効果のほどはよくわからないという。

 「結局小屋の中にいるので、猿が出没した場所に連れていけません。今年は取りあえず飼育に挑戦したという感じです」

 七面鳥の話を委員に持ちかけた村経済課の木村幸文課長によると、七面鳥に猿が近づくと「グワッ!グワッ!」という独特な鳴き声を響かせながら集団で追いかけるので、猿が驚いて一目散に山に逃げ込むという話が、昨年読んだ農業関係の業界紙に掲載されていたという。

 この話を聞いた農業委員会の委員と木村課長は今年の2月、県の紹介で石川県門前町にある食用の七面鳥飼育場を訪ね、ひな35羽をメンバーの自費で買い入れた。村や委員はこれまでも猿害への方策を耳にすれば、電話で尋ねたり本で読んだりしたことを基に試行錯誤してきた。例えば昨年は、「猿にはカニの絵が効果的」と聞き、白地のベニヤ板に赤いカニの絵を描いた看板を村で50枚作製して希望の農家へ配布したこともあったが、「それなりに被害件数も減ったように見られたが……」(木村課長)と言った程度だったという。「特効薬」はまだ見つかっていない。

 村内で猿害が報告されるようになったのは約10年ぐらい前だという。一昨年から突然、被害が目立ち始めた。かつては1匹で里山に下りてきていたのが、最近は群で行動しているところを見かけるようになってきたのが特徴だ。おかげで収穫直前のカボチャやトウモロコシが壊滅状態だった時もあったという。木村課長は「とにかく、放っておいても被害が増えるだけなので、取り組めることにはどんなことでも積極的に取り組んでいきたい。今はそれが精いっぱいの対抗策です」と話している。


名護市沖でジュゴンを空から確認 那覇防衛施設局の調査

2000.11.07(20:43)asahi.com
 沖縄県の米軍普天間飛行場を名護市へ移設する計画をめぐり、沖縄本島周辺でジュゴンの生息状況を調査している那覇防衛施設局は7日、移設先とされる名護市東海岸の沖で1頭が泳いでいるのを空から確認した。10月30日に始まった調査で、実際に個体が見つかったのは初めて。

 施設局によると、午前9時ごろ、同市東海岸の約1500メートル沖合で、体長3メートルほどのジュゴンが泳いでいるのを小型飛行機から見つけた。写真やビデオで撮影して、詳しく分析している。

米法たてに米軍基地に待った 「ジュゴン守れ」と提訴へ

2000.10.19(16:34)asahi.com
 沖縄の海にすむ海洋ほ乳類「ジュゴン」の保護のため、生息地域の米軍基地建設計画を見直させようと、環境問題に取り組む弁護士らが米国の法律を適用した裁判を起こすことを検討している。ジュゴンが絶滅危ぐ種に指定されている米国の「種の保存法」をたてに、ワシントンの州地裁で米国政府を訴えるという試みだ。12月に沖縄で集会を開き、提訴の準備に入る予定で、住民らは「ジュゴンのいる沖縄の自然が世界の共有の財産であることを証明したい」と期待している。

 ジュゴンは熱帯と亜熱帯の海にすみ、最大3メートル、体重400キロ。丸みを帯びた体つきで人魚伝説のモデルともいわれ、浅い海岸で海藻を食べて暮らす。生息区域の北限とされる沖縄では、本島付近のみで確認されている。

 沖縄本島の米軍普天間飛行場の移設問題で、埋め立てや防波堤建設などが持ち上がっている名護市・辺野古地区はジュゴンの目撃地域の中心に位置し、沿岸部には数十頭が回遊している。地元で生息調査をしている市民団体「ジュゴンネットワーク沖縄」によると、生後1、2カ月のジュゴンが刺し網にかかり死亡するなど、人為的な事故死が少なくとも2年に1度はある。ジュゴンは出産の間隔が3―7年といわれ、そうした事故でも繁殖に重大な影響があるという。

 訴訟の準備をしているのは、環境問題に取り組む弁護士ら340人が参加する日本環境法律家連盟(事務局・名古屋)。ジュゴンは国の天然記念物に指定されているが、日本の種の保存法では、保護区の指定や増殖事業ができる対象種になっていない。一方、米国の種の保存法では絶滅危ぐ種で、保存のために必要な配慮をする義務が定められており、行政に保護策を実行するよう市民が裁判で求めることのできる条項がある。

 法律家連盟では、基地建設は日米の合同の協議を経て具体化されるため、「日米の共同行為」と考えている。訴訟では、地元住民らが原告になり、米国防総省などに生息区域の調査などを求める複数の裁判を起こし、基地移設計画の見直しをさせたいとしている。

沖縄のジュゴン保護水域指定など求め、哺乳類学会が決議

2000.10.01(10:22)asahi.com
 沖縄本島沿岸にすむジュゴンの保護をめざして、日本哺乳類(ほにゅうるい)学会(会長・大泰司紀之北海道大教授)は30日、大阪市内で開いた総会で、保護水域の指定などの対策を環境庁や防衛施設庁、沖縄県などに求める決議を採択した。米軍普天間飛行場の返還に伴う代替施設の予定地の米軍キャンプ・シュワブ沖は、ジュゴン生息域のほぼ中央にある。決議は、この問題に直接触れていないものの、今後、建設をめぐる議論に影響を与えそうだ。

 南西諸島近海のジュゴンは、明治時代にはふつうに見られたらしい。しかし、粕谷俊雄・三重大教授らが1997年から3年間実施した調査では、1年を通した生息が確かめられたのは、沖縄本島東岸の北部と中部だけだった。現在の生息数は数十頭程度と推定されている。

 これまで文化庁はジュゴンを国の天然記念物に指定し、水産庁は水産資源保護法にもとづいて捕獲禁止にするなどした。だが、漁網にジュゴンがからまる事故や、えさとなる海草の減少は続き、保護に有効な手だてとはなっていない。

 決議は、沖縄本島東岸に指定する保護水域で(1)ジュゴンがかかることがある刺し網や定置網の使用をやめさせる(2)新たな土木工事などは無害とわかるまでしない(3)ほかの漁業活動や軍事演習なども有害とわかればやめさせるよう努める――ことを求めた。また生息数を回復させるための長期計画づくりや、ジュゴンと共存できる漁業を確立するための検討も求めた。

 同学会の川道武男・保護管理専門委員長(大阪市立大助教授)は「沖縄のジュゴンにとっては、すでに現状が生物学的に見て危機的であることを訴えたい」と話している。

 <ジュゴン> 体長3メートル、体重400キロに達する大型の海洋哺乳類。アジアから東アフリカにかけての熱帯・亜熱帯の浅い海で、アマモなどの海草類を食べて暮らす。総数は、世界で10万頭ほどとみられ、大半がオーストラリア沿岸にいる。沖縄は分布の北限に当たる。

ジュゴンの生態調査、日弁連が環境庁などに要望

2000.07.17(21:53)asahi.com
 ジュゴンの危機を救って――国の天然記念物ジュゴンの生態調査、保護策を実施してもらおうと、日本弁護士連合会は17日、環境、水産両庁などに要望書を手渡した。環境庁は、環境保全の基礎調査でジュゴンなど4種の生息調査を追加したが、ジュゴンだけが「生息場所や数が不明」との理由で現地調査さえ実施されていない。専門家の研究では、沖縄県名護市沖で約20頭、生息しているとも言われる。日弁連は「絶滅を傍観しないで」と訴える。

 ジュゴンは、研究者や非政府組織(NGO)の現地調査で、米軍普天間飛行場の移設予定地である名護市辺野古沖を中心に十数カ所で生息が確認され、「沖縄本島は生息域の北限」ともいわれる。本島東海岸では過去30年間に、定置網などにジュゴン10頭が誤って捕獲された。

 環境庁の生物多様性センターは、「自然環境保全基礎調査」のなかで1997年度からジュゴンのほか、ウミガメ類、アザラシ類、クジラ類の4種を調査対象に加えた。ウミガメ類はすでに現地調査を終え、報告書のとりまとめに入っている。ジュゴンだけが文献などによる資料調査だけで、いまだに現地調査は行われていない。

 日弁連の要望は、(1)ジュゴンの生態調査を早急に実施、保護策をとる(2)普天間代替施設建設の際、環境影響評価を早期に実施する――の2点。生息地保護や定置網漁と刺し網漁の規制と補償を求めている。

 日弁連は、環境問題についてこれまでも、藤前干潟や三番瀬の保全要望をしてきた。今回は、沖縄サミット開催直前で、国内外に関心を持ってもらいやすいのでは、とこの時期にジュゴン保護を訴えたという。

 ジュゴンは、第2次大戦直後に大量に捕獲され、72年に国の天然記念物に指定された。NGO「ジュゴンネットワーク沖縄」が5月、「種の保存法」の絶滅危ぐ種への指定を要望。また、沖縄の保護運動を本土にも広げようと昨年、「北限のジュゴンを見守る会」が結成されている。

 環境庁野生生物課では「ヘリコプターを飛ばすのにも、かなりの予算がかかる。全体の分布の状況が、もう少しわからないと調査は難しい」と話している。


ペンギン「将棋倒し」現象に調査団を派遣 英空軍ら

2000.11.03(19:16)asahi.com
 南大西洋の島に生息するオウサマペンギンの群れが、航空機に驚いて大規模な将棋倒しを起こす現象が明らかになり、英空軍と科学者グループの共同調査団がこのほど現地に派遣された。

 空軍によると、この現象は1982年のフォークランド紛争で英領サウスジョージア島上空を低空飛行した戦闘機や軍用ヘリの乗組員が初めて確認。以来、同様の目撃報告が相次いでいる。同島に生息する40万羽のオウサマペンギンが、航空機の進行方向に沿ってドミノ倒しのようにあおむけに倒れていくという。

 「航空機を天敵と警戒して目で追っているうちに、バランスを崩して後ろに倒れるのでは」というのが科学者の仮説。オウサマペンギン繁殖への影響を最小限にとどめる飛行ガイダンスをまとめる計画だという。

テナガザルなど密輸のブローカーに実刑判決

2000.10.17(21:45)asahi.com
 ワシントン条約で取引が規制されているオランウータンなどをインドネシアから密輸したとして、種の保存法違反などの罪に問われた神戸市灘区の動物ブローカー小沢満被告(68)に対し、大阪地裁は17日、懲役1年4カ月罰金200万円(求刑懲役2年6カ月罰金300万円)の実刑判決を言い渡した。

 後藤真知子裁判官は「規制を承知の上で希少動物を密輸した、利益のための身勝手な犯行だ。野生動物の種の保護が国際的に重要性をましつつある状況を考えると、刑事責任は軽視できない」と述べた。

 判決によると、小沢被告は1998年8月と9月に、オランウータンとフクロテナガザル各1頭、ワウワウテナガザル2頭を特別に仕切った木箱に隠すなどの方法で、手荷物としてジャカルタ空港から成田空港経由で密輸した。オランウータンは密輸後まもなく死亡した。フクロテナガザルなど3頭は大阪市北区のペットショップ「梅田ワンワンランド」に引き渡され、小沢被告は計150万円を受け取った。

 フクロテナガザルなどはインドネシアに返還され、リハビリを受けているが野生復帰は難しい状態という。

日本をぐるりと、海鳥調査へ 「ナゾの宝庫」に期待

2000.10.08(12:13)asahi.com
 鳥類の研究や保護活動を続けている日本鳥学会(会長、藤巻裕蔵・帯広畜産大教授)の海鳥研究者の有志が、日本近海の海鳥の生態調査などを進める「日本海鳥グループ」を近く立ち上げる。当面は既存の資料などをまとめ、繁殖地目録を作ったり、資料の信頼度を精査したりする作業を行う。同学会によると、これまで日本の海鳥の生態を全国的にまとめて調査した例はなく、国際的にも研究の「空白地帯」とされてきたといい、その成果が期待される。

 日本近海は、世界で見られる海鳥約300種のうち約100種が観察され、そのうち40種が繁殖している海鳥の宝庫という。これまで、個別の鳥については高い評価を受けた研究も多いが、日本近海全体を網羅したものがなく、外国の研究者らからは「なぞの場所」とされてきたという。

 同グループには北海道から沖縄までの海鳥研究の第一人者が参加する予定。来年2月には、米国が拠点の「パシフィック・シーバード・グループ」とハワイで共同シンポジウムを開き、その段階での調査結果を発表する計画。その後は国内ネットワークを強化し、アジア各国やロシア、米国などとの連携も進めて環境の保全を目指す。

 同グループの事務局を担当する小野宏治・北海道海鳥センター研究員は「日本は海の多様性が顕著な国。海鳥の調査・保護には国際的な協力が必要だ。このグループの調査で、これまで連携のなかった部分につながりが出るのでは」と話している。

タイワンリス駆除OK 在来種保護で環境庁が移入種対策

2000.09.02(15:12) asahi.com
 アライグマやタイワンリスなどの「移入種」を駆除しやすくします――。環境庁が日本の固有種を守るため、外国から持ち込まれた移入種を駆除しやすくする規定を、5年ごとに改訂する鳥獣保護事業計画の指針案に盛り込んだ。これまでは農作物被害を受けた農家からの要請がないと駆除が難しかったが、新指針案では、在来種への影響が懸念される場合も積極的に駆除できる、とした。

 環境庁の指針は、都道府県が鳥獣保護に取り組む際の基本となる。今回の指針案には、国内の生態系の保護を理由とした「移入鳥獣の駆除」の項目が加えられ、その「根絶」が初めて目標として明記された。

 環境庁によると、北海道南部ではペットとして飼われていたアライグマが逃げ出すなどして野生化し、同じエサを食べる在来のエゾタヌキやキタキツネに影響を与えているという。

 神奈川県鎌倉市ではタイワンリスが繁殖し、そのためにニホンリスがほとんどいなくなったとされる。

 一方、移入種以外の有害鳥獣の駆除について指針案は、乱獲にならないよう専門家の意見を聞き、事前に科学的な生息調査をするよう求めた。これまでは農家からの要請を受け、自治体が調査せずに駆除を許可することがあったという。

 また、鳥獣保護区については、国や自治体が生息状況や環境を調査し、客観的なデータを積み上げた上で設定すると改めた。

 新しい指針は年内に告示され、都道府県はこれを基に2002年度から始まる10年計画を策定する。

青森の小学生が道路用地からメダカ「救出作戦」

2000.08.29(20:43)asahi.com
 青森市内にある東北縦貫自動車道などの用地に生息するメダカを保護しようと、同市立原別小学校3年生の児童87人らが29日、メダカたちを網ですくい、近くの農業水路に引っ越しをさせた。

 昨年2月に環境庁がメダカを「絶滅危ぐ2種」に含めたことを受け、建設省青森工事事務所が用地内の水田などを調べたところ、17カ所で生息を確認。設置された懇談会で保護を訴える意見が多かったことから、今回の「救出作戦」となった。

 最初はうまく捕まえることができなかった児童たちもすぐに慣れ、「いっぱい捕まえた」「メダカってかわいい」と大はしゃぎだった。

南アの重油流出事故でケープペンギンに深刻な影響

2000.08.15(00:54)asahi.com
 南アフリカの沖合で今年6月に発生した重油の流出事故で、絶滅のおそれのあるケープペンギンの生息地に深刻な影響が出ているため、日本の環境保護団体「ペンギン会議」が現地にスタッフを派遣して、支援運動に乗り出す。動物園の職員らが、親鳥を失ったヒナ鳥の人工飼育の技術協力などをする。ペンギンの被害数は数万羽単位と過去最大規模になる可能性があるといい、同会議は「専門家による国際的な支援が必要」と派遣費用などの募金活動も始めた。

 事故は今年6月下旬、南アフリカのケープタウン沖で発生した。貨物船が沈没し、大量の重油がケープペンギンの主要な繁殖地のダッセン島やロベン島に漂着し、現地の生態系に深刻な影響が出ている。「ペンギン会議」に寄せられた情報などによると、すでに3万羽の成鳥が死んでおり、過去に例のない大量死につながる危険性が高いという。

 現地では、米国やフランスの協力も得て、国防省まで出動して、成鳥を別の場所に移送、避難させるなどの保護活動が続いている。研究者やボランティアも国内外から集まり、油まみれになったペンギンを洗ったり、周辺から重油を除去したりするなどしている。しかし、成鳥が死んだり、一時的に避難させたりしたため、7000羽を超えるヒナが餓死しかねない状態が続いているという。

 このため、日本の研究者や動物園、水族館の飼育係らでつくる「ペンギン会議」(会員数約250人)は8月中旬に国内の動物園や水族館の専門家2人を現地に派遣して、親を失ったヒナを人工飼育する技術を現地ボランティアに伝えることにしている。秋に第2陣を派遣することも検討している。ペンギンを洗うための物品も送る予定だ。

 ケープペンギンは中型のペンギンで、南アフリカとナミビアにのみ約17万羽が生息している。海洋汚染などで生息数が減り、絶滅のおそれがあるため、ワシントン条約で国際取引が規制されている。

 募金などの問い合わせはペンギン会議事務局(047―462―3731)まで。

アホウドリを衛星で追跡 環境庁が保護作戦

2000.08.15(23:38)asahi.com
 「種の保存法」で希少種に指定されている日本固有の渡り鳥のアホウドリに超小型発信器をつけ、人工衛星から渡りの経路を追跡しようという「保護作戦」に環境庁が来年度から本格的に着手する。乱獲されたアホウドリは一時絶滅したとも言われたが、保護増殖事業の効果もあり現在は1000羽余りにまで回復した。しかし、繁殖後の行動経路などはほとんどわからず、いまだに絶滅の恐れが高いとされている。

 アホウドリは、翼の差し渡し2.4メートル、体重7キログラム前後ある北半球で最大の海鳥。かつては伊豆・小笠原諸島以西に広く繁殖していたが、19世紀後半から羽毛採取のための乱獲で個体数が激減した。特別天然記念物にも指定されており、現在伊豆諸島鳥島と尖閣諸島南小島の2カ所で1000羽余りの繁殖が確認されるのみになった。

 環境庁は1996年度から3年間、計8羽に発信器をつけ人工衛星で追跡する試みを実施。7羽は途中で消息不明になり、1羽のみがアラスカ近海に到着したことが確認された。来年度は、20羽程度に発信器をつけ、到達地点や、どこにどれくらいの期間立ち寄るかといった飛行経路を本格的に解明する。

ヒバリの繁殖場所は20年前の3分の1 環境庁調査

2000.08.10(15:45)asahi.com
 ヒバリの繁殖が確認された場所が20年前に比べて約3分の1になったほか、サンショウクイ、アカモズ、チゴモズなど夏鳥の姿も全国的に減少していることが、環境庁が9日に公表した鳥類生息分布調査の中間報告で分かった。一方で、移入種のソウシチョウは繁殖場所を広げていた。調査を委託された日本野鳥の会研究センターの成末雅恵研究員は「環境を変えたり、移入種を放したりするなど、人の影響で国内の鳥の様子が変わってきている」と話している。

 全国調査は1978年度以来で、今回は97年度から5カ年計画で実施している。これまでに全国1563カ所で現地調査したほか、鳥類研究者らにもアンケートした。全国を約20キロ四方の区域に分け、その中で繁殖しているかどうかを前回と比較した。

 その結果、全部で375種を確認したが、前回と比べ、7種の繁殖が特に減っていた。

 ヒバリは、前回211の区域で繁殖が確実だったが、今回は北海道や近畿、九州北部などで減少し、71区域になった。生息地になる草丈の低い草地などが減ったことが原因の1つと見られている。

外国産クワガタ・カブト輸入増で在来種の生態系ピンチ?

2000.07.07(21:25)asahi.com
 外国産のクワガタやカブトムシについて、農林水産省は6月下旬に新たに5種の輸入を解禁し、対象種は50種を超えた。金属光沢を放つクワガタや世界最大級のカブトムシが店頭に並び、甲虫飼育ブームはますます過熱しそうだ。専門家は「逃げて野生化すれば、生態系を乱す恐れがある」と心配している。

 日本の農作物や街路樹などに害を与える昆虫は、植物防疫法で輸入が禁じられている。輸入解禁となったクワガタ、カブトムシ類は計53種(6月末現在)。農水省は解禁理由を「最近のブームで、外国産のものを持ち込みたいという問い合わせが多数あった。文献調査などで植物への害がないと確認できたものを許可した」と説明する。

油被害のペンギン、避難所で散歩

2000.07.06(15:30)asahi.com
 沈没した貨物船から漏れた油で全身が汚れ、保護されたペンギンたちが5日、南アフリカのケープタウンの鉄道倉庫を改造した「避難所」内を散歩した。AP通信によると、貨物船は6月23日に同国沖で沈没、1300トンの油が流出した。数千羽のペンギンが被害にあったと見られている。

北海道・根室でタンチョウの標識調査始まる

2000.06.27(19:40)asahi.com
 国の特別天然記念物、タンチョウの生態を調べる環境庁による標識調査が27日、北海道根室市の温根沼(おんねとう)周辺で始まった。先月中旬に生まれたばかりのヒナを捕獲し、体長や体重の測定や通し番号の足輪をつけ放鳥する。ヒナはつがいの親鳥に守られ、警戒心も強いため、地元野鳥の会などのメンバー17人が四方に分かれてそっと近づく。捕獲作戦は半日がかりということもあるという。

 調査は今年で13年目。来月4日まで続け、20羽に標識をつける予定だ。

 作業を担当する山階(やましな)鳥類研究所研究員の佐藤文男さん(47)は「寿命、繁殖など生態になぞが多い。標識調査でオスは必ず出生地に戻るのが分かった。営巣に必要な湿原環境の保全が保護に一番大切だ」と話している。

 タンチョウは一時絶滅したとされたが、大正末期に釧路湿原で10数羽が確認され、1950年代以降にトウモロコシの給餌(きゅうじ)が成功し、今年1月の北海道の生息調査で519羽が確認された。

繁殖業者の逮捕状請求へ 大宮の犬100匹放置問題

2000.06.03(03:31)asahi.com
 埼玉県大宮市の犬繁殖業者が100匹近い犬を放置して餓死させたなどとされる問題で、県警生活経済課と大宮西署は2日、この業者を動物保護管理法違反(遺棄など)容疑で逮捕する方針を固めた。近く逮捕状を請求する。業者は狂犬病予防法で義務づけられている登録や予防接種をしていなかった疑いもあり、県警は狂犬病予防法違反容疑についても詰めの捜査をしている。動物の繁殖業者が動管法違反容疑で刑事責任を問われるのは異例だ。

 調べでは、この業者は大宮市飯田新田で犬の繁殖、販売をしながら、今年2月ごろに失跡。飼育していたスピッツやゴールデンレトリーバーなど計十数匹の犬にえさや水をやらずに放置した疑い。

 動物福祉団体「サラ・ネットワーク」(事務局・東京都府中市)が3月に調査したところ多数の犬が死んでいた。サラ・ネットワークは生き残っていた13匹を保護するとともに、男を動管法違反容疑で県警に告発した。サラ・ネットワークは計100匹近い犬が死んだと推定している。

 また、大宮保健所によると、この繁殖・飼育施設は狂犬病予防法で定められた登録や予防接種もしていなかったという。

トラバサミの使用を罰則付きで禁止 環境庁

3:59p.m. JST May 20, 2000 asahi.com
 ハクチョウなどの保護鳥や犬猫がトラバサミにかかり、死んだり、大けがをしたりする例が各地で相次いでいるため、環境庁は歯がついているか、一定の大きさ以上のトラバサミの使用を、鳥獣保護法により罰則付きで禁止することを決めた。歯のないトラバサミや、小型のものについても、氏名、住所などの標識をつけずに使うと罰せられる。環境庁は近く自然環境保全審議会に諮り、鳥獣保護法に基づいて告示して、今年冬の猟期から実施にうつす方針だ。しかし、販売、所持は禁止しないため、動物保護団体は全面禁止を求めて、署名運動を始めた。

 使用が禁止されるのは、開いた状態の内径が12センチ以上かノコギリ歯のついたトラバサミ。また、歯のないもの、12センチ未満のものについても、狩猟免許なしには使えないほか、住所、氏名、狩猟免許があることを示す標識をつけないと違法になる。使用できる時期も有害駆除以外は冬場の猟期に限定する。違反すると、6カ月以下の懲役か30万円以下の罰金となる。

 これまでも大型のトラバサミは使用が規制されていたが、通達に基づく禁止だったため、事実上、野放しに近い状態が続いていた。小型のものは全国の金物店やホームセンターなどで、狩猟免許なしでも容易に購入できる。大型のものも猟具店や通信販売などで2000―8000円で販売されている。

 トラバサミによる被害は全国で相次いでいる。今年2月には京都市内の鳥獣保護区にトラバサミがかけられ、コサギが死んでいるのが確認されたほか、昨年11月には石川県でトラバサミで足が切断されたコハクチョウが保護された。住宅地周辺で、飼い猫や犬が足を切断したりする事故も全国で報告されている。

 一方、動物保護団体「地球生物会議」(本部・東京)などは、販売、所持を含めた全面禁止を求めて、署名運動に乗り出した。販売しているホームセンターも調べ、狩猟免許の有無を確認して販売するよう文書で申し入れる。同会議の野上ふさ子代表は「トラバサミは動物を無差別に捕まえる上、相当な苦痛を与える残酷なワナだ。動物虐待を禁じた法律にも違反するおそれがある。販売、所持も禁止せずに、違法使用をなくせるとは思えない」と話す。

ミナミマグロで仲裁裁判

2000年5月7日 16時34分【ワシントン共同】
 高級トロの材料として人気のあるミナミマグロの調査漁獲をめぐる日本とオーストラリア、ニュージーランドの紛争で、国連海洋法条約に基づく仲裁裁判の口頭審理が7日からワシントンで始まる。海洋に関する国際紛争の解決手段として条約は仲裁裁判を設けているが、「実際に審理が行われるのは今回が初のケース」(日本外務省筋)となる。

イタセンパラ守れ

2000年5月11日 20時08分共同
 国の天然記念物で、国内希少野生動植物種に指定されているコイ科の淡水魚イタセンパラが、主な生息地である大阪市旭区の淀川流域で激減しており、環境庁や建設省、大阪府などでつくる協議会が「絶滅の恐れもある」として保護の強化に乗り出した。5、6月は稚魚が泳ぎ出す時期で、協議会は14日から約1カ月間、捕獲禁止の看板設置やパトロール、市民への啓発リーフレットの配布などを実施。

絶滅したタスマニアン・タイガーのDNA抽出に成功

10:31a.m. JST May 05, 2000 asahi.com
 シドニーにあるオーストラリア博物館は4日、1936年に絶滅したと見られているタスマニアン・タイガー(和名フクロオオカミ)の保存標本から、良好な状態のDNA抽出に成功したと発表した。マイケル・アーチャー館長によると、絶滅した動物をクローン技術で復活させようという試みは世界各地で行われているが、良質のDNA抽出はこれが初めてという。同館長は声明で、「タスマニアン・タイガーを復活させるという最終目標に向けて大きな一歩を踏み出した」と述べた。

 同博物館では、1866年から保存しているタスマニアン・タイガーの幼獣の標本の心臓と肝臓から採取した組織からDNAを抽出した。標本はホルマリンでなく、アルコールに入っており、これがDNA保存に良い結果をもたらしたという。

 実際に復活させる見通しについて、アーチャー館長は「これからの難題を過小評価はできない。数年後に実現できるという楽観的な見方もあるし、10年かかるという見方もある。だが、自分が生きている間にはぜひ実現したい」と述べた。復活のために「母体」として使う動物としては、同じ有袋類のタスマニアン・デビルなどが考えられるという。

 タスマニアン・タイガーは肉食の有袋類で、みかけはオオカミに似ているが、背中に横じまがあることから、「タイガー」の名がついた。かつてはオーストラリア全土にいたとみられるが、先住民のアボリジニーが連れてきたといわれるディンゴ(野犬)に駆逐され、18世紀後半に英国による入植が始まった時には、タスマニア島だけに生存していた。

 白人の入植後は、羊を襲うとして、懸賞金付きで殺されるなどして激減。1936年9月、ホバート動物園で、確認できる最後の1匹が死んだ。その後も目撃談や、足跡を見つけたという話はあるが、生存は確認できていない。

犬100匹放置されて餓死、繁殖業者を告発

03:02 a.m. JST April 22, 2000
 埼玉県大宮市の犬繁殖業者(ブリーダー)が、飼育していた100匹近い犬を放置して行方不明になっていることが分かった。長期間、えさや水を与えられなかった犬の大半が飢えなどで死に、3月中旬に現地調査に入った動物福祉団体のメンバーらが十数匹を保護した。地元の大宮保健所も度々、業者を訪問していたが、有効な指導をしていなかった。動物福祉団体のメンバーは近く、この業者を動物保護管理法違反と狂犬病予防法違反の疑いで埼玉県警に告発する方針だ。

 この業者の男性は大宮市郊外で犬の繁殖、販売をしていた。近所の人らによると、5、6年前から、公道に面した家屋の周囲など2カ所に飼育、繁殖施設をつくり、ここ数年、犬の飼育数は100匹以上に上っていたという。

 しかし、今年2月、動物福祉団体「サラ・ネットワーク」(事務局・東京都府中市、谷野加寿美代表)に「犬繁殖業者が犬にえさを与えず、多数死んでいる」との情報が入った。同団体が3月中旬に現地調査したところ、多数の犬が飼育施設内で白骨化するなどして死んでいた。スピッツ、ゴールデンレトリーバー、シバイヌなど十数種で、死体の状況などから、計100匹近くが死んだと推定された。

 同団体は、栄養失調になりながら、生き残っていた13匹を救出して、東京都内の保護施設に収容した。これらの犬も骨折したり皮膚病にかかっていたりした。業者はこの間、帰宅していないとみられ、連絡が取れない状態が続いている。

 大宮保健所によると、狂犬病予防法で義務づけられた登録や予防接種もしていなかった。

「サラ・ネットワーク」の谷野代表らは今月下旬にも、この業者を動物保護管理法違反(遺棄、虐待の禁止)と狂犬病予防法違反の疑いで埼玉県警に告発する。

 一方、犬が遺棄されているとの情報は大宮保健所にも3月上旬に寄せられていた。同保健所は6回、現地に出向き、業者にも一度接触したが、予防接種や登録をしたり、犬の死体を処理したりするよう指導していなかった。保健所が犬の死体を回収し、焼却処分したのは、情報提供から20日たってからだった。

 大宮保健所の幹部は「業者から『犬は里親に出すから、保健所は介入するな』と言われ、信じてしまった。結果として、適正な指導をする機会を逃してしまった。3月下旬以降、業者は所在不明で、接触でき次第、事情を聴きたい」としている。

陸で産卵する珍魚、静岡で国内初の公開ふ化へ

1:49p.m. JST April 15, 2000
 大潮の日の夜、満潮の波にのって親魚は砂浜に上陸し、卵を産む。卵は砂の中で2週間から1カ月以上すごし、波に触れると、わずか数十秒でふ化する。そんな珍しい海水魚の卵を、東海大学海洋科学博物館(静岡県清水市)副館長の西源二郎・同大教授(魚類学)が米国で採取し、持ち帰った。22日から同館で、一般向けとしては国内初の公開ふ化実験会を開く。

 この魚はカリフォルニアグルニオン(トウゴロウイワシ科)。米国の太平洋岸などに分布する。体長約20センチ。銀色でスリムな体形は一見、シシャモに似ている。

 西さんは3月下旬、米ロサンゼルス市南部の産卵地を訪れた。夜、満潮の波に打ち上げられるように数十万匹が浜にあがってきた。メスは尾を砂に埋め、直径約2ミリの卵を次々に産む。オスはメスに体を巻きつけるようにして精液を出す。産卵後、親魚たちは体をくねらせて海へ帰った。

 「潮の干満を利用し、ほかの魚に卵を食べられないようにする珍しい生き残り戦略。もともと岸近くの海中で産卵していたものが、進化の過程で陸に上がるようになったのではないか」と西さんは推測する。

 ふ化実験では、参加者の目の前で卵に海水を注ぎ、魚の赤ちゃんが瞬く間に生まれる様子を観察してもらうという。問い合わせは同館(0543―34―2385)へ。

すくすくツキノワグマの赤ちゃん 青森・下北半島

02:33a.m. JST April 12, 2000
 青森県下北半島の山奥ですくすくと育つツキノワグマの赤ちゃんを、同県脇野沢村在住の写真家木下哲夫さん(53)がカメラでとらえた。

 標高300メートルほどのスギ人工林の中に生後約2カ月、愛らしい目の子グマが2頭。親グマの背中で取っ組み合いしたり、穴の外をおそるおそるのぞいてみたりしている。

 間もなく越冬を終えるが、周囲は見渡す限りの人工林。木下さんは「エサも満足にない。この子たちに未来はあるのか」と不安げだ。

 下北半島のツキノワグマの生息数は推定で100頭以下。環境庁は絶滅の恐れを指摘するが、過去5年間だけでも狩猟や害獣駆除により60頭が殺されている。

「絶滅危ぐ」新たに319種 環境庁レッドリスト

9:41p.m. JST April 12, 2000
 環境庁は12日、昆虫類、貝類、クモ類、甲殻類など無せきつい動物について、絶滅のおそれがある種をまとめたレッドリストを発表した。「絶滅危ぐ」ランクに分類された種は423種類で、1991年に作られた前回リストに比べ、319種類が加わった。ニホンザリガニ、カブトガニなどのほか、チャマダラセセリなど里山のチョウ類が目立つ。

 チョウ類は前回の8種から42種に増えた。採草や放牧に使われていた草原が減ったのが一因。ニホンザリガニは秋田県、岩手県から北海道にかけて生息しているが、農薬の使用や、北米から移入されたウチダザリガニについて持ち込まれた病原菌などが原因で減少した。

 環境庁によると、絶滅危ぐランクの種が大幅に増えたのは、生息環境の悪化のほか、近年調査が進んで危機にひんしている状況がわかってきた種が多いためと言う。

 今回のリストは、昆虫約3万種、貝約1000種、クモや甲殻類約4200種から選んだ。絶滅危ぐの内訳は、昆虫139種類、陸・淡水産貝251種類、クモ類・甲殻類などが33種類。

世界最小のほ乳類を捕獲

1999年5月28日 19時51分 共同通信社
 北海道にだけ生息し、指先に乗るほどの世界で最も小さいほ乳類の一つ、トウキョウトガリネズミの生きた個体を捕獲することに、東京都内のテレビプロダクションなどが北海道北部、幌延町のサロベツ原野で初めて成功。28日、写真を公開した。    

 トウキョウトガリネズミは、ネズミではなくモグラの仲間。シベリアから日本に分布するチビトガリネズミの日本固有の亜種で、体重は2グラム以下、尾を除く体長は約 4.5センチ。

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