TOPIC No.2-96 岡山・高3バット殴打事件

バット殴打事件 男子生徒の特別少年院送致を決定

2000.08.31(22:12)asahi.com
 野球部の後輩部員4人を金属バットで殴って重軽傷を負わせたうえ、母親を殺害したとして、殺人、同未遂、傷害の容疑で送致された岡山県立高校3年の男子生徒(17)について、岡山家裁(新井慶有裁判官)は31日、特別少年院へ送致する保護処分を決定した。岡山地検は「明確な殺意があった」などの理由で、家裁送致の際、「刑事処分が相当」との意見を付けたが、新井裁判官は「(男子生徒は)円滑な対人関係を築く能力に乏しく、長期の専門教育を受けるべきだ」とし、「2年ないし2年半の専門教育が必要」との処遇勧告をつけた。男子生徒側は2週間以内に高裁へ抗告できるが、付添人(弁護人)団は決定を受け入れる方針。男子生徒を観護している岡山少年鑑別所が全国23カ所の特別少年院の中から収容先を選ぶ。

 決定によると、新井裁判官は「重大犯罪であり、社会に与えた影響は大きい」としながらも、男子生徒が昨年秋ごろから、複数の後輩にからかいや嫌がらせを受け、事件前日の6月20日、後輩の1人から受けた(丸刈りにしないことで責め、殴るなどの)言動が限度を超えたため、抑えてきた感情が爆発したと認定。母親殺害については「自分が殺人犯になると、母がつらい思いをする。それが自分には耐えられないという自己中心的な思考によるもの」とした。

 さらに「被害者(後輩)側は厳罰を求める姿勢を示していない」「男子生徒の父親は今後も被害弁償や慰謝の措置をできる限りすることを誓っている」と述べた。

 その上で、「男子生徒は生活態度もまじめで、これまで非行歴もない。知的能力は高いが情緒性が未発達で、円滑な対人関係を築く能力に乏しい。感情の表し方が不得手で、人格に問題性がある」とし、「長期の専門的教育が必要」とした。

 少年院には初等、中等、特別、医療の4種類がある。特別少年院は犯罪傾向の進んだ16歳以上を対象とし、社会復帰に向けて行動観察や心理療法、集団生活の訓練のほか、大検や通信教育、資格取得などの教育もする。

 決定によると、男子生徒は6月21日夕、学校で後輩部員4人を金属バットで殴って重軽傷を負わせ、自宅に戻って母親(当時42)の頭を金属バットで殴って殺害した。さらに自転車で逃走し、7月6日に秋田県内で逮捕された。岡山家裁は8月7日から男子生徒の観護措置をし、心理検査や行動観察などをしてきた。

岡山バット殴打事件 校長らを処分

'00/8/12 中国新聞
 岡山県邑久郡内の県立高校三年の少年(17)=殺人などの容疑で家裁送致済み=が野球部の練習中、後輩四人に重軽傷を負わせた事件で、県教委は十一日、事件を未然に防げなかったなどとして同日付で、校長(60)を減給(十分の一、三カ月)、教頭(54)を戒告の懲戒処分に、顧問として指導が不十分だったとして、野球部長(48)と監督(36)の両教諭を文書訓告とした。

 処分理由として、少年に対し、@いじめと認められる継続的な嫌がらせがあったにもかかわらず、十分な指導をせず事件の発生を未然に防げなかったA警察への通報を救急隊任せにして、事件発生直後の通報を怠ったB結果的に母親殺害事件につながり、社会に大きな衝撃を与えた―ことを挙げている。

 また、監督が後輩部員に対し「親しき仲にも礼儀あり」「他人をとやかく言う前に自分のフォームをきっちり直せ」などと注意していたことを明らかにし、県教委は「予兆は察知していたが、いじめに発展するという認識がなかった」と説明している。

バット殴打事件の少年を家裁送致 観護措置で鑑別所へ

2000.08.07(21:48)asahi.com
 岡山県立高校3年の男子生徒(17)が金属バットで野球部の後輩部員4人を殴って重軽傷を負わせ、母親を殺害したとして逮捕された事件で、岡山地検は7日、「刑事処分相当」の意見をつけ、男子生徒を殺人、同未遂、傷害の容疑で岡山家裁へ一括送致した。岡山家裁は同日、心理検査や行動観察などのため、少年を岡山少年鑑別所に収容する2週間の観護措置を決めた。岡山地検は、自分をからかっていた後輩に事件の前日、丸刈りを巡って殴られたことで殺意を抱き、「犯罪者の親になる母親が心配で、それを見る自分もつらい」と、事件当日の午前の授業中、母親の殺害も決意したと断定。5人を殺傷した事実は重く、刑事責任を問えるとした。また、岡山県警は7日、男子生徒を殴った暴行容疑で後輩の1人を同地検へ書類送検した。

 男子生徒は6月21日夕、学校で後輩部員を金属バットで殴って重軽傷を負わせ、自転車で同県邑久(おく)郡内の自宅に戻り、居間で横になってテレビを見ていた母親の頭をいきなり金属バットで十数回殴って殺害したとされる。

 男子生徒は昨年秋ごろから、複数の後輩に走り方をまねされるなど、からかいを受けていたという。事件前日、野球部の3年生の間で決めた丸刈りの申し合わせを拒み、後輩の1人に殴られたことで、男子生徒はこの後輩を金属バットで殺害する計画を立てたという。

 母親殺害については当初、男子生徒は「母親に心配をかけたくなかった」と供述。厳しい批判にさらされる母親をふびんに思ったのが動機、とされた。だが男子生徒はその後、「犯罪者の親になる母親を見る自分が、つらくて仕方なかった」と供述。捜査当局は、「自己中心的で短絡的」な面がある、と判断した。

 山家裁は、少年の処分決定に先立ち、心理状態や行動などを調べる必要があるとして、観護措置を決定した。同時に家裁調査官が少年の生い立ちなどの成育環境を調べる。審判で刑事処分相当となれば検察官送致(逆送)され、起訴後、成人と同様の裁判を受ける。保護処分相当とされれば少年院などへ送られる。

バット殴打事件で男子生徒の父がおわびの談話

2000.08.07(21:45)asahi.com
 男子生徒の弁護団は7日の記者会見で、次のような内容の、男子生徒の父親(46)の談話を読み上げた。

 けがをされた後輩部員の方々やそのご両親には大変申し訳ないことをしたと思っております。深くおわび致します。また今回の事件で、同じ高校に通っている生徒、教職員、PTA、地域の方々に大変なご心配やご迷惑をおかけしたことを深くおわび致します。

 長男が妻に対しての殺人の罪で送致されたことについては、申し上げる言葉が見つかりません。今後とも、このことについては何も申し上げるすべがありませんので、ご理解下さるようお願いします。長男が今回自分が犯した事件の重大さを十分受け止めることができるよう、また家庭裁判所において適正な審判を受けることができるように、父親としてできる限りのことをしてやりたいと思っています。

「殺人者の親」見る自分が嫌と供述 岡山金属バット事件

2000.08.03(14:01)asahi.com
 岡山県立高校で野球部の後輩部員4人を金属バットで殴って重軽傷を負わせ、自宅で母親を殺害したとして逮捕、送検された男子生徒(17)が、母親殺害の動機について「殺人者の親になる母親を見る自分がつらく、嫌だった」という趣旨の供述をしていることが3日、同県警牛窓署捜査本部などの調べでわかった。捜査本部は、学校での殴打事件について、嫌だった丸刈りを迫られたことが動機と断定したが、母親殺害について男子生徒は当初、「(母に)心配をかけたくなかった」とだけ供述し、不明な点が残されていた。捜査本部は新たな供述から、後輩の殺害計画とあわせ、母親殺害を決意した事件の流れと動機の全容がほぼ解明できたとしている。

 調べでは、男子生徒は6月21日午後4時40分ごろ、学校の武道場で後輩部員4人を金属バットで殴打した後、午後5時10分ごろ、同県邑久(おく)郡内の自宅1階居間で母親(当時42)の頭をバットで数回殴り、殺害したとされる。事件後は自転車で逃走、15日後の7月6日に秋田県内で逮捕された。

 後輩の殴打を決意したのは事件前日。昨年夏ごろから、自分をからかっていた後輩に、ほかの3年生部員が丸刈りにするのに、自分は同意しないことを批判され、殴られたという。1度は丸刈りを受け入れようとしたが、帰宅後、「去年やってみて、なじめなかった丸刈りはやはり嫌だ」という思いが強まった。抵抗するだけでは、からかいなどがかえってひどくなると考え、翌日の練習のときに後輩を金属バットで殺害することを計画したという。

 母親殺害は事件当日の午前の授業中に決意したという。普段は残さず食べていた母親手作りの弁当を半分近く残し、思い悩んだ様子がみられたという。

 男子生徒は逮捕当初、母親殺害について「(母に)心配をかけたくなかった」と供述。その後の調べに対し、「心配」の内容として「殺人者の親にしてしまう」「世間が騒ぐ」と母親をふびんに思う一方で、「それを見る自分がつらい」と自己中心的とも受け取れる趣旨の供述をしたという。

バット殴打少年、横たわる母をいきなり

'00/7/23 中国新聞
 金属バット殴打事件で、岡山県警捜査本部は二十二日、母親をバットで殴り殺したとして、邑久郡内の県立高校三年の少年(17)=野球部後輩に対する殺人未遂と傷害の容疑で送検済み=を殺人の疑いで岡山地検に追送検、岡山地裁は十日間の拘置を認めた。捜査本部の調べに対し、少年は「(後輩殴打で)騒ぎになり、母親が周りからいろいろ言われる」などと動機を供述している。

 少年はこれまで、重傷を負わせた後輩を殺したと思い込み、「母親に心配を掛けたくない」と思って殺害したと供述していた。捜査本部は、少年が母親を気遣う一方で、犯行を知られたくないとの思いも複雑に絡み合い、事件を殺人までエスカレートさせたとの見方を強めているが、事件の背景に母親との確執があった可能性もあり、さらに動機の解明を進める。

 これまでの調べで、少年は高校から自宅に戻った直後に、横になっていた母親をいきなりバットで殴ったことが判明している。犯行直前に口論などしていないことから、少年が母親への殺意を抱いたのは、後輩への殺意を固めた事件前日から後輩殴打後に自宅に帰るまでの間のいずれかの時点と、捜査本部はみている。

殺人容疑で男子生徒を送検 岡山金属バット事件

2000.07.22(10:53)asahi.com
 岡山県立高校3年の男子生徒(17)が野球部の後輩部員4人を金属バットで殴って重軽傷を負わせたとして殺人未遂と傷害の疑いで逮捕、送検され、母親の殺害容疑でも再逮捕された事件で、岡山県警の牛窓署捜査本部は22日午前、男子生徒の身柄を殺人の疑いで岡山地検に送った。

 調べでは、男子生徒は6月21日午後5時10分ごろ、同県邑久(おく)郡内の自宅4畳半で、母親(42)の頭をバットで数回殴り、頭の骨を折るなどさせて殺害した疑い。男子生徒は殺人容疑を認めており、後輩を殴って死なせたと思い込み、「母親に心配かけたくなかった」と話しているという。捜査本部は、男子生徒の話す内容に不自然な点があるとして、さらに詳しく調べる。

少年立ち会い殴打再現 岡山のバット殴打事件

'00/7/19 中国新聞

 岡山の金属バット殴打事件で、岡山県警牛窓署捜査本部は十九日午後、高校野球部の後輩四人をバットで殴打して重軽傷を負わせたとして、殺人未遂容疑などで逮捕した高校三年の少年(17)を立ち会わせ、事件の状況を再現する実況見分を行った。

 見分終了で、後輩殴打事件に関する捜査はほぼ最終段階を迎えた。捜査本部は近く、母親(42)を殺害したとして殺人容疑で少年を再逮捕する方針。

 捜査本部によると、実況見分は少年が拘置されている牛窓署三階の柔道場で約一時間かけて実施、岡山地検検事も立ち会った。事件当日、少年が部活動の練習に加わった時点から、後輩を殴打して逃走するまでを再現した。少年の記憶は鮮明で、立ち会いに動揺した様子はなかったという。

 一方、少年に接見した弁護士は同日、少年が後輩殴打を決意したのは、事件の前日だったことを明らかにした。

 調べでは、少年は六月二十一日夕、雨天のため高校の柔道場で部活中、普段から少年をからかうなどしていた後輩(17)ら四人をバットで殴打、重軽傷を負わせた疑い。その後、母親を別のバットで殴って殺害した疑いも持たれている。

金属バット殴打容疑の少年、ノートに母親拒むような言葉

2000.07.16(03:20)asahi.com
 金属バットで野球部の後輩部員4人を殴って重軽傷を負わせたとして殺人未遂と傷害の疑いで逮捕、送検された岡山県立高校3年の男子生徒(17)が、母親を殺害したことも認めているとされる事件で、男子生徒の数冊のノートに、「うるさい」などと母親を拒んでいるように受け取れる言葉が書かれていたことが、同県警牛窓署捜査本部の15日までの調べでわかった。また、ノートに書いていた小説風の文章の主人公と同様、男子生徒が実際に昆虫やトカゲなどを引きちぎっていたことも新たに判明した。男子生徒は母親が野球部のことなどに関心を寄せるのを嫌がっていたという。後輩部員によるからかいなども苦痛で、文章を書いたり、昆虫を殺したりすることで発散しようとしたが耐え切れず、後輩部員と同時に母親も殺害しようと考えた可能性があるとみている。

 捜査本部は6月21日の事件発生後、男子生徒の自宅からノート類を押収したほか、学校に残されていたかばんなどの任意提出も受けた。ノートのいくつかのページには、短い文章で、「うるさい」などと、母親を拒んでいるように受け取れる表現がいくつか書かれていたという。

 逮捕されたときに持っていた家計簿の事件当日の備考欄に、母親のフルネームを呼び捨てにして「○○○を狩った」と書いていたこともわかっている。

 母親は中学生だった男子生徒が野球の試合で登録選手からはずされそうになったとき、指導者に掛け合ったという。高校では部活のことで注文をつけたり、試合のときに声を出して応援したりしており、男子生徒はこれらのことを嫌がっていたという。

 男子生徒が書いていたノート約3ページ分の小説風の文章の題は「闇(やみ)の狩人」。主人公の少年が、別の少年の家に侵入し、棒でこの少年を殴って殺害するという筋書きで、主人公はまじめに見えるが、平然と生き物を殺せる人物として描かれているという。男子生徒は近所の山中で昆虫やトカゲなどのは虫類を見つけて引き裂くなどしていたといい、自分を主人公に重ねていたことがうかがえる。

事件前日、日記に「丸刈りいやだ」 岡山殴打事件の少年

2000.07.14(03:07)asahi.com
 金属バットで野球部員の後輩4人を殴って重軽傷を負わせたとして、殺人未遂と傷害の疑いで岡山県立高校3年の男子生徒(17)が逮捕、送検された事件で、この男子生徒が秋田県内で逮捕されたときに持っていた家計簿に、「丸刈りはいやだ」という趣旨の記載があることが13日、岡山県警の牛窓署捜査本部の調べでわかった。頭を殴られて重傷を負った後輩部員との間で、男子生徒が丸刈りにするかどうかをめぐってトラブルがあったとされ、捜査本部は動機にかかわる重要な手がかりになるとみて注目している。

 調べによると、男子生徒は逃亡中、支出や野宿地点などを家計簿に克明に記していた。家計簿への記載は今年1月ごろから始まっており、事件前日の6月20日の備考欄に、男子生徒が金属バットで頭を殴って重傷を負わせた後輩部員の名字が記されていた。さらにこの名字に続くようにして「丸刈りはいやだ」などという内容の書き込みがあったという。同じ日付の備考欄には、相手を特定しないで「明日狩りを決行する」と記してあったことがこれまでの調べでわかっている。

 この男子生徒が所属する野球部では3年生全員が丸刈りにすることで合意していたが、男子生徒は丸刈りにするのを渋っていたという。さらに、丸刈りについての書き込みがあったのと同じ6月20日の部活動中に、男子生徒は後輩部員から「丸刈りにしないのか」と言われたり、殴られたりしたという。男子生徒は日ごろから、後輩部員に練習中のかけ声をまねされるなど、からかいの対象にされていたとされる。

「からかいあった」 バット殴打事件で校長が認める

2000.07.12(03:02)asahi.com
 岡山県内の県立高校3年の男子生徒(17)が野球部の後輩4人を金属バットで殴って重軽傷を負わせたとして殺人未遂と傷害の疑いで逮捕、送検された事件で、6月21日の事件発生後から今月6日の逮捕直後まで一貫して「野球部内でトラブルはなかった」と話していた校長が11日、「少なくともからかいの事実はあった」とこれまでの発言を撤回した。教師からだけの報告をもとに「なかった」としていたが、県教委の指導で部員から事情を聴き、認識を改めたという。同校はさらに詳しく調査を進め、近く県教委へ報告書を提出するという。いじめとも受け取れるからかいの事実は、犯行の動機につながる可能性があり、県教委内部からも高校の対応に批判が出ている。

 校長は翌22日の記者会見で、事件の背景について「これと言って思い当たらない。野球部の顧問(部長)は部内でいじめの事実はないとしているし、(男子生徒の)担任教諭も、悩んでいるようなふしはなかったとしている」などと述べた。

 男子生徒が今月6日に逃走先の秋田県内で逮捕された翌日も、校長は学校で報道陣に対して「下級生とのトラブルなどは確認できていない」と話していた。

 しかし、この間、捜査本部の調べなどで、男子生徒は練習中に下級生からボールをぶつけられたり、掛け声や走り方をまねされたり、柔道の足技をかけられたりといったからかいを受けていたことがわかった。

 県教委内部で「様々な話が出てきているのに、高校からは十分な報告が上がっていない」と問題になり、「速やかに報告書を出すように」と指導。このため、同校は男子生徒が逮捕された後、改めて野球部員らに事情を聴いたところ、一連の事実がわかったという。校長は「これまで学校内の調査が十分でなかった。報告書をまとめた段階で会見をしておわびしたい」と話している。

少年、自転車3回盗む バット殴打 -逃走ルート判明 京都抜け、日本海へ-

2000.07.10 The Sankei Shimbun
 岡山の金属バット殴打事件で、野球部の後輩に対する殺人未遂などの疑いで逮捕された少年(一七)の十六日間、約千キロにわたる詳細な逃走経路の全容が十日、岡山県警牛窓署捜査本部の調べで判明した。また少年は「自転車の盗みを三回繰り返した」と供述しており、捜査本部は当初逃走に使った自転車を京都府内で発見、押収した。

 調べでは、少年は六月二十一日午後五時すぎ、自分の自転車で自宅を出て東進。備前市内に入り、さらに国道2号を兵庫県に向けて走った。同日夜は兵庫県上郡町の公園で仮眠。二十二日は国道2号などを使ってさらに東に走り、同県西宮市内の道路高架橋の下で野宿した。

 二十三日は、同市から北上、京都府福知山市に到着。この際、自転車が故障したため、別の自転車を盗み、同県舞鶴市方向へ向かった。最初の自転車は、七月九日午前十時ごろ、福知山市堀のJR福知山駅から南東約二キロにある通称「平和墓地」参道わきの笹やぶで、岡山県警捜査員が発見。笹やぶの中に、横向きに隠された状態だったという。

 自転車はチェーンが外れていたが、かぎはかかっていなかった。後輪泥よけの高校のステッカーと、前輪泥よけに書いていた氏名を黒のビニールテープを張って隠していた。

 少年の供述では、六月二十三日に最初の自転車を乗り換えて以降は、おもに国道、幹線道路を走り、二十四日に福井県三方町、二十五日に同県武生市、二十六日に福井市、二十七日に金沢市、二十八日に富山県福光町、二十九日に新潟県糸魚川市、三十日に同県上越市、七月一日、二日に同県長岡市、三日に新潟市、四日に同県村上市、五日に山形県酒田市、六日に逮捕された秋田県本荘市内を走った。自転車の乗り換えは計三回。いずれも故障のため、盗んだという。

バット殴打容疑の少年、母親を「狩った」と家計簿に

2000.07.10(16:09)asahi.com
 後輩の野球部員4人を金属バットで殴って重軽傷を負わせたとして殺人未遂と傷害の疑いで指名手配され、自転車で秋田県まで逃走し、逮捕、送検された岡山県立高校3年の男子生徒(17)が、逃亡中につけていた家計簿に、母親の氏名を呼び捨てにして「狩った」と記していたことが、岡山県警捜査1課の牛窓署捜査本部の調べで10日までに分かった。男子生徒は、母親を金属バットで殴って殺害したことを認めているが、「後輩から丸刈りにするよう言われて殺すしかないと考え、親にも迷惑がかかるため殺そうと思った」と供述。しかし、家計簿に残された表現や、自宅で母親を殺害して逃走したとされるまで極めて短時間だった点などから、捜査本部は、母親の殺害についても事前に綿密な計画を立てていた可能性があるとみている。

 調べによると、男子生徒が逃亡中の支出や野宿先などを克明につけていた家計簿には、事件の起きた6月21日付の備考欄に、母親のフルネームを呼び捨てにし、「○○○を狩った」と記されていた。

 また、この欄には、やはり金属バットで頭部を殴り、重傷を負わせた後輩部員の名字も書かれていた。

 この家計簿には、前日の20日付の備考欄に「明日狩りを決行する」という書き込みがあったが、攻撃する相手の名は書かれていなかったという。

 男子生徒が学校の武道場で後輩部員を金属バットで殴ったのは21日午後4時40分ごろ。自転車で自宅へ戻った男子生徒が、再び自転車で自宅を出たのが約20分後の同5時ごろ。学校から自宅までは、男子生徒が全速力で自転車をこいでも約15分かかるという。

 自宅でユニホームから青い長そでシャツと黒ズボンに着替えたり、お年玉や携帯ゲーム機、人気キャラクター「ポケットモンスター」のカードなどをリュックサックに詰め込んだりして、自宅にあった金属バットで母親を殺害し、自宅を出るまで約5分間しかなかった計算になる。

「あす狩りを決行」のメモ 岡山バット殴打事件

2000.07.08(18:48)asahi.com
 岡山県内の県立高校で、後輩の野球部員4人を金属バットで殴って重軽傷を負わせたとして殺人未遂と傷害の疑いで指名手配され、秋田県内で逮捕された同校3年の男子生徒(17)が、逮捕されたときに所持していた日記に「あす狩りを決行する」と書き込んでいたことが、岡山県警捜査一課の牛窓署捜査本部の調べで8日わかった。事件前日に後輩部員に殴られるなどしており、捜査本部はそのときに下級生をバットで殴打しようと決意した可能性が高いとみている。

 捜査本部によると、日記の記載は1年以上前から始まっている。事件前日の6月20日付で「あす狩りを決行する」と書いていたが、母親に対する記述は見当たらなかったという。その約1カ月前には、別の大学ノートにも「闇(やみ)の狩人」と題した「小説」風の文章を書いており、その中で後輩部員らしい人物を殺害する内容の記述があり、捜査本部が自宅から押収している。

 関係者によると、男子生徒は野球部の練習中にボールをぶつけられたり、かけ声をまねされたりするなど、普段から下級生のからかいの対象になっていたという。事件前日には夏の大会に向けて丸刈りにしようと申し合わせたが、男子生徒は同調しなかった。またこの日、下級生に殴られ、部室を飛び出してグラウンドに大の字になって耐えていたという。

 調べに対し、男子生徒は「後輩から丸刈りにするように言われて、殺すしかないと考え、親にも迷惑がかかるため、殺そうと思った」と供述しているという。捜査本部は、下級生のからかいに日ごろから恨みを募らせていた男子生徒が、事件前日の丸刈り問題と下級生に殴られたことなどを引き金にして、事件を起こした可能性が高いとみている。

男子生徒の逃走ルートほぼ解明 岡山のバット殴打事件

2000.07.08(14:57)asahi.com
 岡山県内の県立高校で野球部に所属する3年生の男子生徒(17)が、同部の後輩4人を金属バットで殴って重軽傷を負わせたとして殺人未遂と傷害の疑いで指名手配され、15日ぶりに秋田県内で逮捕された事件で、岡山県警捜査一課の牛窓署捜査本部は8日、男子生徒の逃走ルートをほぼ解明した。所持していた日記に野宿した地点を男子生徒が克明に記録していた。岡山県邑久(おく)郡内の自宅を自転車で出た後、瀬戸内海沿いに東進し、兵庫県明石市付近で北へ進路を変え、京都府内で日本海側へ出た後、福井、富山などを通って、自宅から約1300キロ離れた秋田県へ達していた。男子生徒は昨年6月、修学旅行で訪れた北海道の思い出を大事にしていたといい、「もう1度、札幌などへ行きたかった」と供述しているという。

 捜査本部は、男子生徒は6月21日の夕方、高校の武道場で下級生の野球部員の頭部を金属バットで殴って重傷を負わせ、ほかの下級生3人にもけがをさせた直後に自宅へ戻り、母親の頭部を自宅に置いてあった別の金属バットで殴り、死亡させたとみている。

 男子生徒は大切にしていた人気キャラクター「ポケットモンスター」のカード多数のほか、携帯ゲーム機、ゲームのマニュアル本などをリュックサックに詰め込み、自転車で東へ逃走した。

 男子生徒は6日午後、秋田県内で同県警本荘署員に逮捕されたとき、日記を所持していた。自宅を出てから秋田県に至るまで、野宿していた地名をこれにくわしく書き込んでいた。

 日記には、岡山県内の地名は書かれておらず、逃走した日に兵庫県内へ入っていたことがわかるという。

 男子生徒は国道2号で兵庫県内を東へ進み、明石市付近で北へ向かい、京都府内で日本海側へ出た後、福井県鯖江市、石川、富山、新潟、山形の各県を通過していた。

 男子生徒は地図を持たず、自転車を乗り継いでひたすら北を目指したが、6日になってたどり着いた秋田県内で初めて東北地方の地図を購入、その直後に逮捕された。この地図には北海道へ渡るためのフェリーの発着場も記載されており、北海道行きを強く意識していたことがうかがえるという。

高3生徒を送検 岡山のバット殴打事件

2000.07.08(13:38)asahi.com
 岡山県警捜査一課の牛窓署捜査本部は8日、県立高校で後輩の野球部員4人を金属バットで殴って重軽傷を負わせたとする殺人未遂と傷害の疑いで、同高3年の男子生徒(17)を岡山地検に送検し、同地裁は同日、岡山地裁に10日間の勾留(こうりゅう)を請求し、認められた。また、捜査本部は同日午前の記者会見で、後輩らを殴った直後にこの男子生徒が同県邑久(おく)郡にある自宅に戻り、母親(42)の頭部を別の金属バットで殴って殺害したとして、高校での事件の捜査が終わり次第、殺人容疑で再逮捕する方針を明らかにした。

 調べによると、男子生徒は6月21日午後4時40分ごろ、高校の武道場で下級生の野球部員の頭部を金属バットで3回殴って重傷を負わせ、ほかの下級生3人にもけがをさせた疑い。

 牛窓署の裏口を覆っていた青いビニールシートが開けられ、男子生徒を乗せたワゴン車が午前8時半すぎ、2台のパトカーに挟まれるようにして署を出発。後部座席の窓には黒いフィルムが張られて男子生徒の姿は見えず、同9時20分すぎに岡山市内の同地検に到着した。

リュックの半分ポケモンカード バット殴打の容疑少年

2000.07.08(07:46)asahi.com
 岡山県内の県立高校で後輩の野球部員らを金属バットで殴打し、4人に重軽傷を負わせたとして殺人未遂と傷害容疑で逮捕された3年生の男子生徒(17)が、収集していた人気キャラクター「ポケットモンスター」のカードを、岡山県邑久(おく)郡の自宅から大量に持ち出していたことが7日、県警捜査1課の牛窓署捜査本部の調べで分かった。逮捕時に持っていたリュックサックの半分程度までカードを詰め込んでいたという。捜査本部は高校での事件直後に、男子生徒が自宅で母親(42)を別の金属バットで殴って殺害したとみており、2つの事件の後、秋田県まで自転車で逃げた男子生徒の心理状態解明の手掛かりになるとしている。

 調べによると、男子生徒はポケモンカードの収集が趣味で、自室の箱などに3000枚前後ものカードを保管していた。男子生徒が逮捕されたとき、リュックサックの中にはTシャツくらいしか生活必需品はなく、ポケモンカードが大量に詰め込まれていたという。

 カードのほか、携帯用ゲーム機やソフト、ゲームのマニュアル本などもあった。男子生徒は携帯用ゲーム機のポケモンを題材にしたゲームにも熱中していたという。

 ポケモンカードの発売元「メディアファクトリー」(東京都渋谷区)によると、約250種類のキャラクターを描いたカードは、全部で約800種類ある。互いにカードを出し合って、カードに記された「技」の優劣などで勝敗を決めたり、収集のためにカードを交換し合ったりもするという。同社の担当者は「全国の小学生の7割がポケモンカードを持っているが、所有枚数はせいぜい200枚程度。1人で数千枚を持っている例はほとんど聞かない」と話している。

 中学時代の教諭らによると、男子生徒はまじめな性格で、しかられることもほとんどなかった。中学時代も野球部に所属し、高校受験を控えて早朝練習がなくなった時期にも、真っ先に登校して教室の窓を開けていたという。ただ、手を挙げて発言するような積極的なタイプではなかったという。

テレビニュースで母の死知る 岡山バット殴打の容疑少年

2000.07.07(22:30)asahi.com
 岡山県内の県立高校で後輩の野球部員らを金属バットで殴打し、4人に重軽傷を負わせたとして殺人未遂などで逮捕された男子生徒(17)の父親(46)が7日、3人の弁護士を選任し、うち2人が同日夕、捜査本部のある牛窓署で男子生徒と接見した。接見後に会見に応じ、「男子生徒はレストランのテレビのニュースで母親が亡くなったことを知ったと話している」と述べた。

 弁護士によると、男子生徒は「全体的につらそうな感じで疲れ果てており、いわば放心状態。(質問に)ぽつぽつと答えた」という。今後の調べの流れなどがよく理解できず、「自分がどうなっていくのか気になっているようだ」とも話した。

 母の話になると思い詰めた様子で、後悔しているようだったといい、「けがをした下級生は回復に向かっている」と伝えると、ほっとした表情になったという。

岡山バット殴打事件で逮捕の少年 容疑大筋で認める

2000.07.07(01:40)asahi.com
 岡山県内の県立高校で6月21日、後輩部員4人を金属バットで殴り、重軽傷を負わせたとして、殺人未遂などの容疑で岡山県警から指名手配されていた野球部員の3年の男子生徒(17)が6日夕、秋田県内で秋田県警の捜査員に発見され、逮捕された。男子生徒の身柄は同日夜、航空機などで岡山県警に移送された。調べに対し、生徒は容疑を大筋で認め、「金属バットで人を殺してきた」と供述しているという。

 調べでは、男子生徒は6月21日午後4時40分ごろ、岡山県内の県立高校で、練習中の野球部員の後輩4人をバットで殴って重軽傷を負わせた疑い。

 一方、約1時間後の同日午後5時40分ごろ、同県邑久(おく)郡にある生徒の自宅で、生徒の母親(42)が頭から血を流して倒れているのを帰宅した父親(46)が発見、母親は病院に運ばれたがすでに死亡していた。凶器と見られる男子生徒の金属バットや脱ぎ捨てた状態のユニホームが自宅で見つかった。岡山県警は母親を殺害した疑いが強いとみて調べを進める。

 岡山県警捜査一課と牛窓署は22日、学校で男子生徒が後輩を殴った事件について、男子生徒を殺人未遂と傷害の容疑で指名手配していた。

 事件の背景には当初、野球部内で「丸刈り」にするかどうかのいさかいがあったとみられていた。しかし、その後の調べで、男子生徒が後輩から日常的にからかわれていたことが判明。捜査本部は下級生への恨みを募らせていた可能性が高いとみている。

 一方、秋田県警によると、6日正午ごろ、秋田県境に近い山形県遊佐町内の国道7号でリュックサックを背負った自転車の少年をトラックの運転手(24)が発見、不審に思い、山形県警酒田署に携帯電話で手配の少年ではないかと通報した。同署員が周辺を警戒するとともに、隣接する秋田県警にも通報した。

 その後、同日午後3時35分ごろ、秋田県警象潟署員が、同県西目町内で生徒を発見。その15分後、本荘署員が本荘市内で生徒に同署への任意同行を求め、事情を聴いていた。

 生徒は、署員から名前などを聴かれ、素直に名前、住所、生年月日を答えたという。手配少年と指紋が一致したため、同日午後5時半過ぎに逮捕した。逮捕時はデニム地の長そでシャツに黒のトレパン姿で、白いスニーカーをはいていた。紺色のリュックサックを背負っていたという。

 男子生徒は、自宅を出た時には数万円を持っていた。逮捕された時には所持金は数千円だった。乗っていた自転車は、最初に逃げた時の自転車とは違っていた。生徒は自転車は盗んだものだと供述しているという。

 秋田県警は、自転車で日本海沿いに北上していたとみている。

 男子生徒は6日夜、秋田県警の捜査員に伴われ、秋田空港から大阪空港に到着し、車で牛窓署に向かった。

岡山バット殴打事件で逮捕の少年「母親を殴った」と供述

2000.07.06(21:42)asahi.com
 岡山県内の県立高校で6月21日、野球部員の3年の男子生徒(17)が後輩部員4人を金属バットで殴って重軽傷を負わせ、所在不明になっていた事件で、同県警捜査一課の牛窓署捜査本部から殺人未遂と傷害の疑いで指名手配されていた男子生徒が6日夕、秋田県本荘市内で自転車に乗っているところを本荘署員に見つかり、逮捕された。事件直後、岡山県邑久郡にある男子生徒の自宅で母親(42)が金属バットで頭を殴られて死んでいるのが見つかっているが、調べに対して男子生徒は「母親を殴った」と供述しているといい、捜査本部は母親の殺人容疑でも捜査を進める。

 事件発生から16日。同捜査本部は、男子生徒が岡山県邑久郡から約1000キロ離れた秋田県本荘市までどのように逃げたかについても調べる。男子生徒はこの日夜、秋田県警の捜査員に伴われて秋田空港から大阪・伊丹空港に到着し、車で牛窓署に向かった。

 秋田県警によると、6日正午ごろ、秋田県境に近い山形県遊佐町内で男子生徒らしい少年が自転車に乗っているのをトラックの運転手が発見。山形県警酒田署に携帯電話で「遊佐町の国道7号で、黒い自転車に乗った少年を見かけた」と通報した。同署員が周辺を警戒するとともに、隣接する秋田県警にも通報した。

 その後、同日午後3時35分ごろ、秋田県警象潟署員が、同県西目町内で生徒を発見。本荘署に任意同行を求めて生徒から事情を聴いていた。少年は逮捕された時、署員から名前などを聴かれ、手配の生徒と同じ名前、住所、生年月日を正確に答えたという。

 逮捕時はデニム地の長そでシャツに黒のトレパン姿で、白いスニーカーをはいていた。紺色のリュックサックを背負い、手配時とは違う自転車に乗っていたという。秋田県警は、自転車で日本海沿いに北上していたとみている。

 調べによると、男子生徒は6月21日午後4時40分ごろ、野球部員が練習していた高校の武道場で、2年生部員ら後輩4人の頭などをバットで殴り、重軽傷を負わせた疑い。約1時間後の同5時40分ごろには、学校から殴打事件の知らせを受けて帰宅した父親(46)が、頭を殴られて倒れている母親を見つけた。近くに血のついた別の金属バットと、男子生徒が着ていたユニホームが脱ぎ捨てられていた。

 この直前の午後5時ごろ、自転車で自宅をあとにする男子生徒の姿が近所の女性に目撃されているが、その後、はっきりした足取りは途絶えたままだった。自宅を出た時には数万円を持って出ており、逮捕された時に乗っていた自転車は、最初の自転車とは違っていたという。

 事件の背景には当初、野球部内で「丸刈り」にするかどうかとのいさかいが背景にあったとみられていた。しかし、捜査本部の調べでは、男子生徒は野球部の後輩から動作などを指摘した日常的なからかいの対象になっていたことが判明。自宅から押収したノートには事件前に書いた小説風の文章の中で、下級生部員を殺害する内容を記していた。捜査本部では、下級生に対する恨みを募らせていた可能性が高いと見ており、詳しい動機を聴く。

秋田県内で指名手配の少年を逮捕 岡山バット殴打事件

2000.07.06(18:34)asahi.com
 岡山県内の県立高校で6月21日、野球部員の3年男子生徒(17)が後輩部員4人を金属バットで殴って重軽傷を負わせ所在不明になった事件で、秋田県警は6日、岡山県警から殺人未遂と傷害の疑いで指名手配されていた男子生徒を秋田県西目町で見つけ、逮捕した。男子生徒は事件直後、自転車に乗って岡山県邑久(おく)郡の自宅から逃走していた。自宅では母親(42)が頭を殴られて殺害されているのが見つかっており、岡山県警は男子生徒が殺害した疑いがあるとみて殺人容疑でも捜査を進める。

 調べによると、男子生徒は6月21日午後4時40分ごろ、県立高校の武道場で野球部の練習をしていた2年生部員(17)ら後輩4人の頭などを金属バットで殴り、重軽傷を負わせた疑い。約1時間後の同日午後5時40分ごろ、学校から事件の連絡を受けて帰宅した父親(46)が、血を流して倒れている母親を発見。凶器とみられる男子生徒の金属バットや脱ぎ捨てた状態のユニホームが自宅で見つかった。この直前、普段着姿の男子生徒が自転車で自宅から出ていくのを近所の女性(76)が目撃していた。

 県警捜査一課は同23日、学校での事件について、男子生徒を殺人未遂と傷害容疑で指名手配。逃走に使われたのと同型の自転車の写真を公開し、地元の消防団や漁協などの協力を得て隣接県や瀬戸内海で大規模な捜索を進めていた。

「少年遺体で発見」「少年逮捕」 NHKが誤報テロップ

2000.07.01(23:31)asahi.com
 岡山県内の県立高校で野球部の3年の男子生徒(17)が後輩部員4人を金属バットで殴った後、行方不明になっている事件で、1日夜に同県内で放送されたNHK総合テレビのニュース番組中に、男子生徒の逮捕と遺体発見を知らせる2種類のテロップが相次いで流れた。あらかじめ用意していたテロップが緊急文字発生装置の誤作動で流れたとみられ、NHK岡山放送局は約30分後、ニュースの時間を使ってアナウンサーがおわびと訂正を伝えた。

 テロップが流れたのは、午後7時15分すぎ。「ニュース7」の番組の中で、「NHKニュース速報」の文字に続いて、「バット殴打事件で 岡山県警 手配の少年を香川県で逮捕」と「バット殴打事件で 手配の少年(空白)で遺体で発見」のテロップが約1秒の間に続けて流れた。その直後から、同放送局には視聴者から内容を確かめる電話が相次いだ。

 NHK岡山放送局によると、県北部に出ていた大雨洪水警報の解除を伝えるテロップを県内向けに流そうと記者が緊急文字発生装置を操作したところ、殴打事件の2つのテロップが先に流れた。送信前に警報解除のテロップと確認しており、同放送局は同装置の誤作動とみて原因を調べている。

 ◇NHK岡山放送局の河村正一・放送部長の話◇

 県民の関心が高い時期にお騒がせして大変申し訳ない。以後、絶対にこのようなことは起きないようにする。

岡山のバット殴打事件 香川県内で男子生徒の目撃情報

2000.06.22(23:06)asahi.com
 岡山県内の県立高校で野球部員の3年の男子生徒(17)が後輩部員4人を金属バットで殴り重軽傷を負わせて所在不明になっている事件で、県警捜査一課の牛窓署捜査本部に、香川県三木町などの住民から「男子生徒に似た少年を見かけた」という複数の目撃情報が寄せられていることが30日、わかった。

 捜査本部は逃走中の男子生徒と顔や髪形、服装などがよく似ていることから「有力な情報」として捜査員十数人を現地に派遣。香川県警とともに同町周辺を捜索している。

 調べでは、29日午前9時半ごろ、徳島県境に近い香川県三木町奥山の民家を見知らぬ少年が訪れ、「おなかがすいているので、何か食べさせて下さい」と依頼。応対した女性が断り、「どこへ行くの」と尋ねると、東に約5キロ離れた四国霊場88カ所の1つ、大窪寺(香川県長尾町)の名を挙げ、自転車で走り去った。女性が不審に思い、警察に通報した。

 目撃した複数の人によると、少年は高校生風で頭髪はスポーツ刈り、紺のTシャツ、黒っぽいズボン姿、運動靴をはき、リュックサックを背負っていた。香川県警の捜査員から男子生徒の顔写真を見せられ、いずれも「似ていると思った」という。

 捜査本部によると、このほか目撃情報はいずれも29日、三木町と西隣の塩江町などで数件あった。身長や髪形、年齢などが共通しており、少年は同一人物とみられる。男子生徒が所在不明になる前の服装は白いシャツに、黒いズボン姿でリュックサックを背負っていた。

 捜査本部は、男子生徒が岡山県内の港からフェリーを使って対岸の香川県に渡った可能性はないか、各港での聞き込み捜査を続けている。

160人態勢で少年捜索 -船舶13隻で海からも-

2000.06.28 The Sankei Shimbun
 岡山県邑久町の県立邑久高校で、三年生の少年(一七)が野球部の後輩四人を金属バットで殴り重軽傷を負わせた後、自宅(同県長船町)で母親(四二)を撲殺した疑いが持たれている事件で、岡山県警捜査本部は二十八日、地元漁協や玉野海上保安部の協力を得て、自宅近くの海岸線沿いなどの捜索に乗り出した。

 捜索には地元消防団の約八十人も参加。警察犬なども投入した事件後最大の約百六十人態勢となった。捜索は午前十時に始まり、漁協の漁船十隻と海保の警備艇など二隻、県警の警備艇一隻も出動。地元消防団は自宅周辺の山を捜索し、邑久高校の同窓会も自主的に捜索するという。

 捜査本部は当初、自宅周辺を捜索したが、その後、JR線を利用して遠方に逃げた可能性もあるとみて広島、兵庫の駅まで捜索範囲を広げた。

少年が乗った同型の自転車を公開

2000.06.25 The Sankei Shimbun
 岡山県邑久町の県立邑久高校で二十一日、三年生の少年(17)が野球部の後輩四人を金属バットで殴って重軽傷を負わせ、自宅で母親を殴り殺した疑いが持たれている事件で、岡山県警捜査本部は二十五日、少年が自宅から逃走する際に乗っていた自転車と同型の自転車の写真を公開、情報提供を呼び掛けた。

 捜査本部によると、自転車は宮田工業製の「ミヤタ」で、男性用、車輪の直径は二十七インチ。変速ギアや黒い前かごが付いている。後部泥よけに緑色のシールが張られ、「1998 邑久高」などと書かれていた。防犯登録などから型が判明した。

 事件から五日目の捜索となった二十五日、捜査本部は約八十人態勢で、少年の自宅近くを通るJR赤穂線の沿線駅などを調べている。

 情報は捜査本部、電話0869(34)6110まで。

殺人未遂容疑で指名手配 岡山のバット殴打事件

2000.06.22(14:46)asahi.com
 岡山県内の県立高校で21日、野球部員の3年の男子生徒(17)が後輩部員4人を金属バットで殴って重軽傷を負わせ所在不明になっている事件で、男子生徒の母親(42)が殺されていた同県邑久(おく)郡の自宅の殺害現場に別の金属バットと男子生徒のユニホームが残されていたことが22日、県警捜査一課と牛窓署の調べでわかった。捜査一課はこのバットが母親殺害に使われた凶器とみて押収するとともに、学校での事件で殺人未遂と傷害容疑で男子生徒の逮捕状を取って指名手配した。捜査一課は男子生徒がいったん帰宅して母親を殺害後に着替えて外出したとの見方を強め、牛窓署に捜査本部を設置、男子生徒の所在確認を進めている。また丸刈りをめぐるトラブルが犯行の引き金になった可能性があるとみている。

 調べによると、男子生徒は21日午後4時40分ごろ、学校の武道場で野球部員が練習中、2年生部員(17)ら後輩4人をバットで殴って重軽傷を負わせ、ユニホーム姿のまま所在がわからなくなった。後輩を殴ったバットは武道場に残されており、自宅からは別の金属バットが見つかった。

 男子生徒の自宅近くに住む女性(76)は21日夕、納屋の前に置いていた自転車に乗り、坂を下りていく男子生徒の姿を見かけたという。女性は「黒いズボン、白いシャツで、学校に行くような格好だった。黒いリュックを背負っており、普段と変わった感じはなかった」と話している。捜査本部は、男子生徒が母親殺害後に自転車で外出したとみて、捜査員約80人で自宅周辺を捜索している。

 関係者の話によると、男子生徒の所属する野球部では、事件前日の20日夕、夏の大会に向けて3年生は丸刈りにしようと申し合わせたが、男子生徒は同調しなかった。その後、2年生部員から「ほかの先輩は丸刈りにしているのに、どうしてしないのか」と言われ、「しない」と答えたという。

 事件当日、男子生徒は午後4時半ごろ、補習のため遅れて練習に参加。その際、2年生部員が1年生の部員らに「1年生も丸刈りにしろよ」などと言っているのを見て、男子生徒がいきなり2年生部員をバットで殴ったという。

殴打事件の高校で全校集会 男子生徒は不明のまま

2000.06.22(14:45)asahi.com
 岡山県内の県立高校で、3年の野球部員の男子生徒(17)がチームメートの野球部員4人と自分の母親(42)を相次いで殴ったとみられる死傷事件から一夜明けた22日、男子生徒の通う高校では全校集会が開かれ、校長が事件について説明をした。突然起きた惨劇に、教諭や生徒たちはいずれも動揺を隠せない様子だった。一方、同県邑久(おく)郡内の男子生徒の自宅周辺では、県警などが夜を徹して男子生徒の捜索を続けているが、依然、行方は分かっていない。

 県立高校では午前7時半ごろから、小雨の中を生徒が登校し始め、一様に硬い表情で校門をくぐった。

 事件当時、野球部員4人が殴られた武道場とは別棟の校舎1階にいた1年生の男子生徒(16)は、野球部の友人が「ハプニングや」と大声で叫んで校舎に飛び込むのを見た。武道場に行くと、後頭部から血を流した野球部員が倒れており、教諭たちが応急手当てをしていたといい、「学校でこんなことが起こるなんて、信じられない」と振り返った。

 3年生の女子生徒(17)は「(男子生徒は)すごくまじめなので、後輩がからかう、とも聞いたことがある」という。

 同校ではこの日午前8時45分から、体育館で全校集会が開かれた。校長は「新聞、テレビなどで報道されているような事件があった。周りが騒ぎ立てると思いますが、軽々しい行動を取らないようにしてください」などと話し、約8分で終わった。目を真っ赤に泣きはらした女子生徒もおり、この日の授業はすべて取りやめ、生徒たちを帰宅させた。

 校長は全校集会のあと記者会見し、事件の背景について「これと言って思い当たらない。野球部の顧問は部内でいじめの事実はないとしているし、行方不明になった生徒の担任教諭も、生徒が悩んでいるようなふしはなかった、としている」と話した。

 行方不明になった生徒は21日は6時限の授業をすべて受けたあと、補習授業にも出て普段と変わった様子はなかったという。校長は事件の状況について「4人の被害者が話しているところに突然、背後から殴りかかったようだ。部内で夏の大会を前に、丸刈りにするかしないかでもめごとらしきことがあったときいているが、生徒の判断に任せるということで決着済み、と顧問の教師から報告を受けている」と話した。

 これに先立つ22日午前零時半ごろから、所在不明になった男子生徒を捜していた教諭らが次々と学校に戻り、同1時40分から緊急の職員会議を開いて対応を話し合った。

 会議後、男性教諭は「まだ見つかっていないという校長の話をただじっと聞いていただけです」と話した。女性教諭は「なぜこういう事件が起きたのか、わかりません」と言葉少なだった。また、別の教諭は「校長から詳しい事件の説明はなく、生徒が動揺しないようにしてほしい、と言われただけ」と語った。

 同校では午後1時からPTA役員会が開かれた。

バットで後輩ら殴った後、母親を殺害の疑い 岡山の高3

2000.06.22(01:40)asahi.com
 21日午後4時40分ごろ、岡山県内の県立高校で、野球部員の3年の男子生徒(17)が練習中に突然、後輩4人をバットで殴り、2年生部員(17)は重傷、3人が軽傷を負った。男子生徒はユニホーム姿のまま所在不明になり、約1時間後の同日午後5時40分ごろ、同県邑久(おく)郡にある男子生徒の自宅で、母親(42)が頭から血を流して倒れているのを帰宅した会社員の父親(46)が見つけ119番。母親は病院に運ばれたが、すでに死亡していた。県警捜査一課と牛窓署は男子生徒が後輩を殴った後に帰宅し、母親を殺害した疑いもあるとみて行方を捜している。

 同校の野球部員らはこの日、雨で運動場が使えないため、放課後に武道場で練習していた。学校関係者の話では、素振りの練習中、2年生部員が1年生部員を「丸坊主にするぞ」などとからかっていたところ、それを見た男子生徒が突然怒り出し、金属バットで2年生部員の頭を背後から3回殴った。さらに、そばにいた後輩部員3人もバットで次々と殴った。

 県教委によると、野球部員のうち3年生が丸刈りにすることを決めたが、まだ丸刈りにしていない男子生徒は事件前日の20日、部活中に2年生部員から「ほかの先輩は丸刈りにするのに、しないのか」と言われた。男子生徒は日ごろから、2年生部員をこころよく思っていない様子だったという。男子生徒はおとなしく無口で、進学コースに在籍していた。

 男子生徒は両親と3人暮らし。自宅は岡山市に隣接する町にあり、田畑に囲まれている。父親が帰宅したところ、4畳半の部屋で母親が意識不明の状態で倒れており、頭の前後2カ所を鈍器のようなもので殴られていた。男子生徒は夜になっても所在がわかっておらず、自宅裏山に逃げたとの情報もあり、県警は裏山を捜索している。

 男子生徒の自宅には、県警の捜査員が現場検証のため1人、2人と出入りしていた。近所に住む男性は「大変優しい、いい子だった。薪を山から取ってきてくれたこともあった。こういう事件を起こしたことは信じられない」と話した。

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