TOPIC No.2-94 尖閣諸島(中国名・釣魚島)問題

01. 尖閣諸島の領有権についての基本見解
02. 尖閣諸島問題 YAHOO! NEWS
03. 尖閣諸島問題
04. 井上清著『「尖閣」列島−釣魚諸島の史的解明』(全文) TATSUMI Yoshio's Home
05. 資源紛争(戦争)とは by地球資源論研究室
06. TOPIC No.7-15 南沙諸島問題(スプラトリー諸島)

中国、尖閣編入は「不法占拠」 記念日条例に反発

2010年12月18日11時31分 中国新聞ニュ−ス

 【北京共同】沖縄県石垣市議会が17日、明治政府が尖閣諸島の日本領編入を閣議決定した1月14日を記念日とする条例を可決したことに対し、中国外務省の姜瑜副報道局長は18日「(決定は)日本による不法占拠」だったと反発する談話を出した。

 尖閣諸島は石垣市の行政区域だが、中国は領有権を主張し「釣魚島」と呼んでいる。

尖閣記念日の条例案提出へ 沖縄県石垣市議会

2010年12月11日12時07分 中国新聞ニュ−ス

 尖閣諸島を行政区域とする沖縄県石垣市の一部の市議会議員が、1895(明治28)年に政府が閣議決定で同諸島を日本領とした1月14日について、市の記念日とする条例案を開会中の12月議会に議員提案する方向で調整していることが11日、分かった。関係者によると、名称として「尖閣諸島開拓の日」「尖閣諸島の日」とする案が浮上している。

 提案へ調整を進めているのは、中山義隆市長を支持する与党系議員。市議会は現在、与党が多数を占め、提案されれば可決される公算が大きい。

 石垣市議会は、中国漁船衝突事件を受けて9月、中国人船長の釈放に関する日中両政府への抗議決議を全会一致で可決。12月10日には市議2人が同諸島の南小島に上陸した。

中国、石垣市議の尖閣上陸非難 「領土、主権を侵犯」

2010年12月11日05時45分 中国新聞ニュ−ス

 【北京共同】中国外務省の姜瑜副報道局長は11日未明、沖縄県・尖閣諸島の南小島に10日、同県石垣市の市議2人が上陸したことについて「中国の領土と主権を侵犯した」と非難する談話を発表した。

 中国漁船衝突事件で悪化した日中関係は修復に向かっているが、中国は尖閣諸島を領土とする立場を堅持。11月にはヘリコプターが搭載できる中国初の漁業監視船を尖閣周辺に派遣するなど、日本をけん制している。

 談話は尖閣諸島を「古来からの中国固有の領土」と従来の主張を繰り返し、市議2人の上陸に関して「既に日本側に対し強く抗議した」としている。

石垣市議2人、尖閣諸島に上陸 海保など聴取へ

2010年12月10日22時47分 中国新聞ニュ−ス

 沖縄県・尖閣諸島の南小島に上陸後、石垣島の港に戻った石垣市の箕底用一市議(左)と仲間均市議=10日午後8時39分

 沖縄県・尖閣諸島の南小島に10日午前、同県石垣市の市議2人が上陸した。第11管区海上保安本部(那覇)や県警は、石垣島の港に同日夜、船で戻った2人から事情を聴く方針。

 上陸したのは仲間均、箕底用一の両市議。2人は報道陣の取材に応じ、島内の様子をビデオ撮影したことを明らかにした。政府に10月、上陸許可を求めたことに触れ「回答がなく、やる気がないと考えた」と上陸の理由を話した。

 石垣市議会は中国漁船衝突事件を受けて10月20日、中山義隆市長と市議らで現地視察を行うとする決議を全会一致で可決。市長らは上陸を許可するよう、政府に求めていた。

 尖閣諸島は石垣市の行政区域で、南小島は同諸島最大の魚釣島から東南東に位置する。尖閣諸島は国が一部の土地を所有者から借り上げ、上陸を禁止している。

中国船が接続水域離れる 尖閣、領海侵入なし

2010年11月29日22時47分 中国新聞ニュ−ス

 第11管区海上保安本部(那覇)は29日、沖縄県・尖閣諸島の魚釣島西方の接続水域内で確認された中国の漁業監視船2隻が、同日午後6時までに中国方面に当たる西北西へ向かって航行し、接続水域から離れたと発表した。日本の領海への侵入はなかった。

 同本部によると、監視船は「漁政201」と「漁政310」。哨戒中の海上保安庁の巡視船が28日朝、尖閣諸島の接続水域内で2隻の航行を確認。無線で警告し、監視警戒を続けていた。

 2隻は20日朝から21日午後にかけても、尖閣諸島沖の接続水域内を航行し、中国に戻ったばかりだった。

中国漁業監視船、また接続水域に 尖閣諸島の大正島沖

2010/11/28 中国新聞ニュ−ス

 28日午前7時45分ごろ、沖縄県・尖閣諸島の大正島北西約44キロの接続水域内を航行している中国漁業監視船2隻を、哨戒中の海上保安庁の巡視船が確認した。

 2隻は同島周辺を航行しているが、領海内には侵入していないという。

 第11管区海上保安本部(那覇)によると、2隻は「漁政310」と「漁政201」。2隻は20日朝から21日午後にかけて、尖閣諸島の魚釣島の接続水域内を航行した後、中国に戻ったばかりだった。

 同本部は2隻に領海内に入らないよう無線で警告、監視を続けている。

中国、科学調査船も尖閣へ航行か 領有権主張誇示も

2010年11月26日09時04分 中国新聞ニュ−ス

 【北京共同】日中関係に詳しい中国筋は26日、中国当局の科学調査船が近く東シナ海の尖閣諸島付近へ向かうとの見通しを明らかにした。20日ごろに中国の漁業監視船が同海域に接近したばかり。日本領海に接近すれば日本側との間で緊張が高まる可能性もある。

 同筋によると、調査を計画しているのは中国政府の研究機関、中国科学院の海洋研究所(山東省青島市)所属の科学調査船で、青島港から出港するという。東シナ海でのガス田開発へ向けた海底調査とみられる。

 海洋研究所の調査船はこれまでも同海域で調査を行ったことがある。

 日中関係は9月に起きた中国漁船と海上保安庁巡視船の衝突事件で急速に悪化。漁業監視船に続き科学調査船も派遣すれば、中国として領有権を毅然と主張するとの決意を示す格好だ。

中国、ヘリ搭載監視船が就役 「有力武器」尖閣海域へ

2010.11.17 21:16 MSN産経新聞

 【上海=河崎真澄】17日付の中国紙、東方早報などによると、艦載ヘリコプターを初めて装備した中国の漁業監視船「中国漁政310」が16日に就役し、東シナ海の沖縄・尖閣諸島海域に向け広東省広州を出航した。

 中国は尖閣諸島沖での漁船衝突事件を受け、漁船保護を理由に監視活動を常態化する方針を表明済み。ヘリ搭載の監視船導入で偵察活動などの機動性を高め、海洋権益や主権の保護を強硬に主張する狙いがある。

 同紙によると同監視船は2580トン、最高速度は22ノット。最新鋭ヘリ2機が搭載できるほか、衛星を使用した広帯域通信などハイテク機能も装備しており、最長で60日間の無寄港航海が可能だという。

 同監視船は尖閣諸島近海など東シナ海での任務を経て、南沙(英語名・スプラトリー)諸島近海など南シナ海に投入され、漁船保護活動の指揮を理由に事実上の軍事行動を取るものとみられている。中国国営新華社通信は、「(最新の監視船就航は)海洋や漁業の権益を防衛する新たな有力武器だ」などと評している。

 中国農業省の李建華漁業局長は同監視船の16日の就航にあたって、「海洋権益と主権を守る任務は今後さらに重くなる。多くの先進的な監視船建造をすでに計画している」と話した。

映像流出、保安官を逮捕せず 年内に刑事処分決定

2010/11/15 中国新聞ニュ−ス

 尖閣諸島付近の中国漁船衝突の映像流出事件で、警視庁と検察当局は15日、衝突映像を動画サイトに投稿したとして、国家公務員法(守秘義務)違反容疑で事情聴取していた神戸海上保安部の海上保安官(43)を逮捕しないことを決めた。今後も任意捜査を続け書類送検する。年内に捜査を終結させ、刑事処分を決める方針。

 警視庁や東京地検などは、「職務上知り得た秘密」の漏えいに当たるかさらに慎重に捜査する必要があると判断したとみられる。

 保安官がこれまで4日間に及ぶ任意の聴取に応じているほか、神戸海保が入る合同庁舎内への宿泊を続けていることなどから、証拠隠滅や逃亡の恐れはなく逮捕の必要まではないと判断したもようだ。

 警視庁によると、保安官は、巡視艇うらなみに乗船中の10日午前9時ごろ、上司の船長に「自分が流出させた」と告白。帰港後の警視庁の事情聴取にも事件への関与を認めた。

 漁船衝突事件は9月7日に発生。保安官は、海上保安庁のネットワーク内にある海上保安大学校(広島県呉市)の共有フォルダーから同僚が入手した映像を巡視艇内のパソコンで取り込んだ。11月4日午後に神戸市のインターネットカフェから「ユーチューブ」に投稿、5日午前に削除した。

 当初、海保が内部調査したが、8日に警視庁と東京地検に被疑者不詳の国家公務員法違反などの容疑で刑事告発していた。

 保安官は任意聴取が始まった10日以降、神戸市内の合同庁舎に宿泊する状態が続いている。

尖閣映像流出:海保に安堵感なし…保安官逮捕見送り

2010年11月15日 21時42分 毎日新聞

第五管区海上保安本部が入る神戸第2地方合同庁舎前で中継する報道陣=神戸市中央区で2010年11月15日午後5時48分、小川昌宏撮影

 警視庁と検察当局が出した捜査方針は「任意捜査の継続」だった。沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突を巡るビデオ映像流出事件で、国家公務員法(守秘義務)違反の疑いで事情聴取を受けていた神戸海上保安部(神戸市)の海上保安官(43)は逮捕を免れた形になった。だが、海上保安庁に安堵(あんど)の雰囲気はない。映像の管理問題や内部調査力の欠如が指摘され、近い将来には保安官の処分をどうするのかという問題が横たわっている。【石原聖、近藤諭、佐藤敬一】

 ◇海上保安庁

 東京・霞が関の海上保安庁。捜査当局の方針が報道を通じて伝わっても、職員は手を止めず黙々と仕事を続けた。

 内部調査で把握できなかったとしていた映像流出の経緯が、警視庁などの捜査で次々と明らかになり、15日の衆院予算委でも「(通信の)履歴を見れば分かることが、なんで分からないのだ」と議員が海保を追及。所管する馬淵澄夫・国土交通相が苦しい答弁を余儀なくされた。取材に対する職員たちの口は重く、疲労感が漂う。

 海保によると、保安官は勤務する巡視艇「うらなみ」から下船し、事情聴取が始まった10日に年次休暇を申し出ており、形の上では現在は休暇中だ。休暇の取得可能期間に捜査が終わらなかった場合、保安官を通常勤務させるかどうか考えなければならない。

 さらに「海保として保安官や上司らの処分をどうするか、頭の痛い問題だ」と政府関係者は打ち明ける。保安官の行為を肯定的に受け止める世論も強く、判断は難しい。関係者は「厳重管理が指示された後に映像を外部に出し、世間を騒がせた。服務規定に反している。しかし、映像は海上保安大学校が出元で、5管や2管で見た人もいる。その管理責任はどうなるのか」と指摘した。

 ◇神戸海保 

 保安官に対する捜査当局の事情聴取は15日朝、神戸第2地方合同庁舎(神戸市中央区)で3日ぶりに再開された。逮捕の可否が判断されるとの見方から、同庁舎にある第5管区海上保安本部や神戸海上保安部には大勢の報道陣が詰め掛けた。

 逮捕見送りの一報が流れた夕方、5管は情報確認に追われた。職員は取材に、10日から同庁舎8階に宿泊している保安官について「(外に)出すのか出さないのかもまったく未定」と繰り返した。

 逮捕見送りのニュースに神戸海保の職員は「逮捕見送りでも、部内にホッとしたという雰囲気はなく、それぞれが自分の仕事をするだけだ」と硬い表情を崩さなかった。

 ◇石垣 

 尖閣諸島の地元・沖縄県石垣市では、保安官が名乗り出た後も同情論が強かっただけに、逮捕見送りを支持する声が目立った。

 漁師、具志堅用治さん(53)は「ホッとした。船を衝突させた中国人船長は釈放されたのに、映像を流した海上保安官を逮捕するのはおかしい。やるべきことをやってくれただけだ。悪いのは公開すべき情報を隠した政府の方だ」と語った。

 砥板芳行・石垣市議(41)も「逮捕見送りは当然。国家公務員である以上、処分はやむを得ないと思うが、寛大な処置を望みたい」と話した。

石垣海保で編集の「証拠用」か

2010年11月06日03時02分 読売新聞

漁船衝突事件のビデオ流出問題で、厳しい表情で記者会見する海上保安庁の鈴木長官=冨田大介撮影

 尖閣諸島沖の漁船衝突事件の状況を撮影したビデオ映像がインターネット上に流出した問題で、映像に流れたテロップに「撮影者」として書かれた海上保安官の氏名が、事件当時、実際に巡視船でビデオ撮影を行っていた保安官と同一だったことがわかった。

 流出映像は石垣海上保安部(沖縄県)が那覇地検に提出した証拠用データの可能性が高く、海上保安庁と検察当局は、映像が内部の人間によって意図的に漏えいされた疑いが強いとみて、ビデオの保管状況や流出経路について本格調査を始めた。

 検察当局は、映像ファイルを保存していた那覇地検の専用サーバーへのアクセス記録について、週明けにも調査結果を公表する方針。流出した約44分の映像には、銀色の背景に白抜きの青い文字で、「ミンシンリョウ5179」「PL63よなくに 平野撮影」といったテロップが挿入されていた。海保によると、地検に提出する証拠資料映像には通常、公判資料などとして使えるよう同様のテロップを入れるという。今回のテロップに書かれた撮影者名は巡視船「よなくに」「みずき」などから撮影を行っていた海上保安官の名前と同じだった。

 また、流出映像には、今月1日、衆参両院の予算委員会理事らに秘密会形式で公開された6分50秒の映像で中心だった2回の衝突の様子に加え、衝突前に中国漁船が尖閣諸島沖の日本領海内で違法操業を続ける様子が含まれていた。

 海保は事件発生当初、公務執行妨害容疑で逮捕した中国人船長について、漁業法違反(禁止区域内操業など)での立件も検討した経緯がある。

 海保関係者は「違法操業での立件までを想定し、石垣海上保安部が那覇地検に提出するために編集した証拠映像だろう」とした。

 この証拠映像は、事件現場で撮影後、巡視船が同保安部に戻って証拠用に編集された映像とみられ、現在は、同保安部と那覇地検に保管されていることが確認されている。事件現場から衛星回線で海保本庁に送られ、官邸提出用に編集されたDVD映像も存在するが、流出した映像はこのDVDとは異なるという。

 海保の鈴木久泰長官は5日夕、記者会見を開き、同庁警備救難部の担当官ら計4人を石垣海上保安部と第11管区海上保安本部(那覇市)に派遣したことを明らかにした。流出映像の分析結果について、「結果がまとまれば公表する」とし、投稿者の割り出しについては「ユーチューブ側へのお願いも含めて検討している」と述べた。

尖閣・中国漁船衝突事件ビデオを流出させた人物が判明か? sengoku38と同名のサイトが存在

2010年11月06日 ROCKET NEWS 24

 尖閣諸島・中国漁船衝突事件ビデオ流出騒動で話題になっている、「 sengoku38 」というハンドルネームの人物。この人物は動画共有サイトYouTubeに中国漁船衝突事件のビデオ映像をアップロードし、大きな話題となっている人物だ。しかし、sengoku38がどこの誰なのかまったくの不明で、YouTubeの運営側が掲載者のアクセス情報を開示するのかどうか、注目が集まっている。

 そんななか、sengoku38と同名のインターネットサイトが存在する事が判明した。そのサイト名は『sengoku38ちゃんねる』で、URLは「 http://sengoku38.ch 」。ドメインの登録情報を調べてみたところ、Hiroyuki Egamiという名の人物が管理者という事が判明した。

 Hiroyuki Egamiという人物は東京都目黒区三田をドメイン登録者の住所として登録している。この人物がsengoku38なのかどうかは不明だが、物議をかもしている騒動の真っ最中に発見されたサイトであり、世間やマスコミ、政府・警察関係者の注目が集まるのは必至である。

 『sengoku38ちゃんねる』のデザインは一昔前の2ちゃんねるに似たものとなっており、「中国ハッカー上等宣言」と大きく書かれている。画面中央のツボの画像をクリックすると「尖閣諸島衝突板@sengoku38ちゃんねる」というタイトルのページに移動するが、それ以外のボタンをクリックすると2ちゃんねるへと移動する。

 この http://sengoku38.ch というインターネットサイトが、犯人探しの捜査をかく乱するために作られたのか、それともビデオ映像流出騒動よりも以前から存在しているのか、そのあたりはまったくの不明である。screenshot: sengoku38.ch.

尖閣ビデオ、検察と海保が本格調査 「44分」編集が存在

2010/11/06 中国新聞ニュ−ス

 沖縄県・尖閣諸島周辺の中国漁船衝突事件の状況を撮影したとみられるビデオ映像がインターネット上に公開された問題で、最高検と海上保安庁は5日、海保が撮影し捜査資料となった映像とみて本格的な調査に乗り出した。映像は検察と海保しか持っておらず、内部流出した可能性が高い。

 海保が編集した映像は数種類あり、中には流出した計約44分の映像とほぼ同じ長さに編集されたものもあったことが関係者への取材で判明した。

 菅直人首相は「しっかり調査して原因究明をしなければならない」と述べ、情報管理の徹底も指示。馬淵澄夫国土交通相は「もし流出しているとすれば犯罪行為。捜査も必要になる」と述べた。

 中国の崔天凱さい・てんがい外務次官は「(日中関係修復を)妨害する事態が起きないよう努力すべきだ」と述べ、日本側の対応を注視していく姿勢を示した。

 海保幹部の一人は「映像は本物だと思う」としている。衝突時の様子が明確に映っており、処分保留で中国人船長を釈放した対応への批判が強まる一方、中国がさらに反発する可能性もある。

 検察当局は、投稿サイトを運営する米インターネット検索大手グーグルに対する投稿者の情報照会も視野に調査。内部から流出したかどうかの結果を週明けにも公表する見通しで、国家公務員法違反(情報漏えい)の疑いが出てくれば捜査への切り替えも検討する。

 海上保安庁は、石垣海上保安部(沖縄県石垣市)と第11管区海上保安本部(那覇)に職員4人を派遣、調査を始めた。

 映像は現在、最高検、那覇地検、石垣海保で金庫などに保管されている。海上保安庁にもコピーがあったが既に廃棄したという。国会には、1日に衆参両院議員約30人に限定して開示された約6分50秒に編集された映像が保管されている。

 流出したのは計6本で、長さは計約44分。動画サイト「ユーチューブ」に投稿された。投稿者名は「sengoku38」で、同一人物がインターネット上に流したとみられる。海保は政務課長名で削除要請したが、既に削除されていた。撮影したビデオは「何時間にも及ぶ」(海保幹部)という。

 巡視船「みずき」とみられる船に、中国漁船とみられる青い船が衝突し、黒煙が上がる様子が映っていた。サイレンの音や、「巡視船みずきに接触した」「止まれ」などの声も録音されている。

漁船の体当たり、鮮明に サイレン響き「止まれ!」

2010/11/06 中国新聞ニュ−ス

 「ぶつけてくるぞ!」「おい! 止まれ!」。サイレンが鳴り響く中、男性が絶叫し、漁船が体当たりしてくる。沖縄・尖閣諸島周辺で起きた中国漁船衝突事件とみられるビデオ映像。5日、インターネット上で公開されているのが分かった映像には、緊迫した状況が鮮明に記録されていた。

 中国漁船とみられる青い船が海上で航行する映像。「後方には久場島が見えます」と男性の声が流れた数秒後、漁船は左旋回。「本船の方に船首を向け、挑発的な動きを見せています」。撮影者が乗っている巡視船「よなくに」とみられる船の後方に向けて真っすぐ突っ込んできた。

 「ドゴーン」というごう音。「あ! 本船に当てました」「中国漁船は衝突し、そのまま逃走している」。やや上ずった声の背後で「今の位置、確認!」と指示する声や、慌ただしい現場の様子が映し出される。中国語での停船命令が繰り返されるが、漁船は去っていく。

 別の映像では、サイレンが響き、ものものしい雰囲気の中、撮影者の乗った巡視船「みずき」とみられる船の右舷に、青い漁船がどんどん近づいてくる。漁船の船体には、公務執行妨害容疑で船長が逮捕された中国漁船と同じ船名がはっきりと見える。

 「ぶつけてくるぞー!」「おい! 止まれ止まれ!」と男性が叫ぶが、漁船は左舷前方をみずきらしき船の右舷に接触。「本船巡視船みずきに接触した。衝突してきた!」。みずきの後方から真っ黒い煙がもうもうと立ち上り、漁船を包み込む。そのうち、漁船は後方に離れていった。

 動画投稿サイト「ユーチューブ」に掲載された映像は「本当の尖閣 海上保安庁1」などとタイトルが付けられた6本で計約44分。現場にいた3隻の巡視船からそれぞれ撮影されたとみられる。

 「巡視船はてるま撮影」とテロップが入る映像では、みずきとみられる船に漁船が接触する様子を、やや離れた位置から撮影。無線らしい響きの「体当たりを受けた」という音声を受け、「体当たりって言ったよね?」「え? 体当たり受けた?」と聞き返す場面もあった。

 「甲板に作業員が見える」「網が揚がってきた」といった漁船の動きの詳細な解説や、「…という風に、ナレーションを入れながら撮影すると、後で非常に分かりやすくなる」と、同僚を指導する声も入っている。

中国が「関心と憂慮」 尖閣ビデオ流出

2010/11/06 中国新聞ニュ−ス

 前原誠司外相は5日の記者会見で、中国漁船衝突事件とみられるビデオ映像の流出に関し、中国政府から同日昼に外交ルートを通じ「関心と憂慮の意」が伝えられたと明らかにした。日本側は「事実関係を調査中」と回答。仙谷由人官房長官は記者会見で、政府の調査内容を近く中国側に説明する意向を表明した。

 政府は「捜査の観点からも予期せぬ由々しき事態だ」(仙谷氏)として、徹底した調査で流出ルートの解明を図るとともに情報管理に万全を期す方針だ。

 前原氏は「映像を見た感じでは、恐らく海上保安庁が撮ったものだと思う」と指摘した。仙谷氏は「公務員が故意に流出させたとすれば、明らかに国家公務員法違反になる」と説明。「捜査資料が外に出るのは大変な事態だ。流出だとすれば、相当大きなメスを入れる改革が、あらゆるところで必要だ」とも述べた。

 仙谷氏は、8日の衆院予算委員会で政府の調査内容を説明すると明言。ビデオ映像の全面公開には応じない方針も重ねて示した。

 関係閣僚らの処分に関しては「流出だとすれば、どういう状況、目的で行われたかによる」と述べ、調査結果を踏まえて対応する考えを強調。流出が確認された場合の菅直人首相や自身の責任について「政府全体の問題だから、ないとは言わない」と述べた。

 これに関連し、前原氏は衆院外務委員会で「仮に流出したのであれば、事件として扱わなければいけない」と答弁。北沢俊美防衛相は会見で「危機管理の質の低下が問われる話で、極めて遺憾だ」と批判した。

尖閣漁船衝突事件のビデオか ネット動画サイトにアップ

2010/11/05 01:51 【共同通信】

 動画サイト「ユーチューブ」に投稿された、沖縄県・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件の状況を撮影したとみられる映像を見る人=5日未明

 沖縄県・尖閣諸島周辺で起きた中国漁船衝突事件の状況を撮影したビデオとみられる映像がインターネット上に配信されていることが5日、分かった。海上保安庁幹部は「本物の映像だと思う」と話しており、同庁が確認を急いでいる。

 動画サイトに投稿された映像は、海上で、中国の漁船とみられる青い船が巡視船とみられる船の右舷に接触、同船が後方から黒い煙を上げている様子などが映っている。サイレンが鳴り響き、「本船みずきに接触した」「止まれ」などの音声が盛り込まれている。

 映像の中で、衝突した中国船とみられる青い船には、実際に海保の巡視船「みずき」に衝突した中国船と同じ船名と、それに続く4ケタの数字が船体に書かれている。一方、衝突された船の上には「海上保安庁」と記載されたボートが映っていた。

 中国船を撮影したとみられる映像は計6本で、長さは計約44分。同一人物がインターネット上に流したとみられる。

尖閣諸島の中国漁船衝突事件ビデオ映像が流出

2010/11/05(金) 09:32 Searchina

 日本と中国との間で問題となっている中国漁船衝突事件のビデオ映像が、動画共有サイト『YouTube』にアップロードされている事が判明した。これらの一連の映像は一般に公開されていないビデオ映像であり、日本国民のみならず、世界中の人々が初めて目にする映像となっている。

 このビデオ映像は3分33秒の鮮明な映像で、『日本の尖閣海上保安庁5』というタイトルでYouTubeに掲載されている。2010年11月04日にアップロードされ、動画の説明文として「尖閣松涛事件の真相」と書かれている。

 もともと、海上保安庁が撮影したビデオ映像は約2時間収録されており、那覇地検が6分50秒に編集し、そのビデオ映像は衆参両院・予算委員会理事会メンバー(国会議員)約30人のみが見ることを許されていた。

 この動画は6分50秒フルの映像ではないが、3分33秒の動画とはいえ非常に興味深い内容のビデオ映像となっている。動画には、中国漁船が日本の巡視船と並走して進んでいる映像が映されており、中国漁船がカーブして日本の巡視船に衝突する様子もハッキリと映されている。誰が見ても意図的に中国漁船が衝突してきているのがわかる。

 どうしてビデオ映像が流出したのかわからないが、少なくとも今回の流出で日本国民が事件の真相を知る事になったわけで、今後の中国や日本国政府の動向が、いつにも増して注目されるのは確実だろう。 screenshot:YouTube.(情報提供:ロケットニュース24)

尖閣諸島の中国漁船衝突事件ビデオ映像が『ニコニコ動画』にも転載される

2010年11月05日 ROCKET NEWS 24

 動画共有サイトYouTubeに掲載されて物議をかもしている尖閣諸島の中国漁船衝突事件ビデオ映像が、同じく動画共有サイトのニコニコ動画にも転載されて話題となっている。

 ニコニコ動画に掲載されているビデオ映像はYouTubeのものと同内容(全6本の映像が掲載されている)。ニコニコ動画では動画上にダイレクトに感想を書き込めるため、さまざまな意見や感想が投稿されているようだ。

 YouTubeに掲載されていた動画はすべて鮮明で高画質なものだったが、ニコニコ動画に掲載されたものも高画質で、ハッキリと衝突の瞬間を見ることができる。この動画を見たインターネットユーザー(視聴者)は、どのような意見を書き込みしているのか? 

 書き込みの一部を紹介すると、「ネットは沈黙しちゃいけないってのがよくわかった」や「朝からびびった」、「再生回数がハンパない」、「世界戦争レベル」、「これは言い逃れできんようになったな」などの声が書き込みされていた。

 現在、この動画は中国の大手ポータルサイトの動画コーナーにも掲載されており、どんどん世界中に広まりつつある。日本のテレビ局もこぞって朝から報じており、中国側の反応に注目が集まるところだ。

 動画共有サイトYouTubeに掲載されて物議をかもしている尖閣諸島の中国漁船衝突事件ビデオ映像が、同じく動画共有サイトのニコニコ動画にも転載されて話題となっている。

中国の大手サイトにも尖閣・中国漁船衝突事件ビデオ映像が掲載される

2010年11月05日 ROCKET NEWS 24

 尖閣諸島の中国漁船衝突事件ビデオ映像が動画共有サイトYouTubeに流出した件で、新たな展開があった。中国のポータルサイトにYouTubeと同様のビデオ映像が掲載されているのである。

 中国漁船衝突事件ビデオ映像が掲載されているのは、中国のポータルサイト『酷6網』(ku6.com)で、中国だけでなく世界中のニュースや情報が掲載されている情報サイトだ。ここには一般のインターネットユーザーが動画をアップロードすることができる。

 掲載した人物が中国人か日本人かは不明だが、動画のタイトルは『情報 Angel Girl』となっている(タイトルの情報の部分は中国語)。Angel Girlは中国のアイドルグループで、尖閣諸島問題に対して激しく反発しているグループとして報じられている女性3人組だ。

 中国サイトに中国漁船衝突事件ビデオ映像が掲載された事に対して、日本のインターネットユーザーたちは掲示板等で以下のようにコメントしている。中国の『酷6網』に寄せられているコメントも同時に掲載する。

 ・日本人インターネットユーザーの声

 「お前らwwwwwww 戦争起こるぞwww」

 「中国可哀相。日本に完全敗北なんて可哀相すぎる」

 「こりゃもう拡散しちゃったな。消しても消してもイタチゴッコになる」

 「いや、中国ではyoutubeは見れんぞ。ニコニコは今のところ見れるが」

 「これが消されたら、中国にとっても不味い情報ということになる」

 「時代の激流、まさにその中心にいる感覚だな。胸が熱くなる」

 「で、また中国で反日デモが起きるのか」

 「この事件のせいで、中国の全ての動画サイトやアップローダーは全て監視される」

 「おいおい勇者だなぁ。消されるぞ本人が」

 「死体すら出てこないだろ」

 「中国の2chみたいなとこにこの動画のURL貼れないの?」

 「あとは中国人のたくさんいる掲示板に張り付けるだけだな」

 「裏ビデオ屋さんみたいなタイトルだなw」

 「リアルにマズイんじゃないか中国住み」

 「へぇー、この動画2年くらい前に流行ってたよね。2年くらい前に見たわ」

 ・中国サイト『酷6網』の中国漁船衝突事件ビデオ映像に対する声

 「小中国歴史的再大敗北」

 「小中国鬼子」

 「中国是恐怖活?国家」

 「中国産AV人気女優名急求」

 「正在中国几連敗?」

 「我是日本人」

 「夜食的時間帯」

 「我正在找中国女人的動画」

 「没有関係、没有関係」

 「中国蛮族船 意図的衝突」

 「埼玉加油!」

 「女子十二楽坊」

 「王大人:動画主死亡確認」

 「中国の皆さんも侵略イカ娘見てくださいね。おすすめですよ」

 「王大人」

 多くの日本人インターネットユーザーが、この動画をアップロードしたのは中国に住んでいる日本人だと思っているようだ。また、動画をアップロードした人物や中国に住んでいる日本人が中国当局に消されるのではないかと、心配をする声が多数書き込みされていた。

 もともと中国は情報に対して厳しく規制・検閲をする国と言われており、この動画が消されるのも時間の問題だと思われている。この動画を見た中国人たちがどのように事実をとらえるのか? 中国にもこの動画が広まるのか? 今後の続報に注目したい。

 screenshot: ku6.com.

尖閣沖の中国漁船衝突映像、DVDでも流出-川口駅で280枚

2010年11月05日 10:16更新 IBTimes

 埼玉県川口市のJR川口駅で5日朝、尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件の映像などが記録されたDVDの入った段ボール箱が発見された。DVDは全部で約280枚もあり、民主党を批判する文書も入っていたという。

 報道によると、埼玉県警川口署でこのDVDのうち1枚を調べたところ、インターネットの動画投稿サイト「ユーチューブ」に流出した中国漁船衝突事件の映像と同様な映像が記録されていたという。更新時刻も5日午前1時頃と、ネット上に問題の映像が流出した後の時刻だった。

 ダンボール箱の中には、民主党を批判したり、中国に関する意見をつづった紙も入っていたという。

 「ユーチューブ」には、「sengoku 38」というアカウントで漁船衝突の映像が投稿されていた。時事通信の報道によると、このアカウントから投稿された画像はすでに削除されたというが、すでにネット上で大量にコピーされ、大規模流出していると見られる。

ユーチューブ 投稿の経緯は明かさず 捜査には協力

2010年11月05日 17:02 FNN

 中国漁船衝突事件の映像とみられる動画が公開された投稿サイト「ユーチューブ」を運営する米インターネット検索大手グーグル・日本法人広報部は5日、「誰がいつ投稿したかなど、個別の動画についてはコメントできない」とした上で「当局から捜査協力の要請があれば応じる」と話した。

 また「著作権法違反など利用規約に反しているという指摘があれば、確認した上で削除など対応をする」と述べた。

中国漁船衝突事件映像流出問題 石原都知事「結構なことじゃないですか」

2010/11/05 17:21 FNN

 沖縄県の尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件の際のものとされる映像が、5日未明、インターネット上に流出した。

 そうした中、沖縄・石垣島に係留されている巡視船「よなくに」を5日、自民・岩屋 毅衆院議員らが視察した。

 岩屋議員は「船体の傷跡を、まざまざと拝見しましたが、これだけでも非常に悪質な行為だったことがわかりますね」と話した。

 今回、流出した映像について、石垣市の中山義隆市長は、「明らかに故意にぶつかっているので、公務執行妨害は明確だと思っています。あの状態で、なぜ釈放したのかということ自体、今後、問題になってくるんじゃないかと思ってます」と話した。

 また、これまで政府の対応を批判してきた東京都の石原都知事は、「(映像を)なんで政府が発表しないの? 結局、内部告発でしょ? どこの人間か知らないけれども、『冗談じゃない』、『国民に実態を見てもらいたい』という形であれが流出した。結構なことじゃないですか」と述べた。

尖閣海域の漁業取締船、3隻から4隻に

2010年11月05日19時22分 読売新聞

 末松義規内閣府副大臣(沖縄・北方担当)は5日、沖縄・尖閣諸島を含む先島諸島周辺海域で警戒に当たる水産庁の漁業取締船を、3隻から4隻に増やしたと発表した。

 尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件を受け、9月10日以降は水産庁が3隻のうち1隻を尖閣諸島周辺に常駐させていたが、地元からは警戒強化の要望が出ていた。

 また、末松氏はロシアのメドベージェフ大統領が北方領土の国後島を視察したことを受け、7、8の両日に北海道根室市を訪問し、元島民や地元首長と懇談するほか、同市の納沙布岬から北方領土を視察すると正式に発表した。

「映像で日本の違法性を覆い隠せない」中国批判

2010年11月05日20時58分 読売新聞

 【北京=関泰晴】中国の胡錦濤政権は、中国漁船衝突事件を撮影したとみられるビデオ映像によって反日機運が盛り上がり、収まりつつある反日デモが再燃することを警戒している。

 今月中旬、横浜で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席を予定している胡国家主席の首脳外交に影響を与えかねないからだ。

 10月下旬の東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議の際、日中首脳会談に踏み切れなかった胡政権は、最近、各地方都市の大学に対し、学生の外出禁止で反日デモを抑え込むよう厳命した。失敗が許されない胡主席のAPEC外交に向けた環境整備とみられる。

 広州アジア大会開幕を控えた今月8日には、サッカーの日中戦も予定され、混乱は絶対に避けたいという事情もある。

 崔天凱外務次官は5日、香港のフェニックステレビなどと会見、ビデオ流出に関連し、「日本に誠意があるなら、(関係修復を)妨害する事態が起きないよう最大限の努力をすべきだ」と述べ、日本側に主席訪日の条件整備を求めた。

 一方、中国外務省の洪磊・副報道局長は同日夜、映像流出について「ビデオでは日本側の行為の違法性を覆い隠すことはできない」との談話を改めて発表、中国の基本的立場も表明した。

 中国のネット上では5日、日本の報道の映像が転載され、「船長は英雄」「中国漁船が衝突したのは正当防衛だ」など、再び反日ムードが盛り上がりつつある。

10月25日に尖閣・中国漁船衝突事件ビデオの「流出予告」が書き込みされていた

2010/11/05(金) 23:35 Searchina

 2010年11月4日の深夜、日本中を震撼させた尖閣諸島・中国漁船衝突事件ビデオ映像の流出騒動。動画共有サイトYouTubeに掲載されたのを皮切りに、中国のポータルサイトやニコニコ動画にも転載され、日本のみならず世界中を巻き込んだ騒動となっている。

 そこで必然的に話題となるのが「いったい誰がインターネット上に流出させたのか?」という点だ。現在のところ誰がビデオ映像を入手し、そして流出させたのか不明なままである。そんななか、このビデオ映像の流出が、あらかじめ予告されていた可能性が出てきた。10月25日、インターネット掲示板2ちゃんねるに流出予告らしき書き込みがされていたのである。その内容は以下の通り。

・流出予告といわれている書き込み

38名前:ライオンちゃん(東京都)[sage]投稿日:2010/10/25(月)01:35:12.78ID:fttyON7g0

11月の頭に例の尖閣問題のビデオが流出すると思かもね

なんちゃって

 この書き込みは既婚女性が集まる2ちゃんねるの掲示板に書かれたものだという。流出関係者の妻が書き込みしたのか、流出関係者自身が書き込みをしたのか、そのあたりはまったくの謎である。

 しかし、この微妙な時期にピンポイントで「11月の頭に例の尖閣問題のビデオが流出すると思かもね」と書き込みされているわけで、流出を事前に知っていた人物が書き込みをしたと思われても仕方がない。

 また、その流出予告の書き込み番号が「38」で、YouTubeにビデオ映像を流出させた人物のIDが「sengoku38」だったことから、同一人物が書き込みしたのではないかという憶測も飛び交っている。(情報提供:ロケットニュース24)

中国動画サイトにも衝突映像転載 「日本の陰謀」書き込みも

2010/11/05 21:53【共同通信】

 【北京共同】流出した中国漁船衝突事件とみられる映像は5日、中国の動画投稿サイトにも転載され、インターネット上では「(流出は)日本人の陰謀だ」などと日本を批判する書き込みが広がった。

 中国メディアは一部が日本の報道などを引用して映像流出を伝えているが、日中双方の国民感情が一段と悪化するのを抑えるため当局が報道を規制しているとみられ、国営通信の新華社は報じていない。

 しかし、ネット上では映像流出を受けた対日批判が急速に広がっており「問題は、日本がわが国の領海で中国人をつかまえたことだ。(日本は)無条件に謝罪すべきだ」などと感情的な書き込みも多い。

中国 再び監視船3隻を派遣 尖閣諸島周辺海域へ

2010.10.20 20:45 MSN産経新聞

沖縄県・尖閣諸島。手前から、南小島、北小島、魚釣島=10月9日午後、共同通信社ヘリから

 【北京=川越一】中国の漁業行政当局は、漁業監視船3隻を沖縄・尖閣諸島(中国名・釣魚島)近海に派遣したもようだ。同諸島周辺での監視活動の常態化は、日本に対する牽制(けんせい)であると同時に、反日デモが続発している国内に向けた当局の自衛策でもある。

 19日付の中国共産党機関紙、人民日報傘下の国際情報紙、環球時報(電子版)によると、派遣されたのは東シナ海(中国名・東海)海区所属の「漁政202」と黄海・渤海海区所属の「漁政118」、江蘇省に所属する漁業監視船。10月初旬に撤収した2隻の代わりとみられる。14日午後に出航し、すでに周辺海域に到着しているという。

 出航前の壮行会で同局幹部は「国家主権と中国漁民の合法権益を守ることは栄誉ある任務だ」と鼓舞。漁政118の船長は「指揮に従って困難を克服し、任務完遂に努力して祖国と人民を安心させる」と述べた。

 当局は自国漁船の保護を目的に掲げているが、漁民の“暴走”を阻止することが本当の任務との見方もある。反日デモが体制批判に転じることを防ぐため、出航から約1週間たった今、中国メディアを使って派遣を公表し、毅然(きぜん)とした態度を示したとも考えられる。

【尖閣危機】(上)前 占領…先兵は「漁民」

2010.10.14 MSN産経新聞

沖縄県・尖閣諸島。手前から、南小島、北小島、魚釣島=9日午後、共同通信社ヘリから

 《A国領土の離島周辺にC国漁船が領海侵犯した。A国政府は抗議したが、島の領有権を主張するC国は対応をエスカレートさせ、島に軍を派遣した。A国は航空優勢を確保する作戦の実施に踏み切った》

 首相、菅直人がブリュッセルで中国首相、温家宝と会談した今月4日、航空自衛隊は日本海でこのようなシナリオに基づく演習を開始した。

 5日間続けられた演習は沖縄・尖閣諸島沖で先月、中国漁船衝突事件が起きた後だっただけに、参加した隊員たちはいつにも増して緊張感を持って臨んだ。

 むろんA国は日本、C国は中国を念頭に置いている。軍による離島上陸前までの想定は、衝突事件をめぐる中国の対応をなぞったようにも映る。

 だが実際には、演習計画は1年かけて練られた。衝突事件にみられるような最近の中国の行動について、自衛隊が「最大の脅威」と認識している証左である。

   × × ×

 すでに「先例」がある。

 南シナ海の南沙諸島(スプラトリー)にあるミスチーフ環礁。1995年に「漁民避難所」との名目で建設された櫓(やぐら)には中国の国旗、五星紅旗が翻る。同諸島周辺では多い日には1千隻もの中国漁船が操業し、それを漁業監視船が護衛する。

 水産・石油資源に恵まれた南沙諸島はフィリピンやマレーシアなど他の5カ国・地域も領有権を主張するが、中国の実効支配が進む。6月にはインドネシア海軍が拿(だ)捕(ほ)した中国漁船を、武装した中国艦艇に奪還される事件が起きた。

 ベトナム、台湾が領有権を主張する西沙諸島(パラセル)も事実上中国の支配下にある。

 防衛省の内部文書は東シナ海、南シナ海で活発化している中国海軍などの動きを「溢(あふ)れ出る中国パワー」と称した。

× × ×

 「中国が南沙諸島で支配権を獲得した経緯をたどると、4段階に区分できる」

 元航空自衛隊空将、織田邦男はそう分析する。(1)領有権の主張と外交交渉(2)調査船による海洋活動(3)海軍艦艇の示威行動(4)漁民の違法操業、上陸した民間人による主権碑設置で領有を既成事実化−の4段階だ。

 中国はこのプロセスを尖閣にも適用し、すでに第4段階に入りつつある、と織田はみている。人民解放軍が前面に出てくるのではない。先兵となるのは「漁民」だ。

 防衛研究所の所員、斉藤良も「中国の狙いは(正規軍同士ではない)非対称戦だ」と断じる。

 《闇夜、尖閣最大の魚釣島に中国軍の潜水艦が接近。乗り込んできたのは「漁民」に偽装した海上民兵で、次々と島に上陸。五星紅旗を掲げたころ、民兵が操縦する「漁船」も大挙して押し寄せる》

 織田は今後、想定されるシナリオを指摘し、警鐘を鳴らす。

 「これが明日にも起こり得る尖閣危機だ」

 尖閣諸島沖で起きた中国漁船衝突事件は、覇権主義的な行動を強める中国に対し、日本の「主権」がいかに脆(ぜい)弱(じゃく)かを浮き彫りにした。日本政府の対応や課題を検証した。(敬称略)

【尖閣危機】(上)後 中国民兵上陸、菅内閣即応できず

2010.10.14 MSN産経新聞

沖縄・尖閣諸島。手前から南小島、北小島、魚釣島=7日、共同通信社ヘリから

 「日本の巡視船がいわゆる法の執行活動を行わないよう要求する」

 尖閣諸島沖でおきた中国漁船衝突事件で、船長が逮捕される直前の先月7日、中国外務省の姜瑜報道官が出した声明に、日本政府関係者は驚きの声を上げた。これまで以上に踏み込み、海上保安庁による巡視活動は「違法」と言ったに等しいからだ。

 「無人の尖閣諸島に中国が民兵を送り込むことは、いともたやすい」

 海上自衛隊幹部は日本の警戒監視態勢に危機感を募らせる。現在、尖閣周辺海域では海上保安庁が24時間態勢で巡視船とヘリコプターによる監視活動を続けている。ただ、巡視船は潜水艦を探知できない。海上自衛隊のP3C哨戒機も尖閣上空を飛行するのは1日1回で監視レーダーも置いていない。

× × ×

 仮に中国側に上陸を許した場合、奪還作戦でも政府は手をこまねくことになる。強制退去のため沖縄県警が出動しても、「自国領での漁民保護」と称して中国が漁業監視船を巡回させれば近づけない。監視船は海軍艦艇を改造した事実上の軍艦だからだ。

 海自の中型護衛艦クラスの艦船もある。海保の巡視船より大口径の機関銃を備え船体も厚い。「撃ち合いになれば、海保はひとたまりもない」(海自幹部)

 海保で対処できないとなると、自衛隊が出動することになる。しかし、法的根拠は海上警備行動か、島という陸地に適用する治安出動か明確でない。民兵が「漁民」として民間人を装っていることは、自衛隊の派遣自体をためらわせる。

 漁船衝突事件で船長の拘束から逮捕まで13時間もかけ、あげくの果て勾(こう)留(りゅう)期限前に処分保留で釈放させた菅内閣が、民兵上陸という事態に即座に対応できるとはとうてい考えられない。日本が「犯罪行為」か「軍事行動」かの見極めにこだわることも中国を利する。

 逡(しゅん)巡(じゅん)する間にも民兵は続々と上陸し、領有を既成事実化していく。尖閣占領シナリオは、日本の守りの欠陥である「時間」と「領域(海と陸)」の空白を突いてくるのだ。

 拓殖大学大学院教授、森本敏は指摘する。

 「領土を守るための実効的措置を講じ、常に海自が海保をバックアップできる法的な仕組みもつくるべきだ」

× × ×

 「わが国の領土だと実感した。外交は自らの意思を相手に伝えることだ」

 9日、超党派の議員連盟で尖閣諸島を上空から視察した前総務相、原口一博は、中国に対して及び腰の日本政府の姿勢に不満をあらわにした。

 日本の主権を守るには国家としての気概と有効な手段を併せ持ち、それを梃(て)子(こ)に外交努力を進める必要がある。

 待ったなしの課題は警戒監視態勢の強化だ。海保の巡視船の装備拡充はもちろん、潜水艦を探知できる監視装置の設置も欠かせない。

 これらの措置の前提として、私有地である尖閣諸島を国有化し、施設管理のため政府職員を常駐させるなど、実効支配を強めていくことも重要だ。

 法制度上の整備も必要となる。元空将、織田邦男は「『平時』から常に自衛隊が海保、警察を支援できる法体系を整備し、武器使用基準も定めておくことが必要だ」と強調する。

 これが領域警備法の肝であり、海上警備行動や治安・防衛出動に至るまで自衛隊が間断なく対処できるようにする法的根拠となる。

 中国の手の内を読むことが戦略で、次の一手を封じる措置こそ領土を死守する上で最大の抑止力となる。       (敬称略)

自民党がグーグルに訂正要求 尖閣の中国表記で

2010年10月13日 中国新聞ニュ−ス

 自民党は13日午後、米インターネット検索大手グーグルの地図検索サービス「グーグルマップ」が、沖縄県・尖閣諸島全体と魚釣島について中国側呼称を併記しているとして、早急に訂正するよう申し入れた。中国漁船衝突事件を受け、尖閣諸島が日本固有の領土であることを内外に徹底する狙い。今後の国会審議でも取り上げる。

 「影の内閣」外相の小野寺五典衆院議員が都内の同社日本法人を訪れ、石破茂政調会長名の申し入れ書を手渡した。担当者は「米国の本社に報告し速やかに対応を検討する」と回答した。

 マップは、尖閣諸島と同諸島最大の魚釣島に関し、それぞれ中国側呼称の「釣魚群島」「釣魚島」を併記。申し入れ書は「あたかも中国との領有権問題が存在するかのような表記のされ方で、明確な誤りだ」と訴えている。

 この後、記者会見した小野寺氏は、北方領土や韓国が実効支配する竹島(島根県)についても「マップは北方四島もロシア語との併記で、竹島は島名そのものがない。日本固有の領土として表記すべきだと伝えた」と明らかにした。

【主張】中国船集結 尖閣の守り不備正すとき

2010.09.29 MSN産経新聞

 中国の海洋調査船計10隻以上が尖閣諸島や東シナ海のガス田開発地域周辺に集結している。中国農業省の漁業監視船2隻も、漁船衝突事件で逮捕された中国漁船船長の釈放が決まった24日夕から、尖閣諸島近海にとどまっている。

 これらの活動は自国の海洋権益を守るための示威行動とみられる。退役した軍艦を改造した漁業監視船は6月、インドネシア周辺で他国の船に機銃を向けて威嚇したこともある。

 日本政府は外交ルートを通じ、監視船の活動に対して4回にわたり中止を申し入れたが、中国側は聞く耳を持っていないようだ。極めて遺憾である。

 日本は最悪の事態への備えを万全にしなければならない。戦後、こうした事態を考えてこなかったため、備えは極めて不十分なものになっているからだ。

 例えば中国政府公船の監視船が日本領海を侵犯しても、海上保安庁の巡視船は退去を要請するしかない。自衛隊にも領土や領海を侵害する行為を排除する領域警備の任務が与えられていない。海自に海上警備行動が発令されても保安庁と同じ警察行動しかとれず、尖閣の守りは危ういのが実態だ。

 こうした法的な不備や空白を早急に是正するよう、菅直人政権は総力を結集する必要がある。

 参考にすべきは、長島昭久前防衛政務官ら民主党の有志議員が、今回の衝突事件を受けてまとめた「建白書」だ。防衛計画大綱の見直しや日米同盟深化の協議を通じて、南西諸島方面の防衛や海自、海保と米海軍による海洋警備体制の強化を図ることなどを提言した。松原仁衆院議員らも、尖閣への自衛隊常駐の検討を政府に求める声明を発表した。

 自民党は新防衛計画大綱に対する昨年6月の提言で、領域警備の法制化などを求めている。喫緊の課題に超党派で取り組んでほしい。仲井真弘多沖縄県知事も尖閣周辺の警備強化を求めている。

 中国は力ずくで尖閣諸島に上陸を図ったり、付近領海に侵入したりしてくるかもしれない。

 そうなれば、日本ばかりでなく国際社会で中国への信頼は失墜しよう。中国自らがチャイナ・リスクの高さを世界に示していることに気付くべきだ。一方で日本は、中国の理不尽な行動をはね返すことのできる体制づくりを最優先の課題にすべきである。

緊迫の尖閣沖 海保巡視船、中国漁業監視船にピタリ

2010年09月29日 asahi.com

中国の漁業監視船「中国漁政203」(手前)と並走する海上保安庁の巡視船=28日午後2時36分、魚釣島の南東約50キロの東シナ海、朝日新聞社機から、越田省吾撮影

 沖縄県・尖閣諸島の近海を航行する中国政府の漁業監視船を28日、朝日新聞社機「あすか」から確認した。すぐ脇を海上保安庁の巡視船が並走しながら警戒しており、曇天に覆われた洋上は緊迫した雰囲気に包まれている。

 現場は魚釣島の南東約50キロ。午後2時半ごろ、船尾に赤い中国国旗を掲げた白い船体の漁業監視船が島を左に見る形で北東へ針路をとった。側面に「中国漁政203」とある。中国農業省の漁業監視船だ。甲板に人影はない。その約500メートル島寄りに、海保の大型巡視船が立ちはだかるように並走。さらに島寄りに巡視船がもう1隻、後方にも3隻が追走しており、領海に侵入しないよう、漁業監視船に無線で注意を続けているという。

 漁業監視船は、中国漁船と海保巡視船の衝突事件後の10日未明に尖閣近海に2隻現れた。18日以降、いったん姿を消したが、24日夕から再び日本領海のすぐ外側で航行を続け、海保が警戒にあたっている。

 衝突事件の引き金になったのは、周辺海域で急増した中国漁船による違法操業だったとみられる。

 尖閣諸島付近の日本領海で違法操業の疑いがあるとして、海保が外国船に立ち入り検査したのは、2008年に2件、09年に6件だった。このうち中国漁船は08年の1件だけで、残り7件は台湾漁船だった。

 ところが、今年に入って立ち入り検査は21件と急増。このうち11件が8月以降に集中し、すべて中国漁船だった。海保によると、尖閣諸島周辺の日本領海やその外側の排他的経済水域(EEZ)には8月中旬から中国漁船の姿が増えるようになり、多い日には70隻が領海内で確認された。事件があった9月7日にも30隻が領海に入っていた。

 海保は「中国船を狙い撃ちにしているわけではない。立ち入り検査の対象は、故意に領海深くに入って操業する漁船だ」と説明する。

 事件後、尖閣諸島の周辺で中国漁船は確認されていない。28日も、日本の漁船とみられる小舟が数隻みられたほかは、不審な船は見あたらなかった。(佐々木学、永田工)

日本は「誠実で実務的な対応」を、漁船衝突問題で中国報道官

2010年09月28日 AFP BB News 発信地:北京/中国

【9月28日 AFP】中国外務省の姜瑜(Jiang Yu)副報道局長は28日、沖縄県・尖閣諸島(Senkaku Islands、中国名:釣魚島)沖で中国漁船と日本の巡視船が衝突した事件に関連して日本に「誠実で実務的」な対応を求めた。

 姜氏はこの日の定例記者会見で「中国は日中関係を重視している。しかし、両国関係を守るためには双方が歩み寄り、日本が誠実で実務的な対応をとることが必要だ」「日本はこの事件が両国関係に与える悪影響をなくすため、具体的なステップを取るべきだ」と述べるとともに、日本政府に対し、東シナ海を航行する中国の漁業監視船に対する妨害を止めるよう求めた。

 10月4〜5日にベルギーのブリュッセル(Brussels)で開かれるアジア欧州会議(Asia-Europe Meeting、ASEM)の場で、温家宝(Wen Jiabao)首相は菅直人首相(Naoto Kan)と会談するのかとの質問に、姜氏は「その話は聞いていない」と答え、会談実現の見通しが立っていないことを示唆した。

 一方、前原誠司(Seiji Maehara)外相は28日の参院外交防衛委員会の閉会中審査で「東シナ海に領土問題は存在しない」と答弁したほか、中国漁船の船長を逮捕したことは当然だったとの考えを示した。(c)AFP

中国行動の各国説明を指示 漁船衝突事件で外相

2010/09/28 中国新聞ニュ−ス

 前原誠司外相は28日午後の記者会見で、沖縄県・尖閣諸島周辺で発生した中国漁船衝突事件とその後の中国政府の対応に関し「世界に説明することが大事だ」と述べ、各国政府へ説明するよう在外公館に指示したことを明らかにした。閣僚級以上の交流停止など一連の対抗措置を国際社会に訴え、中国側をけん制する狙いがありそうだ。

 これに関連し仙谷由人官房長官は記者会見で、漁船衝突事件のビデオ映像をめぐり、国会の決議を受けた公表もあり得るとの認識を表明。小川敏夫法務副大臣は参院外交防衛委員会で、ビデオ映像が近く公表されるのではないかとの見方を示した。

 前原氏はアジア欧州会議(ASEM)首脳会議に出席する菅直人首相と中国の温家宝首相の首脳会談について「呼び掛ける動きはしていない。現時点でなかなかセットされるのは難しい状況ではないか」と指摘。首相の出席に関しては「日本の立場を国際会議の場で首相自らが話すのは大変結構なことだ」と評価した。

 同時に「尖閣諸島は日本固有の領土であり、淡々粛々とやることが日本の立場だ。向こうの土俵に乗るべきではない」と強調。「一連の中国の行動について、世界が注目している」と指摘し、外務省から在京各国大使館に説明するとした。

 ビデオは海上保安庁が撮影した衝突時の映像で、発生当初から公表を求める声が与野党にあった。地検や海上保安庁は「捜査資料は公表しないのが原則」と拒んできたが、小川氏は「船長の処分保留、釈放と一応の結論が出て事情が変わった。国会の要望があれば那覇地検が適切な対応をすると思う」と述べた。

尖閣、ガス田周辺に中国調査船続々 10隻以上が示威活動か

2010.09.28 MSN産経新聞

 尖閣諸島周辺での中国漁船衝突事件で、中国人船長が釈放された25日以降、中国の海洋調査船が、尖閣諸島や東シナ海のガス田開発地域周辺に集結していることが27日、分かった。政府関係者によると、調査船は計10隻以上にのぼっている。海洋権益確保に向けた示威活動とみられる。日本の排他的経済水域(EEZ)内への侵入が懸念されることから、海上自衛隊の哨戒機などが警戒活動を強化している。

 政府高官によると、中国の海洋調査船は26日ごろから東シナ海に集結しているという。今のところ日本のEEZ内には侵入していないものの、この高官は「これだけの数の調査船を同時に出してきたのは前代未聞だ」と指摘した。

 ガス田周辺では約10隻の海洋調査船が確認された。海洋調査船は、掘削用のドリルのような機材を運び込んだことが確認された「白樺(しらかば)」(中国名・春暁)を含め、東シナ海にある4つのガス田すべての近くを航行しているという。

 尖閣諸島周辺にも数隻の海洋調査船が接近したことも判明した。うち1隻は中国国家海洋局に所属する「海監51号」とみられる。

 中国側は今回の衝突事件をきっかけに、東シナ海での海洋権益の既成事実化を狙っているとみられる。周辺国が領有権を主張しあっている南沙諸島(英語名・スプラトリー)を含む南シナ海での活動と同様、「漁船→海洋調査船→軍艦」と徐々に圧力をエスカレートさせる可能性もある。

 一方、仙谷由人官房長官は27日午後の記者会見で、尖閣諸島周辺の接続水域(領海の外側約22キロ)内で24日夕以降、中国の漁業監視船「漁政201」と「漁政203」の2隻が活動しているとして、外交ルートを通じて中国側に抗議していることを明らかにした。

中国船が尖閣付近で監視 日本側は中止申し入れ

2010/09/28 中国新聞ニュ−ス

 仙谷由人官房長官は27日の記者会見で、中国の漁業監視船が24日から、沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)付近の接続水域で航行していることを明らかにした。海上保安庁の巡視船6隻が出動し、警戒に当たっている。また、外務省は中国側に航行中止を申し入れている。

 一方、中国漁業当局関係者は27日までに、同国が尖閣諸島付近の海域で、漁業監視船による自国漁船の保護とパトロールを常態化させる方針であると明らかにした。香港メディアが同日、中国紙、中国漁業報の報道を引用して伝えた。

 仙谷氏によると、中国の漁業監視船2隻が24日夕、接続水域に入ったことを、海上保安庁が確認した。27日早朝の時点でも域内の航行を継続していたという。

 中国外務省の姜瑜きょう・ゆ副報道局長は今月9日の段階で、漁船衝突事件を受け、現場海域へ漁業監視船を派遣したことを明らかにしていた。中国漁業報によれば、その後、別の2隻が尖閣付近でパトロールに当たっている。

 中国は海洋権益保護強化のため、南シナ海で漁業監視船のパトロールを強化。尖閣諸島周辺を含む東シナ海でも活動を強める考えとみられる。

 南シナ海では、中国はベトナムと領有権を争っている西沙(英語名パラセル)諸島海域に漁業監視船を常駐させるため、広東省広州市の造船所で400トン級の大型船舶の建造を始めている。

日中首脳会談を模索 首相、ASEM出席へ

2010/09/28 中国新聞ニュ−ス

 菅直人首相は27日、沖縄県・尖閣諸島周辺で発生した中国漁船衝突事件を受け、欠席予定だった10月4、5両日にベルギー・ブリュッセルで開かれるアジア欧州会議(ASEM)首脳会議に出席する方針を固めた。自民党など野党も了承した。同会議には中国の温家宝首相も出席する予定で、日本政府は事態収拾に向け、現地での日中首脳会談開催を模索する。

 ただ、中国の漁業監視船が尖閣諸島付近の接続水域で航行するなど日中間の緊張関係は続いており、会談が実現する見通しは立っていない。

 首相は当初、10月1日召集の臨時国会審議を優先させるため、首脳会議を欠席する方向だった。しかし政府、与党内から首脳会談を実現できるかどうかは別にして「国際社会で漁船衝突事件に関し日本の立場を主張する貴重な場を失う」などと懸念する声が出たことを受け出席方針に転じた。

 首相は27日夜、官邸で記者団に「私自身の出席を含めて検討中だ。日本から代表が出ることは大変重要だ」と強調。仙谷由人官房長官は記者会見で日中首脳会談について「現時点では、そんな先々のことを考えているわけではない」と述べるにとどめた。

 首相のASEM首脳会議出席を受け与野党は、当初10月4〜6日で調整していた衆参両院での各党代表質問を6〜8日に遅らせることで合意した。中国漁船衝突事件に関する衆院予算委員会の集中審議を臨時国会召集に先立ち、9月30日に首相や関係閣僚が出席して開催することも決定。衆院予算委は10月12〜14日に行われる方向だ。

 民主党の鉢呂吉雄国対委員長が野党側に首相のASEM首脳会議出席を打診していた。

丹羽大使との会談に応じず 中国側、邦人拘束問題で

2010/09/28 中国新聞ニュ−ス

 【北京共同】中国河北省石家荘市で建設会社フジタと現地法人の日本人社員4人が軍事管理区域に許可なく侵入、撮影した疑いで拘束されている問題で、丹羽宇一郎にわ・ういちろう駐中国大使が26日に中国外務省側に会談を申し入れたが、中国側が応じなかったことが27日、分かった。日中関係筋が明らかにした。

 中国漁船衝突事件で日本側が逮捕した中国人船長が25日に釈放され、帰国したことなどを受け、日本側は拘束問題の早期打開を図ろうと模索している。中国側にも対立収拾に向けた水面下の動きはあるが、大使との会談は「時期尚早」と判断した可能性がある。

 日中関係筋によると、中国側から会談に応じなかった明確な理由の説明はなかった。その後の調整の結果を受け、堀之内秀久ほりのうち・ひでひさ駐中国公使が26日夜、中国外務省領事局の邱学軍きゅう・がくぐん副局長に対し、4人の安全確保、人道的な観点からの迅速な問題処理を電話で申し入れた。

 邱副局長は「個別の事案で、中国の法律に基づき公正に審理される」と指摘する一方、日本側が重大な関心を持っていることは中国外務省幹部に伝えるとした。

日本巡視船8隻が追跡=漁業監視船乗船ルポ−中国紙

2010.09.28 MSN産経新聞

 【北京時事】中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報は28日、沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)付近で活動する中国の漁業監視船2隻に同紙記者が乗り込み、「日本の海上保安庁巡視船8隻に追跡され、行く手を阻まれた」などと現場の模様を伝えるルポを掲載した。

 ルポによると、監視船の「漁政201」と「漁政203」は25〜27日、海保巡視船に「日本領海に入ろうとしている。直ちに向きを変えろ!」などと警告された。さらに、海上自衛隊のP3C哨戒機が偵察のため少なくとも1日3回飛んできたという。

 漁政201は24日夜以降、「釣魚島の周囲を1周し、島の南側を半円を描くように何度も往復した」と伝えている。

【尖閣衝突事件】中国、「漁民保護」を名目に巡視を常態化

2010.09.27 MSN産経新聞

 【北京=矢板明夫】沖縄・尖閣諸島(中国名・釣魚島)沖での中国漁船衝突事件を受け、中国当局は今後、同諸島付近で漁業監視船によるパトロールを常態化する方針を固めた。漁業関係者向けの中国紙「中国漁業報」が27日までに明らかにした。これまで不定期に日本領海を侵入してきた中国の漁業監視船の活動が日常化することにより、海上保安庁の巡視船と対峙(たいじ)する場面は今後急増することが予想され、同海域の緊張が一気に高まりそうだ。

 中国漁業報は20日付の紙面で、農業省漁業指揮センターの関係者の話として、「漁民の生命、財産の安全を守るため、今後、漁業監視船は釣魚島周辺でパトロール活動を常態化、強化しなければならない」と伝えた。

 近年、海洋権益保護に力を入れ始めた中国は今年3月から、離島の資源開発を管理し、その生態系を保護する中国初の「海島保護法」を施行した。

 中国当局はその後、同法に基づいて無人島周辺への艦船による巡視活動を強化したが、同法の保護対象に含まれる尖閣諸島をはじめ、マレーシア、ベトナムなどが領有権を主張している南シナ海の南沙(英語名・スプラトリー)諸島など、外国から反発を受けることが予想される場所についての巡視は不定期で、一定の配慮をしているとみられていた。

 しかし、今回の衝突事件を受け、国内の対日強硬世論を背景に尖閣諸島に対するパトロール体制が強化された。釈放された中国人船長をはじめ、福建省周辺の漁業従事者たちは、今後も尖閣諸島付近に行って漁をしたいと中国メディアに語っており、中国当局は「漁民保護」の名目で、退役海軍艦船などから改造した農業省所属の漁業監視船による巡視をまず常態化する方針を固めたもようだ。

 日本側の反応をみながらこれからは、最新の通信設備が搭載されている国家海洋局所属の海洋調査・監視船や、海軍の艦船を同海域に送り、日本が尖閣諸島を支配している現状を少しずつ崩していきたい狙いがあるとみられる。

【尖閣衝突事件】中国が通関手続きを強化 貨物検査率を引き上げ

2010.09.27 MSN産経新聞

 沖縄県・尖閣諸島付近での中国漁船衝突事件に絡んで日中関係が冷え込む中、中国の税関当局が日中間の貿易にかかわる通関手続きを強化していたことが27日、分かった。レアアース(希土類)以外にも輸出手続きが滞る影響が出ている。

 中国の税関当局は船長釈放前の21日に日本の運輸会社に対し、日本向けの航空輸出貨物についてエックス線検査を100%、開梱検査を50%実施すると通告した。通常は貨物の種類によって検査率は異なるが、これよりも低い。日本からの輸入品でも影響が出ているという。

 また海運についても、輸出書類手続きで当局からの許可が下りないケースがあるといい、日本向けの輸出貨物の船積みが一部で滞っている。(共同)

【尖閣衝突事件】上海の「交通安全ポスター表彰式」まで延期

2010.09.27 MSN産経新聞

 【上海=河崎真澄】中国漁船衝突事件をめぐって日中関係が冷え込む中、多くの日中交流事業に影響が広がっている。日本側の主催で上海市で開かれる予定だった地元小学生対象の交通安全ポスター表彰式が急遽、市当局の意向で延期されたことが27日判明。上海市内では24日からの百貨店行事や、30日の花火大会のうち、日本の花火師による第2部ステージなども相次ぎ中止されている。

 交通安全ポスターの表彰式は子供たちの意識向上を目的に、日系企業で構成する上海日本商工クラブなどの主催でこれまで14年連続で年に1回、行われてきた。今年は今月25日に上海市内で開かれる予定だったが、市当局側が多忙を理由に要人の出席を見送ると直前に通告。地元小学生らの出席も難しくなり、延期に追い込まれた。

 また、日本の地方自治体が観光客誘致や物販を狙って24日から市内の百貨店で開く予定だった「日中文化観光交流ウイーク」も、百貨店側が安全の確保を理由に延期を通告してきた。30日の花火大会は来月1日の中国国慶節前後のイベントで、中国側が日本関連部分のみを突然、中止した。

 このほかにも、中国の税関当局が日系企業の通関手続きを厳格化している。複数の日系企業関係者によると、上海など複数の港湾で日本向け輸出の検査が20日ごろから予告なく、従来の抜き取りから全量検査に相次ぎ変更されたという。

 コンテナなど海運や航空貨物の一部で、通常よりも手続き日数が大幅に伸びているケースがあり、日本向けの輸出貨物の積み込みが中国各地の港湾や空港で滞っている。一方、日中関係筋によると、中国商務省や税関当局は、「対日輸出手続きの厳格化は指示していない」と説明している。

【尖閣衝突事件】「政治家は国防を根本的に再考する機会」 国家基本問題研が緊急提言

2010.09.27 MSN産経新聞

沖縄県・石垣港に到着した中国漁船=8日

 民間シンクタンクの国家基本問題研究所(櫻井よしこ理事長)は27日、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件の船長釈放問題について緊急提言を発表した。 提言は、 (1)政治家は今回の事件をもって、国防体制を根本的に再考する機会とする (2)中国船の意図的衝突の証拠となるビデオを公開 (3)尖閣諸島への自衛隊を配置 (4)外国船の違法活動を罰する法律の制定 −などを求めた。

【中国人船長釈放】「尖閣に自衛隊常駐を」民主党有志12人が声明

2010.09.27 MSN産経新聞

記者会見で那覇地検の中国人船長釈放問題についての抗議声明を読み上げる民主党の松原仁衆院議員(中央)=27日午前、国会内(酒巻俊介撮影)

 民主党の松原仁衆院議員らは27日午前、国会内で記者会見し、沖縄・尖閣諸島周辺での中国漁船衝突事件で中国人船長が釈放された問題を受け、尖閣諸島への自衛隊常駐の検討などを政府に求める声明を発表した。声明には同党の中堅・若手の国会議員有志12人が賛同した。

 声明は、中国人船長の釈放について「祖国の主権を隣国に蹂躙されたという国民の思いは、日中友好の精神を一気に冷却化させるとともに、政権に対する期待を大きく裏切るものとなっている」と指摘した。

 そのうえで政府に対して、尖閣への自衛隊常駐と漁業中継基地の構築の検討や、海上保安庁が事件の際に撮影したビデオテープの公開などを要求した。

 民主党国会議員有志12人の声明の全文と、12人の顔ぶれは次の通り。

      ◇

「今回の事案がわが国の国益に与える影響と対応について」

 平成22年9月27日 民主党国会議員有志

 1 今回の決定は、米国、韓国等のメディアの報道にみられるように、国際社会において日本の敗北と位置づけられており、このことによる今後のわが国外交の権威の失墜は耐えがたいものである。

 2 また、祖国の主権を隣国に蹂躙されたという国民の思いは、これまで国交回復以降40年近くかけて築き上げてきた日中友好の精神を一気に冷却化させるとともに、政権に対する期待を大きく裏切るものとなっている。

 3 同時に、中華人民共和国と南シナ海をはじめとする領有権の問題を抱える東南アジア諸国の日本に対する失望感は大きく、また自国の安全保障をより一層米国に依存せざるを得ない姿を晒(さら)したことは、今後のわが国のアジア外交においての権威を著しく失墜させるものである。

 4 こうしたわが国の危機的状況を打開するために、次のような対応をとることを強く求めるものである。

 (1)中国によるレアアースの禁輸についての事実関係や、中国国内におけるさまざまな邦人・企業に対する行為の事実関係について、直接責任ある丹羽大使から聴取する。

 (2)海上保安庁に対する中国漁船の不法行為を撮影したビデオをただちに公開し、東南アジア諸国をはじめとする国際世論を喚起する。

 (3)ガス田「白樺」の掘削の事実を早急に調査し、国際約束に反する事実が見受けられた場合、新たに搬入した機材の撤去を求めるなどあらゆる措置を講じる。

 (4)わが国への領海侵犯、漁業資源・鉱物資源等の不法取得等に対して迅速かつ実効的に対応するために必要な法制度・態勢を整備する。

 (5)尖閣諸島に自衛隊を常駐させるとともに、漁業中継基地などの経済的拠点構築することを検討する。

      ◇

 有志12人 松原仁▽中津川博郷▽神風英男▽石関貴史▽米長晴信▽木村剛司▽空本誠喜▽柴橋正直▽高邑勉▽長尾敬▽福島伸享▽金子洋一(敬称略)

 以上

【中国人船長釈放】「中国の謝罪と賠償の要求は言語道断」民主党有志73人が緊急声明

2010.09.27 MSN産経新聞

那覇地検の中国人船長釈放問題について、民主党有志議員と共に記者会見する松原仁衆院議員=27日午前、国会内(酒巻俊介撮影) 民主党の松原仁衆院議員らは27日午前、国会内で記者会見し、沖縄・尖閣諸島周辺での中国漁船衝突事件で中国人船長が釈放されたことに抗議する同党の国会議員有志73人の緊急声明を発表した。

 73人の緊急声明は、中国人船長の釈放について「他国からの発言や行動を考慮に入れる必要は法理上一切ない。外交問題を1つの理由とする判断は、検察の権限を大きく逸脱した極めて遺憾な判断」と非難した。

 松原氏は会見で「多くの同僚議員が外交的敗北に憤っている」と強調した。

 民主党国会議員有志73人の緊急声明と、73人の顔ぶれは次の通り。

      ◇

 「那覇地検による中国人船長釈放問題についての緊急声明」 

    平成22年9月27日 民主党国会議員有志

 24日夕刻にわれわれは「釈放の決定を撤回し、あくまで法と証拠にもとづき継続的な捜査の実施を求めるものである。」と声明を発した。それにも関わらず、那覇地方検察庁は独自の判断によるものとして中国人船長を釈放した。

 尖閣諸島がわが国固有の領土であることは疑いがなく、かつわが国は永年にわたって実効支配を行っており、そもそも領土問題は存在しない。こうしたことを踏まえると、今回の事件の処分にあたり、他国からの発言や行動を考慮に入れる必要は法理上一切ない。

 今回、中国人船長が「処分保留」で釈放されたことによってこの件の捜査は実質的に中断され、近い将来「不起訴」となることが予想される。しかし、容疑者の身柄を拘束し、そのうえで勾留を延長したということは、容疑者にそれ相応の違法行為があったと検察が判断し、刑事訴訟法第208条の「やむを得ない事由があると認め」たことによるはずである。

 にも関わらず、「国民への影響や今後の日中関係も考慮すると、これ以上容疑者の身柄拘束を継続して捜査を続けることは相当ではないと判断し(鈴木那覇地検次席検事)」、急遽釈放するという那覇地検の判断は、刑事訴訟法第248条の「犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる」とある要件に該当せず、法理的には適当ではない。

 すなわち、外交問題を一つの理由とする今回の判断は、刑事訴訟法の範疇を超える政治的判断であり、検察の権限を大きく逸脱した極めて遺憾な判断といわざるを得ない。このような判断が検察の独断によって行われることは、国民が選んだ政治家が国益を踏まえた政治的・外交的決断を行うという、わが国の議会制民主主義の原則を大きく揺るがすものである。

 われわれ民主党国会議員有志は「処分を保留し釈放」の判断を下したことに強く抗議すると同時に、今後、尖閣諸島近辺でのわが国の漁船などの船舶の安全、諸資源の確保に万全を期すための諸制度・法律の構築をめざす。もとより中華人民共和国からの謝罪と賠償の要求は言語道断であり、「一切応じない」という政府の判断を強く支持する。その上で、立法府に与えられたあらゆる権限を駆使して、真相の究明ならびにわが国の国益にそったあらゆる対応を今後行う決意である。

       ◇

 有志73人 石山敬貴▽畑浩治▽斎藤恭紀▽石森久嗣▽高邑勉▽今井雅人▽空本誠喜▽木内孝胤▽木村剛司▽村上史好▽渡辺義彦▽柳田和己▽向山好一▽福島伸享▽柴橋正直▽花咲宏基▽長尾敬▽中津川博郷▽石関貴史▽松原仁▽金子洋一▽福田昭夫▽神風英男▽中野譲▽加藤学▽小宮山泰子▽玉木雄一郎▽若泉征三▽川口浩▽中野渡詔子▽石原洋三郎▽牧義夫▽若井康彦▽皆吉稲生▽勝又恒一郎▽網屋信介▽高橋英行▽本村賢太郎▽松岡広隆▽福嶋健一郎▽大谷啓▽宮崎岳志▽仁木博文▽神山洋介▽山本剛正▽柿沼正明▽萩原仁▽太田和美▽和嶋未希▽山岡達丸▽石井登志郎▽米長晴信▽石井章▽谷田川元▽豊田潤多郎▽外山斎▽大久保潔重▽舟山康江▽友近聡朗▽行田邦子▽安井美紗子▽大石尚子▽河合孝典▽水戸将史▽打越明司▽梶原康弘▽川内博史▽平山泰朗▽岡本英子▽高松和夫▽小林正枝▽近藤和也▽吉田公一(敬称略)

【私はこうみる 尖閣敗北】拙速で先読まぬ日本の対応疑問

2010.09.27 MSN産経新聞

元インド海軍中将 K・K・ナイヤール氏 

 日本は中国に譲歩して、中国漁船の船長を釈放したことで、中国に対して面目を失っただけでなく、世界に対しても面目を失った。

 日本が中国人船長を逮捕したのは正しい行為だった。だが、その時点で日本政府は、後に起こるであろう事態を想定できなかったのか。船長を釈放した現段階では、すでに次の事態を想定する必要がある。それは、中国が日本の主権が及ぶ海域の開発に乗り出してくるということだ。

 船長を釈放するという判断はそれほど重要な意味を持つのだが、果たして日本政府はそこまで先を見通して判断したのだろうか。また、判断に至るまでの過程はどうなっていたのか。閣僚間でしかるべき協議が行われたのだろうか。

 本来であれば、日本は船長に対し、日本の司法制度にのっとった手続きを迅速に行うべきだった。さっさと起訴し、裁判所はすぐに判決を下す。そして、判決の翌日にでも釈放して帰国させればよかった。なぜなら、この問題は時間をかければかけるほど、中国国内が騒がしくなることが想定できたからだ。

 尖閣諸島の領有権を主張する中国の今回のやり方は、南沙諸島でも同じだ。こうした中国のやり方は想定できた。中国は年々、強硬になっていくはずだ。これが中国の力を誇示する方法なのだ。中国はあちこちでガキ大将のように振る舞っている。私たちは、相手の言いなりになることが、安定ではなく不安定をもたらすことをすでに知っている。しかし、日本の譲歩は、中国のやり方を認めることになった。

 中国は世界第2の経済大国になったとはいえ、次の半世紀を国内の貧困層の生活向上に費やさなければならない。インドは高い成長率で経済成長を続けても10億人の貧困層がいることから、次の100年は平和を望んでいる。だが、中国は中国国民よりも軍事重視の姿勢を取り、経済的、軍事的な潜在性があれば、強硬な姿勢が正当化されると考えている。

 その中国が最大の試練をもたらすのは日本だ。もし中国が軍事的に日本に挑んできても、日本は対応するすべをもっていない。日本は核武装を余儀なくさせられることになるだろう。日本の自衛隊は強力で、特に海上(の防衛力)では中国に劣っていない。だが、中国の核兵器に対しては、日本は(米国に依存し独自核を保有しておらず)丸裸同然の状態にある。その状態をどうするかは日本人自身が考えなければならないことだ。(談)

 【プロフィル】K・K・ナイヤール インド海軍の西部艦隊、東部艦隊の各司令官などを歴任。インド海軍の近代化計画にも携わった。退官後、政府の国家安全保障諮問委員会のメンバーなどを経て、現在は、国内外の安全保障問題を専門とするシンクタンク「ヴィヴェカナンダ・インターナショナル・ファンデーション」の会長。

強硬中国、根拠なき楽観論砕かれ手詰まり感

2010年09月27日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件は、中国政府が求めた「謝罪と賠償」に対し、菅首相が26日、拒否する考えを公に表明するなど、日中間の対立は長期化の様相を深めている。

 首相らは26日も今後の対応について協議したが、25日の中国人船長釈放後、中国側が態度を軟化させると見ていた日本政府は、中国の真意の見極めに苦心している。

 前夜に訪米から帰国した首相は26日、中国政府が求めた「謝罪と賠償」について、「尖閣はわが国固有の領土だ。謝罪や賠償は考えられない。全く応じるつもりはない」と述べた。都内で記者団に語った。首相はさらに「(日中)双方とも冷静になって、大局的な観点に立って行動することが必要だ」と強調した。

 これに対し、中国側は強硬姿勢のままだ。省エネ家電部品などに不可欠なレアアース(希土類)の輸出停止が続いていることから、外務省は26日も中国側に再確認を求めたが、前日同様、措置を否定したという。予想外の展開に「政府は事実上、手詰まり状態なのでは」(民主党関係者)との指摘が広がっている。

 船長釈放を発表した24日、首相官邸には楽観論が満ちていた。政府筋は「中国の反発は一気にしぼむはず」と語り、首相側近は「この先の中国の動きを見て評価してほしい」と自信たっぷりだった。

 だが、事実上の「政治決断」は外務省幹部らにも事前に相談されていなかったため、結果的に「首相らは中国側と落としどころを調整せず、根拠なく事態が収拾すると楽観していた可能性が高い」(外務省関係者)との見方も出ている。

 首相は26日夜、仙谷官房長官らと首相公邸で今後の対応を協議した。同日夕に訪米から帰国した前原外相も、そのまま外務省に直行し、政務三役や同省幹部らと協議。外相は三役に「日中関係の再構築が外務省の仕事だ」と語った。

首相、謝罪と賠償拒否 対中歩み寄りに全力

2010/09/27 中国新聞ニュ−ス

 菅直人首相は26日、沖縄県・尖閣諸島周辺で起きた中国漁船衝突事件で中国側が日本に謝罪と賠償を求めていることに対し「尖閣諸島は日本固有の領土だ。応じるつもりは全くない」と述べ、拒否の姿勢を鮮明にした。東京都青梅市で記者団の質問に答えた。中国側は強硬姿勢を崩さず、関係改善の見通しは立っていない。中国では軍事管理区域に侵入した疑いで日本人4人が拘束されており、政府は歩み寄りに全力を挙げる方針だ。

 首相は「中国側も戦略的互恵関係を深めるという姿勢を変えないと言っている。双方が大局的な観点に立って行動することが大事だ」とも述べ、中国側に冷静な対応を要請。漁船船長の釈放については「検察が事件の性質を総合的に考え、国内法に基づき粛々と判断したと承知している」と述べるにとどめた。

 政府は船長の釈放、帰国を緊張した日中関係の修復の転機としたい考えだった。しかし中国側が謝罪と賠償を持ち出したことで事態は足踏み。自民党が臨時国会での検察当局の証人喚問を求めるなど攻勢を強めている状況を踏まえ、首相は「弱腰外交」との批判がさらに拡大しないよう謝罪と賠償を拒む考えを明確にしたとみられる。

 衝突事件をめぐっては、中国が閣僚級以上の交流を停止。米国での国連総会に合わせた菅、温家宝両首相の首脳会談も見送られた。日本側はハイレベルの交流再開を通じ、関係好転への足掛かりとしたい考えだ。

 日中関係は小泉純一郎首相当時、靖国神社参拝で冷却化した。後継の安倍晋三首相が初の外遊先として2006年10月に中国を訪問。歴史認識など双方に違いが残る問題を棚上げし「戦略的互恵関係」を掲げ、和解を図った例がある。

 政府は11月に横浜市で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)に胡錦濤国家主席の来日を想定。そのころには日中関係を軌道に乗せたい考えだ。当面は東シナ海ガス田開発をめぐる条約締結交渉の再開などが一つの目安だが「しばらく交渉再開というわけにはいかないだろう」(外務省幹部)との見方が強い。

【敗北 尖閣事件】(上)歪んだ「政治主導」 仙谷氏前面に

2010.09.25 MSN産経新聞

記者会見する仙谷由人官房長官会見=24日午後、首相官邸(酒巻俊介撮影)

 沖縄・尖閣諸島沖での漁船衝突事件で、政府は中国の圧力に屈し、節を曲げた。日本は自ら中国より“格下”の国であることを内外に示し、失われた国益は計り知れない。中国人船長釈放の舞台裏を探った。

首相と外相の不在

 それは、実に奇妙な光景だった。那覇地検の鈴木亨次席検事は24日の記者会見で、中国人船長の釈放理由にわざわざ「日中関係への考慮」を挙げた。

 政府のトップである菅直人首相と外交責任者の前原誠司外相の2人が米ニューヨークでの国連総会出席のため不在中に、地検が外交的配慮に基づく判断を下したというのだ。

 「地検独自の判断だ。それを了とする」

 仙谷由人官房長官は24日午後の記者会見でこう繰り返した。柳田稔法相も「指揮権を行使した事実はない」と強調した。だが、誰が言葉通りに受け取るだろうか。

 政府関係者によると、仙谷氏は24日午前の閣議後、釈放を一部の閣僚ににおわせていた。地検の発表前に仙谷氏は柳田氏と官邸で会談している。

 「僕ら(前原氏を除く)政務三役5人は釈放決定を知らなかった。何でこのタイミングなのかと話し合ったぐらいだ」

 外務省政務三役の一人ですら事前には全く知らされていなかったと強調する。

「米の要請」口実に

 政府筋は29日の勾留(こうりゅう)期限を待たず24日に処分保留の決定が下った背景として、23日午前(日本時間同日夜)ニューヨークで行われた日米外相会談を挙げる。

 同筋によると、クリントン国務長官は尖閣諸島について「日米安保条約が明らかに適用される」と述べる一方で、尖閣諸島沖で起きた中国漁船衝突事件の早期解決を望む意向を伝えた。

) 中国側とのハイレベル協議を模索するなど事態打開を探っていた仙谷氏は、前原氏から連絡を受けた「米側の要請」(政府筋)をもっけの幸いとばかりに利用し、船長釈放の口実にした可能性があるというのだ。外務省幹部は「官邸の判断だろう。こういうことは政治判断だ」と吐き捨てた。

 「首相と外相を批判の矢面に立たせないために、2人の不在時に仙谷さんが泥をかぶったのだろう」

 民主党関係者はこう観測を述べる。だが、ことは泥をかぶるで済む問題ではない。これまで弁護士出身の仙谷氏は「司法、捜査と政治との関係について中国に理解を求めたい」と、司法権の独立に言及してきた。首相や外相が不在のなかで進んだ「仙谷氏主導」(政府筋)の釈放劇は、歪(ゆが)んだ政治主導といってもいい。

中国が掘削の可能性

 「日本は法治国家だ。そのことを簡単にゆるがせにできない。(日本が)超法規的措置をとれるのではないか、ということが前提にあるから(中国側は)よりエスカレートしていく」

 玄葉光一郎国家戦略担当相も24日午前の記者会見で胸を張った。だが、那覇地検の釈放方針発表後に官邸を出る際、玄葉氏は記者団に無言を通した。

 閣僚経験者は「地検が日中関係にわざわざ言及したのは、精いっぱいの抵抗ではないか」と解説してみせたが、中国が強く出るとひざを屈する弱い日本というイメージは世界に広まることになる。

 仙谷氏らは船長の釈放で事態の沈静化を期待しているのだろうが、資源エネルギー庁幹部は24日の自民党外交部会で、東シナ海の天然ガス田「白樺」(中国名・春暁)で、中国が掘削作業を開始した可能性が高いとの認識を明らかにした。

 今回の事件は中国が東シナ海での活動をますます活発化させるきっかけとなったかもしれない。

「特例」再び

 「那覇地検の決定は、3〜4時間後には(米ニューヨーク滞在中の)菅直人首相の耳に入るだろう」

 仙谷由人官房長官は24日午後の記者会見で、いったんはこう述べ、船長釈放決定は首相の耳には届いていないとの認識を示した。

 そしてその後、秘書官が差し入れたメモを見て「首相にはすぐに連絡が届いているということだ」と訂正した。まるで、首相の意思・判断には重きを置いていないかのようだった。

 船長釈放の一報が伝わる約5時間前。23日午後9時(日本時間24日午前10時)ごろ、首相は同行記者団との懇談で笑みを浮かべてみせた。

 「今いろんな人がいろんな努力をしているんだから」

 日中関係の改善策を問われた際の答えがこれだ。

 民主党政権には中国の圧力に屈してルールを曲げた“前科”がある。昨年12月の習近平国家副主席の来日時に「1カ月ルール」を破って天皇陛下との「特例会見」を実現させたことだ。

 「あのときは官邸がぐらついたが今回は仙谷氏をはじめきっちりやった。中国も驚いて交渉レベルを楊潔●(=簾の广を厂に、兼を虎に)外相から戴秉国国務委員に上げて圧力をかけたが政府は踏みとどまっている」

 8日の船長逮捕の数日後、外務省関係者はこう語っていた。だが、その評価は裏切られた。

テープ公開せず

 24日昼、自民党本部での党外交部会。海上保安庁の檜垣幸策刑事課長は中国漁船と海保の巡視船が衝突した瞬間を収めたビデオテープをなぜ公開しないのか、苦しい釈明に追われた。

 高村正彦元外相「ビデオを見たら、(中国漁船側が)ぶつかってきたことが一見して分かるのか」

 檜垣刑事課長「一見して分かります」

 ならばなぜ、貴重な証拠を国際社会にアピールしようとしなかったのか。白黒はっきりつけるのを嫌う事なかれ主義が垣間見える。

 政府内でも公開すべきだとの意見はあったが、仙谷氏は「刑事事件捜査は密行性をもって旨とするというのは、刑事訴訟法のいろはの『い』だ」(21日の記者会見)と後ろ向きだった。

 刑事訴訟法47条は「公益上の必要が認められる場合」は証拠書類の公開を認めている。政府は、自国に有利なはずのビデオ公開を「公益」にかなわないと判断したことになる。

基盤揺るがす火種

 政府筋は今回の釈放決定について「電光石火の早業」と評するが、いかに仙谷氏とごく少数の人間にしか知らされていなかったかが分かる。

 「那覇地検(の鈴木亨次席検事)は『今後の日中関係を考慮して』と言ったがこんなことを検事が言っていいのか。あらゆる泥をかぶるというなら、首相臨時代理である仙谷氏が(自分の責任で)言えばいい」

 自民党の石破茂政調会長は24日夕、記者団にこう指摘し、10月1日召集の臨時国会で追及する考えを示した。日本の国際的地位低下を招いた仙谷氏らの独走は、国内でも新たに発足した菅内閣の基盤を揺るがす火種となりそうだ。(阿比留瑠比、ニューヨーク 酒井充)

【敗北 尖閣事件】(中)戦略なく思考停止の日本政府、「中国も冷静に」ばかり

2010.09.26 MSN産経新聞

一片の報道官談話

 沖縄・尖閣諸島沖での漁船衝突事件で、「白旗」を掲げて中国人船長を釈放した日本に、中国はどう応えたか。和解の握手を交わすどころか、くみしやすしとみて、図に乗ってきた。

 中国外務省が日本に「強烈な抗議」として、謝罪と賠償を要求したのは25日未明。緊張に耐えられず、すぐ「落とし所」を探す日本と違い、中国は弱い相手には、より強く出た。

 日本政府の対応は鈍かった。「尖閣諸島がわが国固有の領土であることは、歴史的にも疑いない。領有権問題は存在しない。謝罪や賠償といった中国側の要求は何ら根拠がなく、全く受け入れられない」

 ようやく一片の外務報道官談話が出たのは、半日過ぎた25日午後。しかも訪米中の前原誠司外相は24日(日本時間25日)、ニューヨークでこれを聞かれると「コメントは差し控えたい」と言及を避けた。

 「政治主導」を掲げる政権で、菅直人首相はじめ政権幹部には、決定的に発信力が欠けている。

首相は“人ごと”

 24日午後(日本時間25日朝)、ニューヨーク市内で記者会見した菅直人首相は建前論を繰り返した。

 「(中国船長の釈放は)検察当局が、事件の性質などを総合的に考慮し、国内法に基づいて粛々と判断した結果だ」

 記者団との懇談で、準大手ゼネコン「フジタ」の社員4人が中国内で拘束されたことを聞かれた際も、人ごとのような反応だった。

 「なんか、そういうことがあるという知らせは、受けている」

 一方、中国はどうか。

 温家宝首相は23日の国連総会での一般演説で、国家主権や領土保全では「屈服も妥協もしない」と強調し、国際社会に明確なメッセージを発信した。

 国際社会では「沈黙は金」ではない。こんなありさまでは、尖閣諸島の歴史や事情を知らぬ諸外国に、中国側が正義だという誤解を生みかねない。

 今回の船長釈放劇で「判断に全然タッチしていない」(幹部)とされる外務省の中堅幹部がぼやく。

 「自民党政権時代なら、中国の次の行動に備え、対処方針を策定するよう政治家から指示があった。ところが今回は、ほとんど現場に話は来なかった」

政治主導機能不全

 官邸サイドは否定するが、首相が「超法規的措置はとれないのか」といらだっていたとの報道がある。実際のところ官邸には「ただ、早く沈静化させたいという思いが先行していた」(首相周辺)ようだ。

 政府には、問題解決に向けた見通しも方針もなく、衆知を集める能力もノウハウすらもなかったことになる。これでは「人災」だ。

 「証拠として早く(漁船が衝突した時の)ビデオをみせるべきだった」。鳩山由紀夫前首相も25日、京都市内で記者団に、政府の段取りの悪さを指摘した。

 鳩山氏は続けた。「私が首相当時は、温首相とのホットラインがあった。事件直後に菅首相が腹を割って議論すればよかった」。嫌味を言われる始末だ。

 民主党の岡田克也幹事長は25日、奈良市で記者団に中国の謝罪・賠償要求についてこう語った。「全く納得がいかない。中国にもプラスにならない。中国は冷静に対応した方がいい」

 政府・与党幹部が判で押したように中国に「冷静な対応」を求める。だが中国は日本の慌てぶりを「冷静に」観察し、どこまで押せば、どこまで引き下がるかを見極めながら、強硬姿勢を強めたのではないか。

 25日夜、訪米から帰国した首相を最初に出迎えたのは、首相官邸前に陣取った市民団体の抗議のシュプレヒコールだった。

 そして、仙谷由人官房長官らが公邸に駆け込んだ。尖閣問題の「今後」を協議する中で、メディアが伝える厳しい世論も報告されたという。(阿比留瑠比)

【敗北 尖閣事件】(下) 責任、検察に転嫁…「起訴すべき!」会議室に響いた声

2010.09.27 MSN産経新聞

 ■首脳会議一転

 「証拠も十分で事案も悪質。起訴すべきです!」

 24日午前10時すぎ。東京・霞が関の法務・検察合同庁舎19階の最高検会議室。中国漁船衝突事件で逮捕、送検された中国人船長に対し、起訴を主張する幹部の声が響いた。那覇地検が中国人船長の釈放決定を発表する、わずか4時間前の出来事だった。

 集まったのは、大林宏検事総長、最高検の伊藤鉄男次長検事、勝丸充啓(みつひろ)・公安部長と担当検事に加え、那覇地検の上野友慈(ゆうじ)検事正と福岡高検の岩橋義明次席検事。国会議員の逮捕など重要案件を最終決定する際に開かれた「検察首脳会議」ともいえる顔ぶれだ。

 この時点では、方針が釈放で一致していたわけではない。1時間に及んだ会議。出席者の一人の発言を契機に全員一致での釈放決定への流れが強まった。

 「4人の人命はどうなるんですか。(起訴したら)危ないんじゃないですか」

 準大手ゼネコン「フジタ」の邦人社員4人が軍事管理区域で撮影した疑いで中国当局に拘束されたことが前夜に発覚していた。ある幹部は「人命をてんびんにかければ、起訴という判断はできなかった」と悔しさをにじませた。

 ■潮目変わった日

 船長の10日間の勾留(こうりゅう)延長が決定した19日の時点で、検察当局は「起訴」に向け意気軒高だった。「異論を唱える人は誰もいなかった」(幹部)という。

 実際、検察当局は公判に備え、石垣海上保安部が衝突時の様子を撮影したビデオ映像の公開に「待った」をかけていた。「手の内を明かすわけにはいかない」(同)からだ。詰めの捜査のため、最高検は公安部の担当検事を那覇地検へ派遣する方向で調整していた。

 潮目が変わったのは21日だった。中国の温家宝首相が「釈放しなければ、中国はさらなる対抗措置を取る用意がある」と揺さぶりをかけた。間もなく、邦人4人が中国で行方不明との情報がもたらされる。

 「すぐに身柄拘束を想像した」とある検察幹部。このころから検察内では「船長にいい弁護士がつき、容疑を認めさせれば略式起訴で済ませられるのに」と弱気な声が漏れ出した。

 しかし、船長は否認を続け、連日、中国の在日大使館員と接見した。「何か吹き込まれたのは間違いない」と海保関係者。否認のままでは略式起訴にできない。流れは釈放に傾いた。

 ■官邸に2度も

 23日には那覇地検が外務省の担当課長から参考人聴取として状況を聞いた。起訴したら日中関係はどうなるか、影響を中心に説明を受けたとみられる。首相官邸からも法務省側に早期解決を望む意向が非公式に伝えられたという。24日には柳田稔法相が2回も官邸に入り、2回目は慰労会を中座して仙谷由人官房長官と1時間面会。帰り際、報道陣からの「尖閣は?」との質問を無視した。  柳田法相が官邸を辞して1時間後の午後2時半すぎ、那覇地検の鈴木亨次席検事は釈放を発表。理由に「日中関係への考慮」を挙げた。検察当局が政治決断を負わされたこともにおわせる、異例の発言だった。

 一方、菅直人首相も仙谷長官も釈放は「検察の判断」と繰り返すのみだ。

 船長釈放から半日後の25日午後、拘束中の邦人4人は北京の日本大使館員と面会できた。検察が憂慮した人命の危機は脱した。

 しかし、検察当局に対し、「中国の圧力に屈した」との国民の失望感は広がっている。折しも大阪地検特捜部の押収資料改竄(かいざん)という前代未聞の事件も発覚。逆風にさらされる中で検察当局が下した今回の判断は、当面の危機を脱する役割は果たしても、さらなる国民の不信という禍根を残す結果となった。(大竹直樹、千葉倫之)

【私はこうみる】尖閣敗北 “ダミー漁船”で衝突という疑念も

2010.09.26 MSN産経新聞

 □米ヘリテージ財団研究員 ディーン・チェン氏

 中国漁船衝突事件は、中国海軍の艦船が今年4月に沖縄本島と宮古島の間を通過した活動を含め、昨年来の中国海軍の活発な動きとの関係でみる必要がある。従って、日本は中国人船長を釈放したが、これですべてが終わったわけではない。

 では、中国政府がかつてない強硬姿勢を見せた背景には何があるのか。

 一つは、中国が経済成長と軍拡で自信を深め、大国になったと自覚し、それにふさわしい行動をとろうと考えていることだ。これらの行動は区別はつきにくいが、覇権主義と受け止めることもできる。

 中国は同時に、インドとは、(同国東部にあり中国と国境を接する)アルナチャルプラデシュ地方、東南アジア諸国とは南シナ海(の島々の領有権)、米国とは宇宙の衛星破壊実験をめぐり、覇権主義の姿勢を押し出してきている。

 中国は国内で社会不安が増大しているがゆえに、対外的に強硬な姿勢をとらざるを得ないとの見方がある。従って、対外的に融和姿勢をとるわけにはいかず、国内の愛国主義をかき立てているのだろう。

 ただ、日中関係には先の大戦が暗い影を落としており、その意味で現在の事態を過小評価すべきではない。中国の指導者が単に自国民の感情をあおっているだけでなく、中国国内からわき起こる純粋な愛国主義の発露とみるべきだ。

 次に、今回の事件が偶発的なものか、組織的なものかは分からない。

 中国が昨年3月、南シナ海で米調査船「インペッカブル」の活動を妨害したように、われわれは、中国漁船が主権にかかわる活動に使われたとみている。この一件は、今回の衝突事件で、中国政府が漁船を仕立て故意に起こしたのではないか、という根本的な疑問を惹起(じゃっき)する。

 中国は今年7月、軍事作戦を支援する際、民生物資の動員を可能とする「中国国防動員法」を施行した。こうした軍と民生部門のあいまいな状態はとても危険だ。何かあった場合、民間の漁民が危険にさらされる可能性がある。

 米政府は一貫して、領有権についての立場は示さない。しかし、日本の施政下にある領域への武力攻撃に対し、共通の危険に対処することを明記した日米安全保障条約が、尖閣諸島に適用されるのは明白だ。もし、尖閣諸島周辺で日本への武力攻撃があり、日本が日米安保条約の発動を求めた場合、米国はこれに応えるだろう。

 中国政府は、米国が日本の強力な同盟国であり、何かあれば日本のために動くということをはっきり認識すべきだ。中国がこの問題で強い態度に出れば出るほど、破滅的な事態が起きる可能性はそれだけ大きくなる。(談)

              ◇

【プロフィル】ディーン・チェン

 1966年生まれ。86年、米プリンストン大卒、米マサチューセッツ工科大(MIT)院博士課程。米議会技術評価局で中国の軍需産業に関する調査員を経て、米海軍分析センター中国研究所研究員。専門は中国政治、軍事。44歳。

【久保田るり子の外交ウオッチ】尖閣で主権も外交も放棄した菅直人政権に回ってくる大きなツケ

2010.09.25 MSN産経新聞

 これほどの腰砕けとは。国民を唖然(あぜん)とさせた中国漁船衝突事件の船長の処分保留決定から一夜が明けた。外交・安保分野にかかわるこの妥協が日本の国際的な信頼性を失墜させるのは疑いなく、何よりも尖閣諸島が早晩、韓国に実効支配されている竹島化するのではーとの懸念さえ出ている。(久保田るり子)

「民主党外交は原則を曲げる」

 中国側は船長(41)に毎日、面会していた。公務執行妨害容疑で9日に那覇地検石垣支部に送検された船長は石垣市の八重山警察署の留置所に収監されていたが、中国は福岡市の領事館から担当者を派遣、船長の心理的な支援や情報収集も行っていた。

 船長は、少なくとも過去2回の衝突事故などトラブルを起こした人物で、地元の福建省普江市の当局でも有名人。事件はきわめて故意的で悪質だった。

 尖閣諸島周辺には漁期で多いときは270隻もの中国漁船が現れ、うち70隻が領海に入ってくる。だが通常、海上保安庁の巡視船を認めれば大概、領海から出て行く。彼らはGPSを持っているから領海に入っていることは認識している。立ち入り検査に至るケースも1年に数件あるが、衝突を仕掛ける事件はこれまでただの一度もなかった。

 それだけに海保関係者は公務執行妨害は勿論、起訴されると考えていた。さらにその質の悪さから「粛々と法的措置」を行うのであれば、領海内での外国船の漁業行為を禁じる外国人漁業規制法違反で追送致もあるとみていた。

 今回の政治介入がいかに不穏当であるかだ。

 しかし、裁判となれば、今夏のシーシェパード事件並みに予測して、最短でも事態の2−3カ月の長期化が確実だった。菅政権はこれに耐えられなかったということである。

 日本の民主党外交は昨年末、中国に値踏みされている。鳩山前政権でルールを曲げて実現させた天皇陛下と習近平国家副主席の異例の会見だ。小沢一郎前幹事長の訪中団と胡錦涛国家主席との面会とセットだったのは記憶に新しい。

 「民主党の日本外交に原則はない」と知った中国が、尖閣問題で強気に出るには、前例の確信があったからに相違ない。果たして前例通り、菅政権はごり押しに屈した。

 今後、尖閣諸島周辺に中国海軍の軍艦が出没しないとも限らず、その場合、一度譲歩してしまった日本は、防衛出動はおろか、何の手出しもできないのではないか。

中国から台湾、沖縄に伝播する「反日」?

 日本政府は中国側の出方を甘く見積もっていた。11月下旬に横浜で開くアジア太平洋経済協力会議(APEC)に胡錦涛国家主席が来日を予定しているため、「世論との板ばさみで当面の高姿勢は仕方ないが、どうせしばらくすれば向こうから降りてくる」(政府高官)と高をくくっていたふしがある。

 少なくとも「APECまでには落としどことが見えてくる」との見方が多勢だった。

 中国の対日ナショナリズムや尖閣問題への感度があれば、まず初動で中国との情報戦に構える必要があった。中国からのでたらめなネット攻撃に備える日本としての国際社会への効果的な発信はついに行われなかった。その後「粛々と国内法で処理する」と判で押したような閣僚発言が続いたが、結局、国内法すら「検察の外交的配慮」で判断を保留する、超法規的な方法で事態収拾を図ったことになる。

 中国の「反日攻勢」が実利を挙げたことで、強きに屈する日本政府攻撃が拡大伝播する可能性もある。

 衝突事件後、台湾の民間団体が巡視船に援護されながら尖閣を目指した。外省人の馬英九政権は対日強硬の中国に連動しやすい。沖縄は普天間問題で民主党政府に不信感を募らせている。「声が大きい方が勝つ」とすれば、沖縄は普天間問題で今後、一歩も引かないだろう。

 今回、中国は「領土問題」のフレームアップに大成功。反日ナショナリズムをも高揚(アクセル)と抑制(ブレーキ)でコントロールした。アーミテージ米元国務副長官のいうように日本はテストされ、菅政権の外交力量は「軽さ」を見極められ、「尖閣は日米安保条約の適用範囲」と明言した米国の助言より安寧を優先する日本外交の実体は世界に速報された。

 ツケは高いだろう。東シナ海をめぐる中国共産党と軍の権益獲得への活動は、加速化しそうだ。

 今夏、首相の諮問機関「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」が出した報告書は、離島・島嶼の安全確保について、「防衛力の配置(自衛隊の駐屯)やその周辺海域などでの米軍との共同作戦」を提言した。しかし政府・官邸がこれを検討したふしはない。

【主張】中国人船長釈放 どこまで国を貶(おとし)めるのか

2010.09.25 MSN産経新聞

 ■主権放棄した政権の責任問う

 日本が中国の圧力に屈した。千載に禍根を残す致命的な誤りを犯したと言わざるを得ない。

 沖縄・尖閣諸島(石垣市)沖の日本領海を侵犯した中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突し、公務執行妨害の疑いで逮捕、送検されていた中国人船長を那覇地検が処分保留のまま釈放することを決めた。勾留(こうりゅう)期限まで5日残しており、法の手続きを無視した事実上の超法規的措置といえる。

 釈放にあたり、那覇地検次席検事は記者会見で「わが国国民への影響や今後の日中関係を考慮した」と説明した。法に基づき事件を厳正に処理すべき検察当局が「外交上の配慮」を述べるとはどういうことか。

 菅直人首相、前原誠司外相の外交トップが外遊で不在の中、仙谷由人官房長官は地検独自の判断との立場を強調した。しかし、日本の国益と領土・主権の保全、対中外交のあり方や国民感情などを考慮しても到底納得できない。釈放により、今後日本が尖閣周辺で領海侵犯や違法操業を摘発するのは極めて困難となる。主権放棄に等しい責任について首相や官房長官は国民にどう説明するのか。

 船長は容疑を否認しているが、海保側は漁船が衝突してきた状況を撮影、故意であるのは立証できるとしている。それならばなおさら起訴し、公判でビデオを公開して罪状を明らかにすべきだった。検察当局が船長に「計画性はなかった」と判断し、処分保留とはいえ釈放したことは事実上、刑事訴追の断念を意味する。国際社会も日本が中国の圧力に屈したと判断する。これほどのあしき前例はなく、その影響は計り知れない。

 ◆むなしい日米首脳会談

 那覇地検の決定は、ニューヨークで行われた日米首脳会談、日米外相会談の内容ともそぐわず、いかにも唐突で無原則な印象を国際社会に与えよう。

 菅首相とオバマ米大統領の首脳会談では、衝突事件を念頭に日米の連携と同盟の強化で一致した。米政府は「西太平洋の海洋問題で緊密に協議していくことで合意した」と発表、中国の海軍力増強と海洋進出に日米で共同対処する姿勢を明示したばかりだ。

 これに先立つ外相会談でも、前原外相にクリントン国務長官は尖閣諸島には「日米安保条約が適用される」と言明したという。前原氏は主要国(G8)外相会合でも「日本は冷静に対処している」と船長逮捕の正当性を強調して各国に理解を求めており、今回の決定はこの点でもちぐはぐといわざるを得ない。

 尖閣諸島は日本が明治時代に他国が領有権を主張していないことを確認した上で領土に編入した。中国が領有権を主張し始めたのは東シナ海の石油・天然ガス資源が明らかになった1970年代にすぎない。1953年の人民日報には、「尖閣諸島は沖縄の一部」との記述もあるほどだ。

 ◆尖閣領有の意思明示を

 にもかかわらず、中国政府は事件発生以来、船長逮捕を不当として即時無条件釈放を要求し続け、閣僚級の交流停止、東シナ海のガス田共同開発条約交渉中止などの対抗措置を次々と打ち出した。ハイテク製品の生産に欠かせないレアアース(希土類)の日本向け輸出を事実上禁止した。

 さらに、中国当局は旧日本軍の遺棄化学兵器処理事業に関連して中国河北省の現場で事前録画を行っていた日本の建設会社関係者4人を「許可なく軍事管理区域に入った」との理由で拘束、取り調べていることも判明した。異様な対日圧力である。

 事件を「国内法にのっとって厳正に対処する」(菅首相)としてきたのが結局腰砕けに終わったことで、中国側は「中国外交の勝利」と宣伝し、日本への対抗措置を徐々に解除する可能性があるが、日本の主権と国益が大きく貶(おとし)められ、取り返しがつかない。

 海上保安庁などによれば、尖閣諸島海域には1日平均270隻もの中国漁船が現れ、その4分の1以上が日本領海内で違法操業中だという。処分保留によって中国側は一層強い姿勢に転じ、漁船に加えて、「安全操業」の名目で武装した漁業監視船も同行させる恫喝(どうかつ)的操業が一般化しよう。

 そうした事態を阻止するには、尖閣諸島の領有の意思を明確な態度で示す必要がある。ヘリポート建設なども含め、自衛隊部隊配備も念頭に検討を急ぐべきだ。

中国漁船・尖閣領海内接触:中国人船長釈放 捜査現場に敗北感

2010年09月25日 毎日新聞 東京朝刊

 尖閣諸島沖で海上保安庁の巡視船と衝突した中国漁船船長(41)の釈放が突然決まった24日、捜査の現場や識者からは「中国政府の圧力に屈した」「外交的敗北」との反発の声が上がった。北京の日本大使館が襲撃された05年4月の大規模な反日デモ以来とも言われた日中摩擦。政治問題として事態がこじれる一方で、両国の貿易や人の交流は当時より深まっており、問題の長期化を懸念する人たちの間には安堵(あんど)感も広がった。【井本義親、石原聖】

 ◇「あしき前例だ」 苦情電話も殺到

 公務執行妨害容疑で逮捕された〓其雄(せんきゆう)船長の釈放を決めた那覇地検。鈴木亨次席検事は会見で「今後の日中関係を考慮した」と述べ、決定の異例さを認めた。報道陣が日中関係と釈放決定の関係をただすと、何度も言葉を詰まらせ「差し控えたい」を繰り返した。口を真一文字に結んだ苦悩の表情。時折、天井を見上げた。

 「釈放決定に政治的決断があるのか」との質問には語気を強めて「そんなことはない。検察当局として決めたこと」と即座に否定。しかし「日中関係の考慮」への説明を求められると、ペーパーを確認しながら「外交などに与える影響を、あくまで本件の諸事情の一つとして考慮したに過ぎない」「中国政府に配慮したことはない」と、慎重な言い回しに終始した。

 一方、船長を逮捕した海上保安庁。那覇地検の決定は「寝耳に水」だった。「類似事案への対処で現場に迷いが出かねない」との不満も漏れたが、「不自然な決定をせざるを得なかった検察はつらいだろう」との声もあり、庁内は複雑な空気に包まれた。

 逮捕を決めた7日は、海保や外務、法務など関係省庁の非公式会議が2度開かれた。だが、事実上の捜査終結が決定された24日は会議が招集されず、海保に決定の連絡があったのは午後2時過ぎだったという。庁内では、職員が異例の決定を流すテレビを見て憤り、「圧力に屈した」「公務員、辞めたくなった」との声も出た。

 ある幹部は「検察主導で公務執行妨害で立件したのに。あしき前例を作った」とつぶやいた。しかし、検察として日中関係まで考慮したなどとする地検の判断を聞くと徐々に冷静に。「海保の対処の適正さは証明されている。日中関係も考慮したとあえて発言し、検察が責任を負った形にしたのだろう」とおもんばかったが、最後は「残念な結果だ」と脱力した表情で語った。

 海保には「なぜ処分せずに釈放したんだ」と苦情の電話も殺到。午後7時までに60件前後に上り、「役所に文句の電話をかけたことはなかったが、今回ばかりは許容できない」「気持ちが収まらない」と断ってから不満をぶつける人もいた。だが、処分権限が地検にあることを説明すると多くの人は納得し、「今後もきちんと取り締まってほしい」と激励に変わったという。

 馬淵澄夫国土交通相は午後5時半過ぎ、国交省内で会見。「粛々と法にのっとった対応なのか」と問われると、「外交、あるいは検察当局の立場で判断されたもの。今回の判断について特段の思いはない」と述べた。

 ◇過去には「超法規的措置」も 75年・大使館占拠、77年・ハイジャック

 船長の釈放決定について、柳田稔法相は「日中関係の重要性」を理由の一つに挙げ、那覇地検は「国民への影響や今後の日中関係を考慮した」と述べた。国家の主権か外交的配慮かの選択を迫られた今回の事件。過去に「超法規的措置」と指摘された事案でも、判断の妥当性が議論になった。

 75年8月にマレーシア・クアラルンプールの米国とスウェーデンの大使館が日本赤軍に占拠された事件では、政府は国内で拘置中の赤軍5人を釈放した。また、パリ発東京行き日航機(乗員乗客156人)が77年9月、赤軍にハイジャックされダッカ空港に強制着陸した事件でも超法規的措置が取られた。犯人グループは人質との交換条件として、国内で拘置中の赤軍メンバー9人の釈放と身代金600万ドル(当時で約16億円)を要求した。

 福田赳夫首相(当時)は「人命は地球より重い」と要求に応じて身代金全額を支払い、6人(3人は本人が拒否)を釈放したが、ハイジャック事件でテロリストの要求を退けた旧西ドイツ政府の強硬策と比較され、「弱腰」との批判も浴びた。

 01年5月に北朝鮮の金正日(キムジョンイル)総書記の長男正男(ジョンナム)氏とみられる男が偽造旅券で入国しようとして身柄拘束された事件で、政府は男性の身元を公式確認しないまま強制退去させ、早期解決を図った。

 異例の措置に対し、超党派の国会議員有志は「主権国家の役割を放棄した」と反発。北朝鮮による拉致被害者の家族らで作る団体も政府の対応に抗議声明を出した。

 ◇船長母「党に感謝」

 【晋江(中国福建省)鈴木玲子】釈放が決まった〓其雄船長の自宅では24日、母親の陳婉如さん(62)が「うれしい。(共産)党と温家宝首相に感謝します」と言葉少なに語った。地元住民らによると船長の息子(13)が船長を出迎えるため福州に向かったという。

 ◇横浜の中華学校、嫌がらせの電話

 華僑の子供たちが学ぶ横浜山手中華学校(横浜市中区吉浜町)に24日、「中国人は日本から出て行け」などと嫌がらせの電話が相次いだ。【山田麻未】

中国監視船:尖閣付近を航行 示威行動か

2010年09月25日 毎日新聞 東京朝刊

 中国農業省所属の漁業監視船2隻が24日午後6時ごろ、沖縄県・尖閣諸島の領海付近に姿を見せ、同11時現在も領海線に沿って周囲を航行していることが分かった。国連海洋法条約などで、領海への侵入を未然防止できるエリアとして設定されている接続水域にも入っているという。海上保安庁は、中国政府による示威行動とみて警戒している。

 監視船は中国領海での中国漁船の保護や管理、外国船に対する監視などを行うとされ、軍艦を改造し、ヘリコプターや銃器を搭載した船もある。

 海上保安庁などによると、今回は漁船はいないという。【石原聖】

尖閣、今後も日中の火種に 領有主張、トラブル絶えず

2010/09/25 中国新聞ニュ−ス

 尖閣諸島(中国名・釣魚島)をめぐっては、これまでも中国や台湾から領有権を主張する活動家が上陸や抗議を繰り返すなどトラブルが絶えず、今後も日中の「火種」として残るのは確実だ。来年は尖閣の日本返還を日米で決めた1971年の沖縄返還協定調印から40年を迎えることから、日本政府関係者は「抗議が活発化するのでは」と懸念を強めている。

 日本政府は1895年、無人島だった尖閣諸島を領土に編入。第2次世界大戦後の米国統治を経て実効支配を続けている。だが1970年前後、周辺に豊富な石油資源が埋蔵しているとの学術調査が明らかになると中国と台湾は領有権を主張し始めた。

 〓小平(とう・しょうへい)副首相(当時)は78年に「領有問題を棚上げし解決は次世代に委ねよう」と述べ、外交問題に発展することはなかった。だが、中国政府は92年、国内法で尖閣諸島を自国の領土と定め、領有権問題が再び表面化。96年に日本の政治結社が同諸島に灯台を設けると、中国側は抗議を活発化した。

 同じ年に香港の抗議船から尖閣付近の海に飛び込んだ活動家が死亡。香港や台湾の活動家が一時上陸する事件も起きた。小泉純一郎首相(当時)の靖国神社参拝をめぐり日中関係が冷え込んでいた2004年には中国人活動家ら7人が上陸、日本側が強制送還した。

 日中で歴史認識や外交問題がこじれるたびに、中国では尖閣諸島の領有権を主張する動きが活発になり、ナショナリズムを刺激するテーマとなっている。

 【お断り】〓は「登」の右に「おおざと」を書きますが、JISコードにないため表示できません。

責任押し付け合い “醜態”さらす政府

2010/09/25 中国新聞ニュ−ス

 中国漁船衝突事件は24日、逮捕、送検されていた中国人船長を処分保留で釈放決定。日中間最大の懸案は突然、大きく動いた。誰の判断なのか―。「那覇地検」という首相官邸。「政治の関与」をにおわす地検側。逮捕した海上保安部の対応を疑問視する声も。安全保障にもかかわる重大問題なのに、政府内部で責任を押しつけ合う“醜態”をさらした。

 ▽「地検に聞いて」

 「地検に聞いてほしい」。仙谷由人官房長官は、那覇地検が釈放決定を発表した約1時間半後の記者会見で、那覇地検が「今後の日中関係を考慮した」と説明したことの真意を質問され、素っ気なく言い放った。

 外務省の幹部は「われわれが働き掛けたわけじゃない」と、今回の決定には首相官邸サイドの意向があったことを強く示唆。“弱腰外交”との批判を外務省が受けないよう予防線を張った。

 地検を所管する法務省の柳田稔法相は「那覇地検は、上級庁の福岡高検、最高検と協議して判断した。法相として指揮権を行使した事実はない」と硬い表情でペーパーを読み上げ、関与を否定した。

 法務省内部からは「こうなることは逮捕時点で想像できた。海保の対応に問題があったのでは…」との指摘も漏れるが、海保筋は「担当検事も起訴するつもりだった。海保の処理は適切だった」と反論する。

 「完全に官邸首脳、官房長官案件だ。こういうのは絶対に痕跡は残さない」。官邸筋は政府首脳が判断したことを強くにおわせた。

 ▽一転弱気に

 仙谷長官は14日、中国漁船の行動を「故意、意図的にぶつけてきている」と批判し「日本の国内法で粛々と措置しなければならない」と言明。満州事変の発端となった柳条湖事件から79年となる18日の前には、中国の世論に配慮して釈放に踏み切るとの憶測も流れたが、首相周辺は「あり得ない。政治的な判断は入らない」と否定していた。

 流れが変化したのは21日。中国の温家宝首相が訪問先のニューヨークで拘置中の中国人船長を「即時に無条件で」釈放するよう要求。閣僚級の交流停止などに加え、さらなる対抗措置も辞さない姿勢を鮮明にした。

 この直後、政府筋は「中国側の対応はエスカレートしている。(29日の拘置期限を待たずに)できるだけ早く結論を出した方がいい」と初めて弱気に。

 23日、中国・河北省で建設会社「フジタ」の日本人4人が軍事管理区域に許可なく侵入したため20日に拘束したと中国側が日本側に通報。レアアース(希土類)の中国から日本への輸出手続き停滞も判明し、中国は矢継ぎ早にカードを繰り出した。

 ▽米の影

 22日、米ニューヨークの日米外相会談。クリントン国務長官は、尖閣諸島に「日米安保条約は明らかに適用される」と明言し、中国をけん制。同時に対話による早期解決も要求した。日本政府の選択の余地は狭まっていたのも事実だ。

 中国国内の日本への反発は消えていない。中国人民大国際関係学院教授は「初めから船長を逮捕しなければ良かったのではないか。なぜ適切な政治判断ができなかったのか」と指摘。民主党代表選の「政治空白」が背景となったと見ている。中国の日本研究者らの間では「民主党は政権政党としての経験が浅く、大局に立って外交を考えられない」との失望感が広がった。

 自民党の谷垣禎一総裁は「『国内法に基づき処理する』と言いながら腰砕けになった」と批判。10月1日に召集される臨時国会で政府を追及する方針だ。

中国人船長を釈放へ 那覇地検「日中関係考慮」

2010/09/24 中国新聞ニュ−ス

 沖縄県・尖閣諸島周辺の日本の領海内で今月7日、海上保安庁の巡視船に中国漁船が衝突した事件で、那覇地検は24日、公務執行妨害の疑いで逮捕、送検されていた漁船のせん・きゆう船長(41)を処分保留で釈放することを決めた。那覇地検は「わが国国民への影響や、今後の日中関係を考慮した」と説明。事実上の捜査終結とみられる。

 中国側が繰り返し抗議して釈放を要求する中、中国河北省で日本人4人が中国当局に拘束されていることが発覚したばかりで、今回の対応には波紋が広がりそうだ。

 仙谷由人官房長官は同日午後の記者会見で、検察独自の判断との認識を表明。同地検は「福岡高検、最高検と協議した上で決した」と述べた。

 那覇地検によると、船長は公務執行妨害の容疑を否認。地検は「故意に衝突させたことは明白」と断定し、巡視船の航行に支障が出て、乗組員が海に投げ出される恐れがある危険な行為だったとした。

 その上で処分保留とした理由について「巡視船の追跡を逃れるためにとっさにとった行為で、計画性は認められない」と述べ、衝突による損傷も巡視船の航行に支障が生じる程度ではなく、乗組員にけががなかったことなども挙げた。

 起訴、不起訴の処分に関し、那覇地検は「尖閣諸島の状況や日中関係の推移をみて処分する」と説明。処分保留の決定が24日になったことを「捜査がほぼ終結する見込みとなったため」としている。

 船長は、7日午前10時55分ごろ、巡視船「みずき」が立ち入り検査のため停船を命じながら追跡した際、かじを左に切って船首部分をみずきに衝突させるなどし、海上保安官の職務を妨害した疑いで逮捕されていた。

 石垣海上保安部は8日未明に船長を逮捕。石垣簡裁は29日までの拘置延長を認めていた。船長を除く乗組員14人は同保安部から事情聴取を受け、13日に帰国した。

「地検の判断」強調 官邸、介入を否定

2010/09/24 中国新聞ニュ−ス

 政府は24日、沖縄県・尖閣諸島周辺での中国漁船衝突事件で、那覇地検が船長を処分保留で釈放すると決定したことについて「地検独自の判断」(仙谷由人官房長官)と強調、首相官邸サイドが中国への外交的配慮から捜査に「介入」したとの見方を否定した。

 政府はこれまで、船長の刑事処分について「国内法に基づき粛々と手続きを進めている」(仙谷氏)と説明。今回の釈放が「政治決着」と受け取られれば日本国内で批判が強まりかねないだけに、地検の独自判断を尊重する立場に理解を求めていく方針だ。

 一方で、那覇地検が処分理由について「今後の日中関係を考慮した」と説明したことをめぐっては、司法の枠を超えた判断との批判も予想され、仙谷氏は記者会見で「それだけの判断とは言っていない。情状や犯行状況など総合的な判断と理解している」と述べた。

 24日には、中国河北省の軍事管理区域に許可なく侵入した疑いで日本人4人が中国当局に拘束された問題が発覚。野党からは船長の保釈をめぐり「中国の強硬姿勢に屈した」との批判も出ている。

 仙谷氏は、日本人拘束問題の船長釈放決定への影響について「結び付けるのは強引すぎる」と否定。同時に「日中関係に悪化の兆候が見えていたのは事実だ。あらためて戦略的互恵関係を充実させる努力をしないといけない」と、関係改善の必要性を強調した。

那覇地検の説明要旨 中国人船長釈放

2010/09/24 中国新聞ニュ−ス

 中国人船長の釈放を24日決定した那覇地検の説明要旨は次の通り。

 当庁は本日、公務執行妨害容疑で拘置していたせん・きゆう船長を、処分保留のまま釈放することを決定した。さらに確認すべき事項もあり、手続きにも時間を要するので釈放の具体的日時等は未定。

 事件については、ほかの検察庁から応援をいただくなどして万全の捜査態勢を組み、本日まで石垣海上保安部とともに捜査を行った。これまで収集した証拠によっても、わが国の領海内で適正な職務に従事していた石垣海上保安部所属の巡視船「みずき」に乗船していた海上保安官らから停止を求められた際、せん船長が、操船していた漁船の左舷側約40メートルの海域を並走していた「みずき」に向けて左に急転舵(だ)して、故意に同漁船左舷船首部を「みずき」右舷船体中央部等に衝突させたことは明白だ。

 また、せん船長の行為は「みずき」に航行障害を発生させる恐れや、「みずき」甲板上の乗組員らが海に投げ出される恐れがある危険な行為だった。

 他方、「みずき」に現実に発生した損傷は、ただちに航行に支障が生じる程度のものではなく、また、幸い「みずき」乗組員が負傷するなどの被害の発生もなかった。

 せん船長はトロール漁船の一船長で、本件は「みずき」の追跡を免れるためとっさに取った行為と認められ、計画性等は認められず、かつ、せん船長には、わが国における前科等もないなどの事情も認められる。

 加えて、引き続きせん船長の身柄を拘置したまま捜査を継続した場合のわが国国民への影響や、今後の日中関係を考慮すると、これ以上身柄の拘束を継続して捜査を続けることは相当でないと判断した。せん船長の処分は今後の情勢を踏まえて判断する。

 なお、この件については、本日、福岡高検及び最高検と協議の上で決したことである

フジタ社員ら4人拘束 20日から中国、会社「連絡取れず」

2010/09/24 中国新聞ニュ−ス

 【石家荘共同=渡辺靖仁】日本人4人が中国河北省内の軍事管理区域に許可なく侵入、撮影した疑いで中国当局に取り調べを受けている問題で、北京の日本大使館は24日、4人が河北省石家荘市内で20日に拘束されたことを明らかにした。中国側が23日に通報してきたという。尖閣諸島付近で起きた海上保安庁の巡視船と中国漁船の衝突事件で、船長逮捕に反発する中国側が次々と対抗措置を打ち出す中で、解決が長期化する可能性がある。

 外務省によると、4人は日本の建設会社フジタの関係者。同社によると、日本から出張した男性2人と、中国の現地法人の男性2人と連絡が取れなくなっており、社員の1人から21日、「助けてくれ」と同僚にメールが届いた。

 同社によると、4人は佐々木善郎ささき・よしろう・本社国際事業部建設部次長(44)、橋本博貴はしもと・ひろき・本社営業本部営業総括第5部次長(39)と、中国現地法人に出向中の高橋定たかはし・さだむさん(57)、井口準一いぐち・じゅんいちさん(59)で、20日から河北省に入っていた。

 日中関係筋によると、遺棄化学兵器関連事業の入札に参加するため下見に訪れ、今週前半に取り調べを受けた。撮影は事業の現場を確認する目的だったとみられる。4人は事業を担当する内閣府の遺棄化学兵器処理担当室や北京の日本大使館、中国政府に連絡していなかったという。

 中国は「軍事施設保護法」などにより軍事管理区域での行動を厳しく規制。旅行者がうっかり撮影して拘束されることもある。ただ旅行者の場合、拘束されてもカメラなどの記録媒体を押収されて罰金を支払い、当日中に釈放されることがほとんどだという。

 日本大使館は「中国政府からの通報では軍事施設保護に関連する法規違反とのことで、日本としては尖閣諸島をめぐる一連の動きとは関係ないと考える」としている。

中国人船長釈放:「日本が白旗」 韓国メディアが速報

2010年09月24日 毎日新聞

 尖閣諸島沖での衝突事件は、24日の中国人船長の釈放決定で「幕引き」が図られたが、同様の領有権問題を抱える周辺諸国は日中の神経戦を注視した。

 韓国メディアは船長の釈放決定を「中国の報復に日本が白旗」と速報。聯合ニュースは「日本は国内法による起訴と判決という先例を残すことに失敗した」と指摘し、「日本の経済がどれほど中国の報復に弱いかを露見させた」と伝えた。

 韓国は竹島(韓国名・独島)問題を抱え、中国に理解を示す向きもある。しかし、ある政府関係者は「尖閣諸島が紛争地とみなされるのを避けようとしたのだろう」と妥当な判断との見方を示した。

 一方、尖閣諸島(台湾名・釣魚台)の領有権を主張する台湾の馬英九政権は、中国人船長が釈放され、早期解決が図られたことに安堵(あんど)しているようだ。中国寄りでも、日本に弱腰でも批判を受け、また、中国との共闘は安全保障上の支えである日米を刺激しかねない。13日に尖閣諸島に向かう抗議船に乗船した台湾の民間団体「中華保釣(尖閣防衛)協会」の黄錫麟総幹事は毎日新聞に「釈放しなければ緊張は一層高まり、日中台が皆、傷を負うことになった」と日本の決定を評価した。

 中国との間で南シナ海領有問題を抱えるベトナムのメディアは連日、日中の対立を報道。24日は一斉に船長の釈放決定を速報した。

 ベトナムは、東南アジア回帰を明確にしたオバマ米政権を巻き込んで中国への対抗姿勢を強める戦略で、日本時間25日未明に開かれる米・東南アジア諸国連合首脳会議では、米国の南シナ海問題への関与を改めて強調する見通しだ。それだけに、日本が米国から「尖閣は安保の対象」との確約を取り付けながら、中国に妥協せざるを得なくなったことにショックを受けている可能性がある。【ソウル西脇真一、バンコク西尾英之、台北・大谷麻由美】

【中国人船長釈放】激化する中国ネット世論 武力行使肯定も

2010.09.24 MSN産経新聞

 【北京=川越一】沖縄・尖閣諸島(中国名・釣魚島)周辺海域で日本の巡視船との衝突事件を起こした中国漁船の船長の釈放が決まった。中国外務省報道官の抑制した談話とは対照的に、中国の世論をリードするインターネット利用者は“勝利”に快哉(かいさい)を送り、対日強硬姿勢をより激化させている。

 中国のポータルサイト、「捜狐ネット」などの掲示板には、船長釈放が速報されると、数百件の書き込みが殺到した。

 「日本は弱い者をいじめ強い者を恐れることを事実が証明した」「歴史を見れば日本に対して取る道は一つしかない。大和民族を滅ぼせ!」「英雄(船長)に敬意を表する! 打倒日本帝国主義」「断固として日本に打撃を加えよ!」−。

 釈放で事態が収拾されるとは考えておらず、今後は日本政府に損害賠償と公式の謝罪を求めるよう主張。国際法廷に日本の“違法拘禁”を訴えるなど、尖閣諸島の領有権をめぐり攻勢をかけることを求めている。

 中国側が一方的に延期を決めた東シナ海のガス田「白樺」(中国名・春暁)の共同開発交渉についても、「弱腰」にならないよう要求。「自分が中国の指導者ならば、とっくに派兵し日本列島を制圧している」など、武力行使を肯定する意見も少なくない。

 一見、ネット利用者に理性的な行動を求める書き込みも、「まずは法、そして兵。法律の原理ではわれわれが必ず勝つ。そうすることで最後に軍事行動を取った場合でも、道義上も正義の軍となり、国際社会の同意と同情を得られる」と過激さがにじんでいる。

 河北省石家荘市の軍事管理区で違法に撮影したとして、邦人4人を拘束したことなどが釈放につながったとの見方もある。日本製品不買を呼びかける声も止まない。中国政府の強硬姿勢にあおられ、火がついてしまった反日感情が沈静化するには時間を要しそうだ

【中国人船長釈放】「中国はやくざ。国民は怒っている」石原都知事(1)

2010.09.24 MSN産経新聞

 東京都の石原慎太郎知事は24日の定例会見で、沖縄・尖閣諸島で起きた中国漁船衝突事件で、那覇地検が中国人船長の釈放を決めたことに、「政府はこの様で非常に誤った判断をした。中国のやり方は暴力団と同じ。衝突時のビデオを公表するべき。国民は知る権利がある」などと述べた。会見の詳報は以下の通り。

 「冒頭、こんなことを言うつもりはなかったのですが、10月に開催される都市の持続発展に関する北京フォーラムの参加招待を受けて行くつもりでいました。今回の訪中では、中国側の求めによって、フォーラムに参加して東京の環境戦略を披瀝するだけでなく、中国の経済団体との交流や政府要人との会談も計画していました」

 「国は東京の零細企業の持っている技術を評価せず前進しないんで、色々根回ししてきたのですが、東京都が中国政府と一対一である協定を結ぶつもりでしたが、これも延期になりました」

 「今回の尖閣諸島での中国のやり方は言語道断だと思います。ちょっと許容できない。後で個人的な見解も申し上げますが、こういう状況の中で、仮に訪中しても目的を達成できないと思うし、東京と北京は大分前から友好都市になっていますけども、都市間の友好と言ったって、政府そのものがこういうやり方では友好なんてあったもんじゃない」

 「ただ、その(訪中予定期間の)前の『タンロン・ハノイ建都1000年祭』の式典には呼ばれていますので、ハノイに10月8日に出張しますが、詳細については係官から話して頂きたい」

 「いま聞いたニュースだと、処分保留ということで(那覇地検が海上保安庁の巡視船と衝突した)中国船の船長を釈放だって。おかしいじゃないですか? シー・シェパード、捕鯨の問題で、妨害して公務執行妨害をした。…あれは公務じゃないか。とにかく、けしからんことをしたのだけれど、捕まえて裁判したんでしょ? 何で(今回は)処分保留? 裁判もしないってことなんですか?」

 −−(記者)どうやら起訴をしない。処分保留のまま釈放する方向で、極めて政治的な判断。つまり観光など産業に与える影響に配慮したのではないかと見られている…

 「しかしね、その観光とか経済交流の利益も大事かもしれないけど、国家の価値はもっと他にもある訳でね。こういったものを無視してね。現に向こう(中国船側)が衝突してきたと言われている、保安庁の歩哨しているときの、事故のビデオがあるんでしょう」

 「あれはあなた方(メディア)が頑張って公開させなさいよ。日本のために、国民のために。おそらく外務省は圧力をかけて、保安庁から発表させないでしょう。国民は知る権利があるんだからね、日本の領土が侵犯されているときに」

 「中国という居丈高な国はやくざのやり方と同じだよ、こんなことをして。しかも、(今は街中の)あっちこっちに防犯カメラがあって、万引きなんかも捕まえているときに、歴然とした証拠があるなら発表するべきだと思う。政府はしっかりしてもらいたいよ。本当に国民は怒ってますよ」

 「あなた方、メディアがこれを要求するのは、あなた方の責任じゃないんですか? 政府は衝突時の、国内法に沿って告発もする、裁判にもかけると言っていた論拠のビデオを国民に見せるべきだと思うね。どうですか? 反対の諸君はいる? メディアとして。はっきりしてもらいたいね」

 「私は尖閣には色々、個人的に思い入れもありまして、代議士の時代に青嵐会の仲間と計って、あそこに関西の冒険部の学生達に頼んで、1週間頑張って手製の灯台を作ってもらった。皆でお金集めて。それはバッテリーにポールを立てて裸電球に少し傘をつけた明かりの灯るちゃちな灯台でしたけども。それでも彼らはあそこで10日間ほど頑張ってくれたんだ」

 「その後、右翼が『やりましょう』ということで、彼らはお金持ちだから、立派な灯台を造ってくれたんだ。私は運輸省に『公式の灯台として足りないところがあったら言ってくれ』と言ったら、2点ぐらい指摘されて、彼らはそれをすぐに補填して立派な灯台を造った」

 「運輸省がチャート(海図)に(灯台を)記載しようとしたら、外務省が『時期尚早』と言って止めたんですよ。それから長いことあの灯台は灯ったままチャートに記載されなかった。僕はヨットもやりますが、大きな船ならともかく、小さな船舶があそこに近寄ったときに、発光物があってそれがチャートに記載されていなかったら、かえって危ないんだ。常識的に考えれば分かることなんだが、それを外務省はずっと無視した。やっと3、4年前に正式に記載することを外務省が認めたんだ」

 「その前に9・11(テロ事件)があったときにちょうど横田(基地)の問題で向こう(アメリカ)に行ってましてね。ウォルフォビッツ(米国防副長官)に会い、その次はラムズフェルド(米大統領首席補佐官)に会って。ライス(米国務長官)も『会いたい』ってことになって、次の日にペンタゴンに行くことになったんだけども」

 「ウォルフォビッツにその(尖閣の灯台の)話を苦笑いしてしたら、彼は身を乗り出して『石原さん、せっかく造った灯台が灯っているのに海図に載っていなかったら危ないんじゃないか?』って。要するに外国の役人だって分かることを外務省は無視して。何をおもんばかったか…」

 「アメリカは絶対に尖閣を守るつもりはない。クリントンの国務長官が明言したってやりっこない。現に大分前にモンデール駐日大使が来て、(沖縄で)黒人の海兵隊員3人が小学4年生の女の子を陵辱して、丁度のその時に香港の活動家(と称する)政府の下で動いている特殊部隊が(尖閣諸島に)上陸を計って、保安庁が強制退去させて、1人が溺れて死んだ」

 「香港では大騒ぎになって。こちらにしてみれば当たり前のじゃないかと思ってましたけど。アメリカのワシントン・ポストのだと思ったけど、新聞記者がモンデールに『これ以上緊張が高まって、(日中間で)大きな紛争が起こったら、アメリカは日米安保を発動して、自衛隊と一緒にあそこに出動しますか、日米安保を発動しますか』と言ったら、(モンデール駐日大使は)言下に『ノー』と言った」

 「日本でこの発言に噛みついた人間は不思議なことに私一人だった。私が担当したコラムに『こんな馬鹿なことを言っていいのか。高い金を払って維持している日米安保が役に立たないんなら辞めちまえ』と言ったらね、あの時は(アメリカでは)共和党が野党でしたけれども、知っている国会議員とその政策スタッフが『石原の言うとおりだ』と言って、モンデールは私が記事を書いた後、1週間も経たないうちに首になりましたな』

【中国人船長釈放】「パンダの代わりに尖閣を渡すのか」石原都知事(2)

2010.09.24 MSN産経新聞

 「おそらく今度もね、クリントンは国務長官としての見得を切ったけど、アメリカの圧力が(日本側へ)あったんでしょう、『とにかく泣け』と。アメリカも迷惑千万なんで、日本も泣けということで泣いたんだね。だから、せめて、こんな理不尽な横暴がまかり通るんなら、中国の政府の真意を知るためにも尖閣で向こうから衝突してきたと称している保安庁の言い分が正しいのかどうか、保安庁の持っているビデオを公表してもらいたい」

 「公表させることはあなた方、メディアの責任ですよ。都民、国民の皆さんそう思いませんか? 皆で声を合わせて、今の政府に保安庁の持っている資料を公表しろと。この頃、法的権威は、今度の検察も問題も含めて、分かんなくなってきたけれども、国民全体がこの尖閣の問題に、非常に強い屈辱感と怒りを感じているときに、政府は自分の出処進退の論拠示すためにも、ビデオを公開すべきだと思います」

 それが、実は日本の政府の作り事だったら問題あるかも知れませんが、いずれにしろ資料を出してもらいたい。『それ(証拠)がありながらなんで裁判をしなかった』ということになりかねないからね。本当に腹立つねこの問題は」

 「中国には、あの島が中国の領土だという論拠は全くないんだよ。彼らがそう言うんだったらね、沖縄が返還される前、アメリカが戦勝国として日本を統治しながら、あの尖閣諸島を爆撃演習のターゲットに使ったんですよ。その間、慰謝料を払うために、当時の持ち主だった順天堂(大学病院)の婦長さんしていた人に慰謝料を払った」

 「私は青嵐会で灯台を建てるついでに、島を買って預かろうじゃないかと言うことで(所有者の女性に)会いに行きました。残念ながら、『要望があったんで売りましたよ』と。(買い手の)その人に連絡して、を売って頂きたいと言いに行こうと思ったら『政治家に会いたくない。政治家は一切信用できない』って」

 「調べたら、私の死んだ母親の親友の奥さんと(買い手の)家族の家長である老婦人が親友だっていうんで、その伝で会いに行きました。そしたら丁寧に断られましたね。大きな土地持ちで『戦争中、中島飛行機のために一方的に政府から土地を取られたり、区画整理だということで、自分の屋敷の一部を大きく削られ本当に政治不信で、私は政治家は信じませんから。石原さんは知己の知己ですけども、残念ながらその気はございません』ということで帰ってきましたけど。そんな経緯もあるんですよ」

 「中国はあの領土が自分たちのものである所以はどこにあるのかね。メディアは調べて聞いてくれよ、本当に。(南シナ海の)スプラトリー(諸島)と同じことになるよ」

 「ベトナムをフィリピンも切歯扼腕しているスプラトリーにどうやって中国が基地を作ったかというと、(中国の)秘密部隊が夜中に海の中に潜って、中国の古船、かつての支那の。それから土器の破片(を海中に置いて)、次に調査団が行って、潜ってみたら『あいや〜。これ昔、支那人が住んでいた証拠があるよ』って。お金が出てきた、土器の破片が出てきた。これは元々、中国の領土だったということで、あそこに基地を作っちゃって。

 「フィリピンもベトナムも力がないから泣き寝入りしたんだ。まあ尖閣はそうはいかないでしょうが。あそこに日本人が作った鰹節工場の跡地がある、そのために作った入り江もある。彼らがあそこを領土だという所以が歴史的に全くないんですよ。そんな時に(日本の現在の)政府がこのざまだ。日本はこのまま行ったら沈むよ」

 −−中国でフジタの社員4人が拘束され、現在取り調べを受けているが

 「分かりません。これは実態がよく分かりませんから、みだりに発言できません。当人達は不本意な思いをしているんじゃないかと憶測するけども」

 「まあ暴力団の縄張りの拡張と同じやり方。東アジアの国は息を詰めて眺めていますよ。日本がアメリカと力を(合わせ)毅然としてあの島を守ろうとしなかったら、(周辺国)全部に及ぶということで、これをきっかけに日本とアメリカの存在感もアジアからだんだん薄れていくだろうね。政府は非常に間違った判断をしたと思います」

 −−那覇地検が記者会見で、中国人船長を処分保留にした理由について「日本国民への影響や、今後の日中関係を考慮した」ということで捜査の終結したと…

 「要するに(地検が)こういう処置を取った論拠は我が国の利益でしょ? 利益とは金の問題だよ。しかし、それ以上に大事なものがあるんじゃないかね? 国家として、民族にとってもね。そういうことを考える時期に来たと私は思います」

 −−中国から来春、上野動物園にパンダを借り入れる協定への影響は?

 「パンダもらって、尖閣を渡すのか? そんなことは考えたら分かるこった」

【正論】拓殖大学大学院教授・森本敏 尖閣と普天間はリンクしている

2010.09.24 MSN産経新聞

 中国漁船が9月7日に、尖閣諸島南端の久場島北西の領海内で巡視船に衝突した事件で、日本当局が船長を公務執行妨害の疑いで逮捕したことに対して、中国側が取ってきた強硬姿勢は、温家宝首相が即時、無条件釈放を求め、さもなければ、さらなる対抗措置を取ると警告する事態にエスカレートした。

 中国側の対応はこれまで、すでに、駐中国日本大使への抗議、日本大使館へのデモやいやがらせ、閣僚級交流やスポーツ・旅行・文化行事の停止、東シナ海ガス田開発交渉中断、全人代副委員長の訪日延期など急速に激しさを増し、全く冷静さを欠いている。

 ◆船長裁判阻止へ圧力かける

 中国側は、日本の司法当局が船長を日本の国内法で起訴して判決を下すと、尖閣諸島は法的に日本領土であるという既成事実ができてしまうので、それを阻止すべく、あらゆるルートから船長釈放を求める圧力をかけつつ日本側の対応を見極めようとしている。習近平国家副主席の陛下表敬の時のように、日本は圧力をかければ最後は何とかなる社会だと考えているのであろう。日本の司法当局には政治圧力が効かないことを理解していないのかもしれない。

 中国の究極の狙いは、周辺海域での海洋主権の拡大に向けて既成事実作りをし、領有権を唱え続けて日本との交渉に持ち込むことにある。だから、今後も尖閣諸島に漁船を近寄らせ、大型漁業監視船(海軍艦艇の改造船)で威圧して恒常的な活動実績を積み上げてゆき、いずれ実効支配という非常手段に出る可能性もある。

 中国は国内の反日デモが拡大しないよう統制する一方、反日感情を利用して日本側に圧力をかけてもいる。

 日米同盟が健全状態になく、日本の内政も安定していないのを見越し、日本が7月の東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)で南シナ海問題に関し中国批判をしたことに報復するという要素もあろう。

 日本としては、日中間に領土問題はないとの原則に立ち、国内法に照らして厳正に対応していくほかない。司法当局は勾留(こうりゅう)期間を延長して起訴する方向で、公判請求はあり得る。政府は中国に冷静な対応を要請し続けており、これまでの対応は妥当なものだ。

 ◆沖縄が対立の最前線に

 日本が今後取るべき対応は、第一に、普天間飛行場問題を速やかに解決し、日米同盟を再強化することだ。在日米軍は対中抑止力の役割をますます色濃く帯びるようになっており、対中戦略のうち喫緊の課題が尖閣諸島問題である。尖閣問題と普天間問題は密接にリンクしているのである。

 仮に、尖閣諸島が中国の領土になれば、沖縄の各基地を含む在日米軍基地は、米中対立の最前線になる。そんな状況を未然に防ぐためには、日米同盟に基づく抑止機能を再活性化するしかない。できれば、早急に沖縄周辺海域で日米海上合同演習を頻繁に行うといった着意が必要である。

 第二は、中国が対日抗議を激化させていることに対しては、あくまで法と正義にのっとって冷静に対応することだ。前述した通り、中国が日本社会には圧力をかければ、自らの意図を実現できると甘く見ているとすれば、なおのこと国内法を厳正に適用する姿勢を明確にする必要がある。

 その一方で、中国が、今回のような海洋行動を一段と日常化させてきて、そのうち、中国海軍艦艇が中国漁船を守りつつ、日本の領海に接近してきた場合、いかなる手段を取るべきかも検討しておかなければならないだろう。

 ◆施設建設と日米合同演習を

 備えのひとつとして、日本としては、現在私有地である尖閣諸島を国有地にする手続きを踏み、船舶の停泊施設や警戒監視施設、対艦ミサイル基地を建設するなど対応に万全を期しておくべきだ。

 また、南西方面戦略を進めて、鹿児島南端から与那国島に至る百九十余の離島を防衛する措置を取ることも急がれる課題だ。

 第三には、尖閣の問題を日中間の問題に狭めることなく、アジア・太平洋の多国間の問題に広げる努力を行うことである。

 10月にはハノイで東アジアサミットが、11月には横浜市でアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議がそれぞれ開催される。これらの会合を通じて、アジア・太平洋における航行の自由や領有権問題について、各国の懸念を背にしたような外交的な働きかけを行う必要がある。中国は日本への対抗措置を、南シナ海問題を抱えるASEAN諸国に見せつけている。そして、ASEAN側は日本の対応を注視しているのだ。

 要するに、今回の問題ではっきりしてきたのは、中国の一方的にして強圧的かつ露骨な海洋主権拡大の意図であり、中国が今回のような海洋行動を常態化させることにより、目的を達成しようとする長いプロセスが始まったということである。日本の姿勢としては、法と正義に基づき正々堂々と振る舞うこと、それ以外にない。(もりもと さとし)

レアアースの対日輸出禁止 中国、9月末までと米紙

2010/09/23 中国新聞ニュ−ス

 【ニューヨーク共同=水野雅央】米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は23日、ハイブリッド車の製造などに使われる希少資源、レアアース(希土類)について、中国政府が今月末まで対日輸出の全面禁止措置を取ったと報じた。中国漁船衝突事件で逮捕された中国人船長の拘置期限となる29日の日本側の対応をみた上で、禁輸措置を継続するかどうか決めるとみられ、船長釈放へ圧力をかけた格好だ。

 レアアース禁輸は、経済的な損失が出かねない制裁に踏み切り、中国が外交圧力を一段と強めたことを意味する。禁輸措置が長期化すれば、レアアースが欠かせないハイブリッド車や情報技術(IT)製品の製造に影響が及ぶとみられる。

 日本政府当局者によると、中国から日本へのレアアース輸出が止まっているとの情報が日本の業者から寄せられ、外交ルートを通じて中国政府に禁輸措置を取ったかどうか問い合わせているが、確認は取れていないという。

 同紙がレアアースの輸出にかかわる貿易関係者の話として伝えたところによると、中国政府は中国国内のレアアース業者に日本への輸出を停止するよう要求。税関当局に対しても対日輸出をすべて止めるよう指示したという。

 レアアースをめぐっては、中国政府は輸出規制を実施しており、中国に大きく依存する日本は輸出規制緩和を要請。日中両国は8月に開かれた閣僚級による「ハイレベル経済対話」で、規制緩和を話し合う次官級協議を設けることで合意していた。同紙によると、中国商務省当局者は「日本側との協議に一切応じない」としている。

 訪米中の温家宝おん・かほう 首相は21日、「日本が独断専行すれば、中国はさらなる行動を取る」と指摘し「すべての結果の責任は日本側が負うことになる」と警告していた。

中国の対日批判が激化 船長釈放実現まで譲歩せず

2010/09/23 中国新聞ニュ−ス

 【北京共同】漁船衝突事件で、23日付の中国各紙は中国人船長の無条件釈放を求めた温家宝おん・かほう首相の発言を1面トップで報道した。中国外務省の対日批判も日増しに激化しており、船長釈放が実現するまで譲歩せずに日本への圧力を強める姿勢が鮮明になった。

 首相発言の扱いの大きさは、国内世論向けにも中国当局が日本に譲歩していない姿勢を強調する狙いがあるとみられる。

 「温家宝、日本側に即時釈放を強烈に要求」。23日付の中国各紙は温首相が訪問中のニューヨークで日本の対応を批判したことを伝える新華社電を掲載。中国共産党宣伝部の指示に基づき一般紙は自社記事を掲載せず、新華社電の扱いは各紙1面トップだった。

 また中国外務省の姜瑜きょう・ゆ副報道局長は22日、日本側の主張を「詭弁きべん」「国際世論をもてあそんでだます手口」と非難し、即時無条件での船長釈放を求めた。事件直後の7日の定例記者会見では「深刻な懸念」の表明にとどめていたが、船長の逮捕、拘置延長を経て中国当局の対日批判はエスカレートしている。

 ある民間の日中関係団体の中国側幹部は「首脳(温首相)が直接日本を批判する事態に発展した。仮に船長が釈放されて問題が解決したとしても(日中の間に)しこりが残るだろう」と話した。

【尖閣衝突事件】日本メディアの取材認めず 対テロ訓練で北京市

2010.09.23 MSN産経新聞

 北京市当局は23日、同市公安局が実施した対テロ特殊部隊の訓練で、事前に申し込んでいた共同通信など北京駐在の日本メディア2社の取材について「取材スペースに限りがある」(同市新聞弁公室)との理由で認めなかった。

 北京市側からは22日に急きょ「取材を認めない」との通知があったが、他の海外メディアの記者約30人は取材が認められており、中国漁船衝突事件を受けた措置の一環の可能性がある。

 北京市新聞弁公室は日本メディアを意図的に外したのではないかとの問い合わせに「主催者側(市公安局)の調整の結果」と回答した。事前に配布された取材案内によると、訓練は23日午前、北京市郊外で実施。特殊部隊員による実戦訓練や、北京市公安局幹部による対テロ部隊の説明が予定されていた。(共同)

【尖閣衝突事件】ダライ・ラマ来日 中国が異例の「招聘取り下げ要求

2010.09.23 MSN産経新聞

 11月予定のチベット仏教最高指導者、ダライ・ラマ14世の来日に対して、中国政府が日本側の招聘(しょうへい)自体を取りやめるよう要求していることが22日、分かった。中国政府は従来、ダライ・ラマ来日では日本側に圧力をかけてきたが、会合への出席を止めようとするのは異例。沖縄・尖閣諸島周辺での漁船衝突事件を受け、中国側が強硬姿勢を取っている可能性がある。

 ダライ・ラマが出席を予定しているのは、広島市で開催される「ノーベル平和賞受賞者世界サミット」(ローマの同サミット事務局主催)。ダライ・ラマのほかゴルバチョフ元ソ連大統領や、エルバラダイ元国際原子力機関(IAEA)事務局長ら歴代のノーベル平和賞受賞者9人が、「ヒロシマの遺産・核兵器のない世界」をテーマに議論する。

 複数の政府関係者によると、中国側は外交ルートを通じ「彼(ダライ・ラマ)はノーベル平和賞を受賞するような人物ではなく、招聘はしないほうがいい」などと指摘。ダライ・ラマを「分裂主義者」と見なす従来の主張を繰り返し、招聘を自粛するよう要請した。

 これに対し、開催地の広島市は「中国側から現時点で抗議は受けていない」(市平和推進課)として、予定通りダライ・ラマを招聘するという。

 中国側はこれまでも、チベット問題に神経をとがらせてきた。平成17年4月に宗教団体の招きでダライ・ラマが訪日した際、日本政府が「宗教活動」として入国を認めたことに対して、駐中国大使館の日本公使を呼びつけて抗議。19年11月には、野党時代の鳩山由紀夫民主党幹事長がダライ・ラマと会談すると、駐日中国大使館が民主党を非難する声明を出した。

 政府関係者は「尖閣での事件にチベット人権問題が加わることで、中国国内が混乱することを中国指導部がおそれているのではないか」と分析している。

【主張】尖閣漁船事件 危険はらむ中国首相発言

2010.09.23 MSN産経新聞

 尖閣諸島付近での中国漁船と日本巡視船の衝突事件に関し、中国の温家宝首相が21日、ニューヨークで、日本に勾留(こうりゅう)されている漁船船長の即時無条件釈放を要求、応じなければさらなる対抗措置を取ると警告した。日本の法制度を無視した露骨な脅しで、きわめて遺憾というほかない。

 温首相の発言は、これまで戴秉国国務委員はじめ中国側が外交ルートで行ってきた要求と基本的に同じだ。だが温氏は共産党最高指導部の一員であって、中国の党、政府が一切譲歩しない方針を固めている表れといえる。

 中国側はすでに、閣僚級交流や東シナ海の天然ガス共同開発条約交渉の中止などに加え、日本ツアーの中止など民間交流にも影響が拡大しつつある。追加措置の検討にも入っており、そこには経済交流の制限や、尖閣諸島海域への艦艇派遣といった強硬手段も含まれていると伝えられる。

 日中関係は小泉純一郎政権の時代も、靖国神社参拝問題などで冷え込んだ。中国で大規模な反日デモが発生したが、実務関係や経済交流への影響はほとんどなく、日中貿易は拡大し「政冷経熱」といわれた。双方が、政治的対立が実務関係に及ばないよう、冷静に対処した結果だった。

 中国側が強硬姿勢を続ける理由の一つは、尖閣諸島の領有権の主張を含め、東シナ海での海洋権益確保である。日本固有の領土である尖閣諸島の日本の領有権を認めず、中国漁船の拿捕(だほ)、船長の勾留を非難する背景だ。

 しかし事件は、日本の領海内で中国漁船が不法操業し、巡視船に体当たりして逃亡を企てたという単純なものだ。日本当局は、公務執行妨害容疑で船長を取り調べる司法手続き中であり、それに中国が圧力を加えるのは内政干渉以外の何物でもない。

 中国の強い圧力に対し、日本政府が中国側に自制を求め、「粛々と法手続きを進める」のは当然である。しかし中国側の対抗措置に、手をこまねいているだけでよいのか。在外公館を通じて、各国に尖閣問題についての日本の立場を説明するなど積極的に発信して対抗する必要がある。

 日中が敵対関係に陥りかねない事態は双方にとって不幸である。司法の結論を待ち、政府は中国側との対話を模索し、事態の拡大を防ぐ努力をすべきだ。

【主張】菅・オバマ会談 日米で尖閣防衛確認せよ

2010.09.23 MSN産経新聞

 菅直人首相が国連総会出席とオバマ米大統領との首脳会談のために訪米した。米軍普天間飛行場移設問題で日米同盟の空洞化が深まる中、尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件では中国首相が船長の「即時無条件釈放」を要求するなど強硬姿勢を一段と強めてきた。

 日本の領土と安全はかつてない危機にさらされている。アジア太平洋の秩序を守る公共財たる日米同盟の実効性に東南アジア諸国の懸念も高まっている。

 決定的に重要なのは、日米首脳会談と外相会談だ。中国の無法な行動に対抗するため、首相と前原誠司外相は米軍再編の着実な履行を柱に同盟の基盤を立て直し、尖閣防衛を貫く強力な意思を世界に発信すべきである。

 日米関係は昨年秋の民主党政権移行以来、普天間問題で迷走を重ね、菅改造内閣発足後も解決のめどは立っていない。この間、同盟空洞化の足元を見透かすように中国海軍は黄海、東シナ海、南シナ海で大胆な行動に出始め、海上自衛隊護衛艦に対する艦載ヘリの異常接近(4月)も起きた。

 その延長が今回の漁船衝突事件であり、日本の安全と領土・領海を守る同盟の意思と能力が試されているといわざるを得ない。周辺諸国が事態を注視するのもそのためだ。首相や外相はまずこの現実を強く認識する必要がある。

 尖閣諸島は日本固有の領土であり、日本政府は少なくとも「中国側が領海侵犯と違法操業を謝罪し、衝突の損害賠償に応じない限り、交渉には一切応じない」となぜ主張できないのか。日中が「戦略的互恵関係」を進めるには、相手の領土・領海を尊重することが大前提であることを中国は肝に銘じなければならない。

 米国務省は先月、尖閣諸島が日本の施政の下にあり、「日米安保条約の防衛対象」と言明した。首脳会談、外相会談では同盟の根幹につながる共同防衛の誓約を再確認し、国際社会にアピールすべきだ。一方で米国は「日中の対話が必要」(スタインバーグ米国務副長官)との立場も示しており、日米共通の対処を緊密にすり合わせる必要もある。

 首脳会談の翌日には米・東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会談も開かれる。ASEANの懸念に応えるためにも、日米が「強い同盟」の回復に全力を注ぎ、信頼を取り戻してもらいたい。

APEC観光相会合:「観光」で日本に揺さぶり 中国代表団、夕食会欠席

2010年09月23日 毎日新聞 東京朝刊

 ◇日本の成長戦略に打撃

 奈良市で22日開幕したアジア太平洋経済協力会議(APEC)観光相会合。訪日観光拡大を成長戦略の柱に据える政府にとって、日本の魅力をアピールする好機で、開催地に古都、奈良を選んだのもそのため。しかし、尖閣問題での“摩擦”を背景に、最大の需要先と期待する中国の代表団は同日の歓迎夕食会を欠席するなど冷ややかな態度に終始している。「中国側は自らに実害の少ない観光分野で対抗措置を打ち出し、日本に揺さぶりをかけている」(関係筋)との見方もあり、尖閣問題は日本の「観光立国」戦略に大きな影を落としている。【寺田剛、新宮達、井出晋平】

 「1300年の歴史漂う奈良の街をしっかり楽しんでほしい」−−。観光相会合の議長を務める馬淵澄夫国土交通相は初日の討議を終えた22日夕の歓迎レセプションで各国代表者に自らの地元、奈良の魅力を訴えた。しかし、この場に、祝善忠・国家観光局副局長ら中国代表団の姿は無かった。

 出席者によると、本番の会合でも馬淵国交相と祝副局長の接触は「名刺交換をした程度」(出席者)といい、日本政府がもくろんだ訪日観光拡大に向けた日中当局の交流強化は空振りに終わりそうな気配だ。

 それどころか中国当局は同会合に合わせたかのように、上海や北京などの旅行業者に訪日観光自粛を要請。さらに、中国国家観光局は東京都内で25、26日に開催予定の「世界旅行博2010」への参加をとりやめるなど、観光分野での交流を見合わせる動きを強めている。

 景気活性化を狙いに、日本政府は7月から訪日観光ビザ(査証)発給要件を大幅緩和するなど中国人観光客の誘致拡大に乗り出したところだけに、中国当局による日本ツアー自粛要請など一連の措置は痛手だ。

 観光庁によると、09年の訪日外国人数は679万人で、うち中国人が101万人。「観光立国」を目指す政府は訪日外国人数を2019年に2500万人にする目標を掲げているが、中国人観光客を呼び込めなければ、達成はおぼつかない。中国人観光客はみやげなど購買意欲も旺盛で、独立行政法人「国際観光振興機構」(通称・日本政府観光局、JNTO)によると、1人当たりの訪日時の買い物額は約7万8000円と、フランス人(4万7000円)、米国人(2万7000円)を大きく上回る。

 それだけに、近年、順調に伸びてきた中国人の対日観光需要が尖閣問題をきっかけに変調すれば、関連業界への影響も大きい。ビザ緩和を機に、大手ホテルは全館で中国語放送が視聴できるシステムなどを整備。9月11日、リニューアルオープンした三越銀座店もブランド品販売拡大を狙って中国語による接客対応体制を強化するなど百貨店業界も準備をしてきたからだ。

 尖閣問題が発生する前までは、現在規制されている日本の業者による中国での訪日旅行募集が12月にも試験的に解禁されるとの期待も出るなど、中国人観光客ブームへの日本の官民の熱気は高かっただけに、不安は大きい。

【尖閣衝突事件】中国国家観光局、旅行博への出展取りやめ

2010.09.22 MSN産経新聞

 中国国家観光局の東京駐在事務所は22日、25日から2日間、東京都内で開催予定の「世界旅行博2010」への出展を取りやめたことを明らかにした。

 国家観光局は24日に日本の旅行業者向けに開く予定だった中国観光説明会の中止も決めている。また、奈良市で22日開幕したアジア太平洋経済協力会議(APEC)の観光担当相会合では、馬淵澄夫国土交通相が祝善忠副局長との会談を見送っている。

 日本は平成28年までに中国から600万人の観光客を誘致する計画(21年実績は101万人)。日本側は中国向け個人観光査証(ビザ)の要件を緩めたのに対し、中国側も年内に旅行業者の外資規制緩和に踏み切る方針を示していた。

 中国漁船衝突事件で逮捕された中国人船長の拘置が延長されたのを受けた中国側の対抗措置が広まれば、日中の観光交流が後退する可能性もありそうだ。

 観光動向について情報交換する旅行博には、世界中の政府観光局や旅行業者が参加。今年は130を超える国・地域が参加する予定だ。

【尖閣衝突事件】中国当局が観光業界に訪日旅行の自粛要請

2010.09.22 MSN産経新聞

 中国の旅行業界関係者は22日、政府の観光当局から訪日旅行の募集や宣伝を自粛するよう要請があったことを明らかにした。中国漁船衝突事件で逮捕された中国人船長の拘置が延長されたのを受けた中国側の対抗措置で、長期化すれば日本の観光業界にも大きな影響が出そうだ。

 業界関係者によると、要請は21日、観光当局から口頭で伝えられた。(共同)

温首相が船長の即時釈放を要求 新華社報道

2010.09.22 MSN産経新聞

 【北京=矢板明夫】中国国営新華社通信が22日伝えたところによると、国連総会に出席するため米ニューヨークを訪れている中国の温家宝首相は21日、在米中国人や華僑代表と会見した際、尖閣諸島付近で起きた漁船衝突事件に言及し「不法拘束中の中国人船長を即時・無条件で釈放することを日本側に求める」と発言した。

 同通信によると、温首相は「釈放しなければ、中国はさらなる対抗措置を取る用意がある。その結果についてすべての責任は日本側が負わなければならない」と述べたうえで、「近年の中日関係の発展は、双方の長年の努力によるものである。日本側が早急に過ちを正し、中日関係を正しい道筋に戻すことは、両国人民の根本利益に合致するだけでなく、平和、協力という世界の潮流とも一致する」と指摘した。

 中国漁船衝突事件以後、中国の外務次官、外相、外交担当の国務委員(閣僚級)が相次いで発言し、日本を非難したが、国家首脳がこの問題に触れたのは初めて。温首相は21日から3日間の日程でニューヨークを訪問しているが、菅直人首相との会談は予定されていない。

ハイレベル対話の拒否示唆 中国、厳しく日本批判

2010/09/22 中国新聞ニュ−ス

 【北京共同=加藤靖志】中国外務省の姜瑜きょう・ゆ副報道局長は22日、仙谷由人官房長官が中国漁船衝突事件の事態打開に向け日中のハイレベル対話を呼び掛けたことに対し「日本が直ちに誤りを正し、無条件で船長を釈放しなければ、両国関係がさらに損なわれることは避けられない」との談話を出し、現時点での対話を拒否する考えを強く示唆した。

 温家宝おん・かほう首相が21日、滞在先のニューヨークでの会合で中国人船長の「即時、無条件」釈放を求める強硬姿勢を示したのを受け、姜副局長も「(日本側の)世間と国際世論をもてあそんでだます手口に活路はない」と、これまでになく厳しい調子で日本を批判した。

 中国は22日、伝統的祝日の中秋節を迎え3連休がスタート。中秋節は一家が集まり月をめでる祝日で、中国メディアは漁船衝突事件で逮捕された中国人船長の家族の声を伝えるなどし民族感情を刺激。対日批判も続いており、ネット上では大規模な抗議活動を呼び掛ける動きも出ている。

 「生きて無事に帰れるのだろうか」。新華社のニュースサイトは20日、中秋節を前にした船長の母の声を報じた。中国系香港紙、大公報も「中秋節で募る肉親への思い」と題し「このまま夫が帰ってこないのなら死をもって抗議する」とする船長の妻の声を伝えた。

【尖閣衝突事件】日本食品フェスも中止 反日感情に配慮か

2010.09.22 MSN産経新聞

 尖閣諸島付近での漁船衝突事件を受け、中国で反日感情が高まる中、広東省に進出している日本の食品メーカーなど十数社が今月23日から同省内16カ所で開催する予定だった日本食品フェスティバルが、中止になったことが22日、分かった。

 主催者の日本貿易振興機構(ジェトロ)広州事務所は中止の理由を説明していないが、反日感情に配慮して自粛したとみられる。

 この催しは「華南日本食品盛会」。広東省深●(=土へんに川)市や広州市、仏山市などの日系スーパー16店舗で10月7日まで同時に開催し、店内に特設ブースを設けるなどして日本の食品をアピールする狙いだった。(共同)

民族感情刺激し対日批判 船長逮捕で中国、家族の声伝える

2010/09/22 中国新聞ニュ−ス

 【北京共同】中国は22日、伝統的祝日の中秋節を迎え3連休がスタートした。中秋節は一家が集まり月をめでる祝日で、中国メディアは尖閣諸島(中国名・釣魚島)付近で起きた漁船衝突事件で逮捕された中国人船長の家族の声を伝えるなどし民族感情を刺激。対日批判も続いており、ネット上では大規模な抗議活動を呼び掛ける動きも出ている。

 「生きて無事に帰れるのだろうか」。新華社のニュースサイトは20日、中秋節を前にした船長の母の声を報じた。中国系香港紙、大公報も「中秋節で募る肉親への思い」と題し「このまま夫が帰ってこないのなら死をもって抗議する」とする船長の妻の声を伝えた。

 中国の大学教授は「中秋節と(船長の)家族を結び付けた報道は中国人の感情にじわじわと訴えている」と話し、反日感情を刺激するとの見方を示した。温家宝おん・かほう首相も訪問中のニューヨークで21日「(事件は)船長とその家族に深刻な傷をもたらした」と述べ、中秋節を迎えた船長の家族を気遣った。

 対日批判の報道も続いている。中国共産党機関紙、人民日報傘下の中国紙、環球時報は21日付で「日本との闘い、弱点を攻めよ」との社説を掲載。「『抗日』は必ずしも政府が率先する必要はない。民間も反中政治家に献金している(日本)企業を攻めれば、思わぬ効果を生むだろう」と訴えた。またネット上では千隻の民間の中国船を尖閣諸島に出し、同諸島を取り戻そうとの呼び掛けも始まっている。

【正論】東京大学大学院教授・伊藤元重 日本国債市場に中国の影伸びる

2010.09.21 MSN産経新聞

 中国が日本の国債を大量に買い越したことが話題になっている。中国が購入した日本国債の大半は短期国債のようだ。この買い越しは、外貨準備の運用の一環として中国当局が行ったものと考えられる。「中国が日本の国債を買う」というニュースが流れると、「中国が日本の水源の土地を買う」とか「中国が日本の企業を買収する」というニュースと同じレベルでセンセーショナルに扱われがちだ。しかし、この問題は国際金融全体の問題として、より幅広い視点から考察しなくてはいけない。

 ≪国債大量買いはリスク分散≫

 まず、なぜ中国は日本の国債を購入したのだろうか。理由は明らかだ。世界最大規模である約2兆4500億ドル(約214兆円)の外貨準備を持つ中国当局にとり、1兆円以下の額の円国債を購入することは、外貨運用の微調整の範囲である。中国の外貨準備の多くは米国債だ。人民元が米ドルに完全にペッグされ(連動し)ている限りは、ドルで米国債を保有していても為替リスクは生じない。だが、米国などから人民元の切り上げを強く求められ、中国自身も将来的には人民元が切り上がっていくのはやむを得ないと考えているとすれば、外貨準備の大半をドル国債で持っていれば、巨額の為替差損を被ることを意味する。人民元のレート変動の柔軟化と中国の外貨準備の通貨の分散化は切り離すことができない問題である。

 では、中国は日本の国債を買いすぎだろうか。あるいは今後ともさらに日本国債を買い増す可能性はあるだろうか。この問いには、中国の日本国債の保有残高は中国の外貨準備全体に比べればはるかに小さな規模であり、今後とも買い増す可能性は十分にあるという答えになるだろう。国際金融市場が大きく変動する環境では、ドルという特定の通貨建ての債券に資産を集中することはできない。中国当局は今後とも、ドル建ての米国債から他通貨への運用にシフトしていくだろう。ユーロがそうした分散運用の重要な対象となるが、円もそれに次ぐ通貨である。

 ≪日本の国債管理政策に影響も≫

 日本の側から見て、中国政府のような巨大な資産管理主体が円国債の市場に入ってくることに問題はないだろうか。この点はなかなか難しい問題だ。これまで日本国債の大半は国内の金融機関が保有していた。国債市場の動きについて、日本政府はそれなりにコントロールしてきたといってよい。しかし、巨大なプレーヤーが市場に参入してくると、日本の国債管理政策に影響が及ぶ可能性が出てくる。場合によっては、中国当局との通貨対話や金融対話の場で、日本の国債のことがテーマに上がってくることもあるかもしれない。

 ドルやユーロなどの国債は、国際的に幅広く保有されている。だから、外国政府が国債を大量に保有していることは当然のことであり、そこに中国が入っていてもおかしくない。それでも、米国政府は日本や中国の当局によるドル国債の売買の動きには敏感ではあった。日本の国債もいつまでも国内市場だけに押し込めておくことができないとすれば、日本も欧米と同じように、グローバルな資金市場の視点から国債市場について考えなくてはいけない。

 ≪国債もグローバルに捉えよ≫

 中国経済の規模が拡大するにしたがって、その動きがいろんな形で日本経済に影響を及ぼすようになっている。産業、資源、観光などの分野では、すでにそうした影響が顕著である。こうした流れの中で、中国の通貨政策や金融政策が日本に影響を及ぼさないはずはない。ただ、これまでのところ、中国政府は自国通貨や国際資金移動に厳しい制限を設けてきた。そうした規制があるからこそ、人民元をドルにペッグすることができる。通貨規制があるかぎり、国際金融市場を通じた中国の影響は限られている。だからこそ、日本でもこれまでその面での中国の影響はあまり論議されてこなかった。

 中国による日本国債大量買い付けのニュースは、そうした古い時代が終わろうとしていることを意味する。中国の国際金融市場がより開放的になっていけば、日本の投資家がそこに投資する機会が増えると同時に、チャイナマネーがより直接的に日本の市場にも入ってくるようになる。国際金融市場とはそもそもそうしたものだ。世界のどこかで起きたことが瞬時に世界中に影響を及ぼす。ギリシャ危機やドバイショックなどがその好例だ。こうしたグローバルなチャンネルの中に、中国の金融市場がより顕著な形で参加してくる。

 さて、日本はどのような対応をすべきだろうか。最も重要なのは、日本の国債市場がグローバル市場の中にあることを再認識することだろう。その意味では米国や欧州と同じだ。日本の財政運営に問題があれば、いつでも国債の売り圧力がかかるだろう。売るのは中国だけではない。そして、中国との関係でいえば、日本政府や日銀は、中国の当局との対話の場を強化すべきだろう。日中の協力なくして、この地域の金融や通貨の安定はあり得ないのである。(いとう もとしげ)

尖閣問題、「毅然とした対応を」 那覇市議会が政府に意見書

2010.09.21 MSN産経新聞

 沖縄県・尖閣諸島周辺での中国漁船衝突事件を受け、那覇市議会は21日、中国政府に対する抗議決議と、日本政府に中国側への毅然とした対応を求める意見書をそれぞれ全会一致で可決した。

 決議と意見書は、ともに「尖閣諸島がわが国固有の領土であることは明白。由々しき事態だ」と強調した上で、決議では中国側に再発防止を強く要求。意見書は中国への厳重な抗議や、第11管区海上保安本部(那覇)による周辺海域の監視体制強化を日本政府に求めている。

尖閣衝突事件 中国、報道を規制 自国批判への転化警戒?

2010.09.21 MSN産経新聞

北京の日本大使館前で、「日本人は釣魚島から出ていけ」と書かれたケーキを手に抗議する男性=18日(共同)

 【北京=矢板明夫】尖閣諸島(中国名、釣魚島)付近で7日に起きた中国漁船と海上保安庁の巡視船の衝突事件で日中間の対立が深まる中、中国のインターネット上では日本批判の書き込みが急増している。「円高誘導」や「釣魚島での軍事演習」など、日本への報復措置を具体的に提案する学者も相次ぐ。中国当局はこうした反日世論が政府に向かわないよう、メディア報道を規制するなど慎重に対応している。

 日本が中国人船長の勾留延長を決めた19日、中国当局は閣僚級以上の交流停止、航空便増便をめぐる交渉中止など、日本に対して一連の報復措置を発表した。

 日中関係筋は「靖国神社参拝を繰り返した小泉内閣のとき、中国は抗議として副首相級以上の交流を取りやめたが、今回の措置はより厳しく、日中関係は1972年の国交正常化以来、最も停滞するに違いない」と分析する。

 ただ、これまでの措置では不十分で、船長が釈放されなければ、日本に対してさらなる報復措置を求めるとの意見が相次いでいる。

 中国社会科学院の馮昭奎研究員はネット上で「中国の円買いによる円高促進が最も有効な報復措置だ」と指摘。中国が円買いを始めれば世界中の投資家が追随する可能性もあり、急速な円高によって日本経済は大きな打撃を受けかねない。

 また、中国軍の彭光謙少将は「中国海軍の艦艇を釣魚島海域に定期的に派遣することや同海域における軍事演習の実施」などを提案している。一般人の書き込みとしては「中国に進出する日本企業の納税状況を調べ、脱税があれば厳しく処罰せよ」「日本への資源輸出を制限すべし」などの意見もある。

 中国メディアはこれまで断続的に、漁船衝突問題を伝えているが、21日は国際情報紙「環球時報」をのぞき、「新京報」「京華時報」などの一般紙は同問題に全く触れなかった。ある中国メディア関係者は「共産党宣伝部から『漁船の問題を書くな』とのお達しがあった」と説明、人々の批判が政府に向かわないよう中国指導部が苦慮している実態をうかがわせた。

外務省、尖閣問題で「中国に分がある」コラム掲載のNY紙に反論

2010.09.21 MSN産経新聞

 【ワシントン=佐々木類】沖縄・尖閣諸島をめぐり、米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は10日と20日付の2回、ニコラス・クリストフ記者のコラムを掲載した。内容は、「中国に分がある」「尖閣諸島の紛争で米国が日米安全保障条約を発動する可能性はゼロ」などというものだ。駐ニューヨーク日本総領事館から反論文が寄せられたことも紹介している。

 クリストフ記者は、ニューヨーク・タイムズ東京支局長の経験があり、米ジャーナリズム界で最高の名誉とされるピュリツァー賞を2度受賞している。

 クリストフ氏は10日付のコラムで、「太平洋で不毛の岩礁をめぐり、緊張が高まっている」と指摘。その上で、「1972年に米国が沖縄の施政権を日本に返還したため、尖閣諸島の問題で日本を助けるというばかげた立場をとるようになった。米国は核戦争の危険を冒すわけがなく、現実的に安保条約を発動する可能性はゼロだ」とした。

 また、「はっきりした答えは分からないが、私の感覚では、中国に分があるようだ」とした。

 ちなみに、尖閣諸島に岩礁はあるものの、少なくとも魚釣島や南小島は岩礁ではなく、沖縄県宮古島の漁民らがカツオブシ工場などを経営していた島だ。

 次に20日付で、10日付のコラムに対し、日本の外交当局から反論文が寄せられたことを紹介した。クリストフ氏は、尖閣諸島が歴史的、国際法上も日本の固有の領土であることを指摘した反論文を一部掲載、読者に反応を呼びかけた。

 読者からはさっそく「日本政府は歴史を改竄(かいざん)するのが得意だ」(カリフォルニア在住の男性)という書き込みがあった。

 在ニューヨーク日本総領事館によると、反論文は17日付で、従来の日本政府の立場を示したものだ。同総領事館の川村泰久広報センター所長名でクリストフ記者に直接手渡した。

 総領事館は「そもそも尖閣諸島をめぐる領土問題は存在しない。にもかかわらず、希薄な根拠をもとに中国に分があるような記述をしていたため、直接会って反論した」と話す。

「中国船長の逮捕・勾留は当然」  尖閣沖衝突で識者

2010.09.21 MSN産経新聞

 沖縄・尖閣諸島周辺の日本の領海内で、海上保安庁の巡視船に中国漁船が衝突した事件で、中国側が一層反発を強めたのは、公務執行妨害容疑で逮捕された漁船船長の勾留(こうりゅう)が10日間延長されたからだ。ただ、捜査すべき点が残っていれば、勾留延長の請求をするのは日本側からすれば当然の措置。検察当局は「法と証拠に基づいて厳正に処分する」(検察幹部)として、船長を起訴する方向で検討しているとされる。

 海保関係者によると、日本の領海内で起きた外国漁船の違法操業の場合、巡視船による警告で領海外へ追い払うのが一般的。外国人漁業規制法違反容疑などで立件したとしても、略式起訴・罰金刑で終わるのが大半で、勾留されるケース自体が極めて異例だ。

 なぜ今回、漁船船長は逮捕、勾留された上、10日間の勾留延長となったのか。

 海保の巡視船「よなくに」は7日、中国漁船に対し、領海から立ち去るよう警告したが、漁船はよなくにに接触して逃走。海保は漁業法に基づく立ち入り検査を行おうと無線などで再三にわたり停船を呼びかけたが、漁船は逃走を続け、さらに別の巡視船「みずき」に船体を衝突させた。これが意図的な海上保安官の立ち入り検査妨害だとして公務執行妨害容疑で漁船船長は逮捕された。

 証拠となったのは接触の様子を撮影した映像だ。左前方を走るみずきに対し、漁船が徐々に左へ寄せていき、衝突する様子が映っているという。海保関係者は「少なくとも避けようとした様子はない」と説明し、漁船の行為が悪質だったことを強調。中国への反論や国際社会にアピールするために映像を公開すべきだとの声もあがっている。

 元最高検検事の土本武司筑波大名誉教授(刑法)は「漁船を衝突させる行為は最悪の場合、巡視船が航行不能に陥る危険性もあり、公務執行妨害の程度が大きい。悪質性の観点からも逮捕・勾留は適切で当然の判断。日本は法に基づき毅然(きぜん)とした措置を取るという姿勢を示した」と指摘する。

 勾留延長については「延長したということは捜査すべき点が残っているということであり、検察当局は略式処分ではなく、公判請求(起訴)を視野に入れている可能性がある」とみる。

 一般的に、容疑者が取り調べに非協力的であったり、完全に黙秘するなどした場合、捜査すべき点が残るケースは多い。

SMAPチケット販売停止 10月上海公演で香港紙報道

2010/09/21 中国新聞ニュ−ス

 【香港共同】中国漁船衝突事件を受けて日中関係が悪化する中、20日付の香港紙、明報は、上海で来月9、10日に予定されている日本の人気グループSMAPの公演のチケットが販売停止になったとの情報を伝えた。

 公演自体がキャンセルされたかどうかは不明だが、日中関係の悪化を受けた措置の可能性があり、関係者が確認を急いでいる。

 SMAPは6月、上海万博の会場内でイベントを行う予定だったが、混乱を懸念した当局が中止した。

中国、さらに強硬姿勢も 訪問団拒否、交流凍結の拡大必至

2010/09/21 中国新聞ニュ−ス

 日本外務省は20日、日中の青少年交流事業の一環として派遣を予定していた「日本青年上海万博訪問団」約千人の受け入れが中国側から拒否されたため、訪問を延期したと発表、中国漁船衝突事件をめぐる日中の対立が深刻化した。日本政府は冷静に対応する方針だが、中国政府は一段と強硬姿勢を強める構え。対日交流を一時凍結する動きが経済、文化など民間を含めた幅広い分野に広がるのは必至で、長期化すれば日中関係に大きな影響を与えそうだ。

 ▽白紙化

 「(延期された)東シナ海ガス田開発をめぐる日中条約締結交渉を無期限延期または白紙化する」―。中国共産党機関紙、人民日報傘下の中国紙、環球時報は「次は日本にどう対抗するか」と題した20日付の特集で、専門家によるこんな提案を掲載した。

 5月末に訪日した温家宝おん・かほう首相と鳩山由紀夫首相(当時)の会談で、交渉開始の合意にこぎ着けたガス田開発問題。7月末に東京で始まった交渉は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題などでぎくしゃくする日米関係とは対照的に、日中関係の進展を象徴していた。

 初会合では、2008年6月の日中合意に基づき、早期妥結を目指す方針で一致。しかし中国側は衝突事件を受けて態度を硬化。第2回会合の延期を日本側に一方的に通告、先行きの見えない状況となった。

 20日付の他の中国紙も「日本に強烈な対抗措置」(新京報)、「閣僚級以上の交流停止」(京華時報)などの見出しを1面トップに据え、共産党機関紙、人民日報も王光亜おう・こうあ外務次官が丹羽宇一郎にわ・ういちろう駐中国大使に抗議したことを大きく伝えた。

 ▽保身

 強硬姿勢の背景には、現在の胡錦濤こ・きんとう指導部から習近平しゅう・きんぺい新指導部への世代交代が予想される2012年の共産党大会に向けた「(官僚らの)保身と実績づくり」(党関係者)があるという推測もある。党内や軍部から対日弱腰批判を受ければ、次期指導部入りや昇進の大きな障害になりかねないためだ。

 中国側の発表は閣僚級以上の交流停止だが、「ハイレベルの交流が止まれば、実務レベルや民間の交流を進める雰囲気も失われる」(北京の外交筋)。日本青年上海万博訪問団の受け入れ拒否もこの流れに沿った動きで、江蘇省南京市で20日開かれた日中の企業家フォーラムでも、全国人民代表大会外事委員会の李肇星り・ちょうせい主任(前外相)だけでなく江蘇省幹部も欠席した。

 中国政府は01年、台湾の李登輝り・とうき元総統訪日に反発し、李鵬り・ほう全人代常務委員長(国会議長=当時)の訪日を延期、次官級以上の交流も一時取りやめた。当時は、中国側からの積極的な発表はなかったが、今回は「弱腰外交」との批判を避けるため、外務省が率先して情報公開している。

強硬な中国 危機感薄い日本政府はだんまり

2010.09.21 MSN産経新聞

 沖縄・尖閣諸島付近における海上保安庁巡視船と中国漁船の衝突事件で、“対抗措置”をエスカレートさせる中国に対し、日本政府の動きが鈍い。中国側が事件を「あえて領土問題と位置づけようとしている」(政府高官)のは明らかなだけに、日本側は「冷静な対応」を堅持する構えだというが、危機感は薄い。菅直人首相は20日、「合宿」と称する新閣僚の勉強会を首相公邸で開いたが、中国への対応策に関し、指示はなかった。(酒井充)

 首相は20日午後、外遊中の海江田万里経済財政担当相と松本龍環境相を除く15閣僚と党幹部を集めたため、対応策を協議したとの見方が強まったが、経済政策や政治主導のあり方などについて意見交換し、21日に閣議決定する副大臣・政務官人事の最終調整を行っただけ。福山哲郎官房副長官は勉強会後、記者団に「事件に特化した話はしていない」と語った。

 しかも首相とほとんどの閣僚は勉強会後、都内のホテルに場所を移し、中国料理に舌鼓(したつづみ)を打った。

 中国の波状的な攻勢に対し、日本側は前原誠司外相が「尖閣諸島に領土問題は存在しない。国内法で毅然(きぜん)と対応するだけだ」と繰り返し強調している。ただ、民主党代表時代に中国の軍拡を「現実的な脅威」と批判していた前原氏でさえ、就任後は「脅威」という言葉を意識的に避け、「懸念」という表現にとどめる配慮を示す。

 まして首相からは明確なメッセージは聞かれない。片山善博総務相は19日のNHK番組で「もっと領土に対する意識を国民に涵養(かんよう)するような施策が必要だ」と主張したが、こうした意見が唯一の民間閣僚からしか出てこないあたりに民主党政権の主権に対する意識の低さがうかがえる。

政府、冷静に対応 「挑発に乗らない」

2010/09/20 中国新聞ニュ−ス

 政府は、中国側による「日本青年上海万博訪問団」の受け入れ拒否問題に対して冷静に対応する方針だ。政府筋は20日、「挑発に乗れば、領土問題に発展させたい中国側の狙い通りになる」と強調、対抗措置などは取らない考えを示した。

 船長の拘置延長に対し、中国側が態度を硬化させていることをめぐって政府筋は「中国漁船衝突事件で逮捕した船長の拘置を延長した段階で、こうした反応は織り込み済みだ」と指摘。外務省幹部も「中国が何を仕掛けようと、日本の主権、国内法に基づき粛々と刑事手続きを進めることに変わりはない」と述べた。

 中国側が19日に訪問団受け入れ拒否を通告してきた際、日本政府は「日中青年交流に水を差す行為で、到底容認できない」と強く抗議。政府筋は「今回延期された交流事業は、温家宝中国首相が来日した際に提案してきた話だ」と指摘。「それを一方的に拒否するのは不愉快極まりない」と憤りさえ見せた。

【主張】尖閣漁船事件 組織的な背景を解明せよ

2010.09.20 MSN産経新聞

 事(こと)は日本の主権にかかわる。安易な処理など許されない問題だ。

 沖縄・尖閣諸島(石垣市)付近の日本領海で海上保安庁の巡視船に中国漁船が衝突した事件で、検察当局が公務執行妨害容疑で取り調べている中国人船長の勾留(こうりゅう)期間延長を裁判所が認めた。

 検察当局には、国内法にのっとった厳正な捜査によって勾留期限の29日までに立件するよう求めたい。

 東シナ海の石油や天然ガス資源が確認されてから尖閣諸島の領有権を主張し始めた中国政府は船長の即時釈放を要求する強硬姿勢を続けている。東シナ海のガス田共同開発をめぐる日中両政府の条約締結交渉の延期を通告したのに加え、ガス田の一つに掘削用のドリルとみられる機材を搬入する新たな圧力もかけてきた。

 前原誠司外相は、中国側の掘削開始が確認されれば「しかるべき措置をとる」と言明した。当然である。日本単独での試掘や国際海洋法裁判所への提訴といった対抗措置を念頭に、毅然(きぜん)とした姿勢を示すべきだ。

 日本の司法が外国からの政治的圧力の影響を受けてはならないのは言うまでもない。それにもまして日本政府として解明しなければならないのは今回の中国漁船衝突事件の背景である。単に違法操業の範囲内でのみとらえるわけにはいかない。

 尖閣諸島海域では中国漁船の領海侵犯が急増している。海保によれば、事件発生当日には160隻ほどの中国船籍とみられる漁船が同海域で確認され、そのうち約30隻が日本の領海を侵犯していた。これらの船舶がすべて漁船であったのかも問題視すべきだ。

 海洋権益の拡大を狙う中国は海軍力の増強によって実効支配をめざす海域を広げる動きを加速させている。南シナ海では中国の漁船団に武装した漁業監視船が同行するのが常態化し、今年6月には中国漁船を拿捕(だほ)したインドネシア海軍艦船と交戦寸前の状態にまでなったという。

 尖閣諸島での事件は中国がこうした強引な手法を東シナ海にも広げてきたことを示している。

 米政府は、日本の施政下にある尖閣諸島を「日米安保条約の適用対象」とする立場をとる。日米両政府が情報共有を密にし、組織性が疑われる事件の背景を徹底的に解明する必要がある。

上海万博訪問団を拒否 中国側、衝突事件で対抗措置か

2010/09/20 中国新聞ニュ−ス

 外務省は20日、日中の青少年交流事業の一環として21日から派遣予定だった「日本青年上海万博訪問団」約千人の受け入れを中国側が拒否したため、訪問を延期したと発表した。沖縄県尖閣諸島周辺の日本領海内で、海上保安庁の巡視船に中国漁船が衝突した事件をめぐる関係悪化を理由としている。5月の日中首脳会談で確認され両政府が主導した交流事業を一方が拒否するのは極めて異例。閣僚級以上の交流停止に続く、逮捕された船長の拘置延長に対する対抗措置とみられる。

 外務省によると、中国側受け入れ団体の「中華全国青年連合会」が19日夜、在中国日本大使館に「現在の雰囲気で友好交流事業を実施するのはふさわしくないと考える」と一方的に通知した。

 政府は19日夜、在中国の大使館を通じ「訪中直前の決定は極めて不適切かつ遺憾だ」と抗議した。中華全国青年連合会は中国共産党の青年組織である中国共産主義青年団(共青団)と関係が深い。

 中国漁船衝突事件をめぐり、中国では19日夜に浙江省杭州市の日本人学校敷地内にれんがが投げ込まれたほか、20日に上海市の日本総領事館前で船長の拘置延長に対する抗議活動があった。

 訪問団構想は、5月末に行われた当時の鳩山由紀夫首相と中国の温家宝首相の首脳会談で、千人規模の日本青年を上海万博に招きたいとの温氏の提案を受けてスタート。

 日中友好会館が大学や都道府県などを通じメンバーを募集。大学生約620人、友好団体の約380人が応じた。渡航費や現地の宿泊代は中国側の負担で、21日に日本を出発。上海万博を見学、中国側青年と交流し、24日に帰国の予定だった。

 日中の青少年交流をめぐっては、10月中旬に中国側の高校生約400人を受け入れる計画があるが、中国側から予定変更の連絡はないという。

事実関係見極め対応 日本政府、情報収集急ぐ

2010年09 月20日 中国新聞ニュ−ス

 政府は19日夜、中国漁船衝突事件で逮捕した中国人船長の拘置延長に対し、中国外務省が対抗措置を表明したことについて、「事実関係を見極めてから対応する」(仙谷由人官房長官)姿勢を見せた。

 政府関係者によると、表明された日中間の閣僚級以上の交流停止など対抗措置について、外交ルートでは詳しい情報が入っておらず、情報収集を急いだ。政府筋からは「中国政府の対応は、小泉純一郎元首相による靖国神社参拝に反発したときの繰り返しだ」との分析も出ているが、基本的には中国側が対抗措置に踏み切っても「粛々と対応する」(外務省幹部)方針だ。

 前原誠司外相は拘置延長が決まる前の19日午前のNHK討論番組で、衝突事件について「今回は偶発的な事故だと思っている。冷静に中国も対応してほしい」と強調。公務執行妨害容疑で逮捕された船長は国内法に基づいて対応する方針を重ねて示し、「戦略的互恵関係を強めるためにも、われわれの立場を保ちながら中国と話し合いたい」と指摘した。

中国が閣僚級交流停止 船長の拘置延長に対抗

2010/09/20 中国新聞ニュ−ス

 【北京共同=水野雅央】沖縄県・尖閣諸島周辺の日本の領海内で、海上保安庁の巡視船に中国漁船が衝突した事件で、石垣簡裁は19日、公務執行妨害の疑いで逮捕、送検された漁船の船長セン其雄きゆう容疑者(41)の拘置期限を29日まで10日間延長することを認めた。新華社電によると、中国外務省は対抗措置として日中間の閣僚級以上の交流を既に停止したことを明らかにした。

 同事件をめぐり、中国側が対抗措置に踏み切るのは初めて。日本側に圧力をかけ、「政治判断」による船長の早期釈放を迫る構え。日本側は「法律にのっとって粛々と対応する」(前原誠司外相)との立場で、着地点は見えていない。日中関係の一層の悪化は避けられない情勢だ。

 中国外務省はまた、日中間の航空路線の増便をめぐる航空交渉中止も表明した。

 中国外務省の馬朝旭ば・ちょうきょく報道局長は19日夜、「中国側は強烈な対抗措置を取る」との談話を発表。中国側は今後、東シナ海のガス田問題をめぐり単独開発を進める「白樺」(中国名・春暁)の生産開始など、さらに強硬な対抗措置に踏み切る可能性もある。

 中国では衝突事件をめぐり、反日感情が高まり、各地でデモが発生している。このため、19日には交流事業で訪中した日本の青少年交流団が「北京国際観光祭」への参加を急きょ取りやめるなど日中間の民間交流にも影響が出ている。

 船長は容疑を否認しているとみられ、日本の捜査当局はさらに慎重な捜査が必要と判断したもようだ。違法に操業した外国人漁業規制法違反の疑いでも調べている。

 逮捕容疑は7日午前10時55分ごろ、巡視船「みずき」が立ち入り検査のため停船を命じながら追跡した際、船のかじを左に大きく切ってみずきの右舷に衝突させるなどし、海上保安官の職務執行を妨害した疑い。

【主張】尖閣漁船事件 組織的な背景を解明せよ

2010.09.20 MSN産経新聞

 事(こと)は日本の主権にかかわる。安易な処理など許されない問題だ。

 沖縄・尖閣諸島(石垣市)付近の日本領海で海上保安庁の巡視船に中国漁船が衝突した事件で、検察当局が公務執行妨害容疑で取り調べている中国人船長の勾留(こうりゅう)期間延長を裁判所が認めた。

 検察当局には、国内法にのっとった厳正な捜査によって勾留期限の29日までに立件するよう求めたい。

 東シナ海の石油や天然ガス資源が確認されてから尖閣諸島の領有権を主張し始めた中国政府は船長の即時釈放を要求する強硬姿勢を続けている。東シナ海のガス田共同開発をめぐる日中両政府の条約締結交渉の延期を通告したのに加え、ガス田の一つに掘削用のドリルとみられる機材を搬入する新たな圧力もかけてきた。

 前原誠司外相は、中国側の掘削開始が確認されれば「しかるべき措置をとる」と言明した。当然である。日本単独での試掘や国際海洋法裁判所への提訴といった対抗措置を念頭に、毅然(きぜん)とした姿勢を示すべきだ。

 日本の司法が外国からの政治的圧力の影響を受けてはならないのは言うまでもない。それにもまして日本政府として解明しなければならないのは今回の中国漁船衝突事件の背景である。単に違法操業の範囲内でのみとらえるわけにはいかない。

 尖閣諸島海域では中国漁船の領海侵犯が急増している。海保によれば、事件発生当日には160隻ほどの中国船籍とみられる漁船が同海域で確認され、そのうち約30隻が日本の領海を侵犯していた。これらの船舶がすべて漁船であったのかも問題視すべきだ。

 海洋権益の拡大を狙う中国は海軍力の増強によって実効支配をめざす海域を広げる動きを加速させている。南シナ海では中国の漁船団に武装した漁業監視船が同行するのが常態化し、今年6月には中国漁船を拿捕(だほ)したインドネシア海軍艦船と交戦寸前の状態にまでなったという。

 尖閣諸島での事件は中国がこうした強引な手法を東シナ海にも広げてきたことを示している。

 米政府は、日本の施政下にある尖閣諸島を「日米安保条約の適用対象」とする立場をとる。日米両政府が情報共有を密にし、組織性が疑われる事件の背景を徹底的に解明する必要がある。

中国人船長に刑事罰科せば「大きな嵐が起きる」 一部中国紙

2010.09.19 MSN産経新聞

 【北京=矢板明夫】19日付の中国共産党機関紙、人民日報傘下の国際情報紙、環球時報は、沖縄・尖閣諸島(中国名・釣魚島)周辺での中国漁船衝突事件で、公務執行妨害の疑いで日本側が逮捕し、勾留(こうりゅう)期限を延長した中国人船長について「日本が船長に刑事罰を科せば、中日関係にはさらに大きな嵐が起こる」と警告した。また、中国軍の羅援少将は中国系香港紙「文匯報」(電子版)で、軍事介入の可能性に言及し日本側を強く牽制(けんせい)した。

 環球時報は、中国各地で18日に起こった反日デモを一面トップで報じた。デモで日本大使館への投石など暴力行為がなかったことを評価し、「中国民衆は日本に弱みを握られなかった」と強調した。

 2005年に起こった大規模な反日デモの際には、日本料理店の窓ガラスが割られ、日本人への暴行事件が各地で相次いだ。中国当局は今回、暴力行為が発生し、国際社会での中国のイメージが低下することを懸念していたとみられる。

 また、同紙は日本問題専門家の言葉を引用する形で「船長に対し(日本が)懲役などの刑事罰を科すことは、中国は絶対に受け入れられない」と強調した。

 他の中国各紙は、満州事変の発端となった柳条湖事件から79周年の記念行事を伝えたが、デモはほとんど報じなかった。反日デモがさらに拡大し、批判の矛先が自らに向かうことを懸念する共産党の宣伝部の指示があったとみられる。

 一方、香港の文匯報で、強硬派であり中国軍事科学学会副秘書長の羅援少将は、「日本が東シナ海の海洋資源を握れば、資源小国から資源大国になってしまう」と指摘。「中国人民は平和を愛しているが、妥協と譲歩で平和を交換することはあり得ない」として、軍が介入する必要性を示唆した。

 文匯報は中国当局から資金提供を受け、採算を度外視して運営されている香港紙として知られる。強硬派である軍将官の発言掲載は、中国当局の意向を反映したものとみられる。

衝突事件は「偶発的」=中国に冷静対応呼び掛け−前原外相

2010/09/19 時事ドットコム

 前原誠司外相は19日のNHKの番組で、尖閣諸島(中国名・釣魚島)沖で海上保安庁巡視船と中国漁船が衝突した事件について、「偶発的な事故」との見方を示すとともに、「日本の法律にのっとり粛々と対応する」と重ねて強調した。事件をめぐり日中関係が険悪化しているが、「冷静に中国側にも対応してもらいたい」と述べた。

 中国国内では、事件を受けた反日デモも発生しているが、外相は「散発的な抗議活動で、中国政府も抑制の努力をしてくれている」と指摘した。 

 事件の影響で、下旬の国連総会に合わせた日中首脳会談は見送られることになった。これに関し外相は、都内で記者団に対し、日中外相会談の調整も行っていないことを明らかにした。

北京観光祭への不参加決定 日本の青年団、デモ影響

2010.09.19 MSN産経新聞

 「北京国際観光祭」への参加を取りやめた日本の交流団=19日、北京(共同) 日本の観光庁主催の交流事業の一環で日本から北京を訪問した青少年の交流団が19日、伝統芸能を披露する予定だった「北京国際観光祭」への参加を急きょ取りやめた。

 沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)周辺での漁船衝突事件を受け、中国では18日、対日抗議デモが起きており、交流団側は「安全上の理由から最終的にはこちらの判断で決めた」としている。

 この交流団は「日中青少年観光交流団」で、北海道、青森県、沖縄県の若者ら約40人で構成。19日の開幕式パレードに参加し、20日に伝統芸能を披露する予定だったが、いずれも取りやめた。

 一方、北京市観光局の当局者は、交流団が開幕式に参加しなかった理由について「(参加の申し込みを処理する際に起きた)技術的な問題」と説明し、「(安全上の理由とは)何の関係もない」としている。(共同)

反日デモは民衆のガス抜き、中国当局が一部容認

2010年09月19日 読売新聞 Yomiuri On-Line

北京の日本大使館前で抗議デモを行う中国人ら(青山謙太郎撮影)

 中国の胡錦濤政権は18日、尖閣諸島(中国名・釣魚島)沖の日本領海で起きた中国漁船衝突事件を巡る民衆デモを一部容認した。

 民衆のガス抜きを図りつつ、国家と国民の一致した憤りを日本に見せつけるためだ。政権は一方で、秩序崩壊の影におびえ、抗議行動を厳重に囲い込んだ。この日のデモは「傲慢(ごうまん)さと臆病さ」(外交筋)を併せもつ中国の現状を映し出した。

 北京の日本大使館前に抗議行動の参加者がバラバラと集まり始めたのは、午前9時(日本時間同10時)頃。1人の男性が大使館正門に向けて拡声機で「日本を打倒せよ!」と叫ぶと、周囲の約50人から拍手がわき起こった。若者らが「日本は釣魚島から出て行け」と書かれたプラカードを掲げ、中国国歌を歌い始めた。

 参加者が大使館前から行進を始めると、警官隊はそれを制止せず、むしろ誘導し始めた。警官の指示に沿ってデモ隊は「右に曲がるぞ」「左だ左!」などと声をかけ合いながら、整然と進んでいく。完全な統制下の反日デモだ。

23日に日中首相と会談=尖閣事件にも言及か−米大統領

2010/09/18 時事ドットコム

 【ワシントン時事】ギブズ米大統領報道官は17日の記者会見で、オバマ大統領が23日に国連総会が開かれるニューヨークで、菅直人首相および中国の温家宝首相と会談すると発表した。

 オバマ大統領は、菅首相が民主党代表選で再選されたことを受け、日米同盟の重要性を再確認するとともに、米軍普天間飛行場移設問題の早期解決に向けた協力を改めて求める。

 また、日本が6年半ぶりに実施した為替介入や北朝鮮の核問題などについても意見交換する見通し。

 米政府は、尖閣諸島沖の海上保安庁巡視船と中国漁船の衝突事件を受け、日中関係がぎくしゃくし始めていることを懸念している。オバマ大統領が両首相との会談で、この問題でどのような対応を示すかに関心が集まっている。 

 一方、藤崎一郎駐米大使は17日の記者会見で、国連総会期間中にニューヨークで前原誠司外相とクリントン国務長官の会談を行う方向で調整していることを明らかにした。

中国:反日デモに警戒 柳条湖事件から79年

2010年09月18日 毎日新聞

「釣魚島は中国のものだ」などと書かれた横断幕の前で中国国旗を掲げる男性=上海の日本総領事館前で2010年9月18日、鈴木玲子撮影

 【北京・浦松丈二、上海・鈴木玲子】沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)付近で日本の巡視船と中国の漁船が衝突した事件を受け、中国では18日午前、北京の日本大使館や上海の日本総領事館の前に中国人の若者らが集まり、「逮捕された中国人船長を返せ」などと訴えた。北京では小規模な街頭デモが発生した。

 この日は満州事変(1931年)のきっかけになった柳条湖事件から79年となる抗日記念日。尖閣諸島の事件を機にインターネット上で抗議行動への参加呼び掛けがあり、日本大使館や総領事館は在留邦人に対し、デモや集会に近づかないよう注意を喚起してきた。

 北京の日本大使館周辺には警備車両30台以上が配置された。市民数十人が、数百人規模の警察官らが取り囲む中、「船長を返せ」などとシュプレヒコール。「日本は釣魚島から出ていけ」と書いたシャツを着た男性(28)や日本政府を非難するプラカードを持った男女が事件での日本政府の対応を批判。そのまま街頭に繰り出し、国歌を歌いながら練り歩いた。

 上海の日本総領事館前では、警察が朝から道路を封鎖し、周囲を数十人の警官らが警備するなど厳戒態勢が敷かれた。数十人が集まり「釣魚島は中国のものだ」などと書いた横断幕を掲げた。一方、瀋陽の日本総領事館前でも、計3人が国旗や横断幕を掲げて抗議した。

北京や上海で反日デモ 「日本に旅行する人々は非国民」

2010.09.18 MSN産経新聞

 警察官が巡回し、警戒が続く北京の日本大使館前=18日午前(共同)

 【北京=矢板明夫】北京の日本大使館や上海の日本総領事館周辺に18日早朝、反日団体のメンバー50〜60人が集まり、沖縄・尖閣諸島(中国名・釣魚島)付近の日本領海で今月7日に起きた中国漁船と海上保安庁の巡視船との接触事件をめぐる日本側の対応に抗議の声を上げた。

 北京の日本大使館前では、抗議メンバーが国歌を歌い、「釣魚島から出ていけ」などと書かれたプラカードを掲げながら行進。「不法拘留中の中国人船長を返せ」「日本に旅行に行く人々は非国民だ」「日本軍国主義を打倒せよ」などと叫んだ。

 現場付近では数百人の警察、武装警察による厳重警戒態勢が敷かれた。当初、メディア関係者と、事前にデモ参加許可を得たとみられる抗議メンバー以外、通行禁止となっていたが、一般の通行人がデモに参加する光景もみられた。デモは約30分間で終了した。

 9月18日は、満州事変の発端となった柳条湖事件(1931年)から79周年にあたる日。ネットでは10日ごろから、反日デモを呼びかける書き込みであふれている。

中国企業1万人の日本旅行を尖閣諸島問題で延期

2010/09/18 TV朝日

 尖閣諸島周辺での漁船事件に関連し、中国の会社が日本への1万人旅行の中止を発表しました。中国の主要都市では18日、反日デモを呼びかける動きも出てきています。

 宝健・呉学誠副社長:「日本政府の釣魚島(尖閣諸島)事件に、我々は厳重な抗議をします。だから、今回の日本旅行をキャンセルしました」

 北京にあるこの健康食品会社は毎年、1万人規模で海外への社員旅行を行っています。ところが今回は、尖閣諸島の問題を理由に、10月に予定していた日本への観光旅行を中止すると発表しました。

 一方、18日は、満州事変の発端となった柳条湖事件から79年を迎えます。中国のインターネットでは、北京や上海などでの反日デモを行うとの書き込みが行われています。日本人学校では、18日に予定していた運動会の延期を決めていて、日本大使館でも在留邦人に注意を呼びかけています。

中国漁船に穴、日本側「事件との関連ない」

2010年09月18日 News24

 沖縄・尖閣諸島沖で衝突事件を起こし、現在は中国・福建省の港に戻っている漁船には、大きな穴が見られる。漁船の関係者は「巡視船との衝突で船体に穴が開き、修理をしている」と主張している。しかし、事件直後の船の同じ部分は損傷しておらず、日本側は「衝突事件との関連はない」としている。

 尖閣諸島から戻ってきた漁船には、船首部分に穴が2つ開いていて、武装警察が警戒する中、穴の修理が進められている。漁船の関係者は「海上保安庁の船との衝突事件で漁船に穴が開いた」と説明している。しかし、海上保安庁は「巡視船との衝突と関連はない」としている。

【主張】反日運動 中国は邦人の安全を守れ

2010.09.17 MSN産経新聞

 日本の領土である沖縄・尖閣諸島周辺での海上保安庁巡視船と中国漁船との衝突事件以降、中国各地で日本の公館や在留邦人への悪質ないやがらせが約30件も起きた。

 広州市の日本総領事館にはビール瓶が投げつけられ、天津市の日本人学校では金属球が撃ち込まれた。いずれもきわめて危険で、看過できない。日本は重ねて中国に対し、再発防止と在留邦人の安全確保を強く申し入れるべきである。

 繰り返し強調する。尖閣諸島は日本が明治時代の1895年、他の国が領有した形跡がないことを確認し領土に編入した。衝突事件では領海侵犯した中国漁船の海保巡視船への公務執行妨害は明らかで、船長が逮捕された。

 にもかかわらず中国政府がこれを不当とし、船長の即時釈放を求めているのは筋違いだ。加えて中国メディアの激しい論調が新たな反日運動を後押しする状況だ。

 中国の反日運動はこれまでにもしばしば起きた。

 2005年には歴史教科書問題や日本の国連安全保障理事会常任理事国入りに反対する機運が広まった。4月、四川省成都で起きた日系スーパーに対する暴動を皮切りに、北京の日本大使館や上海の日本総領事館を反日デモ隊が取り囲み、レンガの破片やペットボトルなどが投げ込まれた。

 この時、日本政府は中国側に謝罪と賠償を求めた。しかし、中国側が「そもそもの原因は日本にある」と拒絶した経緯がある。今回の衝突事件を5年前のような事態にしてはならない。

 中国も批准するウィーン条約には「領事機関の公館の不可侵」の条項がある。同条約に基づき、日中両国政府は今年1月、領事協定の批准書を交換している。その趣旨からすれば、日本の公館と、約13万人にものぼる在留邦人を守るのが中国政府の義務であり、責任でもある。

 米ニューヨークで今月下旬に開かれる国連総会に合わせた菅直人首相と温家宝中国首相の首脳会談は見送られる見通しだという。外務省幹部は衝突事件の影響を認めたうえで「日本側から会談を申し込んで断られたら、中国側の思うつぼだ」との見解を示した。

 しかし、こういう時こそ会談が必要ではないのか。日本は、「反日」では日中間の問題は何ら解決しないと直言すべきだ。

再考迫られる中国一国頼み 1万人団体旅行中止で

2010.09.17 MSN産経新聞

 沖縄・尖閣諸島の中国漁船衝突事件をめぐる日本の対応に抗議し、中国の大手健康食品メーカーが来月予定していた1万人規模の訪日団体旅行を中止した問題は、急拡大する両国の観光交流に水を差した。中国人誘致を観光立国実現のカギとみてきた日本側にリスクの高さを突き付けた形だ。

 前原誠司前国土交通相は17日の会見で「中国の大型旅行案件が中止を決定されることは残念」と述べた上で、「大事なことは国益や日本の主権を基本に置きながら対応していくことだ」と指摘した。

 政府は平成28年までに訪日外国人観光客2千万人を達成する目標を掲げる。その3割近い600万人は中国から誘致する計画で、訪日中国人の個人観光査証(ビザ)の発給要件緩和などの環境整備もしてきた。

 4〜6月の訪日中国人の旅行中の消費額は503億円と2位の韓国人(440億円)を大きく上回る。観光業界による中国マネーへの期待は高まる一方で、中国からはこのほかにも2、3社が訪日団体旅行に関心を示しているという。

 ただ、外交問題で大規模な団体旅行が中止されるようでは受け入れる側の混迷も避けられない。中国ばかりに依存した観光政策の再考が必要だ。

中国からの1万人団体旅行が中止 尖閣問題が影響

2010.09.17 MSN産経新聞

 1万人規模の訪日団体旅行を計画していた中国の企業が、来月の実施を目前に、旅行の中止を決定したことが17日、明らかになった。東シナ海の日本固有の領土、沖縄・尖閣諸島で発生した海上保安庁の巡視船と中国漁船の衝突事件を受け、社員から訪日旅行に対する不安の声が上がったという。

 この団体旅行は、韓国との激しい誘致合戦の末、前原誠司国土交通相がトップセールスを行い、ようやく契約にこぎつけた。日中関係の緊迫化が、急拡大する両国の観光交流に、思わぬ陰を落とした格好だ。

 前原氏はこの日午前の会見で「中国の大型旅行案件が中止されることは残念」とした上で、「大事なことは国益や日本の主権を基本に置きながら、対応していくことだ」と指摘。日中関係が再び安定した場合は、改めて訪日旅行を検討するのではないかと期待感を示した。

 大型訪日旅行を計画していたのは、北京に本社を置く健康食品の販売会社「宝健」。社員と家族を含め総勢1万人が10月9日から十数班に分かれ、5泊6日の日程で日本に滞在。東京・銀座でのショッピングや、パナソニックの創始者、松下幸之助の経営理念を学べる「松下幸之助歴史館」(大阪)見学を予定していた。

 観光庁は平成28年までに、中国からの年間の訪日観光客数を600万人(21年は101万人)に増やす計画。大型団体旅行の誘致は目標達成に向けた秘策だっただけに、今後の動向が注目される。

「反日」機運、邦人社会に緊張=各地でデモ呼び掛け−中国

2010/09/16 時事ドットコム

 【北京時事】尖閣諸島(中国名・釣魚島)付近で起きた海上保安庁巡視船と中国漁船の衝突事件を受け、中国の一部で、反日ムードが高まっている。インターネット上では、満州事変の発端となった柳条湖事件から79年を迎える18日に合わせた抗議活動の呼び掛けもあり、邦人社会に緊張が広がりつつある。

 これまでにネット上では、北京や上海、遼寧省瀋陽、江蘇省南京、広東省の広州や深センなどでの反日デモの実施が呼び掛けられている。「愛国感情が盛り上がる時期でもあり、何が起こるか分からない」(日中関係筋)状況だ。

 しかし、こうした中、尖閣諸島の中国領有権を主張する反日団体「中国民間保釣(釣魚島防衛)連合会」のスポークスマンは16日夕、取材に対し、「18日に北京市内で抗議デモは行わない」と答えた。さらに同連合会のサイトには、「上海のメンバーが当局にお茶に誘われた」との書き込みが登場した。

 反日デモが広がれば統制できなくなる可能性もあり、中国当局が警戒を強め、対策に本腰を入れだしたものとみられる。特に、万博開会中の上海では「公安当局が『絶対にデモは発生させない』と自信をみせている」(万博関係者)という。

 ただ中国国内の反日感情は、拘置された中国人の漁船船長の扱いが解決しなければ収束は見込まれない。「日本で組閣が終わり、拘置期限となる19日に事件はヤマを迎えるだろう。事態を拡大させないためにも解決に時間をかけるべきではない」(中国筋)との声が上がっている。

中国漁船衝突 米、尖閣は日米安保の対象 組織的な事件と警戒

2010.09.16 MSN産経新聞

 【ワシントン=佐々木類】東シナ海の日本固有の領土、沖縄・尖閣諸島近海で起きた中国漁船衝突事件について、米政府は事件は偶発的なものではなく、中国政府黙認の下で起きた「組織的な事件」との見方を強め、中国の動向を警戒している。尖閣諸島は日本の施政下にあり、日米安全保障条約の適用対象との明確な見解をとり、「有事」の際は米軍が対処することを示唆して、強気の姿勢を崩さない中国を牽制(けんせい)している。

 米政府の認識と立場は、クローリー国務次官補(広報担当)によって端的に表明された。同氏は8月16日の記者会見で(1)尖閣諸島は日本の施政下にある(2)日米安保条約5条は、日本の施政下にある領域に適用される−との見解を表明。そのうえで「条約が尖閣諸島に適用されるかと問われれば、そうだ」と明言した。

 今月14日の記者会見でも、衝突事件に関し「対話による平和的解決を求める」と述べると同時に、「日米同盟はアジアの平和と安定にとって要石だ」と強調した。

 米政府は、中国政府部内で尖閣諸島の実効支配が機関決定された可能性があり、「漁船を隠れみのに軍と一体となって、この方針を行動に移している」(日米関係筋)との見方を強めている。衝突事件が「組織的な事件」との認識はこうした見方に基づいている。

 同筋は、衝突事件で中国が強気の姿勢をとっている理由について、「中国国内の(日本を批判する)世論への対策ということを超えた行動であり、尖閣諸島の領有化という明確な政府の意思を示したものだ」と警鐘を鳴らす。

 また、「民主党代表選という日本の政治空白と、沖縄県の米軍普天間飛行場移設をめぐり日米関係全般が停滞する中、中国は日米の出方を試した」とみる。

 中国が「核心的利益」と呼び、自国の内海化を進める南シナ海に目を転じると、インドネシア近海で6月、中国の漁業監視船がインドネシア海軍の艦船に「拿捕(だほ)した中国漁船を解放しなければ砲撃する」と警告し、交戦の一歩手前までいき緊張が高まった。

 この事件は、中国が南シナ海や東シナ海で、海軍の退役艦艇を改造した漁業監視船を派遣しつつ、漁船を“先兵”として使っていることを裏付けている。

 米軍は昨年3月、米調査船が中国海軍に妨害を受け、護衛のため南シナ海にイージス艦を派遣した。今回の衝突事件における今後の中国側の動向次第では、米政府が「艦船派遣という目に見える形で対中圧力をかける」(元米海軍将校)という可能性も指摘されている。

日中首脳会談見送りへ 政府、尖閣の衝突事件で判断

2010/09/16 中国新聞ニュ−ス

 今月下旬にニューヨークで開かれる国連総会に合わせた菅直人首相と中国の温家宝首相による首脳会談が見送られる見通しとなった。沖縄・尖閣諸島周辺で起きた海上保安庁巡視船と中国漁船の衝突事件で中国側は強硬姿勢を続けており、日本側が冷却期間を置いた方がいいと判断した。複数の日本政府関係者が15日、明らかにした。

 政府筋は「お互いに会談を申し込むような雰囲気ではない」と述べ、会談開催に向けた調整は行っていないことを認めた。11月には横浜市で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)で、胡錦濤国家主席の来日が見込まれることから「その時にじっくりやればいい」(外務省筋)との判断もある。

 衝突事件では、中国側は東シナ海ガス田共同開発に関する条約締結交渉の延期を通告。丹羽宇一郎駐中国大使を繰り返し呼び出して衝突事件の対応に抗議しているほか、逮捕された中国人船長の即時帰還を要求している。また、全国人民代表大会(全人代)の李建国常務委員会副委員長(国会副議長)も15日から予定していた来日を延期している。

 日本側は「法律に基づいて厳正に対応していく」(菅首相)との立場で、中国側に冷静な対応を呼び掛ける方針だ。

 菅首相は国連ミレニアム開発目標(MDGs)サミットと国連総会に出席のため21日か22日に出発する見通し。温首相も21〜23日の日程で、ニューヨークを訪問する予定だ。

「尖閣は中華民族の利益」 中国の台湾弁公室報道官

2010.09.15 MSN産経新聞

 中国政府で台湾政策を担当する台湾事務弁公室の范麗青報道官は15日の記者会見で、沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)の領有権を主張する台湾の団体が抗議船を出航させたことについて「釣魚島の主権を守ることは中台同胞の共通の利益で、中華民族の長期的、根本的な利益になる」と述べた。

 中国と台湾が共同で日本に対し、同諸島の領有権を主張する意義を訴えた形だ。

 一方で范報道官は尖閣諸島の領有権をめぐり、中国が日本に対し、今後どのような措置を取るのかについては回答を避けた。(共同)

台湾の保釣(尖閣防衛)勢力、中国・香港との連携で活動強化めざす

2010.09.14 MSN産経新聞

 【台北=山本勲】尖閣諸島(中国名・釣魚島)の領有権を主張する台湾の団体「中華保釣(尖閣防衛)協会」(劉源俊理事長)の黄錫麟秘書長ら、5人が乗った漁船が14日早朝、同諸島周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)で対日抗議行動を繰り広げ、同日夜に台湾北端の野柳港に戻る。一方、中華保釣協会や中国統一連盟など、台湾の保釣・親中派団体100人余りが14日午前、台北市内の日本交流協会事務所前で日本の国旗を燃やすなどした。彼らは海上保安庁巡視船と中国漁船の接触事件を機に、中国や香港など世界の華人との連携を強め、運動の強化、拡大を狙っているとみられる。

 中華保釣協会は、日本の巡視船と台湾遊漁船の衝突事故で日台関係が険悪化した2008年6月から5カ月後の11月に発足した。会員は100人余り。

 黄秘書長(48)は協会活動の中心人物で、外省人(戦後、中国大陸から渡来した漢族)の2代目に当たる。台湾の保釣運動は中国や香港の運動と呼応する形で、70年代初めから外省人勢力を中心に活発化、台湾の馬英九総統もその一人だった。  昨年10月、黄秘書長にインタビューした際には、運動の重点は「主権問題よりも、台湾漁民の生活を守るために(尖閣諸島周辺の)漁業権を獲得することにある」と強調していた。さらに「平和的、平等な話し合いでこの問題を解決したいが、日本側の対応が強硬なうえ、(台湾)政府も弱腰だ」と指摘。「漁業交渉が決裂すれば台湾は中国に頼らざるを得ない」と語っていた。

 このため「96年から香港、2003年から中国の保釣団体と連携を強め、毎年3〜4回の会議を重ねている。しかし(対日関係重視の)胡錦濤政権が保釣運動を厳しく制限しているため、運動が思うように発展しない」とのことだった。

 ところがこの半年間に中国の海洋覇権をめざした動きがにわかに活発化してきた。南シナ海を「核心的利益」と主張する一方、台湾に対し中国軍幹部が「南シナ海や東シナ海、釣魚島の祖国の利益防衛で協力しよう」と呼びかけ始めた。

 こうした中国の動向をにらみながら、台湾の保釣勢力が当初の漁業権要求から尖閣諸島の主権獲得へと運動を拡大する可能性もありそうだ。

尖閣接近の台湾船帰港 台湾外交部抗議「日本が妨害」

2010年09月14日 中国新聞ニュ−ス

 【台北共同】沖縄・尖閣諸島周辺で海上保安庁の巡視船と中国漁船が衝突した事件で、日本側による中国人船長逮捕に抗議して14日早朝に同諸島周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)に入り、海保の船艇に包囲され引き返した台湾の漁船が午後6時半(日本時間同午後7時半)すぎ、台湾北部の野柳港に帰港した。

 台湾外交部(外務省)は14日、談話を発表し「日本の船が漁船を妨害し(同行していた)海岸巡防署(海保)の船と対峙した」と批判、さらに「日本に対し抗議を表明した」と述べた。

 漁船には、台湾の団体「中華保釣(尖閣防衛)協会」の黄錫麟秘書長ら5人が乗船。一時は日本の領海まで約16キロに接近したが、海保の船艇に取り囲まれて、目立った抗議行動をしないまま、台湾方向へ引き返し、午前にEEZを出た。

 台湾外交部の談話は、尖閣諸島が「わが国の固有の領土であり、周辺海域でのわれわれのいかなる艦船の活動も、われわれの主権の管轄下にある」とするなど強硬だが、あくまでも国内からの弱腰批判を避けるための態度表明とみられる。

台湾漁船、尖閣で抗議活動 領海には入らず

2010.09.14  MSN産経新聞

尖閣諸島周辺に現れた「感恩99号」=14日午前6時ごろ(海上保安庁提供)

 沖縄・尖閣諸島の周辺海域に14日未明、台湾の尖閣諸島領有権を主張する同国活動家2人を乗せた抗議船「感恩99号」が現れた。抗議船は日本の排他的経済水域(EEZ)内にある「接続水域」に約5時間半にわたりとどまったあと、台湾へ向け航走を始めた。海上保安庁が船艇や航空機で、領海に入らないよう警戒を続け、午前10時33分ごろ、EEZを出たのを確認した。

 海保によると、抗議船は午前2時34分ごろ、尖閣諸島・魚釣島の西南西約44キロで接続水域に入った。4時ごろ、魚釣島の西北西約41キロの位置まで最接近。止まったり動いたり繰り返したあと、6時半ごろ西へ航行を始め、7時59分ごろ、魚釣島の西約44キロの位置で、接続水域を出た。

 抗議船は台湾の領有権を主張しているとみられるのぼり旗4本を掲げている。また、台湾の沿岸警備隊にあたる台湾巡防署の巡視船7隻が付き添っている。

 海保は無線や電光掲示板で、領海に侵入しないよう警告。また、漁船の乗組員に対し、救命胴衣を着用するよう呼びかける安全指導を行った。

 抗議船は13日午後、台湾北部の野柳を出航。台湾外交部(外務省)は「純粋に民間の自発的行動」として、出航を禁止しなかった。日本の対台湾窓口機関、交流協会台北事務所は同日、台湾外交部に「極めて遺憾だ」と抗議している。

 この問題や中国漁船の接触事件などに関連し、前原誠司国土交通相は14日の閣議後記者会見で「東シナ海に領土問題は存在しない。日本の主権をおびやかす活動や行為には、今後も厳しく、毅然と対応していく」と述べた。

            ◇

 接続水域は国連海洋法条約に基づく国内法で設定された、領土から約22〜44キロの海域。海保は不法上陸などに備え、警告など予防的な措置をとることができる。

上海、日本人学校の警備強化 当局も敏感に

2010年09月14日 中国新聞ニュ−ス

 【上海共同】尖閣諸島(中国名・釣魚島)周辺で起きた中国漁船衝突事件を受け、中国上海市の日本人学校の警備が14日までに強化された。反日運動の発生を懸念する声が聞かれるなど日本人社会に不安が広がり、市当局も敏感になっている。

 上海は長期滞在する日本人が約4万8千人(09年10月時点)と都市別で世界一。約1400人の生徒が通う日本人学校虹橋校には地元当局が11日から警察官数人を派遣し、学校周辺を警戒。天津の日本人学校で起きた金属球投げ込みを受け、13日からは約30人の態勢に増強した。

 学校側も登下校時の警備態勢を強化。今週は近くのスーパーを生徒が見学する行事を計画していたが、スーパーまで徒歩で移動する予定だったため見合わせた。藤永福子校長は「何が起こるか分からないので心配」と神経をとがらせていた。

 上海では05年に大規模な反日デモが発生。地元の警察幹部は頻繁に同校を訪れ、いやがらせなど異変がないか尋ねており、当局も反日的な動きに敏感になっていることがうかがえる。

漁船事件、司法手続き即時停止を 中国外務省

2010年09月14日 中国新聞ニュ−ス

 記者会見する中国外務省の姜瑜副報道局長=14日、北京(共同)

 【北京共同】中国外務省の姜瑜副報道局長は14日の定例記者会見で、日本の海上保安庁巡視船と中国漁船の衝突事件で漁船船長が送検されたことについて「当面の急務は日本側が直ちに司法手続きを停止し、船長をできる限り速やかに安全に戻すことだ」と強調し、あらためて船長の即時帰還を要求した。

 手続き停止が実現しなかった場合の報復措置には言及しなかった。

 中国側には、日本の司法手続きによって裁かれれば、結果的に日本の実効支配の現実を受け入れることになるとの危機感が強い。

 また、全国人民代表大会(全人代)の李建国常務委員会副委員長(国会副議長)の訪日延期について「事情を総合的に考慮して決めた」と述べ「(延期の)原因はすべて日本側にある」と非難した。

船長釈放あらためて要求 中国漁船乗組員が帰国

2010/09/13 中国新聞ニュ−ス

 【福州共同=渡辺靖仁】中国外務省の姜瑜きょう・ゆ副報道局長は13日、沖縄・尖閣諸島周辺で起きた海上保安庁巡視船と中国漁船の接触事件で、公務執行妨害容疑で拘置中の漁船船長を直ちに釈放するようあらためて要求する談話を発表した。船長を除く中国人乗組員14人は同日午後、中国福建省福州市の空港にチャーター機で到着した。

 姜副局長は、中国政府が事件発生以来、再三厳正な申し入れを行ってきたことや、国民から「日本の違法行為」への非難が出たことに言及。「自国の領土主権を守ろうという中国政府と人民の確固たる意思を示した」と強調し、強硬姿勢を続けてきたことが乗組員の帰国につながったとして、国内向けに“成果”をアピールした。

 国営通信の新華社は帰国を速報。「中国政府の厳正な申し入れにより、日本側に違法に拘束されていた漁民が無事に帰国した」と伝えた。中国中央テレビも、福州の空港内を歩く乗組員らの映像を放映した。

 乗組員らは13日午前に沖縄県の石垣空港を出発し、那覇空港経由で福州に向かっていた。

 一方、仙谷由人官房長官は同日の記者会見で、船長を起訴するかどうかについて「捜査の状況を注視しなければならない」とし、明言を避けた。

 政治判断によって起訴せずに釈放する可能性については「政治判断をすべき事案かどうか、捜査当局と何らかの情報交換をするかどうかもまだ決めていない」と述べるにとどめた。

 中国政府の船舶が11日、日本の排他的経済水域(EEZ)内で海上保安庁の測量船に対し海洋調査の中止を要求したことに対しては「中国の行動は遺憾と言うしかない。外交ルートを通じ、強く遺憾の意を表したい」と批判した。

尖閣沖衝突 中国の甘い判断が裏目に

2010.09.13 MSN産経新聞

帰国のため、海上保安庁の巡視船を下りる中国漁船の乗組員ら=13日午前、沖縄県・石垣港

 【北京=矢板明夫】中国当局は12日までの6日間で、丹羽宇一郎駐中国大使に5回抗議した。中国当局が今回、異例なほど激しい反応を示すことになった背景には、事件直後に下した「長期化することはない」という中国側の誤った判断があったとみられる。

 中国の船舶が海外で現地政府などとトラブルを起こすことは珍しくないが、中国当局はこれまで報道を規制するなど、世論を抑えることが多かった。

 2009年2月に中国の貨物船がナホトカ沖で、ロシアの国境警備隊から銃撃を受け船員8人が死亡した事件があったが、その際には、中国政府は国内メディアに対し国営新華社通信が配信した記事だけを使うよう要求。民間団体が北京のロシア大使館の前で行う抗議活動も許可しなかった。

 しかし、今回の事件で中国当局は国内メディアの日本批判を容認。ある中国紙の編集者は産経新聞の取材に、「これまで外交上、敏感な問題があるときは共産党宣伝部が注文を付けてくるが、今回は全くなく驚いた」と証言する。

 また、中国の反日団体「中国民間保釣連合会」が8日に北京の日本大使館前で計画した抗議活動も認められた。同団体の関係者は「8月15日にも抗議活動を企画していたが、そのときは当局の許可が下りず、断念した」と説明している。

 日本の事情に詳しい中国人研究者は今回の中国当局の対応について、「中国当局は当初、公務執行妨害という微罪で逮捕された船長の勾留(こうりゅう)は48時間程度と判断していたはず。まず国内の反日世論をあおり、日本側の船長釈放が、中国の圧力で実現したようにもっていきたかったが、船長は結局、釈放されなかった」と指摘する。その後、国内で反日の高まりを抑えるため、中国当局は激しい対応に追われたというわけだ。

 中国の反日団体は、福建省アモイから尖閣諸島に12日に抗議船を出航させると発表していたが、13日もアモイにとどまっているもようだ。世論を抑える方向に転じた中国当局が出航を許可しなかったとみられる。

【中国人船長逮捕】日本大使を未明に緊急呼び出し 中国外務省

2010.09.12 MSN産経新聞

 【北京=矢板明夫】沖縄・尖閣諸島付近で中国漁船と海上保安庁の巡視船が接触した事件をめぐり、中国の戴秉国国務委員は12日午前0時(日本時間同1時)、丹羽宇一郎駐中国大使を緊急に呼び出し、日本側の対応を抗議した。乗組員と漁船の即時返還を求められ、丹羽大使は「国内法に基づき粛々と対応するという日本の立場は変わらない」と応じたという。

 事件発生してから12日まで6日間の間、丹羽大使が中国当局者に4回も呼ばれた。最初の2回の相手は外務次官と外務次官補だったが、3回目には楊潔●外相が登場した。4日目となった今回は、外交担当の副首相級、戴国務委員による異例の直接抗議となった。中国政府はこの事件を重要視し、徐々に日本側に対する圧力を強化していることがうかがえる。

 日本大使館などによると、戴国務委員は「誤った情勢判断をせず、賢明な政治決断をして、直ちに中国人の漁民と漁船を送還してほしい」と要請。これを受け、丹羽大使は日本の従来の立場を改めて表明したうえで「この事件で日中関係に全般に影響が及ばないよう、中国側が冷静かつ慎重に対応することを期待する」と述べたという。

●=簾の广を厂に、兼を虎に

中国船、海保に調査中止要求…日本のEEZ内

2010年9月12日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 11日午前7時42分頃、沖縄本島の西北西約280キロの沖合で、海洋調査を行っていた海上保安庁の測量船「昭洋」と「拓洋」に、中国・国家海洋局所属の「海監51号」が接近し、無線で「中国の水域だ」と調査の中止を求めた。

 現場は、日本の排他的経済水域(EEZ)内で、昭洋と拓洋は「正当な調査活動をしている」と答えて調査を続けたが、中国船は近くの海域にとどまり、監視を続けた。政府は同日、中国側に抗議した。

 海保によると、日中の船の最接近距離は約550メートルだった。測量船は先月23日に現場に到着、海底に地震計約80基を設置し、地殻構造調査の作業をしていた。

 東シナ海では今月7日、今回の現場から約240キロ離れた尖閣諸島周辺で、海保の巡視船に衝突した中国漁船の船長が公務執行妨害容疑で逮捕されている。海監51号は今年5月にも海保の測量船に近づき、調査中止を要請していた。

中国、ガス田交渉を延期 船長拘置に「厳重抗議」

2010年09月11日 中国新聞ニュ−ス

 【北京共同】中国外務省の姜瑜副報道局長は11日、沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)周辺で日本の海上保安庁巡視船と中国漁船が衝突した問題を受け、9月中旬で調整されていた東シナ海ガス田開発に関する日中両政府の条約締結交渉の延期を決めたと発表した。

 中国では船長の逮捕、拘置決定に対する反発が強まっている。中国側の対日強硬姿勢は国内世論に配慮するとともに、速やかな船長釈放に向け日本側に圧力をかける狙いもあるとみられる。

 姜副報道局長は、船長の拘置決定について「強烈な不満と厳重な抗議」を表明。尖閣諸島は中国固有の領土とあらためて主張し、日本側の行動は「国際法、常識に違反しており無効だ」と批判。「日本側が暴挙を続けるなら、必ず報いを受けるだろう」と警告した。

岡田外相が中国報道に不快感「事実に反する」 尖閣・漁船衝突

2010.09.10 MSN産経新聞

 岡田克也外相は10日の記者会見で、沖縄・尖閣諸島付近の日本領海で、中国トロール漁船が海上保安庁の巡視船に接触し逃走した事件に関し、「中国国内において、わが国の巡視船が中国漁船に衝突させたとの報道がなされているが、事実に反する。極めて遺憾だ」と不快感を示した。

 また、岡田氏は事態がエスカレートすることを望んでいないと表明した上で、「中国が冷静かつ慎重に対応されることを求めたい」と述べた。

中国の漁業監視船尖閣派遣に政府高官困惑、外務省は抗議

2010.09.10 MSN産経新聞

 中国政府が沖縄・尖閣諸島付近に「漁業監視船」を派遣したとの発表に対し、外務省は9日、駐日中国大使館と中国外務省に抗議した。ただ、日本政府は中国側の真意を測りかねており、「どういう意図があるのか分からない」(政府高官)と困惑している。

 外務省幹部によると、日本側は今回の抗議の中で、中国漁船と海上保安庁巡視船の接触事件について、「中国政府は事件についてエスカレートさせないと言ってきた。しかし、今回の行為はエスカレートさせるものだ」と非難している。ただ、「公海上での行動であれば、何も言えない」(政府筋)という実情もあり、これ以上の強い態度には出られないようだ。

 一方、官邸筋は、中国側の挑発行為がエスカレートしてくるとの見方には否定的で、「情勢を分析中だが、中国政府としても事態をエスカレートさせることは望んでいない。国内で弱腰批判を受けるのを警戒し、日本に対して筋を通している姿を見せるところに最大の目的がある」とみている。

 ただ、今後の中国側の出方次第では日本領である尖閣諸島周辺海域での情勢が緊迫化する可能性がある。実際、中国政府が「核心的利益」とみなす南シナ海では今年6月、中国が派遣した大型漁業監視船が、中国漁船を拘束したインドネシア海軍の警備艇に武力攻撃を警告する行為を行った。日本政府としては引き続き「法令に従い対処する」(首相周辺)としている。

「中国監視船は尖閣から離脱」 北沢防衛相

2010.09.10 MSN産経新聞

 海上保安庁の巡視船と違法操業が疑われる中国のトロール漁船が接触した尖閣諸島海域に中国が「漁業監視船」を派遣した問題で、北沢俊美防衛相は10日午前の記者会見で、「今朝の段階でほぼ現地を離れている現象がみられた」と述べ、漁業監視船が尖閣諸島海域から離れたことを明らかにした。

 北沢防衛相は「監視を強化していたが、現場は一段落したのではないか」との見方も示した。

中国漁船の領海侵犯が急増 昨年0から今年は14件

2010.09.10 MSN産経新聞

 沖縄・尖閣諸島付近の日本領海で、中国トロール船が海上保安庁の巡視船に接触し逃走した事件に関連して、今年に入り中国籍の漁船の領海侵犯が急増していることが10日、分かった。海上保安庁の鈴木久泰長官が同日、衆院国土交通委員会で明らかにした。日中両政府は今回の事件を「偶発事件」として処理しようとしているが、急増の原因究明が求められそうだ。

 鈴木氏は、尖閣諸島周辺の領海内で海保が外国籍の船舶に立ち入り検査した事例が平成20年は2件、21年は6件だったが、今年はすでに21件に上ると指摘。中国船に限ると20年に1件、昨年は0件だったが、今年は14件に上っているという。

 事件が発生した7日には尖閣諸島周辺に約160隻の漁船が集まり、うち約30隻が領海を侵犯をしていたことが確認されている。

 通常は、海保が立ち入り検査などで退去を命令すれば従うため、立件には至っていなかったが、船長が公務執行妨害で逮捕された中国漁船は、立ち入り検査を拒否して逃走。巡視船に2度、衝突したため、海保は初めての逮捕に踏み切った。

中国漁船船長の勾留決定 那覇地裁

2010.09.10 MSN産経新聞

 沖縄・尖閣諸島付近の日本領海で中国漁船が海上保安庁の巡視船に接触した事件で、那覇地裁石垣支部は10日、公務執行妨害の疑いで逮捕された漁船船長で中国籍、●(=擔のつくり)其雄(ヂャン・チーシォン)容疑者(41)について、20日まで10日間の勾留を認める決定をした。

 こうした事件での勾留決定はまれだが、事案の悪質性などから、那覇地検石垣支部などはさらなる捜査が必要と判断、勾留請求し認められた。同地検や石垣海上保安部などは引き続き、違法操業容疑での立件も視野に追及する。

尖閣諸島の違法操業で拘束された船長の祖母が悲しみで急死

2010/09/10(金) Searchina

 日本政府の関係者は、7日午前に尖閣諸島付近で日本の巡視船の衝突にあった中国漁船の中国人船長に対して、日本の法律に基づいて厳正に対処すると発表した。中国網日本語版(チャイナネット)が報じた。

 中国側は、「日本の巡視船が7日に尖閣諸島付近で2回、中国漁船に衝突して船長を逮捕した」として、反発を続けている。8日には中国外交部の胡正躍部長補佐が命令を受け、在中国日本国大使館の駐丹羽宇一郎大使を召見して強く抗議し、「日本はすぐに漁船と船員を解放し、中国側の人員と漁船の安全を確保するよう」要求した。また、日本駐在の程永華大使は日本側に厳正な交渉を申し入れ、駐日本中国大使館は人員を沖縄県石垣島に派遣し、中国側の漁民を見舞った。

 ■顔を覆い手錠をかけられた船長

  日本は8日午前1時頃、41歳の船長を逮捕した。8日朝7時25分に船長は沖縄県の石垣港に到着。船を下りた時に少しだけ顔を見せたが、顔は覆われ手錠をかけられていた。日本の共同通信社の報道によると、漁船に乗っていた14人の中国人乗組員は送検されないが、入国できないため船で滞在し、海上保安庁の調査を受ける可能性があるという。

 ■船長の祖母がうわさを聞き逝去

 中国漁船は福建省晋江を出港した船だ。地元の数千人の漁民が今回のこの事件に関心を寄せ、憤慨しており、「今後も尖閣諸島海域で漁をしなければなければならない」として、中国の主権を主張している。また、船長の祖母はうわさを聞いて悲しみのあまり急死したという。(編集担当:米原裕子)

釣魚(尖閣)海域に軍艦を派遣せよの声98.2%…中国でアンケ

2010/09/10(金) Searchina

 中国のニュースサイト環球網が、「中国は、軍艦を派遣して釣魚島(尖閣諸島の中国側呼称)周囲を巡視させるべきか」とのアンケートを実施したところ、「巡視させるべき」との意見が、回答全体の98.2%に達した。「させるべきでない」は1.8%。

 海上保安庁の巡視艇は7日、尖閣諸島近くの日本領海で操業していた中国漁船を拿捕し、船長を逮捕した。同漁船は、巡視船の命令に従わず、逃走しようとした際などに、自船を故意に巡視船2隻に衝突させたとされる。

 中国では政府が1970年代から、「釣魚島は古来から中国の領土。日本に主権はない」との主張を続けており、国民もほとんどが「日本の“侵略行為”が続いている」との見方をしている。そのため、同問題が表面化すると、自国政府を「弱腰だ」などと批判する声が集中し、共産党・政府も無視することが難しくなる。

 中国は外交部(外務省)の副部長(副大臣)が8日未明、日本の丹羽宇一郎特命全権大使を呼び、「日本に公務執行の権利はない」などと抗議。10日午前には楊潔チ外交部長(外相)が改めて丹羽大使を呼び、ただちに船と船長ら乗組員を返すよう、抗議した。

 中国外交部は、ホームページの目立つ位置に、日本に対する抗議を掲載し、「厳正な態度で折衝」などと紹介した。国民の不満を少しでも解消する意図があると考えられる。

 中国のニュースサイト「環球網」には、それでも自国政府を非難するコメントが殺到。この種の問題が発生すると、日本政府は「遺憾だ」と言うだけ、中国政府は「厳正な態度で折衝」と言うだけとの書き込みもある。

 ただし、今のところ中国大陸で大規模な抗議デモは発生していない。日本との関係がこじれることを嫌う当局が抑えている可能性がある。(編集担当:如月隼人)

「2国間で平和的解決を」 中国漁船接触事件で米国務省

2010.09.10 MSN産経新聞

 米国務省のクローリー次官補(広報担当)は9日、ワシントンで記者会見し、沖縄県・尖閣諸島周辺の日本領海内で海上保安庁の巡視船と中国漁船が接触した事件について「主として中国と日本の2国間の問題なので、われわれは平和的に解決されることを望む」と述べた。米政府としての立場については言及を避けた。(共同)

中国、尖閣諸島海域に漁業監視船派遣 「日本の国内法適用は荒唐無稽」

2010.09.09 MSN産経新聞

 【北京=川越一】沖縄・尖閣諸島(中国名・釣魚島)付近の日本領海で、中国トロール船が海上保安庁の巡視船に接触し逃走した事件で、中国外務省の姜瑜報道官は9日の定例記者会見で、中国側がすでに同諸島海域に向けて「漁業監視船」を派遣したことを明らかにした。

 漁業監視船は中国農業省が管理している。姜報道官は派遣した目的について「関係海域の漁業生産秩序を維持し、中国の漁民の生命、財産の安全を保護すること」と説明した。ただ、監視船が同海域に向けていつ出港したかについては明言を避けた。

 姜報道官はまた、尖閣諸島は中国の領土であると改めて強調。そのうえで「その海域で操業していた中国の漁船に日本の国内法が適用されるのは荒唐無稽(こうとうむけい)だ。非合法であり効力はない」と日本側の対応を批判し、公務執行妨害で逮捕された船長と漁船を、無条件で早期に解放するよう重ねて要求した。

 今回の事件に絡み、反日民間団体は、10月1〜7日の国慶節の休暇中に尖閣諸島へ上陸することを検討。尖閣諸島の領有権を主張する香港や台湾の団体も、船舶を同海域に派遣するとの情報もある。

中国漁船接触:中国の調査船、尖閣方向に航行

2010年09月09日 毎日新聞MAAINICHI Interactive

 中国の国家海洋局の海洋調査船が東シナ海を沖縄県・尖閣諸島方向に航行していることが8日、政府関係者の話で分かった。尖閣付近では、中国の漁船船長が公務執行妨害容疑で第11管区海上保安本部(那覇市)に逮捕されたばかりだが、これとの関係は不明。尖閣諸島に接近した場合に備え、政府内で対応を検討している。政府高官は8日夜、「向こうからまた船が出てきている」と語った。

 中国の調査船は今年5月に鹿児島県奄美大島の北西約320キロの日本の排他的経済水域(EEZ)で、海上保安庁の測量船を追跡し、測量中止を要求してきた例がある。

日本の巡視船が漁船に「衝突してきた」と報道−中国メディア

2010/09/09(木) Searchina

 尖閣諸島(中国名:釣魚島)周辺で、日本の巡視船は中国のトロール漁船が衝突し、日中間の公の問題へと発展している。この事件はどうしても歴史的背景と一緒に考えられがちなので、快く思わない人が多く居る事は間違いない。中国網日本語版(チャイナネット)が報じた。

 尖閣諸島の領有権問題は非常に複雑で、未解決のままだ。中国および台湾の漁船が日本領海に入ってしまった際の日本の近年の対応は、漁船を追い払うに留まらない。中国網は「巡視船が漁船に衝突するという事態はしばしば起きている。このような事態は日本の策略であり、中国側の漁船に警戒心と払わなくてはいけなくなる代償を認識させるのが目的であるのではないかという意見が日中双方で巻き起こっている」と報じた。

 続けて、「日本の行為は火に油を注ぐようなもので、日中両国の注目をいっそう、領有権問題の摩擦を強めることになる。日本は、日中関係の傷口を開き、最悪の場合、両国が決着をつけなくてはいけない日が来るかもしれない」とした。

 また、「衝突は中国側の漁船に対しての攻撃であり、乗組員の命を危険にさらす行為である」と批判し、日本はたかだか「漁船」という一個体への攻撃と捉えているかもしれないが、中国の国民からすれば、それは中国そのものへの強硬な態度なのだと主張した。(編集担当:米原裕子)

外交部、丹羽大使を呼び日本に違法な妨害活動の停止を要求

2010/09/09(木) Searchina

 中国の漁船が9月7日午前、尖閣諸島(中国名:釣魚島)の周辺海域で2隻の日本の巡視船と接触した。中国外交部副部長は、在中国日本大使を外交部に呼び、日本側に違法な妨害活動の停止を要求した。日本の海上保安庁は7日夜、公務執行妨害容疑で中国漁船の船長を逮捕し、漁業法違反容疑で漁船を調査することを決定した。中国網日本語版(チャイナネット)が伝えた。

 日本メディアは7日、海上保安庁が同日、尖閣諸島の周辺海域で操業していた中国漁船の船長を逮捕し、船長の身柄を沖縄県石垣市に移送することを決定したと報じた。

 7日10時15分頃、乗組員15人が乗った中国のトロール漁船が尖閣諸島の周辺海域で操業をしているところに、日本の海上保安庁の巡視船が駆けつけ、漁船と衝突した。日本側はその後、さらに2隻の巡視船を派遣し漁船を追跡した。13時頃、日本の巡視船に乗っていた22人の海上保安官は航行中の中国漁船に乗り込み、停船を命じ、日本の漁業法違反で漁船を調査すると宣告した。

 中国外交部の宋涛副部長は同日に命を受け、丹羽宇一郎駐中国大使と会見し、日本の海上保安庁の巡視船が尖閣諸島の周辺海域で中国漁船を防御したとして厳正な交渉を申し入れ、日本側に違法な防御活動の停止を要求する方針。

 外交部の姜瑜報道官は同日、「中国側は日本の巡視船が釣魚島海域で中国の漁船と接触したことに重大な関心を寄せ、日本側に厳正な交渉を申し入れた」と発表した。

 姜瑜報道官は定例記者会見で関連の質問に対し、「釣魚島とその周辺の島は昔から中国の領土であり、中国側は日本の巡視船が釣魚島の周辺海域でいわゆる『権益保護』活動を行わないよう要求し、中国の漁船や人員の安全をおびやかすいかなる行為も行わないよう要求する」と強調した。また、中国側は事態の発展に注目し、さらなる行動を起こす権利を留保すると表明した。(編集担当:米原裕子)

中国漁船の衝突事件、北京と香港でデモ活動「中国漁船に弁償すべき」

2010/09/09(木) Searchina

 尖閣諸島の海域で7日午前10時15分ごろ、海上保安庁の巡視船「よなくに」が操業中の中国のトロール船を発見、退去命令を発したところ、同漁船が「よなくに」に接触、巡視船「みずき」にも接触、公務執行妨害で漁船の船長を逮捕した事件で、中国は民間ともに激しく反発している。

 中国外交部は日本政府に対して強く抗議すると同時に、逮捕した船長の解放を要求している。一方、北京では「中国民間保釣連合会」に所属する30数名が日本大使館前で抗議活動を行った。団体員立ちは国旗を手に、横断幕を掲げてデモ行進を行った。中国メディアの報道によれば、「デモ行進は30分ほど行われ、大使館外に設置された郵便受けに抗議文を投函(とうかん)し、平和的に解散した」という。

 また、香港でも「中国民間保釣連合会」の10名ほどが日本領事館に抗議文書を提出。海上保安庁が尖閣諸島海域で中国漁船の船長を逮捕したことに不満を示したほか、日本は中国漁船に弁償すべきであると主張した。

 一方、中国の有識者からは「日本の尖閣諸島に対する動きに警戒しなければならない」との声や、「日中関係が緊張すれば、日本の右翼に軍事化への口実を与えるだけだ」との声が上がっている。(編集担当:畠山栄)

中国漁船衝突「中国ではネット上で日本製品のボイコット運動も」−米紙

2010/09/09(木) Searchina

 沖縄県の尖閣諸島近海の日本領海内で、海上保安庁の巡視船と接触し逃走したとして8日、中国の漁船の船長(41)が逮捕された。

 海上保安庁によると、漁船は停船命令に応じず、方向転換し巡視船に衝突、検査を妨害した疑いが持たれている。船籍は中国・泉州で、乗務員15人は全員中国人とされている。

 日本側は、法律に基づき厳正に対応することを強調しており、一方中国側はこれに対して、同諸島の領有権を主張し反発している。

 このニュースは米国でも報じられている。米ニューヨークタイムズ紙は、中国は国民の反日感情と、貿易相手国として最重要国である日本とのバランスをとる必要があるため、中国政府は慎重な姿勢で対応していると報じている。

 同紙によると、近年中国はこの問題について、ネット上で過激な日本批判があふれないよう、検閲を繰り返してきたが、数々のウェブサイトなどで、日本製品のボイコットが呼びかけられていると伝えている。

 また、米ボストングローブ紙は、北京の日本大使館前で8日、横断幕を掲げた約30人がスローガンを叫んで抗議したが、現地警備当局は制止しなかったと報じている。領有権の争いは、日中の外交関係を不安定にする恐れがあり、資源を求める中国側の要求の増大が、今回の事件を引き起こしたとの見方を示している。(編集担当:田島波留・山口幸治)

【櫻井よしこ 菅首相に申す】「南シナ海」が教える事

2010.09.09 MSN産経新聞

 9月7日午前、中国の漁船が尖閣諸島のわが国領海を侵犯した。海上保安庁の巡視船の警告を振り切って逃走を図るなど、その行動は悪質で、海保はこれを拘束した。だが、日本政府が同船船長を公務執行妨害容疑で逮捕する方針を固めるまでに半日ほどもかかった。菅直人首相や仙谷由人官房長官らの遅疑が原因だ。

 中国の反応は予想どおりだ。「釣魚(尖閣諸)島および周辺海域はもともと中国の領土だ」「日本の巡視船は、いわゆる権益保護活動を行ってはならない。中国の漁民の安全を損なう行為を行ってもならない」というのである。

 優れた指導者は、過去を現在に照らし合わせることで、未来を洞察する。このままでは、南シナ海の現状が、近未来の東シナ海の姿になると、首相は知るべきだろう。

 いま南シナ海では、同海域の資源と権益を独占しようとする中国と、長年、南シナ海の西沙、南沙諸島を領有してきたASEAN諸国の必死の闘いが進行中だ。ASEANはベトナムを含めて南シナ海の航行、アクセスの自由を守り続けるために、国益をかけて米国との関係強化に乗り出した。

 ゲーツ国防長官は去る6月、シンガポールでの国際戦略研究所(IISS)主催のアジア安全保障会議で、「いかなる脅威にも対処可能な最大限の軍事力の配備が米国のアジアへのコミット」と述べた。クリントン国務長官も7月、ベトナムのハノイでASEAN地域フォーラムに出席し、スピーチの約3分の1を割いて南シナ海の航行の自由の重要性とアジアへの米国の関心の強さを語った。

 いずれも中国への牽制(けんせい)発言である。楊潔●中国外相は南シナ海問題を政治問題化してはならないとして、「米国の介入」に反発したが、南シナ海問題を外交交渉で解決し、武力を用いないという2002年の合意を破ったのは中国だ。

 中国は、昨年以来、南シナ海での軍事力の誇示に躊躇(ちゅうちょ)しなくなった。インドネシアやベトナムが領海侵犯を繰り返す中国漁船を拿捕(だほ)すると、中国は軍艦を改造した大型船を送り込み、漁民の解放を要求。インドネシアは海軍艦船を派遣したが、中国の圧倒的軍事力の前に屈せざるを得なかった。中国はベトナム漁船の拿捕にとどまらず、漁民への銃撃に及んだ。また中国は軍艦を派遣して、中国漁船の漁を守り始めた。こうして否応(いやおう)なくASEANに中国の領有権を認めさせる真の狙いが、この海域の豊富な海底資源にあることは間違いない。

 そこで問わなければならないのは、菅民主党に、東シナ海の南シナ海化を未然に防ぐことはできるか、日本の決断と実行をもって、中国に国際法順守の重要性を認識させ、アジアの安寧と秩序形成に貢献できるかという点である。

 民主党代表選挙の最中にある菅首相は、勝利への手応えを感じ始めたゆえか、連日、笑みを見せる。「舌のなめらかさと思考の深さは、えてして反比例する。指導者たらんと欲する者は、なるたけ舌よりも頭を使うよう心がけるべきだと思う」と、ニクソン元米国大統領は、『指導者とは』(文芸春秋)で書いた。首相は舌もなめらかに、繰り返す。

 「首相の職務を徹底的に全うし、しっかりやっていくという姿勢で(代表選に)臨みたい」

 自分がしているのは代表選挙ばかりではないと国民に印象づけるべく、首相は自分の働く姿を撮らせる。新卒者雇用に関して福岡県や兵庫県を訪問し、作業着姿で防災訓練に参加し、官邸での自殺総合対策会議に出席するといった具合だ。

 だが、首相は首相としてなすべき重要な責務をほとんど果たしていない。日本の喫緊の課題は教育と防衛である。日本を賢く勁(つよ)い国に再生するには、この両課題に果敢に取り組まなければならない。大目標を立て、現在の努力を大目標の実現につなげるために、細部にもこだわらなければならない。

 たとえば、朝鮮学校無償化問題は、教育にも、国民の生命と安全を守る国防にもかかわる性質のものだ。鈴木寛文科省副大臣は同件について、「すべての作業が終わったところで話そうと思う」と述べ、8月末に明らかにすると公約してきた専門家会議の結論の発表を延期した。川端達夫文科相らは朝鮮学校無償化をすでに決めていると推測されるが、そのことは公表しないのである。ここに菅首相がかかわっていないはずはない。

 首相の責務を最優先するのであれば、朝鮮学校の件は日本国民の税金で支えるにふさわしいか否かを、首相自ら判断し、結論を国民の前に明らかにすることだ。代表選までは国民の嫌がることは発表しないというのであれば、首相も民主党も国民の信頼に値しない。

 もう一つの重要点、国防についての首相の関心は、明らかに極めて薄い。南シナ海における中国の軍事力の誇示や行使にも、諸国の警戒心にも、米国との連携にも、首相は気づきさえしていないであろう。気づいていれば、日米安保体制を安定させ、強化させるために普天間問題にもっと熱心に取り組むはずだ。日本国の生存にかかわる国防やアジアの安全保障について、見えてくるのは首相の無関心と無策である。首相たる資質を欠くと言わなければならない。●=簾の广を厂に、兼を虎に

中国の船長逮捕で「厳正に対処」と官房長官

2010.09.08 MSN産経新聞

 沖縄県の尖閣諸島沖で海上保安庁第11管区海上保安本部所属の巡視船と中国のトロール漁船が接触し、中国人船長(41)が公務執行妨害容疑で逮捕された事件で、仙谷由人官房長官は8日午前の記者会見で「違反の程度、態様を考慮のうえ、わが国の法令で厳正に対処していく。粛々と捜査する」と述べた。

 仙谷氏は会見で、菅直人首相が発生を受け「尖閣諸島には領土問題は存在しないというのが日本の立場だ。国内法で対処していく」と指示したことを公表。中国側からは船長の早急な釈放を求める抗議があったと明らかにした。

【中国人船長逮捕】中国漁船の“暴挙”にも海保は沈着、「国際的に適切」

2010.09.08 MSN産経新聞

 沖縄県・石垣港に到着した中国トロール漁船=8日午後 沖縄・尖閣諸島付近の日本領海で違法操業の疑いのある中国漁船の船長、●(=擔のつくり)其雄(たん・きゆう)容疑者(41)が逮捕された事件。漁船は再三の警告を無視した上、船体を海上保安庁の巡視船に接触させる“暴挙”に及んだ。一方、海保側は国内法に基づいて冷静に対応。中国側は逮捕に反発するが、専門家は「国際的に見ても適切な対応」と太鼓判を押す。

 「わが国の領土である尖閣の領海で起きた事件。国内法にのっとり厳正に対応すべき事案だ」。8日の定例記者会見で、海保の鈴木久泰長官は強調した。

 漁船は7日午前、尖閣諸島近くの日本領海内で見つかった。網を上げる様子を巡視船が確認、違法操業の疑いは明白だった。

 海保は当初、領海外への退去を警告。逃走後はマイクや電光掲示板などを使い中国語で停船を呼びかけ、危険でない程度に前方に回り込んだり、放水も行った。漁業法など国内法にのっとった上で、同日午後1時ごろに強行接舷(せつげん)するまで穏便な対応を貫き、1人のけが人も出していない。

 一方、漁船は危険な動きを繰り返した。逃走開始時には巡視船「よなくに」と接触。逃走中に「みずき」とも接触した。カメラには、前方を並走するみずきに幅寄せするように接近、衝突する漁船の様子が写っていたという。海保関係者は「意図的でないと考えられない動き」と明かす。

 この衝突が公務執行妨害の直接の逮捕容疑となり、海保に強行接舷を決断させた。漁船への同容疑適用は異例だが、「それだけ悪質な事案」(海保幹部)という。

 「韓国は何千隻と中国漁船を拿捕(だほ)しているし、いきなり威嚇射撃という国もある。むしろ真面目すぎるほど国際ルールを順守した対応で、非難のいわれはない」。東海大の山田吉彦教授(海洋政策)は、海保の対応をそう評価する。

 海保によると、尖閣諸島周辺では8月中旬以降、多い日で1日当たり270隻ほどの中国漁船が確認されており、うち約70隻は領海内にいた。通行だけなら法には触れないが、違法操業や工作活動の疑いもぬぐえない。

 拓殖大大学院の森本敏教授(安全保障)は「中国漁船の動きには明らかに中国政府の意図が介在している。民主党代表選という政治的空白状況も計算したのではないか。今後も厳正に国内法を適用して対応すべきだ」と話している。

岡田外相、尖閣諸島事故めぐり「法に基づき粛々と対応」

2010.09.08 MSN産経新聞

 岡田克也外相は7日、ベルリンで日本人記者団と会見し、沖縄県・尖閣諸島周辺で海上保安庁の巡視船と中国漁船が接触した事故に関連し海保が中国船の船長を逮捕する方針を固めたことについて「わが国の領海内の出来事。わが方としては法に基づいて粛々と対応していく」と述べた。

 外相は、仙谷由人官房長官とも電話で対応を協議したことを明らかにした。(共同)

【中国人船長逮捕】「泥棒だ」「民主政権不安」と石垣島の住民

2010.09.08 MSN産経新聞

中国トロール漁船との接触で損傷した巡視船「みずき」の右舷後部を調べる海上保安庁の職員=8日午前、沖縄県・石垣港

 沖縄県の尖閣諸島沖で中国のトロール漁船に接触され、公務執行妨害容疑で逮捕した中国人船長(41)を連行し石垣島に8日午前、入港した海上保安庁の巡視船「みずき」。右舷後部には、長さ約3メートルのへこんだ傷跡が残り、第11管区海上保安本部(那覇)の係員数人がボートを横付けして調べを進めた。

 地元漁師によると、尖閣諸島の現場付近は黒潮が流れ、マグロなどが捕れる豊かな漁場。

 石垣港内にある漁協にいた漁師具の志堅用治さん(53)は「日本領海での漁は泥棒と同じ。石垣島近海では台湾船の強引な違法操業も多く、トラブルが続けば、安心して漁ができない」と不安を漏らした。

 港には巡視船を一目見ようとする住民や観光客の姿も。民宿経営の阿部保智さん(40)は「尖閣諸島は歴史的にも中国人が住み着いた事実がない。民主党は中国にしっかりとものが言えるか気になる」と表情を曇らせていた。

尖閣諸島近海 海保巡視船に接触の中国人船長を逮捕 石垣島

2010.09.08 MSN産経新聞

 沖縄・尖閣諸島付近の日本領海で、違法操業の疑いのある中国トロール漁船が海上保安庁の巡視船に接触して逃走した問題で、石垣海上保安部は8日、公務執行妨害の疑いで、漁船の船長で中国籍、●其雄(ヂャン・チーシォン)容疑者(41)を逮捕した。

 海保は同日未明に逮捕状を洋上で執行。巡視船「みずき」(197トン)で●容疑者を連行し、同日朝に沖縄県石垣市の同保安部へ到着した。違法操業についても、外国人漁業規制法違反の疑いで取り調べる方針。

 調べによると、●容疑者は7日午前10時56分ごろ、尖閣諸島の久場島(くばじま)から北西約15キロの日本領海内で、漁船「▲晋漁(みんしんりょう)5179」(166トン)のかじを左に急操作。立ち入り検査を行おうと停船を命じながら追跡してきたみずきに、漁船の船体を衝突させるなどして、海上保安官の職務の執行を妨害した疑いが持たれている。

 海保によると、中国語で逮捕容疑を読み聞かされた●容疑者は、うなだれた様子で言葉を発しなかったが、海上保安官の指示には素直に従っているという。

 ●容疑者を除く乗組員14人を乗せた漁船は巡視船が伴走しながら石垣港へ回航中で、8日夕方に到着する見通し。海保は参考人として事情を聴く方針。

 ●=擔のつくり   ▲=「門がまえ」の中に「虫」

中国駐日大使、中国人船長拘束事件で日本政府に抗議/h3>2010/09/08(水) Searchina

 中国の日本駐在大使・程永華大使は7日夜、日本が尖閣諸島海域で中国人の漁民と漁船を拘束したことについて日本外務省の関係者に厳重な申し入れを行った。中国国際放送局が伝えた。

 程永華大使は「釣魚島(尖閣諸島の中国名)および周辺の島は古くからの中国の領土」としたうえで、中国は日本の巡視船が中国の漁民と漁船を違法に拘束したことに抗議し、日本が直ちに中国の漁民と漁船を解放し、事態をさらにエスカレートさせないよう日本政府に要求した。

 8日午前、中国駐日大使館は日本が中国人船長に司法措置を講じることについて日本政府に厳重な申し入れを行った。(編集担当:村山健二)

【中国人船長逮捕】中国大使館職員ら海保に「早期の解放を」

2010.09.08 MSN産経新聞

中国トロール漁船との接触で損傷した巡視船「みずき」の右舷後部を調べる海上保安庁の職員=8日午前、沖縄県・石垣港

 沖縄県・尖閣諸島周辺の日本領海内で、海上保安庁の巡視船と中国トロール漁船が接触した事故で、中国大使館と福岡総領事館の職員計4人が8日午後、同県石垣市の石垣海上保安部を訪れ、「早期に船長と乗組員を解放してほしい」と要請した。

 同保安部側は次長ら2人が対応し「船長は逮捕されており、乗組員も調べのめどが立つまでは時間をいただきたい」と回答した。

 ただ、同保安部は14人の乗組員について「健康状態に問題はなく、捜査の状況次第では早く中国に返したい」としている。

 同保安部によると、大使館職員は保安部内で船長に面会したほか、同日夕に石垣港に到着した中国漁船の乗組員とも船内で会ったという。

巡視船と漁船の接触事故 中国紙が1面で報道 日本に抗議が力点

2010.09.08 MSN産経新聞

8日、北京の日本大使館前で日本の「(尖閣からの)退去」を求めるプラカードを掲げる抗議の人々(ロイター)

 8日付の中国各紙は海上保安庁の巡視船と操業中の中国トロール漁船が沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)周辺で接触した問題について、1面などで大きく報道し、強い関心を示した。

 新京報は1面トップに「日本の巡視船が釣魚島付近でわが国漁船に衝突」の見出しを付け、接触した経緯をイラストも使って説明。北京青年報や、北京晨報なども1面で伝えた。

 内容は各紙とも国営通信、新華社配信の記事とほぼ同様で、中国外務省が日本側に抗議したことに力点が置かれている。また日本側の発表と異なり、海保の巡視船が漁船にぶつかってきたとしている。(共同)

北京、若者ら、漁船接触で日本大使館前で抗議

2010/09/08(水) Searchina

 北京の日本大使館前で、沖縄県・尖閣諸島で起きた漁船と巡視船の接触した問題について抗議する若者たち=8日(共同)(情報提供:共同通信社)

海保巡視船と中国船が接触 尖閣諸島の久場島付近

2010/09/07 中国新聞ニュ−ス

 7日午前10時15分ごろ、沖縄県・尖閣諸島の久場島の北北西約12キロの海上で、海上保安庁の巡視船「よなくに」の船尾付近と中国トロール漁船の船首付近が接触し、巡視船の手すりの支柱が折れた。

 海上保安庁によると、中国船は接触から約40分後、追跡していた別の巡視船2隻のうち1隻とも接触した。けが人の情報はない。

 現場は日本の領海内で、油の流出はないという。第11管区海上保安本部(那覇)によると、同日午前10時半ごろ、巡視船から同海保に連絡があった。

 尖閣諸島周辺では、2008年6月にも、魚釣島近海で海保の巡視船と台湾の遊漁船が接触。遊漁船が沈没する事故が発生している。

 よなくには11管本部石垣海上保安部所属で、昨年2月尖閣諸島周辺の領海警備強化のために運用開始された。総トン数は1349トン、全長89メートル。甲板にはヘリコプターが発着できる。

尖閣沖で巡視船2隻と接触…中国で自国漁船を大絶賛の声

2010/09/07(火) Searchina

 尖閣諸島の久場島(くばじま)の北北西約12キロキロメートルの海上で7日午前10時15分ごろ、海上保安庁の巡視船「よなくに」が操業中の中国のトロール船に退去命令をしたところ、同漁船が「よなくに」に接触、巡視船「みずき」にも接触した件で、中国のインターネットでは自国漁船を絶賛する書き込みが相次いだ。

 中国漁船は日本の領海内で操業していた。「よなくに」が退去警告したところ、漁船は接触して逃走。「みずき」が停船を求めて並走中、漁船は再び接触した。第11階上保安本部は同日午後0時55分、漁船を停止させ、「みずき」の乗組員6人が立ち入り検査を始めた。

 環球網は、「日本の多数の巡視船が釣魚島(尖閣諸島の中国名)で中国の漁船と“衝突”」の見出しで、「中国の漁船が日本の巡視船と衝突した後、追跡した巡視船と再び衝突」、「巡視船は一部が損傷を受けた。しかし死傷はなかった」などと報じた。日本(が主張する)の領海内だったことは伝えず、釣魚島の名に、(日本は尖閣諸島と称する)と書き添えた。

 環球網のコメント欄には、漁船を称賛する書き込みが相次いだ。軍ではなくて民間人でありながら血と汗で祖国を守ったとする書き込みや、漁船でなくて空母だったらよかったとの意見がある。

 日本を非難するコメントも相次いでいる。巡視船は故意に漁船を沈めようとしたと主張する書き込みもある。(編集担当:如月隼人)

中国や台湾の漁船侵入、衝突…トラブル多発の尖閣諸島

2010.09.07 MSN産経新聞

 尖閣諸島をめぐっては、領有権を主張する中国や台湾の活動家らが漁船で上陸を目指し日本の領海に侵入、領海警備の海上保安庁巡視船と衝突するなどトラブルが絶えなかった。

 平成20年6月、尖閣諸島・魚釣島沖で鹿児島海上保安部の巡視船と台湾の遊漁船が接触し、遊漁船が沈没。抗議のため、台湾船10隻が一時、日本の領海内へ侵入した。

 18年10月には、尖閣諸島上陸を目指す香港の活動家らが漁船で近づき、領海内に侵入。海保巡視船が放水するなど激しい衝突が起きた。

 同年8月にも、小泉純一郎首相の靖国神社参拝に抗議するとして、台湾の活動家が漁船から巡視船に石を投げつけ、魚釣島に接近。

 中国人活動家7人が16年3月、魚釣島に船で上陸し、入管難民法違反容疑の現行犯で沖縄県警に逮捕され、強制送還される事件もあった。


安保条約対象と明言せず オバマ政権、尖閣諸島で

2010/08/17 中国新聞ニュ−ス

 【ワシントン共同=芹田晋一郎】中国が領有権を主張する尖閣諸島(沖縄県石垣市、中国名・釣魚島)について、オバマ米政権がブッシュ前政権の政策を変更、「尖閣諸島は日米安全保障条約の適用対象」と直接的に言及するのではなく、対外的に間接的な言い回しにとどめる方針を決め、日本政府にもこれを伝えていたことが16日、分かった。複数の関係筋が明らかにした。

 尖閣諸島に安保条約を適用するとの基本的立場を米国が崩したわけではないが、直接関連付ける言い回しを控えることで、金融危機後の米経済回復に向け、協力を取り付けたい中国を「刺激しないよう配慮した」(同筋)形。中国は東シナ海で活動を活発化させており、日本政府は早急に対策を取ることが不可欠だ。

 ブッシュ前政権時の2004年3月、米国務省のエアリー副報道官は記者会見で(1)尖閣諸島は1972年の沖縄の施政権返還以来、日本の施政権下にある(2)日米安保条約第5条は、条約が日本の施政下にある領域に適用されると明記している(3)従って、安保条約は尖閣諸島に適用される―と公言した。

 しかし、オバマ政権は「尖閣諸島は日本の施政権下にあり、安保条約は日本の施政権下の領域に適用される」(国務省)と表明するにとどめることを決めた。この立場の場合、論理的帰結として安保条約が尖閣諸島にも適用されることになるが、前政権のような明確な言い回しからは後退したことになる。

 国務省は16日までの共同通信の取材に対しても、(1)(2)の原則のみ確認し「尖閣諸島は適用対象か」との質問には回答を避けた。

 日本は昨年3月、米政府に尖閣諸島に関する見解の確認を求めたが、米側は(1)(2)の立場のみを伝達。当時の河村建夫官房長官は「米国の見解は、従来のものであって変更していない」と発表していた。

宮古、石垣に国境警備部隊 防衛省、対中国で態勢強化

2010年07月20日 中国新聞ニュ−ス

 沖縄県の先島諸島周辺での中国海軍の活発な活動などを踏まえ、防衛省が宮古島や石垣島に陸上自衛隊の国境警備部隊(数百人)を、与那国島に陸自の沿岸監視部隊(約100人)を、5〜8年後をめどに段階的に配備する方向で検討していることが19日、複数の同省幹部の話で分かった。

 沖縄本島以西は自衛隊がほとんど配備されていないため、国境に近い先島諸島の防衛と周辺海域の監視強化が狙いだが、近接する尖閣諸島(沖縄県石垣市)の領有権を主張する中国や台湾が反発を強めるのは必至だ。

 北沢俊美防衛相は、先島諸島への陸自配備に向けて2011年度予算案に調査費を計上する考えを既に表明。同省は11年度からの新たな防衛計画の大綱と中期防衛力整備計画で島しょ防衛強化を打ち出し、「災害対処」や「警戒監視」などの名目で配備の必要性を書き込む方針。

 同省幹部によると、宮古島や石垣島に配備を検討しているのは、長崎県対馬市の陸自対馬警備隊(約300人)のような国境警備部隊。一方、日本最西端の与那国島には、北海道稚内市の陸自第301沿岸監視隊(約100人)をモデルにした部隊の配備を想定している。

安保条約対象を米に確認 尖閣諸島で官房長官

2009/03/05  中国新聞ニュ−ス

 河村建夫官房長官は五日夕、日本と中国、台湾がそれぞれ領有権を主張している尖閣諸島(中国名・釣魚島)が攻撃された場合、日米安保条約五条の対象になるとの米政府の見解を確認したと明らかにした。官邸で記者団の質問に答えた。

 安保条約五条は「日本の施政権下で武力攻撃を受けた場合、日米両国が共同で対処する」と定めている。河村氏は「尖閣諸島は沖縄返還の一環として返されて以来、日本の施政権下にあり、日米安保条約が適用されることを確認した」と述べた。

 尖閣諸島をめぐっては、麻生太郎首相が二月二十六日の衆院予算委員会で尖閣諸島が他国に侵攻された場合、米国も共同対処することになるとの認識を強調している。

中国、首相発言に反発 尖閣の領有権問題で

2009.02.26 MSN産経新聞

 中国外務省の馬朝旭報道局長は26日、麻生太郎首相が同日の衆院予算委員会で、中国と台湾が領有権を主張する尖閣諸島(中国名・釣魚島)が侵攻された場合に米国も共同対処することになるとの認識を示したことに対し「強い不満を表明する。釣魚島は中国固有の領土であり断固反対する」との談話を発表した。

 馬氏は「中国側は一貫して話し合いによる解決を求めている」とした上で「非常に敏感な問題で、両国関係や地域の安定の観点から発言には注意すべきだ」と指摘した。(共同)

尖閣諸島周辺にヘリ搭載巡視船を常置 海保、領海侵入監視を強化

2009.02.04 MSN産経新聞

 東シナ海・尖閣諸島周辺の日本領海で警戒監視活動で、海上保安庁はヘリコプター搭載の大型巡視船(PLH型)を常時配置する態勢に切り替えた。尖閣諸島警備では、これまでも状況に応じてPLH型巡視船を派遣してきたが、常時配置するのは初めてという。中国海洋調査船の領海内への侵入監視が強化された。

 海保では、昨年12月から続けてきた巡視船3隻態勢を以前の2隻へと減少させる一方、PLH型巡視船の投入で「ヘリコプターによる機動力が活用でき、警戒能力はこれまで以上のレベルを維持できる」(海保幹部)としている。

 中国海洋調査船が昨年12月8日、同海域の領海に侵入し、約9時間に渡って航行したことから、海保ではそれ以前の常時2隻態勢を、常時3隻態勢に一時的に強化し、石垣航空基地からの航空機による監視も続けていた。

 しかし、昨年12月の中国調査船の領海侵犯は、魚釣島の西方沖と島周辺という巡視船の死角となる南東海域からだったことから、海保では「ヘリコプターを投入することで効率的に事態に即応できる」として、PLH型巡視船の投入を決めた。

 PHL型巡視船の投入は1日から始まった。海保は新たな巡視船の配置について、「申し上げられない」としている。

日台漁業交渉2月再開へ 尖閣諸島沖めぐり

2009.01.06 MSN産経新聞

 日本と台湾が尖閣諸島(中国名・釣魚島)沖の漁業権などについて話し合う「民間漁業協議」が2月中旬に台北で行われる見通しとなった。台湾の対日交流機関、亜東関係協会の蔡明耀秘書長が6日、明らかにした。

 日本側の対台湾窓口機関、交流協会台北事務所も「2月中で調整中」としている。同協会などによると、1996年から始まった協議は双方が尖閣諸島の主権を主張するなど議論がかみ合わず、2005年7月の第15回を最後に中断。馬英九政権下で初開催となる今回は主権問題を棚上げした上で、双方の主張を整理し協議の仕切り直しが行われる見通し。

 日台関係は馬英九政権発足直後の昨年6月に起きた尖閣諸島沖の船舶事故をきっかけに一時ぎくしゃく。馬政権はその後、主権問題を棚上げする姿勢に転じ、日本側に交渉の早期再開を呼び掛けていた。(共同)

尖閣諸島「中国、台湾と共同調査を」 石垣市長が発言撤回

2008.12.19 MSN産経新聞

 沖縄県石垣市の大浜長照市長が市議会で、日本固有の領土である東シナ海の尖閣諸島(中国名・釣魚島)について、「日本、中国、台湾で共同で研究調査すべきだ」と発言していたことが明らかになった。中国の海洋調査船が今月8日に尖閣諸島の領海を侵犯したばかりで、「中国につけ込まれるすきを与える発言だ」(石垣市議)と市長の見識を問う声が噴出した。一方、沖縄県議会と石垣市議会は19日、中国政府への抗議決議などを採択した。領海侵犯に関して、沖縄県議会が中国への抗議決議を採択するのは初めて。(佐々木類)

 中国による尖閣諸島の領海侵犯をめぐっては、麻生太郎首相が今月13日の日中首脳会談で、「日本の固有領土であり遺憾だ」と抗議し、政府として引き続き実効支配していく考えを示している。それだけに、尖閣諸島を行政区域とする石垣市の市長が最終的に発言を撤回したものの、中国、台湾との共同調査に言及したのは明らかに日本政府の方針を逸脱したものだ。

 大浜市長の発言は、18日の石垣市議会における議員への答弁で出た。仲間均議員によると、中国の領海侵犯について、仲間氏と伊良皆高信議員らが見解を求めたところ、大浜市長は「尖閣諸島はガラパゴス諸島のように貴重な動植物が存在する。日本、中国、台湾で共同で研究調査し、人類の福祉に役立てるべきだ」と答えた。

 同諸島が日本固有の領土であることを強調した上での答弁だったが、仲間氏らが「軽率だ」と発言の撤回を求めた結果、市長は「世界情勢が極めて微妙な時期なので、言い過ぎた発言のように思う」とその日のうちに発言を撤回した。

 また、質疑の中で仲間氏が米軍機の石垣空港の使用に関連し、自衛隊や米軍への見解をただすと、大浜市長は「自衛隊も米軍も基本的には軍隊だ。人を殺すための国家の物理的な暴力装置だ」と述べたが、尖閣諸島をめぐる発言同様、19日に発言を撤回した。

 一方、沖縄県議会は19日の定例会で、歴史的、国際法上からも尖閣諸島が日本固有の領土であることを指摘した上で、中国政府への抗議決議と日本政府に対し中国政府に抗議するよう求める意見書の2つを全会一致で採択した。石垣市議会は日本政府に対し、尖閣諸島周辺の警備強化を求める要請決議と中国政府に「強い憤り」を示す抗議決議をそれぞれ採択した。

 大浜市長の発言について河村建夫官房長官は19日の記者会見で「撤回した(大浜市長の)発言に対するコメントは差し控えたい」とし、県議会と市議会の決議については、「警備状況も含めて十分検討して回答したい」と述べた。

尖閣諸島「石垣市の区域」 沖縄県知事

2008.12.12 MSN産経新聞

 沖縄県の仲井真弘多知事は12日の定例記者会見で、周辺海域に調査船を派遣するなど中国が領有権を主張する尖閣諸島(中国名・釣魚島)について「番地からいっても歴史からいっても沖縄県石垣市の区域だ」と述べた。

 また、米軍基地問題を米政府関係者に直接訴えるための来年1月の訪米について「オバマ氏が大統領に就任する前に、上院議員や国家安全保障会議(NSC)のスタッフに会い、新政権がアジア太平洋地域の安全保障政策を変えるのかどうか意見交換し、基地の整理縮小や日米地位協定改定を要請したい」と話した。

中国調査船が領海内に侵入 尖閣諸島沖、海保が警告

2008.12.08 MSN産経新聞

 8日午前8時10分ごろ、尖閣諸島・魚釣島南東約6キロで、中国の海洋調査船2隻が日本の領海に侵入、航行しているのを第11管区海上保安本部(那覇)の巡視船が発見した。

 巡視船は、国際法上認められない航行に当たると判断し領海外へ退去するよう警告したが、2隻とも午後1時現在、魚釣島周辺の領海内にとどまって航行中。

 同本部によると、調査船は海監46号(約1、100トン、全長約70メートル)と海監51号(約1、900トン、全長約90メートル)で、いずれも中国の国家海洋局所属。中国船が尖閣諸島周辺の領海内に入ったのは平成16年2月以来。

 2隻ともワイヤを曳航(えいこう)するなどの調査活動は確認されていないが、巡視船が無線を使って中国語で領海外に出るよう警告を繰り返しても応じないという。午前9時40分ごろ魚釣島北東約17キロの海上で約1時間漂泊後、再び周辺を航行し始めた。

官房長官、尖閣周辺の中国船侵入「主権侵害で問題」

2007/10/29 NIKKEI NeT

 町村信孝官房長官は29日午前の記者会見で、中国の活動家を乗せた抗議船が尖閣諸島・魚釣島周辺で日本の領海に一時侵入した問題について「わが国の主権を侵害したという意味で大変問題だ」と述べるとともに、28日に東京、北京双方で中国側に強く抗議したと明らかにした。

 町村長官は「尖閣諸島が日本の固有の領土であることは歴史的にも国際法上も疑いないところで、両国間に領土問題は存在しない」と強調した。

反日団体の中国船、尖閣諸島上陸目指す…海保が接近阻止

2007年10月29日 Yomiuri On-Line

 【香港=吉田健一】尖閣諸島(中国名・釣魚島)に対する中国の領有権を主張している中国の反日民間団体「中国民間保釣連合会」は28日、中国本土を出発した抗議船1隻が、上陸を目指して同諸島に向かったことを明らかにした。

 同連合会によると、抗議船には中国人活動家4人が乗り込み、26日に福建省アモイを出発。28日夕、いったん尖閣諸島付近の領海内に侵入したが、海上保安庁の巡視船に進行を阻止された。同連合会は、出港に際し、中国政府に通知していないとしている。

      ◇

 第11管区海上保安本部(那覇)によると、28日午後6時20分ごろ、沖縄県尖閣諸島・魚釣島の西の領海内に、外国船1隻が入り込んだため、同本部の巡視船が領海外に退去するよう、拡声機で警告した。外国船は魚釣島の西側20キロまで接近したところで反転し、同7時35分ごろ、領海外に出て中国方面へ向かった。

 11管の調べによると、中国国旗と文字を記した横断幕を掲げ、船首付近には「■龍漁F839」と記してあった。

 ◆政府、中国に抗議

 政府は28日深夜、尖閣諸島付近の領海内に中国人活動家が乗っていると見られる船が侵入したことを受け、外務省を通じ中国政府に対し「尖閣諸島は我が国固有の領土であり、このような事態が発生したことは極めて遺憾で強く抗議する」と申し入れを行った。これに対し、中国側は尖閣諸島は自国領と主張したうえで「申し入れは受け入れられない」と回答した。(■はもんがまえに「虫」)

尖閣諸島への上陸阻止に抗議 中国外務省、日本側に

2006/10/28 The Sankei Shimbun

 中国外務省は27日、尖閣諸島(中国名・釣魚島)への上陸を目指していた香港の団体の漁船が、同島周辺海域で海上保安庁の巡視船に実力で阻止されたとして、日本側に抗議したと発表した。抗議は同省アジア局担当者が北京の日本大使館を通じて行った。

 中国側は「釣魚島と周辺の島々は中国固有の領土であり、中国の民衆が島の主権を主張するのは正当な行動だ」と表明。中国政府が危害を加えないよう要請していたにもかかわらず、日本側が多数の船を動員し、香港の船に体当たりするなどした結果、負傷者が出たと指摘した。

 その上で、日本政府が島を実効支配していることは中国の主権の侵害であり、受け入れられないとあらためて強調。日本側が「両国関係改善と発展の大局に立って、適切に問題を処理するよう望む」と要求した。(共同)

尖閣めざし領海侵犯の香港抗議船、海保の排除で領海外に

2006/10/27 The Sankei Shimbun

 27日午前5時15分ごろ、第11管区海上保安本部の巡視船が、尖閣諸島・魚釣島西南西約85キロの海上で、中国の活動家らを乗せた抗議船1隻が魚釣島に向けて航行しているのを確認した。抗議船は午前9時21分、日本の領海に入った。同海保が排除のため、放水を始めたところ、午前10時5分、魚釣島西南西約13キロまで接近したが、停船。同10時半、西向きに航路を変え、同11時35分ごろ、日本の領海外に出た。台湾に向けて航行している。

 海上保安庁によると、抗議船は「保釣2号」と名付けられた漁船。香港の団体「保釣行動委員会」の活動家らが乗船しているとみられ、ゴムボートなどを積んでいるという。午前7時51分、尖閣諸島の西南西約44キロで、密入国を取り締まることができる「接続水域」に入ったため、水域外に出るよう警告していた。

 抗議船は22日に香港を出発。途中、荒天でエンジンが故障、中国・基隆の沖合に停泊していたが25日夜、尖閣諸島に向けて出発した。

 尖閣諸島は中国、台湾も領有権を主張しており、尖閣諸島に中国船が現れたのは、平成16年3月に中国人7人が不法上陸して以来。沖縄県警はこの7人を入管難民法違反の現行犯で逮捕した。今年8月には台湾活動家の船が現れている。

 今年は香港の活動家が抗議のため、尖閣諸島付近で海に飛び込んで死亡した事故から10年目にあたり、追悼の意味を込めて上陸を目指している可能性があるという。

 27日の会見で冬柴鉄三国土交通相は「現場の判断によるが、領海内では逮捕、拘束する権限がある」と述べた。

尖閣諸島付近「接続水域」に香港の抗議船 海保が警告

2006/10/27 The Sankei Shimbun

 尖閣諸島(中国名・釣魚島)の領有権を主張する香港の活動家らが乗った抗議船が27日朝、同諸島近海を航行しているのを海上保安庁が確認した。

 海上保安庁によると、抗議船は午前8時前、尖閣諸島の沿岸約44キロで密入国を取り締まることができる「接続水域」に入り、同諸島魚釣島に向け航行。上陸を目指しているとみられ、同庁は水域外に出るよう警告している。

 抗議船は「保釣2号」と名付けられた漁船。香港の団体「保釣行動委員会」の活動家らが乗船し、水上バイクや小型ボートを積んでいるという。

 抗議船は22日に香港を出港。台湾の活動家と合流するために台湾近海まで航行したが荒天でエンジンが故障、修理後25日夜に尖閣諸島に向けて出発した。

 尖閣諸島は沖縄県石垣市に属しているが、台湾と中国が領有権を主張。保釣行動委などの団体がたびたび抗議船を出し、領海内に入っている。平成16年3月には活動家7人が上陸し、沖縄県警が入管難民法違反の現行犯で逮捕した。

台湾の反日団体抗議船、尖閣上陸目指し出航

2006/10/25 The Sankei Shimbun

 【台北=長谷川周人】尖閣諸島(中国名・釣魚島)の領有権を主張する台湾の反日団体活動家らが25日午前9時(日本時間同10時)すぎ、プレジャーボートで台湾北部の漁港を出航した。尖閣上陸を目指し、別の抗議船で22日に香港から先発した活動家らと洋上で合流するとみられる。

 活動に参加しているのは「保釣(尖閣防衛)行動委員会」など反日団体メンバーで、抗議行動を前に「安倍晋三首相の訪中で中日間の緊張関係は表面的に緩和されたが、日本政府の右寄りの民族主義的な立場に変わりない」と主張していた。

 同委の対日抗議は最近、2004年3月に中国人活動家が上陸して沖縄県警に逮捕され、今年8月にも抗議船で尖閣に接近したが、領海侵犯はせずに引き返した。

中国、衛星画像集で「尖閣も掲載」と紹介

2006/03/18 The Sankei Shimbun

 中国の資源観測衛星応用センターは18日までに「中国を代表する主な自然環境」を紹介した衛星画像集を編さん、日中が領有権をめぐり対立している尖閣諸島(中国名・釣魚島)も画像集で取り上げたと強調する内容紹介文をウェブサイトで発表した。

 日本が尖閣諸島を「日本固有の領土」として実効支配する中、同諸島は中国に帰属するとの中国側主張を国内外にあらためて徹底させる狙いがあるとみられる。

 同センターは、中国軍の傘下にある国防科学技術工業委員会の指導に基づき運営されている組織。紹介文は、画像集が世界最高峰エベレスト(中国名チョモランマ)や東シナ海沿岸部、黒竜江なども紹介していると宣伝している。 2006/03/10 NIKKEI NET センターによると、尖閣諸島などの画像を撮影した衛星は中国とブラジルが共同開発。森林、災害、地下資源など国土資源調査を目的にしているとされる。(共同)

衆院「83会」、19日から沖縄訪問・尖閣諸島、ガス田など視察

2006年3月17日 NIKKEI NET
2006/03/10 NIKKEI NET

 自民党の衆院1回生議員でつくる「83会」のメンバーが19、20の両日に沖縄県を訪問する。 稲嶺恵一知事と在日米軍再編問題などをめぐり意見交換するほか、尖閣諸島や日中で共同開発を協議中の東シナ海のガス田、米軍普天間基地の移設予定地であるキャンプ・シュワブ(名護市)などを上空から視察する。 土屋正忠、佐藤ゆかり、橋本岳の各氏ら15人が参加する予定だ。

「尖閣は日本の領土」/駐日米大使が表明

2006/03/17 四国新聞社

 シーファー駐日米大使は17日午後の都内での講演で、日中両国などが領有権を主張している尖閣諸島について「日本の領土とみている」と述べ、日本の主張を支持する米政府の立場をあらためて表明した。

 日中両政府が対立している東シナ海のガス田開発問題に関しては「日中で多くの論争が起きていることは分かっている。腰を据えてきちんと話し合い、平和裏に解決してほしい」と述べ、対話継続による解決を促した。

日中ガス田問題/試掘支援する法整備を急げ

2006年03月12日 The Sekai Nippo

 東シナ海の天然ガス田開発をめぐる第四回日中局長級協議で、中国側は受け入れ難い新提案をした。時間稼ぎが最大の狙いだろうが、尖閣諸島の主権を主張した上での同諸島周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)内での共同開発提案は、尖閣諸島を中国領土に組み入れるための布石とも読み取れ、警戒が必要だ。

 日本としては、試掘を開始できる法的環境整備を早急に整え、新たな外交カードを持って強い姿勢で次の日中協議に臨めるよう対処すべきである。

時間稼ぎし開発を継続

 日本側の提案は前回協議で示したもので、「白樺」(中国名・春暁)ガス田など、両国から等距離にある中間線をまたぐ海域での四カ所を含む鉱区での共同開発だ。

 これに対して中国側は今回、別の二海域での共同開発を提案してきた。一つは、尖閣諸島の北側で、領海(同島から約二十二・二〓)すれすれの日本側のEEZ内で、もう一つは、日韓大陸棚協定に基づく日韓共同開発区域内である。

 尖閣諸島の領海内は含まれていないとはいえ、九二年の領海法で尖閣諸島を勝手に自国の領土に組み入れた中国にとっては、その周辺に新たな足場を築くことを意味する。南沙諸島や西沙諸島の領有権をめぐるベトナムなどとの紛争でも、結局は中国が実効支配した。領有権の主張を強化し、領土紛争に巻き込む狙いのある可能性も否定できないことから、日本としては寄せ付けない方が賢明だ。

 また、この海域は、日本が主張する日中中間線内に入り込んでいるばかりでなく、大陸棚が続く「沖縄トラフ」までが自国のEEZだとする中国の主張を補強し得る際どい位置にある。これを認めれば、中国の境界線の主張を強めることになろう。

 今回の中国の狙いは、新提案をすることで、交渉を引き延ばし、時間稼ぎをしたことにあろう。

 小泉首相の靖国参拝を理由に協議を約五カ月間延期した中国は、この間、ガス田開発を継続し、月内にも「白樺」で生産が可能な情勢になっているという。

 しかも、海底資源の大半は中間線から日本側に埋蔵されているとの見方が有力で、すでに生産がスタートしている「樫」ガス田とともに、日本側の資源を吸い上げる作業を始め、他のガス田も同様に既成事実化する考えに違いない。

 その打開策は、期限を区切り決着できなければ日本独自に試掘を行うとの意思表示をすることだ。そして、試掘や開発を行う際の安全確保を目的とする法律を早急に整備する必要がある。中国の官製市民団体や軍などの妨害行為から守らねばならないからだ。

 すでに自民党はそれに対処するため、「海洋構築物の安全水域に関する法案」をまとめ、公明党、民主党と共同提出する見通しである。それを成立させた上で、中国側と交渉をすれば効力があろう。それでも、時間稼ぎを図るなら、日本独自で試掘調査に踏み切り、中間線の日本側海域の開発をスタートさせるべきだ。

領土・領海の防衛意識を

 国際エネルギー機関(IEA)によると、日本のエネルギー自給率は4%と世界の中でも極端に低い。しかし、東シナ海の日本側海域には、石油や天然ガスが原油換算で五億キロリットルの埋蔵量があると経済産業省は試算している。それは日本の原油国家備蓄量の十倍に相当する。

 領土・領海に対する防衛意識を強め、中国の出方を警戒するとともに、エネルギー国家安全保障の観点からも検討すべきである。

ガス田開発、中国提案に尖閣諸島と領海は含まず

2006年3月10日 NIKKEI NET

 東シナ海のガス田開発を巡る日中の第4回局長級協議で中国が提案した共同開発海域は尖閣諸島とその周囲の日本の領海は含んでいないことが分かった。 政府関係者が10日、明らかにした。中国は協議で (1)東シナ海北部の中間線のやや中国よりの海域 (2)日本が領土として実効支配している尖閣諸島の周辺海域 ――の2カ所の共同開発を提案。 日本政府は問題になっている日中中間線付近の4つのガス田が含まれていないことなどから「この提案のままでは受け入れられない」として拒否する方針だ。

尖閣諸島の日本領有受け入れず 中国

2006/03/09 中国新聞ニュース

 【北京9日共同】中国外務省の秦剛副報道局長は九日の定例会見で、東シナ海の共同開発問題に関し、尖閣諸島(中国名・釣魚島)の日本領有を前提とした立場は受け入れられないと表明、中国側による同諸島近海の共同開発提案に反発している日本側をけん制した。

 副局長は日本が排他的経済水域(EEZ)の境界と主張する東シナ海の中間線についても、受け入れないとの見解をあらためて示し、日本が共同開発を提案している「白樺」(中国名・春暁)ガス田も「争いのない中国近海」での開発として、提案を拒否する考えを示唆した。

 また、麻生太郎外相が台湾を「国家」と発言したことに対し、強く抗議すると語った。

中国が尖閣諸島で共同開発提案 東シナ海天然ガス

2006年03月08日 徳島新聞社

 政府関係者は8日、東シナ海の天然ガス開発をめぐる日中政府間協議で、中国側が尖閣諸島周辺など2カ所を共同開発の対象とするよう提案したことを明らかにした。

香港紙「米日、尖閣諸島近海で合同軍事訓練」

2006/02/18 朝鮮日報

 最近、中日関係が冷え込み、米国防総省が中国を「潜在的軍事脅威国」と名指ししたなかで、米国と日本が今月6日から10日まで中日両国の領有権紛争地域である釣魚島(尖閣諸島)近海で非公開の大規模合同軍事演習を行っていたことが判明した。

 香港の中国寄りの新聞、文匯報は17日、「今回の軍事演習には、日本側から最新鋭の装備で武装したF-15戦闘機やE-767電子早期警報機、KC-767空中給油機などが参加した」とし、「F-15戦闘機まで参加したのは非常に異例のことで、注目に値する」と報じた。

 米軍の場合、在日米軍第5航空隊所属の第18航空連帯から10機のF-15戦闘機とE-3電子偵察機を派遣し、隣接国での有事の際発生時、海軍・空軍力を動員した作戦の遂行および統制能力の増強訓練を行ったと伝えられる。

 文匯報は「沖縄の嘉手納空軍基地から発進した米軍のE-3偵察機が、中国の領海からわずか12キロメートル離れた場所まで接近した」とし、「米国と日本が、中国を仮想敵国として対応訓練を行った」と主張した。

 同紙は日本の「しんぶん赤旗」の報道を引用し、「米日両国は、2003年4月から2004年3月までの1年間に120回の連合軍事演習を行っており、訓練の延べ日数は376日に達した」と報じた。

日台漁業交渉で「尖閣」棚上げ方針、台湾秘書長が表明

2005年07月10日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【台北=石井利尚】台湾の游錫コン(ユウ・シャクコン)総統府秘書長(官房長官に相当)は8日、台北の総統府で読売新聞と会見、日本と台湾が今月行う予定の漁業交渉で、尖閣諸島(台湾名・釣魚台列島)問題が絡む境界画定は棚上げし、漁業問題の解決策を求めていく方針を表明した。

 游氏は「日本は台湾の大切なパートナーだ。中国のような非理性的な(反日)民族感情が高まることを望んでいない。(尖閣の)領有権問題を漁業と絡めると、他国(中国)が介入して複雑になる」と述べた。先島(さきしま)諸島近海での日本の取り締まり強化に対し、台湾の漁業団体や親中派野党が「日本に強硬姿勢を示すべきだ」と陳水扁政権に圧力をかけているが、政権中枢にいる游氏の発言は、日台関係に配慮して冷静に対処する姿勢を明確にしたものだ。

 今年は、中国や台湾にとっては「抗日戦争勝利60周年」にあたり、親中派には中国と連携する動きがある。この点について、游氏は「終戦という言葉が適切で、歴史問題で隣国同士がいがみあうことは地域の平和にマイナス。未来に目を向けるべきだ」と、「抗日」を強調して反日感情をあおる動きを批判した。(コンは「方」の字を2つ並べた下に「土」)

台湾、尖閣諸島近海に艦船派遣 国会議長、国防相が視察

2005/06/21 The Sankei Shimbun

 台湾の最大野党、国民党の王金平・立法院長(国会議長)と李傑・国防部長(国防相)が21日、北部、蘇澳から海軍フリゲート艦「鳳陽」に乗って、日本と台湾の間で漁業権争いのある尖閣諸島(中国名・釣魚島)近海を視察した。

 同海域では台湾漁民が「伝統的な漁場を奪われた」と反発しており、視察は対日強硬姿勢を示し漁民を支援する狙いがある一方、漁民の不満解消を図る「パフォーマンス」との見方も有力だ。

 視察海域は蘇澳北東約130キロで、尖閣諸島からは約70キロ離れており、日台間の中間線は越えず、紛争海域には入らなかったもようだ。

 日台はともに尖閣諸島の領有権を主張しており、周辺海域はどちらの排他的経済水域(EEZ)か争いがある。内閣府沖縄総合事務局によると、同海域では昨年から水産庁が台湾漁船を排除しているが、拿捕(だほ)は控えているという。

 同海域でクロマグロ漁を行う漁民が、日本側に追い払われたとして今月上旬、近くの海上で抗議活動を行った。謝長廷・行政院長(首相)は21日、立法院で「日本との漁業権争いは交渉で解決できる」と力説したが、交渉妥結のめどは立たず漁民の不満解消は当面難しそうだ。

 台湾メディアは、漁民の反発を背景に「対日開戦」にまで触れる過激な反日報道を続け、台湾当局はこれに押される形で軍艦派遣に踏み切った。

 だが「漁業紛争は外交交渉で解決すべきだ」として軍艦派遣や国会議長らの視察は「やりすぎ」との冷静な意見も多い。王院長は7月の国民党主席選に立候補しており、党員の票集めを狙った行動との見方もある。

 尖閣諸島については、中国も領有権を主張している。(共同)

21日に尖閣近くへ巡洋艦派遣 台湾、国会議員ら視察

2005/06/20 The Sankei Shimbun

 台湾国防部(国防省)は20日、日本が巡視艇などを出動させて台湾の漁船を排除している尖閣諸島(中国名・釣魚島)近くの海域を視察するため、海軍巡洋艦を21日に現場へ派遣する予定を明らかにした。王金平・立法院長(国会議長)や李傑・国防部長(国防相)が同乗する。

 日本に伝統的な漁場を奪われたと反発する台湾漁民に配慮し、対日強硬姿勢を示す狙い。与党、民主進歩党(民進党)陣営などでは、漁業紛争は外交交渉で解決すべきであり、軍艦派遣や国会議長の視察は「やりすぎだ」との反対意見も多い。

 巡洋艦は台湾北部・蘇澳の海軍中正基地を出航し、北東約110キロの海域を視察する。現場は尖閣諸島の帰属とともに日台どちらの排他的経済水域(EEZ)に属するか争いのある海域。日本の巡視船艇に追い払われたとして今月8−9日、蘇澳などの漁船約60隻が海上で抗議活動を行った。

 日本の内閣府沖縄総合事務局によると、同海域では昨年から台湾漁船を排除しているが、EEZの主張に争いがあるため拿捕(だほ)は控えているという。

 台湾側では、7月の国民党主席選に立候補している王院長の視察は「票集めが狙い」との見方もある。(共同)

尖閣上陸また延期 中国領有権を主張する香港団体

2005/06/20 The Sankei Shimbun

 尖閣諸島(中国名・釣魚島)の中国領有権を主張する香港の団体「保釣行動委員会」の柯華主席は20日、6月後半に予定していた同諸島への上陸計画を7月中旬以降に延期する方針を明らかにした。延期は2回目。上陸に使う船の購入に向け、募金活動を続けるという。

 柯主席は出航時期や上陸の際の活動について「適当な時期に公表する」と話した。

 今回の上陸計画では、1998年に出航した際の100トン級を上回る船を購入し、活動家ら20人以上が参加する見通しという。(共同)

石垣市長が魚釣島上陸を検討 海上保安庁に協力要請

2005/03/12 The Sankei Shimbun

 沖縄県石垣市の大浜長照市長は12日、「尖閣諸島を行政区に抱える首長の責任として、上陸し自分の目で確認したい」と述べ、歴代市長として初めて尖閣諸島・魚釣島に上陸し視察したいとの意向を示した。

 時期は「検討中」とし、既に海上保安庁に協力を要請しているという。

 ことし2月、日本政府が魚釣島に日本の政治団体が建設した灯台を国有財産とし海上保安庁が保守、管理すると発表したことを受け、大浜市長は上陸の検討に入った。

 一方で、大浜市長は「中国や台湾との関係にも配慮する。関係を損なわないよう平和的な方法で実現したい」と話している。(共同)

魚釣島灯台記載の海図刊行 「灯台表」の追加表も

2005/02/25 The Sankei Shimbun

 尖閣諸島・魚釣島に日本の政治団体が建設した灯台の管理を海上保安庁が引き継いだことを受け、同島に灯台のマークを記載した新たな海図が25日、同庁から刊行された。

 海図は沖縄から台湾を含む範囲で縮尺75万分の1。魚釣島の西端に灯台を記入、光の届く範囲を5マイル(約9キロ)と記載している。

 海上保安庁は同日、魚釣島灯台が新たに加わったことを知らせる「灯台表」の追加表も刊行した。(共同)

中国側反発に「国内問題だ」 魚釣島灯台で外相

2005/02/10 The Sankei Shimbun 大阪夕刊から

 日本固有の領土である尖閣諸島・魚釣島の灯台を海上保安庁が管理する方針について、中国が「日本によるいかなる一方的な行動も違法であり、無効である」(孔泉外務省報道官)と反発していることに対し、町村信孝外相は10日午前の記者会見で、「日中間に領土問題は存在しない。これはあくまでも国内問題。灯台の所有者が所有権を放棄するということなので、政府の所有に移ることになった。国内的措置で、不法とか無効とかいう性格のものではない」と述べ、中国側の反論には根拠がないとの認識を示した。

尖閣諸島の灯台国有化は「詭弁」 香港紙、社説で批判

2005/02/10 The Sankei Shimbun

 10日付の香港紙、明報は、日本政府による尖閣諸島の灯台国有財産化について「詭弁(きべん)」などと批判し、中国政府は強く反撃すべきだとする社説を掲載した。同紙は、これまでも歴史問題で日本に厳しい論調で知られている。

 社説は同諸島への自衛隊派遣などを盛り込んだ防衛庁対処方針や、石原慎太郎東京都知事が提起した沖ノ鳥島周辺での発電所建設計画など最近の日本側の動きを中国外交への「挑発行動」と批判。

 さらに「誤り」を重ねればアジア諸国を敵とする危険な道を再び歩みかねないと指摘した。(共同)

尖閣諸島の灯台 海上保安庁が保守、管理へ

2005/02/10 The Sankei Shimbun

 細田博之官房長官は9日午後の記者会見で、沖縄県石垣市の尖閣諸島・魚釣島(中国名・釣魚島)に日本の政治団体が建設した灯台について、所有者が所有権を放棄したため国有財産とし、海上保安庁が保守、管理すると発表した。海上保安庁は同日、灯台を「魚釣島灯台」と命名、位置などを船舶関係者に知らせる地域航行警報を出した。

 外務省の中国課長が同日午前、東京の中国大使館の参事官に経緯を説明し、中国側は「本国に伝達する」と回答。中国政府は同日夜、外務省の孔泉報道局長が日本の対応について「すべて非合法で無効だ」と反発した。

 小泉純一郎首相は9日夜、官邸で記者団に「民間人が手放した灯台を国が引き受けた。国としてやるべきことをやった。日本独自の当然の行動だ」と強調した。

 細田氏は灯台が船舶の安全航行に役立っている現状を指摘し「機能を維持することが適当だと判断した」と述べた。

 灯台は日本の政治団体が設置、石垣市の漁業者が形式上の所有者となっていた。細田氏は魚釣島が本来、上陸禁止になっていることもあって所有者側から「保守、管理は国でやってほしい」と申し出があったと明らかにした。ただ、所有権放棄の詳細な経緯について公表は控えた。

 具体的な海上保安庁の作業は、灯台が太陽光発電装置で点灯するため、電球の交換や汚れの除去などが中心になる見通しだ。政府は今後、公式の海図や航路図への記載についても検討する。(共同)

魚釣島の灯台は国有財産 「問題ない」と細田官房長官

2005/02/09 The Sankei Shimbun

 細田博之官房長官は9日午後の記者会見で、沖縄県石垣市の尖閣諸島・魚釣島(中国名・釣魚島)に日本の政治団体が建設した灯台について、所有者が所有権を放棄したため国有財産とし、同日から海上保安庁が保守、管理すると発表した。

 細田氏は灯台が船舶の安全航行に役立っている現状を指摘し「機能を維持することが適当だと判断した」と述べた。その上で「尖閣諸島が日本固有の領土であることは歴史的にも国際法上も疑いはない。まったく問題はない」と強調した。

 灯台は日本の政治団体が設置、石垣市の漁業者が形式上の所有者となっていた。細田氏は魚釣島が本来、上陸禁止になっていることもあって所有者側から「保守、管理は国でやってほしい」と申し出があったと明らかにした。ただ所有権放棄の詳細な経緯について公表は控えた。

 今後の海上保安庁の作業は、灯台が太陽光発電装置で点灯するため、電球の交換や汚れの除去などが中心になる見通しで公式の海図や航路図への記載についても今後検討する。(共同)

 <尖閣諸島> 明治政府が無人島であることを確認した上で1895年に日本の領土に編入。第2次世界大戦後は米国の施政下に置かれたが、沖縄返還に伴い同諸島も返還された。政府は「中国、台湾は70年代後半に東シナ海で石油開発の動きが表面化して領有権を問題にするようになった」との見解を示している。(共同)

魚釣島の灯台、政府に保守・管理権移管

2005/02/09 The Sankei Shimbun

 日本固有の領土でありながら、中国が領有権を主張している東シナ海の尖閣諸島魚釣島に設置された灯台の保守・管理権が10日、政府に移管されることが分かった。

 今回の対応について政府は、「昨年4月に同島の上陸を禁止したので、政府として灯台の管理を検討していた」(関係者)と説明している。

 灯台は平成8年に東京都内の政治団体が建設した後、沖縄県の漁業関係者に譲渡された。その後、航路標識として運輸省(当時)に許可申請が出されたが、日本の領有に反発する中国や台湾への配慮から政府は申請を許可してこなかった。

 魚釣島には昨年3月、中国人活動家らが不法上陸。灯台や史跡の一部を壊すなどしたため、沖縄県警が入管難民法違反の現行犯で逮捕、強制送還している。

中国で尖閣諸島の絵はがき 「李氏訪日に抗議」と香港紙

2004/12/27 The Sankei Shimbun
 27日付の中国系香港紙、文匯報によると、尖閣諸島(中国名・釣魚島)の中国領有権を主張する民間団体「中国民間保釣(尖閣防衛)連合会」の活動家らが、同諸島をテーマにした絵はがきを作成した。

 同紙によると、日本政府が台湾の李登輝前総統の27日からの訪日を認めたことに抗議するのが目的で、中国の大都市で計5000枚が同日にも発売される。絵はがきは、同会の活動家らがこれまで上陸を試みた際に撮影したカラー写真を用い、領有権問題での「決意」を示すという。(共同)

尖閣に新型巡視船 概算要求重点項目 海保、中国船対策に本腰

2004/08/08 The Sankei Shimbun
 今年三月に起きた尖閣諸島への中国人活動家上陸事件の反省などを踏まえ、海上保安庁は、複数の小型ゴムボートを搭載した新型巡視船の導入を目指すなど、本格対策に乗り出す。来年度予算の概算要求に向けた重点施策の一つとした。

 新型巡視船は千トンクラスを想定。エンジン付きで小回りの利くゴムボートを複数搭載し、活動家の上陸を阻止する。

 新たに高性能レーダーを備えたジェット機の配備も検討しており、接岸する船の早期発見や、EEZ(排他的経済水域)で調査活動を行う中国船の監視に臨む。

 また、尖閣諸島問題などに迅速に対応するため、本庁警備課に「領海警備対策官」を置き、管区本部への指示や関係機関との調整に当たる。

 尖閣諸島の魚釣島(沖縄県石垣市)には三月二十四日、中国人活動家七人がボートで上陸した際、正確な事前情報が取れなかったうえ、小型船での接近という警備のすきを突かれた格好で、海保はこうした反省点を踏まえて対応策を再検討していた。

 一方で海保は、第五管区(神戸)、第七管区(北九州)など複数の海上保安部に「公安課」の新設を目指すほか、海上テロなどを想定した特殊部隊の輸送能力を高めるため、大型ヘリコプターの導入も検討。テロや北朝鮮の工作活動に対する態勢を大幅に強化したい考えだ。

尖閣諸島にまた中国測量艦

2004/08/06 The Sankei Shimbun
 6日午後3時ごろ、尖閣諸島・魚釣島(沖縄県)の北東約65キロの日本の排他的経済水域(EEZ)で、中国海軍の測量艦「東測226」(1、040トン)を海上自衛隊のP3C対潜哨戒機が確認した。

 同艦は5日にも同じ海域で確認された。海洋調査をしているとみられる。

尖閣諸島に中国の測量艦

2004/08/05 The Sankei Shimbun
 5日午後4時ごろ、尖閣諸島・魚釣島(沖縄県)の北東65キロの日本の排他的経済水域(EEZ)で、中国海軍の測量艦「東測226」(1、040トン)を海上自衛隊のP3C対潜哨戒機が確認した。

 海上幕僚監部によると、測量艦は海中にワイヤを下ろして航行しており、海洋調査をしているとみられる。

尖閣の登記抹消せず 台湾の宜蘭県長 2004/04/17 The Sankei Shimbun

 17日付の台湾紙、中国時報によると、尖閣諸島(中国名・釣魚島)を行政管轄区域として土地台帳に登記した台湾・宜蘭県の劉守成県長(県知事)は16日、登記を抹消することはできないと述べた。

 日本政府は14日、対台湾交流機関の交流協会台北事務所を通じて台湾側に登記抹消を申し入れていた。劉氏は「(尖閣は)もともと中華民国(台湾)の領土であり、歴史的にも台湾漁民の操業海域だった」として申し入れに応じない姿勢を示した。(共同)

尖閣上陸:日本人開拓者の碑に「中国領」と刻まれる 2004年03月28日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 沖縄県魚釣島への中国人活動家の不法上陸事件で、県警の実況見分の結果、島内に建てられた日本人開拓者を顕彰する碑に「中国領」を意味する言葉が刻まれていたことが分かった。県警は出入国管理法違反容疑で逮捕した7人を2日間取り調べたが、明確な関与を裏付ける供述を得られなかったとみられ、関与ははっきりしていない。

 調べでは、くぎのような鋭利なもので刻まれていたという。碑は約25年前に建てられた小さなもので、1896年から30年間、魚釣島など尖閣諸島4島を日本政府から無料貸与された開拓者をたたえているという。

 同島では社の一部なども破損しているというが、原因が風雨による可能性も否定できず、上陸した7人の島内での行動との関係について慎重に捜査を続けている。

鳩山由紀夫氏:不法上陸者強制送還に「ことなかれ主義」と 2004年03月28日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 民主党の鳩山由紀夫前代表は28日のフジテレビ報道番組で、沖縄県尖閣諸島・魚釣島に不法上陸した中国人活動家を強制送還した政府の対応について「ことなかれ主義だ。(不法上陸が)大規模になるなどエスカレートする可能性がある。主権は日本にあることを徹底させるためにも、やっかいな問題だからといって、簡単に闇に葬るべきではない」と批判した。

日中外相電話会談 公表、異例の18時間後に 2004年03月28日 The Sankei Shimbun
 外務省は27日昼、川口順子外相が中国の李肇星外相と26日午後6時に電話会談を行い、尖閣諸島への中国人活動家上陸の再発防止などを強く求めたと発表した。しかし通常、電話会談が行われた場合、数時間以内に公表しているのに、今回は約18時間後。外務省側は「中国側が公表しないでほしいと言ったが、中国の新華社電などで報じられたため発表することにした」などと説明しているが、不法上陸した活動家について通常の刑事手続きをとらずに強制送還したことと合わせ、中国への過度な気兼ねをうかがわせる対応には国内から強い批判が出そうだ。

 外務省によると、電話会談は「中国側からの強い求め」に応じて、李外相から電話してくる形で行われた。

 このなかで李外相は、尖閣諸島に上陸して逮捕された中国人活動家の問題について、中国側の立場を繰り返し主張。川口外相は尖閣諸島はわが国固有の領土であるとの立場を述べたうえで「わが国の法令に基づいて処理が進められた」と説明した。

尖閣上陸、阻止は難題 大型船の間スルリ、小型船は弱点 2004/03/27 asahi.com
 沖縄県の尖閣諸島・魚釣島への中国人活動家の不法上陸事件を受け、首相官邸は警察庁、海上保安庁など関係省庁に再発防止策の検討を指示した。だが、小回りの利く小型船で警備のすきを狙うグループを阻止するのは簡単ではない。活動家が所属する団体は28日に同諸島近くに新たに船を出すと発表。同様の事件が続けば日中関係をこじらせる恐れがあり、政府は対応に苦慮している。

 「上陸を制止できなかったことがまず問題だ」。26日の自民党総務会で、中山太郎元外相は中国人活動家の上陸を許した警備態勢の不備を指摘した。政府内にも「結果から見れば、警備が手薄だったと考えざるを得ない」(二橋正弘官房副長官)との反省があり、二橋副長官は関係省庁に対応策を検討するよう指示した。

 海上保安庁は、尖閣諸島周辺海域を24時間監視下に置いている。通常は大型巡視船1、2隻の態勢だが、事前に上陸情報があれば小型船艇や航空機を投入する。中国人活動家は小型漁船を利用するため、大型の巡視船では体当たりで針路をふさごうとすると沈没させる恐れがある。政府の対処要領には「人身事故を避ける」とあり、これに反することになる。

 「小回りの利く小型船艇がなければ上陸を完全に封じるのは難しい。だが、小型船艇を常時配備することは難しい」と海保幹部は言う。この時期、周辺海域の天候は荒れる日が多いからだ。

 今回上陸した活動家は昨年6月と今年1月にも上陸を試みたが、海保は事前に情報を入手。小型船艇で針路をふさぎ、上陸を断念させている。

 政府は今回、情報をつかんでいたが、日時は特定できなかった。24日に周辺海域を警戒していたのは1千トンクラスの大型巡視船「はてるま」1隻だけ。午前6時24分に、「中国領海」の垂れ幕を掲げた漁船を発見。進路妨害や退去勧告を繰り返したが、小型ボートに乗り換えた活動家らの動きは封じ込められず、小型ボートに乗り換えて追いかけた海上保安官らは上陸前に追いつけなかった。

 海保幹部からは「事前情報に合わせて船舶を増強し、上陸させない作戦をとるというやり方を取ってきたのに、それが通用しなくなった」との声が漏れる。 (

尖閣上陸 7人を強制送還 送検見送り、日中関係を最優先2004年03月27日 The Sankei Shimbun
 尖閣諸島・魚釣島(沖縄県石垣市)に中国人活動家七人が不法上陸した事件で、沖縄県警は二十六日午後、七人の身柄を福岡入国管理局那覇支局に引き渡した。入管は中国へ強制送還することを決め、七人は夜、那覇空港から出国、上海に到着した。県警は島の構造物に対する損壊への追及や別の外国人活動家の上陸活動を阻止する狙いなどからも送検し、通常の刑事手続きを取る方針だったが、断念した。小泉純一郎首相は「日中関係に悪影響を与えないように大局的に判断しなければいけないとして関係部署に指示した」と政治判断で、中国側の反日感情に配慮したことを明らかにした。七人の行動は、日本の主権を侵害したものだけに、今回の対応は論議を呼ぶとみられる。

 沖縄県警は当初、入管難民法違反容疑(旅券不携帯)で検察庁に送検する方針を固めていたが、「検察庁や法務省などと協議した結果」として、同法六五条(刑事訴訟法の特例)の「その者が他に罪を犯した嫌疑のないときに限り、当該被疑者を入国警備官に引き渡すことができる」を適用した。

 県警の新岡邦良警備部長は六五条の適用を、「警察庁を通じて法務当局と協議した結果、一般論として本件のケースも(入管への)身柄引き渡しを妨げるものではないという結果を得た。法的支障はない」と説明した。

 七人は全員パスポートを所持していなかった。島内で政治団体が設置した祠(ほこら)型の神社を壊したことも確認され、県警はこの日まで「不法入国の確信犯」(捜査幹部)として捜査していた。

 調べには、七人は「(上陸目的は)言う必要はない」などと供述。うち、リーダー格とみられる馮錦華容疑者(三三)は東京・靖国神社の狛犬(こまいぬ)に落書きしたとして東京地裁で懲役十月、執行猶予三年の有罪判決を受け、猶予期間中だった。

 県警は送検で、目的や背後関係の解明を目指したが、全員の強制送還で暗礁に乗り上げることになった。

                  ◇

≪拉致連携に配慮≫

 小泉純一郎首相は二十六日午後の記者会見で、尖閣諸島に不法上陸した中国人活動家を送検しなかった判断について、「法に基づいて適切に処理することでやってきた」としながらも、「日中関係に悪影響を与えないよう大局的に判断しなければいけない。そういう基本方針に沿って関係当局に指示した」と述べ、日中関係への配慮を最優先したことを認めた。

 背景には、首相の靖国神社参拝で中国側が強い反発を示すなど日中関係が冷え込みつつある現状認識がある。実際に、平成十三年十月に首相が訪中して以降、首脳レベルの交流は途絶えている。

 こうした状況を改善する意味もあって、川口順子外相が来月上旬に訪中を予定。その際、川口外相は六月末に開かれる北朝鮮の核問題を協議する六カ国協議の見通しや、日本人拉致事件の解決に向け北朝鮮に大きな影響力を持つ中国側の理解も得たい考えで、「尖閣諸島の問題で中国を刺激するのはよくない」(政府関係者)との判断が政府内に働いたといえる。

尖閣諸島:右翼十数人、26日早朝にも上陸計画 2004年03月25日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 沖縄県尖閣諸島・魚釣島に中国の活動家7人が不法上陸して逮捕された事件で、これに反発する政治団体「日本青年社」(本部・東京都港区)のメンバー十数人が25日午前、同県石垣島に入った。午後11時に魚釣島へ向けて出発する。第11管区海上保安本部(那覇市)は警戒を強めているが、メンバーが上陸すれば中国側の反発は必至。尖閣諸島をめぐる問題は緊迫度を増すばかりだ。

 魚釣島へ向かうのはメンバーのうち8人で、チャーターした漁船で出航し、26日早朝にも上陸する計画。石垣島到着後、幹部の一人は「天候も良く、予定通りに行動できそうだ。いったん領海外に出た中国人が再突入する動きもあり、監視し続ける」と話した。更に「島の灯台と神社が壊れているという情報があり、調査する」という。

 この団体は78年に灯台、00年には神社を魚釣島に建てた。11管は国や所有者の意向に反するため上陸しないよう指導したが聞き入れず、ほぼ毎年のように上陸。最近では昨年8月に灯台の保守点検などを目的に上陸し、数時間、滞在した。

 今回も上陸した場合、11管は運航した漁船の船長や同乗者から事情を聴き、船舶安全法違反(航行区域外航行)容疑で船長を書類送検する可能性がある。尖閣諸島周辺は漁業目的以外の航行が認められていないためだ。同法では同乗者の責任は問われない。【中村宰和、鮎川耕史】

日本国旗燃やし抗議 不法上陸の中国人逮捕で支援者 2004年03月25日 The Sankei Shimbun
 尖閣諸島の魚釣島に上陸した中国人活動家の支援者約20人が25日午前11時(日本時間正午)すぎ、北京の日本大使館前に集まり、日本国旗を燃やして仲間の逮捕に抗議した。

 支援者は「領土を返せ」などと主張。代表の1人が「日本はわれわれの同胞を誘拐した。日本の軍国主義を非難する。同胞の釈放と謝罪を求める」との声明を読み上げた。

 この日は朝から大使館前に多数の警察官が配置され、抗議活動の警戒に当たっていた。支援者は当初大使館を遠巻きにしていたが同11時すぎになって抗議行動を始めた。(共同)

政府が尖閣諸島の警備見直しへ 2004年03月25日 The Sankei Shimbun
 政府は25日、尖閣諸島の魚釣島への中国人活動家の上陸を許した反省を踏まえ、海上保安庁などによる警備態勢の見直しに取り組む方針を固めた。

 ただ上陸時の警備態勢をめぐり、二橋正弘官房副長官が「手薄だったと考えざるを得ない」と不備があったことを認めたのに対して、国土交通省は問題はなかったと主張しており、政府部内の認識のずれは国会でも厳しく追及されそうだ。

 小泉純一郎首相は25日夜、首相官邸で記者団に対して「今回の状況を点検し、反省すべき点があったらしっかり対応することが必要だ」と述べ、再発防止に向けた見直しが必要との考えを表明した。

 二橋副長官も記者会見で「上陸させないように海保が警備していたはずで、結果的にすきを突かれたということになる。関係当局では当然対応策を考える」と指摘。これに対し風岡典之国土交通事務次官は記者会見で、再発防止策の必要性は認めながらも「上陸について特段の情報はなかった。警備態勢に問題はなかったとの認識だ」と強調した。

「日本の法律に従って適正に対処」尖閣不法上陸で首相 2004年03月25日 The Sankei Shimbun
 小泉純一郎首相は25日昼、尖閣諸島の魚釣島に上陸して逮捕された中国人活動家7人の扱いについて「日本の法律に従って適正に対処する」との考えを示した。同時に「日中関係全体の阻害(要因)にならないよう対処したい」と述べた。首相官邸で記者団の質問に答えた。

 福田康夫官房長官も同日午前の記者会見で「被疑者だから沖縄県警が所要の捜査を行っており、関係法令に基づき適正に対処する」と強調。日中関係への影響に関しては「悪影響を与えることは希望していない。尖閣諸島はわが国固有の領土との考えをしっかり持ちながら、対応を包括的に考えていかねばならない」と指摘した。

 また魚釣島などの警備強化について「今後上陸させないために厳重にすることが必要かは警備当局とよく協議したいが、今すべてを決めているわけではない」と述べた。

尖閣諸島:逮捕7人取り調べ 「魚釣島は中国の領土」と供述 2004年03月25日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 沖縄県尖閣諸島・魚釣島に上陸し、県警に出入国管理法違反(不法入国)の疑いで逮捕された中国人の活動家7人は25日午前9時45分ごろ、第11管区海上保安本部(那覇市)の巡視船で那覇港に到着し、那覇署など4署に移送された。県警は同日午後から本格的な取り調べを始めた。7人は「尖閣諸島の魚釣島は中国の領土であり、不法入国ではない」と主張しているという。

 逮捕された7人は、いずれも自称で馮錦華(33)▽胡顕峰(34)▽尹冬明(23)▽王喜強(29)▽殷敏鴻(29)▽張立昆(40)▽方衛強(29)の各容疑者。職業不詳で住所も分かっていない。全員、パスポートを持っておらず、2人は中国の身分証明書を所持していた。旗や携帯電話を持つ容疑者もいた。けがはなく、健康状態に問題はない。

 7人は同日午前10時45分ごろ巡視船から下船し、頭からジャンパーやタオルをかぶせられて次々にタラップを下りた。一部のメンバーは、付き添う県警職員らに抵抗するようにタオルを取って顔をみせ、少し暴れた後、中国語で何か叫んだり、持参したオレンジ色の救命胴衣を放り投げたりした。

 調べでは、7人は24日午前7時20分ごろ、有効な旅券などを持たずに不法入国し、魚釣島に上陸した疑い。上陸から12時間以上たった同日午後8時過ぎ、11管のヘリコプターで巡視船に収容された。

 県警は25日午後、実況見分のため八重山署員6人をヘリコプターで魚釣島に派遣し、遺留品や証拠物などを捜索した。

 県警は逮捕から48時間後の26日夕までに、7人を福岡入国管理局那覇支局に身柄を引き渡すか那覇地検に送検するかを決める必要がある。入管は身柄引き渡しを受けた場合、不法入国の事実認定のため取り調べをしたうえで強制送還する方針だ。送検すれば、問題の長期化は避けられない。【中村宰和】

靖国神社に落書きで逮捕 尖閣諸島上陸の1人、01年に 2004年03月25日 The Sankei Shimbun

 尖閣諸島の魚釣島に上陸して逮捕された中国人活動家7人のうち1人は、新華社電によると、2001年8月、東京・靖国神社のこま犬にスプレーで落書きしたとして器物損壊の現行犯で逮捕された元在日中国人、馮錦華活動家という。

 馮活動家は、反日ウェブサイト「愛国者同盟ネット」を主宰。小泉純一郎首相が靖国神社を参拝した翌日の01年8月14日夜、神社南門のこま犬の台座に赤いスプレーでそれぞれ「死」「ね」と吹き付け、警戒中の機動隊員に見つかった。

 逮捕の際「首相の靖国神社参拝に抗議するためやった」と供述した。

7人逮捕、退去強制手続きへ 尖閣諸島不法上陸 2004年03月24日 The Sankei Shimbun
 日本、中国、台湾が領有権を主張している尖閣諸島の魚釣島(沖縄県石垣市)に24日朝、中国人活動家7人が上陸した問題で、沖縄県警は同日夕、入管難民法違反の現行犯で7人を逮捕した。

 同県警は7人を第十一管区海上保安本部(那覇)の巡視船で那覇に移送、那覇署などで取り調べ、入管当局が退去強制手続きに入る。

 尖閣諸島に上陸した中国人の逮捕は初めて。小泉純一郎首相は「(逮捕は)法治国家として当然」と述べたが、今後の日中関係に影響が出る可能性もあり「両国ができるだけ冷静に対応する必要がある」と強調。また中国外務省も冷静な対応を求める談話を発表した。

 沖縄県警は24日午後、石垣島から海保のヘリコプターで警察官を現場へ派遣。中国人の上陸から約10時間後の午後5時半ごろ、うち6人を逮捕した。残る1人は山頂に登ったが、下山したところを逮捕した。

 7人は抵抗することなく身柄確保に応じたという。

 7人は24日午前7時20分ごろ、100トンほどの漁船タイプの船から降ろされた手こぎボート2隻で上陸。船は7人を島に残して正午ごろ、いったん領海外に出た。しかし午後4時20分ごろ、再び領海内に侵入したため、海保が退去を警告、領海を出た。

 尖閣諸島をめぐっては1996年7月、日本の政治結社が北小島に灯台を設置したことを契機に香港や台湾で抗議の機運が高まった。10月に活動家4人が魚釣島に上陸して旗を立てたが、約2時間で自主的に退去した。翌年には西村真悟衆院議員(当時新進党)らが上陸、中国、台湾が日本に抗議するなど外交問題に発展した。

 昨年初めに日本政府が尖閣諸島の民有地所有者との間で賃借契約を結んでいることが判明、中国人活動家が昨年6月から今年1月にかけて3度にわたり領海内に侵入したが、上陸せずに引き返している。

日本に冷静な対応求める 中国、事態悪化望まず 2004年03月23日 The Sankei Shimbun
 中国外務省の孔泉報道局長は24日、日中両国が領有権を争っている尖閣諸島の魚釣島に中国人活動家7人が上陸したことを確認、「日本側は冷静に対応し、彼らに危害を加えないよう求める」とする談話を発表した。

 局長は尖閣諸島について「古来中国の固有の領土」とした上で「島をめぐる中日双方の争いについて中国政府は一貫して話し合いで解決することを主張している」と強調、事態の悪化を望まない姿勢を示唆した。(共同)

中国活動家が尖閣上陸へ 23日に到着、日本に抗議

2003年06月23日 The Sankei Shimbun
 中国の関係筋が明らかにしたところによると、尖閣諸島(中国名・釣魚島)の中国領有権を主張する中国と香港の活動家グループ13人が22日朝、同諸島への上陸を目指して漁船で中国浙江省台州市玉環を出航した。

 22日夜現在、東シナ海を航行中で、23日午前、現地へ到着の見通し。

 上陸の目的について「日本政府が尖閣諸島の3島の民有地を借り上げたことなどに抗議するため」としている。

 同諸島周辺で中国の領有権を主張する抗議活動は、1998年6月に香港などのグループが行って以来。

 日本の海上保安庁は抗議船が領海に入った時点で活動を阻止するとみられ、状況次第では日中間の外交問題に発展する可能性もある。

 同筋や台湾の中央通信によると、抗議船に乗っているのは昨年8月、靖国神社のこま犬にスプレーで「死ね」と落書きして器物損壊の疑いで警視庁に逮捕された中国人男性ら中国国内の活動家11人と、96年と98年に抗議活動をした香港の「保釣行動委員会」の活動家2人。

 これまでの抗議活動は香港や台湾の活動家が行っていたが、今回は初めて中国の船を使い、中国内の活動家も参加した。

 今年初めに日本政府の3島の民有地借り上げが伝えられたことや、日本の団体が最近、同諸島に上陸しようとしたことなどに反発したとみられる。(共同)

尖閣の抗議船が領海外に 激しい船酔いで引き返す

2003/06/23 中国新聞ニュース
 尖閣諸島(中国名・釣魚島)の領有権問題で、尖閣諸島への上陸を目指していた中国と香港の活動家らを乗せた抗議船は二十三日午後二時すぎ、日本の領海から出て、北西の中国大陸方面に向かった。福田康夫官房長官は同日午後の記者会見で、抗議船は退去したと述べた。

 中国の民間団体のホームページによると、活動家グループの多くが激しい船酔いに見舞われたため、引き返すことを決めた。

 海上保安庁によると、領海から退去するよう警告する巡視船に対し抗議船は、中国語と日本語で「ここは中国領」と拡声器を使い反論したという。

 抗議船は二十三日昼前、領海内に侵入。巡視船に進路を阻まれて停船したが、領海内にとどまっていた。海保は巡視船と航空機で追跡、監視している。

 抗議船は領海内で航行や停止を繰り返し、中国国旗を振り回したり、中国国歌を歌ったりする示威活動を続けた。

 携帯電話で外部と通信したり、ビデオカメラで巡視船側の活動を撮影したりする姿も見られたという。

尖閣は「中華民国」領土と台湾当局者

2003年06月23日 The Sankei Shimbun
 中央通信によると、台湾の内政部(内政省)当局者は23日、尖閣諸島(中国名・釣魚島)の中国領有権を主張する中国と香港の活動家グループが尖閣諸島近くに抗議船を出したことに関し「釣魚島が『中華民国』(台湾)の領土であることに疑いはない」と述べた。

 抗議活動そのものにはコメントしなかった。

 台湾の外交部(外務省)は今年1月、尖閣諸島の3島の民有地を日本政府が借り上げたとの一部報道を受け、日本側に懸念を伝えたほか、内政部が領有権を国際社会に示すため、尖閣諸島の地形や面積などの詳細な測量を行うことを検討している。(共同)

外国船のトラブル、96%が尖閣諸島で

2003年05月12日 The Sankei Shimbun
 日本の領海内で昨年、発生した外国船の違法操業などトラブルのうち約96%は日本と中国、台湾間で領有権問題が続く尖閣諸島で起きていることが、海上保安庁が12日付で公表した年次報告「海上保安レポート2003」で分かった。海保は、海の国境を守る重要性を強調している。

 レポートは昨年1年間の海保の活動をまとめた。それによると、領海内で無許可操業をしたり、目的が不明でうろつく不審な動きをしたりした外国船舶は、前年に比べ90隻増え442隻。うち423隻(95・7%)は尖閣諸島周辺の日本領海での中国、台湾漁船だった。

 奄美大島沖の北朝鮮工作船事件や、日本とロシア、中国、韓国との間で排他的経済水域の境界線が確定していないこと、北方4島、竹島の領有権問題にも触れている。「軍事機関でない海保が、外国船舶によるトラブルを防止、解決することで軍事衝突への発展を未然に防ぐ」と、領海警備や権益保護の重要性を指摘している。

 工作船事件は、追跡から巡視船との銃撃戦、引き揚げまでを付属のCD−ROMに収録した約30分間の映像で紹介。奄美大島沖の工作船も含め、これまでに日本周辺で確認された工作船や不審船計21隻も写真付きで説明している。

 平均すると巡視船艇1隻がカバーする海域は埼玉、千葉、東京、神奈川の4都県を合わせた面積に匹敵。巡視船艇と航空機のいずれも37%が就役後20年以上と老朽化している苦しい内部事情も明らかにした。

尖閣諸島・久場島も借り上げ

2003年01月08日 Yomiuri On-Line
 政府が沖縄・尖閣諸島の「魚釣(うおつり)島」など3島の民有地に賃借権を設定し、領有権を主張する中国が反発している問題で、残る民有地「久場島」についても、日本政府が長年にわたり、所有者から借り上げていたことが7日、わかった。

 防衛施設庁などによると、久場島の借り上げが始まったのは、尖閣諸島を含む沖縄が米国から返還された1972年5月。政府と所有者の賃貸借契約期間は20年で、78、88、89年に相続などで所有者が代わったが、契約は引き継がれ、契約が切れる92年に再度、20年の賃貸借契約が結ばれた。

 ただ、登記については所有者の同意が得られず、登記上は現在も賃借権の設定が行われていない。

 「賃借料」は防衛施設庁の予算から毎年、支出しているが、プライバシーの関係で金額は公表できないとしている。

 72年5月の日米合同委員会で、久場島は国有地の「大正島」とともに、在日米軍の空対地爆撃訓練場として提供されることで合意した。米軍は78年までは久場、大正両島で爆撃訓練をしていたが、それ以後は使用していないという。

 92年の再契約について、政府関係者は「米軍との合意事項が失効していないためだ。米軍が今後使用しないとは言っていない」と説明している。ただ、3島と同様、国として領土を安定的に管理しようとする狙いもあると見られる。

 72年の段階で登記されなかった理由については、米軍に供用する目的だったため、沖縄の県民感情にも配慮したと見られる。日米合同委員会の合意文書には「久場島」の名前はなく、「黄尾嶼(こうびしょ)射爆撃場」として記載されていることから、関係者以外には借り上げの実態が不明確だった。

日本大使呼び強く抗議 尖閣民有地借り上げ

2003年01月05日 The Sankei Shimbun
 日本政府が尖閣諸島(中国名・釣魚島)の3島の民有地を借り上げた問題で中国の王毅外務次官は5日未明、阿南惟茂駐中国日本大使を外務省に呼び「一方的行為は不法かつ無効であり受け入れられない」と強く抗議、日本政府に是正を求めた。

 中国外務省は3日にも程永華アジア局副局長が日本の公使に抗議。大使レベルに格上げし「誤ったやり方を改めるよう求める」と表現も強めて中国側の不満の強さを示した。

 この問題が報道されて以来、中国外務省のホームページに「釣魚島に兵士を派遣せよ」とする強硬意見の書き込みが市民から寄せられるなど反日感情が徐々に高まっており、王次官の抗議も国民感情が背景にあるようだ。

 中国外務省の発表によると、王次官は「中国の領土を窃取する画策は決して実現できない。中日関係に危害を与える端緒をつくることをやめるよう求める」と主張。阿南大使は「尖閣諸島は日本固有の領土であり有効支配している。中国の主張は根拠がなく申し入れの趣旨を受け入れることはできない」と述べた。

 王次官は当初、4日夜に阿南大使を呼んでいたが、国内出張の帰路の飛行機が遅れ、5日未明の抗議となった。(共同)

尖閣借り上げ、在北京日本公使に中国側が不満表明

2003年01月04日 Yomiuri On-Line
 【北京=杉山祐之】中国外務省の程永華・アジア局副局長は3日、在北京日本大使館の隈丸優次公使を同省に呼び、日本政府が尖閣諸島(中国名・釣魚島)の民有地を借り上げたことについて、「中国側の領土主権を損なう行為に不満を表明する。日本側が一方的行為を取っても、すべて無効である」とする中国政府の立場を伝えた。

 これに対し、隈丸公使は「尖閣諸島が我が国固有の領土であることは、歴史的にも、国際法的にも疑いはない。申し入れは本国に報告する」と述べた。

香港の市民団体が尖閣諸島上陸計画

2003年01月04日 Yomiuri On-Line
 【香港=関泰晴】沖縄・尖閣諸島(中国名・釣魚島)の日本領有に反対する香港の市民団体「保釣行動委員会」は4日、台湾の団体とともに今年5月に同諸島に上陸する計画を明らかにした。

 同委員会は、日本政府が尖閣諸島の民有地を借り上げたことに反発しており、上陸費用を集めるため、香港中心部で募金活動を始め、「日本政府の行動は認められない」などと市民に訴えた。尖閣諸島を巡っては、同委員会など香港と台湾の団体が1996、97、98年に数回に渡って抗議船を尖閣諸島に向けて出航させ、96年には日本の領海内に侵入した香港の船に乗り込んでいた活動家4人が海に飛び込み、1人が死亡している。

尖閣諸島3島の民有地、国が借り上げ

2003年01月01日 Yomiuri On-Line
 日本固有の領土にもかかわらず、中国、台湾が領有権を主張している沖縄・尖閣諸島をめぐり、日本政府が同諸島最大の「魚釣(うおつり)島」など3島の民有地を年間約2200万円で借り上げていたことが分かった。

 昨年10月に賃借権を登記しており、3島の転売に歯止めをかけ、第三者の上陸を阻止するなど、国として領土を安定的に管理しようとする意図があるとみられる。領土問題で国が民有地を借り上げるケースは過去に例がない。国の管理強化策は、尖閣問題に毅然(きぜん)と対応していこうとする政府の姿勢を示すものと言えそうだ。

 読売新聞の調べや不動産登記簿によると、政府が借り上げたのは、尖閣諸島の5つの島のうち、「魚釣島」(約3・6平方キロ・メートル)、「南小島」(約0・32平方キロ・メートル)、「北小島」(約0・26平方キロ・メートル)の3島。いずれも無人島で、沖縄県外に住む男性が所有している。

 借り主は、地方行政を所管する総務省で、昨年4月1日から今年3月31日までの1年間、計約2256万円の賃料で土地の賃借契約を結んでいる。

 関係者によると、尖閣諸島の管理の在り方をめぐっては、中国や台湾で領有権を主張する活動が活発化し、抗議船多数が領海侵犯したり、強行上陸したりするトラブルが起きた1996年ごろから、政府内で議論されてきた。

 「尖閣は国の固有の領土。これは微動だにしない」(政府関係者)との基本姿勢を踏まえた上で、どうすれば尖閣諸島の民有地を政府が安定して管理できるか、自然環境保護の観点などからも様々な検討が行われ、最終的に「賃借権設定」という手段に落ち着いたという。

 国が所有者に相応の賃料を支払うことで、島の転売に一定の歯止めをかけることができるほか、仮に所有者が第三者に転売しても、賃借人としての権利を主張できる。また、国は賃借権に基づき、第三者が不法上陸したり、勝手に建造物を建てたりすることを阻止できる。尖閣諸島では、これまで、日本の政治団体が灯台などを建設したり、国会議員が上陸したりして、中国、台湾側が抗議した経緯がある。政府は、来年度以降も毎年、契約を更新していく方針という。

 尖閣5島のうち、国が借り上げた3島以外のもう1つの民有地「久場島」(0・87平方キロ・メートル)には賃借権は登記されておらず、「大正島」(0・04平方キロ・メートル)は国有地。

 尖閣諸島をめぐっては、1968年に国連アジア極東経済委員会などが東シナ海の海底調査を行い、石油資源が埋蔵されている可能性が指摘された後、71年から中国、台湾が領有権を主張し始めた。

 今回の借り上げの目的について政府関係者は「問題が起こった時には毅然と対応するために、政府がきちんと管理していくということだ」と話している。

 ◆尖閣諸島 沖縄・石垣島の北北西約170キロの東シナ海に位置し、5つの島と3つの岩礁からなる。総面積は計約5・2平方キロ・メートルで、山梨県・河口湖ほどの広さ。行政区分は石垣市に属する。1895年に閣議決定により正式に日本の領土に編入、1932年に大正島を除く4島が開拓者の子供に払い下げられた。魚釣島には最盛期には250人が住んでいたが、現在は無人島。戦後、米国の施政下に置かれ、72年の沖縄返還に伴い日本に返還。中国は92年に制定した領海法で同諸島を中国の領土と明記し、台湾は99年に領土として領海の基準線を定めている。

沖縄の海図(64)/メッセージ復帰30年/特別編

2002年09月24日<朝刊6面> 沖縄タイムス社

李登輝(上)台湾「尖閣諸島は日本領土」

 本企画は「アジアからの視点」を求めて、十六日に台湾前総統の李登輝へインタビューを試みた。前総統の沖縄に対する関心は予想していたより強く、総統を退いた今も経済協力への意欲を示していた。また、尖閣諸島の領土問題にも言及。初めて「沖縄・日本の領土」と明言した。以下は、インタビューの主な内容である。

よかった「日本帰属」

 琉球の帰属問題について、私の考えは非常にたん白である。結論は「日本に帰属してよかった」と思う。小学生のときに学んだ記憶だと、たしか琉球処分は一八七二(明治五)年から始まる。歴史的に複雑な経緯はあるが、現実的な側面から見ると、中国文化の多少の影響はあったとしても、やはり、沖縄独特の地方的色彩が残っているように感じる。

 沖縄の人々のオリジナリティーを考えた場合、「招け」(受け入れること)にある。中国の冊封支配とも関係しているように思う。また、本土復帰後の沖縄について言えば、沖縄の人々が「琉球民族」を主張しても、少しもおかしくない。一つの国が、単一民族から構成されるということは大変難しい。一国家が、単一民族である理由は何一つない。異なったオリジナリティーで、異なったことを実行することが、また国を豊かにする。

 台湾でも「台湾人意識」が、日増しに目立ってきている。これも構わない。重要なことは、沖縄の帰属・復帰した日本が「民主主義の国」であることにつきる。普遍的な意味を問えば、共産主義には「人民の考え」がない。自由・民主主義と共産主義を区別して考えなければならない。

根拠欠く中国の主張

 尖閣諸島の領土は、沖縄に所属しており、結局日本の領土である。中国が、いくら領土権を主張しても証拠がない。国際法的にみて、何に依拠するのかが明確でない。国際法的な根拠「中国の領土権」があって、第二に「兵隊が駐屯した事実」がないと、領土権をうんぬんする資格はない。

 過去の、いわゆる「国共合作」の事実も知っている。香港の工作員が蘇澳(スオウ)の漁民を扇動していた。漁民が騒ぎ立てたとき、私は軍艦を出動させ阻止した。

 それよりも、台湾の漁民にとって、もっと重要な問題に漁業権がある。戦前の日本の国会は、尖閣諸島と与那国、基隆(キールン)の漁業権を台湾に譲っている。戦後になって、日本政府は何も言ってこない。真剣に考えてほしい。

台湾を大切にしたい

 台湾の歴史は、中国との関係をどのぐらい持っているかと言えば、案外と短い。国民党政府が、さかんに中国との歴史の共通性を強調してきたが、私からみれば、そんなに長くない。台湾は「主のいない国」であった。沖縄もそうではなかったのかな(?)。明朝時代(康熙帝)は「禁海政策」をとっていたから、大陸から渡ってきた人は男ばかりだった。

 その当時、先住民が十族いた。タイアル、アミ、カクラン、平埔(ヘイホ)などである。その前はもっと多く、詳しく記憶していないが、二十族近くいたのではないかと思う。最も多かったのは平埔族だった。いまはすべて姿を消している。結局、混血化してしまった。だが、先住民族の文化は残されており、その文化はウソをつかない。

 私の先祖は福建省永定県の客家出身だが、出自についてはあまり興味を持っていない。いま住んでいる、この台湾を大切にしている。中華思想や中国文化に対して、私は批判的である。それは「反省しない文化」であるからだ。司馬遷は『史記』を記しているが、「皇帝の歴史」を編さんしたにすぎない。

 孫文の「三民主義」の理念は評価しているが、実践がなかった。共産主義になっても「人民の歴史」になっていない。台湾に国民党がやってきたとき、大陸同様に選挙は行われなかった。蒋経国の亡き後、総統に就任した。最終的に「動員戡乱時期臨時条款」(戒厳令)を捨て、「中国は中国」「台湾は台湾」を宣言した。=敬称略=(多和田真助 編集委員)

 り とうき 台湾総合研究所名誉会長。1923年台北県生まれ。43年京都帝国大学農業経済学科入学。46年台湾に帰台、台湾大学に編入学。49年同大学卒業。53年米アイオワ州立大学・大学院修士課程修了。65年米コーネル大学・大学院博士課程入学。68年同大学・博士号取得。翌年帰台、台湾大学助教授兼農復会顧問。78年台北市長。88年蒋経国総統死去により総統昇任。90年第8期総統。96年第9期総統(初代民選)。2000年総統退任。主著『李登輝 台湾の主張』。ほか論文多数。

独自モデルを提示/白色テロから民主化

 著書『李登輝 台湾の主張』には、少なからぬ衝撃を覚えた。大陸の「文攻武嚇」にさらされていた、李登輝が敢然と「台湾経験」と「台湾モデル」を提示。

「台湾の自信」を、明確に宣言していると思えたからだ。大胆にも「単に台湾のものではない。中国人すべてのものであり、将来、統一された中国のモデルにほかならない」ことを強調していた。

 一九四九年、中華民国(国民党)は首都を台北に移した。台湾で国民党が行った政治は強権的、かつ独裁的だったという。「白色テロ」が横行。国民党と、ともに大陸から渡ってきた外省人が、台湾に居住していた本省人を弾圧。民主主義とは、ほど遠い時期がしばらく続く。

 蒋経国総統死去(八八年)によって、本省人の李登輝が総統の座に就く。さらに九六年、国民投票で勝利した。白色テロから民主化への過程、経済発展を振り返ると、まず彼の存在なくしては、現在も将来の台湾も語れない。台湾モデル・台湾経験の持つ意味の重さが、この著書からは読み取れる。

 同著は、米政治学者のサミュエル・ハンチントンの言葉を引用している。

 「台湾のデモクラシーは、李登輝が死んでも継続するだろうが、リー・クワンユーの政治体制は、彼が死ぬと同時に墓場に葬りさられるだろう」

 これに、李登輝は「台湾に生まれた悲哀」から「台湾に生まれた幸福」―という言葉で答えている。

中国の英字紙、社説で日本の「タカ派的な方向転換」を非難

1999年09月09日[北京 9日 ロイター]
 9日付の中国の英字紙チャイナ・デーリーは、同紙の社説で、日本の防衛政策や日本国憲法をめぐる議論での「タカ派的な方向転換」を攻撃した。 中国は、最近、日本の右翼団体の3人が尖閣諸島(中国名・釣魚島)に上陸したことに対して、憤りを表明している。

 同紙は社説の中で、「日本は、”普通の国”になるために、過去の事実から免れようとする試みにより、以前通った道を引き返している」と述べた。 同紙は、「日本の防衛政策における最近のタカ派的な方向転換は、日本が追求している”普通の国”がどのようなものであるかを、世界に示している」と指摘した。 同紙は、日本政府による米国との軍事協力の強化、偵察衛星の打ち上げ計画、第2次世界大戦とつながりの深い国旗と国歌の法制化などは、”日本の右翼勢力の拡大”を示すものであり、それが右翼団体の尖閣諸島(中国名・釣魚島)上陸につながった、と指摘した。

「主権侵害」と遺憾表明

1999年09月07日 20時42分【北京・共同通信社 】
 北京の日本大使館によると、中国の王毅外務次官補は7日、日中間で領有権争いのある尖閣諸島(中国名・釣魚島)に日本の右翼団体メンバーが上陸したとして、谷野作太郎駐中国大使に対し「主権侵害だ」と強い遺憾の意を伝えた。

中国調査船対策を検討へ 政府、主張定着を懸念

June 20, 1999
 沖縄県の尖閣諸島付近の排他的経済水域(EEZ)内を航行する中国の海洋調査船が今年に入って急増しているため、政府は19日までに調査を規制する法律の制定など、対応策の本格的な検討を始めた。このまま放置すれば、この海域を自国のEEZであるとするなどの中国側の主張が、既成事実化しかねないという懸念が出てきたためだ。7月に予定されている小渕恵三首相の訪中の際の日中首脳会談で取り上げることも考えている。

 海上保安庁によると、今年に入ってから日本側の排他的経済水域内で中国の調査船が見つかったのは計20件。領海内にまで侵入したことも4回あった。月別にみると、1月は1件、2、3月はなかったが、4月に5件、5月に7件、6月に7件と急増。過去最多だった1996年の15件をすでに上回った。5月には防衛庁が中国海軍の砕氷艦兼情報収集艦(4、420トン)など軍艦13隻が航行していることも確認した。

 調査船は、水温や海流、プランクトンなどの科学的海洋調査を実施しているが、日本の同意を得ておらず、外務省は国連海洋法条約違反として在日中国大使館に口頭で抗議を続けていた。しかし、それでも減らないため、6月に入ってからは、丹波実外務審議官らが直接、中国外務省幹部に抗議した。

ところが、抗議後も中国船の調査活動は続いており、日本政府は「これ以上見過ごすと、中国の主張を認めることになる」と判断。内閣外政審議室が中心となり、外務省、海上保安庁、防衛庁、資源エネルギー庁などと対応策の協議に入った。

日本、調査船出没への懸念を伝える 日中外交協議

6:23p.m. JST June 15, 1999
 日本と中国の外交当局者による定期協議が15日まで北京で開かれた。日本側は中国の海洋調査船が尖閣諸島(中国名・釣魚島)近海に出没していることに対して「強い懸念」を伝えた。中国側は「調査活動であり、問題はない」と反論したが、境界の早期画定を求める日本側の要請については「留意する」と応じた。また中国側は日米防衛協力のための指針(ガイドライン)関連法について、改めて懸念を表明した。

 協議には日本から丹波実外務審議官ら、中国から王毅外務次官補らが出席。丹波審議官は協議とは別に、唐家セン外相や共産党の戴秉国・中央対外連絡部長らと個別に会談した。

 日本側の説明によると、中国側はガイドライン法成立に関して、(1)日本の軍事的役割の拡大(2)台湾と周辺事態の関連について、特に懸念を示した。日本側は、日米安保体制の枠組みに変化はない、など従来の説明を繰り返した。唐外相は7月に予定される小渕恵三首相の訪中について、「両国指導者が国際問題者地域の問題ついて、ざっくばらんに意見交換することが大事だ。重視しており、成功させたい」と表明した。

 また王次官補は、先の北朝鮮の金永南・最高人民会議常任委員長の訪中について「北朝鮮が対中関係を重視し、経済問題を含めて中国の政策を支持した点が印象深い」と語った。金正日総書記の訪中については、「今のところまったく爼上(そじょう)に上っていない」と述べた。

HOME中国・東シナ海天然ガス開発/春暁ガス田群日中関係