TOPIC No.2-89 栃木リンチ殺人事件

「母親、電話に出ず」県警が従来の主張変える/回答素案を提出

2000.08.03The Sankei Shimbun
 栃木県黒羽町出身の日産自動車栃木工場勤務、須藤正和さん=当時(一九)=リンチ殺害事件に関連して栃木県警の不手際が指摘されている問題で、県警側は三日までに、須藤さんの遺族側に回答書の素案を提出した。素案は昨年十一月三十日に石橋署で、須藤さんの父、光男さん(四九)の携帯電話に須藤さんから電話があった際、母親の洋子さん(四八)が出て切れたとするこれまでの県警の主張を「そうとは断定できない」としている。

 素案は先月十六日に、遺族側が提出した補充イ査要請書を受けてのもので、二日夕、栃木県警の松本正美生活安全企画課次長が、光男さんの代理人の弁護士に手渡した。

 内容は(1)携帯電話に洋子さんが出て切れたとは断定できない(2)須藤さんが殺害されたと警視庁から連絡があったとき、石橋署職員などに不適切な対応があったことはわからなかった(3)光男さんの県警に対する不満は犯人の少年の一人が警察官の子供だからという不満と解釈していた−というもの。光男さんは「詳しく見ていないので、なんとも言えないが、妻が電話に出ていないということを認めた点は評価できる」と話している。

生活安全課長を停職、本部長は訓戒/捜査ミスで9人処分

2000.07.27 The Sankei Shimbun
 栃木県黒羽町出身の日産自動車栃木工場勤務、須藤正和さん=当時(一九)=リンチ殺害事件に関し、栃木県警石橋署の生活安全課員が須藤さんの両親による再三の捜査要請を無視した問題で、国家公安委員会と同県警は二十七日、広畑史朗本部長を訓戒、石橋署の生活安全課長を「上司に報告を上げず、適正な捜査指示を怠った」として、停職処分とするなど、関係者九人の処分を発表した。

 このほかの処分は、須藤さんの捜査要請を放置した巡査部長と係長が減給、課員一人が戒告。当時の石橋署署長、川俣力一警視と大橋光男次長も監督責任を問われ、それぞれ戒告、訓戒処分を受けた。

 また、須藤さんの両親や加害少年の親が相談に訪れたにもかかわらず、捜索願の出ている石橋署に相談しなかったとして、宇都宮東署の生活安全課の巡査部長も所属長注意とした。

 この事件は、昨年十二月二日に発生、須藤さんが宇都宮市の十九歳の無職少年ら三人に殺害された。須藤さんは昨年九月から二カ月あまりにわたって連れ回されたうえ、「熱湯コマーシャル」と称したリンチなどを受けて、発覚を恐れた少年らにネクタイで絞殺された。

 一審の宇都宮地裁で十九歳の主犯格少年に無期懲役、従犯の少年に無期懲役と、懲役五−十年の不定期刑の判決が下され、主犯格の少年が控訴している。

 県警は問題が発覚した後、回答書を須藤さんの父、光男さん(四九)と母、洋子さん(四八)に提出したが、「調査が不十分」として須藤さんが受け取りを拒否していた。

 県警は、須藤さんが提出した四回にわたる要請書をもとに須藤さん側と取り合って、詰めの調査を行っていた。

 栃木県の少年グループによるリンチ事件をめぐり、栃木県警の対応に問題があったとして、国家公安委員会は二十七日、広畑史朗・県警本部長(四八)を訓戒処分とすることを決めた。

共犯少年に無期/地裁判決 1人は懲役5−10年

2000.07.18 TheSankei Shimbun
 栃木県上三川町の日産自動車栃木工場勤務、須藤正和さん=当時(一九)=が少年グループにリンチを受けて絞殺された事件で、殺人と死体遺棄の罪に問われた宇都宮市の少年ら三人のうち、一審で無期懲役の判決を受けた主犯格の被告(二〇)=犯行当時(一九)、控訴中=を除く、共犯の少年二人=いずれも(一九)=に対する判決公判が十八日午後一時から宇都宮地裁で開かれた。

 肥留間健一裁判長は、須藤さんの会社の同僚で、須藤さんを主犯格の被告に引き合わせた少年に対し無期懲役(求刑同)を、もう一人には懲役五年以上十年以下(求刑同)の判決を言い渡した。

 判決によると、二人は主犯格の被告と共謀し、昨年九月二十九日、須藤さんを栃木県上三川町のコンビニエンスストアに呼び出して監禁。須藤さんを連れ回し、友人や親から借金させるなどして、現金約七百二十万円を脅し取り、遊ぶ金に使った。監禁の間、三人は「熱湯コマーシャル」などと称して熱湯シャワーを須藤さんに浴びせるリンチを行い、さらに昨年十二月二日午後二時四十分ごろ、市貝町市塙の山林で、主犯格に命じられた共犯の二人が須藤さんの首を絞め殺害、遺体をコンクリート詰めにして埋めた。

主犯格の父、県警辞職

2000.07.12The Sankei Shimbun
 栃木県黒羽町出身の日産自動車栃木工場社員、須藤正和さん=当時(一九)=が少年グループにリンチを受けて殺害された事件で、一審の宇都宮地裁から無期懲役の判決を受けた主犯格の被告(二〇)=控訴中、事件当時(一九)=の父親で県警生活安全部通信指令課に勤務していた警部補(四八)が、県警に退職願を出し、受理されていたことが十二日明らかになった。辞職の理由は「一身上の都合」としている。警部補は最近は出勤しておらず、周囲には「やめたい」などと漏らしていた。

無期懲役など求刑 栃木リンチ殺人で主犯格除く2被告に

2000.07.06(20:36)asahi.com
 栃木県上三川町の会社員須藤正和さん(当時19)が昨年12月、2カ月に及ぶリンチの末に殺害された事件で、殺人と死体遺棄などの罪に問われた3人のうち、主犯格の被告(20)=1審で無期懲役の有罪判決を受け控訴中=を除く、少年2被告に対する論告求刑公判が6日、宇都宮地裁(肥留間健一裁判長)で開かれた。検察側は「犯行は極めて残忍、冷酷かつ計画的で悪質」として1人(19)に無期懲役、もう1人(19)に懲役5―10年の不定期刑を求刑した。

 両被告はネクタイの両端を持ち須藤さんの首を絞めた殺害の実行犯で、不定期刑を求刑された被告は途中で恐怖を感じネクタイを放したとされる。しかし2人は公判中「(主犯格が)怖くて逆らえなかった。逃げ出したかった」などとして、犯行が主犯格の被告の指示だったと主張してきた。

 検察側は論告で、無期懲役を求刑した被告は、主犯格の被告がいないときに、沸騰した湯をコップに入れて須藤さんの全身にかけるなど、積極的に、執ようかつ残虐なリンチを加えていたと指摘。また最後まで須藤さんの首を絞め続けており「残虐性は極めて顕著」と断罪、「被告が少年であることを考慮しても無期懲役が相当」とした。

 一方、不定期刑を求刑した被告については、リンチ行為に比較的積極的でなかったこと、殺害の途中でネクタイから手を放していることから「多少の人間性が認められる」とし、「最長期の有期懲役が相当だが、少年法の規定に従う」とした。

 少年法は有期刑について「短期は5年、長期は10年を超えることができない」と規定している。

栃木リンチ殺人事件 被告は声色使い被害者の生存を偽装

2000.06.27(21:18)asahi.com
 栃木県上三川町の会社員須藤正和さん(当時19)が2カ月に及ぶリンチの末殺害された事件で、殺人と死体遺棄などの罪に問われた3少年(いずれも当時19)のうち主犯格を除く2人に対する第3回公判が27日、宇都宮地裁(肥留間健一裁判長)であった。この中で、被告少年の1人が正和さん殺害の翌日、両親からかかってきた電話に声色を使って正和さんになりすまし、まだ生きているように装っていたことが明らかになった。

 検察側の指摘や少年の供述によると、少年は殺害翌日の昨年12月3日午後5時ごろ、正和さんの携帯電話にかかってきた母親からの電話に、鼻をつまむなどして声色を使い、正和さんの口調をまねて「正和です」と答えた。続いて電話してきた父親にも「今、頭が痛くて寝てるから夜電話する」などと話したという。

 3人はその夜、正和さんの「追悼花火」と称して打ち上げ花火を楽しんでおり、検察側は「自分たちの犯した罪の大きさを全く分かっていない」と指摘した。

 正和さんの父光男さん(49)は公判後、「完全に正和だと信じていたので、2日に殺されていたことを知った後も自分たちの記憶が混乱しているのだと思っていた。まんまとだまされ、くやしい」と怒りに言葉を詰まらせた。

栃木リンチ殺人事件で主犯格20歳男性が控訴

2000.06.10(18:59)asahi.com
 栃木県上三川町の会社員須藤正和さん(当時19)が少年3人からリンチを受けた末に殺害された事件で、殺人と死体遺棄の罪に問われ、宇都宮地裁(肥留間健一裁判長)で無期懲役の判決を受けた主犯格の宇都宮市内の無職男性(20)=事件当時19=が、10日までに東京高裁に控訴した。

 弁護側は「控訴期間に限りがあるので、とりあえず手続きした。判決謄本を入手後、本人ともよく話し合って結論を出すが、場合によっては取り下げるかもしれない」としている。

 判決によると、男性ら3人(いずれも当時19)は昨年9月から12月にかけ、正和さんを車で連れ回し、全身に熱湯のシャワーを浴びせるなどのせい惨なリンチを加えた。12月2日、発覚を恐れてネクタイで正和さんの首を絞めて殺し、同県市貝町の山林に穴を掘り、遺体の上にセメントを流し込むなどして埋めた。

 男性は絞殺には加わっていなかったが、他の2人に「警察に捕まりたくなかったら殺すしかねえぞ」と持ちかけたり、殺害時に「ちゃっちゃとやってこい」と指示するなど中心的な役割を果たしていたとされる。

「犯罪者としてでも捜して」親の願い不受理 栃木殺人

2000.06.06(23:16) asahi.com
 栃木県上三川町の会社員須藤正和さん(当時19)がリンチの末に殺害された事件で、正和さんに金を貸した会社の上司や同僚が父親の光男さん(49)に頼まれ、県警宇都宮中央署に「(正和さんに)だまされて金を貸したが、返してもらえない」として詐欺の被害届を出していたことが6日、分かった。いくつもの警察署で門前払いにあった末、「犯罪者としてでもいいから息子を捜してほしい」という両親の切実な捜査依頼だった。しかし、同署は「管外の事件だから」などとして、被害届を受理していなかった。

 関係者らによると、正和さんの両親と加害少年の親らは昨年12月2日、同署を訪れ、正和さんが2カ月にわたり失そうしていること、700万円を超える借金をしていることを、応対した署員に伝え、「同僚らから計50万円を借りており、詐欺の容疑者として手配してほしい」と依頼したという。

 「第三者ではなく被害者本人に来てもらいたい」という署員の言葉を受け、翌3日には、正和さんに金を貸した上司と同僚が同署を訪れ、「須藤君にお金をだまし取られた」などとした被害届を提出した。

 しかし同署は「須藤君は返すと約束して借りており、両親が返済しているところで、詐欺にはあたらない」「金を貸した場所が署の管内ではないから」として、被害届を受理しなかったという。同署は「話を聞き、詐欺にはあたらないと判断した」と説明している。

 光男さんは「犯罪者になっても構わないから正和を見つけて欲しかったのに、取り合ってもらえなかった」と話している。

    ◇

 一方、広畑史朗・県警本部長は6日、同県議会本会議で事件についての質問にこたえ、石橋署などの対応のまずさについて「警察官がサラリーマン化し、プロ意識や職務倫理が欠けていたことが一因」とし、「相談に積極的に対応する姿勢が足りなかった」と改めて県警の不手際を認めた。

 その上で「警察に対する期待を深く傷つけ申し訳ない」と陳謝した。

被告少年、犯行の2週間前に「出頭」

2000年6月4日Mainichi Interactive
 栃木県上三川町の会社員、須藤正和さん(当時19歳)が少年グループにリンチを受け殺害された事件で、正和さんが殺される2週間ほど前の昨年11月18日、共犯として殺人罪などで宇都宮地裁で公判中の被告少年(19)が、駐車禁止違反の手続きのために宇都宮東署を訪れていたことが3日、明らかになった。同署は当時すでに、この少年の行方を探していた親から相談を受け少年自身の写真も受け取っていたが、同署は気付かなかったという。正和さんへのリンチが激しくなっていた時期だけに、被告少年の両親は「その時息子を引き留めてくれたら殺人を犯さなくて済んだ」と、同署の失態を批判している。

 関係者によると、この少年は昨年11月8日午前10時55分ごろ、宇都宮市内で自分の車で駐車違反を摘発されたため、同18日、同署交通2課に出向き「交通反則通告書」への署名などの手続きをした。この時は事件のリーダー格の少年(19)=宇都宮地裁で無期懲役判決=が警察署近くまで同行していた。

 違反した少年と接見した両親によると、少年は「リンチの件で逮捕される覚悟で東署に行った」と話しており、対応した署員に「逮捕しないんですか」とまで尋ねたという。

 この少年の親は11月8日、同署生活安全課を訪れ、この少年の写真を手渡して捜索を要請。さらに、同30日、被害者側の須藤さん夫妻とともに同署を訪れ、石橋署に提出済みのリンチの可能性などをまとめた文書を示しながら少年の家出人捜索願を出そうとした。しかし同署は「家に時々戻ってきているなら家出とはいえない」などと受理しなかったという。

 この被告少年に関する検察の冒頭陳述などによると、少年らはこの時期、正和さんに熱湯のシャワーをかけたり、木の靴べらで100回以上殴るなどリンチを加え、12月2日、正和さんを殺害した。

 この問題について県警生活安全企画課は「調査していないのでわからない」と話している。

リンチ殺害事件で詳細な回答書を遺族に再提出=栃木県警

[時事通信社 2000年 6月 3日 17:36 ]
 栃木県上三川町の会社員須藤正和さん=当時(19)=が少年グループのリンチを受け殺害された事件をめぐり、捜査に不手際があった問題で、栃木県警の下平冨士雄警務部長らが3日夕、宇都宮市内の遺族側の弁護士事務所を訪れ、当時の石橋署の対応に関する内部調査の詳細をまとめた回答書を遺族に提出した。

 県警は5月27日に回答書をいったん提出したが、捜査ミスを認めたものの具体的な発言や対応にほとんど触れていない内容に対し、遺族側が「内容が大ざっぱで納得できない」と反発。細部について口頭で付け加えたいとした県警側の申し出についても、遺族は「きちんとした文書で確認したい」として、より具体的な内容の回答書の再提出を求めていた。 

栃木リンチ殺人 主犯格に無期懲役

2000.06.01(20:34) asahi.com
 栃木県上三川町の会社員須藤正和さん(当時19)が少年グループの度重なるリンチの末に殺害された事件で、宇都宮地裁は1日、主犯格として殺人と死体遺棄の罪に問われた宇都宮市内に住む無職の少年(19)に対して、求刑通り無期懲役の判決を言い渡した。肥留間健一裁判長は「被告は、犯行直前の正和さんの電話に出た人物が警察だと名乗ったことから、両親が警察に行っていることが分かり驚きあわてた」などと犯行に至る経緯を認定。そのうえで、犯行は「残酷、非道で、被告らはまさに鬼と化していた」と述べた。この事件では、捜査着手の遅れに加え、警察の不用意な対応が殺害の一因になったと正和さんの両親が批判、県警が謝罪している。

 判決によると、少年はいずれも19歳の仲間2人=分離公判中=と共謀し、昨年9月から12月にかけ、正和さんを車で連れ回し、全身に熱湯のシャワーを浴びせるなどせい惨なリンチを加えた。12月2日、発覚を恐れてネクタイで正和さんの首を絞めて殺し、市貝町の山林に穴を掘り遺体の上にセメントを流し込むなどして埋めた。

 肥留間裁判長は判決で、少年らが正和さんの両親が警察に行ったことを知るなどしてあわて、「警察が動けば、自分たちの所業が発覚するのは時間の問題と危機感を募らせた」と指摘した。

 そのうえで、被告の少年が殺害を渋る仲間の2人を「20代の一番楽しい時期を刑務所で過ごすのか」と説得した事実を認定。「殺害を発案、計画し、自ら手を汚さず犯行を遂行した」と述べ、絞殺の実行行為に被告は加わっておらず、「グループ内に主従関係はなかった」とする弁護側の主張を退けた。

 この事件をめぐって、正和さんの両親は、(1)何度も捜査を依頼したにもかかわらず栃木県警石橋署が「警察は事件にならないと動かない」などとして捜査しなかった(2)父の携帯電話に電話した正和さんに、署員が不用意に「警察だ」と名乗ったため、一緒にいた被告らに警察の関与が知られ、殺害を誘発した――と主張し、県警などに調査要請書を提出。県警の広畑史朗本部長は、同署の対応が不適切だったことを認め、謝罪している。

栃木県警の対応のまずさ指摘 国家公安委員会

2000.06.01 (20:07)asahi.com
 栃木県上三川町の会社員須藤正和さん(当時19)がリンチの末に殺害された事件で、国家公安委員会(委員長・保利耕輔自治相)は1日、「両親の切実な訴えを組織的に対応していなかったことは問題」として栃木県警の対応のまずさを警察庁に指摘した。今後、県警本部長らの監督責任について処分を検討していく。

 同委員会は、問題発覚後の県警の対応についても「簡単な書面を両親に渡すだけなど対応は問題があった。もう少し丁寧な対応をすべきだった」とした。

 田中節夫・警察庁長官は「ご両親が何度も足を運んでいるのに真剣に対応していない。また、態度や言葉遣いも悪く、誠に遺憾だ。一線に徹底させるために今後も繰り返し(不祥事防止対策)の重要性を言い続けていく」と話した。

リンチ事件に絡む栃木県警の処分、来週にも発表

2000 年 5 月 31 日 Yomiuri On-Line
 栃木県上三川町の会社員須藤正和さん(当時十九歳)が少年グループにリンチの末に殺害された事件で、同県警は、三十一日の県公安委員会に、両親の捜査要請を放置した石橋署の関係者の処分内容を諮り、同意を得た。後日、懲戒審査委員会(委員長・広畑史朗本部長)を開いて正式に処分を決める。発表時期は来週ごろで、国家公安委員会と警察庁が、本部長らの処分をする場合は、それに合わせて行う考えを示した。

 委員会は非公開で、終了後、会見した下平富士雄部長によると、委員から「(今回の事案で処分対象者に)犯罪行為を伴うものがあるか」という質問があり、県警は「そういうものはなかった」と回答。対象者数は「十人は超えない」とした。両親が県警に求めている、さらに詳しい文書での調査内容の回答について、「両親の気持ちをくんで検討している」と語った。

リンチ殺人で栃木県警本部長らが謝罪、責任認める

2000.05.29(21:25) asahi.com
 栃木県上三川町の会社員須藤正和さん(当時19)が昨年12月、少年3人に車で連れ回され、全身に熱湯をかけるなどのリンチを2カ月以上受けた末に殺害された事件をめぐり、両親の度重なる捜査要請にもかかわらず栃木県警石橋署が捜査に着手しなかったとされる問題で、広畑史朗・県警本部長は29日記者会見し、「(同署が)積極的に対応していたら、亡くなる前に正和さんを保護できたかもしれない。誠に申し訳ない」と謝罪した。

 正和さんの両親が「父親の携帯電話に電話してきた正和さんに同署員が『警察だ』と名乗ったため少年らに警察の関与が知られ、殺害される一因となった」と主張している点について、広畑本部長は「直接犯行を決断する要因の1つだったとすれば誠に残念だ」と話した。

 一方、「主犯格の少年が県警職員の息子だったから捜査が遅れたのではないか」との指摘については、「親子関係は事実だが、捜査とは全く関係ない」と否定した。

栃木リンチ殺人で県警幹部再訪、両親は説明受け入れ拒否

2000.05.28(22:30)asahi.com
 栃木県上三川町の会社員須藤正和さん(当時19)が少年3人からリンチを受けた末に殺害された事件をめぐる同県警石橋署の不適切な対応で、県警の下平冨士雄警務部長と鈴木宏之生活安全部長が28日、警察の対応をまとめた報告書について説明したいと、改めて同県黒羽町の両親宅を訪問した。前日、県警から報告書を受け取った両親は「具体的な内容がない」として、県警の謝罪を拒否していた。

 この日、玄関先で応対した父光男さん(49)は「報告書の内容は納得できず、口頭ではなく、報告書を出し直してほしい」と述べ、県警の説明を拒んだ。下平部長らは「報告書を出し直せるかどうか検討する」として、1分ほどで引き揚げた。

栃木リンチ殺人で県警が謝罪訪問 両親は受け入れず

2000.05.27(13:07) asahi.com
 栃木県上三川町の会社員須藤正和さん(当時一九)が少年三人から約二カ月にわたりリンチを受けて殺害された事件を巡り、同県警石橋署の対応に不手際があったとされる問題で、県警の下平冨士雄警務部長らは二十七日午前、警察の対応などを調査した報告書を持って、同県黒羽町の正和さんの両親宅を訪れた。報告書は「積極的な警察活動をしなかった」と認めたものの、警察の不手際が殺害につながったとの指摘には直接触れておらず、両親側は「具体的な内容がない」として改めて説明を求めることにしている。  玄関先で応対した正和さんの父光男さん(四九)に対し、下平警務部長らは「このたびは誠に申し訳ありません」と頭を下げた。しかし、光男さんは「調査結果を検討してからでないと謝罪は受けられない」として、弁護士が代わりに報告書を受け取るにとどまった。

 報告書は、積極的な警察活動をしなかった結果として、両親が警察に要請した(1)けがをしているとみられた正和さんの調査(2)正和さんが乗せられていた車のナンバー照会による少年らの行動調査(3)やけどをしている正和さんと少年らが映っていたとされる銀行の防犯ビデオの取り寄せ――を怠ったとしている。

 しかし、正和さんから光男さんの携帯電話にかかってきた電話に出た捜査員が「警察だ」と名乗ったため、一緒にいた少年らに警察の関与を知られ、正和さん殺害の一因をつくったとされる点に関しては、捜査員が電話に出たことは認めているが、警察と名乗ったかどうかなどについては一切触れていない。

栃木リンチ殺人 県警が被害者の両親に謝罪へ

2000.05.27 (00:13) asahi.com
 栃木県上三川町の会社員須藤正和さん(当時19)が、少年グループに2カ月以上のリンチの末殺害された事件で、両親が何度も捜査を要請したにもかかわらず、県警石橋署が捜査に着手しなかったとされる問題について、同県警は対応の遅れだけでなく、警察官の不用意な対応が正和さん殺害の一因となったことも認め、27日、同県黒羽町の両親側に謝罪することにした。警察側が公式に対応に問題があったと認めるのはこれが初めて。しかし、両親は「調査結果を文書で確認してからでないと、謝罪は受けられない」として弁護士が対応するという。

 この事件では、正和さん救出を求める両親の訴えに対し、同署員が「警察は事件にならないと動かない」と応対。さらに、父の携帯電話に電話してきた正和さんに署員が不用意に「警察だ」と名乗ったことが、一緒にいたとみられる少年たちに警察の関与を知られ、正和さん殺害につながったとされる。

 県警は「引き起こした結果があまりにも重大」(県警幹部)として、26日までに石橋署の不適切な対応が正和さん殺害の原因のひとつになったことを認め、両親に正式に謝罪することを決めた。県警はすでに、当時の署長らを停職を含む懲戒処分とする方針を固めており、31日の県公安委員会に諮って決定される。

リンチ殺人の捜査不手際で4警官を懲戒処分へ 栃木県警

03:14a.m. JST May 25, 2000 asahi.com
 昨年12月、栃木県上三川町の会社員須藤正和さん(当時19)が、少年3人に車で連れ回され、全身に熱湯をかけるなどのリンチを2カ月以上受けた末に殺害され、同県市貝町の山林に埋められた事件で、両親の度重なる捜査要請にもかかわらず栃木県警石橋署が捜査に着手しなかったとされる問題で、県警は24日までに、同署員1人を停職、当時の同署員ら3人を減給の懲戒処分とする方針を固めた。

 県警が処分を決めたのは、両親と直接応対していた同署生活安全課の巡査部長、同課長、当時の同署長と次長の計4人。両親に「警察は事件にならないと動かない」などと応対したとされる巡査部長は停職処分に、ほかの3人を減給処分にする方針だ。

 捜査着手の遅れに加え、正和さんからの電話にこの巡査部長が不用意に「警察だ」と名乗ったことが加害者の少年らに知れ、殺害の原因となったとする両親側の主張に配慮した処分と見られ、県警は近く県公安委員会に諮り、処分を正式に決定する。

主犯格の少年に無期求刑

2000年5月23日 18時16分共同
 栃木県警の捜査の不手際が問題化した、宇都宮市の少年ら3人による会社員、須藤正和さん=当時(19)=殺害事件で、殺人と死体遺棄の罪に問われた、主犯格の少年(19)の論告求刑公判が23日、宇都宮地裁で開かれ、検察側は「犯行は悪質で重大。罪の意識が少しも感じられない」として無期懲役を求刑した。

少年リンチ殺人、捜査着手遅れた疑い 栃木県警が調査

3:38p.m. JST May 23, 2000 asahi.com
 昨年12月、栃木県上三川町の会社員須藤正和さん(当時19)が少年3人=殺人などで起訴=に車で連れ回され、リンチを2カ月以上受けて殺害された事件で、栃木県警は両親の度重なる捜査要請にもかかわらず捜査しなかったとされる石橋署の対応に「不手際があった可能性がある」として調査に乗り出した。

 これまでの調べで、勤務先の会社がまとめた正和さんの勤務状況などの報告書に基づき、石橋署が「正和さんは仲間と自発的に行動を共にしており、事件性はない」と判断し、捜査着手が遅れた疑いがあることが分かった。県警は今月末にも両親に調査結果を報告するが、関係者を処分する方針だ。

 検察側の冒頭陳述によると、19歳の少年ら3人=殺人、死体遺棄などの罪で起訴=は昨年9月から12月にかけ、知り合いの正和さんを車で連れ回し、熱湯を浴びせるなどした末、発覚を恐れて正和さんを絞殺し市貝町の山林に埋めた。この間、少年らは正和さんやその友人に消費者金融で借金させて700万円以上を脅し取ったとされる。

 父親の光男さん(49)は、正和さんが3人と行動を共にしていた昨年10月から12月までの間、同署などに電話を含め計9回、救出を依頼したが、同署は「事件にならないと」として着手しなかったという。

 光男さんらは、昨年11月30日、銀行から「顔中にやけどをし、4人の男に連れられている正和さんが防犯カメラに映っている」という連絡を受け、光男さんが石橋署を訪れてビデオテープの取り寄せを要求したのに断られたと指摘。この時、光男さんの携帯電話に連絡してきた正和さんに、同署員が不用意に「警察だ」と名乗り、一緒にいたとみられる少年ら、警察の関与を知られ、これが正和さん殺害の原因となった可能性があるとしている。

 こうした両親の指摘に対し県警は「対応に不手際があった可能性がある」と認め、調査を約束した。

 県警の調査で、勤務先の会社が欠勤がちだった正和さんの勤務状況の報告書をつくり、これを昨年10月初め、求めに応じて同署に提出。正和さんが少年らに連れ回され始めたころに作成されたもので、この当時は正和さんは欠勤が目立ったものの、会社には時々顔を出していたという。報告書には、無断欠勤について正和さん自身の「友人と会っていた」「風邪だった」などの弁明が記載されているという。

 県警は、石橋署が捜査に着手しなかったのは、この文書などから「正和さんは仲間と自発的に行動を共にしており、事件性はない」と判断、それに引きずられた結果と分析している。

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