TOPIC No.2-88-3 森 元首相(2000年12月-2001年01月)


森首相が施政方針演説、KSD事件で謝罪せず

2001.01.31(14:50)asahi.com
 森喜朗首相は31日午後、就任後初の施政方針演説を衆参両院本会議でした。21世紀最初の国会を「日本新生のための改革国会」と位置づけ、5年以内に世界最先端のIT(情報技術)国家になることを目指し、本格的な教育改革に取り組む決意を表明した。ただ、最大の焦点となるケーエスデー中小企業経営者福祉事業団(KSD)の政界汚職事件に関しては、辞任した額賀福志郎経済財政担当相を任命した責任を追及されないように、政治倫理確立を訴えるにとどめ、謝罪は避けた。また、橋本龍太郎行政改革担当相が積極姿勢を示していた特殊法人改革については、具体的な見直し作業を7月の参院選挙後に先送りする考えを示した。

 首相は演説の中で、これからの10年を「今後100年の大計を律する10年」と位置づけ、IT革命や財政構造改革などへの取り組みを語った。中でも首相自身が最も力を入れる教育改革では、学校教育法など一連の教育改革関連法案を通す考えを示した。

 国民の関心が高いKSD事件と外務省の機密費横領疑惑については、演説の冒頭で言及した。小山孝雄・前自民党参院議員が受託収賄容疑で逮捕されたことについて「誠に残念の極み」と表明。額賀氏の辞任に関しては「政治家一人ひとりが厳しく身を律していくことが何より重要」と述べるにとどめ、謝罪の言葉は避けた。国会冒頭から野党側が「額賀氏への任命責任」を追及するのを見越して「あくまでも一政治家の問題」(首相側近)として追及をかわすためだ。

 機密費横領疑惑については「この事態を厳粛に受け止め、国民の皆様に深くおわび申し上げる」と陳謝した。「額賀氏の辞任は国会運営に責任をとっただけだが、外務省の事件は政府の問題として首相にも責任が及ぶ」(政府関係者)との考えから、KSD事件よりも踏み込んだ表現にした。

 行政改革の柱である公務員制度改革については「3月末までに大枠を示し、6月中には基本設計について成案を得て、秋以降、法制化を含む具体的な作業に入る」と述べ、積極姿勢を示した。ただ、もう一つの柱である特殊法人と公益法人の改革については、昨年12月に閣議決定した行革大綱が定める「来年度中の整理合理化計画の策定」を目指す表現にとどめた。

 特殊法人改革に関しては、橋本行革相が今月半ば、3月に論点整理を行い、6月に中間とりまとめをする考えを打ち出したが、演説では触れず、事実上、参院選後に先送りする。「特殊法人の問題は根が深く、見直しは簡単ではない」(政府高官)との判断からだ。

 過去3回の所信表明演説とは違った表現を使うのは、財政構造改革と有事法制の2つだ。財政構造改革については「その実現に向けて議論を進めていく」と述べたが、引き続き景気対策に軸足を置く姿勢を強調。有事法制に関しては「国家、国民の安全を確保するために必要で、検討を開始したい」と法制化に前向きな考えを示した。しかし、いずれも早期の取り組みは難しいため、具体的なスケジュールは示さなかった。

構造改革へ競争促進力説 ダボス会議で森首相が演説

2001.01.28(10:04)asahi.com
 森喜朗首相が27日、各国の政財界の指導者や大企業の経営者らが集う世界経済フォーラムの年次会議(ダボス会議)で演説した。同会議で日本の首相が出席するのは初めて。森首相は日本経済の現状について、「バブルの負の遺産解消の最終段階に入った」と説明。構造改革のために「強力な競争促進政策を進める」と力説し、信頼回復を訴えた。これまで日本の首相は欧米の国際会議にほとんど参加せず、経済外交で後れをとってきた。それだけに首相が演説で打ち出した「国際公約」をどこまで実現するかが問われてくる。今年は、民主党の鳩山由紀夫代表、石原慎太郎東京都知事らも名をあげようと初参加した。

 ダボス会議は今年で31回目。初参加となる首相は、演説の狙いを「世界のリーダーへの日本経済の売り込み」(外務省幹部)に絞った。もちろん、会議出席で「はく」をつけて、低迷する支持率を少しでも上げようという思惑もある。しかし、「改革」の意欲を示しながら、経済界が期待している規制緩和策を打ち出さなかったため、指導力のなさをかえって印象づけたかもしれない。

 首相は演説で、大規模な財政出動や超低金利政策などで「2001年度は、潜在成長力への復帰にもう一息のところまで経済成長率が高まる」と宣言。成長率の具体的な数字を盛り込むことも検討したが、周囲の抵抗もあって立ち消えになった。株価の低落傾向については、「前向き調整の過程で生じている。日本経済は間もなくバランスシート調整を終え、資産を回復する」と反論した。

 現在、進めている構造改革を「攻めの再構築」と位置づけ、「経済の各分野で一層の規制改革と競争政策推進が必要」と強調。さらに「断固、強力な競争推進政策を進める」と積極姿勢を見せたが、具体案は示さなかった。

 早急な取り組みが求められている財政構造改革については「年金を含む財政の健全化を実現しなければならない。日本の財政赤字が極めて高い水準になっていることを十分に認識している」と述べ、その必要性を認めた。しかし、景気回復が思わしくないため、負担増につながる財政健全化の道筋は示さなかった。

 首相に比べると、26日、別のパネルディスカッションに参加した鳩山氏と石原氏の主張は歯切れがよかった。

 鳩山氏は「既得権益と結びついた自民党に構造改革はできない」と真っ向から批判。「今年の参院選挙と、その後の国会の解散で、政権を奪取する」と言い切った。石原氏も「米国は成長しかかった東アジアの経済を破壊した」「日本の超低金利は米国の圧力で維持されている」など、持論の米国批判を繰り広げた。

ダボス会議でデモ 森首相の日程にも影響

2001.01.28(01:18)asahi.com
 ダボスで開かれている世界経済フォーラムの年次会議(ダボス会議)に対し、抗議デモをしようとした非政府組織メンバーなど2、300人が27日、警察のバリケードによってダボスへの接近を阻止された。警察は催涙ガスなどを使ってデモ隊を排除。このため、予定されていたスイスのロイエンベルガー大統領と森喜朗首相との会談が流れ、首相は、特別列車でチューリヒをへて帰国の途についた。

森首相「勉強」口実に同行記者との機中懇談逃げる

2001.01.27(11:34)asahi.com
 森喜朗首相は26日午後(日本時間27日未明)、世界経済フォーラム年次会議(ダボス会議)に出席するため、政府専用機でスイスに着いた。27日昼、日本経済の回復ぶりと経済構造改革を唱える演説をする。首相は機中で恒例になっている同行記者団との懇談を中止。「演説の準備」が表向きの理由だが、外務省の機密費横領疑惑やケーエスデー中小企業経営者福祉事業団(KSD)などの問題を抱え、質疑応答を嫌ったようだ。

 首相サイドが懇談中止を申し入れてきたのは、出発の直前。森首相は機中で、記者団から懇談会開催を求められると、「勉強しなくちゃ。(現地滞在時間が約1日と)ちょっと行って帰ってくるだけじゃないか」と応じた。

 首相同行の政府関係者は「今回の演説の狙いは日本経済の売り込み。演説は注目されており、首相自身も重視している」と中止の理由を説明した。だが約12時間の飛行中、首相が演説の案文調整に費やした時間は約4時間に過ぎなかったという。

森首相、ダボス会議へ出発 27日に演説

2001.01.26(13:36)asahi.com
 森喜朗首相は26日午後、世界経済フォーラム年次会議(ダボス会議)に出席するため、羽田空港から政府専用機でスイスのダボスに向かった。27日昼(日本時間27日夜)、同会議で演説する。日本が取り組んでいる情報技術(IT)革命や教育改革に加えて、企業の財務状況改善を中心とする経済構造改革を進めていく考えを示す。日本からは、川口順子環境相や鳩山由紀夫民主党代表、石原慎太郎都知事らも出席する。

森首相自ら「自民党の4番打者」と 野球談義で

2001.01.24(21:29)asahi.com
 プロ野球巨人軍の松井秀喜選手が24日、日本プロスポーツ大賞の内閣総理大臣杯受賞のため、首相官邸に森喜朗首相を訪ねた。スポーツ好きの首相は自らを「自民党の4番バッターだ」とたとえるなど、30分以上にわたって野球談議に花を咲かせた。

 森首相と松井選手は、同じ石川県根上町出身で、卒業した小学校も同じ。その縁から松井選手の後援会の名誉会長になっている。

 松井選手が森首相に会ったのは約1年ぶり。松井選手は記者団に「大変な仕事だけど、(首相の)体格は変わっていなかった。やせていなかった」。会談の内容を聞かれると、「変なこと言うと首相の失言になっちゃうから」とかわし、郷土の先輩への配慮を見せた。

大規模災害時の情報や指揮系統の一元化を指示 森首相

2001.01.20(12:40)asahi.com
 森喜朗首相は19日の閣僚懇談会で、大規模な自然災害時に情報や指揮命令系統が一元化できる体制を整えるよう、福田康夫官房長官と伊吹文明防災担当相に指示した。今回の中央省庁再編を機に防災担当部局は首相直轄の内閣府に集約されたが、役割分担が必ずしもはっきりしていない内閣府と内閣官房との関係を整え、政府の危機管理・防災対策を円滑に進めるのが狙いだ。

 伊吹担当相も19日の閣議後の会見で「大規模な自然災害は国家の危機に結びつく可能性がある。阪神大震災を教訓に政府の体制が整備されたが、新たな体制になったのに伴い、よりよい運用を検討したい」と意欲を見せた。まず官邸内の内閣情報集約センターの機能を強化するため、警察や消防、電力・ガス会社などからの情報収集体制を整備する考えだ。

 政府は省庁再編で、旧国土庁の防災局を他省庁より格上で政策を総合調整する役割の内閣府に移し、局長級の政策統括官の1人に防災担当を充てた。ただ、内閣官房には阪神大震災などの反省に立ち、1998年に首相官邸を中心とした危機管理機能を高めるため内閣危機管理監ポストをすでに設けていた。政府の危機管理・防災体制の効果をあげるためには双方の連携の必要性を指摘する声が上がっていた。

森喜朗首相と金韓日議連会長が会談 教科書問題も協議

2001.01.16(20:12)asahi.com
 森喜朗首相は16日、来日している金鍾泌韓日議連会長(元韓国首相)と首相官邸で会談した。会談後、金氏は記者団に「教科書問題について、いろいろお願いをした」と述べ、教科書検定問題について意見を交わしたことを明らかにした。韓国併合を正当化する内容の中学歴史教科書を日本の出版社が文部科学省に検定申請している問題で、懸念を伝えたものとみられる。

 また、経営破たんが問題になった在日韓国人系信用組合の経営問題や定住外国人の地方参政権問題、サッカー・ワールドカップ期間中のシャトル便などについても話し合った、という。

株価対策に金庫株の解禁など検討 森首相表明

2001.01.14(19:26)asahi.com
 森喜朗首相は14日、株価の低迷が続いていることについて「日本の株式市場を、より活性化させるためには、欧米の諸制度で、なるほどということは採り入れていくことが大事だ。(自社株の保有・取得を自由化する)金庫株の話が出ており、経団連から(解禁に向けた)要望が出ている。そういうことを含め、党で議論して頂く」と述べ、金庫株の解禁など、株取引活性化の対策に取り組む姿勢を強調した。衆院の選挙制度改革については、中選挙区制の復活も含めて幅広く議論する考えを示した。

 アテネ市内のホテルで記者団に語った。首相は株価低迷に関連して「内閣としても経済を自律的回復軌道にのせるため、来年度予算を年度内に成立させて頂き、景気回復に万全を期したい」と述べた。

 衆院選挙制度改革については、自民党の古賀誠幹事長が中選挙区制の復活に前向きな動きを見せていることについて「党内でもいろんな議論があってもいいのではないかということで、古賀さんが述べたと理解している」として、一定の理解を示した。夏の参院選に関しては「景気の本格回復に軸足を置いて、財政構造改革、社会保障改革をどう進めていくかの議論が大事だ」と述べ、財政再建問題が参院選の争点になりうるとの見方を示した。

 自民党の小山孝雄参院議員が「ケーエスデー中小企業経営者福祉事業団」(KSD)から1000万円を超える資金提供を受けていたとされる問題については「捜査上の問題であり、私の立場でどうこう言うのは適当ではない」と述べるにとどめた。

国連安保理の拡大で一致/森首相、ギリシャ首相と会談

2001.01.14 【アテネ13日=共同】The Sankei Shimbun
 森喜朗首相は十三日夜(日本時間十四日未明)、ギリシャ首相官邸でシミティス首相と会談し、国連の強化のために安全保障理事会の拡大が必要との認識で一致した。シミティス首相は「日本が常任理事国になることには正当な理由がある」と日本の常任理事国入りを支持した。ギリシャ首脳レベルの支持表明は初めて。

 森首相は「安保理強化は不可欠で、日本は改革実現のため一層努力を行う考えで、協力を得たい」と要請、シミティス首相も「国際社会の現実を踏まえ、安保理は拡大すべきだ。バルカン地域の問題解決のためにも強化された安保理が必要だ」と同調した。

 また、シミティス首相は、バルカン帰還兵の健康被害の原因とされる劣化ウラン弾問題について「兵士や地域住民、環境への影響が大きく、国連の枠組みで禁止すべきだ」と主張。森首相も国際社会と連携して取り組む考えを示した。

 両首相は一九九九年に修好百周年を迎えた両国の政治、経済、文化面での交流を促進することで一致、森首相は観光交流促進ミッションを派遣する方針を伝えた。シミティス首相が来年にも訪日することになった。

中国外務省、森首相の支那事変発言に「当惑」

2001.01.13(12:07)asahi.com
 新華社電によると、中国外務省の朱邦造報道局長は12日、森喜朗首相が訪問先の南アフリカで「支那事変」や「大東亜戦争」といった言葉を使ったことに対し、「このような出来事が頻繁に起こることに実に当惑している」と述べた。また、「日本は侵略の歴史を正しく認識すべきだ。日本側がこの問題に注意を払うことを希望する」とした。

日本の安保理常任理事国入りを支持 クウェート国務相

2001.01.13(12:06)asahi.com
 クウェートのシャヒーン外務担当国務相は12日、湾岸諸国歴訪中の河野洋平外相の歓迎夕食会で「イラクによるクウェート侵攻の際、日本が130億ドルにのぼる財政支援をしてくれたことに感謝する」と述べるとともに、「日本の国連安全保障理事会改革の動きを評価し、日本の常任理事国入りを支持する」と述べた。外相同行筋が明らかにした。

 また、河野外相が提唱している日本と湾岸諸国との文明間対話や環境問題での協力、政策対話などを柱とする「河野イニシアチブ」について、「高く評価する」と述べ、知識人間の対話などを両国間で促進する考えで一致した。

「安保理理事国を24に」 ナイジェリア会談で森首相

2001.01.13(12:05)asahi.com
 森喜朗首相は12日夕(日本時間13日未明)、ナイジェリアのオバサンジョ大統領と大統領府で会談した。首相は、国連安全保障理事会の改革問題について「頻発する紛争への対応を強化するためにも安全保障理事会の改革が急務だ。常任、非常任双方の改革に圧倒的な支持があることが明らかになっている」と、安保理改革の必要性を強調。「我が国は次のステップとして、拡大安全保障理事会の数について、24に同意するよう米国の新政権を説得したい」と述べ、安保理拡大をアメリカのブッシュ新政権に強く働きかける考えを示した。国連改革に関連して、日本の首相が安全保障理事会の理事国の数に言及するのは初めて。

 政府はこれまで、常任理事国5カ国と非常任理事国4カ国を増やし、合計24にする案を支持してきた。首相は常任、非常任のうちわけについて、会談の場では言及していないが、これまでの政府の立場を強調したと見られる。

 また、首相は、16年ぶりに民政移行を果たした同大統領の政治・経済への改革姿勢を評価するとともに、政権に協力していく考えを表明。水資源、保健・医療、教育を重点分野に支援する考えを示した。首相は、両国の関係強化に向け、同大統領を5月に日本に招く考えを示し、大統領も承諾した。

 首相は同日、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)のコナレ議長(マリ大統領)とも懇談した。コナレ氏は「安保理改革に対する日本の立場を理解している。日本は我々を信頼してよいし、我々も日本を信頼している」と述べ、日本の常任理事国入りに理解を示した。

首相アフリカ歴訪 エイズ対策印象いま一歩/「難民・技術」では自信たっぷり

2001.01.13 The sankei Shimbun

日本人の貢献が課題

 「日本は人道大国を目指す」。現職首相として初めてアフリカを訪問した森喜朗首相は十二日(日本時間同日夕)、ケニアの大統領官邸で記者会見を行い、胸を張った。日本が行ってきた難民支援や技術援助プロジェクトを精力的に視察し、それなりの自信を深めたからだ。だが、訪問国のいずれもが二百万人以上のエイズウイルス(HIV)感染者を抱える中、エイズ対策を中心にした地球規模の感染症との闘いに対する日本の取り組みは今ひとつ。首相のアフリカ訪問の成果が今後、感染症対策や難民支援に具体的にどう生かされるか。日本が二十一世紀の世界にアピールしようとする「人間の安全保障」の真価が問われる。(ナイロビ 田北真樹子)

≪難民キャンプで≫

 「私自身も自分の目で確かめたかった」。十一日、ケニア北西部のカクマ難民キャンプを視察した森首相は感慨深げに語った。

 一カ月かけて徒歩でスーダンから逃げてきた母親と赤ちゃん。マラリアで、ぐったりとベッドに横たわる子供を心配そうにさする母親。首相は汗にまみれながら涙をこぼしたという。

 南アフリカではフランス語、ポルトガル語圏から逃れてきた難民のための英語教室を見学。紛争で父親を亡くした子供に「がんばれよ」と声をつまらせながら励まし、同行した緒方貞子前国連難民高等弁務官からもレクチャーを受けながら難民問題の「学習」に努めた。

≪積極支援アピール≫

 世界人口の一割が住むアフリカに、世界の約七割の二千五百三十万人ものHIV感染者が集中している。今回、森首相が訪問した南アのHIV感染者数は推定四百二十万人で世界最多、ナイジェリアは二百七十万人で三位、ケニアは二百十万人で四位となっている。感染者の多くが働き盛りの男女なので、教育や治安を預かる警察など国の根幹ともいえるシステムさえ崩壊しかねない状況だ。

 ケニアでは森首相も首都ナイロビ市内にあるケニア中央医学研究所を訪れ、HIV検査キットを開発する実験室などを視察した。

 沖縄サミットで森首相はエイズなど地球規模の感染症対策に今後五年間で三十億ドル相当の国際貢献を行うことを約束しており、今回の訪問では、この三十億ドルの枠組みを通じてアフリカのエイズ研究を積極的に支援することをアピールした。

 こうした積極姿勢の一方で、残念だったのは、首相日程にエイズ患者を収容する病院などの訪問が含まれていなかったことだ。首相周辺は「エイズ患者はプライバシーの面などから会うのは難しい」などと、その理由を説明する。

 しかし、アフリカでHIVに感染した人の中には自らの存在をアピールすることで、エイズ対策の必要性を訴えてきた人は少なくない。国際会議などでも積極的に発言している。「援助である以上、金だけでなく日本人がかかわっていきながら支援を進めていくことが重要」と外務省の海外協力関係者も強調していただけに、首相には研究などへの資金面の援助だけでなく、エイズという困難な病気と闘う人たちへの理解を示す日本人としてのパフォーマンスも期待したかった。

対ケニア「経済」「難民」で協力 森首相表明

2001.01.13 【ナイロビ12日=田北真樹子】The sankei Shimbun
 ケニアを訪問した森喜朗首相は十二日午前(日本時間同日夕)、ナイロビ市内の大統領官邸でモイ大統領と共同記者会見を行った。

 この中で森首相は「わが国はアフリカのパートナーとして、今後とも、経済・社会開発と紛争予防・難民支援を両輪とした協力を進めていきたい」と述べ、日本が「人道大国」を目指し、途上国が抱える課題への対応に一層力を尽くす決意を表明した。

 また、モイ大統領の発展に向けた開発努力を高く評価するとともに、訪問を機に、日本とケニアの友好協力関係が強化されることに期待を示した。

 共同記者会見に先立って森首相は同日朝(日本時間同日午後)、ナイロビ市内のケニア中央医学研究所を訪問し、エイズ(後天性免疫不全症候群)とエイズウイルス(HIV)の検査キットを開発する実験室を視察した。

 研究所は日本の無償資金協力で一九八五年に設立され、エイズをはじめとする感染症対策の研究を行っており、日本政府は今年五月から同研究所で感染症と寄生虫への対策について、研究を開始する予定。

ナイジェリア支援表明へ 首脳会談

2001.01.13 【アブジャ12日=田北真樹子】The sankei Shimbun
 アフリカ訪問中の森喜朗首相は十二日午後(日本時間同日夜)、政府専用機でケニアからナイジェリアの首都アブジャのンナムディ・アジキウェ国際空港に到着した。同日夜(同十三日未明)、大統領府でオバサンジョ大統領と会談する。

 首脳会談で森首相は、一昨年、十六年ぶりに民政移管を果たしたオバサンジョ大統領の積極的な政治、経済改革への努力を評価。ナイジェリア国民の生活に役立てるための支援として、水利、保健や教育分野を対象とした経済協力を実施する方針を表明し、ナイジェリアの改革を支援する姿勢をアピールする。森首相はまた、オバサンジョ大統領に、南アフリカで明らかにした日本の対アフリカ協力の基本方針を説明。その一環となる紛争予防に関し、ナイジェリアが地域の安定に寄与していることを評価し、日本も和平努力に向けて積極的に支援することの決意を示す。また、オバサンジョ大統領の訪日を要請する。

 この後、森首相は西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)議長のコナレ・マリ大統領と懇談する。懇談では、紛争で不安定な状態が続く西アフリカ地域で、停戦監視グループの派遣や小型武器製造輸出入モラトリアムなどを実施して、地域の安定に貢献しているECOWASの役割を高く評価した上で、日本の協力を表明する。

森首相、ケニア入り 友好関係発展へ

2001.01.10(23:43)asahi.com
 アフリカ歴訪中の森喜朗首相は10日、2番目の訪問国であるケニアに到着した。首相は、同日夕(日本時間同深夜)に予定されるモイ大統領との首脳会談で、マラソンなどスポーツや、音楽などを通じて交流が深い両国の友好関係を今後も維持、発展させていく考えを表明。東部アフリカ地域安定に努めるモイ大統領の姿勢を評価し、今後もケニアの開発に協力する考えを示す。

 首相は、日本政府の資金援助を通じて設けられた農工業大学の施設、医学研究所への援助の継続など、人材育成、農業開発、経済インフラ整備、保健・医療などの重点分野を中心に、今後も協力を続ける考えを伝えるほか、情報技術(IT)分野の協力態勢を検討するため、近く政府調査団を派遣する意向を示す。

 さらに対アフリカ協力への日本政府の取り組み姿勢を示した「アフリカ政策演説」の概要を説明。演説のなかで重点分野に位置づけた難民支援について、約22万人の難民を受け入れているケニア政府の姿勢を評価するとともに、日本政府としても協力する考えを表明する。

いつクビになるかわからないので 森首相が南アで長広舌

2001.01.10(12:29)asahi.com
 「いつクビになるかわからないので、できれば在任のうちに、日本の首相が1度も来たことのないアフリカに来るのが、私の運命だと思った」。森喜朗首相は9日夜、南アフリカ在住日本人の集まりに出席し、日本の首相で初めてサハラ以南のアフリカを訪れた理由などをくだけた調子で語った。日本人を前にした気安さからか、あいさつは予定の時間を大幅にこえて約40分になった。

 首相は、アフリカ訪問の理由について「首相就任後は、ふつうは米国から行くところをロシアのプーチン大統領から会いにいった。昨夏も、ここ10年ほど日本の首相が行っていないと聞いて、インド、バングラデシュなどに行った。人から『やるな』と言われればやりたくなるのが私の性格」と説明した。

 会場を埋めた約280人の参加者に「マスコミで評判の悪い私がどんな人か見てみたくて集まられたのかな」と冗談を飛ばし、南アフリカの印象については「想像していた南アフリカではなく、バカでかいのとバカきれいだ」と語り、次第に長広舌に。「話が長くて申し訳ないが」と言いながらも、生い立ちにも触れて「私は1937年の生まれで支那事変の時からで……」などと、「脱線気味」の発言もあった。

アフリカ再生特別計画を支援 日・南ア首脳会談で森首相

2001.01.09(23:15)asahi.com
 南アフリカを訪問中の森喜朗首相は9日午前(日本時間同日夜)、ムベキ大統領とプレトリアの大統領府で会談した。首相は、アフリカ自身の努力で開発の道筋を描こうとするムベキ大統領提唱の「アフリカ再生特別計画」を、積極的に支持する考えを表明。「国際社会もアフリカの自己改革、自助努力を支援すべきであり、その中で日本の役割をさらに追求したい」と述べ、開発協力や紛争予防、難民支援などを通じて、最大限の協力を続ける考えを伝えた。大統領は「日本から頂いている開発支援に感謝している。貿易、投資などを通じて両国は良好な2国間関係を築いており、この関係が続くよう期待している」と述べた。

 両首脳は、日本と南アフリカが先進国と発展途上国との間をつなぐ「南北の懸け橋」として、友好協力関係を一層強化することが重要との考えで一致。首相は両国の友好関係をさらに発展させたいとして大統領の訪日を求め、大統領も承諾した。さらに首相は、発展途上国の開発支援や人道援助を話し合うために各国の有識者を集めて日本主導で設立する「人間の安全保障のための世界委員会」に、南アフリカからの参加を呼びかけ、大統領も応じた。

 また九州・沖縄サミットで日本が発展途上国への資金援助を表明した感染症対策や情報技術(IT)分野での協力について、首相は政府調査団を近くアフリカに派遣し、資金の配分方法などを含めて協力の具体化を目指す考えを示した。首脳会談終了後、両国は、日本からの青年海外協力隊派遣を取り決める文書に署名した。

「紛争予防・難民支援」をアフリカ協力の柱に 首相演説

2001.01.09(23:08)asahi.com
 森喜朗首相は9日午後(日本時間9日夜)、南アフリカ・ミッドランドの国際会議場で、日本の対アフリカ協力の基本的な考え方を示す政策演説を行い、「開発への協力」と「紛争予防・難民支援」を、対アフリカ協力の両輪と位置づけた。アフリカの自立と国際経済への参画の道を討議する3回目のアフリカ開発会議(TICAD)の準備のための閣僚会合を、今年12月に東京で開くことを提案。アジア諸国とアフリカ諸国の提携強化を促す「南南協力の推進」の重要性を指摘したうえで、双方の知的指導者層で構成する「アジア・アフリカ賢人会議」の設立も提唱した。日本の首相がアフリカ政策について体系的な演説を行うのは初めて。

 首相は、アフリカが貧困、紛争、感染症といった問題に直面していることを指摘し、「世界の4分の1を占めるアフリカの存在は大きく、アフリカの直面する課題を解決する努力なくして21世紀の安定と繁栄はない」と指摘。アフリカ問題への取り組みを、日本の外交の最重要課題の一つと位置づけた。

 開発への協力の一環として、九州・沖縄サミットで表明した感染症対策に5年間で30億ドルの支援を、アフリカに積極的に充てる方針を明らかにした。感染症や情報技術(IT)分野でのアフリカへの支援に向けて、政府調査団を早期に派遣する考えも示した。

 紛争問題の解決については、事前予防や再発防止の重要性を指摘し、特に難民支援に力を入れていく考えを表明。中でも、難民を社会復帰させ、国づくりに参加させるような事業を積極的に支える考えを示した。

 また日本とアフリカの間で文化交流を促進するとともに、青少年、若手指導者を中心に、今後3年間で双方で約6000人の交流を目指す、と表明した。

緒方氏ら軸に「人間の安全委」 森首相が設立構想

2001.01.09(12:34)asahi.com
 森喜朗首相は8日午後(日本時間同日夜)、アフリカ難民職業訓練プロジェクトの視察のあいさつで、発展途上国の開発支援や人道支援を話し合うため、各国の有識者を集めた「人間の安全保障のための世界委員会」を、緒方貞子・前国連難民高等弁務官らを中心に日本主導で設立する考えを明らかにした。首相は「人間の安全保障の世界委員会をつくる考えがあり、それをとりまとめる1人に緒方さんをお願いしたい」と述べた。

 首相は昨年9月にニューヨークで開かれた国連ミレニアム・サミットの演説で、日本政府の主導で国連に設立された「人間の安全保障基金」に、100億円程度の拠出金を追加する考えを表明するとともに、同委員会の設立構想を発表していた。

森首相、アフリカ難民職業訓練プロジェクトを視察

2001.01.09(11:31)asahi.com
 南アフリカを訪問中の森喜朗首相は8日午後(日本時間同日夜)、ヨハネスブルク市内にあるアフリカ難民職業訓練プロジェクトを視察した。同プロジェクトはソマリア、コンゴ、ルワンダなどアフリカ諸国からの難民に職業訓練や英語講習などを行うもの。日本政府が資金提供しており、視察には、それがどう使われているか「実際に見て確かめる」(首相周辺)との狙いもあった。

 首相は英語講習を視察。生徒のひとりから手作りの民族衣装を贈られると、早速そでを通し、色違いの民族衣装を着た緒方貞子・前国連難民高等弁務官と腕を組んで、「2人で結婚式をあげるようだ」とおどけてみせた。

 紛争で父親を亡くしたルワンダの13歳の少年の肩を抱き寄せて「天国のお父さんのために頑張ってほしい」と激励。終始にこやかな表情で「皆さんの希望に満ちて輝いた目に感激した。しっかり心にしまって、日本に帰ったら、何ができるか考えたい」と語った。

 この後訪れた南アフリカ最大の旧黒人居住区ソウェトでは「警備や日程の都合」(同行筋)などから、人種隔離(アパルトヘイト)政策撤廃のため命を落とした少年の墓への献花やマンデラ前大統領の旧邸宅の視察のほかは、車中からの視察となった。

森首相が南アフリカに到着

2001.01.08(17:24)asahi.com
 森喜朗首相は8日朝(日本時間同日午後)、アフリカ歴訪の最初の訪問国、南アフリカに着いた。2日間の滞在で、ムベキ大統領との会談や、日本の対アフリカ協力の基本的な考えを示す演説、日本からの青年海外協力隊派遣取り決めの署名などを予定している。

 このほか、日本政府の資金援助で設けられたアフリカ難民職業訓練所などを視察し、南アフリカ最大の旧黒人居住区であるソウェトも訪れる。

森首相、「賢人会議」出席に意欲

2001.01.07(22:51)asahi.com
 森喜朗首相は7日、アフリカに向かう政府専用機内で、国会日程との調整がつけば今月下旬にスイスで開かれる世界経済フォーラム年次会議(ダボス会議)に出席する考えを示した。また、ロシアのプーチン大統領と会談するため、2月中に訪ロする方向で調整していることも明らかにした。

 森首相は「21世紀初頭における日本の考え方を述べる良い機会になる」と出席に強い意欲を表明。会議で予定される演説については「日本の経済政策に大きな関心が持たれていると聞いている。日本新生のための諸施策を説明したい」と語った。

 香港には、給油するために立ち寄った。

森首相がアフリカ3カ国など訪問へ出発

2001.01.07(19:54)asahi.com
 森喜朗首相は7日、南アフリカ、ケニア、ナイジェリアのアフリカ3カ国とギリシャを訪れるため羽田空港を出発した。現職首相がサハラ砂漠以南のアフリカ(サブサハラ)やギリシャを訪問するのは初めて。アフリカ各国首脳との会談を通じて、貧困問題や感染症対策などの経済、社会問題に積極的な支援を表明する。同時に、紛争予防、難民支援といった政治問題の解決にも協力する姿勢を見せ、各国との関係強化を図る考えだ。15日に帰国する。

 今回の訪問は、昨年の九州・沖縄サミットに先だって開かれた主要8カ国(G8)首脳とアフリカ諸国首脳らとの会談をはじめ、サミットを通じて築いたアフリカ諸国との関係を強化するのが最大の狙いだ。日本が国連常任理事国になるには、大票田であるアフリカの理解が不可欠だからだ。昨年8月には、クリントン米大統領がナイジェリア、タンザニアを訪問。一昨年にシラク仏大統領、ブレア英首相もサブサハラを訪れており、こうした先進国首脳の訪問も1つの刺激になった。

 各国では、首脳会談のほか難民キャンプの視察を予定している。サブサハラには地域紛争が原因で、約605万人の難民(世界全体の28%)がいるとされる。難民キャンプには、緒方貞子・前国連難民高等弁務官も同行し、難民問題に取り組む日本の姿勢をアピールする。

 各国が日本の政府の途上国援助(ODA)をもとにつくった情報技術(IT)職業訓練施設や、農業・工業大学施設、感染症・寄生虫対策の研究施設なども視察する。「政府のODAは、資金を出した後は知らんぷりと言われるが、そんなイメージを払しょくする」(首相周辺)構えだ。

 その一方で、首相周辺は「目的を明確にしないで資金援助だけするような印象を与えると『バラマキ外交』と批判を受けかねない」ことも懸念、今回の訪問では新たな資金援助の申し出はしないことにしており、「おみやげ」なしに途上国支援の姿勢をどれだけアピールできるかが課題になる。

アフリカなど訪問へ 森首相、きょう出発

2001.01.07 The sankei Shimbun
 森喜朗首相は七日夕、南アフリカ、ケニア、ナイジェリアのアフリカ三カ国とギリシャ訪問のため、政府専用機で羽田空港を出発する。日本の首相がサハラ砂漠以南のアフリカを訪問するのは初めて。

 森首相は八日、最初の訪問国の南アフリカで、日本が支援する難民職業訓練プロジェクトや同国最大の旧黒人居住区を視察。九日にはムベキ大統領との首脳会談に臨み、日本のアフリカ外交の政策演説を行う。

 ケニアでは十日にモイ大統領と首脳会談を行い、十一日に隣国スーダンからの避難民が居住するカクマ難民キャンプを視察。感染症対策の研究施設であるケニア中央医学研究所を訪れてエイズをはじめとする疾病研究の状況を見学する。

 ナイジェリアでは十三日にオバサンジョ大統領、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)議長のコナレ・マリ大統領と会談する。このあとギリシャでシミティス首相と会談、オリンピック・スタジアムなどを視察して十五日に帰国する。

森喜朗首相が、「賢人会議」に出席へ

2001.01.07(06:43)asahi.com
 森喜朗首相は6日、今月下旬にスイスのダボスで開かれる世界経済フォーラム年次会議(ダボス会議)に出席することを正式に決めた。同会議には、世界各国の政府や企業のトップが一堂に会することから「賢人会議」とも呼ばれる。森首相の出席が実現すれば、日本の現職首相としては初めてとなる。首相自身のイメージアップのほか、政権の重要課題としている情報技術(IT)革命への対応や経済構造改革の取り組みをアピールするねらいだ。

 昨年の会議では、クリントン米大統領やブレア英首相、ビル・ゲイツ・マイクロソフト会長らが演説した。ITの進展なども大きな議題となった。日本からは経団連の今井敬会長や林芳正大蔵政務次官(当時)らが出席したが、閣僚は不参加だった。

 会議を主催する世界経済フォーラムが昨年9月に発表した世界競争力報告で、日本は一昨年の14位から21位に後退した。首相自らが演説で規制緩和や経済構造改革といった政府の取り組みを訴えることで、「汚名返上」を図る。

 今年の年次会議は25日から6日間の予定で開かれるが、首相の演説は27日になる見通し。同会議に出席する他国の首脳らとの会談も検討している。

森首相が腰痛を訴え、整体治療受ける

2001.01.05(19:19)asahi.com
 
 森喜朗首相は5日朝から腰の痛みを訴え、東京都内で整体治療を受けた。首相は病状について「第二腰ついが時々ずれる。気を緩めるとずれることもあるし、疲れるとずれることもある。ずれると痛くてどうしようもない」と記者団に語った。首相は中指の突き指もしていたが、「プールに入って自分で(腰を)治そうとしたら、中指を突き指した」と説明した。

森首相ら伊勢神宮を参拝

2001.01.04(13:04)asahi.com
 森喜朗首相は4日昼、三重県伊勢市の伊勢神宮を参拝した。町村信孝文相、谷津義男農水相、平沼赳夫通産相、扇千景建設相、片山虎之助自治相、額賀福志郎経企庁長官、笹川堯科学技術担当相の7閣僚が同行した。

 一行は外宮、内宮を参拝し、神楽殿で神楽奉納をした後、首相は神宮司庁で新年最初の記者会見をする。

「7月に国民の審判を」森首相、参院選までの続投に意欲

2001.01.02(19:03)asahi.com
 森喜朗首相は1日、首相公邸で毎年恒例の新年会を開き、「与党3党がしっかりと協力しあい、来るべき7月に国民の審判を仰ぎたい」とあいさつし、少なくとも7月の参院選まで続投する意欲を見せた。昨年11月の政権危機を乗り切って新年を迎え、政権運営に自信を持ち始めたようだ。

 首相は「3党で政権基盤を安定させ、大きな役割を担って働いていきたい」と述べ、教育問題などに取り組む考えを表明。連立を組む公明、保守両党の協力に感謝し、「なお一層強固な協力関係を結んで政治課題をやり遂げたい」と強調した。

 公明党の神崎武法代表も「与党3党は主体性を持ちながら、結束、協調していきたい」と表明。保守党の扇千景党首も「3党でがっちり連立を組んで選挙を勝って、頑張っていきたい」と応じた。自民党の村岡兼造総務会長も「与党3党が一致して過半数を取ることお願いしたい」と述べ、さながら参院選の決起大会のような雰囲気だった。

 官邸によると、新年会の来客は2000人を超え、「ここ数年では一番多かった」(政府高官)。首相の地元石川県からも支持者がバスを連ねて訪れ、乾杯用に石川県の九谷焼の杯が用意された。首相も2時間近く公邸の中庭を歩き回りながら、支持者との写真撮影に応じるなど上機嫌だった。

森首相、アフリカ支援強化 エイズ対策など柱/3カ国歴訪 政策発表へ

2000.12.31 The Sankei Shimbun
 森喜朗首相は、三十日までに、一月七日からのアフリカ諸国歴訪で、紛争予防や難民支援、エイズなど感染症対策を柱としたアフリカ版「森ドクトリン」を発表する意向を固めた。日本として初めて本格的なアフリカ政策を打ち出すことで、これまでつながりが比較的薄かったアフリカ諸国との関係強化、発展を目指す。

 森首相は一月七日に日本を出発。南アフリカ、ケニア、ナイジェリアのアフリカ三カ国を歴訪する。各地で難民キャンプやエイズ患者を収容する病院などを視察するほか、南アフリカで政策演説を行う。

 この中で首相は「アフリカ問題の解決なくして二十一世紀の安定、繁栄はありえない」と強調。紛争予防・難民支援への協力を柱に、アフリカ諸国の自助努力に対する全面支援を約束する。

 特に、小渕恵三元首相が提唱し、森首相も今年九月の国連ミレニアム・サミットでの演説で打ち出した、紛争や貧困、環境破壊や感染症など人間の生存や尊厳を脅かす脅威から人間一人ひとりを大事にする「人間の安全保障」の重要性を訴える。

 具体的には、IT(情報技術)分野での情報格差解消のための支援や、エイズやマラリアなどの感染症対策を効果的に実施するために調査団を派遣する方針を表明する。

 さらに「心の交流計画」として、国連教育科学文化機関(ユネスコ)と連携し、口承文学や伝統舞踊の無形文化財の保存にも乗り出すほか、アフリカ開発会議(TICAD)の閣僚会合を近く日本で開くことも発表する。

 政府は、日本の国連安保理常任理事国入りに向けて、「国連改革に対する開発途上国の一層の理解が必要」(外務省筋)との観点から、今後「戦略的外交」をキーワードにアフリカや中南米諸国などに外交攻勢をかける方針を打ち出している。

 森首相のアフリカ三カ国訪問はその試金石となるもので、政府開発援助(ODA)中心の「援助外交」から脱却できるかどうかも問われる首脳外交となりそうだ。

アジアへ、アフリカへ 森内閣が「戦略的外遊」作戦

2000.12.30(10:09)asahi.com
 森喜朗首相のアフリカ訪問に加え、年明けから河野洋平外相や各閣僚が相次いで外国を訪問する。福田康夫官房長官は「戦略的外遊」として「外交的に手薄になっている地域を各閣僚がフォローしてほしい」と要請した。すでに橋本龍太郎行革担当相の訪欧や高村正彦法相のアジア訪問が決まっている。しかし、内閣支持率が低迷を続け、個別の外交課題も行き詰まっている中で、目先を変えた「外遊合戦」が実りをもたらすかどうかは分からない。

 先陣を切るのは、1月7日からアフリカ3カ国とギリシャを訪ねる森首相だ。河野外相も同じ日に日本を出発。すでに決まっていた16、17両日のロシア訪問に先立ち、サウジアラビアなど中東4カ国とスウェーデンを回る。高村法相は8日からインドネシア、ベトナムへ。「法整備支援」が主目的という。ほかにも、自由貿易協定(FTA)構想をにらんだ平沼赳夫通産相のメキシコ訪問、斉藤斗志二防衛庁長官の訪米などが検討されている。

 「各閣僚に通常はあまり行かない国を訪問していただくことを考えている。森首相のアフリカ訪問はその一環だ」。福田官房長官は記者会見で「戦略的外遊」について、そう説明した。日本の首相がサハラ砂漠以南のアフリカを訪問するのは初めてだが、閣僚も欧米以外の国を訪れることで、途上国支援を重視する日本の姿勢を内閣全体でアピールする狙いがある。

 福田氏はインドやイラン、スリランカとの議員連盟の役員を務め、今年だけでもイランやイエメンなどを訪問。「閣僚の戦略的外遊」を打ち出した背景には、福田氏自身がこうした「通常はあまり行かない国」に関心を持ってきたことが手伝っているようだ。

 ただ、首相のアフリカ訪問については、政府内にさえ「なぜ、この時期にアフリカなのか」という声もある。外務省は「アフリカこそは日本外交のフロンティア」「アフリカ問題への取り組みなくして、21世紀の世界の安定と繁栄はない」と、意義を強調するのに懸命だ。

森首相、プロンプター使い年頭会見 ブッシュ氏にならう

2000.12.28(20:37)asahi.com
 森喜朗首相は28日、首相官邸で2001年の年頭記者会見を収録し、透明な合成樹脂板上の液晶画面に文字が表示される「プロンプター」を初めて使った。

 「テレビを見ている国民に向かって、国民の目を見て話をした方がいいと考えた」(首相)。「原稿の棒読み」との批判をかわし、国民に直接訴える姿を演出しようという狙いだが、首相は一方で「前に使っている人がいたし、みなさん使っている。これまで使いたくないと思っていたが、ブッシュさんもゴアさんも使っていた」。

 プロンプターを使った首相は、1993年の細川護煕首相以来、7年ぶり。

森首相、2月初めにもロシア訪問へ

2000.12.28(12:11)asahi.com
 森喜朗首相は28日、首相の親書を携えてロシアを訪問していた自民党の鈴木宗男総務局長と首相官邸で会談した。首相のロシア訪問について鈴木氏が、「来年2月で調整したい」というロシア側の意向を伝えたのに対し、首相は2月初めにも実現させたいとの意向を示し、国会日程とも調整したうえで、河野洋平外相が訪ロする1月中旬には確定させたいとの考えを示した。鈴木氏が記者団に明らかにした。

 これに関連して福田康夫官房長官も同日午前の記者会見で「1月中旬になれば国会日程も明確になる。できるだけ早く(日ロ)首脳会談をする機会がくればいいと思う」と述べた。

 一方、鈴木氏の訪ロに「ニ元外交になる」との批判があることについて、福田長官は「鈴木議員は自分の立場で交渉してきた。議員として日ロの環境整備をした。二元外交になることはないと固く信じている」と述べた。

緒方国連難民高等弁務官、森首相のアフリカ訪問に同行

2000.12.26(23:32)asahi.com
 森喜朗首相は26日、首相官邸で緒方貞子国連難民高等弁務官と会い、1月に予定するアフリカ訪問に同行を求めた。緒方氏は快諾し、ケニアでは森首相と一緒に難民キャンプを視察することになった。

 首相は1月7日から15日まで、南ア、ケニア、ナイジェリアのアフリカ3カ国とギリシャを訪問する。今回の訪問は、首相が9月にニューヨークで国連ミレニアム・サミットが開かれた際、首相と一緒に夕食をとった緒方氏が、アフリカの重要性を説いたことがきっかけという。緒方氏は「こんなに早く(アフリカ訪問が)実現して、うれしく、また驚いている」と述べた。緒方氏は森首相の出国から帰国まで同行する。

談合で排除勧告受けた業者が森首相に献金 石川・小松

2000.12.26(09:31)asahi.com
 石川県小松市発注の公共工事で談合を繰り返したとして公正取引委員会から独占禁止法違反(不当な取引制限)で排除勧告を受けた配管工事業者が、森喜朗首相の資金管理団体「春風会」に1995年から99年までの5年間で計132万円を政治献金していたことが分かった。小松市は森首相の選挙区である石川2区で最も有権者が多い自治体。森喜朗事務所は「総理として国政を預かる立場であることにも配慮し、すでに返却した」としている。献金を受けていた期間は、業者が談合を繰り返していた時期と重なり、その間に森首相は建設相を務めていた。

 春風会は、同じように独禁法違反で排除勧告を受けた金沢市などの建設業者からも政治献金を受け、返却していたことがすでに明らかになっている。

 政治資金収支報告書によると、献金していたのは小松市と石川県根上町の配管工事業者の3業者。小松市の業者は95年から99年まで毎年13万2000円、根上町の業者は95年から99年まで毎年12万円、小松市の別の業者は99年に6万円をそれぞれ献金していた。

 3業者は、小松市発注の上水道本管工事の指名競争入札であらかじめ受注予定者を決めていたとして、今年3月、ほかの24業者とともに公取委の排除勧告を受けていた。3業者はすべて勧告を応諾している。

 公取委によると、3業者は95年4月から99年11月まで、市が発注した400件、受注総額40億8000万円の工事で談合を繰り返していた。

 森首相は95年8月から96年1月まで建設相を務めていた。

 春風会は、金沢市と石川県が発注する公共工事で談合をしたとして98年4月に公取委から排除勧告を受けた金沢市などの建設業者34社から、勧告後の同年に計364万5000円の献金を受けており、森首相の事務所によるとすでに返却したという。

 森首相へ毎年献金している小松市の配管工事業者は「先代の社長時代から後援会活動を続けており、国政で頑張ってもらうよう応援している」。根上町の業者は「会費のようなもので目的などは分からない」と話している。

地元の努力にこたえること大事、と森首相 北陸新幹線で

2000.12.21(20:09)asahi.com
 森喜朗首相は21日、地元紙の北国新聞社のインタビューに答え、政府が北陸新幹線の上越―富山間をフル規格で着工すると決めたことについて「北陸新幹線は採算性が一番ある。整備新幹線はけしからんというターゲットになるのは公平ではない。地元の努力にこたえることは大事だ」と主張した。運輸省は当初、新規着工区間を上越―糸魚川間に限る考えだったが、石川県選出の首相の強い意向を踏まえ、着工区間を延ばしたとされる。

 首相は「整備新幹線の予算はよくやったと思っている。長野まで来た新幹線を北陸まで一日も早く来られるようにすることが目標だった。今度のことでおおむね10年でそこまで進んでいける」と評価。「福井は原発を抱えている。全体の国民の繁栄になるために、いくつかの苦しいことを背負っている。そういう所の皆さんの一番の念願は何であるのか。政府がこたえていくことはあって当然だ」として、調査費が計上されている福井駅までフル規格で延ばす考えも示した。

 「利益誘導」という批判に対しては「(建設費の中で)地方負担が3分の1もある。在来線にも制約をつけている。そういう難しいことまで全部やって受けていきましょうという地元のみなさんの努力にこたえていく」と反論した。

森首相、来月7日からアフリカ3カ国とギリシャ訪問

2000.12.19(20:13)asahi.com
 福田康夫官房長官は19日の記者会見で、森喜朗首相が来月7日から15日まで、南アフリカ、ケニア、ナイジェリアのアフリカ3カ国とギリシャを訪問すると発表した。日本の首相がサハラ砂漠以南のアフリカ地域やギリシャを訪れるのは初めて。首相はアフリカ諸国への人道的・経済的支援を通じて、途上国支援に力を入れる日本の姿勢を訴える考えだ。加えて、国連常任理事国入りを視野に、アフリカ各国に日本の存在感を示す狙いもある。

 福田氏は「首相はサミット議長国としてアフリカ各国の首脳と対話を続けるなかで、アフリカとの対話なくして21世紀の日本の繁栄はないと考えた」と強調した。

「さっぱりわからんなぁ」 森首相、環境見本市でぼやく

2000.12.16(21:30)asahi.com
 東京都内で開かれていた環境見本市「エコプロダクツ2000」を16日、森喜朗首相が川口順子環境庁長官とともに視察した。エコプロダクツとは、循環型経済社会を目指す「環境調和型製品」のことで、300社が家電や自動車、素材などを出品。首相は説明に耳を傾けたが、「さっぱりわからんなぁ」とぼやく場面もあった。

 家電メーカーのコーナーでは、パソコンによる「洗濯機の上手な使い方」診断に挑戦。75点を取ってご機嫌だった。

 会場では他の参観客の求めに応じて、あちこちで記念写真に納まり、「これでまた週刊誌に書かれるかもしれないな」と軽口をたたいた。

 首相は視察後、記者団に「民間の企業はすばらしい。先手、先手というか、進取の気持ちを持っておられる。行政や政治はどうしても後手、後手になる可能性がある。民間企業の環境を整えるのが我々の仕事だ。民間の方々は大変努力していることがわかった」と語った。

森首相がブッシュ次期米大統領と電話会談 人事を取材?

2000.12.15(13:59)asahi.com
 森喜朗首相は15日昼、米次期大統領に就任が決まったブッシュ氏と電話で約5分間話した。首相が早期の首脳会談を求める意向を伝えたのに対して、ブッシュ氏は「補佐官であるライス・スタンフォード大教授に森首相の話を伝え、調整させたい」と述べ、国家安全保障担当補佐官にライス氏を任命する考えを初めて明言した。国務長官についても「まもなく国務長官を指名するが、皆さんがよくご存じの人だ。その人物は日本と緊密に協力することの重要性をよくわかっている人だ」と述べた。

 日米関係について、ブッシュ氏は「世界にとって日米関係がいかに重要か、認識を確認したい」と強調。首相も「日米関係の強化を強調されたことを心強く思う。21世紀の国際社会の問題に私も次期大統領と協力して取り組む」と述べた。

森首相が1月下旬にも訪米、ブッシュ新大統領と会談へ

2000.12.14(12:42)asahi.com
 米次期大統領にブッシュ氏の就任が確実になったことを受けて日本政府は、来月下旬にも森喜朗首相が訪米し、ブッシュ氏と会談する方向で調整を始めた。政府・与党は通常国会を来月末に召集する方向で調整を進めている。新大統領の就任式は来月20日に予定されており、ブッシュ氏の新大統領就任から通常国会召集までの間に訪米が可能と判断した。

 首相は14日昼、「1月20日が就任式と聞いているので、就任したらできるだけ早い時期にお目にかかることが大事だ。外務省を通じて伝えたい」と記者団に語った。

首相と「元右翼」の写真を掲載へ 官房長官、厳重抗議

2000.12.08(23:56)asahi.com
 森喜朗首相が自民党幹事長時代に、元右翼団体幹部とされる人物と会食した際に撮られた写真が、11日発売の「週刊現代」に掲載されることが分かった。福田康夫官房長官は8日の記者会見で「首相自身は会ったという記憶は全くない」と述べるとともに、出版元の講談社に対し、元右翼団体幹部と交友があるかのような書き方をしたことで首相の名誉が傷つけられたとして厳重抗議し、出版された場合には法的措置をとるという趣旨の文書を送った。

 同誌の記事は、首相が自民党幹事長時代に後援会の関西支部の集いに参加し、散会後、懇意にしている後援会関係者らと食事に出かけた際に撮ったとされる写真などが掲載されるという。記事によれば、その人物はかつて「関西の有名右翼団体の幹部のひとり」で、暴力団組員とも交友があるとされる。

 福田長官は記者会見で、週刊誌のゲラ刷りを見たことを明らかにしたうえで、写真の人物は「熱心に後援会活動をしていた関西の後援者が連れてきた。その後援者が経営する会社の社員だ」と説明。「首相が直接面識があるような人ではなく、首相自身も会った記憶は全くない」と強調した。

 長官は「政治家はいろんな人に会うし、請われれば記念撮影もする。その際に『どこのどなたですか』といちいち尋ねることはない。何ら問題のない写真と判断しており、あたかも特別な関係にあるような記事を書くのは極めて遺憾だ」と述べた。ゲラの入手先については「マスコミ関係者が持ってきた」と説明し、出版前に法的措置をとることは「事前検閲」にはあたらないという認識を示した。

 野中広務自民党前幹事長は8日夜、東京都内で記者団に「政治家はパーティーなどで写真を撮られることはよくある。首相がそのような人だと知っていて撮った写真ではないと思う」と述べた。

森首相、来月上旬に内閣改造の意向

2000.11.25(21:56)asahi.com
 森喜朗首相は25日、来年1月6日からの中央省庁再編に伴う内閣改造・自民党人事について「国会終了後、直ちに野中広務幹事長と会い、1月6日までの政治日程を相談したい」と述べ、今の国会終了後の12月上旬に断行する考えを示した。人事については野中幹事長、亀井静香政調会長の留任を念頭に、2人と相談する考えを強調した。党内に首相退陣論がくすぶっているという見方は否定し、来年9月の党総裁選前倒しについても「なぜ前倒ししなければならないのか」と反論した。

 シンガポールで記者団の質問に答えた。首相は重要法案が国会で審議中であることを理由に「私の頭の中には改造や人事は全くない」としたうえで、国会終了後、野中、亀井両氏と内閣改造の時期や省庁再編に伴う特命相の扱いを協議する考えを示した。今後の政治日程や省庁再編のあり方について両氏と相談する姿勢を強調したことで、両氏に留任を求める考えをほのめかした発言だ。

 人事の具体的な日程について、首相はこれまで新閣僚が来年度の予算編成をするのが常識的だと説明し、12月後半に予定される予算編成前の改造を示してきたが、この日も首相は「そのことを変えなければならない要素はない」と述べ、予算編成前になるとの見通しを示した。

 一方、内閣不信任決議案否決後も首相の進退をめぐる論議が自民党内で続いていることについては「退陣論がくすぶっているとは、必ずしも思っていない」と強調。不信任案の否決によって「結果として私自身の内閣信任につながったことを大事にしながら、与党のみなさんの努力にこたえなければならない」と続投に意欲をみせた。

 党内の一部で浮かんでいる来年9月の党総裁選前倒し論については「何も(任期が来る)その前に党大会を開いたり、党則を改正して、やらなければならないという声は直接聞いていない」と述べ、前倒しには応じない考えを示した。

 不信任案の採決で欠席した非主流派の加藤紘一元幹事長、山崎拓元政調会長とは「これからも何かあればうかがう」と述べ、話し合いに応じる用意がある考えを示した。

「淡々と受け入れる準備していた」不信任案で森首相

2000.11.25(08:23)asahi.com
 「結果がどのようになろうと、淡々と受け入れる準備をしていた。結果、このようになってありがたい」。森喜朗首相は24日、中国の朱鎔基首相、韓国の金大中大統領との会談で、内閣不信任決議案の採決に臨んだ心境を吐露した。

 金大統領が会談の最後に「不信任案が否決された。ジュースで乾杯しましょう」と切り出した。朱首相も「森総理の気持ちが軽くなったようだ」。森首相は謝意を述べ、「投票の結果いかんでは会議出席に影響がありえて、両国にご迷惑をおかけすることを心配していた」と語った。

 政治問題を取り上げないことにしている3国首脳会談で、唯一の「政治的な話題」となったが、森首相は「受け入れ準備」が内閣総辞職だったのか、衆院解散だったのか、明言しなかったという。

「緊張感をもち、謙虚に毎日を」野中幹事長が首相に注文

2000.11.23(21:06)asahi.com
 自民党の野中広務幹事長は23日、岐阜市内で講演し、内閣不信任決議案が否決されたことに関連して「そのまま(内閣が)信任されたと思わず、緊張感をもち、謙虚さをもって、政局安定のために毎日毎日を刻んでほしい」と森喜朗首相に注文を付けた。失言や新たな疑惑発覚、内閣支持率の低落などで政権を支えきれなくなる事態を招かないよう、首相をけん制したものだ。

 ただ、自民党や公明党に首相の早期退陣を求める声は根強く、与党内では「来年夏の参院選までに森首相を代える必要がある」(橋本派幹部)との見方が定着しつつある。橋本派などは、こうした与党内の情勢を見極めつつ、首相交代のタイミングを慎重に探るものとみられる。

 野中氏は22日にも橋本派総会で「不信任案否決は決して森首相の信任を決定したものではないと思っている」と、森政権の現状について厳しい見方を示した。これに対し、首相周辺や森派は「早期退陣の流れができかねない」と強く反発するなど、波紋が広がった。

 野中氏としては、このままでは党内に亀裂を生みかねないと判断。早期退陣論にいったん水をかけたうえで、森首相の去就をめぐる党内世論や公明党などの動向を見極める構えだ。

 野中氏はまた、野党提出の内閣不信任案に賛成しようとした加藤紘一元幹事長らの行動について「わが党の中に、野党の力を借りて政権に就こうなど内乱罪に等しいような状況が出たことは恥ずかしい。国民に衷心からおわびしたい」と厳しく批判した。

森首相の早期退陣論に閣僚から「火消し」発言相次ぐ

2000.11.24(19:44)asahi.com
 内閣不信任決議案否決について自民党の野中広務幹事長が「森喜朗首相の信任を決定したものではない」と発言したことを受けて、閣僚から24日、早期退陣論の火消しをしようとする発言が相次いだ。首相自身も沈静化を図ろうとしているが、余震はしばらく続きそうだ。

 福田康夫官房長官は閣議後の記者会見で「『注意してやってください』ということを言ったと思う」と述べ、日々の言動に緊張感と謙虚さを持つようにという助言だと強調。「ポスト森」の有力候補、河野洋平外相も「首相の理解は間違っていない」と述べて後押しした。

 橋本派幹部の西田司自治相は「大事な時期なので新たな気持ちでお互いしっかり頑張っていこうという激励だと理解している」。公明党の続訓弘総務庁長官も「謙虚に受け止めて、なおいっそう国家国民のために汗をかきなさい、与党3党がスクラムを組んであなたの後に続きますという叱咤(しった)激励の意味だ」と述べた。

 内閣改造で去就が注目される宮沢喜一蔵相は「高度に政治的な発言なので、私の守備範囲ではなさそうだな」と、さらりかわした。

首相、シンガポールへ出発

2000.11.23 The Sankei Shimbun
 森喜朗首相は二十三日午後、東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓三カ国の首脳会議などに出席するため、羽田発の政府専用機でシンガポールに出発した。

 首相は、同会議に先立ち二十四日午前に朱鎔基中国首相、金大中韓国大統領との日中韓首脳会談を行う。日本とASEAN各国首脳との会議のほか、マハティール・マレーシア首相と個別に会談し、二十六日に帰国する。今回は智恵子夫人が初めて外遊に同行した。

「国会で信任された」 森首相が予算委で

2000.11.22(22:47) asahi.com
 森喜朗首相は22日の参院予算委員会で、衆院本会議で内閣不信任決議案が否決されたことについて、「補正予算案をはじめ、新中央省庁スタートなど大事な時期に、政治空白が生じないよう適切な判断をしてもらい感謝している。私自身に対する不信任案は否決で国会で信任されたということだ。ここに至ったということは謙虚に受け止め、なおいっそう大事な政治を果敢に進めたい」と答弁した。簗瀬進氏(民主党・新緑風会)の質問に答えた。

「森首相の信任ではない」と野中氏 早期退陣論加速も

2000.11.23(21:33)asahi.com
 自民党の野中広務幹事長は22日、東京都内で開かれた橋本派の臨時総会であいさつし、内閣不信任決議案が否決されたことに関連して「否決は決して森喜朗首相の信任を決定したものではないと思っている」と述べた。不信任案は否決されたものの、自民党内には森首相への不満が依然根強い。これまで森首相支持を表明してきた野中氏が政権の現状について厳しい見方を示したことで、党内では首相の早期退陣を探る動きが加速する可能性も出てきた。

 総会に先立つ橋本派の幹部会は「森政権の現状はなお厳しい」との認識で一致。出席者から「来年夏の参院選を森首相の下で戦うのは難しいだけでなく、当面の政権運営も厳しい状況にある」という意見も出たという。

 これを踏まえ、派閥会長の橋本龍太郎元首相は総会で、来年夏の参院選対応について地元の都道府県連から意見を聴くよう所属議員に指示。野中氏は「参院選の勝利のために我々は大変な努力と決断と前進をしていかなくてはならない」と語った。

 橋本派はこれまで、不信任案採決をめぐる加藤紘一元幹事長らとの抗争の処理を優先する立場から、森首相の進退問題は不信任案の否決後に検討するとの姿勢をとってきた。ただ、橋本派内では一時、若手を中心に首相交代を求める声があがったほか、公明党内にも森首相の交代を望む声が出ている。

 この日の橋本派の動きについて、党内からは「12月の臨時国会の閉会直後を含めて、首相の早期退陣に向け、党内の反応を探り始めた」(主流派幹部)との見方が出る一方、「12月の内閣改造で首相が勝手な人事をしないようけん制したものだ」(森派幹部)という受け止め方もある。

 一方、福田康夫官房長官は同日夕の記者会見で野中氏の発言について「それで政局が動くというものではない」とけん制した。

「反省すべきは反省を」 閣僚から森首相に注文

2000.11.21(13:23)asahi.com
 森内閣不信任決議案が否決されたのを受けて、各閣僚は21日午前、閣議後の記者会見で「政権は信任された」との見方を示す一方、森喜朗首相への批判が混迷の発端となったことについて「反省すべきは反省して、慎重に歩いていただきたい」(谷洋一農水相)と、首相に注文を付ける声も出た。自民党加藤、山崎両派への批判も相次いだ。

 福田康夫官房長官(森派)は「完全に(信任されたのか)というふうに言われれば、(自民党内から)欠席者は相当出したわけで、明言できない。そういうことも謙虚に受け止めやっていかなくてはいけない」と語った。平林鴻三郵政相(橋本派)は党総裁選の前倒しが取りざたされていることについて「先のことはわからない。自民党は融通のきくところなので」と述べ、前倒しがあり得るとの見方を示した。

 一方、加藤紘一元幹事長に対しては、加藤派名誉会長の宮沢喜一蔵相が「(責任問題が)いずれは出ると思う」と述べたほか、河野洋平外相(河野グループ)は「不信任でもないけれど、信任もできない、という形になっているのはまだすっきりしない」。扇千景建設相(保守党)は「よけいに政治に対する不信感が出たのではないか」と語った。また、森田一運輸相(加藤派)は派の今後について「あそこまで亀裂ができると、元のさやに戻るのは困難な点がある」との見方を示した。

森首相「辞任の意思ない」

2000.11.20(10:40)asahi.com
 19日、森喜朗首相は前日に引き続き、東京・世田谷の自宅で情報収集にあたった。首相は、福田康夫官房長官や小泉純一郎森派会長らと電話で協議。自民党内では総裁選前倒しを絡めた首相交代論がくすぶっているが、小泉氏には「辞任の意思はまったくない」と語ったという。夕方からは官邸に。20日の衆院予算委員会に備え、秘書官らと答弁の打ち合わせをした。

森首相、マレーシア訪問を中止 政局の混乱にらみ

2000.11.18(12:37)asahi.com
 森喜朗首相は18日、24日からシンガポールで開かれる東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス日中韓3カ国の非公式首脳会議に出席した後、25日から予定していたマレーシア訪問を取りやめる方針を固めた。20日には衆院本会議での内閣不信任決議案の採決が予定され、政局の混乱がしばらく続くことが予想されるためだ。マレーシアのマハティール首相との会談は、シンガポールで行う方向で日程を調整している。

「内心、じくじたる思い」森首相、帰国後協議重ねる

2000.11.17(23:37)asahi.com
 靴ひもをほどく間もなく、とでも言おうか。ブルネイから17日夕帰国した森喜朗首相は、官邸に自民党や連立与党幹部らを次々に呼び、20日に提出される内閣不信任案への対応などの協議を続けた。

 午後5時前、官邸に着いた森首相は、記者が「総理」と呼び掛けると、いきなり「ブルネイではいい話ができました。WTOの話もできました。IT宣言についても……」。問われもしないことを自ら語って記者の質問をかわし、執務室に入った。

 まもなく自民党の野中広務幹事長や亀井静香政調会長、古賀誠国対委員長ら党幹部が相次いで訪問。政局の現状などについて意見を交わした。

 森首相はその後、東京都内のホテルで開かれた保守党のパーティーに出席。「残念ながら私の内閣について、不信任案を出す、出さないという動きがある。我が党の中にも若干いろんな意見があるのは大変残念だ。私も人の子。内心、率直に言いましてじくじたる思いがある」などと約15分間にわたって熱弁を振るった。

 最後には壇上で、扇千景・保守党党首、神崎武法・公明党代表とつないだ手を高々と掲げ、会場に連立与党の結束をアピールした。

 パーティー後は官邸にとんぼ返り。待ち受けた青木幹雄氏ら参院自民党幹部らと20分ほど会談した。その後も扇党首、神崎代表、小泉純一郎・森派会長らと次々に会合を重ねた。

森首相退陣の見通し、主流派内でも強まる

2000.11.17(14:39)asahi.com
 自民党主流派内で17日、森喜朗内閣が12月1日の臨時国会閉会後に退陣するとの見通しが強まった。首相は17日夕に訪問先のブルネイから帰国後、自民、公明、保守3党の執行部と進退問題を含めた今後の対応を協議する。橋本派の有力者の一人は17日朝、不信任案否決後の首相の進退問題について「首相自身が判断することだ。(不信任案に賛成する)加藤氏のけじめをつけさせることと、首相の進退は考えなくてはいけない」と語った。主流派幹部の一人は「来年1月の中央省庁再編に向けた内閣改造は、新たな党総裁を選んだ後に行う」との見通しを示した。

 橋本派は15日の幹部会で「森首相では来年の参院選は戦えない」との考えで一致した。一方、首相が属する森派や、江藤・亀井派では、表向き「森首相を支える」との立場を崩していない。ただ、亀井静香政調会長が15日、森首相の事実上の辞任につながる「総裁選前倒し」を主張するなど、参院選までのいずれかの時点での首相交代はやむを得ないとの見方が広がっている。

 加藤紘一元幹事長が内閣不信任決議案に賛成する意向を示したことを受け、橋本派の有力者の一人は17日、「いずれ森首相は辞めさせるが、不信任案の採決前に辞任させると、加藤氏への同調者が増えかねない」との懸念を周辺に語った。17日夜の首相との協議などをふまえ、退陣表明の時期などを慎重に探る考えとみられる。主流派内では後継首相として河野洋平外相、小泉純一郎・森派会長らの名があがっている。

森首相がブルネイ出発、今夕帰国へ

2000.11.17(11:42)asahi.com
 アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会合に出席するためブルネイを訪れていた森喜朗首相は17日午前10時(日本時間同11時)すぎ、政府専用機でブルネイをたって日本に向かった。同日夕、帰国する。

不信任案否決に自信 森首相、交代論を否定

2000.11.16(22:44)asahi.com
 ブルネイを訪問中の森喜朗首相は16日夜、同行記者団の質問に答え、自民党内で広がる首相交代論について「全体の流れになっていない」との見方を示し、野党が内閣不信任決議案を提出しても「正面からしっかり受け止める。逃げる必要は全くない」として、否決する自信を示した。不信任案に同調する動きを見せる加藤紘一元幹事長については「政党人としてあるべき姿なのか理解できない」と批判したが、加藤氏から申し出があれば話し合いに応じる姿勢を見せた。不信任案の採決に賛成あるいは欠席した場合の処分については「党執行部に任せる」と述べるにとどめた。

 首相は、野党が提出する不信任案の採決の見通しについて「党執行部を信頼している」と述べ、党執行部が非主流派の切り崩しを進め、最終的には与党3党で否決できるという自信を示した。不信任案が可決された場合の対応は「執行部を信頼しているので、全く考えていない」と語った。

 加藤氏が首相退陣を求めていることについては「意見があるならば、総裁である私か野中広務幹事長に、はっきりと言えばいい」と述べた。

「総辞職の意思ない」 森首相、衆院本会議で答弁

2000.11.14(22:48)asahi.com
 森喜朗首相は14日午後の衆院本会議で、内閣支持率低下などを受けて内閣総辞職をする可能性について、「重要法案処理に全力を挙げており、国民の求めている政策を着実に推進することで国民の負託にこたえたい。もとより総辞職する意思はない」と否定した。

 また、宮沢喜一蔵相は加藤紘一元自民党幹事長の森首相退陣要求について、「先日、加藤氏に、政治空白を生むのは国民生活、経済に与える影響が大きいので憂慮していると伝えた。今もそう考えている」と述べた。いずれも民主党の筒井信隆氏の質問に答えた。

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