TOPIC No. 2-82 中学生5000万円恐喝事件

18歳少年逮捕

2000.06.13The Sankei Shimbun
 名古屋の五千万円恐喝事件で、愛知県警少年課などは十三日、主犯格の少年(一六)=中等少年院送致=から現金五十万円を脅し取っていたとして、名古屋市緑区の土木作業員の少年(一八)を恐喝容疑で逮捕した。同事件の逮捕者は十一人目。

名古屋の恐喝事件で前中学校校長ら8人を処分

2000.06.14(00:36)asahi.com
 名古屋市緑区の少年(15)が市立中学校に在学当時、同級生らから約5000万円を脅し取られたとされる事件に絡み、同市教育委員会は13日、前校長(59)と教頭(57)を懲戒処分にするなど、当時の同校教員4人と宮沢明倫教育長(59)ら市教委事務局幹部4人を処分した。同校関係者については学校運営や生徒指導での職務怠慢、市教委関係者は管理監督の責任を処分理由とした。

 処分の内容は、学校側では、同校の前校長(休職中)が減給10分の1を3カ月、教頭は戒告で、いずれも地方公務員法で定める懲戒処分となった。現在は天白区の市立中教頭を務める前教務主任(43)が文書訓告、今も緑区の市立中に残る前生徒指導主事(42)は口頭訓告を受けた。

 市教委側では、宮沢教育長のほか、前教職員課長の大野重忠学校教育部長(55)、広瀬一巳指導室長(53)の3人が市教委の文書訓戒、前教育次長の加藤公明財政局長(57)が市長の文書訓戒となった。

 事件では、一連の恐喝が始まった昨年7月、被害少年が預金50万円を引き出したことに不審を抱いた母親が、学校側に相談。しかし、学校側は脅し取られたことまで把握できなかったという。

 校長らは組織的な対応をとらず、生徒指導担当の教員らも、踏み込んだ指導に乗り出さなかった。また、教頭や担当教員らは十分な事実関係の報告や相談、進言を上司にせず、いずれも適切な対応を怠ったと、市教委は判断した。

5000万円恐喝事件で緑署長ら5人を処分 愛知県警

2000.06.10(00:10)asahi.com
 名古屋市緑区の5000万円恐喝事件にからみ、愛知県警は9日、地元・緑署の対応に不手際があったとして、同署の二木浩文署長(57)ら5人を処分した。県警は、梅村征生首席監察官が記者会見し、「緑署の取り組みが十分であれば、5000万円もの多額の被害は防げたのではないかと考える」と述べ、これほどに被害が拡大した責任の一端が警察側にあることを公式に認めた。そのうえで、今後は関係機関や地元住民との連携を一層強化し、「少年事件、少年問題に的確に対処していく」と述べた。

 処分の内容は、緑署生活安全課の鈴木康夫前課長(50)と少年係長(54)が本部長訓戒、前少年係専門官(51)が署長訓戒。二木署長と前署長の小林孝交通部参事官(59)は監督責任を問われ、本部長注意となった。

 事件は今年3月14日、被害少年(15)が県警中署に被害を届けて発覚した。しかし、一連の恐喝が始まったばかりの昨年7月1日、多額の預金引き出しを不審に思った母親が被害少年を伴って緑署を訪問。少年係長が対応したが、被害少年が口を閉ざし、恐喝の事実は聞き出せなかった。

 前少年係専門官は、同月6日にあった同区内の中学校関係者との連絡会で、学校側から加害少年グループの問題行動を聞いたが、上司に報告しなかった。

 監察官室は、こうした経緯を踏まえ、「相談を受けた後、被害少年宅に電話を入れたり、学校との連絡を密にしたりするなど、もう一歩踏み込んだ対応が足りなかった」とする処分見解を明らかにした。

 緑署は、今年3月6日にも加害少年の親から「息子が2000万円を恐喝したようだ」と相談された。この点でも「これまでの経緯と金額の大きさを考えれば、すぐに県警本部に連絡すべきだった」と判断ミスがあったことを指摘した。

 さらに、逮捕した加害少年らがかかわった別の恐喝など3件の事件を長期間、処理していなかったことも処分理由の1つにあげた。

5000万円恐喝で愛知県警が署長ら処分へ

2000.06.08(22:30)asahi.com
 名古屋市緑区の5000万円恐喝事件にからみ、愛知県警は、被害少年(15)から相談を受けた緑署の対応に不手際があったとして、同署の二木浩文署長と前署長の小林孝交通部参事官を本部長注意に、前生活安全課長と同課少年係長ら3人を本部長訓戒にする方針を固めた。9日の県公安委員会の承認を経て処分する。

 緑署は昨年7月、被害者側から相談を受けていたが、被害が約5400万円に拡大するまで捜査に着手しなかったとされる。県警監察官室はこの点などを調査。重大な服務規律違反などはなく、法律で定められている懲戒処分にはあたらないと結論づけたが、7月以降の被害者側との継続的な連絡や、学校との連携などに不十分な点があったと判断した。

 さらに(1)今年3月6日に加害少年側から届け出があった後、早急に捜査を始めなかった(2)逮捕した加害少年らがかかわった別の恐喝や傷害など3件の事件を長期間放置した――などとして処分を決めた。

名古屋の5000万円恐喝 主犯格ら2人を少年院送致

2000.06.08(22:19)asahi.com
 名古屋市緑区の中学校に通っていた少年(15)から約5400万円を脅し取ったとされる事件で、名古屋家裁は8日、加害少年グループのリーダー格の少年(16)と準リーダー格の少年(16)に対して少年審判を開き、いずれも中等少年院に送る保護処分を決めた。検察側は2人に対して、大人と同じように刑事裁判を受けさせるよう意見を付けていたとみられる。しかし、同家裁は、16歳という年齢などから、刑事罰よりも更生のために矯正機関での教育が必要と判断。「少年院での長期処遇が相当」と結論づけた。リーダー格の少年には「2年以上」との参考意見が付けられた。

 リーダー格の少年を担当した岩田嘉彦裁判官は決定理由で、少年が一連の非行の主導的な立場だったと認定。そのうえで、「金欲しさや憂さ晴らしが動機で、脅し取った額も多く、暴行も執ようで過激だった。反省はしているが、事件の重大性に比べれば内省の深さに欠ける」と指摘した。

 一方で、少年が立ち直る可能性の大きい16歳という年齢を考慮。「事件の重大性を認識させて、非行抑止の自覚を持たせることや、相手を思いやる意識を植え付けさせることが肝要だ」と述べた。

 準リーダー格の少年を担当した斎藤大裁判官は「少年は一連の恐喝、暴行に深くかかわっており、非行態様は極めて悪質。責任は重い」と述べた。一方で、一連の非行の背景として、地域の年上の不良者が年少者に恐喝、暴行をすることが常態化していた事情を考慮。「そうした環境が少年の規範意識を鈍らせた面がある」とも指摘した。

 決定によると、リーダー格と準リーダー格の少年は昨年10月、被害少年から500万円を脅し取り、今年1月にも300万円と500万円をそれぞれ脅し取った。さらに、2人は今年2月、被害少年をテープでぐるぐる巻きにしてけるなどの暴行を加え、20日間のけがを負わせた。

 この日は、ほかの少年2人に対する審判もあり、同家裁は、120万円の恐喝容疑で送致された定時制高校生(17)を中等少年院に送る保護処分を決定。30万円の恐喝容疑で送致された定時制高校生(16)については、社会生活をさせながら家裁の調査官に観察させて最終処分を決める試験観察とした。一連の事件で家裁の処分が決まったのは7人となった。

高校生を少年院送致=5000万円恐喝で2人目の処分−名古屋家裁

00/05/29[時事通信社]
 名古屋市緑区の専門学校生(15)が市立中学校3年生当時、同級生らから約5000万円を脅し取られたとされる事件で、名古屋家裁は29日、元同級生の定時制高校生(15)の少年審判を行い、斎藤大裁判官は高校生が計29万円を恐喝したとの非行事実を認定し、中等少年院送致の保護処分を下した。この事件での家裁の処分決定はこれが2人目。 

5000万円恐喝事件で容疑の少年の両親が謝罪文

10:53p.m. JST May 16, 2000 asahi.com
 5000万円恐喝事件で16日、名古屋家裁に身柄を送致されたリーダー格の加害少年(16)の両親が、被害少年と少年の家族あてに謝罪文を送っていたことが分かった。加害少年側の弁護士が同日、明らかにした。謝罪文の中で加害少年の両親は、子どもが起こした事件に気づかなかったことについて、「悔やんでも悔やみきれず痛みさえ覚えます」と気持ちをつづっているという。

 弁護士によると、今月11日、加害少年の両親から「被害者と家族に謝罪したい」との要請があった。これを受け、加害少年の母が書いた便せん4枚の謝罪文を、被害少年側の弁護士に手渡したという。

 謝罪文は「おわび申し上げます」という言葉で始まり、「被害者とそのご家族の皆様に対して、どれだけ時間がかかっても償いをしていきたいと考えています」「自分たちがもっとしっかり子どもを見ていたら、こんなことにはならなかったのではないかという思いは、偽らざるものです」などという内容。「陳謝の念が皆様に届くよう、願ってやみません」と結ばれているという。

別の暴走族リーダー格逮捕

2000年5月15日 20時44分共同
 名古屋市の5000万円恐喝事件で、愛知県警少年課と中署などは15日、新たに土木作業員で暴走族のリーダー格の少年(17)が被害少年(15)から現金5万円を脅し取っていたとして恐喝容疑で少年を逮捕した。この事件で逮捕された少年は計10人となり、県警は恐喝事件をめぐる強制捜査をひとまず終える。裏付けが取れた被害金額は計4000万円を上回る見通し。

名古屋の5000万円恐喝事件で先輩少年を新たに逮捕へ

03:21a.m. JST May 14, 2000 asahi.com
 名古屋市緑区の少年(15)が中学在校中に約5400万円を恐喝されたとされる事件で、愛知県警は週明けにも、新たに被害少年の1学年上の少年(16)を恐喝容疑で逮捕する方針を固めた。逮捕者は10人目となり、恐喝事件にからむ強制捜査は、これで終わる見通しだ。ただ、このほか数人が恐喝にかかわったとされ、容疑を認めている事情などから、県警は、書類送検する構えだ。立証される被害額は四千数百万円になる見込み。また、加害少年らが、暴力団関係者に「二重恐喝」されていた事件についても、今後調べを進める。

 逮捕されるのは、被害者と同じ中学を卒業した先輩で、調べによると、この先輩少年は、昨年10月中旬、被害少年に「パチンコですってしまった。どうしてくれるんだ」などといいがかりをつけ、被害少年の自宅前の路上で、現金5万円を脅し取った疑い。

 この先輩少年は、被害少年が当初名前をあげた13人の加害少年にはいなかったが、これまで逮捕した少年らを調べる中で関与が明らかになった。先輩少年は逮捕容疑のほかにも、100万円単位の恐喝を数回繰り返していたとされ、こうした容疑も調べる。

 この先輩少年をめぐっては、リーダー格の少年(16)でさえ「あの人にだけは逆らえない」と供述するほど、加害少年グループの中で恐れられており、被害少年から脅し取った金を加害少年の一部から「二重恐喝」していた疑いも浮かんでいる。

 この先輩少年のほか、暴力団組員とみられる少年ら数人も、加害少年らから「二重恐喝」していたとされ、県警は、5400万円の恐喝事件の捜査を終えた段階で、捜査に乗り出す。

 これまで県警は、被害少年の同級生4人を含む9人の少年を逮捕した。刑事事件として立件された恐喝の額は現時点で、1549万円にのぼる。

 逮捕された少年らは余罪も大筋で認めている。県警がつかんだ被害総額は、被害少年の申告額よりやや少ないものの、現時点で約3800万円にのぼる。

 10人目に逮捕される先輩少年の余罪も含めると、最終的には被害総額の8割以上にあたる約四千数百万円が立証できる見通しだ。

 恐喝の回数が多かったこともあって、これ以上、被害少年の記憶喚起も難しく、県警は、先輩少年の逮捕で強制捜査を終える方針とされる。

 また、県警はこのほか恐喝事件にかかわっていたとされる4人の同級生らから任意で事情聴取を進めている。うち2人は容疑を認めており、県警は恐喝の疑いで名古屋地検に書類送検する方針だ。残る2人は、恐喝したカネの分け前を得ており、ぞう物収受の疑いがあるとみて調べている。

名古屋市の恐喝容疑事件 暴力団組員が「二重恐喝」か

03:31a.m. JST May 13, 2000 asahi.com

 名古屋市緑区の中学校在学中に同級生(15)から約5400万円を脅し取ったとされる恐喝容疑事件で、リーダー格の少年(16)が、愛知県警の調べに対し、「暴力団に関係する年上の少年に百数十万円を脅し取られていた」との供述を始めたことが12日分かった。県警は、被害少年から恐喝したカネの一部が暴力団に流れていた可能性が高いとみて、「二重恐喝」の実態解明に乗り出す。

 県警少年課と中署などの調べによると、リーダー格の少年から「二重恐喝」したとみられるのは、名古屋市中区に住む17歳と19歳の少年の2人。いずれも同区を拠点とする暴走族の元メンバーで、山口組系暴力団の組事務所にも出入りしていた。

 供述を始めたリーダー格の少年は、5400万円のうち2400万円を被害少年から恐喝したとされる。ところが、このことを聞きつけた暴力団関係の2人に「最近羽振りがいいらしいな」などと脅され、3回か4回にわたって計百数十万円を恐喝された、という。

 「二重恐喝」をしていたとされる2人は、リーダー格の少年と同じ中学の出身ではないが、5400万円事件の加害少年グループの中には暴走族のメンバーなども含まれており、こうした人脈を通じて、羽振りが良くなったリーダー格の少年を知り、脅したカネの一部を「上納」させた疑いがあるとみて調べている。

 県警はこの2人以外にも、リーダー格の少年らから「二重恐喝」をしたとみられる数人の少年の名前をつかんでいる。5400万円の恐喝事件の捜査が終わり次第、この「二重恐喝」についても本格的な捜査に乗り出す。

暴力行為で17歳少年逮捕

2000年5月10日 19時48分共同
 名古屋市の5000万円恐喝事件で、愛知県警少年課などは10日、昨年7月に被害少年(15)を用水路に突き落とそうとしたとして暴力行為法違反の疑いで、アルバイト店員の少年(17)を逮捕した。この事件で逮捕された少年は9人になった。

不適切な対応で残念 名古屋の少年恐喝事件で警察庁長官

0:40p.m. JST April 24, 2000
 田中節夫警察庁長官は24日の衆院予算委員会で、名古屋市の少年が中学校の同級生らから約5000万円を恐喝されたとされる事件への警察の対応について「被害少年や母親から相談があったものの、継続的に少年や学校と連絡をとらず、加害者側からの相談に対して迅速に本格的な捜査を開始しなかった。不適切な対応とみられ、誠に残念だ。加害少年らによる犯罪がエスカレートすることを防止できなかった。警察としてなすべきことが十分尽くされていない」と陳謝した。公明党・改革クラブの平田米男代議士の質問に答えた。

別の少年の顔写真を掲載

2000年4月22日 10時13分
名古屋市の少年(15)が中学3年当時、同級生らに約5400万円を脅し取られた事件で、光文社発行の週刊誌「女性自身」が加害者の少年として掲載した顔写真は、別の少年の写真だったことが22日までに分かった。問題の写真は,18日に発売された5月2日号に掲載された。恐喝事件を報じた記事の中で「加害者のA少年」として、両目の部分に黒い長方形で目隠しを入れた顔写真だった。

名古屋の恐喝事件で、5人目の少年を逮捕

06:12 a.m. JST April 22, 2000
愛知県警少年課と中署などは21日夜、500万円の恐喝容疑で逮捕状をとり、行方を追っていた名古屋市緑区の無職の少年(15)を自宅近くの喫茶店で見つけ、逮捕した。この少年は約5400万円を恐喝したたとされる少年グループの1人で、事件当時、被害少年(15)の中学と隣接する中学に通っていた。この事件で逮捕された少年は5人目。
このほか、被害少年の同級生1人と卒業生3人の計4人が事件に深くかかわっていたとみられ、県警は週明けにも残る4人を立件する方針だ。
調べによると、この日逮捕された少年は、すでに逮捕されている主犯格の少年ら2人=いずれも恐喝と傷害の疑いで5日逮捕=と共謀。昨年10月中旬、被害少年を緑区内の公園に呼び出し、「これで縁を切ったる」「700万円出せ。無理なら500万円でいいわ」「金が用意できたら連絡しろ」などと脅し、顔を殴った。そのうえで同月28日午後、同区内の河川敷で被害少年から500万円を脅し取った疑い。
3人は容疑を認め、「要求額は3人で話し合って決めた。金は3人で分けた」と話しているという。
また、3人のうち、総額2400万円を脅し取ったとされる主犯格の少年(16)は、これまでの調べに対し、「被害少年からとるものもなくなったので、最後に大きな額を取ってやろうと思った」と供述しているという。しかし、被害少年に対する恐喝と暴行は今年2月まで続いており、県警は、脅し取った大金をすぐに使い切ってしまったため、犯行を繰り返したとみている。
新たに逮捕された少年は、共犯容疑の2人とは遊び仲間で、昨年夏ごろから、被害少年への暴行や恐喝に加わるようになったという。県警は少年の自宅から、これまでに被害少年から脅し取った額などが列挙されたメモを押収。余罪についても調べを進める。
    ◇
一方、2400万円を脅し取ったとされる主犯格の少年は、調べに対し、「2000万円以上は取った。全部でいくらになるかは覚えていない」などと供述し、余罪をほぼ全面的に認めている。先に逮捕されたほかの3人も、それぞれの余罪を大筋で認めているという。ただ、脅し取った金の使い道は不明な点が多く、裏付け捜査を進めている。
県警は、被害少年が加害者として名前をあげた13人のうち、9人が恐喝や傷害に深くかかわったとみて調べている。

5千万円恐喝発覚、入院仲間へのうち明け話がきっかけ

03:02a.m. JST April 16, 2000
名古屋市緑区の少年(15)が中学在学中に同級生らに5000万円余りを脅し取られたとされる事件で、被害について8カ月間、口を閉ざしていた少年が今年2月、入院先の病院で同室の患者らに真相をうち明け、それがきっかけで事件が発覚したことが15日、明らかになった。少年から事実を聞き出した入院患者のひとりが、朝日新聞の取材に応じた。病院にまで恐喝にやってきた同級生らを、入院患者らが追い返したことが、少年が心の扉を開くきっかけになっていた。
取材に応じたのは、愛知県内のある地方で公職に就いている男性(31)。緑区内の病院に入院中の2月15日、被害少年が入院してきたという。
男性によると、少年は、まぶたやほおなど顔中が紫色にはれていた。男性が少年に「どうしたんだ」と聞くと「5人とけんかして、4人には勝ったけど最後の1人にやられた」と答えた。
男性は「けんかでこんなになるわけない。いじめにあっている」と直感したが、心を閉ざすことを心配してそれ以上は聞かなかった。
少年は直前の2月11日から、逮捕された同級生らと3泊4日の日程で長野県・白馬方面にスキーにでかけていた。旅先で受けた暴行などでろっ骨を折るなどのケガをしていたが、そのことを語ろうとはしなかった。
少年が入院した数日後、同級生らが訪ねてきて、少年を屋上に連れ出した。心配した男性ら入院患者3人が屋上に駆けつけ、同級生らを怒鳴り上げて追い返した。
その日の夜、病院の喫煙室で男性らが少年に話を聞いた。「いじめられてるんだろ」「君が勇気を出して警察を動かすのと、周りが騒いで警察が動くのでは、将来、大きな差が出る。勇気を出して闘え」……。
男性らは翌朝5時まで説得を続けた。やがて少年はうなずき、少しずつ口を開き始めた。
「いじめられて、お金を取られているんです」
数日後、男性は退院。同室で残った別の入院患者が少しずつ被害の実態を聞き出した。
2月下旬、少年のことが心配で病院を訪れた男性は入院患者から、5000万円を超える恐喝の事実を聞かされた。加害者の同級生8人の名前と日時、金額を書いたリスト、母親の預金通帳のコピーなどもあった。あまりの金額の多さに、男性らは少年と母親に警察に被害届を出すことを勧めた。
    ◇
被害少年の母親は当初、「あの子たちにも、いいところがある。逮捕されたらかわいそうだ」と被害届を出すことをためらっていたが、3月14日、県警中署に届け出た。この間、男性と別の入院患者たちは学校や加害者の家族らに接触したという。

少年恐喝の被害届放置で愛知県警に調査を指示 警察庁

9:00p.m. JST April 12, 2000
名古屋市緑区の少年(15)が中学在学中に同級生らから5000万円を恐喝された事件にからみ、被害届が出ていた3件の事件が検察庁に送致されていなかった問題で、警察庁は12日、愛知県警に対し、同県警緑署の対応に問題がなかったかどうかを調査するように指示した。同庁は「状況的には事件を放置していたとしか思えない」としており、何らかの指導も検討している。
警察庁によると、すでに県警から報告を受けているが、被害届が出されてから1年近く事件処理が行われていない点を重視。署に報告を出させるのではなく、県警が署の担当者から聴取するなど実態を把握したうえで同庁に報告するよう求めている。被害届が出された状況や、捜査の経過などの詳細な報告を求め、捜査が中断した原因の解明も指示した。

被害届の3件放置、捜査未了 名古屋恐喝事件の3少年

03:02a.m. JST April 12, 2000
名古屋市緑区の中学在学中に同級生(15)から5000万円を恐喝した事件にからんで逮捕された3少年が、このほかに容疑者としてかかわったとされる事件は、愛知県警緑署が認知しただけでも6件あり、うち3件が捜査未了で名古屋地検に送検されていないことがわかった。未処理の3件はいずれも被害届が出ていた。うち1件は別の同級生から現金2000円を脅し取った事件だが、ほかにも一昨年秋に起きた傷害と暴行事件が1年以上も処理されていなかった。
緑署では、昨年6月下旬に恐喝被害の少年から被害届を受け取りながら送検せずに放置していたことが発覚。この問題を重視した同県警が、3少年のいずれかが関与したとみられる事件を洗い直したところ、緑署の管轄で3件の未処理が確認された。
調査によると、3人が刑事事件の対象となる満14歳になった一昨年春以降、緑署が把握した容疑は6件あり、中署でも3件あった。これらの事件には、3少年以外の未成年者がかかわったものもあるという。
このうち緑署は、2000円の恐喝事件のほかにも、1998年10月中旬に起きた傷害事件と、同年11月初旬に中学校内などで3回にわたって起きた暴行、傷害事件を担当した。
いずれも同級生が被害を受けており、発生直後に同署に届けた。同署は、加害少年から事情を聴くなどの捜査をしたが、「被害者との供述が食い違い、目撃者もいない」などの理由で捜査が難航。結果的に補充捜査をしないまま、1年以上放置された。
同署が立件できたのは、自転車の盗難(占有離脱物横領容疑)2件と、バイクの窃盗1件。
緑署の二木浩文署長は、「3件とも長期間捜査をせず、放置する結果となり、誠に申し訳ない」と謝罪している。
一方、中署は、恐喝とバイク盗、道交法違反(無免許)の各事件を担当。いずれも名古屋地検に書類送検しており、両署の対応の違いが際だつ結果となった。
   ◇
中署と緑署が送検した6件のうち1件は、名古屋家裁で保護観察処分を出しており、別の2件は、「保護観察処分相当」との意見が付されて同家裁で審判中という。少年らは、保護観察などの処分を受けてもなお、同級生らへの恐喝をエスカレートさせていたことになる。

緑署の被害届放置を調査へ 少年恐喝事件で愛知県警

5:38p.m. JST April 11, 2000
名古屋市緑区の少年(15)から5000万円を恐喝した事件に絡んで逮捕された3少年のうちの1人に別の同級生(15)が2000円を脅し取られたとして恐喝の被害届を出しながら、愛知県警緑署が捜査を尽くさずに放置していた問題で、同県警監察官室は「不適切な処理」とみて調査に乗り出す方針を決めた。今後、担当捜査員らから事情を聴き、対応に問題があれば、処分も検討するという。
同署などの説明では、被害少年は、緑区の中学に在学中の昨年6月21日、同級生(15)=5000万円恐喝にからみ逮捕=らに現金2000円を脅し取られた、と被害を届けた。同署は、この同級生から事情を聴くなどしたが、その後、名古屋地検に書類送検せずに放置した。
同監察官室では「いまだに事件が処理されていないのは問題だ。適正に処理されていれば、5000万円被害の恐喝事件という大事に至らなかった可能性もある」としている。同室では、5000万円恐喝事件の捜査が一段落してから、処理が遅れた理由などを調べる。

別の生徒から80万脅し取る

2000年4月9日 20時19分
名古屋市の少年(15)が中学3年当時に同級生らから約5000万円を脅し取られた事件で、恐喝などの疑いで逮捕された少年3人のうち2人は、名古屋市中区に住む別の中学2年生が昨年秋に約80万円を脅し取られた事件にも関与し、愛知県警中署の事情聴取を受けていたことが9日までに分かった。中署は今年1月、この2人のうち中区の中学に通っていた1人を恐喝などの疑いで書類送検していた。

恐喝トラブル頻発 5000万円事件の名古屋の中学

03:04a.m. JST April 09, 2000
名古屋市緑区の中学校を今春卒業した少年(15)が、在学中に同級生らから総額5000万円を恐喝されたとされる事件で、舞台となった中学校では、生徒同士の恐喝や金銭トラブルが頻発していた。「暴走族を連れてくるぞ」と脅されてバイクの音におびえるようになった少年。地域振興券に目をつけられたケースなどもあった。いずれも子供が脅されていることに気づいた親が毅然(きぜん)とした対応を取り、深刻な事態を回避できたという。
3年生の男子は昨年10月、今回の事件にはかかわっていない同級生から、「30万円を持ってこい」「暴走族を連れてくるぞ」と脅されたという。
母親のバッグから預金通帳を抜き取り、金を工面しようとしたこともある。しかし、通帳がなくなっていることに母親が気がつき、あわてて学校に電話。帰宅した中学生は通帳を母親に差し出し、その晩、恐喝されていることを打ち明けた。
母親は学校に連絡。双方の親と子供がそろって話し合い、脅した側が謝ったという。
だが、金を要求する電話が再びかかってくるようになった。母親は、脅している同級生に「自分が被害者の立場になったらどう思うか、考えてみなさい」などとねばり強く説いた。結局、恐喝はやんだという。
昨年4月のある夜。別の3年の男子生徒の自宅に、同級生から電話がかかってきた。子どもの顔色が変わった電話のあと問いただすと、子供はポツリポツリと「地域振興券を持ってこいと要求された」と説明した。
同級生に、母親は「お金は絶対に出さない。警察にも学校にも知らせる」と伝えた。その後、要求はなくなったという。
今回の事件で逮捕された少年から金を要求されていた別の生徒の母親は、携帯電話の様子で異変に気づいた。電話のあと外出しようとした生徒に、母親は「どこへ行くの」と問いつめた。
「実は同級生にお金を持ってくるように要求されているんだ」
この母親は「1度出したら、さらに要求される」と息子を説得した。
3人の母親とも、「最初に『金は出さない』という毅然とした態度をとったのがよかったと思う。親が絶対に子供を守るという態度を見せたから、子どもが心を開いてくれた」と口をそろえる。
ただ、母親の1人は「目の前で起こったから、子供を問いただすことができた。知らないところで起こっていたら、今回の事件のようになっていたかもしれない」と、対応の難しさも強調した。

同級生恐喝容疑の少年ら、タクシーで学校・パチンコ店へ

00:40a.m. JST April 07, 2000
名古屋市緑区の中学校を今春卒業した少年(15)が、在校時に同級生らに多額の現金を恐喝された事件で、愛知県警に逮捕された少年たちは、毎日のようにタクシーを利用し、パチンコやカラオケ店に通い詰めていたという。
この中学校の近辺で待機しているタクシー運転手によると、逮捕された3人のうち被害者の少年の同級生だった2人の少年は、携帯電話にタクシー会社の電話番号を登録していたという。「午後5時ごろに、コンビニエンスストアや交差点、自宅などにタクシーを呼び、パチンコやカラオケなどに毎日のように通っていた」と話す。
このタクシー会社は、中学校近辺の地域で約30人の運転手が待機しているが、少年たちを乗せたことがない運転手がいないほど彼らの名前は運転手の間で知れわたっていたという。
少年の1人をよく乗せたという運転手は「あまりに多く利用するので『よくそんなにお金を持ってるね』と尋ねたら、少年は『パチンコ、パチンコ』と笑っていた」と話す。
また、少年たちが通っていた中学校の教師は、加害者の少年たちがたびたびタクシーで学校に乗り付けるのも目撃。複数の同級生は、逮捕された少年から「大阪からタクシーで帰ってきた」と聞いていた。

被害の少年、「使い走り」も 同級生恐喝事件

8:50p.m. JST April 07, 2000
名古屋市緑区の少年(15)が中学の同級生らに5000万円を恐喝されていたとされる事件で、逮捕された3人を含む少年グループは、脅し取った金でパチンコに興じる一方、被害者の少年を開店前のパチンコ店に並ばせるなど、恐喝以外にも「使い走り」として使っていたことが愛知県警の調べで分かった。3人は今年2月、被害少年を連れ、長野県内に泊まりがけのスキー旅行に行っているが、この旅行の費用も被害少年の丸抱えだった可能性が高いとみられる。一方、被害少年が在籍した中学校では7日入学式があり、校長は新入生の保護者に「学校の態勢を見直していきたい」と話した。
これまでの調べに対し3人は容疑を認めているが、被害少年に対する謝罪の言葉はなく、反省の態度は見受けられないという。
県警少年課などによると、逮捕された3人のうち同級生だった2人が昨年6月、現金19万円を脅し取ったのが事件の発端となった。それが同級生らの間で「あいつはちょっと脅せば、すぐ金を出すし、何でも言うことを聞く」と評判になり、つけ込まれるようになった。
うわさは、別の中学に通う仲間らにも広まり、最終的には十数人が被害少年から現金を脅し取るようになったという。金額も次第にエスカレートし、今年に入ると100万円単位で要求するようになったという。
また、少年らは、自分たちが遊ぶパチンコの台を確保するため、新装開店のさいに被害少年を並ばせたりもしていた。今年2月には、逮捕された3少年らが長野・白馬方面に泊まりがけスキー旅行に行く際、いやがる被害少年を無理やり同伴させ、荷物持ちをさせていたという。
また、3人らのグループはパチンコがうまくいかず、イライラするたびに少年を携帯電話で呼び出し、理由もなく殴るけるの暴行を加えて、ストレス解消のはけ口にもしていたという。
被害少年の母親は、度重なる暴行を心配し、現金を渡した後に、後をつけたこともあったが、被害少年から「ついてきたら、余計に殴られる」などと追い返されたため、現金を脅し取られる現場を見ることはできなかったという。
一方、被害少年の母親は、学校側にすすめられ、昨年7月、同市昭和区の市児童相談所を訪れた。
相談員が、少年が学校に行かない理由を尋ねる過程で、母親が「6月の修学旅行の後から家のお金を持ち出すようになった。姉あてに『9万円借ります。ごめんなさい』と玄関に書き置きしていたこともある」と相談した。また、「子どもに使い道を聞くと、『パチンコやマージャンで負けた』と言っているけど、そんなことをする子じゃない」と訴えたという。
同相談所は、恐喝については母親と少年が警察に相談していることなどから、警察や学校と連絡をとりながら、見守っていくことを決めたという。その後、母親から相談はなかった。
同相談所は「本人と話ができず、詳しい状況を把握できなかった。本人が、具体的にSOSを発してくれれば、継続的にケアすることができたのだが」と話している。

中学生5000万円恐喝事件 暴力原因で不登校に

3:05p.m. JST April 06, 2000
名古屋市緑区の中学校を今春卒業した少年(15)が、在校時に同級生らに5000万円を恐喝されていた事件で、被害者の少年は愛知県警の事情聴取に対し、「同級生に暴力を振るわれたので学校に行きづらくなった」などと話していることが6日わかった。県警は、同級生らによる度重なる暴力や恐喝によって被害者が不登校になったとみて調べている。また、5000万円のうち約3800万円は、5日に逮捕された3人の少年に脅し取られていたという。3人は「金は、ほとんど使い果たしてしまった」と供述、県警で詳しい使途を調べている。
調べによると、被害者の少年は、逮捕された同級生らから日常的に暴行を受けており、中学2年のころから今春卒業するまで不登校になったという。
昨年6月ごろからは、現金を脅し取られるようになった。被害少年は「こわくて学校に行きたくなくなった」などと警察に話しており、不登校の主な理由になったとみられる。
県警の調べでは、少年は今年1月下旬、恐喝したとされる同級生らから顔を殴られるなどして、同市緑区内の病院に10日間、入院した。入院中も携帯電話で現金を要求されたうえ、病室まで押し掛けられ、500万円を脅し取られており、逮捕容疑の一部になっている。退院後も呼び出されて殴るけるの暴行を受け、ろっ骨を折られるなど20日間のけがを負った。
一方、被害者の母親は、少年が家庭内で暴れるからだけでなく、少年が同級生らに暴力を受けてかわいそうに思い、渡していた面もあったとされる。

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