TOPIC No. 2-77 児童養護施設

01. がんばれ! 養護施設出身者
02. 児童養護施設の部屋 児童養護施設を、もっと身近に。
03. 全国児童養護問題研究会
04. 児童養護施設リンク
05. 児童虐待問題のリンク集
06. 恩寵園事件の流れ
07. 児童福祉法

佐川の養護施設懲罰問題:「ペナルティーに頼らない」 今後の対策など協議 /高知

2008年11月08日 毎日新聞地方版 Maiichi ITERACTIVE

 佐川町甲の児童養護施設「白蓮寮」(寺尾篤施設長)が入所児童に行き過ぎた懲罰を加えていた問題で、県児童養護施設協議会(会長、藤原亨・南海少年寮施設長)の臨時会議が7日、高知市仁井田の南海少年寮であり、今後の対策などを協議した。

 会議は冒頭以外は非公開。藤原会長によると、出席した県内の児童養護施設の施設長や職員ら約20人を前に、県職員が問題の経緯や勧告の内容などを報告。出席者からは「扱いが難しい子どもの場合、児童相談所と連携を深めて対応することが必要」「どこの施設でも起こりうる事例。危機感を持って子どもとの接し方を見直すことが求められている」などの意見が出された。次回以降の会議で具体的な対応策を協議するという。

 藤原会長は「施設には懲戒権が与えられているが、ペナルティーに頼らない工夫のある処遇を探っていきたい」と話していた。【近藤諭】

個人情報:ブログに子どもの情報 児童福祉施設職員を減給処分−−横浜市 /神奈川

2008年11月07日 毎日新聞地方版 Maiichi ITERACTIVE

 横浜市は6日、インターネットのブログで、勤務先の児童福祉施設に入所する子どもたちの個人情報を公開していたとして、こども青少年局の男性職員を減給10分の1(6カ月)の懲戒処分にした。

 市人事組織課によると、男性職員は07年1月〜今年5月、計19回にわたり、施設に入所する17人の子どもたちの下の名前やイニシャル、年齢などを明記して、生い立ちや入所の経緯などを自身が開設したブログに載せた。

 男性職員はてんまつ書で「友人に自分の仕事の困難さを知らせたかった。現代の子どもたちの置かれた状況をリポートし、社会が考えるきっかけになればと思った」と動機を説明しているという。また施設名を掲載しなかったことなどから「個人が特定されないと思った」とも話しているという。

 市には5月29日に「横浜市の職員による記載ではないか」との通報が匿名で寄せられ、市が調査。インターネット上の痕跡を消したり、17人や関係者に謝罪したりした後に処分した。【野口由紀】

炎天下で草むしりや石運び 児童養護施設に改善勧告

2008.11.05 MSN産経新聞

 高知県は5日、炎天下に8時間以上の草むしりや石運びなど体罰を加えていた児童養護施設(社会福祉法人)に対して、運営を見直すよう改善勧告した。

 県こども課によると、同施設の指導員らは喫煙や無断外出などを理由に、男子棟に入所している小学6年から高校3年までの14人に対し、8〜9月に1日最高で8時間以上にわたって施設と周辺の草むしりやをさせたり、施設から約220メートル離れた小高い場所に繰り返し石を運ぶ作業などをさせていた。9月初めに県に体罰に関する通報があり、発覚した。

 施設側は「問題行動があったのでそれを直そうと考えて作業をさせた」と説明。県は「職員や施設長らは体罰に対する意識が低く、児童の人権を考えた運営を行うよう指導したい」としている。

児童養護施設で“体罰” 女子中学生に慰謝料払う

2008.07.12 MSN産経新聞

 栃木県の東部にある児童養護施設で昨年9月、入所していた女子中学生が男性職員らに殴られ、顔に2週間程度のけがをしていたことが12日、分かった。施設側は中学生側に慰謝料を支払った。

 県こども政策課によると、施設には3歳から17歳までが入所。女子中学生は昨年9月の夜、入所者の間でけんかになり施設を抜け出した際、連れ戻そうとした職員らともみ合いになり、顔を殴られた。職員らは「なかなか説得できずに殴った」と話しているという。

 同課は施設側から報告を受け、適切な指導をするよう口頭で注意した。中学生側は今年6月、職員による入所者への暴力が日常的にあったとする報告書を県に提出。同課が調査している。

【ゆうゆうLife】虐待のその後で 不足する施設とサポート(上)一時保護所

2008.05.12 MSN産経新聞

 ■「まるで野戦病院」

 虐待や育児放棄が増え、親元で暮らせない子供が急増しています。ところが、虐待から逃れた後、こうした子供たちが暮らす児童養護施設などの受け皿は質量ともに不十分。傷ついた子供の心をさらに悪化させてしまうケースも目立ちます。親元で暮らせない子供の居場所について、3回にわたり考えます。(清水麻子)

 「うちに帰りたい。できないなら、早く施設に入りたい。こんな所にはずっといたくないんだ」

 親から虐待を受けた子供たちが親から離れて集団で暮らす首都圏の一時保護所。昨年9月に母親からさまざまな暴力を受けて入所した中学生の兄と小学生の弟が、担当する児童福祉司の鈴木達夫さん=仮名=に涙ぐみながら訴えた。

 「申し訳ない…」。鈴木さんは、2人を説得しながら、やるせない思いでいっぱいになったという。

 虐待を受けた子供たちが一時保護所で過ごす期間は通常2カ月程度。その間に親元か施設か、今後の居場所が検討される。兄弟の母親には問題が多く、施設に入る方針はすぐに決まった。しかし、受け皿となる施設は慢性的にいっぱいで、2人は半年も一時保護所で過ごさなければならなかった。

 「2人が一緒に入れる施設が、今後の親子の関係修復には不可欠でしたが、どうしても見つかりませんでした」と鈴木さんは言う。

 一時保護所は、子供にとってストレスが多い環境だ。親が連れ戻しに来てしまうこともあり、玄関には常にカギがかかり、外出は制限される。自宅から遠いため、学校に行けず、友達とも遊べない。非行で保護された子供も一緒に生活するため、器物損壊や職員との言い争いが日常的に繰り返される。

 「後から一時保護所に入った子供が先に施設に入所していくのを見て、兄弟は何度もここにいたくないと訴えてきました。でも、施設が足りないという『行政の都合』はどうすることもできませんでした。4月に、ようやく一緒の施設に入所できましたが、同様のケースは後を絶ちません」と鈴木さんは言う。

                  ◆◇◆

 平成12年に児童虐待防止法が施行され、家庭の中に埋もれていた虐待が発見される素地が整いつつある。全国の児童相談所が対応した児童虐待相談件数(18年度)は3万7323件と、法施行前の11年から約3倍に増えた。しかし、発見はされても、受け皿は不足。全国に約560カ所ある児童養護施設の入所率(定員に対する入所者の割合)は18年度に約92%と飽和状態が続く。行き場のない子供は“仮の居場所”である一時保護所に長期滞在せざるをえない。

 特に、都市部の状況は深刻だ。東京都では、一時保護所の平均滞在日数は18年度に、9年前から10日のびて35日に、横浜市では同じく24日のびて50日になっている。中には1年にわたり、長期滞在せざるを得ない子供もいるという。

 厚生労働省の18年の調査では、全国の一時保護所の1割が入所率100%を超える。ある都市部の一時保護所の施設長は「居住環境は決していいとは言えません。定員を超えた場合、学習室などに布団を敷いて居室に転用するのですが、まるで野戦病院のようです」とため息をつく。

 また、やはり都市部の別の児童相談所で働く児童福祉司は「行き先の施設が空いたら、『即決』せざるを得ません。施設は雰囲気や方針が違うので、子供に合ったところを選んでやりたいのですが、そんな余裕はまったくないのが現状です」と、苦しい胸の内を打ち明ける。

               ◆◇◆

 厚生労働省は、小人数で暮らすグループホームや、里親となる家庭の受け皿を増やす一方で、19年には都道府県や政令指定都市などが一時保護所を増築する場合、優先的に交付金を支給する方針を打ち出した。

 それでも一部の自治体の“混雑感”は解消されない。横浜市は22年度までに児童養護施設の定員を119人増やす。急ピッチで受け皿を増やすが、横浜市の中央児童相談所の斎藤功副所長は「一時保護所を2カ所新設し、入所率が随時100%を超える状態は解消できました。しかし、夏休み明けから児童養護施設が満杯になり、一時保護所に長期滞在する子供が出てしまう現状に変わりはありません。市内の別の一時保護所もピーク時には100%を超えてしまいます」と打ち明ける。

 関西学院大学の才村純教授は「虐待を受ける子供は増え、一刻の猶予もないから、国や都道府県は、小規模施設や里親を緊急に整備すべきです。一時保護所に長くいると、子供は将来の見通しが持てなくなる。親に虐げられ、ただでさえ不安な子供の心を、行政の都合でさらに不安定にさせてしまうのは一種の『社会的ネグレクト(虐待)』です」と指摘している。

【ゆうゆうLife】虐待のその後で 不足する施設とサポート(中)児童養護施設

2008.05.13 MSN産経新聞

 ■職員の質に課題

 親から虐待を受け、心に傷を負った子供たちが暮らす児童養護施設。不安定で繊細な子供の心を受けとめるのは、施設長や職員です。しかし、一部にはスタッフの質の悪い施設もあり、親から見捨てられた欠如感を放置されたままの子供もいます。施設長や職員の質の向上を求める声が高まっています。(清水麻子)

 「子供を大切にできない施設があることを、多くの人に知ってもらいたいと思います」

 千葉県内にある児童養護施設の相談役を務める男性は、施設内で起きた“混乱”について語り出した。「施設長が威圧的な態度で職員に嫌がらせを繰り返し、職員が次々辞めていきました。開設から数年で2けたの数です。せっかく仲良くなりかけた職員に見捨てられたと、自暴自棄になってしまう子供もいました」

 「施設長は、子供にも『親がいないわけではないのだから家に帰りなさい』とか、『あなたのせいで両親は離婚する』とか、虐待に近い発言を繰り返しました。さらに、施設長の家族にあたる職員が、残りご飯を子供に無理やり食べさせ、食べられないと平手で殴るなど、感情や気分次第で暴力をふるうこともあったと聞きます」

 この施設については、職員や子供の訴えが相次ぎ、児童養護施設などで構成された協議会の第三者委員会が立ち入り調査し、改善を求めた。今は新しい施設長の下で立て直しが図られている。男性は「親に頼れない子供を守ってあげようという意識がない人が、施設長になったために起きた悲劇でした」と語る。

               ■ □ ■ 

 児童養護施設の施設長や職員による言葉の暴力や体罰、わいせつ行為などが相次ぎ明らかになっている。しかし、公になるのは氷山の一角とされる。

 「施設内虐待まではいかないが、大半の施設で子供の心が大切にされていない」と話すのは、児童養護施設を出て働く子供たちを支える全国自立援助ホーム連絡協議会の遠藤浩会長だ。遠藤会長は「親に捨てられても、施設でかわいがられ、職員と愛着関係が築けた子供は思春期の問題行動が少ない。しかし、無条件に受け止められたことがない子供は誰も頼れないと悟り、非行や自傷行為を繰り返す。そういった子は立ち直りに相当、時間がかかってしまう」と指摘する。

 「成育歴を見れば、非行などの問題行動も当たり前と受け止められる職員がいれば、子供は必ず落ち着いていく。しかし、子供に共感を持てる職員は多くない。食事を与え、寝かせるだけの収容施設から、子供を育て直す養育施設に変わらないといけない」と遠藤さんは力説する。

               ■ □ ■ 

 厚生労働省は平成12年以来、グループホーム設置を推進するなどで家庭的な環境づくりに努めている。グループホームの職員は、子供6人に対して2人。6人に1人の従来型施設よりも、子供の心は安定するとの考えからだ。

 しかし、「数の問題ではない」というのが、施設を巣立った“子供”たちの共通認識だ。広瀬さゆりさん(24)は小学6年生から高校卒業まで神奈川県内のグループホームで育った。「家庭の雰囲気を味わえたし、職員もちゃんと育ててくれたと思います。でも、『見捨てられた私は1人で生きていかなくてはならない』という感覚はぬぐえませんでした」という。今は、同じような経験をもつ者同士が話し合う場「日向ぼっこ」を運営する。「私たちに必要なのは、親の代わりに一緒に生きてくれる大人。職員数が増えても、目の前の子供の悩みに耳を傾け、一緒に解決策を考えながら背中を押してくれる人が少なければ、何も変わらない」という。

 今別府誠さん(25)は都内の児童養護施設で育った。職員数は少なかったし、規則は厳しく、プライバシーもなかった。ストレスはたまったが、生活全般には、いい印象が残っているという。「育児放棄のような形で僕を施設に預けた親を思うと、さびしかった時期もありました。でも、その欠如感は、3歳から高校卒業まで、親身に支えてくれた1人の職員が埋めてくれた。感謝の気持ちでいっぱいです」という。

 職員の質がバラつく理由には、研修の不十分さが挙げられる。国の委託で施設職員の研修を行う「子供の虹情報研修センター」によると、主任クラスを対象にしたプログラムは年に4日間、受講者は約100人。センター自ら「子供と愛着関係を築ける職員を増やすには不十分」という。

 明治学院大学の北川清一教授は「施設長や職員が『親が育てられなくなった子供を預かってあげている』という意識を捨て、子供の小さな訴えに耳を澄ませてほしい。都道府県の研修、養成校の教育の充実は不可欠です」とする。そのうえで、施設内虐待についても「都道府県に子供や職員が駆け込んで悩みを訴えられる機関を設け、施設に改善勧告する仕組みを早急に作るべきです」と指摘している。


児童養護施設職員の過半数が体罰容認 都社福協調査

2000.07.23(04:03)asahi.com
 さまざまな事情で親と一緒に暮らせない子どもたちが生活する児童養護施設の職員の半数以上が、「体罰は良くないが、やむを得ない場合もある」など、体罰を容認していることが、東京都社会福祉協議会の調べで分かった。しかも若い職員ほど容認派が多かった。体罰の禁止は長年の課題だが、現場の意識改革はなかなか追いついていない現状が浮き彫りになった。この種の調査結果が明らかになったのは初めて。

 東京都社会福祉協議会・児童部会の子どもの権利委員会が、都内の児童養護施設と自立援助ホームの施設長、児童指導員、保母らを対象に1998年に実施した。364人が回答、42%の回収率だった。

 体罰について個人的な考えを聞いたところ、48.3%の職員が「いかなる場合もよくない」と答えた。

 しかし、「よくないが、やむを得ない場合もある」(44.1%)、「限度を超えないようにすれば、効果的な手段である」(2.8%)、「指導上、妥当とはいえないが、効果的な手段である」(1.7%)など、体罰を容認する答えが半数を超えた。

 特に、20代の職員に体罰容認派が多く、20―24歳では61%、25―29歳では50.5%が、「やむを得ない場合もある」だった。30歳以上の3、4割と比べると高く、経験不足もあり、子どもへの対応に苦慮している様子がうかがえる。

 体罰が生まれる要因を聞いたところ、4人に3人が「職員の指導能力に問題がある」と答え、2人に1人が「職員養成に問題がある」としていた。「子どもに問題がある」とした人も4割近くいた。

 体罰のない処遇を実現するために必要な取り組みは、「職員間の援助、チームワークの向上」(76.4%)、「子どもとの話し合いの充実」(64.6%)が多かったが、「職場内・外での研修」「専門職の新規配置、職員の充実」なども5、6割の職員が必要と答え、現状の態勢の改善を求める声が大きかった。

 調査にかかわった施設関係者は「体罰容認が半数を超すのはたいへん問題。特に若い人にその傾向が強いのは驚きだ。児童養護施設での体罰問題の複雑さ、重要さを再確認した」と話している。

障害者施設の体罰防止へ評価基準策定 厚生省

2000.05.02(21:22) asahi.com
 障害者施設での体罰や人権侵害を防ぐため、厚生省は2日、サービス共通評価基準を策定した。これをもとに、今年度は障害者福祉と社会復帰のための施設約4850カ所に自己評価を求め、施設ごとの改善点を洗い出す。将来は同じ基準を用いて第三者機関にも評価させ、結果を公表して利用者の施設選びに役立ててもらう予定だ。

 基準は、厚生省の検討委員会(座長、岡田喜篤・川崎医療福祉大副学長)がまとめた。人権への配慮や生活支援サービス、地域との連携などの観点で258の質問項目を設け、該当数によって施設の姿が浮かび上がる仕組みだ。

 身体拘束や暴力、無視など体罰防止に関する質問項目は(1)具体例をあげて禁止するマニュアルがあるか(2)日ごろの会議で体罰がないことを確認しているか(3)利用者への接し方の研修をしているか(4)体罰を行った職員の処分規定があるか――の4つ。そのほか利用者のプライバシーへの配慮や、苦情があった場合の対応などもチェックする。

 評価の際は施設長らだけで回答せず、管理職と一般職員、職種グループなどに分かれて検討し、総合的な判断をするよう求める。

 厚生省はほかの福祉サービスにも第三者機関による評価を導入し、サービスの質の向上を図る方針で、評価機関のあり方や結果の公表方法などを検討中だ。

あしなが育英会、親が自殺した子のケア施設建設へ

10:58a.m. JST May 13, 2000 asahi.com
 不況やリストラなどの影響で働き盛りの親を自殺で失う子供が増えていることから、「あしなが育英会」(東京都千代田区)は、遺児の心のケアをする施設を建てることを決めた。4月に同会が残された子供らの文集を発行したところ、1カ月足らずで「読みたいので欲しい」という申し込みが約5000件あった。反響の大きさに、「経済的支援も大切だが、心のケアにより重点を置いた活動が必要だと感じた」と玉井義臣会長は話す。2年後の完成を目指して、14日から募金活動を始める。

 自殺や病気で親を失った遺児の進学を支援している同会が計画しているのは、「東京レインボーハウス」(仮称)の建設。病気や事故と違い、自殺で親を失った子供の多くは「人には言えない」「わかってもらえない」という思いを心の奥に押し込めている。同じ痛みを抱える者が集い、共に語り合うことで、その心の重荷を少しでも軽くできたら、というのが狙いだ。

 同会は昨年1月、阪神大震災で親を失った子供のために「レインボーハウス」(神戸市東灘区)を建てた。柔らかいマットで壁や床を覆った「火山の部屋」で子供は力いっぱいサンドバッグをたたく。小さな「おもいの部屋」では大きないすに包まれ1人で泣く。「おしゃべりの部屋」では同じ境遇の子供たちが語り合う――。感情を発散し、悲しみを分かち合う場を提供することで、子供たちの精神的支えとなってきた。

 「東京レインボーハウス」も同じような施設を考えている。公的支援を受けていない同会は募金だけが頼み。神戸は3年越しの募金活動で約15億円を集めたが、これまでのノウハウを生かし、2年間でオープンにこぎつけたいという。

 同会は先月、親の自殺に直面した子供の文集を発行したところ、申し込みの電話や電子メールが殺到し、今も1日100件以上あるという。体験談や感想も寄せられ、原稿用紙40枚に思いをつづってきた人もいた。

 14日、遺児への支援を呼びかけて10キロのコースを歩く「あしながPウオーク10」が全国各地で約1万3000人が参加して開催される。今年は一部で「東京レインボーハウス」への資金援助も呼びかける。

 募金などの問い合わせは「あしなが育英会」(03・3221・0888)へ。


園長が刈り込みばさみで園児の指切る

2000年05月27日 サンスポ&夕刊フジ
 体罰が問題となっている千葉県船橋市の児童養護施設「恩寵園」(新田目建園長)で、前園長が児童の指をはさみで切るという事件が起きていたことがわかった。千葉県警捜査一課などは27日までに、この前園長、大浜浩容疑者(63)=同市習志野台=を逮捕した。

 調べによると、大浜容疑者は平成6年9月、当時7歳の入所男児がはだしで屋外に出たことに腹を立て、庭木のせん定に使う刈り込みばさみの間に児童の小指を入れて切り、2週間のけがを負わせた疑い。大浜容疑者は容疑を否認しているという。

 同園は、児童にニワトリの死がいを抱えて寝かせるなどの虐待で県から改善勧告を出され、大浜容疑者が解職。3月には入所女子児童にわいせつ行為をしたとして、元職員で大浜容疑者の二男が逮捕されている。

恩寵園:前園長、大浜浩容疑者を傷害容疑で逮捕 千葉県警

2000年5月26日Mainichi INTERACTIVE
 千葉県船橋市の児童養護施設「恩寵園」(新田目建園長)で、園生への体罰や虐待が繰り返されていた問題で、県警捜査1課と船橋東署は26日、同園の前園長、大浜浩容疑者(63)=同市習志野台2=を傷害容疑で逮捕した。

 調べでは、大浜容疑者は同園の園長兼理事長だった1994年9月ごろ、小学1年だった男子園生(当時7歳)が素足で屋外に出たことに腹を立て、左手小指を枝切りはさみで切り、10日以上のけがを負わせた疑い。「言うことを聞かないので注意しようとした」と供述しているという。

 同園は18歳未満の児童・生徒が入所する児童養護施設。1995年、千葉県の調査で体罰が明らかになり、96年4月には、当時園長だった大浜容疑者の体罰を訴え園生13人が逃走。県は当時、改善勧告も出さず、今年2月になって初めて大浜容疑者の体罰を一部認定し、大浜容疑者は園長を辞職した。3月には、園生の女児に対する強制わいせつ容疑で、大浜容疑者の二男で元職員の晶被告(31)が逮捕・起訴された。同園は4月、大浜容疑者を改めて「解職」とし、役員全員を刷新する改善計画を県に提出している。

恩寵園の体罰問題 元園長を傷害容疑で逮捕

2000.05.26(23:26) asahi.com
 千葉県船橋市薬円台4丁目の児童養護施設「恩寵(おんちょう)園」で、長年にわたって園児への体罰が指摘されていた問題で、県警捜査一課と船橋東署は26日、船橋市習志野台2丁目、元同園長で無職大浜浩容疑者(63)を傷害の疑いで逮捕した。

 調べによると、大浜容疑者は園長兼理事長だった1994年9月ごろ、同園内で、当時小学1年だった男子園児が裸足で屋外に出たことに腹を立て、左手小指を植木ばさみで切って10日から2週間のけがをさせた疑い。調べに対し大浜容疑者は「言うことを聞かないので注意しようとした。けがをさせるつもりはなかった」などと話しているという。

全国の児童福祉施設、体罰禁止規定まだ3割 厚生省調査

3:06p.m. JST April 11, 2000
 さまざまな事情で親と一緒に暮らせない子どもたちが入所している全国625の児童福祉施設のうち、子どもへの虐待を禁止する「懲戒権の乱用禁止規定」を設けていない施設が7割にのぼることが、厚生省の調査でわかった。厚生省は2年前、児童福祉施設で体罰が行われていることが次々に明るみに出たことから、児童福祉施設が守るべき最低基準に懲戒権の乱用禁止を定め、それぞれの施設にも同様の規定を設けるように指導していた。今回の調査結果について厚生省は、「現場ではいまだ子どもの権利擁護という意識が十分浸透していないようだ」と分析している。

 厚生省の調査によると、全国に553ある児童養護施設のうち、69%が懲戒権の乱用禁止を施設の規定に設けていなかった。また、55カ所ある児童自立支援施設は36カ所、17カ所の情緒障害児短期治療施設は12カ所が同様の規定を定めていなかった。

 子どもの権利擁護について施設内で研修をしているかどうかとの質問には、全体の15%にあたる92施設が実施していないと回答。子どもが意見を表明する機会を確保しているかどうかについては、580施設が児童会活動の促進、施設長や職員との個別面接、意見箱の設置などの形で行っていると答えた。約7%にあたる45の施設は意見表明の機会を全く確保していなかった。

 厚生省は2年前、子どもの権利を守るため、児童福祉施設最低基準に「身体的苦痛を与え、人格を辱める等その権限を乱用してはならない」との規定を定めた。権限の乱用にあたる行為としては、殴る、けるなど直接子どもに暴力をふるう行為のほか、正座など長時間一定の姿勢をとるよう求めることや食事を与えないこと、必要な睡眠時間を与えないこと、施設を退所させるなどと脅かすことなどが該当するとした。

 厚生省は「言わずもがなのことだが、懲戒権乱用の禁止規定を3割しか定めていないというのは少なすぎる。一般に、児童福祉施設は親代わりという意識が強く、子どもの権利というより『教育していく』という意識が強いのではないか。今後さらに指導を徹底したい」と話している。

 児童福祉施設の職員による子どもへの虐待や体罰をめぐっては、職員を雇用する際に「体罰はしない」との誓約書をとり、職員がその約束を破り、体罰をふるった場合は処分対象としている施設もある。一方で、神奈川県鎌倉市の児童養護施設「鎌倉保育園」や千葉県船橋市の「恩寵(おんちょう)園」などでは虐待が広く行われていたことも明らかになっている。

神奈川県の知的障害児施設で職員が障害者の体毛そる

10:05p.m. JST March 25, 2000
 横浜市にある神奈川県立の知的障害児・者施設で今月中旬、入所している男子3人の下腹部の体毛を、男性職員が、そっていたことが25日、分かった。県は近くこの職員らを処分する。報告を受けた岡崎洋知事はこの日、3人の保護者に会って謝罪した。

 県福祉部によると、19日午後6時半ごろ、施設のデイルームで、15歳から18歳の男子入所者3人のひげを電気かみそりでそっていた男子職員(29)が、3人の衣服を脱がせて下腹部の体毛もそったという。職員2人が見ていたが、注意しなかったという。

 22日、別の職員が3人の着替えなどを手伝っていて気付いた。職員間の引き継ぎ帳に「3人に毛をそられた跡がある。いたずらだとしたら許せない」と書き込んだため、県側が事件を知った。

 調べに対し、そった職員は「ほんの軽い、いたずら心でやった」と話したという。

 岡崎知事は「人権尊重の精神にもとる行為に、報告を受けてがく然とした。管理、監督責任を含めて厳正な処分をし、深くおわびしたい」とコメントを出した。

体罰問題の児童福祉施設「恩寵園」、廃園方針を撤回

7:41p.m. JST March 09, 2000
 入所者への体罰や虐待を指摘され、廃園の方針を打ち出していた千葉県船橋市の児童福祉施設「恩寵(おんちょう)園」が9日、「廃園を撤回し、運営を継続する」と千葉県に報告した。同園は先月、「体罰がある」との県の調査結果を受け、理事会で廃園の方針を決めた。これに対し、厚生省や県が「子供の気持ちに配慮を」と再検討を指導、園の職員や卒園者らも「廃園は体罰の事実をあいまいにする」などと撤回を求めていた。

 同園の最首和雄理事長は「子供のためを思って決定を変更した」と話し、運営を監視する第三者機関の設置などを求めた県の改善勧告に沿い、早急に改善計画書を作成することも県児童家庭課に伝えた。

施設の子の訴え聞く体制づくり 厚生省が機関設置へ

03:16a.m. JST March 05, 2000
 厚生省は4月以降、児童養護施設など児童福祉施設を評価したり、入所中の子どもから相談を受けたりする第三者機関をつくる事業を始める。厚生省は福祉サービスについては、2003年から利用者が選択する制度に移行させる改革を進めているが、児童福祉の分野では、行政が入所する児童養護施設などを決める「措置制度」が残る。施設には子どもが望まないことを指導しなくてはならない面がある一方、一部で子どもたちに体罰や虐待が加えられていることも明らかになっていた。客観的に施設運営の内容を評価する仕組みや子どもが相談できる機関が必要だとの指摘が出ていた。

 厚生省によると、具体的な運用については各都道府県などに任せるが、地域の社会福祉協議会などにまず、弁護士や医者、心理学者、住民代表、施設の出身者などからなる委員会を設置。施設自身が行う自己評価に加え、この委員会が直接施設に赴いて調査し、施設に対して改善のための助言などをする。子どもたちにも直接意見を聞き、助言などに反映させるという。

 子どもたちが気軽に相談に来られるような場所をつくったり、電話を開設したりすることも想定されている。

 厚生省はとりあえず、10カ所の都道府県に対してモデル的に運営費を2分の1補助する方針だ。

 児童福祉施設については、親から虐待を受けたり、親に養育能力がなかったりするなど、親と一緒に暮らせない子どもが入所しているため、施設で体罰や不当な扱いを受けても、苦情が外に出にくいと言われてきた。子どももほかに行くところがなく、虐待や体罰があっても内々にされてしまう傾向もあるという。

 昨年、子どもが体罰を受けていたことが発覚した神奈川県鎌倉市の児童養護施設「鎌倉保育園」のケースは、関係者の通報で初めて事実が分かった。千葉県船橋市の児童養護施設「恩寵(おんちょう)園」のケースは、4年前に子ども13人が脱走、児童相談所に駆け込んで、初めて表面化した。それでも、第三者機関などがないため、県が虐待の事実を確認したのは今年2月になってからだった。

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