TOPIC No.2-6-L 鈴木自動車


フォルクスワーゲンとスズキ 「イコールパートナー」なれるのか

2009年12月15日 J-CAST

 1978年に社長に就任して30年あまり。世界の有力企業を見渡してもそう多くはないであろう、大ベテラン経営者がスズキの新たな資本・業務提携を決断した。

 スズキの鈴木修会長兼社長は2009年12月9日、東京都港区の六本木ヒルズで独フォルクスワーゲン(VW)のマルティン・ヴィンターコルン会長とともに記者会見を開き、同日、スズキとVWが包括的提携に合意し基本契約書に署名した、と発表した。

■具体的な業務提携の内容公表されず

 鈴木会長は「スズキは率直に言って環境技術の開発は遅れをとっている。持ち味は小さな車をコストを下げて造ることでこれは自信を持っている。インドやアジアに工場を持ち力を出している」と自社の評価を示したうえで「スズキの良さとマイナスを何とかカバーしないといけないと決意した」とVWとの提携の理由を語った。

 2006年に経営が悪化した米ゼネラルモーターズ(GM)が保有するスズキ株の大半を売却したときを振り返ってスズキ会長は「1981年にGMと提携しまさかこういう事態を迎えるとは思わなかったが、株式売却で包括提携関係は終わったと理解した」と述べた。GMのリック・ワゴナー会長から電話で知らされた瞬間から鈴木会長の頭では次なるパートナー探しが動き出したはずだ。

 ただ、メディアに対しては「こちらと終わったら次はハイあちら、とはいかない」と、音なしの構えを貫き11月2日の中間決算発表でもVWとの提携報道の確認に「火のないところに煙は出ないというが火の気のないところに皆さんが煙をつくっているようだ。とくに関係ない」と否定した。提携会見で鈴木会長は「総理大臣が解散でウソをついてもいいのと一緒じゃないでしょうか」と釈明した。

 2010年1月にVWがスズキ株の19・9%を約2千億円で取得することと、そのあとにスズキがVW株を約1千億円、2・5%を取得する(浮動株が少ないためまず1・25%、500億円を取得予定)ことが明らかにされた以外、具体的な業務提携の内容は公表されなかった。

■80歳目前、したたか鈴木会長はどう動く

 鈴木会長は「ハイブリッドだとか軽量化やディーゼルの問題、ディストリビューター、南米やアジア、アフリカはどうするかなど、グローバルでどこでも協力しあっていく」と話し、ヴィンターコルン会長は「われわれは欧州市場、スズキはインド市場のことがよくわかる。互いに情報交換して部品共通化を進めていきたい」と語った。

 記者会見で鈴木会長が繰り返したのは「イコールパートナー」という言葉だった。企業規模、出資のインパクトを考えるとVWグループに組み込まれると見られても不自然ではないだけに、さまざまな質問に対してスズキの自主独立を強調した。GM、インド政府、日産自動車など世界中でより大きい相手と丁々発止やりあいながら協力関係を築いてきた名経営者らしく、主導権への強いこだわりを見せた。

 フェルディナンド・ピエヒVW監査役会会長も見守る会見では終始、鈴木会長を立てたVW側だったが、両社の関係がどうなるかは予測できない。三菱自動車に対するダイムラー・クライスラーのような支配欲むき出しの進め方は避けると見られるが、彼我のメリットデメリットをどうバランスさせるか。トップからプロジェクトメンバーまで、どういう方針で共同の仕事に臨むかが今後を大きく左右する。提携交渉に当たった会長の長男、鈴木俊宏取締役専務役員の動きにも関心が集まりそうだ。「年齢は7掛け」が口癖の鈴木会長は年明けに80歳を迎える。

スズキとVWの提携で、トヨタは安堵?

2009.12.13 MSN産経新聞

 スズキと独自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)が9日、業務・資本提携を発表し、世界最大の自動車グループが誕生する。業界では三菱自動車と仏プジョー・シトロエン・グループ(PSA)との資本提携交渉が明らかになったばかり。相次ぐ世界規模の業界再編で他社の次の一手が注目されるなか、「今回のスズキとVWの提携で、業界首位のトヨタ自動車は安堵(あんど)しているのでは…」(関係者)との声が聞こえてくる。その真相を探った。

 スズキとVWによる提携の内容は、株式の相互持ち合いや環境性能に優れた小型車の共同開発、部品の共通化など。VWは来年1月に2224億円でスズキ株19・9%を取得し、スズキの筆頭株主となる。スズキはインド、VWは中国で強力な販売網を持ち、両社が小型車開発でタッグを組むことで、新興国市場での収益性向上を目指す。

 VWの2009年1〜9月の世界販売台数は478万台で、トヨタと米ゼネラル・モーターズ(GM)に次いで3位。スズキは171万台で9位だが、VW・スズキ両社の合計で649万台となり、首位のトヨタ(564万台)を抜く。

 08年の世界販売台数でGMを抜き首位になったことが分かった1月以降、トヨタは“トップランナー”の苦しみを嫌というほど味わった。

 昨年秋、米国での金融危機に端を発した世界同時不況により、新車の販売台数が激減。当時の米国の好景気を追い風にした拡大戦略が裏目に出た。

 1月以降、各国で導入されたスクラップ・インセンティブ(新車購入補助)の効果もあり、10年3月期の営業損失予想も3500億円(8月時点での予想は7500億円の損失)と赤字幅は縮小している。

 自動車業界の頂点に君臨以降、米国市場での“トヨタバッシング”は、尋常ではなかった。カリフォルニア州の完成車工場の合弁相手だったGMの破綻(はたん)を受け、合弁工場の閉鎖決定によって現地での対トヨタ感情が一気に冷え込んだ。さらに高級車「レクサス」などでアクセルに運転席のフロアマットが引っかかる「フロアマット問題」が連日報道され、11月25日には400万台以上を対象する大規模な無償交換措置の発表に追い込まれた。現地では「世界販売台数でGMはトヨタに追い落とされた」という感情が強く、トヨタへの鬱憤(うっぷん)がたまっているのかもしれない。

 相次ぐ自動車業界の再編について、トヨタは「他社に関することなので、コメントする立場にはない」としている。ただ、今後は世間の注目がトヨタだけでなく、スズキ・VW連合にも集まる。

 自動車業界に詳しい東海東京調査センターの加藤守名古屋調査部副部長は「自動車市場における相対的なトヨタの地位低下は避けられない」とみる。

 このことは、ライバルによるマークが薄くなる可能性があるともいえる。トヨタにとっては、これまでのようなバッシングを気にすることなく、インドや中国での新興国市場戦略の強化に専念できる環境が整うというわけだ。

 ある業界関係者は言う。 「業界再編でホッとしているのは、実はトヨタかもしれない」と。(松村信仁)

独VWがスズキに19・9%出資 新興国開拓、環境技術で包括提携

2009.12.09 MSN産経新聞

 スズキとドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は9日、包括提携で基本合意した、と発表した。VWは来年1月にスズキの株式19・9%を取得し筆頭株主となる。スズキもVWからの出資金額の半分程度でVW株を取得し、相互に株を持ち合う。

 これを受け、スズキの鈴木修会長兼社長とVWのヴィンターコルン会長が同日、東京都内で記者会見した。

 鈴木会長は「スズキはハイブリッド車、電気自動車など環境技術の分野で後れをとっており、VWの助けを借りていきたい」と狙いを説明。ヴィンターコルン氏会長は「生産と販売、開発と購買で相乗効果を生んでいくことが不可欠。アジアにおいて両社は前進できる」と述べ、新興市場開拓に期待を示した。

 VWによるスズキ株の取得金額は約2000億円程度となる見込み。スズキは、その半分の約1000億円を上限にVW株を取得する。

 VWは出資を通じて、スズキが強みとするインドなど新興市場の事業基盤を強化する。スズキはGMとの資本提携を解消しており、VWとの連携で課題となっている環境技術対応などを急ぐ。

 中国市場に強いフォルクスワーゲンとの資本提携で、事業基盤の強化を図りたいスズキと、インドなどの新興国を開拓したいVWの思惑が一致した。

 フォルクスワーゲンの世界販売台数は昨年625万台でトヨタ自動車、米ゼネラルモーターズに次ぐ3位で、スズキの236万台を加えると861万台とグループとして首位に肉薄する。

【スズキ・VW会見】(1)鈴木会長「環境技術で助け借りたい」

2009.12.09 MSN産経新聞

 スズキと独フォルクスワーゲン(VW)は9日、包括的な業務提携で基本合意した。これを受けてスズキの鈴木修会長兼社長とVWのヴィンターコルン会長が同日午後5時から、東京都内で共同記者会見を開いた。一問一答は次の通り。

 鈴木氏「VWと包括的な契約に調印した。東京で調印の式典を催したため、VW関係者にはわざわざ東京にお出かけいただいた。お礼を申し上げたい。ご承知の通り、リーマンショック以来、経済の停滞も大きいが、中でも自動車産業は輸出が大きかっただけに、日本も影響が大きいし、世界も影響が大きい。そういう中で、スズキがどうやって生き残るかを考えなければいけなかった。スズキはハイブリッド車、電気自動車など環境技術の分野で後れをとっており、VWの助けを借りていきたい」

 「今後、スズキの株式の19・9%をVWに持っていただく。売買価格は2千億円近くになると思うが、スズキも売買価格の50%、1千億円程度の株式を持たせていただく。しかしVWの浮動株がほどんどんないため、当面500億円程度の株を買う。役員の派遣はないがVWの本社に私どもの事務所を置くなど、情報交換を迅速にやっていきたい」

 「海外メーカーとの提携は、言葉、風俗、習慣も違う。一番大切なのはトップ同士の信頼関係。次によく話し合うこと。話し合えば人間対人間。今までの経験を生かしながら友好的にやっていきたい」

 ヴィンターコルン氏「自動車産業には新たな秩序が生まれつつある。その中で生産と販売、開発と購買で相乗効果を生んでいくことは不可欠だ。両社は堅実な財政基盤をもっており、危機の時代こそ強みを持っている。VWは自動車産業のマルチブランドとして強く、南アメリカ、中国ではマーケットリーダーだ。一方、スズキは東南アジアなどで強く、インドでナンバーワン。私どもはコストメリットでの相乗効果を追求したい。アジアにおいて両社は前進できるだろうし、スズキはわれわれの環境技術のメリットを受けられる。これからはハイブリッド車や電気自動車の開発を進めたい」

【スズキ・VW会見】(2)「19・9%ちょうどいい数字」鈴木氏

2009.12.09 MSN産経新聞

 −−提携交渉の経過について聞きたい

 鈴木氏「他のメーカーからの提案はまったくなかった。たまたまVWから『どうだ』という声があった」

 −−出資比率や持ち合いの意味については

 鈴木「19・9%くらいが自主独立を保てる、ちょうどいい数字だと思う。経験上の経営判断だ。私どももVWの株を持つのは、イコール・パートナーでやっていくという決意をスズキの従業員に持ってもらうという理由が一つ。また、19・9%の株というのは2千億円に相当する。それだけの額をVWにお持ちいただくのだから、われわれも半分くらい持たせていただくのが社会常識だと思った。ただ、VW株は品薄で、浮動株が少ない。当面、スズキは500億円分ほどを持たせてもらう」

 −−20年以上前、VWとスズキは提携話が頓挫したことがある

 鈴木氏「失敗したとは私は思っていない。当時はGMとの提携もあったし、VWにも家庭の事情があった。これから両社でやることはたくさんある。VWからは『俺の方はこういうことをやりたい』という提案も出ている。メリットのあるものからやる。明日からどんどんやっていく」

 ヴィンターコルン氏「鈴木さんの言った通りだ。今回の提携は確実なパートナーシップと言える」

 −−経営参加などはあるのか?

 鈴木氏「違った会社が提携する上で、大切なのは経営をオープンにすることだ。日本流に言うとガラス張り、全部外からみえるようにすることが重要だ。隠し事はいけない。両社の中に互いの事務所を作り、スズキの定期の業況報告会にVWの駐在の人に来てもらえば、ガラス張りになる。日常の仕事の中で話し合うのが重要。問題はトップやスタッフ同士の信頼関係だ。ハイブリッド、電気自動車、ガソリンエンジン、ディーゼル、アジア、南米など、やるべき分野はいろいろある。双方が気付いたことからやっていくことが重要だ」

 ヴィンターコルン氏「私どもの考え方も同じだ。鈴木会長の言う通り信頼が大切だ」

【スズキ・VW会見】(3完)「うちはへぼではない」鈴木会長

2009.12.09 MSN産経新聞

 −−スズキにとって、提携による新興国でのメリットは

 鈴木氏「大量生産や販売のメリットが出る。その中でも部品の共通化をしていくことが大切。インドでVWと競争相手になるのじゃないかという話もあるが、互いに競争していかなければならない。しかし、半面では協調する。競争しない市場に発展はない。部品などについては協調し、ビジネス全体では競争する」

 −−鈴木会長はこれまでマスコミに対し、VWとの交渉を否定していたが

 鈴木氏「話し合いがまとまっていない、VW側とお会いをしただけの段階で、公表することはできない。ゴールが見える時点で、初めて公表できるといっていることだ。首相が国会の解散権を行使するときは嘘をついていいといわれている。それと同じだ」

 −−スズキのインド子会社の提携に対する反応は

 鈴木氏「今、説明する必要はない。VWからインドについての申し入れがないのに、あわてる必要はない。競争しながら協調していく。その技術を、今までの経験をいかしながらうまくやっていけると自信を持っている」

 −−スズキの社長は、今後、ずっと日本人か

 鈴木氏「(記者は)勘違いしていらっしゃるのでは。スズキはVWの12番目のブランドになったわけではない。あくまでイコール・パートナーとしてやっていく。ドイツから経営者を迎えなければならないほど、うちはへぼでない」

 −−交渉はどれくらい時間がかかったのか。また、VWがスズキを子会社化することを視野に入れているという報道もある

 鈴木氏「9月下旬から10月、11月にかけて急ピッチに話し合いが進んだ。ヴィンターコルンさんが11月に浜松においでになり、工場にも来ていただいた。トップに見ていただくのが決定が速い。そのへんから進んだ。子会社化については、基本契約書にはそういうことは書いていない。また後継者についてだが、今は50年前と違い、(経営者の)年齢は7掛けで考えるのが正しいと思う。私は81歳だから、7がけで56歳。これからも元気でやればいいのでは」

 −−日産自動車とのOEMなどはまだ続けるのか。また、買う株は優先株なのか普通株なのか

 鈴木氏「日産などは国内用の軽自動車なので、そのまま続けても問題ない」

 ヴィンターコルン氏「株主は、優先株かどうか、どの株を買うのかは鈴木さんに任せたい」

 −−今後、VWは出資比率を上げるのか

 鈴木氏「そういう話が出るのは経営状態が悪化したときだ。利益を上げ、健全経営にしてくことが大切だ。指導いただくところは指導していただくが、自主独立でやっていく気概が必要だ。私もあと20年はいる。見届けてほしい」

 ヴィンターコルン氏「鈴木会長がすべてクリアにおっしゃった。補足することはない」

 −−世界最大の台数になるが、そのスケールメリットは。また、部品共通化の具体的可能性について

 鈴木氏「部品については、技術屋同士が会うと、それぞれ自分のところがいいという。しかし、成長経済でないこれからは、そんなわがままなことは言っていられない。これからは品質、コスト面などでの評価を重視しなければならないし、地域によって品質を変えなければならない。そういったことは、台数に関係がない」

 ヴィンターコルン氏「(トヨタを抜くことにについて)私たちの目標は、世界でナンバー1になることだ。スズキさんの協力で加速できると思う」

 −−これまでの米GMとの提携ともっとも違う点は

 鈴木氏「一番違うのは、GMとは車が競合しなかったことだ。VWとは似ている部分がある。ただ、それによって部品を共通化しやすいといったメリットがある」

スズキ インドの種実る 米依存せず先読み 黒字確保

2009/05/12 Fuji Sankei Business i

 スズキが11日発表した2009年3月期の連結決算の最終損益は、前期比65.8%減の274億円の黒字となった。本業のもうけを示す営業利益も、同48.5%減の769億円。トヨタ自動車が営業赤字に転落するなど各社が苦しむ中、不況時における強さを印象づけた。ただ、10年3月期の連結業績予想は為替を1ドル=90円と円高を想定し、最終黒字予想を50億円と絞った。実質的な黒字ゼロを見込むことで社内の危機感を高め、どれだけ販売を上積みできるか。昨年末、社長に再登板した鈴木修会長の手腕にかかっている。

 ≪熟練の経営手腕≫

 スズキの09年3月期決算の売上高は、前期比14.2%減の3兆48億円。国内では主力の軽自動車などの販売が堅調だったため、同1.6%減の微減にとどまったものの、北米向けの二輪車や四輪車が落ち込み、足を引っ張った。10年3月期連結決算予想は、売上高が前期比23.5%減の2兆3000億円で、2年連続の減収減益となる。

 「スズキには内部留保がない。絶対赤字にしてはいけない」

 東京都内で記者会見した鈴木会長兼社長は黒字確保への意気込みを強調したうえで、2月から実施している社員を出勤させずに賃金の一部をカットする一時帰休を9月まで続ける考えを明らかにした。

 経営危機に陥っている米自動車大手、GM(ゼネラル・モーターズ)との業務提携についても、鈴木会長は「今後も続けたい」とサラリ述べ、社長就任から32年目の最長老トップならではの“熟練ぶり”をそれとなく見せた。

 営業利益、最終利益ともに大幅減を余儀なくされたとはいえ、スズキが黒字を確保した背景には軽自動車販売の底堅さがあるが、それだけではない。

 海外売上高における北米市場の水準が全体の7%程度と低いうえ、小型車を投入するインドの自動車市場が同国政府の景気刺激策で好調だったことは、黒字確保の源泉になった。トヨタが最終赤字に陥る理由には、販売台数の約3割を北米に依存する構造要因があるだけに、まさに対照的といえる。

 ≪自助努力の“決意”≫

 また、08年から着実に在庫調整を進めるなど業界内には「先を読んで手を打つ鈴木会長のリーダーシップがにじむ」(大手メーカー)との見方も少なくない。10年3月期の業績予想の前提として円高を想定するのは、外部要因による減益リスクを排除し、販売増やコスト削減など自助努力による黒字積み上げを目指す意志のあらわれだ。

 頼みとしてきたインド市場について鈴木会長は「(インド政府の)景気対策がいつまで続くか分からない」と語ると同時に、現地のタタ・モーターズが投入した超低価格車「ナノ」に対して「現在のモデルを中心に売る」と強調。国内の軽自動車市場については「落ち込む可能性がある」など、独自の見方を示した。

 昨年12月の社長再登板会見で「景気回復までやりぬく」と宣言した鈴木会長。多くの荒波をくぐりぬけた“カリスマ”だけに、赤字転落を避けるため、新たな一手を繰り出しそうだ。(山口暢彦)

GM、スズキ株全株売却へ 223億円を資金繰りに充当

2008/11/17 中国新聞ニュース

 スズキは十七日、米自動車最大手ゼネラル・モーターズ(GM)が保有するスズキ株(発行済み株式の約3%)をすべて株式市場を通じて売却し、スズキが十八日に自社株買いで取得すると発表した。すべて買い取る場合、取得額は約二百二十三億円。

 GMは経営危機が深刻化しており、売却益を資金繰りに充てるとみられる。両社は、環境対応車の開発などの提携関係は続けるという。

 GMの日本法人によると、GMは業績が好調だった時に、スズキのほか、いすゞ自動車、富士重工業とも資本提携を結んだが、経営悪化とともに保有株売却が相次ぎ、スズキ株売却で日本勢との資本関係はなくなる。

 スズキは、十七日の東京証券取引所の終値である一株当たり千三百六十三円で買い付ける。GMとスズキは一九八一年に提携したが、リストラの一環として二〇〇六年三月に保有するスズキ株約20%のうち約17%を売却し、スズキが自社株買いにより取得していた。

 スズキによると、同社の鈴木修すずき・おさむ会長は十四日にGMのリック・ワゴナー会長と電話会談し、スズキ株の売却を了承した。

 鈴木会長は「GMが資金調達上、保有株式を処分する必要性に迫られた状況も十分理解したので応じた。進行している個別プロジェクトは継続することでワゴナー会長と確認し合っている」とのコメントを発表した。

スズキ、インド西部に専用港・年20万台輸出に備え

2008/02/21 NIKKEI NeT

 【ニューデリー=小谷洋司】スズキはインド西部に輸出向け四輪車の積み出し専用拠点を設けることで現地民間港湾会社と合意した。最大約9500台を収容できる駐車スペースを併設し、年内に運用を始める。2010年までにインドからの完成車輸出を現在の4倍の年20万台に増やすのに向け、独自に港を確保する。

 拠点を設けるのはグジャラート州ムンドラ。スズキの現地子会社であるマルチ・スズキが港湾経営のアダニグループと合意書を交わした。同グループが6億ルピー(約16億円)を投資して専用ターミナルを整備し、マルチは4億ルピー(約11億円)を投じて車両検査施設を建設する。

 マルチは従来ムンバイ港から年5万台程度を輸出してきたが、拡大余地は乏しかった。スズキは今秋からマルチで量産する1000ccの新小型車「Aスター(仮称)」を欧州などに輸出する計画で、積み出し施設の確保が課題になっていた。

GM、スズキ株17%売却へ 3%保有し提携関係は継続

2006/03/06 The Sankei Shimbun

 スズキは6日、世界最大手の自動車メーカー米ゼネラル・モーターズ(GM)が筆頭株主として保有しているスズキ株(発行済み株式の約20%)のうち約17%を、株式市場を通じて売却する、と発表した。GMは約3%の保有は続け、資本提携関係は継続する。

 都内で記者会見したスズキの鈴木修(すずき・おさむ)会長は「事業提携はこれまでと変わらず維持する」と強調。スズキが保有するGMグループの韓国の自動車メーカーGM大宇株の約11%も「従来通り持ち続ける」(鈴木会長)としている。

 GMの売却分はスズキが自社株買いで自ら買い取る。取得価格は約2300億円になる見込み。鈴木会長は「3%はスズキの売り上げにGMが寄与している割合と同じ水準。GMは業績が良くなったら(17%分を)買い戻したいと言っている」と述べた。

 GMは深刻な経営不振から大規模なリストラを進めており、資産売却の一環として、昨年10月の富士重工業の全株(約20%)に続いてスズキ株の大半も手放す。

 GMの小型車戦略は、GM大宇を中心に展開する方針で、スズキとの提携関係は重要度が低下。一部の株主からは効果が薄い提携関係の見直しを求める動きも出ており、GMがスズキに売却を打診した。スズキに派遣していた非常勤の社外取締役トロイ・クラーク氏はスズキ株売却に伴い退任する。

 スズキは1981年以来のGMとの資本提携関係の縮小で、GM傘下で進めてきた事業戦略の見直しも迫られることになりそうだ。

GMがスズキ株売却方針 経営不振でリストラ加速

2006/03/05 The Sankei Shimbun

 経営不振が深刻化している米ゼネラル・モーターズ(GM)が、筆頭株主として保有するスズキ株(発行済み株式の約20%)を売却する方針を固め、スズキ側に伝えたことが5日、分かった。GMは昨年10月に富士重工業株をトヨタ自動車に譲渡したのに続き、リストラ策の一環として資産売却を進める。

 スズキもGMグループの韓国の自動車メーカー、GM大宇の保有株(約11%)の売却を検討するとみられ、両社が互いの保有株をすべて手放すと、1981年以来の資本提携を解消する動きにつながる。

 GMは北米での販売不振などから低迷が長期化。大規模な工場閉鎖や人員削減による再建策を打ち出している。小型車戦略については、GM大宇を中心に展開する方針で、同様に小型車が軸となるスズキとの提携関係が注目されていた。

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