TOPIC No.2-69 春闘/組合

Index
1. 春闘、2. 会社と組合、3. 労働組合費天引きの件、4. 残業代未払い、労基法違反
01. 春闘 infoseekニュース
02. 春闘 YAHOO!News
03. 国民春闘共闘情報 by全国労働組合総連合
03. 春闘 byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


夏のボーナス2・4%増 2年ぶり、上場142社

2010年05月06日 中国新聞ニュ−ス

 民間調査会社の労務行政研究所が6日発表した今夏のボーナス調査によると、東証1部上場142社の平均支給額は昨夏に比べ1万5522円増の66万2832円と、2年ぶりに前年実績を上回る。昨夏は世界的な不況で14・4%減と記録的な減少となったが、今夏は2・4%増える。

 輸出や生産の回復を背景に、業績の改善分をボーナスに反映する企業が増えたため。ただ原油価格値上がりや欧州の動向など景気の先行きには不透明感が強いことから、同研究所は「冬のボーナスも増えるかどうかは推移を見守る必要がある」と慎重にみている。

 調査は春闘で夏のボーナスも決めた企業のうち、同研究所が結果を把握したものを集計した。

 製造業は2・8%増の64万6466円、非製造業は1・5%増の70万9278円で、伸び率では製造業が非製造業を上回った。

 業種別では、製造業は、非鉄・金属が11・0%増で伸び率が最も大きい。非製造業は、商業が7・6%増。

トヨタ一時金満額割れで決着 自動車、電機17日回答

2010/03/16  中国新聞ニュ−ス

 春闘の相場形成に大きな影響を持つトヨタ自動車の労使交渉は16日夜、年間一時金(ボーナス)を賃金の5カ月分プラス6万円とすることで決着した。労働組合は「5カ月プラス10万円」を要求したが、世界不況で打撃を受けた業績がまだ十分回復していないことから、経営側は満額回答を見送った。電機大手ではシャープの労組側が5カ月の一時金を要求したが、経営側は4・5カ月とする意向を示し、満額は困難な情勢だ。

 自動車や電機、鉄鋼など大手製造業の労使の賃金交渉は17日、集中回答日を迎える。定期昇給(定昇)は確保が大勢だが、一時金などは厳しい交渉が続き、賃金の抑制傾向が続きそうだ。

 自動車大手では、ホンダは既に賃金の5・7カ月分とする労組の年間一時金要求に、満額回答を決定。日産自動車の労組は5カ月を要求し、満額に近い水準で協議が続いている。

 電機大手では、日立製作所の労組が5カ月を要求。三菱電機の労組は4・9カ月以上を目指しているが、自動車と比べ業績改善のペースが鈍く、経営側は慎重な姿勢を崩していない。鉄鋼や造船重機の交渉も大詰めを迎えている。

 定昇については、シャープが16日に維持を決定。トヨタや日産自動車、東芝など多くの企業で維持の方針が固まった。

 昨年の春闘はリーマン・ショック後の急激な業績悪化を受け、東芝やシャープなど電機大手で定昇凍結が相次いだ。今春闘では沖電気工業が凍結方針を打ち出したが、労組側の抵抗を受け、定昇維持で決着する可能性が高まっている。

 労組側は、今春闘で時間外労働に対する賃金の割増率の引き上げも求めているが、人件費の増加につながるため、経営側は難色を示している。

ボーナス手取り10万減 6割が「家計苦しい」

2009/07/03  中国新聞ニュ−ス

 サラリーマン世帯の5割以上で今夏のボーナスが昨年夏より減り、手取り額も約10万円少なくなったことが2日、損保ジャパンDIY生命保険の調査で分かった。不況の影響で、約6割が「生活が苦しい」と感じていた。

 調査は6月12〜15日に実施し、全国の20〜50代の主婦計500人が回答した。ボーナスが「減った」は、昨年夏に比べほぼ倍の53・6%に上った。手取り額の平均は9万8千円減の65万5千円。夫が30代の層が23万8千円減の47万円と減少が目立った。

 ボーナスの減少で61・9%の人が、旅行や衣料品購入などの計画を「あきらめたりランクを下げたりした」。ボーナスの主な使い道を複数回答で尋ねると「預貯金」が51・6%を占め、「生活費の補てん」(35・4%)、「ローン・クレジットの支払い」(31・2%)と続いた。

 家計の現状については「苦しい」が61・6%を占めた。世帯年収別では、800万〜1千万円未満が56・8%、600万〜800万円未満は58・7%が「苦しい」と答え、600万円未満は81・6%になった。住宅ローンの有無でみると、ある人の66・2%が「苦しい」と答え、ない人より8・7ポイント高かった。

夏ボーナスから夫に渡した小遣い、平均額は9.8万円 - 昨夏より約2割も減額

2009/07/02 マイコミ ジャ−ナル

 損保ジャパンDIY生命保険は2日、サラリーマン世帯の主婦500名を対象に行った「2009年夏のボーナスと家計の実態調査」をまとめた。同調査は、全国20〜50代のサラリーマン世帯の主婦500名(平均年齢39.6歳)を対象に、6月12日〜15日にかけて行われた。

 ボーナスの平均手取り額は「50〜75万円未満」(33.6%)が最も多く、次いで「25〜50万円未満」(27.0%)、「75〜100万円未満」(13.4%)と続いた。平均手取り額は65.5万円で、昨夏と比較すると約10万円も減少しているとのこと。特に減少が顕著な年代は30代で、昨夏の70.8万円から47.0万円と23.8万円も下がった。

 昨夏よりボーナスが「減った」と回答したのは全体の53.6%を占めた。ボーナスの使い道トップ3は「預貯金」(51.6%)、「生活費の補填」(35.4%)、「ローン・クレジットの支払い」(31.2%)だった。

 昨夏より減ったと回答した人に対し、ボーナスが減って諦めたことについて挙げてもらったところ、最も多かったのは「プチ贅沢」(17.5%)、このほか「国内旅行」(16.4%)、「海外旅行」(15.3%)などが挙げられた。ランクを下げて行ったこととして最も多かったのは「衣料品の購入」(16.8%)で、「ボーナス額の減少も、最近のファストファッションブームの後押しになっているのかもしれません」(損保ジャパンDIY生命保険)。

 ボーナスの中から夫に渡した小遣い額の平均額は9.8万円。昨夏平均の12.3万円から約2割の減額となっている。また「渡さない」は昨夏の41.0%から48.0%に増加した。年代別では、20代の60.8%が「渡さない」としている。一方、妻がボーナスの中からもらった額は平均で7.0万円。また73.0%が「もらわない」と答えた。損保ジャパンDIY生命保険は「今年は多くの課程に夫婦共に我慢の夏になっているようです」と結論づけている。

夏の民間ボーナス、14万7000円減 静岡

2009.07.02 MSN産経新聞

 今夏の県内民間企業のボーナス(夏季一時金)は、前年に比べて14万7078円減少したことが、県労働政策室がまとめた6月25日現在の夏季一時金妥結状況で分かった。

 それによると、すでに妥結済みの242組合の平均額は61万1910円、月数で2・08カ月だった。前年同期を金額で14万7078円、月数で0・52カ月下回る大幅減で、いずれも比較可能なデータが残る平成6年以降で最低だった。

 業種別では、製造業が62万9883円と平均をわずかに上回る一方、運輸業は29万2374円と平均を大きく割り込んでおり、ばらつきが目立った。企業規模別でも、従業員数300人以上の企業が63万4092円と平均を超え、299人以下では48万7247円にとどまるなど、企業間の賃金格差は拡大しているようだ。

ボーナス「出るだけでもまし」が8割超 - 使い道は「貯金」がトップ

2009/07/02 マイコミ ジャ−ナル

 お買物メモサービス「memotto!」は1日、ボーナスに関する意識調査の結果を発表した。同調査は6月26〜28日、インターネットリサーチによって行われ、20〜50代の男女316名から有効回答を得た。

 今年の夏のボーナスの支給額について、59.9%が減ったと回答した。ボーナスが支給されなくなったと答えた6.3%と合わせると、66.2%がボーナスが減少したことになる。

 年齢層別で比較すると40代の72.8%、50代の86.4%が減った、または支給されなくなったとしており、若年層よりも管理職の多い年齢の高い層の人が減額されていることが窺える。また、ボーナスについて「出るだけでもましだと思う」と答えた人は、調査対象者全体で83.5%に上った。

 ボーナスの使い道について調査を行ったところ、「貯金する」がもっとも高く約半数(48.9%)との結果になった。続いて旅行(28.9%)、外食(13.3%)、ファッション(13.3%)の順。エコポイント制度など、景気刺激策が実施されているが、一般生活者はまだまだ消費を控える傾向にあると考えられるという。詳細は、お買物メモサービス「memotto!」 ボーナスに関する意識調査を参照のこと。

自動車、電機、一時金減額相次ぐ マツダは過去最低

2009年03月18日  中国新聞ニュ−ス

 主要自動車、電機メーカーの経営側は18日、賃上げや年間一時金(ボーナス)などを回答。賃上げはいずれも「ゼロ回答」で、一時金はマツダで過去最低の月数となるなど減額が相次いだ。パイオニアと沖電気工業はいずれも5%の賃下げとなる見通し。経営側は雇用維持を最優先にした労働組合を押し切り、組合側は「惨敗」となった。

 トヨタ自動車など自動車主要メーカーはいずれも定期昇給を維持。日本経団連の御手洗冨士夫会長は「定昇のシステムを維持したことは評価している」、連合の高木剛会長は「申し訳ない結果だ」とそれぞれ述べた。

 定昇の一時凍結方針を示した電機大手は、日立製作所が19日以降も組合と協議するほか、東芝や富士通なども来週以降に協議する。

 マツダの年間一時金はベース賃金の4・06カ月で、昨年実績の5・8カ月を大きく下回った。三菱自動車は2・4カ月と、昨年の4カ月を大きく下回り、春闘で妥結した月数としては過去最低。

 電機では、定期昇給を沖電気が来年1月まで凍結。一時金を年間2カ月とするなどの緊急対策を提案しており、3月中の大筋合意を目指して今後組合側と協議する方針。

 半導体大手のルネサステクノロジは、定昇を実施する一方で、組合員平均で10%の賃金減額を4月からの1年間実施することで組合側と合意。一時金は3・75カ月で回答した。

トヨタ、一時金186万円 業績悪化で緊急避難

2009/03/17 中国新聞ニュ−ス

 春闘相場をリードする電機、自動車の賃上げ労使交渉は十八日に集中回答日を迎える。電機大手は定期昇給を維持した上で、労働組合が要求する賃上げには応じない方針。トヨタ自動車は十七日、賃上げはゼロで、年間一時金(ボーナス)は五カ月プラス十万円(平均百八十六万円)で要求額を下回って妥結する見通しとなった。

 東芝や日立製作所は定期昇給の実施延期や期間限定の事実上の賃金カットに乗り出す方向で、労組側に対し緊急避難措置として一時的な賃下げを迫る動きが広がった。世界的な経済危機の中で進められた今年の交渉は、経営側が業績悪化を背景に終始厳しい姿勢で臨み、労組側を押し切る見通しだ。

 東芝は十八日に提示する回答書に「定昇維持」の方針を明記した上で、実施時期について労組側との協議を求める文言を盛り込む方向で調整している。三洋電機も定昇の一時凍結を検討しているもよう。日立の労使は、無給の休日を増やす実質的な賃金カットに合意する見通しだ。

 日産自動車は労組が定期昇給六千円の確保を求めているが、経営側は一時金などとの見合いで最終判断する。一部自動車も定期昇給を確保できない可能性がある。

 一時金をめぐっては、自動車の大半が労組の要求から大幅に減額した水準で妥結する見通し。電機では、業績連動方式で計算した場合に四カ月分の水準を確保できない企業が労使協議で妥結額を探る。

電機連合の最低基準は「定昇維持」「一時金4カ月」

2009.03.16 MSN産経新聞

 日立製作所やパナソニックなど電機メーカーの労働組合でつくる電機連合は16日、中央闘争委員会を開き、春闘の賃金交渉で、ストライキを実施するかどうかの最低基準(歯止め)について、「定期昇給の維持」と「一時金の最低4カ月の確保」とする方針を決定した。各労働組合は18日の集中回答日に向け、経営側と大詰めの交渉に入る。

 電機連合の中村正武委員長は16日の委員会で「いかに厳しい環境下にあっても、最低でも賃金体系の維持は至上命令」と述べた。経営側は、定昇維持は容認する方向だ。

 これまでの労使交渉で、労組側は物価上昇分や生活安定の観点から月額4500円の賃上げを要求する方針だった。しかし、電機大手の最終赤字の総額が2兆円に上る厳しい経営環境にあり、経営側は賃上げの交渉以前に、定昇維持すら厳しいとの態度を崩さず、労組側も賃上げ要求を下ろさざるを得ない形となった。

 一方、一時金については、「4カ月」を歯止めとすることを決めた。ただ、業績連動方式を採用している企業のなかに、4カ月分の賞与を確保できない可能性がある企業もあるため、今後、個別の労使交渉で経営側に4カ月確保を要請していくことを確認した。

トヨタ、管理職賞与を半減 ベア見送りに理解求める

2009/03/14 中国新聞ニュ−ス

 トヨタ自動車が管理職の二〇〇九年度の賞与を、前年度の半分に減らす方針を固めたことが十四日分かった。業績悪化の痛みを労使で共有する姿勢を示し、今春闘でベースアップや一時金の満額回答を見送ることに理解を得ることが狙い。十八日の回答日にも発表する。

 管理職(課長級以上)の賞与を一気に半分も減らすのは、販売不振や業績悪化で残業がなくなり、組合員の収入が大幅に減少しているため。年収に占める賞与の割合が高い管理職が、月給と合わせた年収ベースで組合員を上回る率の削減を行うことで、「全員で痛みを共有する」(幹部)姿勢を明確にする。

 課長級以上の社員約九千人が対象となる。トヨタは二月から米国や英国の工場で、就業時間と賃金を同時に削減して従業員の解雇を避けるワークシェアリングを導入。管理職の賞与削減はこうした海外の従業員に理解を求める狙いもある。

 春闘で労組は組合員平均百九十八万円の年間賞与を要求。トヨタは昨年十二月、〇九年三月期の役員賞与をゼロにすると発表している。

電機大手がゼロ回答方針 定昇維持が焦点

2009/03/12 中国新聞ニュ−ス

 日立製作所、パナソニック、東芝、NECなど電機大手は十一日、今年の春闘の労使交渉で労働組合が要求する賃上げ(ベア)を受け入れない「ゼロ回答」を示す方針を固めた。世界的な不況で業績が急速に悪化しているためで、賃上げが実現しないのは労組が要求を掲げなかった二〇〇五年以来、四年ぶり。マツダ、富士重工業、いすゞ自動車、日野自動車など自動車大手もゼロ回答の方針だ。

 日産自動車や三菱電機は定期昇給のカットや賃金体系の見直しによる実質的な賃下げも辞さない構え。今後は労働側が現行の賃金水準を維持できるかどうかが焦点となる。春闘相場をリードする大手の電機、自動車メーカーの相次ぐゼロ回答方針が個人消費の冷え込みに拍車を掛けるのは必至。景気低迷を長期化させる恐れもある。

 一時金では、三菱電が労組による五・八三カ月の要求に対して五カ月前後の水準で攻防、シャープも五・〇カ月の要求に満額回答しない方針。トヨタ自動車や三菱自動車の労組が満額回答を得ることは絶望的で、大幅な減額が避けられない見通しだ。

 今春闘では、電機メーカー各社の労組は、代表的な職種である開発・設計職で一人当たり四千五百円の賃上げを要求。自動車大手の労組は、ベースアップに相当する賃上げ分として四千円を求めている。

 しかし、経営側はいずれも「ベア以前(の問題)」(NEC幹部)など厳しい姿勢を崩しておらず、労使交渉では既に「主要な議論の対象になっていない」(電機大手幹部)状況だ。労使交渉に大きな影響を与えるトヨタは、既にベアに応じない方針を固めている。

大手電機労組が要求書提出 日立など賃下げ提案も示唆

2009年02月19日 中国新聞ニュ−ス

 日立製作所やパナソニックなどの大手電機の労働組合が19日、4500円の賃上げ要求を柱とする今年の春闘の要求書を相次いで経営側に提出した。日立と三菱電機は定期昇給を見直す事実上の賃下げ提案を示唆、NECは時間外手当の引き下げを提案するなど、経営側は冒頭から厳しい姿勢で臨んだ。3月18日の一斉回答日に向けて行われる労使間の交渉は、難航が必至の情勢だ。

 一時金では、業績連動方式を採用していない日立が5・0カ月分、三菱電機が5・83カ月分を求めた。一方、ケンウッドの労組が賃上げ要求をしなかったほか、日本ビクターとパイオニアの労組は電機連合が提出期限と掲げていた19日の要求書提出を見送った。

 組合の要求に対し、日立の大野健二執行役常務(人材担当)は同日、春闘の方針について「定期昇給ありきの話ではなく、これからも(定期昇給を)続けていくか議論する必要がある」と述べ、事実上の賃下げを提案する考えを示唆した。一時金についても前年実績(4・91カ月)を下回る水準を提案する構え。

日産、事実上の賃下げへ 賃金改善ゼロ回答

2009.03.06 MSN産経新聞

 日産自動車が今春闘で組合側が求めていた賃金改善要求に対し、定期昇給分に当たる賃金制度維持分(月額6000円)を減額する方向で調整に入ったことが5日、分かった。賃金改善(実質的なベースアップ)もゼロ回答とする方針で、事実上の賃下げとなる。平成16年の成果主義導入以来初めての措置。また、休業日の副業も認める方針で、他の産別の労使交渉にも大きな影響を与えそうだ。

 組合側は、物価上昇を踏まえた今春闘で1人当たりの賃金改定原資として1万円要求していた。しかし、世界的な自動車販売不振の影響を受け、日産は平成21年3月期連最終損益が2650億円の赤字に転落する見込みで、賃金改定原資の確保が困難と判断した。

 年間一時金についても、組合側は前年より0・9カ月分減らした5・2カ月分を求めていたが、「4・0カ月も困難」(同社幹部)としている。

 副業については、休業日で8時間に限ってのみ認める方針だ。賃下げに対応し、新たな低利の提携ローンなど社員のセーフティーネット拡充を提案した。

トヨタ、ベアゼロ回答へ 世界不況下、春闘スタート

2009/02/18 中国新聞ニュ−ス

 春闘のリード役とされる自動車総連傘下の大手自動車メーカーと大手電機メーカーの一部労組が十八日、賃上げの要求書を提出し、約一カ月間にわたる二〇〇九年春闘の労使交渉が始まった。

 交渉は大手の回答が集中する三月十八日にヤマ場を迎えるが、トヨタ自動車の経営側が四年ぶりの「ベアゼロ」の方針を表明。例年以上に労使の溝が大きく、自動車産業だけではなく他産業でも、労働側にとっては強い逆風を受けた交渉が予想される。

 トヨタ労組はベアに相当する賃金改善分として、前年より二千五百円増の四千円を求めたが、木下光男きのした・みつお副社長は「申し入れ内容は現在会社の置かれた状況からはかけ離れており、到底受け入れがたい」と経営環境の大幅な悪化を強調した。一時金についても、十年近く続けていた満額回答をしない見通しだ。

 連合は八年ぶりにベースアップ(ベア)を掲げ、労組側は前年を大幅に上回る賃上げと雇用確保の双方を要求。世界同時不況による業績の急激な悪化を受け、経営側は「賃上げより雇用の確保が先決」としており、交渉は難航しそうだ。

 ホンダの労組は前年要求より三千円増のベア四千円、年間一時金(ボーナス)五・五カ月分を求めた。給与体系にベアの概念がない日産自動車の労組は、一人当たりの賃金改定の原資に、前年比三千円増の一万円を要求。富士重工業の労組はベア四千円の要求書を提出した。

 各労組が加盟する自動車総連は、要求方針に前年より三千円高い四千円以上の賃上げを求める方針を決めていた。

 電機連合傘下のシャープと三洋電機の労組は、前年を二千五百円上回る四千五百円の賃上げを要求した。

異例の賃上げ要求離脱決定 電機のルネサス労組

2009/02/14 中国新聞ニュ−ス

 日立製作所と三菱電機が出資する半導体大手、ルネサステクノロジ(東京)の労働組合が、今年の春闘で賃上げ要求の見送りを決めたことが十三日、分かった。電機メーカーの労組でつくる電機連合は賃上げ四千五百円以上の統一要求を決めているが、「統一闘争」からの離脱は異例で、今春闘で表面化したのは初めて。沖電気工業などの労組が追随する可能性もある。

 電機連合は、自動車総連と並ぶ日本の有力産業別労組で、例年固い結束で統一闘争を展開する。今春闘では賃上げをめぐり労使間で激しい攻防が予想され、電機や他産業の各労組が練る交渉戦略に影響を与えるのは必至だ。

 電機連合は物価上昇などを踏まえ、今春闘で昨年より二千五百円上積みした四千五百円以上の賃上げを統一要求として決定。しかし、ルネサスは世界的な景気悪化で二〇〇九年三月期の連結純損益が二千億円規模の赤字となる見通し。そのためルネサス労組は賃上げ要求を断念し、一時金でも電機連合の水準を下回る四カ月程度とすることにした。

 ルネサス労組は組合員約八千人で、東芝やパナソニックなどとともに電機連合で大手扱いの「政策委員組合」に所属。これまでは電機連合の決定に沿った賃上げ要求を行ってきた。

 沖電気労組も今月初旬に経営側から賃金や一時金の引き下げを提案されており、電機連合が決めた要求水準では受け入れられる状況にないと判断している。

 今春闘では、三菱自動車の労組が自動車総連の要求方針から離脱してベースアップ相当の賃上げ要求の断念を決定。大手電機労組では、経営再建中だった三洋電機の労組が〇六、〇七年の春闘で賃上げ要求を見送った例がある。

ベア4000円要求を正式決定 トヨタ労組

2009/02/12 中国新聞ニュ−ス

 トヨタ自動車労働組合(鶴岡光行つるおか・みつゆき委員長、約六万三千人)は十二日に開いた評議会で、二〇〇九年春闘で一般企業のベースアップ(ベア)に当たる賃金改善分として、月額四千円(組合員平均)を求めることを正式に決めた。十八日に会社側に要求書を提出する。

 物価上昇を反映し、昨年の要求額千五百円から大幅にアップした。ベア要求は四年連続。年間一時金の要求は個別賃金の五カ月プラス二十万円。組合員平均では百九十万円台後半で、業績悪化を反映し昨年よりも五十万円以上減らした。

 愛知県豊田市で記者会見した鶴岡委員長はベアを要求したことについて「環境は厳しいが、組合員が元気になり、日本経済が復活するきっかけづくりをしたい」と話した。ただトヨタは〇九年三月期の連結営業損益が初の赤字となる見込みで、交渉は難航必至だ。

 また、期間従業員を中心とした非正規労働者の雇用維持などについて労使で協議することも社に申し入れる。鶴岡委員長は「不安を抱えている期間従業員は多く、できることからやっていきたい」と述べた。

パイオニアが賃下げ提示 業績悪化、全社員対象

2009.01.22 MSN産経新聞

 パイオニアは22日、約5000人の全社員を対象に期間限定の賃金削減案を労働組合に提示したことを明らかにした。景気悪化で業績不振が続いているため。労働組合と合意すれば、今年4月から平成23年3月まで実施したい考えだ。

 課長級以上の管理職は2月から賃金を10%減らし、他の一般社員の削減幅は今後交渉する。賃金削減は17年11月から18年9月に管理職を対象に実施したことはあるが、一般社員を含めるのは初めて。

 パイオニアは21年3月期の連結決算で780億円の最終損失を計上する見通しで、昨年9月には約300人の早期退職を実施していた。

自動車総連、4000円アップを

2009/01/16 中国新聞ニュ−ス

 大手自動車メーカーなどの労組でつくる自動車総連(東京、約74万人)は15日、広島市南区の県立広島産業会館で中央委員会を開き、今春闘で4000円以上の賃上げを求める方針を決めた。消費喚起や物価上昇を踏まえ、前年の1000円以上から水準を引き上げた。自動車メーカーは減産に追われており、経営側と厳しい交渉が見込まれる。

 全国マツダ労連(広島市南区)など12労連から約500人が出席。自動車総連の西原浩一郎会長は「外需依存から内需主導の経済構造に転換する方向で、これ以上の景気悪化に歯止めをかけるためにも賃金改善に取り組む」と述べた。

 労働時間の短縮で仕事を分け合い、雇用を維持するワークシェアリングについて西原会長は「議論は否定しないが、定義や手法など検討すべき課題は多岐にわたり、労使が簡単に結論を出せるものではない」と慎重な姿勢を見せた。

連合「雇用も賃上げも」 経営側、強い危機感

2009/01/05 中国新聞ニュ−ス

 景気後退で非正規労働者らの大幅削減が続き、雇用問題が深刻化する中、迎えた五日の仕事始め。連合の高木剛たかぎ・つよし会長は二〇〇九年春闘で雇用も賃上げについても要求を実現する意気込みを見せた。経営側は賀詞交換会などで、大手企業のトップらが「経験したことがない急激な環境変化だ」と危機感を強調。経済情勢をめぐる労使の隔たりは例年以上に大きく、春闘で激しい交渉が予想される。

 高木会長は連合本部で年頭の記者会見。「賃金も雇用もというスタンスでやらなければ景気回復はできない」と述べ、春闘をめぐる論戦の口火を切った。

 各労組の賃上げ要求額はここ数年で最高となる見通しだが、経営側は賃上げだけでなく雇用の安定にも厳しい姿勢を示している。非正規労働者の大量削減への対応でも、連合は労働者側の最大組織としての力量と真価が問われそうだ。

 連合は〇八年度の消費者物価上昇率の見通しを1%台半ばと想定して八年ぶりにベースアップを要求。高木会長は「こんな時期に賃上げ要求かという声もあるが、雇用も賃上げも追求せざるを得ない。家計の可処分所得がどんどん下がっていて内需が盛り上がるのか」と説明した。

 正社員中心に賃上げ要求する一方、非正規労働者らの失職が増える現状に質問が及ぶと、「非正規労働者の雇用を放っておくということではない」と反論。「解雇の前にやれることはあるはずだ」とし、経営側を批判した。

 日本経団連が昨年十二月に示した春闘の交渉指針については「賃金にも雇用にも非常に消極的だ」と語った。

日産、新卒採用抑制の方針 10年春

2008年12月22日 読売新聞 YOMIURI On-Line

 日産自動車の川口均(ひとし)常務は読売新聞のインタビューで、2010年春の新卒採用について「ある程度は抑制せざるを得ない」と述べ、09年春(582人)より減らす方針を明らかにした。ホンダの福井威夫社長も新卒採用数を1〜2割減らす考えを示しており、業績悪化が進む自動車業界で、新卒採用を減らす動きが広がっている。

 日産は08年度に国内で22万5000台の減産を実施する。これに伴い、4月時点で約2000人いた派遣社員を09年3月末までにゼロとする。「派遣切り」に批判が高まっていることに対し、川口常務は「ものすごいスピードで(工場の)操業状況が変わり、それに対応せざるを得なかった」と説明した。09年春闘での賃上げについては「難しいと思う。現状を十分にとらえながら対応を検討する」と述べた。

春闘:トヨタ労組、ベア要求4000〜5000円 一時金は約50万円減額へ

2008年12月19日 毎日新聞 東京朝刊 Mainichi INTERACTIVE

 トヨタ自動車労働組合(鶴岡光行執行委員長、組合員約6万3000人)が、09年春闘の賃上げ交渉で組合員平均4000〜5000円のベースアップを要求する見通しであることが18日、分かった。来年1月に執行部案を決定する。ベア要求は4年連続で08年春闘の要求額1500円を大幅に上回る水準となる。

 賃上げ要求では定期昇給に相当する「賃金制度維持分」7100円に、ベアに相当する「賃金制度改善分」4000〜5000円を上乗せする。08年度の物価上昇率を1%台半ばと想定し、実質賃金が目減りしていることを重視した。一時金(ボーナス)要求額は業績連動分の減少で、過去最高水準だった前回春闘の組合員平均253万円から50万円程度を減額する見通し。

 一方、経営側は業績が急速に悪化する中、ベア要求に強く反発するのは必至だ。【鈴木泰広、中井正裕】

09春闘は4000円以上要求 自動車総連、08要求を大幅に上回る

2008.12.18 MSN産経新聞

 自動車総連は17日、中央執行委員会を開き、来春闘で4000円以上の賃上げを要求する執行部案を決定した。賃上げ要求は4年連続だが、前回の1000円以上を大幅に上回る。自動車各社は世界的な販売不振を背景に業績の大幅悪化が避けられず、交渉難航は必至だ。会見で西原浩一郎会長は「要求額は物価上昇率を重視した。内需拡大につなげる」と説明したが、解雇が相次ぐ非正規労働者対策については「できる限り努力する」と述べるにとどめた。

春闘方針 雇用に労使は知恵を絞れ

2008年12月18日 西日本新聞朝刊 社説

 求められているのは、深刻化する雇用不安にどう対処するかである。

 日本経団連がまとめた来年春闘での経営側の指針となる「経営労働政策委員会報告」は、賃上げはもちろん、雇用確保とも事実上、ゼロ回答だった。労働団体である連合の高木剛会長が「失望した」と嘆いたのも当然といえる。

 経団連は、大胆なリストラが必要な時に、賃上げなどできるはずがないというのが本音のようだ。報告は、賃上げについては抑制する姿勢を打ち出した。

 背景にあるのは、現状に対する厳しい認識である。経済情勢は石油危機、バブル崩壊に続く第3の危機的状況と指摘し、回復までには相当の時間を要すると訴えている。こうした認識の上に立てば、来春の賃上げについて「困難と判断する企業も多いと見込まれる」と分析するのも仕方ないことだろう。

 いま、わが国経済が直面している最大の課題は、賃上げ以上に、非正規社員を中心に急速に広がっている人員削減の動きをどう食い止めるかだ。

 この点についても、期待外れと言わざるを得ない。報告は雇用問題について「極めて重要な課題」と位置付けて見せたものの、具体策は乏しく「雇用の安定に努力することが求められる」と、まるでひとごとである。会員企業の多くが人員削減に踏み切っている現状を追認しているように思えてならない。

 日本経団連は、日本を代表する大手企業が名を連ねる経済団体だ。その行動指針としてはあまりに物足りない。共同歩調を取ることの影響力を考えれば、客観的な分析ではなく、日本経済の再生をも視野に入れ、経営側としてこうあるべきだ、との主張を示してほしかった。

 連合は来春闘で、雇用確保とともに8年ぶりにベースアップを要求する方針である。物価上昇分だけ賃金は実質的に目減りしていると分析しているためで、個人消費など内需拡大を通じた景気回復には賃上げが必要とも訴えている。

 しかし、賃上げに固執すれば、その原資確保を理由に経営側が非正規社員削減を強めることにならないか。

 連合は雇用か賃金か二者択一を強いることがそもそもおかしいとの立場だが、先行きを厳しく見る経営側に人件費増大を認めさせるのは容易ではない。非正規社員が犠牲となって正社員の賃上げが実現しても労組として不本意だろう。

 業績悪化に伴う我慢を労働者だけに押しつけていいはずがない。労働側が高すぎる企業があると指摘する株主配当や経営者への報酬の見直しを含めて、経営側はぎりぎりの努力を見せるべきだ。労働側も今回は賃上げ問題をいったん脇に置き、非正規社員を含む雇用の安定が最大の焦点だと認識してもらいたい。

 非常時といっていい。労使だけではない。政府も、さらには与野党も加わり、早急に知恵を出し合う時である。

春闘方針 やはり雇用が最優先だ

2008年12月18日 信濃毎日新聞

 日本経団連が2009年春闘に臨む方針を発表し、賃上げを抑制する姿勢を打ち出した。雇用についても、安定確保を最優先とする当初の姿勢を後退させている。

 景気が急速に悪化している。個別企業が慎重な経営姿勢になるのはやむを得ないとしても、経済界全体が萎(い)縮(しゅく)しては景気回復はおぼつかない。経団連には、国民経済全体をにらんで、企業を元気づける取り組みがほしかった。

 経団連は昨年は、一定の賃上げに理解を示す方針を掲げた。今年は一転、「ベースアップは困難とする企業も多い」と、凍結モードにかじを切り替えている。

 雇用の安定について、原案段階では「最優先とする」という表現だったのを、最終的に、「努力することが求められる」と努力目標にとどめた。

 12月の日銀の企業短期経済観測調査(短観)では、企業マインドの冷え込みが鮮明になった。ソニー、トヨタ自動車など、日本経済を代表する優良企業も雇用に手を付け始めている。

 こうした流れの中、企業が賃上げに慎重になるのは分からないでもない。ベアどころではない、との思いは労働側にもある。

 だからといって、経団連が賃上げ抑制の旗を振るのは考えものだ。企業が経営を守ろうとして賃上げを抑えれば、景気はさらに冷え込む。結果として企業経営も危うくなる。「合成の誤(ご)謬(びゅう)」と呼ばれる現象だ。

 経団連にはせめて「賃上げできる企業はすべきだ」と呼び掛ける姿勢がほしかった。

 雇用は無論、最優先で取り組むべき課題である。「努力することが求められる」という腰の引けた言い方では、企業に間違ったメッセージが伝わりかねない。

 米国初の金融危機の影響を日本経済が強く受けているのは、輸出頼みの産業構造が一因とされている。内需主導型経済への転換が求められているときに、賃金は抑制、雇用安定に後ろ向きでは、成長のシナリオは描けない。

 連合は物価上昇に見合った賃上げを求める方針を決めている。連合がベースアップを要求するのは8年ぶりである。

 労組が賃上げを求めるのは当然のことだ。労組には同時に、パート、派遣といった非正規労働者を含め、雇用安定に最大限の力を注いでもらいたい。

 経営側と労働側、そして政府が一丸となって取り組まないことには、この危機は乗り切れない。

来年春闘 連合より賃上げ要求 労使論点ちぐはぐ

2008.12.16 MSN産経新聞

 日本経団連は16日、平成21年春闘の経営側の指針となる経営労働政策委員会報告(経労委報告)をまとめた。「賃上げよりも雇用」との姿勢を鮮明にしたが、個別企業では大規模な人員削減が相次いでおり、その波は正社員にも及び始めている。一方、連合は8年ぶりにベースアップ(ベア)を要求するなど、積極的な賃上げを求め、雇用問題については春闘交渉から切り離した。このまま労使の主張がかみ合わないままなら、深刻化する雇用不安に一層の拍車をかけかねない。

 ある財界首脳は現状を「まさに、生きるか死ぬかの状況だ」と語る。米国の低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)問題に端を発する景気低迷は深刻で、長期化するとの見方も強い。

 経営側の論点は企業の存続と雇用維持が中心となる。日本経団連の御手洗冨士夫会長は「先行きの景況感悪化の中では、賃上げとの判断は難しい」という。

 一方、労組側も厳しい景気認識は同様だが「(物価上昇を受けた)今春闘で賃上げを勝ち取っておかないと、次の年は賃上げを要求できる経済状況ではない」(連合幹部)という事情がある。春闘交渉を賃上げに集中するため、雇用問題を交渉から切り離すことを機関決定したほどだ。

 ただ、製造業を中心に雇用問題は深刻さを増している。トヨタ自動車など自動車各社の非正規労働者の削減は1万4000人を超え、厚生労働省の調査では3万人以上の非正規労働者が職を失う見通しだ。

 また、ソニーが正社員8000人を含む1万6000人の削減を打ち出すなど、リストラ・解雇の波は正社員にも襲いかかる中で、「連合が賃上げにこだわるのはピント外れ」(自動車メーカー幹部)との指摘もある。

 連合は同日の会見で「経労委報告は賃上げにも雇用安定にもこたえようとしていない」と、経営側の姿勢を批判するが、連合が賃上げに固執すれば、春闘協議が空転する可能性も否定できない。

 一方、経団連側も個別企業で人員削減が進むなかで具体的な雇用対策については、「景気回復が一番だが、政府によるセーフティーネットの拡充など官民一体の取り組みが必要」(御手洗会長)とするにとどまり、具体的な方策には踏み込んでいない。100年に1度の経済危機を克服するためには、労使双方の真摯な対応が不可欠だ。

春闘は雇用確保の優先を=舛添厚労相

2008/12/16 時事ドットコム

 舛添要一厚生労働相は16日、埼玉県越谷市の雇用促進住宅を視察した後、2009年春闘に関して、「労使が協力して困難な状況を乗り切るのが、春闘より何よりも今の最大の眼目。経営に行き詰まって会社がつぶれたのではどうしようもない」と述べ、賃上げよりも雇用確保を優先すべきだとの考えを示した。

 また舛添厚労相は、各省庁の住宅施設を失業した派遣労働者らの支援に活用できるよう、同日午前の閣僚懇談会で協力要請したことを明らかにした。

正社員賃上げ原資、非正規に回せ 全国ユニオン春闘方針

2008年12月14日 asahi.com

 連合傘下で、非正社員らが個人でも加入できる労働組合の全国組織「全国コミュニティ・ユニオン連合会」(全国ユニオン=組合員数約3300人)が13日、09年の春闘方針をまとめた。相次ぐ「派遣切り」など非正社員の人員削減に対抗するため、正社員と非正社員の共生を目指す「緊急ワークシェアリング」を掲げ、「正社員の賃上げ原資を非正社員の雇用確保に充当する」ことを求めていく。

 この日、都内で開かれた春闘セミナーで、鴨桃代会長は「正社員、非正社員がともに『生きる、働く』を求める春闘にしよう」と呼びかけた。

 春闘方針では「賃上げ原資3%相当額の確保」を企業側に求めた上で、その原資を非正社員の雇用確保に充てるとした。具体策として、業務の減少に対して、政府の雇用調整助成金などを活用して休業補償をきちんとした上で正社員を一時的に休ませ、その間は非正社員が働くという形のワークシェアリングを提案。契約解除や解雇と同時に住居を失いかねない非正社員の雇用を守るためという。

4500円ベア要求へ 電機連合、春闘方針固める

2008/12/11 中国新聞ニュ−ス

 大手電機メーカーの労働組合でつくる電機連合は十一日、東京都内で政策委員会を開き、物価の上昇を考慮し、二〇〇九年春闘で四千五百円のベアを要求する方針を固めた。〇八年春闘の要求を二千五百円上回る水準。来年一月末の中央委員会で正式決定する。

 要求は、代表的な職種である「開発・設計職」の三十歳相当の月給約三十万円を基本に、物価の上昇率を1%台半ばと想定、物価の上昇による賃金の目減りの補てんや賃金改善を求める内容。他の職種はこの水準に準じた賃上げ要求をする。

 電機、自動車産業は春闘の相場形成に大きな影響力を持つ。世界的な景気減速の影響を受けメーカー各社で減産や非正社員の契約解除が相次ぐ中、来春闘の交渉は難航が予想されるが、生活水準の維持を重視した。

 大手自動車メーカーの労組でつくる自動車総連も賃上げ要求の方針を検討しており、要求の動向が注目される。

連合が非正規雇用問題に本腰 年内要請、来春闘の争点にも

2008.11.21 MSN産経新聞

 非正規労働者の雇用情勢の悪化を受けて、連合は本格的な対策に乗り出す。契約満了に伴う再契約の拒否(雇い止め)などの急増を背景に、12月末までに実態調査を行い、緊急対策の実施を政府や行政、経済界に要請する方針で、来春闘の争点のひとつにも掲げる。

 連合の古賀伸明事務局長は「安易な雇い止めや解雇に対し、企業の社会的責任を問うていく必要がある」と述べ、景気や企業業績の悪化に伴い顕在化してきた雇用問題に対し、強い姿勢で臨む考えを示した。平成21年春闘でも、非正規雇用の確保と待遇改善を求める全国キャンペーンを行う方針で、賃上げとともに経営側との交渉の主要課題となる見通しだ。

 連合では、雇用状況の悪化を深刻に受け止め、既に舛添要一厚生労働相に対し、雇用問題を受けた非正規労働者の住宅支援や雇用保険改革などを求める緊急要請を実施している。12月9〜12日には、「連合・雇用相談ダイヤル」を設置し、非正規労働者の解雇、再契約拒否などの問題のほか、学生の内定取り消しについても、実態調査を進める構えだ。

連合、8年ぶりにベア要求「賃上げこそが景気対策」

2008.10.23 MSN産経新聞

 連合は23日、東京都内で中央執行委員会を開き、平成21年春闘の基本構想を決めた。定期昇給に相当する賃金カーブ維持分に物価上昇分を加えた「ベースアップ(ベア)」を8年ぶりに求めるとともに、非正社員の処遇改善などを目指す。

 要求水準を盛り込んだ基本方針を、12月初めにまとめる。高木剛会長は「物価上昇による賃金の目減りを取り返さなければならない。賃上げこそが最大の景気対策だ」と述べた。

 また構想は、金属産業の賃上げ交渉が全体の交渉をリードする交渉の在り方が限界にきていると指摘。来春闘から「流通・サービス」「交通・運輸」など、業種が近い産業別労組ごとに共闘する連絡会議を設置し、賃上げ相場の形成や連携を図る。

 パートら非正社員の時給引き上げを求める「パート共闘」や中小企業労働者の賃金改善を図る「中小共闘」などの共闘は21年春闘でも継続する。

連合、1%台半ばのベア要求 春闘方針案決定

2008.10.20 MSN産経新聞

 連合は20日、都内で中央執行委員会を開き、平成21年春闘の方針案を決定した。定期昇給の維持や業績に応じた成果配分の実現に加え、物価上昇率に見合う1%台半ばのベースアップ(ベア)を求める。デフレから物価上昇に転じたことを受け、連合としては8年ぶりにベア要求を明記し、内需拡大につながる賃上げを求める考えだ。しかし、景気低迷による企業業績の悪化で賃上げ余力は乏しく、例年以上に厳しい春闘となりそうだ。

 同日、会見した連合の古賀伸明事務局長は、「世界経済が厳しい中、内需主導型の経済構造に転換する必要がある」と賃上げの必要性を改めて強調した。企業業績の悪化を踏まえつつも「業績が悪いのを理由に労働条件まで悪くすると、日本経済の底が抜ける」と企業側の努力を求めた。

 連合は来春闘に向け、平均的な賃金水準の具体額を地域や産業別に明記した「連合賃金指標」を初めて策定。高卒男子社員の手当てなどを除いた基本賃金で、従業員1000人以上の大企業の場合、化学メーカーは平均約29万2000円、電機メーカーは同27万2000円−など具体的な水準を示した。

 水準以下の企業には賃上げを求めるほか、すでに賃金水準を上回っている企業に対しても、物価上昇分に見合うベースアップを求めていく。

 ただ、春闘交渉の牽引(けんいん)役となるトヨタ自動車は、平成21年3月期の営業利益を1兆円下方修正したほか、日産自動車やホンダも今期は大幅減益の見込み。また、大手電機メーカーも、8社中6社が営業減益となるなど、賃上げ余力は乏しいのが実情。派遣・契約社員の削減など、雇用面にも影響が出はじめており、「賃上げよりも、まずは雇用確保が先決だ」(日本経団連幹部)と経営側は牽制(けんせい)する。

 経団連では12月中旬に、経営側の21年春闘交渉の基本方針となる「経営労働政策委員会報告」を策定する方針だ。御手洗冨士夫会長は19日の会見で、「(賃上げは)原則的に個別労使の判断」としつつも、「企業の現状を見ると、賃上げが非常に難しい企業が多い」と、くぎを刺した。

 一方、政府与党は10月末にまとめた追加経済対策の項目に賃上げ要請を盛り込むなど、経営側も賃上げを無視できない状況にある。労組と政府双方からの要請に、経営側は難しい判断を迫られそうだ。

春闘に向け意見交換 景気悪化、深刻化で共通認識 日本経団連と連合

2008.10.20 MSN産経新聞

 日本経団連と連合は20日、東京・大手町の経団連会館で、米国発の金融不安などを踏まえた労使関係のあり方について意見交換を行った。平成21年春闘の闘争方針を策定するのに先立ち、労使双方の経済情勢に対する現状認識を確認し、連合側は「消費拡大、内需拡大に向けた政策転換が必要」と述べ、賃金に関連する労働配分の見直しを求めたが、経団連からは具体的な回答はなかった。

 会談では、米国発の金融不安が実体経済にも深刻な影響を与えているとの認識で一致。連合側は「原燃料価格の高騰に伴う物価上昇と景気の減速で、生活物価が上がり家計に影響を与えている」と指摘した。これに対し、経団連側は「景況感は日に日に悪化している。日本経済の成長力のかさ上げになる対策を求めたい」と述べるに留め、賃上げなど具体的な対応についての発言はなかった。

 連合の高木剛会長は、日本経済の改善に向け、連合と経団連双方の首脳が共同で検討する機会を設けるよう提案した。これに対し、経団連の御手洗冨士夫会長は「事務局ベースでの議論が重要で検討したい」と述べるに留めた。


貧困・格差ストップ!、メーデーに若者立つ

2008年05月01日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 ◆「無関心でいられぬ」

 1日のメーデーで、連合系、全労連系、全労協系など各団体が集会を開き、「貧困と格差をなくそう」「労働者の権利を守れ」などと訴えた。非正規労働者の増加や正社員の過酷な勤務など、若年層の雇用環境が厳しさを増す中、近畿各地の会場には「雇用問題に無関心ではいられない」という若者たちの姿が目立った。

 大阪市北区の公園に約1万人(主催者発表)を集めて行われた大阪労連系の集会では、そろいのTシャツを着た若い女性や青年らがビラを配った。

 初めて参加した八石(はちこく)知也さん(22)(神戸市北区)は1月、10か月間勤めた飲食店を辞めた。厨房(ちゅうぼう)を3人でこなし、午前5時半に家を出て午前1時半に帰宅する日もあったが、月給は額面28万円ほど。いくら残業しても給料は同じで、「飲食業の待遇はこんなもの」と思い込んでいた。

 医師から「過労死か、うつ病になる」と告げられて退職。1人でも加入できる地域労組に入って会社と交渉し、残業代の不払い分約100万円が支払われた。八石さんは「働き方に疑問を抱いても1人では解決しにくい。若い人も労働問題に関心を持って」と話す。

 連合大阪が大阪城公園で開いた集会には約8万人(主催者発表)が参加。川口清一会長は「非正規労働者は全労働者の3分の1に達し、所得格差は広がるばかり。『労働者の使い捨ては許さない』との決意で、格差社会にストップをかけよう」とあいさつした。

 初参加したパート女性(30)は大阪市内の文具卸会社に勤務する。別の企業で正社員として働いた時期もあった。出産後は時間の融通が利くパートで働くが、契約は1年更新だ。「業績が悪くなって真っ先にリストラされるのは私たちパート。労組は非正規労働者の雇用も守ってほしい」

 京都総評のメーデーに参加した京都市北区の看護助手内藤加菜恵さん(25)は「仕事がきつくて若手がすぐに辞め、夜勤、深夜勤務が8、9回の月もある。人手が増えれば」と話し、神戸市中央区の「兵庫県中央メーデー」では、若者らが壇上で「7年間派遣労働で病院に行くお金もほとんどない」と労働環境改善を訴えた。

 総務省の07年の労働力統計によると、25〜34歳の正規雇用は4年前に比べ94万人減の940万人だが、非正規雇用は43万人増の326万人にのぼる。

            ◇

 連合によると、今春闘で要求を出した労組のうち4月22日時点での妥結率は48・5%。夏まで「春闘」を続けるところもある。

メーデー様変わり 地元と連携ソフト化 連合 原点回帰へ講座開催 総評

2008年04月27日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 労働者の祭典「メーデー」が様変わりしている。連休の谷間を敬遠する組合員の声に押されて、連合京都(391組合、約9万6500人)はメーデーの日程を初めて5月1日から4月27日に繰り上げる。会場周辺の商店街と協力して当日限りの「地域振興券」を発行し、家族ぐるみで楽しめるソフト化路線を推し進める。京都総評(428組合、約7万人)は、若手組合員向けに「メーデー講座」を開くなど、労働運動の原点を意識した取り組みだ。(沢野未来)

 連合京都の各地域協議会は府内5か所でメーデーを計画。うち3か所は家族や非正規労働者が参加しやすい日曜日の4月27日に前倒しする。左京区の府立植物園では、府内最大規模の約2万人が参加予定の「京都中央メーデー」が開かれる。デモ行進を行うものの、子ども向けのスタンプラリーや周辺観光で組合色を薄める。

 さらに、近くの北山街、北大路の2商店街計67店舗で利用できる商品券100万円分を、抽選会のプレゼントとして組合員に配布する。地域と連携しながらの取り組みは全国的にも珍しく、北山街協同組合は「今のメーデーはファミリー参加型。タイアップして盛り上げたい」と協力的だ。連合京都幹部は「組合員の参加を促すだけでなく、幅広い市民に活動を知ってもらいたい」と話す。

 京都総評は、府内12か所で5月1日にメーデーを開く。中京区の二条城前で開く「メーデー大会」は、約8000人の参加を見込む。非正規労働者らも加盟する地域ユニオンなども加わり、「暮らしの格差の実態をメーデーで訴えたい」と意気込む。

 若年層の「メーデー離れ」に歯止めをかけるため、30日には左京区で、新社会人向けに学習会を開催し、メーデーの歴史や意義を紹介する。事務局は「何のためのメーデーなのか、しっかり学んで参加してほしい」としている。

 ソフト化路線と原点回帰。正反対に見える取り組みの背景にあるのは、労働組合の組織率の低下だ。

 府内の労働組合数は昨年6月現在、前年比22減の1451。組織率は19・5%で16年連続で落ち込んだ。

 若者の組合離れに加えて、パートや派遣など非正規労働者の増加が原因と見られる。労組側は非正規労働者の地位向上を訴え、組合加入を呼び掛けているが、府内の全組合員のうち非正規労働者は5・6%にとどまる。

 偽装請負、名ばかり管理職、サービス残業、過労死……。厳しい労働環境に、労働組合が果たすべき役割は大きいはずだが、非正規労働者にとっては、「春闘もメーデーも他人事」というのが本音だろう。

 同志社大学経済学部の橘木俊詔教授(経済政策)は「非正規労働者の地位向上を訴えると、正社員の既得権益が脅かされないなど、難しい問題もある。しかし、労組が自分たちの利益だけでなく、社会全体を見て提言をしていけば、国民の支持を得られるはずだ」と注文を付けた。

豊橋と豊川でメーデー開催

2008.04.21 東日新聞

 原油高、サブプライム問題などで企業業績の伸び悩みが、労働者の賃上げ要求に強い逆風となり、春闘が足踏みする中、今年の第79回メーデーが始まった。豊橋と豊川では20日、「ストップ・ザ格差社会」を掲げた第79回メーデー祭典が行われ、「長時間労働是正」「非正規労働者の処遇改善」「中小企業未組織労働者支援」などのメーデー宣言を採択した。

 新緑が目に鮮やかな好天に恵まれた同日、豊橋では「豊橋地区メーデー&ファミリーの集い」が豊橋総合動植物公園憩いの広場で開かれ、家族連れで参加した各組合の労働者が、実験パフォーマー「らんま先生」や津軽三味線演奏を楽しみ、式典ではメーデー宣言を採択した。

 豊川では「東三河地協メーデー」が、同市市体育館前広場で開かれ、メーデー式典に続いて家族と一緒に参加した子供たちが、もちなげ大会やビンゴゲームに参加したり、福引抽選会などの交流行事を楽しんだ。

 今年の春闘は、6年連続の景気拡大、5年連続の企業業績増大という政府発表の好景気持続から、春闘では大手企業を中心に大幅なベースアップと賃上げ要求が相次いだ。

 しかし、原油高をはじめとする資源高騰から、経営者側からの回答は、昨年並みにとどまった。また、工業製品だけでなく穀物高騰が、あらゆる食品の値上げにつながり、家計を直撃している。

 豊橋地区メーデーでは、連合愛知豊橋地区協議会の木村勉代表が「企業業績は、賃金に反映せず、株主配当、内部保留に回された。労働分配率は、減少の一途。消費者物価が上昇し、実質賃金は下回っている」と労働問題改善を訴えた。

 国内の労働者を取り巻く環境は、賃金でも格差が拡大して2極化が進み、非正規雇用問題が深刻化している。このため、今年に入って国際労働機関(ILO)は「日本においては広範で継続的な賃金の格差が存在し、労働基準法第4条は賃金格差是正に十分に機能していない」として日本政府に勧告したばかり。

 このため、今年のメーデー宣言では「2008春季生活闘争では、時間外割増率の増加による長時間労働是正・パートタイム労働者など非正規労働者の処遇改善の継続」を盛り込んだ。

 また、所得税の定率減税廃止や社会保険料の負担増、物価高など国民生活圧迫に対して、ストップ・ザ格差社会キャンペーンを中心とする政策実現に取り組み、労働者を中心とする福祉型社会の実現に向けた取り組みを推進しよう―と訴えている。

春闘:単純平均4162円 前年比336円増−−08年中間妥結状況 /福井

2008年04月17日 毎日新聞 地方版 Mainichi INTERACTIVE

 連合福井(馬場修一会長)は16日、08年春闘の中間妥結状況を公表した。

 要求提出した198組合のうち、15日現在で79組合が妥結。平均妥結額は、単純平均が4162円(前年比336円増)、加重平均が5159円(同163円増)。賃金に対する上昇率はそれぞれ0・11%、0・02%で昨年実績を上回った。山岸克司事務局長は「景気後退が進む中でも、業績のよかった金属・機械関連の伸びが影響したのではないか」とみている。

 また、未妥結組合に対し、連合福井は独自の賃上げ指標として、昨春の実績額に300円以上を上積みした「妥結ミニマム基準」を設定。同基準の徹底を指示する。【大久保陽一】

流通好調、食品厳しく 兵庫県内08年春闘

2008/04/16 神戸新聞

 「格差是正」を掲げ、賃上げや職場環境の向上が争点となった今年の春闘。兵庫県内でも、これまでに約四割の中小企業で交渉が妥結した。原料高や原油高、円高などで危機感が漂う中、流通は当初予想より健闘した一方、食品、運輸は苦戦。業種や個別企業によって結果にばらつきが出ている。

 全国の中小企業の組合が加盟する連合の「中小共闘センター」のまとめでは、四月十日までに妥結した中小企業(従業員三百人未満)の妥結額(定期昇給含む平均賃上げ方式)を加重平均でみると四千九百円で、昨年より二百四十四円上昇。兵庫県内も同水準といい、連合兵庫は「確実に底上げ」と評価している。

 今春闘は、日本経団連が「賃上げ容認」の方針を打ち出してスタート。首相が経団連トップに、賃上げ努力を要請する異例の“政治介入”もあり、好環境とみられた。

 しかし、年明けからの経済先行き不安に、小麦や原油価格の高騰、円高が重なり、賃上げに慎重な企業が多かったようだ。

 比較的好調だった流通。UIゼンセン同盟兵庫県支部は「心配していた割にまずまず」と胸をなで下ろす。一万円代の賃上げで妥結した企業のほか、パート従業員の時間給アップを実現した企業もあり、同支部は「原料高で商品は売りにくいが、メーカーほどの影響はなく、円高は輸入品販売にプラス」と分析する。

 一方、原料高騰の影響が大きい食品は「昨年並みか若干昨年を下回る」(フード連合)。「今後、原材料の値上げ分を価格に転嫁せざるを得ない。積極的な賃上げを求めるのは困難」と漏らす。

 運送など二十二組合が加盟する「神戸地区労働組合協議会(地区労)」は、原油高のあおりを受け低調。ただ、「全港湾神戸地区協議会」は昨年並みを確保するなど健闘した。

 パート従業員など身分昇格や給与改善については、連合は「中央のパート共闘連絡会議で闘争中」としている。また、地区労によると「フルタイムに近い状態で働いている人はそう多くない」といい、今回は大きな取り組みにはなっていないという。(小西博美)

春闘:賃上げ平均6253円 妥結状況を連合栃木が発表 /栃木

2008年04月03日 毎日新聞 地方版 Mainichi INTERACTIVE

 連合栃木(青木義明会長)は2日、08年春闘妥結状況の中間集計結果を発表した。要求提出103組合のうち、14組合(3086人)で妥結し、賃上げ額は平均で6253円(同一組合前年比221円増)となっている。

 定期昇給分は4100円で、ベースアップ相当分は2153円だった。青木会長は「原油高、材料費高の中でも中小企業は頑張っている印象」と述べた。最終的に結果が出そろうのは7月ごろになる見込み。【葛西大博】

連合福島執行委・春闘妥結状況の中間報告

2008年04月03日 福島放送

 連合福島は3日、福島市の県労働福祉会館で執行委員会を開き、県内労組の春闘妥結状況の中間まとめを報告した。

 2日現在、129組合のうち妥結したのは58組合で、前年同期比で36組合の増。

 妥結率は2・3%。

 妥結金額も5876円で、1732円増額した。

 大企業では妥結が進んでいるが運輸産業などでは厳しい状況。

 県内でも業種間、企業規模間で好不調の二極化が進む。

東電一時金、最大の下げ 中電など賃上げ500円

2008/03/13 中国新聞ニュース

 全国の電力会社で春闘回答が十三日、行われ、東京電力が年間一時金で百六十一万円を回答、妥結した。昨年比十一万九千円の減で、減少額は過去最大。新潟県中越沖地震の影響で原発が停止しており、過去最大の赤字が予想されるため、減額した。

 中部電力は、賃上げ見送りで妥結した。関西電力と中国電力、四国電力は、組合員平均で五百円の賃上げで妥結した。電力各社は原油高による燃料費の高騰で業績が悪化しており、交渉は難航した。

 各電力労組が加盟する電力総連は、昨年と同様に今春闘で二千円以上(三十歳モデル)の賃上げを要求。東電労組は、賃上げ要求を見送っている。

製造大手、3年連続賃上げ 上げ幅は前年並み

2008/03/12 中国新聞ニュース

 春闘の相場形成に影響力を持つ金属労協(IMF・JC)加盟の自動車や電機など大手製造業の経営側は十二日、組合の賃上げ要求に対して一斉に回答した。組合側は前年を上回る賃上げの獲得を目指してきたが、急激な円高株安や原材料高など景気の先行き不安で、多くは要求に届かず前年並みにとどまった。ただ、好調な企業業績を受けて大半が三年連続の賃上げとなった。

 食品などの値上がりが相次ぐ中、停滞する個人消費を押し上げる効果は限定的となりそうだ。

 日産自動車は満額の七千円(一人当たりの賃金改定原資)の賃上げで妥結した。トヨタ自動車は組合要求の千五百円に届かず前年実績と同じ千円。二千円の統一要求の松下電器産業など電機大手の大半は前年と同じ千円となった。七年ぶりに賃上げを要求した三洋電機は八百円の賃上げで決着した。

 大手の賃金の伸び悩みは、交渉が今後本格化する中小企業やパート労働者の賃上げに逆風。身の回り品の値上げラッシュが続いており、賃上げの個人消費押し上げ効果は限定的とみられる。

 経営側の回答を受けて記者会見した加藤裕治かとう・ゆうじ金属労協議長は「三月に入ってからの円高の急進もあり、交渉は難航を極めた」と述べた。

 隔年で労使交渉している新日本製鉄やJFEスチールなど鉄鋼大手は、深夜労働の割り増し手当を現行の30%から33%(組合要求は35%)に引き上げることなどで妥結した。二年間分で千五百円程度の賃上げに相当する。

 三菱重工業やIHIなど造船重機は二年間分で二千円で決着。前回二〇〇六年交渉に比べて実質的に上回る水準となった。鉄鋼や造船重機が加盟する基幹労連は二年間分で三千円相当の賃上げ獲得を目標としていた。

 年間一時金はトヨタや日産、ホンダなどが軒並み満額となるなど電機などを含め高水準の回答だが、基本給は抑制される傾向が一段と強まった。

電機大手、1000円回答へ 賃上げ日立も横並び確保

2008年03月10日 中国新聞ニュース

 終盤を迎えた春闘の賃上げ交渉で、松下電器産業、東芝、三菱電機など電機大手の大半は10日、手当なども含めた実質的な賃上げ額で前年と同じ月額1000円を回答する方針を固めた。業績回復が遅れていた日立製作所も横並びの回答となる見通し。

 電機各社の労組は月額2000円の賃上げを要求。企業の業績回復を背景に前年水準以上の引き上げを目指したが、急激な円高や原材料高などで、景気の先行きの不透明感が強まり、経営側は「賃上げに応じる環境にない」と厳しい姿勢に終始。前年比横ばいという苦しい結果となりそうだ。

 松下、東芝、三菱電機は1000円で妥結する見通し。昨年の春闘で横並び水準に到達できなかった日立製作所は、前年実績の800円を上回る水準で交渉を進めているが、業績が改善傾向にあり、社員の士気を高める必要もあるため、経営側は最終的に1000円を回答するもよう。

深夜手当など増額へ 新日鉄、生産現場に配慮

2008/03/08 中国新聞ニュース

 新日本製鉄は八日、今春闘で労働組合が賃金改善として求めている深夜手当や休日出勤手当の増額に応じる方向で最終調整に入った。昼夜の連続操業に当たる生産現場の処遇を改善して従業員の士気を高め、生産性や競争力の向上につなげるのが狙い。満額は認めないもようだが、実質的に二年連続の賃上げになる。

 同様の要求を受けているJFEスチールなどほかの鉄鋼大手も応じる見通しで、十二日の回答日に向けて細部を詰める。鉄鋼大手が手当の増額に踏み切ることで、他業界の春闘交渉に影響が出る可能性がある。

 新日鉄労連は、深夜手当の割増率を5%アップさせて35%とするほか、交代勤務者の休日出勤手当を一回当たり三百円増やすことなどを要求。

 社員一人当たりの賃金改善額は示していないが、手当増額がすべて認められれば、上部団体の基幹労連が目標に掲げる「二年間で月額三千円」程度の賃上げとなる。

 経営側は交渉で「固定費の増大には慎重に対応せざるを得ない」と主張したが、フル生産に追われる現場の士気を高める必要もあると判断した。回答日に向け具体的な上げ幅を詰める。

 鉄鋼メーカーの春闘は隔年で実施。前回の二〇〇六年交渉で新日鉄労連は二年間で三千円の賃金改善を求めたが継続協議となり、〇七年度に千円強の賃金改善が実現した。

 新日鉄の経営側は手当を増額することによって従業員に報いる。大手企業では一律の賃上げを排し、手当の増額など多様な形で従業員に利益を還元する傾向が出てきている。

初任給1500円上げへ 大卒で3年連続、電機大手

2008年03月08日 中国新聞ニュース

 終盤に入った2008年の春闘交渉で、松下電器産業や東芝など電機大手各社の経営側が、4月に入社する大卒社員の初任給を前年実績と同じ月額1500円引き上げ、20万5000円とする方向で調整していることが7日、分かった。初任給を上げるのは3年連続。

 各社は事業の選択と集中を進める中で、中核事業に携わる人材の増強を推進している。新卒採用が「売り手市場」となる中、初任給の引き上げで新卒者の大量確保を目指す意向だ。

 電機大手の組合側は今春闘で初任給の2000円の増額を要求している。これに対し、経営側は「満額は厳しいが、ほかの産業と比べて見劣りしない水準にする必要がある」とし、前年並みの引き上げを検討中だ。

 電機大手では、既に在籍している社員向けの賃上げの幅は各社の業績によってばらつきがみられるものの、初任給については事実上、横並びを続けている。高卒社員も前年並みに1000円引き上げ15万7000円にする見通し。

トヨタ賃上げ1000円固まる 春闘、一時金は満額回答へ

2008年03月07日 中日新聞朝刊

 春闘のリード役とされるトヨタ自動車の労使交渉は6日、前年実績と同額となる月額1000円の賃上げが固まった。賃金の底上げにつながる賃上げは3年連続。1500円を要求している労組は会社側に上積みを迫っており、12日の回答日直前まで攻防が続きそうだ。一時金(ボーナス、夏冬合計)については会社側が労組の要求に満額回答する方針。

 賃上げ要求額は組合員平均1500円と、昨年の回答額を500円上回る。会社側は「労務コストが増大する」と難色を示していたが、販売増の繁忙を支える組合員の働きぶりに理解を示し、賃上げ容認に傾いた。しかし、国際競争力の確保や景気の先行き懸念の強まりから、賃上げ幅は昨年並みに抑え込みたい考え。

 これに対し、労組側は「組合員の活力を引き出すことで、厳しい経済情勢を乗り越える」などと主張。生活用品の値上がりなど暮らしの不安要因も訴え、満額回答を求めている。

 一時金要求は組合員平均253万円で、過去最高だった昨年と実質的に同水準。会社側は総額1500億円の支出負担に警戒感を示しつつ「短期的な業績は一時金で反映する」との姿勢。2008年3月期に過去最高の連結営業利益を見込んでおり、9年連続で満額回答する見通しとなった。

春闘 三菱電機、有額回答へ 業績好調、1000円軸に

2008/03/06 FujiSankei Business i.

 春闘の相場形成に影響力を持つ金属労協(IMF・JC)加盟の大手企業労組の賃金交渉が本格化してきた。電機大手では業績好調な三菱電機が賃上げを容認し、前年実績の1000円を軸に回答する方針を固めた。賃上げは3年連続。他の電機大手は賃上げについて慎重姿勢を崩しておらず、今後電機各社の労使交渉に影響を与えそうだ。

 三菱電機の齋藤正憲専務は5日、「競争力と無関係に安易に(賃金を)引き上げることはできない」としながらも、「人材確保や他産業との格差などを加味しながら、なんらかのプラスを入れる。当社としてはゼロ回答はない」と語った。

 組合側の賃上げ要求額は昨年と同額の月額2000円だが、昨年の妥結額である1000円を軸に検討する。

 賞与について、齋藤専務は「従業員のこれまでのがんばりに報いたい。(昨年の年間5・5カ月を)上積みする方向で検討する」と明言。2008年3月期で6期連続増益が確実になったことを踏まえ、業績向上分を反映する考えだ。組合は6・0カ月を求めている。

 ただ、今春闘の最大の争点となっている時間外割り増し率の引き上げについては、妥協点は見いだせない状況で、「協議は平行線。ワークライフバランスは重視するが、短絡的にやるのはいかがなものか」と述べるにとどめた。

春闘 トヨタ労組、「1万人大集会」を開催

2008/03/06 FujiSankei Business i.

 トヨタ自動車労働組合(組合員5万8000人)は5日、愛知県豊田市のトヨタ自動車本社グラウンドで「1万人大集会」を開いた。鶴岡光行執行委員長は「組合員の努力や頑張りに報いるよう交渉に臨む。最後までともに頑張ろう」と決意を述べた。そして参加者は「頑張ろう」のシュプレヒコールで要求実現に向けて気勢をあげた。

 今春の労使交渉でトヨタ労組は組合員平均で昨年妥結額よりも500円多い1500円の賃金改善を要求。年間一時金も過去2番目の水準となる253万円の支給を求めている。会社側は「好業績には一時金で報いる」方針から、一時金は9年連続で満額回答の見通し。ただ、ベースアップに関しては「国際競争力維持の観点から、経営に大きな負担を強いる」として、慎重な姿勢を崩していない。

 集会後、鶴岡委員長は足下の経済状況による労使交渉への影響について、「否定できない。ただわれわれの生活、個人消費の活性化、日本全体の内需拡大にとっても賃上げは必要」との考えを示した。

春闘交渉スタート 鉄鋼、造船が要求書提出

2008年02月08日 中日新聞夕刊

 連合傘下の基幹労連に加盟する鉄鋼、造船重機などの大手労組が8日午前、賃金改善の要求書を会社側に提出、約1カ月にわたる2008年春闘の労使交渉がスタートした。

 大手自動車メーカーの労組は13日、大手電機メーカーの労組は14日にそれぞれ要求書を提出する予定で、大手の労使交渉は、回答が集中する3月12日にヤマ場を迎える。年明け以降の株安や円高の影響もあり、労使の激しい攻防が予想される。

 東京都千代田区の新日鉄本社では午前10時すぎ、新日鉄労連の宮崎和彦会長が「連続操業が避けられない状況の中、懸命な努力を続ける組合員の勤務実態にかんがみ要求する」と述べ、平山喜三常務執行役員に要求書を手渡した。平山氏は「事業環境や経営課題を踏まえつつ真摯(しんし)に話し合いたい」と応じた。

 基幹労連加盟の大手労組の春闘交渉は1年おきで、新日鉄労連やJFEスチール労連は賃金改善として、深夜勤務に対する賃金割増率引き上げや、休日出勤の交代手当増額などを要求。三菱重工業の労組は2年間で計3000円の賃金改善を求めた。トヨタ自動車労組は昨年と同じ1500円、東芝や松下電器産業など大手電機メーカーの労組も昨年同様、2000円の賃上げをそれぞれ求める。

夏のボーナス4年連続最高 経団連集計

2007/07/18 The Sankei Shimbun WEB-site

 日本経団連が18日発表した大手企業のことし夏の賞与(ボーナス)交渉妥結結果(最終集計)によると、妥結額(加重平均)は昨年夏比3.01%増の91万286円と4年連続で過去最高を更新した。

 製造業は3.14%増の約93万円、非製造業は1.38%増の約85万円。自動車が約106万円と2年連続で最高額を更新した。

 同時に発表した今春闘の中小企業の賃上げ最終集計は、組合員1人当たりの定期昇給を含む妥結額(加重平均)が前年比1.64%増の4149円となり、景気回復による業績改善を映して、前年水準を上回った。

夏のボーナスは3年連続増 野村証券などの予想

2007年04月03日 中国新聞ニュース

 野村証券や第一生命経済研究所など4社が3日までにまとめた今年夏の民間企業のボーナス予想によると、支給額は、3社が3年連続で増加すると見込んだ。企業業績が好調なためだが、増益ペースが鈍っていることから、1人当たりの支給額の伸び率は小幅にとどまる見通し。1社はマイナスを予想した。

 1・7%と最も高い伸びを予想する三菱UFJリサーチ&コンサルティングは、今年の春闘でベースアップが引き上げられる見込みなのも増加につながるとし、支給額は42万3000円。

 第一生命経済研究所は1・2%増、支給額は42万1000円。野村証券は、企業の人手不足感で労働需給が逼迫することが押し上げる半面、企業の経常利益の伸び率が鈍化するため、伸び率は0・2%にとどまり、支給額は41万7000円。

 一方、みずほ証券は0・1%減の41万6000円と、3年ぶりに減少に転じると予想。企業は増益ペースが鈍化している一方で、収益を重視する姿勢を続けていることから、賞与や給与を抑えようとする姿勢が強まるとしている。

NTT、8年ぶり賃上げ 平均500円程度

2007/03/15 The Sankei Shimbun WEB-site

 NTTグループの春闘交渉は15日、月例給のうちの成果手当や扶養手当を対象に、8年ぶりの賃金改善を行うことで妥結した。2人以上の子供を持つ組合員の扶養手当を1000円引き上げるなど育児支援に手厚く配分し、平均では1人500円程度となる見込みで、成果手当の改善など詳細は今後詰める。

 経営側は通信業界の競争激化を背景に一律の賃上げに抵抗。配分対象は一時金(ボーナス)などに反映される基準内賃金の枠外とした。一時金はNTT東日本、西日本など固定通信系6社が、前年実績を下回る額で決着した。

 決着したNTT東西や持ち株会社、NTTコミュニケーションズなど6社の一時金は、前年体系で4・4カ月分に相当する132万2000円(40歳モデル、前年実績は4・5カ月)。

 一方、子育て中の社員が取得できる短時間勤務制度に関し、子供の対象年齢の上限を小学一年から3年に引き上げることや、育児で退職した社員が復帰しやすい制度を導入することでも合意した。

(2007/03/15

電機大手、前年上回る 春闘で自動車・電機一斉回答

2007/03/14 中国新聞ニュース

 春闘の相場形成に大きな影響力を持つ金属労協(IMF・JC)加盟の自動車、電機など大手製造業の経営側は十四日、労働組合の賃上げ要求に対して一斉に回答した。松下電器産業など電機大手の大半が、各種手当などを含む実質的な賃上げ額として前年を五百円上回る月額千円で決着。ホンダも前年を三百円上回る九百円のベースアップを回答するなど、好業績を反映して二年連続の賃上げとなり、多くの企業が前年実績を上回った。

 ただ、組合が千五百円を要求したトヨタ自動車は前年と同じ千円の回答。電機も要求の二千円には届かず、業績向上に見合った労働側への利益還元は依然として不十分といえそうだ。

 今年三月期決算で、赤字に転落する日立製作所が前年と同じ五百円を回答して三百円程度の上積みを今後の協議に持ち越し、減益を見込む日産自動車が一人当たりの賃金改定原資で前年を三百円下回る六千七百円にとどまるなど、業績に応じた格差も一段と鮮明になった。利益を一時金や手当など賃上げ以外の名目で労働側に配分する流れも強まっており、今後本格化する中堅・中小企業の交渉にも影響を与えそうだ。

 同日会見した金属労協の加藤裕治議長は「成果を賃金の形で引き出し、内需による景気回復への流れをつくることができた」と評価した。

 今春闘は景気拡大や好業績を背景に、労働側が前年を上回る賃上げ要求を掲げて攻勢をかけた。経営側は国際競争力の強化を盾に設備投資への資金配分を主張し両者が激しく対立、落としどころを探る交渉が続いた。

 年間一時金は、今年三月期で最高益更新を見込みながら賃上げが要求額を大きく下回ったトヨタが、過去最高の二百五十八万円の満額回答。ホンダも二年ぶりの満額となる六・六カ月で決着した。電機各社の多くも好業績を反映して高水準となった。

 鉄鋼と造船、重機などは二年に一度の隔年春闘方式を採用しており、今年は賃上げ要求を行っていない。一時金は住友金属工業が、前年より十万円高い二百二十六万円を回答した。

賃上げ全額を育児手当に 松下、子供1人で月額千円

2007年03月13日 中国新聞ニュース

 松下電器産業の労使は13日の賃金交渉で、今春闘で固まっている月額1000円の賃上げについて、全額を育児手当として子供を持つ従業員に配分することで基本合意した。子供1人当たり1000円(3人目からは2000円)を賃金に上乗せする。

 松下は14日に組合側に正式回答する。対象は組合員の半数に当たる約3万人で、一律に配分していた従来の賃上げ方法を見直す。賃上げ原資の全額を子育て支援に振り向けるのは異例。

 18歳までの子供がいる組合員が対象で、従来の育児支援手当と合わせた支給額は、2人目までで年間1人当たり10万8000円、3人目からは33万6000円となる。

トヨタ、賃上げ千円で決着

2007/03/13 中国新聞ニュース

 春闘相場をリードするトヨタ自動車の二○○七年労使交渉は十三日、一般企業のベースアップ(ベア)に相当する賃金改善分について、○六年と同じ月千円で決着した。

 賃上げは二年連続。十四日に経営側が正式に回答し、最終的に妥結する。日本を代表する企業であるトヨタの賃上げで、ベアゼロから賃上げへの流れが加速しそうだ。

 経営側は業績が好調なことから、千円の回答方針をすでに固めていたが、労組側は「格差是正」に向け社会全体に賃上げを波及させることを目指し、○六年を五百円上回る千五百円の賃上げ要求に満額で応えるよう主張していた。

 しかし、生産コストが上昇することによる国際競争力の低下などの懸念を主張した経営側が押し切った。

 一時金は過去最高となる組合員平均で年二百五十八万円の要求に対し、満額回答で決着していた。

電機、大半が実質1000円に 自動車、満額回答は困難

2007年03月12日 中国新聞ニュース

 終盤をを迎えた大手製造業の春闘で、月額2000円の賃上げを要求している三菱電機や松下電器産業など電機大手の大半は12日、各種手当などを含めた実質的な賃上げ額で、1000円を回答する方向で最終調整に入った。

 一方、トヨタ自動車など自動車各社の労組が求める賃上げの満額回答は難しい情勢。組合が1500円の賃上げを要求しているトヨタは1000円の賃上げを固めたが、組合側は14日の集中回答日ぎりぎりまで上積みを目指す。

 今春闘では、戦後最長の景気拡大や好業績を背景に、組合側は例年にない意気込みで交渉に臨んだが、人件費アップによる国際競争力の低下を懸念する経営側に押し切られ、満額回答を引き出せずに終わる公算が大きくなった。

 三菱電機は純粋な賃上げ額が1000円で妥結する見通し。松下や東芝、富士通なども実質で1000円を確保する見通しになった。業績の厳しい日立製作所は500円にいくら上乗せできるかの交渉になっている。

賃上げは1000円挟む攻防に トヨタ、好業績で

2007年03月08日 中国新聞ニュース

 トヨタ自動車は8日、2007年春闘交渉での一般企業のベースアップに相当する賃金改善分について、好業績を配慮して2年連続で回答する方向で調整に入った。組合側は1500円の賃上げを要求しているが、経営側は国際競争力の観点から最小限にとどめる意向が強く、1000円を挟んだ攻防となる。春闘相場をリードする同社の賃上げ回答は他産業にも影響を与えそうだ。

 同社の07年3月期連結決算の純利益は過去最高となる1兆5500億円を見込んでいるほか、07年世界生産計画は前年より約40万台多い942万台。高い品質を確保しつつ、生産能力を上げるには賃上げで職場のチームワークを確保することが必要と判断したもようだ。 一方、過去最高の金額となる組合員平均で年258万円の一時金要求については、満額に迫る金額を回答する方向。

電機は1000円めぐる攻防 春闘の労使交渉本格化

2007年03月03日 中国新聞ニュース

 春闘相場のけん引役となる金属労協(IMF・JC)加盟の大手企業労組の賃金交渉が本格化してきた。3日までの情勢では、東芝など電機各社で月額1000円の賃上げをめぐる攻防が見込まれるほか、トヨタ自動車では組合側が1500円の満額回答を迫っている。

 企業の好業績が続いている上、団塊の世代の大量退職などで労働力確保が重要な課題になってきていることもあり、労組側は強気の姿勢。経営側は国際競争力を強化するための設備投資を優先したい考えだが、各業界とも前年実績にどれだけ上積みされるかが焦点となる。14日の集中回答日に向けて労使の激しい駆け引きが続きそうだ。

連合 要求6年ぶり7000台 春闘第一次集計 時短取り組みは3割超

2007/03/03 FujiSankei Business i.

 連合は2日、傘下労働組合の2007年春闘要求の1次集計(1日時点)をまとめた。それによると、定期昇給分を含め組合員1人当たりの引き上げ額を交渉する「平均賃金方式」を取る労組の場合、平均要求額は06年要求比2・44%増の7086円となり、01年以来6年ぶりに7000円台を突破した。

 今回は2月中旬までに要求を経営側に提出した1609の労働組合を対象に集計した。主な業界は金属や化学、運輸業界など。前年同時期に集計した1651労組の平均は6688円で、連合の方針に基づき上積みしたところが多かったとみられる。

 一時金については、平均年間要求月数(1351組合)が0・11カ月増の5・35カ月、要求額(753組合)は6363円減の162万7698円。要求額が減少した理由は、前年同時期までに提出した業種と異なるため。

 連合は労働協約締結や労働時間短縮も07年春闘の重要課題に位置づけているが、こられに取り組む労組は3割超。企業内最低賃金の協定締結、残業や休日出勤の割増率引き上げに取り組む労組が増えている。

 同日会見に臨んだ古賀伸明事務局長は「数、水準の面で昨年を上回る賃金改善の引き出しを最後まで目指していく」と強調しながらも、「昨年に比べ末端の交渉は厳しいとみている」との認識を示した。

トヨタ労組、1500円の実質ベア要求案を正式決定

2007年02月09日 asahi.com

 トヨタ自動車労働組合(組合員約5万8000人)は9日、07年春闘交渉で、組合員平均1500円の実質ベースアップを盛り込んだ要求案を正式に決めた。14日に要求書を会社側に提出する。経済情勢の好転などを背景に前年を500円上まわる実質ベア獲得を目指す組合側に対し、経営側は国際競争力の維持を理由に難色を示しており、「春闘の相場役」の労使交渉が今後、熱を帯びてくることになる。(大日向寛文)

 「(トヨタの)賃上げ要求の社会的な役割や個人消費、可処分所得の動向も考慮に入れ、総合的に判断した」。正式決定後の記者会見で、鶴岡光行委員長は、前年から実質ベア要求額を上積みした根拠をこう説明した。

 実質ベア1500円は、「2000円以上」を目指す電機連合は下回るものの、自動車業界ではホンダなどの1000円をしのぐ最高水準。一時金要求も過去最高額の組合員平均258万円を掲げる。

 強気の要求を突きつけるトヨタ労組だが、本格的な検討に入るまでは及び腰だった。4年ぶりにベアを要求した昨年春闘では、満額回答を引き出したものの交渉が難航したからだ。満額回答を経営側は「理屈抜き」と説明し、「例外扱い」を強調した。

 500円刻みに設定した今回の要求額は、好業績企業の代表労組に対して労働界が寄せる「前年以上の要求」という期待と、獲得の勝算との間で揺れた末の着地点だ。

 一方、経営側は日本経団連と同様、「好業績は一時金に反映させるのが基本」との立場だ。2年連続で実質ベアを認めれば、「日本経済全体でベアが復活しかねない」(トヨタ幹部)との危機感は強い。

 経営側が訴えるのは、長期的な国際競争力の維持だ。現在は自動車輸入国の中国が、低賃金を武器に「5〜10年先には輸出を開始」(小沢哲常務役員)し、世界の自動車市場で競い合うことになると見る。日本車並みの品質を実現した韓国・現代自動車も、足元ではウォン高で競争力を失っているものの依然、脅威だ。経済情勢の改善についても「景気の本格回復にはほど遠い」(トヨタ幹部)と否定的だ。

 組合側の戦略は、「回復基調にある日本経済に対するトヨタ労使の社会的な役割を果たしていく」という大義名分を前面に打ち出すことだ。

 トヨタ経営陣は02年春闘でベア要求を拒否、日本全体に「ベアゼロ」を定着させた。当時は、01年度の国内総生産(GDP)が3年ぶりにマイナス成長に転落する不況下。経営側の厳しい姿勢にも、社会からは一定の評価が集まった。だが、今春闘は、「いざなぎ超え」とされる好景気を、どう維持・拡大するかが課題となっている局面で迎える。

 昨年11月、月例経済報告で景気判断を下方修正した内閣府は、その理由を、賃金の伸び悩みに伴う消費の弱さとした。安倍首相も、経営側に暗に賃上げを求める発言をするなど、組合側には追い風が吹いている。社会的役割という「錦の御旗」をなびかせ、経営陣から譲歩を引き出す考えだ。

私鉄が要求提出、春闘交渉スタート

2007/02/10 The Sankei Shimbun WEB-site

 私鉄の労組で組織する私鉄総連は9日、経営側の日本民営鉄道協会に対し、3500円のベースアップ(ベア)を柱とする要求書を提出、平成19年の春闘交渉がスタートした。昨年はベア2000円を要求したものの、ベアゼロで妥結しており、今春闘では賃上げの復活を目指す。

 一方、民間最大の単一労組であるNTT労働組合は同日、都内で中央委員会を開き、2000円相当の賃上げを要求する春闘方針を正式に決めた。賃上げ要求は平成12年以来、7年ぶりとなる。

 昨年の春闘では、自動車や電機で5年ぶりに賃上げが実現した。その後も企業業績はおおむね好調で推移し、今期も4期連続で最高益を計上する見通しとなっており、主要企業の労組は相次いで強気の要求を掲げている。個人消費を盛り上げるため、安倍晋三首相をはじめ、与党からも経営側に賃上げを求める発言が相次いでおり、賃上げの流れがメーカーだけでなく、さらに多くの業種に広がるかが今春闘の焦点となりそうだ。

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三菱重工、6年ぶり賃上げ 1人当たり1000円原資に

2007年01月31日 中国新聞ニュース

 三菱重工業は31日までに、組合員1人当たり約1000円を原資とする賃上げを4月から実施することで労働組合と合意した。賃上げは6年ぶりで、生産現場の監督者や指導員らが対象となる。

 ものづくりを強化するため、生産現場の監督者の役職手当や生産現場で新入社員を指導する指導員の手当を増額するほか、人材確保のため初任給を500−2000円上げる。

 造船重機大手では、石川島播磨重工業や川崎重工業、三井造船、住友重機械工業の各社も4月から組合員1人当たり約1000円を原資とする賃上げを行うことで労組と合意。各社とも、主に若年層とベテラン層に配分する。

 石播は21−31歳の若年層と50−59歳のベテラン層を対象に賃上げ。川崎重工は26−38歳の若年層と生産現場の監督者クラスが賃上げの対象となる。

ホンダ労連、ベア要求へ 日産労連は1000円上げ求める

2007年01月19日 中国新聞ニュース

 ホンダグループの労働組合で構成する全国本田労働組合連合会(荒川哲男会長)は19日、都内で中央委員会を開き、今春闘で定期昇給分に加え、ベースアップを要求する方針を決めた。

 賃上げの具体的な金額を盛り込むのは見送ったが、2年連続で賃金改善を求める積極姿勢を示した。年間一時金は、昨年と同じ5カ月以上を統一要求する。同労連の要求方針を基に、傘下労組は春闘要求を決定する。

 また、日産自動車グループの労働組合で構成する日産労連(西原浩一郎会長)は同日までに、今春闘で1人当たりの賃金改善分として1000円を基準に要求する方針を決めた。

 一時金は年間5カ月分を基準とする。賃金改善分、一時金とも昨年と同じ要求。傘下の日産労組は労連の方針を受け、今月末に要求を決める予定。

春闘労使インタビュー 連合会長・高木剛氏/日本経団連副会長・岡村正氏

2007/01/19 FujiSankei Business i.

 3月の一斉回答に向け幕を開けた2007年春闘をめぐり、連合の高木剛会長と日本経団連の岡村正副会長(東芝会長)の労使の代表は18日、それぞれインタビューに応じた。高木会長は、企業が生み出した付加価値のうち人件費に回された割合を示す労働分配率が下がっていることや格差の拡大を挙げ、06年を上回る賃上げの必要性を強調。これに対し、岡村会長は、人件費は増えているとした上で、国際競争力向上の観点から、一律での賃上げを否定した。 

 ■連合会長・高木剛氏 非組合員の格差是正必要

 −−連合は、2006年を上回る賃金改善を求めているが

 「ひとつは労働分配率が大幅に下がっているからだ。ここ10年は景気の良しあしに関係なく下がっている。株主への配分が増えているが、労働者はマイナスだ。さらに賃金の低いパートや派遣などの労働者が増えているのも分配率を押し下げている。民主党の試算では、小泉政権の5年間で家計の負担が9兆円増えた。入りが減って、出が多くなったことで8年連続可処分所得が減った。特に地方の中小企業やパートなどの処遇が非常に低く、低所得層が固定化されている。(賃金改善による)全体の底上げが必要だ」

 −−経営側は去年以上に賃上げに対して引き締める姿勢をみせている

 「日本経団連の経営労働政策委員会報告書では、昨年は、『普通の労働者に報いる』という表現があったが、今年は払える会社だけ払ったらいいという内容。一方で生産性向上の必要性を強調するが、向上した分の成果をどうするのか。昨年の同報告書には成果の適正配分という文言あったが、今年はその表現もない。会社のご都合論ばかりだ。今年も簡単な交渉にはならない」

 −−中小企業やパートなど格差是正も大きなテーマだ

 「毎年格差は開き続けている。特に経済的に厳しい地域の中小労働者の格差が大きくならないようにしなければいけない。そうした地域のパート労働者はさらに深刻だ。非組合員のパート労働者の利益も代表して交渉する必要がある」

 −−経営は成果はボーナスで還元するという考え方だ

 「ボーナスは格差を広げるとともに、労働配分率を引き上げる効果も低い。特定業種の特定の人は多くもらえるだろうが、中小企業では少ない。そもそもパートなどはほとんどもらえない。ボーナスだけで還元するという考え方は社会的妥当性を欠き、やはり月例賃金に反映させるべきだ」

 −−政治からも賃上げ要請が相次いでいる

 「追い風というよりは、誰の目からみても今の配分状況にゆがみが多いということだ。労組に対するがんばれよ、というメッセージと受け止めている」(聞き手、池誠二郎)

 ■日本経団連副会長・岡村正氏 労使間で徹底的な議論を

 −−景気回復を追い風に、各労組から強気の賃上げ要求が相次いでいる

 「国際競争力が激しさを増す中、業界一律の賃上げといった形で交渉する時代は終わった。業界内でも生産性に対する考え方は異なる。各企業の労使間でしっかりと話し合い、決めることが正しい。また、生産性の向上なくして国際競争力は高まらないということを強く認識してほしい」

 −−賃上げが社員のやる気を引き出し、国際競争力の向上にもつながるのでは

 「これからはイノベーションを次々と生み出す社会でなければならない。それを実現するには創造的な人材の養成が不可欠。賃金体系に成果的な要素を取り込むことによって、創造性の高い成果を残した人に多く配分するようにすればイノベーションに弾みがつく。一方、失敗した人にも再チャレンジの機会を与えられるという体系を構築することが、社員のやる気を引き出すことになる」

 −−労働分配率(企業が生み出した付加価値のうち人件費に回された割合を示す数値)が低下傾向にあるとの指摘がある

 「2006年の賞与、一時金の支給は過去最高で、パートの時給も上昇している。分配率の分子である人件費は上昇傾向にある。役員給与・賞与が上昇しているのに対し、社員への配分が下がっているという指摘もあるが、経営環境が厳しく賞与ゼロの企業が多かった01年を基準にするのは無意味だ」

 −−家計への波及を進め、個人消費を回復させるため、政治からの賃上げ要請が相次いでいるが

 「家計が潤えば消費が増大するという公式は否定しない。ただ、昨年も定期昇給で、平均2%上昇している。賞与も史上最高。家計は確実に増えているのが現状だ。消費マインドは徐々に高まると期待している」

 −−今回の春闘では働き方の多様化も重要なテーマだ

 「長時間労働をいかに少なくできるかは、経営者側にとって重要な問題。その課題に対応するには、ワークライフバランス(仕事と生活の調和)で多様な働き方をいかに容認できるかが必要だ。徹底的に論争し意見を出し合ってほしい」(聞き手、伊藤俊祐)

首相が異例の賃上げ要請 07春闘の論戦スタート

2007年01月05日 中国新聞ニュース

 2007年春闘について5日、都内の連合本部での年頭会見で高木剛会長は企業利益の労働者への配分増を要求したのに対し、経営者側は日本経団連など経済3団体の年頭会見で横並びの賃上げを強くけん制、春闘をめぐる労使の論戦がスタートした。安倍晋三首相は同日の経済3団体の新年祝賀会で、企業経営者らに賃上げを促す異例の要請を行った。

 景気拡大が戦後最長となり、大手企業の3月期決算の経常利益が4年連続で過去最高を更新する見通しとなる中で、連合は昨春闘を上回る賃金改善を要求する方針。しかし中国などとの競争激化を受け、経営側は賃上げに対する慎重姿勢を崩していない。

 首相は「景気回復が家計にも広がる経済にしていきたいので、ご協力いただきたい」と発言。労組側に“肩入れ”した格好だが、4月の統一地方選と夏の参院選をにらみ、野党が格差問題批判を強めていることも念頭にあるとみられる。

冬のボーナス88万4000円 経団連集計、過去最高更新

2006年12月13日 中国新聞ニュース

 日本経団連は13日、大手企業の今年冬の賞与(ボーナス)の最終集計を発表した。組合員1人当たりの加重平均額は昨冬比2・48%増の88万4072円で、1959年の調査開始以来、最高額となった。冬のボーナスは4年連続で増加し、昨年に続いて2年連続で過去最高を更新した。

 長期にわたる景気回復を背景に、大手企業の業績好調が続いているため。経団連は業績の伸びは賃上げよりも賞与に反映させる企業が増えていることも支給額を押し上げているとみている。

 業種別では、金額がトップだった鉄鋼は12・3%増の約112万4000円。3年連続で過去最高となり、業種別で唯一100万円の大台を超えた。自動車は2・4%増の98万9000円。一方、機械金属が15・7%減の約58万4000円と落ち込んだほか、食品、印刷なども減少し、業種間の業績格差を反映して、ばらつきも目立った。

夏のボーナス41万6054円 2年連続増

2006/10/31 The Sankei Shimbun大阪夕刊から

 厚生労働省が31日発表した9月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上の事業所)によると、今年の夏の賞与は前年比1.3%増の41万6054円だった。夏季賞与の増加は2年連続で「企業業績の緩やかな回復が継続している」(統計情報部)ことを裏付けた。

 業種別の伸び率をみると、金融・保険業の6.3%増(69万9784円)を筆頭に、卸売・小売業の4.0%増(31万9554円)、情報通信業3.7%増(66万701円)と続く。一方、パート労働者の比率が高い飲食店・宿泊業は10.8%減の7万9833円、電気・ガス業は3.3%減の83万2587円だった。

 同時に発表した9月分の雇用労働異動は、常用労働者数が前年同月比1.4%増と33カ月連続のプラス。このうち正社員の多くを含む「一般労働者」は1.7%増で、パート労働者の伸び率(0.4%増)を上回った。

広島県内の賃上げ平均が続伸

2006/08/14 中国新聞地域ニュース

 ▽組合員平均4248円、2.8%増

 今春の春闘で妥結した広島県内の企業などの賃上げ額は労働組合員一人平均で四千二百四十八円と、昨年実績を2・8%上回り、二年連続で増えたことが、県の調べで分かった。景気回復を受けてベースアップ(ベア)が復活した企業もあり額を押し上げた。

 県労働福祉室が、業種や従業員数、地域性などを考慮し、県内に本社や支店を置く百九十六の企業や農協を調査。うち六月末までに妥結した百四十五社が回答した。

 従業員数を考慮した加重平均で、ベアや定期昇給を加えた平均妥結額は四千二百四十八円(平均年齢三九・七歳)と、昨年の四千百三十三円(同三九・〇歳)から百十五円増えた。賃上げ率は1・57%で、前年の1・46%を0・11ポイント上回った。

 百四十五社のうちベアを要求したのは六十九社と、前年の十五社の四・六倍。実際にベアを獲得したのも二十七社と、前年の七社から三・九倍に増えた。景気回復を受けて業績が好調で、ここ数年間は凍結傾向だったベアが復活し、平均額の向上につながった。

 従業員の規模別では、一千人以上の平均妥結額が四千六百二十六円で7・7%増。三百人から九百九十九人は三千三百七十七円で11・3%減、二百九十九人以下は三千六百四十一円で1・1%減と、格差拡大が浮き彫りになった。業種別でも貨物運送や食料品は好調だが、旅客運送などは低 調だったという。

 県労働福祉室は「全体的には五年前の水準まで持ち直しつつある。景気が順調に推移すれば来春も額が増える傾向が続くのではないか」とみている。(村田拓也)

トヨタ、7900円賃上げ要求に満額回答へ

2006年03月14日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 トヨタ自動車は14日、2006年の春闘の賃上げ交渉で、労働組合が求めていたベースアップ(ベア)を含めた7900円の賃上げ要求に満額回答する方針を固めた。ベアを認めるのは5年ぶりとなる。15日に正式回答する。

 ベア相当分の1000円は全社員一律に配分せず、賃金制度のゆがみを是正する原資にあてるとしている。組合員平均で237万円の年間一時金(ボーナス)も要求通り、満額回答する。

 トヨタは2006年3月期連結決算で過去最高益を更新する見通しで、労組側は今春闘で4年ぶりにベアを要求。経営側は「これ以上の人件費の増加は、国際競争力の低下につながる」として、業績は一時金で反映するとしてきたが、最終的に労使間の信頼関係を考慮した。

 一方、鉄鋼大手のJFEスチールと住友金属工業は、今春闘での賃上げの回答を見送る方針を固めた。最大手の新日本製鉄もすでに見送り方針を固めており、鉄鋼大手の今春闘は、賃上げ見送りが大勢となった。両社の労組はいずれも2006年度、07年度の2年分で、05年度比で1人平均3000円の賃上げを求めていた。

 また、松下電器産業、日立製作所など電機大手の春闘は、500円の賃上げで決着する見通しだ。

松下も500円賃上げへ、電機大手は横並びの見通し

2006年03月12日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 松下電器産業は11日、今春闘で500円の賃金引き上げに応じる方針を固めた。

 日立製作所、三菱電機などは既に500円の引き上げで決着する見通しで、電機大手は、ベースアップを実施した2001年と同額の賃上げで足並みをそろえる公算が大きい。

 松下労組は2000円の賃上げを要求、経営側も賃上げを容認する姿勢を示していた。労組は500円からの上積みを求めているが、経営側は、他の電機大手と横並びの金額で収拾を図る構えだ。

トヨタ労組、ベア獲得へ異例の緊急集会 1万人が集結

2006/03/04 The Sankei Shimbun

 今春闘でベースアップ(ベア)に相当する賃金「向上分」として1000円の要求を掲げているトヨタ自動車労働組合(東正元(あずま・まさもと)委員長、5万8000人)は4日午後、愛知県豊田市で緊急大集会を開き、満額回答獲得に向け、例年にない取り組みで経営側へのアピールを強めた。

 集会には県内各工場などからトヨタ労組の約1万人が参加。東委員長は「進むべき道は1つしかない。何が何でもやり通す」と、5年ぶりのベア獲得へ決意を表明した。

 トヨタ労組の「1万人大集会」は例年3月の平日に開催され、今年は7日の予定だが、労使交渉での経営側の強硬姿勢に危機感を強めた労組側は、これに先立ち週末に緊急集会を開くことで組織の団結をさらに強める必要があると判断した。

 トヨタ労組などが入居する豊田市内の組合会館には「伝えよう!熱い職場のこの思い」との標語と全組合員が署名した大型の垂れ幕も掲げた。「ベアを求める切実な気持ちを内外に示す初の試み」(労組幹部)という。

 4年ぶりにベア要求を復活させた労組に対し、経営側幹部は「ベアを出すのは極めて困難」としており、交渉は難航している。

金属労協53組合が賃上げ春闘、昨年は1労組

2006年02月22日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 鉄鋼、自動車、電機産業などの主要労組58組合のうち53組合が、今春闘で賃金改善を要求していることが22日、金属労協の集計でわかった。

 金属労協傘下で、組合員1000人以上の主要組合について調べた。昨年、賃金改善を明確に求めたのは日産労組だけだった。

 今年、賃金改善要求を見送っているのは、三菱自工の労組と電線産業4組合。業績不振の三洋電機労組は統一闘争から離脱しており、集計対象に含まれない。

春闘、パート待遇改善焦点 連合、組織率の向上狙う

2006/02/18 The Sankei Shimbun【東京朝刊から】

 連合が今春闘で、パート労働者の待遇改善を求める取り組みを強めている。パートが共同で待遇改善を求める「パート共闘会議」を初めて組織、十七日に都内で集会を開いて意気込みを示した。要求の柱は正社員の半分となっている賃金水準の引き上げで、実現すれば組織率低下にも歯止めがかかるとみている。

 十七日に開いた「パート労働者の集い」では、連合の古賀伸明事務局長が「パート労働者の処遇改善に連合として全力で取り組む」とあいさつ。五百六十五人の参加者から拍手を浴びた。

 連合は昨秋、「パート労働者の組織化と処遇改善」を今春闘の活動方針の柱の一つに設定。職場ごとの個別対応を前提としたうえで、「時間当たり賃金を1%または十円以上引きあげる」「一時金、退職金制度の整備」という要求基準の具体的な目安も掲げた。

 背景にあるのは、パートと正社員との賃金水準の格差だ。厚生労働省の調査によると、男性パートの賃金水準は正社員の50・6%。女性パートは45・2%と「もはや放置できない状況」(連合幹部)だ。ただ、労組組織率の低下という事情も大きい。企業が人件費削減のために正社員からパートに雇用シフトを進めた結果、労働者の組合離れに拍車がかかり、昨年の組織率は18・7%と過去最低を記録した。一方、パートの加盟率も3・3%にとどまっている。パート比率の高い業界で構成するUIゼンセン同盟出身の高木剛会長が「組織率の低下は労働運動の影響力低下につながる」と強い危機感を示しており、パート待遇改善に号令を出した経緯もある。

 しかし、課題も多い。パートの加入者増は連合の勢力拡大につながる半面、獲得した原資の配分で利害が対立する恐れがあるためだ。過去、パート加盟が進まなかった主な理由もそこにある。賃金と時給引き上げを手土産に組織率の引き上げにもつなげるシナリオは、成功すれば見返りは大きいが、大きなかけでもあるといえそうだ。(村山繁)

自動車、4年ぶりベア要求 トヨタ、ホンダが1000円

2006/02/15 The Sankei Shimbun

 トヨタ自動車は15日午前、1000円のベースアップ(ベア)相当分を含む春闘要求書を経営側に提出した。午前中にさらに日産自動車とホンダ、午後には電機大手が要求書を提出。トヨタとホンダは4年ぶりのベア要求で、先週の鉄鋼・造船に続く大手自動車、電機労組の賃上げ要求により今春闘が本格化する。

 好業績の自動車業界は春闘相場のリード役として期待されており、3月中旬の集中回答日に向け労使間の激しい綱引きが展開されそうだ。

 ホンダはベア分1000円を含む要求書を提出。日産自動車は定期昇給やベアに基づかない新制度を導入しており、賃金改善の原資として1人7000円を要求。1人当たりの支払原資としてはトヨタなどと実質同水準の要求とみられる。

 経営側は「国際競争の激化で環境が厳しくなっている部分もある」(渡辺捷昭トヨタ社長)と労組側をけん制する発言を繰り返している。一方、組合側は労働力が不足する中で人材投資の重要性を主張、企業収益の労働者への配分を求める。

 一時金(ボーナス)はホンダが年間6・7カ月分、日産が6・4カ月分と、ともに過去最高水準を求め、トヨタは前年より7万円減の組合員平均237万円を要求。

 大手3社以外では、経営再建中の三菱自動車の労組がベア要求を見送るほか、販売が低迷する富士重工業の労組は、仕事の負担が重い係長級に絞った賃上げを要求。自動車業界でも業績や人事制度の違いから、要求段階で各社の違いが鮮明になっている。(共同)

マツダ労組4年ぶりベア要求へ

2006/02/03 中国新聞地域ニュース

 マツダ労組(小田一幸委員長、約一万八千六百人)は二日、今春闘で実質的なベースアップ(ベア)に当たる「賃金改善分」として千円を要求する方針を明らかにした。賃上げ要求は四年ぶり。会社の業績が好調なためで、年間一時金は過去最高の五・七カ月を要求する。(藤原直樹)

 十三日に正式決定し、十五日に会社に提出する。会見した小田委員長は「過去最高の営業利益が予想されるなど追い風が吹いている」と説明。「組合員のこれまでの頑張りに月々の賃金で報いるべきだ」と述べた。

 賃金改善分の千円は、すでに千円の賃上げ要求案を固めているトヨタ、ホンダなど他労組の水準に合わせた形。一時金要求は満額回答だった昨年より〇・二カ月多く、同じく満額回答だった一九九〇、九一年の五・六カ月を上回る水準となる。

 同労組は二〇〇三年以降、ベアを断念し一時金要求に絞っていた。マツダは相次ぐ新型車投入で〇六年三月期の連結売上高二兆八千二百億円、営業利益も最高の九百五十億円を見込むなど業績が拡大し、賃上げを要求できる環境と判断した。統一回答指定日と想定される三月中旬までの決着を目指す。

 協力部品メーカー労組などとつくる全国マツダ労連(九十組合、約三万九千二百人)は先月、四年ぶりの賃上げ要求方針を決めている。

本田技研、今春闘でベア要求方針…造船・重機3社も

2006年02月01日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 本田技研労働組合は31日、今年の春闘で4年ぶりにベースアップ(ベア)を要求する方針を固めた。金額は1000円とする方向だ。

 1日に執行部案を正式決定し、組合員に提示する。

 また、日産自動車労働組合は31日、過去最高となる給与6・4か月分の一時金を要求する執行部案を決めた。日産では賃金制度の変更で、ベアや定期昇給の概念がなくなっており、昨年の春闘から、組合員平均ではなく、全社員の給与総額である総原資額を要求する方式を採用している。1人当たり7000円の「平均賃金改訂原資」を要求する。

 一方、三菱重工業、川崎重工業、石川島播磨重工業(IHI)の造船・重機大手3社の労働組合は、それぞれ、2006〜07年度の2年間で、1人当たり計3000円のベアを要求する執行部案を組合員に示した。ベア要求は4年ぶり。

2年間で3千円の賃上げを  造船重機労組が要求案

2006年01月30日 岩手日報

 造船重機大手の三菱重工業、川崎重工業、石川島播磨重工業の労働組合は30日までに、2006年度と07年度の2年間で1人当たり3000円の「賃金改善」を求める春闘要求執行部案をまとめ、組合員に提示した。

 鉄鋼、造船などの産別労組である基幹労連の統一要求案に沿った形で、ベースアップ(ベア)に相当する。造船重機大手の労組のベア要求は、旧造船重機労連が02年に1000円を要求して以来4年ぶり。

 各労組は2月8、9両日に開かれる基幹労連の中央委員会までに要求案を機関決定し、同10日に会社側に提出、3月15日に回答を求める予定。

 一時金は、三菱重工労組と全石播労組が基幹労連の方針に沿い年間50万円プラス3・5カ月分を要求。川重労組は業績連動で自動的に金額が決まる方式のため、数値的な要求はしない方針。

トヨタ労組、4年ぶりベア1000円要求案 賃上げ春闘へ

2006/01/27 The Sankei Shimbun

 トヨタ自動車労働組合(東正元(あずま・まさもと)委員長、5万8000人)は27日、評議会を開き、今春闘でベースアップ(ベア)に相当する賃金の「向上分」1000円を要求する執行部案を提示した。日立製作所や東芝、松下電器産業など電機大手の労組も同日、2000円の賃上げを求める方針を固めた。

 トヨタは4年ぶり、電機各社は5年ぶりのベア・賃上げ要求。今春闘では回復基調の景気を反映し鉄鋼などの主要労組も賃上げを求める方向で、自動車業界でもホンダの労組などがベアを要求する方針。相場のリード役である製造業の労組がこぞって賃上げに取り組むことで、久々にベア額をめぐる交渉が焦点となりそうだ。

 トヨタ労組は2月13日に要求を正式決定し、15日に会社側に提出する。トヨタは世界的な販売の好調を支えるため、国内の生産工場もフル稼働状態。労組執行部は、増大する従業員の負担や努力に報いる目的などから、ベア要求の復活が妥当と判断した。

 一時金要求については、2005年9月中間期の単独決算が前年同期より営業減益になったことなどから、過去最高だった昨年の要求より7万円少ない、組合員平均年間237万円とする。減額要求は2年ぶり。

 労組側はベア、一時金とも満額回答を強く求める見通し。だが、自動車、電機業界とも経営側は激しい国際競争などを理由に慎重な姿勢を示しており、3月中旬の回答に向け、ぎりぎりの交渉が予想される。(共同)

扶養手当、第3子で現行の6倍 東芝が新制度案、妻へは原則廃止

2006/01/24 The Sankei Shimbun

 東芝は24日、社員の子供への扶養手当について、第3子以降を現在の6倍にするなど今後5年間で大幅に増額、妻への扶養手当を原則廃止する新制度に衣替えする方針を明らかにした。労働組合が受け入れれば、4月から導入する意向だ。

 妻が扶養手当の対象にならない共働きの家庭が増え、子供により多くの手当を支給してほしいとの要望が強まっていることを考慮した。会社として少子化対策への取り組みを強化する。

 現在の扶養手当制度では、第1子、第2子に月額4200円、第3子以降から2500円の手当が支給される。新制度ではこれを毎年増額し、2011年4月には一律で1人1万5000円とする。

 一方、月2万円の配偶者手当は毎年減額し、子供がいる家庭で専業主婦への扶養手当は11年に廃止。子供のいない場合のみ、扶養する妻に2500円を支給する。

 現在は子供が3人いる家族の場合、妻を扶養していると3万900円、扶養していないと1万900円と、手当に大きな差がある。新制度に完全移行すると、一律4万5000円に増額される計算だ。(共同)

春闘、事実上スタート 賃上げめぐり応酬

2006/01/11 The Sankei Shimbun

 2006年春闘の賃上げなどをめぐり、日本経団連と連合の首脳が11日午前、東京都内の経団連会館で懇談会を開いた。労使の会談で事実上今春闘がスタートし、労使の攻防が本格化する。

 連合の高木剛(たかぎ・つよし)会長は「所得の二極化が進んでいる。労働者の頑張りに配慮願いたい」とあいさつ。経団連の奥田碩(おくだ・ひろし)会長は「昨年は労使の努力で企業業績は順調に伸びた。しかし今年は昨年ほど期待できないのではないか」と先行きの不透明感を強調し、労働側をけん制した。

 電機連合や基幹労連は既に2000―3000円の統一賃上げ要求を決め、経団連も14年ぶりに賃上げ容認の意向を示しており、久々の賃上げ春闘になりそうだ。

 懇談会で、経団連の柴田昌治(しばた・まさはる)副会長が「横並びのベアはもうあり得ない」としながらも「今春闘は業績回復から賃上げする企業も出るだろう」との見通しを示した。また「成果主義が行きすぎた面がある。まじめに働く普通の人を大切にし報いなくてはいけない」とも述べた。

 一方、連合側は一時金でなく、生活安定のため月給で成果を還元すべきだと主張。月給の目減りが続く中小企業の労組やパートら非正社員の待遇改善が必要とし、経団連に配慮を求めた。

 経団連は「経営労働政策委員会報告」で賃上げ容認の方針を出した。連合は、白書で5年ぶりに賃上げを求めた。大手はベアに相当する1000―3000円を要求する労組が多く、中小は定期昇給分も含め6500円以上が目標。

 19日に開かれる連合の中央闘争委員会から労使交渉が本格的に始まる。(共同)

民間給与7年連続ダウン 前年比5万減の439万円

2005/09/28 The Sankei Shimbun

 民間企業に勤めるサラリーマンやOLが昨年1年間に受け取った平均給与は438万8000円と、前年を5万1000円(1.1%)下回り、7年連続でダウンしたことが28日、国税庁の民間給与実態統計調査で分かった。

 特に企業業績に影響されやすい賞与の目減りが大きく、景気回復の兆しが見え始めたにもかかわらず、企業側の給与抑制が続いたのが要因とみられる。

 1年間を通じて勤務した給与所得者は、前年より13万人(0.3%)少ない4453万人だったが、うち女性は38万人(2.3%)増の約1701万人。給与総額は2兆8529億円(1.4%)減り、195兆4110億円だった。

 平均給与のうち給料・手当は、370万1000円(前年比1.0%減)。賞与は、68万7000円(2.0%減)で1983年の水準に落ち込んだ。

 男女別の平均給与は、男性が540万9000円(0.6%減)、女性が273万6000円(0.4%減)。業種別では、トップは化学工業の562万円。次いで金融保険・不動産業が548万円だった。

 一方、税収面では源泉徴収された所得税額は、昨年の配偶者特別控除一部廃止により3339億円(3.9%)アップし、8兆7988億円と4年ぶりに増加に転じた。

 サラリーマン給与については、厚生労働省が8月31日に発表した毎月勤労統計調査(速報)で、7月の所定内給与は前年同月比0.2%増で、4カ月連続増加するなど改善傾向が出ている。(共同)

夏のボーナス2年連続最高

2005/07/20 The Sankei Shimbun

 日本経団連が20日発表した大手企業の2005年夏のボーナス交渉妥結結果(最終集計)によると、妥結額(加重平均)は昨夏比3.63%増の85万9097円で、2年連続で過去最高額を更新した。

 自動車は一部企業の業績が悪化したものの、0.95%減の100万6048円と、2年連続で100万円台を維持。業績好調な鉄鋼は第1回集計では初めて100万円台に乗せたが、最終的には35.80%の大幅増ながら金額は99万9605円にとどまった。

 調査は東証一部上場企業など288社を対象に実施。平均額が明らかな203社を集計した。(共同)

夏のボーナス平均72万円 90年以降2番目に高い伸び

2005/04/28 The Sankei Shimbun

 東証一部上場企業の今年夏の一時金(ボーナス)の平均は72万2892円(速報値)で、1990年以降では2番目に高い伸び率になることが28日、民間の調査機関、労務行政研究所の調査で分かった。平均が70万円台に乗ったのは98年以来。

 同研究所は「中国の需要拡大で鉄鋼など素材産業が大きく伸びている。しかし円高、石油高など懸念材料もあり、最終的にはこの金額を少し下回る可能性もある」としている。

 調査結果によると、昨年夏の実績68万7122円より3万5770円上昇。対前年比伸び率は90年の6.9%に次ぐ、5.2%。特に製造業が6.3%と高い伸び率で全体を引っ張った。

 調査対象は東証一部上場企業で、労働組合が主要な産業別労組に加盟している165社。春闘交渉で妥結した一時金について産業別労組から聞き取った。(共同)

賃上げ率1・50%…春闘妥結の中間集計

2005/03/24 読売新聞 Yomiuri On-Line

 日本経団連が24日に発表した2005年春闘の妥結結果(中間集計)によると、賃上げ率は前年同期より0・04ポイント高い1・50%で、妥結額は前年同期比114円増の4943円だった。

 業種別の賃上げ率は、自動車が1・94%、鉄鋼は1・09%、造船は1・85%だった。

 経団連は、企業業績の回復で賃上げ率は上昇したが、業績を一時金(ボーナス)に反映する傾向が定着したため、伸び率は小幅にとどまったとしている。

 調査は大手企業288社を対象に実施し、今回の中間集計では60社から回答を得た。

NTTの一時金前年割れ 競争激化で維持できず

2005/03/18 The Sankei Shimbun

 NTTグループの春闘交渉は18日、NTT東西地域会社などの年間1時金(ボーナス)について、組合要求よりも0.1カ月低い4.4カ月(前年実績4.5カ月)で妥結した。

 グループの単一労働組合で民間最大のNTT労働組合(森島正治委員長、約18万5000人)は4年ぶりにスト権を確立して交渉したが、NTTを取り巻く競争環境は厳しく、前年並みの一時金を維持できなかった。前年は満額回答だった。

 NTT労働組合に所属する8つの企業本部は、それぞれベースアップ(ベア)要求を見送っており基本賃金は6年連続のベアゼロが確定した。

 1時金は各企業本部ごとの個別交渉。NTTコミュニケーションズやNTT持ち株会社なども4.4カ月の回答で、前年実績の4.5カ月を下回った。NTTドコモは組合員平均で192万円(前年実績5.48カ月プラス業績反映分)。ドコモは今年から回答方法を変えたが、前年に比べると下がった、という。(共同)

日産、トヨタが満額 一時金、好業績で 春闘一斉回答

2005/03/16 The Sankei Shimbun

 自動車、電機など春闘相場形成に影響力を持つ金属労協(IMF・JC)加盟の主要製造業の経営側は16日、賃上げや年間一時金(ボーナス)について、労組側に一斉に回答した。

 トヨタ自動車やホンダなどの満額回答に続き、日産自動車も16日午前、組合の要求通り6.2カ月の満額を回答。5年連続の満額となった。経営側は「業績が過去最高益になる見込みで、従業員の貢献に報いる」と回答の理由を説明している。

 電機業界では、シャープが前年妥結額(5.17カ月)を上回る5.21カ月、三菱電機も前年実績(4.45カ月)を上回る4.8カ月を回答した。鉄鋼でも住友金属工業が前年実績の150万円を大きく上回る182万円となった。

 大手製造業ではベア(ベースアップ)要求を見送る組合が多く、焦点は一時金交渉に絞られた。「業績回復は一時金で還元する」経営側方針がすっかり定着した格好だ。

 自動車業界ではトヨタは、過去最高の平均5カ月プラス62万円(244万円)、ホンダが6.4カ月分、マツダは5.5カ月の満額回答。

 三菱自動車も既に年間一時金について、過去最低ながら3カ月の満額回答することで合意。経営側は再建を進めるため、労組の要求に応じた。

 電機では、松下電器産業が労組要求の現行賃金体系の維持で妥結。日立製作所は4年ぶりに一時金要求を引き上げたが、4カ月台半ばの前年実績に増額の意向だ。

 一方、造船重機は、業績連動に移行した川崎重工業を除き、三菱重工業や石川島播磨重工業はいずれも3.5カ月プラス50万円を要求したが、三菱重工は3.5カ月プラス45万円で前年割れ、石播は3.5カ月プラス20万円で前年超えとなった。(共同)

トヨタも一時金満額回答へ 過去最高額244万円

2005/03/15 The Sankei Shimbun

 トヨタ自動車は15日、春闘で焦点となっていた一時金(ボーナス)について、前年の妥結額を9万円上回る組合員平均244万円の労働組合側の要求に対し、満額回答する方針を固めた。満額回答は6年連続で、額は過去最高。16日に正式回答する。

 自動車大手の春闘交渉は、ホンダやマツダも満額回答とする方針を決め、好業績組が高い水準の一時金を確保する。

 16日の主要製造業の集中回答を前に日立製作所や三菱電機など大手電機業界でも、前年妥結額に上積みの方向で大詰めの交渉を続けている。トヨタの大幅増額は、ほかの企業の一時金交渉にも影響を与えそうだ。

 今春闘でトヨタの経営側は、円高や鋼材価格の高騰など「足元の厳しさ」(幹部)を挙げて増額に難色を示し、回答日を前にぎりぎりの折衝が続いていた。最終的には、急拡大している海外事業への支援による負担増なども考慮し、円滑な労使関係を重視した上での判断とみられる。

 トヨタの2005年3月期の連結純利益は2年続けて1兆円を突破する見込みで、労組側は9万円増の5カ月プラス62万円を要求した。好業績にもかかわらず、ベースアップ要求を3年連続で断念し、「一時金は満額以外ない」との強い姿勢で交渉に臨んでいた。

 賃上げは、定期昇給に相当する平均6900円の「賃金制度維持分」を経営側が認める方針だ。(共同)

ホンダ、一時金満額回答へ

2005/03/14 The Sankei Shimbun

 ホンダは14日までに、今年の春闘で、一時金(ボーナス)の年間6.4カ月分要求に対し、満額回答の方向で検討するとの意向を労働組合側に伝えた。

 経営側は理由を「厳しい状況ではあるが、全従業員の業績に対する意識の高さなどが確認でき、期待を込めて満額で応じる」と説明した。16日の自動車、機械などの主要労組に対する集中回答日に正式回答する。

 組合は、単独の業績が振るわないことに配慮し、一時金を、過去最高だった昨年獲得実績の6.55カ月を下回る水準で要求していた。(共同)

トヨタ満額、日立上積みへ 春闘終盤、業種間で明暗

2005/03/12 The Sankei Shimbun

 主要企業の春闘労使交渉が16日の集中回答日に向けヤマ場を迎えている。ベア要求が相次いで見送られた中で、焦点の一時金(ボーナス)交渉では原材料高や円高など業績圧迫要因があるものの、トヨタ自動車は過去最高額を獲得する見通しだ。

 業績回復を受け日立製作所など電機の一部も前年妥結実績に上積みの方向な半面、造船重機などは業績悪化懸念で交渉が難航。経営再建中の三菱自動車も厳しい状況で、業種・企業間で明暗が分かれている。

 トヨタの労組は、好業績を受け過去最高の組合員平均5カ月プラス62万円を要求。経営側は鋼材高などを挙げ「慎重な上にも慎重に検討する」(張富士夫社長)としているが、同社長は「組合員の頑張りは理解できる」とも発言、満額回答を軸に交渉が続く。マツダは既に5・5カ月の満額回答をした。

 日産自動車も6・2カ月と過去最高水準の要求に対し、経営側が社員の努力に報いる姿勢を示唆。ただ、円高もありカルロス・ゴーン社長の判断次第だ。一方、ホンダは経営側が「水準の高い要求」との姿勢。三菱自は交渉の大半を新再建計画に費やしている状況だ。

 日立や三菱電機は、業績回復を背景に一時金要求を4年ぶりに引き上げ5・2カ月とした。昨年実績は両社とも4カ月台半ばだが、増収増益基調の両社経営側は昨年妥結額への上積みに含みを持たせている。

 シャープ労組は一時金の要求を5・4カ月と昨年より引き下げたが、経営側は「景気は踊り場。満額回答はあり得ない」とけん制する。

 造船重機では三菱重工業と石川島播磨重工業が3・5カ月プラス50万円を要求。好調な造船需要も受注価格が安く利益に結びつかないため、要求額を下回るのは確実。

 また、好業績を背景に190万円を要求した住友金属工業では前年実績の150万円を上回るのは確実で、「上積み幅が焦点」(労組幹部)だ。

 <労使交渉> 労働組合と経営側の交渉の場。労働組合が春闘「春季生活闘争」、経営側は「春季労使交渉」と呼ぶ。春は主に賃金、一時金の交渉の場として1950年代以降注目されてきた。しかし、最近の春闘は本給を引き上げる「ベースアップ」交渉から、一時金に交渉の軸足を移行。パートなど雇用形態の多様化で、労働者の春闘に対する意識も一律でなくなってきた。日本経団連は育児支援策や労働条件、さらに経済政策や経営問題でも労使が議論し認識を共有することが重要としている。(共同)

春闘要求額平均、やや高めの5725円…連合が発表

2005/03/08 読売新聞 Yomiuri On-Line

 連合は8日、2005年春闘で2日現在、全国1596組合が平均賃金方式で要求し、定期昇給を含めた平均賃上げ要求額が5725円となったことを発表した。

 249組合に行った昨年調査と比べて73円増、2年連続で調査を行った192組合に絞っても30円増で、景気と業績の回復を反映したとみられる。また、連合が今年、大手と中小労組の格差是正に力を入れていることを反映し、300人以下の中小労組で6834組合が共闘に登録した。

 平均賃金方式は、組合員全員の平均値を使って労組が会社側に提出した賃上げ要求で、規模別では300人未満の中小で平均5416円、1000人以上の大企業で平均5877円だった。

「派遣先の面接禁止を」 全国ユニオン、法順守要求

2005年03月04日(共同通信) gooニュース

 派遣先企業が派遣スタッフを選別する違法な事前面接が常態化している。派遣労働者で組織している全国コミュニティ・ユニオン連合会は「年齢、容姿などによる雇用差別を助長する」として、面接禁止の順守を春闘の焦点に掲げて派遣業界に改善を求めている。日本経団連は雇用のミスマッチ防止に必要との立場から面接解禁を厚生労働省に要望しており、今後労働者派遣法改正を巡る労使の綱引きが展開されそうだ。

 派遣法では、企業が派遣スタッフを選ぶために事前面接、履歴書の送付を求めるなど「特定する行為」は禁じられている。ところが、派遣労働ネットワーク(中野麻美理事長)の04年調査(回答約170人)では、8割強の派遣労働者が派遣先企業から事前面接や顔合わせ、採用試験などの選別を経験していた。

 3年前から派遣の仕事をする東京都内の女性(31)は昨年、派遣先と5回、事前面接したが、結果はいずれも不採用。「派遣会社が企業の要求をつかんで紹介してくれれば、面接を受けないで済むはず」と話す。

 昨年12月、やっと長期の派遣先が決まったが、働き出して3カ月足らずで派遣先から「予定の仕事がなくなった」と契約を打ち切られたという。

 派遣労働ネットワークや全国コミュニティ・ユニオン連合会は1日、こうした問題が派遣スタッフの労働条件を低下させるとして、日本人材派遣協会との懇談会で法律順守を求めた。同協会側は派遣スタッフ保護に努めることは約束したものの、「一定条件のもとでは事前面接を解禁することも検討していいのではないか」との考えも示した。

 事前面接については昨年3月の派遣法改正で、本採用を前提にした「紹介予定派遣」の場合は解禁された。経団連は「派遣スタッフにとっても面接があった方が仕事のミスマッチが防げるのではないか」として、派遣全体の事前面接の解禁を今年度の雇用・労働分野の規制緩和要望に掲げている。

 しかし、中野理事長は「もともと力の強い派遣先企業にスタッフの選別権も認めてしまえば、労働条件引き下げが一段と進む」として解禁阻止の運動を強めていく構えだ。

派遣労働者の春闘交渉 全国ユニオンと派遣協会

2005年03月01日(共同通信) gooニュース

 地域の労働組合でつくる全国コミュニティ・ユニオン連合会(全国ユニオン)などは1日夜、東京都内で派遣会社の業界団体「日本人材派遣協会」と懇談し、派遣労働者の賃金や待遇の改善を求める春闘交渉を行った。

 派遣先の企業内労組に加入していない派遣労働者が多いため、派遣やパートが多く加入する全国ユニオンが代わって交渉する形だ。

 全国ユニオンは、生活するための最低目標として、年収300万円、時給1780円を掲げている。このほか、1−3カ月の短期契約の繰り返しではなく長期契約の締結や、年齢、容姿、介護・育児の有無による差別をなくし均等待遇することなどを要望。

 厚生労働省の集計(2003年度)では、派遣労働者は過去最高の約236万人に上っている。

【春闘05】マツダ、異例の早期妥結

2005年02月25日 Responce

 マツダは、今春闘の労働組合の要求を経営側が満額回答して妥結したと発表した。自動車業界の集中回答日は3月16日だが、異例の早期満額回答で妥結した。

 マツダの労組は23日に今春闘で年間一時金5.5カ月を要求した。

 マツダの経営側は、「次期中期経営計画に取り組むため、慣行にとらわれず早く対応する」として、労組からの要求書提出から2日後に団体交渉を申し入れ、満額回答で妥結した。

 同社は業績が順調に回復している矢先に宇品第一工場の火災で減産に追い込まれた。火災の影響を最小限に抑えるため、早期に労使一体となって取り組む必要があるとの判断が働いた模様だ。

4年ぶりスト権確立へ NTT労組、春闘要求提出

2005年02月21日(共同通信) gooニュース

 単一労働組合で民間最大のNTT労働組合(森島正治委員長、約18万5000人)は年間一時金(ボーナス)を昨年と同水準とする春闘要求を決定、組合を構成する主要8社の企業別本部が21日から順次、経営側へ要求書の提出を始めた。

 通信業界はソフトバンクによる固定電話参入など料金の引き下げ競争が激化。今春闘は厳しい交渉が予想されるため、同労組は4年ぶりにスト権確立投票の実施を決定。状況によってストを打てる態勢を整える。基本賃金のベアについては5年連続で要求を見送り一時金重視の交渉となる。

 一時金は各企業本部ごとの個別交渉で、要求は業績が比較的堅調なNTTドコモ、NTTデータが年間5・48カ月プラス業績反映分、事業環境が厳しいNTT東西地域会社など残り6社が4・5カ月。先週末までにそれぞれ前年実績と同水準の要求を決定した。

17年春闘、労使交渉本番 ベア見送り一時金に照準

2005年02月17日(産経新聞社)gooニュース

広がる業績格差、交渉難航も

 平成十七年春闘は十六日、トヨタ自動車や日立製作所など自動車や電機大手の労働組合が経営側に要求書を提出し、三月十六日の集中回答日に向けて労使交渉は本番を迎えた。経営側の厳しい姿勢を背景にベースアップ(ベア)要求の見送りが相次ぎ、一時金(ボーナス)の上積みを求めて過去最高額を要求する労組が多い。しかし、個別企業ごとの業績格差が広がる中で交渉は難航する可能性もある。 

 自動車業界では、大手労組がベアを見送り、一時金を要求の中心に据えている。過去最高の連結最終益が予想される中でも、交渉ベースの違いなどで明暗が分かれる結果となった。

 二期連続で連結最終利益一兆円超が確実となったトヨタ自動車労組は、年間一時金で過去最高額となる二百四十四万円を要求した。これに対し、伊地知隆彦常務役員は同日、「労働側とはお互いに理解している」と語り、ベア要求見送りに応えて一時金は満額で妥結する考えを示唆した。

 日産自動車労組も最高益見通しを受け、昨年を上回る過去最高の六・二カ月を求めた。日産本体は、昨年から年功要素を排除した新制度を導入したことで要求方式を変更、賃金原資の増額を交渉するが、日産グループ約四百五十組合で組織する日産労連は自動車総連傘下で唯一、ベア千円の統一要求を設定した。

 一方、単独決算では減益となるホンダのほか、経営再建中の三菱自動車は要求を昨年より引き下げた。ホンダは過去最高だった昨年から〇・二カ月引き下げた六・四カ月を要求し、組合員平均で二百三十九万千円としてトヨタに逆転を許した。過去最悪の赤字を見込む三菱自動車労組は、過去最低の三カ月に絞る。

 造船・重機では原材料価格の上昇で採算が悪化しており、ベア要求は見送る。一時金は、業績連動方式を導入した川崎重工業を除いた三菱重工業など大手はほぼ横並びで五十万円プラス三・五カ月を要求した。

 二年ごとに協約を改定する鉄鋼業界では、今年は賃上げ交渉はない。一時金も新日本製鉄、JFEスチール、神戸製鋼所が業績連動方式を採用しており、大手では唯一、住友金属労働組合連合会が好業績を背景に昨年比四十万円増の百九十万円を要求。昨年に続き満額回答を目指すが、鉄鉱石など原料コスト高もあるため交渉は難航しそうだ。

 電機業界では、日立製作所労組が十六日に年間一時金五・二カ月を要求し、四年ぶりに要求額を引き上げた。経営側は「今期は業績見通しを下方修正した。先行きが不透明な中で一時金も慎重にならざるを得ない」と強調する。ただ、今期は増収増益を確保する見通しで、昨年妥結額の年四・六五カ月(要求額五・〇カ月)に対して上積みもありそうだ。

 三菱電機労組も十七日、一時金を要求する。今期業績見通しが増収増益のため、一時金要求額を五・二カ月程度と四年ぶりに引き上げる。電機連合が四年連続で統一ベア要求を見送る中で、個別労組は現行賃金体系の維持を要求しており、交渉は一時金が軸となっている。

一時金の増額を重点に 春闘要求で日立も

2005年02月16日(共同通信)gooニュース

 自動車大手と日立製作所の労働組合は16日、春闘要求書を経営側に一斉に提出した。自動車総連や電機連合が統一ベア要求を見送り、各労組は企業業績を反映した年間一時金の増額・確保要求に軸足を移している。

 国際競争が厳しい自動車・電機業界は、各企業の収益状況に違いがあるものの、総じて業績が堅調で、昨年実績の一時金にどの程度上積みできるかが焦点だ。

 同日記者会見した自動車総連の加藤裕治会長は、主要な12労組のうち、トヨタ自動車、日産自動車、ダイハツ工業、スズキ、ヤマハ発動機の5つの労組が過去最高水準の年間一時金要求したことを明らかにした。

 また大手の労組はベースアップ要求をしないものの、総連加盟の部品製造会社や販売会社の労組は約500単組がベア要求する見込みという。昨年は加盟約1200組合のうち484組合がベア要求し、122組合が獲得した。

春闘 本格交渉スタート ベア沈静、一時金焦点 造船重機、要求を提出

2005年02月15日(産経新聞社)gooニュース

 三菱重工業など大手造船重機メーカーの労働組合が十五日午前、会社側に一時金(ボーナス)などの要求を提出し、平成十七年春闘の具体的な労使交渉がスタートした。最大労組の連合がベースアップ(ベア)の統一要求を四年連続で見送るなど賃上げの動きは沈静化、今春闘での最大の焦点は一時金をめぐる攻防になりそうだ。

 三菱重工業は労組側が年間一時金について、昨春より六万円引き下げた五十万円プラス三・五カ月を要求。ベア要求は三年連続で断念した。それでも鋼材価格の高騰、円高など経営環境は厳しく、来月十六日の集中回答日に向けた交渉は難航が予想される。

 石川島播磨重工業の一時金要求は昨年と同じ五十万円プラス三・五カ月。川崎重工業は業績連動型一時金の対象を十七年度から組合員にも広げる。

 鉄鋼業界は好業績を背景に強気の要求だ。住友金属工業は、労組側は年間一時金について、昨年春比四十万円増の年間百九十万円と過去最高額を要求。新日本製鉄など業績連動型一時金を採用している大手も、過去最高額が相次ぐ見通し。鉄鋼業界は二年に一度の隔年交渉のため、今春は賃上げ交渉は行われない。

 十六日には自動車大手と、日立製作所など一部電機大手の労組も要求を提出する予定で、労使交渉が本格化する。

 企業業績の回復が伝えられる中、労組側は今春闘の焦点を「業績回復の賃金、雇用、労働条件への還元」(笹森清・連合会長)と位置づける。これに対し経営側は「業績が国際競争力の回復につながっておらず、賃上げ環境にない」(柴田昌治・日本経団連副会長=日本ガイシ会長)などと抵抗する構えで、厳しい交渉が予想される。

 ただ、「余裕のある企業は要求に応じるべきだ」(山口信夫・日本商工会議所会頭=旭化成会長)との声もあり、企業間の格差が拡大する可能性は強まっている。

春闘がスタート 造船・鉄鋼が要求書提出

2005年02月15日(共同通信) gooニュース

 基幹労連に加盟する造船や鉄鋼の大手労組が15日、要求書を経営側に提出し、約1カ月にわたる本格的な春闘交渉が正式にスタートした。

 デフレから抜け切れず景気の「踊り場」を迎える中、業績は企業によって明暗が分かれた。大手の労組ではベースアップ要求は姿を消し、業績好調分は一時金への積み増しが定着しており、トヨタは過去最高水準の見通し。労組側は中小、零細企業の賃金底上げやパートの待遇改善に重点を移し格差の圧縮を争点に掲げている。

【春闘05】三菱自動車労組…過去最低水準のボーナス要求

2005年2月15日 Responce

 三菱自動車の労組、三菱自動車労働組合は、今春闘での年間一時金の要求額を過去最低となる3.0カ月にすることを決定した。ベア要求も3年連続で見送る。

 16日に要求を会社側に提出する。三菱自労組は昨年、会社側に年間一時金4.0カ月を要求したものの、経営不振で、3.0カ月で妥結した。

 今春闘で、労組側は経営不振が深刻化しているものの、ボーナスを住宅ローンの返済に充てている組合員も少なくないため、過去最低ながら3.0カ月をギリギリの線で要求することを決定した。

【春闘05】一時金…トヨタ最高の244万円、ホンダは減額

2005年02月01日 Responce

 自動車大手3社の年間一時金要求方針について、各労組執行部案が31日までに出揃った。2005年3月期の連結業績が5期連続で最高益となるトヨタ自動車は、5.0カ月プラス62万円(244万円)と前年実績を9万円上回る過去最高の要求となる。

 トヨタは昨年まで単体の営業利益をベースとした業績比例の要求方式だったが、今年から連結業績も加味することにしており、金額ベースで初めて240万円台に達する。

 ホンダは5.0カ月プラス1.4カ月の合計6.4カ月で、最高だった昨年(6.55カ月)より減額となる。業績比例は単体の経常利益を基準にしており、05年3月期は減益となるためだ。一方、日産自動車は昨年より0.2カ月多い過去最高の6.2カ月の要求となる。 《池原照雄》

【春闘05】日産労組、一時金は最高の6.2カ月を要求

2005年01月26日 Responce

 日産自動車労組は26日までに、春の賃金交渉で6.2カ月分の年間一時金を要求する執行部案を決めた。機関決定したうえで、2月16日に要求を提出する。

 日産の一時金は昨年6.0カ月の要求に対し、満額で決着している。今期も連結営業利益が過去最高となるなど業績回復が著しく、一時金も最高の要求となる。

 日産は4月から全従業員を対象に新たな賃金制度を導入、従来の定期昇給相当(賃金カーブ維持分)やベースアップという概念はなくなる。組合員の月次給与については成果や能力などに応じたポイント制で決められる。このため、今年から労使は月次給与の総原資について交渉を進めることになっている。《池原照雄》


連合、4年連続ベア要求見送り

2004/11/11 読売新聞 Yomiuri On-Line
 連合は11日の中央執行委員会で、大企業との格差が拡大している中小企業の共闘強化や、パートタイマーなど非正社員や女性の待遇改善、サービス残業の撲滅への本格的取り組みなどを柱とする来年の春闘方針案を決めた。

 春闘のベースアップ(ベア)統一要求は、4年連続で見送りとなった。25日に開かれる中央委員会で正式決定する。

 方針案では、定期昇給制度のない中小企業の労組について、「月5200円プラス格差是正」の昇給を目標にしている。また、パート労働者の時間あたり賃金の引き上げに引き続き取り組み、目安は10円以上としている。

春闘回答:大手賃上げ、1.60%増5318円 経団連集計 2004年03月25日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 04年春闘の大手企業の賃上げ回答額が総平均で5318円、対前年の引き上げ率は1.60%(03年は5264円、1.62%)と、前年並みの低い伸びにとどまったことが25日、日本経団連の中間集計でわかった。賃上げ回答額が5000円台となったのは02年春闘以来、3年連続。引き上げ率が1%台になったのは00年以降、5年連続。

 経団連が主要22業種の大手288社を対象に調査を行い、同日までに回答が出た自動車、鉄鋼など66社分を集計した。【川口雅浩】

春闘回答:中小の賃上げ、平均4627円 前年比334円増 2004年03月24日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 04年春闘で連合(笹森清会長)が初めて設定した中小組合の集中回答日(22〜24日)の結果が25日、まとまった。平均賃上げ額は4627円で、前年比334円増。景気回復を反映し、中小にもその流れが影響した。

 連合によると、回答したのは従業員300人未満の中小企業で、同時期に山場を設定した497組合すべてに回答があった。【東海林智】

トヨタも満額回答 春闘、電機各社はベア要求せず 2004年03月17日 The Sankei Shimbun
 自動車、電機など春闘相場の形成に影響力を持つ金属労協に加盟する主要製造業の経営側は17日午前、賃上げや年間一時金(ボーナス)額を一斉に回答した。日産自動車はベースアップ(ベア)相当額1000円を含む7000円の賃上げを要求通り認めた。同社のベア回答は5年連続、年間一時金は6.0カ月の満額回答で、過去最高水準となった。トヨタ自動車も5.0カ月プラス53万円の満額回答をした。

 国内外の好調な新車販売を受けて、自動車メーカーで満額回答や高額回答が相次いだ。半面、日立製作所と三菱電機の電機2社は一時金が満額に届かず、企業や業種で温度差が出た。賃上げでは大半の組合がベア要求をせず基本的に3年連続でベアゼロ決着となった。

 自動車大手労組の中では、日産とヤマハ発動機だけがベアを要求。日産のカルロス・ゴーン社長は17日、組合に対し「ベアとして1000円を出す」と表明。ベア回答には組合員の士気を高める狙いがあるもようだ。

 一時金ではホンダが過去最高となる6.55カ月を正式回答。マツダと富士重工業も満額回答だった。

 ただ三菱自動車は4.0カ月の組合要求に対し3.0カ月プラス今後の業績に連動して上限0.5カ月支給で妥結、低レベルでの決着となった。

 電機は各社がベア要求をせず、賃金体系の維持を要求。大半の企業が一時金について利益など業績連動方式を採用した。一時金交渉を行う企業のうち、日立製作所は4.65カ月、三菱電機は4.45カ月で、いずれも組合要求の5.0カ月を下回った。シャープは午前中の協議が難航した。

 造船重機では、三菱重工業と石川島播磨重工業が一時金で前年実績割れとなった。鉄鋼は多くの企業が一時金について業績連動方式を採用。一時金の交渉をした住友金属工業は150万円で妥結し、前年実績の110万円を大きく上回った。

 連合は今後、中小労組に関して22−24日に集中回答日のヤマ場を設定している。

 トヨタ自動車の松原彰雄専務は17日、春闘回答後に愛知県豊田市の本社で記者会見し「春闘はベースアップ(ベア)絡み一本だけを話し合う場ではなくなってきている」と述べ、賃金を中心とした従来型の春闘交渉の役割は終わったとの見方を示した。

 松原専務は今回の春闘について「職場環境を含めた『働き方』を話し合うことができ、大きな転換点になった」と評価した。ベアが今後、議題に上る可能性に関しては「絶対ないということはないが、当面はそういう状況ではない」と述べた。

 一時金に連結決算の結果を反映させることについては「来年の春闘に向けて労使で話し合う」と述べ、来年から反映させる考えを示唆した。

日立、年間一時金4・5か月以上で妥結へ2004/03/13 読売新聞 Yomiuri On-Line
 日立製作所の12日までの労使交渉で、一時金の支給額が前年実績の年間4・3か月(組合員平均約122万9000円)を上回り、同4・5か月以上で妥結する見通しとなった。

 2004年3月期の連結営業利益が前期比11・2%増の1700億円となる見通しで、経営側は業績回復に対する組合員の貢献に応える必要があると判断した。組合側は同5・0か月(同149万6500円)の要求を掲げており、さらに上積みを求める。

 今春闘では、三菱電機の一時金も前年実績を上回る見通し。デジタル家電の好調を追い風にした大手電機メーカーの復調が、一時金にも及ぶ情勢となっている。このほか、日立では、配偶者が出産する際に組合員が取得できる休暇日数について、組合の要求通り、現在の2日間から5日間に拡大することで労使が合意した。

マツダの春闘、満額回答で収拾2004/03/06 読売新聞 Yomiuri On-Line
 マツダは5日、今春闘で労働組合が提示していた年間一時金5・3か月分(前年実績5・0か月分)の要求に対し、満額回答を行った。

 ベースアップ要求を2年連続で見送っている労組側も回答の受け入れを決めたため、17日の集中回答日を待たずに交渉は終了した。大手自動車メーカーでは、今春闘で最初の収拾。

ベア要求、4年連続で断念 04年春闘でNTT労組方針

2004/1/11 中国新聞ニュース
 単一労働組合では民間最大のNTT労働組合(小野寺良委員長、約十八万人)が二〇〇四年春闘で、賃金ベースアップ要求を四年連続で見送る方針を固めたことが十日、明らかになった。

 既に組合員に議案の説明を始め、意見の集約に入った。二月九日に東京都内で開く中央委員会で正式決定する見通し。今春闘をめぐる動きが本格化する中、NTT労組のベア要求断念は、相場をリードする電機や自動車業界などの要求方針にも影響を与えそうだ。

 NTTグループは〇三年九月中間連結決算で、NTTドコモの携帯電話事業の伸びなどが寄与し、トヨタ自動車を抜いて国内企業として最高の営業利益を計上した。

 しかし、十万人規模のリストラを実施したNTT東西地域会社の固定電話事業の落ち込みなどを考慮し、グループ全体の経営の先行きをにらんで判断したとみられる。

 NTT労組は、ドコモや東西会社のほか、NTTコミュニケーションズ、NTTデータなど主要グループの七つの企業別本部で構成されている。

 ボーナスについては、ドコモは堅調な業績が続いているものの、グループ内の収益格差が目立つことから、グループで共通していた最低要求水準(〇三年は年間四・四カ月)を設けず、各企業別本部が個別に判断する方針。

 NTT労組は二〇〇〇年春闘ではベアを要求したが、ゼロ回答。その後はベア要求見送りが続いている。

定昇確保、ベア連続ゼロ 春闘、大手が一斉に回答

2003/03/12 中国新聞ニュース
 春闘相場の形成に影響力を持つ金属労協加盟の電機、自動車など主要製造業の経営側は十二日、賃上げや一時金の額を一斉に回答した。年功序列賃金の根幹をなす定期昇給の見直しが最大の焦点だった電機は「賃金体系維持」を回答、かろうじて定期昇給を確保した。

 しかし、物価上昇分を補うベースアップは、主要労組の大半が要求段階で断念、二年連続でベアゼロの流れとなった。また電機各社は、収益環境の悪化に対応するため、回答と引き換えに春闘後、恒久的措置としての定昇見直しに向けた協議に入ることで組合側と合意、事実上の賃下げとなる定昇の削減や廃止の方向が固まった。

 全産業主要企業の平均賃上げ率は昨年の1・66%を下回り、過去最低を更新するのは確実で、消費の一層の低迷を通じ、デフレが深刻化する恐れがでてきた。

 この日、回答したのは、電機、自動車のほか、造船重機と鉄鋼の主要企業。電機以外は一時金中心の交渉となっていた。

 今春闘で初めてベアの統一要求を断念した自動車大手は、業績好調なトヨタ自動車、日産、ホンダの上位三社の一時金がいずれも過去最高の水準で妥結。トヨタは、一時金五カ月プラス五十五万円に加え、生産性向上に伴う成果配分六万円も支給する。一方、再建中の三菱自動車工業など中位以下のメーカーは労使協議を続行中だが、組合要求を下回る社も出そう。

 電機大手の一時金も、液晶大手のシャープが五・〇カ月となる一方、業績改善ペースの鈍い三菱電機が四・〇カ月にとどまるなど、業績によって賃金が大きく左右される時代が到来した。

 NKKなど鉄鋼大手の一時金は、業績回復傾向を反映し、前年実績以上を確保。造船重機では、最大手の三菱重工業が受注環境悪化を理由に、組合要求を下回る三・五カ月プラス五十万五千円を回答した。

トヨタ、満額回答を提示(2003/3/11 読売新聞) Yomiuri On-Line

 トヨタ自動車は11日、今春闘で組合から要求が出されていた定昇相当分の賃金制度維持分(6500円)と別枠6万円の「成果配分」、過去最高額となる年間一時金(約237万円)について、満額回答することを労組側に提示した。

 組合側はこれを受け入れ、春闘交渉は事実上決着した。回答日の12日に正式に妥結する。

 すべての要求項目で満額回答となった背景には、トヨタの業績が好調で、2003年3月期連結決算で過去最高益を見込んでいることがある。

 焦点だった成果配分は当初、組合が賃上げの一部と位置付けたため、経営側は難色を示していたが、組合が3回目の労使交渉で「今回限りの要求」と明言するなど譲歩した結果、経営側も満額回答に理解を示した。

デフレ反映の春闘 厳しい交渉へ/本社調べ

2003/03/11 中国新聞地域ニュース
 ベア要求見送りが6割

 中国地方の春闘は、マツダの回答指定日の十二日からヤマ場を迎える。中国新聞社が調べた主な企業十五労組の賃金要求は、景気低迷下のデフレ時代を反映し、製造業を中心に九労組がベースアップを見送り。定昇の確保や業績改善を見越した一時金増額に交渉の重点を移している。賃金体系を見直す動きもあり、昨年に続く厳しい交渉になりそう。

 今年初めてベア要求を見送ったのは三労組。内海造船労組は、定昇の完全実施を前提に一時金増額に力を入れる。昨春はベアゼロ回答で、本年度10〜5%の賃金カットも実施。向井三男委員長は「今期は三期ぶり黒字回復が見込まれ、賃金カットへの協力の意味も込め、一時金獲得に全力を挙げる」と強調する。

 ヒルタ工業の労組も初めてベアを見送り、定昇の完全実施を要求した。取引先の自動車メーカーの競争が激化する中、四月に陽南工業(総社市)との合併も控える。小林操委員長は「会社の生き残りが大前提。固定費が増えるベアより、業績に連動した一時金の方が取り組みやすい」とし、一時金要求を昨年より〇・五カ月分増やした。

 昨年初めてベアゼロ決着したマツダ労組も、黒字基調ながら初めてベアを見送り、一時金要求を〇・三カ月上積み五・三カ月分とした。定昇は「制度として確立している」(小田一幸委員長)との立場から要求しない。

 昨年に続きベア要求を見送ったのは六労組。福留ハム労組は、牛海綿状脳症(BSE)の影響による業績悪化で昨春から続く賃金5%カットの廃止を要求した。今期は黒字転換見込みだけに、昨年見送った定昇の確保を前面に出す。松井重道書記長は「二年分取り戻したいが、まずは今年の分を守る。将来は昨年の分も取り戻したい」。一時金要求も一・五カ月上積み五カ月分とした。

 一方、賃金体系自体を見直す動きも出ている。

 百五十九人の早期退職が決まったばかりの北川鉄工所労組は、定昇やベアの概念をなくし、賃金カーブの是正を掲げる。組合員平均で算出した賃上げ要求は三千五百円だが、要求総額の大半を働き盛りの二十〜四十歳代へ集中配分を求める。会社は成果主義へ移行を打診しているが、田辺稔委員長は「春闘で賃金構造のひずみを直すのが先」とし、春闘後に本格協議に入る。

 昨春、定昇割れした新ダイワ工業労組も二月、年功序列の年齢給を廃止し成果主義へ移行を会社から提案された。岡田勤委員長は「原資が少ない中でやむを得ないと思うが、詳細を詰めるには時間がない」と、春闘と切り離して論議する考え。昨春要求より〇・五カ月多い四・五カ月分の一時金獲得と定昇確保に全力を上げる。

 ベア要求は流通系を中心に五労組、うち四労組は賃上げ要求額を昨年より引き下げている。

春闘調査:大手企業の妥結結果 昨年実績980円のマイナスに

2002年04月17日 Mainichi INTERACTINVE
 日経連は17日、大手企業の春闘労使交渉の妥結状況を同日現在で中間集計した。調査対象の主要23業種307社のうち、約3分の2の214社が妥結。平均金額が不明の65社を除いた149社の加重平均妥結額は、定期昇給込みで5279円、前年比アップ率は1・59%だった。149社の妥結結果を昨年実績と比べると金額が980円、賃上げ率は同0・30ポイント、それぞれマイナスだった。

定昇見直し:日立、NECが見送り 春闘後に具体策を交渉

2003年03月09日 Mainichi INTERACTIVE
 日立製作所とNECは8日、定期昇給の見直しについて、今春闘での決着を見送る方針を固めた。経営側が2月に提案したが、組合側は「賃金体系の大幅な変更を、春闘の短い期間で協議できない」と主張してきた。このため、何らかの見直しをすることを労使で確認し、春闘後に具体策について交渉する考えだ。

 電機業界はIT(情報技術)不況の長期化とデフレの影響で業績が低迷している。大手各社の経営側は「従来のように一律に賃金を上げる仕組みは維持できない」と、実績に応じて賃金を増減する成果主義を拡大するよう組合に提案した。

 組合側はこれまでの交渉で、経済・社会の変化に応じて賃金制度を見直す必要はあるとの認識を示した。ただ、交渉期間が1カ月しかない春闘の場では、具体的な協議に応じない姿勢だった。

 また、電機の各労組が加盟する電機連合は8日、定昇確保など現在の賃金体系が維持できなければストライキも辞さないとの意思統一を図った。日立、NECの経営側はこうした動きを踏まえ、見直しの労使交渉を持ち越す考えだ。

 電機大手のうち三菱電機や三洋電機は、今春闘の交渉とは別枠で定昇見直し交渉を進める方針。富士通は、定昇圧縮による実質賃下げを提案しているが、日立、NECと同じ対応になる可能性が高い。

 定期昇給制度の見直しは昨年、キヤノンやホンダ、東芝が実施し、三菱自動車も4月からの廃止を決めた。 【熊谷泰】

定昇(定期昇給制度)

 年齢や勤続年数に従い、労使で決めた賃金表に沿って毎年、一定時期に基本給が上がる仕組み。日立やNECなど電機大手は徐々に年功分の割合を減らし、成果で配分する割合を増やしており、「定期昇給」という言葉も使わなくなった。ただ、かつての定昇モデルに準じて賃金が上がる仕組みが残っていた。

マツダ、年齢給廃止 能力給一本化へ

2003/3/9 中国新聞地域ニュース
 マツダは八日、一般社員の年功序列による年齢給を廃止し、個人の実績に応じた能力給だけにする新賃金制度を計画していることを明らかにした。社員のやる気を引き出すためで、早ければ二〇〇三年度にも実施する。地場に影響力の大きいマツダが成果主義に完全移行することで、今後、他の企業にも広がりそうだ。

 現行の賃金構成は、年齢に応じて給与が増える年齢給が六割、職級に応じた職能給が三割、個人の実績を反映する能力給が一割。新制度では年齢給と職能給を全廃し、能力給一本にする。全社員二万人の約95%に当たる主任以下の一万八千八百人が対象となる。

 主幹以上の管理職千二百人については二〇〇一年十二月、個人の実績と会社の業績を組み合わせて算定する新制度に移行している。

 マツダは一九九七年から米フォード・モーター流の実力主義に基づく人事制度改革に着手。女性社員の積極登用をはじめ、管理職の一時金に会社の業績を反映させる制度などを段階的に導入してきた。一般社員の賃金体系を抜本的に改める今回の改定は、一連の制度改革の総仕上げとも言えそうだ。

 自動車業界では、三菱自動車工業が四月から年齢給を廃止し、個人の成績を反映する新制度に移行。トヨタ自動車なども年齢給を廃止しており、成果主義を強める動きが相次いでいる。


春闘、交渉終盤 強い逆風

2001.03.03(06:38)asahi.com
 止まらぬ株安や物価下落、失業率の高止まり、国内生産の鈍化――。景気の変調を示す悪材料が相次ぎ、春闘の賃上げ交渉に暗い影を落としている。労組側は「消費喚起のためにもベアが必要」と訴えているが、経営側は回復基調にあった業績の下方修正などを理由に厳しい姿勢だ。14日の集中回答日に向けて終盤に入った金属大手の春闘交渉は、大詰めでの強い「逆風」に揺れている。

 1月の失業率が最悪を記録したことについて、日経連の奥田碩会長は2日、「雇用情勢は深刻の度を増している。日本経済はここに来て急速に下ぶれリスクを高めており、これから大手企業を中心とした人員削減計画が実施に移されていくことを考えると、失業率は一時的には、さらに上昇する懸念もある」との見方を示した。

 この日はレナウンや井関農機が連結赤字に転落するなど、決算の下方修正の発表が相次いだ。経済環境の悪化が企業経営者の景況感を急速に冷え込ませ、昨年より業績が回復している企業も、賃上げ回答に慎重な姿勢を強めている。

 一方、都内で開かれた製造業の主要労組で組織する金属労協(IMF・JC)の代表者交流集会では、「(経営側が)ベアゼロ姿勢を崩さない」「労使間の溝が埋まる気配がちっとも見えてこない」など、電機連合や鉄鋼労連の幹部らの厳しい情勢報告が続いた。

 2月に要求を提出し、すでに数回の交渉をしたが、株価急落や米経済の減速で先行き不透明感が強まり、「経営側からベアを考える余地はないとの厳しい内容を突きつけられている」(大沢保信・全電線書記長)という。

 集会では、ベアに否定的な経営側の姿勢が「マクロ経済への配慮を失している」との批判も出た。草野忠義・金属労協議長は「自律的な景気回復の瀬戸際に立つわが国を、再び経済縮小の悪循環へと追い込みかねない」と声明を読み上げた。

 2日夕、東京都新宿区の明治公園で2万6000人(主催者調べ)を集めた連合の春闘中央総決起集会でも、あいさつに立った鷲尾悦也会長は「米経済(の減速)で経営側は先行き不透明を言うが、ネットバブルの過熱が沈静化しただけ。国際経済の例外は、日本だけだ。最良の経済政策は、小手先の株価対策や小出しの利下げ、たれ流しの財政政策ではなく、雇用対策だ」と訴えた。

電機連合加盟の労組、ベア2000円の春闘要求を提出

2001.02.15(18:35)asahi.com
 電機連合に加盟する大手17社の労働組合などが15日までに、春闘要求を会社側に提出した。要求はベア2000円。ストライキをするかどうかの判断基準は「35歳、高卒、技能職」についての回答額だが、今回モデル賃金に初めて「30歳、大卒、事務技術職」を加えた。労使は、3月14日の集中回答日に向けて交渉を進める。

 経営側は、米国の景気減速などの影響で業況は厳しいと主張しており、交渉は難航しそうだ。

春闘本格スタート 自動車各社の労組が要求提出

2001.02.07(22:10)asahi.com
 主要製造業で構成される金属労協(IMF・JC)内のトップを切って自動車各社の労働組合が7日、賃金や一時金(ボーナス)の要求書を経営側に提出し、春闘が本格的に始まった。造船重機労連は14日、電機連合も15日にそれぞれ要求を提出し、集中回答日の3月14日に向けて労使交渉に入る。トヨタ自動車など11組合の平均賃上げ要求額は、前年より191円低い8282円で、過去10年間で最低となった。一時金では、格差が目立ち、要求段階で企業ごとの経営状況の差が出る傾向だ。

 自動車総連は、賃上げの要求基準を「賃金カーブ維持分プラス2000円」、一時金では「年間5カ月を基準とし、最低でも昨年獲得実績以上」と決めている。賃上げでは昨年と同額要求が多いが、大手5社のうち業績不振でリストラ中の三菱自動車と、マツダの要求は前年を下回った。

 業績が大きく回復している日産自動車の労組は、一時金で前年要求を1カ月上回る5.2カ月と強気の要求だ。労組の萩原克彦委員長は7日、「業績が上向いた今こそ社員の苦労に報いてほしい」と、労務担当の青木征彦常務に訴えた。

 一方、リコール隠し問題を契機に極度の販売不振に落ち込んだ三菱自動車は今年3月期に1400億円の当期赤字を計上する見込み。同社労組の一時金要求は前年を1カ月下回る4カ月だ。労組幹部は「会社の業績を考えたぎりぎりの要求。高すぎて現実味がない要求では、組合の求心力もなくなりかねない」と話す。賃上げ要求も昨年より300円抑えた。

 ホワイトカラーの早期退職を募り、工場の一部閉鎖をするマツダは、一時金の要求が前年要求より0.3カ月減の5カ月、賃上げも500円減の8500円だ。

 ホンダの労組も、一時金の要求を6.3カ月から6カ月に落とした。今年3月期の単独決算で、経常利益が円高などの影響で前年比4割減となる見込みなのを考慮した。

 例年、一番最初に妥結し、他産業からも「指標」とされるトヨタ自動車は、円高などで減益傾向にあるものの、国内販売は「一人勝ち」状態。一時金は昨年並み、賃上げは昨年と同額要求だ。

要求平均は8300円 自動車総連

2001.02.05 The Sankei Shimbun
 自動車総連加盟の労働組合の賃上げ要求が五日までに固まった。今後、一部組合の正式決定を待って七日、会社側に提出する。それによると加盟十二組合の平均要求額は、昨年を二百十七円下回る八千三百円。一時金も○・○一カ月下回る年間五・二七カ月にとどまった。円高、株安などの影響から各社の業績見通しが厳しいことを反映したものとみられる。

 トップのトヨタ自動車の賃上げ要求は昨年と同じ水準の九千円。一時金は五・○カ月プラス三十二万円。一時金は今年から五カ月の基礎部分に業績を反映した分を上乗せする形とした。

 本田技研工業も昨年と同じ八千八百円、一時金は○・二カ月少ない六・○カ月。業績の急回復が見込まれる日産自動車は、賃上げは八千円で昨年並みだが、一時金は一カ月上乗せの五・二カ月。リコール隠し問題で国内販売が不振の三菱自動車工業は昨年より三百円低い七千八百円、一時金は一カ月少ない四・○カ月で、マツダもそれぞれ五百円、○・三カ月下回る八千五百円、五・○カ月とした。

14%が春闘の消滅を予測

2001.02.01 The Sankei Shimbun
 東海銀行系の東海総合研究所が一日発表した企業アンケート結果によると、各企業の労使がほぼ同時に賃上げ交渉などをする現在の春闘が、二○○三年には消滅していると予測する企業が全体の一四%あった。

 逆に現在の形で春闘が維持されると考える企業は二○%だった。六五%は春闘の様変わりを予想した。賃上げ決定の要因については、五六%が「自社の経営状況」と回答し「世間相場」とする一六%を大きく上回った。東海総研は「春闘の意義は今後薄くなる可能性がある」とみている。

 また春闘の交渉テーマの優先順位については、「賃金改定」を一位に挙げる回答が二○○○年は七○%あったが、二○○三年の時点でもこれが一位と予想する回答は五七%だった。「人事制度」を一位とする企業は二○○○年は七%だったが、○三年には一九%に増えるなど、交渉内容が多様化する動きも見られた。

 調査は全国の上場会社など約三千九百社を対象に昨年十−十一月に実施。回答率は七・三%だった。

トヨタ労組、今春闘で一時金への業績反映を要求

2001.01.31(19:33)asahi.com
 トヨタ自動車労働組合(東正元委員長)は30日、今春闘での一時金(ボーナス)の要求額を「5カ月分に32万円を加えた額」とした。うち25万円は会社の営業利益1000億円につき5万円の利益配分、ということから割り出した「業績反映部分」。一時金については、電機連合が業績連動型を導入、鉄鋼労連も今春闘から要求する方針を固めているが、大きな影響力を持っているトヨタ労組が業績に直結した要求をすることは、今後の一時金のあり方にも影響を与えそうだ。

 トヨタ労組によると、今年の業績反映部分は25万円で、「業績に表れない頑張り分」7万円を加算した。生活給としての「基礎部分」として5カ月分は確保する。昨年は業績を反映させながらも、全体を月換算して「5.9カ月」と要求したが、今回は初めて実額を打ち出した。要求の水準としては昨年とほぼ同じだ。

 こうした要求は自動車業界では初めて。背景には、同じ産業内で企業によって業績の差が大きく開くようになった、という事情がある。

 昨年の一時金は組合の要求通り、年間5.9カ月で決着した。

国労の再開定期大会始まる 「4党合意」の行方なお不明

2001.01.27(12:30)asahi.com
 国労は27日午前、組合員らのJR不採用問題について、与党3党と社民党が示した政治的解決の枠組み(4党合意)の受け入れを盛り込んだ運動方針案を議論する定期大会を東京都内で再開した。運動方針案は同日午後に採決される予定だが、賛否両派の溝はなお埋まっていない。

 不採用に関してJRに法的な責任がないことを国労が認めることを前提に、組合員のJR復帰や和解金などの話し合いを始めるとした4党合意は、昨年5月にまとまった。国労は7月初めと8月末にそれぞれ臨時大会、さらに10月末に定期大会を開いたが、反対派の強い抵抗を受け、受け入れを決められなかった。

「2004年に隔年春闘」の意向 電機連合中央委

2001.01.25(21:54)asahi.com
 春闘方針を決める電機連合(77万5000人)の中央委員会が25日、福岡市で始まった。鈴木勝利委員長は今春闘を「改革の第一歩」と位置づけ、早ければ2004年には隔年春闘に移行できることを目標に、労働時間の短縮や定期昇給、賃金スライド制の導入など賃上げ以外の条件交渉も労使間で進める意向を明らかにした。

 賃上げ要求基準は、35歳の標準労働者(高卒技能職、4人世帯)で昨年と同じベア2000円とし、30万2000円以上の水準を目指す。

全労働者の賃金底上げを目指す 全労連の春闘方針

2001.01.24(19:02)asahi.com
 春闘方針を決める全国労働組合総連合(全労連)の評議員会が24日、東京都内で開かれた。執行部提案の方針案は、すべての労働者の賃金底上げを目指すとして、「だれでもどこでも月額1万5000円」とし、パートなど時間給の労働者については「だれでもどこでも時間額100円」の賃上げ要求目標を掲げている。25日に正式に決める。

 方針案はまた、賃金の底上げ、不払い残業の根絶、解雇の規制という3つの課題で、全労働者の過半数の賛同署名を集める運動を提起。賃上げなどの要求については、3月14日に集中回答を求め、翌日にストライキを含む全国統一行動を設定している。

賃上げより雇用重視 日経連会長/連合と懇談 「景気先行きに心配」

2001.01.19The Sankei Shimbun
 日経連(奥田碩会長)と連合(鷲尾悦也会長)の懇談会が十九日朝、東京都内のホテルであり、今春闘の争点となっている賃上げや雇用などをめぐ陂J使の論議が交わされた。

 ベア一%以上の賃上げを要求している連合の鷲尾会長は「景気はまだら模様ながら昨年より好転していることは事実。要求を据え置いた真意を理解してもらい、積極的な対応をお願いしたい」と要請。これに対し奥田会長は「緩やかな回復基調だった景気は年末から変化しており、先行きを心配している」と指摘、賃上げよりも雇用を重視すべきだとの考えを強調した。

 連合側は日本型のワークシェアリング(仕事の分かち合い)を研究する場を共同でつくることを提起し、日経連も同意した。

 今後、雇用や企業業績の悪化など情勢の急変も予想されることから、連合側は日経連とのトップ会談を二月末に行うよう要請した。

賃上げ実施予定企業増える ただし「ベア・ゼロ」が6割

2001.01.17(23:38)asahi.com
 今春闘で「賃上げを実施する」と答えた企業は79.2%にのぼり、昨年の春闘時の調査より約3割増えたことが、民間の調査機関、産労総合研究所が17日まとめた調査でわかった。賃上げ相場を「昨年水準を下回る」と予測する企業も大幅に減少しており、同研究所は、企業業績の改善などから3年連続してダウンした賃上げ率が下げ止まるとみている。

 調査は昨年11月に、全国の上場企業など2000社から抽出して実施、149社から回答があった。「賃上げを実施する」と答えたのは118社。その「賃上げ」の中身をみると、「定昇、ベアとも実施する」は4社に1社にとどまり、55.9%が「定期昇給のみで、ベースアップはしない」とした。

 一方、定昇制度について今後、「見直し・縮小を検討する」企業は44.3%で、昨年を2.6ポイント上回った。「定昇を廃止して、別の制度を導入する」との考えも7.4%が示した。従業員299人以下の企業では「(定昇を)維持したい」とする意向が強いものの、年功から、業績・成果主義の賃金体系への改定を交渉課題にあげる企業の割合も高く、同研究所は「定昇の縮小、廃止の流れは確実に進んでいる」と分析している。

成果主義を強調 日経連が春闘方針、連合は反発

2001.01.13(00:43)asahi.com
 日経連は12日、臨時総会を開き、経営側の春闘に向けた対応方針となる労働問題研究委員会報告(労問研報告)を決定した。その中で「従来のような一律賃上げ水準を交渉することは意味がない」とし、社員一人ひとりの成果に基づく人事、賃金制度の徹底を求めた。また、国際競争力を維持するために「これ以上の賃金水準の引き上げは困難」と主張し、昨年に続きベースアップを否定した。

 総会であいさつした奥田碩会長(トヨタ自動車会長)は「労働条件一般について、横並びで決める時代は20世紀で終わったものと考えている」と述べ、全社員や同じ業種を対象にした一律賃上げ交渉に異議を表明した。報告では、賃金や雇用条件で、社員個別に決められる部分が高まることを前提に、条件をめぐるトラブルを未然に防止するために、企業内にさまざまなレベルの労使協議の場をつくる努力が必要と指摘した。

 今年の春闘では連合が「ベア1%以上」を方針に掲げているが、報告では日本の賃金水準が「すでに世界のトップレベルにある」ことや、社会保障負担といった法定福利費などが増加していることなどの理由で、ベアゼロの方針を示した。その上で、リストラなどで業績が回復した場合には、ベアという形ではなく、賞与の増額という形で従業員に配分することを「選択肢の1つ」として挙げている。

 春闘以外の雇用問題として、労働人口が中長期的に減少するため、高齢者や女性、外国人の積極的な活用の重要性を指摘した。高齢者の雇用については、募集の際の年齢制限の緩和に向けて企業が努力することを求めた。

     ◇

 連合は12日、日経連の労働問題研究委員会報告に対して、「消費、景気の回復には雇用も賃上げも必要だ。(企業の)生産性向上分は賃金の引き上げにも適正に還元するのが日経連の本来の生産性基準原理だったはずだ」と賃金抑制方針に反発する見解を発表した。

昨春闘と同じ9000円賃上げを要求 全トヨタ労連

2001.01.12(18:31)asahi.com
 トヨタ自動車とグループ企業の労働組合で組織する全トヨタ労働組合連合会(神野進会長、279組合、約27万5000人)は12日、大津市で開いた中央委員会で、今春闘の組合員平均の賃上げ要求基準額を、昨年の要求と同じ9000円(定期昇給込み)とするなどの取り組み方針を提案した。一時金(ボーナス)も昨年と同水準の5.0カ月以上とする。方針は13日に正式決定され、トヨタ自動車労働組合など製造加盟労組は2月7日、販売加盟労組は同28日までに会社側に要求を提出する。

 国内の自動車需要の回復を受け、トヨタ自動車をはじめ業績好調なグループ企業も多いが、要求額を昨年と同額にしたことについて神野会長は、「自動車の生産台数は回復してきたが、世界的な競争激化を背景に厳しい状況に変わりはない。部品関係はよくても工作機械などはまだまだと、グループ間で業績の二極分化が進んでおり、それぞれの加盟組合の状況を踏まえた」と説明した。

 トヨタ自動車の昨春闘は組合員平均で7500円の賃上げで妥結している。

春闘「定昇プラス2000円中心」を要求 自動車総連

2001.01.11(19:56)asahi.com
 自動車総連(草野忠義会長)は11日、大津市で中央委員会を開き、今春闘の平均賃金引き上げ基準について「定期昇給分プラス2000円中心」を要求することを決めた。定昇分を把握できない組合は「2%相当」で要求額を算出する。一時金については、年間5カ月を基準とし、最低でも昨年の実績以上を求める。昨年と同様、主要労組が要求額を統一する方法は採用せず、各組合がこの基準に基づき個別に要求額を決める。

 今年の要求基準は昨年とほぼ同じ。草野会長はあいさつの中で「自動車業界全体としては企業業績が改善しているのは事実なので、元気良く交渉を進めたい」と述べ、要求基準は据え置くものの、回答については昨年を上回るよう努力する意欲を示した。

連合、春闘方針を決定

2001.01.10(23:03)asahi.com
 連合は10日、拡大戦術委員会を開いて2001年春闘の交渉方針を決め、今年の春闘が幕を開けた。連合としての要求は、ベースアップ分で1%以上とし、春闘史上最低だった昨年と同率に抑えた。これをもとに産業別労組で具体的な賃上げ額などを決め、主要組合は2月中旬までに要求を提出する。自動車、電機など大手組合への集中回答は3月14日に求めることも確認した。

 日経連は12日の臨時総会で、2001年春闘に臨む経営側の基本方針を盛り込んだ労働問題研究委員会報告を採択する。企業の業績は改善しているものの、企業間格差の拡大で、賃金決定が企業ごと、個人ごとに異なる傾向が強まっているため、一律の賃上げは収益力の劣る企業や事業部門を圧迫し、雇用削減を招くとして、賃下げの必要性を主張する見通しだ。

NTT労組、ベア要求断念へ

2001.01.06(09:25)asahi.com
 民間最大の単組であるNTT労働組合(組合員数21万人)は5日、今春闘でのベースアップ要求を見送ることを決めた。昨年夏の日米交渉で決まった接続料の引き下げで東西地域会社を取り巻く環境が急速に悪化しているうえ、NTTが多数の余剰人員を抱えていることが日本の通信料金の高さにつながっているとの批判が政府・与党内に根強いことなどに配慮、業績が好調なNTTドコモも含めグループ8社すべてが要求を断念する。2月に開く中央委員会で正式に決める見通し。

 昨年の春闘では、要求したものの、ベアゼロに終わった。これまで、自動車、電機など金属労協加盟の大手労組に次いで、春闘を先導してきたNTTのベア要求見送りは、今春闘に大きな影響を与えそうだ。

連合、春闘でのベア1%要求を決定

2000.11.18(23:24)asahi.com
 連合は17日開いた中央委員会で、来春闘の賃上げ要求目標を、ベースアップ分で「1%以上」とする方針を決めた。一昨年の春闘以来、3年連続の過去最低水準の要求となる。連合は、企業業績は回復傾向にあるが、賃金抑制や雇用調整の圧力は弱まっていないとして、「2%程度の経済成長を確実にするためにも、定期昇給相当分を除いたベアだけで1%以上の賃上げが必要」(笹森清事務局長)と説明している。

 連合は今回の春闘から、統一要求をベア分の率のみで示す方式に改め、これを受けて各産業別労組が、産業や賃金の実態をもとに、要求をつくる。併せて示した標準労働者の賃金の到達目標額は、35歳・高卒・勤続17年の生産技能職で31万5000円以上、事務・技術職で33万円以上などと、ほぼ今年の春闘並みに据え置かれた。

ゼンセン同盟とCSG連合が2年以内に統合へ

2000.08.31(22:39)asahi.com
 ゼンセン同盟(57万5000人)の高木剛会長と日本化学・サービス・一般労働組合連合(CSG連合、20万5000人)の河内山大作会長は31日、共同で記者会見し、両産業別組織の統合へ向けて統合準備委員会を設置することを明らかにした。9月に予定されている両産別の定期大会で承認を得た後、月末に発足させ、遅くても2年以内をめどに実現を目指す。統合すれば、組織人員は約80万人となり、自動車総連を上回る民間最大の新しい産別が誕生する。

 ゼンセン同盟は繊維、流通、サービスなど、CSG連合も化学、食品、サービスなど多様な業種の労組が集まる複合産別。ともに旧同盟系で、同じ連合に加盟し、多くの中小労組を抱えている。

 統合によるスケールメリットを生かし、組合員サービスの向上、中小労働運動の拡充、組織化の推進、関係業界や行政への影響力の強化などを図りたいという。

鉄鋼労連、造船重機労連、非鉄連合が統合を検討

2000.07.08(19:29)asahi.com
 春闘の相場形成に大きな影響を与える鉄鋼労連(組合員約15万人)と造船重機労連(同約12万人)、非鉄連合(同約2万人)の3労組が統合に向けて検討に入る。今夏にそれぞれ開かれる3労組の定期大会で統合に向けて組織としての活動方針を決め、来年に結論を出す。関係筋が8日明らかにした。

 3労組とも今後は組合員の減少や組合財政の悪化などが予想されるため、統合によって運営の効率化を図り、経営団体や政府などへの発言力を維持、高めていくのが狙い。経営側の経団連と日経連も統合を検討しており、こうした再編の流れが労組側にも及んできたといえる。

 鉄鋼労連には新日鉄やNKKなど、造船重機労連には三菱重工業や石川島播磨重工業など、非鉄連合には三菱マテリアルなど、日本を代表する大手製造業の各労組が加盟している。電機や自動車産業など主要製造業で構成される金属労協(IMF・JC)傘下の主要メンバーでもある。

電機連合委員長が「水準春闘」への転換強調

2000.07.05(11:18)asahi.com
 電気機器産業の労組でつくる電機連合(73万8000人)の定期大会が、5日から3日間の日程で仙台市で始まった。あいさつで鈴木勝利委員長は、春闘改革について、大手と中小の格差是正のためにも、産業・企業の違いを超えて同額の賃上げを図る従来の「上げ幅春闘」から、産業内の同一職種の賃金水準の平準化と引き上げを目指す「水準春闘」へ転換していく必要があると強調。電機連合としては今後、数種類の職種ごとに一定年齢のミニマム(最低賃金)とあるべき目標水準を設定し、そこへの到達を目指す春闘へ切り替えていく考えを示した。

 鈴木委員長はまた、関係の深い情報・通信関係の労組と共通する産業政策などで連携を強めていくため、近くNTT労組を中心とする情報労連などと「情報関連産業労組連絡会議」を発足させることを明らかにした。

連合、春闘の抜本的な見直し検討へ

2000.06.28(23:09)asahi.com
 連合は28日、宮崎市内で中央委員会を開き、春闘の抜本的な見直しに向けた検討作業に入る方針を決めた。主要組合でベアゼロ回答が相次ぎ、賃上げ率が過去最低水準に終わった今春闘の結果を踏まえての方針。賃上げの「相場」をつくる交渉の枠組み、連合の調整機能などを検討課題に挙げている。来春闘に向けて秋までに基本的な考え方をまとめる予定だ。

 鷲尾悦也会長は、中央委員会で「従来型パターンを引き継ぐことには限界がきている。従来の歴史にこだわらない抜本的な検討を行いたい」と述べた。

 春闘の労使交渉は、鉄鋼労連が隔年になっているほか、電機連合も複数年協定への移行を検討中だ。

 こうしたことから連合はまず、金属労協に加盟するこれらの主要組合が、他に先行して一斉に回答を引き出す従来の日程の組み方から見直しを始める。

 労働時間の短縮や新たな雇用ルールづくりなど賃上げ以外の重点課題を1、2年ごとに設定、連合全体で取り組んでいくことなども、課題として挙がった。

中央集会は4月28日に

2000年4月18日 18時58分
 連合(鷲尾悦也会長)は18日の三役会で、毎年5月1日に開催していたメーデー中央集会を2001年から4月28日に変更する方針を固めた。組織内部で議論し、10月の中央委員会で正式決定する。

 ゴールデンウイークの谷間の動員を嫌う組合員が多くなったのが理由。開催日変更に反対する産別組織もあるため当面、5月1日には規模を小さくした中央記念式典を開催するという。

中小春闘、今年も「定昇割れ」必至

April 07, 2000
 2000年春闘は、中小企業の労使交渉がヤマ場を迎えており、連合の中小共闘センターは7日、なお7割にのぼる未解決組合を支援する集会を開いた。親企業からの値引き圧力などを受けて、経営側の賃金抑制姿勢は厳しく、組合側は苦戦を強いられている。ベアゼロどころか、平均2%程度とされる定期昇給相当分さえ下回る回答が相次いでおり、「定昇割れ春闘」になるのは必至の情勢だ。

 ■しわ寄せ
「メーカーは我々の賃下げで賃上げしているようなものだ」。トヨタ、日産などの自動車メーカーに部品を納めている会社の労組は先月末、2年続きのベアゼロで春闘交渉を終えた。昨年の定昇は約6000円。今年は約1000円に削られた。

 主な理由は、メーカー各社からの平均2割の単価切り下げ要請。「応じないと注文を減らされ、雇用に手をつけざるを得なくなる」。そんな会社側の説明に、組合も引き下がらざるをえなかった。
 シャープなどの部品を造っている従業員100人ほどの工場では、東南アジアからの輸入に切り替えられ、主力部品の受注量が半減。社員の基本給は30代後半で23万円ほどにとどまっているが、労組は「どんなに粘っても、定昇を取れるか取れないか」と弱気だ。

 ■新たな逆風
 規制緩和や少子化なども、中小への逆風を強めている。

 化学プラントの定期検査を請け負っている会社の労組は昨年に続き、ベアも定昇も要求しなかった。自ら組合員の5%賃金カットも提案、実施している。

規制緩和で、プラントの各種検査の間隔があくようになり、仕事は激減。受注は値引き合戦となり、以前の6割ほどまでに下がっている。2年の間に年収は、50代で250万円ほど減ったという。

 ■賃金カーブ
 定昇割れは、例えば34歳の労働者が35歳になって習熟度が上がっても、同じ職場で1年上の先輩が得ていた賃金水準に追いつかないことを意味する。結果として、賃金カーブが下がったりひずんだりしてしまい、事実上の減収につながる。

 今春闘で連合は、賃金体系の維持に必要な定昇相当分を確保したうえで、ベア1%以上の上乗せをめざす「2段階作戦」を初めて打ち出した。決起集会でも、中小共闘センターの服部光朗代表(JAM会長)は業績が悪い企業でもそれ以下では妥結しないという「ミニマム基準」を3000円とし、それを「死守」するよう各組合に訴えた。

だが、今月3日現在の連合の集計によると、大手・中堅企業でさえも平均賃上げは約6100円、1.9%にとどまっている。中小は、さらに低水準が予想される。

民営化後初のベアゼロ=NTTグループ8社

2000-03-17
 NTTグループ主要8社の賃上げ交渉が17日、妥結した。いずれも定期昇給のみで、電電公社民営化後で初のベアゼロとなった。一方、夏のボーナスに関しては持ち株会社のNTT、地域通信を手掛けるNTT東日本、西日本両社、長距離国際通信のNTTコミュニケーションズなど6社は2・2カ月だが、業績好調なNTTデータは2・5カ月、NTT移動通信網(NTTドコモ)が2・74カ月と他社に比べて上乗せする。グループ全社をベアゼロで統一し、ボーナスで若干の格差を付けるという結果となった。

春闘:電力9社は「ベースアップゼロ、定期昇給のみ」で妥協

3月17日 Mainichi INTERACTIVE
 電力9社の春闘賃上げ交渉は17日、「ベースアップゼロ、定期昇給のみ」で全社が妥結した。現行の交渉形式になって以来、ベアゼロ妥結は初めて。電力業界は21日からの大口向け小売り自由化を控え、人件費などコスト削減が急務になっている。自由化を前に経営努力姿勢を表明する意図もありそうだ。

トヨタ7400〜500円

2000年3月13日 19時18分
 春闘の賃上げ交渉は13日、トヨタ自動車が7400円から7500円(定期昇給込み)をめぐる交渉に入った。労使とも同日中の決着を図りたい意向だ。造船重機各社は、ベア2000円の要求に対し、500円が上限になる見込みで、15日の集中回答日までぎりぎりの交渉が続きそうだ。鉄鋼大手は、2000年はベアゼロ、01年は1000円とする方向で最終調整しており、前回の1998、99年各1500円から大きく後退する。

自動車総連、春闘賃上げ目標は「昨年実績以上」

March 11, 2000
 自動車総連は11日、中央生活闘争委員会を開き、春闘での賃上げ交渉での目標を、「昨年実績以上」とすることを確認した。電機業界が昨年と同額のベア500円で決着する見通しになったこともあり、ベア1000円というこれまでの目標をとり下げた。ただ、相場のリード役であるトヨタ自動車の賃上げ交渉は、昨年実績の7600円(定昇込み)に対し、7300円―7500円の攻防になる見通しで、昨年並みも難しい局面。一時金についても、確認事項から「満額を目指す」を外した。

トヨタの賃上げ、過去最低に=7300−7400円の公算

00年3月11日 [時事通信社]
 春闘をリードするトヨタ自動車の賃上げ交渉は11日までに、7300―7400円(定昇込み)で決着する公算が大きくなった。1982年の旧トヨタ自動車工業と旧トヨタ自動車販売の合併以降、過去最低の賃上げとなる。15日の回答日に向け、労組側は7000円台半ばへの押し上げに懸命だが、国際競争力を確保するため賃上げに歯止めをかけようとする経営側の姿勢は固く、上積み幅は限られている。 

電機業界賃上げ、ベア500円で決着へ 春闘相場に影響

8:53p.m. JST March 11, 2000
 春闘の相場づくりに大きな影響力を持つ電機業界の賃上げ交渉が、昨年実績と同じベースアップ500円で決着する見通しになった。産業別労働組合である電機連合が11日、ストライキ回避の条件として、最低妥結基準を500円とすることを傘下の大手17組合に提案した。13日の会合で各組合の賛同を得て正式決定し、経営側は15日に一斉回答する。一部に業績回復が見られる電機業界のベアが、昨年と並ぶ過去最低水準の500円で決着すれば、春闘相場の流れは「低額ベア」で決まりそうだ。

 ベアに定期昇給額を加えた賃上げ額は、日立製作所の場合で7100円。35歳の賃上げ額を同年齢の標準賃金で割ったアップ率は約2.4%となる。

 今春闘で電機連合は昨年要求を1000円下回る2000円(35歳の場合)のベアを要求していた。経営側は「業績が回復しているとはいえ、まだ利益は低水準であり、ベアを実施できる状況にない」(日立製作所の宗岡広太郎専務)などと厳しい姿勢で臨んだのに対し、組合側は従業員がリストラに協力してきたことを訴え、ベア確保にこだわった。

 2期連続の赤字に陥る見通しの東芝など、まだ隔たりが埋まらない労使もあるが、経営側から「ベアゼロでは従業員の士気にかかわる」(総合電機労務担当役員)などと歩み寄る動きも出ている。

電機業界、ベア500円で決着へ=昨年と同額の過去最低水準

00年3月11日 14時29分[時事通信社]
 春闘相場に大きな影響力を持つ電機産業の交渉は11日、高校卒35歳の標準モデルでベースアップ500円(要求額2000円)で決着する見通しになった。産業別労働組合の電機連合が同日開いた会議で、最低引き上げ額として決めた。過去最低となった昨年実績と同額で、交渉が大詰めを迎えている鉄鋼、造船・重機など、他業種の賃上げ交渉にも影響を与えそうだ。 

電機は500円軸に調整

2000年3月9日 18時58分
 金属労協(IMF・JC)加盟労組の賃上げ交渉は終盤を迎え、主要電機各社の労使は9日までに、過去最低だった昨年のベースアップ500円を軸に調整に入った。経営側は依然ベアゼロを主張し、厳しい姿勢を崩していないが、電機連合は「ベアにこだわる」方針を再確認しており、500円での決着を視野に入れているもようだ。

 電機連合は11日に決着の前提となる「歯止め」を設定する方針。

60%が定昇の見直し検討

2000年3月8日 16時58分
 定期昇給制度のある企業のうち60.9%が定昇の見直しや別の制度の新設など制度変更を検討していることが、民間の産労総合研究所(東京)が8日発表した調査結果で分かった。定昇制度が既にない企業も11.4%あり、従来の年功的な昇給制度から成果主義の導入など新たな賃金制度への移行が進んでいることをうかがわせる。

低ベア必至 春闘交渉、終盤入り

March 03, 2000
 春闘交渉は、15日の集中回答日へ向けて終盤に入った。業界ごとの動向をまとめた。

 ●自動車
 相場のリード役のトヨタ自動車が昨年の実績である7600円(定昇込み、要求は9000円)を下回る7000円台前半での攻防。ベア部分は数百円で、各社とも100円玉を何枚積めるかという様相だ。業績が堅調な本田技研工業は労使ともトヨタにらみだ。経営再建中の日産自動車は、7300億円(単独ベース)の最終赤字になる見通しで、ベアゼロだった昨年よりも経営環境は悪化している。塙義一社長は「一般論だが、この経営状況ならベアゼロだ」と突き放す。

 ●造船重機
 最大手の三菱重工業をはじめ軒並み業績が悪化し、経営側は「ベアができる状況ではない」と繰り返す。造船重機労連側からは「業績の悪化を一時金に反映させて原資を抑え、ベアゼロをなんとか回避したい」との意見も。

 ●電機
 昨年実績と同じく500円を巡る攻防。半導体や携帯電話など一部に明るさが見えるが、競争激化や円高で「水面ぎりぎりで浮いたり沈んだりしている状態」(富士通幹部)。労組側はリストラへの協力などを掲げて上積みを目指している。

 ●鉄鋼
 鉄鋼労連は、隔年ごとに交渉する複数年協定制度を1998年から導入、今春闘は2度目の取り組みとあって「何としても、成功させなければいけない」(鉄鋼労連幹部)。しかし、経営側は「ベアゼロ」の強硬姿勢を崩しておらず、「ゼロ回答では、複数年協定は成立しない」とする労組側との隔たりは大きい。大手の業績が二極分化していることも交渉を難しくさせており、「大手5社の統一回答が崩れれば、鉄鋼の労使関係自体が崩壊する」(大手組合幹部)という危機感は強い。

着実な賃上げ実現を

2000年3月3日 17時08分
 春闘相場に大きな影響力を持つ金属労協は3日、東京都内のホテルで「労組代表者交流集会」を開き、着実な賃上げを実現させる方針を確認した。得本輝人議長はあいさつで「経営側がかたくなに貫いているベアゼロ姿勢は生産性向上など労組の経営への協力をないがしろにするものだ。今後の労使関係を憂慮せざるを得ない」と経営側を批判。賃上げを求めて日経連に申し入れる考えを示した。

4割の企業が「ベア・ゼロ」を予定=賃上げ予測は史上最低の2.0%

00年2月12日 6時12分 時事通信社
 2000年春闘でベースアップを実施しない予定の企業は4割に上り、賃上げ予測は史上最低の2.0%とみられていることが12日、民間調査機関労務行政研究所のアンケート調査で分かった。

 調査は、東証1部上場企業の労働組合委員長、人事・労務担当者と、主要報道機関の論説委員や大学教授、労働関係専門家らを対象とし、486人(労働側177人、経営側146人、学識経験者163人)から回答を得た。

それによると、ベアについては労働側の7割以上が「実施すべきだ」としているが、経営側は「実施しない予定」が39.7%で、「実施する予定」の32.2%を上回った。定期昇給を実施しない企業は3.4%だった。 

7500円前後が上限か

2000年3月2日
 春闘相場に大きな影響力を持つトヨタ自動車の賃上げ交渉は、労使双方の溝が埋まらず、昨年実績の7600円を下回ることがほぼ確実な情勢となった。15日の回答に向けた終盤戦は、7500円前後を上限にした7000円台前半の攻防となりそうだ。

労使予測は最低の2・0%

2000年2月11日 16時03分 共同通信社
 民間の調査機関、労務行政研究所がまとめたアンケートで、回答した経営側幹部、労組幹部、大学教授らは今春闘の賃上げについて史上最低の平均2.0%になる,と予測していることが11日分かった。
民間シンクタンクの住友生命総合研究所、あさひ銀総合研究所もそれぞれ2.0%、2.1%と予測。民間企業の定期昇給分は2%程度とされており、日経連が主張してきたベアゼロが現実味を帯びてきた。

今春闘の賃上げ2%を予測 労使、学識経験者調査

9:41p.m. JST February 10, 2000
 今春闘の賃上げ率について労使と学識経験者は2.0%になると予測していることが10日、労務行政研究所の調査でわかった。同調査を始めた1974年以降で最低だった99年の2.1%を下回った。賃上げのうち定期昇給を除くベアについては経営側の4割が「ゼロ」と回答している。

 調査は東京証券取引所1部上場企業の労務担当役員、労組委員長、学識経験者ら486人から回答を得た。
 賃上げ率について、経営側、学識経験者は2.0%、労働側は2.1%を予測し、労使の見通しはほぼ一致している。ベアについては、労働側の7割が実施を求めているが、1割は「実施すべきではない」と回答し、経営環境の厳しさが映し出されている。

賃上げ2%めぐる攻防

2000年2月9日 18時55分 共同通信社
 造船重機と自動車の大手労組の要求提出で9日、本番入りした2000年春闘は、長期化する景気低迷で企業業績の格差が拡大していることを背景に、ベースアップがゼロの企業が昨年より増える見込みで、賃上げ交渉は過去最低水準だった昨年の平均2.21%(労働省調べ)を下回り、定昇相当分の2%の確保をめぐる攻防になりそうだ。

7700円要求を決定

2000年2月3日 16時26分 共同通信社
 私鉄総連(約16万7000人)は3日、東京都内で中央委員会を開き、今春闘の賃上げ要求を30歳勤続12年の標準労働者で、定期昇給分も含めて7700円とする方針を決めた。

 私鉄産業の業績不振などから、過去最低水準だった昨年より1400円引き下げた。平均賃上げ方式に換算すると,1万1000円(3.7%)の要求で、昨年より2000円下回った。

賃上げ9000円を要求

2000年1月14日 13時51分 共同通信社
 春闘相場に大きな影響力を持つトヨタ自動車とグループの労働組合で組織する全トヨタ労働組合連合会は14日、今春闘の賃上げ要求額を昨年と同じ9000円(定期昇給込み)とする方針を決めた。一時金も昨年と同じく年間5.0カ月以上とする。

自動車総連、賃上げ額のばらつき要求を容認

9:23p.m. JST December 10, 1999
 自動車総連(草野忠義会長、79万5000人)は10日、中央執行委員会を開き、来春闘での賃上げ要求案を決めた。傘下の各労組に対し、2%の定期昇給相当分にベア相当分の2000円をプラスして要求額を決めるよう求める。従来は、総連としての統一要求額を各組合が経営側に提示する方式だったが、来春闘は基準賃金の違いから組合ごとの要求額にばらつきが出る。自動車業界でも企業間の業績格差は広がる一方で、自動車総連は、要求額までそろえての「統一闘争」を維持できなくなった。

 各組合は、来春闘で、総連の示した方式をもとに要求額を決める。「2%プラス2000円」を単純にあてはめると、トヨタ自動車の要求額は前年と同じ9000円、本田技研工業は8800円などとなる見通し。要求水準は今春闘とほぼ同じになる。ただ、業績のいい会社は、ベア部分で上積み要求する可能性がある。

 自動車総連はこれまで、「額」で統一要求することで、業績の悪い企業の賃上げを、好業績企業の組合が下支えする形をとってきた。だが、今春闘では定昇込みの統一要求として9000円を掲げたものの、獲得額はトヨタ自動車の7600円に対し、ベアゼロの日産自動車が6070円などと大きな差がついた。

 総連は、統一要求をしても業績差を反映して実際には相当な差が出てしまうという現実を受け入れ、要求方式は統一するが、実際の要求額は個別企業の実態に即した形をとることにした。

来年の春闘では賃金水準の引き下げも

 日経連 6:49p.m. JST December 07, 1999
 来年の春闘で経営側の指針となる日経連の「労働問題研究委員会報告」の原案が明らかになった。「現行の賃金水準を全体的に引き下げなければならない事態が出てくることを、労使は客観的に認識しなければならない」と述べるなど、賃金抑制姿勢を一段と強めている。一部手直しのうえ、1月12日の臨時総会で採択する。

 報告案の副題は「高コスト体質を是正して雇用の維持・創出を」。世界トップレベルの賃金水準や上昇傾向にある労働分配率などが企業の成長を阻害している、と主張し、高コスト構造の下で雇用を維持・創出していくには、「もはや、賃上げか雇用かという単純な選択では対応できない」と強調。賃金、賞与、退職金、福利厚生費など総額人件費の抑制に向けて、あらゆる工夫をこらすよう労使に求めている。

 来春闘の労使交渉については、雇用の維持・創出のために、雇用・賃金・労働時間を総合的に検討し、同時決定することが重要だと指摘。その際は、派遣社員、パートの活用など多様な雇用の組み合わせや賃金、労働時間の多様化など、「柔軟なワークシェアリング(仕事の分かちあい)」の考え方を踏まえる必要がある、としている。

 ワークシェアリングの検討、導入にあたっては、月給制の正社員についても、「仕事と価値を洗い直し、時間給管理が可能なものは時間給にする」ことを提起。ヨーロッパ諸国で行われている雇用拡大のための一律的な労働時間短縮によるワークシェアリング政策については、「成功したとはいえない」と否定的な見方を示した。

 また、外国人の活用については「在留資格、研修・技能実習制度の拡大や、移民の受け入れも含め、新たな理念の検討と様々な準備に取り組む必要がある」とし、いわゆる単純労働者の事実上の受け入れ容認につながる、従来より1歩踏み込んだ見解を打ち出した。

春闘 最低のベア2000〜3000

1999年12月6日 16時57分 共同通信社
 春闘相場に影響力を持つ金属労協(IMF・JC)は6日、東京都内のホテルで協議委員会を開き、来春闘の賃上げ要求基準について、35歳の標準労働者でベア2000〜3000円とすることを決めた。
今春闘の3000円を下回り、過去最低の水準。ベア率に換算すると、0.65〜0.98%となる。産業・企業別の業績格差が広がっているため、要求基準に幅を持たせた。

来春闘の賃上げ要求基準はベア1%以上 連合

8:18p.m. JST November 11, 1999
 連合は11日の中央執行委員会で、来春闘の闘争方針案を確認した。賃上げの統一要求基準は、個別賃金方式を基本に、賃金体系維持に必要な定昇(相当分)を確保した上で生活の維持・向上分(ベア)1%以上を目指すとしている。具体的な到達目標と必要な引き上げ額のほか、最低到達目標も示している。ベア1%以上は今春闘と同じ。額では3200円以上に相当し、連合結成以来、最も低い水準だ。

 具体的な到達目標は、高卒35歳・勤続17年の標準労働者の場合、生産技能職で31万5000円以上(引き上げ額3100円以上)、事務・技術職で33万円以上(同3300円以上)。傘下の産別労組が参考にする選択肢を増やすため、これまで1本だった目標を生産技能職と事務・技術職に分け、30歳・勤続12年の標準労働者の目標も示している。最低到達目標は、35歳で25万円、30歳で22万円としている。

 方針は、18日の中央委員会で正式に決める。

賃金底上げ重視の春闘へ 全労連が定期大会で方針

7:38p.m. JST July 29, 1999
 東京都内で開かれていた全国労働組合総連合(全労連)の第18回定期大会は3日目の29日、今年度運動方針などを決めて閉会した。方針は、能力・成果主義の個人別賃金制度の拡大などで平均賃上げ方式の相場波及力が弱まり、平均要求が個々の労働者の賃上げに結びつかなくなっていると指摘。来春闘からは、組織労働者(組合員)だけでなくすべての労働者の賃金の底上げを目指し、賃上げの最低保障額を重視した賃金闘争を強化するとしている。

 これまで全労連は、平均賃上げ方式を基本に要求基準(今春闘では組合員一人平均3万5000円)を示してきた。春闘改革論議は、史上最低の賃上げ率に終わった今春闘の反省から、連合内でも活発になっている。
 方針はまた、緊急課題の雇用確保について、労働時間の短縮やサービス残業の規制で大幅な雇用創出が可能だと強調。さらに、判例で確立している解雇規制の四要件を法制化した「解雇規制法」の制定運動を進めるとしている。

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