TOPIC No. 2-68-3 ミサイル防衛(MD)

01.ミサイル防衛 byYAHOO!ニュース
02.北朝鮮ミサイル開発問題 byYAHOO!ニュース
03.ミサイル防衛(MD)の概念
04.ミサイル防衛 byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
05.パトリオットミサイル byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
06.北朝鮮ミサイル危機で見えたもの(2006年07月04日)/北朝鮮とミサイル防衛システムの裏側(2003年09月05日)田中 宇
07.米国弾道ミサイル防衛計画とイージス艦配備 by原水禁
08.弾道ミサイル防衛システム(Ballistic Missile Defence)

ミサイル防衛

2005年09月22日 東奥日報

 弾道ミサイルを着弾前に撃ち落とす米国主導の防衛構想。弾道ミサイルを早期に発見するレーダー網、着弾地点の解析や迎撃ミサイルの管制を行うシステム、陸上・海上発射型の迎撃用ミサイルなどの分野で開発・導入が進められている。日本では、イージス艦から発射され大気圏外で撃墜する海上配備型迎撃ミサイル(SM3)と、撃ち漏らしたミサイルを落下直前に撃墜する地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の2段階で防御する。防衛庁は2006年度末にPAC3、07年度末に従来型のSM3の配備を開始する方針。(共同)

高度485キロまで上昇か ミサイル、最短軌道に達せず

2009/04/08  中国新聞ニュ−ス

 【ソウル8日共同】八日付の韓国紙、中央日報は、北朝鮮が五日に発射した長距離弾道ミサイル「テポドン2号」について、太平洋上空の高度四百八十五キロまで上昇したが、速度が不足して軌道投入に失敗したと報じた。韓国の政府消息筋の話として伝えた。

 北朝鮮は、五日の朝鮮中央通信で、人工衛星「光明星2号」は地球から最短で四百九十キロ、最長で千四百二十六キロの楕円だえん軌道を周回していると発表。同紙は「(北朝鮮の主張する)最短の軌道にも達しなかった」とした。

 同紙はまた、ミサイルの速度不足で軌道に達しなかったことについて、専門家の話として「一九九八年にテポドン1号が発射された際と同じ状況」とした。

 米国やロシアなどは、北朝鮮が発表した軌道には衛星らしき物体がなく「光明星2号」が発信しているとする信号なども捕捉できていないことから、衛星としては失敗したと判断している。

スコープ 北ミサイル 飛距離3000キロ超 技術向上に政府危機感

2009年04月08日 東京新聞

 北朝鮮が七日に映像を公開した長距離弾道ミサイル。「人工衛星」だとする北朝鮮の主張については、防衛省は否定しているが、ミサイルとしては能力を大きく進展させた。「核ミサイル」への不安も重なり「敵基地攻撃論」が高まることも予想される。 (三浦耕喜)

 青空にゆっくりと白いロケットが浮かび上がる。一九九八年に発射した「テポドン」の機体は黒だったが、今回は白。軍事色を薄める意図がうかがえる。

 北朝鮮は八一年に射程約三百キロの「スカッド」を入手後、ミサイル開発に着手。これを大型化した「ノドン」を九三年に日本海に撃ち込んだ。飛距離は約五百キロだったが、改良で射程を約千三百キロに延ばしたという。

 長距離化を目指した北朝鮮は、一段目にノドン、二段目にスカッドを用いた「テポドン」を開発。九八年の発射では日本を飛び越え、飛距離は約千六百キロに達した。

 二〇〇六年には一段目に新型ブースター、二段目にノドンを用いた「テポドン2号」を発射。だが、発射直後に爆発した。

 今回、北朝鮮はテポドン2号を改良した三段式ミサイルを用いたもようだ。映像でも三段式であることがうかがえる。防衛省によると、一段目とみられる物体は打ち上げの七分後に秋田沖約二百八十キロの日本海に着水。予告した危険水域内に落としたことは、新型ブースターの開発に成功したことを示す。

 だが、カートライト米統合参謀本部副議長は六日の記者会見で「二段目以降は近接して着水した」としている。二段目と三段目の切り離しに失敗し、空中で破壊した可能性が高い。

 しかし、自衛隊の探知でも日本から約二千百キロ、北朝鮮から三千キロ以上を飛んだのは確実。政府高官は七日「米国によると、(北朝鮮から)三千数百キロ地点に落ちた」と話した。

 同副議長は「失敗」と断じたが、北朝鮮のミサイル技術が上がっているのは確か。その上、国際シンクタンク「国際危機グループ」(本部・ブリュッセル)は一日、北朝鮮がミサイルに搭載可能な小型核弾頭の開発に成功した可能性を指摘している。

 不安を背景に、自民党内では「敵基地攻撃論」が高まりつつある。浜田靖一防衛相も七日の参院外交防衛委員会で「政治的な判断が必要で、国会などで幅広い議論が重要だ」と、議論を進めるべきだとの考えを強調した。北朝鮮のミサイルが、またも日本の安保政策の背を押している。

テポドン2号、米軍幹部「実験は失敗」 北朝鮮の打ち上げ分析

2009/04/06 NIKKEI NeT

 【ワシントン=弟子丸幸子】米軍最高機関である米統合参謀本部のカートライト副議長は6日の記者会見で、北朝鮮が「人工衛星」を搭載していると主張して発射した長距離弾道ミサイル「テポドン2号」について、ミサイル実験としては「失敗した」との見解を明らかにした。米当局者が発射の成否について言及したのは初めて。

 北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)が推進装置の1段目は日本海に、残りは太平洋に落下したとしていることや、テポドン2号が3段式の推進装置を備えているとみられていることを踏まえ「多段式の技術に失敗した」と述べた。「落ちた物体は原形をとどめていないようだ」とも語った。

 北朝鮮の動向については(1)大量破壊兵器を搭載できる弾道ミサイルを開発したかどうか(2)ミサイルを輸出しようとする願望を持っているかどうか――に注意すべきだと分析した。ただ、ミサイル拡散の可能性については「(1998年、2006年に続き)3回も(実験に)成功しなかった者から購入するだろうか」とも述べた。 (

北朝鮮、テポドン2号発射を米ロ中に事前通告 聯合ニュース

2009/04/06 NIKKEI NeT

 聯合ニュースによると、韓国の情報機関、国家情報院は6日、北朝鮮が米ロ中の3カ国にテポドン2号の発射を事前に通告していたと指摘した。国情院の北朝鮮担当幹部が国会の情報委員会委員らとの懇談会で述べた。出席した委員によると、北朝鮮は国際機関への通報内容よりも具体的に発射時刻などを伝えたという。(ソウル=島谷英明)

北朝鮮「飛翔体」発射、日本上空を通過―新華社も速報

2009/04/05 サ−チナ

 中国の国営通信社新華社は5日午前、北朝鮮が同日午前11時ごろに飛翔体を発射したニュースを速報した。「北朝鮮がミサイル/ロケットを発射した」、「日本上空を通過して日本海と太平洋に落下物」、「日本は迎撃しなかった」などと、立て続けに報じた。

 新華社は「日本政府の発表による」として、1つ目の落下物は午前11時37分に日本海に、2つめの落下物は午前11時43分に日本の東270キロメートル(原文ママ、日本政府の発表は1270キロメートル)の太平洋に落下した」と伝えた。続いて、「日本の東北地方の上空を通過したので、日本は迎撃しなかった」と伝えた。

 中国ではこれまでに、軍幹部が「飛翔体の残骸が日本に落下した場合、日本には撃墜する権利がある」などの意見を発表した。日本国内への落下・日本の迎撃などの事態になった場合、中国国内で反日的な雰囲気が高まる可能性を考えた、政治的背景があった可能性がある。(編集担当:如月隼人)

ミサイル初の破壊措置命令 イージス艦、きょう出港

2009/03/28  中国新聞ニュ−ス

 北朝鮮が「人工衛星打ち上げ」として「テポドン2号」とみられる長距離弾道ミサイルを発射し、日本領域内に落下する場合の迎撃に備えるため、浜田靖一防衛相は二十七日、安全保障会議決定を経て、自衛隊に初の破壊措置命令を出した。期間は四月十日まで。

 これを受けて海自は二十八日、海上配備型迎撃ミサイル(SM3)を搭載したイージス艦「こんごう」「ちょうかい」を長崎県の佐世保基地から出港させる。また、空自は二十七日、首都圏警戒のため、地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を陸自朝霞駐屯地(東京都)や防衛省本省がある市ケ谷駐屯地(同)などに移動した。

 浜田防衛相は命令後の記者会見で「国民の安全、安心を確保する観点から対応に万全を期したい」と強調。迎撃について「今まで準備してきた。(可能なのは)疑いはない」と述べた上で「わが国の領土の上を飛び越える打ち上げは不愉快だ」と北朝鮮に自制を求めた。

 河村建夫官房長官は関連情報を国民に迅速に伝える方針を示し、冷静な対応を呼び掛けた。

 空自は、ミサイルが上空を通過するとみられる秋田、岩手両県の陸上自衛隊の駐屯地などにも三十日までにPAC3を運び込み、迎撃態勢を整える。

 ほかに二十八日に出港するのはSM3を搭載していないイージス艦「きりしま」(神奈川県・横須賀基地)。こんごうとちょうかいは日本海に展開し、きりしまは太平洋側でミサイル発射時に航跡の探知などに当たる。三隻は既に周辺海域に展開している米海軍のイージス艦などと連携し、ミサイル発射に備える。

 北朝鮮は一月末から日本海側の咸鏡北道舞水端里むすだんりにあるミサイル発射施設で準備を開始。今月十二日、国際海事機関(IMO)などに四月四―八日の午前十一時〜午後四時に発射すると通告した。一段目のロケットが日本海に、二段目のロケットが東北地方を飛び越えて北太平洋に落下するとして危険海域を指定。その後、日本政府にも同内容の情報を伝えていた。

 二十五日には発射台にテポドン2号とみられるミサイルが設置されたのが確認され、日米両政府は警戒を強めている。

北朝鮮:「衛星発射」通告 破壊措置命令、政府が異例の公表 危機管理で政権浮揚期待

2009年03月28日 毎日新聞 東京朝刊

 政府が27日、北朝鮮の長距離弾道ミサイルの落下に備え、法律上は公表する必要がない自衛隊法82条2の3項に基づく「破壊措置命令」の発令をあえて発表したのは、緊張を高める北朝鮮に対し、毅然(きぜん)とした姿勢を示す必要があると判断したためだ。北朝鮮への強硬姿勢と併せて危機管理に万全を期す政府の姿勢を強調し、政権浮揚につなげたいとの思惑も見え隠れする。【古本陽荘】

 政府が27日に命令を発令し、北朝鮮への緊張感を国内外に高めつつある裏で、準備されているミサイルが日本に落下する可能性について「ほとんどない」(内閣官房幹部)との見方が実は支配的だ。

 準備されている「テポドン2号」の改良型とみられるミサイルは、射程が8000キロとも言われ、北朝鮮から1000キロ程度の日本の上空では宇宙空間を飛び越える。被害が出るとすれば1段目のブースターが日本海に落下した後、2段目のブースターが故障し、角度を変えて落下する場合などが想定されるが、実際は「飛び方や距離を考慮し、故障の可能性を掛け合わせると落下確率は非常に小さい」(同)のが実情だ。

 にもかかわらず、政府は公表の必要がない3項による破壊措置命令を発表し、政府の取り組み姿勢を明確にする選択をした。航空自衛隊の地上配備型の迎撃ミサイルPAC3の展開場所まで公表する異例の対応ぶりだ。

 国民には「事前に住民は特別な構えをする必要はない」(同)と冷静な対応を要請。その一方で、北朝鮮に対しては「人工衛星であれミサイルであれ、我が国の領土の上を飛んでいくのは極めて不愉快だ」(浜田靖一防衛相)と圧力を高める機会ととらえる硬軟の「使い分け」の姿勢がうかがえる。

 麻生太郎首相は、06年に北朝鮮が核実験を実施した際、国連安保理で日本が議長国として経済制裁発動を実現した際の外相。首相周辺からは、「この局面でしっかり国際世論をまとめることができれば、政府への信頼感が出てくるはずだ」と期待の声が漏れる。

北朝鮮ミサイル:PAC3が移動開始

2009年03月27日 毎日新聞 

朝霞駐屯地に向かう航空自衛隊高射部隊(PAC3)=埼玉県朝霞市で2009年3月27日午後10時49分、三浦博之撮影

 北朝鮮の長距離弾道ミサイル発射に対応する破壊措置命令の発令を受け、地上配備型迎撃ミサイル(PAC3)部隊が27日夜、配備場所に移動を始めた。

 航空自衛隊入間基地(埼玉県)からは午後8時ごろ、PAC3ミサイルの発射装置やレーダーなどを搭載した特殊車両が陸上自衛隊朝霞駐屯地(東京都練馬区)や防衛省(新宿区)に向け出発。ミサイルの上空通過が予想される東北地方の陸自新屋演習場(秋田県)と同岩手演習場(岩手県)には、浜松基地(静岡県)のPAC3部隊が週明けまでに移動する。【本多健】

北朝鮮が発射すれば直ちに公表 政府、ミサイル対応方針

2009/03/27 47News【共同通信】

 政府は27日午前の安全保障会議で、北朝鮮が発射予定の「テポドン2号」とみられる長距離弾道ミサイルをめぐり「北朝鮮飛翔体発射事案に関する対応」を決定した。

 それによると(1)防衛相が自衛隊法82条の2第3項に基づき、あらかじめ破壊措置を命令(2)破壊措置を実施した場合には結果を直ちに公表―との対応を取る。

 政府は発射後、5−10分以内に都道府県を通じて一斉同報システムで全国の市町村に通報し、報道機関にも広報。さらに、30−60分後に落下予測地点の情報も提供する予定だ。万一、日本の領域に落下した場合には現場を確認した上で立ち入り禁止区域の設定などを行う。

 内閣官房によると、一斉同報システムには全国1803市町村のうち1241市町村が接続。岩手では35市町村のうち18、秋田県では25市町村のうち24が未接続だが、一両日中に接続を完了するという。

“テポドン2号”対策に地対空パトリオット

2009年03月27日 スポニチ

 長距離弾道ミサイルとみられる「人工衛星」打ち上げ準備を進める北朝鮮が、日本海側の咸鏡北道舞水端里(ムスダンリ)にあるミサイル発射台に「テポドン2号」とみられるミサイルを設置したことを26日までに日米関係筋が確認した。日本政府は、日本領域に落下する事態に備え、自衛隊法に基づいて準備を進めており、地対空パトリオット(PAC3)を首都圏などに展開する方針だ。

 北朝鮮のミサイルとみられる「人工衛星」について、米政府当局者も共同通信に「強力な情報がある」と述べ、既に設置済みであることを認めた。米韓軍当局は、打ち上げに使われるのは2段式で射程6000キロ以上のテポドン2号を改良した3段式の可能性が高いとみていることも判明。米国などは大陸間弾道ミサイル(ICBM)に直結すると警戒している。

 米NBCテレビによると、設置されたのは1基で、2段分が見え、上部に覆いがかかっているという。韓国紙、朝鮮日報は長さ33〜35メートル、米国の偵察衛星が24日に発射台への設置をとらえたと報じた。

 北朝鮮は国際機関に対し、4月4〜8日に「人工衛星」を打ち上げると通告。発射される可能性が高まったことで、日本政府は、米国の早期警戒衛星や日本の地上配備型レーダーの情報などを総合的に判断し、日本領域に落下する事態に備え、自衛隊法に基づく迎撃の準備を進めている。

 ミサイル防衛(MD)システムでの迎撃は、イージス艦が追尾し、迎撃ミサイルSM3で大気圏外で迎撃する方法と、地上配備の地対空誘導弾パトリオットが着弾前に撃ち落とす方法の2段構え。具体的には、航空自衛隊浜松基地に配備しているPAC3を秋田、岩手に移動、首都圏の数カ所に配備したPAC3を都心の防護にあてる。

 航空自衛隊浜松基地(浜松市)から特殊車両の通行通知書が岩手県に届いていることも判明。通行先は陸上自衛隊岩手駐屯地(岩手県滝沢村)で、政府がミサイル迎撃のため配備を検討しているPAC3の関連装置を運ぶとみられる。

 中曽根弘文外相は26日、「ミサイルの一部や破片がわが国の領土などに飛行し、生命、財産に被害が及ぶ恐れがあれば迎撃するのは当然だ」と強調。麻生太郎首相は「衛星であろうと何であろうと、安保理決議違反ははっきりしている。決議の可能性を含め、国際社会が一致した形で非難する方向に持っていかなければならない」と指摘した。

【社説】北のミサイル発射カウントダウン、断固とした対応を

2009/03/27 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

 韓米情報当局は、北朝鮮が24日、咸鏡北道ファデ郡舞水端里のミサイル実験場の発射台にテポドン2号のロケットを取り付けた事実を確認した。北朝鮮はこのロケットは人工衛星「光明星2号」だと主張しているが、韓米当局は長距離ミサイルだと判断している。3−4日間を要する燃料注入が終了すれば、いつでも発射することができる。北朝鮮は既に国際海事機関(IMO)に対し、4月4−8日の午前11時から午後4時までの間に衛星を打ち上げると通報しており、長距離ミサイル発射は事実上カウントダウンに入った。

 韓国政府はイージス駆逐艦「世宗(セジョン)大王」を東海(日本海)に展開し、米イージス艦と共にロケット発射の動きを追跡している。東海では日本のイージス艦2隻も活動中だ。日本は27日、内閣の安全保障会議を開き、自衛隊法に基づく「弾道ミサイル破壊措置命令」を発動する予定だ。日本は北朝鮮のロケットが弾道ミサイルだと確認された場合、第1段階としてイージス艦隊に配備された海上配備型迎撃ミサイル(SM3)で大気圏外で迎撃し、それに失敗した場合には、大気圏に再突入したロケットを航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオットミサイル(PAC3)で撃墜する方針だ。北朝鮮はそれに対する報復を公言しており、ミサイル発射をめぐる緊張は最高潮に達している。

 北朝鮮のミサイル発射がカウントダウンに入り、韓国政府の対応は「発射阻止」から「発射後の対策」に移りつつある。外交通商部の魏聖洛(ウィ・ソンラク)韓半島平和交渉本部長は27日、ワシントンを訪問し、米政府関係者と対策を協議する。韓米政府は2月初め、北朝鮮がミサイル発射準備に入った後、それを阻止するための外交努力を繰り広げたが失敗した。韓国政府は対北朝鮮の対話チャンネルが途絶した状態のため能動的に事態を主導することができず、米オバマ政権はまだ北朝鮮問題の深刻さを十分には理解していない様子だ。

 韓米両国は今回の事態を北朝鮮に対する協調体制を再構築する機会ととらえ、北朝鮮がロケット発射を強行すれば、いかなる制裁措置が伴うかをあらかじめ明示的に予告している。そして、北朝鮮に対する警告に中国とロシアの同調が得られるように最大限の外交力を発揮すべきときだ。警告が断固としたものでなければ、北朝鮮の行動にブレーキをかけることはできず、警告による予告が伴わなければ、事態をコントロール不能な状況にまで悪化させないための安全装置にはならない。2006年10月に北朝鮮の核実験後に出された国連安保理決議1718号による対北朝鮮制裁措置の実効性を高め、北朝鮮の権力者に国際社会の断固とした意志を示すことも考えるべき案だ。

 4月2日にロンドンで開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会合で、李明博(イ・ミョンバク)大統領とオバマ米大統領が初めて首脳会談を行う。その際に北朝鮮の誤った判断に対する最後の警告を行わなければならない。北朝鮮はもちろん、世界が韓米首脳会談前後の北朝鮮のミサイル挑発に対し、韓米首脳がどんな姿勢を見せるかを見守っている。

ロシアが発射自制呼び掛け 北朝鮮ミサイル問題で

2009/03/27 47News【共同通信】

 【モスクワ27日共同】インタファクス通信によると、ロシアのボロダフキン外務次官は27日、北朝鮮が「人工衛星打ち上げ」として長距離弾道ミサイルの発射を計画している問題で、発射を自制するよう北朝鮮に呼び掛けた。

 北朝鮮のミサイル問題をめぐっては日本の浜田靖一防衛相が同日午前、自衛隊に初の破壊措置命令を出している。次官の発言は、北朝鮮に国境を接する隣国として、ミサイル発射による北東アジア情勢のこれ以上の緊迫化を防ぎたいロシア指導部の意思を反映したものとみられる。

 ボロダフキン次官は北朝鮮の核問題を話し合う6カ国協議のロシア首席代表。

 次官は「地域の情勢は緊張しており、発射を自制するほうがよい」と述べた。同時に「熱情をあおる必要はない。状況を冷静に見極めるべきだ」とも述べ、関係各国に外交的手段による問題解決を訴えた。

 ロシアはこれまで、発射されるのが「人工衛星」であれば、北朝鮮に弾道ミサイル計画関連活動の中止を義務付けた国連安全保障理事会決議に違反しないとの立場を示唆してきた。その一方で、発射の際に事故が起きればロシア領に破片が落下する可能性があるとして、ロシア軍が警戒を強めていた。

北朝鮮が核開発再開警告 ミサイルは3段式か

2009/03/27  中国新聞ニュ−ス

 【北京、ソウル26日共同】北朝鮮の外務省報道官は二十六日、「人工衛星」打ち上げを国連安全保障理事会へ提起することは「敵対行為」と指摘、非核化措置は「元の状態に戻り、必要な強い措置が講じられるだろう」として、核開発再開で対抗する構えを朝鮮中央通信を通じ表明した。

 また米韓軍当局が、「衛星」打ち上げに使われるのは二段式の長距離弾道ミサイル「テポドン2号」(射程六千キロ以上)を改良した三段式の可能性が高いとみていることが同日、分かった。複数の関係筋が明らかにした。

 三段式をミサイルとして使った場合、最大射程は八千キロ前後に伸びると推定しており、米国などは大陸間弾道ミサイル(ICBM)に直結すると警戒している。

 米韓の政府当局者は、北朝鮮咸鏡北道舞水端里ムスダンリの発射台へのミサイル設置を確認した。ただ、韓国軍関係者によると、上部には覆いがかかっており、米偵察衛星からも詳しい構造は確認できていないとみられる。

 北朝鮮は四月四―八日の打ち上げを国際機関などに通告している。韓国政府内では、北朝鮮が九日の最高人民会議第十二期第一回会議に確実に間に合わせるため、天候条件さえ合えば予告期間初日の四日にも打ち上げるとの見方が多い。

 北朝鮮は日本海と北太平洋上の二つの危険水域を指定。二段目も地球上に落下することを前提にしており、関係筋によると、「人工衛星」を積んで地球の周回軌道に乗せるための三段目の存在が確実視されている。

 ブレア米国家情報長官は今月十日の上院軍事委員会公聴会で、北朝鮮が三段式打ち上げに成功すればアラスカやハワイだけでなく、米本土も射程に入れることができると強い警戒感を示した。

 北朝鮮が一九九八年に試験発射したテポドン1号は先端部分に固体燃料式の推進装置を持ち、三段式に通じる構造を持っていたとみられている。

テポドン2号は2段式 発射台設置確認 米政府

2009.03.26 MSN産経新聞

 【ワシントン=有元隆志】米政府当局者は25日、北朝鮮の咸鏡(ハムギヨン)北道舞水端里(ブクトムスダンリ)の基地で、長距離弾道ミサイル「テポドン2号」が発射台に設置されたことを確認した。NBCテレビなどが伝えた。2段式のミサイルで、上部は覆いで隠されているという。

 ロイター通信によると、メキシコを訪問したクリントン国務長官は「この挑発行為が見過ごされることはなく、重大な結果をもたらすことになる」と警告した。北朝鮮は「人工衛星」と称し、4月4日から8日の間に打ち上げると発表している。

 米シンクタンク、科学国際安全保障研究所(ISIS)の上級アナリスト、ポール・ブラナン氏は、「クレーンを使ってカーテンのようなものをかけ、衛星から(ミサイルの上部が)みえないようにしているのではないか」と指摘する。形状をみると、人工衛星が搭載されるかわかるためだ。北朝鮮は2006年7月に「テポドン2号」を発射したときにも、上部を隠していた。

 06年の発射では、新型ブースターを1段目、中距離弾道ミサイル「ノドン」を2段目に利用した。射程は約6000キロ程度と推定されていたが、発射後数十秒で1段目を分離することなく空中分解し、発射地点近くに墜落した。

 ただ、日米は北朝鮮が前回の発射失敗から学び、派生型を含めて長射程化に取り組んできたとみている。朝鮮半島情勢に詳しい情報筋によると、北朝鮮は2月のイランの「人工衛星」打ち上げにも協力し、実験データを共有している。

 国防総省のモレル報道官は25日の記者会見で、「北朝鮮が衛星打ち上げと宣言しても、(ミサイル関連活動の中止を求めた)国連安全保障理事会決議に違反する」と述べ、発射に反対する考えを強調した。

 日米両国は北朝鮮が実際に発射した場合、新たな国連決議案の検討に入る構えを示している。これに対し、北朝鮮は制裁決議などの「敵対行為が強行されるなら、(核問題をめぐる)6カ国協議は存在意義がなくなる」と牽制(けんせい)している。

北ミサイル、発射台設置に着手 26日にも完了

2009.03.26 MSN産経新聞

 北朝鮮が咸鏡(ハムギヨン)北道舞水端里(ブクトムスダンリ)の基地で長距離弾道ミサイル「テポドン2号」改良型の発射準備を進めている問題で、格納庫からミサイルを運び出し、発射台に取り付ける作業に着手したことが25日、分かった。26日中にも発射台への設置をほぼ完了するとみられている。残る作業は燃料注入だけで、発射に向けた準備は最終段階に入った。

 北朝鮮は今年1月末ごろから改良型の発射準備を開始。基地にミサイルを運び込み、格納庫で組み立て作業などを行っていた。発射台に設置後は燃料注入に移る。注入には5〜7日かかるとの見方がある一方、注入作業自体は数時間で終了するとの指摘もある。

 舞水端里の基地では、発射台付近の地下に液体燃料の注入施設を新設したとの情報がある。これが事実であれば、偵察衛星で燃料注入の状況を把握することは困難とみられる。

 この時期に発射台に設置することで、北朝鮮が「人工衛星」の打ち上げとして通告した4月4日から8日までの間の発射は、一層濃厚となった。平成18年7月にテポドン2号の発射に失敗しており、今回は発射成功に向け、事前演習を入念に繰り返すのではないかとの分析もある。

 韓国の聯合ニュースは23日、情報当局の分析として、今週末ごろ発射台に設置され、燃料注入が始まる可能性があると報じていた。

北ミサイル迎撃、MD計画の過信は禁物 コイル米元国防次官補に聞く

2009.03.25 MSN産経新聞

 北朝鮮が「人工衛星」と称し長距離弾道ミサイルを発射した場合、日米のミサイル防衛(MD)は機能するか。キーティング米太平洋軍司令官が24日の下院軍事委員会公聴会で「大統領が命令すれば、米領土と同盟国を守る準備はできている」と述べるなど、米軍高官からは対応に自信を示す発言が相次いでいる。これに対し、クリントン元政権下でミサイルなどの運用実験・評価を担当したフィリップ・コイル元国防次官補は「不確かなシステムに頼り切るべきでない」と強調する。コイル氏にその理由を聞いた。(ワシントン 有元隆志)

 −−発射前にミサイルか人工衛星の打ち上げかの見分けはつくのか

 「衛星ならば、ミサイルの弾頭より大きい。形状をみればわかる」

 −−発射前に確認ができない場合、発射後どの時点で判別ができるか

 「ロケットでも弾道ミサイルでも打ち上げ当初は地球の自転に沿って上昇するので見分けはつかない。1分後ぐらいにロケットとミサイルでは上昇角度が変わってくる」

 −−北朝鮮が夜間に発射した場合の探知は

 「早期警戒衛星は発射を探知できるが夜間や悪天候では感度は高くはない。より性能の高い宇宙空間赤外線システム(SBIRS)衛星などの配備は計画より遅れている。仮に衛星なら、米国などのように好天候で実施するだろう」

 −−日米のイージス艦に配備されている海上配備型迎撃ミサイル(SM3)で迎撃する可能性は

 「日米が迎撃するとは想像できない。イージス艦による迎撃の問題点はミサイルの速度が遅いことだ」

 −−キーティング司令官は実験の成果を強調した

 「このシステムはもともとイージス艦自身やその周辺を防御するために開発されており、迎撃可能範囲は狭い。実験ではよい確率を残しているが、標的にあたるよう『台本』が設定されていた。迎撃するには、飛行するミサイルの近くにいないといけない」

 −−ミサイルが軌道を外れ、日本の領土に落下してきた場合、迎撃は可能か

 「2001年初頭、発射に失敗し、回転しているミサイルの一部を迎撃する実験が計画されたが、いまだに実現されていない」

 −−アラスカ州とカリフォルニア州に配備されている地上配備型迎撃ミサイルが、迎撃する可能性は

 「これまで14回迎撃実験を行い7回成功した。成功の確率は5割といえるかもしれないが、過去5年間でみると、6回の実験で4回は事実上失敗だった」

 −−キーティング司令官らは迎撃に自信を示した

 「20回以上実験に成功しなければ、MDが効果的ということにはならない」

 −−日本は米国のMD計画に積極的に参加してきた。見直す必要があるか

 「日本の人たちがMDがあるから大丈夫と安心してしまうことを懸念する。日米がMD計画に協力していること自体は同盟関係にとってもよいことだと思う。ただ、計画に巨額の費用をかけすぎないことだ」

北ミサイル、韓国政府“弱腰” 首席代表「制裁決議」に悲観的

2009.03.25 MSN産経新聞

 【ソウル=水沼啓子】北朝鮮の核をめぐる6カ国協議の韓国首席代表、魏聖洛(ウイ・ソンラク)・外交通商省平和交渉本部長は25日、北朝鮮がミサイルを発射した場合、「一定の対応が不可避」としながらも、対北制裁については留保する姿勢を示した。これまで日米韓が一致して国連安全保障理事会での制裁を示唆しながら北に圧力をかけてきたが、ミサイル発射が近づいたことから、韓国政府は現実的な対応策を検討し始めたとみられる。

 この日、中国から帰国した魏本部長は「必ずしも制裁になるとは断定できない」と述べた。これまで韓国は、北朝鮮のミサイル発射について、日米両国とともに安保理決議違反として、制裁の可能性を示唆してきた。しかし、安保理で拒否権を持つ中国やロシアが制裁に慎重なことから、今回発言に含みをもたせたとみられる。

 ミサイル発射問題への対応策をめぐり中国との間で意見の相違があることについて、魏本部長は「少しずつ共感する部分を広げている過程」と述べ、まだ意見が一致していないことも明らかにした。

 また、「(ミサイルが発射されたら)多少冷却期があるかもしれないが、6カ国協議が再開して非核化を論じる機会があると期待している」と、6カ国協議はいずれ再開されるとの見通しを示した。

 一方、北朝鮮の外務省報道官は24日の談話で、「日米が、唯一わが国(北朝鮮)に対して宇宙の平和的利用の権利を否定し自主権を侵害しようとしている」とし、これは「(2005年9月19日の6カ国協議の)共同声明の『相互尊重と平等の精神』に全面的に反する」と強調。その上で「共同声明が破棄されれば、6カ国協議はこれ以上存在する意義もなくなる」と不参加を示唆しており、強硬姿勢を崩していない。

 北朝鮮は第12期最高人民会議(国会)第1回会議が開催される4月9日直前の4日から8日の間に、人工衛星ロケットを打ち上げると国際機関に通告した。実際は長距離弾道ミサイル「テポドン2号」改良型ミサイルの発射とみられている。

 打ち上げ中断を求める国際的な圧力が強まる中、それでも北朝鮮はミサイル発射を強行するというのが専門家らの見方だ。

 韓国統一研究院の朴英鎬研究委員は「長距離弾道ミサイル発射は、国内の結束強化を図る目的がある。同時に、対外的には米国との交渉カードとして利用する。さらに、北がミサイルを輸出して外貨を稼いでいる中東諸国に対しては、ミサイル技術が向上したことを示す狙いがある」と述べ、「実際に打ち上げるだろう」と予想する。

日米韓首席代表が協議へ 27日、ミサイル発射前に

2009.03.24 MSN産経新聞

 6カ国協議の日本、米国、韓国の首席代表が、北朝鮮が人工衛星打ち上げと主張する長距離弾道ミサイル発射時の対応などについて話し合うため、ワシントンで27日に3カ国会合を開く方向で調整していることが23日、分かった。複数の6カ国協議筋が明らかにした。

 北朝鮮情勢をめぐる3カ国の首席代表協議はオバマ米政権下では初めて。クリントン国務長官は2月の初外遊で日本と韓国を訪れて同盟関係の強固さをアピールしており、4月上旬に予定される北朝鮮のミサイル発射に向け、3カ国が足並みを乱さずに一致した対応を取ることを強調する狙いがある。

 日米韓は打ち上げられるのが人工衛星だとしても、北朝鮮の弾道ミサイル関連活動を禁じた2006年の国連安全保障理事会決議に違反するとの立場を表明している。中国、ロシアは新たな制裁などには慎重な立場とされるが、27日の開催で調整が進む協議では3カ国が認識を共有していることを再確認する。(共同)

米イージス艦2隻、東海上で待機…北のミサイルを追跡

2009.03.23 中央日報 Joins.com

北朝鮮が長距離弾道ミサイル「テポドン2号」を打ち上げる場合、東海(トンヘ、日本海)上にある米海軍のイージス駆逐艦2隻が、テポドン2号を探知、追跡する予定だ。

軍筋は22日「韓米合同軍事演習のキーリゾルブに参加していた‘ジョン・S・マケイン’(9200トン級)など米イージス駆逐艦2隻が東海上にとどまり、北朝鮮のミサイル発射に備えるものと承知している」と述べた。

今月28日に釜山(プサン)港では、マケイン(DDG−56)艦長の離任・就任式典が行われる。マケイン艦の新しい艦長は韓国系のジェプリ・J・キム中佐。

マケイン艦には、1000キロ以内のすべての非行物体を識別できる4の多機能特殊レーダーが搭載されていて、北朝鮮がテポドン2号を発射すれば直ちに探知できる。また、マケイン艦に搭載された海上配備型迎撃ミサイル(SM3)は北朝鮮のテポドン2号を迎撃できる。

◇マケイン艦の性能・諸情報=全長154メートル、幅20メートル、最大時速56キロメートル、乗組員210人。垂直発射台90個、SM3・トマホークなどを搭載。

【環球異見】北ミサイル発射通告

2009.03.23 MSN産経新聞

 北朝鮮が、4月4〜8日の間に「人工衛星」の打ち上げを実施すると国際機関に通告し、日本や韓国、米国など北のミサイル発射に神経をとがらせている関係各国の間に波紋が広がっている。だが、ミサイルの飛行ルートにあたる日本の懸念とは裏腹に、韓国はこれを契機に日本の軍事大国化が進むと危ぶんだり、北との友好と地域の安定を重視するロシアが静観を決め込んだりと、関係各国の思惑にかなりの温度差が浮かび上がっている。

                   ◇

 ▼ロサンゼルス・タイムズ(米国)

 ■甘い姿勢の米外交に警鐘

 北朝鮮が「人工衛星」と主張して長距離弾道ミサイルの発射準備を進めていることについて、14日付米紙ロサンゼルス・タイムズは「北朝鮮の近隣諸国は、打ち上げ予告に怒りをみせている」と、日本や韓国の反応を詳しく伝えた。

 日本については、ミサイルが日本に向けて発射された場合、ミサイル防衛(MD)による初の迎撃を行う構えをみせた河村建夫官房長官の談話を引用し、「日本は憤慨している」と指摘。さらに、「北朝鮮が衛星だと主張しても、国連安保理決議違反ははっきりしている」と麻生太郎首相のコメントも紹介した。

 「偵察衛星が北朝鮮でのロケット発射の動きを察知してから数カ月にわたって、日韓両国は、この秘密国家が4000マイル(約6500キロ)もの射程を持つ長距離ミサイル・テポドン2号の発射実験をするのではないかと予測していた」。同紙は、東アジアを揺り動かす今回の事態の背景をこう説明する。

 記事はそれ以上の分析には踏み込まずに終わっているが、2月18日付の同紙では、米保守派の論客の一人であるジョン・ボルトン元国連大使が、ヒラリー・クリントン米国務長官の訪韓にあわせ、北朝鮮情勢に言及している。ボルトン氏は、クリントン外交が、北への甘い姿勢に終始するのではないかとの危惧(きぐ)をあらわにする。

 「不運なことに、北朝鮮に対するクリントン長官の姿勢は、きわめて前政権と似ている」

 急激な妥協に走った後期ブッシュ政権への批判をも込めながら、ボルトン氏は「米外交の“純情さ”は驚くほどだ」と、したたかな相手に有効な手を打てないでいる対北朝鮮外交の現状に警鐘を鳴らしている。(ロサンゼルス 松尾理也)

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 ▼中央日報(韓国)

 ■日本に軍事大国化の口実与える 

 韓国紙「中央日報」(14日付)は、北朝鮮がミサイルの発射を国際機関に通告したことを受け、1面のほか、特集ページに関連記事を掲載するなど、かなりの紙面を割いて報じた。

 1面では「打ち上げ実験が秒読みに入り、これを阻止しようとする韓国、米国、日本などの関係国が北朝鮮に対して外交的な圧力をかけ、緊迫した情勢となっている」とし、日米韓がちらつかせている国連安全保障理事会の制裁カードが北に対して通用するのか否かを分析している。

 特集ページでは、ミサイルが発射される方向や、発射への各国の反応などを予想。1998年に北が発射した「テポドン1号」と同様、今回もミサイルが日本上空を飛び越えると推測されることから、「テポドン1号に沸き立った日本が、今度も強く反発する可能性が高い」とみる。

 また、「北のミサイルは日本に軍事大国化の口実を与える」と題した社説も掲載。テポドン1号発射後、「日本の右派勢力が、これを口実に軍事力強化の必要性を主張し、実際に軍事費増強作業が進められた」として、「今回も同じことが起こるだろう」と警戒心をあらわにしている。

 さらに、「日本の極右が北のミサイル試験発射をむしろ歓迎するという話もあり得なくもない」とし、日本が主張している「普通国家論」には、「攻撃能力を備えた軍事強国になりたいという本音が込められている」と断定した。

 その上で、「北朝鮮のミサイル打ち上げは、日本の右派の“軍事大国化”の主張を後押しするだろう。日本の軍事大国化は不可避であり、それは中国とロシアを刺激する」と指摘。「これら強大国(日中露)の軍備競争は、韓国や北朝鮮には災いである」として、北朝鮮に自制を求めた。(ソウル 水沼啓子)

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 ▼ブレーミャ・ノボスチェイ(ロシア)

 ■露政権反映 米朝ゲーム静観

 北朝鮮の「人工衛星」発射準備について、ほとんどのロシアのメディアは、静観を決め込む露政権の姿勢を反映して、こぢんまりと報じている。

 北朝鮮が「人工衛星」の発射を国際機関に通告したことを受けた13日付ブレーミャ・ノボスチェイ紙も、記事の焦点は楊潔●(よう・けつち)・中国外相の訪米に当て、「米国の警告に中国とロシアは同調しそうにない」などと指摘。「関係国はこの地域の安全と安定を損ないうる行動を控え、冷静であるべきだ」とするロシアの見解を改めて伝えた。

 同紙がこれに先だって掲載した露科学アカデミー極東研究所の北朝鮮専門家、アスモロフ氏の論文「ミサイルのゲーム」は、こうしたロシアの立場を解説している。

 同氏は「北朝鮮が保有する核弾頭は1発しかない」とした上で、米韓両国との軍事バランスからみて「唯一の核弾頭によって朝鮮半島で紛争があった場合の帰結が変わることはない」と断定。ミサイル発射の狙いについては「1998年の発射後に米朝の接触がめざましく活発化した」ことを引き合いに、「北朝鮮は国内問題に多忙な米新政権の関心を引きたいのだ」と北の思惑を代弁する。

 この論文によれば、北朝鮮のミサイルの脅威は「極端に低く」、ミサイル発射はあくまでも米国との2国間問題であり、「ロシアが米国や韓国の憤慨した声明に同調する必要はまったくない」というわけだ。

 ソ連崩壊後、ロシアと北朝鮮の関係は疎遠になったものの、2000年のプーチン前政権発足後は北朝鮮とロシアの鉄道連結計画が始動するなど経済面の関係が深まりつつある。自国にミサイルが向かってこない限り、ロシアがこの問題に真剣になることはなさそうだ。(モスクワ 遠藤良介)●=簾の广を厂に、兼を虎に

テポドン2号は射程8000キロ 米韓当局推定と報道

2009/03/14 47News【共同通信】

 【ソウル14日共同】韓国紙、朝鮮日報は14日、北朝鮮が「人工衛星ロケット」打ち上げ時の1段目と2段目ロケット落下予測海域として国際海事機関(IMO)に通告した内容などを米韓情報当局が分析した結果、弾道ミサイルとして使用された場合、射程が最大7000−8000キロ以上に及ぶと推定していると報じた。韓国政府筋の話としている。

 打ち上げに使われるとみられる長距離弾道ミサイル「テポドン2号」について韓国はこれまで推定射程を6700キロ以上と公表。8000キロであれば、米アラスカ州に加え、西部シアトルなどを射程内に収めることになる。

 同筋によると、落下予測海域の座標情報に加え、北朝鮮が最近2年間に行ったテポドン2号のエンジン燃焼実験結果などを総合したという。

 IMOへの通告によると、1段目は北朝鮮・舞水端里の発射施設から最短で約650キロの日本海上に、2段目は3600キロの太平洋上に落下。同紙が報じた最大推定射程は、さらに3段目の推進体があり、弾頭部分が大気圏内に再突入し、地上に落下する場合を想定している。

光明星2号、日米の対応は

2009.03.14 中央日報 ワシントン=イ・サンイル特派員、東京=キム・ドンホ特派員

米国は北朝鮮が長距離ミサイルであるテポドン2号を米国本土に向けて発射した場合、直ちに迎撃態勢に入ると何度も明らかにしてきた。

米国は通常3段階の迎撃システムを稼働させる。まずテポドン2号が上がった段階で東海(トンヘ、日本海)上や日本近海に配置された米イージス艦のSM−3ミサイルに迎撃する案だ。

次はテポドン2号が大気圏を脱して宇宙空間に進入後、放物線軌道を描きながら落ちる中間段階で迎撃することができる。アラスカ州のフォート・グリーリー基地に配置された地上迎撃ミサイル(GBI)を利用する。

最後はテポドン2号が米国本土西部に近接した場合、アラスカ隣近に配置されたイージス艦がまたSM−3を発射する方法がある。

しかし北朝鮮が本当に人工衛星を打ち上げた場合、米国が非難はするものの実際には迎撃しないという見方も多い。衛星を落とした場合、北核問題を含めたすべての懸案が狂うと見るためだ。

日本政府も強硬だ。「北朝鮮の発射するロケットが人工衛星だとしても迎撃する計画だ」と明らかにした。日本はまず東海上に配置された自衛隊イージス艦でSM−3ミサイルを発射して北朝鮮ロケットを迎撃する計画だ。北朝鮮が発射したロケットやロケットの推進体が日本本土に入ってきた場合、2次で地上に設置されたパトリオットミサイル(PAC−3)システムで迎撃に出る。日本の自衛隊は中国・北朝鮮が日本を狙ってミサイルを発射する状況を仮定し、昨年こうした2段階の迎撃体制実験を終えている。

しかし迎撃は技術的に簡単ではない。北朝鮮の発射するロケットが高度300キロ以上に上がれば迎撃が難しくなるからだ。イージス艦から発射されるSM−3が迎撃できる最高高度は200〜300キロほどだ。

指揮体系も問題だ。北朝鮮がロケットを発射すればわずか5〜10分で日本上空を通り過ぎる。この時間内に麻生太郎首相が自衛隊と防衛省の報告を受けて迎撃命令を下すことは不可能だ。そのため日本政府はロケットが発射されれば自衛隊が直ちに迎撃できるよう事前命令を下すことを検討している。

しかし北朝鮮の反発が変数だ。北朝鮮はロケットを迎撃することは戦争を意味すると警告した。結局、日本政府の迎撃方針は北朝鮮が打ち上げを中止するよう圧迫するための威嚇用である可能性が高いというのが読売新聞など日本メディアの分析だ。

衛星迎撃なら「戦争」 北朝鮮、日米韓への報復攻撃を警告

2009.03.09 MSN産経新聞

 朝鮮中央テレビで、発射される「衛星」を迎撃すれば反撃すると、日米韓に警告する声明を読み上げる北朝鮮の朝鮮人民軍総参謀部報道官=9日(共同)

 【ソウル=水沼啓子】北朝鮮の朝鮮人民軍総参謀部スポークスマンは9日、北朝鮮側が「人工衛星」と主張して発射準備を進めている長距離弾道ミサイルを迎撃することは「戦争を意味する」とし、日米韓の「本拠地に対する正義の報復打撃戦を開始する」と警告する声明を発表した。朝鮮中央通信が伝えた。北朝鮮がミサイル迎撃問題に言及したのは初めて。

 朝鮮中央放送が9日午前6時の定時ニュースで、朝鮮人民軍総参謀部の声明を伝えた。

 声明は、9日から始まった米韓合同軍事演習「キー・リゾルブ」と野外機動訓練「フォール・イーグル」を「わが共和国(北朝鮮)に対する露骨な軍事的威嚇であり、一種の宣戦布告である」とし、現在、南北間の唯一の連絡網となっている軍事当局間の通信回線を「9日から遮断する」と表明した。

 北朝鮮の通信遮断措置を受け、韓国統一省は、この措置の撤回を求める声明を発表した。しかし、統一省によると、同日朝から北朝鮮側が交信に応じていないため、南北経済協力事業として運営されている北朝鮮・開城工業団地に行く予定だった韓国企業の関係者ら約730人が軍事境界線通過に必要な手続きが取れないため足止めされた。

 工業団地内には9日現在、韓国人573人が滞在中で、うち約80人が同日午後5時までに韓国に戻る予定だったが帰還できずにいる。韓国政府は在留韓国人の安全確保のための対策を検討している。

 今回の軍事演習「キー・リゾルブ」は、有事に派遣される米軍増援部隊の効率的展開などを目的にした訓練で、動員兵力は例年と同じ規模。しかし、北朝鮮側は強く反発し、5日には北朝鮮周辺の日本海上空を通過する韓国の民間航空機の「安全は保証できない」と警告した。北朝鮮の人民軍は2、6日に板門店で開催された在韓国連軍司令部との将官級会談で、軍事演習の中止を要求。国連軍側は「例年実施している訓練だ」と拒否した。

 北朝鮮が発表した9日の声明は、軍最高司令部が全軍将兵に万端の戦闘準備を整え、領土が少しでも侵犯されたら「容赦なく無慈悲に懲罰せよ」と命令し、軍事的緊張を高めている。

 だが、金光進・国家安保戦略研究所研究員は「本気で戦争を起こそうという意図はない。『迎撃するな』という単なる警告だ。相手の反応を見て、さらに強く出るのが北朝鮮のやり方。日米韓は、北朝鮮の誤った行動に対しては代価を払わせるという姿勢を見せるべきだ。北がもしミサイルを発射したら、日米は迎撃するのが原則的で正しい対処方法だ」と述べた。

北朝鮮のミサイル 国際連携で自制を迫れ

2009/03/06 中国新聞ニュ−ス

 北朝鮮が、長距離弾道ミサイルの発射準備ともみられる動きを進めている。人工衛星を載せたロケットを打ち上げるというのが公式発表だが、ロケットとミサイルの仕組みはほとんど同じだ。発射に踏み切れば、北東アジア地域に緊張が走ることになる。

 北朝鮮はこれまでも、核開発をして危機感をあおり、その一方で「軍縮」によって見返りを求める、という瀬戸際外交を繰り返してきた。国際的な連携によって強く自制を迫らなければならない。

 打ち上げるのは、二〇〇六年に発射したテポドン2号の改良型とみられる。グアムやアラスカにも届くという。核兵器に加え、それを運ぶ手段となる長距離弾道ミサイルを手にすれば、米国にとっても脅威だ。発足したばかりのオバマ政権に対して使える交渉のカードになる、と北朝鮮は考えているのかもしれない。

 韓国の李明博(イミョンバク)政権への揺さぶりも考えられる。前政権の「太陽政策」から、厳しい態度に転換したことに対する反発がありそうだ。国内的には、今月中に開かれる最高人民会議に向けて金正日(キムジョンイル)体制の威信を高めたい、との思惑もうかがえる。

 日米韓は、けん制に動いている。日本が根拠にするのは国連安全保障理事会の〇六年の決議だ。

 決議は、北朝鮮に対して、ミサイルに関連するすべての計画停止を求めている。仮に北朝鮮が打ち上げを強行し「人工衛星のロケット」と主張しても、日本は「運搬手段としては同じであり決議違反」として、安保理で制裁を含む新たな決議の採択を目指すことを明らかにしている。

 韓国も同一歩調をとる。李大統領は演説でも「国を守るのはミサイルではなく国際社会との協力」と呼び掛けた。

 オバマ政権で北朝鮮担当に就任したばかりのボスワース特別代表も精力的に動いている。北京に続いてきのう日本を訪れ、あすは韓国に向かう。

 北朝鮮に対するには、各国がまずスクラムをきちんと組むことが欠かせない。とりわけ北朝鮮の最大の貿易相手国である中国は、強い影響力を持つ。日米韓とどう認識を共有してくれるかが鍵を握るだろう。

 仮に発射を防げなかったときに備えて、政府はイージス艦を日本海に派遣する方針を示している。ミサイルが日本に飛んできたら、米国と共同して配備を進めているミサイル防衛システムで撃ち落とすというのだ。

 ただこれには問題も多い。まず日本への発射だと、どうやって確かめるのか。確かめられたとしても、もし撃ち落とせなければ「失態」をさらすことになるし、命中したら北朝鮮との対立はさらにエスカレートして拉致問題にも影響しよう。

 米国に向かうミサイルを誤って撃てば、憲法の禁じる集団的自衛権の行使につながる恐れがある。ここは慎重に構え、発射の抑止にこそ全力を挙げるべきだろう。

“人工衛星”でも迎撃、浜田防衛相が強調 

2009年03月03日 スポニチ

 浜田靖一防衛相は3日の記者会見で、北朝鮮が「人工衛星」打ち上げと主張して弾道ミサイルを発射した場合の対応について「人工衛星であっても日本への落下によって人命、財産に重大な被害を生ずると認める物体に対応するのは当然」と、ミサイル防衛(MD)システムによる迎撃の可能性を重ねて強調した。

 北朝鮮側の発射時期については「今まで通り情報収集に努めたいが、(発射する)意図も分からない。判断する材料はない」と述べるにとどめた。

北朝鮮が新型ミサイル実戦配備 射程3千キロ以上、現実的脅威

2009年02月23日  中国新聞ニュ−ス

 【ソウル23日共同】北朝鮮が射程3000キロ以上の新型中距離弾道ミサイルを実戦配備したことが23日発刊の韓国国防白書で明らかになった。米韓軍当局や日本の防衛省関係者の間では、開発段階とみられる長距離弾道ミサイル、テポドン2号よりも現実的な脅威と受け止められている。

 新型ミサイルの発射実験はこれまで確認されておらず、詳しい性能は明らかになっていない。しかし韓国国防省当局者は「撃ってみなくてもシミュレーションにより(性能は)検証可能だ」と語り、実戦配備段階に至ったという事実の重さを指摘する。北朝鮮のミサイル技術や運用能力の向上を意味するからだ。

 北朝鮮はテポドン2号を発射した2006年7月5日、短距離のスカッドや中距離のノドンも短時間のうちに連続して発射、周辺国を驚かせた。移動式車両から発射されたとみられ、日本の防衛白書は「より実践的な特徴を有している」と分析している。

 韓国国防研究院の白承周・安保戦略研究センター長は「射程3000キロ以上であれば北朝鮮と対峙している在日米軍や日本の主要施設をいつでも狙える」と指摘。朝鮮半島有事の際の増援を妨害、報復する戦略があるとみる。

北朝鮮ミサイル月内発射か 英軍事誌が衛星写真分析

2009/02/21 【共同通信】

 【ロンドン21日共同】英軍事専門誌ジェーンズ・ディフェンス・ウイークリー(電子版)は20日、衛星写真の解析結果などから、北朝鮮が弾道ミサイル「テポドン2号」の発射準備を進めており、2月中に発射される可能性があると報じた。

 同誌の専門家は、米衛星画像大手デジタルグローブ社から18日に提供された、北朝鮮東海岸の咸鏡北道舞水端里にある発射施設の写真や各種報告を分析。

 それらをもとに「制御・監視装置やレーダーの据え付け、多数のトラックや燃料輸送車などとみられる支援車両の到着」などの発射準備活動が「相当進展した」と説明し、発射は「数日中」だと推定した。

 また発射台近くでエンジン実験の関連施設が拡張中だと指摘。衛星写真では、複数のロケットエンジンのテストを準備中にも見えるという。

 ただ、今回の画像では、ミサイルが既に発射台に据え付けられたか否かははっきりしないという。

 北朝鮮は2006年にテポドン2号を発射した。同誌によると、その際には据え付けから発射まで約20日かかったとしている。

テポドン2号 2、3週間で発射 米国防総省高官

2009.02.19 MSN産経新聞

 【ワシントン=有元隆志】米FOXニュースは18日、国防総省高官の話として、北朝鮮が今後2、3週間で、長距離弾道ミサイル「テポドン2号」を発射するとの見通しを伝えた。米海軍などが警戒を強めている。米軍では当初、北朝鮮が発射準備を進めていることについて、米国を牽制(けんせい)する行為とみていたが、実際に発射する可能性が高いとして深刻に受け止めているという。

 すでに米軍は沖縄県嘉手納基地にミサイル監視機「RC135S」(コブラボール)を展開させるなどして、情報収集にあたっている。テポドン2号は射程約6000キロで、発射に成功すればアラスカなど米本土にも達すると考えられている。

 米政府は北朝鮮のミサイル発射準備について、「ここ数週間の北朝鮮の行動が地域の平和と安定を脅かす前兆ではないことを望む。東アジア各国は容認できないと考えている」(ヒラリー・クリントン国務長官)と牽制している。

「発射なら制裁不可避」 北朝鮮ミサイル問題で韓国外交通商相

2009.02.18 MSN産経新聞

 韓国の柳明桓外交通商相は18日、ソウル市内での講演で、北朝鮮が長距離弾道ミサイル発射を強行すれば、「(2006年の国連安全保障理事会決議に基づく)制裁は不可避だ」と述べ、自制を要求した。

 柳氏は北朝鮮が2006年10月に核実験を行ったことを踏まえ、「長距離ミサイルと核兵器能力が結合すれば国際社会の平和と安全保障に深刻な影響を与える」と指摘。北朝鮮が示唆している「人工衛星」打ち上げとの主張を退けた。

 北朝鮮の核計画検証には、「北が検証に関する原則への合意を拒めば非核化の意志がないということを意味する」と述べ、譲歩する考えはないことを強調した。(共同)

北朝鮮「宇宙の平和利用進める」 ミサイル転用懸念には触れず

2009.02.07 MSN産経新聞

 北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は7日、「平和的に宇宙を利用する権利はどの国にもある」とする論評を掲載、「わが国も専門の機関を設置し、宇宙の平和利用に向け、事業を進めている」と明らかにした。朝鮮中央通信が伝えた。

 論評はまた、イランが2日に国産ロケットで国産人工衛星を打ち上げたことを評価、米国やフランスなどが長距離弾道ミサイルへの転用を懸念していることについて「中傷したり足を引っ張ったりするべきではない」と批判した。論評は、北朝鮮が再び長距離弾道ミサイルの発射準備を進めているとして、米韓が警戒を強めていることには触れなかった。

 北朝鮮は1998年8月の飛行体発射について「人工衛星の打ち上げに成功した」と発表したが、日米韓などは長距離弾道ミサイルだったとしている。(共同)


ミサイル迎撃失敗、弾頭部分に不具合の可能性

2008年11月21日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 海上自衛隊のイージス艦「ちょうかい」が19日夕(日本時間20日午前)、米ハワイ沖の太平洋上で、模擬弾道弾を迎撃する実射実験に失敗した問題で、防衛省は20日、迎撃ミサイル「SM3」の弾頭部分に不具合があった可能性の高いことを明らかにした。

 日米両国で今後、原因を調べる。

 防衛省によると、実験は海自側に発射実験を知らせない実戦形式で行われた。米軍施設から模擬弾を発射後、数百キロ離れた海上に停泊していたちょうかいはレーダーを使って模擬弾を探知し、3分後にはSM3を発射。SM3は正常なコースを飛行したが、迎撃数秒前に弾頭が模擬弾を見失い、実験は失敗した。

 SM3は標的に接近すると、弾頭の赤外線センサーが標的を発見し、迎撃する仕組みになっている。同省は「イージス艦のシステムに問題はなかった。SM3の弾頭に何らかの不具合が発生したと考えられる」としている。

海自イージス艦、ミサイル迎撃試験失敗 精度向上、大きな課題

2008年11月20日 NIKKEI NeT

 防衛省は20日、日本に飛来する弾道ミサイルを海上から撃ち落とすスタンダード・ミサイル(SM3)の二度目の発射試験を米ハワイ沖で実施したが、標的となる模擬弾の迎撃に失敗したと発表した。SM3が衝突する数秒前に標的を見失ったといい、同省は米軍と共同で原因究明の調査に着手した。

 試験は改修を終えた海上自衛隊のイージス艦「ちょうかい」の性能確認が目的で、費用は62億円。米軍がハワイ・カウアイ島から標的となる模擬弾を打ち上げ、ちょうかいが数百キロ先の沖合で探知、SM3を発射し大気圏外で撃ち落とす想定だった。

日米共同開発の迎撃ミサイル、多弾頭の導入を日本が了承

2008年05月03日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 日米両政府が共同開発中の海上配備型ミサイル防衛の次世代型迎撃ミサイルに関し、弾頭が複数に分かれる多弾頭の導入を日本が了承していたことが分かった。

 日米関係筋が2日、明らかにした。多弾頭型の迎撃ミサイルは、ロシアや中国が新たな弾道ミサイルを開発していることから、米国内で早期導入を求める声が出ていた。米下院軍事委員会は昨年5月、多弾頭型への変更の条件に日本の同意を掲げたため、今回の同意で、米国による多弾頭型ミサイルの開発は本格的に進むことになる。

 次世代型迎撃ミサイルの多弾頭化は、ロシアや中国が、多弾頭の大陸間弾道弾(ICBM)や潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の開発を進めていることに対抗し、米国が2006年ごろから検討を始めた。

 当初は日本に共同開発を打診したが、日本は〈1〉共同開発を始めたばかりの「SM3ブロック2A」の2014年の開発完了が遅れ、開発費も膨らむ〈2〉北朝鮮が多弾頭型の弾道ミサイルを持っていないとみられる――ため、拒否した。

 ただ、多弾頭型の開発を米国が単独で進めれば、日本が資金面で追加負担を強いられることは、当面ない。また、現在進めている単弾頭型の改良システムの共同開発に遅れが生じない見通しも立ったため、米国の方針転換を了承、事務レベルで伝えた。日本としても、将来は、「安全保障情勢によって」(防衛省幹部)、単弾頭型から切り替える必要が出てくることも考慮した。

 SM3ブロック2Aは、既に日本のイージス艦にも配備されているSM3ブロック1Aに比べ、防護範囲が約2倍の1000キロ・メートル程度に広がり、大陸間弾道弾を迎撃できる。新たな多弾頭型の開発にあたっては、これまで日米が共同開発した技術などが応用されることも想定されており、米政府は「SM3ブロック2B」と呼んでいる。

米ロ首脳が会談、ミサイル防衛問題では溝埋まらず

2008年04月07日 ロイター

 [ソチ(ロシア) 6日 ロイター] ロシアのプーチン大統領とブッシュ米大統領は、ロシアの保養地ソチで2日間にわたり会談したが、米国が計画するミサイル防衛(MD)システムの東欧配備をめぐる溝は埋められずに終わった。

 プーチン大統領は5月に退任、ブッシュ大統領も任期切れが迫り、今回は事実上、最後の直接会談となる。両首脳は、安定した2国間関係の維持に寄与した個人的に親密な関係を強調した。

 しかし、両国の外交関係を冷戦終結以来、最も冷え込ませる要因となった米のミサイル防衛(MD)システム東欧配備をめぐる対立は解けず、確固とした合意を打ち出せなかった。

 ただ、その代わり、両首脳は将来の2カ国間関係のためのロードマップ(行程表)として「戦略的枠組み宣言(ソチ宣言)」を採択し、歩み寄りのための努力を続ける姿勢を示した。

 ソチ宣言は、両国が妥協点を見出すため「対話を強化する」方針を表明。それにはロシアと米国がミサイル防衛システムに共同で取り組むことも含まれる可能性を示した。ただ、具体的な内容は示されていない。

 プーチン大統領は、ブッシュ大統領との共同会見で「わたしは、正しい理解を持っていたい。戦略的に米国の計画に対する姿勢に何ら変化はない」と述べた。

 ブッシュ大統領は、今回、次期大統領のメドベージェフ第1副首相とも会談した。会談後、ブッシュ大統領は、メドベージェフ氏の第1印象について「非常にポジティブ。頭の切れる人物」と評価した。 

ミサイル実射訓練なし MDシステム 防衛省『費用高額』で方針

2008年04月06日 東京新聞朝刊

 防衛省が導入したミサイル防衛(MD)システムを構成する航空自衛隊のPAC3、海上自衛隊のSM3という二種類の迎撃ミサイルは、実射訓練を行わない方針であることが五日、分かった。膨大な費用のためで、実射は配備前に行う性能確認試験にとどめる。「実射訓練しない武器」は極めて異例。高額な武器システムを導入した無理が表面化している。

 PAC3配備に伴う性能確認試験は今年九月、米国で行われる予定で、標的の模擬ミサイルを二発のPAC3で迎撃する。費用は米に支払う役務費など約二十三億円を見積もる。

 SM3の同試験は、MD対処艦に改造するイージス護衛艦四隻がそれぞれ行う予定。

 昨年十二月、米ハワイ州で「こんごう」が模擬弾道ミサイルを迎撃する試験を行い、約六十億円を米に支払った。

 これらは迎撃ミサイルが米の説明通りの性能を持つか確認する試験で、運用開始後の訓練とは異なる。実射訓練の場合、PAC3で一発約五億円、SM3で同約二十億円といわれる高額な弾代がかかるほか、模擬ミサイルの発射費などを米に支払う必要がある。このため、空自、海自ともにシミュレーターで訓練し、実射しない方針を固めた。

 弾道ミサイルを迎撃するPAC3とSM3は、航空機を迎撃するミサイルのPAC2、SM2を改造した。

 配備が終了したPAC2、SM2は現在、実射訓練を米で行っているのに対し、より難度の高いPAC3、SM3の実射訓練をしないという矛盾を抱える。

 防衛省幹部は「MDは探知から迎撃まで自動化しているので実射訓練の必要性は低い」というが、空自は今年一月、東京・新宿御苑でPAC3の迎撃調査を行った。実動訓練をしたにもかかわらず、実射を伴わないシミュレーター上の仮想訓練が入り交じる分かりにくい対応となる。

<日本のミサイル防衛システム> 弾道ミサイルをイージス護衛艦が発射するSM3で迎撃し、撃ち漏らしたら地上配備のPAC3が着弾直前に迎え撃つという二段構え。政府は2003年末に導入を閣議決定。費用は初期配備だけで約1兆円。

NATO首脳会議、米のミサイル防衛システムを統合方針

2008年04月04日 asahi.com

 【ブカレスト=梅原季哉】ブカレストで開かれている北大西洋条約機構(NATO)首脳会議は3日、米国がこれまで独自にポーランド、チェコへの配備を計画してきた欧州ミサイル防衛(MD)システムを、NATOの集団的防衛の枠組みと統合させていく方針を決めた。

 この日の首脳会議で採択された「ブカレスト宣言」は、弾道ミサイルの脅威が「同盟全体にとって増大しつつある」との認識を示した。その上で、米国主導の欧州MD網がNATOへの貢献にもつながると評価。将来的には、同盟全体を対象としたMD網の一環として位置づける方法を探っていくことで一致した。

 記者会見したライス国務長官は「ミサイル防衛に関する我々のこれまでの作業結果は、NATO同盟国全体に適用される」と明言した。ハドリー大統領補佐官(国家安全保障担当)も「ポーランド、チェコと我々の協力がNATO全体の集団的防衛に寄与するものかどうか、これまでは議論が分かれていたが、そうした議論は終わった」との認識を示した。

 首脳会議の宣言はまた、欧州MD構想に反対しているロシアに対し、米国が持ちかけた協力提案を受け入れるよう促した。ブッシュ米大統領は5日にロシア・ソチに向かい、翌日のプーチン大統領との首脳会談で対ロ合意取り付けを目指すが、NATO諸国からの賛同を得た形だ。

 さらに米国とチェコは3日、チェコへの米によるミサイル追尾レーダー施設配備に関する交渉を終え、基本合意に達したと発表した。このタイミングでの発表には、対ロシア説得がヤマ場に差し掛かりつつある中で、欧州MDの構築を既成事実化したい思惑もあるとみられる。

 しかし、ロシアがNATO全体に対する不信の念を解いていない中で、数を頼んでの仕掛けがどの程度効果を上げるかは不明。ライス長官は、ロシアと妥結を目指す新戦略関係をめぐる合意では、MDを取り扱うのは必至だとしつつ、ロシアが協力に前向きになるかどうかは「様子を見よう」とだけ述べた。

ミサイル防衛、本格稼働へ 海上MDも運用可能に

2007/12/24 中国新聞ニュース

 政府は二十四日の閣議で、イージス艦に搭載する海上配備型迎撃ミサイル(SM3)が先の実験成功で配備可能になったのを受け、他国が弾道ミサイルを発射した場合の対応を定めたミサイル防衛(MD)計画の緊急対処要領改正を決定した。

 主な改正は(1)弾道ミサイルの破壊方法にSM3を追加(2)MD関係部隊の行動範囲を首都圏に限定しない(3)原子力発電所の被害に備え、弾道ミサイル発射時などに連絡を取る省庁に経済産業省を追加―の三点。これで陸上発射の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)に加え、SM3も法的に運用可能となり、MD計画は本格稼働する。

 これまでの緊急対処要領は、首都圏をカバーする航空自衛隊の第一高射群・入間基地(埼玉県)などのPAC3に対応していた。

 政府は二〇〇五年の自衛隊法改正でMDの法的枠組みを整備。首相の承認を得る余裕がない緊急時は、緊急対処要領に従い防衛相があらかじめ迎撃を命じ、発射されれば現場指揮官の判断で迎撃できるようにした。

 イージス艦「こんごう」へのSM3配備は、昨年の北朝鮮による弾道ミサイル連続発射や地下核実験を受け、当初予定より約三カ月前倒し。SM3配備のイージス艦を一〇年までに四隻に増やし、PAC3も同年初頭までに全国十一基地に発射機約三十基を配備する予定。

ミサイル防衛 効果的運用へ日米連携が重要だ(12月21日付・読売社説)

2007年12月21日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 来年1月の運用開始へ、訓練と技術的な検証を重ね、実効性のある防衛網を構築したい。

 海上自衛隊のイージス艦「こんごう」が米ハワイ沖で海上発射型迎撃ミサイルSM3の初の実射訓練を行い、大気圏外での模擬ミサイルの迎撃に成功した。

 北朝鮮は日本列島を射程に収めるノドン・ミサイルを200基以上配備しているが、日本は何の防御策もなかった。

 SM3搭載の「こんごう」が海自佐世保基地に帰港すれば、航空自衛隊入間基地などに配備が始まっている地対空誘導弾パトリオット・ミサイル3(PAC3)と合わせて、二段構えのミサイル防衛(MD)体制がようやく整備される。

 2010年度までに、イージス艦4隻へのSM3搭載と、大都市周辺の16高射隊などへのPAC3配備が完了する。

 MDは無論、万能ではない。軍事上の抑止には、報復攻撃による懲罰的抑止と、敵の攻撃を無力化・軽減する拒否的抑止がある。MDの拒否的抑止は、米軍による懲罰的抑止を組み合わせてこそ、効果が高まる。その意味で、米軍の抑止力の重要性は変わらない。

 MDの効果的な運用には、同盟関係に基づく日米間の緊密な連携が死活的意味を持つ。弾道ミサイルの発射の兆候や発射を確認するには、米軍の偵察衛星や早期警戒衛星の情報が頼りだからだ。

 昨年7月の北朝鮮のミサイル連射時には、日米間や海自・空自間の通信や情報伝達が不十分だったと指摘された。米軍は日本にSM3搭載イージス艦数隻と嘉手納基地にPAC3を配備している。共同訓練を通じて日米の役割分担や情報共有の体制を確立しなければならない。

 日米両政府は、14年度を目標に能力向上型のSM3を共同開発している。能力向上型SM3は、ノドンより長射程のテポドンや、「おとり」を備えた弾道ミサイルなどにも対応できるとされる。

 現在のMD計画は、8000億〜1兆円を要する見通しだ。能力向上型SM3を追加配備する場合、費用が膨らみ、他の防衛予算にしわ寄せが出る。MDの費用対効果を慎重に検討し、バランスの取れた防衛装備体系を作る必要がある。

 「集団的自衛権は行使できない」とする政府の憲法解釈に従えば、米本土に向かうミサイルをレーダーで探知しても、迎撃は許されない。現在のSM3では技術的に迎撃できないが、能力向上型なら、迎撃できる可能性がある。それでも本当にミサイルを黙って見過ごすのか。

 日米同盟の重要性を踏まえれば、政府は当然、憲法解釈を変更し、迎撃を可能にする手続きを急ぐべきである。

ミサイル迎撃 試射成功でも課題は多い

2007年12月19日 山陽新聞WEB NEWS

 日本を狙う弾道ミサイルに対処する政府のミサイル防衛(MD)計画で、海上自衛隊のイージス艦「こんごう」により海上配備型迎撃ミサイル(SM3)の発射実験がハワイ沖で行われ、模擬弾を大気圏外で撃ち落とすことに成功した。米国以外の国でのSM3の試射は初めてである。

 政府は北朝鮮のミサイルを念頭に米国とMDの共同開発を進めてきた。MDはSM3が撃ち漏らしたミサイルを地対空誘導弾パトリオット(PAC3)で迎撃する二段構えで、PAC3は既に国内配備が始まっている。こんごうが年明けにも帰国すればMDが本格稼働する。

 PAC3の配備、今回の実験とも予定を前倒しして行われた。防衛省は計画を加速したい考えのようだが、MDにはまだ課題が多い。

 第一は精度の問題だろう。米国でも迎撃実験は度々失敗しており、「弾丸を銃で撃ち落とすより難しい」といわれた技術的困難さへの懸念はぬぐい切れていない。

 相手ミサイルの探知、追跡には米国の協力が不可欠で実質的に米軍が主導権を握り、憲法九条が禁じる集団的自衛権の行使に踏み出す危険性も指摘される。運用時に日本が拒否権を持つべきとする専門家の意見がある。米国に向かう可能性のあるミサイルを、日本が迎撃するかどうかという問題も大きい。

 北朝鮮からのミサイルを想定すれば対応時間は極めて限られる。手続きを経ず現場指揮官の判断で迎撃せざるを得ない事態が考えられ、文民統制上の不安もある。

 ミサイルを撃ち込まれない外交努力が大切だ。性急にMDを進めるのでなく、専守防衛の原則を踏まえた慎重な論議が求められる。

「イージス艦ミサイル迎撃」、成功報道の危うさ

2007年12月19日 BNN 文:東
  

 果たして北の「ノドン」は撃ち落とせるのか。

 防衛省は海上配備型迎撃ミサイル(SM3=Standard Missile3)を搭載した海上自衛隊のイージス艦「こんごう」が17日、ハワイ沖で初めて弾道ミサイル迎撃実射訓練を実施し、模擬ミサイルを大気圏外で迎撃したと発表した。

 日本は、北朝鮮が1998年8月、日本列島越しにテポドン1を発射したことを機に、米国と共同で弾道ミサイル防衛(BMD=Ballistic Missile Defense)の早期配備を検討してきた。

 周知のように北朝鮮は昨年7月5日午前3時30分から午後5時20分頃にかけて計7発のミサイルを発射、ミサイルはロシア沿海地方南方の日本海に落下した。

 7発のうち3発目は、北朝鮮北東部舞水端里(ムスダンリ)基地から発射された長距離弾道ミサイル「テポドン2」(射程6,000キロ)。残る6発は南東部の旗対嶺(キッテリョン)付近から発射された短距離弾道ミサイル「スカッド」(同300〜500キロ)と中距離弾道ミサイル「ノドン」(同1,300キロ)とみられている。ノドンは液体燃料推進方式のミサイルで、日本のほぼ全域が射程に入ると推定されている。

 停電の頻発や燃料不足など、困窮する実態はともかく、前述したミサイル発射や核実験によって昨今、北朝鮮の脅威が強まっていることは確かだ。

 ブッシュ政権はBMD構想を国防政策の重要課題に位置づけており、日本のほか、英国、オーストラリアが参加しているが、その有効性を十分証明したとはいえず、カナダはBMDの不参加を決めている。

 BMD構想はレーガン政権時代のSDI構想が端緒で、以降、歴代の政権は10兆円を超える開発投資を行ってきた。米国は02年6月13日、弾道ミサイルを迎撃するミサイル・システムの開発や配備を制限するABM条約を脱退してまでミサイル防衛に注力している。

 米国のBMDは、弾道ミサイルを飛翔経路別に迎撃する「多層防衛」を目指している。発射直後で加速する「ブースト」段階、ロケットエンジンの燃焼が終わって大気圏外を飛行する「ミッドコース」段階、弾頭を切り離し落下直前の「ターミナル」段階だ。

 日本は99年から海上配備型ミッドコース防衛システム(迎撃ミサイルの4部品)の日米共同研究をスタートさせた。03年12月には、イージス艦搭載の海上配備型迎撃ミサイル「SM3」、地上配備型地対空誘導弾「パトリオット・システム」(PAC3=PATRIOT Advanced Capability-3)の導入を閣議決定した。

 すでにPAC3は埼玉県の航空自衛隊入間基地に配備されており、「こんごう」の実射訓練によって、「陸」と「海」の2層による防衛は、「訓練成功」の報道も加わって、ミサイル迎撃態勢は万全であるかのような印象を与える。

 しかし、敵国のミサイルがSM3が届かない高度を飛翔した場合、撃ち落すことはできない。さらに移動式発射台に搭載されるノドンが、発射直前まで地下やトンネルに隠されていれば、イージス艦が弾道下に移動する時間はない。

 イージス艦情報流出事件で海自3佐が逮捕された直後、「こんごう」が米国で弾道ミサイルの迎撃訓練をしたことは前進である。

 それでもBMDシステムの整備は1兆円を超える費用を要する見通しだ。同盟国とはいえ、精度の裏付けが明らかでない“代物”を米国から押し付けられて首肯する防衛族が、汚職で逮捕された守屋武昌・前防衛次官をほうふつとさせるというのは考えすぎだろうか。

日米、テポドン2迎撃可能な新型SM3共同開発へ

2007/12/19 NEWSIS/朝鮮日報JNS

 米国国防省ミサイル防衛局のオベリング局長は、日米が共同開発中の海上配置型迎撃ミサイルであるSM3は北朝鮮の長距離弾道ミサイルのテポドン2も十分に迎撃可能と発言した、と時事通信が19日報じた。

 時事通信によると、オベリング局長はインタビューで、「両国が共同で開発している新型SM3はこれまでの迎撃ミサイルに比べて射程範囲が拡大した」と語ったという。

 新型SM3は推進力が向上し、イージス艦1隻で防御可能な範囲が広がったとしてテポドン2のように射程距離が長い弾道ミサイルにも対応できると説明した。

 オベリング局長は北朝鮮のミサイルに対しては、今年6月に打ち上げられた短距離ミサイルに固体燃料が使われていたことに言及し、「固体燃料は移動や長期間の保管が容易で、着実に開発能力を高めている」と指摘した。

 北朝鮮が昨年核実験を行ったことについても言及し、「最悪の事態も想定しながらミサイル迎撃体制を整える必要がある」と強調した。

 さらに海上自衛隊のイージス艦「こんごう」がハワイで初のミサイル迎撃実験に成功したことについて、「北朝鮮に対して強いメッセージとなり、抑止効果が期待できる」と評価した。

 これ以外にもイランによるミサイル開発に北朝鮮が協力し、技術を供与しているとして、イランがすでに射程距離2000キロのミサイルを保有している可能性があり、周辺各国の脅威になっていると警告した。

海自、迎撃試験に成功 ミサイル防衛 ハワイ沖 米国以外では初

2007年12月18日 夕刊 東京新聞

 【カウアイ島(米ハワイ州)=半田滋】ミサイル防衛(MD)システムの海上配備型迎撃ミサイル(SM3)を搭載した海上自衛隊のイージス護衛艦「こんごう」(七、二五〇トン)は十七日午後零時十二分(日本時間十八日午前七時十二分)、ハワイ沖でカウアイ島から発射された弾道ミサイルに見立てた中距離標的の迎撃試験に成功した。米国以外のSM3の試射は初めて。 

 中距離標的はカウアイ島西部の米軍施設から発射され、大気圏外に出た後、分離した弾頭部にSM3が命中した。標的発射から迎撃完了まで約七分だった。標的は射程約一千キロで、北朝鮮の中距離弾道ミサイル「ノドン」とほぼ同じ飛行速度という。

 当地で会見した防衛省の江渡聡徳副大臣は「発射試験の成功は、弾道ミサイル防衛を含む緊密な日米防衛協力の象徴」と話し、米国防総省ミサイル防衛局のオベリング局長は「MDは日本のためのシステムでもある。日米が共同することで日本防衛に役立つ」と述べた。

 MDシステムは二〇〇三年十二月の閣議で米国からの導入が決定された。弾道ミサイルに対しイージス護衛艦で迎撃し、撃ち漏らした場合、地上配備の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)で二段階対処する。

 海自は、このあと三隻のイージス護衛艦を改修してSM3を搭載、いずれもハワイで迎撃試験を行うことになる。PAC3は航空自衛隊入間基地(埼玉)と習志野基地(千葉)に配備されている。

 MDは初期配備だけで一兆円かかり、費用対効果が疑問視されている。米国以外で導入したのは日本のみで、収賄容疑で逮捕された守屋武昌前防衛事務次官が防衛局長当時、導入へ向けて自民党国防族などに積極的に働きかけた。

<SM3> 弾道ミサイルを大気圏外で撃墜するイージス艦発射の迎撃ミサイル。米国が独自開発した直径約34センチの従来型と、日米が1999年度から共同で開発を進める直径約53センチの次世代型がある。北朝鮮の弾道ミサイル「ノドン」などへの対処を急ぐ日本は、2010年度までにイージス護衛艦「こんごう」を含む計4隻に従来型SM3を搭載方針。従来型よりも命中精度や射程を向上させた次世代型は、06年度から日米の共同研究から開発段階に移行した。

爆発的に拡散した最高機密 幹部自衛官逮捕は米国の不信払拭

2007.12.14 MSN産経新聞

 イージス艦中枢情報漏洩(ろうえい)事件は海上自衛隊の秘密保持に対するずさんな体質を浮き彫りにした。イージスシステムなど米軍供与の特別防衛秘密(特防秘)は本来、「資格と必要性のある者だけに接することが許され、厳重に管理されている」(捜査幹部)はずだった。日米安保体制の最高機密が隊員の手から手へたやすく広がった事件は、米当局の不信感をどんどん増幅させていった。

 「最高機密を含むファイルが音楽やわいせつ画像などと同じ記録媒体に収まっていたことに愕然(がくぜん)としたが、もっと驚いたのはそのような資料をいつ、どこで得て、どのように保存したのかを覚えていない者が多いことだった」

 警察幹部は海自の体質についてこう漏らした。

 事件の発端となった2等海曹の自宅を家宅捜索した神奈川県警も、押収物からこれほどの機密が出てくることは想定外の事態だったという。

 北朝鮮などからのミサイル攻撃への防御策として日米間で展開されるミサイル防衛システムの運用には日米間の高度な情報共有が不可欠だ。今後地上配備の迎撃ミサイルシステムの運用を本格化させる両国政府は8月、「軍事情報包括保護協定」(GSOMIA)を締結するなど、態勢構築を急いでいる。その矢先の事件は、米国の対日不信を一気に増幅させた。

 防衛省は釈明に追われた。5月、日米防衛首脳会談のため訪米した久間章生防衛相(当時)が、ゲーツ国防長官に対し、事件について「心配をかけて申し訳ない」と陳謝、全容解明を約束した。事件が幹部自衛官の逮捕にまで発展した背景には、海自に国防機関としての自覚を促し、米当局の不信感を払拭(ふつしよく)しようとする捜査当局の意図がうかがえる。

 捜査当局は数百人の海自隊員を聴取、情報が拡散する舞台となった第1術科学校(広島県江田島市)や護衛艦、隊員宅などを計4回にわたって家宅捜索。その結果「たどることもできないほど無数にコピーが繰り返され、機密は爆発的に拡散、漏洩した」(警察幹部)ことが判明した。

 石破茂防衛相は13日の参院外交防衛委員会で「ディスク管理の意識が徹底しなかったのは事実だ。対策が後手に回ったのは否めない」とリスク管理が「遅きに失した」ことを認めた。

 漏洩ルートについてほぼ解明した警察当局は今月に入り、逮捕・起訴による真相追及が必要と判断。だが、逮捕の決断直前になって米側は、イージス中枢情報の資料を証拠として公開の法廷に提出することを「認めない」としてきた。

 最終的には、証拠資料は情報保全上問題のある部分を塗りつぶして法廷に提出することで落ちついたというが、米側がどれほどイージス情報に神経をとがらせているかを示しており、改めて漏洩した情報の“重さ”を浮かび上がらせている。

習志野1高隊にPAC3

2007/12/07 朝雲ニュース

 わが国弾道ミサイル防衛(BMD)システムの一翼を担う地対空誘導弾ぺトリオットPAC3の発射装置が29日未明、千葉県船橋市の空自習志野分屯基地にある第1高射群第1高射隊に配備された。レーダーなど関連器材は来年1月までに順次搬入される。

 今年3月の第1高射群第4高射隊(入間)に次いで2カ所目で、今年度末までに同第2高射隊(武山)、同第3高射隊(霞ヶ浦)にも配備の予定で、来年3月末には1高群へのPAC3配備が完了する。

[大規模即応訓練]

2007年12月05日朝刊 沖縄タイムス社説

かすんでいく負担軽減

 米軍再編の狙いは何なのか。日米交渉の過程で私たちは政府サイドから「抑止力の維持と沖縄の負担軽減」という決まり文句を耳にたこができるほど聞いてきた。

 だが、昨年五月の日米合意以降に沖縄で顕在化しつつあるのは、負担軽減とはおよそ反対の事態だ。

 嘉手納基地と嘉手納弾薬庫地区には昨年九月、地対空迎撃ミサイル・パトリオット(PAC3)が配備された。

 青森県の航空自衛隊車力分屯基地への移動式レーダー(Xバンド・レーダー)配備やイージス艦「シャイロー」の西太平洋展開とあわせ、弾道ミサイル防衛(BMD)システムの整備が急速に進んだことになる。

 同基地では、F15戦闘機の未明離陸が、地元三自治体の中止要請にもかかわらず強行され、日米特別行動委員会(SACO)で伊江島補助飛行場への訓練移転が合意されたはずのパラシュート降下訓練まで実施された。

 そして今度は、米空軍と米海兵隊による大掛かりな合同即応訓練である。嘉手納基地を拠点に三日から始まった同訓練には山口県・岩国基地からFA18戦闘攻撃機約三十機と海兵隊員約六百人が参加するという。

 パトリオット部隊による初の機動展開訓練(移動訓練)も四日から始まっている。

 基地が攻撃されたことを想定した有事即応訓練は恒常的に実施されている。だが、今回の訓練は、これまでの空軍による訓練とは性質が違う。軍の垣根を越えた統合運用の推進、という考えに基づくものだ。

 米軍だけでなく自衛隊も昨年三月から統合運用体制に移行し、陸・海・空自衛隊の一体的な運用を重視するようになった。米軍と自衛隊の一体化の動きも活発だ。

 作戦や部隊の「統合化」という流れの中で今回の訓練が実施されている、とみるべきだろう。

 日米が進める「統合化」と「基地の共同使用」は、沖縄に何をもたらすのか。少なくともそれが負担軽減の取り組みだとは、誰も思わないだろう。

 日米合意によると、厚木基地からFA18戦闘攻撃機の部隊が岩国基地に移駐することになっている。負担軽減の名の下に実施される全国規模の「訓練移転=玉突き再編」は、果たして目的にかなった妥当な政策なのだろうか。

 昨年二月に発表された米国防総省の「四年ごとの国防政策見直し」(QDR)は、テロの脅威だけでなく、中国に対しても警戒感をあらわにした。

 負担軽減がかすんでいく現実に強い危機感を覚えざるを得ない。

米国防総省、新ミサイル防衛構想でロケット撃墜実験に成功

2007年12月05日 AFPBB 発信地:ワシントンD.C./米国

【12月5日 AFP】米ミサイル防衛局(US Missile Defense Agency)は4日、新ミサイル防衛構想「Net-Centric Airborne Defense Element(NCDE)」に向けた軍事訓練で、米軍F16戦闘機に空対空ミサイルを搭載し、弾道ミサイルに見立てた気象観測ロケットの撃墜に成功したことを明らかにした。

 同局のRick Lehner報道官によると、NCDEは弾道ミサイル攻撃を想定したもので、有人および無人戦闘機に高速ミサイルを搭載し弾道ミサイルが大気圏外に出る前に撃墜する防衛構想。

 弾道ミサイル撃墜には、ミサイル発射から2-3分以内に戦闘機が発射地点の160キロメートル以内の距離に到達している必要があるが、同構想は短中距離ミサイルなどに対する防衛対策としてはきわめて有効だという。

 国防総省ではこのほか「航空機搭載レーザー(Airborne Laser、ABL)」および「運動エネルギー迎撃機(Kinetic Energy Interceptor、KEI)」の2つの防衛構想が進行中だが、実際の導入までには数年を要する見込みだという。

PAC3、習志野基地にも配備=ミサイル防衛で2カ所目−防衛省

2007/11/29 時事ドットコム

 弾道ミサイルを地上で迎撃する地対空誘導弾パトリオットミサイル(PAC3)の発射装置が29日早朝、航空自衛隊習志野分屯基地(千葉県)に配備された。3月の空自入間基地(埼玉県)に続き2カ所目で、来年1月までに、レーダーや管制装置など構成するすべての機材が搬入される。

 PAC3は、イージス艦搭載の海上配備型迎撃ミサイル(SM3)が大気圏で弾道ミサイルを撃ち漏らした際に、地上から迎撃する。最終段階でのミサイルとなり、半径約20キロの範囲で防護が可能だ。

海上型弾道ミサイル迎撃弾、12月にハワイ沖で発射試験・防衛省

2007/10/12 NIKKEI NeT

 防衛省は12日、弾道ミサイルを迎撃する海上配備型のスタンダード・ミサイル(SM3)の発射試験を12月17日の週にハワイ・カウアイ島沖で実施すると発表した。SM3の発射試験は米国以外では初めてとなる。12月までに海上自衛隊のイージス艦「こんごう」のSM3搭載用改修作業が終了する見通しで、ミサイル防衛(MD)システムが有効に機能するかを確認する。

 SM3搭載は、自衛隊の5隻のイージス艦の中でこんごうが初。発射試験は、カウアイ島西端の米ミサイル発射施設から弾道ミサイルを模擬した標的を発射。同施設から数百キロメートル離れた場所に停泊するこんごうが、高度100キロメートル以上の大気圏外に到達した標的に向けてSM3を1発発射し、迎撃する流れだ。

 イージス艦のレーダーで標的を確認・追尾し、実際にSM3を発射。標的へ誘導し、一定距離でSM3の弾頭を分離して方向を修正して標的を撃破するという一連の動作が改修システムの下で正常に機能するかなどを点検、評価する。(

ミサイル防衛の効果強調 久間氏「99%排除可能」

2007年06月24日 中国新聞ニュース

 久間章生防衛相は24日、沖縄県宮古島市で講演し、北朝鮮やテロリストによる核搭載ミサイル攻撃を防ぐためにはミサイル防衛(MD)システムが不可欠と指摘した上で、配備中のMDシステムについて「百発百中ではないが、99%は排除できる」と効果を強調した。

 日本のMDシステムは、イージス艦が海上配備型迎撃ミサイル(SM3)を発射して大気圏外で迎撃、撃ち漏らしたミサイルを地上の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)が狙い撃つ二段構えになっている。

 久間氏は「SM3は9割以上、PAC3は8−9割当たる。2段階なので(SM3で)外れた分の1割を(PAC3で)8−9割の確率で落とせる。カネがかかっても配備する必要がある」と述べた。

日米MDに「参加希望」 台湾の駐米代表が会見

2007年06月13日 中国新聞ニュース

 【ワシントン13日共同】台湾の在米代表部である駐米台北経済文化代表処の呉代表(大使に相当)は13日までに共同通信と会見し、ミサイルや戦闘機など中国軍の急速な軍備拡大で中台間の軍事バランスが「中国に傾いている」と懸念を表明。日米が共同開発を進めるミサイル防衛(MD)について「現実的に困難」としながらも、将来的な参加を「希望する」と言明した。

 呉代表は4月中旬、独立志向の与党民主進歩党系として初めて駐米代表に就任した大物で陳水扁総統に近い。日米のミサイル防衛への参加に言及した発言は中国を刺激しそうだ。

 呉代表は「日本は北朝鮮だけではなく中国からもミサイルの脅威を受けている」と指摘。「日本が防衛能力を向上させることは喜ばしく、台湾との協力機会も広がることになる」と述べた。

米国防総省、日本へのSM3売却を通知 総額578億円

2007/06/09 The Sankei Shimbun WEB-site

 米国防総省は8日、海上配備型迎撃ミサイル(SM3)9基など総額4億7500万ドル(約578億円)のミサイル防衛関連装備を日本に売却すると議会に通知した。

 日本は2007年中に、海上自衛隊のイージス艦「こんごう」にSM3を配備、北朝鮮の中距離弾道ミサイル「ノドン」などへの対処を急ぐ計画。今回のSM3はこの配備計画の一環とみられる。

 米政府が外国に兵器を売却する場合、議会への通知が義務付けられている。議会は計画を審査し、売却を中止する権限があるが、売却を認めなかった前例はほとんどなく、今回のSM3なども数十日後には日本側に引き渡される見込み。

 国防総省が議会に送った通知書は、今回売却するSM3と、3月に初配備された地対空誘導弾パトリオット(PAC3)によって「日本にとって初期の弾道ミサイル防衛が提供される」と意義を強調。「防衛能力の向上だけが目的の兵器なので、SM3売却が地域の軍事バランスを大きく変えることはない」と、日米によるミサイル防衛強化を警戒する中国への配慮も示している。(共同)

 

最新鋭ミサイル配備計画、07〜10年度で10基地

2007/03/10 NIKKEI NeT

 日本の弾道ミサイル防衛を担う最新鋭の地対空誘導弾パトリオットミサイル(PAC3)の今後の配備先が9日、明らかになった。政府は2007年度に関東の3基地に3部隊を配備。08―10年度には中部東海地方や九州北部の7基地に12部隊を置き、4年間で10基地・15部隊を全国に配備する。

 07年度は霞ケ浦(茨城県)、習志野(千葉県)、武山(神奈川県)の各航空自衛隊分屯基地に各1部隊を配備する。年度内の3月末には入間基地(埼玉県)への配備が決まっている。来年度にかけてはまず首都圏の防衛体制を整える。

ミサイル迎撃で対処要領 16日にも閣議決定

2007年03月08日 東京新聞

 政府は8日、日本独自のミサイル防衛(MD)システムが今月末に初めて配備されるのを前に、他国が突然弾道ミサイルを発射した場合の対応を定めた「緊急対処要領」をまとめた。これでMDの実際の運用が可能となる。政府は与党の了承手続き、安全保障会議を経て16日の閣議決定を目指している。

 政府は2005年7月の自衛隊法改正でMDシステムの法的枠組みを整備。北朝鮮がミサイルを発射すればわずか10分で日本に着弾するため(1)燃料注入など発射の明確な兆候があり、時間に比較的余裕がある場合は、防衛相が首相の承認を得て迎撃を命令する(2)首相の承認を得る余裕がない緊急時は、緊急対処要領に従い、防衛相があらかじめ自衛隊部隊に迎撃を命じておき、発射されれば現場指揮官の判断で迎撃する−と規定した。(共同)

米国MD計画:欧州、「冷戦」の再来を懸念(上)

2007/03/08 朝鮮日報/朝鮮日報JNS 李龍洙(イ・ヨンス)記者

 米国がヨーロッパ各地にミサイル防衛(MD)用施設を設置することを決めたことにロシアが強く反発していることを受け、ヨーロッパで「新冷戦時代」が始まるのではないかと懸念する西ヨーロッパ諸国と米国との間に分裂の兆しが生じている。この事態を受け、米国は遅まきながらもロシアの説得に乗り出している。

◆ロシア「ヨーロッパの軍拡を招く」と反発

 米国がイランの長距離ミサイルへの対応を名分に、現在までにMD用のレーダー・迎撃ミサイル基地の設置計画を公表した場所は、ロシアの西側のチェコとポーランド、ロシア南側のカフカス山脈諸国だ。このうち、チェコとポーランドとは2011年までにMD施設を設置することで合意している。

 こうした米国のMD計画に対し、英国と東ヨーロッパ諸国は賛成する姿勢を見せている。AP通信によれば、英国ではイングランド中東部のファイリングデールズにMD用レーダー基地が既に設置されており、さらにトニー・ブレア英首相は先月末、米国の新MD施設を英国に設置する案を検討していると発表した。

 これに対しロシアは、米国の計画がヨーロッパの軍拡競争につながると主張し、抗議している。ロシア軍のニコライ・ソロフツォフ戦略ミサイル軍司令官は先月19日、「チェコとポーランドが米国のMD体制に参加するならば、その施設をミサイル攻撃の目標とすることもあり得る」と警告した。北大西洋条約機構(NATO)の拡大に危機感を感じているロシアは、米国が旧ソ連の庭だった東ヨーロッパ諸国にMD体制を構築しようとする試みに脅威を感じている。

 しかし、米国防総省のMD局長を務めるトレイ・オベリング中将は、「ロシアの反発には根拠がない」とする反論を7日、英紙フィナンシャル・タイムズに寄稿した。この寄稿でオベリング中将は、▲ポーランドに配置する米国の迎撃ミサイル基地は、ロシアが保有する膨大な量のミサイルにより容易に破壊することが可能であり、▲ロシアのミサイルを迎撃するには、発射探知レーダーが追跡し、迎撃ミサイルに情報を伝達するまでの時間が余りにも短いと主張した。

米国MD計画:欧州、「冷戦」の再来を懸念(下)

2007/03/08 朝鮮日報/朝鮮日報JNS 李龍洙(イ・ヨンス)記者

◆西ヨーロッパは冷戦の再来を懸念

 西ヨーロッパ諸国はMD計画に対し、再びヨーロッパに冷戦が訪れる可能性を懸念し、神経を逆立てている。最近、ドイツのアンゲラ・メルケル首相は「MD計画に関し、米国はロシアの意見を聞くべきだ」と発言した。ルクセンブルクのジャン・アッセルボルン外相はさらに一歩踏み込み、欧州連合(EU)外相会談の席で、「米国の(MD)計画は理解できない。ロシアを窮地に追い込めばヨーロッパの安定も失われる」と米国を批判した。

◆米、ロシアの説得に方針を転換

 国際紙インターナショナル・ヘラルド・トリビューンは7日、米国がロシアとの関係改善のために、ロシア指導部とより集中的かつ頻繁な接触を持つ方向へ外交政策を修正したと報じた。

 その影響として同紙は、先月、イランの核問題を協議するためにベルリンを訪問したコンドリーザ・ライス米国務長官がロシアのセルゲイ・ラブロフ外相の意見を受け入れたことや、最近ホワイトハウスのスティーブン・ハドリー大統領補佐官(国家安全保障担当)がモスクワを訪れ、「MDはロシアを狙ったものではない」と説明したことなどが、外交政策の変更を示唆していると伝えた。

 しかし、米国がヨーロッパにMD体制を拡大するという基本戦略を変更したわけではなく、摩擦の種は残されたままだ。

政府がミサイル迎撃の要領作成 16日にも閣議決定

2007/03/08 中国新聞ニュース

 政府は八日、日本独自のミサイル防衛(MD)システムが今月末に初めて配備されるのを前に、他国が突然弾道ミサイルを発射した場合の対応を定めた「緊急対処要領」をまとめた。これでMDの実際の運用が可能となる。政府は与党の了承手続き、安全保障会議を経て十六日の閣議決定を目指している。

 政府は二〇〇五年七月の自衛隊法改正でMDシステムの法的枠組みを整備。北朝鮮がミサイルを発射すればわずか十分で日本に着弾するため(1)燃料注入など発射の明確な兆候があり、時間に比較的余裕がある場合は、防衛相が首相の承認を得て迎撃を命令する(2)首相の承認を得る余裕がない緊急時は、緊急対処要領に従い、防衛相があらかじめ自衛隊部隊に迎撃を命じておき、発射されれば現場指揮官の判断で迎撃する―と規定した。

 緊急対処要領は、防衛相が事前に迎撃を命令できるケースを「ミサイル発射の疑いや恐れがある場合」「人工衛星打ち上げ用ロケットなどが落下する恐れがある場合」と明記。北朝鮮がミサイル発射を「人工衛星打ち上げ」と主張した経緯があることからロケットも対象に加え、日本に飛来することを確認した段階で迎撃するとした。

 今月末に地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を航空自衛隊第一高射群・入間基地(埼玉県)に初配備する見通しがたったため要領を作成した。

カフカスにレーダー計画 米局長、東欧MDで

2007年03月02日 東京新聞

 【ブリュッセル2日共同】米国が東欧のポーランド、チェコに建設を計画中のミサイル防衛(MD)施設に関連して、米国防総省のオベリング・ミサイル防衛局長はブリュッセルで1日、記者団に「(旧ソ連南部の)カフカス地域にもレーダーを設置したい」と述べ、新たなレーダー設置を計画していることを明らかにした。AP通信などが伝えた。

 局長はレーダー施設の規模や設置先の具体的な国名には言及しなかったが、旧ソ連から独立したグルジア、アゼルバイジャンなどが念頭にあるとみられる。

 局長は「このレーダーはイランを(迎撃)対象としており、決してロシアを対象としたものではない」と明言したが、ロシアの領土に近接する同地域での計画にロシアが反発を強めるのは必至だ。

 ポーランドに迎撃ミサイル基地、チェコにレーダー施設をそれぞれ建設する計画についても米政府は同様の説明をしているが、ロシアのプーチン大統領らは「新たな分断線を引こうとしている」と強く反発している。

弾道ミサイル防衛で新設備 今夏にも米軍三沢基地へ

2007年03月01日 東京新聞

 米軍三沢基地(青森県三沢市)に弾道ミサイルの発射データを人工衛星を使って受信・解析する移動式情報処理システムが今夏にも配備されることが1日までに分かった。同システムの国内への配備は初めて。

 同県つがる市の航空自衛隊基地には弾道ミサイルを探知する米軍のミサイル防衛用早期警戒レーダー(Xバンドレーダー)が昨年配備されており、ミサイル防衛の強化に対して地元では懸念の声もある。

 外務省や防衛施設庁などが同日、三沢市と県に配備について説明した。

 新システム「JTAGS(ジェイタグス=統合戦術陸上ステーション)」は、情報処理装置を搭載した車両と3基のサテライト・アンテナなどで構成。早期警戒衛星から弾道ミサイル発射の兆候などのデータを受信し、ミサイルの着弾予想位置などを解析。情報を米軍や防衛省に伝える仕組みになっている。(共同)

米ミサイル防衛の建設促進で一致・ポーランドとチェコ首脳

2007年02月19日 NIKKEI NeT

 【ウィーン=桜庭薫】ポーランド、チェコの両国首相はワルシャワで19日に首脳会談を開き、米国が両国で計画しているミサイル防衛システム施設の建設を促進する方針で一致した。ロシアはかつての衛星国へのミサイル防衛システム配備に強く反発しているが、両国とも親欧米路線を貫く構えを鮮明にした。

 会談後、チェコのトポラーネク首相は施設建設が「両国の共通の国益にかなう」と述べ、施設配備に向け、足並みをそろえる方針を確認した。

 米国はポーランドに迎撃ミサイル拠点を、チェコにはレーダー基地を設置すると計画、昨年秋に両国に非公式に内容を伝えた。米国はイランや北朝鮮の潜在的なミサイルの脅威から欧米を守るのが狙いと説明している。

 早期配備を目指し、米国は両国に交渉入りを持ちかけている。トポラーネク首相は「我々は米国の提案に前向きに応えることで合意した。その後、交渉を始められる」と述べ、初めて交渉への意欲を明確にした。

ロシア、新型弾道弾を全土で展開

2007年02月19日 NIKKEI NeT

 【モスクワ=古川英治】ロシアの戦略ミサイル軍のソロフツォフ司令官は19日、記者会見し、新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)のトーポリMの配備をロシア全土で展開する方針を示した。東欧に弾道ミサイル防衛システム配備を計画する米国をけん制した。1991年までに破棄した中距離核ミサイルの開発を再開する可能性も改めて示した。

 司令官は2006年末にトーポリMの配備を開始したことを明かし、16年までに旧型ミサイルをすべて入れ替えると表明した。ミサイル防衛網を突破できる攻撃システムとされ、司令官は「量ではなく質で対抗する」と述べ、対米抑止力を誇示した。

米の東欧MD基地建設計画 ロシア不信感

2007年02月18日 東京新聞

 【モスクワ=稲熊均】米国が東欧に弾道ミサイル防衛(MD)基地建設を計画していることに対するロシアの反発が激化している。プーチン大統領は「新たな(ベルリンの)壁をつくる行為」と非難。軍の高官からは、冷戦終結のさきがけとなった中距離核戦力(INF)全廃条約からの一方的離脱を求める声も上がっており、米ロ対立がさらに深刻化しそうだ。

 米国のMD基地計画はポーランドとチェコに迎撃ミサイルや追跡レーダーを配備するもので、米国はイランなどからのミサイル攻撃に対する防衛と説明している。

 しかし、ロシアは自国のミサイルが対象で、米ロ間の戦略バランスも崩れると批判。プーチン大統領は十日、ドイツ・ミュンヘンで開かれた安全保障国際会議で「ベルリンの壁は既に崩壊したのに、(米国は)再び壁をつくろうとしている」と演説、米ロ協調による国際的な安保秩序を危機に陥れると警告した。

 こうした発言を受ける形で、ロシア軍のバルエフスキー参謀総長は十五日、旧ソ連と米国が一九八七年に調印したINF条約は「意味を失った」と指摘。同参謀長によると、既にイランや北朝鮮などが中距離ミサイルを保有しており、米国より至近距離にあるロシアは対抗上、「(INF条約から)脱退する十分な根拠がある」という。

 翌十六日には上院のオゼロフ防衛・安全保障委員長が、二〇〇一年末に米国が米ロ間の弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約から一方的に離脱した例を挙げ、「ロシア側も米国との条約から一方的に離脱することはできる」とINF条約離脱を支持した。

 ロシアは現在、新大陸間弾道ミサイル「トーポリM」の開発を進め、今年一月には対空ミサイルシステム「TORM1」をイランに供与したことを明らかにしている。米国のMD計画への反発をテコに、軍強硬派がINF条約離脱にとどまらず、反米諸国を巻き込んだ新たなミサイル戦略を仕掛ける可能性もある。

中国、日米ミサイル防衛に懸念・衛星破壊実験で応酬

2007年02月13日 NIKKEI NeT

 13日のジュネーブ軍縮会議で中国が1月に実施した弾道ミサイルによる衛星破壊実験に対し、日米欧など各国の批判が集中した。中国の成競業軍縮大使は「実験はいかなる国を標的にしたものではなく脅威でもない」と弁明する一方、「むしろ日米ミサイル防衛が世界の平和と安定に与える悪影響を懸念する」と反論。米国が反対する宇宙軍拡競争防止条約の交渉入りを促した。

 中国は早期警戒衛星などを使ってミサイル発射を感知する米国のミサイル防衛に歯止めをかけようとロシアとともに宇宙軍縮を主張してきた。日本の樽井澄夫軍縮大使は「中国の実験は(宇宙軍縮を求める)自らの提案にも反する。これまでの中国の説明では国際社会の懸念は解消できない」と厳しく批判した。

 クリスティーナ・ロッカ米軍縮大使は中国の実験への懸念を日本などと共有する一方、「今回のように地上から発射されたミサイルでの破壊実験は条約を巡る議論では禁止されない」とも指摘。「新たな条約交渉は不必要かつ非生産的だ」と否定する立場を強調した。(ジュネーブ=市村孝二巳)

15年ごろ実用化と米高官 日米共同開発のミサイル

2007年01月30日 中国新聞ニュース

 【ワシントン30日共同】米国防総省ミサイル防衛局のオライリー副局長(准将)は29日、ワシントン市内で記者会見し、日米両政府が共同開発する次世代ミサイル防衛の海上配備型迎撃ミサイル(SM3)について、2015年ごろに実用化を目指す考えを明らかにした。

 副局長は次世代のSM3に関し、日米が配備を進めている現在のSM3に比べて、射程や速度などで大きく能力が向上すると強調。昨年の北朝鮮の弾道ミサイル「テポドン2号」の発射などをにらみ、米側はミサイル防衛網の整備を急ぐ構えとみられる。

 また副局長は、弾道ミサイルを使った中国の衛星破壊実験に関連し、米国などの衛星を守る能力があるかとの質問に対して、能力保持をほのめかす一方で「現在そうした任務は与えられていない」と述べた。

韓国軍、対北ミサイル防衛システム推進へ

2006/12/21 朝鮮日報/朝鮮日報JNS

 北朝鮮の核や弾道ミサイルの脅威に対応するため、弾道ミサイル早期警報レーダー・パトリオットミサイル・指揮統制体系などからなる「韓国型弾道ミサイル防衛」システム構築が本格的に推進されることになった。軍消息筋は20日、「軍は北朝鮮の核実験やミサイルの脅威に対応する措置の一つとして、韓国型弾道ミサイル防衛システムの構築案を推進している。北朝鮮の核実験後、先日発行された“合同参謀議長指揮指針書”にこれを明文化した」と述べた。

 対外秘となっているこの合同参謀議長指揮指針書は、軍令最高責任者の合同参謀議長の意志やビジョンを盛り込んだ冊子だ。各軍が戦力計画書を作成し、必要なものを提起する指針書として活用されている。韓国型ミサイル防衛システムは、米国や日本のミサイル防衛(MD)システムに比べ、高度の低いミサイルだけが迎撃可能で、迎撃範囲は大きく制限される。

 米日のMDシステムのうち、海上発射SM‐3ミサイルは射程距離600キロなのに対し、韓国軍が中長期的に導入を検討しているPAC‐3ミサイルは有効射程距離30キロだ。米日のようなMDシステムには約8‐10兆ウォン(約1兆200億‐1兆2800 億円)という巨額の予算が必要なため、まず韓国の実情に合った「超ミニMD」システムを構築した後、中長期的に「韓国型航空機およびミサイル防衛(KAMD)システム」構築を推進するというものだ。

 航空機を追跡する通常のレーダーよりも高い性能を持つ弾道ミサイル早期警報レーダーは、2012年までに国防科学研究所(ADD)が海外の技術を導入し韓国内で開発する案が前向きに検討されており、国会予算審議の過程で、来年度1億ウォン(約1280万円)の事業着手予算が反映されている。ロシアの技術を導入・開発中の韓国型中距離対空ミサイル(KM‐SAM)の多機能位相配列レーダーを改良する案が検討されているとのことだ。

 韓国型ミサイル防衛システムは、米日のMDシステムに編入されない。しかし、システムを機能させるには、北朝鮮のミサイル発射を探知する早期警報衛星などのミサイル早期警報システムや、戦場管理/指揮統制(BM/C4I)体制を米国に頼らざるを得ないため、どのような形であれ、連携が必要だとみられている。

MDイージス艦5隻態勢に 在日米軍、横須賀基地で

2006年11月27日 中国新聞ニュース

 在日米軍が横須賀基地(神奈川県)を拠点とするイージス艦9隻のうち4隻について、海上配備型迎撃ミサイル(SM3)を搭載するミサイル防衛(MD)対応型に改修する計画であることが26日、分かった。日本政府にも伝えた。再配備後は、在日米軍のSM3搭載イージス艦は5隻態勢となる。

 防衛庁はこれとは別に首都圏のMDを強化するため、地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を横須賀基地(神奈川県)や横田基地(東京都)に配備するよう米側に要請したことも明らかになった。北朝鮮のミサイル発射や核実験を受け、MDの体制強化を加速させる狙いがある。

 MDは敵が発射した弾道ミサイルをレーダーで探知し、着弾前に撃ち落とす仕組み。まず日本周辺に展開する日米両国のイージス艦がSM3を発射し、大気圏外で敵ミサイルを迎撃。撃ち漏らしたミサイルを地上のPAC3が狙い撃つ2段構えになっている。

 米軍は年内に横須賀基地配備のイージス艦2隻を改修し、早ければ来春にも再配備。その後、2隻を追加改修する。米軍は既に8月下旬、SM3搭載の最新鋭イージス巡洋艦「シャイロー」を横須賀基地に配備。PAC3も8月に沖縄県の嘉手納基地、嘉手納弾薬庫地区へ機材を運び、12月末までに一部運用を開始する予定になっている。

 海上自衛隊もイージス艦「こんごう」へのSM3配備を当初予定の「2007年度末」から「07年中」に前倒しし、残るイージス艦3隻も順次改修して10年度に完了する計画だ。

 一方、首都圏をカバーする自衛隊のPAC3が配備を終えるのは07年度末になる予定で、それまでの防衛態勢が手薄になることから、防衛庁は米軍基地への配備を要請している。

パトリオット発射台を確認 沖縄の米軍嘉手納基地

2006/10/25 中国新聞ニュース

 沖縄県の米軍嘉手納基地(嘉手納町など)内で25日午後、最新鋭の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)用の発射台が、発射口を上空に向けて並んでいるのが基地外から確認された。

 米軍によると、嘉手納基地に搬入されたPAC3の発射台は計4基。同基地の滑走路北側にある格納庫近くに、敵の航空機などを撃ち落とすPAC2用とみられる発射台とともに並んでいた。

 米軍はPAC3の装備品やミサイル本体を9月30日から10月中旬にかけて沖縄本島に陸揚げし、国道を経由するなどして嘉手納基地や嘉手納弾薬庫地区に運び込んだ。

 日米両政府は12月末までに一部の運用開始を目指しているが、嘉手納町など周辺自治体は「基地機能強化だ」と反対している。

ミサイル防衛に全力を 核実験受け中川幹事長

2006/10/21 中国新聞ニュース

 自民党の中川秀直幹事長は11日、都内の日本記者クラブで講演し、北朝鮮の核実験実施発表に関連し、ミサイル防衛(MD)システムの早期整備に全力を挙げるべきだとの認識を示した。同時に海外で懸念が広がっている日本の核武装論を強く否定した。

 中川氏は、安倍晋三首相が国会で核武装化を一切検討しない考えを強調したことについて「発言を強く支持したい」と言明。その理由として「日本には米国との堅固な同盟関係があり、国際社会も朝鮮半島の非核化に努力している」ことを挙げ、「核ミサイルを百発百中で撃ち落とせる防衛体制に戦略と資源を集中させる方が現実的な利益につながる」と述べた。

 首相が歴史認識問題で戦争指導者に「責任があった」などと、過去の発言とニュアンスの違う答弁をしていることに関しては「大きく変わったとは思わない。首相が偏狭なナショナリストだと感じたことは一度もない」と強調した。

高高度防衛、ハワイ配備か 米、北朝鮮ミサイルを視野

2006/10/10 中国新聞ニュース

 【ワシントン10日共同】米国防総省ミサイル防衛局高官は9日、ミサイル防衛の一環として開発を進めている高高度防衛ミサイル(THAAD)をハワイに配備する方針を示唆した。ロイター通信が伝えた。

 同局側は、THAADは特定の脅威に対応したものではないとしているが、北朝鮮が7月に米本土を射程に収める「テポドン2号」を含むミサイルを発射したことを視野に入れた動きとみられる。

 同通信によると、THAADは米西部ニューメキシコ州で実験を行ってきたが、10月上旬に設備をハワイに移設した。今後、ハワイを拠点に実験を進め、2009年の運用開始を目指すという。

 THAADはブッシュ政権が推進するミサイル防衛のうち、日本が配備予定の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)と同様、弾道ミサイルを落下直前に迎撃するシステム。

パトリオット陸揚げ 那覇軍港に第1陣

2006/09/30 琉球新報

 陸揚げされる、地対空誘導弾パトリオットの装備品を積んだとみられる車両=30日午前8時15分ごろ、那覇市の那覇軍港 在日米軍再編の日米合意に基づく米陸軍地対空誘導弾パトリオット・ミサイル(PAC3)の沖縄配備に伴い、米本国から海上輸送してきたミサイル関連装備を搭載した迷彩色の米軍車両第一陣が30日午前、那覇軍港に入港した大型貨物船から次々と上陸した。 同日夜から国道58号を経由して嘉手納基地に搬入される予定。ミサイル自体は2日にうるま市の米軍天願桟橋を経由して搬入される見通し。今後断続的に約500台が搬入されるとみられる。軍港周辺には配備に反対する市民団体が集まり、車両が陸揚げされるたび、抗議の声を上げた。

 陸揚げ作業は午前8時ごろ開始。昨晩から入港していた車両運搬船「アメリカン・ストロング」は船首部分を大きく持ち上げ、軍用車両の陸揚げに備えた。米陸軍兵ら数十人と荷役作業員らが船体に入った後、迷彩色の長いトレーラー状の大型車が次々と上陸。ミサイル発射台とみられる柱状の部品やアンテナシステム、コントロールシステムとみられる装備を搭載した車両も後に続いた。

 車両が運び出されるたび、市民団体のメンバー数人が軍港のフェンス越しに配備反対のシュプレヒコールを上げた。船上からは抗議する市民を撮影する姿も見られた。県警職員や那覇防衛施設局幹部、外務省沖縄事務所幹部も様子を確認した。

 日米は12月末までに一部運用を開始する。

ミサイル迎撃実験に成功 対テポドンに自信示す

2006/09/02 中国新聞ニュース

 【ワシントン1日共同=米島雅孝】米国防総省ミサイル防衛局は一日、地上配備型迎撃ミサイルの迎撃実験を太平洋上で行い、模擬弾頭付き弾道ミサイルの迎撃に成功したと発表した。大陸間弾道ミサイル(ICBM)の迎撃を目指す地上配備型の本格的な実験は一年半ぶりで、実験成功を受けて記者会見したオベリング同局長は、北朝鮮が七月に発射した長距離弾道ミサイル「テポドン2号」を念頭に、迎撃の可能性に関し「チャンスは十分ある」と述べ、自信を示した。

 ブッシュ米政権は北朝鮮やイランの核や弾道ミサイル開発を警戒、ミサイル防衛網の整備を急いでいる。地上配備型の実験は二○○四年十二月、○五年二月と相次いで失敗していただけに、ラムズフェルド国防長官も声明で今回の成功を歓迎した。

 オベリング局長は、今回の実験はこれまでで最も実戦に近い「フル実験」だったとし、地上配備型の整備が再び軌道に乗ったとの認識を示した。ただ、ミサイル防衛の実用性に対する疑問の声は根強く、十二月に予定する次回の迎撃実験が注目される。

 実験は米東部時間の一日午後一時三十九分、カリフォルニア州バンデンバーグ基地から迎撃ミサイルを発射、アラスカ州コディアク島から発射した標的の模擬弾頭の迎撃に成功したという。ただ、ミサイル防衛局は実験の主な目的は迎撃自体ではなく、標的の弾頭の追尾・捕捉や、迎撃ミサイルのロケット・モーターなどシステム全体の性能確認のためとしている。

麻生外相、米イージス巡洋艦配備を歓迎

2006/08/28 The Sankei Shimbun

 麻生太郎外相は28日、ウィンター米海軍長官と外務省で会い、最新鋭の海上配備型迎撃ミサイル(SM3)を搭載するイージス巡洋艦「シャイロー」が29日に米海軍横須賀基地(神奈川県)に配備されることについて「日本のミサイル防衛能力を補完するもので、高く評価する」と歓迎する意向を示した。

 ウィンター氏は「ミサイル防衛での日米間の協力を今後も進めていきたい」と述べた。

 また、麻生氏が2年後に横須賀基地に配備予定の原子力空母ジョージ・ワシントンについて「安全性の確保と安全性に対する市民の理解が重要」と指摘したのに対し、ウィンター氏も「安全性の確保にできるだけ努力する。引き続き協力したい」と述べた。

ミサイル防衛レーダー 米が九州へ追加配備検討

2006/08/21 中国新聞ニュース

 【ワシントン21日共同】北朝鮮による長距離弾道ミサイル「テポドン2号」発射などを受け、米国防総省当局者は二十一日までに、ミサイル防衛用移動式早期警戒レーダー「Xバンドレーダー」の西太平洋地域への追加配備を検討していることを明らかにした。

 同当局者によると、配備候補地は九州、沖縄、韓国、グアムの四カ所。Xバンドレーダーは弾道ミサイルを探知する高性能のレーダーで、米軍が六月末から暫定的に運用を始めた航空自衛隊車力分屯基地(青森県つがる市)に続き、日本周辺では二基目の配備となる。

 ブッシュ米政権は北朝鮮の核兵器や弾道ミサイル開発を警戒、ミサイル防衛網の構築を急いでおり、今後日本政府などとの協議を進める方針。

 ただ、同レーダーの新たな配備はテポドン2号発射後の国連安全保障理事会の非難決議で孤立する北朝鮮の反発を招くほか、中国を刺激する可能性もある。

 米当局者によると、一基目を配備した車力分屯基地が日本の北寄りに位置するため、もう一基を日本の南部などに配備することで弾道ミサイルの追尾、捕捉の範囲を広げる狙いがある。

 候補地のうち、沖縄はやや南方にあり、グアムは北東アジアから距離があるため、北朝鮮により近い九州や韓国に配備する可能性が高いとみられている。

 車力分屯基地へのXバンドレーダー配備は、五月の在日米軍再編の最終報告に盛り込まれた。米側はさらに弾道ミサイル迎撃能力を持つイージス巡洋艦「シャイロー」を米海軍横須賀基地(神奈川県)に配備、ミサイル防衛での日米協力を進める考えだ。

防衛庁、北ミサイル警戒を通常態勢へ

2006/07/28 The Sankei Shimbun

≪「再発射の可能性は低い」と判断≫

 防衛庁は28日、北朝鮮の弾道ミサイル発射の兆候が強まった5月下旬以降から強化していた警戒態勢を通常の態勢に戻すことを決めた。「再発射の可能性は低い」と判断したもので、近く日本海で警戒にあたっていたイージス艦をいったん帰港させる。

 北朝鮮によるミサイル発射以降、防衛庁はイージス艦2隻を常時、日本海と太平洋に展開。その後、米軍の衛星情報や同庁情報本部の電波情報などから「再発射する状況には当分ない」(同庁首脳)と判断した。

「ミサイル防衛、相互運用を」 前米国務長官が山崎氏に

2006/07/25 The Sankei Shimbun

 自民党の山崎拓前副総裁は24日午後(日本時間25日未明)、アーミテージ前米国務副長官とワシントンで会談した。アーミテージ氏は北朝鮮のミサイル発射問題に関連して「ミサイル防衛(MD)予算を中心に防衛費を拡充し、日米の相互運用について日米政府間で十分に話し合うべきだ」と述べ、MDシステムの早期構築に向け協議を加速化させるべきだとの認識を示した。

 アーミテージ氏は、国連安全保障理事会の北朝鮮非難決議採択を積極的に働き掛けた日本政府の姿勢を高く評価。山崎氏は日本の常任理事国入りが必要との認識を示した上で「日中関係が政治的にうまくいかず中国の反対がある限り、日本の常任理事国入りは果たせない。日中関係の打開は必要だ」と関係改善が急務だとの考えを示した。

 またアーミテージ氏はイラク南部サマワでの陸上自衛隊の活動について「自衛隊による国際貢献が多岐にわたり、日本の国際社会における評価が高まっている」と述べた(共同)

在日米軍、沖縄にパトリオット3…年内配備方針

2006年06月26日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 今月17日にハワイで行われたミサイル防衛(MD)に関する日米事務レベル協議で、米側が地対空誘導弾パトリオット・ミサイル3(PAC3)を、沖縄県の嘉手納基地(嘉手納町など)か嘉手納弾薬庫(沖縄市など)に年内に配備する方針を日本側に伝えていたことが、明らかになった。

 北朝鮮などの弾道ミサイルを想定したもので、在日米軍へのPAC3配備は初めて。500〜600人の陸軍米兵が新たに駐留する見通しで、配備されるPAC3は4基程度と見られる。日本政府は基本的に応じる方針だ。

 PAC3の防護範囲は半径数十キロ・メートルで、東アジアの米軍拠点である沖縄地域の防空能力を高めるのが狙いだ。イージス艦に搭載する海上配備型のスタンダード・ミサイル3(SM3)と組み合わせて弾道ミサイルを迎撃する。

 北朝鮮の中距離弾道ミサイル「ノドン」(射程約1300キロ・メートル)は相当な確度で迎撃できるが、「テポドン2号」(射程約3500〜6000キロ・メートル超)には十分に対応できないとされる。

米、イージス艦の早期派遣も テポドン発射の動き受け

2006/06/26 The Sankei Shimbun

 米政府当局者は25日、北朝鮮による長距離弾道ミサイル「テポドン2号」の発射準備の動きを受け、最も進んだ弾道ミサイルの迎撃能力を持つとされる米海軍のイージス巡洋艦シャイローの日本周辺への早期派遣を検討していることを明らかにした。

 米国は、シャイローを8月に米海軍横須賀基地(神奈川県)に配備すると発表しているが、今回派遣されれば事実上の前倒しになるとみられる。海上自衛隊はテポドン発射に備えて近海にイージス護衛艦を配置しており、日米共同の警戒態勢強化となる。

 同当局者によると、シャイローの日本周辺への派遣は早ければ2週間程度で可能。派遣されれば迎撃能力を持つ艦船の初めての「実戦配備」となるとみられ、ブッシュ政権の北朝鮮に対する強い姿勢の表れといえそうだ。(共同)

Xバンドレーダー 車力に搬入

2006/06/24 北海道新聞(東奥日報提供)

 米軍三沢基地に保管されていた移動式早期警戒レーダー「Xバンドレーダー」が二十三 日未明、つがる市の航空自衛隊車力分屯基地の暫定的展開地に陸路、搬入された。二十八日以降に試験運用が予定されている。北朝鮮が長距離弾道ミサイル「テポドン2号」の発 射準備の動きを見せる中、米軍による弾道ミサイル防衛の目として、同分屯基地が重要な役割を担うことになった。

 搬入されたのは、電波を放射する「アンテナユニット」、データ処理や指揮統制などを行う「エレクトロニクスユニット」、機器を冷却する「クーリングユニット」など、主要ユニットをはじめとする機材。トレーラーに積載、けん引されながら、十台近い車列が二十二日午後十時二十分すぎ、米軍三沢基地を出発した。

 みちのく有料道路、国道7号、津軽自動車 道などを経由しながら、時速四十キロ程度のスピードで進行。午前二時三十五分、時折激しい雨が降る中、つがる市の車力分屯基地の通称「C地区」内に入った。ゲート近くでは 社民党県連合のメンバーら約五十人が、配備反対のシュプレヒコールを上げたが、トラブルなどはなかった。

 二十三日朝、防衛庁から搬入の連絡を受けた福島弘芳市長は「無事に搬入されて何よりだが、安全性については、まだ不安に思っている人も多いと思う。飛行制限区域については漁船への影響はないとの回答を得ているし、万一あった場合は何らかの対策を取ってもらわないと困る」と語った。

米軍レーダー運用前倒し、テポドン2監視目的か

2006年06月24日 asahi.com

 米軍の移動式早期警戒レーダー「Xバンドレーダー」が航空自衛隊車力分屯基地(青森県つがる市)で運用されるのに伴う飛行禁止区域の設定について、国土交通省は23日、当初予定より2日早い26日に区域設定することを発表した。米軍が運用開始を早めたためで、北朝鮮が長距離弾道ミサイル「テポドン2」の発射準備の態勢を解いていないことと関連しているのではないか、と防衛庁関係者はみている。

 Xバンドレーダーは、米本土などを狙う大陸間弾道ミサイル(ICBM)の追尾のための移動式の装置。米軍三沢基地(青森県)で保管されてきたが、23日未明、車力分屯基地に移送された。

 レーダーは当初、28日から運用される予定だったが、在日米軍が23日、外務省に「運用開始日を26日に変更する」と連絡してきたという。

日米、次世代迎撃ミサイルの共同開発に正式移行

2006年06月23日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 日米両政府は23日、ミサイル防衛(MD)システムの次世代型迎撃ミサイルについて、日米の開発担当部分などを定めた文書を取り交わし、共同開発段階に正式に移行した。

 また、日本の武器輸出3原則の関係で、米側がミサイルを第三国に輸出する際には、日本側の事前承認を必要とすることなどを盛り込んだ交換公文も締結した。

 共同開発する次世代型迎撃ミサイルは、イージス艦に搭載するSM3(スタンダード・ミサイル3)で、2007年度中に配備を始める現行の海上配備型ミサイルに比べると、防護範囲が約2倍になる。開発期間は9年間を見込んでいる。

 日米は1999年から、次世代型迎撃ミサイルの共同技術研究をしていた。

テポドン迎撃に強い自信 米ミサイル防衛局長

2006/06/24 The Sankei Shimbun

 ロイター通信によると、米国防総省のオベリング・ミサイル防衛局長は23日、北朝鮮が発射準備を進めているとされる「テポドン2号」のミサイル防衛システムによる迎撃に強い自信を示した。ワシントン市内で講演後、記者団に語った。

 局長は「過去数年の実験結果や、システムとその能力からみて(迎撃に)強い自信を持っている」と述べた。

 アラスカ州などに配備してある地上発射型迎撃ミサイルを「試験稼働状態」から「実戦稼働状態」へ切り替えたとの報道の確認は避けたが、初期配備が完了した2004年末以降、システムを実戦稼働状態にしたことは何度もあると述べた。

 米メディアによると、米軍はこれまで地上発射型迎撃ミサイルの実験を10回行い、疑似ミサイルの撃ち落としに成功したのは半数の5回にとどまっている。(共同)

日米、ハワイ沖でミサイル迎撃実験に成功

2006/06/23 The Sankei Shimbun

 【ワシントン=有元隆志】米国防総省ミサイル防衛局は22日、ハワイ沖で行った海上からの弾道ミサイル迎撃実験に成功したと発表した。北朝鮮の長距離弾道ミサイル・テポドン2号の発射問題とは無関係としているが、日本の自衛隊も参加しての初の実験は弾道ミサイルへの抑止力をアピールする狙いもあるとみられる。ただ、米政府内には弾道ミサイル防衛システムは開発途中にあるとして、テポドン2号の発射があっても、今回このシステムを使っての迎撃には慎重論が強い。

 海上配備型の実験はこれまで8回試みられているが、成功は昨年11月に続き、7度目。

 敵のミサイルに見立てた模擬弾に対し、横須賀基地(神奈川県)に配備される予定の米海軍のイージス艦「シャイロ」からスタンダードミサイル(SM3)を発射し、迎撃に成功した。海上自衛隊のイージス艦「きりしま」も高性能レーダーで標的を追尾した。

 日米はテポドン2号の発射準備をめぐっても、情報収集面で協力している。また、米軍はアラスカ州などに配備している地上発射型迎撃ミサイルを「試験モード」から「実戦モード」に切り替えた。

 

海自イージス艦が初参加 ハワイ沖の米MD迎撃実験

2006/05/09 中国新聞ニュース

 ミサイル防衛(MD)をめぐり、海上自衛隊は九日、米国がハワイ沖で六月にも実施するイージス艦の海上配備型迎撃ミサイル(SM3)による迎撃実験に、海自のイージス護衛艦が参加し、標的のレーダー追尾をすると発表した。

 イージス護衛艦が迎撃実験に参加するのは初めて。斎藤隆海上幕僚長は「海域における相互運用性向上を目指したい」と話しており、MDにおける情報共有など日米共同体制の確立が一層進むことになる。

 海自によると、参加するのはテロ対策特措法に基づくアラビア海での洋上給油活動にも加わっていた「きりしま」(七、二五○トン)。米海軍のイージス艦がSM3で模擬弾道ミサイルを迎撃する予定で、きりしまは模擬弾道ミサイルの航跡を追尾、支援する。

 きりしまは今月中に神奈川県の横須賀基地を出港し、迎撃実験後は環太平洋合同演習(リムパック)に参加する予定。

 米国はこれまで、SM3による迎撃実験に六回成功。日本政府は二○○七年度末から海自のイージス護衛艦にSM3の配備を始める。

ミサイル防衛、日米初の飛行実験に成功

2006/03/09 The Sankei Shimbun

 米国防総省ミサイル防衛局は8日、日米両政府が開発を進める次世代ミサイル防衛の海上配備型迎撃ミサイル(SM3)で、初めての共同飛行実験をハワイ沖で実施。日本の独自技術を生かしたミサイル先端部分の覆い「ノーズコーン」の分離を確認、実験に成功したと発表した。

 日米は北朝鮮の弾道ミサイル「ノドン」などを念頭に進めてきたミサイル防衛を推進。今回初めての共同実験に成功したことで、ミサイル防衛構想は実用化への新段階を迎え、今後の計画にも弾みがつきそうだ。

 実験は米東部時間の8日午後3時45分(日本時間9日午前5時45分)から、ハワイ・カウアイ島付近で行われ、ノーズコーンの試作品を従来型SM3に取り付け、米海軍のイージス艦レークエリーから発射。

 約3分後、空気の摩擦熱などから赤外線センサーなどを守るためのノーズコーンが太平洋上で正常に作動したことを確認した。(共同)

               ◇

 日本政府は9日、日米共同で初めての次世代型海上配備型迎撃ミサイル(SM3)の飛行実験が成功、日本が開発を担当しているミサイル先端部分の覆い「ノーズコーン」の分離機能性能などが確認されたことで「ミサイル防衛技術で高い信頼性が得られた。研究成果を生かして着実に開発を進めていきたい」(安倍晋三官房長官)と、2006年度から始まる日米共同開発の推進に自信と意欲を示している。

 防衛庁は、ノーズコーンに空中でかかる圧力や温度の変化など必要なデータの収集ができたと評価。守屋武昌防衛事務次官は記者団に「中核技術として着目していた。成功に終わり大変意義ある実験だった。研究開発は山あり谷ありだから、着実に実施していくことが大事だ」と強調した。

 政府は昨年12月、次世代型SM3について06年度から日米共同開発段階に移行することを閣議決定。今回の実験は1999年から続いてきた共同技術研究を締めくくる発射実験となる。

 06年度から始まる共同開発は当初3年間でシステム設計を行い、14年度までに試作品を開発。15年度以降に生産段階に入る予定だ。

 これとは別に日本は直径の小さい従来型SM3の配備を07年度末から開始。06年度末には地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の地上配備を始め、早期のミサイル防衛網整備を目指す。

ハワイ沖で日米共同実験へ 次世代ミサイル防衛

2006/03/07 The Sankei Shimbun

 防衛庁は7日、次世代ミサイル防衛(MD)の海上配備型迎撃ミサイル(SM3)開発で計画していた日米共同の飛行実験を今週、米ハワイ沖で実施すると発表した。

 日本の独自技術を生かしたミサイル先端部分の覆い「ノーズコーン」の試作品を、従来型SM3に取り付けて米海軍のイージス艦から発射、空中分離などの性能を確認することが目的。日本側が開発を担当する部品の試作品を組み込んだ共同実験は初めてとなる。

 政府は昨年12月、次世代SM3について日米で共同開発段階に移行することを閣議決定。開発を進める一方、当面は従来型SM3を2007年度末に配備するなど早期のMDシステム構築を図ることを目指している。

日本にミサイル防衛艦配備 米太平洋艦隊司令官

2006/02/15 中国新聞ニュース

 【ワシントン14日共同】米海軍のラフェッド太平洋艦隊司令官(大将)は十四日、ワシントンで講演し、六〜八月にかけて空母計四隻が参加し、過去十年間では最も大規模な演習を西太平洋などで行う計画を明らかにした。大西洋側に母港がある空母一隻も含まれる。

 同司令官はまた、弾道ミサイル迎撃のためのミサイル防衛システムを搭載したイージス巡洋艦シャイロを、今年後半に交代艦として日本に配備する考えを示した。

 米国防総省が三日公表した「四年ごとの国防戦略見直し(QDR)」は、大西洋から太平洋への戦力シフトを打ち出しており、今夏の演習も太平洋重視の一環といえる。

 ラフェッド司令官はイージス艦シャイロについて、最も進んだミサイル迎撃能力を持つと説明。同艦の配備は、北朝鮮の弾道ミサイルなどを念頭にミサイル防衛の強化を狙ったとみられる。

 さらに、同司令官は米海軍横須賀基地(神奈川県)への原子力空母ジョージ・ワシントンの配備計画に関し、現在の通常型空母キティホークより能力が向上することや安全性を指摘し、地元などの理解を求めた。

 海軍当局者によると、演習は六−八月に計三回あり、このうち日米などが参加し七月に行われる環太平洋合同演習(リムパック)には、空母一隻が参加するという。

迎撃ミサイルSM3購入は36発 08年にイージス艦で実験

2006/01/10 The Sankei Shimbun

 弾道ミサイルを迎撃するミサイル防衛(MD)計画で、防衛庁が米国から購入する海上配備型迎撃ミサイル(従来型SM3)は計36発に上ることが、10日分かった。

 同庁は2008年にも海上自衛隊のイージス艦「こんごう」(長崎県・佐世保基地)をハワイ沖に派遣、購入したSM3の1発を使い日米共同の迎撃実験を計画している。

 MD計画では、次世代型のSM3を日米共同で開発することが昨年末に閣議決定されたが、同庁は当面、従来型SM3による防衛体制構築を目指す。

 防衛庁はMD対応のため、弾道ミサイルの飛来を関知して迎撃ミサイルを自動的に発射・誘導できる改良型のイージスシステムをイージス艦に搭載する。改良型システムを使い、現在のSM2より到達距離の長いSM3を発射すれば、大気圏外の高い高度で弾道ミサイルの迎撃が可能になるという。

 防衛庁関係者によると、同庁はこんごうへのシステム搭載を07年中に終えた後、米メーカーから毎年9発ずつ調達するSM3のうち1発で発射実験を行う方針。実験は米側の協力でハワイ沖で実施し、システムとSM3の性能を確認する。

 その後は「ちょうかい」(佐世保基地)「みょうこう」(京都府・舞鶴基地)「きりしま」(神奈川県・横須賀基地)の順に、年1隻ずつ既存のイージス艦をMD対応に改修する方針。

 長崎市で新たに建造中のイージス艦2隻については、MD計画の政府決定前に建造が決まっていたため、MD化はあらためて検討する。

 <イージス艦とSM3> イージス艦から発射する海上配備型迎撃ミサイル(SM3)は、地上に配備する地対空誘導弾パトリオット(PAC3)と並ぶ防衛庁のミサイル防衛(MD)計画の柱。イージス艦は当初、航空機や通常のミサイルから艦隊を守る目的で開発されたが、防護可能範囲の広さやミサイルを目標に誘導する能力の高さから、防衛庁はシステムの改良後にSM3を搭載し、MD計画に採用することを決めた。SM3は大気圏外まで到達可能で、同庁関係者は「破壊した弾道ミサイルの破片などの大半は大気圏再突入時に焼失するため、地上への影響も少ない」などと利点を挙げる。(共同)

MD次世代ミサイル、日米共同開発を正式決定…政府

>2005年12月24日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 政府は24日の安全保障会議と臨時閣議で、ミサイル防衛(MD)システムのうち、日米で共同技術研究した次世代型迎撃ミサイルについて、来年度から共同開発に移行することを正式決定した。

 官房長官談話を発表し、共同開発に関しては武器輸出3原則の例外扱いとする方針を示した。

 共同開発する次世代型迎撃ミサイルは、イージス艦に搭載するSM3(スタンダード・ミサイル3)の能力向上型だ。2007年度中に配備を始めるSM3に比べると、防護範囲が約2倍になり、おとり弾を使う高性能な弾道ミサイルも迎撃できるとされる。

 日本側は〈1〉大気との摩擦熱からミサイル先端のセンサーなどを保護する「ノーズコーン」〈2〉飛翔(ひしょう)速度を高速化させるための「第2段ロケットモーター」と上下段分離部〈3〉「第3段ロケットモーター」――の開発で主体となる。米側は〈1〉標的に直撃して破壊する「キネティック弾頭」〈2〉赤外線を探知して標的の識別・追尾を行う「赤外線シーカ」〈3〉ミサイル誘導部――などを受け持つ。赤外線シーカについては日本側の技術を採用する可能性も残している。

 来年度予算にシステム設計など30億円を盛り込み、14年までの開発完了、15年からの生産開始を目指す。開発費用は、日本側が10億〜12億ドル、米側が11億〜15億ドルを負担する。

米軍が7日から現地調査 ミサイル防衛用レーダー配備で

2005/12/06 The Sankei Shimbun

 仙台防衛施設局は6日、在日米軍が7日からミサイル防衛(MD)用の移動式早期警戒レーダー「Xバンドレーダー」の配備が最有力視されている航空自衛隊車力分屯基地(青森県つがる市)で、現地調査を始めると発表した。

 木村太郎(きむら・たろう)防衛庁副長官は「(同基地の)ほかに候補地はない」と明言しており、事実上、配備に向けた第一歩となる。

 協力する防衛庁によると、調査は19日までの予定で、米軍から十数名が参加。前半はレーダーの運用を想定し電波環境や通信関連の確認を、後半は部隊の駐留に備えて基地内の測量や設備の調査を行う。

 Xバンドレーダーは米本土を狙う弾道ミサイルの探知、迎撃のための新型レーダーで探知距離が長い。

 車力分屯基地には地対空ミサイル「パトリオット」を装備する空自高射隊が展開している。(共同)

防衛庁、弾道ミサイル探知実験に成功…航空機搭載型

2005年11月24日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 防衛庁が研究中の航空機搭載型の赤外線センサー・システム(通称「エアボス」)が、弾道ミサイルを探知・追尾する実験に成功していたことが明らかになった。

 エアボスは、円筒形のセンサー・ヘッド(直径60センチ、高さ80センチ)により赤外線を感知し、数百キロ・メートル先のミサイルや航空機を監視するシステム。実験は、ハワイで17日に行われた米ミサイル防衛庁による弾道ミサイル迎撃実験にあわせて、防衛庁がエアボスを搭載した試作機(UP3C)を派遣して実施した。

パトリオット、124発を調達 MD計画で防衛庁

2005/11/12 中国新聞ニュース

 弾道ミサイルを迎撃する防衛庁のミサイル防衛(MD)計画で、二○一○年度までに航空自衛隊に配備する地対空誘導弾パトリオット(PAC3)ミサイルの調達数が、計百二十四発に上ることが十二日、明らかになった。

 配備先として選定を終えている全国三高射群内の部隊や教育訓練部隊ごとに、八発ずつを基準とする計画。米国メーカーからの輸入で調達を開始後、国内でライセンス生産する三菱重工業製に切り替える。価格は一発五億円を見込む。

 空自幹部は「防護範囲は(関東圏などに)限られており、それ以外ではイージス艦による迎撃が頼り」と、体制の不備を指摘している。

 防衛庁の計画では、○六年度末以降一○年度までにPAC3の発射システムを配備するのは第一(本部、埼玉県・入間基地)、第四(同、岐阜基地)、第二(同、福岡県・春日基地)の各高射群と、浜松基地(静岡県)の教育部隊で、それぞれに四基ずつ。これに予備二基を加え、計十八基での運用開始となる。

 関係者によると、十八基のうちミサイルを配備するのは、実動部隊となる三高射群の十二基と教育部隊の三基の計十五基で、一基当たりのミサイルは八発ずつ。

 最初に配備する第一高射群四基の三十二発が米国製で、これ以後は国産ミサイルで賄うとしている。国産のうち四発は、米国での迎撃試験に使用する。

 PAC3は、弾道ミサイルが海上自衛隊のイージス艦から発射する迎撃ミサイルで破壊できなかった場合に、地上から発射して高度二十キロ以下で落下直前に迎撃する防空システム。

 防衛庁は当面、政治・経済の中枢である関東圏など七大都市圏を中心に配備を進め、一一年度以降に第三(本部、北海道・千歳基地)、第六(同、青森県・三沢基地)、第五(同、那覇基地)の各高射群に追加配備を検討する。

全国18基で運用開始 地対空誘導弾で防衛庁

2005/10/09 The Sankei Shimbun

 弾道ミサイルを迎撃する防衛庁のミサイル防衛(MD)計画で、航空自衛隊に配備する地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の導入計画の全容が9日、明らかになった。

 既に選定を終えた埼玉、岐阜、福岡各県の基地に本部を置く高射群に加え、浜松基地(静岡県)の教育訓練部隊にも計4基を配備し、2010年度までに予備を含む18基で運用を開始。

 さらに、11年度以降に北海道、青森、沖縄各県の高射群への追加導入を検討する方針で、実現すれば合計32基の配備となる見通しだ。

 PAC3は、発射された弾道ミサイルを海上自衛隊のイージス艦発射型迎撃ミサイルで破壊できなかった場合に、地上から発射して落下直前に迎撃するMD計画の柱のひとつ。

 空自幹部は「日本全域の防空には国内24の高射隊すべてに配備するのが理想。予備や教育訓練用も含め計30基以上が必要」とするが、10年度までで2600億円に上るとされる導入経費の問題などから、当面は18基となる。

 計画では06年度末以降、入間基地(埼玉県)が本部の第1高射群に属する関東地方の4部隊を皮切りに、浜松基地、岐阜基地の第4高射群、春日基地(福岡県)の第2高射群の順で16基を配備。さらに08年度から定期修理や点検時の予備として2基を導入する。

 11年度以降に追加配備を検討する部隊は、千歳基地(北海道)の第3高射群、三沢基地(青森県)の第6高射群、那覇基地(沖縄県)の第5高射群。各高射群内の4部隊に1基ずつの12基と、予備2基の計14基について配備の必要性を判断する。

 <PAC3> 米陸軍が開発した地対空誘導弾「パトリオット」の改良型。パトリオットは1991年の湾岸戦争時に、当時のイラクがイスラエルに向けて発射した弾道ミサイルを迎撃し性能を実証、注目された。車載型のミサイル発射装置やレーダー、管制装置、電源などで1基を構成する。防衛庁のミサイル防衛計画では、地上から発射して落下直前の弾道ミサイルを迎撃する。(共同)

ミサイル防衛共同開発費、米試算で3倍の30億ドル

2005年09月25日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 日米両政府が2006年度から共同開発を開始する次世代型のミサイル防衛(MD)システムについて、米側が開発総額を約30億ドル(約3210億円)と見積もり、日本側に伝えてきていることが分かった。

 米側は当初、2011年度までの米の負担額を5億4500万ドル(約583億円)としていたが、開発期間を14年度までに延長したうえで改めて過去の開発例などをもとに積算したところ、総額が3倍弱に膨らんだ。

 政府は、中期防衛力整備計画(中期防、2005年度から5年間)の中で、共同開発の費用を数百億円程度見込んでいるが、今後の費用分担の決定次第では、計画に影響が出る可能性がある。

 米側は、先に米の負担額を5億4500万ドルと伝えてきた際、日本側にも同程度の負担を求めてきている。開発総額が3倍弱に膨らんだことで、政府内には、日本側負担について、「半分の1500億円程度かそれ以上の負担を求められるのではないか」(防衛庁幹部)と警戒する声が出ている。

 このため、日本側が担当する部品の開発に必要な分だけを負担するなどで、負担額をできるだけ抑制したい考えだ。

 日米の費用分担は、来年度に共同開発に関する合意文書を取り交わすまでに決定される。

 政府は、次世代型に先がけて06年度末から配備を始めるMDシステムの整備費用を8000億〜1兆円と見積もっている。共同開発費用はこれとは別枠で、防衛庁は来年度予算の概算要求に、日米共同開発のシステム設計などの開発費30億円を計上している。

 日米で共同開発するのは、海上配備の次世代型迎撃ミサイル(直径約53センチ)。当初は2011年度ごろまでに開発を終える見通しもあったが、現計画では14年度までの開発完了、15年度以降の生産開始を目指している。

 米側の積算について防衛庁幹部は、「日本が必要とする以上の規模の実験や、共同開発と関連したシステムの試験などが含まれている可能性がある」と話し、今後、日本側で精査する考えを示した。

 また共同開発では、開発の途中段階でも実戦配備し、実験・改良を繰り返して能力を向上させていく「スパイラル開発」が採用される見通しだ。米側が採用している方式で、弾道ミサイルの進化に対応し、技術革新の成果をその都度、反映させることができる利点がある。一方で、開発の進ちょく状況によってはさらに費用が膨らむ可能性がある。

 開発費がさらに増加する場合は、日本政府としては、「防衛予算が削減されている流れの中で、米側と同じやり方で負担はできない」(防衛庁幹部)としており、開発の進め方について改めて検討する方針だ。

ミサイル先端部分は日本 日米次世代開発で合意へ

2005/09/22 中国新聞ニュース

 【ワシントン21日共同=米島雅孝】日米両政府は次世代ミサイル防衛の海上配備型迎撃ミサイル(SM3)の共同開発で、空気の摩擦熱から赤外線センサーなどを保護するミサイル先端部分の「ノーズコーン」と呼ばれる覆いについて、独自技術を持つ日本が開発することで合意する見通しとなった。ノーズコーンは迎撃の最終段階で外れる必要があり、米側が日本の分離技術を評価した。日米関係筋が二十一日明らかにした。

 日本の独自技術が採用されることは、北朝鮮や中国を刺激する可能性があるほか、共同開発した次世代SM3の第三国への供与についても、武器輸出三原則に照らし今後議論を呼びそうだ。

 近くハワイ沖で予定している日米による将来型SM3の共同飛行実験などで、ノーズコーンが空中で二つに割れ、ミサイルから分離する日本製の性能を確認する。年末にも締結する新たな協定に、日米双方の開発分担などを盛り込む方針だ。

 日本の防衛庁は二○○六年度予算で、ミサイル防衛に過去最高の千五百億円を要求。○六年度末に配備を始める従来型に比べ、次世代SM3は直径が約五十三センチと大型で命中精度や射程など性能が格段に向上するとされる。

 日米は一九九九年度から、ノーズコーンを含む次世代SM3の四つの部品について、共同技術研究をスタート。開発段階への移行に併せて、これまでに推進装置に当たる第二段ロケットモーターの担当は日本、相手の弾道ミサイルを直撃、破壊するキネティック弾頭は米国が担当することが固まっている。

ミサイル防衛に1500億円 過去最高、整備本格化へ

2005/08/31 中国新聞ニュース

 防衛庁は三十一日、二○○六年度予算の概算要求を発表した。総額は四兆八千八百五十七億円で、本年度比1・2%増。○六年度末に配備を開始するミサイル防衛(MD)に過去最高の千五百億円を計上、MD整備を本格化させる。

 また昨年十一月に発生した中国原潜の領海侵犯事件を受け、海上自衛隊のP3C哨戒機の潜水艦探知能力強化に五十八億円を盛り込んだ。

 MD関連では、弾道ミサイル監視の「目」となる警戒管制レーダー「FPS−XX」整備に百九十三億円を要求。○六年度から移行する、将来型の海上発射型迎撃ミサイル(SM3)の日米共同開発経費に三十億円。来年ハワイ沖で実施する初の日米共同迎撃実験に五十九億円を計上した。

 航空自衛隊岐阜基地(岐阜県各務原市)の第四高射群に配備する地対空誘導弾パトリオット(PAC3)関連経費八百五十二億円も盛り込んだ。

 潜水艦探知能力向上では、エコー信号により潜水艦の位置を特定する信号処理装置の整備や、モールス信号を発して潜水艦に浮上、退去を要求する対潜モールス弾の研究に取り組む。

 一方、戦車、火砲など陸上自衛隊の主要装備は三百三十五億円。昨年末に策定した新防衛大綱が正面装備の大幅削減を打ち出したことを受け、ピーク時の一九九○年度(八百六十二億円)から約六割の削減となった。

 昨年初めて計上を見送った海上自衛隊の護衛艦が復活。ヘリコプター搭載型一隻、千六十三億円を盛り込んだ。

 航空自衛隊のC130輸送機に空中給油機能と、他機からの受油機能を付加するため二十七億円を計上。国際平和協力活動などで航続距離を実質的に延ばし、迅速な活動を目指す。

 長時間飛行による情報収集、監視が可能な滞空型無人偵察機導入に向けた調査研究費一千万円、国産化研究に九億五千万円を要求した。

米イージス艦が新潟入港 ミサイル防衛関連、2回目

2005/08/29 The Sankei Shimbun

 米海軍のイージス駆逐艦カーティス・ウィルバー(8、346トン)が29日朝、新潟東港(新潟県聖籠町)に入港した。米イージス艦の新潟入港は2回目。

 米海軍はミサイル防衛(MD)の一環として、北朝鮮の弾道ミサイルの脅威に備えてイージス艦を日本海に配備している。

 県によると、入港目的は乗組員の休養と親善活動で、出港は9月1日午前9時の予定。

 同艦は26日に入港する予定だったが、台風11号の接近で中止した。(共同)

新型イージス艦「あたご」が進水 07年、舞鶴に配備へ

2005/08/24 The Sankei Shimbun

 海上自衛隊が長崎市の三菱重工業長崎造船所で建造していた新型イージス艦(7700トン)が24日午前、進水した。防衛庁の今津寛副長官が「あたご」と命名、支え綱を切った。

 機関砲や電子機器などを取り付け2007年春、京都府の海自舞鶴基地に配備する予定。

 あたごは従来型イージス艦(7250トン)の「こんごう」など4隻に続いて建造する2隻のうちの1隻目。新たに哨戒ヘリコプター格納庫を設け、従来型より船体を大型化した。乗組員約310人で建造費は1475億円。

 各イージス艦は今後、防衛庁が進めるミサイル防衛(MD)計画で、弾道ミサイルを宇宙空間で迎撃できる海上発射型ミサイルを搭載する。(共同)

新イージス艦、24日に進水・命名式

2005/08/17 The Sankei Shimbun

 海上自衛隊と三菱重工業長崎造船所(長崎市)は17日、建造していた新型イージス艦(7,700トン)の進水・命名式を24日午前10時37分から同造船所立神船台で行うと発表した。

 同艦は現在、海自が保有するイージス艦4隻(各7,250トン)に加え、新たに建造する2隻のうちの1隻。同造船所で艤装(ぎそう)工事を進め、2007年春、京都府の海自舞鶴基地に配備する予定。乗組員は約300人。(共同)

迎撃手続き簡素化 ミサイル防衛の枠組み整備 改正自衛隊法が成立

2005/07/22 The Sankei Shimbun

 日本に飛来する弾道ミサイルをミサイル防衛(MD)システムで迎撃するための法的手続きを定めた改正自衛隊法が、22日午後の参院本会議で与党の賛成多数で可決、成立した。現行法では国会の事前承認が必要な防衛出動発令に限られている迎撃手続きを簡素化し、迅速な迎撃を可能にする。政府が2006年度末からの配備を予定しているMDシステムの法的枠組みが整った。

 ただ実際の迎撃行為では現場指揮官の裁量が大幅に認められることになり、文民統制(シビリアンコントロール)の確保などが課題だ。

 改正自衛隊法は、同法82条(海上警備行動)に「弾道ミサイル等に対する破壊措置」を新たに追加。(1)弾道ミサイル発射の兆候がある場合(2)明確な兆候がつかめない場合―の迎撃の二類型を明記。迎撃後の国会報告も盛り込んだ。

 具体的な手順としては、燃料注入などミサイル発射の明確な兆候がある場合は、防衛庁長官が迎撃ミサイルを搭載したイージス艦部隊などの展開を首相に上申。首相が閣議を経て長官に迎撃権限を与え、ミサイルが発射されれば現場指揮官が迎撃する。

 一方、発射の明確な兆候はつかめないものの実験、訓練など警戒を要する動きを察知した場合は、防衛庁長官があらかじめ作成する「緊急対処要領」に従い、期間を定めて部隊を待機させて急な発射に備え、発射されれば現場指揮官が迎撃する。

 民主党は迎撃措置後の国会承認の義務付けなどを盛り込むよう求めたが、与党は既に迎撃措置をとった後で国会承認を求めても意味がないなどとして拒否した。(共同)

 <ミサイル防衛> 弾道ミサイルをレーダー網で探知し、着弾前に撃ち落とすシステム。日本では、大気圏外で撃墜するイージス艦発射型の迎撃ミサイル(SM3)と、撃ち漏らしたミサイルを落下直前に撃墜する地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の2段階で防御する。防衛庁は2006年度末にPAC3、07年度末にSM3の配備を開始する方針。(共同)

地対空誘導弾、国内ライセンス生産で日米合意

2005/07/19 The Sankei Shimbun

 大野功統防衛庁長官は19日午前の記者会見で、ミサイル防衛(MD)の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を国内でライセンス生産することで米政府と合意したことを明らかにした。2005年度中に製造元の米ロッキード・マーチン社と三菱重工業が契約を結び、08年度から配備を開始する見通し。

 防衛庁はPAC3を06年度末から配備する方針で、06、07年度については、日米安保条約の相互防衛援助協定に基づく有償軍事援助(FMS)調達で購入する。08年度以降の調達方法は未定だったが、今年3月、日米両政府はライセンス生産を認める了解覚書(MOU)を締結した。(共同)

新型イージス艦、舞鶴配備 07年春に「日本海シフト」

2005/06/26 The Sankei Shimbun

 海上自衛隊が三菱重工業長崎造船所(長崎市)で建造している新型イージス艦(7,700トン)を2007年春、海自舞鶴基地(京都府舞鶴市)に配備することが26日、分かった。

 同基地には現在、イージス艦1隻を配備。佐世保基地(長崎県佐世保市)の2隻と合わせ計4隻が朝鮮半島危機に備えた「日本海シフト」を敷くことになる。当初、佐世保基地を候補にしていたが、日本海での任務が多い舞鶴基地を増強することにした。

 08年春には、同造船所で建造中の2隻目の新型艦も就役。佐世保基地に配備する見通しだ。イージス艦は1998年春に就役した4隻で建造計画を終了していた。しかしミサイル防衛(MD)計画の進行に合わせ、性能を大幅に向上させた新型艦を追加建造することになった。

 イージス艦の対空ミサイル(SM2)は航空機やミサイルを迎撃できるものの、大気圏外から飛来する弾道ミサイルには対応できない。弾道ミサイルを撃墜するため、発射装置などを順次、改修しMD用の新型迎撃ミサイル(SM3)に換える。

 <イージス艦> 約500キロの遠距離を探知できる新型レーダーと高性能コンピューターで、自動的に目標を設定、対空ミサイル(SM2)で迎撃するシステムを搭載した護衛艦。海自は従来型のSM2を2007年度末までにミサイル防衛(MD)用の新型迎撃ミサイル(SM3)に換える。他国から飛来する弾道ミサイルの軌道や速度、落下予測地点を瞬時に計算し、SM3を発射、大気圏外の上層域で破壊する。2008年には6隻態勢になる。(共同)

巡航ミサイル技術 イランから北に流出か 日本全土射程に

2005/06/26 The Sankei Shimbun

ウクライナ旧政権売却

 ウクライナの旧クチマ政権がイランに売却した長距離射程の巡航ミサイル「Kh55」の技術が北朝鮮に流出した疑いが二十五日、浮上した。複数の政府・与党筋が認めた。Kh55は核弾頭搭載可能で、北朝鮮が配備すれば日本全土が射程に入る。政府は北朝鮮の弾道ミサイルに備えミサイル防衛(MD)の整備を急いでいるが、海上スレスレを飛んでくる巡航ミサイルには対応できず、新たな対抗措置を迫られる可能性も出てきた。

                  ◆◇◆

 疑惑は米国情報機関からもたらされた。Kh55は二〇〇一年にイランへ十二発、中国へ六発の計十八発が不正に輸出されたことが今年二月、情報機関出身のウクライナ国会議員の告発で発覚した。現地の検察当局が今「闇の武器商人」の国際ネットワークについて捜査を進めている。

 イランと北朝鮮は「大量破壊兵器の開発に関して水面下のネットワークでつながっている」(防衛庁筋)といわれる。

 イランの核開発に詳しい情報筋によると、イランが核開発計画を秘密裏に進めるための地下施設網建設について北朝鮮と極秘に交渉を進めていた疑惑や、北朝鮮の技術者が今年初め、ウラン濃縮に使う遠心分離機の検査など核関連活動を隠れて行っていたイラン中部の軍事基地を訪問していたことが明らかになった。一方、イランが開発した弾道ミサイル「シャハブ」は、北朝鮮からミサイル技術の提供を受けたとされる。

 日本政府はイランから巡航ミサイル技術が北朝鮮に流出している恐れがあるのではないかとの見方を強めている。ウクライナ政府に事実関係の照会を行う一方、イラン政府に対して巡航ミサイルの技術流出の可能性について懸念を表明、北朝鮮に巡航ミサイルの引き渡しなどを行うことがないよう求めた。しかし、ウクライナ、イラン両政府は「ウクライナ検察当局が捜査中だ」との回答にとどまっている。

 巡航ミサイルは、無人で、事前にプログラムされた経路を高精度の誘導システムによって飛行し、目標にミサイルを命中させるシステム。超低空を飛行することができるため、レーダーでの捕捉は困難なうえ、弾道ミサイルとは違ってコンパクトな設計になっているため貨物船などに容易に積載することが可能だ。

 このため、「北朝鮮が巡航ミサイルの技術取得に成功すれば、政府が配備の準備を進めている地対空ミサイルやイージス艦配備の次世代型海上システムのMDでは対応できない」(政府関係者)との指摘が出ている。

                   ◇

 【「Kh55」】1970年末に旧ソ連で開発された空中発射型巡航ミサイル。ウクライナには600発が配備されているとみられる。200キロトンの核弾頭が搭載可能。射程3000キロメートル。半径150メートルの目標なら50%の精度で命中。性能は米国の「トマホーク」に匹敵するとされる。

日米、新型システムでミサイル探知実験へ

2005/06/22 The Sankei Shimbun

 日米両政府は北朝鮮の弾道ミサイル「ノドン」などを念頭に、防衛庁が開発を進めている新型の赤外線センサー・システム(通称「エアボス」)によるミサイル探知実験を9月にハワイ沖で、米側の弾道ミサイル模擬弾を使って行う方向で調整を始めた。日米関係筋が21日明らかにした。

 北朝鮮が核実験を行うのではとの観測が流れ、6カ国協議の中断から約1年間が経過する中、弾道ミサイルの脅威への対応能力を高め、北朝鮮へ圧力を強める狙いもあるとみられる。

 弾道ミサイル探知については、これまで米国の衛星による早期警戒情報に頼っていたが、実験が成功すれば、日本独自の探知能力獲得へ前進することになる。

 防衛庁は弾道ミサイル発射の探知、追尾を目指し、海上自衛隊のP3C哨戒機を改造し、エアボスを搭載。この試験機のテストを今月から岐阜県内などで始めている。日本側は試験機をハワイ沖に派遣し、性能確認を行いたい考えだ。日本政府は開発計画を公表していない。

 日米関係筋によると、今回の実験は、米側がハワイ沖で行うミサイル防衛のための迎撃実験に、日本側が試験機を派遣し、参加する形で行う。

 また、日米は共同技術研究を続けている海上発射型迎撃ミサイル(SM3)の共同実験を9月と来年3月の2回予定しているが、実験はこれとは別のものとなる。

 米側は弾道ミサイルの観測能力を持つRC135S電子偵察機(通称コブラボール)による監視を行っている。日本側もミサイル防衛導入に併せて、新型レーダーの開発などを急いでおり、エアボス構想も探知能力獲得の一環という。(共同)

 <エアボス> 弾道ミサイル発射を探知するため、防衛庁が開発を進めている赤外線センサー・システムの略称。海上自衛隊のP3C哨戒機や無人偵察機に搭載し、将来的には日本上空や周辺の監視活動を行うことを目指している。試験機によるテストも始まったが、防衛庁はテスト内容などについて一切明らかにしていない。(共同)

MD開発、米が580億円負担要請…政府は削減要求へ2005年06月20日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 日米両政府が2006年度から共同開発に移行する見通しのミサイル防衛(MD)の迎撃ミサイルについて、米側が2011年度までに総額5億4500万ドル(約583億円)の開発予算を見込み、日本側にも同等の資金負担を求めていることが19日、分かった。

 1999〜05年度のMDの日米共同技術研究における日本側の支出は、7年間で計262億円だった。日本側は今後、防衛費の抑制傾向が続く中、MD開発費の急増を避けるため、資金負担の大幅な削減を米側に求め、交渉する方針だ。

 日米両政府が共同開発するのは、現在は共同技術研究をしている将来型の海上配備型の迎撃ミサイル(直径約53センチ)。開発に成功すれば、2007年度からイージス艦に配備する予定の迎撃ミサイル(直径約34センチ)に比べて、防御範囲が広がるうえ、目標の弾道ミサイルとおとりを識別することも可能になる。

 共同開発では、06年度に将来型の迎撃ミサイルのシステム設計などを行い、07年度から本格的な開発に入る予定だ。06年度予算について、防衛庁は今年8月の概算要求で数十億円を計上する方向で検討している。

 日本側は今後の日米交渉で、開発費の積算根拠について詳しく質問するとともに、日米の開発担当分野の分担や資金負担の割合などを協議する。8月の来年度予算の概算要求までに、開発費と日本側負担の総額に一定のめどをつけたい考えだ。

緊急時ミサイル防衛、航空総隊司令が迎撃指示へ

2005/05/07 読売新聞 Yomiuri On-Line

 政府が2006年度末から導入を開始するミサイル防衛(MD)システムの部隊レベルの指揮命令系統の全容が7日、分かった。

 航空自衛隊の航空総隊司令部(東京・府中)と、イージス艦の戦闘指揮システムや地上配備の警戒管制レーダーを無線で結び、原則として、航空総隊司令官(空将)が着弾予想地域が日本の領域と重なっていることをモニター画面で確認したうえ、迎撃ミサイルの発射を指示する。

 政府が今国会に提出した自衛隊法改正案では、防衛長官が期間を定めて迎撃命令を出す規定がある。

 航空総隊司令官が兼務する「ミサイル防衛任務部隊指揮官」が長官の命令に基づき、迎撃ミサイル発射の要件としている「弾道ミサイルが我が国に飛来するおそれ」の有無を確認することで、法律の厳格な運用を確保する狙いがある。

 ただ、司令官がモニター画面の前にいない場合は、イージス艦の艦長や高射群司令にも発射を指示する権限を与える方針だ。

 防衛庁は2006年度予算の概算要求に、航空総隊司令部の増改築の設計費や、司令部とイージス艦を結ぶための航空機搭載型の無線中継器の購入費を盛り込む予定だ。

 防衛庁によると、中型弾道ミサイルは、発射の約2分後にブースターを切り離し、慣性飛行に移る段階で着弾地域の予想が可能になる。

 着弾予想範囲が日本領域にかかっていなくても、ぎりぎりの場合は迎撃することにしている。核や生物・化学兵器が弾頭に搭載されていた場合、着弾地点は領域外でも、領域内に被害が及ぶ可能性が強いためだ。

ミサイル迎撃実験に成功 海上配備型で米国防総省

2005/02/25 The Sankei Shimbun

 米国防総省ミサイル防衛局は24日、ミサイル防衛で配備する海上配備型迎撃ミサイル(SM3)の飛行実験で、ミサイル撃ち落としに成功したと発表した。これまで計6回の実験で、成功は5回目。

 同局によると、米東部時間の24日午後、ハワイ・カウアイ島から目標の模擬弾道ミサイルを発射。約160キロ離れた海上のイージス艦レークエリーから発射されたSM3が2分後に撃ち落とした。実戦配備向けのSM3実験は初めてで、弾道ミサイルをとらえる赤外線追尾装置も機能したとしている。

 SM3は2006年度末から日本が導入するミサイル防衛でも、イージス艦に搭載。今年後半にはSM3を使った日米初の共同飛行実験が計画されている。

 国防総省は昨年12月と今月14日に地上配備型ミサイルの迎撃実験に相次いで失敗、昨年末に予定していたミサイル防衛の稼働宣言を延期している。(共同)

ミサイル迎撃、閣議と安保会議を省略へ

2005/01/21 The Sankei Shimbun

 政府は21日、2007年度から配備するミサイル防衛(MD)で、弾道ミサイルの発射兆候があれば安全保障会議と閣議を省略、防衛庁長官が首相の了承を得た上で現場指揮官に迎撃を命じる運用方針を固めた。突発的に発射された場合は防衛庁長官が直ちに迎撃を命じる。通常国会に提出する自衛隊法改正案にMD関連の自衛隊の新たな行動類型として盛り込む。

 首相が武力行使を伴う防衛出動を命令する場合、武力攻撃事態法や自衛隊法は安保会議への諮問と答申、閣議決定、国会の事前承認(緊急時は事後承認)を定めている。発射から着弾まで約10分とされる弾道ミサイルを迎撃するため、手続きを簡素化することにした。

 運用案は、燃料注入などミサイル発射の兆候が把握できた場合と、予測できない場合を想定。衛星情報などで兆候がつかめれば、首相の了承を得た上で防衛庁長官が「MD任務部隊指揮官」(航空総隊司令官が兼任)に迎撃を命じる。

 一方、予測できない事態に備え、防衛庁長官が首相の了承を得ずに直接迎撃を命じる措置も取る。いずれの場合も、事後に安保会議、閣議を開催した上で国会に承認を求める。

 大野功統防衛庁長官は21日の記者会見で「シビリアンコントロール(文民統制)を十分尊重するのが大きな命題だ。首相の了承を得て防衛庁長官が責任を持って実施する」と述べた。(共同)

ポーランド:米国から「ミサイル防衛」導入打診

2004年12月31日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 【ウィーン会川晴之】ポーランドが米国からミサイル防衛(MD)システムの導入打診を受けていることが30日わかった。ゼムケ副国防相が毎日新聞に明らかにした。中東諸国が保有する弾道弾ミサイルの脅威に備えるため米国が配備を打診した。MDをめぐっては、北朝鮮の脅威に対応するため日本が導入を決めたほか、英国やデンマークが陸上用レーダーの設置を認めたが、中東欧諸国でMDの導入打診が進められていることがわかったのはこれが初めて。

 米国はチェコ、ブルガリアやルーマニアなど他の中東欧諸国にも同様の提案をしていると見られる。ゼムケ副国防相は「交渉内容の詳細は話せない」としているが、軍事筋によると米国は早期警戒用の陸上レーダーの設置を検討、迎撃ミサイル発射基地についても協議している。

 同副国防相は「中東諸国、特にイランのミサイルの脅威に対応するもの」と述べたが、イランが今夏、開発に成功した中距離ミサイル「シャハブ3」は射程2000キロ足らず。イスラエルやトルコ、欧州南部のギリシャ、ブルガリアが射程内だが、現時点ではポーランドなど中東欧諸国は射程外で直接の脅威となっていない。このため軍事関係者の中には「米国の真の狙いはロシア」と指摘する声もある。同副国防相は「米国はロシアなど近隣諸国とも調整を図る必要がある」と強調、ロシアの反発を招かないために、米露が直接対話で調整を進めるべきだとの考えを示した。

 ポーランドはイラクに約2500人の部隊を派遣するなど中東欧で最も米国と緊密な関係を築いている。99年に旧社会主義国としては初めて北大西洋条約機構(NATO)にチェコ、ハンガリーと共に加盟しており、軍事面でも米国との関係を最重視している。

 MDは飛来する弾道弾ミサイルを偵察衛星や海上艦船、陸上配備のレーダーで監視、追尾し、迎撃ミサイルで撃ち落とすシステム。米国は迎撃ミサイルの発射実験などを続けているが、12月の実験もミサイル発射に失敗するなど開発途上にある。

 日本は12月にまとめた新防衛大綱でミサイル攻撃など新たな脅威に対応するための体制確立を最重要課題と位置づけたほか、米国と共同開発を進めるための政府覚書(MOU)を12月に締結するなど本格導入に向けた準備を進めている。

米ミサイル防衛:年内稼働、事実上断念か

2004年12月23日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 【ワシントン和田浩明】ラムズフェルド米国防長官は22日、米国が北朝鮮などの弾道ミサイルに対抗するため導入を目指すミサイル防衛(MD)システムに関し、「今後も開発状態は続く」などと述べ、ブッシュ政権が当初目指していた年内稼働の事実上の断念を示唆した。米国防総省での会見で明らかにした。

 ラムズフェルド長官は「(敵弾道ミサイルの)脅威は強まってはおらず、(稼働を急ぐ)圧力はない。今は(開発やテストを)きちんと行うべき時だ」と述べた。

 同省ミサイル防衛局は15日に地上配備型MDシステムの迎撃実験を行ったが、迎撃ミサイルが発射せず失敗していた。これまでの実験については「実施環境が現実的でなく、防御能力の検証が不能」などとの指摘が出ているが、同長官は「最終的には実際に使用される状況でのテストが行われる」と語った。

ミサイル迎撃実験失敗 米、地上配備型発射せず

2004/12/15 The Sankei Shimbun

 米国防総省ミサイル防衛局は15日、地上配備型迎撃ミサイルによる弾道ミサイル迎撃実験に失敗したと発表した。地上配備型迎撃ミサイルの実験で、実際に使用する発射台などすべての設備を使った「フル実験」は2年ぶりだったが、迎撃ミサイルが発射しなかった。

 ブッシュ政権はミサイル防衛の一環として、既にアラスカ州フォートグリーリー基地に地上配備型迎撃ミサイル6基を配置。年内にもミサイル防衛を初稼働させる予定だが、今回の実験失敗で水を差された格好だ。

 ミサイル防衛局は「何らかの変則的な事態が起きた」とだけ説明、詳しい原因を調べている。

 同局によると、実験は米東部時間15日未明(日本時間同日午後)、アラスカ州から発射された標的の模擬弾頭付きミサイルを、太平洋上のマーシャル諸島から16分後に発射する迎撃ミサイルで撃ち落とす予定だった。しかし迎撃ミサイルの設備が、発射前に自動的に停止したという。

 ミサイル防衛局は昨年、日本も導入する海上配備型迎撃ミサイルの実験にも失敗している。(共同)

ミサイル発射兆候で閣議 政府が運用案検討

2004/12/26 The Sankei Shimbun

 政府は25日、ミサイル防衛(MD)をめぐり、他国が日本に向けて弾道ミサイルを発射する兆候を把握した段階で(1)安全保障会議と閣議を開催して、発射した場合には迎撃するとの警告を発する(2)部隊指揮官に発射権限を委譲する−との運用案の検討に入った。

 発射から10分以内に着弾することが想定される弾道ミサイルを確実に迎撃するとともに、文民統制(シビリアンコントロール)の確保を目指すものだ。政府は自衛隊法など関係法を改正する。ただ、来年の通常国会では陸海空3自衛隊を統合運用するための自衛隊法改正を優先するため、MD関連の改正案提出は微妙だ。

 MD関連の法改正は、11月に大野功統防衛庁長官が検討を表明。防衛庁は(1)ミサイルが発射された場合、安保会議と閣議を省略して首相が防衛出動を発令して迎撃(2)領空侵犯への対処と同様に部隊指揮官にあらかじめ権限を委譲−の2案を中心に検討に着手した。

 ただ、発射から着弾まで極めて短時間であることから「閣議を省略しても発射後に首相らが対処方針を検討するのは時間的に不可能」(防衛庁幹部)と判断。部隊指揮官への権限委譲については「迎撃した時点で交戦状態になる可能性があり、全判断を任せるのでは文民統制が確保できない」(同)との意見が大勢となった。

 このため両者の「中間案」といえる事前警告案が浮上。ミサイルへの燃料注入など発射の兆候が確認できた段階で安保会議、閣議を開いて警告を発し、その上で指揮官に発射権限を委譲すれば、迎撃の実効性と文民統制が両立できると判断した。(共同)

 <ミサイル防衛> 飛来する敵の弾道ミサイルを高性能のレーダー網で探知し、着弾前に撃ち落とすシステム。弾道ミサイルを大気圏外で撃墜するイージス艦発射型の迎撃ミサイル(SM3)と、撃ち漏らしたミサイルを落下直前に撃墜する地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の組み合わせ。日本は2007年度から配備を開始する予定。(共同)

輸出緩和対象、MDに限定 官房長官談話で明記

2004/12/04 中国新聞ニュース

 政府は三日、新防衛大綱策定に合わせて決定する武器輸出三原則見直しについて、緩和を表明する官房長官談話では対象はミサイル防衛(MD)関連部品の米国向け輸出に限定するとともに、中古艦船やガスマスクなどの防護的武器については、今後検討することを明記する方針を固めた。

 公明党が同日、MD関連を三原則の「例外」扱いとし、防護的武器については「テロ、海賊対策への支援等の国際協力に関する議論があったことを踏まえ別途検討」などの表現で官房長官談話に盛り込むことを容認、自民党側に伝えた。公明党内では防護的武器の中で中古艦船などには反対意見が強いが、盛り込みを強く求める自民党に譲歩、「検討」の明記を認めた。

 公明党はMDに関して米国以外の第三国への移転について厳格な管理を求めており、政府は二国間協定など何らかの歯止め策を講じる必要性も談話に明記する方針だ。

 武器輸出三原則は一九六七年、佐藤内閣が表明。(1)共産国(2)国連決議で輸出が禁じられた国(3)紛争当事国またはその恐れのある国―に対する武器輸出を禁じた。七六年に三木内閣がそれ以外の地域への輸出も禁止。現在は対米武器技術供与のみが例外扱いとなっているが、MDの日米共同開発・生産への移行を視野に、自民党や防衛産業界から見直しを求める声が挙がっていた。

ミサイル防衛で閣議省略 大野長官、法改正を表明

2004/11/21 中国新聞ニュース

 【ワシントン20日共同=松浦基明】訪米中の大野功統防衛庁長官は二十日夜(日本時間二十一日午後)、ワシントン市内で同行記者団と懇談し、他国が日本に向けて弾道ミサイルを発射した場合、閣議と安全保障会議を省略して首相が防衛出動を発令し、ミサイル防衛(MD)による迎撃を可能にする自衛隊法改正案を次期通常国会に提出する考えを表明した。

 大野氏は「弾道ミサイルが発射された場合、閣議、安保会議の手続きを取っていたら間に合わない。特別のルールをつくって文民統制(シビリアンコントロール)の観点でどう即応態勢をつくるか、国会で審議してほしい」と述べた。

 防衛出動に関し、自衛隊法と武力攻撃事態対処法は@首相が安保会議に諮問A安保会議が答申B閣議決定C首相が命令―などの手続きを定めている。

>[武器輸出]「防衛大綱に明記すべき新原則」

2004/08/30 読売社説(1)Yomiuri On-Line

 新たな防衛計画大綱を検討する小泉首相の私的諮問機関「安全保障と防衛力に関する懇談会」で、武器輸出三原則が重要な論点の一つになっている。

 「武器輸出は原則自由とし、特定のケースのみを禁止すべきだ」「米国とミサイル防衛(MD)の技術開発を進めることは、『死の商人』となることとは異なる」などと、三原則の見直しを求める意見が出ているという。

 武器輸出三原則は、一九六七年の佐藤内閣当時、共産圏諸国、国連決議での武器輸出禁止国、国際紛争当事国と、そのおそれのある国を対象に定められた。三木内閣当時の七六年には政府統一見解によって、事実上、全面禁輸となった。

 見直し機運が高まっているのは、日米で進めているMDの共同技術開発に支障をきたすからだ。

 政府は、中曽根内閣当時の八三年、米国への武器技術の供与を、武器輸出三原則の例外扱いとした。だが、今後、MDが研究段階から生産段階に移行する時点で、米国に対して技術だけではなく、部品を輸出する必要が生じる。

 三原則の下では、それが不可能だ。米国から欧州諸国などへMDの輸出もできず、日米共同開発の障害ともなる。

 冷戦後の防衛力整備は、各国が資本や技術を持ち寄る共同開発・生産が世界的な流れになっている。しかも、軍事革命(RMA)といわれるほど、軍事技術が急速に進展している。

 現在の三原則では、他国との連携が制約され、技術の開発で後れを取ってしまう。独自の開発では、過大なコストを強いられる。現状のままでは、日本の安全保障に深刻な事態を招きかねない。

 民主党などには、三原則見直し反対論もある。日本が「平和国家」としての外交力を失う、という理由からだ。

 三原則を見直すに当たって、国際紛争の助長を回避する、という基本理念を堅持するのは、当然だ。見直しはあくまで共同開発が目的だ。「武器輸出大国」や「死の商人」を目指すものではない。

 議論のたたき台はある。

 自民党の国防部会は、三原則の見直しを提言し、「国連決議などによりテロ支援国または人権侵害国とされた国、国際紛争の発生地域などへの武器輸出を認めない」などという新たな原則を掲げている。事実上、佐藤内閣当時の三原則に戻すように求めたもの、と言っていい。

 懇談会は、九月末にも、報告書をまとめ、首相に提出する。年内に策定される新防衛大綱には、三原則に代わる新たな武器輸出原則を盛り込むよう、政府内の調整を急ぐべきだ。

米、制御装置の実験完了 海上発射の迎撃ミサイル

2004/08/19 The Sankei Shimbun

 米国防総省ミサイル防衛局は18日、ミサイル防衛(MD)で海上から発射される迎撃ミサイルの新たな軌道修正・制御装置の地上実験を完了した。

 イージス艦搭載の海上配備型迎撃ミサイル(SM3)など大気圏外の中間飛行段階で撃ち落とす迎撃システムに適用されるほか、将来的には北朝鮮の弾道ミサイル「テポドン」などの発射直後の段階での迎撃にも応用できるとしている。

 迎撃ミサイルは先端部に取り付けられたキネティック弾頭が敵ミサイルの弾頭部分を直撃して破壊する仕組み。新装置は迎撃ミサイルが時速数千キロの超高速で飛行中に確実に弾頭部分に当たるよう軌道修正が可能という。

 ミサイル防衛ではミサイルを(1)発射直後(2)中間飛行(3)落下時−の3段階で撃ち落とす。今回は中間飛行段階だが、プログラムの変更などで発射直後段階での迎撃も可能としている。

 ミサイル防衛局は来年前半にSM3の飛行実験を実施する。日本政府は昨年末にミサイル防衛の正式導入を決定しており、海上自衛隊のイージス艦にもSM3が搭載される予定。(共同)

米国防予算成立…総額約46兆円 ミサイル防衛は年内稼働

2004/08/06 The Sankei Shimbun

 ブッシュ米大統領は5日、総額4170億ドル(約46兆円)の2005会計年度(04年10月−05年9月)国防予算歳出法案に署名、イラク、アフガニスタンでの米軍駐留経費250億ドルを盛り込んだ同法が成立した。

 大統領は署名に先立つ演説で「今年後半に最初のミサイル防衛(MD)の設備が稼働する」と言明、「世界の反対側にいる破たん国家からの脅威」を強調し、MDが北朝鮮やイランを念頭に置いていることを強くにじませた。

 またスーダン西部ダルフールでの人道危機を終結させるために約9500万ドルを計上したと述べ、スーダン政府にアラブ系民兵の武装解除を進めるよう呼び掛けた。(共同)

新防衛大綱:護衛艦や戦車削減、ミサイル防衛に予算配分

2004年08月02日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 今年末の「防衛計画の大綱」(防衛大綱)改定に向けて、防衛庁に設置された「防衛力のあり方検討会議」は1日、主要装備の削減など防衛力整備の中間案をまとめた。海上自衛隊は護衛艦や固定翼哨戒機などを現行から1割、航空自衛隊も1割の主要整備を削減し、陸上自衛隊は95年の現大綱で示した目標数値(防衛大綱別表)ベースから2〜3割を削減する。これに伴い、同庁は05年度予算概算要求で海自の護衛艦について54年の海自創設以来初めて1隻も予算要求しない方針。テロ、大量破壊兵器、弾道ミサイルなどに対応するため、冷戦対応型装備からの脱却を図り、ミサイル防衛(MD)導入や機動性を重視した防衛力整備を目指している。

 「あり方検討会議」のまとめた中間案は、昨年12月のMD導入の際の閣議決定に沿った形で、陸海空自衛隊の主要整備削減を打ち出している。MDは約1兆円かかると見込まれ、その分を各自衛隊の装備削減で補うことになる。

 中間案によると、海自は護衛艦が現行(04年3月末現在)の54隻から48隻に、固定翼哨戒機は80機から72機に削減し、潜水艦16隻、補給艦5隻は維持する。護衛艦は79年度予算で4隻要求したのが最も多く、99年度からは毎年1隻ずつ要求。03年度はイージス艦1365億円、04年度はヘリ搭載護衛艦1057億円の調達が認められた。

 空自は作戦用航空機(約400機)の1割程度を削減するほか、戦闘機は迎撃、対地攻撃、偵察などの対応できるように多用途化し、F15、F2、F4の3機種を2機種にする。

 陸自は主要装備のうち、戦車が別表ベースの約900両(現行約1000両)から約600両に、火砲は約900門・両(現行約1000門・両)から約700門・両に削減。陸自の編成定数16万人は維持、機動運用部隊や特殊作戦群などを中央で運用し、各地の支援を行う「中央即応集団」創設を検討している。

 「あり方検討会議」は、国連平和維持活動(PKO)や多国籍軍参加を念頭に、国際貢献を自衛隊法の「付随的な任務から本来任務」へ格上げする方向だ。【南恵太】

◆検討状況の骨子

・陸海空自衛隊の主要装備削減

・国際的活動の自衛隊法上の本来任務への格上げ

・陸上自衛隊の編成定数16万人の維持

・「中央即応集団」の創設

・武器輸出三原則の見直し

・大量破壊兵器拡散防止構想(PSI)への積極参加

防衛庁、敵基地攻撃能力の保有検討 巡航ミサイルなど

2004/07/26 asahi.com

 今年末に政府が策定する新たな「防衛計画大綱」に向け、防衛庁が他国の弾道ミサイル発射基地などをたたく「敵基地攻撃能力」の保有を検討していることが25日わかった。日本の防衛政策は憲法との整合性から専守防衛を基本理念とし、他国の基地を攻撃する能力のある装備は持たず、攻撃は米軍に委ねる立場を堅持してきた。この方針から逸脱する恐れがあるうえ、政府内にも「アジア各国に脅威を与え、外交上問題となる」(関係者)との慎重論は根強く、今後、波紋を広げそうだ。

 防衛計画大綱は長期的な防衛方針や防衛力整備の全体像を示すもの。敵基地攻撃能力保有の検討は、新大綱策定に向けて防衛庁内に設置された「防衛力のあり方検討会議」(議長・石破防衛庁長官)で進められている。同会議が最近まとめた論点整理では、弾道ミサイルに対処するための敵基地攻撃について「引き続き米軍に委ねつつ、日本も侵略事態の未然防止のため、能力の保有を検討する」とした。

 具体的には、昨年に政府が導入を決めた精密誘導爆弾を敵基地攻撃にも使用するほか、対艦ミサイルを改良して陸上攻撃もできるようにした米軍の「ハープーン2」(射程200キロ超)や、巡航ミサイル「トマホーク」(射程2000キロ前後)、軽空母の導入が検討対象になっている。

 敵基地攻撃能力の保有は、石破防衛庁長官が昨年3月、「検討に値する」と国会で答弁し、従来の政府方針の転換をにじませた。だが、その直後、小泉首相が「政府としてそういう考えはない。日本は専守防衛に徹する」と打ち消した経緯がある。

 憲法との整合性については、「(誘導弾攻撃を)防衛するため、ほかに手段がない場合、敵基地をたたくことは自衛の範囲内で可能」とした56年の政府統一見解があるものの、「他国に攻撃的な脅威を与える兵器を持つのは憲法の趣旨ではない」(59年の伊能防衛庁長官答弁)との考えから、日本は敵地を直接攻撃できる装備を持ってこなかった。

 政府内には「トマホークなどを持てば北東アジアに脅威を与え、外交上の問題を引き起こしかねない」(政府関係者)との懸念があるほか、防衛庁内にも「トマホークや軽空母は、専守防衛というより、敵国を攻撃するための装備。保有する理屈がつかない」などと否定的な見方もある。

 防衛庁側は、この「あり方検討会議」の論点整理を、新大綱策定のたたき台と位置づけている。だが、新大綱に向けてつくられた首相の私的諮問機関「安全保障と防衛力に関する懇談会」では敵基地攻撃が大きな焦点になっておらず、この問題がどのように扱われるかは不透明だ。

 〈敵基地攻撃能力〉 弾道ミサイルの発射基地など敵の基地をたたく装備能力のこと。「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)に「米軍は必要に応じ打撃力を有する部隊の使用を考慮する」との取り決めがあり、相手基地への攻撃は原則として米軍に委ねるとしている。日本が独自に攻撃することは専守防衛に照らし、自衛権の範囲内であれば可能というのが政府の見解だが、従来そうした装備は持ってこなかった。敵基地を攻撃するには誘導ミサイルだけでなく、正確な位置情報や、敵の地上レーダーを無力化する装備なども必要とされる。

米、迎撃ミサイル初めて設置 ミサイル防衛本格始動

2004/07/24 The Sankei Shimbun

 米国防総省ミサイル防衛局は23日、長距離弾道ミサイル攻撃に対抗する地上配備型迎撃ミサイル1基をアラスカ州フォートグリーリー基地に初めて設置したと発表した。

 ミサイルは、レーダーやセンサーとの接続はしておらず実際に迎撃はまだできない状態だが、今後の追加配置とともに徐々に稼働させていく方針。今回の配置でブッシュ政権が進めるミサイル防衛(MD)が本格的に始動したことになる。

 ブッシュ政権は2004年から始まるミサイル防衛の初期配備として、05年末までに最大10基を同基地に配備するほか、カリフォルニア州バンデンバーグ空軍基地にも4基配備するなど地上型迎撃ミサイルを最大20基配備する計画。日本も昨年12月に導入を決定している。

 ミサイル防衛は、敵のミサイルを上昇、中間飛行、落下時の各段階で多層的に撃ち落とすシステムで、配置された地上配備型は中間飛行段階で地上から迎撃する。

 ミサイル防衛の実用性には物理学者など専門家から依然疑問の声が上がっているが、ミサイル防衛局は「5回の発射実験で4回成功した。今後も実験を繰り返し精度を増していく」と強調している。(共同)

米、日本海にイージス艦を常駐配備へ

2004年03月23日 The Sankei Shimbun

 イングランド米海軍長官は22日、ワシントンで講演し、ミサイル防衛の一環として今年9月にイージス艦1隻を日本海に常駐配備する計画を明らかにした。海上配備型の迎撃システムで、具体的な配備先が公表されたのは初めて。

 米国は、アラスカなどの地上配備型迎撃ミサイルへの情報提供をイージス艦に担わせる予定で、ミサイル防衛の配備を加速させる。

 イングランド長官は「ミサイル防衛の運用能力を高めるようにとの大統領令に基づいて、米海軍はミサイル駆逐艦(イージス艦)を継続的に日本海に配備する」と述べた。

 そのうえで「同地域で目標となる(敵ミサイルの)データを瞬時に司令部まで伝えることが可能となる」と述べ、多層的防衛システムの強化につながると強調した。

 ブッシュ政権は今年からミサイル防衛を初期配備し、2005年までにアラスカなどに地上配備型20基、海上配備型20基を配備する計画。(共同)

仏国防相らと意見交換 訪欧の斉藤防衛庁長官

2001.01.24 asahi.com

 訪欧中の斉藤斗志二防衛庁長官は24日、パリでフランスのリシャール国防相と会談した。また、前日にはケルシュ統合参謀長らとも会い、朝鮮半島問題や米国の安全保障政策などについて意見交換した。一方、23日夜半にはパリから電話で米国のラムズフェルド国防長官と話し合った。

 防衛庁の説明によると、ケルシュ参謀長は会談の中で、米国のブッシュ新政権が推進しようとしている米本土ミサイル防衛(NMD)について「軍拡競争に拍車をかける恐れがある。米国からはいまだに明確な説明がない」と批判した。しかし、参謀長は、日米による弾道ミサイル防衛(BMD)の共同研究についてはとくに意見を述べなかったという。

 ラムズフェルド国防長官との電話協議では、日米同盟関係の重要性を確認するとともに早期に会うことで意見が一致したという。

「日本は中国のミサイル射程内」 防衛白書が指摘へ

2000.07.02 asahi.com

 7月下旬に閣議了解される今年の防衛白書で、日本が中国の保有する弾道ミサイルの射程に入っていると初めて指摘していることが1日、明らかになった。北東アジアの不安定要因としてきた朝鮮半島に緊張緩和の兆しが出るなか、わが国を取り巻く安全保障環境は依然不安定であることを強調する狙いがある。中国が、日米共同研究の戦域ミサイル防衛(TMD)に反対していることへのけん制でもある。

 白書では、中国が弾道ミサイル「東風」を保有していることを指摘し、「アジア地域を射程に収めており、その中に日本も含まれる」といった表現になる見通しだ。昨年の白書では、中国のミサイルが「アジア地域を射程に収める」と説明していたが、1998年秋の江沢民国家主席の訪日以降ぎくしゃくしていた日中関係への配慮もあり、日本が射程に入っているかどうかについては、あえて明記していなかった。

 TMDに関しては、政府は朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の弾道ミサイル「テポドン」が日本上空を飛び越え、脅威が高まったとして、98年12月、米国と共同技術研究をすることを決めた。

 これに対し、TMDが将来、台湾に配備されることを懸念する中国は反対を表明。先月、北京での日中安保対話の席でも、中止を求めた。しかし、防衛庁は「日本を射程に入れている弾道ミサイルがある以上、防御的なシステムであるTMD研究を進めるのは当然」(幹部)として研究を進める考えだ。

中国ミサイル、日本照準 核弾頭装備用も -米政府機関報告書が指摘-

2000.06.19【北京18日=古森義久】The Sankei Shimbun

 中国の中距離弾道ミサイルが日本に照準を合わせて配備されていることが米国政府関連機関の報告書に明記されている事実が十八日までに判明した。これら日本向けミサイルはほとんどが通常弾頭装備用だが、一部には核弾頭装備の可能なミサイルもあるという。

 中国の中距離弾道ミサイル(射程一千キロから三千キロ)が日本に対しても照準を合わせて配備されていることは、米国の国防総省所属の防衛分析研究所や国防大学が共同作成した「中国の核兵器と軍備管理」と題する報告書に明記されている。

 同報告書は米国の政府や軍の情報を基礎に政府内外の専門家約三十人により作られ、六月上旬に訪中した同専門家の一部から中国側や北京の一部外国報道陣にも配布された。

 同報告書は中国が核戦力の増強を「近代化」という名目で着実に進めていることを詳述し、「この近代化は東アジアの米国の同盟国(防衛パートナー)、とくに台湾と日本とに明白に照準を合わせたミサイルの数を大幅に増加させた」と明記している。これらミサイルのうち台湾向けは射程六百キロぐらいまでの短距離弾道ミサイルが大多数であることを伝え、日本を標的とするのは中距離弾道ミサイルであることを明確にしている。

 米国政府関連の文書が「中国のミサイルが日本を標的に」と明言することはきわめて珍しい。

 日本を照準とするミサイルの種類や数について同報告書は具体的な記述を避けているが、付表や他の記述から「東風21号」(西側の呼称はCSS6)や「東風3号」(同CSS2)など合計数十基であることを示唆している。

 報告書は中国が日本を仮想標的とする背景については、台湾問題での米軍の最大拠点としての日本への抑止や威嚇のほかに、(1)日本の核武装の可能性(2)冷戦終結後の米軍のアジア撤退の可能性から日本の独自の戦力強化への懸念(3)日米共同での中国封じ込めへのけん制(4)日米共同のミサイル防衛構想への反発−などを挙げ、「中国は歴史的に日本の能力を過大視する傾向がある」とも記している。

リムパックの海自艦、ミサイル1発1億2000万円

2000.06.07 asahi.com

 ハワイ周辺海域で始まった日米などによる環太平洋合同演習(リムパック2000)で現地時間の5日、海上自衛隊が対空訓練に参加した。

 ミサイル攻撃を受けた海上自衛隊のイージス艦「こんごう」が、対空ミサイルを発射して敵のミサイルを撃ち落とすという想定だ。午前9時半過ぎ、米軍のF16戦闘機と地上から計3発の模擬ミサイルが、「こんごう」に向けて発射された。数分後、「こんごう」は対空ミサイルSM2で迎撃。オレンジ色の炎を出しながら飛んだSM2が目標のミサイルを撃ち落とした。関係者によると、ミサイル1発の値段は約1億2000万円という。

 今回のリムパックには日米のほかカナダ、韓国など7カ国から約2万2000人が参加し、7月5日まで続けられる。

米軍、湾岸諸国や韓国配備のパトリオット・ミサイルを交換

2000年03月24日[ワシントン 23日 ロイター]

 米軍は国防総省で記者会見を行い、湾岸諸国や韓国に配備しているパトリオット・ミサイル数百基を交換し、同ミサイルの技術的な問題点に関して、日本など7カ国にも通告したことを明らかにした。

 米軍関係者によると、、米軍は過去10日間で、米レイセオン社製のパトリオット・ミサイルPAC2を交換した。配備が6カ月以上になると技術的な問題が生ずることが確認されたためという。

 同ミサイルを配備しているドイツ、イスラエル、日本、オランダ、サウジアラビア、台湾に対しては、2日前にミサイルの問題点に関して通告された。

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