TOPIC No.2-53-2 中国鉄鋼業界

01. 「鉄鋼業の中国展開における現状と課題」(2006年03月16日)
02. 中国の鉄鋼業界について(2005/03/25)
03. 中国における鉄鋼生産の見通しと高炉の動向(2006)新日鉄技報 第384号
04. 日中鉄鋼業環境保全省エネ先進技術交流会 by日本鉄鋼連盟


国有が民間を買収 中国企業の実態如実に、鉄鋼大再編

2009/09/08 サ−チナ

 山東鋼鉄集団有限公司と日照鋼鉄控股集団有限公司の合併が決まった。民間の日照が国有の山東に吸収される形。今回の再編で、生産量で中国第3位、売上で第2位という、鉄鋼最大手で中国を代表する上海宝鋼に次ぐ巨大鉄鋼企業が誕生する。

 今回の再編が業界に与える影響は極めて大きいが、問題は、中国が国策として育んできた民間経済が、やはり国有には勝てない、最後には国有の肥やしになってしまう、という今回の結末。中国ではちょうどトップ500企業が発表され、企業問題がクローズアップされているが、トップ500のうち300社以上が国有企業であり、国有の強さ、民間の弱さが改めて示されていたところだった。

 鉄鋼業界そのものの要請もある。鉄鋼というのは通常、設備投資の大きさなどから、寡占になりやすい業界だが、中国では事情が違う。業界トップ10(宝鋼や今回の山東含めて)の生産量はわずかに全体の42.5%。地方政府が後押しする地方企業が乱立しているのが現状だ。世界に通用する競争力を備えるためにも、業界の集中化、つまり企業の吸収合併、閉鎖などを通じた大再編は必須だった。日照にもほかに生き残る方法があったものの、結局国有の山東鋼鉄に吸収合併されたのは、業界の思惑、その上の政府の意向が働いたからとされている。

 山東鋼鉄そのものも山東省地場の鉄鋼企業2社が合併して設立した経緯がある。今回の合併も山東省主導による業界再編と見るのが一般的だ。そのため、「今回の件を単純に国有企業による民間企業の買収と位置づけることはできない」との指摘もあるが、それであればなおさら、民間経済育成が政府にとってポーズに過ぎなかったと指摘されてもやむを得ざることとなる。

 ただし、中国経済が政府主導・国有中心、その上の党の意向が働いた結果として急成長を遂げていることは否定できない事実だ。「国」、あるいは「党」がうまく回転しているときはよいが、「市場経済」の原則からは遠のく。そもそも中国が標榜するのは「社会主義市場経済」だから、原則論を振りかざしてもしょうがないが、民間を育成できなければ経済の多様化、競争原理、国際競争力、企業の効率化、いずれもおぼつかない。

 中国経済・中国企業(特に国有企業)は「大」きいが(売上も人員も、あるいは現時点においては利益も)、「強」くない(効率、競争力、技術力)と揶揄されているのが現状。中国国有資産監督管理委員会(国資委)という省庁の大臣が、「(今回発表されたのは)500大であり、500強ではない(中国語でトップ500という場合、通常『500強』という言葉を用いる)」と皮肉る始末だ。

 それを十分理解した上で進めていたはずの民間経済の育成という視点においては、今回の吸収合併は一つの挫折を示すものといえるかもしれない。(編集担当:鈴木義純)

中国、鉄鋼や風力発電など一部セクターの過剰生産能力を削減へ=新華社

2009年08月26日 REETERS

[北京 26日 ロイター] 中国国務院(内閣に相当)は26日、一部セクターにおける過剰生産能力や無駄な投資を削減するため、対策を講じる考えを示した。新華社が伝えた。

 新華社は対策の具体的内容については触れなかったが、鉄鋼、セメント、板ガラス、石炭化学、風力発電設備などのセクターに対する「指導を強化」する、と伝えた。

 この決定は、温家宝首相が議長を務める定例閣議で下された。

中国の粗鋼生産:1−6月は過去最高水準に増加−景気刺激策で

2009/07/17 Bloomberg.co.jp

 7月17日(ブルームバーグ):中国の粗鋼生産が1−6月(上期)に1.2%増加し過去最高水準に達した。中国政府による5860億ドル(約55兆円)規模の景気刺激策が需要拡大につながった。

 中国国家統計局によると、粗鋼生産は2億6660万トン。前年同期の統計は示されていない。中国鉄鋼工業協会(CISA)の統計を基にしたユーメタル・リサーチ・インスティチュートの推計では、2億6300万トンと予想されていた。

 武漢鋼鉄や宝山鋼鉄などの鉄鋼メーカーが需要回復の恩恵を受けるなか、中国の鉄鋼の指標価格は4月1日以降、17%上昇している。CISAは先に、世界的なリセッション(景気後退)に伴う自動車や建設業界の需要減退により、2009年の粗鋼生産が昨年の5億トンから8%減少し4億6000万トンになるとの見通しを示している。

翻訳記事に関する翻訳者への問い合わせ先:東京 堀江 広美 Hiromi Horie     hhorie@bloomberg.net Editor:Takeshi Awaji記事に関する担当者への問い合わせ先:Helen Yuan in Shanghai at hyuan@bloomberg.net

リオ・ティント、中国鉄鉱石・鉄鋼部門社員が国外へ避難=豪紙

2009年07月16日 REUTERS

 [シドニー 16日 ロイター] 英豪系資源大手のリオ・ティント(RIO.L: 株価, 企業情報, レポート)(RIO.L: 株価, 企業情報, レポート)は、中国部門の鉄鉱石トレーダーが中国当局に拘束されたことを受け、現地で鉄鉱石および鉄鋼業界に関する調査を担当している社員を15日国外に避難させた。16日付豪紙オーストラリアン・フィナンシャル・レビューが報じた。

 また上海からの報道によると、他の一部外資系企業も、中国での状況がより明確になるまでの措置として従業員を国外に一時避難させた。ただ、情報源は明らかにしていない。

 リオ・ティント広報担当(豪メルボルン)のイアン・ヘッド氏は、報道に関するコメントは現在のところできないとした。

外交部:リオ・ティント事件は中外企業間の取引に影響せず

2009/07/15 China Press

 7月14日、中国外務省スポークスマン秦剛氏は「リオ・ティント事件は今後の外資企業と中国企業の取引には影響を与えない」との声明を発表した。

 同氏は、「今回の事件はあくまでも司法個別事件。リオ・ティントの元従業員が不正な手段を使用し、中国の国家機密情報を盗もうとしたことが中国経済の安全と利益を損なうおそれがあるとして、中国政府は法的手段を取った。しかし、これは外資企業の中国国内での経済活動、あるいは外資企業と中国企業の協力、提携取引などを制限するものではない。」とコメント。

 また、「中国国内の外商投資企業数は、17年連続で発展途上国トップとなっている。中国が絶えず法整備を行うことで、外資企業の中国における正当な権利を保護しているためだ。外資企業も中国の法規を遵守する責任と義務があり、法律に違反した場合は、かならず法律に則って処罰する。」と述べた。

新興国ニュース=中国鉄鋼業界の闇が明るみに、リオ社員拘束問題が契機

2009/07/15 MORNIBGSTAR

 英豪資源系大手リオ・ティントの社員4人が国家機密を盗んだとして中国当局に拘束された問題が、贈賄・詐欺などにまみれた中国鉄鋼業界の腐敗体質のあぶり出しにつながっている。インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙(IHT、電子版)が15日に報じた。

 IHT紙によると、中国国有の巨大鉄鋼メーカーは鉄鉱石の輸入ライセンスを付与されており、自社が必要とする量以上の鉄鉱石を購入することが可能。こうした大手鉄鋼メーカーは、輸入ライセンスのない小規模メーカーに対して余剰分の鉄鉱石を非合法に売ることで利益を得ているという。こうした慣習については今週に入ってからアナリストや鉄鉱石トレーダー、業界の専門家などによって詳細が明らかにされており、業界のルールを侵し、汚職の文化を育んだシステムの一部とみられている。

 中小メーカーは、規模のメリットを生かして抑制された価格で鉄鉱石を輸入できる大企業から、直接的に鉄鉱石を買い入れることを禁じられており、価格変動幅の大きい鉄鉱石マーケットから購入することを義務付けられている。中小メーカーは長らく、こうした制度を国営大企業寄りとして不満を抱えてきたとされ、ここに汚職の芽があった。中小メーカーは「隙間探し」に向かい、巨大メーカーに賄賂を贈り、余剰分の鉄鉱石を購入してきたという。巨大メーカーの中には、中小メーカーに鉄鋼石を売却するためにグループ内で独立会社を立ち上げるところもあったとの業界関係者のコメントが伝えられている。

 IHT紙は、業界当局者やリオ社員への捜査当局に近い筋の話として、今回の捜査は今や、こうした汚職やルール違反が横行する中国鉄鋼業界の暗部にまで手が伸びていると報じている。先週、当局は10人の鉄鋼メーカー幹部を尋問ないし拘束したという。

 一方で中国当局は、リオおよびリオ社員について、こうした裏取引に携わっていたという証拠はつかんでいないとされる。ただ、中国政府統制下のウェブサイトは、リオの社員が中国の国有製鉄所の生産・在庫水準が記された国家機密文書を入手するために中国の鉄鋼メーカー幹部を買収していた証拠を捜査当局がつかんでいると報じている。こうしたデータは、リオが中国の鉄鋼メーカーと行う年ごとの鉄鉱石価格交渉を有利に進める上で必要とされたと推測される。[ 株式新聞速報ニュース/SUPER−EXPRESS ]提供:モーニングスター社

中国:鉄鉱石価格、前年比33%値下げで妥結か

2009/07/15 China Press

 7月9日、中国国内メディアで、中国鉄鉱企業は鉄鉱石価格交渉について、33%で妥結すると報道されている。

 鉄鉱石価格交渉は、中国鉄鋼工業協会と英豪資源大手リオティントグループとで行われているが、難航しており、当初予定していた6月末の期限を過ぎていた。 33%の値下げについては日本・韓国がリオ・ティントと締結した値引きの割合と同様となる。

 2009年度の鉄鉱石国際公開価格会議は、6月30日に結論が出ないまま終了し、会議ではリオティントが主張する33%に対し、中国側は40%の値下げを最低ラインとして譲らなかった。

 しかし中国は会議終了以来価格交渉についての発言を一切しておらず、或いはすでに日韓と同等の値下げを受け入れたとも見られている。

リオ:中国鉄鋼メーカーに約8300億円の補償請求−21世紀経済報道

2009/07/13 Bloomberg.co.jp

 7月11日(ブルームバーグ)::中国紙、21世紀経済報道(オンライン版)は11日、英・オーストラリア系リオ・ティントが6月下旬、中国の複数の鉄鋼メーカーに対し供給契約違反を理由に最高90億ドル(約8300億円)の補償金を請求したと報じた。匿名の業界幹部の話として伝えた。

 同紙によると、リオ・ティントは、中国の鉄鋼メーカーが鉄鉱石の入荷を8カ月間にわたって延期したり取り消したりしたため、鉄鉱石事業の損失が総額50億ドル、船舶のリース費用も40億ドルに上っていると主張している。豪BHPビリトンも中国の鉄鋼メーカーに対し補償を請求したという。金額は不明。

 同紙によると、リオは合意を90%以上順守する鉄鋼メーカーとだけ鉄鉱石の供給契約交渉を続けたい意向で、順守しないメーカーは契約交渉を継続する前に補償金を支払う必要があるとしている。昨年7−9月(第3四半期)以降の世界的な経済危機の影響で鉄鋼受注が減少し、中国の鉄鋼メーカーは鉄鉱石の購入契約を履行できない状態になっているという。

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中国当局:リオ幹部を鉄鋼業界関係者への贈賄の疑いで拘束−豪外相

2009/07/10 Bloomberg.co.jp

 7月10日(ブルームバーグ):オーストラリアのスミス外相は10日、英豪系資源大手リオ・ティントの中国での鉄鉱石部門責任者であるスターン・フー氏が、中国の鉄鋼会社幹部への贈賄の疑いで拘束されていると明らかにした。中国当局の公式ウェブサイトに掲載された文書を引用して語った。

 スミス外相は豪西部のパースで記者団に対し、「上海国家安全局の情報によると、中国と外国鉱業会社との2009年の鉄鉱石交渉で、スターン・フー氏は、中国の鉄鋼会社従業員への贈賄を含む違法な方法で中国の国家秘密を盗んだとされる」と語った。

 同相によると、豪政府当局者は10日、フー氏と面会する予定。フー氏は5日に拘束され、まだ起訴されていない。豪州のラッド政権は、リオとの鉄鉱石価格交渉が手詰まり状態にある中国との関係修復に動いている。

 スミス外相は「フー氏を拘束している根拠について、中国当局にさらなる詳細を提供するよう引き続き促している」とし、「これが商業的あるいは経済的問題に関連していることは、はっきりしている」と語った。

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中国、上海でリオ・ティント社員4人拘束 「スパイ行為」容疑

2009年07月08日 NIKKEI NeT

 【シドニー=高佐知宏】中国・上海でオーストラリア人1人を含む英豪資源大手リオ・ティントの社員4人が中国当局に身柄を拘束された。オーストラリアのスミス外相は8日、容疑は「機密情報を盗んだスパイ行為」だったことを明らかにした。豪AAP通信が伝えた。4人は5日に上海市内で拘束され、当局の取り調べを受けているという。

英豪リオ・ティント、中国との鉄鉱石価格交渉は依然継続

2009年6月29日 asahi.com

 [シドニー 29日 ロイター] 英豪系資源大手リオ・ティントは29日、中国鉄鋼メーカーとの鉄鉱石価格交渉は依然続いていると表明し、6月30日までの交渉妥結を両社が断念したとの憶測を打ち消した。

 リオは年間契約価格を決める交渉の期限を6月30日としているが、アナリストは、両社は期限までに合意に達するには主張がかけ離れすぎているとの見方を示していた。

 リオの広報担当者は、期限までの妥結を断念したかとのロイターの質問に対し「依然交渉を続けている」と答えた。

 鉄鉱石のスポット価格(中国渡し)は月初来、約25%上昇して1トン当たり80ドルを超え、4カ月ぶりの高値をつけた。サプライヤーと鉄鋼メーカーが契約価格で合意しなければ、スポット市場での取引が大幅に拡大するとの観測に支えられており、過去1週間では5ドル程度上昇している。

 スポット価格は現在、日本と韓国の鉄鋼メーカーがそれぞれ33%値下げに合意して設定されたベンチマーク価格を1トン当たり12─15ドル上回る水準をつけている。

 中国の鉄鋼メーカーは少なくとも40─45%の値下げを求めて妥結を渋っているが、スポット価格の上昇を受けてサプライヤー側はより強硬な姿勢で交渉に臨みやすくなる可能性がある。

 リオとBHPビリトンは、ベンチマーク価格をスポット価格より低く設定することについて、サプライヤーにとって不公平であり、市場の需要が正確に反映されないとして反対の立場を示している。

 中国鉄鋼メーカーが30日までにサプライヤーと合意すれば、価格は4月1日までさかのぼって適用され、2010年3月31日まで有効となる。

 BHPは現状についてコメントを拒否している。

 DJカーマイケルのアナリスト、ジェームズ・ウィルソン氏は「来週にはスポット市場がより優勢になっている可能性がある」と述べ、「そうなれば相場のボラティリティーが増し、価格にはプラスになる」との見方を示した。

 リオとBHPは、中国鉄鋼メーカーは新日本製鉄<5401.T>やJFEホールディングス<5411.T>、韓国ポスコ<005490.SK>と同じ33%値下げに合意するか、さもなければスポット市場から調達すべきとしている。

アジア最大級の鉄鉱石鉱床 中国・遼寧省で発見

2009年6月29日 asahi.com

 【瀋陽=西村大輔】中国遼寧省本渓市でこのほど、アジア最大とみられる巨大な鉄鉱石鉱床が発見された。同市によると、推定埋蔵量は少なくとも30億トンとみられる。

 地元報道によると、10年に生産が開始され、15年には年産500万トンに達する見通し。今後、調査が進めば、埋蔵量は70億トン以上に達すると推測されており、世界最大の規模になる可能性もあるという。

 中国は世界最大の鉄鉱石輸入国で、年間需要の6割、約4億トンを輸入に頼っている。巨大鉱床の発見は、鉄鉱石の価格安定に寄与すると期待されている。一方、専門家からは、鉱床が深く、含有量もあまり高くないため、コストがかかるなどの懸念も指摘されている。

中銀国際:遼寧省で発見された新鉱山の業界への影響を分析

2009/06/25 Searchina

 中銀国際の研究レポートによれば、遼寧省で30億トンを超えるアジア最大の鉄鉱鉱床が発見されたとのこと。

 今回発見された鉱床は遼寧省本渓市に位置し、磁鉄鉱と赤鉄鉱の混合型。鉱石含有率は25%−62%の間とされ、鉄鉱石の推定埋蔵量は、省内の鞍山地区と本渓地区の合計に匹敵するとみられている。なお、距離の面では同鉱床から最も近いのが本鋼集団で、鞍鋼集団はやや離れているが、採掘権の帰属先が決まっておらず、上場企業に対する影響を分析することはできない。

 市場では、本鋼集団が開発権の20%を獲得し、2015年までに年産量が500トンに達するとのウワサが流れているものの、中銀国際では鞍鋼(アンガンスチール、00347)、本鋼板材(ベンガンスチール、深センA:000761、深センB:200761)とも初期的な鉱山探査の段階にあり、全面的な権益を獲得したとの情報はない、としている。

 なお、中銀国際では今回のニュースが鉄鋼業界の生産動向にプラスに働くと分析。昨年は鉄鉱石消費量12億6800万トンのうち、輸入が4億4400万トンを占めていたが、国内で賄える鉄鉱石が増加することで、輸入鉄鉱石を購入する際の価格交渉が有利になる、としている。(日本事業通信網)

中国企業、世界の鉄鉱石会社に相次ぎ出資

2009年6月24日 NIKKEI NeT

 【北京=多部田俊輔】中国鉄鋼大手の武漢鋼鉄集団(湖北省)は、ブラジルの鉄鉱石生産会社MMXグループに4億ドル(約380億円)を出資する方針を決めた。鞍山鋼鉄集団(遼寧省)もオーストラリアの鉄鉱石生産会社ジンダルビー・メタルズへの出資比率を3倍の36%に高める。世界資源大手の鉄鉱石価格交渉が難航するなか、資源中堅を囲い込むことで原料の安定調達を目指す。

 武鋼は24日までに、MMX本体に9%、MMX傘下で実際に鉄鉱石生産を手掛ける子会社に23%出資する方針を提案。MMX側も「武鋼の提案を受諾する方向で進める」と表明した。同時に、鉄鉱石調達の交渉も始めるという。

中国鉄鋼メーカー、鉄鉱石に現物価格を支払う可能性も=豪フォーテスキュー

2009年05月28日 REUTERS

 [シドニー 28日 ロイター] 豪鉄鉱石鉱山開発フォーテスキュー・メタルズ・グループ(FMG.AX: 株価, 企業情報, レポート)は28日、33%の引き下げでの鉄鉱石価格が決着しない場合、中国の鉄鋼メーカーは鉄鉱石を現物価格で買うことになる可能性があるとの見解を示した。英豪系資源大手リオ・ティント(RIO.L: 株価, 企業情報, レポート)(RIO.L: 株価, 企業情報, レポート)と日本の鉄鋼メーカーは今週、33%引き下げで合意している。

 フォーテスキューのアンドリュー・フォレスト最高経営責任者(CEO)はビジネス会議で「リオ・ティントがまとめた契約を受け入れないのであれば、中国は常にスポット価格での購入を余儀なくされるだろう」と語った。

中国の鉄鋼業界:鉄鉱石の値下げ要請を継続−日本企業が合意後も

2009/05/22 Bloomber.co.jp

 5日22日(ブルームバーグ):中国鉄鋼工業協会(CISA)は22日、同国の鉄鋼メーカーは、日本企業が鉄鉱石価格の 30−35%の引き下げで鉱山会社と合意しても引き続き値下げを要請する方針を明らかにした。中国は世界最大の鉄鋼石消費国。

 CISAの羅冰生副会長は北京で、「要請を変更するつもりはない」と述べた。中国の鉄鋼メーカーは先に、40−50%の値下げを望むと表明している。

翻訳記事に関する翻訳者への問い合わせ先:東京 堀江 広美 Hiromi Horie     hhorie@bloomberg.net Editor:Yoshito Okubo 記事に関する記者への問い合わせ先: William Bi in Beijing at wbi@bloomberg.net

<中華経済>「09年中国鉄鋼業は全面的に赤字」業界大手の幹部が発言

2009年5月19日  Record China

、中国の鉄鋼大手・宝鋼集団の徐楽江董事長はこのほど、「2009年の国内鉄鋼業界が全面的な赤字になる可能性がある」と発言した。世界的な不況を受けて諸外国が鉄鋼減産を進める中にあっても中国では依然、過剰生産が続いていることに加え、安い海外の鉄鋼に押されて販売が滞っている現状を指摘し、今後の業績についても悲観的な見通しを示した。18日付の第一財経日報が伝えた。

、低迷していた中国の鋼材価格は、4月中旬から5週連続で上昇しているものの、業界関係者は「一時的な現象にすぎない」として、悲観的な見方を崩していない。

、鉄鋼業界団体の中国鋼鉄工業協会によると、2009年第1四半期(1−3月)、中国国内の主要72社の鉄鋼企業による売上高は前年同期比21.74%減の計4499.5億元。前年同期には441.6億元の利益があったが、今期は33.08億元の赤字に転落した。徐董事長によれば、今後もこうした状況は続く見込みで、通年でも同様の結果になる可能性がある。(翻訳・編集/WT)

中国、鉄鋼を緊急減産 各社に政府命令「余剰生産能力3割」

2009年05月18日  NIKKEI NeT

 【上海=下原口徹】中国政府は国内の鉄鋼各社に減産の緊急命令を出し、生産調整に乗り出した。鉄鋼業界全体で約3割の余剰生産能力があると指摘。減産命令に従わない場合は罰則を適用する。中国では鉄鋼輸出が落ち込み内需も伸び悩むなかで、鉄鉱石や鋼材の在庫が積み上がっており、深刻化する需給のミスマッチを解消するのが狙いだ。

 中国工業情報化省が大手鉄鋼メーカーや中国鉄鋼工業協会、地方政府の工業管理部門に需要減に対応して減産するよう緊急通達を出した。中国政府が鉄鋼の緊急減産命令を出したのは初めて。

英豪リオ幹部:中国の鉄鋼加工会社、在庫積み増している可能性も

2009/05/18 Bloomber.co.jp

 5日18日(ブルームバーグ):世界3位の鉱山会社、英豪系リオ・ティントは18日、中国の鉄鋼加工会社が在庫を積み増している可能性があるとの見方を示した。鉄鋼価格が低水準にある一方、インフラ整備向けの需要があるためだ。

 リオの中国部門責任者、アンソニー・ロー氏は香港での会議で、鉄鋼メーカーも「それほど大量には鉄鋼在庫を抱えていないようだ」と述べた。同氏によると、中国では鉄鉱石鉱山の最大50%で操業が停止された可能性がある。

翻訳記事に関する翻訳者への問い合わせ先:東京 堀江 広美 Hiromi Horie     hhorie@bloomberg.net Editor:Takeshi Awaji 記事に関する記者への問い合わせ先: Kyunghee Park in Hong Kong at kpark3@bloomberg.net

中国の鉄鉱石鉱山、半数が閉鎖された可能性=リオ・ティント

2009年05月18日 REUTERS

 [香港 18日 ロイター] 英豪系資源大手リオ・ティント(RIO.AX: 株価, 企業情報, レポート)(RIO.AX: 株価, 企業情報, レポート)の中国部門マネジングディレクター、アンソニー・ロー氏は18日、鉄鉱石価格が下落して以降、中国の鉄鉱石鉱山の約半数が閉鎖された可能性を指摘した。

 そのうえで、低コストの海外の資源会社が中国に鉄鉱石を供給する機会が拡大しているとの見方を示した。

 当地で開かれた中国経済に関する会議で明らかにした。

 同氏は「海外の低コストの(資源)生産者からの輸入によって、国内生産者は行き場を失った」と指摘した。

 中国による鉄鉱石の輸入増加は、国内企業との激しい競争に慣れているリオ・ティントのような鉱山会社にとって追い風となっている。

 中国では鉄鉱石価格が高騰していたときに鉱山が次々に開発されたが、価格が下落すると、小規模の国内資源会社はコストに圧迫された。

 4月の中国の鉄鉱石輸入量は過去最高の5700万トンで、前月比9%増、前年比では33%増加した。

中国の鉄鋼業界、2009年は赤字となる可能性=宝鋼集団

2009年05月18日 REUTERS

 [上海 16日 ロイター] 中国最大の鉄鋼メーカーである宝鋼集団の徐楽江・会長は16日、記者団に対し、中国の鉄鋼業界は2009年業績が赤字となる可能性があるとの見方を示した。世界の市場が低迷する中、過剰生産状態が続いているためという。

 また、宝鋼集団としては、競争力強化のため、再編とリストラをさらに加速していく方針を明らかにした。

 中国政府は、市場が過剰供給状態に陥っているにもかかわらず引き続き生産量を拡大している鉄鋼メーカーに対し、取り締まりを強化する方針を示している。

 宝鋼集団は宝山鋼鉄(600019.SS: 株価, 企業情報, レポート)の親会社。 

海運のバルチック・ドライ指数:10日続伸−中国の鉄鉱石需要で

2009/05/15 Bloomber.co.jp

 5日14日(ブルームバーグ):世界貿易の指標となるバルチック・ドライ指数が過去3カ月で最長の上昇を示している。中国の鉄鉱石需要の拡大が要因。

 中国の鉄鉱石輸入は4月に過去最高の5700万トンに達した。中国は世界最大の鉄鉱石消費国。一方、中国の鉄鉱石在庫は今年に入って 16%増加している。中国政府は、同国の1−3月(第1四半期)の経済成長率が約10年ぶりの低い伸びとなったことから、景気てこ入れのため4兆元(約56兆円)規模の景気刺激策を実施している。

 船舶ブローカー兼コンサルタント会社ローレンツェン・ステモコ(オスロ)のディレクター、クジェティル・スジュベ氏は「鉄鉱石はどんどん消費されている」と指摘。中国では政府の景気刺激策により鉄鋼需要が拡大するとの観測を背景に、価格下落で輸入鉄鉱石と国内産との競合が激化し、在庫が増加しているとの見方を示した。

 バルチック取引所によると、バルチック・ドライ指数は前日比100 ポイント(4.3%)上昇し2432ポイントと、昨年10月9日以来の高水準となった。10営業日続伸は2月11日までの17営業日続伸に次ぐ長さとなる。

翻訳記事に関する翻訳者への問い合わせ先:東京 堀江 広美 Hiromi Horie     hhorie@bloomberg.net Editor: 記事に関する記者への問い合わせ先: Alistair Holloway in London at aholloway1@bloomberg.net

鉄鋼減産に向け緊急措置、資金の貸出制限など−中国

2009/05/13 サーチナ

 13日付21世紀経済報道によると、中国工業・情報化部はこのほど、国内の鉄鋼メーカーに対し、鉄鋼の過剰生産を抑制するための緊急命令を発し、市場の需要を顧みずにやみくもな生産を行っている企業に対する貸し出しを制限する方針を明らかにした。

 当局の金融緩和策を背景に鉄鋼メーカーによる増産の動きが活発化する中、鉄鋼の供給過剰が問題視され始めたことを受けての措置。中国鉄鋼工業協会によれば、鉄鋼業界の生産抑制策は以前からあったが、今回はこれまでの中で最も厳しい措置となる。

 同協会によれば、上海宝鋼を筆頭とする大手は市場の需要縮小を背景に、今年に入り減産を行っているものの、当局の金融緩和を受けて資金繰りが改善した中小規模の鉄鋼メーカーが生産を再開し、大手の減産分を吸収。統計対象となっている国内72社の1−3月の粗鋼生産は前年同期比1.4%増の1億2740万トンに増える一方で、粗鋼販売は1億2630万トンにとどまり、供給過多が鮮明となった。

 企業は在庫圧力に苦しんでおり、1−2月の国内主要鉄鋼企業の最終損益は昨年10月以降5カ月連続の赤字となった。

 中国工業・情報化部では、生産技術が立ち遅れた設備を閉鎖した企業に奨励金を支給することも検討中という。(情報提供:東亜通信社)

中国1−3月 主要鉄鋼企業の売上2割減 赤字転落

2009/05/01 サーチナ

 鉄鋼業界団体の中国鋼鉄工業協会によると、2009年第1四半期(1−3月)、中国国内の主要72社の鉄鋼企業による売上高は前年同期比21.74%減の計4499.5億元だった。前年同期には441.6億元の利益があったが、今期は33.08億元の赤字に転落した。4月30日付新京報が伝えた。

 同協会の戚向東・常務副理事長によると、4月以降、建材などの鉄鋼製品は販売が上向くと見られるが、熱間圧延製品ではいつになれば回復の傾向が現れるか、予測できない状況だという。(編集担当:恩田有紀)

上海宝鋼がまた値下げ、4−6月は赤字か

2009年04月28日 東亜通信社

 28日付で第一財経日報によると、中国鉄鋼大手の上海宝鋼集団公司は27日、6月の鋼材出荷価格を引き下げると発表した。値下げするのは低炭素熱延コイル、厚板などで平均値下げ幅は1トン当たり200−300元となる。

 同社の値下げは3カ月連続。国内外の景気悪化に伴う鉄鋼需要の縮小が背景にある。アナリストによれば、連続の値下げで同社の4−6月は赤字となる公算が大きい。たとえ赤字を免れたとしても、株投資など本業以外での収益が貢献するものとみられる。

世界の鉄鋼企業、躍進する中国企業と減産する日本企業

2009/04/08 サーチナ

 『日本経済新聞』の報道によると、中国鉄鋼大手の世界鉄鋼企業における順位上昇や、コスト競争力の向上により、日中鉄鋼大手の世界市場における競争は激化の様相を呈しているという。

 この報道は英国の金属専門誌が発表した2008年世界大手鉄鋼企業生産高ランキングを引用し、アルセロール・ミッタル社と新日本製鉄は依然として1位と2位を占めているが、中国鉄鋼業の再編により、中国鉄鋼企業最大手である「宝山鋼鉄」は前年の5位から3位に上り詰めたと説明した。これと同時に、日本のJFEスチールは3位から5位に転落。「宝山鋼鉄」のほか、中国の「河北鋼鉄集団」、「武漢鋼鉄」、「江蘇沙鋼集団」も世界鉄鋼企業上位10位にランクインした。

 中国鉄鋼業産業も同様に世界金融危機の衝撃を受けているが、中国政府は内需拡大のための多額投資を行っており、中国市場の鋼材需要は回復傾向にある。一方、日本の鉄鋼企業は2008年秋から大幅減産を余儀なくされ、そのため、2009年の世界鉄鋼企業ランキングでは日本企業の順位は引き続き下がることが予想される。

 勢力を拡大している中国鉄鋼企業は最先端技術に目をつけ、国際市場の大幅開拓、海外鉄鋼企業の買収加速化を進め、新日本製鉄を代表とする日本の鉄鋼大手にプレッシャーを与える。日本の企業は挑戦を受け、やむを得ず再編することになるかもしれない。日本政府は大手鉄鋼会社の合併、再編について検討しており、鉄鋼企業の新技術開発の加速化や海外市場開拓の強化を図る方針だという。

不況もどこ吹く風、中国の地下資源買収攻勢

2009/02/18 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 北京=李明振(イ・ミョンジン)特派員

 世界的な景気後退にもかかわらず、中国は潤沢な資金力を武器に全世界で鉱物・エネルギー資源を相次いで取得している。昨年末現在で1兆9500億ドル(約180兆円)という世界最大の外貨準備高を誇る中国は、過去1週間でオーストラリアの資源大手2社への出資拡大と買収を相次いで決定した。

◆経営難の資源会社に食指

 16日のロイター通信によると、鉄鉱石の輸出入を手掛ける国営企業の中国五鉱集団は、オーストラリアの鉄鉱石採掘大手のOZミネラルズを17億1000万ドルで買収することを提案した。鉄鉱石相場の暴落で経営難に陥ったOZミネラルズの負債を引き受け、時価を50%上回る水準で全株式を取得する条件だ。

 また、国営企業の中国アルミ(チャイナルコ)は今月12日、英豪系資源大手のリオ・ティントに195億オーストラリア・ドルを追加投資し、出資比率を現在の8%から15%に引き上げることを提案した。中国の海外投資としては最高額だ。投資財源は中国開発銀行(CDB)など国策銀行が拠出するという。昨年12月には中国の3大亜鉛メーカーの一角を占める「深セン市中金嶺南有色金属」がオーストラリアの亜鉛採掘会社ペリルヤの株式50.1%を取得することで合意した。

 中国は昨年9月に金融危機が本格化して以降も海外の油田開発や石油資源確保を続けている。17日付中国紙・第一財経日報は、石油大手の中国石油天然気(ペトロチャイナ)関係者の話として、中国政府が外貨準備高の一部を取り崩し、海外でのエネルギー探査のためのファンドを設立することを検討中だと伝えた。海外油田に投資する中国企業に長期低利融資を提供することが目的だ。

 昨年末には中国業界2位の中国石油化工(サイノペック)が5億6100万ドルを投資し、オーストラリアのAEDオイルの株式60%を取得した。温家宝首相は昨年10月末にロシアを訪問した際、250億ドルの借款を提供し、20年間にわたり原油の現物供与で償還を受ける契約を結んだ。また、中国の石油関連企業は同月、ブラジル石油公社(ペトロブラス)に100億ドルを投資し、共同で海底油田開発を進めることでも合意した。

◆外貨準備の投資先を多角化

 中国の相次ぐ資源買収攻勢は、経営難に陥った資源会社や経済危機が深刻な国がターゲットだ。中国の立場から見れば、▲不足する天然資源を安価で確保▲世界の景気回復で差益に期待▲米国債などドル資産に偏った外貨準備の投資先を多角化する−という狙いがある。温首相も自ら「資源確保に資金は惜しまない」と発言している。

中国に追加値上げ要請 ヴァーレ 来週、鉄鉱石で協議

2008/10/10Fujisankei Business-i

 世界最大の鉄鉱石生産会社であるブラジルのヴァーレは、来週に中国の複数の鉄鋼メーカーと協議し、鉄鉱石の追加値上げを要請する方針だ。

 中国鉄鋼工業協会(CISA)の単尚華事務局長は電話インタビューで、中国で行われる予定の協議にヴァーレの副社長が出席することを明かした。ヴァーレ側は電子メールで、報道機関を通じて事業方針を協議することはないとしている。

 信用不安をきっかけとした世界的な景気後退への懸念が広がるなか、ヴァーレは欧州の鉄鋼メーカー向け価格と同水準とするよう、アジアで鉄鉱石の値上げを要請している。

 ヴァーレが9月9日に語ったところによると、アジア地域の鉄鉱石価格は、欧州よりも、11から11.5%程度安いという。

 同社は値上げをすることで、英・豪系の同業で世界第2位のリオ・ティント、英系で3位のBHP・ビリトンの販売価格にそろえることを要望。リオ・ティントとBHPは、97%の値上げに成功しているが、ヴァーレは現在71%にとどまっている。

 ただ、オーストラリアの鉄鉱石生産会社のマウント・ギブソン社によれば、中国の鉄鋼メーカーはすでに鉄鉱石の需要を減らしており、鉄鉱石生産会社に対して鉄鉱石の出荷を延期するように依頼しているという。

 上海の大和セキュリティーグループのアナリスト、ヘレン・ラオ氏は「中国の鉄鉱石需要は、中国の経済成長が鈍化すれば、09年にはおそらく、減少するだろう」と語り「ヴァーレが値上げを協議するには、時期が良くないし、あまり有用なこととは思えない」との意見を述べた。

 ヴァーレが一部の鉄鉱石の出荷を停止したことを受け、武漢鋼鉄など中国の鉄鋼メーカーは、すでに中国産の鉄鉱石を利用している。

 単事務局長は「現在保有する鉄鉱石の在庫と、中国国内で採掘される鉄鉱石で十分に操業を維持できる」と指摘。また、国内の鉄鉱石採掘量は、需要を上回っており、結果として在庫は増えている状況だと語った。

 上海の連合金属(UMETAL)のリサーチャー、フー・カイ氏によれば、中国の鉄鉱石の在庫は、年初より65%増加し、7100トンに達しているという。

 中国の鉄鋼メーカーと鉄鉱石生産会社の間には長期契約が結ばれているが、毎年、価格に関する協議が行われている。(Helen Yuan)

首鋼など中国の鉄鋼4社、協調で2割減産 新華社系サイト伝える

2008年10月06日 NIKEII NeT

 【上海=渡辺園子】新華社系のサイト「新華網」によれば、首都鋼鉄集団(北京市)など中国の鉄鋼4社はこのほど河南省で会合を開き、協調減産に合意した。全体の減産幅は2割前後になるという。自動車などの需要減で下落している鋼材価格の維持に加え、鉄鉱石など高騰している原材料の輸入抑制が狙いとみられる。

 減産の必要性で一致したのは首鋼、河北鋼鉄集団(河北省)、山東鋼鉄集団(山東省)という華北地域の大手3社と、安陽鋼鉄(河南省)。安鋼の関係者が新華網に明らかにした。約2割の減産は既に実施済みの措置と今後の計画の合計といい、期間などは明らかにしていない。4グループの粗鋼生産能力は合計で年間約1億トン。

 中国の粗鋼生産量は1―8月で前年同期比8.3%増の3億5100万トン。2ケタ増が続いていた2007年までと比べ減速が目立っている。(21:01)

鉄鋼産業の高度成長期は終息−宝鋼集団董事長

2008/09/30 サーチナ

 中国の鉄鋼大手、宝鋼集団(上海市)の徐楽江董事長は28日の業界シンポジウムで、鉄鋼産業の高度成長期はすでに終息したとする見方を示した。新華社が28日付で伝えた。

 董事長によると、中国の粗鋼市場は2006年以降、供給過多の状態にある。とりわけ08年以降は、世界経済の減速に伴う需要縮小が目立ち、鉄鋼企業の収益力を圧迫した。また環境保護意識の高まりや原燃料高を受けた代替製品の台頭も市場競争の激化をもたらした。

 供給過多による各社の減産が響いて、国内の08年1−8月の鋼材生産量は前年同期比10.1%増の3億9982万トンと、伸び率は前年同期より14ポイント低下。8月単月の生産量は6.3%減の4780万トンとなり、ここ数年来で初のマイナス成長に転じた。

 董事長は「M&A(企業の買収・合併)を通じた企業規模の拡大と、環境保護に適応するための技術革新力の向上が、鉄鋼企業の今後の生き残りをかけた経営戦略の二本柱となる」と述べた。 ※情報提供:東亜通信社 URL:http://www.toanews.com/

中国鉄鋼企業:宝鋼に次ぎ、値下げを実施

2008/09/24 China Press

 9月23日、中国最大の鉄鋼企業、宝鋼(上海宝山鋼鉄)が11月期鋼材価格値下げ実施発表後、沙鋼集団有限会社、南京鋼鉄聯合有限会社など、国内鉄鋼企業数社が相次いで値下げ予定を発表した。

 業界アナリストは、「これら鉄鋼企業の値下げ実施によって、国内鋼材市場における供給価格は引き続き据え置きとなる見込み」と見解を示した。

 南京鋼鉄聯合有限会社は11月鋼材価格を1トンあたり100―200元(約1548―3097円)引き下げ、沙鋼集団有限会社は1トンあたり100元値下げする予定。

 広東南方鍍亜鉛板有限会社は1トンあたり390元(約6039円)と、大幅な値下げに踏み切る。

 現在、鉄鋼在庫量も増加しており、業界筋は「在庫の増加が続けば、鉄鋼企業は一部操業停止、減産を実施する可能性が高い」と見ている。

 聯合金属網アナリストの張平氏は、「鋼材価格は現在、生産価格に迫りつつある。減産のほか、鉄鋼企業によるコスト調整も実施しなければならない」と語った。  (China Press 2008:HD)

宝鋼:11月期鉄鋼価格、1トンあたり800元値下げを予定

2008/09/22 China Press

 9月22日、中国最大の鉄鋼企業、宝鋼(上海宝山鋼鉄)は2008年11月期自社の鉄鋼価格を1トンあたり800元(約1万2581円)値下げすると発表した。

 2008年、鉄鋼を材料とする鋼材生産量が急速に減少し、さらに一時的に成長率はマイナス成長に落ち込んだ。

 2008年1―8月期、中国鋼材生産量は3万9982トンと、前年同期比10.1%増加したが、生産量増加率は前年同期比14%減少した。

 鋼材業界の低迷をうけ、宝鋼集団CEOの徐楽江氏は、「鋼材業界の低迷がが持続した場合、2008年中国年間鋼材生産量は5億トンを下回るため、需要の減少から宝鋼社の鉄鋼生産量、鉄鉱石などの鉄鋼原材料価格も低下する見込み」と、語った。  ( China Press 2008:TY)

粗鋼生産量:2億1611万トン 1−5月実績

2008/06/19 中国情報局

  国家統計局によると、中国の2008年1−5月における粗鋼生産量は前年同期比9.4%増の2億1611万トンだった。うち5月単月の実績は前年同月比10.5%増の4601万トンだった。

  また鉄鉱石の生産量は1−5月が26%増の3億1091万トン、5月が28%増の7549万トンだった。16日付で世華財訊が伝えた。(編集担当:菅原大輔)

【数字でみるアジア】(17)鉄鉱石輸入8・7倍の3億8400万トン

2008/06/18 FujiSankei Business i.

 中国の鉄鉱石輸入量は経済成長に合わせて急増し、1996年の4400万トンから2007年には約8・7倍の3億8400万トンにまで拡大している。中国の鉄鋼需要はさらに拡大するとみられている。

 中国は産業発展や都市化などによって鉄鋼需要が急増している。沿岸都市部だけでなく内陸部の都市などでも鉄道、ビルや橋梁(きょうりょう)などのインフラ整備によって鉄鋼需要が増加。さらに、国家政策で進める造船業界の育成や、自動車、家電産業の成長が鉄鋼需要を大幅に押し上げている。

 ただ、100世帯当たりの自家用車普及率は日本の116台に対して中国はわずか4台にすぎず、丸紅経済研究所では「中国の鉄鋼需要の拡大過程のほんの始まりにすぎない」として、さらに爆発的な需要増があると予測している。(坂本一之)

五輪期間中:政府政策により鉄鋼価格上昇か

2008/06/13 China Press

 6月13日、北京五輪開催期間中、政府環境保護政策の実施によって、華北地域の鉄鋼企業が操業を停止し、生産量が減少する可能性が高いとのこと。

 生産量減少による供給への影響懸念から、価格が上昇する可能性もあるという。

 業界アナリストは操業停止対象となる地域について、「北京市、天津市、河北省、山西省、内モンゴル自治区、山東省が対象となる見通し」と述べた。

 鉄鋼企業大手の首都鋼鉄グループは昨年、北京五輪期間中の同社生産量を毎月20万トンに抑制すると公布。同社の1ヶ月生産量がおよそ48万トンであることから、生産量は半分以下となる。

 また、河北省唐山市政府は、省内の鉄鋼企業23社に五輪開催期間中の操業停止、生産量の抑制指示を通達している。

 業界アナリストはすでに発表された操業停止、閉鎖、減産となる企業リストに基づいて、1ヶ月あたりの減産量は198万トンと予測している。(China Press 編集:TY)

鉄鋼業再編加速 中国最大の鉄鋼グループが誕生

2008年06月13日 チャイナネット

 河北省の孫瑞彬副省長は、河北省党委員会、省人民政府の承認を経て、唐鋼グループと邯鋼グループを統合し、「河北鉄鋼グループ」になると明らかにした。峰峰グループと金能グループも「冀中エネルギーグループ」に再編され、統合後「河北鉄鋼グループ」は、中国最大の鉄鋼グループになる。

 河北省の2007年の鉄鋼生産高は1億トンを上回り、粗鋼、鋳鉄、鋼材、鉄鉱石の生産高は6年連続で全国トップだった。鉄鋼業は河北省の経済発展にとって一番の戦略的支柱産業である。しかし、域内の鉄鋼業の産業集中度が低く、製品の競争力も弱く、資源や環境面の圧力が大きいなどの問題を抱えている。

 鉄鋼と石炭企業の二大グループの統合は、河北省党委員会と省人民政府が省全体の実情を基に、国内外の産業発展のすう勢に順応し、省内の産業の集中度や、企業の綜合的な競争力を高めるうえでの重大で戦略的な決定である。

 河北省の鉄鋼産業は、徐々に曹妃甸や京唐港、黄?港一帯にシフトする。河北省は今後、製品や品質、効率の面で力を入れ、省内鉄鋼産業チェーンの一層の開拓や、鉄鋼製品の付加価値を高めて、「鉄鋼大省」から「鉄鋼強省」に転換することを目指している。

 「河北鉄鋼グループ」は7月中旬に新しい社名でスタートする。

FMG:宝鋼集団に年間2000万トンの鉄鉱石を供給

2008/06/03 China Press

 6月3日、オーストラリア、フォーテスキュー・メタルズ(FMG)は先頃、17万トンの鉄鉱石を中国鉄鋼業大手の宝鋼集団に向けて輸出した。

 現在、宝鋼集団は2008年の鉄鉱石価格について、BHPビリトン社、リオ・ティント社との交渉に臨んでいる。

 FMG社はオーストラリア鉄鉱石企業のなかでも、近年の成長スピードが最もめざましい企業であるという。また、現在FMG社と鉄鉱石供給契約を締結した中国鉄鋼企業は20社以上にのぼるとのこと。

 同社は鉄鉱石埋蔵量10億トンの鉱床を発見しており、2010年には年間生産量が1億トンにのぼると予測された。

 契約により、FMG社は今後十年間宝鋼集団に毎年2000万トンの鉄鉱石を供給する。(China Press 編集部:ZK)

中国鉄鋼工業協会、鋼材を輸出制限

2008/05/30 China Press

 5月30日、中国鉄鋼工業協会によると、インフレ抑止のため、中国の鉄鋼業は国内市場を満たすことを優先し、今後は鋼材輸出を制限する政策が採用されることが明らかとなった。

 統計によると今年1月?4月間、世界の粗鋼生産量は4億5728万6000トンで、増幅は同期より4.2%減少した。そのうち、中国での鋼材生産量と輸出量が大幅に減少し、世界の鋼材供給に大きな影響をもたらした。

 生産コスト高の影響で、中国国内鋼材価格も上昇し、鉄鋼生産の原材料である石炭・コークス・鉄鉱石価格も高騰に至った。

 中国政府は鋼材の国内需要を満たすことを主として、鋼材輸出制限政策を採用し、これにより国際資源・エネルギー価格の安定にも貢献できると見込んでいる。 (China Press 編集部:ZK)

中鋼協:鋼材輸出量が大幅減少

2008/05/30 China Press

 5月29日、中国鋼鉄工業協会(中鋼協)の責任者は、「今年1―4月、中国の鋼材・鋼片輸出量が持続的に減少しており、鋼材の輸出過剰を抑制する政策に効果が現れた」と述べた。

 中国税関によれば、1―4月の鋼材・鋼片の輸出量は1625万1000トン、前年同期比768万1000トン、32.1%減少したとのこと。

 現在の状況を維持できれば、2008年通年の輸出削減量、2000万トンの目標を達成できる見込み。

 しかし、中国の鋼材輸出量が大幅に減少したため、国際的に鋼材供給がひっ迫情勢となっている。現在、供給量の減少によって価格が高騰している。

 国際鋼材価格の上昇に伴い、中国国内の鋼材価格を引き上げ、鉄鋼生産のための石炭、コークス、鉄鉱石価格も上昇した。

 中鋼協は、「中国は、国際市場の供給・需要情勢、国際鉄鋼価格動向が国内市場に与える影響などに関心を持ち、国内市場の需要を満たした上で輸出する」とコメント。(China Press 編集部:AY)

中国の粗鋼輸出量が37%減―第1四半期

2008/05/01 中国情報局

 中国の粗鋼輸出量は2008年第1四半期(1−3月)、前年同期比36.72%減の771.23万トンだった。

鉄鋼業界団体:粗鋼生産量最大5.4億トン−08年

2008/04/18 中国情報局

 中国鉄鋼工業協会の羅冰生常務副会長は10日、上海市内で開かれたフォーラムで中国の2008年における粗鋼生産量は5.2億−5.4億トンになるとの予測を示した。伸び率は6.3−10.4%で07年実績を下回る見通しだという。

 羅氏は「今年は国際的に鋼材の需給ひっ迫状態が大幅に緩和されるだろう。こうしたことは中国の鉄鋼業界の生産や輸出に大きな影響を与える」と語った。10日付で新華社が伝えた。(編集担当:菅原大輔)

粗鋼生産量:1−3月は9%増の1億2000万トン

2008/04/18 中国情報局

 国家統計局は16日、中国の2008年第1四半期(1−3月)における粗鋼生産量は前年同期比8.6%増の1億2494万トンだったと発表した。うち3月実績は前年同月比12%増の4487万トンだった。16日付で文華財経が伝えた。(編集担当:菅原大輔)

中国企業、インドの鉄鋼業へ初の投資

2008-04-14 LONG-NET.COM

 中国五鉱集団と新興の鋳管鉄鋼工場とインドの合資方が共同で設立した新インド鉄鋼有限公司の定礎式が2月28日インド南部カナダカバンで行われた。これは、中国企業が投資のかたちでインドの鉄鋼業に参入した最初のものである。規定によると、新インド鉄鋼有限会社の計画は3期に分かれる。初期は年生産高200万トンの球団工場、2期は600万トンまで増産し、三期に年生産高250万トンの鉄鋼所を建設する、というものである。

中国鉄鋼業:高値時代形成、大型企業が投資方向に

2008年04月02日 IB Times

 「2008年鉄鋼業界投資分析研究フォーラム」で、鉄鋼業界の専門家の多くは、「今年、中国、また全世界の鋼材価格は、昨年の高値に基づいて高止まりする。」と予測した。

 鋼材価格高騰

 現在、原材料価格の持続的な上昇によって、中国全土における各大型鉄鋼企業は鋼材の生産価格を引き上げている。

 上海宝山鋼鉄集団股フェン有限会社(略称:宝鋼)は、今年第1四半期の価格を5%上昇させ、第2四半期価格を15%上昇させるという。

 武漢鋼鉄股フェン有限会社(略称:武鋼)は4ヶ月連続となる鋼材価格値上げを実施し、増え幅は20%に達したとのこと。

 中国鋼鉄工業協会の統計データによれば、2008年2月末、中国国内ならびに国際鋼材価格指数は再び最高記録を更新したという。中国国内の鋼材価格指数は135.17ポイント、海外では200.9ポイントにのぼった。

 2008年も中国の鋼材市場は価格高騰情勢が続くと見込まれている。

 鋼材需要量は旺盛

 インターネットサイト「我的鋼鉄」アナリストの賈良群氏によると、今年も中国鉄鋼市場の全体的な情勢は良好で、鋼材需要量も旺盛であるという。

 同氏によると、「2008年、国際経済の成長スピードはやや減速したが、全体的に高いレベルを維持し、発展途上国による鋼材需要量を牽引する力が依然として大きいと見られている。資源の制限による供給問題とコスト上昇が2008年の鋼材市場価格を引き上げた主な原因と見られており、旺盛な国内需要が、鋼材価格の高止まりを維持する根本的な部分。」とコメントされている。

 関係機関の予測では、今年、中国の固定資産投資と不動産投資は23%ほどの成長スピードを維持し、主要鋼材消費業界は比較的高速な成長ペースを保ち、建築鋼材の需要量が大きいと予測されている。

 大型企業の投資方向

 中国鋼鉄工業協会副秘書長の遅京氏によれば、生産コストの上昇、鋼材価格高騰の状況を受け、特色のある地方鉄鋼企業、特に大型鉄鋼企業が、中国鉄鋼工業業界の投資スポットになるという。

 中国鋼鉄工業協会の統計データでは1996―2006年の十年間、中国鉄鋼工業の固定資産投資額は1兆2492億1000万元(約17兆7308億円)、毎年平均14.84%増加した。

 「十五」(約2000―2005年の第10次5カ年計画期)期間中、銑鉄、粗鋼と鋼材の生産能力は平均20%以上拡大したという。

 粗鋼生産量上位10位の鉄鋼企業の利益は、全国重点鉄鋼企業利益の55.76%―64.68%を占めるという。

 特に、2005年、中国国内鋼材市場の価格が大幅に下落した際、多くの鉄鋼企業が一時的に赤字となったが、この10社の鉄鋼企業利益は変わらず全国重点鉄鋼企業利益の64.68%を占めた。このような大型鉄鋼企業は、リスクに対抗する能力に優れていると見られる。

 産業集中度を上昇させ、特色ある地方鉄鋼集団を発展させることが、中国鉄鋼業界の投資スポットと見られている。

中国の鉄鋼業、最大規模の構造再編へ

2008年03月20日(情報源:中国国際放送局) 中日之窓

 中国鉄鋼工業協会の張暁剛会長は北京で、「今後3年間の間に、中国の鉄鋼業はこれまでで最大規模の構造再編を行うことによって、2010年までにトップ10社の生産能力を全国鉄鋼業の50%にする目標を達成したい」と述べました。

 これは第11期全人代第1回会議報道センターがこのほど行った記者会見で述べたものです。

 今年、鉄鉱石の価格は65%高騰し、鉄鋼業の生産コストに大きな圧力となりました。また、海外大手製鉄メーカによる企業買収の動きも中国鉄鋼産業のレベルアップの必要性を加速させました。このほど、世界大手鉄鋼メーカであるインドのアルセロール・ミタルグループは中国東方集団を買収しました。

 中国鉄鋼工業協会の張暁剛会長は、「アルセロール・ミタルの拡張は中国だけではなく、日本や韓国の鉄鋼業にとっても圧力を感じさせるものだ。しかし、これは市場の趨勢である。中国の鋼鉄業はそれに刺激されながら、レベルアップと立遅れた生産能力の淘汰を速めていく必要がある」と述べました。

製造過程で「コバルト60混入」の可能性

2008/03/02 博士の独り言

中国鋼材30tからコバルト60、伊警察が押収

【ローマ=松浦一樹】 中国からイタリアに昨年輸入されたステンレス鋼材約30トンから、放射性物質コバルト60が検出されたため、伊警察当局が押収、搬入ルートなどについて捜査していることが分かったANSA通信が1日、伝えた。問題の鋼材は昨年5月、同国北部の商業港ラスペッツィアに陸揚げされたもので、イタリアの鋳物工場が中国の大手製鉄所から輸入した鋼材の一部。警察では、鋼材の製造過程でコバルト60が混入した可能性があるとみて、国際刑事警察機構(ICPO)に通報したという。被曝(ひばく)被害などがあったかどうかは不明。コバルト60は人工的に造られた放射性物質で、半減期は5.27年。ガンマ線源として用いられ、がん治療など医療用のほか、工業用としても広く使われている。読売新聞3月2日付記事より参照のため引用/写真は「中国鋼材におけるコバルト60検出を報じるANSA通信のニュース記事」。参照のため引用。 ----------

各国も同所から鋼材を輸入

 表題は、読者のみなさまより教えていただいた記事情報だ、感謝する。放射性物質「コバルト 60(Co-60)」は、γ(ガンマ)線源の物質として使用される人工核種と呼ばれる放射性物質だ。製鋼工場などでは、鋼板の厚みを測定する機器に使用されているが、しかし、ご存知の通り、使用を誤れば、人体に重大な健康被害をもたらす。その意味で、一般素材に混入するようなことがあってはならない物質である。

 表題の続報(同日付)によれば、問題の鋼材には、板厚測定に「コバルト 60」が使用されている点から、支那(「中国」の敬称)の製造過程で混入した可能性は大きい、とイタリア当局は観ているようだ。この鋼材は、昨年5月までに、イタリアが支那から輸入したステンレス鋼材の一部とのこと。自動車の車体や装備器具、家庭用品(ポットなどの日常品、ベッド、流しのネットなどに使用する目的で輸入したものだが、他の350トンからは放射性物質は検出されていないようだ。

 しかし、搬入ルート、他の危険物質の有無を含めて、イタリアでは、輸入に携わった同国税関を含め、専門機関や警察機構、放射性物質の処理に精通しているコマンドチームまでを動員し、合同して捜査と検証が進められている模様だ。同鋼材は、クロアチア、トルコ、エジプト、ポーランド、カザフスタンなどの各国でも輸入しているようだ。あるいは、それらの国々でも、放射性物質が見つかる可能性を同記事は示唆している。

ANSA通信の続報記事より

製造過程での「混入」

 製造過程での「混入」の可能性。その点では、冷凍餃子の「メタミドホス」混入や、他の商品への農薬物混入のパターンとよく似ている。中国共産党当局は、「メタミドホス」混入が、あたかも日本の自作自演であったかの「責任転嫁」へと歩幅を広げているが、さて、今般のイタリアの場合はどうか。

 いわば、支那の製鋼工場では「コバルト 60」は検出されていない。「中国以外で混入された可能性がある」といったブラフを創り出し、輸入側のイタリアへの責任転嫁に移行するのだろうか。この鋼材の場合、輸出・搬送過程で「コバルト 60」を混入するとすれば、再鋳造でもしなければ不可能だ。そうであるとすれば、先年、欧米、カナダで膨大な数のペットの命を奪い、健康被害をおよぼした「小麦粉グルテン」のケースのように、製造関係者を直ちに処刑し、口封じに出るのだろうか。当局の対応に興味深く注目したい。短稿にて。

中国製鋼材から放射性物質 イタリア、捜査を開始

2008年03月01日 中国新聞ニュ−ス

 【ローマ1日共同】イタリアの捜査当局は、中国から輸入されたステンレス鋼材に人体に有害な放射性物質コバルト60が含まれていたとして、鋼材約30トンを押収、捜査を開始したと発表した。国営イタリア放送などが1日、伝えた。

 捜査当局は混入の経緯を明らかにしていないが、イタリアメディアは中国での製造段階で誤って混入した可能性があると報じている。

 鋼材は煙突や貯蔵タンクなど主に工業製品用で、ナイフやフォークなど生活用品には使われていないため一般市民への影響はなかったとしている。当局は国際刑事警察機構(ICPO)と協力し、中国の製造業者やイタリアの輸入元などを調べるとみられる。

 鋼材は昨年5月、北西部リグリア州の港に到着。その後、製品化のためイタリア全土の工場などに運ばれ、一部の製品は既にクロアチアやトルコなどに輸出された。

中国宝鋼、鉄鉱石の65%値上げ受け入れ

2008/02/22 NIKKEI NeT

 【上海=渡辺園子】中国鉄鋼最大手、宝鋼集団(上海市)は22日、ブラジルの資源大手ヴァーレ(旧リオドセ)と2008年度の鉄鉱石価格を07年度に比べて65%引き上げることで合意したと発表した。対象はブラジル産の粉状鉄鉱石(粉鉱石)で、65%値上げはすでに合意済みの新日本製鉄や独ティッセン・クルップなどと同じ水準。

鞍鋼:豪で鉄鉱石開発に着手

2008/02/21(木) 中国情報局

◆鞍鋼(アンガンスチール、0347)

 オーストラリアの鉄鉱石メーカーであるGindalbie Metalsは、遼寧省を拠点とする大手鉄鋼メーカーの鞍鋼と5億3400万オーストラリアドルの共同出資で合弁会社を設立し、西オーストラリアの鉄鉱石プロジェクトに着手すると発表した。

 鞍鋼は出資額のうちすでに5000万オーストラリアドルを支払っており、年内に残り3億2000万オーストラリアドルを投資。Gindalbie Metalsも1億6200万オーストラリアドルを出資する。両社は合弁会社の権益各50%を保有。同プロジェクトは2010年から生産開始を計画しており、鉄鉱石の年産量は1100万トンが見込まれている。

 このところ鉄鉱石や海運料金の高騰といったコスト高が鉄鋼企業の経営を圧迫しているなか、同社にとって鉄鉱石開発への進出は今後の成長に有利に働くとみられている。現時点で業績への影響を判断するのは難しいが、国泰君安(香港)証券は、同社のハイエンド製品を生産する技術力や業界内での高い実力などを評価し、目標株価38.9香港ドルを維持。現在の株価は割安感が高まってきていることから、レーティング「買い」を推奨している。(20日終値:18.18香港ドル)(資料提供:国泰君安証券)

第299回 鉄鋼業界の動向-その1-

2007年10月29日 CHINAVI コラム「現代中国放大鏡」

2006年6月のアルセロール・ミタル社の誕生は世界に衝撃を与えましたが、中国でも既にミタル社が湖南省の華菱管線社の株36.673%を、アルセロール社も莱蕪鉄鋼の株38.41%を取得しています。世界的な鉄鋼業界再編の中、中国政府は2005年7月に国内の業界再編に向け『鉄鋼産業発展政策』を打ち出し、2010年に年産3000万トンクラスの超大型企業を二つ誕生させる目標を掲げました。これを受け、同年8月:鞍山鉄鋼と本渓鉄鋼が鞍本鉄鋼に/10月:首鋼と唐鋼が合弁で首鋼京唐鉄鋼社を設立し曹妃甸に年産1500万トンの鉄鋼基地を建設/12月:柳州鉄鋼と武漢鉄鋼が武鋼柳鋼連合になり、防城に1000万トン級の鉄鋼基地を建設/2006年1月:宝鋼と馬鋼が戦略的提携/2月:河北省、唐鋼・宣鋼・承鋼が河北唐鋼(年産1607万トン -2005年実績)に/3月:宝鋼と新疆八一鉄鋼が戦略的提携/7月:山東省、済鋼・莱鋼合併計画実施段階に、と再編が加速、最近でも2007年7月に宝鋼と包頭鉄鋼の戦略的提携が実現しました。

2006年、中国の鉄鋼業は史上最高の利潤を達成(税込み利益2795億元、前年比23.95%増)、粗鋼生産量は4億1878.2万トン(前年比18.48%増)で、世界全体の33.79%を占め、12年連続鉄鋼生産世界一を占めました。しかし、その一方で、製鉄企業は6686社(2005年末)を数え、例えば唐山1市だけでEUを上回る製鉄企業があるなど、零細で設備の粗末な中小規模の企業が多く、上位4社の粗鋼生産に占める割合は、日本75%・EU72%などに比べわずか18.52%しかありません。“三高両低” (エネルギー消費・汚染度・対外依存度が高い/集中度・付加価値が低い)で「質が悪く、品種が少なく、利益効率が低い」というのが中国鉄鋼業に対する評価になっているのです。

国家発展改革員会は1080万トンの製鉄能力と480万トンの製鋼能力を停止させることを目標とした、18の省区との『旧式鉄鋼生産能力(第2陣)の停止と淘汰に関する責任書』調印に向けた協議を2007年5月から開始しました。鉄鋼生産量全国一の河北省は、2006年に国家発展改革委員会などが連名で発した『河北省新規増鉄鋼生産能力の整理による鉄鋼業構造調整に関する通知』に則り、2007年末までに26社を淘汰する方針で、電力や水の差別価格や違反企業に対する営業停止処分・水や電力の供給停止といった強硬手段も辞さない覚悟です。

鞍鋼:年末にも鉄鋼大手の買収完了

2007/08/07 中国情報局

◆鞍鋼(アンガンスチール、0347)

 鉄鋼業界最大手の上海宝鋼集団が今年4月に新疆八一鋼鉄の買収に踏み切ったほか、最近では武漢鋼鉄が昆明鋼鉄の買収に名乗りを上げるなど、鉄鋼業界ではM&Aの動きが加速している。

 そんななか、鞍鋼(アンガンスチール、0347)による本渓鋼鉄(製鉄能力:年産670万トン)の買収作業が年末にも完了する見通しであることが判明。実現すれば2008年の生産力が2260万トンに、10年には3000万トンに拡大し、国内第2位の生産量を誇る大型鉄鋼グループが誕生することになる。

 また、業務効率の改善や共同研究によるR&D費用の削減、熱延鋼板や冷延鋼板などハイエンド鋼材の生産力の増強なども指摘されている。さらに、同社では原料となる鉄鉱石の自社産出比率が80%と高く、市場価格の上昇の影響を最小に抑えることができるところがメリットであるが、合併後には自給率が向上するとの観測もある。

 大福証券では同社の07年通期純利益を前年比19%増の84億6000万元、08年は同35%増の113億9900万元と予想。目標価格は07年予想PER(株価収益率)15倍に相当する22.5香港ドルに設定している(8月6日終値:20.8香港ドル)。(資料提供:大福証券)

鋼材輸出を抑制 貿易摩擦回避へ追加措置 政府主導で鉄鋼再編加速も

2007/05/05 FujiSankei Business i.

 中国の鋼材輸出に歯止めがかからない。欧州連合(EU)は安価な鋼材輸入ラッシュに警戒感を強めており、4月以降、反ダンピング(不当廉売)措置適用の検討に入った。一方、中国政府は欧米保護主義の台頭を抑えようと摩擦回避に向けて15日から追加の輸出抑制策を実施する。中国による鋼材輸出ラッシュは、地方経済を支える鉄鋼メーカーの生産過剰体質の側面もあり、政府主導で鉄鋼再編が加速する可能性もある。(上原すみ子)

 中国鋼鉄工業協会によると、2006年の鋼材輸出は、前年比ほぼ倍の4300万トンと世界最大の輸出国として不動の地位を築いた。中国政府は昨年9月に鋼材の増値税還付率11%を8%へ引き下げたが、輸出拡大傾向に改善はみられず、今年1−3月の鋼材輸出は前年同期比で倍以上の1412万トンにのぼり、勢いが衰えていないことを証明した。

 国内の生産能力拡大に歯止めがかからない中で、国際価格が国内価格より高いことも輸出抑制策の効果を相殺しているのが実情だ。

 このため商務省は、4月15日から、鉄鋼製品159品目のうち、約半分に相当する83品目について輸出時に適用してきた増値税(付加価値税の1種)の還付を撤廃。実質的な輸出税の増税を強化した。残りの品目についても還付率を8%から5%に引き下げた。

 当面は同措置の効果を見極める予定だったが、政府は4月上旬に欧州連合(EU)の欧州委員会が、EU向けの鋼材輸出を抑制するよう警告し、反ダンピング(不当廉売)などの対抗措置を取る方向で検討に入ったことを重視、商務省は追加の鋼材輸出抑制策を決定した。

 今月20日から熱延コイルなど一部鋼材の輸出に対し輸出許可制を導入する。輸出業者に対して輸出許可証の取得を義務づける方針で、貿易摩擦を回避したいとの思惑がある。 

 中国では、従来、鋼材輸出は外貨獲得手段として重視され、輸出奨励のために、国内でかかる17%の増値税の一定額を還付する仕組みだった。

 ところが、低価格鋼材の輸出ラッシュが欧米との貿易摩擦を引き起こしていることから、輸出抑制策で膨張する貿易黒字拡大を抑え込む。 

 だが、鋼材の輸出ラッシュ抑制は一筋縄ではいきそうにない。鉄鋼メーカーの過剰生産体質と裏表の関係だからだ。中国政府は、05年7月に策定した「鉄鋼産業発展政策」に沿って鉄鋼産業の生産効率化を目指し、不効率で、老朽化するミニ高炉の廃止や業界の集約と淘汰を進めているが、雇用や経済成長を優先したい地方政府の思惑が立ちはだかり、思うように進んでいないのが実情だ。

 06年の粗鋼生産量は前年比18・4%増の4億1878万トンと需要を大幅に上回っており、輸出依存体質の国内鉄鋼各社の整理統合がさらに進む可能性もある。

鉄鋼輸出額が最高 4年連続 韓国・中国向け牽引 06年度

2007/05/03 FujiSankei Business i.

 日本鉄鋼連盟が2日発表した2006年度の鉄鋼輸出実績概況によると、輸出総額は前年度比12・0%増の332億5700万ドルと、4年連続で過去最高を更新した。韓国、中国向けが大幅に増加したのが要因。輸出総量は12・0%増の3591万トンで1976年度、02年度に次ぐ3番目の高い水準だった。

 輸出先トップは、造船向け鉄鋼需要が旺盛な韓国で、15・4%増の892万トン。2位は経済成長が続く中国で、15・4%増の640万トンだった。

 米国向けは21・6%増の196万トン。日米鉄鋼摩擦の最中だった98年度は637万トンだったが、貿易制裁措置などにより03年度には116万トンまで減少していた。

今年第一四半期の中国鉄鋼業、高い成長率に

2007-04-30 CRI

 今年の第一四半期、中国鉄鋼業の発展の勢いは良好で、供給と需要のバランスが取れており、鉄鋼生産と輸出は高い成長となっています。

 中国鉄鋼工業協会の羅氷山副会長は29日の記者会見で、「第一四半期、中国が生産した粗鋼は1兆1470万トンあまりに達していて、去年の同じ時期より20%増えた。銑鉄と鋼材も大幅な成長を遂げ、鉄鋼の輸出も高い成長を保って、輸出は去年の同じ時期より125%も増えた」と述べた上で、「今年の下半期、中国はさらに鉄鋼製品の構造を改善し、遅れている生産設備を淘汰し、省エネ、汚染排出防止を重点とした鉄鋼産業の生産方式の転換を促していきたい」と述べました。

岩永正嗣:中国の鉄鋼生産過剰を懸念−経産省

2007/03/20 中国

経済産業省 鉄鋼課課長補佐 岩永正嗣氏

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  鉄が「熱い」。日本では大手鉄鋼メーカーの好業績が発表されたが、世界的には鉄鋼メーカーの再編が加速。一方、中国では近年、鉄鋼生産量が急増し、2006年には世界全体の3分の1を占めるようになった。中国の鉄鋼業界の動向が日本としても無視できない状況に発展している。中国の鉄鋼業界をめぐる問題や日本との関係について経済産業省鉄鋼課の岩永正嗣課長補佐に話を聞いた。

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……鉄鋼をめぐる日本と中国の関係を教えて下さい。

 日本の鉄鋼業界は構造的な不況業種で長きにわたって低迷してきました。厳しいリストラを強いられてきた業界ですが、この2、3年は今までと打って変わって非常に好調です。人員・設備面でのリストラや業界再編など自助努力を進めたことが1つの要因ですが、他方で中国の急成長も大きい。日本の鉄鋼業界にとって中国の経済成長抜きには今の好況を語れません。

 このように足元では好調な鉄鋼業界ですが、2つの大きな課題に直面しているのも事実です。1つは国際的な業界再編の潮流にどう対応していくのかということです。昨年初めに世界で粗鋼生産量1位のミタルが2位のアルセロールに敵対的買収をかけて成功しました。その後も大規模な国際的な企業の合併劇が続いており、日本の鉄鋼業界もいつ巻き込まれてもおかしくない状況です。新しい国際的競争の中で、守るべきは守り、攻めるべきは攻めるという態度が必要です。

 もう1つの懸念事項は中国の問題です。日本の鉄鋼業界にとっては業績回復を支えてくれた相手が同時に大きな不安定要因にもなっています。

……具体的に何が不安定要因なのですか。

 鉄鋼業における過剰な生産能力が一番の不安定要因です。2000年における中国の粗鋼生産量は約1億2000万トンで、日本で過去最高を記録した1970年代前半の規模と同じくらいです。しかし2002年ごろから中国は急激に生産量を増やしました。2006年の粗鋼生産量は前年比で約7000万トン増の4億2000万トンになりました。世界全体では粗鋼生産量が12億4000万トンだから、3分の1を占めた計算です。1年間で7000万トン増えるということは、分かりやすいたとえで言えば、新日鉄がいきなり2社増えたことを意味します。

 中国で生産そのものが需要に比して過剰になれば日本の市況に影響を与えることは間違いない。日本の鉄鋼メーカーは高級鋼材のウエイトを高めながら、生産量が需要量に見合うようにきめ細かな生産計画を立てつつ生産を続けてきました。しかし中国で生産量が増えてしまうと、日本の鉄鋼メーカーがその生産量について細かな配慮をしても意味がなくなってしまいます。

……中国の過剰生産問題で日本に影響が出ていますか。

 中国では今のところ鉄鋼需要の伸びが比較的好調で、日本に直接的な影響は及んでいません。しかし中国で供給が需要を上回るという状況はすでに顕在化しつつあり、2006年に中国では初めて輸出量が輸入量を上回りました。しかも、その輸出量は4000万トン超で、世界最大の輸出国になりました。

 この中国の輸出増については、需要が好調な欧米がなんとか吸収しているというのが現状です。実際、欧米では2006年に中国からの粗鋼輸入量が前年比で2倍以上になりました。この結果、これらの地域では在庫水準が極めて高くなっており、アンチダンピングやセーフガードなど通商法上の措置を講ずるといった動きが現れています。仮に欧米において中国鋼材の輸入がストップすれば、行き場を失った鋼材がアジアの周辺国に向かい、日本に一部が流入するという事態になりかねない。こうした欧米と中国の貿易摩擦が目下の懸念材料の一つです。また、ひとたび中国鋼材の価格が大きく低下する事態になれば、直接日本にも安価な鋼材が向かうことになります。

……中国政府も過剰生産問題に取り組んでいます。

 仰るとおり、過剰生産能力の問題については中国政府自身が経済面での最重要課題の1つとして掲げています。特にその典型例である鉄鋼業について、中国政府は2005年7月に「鉄鋼産業発展政策」を発表し、集約と淘汰を進めることを表明しました。いくつかの有力なグループを形成し業界の競争力を高めるとともに、環境・エネルギー面で立ち遅れた企業や設備を淘汰(とうた)していくことを目指すというものです。中国の過剰生産問題の解決は中国だけでなく、日本の鉄鋼業界にとっても利益となるので、日本政府としてもこの方針については大いに評価し、支持しています。

 しかしこれまでのところ政策の実効性は確保されていないのが実状です。中国の産業政策をつかさどる国家発展・改革委員会(発改委)も「淘汰は現実問題として簡単ではない」と述べています。淘汰などの実際の施策は地方政府が担当することになりますが、地元経済や雇用に大きな影響を与えます。鉄鋼メーカーは大納税者であり、政府としても簡単には整理を実行出来ない。

……日本として出来ることは何ですか。

 経済産業省はこれまで中国商務部を相手に政策対話を行ってきました。鉄鋼製品は重要な貿易財であり、日ごろから情報を共有することによって通商問題を未然に防ぐことなどが目的です。

 しかし過剰生産能力問題がある中で、水際だけで問題に相対しても問題の根本的な解決にはなりません。このため我々は2005年秋から発改委の国内鉄鋼政策担当当局との対話を本格化させました。経済産業省は発改委と対話を進め、「発展政策」の実現のためであれば協力を惜しまないとのメッセージを出しています。中国側のニーズを踏まえて協力を進めるわけですね。中国政府は「淘汰すべきは環境保護・省エネで劣った鉄鋼メーカー」と説明しており、日本のノウハウを役立てたいと考えています。中国企業の省エネ・環境対策を診断するために日本から専門家を派遣することを提案しました。すでに中国側から3つくらいの企業で具体的な話を進めてはどうかとの返事がきました。2007年度の4月以降に専門家の派遣を行うべく準備を進めています。

……日本が協力できることは多そうですね。

 統計に関しても日本は協力できると思います。鉄鋼業界では企業が需要に見合った生産をするために統計が重要です。しかし中国では流通段階の在庫統計が存在しません。また日本では生産の規模・計画を立てる上で参考となる「受注統計」のデータを日本鉄鋼連盟が収集していますが、中国にはありません。

 更に中国の政策担当部門と対話をしていく中で改めて認識したことですが、中央政府で鉄鋼行政に携わっているスタッフは非常に少ないようです。経済産業省の鉄鋼課では20人ほどのスタッフが動いています。鉄鋼政策を担当している発改委の職員数は公表されていませんが、おそらく3、4人程度でしょう。

 経済政策当局だけでなく、統計をつかさどる組織についても中央の国家統計局の職員数は非常に少ないと聞いています。個人的な見解ですが、敢えてメッセージ性を込めて言えば「朱鎔基前総理の行革の失敗」と言えるかもしれません。朱前総理は中央政府のリストラを激しく進め、大きな成果を収めました。朱前総理だからこそできたことだとは思います。しかし一方でこの大規模なリストラが中央政府が産業政策を実施していく上で、あるいは市場経済のルールを徹底したり市場の失敗を補完していく上で、地方の隅々にまで目を配ることが非常に難しくなってしまったという印象を受けています。

 いずれにせよ今後とも政府当局間での対話を深め、信頼関係を醸成しながら、双方にとって利益となる文字通り“Win−Win”の課題を共有し、これを実現していきたいと思います。

……日本の鉄鋼メーカーも中国との提携を進めています。

 中国を含めたアジア市場で日本の鉄鋼業界が発展していく上では企業間の連携は大きなテーマの一つです。新日鉄と宝鋼、JFEと広州鋼鉄が合弁で自動車用鋼板を生産する工場を立ち上げ、高級鋼材を作っています。中国政府は外資系企業が中国の鉄鋼メーカーのマジョリティを握ることを認めていないものの、双方にとって利益になる取り組みは今後も模索されていくでしょう。(聞き手:菅原大輔)

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【プロフィール】岩永正嗣(いわなが・まさし)

経済産業省鉄鋼課課長補佐 1967年千葉県船橋市生まれ。 1991年通商産業省(現経済産業省)入省。経済協力行政、原子力行政、地球温暖化問題等に携わり、01年中国研修、02〜05年経済産業省北東アジア課にて日中韓投資協定の議論の立上げ等に従事、05年7月から現職。

昨年の鋼材輸出が倍増 中国協会見通し 07年は1千万トン減

2007/02/15 FujiSankei Business i.

 新華社電によると、中国鋼鉄工業協会の羅氷生・常務副会長は14日までに、2006年の中国の鋼材輸出が前年比109%増の4300万トン強に達したことを明らかにした。

 06年の主要輸出先は欧州連合(EU)、米国、韓国。この3カ国・地域で全体の60%を占めた。

 一部鋼材の集中的な輸出で、欧米では一部製品に対するダンピング提訴の動きも見られ、貿易摩擦が懸念されている。

 羅副会長は「中国の輸出価格は国際水準と一致し、ダンピング(不当廉売)は存在しない」と強調。さらに、「(摩擦は)業界、企業の対話と交流を通じて民間で解決する」と述べた。

 06年の鋼片(ビレット)輸出は同約28%増の903万トンだった。

 また中国紙、新京報によると、07年の見通しについて同協会の戚向東副秘書長は、鋼材と美レットの輸出が06年比で計1000万トン前後減少するとの見通しを示した。

 戚副秘書長は、07年は鋼材生産の伸びが鈍化するほか、輸出税の還付率引き下げなど輸出抑制策の効果も期待されると指摘。さらに「鋼材の大量輸出は政府の方針ではない。(企業は)製品、輸出先を多様化して摩擦を回避すべきだ」と呼び掛けた。(北京 時事)

宝鋼集団が八一鋼鉄を買収 ミタルM&A触手に先手

2007/02/01 FujiSankei Business i.

 ■中国鉄鋼再編さらに、国際競争力強化へ

 中国紙、第一財経日報などによると、中国鉄鋼最大手の宝鋼集団は31日までに、新疆ウイグル自治区の八一鋼鉄集団に69・6%資本参加し、傘下におさめた。取得額は30億元(約450億円)。鉄鋼世界最大手でオランダに本社を置くアルセロール・ミタルが八一鋼鉄買収に関心を示していたが、中国政府による産業防衛策の思惑が働き、宝鋼集団に先手を打たせたもようだ。中国は2005年7月に「鉄鋼産業政策」を発表。外資による鉄鋼メーカーの経営権取得を規制する一方、国際競争力の強化を目指していた。国際的な規模でのM&A(企業の合併・買収)や提携が進む中で、今後は政府主導型で中国内の鉄鋼再編が一段と加速しそうだ。(上原すみ子)

 八一鋼鉄は中堅メーカーだが、新疆ウイグル自治区という政府が推進する西部大開発の中心に位置するほか、鉄鉱石や炭鉱など資源を保有しているのが特徴だ。近年、鉄鋼生産が増加する中国では鉄鋼原料となる原料炭や鉄鉱石需要が急拡大。「鉱山など豊富な資源を持つ鉄鋼会社を外資から死守したいとの思惑が働いた」と業界関係者の間ではみられている。

 昨年末に、誕生した世界最大手の鉄鋼メーカーのアルセロール・ミタルでは、旧ミタルが八一鋼鉄の買収をもくろんでいた。旧ミタルは鉱山も保有する中堅メーカーに触手を伸ばしていた。

 中国政府はこうした動きに歯止めをかけようと、宝鋼集団、山東鋼鉄控股、鞍本鋼鉄集団、武鋼柳鋼集団などの国内鉄鋼大手に、産業防衛と国際競争力強化の観点から今後、国内中堅メーカーの合併を促す見通し。

 同じく旧ミタルが関心を示す、昆明鋼鉄は、武鋼柳鋼集団との提携交渉を進めているという。

 今回の買収で宝鋼集団の粗鋼生産能力は2010年までに3000万トンを突破し、新日本製鉄、韓国のポスコ、JFEスチールに迫る規模になる。中国政府は10年までに年産3000万トン級の鉄鋼メーカーを2、3社に絞り、国際競争力を強化する計画で、まず宝鋼集団がそのハードルをクリアすることになる。

 アジアの鉄鋼各社は、世界規模の再編やM&Aの標的にならないよう相互に株式の持合などを進めている。宝鋼集団など中国企業はこうした株式持合いに参画するためにも、再編による生産効率化や経営の透明性確保が急務になっている。

 中国国内では、鉄鋼産業政策以降、鉄鋼再編が進んだ。昨年10月末には山東省の鉄鋼メーカーで鉄鋼6位の済南鋼鉄集団と7位の莱蕪鋼鉄集団が、山東省政府が出資する持ち株会社方式で経営統合し、中国第2位の鉄鋼メーカーが誕生。05年8月には遼寧省の鞍山鋼鉄が本渓鋼鉄を合併し、鞍本鋼鉄集団に集約した。

 これまでは、基本的に同じ省内の鉄鋼再編が主流だったが、今後は省をまたぐ鉄鋼再編の第2ステージに移行しそうだ。

 ただ、中央主導の再編には、地方政府や鉄鋼メーカーの反発もあり、波乱含みの要素もある。

 鉄鋼産業政策では、競争力強化を目指し、鉄鋼過剰生産の一因となっている生産性の低い老朽化したミニ高炉を段階的に廃止する方針を打ち出したほか、今年もマクロ経済コントールを継続し、鉄鋼生産の総量規制を残す方針だ。

 だが、地方政府の思惑は必ずしも中央と一致していない。地方政府や鉄鋼メーカーは地域産業振興や雇用優先の立場から依然として生産拡大を重視している。

 日本鉄鋼連盟によると、07年の中国の粗鋼生産量は、自動車などの需要拡大に支えられ、前年比17・1%増の4億9200万トンの見通し。06年の伸び率の20・2%に比べると、ペースは鈍化するものの、引き続き高水準で推移するとみられている。

海運・商社、鉄鉱石輸入量が過去最高 日本企業も対応

2007/01/24 FujiSankei Business i.

 世界最大の粗鋼生産を誇る中国。粗鋼生産に不可欠な鉄鉱石輸入量は2006年は前年比18・1%増の3億2500万トン前後と過去最高を更新した。こうした需要拡大に日本企業も対応し、日本郵船は23日、首鋼集団(北京市)と鉄鉱石輸送の長期契約を結んだと発表。住友商事は南アフリカの鉄鉱石などの鉱山会社、アソマンの権益追加取得を機に日本に加えて中国向け輸出を増やすほか、商船三井は宝山鋼鉄(上海市)向けに5隻目の新造船投入を決め、中国鉄鋼メーカーとの関係強化に動いている。(上原すみ子) 

 中国は鉄鋼メーカーの台頭で、世界最大の鉄鉱石消費国に浮上した。近年、国内の鉄鉱石生産が頭打ちになり、その分を輸入でカバーし、05年の輸入量は2億7500万トンと全消費量の57%を占めた。中国鋼鉄工業協会によると07年の輸入量も同9・2%増の3億5500万トン前後で推移する見通し。

 中国鉄鋼メーカーの勢いは、昨年末に決着した07年度分の鉄鉱石価格交渉にも顕著(けんちょ)に現れた。鉄鋼最大手の宝山鋼鉄を傘下に持つ持ち株会社の宝鋼集団がリオドセ(ブラジル)など世界の鉄鉱石貿易の7割超を実質的に握る資源大手3社と最初に鉄鉱石価格を前年度比9・5%引き上げることで合意したからだ。

 鉄鉱石の価格交渉は、資源大手と鉄鋼メーカーが個別に交渉し、最初に決まった価格に他社が追随するのが商慣習といわれ、中国メーカーが価格決権を握ったのは初めてと注目された。

 宝山鋼鉄は、沿岸部に位置し、海外からの鉄鉱石輸入に適していることから、鉄鉱石輸入を拡大。世界最大の鉄鉱石バイヤーに浮上した。

 このため、大手海運各社は宝山鋼鉄に照準を合わせる。商船三井は、このほど宝山鋼鉄向けで5隻目の大型新造船を投入し西豪州から上海まで鉄鉱石の22年間の長期輸送契約を結んだ。これによって宝山向け鉄鉱石輸送は年間1000万トン超の態勢を整備した。

 日本郵船も06年7月に、宝山鋼鉄と西豪州産鉄鉱石の12年5カ月の長期輸送契約を締結していた。03年に日本の大手海運で初めて宝山鋼鉄と西豪州産鉄鉱石の長期輸送契約を締結。05年にはブラジル産の鉄鉱石長期輸送契約も締結。さらに今回、首鋼集団とも西豪州からの16年間の長期輸送契約に調印した。

 従来、中国鉄鋼メーカーの鉄鉱石輸送は、短期のスポット契約が中心だったが、鉄鉱石輸入大国となり、安定供給が最重要課題となったことから、近年は長期契約にシフトしている。

 大手商社も日本向けの安定供給に加え、中国市場開拓をにらむ。住友商事は今月11日、南アフリカで鉄鉱石やマンガンなどの鉄鋼原料鉱山、アソマンの権益を追加取得した。

 住商はすでに鉄鉱石300万トンのうち日本向けに約100万トン、中国向け100万トン強、残りを韓国向けに輸出している。アソマンは15年までに鉄鉱山の新規開発で総生産量を1600万トンに引き上げる計画で、住商はこのうち1000万トン強を日本や中国などアジアに輸出する計画。成長する中国鉄鉱石市場に期待をかける。

中国の鉄鋼最大手「宝鋼」会長、新日鉄に提携拡大要請

2006年12月02日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 謝氏は、株式の持ち合いを含めた提携関係の拡大を要請した模様で、新日鉄は資本提携などの是非を慎重に検討する方針 だ。宝鋼は韓国最大手ポスコにも資本提携を呼びかける方針を明らかにしている。世界最大手アルセロール・ミッタル(ルクセンブルク)に対抗するため、日中 韓の鉄鋼最大手が、関係強化について模索し始めた。

 三村社長は謝氏との会談に先立つ1日午前、記者団に、日中韓の3社の資本提携を含めた関係強化について「大きな所(アルセロール・ミッタル)に対 抗するためには、意味があること」と一定の評価をした。ただ、株式を持ち合う資本提携を結ぶ条件として「(宝鋼の)海外市場での上場は必要だ」とした。

 新日鉄と宝鋼は昨年3月から中国で自動車用鋼板の合弁生産を始め、フル操業が続いている。三村社長は「需要があれば能力増強は必要だ」としており、合弁工場の生産設備の増強も検討するとみられる。

 宝鋼は業績が堅調なことや、中国政府が自国企業の海外市場での上場を奨励していることから、上場に向けた準備を進めている。

 謝氏は先月30日、読売新聞の取材に対し「海外に上場する時は(新日鉄とポスコとの持ち合いを)やりたい。資本提携は提携の中で最上級の形。さまざまなことで交流していきたい」と述べ、資本関係を含む提携拡大の意向を示していた。

再編進む中国の鉄鋼産業

2006/10/12 FujiSankei Business i.

 ■済南鋼鉄がベトナムで台湾企業と合弁製鉄所、2010年稼働へ

 中国の鉄鋼大手、済南鋼鉄集団は台湾企業と合弁でベトナムに製鉄所を建設する。ベトナムでの鉄鋼製品への需要増をにらみ、5億5600万米ドル(約660億円)を投じて2010年の稼働をめざす。中国政府が鉄鋼の供給オーバー懸念から製鉄所の新増設の規制に動く中、新たな市場として注目されるベトナムに合弁形態でリスク低減を図りながら進出する.(河崎真澄)

 台湾紙、経済日報によると、山東省に本社を置く済南鋼鉄と、ベトナムで合弁製鉄所建設に乗り出すのは台湾の鉄鋼製品メーカー、聚亨企業。ベトナム政府から中部のクアンガイ地区で223ヘクタールの工場建設用地の69年間租借を受け、中台合弁による建設許可を得た。

 合弁会社には済南鋼鉄側が40%、聚亨側が60%を出資する。第1期プロジェクトとして、年産200万トン規模で鉄鋼半製品であるビレットなどの量産を始める。自動車など機械、家電など電機の産業分野がベトナムでも発展しつつあり、生産する鉄鋼製品の4分の3をベトナム国内で販売する方針だ。残る4分の1は中国市場向けとして輸出することにしている。

 ベトナム政府は製鉄所の誘致策として、工場用地の租借契約を低く抑えたほか、合弁会社は利益計上後4年間を免税とするなどの優遇措置を適用した。さらに製鉄所の建設のための資材輸入の関税を免除するなど、手厚い対応で中台合弁による製鉄所を支援する。済南鋼鉄はすでに、圧延ロール材や亜鉛メッキ鋼板の販売会社を新規市場のベトナムに置いていた。

 済南鋼鉄は1985年設立で2005年の売上高は386億元(約5600億円)。聚亨は80年設立で同58億台湾元(約200億円)。タイにも製造拠点をもつほか、済南鋼鉄と提携し、中国市場開拓も進めていた。中台企業が製鉄所のような大型生産設備で、中台以外の国で合弁事業を本格展開するのは珍しい。

               ◇

 ■海外展開の成否がカギ

 ▼効率化図る

 山東省の鉄鋼メーカーで鉄鋼6位の済南鋼鉄集団が海外戦略を加速する背景には、国内の経営統合で生産効率化を推進する一方、海外市場の開拓で世界規模の鉄鋼再編に対抗する狙いがありそうだ。中国の再編劇では近く済南鋼鉄と7位の莱蕪鋼鉄集団が、持ち株会社の山東鉄鋼控股の下で経営統合し、上海宝山鋼鉄集団に次ぐ第2位の鉄鋼メーカーに生まれ変わる見通しになっている。

 6月に鉄鋼で世界最大のルクセンブルクのミタル・スチールと同2位の蘭アルセロールの合併が決まるなど国際的な再編が加速している。経営統合による生産効率化を推進する一方で、海外戦略の強化など攻めの経営に転じる必要があった。

 山東鋼鉄は経営統合で年間粗鋼生産量が2000万トンを超える。将来的には、鉄鉱石などの輸入に便利な沿岸地域に新たな製鉄所を建設し、生産能力を3000万トン規模に引き上げる方針だ。

 済南鋼鉄は主に中板や圧延、冷延薄板などの板材に強みを持つ。一方で莱蕪鋼鉄はH型鋼、シームレス鋼管、特殊鋼を強みとしており、自動車向け歯車鋼では中国でトップ。このため両社は製品分野などで補完関係を築けるメリットがある。

 ▼山東省が主導

 2社の経営統合は山東省当局が主導したのも特徴だ。持ち株会社の山東鋼鉄控股の傘下会社として法人格は残るが、持ち株会社の株主総会は、山東省国有資産監督管理委員会が権限を行使し、経営決定権は主に山東省当局が握る。地方自治体主導の経営で、国際競争が激化する鉄鋼分野にどこまで迅速に対応できるかが今後の焦点となる。

 中国政府は過熱経済を抑制するためのマクロコントロールを進める一方で鉄鋼産業の国際競争力強化を目指し、再編を進めている。昨年7月に鉄鋼産業政策の「国家鋼鉄産業発展政策計画」に基づき、外資による新工場建設を規制する一方、鉄鋼過剰生産の一因となっている老朽化した生産効率の悪いミニ高炉を段階的に廃止する方針だ。

 加えて、2010年までに年産3000万トン級の鉄鋼メーカーを2、3社に絞り、国際競争力を強化する方針という。再編によって、不足ぎみの鉄鉱石の輸入商談で、中国側の価格交渉力を高める狙いもありそうだ。

 とはいえ、北京の中央政府と地方自治体の思惑には温度差がある。中央政府がミニ高炉を廃棄する期限を当初の07年から10年に延期したのは、地方からの反発を受けてのこととみられている。

 済南鋼鉄の蔡●平総経理(社長)は、「05年の粗鋼生産は前年比約5割増となり、業界第6位へと押し上げた」と自社の努力を強調するが、その実は、中央の意向に反した成長路線を続けていることの証左でもある。

 地方自治体や鉄鋼メーカーは、地域の産業振興や雇用優先の立場から成長路線を維持したい考えだ。ただ中央との軋轢(あつれき)を避けようとすれば、海外での成長に企業の将来を託さざるを得ないのも実情。済南鋼鉄のベトナム事業の成否には、他の鉄鋼各社からも注目されそうだ。(上原すみ子) ●=さんずいに章

【再編後の中国鉄鋼大手の粗鋼生産量】

 順位 鉄鋼メーカー 粗鋼生産量(合併や統合の経緯)

 1 上海宝鋼集団 2272万トン

 2 山東鋼鉄控股 2076万トン(済南鋼鉄と莱蕪鋼鉄が近く統合)

 3 鞍本鋼鉄集団 1840万トン(鞍山鋼鉄と本渓鋼鉄が昨年合併) 

 4 武鋼柳鋼集団 1760万トン(武漢鋼鉄と柳州鋼鉄が昨年合併)

 5 河北唐鋼集団 1608万トン(唐山鋼鉄、宣化鋼鉄、承徳鋼鉄が合併)

 6 江蘇沙鋼集団 1046万トン

 7 首鋼総公司  1044万トン

 8 馬鋼集団控股  965万トン

 9 華菱鋼鉄集団  845万トン

10 邯鄲鋼鉄集団  734万トン

(2005年実績ベース、ジェトロなどの資料から作成)

中国に鉄鋼生産能力減を要請

2006/09/17 神戸新聞

 日本政府が中国政府に対し、粗鋼生産能力の削減を繰り返し要請していることが17日、関係者の話で分かった。中国が昨年策定した生産能力削減策の実施が遅れており、生産過剰により世界的な値崩れが生じかねないと判断した。

 中国側は削減に取り組む意向を表明しているが、雇用問題などのため削減が進んでいないと説明しているという。鉄鋼問題が今後、日中間の新たな摩擦の火種となる可能性もある。

 中国のマクロ経済政策を担当する同国の国家発展改革委員会は昨年7月、2008年の北京五輪開催などを控えた需要増をにらみ非効率な製鉄所が乱立しているのに対応するため、合併を通じて粗鋼生産量3000万トン級の2大企業を10年までに設立することを柱とした鉄鋼業界再編策を策定した。

 しかし、再編が進まないことに懸念を抱く日本側は昨年秋以降、数回にわたって実施を要請。直近では前週に経済産業省の細野哲弘製造産業局長が訪中し、改革委幹部にあらためて要請した。

 再編策の実施に当たって日本側は、省エネルギー技術の供与などを提案しているという。

 05年の中国の粗鋼生産量は、前年比24・6%増の3億4936万トンと世界トップで、2位の日本(1億1247万トン)を大きく上回っている。

中国の宝山鋼鉄、鉄鋼価格を約10%引き上げへ=上海証券報

2006年02月22日 asahi.com

 [上海 22日 ロイター] 中国最大の鉄鋼メーカー、宝山鋼鉄<600019.SS>は第2・四半期に鉄鋼価格の約10%引き上げを計画している。22日付の上海証券報が報じた。

 複数の宝山鋼鉄関係者が匿名を条件に同紙に明らかにしたところによると、同社は主力鉄鋼製品である熱延鋼板と冷延鋼板の価格をトン当たり300─500元(約4400─7400円)引き上げる見込みだという。

世界経済を侵食…中国の鉄鋼過剰生産

2006/01/31 The Sankei Shimbun

 昨年初めて粗鋼生産三億トンを突破して鉄鋼超大国の道をひた走る中国。その高成長の足元で、世界第二位の鉄鋼大国・日本の生産量に匹敵する約一億二千万トンもの過剰生産能力の問題が表面化した。中国当局は今年から、乱立する地方の中小高炉を軒並み廃業に追い込む決意だが、余波は中国国内だけでなく世界に及ぶことが避けられず、関係者はかたずをのんで見守っている。(樋口教行)

 生産設備のフル稼働と過去最高の収益に沸く日本の鉄鋼業界は今年、不安を抱えた状態で年明けを迎えた。

 「すべての問題は中国の過剰能力、過剰生産にかかわっている。どのタイミングでどう解決されるか」−。日本鉄鋼連盟の三村明夫会長(新日本製鉄社長)は十九日の年頭会見でこう語り、表情を曇らせた。日本経団連副会長で中国委員会委員長の三村会長は中国を熟知するだけに、問題を過小評価していない。

 国際鉄鋼連盟がまとめた二〇〇五年の世界生産速報によると、世界の粗鋼生産は前年比5・9%増の十一億二千九百三十六万トン。日本0・2%減、米国5・3%減、EU十五カ国2・5%減と先進国は、価格安定を狙う減産で足並みをそろえたが、中国だけは前年比24・6%増の三億四千九百三十六万トンと突出した生産増を記録した。

 だが、さらに深刻なのは、中国の生産設備能力がすでに約四億七千万トンもあるという事実だ。

 中国政府の国家発展改革委員会の馬凱主任は昨年十二月、全国発展改革工作会議で「生産能力は需要規模を一・二億トン上回っている。加えて建設中の生産増強分が七千万トン、さらに建設計画分は八千万トンにのぼる」と明らかにしたうえで、「過剰な生産能力は、国内価格を世界最低の水準にまで落とす巨大な圧力となっている」と認めた。

 この発言は、生産調整や高炉の統廃合を急がなければ、倒産や失業などの経済危機を招くとの警告だ。改革委は対応策として中国全土で八百社以上ある容積三百立方メートル以下のミニ高炉の廃止を強く打ち出している。

 中国では昨年、景気過熱を抑制する金融引き締めが進むなか、鋼材価格の下落に伴って鉄鋼業界の収益悪化が進行した。ところが市場原理に従った淘汰(とうた)は進まず、地方のミニ高炉に融資する銀行が「不良債権処理を先送りし、延命された赤字企業が少なくない」(国際金融関係者)という。

 中国の鉄鋼業界は昨年十月から5%の減産を申し合わせたが、効果は上がっていない。しびれを切らした最大手の宝山鋼鉄(上海市)は一月から鋼材価格の20%値下げを断行した。国家直営である宝山鋼鉄の値下げは、政府が中小高炉つぶしを仕掛けた構図だ。最強メーカーの値下げに「ついてこられる国内企業はどれだけあるか」(鉄鋼専門商社)と衝撃が走っている。

 ただ、生産過剰問題の解決は容易ではない。三村鉄連会長は「スムーズな解決策がないところに大きな問題がある」と頭を痛めている。中国メーカーの安値鋼材が昨年からアジア市場に流出し、市況に影響が出ている。高級鋼材の需要が多い日本にはいまのところ影響は少ないが、韓国に中国製品が浸透し、玉突きで韓国製品が日本に入り始めるなど、中国の過剰生産問題は世界経済をじわじわと侵食し始めた。

英文記事翻訳:鉄鋼業界の盛況、供給過剰となるまでは

2005/11/26 〜「Nishitatsu1234の帝国」〜

 「Steelmakers on a roll, until the next glut」

  翻訳

 鉄鋼業界の盛況、供給過剰となるまでは

 中国の鉄鋼需要は世界の大手生産者に恩恵をもたらし、買収資金繰りを助け、アルセロールの Dofascoへの敵対的買収はまさに最新の例だ。が、中国鉄鋼生産の伸びは、市場で氾濫する怖れがあり、圧倒的な規模が世界の鉄鋼大手の防御となるかの試練だ。
 破裂前の dotcomバブルにまだ投資家が夢中の6年前、鉄鋼はオールドエコノミー最後の砦の1つとバカにされた、多くの企業が国営か国益に不可欠と考え存続を謀る政府がかなり保護していた。
 鉄鋼事業はグローバル化に遅れた。今週、アルセロール(2001年、フランス、スペインおよびルクセンブルクの最大の鉄鋼企業が合併)が Dofasco(カナダの鉄鋼大手)に現金 38億ドルの敵対的買収を行なった事は、ネットバブル破裂後に業界の被った変化の現れだ。

 状況変化の証拠はまだある。世界第2のアルセロールは、ドイツか米国の鉄鋼メーカーと Dofasco買収競争に直面するとの噂が有る。
 アルセロールが敵対的になる一因は今年始め、ウクライナの旧国営鉄鋼会社の Kryvorizhstalの買収競争で世界最大手で現金 48億ドルを提示したミッタルに負けた事だ。
 アルセロールとミッタルは、トルコ国営鉄鋼会社 Erdemirの部分入札で国内勢に負けた。昨年は、例えば11/23日にミッタルが破綻したカナダ鉄鋼会社 Stelcoから若干の資産獲得を発表したような、多数のより小さな取引を見た。

 M&Aと資産売却は、何十年も業界を悩ませた慢性的過剰設備を減らし世界の鉄鋼会社復活を助け、悪い経営の代名詞であった業界に新しいより効率的経営を持込んだ。
 東欧の旧共産主義諸国と他の経済成長中の国の資産民営化は、統合の機会を増した。
 鉄鋼復活のはるかに重要な要因は中国経済の急成長だ。最近まで急増する中国の鉄鋼需要は価格を急上昇させた:指標となるホットコイル価格(2001年、わずか 200ドル/トン)は、2004年には 600ドルを突破したが、それから価格は下落した。
 価格急騰は以前は緊急援助と破綻が標準であった業界に、高い利益と評価の時の到来させた。しかし鉄鋼会社はまだ2つの問題と対峙する。

 まず彼らの改善の多くが、製鉄の原料供給者に気づかれた事だ。鉄鉱石の供給者団体は、昨年の19%の上昇後にさえ、今年3月に 72%の大幅値上げを要求した。製鋼プロセスに不可欠な粘結炭の供給者はまた、より大きな値上げを主張した。
 早期の予想は、鉄鉱石供給者が来年、恐く最大で 20%と大幅な値上げを要求する可能性を示唆する。エンドユーザー向け価格が下がっている時に、今年の値上げは 40 - 60ドル/トンの鉄鋼原価上昇となる。
 潜在的に非常により大きい第2の懸念は、世界消費の 30%を占める中国の膨大な鉄鋼需要が弱含む事だ。 

 中国生産が伸び続ければ、これは特に業界に厳しい事になる。2004年、国際鉄鋼研究所によると中国の工場は鉄鋼 2.73億トンを生産した。今年始めの10ヵ月の生産料は 2.87億トンだ。
 無秩序な成長と経済過熱を懸念する中国政府は、抑制策を導入した。影響はまもなく中国国内外に現れた。中国最大の鉄鋼会社 Bao鉄鋼は、全国的供給過剰のため 2006年第1四半期に主要製品を10%値下げすると言う。
 経済が10%/年をそれほど下回らぬ率で成長し続けているが、適度な減速さえ鉄鋼の供給過剰で世界市場に影響を及ぼしかねない。

 世界の大手鉄鋼メーカーは、状況が悪化しても、より規模拡大で良い時に収穫をあげ、影響を遮断できる事を望んでいる。鉄鋼会社のトップのラクシュミッタル氏とアルセロールのボスの Guy Dolle氏は共に、業界は将来的に1億トン以上を生産する2、3の大手に支配されると同意する。
 ロンドンを拠点とする民間企業のミッタルは今年始め、米インターナショナルスチールグループを獲得し、ウクライナでの買収を含め、年間生産 6500万トンを越える体制だ。
 Dofascoの生産を含めても、アルセロールはいくらか遅れている。しかし双方、中小生産者を傘下にできる機会を見つけると飛びつき、拡大している。

 鉄鋼石とコークス価格の交渉時、さらなる統合は鉄鋼会社に確かに余力を与える。世界の5大鉄鋼メーカーはまだ世界市場のおよそ1/5をだけ支配しているが、3大鉄鋼石会社は供給の 70%を抑えている。市場で大きな力を発揮できる水準への統合は、まだ道のりは遠い。

彼等に打ち勝つ事ができるか

 勢力の均衡を変える1つの方法は、2 - 3の大手鉄鋼会社がまさ鉄鋼石や石炭事業を買収しているように、供給側の事業分野を侵食する事だ。Dofascoは自身の鉱石事業を有する事も、魅力的な買収対象である一因だ。
 ミッタルや USスチールと比較し、アルセロールは独自の鉱石埋蔵量をほとんど持っていない。世界第5の韓国 POSCOは、ブラジルとオーストラリアで鉱石鉱山への関与を求めている。原料に対するミッタルの渇望は、政治的不安定にも拘らず、リベリアでさえ鉄鋼石生産者へ接近させている。

 大手鉄鋼メーカーは更なる統合が彼らの望む形で勢力均衡をシフトさせる事を望み、そして彼らは圧倒的規模により、将来のどんな需要減少を乗り切るの助けとなると確信しているようだ。
 しかし多くが疑っているように、特に買収側が資産に払い過ぎなら、鉄鋼事業のサイズは本来、規模の経済に関して大きな果実をもたらさない。
 世界市場が深刻な供給過剰を迎えるなら、大小の全ての生産者は打撃を受ける。

日中欧の合弁工場が始動 中国最大の高級鋼板拠点

2005/11/08 The Sankei Shimbun

 新日本製鉄と中国最大手の宝山鋼鉄、欧州大手のアルセロールの日中欧合弁で、上海市に設立した自動車向け高級鋼板の製造工場が8日、開業式を行った。中国での自動車生産を急拡大させている日本や欧州の自動車メーカーに、高品質の鋼板を供給する最大の現地拠点が動きだした。

 開業式に臨んだ新日鉄の三村明夫社長は記者会見で「自動車市場の需要が急速に伸びており、ビジネスチャンスがあった」と、高級鋼板の技術を合弁会社に提供してでも中国で製造する意義を強調。宝山鋼鉄の持ち株会社の徐楽江総経理は「中国の技術力の向上に必ず役立つと思う」と述べた。

 三村社長によると、新工場は年内にも日系自動車メーカーの認証を受けた上で、来年から本格供給を開始できるとの見通しだ。

 自動車の車体などに使う鋼板は質の高さが求められ、中国で生産する日本の自動車メーカーは、日本国内からの供給に頼っていた。新工場での生産が軌道に乗れば、現地調達に切り替えることができるメリットがある。

 新工場では冷延鋼板を年間90万トン、亜鉛めっき鋼板80万トンの計170万トンを生産する計画。同じ敷地内の宝鋼の高炉で生産した半製品を、新日鉄が日本で生産する高級鋼板と同等なものに仕上げる。日本の自動車メーカーが世界各地で現地生産を加速させる中で、新日鉄も世界的な高級鋼板の供給網を整えた格好だ。

 開業式には、中国政府や日系自動車メーカーの関係者ら約500人が出席した。(共同)

中国鉄鋼3社が採掘権 北朝鮮の大規模鉱山

2005/11/02 The Sankei Shimbun

 2日付中国系香港紙、大公報によると、アジア有数の鉄鉱石埋蔵量を誇る北朝鮮咸鏡北道の茂山鉱山について、中国通化鋼鉄(吉林省)など中国の鉄鋼関連3社が今後50年の採掘権を獲得した。

 10月に訪朝した中国の呉儀副首相らが同鉱山の開発支援を提案、原則合意したことは既に判明しているが、企業名などが報じられるのは初めて。

 3社の総投資額は70億元(約1000億円)以上。鉱山開発のほか、鉄鉱石を国境を越えて中国へ直接運ぶ運搬ルートも整備する。(共同)

今年上半期の中国鋼材輸入3倍増、年間で最高の見込み

2005年08月02日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 鋼材の品不足と価格高騰のため、中国鋼材の輸入が急増していることが、日本鉄鋼連盟が2日まとめた普通鋼鋼材輸入速報でわかった。

 2005年上半期(1〜6月)は前年同期と比べ3・3倍増の49万7303トンとなり、国・地域別では2位の台湾の49万7690トンと肩を並べた。

 品種も、かつて多かった鋼材の中間製品に代わって本格的な鋼材が中心となり、大多数を占める建築材料向け鋼材は厚板が約3倍、熱延コイルは約4倍に増えた。冷延コイルは量は少ないが、300倍に増えた。今年1年の中国製普通鋼の輸入は1995年の77万2529トンを上回り過去最高となる見込みだ。

 中国材の輸入増加は、日本のメーカーの鋼材需要が膨らみ、国内鉄鋼メーカーがフル生産しても追い付かなかったことが背景にある。

大手鉄鋼各社、減産へ アジア向け汎用鋼材

2005/07/19 The Sankei Shimbun

 旺盛な鉄鋼需要を背景に増産を続けてきた大手鉄鋼各社のうち、新日本製鉄、JFEスチール、住友金属工業が、この夏以降、輸出向けの汎用品の鋼材を減産することが19日明らかになった。

 中国の建設用鋼材などが大量に流れ込んでいるアジア市場で、供給を絞り込み価格下落を防ぐのが狙い。

 大手鉄鋼が競争力を保持する自動車向けなどの高級鋼板は依然として需給が逼迫(ひっぱく)し、業績の拡大基調が続いているものの、一部の鋼材については増産基調に変化が出てきた。

 JFEは、韓国やタイなどに向けて輸出している汎用向け中間素材(ホットコイル)の販売量を、7−9月期は前年同期に比べ50万トン減らす。最終製品となる建材向けの市況が中国メーカーの増産でだぶついているためで、これだけ大規模な減産は4年ぶりという。

 住友金属も、7−9月期にホットコイルを当初計画比5万トン程度減産する。両社とも中国からの鋼材があふれる韓国などアジア向けの輸出を抑制し、値崩れ防止の「メッセージ」効果に期待する。

 新日鉄も、輸出向けを中心に当初計画に対し30万トン超の規模での減産を実施する方針だ。神戸製鋼は、今の時点では、減産計画を打ち出していないが、価格が下落するようであれば汎用鋼材については徐々に減産する見通し。

 日本鉄鋼連盟の三村明夫会長(新日鉄社長)は鉄鋼市場の動向について「輸出は汎用品を中心に一時的な調整局面にあるが需要は増えている」とし、6カ月程度で欧米の在庫調整が進むことで需給調整は短期的に完了するとみており、今回の減産が鉄鋼価格の転換点となるかどうかは微妙だ。

 <鉄鋼生産> 鉄鋼の生産は2002年以降、自動車など製造業の回復とともに3年連続で増加している。04年の粗鋼生産は前年比2.0%増の1億1271万トンで1974年以来30年ぶりの高水準を記録。今年上半期も1.7%増の5673万トンとなった。

 JFEなど大手各社が主力とする自動車、家電、造船向けなどの高級鋼板の伸びが堅調だ。ただ価格の安い「汎用品」は海外製品との競合が激しく余剰感が出ている。

 世界の市場では今年5月までの中国の生産が27.4%増の1億3526万トンと日本の約3倍を記録、ロシアも4.8%増の2748万トンと生産能力の増強が進んでいる。(共同)

日本鉄鋼連盟、環境・省エネで中国に技術支援

2005年07月04日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【北京=東一真】日本鉄鋼連盟と中国鋼鉄工業協会は4日、環境保全と省エネルギーに関する技術交流会を開き、今後の専門家の交流などで合意した。

 また、日本の鉄鋼会社が個別に、中国企業に対して、日本が得意とする環境・省エネ技術や施設を供与するなどの支援を行う計画だ。

 中国の昨年の粗鋼生産量は2億7200万トンと世界一だが、小規模鉄鋼所が乱立していて生産効率は低く、有害物質の排出抑制など環境対策も後手に回っている。

 北京で記者会見した日本鉄鋼連盟の三村明夫会長(新日本製鉄社長)は、「中国の環境問題は日本にとっても問題。環境関連技術をできるだけ中国側に提供したい」と述べた。

世界粗鋼生産、10億トン突破 中国の急成長など背景

2004/12/22 The Sankei Shimbun
 国際鉄鋼協会(IISI)は21日までに、2004年の世界の粗鋼生産量が推計で初めて10億トンを突破したと発表した。来年も10億トンを超える見通し。

 1999年まで年間7億トン台で推移していた世界の粗鋼生産量は近年急拡大した。要因として、中国をはじめとする新興国の経済成長に伴う鉄鋼需要の急拡大が指摘されている。先進国でも生産は堅調で、日本も今年は中国などへの輸出や自動車向けなど国内外の需要を背景に、24年ぶりの高水準になるとみられている。

 中国の11月末現在の生産量は約2億4530万トンで、前年同期比22.1%増加。このほか北米は同7.7%、欧州連合(EU)は同5.1%それぞれ増えた。

 同協会は約60カ国のデータを集計。世界の粗鋼生産は2000年に8億トン、02年に9億トンを、それぞれ突破した。(共同)

神戸製鋼所、独自開発の「新型回転炉」を中国で販売へ

2004/12/09 読売新聞 Yomiuri On-Line

 神戸製鋼所は8日、独自に開発した「新型回転炉」を中国で販売する方針を明らかにした。

 コークスを使わない効率の高い製鉄法で、鉄鋼の生産コストが軽減できるという。中国では効率の悪い小型高炉の建設を規制する動きが広がっており、新型炉への切り替えで、2006年までに250億円の受注を目指す。

 新型炉の年間の粗鋼生産能力は50万トン程度。「直接還元法」という製鉄法を用い、鉄鉱石と石炭を混ぜてドーナツ型の回転炉に入れる。

 高炉は銑鉄ができるまで8時間かかるが、新型炉は1時間10分程度で高炉と同品質の銑鉄が作れるという。高炉はいったん稼働すると20年以上止められないが、新型炉は動かしたり止めたりしやすく、需要に応じた生産調節もしやすい。

 また、新型炉はエネルギー効率が高く、地球温暖化の原因とされる二酸化炭素(CO2)の単位当たり排出量が高炉に比べて2割ほど少ない。途上国に導入すれば、京都議定書に基づいて、自社の技術で減らした温室効果ガスを自社の排出枠に加える「クリーン開発メカニズム」として認められる可能性もあり、神戸製鋼は「CO2削減の有力手段としても普及を図っていきたい」(犬伏泰夫社長)としている。

新日鉄:宝山との合弁会社設立は6月にも最終合意

2003年04月23日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 新日本製鉄の三村明夫社長は23日の記者団との懇談で、中国最大の鉄鋼会社、上海宝山鋼鉄との間で検討している自動車用鋼板事業の合弁会社設立について、6月にも最終的に合意できる見通しを明らかにした。

 合弁会社は上海市に設立される予定で、出資比率は宝山50%、新日鉄側が提携関係にある鉄鋼世界最大手のアルセロール(ルクセンブルク)などと組んで計50%を出資する見通し。自動車のボディーなどに使用される高品質の鋼板を生産する。 【宇田川恵】

中国鉄鋼業界最大の合弁会社が操業開始

2001年11月03日 人民網日本語版

国内鉄鋼業界最大の合弁会社、上海クルップ不銹鋼有限公司が、2日から操業を開始した。同公司はドイツ鉄鋼業による国内最大の合弁会社。同公司が生産する薄型ステンレスは世界の高級製品市場に向いている。

同公司は1998年4月、ドイツ側が60%、中国側(上海宝鋼グループの上海浦東鋼鉄有限公司)が40%の株式を出し合って設立。資産総額は14億3千万ドル。2日操業を開始した第1期プロジェクトには約2億9500万元が投じられ、年間7億2千万トンの冷間圧延ステンレス鋼帯の生産が可能。同プロジェクトは2007年に完成する予定。

アジア鉄鋼業が大幅な過剰設備状態 研究会が報告

2001.01.02(23:51)asahi.com
 東南アジアの鉄鋼業界が日本を大きく上回る過剰設備の状態に陥っていることが、通産省と業界で作った研究会の調べで分かった。日本や欧米のメーカーが高い成長率を見込んで競って進出したことに加え、アジア通貨危機による急激な需要の減退も影響しているとみられる。研究会は「使われていない設備が本格的に動き出せば、日本の鉄鋼業界に大きな影響が出る」と指摘している。

 通産省とメーカー、大手商社は昨年6月、「アジア鉄鋼市場と日本鉄鋼業研究会」(座長=浦田秀次郎・早稲田大学教授)を組織し、アジアの需給状況や、10年後の見通しを話し合い、12月下旬に報告書にまとめた。

 報告書によると、東南アジア諸国連合(ASEAN)7カ国では、年間で計2411万トンの粗鋼生産能力があるが、1999年の実際の生産量は855万トンと設備能力の35%しか使われていなかった。

 国別では、タイの稼働率が21%、マレーシアが30%、インドネシアが41%などとなっていた。日本の鉄鋼業界も設備の過剰感が強いが、それでも1億4694万トンの生産能力に対し、64%にあたる9419万トンの生産があった。韓国は84%、中国は88%と高かった。

 特に過剰感が強いタイでは、熱延鋼板の生産設備で約600万トン分の建設計画が中止・遅延に追い込まれていた。新日本製鉄やNKKなどが競って進出した冷延鋼板でも、63%が未利用だった。タイには自動車メーカーが競って進出したため、各鉄鋼メーカーも製鉄所をつくったらしい。

 研究会は「(順調に稼働する)成功例も多い」と指摘したが、「利益を上げていないものや撤退したものも見られる」と供給過剰な状態を認めた。その上で、「需給動向などについて現地と共通認識を持ち、リスク回避の視点が必要」と、資本参加や技術支援などでかかわりが深く、プロジェクトの多くをリードした日本の企業に反省を求めた。

 日本の大手商社幹部は「巨大な過剰設備の原因は我々商社とメーカーと銀行が一緒になってつくった。設備を輸出し『つくれ、つくれ』とあおった。この状態では、並の経済回復では設備は動かない。東南アジアに対して申し訳ないことをした」と話した。

 東南アジアの経済事情に詳しい浦田教授は「鉄鋼だけではなく、自動車や半導体など機械産業の多くが同じ構図にある。東南アジアの成長がさらに続くと見て、日本の企業などが90年代初めから設備をつくったツケを払わせられている。通貨危機のせいと言うよりも、需要を過大に見込んで進出を競った結果で、構造的な問題と言える」と説明している。

アジア市場の将来を鉄鋼業界に「警告」 通産省研究会

2000.12.24(03:05)asahi.com
 日本の鉄鋼輸出の7割を受け入れているアジア鉄鋼市場について、通産省の主催する研究会が「10年後、日本が現在の地位を保っているかどうかは分からない」との報告書をまとめ、日本の輸出量が大幅に減る可能性を指摘していることがわかった。業界内には「輸出機会は今後も十分確保される」との楽観論も根強いが、同省が業界の将来に警鐘を鳴らした形だ。

 通産省が今夏、大手メーカーや商社幹部を加えて設けた「アジア鉄鋼市場と日本鉄鋼業研究会」(座長、浦田秀次郎・早大教授)の報告書で25日に公表する。

 報告書によると、10年後、日本を除き、韓国や中国、東南アジア諸国連合(ASEAN)など各国の鉄鋼需要は1.2―1.8倍に伸びると試算した。だが、鋼板で見た場合、冷延工場など現地の生産能力が高まることが予想され、韓国や台湾は輸入超過から輸出超過に転じ、ASEANも輸入は激減すると予想し、「アジア地域は現在の輸入態勢から輸出超過に転じる可能性がある」と「警告」している。

 東南アジアに高炉を持つ一貫製鉄所が建設されるかどうかについても検討し「1国では無理だが、各国が協力すれば可能性がないとは言い切れない」と結論づけた。

 研究会は「アジアの鉄鋼業と提携・協力関係を強化し、無用な能力の拡充を抑える」と提言した。アジア各国で造られた工場には日本企業がかかわるケースが多く、やみくもな直接投資や設備の拡張競争を控えるよう求めている。

 各国からの要望が強い技術移転については業界内に慎重な意見もあるが「日本が無視すれば欧米が出てくる。日本の技術水準を不断に向上させ、トップレベルを維持していくしかない」と明記した。

通産省が、米中韓と鉄鋼めぐり協議へ

2000.11.11(08:35)asahi.com
 通産省は10日、鉄鋼製品に対する米国の一連の反ダンピング(不当廉売)措置に対し、韓国と協力して対応していくことを明らかにした。また、鉄鋼貿易に関し中国政府とも定期的な会合を持つことで合意したほか、今月中旬には米国と局長級の鉄鋼協議を予定している。同省は主要国と話し合いを重ねることで、反ダンピング措置を使った保護主義の動きを抑え込む方針だ。

 7日にソウルで開かれた日韓鉄鋼対話では、ダンピング認定で得られる関税収入を提訴した企業が「山分け」する米国の「バード修正法」の不合理さで意見が一致した。通産省は世界貿易機関(WTO)へ提訴する方向で検討し、韓国側も「日本が提訴すればこちらもしたい」と提案があった。

 中国政府との話し合いも重視し、訪中していた通産省首脳は8日、国家経済貿易委員会と「日中官民鉄鋼対話」を定期的に開くことで合意した。中国は今春、日本と韓国製のステンレス冷延薄板に対し、突然、ダンピング認定し、日本の鉄鋼業界は大きな衝撃を受けた。このため官民から中国との定期協議の必要性が指摘されていた。

 また、米政府団も今月中旬に来日し、15日に局長級協議が行われる予定だ。通産省はバード修正法を批判し、米鉄鋼業界の構造調整が遅れていることを指摘する方針だ。

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