TOPIC No.2-53-1 韓国鉄鋼業界

01. Korea Steel News
01. 韓国鉄鋼業の発展と競争力(2007年) アジア経済研究所
02. 韓国の鉄鋼蓄積量 by韓国鉄鋼協会;「鐵鋼統計年報」


ルポ:年産400万トン、現代製鉄第2高炉稼働(上)

2010/11/28 12:11 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

年間2000万トンの生産能力を確保、世界トップ10の鉄鋼メーカーに飛躍

「2015年までに第3高炉を建設」

韓・中・日3カ国の過剰生産で輸出競争が激化

 23日午前、忠清南道唐津の現代製鉄一貫製鉄所。高さ110メートルの巨大な高炉(溶鉱炉)の前に立った鄭夢九(チョン・モング)現代自動車グループ会長が、「1番」の番号が付いた風口(高炉に熱風を吹き込む場所)の長い棒をぐっと押し込んだ。高炉の公式稼働を告げる「火入れ式」だった。明るい笑顔を浮かべた鄭会長は、「1年間に2基の高炉を稼働させ始めることになり、非常に光栄だ」と言って拍手した。

 現代製鉄が今年1月に最初の高炉を稼働させ、ポスコに続き韓国で2番目に総合一貫製鉄所時代を迎えてから、わずか10カ月。この日、第2高炉が竣工した。第1高炉と同じ年産400万トン規模で、試験稼働を経て来年1月から本格的な粗鋼(銑鉄)の生産を始める。禹惟哲(ウ・ユチョル)現代製鉄社長は、「2015年までに400万トン規模の第3高炉も建設する計画。今から準備を始めたい」と語った。

■年産2000万トン規模、世界トップ10入り

 現代製鉄は第2高炉の完成により、生産能力と技術力の面で世界水準の鉄鋼メーカーに飛躍する契機ができたと評価した。

 来年1月に第2高炉が本格的な生産を始めれば、現代製鉄は既存の第1高炉と、電気炉の生産量1200万トンを合わせ、年間2000万トンの粗鋼生産能力を確保する。09年の段階では世界26位(粗鋼生産量基準)だったが、そこから一気に鉄鋼メーカー世界トップ10入りすることになったわけだ。鄭会長はこの日、祝辞で「400万トン規模の高炉2基を保有することで、高付加価値製品を供給する新たな鉄鋼時代のリーダーになる足場ができた」と語った。

 現代製鉄は、第2高炉で生産される銑鉄400万トンで、自動車や家電、機械産業の素材として使われる熱延鋼板を生産する予定だ。禹社長は、「自動車の車体外部に使う製品(外板材)を来年中に開発し、12年から現代自に供給する予定。ポスコなど、競合他社との技術格差を早急に縮めることができるだろう」と語った。

ルポ:年産400万トン、現代製鉄第2高炉稼働(下)

2010/11/28 12:11 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 シン・ドンフン記者/唐津=李性勲(イ・ソンフン)記者

■相次ぐ増設、韓国の鉄鋼メーカー同士で競争が加速

 韓国の鉄鋼メーカーは、生産能力を増やし続けてきた。昨年11月には、東部製鉄が年産300万トン規模の電気炉を新設、今年は現代製鉄が高炉2基を建設し、生産能力は2基合わせて年間800万トンになる。

 さらに、ポスコは700万トン規模の新製鋼工場(浦項)の竣工を控えている。鉄鋼協会は、近々韓国の粗鋼生産能力が年間8000万トンを超えるものと見込んでいる。

 高炉から銑鉄を取り出し、鉄鋼製品を作っていく総合一貫製鉄所は過去37年間、ポスコの独占体制下にあったが、今年からは競争構造へと移り変わった。ポスコの一貫製鉄所の粗鋼生産能力は年間3325万トン。現代製鉄は現在、許認可手続きを進めている第3高炉まで合わせると、1200万トン規模の高炉生産能力を備えることになる。

 現代製鉄第2高炉の稼働で、韓国の鉄鋼市場ではかなりの輸入代替効果が期待できる。鉄鋼協会の関係者は、「慢性的な供給不足に直面していた熱延鋼板(ホットコイル)と、造船用厚板の輸入代替効果が大きい」と語った。とりわけ、自動車・造船・重工業業界が楽になるものと見込まれている。韓国は、中国や日本などから08年に2894万トン、昨年は2057万トンの鉄鋼材を輸入した。

■韓中日3カ国による過剰な鉄鋼供給、海外市場での競争激化

 韓国国内での銑鉄生産能力が8000万トンとなる時代が目前に迫り、過剰供給に対する懸念も大きくなっている。韓国の各メーカーは、供給懸念への言及があるたびに、「海外市場で消化できる」と語ってきた。とはいえ最近、中国や日本も国内市場は供給過剰の状態にある。08年基準で、中国では鉄鋼の過剰生産能力が2億トンを超えたと推定されている。日本の過剰生産能力も、5000万トンを超えている。日本と中国で増えた余剰分は、東南アジア地域だけでなく、韓国の高級鋼材市場も狙っている。東アジアの鉄鋼市場で、韓・中・日3カ国の競争が激化しているわけだ。とりわけ中国は、今年上半期だけで562万トンの鉄鋼を輸出するなど、韓国の主要攻略地域となっている東南アジア市場を集中的に狙っている。

 鉄鋼業界の関係者は、「東アジア市場に中国や日本で発生した余剰分が降り注いでいるため、韓国メーカーは輸出面で大きな困難に直面するだろう。高級鋼材が中心の差別化された製品の生産に力を注がなければならない」と語った。


[鉄鋼セクター] 神戸製鋼所は8日ぶりに反発 韓国ポスコの粗鋼生産量目標引き上げを好感

2009年07月14日 日本証券新聞

 最大で約700倍のレバ神戸製鋼所(5406)の前引けの株価は、7円高(4.57%高)の160円。

 韓国で鉄鋼最大手のポスコが発表した09年4?6月期(第2四半期)決算では純利益が前年同期比71%減となったものの、原材料価格の低下や輸出回復を受けて業績は下期には回復に向かうとの見通しを示したことや、今年の粗鋼生産量目標を従来の2,800万トン→2,980万トンへと引き上げたことが好感されている。

 もっとも前日までのTOPIX9営業日続落期間中に、業種別で「鉄鋼」の下落率は14%と「その他金融」、「証券・商品先物取引」、「空運」に次いで4番目の下げ幅を記録していたことで自律反発狙いの買いも入りやすく、相場全体の地合好転に伴って好材料にストレートな反応を示した格好。

 他に新日本製鉄(5401)、ジェイエフイーホールディングス(5411)、住友金属工業(5405)、日新製鋼(5407)といった大手鉄鋼株も軒並み上昇。 (H)

鉄鋼半製品、輸出価格に天井感 韓国など値上げに抵抗

2009/06/22 NIKKEI NeT

 鉄鋼半製品(ビレット)の輸出価格に天井感が強まってきた。アジア向け価格は1〜2月の1トン300ドル前後(本船渡し)を底に上昇してきたが、400ドル前後で頭打ちになっている。日本の鉄鋼メーカーは輸出を抑制しており、輸出商談にも停滞感が出てきた。

 韓国など主要輸出先が鋼材需要低迷を背景に、値上げへの抵抗姿勢を強めている。「日本の鉄鋼メーカーが400ドル超を唱えているのに対し、韓国側は380〜390ドルへの値下げを求めている」(商社)という。

東国製鋼、厚板価格引き下げ

2009/05/23 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版/ ゙中植(チョ・ジュンシク)記者

 東国製鋼が船舶の建造などに使われる厚板の価格を1トン当たり10−16万ウォン(約7600−12000円)値下げした。

 同社は造船用厚板の価格について、15日に注文を受けたものから順次、1トン当たり92万ウォン(約7万円)から82万ウォン(約6万2000円)へと10万ウォン(約8000円)値下げする、と20日発表した。また、非造船用厚板は1トン当たり98万ウォン(約7万5000円)から82万ウォンへと16万ウォン(約1万3000円)値下げした。同社の関係者は「鉄鋼や棒鋼、形鋼などほかの製品の価格は市場の状況に弾力的に反応しているため、今回の値下げとは関係ない」と語った。

ポスコ、鉄鋼製品価格10〜20%引き下げ

2009.05.15 中央日報 Joins.com

ポスコは14日、船舶製造用の厚板をはじめとする鉄鋼製品価格を10〜20%引き下げると明らかにした。

 現在1トン当たり85万ウォン(約6万5000円)の熱延鋼板は68万ウォンと17万ウォン引き下げ、92万ウォンの船舶製造用厚板は82万ウォンに値下げする。93万5000ウォンの冷延コイルは78万5000ウォンに、亜鉛めっきコイルは103万5000ウォンから88万5000ウォンに下げる。15日出荷分から値下げ価格が適用される。

ポスコは最近、日本や中国の鉄鋼メーカーによる低価格攻勢により価格引き下げ圧力を受けていた。

ポスコは報道資料を通じ、「今年の鉄鉱石調達交渉が終わる7月以降に価格を調整する計画だったが、国内業界の競争力強化のため価格を引き下げた」と説明した。原材料価格交渉の結果による追加引き下げの可能性については、「今回あらかじめ引き下げるだけにそうした可能性はない」としている。

ポスコは現在ブラジルなど海外の鉄鉱石会社と価格引き下げ交渉を進めている。今回の価格引き下げにより2兆ウォン程度の売上減少が予想されるが、コスト節減活動などを通じて収益性下落を抑える計画だ。

一方、現代製鉄関係者も「価格引き下げを検討中」としている。しかし東国製鋼は「今年初めにすでに鉄鋼製品価格を下げており、追加引き下げは検討していない」と明らかにした。

韓国のポスコ、鉄鋼製品を3年ぶりに値下げへ−原材料価格低下で

2009/05/14 Bloomber.co.jp

 5月14日(ブルームバーグ):アジア3位の鉄鋼メーカー、韓国のポスコは一部製品の国内価格を引き下げる。予想される原材料コストの低下を反映させるためで、値下げは2006年1月以来、約3年ぶり。

 ポスコは14日、電子メールによる声明でトン当たりの価格を最大17万ウォン(約1万3000円)引き下げる計画であることを明らかにした。値下げは年間2兆7000億ウォンの減収要因となる可能性があるという。

 熱間圧延コイルの価格はトン当たり85万ウォンから68万ウォンに、船舶用プレートは92万ウォンから82万ウォンにそれぞれ引き下げられる。冷延コイルなど他の鉄鋼製品も値下げの対象となる。

翻訳記事に関する翻訳者への問い合わせ先:東京 渡辺漢太 Kanta Watanabe kwatanabe22@bloomberg.net Editor:Masashi Hinoki 記事に関する記者への問い合わせ先: Bomi Lim in Seoul at blim30@bloomberg.net ; Jae Hur in Seoul at jhur1@bloomberg.net

天井知らずの鉄鋼価格、頭抱える輸出企業(上)

2008/06/21 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 崔有植(チェ・ユシク)記者/金承範(キム・スンボム)記者

 下期が始まる7月から韓国の国内鉄鋼製品価格が大幅に引き上げられる見通しだ。上期に原料となる鉄鉱石、石炭が急騰したことを受け、鉄鋼業界が相次いで値上げを計画しているためだ。現代ハイスコ、東部製鉄など冷延メーカーは7月初めから主要製品の価格を30%近く引き上げることを決め、取引先に通知した。ポスコも来週中に7−9月期の価格を20%引き上げるとしている。

 造船、自動車、家電など鉄鋼を必要とする輸出業者からは輸出競争力の低下を懸念する声が上がっている。自動車、家電製品など耐久消費財の価格は上昇する可能性が指摘されている。

◆鉄鋼価格の値上げラッシュ

 東部製鉄は19日、冷延鋼板、メッキ鋼板など主要鉄鋼製品の価格を1トン当たり25万ウォン(約2万6000円)引き上げることを決め、取引先に通知した。同社の冷延鋼板価格は今回の値上げで同87万5000ウォン(約9万1000円)から112万5000ウォン(約11万7000円)へと28.6%上昇する。現代ハイスコも13日、主要製品価格を7月1日から一律同25万ウォン引き上げると発表した。

 韓国鉄鋼最大手のポスコも来月初めに主要製品価格を同16万−17万ウォン(約1万6600−1万7700円)引き上げる方向で検討している。ホットコイル価格は同70万ウォン(約7万2800円)から86万−87万ウォン(約8万9500−9万500円)へと引き上げられる見通しだ。造船用厚板も同95万ウォン(約9万8800円)前後へと約21%の値上げが見込まれる。同社は来週中にも値上げを正式に発表する。こうした値上げ実施は年初来1月、4月に続き3回目となる。

天井知らずの鉄鋼価格、頭抱える輸出企業(下)

2008/06/21 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 崔有植(チェ・ユシク)記者/金承範(キム・スンボム)記者

 現代製鉄と東国製鋼も主力製品の熱延鋼板と造船用厚板の値上げを検討中だ。鉄鋼メーカーは今回の値上げは避けられないとの立場だ。ポスコ関係者は「国内業者の苦境に配慮して、国内の競合社や国際相場に比べ20−30%安い価格を維持してきたが、原料の鉄鉱石と石炭の価格がそれぞれ65%、200%上昇し、値上げをこれ以上先延ばしできない状況だ」と話した。ポスコの熱延鋼板価格は同70万ウォン(約7万2800円)で、中国からの輸入品(同85万−86万ウォン)に比べ20%以上安い。冷延メーカーも「原材料の輸入ホットコイルは7−9月期の価格が同1000ドル(約10万7300円)まで上昇し、現在の価格では赤字になる」としている。

◆半年で60%上昇

 輸出業者は年初来2−3カ月ごとに鉄鋼価格が上昇していることに困惑の表情を浮かべている。

 造船大手の関係者は「ポスコが4月に厚板価格を同78万5000ウォン(約8万1600円)へと18%も値上げし、原価が上昇した状況で再値上げとなれば、新日鉄の同850−900ドル(約9万1200−9万6600円)に迫る。原価負担があまりに膨らむ」と苦境を語った。厚板価格は船舶建造コストの平均15%を占める。

 また、別の造船業界関係者も「厚板価格の上昇分はある程度船主に転嫁できるが、現在のように値上げが続けば、輸出競争力が低下する」と危機感をあらわにした。韓国の大型造船所は毎年、必要な厚板の半分程度を国内で調達している。日本製の厚板供給には限界があり、中国製は同1200ドル(約12万8800円)を上回り国産より割高だ。

 耐久消費財を生産する自動車、家電業界は、造船業界のように鉄鋼価格の上昇分を製品価格に反映させるのが難しく、状況はさらに深刻だ。現代・起亜自動車は「鉄鋼価格が年初来3回の値上げで、昨年末に比べ60%以上上昇した。そうかといって、現在のような物価上昇局面で自動車価格を引き上げるのも難しく進退窮まった状態だ」と話している。

ポスコ会長「鉄鋼価格の引き上げを検討」

2008.06.10 中央日報 Joins.com

 ポスコの李亀沢(イ・クテック)会長が「やはり鉄鋼の価格を引き上げざるを得ない」と発言し、鉄鋼価格の引き上げが差し迫っていることを示唆した。

李会長は9日、ソウル大峙洞(テチドン)のポスコセンターで行われた第9回「鉄の日」の記念行事で記者らと会見し「国内価格と国際相場の連動が最も望ましい」と述べた。そして「現在、市場に歪みが生じており、本格的な価格の引き上げを検討せざるえない状況」と話した。値上げの時期は、来月になる見通しだ。

値上げ幅について、李社長は「国際相場に合わせるのが最も望ましいが、国際相場と国内価格の間の差が広がり過ぎているので、一度に引き上げるのは難しいと思われる」と話した。現在、ポスコの熱延鋼板の価格は1トンあたり70万ウォン(約7万2000円)だが、日本産と中国産の同じ輸入製品は100万ウォン(約10万2000円)を超えている。

李社長は特に「完成品の価格が屑鉄など、素材の価格より安い異常な構造だ」とし「このような異常な状態を正す必要があるが、いつ解消できるのか見通しが立たない」と話した。

現在、屑鉄の価格は1トン当たり、720ドル(約76000円)を超えており、鉄筋価格の上昇を主導している格好だ。

鉄鋼生産能力、2010年に7千万トン突破の見通し

2008/06/09 YONHAP News

【ソウル9日聯合】国内の鉄鋼生産能力が、2010年には7000万トンに達する見通しだ。

 韓国鉄鋼協会が9日に明らかにしたところによると、会員企業や主要鉄鋼メーカーの生産計画を調査した結果、国内の鉄鋼生産能力は2008年が5982万8000トン、2009年が6232万8000トン、2010年が7053万1000トンと集計された。

 このうち、転炉部門の生産量はポスコの新製鋼建設と現代製鉄の高炉稼動で2010年に4349万8000トンに達する見通しで、電気炉部門も東部製鉄の電気炉稼動などで2010年には3103万3000トンを生産するものと予測された。

 国内の鉄鋼生産能力は1981年に1000万トン、2002年に5000万トンを突破している。

 一方、鉄鋼業の今年度設備投資は、前年比73.2%増の7兆4918億ウォン(約7604億円)となる見通しだ。製造業全体に占める割合は14.2%で、IT産業(19.0%)に次いで大きい。

【スタンダード&プアーズの業界展望】日本と韓国の鉄鋼業界 原料高への対応と国内外での投資戦略が今後のカギ -

2008/06/04 東洋経済

事業法人・公益事業格付部 主席アアナリスト 吉村真木子

 日本の鉄鋼大手4社(新日本製鉄「A−/安定的/--」、JFEホールディングス「BBB+/ポジティブ/--」、JFEスチールも同格付け、住友金属工業「BBB−/安定的/--」、神戸製鋼所「BBB−/安定的/--」)の2008年3月期は経常減益となった。韓国最大手の鉄鋼メーカー・ポスコ(A/安定的/--)の2007年12月期決算は増産効果で増収増益となったものの、利益率はわずかに悪化した。いずれも原燃料価格の高騰が主因である。原燃料価格は高止まりするとみられるが、日本の4社は減価償却費の規模に鑑みて底堅いキャッシュフロー(CF)水準が見込まれ、またポスコは実施済みの製品値上げによって今期のコスト増をおおむね吸収できる見通しであることから、各社の信用力への影響は当面、限定的にとどまるとみている。

 日本の4社は経常減益となったものの、合理化効果と高級鋼に注力する戦略によって支えられており、各社の利益率は先進国の鉄鋼大手のなかで高水準に維持されている。しかし、原燃料高の影響をより強く受ける2009年3月期は、新日鉄、住友金、神戸鋼の3社がそれぞれ20−30%台の大幅減益を予想している(新日鉄は暫定値、JFEは価格交渉中で合理的見積もりが困難として非公表)。自動車メーカーの一部が3割強の値上げを受け入れたとの報道もあるものの、原燃料市況が予断を許さない状況にあるなか、価格転嫁が各社の今期業績のカギを握ている。4社とも設備投資を積極化させているため有利子負債は増加傾向にあるが、CFとのバランスは2008年3月末時点でも格付けに見合った水準を維持している。鉄鋼業の特性として資本集約的で減価償却費が大きいため、今後、利益水準がかなり落ち込んでも、ある程度のフリーCFを確保できる可能性が高い。原燃料高が続くなかでも各社の信用力は当面、安定して推移するとスタンダード&プアーズは予想している。

 韓国・ポスコの2007年12月期決算は、年後半にステンレス鋼の収益がニッケルなど原材料の価格の高騰によって悪化したことで、利益率は前年よりわずかに悪化した。しかし、償却前営業利益率や有利子負債CF比率などは依然として、世界の同業他社に比べても良好である。ポスコは2008年にすでに2度の製品値上げで30%強を引き上げており、原材料高によるコスト増はおおむね吸収できよう。韓国市場で60%もの高シェアを持つうえ、製品価格が国際的にみて依然割安であるため、必要に応じてさらに値上げを実施する余地も残されていると考えられる。2008年の事業投資計画は連結ベースで計8兆2,000億ウォン(約8,200億円)と引き続き積極的だが、同社の高いCF創出力に鑑みると、有利子負債の増加は一定範囲内にとどまり、今後3−5年程度は強固な財務基盤を維持できるとみられる。

 中長期的な信用力動向にとっては、原燃料市況と国内外での投資戦略が重要な要素となろう。需要が堅調ななかで増産しているにもかかわらず、収益が圧迫されているということは、原材料を自給できない日韓の高炉の構造的問題を端的に表している。世界的な需要拡大と資源会社の寡占化を背景に原材料の調達コストは今後も高止まりすると予想される一方、製品価格への転嫁の余地は年々縮小してきていると考えられる。高級鋼での強固な顧客基盤から、需要の大幅減は当面考えにくいが、原燃料価格の高騰が長期的に続けば、世界最大手のアルセロール・ミタル(BBB+/安定的/--)やロシアのメーカーなど原材料自給率の高い鉄鋼メーカーとの間で、コスト競争力や投資余力の格差が広がってくる可能性がある。

 鉄鋼メーカーの事業成長は各地域市場の成長余力に大きく左右されるうえ、アルセロール・ミタルの出現や資源会社の寡占化などを背景に、規模の利益と収益源の分散の重要性も増していることから、海外事業戦略の重要性も高まっている。ポスコは以前から海外事業を積極的に展開しているが、日本の鉄鋼大手も近年は、海外での事業投資を活発化させている。日韓の鉄鋼大手が海外でも高級鋼主体に事業展開しようとしている点は格付け分析上、プラスに捉えているが、海外での高炉事業は5,000億円規模の莫大な初期投資が必要であり、その投資を支えるには、既存事業のCF創出力が維持されることが必要である。原燃料の高騰などにより既存事業の収益・CFが圧迫されるとともに、海外投資負担などに伴って有利子負債依存度が過度に高まれば、信用力に下方圧力がかかろう。

ポスコ、鉄鋼価格を22%引き上げへ

2008/04/11 朝鮮日報/朝鮮日報JNS 崔有植(チェ・ユシク)記者

現代製鉄も18%値上げの計画

 今年に入って鉄鋼石や石炭など国際的な原料価格高騰の影響で、ポスコが韓国国内向けの鉄鋼製品価格を18%から22%引き上げることにした。

 この結果、鉄鋼製品を利用する自動車、家電、建設、造船などの業種で材料費の負担が重くなるなど、原料価格高騰に伴う物価上昇の圧力がさらに高まっている。

 ポスコは今月17日から熱延鋼板や造船用厚板、線材などの価格を1トン当たり12万ウォン(約1万2500円)引き上げる、と10日に発表した。

 自動車向けなど産業用に用いられる熱延鋼板の価格は、1トン当たり現在の58万ウォン(約6万400円)から70万ウォン(約7万2900円)へと、およそ18.1%引き上げられる。

 ポスコに続き現代製鉄も、熱延鋼板の価格を1トン当たり70万ウォン(約7万2900円)からおよそ83万ウォン(約8万6500円)へと、 18%前後引き上げる方向で検討を進めている。現代製鉄の役員は「今年だけで鉄鋼製品の価格は35%も上昇し、価格引き上げにかなりの圧力を受けている」と語った。

韓国ポスコ、鉄鋼価格を最大20.7%引き上げへ

2008年04月10日 REUTERS

 [ソウル 10日 ロイター] 韓国の鉄鋼大手ポスコ(005490.KS: 株価, 企業情報, レポート)は10日、4月17日から鉄鋼価格を最大20.7%引き上げる方針を明らかにした。原料価格が高騰するなか、市場では値上げが広く予想されていた。

 値上げは2月に続いて今年2度目。

 同社は4月1日からの鉄鉱石価格について、ブラジルのヴァーレ(VALE5.SA: 株価, 企業情報, レポート)と65%値上げで、原料炭についてはオーストラリアのサプライヤーと205─210%の値上げで合意している。

 ポスコは声明で「コスト圧力の高まりを受け、値上げは不可避だった」と述べた。

JFEスチールと東国製鋼、ブラジルで製鉄所事業調査

2008/04/09 朝鮮日報JNS 東京=宮城英二通信員

 JFE スチールと韓国の東国製鋼は8日、ブラジル・セアラ州ペセン地区で製鉄所建設に向けた事業性調査を開始すると発表した。東国製鋼とブラジルの鉄鉱石生産大手バーレは既に高炉法によるスラブプロジェクトの事業性検討を進めているが、JFEスチールは東国製鋼とバーレの協力を得て、別途年産500万−600万トン規模の製鉄所建設に向けた事業性調査を実施する。

 JFEスチールは「事業性が確認できれば、東国製鋼とバーレの合意を前提に生産規模を拡張し、事業を共同で推進する」とした。新たに設立する事業会社はJFEスチールの連結子会社として運営する予定だ。

 JFEスチールが参入を検討するのは、▲高炉2基(年産各250万−300万トン)への投資▲港湾拡張などインフラ整備▲高炉の戦略的活用プランなど。

 JFEスチールは、世界有数の鉄鉱石産出国であるブラジルを有望視し、北米、南米をはじめ、日本、アジアへの輸出も含めたスラブ供給拠点としての製鉄所建設を検討してきた。

 これに先立ち、東国製鋼とバーレは昨年11月、同州で年産250万−300万トン規模の高炉建設で合意している。今年2月に現地法人「CSP」を設立し、具体的な事業検討に入った。両社はJFEスチールによる事業性調査が完了するまで、既存事業を予定通り推進し、早期に事業計画を具体化する方針だ。

 JFEスチールと東国製鋼は1999年から戦略的提携関係にある。

鉄鋼原料炭の価格が3倍に…ポスコ

2008.04.08 中央日報 Joins.com

今年の原料炭供給価格が昨年の3倍に上がる。

鉄鋼業界と海外メディアによると、ポスコはオーストラリアの供給業者と価格交渉を行い、原料炭の価格を205−210%引き上げることにした。 この価格は今月1日から遡及適用される。 これを受け、1トン当たり100ドル程度だった原料炭価格は300ドルに上がった。

今回の交渉が妥結したのは、オーストラリアの主要供給ライン3業者の一つ。 最初の交渉での価格が基準になるため、今後の交渉でもほぼ同じレベルで妥結する見通しだ。

これに先立ちポスコは2月、ブラジルのバーレ社と鉄鉱石供給価格を65%引き上げることで妥結している。 鉄鉱石に続いて原料炭の価格までが上昇したことで、近い将来、ポスコが鉄鋼価格の引き上げに踏み切ると予想される。

鉄鋼業界の関係者は「有煙炭価格の高騰でポスコが製品価格を1トン当たり10万−12万ウォン(約1万−1万2000円)ほど引き上げることになるだろう」と語った。

現在1トン当たり58万ウォンの熱延製品の価格は17−29%ほど上がる見込みだ。 このため自動車・造船など鉄鋼製品の消費が多い製造企業のコスト負担が増える。

自動車の場合、1台の製作に1トンほどの冷延鋼鈑が入るため、1トン当たり10万ウォン上がれば200万台の生産を基準に2000億ウォンほど材料費負担が増える。

ポスコは今後、オーストラリア鉱山業者と鉄鉱石、カナダ・ブラジル業者と有煙炭の価格交渉を行う。

【萬物相】ポスコ40年史

2008/03/31 朝鮮日報/朝鮮日報JNS キム・ギチョン論説委員

 昨年1月にインドのタタ・スチールがイギリスの大手鉄鋼会社、コーラスを買収し、世間をあっと驚かせた。買収額130億ドル(約1兆3000億円)と、インド史上最大規模の海外投資だった。タタ・スチールは1907年に設立されたアジア初の民間製鉄所だ。100年の歴史を誇る企業だが、粗鋼の年間生産能力はわずか440万トンにすぎない世界第56位の小さな会社だった。そんなタタ・スチールが粗鋼生産能力2060万トン(世界9位)のコーラスを飲み込み、一気に世界6位にまで飛躍した。

 2000年の時点で世界10大鉄鋼会社だった企業のうち、現在まで残っているのは、新日本製鉄、ポスコ、上海宝山鉄鋼の3社にすぎない。ほかの産業よりも激しい買収・合併(M&A)ブームが巻き起こり、業界の勢力地図が一転してしまったのだ。タタ・スチールのように一夜にして大跳躍を成し遂げる企業が登場したり、従来の大手の合併で看板が何度も書き換えられたりした。

 世界の鉄鋼業界のこうした変動を象徴する人物が、インド出身の鉄鋼王、ラクシュミ・ミタル氏だ。ミタル氏は1976年にインドネシアで年産6万トンの小規模製鉄所を運営し始めた。89年にトリニダード・トバゴの国営製鉄所を買収したのを皮切りに、純粋なM&Aだけで企業を拡大していった。2004年には米国最大の鉄鋼会社であるISGに続き、06年には世界2位のアルセロールを買収。実に2位の4倍を誇る世界最大の鉄鋼会社をつくり上げた。

 ポスコが創業40周年を迎えた。1968年4月1日に朴泰俊(パク・テジュン)社長をはじめとする役員39人から出発したポスコは、韓国が重化学工業国として飛躍するのに大きく貢献した。政府の保有株式を国民に売却した「国民株」の第1号で、韓国が世界に誇れる数少ない大手優良企業の一つでもある。こうしたことから、2000年に民営化を終えてからも、「ポスコは依然として国民企業」だと考えている国民は数知れない。

 ポスコの40年史は、世界鉄鋼業界でも珍しいケースとして挙げられている。しかし、最近になってポスコの勢いに陰りが見え始めている。まず、世界鉄鋼業界のM&Aブームに無関心だったことで、業界序列が4、5位に低下してしまったほか、原価競争力でもタタ・スチールなど新興企業に負けているのだ。ポスコが最近インドとベトナムに製鉄所を建設することにしたのは、国内投資だけでは競争力を維持できなくなったためだ。「グローバル化」に向けまい進するポスコに期待している。

ポスコの製鉄所建設、印・越で相次ぎ論議に

2008/03/25 朝鮮日報/朝鮮日報JNS 崔有植(チェ・ユシク)記者

 ポスコはインドに続きベトナムでも製鉄所建設プロジェクトが壁にぶつかり、海外事業での試練が続いている。

 ポスコが昨年から事業の妥当性について検討を重ねてきたベトナムでの製鉄所建設事業は、これまで順調に進んできたが、今年初めから製鉄所建設予定地について現地のマスコミや政府の一部で反対意見が強まっている。

 24日の、ポスコの発表とベトナムのマスコミ報道によると、ポスコは最近、ベトナム政府との協議を経て、ベトナム中南部のバンフォン湾にあるホンゴム半島に960万平方メートルの製鉄所建設用地を確定した。この地は当初、ベトナム政府が国際的な貨物港として開発を進めてきた地域の一部で、水深が深く周辺の自然も美しい地域だ。しかしベトナムのマスコミや学界、政府の一部などから、この地域に製鉄所を建設することに対する反対の世論が強まっている。製鉄所が建設されれば、今後経済発展に伴って港の規模を拡張できなくなり、環境破壊の可能性も大きくなるというのだ。

 現地の海洋学者団体や海洋省などは、今年の初めから政府と共産党に対して反対の意見書を提出するなど、バンフォン湾での製鉄所建設について再検討を強く要求している。また、ホーチミンで発行されている新聞なども反対の論陣を張っている。グエン・スアン・フック政府官房長官も、現地マスコミとのインタビューで、「湾内では風光や環境、そして国際貨物港が優先されるべきであり、製鉄所の建設はその次だ」と述べ、反対の世論に配慮している。

 これに対してポスコは、「運送などを考慮すると、製鉄所は水深の深い港近くにしか建設できない。バンフォン湾以外に選択の余地はない。遅くとも5 月中には事業について妥当性の検討を終え、予定通りベトナム政府に投資の承認を申請する」と明らかにした。李亀沢(イ・グテク)会長も19日から3泊4日の日程でハノイを訪問し、ベトナム政府の官僚らに会ってバンフォン湾での製鉄所建設について説得を行うという。

 ポスコの関係者は、「ベトナムでの製鉄所建設の件は、当初ベトナム側の要請により検討が始まったものだ。製鉄所を溶鉱炉方式ではなく、環境に優しいファイネックス方式を採用して建設し、環境破壊は最小限に止める」と述べた。ポスコが昨年実用化に成功したファイネックスは、高炉とは異なり鉄鋼石と石炭を事前に加工しないことから、窒素酸化物の排出を高炉の3%以下に抑えることのできる工法だ。

 ポスコは昨年5月にベトナム最大の造船企業であるビナシン・グループと覚書を交わし、製鉄所建設の妥当性を検討する作業に取り掛かっていた。

鉄鋼業の設備投資が今年は過去最大に、鉄鋼協会

2008/03/09 (YONHAPNEWS) WOW! Korea

【ソウル9日聯合】鉄鋼業界の今年の設備投資が過去最大に達する見通しだ。韓国鉄鋼協会が会員企業33社を対象に調査、9日に発表した「鉄鋼業の設備投資計画」によると、今年の設備投資規模は前年より63.2%多い7兆586億ウォン(7575億8400万円)と集計された。

 協会は、鉄鉱石や鉄スクラップなど原料価格の急上昇が悪材料として作用するものの、建設や造船など国内主要産業の好調が予想されるためだと分析した。また、高級鋼生産の拡大など質的な成長に向けた投資の必要性が拡大していることも要因に挙げた。

 業種別にみると、電気炉業種の設備投資規模が前年比121.8%増の3兆2573億ウォンで、全体の46.1%を占めた。これは現代製鉄の一貫製鉄事業、東国製鋼の厚板工場増設、韓国鉄鋼と世亜ベスチールの鍛造設備投資、ポスコ特殊鋼の製鋼工場新設など、生産設備の新増設による。また、一貫製鉄業種は前年から21.3%増の2兆8932億ウォンを投資し、東部製鋼の電気炉事業投資など冷延・表面処理業種の設備投資も拡大する見通しだ。合金鉄は高合金、高付加価値製品の生産拡大などに伴う需要拡大に後押しされ、昨年に比べ166.0%多い524兆ウォンの投資が予想される。

 今回の調査で鉄鋼各社は、需要不足や新規投資先の不足、過度な環境規制などを投資の障害要因に挙げた。政策として建議する事項としては、工場の自動化機器関税に対する減免制度の期限延長と減免の拡大、産業用液化天然ガス(LNG)個別消費税の引き下げなどが提示された。

 協会関係者は、原料価格の上昇や中国の生産能力の拡大など対外的な重大要素が散在するなかで、国内の鉄鋼産業が競争力を維持するには、量的な成長に加え、新技術の開発とコスト削減で投資比重を高め未来の成長に向けた原動力を確保しなければならないとした。

原材料コスト上昇、鋳物メーカーが納品中断(上)

2008/03/08 朝鮮日報/朝鮮日報JNS 金承範(キム・スンボム)記者/李性勲(イ・ソンフン)記者

 鉄鉱石、無煙炭、スズなど原材料価格急騰による影響が産業の現場全体に拡大している。自動車、造船、機械など韓国の主力産業に原材料となる部品を供給している鋳物業界が、大企業に対し原材料価格の上昇に見合った納品価格の引き上げを求め、納品を一時中断した。厚板の供給不足に直面している造船業界も原材料不足に直面しており、建設業界も本格的な建設シーズンを控え鉄筋の確保が困難な状況となっている。

◆鋳物メーカー「納品するほど赤字」

 鋳物は溶かした鉄を鋳型に流し込んで作られ、自動車、船舶、工作機械などの部品素材として使われる。

 230社が加盟する韓国鋳物工業協同組合は7日、大企業が急騰する鉄鋼価格を納品価格に反映することを拒んでいるため、損害が拡大しているとして、9日まで大企業に対する納品を一時中断すると宣言した。15日までに適切な措置が取られない場合、再び納品を中断することも視野に実力行使を続ける構えだ。

 茶山鋳物工業団地(慶尚北道)と鎮海・馬川鋳物工業団地(慶尚南道)では同日午前、事業組合の職員らが団地の入り口に出て、鋳物製品の輸送車両の通行を阻んだ。製品は平常通りに生産したが、輸送車両には積まずそのまま倉庫に運んだ。慶尚南道鎮海市にある鋳物メーカーA社の関係者は「納品しても損害が出る状況の中、大半の業者が今回の納品拒否運動に同調した」と話した。

原材料コスト上昇、鋳物メーカーが納品中断(下)

2008/03/08 朝鮮日報/朝鮮日報JNS 金承範(キム・スンボム)記者/李性勲(イ・ソンフン)記者

 こうした鋳物メーカーの集団行動は、原材料価格が高騰したにもかかわらず、納品価格が引き上げられていないことが原因だ。過去10年間に鋳物業界で原料として使われるスクラップは190%、銑鉄(せんてつ)は120%上昇したが、鋳物価格は20−30%上昇したにとどまっているという。しかし、大企業は原価削減を理由に引き上げに応じていない。

 鋳物工業組合の徐炳文(ソ・ビョンムン)理事長は「これまで大企業に数回にわたり引き上げを要求したが、黙して回答がない。最悪の場合は工場の操業拒否もあり得る」と述べた。

◆他業種にも対立拡大

 原材料価格の上昇による大企業と中小企業の対立は、石油製品や鉄筋など他業種にも拡大している。韓国鉄筋加工業協同組合の関係者は「来週にも理事会を開き、危機に瀕した業界の立場を明らかにする」と述べた。加盟各社の立場は強硬で、納品中断など実力行使につながる可能性もあるという。

 中小企業中央会は同日、緊急会長団会議を開き、中小企業の原材料需給と価格安定、公正な競争を求める声明を発表した。金基文(キム・ギムン)会長は「中小企業に対する原材料供給拡大と、原材料価格と納品単価の連動性など早急な対策を政府と大企業に求める」と述べた。

 大企業は一部製品の価格引き上げを検討しているが、納品業者の主張を額面通りに受け入れるのは困難との立場だ。現代自動車の関係者は「年初来のコスト上昇分について、年初から取引企業と協議を進めており、今月中旬にも引き上げを実施する計画だ」とした上で、「製品価格には材料費、人件費、物流費などさまざまな費用が含まれており、検討が必要だ」と慎重な立場を示した。

 造船業界の関係者は「大企業の事情はまだましだが、中小・新興の造船メーカーは価格を上乗せして厚板を調達している状況だ」と話した。建設業界でも3月から建設シーズンが始まり、中小建設会社の一部では鉄筋やセメントが調達できず、工事中断に追い込まれるケースも出ている。

【社説】大企業に挑戦する中小鋳物業者の「反乱」

2008/03/08 朝鮮日報/朝鮮日報JNS

 自動車、船舶、工作機械、産業機械などの重要部品に使われる鋳物を作る中小企業が7日から3日間、大企業に対する納品を中断すると宣言した。中小企業が原材料価格の上昇による採算性悪化に耐えられず、納品価格の引き上げを求めてほしいと実力を行使した形だ。

 過去10年間で鋳物の原料となるスクラップは230%、銑鉄は120%値上がりした。これに対し、鋳物製品の納品価格は20−30%の上昇にとどまっているという。コスト削減と生産性向上で乗り切れる段階は既に過ぎ去ったというのが鋳物メーカーの話だ。今年に入ってもスクラップ価格は1キロ当たり400ウォン(約43円)から520ウォン(約56円)へと30%上昇したが、納品価格は据え置かれたままだ。このため、「座して死を待つによりはましだ」という心情で大企業に対抗することにしたわけだ。

 鋳物業界だけが困難に直面しているわけではない。中小企業中央会がこのほど行った調査によれば、中小企業の60%が原材料価格の上昇にもかかわらず製品価格を上げられずにいることが分かった。中小企業の生産原価は昨年、平均で13.2%上昇したが、納品単価は逆に平均2%低下した。大企業が毎年3−5%の納品価格引き下げを目標に掲げ、中小企業に値下げを強要していることももはや秘密ではない。にもかかわらず、中小企業の52%は「大企業との取引が中断することを恐れ耐えている」と答えた。

 2004年には中小企業の営業利益率は4.9%で大企業の5.6%と大差なかった。しかし、昨年7−9月期には中小企業が2.5%、大企業が5%と差が広がった。中小企業の半数は営業利益で金利負担も賄えない状況だ。大企業が原材料コスト上昇を転嫁しているため、中小企業だけが苦しんでいることになる。中小企業は企業数の99%、雇用の88%を占める。中小企業が倒産すれば国家経済が破たんし、大企業の明日もない。中小企業だけでなく、大企業自らのためにも下請け企業との横暴な取引をなくすべきだ。

韓国ポスコCEO、鉄鉱石値上げに伴い鉄鋼価格引き上げ示唆

2008年02月22日 ロイター

 [ソウル 22日 ロイター] 韓国の鉄鋼メーカー、ポスコ(005490.KS: 株価, 企業情報, レポート)の李亀沢(イ・グテク)最高経営責任者(CEO)は22日、原材料の鉄鉱石価格が引き上げられたことを受け、鉄鋼価格を引き上げたいとの意向を示した。

 同社は今週、ブラジルの鉱山会社ヴァーレ(VALE5.SA: 株価, 企業情報, レポート)との間で鉄鉱石価格の65%引き上げに合意した。

 CEOは、年次株主総会後「原材料価格の引き上げに伴い、鉄鋼価格も引き上げる必要があるのではないか」と述べた。

低級鉱石利用に活路 日韓製鉄大手、本格活用へ新技術

2007/08/17 FujiSankei Business i.

 中国を中心とした需要拡大で鉄鉱石の価格が急騰し、高品質の鉱石が品薄状態にあることを踏まえ、かつては捨てられていた鉄分の少ない鉄鉱石を利用する動きが本格化している。新日本製鉄は鉱石の品質を改良する技術を確立、韓国ポスコと神戸製鋼所は高炉に代わる新たな製鉄法をそれぞれ実用化した。低品位の鉱石をめぐる利用技術が鉄鋼メーカー浮沈のカギを握る可能性もありそうだ。

 鉄鉱石の埋蔵量は全世界で約1500億トンに上るが、良質鉱石は2割程度しかない。各社は劣質鉱石を混ぜて使っているが、良質な鉱石の割合は年々減っているのが実情だ。

 鉄鉱石は高炉で製鉄する場合、一定の大きさに焼き固めた「焼結鉱」に加工する必要があるが、低級鉱石は粘結成分が少なく固まりにくい。新日鉄の八幡製鉄所は、生石灰と有機溶剤を加えることで粘結力を高めて焼結鉱を作る技術を確立し、数年後にはすべて劣質鉱石に切り替える予定。この方法を他の製鉄所に広げることも検討している。

 これに対して神戸製鋼は、劣質鉱石を焼結鉱に加工せず、そのまま溶かす新製鉄炉の実用化にこぎつけ、米国の鉱山会社と合弁建設に合意した。新炉は生産単位当たりの建設費が高炉の約半分、二酸化炭素(CO2)排出量は約2割少ない。大型化が難しく年産能力は50万トンレベルが限界だが、途上国や鉱山地域での普及が期待される。

 ポスコは、日本での研究が中断されていた流動還元炉という新方式の製鉄炉を約1400億円かけて建設した。劣質鉱石の純度を徐々に高める仕組みで、神戸製鋼と同じく鉱石をそのまま使う。年産能力は150万トンで高炉の半分程度だが、能力当たりの建設費が2割安く、高炉に代わる次世代の製鉄炉と位置付けている。

ポスコ、インド鉄鋼公社と戦略的提携

2007/08/17 朝鮮日報/朝鮮日報JNS 崔有植(チェ・ユシク)記者

 ポスコがインド最大の国営製鉄会社「インド鉄鋼公社」と、包括的協力のための戦略的提携に乗り出した。

 ポスコは16日、インド鉄鋼公社本社(インド・ニューデリー)で趙成植(チョ・ソンシク)副社長とインド鉄鋼公社人事担当理事が戦略的提携のための了解覚書(MOU)に署名した、と発表した。

 両社は今後3年間、経営情報と企業資源管理システム(企業内経営資源の最適な管理を通じて経営効率を高めるシステム。統合基幹業務システム・ERP)、シックスシグマ(商品・サービスの不良発生率を100万分の3ないし4〈シックスシグマ〉まで低下させることを目標とする品質管理・経営管理)などの経営管理技法を共有し、技術者交流を進める。また原料の開発および購買、インド国内販売ネットワーク共同活用の分野でも協力関係を構築する。

 インド鉄鋼公社はインド政府が資本の86%を保有している国営製鉄会社で、年間鉄鋼生産量は1500万トン規模、インド国内に6カ所の製鉄所を保有している。

 ポスコは今回の提携を通し、現地住民の反対と中央政府の行政処理遅延で足踏み状態にあるインド製鉄所プロジェクトを推し進めたい考えだ。ポスコ関係者は「まず製鉄技術に対する共同研究および協力作業の推進などを通し、両社間の協力範囲を拡大していく予定」だと語った。

【社説】49億ドルで米企業を買収した斗山

2007/07/31 朝鮮日報/朝鮮日報JNS

 建設重機メーカーの斗山インフラコアは30日、米国の重機メーカー、インガーソル・ランド社の3事業部門を49億ドル(約5840億円)で買収する契約を結んだ。韓国企業が海外で行った企業合併・買収(M&A)としては最大規模だ。

 斗山が買収した、掘削機などの小型建設重機・掘削機のシャベルやドリルなどの小型建設重機付属品・小型エアコンプレッサーの3部門は、どれもそれぞれの分野で世界シェア1位を誇る。米国など6カ国に16の工場があり、昨年は売上26億ドル(約3100億円)、営業利益3億7000万ドル(約441億円)を上げた。今回の買収により、斗山インフラコアは今年の売上が4兆4000億ウォン(約5675億円)から7兆ウォン(約9028億円)へと増え、建設重機部門でも世界第19位から第7位へと一気に飛躍した。

 M&Aは企業が最も手っ取り早く効果的に競争力を強化できる方法だ。世界におけるM&Aの規模も2000年の1兆1438億ドル(約136兆2500億円)から06年には3兆7120億ドル(約442兆3220億円)と爆発的に増えている。今年上半期だけで2兆7800億ドル(約331兆2650億円)のM&Aが成立し、昨年上半期に比べ50%も増加した。このうち60%に当たる1兆 6650億ドル(約198兆4014億円)が国境を越え、海外企業を対象としたM&Aだ。

 しかし、05年に行われた韓国企業による海外企業のM&A実績は4億5000万ドル(約536億2000万円)で、米国1476億ドル(約17兆5880億円)の0.3%、日本81億ドル(約9652億円)の5.5%、中国53億ドル(約6315億5000万円)の8.5%に過ぎない。M&Aを「タコ足式の規模拡大」と否定的にとらえる一方で、違う文化を持つ海外企業を化学的に融合させ、相乗効果を生み出す自信とノウハウがないためだ。1990年代半ば、サムスン電子は米パソコン・メーカー「AST研究」、LG電子は米テレビ・メーカー「ジェニス」を買収し失敗、アジア通貨危機に襲われたのも、海外企業のM&Aを渋る原因になっている。

 米シスコ社はこの20年間、100社以上の企業を買収し、世界最大の通信装備メーカーになった。アルセロール・ミッタル社もM&Aだけで世界最大の鉄鋼メーカーになった。この世界経済時代に、M&Aをせず自らの手で世界的な生産・販売網を築き上げるのにこだわるのは無謀なことだ。斗山による今回の米企業買収が、韓国企業のM&Aに対する認識を変えるきっかけになることを望む。

ポスコ営業利益上昇…上場企業トップに

2007.07.17 中央日報 シム・ジェウ記者

ポスコ実績が止まることなく上昇している。株価も大幅に上がり、これまで付きまとっていた企業吸収合併(M&A)の脅威からも抜け出したという評価だ。

ポスコが16日に発表した今年の第2四半期の売上高は5兆8150億ウォン(約7700億円)だ。分期別売上高では史上最大規模である。営業利益は1兆2470億ウォンで現在まで発表した上場企業のうち三星電子(9107億ウォン)を抜いてトップを記録した。純利益は1兆1130億ウォン。ポスコは昨年第3四半期以後、1兆ウォン以上の営業利益を記録して実績好調を続けた。特に売上高は第1四半期より2%増加したのに比べて営業利益は12.1%増えて利益構造がますます好転した。

ポスコのイ・ドンヒ財務担当副社長(CFO)は「自動車鋼板、電気鋼板、高級鋼管材など高付加価値製品が多く売れ、原価節減などによって成長を続けることができた」と説明した。

粗鋼生産量も増えて実績好調に貢献した。3月、慶北浦項(キョンブク・ポハン)2製鋼脱燐炉を竣工し、浦項2冷延工場と全南光陽(チョンナム・クァンヤン)2熱延工場も改・補修を終えて粗鋼生産量は第1四半期(755万トン)より3.5%増加した781万7000トンを記録した。ここに5月に竣工した常用ファイネックス(FINEX)の竣工も粗鋼生産量増加に一役買った。イ副社長は「現在ファイネックスで1日正常操業分(4300トン)に近接する3800〜4000トンを生産しており、稼働率は目標値である95%を果たしている」と付け加えた。

実績好調と国内証市活況でポスコの時価総額も大きく上がった。昨年末の終値基準で1株当たり30万9000ウォンだった株価は16日終値で55万5000ウォン、時価総額は昨年末26兆9000億ウォンから48兆ウォン(527億ドル)に増えた。これはライバル会社である日本の新日鐵の時価総額(478億ドル)を超える数値だ。これまでポスコに関心をみせてきた世界最大鉄鋼企業アルセロール・ミッタルの企業M&Aの脅威からも脱することができる水準だ。

ポスコと現代重工業、株式持ち合い・敵対的買収防止へ

2007/04/24 NIKKEI NeT

 【ソウル=鈴木壮太郎】韓国鉄鋼最大手ポスコと造船最大手の現代重工業は26日、株式を相互に持ち合うことを決めた。敵対的買収に備えて安定株主を増やしたいポスコと、ポスコとの関係強化で造船用厚鋼板の安定調達を狙う現代重の利害が一致した。

 ポスコは同日、現代重の発行済み株式の1.9%を3466億ウォン(約444億円)で取得することを取締役会で決めた。現代重も傘下の現代尾浦造船を通じ、ポスコの株式1%を取得する。

 ポスコは提携関係にある新日本製鉄などと株式を持ち合っているが、鉄鋼会社以外の製品の供給相手とは初めて。旧国有企業のポスコはオーナー一族がいる財閥と異なり大株主が存在しないため、安定株主づくりを急いでいた。

 現代重は空前の海運活況で3年以上の受注残を抱え、造船用厚鋼板の安定調達が課題。現在は必要量の約30%をポスコから調達し、残りは他社や中国など海外から購入している。ポスコへの出資により事業面でも関係を強化。長期的に安定供給を受けることで収益拡大を狙う。

現代製鉄、一貫製鉄所にルクセンブルク企業の設備

2007/04/17 YonhapNews

【ソウル17日聯合】一貫製鉄所の建設を進めている現代製鉄が、ルクセンブルクのポールワースと500億ウォン規模の「高炉エンジニアリングおよび中核設備契約」を締結したと、17日に明らかにした。

 ポールワースは鉄鉱石などの製鉄原料を高炉に均等に入れる設備と高炉に吹き込む空気を摂氏1100〜1200度に加熱する熱風炉を製作し、現代製鉄に提供する。

 現代製鉄の朴承夏(パク・スンハ)社長はソウルで行われた調印式で、「この契約を結んだことで一貫製鉄所の建設が本格的に始まった」と述べ、建設プロジェクトの成功を願った。

 また現代製鉄は今回の契約を機に、各種の付帯設備や焼結工場、原料処理設備などの購買契約が本格化されるとの見通しも明らかにした。

中韓鉄鋼メーカーが会合、韓国側は輸出増に懸念表明

2007/03/16 Searchaina

 2007年7月の中韓民間会議の準備の1つとして、鉄鋼業界団体の中国鋼鉄工業協会と韓国鋼鉄協会に所属する企業の代表者らが19日から21日まで北京市で会議を開催する。韓国鋼鉄協会の副会長の他、現代鋼鉄や浦項鋼鉄の関係者ら両国業界のトップが参加するという。韓国鋼鉄協会の関係者は「中国の鋼材輸出のうち20%は韓国向けだ。今年も高水準を保っており、韓国の鉄鋼業界としては懸念している」と述べた。中国聨合鋼鉄網が伝えた。(編集担当:菅原大輔)

JFE、韓国・東国製鋼をグループ会社化

2006/09/25 The Sankei Shimbun

 国内鉄鋼大手のJFEスチールは25日、韓国3位の東国製鋼への出資比率を現在の4・09%から15%に引き上げ、持分法適用のグループ会社にすることを柱とする協定書に締結したと発表した。両社が協定書を締結した。出資額は150億円から200億円となり、今年度中に実施する見込み。韓国で需要が旺盛な厚板について、JFEが東国の生産設備建設に協力、グループとしての供給能力拡大を図る。

 東国も総額100億円程度、JFEスチールの持ち株会社であるJFEホールディングの株を取得することで合意。まず来年9月末までに50億円を取得する。東国側がJFE株を取得するのは今回が初めて。

 JFEは旧川崎製鉄時代の平成11年7月に、東国と「相互協力基本協定」を締結。昨年度はJFEが半製品を年間100万トン程度供給している。

中国産鉄鋼製品の対韓輸出急増で韓国メーカー悲鳴

2006/08/29 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 チェ・ユシク記者

 「最近、中国産H形鋼を使わない土木工事現場はほとんどありません」。韓国国内の有名総合商社の鉄鋼担当L部長は「価格が国産より15%程安いうえ、強度の差もさほど大きくないため、中国産製品を使用する建設現場が急増している」と話した。

 しかし、品質の面では未だ国産の70〜80%の水準であることから、高度の安全性が求められる高層ビルなどでは使われていないという。

 こうした中国産鉄鋼製品の韓国市場進出が本格化している。2004年から輸入が急増しはじめた中国産鉄鋼製品は、昨年は678万トン輸入され、物量ベースで韓国の対中国輸出量(468万トン)を初めて超えた。

 今年上半期(1〜6月)にも457万トン輸入され、韓国の対中輸出量(208万トン)を2倍以上も上回った。輸入額も22億2800万ドル(約2610億円)で、輸出額(19億8000万ドル)に比べ2億4800万ドル多かった。鉄鋼製品の輸入増加により対中国貿易収支が赤字になるのは、史上初めてのことだ。

 この調子でいけば、今年予想される中国産鉄鋼製品の輸入量は900万〜1000万トン。これは韓国国内の1年の鉄鋼消費量(6340万トン)の15%を中国産が占めるということになる。反対に、韓国産鉄鋼製品の中国向け輸出は毎年減少している。

◆重厚板の輸入量は2.5倍急増 

 主に中国から輸入される鉄鋼製品は、高い技術を必要としない一般鋼だ。建設用資材などに使用される棒鋼・形鋼製品が最も多い。棒形鋼類の今年上半期の輸入量は168万トンで、前年同期(108万トン)より55.7%増加した。

 造船建設分野で使用される重厚板製品の輸入量は94万トンで、昨年上半期の輸入実績である37万トンの2.5倍にまで急増した。中国産輸入が急増した背景には、ここ2―3年の間に中国鉄鋼メーカーが生産施設を相次ぎ増設し、安い製品が大量生産されるようになったことがある。

 中国内で消費されなかった製品が、米国・欧州・中東地域や韓国に大量に輸出されているというわけだ。国産のH形鋼は1トン当たり58万〜59万ウォン(約7万円)程度だが、これに比べ中国産製品は1トン当たり5万―10万ウォン安い。

 双竜鉄鋼部門のパク・チョルホ部長は「きれいな表面処理や強い強度が求められる分野以外なら、中国産製品を使用してもさほど問題はない」と話した。最近では、現代重工業・東国製鋼などの大企業でも高級製品以外の一般製品は中国から仕入れているという。

◆韓国メーカーは非常事態 

 22日にソウルで開かれた第1回韓中鋼管業界の交流会では、韓国の鋼管メーカーの代表が中国側に輸出の自制を求める事態まで起こった。韓国政府と韓国鉄鋼協会なども非公式チャンネルを通じ、中国政府とメーカーに「過度な輸出を抑制してほしい」と要請したとされている。

 専門家らは今年下半期の米国市場動向に従い、中国産鉄鋼製品の輸入が大幅に増える可能性もあるとみている。韓国鉄鋼協会ト・エジョン調査情報チーム長は「米国市場の鉄鋼価格が下落したり米中鉄鋼分野の貿易摩擦が起これば、中国の対米輸出量がそっくり韓国に向かうだろう」とし、韓国メーカーが“中国発爆弾”を受ける可能性もある」と懸念した。

 これについてポスコ経営研究所ナ・ビョンチョル地域研究センター長は「高付加価値技術の開発で中国を超えること以外に、これといった対応策はない」と話した。

寿工業、韓国ポスコと契約

2006/06/14 中国新聞地域ニュース

 ▽呉に製造拠点、特殊鋼40万トン納入へ

 呉市に製造拠点を持つ製鋼・産業機械メーカーの寿工業(東京)は、韓国最大手で世界上位の鉄鋼メーカー、ポスコに対し、二〇〇八年までの三年間で特殊鋼四十万トンを納入する契約を結んだ。受注総額は二百二十億円以上に上る。日本鉄鋼連盟(東京)によると、海外の鉄鋼メーカーとの大口の一括契約は全国でも珍しい。

 寿工業は〇三年から、ポスコと取引を開始。主に自動車部品の材料などに活用される特殊鋼を三年間で約三十万トン納入した。高度な技術を生かした品質の高さに加え、注文に応じたスピーディーでこまやかな対応が評価され、今回の三年契約に結び付いた。

 契約は今月七日にソウル市内で行われた。仲介役の三井物産が立ち会い、寿工業の奥原征一郎社長とポスコの朴基榮常務が契約書に調印した。

 寿工業の年間生産量は約二十二万トンで、今回の契約量は一年当たりで換算すると、生産量の約三分の二を占める。

 二百億円を超す契約は創業以来初めて。奥原社長は「鉄鋼の需要は中国やインドなどを中心に拡大している。設備増強など生産の能力アップも視野に入れ、今後も引き続き契約の更新を目指す」と話している。(吉村明)

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 1935年創業。特殊鋼製造のほか、ハイテク機械や医薬製造機器など幅広い産業機械を製品化。本社は東京都新宿区で、製造拠点は呉市広地区、社員数は約360人。2005年11月期の売上高は160億円。06年11月期は180億円以上を見込んでいる。

高炉のノウハウ、JFEに要請…韓国の現代自グループ

2005年07月24日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 韓国の現代自動車グループが、自社の高炉建設計画に関し、日本の鉄鋼大手JFEスチールにアドバイザーとしての参画を非公式に打診していることが明らかになった。

 JFEスチールの馬田一(ばだ・はじめ)社長が読売新聞のインタビューで明らかにしたもので、「設備の発注から技術面までコンサルタントとして広範囲な助言を要望された」という。実現すれば日韓鉄鋼業界の新たな事業協力となる。

 高炉建設計画は現代側が5月に発表した。自動車用鋼板の安定調達が目的で、韓国中西部に年間生産能力350万トンの高炉を2基建設する。

 2007年に着工し、2010年の稼働を目指している。製鉄所の基幹設備である高炉を自動車メーカーが建設するのは世界でも珍しく、ノウハウの取得が課題となっている。

 日韓鉄鋼業界の協力関係では、新日本製鉄が韓国鉄鋼最大手のポスコと包括提携しているほか、JFEも現代自グループで高炉を持たない鉄鋼メーカー「現代ハイスコ」に14%強出資して鋼材の半製品を供給する関係にある。

 現代自グループの要請が実現すれば、新たな大型協力案件となる。

韓国の浦項と現代自が対立 日本の鉄鋼シェア争いが影

2001.02.04 asahi.com

 世界最大手の韓国の浦項総合製鉄と、現代自動車グループが自動車用の冷延鋼板の原料となる熱延鋼板(ホットコイル)の供給を巡って対立を深めている。浦項製鉄は新日本製鉄と、現代自動車系列の現代ハイスコ(旧現代鋼管)は川崎製鉄とそれぞれ提携を結んでおり、ここでも日本の鉄鋼業界の勢力争いが影を落とす。

 発端は、ハイスコが、浦項製鉄に熱延鋼板の供給を求めてきたのに対し、浦項製鉄が「冷延鋼板で競合するメーカーを助けることはできない」と、応じなかったことだ。

 これに対し、現代自動車の鄭夢九会長は、「浦項製鉄は海外に低価格で輸出しながらハイスコだけに売らないのは理解できない」と反発。今年、ハイスコから調達する冷延鋼板の増量、つまり浦項製鉄からの購入減という対抗措置を表明した。

 関係者によると、浦項製鉄は現代・起亜自動車に今年、自動車用冷延鋼板を135万トン供給すると伝えたが、現代・起亜は49万5000トンだけを購入すると回答したという。ハイスコは、この縮小分を「川鉄などから調達」し、現代自動車グループに提供する見通しだ。

 両者の争いは、提携している新日本製鉄と川鉄の争いも激化させ、日韓の鉄鋼貿易にも影を落とす。

 資金繰りに苦しむハイスコの首脳は昨秋、日本を訪れ、三菱商事などの大手商社を回って出資を要請した。だが、いずれも応じず包括的な提携関係を結んだ川鉄だけとなった。川鉄首脳は「浦項と、提携した新日鉄の両方から圧力がかかり、商社が出資できなかった」と憤る。

 川鉄は、ハイスコと組むことで、「現代自動車が海外に進出する際、他社より有利な立場に立つ」(同社首脳)ことも狙う。川鉄が先行した欧州のユジノールとの提携交渉では、新日鉄に逆転された苦い思いもある。

 一方の浦項製鉄は、「川鉄が韓国市場に値下げ攻勢を掛け、市場を混乱させた」と、川鉄を含む日本の大手を反ダンピング(不当廉売)提訴する動きも見せる。

韓国・現代鋼管、川鉄と提携合意

2000.11.15 asahi.com

 韓国の現代鋼管は15日、川崎製鉄と包括的提携を結ぶことで合意したことを明らかにした。この提携で、川鉄側は高級車用鋼板生産の先進技術を移転し、冷延鋼板の材料であるホットコイルを安定的に供給するとともに、現代鋼管株を日本の複数の商社とともに最大40%ほど取得する方向でさらに詰めていくという。

 現代鋼管によると、12月初めを目標に提携契約を結び、年末までに川鉄からの出資を完了させる予定だ。

 提携合意にあたって、現代鋼管は「川崎製鉄との相互協力を通じて、高品質で競争力ある自動車用鋼板を安定的に供給するためだ」と述べた。最大40%の株売却で、現代鋼管は約1億6000万ドルの資金を確保できる見通しだとしている。

 同社は昨年4月に南部の全羅南道・栗村に冷延工場を稼働させ、自動車用鋼板生産の専門企業に生まれ変わるために、提携先を探していた。

通産省が、米中韓と鉄鋼めぐり協議へ

2000.11.11 asahi.com

 通産省は10日、鉄鋼製品に対する米国の一連の反ダンピング(不当廉売)措置に対し、韓国と協力して対応していくことを明らかにした。また、鉄鋼貿易に関し中国政府とも定期的な会合を持つことで合意したほか、今月中旬には米国と局長級の鉄鋼協議を予定している。同省は主要国と話し合いを重ねることで、反ダンピング措置を使った保護主義の動きを抑え込む方針だ。

 7日にソウルで開かれた日韓鉄鋼対話では、ダンピング認定で得られる関税収入を提訴した企業が「山分け」する米国の「バード修正法」の不合理さで意見が一致した。通産省は世界貿易機関(WTO)へ提訴する方向で検討し、韓国側も「日本が提訴すればこちらもしたい」と提案があった。

 中国政府との話し合いも重視し、訪中していた通産省首脳は8日、国家経済貿易委員会と「日中官民鉄鋼対話」を定期的に開くことで合意した。中国は今春、日本と韓国製のステンレス冷延薄板に対し、突然、ダンピング認定し、日本の鉄鋼業界は大きな衝撃を受けた。このため官民から中国との定期協議の必要性が指摘されていた。

 また、米政府団も今月中旬に来日し、15日に局長級協議が行われる予定だ。通産省はバード修正法を批判し、米鉄鋼業界の構造調整が遅れていることを指摘する方針だ。

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