TOPIC No.2-50I 慰安婦問題

01.[文献紹介]『政府調査「従軍慰安婦」関係資料集成』PDF版(2007-03-15) byApes! Not Monkeys! はてな別館
02.慰安婦関係調査結果発表に関する河野内閣官房長官談話 (平成5年8月4日)外務省
03.歴史の教訓とする事業 by財団法人 女性のためのアジア平和国民基金
04. 日韓歴史共同研究委員会
05. 幻の従軍慰安婦 (2005/06/15) by依存症の独り言
06. 慰安婦 byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
07. 従軍慰安婦について by歴史論争最前線
08. 「従軍慰安婦」問題(上)〜日韓友好に打ち込まれた楔〜 by国際派日本人養成講座
09. 「従軍慰安婦」問題(下)〜仕掛けられた情報戦争〜 by国際派日本人養成講座
10. 従軍慰安婦問題を仕掛けたのは日本人( 朝日新聞 ) by悲しいとき〜 またパクられたとき〜
11. ナヌムの家・日本軍「慰安婦」歴史館 日本語紹介サイト
12.  宋さんといっしょに --在日の慰安婦裁判を支える会--
13. いわゆる従軍慰安婦問題に対する日本政府の施策 by外務省
14. 「慰安婦」問題と歴史修正主義についての略年表
15. 戦後日本政治・国際関係データベース by東京大学東洋文化研究所/田中明彦研究室"
16. 慰安婦問題の再調査が必要だ(2007-03-12)池田信夫 blog
17. 中学生のための「慰安婦」展 (2007年06月27日) 
18. Yellow Hiro's Topic No.2-50I-1慰安婦問題(2006年-)


従軍慰安婦の訴え退ける フィリピン最高裁

2010.05.04 MSN産経新聞

 第2次大戦中に日本軍の従軍慰安婦を強いられたフィリピン女性約70人が、日本への謝罪要求を支持するよう自国政府に求めた訴訟で、フィリピン最高裁は4日までに、訴えを退ける判決を言い渡した。判決は4月28日付で、4日に公表された。

 判決理由については、外交問題であり司法の権限を越えると述べた。

 訴えは2004年、ロムロ外相やアルバート前外相らを相手取って起こされた。日本政府が国際法廷の場で公式謝罪し損害賠償を行うよう要求、フィリピン政府もその立場を支持するよう求めていた。(共同)

【土・日曜日に書く】論説委員・石川水穂 韓国の慰安婦記述は日本発

2010.04.10 MSN産経新聞

 ≪朝毎が挺身隊と混同≫

 先月下旬、第2期日韓歴史共同研究の報告書が公表された。1月に発表された日中歴史共同研究では、南京事件などで日本側が中国側の主張に引きずられた面もあったが、日韓間では近現代史の分野において、そうした“歩み寄り”はほとんど見られなかった。

 特に、日韓の外交問題にもなった慰安婦問題では、双方の主張が全くかみ合っていない。

 韓国側「最近、韓国の教科書では慰安婦に関する記述が増えているのに、日本では慰安婦の記述が減っている。日本の政治、社会的状況の保守化が要因だ」

 日本側「韓国はいまだに慰安婦と女子挺身(ていしん)隊を混同している」

 もともと韓国の教科書(国定)に「慰安婦」の記述はなかった。それが初めて登場するのは、1997(平成9)年からだ。当時の中学教科書には、こう書かれていた。「女性まで挺身隊という名で連れていかれ、日本軍の慰安婦として犠牲にもなった」

 この記述は日本側が指摘したように、明らかに史実に反する。

 「挺身隊」は、1944(昭和19)年8月の女子挺身勤労令に基づき、軍需工場などに動員された女子勤労挺身隊のことだ。この法律は日本本土だけでなく、朝鮮半島にも適用された。主として、女衒(ぜげん)などの民間業者が軍隊用に募集した慰安婦とは異なる。

 しかし、日本で、いわゆる「従軍慰安婦」問題が外交問題化し始めた平成3、4年ごろ、日本の新聞は「従軍慰安婦」について、こう書いていた。

 「第二次大戦の直前から『女子挺身(ていしん)隊』などの名で前線に動員され、慰安所で日本軍人相手に売春させられた女性たちの俗称。公式の調査はないが、十万人とも二十万人ともいわれている」(平成3年12月10日付朝日)

 「第二次世界大戦当時、朝鮮半島を中心として、約十万−二十万人の十代から四十歳未満までの女性が『挺身隊』の名で集められた。うち八割が朝鮮人ら、二割が日本人と推定されている」(平成4年3月5日付毎日)

 ≪日本は平成6年度から≫

 韓国側の誤解もあろうが、朝日や毎日の誤った情報が韓国に“逆輸出”され、教科書で独り歩きした面も否定できない。

 自慢できることではないが、慰安婦の記述が教科書に登場したのも、日本の方が早い。平成6年度から高校日本史の全教科書に「従軍慰安婦」の記述が載り、9年度から中学の全歴史教科書にも記述されるようになった。

 日本には検定制度があるため、教科書で挺身隊と慰安婦を混同した記述はチェックされたが、検定を受けない教師用指導書の多くは慰安婦と挺身隊を同一視して書いていた。これもマスコミの影響とみられる。

 その後、近現代史家、秦郁彦氏の研究により、慰安婦の総数は1万数千人で、内訳は日本内地から戦場に渡った女性が4割と最も多く、朝鮮半島出身者は2割だったことも明らかになった。

 平成3、4年ごろ、「自ら、済州島で慰安婦狩りを行った」とする日本人の“加害証言”が朝日などに載ったが、これも秦氏の現地調査で作り話と分かった。

 日本のマスコミが間違った慰安婦報道を検証した形跡はない。

 慰安婦問題に限らず、韓国の教科書は戦前・戦中の日本の統治を一方的に非難する傾向が強い。

 「韓国語の使用を禁じ、日本語だけを使わせ、私たちの歴史を教えることも禁じた」「日帝は私たちの名前までも日本式氏と名前に変えるよう強要し、各地に日本の神社を建てて参拝させ、子どもたちにも皇国臣民の誓詞を覚えるよう強要した」(明石書店「韓国の中学校歴史教科書」2005年版から)

 日本の教科書の記述も、扶桑社版や自由社版を除き、韓国の教科書と大同小異である。

 ≪対照的な台湾教科書≫

 一方、朝鮮半島と同様、日本の統治下にあった台湾で1997年から使われた中学歴史教科書「認識台湾」は抗日運動の歴史だけでなく、日本が台湾の近代化に果たした役割も記述されている。

 「纏足(てんそく)、弁髪が禁じられるとともに、時間厳守、遵法(じゅんぽう)、近代的衛生などの観念が確立された」「日本語はかえって、台湾人が近代的知識を吸収するための主要な道具となり、台湾社会の近代化を促進した」(雄山閣「台湾を知る(認識台湾)」から)

 この教科書には、台湾総督府の技師、八田与一が行ったダムと灌漑(かんがい)施設の建設事業で耕地面積が増えたことや、台湾の製糖業が発展したことも書かれている。

 日本が行った異民族統治については、台湾の教科書も併せて読まないと、実態が見えてこない。(いしかわ みずほ)

慰安婦:資料教育館の建設を推進 /大邱

2009/12/01 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版朴円秀(パク・ウォンス)記者

 「挺身隊ハルモニと共にする市民の会」は、慰安婦問題解決運動の成果を恒久的に保存するための資料教育館建設運動の一環として、1日午後5時、大邱市南区大明洞のデジタル産業振興院1階の飲食店で「平和と人権のための日本軍慰安婦資料教育館建設推進委員会発足式」を行う。

 この日はソン・セダル大邱市議会議員、李廷雨(イ・ジョンウ)慶北大教授、金台鎰(キム・テイル)嶺南大政治行政学部学長、金竜洛(キム・ヨンラク)慶北外国語大教授(詩人)、キム・ギョンミンYMCA事務総長、イ・ドゥオク・チョンアム福祉財団傘下青丘リハビリ院長、大韓仏教曹渓宗第10教区阿弥寺のトクヒョン住職、カトリック教大邱第1代理区事務局長のイ・ジンホ神父、チャン・イクヒョン大邱地方弁護士会会長、市民の会のアン・ギョンウク代表など、各界の人物が推進委員として参加し、資料教育館建設の趣旨を確認し、これを推進していくことを決議する。

慰安婦:北東アジア歴史財団、オランダで「性奴隷展」

2009/06/10 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 キム・ギチョル記者(本文・写真)

 「オランダと日本は400年にわたり、特別な関係を築いてきました。しかしわが国は日本政府や国民・企業に対し、第2次世界大戦当時の日本軍による野蛮な行為で、多くのオランダ人が苦痛を受けたという事実を忘れないよう、引き続き注意を促していかなければなりません。日本は従軍慰安婦の問題をはじめ、戦争中に犯した犯罪行為を認め、心から謝罪と補償をすべきです」

 8日午後、オランダのハーグ市庁1階にあるロビーで行われた、北東アジア歴史財団の主催による「韓国・オランダ・ドイツ性奴隷展」の開会式で、オランダの「対日道義的債務基金」(SJE)のワッフタンドン会長がこう祝辞を述べると、場内は一斉に静まり返った。ワッフタンドン会長は1942年、オランダの植民地だったインドネシアが日本軍に占領された際、祖父と父親を失った。当時4歳だったワッフタンドン会長は、母親や2歳下の弟とともに収容所へ送られた。しかし当時2歳だった弟は、収容所の宿舎の近くで遊んでいた最中に、お粥を炊いていた釜の中に転落し死亡した。ワッフタンドン会長は90年、日本のインドネシア占領当時に被害を受けたオランダ人に対する道義的な責任を追及する目的でSJEを設立し、92年からは毎月第2火曜日にハーグの日本大使館前で日本の謝罪や補償を求めるデモを行ってきた。

 日本は太平洋戦争当時、占領したインドネシアにいたオランダ人30万人を収容所に送り込んだり、殺害したりした。また、収容所へ送られた15−30歳の女性たちは日本軍の慰安婦になった。オランダ国会下院は2007年11月、日本の謝罪や補償を求める「慰安婦決議案」を採択し、同年12月には欧州議会でも同様の決議案を採択に導いた。

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オランダ国会下院のヘルディ・フェルベート議長(写真中央の女性)が、ハーグ市庁で行われた「韓国・オランダ・ドイツ性奴隷展」を視察している。

東京で連帯会議 9カ国・地域から参加、「慰安婦」問題の解決 「日本の責務」

2008.12.05 朝鮮新報

立法府での法制定を要求

 既報のように、第9回日本軍「慰安婦」問題アジア連帯会議が11月23〜25日、東京都内で開催された。会議で朝鮮は日本軍「慰安婦」問題に関する立場を表明(代読)し、日本の責任を追及した。各国の参加者たちからも、謝罪と賠償を求める声が噴出し、問題の解決に向けてよりいっそう国際連帯を強化していくことが確認された。

朝鮮、文書で主張

 会議には南朝鮮、中国、インドネシア、フィリピン、台湾、東ティモール、カナダ、米国、日本から日本軍「慰安婦」被害者と活動家が参加。23日にアジア連帯会議(非公開)、24日に公開集会が催された。25日には日本政府と国会への要請活動と参議院議員会館前でのスタンディングデモ、院内集会が行われた。

 朝鮮日本軍「慰安婦」および強制連行被害者補償対策委員会(朝対委、女性同盟中央の丁煕子副委員長が代読)は、朝鮮国内の被害者の現況と同委員会の活動に言及し、日本は朝鮮が日本帝国主義の植民地支配から解放されて60年以上経った今日まで、過去の犯罪行為に対する清算を行っていないと非難した。

 そして、日本軍「慰安婦」問題をはじめ過去の反人倫的犯罪に対する清算は日本政府が必ず実行すべき法的責務であり、回避できない歴史的過程だと強調。日本政府に対し▼過去のあらゆる反人倫的犯罪に関する全資料の公開と真相究明▼国家名義の謝罪と賠償▼すべての反人倫的犯罪の教科書記述と教育などを求めた。

各国で決議採択

 会議では各国の活動家がそれぞれの活動と今後の課題などについて発言(別項参照)し、9人の日本軍「慰安婦」被害者が証言を行った。

 近年、日本軍「慰安婦」問題の解決を求める国際的な世論が高まりを見せ、世界的な連帯が形成されつつある。

 10月には南朝鮮の国会で、11月には台湾立法院で公式謝罪と国家賠償を求める決議が採択された。オランダ議会、EU議会、カナダ議会、米国下院でもすでに同様の決議が採択されている。

 今回の会議に参加した南朝鮮・民主労働党の郭貞淑議員は、「この問題は被害者が生きているうちに終結させなければならない」と強調し、「日本が依然として事実を隠ぺいし、否定していることは、正常な国家としての尊厳を否定し、国際社会の不信と孤立を招く自滅の道」だと指摘した。

 また、カナダ、フィリピン、EUの議員がビデオ出演し、責任を回避し続ける日本政府に強い不満を示し、問題解決を訴えた。米下院のナンシー・ペロシ議長、マイク・ホンダ議員、台湾の議員も連帯のメッセージを寄せた。

「最悪の政治状況」

 公開集会では、日本軍「慰安婦」問題の解決を日本政府と国会に求める決議が採択された。

 決議は、日本政府が▼事実を認め謝罪し▼謝罪と賠償を実現するための行政的、立法的制度を整え▼日本軍「慰安婦」問題を否定する言論に反論し▼歴史教科書への正しい記述と教育を行い、国会が特別法を早期に制定することを求めた。

 日本軍「慰安婦」問題の加害当事国である日本では今年、宝塚(3月)、清瀬(6月)、札幌(11月)の3市議会が政府に日本軍「慰安婦」問題解決を求める意見書を採択した。

 しかし一方では、中学、高校教科書から「慰安婦」問題の記述が激減し、首相自ら「慰安婦」問題を否定する発言をするなど、逆行する動きが顕在化した。最近では「侵略国家は濡れ衣」だとの認識を航空幕僚長が論文で明らかにし、司法においては、日本軍「慰安婦」関連裁判10件中9件が最高裁で請求を棄却されている。

 このような日本国内の状況について、会議に参加した被害者や各国の活動家らは大きな憤りと憂慮を示していた。

 今会議実行委員会は麻生政権に対して、「戦前と変わらぬ思想の極右政権というべき内閣で、(「慰安婦」問題の解決を求める運動にとって)安倍内閣同様の最悪の政治状況」との認識も示した。

 同会議実行委員である坪川宏子さんは、10数年間の経験に基づき今後の運動について「司法による解決は困難であり、立法府での解決が主となる」と指摘する。そして、民主、共産、社民、新党日本の野党4党が推進している「戦時性的強制被害者補償の促進に関する法律案」を可決させるために議員などへの働きかけを強化していこうと訴えていた。(呉陽希記者)

「日本は従軍慰安婦問題の重要性認識すべき」、英外交委員会

2008年11月30日 AFP

【11月30日 AFP】英下院外交委員会は30日、『Global Security: Japan and Korea(国際安全保障:日本と韓国)』と題した報告書のなかで、日本政府は第2次世界大戦中の従軍慰安婦問題が、韓国で「悲痛で感情的」な問題として受け取られている重要性を認識すべきだとの見解を示した。

 同委員会は、改善しつつある日韓関係が、北朝鮮の核開発計画をめぐる同国との対立の解決に重要な役割を果たしうると期待した。また日韓の間で紛糾している竹島問題についても言及し「日本と韓国が対立を激化させるのではなく、恒久的な解決メカニズムを模索することを奨励するよう、本委員会は(英)政府に勧告する」と記した。

 または、日本の人権状況にも触れ、容疑者の身柄を警察の留置所に拘束するいわゆる「代用監獄」は「懸念に値」し、そうした存在は司法の誤りを招きかねないと指摘した。

 北朝鮮についても、同政府は核拡散防止条約(Nuclear Non-Proliferation Treaty、NPT)へ復帰すべきだと触れるとともに、北朝鮮から中国への脱北者の人権擁護について、中国政府や欧州連合(EU)、国連(UN)での協議で圧力を強めるよう英政府に要請した。(c)AFP

慰安婦問題で日本は賠償を=台湾立法院、決議採択

2008/11/11 時事ドットコム

 【台北11日時事】台湾立法院(国会に相当)は11日、第2次大戦中の従軍慰安婦問題に関し、日本に公式の謝罪と国家賠償を求める決議を採択した。法的拘束力はないが、日台関係に微妙な影響を与えそうだ。

 超党派の女性議員や元慰安婦の台湾女性らが立法院に提出した決議文は、台湾の旧日本軍が大戦中、慰安婦を従軍させたことを「性奴隷制度」と批判するとともに、元慰安婦の名誉と尊厳を回復するよう要求。「日本政府はきっぱりとした態度で歴史的責任を認めるべきで、謝罪と賠償を求める」としている。

 元慰安婦の女性(92)は同日、台北市内で記者会見し「決議が採択されて安心した。立法委員(議員)の努力に感謝する」と述べた。(了)

札幌市議会が「従軍慰安婦」問題で意見書

2008.11.17 朝鮮新報

 札幌市議会は7日、「従軍慰安婦」問題で、公式な謝罪と補償などに関する法律制定などを国に求める意見書を賛成多数で可決した。地方議会が「従軍慰安婦」を救済する立場から意見書を可決するのは、兵庫県宝塚市、東京都清瀬市に続き3例目となる。

 意見書は、日本政府に謝罪と賠償、歴史教育などを求める決議案が米国に続きオランダとカナダ、EUなど各国で採択され、国連やILOなどの国際的な人権擁護機構からも繰り返し勧告や指摘を受けているにもかかわらず、日本政府は公式な謝罪をしていないと指摘。

 これは1993年の河野洋平官房長官の談話と矛盾する態度であり、補償や真相究明をしないばかりか、教科書からもその記述を消し去ろうとしていることに世界各国で批判の声が高まっているとしながら、学校や社会の教育においてこの問題の歴史を教え、歴史を継承できるようにすることなどを求めている。

日本に死刑廃止検討求める 国連委、慰安婦でも初勧告

2008.10.31 MSN産経新聞

 国連のB規約(市民的および政治的権利)人権委員会は30日、日本政府に対し死刑制度の廃止を「世論調査と関係なく、前向きに検討すべきだ」と勧告する審査報告書を発表した。同委員会の対日審査は1998年以来、10年ぶり。

 慰安婦問題についても「法的責任を認め、被害者の多数が受け入れられる形で謝罪すべきだ」と初めて勧告した。同問題については女性差別撤廃委員会、拷問禁止委員会に続き、関連する人権条約の管轄機関による勧告が出そろったことになる。

 人権保護団体アムネスティ・インターナショナル日本の寺中誠事務局長は「予想されたほぼすべての問題でより具体的な勧告が出た。日本の人権に対する国際社会の目は厳しさを増している」と勧告内容を歓迎。一方、日本政府筋は「審査では日本の立場について説明を尽くしたが、十分理解が得られず残念だ」などと語った。(共同)

韓国国会が慰安婦問題めぐり決議、日本に謝罪などを要求

2008.10.27 MSN産経新聞

 韓国国会は27日、いわゆる慰安婦問題をめぐり、日本政府による公式謝罪と被害者への賠償、歴史教科書への反映などを求める決議案を満場一致で採択した。問題解決を求める声が広がっているにもかかわらず、「日本政府が受け入れずにいることに深刻な憂慮を表明する」としている。

 さらに、被害者が高齢化し、健康が悪化、生存者数が急激に減少しているとして、韓国政府に、今回の決議内容を日本が履行するよう「明確な役割」を果たすよう求めた。韓国では、今年4月の総選挙前の国会でも関連決議案が提案されたが、任期満了で廃案となっていた。(共同)

慰安婦決議 欧州での連鎖反応が心配だ(12月15日付・読売社説)

2007年12月15日 読売新聞 Yomiuri On-Lie

 日本の信用を貶(おとし)めるような決議がこれ以上広がらないよう、政府は各国政府に強く働きかけるべきである。

 いわゆる従軍慰安婦問題をめぐる対日批判決議が、欧州議会で採択された。旧日本軍が、アジアの女性たちを強制的に「性的奴隷」にしたとして、日本政府に謝罪を求めている。

 今年7月の米下院の慰安婦決議が、ヨーロッパに“飛び火”した形だ。既に同様の決議が、オランダやカナダの議会でも採択されている。

 慰安婦問題への関心が、ヨーロッパで特段に高まっているわけではない。欧州議会の決議は、少数会派の緑の党が推進し、採決の際に出席した議員は全体の1割にも満たなかった。

 しかし、国際人権擁護団体の「アムネスティ・インターナショナル」が、各地でオランダ人などの元慰安婦の証言を聞く公聴会を開催し、慰安婦決議の採択を各国の議会に働きかけている。中国・韓国系の反日団体も背後で動いている。

 第2次大戦中、日本がオランダ軍を追い払い軍政を敷いたインドネシアでは、収監されていたオランダ人女性が、日本軍兵士によって連行され、強制的に「慰安婦」にされた事件もおきている。

 事態を知ったジャカルタの軍司令部は問題の慰安所を直ちに閉鎖し、女性たちを解放した。

 遺憾な事件であったが、軍が組織的に慰安婦を強制連行したのではないことを示す「反証」でもある。

 事件に関与した将校らは、戦後、オランダの軍事法廷で「BC級戦犯」として裁かれている。

 ヨーロッパでは、ほとんど問題とされていないが、第2次大戦中、ドイツ軍も東ヨーロッパなどの占領地に、500か所以上の“慰安所”を持っていた。

 「ナチスがユダヤ人の女性を兵士用の売春婦として連行した」とローマ法王に報告したカトリック関係者の文書をはじめ、いくつもの文書が残されている。

 慰安婦をめぐる対日批判決議を推進した欧州議会の緑の党には、ドイツ選出の議員も多い。自らの国の問題には口をつぐむつもりなのだろうか。

 日本が繰り返し批判される背景には、1993年の河野官房長官談話がある。日本の官憲が組織的、強制的に女性を慰安婦にしたかのような記述があった。

 そうした事実を裏づける資料はなく、「強制連行」を認めるよう迫る韓国側の圧力をかわすためだったことを、石原信雄元官房副長官らが証言している。

 国際社会の誤解の根元である河野談話を見直していくことも必要だろう。

慰安婦決議の要旨

2007年12月14日 中国新聞ニュース

 【ブリュッセル13日共同】欧州連合(EU)欧州議会が採択した従軍慰安婦決議の要旨は次の通り。

 ▽事実認定など

 一、第2次大戦終戦まで日本政府は軍に対する性的労働のため、慰安婦徴用に関与。

 一、20世紀最大の人身売買の1つ。

 一、数十件の訴訟が日本の法廷で棄却。

 一、1993年の河野洋平官房長官、94年の村山富市首相の談話を歓迎。

 一、日本の一部政治家が談話を希薄化、無効化する意見を表明。

 一、日本の一部学校教科書が慰安婦問題を矮小(わいしょう)化。

 ▽対日要求

 一、公式な被害認定、謝罪を行い、明確な形で歴史的、法的な責任を負うことを日本政府に要求。すべての元慰安婦、遺族らへの賠償を要求。

 一、慰安婦問題が存在しないとする主張に対する公式な否定を要求。

 一、日本の国会に賠償請求の障害を除去する立法措置を要求。

 一、日本国民と政府に、自国の歴史を十分に認識することを奨励し、将来にわたる教育を要求。

ヨーロッパ議会も「慰安婦決議案」を採択

2007.12.14 中央日報

ヨーロッパ議会は第2次世界大戦当時、日本軍の慰安婦強制動員について、日本政府の公式認定と謝罪、賠償を要求する決議案を13日(現地時間)、採択した。

ヨーロッパ議会はこの日午後、フランス・ストラスブールで開かれる本会議最終案件の1つとして「慰安婦のための定義」を上程し、討論を行った後、表決処理した。

国際社会で日本軍の慰安婦決議案が採択されたのは米国(7月30日)、オランダ(11月8日)、カナダ(11月28日)に続き、今回のが4カ国目だ。

これに先立ち韓国のキル・ウォンオク(79)、オランダのエルレン・ファン・ド・プレーグ(84)、フィリピンのメネン・カスティヨ(78)さんら3人の女性が先月6日、ブリュッセルのヨーロッパ議会で初めて開かれた慰安婦聴聞会に参加、日本の蛮行を告発して決議案採択を訴えている。

一方、ヨーロッパ連合(EU)指導者らは12日、ヨーロッパ議会で各種人権関連規定を集大成した「基本権憲章」に署名した。この日の署名式にはEU執行委員長とヨーロッパ議会議長、EU巡回議長国であるポルトガルのジョゼ・ソクラテス首相らが出席して行われた。これで初めてEU内の多様な人権関連規定が1つの統一された憲章に集大成された。ソクラテス首相は「12月12日はEUの歴史に永遠に刻まれる日になる」と言った。基本権憲章は人間の尊厳性と自由、平等、団結、市民権、正義など計6項目に分類されている。

慰安婦問題で日本に謝罪要求へ=カナダ下院で動議採決の動き

2007/11/28 時事ドットコム

 【ニューヨーク27日時事】第2次大戦中の従軍慰安婦問題に関し、カナダ下院で日本政府に公式な謝罪を求める動議の可決を目指す動きが強まっていることが27日、分かった。28日に採決に付される可能性が高い。これについてAFP通信は、全会一致で可決される見通しだと伝えた。ただ、動議に法的拘束力はない。

 動議は、野党・新民主党所属で中国系のオリビア・チョウ議員が本会議に提出。カナダ政府は福田康夫首相と日本の国会に対し、「20万人以上のアジア人女性が性的奴隷となるよう強制された歴史的事実」を認め、元慰安婦に「公式、誠実かつ明確に謝罪する」決議案を可決するよう促すべきだとしている。

 また日本の教科書の中で、「軍の性的奴隷」に関する記述を復活させるよう要求した。

【社説】慰安婦問題に対するホンダ議員の勇気と執念

2007/11/28 朝鮮日報/朝鮮日報JNS

 米下院で日本軍慰安婦決議案を発議し、採択に導いた立役者であるマイク・ホンダ議員が来韓した。元教師のホンダ議員は、韓国訪問に際して行われた会見で、「歴史的な過ちは、どんな困難があろうともきちんとした形で後世に伝えなければならない」と語った。元慰安婦が集団生活を送る「ナヌムの家」を訪問した際には、元慰安婦の手を取って「ヌニム(シスター)」と呼びかけ、「皆さんの証言がなかったなら、決議案が採択されることはなかった」とし、感謝の意を述べた。

 ホンダ議員は「日系3世であるにもかかわらず、慰安婦決議案の採択に積極的に取り組むことに困難はなかったのか」という質問に、「慰安婦問題は人種や国境とは無関係であり、何が正しいかという問題だ」と語った。しかし自らのルーツである国に対し、反省や謝罪を要求するのは、多くの困難が伴ったはずだ。

 実際に日本ではホンダ議員に対する非難が少なくない。あるテレビ番組の司会者は、「日本人の顔をしていながら、どうやってこんな決議案を提出することができるのか」と語った。また、保守系の新聞に、ホンダ議員が中国政府の工作によって慰安婦問題を提起していると主張する記事が掲載されたこともあった。ホンダ議員の選挙区に中国系や韓国系の住民が多いことを挙げ、人道的な立場による同議員の行動をおとしめるような主張もあった。ホンダ議員によると、家族の中ですらこうした活動に否定的な意見もあったという。そうした困難を乗り越え、ホンダ議員は自分の信念を貫いてきたのだ。

 ホンダ議員は「今回の決議案は始まりに過ぎない」としている。米下院が採択した決議案には法的拘束力はないものの、小波となって世界中に広がっている。オランダの下院も最近、慰安婦問題について日本政府に対する公式謝罪と補償を要求する決議案を満場一致で採択している。またヨーロッパ議会も慰安婦聴聞会を開き、決議案の採択を推進している。さらにカナダとオランダの議会でも、慰安婦決議案を準備する動きがある。一人の日系アメリカ人の勇気ある行動が、そうした大きなうねりを引き起こしたのだ。

 もし大韓民国の国会議員の中にホンダ議員のような人物が存在し、北朝鮮の人権問題に粘り強く取り組んでいたなら、今ごろは北朝鮮の人権問題に対する韓国社会や国際社会の認識も大きく変わっていたことだろう。

<ピープル>マイケル・ホンダ議員が「ナヌムの家」訪問

2007.11.26 中央日報 鄭泳鎮(チョン・ヨンジン)記者

米下院の日本軍慰安婦決議案採択の主役である日系3世マイク・ホンダ議員(民主)が26日、京畿道広州市(キョンギド・クァンジュシ)にある「ナヌムの家」を訪問した。

「ナヌムの家」には元慰安婦の女性9人が暮らしている。 ホンダ議員は5人の元慰安婦と会ってあいさつを交わし、食事を一緒にした。

ホンダ議員は「慰安婦決議案の通過は、北東アジアの平和のために日本がこれまでとは違う考え方をすべきだということを日本政府に伝えたという点で大きな意味がある」とし、「国際社会や市民団体とともに日本が世界の平和に寄与できるように圧力を加え続け、良い結果が得られるよう努力する」と付け加えた。

元慰安婦のカン・インチュルさんは「ホンダ議員が最後まで関心を持って慰安婦問題に決着をつけてくれることを希望する」と語った。

ホンダ議員はこの日、「ナヌムの家」で暮らす女性らを「ヌニム(お姉様)」と呼びながら親近感を表した。 ホンダ議員は食事の後、「ナヌムの家」内にある「日本軍慰安婦歴史館」を見回った。

これに先立ちホンダ議員はソウルプレスセンターで記者会見を行い、「大勢の人が『日本人なのにどうしてこういう活動をするのか』と尋ねてくるが、その度に『慰安婦問題は国境や国籍の問題ではなく、人間の問題だ』と答えている」と説明した。 さらに「日本政府は正式に慰安婦制度の問題点を認識し、後世に正しく教えなければならない」と強調した。

ホンダ議員は27日に国会統一外交通商委員会の懇談会と市民団体の座談会に出席し、28日に延世(ヨンセ)大で講演を行った後、出国する。

慰安婦非難決議オランダ下院で可決 欧州議会でも動き

2007.11.21 MSN産経新聞

 【ハーグ=木村正人】オランダ下院本会議は20日、日本政府に対し「慰安婦」問題で元慰安婦への謝罪と補償などを求める決議案を全会一致で可決した。オランダ政府は日本政府に決議を伝え、回答を求める。欧州連合(EU)の欧州議会にも12月に慰安婦問題で非難決議案を採択しようという動きがあり、日本政府は対応に追われている。

 この問題では7月に、米下院本会議も日本政府に公式謝罪を求める決議案を可決している。

 決議案は8日、野党、自由民主党のハンス・ファンバーレン下院議員らが提出。旧日本軍の強制性を認めた1993年の河野洋平官房長官談話を堅持し、「強制売春」に対し責任を取る▽元慰安婦に謝罪と補償を行う▽教科書に慰安婦問題を記載する−ことを日本政府に求めている。

 同議員は産経新聞に対し、「わが国の元慰安婦に対する強制性は明らか。日本政府には年内の回答を求めたい」と話した。

 一方、欧州議会のジーン・ランバート議員(緑の党、英国選出)は12月13日に開かれる本会議で慰安婦問題に関する対日非難決議案を採択するため、最大会派の欧州人民民主党と調整を進めていることを明らかにした。今のところ同党の同意は得られていないが、「決議案採択の日程で合意できれば決議案は採択されることになるだろう」との見通しを語った。

オランダ下院、慰安婦決議案を満場一致で採択

2007/11/11 yonhap news

【ブリュッセル10日聯合】オランダ下院が、第2次世界大戦当時の旧日本軍による慰安婦強制動員に対し、日本政府の公式謝罪と補償を求める決議案を満場一致で採択した。駐オランダ韓国大使館が10日に明らかにした。欧州の議会で慰安婦決議案が通過したのはこれが初めて。

 これに先立ち7日には米下院で慰安婦決議案が採択されている。欧州でもこの問題が積極的に取り扱われており、国際社会における日本政府に対する圧力が、今後強まるものと期待される。

 少なくとも20万人に達すると推定される旧日本軍慰安婦はアジアの女性が大部分だが、アオランダの植民地だったインドネシアが日本占領下に置かれた際、現地に居住していたオランダ人女性らも動員されている。

対日謝罪要求決議を=元慰安婦、欧州議会に訴え

2007/11/07 時事ドットコム

 【ブリュッセル6日時事】旧日本軍の従軍慰安婦として働かされた韓国、フィリピン、オランダの3女性が6日、欧州連合(EU)の欧州議会を訪れ、米下院が今年7月に採択したような慰安婦問題に関する対日謝罪要求決議を採択するよう訴えた。

 韓国のキル・ウォンオクさん(79)は「日本が正式な謝罪をするよう働き掛けてもらうために欧州にやってきた。死ぬ前にそれが実現するよう望んでいる」と話した。フィリピンのメネン・カスティジョさん(78)は「日本兵にされたことを一度も忘れたことはない」と、60年以上前のつらい体験を語った。

慰安婦被害女性ら、6日に欧州議会で初証言

2007/11/06 yonhap news

【ブリュッセル5日聯合】旧日本軍による慰安婦被害女性らが現地時間6日午後、欧州議会で初めて証言台に立つ。

 韓国、オランダ、フィリピン出身の3人の被害女性が、ブリュッセルの欧州議会で行われる証言を通じ、旧日本軍に受けた苦痛など日帝の蛮行を告発し、慰安婦支持決議案を採択するよう求める。また、慰安婦問題に対する日本政府の公式謝罪と補償の早期実現に向け、シンガポールで21日に開かれる第3回東アジア首脳会議など国際舞台で、欧州連合(EU)代表らが積極的に参与することを期待すると述べる予定だ。

 今回の欧州会議証言は、人権団体アムネスティ・インターナショナルの仲介により、旧日本軍慰安婦被害者らが欧州諸国を訪問し慰安婦問題の真実を語る、欧州地域「スピーキングツアー」日程の1つとして実現した。

消せない記憶・「慰安婦」問題の被害者証言を聴く

2007/09/09 JANJAN

 9月2日(日)、高知市で「消せない記憶 旧日本軍問題の解決を求める証言集会」という催しがあり、1時間ほど前に会場に入りました。

 県内の若者がつくる「SALAD」の主催で、約250人が、国際問題化してきている「慰安婦」の生の声に耳を傾けました。証言者が高齢化してきているので、高知での証言集会は今回が最後になるのではないか、との声も聞かれました。

 まず、若者たちの警備の厳しさに驚きました。1時間前でしたが、会場への関係者以外の立ち入りを禁止、取材者もチェックを受け、ガラス張りのドアにはその都度ロックがかけられました。

 30分ほどして、ロビーがにわかににぎやかになりました。見ると、姜日出(カン・イルチュル)さんが数人の若者たちに囲まれて入ってきたところでした。「ハルモニ」(おばあさん)というささやき声があちこちで聞こえました。スタッフの若者たちの多くがすでに姜さんと親しく、若者たちが姜さんを尊敬しているらしいことがその場の雰囲気で察せられました。

 「証言」の前に、私は控え室で姜さんの写真を撮ろうとしましたが、ここでも若者たちのガードは固く、その雰囲気ではなかったので、通訳の村上一兵さん(27)の話を聞くにとどめました。村上さんは現在、「ナヌムの家」の日本人研究員です。

「ナヌムの家」とは?

 「ナヌムの家」とは、太平洋戦争末期、旧日本軍によって性暴力を受けた被害女性たちが共同生活をしている韓国の施設です。現在、9名のハルモニたちが共同生活しています。1992年、仏教人権委員会の支援で、ソウル市に開設され、その後、1995年に京畿道広州に移転しました。

 「ナヌム」とは「分かち合い」という意味です。共同生活のなかで、お互いの幸せや苦しみを分かち合いながら、安心して暮らしていけるように、という思いが込められています。ハルモニたちが余生を安心して暮らせるようにするため、福祉事業を活動の中心とし、水曜デモ、絵画教室、国内外の被害者発掘などの日本軍性奴隷問題の政治的、社会的解決を目指す運動にも力を入れています。

水曜デモとは?

 毎週水曜日に、韓国ソウルの日本大使館前で、「日本政府の正式な謝罪」と「人間性の回復」を訴え、被害女性たちは高齢と後遺症を抱えながらデモ行動を続けています。2007年9月2日現在で720回を超えています。単一のテーマでは、このような集会は例がなく、ギネスブック入りしているそうです。

 彼女たちは以下の7つのことを要求しています。

1.日本政府は、日本軍「慰安婦」強制連行の事実を認めること。

2.被害女性に、正式に謝罪すること。

3.日本政府が正式に調査をし、事実を明らかにすること。

4.犠牲者のために、慰霊碑を立てること。

5.被害女性とその遺族に対し、公式に補償すること。

6.このような「過去」が繰り返されないように、歴史教育の場で、この事実を教え続けること。

7.責任者を処罰すること。

姜日出(カン・イルチュル)さんの紹介

 1928年10月26日、慶尚北道(キョンサンプクド)で12人きょうだいの末っ子として生まれました。

 1943年、16歳(韓国では数え年)のときに日本人巡査に軍靴の紐を編む工場で働かないかとだまされ、中国の奉天から新京、牡丹江へと連行されました。牡丹江では、兵舎のようなレンガの「慰安所」で、「慰安婦」生活を強いられました。そして、1945年以降も中国で暮らすことになりました。

 2000年に中国から韓国に帰国。現在、高血圧と糖尿病を患っています。入居当初は「ナヌムの家」での生活になじめず、何日も家を空けたりしていましたが、現在ではなごやかに過ごしています。

会場のようす

 満場の拍手に迎えられて、黄緑のあでやかなチマ・チョゴリに身を包んだ姜さんが証言席につきました。隣には、通訳の村上一兵さんがノートを広げて座りました。姜さんは背筋がピンと伸びていて、とても堂々としていました。マイクがいらないのでは、と思われるほどの声量でした。使命感を持って、若い人に伝えておきたいことがあるということは、こういうことなのかと思いました。

 姜さんの対極にいるのが、日本の安倍首相ですが、彼の言葉が口先だけのものであるのに対し、姜さんの言葉は腹の底から湧き上がるかのようでした。司会の女性が、「後ろの席の方は、どうぞ前の方の空いている席に移動してください」と何度も声かけしていたわけがわかりました。

 「証言」最中に、姜さんは2度泣き出しました。1度目は、「お金のために慰安婦になったのだろうと言う人が許せない」と言って、手を振り回して、抗議しました。2度目は、高知県の鉱山やダムで働かされていた朝鮮人の男たちの遺骨が、墓もなく、今も放置されたままである現実に話が及んだときのことです。両腕を大きく振って、慟哭しました。

 つらい「証言」が終わって、スタッフの若者たち30人ほどが舞台に上がり、皆で「アリラン」を合唱しました。若者にマイクを向けられた姜さんの美声がひときわ高く広すぎたホールにこだましていました。

姜日出さんの証言・要約

 私の家は、お金持ちというわけではなかったけれど、庭に柿の木が何本もあり、生活には困っていませんでした。ですから、お金のために慰安婦になったのだろうと言うのは、許せません。

 1943年、16歳のとき、幼いいとこと2人で家にいるとき、日本人巡査が来て、私は中国へ連れて行かれました。牡丹江では、レンガ造りの兵舎のよう慰安所で、慰安婦生活を強いられました。慰安所では、日本兵に頭を壁に打ちつけられ、血を流し、意識をなくしたことがあります。今も、突然鼻血が出たり、体が震えたりして、周りの人を驚かすことがあります。もし、今、当時と同じ身の上になったら、今度はもう生きていくことができないと思います。

 慰安所では、髪の毛の抜ける腸チフスという病気にかかりました。腸チフスにかかった人は、荷物のようにトラックに山積みにされ、山の中で、自分を埋める穴を掘らされました。私は、北海道から来た人と2人で、トラックの下の方から、人を押しのけて上に這い上がりました。そして、脱出に成功しました。そのとき、独立軍に助けられました。

 しかし、当時の中国では、働いても食べさせてもらうだけの生活でした。裸足で、ボロを着て、住み込みで働きました。しばらくして、紹介してくれる人がいたので、看護婦として病院で働くようになりました。731部隊(中国人を人体実験したことで知られる石井四郎の部隊)のハルピンではなかったけれど、牡丹江にも731部隊がいたのです。注射で実験されかかった人を見ました。その人は、重病すぎて、実験に向かないということで助かりましたが、北海道の人からその話を聞いたとき、そんなことをするのかと、ぞっとしました。

 戦争は人が死んでいくものです。戦争はもう嫌です。今日、未来のある日本の若者たちのために、自分の経験を話すことができてとてもうれしいです。私は、皆さんを誇りに思います。

 日本の方にお願いがあります。どうぞ、選挙で、正しい人を指導者に選んでください。安倍首相の祖父は、戦争中、東アジアの人々を苦しめた岸信介です。安倍首相は、アメリカ下院の「慰安婦問題に関する決議案」が可決されたことに対し、1か月もたつのに、何の反応も示していません。

 私は、民間基金(日本政府は国としての責任を回避するため、民間基金で被害女性に見舞金を支払った)は受け取りませんでした。お金の問題とは違うからです。しかし、40人ほどが受け取りました。私は、何よりも公式の「謝罪」を求めているので、民間基金はもらいませんでした。日本人と朝鮮人や中国人が、今後仲良く暮らしていくために、それは必要なことなのです。

証言を聞いて

 姜日出さんは、16歳のとき、慰安婦にされたわけですが、10月26日生まれで、数え年ですから、満14歳であった可能性大です。加害者側の証言集を読むと、10代の女性が多かったことが確認できます。

 「殺されたくない」「生きて故郷に帰りたい」「もう1度、両親に会いたい」そういった思いが彼女たちの生きる力であったといいます。

 姜さんは、「自分の娘がそうなったらと考えてみてください」と話しました。

 「従軍慰安婦」として被害にあった女性は20万人にも上ると言われています。

 「従軍慰安婦はいなかった」という日本政府高官の言葉に、1991年、「私は、従軍慰安婦でした」と名乗り出たのが、金学順(キム・ハクスン)さんでした。以後、名乗りをあげた女性は230名、現在生存している女性は、120名です。そのうちの9名が「ナヌムの家」で暮らしています。

 「従軍慰安婦」問題は、日本民族の恥です。しかし、この歴史的事実をなかったことにしようとする策動こそは、恥の上塗り行為です。

慰安婦問題を著した英文冊子、北東亜歴史財団が発刊

2007/08/16 yonhap news

【ソウル16日聯合】北東アジア歴史財団は16日、日本軍慰安婦問題を国際社会に正しく知ってもらうため、英文の小冊子「日本軍慰安婦の真実」を発刊したと明らかにした。

 冊子は、▼慰安婦とはだれか▼慰安婦か、性奴隷か▼募集に強制はなかったか▼単なる売春婦にすぎなかったのか▼日本の謝罪と補償は十分だったか▼なぜわれわれは慰安婦を忘れてはならないのか――の6章で構成されている。強制連行を否認し、慰安婦は単なる商業上の売春婦だったとする日本政府の主張に反論する内容も盛り込まれている。

 財団は1000部を発刊し、海外の公館や関連機関、内外の研究者に配布するほか、ホームページでもダウンロードできるようにする方針だ。

第55回 慰安婦決議の推進役がねらう次の対日攻撃

2007年08月16日 BPnet SAFTY JAPAN

国際問題評論家 古森 義久氏

 米国議会での慰安婦に関する日本非難の決議案はやはり在米の中国系組織が最大の推進役だった。この組織は日本をさらに糾弾する構えをみせている――。

 米国下院はついに慰安婦に関する日本糾弾の決議案を可決した。7月30日のことだった。「ついに」と書いたのは、この決議案は推進する側の当初の見通しを大きく越えて、予測よりずっと遅れて採択されたからだった。しかもその内容が当初からはだいぶ薄められた。

 日本の首相や政府に改めて謝罪を求めるこの決議案の採択はちょうど日本での参議院選挙での自民党の大敗と重なったためか、日本側のマスコミではそれほど大きくは報じられなかった。米国のマスコミはほとんどその採択に触れることさえもなかった。そして少なくとも当面、この慰安婦問題はマスコミや政治のレーダースクリーンからは消え去ったかのようにみえる。

 だが決してこの問題は終わってはいない。またまた形を変えて、米国での日本糾弾という動きとして姿を表す公算が強いのである。その理由はこの種の動きが米国に拠点を置くグローバル規模の中国系反日団体が一貫して進める「歴史問題」での日本非難の一端だからである。慰安婦問題がひとまず片づいたとしても、次なる非難の矢がもう準備されているのだ。

 わたしはこの慰安婦決議案と中国系反日団体とのつながりについてはこの連載コラム第44回でも書いた。そのなかで抗日連合会の中国系幹部連が長年、ホンダ議員に政治献金をしてきた事実を指摘し、同連合会の日本を標的とした多様な活動を明記した。だが今回のレポートは慰安婦問題での同連合会の重大な役割をホンダ議員自身が認めて、感謝まで表明したことがポイントなのである。

 今年はじめから日本側を揺さぶってきたこの慰安婦問題が決議案の採択という結末で一応の第一幕を引いた時点で改めて明らかになったことは、やはりこの決議推進の真の主役がマイク・ホンダ下院議員ではなく、韓国系の団体でもなく、在米の中国系団体「世界抗日戦争史実維護連合会」である、という実態だった。議会の表面での推進役のホンダ議員自身がその団体の名を真っ先に挙げて、決議成立への感謝の意を正面から表明し、しかも長年にわたって、自分がその団体によって「指導」されてきたことを明言したからだった。

中国系団体がホンダ議員を導いた

 決議が採択されるまでは、ホンダ議員はこの中国系団体とのつながりを一切、表明に出そうとはせず、むしろその関係を否定するような態度さえみせてきた。

 だがホンダ議員は7月30日夕方の議会での「勝利」の記者会見で冒頭に、「感謝」の対象として第一にこの「世界抗日戦争史実維護連合会」(以下、抗日連合会と略)の名を挙げた。そして次のように語ったのだった。

 「1999年、この団体(抗日連合会)がアジアで戦争中に起きたことの映像展示会を開き、その一つが慰安婦問題だった。そしてその団体の指導と主唱がわたしたち議員事務所、そしてわたし個人にとっての最初の(慰安婦問題への)かかわりとなった。同団体の主唱こそがわたしに情報と推進力を与え、カリフォルニア州議会で共同決議を採択させたのだ」

 ホンダ氏はカリフォルニア州議員だった1999年に、「日本の性的奴隷、米兵捕虜への細菌兵器実験、南京大虐殺などの戦争犯罪に対し、日本政府が『明白で明確な謝罪の表明と犠牲者への個々の賠償』をすることを求める決議案」を提出し、採択された。この採択を最初から最後までプッシュしたのが抗日連合会であり、とくに同連合会副会長で創設役員の中国系米人活動家イグナシアス・ディン(沈)氏がホンダ氏と密着して活動したのだった。

 ディン氏自身がホンダ氏との共闘の模様を詳しくカリフォルニアの地元新聞数紙に語っていた。以下はその要旨である。

 「1996年に抗日連合会などがスタンフォード大学構内で開催した日本の戦争犯罪に関する会議にマイク・ホンダ氏が出席して、連合会の日本非難に賛同するようになった。その結果、ホンダ氏はカリフォルニア州議会に日本糾弾の決議案を出すことへの意欲を抱くようになった」

 「1999年6月にはホンダ氏は同州議会に実際に日本糾弾のそういう趣旨の決議案を出し、同年8月には採択された。わたし(ディン氏)はこの決議案の草稿をホンダ氏やその議員スタッフとともに書いた。ホンダ議員との共闘は成功した」

 この抗日連合会がまさに長い年月をかけてホンダ氏を導いていった、というのである。別の表現をすれば、同連合会がホンダ氏を操ったともいえよう。連合会の幹部連がホンダ議員の選挙資金をコンスタントに寄付してきたのだから、操ったと言うほうが正確かもしれない。

 そしてこの副会長のディン氏はサンノゼ・マーキュリーというカリフォルニア州の有力新聞の取材にこたえて、驚くべき述懐をしていた。2005年8月に出た同紙の記事である。

 「わたし(ディン氏)は2002年に中国を訪れた際、歓迎を受けた。中国当局にとってわたしはきわめて有用であることが明白だった。中国当局よりもわたしのほうが日本人をいらだたせることがずっと上手だからだった。日本との闘いは日本が本当に変わるまでやめられない。言葉やカネでなく、態度でその変化を示すまでだ」

 つまり在米団体の抗日連合会の代表は中国当局とぴったり連携し、その代弁という形で日本を叩いている、ということなのだった。

正面に出てきていた中国系団体

 今回の慰安婦決議案については、もっぱら表面に出たのは「ワシントン慰安婦連合」という韓国系団体だった。「中国系」の存在は米国でも日本でもほとんど報じられることがなかった。ホンダ議員周辺でもむしろ中国系の影響を否定するような動きが目立った。

 ところが現実には、この決議案が日本側の反発やダニエル・イノウエ上院議員の反対で停滞するような気配をみせたころから、抗日連合会はかなり思い切った行動をとるようになっていたのだ。抗日連合会が慰安婦問題で堂々と正面に出てきたというケースはじつは意外と多々あったのである。

 その実例の第一はニューヨーク・タイムズに掲載された意見広告だった。

 5月28日に掲載されたこの広告は慰安婦決議案への支持を表明し、議会に対しその採択を迫る内容だった。「安倍首相は『日本軍の性的奴隷』のどこを理解できず、謝罪ができないと言うのか」と書かれ、「何十万もの女性が性的奴隷へと強制徴用された」と断じられていた。この意見広告の掲載主として抗日連合会の名が堂々を記されていたのである。そのウェブサイトのアドレスも大きく明記されていた。

 第二の実例はカナダ議会での抗日連合会の動きだった。

 カナダでは下院に米国と同様に慰安婦問題で日本を糾弾する決議案がこの3月に出された。中国系カナダ人の議員が提案したのだが、その動きを抗日連合会のカナダ支部が表面に出て支援した。というよりも抗日連合会の意図を代弁して、その中国系議員が決議案を出したという形だった。

 この決議案は下院外交委員会の国際人権小委員会では僅差で可決され、外交委員会に回された。だが同外交委員会では反対論が多く、5月10日には「さらなる調査をすべきだ」として国際人権小委員会に差し戻されてしまった。事実上の廃案だともいえる。だが抗日連合会はここでも正面に出たのだった。

 第三の実例は、抗日連合会の前述のイグナシアス・ディン副会長が米国下院のトム・ラントス外交委員長に脅しをかけたという報道である。

 カリフォルニア州の通信社「ベイ・シティ・ニューズ」の6月14日の報道によると、抗日連合会の幹部たちは同連合会本部のある同州クパナティノで集会を開き、「ラントス委員長が慰安婦決議案を敏速に進めようとせず、アジア系米人社会への軽侮を示している」という主張で一致した。

 ディン副会長は抗日連合会を代表して「ラントス議員がもしこの決議案の採決を急がないならば、アジア系有権者が33%を占める同議員の選挙区で次回の選挙では民主党候補としてアジア系女性を立ててラントス氏の落選を目指す」と言明したというのだ。これは圧力というよりも、もう脅しといえるだろう。ラントス議員はこの後、あわてふためいたように決議案の採決へと動いたのである。

次は米軍捕虜の虐待問題か

 こう見てくると、米国での、いわゆる慰安婦問題の基本構図がはっきりと浮かび上がってくる。

 やはり何度も書くように、主役は世界抗日戦争史実維護連合会という中国系反日団体なのである。あえて反日と形容するのは、この団体が過去に日本の国連安保理常任理事国入りに反対するグローバル規模な署名運動を展開したことや、今後の活動目的として日本に対しサンフランシスコ対日講和条約を否定してまで謝罪や賠償を求めていくと宣言している事実からだ。

 こうした構図を裏づけるように、米国で発行される中国語紙の「世界日報」は8月上旬、「抗日連合会の代表たちが慰安婦決議成立後にホンダ議員と面会し、今後も日本に対し第二次大戦中の米軍捕虜の虐待問題などで、さらに攻撃を続けていくことを合意しあった、と報道した。「日本の戦争犯罪」をこれからも息長く攻撃し続けていくというのだ。

 いわゆる慰安婦問題は米国での日本の「戦争責任」の追及としての幕をひとまず降ろしたのではなく、むしろ幕を開けたとも言えそうなのである。

慰安婦決議案、比下院に提出 米決議の追い風期待

2007年08月13日 asahi.com

 第2次世界大戦中の従軍慰安婦問題で、日本政府に謝罪を求める決議案が13日、フィリピン下院の与野党議員7人により提出された。

 決議案は、日本政府に対し、国としての責任を認め、公式謝罪をするよう求めている。同種の提案は初めてではないが、提出議員らは、米下院での決議を受けて国内でもより関心が高まると期待している。比上院には、元慰安婦とされる女性への医療支援を求める法案も提出された。

 戦時下の性犯罪被害者の女性を支援する団体は「米下院の決議は、たとえ被害から60年以上たってからでも喜ばしいこと。比国会も被害者のために正義を貫いて欲しい」としている。

米下院、日本感謝決議を採決 慰安婦決議とセット

2007/09/06 The Sankei Shimbun WEB-site

 【ワシントン=山本秀也】米下院本会議は5日、テロ対策支援や対米同盟の堅持で、日本の貢献をたたえる感謝決議を賛成405、反対なしの全会一致で採択した。同決議は、慰安婦問題をめぐる対日非難決議とのバランスを図る形で6月に提出されたもので、慰安婦決議を主導したマイク・ホンダ議員も今回の決議で賛成にまわった。

テロ貢献に言及

 共和党のサクストン議員が提出した決議は、「安全保障に関する強力な日米同盟をたたえ、アジア太平洋地域の安定と地球規模でのテロとの戦いに対する日本の貢献に感謝する」と指摘。日本の貢献として、沖縄をはじめとする在日米軍の駐留受け入れなどに言及した。

 決議は米軍艦艇に対するインド洋での補給活動も評価対象に加えた。本会議での賛成討論も日本の対テロ貢献に言及しており、11月に期限を迎えるテロ対策特別措置法が延長されない場合には、決議で示された対日評価が米側での不満と失望に転換される可能性もあるようだ。

小中高生11人、慰安婦問題めぐり東京で抗議デモ

2007/08/13 YONHAP News

【ソウル13日聯合】「平和を愛する韓国青少年の歴史の会」に所属する小中高校生11人が、慰安婦問題に対する日本政府の公式謝罪などを求めるため、13日に日本を訪れる。東京に4日間滞在し、デモを行い関連集会に参加するなど、さまざまな活動を展開する計画だ。

 光復節(植民地支配からの解放記念日)に当たる15日午前には東京・上野公園で、日本軍慰安婦に対する日本政府の謝罪と補償を求める抗議活動を行う。「日本の友人らに送る平和の手紙」と「日本政府と安倍晋三首相に送る公開書簡」を朗読するほか、「アリラン」や「故郷の春」など、韓国の伝統民謡をバイオリンで演奏する小さな音楽会も予定している。

 同日午後にはルーテル市ヶ谷センター前で抗議デモを行い、同センターで開催される靖国国営化阻止集会に参加する。

慰安婦の証言、各地で上映 中国から班監督が来日

2007年08月08日 中国新聞ニュース

 米下院で謝罪要求決議が可決されたばかりの従軍慰安婦問題。中国・山西省で9年間にわたり元慰安婦の声を追い、ドキュメンタリー映画「ガイサンシーとその姉妹たち」を今年完成させた中国人映画監督班忠義氏が9日来日、各地で上映会が開かれる。

 「ガイサンシー(蓋山西)」は山西省一の美人の意味で、実在し日中戦争時に慰安婦となったある女性を指す。映画は同じ境遇の女性たちにインタビュー、過去を克服しようとしてきた人生を追うとともに、元日本兵の証言も集めた。

 11日から24日まで上映する那覇市の桜坂劇場で初日に班監督のトークショーが開かれるほか、茨城、埼玉、東京、京都、広島の各都府県でも監督を招いての上映会がある。都内でのロードショーは10月27日から、東京都中野区のポレポレ東中野で。

 上映会の詳細はホームページ、http://www.cine.co.jp/gaishanxi

安倍総理、さて、次の順番は?どうする慰安婦(歴史教科書)問題。

2007年08月02日 Livedoorニュ−ス

 【PJ 2007年08月02日】− 赤城農林水産大臣の更迭が決まったが、問題はやめればすむということではない。アメリカ下院の従軍慰安婦問題への決議も行われた。総理は、どのような対応を示すのであろうか。

  安倍政権の原点とも言うべき「歴史教科書問題」の発端は、「従軍慰安婦問題」である。「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」が編集した『若手国会議員による歴史教科書問題の総括 歴史教科書への疑問』という本が、10年前の1997(平成9)年12月23日に刊行されている。その内容こそは、今回アメリカ下院の決議に対する安倍政権のひとつとして変化していない基本的スタンスそのものように思われる。

  この本から、当時の「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」の代表である、中川昭一氏の一文を転載しよう。全文転載したいが、長文であるので、最後の部分のみとする。

  『(前略)数ある記述の問題点の中でも象徴的なのが、いわゆる従軍慰安婦問題である。ウソと判明した書物と、少数の人達の裏付けのない証言のみを端緒とするこの問題は、一部マスコミや特定の意図を持った(客観性に反する)人々と、一部他国によって増幅され、ついには「国家による強制性」を内閣官房長官(つまり政府)が認めることによって、13歳から15歳の中学生のほぼ100%が使用する教科書に記載されてしまった。この問題の奇妙な点は、国家による強制連行を示す明らか事実がないにも拘らず、「ない」という証明をしなければならないことだ。この問題は「ある」と思っている人に挙証責任がある筈である。そして「ある」と主張している人の論点が少しずつ、変化していることだ。戦前、戦中、戦後苦労してきた先輩方が御健在なうちに、この歴史教科書問題を決着させておかないと、将来の日本を担う子供に対し、とり返しのつかない禍根を残すと言わざるを得ない。』

 アメリカ下院で採択された決議案の主旨は以下のようである。

@日本政府は慰安婦に関する事実を明確な態度で公式に認め、謝罪し、歴史的責任を負う。

A人身売買した事実はないという主張に対しても、明確かつ公開的な反論をしなければならない。

B現世代と未来世代にこの残忍な犯罪について伝えなくてならない。

 安倍政権の根幹と言うべきこの従軍慰安婦問題(歴史教育問題)に対し、安倍総理はいまのところは静観のようである。安倍内閣の現閣僚の多くが「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」に参加した経歴を持つ方々だ。自殺した松岡さんも辞任した赤城さんもそうである。本当に、「日本の前途と歴史教育を考える」ならば、今回のアメリカ下院の議決に対し、日本政府としての明確な回答を示すべきであろう。

 歴史教科書は、扶桑社版「新しい歴史教科書」等でその内容は、10年前とは大きく変えられている。また、教育基本法も改正された。既に教育現場での修正は行われてしまったいる。これらの事実も踏まえて、今後の対応をどうするのかが問題である。

 先送りや、責任回避はしてはならない。安倍政権そして安倍総理の明確な態度が求められているのだ。と私は考える。それは当然、安倍政権発足以来、ある意味で言いたい放題の中川昭一自由民主党政調会長も含めてである。【了】

米下院‘慰安婦決議案’採択の影の主役 コトゥラー氏

2007.08.02 中央日報 ワシントン=イ・サンイル特派員

米下院の日本軍慰安婦決議案採択の主役は日系3世のマイケル・ホンダ議員(民主)だ。しかし彼を後押しする人がいなかったら決議案が全会一致で採択されるのは難しかったはずだ。影の主役の1人がミンディ・コトゥラー氏だ。

ワシントンの非営利研究団体アジアポリシーポイント所長のコトゥラー氏は今年1月発議されたホンダ決議案の草案を作成し、2月には下院外交委慰安婦聴聞会でオランダ出身の元慰安婦オヘルンさんの証言を主導した主人公だ。

コトゥラー氏は昨年まで慰安婦問題についてあまり知らなかった。その彼女に昨年4月、慰安婦決議案を扱っていたヘルピル下院国際関係委専門委員が連絡した。エバンス当時下院議員(民主、引退)が発議した決議案を検討してほしいという注文だった。

名門女子大学のスミス大学で行政学科歴史学(中国歴史)を勉強した後、エール大で国際関係学を専攻しながら日本問題を研究してきたコトゥラー氏は、その時から各種史料を読みながら研究し始めた。

「研究してみると、日本は大きな罪を犯し、今でも反省していないということをはっきりと知ることができた。このため決議案は積極的に推進していかなければならないという意見を出した」。コトゥラー氏は先月31日、中央日報とのインタビューでこう語った。

彼女は、「責任はない」という日本の主張に反論する史料と資料をエバンス議員側に供給した。エバンス決議案が廃棄されると、ホンダ議員と呼吸を合わせた。

コトゥラー氏は慰安婦聴聞会を控えて悩んだ。「韓国の女性だけでなく外国人の女性が証言すれば、大きな反響を呼ぶと考えた。多くの史料を読んだ後、オヘルンさんのことを思い出し、オーストラリアの所在地を把握して連絡した」。

コトゥラー氏は彼女の証言を成功させるため旅行経費も負担した。こうした事実を知った韓国人団体らは寄付金を集め、経費を支援した。

日本政府は決議案を阻止するため「日本は何度も謝罪し、歴史教科書にも慰安婦問題を記述している」という書簡を米下院議員らに2度送った。その度にコトゥラーさんは「明確な謝罪はしたことがなく、日本教科書は歪曲されている」という反論文と関連資料を下院議員らに提示した。

チェイニー副大統領室は6月、ワシントンポスト紙に「日本の責任ではない」という広告を出した日本議員40人余についてコトゥラー氏に尋ねた。コトゥラー氏は日本議員らの性向を分析しながら「日本議会主流の歴史認識がこのように歪曲されている」と指摘した。

コトゥラー氏は「日本側から何度も脅迫を受けたし、ワシントンの日本大使館はもちろん、彼らと一緒に働く米国人らから‘嫌がらせ’を受けたが、正しいことをしたので気にしていない」と語った。

日本「決議案採択、遺憾だが対応控える」

2007.07.31 中央日報

米下院で30日、従軍慰安婦問題に関する決議案が採択されたことに関連、日本政府は困惑しながらも「遺憾だが、他国の議会が決めた懸案」とし、対応を自制した。

政界では「参院選で惨敗したのに、決議案の影響でさらに世論が悪化するのでは」と懸念する声もあがっている。抗議などの後続措置を取る場合、事態を悪化させうる、という意見も少なくない。半面、市民団体はこの日、記者会見し、慰安婦の強制動員について率直に謝罪することを求めるなど政府に圧力を加えた。また、専門家らの間でも「政府が姿勢を転換すべき」との意見が広がっている。

「公的な形で謝罪を」 慰安婦問題で市民団体提言

2007年07月31日 中国新聞ニュース
 

 米下院本会議が可決した、従軍慰安婦問題への日本政府の公式謝罪を求める決議を受け、「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク(東京)など3団体が31日、安倍晋三首相あてに「提言」を提出した。日本政府は慰安婦が違法な性奴隷状態だったと認める▽閣議決定など公的な形で謝罪を表明する▽被害者への賠償金の支払い−などが必要だと主張している。

 提言は、慰安婦問題をめぐり日本政府が「謝罪した」としてきた点について、国家の責任を表明していないために被害女性たちが納得していない上、閣僚らが国の責任を否定する言説を繰り返したために、謝罪の信頼が失われたと指摘した。

 また同日、慰安婦裁判の支援運動などをしてきた市民団体でつくる「日本軍『慰安婦』問題行動ネットワーク」(東京)は「日本政府に対し歴史的責任の受容を迫り、被害者の人権回復の重要性を指摘した」などと、決議を歓迎する声明を発表した。

米下院が慰安婦決議を可決 本会議で初、公式謝罪要求

2007年07月31日 中国新聞ニュース
 

 【ワシントン30日共同】米下院本会議は30日午後(日本時間31日午前)、第2次大戦中の従軍慰安婦問題をめぐり日本政府に公式謝罪を求める決議案を可決した。

 慰安婦問題をめぐる決議が、本会議で可決されるのは初めて。決議自体に法的拘束力はないが、日本にとって最も重要な同盟国である米国の議会で、日本を直接非難する決議が可決されたことで両国関係に悪影響が出そうだ。参院選で惨敗したばかりの安倍晋三政権にとっては採決回避を働き掛けてきただけに手痛い失点だ。日本の保守層からは反発も予想される。

 決議は日本政府に対し、慰安婦問題に対する歴史的責任を認め正式に謝罪するよう要求。謝罪の形態は、首相声明の形を取るよう強く促している。また旧日本軍のための人身売買はなかったとの主張を容認せず、国際社会の声に耳を傾けるよう求めている

従軍慰安婦決議の要旨 米下院本会議

2007年07月31日 中国新聞ニュース
 

 【ワシントン30日共同】米下院本会議で30日可決された従軍慰安婦決議の要旨は次の通り。

 一、従軍慰安婦制度は日本政府が第2次大戦中にアジア太平洋地域を支配した時代に行った軍用の強制的な売春で、20世紀最大の人身売買の1つ。

 一、現在の日本にはこの問題を軽視しようとする教科書もある。公職にある者が、慰安婦問題で謝罪した1993年の河野洋平官房長官談話を軽視、否定したがっている。

 一、日本政府が歴史的責任を認め、公式声明で首相が謝罪すれば、今後この問題が再燃するのを防げるだろう。

 一、日本政府は、旧日本軍のために女性を性的奴隷にしたり人身売買が行われたことはないとの主張を容認してはならない。

 一、日本政府は現在および将来の世代にこの恐ろしい犯罪を伝え、元慰安婦に対する国際社会の声に耳を傾けるべきだ。

 一、日米同盟はアジア太平洋地域の平和と安定の要であり、政治的、経済的自由の促進、人権、民主主義の尊重という価値観の共有に基づいた同盟であり続ける。

慰安婦決議案きょう採決 米下院本会議、可決へ

2007/07/30 中国新聞ニュース
 

 【ワシントン30日共同】米下院は三十日、第二次大戦中の従軍慰安婦問題をめぐり、日本政府に責任を認め公式に謝罪するよう求める決議案を同日夜(日本時間三十一日午前)の本会議で採決することを決めた。慰安婦問題をめぐる決議案が本会議で採決されるのは初めて。

 民主、共和両党の議員に支持が広がっていることから、賛成多数で可決される公算が大きい。可決されれば今後の日米関係に与える影響は深刻で、採決阻止を働き掛けてきた日本政府にとって打撃は避けられない。

 決議案は先月二十六日の外交委員会で大差で可決されたが、日本の政局に与える影響を配慮し、本会議採決が参院選後に先延ばしされていた。

 慰安婦問題をめぐる決議案は昨年九月も委員会レベルでは可決されたが、本会議採決にまで至らず廃案になった。今回は、同十一月の中間選挙で多数派となり議会運営を主導する民主党指導部が「人権問題」として決議案を重視、本会議で採決されることになった。

             ◇ ◇

 ≪従軍慰安婦決議案≫

 第2次大戦中の日本の従軍慰安婦問題に関する、米議会の決議案。拘束力はない。韓国系米国人組織などが成立を強く働き掛けてきた。下院への提出は5回目で、本会議採決は初めてとなる今回は1月31日、カリフォルニア州選出のホンダ議員(民主党)が2005年に続き再提出。慰安婦制度は20世紀最大の人身売買の一つなどと批判、日本政府に対し責任を認め公式謝罪するよう求めている。下院外交委員会は6月26日、39対2の大差で可決した。(共同)

30日にも慰安婦決議初採決 参院選配慮し、日程公表は見送り

2007年07月28日 中国新聞ニュース
 

 【ワシントン27日共同】米下院(定数435)は、第2次大戦中の従軍慰安婦問題をめぐり、日本政府に責任を認め公式に謝罪するよう求める決議案を早ければ30日夜(日本時間31日午前)の本会議で採決する見通しだ。

 ただ議会多数派を握る民主党のホイヤー院内総務は27日、通常なら公式ホームページを通じて発表する翌週の採決予定に慰安婦決議案を盛り込むことを見送った。日程が事前に報道されることで日本時間29日投票の参院選に影響を与えることを避けるための配慮とみられる。

 慰安婦問題をめぐる決議案が本会議で採決されるのは初めて。民主党出身のペロシ議長が支持を表明していることから、賛成多数で可決される公算が大きい。採決阻止を働き掛けてきた日本政府にとって打撃は避けられない。

 決議案は先月26日の外交委員会で39対2の大差で可決されたが、日本の政局に与える影響を配慮し、本会議採決が先延ばしされていた。

慰安婦決議、参院選後へ 米議会、安倍政権に配慮か

2007年07月18日 中国新聞ニュース

 【ワシントン18日共同】米下院で近く予定されていた第2次大戦中の従軍慰安婦問題に関する決議案の本会議採決が、参院選を控えた安倍晋三政権に与える影響への配慮から、同選挙の投票日である今月29日より後に先送りされる見通しが強まった。18日付の米紙ワシントン・ポストが決議案提出者のホンダ議員の談話として伝えた。下院多数派を握る民主党指導部が先送りの方針で合意したという。

 これにより同決議案の本会議採決は、米議会が夏季休会に入る前の最終週である今月30日からの週に行われる可能性が出てきた。

 同紙は、決議案は既に日本国内で反発を招いており、本会議で採決されれば、年金問題などで支持率低下に苦しむ安倍首相が一層の困難に直面するなどと指摘。加藤良三駐米大使が先月下旬、ペロシ議長らに日米関係への影響を懸念する書簡を送付したことなどを紹介している。

 ホンダ議員はこれまで本会議採決について7月中旬ごろ、との見通しを記者団に語っていた。

第53回 慰安婦決議案に毅然と反対するイノウエ氏

2007年07月17日 BPnet SAFTY JAPAN

国際問題評論家 古森 義久氏

 米国下院の外交委員会が慰安婦問題で日本政府を糾弾する決議案をついに可決した。6月26日のことだった。「ついに」と書いたのは、この採決が当初、提案者のマイク・ホンダ議員らが予告していた時期よりずっと遅くなったからである。しかし委員会を通過したこの決議案は、いまや下院の本会議で審議され、採決される見通しが強くなった。しかも7月中にも採択されそうなのだ。

 この決議案自体には拘束力もなく、日本への実質上の影響は少ないようにもみえる。だが日本側での反発も激しい。日本側からすれば、60年以上も前の案件をいまさら外国、しかも同盟国の議会から糾弾されることはいかにも不自然となる。そもそも決議の内容は日本側の事実関係の反論を一切、封じたままの一方的断罪なのである。だからこれまで米国との同盟を支持してきた日本側識者の間でも、憤慨は深い。米国への不信や不満に火をつける効果があるのだ。この意味では重要な決議案なのだといえる。

 しかしそんな日米両国での動きのなかで、米国議会の長老議員が敢然として、この決議案への反対を表明した。しかも何度も繰り返しての表明だった。民主党の上院議員ダニエル・イノウエ氏である。民主党の全国委員長をも務め、米国議会全体でも最も尊敬される政治家の一人だといえるイノウエ氏は、上院に身を置きながら、下院での決議案に強い反対を公式に言明したのだった。日本側にとっては心強い言明だった。米国側にも日本の立場や日米関係の重要性を正しく認識し、それに逆行する流れには、堂々と反対を表明する政治指導者が存在することを印象づけたといえる。

 その意味でもこのイノウエ議員の発言は注視されるべきである。だが日本のマスコミもこのイノウエ議員の言明をあまり大きく報道していない。ここで改めて光を当ててみることにした。

「米国の謝罪すべき行為に叱責はあったか」

 下院外交委員会での慰安婦決議案(下院決議案121号)の表決は賛成39票、反対2票だった。この数字だけをみれば、圧倒的多数での採択ではあるが、実際にはこの種の拘束力なしの決議案に少数でも明確な反対票が出ることは珍しい。重要な法案の採決とは異なり、議長役が「賛成ですね」と声をかけ、一般議員側も「イェイ(はい)」と発声して、全会一致とみなされるのが普通なのだ。だが今回の決議案はそうは扱われなかった。それだけ問題点が認識されているのだともいえよう。

 この採決から2週間後の7月9日、イノウエ議員が上院本会議で声明を出した。下院がこれから本会議で採決しようとする慰安婦決議案への正面からの反対だった。本会議での演説に等しい声明だった。そもそも上院議員が下院での案件に正面から意見を述べること自体がきわめて異例である。

 その声明の総括といえる部分をまず紹介しよう。

 「これらの出来事(慰安婦の存在など)は1930年代と40年代に起きた。そしてそこでの悪習に対する認知と謝罪は1994年以来の日本の歴代首相によりなされてきた。

 わたしは米国が認知し、謝罪すべき過去の出来事を多数、想起できる。だが米国政府はそうした行為を認知せず、他の諸国も米国を公式に叱責することはない」

 イノウエ議員は米国も過去には政府が謝罪すべき行為はとっているのに、謝罪はしていないではないか、と率直に述べているわけだ。だから日本にそんな謝罪を求めることには反対だと言うのである。

 同議員はそうした過去の事例として、日米開戦の直後に米国政府がチリやペルーなどの日系人を拘束し、米国本土へと連行して留置したことを挙げた。米国はまだその被害者たちへの賠償や謝罪の立法措置をとっていないし、そのことを他の国の議会や政府が抗議して、米側に謝罪を求めたこともない、と強調した。米国政府が戦時中に米国自身の日系市民を収容所に入れた「悪」についても、イノウエ議員は外国がそのことを叱責し、米国の大統領に謝罪を要求することはない、と言明したのだった。そして以下のように論じていた。

 「もし他の諸国の立法府が米国の第二次大戦中の歴史上の行動を糾弾したとすれば、米国政府はどう反応するだろうか。友好国や同盟国同士の外交上の儀礼では、こうした案件の処理には深慮と慎重さが求められるのだ」

 イノウエ議員はそこで改めて、慰安婦問題について日本は既に歴代首相の謝罪とアジア女性基金を通じての被害者への賠償金支払いにより、十分な対応をとった、と述べて、今回の決議案への反対を明確にした。

「これが友人を遇する米国人の方法なのか」

 同議員はこの言明の結論部分でさらに2007年3月のギャロップ世論調査の結果に言及して、米国の一般国民の74%、指導層の91%が「日本は信頼できる同盟国」と答え、一般国民の48%、指導層の53%が「日本はアジアで最も重要な米国のパートナー」と答えたことを強調した。そして一般国民の83%、指導層の94%が「日本は米国と共通の価値観を分かちあっている」と答えたことも指摘した。そのうえで次のような疑問を提起して、声明全体を締めくくったのだった。

 「なぜ我々はこれほど良好な日本との関係を特定の立法行動によって危険にさらさねばならないのか。これが友人であり、同盟相手である日本人を遇する我々米国人の方法なのか」

 ハワイ生まれの日系二世のダニエル・イノウエ氏はすでに82歳、米国の国政の場で名声を築いた民主党リベラルの政治リーダーである。第二次大戦では米陸軍の日系二世部隊442連隊の将校として欧州戦線で活躍した。ドイツ軍の銃弾で右腕を失い、ヒーローとして帰国したイノウエ大尉がサンフランシスコの理髪店で「ジャップはお断りだ」と拒まれた話は有名である。戦後はハワイで弁護士や検事として活動し、1959年には連邦議会の下院議員となり、62年には上院に転じた。もう上院議員を45年間も務めている大ベテランなのである。

 イノウエ氏は民主党では全国委員長だけでなく、大統領候補を選ぶ党大会での基調演説役をも何度も果たしてきた。1970年代のニクソン大統領辞任をもたらしたウォーターゲート事件では上院特別調査委員会の有力メンバーとしてハイライトを浴びた。要するに米国議会での最長老の一人であり、日系社会では絶大な敬意の対象となってきたリーダーなのだ。

下院外交委員会に異例の書簡

 イノウエ議員に関して興味深いのは、長年、政治家としては日本や日米関係にはほとんど関与してこなかった経歴である。1980年代の日米貿易摩擦のころなど、逆に日本側の貿易慣行や対米経済進出を厳しく非難していた。そのイノウエ氏が慰安婦問題という日米間の論題をこれほどまでに熱情をこめて語るというのは、きわめて珍しい。あくまで米国の政治指導者として、今回の慰安婦決議案が米国の国益を害するという認識なのだろう。

 日本側としては日米関係をこれほど熱心に、しかも日本側の立場への配慮にも基づいて守ろうとする長老政治家の言動は高く評価してしかるべきであろう。

 イノウエ議員はこの慰安婦決議案が同じ民主党日系米人のマイク・ホンダ下院議員によって今年1月末に下院に提出されてからまもない3月冒頭に、既に反対を表明していた。

 イノウエ議員は同決議案を最初に審理する下院外交委員会のトム・ラントス委員長に異例の書簡を送り、採択をしないことを要請したのだ。

 イノウエ議員はこの書簡で日本側の「村山談話」や国会での「戦後50年決議」「戦後60年決議」を挙げて、日本側は慰安婦問題のような戦争がらみの案件には反省の意を十分に表明してきた、と強調した。慰安婦についても歴代首相の謝罪の言葉やアジア女性基金からの賠償を指摘した。そのうえで日本がサンフランシスコ平和条約以来の米国にとっての強固な同盟国であり、貿易パートナーであって、イラクへの自衛隊派遣など対米協力も顕著だとして、こんな決議案は日米関係に悪影響を及ぼすと、説いたのだった。

 このイノウエ書簡にもかかわらず、ラントス議員は下院外交委員会での慰安婦決議案の採択へと動いたわけだが、そのプロセスでは明らかにイノウエ書簡のインパクトも見受けられた。

 当初の決議案は周知のように、慰安婦問題を「日本軍による20万人もの若い女性の強制徴用による性的奴隷化」と定義づけ、日本の首相や政府に「明白かつ明確な公式謝罪」を求めていた。しかし6月26日に下院外交委員会に採決のため提示された決議案には日米同盟の重要性や日本が民主主義や人権尊重という価値観を米国と共有しているという文言が挿入されていた。明らかにイノウエ議員の主張の反映だった。

「法的観点からは既に解決済み」

 イノウエ議員はこの後、4月2日にも西海岸のシアトルでの講演で再び慰安婦決議案への強い反対を表明した。日本側は既に謝罪しているし、こうした案件で日本を非難することは日米関係の現状からもよくない、という趣旨だった。

 そのうえでの7月の上院本会議での声明だったのだ。この声明でイノウエ議員は以下の点をも強調していた。

 「第二次大戦後、日本の戦争犯罪への賠償の諸問題は各国個別にサンフランシスコ平和条約と、その関連の一連の平和条約によって解決された。厳密な法的観点からすれば、慰安婦問題もこれらの条約によって既に解決されているのだ」

 米国の議会にもこうした常識的、良識的な意見の強い表明があったことは日本側でも明記しておく価値があるといえよう。

慰安婦:日本の極右学者ら「金を稼ぐための売春行為」

2007/07/14 朝鮮日報/朝鮮日報JNS 東京=鄭権鉉(チョン・グォンヒョン)特派員

米国大使館前で抗議デモ

 日本の国会議員13人や学者、ジャーナリストなど保守派の知識人約200人は13日、今月中に米国下院で行われる、旧日本軍の「従軍慰安婦」問題に関する決議案の採決をめぐり、駐日米国大使館の前で抗議デモを行い、「米国下院外交委員会を通過した決議案は、歴史的事実とは完全に異なる、誤った情報に基づくものだ」と主張した。

 また、旧日本軍の「性奴隷」である慰安婦を「売春婦」と呼び、米国による原子爆弾投下こそが大量虐殺につながる人権問題だ、と訴えた。

 上智大の渡部昇一名誉教授は、「米国はこの問題を“人権問題”と主張し続けるが、だったら(第2次世界大戦中に)東京などに対して行った無差別爆撃は何だというのか。原爆投下は何だというのか。あれこそ一般市民を計画的に殺害する大量虐殺にほかならない。これに対して戦場での“売春行為”は単なる商行為に過ぎない」という主張を展開した。また渡部氏らは、米国大使館宛てに送った書簡で「日本軍による“性奴隷”は存在しなかった。“慰安婦”だったと主張する女性たちは、実際には金を稼ぐために売春行為をしていた」と述べた。

地方議員ら、米下院慰安婦非難決議に抗議

2007/07/13 The Sankei Shimbun WEB-site

 地方議員、学識経験者らでつくる「慰安婦問題の歴史的真実を求める会」(代表・水島総日本文化チャンネル桜社長)は13日、駐日米国大使館を訪れ、米下院外交委員会が先月可決した慰安婦問題をめぐる対日非難決議案に対する抗議書を大使館員に手渡した。14日に米下院議員全員にこの抗議書を送付する。

 抗議書は「決議案は、歴史的事実とは全く異なる誤った情報に基づき可決された。性奴隷などという存在は全くなかった」と指摘。国会議員13人、自治体首長2人、地方議員128人、学識経験者ら80人の計223人が賛同者となった。

 これに関連し、同会賛同者のノンフィクション作家、クライン孝子氏、日本財団特別顧問の日下公人氏、上智大名誉教授の渡部昇一氏らは13日、都内で記者会見した。渡部氏は「(対日非難決議案にあるように)朝鮮半島で20万人もの女性をかき集め、トラックで運べば暴動が起きる」と述べ、決議案の荒唐無稽(むけい)ぶりを指摘した

慰安婦:米紙に日本の対応批判する意見広告

2007/07/13 NEWSIS/朝鮮日報JNS

 米国の有力紙ワシントン・ポストは12日、第2次大戦中の「従軍慰安婦」問題に対する日本の指導者らの対応を批判し、米国下院外交委員会で採択された慰安婦問題に関する決議案を支持する内容の意見広告を掲載した、と時事通信が報じた。

 この広告は紙面の約4分の1の大きさで、「全アジア系米国人連合」という団体が掲載主となり、ほかに「抗日戦争の事実を永久に語り継ぐ世界連合」、「南京強姦(ごうかん)賠償連合」など複数の団体が協賛する形になっているという。

 広告の内容は「日本の右翼、歴史修正主義者らの最近の動きを見ていると、心の奥底に封じ込めていた深い憤りがこみ上げてくる。日本の指導者らは今こそ、真実を否定する鉄面皮な対応をやめるべきだ」と訴えるものになっている、と時事通信は報じた。

 慰安婦問題について日本に正式な謝罪を求める米国下院の決議案は、今月中に下院本会議で採択される見通しだ。

「慰安婦は軍用船で戦場に」 中京戦争の真実語る集い

2007年07月08日 Kyoto Shimbun

 従軍慰安婦問題を考える「戦争の真実を語る講演の集い」が7日、京都市中京区の京都アスニーで行われた。約100人が集まり、第2次世界大戦で従軍した男性らの証言に耳を傾けた。

 日中戦争の発端になった盧溝橋事件の70周年に合わせて、京都平和委員会などでつくる実行委員会が主催した。

 1942年に陸軍通訳としてシンガポールにいた永瀬隆さん(89)=岡山県倉敷市=は、「隊長の命令で朝鮮から来た慰安婦に日本語を教えていたら、『シンガポールの日本軍の食堂の給仕として連れられてきた。軍の船に乗せられ、着いたら慰安婦をやれと言われた』と打ち明けられた」と証言した。

 永瀬さんは「強制連行だったり、だまされたり、いろいろな形の慰安婦がいた。いずれにしても、戦場には軍用船で連れてきた。日本軍が関与していないとは言わせない」と力を込めた。

 また、ゼミで慰安婦問題を研究、調査している神戸女学院大4年の小谷直子さん(21)は昨年9月、元従軍慰安婦が生活する韓国の「ナヌムの家」を訪ねた時の様子を報告した。

 ナヌムの家に再現された慰安所について、狭く暗い個室や、日本人の名前を付けられた慰安婦の名札が掛かっていたことなどを紹介し、「わたしたち若者が慰安婦問題に向き合わないと、今も被害を受けた女性を苦しめている日本の政治は変わらない」と訴えた。

上海に「慰安婦」資料館開館

2007年07月06日「人民網日本語版」

上海師範大学で7月5日、中国「慰安婦」資料館が正式に開館した。資料館では80余りの「慰安婦」の研究資料を展示し、なかには慰安婦制度実施の証拠となる物件、各地の「慰安婦」の口述記録、被害者が慰安所で使用していた生活用品などがある。

慰安婦:蘭下院、強制性否定広告に対し日本側に説明要求

2007/06/30 NEWSIS/朝鮮日報JNS

 オランダ下院は最近日本の国会議員たちが米国の有力紙に慰安婦動員に強制性はなかったとする反論広告を掲載したことについて、日本側に説明を要求する書簡を送った、と共同通信が29日付で報じた。

 オランダ下院のフェルベート議長は、米国下院の慰安婦決議案採択に先立ち、自民党を初めとする日本の国会議員40数人が、ワシントン・ポストに慰安婦の強制性を否定する内容の広告を掲載した事実について説明を要求する書簡を、河野洋平衆議院議長宛てに送った。

 河野議長は官房長官在任中の1993年、慰安婦の強制動員に対する日本政府と軍の責任を認め、謝罪と反省の意を表明するいわゆる「河野談話」を発表した。

 オランダは日本による慰安婦動員における被害国の1つで、第2次世界大戦当時、オランダの植民地だったインドネシアに滞在していた一部のオランダ人女性らが、日本軍の占領により慰安婦として動員された。

 共同通信によると、バルケネンデ首相は3月に安倍首相が「慰安婦が強制的に動員されたという証拠はない」と発言したのに続き、今回のような広告が掲載されたことについて、「非常に不適切だ」とし不快感を表明しているという。

【やばいぞ日本】序章 没落が始まった(3)「収まらないな慰安婦問題は」

2007/07/05 The Sankei Shimbun WEB-site

 「こちらからみていると、『ヘビの頭を切らないといけないな』と思えてくるんですよ。日本をみていると、ね」。丸顔の男は、そういって冷えた茶を口に含んだ。

 慰安婦問題をめぐる日本非難決議が米下院外交委員会で採択される前、今春のことである。

 男は、東アジアから移民し、成功を収めた戦前生まれの実業家だ。

 「日本が、われわれを極端な方向に押しやっているんですよ」。自宅応接間で、男は顔をしかめ、アロガント(傲慢(ごうまん))、とつぶやいた。日本の政治家は威勢のいいことを言わないと出世できない、歴史教育議連(日本の前途と歴史教育を考える議員の会)の国会議員たちがいい例だ−それが、男の言う「傲慢な日本」の意味らしかった。

 「収まりませんよ、慰安婦問題は」と、男は続けた。

 「アメリカの政治で、ユダヤ人が一番多く政治資金を出す。その次はアジア人。今、カネを出せるアジア人で、日本に反発する人間がどれだけいると思いますか」

 「そのアジア人たちが、(ホロコースト=大虐殺の歴史を徹底的に追及した)ユダヤ人の手法を学び、同じことを今度はアジアでやろうと立ち上がった。この問題は絶対に終わらない。今回通過しなくても、またやります。今度は世界的にやります。首相が事実を認め、申し訳なかったと、国会で明確に謝罪するまでやります」

 広大な敷地のかなたから風が吹いてきて、森のような庭園の木々を揺らした。南に大きく開いた窓から、米西海岸の陽光が差し込んでいる。

 男はぽつりと言った。

 「あした、ここにマイク・ホンダ(米下院議員)が来ます」

 10年ごとに行われる米国勢調査の結果によると、1990年からの10年で、アジア系米国人の人口は倍増に迫る勢いを示した。グローバル化の進展の中で、今や米国への移民は1世のうちに成功をつかむことが可能になっている。中国やインドの爆発的な経済成長がそれを後押ししている。

 その結果、米社会に同化した2世、3世になってようやく豊かさを得るというこれまでのパターンではなく、移民社会が本国とのつながりを強く残したまま膨張を続けるという新しい現象がみられるようになった。

 慰安婦問題で日本政府非難決議を主導したホンダ議員と親しいという丸顔男もそれにあてはまる。

 だが、日本はこの変化と攻勢になすすべもないのだ。

日本の外堀が埋められた

 慰安婦問題の日本非難が沸点に達しようかとしていた3月末。在米の日本人有力者が集まってワシントンの日本大使館である会合が開かれた。

 「日系米国人と、米国と戦争をした日本との間には相当の距離があり、日本の応援団的な役割を日系人に求めるのは無理だと考えていた」

 こう切り出した加藤良三大使は「しかし、ダニエル・イノウエ上院議員(ハワイ州選出)は日系人の相当部分との協力を考えるべきだと述べている。このような可能性が現実感をもって語られるようになっている現在、日系人が(米国人としての)公正な立場からホンダ議員はおかしいと言ってくれるようになればありがたい」と述べた。

 味方がどこにも見あたらない現状で、日系人との連携の模索は、選択肢としてはあり得る。日系人に、父祖の国への理屈抜きの親近感が存在するのも事実だ。

 だが、取材を重ねると、日本と日系人との距離が狭まりつつあるどころか、むしろ、広がりつつあるのではないか、と思わされる現象の方が目についた。それは、日系人が自らを日系ではなくアジア系と規定するという現象である。

 「日系3、4世で、とりわけ政治に進もうという層はそうだ」

 カリフォルニア州司法副長官で、将来政治家を目指しているアルバート・ムラツチ氏は、自らを例えに引いてこう話す。同氏が地元の教育委員選に出馬した際の選挙事務所幹部は、中国系と韓国系で占められていた。そうでないと、選挙に勝てないのである。

 ムラツチ氏は今年、日本政府による日系人若手指導者を対象とした招聘(しょうへい)プログラムで日本を訪れた。謝意を表しつつ、ムラツチ氏は「日系人が『日本』より『アジア』にアイデンティティーの軸を移しつつあるという事実は、日本ではあまり理解されていないかもしれない」と述べる。

 アジア系台頭の中、ほとんど人口が増えていない日系の当然の選択なのかもしれない。だが、アジア系とは実態を伴っているのだろうか。主権国家による国益をめぐるせめぎ合いが国際政治の現実である。その文脈ではアジア系とは日本を封じ込めようとする枠組みになりえる。

 問題は、アメリカという世界の最大の政治舞台で進む「アジア系の勃興(ぼつこう)」という名の日本外しに対し、日本が実質的に何の手も打てていないことである。

 丸顔の男に戻ろう。ホンダ議員について、男は「単純な男です。(慰安婦問題の追及を)私がやめろといえば、やめるでしょう」という。本当に動かしているのがだれだか分からないのか、とでもいいたげだった。

 男は東アジア出身だが、「アジア系」という言葉を使う。そこには東南アジア、さらにはインドなど南アジアにまで連帯を広げたいという意図が明確にうかがえる。そこで、「傲慢(ごうまん)な日本への嫌悪」が、接着剤として使われるとすれば…。

 「カネはある」と男はいう。「今、アジア系はカネを持っている。100万ドルや200万ドル、ぽんと出せるアジア人がいくらでもいる」

 男は、駐米中国大使を知っているともいう。しかし同時に、チベットの精神的指導者ダライ・ラマとも親しいらしい。

 ひとしきり、アジア各国の有力者との交遊に話が及んだ。そして、ふと思いついたように、「ところで、日本の諜報(ちょうほう)部隊はなにをしているんだ。ここには、来たことがないな」。

 男は冷ややかに言いはなった。(松尾理也)

 ■日本の前途と歴史教育を考える議員の会 安倍晋三首相、中川昭一政調会長らが平成9年に設立した自民党の議員連盟で、歴史教科書の自虐的記述の正常化や慰安婦問題などに取り組んでいる。会長は中山成彬元文科相、会員は約100人。

【やばいぞ日本】序章 没落が始まった(4)「誤ったイメージ払拭したい」

2007/07/06 The Sankei Shimbun WEB-site

 「日本国内で何が起きているのか」。ワシントンのシンクタンク「ヘンリー・スティムソンセンター」研究員の辰巳由紀さん(36)(有元隆志撮影)=に昨年9月上旬、こんな電話をかけてきたのは、米下院国際関係委員会のヘンリー・ハイド委員長(共和党)の補佐官、デニス・ハルビン氏だった。

 少し前の8月15日、小泉純一郎首相(当時)は靖国神社を参拝した。米の主要メディアの多くは首相参拝を非難した。日本にナショナリズムが高揚しているなどの報道も展開された。

 フィリピン戦線の従軍経験をもつハイド委員長から実務面などを任されているハルビン氏は、「日本と隣国との関係」をテーマに公聴会を開催すると告げ、「ナショナリズムの台頭などを日本人として証言してほしい」と要請した。

 辰巳さんは「光栄なこと」と答えた。5カ月前、拉致被害者の横田めぐみさんの母、早紀江さんが同委で証言したが、日本の政策を日本人が証言することは極めてまれだ。辰巳さんはそれだけに日本に対する誤ったイメージをなんとしても払拭(ふっしょく)したいと思った。

 辰巳さんが違和感を覚えたのは、1930年代の軍国主義への復帰を求める過激な右翼勢力が日本の主流になりつつあるとした8月27日付ワシントン・ポスト紙の「日本の思想警察の台頭」であり、日本の言論に非寛容な政治的雰囲気が出ていると分析した「パシフィック・フォーラムCSIS」発行の8月24日付ニュースレター「心配な一連の出来事」だった。

 「これでは日本が過激なナショナリズムに染まりつつあると誤解してしまう。日本の状況を正確に伝えなくては…」。東京生まれ、国際基督教大学からジョンズ・ホプキンス大学大学院で安全保障を学び、日本大使館で専門調査員を務めたこともある辰巳さんは、訴えたいことを許された5分間の陳述で表現できるよう幾度も練習を重ねた。

 9月14日の公聴会。ハイド委員長は「靖国神社は戦争犯罪者をたたえている」と語り、トム・ラントス議員(民主党)も「ナチスのヒムラー(親衛隊長)たちの墓に花輪を置くに等しい」と非難した。

 マイケル・グリーン(前国家安全保障会議アジア上級部長)、カート・キャンベル(元国防次官補代理)、女性活動家のミンディ・コトラーの3氏に続き、最後に登場した辰巳さんは、首相参拝の意義をこう語り始めた。

 「第二次大戦で命を失った兵士たちに敬意を示し、平和への誓いを新たにしたものです。靖国参拝は、日本が自らの過去と向き合って内省するという日本の健全な発展を意味しています」。続いて、ナショナリズムに触れ、「ほとんどの日本人は軍事的な過去を賛美する考えを支持していません。日本のナショナリズムとは、多くの日本国民が日本という国を誇りに思いたい気持ちのことです。米国の愛国主義(パトリオティズム)に近いのです」と述べた。

 出席した議員51人のうち、8人が質問に立った。「日本は平和憲法を変えて戦争をできるようにしているとの懸念をきいた」とのバーバラ・リー議員(民主党)の質問に対し、辰巳さんは「日本人の間で侵略戦争をしないという合意は存在する。現在の憲法解釈では自衛隊が国連平和維持活動中に米軍や中国軍とともに参加した場合、彼らが攻撃されても、助けられない。日本の議論は、自衛隊が他国軍を支援できるようにしようというものです」と答えた。

 ラントス議員は「われわれすべては大いに学んだ」と総括した。ハルビン氏も「とてもよかった」と握手を求めた。辰巳さんは自分の言葉で日本の実像を伝える努力はできたと思いながらも、日本の基本的な立場がどの程度、唯一の同盟国に理解してもらえたのか、不安を拭(ぬぐ)いきれなかった。

英字紙が伝える「ひどい国」

 「日本人が考えていることの1割も外国に伝わっていない。英語で発信されたものだけで米国の政策は決まる」

 今年3月、都内で開かれたシンポジウムで、ワシントンのCSIS(戦略国際問題研究所)客員研究員の渡部恒雄氏(46)は、日本の対外発信力がいかに貧弱かを力説し、東南アジアのある公使の発言を以下のように紹介した。

 「英字紙を読むと日本はなんとひどい国と思うが、本当はそうではない。英語で語られる日本と現実の日本はなぜ、こうも違うのか」

 日本をなにか不気味な国というイメージでとらえがちな英字メディア、そして、それを国内で発信している勢力がいることも「ゆがんだ日本」像を膨らませる。憲法改正や集団的自衛権の行使により、日本が軍国主義に突き進もうとしているとの見方は、その一例だ。

 だが実態は、辰巳さんが語ったように、日本は国際常識が通用する当たり前の国になろうとしているだけなのである。

 問題は、このことを日本政府がこれまでいかに語ってきたか。外国にどう発信してきたのかだ。

 安倍晋三首相は昨年9月の就任後、憲法改正を明言し、集団的自衛権行使を研究すると表明したが、改憲を明言した首相は戦後初めてだ。

 「日本の平和主義を薄めようとしている」(昨年9月25日付ワシントン・ポスト)などの批判が出ているが、裏返せば、それだけ顔が見えているといえる。

 それまでの日本の指導者は、国の針路をあまり語ろうとしなかった。語るに足る内容もさることながら、米国依存の軽武装経済重視という既定路線をそのまま踏襲してきたからだ。

 だが、「沈黙の大国」のままでは国際政治の激流に翻弄(ほんろう)されるだけだ。要は、第2、第3の辰巳さんをいかに出現させるか。

 CSISで、ともに働いたこともある辰巳さんと渡部氏は提言(別稿)を連名でまとめ、東京財団で3月に発表した。日本を知ってもらうためには、まず日本人が努力しようということである。(中静敬一郎)

国益情報を効果的に発信するために

(1)英語で日本の政策について書き、話すことができる人材の育成が急務だ。年に1度「国際発信大賞」で、日本からの英字メディアへの効果的な発信に100万円の副賞を与えて推奨すべきだ。

(2)世界に日本のクリアな戦略ゴールを発信することが余計な誤解を解く最善の方法だ。

(3)国際的なメッセージの発信には長期的な戦略性をもち、丁寧に根気強く努力を継続すべきだ。

(4)日本の中でオープンな議論ができ、さまざまな意見が闘わされる環境作りこそが有効な国際発信の大前提である。

(5)在外公館の広報活動を見直し、日本の政策に関する基本的データの整備と人材の配置を図るべきだ。

日本軍関与認めた初の首相 米紙、慰安婦絡め死去報道

2007年06月29日 中日新聞

 【ニューヨーク29日共同】29日付の米紙ニューヨーク・タイムズは宮沢喜一元首相の死亡記事で、宮沢氏が第2次大戦中の従軍慰安婦問題をめぐり、旧日本軍の関与を認めた「最初の日本の首相だった」と伝えた。

 日本メディアの宮沢氏死去報道ではほとんど触れられていない視点。米下院外交委員会が26日、日本政府に慰安婦問題で公式謝罪するよう求める決議案を可決したことと併せ、米側の関心を示している。

 記事は、宮沢氏が1991−93年の首相在任中に「アジアの隣国との関係改善を推進」し「アジア女性を(日本の)兵士の性の奴隷として奉仕させることに日本軍が関与した」ことを認めたと指摘した。

 宮沢氏は92年の盧泰愚・韓国大統領(当時)との首脳会談で「朝鮮半島出身の慰安婦の募集や慰安所の経営に旧日本軍が何らかの形で関与していたことは否定できない」と述べ、公式に謝罪した。

米の「慰安婦」決議−火に油を注ぐ事態

2007.06.29 朝鮮新報

 米下院外交委で、日本は「慰安婦」責任を認めよとの決議がなされた。この問題は、日本自らの手で解決すべきであった。

 しかし、敗戦直後には、軍の関係証拠文書を隠滅、抹消し、数十年経って被害者が勇気を奮って証言すると、「ウソ、デタラメ」と、人身攻撃する始末だ。「国家の品格が問われる」(朝日新聞社説)というより「あがいてもムダだよ」(米紙ニューヨーク・タイムズ社説)の言葉がピッタリ。そもそも、自ら犯した罪の大きさも自覚できない輩に「品格」の意味が理解できようか。

 米紙ワシントン・ポスト(6月14日付)のお粗末な意見広告に名を連ねた賛同者たちは、自民党、民主党などの国会議員40人と「救う会」「作る会」「拉致議連」幹部とその支援者たちだ。ここでも旧態依然の主張を繰り返す。「強制的に慰安婦にされたことを示す歴史文書は見つかっていない」などと奇弁を弄しながら、陸軍省副官通牒「軍慰安所従業婦募集に関する件」など軍関連資料を挙げ、「運営などは業者に任せ、軍は直接に関与(強制)していない」と、旧日本軍の蛮行を擁護、弁護する。

 そもそも賛同者の一人、藤岡信勝氏は96年、「従軍慰安婦」問題の記述が、中学校の教科書に初めて登場したとき、「この問題こそは、日本国家を精神的に解体させる決定打として国内外の反日勢力から持ち出され」「国際的な勢力と結びついた壮大な日本破滅の陰謀」などと主張した超タカ派的人物。

 過去に向き合えず、自国の犯した蛮行を反省することを「自虐的」と非難し、被害者たちにはサディスティックな攻撃を加える時代錯誤なやり方は、国内外で火に油を注ぐ事態を招いている。(粉)

朝日・毎日VS読売・産経 米の慰安婦決議で新聞社説真っ二つ

2007/06/28 J CASTニュース

米下院外交委員会で、旧日本軍によるいわゆる従軍慰安婦に関して日本政府に謝罪を求める「慰安婦決議」案が可決された。これを受けて2007年6月28日の全国紙の朝刊は、ほとんどが社説でこの問題を取り上げた。ただ、朝日・毎日が日本政府を批判、読売・産経は逆に米議会を批判するなど、評価は「真っ二つ」に分かれている。

 決議案は、「日本政府は、帝国軍隊が若い女性に性的奴隷を強制したことに対して明確に公式な謝罪をすべきだ」「慰安婦制度は20世紀最大の人身売買事案の一つ」などとしている。07年7月中にも本会議で初めて可決される可能性が高まっている、とされる。

「米議会人の見識疑わせる」と読売

 各紙の見出しもスタンスの違いが現れた。慰安婦問題そのものを問題視したのは、「米議会の『誤解』の根元を絶て」とうたった読売新聞と、「事実を示し誤解を解こう」とした産経新聞だ。決議案そのものに対する評価についても、読売新聞は「全くの事実誤認に基づく決議である」「事実をきちんと確かめることもせず、低水準のレトリックに終始した決議案だ。米議会人の見識を疑わせる」と反発している。

 産経新聞も「『日本政府による軍用の強制的な売春』と決めつけるなど、多くの誤りを含んでいる」「日本の官憲が奴隷狩りのように強制連行したという説が一部で流布されたこともあるが、日本政府が(略)集めた(略)資料の中には、そのような事実を示す証拠は1点もなかった」と決議案が前提とした認識を批判している。

 日本政府の姿勢に注文をつけたのは、朝日新聞の「首相は深刻さを認識せよ」と毎日新聞の「安倍外交にも問題がある」、東京新聞「慰安婦決議案 日米間のトゲにするな」。

「糾弾の意味は重い」と朝日

朝日新聞は「日本が過去の過ちを反省していないと、米議会が国際社会の面前で糾弾している。その意味は重い」と受け止めた。「決議案に疑問がないわけではない」として、「軍の関与を認めて」政府として慰安婦問題を謝罪した河野談話の位置付けが不十分な点などを挙げている。しかし、「慰安婦の残酷さを非難する決議案のメッセージは、真摯に受け止める必要がある」と重視する姿勢をみせ、「日本がそんな国と見られているのかと思うと残念であり、恥ずかしい」とも述べている。東京新聞も「歴史的な暗部を直視し(略)」「多数の女性の名誉と尊厳を損なった責任を受け入れ(略)」と、やはり決議案が前提とした認識を受け入れている。

毎日新聞は、過去の経過の記述が多い。「米国民を代表する議員の意思表示は重く受け止めねばならない」と主張はしているが、直後に日米関係への影響を懸念する記述が続き、外交面の配慮の観点からの主張であることがうかがえる。決議の前提を「誤解」と批判するのか、基本的に受け入れるのかは触れていない。

 ちなみに日経新聞の28日朝刊の社説は、香港経済の問題とスーダンの紛争問題に関するものだった。

「従軍慰安婦」問題 「20世紀最大の人権蹂躙」なのか

2007/06/27 J CASTニュース

  旧日本軍によるいわゆる従軍慰安婦問題で、米下院は日本政府に謝罪を求める「慰安婦決議案」を可決した。決議案(当初)には、旧日本軍の「集団レイプ」「堕胎」とその強制性などが盛り込まれていたほか、この問題を「20世紀における最大の人権蹂躙の一つ」と決め付けるなど、刺激的な内容になっている。

集団レイプ、堕胎の強制、屈辱、性的暴行?

  米下院外交委員会は2007年6月26日(日本時間27日未明)、旧日本軍によるいわゆる従軍慰安婦問題で日本政府に責任を認めて謝罪するよう求める決議案を、一部修正し39対2の賛成多数で可決した。

 この決議案は日系米国人のマイク・ホンダ下院議員によって07年1月31日に提出。その内容は次のようなものだ(要約)。

 日本政府は、第2次大戦中に日本軍が若い女性を強制的に性的奴隷にした、いわゆる「慰安婦」について明確に謝罪し、歴史的責任を負うべきである。「慰安婦」制度の残虐性とその規模は前例がなく、集団レイプ、堕胎の強制、屈辱、性的暴行によって、心身の障害や死や自殺にまで追い込む、20世紀における最大の人権蹂躙の一つである。日本の新しい教科書のなかにはこれを軽視するものまであり、日本の官民は最近「河野談話」を弱め、撤回する希望を表明している。(1)日本政府は、日本国首相による公式声明のかたちで謝罪し、(2)旧日本政府による「慰安婦」の性的奴隷化や売買の事実がなかったという主張に明確に反論し、(3)現在から将来の世代にわたってこのおぞましい犯罪について教育すべきである。

 この「慰安婦決議案」をめぐっては、日本国内でも波紋を呼び、自民・民主党の国会議員の一部や有識者がワシントン・ポスト紙に「真実(The Facts)」と題した全面広告を出した。

「強制的に拉致したことを示す文書は1つとしてない」

「当時の政府や軍指導部からの戦時命令のなかで、女性を強制的に拉致し『慰安婦』として働かせたことを示す文書は1つとしてない。逆に、女性をその意思に反して強制的に働かせることがないように民間業者に警告する文書が多数発見されている」 としたほか、この決議案などは慰安婦の証言を基にしているが、「反日キャンペーン」後に証言が急変したことなどを挙げ、

「事実に基づかない誹謗中傷について謝罪すれば、米国の大衆に歴史の真実性について謝った印象をあたえるだけでなく、米国と日本の友好関係に否定的な影響を及ぼす」などと述べ、「事実を客観的に捉えてほしい」と主張した。

 一方この決議案の審議では、全面広告についても反発の声が相次いでおり、この決議案の可決後もロイター通信が、ラントス外交委員長が「犠牲者への冒涜ゲーム」「非常に目障り」と批判したと報じている。

  一方、2007年6月27日付のAP通信は、ラントス委員長が「日本は歴史的記憶喪失」と指摘したことを伝えたうえ、安倍首相が07年4月に訪米した際も含めて「第2次大戦中に旧日本軍が女性を売春宿で働かせることを強制したことを繰り返し謝罪した」、「こうした謝罪にも拘わらず、日本は十分に責任を取っていなかった」などと報じており、今回の可決を「正しい方向への第一歩」と捉えているようだ。

  一方、国内のネット上では、「他国が政治の場で白黒をつけるものではない」「やってもいない事を何故謝らないとならない?」といった疑問の声がブログや掲示板などで上がっており、一部では「もう日本が滅びるまで土下座し続けるしかないよ」といった諦めの声まで上がっている。

米慰安婦決議 政府、静観の構え 塩崎長官「同盟揺るぎない」

2007/06/27 The Sankei Shimbun WEB-site

 塩崎恭久官房長官は27日午前の記者会見で、米下院外交委員会が慰安婦問題で日本政府に責任を認め公式に謝罪するよう求めた決議案を賛成多数で可決したことについて「他国の議会が決めることだからあえてコメントすべきものではない」として、静観する姿勢を示した。「日本側が反応すればするほど反発を招き、問題が深刻化しかねない」(政府筋)と判断したためとみられる。

 塩崎長官は「日米関係はかけがえのない同盟であり、揺るぎのないものだ。今後もそれはまったく変わらない」とも述べ、決議が日米関係に影響を与えないとの認識を強調した。

 また、「日本は日本の考えをきちっと示していく。これしかないのではないか。理解を深めるための努力はしていった方がいい」と述べた。

 外務省幹部は「決議には拘束力がなく、右往左往しない方が得策だ。日米両政府の当局者には、これを政治問題化しようとしている者はいない。マスコミが騒がなければいい」と述べた。

 一方、公明党の北側一雄幹事長も記者会見で、「当時の軍の関与があったことは明らか」と指摘。そのうえで「歴代の首相や日本政府が認めて謝罪している。日本政府のとってきた説明を繰り返し述べていくしかない」と語った。

従軍慰安婦決議案可決へ 米下院

2007/06/26 中国新聞ニュース

▽日本政府に公式謝罪求める

 【ワシントン26日共同=須佐美文孝】米下院外交委員会は二十六日、第二次大戦中の従軍慰安婦問題をめぐり、日本政府に責任を認め公式に謝罪するよう求めた決議案の審議を始める。約一時間の審議終了後、採決に入り、可決される見通し。

 決議自体に法的な拘束力はないが、国際社会が注視する米議会で、日本政府の姿勢に疑問が投げ掛けられた意味は大きい。日本国内で反発の声が強まることも予想され、今後の両国関係に影を落とすのは必至だ。慰安婦問題に直接かかわってきた安倍晋三首相は何らかの対応を迫られることになろう。

 今後は下院本会議で採決するかどうか、議会多数派を握る民主党指導部の判断が焦点となる。同党のペロシ下院議長は決議案に同情的とされ、採決にかけられれば可決の公算が大きい。

 決議案は慰安婦問題の経緯に触れた上で、日本政府に対し(1)歴史的責任を認め首相声明の形で明確に謝罪する(2)「旧軍部が女性を性的奴隷にしたり人身売買に加担したことはない」という主張の誤りをただす(3)若い世代にこの問題を伝え元慰安婦に対する国際社会の声に配慮する―ことなどを求めている。

 決議案はカリフォルニア州選出のホンダ議員(民主党)が一月に提出。米社会が重視する人権問題の一環として受け止められたことから民主、共和両党の間で「共同提案者」と呼ばれる賛同者を増やし、定数四三五の下院の三分の一を超えるまでになっていた。ホンダ氏は来月中旬にも本会議採決にかけられるとの見通しを示している。

 慰安婦問題で日本政府の責任を問う決議案は、韓国系市民団体の後押しなどを受け、過去四回提出された。昨年九月にも外交委員会で可決されたが、当時の共和党主導の議会指導部が本会議採決を見送ったため、いったん廃案になっていた。

下院外交委員長も提案者に 慰安婦決議、可決確実

2007年06月23日 東京新聞

 【ワシントン22日共同】太平洋戦争中の従軍慰安婦問題をめぐり日本政府に謝罪を求める米下院決議案で、共同提案者の1人に下院外交委員会のラントス委員長(民主党、カリフォルニア州選出)も名を連ねたことが22日分かった。関係筋が明らかにした。

 「行司役」の委員長自らが共同提案者に加わったことで決議案の可決はほぼ確実になった。委員会は26日に決議案を採決する予定。委員長はこれまでも決議案に賛同する意向を表明していたが、提案者に名を連ねることは控えてきた。

 共同提案者の数は22日現在、最初に提出したホンダ議員(民主党、カリフォルニア州選出)を含め146人。下院の定数435人の3分の1を超えており、本会議にかけられた場合も可決の公算が大きくなっている。

花岡信昭:ワシントン・ポスト紙に「慰安婦意見広告」

2007年06月21日 BPnet SAFTY JJAPAN

 米下院の慰安婦問題を巡る対日非難決議案に対し、日本側の意見広告がワシントン・ポスト(14日付)に掲載された。韓国メディアなどが激しく反発し、この意見広告が逆効果となって米下院の批判ムードを高め、決議案は26日にも下院外交委員会で採択される見込み、といった報道も出ている。

 この意見広告にかかわってきた1人として、経緯と真意を説明しておきたい。日本側メディアの中にも意識的に(としか思えない)曲解している向きがあるためだ。

 「THE FACTS(事実)」と題する全面広告は、政治評論家・屋山太郎氏、ジャーナリスト・櫻井よしこ氏、作曲家・すぎやまこういち氏、評論家・西村幸祐氏、それに筆者の5人による「歴史事実委員会」の名前で出された。

 実はすぎやま氏を中心に、2年ほど前から「南京事件」を巡る意見広告を出そうとし、広告原案を作成して折衝したのだが、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストなど主要米紙は拒否した。そこで、マイク・ホンダ議員の慰安婦非難決議案に対抗する意味合いもあって、慰安婦問題に切り替え、原案を作成した。

 ニューヨーク・タイムズは今回も拒否したが、ワシントン・ポストはわずかな字句修正を求めた(「事実」の提示を主眼としたため、「これは意見広告ではありません」と冒頭に振ったところ、意見広告の扱いなのだからちょっと困るという回答があったものだ)だけで、掲載を応諾した。

 ワシントン・ポストは韓国系団体の日本非難広告を掲載しており、それとのバランスを取ろうとしたのかどうか。ここで日本側の意見広告を受け入れた背景は分からない。だが、米国内に慰安婦問題を巡る変化がようやく生じてきたのではないかとも感じたのである。

 詳細は、SAFETY JAPANの記事本文をご覧ください。

第64回 ワシントン・ポスト紙に「慰安婦意見広告」― その経緯と波紋

2007年6月21日BPnet SAFTY JAPAN

政治アナリスト 花岡 信昭氏

 米下院の慰安婦問題を巡る対日非難決議案に対し、日本側の意見広告がワシントン・ポスト(14日付)に掲載された。韓国メディアなどが激しく反発し、この意見広告が逆効果となって米下院の批判ムードを高め、決議案は26日にも下院外交委員会で採択される見込み、といった報道も出ている。

 この意見広告にかかわってきた1人として、経緯と真意を説明しておきたい。日本側メディアの中にも意識的に(としか思えない)曲解している向きがあるためだ。

 「THE FACTS(事実)」と題する全面広告は、政治評論家・屋山太郎氏、ジャーナリスト・櫻井よしこ氏、作曲家・すぎやまこういち氏、評論家・西村幸祐氏、それに筆者の5人による「歴史事実委員会」の名前で出された。

 実はすぎやま氏を中心に、2年ほど前から「南京事件」を巡る意見広告を出そうとし、広告原案を作成して折衝したのだが、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストなど主要米紙は拒否した。そこで、マイク・ホンダ議員の慰安婦非難決議案に対抗する意味合いもあって、慰安婦問題に切り替え、原案を作成した。

 ニューヨーク・タイムズは今回も拒否したが、ワシントン・ポストはわずかな字句修正を求めた(「事実」の提示を主眼としたため、「これは意見広告ではありません」と冒頭に振ったところ、意見広告の扱いなのだからちょっと困るという回答があったものだ)だけで、掲載を応諾した。

 ワシントン・ポストは韓国系団体の日本非難広告を掲載しており、それとのバランスを取ろうとしたのかどうか。ここで日本側の意見広告を受け入れた背景は分からない。だが、米国内に慰安婦問題を巡る変化がようやく生じてきたのではないかとも感じたのである。

五つの事実を指摘

 今回もだめかと思っていたところ、思いがけずに受け入れの返事が来たため、その時点でこちら側の最終的な対応を協議、せっかくの全面広告なのだから、国会議員や識者から賛同者を募ろうということになった。そこで、時間が切迫する中、1〜2日の間にばたばたと賛同者を集め、自民、民主、無所属の議員44人、識者13人が名前の掲載をオーケーした。

 一部報道では「日本の議員が意見広告」となっているが、実態は意見広告を出した主体は5人の委員会であって、議員らは賛同者の立場である。時間の制約があって、幅広く声をかけられなかったため、議員や識者から「なぜ誘ってくれなかったのか」と叱られるケースや、応諾してくれたのに作業ミスで漏れてしまった人もいた。

 そうした事情にもかかわらず、与野党の議員44人がすばやく賛同の意思を示したことは、慰安婦問題の扱われ方に対して、いかに抵抗感が強いかを示すものでもある。

 意見広告では、「事実誤認からは正しい結論は生まれない」とし、官憲による強制連行、いわゆる「慰安婦狩り」はなかったとする立場から五つの事実を指摘した。

1: 強制連行の具体的証拠はいかなる調査からも出ていない。その逆に、本人の意思に反して慰安婦にしてはならないという指示が多数出されている。

2: 当時の韓国紙によれば、悪質な業者が処罰されたという報道もある。

3: インドネシア・スマランで軍の末端組織が暴走し、オランダ人女性を強制的に慰安婦にした事例はあるが、軍の命令で慰安所は閉鎖され、関係者が処罰されている。

4: 元慰安婦の証言は、当初、業者に連れて行かれたとしていたものが、「官憲らしき服装の者」に変わっていくなど、一貫性がない。

5: 当時の公娼制度の下で、慰安婦たちは大切に扱われ、佐官級の収入を得ていた者もいる。戦後、日本に進駐したGHQは日本側に慰安所の設置を要請した。

 意見広告はおおむねこういった内容で、当時の軍の通達書や韓国紙の記事などを証拠として提示している。

間違った日本観を定着させるな

 これに対し、韓国メディアの中には、冷静に事実関係だけを伝えたところもあった一方で、朝鮮日報などは「日本の知識人の道徳水準をさらした」「不道徳な首相、外相らに、不道徳な議員、知識人が加わり、犯罪の歴史を闇に葬ろうとあがいている」といった調子の論評記事を掲載した。

 また日本側メディアの中にも、この意見広告によって米国内の反発が強まり、下院外交委員会での採択は確定的となった、といった報道が目立った。

 マイク・ホンダ議員の決議案によれば、組織的な「慰安婦狩り」が行われ、「セックス・スレイブ(性奴隷)」として扱われたもので、「20世紀最大の人身売買事件」と断じている。

 まさに荒唐無稽な内容と言わなくてはならないが、日本国と国民に対する誹謗中傷以外のなにものでもない。韓国系、中国系が多い選挙区の出身という立場は分かるにしても、いわれなき対日非難を選挙対策に用いる品性はとうてい理解できず、容認しがたいものがある。

 これを放置しておいたら、日本のイメージダウンをもたらすのは必至で、言うべきことを言わないと間違った日本観が定着しかねない。そこが意見広告を出すにいたった真意である。国際社会では沈黙は容認につながるのだ。

本来は政府・外交当局がやるべき責務

 韓国や中国は反日プロパガンダ団体があらゆる機会を狙って反日攻撃を仕掛けてくる。マイク・ホンダ議員の決議案もその一環であろう。そうした攻撃に対して、日本側の発信能力はきわめて脆弱だ。

 あたかも「日本は“レイプ魔”国家」と言わんばかりの決議案がまかり通ってしまったら、あの悲惨な戦争を戦い抜いた父祖に申し訳が立たない。むろん、あの時代に不遇な境遇におかれた多くの女性たちへの深甚な思いは抱くのだが、これが官憲による組織的強制連行とされてしまうと、その基本的な事実誤認をたださねばならない。これは本来は政府・外交当局がやるべき責務なのである。

7月中旬にも本会議採決 慰安婦決議提出の議員明言

2007/06/20 中国新聞ニュース

 【ワシントン19日共同】太平洋戦争中の従軍慰安婦問題をめぐり日本政府に謝罪を求める決議案を米下院に提出したホンダ議員(民主党、カリフォルニア州選出)は十九日、議会内で共同通信などの取材に応じ、決議案が七月中旬にも本会議採決されるとの見通しを明らかにした。米議会関係者が本会議採決の時期に言及したのは初めて。

 決議案は二十六日に外交委員会で採決されることが既に決まっており、可決の公算が大きくなっている。同趣旨の決議案は昨年も委員会レベルでは可決されており、今回は本会議採決にまで至るかどうかが焦点。本会議で可決されれば、七月下旬に参院選を控えた安倍晋三首相にとってマイナス材料となりそうだ。

 ホンダ議員は「委員会採決の後はそれほど時間はかからない。七月中旬には本会議に掛けられるだろう。(民主党出身の)ペロシ議長は支持してくれると思う」と述べ、本会議採決に向けた同党議会指導部による調整に期待感を示した。

 安倍首相は三月、慰安婦動員の「狭義の強制性」を否定する趣旨の発言をし、米メディアの批判を招いた。四月に訪米した際は上下両院幹部に謝罪の意を示し、火消しに回った。

【花岡信昭の政論探求】「慰安婦」意見広告の重み

2007/06/19 The Sankei Shimbun WEB-site

 「慰安婦」問題をめぐり、米紙ワシントン・ポストに日本側識者らによる意見広告が掲載された。「ザ・ファクツ(事実)」と題する全面広告で、これまで韓国系団体などの反日広告は掲載されてきたが、日本側のものが米紙に載るのは初めてだ。

 意見広告では、当時の日本軍当局が出した通達や韓国紙の報道など「5つの事実」を提示し、「官憲による強制連行はなかった」ことを指摘している。

 評論家・屋山太郎氏、ジャーナリスト・櫻井よしこ氏、西村幸祐氏らの識者に加えて、自民、民主両党など40人を超える国会議員が賛同者として名を連ねた。

 これに対し、さっそく、韓国の朝鮮日報は「日本の知識人の道徳水準をさらした慰安婦広告」という評論記事を掲載した。「日本の首相、外相ら不道徳な政府関係者に、不道徳な国会議員、知識人らが加わり、犯罪の歴史を闇に葬ろうとあがいている」といった相変わらずの調子だ。

 米下院でマイク・ホンダ議員が提出した対日非難決議が採択されそうな情勢下にあって、日本側から「事実を知ってください」という冷静なトーンの意見広告が出された意味合いは大きい。

 決議案では慰安婦を「セックス・スレイブ(性奴隷)」と断じ、日本軍の組織的な「慰安婦狩り」が行われたとし、「20世紀最大の人身売買事件」とまで主張している。これでは「日本は“レイプ魔”国家である」と言っているようなもので、国家と国民に対するこれ以上の誹謗(ひぼう)中傷はない。

 それも、当時は公娼制度のもとで専門業者がおり、慰安婦は兵士から対価を得ていた、といった基本的な認識にも欠けているのだから、始末に負えない。そうした誤りをただす努力を、日本の政府・外交当局はどこまで徹底させてきたか。

 国際社会では一方的な言説に対して、きちんと反論しておかないと、容認したものと受け止められ、ゆがんだ日本のイメージが定着してしまう。「慰安婦」「南京」「靖国」など、歴史認識をめぐるあらゆる問題に共通する課題だ。

 今回の意見広告は作曲家のすぎやまこういち氏がかねてから進めてきた企画がようやく実現したものだ。当初は南京事件をめぐる意見広告を出そうとしたが、米紙にことごとく拒否され、慰安婦問題に切り替えてようやく成就した。

 この意見広告は、いわば「政治の怠惰」によってここまで野放しにしてしまった反日プロパガンダの横行を、なんとか食い止めようという思いに基づいている。本来は政府が国の意思としてやらなければならないものだ。それだけに、すぎやま氏の「こころざし」は重みがある。(客員編集委員 花岡信昭)

慰安婦:日本側の強制性否定広告に米国内で不快感

2007/06/18 朝鮮日報/朝鮮日報JNS ワシントン=李河遠(イ・ハウォン)特派員

 米国ワシントンの消息筋は16日、日本の指導者層63人が最近、旧日本軍による「従軍慰安婦」の強制連行はなかったという内容の広告を米国紙ワシントン・ポストに掲載したことに対し、同国の政府・議会が不快感を示しており、これについて問題提起していく可能性が大きいと語った。

 特に日本側の広告が「多くの国は、軍人が一般市民に対して強姦(ごうかん)行為を働くのを防ぐため、売春街を設置している」とし、その例として、米国が1945年に日本を占領した後、日本政府に「慰安所」の設置を要請した、と明記している点について米国が異議を申し立てていくことが予想されている。

 また、今年初めに日本を訪問した際、日本の歴史問題が東アジアの安定の障害になってはならないという意向を伝えていたディック・チェイニー副大統領は、この広告に不快感を示し、状況の把握を指示したという。

 日本側の今回の広告によって、米国下院に提出されている、従軍慰安婦問題で日本に謝罪を求める決議案が採択される可能性がむしろ高まるのではないかとの見通しも出ている。米国の議員らは、厳然たる歴史的事実という審判が下されている従軍慰安婦問題を歪曲(わいきょく)しようという動きに強く反発しているというわけだ。米国下院のトム・ラントス外交委員長は16日、ロサンゼルスで開かれた基金への寄付を呼び掛ける集会で「慰安婦問題について日本に謝罪を求める決議案は、今月26日に外交委員会の本会議に上程される見通しで、大差で採択される可能性が非常に高い」と述べた。

日本の国会議員ら、米紙に「慰安婦強制性否定」の全面広告

2007年06月16日 発信地:ワシントンD.C./米国 AFP BB News

【6月15日 AFP】いわゆる従軍慰安婦問題をめぐり、日本の国会議員らが14日付のワシントン・ポスト(Washington Post)紙に、「第2次世界大戦中に日本軍によって強制的に従軍慰安婦にされたことを示す歴史文書は存在しない」と訴える全面広告を出した。

 「事実(THE FACTS)」と題された同広告は、「米国民と真実を共有する」ことを目的に掲載されたもので、「歴史学者や研究機関の調査では、女性が意に反して、日本軍によって売春を強要されたことを示す文書は発見されていない。慰安婦は、『性奴隷』ではなく、当時の世界では一般的だった公娼(こうしょう)制度(政府による売春管理制度)のもとで行われていた」としている。さらに「慰安婦の女性の多くは、将官よりも多くの収入を得ていた」と付け加える。

 一方、同広告は「規律の乱れ」が存在したことも認め、「実際に起こったことに対する批判は、謙虚に受け入れるべき」としているが、「根拠のない誹謗中傷に対する謝罪は、社会に歴史的事実に対する誤った認識を持たせるだけでなく、日米間の友好関係にも悪影響を及ぼしかねない」と指摘する。

 同広告には、自由民主党(Liberal Democratic Party、LPD)議員29人、民主党(Democratic Party of Japan、DPJ)議員13人、無所属議員2人のほか、教授、ジャーナリスト、政治評論家が名を連ねている。

 従軍慰安婦問題をめぐっては、安倍晋三(Shinzo Abe)首相が3月に「第2次世界大戦中に旧日本軍がアジア各国で強制的に女性を連行した証拠はない」と語り、物議をかもしている。同首相はその後、従軍慰安婦問題について謝罪した1993年の「河野内閣官房長官談話」を継承する立場を強調。4月後半の訪米時には、元慰安婦の女性らに対し「心から同情する」と語った。(c)AFP

慰安婦:日本の国会議員ら、米紙に強制性否定の全面広告

2007/06/15 朝鮮日報/朝鮮日報JNS ワシントン=崔宇ル(チェ・ウソク)特派員

 日本の自民党・民主党・無所属議員45人は14日、ワシントン・ポストに全面広告を掲載し、日本軍の性奴隷(慰安婦)動員に日本政府や軍による強制はなかったと主張した。

 議員たちは大学教授・政治評論家・マスコミ関係者などと協力して掲載した「真実」と題された全面広告で、日本による統治時代に日本政府や軍が慰安婦の動員に介入したという文書はないとして、「日本軍が若い女性を性奴隷とした」というマイク・ホンダ米下院議員による決議案内容は歴史的事実とは異なると反論した。

 この広告は逆に、当時の日本政府や軍が「女性を拉致して慰安婦にしてはならない」という命令を下し、女性を慰安婦としたブローカーは処罰を受けたという韓国マスコミの報道もあったと主張している。議員たちはただし一部の軍人が規律を破ってインドネシアでオランダ人女性を慰安婦として強制的に動員した事実はあり、この軍人は厳格な処罰を受けたと明らかにした。

 広告ではさらに「慰安婦は実際は許可を受けて売春行為を行っていたのであり、その収入のほとんどは日本軍将校に相当するか時にはそれよりも多かった」と主張した。広告はさらに米国で性奴隷の証言をした女性も初めは民間人ブローカーにより捕らえられたと証言していたのに後になって「警察のような制服」を来た人間により拉致されたと述べ、一貫性がないと明らかにした。

 議員たちは「日本軍が若い女性を性奴隷とした20世紀最大の人身売買事件の一つを犯したという米国下院の決議案は重大かつ故意的な事実の歪曲(わいきょく)」と主張した。日本の議員や知識人たちによるこの広告は米国下院で審議中の慰安婦決議案の通過を阻止するための多角的な努力の一部とみられている。

 しかし日本の議員によるこの広告は太平洋戦争当時日本軍による性奴隷動員に日本軍や官吏が関与したことを認めて謝罪した1993年の河野談話を継承するという日本政府の公式の立場とは異なっている。

米議会、慰安婦決議案 中国系団体も表舞台に

2007/06/03 The Sankei Shimbun WEB-site

採択訴える新聞広告を掲載

 【ワシントン=古森義久】米国議会での慰安婦問題での日本糾弾決議案の推進でこれまで韓国系組織の背後に隠れた形だった中国系反日団体がついに表面に出てきた。同団体が自らの名を明記して米紙ニューヨーク・タイムズに日本を非難して同決議案の採択を訴える意見広告を載せた。

 ニューヨーク・タイムズ5月28日付は第19面の右下半分に米国下院に出ている慰安婦決議案への支持を訴える意見広告を掲載した。同広告は同紙3月6日社説の「安倍首相は『日本軍の性的奴隷』のどこを理解できず、謝罪ができないのか」という記述を冒頭に載せ、「何十万もの女性が性的奴隷へと強制徴用された」と非難した。さらに同広告は安倍首相ら日本の指導者がその真実を無情にも否定したとして、マイク・ホンダ議員が提案して共同提案者が129人となった、日本に明白な謝罪を求める「下院決議案121」の採択を訴えた。

 同広告を掲載した具体的な当事者としては「世界抗日戦争史実維護連合会」(以下、抗日連合会と略)の名がまず記され、そのウェブサイトのアドレスも大きく明記されていた。

 抗日連合会はカリフォルニア州に本部をおく世界規模の華僑、中国系住民の組織で中国政府とも密接なきずなを保つとされる。これまで悪名高い書の「レイプ・オブ・南京」の宣伝や「クリント・イーストウッド監督の南京映画制作」というデマ流布のほか、南京事件、731部隊、米軍元捕虜など一連の戦争関連案件で日本を攻撃し、謝罪や賠償を求めてきた。

 同連合会は2005年春には日本の国連安保理常任理事国入りに反対する署名を全世界的に4200万人分集めたと言明し、中国各地での反日デモをあおった。さらに同連合会は日本の対日講和条約での賠償などを認めておらず、完全に反日といえる。

 同連合会はホンダ議員との結びつきがとくに緊密で、ホンダ氏がカリフォルニア州議員だった1999年には南京事件などで日本糾弾決議案を同連合会の幹部たちが同氏と共同で書いたことや、ホンダ氏が連邦議会下院選挙で出た際は同幹部たちが政治献金を集中的に贈ったことが明らかにされていた。

 しかし米国ではこれまで慰安婦決議案推進ではもっぱら「ワシントン慰安婦連合」という韓国系組織が前面に出て、中国系の世界抗日戦争史実維護連合会は背後に隠れた形となっていた。それが新聞広告に組織名を出すという格好で表面に登場してきたのは、同決議案の上程などが意外に難航し、組織をあげての宣伝工作が必要とみなされるようになったためともみられる。

「日、慰安婦否定は戦争犯罪無効化の下心」米議会調査局研究員

2007.05.30 中央日報

「慰安婦問題に日本政府が攻勢的に対応するには20世紀初めから中ごろ、日本がおかした戦争の罪の責任を無効にしようとする意図がある」−−。

米国議会調査局研究員ラリー・ニクシュ博士は29日、ソウル北東アジア歴史財団大講堂で財団研究員を対象とし、日本軍慰安婦問題が日米関係に及ぶ影響と20世紀初めから中ごろの日本の歴史に対する認識問題を中心に1時間ほど講演した。

ニクシュ博士は「日本国内の歴史修正主義者たちの目標は第2次世界大戦の中で日本による戦争犯罪の責任を消してしまおうとすること」だと批判し「慰安婦問題のようにこれらが一定の線を超えたら米国内で否定的な反応を起こすだろう」と見通した。

ニクシュ博士は慰安婦問題に対する日本政府の公式謝罪を要求する米議会のホンダ決議案に対して「6月開催予定である米国会外交委員会案件には含まれていないが、トム・ラントス委員長の権限で上程される余地はある」と付け加えた。

ニクシュ博士はまた「ドイツに比べて反省が十分でない日本を肯定的な方向に誘導するためには日本国内の良心的な市民社会団体の活動を激励し、支持していく必要がある」と主張した。続いて「韓国は歴史問題を扱うことにおいて自国中心的な観点に固執している」と指摘し「今年で70周年になる南京大虐殺など他国家の戦争惨禍にも関心を傾ける方が日本にもっと強いメッセージを伝える方法になる」と述べた。

ニクシュ博士は米議会内のアジア問題専門家として通じ、4月、初議会で配付された「日本軍慰安婦システム」という報告書を作成している。

第8回日本軍「慰安婦」問題解決のためのアジア連帯会議(ソウル)報告

2007年05月28日 byアメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名 事務局

慰安婦「契約の下で雇用」 米陸軍報告書、大戦時に作成

2007/05/18 The Sankei Shimbun WEB-site

 【ワシントン=古森義久】日本軍の慰安婦に関して戦時中に調査に当たった米国陸軍の報告書に女性たちは民間業者に「一定の契約条件の下に雇用されていた」と明記されていることが判明した。同報告書は「日本軍による女性の組織的な強制徴用」という現在の米側一部の非難とはまったく異なる当時の認識を明示した。

 「前線地区での日本軍売春宿」と題された同報告書は米陸軍戦争情報局心理戦争班により第二次大戦中の1944年9月に作成され、米軍の「南東アジア翻訳尋問センター」の同年11月付の尋問報告に盛りこまれていた。73年に解禁され、近年も日米の一部研究者の間で知られてきた。

 当時の朝鮮のソウルで金銭と引き換えに徴募され、ビルマ北部のミッチナ(当時の日本側呼称ミイトキーナ)地区の「キョウエイ」という名の慰安所で日本軍将兵に性を提供していた朝鮮人女性20人と同慰安所経営者の41歳の日本人男性が米軍の捕虜となった。同報告書はこの男性の尋問を主に作成されたという。同報告書は「すべての『慰安婦』は以下のような契約条件の下に雇用されていた」と明記し、女性たちが基本的には商業ベースで「契約」に基づき、「雇われて」いたという認識を示している。

 同報告書はその契約条件について次のように記していた。

 「個々の慰安婦はその総売り上げの50%を受け取り、無料の移動、食糧、医療を与えられた。移動と医療は軍から供与され、食糧は慰安所経営者が軍の支援を得て、購入していた」

 「経営者たちは衣類、日常必需品、さらにはぜいたく品を法外な値段で慰安婦たちに売りつけ、利益をあげていた」

 「慰安婦の女性がその家族に支払われた金額を利子付きで返済できるようになれば、朝鮮への無料の帰還の便宜を与えられ、自由の身になったとみなされることになっていた。だが戦争の状況のために、このグループの女性はだれも帰国を許されなかった」

 「この日本人が経営した慰安所では女性1人の2カ月の総売り上げは最大1500円、最小300円程度だった。個々の女性は経営者に毎月、最低150円は払わねばならなかった」

 以上のように、この報告書は慰安婦の「雇用」や「契約条件」を明記するとともに、慰安婦だった女性は一定の借金を返せば、自由の身になれるという仕組みも存在したことを記し、「軍の強制徴用」とか「性的奴隷化」とは異なる認識を当時の米軍当局が有していたことを証している。

慰安婦決議案、米下院外交委に今月中の奇襲上程も

MAY 12, 2007 東亜日報

 米国下院に提出されている日本軍慰安婦決議案に対する支持署名を行った議員が117人を記録し、今月中に下院外交委員会で処理される可能性が高まっている。

 ニューヨーク・ニュージャージー韓国人有権者センター(金ドンソク所長)などの韓国人団体によると、マイケル・ホンダ議員が1月31日に提出した決議案121号への支持署名者として下院事務局に登録した連邦下院議員が10日午後(現地時間)現在、117人に増えた。

 韓国人団体では現在、追加で7人の議員たちから支持署名への約束を取り付けた状態で、21日ごろ、署名議員数は目標値の120人を上回るものと見られる。

 下院外交委員会のトム・ラントス委員長室では、これまで支持署名議員が120人以上なら、外交委への上程を本格的に推進すると明らかにした。

 昨年、エバンス議員が提出した決議案の場合、常任委員長だったヘンリー・ハイド議員室が日本側の反対ロビーを憂慮して、決議案上程方針を採決二日前まで極秘に付したことを勘案すれば、今回も奇襲上程する可能性を排除できない。

 いっぽう、加藤良三在米日本大使がラントス委員長との面談を粘り強く求めているなど、日本も最後のロビー攻勢に乗り出している。加藤大使は先週、ラントス委員長に面談を求めたものの、受け入れられなかった。日本大使館側では、11日、再びラントス委員長との面談を推進している。

 米下院は慰安婦決議案を人権委員会やアジア太平洋小委員会で別途に取り扱わないことを決定した。関連小委員会での議論の過程を経なくてすむことになり、それだけ決議案の処理にかかる時間や手続きが短縮されたことになる。

首相の「謝罪」を酷評〜従軍慰安婦問題で米専門家

2007年05月11日 US FrontLine

 来日中の米国の日本問題専門家、マイク・モチヅキ・ジョージ・ワシントン大准教授は11日、太平洋戦争中の従軍慰安婦問題をめぐり、安倍晋三首相が先の訪米でブッシュ大統領に「謝罪」を表明したことについて「ブラックユーモアだ。大統領は慰安婦ではない」と酷評、大統領や一握りの知日派以外は誰も納得していないとの見方を示した。

 都内で開かれた「東京アメリカンセンター」主催の講演会で語った。発言は謝罪を不十分とみているワシントンの雰囲気を示唆しており、今後、日本政府に謝罪を求める決議案の審議が米下院で加速する可能性もある。

 モチヅキ氏は決議案の共同提案者が百人を超えたことを指摘しながら「(昨年までと違い)可決の可能性がある」と言及。首相が慰安婦動員をめぐる「狭義の強制性」を否定したことを「政治的な大失敗」と非難した。(共同)

<グローバルアイ>慰安婦問題接近法

2007.05.09 中央日報イェ・ヨンジュン東京特派員

安倍晋三日本首相が先週末、富士山の裾でゴルフをした。第1打は格好よくフェアウェー真ん中に落ちたという。現職首相がゴルフをしたのは6年ぶりのことだ。そのはずだ。緊張していた初の米国訪問を無事に終えた上に下向き曲線を描いていた支持率もまた上昇傾向を見せ始めたからだ。ゴルフを楽しむ余裕が生じた理由は、何より慰安婦問題という足元の火を消したからだ。鉄石のように固い日米同盟に亀裂が生ずるとし、日本国内で沸きあがった批判世論も収まったようだ。

しかしじっくり考えてみなければならないことが1つや2つではない。日本メディアの表現のように米国での謝罪発言で慰安婦問題は果たして「軟着陸」したのだろうか。

安倍首相の本心と発言の乖離に対しては誰より自分がよく知っているはずだ。日本国内で安倍首相は「米下院の決議案は客観的事実に土台を置いたのではない。通過しても謝罪することはない」と言った(3月5日国会答弁)。ワシントンでは「人間として、首相として心より同情を感じ、申し訳なく思っている」と言った(4月27日日米首脳会談)。日本メディアはこれを謝罪と解釈した。政界入門時代から10余年間、河野談話を批判してきた彼が、ひと月余りで考えを変えたのだろうか。慰安婦問題に関する限り安倍首相はいつでも地雷をまた踏むことがあり得る「信念」の持ち主だ。

実際に安倍首相は地雷原に囲まれている。河野談話廃棄を志向する「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」が代表的だ。安倍首相はこの会の会員を自民党3役のうちの1つと官房長官、官房副長官、総務相、農水産相、法務相など要職に登用した。これらは議員の会の事務局長を務めた安倍首相に就任したことを絶好の機会だと考える。だから信じていた安倍首相が謝罪性の発言をしたことに対しても内心不満だ。この団体の所属議員たちは直接米国へ行って決議案の不当性を訴えようとする意欲を隠さない。

慰安婦問題が本質は差し置き、ひたすら「国益」の観点から外交問題として浮上し、縫合される過程を見守る心情は錯雑している。問題の一方の当事者である韓国が急に局外者になったような感じは戸惑う。そうだと韓日間に今すぐ問題を解決する手段があるのでもなく、下手な対応策をもっては問題をますますこじらせる恐れもあるから歯がゆいのだ。

慰安婦動員の強制性を立証する決定的証拠が出た場合、日本が認識を変えると期待するのはとても純粋な発想だ。安倍首相の強制性否認発言直後、慰安婦問題に取り組んできたある研究者に会ってどんな史料があるのか尋ねた。彼は返事の代わりにこんな注文をした。「強制性論争に埋没されないこと。それはむしろ安倍首相のペースにはまるものだ」安倍首相がいう証拠とは「韓半島などで女性を強制連行し、慰安婦にする」という決意や指示が記録された日本政府の公文書を意味する。そんな書類ははじめからなかったか、たとえあっても廃棄された可能性が高い。安倍首相と追従者たちがそんな事情が知らないわけない。だから個別事例に対する被害当事者の強制性証言には知らん顔をするだけだ。最初から認めないという意志が強いのだ。

米下院の決議案に対する過度な期待も禁物だ。日本が通過阻止のために執拗にロビーをするなら韓国もそれに対抗しなければならないか。私はそうではないと思う。成立してもしなくても、それが絶対的意味があるのではない。安倍首相は日米同盟という国益の損傷を懸念して敏感に応じただけだ。国益という名前の利益が介入する瞬間、完全な問題解決は難しくなる。

誰が何と言っても歴史という名の判官が峻厳な判決を下している。賢明ではない者にはその判決文が目に見えないだけだ。

「従軍慰安婦」問題で オノ・ヨーコが日本擁護!?

2007/05/09 J-CAST News

 「従軍慰安婦」問題について、オノ・ヨーコさんが米「ニューズウィーク」のBBS(電子掲示板)に論陣を張ったと、ネットで話題になっている。「人さらいや奴隷はフィクション。日韓条約が1965年に批准されたのに、謝罪と賠償を今頃持ち出すのはおかしい」などと書かれているとされ、ネット上には拍手喝采も起こっている。ただ、ヨーコさん本人だという証拠はまったくなく、名前を語ったニセモノだという可能性もある。

 「拉致やセックスの奴隷というのはフィクション」

  アメリカで過熱している「従軍慰安婦」批判に対し、オノ・ヨーコさんが真っ向から立ち向かったとされるのは07年3月29日の「ニューズウィーク」BBSへの一連のカキコミだ。07年4月上旬に日本のネット上で一時期話題になったが、07年5月2日にスカパーの「桜チャンネル」の番組「報道ワイド日本」でも紹介され、ブログや掲示板でこの話題が増えていった。オノさんが書いたとされるBBSにはアクセスできなかったが、翻訳が載っているブログを調べると、概ねこんなことが書かれていたという。

 「日本国民は戦時中の慰安婦や売春婦の存在を否定していないが、拉致してきたり、セックスの奴隷にしたというのはフィクション。業者や女衒が60年から70年前にやっていたことが、いつの間にか日本軍のせいになっている」

 「日韓基本条約(1965年)で、日本は巨額の補助金と長期低金利の融資を行い、以後の賠償請求はしないことになっているのに、謝罪と賠償を今頃持ち出すのはおかしい」

 「アメリカは戦後日本で暴行強姦を数千件も行い、吉原に慰安所を作るように命令したくせに今頃になって正義面して何を言っているのか」

  これに反応してネットの掲示板には、

 「拍手喝采しました。立派な大和撫子ここにありと嬉しくなりました」 などというカキコミが現れる。

  「2ちゃんねる」にも07年5月8日にこれに関するスレッドが立ち、

 「本当か、本当か、1時間泣いたぞ。たぶん新聞には出ないだろうが。オノヨーコ万歳」

 「反戦、平和のオノヨーコだから社民党みたいな事を言い出すかと思えば流石世界のオノヨーコ、みずぽたんとはちょっと違う。GJ」

 「ヨーコはやっぱり日本の誇り。社会的影響力あるし、嬉しいね」 という感激のカキコミが並んでいる。

 「でっちあげ」説もカキコまれている

  しかし、書いたのは「オノさんのニセモノ」説や、カキコミはもともと存在しない、という「でっちあげ」説もカキコまれている。

  ニセモノの根拠としてあげられているのは、投稿者の名前が「yoko ono」ではなく、「yoko lennon」になっていることだ。『yoko lennon』という署名の仕方が過去にあまりなく、ネット上での「釣り」の疑いもある。

 「なるほど。『yoko lennon』ってヤシ『イコール』オノヨーコ タソではないって事なんだNE!完全に『釣られて逝る』じゃまいか!」 「これデマだろ。オノヨーコはこんなこと絶対に言わない」

  また、あるブログは「オノ・ヨーコ本人が日本擁護のコメントを書き込んでいるという怪情報を流してる人物がいます」と書いていて、そのブログによるとその怪情報を流しているのは、先に紹介した「桜チャンネル」に関係ある人物なのだという。

  オノさん本人が書いたのかどうか確かめようがないが、これを読んで溜飲を下げた人が少なからずいたことだけは確かなようだ。

慰安婦:米下院、謝罪決議案支持議員が100人超す

2007/05/04 朝鮮日報/朝鮮日報JNS ワシントン=許容範(ホ・ヨンボム)特派員

 米国下院に提出されている、旧日本軍の「従軍慰安婦」問題について謝罪を求める決議案を支持する議員が100人を超えた。

 ワシントンの「慰安婦問題対策委員会」(ソ・オクチャ委員長)は2日、日系のマイケル・ホンダ議員が提出した、慰安婦問題について謝罪を求める決議案を支持する議員が104人(下院議員の総数は435人)に達した、と発表した。

 この背景については、最近訪米した日本の安倍晋三首相がジョージ・W・ブッシュ米大統領に対し、慰安婦問題について謝罪する発言をしたことが、この問題をめぐる議論の中でむしろ逆効果を生み、米国国内の世論が日本に不利な方向になっている、との見方が出ている。

【花岡信昭の政論探求】さあ、河野氏の出番だ

2007/05/02 The Sankei Shinbun WEB-site

 安倍晋三首相の初訪米は慰安婦問題をめぐる「謝罪」の旅の様相をも帯びてしまった。一国の首相にこういう屈辱的な役割を演じさせた張本人から、自身の政治責任を語る声が聞こえてこないのはどうしたことか。

 河野洋平衆院議長である。あの「河野談話」は韓国当局からの「強制性を認めてくれれば収拾できる」という要請に基づき、「官憲による強制連行」が確認できないまま、政治的判断で出されたものであることは周知の事実となっている。

 今回のマイク・ホンダなる議員によって提出された決議も「河野談話」を下敷きにしている。万一、下院で採択されたら、法的拘束力はないとはいうものの日米関係に計り知れない打撃を及ぼす。「20世紀最大の人身売買事件」というのだから、あきれはてる以外にないのだが、だれも知らなかったマイク・ホンダの名前は世界的に知れ渡り、これで次回当選も間違いない。他国をいかに誹謗(ひぼう)中傷しようとも、自分の選挙を最優先と考える政治家のいやらしいサガがにじむ。

 安倍首相の訪米で情勢の変化が見られるにせよ、下院採択の事態を完全に回避するためには、河野氏の出番しかない。あのときの政治判断は誤りであったと認め(必ずしも表明しなくてもいい)、静かに衆院議長を退任し、さらに議員辞職までやれば、これは完璧(かんぺき)だ。米側の反応は一変しよう。これで河野氏は、国家の危機を救った元自民党総裁として歴史に名を残すことになる。

 それにしても、欧米の主要メディア(とりわけ日本特派員)の勉強不足は度が過ぎる。中国、韓国などは一定の意図に基づいて罵詈(ばり)雑言を浴びせるのが「報道」と心得ているようだから、論外であって、あれは新聞ではなく「機関紙」だ。だから無視するのが一番いい。

 欧米民主主義国家のメディアがこれほどひどいとは、寡聞にして認識不足だった。何につけ「日本たたき」は売れるネタなのであろう。自分たちの国家で「戦争と性」がどのように扱われてきたか、そこに思いをはせる人間的器量にも欠けている。

 あの戦争の時代に、多くの女性を悲惨な境遇に追い込んでしまったことへの真摯(しんし)な思いを抱くのは当然だ。

 だが、当時は公娼制度があったこと、そのための業者がいたこと、そして兵士は慰安婦にカネを払っていたこと、慰安所を軍が管理しなければ安全や衛生面で問題があったこと…そうした基本的な事実も知らない記者が少なくないというのだから、まさに世界的規模の「報道の危機」である。

 三十数年、新聞記者をやってきたが、「事実を踏まえて記事を書く」のは基本中の基本と教わってきた。「慰安婦狩り」「性奴隷」などは虚構の産物であった。欧米メディアもその事実に気付き始めたのなら、早く「訂正」を出すことだ。これも報道の基本である。(客員編集委員 花岡信昭)

第75回 日本は慰安婦の強制連行を認めていた

2007年05月02日 BPnet SAFTY JAPAN

経営コンサルタント 大前 研一氏

 第二次世界大戦中、日本軍はアジア各国から強制的に女性を連行し、従軍慰安婦として働かせていたといわれている。この問題は古くから中国や韓国を中心に、アジアの国々から批判されていたのだが、近ごろは米国でも大きく取り上げられるようになった。

 その一つがワシントンポストに掲載された記事である。そこでは「北朝鮮による日本人拉致問題には積極的な安倍首相が、慰安婦問題については目をつぶっている」と指摘し、「安倍首相のダブルスタンダード」と批判している。なるほど、客観的に見れば従軍慰安婦もまた拉致問題である。なのに「北朝鮮による拉致は駄目で、戦争中に日本軍がやった拉致は問題にしない」というのであれば、第三者からはダブルスタンダードと揶揄(やゆ)されても仕方がないだろう。

 そもそも安倍首相になってからの政府は、右よりの発言が急に増えてきたように感じる。従来の日本政府は、日本軍が慰安婦に関与していたことを認める、いわゆる「河野談話」を支持してきた。ところが安倍首相や彼の周辺にいる下村博文官房副長官のような人たちは「軍が従軍慰安婦を強制的に連行したという証拠はない」と、日本の関与を否定する発言を繰り返しているのだ。このような発言を繰り返していたらどうなるか。いまや米国経済にとって一番の「上客」は日本ではなく中国である。となれば米国は今後、中国の意向をくんで、日本に対して今以上に強い態度で批判してくるだろう。

 安倍首相およびその周辺からは、従軍慰安婦の問題だけでなく、第二次世界大戦での日本軍を正当化するような発言も多い。では仮に、米国の大統領などが同じようなことを言い始めたらどうだろうか。「第二次世界大戦での原爆投下は正しい」「東京大空襲は間違いではなかった」と発言したら。恐ろしく不愉快な気分になるであろうが、日本軍を正当化する以上はそれも甘受せねばなるまい。

 実は「仮に」どころか、原爆や東京大空襲を正当化する米国政府筋の人間はたくさん存在しているのである。彼らは、日本が第二次大戦に至る道筋を正当化するようなことがあれば、それはやがてポツダム宣言以降に原爆を落とした非人間的行為に日本が言及することになるであろうことを恐れている。それは、パンドラの箱を開けるような際限のない過去の非難合戦になることは間違いない。

日中関係改善の努力がご破算になる可能性も

 さて、ここで従軍慰安婦問題が米国で騒がれるようになった経緯をまとめてみたい。下の図である。

 キーになっているのはマイク・ホンダという議員だ。彼は、その名からも知れるように日系米国人だが、彼を支持し金銭的援助をしているのは、中国や韓国系の米国人である。彼はこの問題に長くかかわっており、これまで8度も決議案を議会に提出していた。ただし、その決議案は毎回、否決されていたのである。しかし、最近ニューヨークタイムズが大きく取り上げたことから注目されることになった。日本では朝日新聞がそれを報道し、国会でも話題になった。

 ところが安倍首相は国会で「米下院での決議案は、客観的な事実に基づいていない」と発言したのである。彼の発言の元になっているのは、下村官房副長官の「日本軍が関与していたことを示す資料は見付からなかった」というコメントだ。また安倍首相は国会で仮に米国の下院が対日非難決議を可決することがあっても「それで直ちに日本が謝罪することにはつながらない」と答弁している。つまり、本件で謝罪するつもりはない、ということである。

 それに対してシーファー米駐日大使は「そういう歴史認識を持っているのであれば、重大な問題を引き起こす」と心配する発言をしている。安倍首相や彼の仲間たちが、こういう国際的に非常識な発言を止めない限り、どんどん大きな問題に発展するだろう。安倍首相は中国との関係改善に尽力し、それはわたしも一定の評価を与えている。しかし、これをきっかけに米国との関係がこじれ、すべてご破算になるかもしれない。

東京裁判で明らかにされていた従軍慰安婦の決定的証拠

 ところが、ここに来て、安倍首相や彼の取り巻きをあっと驚かせる新事実が飛び出した。林博史・関東学院大教授が米国の新聞で発表した論文である。

 それによると、第二次世界大戦直後の東京裁判において、オランダ、フランス、中国などが提出した資料に、日本軍に強制的に連行され、従軍慰安婦として働かされたことを示す資料がたくさんあるということだ。それによると、地元警察に捕まってそのまま日本の収容所に連れて行かれて慰安婦にされた話や、現地の女性を拘留した理由として、売春宿に入れるための口実だったと日本軍が答えた調書などが数多く残されているとのことだ。

 ここでのポイントは二つある。まず、東京裁判での資料なのだから、これは公文書だということ。そしてもう一つは、日本はサンフランシスコ講和条約によって東京裁判を受け入れたということだ。つまり日本は、従軍慰安婦の強制連行を公式に認めていたわけだ。

 わたし自身は東京裁判の資料を直接読んだわけではない。しかし、この論文に書かれたことが事実であるならば、事は重大だ。安倍首相や下村官房副長官の罷免にもつながるだろう。

 もはやこれだけはっきりとした歴史的資料を提示されてしまったのだ。日本が強制的に従軍慰安婦を連行したことを示す証拠はなかった、などということはできない。これまでの安倍首相や下村官房副長官の発言は、日本の信頼を失墜させ、国際的な物義をかもしたことになるのだ。少なくとも野党はこの資料を元に、下村官房副長官の罷免要求をするべきだ。なにしろ日本はこの問題のためにアジアの友邦国から見ても大きく後退した、と思われているのだから。

 安倍首相は4月下旬に訪米する際に、同国のマスコミ取材に対して「慰安婦問題については日本に責任がある」「わたしはかねてより河野談話を支持していた」と、従来の主張とは180度異なる発言をした。節操のない話ではあるが、そう言わざるを得なかった事情もあろう。彼の本心はどうあれ、言葉の上だけでも責任を明確にしたことは一応の評価はできる。

 ところがこのように明確な資料が出てきても、首領たる安倍首相が責任を認めてもなお、意見を変えない人たちもいる。自民党の中山成彬元文科相だ。彼は安倍首相の渡米と同時期に「日本軍の強制連行による従軍慰安婦はいない」と明言している。

 訪米を前に安倍首相は夫人を伴ってCNNテレビのインタビューを受けた。夫婦でインタビューというのも、この問題に関して夫人の力を借りて事態の沈静化を図ろうという意図が見え見えなのだ。しかし、その中でこの問題に関して「あなたのご主人は強制連行は無かったと言っている」とキャスターに突っ込まれると「あなた、そんなこと言っているの?」と夫人は首相に聞いて見せているのである。この白々しいやり取りは聞く人すべての心証を著しく悪くした。これだけ世界的に騒がれている事に対し、自分があたかも初めて聞いたという感じで問いただせば人間的信頼はゼロになる。

 「世間ではそう言ったとわたしも聞いていますが、彼の真意ではないと思います。現にわたしには昔からこの問題では心を痛めている、と常々言っておりますから」くらいのことを言うのならまだしもだが。要は苦し紛れに夫人を担ぎ出し、日本人のわたしが聞いても「やめてくれー!」と叫びたくなるような下手な演技を展開したのだ。そして、この十字架を背負って首相夫妻は訪米したのである。

友好的なアジアの国でも慰安婦問題は特別

 他のアジア各国では、安倍首相をはじめとする「右大臣」たちの発言をどのようにとらえているのだろうか。

 先日、わたしはフィリピンのシアゾン駐日大使と、この問題について話し合う機会があった。彼の奥さんは日本人である。また大の親日家としても知られている。その彼が「これは大きな問題だ。安倍首相は本気でそのようなことを考えているのか」と強い態度で、安倍首相や彼をサポートする人たちの危険性に言及していたのである。

 彼の言い分はこうだ。「フィリピンは、第二次世界大戦でアジア各国を戦禍に巻き込んだ日本を許した。その結果、日本とフィリピンの関係は極めて友好的になった。ところが、そのフィリピンでさえ、慰安婦問題は我慢することができないのである。あくまで日本が、従軍慰安婦問題は軍の強制ではなかったと言い切る態度を通すのであれば、フィリピンは強く抗議し、対峙しなくてはいけない」。アジアで最も友好的な国でさえもそうした国民感情を持っている。韓国や中国だけではないこと、米国でさえも最も神経質になるテーマであることを首相は知るべきである。

 今回、従軍慰安婦の証拠となる資料が明らかになったのだから、もっと積極的に使って、安倍首相や下村官房副長官の行動に封をしてもらわないといけない。そうでないと対米関係、フィリピンや東南アジア、中国や韓国との関係まで悪くなっていくことは避けられない。

首相、慰安婦問題発言「米への謝罪でない」

2007/05/01 NIKKEI NeT

 【ドーハ=中山真】安倍晋三首相は1日の同行記者団との懇談で、先の日米首脳会談で「慰安婦の方々に申し訳ない」などと表明したことに関して「米国に謝罪したことは全くない」と述べた。

 首相の発言には、韓国メディアが「謝る相手が違う」などと反発していた。首相は発言について「私の慰安婦の方々に対する気持ちが間違って伝わっていたので、率直な気持ちを伝えたということだ」と説明した。

 一方、韓国訪問中の自民党の加藤紘一氏は同日、宋旻淳(ソン・ミンスン)外交通商相や次期大統領候補らと会談し、首相の対応を「米国の大統領に謝罪するのでなく、韓国の人々に謝罪すべきだ」と批判した。外通相は「なぜ日本であのような事態になるのかという思いだ」と不快感を表明した。

首相訪米、苦い教訓 慰安婦問題は意図伝わらず

2007/04/30 The Sankei Shinbun WEB-site

 【アブダビ=阿比留瑠比】安倍晋三首相の初訪米は、首脳同士の信頼関係を築いた点でひとまず成功を収めた。ただ、懸案だった慰安婦問題では苦い教訓を残したようだ。

 首相は、大統領との共同記者会見で、慰安婦問題についてこう語った。

 「慰安婦の方々に、人間として、また首相として心から同情しているし、そういう状況に置かれていたことに対して申し訳ない思いだ」

 「20世紀は、人権があらゆる地域で侵害もされた時代でもあった。21世紀を人権侵害のない素晴らしい世紀としていきたい」

 それに先立つ米議会幹部との会談でも、ほぼ同じことを述べ、訪米前の日本テレビや米CNNテレビのインタビューでも同じ言い回しを使った。

 首相の意図は明らかだ。重要なのは、慰安婦の境遇については率直に同情を示すことだった。これまでの国会答弁などで「意に反して慰安婦とされた『広義の強制性』はあったが、官憲による慰安婦狩りなどを示す『狭義の強制性』はなかった」と指摘し、官憲による強制連行はないと説明しただけなのに、海外メディアから人権意識の欠如のように報道されたからだ。

 慰安婦に同情する理由に関しては、日本政府・官憲の関与には言及せず、当時は慰安婦が置かれていた「そういう状況」があったことを強調した。これは、戦時の人権侵害が、決して日本だけのものではないことを強く示唆し、相手に過去よりも未来に目を向けさせる狙いだった。これなら、狭義の強制性はなかったという一線を譲ったことにもならない。

 しかし、周到に準備したこのフレーズは目的通りの効果は生まなかった。訪米前から同じ言い方を繰り返しているにもかかわらず、日本のメディアの多くは首相の意図に気付かないか無視し、「米国で謝罪」と強調した。一方、慰安婦の強制連行を既成事実と決めつけてきた海外メディアには、首相の微妙なニュアンスは伝わらなかった。

 首相から直接、こうした説明を受けたブッシュ大統領さえ、共同会見で「(元慰安婦への)首相の謝罪を私は受け入れる」とあっさり「謝罪」だと認定した。結果として「謝罪ばかり繰り返したとのイメージを内外に与えた」(同行筋)ことは否定できない。

 歴史問題で理解を得るためには、たとえ同盟国であっても、根気強い努力と工夫とが必要なことを、改めて痛感させられた訪米となった。

従軍慰安婦問題「首相謝罪」に韓国紙猛反発

2007/04/30 日テレNews

 アメリカ・ワシントンで27日に行われた日米首脳会談で、安倍首相が従軍慰安婦問題で謝罪の意を表明したことに対し、韓国のマスコミが猛反発している。

 安倍首相はブッシュ大統領との首脳会談で、旧日本軍の従軍慰安婦について「辛酸をなめたことに心から同情し、そういう状況に置かれたことに申し訳ない気持ちだ」と表明した。

 これに対し、30日付の韓国の新聞各紙が一斉に批判した。東亜日報では、「なぜ慰安婦問題の謝罪を、被害者でもないアメリカに謝るのか」という見出しがつけられ、「当事者に対する謝罪がなければ問題は解決しない」「安倍首相は常にアメリカに向いており、本音は変わっていない」などと、一様に厳しい見方を示している。

 韓国では先月1日に、安倍首相が「慰安婦に厳密な意味での強制性はなかった」と述べて以来、連日のようにこの問題を伝えている。

中国人元慰安婦も敗訴確定 旧軍の拉致、暴行認める

2007/04/27 中国新聞ニュース

 中国人元従軍慰安婦とその遺族が国に損害賠償などを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第一小法廷は二十七日、二審東京高裁判決の請求棄却の結論を支持、原告の上告を棄却した。原告敗訴が確定した。

 才口千晴裁判長は、同日午前に中国人元労働者の敗訴が確定した西松建設強制連行・労働訴訟の判決と同様、「一九七二年の日中共同声明で個人の賠償請求権は放棄された」と判断した。

 最高裁は同日、三井鉱山強制連行訴訟や故劉連仁さん訴訟など三件の戦後補償裁判の上告審で、いずれも中国人原告の上告を退ける決定をし、原告敗訴が確定した。

 元慰安婦訴訟の判決によると、現在山西省に住む原告の郭喜翠さん(80)ら二人(うち一人死亡)は十三歳と十五歳当時の一九四二年、旧日本軍の兵士に拉致され、軍の施設などに監禁された上、一カ月から数カ月間にわたり連日乱暴された。

 郭さんらは九六年に提訴。一審東京地裁は明治憲法下の「国家無答責(国は不法行為の賠償責任を負わない)」の法理などを理由に、二審は日本と中華民国(台湾)が締結した日華平和条約(五二年)を根拠に個人請求権を否定し、それぞれ請求を棄却した。

 才口裁判長は請求権放棄の根拠について「日華平和条約締結時には、中華人民共和国(中国)が成立し、中国大陸を支配していた。大陸の原告に同条約の効力は当然には及ばない」と指摘。

 その上で「連合国とのサンフランシスコ平和条約(サ条約、五一年)は戦争状態を終了させるため、相互に個人賠償請求権も含めて放棄した。請求権放棄条項を持つ共同声明は交渉経緯から実質的に平和条約で、サ条約と同じ枠組み」として個人請求権を否定した。

 西松訴訟判決のように「自発的救済」を促す付言はなかった。

 決定が出た三件は、福岡県の三池炭鉱などで過酷な労働を強いられたとして元労働者らが国や三井鉱山(東京)に賠償を求めた訴訟(第三小法廷、藤田宙靖裁判長)、強制連行され、終戦を知らずに北海道の山中で約十三年間逃亡生活を送った劉さんの遺族が国に賠償を求めた訴訟(第二小法廷、中川了滋裁判長)、別の元慰安婦らが起こした訴訟(第一小法廷、泉徳治裁判長)。

安倍首相宿舎近くで慰安婦デモ

2007/04/27 The Sankei Shimbun WEB-site

 【ワシントン=山本秀也】慰安婦問題をめぐる米下院での対日決議案採択を求める在米韓国人組織「慰安婦問題ワシントン連合」(徐玉子会長)などは26日、安倍晋三首相の訪米に合わせてホワイトハウス前を約1時間にわたりデモ行進した。デモには国際人権組織「アムネスティ・インターナショナル」の米国活動家や台湾外省系の在米華人を含む約70人が参加した。

 デモには徐会長のほか、決議案をめぐる下院公聴会で証言した韓国人元慰安婦、李容洙氏らが参加。「日本政府は責任を認め謝罪を」などと声明を読み上げたあと、安倍首相の滞在する付近の迎賓館「ブレアハウス」前で気勢を上げた。

 韓国紙の事前報道では、主催者側では当初500人程度の参加見通しを米警備当局に伝えていたが、実際のデモは参加者よりも取材の報道関係者が多いというレベルにとどまった。

安倍首相、慰安婦問題で「申し訳ない気持ちでいっぱい」

2007/04/27 The Sankei Shimbun WEB-site

 【ワシントン=阿比留瑠比】訪米中の安倍晋三首相は26日午前(日本時間)27日未明、米連邦議会で、共和、民主両党議員11人と会談した。首相は慰安婦問題について、「私の真意や発言が正しく伝わっていない。私は辛酸をなめた元慰安婦の方々に、個人として、また首相として心から同情するとともに、そうした極めて苦しい状況に置かれたことについて申し訳ないという気持ちでいっぱいだ」と説明。その上で、「20世紀は人権侵害の多い世紀であり、日本も無関係ではなかった。21世紀が人権侵害のない、より良い世紀になるよう、日本としても全力を尽くしたい」と述べた。

 これに対し、日系のダニエル・イノウエ上院議員(民主党)は「残念なのは慰安婦問題をめぐる米国内の動きだ。これまで7人の日本の首相が謝罪をしているにもかかわらず、こういうことが今後もずっと続くのかと思うと疑問を感じる」と応じた。他の議員から、慰安婦問題への言及はなかった。

 慰安婦問題をめぐる対日非難決議案を審議している米下院外交委員会のラントス委員長(同)は「日本は安全保障面でも大国にふさわしい役割を果たすべきだ。そのために憲法を改正しようとする安倍首相の方針を強く支持している」と述べた。

第47回 国が謝るとき

2007年04月24日 BPnet SAFTY JAPAN

国際問題評論家 古森 義久氏

 米国議会が慰安婦問題で日本の首相や政府に謝罪を求める決議案を審議するようになった。安倍晋三首相は訪米に臨み、懸命な対応に努めているようだ。だが決議案が要求するような謝罪を表明すべきか、否か。そもそも一つの主権国家の政府や首相が対外的に謝るという行為はいったいなにを意味するのか。

 国家が謝罪するとはなんなのか。慰安婦問題でまた浮上した「謝罪」について、その基本を考えてみることも必要だろう。

 国家には当然ながら多様な機能や活動がある。戦う。負ける。弾圧する。降伏する。滅びる。妥協する。賠償する。悲しむ。喜ぶ。

 以上のような、それぞれの現象は国民や民族の公の集団としての主権国家の動きとして、想像がつく。意味が分かる。

 だが国が謝る、というのは、なにを指し、なにを果たすのか。解答は急に難しくなる。

 国家の謝罪というのは国としての一定の言葉の表明である。言葉を通じて、遺憾や痛恨の意を表し、反省を述べ、過誤を認める。相手への同情や贖罪(しょくざい)の意を表す。だが降伏とも、屈服とも、賠償とも異なる。降伏や賠償が具体的な行動を指すのに対し、謝罪は単に言葉の表明だけでもありうるからだ。

国家は簡単に謝らない

 現実の世界では国家が謝罪を表明するというのは意外と珍しい。特に対外的な謝罪の表明は少ない。

 米国がフィリピンを植民地にしていたことは歴史的な事実だ。植民地支配が現代の倫理で悪なことも現実である。だが米国政府はフィリピンの統治について謝罪はしていない。日本の広島と長崎への原爆投下も人道主義の観点からは邪悪な行為だろう。だが歴代の米国大統領は決して日本に原爆投下の謝罪はしていない。残酷な戦争の終わりを早めるために、むしろ必要だったという正当化の言葉を歴代大統領たちは明確に述べている。

 米国の政府は国内での奴隷制について被害者の黒人たちに謝罪をしたということもない。原住民だったアメリカインディアンに謝ったこともない。個別のケースでの遺憾の意の表明や賠償の支払いはあっても、主権国家として政府から黒人やインディアンへの全体の謝罪はない。

 英国がインドやビルマ(現ミャンマー)の植民地支配を政府として謝ったという話も聞かない。フランスがベトナムやカンボジアの植民地統治を謝罪したこともない。

 要するに国家はそう簡単には謝らないのである。

 人間集団の謝罪や許容について学問的に研究している米国ハーバード大学のマーサ・ミノー教授は以下のように解説している。

 「人間の集団と集団、あるいは集団と個人の間での公式の謝罪という考え方は1980年代以前は米国でも、あるいは国際的にも、ほとんど提起されることがなかった。つまり国家から国家へ、国家から個人へ、という関係での謝罪という行為は現実にはまずなかったのだ」。

 要するに国家が「ごめんなさい」とか「すみません」という言葉を述べることはなかった、というのである。ところがこの基本が1980年代から90年代にかけて、かなり変わってきたという。

80年代になって謝罪するようになった理由

 レーガン大統領も先代のブッシュ大統領も日系米人の戦時中の集団収容に謝罪した。クリントン大統領が米国のハワイ武力制圧を謝った。同大統領はさらに戦前、黒人男性600余人が公立研究施設で梅毒治療の人体実験に使われたことに謝罪した。

 ドイツ政府はユダヤ人虐殺やチェコ侵攻を謝った。英国のブレア首相がアイルランドの「ジャガイモ飢饉」への自国政府の責任欠落を謝った。スイス政府は自国内のジプシーの子どもたちの強制集団養育を謝った。ローマ法王はユダヤ人や非キリスト教徒の虐待を謝罪した。実例はまだ多数ある。

 数多くの主権国家が1980年代に入って謝罪をするようになった理由は、ミノー教授らの分析によると、民主主義の深化と拡大であり、テレビなどマスコミュニケーションの発達だという。

 民主主義の成長は国家を国民と一体にさせた。両者の距離は減り、国家指導者の顔や声は国民一般にとって身近となった。政府が人間らしくなったのだ。ソ連や東欧の共産主義独裁政権が倒れたのは好例である。国民を弾圧する専制政権が崩れて、国民の心を代弁する民主政権が登場した。そして過去の政府の罪悪をまず国民に謝罪するところから新たな出発が始まった。この変化をテレビのようなマスコミの発達が大いに触発し、増強し、拡大したわけである。

 しかしそれでもなお現代の主権国家はそう簡単には謝らない。対外的な謝罪となるとなおさらで、米国は特にその傾向が強い。戦争で負けたことがないという実績が他国からみれば独善とも映る傾向を強めるのだろう。奴隷制にしても、もし米国政府が謝罪すれば、その謝罪はアフリカ諸国に向けられたことともなりかねない。そのへんの米国の謝罪拒否について米国ウェスリアン大学のアシュラフ・ラシュディ教授は次のように語る。同教授は『罪ある時代の謝罪と忘却』という書の著者である。

 「対外的な謝罪は無意味に終わる場合が多いのだ。クリントン大統領が1998年にルワンダ大虐殺に対して米国が阻止の行動をとらなかったことを謝罪したが、その後の各地での虐殺になんの影響もなかった。謝罪は相手の許しを前提とするため、その謝罪のそもそもの原因となった行為の真の責任を曖昧にするマイナスの効果もある。さらには謝罪によって過去の歴史を一般に忘れさせるという結果も歓迎すべきかどうか、分からない」。

謝罪にネガティブな米国

 米国ではそもそも自分たちが生きてはいなかった遠い過去の出来事に責任を負って、謝るという行為への抵抗が強い。リベラル派の政治評論家のリチャード・コーエン氏が奴隷制への謝罪の適否を論じて、以下のように主張していた。

 「自分たちがなんのコントロールも持ちえなかった過去の行動や政策に対し、いまその罪を受け入れることはできない」。

 この言は、今、日本に慰安婦問題で謝罪の表明を求める米国議会のマイク・ホンダ議員らにそのまま突きつけたいところである。

 米国ではこのように国家の謝罪という概念に対してネガティブな反応が強いのだ。特に対外的な謝罪への拒否反応が強いといえる。その理由としては次のような諸点がよく指摘される。

 「過去の行動への国家としての謝罪は国際的に自国の立場を低くする自己卑下につながる」。

 「国家の謝罪は現在の自国民の自国への誇りを減らす危険がある」。

 「国家としての過去の出来事への謝罪はもはや自己を弁護できない自国の先祖の名声、そして未来の世代の名声のいずれをも傷つける危険がある」。

 米国のこうした思考や感覚からすれば、首相や政府が毎年のように対外的な謝罪を続けている日本の言動は当然、異質と映るだろう。

 その「米国からみた日本の謝罪」は『第二次大戦への日本の謝罪』という学術書に集約されている。2006年はじめに米国で出版された同書の著者はジェーン・ヤマザキという女性の新進日本研究学者である。

中国や韓国への謝罪は不毛だったのか

 ヤマザキ氏はミシガン州のオークランド大学の講師で、夫が日系人だが、本人は欧州系の白人である。2002年に同州のウェイン州立大学で日本現代史研究の博士号を取得し、日本での研究や留学の期間も長い。

 『第二次大戦への日本の謝罪』は日本が1965年の日韓国交正常化以来、国家レベルで表明してきた各種の謝罪の内容をすべてすくい上げ、紹介している。日本の「過去の戦争、侵略、植民地支配」に関する天皇、首相、閣僚らによる謝罪をリストアップして、英訳しているのだが、総括として次のように日本の特殊性を強調していた。

 「主権国家が過去の自国の間違いや悪事をこれほどに認め、対外的に謝ることは国際的にみて、きわめて珍しい」。

 「現代の国際社会では国家は原則として対外的には謝罪しないことが普通であり、大多数の国家は日本とは反対に、過去の過誤を正当化し、道義上の欠陥も認めない」。

 ヤマザキ氏が紹介する「国際基準」に従えば、日本の場合、明らかに国家謝罪のしすぎ、ということになる。事実、同氏の書は日本のこれほどの謝罪努力も「失敗」と断じている。日本側にとってはなんとも痛い結論である。

 だが客観的にみても、日本の謝罪は、少なくとも成功ではないことはあまりに明白であろう。これほど国家謝罪を重ねてみても、なお「日本は十分に謝罪していない」という非難の矢が数多くの方面から放たれているからだ。国家謝罪が目的とする中国や韓国との関係も完全には改善されていない。日本側の謝罪の所期の目的は達成されていないのだ。

 ヤマザキ氏は次の点をも指摘する。

 「謝罪が成功するには謝罪の受け手がそれを受け入れる用意があることが不可欠なのに、中国や韓国の側にはそもそも日本の謝罪を受け入れる意思がなく、歴史問題で日本と和解する意図もないといえる」。

 だから日本の長年にわたる国家謝罪も不毛の努力だった、ということになってしまうようだ。

首相、慰安婦問題の「責任」に言及 米紙インタビューで

2007/04/21 The Sankei Shimbun WEB-site

 安倍晋三首相は21日までに米紙ウォールストリート・ジャーナルなどのインタビューに応じ、米下院で対日非難決議が審議されている慰安婦問題に関連して「当時の慰安婦の方々に心から同情するし、日本の首相として大変申し訳ないと思っている。彼女たちが慰安婦として存在しなければならなかった状況につき、われわれは責任があると考えている」と、日本側の「責任」に言及して謝罪の意を示し、平成5年の河野談話を継承する考えを改めて表明した。

 一方で、首相は「20世紀は人権が世界各地で侵害された世紀だが、日本も例外ではない」とも述べ、戦時の人権侵害が日本だけの問題ではないことをにじませた。

 中国の軍事費増大をめぐっては「中国に合わせて、軍事費を増やそうとは考えていないが、防衛力は常に確かなものにしなければならない」と指摘した。その上で「日米の同盟関係の強化が地域の平和と安定にとって一番大切で、そのために法的な整備をしなければいけない」と述べ、集団的自衛権に関する研究を進める考えを強調した。

 また、憲法改正について「憲法は占領下で制定されたもので、21世紀にふさわしい自分たちの国の形を物語る憲法をわれわれ自身の手で書くことが大事だ」と語った。このほか、北朝鮮が核放棄に向けた初期段階措置の履行期限を守らなかったことを踏まえ、「訪米した際にも、(ブッシュ)大統領と今後の北朝鮮政策について突っ込んだ話をしたい」と述べた。

【緯度経度】ワシントン・古森義久 慰安婦問題での陰謀説

2007/04/21 The Sankei Shimbun WEB-site

 米国のPBS(公共放送)系テレビのニューズ・インタビュー番組に招かれ、慰安婦問題について意見を述べる機会を得た。ニューズウィーク誌のコラムニストなども務める米人ジャーナリストのファリード・ザカリア氏が主宰する「フォーリン・エクスチェンジ(対外交流)」という番組である。

 今回のタイトルはずばり「慰安婦」、4月はじめに全米80以上のPBS系局からすでに放映されたが、ザカリア氏との15分ほどの1対1の討論だったため、かなり長く意見を述べることができた。このへんは米国ジャーナリズムの公正さである。

 私は米側がそもそも非難する「日本の政府あるいは軍による政策としての組織的な女性の強制徴用」という行為はなかったという点を説明した。ザカリア氏は個々の兵士が慰安婦に代金を払っていたことを知らず、驚いていた。総括として私は思い切って、慰安婦問題での米側からの今回の糾弾を「ダブル・ジェパディー」「ダブル・スタンダード」「ティンジ・オブ・レーシズム」という三つの言葉で評した。

 「ダブル・ジェパディー」とは二重訴追の危険である。つまり個人や集団が同じ犯罪やその嫌疑を一度、すでに訴追され、裁判を受けたのに、またまた訴えられ、裁かれるという不当な事態のことだ。慰安婦については日本はさんざんに非難され、それなりに対応し、日本軍将兵による軍規違反の個別の強制徴用は戦争犯罪として裁かれまでしたのに、いままた罰せられようとする。その懲罰は米国の憲法でも保障している一事不再理の原則に違反する行為ではないか、と抗議するわけだ。

 「ダブル・スタンダード」とは二重規準である。軍隊のための売春制度は明らかに好ましくない事象だった。慰安婦となった個々の女性には悲劇も苦痛もあった。そうしたケースに同情し、現代のモラルから全体の制度を非難し、反省することはやぶさかではない。だが、人道主義という観点からみるなら米国の原爆投下はどうか。中国のウイグルやチベットの少数民族抑圧はどうか。法輪功弾圧はどうか。なぜ60年以上前に終結した特定案件だけが糾弾されるのか、という疑問が残るわけだ。

 「ティンジ・オブ・レーシズム」とは人種や民族への偏見の色彩である。慰安婦問題で日本を非難するボストン・グローブ3月8日付社説の見出しは「『すみません』と言えない日本」だった。ニューヨーク・タイムズの3月6日付社説は「日本の政治家たちは安倍首相はじめ恥ずべき過去を克服する第一歩はその過去を認めることだと知るべき時だ」と断じた。米国はフランスに向かって、こんな口調で告げるだろうか。こうした高所からの「日本とは」とか「日本の政治家たちは」という説教調の断定には日本国民を一括して特殊に決めつける人種偏見がにじんでいる。そう抗議したかったのだ。

 しかしいまの米側の日本糾弾にはさらに悪質な政治的攻撃が存在する。テレビでは言及する時間がなかったが、自己のイデオロギーの日本への押しつけに慰安婦問題を武器にするという動きである。その典型はエール大学のアレクシス・ダデン准教授が発表した「安倍首相の新しい服」という題の論文だった。タイトルからして明らかにアンデルセンの童話「裸の王様」を示す、日本の首相への侮蔑的な表現である。

 ダデン氏は次のように述べていた。

 「(慰安婦問題の)焦点は強制に関する事実ではなく、安倍(首相)が『強制』の意味を切り替えたこと、そしてその言葉の論議の忌避を最近、決めたことは、なぜかという理由である。簡単にいえば、それは安倍(首相)が日本軍を合憲の軍隊として復活させる前に旧日本軍の記録をごまかすための企図なのだ。1947年憲法を変えて、日本軍が活動できるようにするという安倍(首相)の決意はワシントンの公然たる奨励を得ており、そのことが慰安婦強制での日本軍の歴史的役割に関する彼の尊大な言明の要因となったことは疑いがない」

 安倍首相が慰安婦問題では日本軍復活のために「強制徴用」を否定した、というのだ。いかにもこじつけの「陰謀説」である。その語句には日本は憲法を変えることも、自衛軍を持つこともしてはならないという自己の勝手な政治主張がにじんでいる。

 ダデン氏といえば、慰安婦問題で日本を裁いた2000年の国際模擬裁判でも中枢の役割を演じた左翼活動家の女性である。博士論文は「日本の謝罪テクニック」という題だったという。

いまの米国での慰安婦論議には日本を一定の政治鋳型の押し込もうとする、こんなぎらつく動きもあることを報告しておこう。

自民党の歴史教育議連、訪米中止

2007/04/19 The Sankei Shimbun WEB-site

 自民党の有志議員でつくる「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」(会長・中山成彬元文部科学相)は19日、慰安婦問題をめぐる米下院での対日非難決議の採択阻止に向け今月下旬から予定していた有志議員の派遣を、中止することを決めた。

 議会関係者への働きかけが採択阻止に逆効果になることが懸念されるうえ、シーファー駐日米大使が18日、決議が採択された場合でも「日米関係に大きな影響はない」と述べたことを考慮した。

中国女性ら敗訴確定へ・慰安婦訴訟、27日に最高裁判決

2007/04/19 NIKKEI NeT

 第2次大戦中に旧日本軍の慰安婦にされ性的暴行を受けたとして、中国人女性や遺族らが国に計4600万円の賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁第一小法廷(才口千晴裁判長)は判決を27日に言い渡すことを決めた。判決変更の際に通常開く弁論がないことから、女性らの請求を棄却した2審・東京高裁判決が確定する見通し。

 2審判決は、女性らが旧日本軍兵士に連行され、繰り返し性的暴行を受けたことは認めた。

慰安婦決議案「予期せぬ負の結果招く」 ナカノ氏反対

2007/04/16 The Sankei Shimbun WEB-site

 【ワシントン=古森義久】カリフォルニア州の日系米国人社会の有力指導者ジョージ・ナカノ前同州議会議員はこのほど産経新聞のインタビューに応じて米国下院に同州選出のマイク・ホンダ議員が提出した慰安婦問題での日本糾弾決議案への反対を表明した。

 1999年から2005年までカリフォルニア州議会議員を務めたナカノ氏は99年に同じ州議員だったマイク・ホンダ氏が同州議会に提出した日本糾弾決議案にも反対した経緯がある。同決議案は日本による米兵捕虜の虐待、南京での虐殺、慰安婦問題などをあげ、日本政府に謝罪と賠償を求めるという内容だった。当時、中国系反日団体の「世界抗日戦争史実維護連合会」と緊密に協力しあったホンダ氏に対し、ナカノ氏は公開の場で何度も反対論を述べ、日系社会の内紛ともなり、長老格のダニエル・イノウエ上院議員がナカノ氏の立場を支持する形で介入を図ったこともある。

 ナカノ氏は今回の連邦議会に出た慰安婦決議案について産経新聞との電話インタビューで「この種の問題で日本側は十分な謝罪を述べていないのかもしれないが、日系米国人が日本政府についてあれこれ抗議する、あるいは中国系米国人が中国政府に対してなにか述べる、という言動は予期せぬ負の結果を招きかねないので、反対だ」と述べた。

 ナカノ氏はその「予期せぬ負の結果」について「アジア系米国人がアジアの問題にばかりかかわっていると、一般から私たちアジア系は真の米国人ではなくアジア系の外国人と誤認されてしまう恐れがあることだ。ドイツ系米国人がドイツの問題を論じても、そうした誤認は起きない」と語り、米国社会でのアジア系米国人への微妙な認識を強調した。ナカノ氏はその種の誤認の実例として1999年に表面化した中国系米国人学者のロスアラモス研究所での核兵器機密スパイ疑惑をあげ、この学者が米国人なのにアジア系という理由で外国人のように扱われたことを指摘した。

 ナカノ氏はさらにホンダ慰安婦決議案への反対の理由として「日本の慰安婦は確かに非だろうが、いまの世界には他にも無数の非がある。たとえばチベットでの人権抑圧はどうなのか。そうした現状で過去の一事例だけを拡大して追及することは均衡を欠く」と述べた。

 ナカノ氏はまたホンダ氏が州議会議員当時から現在にいたるまで一貫して、慰安婦問題や南京事件など歴史上の案件で日本を糾弾している理由について「それはホンダ氏の選挙キャンペーンでの政治献金の問題だ」と述べ、中国系団体から集中的な政治献金を受けてきたことがホンダ氏の日本糾弾決議案提出の動因であることを示唆した。

 ナカノ氏はホンダ議員が世界抗日戦争史実維護連合会など中国系団体幹部から多額の政治献金を受けていることを知っていることを認め、「しかしこの日本非難決議案との関連ではこの献金の実態は米国内では一般にはまったく知らされていない」と語った。

■ジョージ・ナカノ 1935年、ロサンゼルス生まれ、幼児期に日系人収容所生活を4年近く体験した。1977年にカリフォルニア州立大学大学院修了後、高校の教員、校長を経て80年から94年までトランス市会議員、99年から2005年までカリフォルニア州議会議員(民主党)、各種の民主党系や日系の団体多数の指導者を務める。

〈日本軍「慰安婦」問題〉 「日本軍の慰安婦制度への関与は明らか」

2007.4.17 朝鮮新報

米国議会調査局(CRS)が報告書を配布

 米下院に提出された「慰安婦」問題決議案(H.Res.121)が注目されるなか、米国議会調査局(CRS)は日本軍「慰安婦」問題に関する報告書(Japanese Military's "Comfort Women" System)を議員らに配布した。同報告書は昨年9月に公開された報告書の内容を補強、修正したもの。日本国内で「1993年河野談話」を見直す動きがあることを指摘しながら、これまで明らかにされた研究、調査資料を挙げ、日本政府と日本軍の関与について明らかにしている。(取材班)

@日本軍の関与と「強制性」

 同報告書は「日本政府と軍が慰安婦制度を直接つくったことは明らか」と指摘。「慰安婦」の募集と輸送、「慰安所管理」といった「制度の運営におけるあらゆる段階で日本軍が関与していた」と指摘している。

 「慰安婦」の募集の強制性については、「(騙して連れて行くことも強制に含めるなら)ほとんどの慰安婦が強制的に(involuntarily)制度に組み込まれたことは、公になっている証拠から疑いの余地はない」「自発的だったというのはほとんどなかったようだ」と結論付けている。

 募集については、ほとんどは民間業者によってだまされたり、家族に圧力をかけられたりしたもので、なかには物理的に拉致されたと主張する人もいると指摘。安倍首相らの議論は、募集だけを強調することで「慰安婦」制度の他の要素に日本軍が深くかかわった事実を矮小化させていると指摘している。

 同報告書は証拠資料として、吉見義明氏の研究や田中由紀氏の著書「日本の慰安婦」、被害者の証言を聴取した米戦争情報局、米戦略諜報局の報告(44、45年)、南朝鮮外交通商部(当時、外務部)の報告(92年)、オランダ政府の報告(94年)、「河野談話」につながる日本政府による調査(92、93年)などを挙げている。

A日本のメディアが報じた新証拠、証言

 「慰安婦」問題での日本非難が続くなか、日本のメディアも日本軍の関与を示す新しい証拠や証言について報じている。

 関東学院大学の林博史教授(現代史)は、東京裁判の際にオランダ、フランス、中国など各国の検察団が提出した証拠資料(東京大学社会科学研究所図書館所蔵)のなかから、日本に侵略、支配されたアジア諸国の女性が日本軍に強制的に「慰安婦」にされたされたことを示す調書を探し出した(朝日新聞4月15日=17日にFCCJで会見発表)。

 また、第2次世界大戦当時、日本軍の731部隊で衛生兵として服務したという88歳の日本人男性は、731部隊による人体実験や生体解剖の事実を証言した。そのなかには子持ちの「慰安婦」も含まれていたという(読売新聞4月9日=8日、大阪、シンポで発表)。

 さらに、「行政側の強い圧力」を受け1943年にインドネシアで「慰安所」を開業後、オランダ軍による戦犯裁判で強制売春の有罪判決を受け、46年に現地で獄死した日本人男性について、日本の旧厚生省と靖国神社が69年に合祀を決めていたことが発覚している(東京新聞3月29日=28日、国会図書館公表の「新編 靖国神社問題資料集」に明記)。

B日本政府高官の歴史修正

 CRSによる同報告書は、日本における「河野談話」改定の動きとして、下村博文官房副長官が「新たな研究」の必要性を主張したこと、「読売新聞」が「慰安婦の強制連行を示す証拠はない」と主張したことを挙げ、「慰安婦」問題に否定的な自民党の中川昭一政調会長や麻生太郎外相らの発言について言及している。また、日本軍の関与と強制性を否定した安倍晋三首相の「慰安婦」問題に関する一連の見解や発言について列挙している。

 さらに同報告書は、自民党国会議員らによる「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」(会長、中山成彬元文科相)の設立や、歴史教科書問題にも言及し、日本での歴史修正主義的傾向に注意を喚起している。

 日本での「河野談話」改定の動きや政府首脳の「証拠否定発言」に関連して、「慰安婦」問題の立法解決を求める会の土屋公献会長(日本弁護士連合会元会長)は、10日に朝日新聞に掲載された寄稿のなかで、「狭義の強制性はなかった」「事実誤認」といった主張は「根拠は薄弱に見える」とし、「公文書に『強制』が見当たらないから強制の事実はなかったとする断定にも無理がある」と指摘している。

C歴史修正主義批判

 安倍、下村両氏は自民党の「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」の事務局長と事務局次長を過去に努めた間柄。「新しい歴史教科書をつくる会」と連携して慰安婦記述削除など歴史教科書修正論議を牽引した。麻生太郎外相は「創氏改名は朝鮮人が望んだ」との妄言で非難を浴び、中川昭一自民党政調会長はNHKの番組制作に介入したことが指摘されている。「歴史修正内閣」という批判も誤りではない。

 彼らのつながりは日本会議国会議員懇談会にまで遡ることができる。戦争美化、正当化をうたう「靖国史観」の発信元であり憲法改正、教育基本法改正を訴える右翼団体、日本会議については、「つくる会や救う会の母体だ」という指摘もある。

 朝鮮外務省スポークスマンは3日に発表した談話で「安倍政権が厳然たる歴史的事実をわい曲しているのは、何としてでも犯罪的な過去をよみがえらせようとするところにその目的がある」「歴史はわい曲するからといって変わるものではなく、犯罪は否定するからといってうやむやになるのではない」と非難した。

 南朝鮮の盧武鉉大統領は雑誌(「Global Asia」、東アジア財団発行)への寄稿で、「過去事に対する反省のない歴史のわい曲は、排他的民族主義と国粋主義をもたらす、国と地域を紛争の渦中においやることになる」としながら、「慰安婦」問題に対する日本の対応や日本政府高官による否定発言を批判。「米国をはじめ国際社会が非難するのは、日本の言行が人類の普遍的価値を否定し未来を暗くするものだからだ」と指摘した。

D決議案をめぐる動き

 安倍首相は3日、米国のブッシュ大統領と電話で話し、継続して河野談話を継承していく方針を伝え理解を求めた。安倍首相は26日に訪米し、ブッシュ大統領と首脳会談を行う予定。しかし、「河野談話」の修正を求めている「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」は、首脳会談後に訪米し、「軍による強制性はなかった」と訴え、米下院の「慰安婦」決議案に賛同しないよう米議員らに働きかける方針だ。

 一方、南朝鮮の与野党の議員47人は、国家としての謝罪と賠償を求める公開書簡を安倍首相に送った。3月30日付の同書簡は、「安倍首相や日本政府はあいまいな表現で旧日本軍による性奴隷動員の強制性を否定している」と指摘。日本が認めない場合、「慰安婦」の関連当事国による共同調査を行う可能性も示唆した。

 米国内では決議案採択に向けた運動が広がっている。「韓国挺身隊問題対策協議会」は、安倍首相の訪米に合わせ、日本政府の謝罪と補償を求める全面広告を米3大日刊紙に載せるため募金を呼びかけている。在米同胞団体や女性人権団体など48団体から成る委員会が募金活動を展開している。また、市民団体や在米同胞大学生らはインターネットなどを通じて決議案支持を幅広く呼びかけている。

 同決議案の採択時期について、代表提案者のマイク・ホンダ議員(民主党)や米下院外交委員会アジア太平洋・地球環境小委員会のエニ・ファレオマバエガ委員長(民主党)は、安倍首相訪米後の5月中に採決したいとの考えを示している。

E「アジア女性基金」について

 CRSによる同報告書は、「アジア女性基金」の設立などで日本政府が謝罪や賠償を行ってきたことについて解説。被害者や関係各国との間にある問題点などについて指摘した。

 同基金の理事は英BBCのインタビュー(4月10日)で、「(日本)政府が自らの責任を回避するためにアジア女性基金を利用している」との指摘が設立当初からあったと明らかにし、「(基金が)国家補償でなかったことは事実。日本政府が基金に多額のお金を投じたが、政府が十分に責任を果たしたという印象を与えることはできなかった」と述べた。同基金は3月いっぱいで解散した。

【緯度経度】ソウル・黒田勝弘 肩の力が抜けないものか

2007/04/14 The Sankei Shimbun WEB-site

 最近のソウル便りとしていくつかを紹介する。米議会で慰安婦問題に関する日本非難決議案が準備されているといって、韓国マスコミではまたぞろ反日報道がにぎやかだ。慰安婦問題で繰り返される日本非難を筆者(黒田)は「民族的快感」と書いたところ韓国内で非難が起き、脅迫のため支局は当局の保護を受け筆者もしばし“避難”となった。

 ネット世界では“産経新聞追放署名運動”などという呼びかけもあった。関心をもってもらうのはありがたいことだが、国際化とかグローバリゼーションをいうわりにはこういうところは以前とあまり変わりない。

 慰安婦問題ではソウルでも早速、支援団体が元慰安婦の老女とともに外信記者クラブで会見し日本批判を展開していた。ところが主催者側にカナダ在住中国人の歴史問題活動家という人物が座っていて、南京問題などで日本非難をぶちだしたため、韓国人サイドから「まあまあ、その話は別の機会に…」とたしなめられる場面があった。

 なるほど、慰安婦問題でなぜかカナダ議会でも日本非難決議案の動きがあると伝えられているが、あれもまた“チャイナ・コネクション”というわけか。

 ところで最近、韓国を戸惑わせているのが、石原慎太郎東京都知事の三選と温家宝中国首相の日本への“友好訪問”だ。いずれも韓国マスコミにはどこか失望感(?)が漂っていて興味深い。

 石原知事については落選期待に傾いた予測記事を素直に反省している新聞もあった。韓国マスコミの東京特派員たちは朝日新聞に頼り過ぎ?

 温家宝首相については、国会演説の過去部分をとらえ「日本よ行動で謝罪しろ」などと大見出しで報道している一部新聞のピントはずれはこれまた期待過剰の報道だが、韓国とは異なる中国側の一転しての対日友好姿勢は戸惑いに値するだろう。

 ところで学問的にはどういうのだろうか。本家あるいは中心より、分家ないし周辺の方がより純粋かつ意固地になるという現象のことだ。たとえばキリスト教世界では、本家の欧州より米国の方がより純粋になり(ピューリタンなど?)、民主主義でも米国の方が伝道者的に熱心だ。

 中国文明圏でも儒教は本家の中国より韓国(朝鮮)で発達し、韓国人の方が祖先崇拝や秩序意識などで中国人より儒教的になったといわれる。歴史的には、中国大陸で明(みん)が滅んだのにもかかわらず韓国はいつまでも明を正統国家としてあがめ、新国家の清(しん)を無視したことなどこれと関係あるかもしれない。

 韓国はこの間、中国の反日を横目に「アジアで孤立する日本」などといって反日気分を楽しんできた。いや中国以上に靖国・独島(竹島)・教科書・慰安婦といった盛りだくさんな“反日4点セット”を持ち出し、対日関係を硬化させてきた。よくいえば純粋かつ意固地そのものだ。

 ところが中国の方は小泉政権から安倍政権への変化を機敏にとらえ、友好姿勢で日本世論の取り込みに乗り出した。過去より現実・未来が重要だという実利外交への転換である。

 しかし韓国はこれができない。相変わらず慰安婦問題などという過去で反日を楽しんでいる。日本でのせっかくの韓流ブームも十分活かしきれず、底流に嫌韓を広げる結果になっている。

 盧武鉉政権は残る任期もわずかになったが、戦後生まれの初の新世代政権として、日本人の対韓感情を画期的に一変させるチャンスを逃したようだ。というのも、その気になれば“反日4点セット”などいくらでも棚上げできたからだ。

 独島?韓国が50年以上支配しているのだから騒ぐ必要はない。靖国?A級戦犯問題は日本と戦争していない韓国とは直接的には関係ない。教科書?日本にはたくさんの教科書があり扶桑社版は1%にも満たない。慰安婦?日本政府は何回も謝っており補償は韓国政府がちゃんとやっている…。

 そして歴史問題は歴史にまかせよう、友好協力を進めながらお互い理解を深め長期的に解決すればいいではないか、といえばよかったのである。

 盧武鉉大統領は最近、米国とのFTA(自由貿易協定)締結という大胆な決断が話題になっている。反米から親米へという感じだが、本人は「これは(反米か親米かなど)イデオロギーではなく暮らし(経済)の問題だ」と実利外交を強調している。

 これだと対日強硬外交は何らかの“実利”を狙ってのことということになるが、はて。それで日本から何か実利が出てくるとも思えない。むしろ印象的には周辺的な純粋・意固地に見える。

慰安婦決議案 報告書に「吉田証言」 米下院「根拠」は虚構

2007/04/13 The Sankei Shimbun WEB-site

 【ワシントン=古森義久】米国議会下院が慰安婦問題で日本を糾弾する決議案を審議する際に資料とした同議会調査局の報告書に「日本軍による女性の強制徴用」の有力根拠として「吉田清治証言」が明記されていたことが12日、判明した。同証言は「昭和18年、日本の軍隊が韓国の済州島で女性200人以上を慰安婦として強制連行した」という趣旨だが、その後、虚構だったことが立証されており、米国議会はこの虚構をもとに慰安婦決議案を審議してきたことにもなる。

 問題の報告書は今回、4月3日付で作成された報告書の前の版で、「日本軍の『慰安婦』」と題され、2006年4月10日付、11ページから成る。同報告書は慰安婦についてまず「徴用あるいは欺瞞(ぎまん)によってシステムに入れられた女性たち」と記して強制徴用を示唆した上で、初めの「慰安婦システムの説明」という部分で「強制」の根拠をあげている。その冒頭で同報告書は「早期の詳細の暴露は『私の戦争犯罪・朝鮮人強制連行』という本を1983年に書いた元日本軍憲兵の吉田清治氏によってなされた。吉田氏は同書で日本軍への性のサービスを提供する『慰安婦』として韓国内で合計1000人以上を強制徴用することに自ら加わったことを描写している」と明記している。

 つまりこの記述は吉田氏が日本軍の一員として自ら韓国人女性の強制徴用に参加したことを認めた貴重な証言として提示されているわけだ。

 吉田氏は同書の中で自分が済州島で日本軍兵士とともに地元の若い女性たち数百人を「慰安婦狩り」として無理やりに連行したという体験を述べていた。この「吉田証言」は朝日新聞などによっても大きく報道されたが、その後、歴史家の秦郁彦氏らの調査などで虚構だったことが立証された。

 しかし米国の議員用に法案や決議案の背景などを説明する資料を供する議会調査局では「吉田証言」を事実として扱い、慰安婦決議案の指針として議員たちに提供した。「吉田証言」はこの3日に作成された改訂版の慰安婦問題報告書では削除されているが、実際の決議案が1月末に提出され、2月15日にその審議のための公聴会が開催されるというプロセスでは議員たちはみなこの「吉田証言」を中心にすえた報告書を参考資料として使ってきたことになる。

慰安婦問題、イノウエ議員「終止符を」 決議案反対再び主張

2007/04/13 The Sankei Shimbun WEB-site

 【ロサンゼルス=松尾理也】米下院に提出された慰安婦問題の対日非難決議案について不採択を求める書簡を関係先に送っていた日系米国人のダニエル・イノウエ上院議員(ハワイ州選出、民主党)が今度はシアトルのワシントン大での講演で「日本の指導者はすでに数回にわたって謝罪している。外交の観点からは、こういった問題にはいつか終止符が打たれる必要がある」と述べていたことが分かった。

 講演は今月2日、行われた。同議員が、改めて決議案反対の姿勢を明確に打ち出したことは今後、採択の行方にも影響しそうだ。

 同議員は、米国によるハワイ併合をめぐって先住民に対する謝罪決議が米議会で採択された過去にも言及し、「今日、ハワイに独立や王制復活を望む人はほとんどいない」と、歴史問題にピリオドを打つ重要性を強調した。戦後一貫して日米関係を見つめてきた同議員は「日米関係はきれいに舗装されたハイウェイのようなものだと思ってはならない」と警告。良好な関係維持のためには両国がたゆまず努力して行くことが重要だと指摘した。

「組織的強制徴用なし」 慰安婦問題 米議会調査局が報告書

2007/04/12 The Sankei Shimbun WEB-site

 【ワシントン=古森義久】米国議会調査局は日本の慰安婦問題に関する決議案に関連して議員向けの調査報告書をこのほど作成した。同報告書は安倍晋三首相の一連の言明を「矛盾」と批判しながらも、焦点の「軍による女性の強制徴用」については軍や政府が全体としてそうした政策をとってはいなかったことを認める見解を明らかにした。同報告書はさらに決議案の日本側へのこれ以上の謝罪要求に懐疑を示し、賠償を求めれば、日本側から原爆の被害者への賠償請求が起きかねないという懸念をも表明した。

 議会調査局の専門家により3日付で作成された「日本軍の『慰安婦』システム」と題する同報告書は議員の審議用資料で23ページから成る。

 いわゆる慰安婦問題の主要争点とされる「日本軍による女性の強制徴用」について同報告書は「日本軍はおそらくほとんどの徴募を直接に実行はしなかっただろう。とくに朝鮮半島ではそうだった」と述べ、いま下院に提出されている慰安婦問題での日本糾弾の決議案が「日本軍による20万人女性の性の奴隷化」という表現で非難する日本軍による組織的、政策的な強制徴用はなかったという趣旨の見解を示した。

 しかし同報告書は安倍首相らの強制徴用否定の言明について(1)慰安婦システムの一部分である「徴募」だけの否定の強調は軍が大きな役割を果たした慰安所の設置や運営、慰安婦の輸送、管理などを矮小(わいしょう)化する(2)一部の言明は徴用にはいかなる軍の強制もなかったと受け取られ、日本政府自身の調査をも含む元慰安婦らの証言に矛盾する−と批判し、「強制性」の最大の論拠としては2002年に米英両国で出版された「日本の慰安婦」(田中ユキ著)という英文の書を挙げた。

 同報告書はその一方、日本政府が慰安婦問題に対して1990年代前半から「アジア女性基金」の設立などで謝罪や賠償の努力を重ねてきたことを詳述し、「同基金は元慰安婦たちに償い、助けるための日本政府の真実の努力だ」して、女性たちによるその基金からの賠償金の受け取りを韓国政府が事実上の脅しにより阻んだとして非難した。同報告書はとくに賠償について政府間ではすでに対日講和条約や日韓関係正常化で解決ずみとの見解を示し、もし諸外国が日本にいま公式の賠償を求めれば、「日本側は戦争中の東京大空襲の死者8万人や原爆投下の被害への賠償を求めてくる潜在性もある」とも指摘した。

 下院決議案は日本の首相や政府に改めて謝罪の表明を求めているが、同報告書は河野談話や歴代首相の「アジア女性基金」賠償受け取りの女性への謝罪の重要性を強調し、「それでも不十分だとする批判者たちはなぜ不十分なのか理由を明示していない」として、謝罪要求への懐疑を明確にした。同決議案はさらに米側の一部が「日本の国会での謝罪決議」を求めることに対しても、「そうした決議が成立する見通しはきわめて低い」として、この種の要求の非現実性を指摘する形となった。

慰安婦強制動員を裏付ける文書…ソウル大鄭教授チームが発見

2007.04.12 中央日報 クォン・クンヨン記者

日本軍が慰安婦を強制動員したことを裏付ける公式文件が見つかった。これまで被害者の証言はあったが、慰安婦動員の強制性と暴力性について書かれた資料は極めて少なかった。

ソウル大の鄭鎮星(チョン・ジンソン、社会学)教授チームは12日、「1946年7月5日、オランダ軍情報部隊が日本軍の慰安婦強制動員と慰安所運営について作成した文書を確保した」と明らかにした。

「日本海軍占領期にオランダ領東インド西ボルネオであった強制売春に関する報告書」と題した文書は、その間、オランダ政府記録物保存所に保管されてきた。

この報告書は「日本の特別海軍憲兵隊が路上の女性を連れて行き、強制的に身体検査をさせた後、慰安所に入れた」「慰安所は厳格に統制・隔離された」など、日本軍の蛮行が書かれている。

また「女性が慰安所を脱出したという理由で母親が殺害されたケースもあり、慰安所の女性は脱出も考えられなかった」「女性は特別許可を受けてこそ慰安所から外出することができた」などと明らかにした。慰安所の女性の国籍は書かれていない。

報告書は「1943年、日本海軍駐屯軍司令官はこの地域の日本人に対し、インドネシア・中国の女性と親しくするなという命令を下した。その代わりに公式的な慰安所を設置しろという命令も出された」と記述している。

報告書によると、慰安所は当時、海軍専用と民間用の2つが運営され、 民間用慰安所は日本軍司令官の指揮で日本人事業者協会が運営責任を預かった。 以外な点は「慰安所で支払われた代金の3分の2が女性に入った」という部分。 これに続いて「女性は時々、一部のお金を受け、個人的な用途に使った」と書かれている。

鄭教授は「慰安婦に代金が積み立てられていただけで、実質的には支払われていなかったことを裏付ける証拠」と指摘した。

報告書は日本人戦犯に対する尋問や関係者らの証言を基礎に作成された、と書かれている。

◇「安倍首相の妄言を覆す証拠」=鄭教授は「当時オランダ領だったインドネシアのバタビア(現ジャカルタ)で行われた戦犯裁判のために作成された資料と推定される」とし「昆明の報告書より具体的に当時の状況が書かれている公式文書が初めて見つかった」と説明した。

鄭教授は「安倍首相の『慰安婦を強制動員した証拠はない』という妄言を覆す証拠だ」と強調した。 04年公開された米戦略事務局(OSS)の報告書(45年5月作成)にも、当時中国南部の昆明で日本部隊を脱出し中国軍に投降した女性25人全員が‘強要と詐欺のため’性奴隷になったと明示されている。

これに先立ち、共同通信は11日、インドネシアで慰安所を運営した日本人が戦後オランダで行われた戦犯裁判で「軍部の指示によって民間慰安所を設置した」と証言した内容が見つかった、と報道した。

慰安所設置は軍の指示 オランダ戦犯裁判判決文に明記

2007/04/11 中国新聞ニュース

 【ベルリン11日共同】太平洋戦争中にインドネシアのバタビア(現ジャカルタ)で慰安所を運営、売春を強制したとしてオランダによる戦犯裁判で有罪判決を受けた日本人が判決の中で、占領地の軍政当局である軍政監部からの指示で民間人用の慰安所を設置したと事実認定されていたことが十一日までに明らかになった。当時の判決文に記されていた。

 安倍晋三首相が否定する強制連行など「狭義の強制性」を裏付けるものではないが、軍が慰安所設置に直接関与したことを示す新たな史料として注目される。

 国立国会図書館が三月に公開した靖国神社の資料によると、この日本人は民間人で服役中に死亡。靖国神社と厚生省(当時)は一九六七年、慰安所名や「婦女子強制売淫」の罪名を挙げた上で、戦死者と同様に合祀(ごうし)を決定していた。

 判決文を入手し、オランダや日本の専門家と分析したベルリン在住ジャーナリストの梶村太一郎氏らの調べによると、慰安所の経営者は長崎県出身の青地鷲雄氏。判決は「彼(青地)は一九四三年六月二日、軍政監部からホーニング通りに売春宿を開設せよとの指示を受けた。異議を申し立てたが、指示が二度出された後、それに従った」と認定している。

 青地氏は、日本が占領中の四三年に慰安所「桜〓楽部」を開いた。

 判決文などによると、愛人のオランダ人女性が「憲兵を呼ぶ」と脅し少女を含むオランダ人女性らに売春を強制。辞めようとすると官憲に逮捕、拘留された。

 青地氏は四六年十月にオランダ軍がBC級戦犯を裁いたバタビア臨時軍法会議で、強制売春の罪で禁固十年の判決を受けた。梶村氏は十三日発売の週刊誌「週刊金曜日」で詳細を公表する。

 ※お断り 「〓」は、「倶」の旧字体ですが、JISコードにないため表示できません。

「慰安婦募集から運営まで日本政府がすべて介入」米議会報告書

2007.04.10 中央日報

安倍晋三日本首相の慰安婦強制動員証拠不足発言に正面から対抗する米議会調査局(CRS) 報告書が最近発刊され、下院の慰安婦決議案上程を前に米議員たちに配布された事実が9日、確認された。

CRSは報告書を通じて、日本政府と日本軍の慰安婦強制動員に介入した証拠はあり、日本軍が慰安婦女性募集から慰安所運営まですべての段階に介入したと指摘した。CRSは米軍がミャンマーでつかんだ20人の韓国人出身慰安婦の証言とホルスアンダーウッド博士が米政府に報告した日本軍の韓国人慰安婦強制動員記録、オランダ政府文書記録保管所に保管された日本軍慰安婦強制動員資料などを証拠として提示した。

本報告書では昨年4月10日に出された1930〜40年代に日本軍によって行われた慰安婦動員実態に関する報告書を大幅に補強したものだ。昨年の報告書は日本軍慰安婦問題について客観的な事実を盛り込むにとどまったが、今回の報告書は日本政府と日本軍の過ちを具体的に指摘しているのが特徴だ。

【主張】慰安婦問題 誤解解く努力を粘り強く

2007/04/08 IZA

 慰安婦問題で日本政府に謝罪を求める決議案が5月中に米下院で採決される見通しだ。日本側はなお、あきらめず、この問題をめぐる誤解を解くための粘り強い努力を続けるべきである。

 決議案は「日本軍は第二次大戦中に若い女性たちを強制的に性奴隷にした」としている。慰安婦だった人たちには心から同情する。しかし、日本軍が慰安所の性病検査などに関与したことはあっても、直接、奴隷狩りのような強制連行を行った事実はない。これが最大の事実誤認である。

 米下院のアジア太平洋小委員長は北京での会見で、採決見通しを示すとともに「日本の指導者の間には(慰安婦の)存在を否定する気持ちがある」と強く批判した。これも誤解だ。慰安婦の存在まで否定はしていない。

 日本政府はこれまで、首相補佐官を米国に派遣したり、駐米大使がこの下院小委員長に書簡を送るなどの行動を取っているが、さらに強力なメッセージが必要ではないか。

 米国のメディアには、北朝鮮による日本人拉致事件と慰安婦問題を同列に扱い、「(日本政府は)戦争犯罪に目をつぶっている」(ワシントン・ポスト)と批判する論調もある。北もよく似た主張をしている。しかし、安倍晋三首相が反論したように、拉致事件は現在進行形の人権侵害であり、慰安婦問題とは全く別の問題である。

 決議案の根拠の一つとなった慰安婦問題に関する河野洋平官房長官談話(平成5年)についても、再調査がますます必要になっている。河野談話は慰安婦の募集について「官憲等が直接これに加担したこともあった」などと日本の軍や警察による強制連行を事実として認めた内容だが、その証拠は日本政府が集めた公式文書になく、韓国の元慰安婦の話だけが根拠だ。

 自民党の「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」は河野談話の根拠になった資料を再調査するとともに、決議案に賛成しないよう米議員に働きかける方針だ。民主党の有志議員も「慰安婦問題と南京事件の真実を検証する会」を発足させた。

 根拠の不確かな河野談話について、まず、与野党で学識経験者を交えた徹底検証を行い、見直すべき方向を政府に指し示してほしい。

慰安婦問題で首相「誤解のないよう米に真意伝えた」

2007年04月04日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 安倍首相は4日昼、ブッシュ米大統領との間で3日夜に行った電話会談で、いわゆる従軍慰安婦問題について河野洋平官房長官談話を継承する立場を伝えたことについて、「私の発言が正しく報道されていない。今月下旬に訪米するので、誤解があってはならないので念のために真意を伝えた」と説明した。

 これに関連して塩崎官房長官は4日午前の記者会見で、首相訪米時に行われる日米首脳会談では、慰安婦問題は議題にはならないとの見通しを示唆した。塩崎長官は「大統領は首相の真意について十分理解されたのではないか。大統領は首相を信じているし、日本国民を信じていると述べた。(議題となるかどうかは)推して量るべしだ」と述べた。

 一方、塩崎長官は、首相が26〜27日に米国を訪問し、その後、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、クウェート、カタール、エジプトの中東5か国を訪問することを正式に発表した。

安倍首相に謝罪要求、国会議員47人が公開書簡

2007/04/03 YonHapNews

【ソウル3日聯合】国会議員47人が、日本の安倍晋三首相が第2次世界大戦当時の日帝による慰安婦強制動員を否定したことに対し、公開書簡を送付し謝罪を要求した。開かれたウリ党の蔡秀燦(チェ・スチャン)議員が3日に国会で記者会見を行い明らかにした。安倍晋三首相首相が日本軍の慰安婦強勢を明確に認めなければ関連当事国で共同調査団を構成するとし、日本は国の名をかけて慰安婦に謝罪し賠償しなければならないと要求したという。公開書簡にはウリ党のほかハンナラ党、民主党、統合新党の集まり、民生政治の集まりに所属する議員47人が署名した。

慰安婦問題 米紙、吉見教授の見解掲載 保守派の反発強調

2007/04/01 The Sankei Shimbun WEB-site

 3月31日付の米紙ニューヨーク・タイムズは東京発で、従軍慰安婦に対する旧日本軍の関与を指摘してきた吉見義明・中央大教授(日本現代史)のインタビューを伝え、安倍晋三首相を筆頭とする保守派が教授の見解の否定に躍起になってきたとする記事を、国際面の1ページを使って掲載した。

 記事は、吉見教授が1992年、防衛庁(当時)保管の従軍慰安婦に関する「決定的」資料を発掘し、それが93年の河野洋平官房長官談話につながったと紹介。従軍慰安婦は「旧日本軍が主導的に創設、維持、拡大したシステムで、結果として(女性の)人権を侵害した」との教授の見解を伝えた。

 その上で、従軍慰安婦問題は、資料発掘によって論争に終止符が打たれるとみられたのに、安倍氏に先導された若い民族主義者の政治家らが反発、河野談話の撤回に向けたロビー活動を行ったと報じた。(共同)

米有力紙が連日の日本批判 慰安婦、教科書、捕鯨…

2007/04/01 The Sankei Shimbun WEB-site

 【ニューヨーク1日共同】米有力紙ニューヨーク・タイムズは三月三十一日と四月一日付の紙面で、従軍慰安婦や教科書、捕鯨の問題をめぐり日本の姿勢を批判する記事を相次いで掲載した。安倍晋三首相の訪米を前に、同紙の論調は厳しい内容が目立つ。

 三十一日付では、従軍慰安婦への旧日本軍の関与を指摘してきた吉見義明・中央大教授(日本現代史)のインタビューを伝え、安倍首相ら保守派が教授の見解の否定に躍起になってきたとする記事を、国際面の一ページを使って掲載した。

 一日付の紙面は、日本の高校教科書の検定結果を報道。文部科学省が、太平洋戦争末期の沖縄戦の集団自決をめぐる記述から日本軍の強制に関する部分を削除させたと伝え、日本が歴史修正を推し進めていることの表れだと指摘した。

 また同日付の社説は捕鯨問題を取り上げ、世界の大部分がクジラ絶滅の危機を認めているのに、日本は「この素晴らしい哺乳類」の虐殺を擁護していると批判した。

 慰安婦と教科書問題は、同紙の東京駐在記者が執筆、捕鯨の社説もこの記者の記事を基にしている。

「慰安婦問題」カナダ下院小委が動議採択

2007年3月31日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 カナダ下院外交・国際開発委員会の国際人権小委員会は27日、旧日本軍のいわゆる従軍慰安婦問題で、日本の国会の公式謝罪決議や補償の実施を安倍首相や国会に促すよう、マッケイ外相に要求する動議を採択した。

 外交・国際開発委が、動議を正式に外相に伝達するかどうかを検討する。動議に法的拘束力はない。(ニューヨーク支局)

【緯度経度】対米不信招く慰安婦問題

2007/03/31 The Sankei Shimbun WEB-site

 「慰安婦」問題が日米両国間でなお波紋を広げている。現在の日本の政府や国民が60余年前の出来事を理由に突然、被告とされ、米国の議員やマスコミの一部が検事と裁判官とを兼ねて、断罪する。だがその罪状がはっきりしない。慰安婦という存在よりも、慰安婦について米側が求めるのとは異なる見地からいま語ることを悪とする言語裁判のようなのだ。その背後で日本側では日米同盟を最も強く支持してきた層の対米不信が広がりそうである。

 いま慰安婦問題が論議を招くことのそもそもの原因は日本側にはまったくない。慰安婦について日本側で最近、新たになにかがなされ、語られたということはない。ひとえに米国議会下院に1月末、慰安婦問題で日本を糾弾する決議案が民主党マイク・ホンダ議員らによって出され、2月15日にその決議案を審議する公聴会が開かれたことが発端だった。

 同決議案は「若い女性を日本帝国軍隊が強制的に性的奴隷化した」と明記して、日本軍が組織的、政策的に女性を強制徴用していたと断じ、日本政府がその「歴史的な責任を公式に認め、謝罪すべき」だと求めていた。

 この時点では米国のマスコミも識者、研究者もこの決議案も慰安婦問題も論じたり、報じたりすることはなかった。ところが3月1日、安倍晋三首相が東京で記者団に同決議案にどう対応するのかと質問され、一定の発言をしたことから米側での反響がどっと広がった。安倍首相は軍による組織的な女性の強制徴用の証拠はないことを強調し、その点で河野談話には欠陥があることを指摘しただけだった。

 だがこの安倍発言は「安倍は戦争セックスに関する日本の記録を排除する」(ニューヨーク・タイムズ)として安倍首相が軍の関与をもすべて否定したかのように米側では報じられた。米側ではここから慰安婦問題はすっかり「安倍たたき」の形をとって、輪を広げた。このプロセスでは肝心の慰安婦決議案に対しての米側のマスコミや識者たちの態度は支離滅裂であることを印象づけた。

 米国の安倍たたき勢力は慰安婦問題に関しては河野談話を絶対に撤回や修正してはならないと主張する。シーファー駐日米国大使にいたっては、「河野談話を修正すれば、破壊的な結果が起きる」とまで語った。河野談話の価値を認めたわけである。そうであれば論理的には河野談話が保持される限り、慰安婦問題はOK、慰安婦決議は不要ということになる。だが現実は異なる。

 そもそも米側は日本に一体、どうせよというのだろうか。一方で河野談話を絶対に保持せよ、と求める。だが他方では決議案を読めば、河野談話が保たれても、安倍首相も同談話についてなにも述べなくても、日本の対応はなお不十分ということになる。

 いまの米側からの日本糾弾はそもそも事実を究明しての批判なのか、それとも単に道義上の説教なのか、区別できない。日本側の最大唯一の主張は、日本の政府や軍隊が政策として組織的に各国女性を強制徴用して、これまた一貫とした方針として将兵へのセックス奉仕を無理やりさせていたという証拠はどこにもない、ということだろう。

 この点の論争には事実の提示が欠かせない。だが米側は具体的論拠となると、「歴史家たちは女性20万人もが拘束され、日本軍将兵がその拘束に参加した、と述べている」(ワシントン・ポスト)という範囲の記述で終わってしまう。そしてそんな細かな点で争うよりも、全体の悪を認めよ、と、急に事実関係を論議の枠外に押し出して、道義の議論に転じてしまうのだ。自分たちは過去も現在も一点の非もないかのごとく、高い道義や倫理の頂上に仁王立ちとなり、はるか下方の日本を見下して、講釈をする、というふうになる。

 そもそも一主権国家が他の主権国家がからむ60余年前の一行動をとりあげ、いま目前で展開される自国や他国の不祥事や悲劇をすべて無視して、その国家を責め続けるというのは異常である。ましてその2つの国家が同盟国同士であれば、ますます奇異となる。とくに日本側では対米同盟の堅固な支持層というのは、自国の国益や国家意識、さらには民主主義、人道主義という普遍的な価値観を強く信奉してきた国民層だといえよう。

 米国が慰安婦問題で日本側をたたけばたたくほど、まさにこの層が最も屈辱や怒りを感じ、同盟相手の米国への不信を強くするのだ、ということは米側に向かっても強調したい。(ワシントン 古森義久)

慰安婦:中曽根元首相、強制動員を否認

2007/03/24 NEWSIS/朝鮮日報JNS

 中曽根康弘元首相が「日本軍の慰安所設置は個人的にあずかり知らぬこと」と主張した。

 1978年に回顧録を出版し、第2次大戦参戦当時、自らの部隊に慰安所を設置したことを暗示する発言を行っていた中曽根元首相は、23日に記者会見を開き、「日本軍による慰安婦の強制動員事件について、個人的に知っていることは何もない。新聞で読んだことがすべて」と語った。

 しかし、中曽根元首相は『終わりなき海軍―若い世代へ伝えたい残したい』という回顧録を通じ、第2次世界大戦参戦当時、自らが所属していた海軍部隊の軍人3000人のうち、フィリピンやボルネオでバクチにふける者や、現地の女性を襲う者を統制するため慰安所を開設、慰安所を設置する際に大変な苦労を感じたと告白し、慰安所設置と慰安婦の強制動員を示唆していた。

 ところが、中曽根元首相はこの日、「慰安所は(慰安婦を動員し、軍人らの性欲を解決する目的ではなく)軍人らが碁を打つなど、休憩所の目的で設置した」と述べ、慰安所や慰安婦に対する自らの発言を翻した。

 また、中曽根元首相のスポークスマンは97年、AP通信とのインタビューを通じ、「慰安所は地域の民間業者らによって運営されており、慰安婦は強制動員されたのではなく、志願者を対象に募集されていた」と主張している。

 一方、フィリピンの日本軍慰安婦被害者らは、90年代初めに中曽根元首相の回顧録を根拠として、「回顧録が慰安婦の強制動員が事実であることを証明している」と主張し、日本政府に賠償を要求した。これを受け、日本政府は95年に慰安婦被害女性らを対象とした民間寄金を設立したが、政府レベルでの賠償には応じていない。

慰安婦決議案 反日中国系団体の主張に酷似

2007/03/23 The Sankei Shimbun WEB-site

 【ワシントン=古森義久】米国下院に提出された「慰安婦」問題で日本を糾弾する決議案の内容が在米中国系反日団体の年来の「要求」と文言や構成で酷似していることが明らかとなった。この類似は同決議案の提案議員とこの反日団体との特殊な結びつきを改めて明示しているようだ。

 下院に民主党のマイク・ホンダ議員らによって1月末、提案された「慰安婦」に関する決議案は(1)日本政府は1930年代から第二次大戦時の占領と植民地支配の間に、日本帝国の軍隊が若い女性たちを強制的に「慰安婦」として世界に知られる性的奴隷にしたことを公式に認め、謝り、明白な方法で歴史上の責任を受け入れるべきだ(2)日本政府はこの公式謝罪を首相が公式な資格で出す公的声明とすべきだ(3)日本政府は日本帝国軍隊のための性的奴隷化と慰安婦の人身売買が実際には起きていないとする主張を明確かつ公的に否定すべきだ(4)日本政府は慰安婦に関する国際社会の勧告に従うとともに、現在と将来の世代にこの恐るべき犯罪について教えるべきだ−と要求している。

 ところが米国議会筋によると、この内容はカリフォルニア州に本拠をおき日本を絶えず攻撃する中国系団体「世界抗日戦争史実維護連合会」(以下、抗日連合会と略)が活動に関して掲げる「使命」や「要求」の文言などにそっくりだという。

 抗日連合会が公式に掲げる「われわれの要求」をみると、確かに、同団体の「使命」として最大なのは日本側に慰安婦強制徴用を含むすべての戦争犯罪に関し「公式かつ明白な謝罪を表明させ、認知させること」だとしており、とくに謝罪や責任の認知に関して「unequivocal」(明白な)という共通の形容詞の使用が目立つ。

 「要求」はさらに日本側の「公式で明白な謝罪」と「戦争犯罪の否定の違法化」「日本の侵略や戦争犯罪のあらゆるレベルの学校での教育の徹底」などを主要点としている。同議会筋の指摘では、これらの主要諸点は(1)強制徴用の公式な認知と明白な公式謝罪(2)軍による慰安婦の性的奴隷化を否定する言論の禁止(3)慰安婦についての今後の国内での学校教育−という決議案の主要諸点とぴたりと合致しており、「要求」と決議案は構成面でも一致している。

 94年に発足した抗日連合会は中国当局とも密接なきずなを保ち、在米幹部の中国系米国人たちはホンダ議員にいっせいに政治献金をしてきた経緯もある。幹部の一人はこの種の日本糾弾の決議案は同議員とともに作成してきたことを認めている。

(2007/03/23

慰安婦決議案、下院委員会採決は「5月に」

2007/03/23 The Sankei Shimbun WEB-site

 【ワシントン=山本秀也】慰安婦問題をめぐる米下院の対日非難決議案で、提案者のマイク・ホンダ議員(民主党)は22日、産経新聞などに対し、下院外交委員会(ラントス委員長)での決議案採決が「5月ごろになる」と語った。決議案は当初、今月中に外交委で採決され、通過の場合は下院本会議に送られる予定だった。

 審議の先送りについて、ホンダ氏は現在決議案を審議中の小委員会でなお時間を要することなどを指摘。同氏の判断通りなら、4月下旬に予定される安倍晋三首相の訪米前後の決議案採択は回避される一方、首相訪米が在米韓国系団体などの示威活動に遭遇する可能性は、委員会採決を控えて強まる可能性が否定できない。

 ホンダ氏と肩を並べる決議案の共同提案者は、当初の6議員から22日現在、49議員に増加した。決議案採択を求める反日組織「慰安婦問題ワシントン連合」の徐玉子(ソ・オクチャ)会長は同日、「100人の共同提案議員を集める」として、下院内で議員事務所への陳情や組織メンバーによるビラの配布などを行った。

 配布されたビラは、慰安婦問題で安倍首相を非難したニューヨーク・タイムズ紙の社説(今月6日付)を全文転載。この社説は、駐ニューヨーク総領事館が反論投稿を見送ったもので、日本政府の反論が米国内の読者に反映されないまま、同紙の対日非難が一人歩きするかたちとなった。

 徐会長らの陳情について、ホンダ氏は「すばらしい努力だ」と評価した。駐米大使館などを通じた日本政府の米側への反論や説得には、「メンツを保つのに精いっぱいなのだろう」と揶揄(やゆ)した。

【安倍政権6カ月 孤独と苦悩の日々】米決議案との狭間で

2007/03/22 The Sankei Shimbun WEB-site

河野談話 強制性は党が再調査、政府は必要に応じて協力

 3月8日夕刻。首相、安倍晋三の思想信条に共感し、かねて支え続けてきた自民党若手・中堅議員らに激震が走った。

 安倍が慰安婦募集における官憲の関与を認めた平成5年の官房長官、河野洋平の談話(河野談話)について、記者団に「われわれは談話を基本的に継承していく立場だ。強制性については党が再調査するので政府は資料の提供など必要に応じて協力していく」と明言したからだ。

 この2時間前、自民党有志の議員連盟「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」(歴史教育議連)の会長、中山成彬らが首相官邸に安倍を訪ね、談話の根拠となる資料の政府による再調査を求めた。政府が再調査に踏み切れば、軍・官憲による強制連行を示す資料が存在しないことが改めて確認されることは確実とされており、談話見直しは必然とみられていた。

 その際、安倍は中山らをねぎらい、再調査に前向きな意向を示した。ところが、政府ではなく「党で再調査」という中途半端な方針変更に議連メンバーは困惑した。政府は談話見直し論議の最前線から一歩身を引くという意味でもある。「ハシゴをはずされた」「誰が首相をそそのかしたのか」と憤りの声も上がった。

対立回避へ

 歴史教育議連は、慰安婦に関する記述がすべての中学歴史教科書に掲載されるようになったことを受けて、安倍や政調会長の中川昭一らが9年、「自虐史観」の見直しを掲げて発足させた。談話見直しは安倍のレゾン・デートル(存在理由)と言っても過言ではないほどのテーマなのだ。

 にもかかわらず、安倍は昨年10月3日の衆院本会議で河野談話踏襲を明言。同月5日の衆院予算委の答弁で、軍の直接関与を示す「狭義の強制性」を否定したとはいえ、大きな政治的妥協だった。当時の政治状況で談話見直しに踏み込めば、元自民党幹事長の加藤紘一ら反安倍派や野党の格好の餌食になったことは間違いないが、安倍には忸怩(じくじ)たる思いが残った。

 それなのに、なぜ安倍は政府による再調査を思いとどまったのか。

 そのもっとも大きな理由は、米下院の対日非難決議案の動向だった。

 慰安婦問題を「20世紀最大の人身売買」と断罪するこの決議案はもともと米国でも大して注目されていなかった。

 ところが、決議案に対する日本国内での反発に乗じる形で米メディアに火が付いた。ニューヨーク・タイムズは3月6日付の社説で「安倍晋三は『日本軍の性的奴隷』のどの部分に理解や謝罪ができないというのか」と激しく批判、他の有力紙も相次いで安倍の非難記事を大きく掲載した。

 3月8日の時点では、安倍にも複数の外交ルートから「決議案可決は不可避」との見方が伝えられていた。ここで政府による再調査を表明すれば火に油をそそぎかねないというのが安倍のやむをえない最終判断だった。

 4月中旬の中国の首相、温家宝の来日、下旬には自らの訪米を控えていたことも足かせとなった。だが、それ以上に安倍が恐れたのは、日本の保守勢力に潜在する反米感情に火が付くことだった。

 決議案が可決されれば、日本の保守論陣から連合国軍総司令部(GHQ)占領下での米軍による婦女暴行事件を糾弾する声が上がることは必至だ。東京大空襲や広島・長崎への原爆投下の人道上の罪を問う声も上がるだろう。そうなれば、米共和党も黙っていまい。日米保守勢力の対立をほくそ笑むのは、誰であり、どこの国なのか−。

 安倍は9日昼、首相官邸に自民党衆院2回生議員を招き、昼食会を開いた。提言をまとめた中山泰秀はこぼした。「みんな残念がっていますよ」。安倍は厳しい表情で「中川昭一さんとよく相談してほしい。私からも言っておく」とだけ語った。

反論できず

 対日非難決議案は過去5回提出されているが、いずれも廃案になっている。しかし、「今回は少し動きが違う」と、いち早く察知したのは首相補佐官(教育担当)の山谷えり子だった。

 山谷は昨年9月の補佐官就任直後、官房長官の塩崎恭久に「このまま放置したら大変なことになる」と進言したが、塩崎の動きは鈍かった。安倍が事態の深刻さに気付き、外務事務次官の谷内正太郎らに「事実関係に基づかない対日批判に対しては、一つ一つ徹底的に反論するように」と指示したのは昨年12月だった。

 だが2月15日には米下院の小委員会が元慰安婦女性の公聴会に踏み切った。業を煮やした安倍は首相補佐官(広報担当)の世耕弘成を同月19日、米国に派遣した。

 「決議案の裏には中国ロビイストがいる。狙いは日米の離反だ」

 世耕は応対に出た米国務省の課長級職員に懸命に訴えた。世耕の勢いに押されて職員が呼びに行ったのは国務次官補のヒルだった。

 「そういう背景があるとは知らなかった」

 ヒルはそう話して頭を抱えるポーズをとった。しかし、人権に関するテーマだけに米国内保守派も日本を援護しにくい。時すでに遅しだった。

 駐米大使の加藤良三は米議会に「日本政府は慰安婦問題に関し、責任を明確に認め、政府最高レベルで正式なおわびを表明した」と声明を出したが、大使館員が米政府や米国議会に詳しい事情説明や反論を試みた形跡はない。理由は河野談話だった。「政府が談話を継承する限り、反論しようがない」(政府高官)。談話は決議案の根拠となっているだけでなく、日本政府が反論できない理由にもなっていた。

自戒の念?

 談話の主、河野洋平が衆院議長を務めていることも政府が見直しに踏み切れない要因となっている。3月3日の19年度予算案の衆院採決直前には「これ以上見直しの動きが加速すると、河野は衆院本会議開会のベルを鳴らさないのではないか」との情報が駆けめぐった。河野は15日には国会内で記者団に「談話は信念をもって発表した。あの通り受け止めてほしい」と述べ、談話見直しの動きに不快感をあらわにした。政府・自民党内にも「なぜわざわざ波風を立てるのか」と見直しに否定的な声は強い。

 厳しい状況が続く中、安倍は18日、神奈川県横須賀市の防衛大学校卒業式に臨んだ。訓示で、元英国首相のチャーチルの回顧録の一節「慎重と自制を説く忠言がいかに致命的危険の主因となりえるか。安全と平穏の生活を求めて採用された中道はいかに災害の中心へ結びつくかをわれわれは知るだろう」を引用した。

 その上で、安倍は「『危機』に臨んでは右と左を足して2で割るような結論は、状況に真に適合したものにはならない。情勢を的確に分析し、自らの信じるところに従って的確な決断をすることが必要だ」と話した。自戒の念を込めたとみるべきだろう。=敬称略(石橋文登)

慰安婦は「強制的に売春」 駐日米大使

2007/03/17 The Sankei Shimbun WEB-site

 米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)によると、シーファー駐日米大使は16日、一部記者団に対し、太平洋戦争中の慰安婦について「強制的に売春をさせられたのだと思う。つまり、旧日本軍に強姦(ごうかん)されたということだ」と語った。

 大使は、二月に米下院外交委員会の公聴会で証言した元慰安婦を「信じる」と述べ、慰安婦が強制的に売春させられたのは「自明の理だ」と語った。また、慰安婦問題への旧日本軍の関与を認め謝罪した平成5年の「河野洋平官房長官談話」を日本政府が見直すことのないよう期待を示した。

 安倍晋三首相は4月下旬に訪米予定。ロイター通信によると、同大使は、慰安婦問題で首相訪米が「台無しにならないよう望んでいる」と述べ、影響を懸念した。(共同)

日本の慰安婦問題は歴史的事実、政府当局者が指摘

2007/03/17 YonhapNews

【ソウル17日聯合】政府当局者は17日、日本政府が軍が慰安婦強制動員を行ったとする資料はないとの立場を正式に示したことに対し、「いくら否定しても歴史の真実を隠すことはできない」と指摘した。

 この当局者は、日本政府は過去の過ちを回避したり取り繕おうとせず、歴史的事実をありのままに受け入れ、心からの反省と謝罪をすることを恐れてはならないと強調した。慰安婦問題は基本的に人権の普遍的価値と、人間の尊厳性を棄損する行為だと指摘した。

 日本政府は16日の閣議で、1993年の「河野洋平官房長官談話」に関連し、政府が発見した資料の中に、軍や官憲による強制連行を示す記述はなかったとする答弁書を決定した。

慰安婦問題、強制連行の証拠なし 政府

2007/03/16 The Sankei Shimbun WEB-site

 政府は16日の閣議で、慰安婦問題で謝罪と反省を表明した平成5年の河野洋平官房長官談話に関し、「政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示す記述は見当たらなかった」とする答弁書を決定した。

 また、河野談話について「閣議決定はされていないが、歴代の内閣が継承している」としたうえで、今後も「閣議決定することは考えていない」と強調した。社民党の辻元清美衆院議員の質問主意書に答えた。

第44回 なぜ今? 慰安婦問題が浮上する米国を読み解く

2007年03月16日 BPnet SAFTY JAPAN

国際問題評論家 古森 義久氏

 米国議会の下院に出された、日本のいわゆる「従軍慰安婦」問題に関する決議案が話題の輪を広げている。決議案は拘束力こそないとはいえ、日本政府に明確な謝罪をすることを求めている。戦争が終わって既に60余年、今になってなぜ「慰安婦」が問題にされるのか。戦争に関して戦争行為そのものでさえも、軍事裁判や講和条約でその責任や賠償にはとっくにピリオドが打たれたはずなのに、今ここでなぜ戦時の売春というテーマがこれほど広い関心を集めるのか。

 「今、なぜ?」という点をはじめとして、この慰安婦非難決議案のいくつかの側面に光を当ててみよう。軍隊とセックスという課題自体がそもそも語りにくい性格ではあるが、いまやこの問題が日本と米国の関係全体にまで屈折した悪影響を広げかねない状態となった以上、その実態をつかんでおくことが必要だといえよう。

 まず第一には、なぜ今、慰安婦問題がこれほどの話題となるのか。簡単に言えば、その理由は米国議会の下院にこの1月末、「慰安婦の人権擁護」と題する不拘束の決議案が出され、これまでと違って、その決議案が下院本会議でも採択されてしまう見通しが現実的となったことである。

 提案の主役はカリフォルニア州第15区選出の下院議員マイク・ホンダ氏である。ホンダ議員は民主党の超リベラルで、日系3世とはいえ、後述するように中国系勢力とのきずなが太く、連邦議会では、第二次大戦での日本の戦争行動がらみの案件で日本を糾弾する動きを一貫してとってきた。

 2000年11月の下院議員選挙で初当選し、2001年1月から実際に議員となったホンダ氏は、実はこの慰安婦問題だけでも、これまで3回も決議案を出し、今回は4回目なのだ。2001年、03年、06年と、米国議会は2年が1会期だから、まさに毎会期、慰安婦問題で日本を糾弾してきたことになる。しかも昨年はその決議案は下院国際関係委員会(現在の外交委員会)で表決までされて採択された。ただしその後は本会議にかけられることなく廃案となった。それ以前の01年と03年の決議案は委員会で審議されることなく終わっている。

 それと同趣旨の決議案が今年またホンダ議員らによって出されたわけだ。だから本来なら、これまでと同じパターンの繰り返しとして、とくに騒がれることもないはずなのである。ところが今回は状況が異なっていた。外交委員会で早々と審議され、そのための公聴会が2月15日に開かれた。委員会での採決だけでなく、本会議でも審議と採択が予想されている。それはなぜか。

ホンダ氏と中国系団体とのつながり

 簡単に言えば、民主党が今会期の議会では多数を制し、しかも下院ではホンダ議員とも共通点の多い超リベラル、人権派のナンシー・ペロシ議員が議長となったからである。外交委員会では同じ超リベラルのトム・ラントス議員が議長となった。ラントス氏はナチスのユダヤ人強制収容所に入れられた体験を持つ人権派議員である。

 共和党側は議員の多くもブッシュ政権も、慰安婦問題のような過去の案件を理由に現在の日本政府を批判することには反対、あるいは無関心だから、これまでのホンダ議員の試みは成功しなかった。だがいまや同議員にとって、慰安婦決議案を採択させるのに、かつてない好機が訪れたわけである。

 第二には、なぜホンダ議員がこれほどの熱意を長い年月、持続して、この慰安婦問題を追及するのか。

 この疑問を追っていくと、中国の強大な影にどうしてもぶつかる。

 ホンダ氏自身が人権問題に特別の関心を抱き、弱いもの、虐げられたものへの同情を強く示す政治家だとはいえよう。氏自身の正義や公正への信念も強いのだろう。だが同時にマイク・ホンダという人物は中国政府ともきずなの強い在米中国系の組織と密接なつながりを保ってきた。しかもこの組織は第二次大戦での「侵略」や「残虐」を理由に恒常的に日本を非難することを目的とする団体なのである。だから反日団体と呼んでも間違いはない。ホンダ議員はその中国系反日団体との結びつきが長年、強いのだ。

 慰安婦問題での日本糾弾というと、日本側では中国よりも韓国の役割が大きいという印象が強い。だがホンダ議員の場合は中国系からの支援が絶大なのである。同議員への政治献金をみると、その構図が明確となる。

 米国の連邦選挙委員会の記録や民間の政治資金研究機関「有責政治センター」の発表を基礎にホンダ議員が受け取った政治献金の軌跡をみると、次のような事実が浮かび上がる。

 ホンダ氏が2006年の下院議員選挙のために受け取った個人からの政治献金全体の約37万ドル、計449人分のうち、中国系からだけで約11万ドル、94人だった。中国系の全体に対する比率は金額で30%、人数で21%となる。同氏の選挙区はアジア系住民が全体の29%だが、中国系は9%に過ぎず、中国系住民からの献金の額は異様に大きいといえる。ちなみに韓国系からの献金は総額7000ドル、計10人という少なさだった。

 ホンダ氏に献金した中国系人物のなかには在米の中国系反日団体の幹部が多い。2006年だけでも世界規模の反日組織「世界抗日戦争史実維護連合会」会長のアイビー・リー氏、「アジア太平洋第二次大戦残虐行為記念会」事務局長のチョフア・チョウ(周筑華)氏、「中国ホロコースト米国博物館」役員のビクター・シュン(熊園傑)氏という活動家たちがそれぞれ数百ドル単位をホンダ氏に献金した。

 中国で共産党など当局に政策を提言する全国規模の政治組織「人民政治協商会議」の広東省委員会顧問を務める在米中国系弁護士フレデリック・ホン氏も2006年にホンダ氏に数百ドルの政治献金をした。なお米国では米国の国籍あるいは永住権の保有者が個人で政治家に1回の選挙について最大2300ドルまでの献金ができる(だが中国の政治組織に直接かかわる人物からの献金というのは異様だといえる)。

 ホンダ氏はカリフォルニア州会議員だった1990年代後半からとくに「世界抗日戦争史実維護連合会」の最高幹部と緊密な連携を保ち、連邦議員への立候補に際して頻繁に献金を受けた。同連合会の創設役員イグナシアス・ディン(丁)氏から2000年から2002年までの間に計3000ドル、同創設役員キャシー・ツァン(曽)氏から計5000ドル、同創設役員ギルバート・チャン(常)氏から計1250ドル、元会長ベティ・ユアン(袁)氏から計1200ドルを献金された。

「レイプ・オブ・南京」を宣伝する反日団体

 「世界抗日戦争史実維護連合会」は公式には1994年に海外華僑によって創設され、本部はカリフォルニアに置かれたが、実際には中国側の公的機関と密接な連携を保ち、共同活動を頻繁に展開してきた。傘下には50以上の団体の名がリストアップされている。

 同連合会はその名称どおり、戦時中の日本の侵略や残虐とされる行動を恒常的に糾弾し、謝罪や賠償を求め続け、日本の現実の謝罪や賠償の実績を無視している。この点では確実に反日団体だといえる。同連合会は97年にはアイリス・チャン著の書「レイプ・オブ・南京」を組織を挙げて宣伝、販売し、05年には日本の国連安保理常任理事国入りに反対する署名を全世界規模で4000万人以上、集めたと豪語もしていた。

 「南京大虐殺を描くハリウッド映画がクリント・イーストウッド監督で制作される」という虚偽情報が広く流されたことは、この連載コラムでも紹介したが(C.イーストウッドが南京大虐殺を映画化? 〜悪質なデマの陰にちらつく反日謀略組織〜)、実はそのデマを最初に発信したのも同連合会の在米下部組織だった。

 こうした反日団体とホンダ議員が密接な連携を保ち、しかもその団体の幹部連から政治献金を受けてきたという事実は軽視できない。もちろんこの事実だけで「ホンダ議員が中国当局の動かす反日団体に操られている」などという断定はできない。だが相互の協力と中国側のホンダ議員への影響を無視することはできない。現にきわめて重要なのは、ホンダ議員が議会に提出した日本非難の決議案は「世界抗日戦争史実維護連合会」の活動目標の記述に酷似している事実である。

曲解される安倍首相の言辞  さて第三は、日本側の対応、とくに安倍晋三首相の言辞がなぜ米側の態度を硬化させるのか、である。

 米国議会に今出された決議案は「日本軍が第二次大戦中、アジア各国の若い女性たちを性的奴隷へと強制したことに対し日本政府が明白な形で公式にそれを認め、謝り、歴史的な責任を受け入れることを求める」という骨子である。その前提は日本軍が全体の政策として女性たちを強制徴用し、無理やりにセックスの奉仕をさせていたとする「強制性」である。

 だが日本側では1993年の「河野談話」で軍の関与を認め、一部の強制性までも認めて謝罪を表明はしたが、なお軍全体が政策として女性たちを強制徴用していたことを示す証拠は皆無のままとされている。だから今回の決議案に対し、日本の外務省も加藤良三駐米大使の言明として「この決議案は事実に基づいていない」と反論していた。「日本政府はいわゆる従軍慰安婦問題に関する責任を明確に認め、政府最高レベルで正式なお詫びを表明してきた」とする反論だった。だから決議案の「日本はこれまで認知も謝罪もしていない」という示唆は事実ではない、というわけだ。

 日本側はさらに「河野談話」でも明白なように、軍が関与していたことは認め、また個別の女性が売春斡旋業者にだまされ、強制され、という実態があったことは認めてきた。加藤大使の言明でもその点は言外に認知しているわけだ。

 こうした背景のなかで安倍首相は3月1日、「強制性を証明する証言や裏づけるものはなかった」と語った。日本軍が全体として女性を強制徴用していたこと、つまり「狭義の強制性」はなかった、という趣旨の発言だった。

 ところがこの首相発言があたかも慰安婦に関するすべての強制性を否定したかのように米側では報じられてしまった。安倍首相にはもとから批判的なニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストが「安倍首相が性的奴隷への日本軍の役割を否定」、あるいは「首相は女性が戦時の売春宿に強制徴用されたことを否定」というふうに報道したのだった。一部の米側マスコミは安倍首相が慰安婦への軍の関与さえも否定したかのように報じた。

 米国議会では、この種の一連の報道によって、日本がこれまで慰安婦問題で少なくとも軍の関与を認め、実際に慰安婦だった女性たちに歴代首相が謝罪をも述べてきたことをこの安倍発言はすべて否定したのだ、というところまで曲解されるに至った。ある共和党下院議員の補佐官は「我が議員は決議案に反対だったのだが、もし日本の首相が日本軍の慰安婦へのかかわりや従来の首相の謝罪まですべてを否定するとなると、賛成に回らざるを得ない」とわたしに打ち明けた。

 マスコミでも前記の大手紙以外にロスアンジェルス・タイムズ、ボストン・グローブ、サンノゼ・マーキュリーといった有力新聞がそれぞれ社説やコラムで「日本の首相の慰安婦責任否定は不当だ」という趣旨の非難を表明するようになった。安倍政権にとっても、日本全体にとっても不運な事態だった。

日本擁護から非難へ翻意する議員も

 慰安婦問題について日本の一般報道では、米国の議会やマスコミでの日本非難ばかりが伝えられているが、現実にはホンダ議員主唱の決議案に反対し、結果として日本を擁護する声も存在するのである。例えば共和党側の有力下院議員デーナ・ローラバッカー氏は2月15日の公聴会の冒頭で次のような発言をしていた。

「日本の首相や閣僚は慰安婦問題について1993年以来、何度も謝罪してきたから、いままた議会決議でその謝罪を求めることはおかしい」

「現在の日本国民を二世代前の先人がした行為を理由に懲罰することは不当である」

「世界のどの国も過去に罪を犯してきたが、米国を含めて謝罪をした実例は少ない」

「今の日本は米国の同盟国として民主主義や人道主義を実践し、世界的にも貴重な貢献をしている」

 こうした理由により決議案には反対だというのだった。ところがこのローラバッカー議員も安倍発言が報道されたあと、決議案への賛成の意向を述べ始めた。立場変更の理由はまさに安倍発言が慰安婦問題に関する日本当局の関与や謝罪を打ち消すようだから、ということだった。

 以上、多様な要因が複雑にからみ合う米国議会での慰安婦決議案問題にいくつかの角度から光を当ててみた。決議案自体は次の段階として下院外交委員会で表決に付されることとなる。そのうえで本会議に回されるわけだが、そのプロセスで4月下旬には安倍首相の米国訪問という重要な外交行事が予定されている。この首相訪米が決議案の行方にどう影響するのかも予断を許さない。

 だがいずれにしても、日本側としてはこのテーマは多層な複眼での考察が不可欠ということだろう。

「慰安婦」追及のホンダ議員 中国系の献金突出

2007/03/15 The Sankei Shimbun WEB-site

 【ワシントン=古森義久】米国議会で「慰安婦」問題での日本糾弾決議案を推進するマイク・ホンダ下院議員がこれまでの選挙で中国系からの政治献金への依存度が異様に高い事実が14日までに判明した。中国系献金者には中国当局ともつながる在米反日団体の幹部たち多数が名を連ねており、ホンダ議員自身の日本の「戦争責任」追及には長年、これら中国系団体との密接な連携があったことも明らかとなった。

 米国政府の連邦選挙委員会の記録や民間の政治資金研究機関「有責政治センター」(CRP)の発表を基とする産経新聞の調査によると、ホンダ議員は2006年の下院選挙で個人からの政治献金合計449人、約37万ドルのうち、中国系からだけで94人、約11万ドルを受け取った。献金全体へのこの比率は人数で21%、金額で30%となる。同議員の選挙区カリフォルニア第15区は住民の29%がアジア系だが、内訳は多様で中国系は9%に留まるため中国系からの献金が突出する形となった。

 とくにホンダ議員への中国系の献金はその約40%が州外からで、他の議員たちへの州外からの献金が10%程度という一般水準に比べれば、同議員は全米各地の中国系住民からの寄付の比率が例外的に高いことになる。また慰安婦問題では中国よりも関与が深いはずの韓国系からの同議員への06年の献金は10人、約7000ドルと、中国筋からの献金の十数分の1だった事実も、中国系勢力の役割の大きさを裏づけた。

 米国では国民、あるいは永住権保持者が個人で政治家に選挙1回に最大2300ドルまで公表を前提に献金できる。ただし200ドル以下は公表されない。

 ホンダ議員への中国系個人献金でさらに特異なのは、06年分だけでも(1)中国系の世界規模の反日団体「世界抗日戦争史実維護連合会」現会長のアイビー・リー氏(2)中国当局に政策を提言する人民政治協商会議広東省委員会顧問のフレデリック・ホン氏(3)日本の「残虐」を恒常的に糾弾する反日の「アジア太平洋第二次大戦残虐行為記念会」事務局長のチョフア・チョウ(周筑華)氏(4)「南京虐殺」の記念館を米国に開設しようという中国系運動組織の「中国ホロコースト米国博物館」役員のビクター・シュン(熊園傑)氏−などという日本糾弾団体の中国系活動家たちが、それぞれ数百ドル単位の寄付をしたことだといえる。

ホンダ米下院議員に献金 中国の「意思」色濃く反映

2007/03/15 The Sankei Shimbun WEB-site

 【ワシントン=古森義久】「慰安婦」問題決議案を主唱しているマイク・ホンダ下院議員(民主党=カリフォルニア州選出)は中国系の反日団体「世界抗日戦争史実維護連合会」を動かす活動家たちから一貫して献金を受け、日本を糾弾する言動もその団体の活動方針にぴたりと沿った形だという実態が明らかとなった。

 「世界抗日戦争史実維護連合会」は公式には1994年に海外華僑、中国系住民によって創設され、本部をカリフォルニア州クパナティノにおき、傘下に50以上の下部組織を持つとされる。だが実際には同連合会は中国国営の新華社通信とウェブサイトを共有するほか、中国側の公的組織との共催の形で日本批判のセミナー類の行事を中国国内で頻繁に開き、中国当局との密接なきずなを明示している。

 同連合会はその任務を日本の残虐行為を恒常的に糾弾し、謝罪や賠償を求め続けることとし、日本側のこれまでの謝罪や賠償をまったく認めずに国内の教育や言論にまで一定の命令を下す、という点で反日だといえる。事実、同連合会は97年にはアイリス・チャン著の「レイプ・オブ・南京」を組織をあげて宣伝し、2005年春には日本の国連安保理常任理事国入りの動きに反対する署名を世界規模で集めたうえ、中国内部での反日デモをあおった形跡もある。

 同連合会はさらに同年末には「クリント・イーストウッド監督が南京虐殺映画を作る」というデマを流し、昨年からは南京事件のドキュメンタリー映画の宣伝に力を注いでいる。

 同連合会の米側での幹部たちはイグナシアス・ディン氏のように中国で生まれ、20代で米国に渡り、そのまま米国の国籍や永住権を取得した人物たちがほとんどで、同氏は1990年代後半、カリフォルニア州下院議員だったホンダ氏に接近した。99年にはディン氏は「ホンダ氏と共同で州議会に出す決議案の草案を書き、日本の南京大虐殺、731細菌部隊、米人捕虜虐待、慰安婦強制徴用など戦争犯罪を追及した」と地元の新聞に述べたように、ホンダ氏の決議案提出と州議会での採択を成功させている。

 ホンダ氏はその翌年の2000年に州議会から連邦議会への転出を図ったわけだが、その間、ディン氏らはいっせいに選挙用の献金をして、ホンダ下院議員の誕生に貢献している。そしてホンダ氏はディン氏らの意向にそっくり沿った形で連邦議会でも01年、03年、06年、07年と連続して慰安婦問題で日本政府に謝罪を求める決議案を提出してきた。この背後には、どうしても中国当局の同連合会を通じての日本の道義面での弱体化や日米離反という政治意図がにじむわけだ。

 慰安婦問題は表面的には中国よりも韓国がより多く関与するようにみえるが、米国側で韓国寄りとしては「ワシントン慰安婦連合」という組織があるだけで、韓国系勢力の組織的な動きはほとんどうかがわれない。それだけ中国の役割が大きいわけで、ホンダ議員の動向もその中国の意思を少なくとも結果として十二分に体した形となっている。その有力な裏づけは中国系からの政治献金だといえよう。

                   ◇

 ■「世界抗日戦争史実維護連合会」幹部からマイク・ホンダ議員への献金リスト(2006年分を除く、敬称略)

 ・創設役員イグナシアス・ディン(丁)=計3000ドル(2000年2月、8月、02年2月に各1000ドル)

 ・上記の妻ジョセフィン・ディン=計1000ドル(00年8月)

 ・創設役員キャシー・ツァン(曽)=計5000ドル(00年2月、6月、01年11月に各1000ドル、03年6月に2000ドル)

 ・元会長ベティ・ユアン(袁)=計1200ドル(00年2月に200ドル、02年2月に1000ドル)

 ・創設役員ギルバート・チャン(常)=計1250ドル(00年2月に250ドル、同年3月と7月に各500ドル)

 ・幹部チャールズ・シャオ=計200ドル(00年3月)

 ※「世界抗日戦争史実維護連合会」の英語名称の直訳は「第二次大戦アジア史保存グローバル連盟」(GA)

弱者たちの英雄、韓国人の友 エバンズ前米下院議員

MARCH 15, 2007 東亜日報

 彼の名前の前には「韓国人の友」という呼称が常につきまとった。

 レイン・エバンズ前米連邦下院議員(55)。エバンズ氏は、米議会で日本軍慰安婦強制動員問題を浮き彫りにした主役であり、米国屈指の「人権政治家」だった。

 パーキンソン氏病で昨年末に引退するまで、24年間にわたって下院議員として働き、専ら韓国系米国人のような少数民族や弱者の人権のために献身した。病魔と闘う中でも助けを求める周囲の人々を助けようと、苦痛と困難を経験してきた。

 エバンズ氏は、従軍慰安婦問題の活動家であるワシントンの従軍慰安婦対策委員会のソ・オクジャ会長と長年にわたって友情を深め、結婚まで約束したという。

 ▲引退後の寂しい生活〓13日、米議会筋によると、エバンズ氏はイリノイ州モーリン市療養者村の2部屋のタウンホームで暮らしている。弟が同居人になっているが、実際に世話をするのは、週に訪問する看病人しかいない哀れな状況だ。

 氏は、24年間、当選12回の議員だったが、クリーンだったため築いた財産も多くない。それでいながらも、周囲から助けを求められると、手に余っても断ることができない「惜しみなく与える木」だった。

 特に、3人兄弟の2番目の氏には、長年経済的に頼っている弟家族がいる。昨年初めに健康が極度に悪化し、3月に再出馬しないことを宣言した後、弟がエバンズ氏の法的代理人として登録したが、裁判所は6月、首席補佐官のデニス・キング氏に法的代理人を変え、財産は銀行が管理するよう決定した。

 ▲病と切ない愛〓エバンズ氏は海兵隊出身だ。ジョージタウン大学法科大学院を卒業し、児童や貧民のための人権派弁護士として活動していた31歳の1982年、伝統的な共和党支持地域であるイリノイ州第17選挙区で、民主党所属下院議員として当選した。

 数日間夜を徹して働いてもビクともしないほど心身ともに健康な政治家だった氏に、95年頃、パーキンソン病の苦痛が訪れた。

 昨年1月には、韓国国会の招請で来韓した際、救急病院に運ばれるほど病気が悪化していた。ワシントンの軍病院に3週間入院して退院したエバンズ氏は、ワシントン近郊のメリーランド州のソ・オクジャ会長の自宅で6週間過ごした。ソ会長とは00年、従軍慰安婦対策委員会定期総会の招請講演者として初めて会い、友情を深めてきた仲だ。

 1987年に米国に渡って社会心理学博士の学位を取得したソ会長は、メリーランド州のワシントンバイブルカレッジで社会心理学教授として在職中だ。

 病院にいる時は食事もできないほど悪化していた病状が、ソ会長の真心のこもった看護もあって好転した。階段を一人で上れるほどになると、エバンズ氏はまたイリノイ州に戻った。

 昨年夏、夜0時が過ぎた時間に電話をかけてきて、「とてもつらい」と訴えたと、ソ会長は伝えた。数日後、イリノイ州に行ってみると、氏は屋根裏部屋のカーペットの上で過ごしていた。

 つらく孤独だが、それでも外に出れば、エバンズ氏は依然として英雄だった。病気の体を起こして行事会場に顔を出すたびに、地域区民たちは彼の手を握って「私たちはあなたを愛しています」と引退を残念がった。

 寂しい闘病生活に疲れたためか。独身主義者だったエバンズ氏は昨年5月、独身のソ会長にプロポーズした。予想もしていなかったプロポーズに、ソ会長は時間がほしいと言った。二人は互いを本当に信頼し尊敬していたが、キスもしたことのない仲だとソ会長は言った。強いて二人の関係に名をつけるなら、精神的な愛や同志愛に近い。

 その後数ヵ月間、エバンズ氏の闘病生活を見守ったソ会長は、「そばで世話をする人がいなければならない」と考え、10月にプロポーズを受け入れた。しかし、エバンズ前議員の弟と法的代理人のキング前補佐官が強く反対した。ソ会長も「世俗的な誤解」を買ってまで結婚する考えはなかった。孤独でつらい彼の闘病生活を不憫に思っただけだった。

 昨年末、議会が閉会した後、エバンズ氏と外部者の連絡は難しくなった。韓国政府が修交勲章光化章を授与しようとしたが、法的代理人が連絡を取り持たず、勲章を渡す方法すらなかった。

 彼のために韓国の気治療の専門家3人が昨年11月、自費で米国に向かったが、そのまま引き返さなければならなかった。東亜(トンア)日報記者も、キング前補佐官と数回接触を試みたが、返事がなかった。

「韓国は慰安婦問題で民族的快感を楽しんでいる」

2007/03/15 朝鮮日報/ 朝鮮日報JNS カン・ヨンス記者
産経新聞・黒田勝弘ソウル支局長がコラムで語る

 日本の代表的な右翼系日刊紙・産経新聞の黒田勝弘ソウル支局長は14日、米議会の従軍慰安婦決議案の動きについて「韓国がまた従軍慰安婦問題で興奮状態だ」「連日のように日本非難を展開しながら“民族的快感”を楽しんでいる」と批判した。

 これは、黒田支局長が同紙14日付国際面のコラムで、「日本軍の慰安婦犯罪はアジアを超えて世界的な公憤の対象になった」「対日圧力の世界化ネットワークを」という文化日報や朝鮮日報の記事を例に述べたもの。

 黒田支局長は「韓国では元慰安婦たちは、日本帝国主義による一方的被害者としてすでに、“民族的英雄”のような存在になっている」とも書いている。

 同支局長は「韓国にとって(日本軍による従軍慰安婦連行の)強制性の問題は民族的自尊心が懸かった問題。“20万の性奴隷”が事実かどうかや、最初に慰安婦問題を訴えた故金学順(キム・ハクスン)さんの経歴のあいまいさなどは関係なく、もはや(強制性は韓国で)絶対譲れないものになっている」と主張している。

 さらに「(米議会)決議案に熱心な日系のマイク・ホンダ議員は親韓派として英雄扱いされ、マスコミ・インタビューなどで大々的に紹介されている」「議会での決議案の背景には、民主党支持が多い在米韓国人社会などの運動や世論工作があるといわれる」とまで述べている。

 同支局長は朝鮮日報7日付に掲載された鮮于鉦(ソンウ・ジョン)東京特派員の「【特派員コラム】中山夫妻の場合」を引用し、「日本人拉致問題に関連し、過去の日本の朝鮮半島支配時代の出来事を取り上げて日本を非難しけん制しようとするのは、自らに対する非難を免れたい北朝鮮当局および親北勢力の常とう手段だ」「北朝鮮に最も批判的な朝鮮日報でさえ、日本非難では独裁国家・北朝鮮の理屈に簡単に同調してしまう」としている。そして「“慰安婦問題の国際化の背景には‘北朝鮮の影’がある”という声も聞こえる」と書いている。

慰安婦:CNN世論調査に日本のロビイストが介入!?

2007/03/15 チョソン・ドットコム/朝鮮日報JNS

 日本軍慰安婦問題について、「日本が再び謝罪する必要はない」という意見が圧倒的だったCNNのインターネット世論調査の結果は、日本のロビイストが影響を及ぼしたものだったという主張が提起された。

 ニューヨーク・ニュージャージー韓国系米国人有権者センターのキム・ドンソク所長は13日、CBSのラジオ番組『時事ジョッキー今日と明日』とのインタビューで「(CNN世論調査が)日本側ロビイストの影響を受けていたという話がある」と主張した。

 米下院の「日本軍慰安婦決議案」採択のため活動しているキム・ドンソク所長は「世論調査の質問は“(日本は)謝罪をしているが、再び謝罪しなければならないと思うか”というものだったが、既に1度謝罪をしているのに、さらに謝罪せよと要求することに同意する人はいないだろう」との見方を示した。つまり、これはCNN世論調査の質問自体が最初から日本政府に有利な方向に歪曲(わいきょく)されていたという指摘だ。

 これに対し、キム・ドンソク所長は「日本の歴史歪曲問題は、いまだ米国の市民社会でははっきり知られていない。ニューヨーク・タイムズで別途に世論調査を実施するよう要請している」と語った。

 キム・ドンソク所長は「本格的にこの問題が米下院で議論されるようになれば、こうした振る舞いはできなくなるだろう。下院に決議案通過を請願する人々は米国の納税者であり、有権者でもあるため、議員らも相当困惑している。これまでの10日間で17人の議員が決議案に同意するなど、決議採択に向け勢いがついており、この決議案が通過する可能性が高まっている」との見方を示した。

民族的快感、沸く韓国 米の慰安婦決議案 ホンダ議員、英雄扱い

2007/03/14 The Sankei Shimbun WEB-site

 【ソウル=黒田勝弘】韓国がまた慰安婦問題で興奮状態だ。とくにマスコミは米議会での日本非難決議案をめぐる動きに対し「日本軍の慰安婦犯罪はアジアを超えて世界的な公憤の対象になった」(9日付、文化日報)「対日圧力の世界化ネットワークを」(同、朝鮮日報)「自ら孤立を招く日本外交」(10日付、東亜日報)などと大いに歓迎し、連日のように日本非難を展開しながら“民族的快感”を楽しんでいる。

 韓国では元慰安婦たちは、日本帝国主義による一方的被害者としてすでに、“民族的英雄”のような存在になっている。そのイメージに反する「日本軍による強制連行はなかった」「河野談話見直しの必要性」などといった日本側での主張や意見、弁明などは、一切受け付けない状態だ。

 強制性をめぐる論点についてごく一部には、日韓歴史共同研究のテーマにしてはどうかとの声もあるが、韓国にとって“慰安婦カード”は絶えず「日本の非道徳性」を非難し、自ら高みに立って「日本は経済大国であるにもかかわらず国際社会で十分に認めてもらえない主な原因が歴史歪曲(わいきょく)にあるという点を知らなければならない」(3日付、中央日報)などと教訓を垂れることのできる貴重なカードだ。

 日本に対する道徳的優位を誇示するためには、慰安婦は韓国にとっては絶対に日本の国家的強制によるものでなければならない。1993年の河野談話にいたる日韓外交交渉で、韓国側が「日本が強制性を認めない限り世論を納得させられないと、こだわったのもそのため」(ソウルの外交筋)といわれ、韓国の運動団体やマスコミが慰安婦問題で「強制」という単語を繰り返し使うのもそのせいだ。韓国の公式歴史観では、日本統治時代の不都合な出来事はすべて日本による強制として教えられている。

 従って韓国にとって強制性の問題は民族的自尊心がかかった問題になっており、国際舞台で独り歩きしている「20万の性奴隷」が事実かどうかや、最初に慰安婦問題を訴えた故金学順さんの経歴のあいまいさなどは関係なく、もはや絶対譲れないものになっている。

 今回、韓国が日本非難で勢いを得ているのは米議会が味方に付いたと見るからだ。決議案に熱心な日系のマイク・ホンダ議員は親韓派として英雄扱いされ、マスコミ・インタビューなどで大々的に紹介されている。

 米議会での決議案の背景には、民主党支持が多い在米韓国人社会などの運動や世論工作があるといわれるが、今回の慰安婦問題をめぐる韓国でのマスコミ論調や識者の発言には、「日本人拉致問題をめぐる日本における北朝鮮たたきに対する報復心理が微妙にうかがわれる」(ソウルの外交筋)との見方がある。

 たとえば朝鮮日報の東京特派員は「ナカヤマ夫婦の場合」と題する長文の日本批判コラム(7日付)で、中山成彬・元文科相と夫人の中山恭子・首相補佐官(拉致問題担当)を取り上げ、「夫は自分の国の拉致犯罪(慰安婦?)を熱心に否定し、妻は北朝鮮の拉致犯罪を熱心に世間に知らせている。こうした二律背反が現在の日本の姿だ」と書いている。

 日本人拉致問題に関連し、過去の日本の朝鮮半島支配時代の出来事を取り上げて日本を非難し牽制(けんせい)しようとするのは、自らに対する非難を免れたい北朝鮮当局および親北勢力の常套(じょうとう)手段だ。北朝鮮に最も批判的な朝鮮日報でさえ、日本非難では独裁国家・北朝鮮の理屈に簡単に同調してしまう。「慰安婦問題の国際化の背景には“北朝鮮の影”がある」(同筋)との声も聞かれる。

従軍慰安婦問題、米の対日決議案提案者42人に増える

2007年03月13日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ワシントン=五十嵐文】旧日本軍の従軍慰安婦問題をめぐり、日本政府に謝罪などを求める米下院の対日決議案の共同提案者が、当初の6人から42人に増えたことが明らかになった。

 代表提出者のマイケル・ホンダ議員(民主党)の事務所によると、共同提案者はさらに増える見通しだという。決議案は3月末にも下院外交委員会か同委員会アジア太平洋・地球環境小委員会で投票にかけられる予定だが、決議案への支持が今後も広がれば採択される可能性が高いとみられる。

 12日時点での共同提案者は、民主党32人、共和党10人。リベラル派が多数だが、2008年大統領選への出馬を表明している保守派のダンカン・ハンター前軍事委員長(共和党)も名を連ねている。

 安倍首相が、官憲による強制連行など「狭義の強制性」を裏付ける証言はなかったと発言し、米メディアが取り上げられるようになった3月以降、新たに17人が加わった。

「公式謝罪ではない」 首相「おわび」に米議員

2007/03/13 The Sankei Shimbun WEB-site

 ロイター通信によると、太平洋戦争中の従軍慰安婦問題をめぐり、日本政府に「謝罪」を求める超党派決議案を提出した米民主党の日系下院議員マイケル・ホンダ氏は12日、安倍晋三首相がNHKの番組で「おわび」の意思を表明したことについて、歓迎するとしながらも公式の謝罪には至っていないと述べた。

 また、ホンダ氏は決議案採決に関し、4月26日ごろに予定される首相の訪米後になるとの見方を示した。首相は今月11日のNHKの番組で「慰安婦の心の傷は大変な傷。心からおわびしている」と発言。

 ロイター通信に対し、ホンダ氏は「安倍首相の発言には励まされるし、女性たちが被った計り知れない苦痛を認めたことは喜ばしい」と述べる一方で「首相のコメントは個人的なもので、決議案が求めた公式な謝罪には当たらない」と指摘した。(共同)

慰安婦問題 中国で安倍首相の「おわび」一斉報道

2007/03/12 The Sankei Shimbun WEB-site

 【北京=野口東秀】12日付の中国共産党機関紙「人民日報」など中国各紙は、安倍晋三首相がいわゆる慰安婦問題に関し11日のNHK番組で「心からおわび申し上げている」と述べたことを一斉に伝えた。4月の温家宝首相の訪日を前に、両国の国民感情が悪化するなど影響が出るのを防ぎたい狙いもあるとみられる。

 「北京青年報」は「温首相訪日と(4月に予定されている)安倍首相の訪米を控え、慰安婦問題が大きくなれば(安倍政権は)苦境に陥る」ことが、安倍首相の「変化」の背景にあるとの専門家の分析を掲載した。

 国営新華社通信は安倍首相の「強制性を裏付ける証拠はなかった」との発言が「アジア各国の強烈な反発を招いた」として“おわび”につながったと指摘している。

 これに先立ち、李肇星外相は6日、慰安婦問題について「日本軍国主義者が犯した重大な罪。(日本は)この歴史事実を認め適切に処理する」よう要求していた。中国側は安倍首相の“おわび”発言を評価する一方で、歴史認識における外交的成果として国内向けにアピールする狙いもあるとみられる。

慰安婦問題「謝罪している」 ロス総領事が反論寄稿

2007/03/12 The Sankei Shimbun WEB-site

 【ロサンゼルス=松尾理也】在米ロサンゼルス日本総領事館の兒玉和夫総領事は「日本政府は1993年、軍当局の『慰安婦』問題への関与を認め、謝罪している」との内容をロサンゼルス・タイムズ紙へ寄稿し、11日付で掲載された。

 「日本は罪を償ってきている」との見出しで、日本政府は93年の謝罪に加え、95年に女性のためのアジア平和国民基金(アジア女性基金)を設立し、謝罪の気持ちを込めた首相の手紙を添え「償い金」を提供してきた−と、兒玉総領事はこれまでの経緯を説明。その上で、これまでの政府の姿勢に変わりはないことを安倍晋三首相自身が表明していると強調している。

 この寄稿は、今月6日付の同紙に掲載された「日本は恥から逃れられない」とするジョージ・ワシントン大学のディナ・シェルトン教授の意見に対する反論として掲載された。同紙は7日付の社説でも「問題の解決にとって効果的なのは天皇陛下の謝罪だ」などと主張していた。

安倍首相の慰安婦発言など批判 北朝鮮の統一運動団体

2007/03/12 中国新聞ニュース

 【北京11日共同】朝鮮中央通信によると、北朝鮮の統一運動団体「祖国統一民主主義戦線」は十一日、従軍慰安婦動員をめぐる安倍晋三首相の一連の発言を「朝鮮民族全体に対する許せない挑戦」と非難、「数十万人の朝鮮女性を慰安婦にした日本が、拉致問題を口にすること自体話にならない」とする談話を発表した。

 また朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は同日、日本の警察当局が拉致問題や大量破壊兵器の関連部品密輸などと関連づけて、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)や関連団体への捜査を展開していると批判、「国際法違反であり、非人道的な愚行だ」と反発する論評を掲載した。

韓国、安倍首相発言に遺憾伝達か 12日の戦略対話で

2007/03/11 The Sankei Shimbun WEB-site

 韓国の聯合ニュースは11日、外交消息筋の話として、東京で12日に行われる日韓外務次官による戦略対話で、韓国側は安倍晋三首相の従軍慰安婦問題に関する発言に遺憾の意を伝える方針だと報じた。

 同消息筋は「従軍慰安婦の(旧日本軍による)強制性を認めた『河野洋平官房長官談話』を継承するという日本政府の公式的な立場を疑わせる発言が、首相から提起されたことに憂慮を表明するだろう」と指摘した。(共同)

党の調査は問題ない 慰安婦問題で麻生外相

2007年03月11日 中国新聞ニュース

 麻生太郎外相は11日午前のフジテレビ番組で、政府、自民党内で従軍慰安婦に関する事実関係の再調査を求める動きが出ていることに関し「政府で調査するとは聞いてない」とした上で「現実をもう1回調査することは決して悪いことではない。党でやられるのはいいのではないか」と述べ、党の調査は問題ないとの認識を示した。

 従軍慰安婦問題で米下院外交委員会の決議案が採択されても謝罪しないと安倍晋三首相が明言したことについて「今の段階で謝罪する必要が特にあるとは思わない」と指摘。同問題の日米関係への影響については「この問題があるから日米関係が危機に陥るかのごとく話は行き過ぎだ」と述べた。

慰安婦問題 対日非難は蒸し返し

2007/03/10 The Sankei Shimbun WEB-site

 【ワシントン=古森義久】米国議会の一部やニューヨーク・タイムズが「慰安婦」非難で日本軍の強制徴用の最大例として強調するオランダ人女性のケースは実際には日本軍上層部の方針に逆らった末端の将兵が勝手に連行し、その違法行為が発覚してすぐ日本軍自身により停止されていた事実が明らかとなった。しかもこの違法の性的徴用の責任者たちは戦後の軍事裁判で死刑を含む厳刑に処されており、今回の日本非難はすでに責任のとられた案件の蒸し返しとなっている。

オランダ女性の事例 末端将兵の行為 すでに厳刑

 8日付のニューヨーク・タイムズは日本の慰安婦問題を安倍晋三首相がそのすべてを否定したかのような表現でまた報じたが、そのなかでオランダ人の元慰安婦だったというジャン・ラフ・オハーンさん(84)の「インドネシアの抑留所にいた1944年、日本軍の将校に連行され、慰安所で性行為を強要された」という証言をとくに強調した。同紙はオハーンさんの2月15日の米下院外交委員会公聴会での証言を引用しており、「日本政府からの公式の謝罪が最重要」と述べたとして、日本軍が組織的に総数20万人もの女性を強制徴用したという糾弾の最大の根拠としている。

 ところが慰安婦問題に詳しい日米関係筋などによると、オハーンさんは戦後すぐにオランダ当局がインドネシアで開いた軍法会議で裁いた「スマラン慰安所事件」の有力証人で、その証言などにより、上層部の方針に違反してオランダ女性を連行して、慰安所に入れた日本軍の将校と軍属計11人が48年3月に有罪を宣告され、死刑や懲役20年という厳罰を受けた。オハーンさんは同公聴会で日本側が責任をとることを求めたが、責任者は60年近く前にすでに罰せられたわけだ。

 日本政府には批判的な立場から慰安婦問題を研究した吉見義明氏も著書「従軍慰安婦」のなかでオランダ政府の報告書などを根拠にスマラン慰安所事件の詳細を記述している。同記述では、オハーンさんらオランダ女性を連行したのはジャワの日本軍の南方軍幹部候補生隊の一部将校で、(1)軍司令部は慰安所では自由意思の者だけ雇うようはっきり指示していたが、同将校たちはその指示を無視した(2)連行された女性の父のオランダ人が日本軍上層部に強制的な連行と売春の事実を報告したところ、すぐにその訴えが認められ、現地の第16軍司令部はスマラン慰安所を即時、閉鎖させた(3)同慰安所が存在したのは2カ月だった(4)主犯格とされた将校は戦後、日本に帰っていたが、オランダ側の追及を知り、軍法会議の終了前に自殺した−などという点が明記されている。

慰安婦問題 再調査するなら徹底して

2007年03月10日 信濃毎日新聞

 戦時中、朝鮮半島などから動員された「従軍慰安婦」の問題をめぐり、政府と自民党が連携して再調査する考えを安倍首相が明らかにした。

 1993年の「河野洋平官房長官談話」の見直しにつながる可能性もある。再調査をするというのであれば、公正で透明性の高いものにしなければならない。

 事の発端は、米下院外交委員会で審議中の慰安婦問題の決議案だ。日本政府に責任を認め、謝罪するよう求めている。

 これに対して、安倍首相は「決議案は客観的事実に基づいておらず、日本政府のこれまでの対応を踏まえていない」と述べ、決議があっても謝罪しない意向を表明した。

 とくに首相が指摘しているのは、旧日本軍の強制性の有無についてである。首相は「官憲が人さらいのようにつれて行く強制性はなかった」とし、「狭義の強制性」を否定する立場を取っている。研究者の間でも見方が分かれるところだ。再調査も一つの選択肢といえる。

 問題は、再調査そのものが内外に誤解を招きかねないことだ。

 一つは、河野談話との整合性である。談話は、募集には軍の要請を受けた業者が当たり、「甘言、強圧によるなど、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、さらに官憲などが直接これに加担したこともあった」と結論付けた。

 安倍首相は河野談話を継承すると述べている。今回の一連の発言は、談話の趣旨と矛盾する点がある。首相は本心では、談話を認めていないと受け取られても仕方がない。

 すでに近隣諸国などから首相発言に反発する声が出ている。再調査で河野談話を見直すことになれば、内外にあつれきが深まる懸念がある。

 二つ目は、首相は狭義の強制性を否定する一方、業者による「広義の強制性」は認めている点だ。国家ではなく民間業者のやったことだ、という趣旨と解される。

 被害者にしてみれば、強制性を「狭義」と「広義」に分けたところで、説得力は乏しい。本人の意に反して、旧日本兵の慰安婦にさせられた事実に変わりないからだ。

 近隣諸国では、旧日本軍による性的な暴力として受け止められている。暴行事件などを含め、韓国や中国、台湾、フィリピンなどの女性たちが謝罪や補償を求めてきた。こうした経過の中で、強制性の在り方をまな板に載せても、国内だけに通用する論議に陥りかねない。

 再調査をするなら、科学的で批判に耐えうる手法と内容が要る。そうでないと、国際的な反発を買い、外交的な痛手となる恐れが強い。

【主張】慰安婦問題 偽史の放置は禍根を残す

2007/03/10 The Sankei Shimbun WEB-site

 慰安婦問題に関する過去の官房長官談話が日本の名誉を傷つけ、日米関係にまで影を落としていることは由々しき事態だ。歴史の事実に対しては断固不当な政治解釈を排し、外交的には無用な摩擦を避ける知恵を要する。つまり戦略的対応が求められる。

 その意味で、安倍晋三首相が国会で「官憲による強制的連行があったと証明する証拠はない」と答弁したのは、事実に誠実に向き合った結果であろう。米下院公聴会で証言した韓国人女性は、国民服の日本人男性に売春を強要されたと証言したが、日本軍に強制的に連行されたとは述べていない。

 論点は慰安婦問題で国家の強制連行があったのか、あるいは身売りの娘に業者が介在したのかである。

 しかし、「河野談話」が明確な裏付けもなく慰安所の設置に「旧日本軍の関与」があったと認めたために、彼女らが日本軍の「性の奴隷」であったとの誤った認識を広げてしまった。安倍首相が否定すると、米紙が真意をねじ曲げ、さらに誤解が拡散する。

 首相は自民党の調査、研究に委ねる姿勢を示すことで、これ以上の外交的なマイナスの回避を図った。中国寄りのニューヨーク・タイムズ紙などは、首相の言動を歪曲(わいきょく)すべく虎視眈々(たんたん)と狙っている。彼らに批判材料を提供してしまうと、一般の米国人に間違った認識を与えてしまう。喜ぶのは日米の離間を狙う中韓である。

 特に中国は、日本が国連常任理事国入りを目指すと、歴史認識を武器に反日キャンペーンに乗り出した実績がある。反日運動のいかがわしさに気づいた欧米のメディアから批判を浴びると、その欧米世論を味方に付けるよう方向を転換している。一部の米紙はその術中にはまった。

 誤用の多い「レイプ・オブ・南京」の著者、アイリス・チャン氏の胸像を米有名大学に寄贈した中国人権発展基金会の幹部が、対日歴史批判に関し「欧米などへの宣伝を重視する」と述べていたのはその証拠である。

 米国下院の慰安婦非難決議案と米紙の誤りには、首相が出るまでもなく、その都度、日本政府として訂正を求めるべきだ。歴史事実の誤認や誇張をそのまま放置すると、偽史が独り歩きし後世に禍根を残す。

河野談話継承 再び強調 参院予算委 慰安婦問題 首相「心から同情」

2007年03月10日 西日本新聞朝刊

 安倍晋三首相は9日の参院予算委員会の外交・防衛に関する集中審議で、太平洋戦争中の従軍慰安婦問題に関して、「おわびと反省」を表明した1993年の河野洋平官房長官談話を安倍内閣として継承していることを重ねて強調した。「慰安婦の方々が極めて厳しい状況に置かれて辛酸をなめたことに心から同情し、既におわびしている」と述べた。

 拉致問題については「北朝鮮には、厳しい経済情勢を変えて未来を切り開くには日本との国交正常化が何としても必要だとの認識が心の底にあるのではないか。そういうことをてこにして問題を解決しなければならない」と表明した。

 従軍慰安婦問題で日本政府の明確な謝罪を求める米下院外交委員会の決議案に関しては「この問題についての私どもの発言が正しく冷静に伝わらない中、非生産的な議論を拡散させるのはいかがなものか」と指摘、過度に反論するのは適当ではないとの認識を示した。

 民主党の若林秀樹、自民党の川口順子、山本一太各氏に対する答弁。

「河野談話後退は破壊的影響」慰安婦問題で駐日大使

2007/03/09 Iza

 慰安婦問題が日米両国の重要な懸案事項になりそうな雲行きだ。対応を間違うと日米間に深刻な亀裂が生じる可能性もある。

 ブッシュ米大統領と親交が深いとされる米国のJ・トーマス・シーファー駐日大使は9日、大使公邸で産経新聞社記者など一部の日本の記者団と会見した。米下院で審議中の慰安婦問題をめぐる対日非難決議案について、シーファー大使は「日本が河野談話から後退していると米国内で受けとめられると破壊的な影響がある」と語り、慰安婦問題で謝罪と反省を表明した1993(平成5)年の河野洋平官房長官談話の踏襲に期待を示した。

 シーファー大使は、慰安婦問題が「日本国内と同じく、米国にとっても非常に難しい問題になっている」とし、女性の人身売買などについて敏感な米国の世論の動向を日本が過小評価しないよう求めた。対日非難決議が採択された場合の日米関係への影響については「わからない」と答えた。

 一方、ハノイで開かれた日朝国交正常化に関する作業部会が拉致問題打開の糸口が得られないまま閉幕したことで、6カ国協議の枠組みのなかで拉致問題にこだわる日本が孤立するという見方も出ていることについてたことについて、「米国は日本を引き続き強く支持する。日本が孤立することはありえない」と強調した。

 シーファー大使はこれまで、北朝鮮に拉致された横田めぐみさんら拉致家族に強く同情し、ブッシュ大統領やチェーニー副大統領を動かして拉致家族を励ますと同時に、北朝鮮との協議で拉致問題解決を優先する日本政府を支持するよう、ワシントンを説得してきた。

 また、米国の北朝鮮に対する金融制裁を部分的に解除する流れとなっていることが、北朝鮮の金正日体制の保証につながるとの見方については、「われわれは体制保証していない」と否定した。(編集委員 田村秀男)

              ◇ ◇ ◇

■偽史の放置は禍根を残す

 慰安婦問題に関する官房長官談話が日本の名誉を傷つけ、日米関係にまで影を落としていることは由々しき事態だ。歴史の事実に対しては断固不当な政治解釈を排し、外交的には無用な摩擦を避ける知恵を要する。つまり“戦略”が必要なのだ。

 その意味で、安倍首相が国会で「官憲による強制的連行があったと証明する証拠はない」と答弁したのは、事実に誠実に向き合った結果であろう。米下院公聴会で証言した韓国人女性は、国民服の日本人男性に売春を強要されたと証言したが、日本軍に強制的に連行されたとは述べていない。論点は慰安婦問題で国家の強制連行があったのか、あるいは身売りの娘に業者が介在したのかである。

 しかし、「河野談話」が明確な裏付けもなく慰安所の設置に「旧日本軍の関与」があったと認めたために、彼女らが日本軍の「性の奴隷」であったとの誤った認識が広がった。首相が否定すると、米紙が真意をねじ曲げ、さらに誤解が拡散する。

 首相は自民党の調査、研究に委ねる姿勢を示すことで、外交的なマイナスの回避を図った。中国寄りのニューヨーク・タイムズ紙などは、首相の言動を歪曲すべく虎視眈々(たんたん)と狙っている。彼らに批判材料を提供してしまうと、一般の米国人に間違った認識を与えてしまう。喜ぶのは日米の離反を狙う中韓である。

 特に中国は、日本が国連常任理事国入りを目指すと、歴史認識を武器に反日キャンペーンに乗り出した実績がある。欧米のメディアから批判を浴びると、その欧米世論を味方に付けるよう方向を転換している。

 誤用の多い「レイプ・オブ・南京」の著者、アイリス・チャン氏の胸像を米有名大学に寄贈した中国人権発展基金会の幹部が、対日歴史批判に関し「欧米などへの宣伝を重視する」と述べていたのはその証拠である。

 米国下院の慰安婦非難決議案と米紙の誤りには、首相が出るまでもなく、その都度、日本政府として訂正を求めるべきだ。歴史事実の誤認や誇張をそのまま放置すると、偽史が独り歩きし後世に禍根を残す。

              ◇ ◇ ◇

■安倍首相の発言要旨

 安倍晋三首相(52)は今月5日の参院予算委員会で、米下院に提出された慰安婦問題をめぐる対日非難決議案について、「決議されたからといって謝罪することはない。決議案は客観的事実に基づいておらず、政府のこれまでの対応も踏まえていない」と反論していた。

 首相は、慰安婦問題で謝罪した河野談話を「基本的に継承する」とする一方、「官憲が家に押し入って、人さらいのごとく連れて行くという強制性はなかった」と強調してもいる。

 だが、こうした発言に米メディアの批判が強まり、首相は9日、強制性をめぐる議論に関し「微妙な時期に、私の発言が正しく伝わりにくい状況がある。今ここで議論すると結果として極めて非生産的になる。そうした拡散をしないことが政治的な正しい判断ではないか」と記者団に語った。

              ◇ ◇ ◇

◇慰安婦問題 第二次大戦中に朝鮮半島や中国の女性が戦地の「慰安所」で日本軍に性的被害を受けたとして日本政府に謝罪や賠償を求めている問題。1993年8月に河野洋平官房長官(当時)が談話を発表して謝罪した。しかし、談話の根拠は元慰安婦女性からの聞き取り調査だけだった。一方、米下院外交委員会では1月、マイク・ホンダ下院議員(民主党)らが、首相による文書での公式謝罪などを求める決議案を提出した。

慰安婦問題 駐日米大使、河野談話踏襲を期待

2007/03/09 The Sankei Shimbun WEB-site

 米国のJ・トーマス・シーファー駐日大使は9日、大使公邸で産経新聞社記者など一部の日本の記者団と会見した。米下院で審議中の慰安婦問題をめぐる対日非難決議案について、シーファー大使は「日本が河野談話から後退していると米国内で受けとめられると破壊的な影響がある」と語り、慰安婦問題で謝罪と反省を表明した平成5年の河野洋平官房長官談話の踏襲に期待を示した。

 慰安婦問題の狭義の強制性を裏付ける証拠はないとした安倍晋三首相の発言に対し、米国のリベラル系紙が批判を展開している。

 大使は、慰安婦問題が「日本国内と同じく、米国にとっても非常に難しい問題になっている」とし、女性の人身売買などについて敏感な米国の世論の動向を日本が過小評価しないよう求めた。対日非難決議が採択された場合の日米関係への影響については「わからない」と答えた。

 シーファー大使はこれまで、北朝鮮に拉致された横田めぐみさんら拉致家族に深く同情し、ブッシュ大統領やチェイニー副大統領を動かして拉致家族を励ますと同時に、北朝鮮との協議で拉致問題解決を優先する日本政府を支持するよう、ワシントンを説得してきた。ハノイで開かれた日朝国交正常化に関する作業部会が拉致問題打開の糸口が得られないまま閉幕したことについて、「米国は日本を引き続き強く支持する。日本が孤立することはありえない」と強調した。(編集委員 田村秀男)

対日非難は蒸し返し オランダ女性の事例 末端将兵の行為 減罰ずみ

 【ワシントン=古森義久】米国議会の一部やニューヨーク・タイムズが「慰安婦」非難で日本軍の強制徴用の最大例として強調するオランダ人女性のケースは実際には日本軍上層部の方針に逆らった末端の将兵が勝手に連行し、その違法行為が発覚してすぐ日本軍自身により停止されていた事実が明らかとなった。しかもこの違法の性的徴用の責任者たちは戦後の軍事裁判で死刑を含む厳刑に処されており、今回の日本非難はすでに責任のとられた案件の蒸し返しとなっている。

 8日付のニューヨーク・タイムズは日本の慰安婦問題を安倍晋三首相がそのすべてを否定したかのような表現でまた報じたが、そのなかでオランダ人の元慰安婦だったというジャン・ラフ・オハーンさん(84)の「インドネシアの抑留所にいた1944年、日本軍の将校に連行され、慰安所で性行為を強要された」という証言をとくに強調した。同紙はオハーンさんの2月15日の米下院外交委員会公聴会での証言を引用しており、「日本政府からの公式の謝罪が最重要」と述べたとして、日本軍が組織的に総数20万人もの女性を強制徴用したという糾弾の最大の根拠としている。

 ところが慰安婦問題に詳しい日米関係筋などによると、オハーンさんは戦後すぐにオランダ当局がインドネシアで開いた軍法会議で裁いた「スマラン慰安所事件」の有力証人で、その証言などにより、上層部の方針に違反してオランダ女性を連行して、慰安所に入れた日本軍の将校と軍属計11人が48年3月に有罪を宣告され、死刑や懲役20年という厳罰を受けた。オハーンさんは同公聴会で日本側が責任をとることを求めたが、責任者は60年近く前にすでに罰せられたわけだ。

 日本政府には批判的な立場から慰安婦問題を研究した吉見義明氏も著書「従軍慰安婦」のなかでオランダ政府の報告書などを根拠にスマラン慰安所事件の詳細を記述している。同記述では、オハーンさんらオランダ女性を連行したのはジャワの日本軍の南方軍幹部候補生隊の一部将校で、(1)軍司令部は慰安所では自由意思の者だけ雇うようはっきり指示していたが、同将校たちはその指示を無視した(2)連行された女性の父のオランダ人が日本軍上層部に強制的な連行と売春の事実を報告したところ、すぐにその訴えが認められ、現地の第16軍司令部はスマラン慰安所を即時、閉鎖させた(3)同慰安所が存在したのは2カ月だった(4)主犯格とされた将校は戦後、日本に帰っていたが、オランダ側の追及を知り、軍法会議の終了前に自殺した−などという点が明記されている。

月内下院委 採択目指す

 【ワシントン=山本秀也】米下院でのいわゆる慰安婦問題に関する決議案は、慰安婦を「日本政府による軍の強制売春システム」と定義し、日本政府の公式謝罪と歴史責任の受諾▽若年世代に対する教育強化−などを求める内容だ。

 提案者のマイク・ホンダ下院議員はペロシ下院議長あての趣旨説明でこれまでの日本政府談話は「明確な重視姿勢を示していない」と指摘。加藤良三駐米大使は先月下院に送った書簡で(1)日本政府はすでに慰安婦問題の責任を認めて謝罪済み(2)元慰安婦への補償にあたるアジア女性基金には政府は4000万ドル相当を拠出(3)学校教科書など多くの出版物が慰安婦問題を明記−などを挙げて反論していた。

 最近の米リベラル紙の対日非難は、慰安婦問題で狭義の強制性を裏付ける証拠はないとした安倍晋三首相の発言に的を絞っている。これらメディアはもともと首相を「民族主義者」とみる傾向が強く、強制性の否定や再度の謝罪拒否という発言が固定観念を刺激した形だ。

 決議案について、下院では月内に外交委員会での採決を経て、4月の安倍首相の訪米日程をにらみながら本会議採択を目指すとの見方が強い。首相発言の影響で決議を阻止するのは厳しくなったとの懸念も出ている。

「辛酸に心から同情」=慰安婦問題、反論控える−安倍首相

2007/03/09 時事通信

 安倍晋三首相は9日午後の参院予算委員会で、従軍慰安婦問題について「慰安婦の方々が極めて苦しい状況に置かれ、辛酸をなめられたことは心から同情し、既におわび申し上げている」との認識を表明した。同時に首相は、狭義の強制性を否定した自らの発言に海外から批判が相次いでいることについて「事実と違った形で伝わっていく現状では、非生産的な議論を拡散させる」と述べ、反論などを控える考えを明らかにした。若林秀樹氏(民主)への答弁。

民主、慰安婦問題・南京事件検証する会を発足

2007/03/09 The Sankei Shimbun WEB-site

 民主党の有志議員らが9日、「慰安婦問題と南京事件の真実を検証する会」(会長、渡辺周衆院議員)を発足させ、国会内で初会合を開いた。

 同会は、慰安婦問題で謝罪と反省を表明した平成5年の河野官房長官談話について、明らかになっている物証や証言などを改めて検証したうえで、「公権力による強制連行の事実はなかった」との認識を盛り込んだ新たな見解を発表するよう政府に働きかけていく方針だ。

 呼びかけ人は次の通り。(敬称略)

 石関貴史、市村浩一郎、大江康弘、河村たかし、北神圭朗、小宮山泰子、芝博一、神風英男、鈴木克昌、田名部匡代、田村謙治、長島昭久、牧義夫、松下新平、松原仁、三谷光男、吉田泉、笠浩史、鷲尾英一郎、渡辺周。

首相「党に資料提供」 慰安婦問題

2007/03/09 The Sankei Shimbun WEB-site

 安倍晋三首相は8日、慰安婦問題で謝罪と反省を表明した平成5年の河野官房長官談話について、「自民党が今後、調査、研究をしていくので、資料の提出、提供で協力していく」と述べた。首相官邸で記者団の質問に答えた。首相はこれまで国会などで「官憲による強制的連行があったと証明する証言はない」と答弁しており、関係資料・文書を公開し、自民党側で事実上の再調査を進めることで、「強制連行」の裏付けがないことを改めて明らかにしたい考えとみられる。

自民、河野談話再調査へ

 首相は、記者団に「私の発言自体がねじ曲げられて海外で報道され、それがさらに誤解を拡散させていく極めて非生産的な状況になっている」と指摘した。しかし、政府としての再調査については、言明を避けた。

 首相の本心は「河野談話を見直す気持ちに変わりはない。彼はそうした問題に取り組むために首相になった」(政府筋)とされる。ただ、米下院で慰安婦問題をめぐる対日非難決議案が審議中であることや、米国、中国、韓国などで対日包囲網を築く動きがあることから、「政府として再調査に踏み出すにはタイミングが悪い」(周辺)と判断したとみられる。

 資料には、河野談話が官憲による慰安婦募集の強制性を認めた最大の根拠である韓国での元慰安婦16人への聞き取り調査結果(現在は非公開)もあるが、首相は提供するかについて「まだ詳しく分からない」と答えた。

 これに先立ち、自民党の「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」(中山成彬会長)は8日、慰安婦問題について(1)実態の再調査と結果の公開(2)米下院の対日非難決議案の採択防止を含め、正確な理解を広める外交努力−を政府に求める提言を取りまとめ、首相に手渡した。

 提言は、決議案を「客観的史実に基づかない一方的な認識」と批判した上で、「(決議案などの)誤った認識は、河野談話が根拠となっている」と間接的に河野談話の修正を求めている。

 米下院の決議案は「女性を強制的に性奴隷化」などと軍による強制連行を前提に、日本政府に謝罪を要求。首相は5日の参院予算委員会で、「官憲が家に押し入って人さらいのごとく連れて行くという強制性はなかった。米下院の決議案は事実誤認がある」と反論している。

【用語解説】河野談話

 宮沢喜一内閣総辞職前日の平成5年8月4日、河野洋平官房長官が「慰安所の設置、管理および慰安婦の移送は旧日本軍が直接あるいは間接に関与した。慰安婦の募集は、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、甘言、強圧など本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、官憲等が直接これに加担したこともあった」とする談話を発表し、謝罪した。

 しかし、談話の根拠は元慰安婦女性からの聞き取り調査だけで、当時官房副長官だった石原信雄氏は「あらゆる努力を傾注して調べたが、直接的に(軍が)本人の意図に反しても女性を慰安婦とする、という指令書は一切なかった」と述べている。

慰安婦:韓国人ネットユーザーあおるCNN投票(上)

2007/03/09 朝鮮日報/朝鮮日報JNS カン・ヨンス記者

一部からは広告収入を狙ったものとの指摘も

 現在米国のニュース専門テレビ局CNNが行っている、日本政府の「従軍慰安婦」に対する謝罪と賛否を問うインターネット投票をめぐり、韓日のネチズンらの間では激しいインターネット戦争が繰り広げられている。

 特にCNNのインターネット投票では、日本の立場を支持する世論が圧倒的優位を占めており、CNNのインターネット投票の公正性が物議をかもしていると共に、クリック数を高めて広告収益を上げるための投票ではないかとの疑惑も提起されている。

 CNNは4日(現地時間)、安倍晋三首相が「慰安婦」について再び謝罪することはないと発言したという記事のページで「日本は再び謝罪しなければならないのか」という質問を投げかけ、賛否を問う投票を実施した。

 8日午後2時15分現在で、この調査には計192万9969人が参加している。そのうち「再び謝罪しなければならない」という賛成票は45万252票で23%にしかならなかった反面、「謝罪する必要はない」という反対票は147万971票で77%を占めた。

 7日午後6時40分の時点でも、投票者69万7086人のうち「再び謝罪しなければならない」という回答は26%、反対票は74%だった。ところがこの日の午後4時ごろには謝罪反対がなんと90%を超えたことが把握されているが、6日にはどちらも1万4000票程度で、賛否の比率が五分五分の状態だったという。

 安倍首相はこれに先立ち、「慰安婦連行の強制性を裏付ける証拠がない」という妄言に続き、5日の参議院予算委員会で「米下院で日本軍慰安婦に関し謝罪を求める決議案が通過しても、日本政府は謝罪しない」と述べ、国際的に激しい非難を受けている。これについてはニューヨーク・タイムズやロサンゼルス・タイムズなど米国の有力紙も、記事やコラムなどを通じて日本政府を非難している。

 しかし、日本政府に対する国際的な非難とは異なり、CNNのインターネット投票では正反対の結果が出ているため、韓国のネチズンらはネイバーやダウムなどのポータルサイト、各種コミュニティーにCNNのインターネット投票の結果を提示し、結果逆転のための投票参加を促している。

 これに対し、日本のネチズンも反撃に出ている。日本の嫌韓流ネチズンらが主に書き込みをしているサイト「2ちゃんねる」などには、CNNのインターネット投票の実施とこれに対する韓国ネチズンらの動向を紹介する文が続々と書き込まれ、日本のネチズンらの投票を督励している。

 このように、韓日のネチズン同士の間でインターネット投票戦争が繰り広げられている中、CNNが実施してきたインターネット投票のほとんどが圧倒的に日本側の立場を代弁する結果となっていることに対し、その公正性をめぐっても物議をかもしている。

慰安婦:韓国人ネットユーザーあおるCNN投票(中)

2007/03/09 朝鮮日報/朝鮮日報JNS カン・ヨンス記者

一部からは広告収入を狙ったものとの指摘も

 CNNが昨年6月に実施した「小泉総理が靖国神社を参拝するのは適切だと思うか」というインターネット投票でも、賛成票が90%以上に達した。さらに2005年8月に行われた「日帝は第2次世界大戦の犠牲者らに保証金を支給すべきか」という質問では「No」の比率が99%を超えており、また同年4月、日本の国連安全保障理事会常任理事国入りの可否を問う質問でも、日本の常任理事国入り賛成の比率が80%を超えた。

 もちろんCNNは、このインターネット投票は科学的なものではなく、ただ単に投票に参加したネットユーザーの意見を反映したもので、インターネットユーザー全体や、一般の世論を代表するものではないという立場だ。

 しかし、CNNのインターネット投票には日帝の蛮行について無知な若い米国人のインターネットユーザーらが参加しているとも予想され、こうした結果自体、米国だけでなく世界のネチズンの世論にどの程度影響を及ぼし得るかという点が、問題として指摘されている。

 これと関連し、駐米韓国大使館のユン・ソクチュン広報公使は、聯合ニュースとのインタビューで「従軍慰安婦問題と関連し、日帝の蛮行をよく知らない多くの米国人たちは“韓国‐日本間の問題になぜ米国が介入するのか”という考えを持つ反面、この問題をよく知っている米国の有識者らは、日本の謝罪及び賠償責任を切実に強調するなど、両極端での認識の差が存在している。こうした現実を無視したままCNNがなぜ即席の投票を実施したのか、理解に苦しむ」と語った。

 ユン公使はまた、「CNNは、安倍首相の発言をきっかけに米国でも従軍慰安婦問題が浮上すると、よく考えもせずに投票を行ったものと思われる。しかし、もしCNNがこの問題についてきちんと調査しようとするならば、韓日問題に精通した米国の専門家らを対象に投票を実施すべきだ」と話している。

 こうした中、日本国内では、これまで日本が慰安婦問題についてきちんと謝罪したことがないのに、こうしてまた謝罪すべきかと問うこと自体、日本を代弁する質問ではないかとの指摘もある。

慰安婦:韓国人ネットユーザーあおるCNN投票(下)

2007/03/09 朝鮮日報/朝鮮日報JNS カン・ヨンス記者

一部からは広告収入を狙ったものとの指摘も

 これと関連し、韓国のネチズンらの間では、今回のCNNの投票は韓日間の民族感情を利用してクリック数を高めようというものなのではないのか、といった分析が説得力を増している。

 つまり民族間の溝が深い上に、インターネット利用度も高い韓日両国のネチズンらを引き込むために、CNNがこうした投票を続けているというわけだ。

 インターネットショッピングモールなど、IT企業に勤めているというあるネチズンは最近、「CNNの世論調査は、サイトのアクセス数とクリック数を増やし、広告収益を上げるために韓国のネチズンを刺激する投票を実施した。これは、インターネット強国である韓国のネチズンらを参加させるための戦略的えさだ」という分析を書き込み、多くのネチズンたちの共感を得ている。

 このネチズンはさらに、「韓国のネチズンが数万人投票した場合、投票結果が変わり、(広告)効果がないため、韓国人を釣るために投票操作を行うだろう。多くの人たちが操作された投票結果に釣られ続けるのは、CNNにとって良い結果を与えるだけであり、投票に参加してはならない」と提案した。

 CNNが投票結果を操作しているかどうかについては確認されていないが、多くのネチズンは、韓国のネチズンが積極的に参加しているのにもかかわらず投票結果が変わらないことに対し、強い疑惑の念を表している。

慰安婦:「CNNネット投票、韓国人ならぜひ投票を」

2007/03/09 edaily/ 朝鮮日報JNS

安倍晋三首相の「慰安婦連行の強制性を裏付ける証拠がない」との発言に続き、現在米国のニュース専門テレビ局CNNが行っているインターネット投票に、韓国のネットユーザーらの気分はよくない。

 「日本は第2次世界大戦中の軍隊慰安所について、また謝罪しなければならないのか」。アンケート調査の結果、「謝罪する必要はない(No)」という回答が76%にも達した。

 これについて、韓国のネットユーザーらの間で「韓国の力を見せてやろう」と投票の実施を促す意見が急速に広まる中、投票を督励する動画UCC(ユーザー製作コンテンツ)が登場し、話題を集めている。

 「韓国人ならぜひ投票してください!(http://mulpi.mgoon.com/hotamerica/V430887)」というタイトルで、UCCポータルサイトのエムグン(mgoon)に載せられたこの動画は、CNNが行っている投票の状況と安倍首相の最近の発言を編集、歪曲(わいきょく)を正すためにぜひ投票に参加してほしいと呼びかけている。

 エムグンの8日の発表によると、ここ2‐3日の間にCNNの投票への参加を促すUCCをはじめ、慰安婦関連の動画UCCなど、反日UCCが新たに登録されているという。

 特に「コンコンコンナムル」というIDの会員が製作した「お守りできなくてすみません(http://mulpi.mgoon.com/gooduck09/V427130)」というタイトルの動画UCCは、従軍慰安婦に対する切ない気持ちを表現しており、話題となっている。

 エムグンのチェ・ドンイル代表は「以前は日本関連の問題が提起されると、まるで恨みをはらすかのように極端な非難をすることが多かったが、UCCを通じた対応は以前とは違っている。極端な非難というよりは、静かな映像と音楽を通じ、より説得力のあるメッセージが伝えられており、オンライン上での波及力さらに大きいものと思われる」と話している。

慰安婦: CNNネット投票めぐり韓日ネットユーザー激突

2007/03/09 朝鮮日報/朝鮮日報JNS ソン・ヘジン記者

 「日本政府が元従軍慰安婦に対し、再度謝罪しなければならないと思いますか」

 米国のニュース専門テレビ局CNNが、今月4日からウェブサイト上で実施している世論調査をめぐり、韓日両国のネットユーザーらが攻防を繰り広げている。

 CNNは日本の安倍晋三首相が「従軍慰安婦」問題について「謝罪する必要はない」と発言したことをきっかけに、ウェブサイトを利用する世界各国のネットユーザーらを対象に今月4日から世論調査を行っている。

 その結果、8日午後3時30分現在で「謝罪する必要はない」という回答は74%を超えた。日本を支持する意見が圧倒的に多いというわけだ。この事実が伝わるや、韓国のネットユーザーらは猛然と反発している。

韓国のネットユーザー「歴史的事実を否定」 日本のネットユーザー「アンケート結果をなぜ信じない」  

  韓国のポータルサイト・ダウムの掲示板「アゴラ広場」では、「CNNの世論調査に参加しましょう」というタイトルのスレッドが数十個も作成されている。また、ネイバーでは「CNNの慰安婦報道」を人気検索語の1位にしようという動きも見られた。「kyudream」と名乗るネットユーザーは「安倍首相の妄言に怒りと悲しみを覚える。批判の声がまだまだこれだけある、ということを見せつけるためにも、ネット投票に参加しよう」と書き込んだ。また、「明るいほほ笑み」と名乗るネットユーザーも「明らかな歴史的事実を否定する日本に対し、世論の力を見せつけよう」と書き込んだ。

 また、世論調査の内容に問題があるという指摘も出ている。「now here001」と名乗るネットユーザーは、「日本が韓国に対して1度も謝罪したことがないのに、“再度謝罪する”という表現を用いたのは誤りだ」と書き込んだ。

 一方、日本のネットユーザーらも敏感な反応を見せている。日本最大の掲示板サイト「2ちゃんねる」内にある代表的な嫌韓コミュニティー「ハングル板」では、「米国で慰安婦問題の非難決議案が出てきたのはばかげたことだ」「韓国人の減らず口には腹が立つ」といった書き込みが相次いでいる。また、ヤフー日本語版の掲示板で「hugenbosatu3」と名乗るユーザーは「CNNのアンケート結果さえ信じない韓国人のしつこさがもどかしい」と皮肉る書き込みをした。

慰安婦問題、日本の再謝罪「不要」75% CNNウェブ調査

2007/03/09 The Sankei Shimbun WEB-site

 いわゆる慰安婦問題について日本は再度謝罪する必要があるかどうか、米ケーブルテレビCNNがウェブ上でアンケートを実施したところ「ノー」という回答が「イエス」の3倍になっている。

 アンケートは時事問題についての「クイック投票」コーナーに今月4日、掲示された。9日の表示は投票総数約320万件で、「イエス」25%に対し「ノー」は75%。ただしCNNは、ネットユーザーの意見にすぎないとの注釈をつけている。

 アンケートについて、韓国紙・中央日報(電子版・日本語)は「日本側に有利な方向に展開し、(韓国内に)衝撃が起きている」と報道。日本の保守勢力が集中的に投票への参加を促した可能性があると推測する一方、「韓国社会および韓国のネット市民たちも関心をもってイエスに投票してほしい」との声を掲載している。

米紙の対日批判激化 「同盟国の信頼失った」

2007/03/09 The Sankei Shimbun WEB-site

 【ワシントン=山本秀也】いわゆる慰安婦問題で、狭義の強制性を裏付ける証拠はないとした安倍晋三首相の発言に対し、8日付のボストン・グローブ紙社説は首相発言が「近隣アジア諸国にとどまらず、同盟国たる米国の信頼も失った」と決め付け、ロサンゼルス・タイムズ紙の社説(7日付)が天皇陛下の謝罪を公然と要求するなど、リベラル系メディアを中心とした対日非難はエスカレートしている。

 これら米紙の「客観的事実に基づかない報道」(加藤良三駐米大使)に対して、日本政府は管轄の在米公館を通じて反論を投稿する構えだ。しかし、対日非難に加わる米地方紙の増加や、ニューヨーク・タイムズ紙のように非難を繰り返すメディアの登場で日本側の主張はかき消されている。

 ボストン・グローブ紙の社説は、安倍首相の発言が「日本のプライド回復で内政的には有利だろうが、対外的には悪いタイミングで日本を孤立に追い込む」と拉致問題の全貌開示を拒む北朝鮮と慰安婦問題をめぐる日本の姿勢を並べて描いた。

 今月6日に慰安婦問題で日本非難の社説を掲載したニューヨーク・タイムズ紙は8日、1面の準トップ扱いで、シドニーで行われた元慰安婦らの抗議活動を報道。安倍首相について「戦時中の日本の過去を抑え込むことでキャリアを築いた民族主義者だ」と主張した。

 ロサンゼルス・タイムズ紙の社説は「日本と近隣の国民とを最も和解させ得る人物は、昭和天皇の子息である明仁天皇」として「家族(昭和天皇)の名において行われたすべての犯罪への謝罪」を求めた。

 慰安婦問題をめぐる下院決議案に関係する有力議員の多いカリフォルニア州では決議案を提案したマイク・ホンダ議員の地元紙サンノゼ・マーキュリー(6日付)も、首相発言について「ホロコースト(ユダヤ人虐殺)を否定するようだ」とのコメントを掲載。7日の社説では「下院は歴史の教訓を創出すべきだ」と決議案の採択を強く主張した。

慰安婦問題で自民が調査の場合、政府資料提供…首相

2007年03月08日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 安倍首相は8日夜、いわゆる従軍慰安婦問題に関する1993年の河野洋平官房長官談話の前提となる事実関係について、自民党が調査を行う場合、政府が収集した資料を党側に提供する考えを表明した。政府による再調査は否定した。

 首相官邸で記者団の質問に答えた。

 自民党の有志議員による「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」の中山成彬会長(元文部科学相)らは同日午後、首相官邸で首相と会い、〈1〉慰安婦問題を再調査し、関連資料を全面的に公開する〈2〉米下院に提出された対日決議案が採択されないよう外交努力を行う――などを求める提言を提出した。

 首相はその後、記者団に「(慰安婦募集の)強制性について今後、党が研究、調査をしていくということなので、政府としては資料などの提出、提供で必要に応じて協力していく考えだ」と述べた。政府の対応については、「我々は基本的に河野談話を継承していく立場だ」などと語った。

慰安婦問題の再調査表明 首相、関係資料公開も

2007/03/08 中国新聞ニュース

 安倍晋三首相は八日、戦時中に朝鮮半島などから動員された従軍慰安婦問題をめぐり、旧日本軍の関与を認めた「河野洋平官房長官談話」(一九九三年)の前提となる事実関係について、政府として再調査する考えを表明、関係資料を公開する意向も示した。慰安婦問題に関する提言をまとめた自民党有志の議員連盟「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」のメンバーに官邸で伝えた。

 同議連の中山成彬会長(元文部科学相)らによると、首相は河野談話を踏襲する方針を重ねて強調したうえで、従軍慰安婦の実態に関しては「必要に応じて調査する」と言明。河野談話を策定する根拠となった前回調査の資料などについても「提出していきたい」と公開に踏み切る意向を示した。

 従軍慰安婦問題をめぐり日本に「謝罪」を求める米下院外交委員会決議案に関しては「客観的事実に基づいておらず、誤解を解き理解を得るために、政府としていっそうの外交努力を行っていきたい」と述べた。

慰安婦: CNNネット投票で日本に有利な結果続出

2007/03/08朝鮮日報/朝鮮日報JNS カン・ヨンス記者

「安倍首相の謝罪の必要なし」74%

 米国のニュース専門テレビ局CNNが行っているインターネット投票で、日本の安倍晋三首相が旧日本軍の「従軍慰安婦」問題について謝罪する必要はないという意見が圧倒的に多いことが分かり、韓国のネットユーザーらが反発している。

 CNNは、安倍首相が旧日本軍の「従軍慰安婦」問題について再び「謝罪する必要はない」と発言したことを伝える今月4日付の記事で、「日本は再び謝罪するべきか」についての賛否を問うネット投票を行った。

 7日午後6時40分現在、総投票数69万7086票のうち、「再び謝罪するべきだ」は18万1378票で26%にすぎなかった。一方で「謝罪する必要はない」は74%(51万5708票)に達した。

 この日午後4時ごろには、「謝罪する必要はない」という意見が90%を超えたことも分かった。

 この結果に対し、韓国のネットユーザーらは「到底受け入れられない結果だ」として、組織的な賛成票(「再び謝罪するべきだ」)を投じている。

 CNNが昨年6月、「小泉首相が靖国神社へ参拝することは適切だと思うか」というネット投票を行った際にも、「適切だ」とする意見が90%以上に達するなど、CNNが行う日本関連のネット投票では日本に有利な投票結果がたびたび出ている。

 安倍首相は今月1日、旧日本軍の従軍慰安婦について「強制性があったことを証明する証拠はない」と発言したのに続き、5日にも参議院予算委員会で「米国下院が従軍慰安婦問題で日本に謝罪を求める決議案を採択したとしても、日本政府が謝罪することはない」と述べ、国際的な非難が高まっている。

天皇陛下は謝罪を 従軍慰安婦問題で米紙

2007年03月08日 中国新聞ニュース

 【ロサンゼルス7日共同】太平洋戦争中の従軍慰安婦問題に関する安倍晋三首相の発言について、米有力紙ロサンゼルス・タイムズは7日、問題解決に向け、「天皇陛下は自分の家族(昭和天皇)の名において行われた犯罪に対し一歩進んだ謝罪ができる」とする社説を掲載した。

 社説は、日本政府に明確な謝罪を求める米下院外交委員会の決議があっても謝罪しないと述べた安倍首相について「中国、韓国との関係改善を目指し首相に就任しながら、日本の右翼勢力による歴史の修正主義にくみして関係を台無しにした」と批判した。

 損なわれた日本のイメージと近隣国との関係修復のためには「政治の論争を越え、一番の貢献ができるのは天皇陛下だ」と指摘。1992年の訪中で「過去」を「深く悲しみとするところ」などと表明した発言より「さらに説得力のある謝罪」が、日本の政治家の発言より意味を持つと主張した。

事実誤認と米報道に反論 安倍首相発言で加藤大使

2007年03月08日 中国新聞ニュース

 【ワシントン7日共同】加藤良三駐米大使は7日、ワシントンの日本大使館で記者会見し、従軍慰安婦の動員で旧日本軍の強制性を裏付ける具体的証拠はないなどとした安倍晋三首相の発言が米国内で波紋を広げていることについて「米側の一部報道に客観的事実に基づかない」内容があると反論、日本政府の立場を米国に伝える最大限の努力をしていると強調した。

 下院外交委員会では、従軍慰安婦問題をめぐり日本側に「謝罪」を求める決議案を審議中。4月下旬には安倍首相の初訪米を控えており、加藤大使は、民主党のラントス外交委員長と直接会うなど議会や政府関係者への働き掛けを強め、決議案が採決に至らないよう努めていると説明した。

 2日付のワシントン・ポスト紙などが安倍首相の発言の記事を掲載、波紋が一気に広がった。

 加藤大使は、安倍首相は旧日本軍の関与を認めた1993年の河野洋平官房長官談話の内容を「強制性を含めて継承している」と強調。

慰安婦:「日本領事館も連行に介入していた」

2007/03/06 朝鮮日報/ 朝鮮日報JNS 釜山=クォン・ギョンフン記者

 安倍晋三首相の「慰安婦連行の強制性を裏付ける証拠がない」との発言に対し国際社会での波紋が広がる中、日本軍の慰安婦連行に警察や軍だけではなく領事館までが組織的に介入していた事実を立証する文書が、10年前に日本で発行された単行本に掲載されていたことが確認された。

 釜山外国語大学の金文吉(キム・ムンギル)教授=写真=は5日、日本の「女性のためのアジア平和国民基金」が1997年に発行した単行本、『日本軍慰安婦関係資料集成@』にこのような文書が掲載されていると発表した。

 同書には、1937年12月31日に上海駐在で日本領事館所属の警察官だった田島周平が長崎水上警察署に送った公文書、「皇軍将兵慰安婦女渡来ニツキ便宜供与方依頼ノ件」が掲載されている。その内容によると、領事館は慰安所の営業許可、慰安婦の渡航に対する便宜供与、(慰安婦)到着後の滞在決定などを行い、憲兵隊は営業主と従業婦の前線慰安所までの輸送、保護、取締りなどを担当すること、となっている。また特務機関が慰安所の確保、提供と慰安所の衛生検査、従業酌婦の性病検査などを担当すると記載されている。この文書には「皇軍将兵の士気を高めるために関係機関が深く研究し、総領事館、陸軍、憲兵隊などと協議して前線各地に慰安所を設置する」という内容も記録されている。 

 さらに資料集成には1938年2月7日に和歌山県知事が内務省警報局長宛てに送付した公文も紹介されている。その中には「なにも知らない婦女子を“給与が良い”などの言葉で誘い出す方法で連れて行った」という内容が記されてあった。

慰安婦発言で安倍首相批判 中国外相が記者会見

2007/03/06 中国新聞ニュース

 【北京6日共同】中国の李肇星外相は六日、北京の人民大会堂で記者会見し、旧日本軍が従軍慰安婦の動員を強制した具体的な証拠はないとした安倍晋三首相の発言について、従軍慰安婦問題は「日本の軍国主義者が犯した重大な罪の一つ」と指摘した上で「日本政府は歴史的事実を認めるべきだ」と批判した。

 外相は一方で、四月の温家宝首相訪日について「両国の各分野の協力を発展させる上で重要な意義がある」と強調。歴史問題では譲らない姿勢を示しながら、日中関係改善を推し進める中国政府の姿勢を明確にした。

 日本の国際的役割の拡大にも理解を示し、国連安全保障理事会改革について日本の常任理事国入り問題を念頭に「日本を含め各国と協議していきたい」と述べた。

 李外相は、慰安婦問題は日本政府が責任を持って「適切に処理すべきだ」と強調したが、日中間で対立が続く東シナ海ガス田問題については、東シナ海を「友好と協力、平和の海」と位置付け共同開発を推進すべきだと述べた。

 北朝鮮核問題では平和的解決を強調、二月に六カ国協議で採択した共同文書を各国が履行するよう求めた。十九年連続で国防費の二けたの伸び率が続く国防政策については「防御的であり、透明度を高めている」と弁明した。

 イラン核問題では、イランが国際原子力機関(IAEA)に協力するよう呼び掛けた。

慰安婦問題、米決議でも謝罪せず…参院予算委で首相

2007年03月05日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 2007年度予算案の参院での質疑が5日午前、予算委員会で始まった。

 安倍首相は、いわゆる従軍慰安婦問題で、日本政府に謝罪を求める決議案が米下院に提出されていることについて、「決議があったから、我々が謝罪するということはない。決議案は客観的な事実に基づいていない。引き続き理解を得るための努力を行っている」と述べ、仮に採択されても、政府として謝罪する考えのないことを強調した。

 元慰安婦への「おわびと反省」を表明した1993年の河野洋平官房長官談話については、「基本的に継承していく」と改めて表明。その上で、「狭義の意味での強制性を裏付ける証言はなかった。官憲が人さらいのごとく連れて行くという強制性はなかった。いわば『慰安婦狩り』のような強制連行的なものがあったということを証明する証言はない」と述べ、旧日本軍や官憲による強制連行を示す証拠はないとの見解を改めて示した。

 また、「そのときの経済状況もあった。本人が進んでそういう道に進もうと思った方はおそらくいない。間に入った業者が事実上強制していたケースもあった。広義の解釈では強制性があった」と述べた。小川敏夫氏(民主)の質問に答えた。

塩崎長官、河野談話見直しを否定 「首相発言は談話と矛盾せず」

2007/03/05 The Sankei Shimbun WEB-site

 塩崎恭久官房長官は5日午前の記者会見で、慰安婦問題をめぐる平成5年の河野官房長官談話について、「安倍内閣は河野談話をしっかりと受け継いでいることはこれまでと何ら変わりはない」と述べ、談話の見直しや撤回を重ねて否定した。

 その上で、塩崎氏は「河野談話でははっきりと軍の関与に触れており、心からお詫びと反省の気持ちを申し上げるというのが政府の立場だ。慰安所設置などに軍が関与し、業者の甘言や強圧により意志に反して集められた事例が数多くあり、官憲が直接加担したことも認めている。政府は一貫して談話を基本的姿勢として打ち出した上で未来志向の日韓関係を作ってきた」と述べ、談話の意義を強調した。

 安倍晋三首相の「慰安婦問題で強制性を証明する証言や裏付けはなかった」(1日)との発言を韓国政府が批判していることについて、塩崎氏は「首相の発言は談話に矛盾していない。(批判は)首相の発言に対する適切な解釈の元に行われたものではない」と述べた。

米議会、慰安婦決議案 米メディア「安倍首相 全否定」報道

2007/03/05 The Sankei Shimbun WEB-site

 【ワシントン=古森義久】「慰安婦」問題で日本に謝罪を求める決議案が出ている米国議会で、最近の安倍晋三首相の言明の報道が、同決議案への反対派を混乱させるという屈折した現象が起きている。反対派は河野談話などを基に「日本がすでに非を認めて十分に謝罪した」という立場をとり、決議案推進派の動きを「日本の民主主義を無視している」と批判してきたが、安倍首相が慰安婦問題への日本の責任を全否定するかのように報じられたからだ。

反対派の議員が困惑

 下院本会議に出された「慰安婦」非難決議案に対し、議会内に反対勢力が厳存することは日本側ではあまり伝えられていない。だが2月15日の下院外交委員会アジア太平洋小委員会が開いた公聴会でも共和党のデーナ・ローラバッカー議員は(1)日本の首相や閣僚は慰安婦問題について1993年以来、何度も謝罪してきた(2)現在の日本国民を二世代前の先人がした行為を理由に懲罰することは不当だ(3)世界のどの国も過去には罪を犯してきたが、米国を含めてそれほど謝罪はしていない(4)決議案はいまの日本が米国の同盟国として人道主義を推進し、世界的にも重要な民主主義の旗手であることを無視するに等しい−などと述べて、決議案への反対を明言した。

 共和党のスティーブ・チャボット議員も「第二次大戦で苦痛を経た日本、韓国、フィリピンなどはみな今、米国の同盟国であり、戦後の困難な状況でも米国を支援してきた」と述べて、決議案を批判した。

 公聴会では議員側の出席は議長を除いて冒頭でも4人だけで、そのうち発言した3人のうちの2人が決議案への反対や難色を表明したことになる。賛成論の発言は議長以外では決議案提出者の民主党マイク・ホンダ議員だけだった。

 しかし、日本側の立場を結果として擁護する反対派の議員たちも2日、ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストにより安倍首相の言明が「首相が性的奴隷への日本軍の役割を否定」とか「首相は女性が戦時の売春宿に強制徴用されたことを否定」という表現で報道されたことで、動揺を示した。

 共和党のある議員補佐官は「わが議員も決議案に反対だが、もし日本当局の慰安婦へのかかわりや従来の謝罪がすべて否定されるとなると、賛成に回らざるをえない」と述べた。だが、現実には安倍首相は1日、記者団の質問に「当初、定義されていた強制性を裏づける証拠はなかった」と述べ、日本軍による女性の組織的な強制連行はなかったことを強調しただけだとされている。

 日本側は今回、米国議会に対し「日本政府はいわゆる従軍慰安婦問題に関する責任を明確に認め、政府最高レベルで正式なおわびを表明してきた」(加藤良三駐米大使の声明)という見解を同公聴会の開催前に積極的に伝達してきた。この声明は、河野談話を踏まえた形になっており、米側とすれば、日本政府がすでに慰安婦問題への軍の関与を認め、そのうえですでに謝罪をしたという認識だといえる。

 ところが首相の新たな言明が、河野談話や従来の責任自認、謝罪などの一切を否定するような印象で米紙で報じられるとなると、決議案反対の米側議員も反対の根拠を否定されたような受け止め方になる。この点でも日本側の対応には緻密(ちみつ)な配慮が求められることとなる。

中国国営通信の新華社、安倍首相発言を批判 慰安婦問題で

2007/03/04 The Sankei Shimbun WEB-site

 中国国営通信の新華社は4日までに、従軍慰安婦の動員には旧日本軍の強制性を裏付ける具体的証拠はないとした安倍晋三首相の発言について「日本の犯罪を示す決定的証拠は山のようにあり、否定は許されない」と批判する論評を配信した。

 論評は、従軍慰安婦問題をめぐり日本政府に「明確な謝罪」を求めた米下院外交委員会の決議案に言及、同案に反論した塩崎恭久官房長官らの発言を挙げ「歴史上の責任を逃れ、軍国主義復活を狙っている」などと非難した。(共同)

「首相は河野談話を継承」 慰安婦問題で世耕補佐官

2007/03/04 The Sankei Shimbun WEB-site

 世耕弘成首相補佐官(広報担当)は4日のテレビ朝日番組で、従軍慰安婦の動員をめぐる旧日本軍の強制性に関する1日の安倍晋三首相の発言について「首相就任直後の国会答弁通り。強制性の定義は広義、狭義といろいろあるが、(従軍慰安婦におわびと反省の気持ちを表明した1993年の)河野官房長官談話を引き継ぐことは変わっていない」と強調した。

 韓国や米国で首相発言を河野談話見直しの動きと警戒する見方が出ているため、それに反論した。政府関係者によると、首相官邸は韓国政府や米国メディアなどに首相の真意を説明する必要があるか検討している。

 首相は河野談話継承を明言した昨年10月の衆院予算委員会で「狭義の強制性」を「家に乗り込んで強引に連れて行った」、「広義の強制性」を「行きたくないが、結果としてそうなった」と説明した上で「狭義の強制性については事実を裏付けるものは出てきていない」と答弁した。

韓国外相、首相発言を批判 米紙も「河野談話否定の準備」と

2007/03/03 The Sankei Shimbun WEB-site

 【ワシントン=山本秀也】米国を訪れている韓国の宋旻淳外交通商相は2日、ワシントン市内で講演し、安倍晋三首相が旧日本軍による慰安婦の強制連行を裏付ける証拠はないと述べたことについて、「未来志向の韓国と日本の関係を構築する上で有益でない」と批判した。首相発言については、同日付の米主要紙が批判的な記事を掲載しており、米下院で審議中の対日非難決議案への影響が懸念される。

 ニューヨーク・タイムズ紙は「女性の性奴隷化について直接、間接的に軍の役割を認めた1993年の政府声明(河野談話)を、日本政府が否定する準備を進めていることを明確に示すものだ」と指摘した。同日付の米紙ワシントン・ポストも、「安倍氏の発言が、大戦中の虐殺に関して償いに応じていないと東京を非難する韓国や中国を怒らせることは確実だ」とするAP通信を掲載した。

 決議案を提出した民主党のマイク・ホンダ議員は1日、「否定し難い過去の過ち」に対し、日本政府が明確な謝罪に応じるよう重ねて要求する談話を発表した。

韓国外相が安倍首相批判 慰安婦問題発言

2007/03/03 中国新聞ニュース

 【ソウル3日共同】聯合ニュースによると、訪米中の韓国の宋旻淳外交通商相は二日(米東部時間)、従軍慰安婦問題で旧日本軍の強制性を裏付ける具体的な証拠はないとの安倍晋三首相の一日の発言に対し「第二次大戦時の日本帝国主義による性奴隷(従軍慰安婦)強要を疑う者は、真実を正確に直視しなければならない」と強く批判した。ワシントンでの講演後に語った。

 安倍首相発言への韓国閣僚からの批判は初めてだが、韓国では政界から批判の声が上がり始めており、新たな外交摩擦に発展する可能性がある。

 宋外交通商相は「このような発言は、両国間の健全で未来志向的な関係構築にまったく役に立たない」と述べた。

【緯度経度】ワシントン・古森義久 「慰安婦」糾弾の正確度は

2007/03/03 THe Sankei Shimbun WEB-site

 米国議会下院に、いわゆる「従軍慰安婦」問題に関する決議案が提出されている。2月15日にはその決議案審議の公聴会が下院外交委員会のアジア太平洋小委員会によって開かれた。決議案は「日本軍は合計20万人ものアジア各国の女性を強制的に徴用し、セックス奴隷としたが、戦後の日本はその非を認めていないため、いまの日本政府に明確な謝罪の表明を求める」という趣旨である。

 決議案の前提には慰安婦はすべて日本軍に直接に強制徴用され、河野談話も村山談話も明確な謝罪にはなっていないという決めつけがある。この決議案に対して日本政府は麻生太郎外相や加藤良三駐米大使の言明として「事実ではない」と反論する。では日本側のこうした姿勢に対し米側はどんな糾弾を進めるのか。同公聴会で日本を非難した議員や証人の言葉の一部を紹介し、その実態に光をあててみよう。

 「この決議案は日本帝国の軍隊によるセックス奴隷、つまり強制的売春の責任をいま日本政府が公式に認めて謝り、歴史的責任を受け入れることを求めている。日本の軍隊が5万〜20万人の女性を韓国、中国、台湾、フィリピン、インドネシアから強制的に徴用し、将兵にセックスを提供させたことは歴史的な記録となっている。米国も人権侵害は冒してきたが、日本のように軍の政策として強制的に若い女性たちを性の奴隷にしたことはない」(同公聴会の議長役となった同小委員長の民主党エニ・ファレオマバエンガ代議員=米領サモア選出で本会議での投票権はない)

 「日本の国会は戦争での個人の損害賠償は講和条約の締結で解決ずみという立場をとるが、他の諸国はそうは考えない。若い女性の多くは日本軍により自宅から拉致され、売春宿に連行された。1993年には河野洋平氏による談話が出たが、日本政府の誠意ある謝罪ではなく、人為的で不誠実な意思表示に過ぎなかった。20年ほど前に日本の文部省は検定教科書のなかの慰安婦の悲劇を削除、あるいは削減してしまった」(同決議案の提案者の民主党マイク・ホンダ下院議員)

 「日本側がアジア女性基金を作り、元慰安婦たちに賠償をしようとしたことは歓迎するが、それは政府としての正式の認知ではなく、賠償金受け手への日本の首相の謝罪書簡も日本政府としての明確で公式の謝罪ではない」(ホンダ議員)

 「日本軍当局が慰安婦運営に直接、かかわったことを示す証拠として中曽根康弘元首相の回顧録を提出する。中曽根氏はそのなかで東インド諸島での慰安所開設の様子を詳述している。河野談話、村山談話を含めてこれまでの日本政府当局者によるいかなる謝罪表明も慰安婦問題での日本の公式の謝罪ではない。橋本、小渕、森、小泉など歴代首相によるアジア女性基金の賠償金受取人への謝罪書簡も単に個人の見解表明に過ぎない。不誠実であり、日本をよく知らない外国人に向けてのカブキの演技のようなものだ。この種の弁解はホロコースト否定にも似ている」(日本の戦争責任糾弾の民主党系活動家ミンディ・カトラー氏)

 「とくにいまの安倍晋三政権は日本の歴史について虚偽の概念を有し、河野談話を骨抜きにしようとしている。いまの日本では右翼が非常に強く、数多くの政治家、歴史学者、新聞記者などはその恐怖におののき、政府への反論を述べられないでいる。彼らは夜、脅しの電話を受けたり、自宅に不審な物体を送られたりしている。私はあまりにも多くの米国人も含めての学者たちが脅迫を受けていることを知っている。日本のニューヨーク・タイムズに匹敵する最も尊敬され、最も広範に配布される日刊紙が最近、なんと2度も慰安婦システムというのは歴史的な」捏造(ねつぞう)だとする社説を掲げた」(カトラー氏)

 「現在の日本政府は戦争犯罪に関する情報を意図的に隠す努力を続けている。日本はいまや国際法の責務にきちんと直面せねばならない。歴代政権で唯一、戦争犯罪や侵略に遺憾を表明した村山富市氏は日本の軍部と国会の反発によって首相の任期を短くして辞任させられた」(「慰安婦問題ワシントン連合」代表のオクチャ・ソウ氏)

 以上のような発言が米国議会の公聴会という場で堂々と述べられているのである。ただし議員側はほとんどの時間、ファレオマバエンガ代議員とホンダ議員の2人だけの出席で、証人側には日本の立場を説明する人も中立の立場の人も呼ばれなかった。ただし冒頭だけ出席した共和党のデーナ・ローラバッカー議員は日本政府がすでに謝罪したとして、この決議案への反対を表明した。

 さて日本側としてはどう対応すべきか。このままだと安倍首相の訪米ごろに決議案が採択される見通しも十分にありそうなのだ。

日本の謝罪要求−米の従軍慰安婦決議案 可決阻止へ政府躍起

2007/03/02 北海道新聞

 米下院が審議中の、従軍慰安婦問題で日本政府に謝罪を求める決議案をめぐり、政府・自民党内で可決阻止に向けた活動が活発化している。一部議員は、決議案の根拠とされる河野洋平官房長官談話の修正を近く政府に申し入れるが、就任前は河野談話に否定的だった安倍晋三首相の本音を代弁したいとの思惑も透けて見える。(東京政経部 小倉敦)

 決議案は、従軍慰安婦問題で日本政府に明確な形で歴史的責任を認めるよう求め、首相の公式な謝罪を要求。慰安婦問題を「日本政府による強制的売春」「二十世紀最大の人身売買」と非難している。

 これに対して下村博文官房副長官は二月二十八日のCS番組収録で「デタラメな内容で、政府としても可決されないよう働きかけをしていく」と表明。世耕弘成首相補佐官は二月下旬に訪米し、政府関係者らに決議案の問題点を訴えた。

 同様の決議案は過去にも提出されたが、今回はこれまでより可決の可能性が高いとされ、政府の危機感も強まっている。このため政府の対応には、決議で対日批判が強まり、四月下旬に予定されている首相訪米への影響を避ける狙いもある。

 一方、自民党の「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」(会長・中山成彬元文部科学相)は、決議案を「河野談話のあいまいさが誤解を招いた結果」として、首相官邸に談話の修正を求める方針。

 一日の同会の慰安婦問題小委員会では最終的な結論には至らなかったが、これは会合で「修正ではなく撤回させるべきだ」「あいまいな修正ではダメだ」との強硬論が噴出したのが原因。中山会長は会合後「短期的には河野談話が誤解を招かないよう官邸に求め、長期的には史実に基づいた調査を求める」と述べた。同会は来週中に官邸に申し入れるほか、近く米国にメンバーを派遣し下院関係者を説得する考え。

 首相は昨年十月の国会答弁で、河野談話の踏襲を表明している。ただ一日夜の記者団の質問には、踏襲には言及せず「かつての定義である(連行の)強制性を裏付けるものはなかったのは事実だ」と軍の直接関与が立証できていない点を強調、議連への配慮をみせた。

 こうした首相の姿勢を議連側は「首相は自由に議論してほしいと言っている」(森派若手)と歓迎するが、政府内には「向こうは一生懸命、対日非難の火をつけようとしている。騒げば向こうの思うつぼだ」(外務省幹部)と、過熱する自民党内タカ派勢力への懸念も出ている。

河野談話 慰安婦「強制性」に韓国から働きかけ

2007/03/01 THe Sankei Shimbun WEB-site

 宮沢内閣末期の平成5年8月、河野洋平官房長官(当時)は「慰安所の設置、管理および慰安婦の移送は旧日本軍が直接、間接に関与した。慰安婦の募集は、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、甘言、強圧によるなど本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、官憲等が直接これに加担したこともあった」とする談話を出した。

 官憲による慰安婦募集の強制性を認めたもので、韓国などにより、日本政府が正式に慰安婦の強制連行を認めたと拡大解釈、宣伝された。

 しかし、談話の根拠は元慰安婦女性からの聞き取り調査だけで、9年3月の参院予算委員会で平林博内閣外政審議室長は「個々の証言を裏付ける調査は行っていない」と答弁。河野氏自身も同年、自民党の「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」の会合で「強制的に連行されたものかについては、文書、書類では(証拠は)なかった」と述べている。

 証拠がないにもかかわらず、政府が強制性を認めたのはなぜか−。河野談話作成にかかわった石原信雄元官房副長官によると、当時、韓国側は談話に慰安婦募集の強制性を盛り込むよう執拗(しつよう)に働きかける一方、「慰安婦の名誉の問題であり、個人補償は要求しない」と非公式に打診していた。日本側は「強制性を認めれば、韓国側も矛を収めるのではないか」との期待感を抱き、強制性を認めることを談話の発表前に韓国側に伝えたという。

米慰安婦決議案 自民、採択阻止へ談話修正会合

2007/03/01 THe Sankei Shimbun WEB-site

 米下院で審議中の慰安婦問題をめぐる対日非難決議案の採択を阻止するため、政府、自民党の働きかけが本格化している。首相官邸主導で米政府や関係議員に懸念を伝え、採択阻止への協力を要請。自民党は訪米団を派遣し、決議案の根拠となった「河野談話」の見直しに着手している。

 政府は、決議案が可決されれば、4月末にも予定される安倍晋三首相の訪米の行方に「大きな影響が出かねない」(政府関係者)と憂慮している。

 このため、首相は2月19日から22日まで、世耕弘成首相補佐官を米国に派遣。世耕氏は学者やジャーナリスト、政府関係者らに決議案の問題点を訴えた。

 その結果、現時点で「非難決議案は米国内では大きな関心事にはなっていない」(政府関係者)との感触を得るとともに、阻止へ向けた在米日本大使館の動きも鈍いことが明らかになったという。とりわけ大使館サイドは「日本政府による強制的軍売春」「20世紀最大の人身売買」とする決議案の内容に明確に反論せず、「慰安婦問題で『日本は何度も謝罪してきた』と釈明しているにすぎない」(同)という状況だった。

 このため、首相官邸サイドは外務省や大使館に下院対策を強く指示。さらに、決議案に対する米下院議員の賛否状況を調べ、決議案に賛成しないよう水面下での働きかけを強めている。

 一方、自民党では、河野談話の見直しを進めている議員連盟「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」の慰安婦問題小委員会(中山泰秀委員長)が1日、中川昭一政調会長も出席して会合を開き、河野談話の修正提言をまとめる方針だ。

 提言は「そのまま党の決定にはしにくい」(中川政調会長)ことから、党文教部会や政調審議会などでの手続きを経て、政府に提案する方向だ。これを受け、政府側も河野談話の部分修正の検討に入ることも視野に入れている。

 自民党は3月上旬に同議連メンバーを米国に派遣。決議案を提出したマイク・ホンダ下院議員(民主党)との面会も調整しており、決議案に理解を示す下院議員にも接触し翻意を促す考えだ。

慰安婦、根拠は「河野談話」決議案提出のホンダ議員

2007/02/25 Iza

 米下院に慰安婦問題をめぐる対日非難決議案を提出したマイク・ホンダ議員(民主)が25日、フジテレビの「報道2001」に中継で出演し、決議案が「日本軍による強制的な性奴隷化」などと軍による強制連行を一方的に断定している根拠について、「官房長官談話が出て、首相が謝っている。実際に(強制連行が)なければどうしてそういうことが起こるのか」と述べ、平成5年の河野洋平官房長官談話を挙げた。

 これに対し、日本側の出演者は「日本政府に謝罪を求めながら、強制連行の根拠を『日本の首相が謝罪しているからだ』というのは論理矛盾だ」(山本一太参院議員)などと反論。日本政府の対応にも注文が相次いだ。

 ホンダ氏は、自民党の「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」が河野談話の修正を求めていることについて、「議員が声明の内容を変えようとしている。本当は心から謝っていないのではないか」と非難。レーガン政権が1988年、第2次世界大戦中に強制収容した日系人に謝罪と補償をした例を挙げ、日本政府がこれに習うよう訴えた。また、決議案が日米関係に及ぼす影響について「日米関係をさらに強固にする」と述べた。

 河野談話をめぐっては、安倍晋三首相が昨年10月の国会答弁で「狭義の強制性(強制連行)を裏付けるものは出てきていない」と強調。首相サイドでは部分修正を模索する動きも出ている。

第47回 また「慰安婦」「南京」に悩まされる日本の情けなさ

2007年02月20日 BPnet SAFTY JAPAN

政治アナリスト 花岡 信昭氏

 米下院で「従軍慰安婦」をめぐる対日非難決議が採択されそうな気配である。一方、映画では「硫黄島」に続いて、今度は「南京」映画の制作ラッシュという。

 日本にとっては、なんとも迷惑な話である。既に半世紀以上も前のことをむし返され、「謝罪が足りない」「補償しろ」とやられる。ごく一部の扇動的集団が動き回っているのだが、日本の政府・外務省がこれに有効な対応策を取り得ないというのも情けない話だ。

 米下院外交委員会のアジア太平洋小委員会で「元慰安婦」なる人たちを招請して公聴会が開かれた。ファレオマバエンガ委員長は「日本軍の性奴隷は、日本政府が犯した20世紀最大の人身売買事件であり、集団強姦・強制堕胎・精神的侮辱・性的虐待などによる身体障害と虐殺などを伴う残忍かつ重大な事件」と述べた(朝鮮日報)というのだから、これは尋常ではない。

 この公聴会で証言した韓国人2人とオランダ人の「元従軍慰安婦」は、この問題をフォローしている研究者らにはおなじみの人物である。「証言」内容がころころと変わることも知られている。以前、「法廷」とは呼べない民間団体による催し「女性国際戦犯法廷」を取り上げたNHKの番組にも出ていた(この番組はその後、さまざまな立場から問題点が指摘された)。

 米下院で決議を主導しているマイク・ホンダ議員は日系3世。選挙地盤に韓国系勢力がいるのであろうといった事情は分かるにしても、いくらなんでもやりすぎである。万一、非難決議が採択されたら、法的拘束力はないにしても、日米関係に要らざるヒビが入ってしまうし、米下院の権威そのものが疑われることになってしまう。

「河野談話」の呪縛

 加藤良三駐米大使を筆頭に、決議阻止に向けての「ロビー活動」が展開されているとのことだが、「すでに謝罪している。補償も済んでいる」といった立場だから、迫力を欠くことおびただしい。

 やはり、93年の「河野談話」の呪縛がいつまでも付いて回る。当時の石原信雄官房副長官が後に明らかにしたように、慰安婦の「強制連行」をめぐって国家や軍が組織的に関与した事実は、いかなる資料からも発見されなかった。

 そのため、ソウルでの直前の聞き取り調査だけを根拠に「あったことにしよう」という政治判断が下された。宮沢政権崩壊の直前という政治的混乱の中で、日韓関係維持を目的とした「河野談話」がばたばたと打ち出されたのである。

 だいたいが、「従軍慰安婦」という言葉自体、戦時中には用いられず、後になってつくられた用語である。「女衒」といった民間業者が親にカネを渡して、嫌がる娘を連れて行ったということはあっただろう。末端組織の暴走が一部にあったのも事実のようだが、国家や軍の正規機関が関与した事実はなかった。

 ということは、いまになって「強制連行」を非難されるというのは、国家そのものに対する侮辱といっていいのだが、「河野談話」がネックになっている。安倍首相も本来は強制連行否定派なのだが、内閣の連続性を担保するため、河野談話踏襲を認めざるを得なかった。

「反日」をあおるのはだれか

 「南京大虐殺」は、日中戦争初期の1937年暮れ、当時の国民党政府の首都、南京を日本軍が攻略した際に起きたとされる。中国はいまだに「30万虐殺」を主張している。当時の南京の人口は20万程度だったから、どう見ても「白髪三千丈」のたぐいの話なのだが、反日テーマとして、「靖国」から「南京」への転換が進行中であるようにも見える。

 首都攻略戦だから、それなりの激しい戦闘行為があったのは事実だ。軍服を脱いで一般人に紛れ込む便衣兵の掃討作戦もあった。一部に不心得者もいただろう。だが、アイリス・チャンが書いた「ザ・レイプ・オブ・ナンキン」は、ほとんどが虚構である。その事実誤認を指摘されたアイリス・チャンは拳銃自殺している。

 いわば、「20世紀最大の謀略戦」が「南京大虐殺」を生み出したといっていい。ティンパーリーら外国特派員が国民党宣伝部から支援を受けて、英語、中国語の著書を同時出版し、これが「南京大虐殺の定本」となっていった過程なども、既に研究者によって明らかにされている。

 とてもではないが、ナチスのホロコーストと同一視されてはたまらない。問題は、敗戦ショック、東京裁判、「諸国民の公正と正義」に国の将来を委ねる憲法、といった歴史の過程の中で、国際的な謀略戦に真っ向から立ち向かえなかった日本の脆弱さにあるように思える。

 日本国内のメディアの一部に「反日」をあおり立てることを好む勢力が存在するのも厄介な現実だ。「日中問題」「日韓問題」は、つまるところ「日日問題」にある、という言い方もできよう。

 米下院の対日非難決議への動きなど、不幸な状況に手をこまねいていると、「原爆を落とした米国への非難」が噴出する、といったあらぬ方向への展開も懸念される。その場合、ほくそ笑むのはだれか。

外相、米下院の慰安婦決議案に「事実でない」

2007/02/19 The Sankei Shimbun WEB-site

 麻生太郎外相は19日午前の衆院予算委員会で、米下院に提出された慰安婦問題をめぐる対日非難決議案にある「日本軍による強制的な性奴隷化」といった記述について、「客観的な事実にまったく基づいていない。はなはだ遺憾だ」と述べ、決議案の事実誤認を指摘した。一方、塩崎恭久官房長官は、慰安婦募集で日本の官憲の強制性を認めた平成5年の河野洋平官房長官談話については「政府としては受け継ぐ」と述べた。自民党の稲田朋美氏の質問に答えた。

 米下院小委員会の決議案は、中国・韓国系米国人の支持を受ける日系のマイク・ホンダ下院議員らが提出。15日の公聴会では韓国人元慰安婦らが証言した。

 この日の予算委では、稲田氏が「決議案の根本には河野談話がある」などと指摘したのに対し、麻生氏は「(決議案は)法的拘束力はない。日本政府の立場の理解を得る努力をしていく」と述べ、決議案採択の阻止に努める考えを示した。

 慰安婦問題については、安倍晋三首相が昨年10月の国会答弁で、河野談話の踏襲を表明したものの、「狭義の強制性を裏付けるものは出てきていない」と述べ、慰安婦募集の強制性は否定している。

 一方、稲田氏は、慰安婦問題に関する損害賠償請求訴訟で慰安婦ら原告側が主張する日本軍の強制性について、被告である国側が「事実を争わない」としていることで、勝訴した場合でも判決理由では強制性が事実認定されていることについても問題視。長勢甚遠法相は「(原告の主張は)主文で棄却されているが、訴訟(の問題)だけではないとの見地から、まだまだ検討する余地がある」と述べ、強制性の否定に向けた訴訟方針の変更も視野に、再検討する考えを示唆した。

【社説】「日本はわれわれが死ぬのを待っているがわたしは死なない」

2007/02/17 朝鮮日報/朝鮮日報JNS

 米国下院外交委員会アジア太平洋・地球環境小委員会が16日、日本軍により慰安婦として連行された3人の被害者の証言を聞いた。これは民主党のホンダ議員らが先月31日に慰安婦問題を「日本政府が犯した20世紀最大の人身売買事件」とし、日本の首相の公式的な謝罪などを求める決議案を提出したことによる聴聞会だ。

 イ・ヨンス(79)氏は「16歳の時に台湾に連行され、1日に4人から5人の日本の軍人に犯された。反抗すれば電気拷問やムチなどで打たれ、つい最近まで当時感染した性病の治療を受けていた」と証言した。また、同じ年に中国に連行されたキム・グンジャ(80)氏は「慰安所に着いたその日から日本の軍人に殴られ左の鼓膜が破れた。1日に20人から40人の軍人に犯された。逃げ出して捕まると死ぬほど殴られた」と証言した。

 オランダ人のジャン・ラフ・オハーン(84)氏は、「インドネシアのジャワ島に住んでいた1942年の19歳の時に日本の軍人に連行された。日本の将校に日本刀でもてあそばれ初めて犯された。醜く見えるように髪も全部刈ったが役に立たなかった」と証言した。このように肉体的にも精神的にも踏みにじられた被害者は約10万人と推定されている。

 国連人権委員会や国際赦免委員会、国際労働機関はすでに10年以上前に慰安婦問題に対する日本政府の公式の謝罪と責任者の処罰などを勧告する特別報告書と決議文を採択している。日本政府自らも1993年に河野洋平官房長官名義の談話で慰安婦の動員に日本政府が直接関与していたことを認め被害者に謝罪している。

 しかし日本では最近、塩崎官房長官ら政府内で「河野談話の再検討」を主張している。米国のホンダ議員が決議案を提出したのはそのためだ。日本政府は米国の大物ロビイストまでを動員し、決議案の採択を妨害しているのだ。

 このところ日本の政治家に良識を求めるのは徐々に難しくなっている。真実の謝罪もなく、「何が間違っていたのか」と抗弁することにより自らの基盤を確保しようとする政治家ばかりだ。

 オ・ヘルン氏は「日本人はわたしたちが死ぬことを待っているが、わたしは死なない」と語った。踏みにじられた魂の叫びの前で人間ならば誰が頭を挙げられるだろうか。いま被害者たちの前で堂々としているのは加害者である日本の政治家だけだ。

国家補償が日本の「謝罪」 米公聴会で元慰安婦初証言

2007/02/16 中国新聞ニュース

 【ワシントン16日共同】米下院外交委員会の「アジア太平洋・地球環境小委員会」は十五日、太平洋戦争中の従軍慰安婦問題で日本政府に「明確な謝罪」を求めた超党派決議案をめぐり、三人の元慰安婦を証人に招いて公聴会を開いた。元慰安婦たちは「行動の伴った日本政府の謝罪」が不可欠として国家補償の必要性を主張、決議案の早期可決を求めた。

 同様の決議案提出は五回目だが、公聴会開催は初。元慰安婦の証言も米議会史上初となった。

 ファレオマバエンガ委員長(民主党)は公聴会後、決議案支持を表明、本会議採決を目指した今後の手続きを進める方針を示した。三月にも委員会レベルで可決される公算が大きく、安倍晋三首相が今春の初訪米を調整する中、歴史問題が日米関係に微妙な影響を与えそうだ。

 委員長は共同通信に対し、「謝罪」の方法に関して、第二次大戦中に強制収容された日系米国人を対象にした「強制収容補償法」がモデルになるとの見解を示した。

 公聴会で、ジャワ島入植者のオランダ人家庭で育ったオーストラリア人のジャン・オハーンさん(84)は、十九歳の時に旧日本軍の将校によって収容所から売春宿に送られたと証言。慰安婦問題を「忘れ去られたホロコースト」と表現、ユダヤ人大量虐殺に匹敵する犯罪行為と非難した。民間募金に依存した「アジア女性基金」に関しては「(公的資金ではなく)意味がない」と語った。

 韓国人元慰安婦の金君子さん(81)は「多い日には四十人に強姦(ごうかん)された」と述べ、妊娠し中絶を強いられたとし「青春を返してほしい」と訴えた。

 決議案は日系のホンダ議員(民主党)らが提出した。

米議会で初の‘慰安婦聴聞会’…韓国・オランダ人女性3人が証言

2007.02.16 中央日報 ワシントン=姜賛昊(カン・チャンホ)特派員

水を打ったように静かだった。 涙を浮かべる米国人もいた。 15日午後、米ワシントンの下院レイバーンビル2172号室。 下院外務委員会アジア太平洋・環境小委が米議会史上初めて開いた‘慰安婦聴聞会’では、李容洙(イ・ヨンス、79)さん、金君子(キム・クンジャ、81)さん、ジャン・ラフ・オハーンさん(85、オランダ)の3人が、日本軍の慰安婦として連行されて受けた侮辱を生々しく証言した。 200席余をぎっしり埋めた傍聴客は3時間以上続いた証言を粛然とした雰囲気の中で傾聴した。

◇「犬や豚以下の生活」=最初に証言した李容洙さんは「1944年の16歳の時に台湾に慰安婦として連行され、3年間にわたり日本軍に性的にもてあそばれた」とし「2階建ての日本風の慰安所で一日平均4、5人の日本軍に強姦され、粥で生き延び、何かあるとすぐに暴行されるなど、犬や豚よりもひどい生活をした」と証言した。 日本軍によって‘トシコ’と名付けられた李さんは、性行為を拒否して電気拷問を受け、韓国語を話す度にひどく殴られた、と語った。李さんは「終戦後に家に帰ると、母は‘死んだ娘が霊になって現れた’と言い、父は鬱火病で中風になり、その年に亡くなった」と述べた。 李さんは「日本政府は謝罪したと主張するが、一度も謝罪を受けたことはない。 世界の性的暴行を根絶するためにも日本は必ず謝罪しなければならない」と強調した。

続いて、16歳だった42年に中国に連行された金君子さんが証言した。 金さんは「慰安所で一日平均20人、多い時は40人の日本軍を相手にする地獄のような生活を送った」とし、「日本軍は小さな刃物で私の体を少しずつ切りつけ、服を激しく破り、コンドームも使わず跳びかかってきた」と語った。 続いて「いっそのこと死んでしまおうと思って何度も自殺を図ったが、日本軍が見張っていてそういう機会もなかった」と述べた。 金さんは「45年8月の終戦で日本人が‘出て行け’と言ったので、同僚8人と畑の白菜を取って食べ、1カ月以上も歩いて家に帰った」と悲惨な帰郷過程を伝えた。 金さんは「慰安所に到着した初日、抵抗して殴られ、左耳の鼓膜が破れた。体にも多くの傷が残っている」と涙声で話した。

◇「日本将校が刃物で脅して強姦」=西洋人慰安婦として証言し関心を集めたオハーンさんは「日本軍は私の青春を無惨に踏みにじり、すべてのものを奪っていった」と怒りを表した。 オランダ植民支配下のインドネシアで生まれたオハーンさんは19歳だった42年、日本軍がインドネシアを占領した後、収容所に入れられた。 オハーンさんは「その日の夜、日本式の花の名前が入った名前を付けられ、髪が薄い日本軍将校が待つ部屋に連れて行かれた。 彼は刀を抜いて‘殺す’と脅した後、服を破り、最も残忍に私を強姦した。 その夜は何度強姦されたか分からない」と身震いしながら話した。 オハーンさんは「一緒に連行なれたオランダ人少女らと3年半、毎日こうした蛮行にあい、飢えて苦しみ、獣のような生活をした」と語った。 また「日本は95年にアジア慰安婦財団を作って私的な補償をしたというが、これは慰安婦に対する侮辱」と主張した。 続いて「日本は政府レベルで残虐行為を認め、行動で謝罪を立証しなければならず、後世に正しい歴史を教えなければならない」と求めた。 オハーンさんは「日本人は私たちが死ぬのを待っているが、私は死なない」とし、日本が正式に謝罪するまで闘争を続けると誓った。

◇米国議員間で意見の差=慰安婦決議案を主導したマイケル・ホンダ下院議員(民主、カリフォルニア)は聴聞会で証人を自ら要望、「今われわれが行動に出なければ、日本政府の謝罪を引き出す歴史的な機会を失ってしまう」とし決議案の採択を促した。 しかしローラバシャー下院議員(共和)は「日本はすでに何度も謝罪している。そういう文書を受けている」とし「前の世代の過ちで日本の現世代が処罰を受けてはならない」と主張した。 聴聞会を進行したファレオマバエガ・アジア太平洋小委委員長(民主、サモア)も「生涯英語を使い続けてきたが、今日の証言を聴くと、その悲痛さをいかなる単語で表現すればいいのか分からない」とし、慰安婦の痛みを理解するという立場を見せた。

◇聴聞会の意味・展望=この日の聴聞会は、ホンダ氏ら民主党議員5人とクリストファー・スミス氏ら共和党議員2人が先月31日、日本軍の慰安婦動員を非難して日本首相の公式謝罪を促す決議案(H.Res121)を提出したことを受けて開かれた。 議会消息筋は「この日の聴聞会で日本軍の蛮行実態が暴露され、日本政府の謝罪、釈明が偽りであることが明らかになったため、今後、決議案採択に前向きに作用するだろう」と述べた。 ホンダ議員は3月末までの決議案採択を目標にしている。 加藤良三駐米日本大使はこの日、アシア太平洋小委に書簡を送り、「日本はすでに慰安婦問題の責任を認め、韓国やフィリピン、台湾、インドネシアなど慰安婦被害者に補償もした」とし、決議案採択を阻止する意向を明確にした。

従軍慰安婦問題を考える

2007年02月11日 釧路新聞

 3月11日に開かれる国際女性デー釧路集会(片山節子実行委員長)で、従軍慰安婦の証言を聞こうと韓国の「ナヌムの家」のカン・イルチュルさんを招くのに先立ち、日韓・日朝の明日を考える「釧路かささぎの会」(鈴木史朗会長)が10日、釧路市交流プラザさいわいで、従軍慰安婦問題と「ナヌムの家」について学ぶ事前学習会を開いた。

慰安婦問題:「過去の謝罪に遅いということはない」

2007/02/10 朝鮮日報/朝鮮日報JNS ワシントン=許容範(ホ・ヨンボム)特派員

マイク・ホンダ米下院議員インタビュー

 「過去の過ちを謝罪し和解するのは、いくら遅れても決して遅くはない」

 日系3世で日本政府に対する慰安婦謝罪要求決議案を米議会に提出したマイク・ホンダ下院議員は8日、「日本政府の明快ではっきりとした公式の謝罪」を促すとし、このように述べた。

 ホンダ議員はワシントン駐在記者との共同電話インタビューで、慰安婦決議案が日米関係に悪影響を及ぼすとの反対派の主張に対し、「日本のような民主主義国家にとって過去の過ちを認めるのは成熟した振る舞いだ。アジアの国々が過去の問題について和解すれば未来によりよい関係を築くことができるだろう」と述べた。

 ホンダ議員は1942年、米国と日本が戦争中に日系という理由で家族と共に収容所に入れられた。この経験から教師時代に「過去に起こった事実を学生たちに教えるべき」と悟ったという。「そのためには過去の事実をそのまま認め、そのすべてを教えなければならない」とも語った。また1988年にレーガン大統領が日本人の強制収容について米国を代表し公式に謝罪した事実を引き合いに出し、「日本は自らの過去に対して首相が認めるなど、他のやり方で謝罪したと主張するが、謝罪のための日本政府の真の努力はなかった」というのが彼の指摘だ。

 今回ですでに3回目となる慰安婦決議案の提出について、「10年前に慰安婦問題を知り、慰安婦だったハルモニたちが高齢となり亡くなりはじめたことから時間がないと思った」という。

 ホンダ議員は昨年提出した決議案が常任委員会の下院国際関係委員会まで通過したにもかかわらず日本のロビーにより本会議で廃案となったことについて、「今回は本会議への上程権を握っているペロシ下院議長も個人的に決議案を指示しているだけでなく、過去に共同署名したこともある。3月末までに決議案が本会議で採択されることを望んでいる」とも語った。彼は今回の決議案を通過させるために「賠償」についての要求を意図的に削除したとも伝えられている。

 決議案が下院を通過しても日本の首相が謝罪しなければどうするのかとの質問に対しては、「私自らが喜んで日本に行き、議員たちとこの問題について討論する機会を持ちたい」と答えた。日本側は今回もワシントンの著名なロビー専門の法律会社や前職の下院議長などを動員して通過阻止のために必死の努力を傾けているという。

‐ホンダ議員とは 

 米国カリフォルニア州生まれの日系3世。第2次大戦当時に強制収容所に入れられた経験を持つ。66歳。教師や校長としての経歴を持ち、1996年に州議会議員となり2000年には連邦下院議員に当選した。1999年の州議会議員当時、単に謝罪だけを要求する今回の連邦議会決議案よりもはるかに強い内容の決議案を州議会に提出し通過させた。当時の日本総領事館員はホンダ議員の行動を防げなかったという理由で全員が本国に召還されたという経緯もある。民主党所属で下院では最も影響力のある歳出委員会のメンバーで、議会ではアジア太平洋地域出身の米国議員総会議長も務めている。日本の過去についての批判的な視覚で中国では大きな人気を得ており、2001年の9・11事件以後は米国のムスリムに対する偏見に抵抗してきたことでも知られる。

「慰安婦」対日非難決議阻止へ 米に議員団派遣

2007/02/10 The SAnkei Shimbun WEB-site

 自民党は9日、米下院で慰安婦問題に関する対日非難決議案が提出されたことを受け、採択阻止を働きかける議員団を月内にも米国に派遣する方針を決めた。党本部で開かれた「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」の会合で、中山泰秀慰安婦問題小委員長が明らかにした。

 同決議案は1月31日、日系のホンダ下院議員らが提出、「若い女性を日本帝国軍隊が強制的に性奴隷化した」などと指摘し、「公式に謝罪する日本の首相が声明を出すべきだ」としている。

 米下院外交委員会の小委員会は15日、元慰安婦らを呼んで公聴会を開く予定。このため自民党は、採択阻止に向け関係議員らへの早急な働きかけが必要と判断した。

日本の従軍慰安婦に連行されたオランダ人女性が証人に

2007.02.09 中央日報ワシントン=イ・サンイル特派員

米国下院外交委員会アジア太平洋地球環境小委が15日、下院で日本軍従軍慰安婦聴聞会を開く。

第2次世界大戦当時、慰安婦として連行されたオランダ人女性が証人として出る。オーストラリアに住むヤーン・ルーフオヘルンさん(84)が主人公だ。彼女は「慰安婦問題に対して日本政府が公開で謝罪しなければならないという内容の慰安婦決議案が米国下院で成立してほしい」とし、下院外交委の証人出席要請を快諾した。

◆「あのとき、あの恐怖、絶対忘れない」=ヤーンさんは1941年12月、日本が太平洋戦争を起こしたとき、オランダ領東インド諸島(インドネシア)ジャワ島に暮らしていた。日本軍は4カ月後、ジャワを占領し、ヤーンさんの家族を含むオランダ人たちを収容所に入れた。そして2年後21歳のヤーンさんを含むオランダ人女性100人をジャカルタ南ボゴールに連行した。そこで彼女らは日本軍の性の奴隷になるという話を聞いて驚愕した。

ヤーンさんは2001年、オーストラリアABC放送とのインタビューで「あのとき、私たちが『ジュネーブ協定違反』と叫ぶと日本軍はにやにや笑った」と回想した。ヤーンさんらはそのとき、日本式の名前を1人ずつ与えられた。ヤーンさんには何かの花の名前が付けられたが、記憶から消してしまった。彼女は過去を隠して暮らした時代、花が嫌いだった。慰安婦生活を思い浮かべるからだ。英語が分からなかった2人の娘に、誕生日のプレゼントとして花をくれると言われても素直に笑えなかった。ヤーンさんは慰安所に入ってから少し立って髪の毛をすべて刈ってしまった。「はげ頭のように見えれば日本軍が嫌やがるだろう」と思ったからだ。しかし日本軍はそんな姿にもっと好奇心を感じたようだと彼女はABC放送で明らかにした。それとともに「あのときのあの恐怖を絶対忘れることができない」と話した。

ヤーンさんは92年、慰安婦出身韓国人女性3人が日本政府に公開謝罪を要求したのをテレビで見て、自分も過去を明らかにして闘争しなくちゃいけないと決心した。それで同じ年の12月、東京で開かれた日本の戦争犯罪聴聞会に出て証言した。

◆「証言でおびただしい反響起こす」=ヤーンさんはオーストラリアの放送で「日本は私たちが死ぬことを願っているが、私は日本政府が慰安婦被害者たちに謝罪と補償をするまで闘争する」と言った。そんな彼女が米下院で証言すれば波紋は大きく広がるだろう。下院のある関係者は8日「ヤーンさんと韓国人キム・クンジャ、イ・ヨンスさんが証言すれば米国人は『当時の日本軍はそれほど残忍だったのか』と思うだろう」とし「彼女らの証言で慰安婦決議案の下院成立の可能性は高くなる」と話している。

慰安婦:米下院聴聞会で韓国人とオランダ人女性が証言へ

2007/02/09 朝鮮日報/朝鮮日報JNS ワシントン=許容範(ホ・ヨンボム)特派員

 米国下院で今月15日に開催される日本軍従軍慰安婦をめぐる聴聞会に、元従軍慰安婦の白人女性が元従軍慰安婦の韓国人女性二人とともに証人として出席する。米議会で従軍慰安婦の聴聞会が開催されるのは今回が初めてで、これは、最近日系3世のマイク・ホンダ議員が提出した従軍慰安婦関連の決議案に基づく内容の一環という。今回の聴聞会は、下院外交委員会傘下のアジア太平洋小委員会が主催する。

 同聴聞会に出席するオランダ人のヤン・ルフ・オヘルネ(85)さんは、太平洋戦争当時インドネシアのジャワ島に住んでいたが、日本軍によって家族とともに従軍慰安婦として連行された。当時19歳だったオヘルネさんは、日本軍からさまざまな恥辱を受け、何度も暴行に遭いながらも生き残り、戦後は慰安婦だったという事実を隠して結婚した。

 オヘルネさんが初めて過去について語ったのは、1992年に日本の東京で開かれた国際戦争犯罪聴聞会のときだった。理由は、従軍慰安婦の韓国人女性がテレビを通じて懸命に訴えている姿を見て勇気を得たからだという。

 白人女性として初めて従軍慰安婦問題を告発したオヘルネさんはそれ以降、『50年間の沈黙』という本を書いたほか、世界各国で開かれた従軍慰安婦関連の聴聞会や告発行事などを通じて日本の過去の行為を暴露し、反省と謝罪を求めてきた。

 今回の聴聞会では、韓国人の元慰安婦イ・ヨンスさん、キム・グンジャさんとともに、決議案を提出したホンダ議員、ワシントン従軍慰安婦対策協議会のソ・オクチャ会長、アジア政策ポイントのミンディ・コトゥラー所長らも証言台に立つ。

 米議会には従軍慰安婦関連の決議案がすでに何度も提出されており、昨年は下院常任委で可決されたものの、これを阻止しようとする日本のロビー活動により本会議での採決が霧散していた。

 ところが、今回は、従軍慰安婦問題に積極的な民主党のナンシー・ペロシ氏が下院議長を務めるほか、アジア太平洋小委のエニ・ファレオマベング委員長の支持も得ているため、これまでとは違って可決される可能性が高いとの見方が強まっている。

 これに対し日本は、同決議案の可決を阻むために元下院議長を交渉役として雇うなど、大々的なロビー活動を展開しているという。

米下院、15日ごろ慰安婦聴聞会

2007.02.07 中央日報 ワシントン=姜賛昊(カン・チャンホ)特派員

米下院の国際関係委員会アジア太平洋環境小委員会は、日本軍強制慰安婦決議案に関連、15日に韓国とオランダの元慰安婦被害者1人ずつを証人として出席させ、聴聞会を開く予定だ。

議会消息筋は6日、「聴聞会の日程が15日に決まった」とし、このように明らかにした。米議会で日本軍慰安婦問題に関する聴聞会が開かれるのは今回が初めて。特に、被害者が証人として出席するだけに、その影響も予想される。

聴聞会は先月末に慰安婦決議案を発議したマイク・ホンダ議員が主導した。ホンダ議員室の関係者は6日、「聴聞会が15日ごろ行われるはずだが、まだ確定ではない」と語った。

従軍慰安婦決議案を提出 米議員、首相の謝罪要求

2007/02/01 中国新聞ニュース

 【ワシントン31日共同】米下院の与野党議員は31日、太平洋戦争中の従軍慰安婦問題をめぐり、日本政府に対し「明確な形で歴史的責任を認め、謝罪する」よう求めた決議案を提出した。

 昨年も同様の決議案が提出されたが、今回は日本の首相の公式な謝罪声明を新たに要求。旧日本軍の強制を認め、謝罪した1993年の「河野洋平官房長官談話」の見直し論が自民党内に起きていることを強くけん制する内容となっている。

 共和党が議会多数派だった昨年は、親日派のハスタート前議長ら同党指導部の意向で本会議での採決は見送られた。しかし、現在多数派の民主党を率いるペロシ議長は同決議案に同情的とされ、今回は本会議で可決される公算が大きい。

 一方、「旧日本軍による強制はなかった」との観点で「河野談話」見直しを求める自民党議員が、可決阻止へ向け訪米を検討しており、日米間の新たな火種となる恐れもある。

新たな慰安婦決議案提出へ 米下院、可決の公算

2007/01/26 中国新聞ニュース

 ▽来週にも提出、日米関係に影

 【ワシントン26日共同】太平洋戦争中の従軍慰安婦問題をめぐり、日本政府に責任を認めるよう求めた新たな「従軍慰安婦決議案」が来週にも、米下院に提出されることが二十六日、分かった。民主、共和両党の議会筋が明らかにした。

 慰安婦決議案は過去に四回提出。昨年初めて下院外交委員会で可決された後、廃案となっていた。今回は審議に大きな権限を持つペロシ下院議長(民主党)が前回決議案に理解を示していたこともあり、初めて本会議で可決される公算が大きいという。安倍晋三首相が今春の初訪米をにらむ中、歴史問題が日米関係にも影を落としそうだ。

 日系のホンダ下院議員(民主)や共和党有力者を共同提案者とする超党派決議案になる。新たな決議案は前回よりも、「人権」と「女性の権利」に力点を置き、日本に歴史教育の強化を訴えているのが特徴。

 議会筋によると、新決議案は来週から再来週にかけ提出。アジア太平洋小委員会での公聴会開催も検討されており「元慰安婦の女性を証人に呼ぶ動きがある」という。

 また同筋は「ペロシ議長は本会議採決を認めるだろう」と指摘。人権派で知られるペロシ氏が議長となったことで、下院が可決する可能性が高いとの見通しを示した。

 別の議会筋によると、決議案が付託される外交委員会のラントス委員長も理解を示している。

 新決議案は慰安婦問題の経緯に触れた上で、「女性の権利」の尊重を重視。日本に(1)慰安婦問題の「責任」を認める(2)歴史教育を強化する−よう求める内容。

 日本政府は昨年「決議案には事実関係で間違いがある」と主張。歴代首相が「おわびと反省」を表明した経緯を踏まえ、大物ロビイストを雇うなどして廃案に向けて議会工作を展開した。

『朝日新聞にまず問いたいこと』

2007/01/07 IZA

 西岡力(日韓関係研究家)

 「安部晋三、中川昭一両代議士がNHKに圧力をかけ番組内容を変えさせた」という、朝日新聞の報道が物議を醸している。中川議員がNHK関係者に会ったのは番組放映後であり、安倍議員も朝日報道のようにNHK関係者を呼びつけた事実はないという決定的な誤報が明らかになっているが、朝日新聞は謝罪と訂正を行っていない。

 産経新聞などは報道や社説などでこの問題を大きく取り上げ、「女性国際戦犯法廷」なるものを取り上げた番組の内容自体をも明らかにして議論すべき、と主張している。筆者はその主張に賛成だが、もう一歩踏み込んで、慰安婦問題を巡る国際的誤解の実態と、そこで朝日新聞が果たした重大な役割をも含めて全体構造を明らかにすべき、と考えている。

 というのは、朝日新聞が行った大誤報などが原因で、戦前の日本政府が公権力を持って朝鮮人慰安婦を強制連行したという著しい誤解が日本、韓国はもとよりアメリカなど全世界に広がってしまったことが、公正公平を義務づけられているNHKが問題となった番組を企画した背景の一つだからだ。

 話は一九九一年八月十一日までさかのぼる。その日の朝日新聞は「元朝鮮人従軍慰安婦 戦後半世紀重い口開く」と大きな見出しを付けたソウル発記事で、

「日中戦争や第二次大戦の際、『女子挺身隊』の名で戦場に連行され、日本軍人相手に売春行為を強いられた『朝鮮人従軍慰安婦』のうち、一人がソウル市内に生存していることがわかり、『韓国挺身隊問題対策協議会』(尹貞玉・共同代表、十六団体約三十万人)が聞き取り作業を始めた。同協議会は十日、女性の話を録音したテープを朝日新聞記者に公開した。テープの中で女性は『思い出すと今でも身の毛がよだつ』と語っている。体験をひた隠しにしてきた彼女らの重い口が、戦後半世紀近く経って、やっと開き始めた」と書いたのだ。韓国紙がそれを伝える三日前で、国際的「特ダネ」ということになる。

 ところが彼女は「女子挺身隊」の名で連行などされていない。本人が同年八月十四日にソウルで開いた記者会見で、

「生活が苦しくなった母親によって十四歳の時に平壌のあるキーセン置屋に売られていった。三年間の置屋生活を終えて初めての就職だと思って連れていかれたところが、華北の日本軍三百名余りがいる部隊の前だった」

と語っている。同年十二月に彼女が東京地裁に提出した訴状でも同じことを書いている。貧困による人身売買の被害者なのだ。

 十一日付けの記事を書いたのは植村隆記者だ。彼は朝日新聞から派遣されて語学留学までした韓国語の使い手だ。その植村記者が、彼女が何を語っているのかわからなかったわけがない。知っていながら意図的に「キーセンとして売られた」という重大事実を伝えず、そのかわりに「『女子挺身隊』の名で連行」などというまったくの捏造報道を行ったのだ。

 植村記者は日本政府を相手に賠償を求める裁判を起こした「太平洋戦争犠牲者遺族会」の女性幹部(当時の常任理事、現在は会長)の娘と結婚している。元慰安婦の証言について第一報を書けたのも、義理の母からの情報提供によるのだろうが、朝日新聞は事実を歪曲した重大な誤報を載せて、記者の親族の裁判を応援したことになる。

 日本が戦前朝鮮人従軍慰安婦を強制連行したという重大な誤解が内外に広まるのは、この植村記者の誤報などで日本での自虐派の運動が勢いづき、同年十二月に日本政府を相手に裁判が起こされ、それを朝日新聞などが大々的に報じたことを大きな契機にしていることは関係者にはよく知られている。

 筆者は翌九十二年四月号『月刊文藝春秋』と同年出版拙著『日韓誤解の深淵』でこの点について詳しく書き、朝日新聞に訂正を求めたが、現在に至るまでもそれはなされず、それどころか植村記者はその後、ソウル特派員を経て現在、北京特派員として継続して韓国・朝鮮問題について記事を書き続けている。

 朝日新聞はNHKの番組などについて取材する前に、まず自社が慰安婦問題についていかに誤報したのかを検証すべきだ。

日本、米従軍慰安婦決議案阻止に元下院議長を雇用

2007/01/13 OhmyNews

 昨年米下院で処理されなかった従軍慰安婦決議案が早ければ今月中にまた上程される可能性がある中、日本政府が決議案の通過を阻止するため、下院議長と駐日米国大使を務めた民主党の大物トーマス・フォーリー氏(77)をロビイストとして雇用したことが伝えられた。 フォーリー氏は下院議員として30年間(15選)活動してきた。

 米下院の関係者は11日、「日本政府は昨年11月の米中間選挙で民主党が圧勝すると、今年中に下院で従軍慰安婦決議案が処理される可能性が高いと見なし、これを阻止するために担当ロビイストを下院共和党のロバート・ミッチェル氏から民主党出身のフォーリー氏に変えた」と語った。 また「フォーリー氏は下院議長の前にも要職を歴任しており、民主党に対する影響力が今でも強い」と説明した。

 フォーリー氏は1989年に下院議長に選出されたが、94年11月の選挙で落選した。 下院議長が選挙で落ちたのは1860年以後初めてのことだった。 97年、当時のクリントン大統領はフォーリー氏を駐日米国大使に指名した。 フォーリー氏は01年まで日本に駐在し、現地政界・財界人との関係を築いた。 現在はワシントンのロビー会社でロビイストとして活動している。

 日本政府はフォーリー氏の力に大きく期待しているが、今度は従軍慰安婦決議案が採択されるという見方が優勢だ。 日本政府の責任を認めて謝罪を促す内容が含まれるこの決議案を扱うトム・ラントス下院外交委員長と本会議処理のカギを握るナンシー・ペロシ下院議長が、決議案採択に積極的であるからだ。

 外交委関係者は「民主党のマイク・ホンダ議員(カリフォルニア)が早ければ今月中に外交委に決議案を出す可能性がある」とし「元共和党所属のデニス・ハスタート元議長は外交委を通過した決議案の本会議処理を遅延したが、これとは違いペロシ議長は直ちに確定するだろう」と予想した。 Copyright 2006(C)JOONGANGILBO NEWS. All rights reserved.

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