TOPIC No.2-31S 中国ウイグル族/新疆暴動

01. ウイグル族と独立運動 by Yahoo News
02. 新疆ウイグル暴動09年 by Searchina
03. 新疆ウイグル自治区


宗教規制、就業差別に不満 中国新疆暴動1週間

2009/07/12 中国新聞ニュ−ス

 【ウルムチ11日共同】中国新疆ウイグル自治区ウルムチで起きた大規模暴動から12日で1週間。市民生活は表面上、正常に戻りつつあるが、イスラム教を信仰するウイグル族は日ごろから、中国当局による宗教活動規制や就業差別に強い不満を抱いており、暴動を機に漢民族との溝はさらに深まっている。

 「漢民族は自分たちの利益を優先し、ウイグル族を差別し続けてきた。暴動は起きるべくして起きた」。ウルムチ市の警察学校で学ぶカシュガル出身のウイグル族男性(20)は語気を強めた。

 男性によると、カシュガルの地元当局はイスラム教で最も神聖なラマダン(断食月)の時期、日中の断食の時間に食事を強制するなど、宗教色を薄めさせるためのさまざまな規制措置を講じてきた。「警官になってカシュガルに戻り、ウイグル族の権利が侵害されないようにする」。男性はこう断言した。

 ウルムチ市に住む50歳代のウイグル族女性は「ウイグル族の中高生はモスク(イスラム教礼拝所)での礼拝など宗教活動に参加することを禁じられている」と述べ、当局による信教の自由の侵害を批判した。

 定職に就けず、白タクの運転手をして日銭を稼いでいるウイグル族男性(46)は「企業はウイグル族を雇いたがらず、従業員に占める比率は2%ぐらい。町中を清掃する仕事にもありつけない」と窮状を訴えた。

 一方、暴動で多くの犠牲者を出した漢民族の間では、最近ある携帯メールが急速に広まっている。「今後3カ月間、ウイグル族のレストランにも商店にも行くな。水を出た魚がどうなるか、やつらに思い知らせてやれ」。中央政府から同自治区に毎年、巨額の財政支援がなされていることを念頭に、もし独立して漢民族の支援がなくなれば、経済的に困窮するとウイグル族を脅す意図だ。

 11日には「民族団結は新疆各民族の生命線だ」「調和の取れた新疆を建設し、偉大な祖国に恩を感じよう」と書いたポスター数千枚が、ウイグル族居住地域の商店街など市内各所に一斉に張られ民族融和を促した。

 だが漢民族の男性(38)は「女性や子どもを殺すような残忍なことをするのは人間じゃない。一緒に暮らすなんて絶対にできない」と怒りを隠さない。自治区トップの王楽泉おう・らくせん共産党委員会書記が民族団結を呼び掛けた談話を載せた地元紙の号外が町中に張られたが、既に何枚も破り裂かれ風に揺れていた。民族融和の道は果てしなく遠い。

中国:新疆・ウイグル族暴動 死者184人、新華社報道「漢民族137人」

2009年07月11日 毎日新聞 東京夕刊

 【ウルムチ(中国新疆ウイグル自治区)鈴木玲子】新華社通信によると、中国新疆ウイグル自治区ウルムチ市は10日、大規模暴動による死者数が10日深夜までに184人に上ったことを明らかにした。これまでの当局発表の死者数は156人だった。

 また、死者の民族内訳を初めて明らかにした。民族別の内訳は、漢民族が137人(男性111人、女性26人)、ウイグル族が46人(男性45人、女性1人)、少数民族でイスラム教徒の回族の男性が1人。

 これまで当局は死者数を発表した際にも民族別内訳は「調査中」として明らかにしてこなかった。

 死者数をめぐっては世界の亡命ウイグル人を組織する「世界ウイグル会議」(本部・ドイツ)は「最大3000人」としている。

中国:テレ東記者、一時拘束 ウルムチのデモ取材中

2009年07月11日 毎日新聞

 中国新疆ウイグル自治区ウルムチ市内で10日午後、街頭デモを取材していたテレビ東京北京支局の小林史憲記者(37)が公安当局に一時身柄を拘束された。

 同社には同日午後5時半ごろ、北京支局から拘束の一報が入り、11日未明、本人からの電話連絡で解放が確認された。

 テレビ東京によると、小林記者はカメラマンと2人でデモ隊と警察との小競り合いを取材中、オランダ人、スペイン人記者とともに連行された。当局者に「撮影をするな」と制止されたが、そのまま取材を続けたところ拘束されたとの目撃情報もある。

 同社広報・IR部は「正当な取材活動で、当方に落ち度はなかったと考えている」としている。(共同)

新疆暴動「大虐殺のようだ」 トルコ首相、中国政府の対応を批判

2009年07月11日 NIKKEI NeT

 【カイロ=安部健太郎】トルコのエルドアン首相は10日、中国の新疆ウイグル自治区ウルムチでの暴動で死者が増えていることに関し「大虐殺のようだ」と述べ、中国政府の対応を批判した。暴動で漢民族と衝突しているウイグル族はトルコ系民族で同国と同じくイスラム教徒が多い。トルコではウイグル族への連帯の意を示そうと、複数の都市で中国政府への抗議デモが起きている。

 エルドアン首相はウイグル情勢に関し「中国の指導者が、どうして傍観者のままでいられるのか理解しがたい」と述べ、事態の沈静化を求めた。

 同首相は1月末、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、イスラエルのペレス大統領が自国軍によるパレスチナ自治区ガザへの大規模攻撃を正当化する演説をしたことに抗議し、途中退席したこともある。パレスチナ人もイスラム教徒が大半を占めている。

新疆暴動「死者は最大3千人」 ウイグル会議主席が指摘

2009年07月11日 NIKKEI NeT

 【ワシントン=共同】AP通信によると、世界の亡命ウイグル人を束ねる「世界ウイグル会議」(本部・ドイツ)のラビア・カーディル主席は10日、米連邦議会構内で記者会見し、中国新疆ウイグル自治区ウルムチでの大規模暴動の死者数が最大3千人に及ぶ可能性があるとの見方を示した。

 カーディル主席は、ウルムチだけでなく、自治区西部カシュガルなどほかの地域でも死者が出ていると指摘し「現地からの複数の未確認情報によると、死者数は千人とも3千人とも言われている」と話した。

 一方、中国国営の新華社によると、同自治区当局者は10日までの死者数を184人としている。

「ウイグルの実態知って」 不安募る在留ウイグル人が語る

2009.07.11 MSN産経新聞

 中国新疆(しんきょう)ウイグル自治区のウルムチで起きた暴動。民族間の対立が深まる中、日本に住むウイグル人は現地の家族や友人らの安否さえ分からないまま、届かない声に強い不安を募らせている。弟が当局に拘束されたという県内のウイグル人男性は「日本や栃木の人もウイグルの現状をきちんと知ってほしい」と訴える。(是永桂一)

 県内の工場で働くウイグル族のヤシャール・アイマーティさん(36)=仮名。現地の大学を卒業後、日本で大学の修士課程を終え、2年前から栃木に住む。生まれは同自治区西部の町。綿の栽培で生計を立てる父母らを故郷に残してきた。ウルムチには、タクシー運転手と調理師の2人の弟が暮らしている。

 一報は5日、インターネットのウイグル人サイトで知った。父母や弟に電話をしたがつながらない。ネットもアクセスできなくなった。「特にウルムチの弟たちが心配で仕方なかった」

 弟2人の安否が確認できたのは翌日。しかし、7日には調理師の弟が当局に拘束された。「弟は家で寝ているところを突然、当局に連行された」。その弟はデモには参加していなかったという。「弟はいまだに解放されていない。10月の(中国の建国を祝う)国慶節までは帰らないと聞いた」と頭を抱える。

 現地は平穏を取り戻したとのニュースもあるが、故郷の町ではモスクへの立ち入り禁止や学生への行動制限が続いているという。「私も帰国すれば、日本に住んでいるというだけで厳しい監視がつくだろう。今の新疆には帰れないし、帰らない」

 中国政府による支配の中で、積み重ねられた不満や怒り、悲しみが今回の事態を引き起こしたと語る。「まずウイグルの歴史、民族のおかれた現状、苦しみなどすべてを知ってほしい。ウイグルでは自分のやりたいことが自由にできない」と訴える。

ウイグル暴動:モスクでの礼拝禁止通知 信徒の反発強まる

2009年07月10日 毎日新聞

金曜礼拝にもかかわらずウイグル族居住区にあるモスクは封鎖されたままだった=2009年7月10日、中国・ウルムチで鈴木玲子撮影

 【ウルムチ(中国新疆ウイグル自治区)鈴木玲子】大規模暴動が起きたウルムチ市では10日、暴動後初めてイスラム教の金曜礼拝の日を迎えたが、暴動が起こったウイグル族居住区のモスク(イスラム教礼拝所)では礼拝を禁じる通知が出され、一部を除き封鎖が続いた。イスラム教徒にとって重要なモスクでの金曜礼拝が封じられ、信徒たちの反発が強まっている。

 事件後、ウイグル族居住区の多くのモスクが閉鎖された。暴動が起こった地域のモスクはこの日も閉鎖され、周辺に軍や武装警察が警備し、上空に軍のヘリが飛び交う。

 南部にある大規模なモスクも封鎖が続いた。モスク前には兵士約50人が銃を構えて警備し、カメラを向けると一斉に制止する。周辺では数百人の兵士が警戒する。モスクの指導者は「封鎖は信徒の安全のため。平穏が戻ったら再開する」と説明する。普段の金曜日は信徒約2000人が訪れるという。近くの回族のモスクも封鎖された。回族の男性は「安全のためには仕方がないが、早く再開してほしい」と口を濁す。

 一方、東部のモスクは通常通り開放され、信徒約1000人が集まった。9日には国内外のメディアツアーが組まれた当局「お墨付き」のモスク。指導者は「暴動は宗教とは関係がない。信徒に『暴動の真相』を説明する」と強調した。

 モスク封鎖は、ウイグル族が集まって、デモなどの不測の事態になる可能性を恐れたための措置と見られている。しかし、モスクでの祈りを禁じられた怒りは漢族に向けられ、事態を悪化させる可能性もある。ヤシェンジャンさん(26)は「宗教の礼拝と暴動は関係ないはずなのに、なぜ信仰を阻むのだ。漢族による嫌がらせだとしか思えない。こんなやり方は怒りを増幅させるだけだ」と憤る。

 またこの日、同自治区政府は、暴動による死者に対し1人につき弔慰金20万元(約270万円)を支払うことなどを発表した。

遺族に300万円支給=新疆暴動、補償で収拾図る−中国

2009/07/10 時事ドットコム

 【ウルムチ(中国新疆ウイグル自治区)10日時事】中国新疆ウイグル自治区ウルムチ市で起きた大規模な暴動で、同市政府は10日、暴動で死亡した人の遺族に弔慰金など22万元(約300万円)を支給する方針を明らかにした。暴動をきっかけにウイグル族と漢族の対立が深刻化しており、補償によって住民感情を和らげて早期収拾を図る狙いがあるとみられる。

 支給されるのは、死者1人当たりの弔慰金20万元と葬儀補助金1万元。遺族に対する補償金は1万元で、その後も支払われる見通し。

 今回の暴動で中国当局が発表した死者数は156人。市政府は弔慰金などの当初予算として5000万元の資金を用意。死者のうち身元が確認された32人の遺族に補償金が支給されたという。

ウイグル文化破壊を非難 亡命組織主席、英紙に投稿

2009年07月09日 東京新聞

 【ロンドン9日共同】世界の亡命ウイグル人組織を束ねる「世界ウイグル会議」(本部ドイツ)主席のラビア・カーディルさんは9日付英紙タイムズに寄稿し、「中国のウイグル人はトルコ系の文化やイスラム教の排除を狙う政策で、ゆっくりと窒息させられつつある」として当局を非難、「文化破壊の強まりが、ウイグル人が街頭に(抗議に)出た」理由だと強調した。

 ラビアさんは抑圧の例として、雇用差別や強制堕胎、学校からのウイグル語排除などを挙げた。

 ラビアさんは、広東省で6月、ウイグル労働者が漢民族に襲われ計100人以上が死傷した事件は「ウイグル虐待の最新例だ」と強調し、「同事件の捜査に当局が関心を持っていない」と主張。同事件で適切な措置を取っていれば、ウルムチでの抗議デモは起きなかったかもしれないと指摘した。

 ラビアさんは現地情報として、今回の事件でデモ参加者400人以上が死亡したと指摘。民族間の平和構築には、対話と相互理解が唯一の方策だとして暴力を非難した。

中国:ウルムチ暴動遺族らに補償14億円

2009年07月09日 毎日新聞

 【北京・浦松丈二】9日付の中国各紙によると、新疆(しんきょう)ウイグル自治区ウルムチの暴動で、ウルムチ市当局は暴動による死者の遺族や負傷者らに総額約1億元(約14億円)の補償金を支給する方針を明らかにした。1億元とした具体的な算定根拠は示していない。

 暴動の被害にあった漢族にウイグル族への報復感情が高まっていることから、多額の補償金を提示して、ウイグル族との対立激化を防ぐ狙いがありそうだ。また、一部は焼き打ちにあった商店の修復にもあてられ、早期復旧に役立てる。

「絶え間ない銃声」と負傷者=病院をメディアに公開−中国新疆

2009/07/08 時事ドットコム

 【ウルムチ(中国新疆ウイグル自治区)8日時事】中国新疆ウイグル自治区のウルムチ市政府は8日、5日夜に発生した暴動の負傷者が入院する病院の一つをメディアに公開した。ある負傷者は「銃声が絶え間なく響き、震えながら救急車を待った」と悪夢を振り返った。

 5日午後8時ごろ、漢族の男性・劉志晴さん(20)は、市内のウイグル族が多く住む地域で、ウイグル族男性約20人に殴るけるの暴行を加えられた。劉さんは必死で逃げたが、4〜5人に追いかけられ再び殴られたという。銃声は逃げ込んだウイグル族住民の家で耳にし、「連射の音もした」と語った。(

新疆の治安回復へ本腰=「民族融和」へ宣伝工作も−中国

2009/07/08 時事ドットコム

 【ウルムチ(中国新疆ウイグル自治区)8日時事】1000人を超える死傷者が出た中国新疆ウイグル自治区ウルムチ市での大規模暴動を受け、孟建柱国務委員兼公安相が8日、同市入りし、治安回復に全力を挙げるよう指示した。当局は暴動の再発を治安部隊によって抑え込むと同時に、対立がエスカレートしないよう「民族融和」を呼び掛ける宣伝活動にも力を入れ始めた。

 胡錦濤国家主席はイタリアでの主要国首脳会議(サミット)拡大会合への出席を取りやめて帰国。10月の建国60周年を控え、党と政府が一丸となって社会の安定を維持するため、テロや国家分裂活動などを封じ込める態勢を整える。

 記者会見したウルムチ市の栗智共産党委員会書記は、7日に市内のモスク(イスラム礼拝所)付近などで2回にわたって暴動が起きたことを明らかにした。ウイグル族が漢族にナイフで刺されるなどしたが、8日には情勢が基本的に落ち着いているとし、現時点での死傷者数は言及しなかった。栗書記は「どの民族であろうと、暴力行為をすれば懲らしめる」と強調した。

海外テレビの視聴制限=新疆暴動で中国当局

2009/07/08 時事ドットコム

 【北京8日時事】中国で8日、新疆ウイグル自治区での暴動について報じていたNHK海外テレビ放送のニュース番組中、突然画面が真っ黒になり視聴できなくなった。放送は他のニュースに変わって復旧。海外在住ウイグル人によるデモなどの映像を中国国内で見せないよう、中国当局が視聴を制限しているとみられる。

 同様の措置は6月の天安門事件20年の際にも取られた。新疆での暴動では、中国のテレビ局も映像を流し残虐性や非合法性をアピールしているが、海外ウイグル人の動きには神経をとがらせていることがうかがえる。

ウイグル暴動:政権に危機感 胡主席急きょ帰国

2009年07月08日 毎日新聞

 【北京・西岡省二】中国の胡錦濤国家主席が開幕直前の主要国首脳会議(ラクイラ・サミット)拡大会合への出席をキャンセルして帰国するという異例の対応をみせたのは、新疆ウイグル自治区の大規模暴動への対応を誤れば、政権に重大な影響を与えるという強い危機感を抱いたからにほかならない。中国政府は10月の建国60周年の節目に向けて国内の引き締めを強めており、中国当局は一層、デモなどの封じ込めに乗り出すものとみられる。

 自治区ウルムチ市内では、7日にはウイグル族の暴動だけでなく、これに抗議した漢民族も数万人がデモ行進し、一部が暴徒化してウイグル族の商店を襲うなど、事態が深刻化している。

 暴動の引き金は、広東省の玩具工場での民族対立とされ、背景には漢族に対するウイグル族の根強い反感がある。中国指導部は、今回の暴動が一部過激派の暴力行為が原因であり、市民全体が被害を受けたと強調しているが、事態が長引けば「民族対立」の色合いが強まることを警戒している。このため、早期に事態収拾に乗り出す必要に迫られているようで、胡主席の帰国・陣頭指揮という異例の事態につながった。

 当局は民族対立の要素を薄めるのに懸命だ。中国外務省は7日の定例記者会見後、暴動の映像を収録したDVDを報道各社に配布した。映像は暴徒に殴打される市民や流血して路上に横たわる負傷者、焼け焦げた遺体などが撮影されている。被害者が漢族かウイグル族か区別できないものがほとんどで、当局には「民族に関係ない一般市民が被害を受けた」と強調する狙いがあるとみられる。

ウイグル暴動:カシュガルも厳戒態勢 飛び火懸念

2009年07月08日 毎日新聞

 【カシュガル(中国新疆ウイグル自治区)浦松丈二】中国新疆ウイグル自治区ウルムチの暴動の飛び火が懸念される同自治区第2の都市カシュガルでは7日夜から8日にかけ市内交通が規制され、厳戒態勢が敷かれた。住民によると、市中心部のバザール(市場)でウイグル族らの小規模な暴動が発生。数人が病院に搬送された。市政府周辺には軍用トラックが配置され暴動拡大を警戒している模様だ。

 8日朝、バスなどの交通機関は通常通り運行しているが、暴動を恐れて出勤しない人たちも多い。市内の旅行代理店では国際電話やインターネットが遮断され、業務が混乱している。

ウイグル暴動:「600人から800人の死者」と世界会議

2009年07月08日 毎日新聞

 【ベルリン小谷守彦】世界ウイグル会議は8日、中国新疆ウイグル自治区ウルムチの暴動で「600人から800人の死者が出ている」との見方を示した。ウルムチから寄せられた電話や電子メールの情報によるという。

 独南部ミュンヘンの本部で記者会見したイサ事務局長は、治安部隊による市民への弾圧だけでなく、漢族によるウイグル族への「便乗的な攻撃」が行われていると主張した。その例として、ウルムチの大学医学部で女子学生4人が殺されたほか、トラクター工場への襲撃で約150人が殺害されたとの情報があると明らかにした。

中国:建国60年 当局衝撃…新疆・ウイグル族暴動

2009年07月07日 毎日新聞

 中国新疆(しんきょう)ウイグル自治区ウルムチで5日夜に発生した大規模暴動は、建国60周年を迎える10月を前に引き締めを強化してきた中国当局に衝撃を与えた。暴動に至る経緯を巡り、在外ウイグル人組織との見解も対立。経済支援を中心とする「アメ」と独立運動の取り締まりという「ムチ」を使い分けてきた中国政府の少数民族政策は、チベット自治区に続いて大きなほころびを見せている。【ウルムチ浦松丈二、ベルリン小谷守彦、服部正法】

 ◇テロ対策くぐり組織化

 今年1月、新疆ウイグル自治区イリで警察や武装警察など治安当局が連携しての反テロ演習が行われた。テロ犯による奇襲、爆破、放火などに対応する総合的な訓練の風景が大きく報じられた。自治区では定期的にテロ対策演習を実施したり、「テロの拠点」を検挙するなど、厳格な監視を実施していることをアピールしてきた。

 同自治区では新疆の独立を綱領に掲げる「東トルキスタン・イスラム運動」などの組織が活動している。中国政府はこれらの組織がアフガニスタンで軍事訓練を受け、国際テロ組織から資金も提供されていると指摘。国際社会ではウイグル人の民族運動との見方も根強かったが、中国公安省は03年12月にはこれらを「テロ組織」に指定した。少数民族の研究者によると、中国当局は90年代後半から同自治区内にいる独立支持者の組織化を徹底的に阻止してきた。

 一方で、中国政府は00年に同自治区を含む西部大開発戦略をスタートさせた。経済発展の立ち遅れた西部地区の開発を重点的に行い、東部沿海地域との格差を是正するほか、経済発展で少数民族の分離・独立活動を抑え込む狙いがあった。

 中国政府は2011〜2020年の新たな西部大開発計画を早ければ年末までに発表する予定だ。しかし、経済発展は少数民族の生活に携帯電話やインターネットの普及をもたらした。08年3月に中国チベット自治区などで発生した大規模な暴動も、携帯電話やネットを通じて世界に情報が流れた。今回の暴動でもネットが大きな役割を果たしている。

 中国当局はテレビやネット、電話を遮断するなどして情報統制に躍起になっているが、効果は限定的だ。情報統制の網の目を抜けた少数民族の組織化は、中国当局にとって大きな脅威となっている。

 今回の暴動を受け、中国当局は新華社通信の英語版で暴動を詳しく報じるとともに外国メディアの取材も受け入れる姿勢を見せている。ウイグル族のデモ参加者による襲撃で漢族住民が被害を受けたとの構図を強調する狙いがあるとみられる。

 ◇漢族と格差に不満

 亡命ウイグル人で組織する世界ウイグル会議(本部ドイツ・ミュンヘン)によると、ウルムチでのウイグル族住民の死者数は500〜600人、負傷者は1000人以上に上るという。

 本部事務局の通訳メメトさん(35)によると、5日午後、ウルムチの人民広場で学生約100人が平和的なデモを始めた。警官隊が現れ、デモ参加者に発砲、学生3人が死亡した。住民や通行人がデモ隊に加勢し、参加者は2万人近くに。一部の参加者は商店に放火。警察車両が女性や子供をひいたことに抗議して警察車両を次々にひっくり返した。

 デモの引き金は、中国広東省の玩具工場で6月26日に発生したウイグル族に対する襲撃事件だったという。世界ウイグル会議は、事件捜査と事態解明を中国政府に求めるとともに、各国の在外中国大使館や総領事館前で7月3日に一斉デモを行うようにウェブサイトで呼び掛けた。亡命ウイグル人が呼び掛け対象だったが、米独、カナダ、日本などでのデモに続き、ウルムチでも学生らが応じた。

 世界ウイグル会議の日本での全権代表で、日本ウイグル協会会長のイリハム・マハムティさん(39)は「中国共産党の圧政がもたらした」と述べた。イリハムさんは「(自治区の)ウイグル人は仕事がなく生活できない。働ける人の80%程度が失業状態ではないか。一方で、天然資源が豊富なウイグル(自治区)に、中国政府の呼び掛けで入ってくる中国人(漢族)は仕事を得ている。このような面への不平、怒りが頂点に達した」と分析した。

 新華社通信が、世界ウイグル会議が暴動を主導したと伝えた点について「真っ赤なうそだ。昨年、(チベット自治区での暴動を)ダライ・ラマが計画したなどと中国側は言った。常に我々のせいにしてきた」と強調した。

 ◇「アメ」経済政策 富の分配届かず

 少数民族問題に詳しい星野昌裕・南山大准教授(現代中国政治)は「中国政府は、ウイグル人の独立運動発生の背景として宗教と経済発展の遅れがあると認識している。イスラムに対する規制を行い、自治区を豊かにしようとしてきた。しかし、富の分配はウイグル人に行き渡っていない」と指摘。「今回は早い段階で現地の映像が出たが、漢族の被害が強調される内容にも見える。『悪質な刑事事件』というイメージを強調し、国際社会に正当性を訴えようとしているのではないか」と分析。「中国は世界ウイグル会議を名指しで非難しているが、交渉相手がなくなり、引き締め政策を続けざるを得ない可能性もある」と話した。

◆新疆ウイグル自治区を巡る最近の動き◆

1992年2月 ウルムチでバスの無差別爆弾テロが起き、乗客6人が死亡

  97年2月 伊寧でウイグル族が漢民族支配に対する抗議デモを行い警官隊と衝突、10人以上が死亡。亡命ウイグル人組織「東トルキスタン協会」は「150人以上が死亡」と発表

2003年10月 独立運動組織「東トルキスタン・イスラム運動」の指導者ハッサン・マフスム氏をパキスタン軍が射殺

  04年4月 世界ウイグル会議がドイツで発足

  08年3月 著名な慈善事業家が拘束されて死亡したことに対する抗議デモがホータンで発生

     8月4日 カシュガルの国境警備隊施設が2人組に手投げ弾で襲われ、警官17人が死亡。ウイグル族2人が翌年、死刑に

      10日 クチャ県で武装集団が県公安局を手製爆弾で襲撃。容疑者10人と警備員1人が死亡

      12日 カシュガル郊外の検問所で治安要員3人が刺殺される

  09年7月5日 ウルムチで大規模暴動が発生

【中国の検索ワード】ルビア・カディア〜新疆暴動の首謀者は女性活動家

2009/07/07 Searchina

 5日夜に新疆ウイグル自治区で発生し、100名以上の死者を出した大規模暴動が中国国内でも報じられ、関心が集まっている。6日19時(北京時間)現在のGoogle中国「急上昇ワード」ランキングは事件関連のワードで埋め尽くされた。また、今回の暴動の首謀者と見られる女性の名前もランクインしている。

  「ウルムチ事件」「xinjiang(新疆の中国語読み)」「新疆動乱」などなど、「急上昇ワード」のベストテンはすべて暴動関連のキーワードとなった。その中で、「rebiya kadeer」という言葉も見られるが、これは当局が今回の事件の首謀者と発表したウイグル族の女性、ルビア・カディア氏のことである。ルビア氏は1947年生まれの52歳、新疆のアルタイ市出身。70年代後半に開いたクリーニング店を皮切りに次々と商売を成功させ、「新疆一の女性富豪」と呼ばれていた。90年代前半には全国政治協商委員を務めるなどもともとは中国政府との仲もよかったが、99年にウルムチを訪問したアメリカの国会議員代表団との接触を企てて逮捕され、2000年には「国外組織に国家情報を不法に提供」した罪で懲役8年を言い渡された。服役中の05年に病気療養のために一時出所、そのままアメリカへ逃亡した。以後、アメリカ国内を中心に新疆の独立を目指す活動を続け、世界的な支持を得ている。06年にはノーベル平和賞の候補にもなった。

 今回の事件について新疆ウイグル自治区のヌル・べクリ主席が6日に「ルビア氏が国内の勢力と連絡を取り事件を起こした」と発表したことで、国内メディアでもこぞってルビア氏を「テロリスト」「中国のビンラディン」などと痛烈に批判する記事が登場、さらにルビア氏率いる「世界ウイグル代表大会」の関与を伝えている。(編集担当:柳川俊之)

中国:厳戒ものものしく…民族対立に便乗した暴行も 新疆

2009年07月06日 毎日新聞

 【ウルムチ浦松丈二】ウルムチ市中心部の人民広場周辺では6日、装甲車や警察官が通行人に目を光らせ、ものものしい雰囲気が漂っていた。

 広場に近いウルムチ市友誼病院には約90人の負傷者が運ばれた。点滴を受けていた自営業の劉永合さん(45)は「乗っていたバスが突然、投石され、ウイグル族とみられる若者たちが乗り込んできた。乗客約20人のうち漢族7、8人だけが徹底的に暴行を受けた」と記者に話した。

 いとこを見舞いに来ていたウイグル族のアユノアさん(40)は「ウイグル族のいとこも殴られた。相手が何族だったか分からない」と首を振る。漢族とウイグル族は容易に見分けがつく。民族対立に便乗した暴力行為も横行していたようだ。

 市内のウイグル族も漢族も「区都ウルムチで大規模な暴動が起きたのは初めて」と口をそろえる。商店が放火された区域では清掃車が走り回り、暴動の痕跡を消し去っていた。経済成長の維持を目指す地元政府が影響を最小限にとどめようとしているようだった。

中国:新疆暴動140人死亡 警官隊と衝突、数百人拘束

2009年07月06日 毎日新聞

 【ウルムチ(中国新疆ウイグル自治区)浦松丈二、ベルリン小谷守彦】中国新疆ウイグル自治区当局は6日、区都ウルムチで5日夜に発生した暴動による死者が140人、負傷者は828人に上り、数百人を拘束したと発表した。死傷者についてウイグル族と漢族の内訳には触れていない。AP通信は、同自治区第2の都市カシュガルでも6日午後、ウイグル族約300人が参加する抗議デモが行われたと報じた。当局は自治区各地で厳戒態勢を敷いている模様だ。

 自治区当局によると、ウルムチの暴動では車両261台が放火され、203店舗と民間住宅14軒が破壊された。当局は容疑者約90人の行方を追っている。

 一方、在外ウイグル人組織「世界ウイグル会議」(本部ドイツ・ミュンヘン)は毎日新聞の取材に「死者は500〜600人で1000人以上が負傷した。抗議デモは2万人規模に膨れ上がったが、最初は平和的なものだった」と強調した。

 香港の人権団体「中国人権民主化運動情報センター」によると、カシュガルやホータン、イリ、アクスの計4地区にも軍と武装警察計3万人超が投入された。中国当局は今回の暴動がネットでの呼びかけによって広がったことを重視し、同自治区の約2000に上るネットの書き込みページを閉鎖。警戒を強めている地区ではネットと携帯電話が6日朝まで不通となった。

 【ことば】ウイグル族

 トルコ系の民族で多くがイスラム教を信仰する。人口は約840万人で、中国の少数民族の中では5番目に多い。大半は新疆ウイグル自治区に住むが、カザフスタンなどの周辺国にも居住する。18世紀に清朝の支配下に入り、1930〜40年代に独立の動きが相次いだ。49年の新中国建国とともに統合され、55年に新疆ウイグル自治区が置かれた。同自治区は中国全土の6分の1に相当し、天然資源や希少金属が豊富とされる。

中国新疆でウイグル族暴動 3千人規模、2人死亡か

2009/07/06 47News 【共同通信】

【北京6日共同】新華社電によると、中国西部の新疆ウイグル自治区ウルムチで5日午後、住民らが通行人を襲い道路を遮断、車に火を付けるなどの暴動が起きた。香港メディアは同日、ウイグル族関係者の話として、約3千人のウイグル族がデモに参加、多数の警官と衝突し、2人が死亡、300人が拘束されたと報じた。

 中国では6月下旬、広東省韶関市の玩具工場で、同自治区から出稼ぎに来ていたウイグル族の労働者が漢民族に襲われ2人が死亡、漢民族を含む118人が負傷する事件が起きており、反発したウイグル族が暴動を起こしたという。

 今年10月に建国60周年を控え、中国政府が少数民族に対する引き締めを強めていることも不満の背景にあるとみられる。

 同自治区では、昨年8月、警官襲撃など北京五輪妨害を狙ったテロが相次いだ。

ウイグル族青年 中国共産党拠点へ突入試みる−新疆

2009/07/06 Searchina

 新疆ウイグル自治区ウルムチ市内で7月5日午後に起きた大規模な暴動に絡み、同自治区のヌル・ベクリ(努爾・白克力)主席が翌6日午前に記者会見を開いてウイグル族の青年約200人が中国共産党拠点への突入を試みたものの阻止されたと発表した。7月6日付で華僑向け通信社の中国新聞社が伝えた。

 ベクリ主席によると、約200人が7月5日午後5時ごろ(現地時間)に同市の人民広場に集まった。そこで警察が出動し、抵抗した約70人を含めて強制排除。すると少数民族集住地区でもスローガンを叫ぶ群衆が集合。午後7時30分頃にはある病院前に約1000人が集結する事態に発展した。さらに午後8時20分頃には打ち壊しが発生し始め、パトカーの破壊も見られるようになった。

 その上で700−800人が人民広場に向かって練り歩く途中で暴徒化。そしてウイグル族の青年約200人が中国共産党新疆ウイグル自治区委員会の常務委員会へ突入を試みたが阻止された。これに対して警察官約1万人が投入され、同市内の要所に配置された。そして翌6日未明までにほぼ事態を掌握したという。(編集担当:麻田雄二)

ウルムチ暴動:商店打ち壊し 車放火−住民死亡か?

2009/07/06 Searchina

 新疆ウイグル自治区ウルムチ市内で7月5日午後に起きた暴動に絡み、翌6日付の中国国営新華社通信は「住民多数と武装警官1人が死亡した」と伝えた。関係当局は今回の暴動が域外から指揮されたとの見方を強めている。

 同社によると、同市の人民広場のほか新華南路や解放路で7月5日午後8時頃に商店の打ち壊しや車への放火が相次いで発生。同社は「7月5日午後11時30分現在で住民多数と武装警官1人が死亡した」と伝えた。

 関係当局の責任者は「域外から指揮されたものであり、域内にある特定の組織が実行した」と語った。また同社はラビア・カーディル氏が議長をつとめる「世界ウイグル会議」がウェブサイトなどを通じて「もっと勇敢に」「大きなことを起こせ」と指示をしていたと指摘した。(編集担当:麻田雄二)


北京五輪:「成功」は表面的 世界ウイグル会議・ドルクン事務局長に聞く

2008年08月25日 毎日新聞 東京朝刊

 ◇外国人帰国後、弾圧強まる恐れ

 閉幕した北京五輪について、中国の少数民族ウイグル人の亡命者を代表する世界ウイグル会議(本部ドイツ・ミュンヘン)のドルクン・エイサ事務局長(40)に総括を聞いた。事務局長は「成功に疑問が残る」と批判し「外国人の帰国後、中国政府が弾圧を強める」と強い憂慮を表明した。【ベルリン小谷守彦】

 五輪はテレビで関心を持って見た。私自身は北京五輪は表面的には成功だったと思うが、疑問が残る。我々の地域で何が起きたか報じられていないためだ。

 ウイグル人の住むクチャやカシュガルでは8月上旬、数件の(公安当局への)襲撃が起きた。情報を得ようと努力しているが、皆、これまで以上に中国政府を恐れ、私の両親や友人でさえ電話で真実を語らない。もちろん電話は北京の当局者に盗聴されている。

 クチャやカシュガルでは100メートルごとに警察官が立ち、警戒している。ほぼすべての家が捜索を受け、多くの人々が拘束された。公道で身分証を持っていなければ、だれもが拘束され、数時間か数日の事情聴取を受ける状態だ。

 また報道によると、北京発着便で仕事をしていたウイグル人パイロットや客室乗務員が職を外された。中国政府はウイグル人を信頼しておらず、経歴を調べてウイグル人の働く機会を奪っている。これは差別にほかならない。

 外国人やジャーナリストが帰国した後、中国政府はさらに弾圧を強めるだろう。我々は流血の弾圧が起きることを心配している。

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