TOPIC No.2-31f 瀋陽総領事館事件

01.亡命者連行事件(2002年) by Kyodo News
02.紙面展望(2002年)6月4日付 日中韓の対応を評価/中国・瀋陽の亡命者連行事件をめぐる社説/日本総領事館には批判
03.中国・瀋陽の日本総領事館事件 /外交とメディア報道との悪循環が by聖教新聞(2002年5月28日付)
04.シェンヤン日本総領事館事件関係 論説関連記事 by庇護希望者への庇護のあり方を考えるデータベース
05.北朝鮮住民亡命問題 YAHOO!ニュース

瀋陽事件、中国側にも責任と認める

2002年08月28日 The Sankei Shimbun
 日中両外務省は28日、中国・瀋陽の日本総領事館で5月に起きた北朝鮮亡命者連行事件の再発防止に向けた領事協定についての第1回協議を北京で開いた。

 日本側代表の佐藤重和アジア大洋州局審議官によると、中国側は瀋陽事件について「日本側も中国側も何らかの責任があると思う」とし、一連の日中間の協議の中で自国側の対応にも問題があったことを初めて認める発言をした。

 日本側は「総領事館の不可侵権が侵害された」との立場をあらためて表明した上で1緊急事態時の双方の連絡ルートの確立2外交官と現地の治安当局との意思疎通の強化−を今後の課題として提起。次回以降の協議でさらに具体的に話し合っていく方針。(共同)

領事館連行事件:亡命したキム夫婦が日本側の対応を批判

2002年08月09日 Mainichi INTERACTIVE
 【麗水(韓国・全羅南道)共同】中国・瀋陽の亡命者連行事件で、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を脱出し、韓国に亡命したキム・グァンチョル氏(28)、リ・ソンヒさん(26)夫婦は9日までに、娘のハンミちゃん(2)とともに、韓国・全羅南道の地方都市で共同通信のインタビューに応じ「日本に完全に失望した。裏切られたと感じた」と語り、日本側の対応を厳しく批判した。

 キム氏は日本総領事館の敷地内で領事と面会を求めたが無視され、敷地外の中国警察の詰め所に連行された後に領事が現れたが、対応は極めて冷淡だったと証言した。

 当事者が詳細な証言に基づいて批判したことで、今回の事件で人権への配慮を欠いた日本側の対応があらためて問われることになりそうだ。

 同氏は弟のキム・ソングク氏とともに総領事館の建物内に入ることに成功し、中国人職員に中国語で「北朝鮮から来た。日本人領事に会いたい。通訳を連れてきてほしい。助けてほしい」と訴えた。建物内には約15分間いたが、総領事館側は警備員が「座れ」と命じた以外は何の対応もなかった。

 2人は中国の公安当局者7人ほどに建物内で拘束され、後ろに回された手と首をロープで縛られて総領事館正門横の詰め所に連行された。

 キム氏は「総領事館内で日本人領事の顔すら見ることができず腹が立った」と述べ、詰め所に連行された後になって領事が姿を見せたが「ひどく面倒くさそうな表情といい、行動といい、よい印象を受けなかった」と語った。

 また、米国亡命を求める英文の文書を渡したが、領事は十分に見ることなく公安当局に渡したと証言、本人に返したとしている日本政府の調査を否定した。文書はキム氏のほか妻のリさん、弟のソングク氏も渡したが同様に無視された。

 キム氏ら3人はこのほど、北朝鮮脱出住民向けの適応訓練を終えて、全羅南道の地方都市で新生活を開始。ハンミちゃんも元気なようすで母親に甘えたりしていた。

瀋陽総領事に小河内氏 初めて朝鮮専門家起用

2002年07月15日The Sankei Shimbun
 外務省は15日付で、中国・瀋陽の亡命者連行事件で更迭された岡崎清・瀋陽総領事の後任に、小河内敏朗・国際情報局分析一課情報分析官を充てる人事を発令した。

 小河内氏は研修言語が韓国・朝鮮語の専門職で、2度にわたり韓国大使館勤務の経験もある。瀋陽総領事に朝鮮半島の専門家が就くのは初めて。岡崎氏の研修言語は中国語で、在外公館経験も中国内に限られていた。

 亡命者連行事件への対応の不手際が政治問題化した教訓を踏まえ、北朝鮮との国境に近く、「脱北者」が多数潜伏している中国東北部を管轄する瀋陽総領事の特殊事情を考慮した。

在外公館の「脅威度」、「瀋陽」を引き上げ

2002年07月05日 Yomiuri On-Line
 外務省の北島信一官房長は5日の自民党外交関係合同会議で、同省が在外公館の危険に対する「脅威度」をA―Dの4段階にランク付けし、警備員の増員や門衛所の整備をランクの高い公館から優先的に行っていることを明らかにした。

 亡命者連行事件の舞台となった中国の瀋陽総領事館は下から2番目のCランクで、官房長は「テロ対策を重視し、社会主義国はあまり厳しく見ていなかった。結果的に間違っていた」と述べ、ランク付けを見直す考えを示した。

阿南大使の問題発言は不問

2002年07月04日The Sankei Shimbun
 中国・瀋陽総領事館の亡命者連行事件をめぐって、4日に発表された外務省の処分は、阿南惟茂・駐中国大使が事件当日に北朝鮮からの脱出者が入ってきた場合「不審者とみなして追い出せ」と発言したことや、警備担当副領事が5人から渡された英文書簡を突き返した事実などが一切不問に付され、人道・人権という価値観から外交官の資質を問うことはなかった。

 阿南大使の厳重訓戒処分の理由は1連行に異議を申し立てるなどウィーン条約上の観点から助言すべきだった2総領事を航空機事故のあった大連に向かわせた−の2点。処分を担当した外務省幹部は、大使の問題発言について「処分と関係ない」と明言、「発言が何ら(事件に)影響を与えていないことを確認している」として、発言自体にも問題がなかったとする政府の立場を強調した。

 また「警備体制の不十分」から結果責任を問われた警備担当副領事についても、武装警官詰所前で家族から手渡された英文書簡を「英語が読めない」として返却したことは、処分理由とならなかった。

 外務省幹部は「英語はできた方がいいが、そこまで期待できるのか」と指摘。英文が読めずに突き返したことで処分するのは酷との見方を示した。

 しかし同書簡は5人の身元とともに、家族の亡命希望を明確に伝える極めて重要な情報源。川口順子外相は4日、難民対策について「外務省も人道、人権の観点から幅広く議論に参加していく」と強調したが、国民が求める本質的な問題解決は事実上先送りした格好だ。

岡崎総領事を減給し更迭【亡命者連行事件】

2002年07月04日The Sankei Shimbun
 川口順子外相は4日夕、外務省で記者会見し、中国・瀋陽の亡命者連行事件について、緊急事態への危機意識が希薄で対応に不備があったとして、岡崎清瀋陽総領事を減給処分にした上、西山厚首席領事とともに帰国命令を出し更迭するなど、関係者13人の処分を発表した。阿南惟茂駐中国大使は厳重訓戒とし、給与の20%1カ月を自主返納。外相は給与の20%を1カ月自主返納する。

 事件の教訓を踏まえ(1)警備体制を強化するため警備対策官の設置などを盛り込んだ5カ年計画の策定(2)本省に危機管理官を創設−などの改善策もまとめた。

 岡崎総領事については、ウィーン条約上の問題点を的確に把握して適切な指示をしなかったとして、ただ1人、国家公務員法に基づき懲戒減給(20%1カ月)処分とし、西山首席領事は休暇から迅速に帰任しなかったため外務省内規で訓戒、馬木秀治、宮下謙両副領事は厳重注意となった。

 阿南大使に関しては、総領事館は大使館の指揮命令下にないが、適切な助言をすべきだったとした。本省では連絡体制の不備や監督責任を問い竹内行夫事務次官が厳重訓戒(給与20%1カ月自主返納)、北島信一官房長、田中均アジア大洋州局長、堀之内秀久中国課長らが訓戒処分となった。

 改善策では、意識改革を徹底させるためあらゆる緊急事態を想定した実践的研修を今夏に実施。瀋陽、広州両総領事館に法務省職員を1名ずつ配置したなどとしている。

日中外相、日中領事条約締結の検討で合意

2002年06月19日Yomiuri On-Line
 【チャアム(タイ南部)19日=小川聡】アジア各国の閣僚が参加する「アジア協力対話」(ACD)出席のためタイ訪問中の川口外相は19日、チャアム市内のホテルで中国の唐家セン外相と会談し、5月に発生した中国・瀋陽での亡命者連行事件を受け、同様の事件が起きた際の対策として日中間の領事条約の締結を検討することで合意した。

 ただ、瀋陽総領事館に中国武装警察が無断侵入し、日本側が「領事関係に関するウィーン条約」が定める不可侵権に違反したと抗議している問題については、中国側は条約違反ではないとの立場を譲らず、議論は平行線に終わった。

瀋陽事件は「でっち上げ」北朝鮮

2002年06月14日 The Sankei Shimbun
 北朝鮮の洪善玉・対外文化連絡協会副委員長は14日、中国・瀋陽の亡命者連行事件について「全くねつ造されたものであり、南朝鮮(韓国)の国家情報院によるでっち上げだ」と述べた。

 平壌を訪れている日朝友好長崎県訪問団(団長・前田富雄長崎県議)に対し話した。

 北朝鮮の政府当局者が、瀋陽事件について公の場で見解を示すのは初めてという。

 洪副委員長は「南朝鮮の国情院の中には、わが国の団結を壊そうと、ありもしないことをでっち上げ、流布させる者がいる」と強調した。

 また、東シナ海での不審船銃撃・沈没事件については「われわれには何の縁もゆかりもない」と主張。

 鄭崙会・日本局長も「有事法制をつくり上げるためのでっち上げではないか」と述べた。(共同)

北朝鮮の一家5人韓国着 拘束から15日ぶり亡命

2002/05/23 中国新聞
 【ソウル23日共同=磐村和哉】中国・瀋陽の亡命者連行事件で、 中国から出国した朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)のキム・グァ ンチョルさん(28)一家五人が二十三日未明、経由地のマニラから大 韓航空機で仁川国際空港に到着した。

 八日に日本総領事館に駆け込み中国の武装警官に連行、拘束され た五人は当初の希望先だった米国ではなかったものの、十五日ぶり に韓国亡命を果たした。

 グァンチョルさんの弟のソングクさん(26)は大韓航空機内で共同 通信に対し、日本総領事館で亡命を希望する英文書簡を突き返され た時の気持ちについて「失望した」と述べ、日本の対応を批判し た。

 在韓日本大使館によると、寺田輝介大使が空港で五人に面会、日 本政府として無事到着を確認した。正式な事情聴取はあらためて行 う方針で、聴取実現が今後の焦点の一つとなる。

総領事館の不可侵権問題で棚上げを示唆…官房長官

2002年05月23日 Yomiuri On-Line
 福田官房長官は23日午前の記者会見で、中国・瀋陽の亡命者連行事件に関し、「国際法上の問題については我が方の立場を堅持する」と述べながらも、「(日中間で)見解の相違があり、日本が主張し切れるかということは当初からあった。中国政府が領事館の安全を守ってくれている。相手政府を信用し、相互協力となるのが実情だ」とし、総領事館の不可侵権侵害問題を棚上げする可能性を示した。

 瀋陽総領事館の対応に関しては、「必要な改善措置を講じていきたい」と述べた。

総領事館内連行:小泉首相「日中関係損なわず解決目指す」

2002年05月21日Mainichi INTERACTIV
 小泉純一郎首相は21日夜、「変わる中国、変わるアジア」をテーマに東京都内のホテルで開かれた国際会議の夕食会で「中国とは時として困難な問題が生じる。重要な日中関係という大きな枠組みを踏まえつつ、国際法の原則の中で冷静に問題処理にあたる必要がある」とあいさつし、日中関係を損なわない形で総領事館内連行事件の解決を目指す考えを示した。

総領事館連行:中国側調査の結果尊重を要求 孔泉報道局長

2002年05月21日Mainichi INTERACTIV
 【北京・浦松丈二】中国外務省の孔泉報道局長は21日の定例会見で、瀋陽の総領事館内連行事件について「この問題の処理は中国の主権の範囲内の事項であり、外国に干渉する権限はない」と強調した。さらに「日本側が現在すべきことは、中国の調査結果を尊重し、中国への根拠のない攻撃をやめることだ」とあらためて要求した。

「5人は瀋陽で健康」

2002年05月21日The Sankei Shimbun
 中国外務省の孔泉報道局長は21日の定例会見で、瀋陽の亡命者連行事件で中国側が拘束している北朝鮮の住民5人について「瀋陽にいて、身元やその他の状況について公安部門の取り調べを受けている」と指摘、「みな健康状態はいい」と語った。

 8日の事件発生後、中国外務省が5人の所在地などを公式に明らかにしたのは初めて。

 局長は5人の取り扱いについて「現在、日本側とは協議していない。この問題をどう処理するかは中国の主権の範囲内のことだ」と述べ、取り調べ終了後に中国側が独自の判断で適切に処分を決めるとあらためて強調した。

亡命者の即時解放求め決議案 米上院

2002年05月21日The Sankei Shimbun
 中国・瀋陽の亡命者連行事件をめぐり、拘束された5人の即時解放など北朝鮮脱出者への人道的な対応を中国政府に求める決議案が20日、米上院本会議に提出された。同事件で米連邦議会へ決議案が提出されたのは初めて。

中国、亡命支援の宣教師を拘束

2002年05月20日The Sankei Shimbun
 中国に潜伏する北朝鮮からの脱出者の支援活動をしている韓国の非政府組織(NGO)に20日までに入った連絡によると、瀋陽の亡命者連行事件が起きた直後の9日ごろ、米国市民権をもつ韓国人宣教師が中国当局に拘束された。

 この宣教師は亡命者連行事件を支援したNGOの関係者で、北朝鮮を脱出した住民十数人とともに拘束され、北朝鮮住民の一部は既に本国に送還された。

 しかし、宣教師は拘束されたまま関係者との面会も実現しておらず、このNGOは韓国政府に対し、早期釈放を働き掛けるよう要請している。(共同)

日本、出国前の聴取断念へ

2002年05月20日Yomiuri On-Line
 政府は19日、中国・瀋陽の亡命者連行事件で、中国が身柄拘束している北朝鮮住民5人の早期出国を最優先させるため、出国時の関与について柔軟に対応する方針を固めた。具体的には、出国の事前連絡など最低限の関与は求めていくが、出国前の5人に対する事情聴取は事実上断念する。

総領事館内連行:5人の駆け込み先、本来はスペイン大使館

2002年05月20日 Mainichi INTERACTIVE
 中国・瀋陽の総領事館内連行事件で、中国の武装警察官に連行された朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の一家5人は、今年3月に北京のスペイン大使館に25人で駆け込んだグループと一緒に亡命する予定だったことが19日、北朝鮮の亡命希望者を支援するNGO(非政府組織)「北朝鮮難民救援基金」(東京)の関係者の話で分かった。

瀋陽事件、こう着状態

2002年05月19日THe Sankei Shimbun
 安倍晋三官房副長官は19日、NHKと民放テレビの各報道番組に出演、瀋陽の亡命者連行事件をめぐる中国との折衝について「そう簡単にはいかないというところだ。しばらく推移を見守り努力していきたい」と述べ、当面こう着状態が続くとの認識を示した。

外務省「握手」把握か

2002年05月17日 The Sankei Shimbun
 中国・瀋陽の亡命者連行事件で、査証担当副領事が武装警察の大隊長と握手していたとの民主党調査団の指摘について、外務省が以前から事実関係を把握しながら調査報告書には盛り込んでいなかったことが17日、分かった。外務省筋が明らかにした。

 川口順子外相は同日午後、国会内で記者団に対し「朝から国会で(の答弁が続き)何も聞いてない。外務省が調査したことが真実だと思う」と述べ、外相に報告されていなかったことを事実上認めた。

副領事が「感謝」の電話 瀋陽亡命者連行事件

2002/05/17 中国新聞
 【北京17日共同】中国遼寧省瀋陽で起きた亡命者連行事件の真相 究明のため現地を訪問している海江田万里衆院議員らの民主党調査 団は十六日、遼寧省の外事弁公室当局者が事件直後の八日午後、現 場で対応した日本総領事館の査証担当副領事から電話を受け「事件 は一件落着した」と謝意を表明されていたことを明らかにした。

日本の事実受け入れが前提 亡命者連行事件

2002年05月16日The Sankei Shimbun
 中国・瀋陽の亡命者連行事件で、在日中国大使館の黄星原参事官は16日午後、北朝鮮住民5人の扱いについて「まず日本が中国に対する攻撃をやめ、中国側の調査した事実を認めることだ。そうして初めて、ほかの事も可能になる」と述べた。共同通信の電話取材に答えた。

 中国が独自の判断で5人を第三国へ出国させるかどうかについて「まず、日本が何をするかだ」と述べ、日本が中国側の調査結果を受け入れることが出国の前提との立場を示した。

総領事館内連行:中国大使館が出国合意を否定

2002年05月15日 Mainichi INTERACTIVE
 中国・瀋陽の総領事館内連行事件で、連行された5人を第三国に出国させることで日中両国が合意したと報じられたことに関し、在日中国大使館の黄星原・報道担当参事官は15日、毎日新聞に対し、「そのような合意は絶対にない。日本側が事実関係を認めるかどうかの問題だ。このままでは事態は前進しないかもしれない」と述べた。

 黄参事官は、中国大使館の公式見解として(1)日中両国が、5人について、第三国への出国で合意したという事実は絶対にない(2)今は事実関係をはっきりさせるのが大事。日本は中国側の調査結果を尊重し、中国を根拠なく攻撃するのを中止すべきだ(3)5人は中国が国際法、国内法及び人道的見地に従って適切な対応をする――との考えを示した。

第三国出国で一致 亡命者連行で日中両政府

2002/05/15 中国新聞
 人道優先、韓国行き濃厚

 日中両国政府は十五日、中国・瀋陽の亡命者連行事件で、外務省 の竹内事務次官と武大偉駐日中国大使が会談するなど中国の武装警 官に連行された朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)住民五人の身柄 問題で大詰めの協議を行い、人道的観点から、第三国へ出国させる 方針で一致した。フィリピンなどを経由した後、韓国への出国が濃 厚で、日本側は身柄問題の週内決着を目指す。 TR>

総領事館内連行:副領事が北朝鮮男性の手紙読む 中国外務省

2002年05月14日Mainichi INTERACTIVE
 【北京・坂東賢治】中国外務省の孔泉報道局長は14日の記者会見で、瀋陽総領事館連行事件に関する中国側の調査結果の詳細を説明し、警備担当官の馬木秀治副領事が正門脇の武装警察詰め所で北朝鮮住民5人から事情聴取した際、男性1人から手紙を渡され、これを読んだ後に返したとの新事実を明らかにした。

三国移送で妥協点模索 日中、水面下の動き焦点

2002年05月14日 The Sankei Shimbun
 中国・瀋陽の亡命者連行事件で、日中両国は14日、日本外務省の小野正昭領事移住部長と中国外務省の羅田広領事局長の同日の会談を受け、連行された北朝鮮住民5人を第三国へ移送することで妥協点の模索を始めた。

 中国外務省の孔泉報道局長は14日の定例会見で、5人の扱いについて「現在、身元確認作業を継続中で、明確に答えられない」と述べ、取り扱い決定にはもう少し時間がかかるとの認識を示した。

事実と違う中国主張に反論 首相、北朝鮮送還認めず

2002年05月14日 The Sankei Shimbun
 小泉純一郎首相は14日午後、衆院本会議で行われた中国・瀋陽の亡命者連行事件に関する質疑で「わが国が同意を与え、感謝を表明した旨主張しているが事実に反する。13日の外務省の調査結果を踏まえ今後とも中国側にしかるべく反論していく」と述べ、日本側の立場を主張していく考えを示した。

 北朝鮮亡命者5人の身柄について、首相は「人道上の要請が満たされる必要がある」と、北朝鮮への送還は認められないとの立場を強調。同時に日本に引き渡された場合は「事実関係を確認し希望を聴取する。その上で、生命・身体の安全が確保されるか、関係国との関係を総合的に考慮して具体的な対応を検討する」との見解を示した。

 首相は難民受け入れ枠拡大について「従来より個別に審査の上、難民と認定すべきは認定している。今後とも細心の配慮をしたい」と述べるにとどまった。

外相は引責辞任を 亡命者連行事件で亀井氏

2002年05月12日The Sankei Shimbun
 与野党幹部は12日、中国・瀋陽の亡命者連行事件での一連の対応をめぐり、自民党江藤・亀井派の亀井静香会長代行が「外相は結果責任を負っている」と述べ、事件調査後に川口順子外相の引責辞任と総領事の免職処分を求めたのをはじめ、厳しく批判した。

日米総領事館前に中国側が有刺鉄線、横丁に封鎖壁

2002年05月12日Yomiuri On-Line
 【瀋陽(中国遼寧省)12日=佐伯聡士】駆け込みを水際で遮断せよ――。中国・瀋陽の亡命事件発生後、北朝鮮住民が駆け込んだ日米両総領事館周辺の警備態勢が日ごとに強化され、12日には有刺鉄線が張り巡らされた上、日米両総領事館間にある約3メートルの通りがレンガ壁で閉鎖される“非常措置”がとられた。

米亡命求める書簡を携行 瀋陽の連行事件

2002/05/12 中国新聞
 【北京12日共同=平井久志】中国・瀋陽の亡命者連行事件で、日 本総領事館へ駆け込んだ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)住民の 一家五人が米国亡命を求める英文の書簡と身上書を携行していたこ とが分かった。五人を支援している市民運動グループが十二日、明 らかにした。五人のうち、最初に査証申請待合室に駆け込んだ男性 (28)が持っていたとみられる。

 日中両国は中国の武装警官が五人を連行した経緯をめぐって真っ 向から対立しているが、書簡を見れば、亡命希望者とすぐに判明し たはずで、日本総領事館がこの書簡を確認していたかどうかが、対 応の適否をめぐる重要なポイントとなりそうだ。

総領事館連行事件:杉浦副外相を北京に派遣へ

2002年05月12日Mainichi INTERACTIVE
 瀋陽日本総領事館内連行事件で政府は11日、週明けに杉浦正健副外相を北京に派遣し、中国側当局と、事件処理や中国の武装警察官に連行された北朝鮮住民5人の身柄の扱いなどについて協議する方針を固めた。

 杉浦副外相は、中国側がウィーン条約に違反して総領事館の敷地や館内に侵入した、とする日本側の主張を伝えるとともに、5人の身柄の返還を改めて要求し、今後の事件処理などについても協議する見通しだ。

総領事館内連行事件:「同意の事実はない」と反論 日本外務省

2002年05月11日Mainichi INTERACTIVE
 日本外務省は11日午前、「日本の領事が5人の連行に同意した」などとする中国外務省の孔泉報道官談話に対し、「日本側が同意を与えた事実はない」と否定したうえで、「事実関係の徹底解明のために調査を行っているところであり、今後、詳細な調査結果に基づく反論を行うことを考えている」とのコメントを発表した。

 さらに、コメントでは連行された北朝鮮住民5人の早期引き渡しと、中国側の陳謝、再発防止の保障を改めて求め、「日中関係を重視しているがゆえに速やかな問題解決が必要と考えており、冷静に協議を行っていくのは当然」との姿勢を示した。

中国外務省「副領事の同意を得て入館」

2002年05月11日 The Sankei Shimbun
 瀋陽の亡命者連行事件で中国外務省の孔泉報道局長は11日未明、日本総領事館に侵入した武装警察官は日本総領事館の副領事の同意を得て入館し、身元不明者2人を館内から連れ出したとする調査結果を新華社を通じて発表した。

 報道局長はさらに、副領事より位が上の総領事館領事が、駆け込んだ北朝鮮住民5人の連行に同意し、武装警察に感謝を表明したと述べた。

 日本の外務省は同日、報道局長の談話に対し、日本側が武装警察官の入館と5人の連行に同意した事実はないと真っ向から反論するコメントを発表した。事件の事実経過をめぐって日中双方が激しく対立する事態となった。

 外務省はコメントで「今後、詳細な調査結果に基づく反論を行うことを考えている」とも主張し、双方の水掛け論で問題が長期化する可能性も出てきた。(共同)

「身柄」「条約」分離も…中国、第三国移送検討か

2002年05月11日 Yomiuri On-Line
 【北京10日=杉山祐之】当地の外交筋は10日、本紙に対し、中国・瀋陽の日本総領事館で発生した亡命未遂事件を巡る日中交渉について、難航した場合、中国側に連行された北朝鮮住民5人の早期出国のため、国際条約に関する問題と、5人の身柄引き渡しを巡る問題が、切り離して協議される可能性があると語った。

 日本側は「中国の国際条約違反と、引き渡し要求は一体のもの」(在北京日本大使館当局者)との姿勢で交渉に臨む構えだが、中国側は、条約違反とする日本側主張に反対する立場を明確にしている。

 同筋によると、中国政府は、過去の外国公館駆け込み事件と同様、「人道問題」として、亡命希望者の出国を認める形での決着を図っている公算が大きい。

冷静に、かつ厳正に抗議を

2002年05月10日 東奥日報

 日本と中国、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の間には、さまざまな懸案があるが、また難題が加わった。

 中国・瀋陽市にある日本総領事館に、北朝鮮を脱出した住民五人が、亡命を求めて駆け込んだ。二人は総領事館の建物内まで入ったが、警備していた中国の武装警官が、日本側の同意を得ることなく館内まで追いかけて取り押さえ、連行していった。

 総領事館は、国際条約で治外法権が認められている、いわば立ち入り禁止区域。外務省は、重大な主権侵害行為として抗議するとともに、五人の引き渡しなどを求めた。当然の要求だ。

 日中関係は、今秋の国交回復三十周年を前に、東シナ海で沈没した北朝鮮の工作船とみられる不審船の調査問題、小泉首相の靖国神社参拝問題などでぎくしゃくしているが、政府は、今回の事件では、亡命申請者を救う人道的見地から、冷静かつ毅然(きぜん)とした態度で、主張を貫くべきだ。

 抗議に対し、中国側は、条約違反ではない、と反論している。抗議と反論の連鎖が長期化すれば、日中関係に悪影響を及ぼす懸念もある。だが、あいまい決着に終わらせれば、国内外から厳しい批判を浴びるだろう。

 外務省は、機密費やプール金問題、田中真紀子氏の外相更迭、鈴木宗男衆院議員との癒着など不祥事やトラブルが続発し、国民の信頼を損なった。今回の事件のかじ取りは難しそうだが、国民の信頼を取り戻す意味で、腕の見せどころだ。

 五人は、北京の国連難民高等弁務官事務所に昨年駆け込み、韓国に亡命した北朝鮮住民の親族。一九九八年に中国に脱出して日本亡命の機会をうかがい、命懸けで総領事館への突入を図ったという。

 男性二人は、警備の武装警官を振り切り、館内の査証(ビザ)申請窓口の待合室まで逃げ込んだ。幼児を含む女性三人も、一時は正門から領事館敷地内に入ったあと引き戻され、鉄製の門にしがみついて抵抗したが、いずれも連行、拘束された。

 政府は、無断で総領事館に入った武装警官が連行した男性二人の引き渡しと、正門で取り押さえられた女性三人を現場に連れ戻すよう求めている。

 ただ、領事館側の対応がいただけない。騒ぎに気づいて正門に駆けつけたものの、警官を制止することはなく、助けを求める女性を放置した。館内に入った男性から事情聴取したいと主張したようだが、強い抗議はせず、結果的に連行を許してしまった。

 北京の日本大使館への一報では、武装警官が館内に入った事実は報告されていない。北朝鮮住民が館内に駆け込んだとの情報が入った大使館側が再報告を求め、ようやく事件の重大性が判明した、との報道もある。

 複数の北朝鮮住民が、日本の在外公館に亡命を求めて駆け込んだのは初めて。事件当時、総領事らは中国機墜落事故の対応で大連の現場に出向き館内は手薄、という事情もあったようだ。

 だからといって、領事館側のお粗末な対応を認めることはできない。政府部内からも、緊張感に欠ける対応、との批判が上がっている。亡命者保護も領事館の職責の一つ。外交官の人権感覚が問われていることを銘記すべきだろう。

 瀋陽では今回の事件のほか、米総領事館に八日二人、九日一人の北朝鮮住民が駆け込んでいる。駆け込みは、非政府組織の支援を受けて組織的に行われているといわれ、警備の厳しい北京を避け、地方にある外国公館を狙う今回のようなケースが増える恐れがある。

 政府、外務省は、在外公館への亡命申請にどう対処するか、早急に詰める必要がある。

総領事館駆け込み:職員が男性2人に10分以上も事情聴かず

2002年05月10日 Mainichi INTERACTIVE
 【瀋陽(中国遼寧省)浦松丈二】中国の武装警察官が在瀋陽日本総領事館に侵入し、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を脱出した住民5人を連行した事件で、総領事館の職員が館内の査証(ビザ)申請待合室に駆け込んだ男性2人から10分以上も事情を聴いていなかったことが10日、明らかになった。住民5人全員が拘束されるまでの詳細な経過が明らかになったのは初めて。

 総領事館によると、8日午後2時ごろ、5人は正門にいた警官の制止を振り切り、敷地内に入ろうとした。幼児を含む女性ら3人は正門で警官に拘束されたが、騒ぎを知り、駆け付けた副領事は警官ともみ合う幼児の母親に、中国語で「落ち着いて下さい」と語りかけただけで傍観。副領事は警官らが敷地内に侵入し、母親を引っ張り出そうとした際に落とした制帽を拾い上げ、警官に渡した。

 女性ら3人が正門横の警官詰め所に連行された後、副領事(厚生労働省から出向)は建物内に戻ったが、館内の査証申請の待合室に男性2人がいることに気付いた。領事館側は男性2人が警官を振り切って突入したことを目撃。副領事が駆け付けるまで、中国人の警備担当職員が2人を「監視するような形」(同館)を続けていたという。

 同時15〜20分ごろ、警官5〜6人が待合室まで侵入し、2人を連れ去るまで副領事は質問したり、事情を聴いたりしていなかった。警官は館員らの目の前で、革ベルトで2人が身動きできないように縛り拘束して連行した。

 同館幹部は10日夜まで、トップの岡崎清総領事が同省大連で起きた中国北方航空機事故の対応で不在。その間もナンバー2の首席領事は「健康管理休暇」として帰国中で、瀋陽に戻るのは11日になるという。

瀋陽の総領事館事件 中国大使に厳重抗議

2002/05/09 中国新聞
 外務省の竹内行夫事務次官は九日午前、中国の武大偉駐日大使を同省に呼び、瀋陽の日本総領事館に駆け込んだ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)住民を中国の武装警官が日本側の同意なしに連行したことについて「ウィーン条約の公館の不可侵に違反する。強く抗議する。速やかに身柄を引き渡し、詳細な説明を求める」と厳重に抗議した。

 武大使は「総領事館の安全確保のために取った措置だ。ウィーン条約を順守している。申し入れは本国に伝える」と述べるにとどまり、両国間の認識の違いが表面化、日中関係の大きな問題ともなりそうだ。

 竹内次官は、総領事館員が館内に入った人物から事情聴取したいと警官に主張したのを無視して連行したことを強調、館内に駆け込んだ二人の身柄引き渡しと、館外で取り押さえられた三人を現場に連れ戻すよう要求「早急に誠意ある回答と説明を求める」と述べた。

 小泉純一郎首相は記者団に「(ウィーン条約)違反と思っている」と述べ、遺憾の意を表明。川口順子外相も衆院有事法制特別委員会で「中国側の対応は問題で遺憾だ」と指摘、館員が身柄を移動させないよう求めたが聞き入れられなかった経緯をあらためて説明した。

 安倍晋三官房副長官は記者会見で、中国側の対応について「遺憾に思う。条約によって保障されている権利が各大使館、総領事館にはある。その点からも抗議を行っている」と批判。副大臣会議でも「ハイレベルでしっかり抗議すべきだ」「条約で保障されている権利が侵犯されたことは極めて重要であり、外務省はそういう認識で対応すべきだ」など、中国に対して毅然(きぜん)とした対応を求める意見が相次いだ。

「主権侵害の認識甘い」上野官房副長官

2002年05月09日 The Sankei Shimbun
 上野公成官房副長官は9日午後の記者会見で、中国・瀋陽の日本総領事館に中国武装警官が侵入した問題について「(外務省と総領事館は)主権侵害についての認識が甘い。毅然(きぜん)と対応しなくてはいけなかった」と述べ、当時の総領事館職員や外務省の対応を批判した。

「国にはそれぞれ違いが」首相

2002年05月09日 The Sankei Shimbun
 小泉純一郎首相は9日夜、都内で開かれた日中国交正常化30周年を記念する「日中友好文化観光交流式典」に出席した。

 首相は両国の友好関係について「国にはそれぞれ違いがある。意見の対立も問題も見解の相違もある。どんな仲の良い友好国でもその違いを乗り越えることが大事だ」と述べ、靖国神社参拝や中国・瀋陽の日本総領事館への北朝鮮住民駆け込み事件での対立を超えて、友好を促進するべきだとの考えを強調した。

 中国人民政治協商会議の胡啓立副主席もあいさつに立ち「私たちは前事を忘れず、後事の鑑(かがみ)としパートナーシップに力を尽くさなくてはいけない」と指摘。首相との午後の会談に引き続き、靖国神社参拝に再度くぎを刺した。

首相が事実関係の調査指示

2002年05月08日 The Sankei Shimbun
 小泉純一郎首相は8日夜、中国・瀋陽の日本総領事館に亡命を求めた北朝鮮の住民を中国の武装警官が拘束した問題について「外国でのことだが、よく調査して冷静に慎重にやるようにと言った」と述べ、事実関係を詳細に調査するよう外務省に指示したことを明らかにした。

北朝鮮脱出の5人亡命失敗

2002年05月08日 The Sankei Shimbun
 北朝鮮を脱出した住民計5人が8日午後(日本時間同)、中国・瀋陽の日本総領事館に亡命を求めて駆け込もうとした。北京の日本大使館筋などによると、うち3人は中国公安当局に総領事館入り口付近で拘束され、2人は総領事館の査証(ビザ)申請窓口の待合室まで入ったが、中国当局に拘束された。

 瀋陽の米国領事館にも同時に2人の北朝鮮住民が駆け込んだが、2人は中国当局の拘束を免れ、館内で亡命を求めているもようだ。

 総領事館内は外交関係に関するウィーン条約で治外法権が認められており、中国当局によって治外法権が侵された形の日本大使館は対応の検討に入った。亡命申請者に対する日米の扱いの違いも結果的に際立ち、国際世論からの批判も予想される。

駐中国公使が抗議

2002年05月08日 The Sankei Shimbun
 中国・瀋陽の日本総領事館に北朝鮮の住民2人が駆け込んだ事件で、北京の日本大使館は8日、2人がビザ申請待合室まで入ったが、それを追い掛けるように中国の武装警察官が入ってきて連行したと発表した。

 北京の日本大使館によると、瀋陽の日本総領事館に中国の武装警察官が日本側の同意なく入ったことについて、高橋邦夫・駐中国公使が8日、中国外務省を訪れ抗議した。(共同)

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