TOPIC No. 2-2 国際連盟

01.日本は国連の常任理事国になるべきでしょうか。(平成15年5月) by外務省
02.日、安保理常任理事国になるならば(2004.09.26) by中央日報(Japanese JoongAngIlbo)
03.日本の常任理事国入りと国際貢献(2004/10/1) by21世紀政策研究所
04.日本が常任理事国にふさわしくない本当の理由(2004/11/11) by天木直人・マスメディアの裏を切る

安保理に提起、謝罪要求 哨戒艦沈没で韓国大統領

2010/05/24  中国新聞ニュ−ス

 【ソウル共同=角田卓士】韓国の李明博イミョンバク大統領は24日、海軍哨戒艦が北朝鮮製魚雷で沈没したとの調査結果を受けて国民向け談話を発表し「韓国を攻撃した軍事的挑発」と北朝鮮を非難、謝罪と関係者処罰を要求した。また、国連安全保障理事会に問題提起し、開城ケソン工業団地を除く南北交易・交流を事実上、全面中断すると言明した。

 調査結果を「でっち上げ」と否定する北朝鮮が強く反発し、南北関係が一段と緊張するのは必至。韓国政府は主要各国に対しても、個別に実施可能な措置の検討を求める方向で、国際包囲網づくりに全力を挙げる。

 李大統領は、北朝鮮の行為は国連憲章などに違反するとし「相応の対価を支払わせる」と言明。今後、韓国の領土や領海、領空を武力侵犯すれば「即時、自衛権を発動する」と述べた。また、北朝鮮船舶の韓国側海域での航行を24日から全面禁止すると表明した。

 続いて柳明桓ユミョンファン外交通商相、玄仁沢ヒョンインテク統一相、金泰栄キムテヨン国防相が共同記者会見。南北非武装地帯周辺での大音量スピーカーを通じた対北朝鮮宣伝放送の同日からの再開や、米韓合同の対潜訓練を近く実施、今年後半に韓国周辺海域で大量破壊兵器拡散防止構想(PSI)に基づく海上封鎖訓練を準備していることを明らかにした。

 開城工業団地と金剛山クムガンサン地区を除き韓国民の訪朝を不許可とし、乳幼児などに対する人道支援以外の支援事業を保留。開城工業団地を含む北朝鮮に対する新たな事業投資を認めず、同団地の滞在人員を縮小する。北朝鮮に対する既存の安保理制裁決議の厳格な履行も求めていくという。

 26日にはクリントン米国務長官が訪韓、米韓の緊密な連携を誇示する見通し。李大統領は28日に訪韓する中国の温家宝おん・かほう首相との首脳会談や29日の日中韓首脳会談を通じ、安保理への問題提起について中国の協力を求める方針。

北朝鮮「非難」で駆け引き 日本、NPT合意文書で

2010/05/23  中国新聞ニュ−ス

 【ニューヨーク共同】国連で開催中の核拡散防止条約(NPT)再検討会議で、核不拡散を扱う第2委員会の日本代表を務める阿部信泰あべ・のぶやす外務省参与(元国連事務次長)は22日、共同通信のインタビューに応じ、北朝鮮の2回の核実験に対し「非難」を明記した合意文書の実現を目指し、中国などと水面下で駆け引きが続いていることを明らかにした。

 第2委員会議長が21日に示した合意文書案には、北朝鮮の核実験に対する「非難」が盛り込まれた。ただ中国は核軍縮を扱う第1委員会の協議で核実験への「遺憾の意」という表現にも反対。阿部氏は「中国は『非難』に納得していない可能性があり、その表現が残るかどうかはまだ分からない」と述べた。

 その上で、NPT脱退を宣言した北朝鮮について「核実験をして核まで持った。NPTにとって一番望ましくない形を非難できなければ、何のための再検討会議か」と強調した。

 全体状況に関しては、核軍縮・不拡散に向けた合意文書ができずに決裂した前回2005年会議の反省から「各国は失敗の繰り返しを避けたいとの思いでは一致している」として、合意文書採択に期待感を示した。

 第1委員会では、核保有国の反対で、合意文書案から核軍縮措置の具体的年限を削除。これに関し阿部氏は、保有国が核軍縮分野で譲歩しないと、不拡散分野で非保有国の協力が得られなくなり「小さくまとまった最終結果しか得られない」と指摘。双方の歩み寄りが必要との考えを示した。

哨戒艦事件、韓国が安保理制裁提起へ

2010年05月20日 読売新聞 Yomiuri On-Line

20日、ソウルの韓国国防省前で、北朝鮮製ミサイルの模造品を破壊し抗議する市民(ロイター)

 【ソウル=仲川高志、ニューヨーク=吉形祐司】今年3月26日に起きた韓国哨戒艦沈没事件を調べていた軍・民間合同調査団が20日、北朝鮮の魚雷攻撃が沈没原因と断定する調査結果を公表したことを受けて、韓国の柳明桓(ユミョンファン)外交通商相は同日、「国連憲章に違反する。厳正な措置を講じる」と述べ、国連安全保障理事会への提起など対北朝鮮制裁に向けた外交を本格化させた。

 日米豪など各国は同調する見通し。安保理では新決議が必要となるが、北朝鮮の後ろ盾の常任理事国、中国は慎重な姿勢とみられ、決議に基づく制裁を実施できるかどうかは不透明だ。

 柳外交通商相は同省幹部を集めた会議で、「(朝鮮戦争の)休戦協定に違反するのはもちろん国連憲章にも明白に違反する」と北朝鮮を非難。そのうえで「国際社会と協調し、厳正な対応措置を講じていく」と述べ、韓国が安保理を中心に国際包囲網の構築に向け、関係国への働きかけを強めていく考えを示した。

 李明博(イミョンバク)大統領は21日午前、国家安全保障会議(NSC)を開き、対北朝鮮制裁の実施に向けた対応策を指示する。24日にも国民向けの談話を発表し、北朝鮮を非難するとみられ、北朝鮮の金正日(キムジョンイル)総書記を名指しするとの観測もある。

 安保理の制裁実施には新決議が必要となる。北朝鮮に対する現在の制裁決議は核実験や弾道ミサイル発射に対するもので、これを基に追加制裁を科すことはできないためだ。「テロ行為に対する制裁になる可能性もある」(安保理筋)という。

 決議案作成には、安保理理事国ではない韓国が加わることは可能だが、安保理招集を要請する権限はないため、理事国が代わって行うことになりそうだ。このため、韓国と同盟関係にある常任理事国の米国や、非常任理事国の日本がその役割を担う可能性が大きい。このため、韓国政府は今後、26日に予定される柳外交通商相とクリントン米国務長官との会談や、29〜30日に韓国・済州島(チェジュド)で行われる日中韓首脳会談などで、対北朝鮮制裁に向けた具体的な協議を行うとみられる。韓国は安保理制裁と並行し、日米などと共同で独自制裁も検討する方針だ。

 一方、韓国政府関係者によると、北朝鮮は調査結果に関して国防委員会の調査団を22日に派遣する意向を韓国側に伝えた。これに対し、韓国政府は、派遣を受け入れない可能性が高まっている。

日本の常任理事国入り支持 英政権、印と「特別関係」

2010.05.20 MSN産経新聞

20日、連立合意の詳細を発表するキャメロン首相(ロイター)

 英国のキャメロン首相率いる保守党と自由民主党の連立政権は20日、連立合意の詳細を発表、外交面では日本の国連安全保障理事会常任理事国入りを支持する一方、インドと「特別関係」を構築、中国との関係緊密化を追求するなど、新興国重視を明確にした。

 日本の常任理事国入りは労働党前政権に引き続き支持。新政権は「日本、インド、ドイツ、ブラジル、それにアフリカの代表」の常任理事国入りを含む安保理改革を求めるとした。

 インドとは旧宗主国として深い関係を維持してきたが、両党合意では主に対米関係に使われる「特別関係」という用語で、関係を一段と強化する意思を強調。対中関係も深化を図るが「人権問題については、両国のあらゆる関係の中で、揺るぎない姿勢を取る」とし、前政権より厳しい態度で臨みそうだ。(共同)

米国務長官:イラン制裁決議案、安保理常任理事国が合意(Update1)

010/05/19 Bloomberg

 5月18日(ブルームバーグ):クリントン米国務長官は、国連安全保障理事会の常任理事国がイランの核開発プログラムをめぐり、同国に圧力をかけることを目的とした制裁決議案で合意したと明らかにした。

 クリントン長官は上院外交委員会で、「この発表はイランで過去数日間に行われている取り組みに対し、われわれが打ち出せる最も説得力ある回答だ」と述べた。同長官はブラジルとトルコが仲介役となったイランとの取り決めについて意見を問われた。

 イラン国営のプレスTVによれば、イランは17日、低濃縮ウランのトルコへの移送で同意。イランが保有する低濃縮ウランの約半分をトルコに提供し、見返りとしてテヘランにある医療用アイソトープ(同位元素)装置にのみ利用可能な核燃料を手に入れる。

 欧米各国は、ウラン移送同意に懐疑的な反応を示していた。クリントン長官はこの日、「ロシアと中国の協力を得て、強力な決議案で合意に至った」と言明した。

 決議案は全理事国に配布される。クリントン長官はこの決議案が「イランに何が期待されているかという明白なメッセージを送るものだ」と述べた。

「日本を安保理常任理事国にすべき」…サルコジ演説に中国で罵声

2010/03/31(水) Searchina

 「日本が国連安保理の常任理事国にならないのはおかしい」――。フランスのサルコジ大統領が29日、訪問先の米ニューヨーク市内にあるコロンビア大学で演説したことで、中国のインターネットが“炎上”した。2005年に中国で大規模な反日運動が発生した際のきっかけも「常任理事国入り」の問題だったが、今回はフランス批判が多いことが特徴だ。

 サルコジ大統領は、日本が常任理事国でない理由を「極めて単純。戦争に負けたから」と述べ、第二次世界大戦終結期に作られた国連安保理の枠組みが、現在の国際情勢にはそぐわないとの見方を示した。同大統領はアフリカや中南米からも、常任理事国が選出されるべきだと主張した。

 同記事を報じた中国のニュースサイト「環球網」には、サルコジ大統領とフランスを非難するコメントが、次々に寄せられた。

 サルコジ大統領に対しては、あと2年で辞めるのだから、好き勝手なことをいっているとの書き込みがある。同大統領が、常任理事国のメンバーが現状を反映していないと主張したことから、フランスが常任理事国であることが、そもそもおかしいとの意見もある。コメントの冒頭では、サルコジ大統領の発言に賛意を示し、その後で、フランスと交代すればよいと皮肉るなどだ。

 フランスは、第二次世界大戦の早い時期にドイツに敗れ、最終的にドゴール将軍が率いる亡命政府が「抗戦」を続けた。そのため、安保理常任理事国中では唯一の敗戦国と、ののしる書き込みもある。

 ドイツなら、常任理事国として認められる意見もみられる。中国では、ドイツ首相がユダヤ人虐殺などで謝罪したことが、繰り返し報じられたこともあり、「ドイツは歴史的責任を痛感している。日本は違う」と考える人が多い。

 日本の常任理事国入りに反対する意見として、安保理で米国の票がひとつ増えるだけだとの指摘もある。

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◆解説◆

 中国における2005年の反日運動の背景には、小泉純一郎首相(当時)が2001年の就任以来、靖国神社への参拝を続けていたことがあった。05年3月に、日本が国連安保理の常任理事国入りを目指していることが報道されてから、中国各地で反対署名運動などが起こり、4月には大規模なデモが発生。一部が暴徒化して、日本大使館、領事館、商店などに被害を与えた。

 胡錦濤政権は2003年の発足当時から、「日本との歴史問題は解決済み」などとする「新思考外交」の実現を模索していた。しかし、05年当時は共産党・政府上層部では、対日強硬策を続けていた前政権の江沢民派の勢いも強く、胡錦濤政権を牽制(けんせい)するために、反日運動をあおったとする見方がある。

 中国では現在でも、日本に対する警戒感や反感が根強いが、世論調査によると、10代の若者を中心に「日本が好き」と考える人も増えている。(編集担当:如月隼人)

ニュージーランド首相、日本の常任理事国入りを支持

2009.10.29 MSN産経新聞

 鳩山由紀夫首相は29日、来日中のニュージーランドのキー首相と首相官邸で会談した。キー首相は「日本の常任理事国入りを含む国連安全保障理事会改革を支持する」と述べ、鳩山首相は謝意を表明した。また鳩山首相が持論の東アジア共同体構想について説明、キー首相は構想を「歓迎する」と述べた。

 両首脳は会談後、共同プレスステートメントを発表し、北朝鮮の核、ミサイル、拉致問題を包括的に解決するため、北朝鮮に6カ国協議への復帰を強く要請していく方針を確認した。

日本、常任理事国入りに再挑戦 安保理改革19日に政府間交渉

2009年02月17日  中国新聞ニュ−ス

 【ニューヨーク17日共同】国連安全保障理事会改革をめぐり実質的な議論の場となる政府間交渉が19日、ニューヨークの国連本部で開始される。2005年に安保理拡大を盛り込んだ枠組み決議案提出までこぎ着けながら、最終的に挫折した日本は悲願の常任理事国入りに再挑戦する。

 第1回交渉では、国連総会のデスコト議長が加盟国に交渉の手順などを記した作業計画を提示する予定で、どのような内容になるのかが焦点。議長は交渉を数カ月で集中的に行う方針を示しているが、国連外交筋は「議長は任期切れの9月までにどこまで進めるつもりなのか注目される」としている。

 議長の報道官は政府間交渉について「あらゆる形態がありうる」とする一方、論点は(1)安保理の拡大規模(2)常任理、非常任理の数(3)地理的な配分(4)拒否権(5)安保理の手続き面での簡素化−の5点に集約されるとした。

日本を非常任理事国に選出 国連安保理、最多10回目

2008/10/18  中国新聞ニュ−ス

 【ニューヨーク17日共同】国連総会(百九十二カ国)は十七日午前(日本時間十八日未明)、安全保障理事会の非常任理事国五カ国を改選する本会議を開き、二〇〇九年から二年任期の非常任理事国に日本が選ばれた。日本の選出は加盟国中最多の十回目。

 改選一カ国のアジア枠にはイランも立候補。イランが核開発をめぐって安保理の制裁下にあり米欧諸国と対立しているのに対し、日本は、米国に次ぐ国連予算の負担国であることや、ブラジルと並んで過去九回非常任理事国に選ばれた実績を強調し、支持取り付けを進めてきた。

 アジア枠以外では、二カ国の「西欧その他」枠からオーストリア、アイスランド、トルコが立候補。中南米はメキシコ、アフリカはウガンダがそれぞれ統一候補。

 当選には、投票した国の三分の二の賛成が必要で、三分の二に達しない場合は何度も投票を続ける。地域として統一候補を立てた場合でも、三分の二の得票が必要。

 日本が最近、非常任理事国だったのは〇五―〇六年で、北朝鮮の核実験を受けた制裁決議採択などを米国と主導した。安保理は米国や中国などの常任理事国五カ国と非常任理事国十カ国で構成し、非常任理事国は毎年半数を入れ替える。連続再選は認められていない。

安保理拡大、先送り 総会議長が早期改革断念

2007/06/23 中国新聞ニュ−ス

 【ニューヨーク22日共同=川北省吾】国連安全保障理事会の改革を協議している国連総会のハヤ・ラシド・ハリファ議長(バーレーン)が、任期満了を迎える今年九月までの改革実現を事実上断念する意向をスルジャン・ケリム次期総会議長(マケドニア)に伝えていたことが二十二日、分かった。欧州の国連外交筋が明らかにした。これにより、日本が最優先課題に掲げる安保理拡大は今会期も先送りされることが確定的となった。

 常任理事国入りを目指す日本は、今期も安保理拡大で合意できなければ常任理事国拡大は当面凍結されるとの認識を示していただけに、戦略の見直しを迫られる。

 同筋によると、ケリム氏は次期議長選出後の今年五月二十九日、欧州連合(EU)の国連大使との会合に出席。ハリファ議長から「あなたに安保理改革など未解決の国連改革に関する作業文書を引き継ぐ」と申し送りを受け、今年九月からの次期総会以降の改革実現に努めるよう要請されたことを明らかにした。

 ハリファ議長は五月、安保理改革交渉のまとめ役となる二人の「調停人」を任命。調停人は主要国・グループの主張を整理した作業報告を近くまとめるが、改革のさまざまな選択肢を併記するにとどまる見通し。この報告が「宿題」(同筋)としてケリム氏に引き継がれるとみられている。

 日本はドイツなどと「四カ国グループ(G4)」を結成。二〇〇五年七月、現在十五カ国の安保理を二十五カ国に拡大する「枠組み決議案(G4案)」を総会に提出したが、米中などの反対で廃案となった。〇六年以降、安保理の大幅拡大を嫌う米国と、G4案を支持するドイツなどを仲介し、二十一カ国への拡大案を検討したが、支持が広がらず実現しなかった。

イラン追加制裁決議を採択 国連安保理、全会一致で

2007/03/25 The Sankei Shimbun WEB-site

 国連安全保障理事会は24日午後(日本時間25日未明)の公式会合で、核兵器開発につながりかねないウラン濃縮活動を継続するイランへの追加制裁決議最終案を全会一致で採択した。昨年末の制裁決議に続く第2弾の制裁。国際社会から一段の圧力が加わり、イランは孤立を深めた。

 イランのモッタキ外相は安保理での演説で、決議は「甚だしい国連憲章違反」と非難、ウラン濃縮停止要求を拒否した。核問題に関する新提案は示さなかった。

 決議は濃縮活動の即時停止をイランに義務付けた上で(1)イランによる武器輸出禁止(2)イラン政府への新規の無償資金協力見合わせ(3)制裁対象にイラン革命防衛隊員や関連企業を含む15人・13団体を追加−などを盛り込み、60日以内に履行状況を報告するよう国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長に求めた。

 イランの核開発疑惑は2002年に発覚。IAEAは昨年2月、問題を安保理に付託した。同国が濃縮停止に応じなかったため、安保理は同12月に初の制裁決議を全会一致で採択。順守期限の今年2月下旬になっても濃縮活動を継続していたことから追加制裁協議が始まっていた。(ニューヨーク 共同)

非常任理事国に立候補へ 首相表明、09年から任期

2007年01月24日 中国新聞ニュース

 安倍晋三首相は24日、モンゴルのエンフバヤル大統領と電話会談し、2009年からの国連安全保障理事会非常任理事国(任期2年)の選挙に、モンゴルに代わって立候補することで合意した。日本は昨年末で非常任理事国としての任期を終えたばかり。

 モンゴルは既に非常任理事国選挙への立候補を表明していたが、エンフバヤル大統領は電話会談で「立候補を取り下げる」と表明、その上で日本が代わりに立候補するよう要請した。これを受け首相は「善意に深く感謝する。それに応えるためにも立候補し、選出されるよう努力する」と述べた。

 09年からの非常任理事国をめぐっては、イランが既に立候補を正式表明。さらに立候補国が出る可能性もあり、アジア枠を争う各国で事前調整がつかなければ、08年秋の国連総会での選挙で決定することになる。

改革案、今秋提出目指す 常任理事国入りへ麻生外相

2007年01月13日 中国新聞ニュース

 【ブラチスラバ12日共同】スロバキア訪問中の麻生太郎外相は12日夜(日本時間13日未明)、ブラチスラバ市内で記者団と懇談し、日本が国連安全保障理事会の常任理事国入りに向け、新たに検討している安保理改革案について、今秋の国連総会での提出を目指す考えを示した。

 麻生氏は改革案の具体的な内容について明言を避けつつも、常任理事国枠を直ちに拡大するのではなく、まず「準常任理事国」の新設など「暫定解決」を図る案が「一つの考え方としてはある」と述べた。

 また日本が2005年にドイツ、ブラジル、インドと4カ国(G4)で安保理メンバーを25カ国に拡大する決議案を提出したが、米国などの反対で廃案となった経緯を踏まえ「米国ものめる案を考えなければいけない」と述べ、米国と新たな改革案を調整中であることを明らかにした。

北非難決議を国連に提出 日本とEU

2006/11/04 FujiSankei Business i.

 日本と欧州連合(EU)などは2日、北朝鮮の人権状況を非難する決議案を昨年に続き、国連総会第3委員会(人権)に提出した。決議案は外国人拉致問題を「他の主権国家の国民の人権を侵害する」とし、昨年より非難のトーンを強めた。

 決議案は「組織的、広範囲で深刻な人権侵害の報告が引き続きある」ことに深刻な懸念を表明。人権侵害の例として、公開処刑、多数の強制収容所の存在、脱北者への拷問、売春や強制結婚を目的にした女性の人身売買、外国人拉致などを挙げた。

 決議案の共同提案国は米国など35カ国。第3委員会で今月内に採決が行われ、採択された後、総会に上程される。総会決議に拘束力はないが、政権には大きなダメージとなり、人権問題でも国際的圧力が高まることになる。(ニューヨーク 長戸雅子)

北朝鮮禁輸品リスト、大筋合意 国連制裁委

2006/10/28 The Sankei Shimbun

 【ニューヨーク=長戸雅子】北朝鮮制裁決議の履行を監視する国連安全保障理事会の制裁委員会は27日までに、北朝鮮による核、ミサイル、大量破壊兵器の開発を阻止するため禁輸対象品をまとめたリストについて大筋で合意した。

 制裁委委員長を務めるスロバキアのブリアン国連大使が同日、核、ミサイル関連の禁輸品について「原子力供給国グループ(NSG)のリストとミサイル関連技術輸出規制(MTCR)のリストを使うことで合意した」と述べ、リストは200ページ以上に上ることを明らかにした。制裁委は30日午後にも加盟各国に文書を送付し、決議の履行を求めていく。

 同様に禁輸となるぜいたく品については、各国が国内法に基づいて選定できる方法を取る方針で、日本政府は高級酒や高級車などの禁輸を検討している。

 また、制裁委は来週以降、渡航禁止の制裁を科す個人や、資産凍結の対象となる個人・団体のリスト作成の作業を始める。

国連で核軍縮決議案採択 初めて特定の国を非難

2006/10/27 The Sankei Shimbun

 【ニューヨーク=長戸雅子】国連総会第1委員会(軍縮)は26日、核兵器の全面廃絶を目指し、北朝鮮の核実験を非難する日本など提出の決議案を賛成169、反対3、棄権8の賛成多数で採択した。核軍縮決議案採択は1994年以来13年連続だが、具体的に国名を挙げて非難したのは今回が初めて。169の賛成数も過去最多。決議案は12月の総会本会議でも採択される予定。

 反対は米国、インド、北朝鮮の3カ国。包括的核実験禁止条約(CTBT)に批判的な米国は2001年から反対票を投じているが、この日の会議では「北朝鮮への言及を支持する」と述べた。

 一方、北朝鮮は「(核実験は)米国から核兵器による脅しと制裁を受けてやむを得ず取った措置」と強弁する一方、朝鮮半島の非核化を望む姿勢を改めて強調した。

 決議案は核兵器など大量破壊兵器の拡散により増大しつつある危険に深い懸念を表明。10月9日に行われた北朝鮮の核実験実施を非難し、核拡散防止条約(NPT)の全締約国が条約の義務を履行する重要性を再確認するとした。NPT非締約国にも同条約の目的を損なう行動を控えるよう求めた。

 また、昨年5月のNPT運用検討会議が決裂したことを念頭に、10年の同検討会議が成果を上げられるよう07年の第1回準備委員会が建設的に開催されるよう締約国に協力を要請した。

 過去最多の169カ国の賛成を得たことについて、美根慶樹・軍縮会議日本政府代表部大使は「169もの国が北朝鮮非難に賛成したことは大きな意味がある」と評価している。

北朝鮮制裁決議、採択へ 国連安保理

2006/10/14 中国新聞ニュース

 【ニューヨーク14日共同】北朝鮮の核実験実施発表をめぐり、国連安全保障理事会は十四日午後(日本時間十五日未明)、非軍事の経済・外交制裁を規定した国連憲章七章四一条に基づき、日米韓など九カ国が共同提案した北朝鮮制裁決議最終案を協議する非公開協議を開く。安保理は十三日午前、同案に合意したが、ロシアが再修正を求めたため、日米などは最後の調整を経て十四日午後(同十五日午前)に採決する方針。決議案は全会一致で採択される見通し。

 北朝鮮が一九九一年に国連に加盟して以来、安保理が北朝鮮制裁決議を採択するのは初めて。

 九日の核実験実施発表から異例のスピードで厳しい圧力強化策を打ち出し「必要ならさらなる決定を要求する」と追加措置を警告した決議を突き付けることで、安保理は強い警告を発することになる。

 安保理は十三日、米国提案の決議最終案に合意。米国は同日、同案を国連の公文書とし、十四日に採決するための事務手続きを終えた。

 最終案は「(強制措置の法的根拠となる)国連憲章七章に基づいて行動し、七章四一条の下で措置を講じる」と明記。

 その上で(1)戦車など指定された大型通常兵器、核・ミサイル・大量破壊兵器関連物資、ぜいたく品の禁輸(2)大量破壊兵器計画への関与が認定された個人や団体の海外の金融資産凍結(3)同計画への関与が認定された個人の海外渡航禁止に向けた必要措置―などを国連加盟国に義務付けた。

 さらに大量破壊兵器の移転を阻止するため、加盟国の国内法や国際法を踏まえながら、必要があれば北朝鮮を出入りする船舶などの「貨物検査(臨検)を含む協調行動」を義務付けた。

 また海外渡航禁止や金融資産凍結などの対象となる北朝鮮の個人や団体を指定したり、実施状況監視のため、安保理理事国で構成する制裁監視委員会の設置を求めた。

 制裁監視委は最低九十日ごとに監視結果を安保理に報告。加盟国は採択から三十日以内に実施状況を安保理に報告する。

 ボルトン米国連大使は十三日、船舶以外に航空や陸上貨物も検査対象になるとした上で「海上でも乗船する機会はあり得る」と述べ、公海上の臨検の可能性を排除しなかった。これに対し、中国の王光亜国連大使は「公海上の戦闘行為」を招きかねないとして反対。ロシアも再修正を求めた。

潘氏を次期事務総長に任命 国連総会、アナン氏の後任

2006/10/14 中国新聞ニュース

 【ニューヨーク13日共同】国連総会本会議は13日、韓国の潘基文外交通商相(62)を満場一致で次期事務総長に任命した。潘氏は今年末で任期を終えるアナン現事務総長の後任として、来年一月一日に第8代事務総長に就任する。アジア出身の事務総長は第3代ウ・タント氏(ビルマ=現ミャンマー、1961−71年)以来2人目で、北東アジアからは初めてとなる。

 後任選出の実質的権限を持つ安全保障理事会が今月九日、潘氏を次期事務総長に推薦する決議案を全会一致で採択していた。任期は5年。

 分断国家出身の潘氏は国連組織・事業の改革と並び、北朝鮮の核・ミサイル問題解決に向けた国連の役割拡大に意欲を表明。アナン氏が1997年の就任以来、果たせていない訪朝を検討する意向も示している。

 事務総長選出には地域持ち回りの慣行があり、今回の選挙戦はアジア出身者を中心に最大7人が乱立する大混戦となった。しかし、鍵を握る米国と中国が潘氏を支持、同氏の35年以上にわたる外交官としての実績や温厚な人柄に好感が持たれ、発展途上国からも支持を集めた。

国連事務総長選、韓国リードの背景に“カネ”と英紙

2006/10/01 The Sankei Shimbun

 アナン国連事務総長の後継レースで、29日付の英紙タイムズは、韓国の潘基文外交通商相がトップを走る背景として、韓国側が安全保障理事会理事国などに巨額の援助キャンペーンを展開していると報じた。それによると、国連事務総長の選出では援助キャンペーンが重要で、特に韓国は「攻撃的」。これまでにアフリカ諸国への援助を2008年までに3倍の1億ドル(約118億円)に増額すると表明したほか、安保理メンバーのタンザニアには大型プロジェクトを約束した。

 後継レースでインド出身のタルール国連広報局長が非公式投票で2位につけており、インド各紙は30日、タイムズ紙の記事を一斉に報道。韓国の“金権キャンペーン”への反発が国際的に強まり「タルール氏に逆転の望みが出てくるかもしれない」と指摘した。

 ロンドンの韓国大使館は「援助は事務総長レースのためではない。(タイムズ紙の記事は)事実が反映されていない」と話している。(共同)

国連で大島大使と北朝鮮代表が論戦

2006/09/27 The Sankei Shimbun

 【ニューヨーク=長戸雅子】日本の大島賢三国連大使は26日夜、政府を代表して国連総会で一般演説を行い、北朝鮮のミサイル発射に対する国連安全保障理事会の非難決議に言及、「すべての加盟国は直ちに具体的措置を取らねばならない」として、北朝鮮のミサイル開発に関連する物資・技術・資金の移転阻止を各国に呼び掛けた。また、北朝鮮に「この決議を完全に、遅れることなく履行するよう強く求めていくことが必要」と強調した。

 大島大使の演説終了後、北朝鮮代表団の1人が答弁を求め、北朝鮮への批判は「朝鮮半島を再び侵略しようという意思を隠すため」と述べ、「北東アジアの脅威は日本から来ている」と主張した。さらに「右翼保守勢力により、社会が右傾化している」「憲法改正を通じた海外侵略の試み」など、安倍晋三新政権を念頭にしたともみられる批判を展開した。

 これに対し、日本側は「日本が平和国家であることはほとんどの国が認識している」と反論。26日午前、崔守憲・北朝鮮外務次官が「戦争犯罪国家の日本が安保理常任理事国になることは許されない」と演説したことに対しても、「常任理事国の資格は国連の業務への貢献によって判断されるべきだ」と強調した。

大島国連大使演説 北への制裁発動求める

2006/09/27 The Sankei Shimbun

 【ニューヨーク=長戸雅子】日本の大島賢三国連大使は26日夜、政府を代表して国連総会で一般演説を行い、北朝鮮のミサイル発射に対する国連安全保障理事会の非難決議に言及、「すべての加盟国は直ちに具体的措置を取らねばならない」と語り、決議に盛り込まれた北朝鮮のミサイル開発に関連する物資・技術・資金の移転阻止を各国に呼び掛けた。

 また北朝鮮に「この決議を完全に、遅れることなく履行するよう強く求めていくことが必要」と強調した。

 このほか、安保理改革の実現に向け、「引き続き率先して活動していく決意」を表明。今後交渉が本格化する国連通常予算の分担率に関しては「地位と責任が考慮された公平かつ公正なものとなることが必要」と主張した。

台湾の国連加盟問題、友好国が草案提出

2006/08/11 The Sankei Shimbun

 台湾外交部(外務省)は11日、来月の国連総会に向けて友好国のブルキナファソなどが10日午後(米東部時間)、台湾の国連加盟を提起する草案をアナン事務総長に提出したと発表した。陳水扁政権が目指す独自申請に関して外交部は、この日の会見で「検討中」とした。草案における国号の扱いは一歩踏み込み、初出のみ「中華民国(台湾)」として他は「台湾」と表記し、独立色をにじませる形をとった。(台北 長谷川周人)

「即時戦闘中止」を要求 仏が安保理決議案提示

2006/07/30 The Sankei Shimbun

 【ニューヨーク30日共同】イスラエル軍とレバノンのイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラの戦闘をめぐり、フランス国連代表部は29日夜、紛争当事者に「即時戦闘中止」を要求、双方の合意に基づく停戦成立後、国連憲章7章に基づく安全保障理事会決議で承認された国際部隊を展開させるよう求める決議案を安保理各国に提示した。複数の安保理筋が明らかにした。

 米英両国首脳が28日、7章に基づく国際部隊の早期派遣を盛り込んだ決議採択を求めたことを受けた措置。安保理は今週、レバノン情勢をめぐる緊急の外相級会合を開く方向で調整しており、開催の場合はフランスの決議案をめぐる突っ込んだ議論が交わされそうだ。

安保理、イラン制裁決議案で大筋合意 31日にも採択

2006/07/28 The Sankei Shimbun

 【ニューヨーク=長戸雅子】イランの核開発問題をめぐり、国連安全保障理事会の常任理事国5カ国とドイツは27日、イランに制裁を警告する決議案について大筋で合意した。7月の安保理議長を務めるフランスのドラサブリエール国連大使が国連本部で一部記者団に明らかにした。各国の首都からの最終回答を得たうえで、早ければ28日の安保理非公開協議で修正案を提示、週明けの31日にも採択される。

 ドラサブリエール大使は「まだいくつか確認を必要とする事項があるが、ほぼ合意に達した」と述べた。

 米国も「合意に近づいており、(最終案を)首都に送った」と交渉が最終段階にきていることを認めた。

イスラエル、国連基地狙って空爆か

2006/07/26 中国新聞ニュース

 【ベイルート26日共同】イスラエルのペレツ国防相は二十五日、国際部隊が展開するまではレバノン南部の国境地帯に「安全保障地帯」を設け、占拠を続けると言明した。米CNNテレビによると、ライス米国務長官は国際部隊について、当初一万人規模とし、最終的には三万人規模に増強する構想をレバノンに提示。イスラエルを訪問した長官は同日、オルメルト首相と会談、両国が連携してレバノンのイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラに武装解除を要求する強硬姿勢を示した。

 一方、レバノン南部ヒアムの国連レバノン暫定軍(UNIFIL)基地が同日、イスラエル軍の空爆を受けた。国連は要員二人の死亡を確認、また不明者二人が死亡した恐れがあると発表した。アナン国連事務総長は同日、基地が意図的に狙われたとして、イスラエル側に調査を要求する声明を発表した。

 AP通信によると、要員四人の国籍はカナダ、中国、オーストリア、フィンランド。

 イスラエル外務省報道官は二十六日、「国連要員を標的にしたものではない」と述べ、遺憾の意を表明した。

 ペレツ国防相は二十五日、安全保障地帯について「多国籍の部隊が展開しないのなら、われわれの部隊の管理下に置く」と語った。イスラエルは当初、国際部隊派遣に反対していたが、首相はヒズボラの武装解除を条件として受け入れを表明している。

 ロイター通信によると、イスラエル政府高官は国際部隊が米欧諸国の承認後二週間以内に派遣される可能性があるとの見通しを示した。

 オルメルト首相は長官との会談で「われわれは最も厳しい手段を取る」と述べ、ヒズボラ掃討作戦継続の方針を言明。長官も、平和で民主的な「新たな中東」を創設すべきだと述べ、ヒズボラに妥協しない姿勢を鮮明にした。

安保理も緊急協議へ イスラエル空爆

2006/07/26 中国新聞ニュース

 【ニューヨーク25日共同】イスラエル軍が国連レバノン暫定軍(UNIFIL)基地を空爆、要員が死亡した問題で、国連安全保障理事会は二十五日、翌二十六日に事件への対応を緊急協議することを決めた。

 アナン事務総長は、基地が意図的に狙われたと非難する声明を発表。協議ではイスラエル非難が相次ぐとみられるが、声明採択などにつながるかどうかはイスラエルの同盟国である米国の出方にかかっている。

 七月の安保理議長国フランスの国連外交筋は「二十五日夜の時点では安保理がどういう対応を取るかについては何とも言えない」と語った。

予備投票で韓国トップ 安保理、次期事務総長

2006/07/25 The Sankei Shimbun

 【ニューヨーク=長戸雅子】国連安全保障理事会の各理事国は24日、今年末に任期が切れるアナン事務総長の後任選出に向けた作業を始めた。この日は各候補者に対する理事各国の支持の強さをはかる「予備投票」が行われた。国連外交筋が産経新聞に明らかにしたところによると、4人の候補者のうち、最も多く支持を集めたのは韓国の潘基文外交通商相で、次いでインドのシャシ・タルール国連事務次長(広報局長)、タイのスラキアット副首相、スリランカのダナパラ元国連事務次長(軍縮局長)の順だったという。

 投票の結果は今月の安保理議長を務めるドラサブリエール仏国連大使が各候補者に電話で直接報告。「予備投票」は安保理内の非公式な世論調査のようなもので、各理事国は4人の候補者を「推薦する」「推薦しない」「どちらでもない」の3段階で評価を下した。

レバノン、PKOを要請 国連総長、安保理で

2006/07/21 The Sankei Shimbun

 レバノンのイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラとイスラエルの戦闘をめぐる国連安全保障理事会の緊急会合が20日開かれ、情勢報告したアナン事務総長は戦闘の「即時停止」を要求、平和維持活動(PKO)部隊のレバノン南部への派遣を検討するよう安保理に求めた。

 南部には1978年から国連レバノン暫定軍(UNIFIL、約2000人)が展開しているが、戦闘を阻止し平和を回復するという任務を達成できていない。事務総長は今月末で活動期限の切れるUNIFILの強化を含む「PKO部隊の拡大・増強」を要請した。(共同)

レバノン情勢で国連安保理が非公開緊急会合へ

2006/07/20 The Sankei Shimbun

 【ニューヨーク=長戸雅子】国連安全保障理事会は20日午前(日本時間同夜)、ヒズボラとイスラエルの戦闘をめぐり、非公開の緊急会合を開く。アナン事務総長は国連主導の重装備の国際部隊派遣を検討するよう安保理に要請、これを受けて安保理の対応が本格化する。7月の議長国を務めるフランスは国際部隊派遣の可能性を検討する決議案のたたき台を18日に提示している。

 ドラサブリエール仏国連大使は19日、「安保理がこの危機にどんな貢献ができるかについて協議を始めるときが来た」と安保理が積極的な役割を果たすことに前向きな姿勢を示したが、ボルトン米大使は、ヒズボラが拉致したイスラエル兵を解放すれば、「停戦は即時に実現する」との立場で安保理の介入には消極的だ。

安保理、20日にレバノンで緊急会合 国際部隊派遣要請も

2006/07/20 The Sankei Shimbun

 【ニューヨーク=長戸雅子】国連安全保障理事会の7月の議長国を務めるフランスは18日、イスラエル軍とイスラム教シーア派組織ヒズボラとの軍事衝突が拡大しているレバノン情勢を安定させるため、「国際部隊派遣の可能性を検討する用意がある」との文言を盛り込んだ決議案の素案を各理事国に提示した。

 安保理は20日に緊急会合を開き、アナン事務総長が情勢報告を行ったあと、国際部隊派遣を要請する見通し。

 素案は「安保理は(レバノンへの)国際治安維持・監視部隊の可能性を検討する用意がある」としており、安保理が国際部隊派遣の要否について協議を始める方針を明確にしているのが特徴だ。

 欧州連合(EU)・ロシアは部隊の派遣に前向きな姿勢を示しているが、米国は「国際部隊はヒズボラ武装解除の権限を持つのか」(ボルトン米国連大使)と懐疑的な見方を示している。安保理の承認を得て部隊派遣が実現するかどうかの見通しは立っていない。

 素案は、すでに多くの犠牲者が出ている現状に深い懸念を表明したうえで、地域を不安定にしようとする過激組織を非難し、支援する勢力に警告を発している。ヒズボラを念頭に置いているとみられる。

中露が独自の非難決議案提出 北ミサイル問題

2006/07/13 The Sankei Shimbun

 【ニューヨーク=長戸雅子】北朝鮮のミサイル発射問題で、中国とロシアは12日、国連安全保障理事会の各理事国に独自の非難決議案を提示した。日米などが提出した制裁決議案から制裁条項などを削除し、ミサイル発射に対し「強い遺憾の意を表明する」として非難色を弱めている。また、中ロ両国はこれまで法的拘束力のない議長声明の採択を主張してきたが、非難決議案であれば合意できるとして立場を修正した。

 中ロ両国が示した決議案はミサイル発射に強い遺憾の意を表明し、北朝鮮のミサイル開発に利用され得る物資・技術の移転阻止に向け、警戒するよう加盟各国に要請している。

 日米が取りまとめた制裁決議案は、ミサイル発射を「国際の平和と安全への脅威」と認定し、経済制裁などを可能にする国連憲章第7章に基づき行動すると明記した。

 日本は「ミサイル発射を『脅威』と認定することが出発点」としているが、中国は「脅威」の文言があることが将来の武力行使の根拠になりかねない、と警戒。大島賢三国連大使は「重要な要素が欠けており、このままでは受けいれがたい」としており、対案が出たことで交渉が長期化する可能性も出ている。

中国「怒り」と「憂慮」 懐柔策も重大な岐路に

2006/07/13 The Sankei Shimbun

 【北京=伊藤正】北朝鮮のミサイル発射に対する国連安全保障理事会の制裁決議案の先行きが怪しい。安保理が採決を延期してまで期待した中国の北朝鮮説得工作は難航、延期を要請した中国はまたもメンツをつぶされたが、制裁決議阻止の方針は変えていない。

 ミサイル発射に対する中国の怒りと憂慮は、国際社会以上のものがあった。社会主義の同盟国として経済的にも政治的にも支えてきた北朝鮮が、中国の再三の警告を無視、事前通告もなく発射を強行し、中国を国際的窮地に陥れたためだ。ある当局者は「裏切られた気分」と話し、指導者も憤りを隠していない。

 しかし、中国は制裁決議には「北朝鮮の反発を招き逆効果」(唐家●国務委員)と最初から反対した。北朝鮮は「国際社会から叩かれ続け、孤立も恐れない」(中国外務省高官)し、さらに暴走する危険性が大きいというわけだ。

 中国が制裁というレッドカードではなく、議長声明や非難決議というイエローカードを主張するのは、中国を含む国際社会共通の懸念である北朝鮮の核問題の解決こそ重要とし、それには6カ国協議の場で、北朝鮮と取引するほかないと考えているためだ。

 制裁決議か議長声明かで各国の駆け引きが続き、中国は、「盟友」のロシアと手を組み、拒否権発動をちらつかせながら制裁案の採決を食い止めつつ、議長声明案をアピールすることに力を注いできた。キーワードは、国際社会の一致した懸念を表明し、北朝鮮を6カ国協議に復帰させることだ。

 中国の議長声明案はこれまで3度提示され、その都度、北朝鮮非難が強まり、制裁決議案と表現上の違いはほとんどなくなった。「安保理の一致」が望ましいとの声が広がり、11日には声明案を先に採決、北朝鮮の出方によって制裁案を採決する「2段階方式」も浮上した。

 しかし、もう一方の北朝鮮にミサイル発射凍結と6カ国協議復帰を応諾させる武大偉外務次官の説得工作は、全く進展していない。北朝鮮は、国際協調に軸足を置いた、中国の対応や胡錦濤国家主席ら指導者の発言に反発したに違いない。

 中国の李肇星外相らと協議したヒル米国務次官補によれば、中朝協議で米国の金融制裁問題は論議されなかったという。北朝鮮側が中国の議長声明案非難に終始した可能性を示唆するもので、中国の北朝鮮懐柔策自体、重大な試練を迎えたようだ。 ●=王へんに旋

豪大使、北制裁決議支持を表明 与党幹事長に

2006/07/12 The Sankei Shimbun

 自民党の武部勤、公明党の冬柴鉄三両幹事長は12日、国会内でオーストラリアのマクレーン駐日大使と会談した。大使は、北朝鮮のミサイル発射をめぐり日本などが国連安全保障理事会に提案した制裁決議案に関し「われわれの考えは日本と同じだ。日本の立場を支持している」と表明した。

 武部氏らは、陸上自衛隊駐留先のイラク南部サマワで治安維持を担当するオーストラリア軍の活動に謝意を伝達。大使は陸自撤収に触れ「自衛隊員の最後の一人が退くまでオーストラリアは治安面で責任を持つ」と述べた。

北制裁決議案 露、日本の立場受け入れられず

2006/07/12 The Sankei Shimbun

 インタファクス通信などによると、ロシアのラブロフ外相は12日、北朝鮮のミサイル発射問題で、国連安全保障理事会に北朝鮮制裁決議案を提出した日本の立場は受け入れられないと表明した。

 外相は、日本について「(制裁決議案の採決で)すべての国が日本の望むような投票をするべきだと呼び掛け、これに反すれば否定的な結果を招くと警告しているが、こうした表明は絶対に受け入れられない」と語った。(共同)

韓国外交通商相、北制裁決議案への反対を表明

2006/07/12 The Sankei Shimbun

 韓国の潘基文外交通商相は12日の定例会見で、北朝鮮のミサイル発射問題をめぐり日本が国連安全保障理事会に提出した北朝鮮制裁決議案について、制裁の根拠となる国連憲章7章に言及していることを理由に反対する考えを表明した。

 さらに日本の閣僚から「敵基地攻撃能力保有を検討すべきだ」との発言が出ていることについて「韓半島(朝鮮半島)と北東アジアの平和と安全の障害となり、緊張を高める」と指摘、関係国が目指す6カ国協議再開の「助けにならない」と批判した。

 韓国は安保理メンバーではなく採決には参加できないが、潘外交通商相はミサイル発射をめぐる安保理での協議について「厳重な立場を伝えようという努力を支持する」と強調。一方で、日本が提出した決議案については北東アジア地域の情勢に「悪影響を与える可能性があり、事態を悪化させる」などと反対の理由を説明した。(共同)

仏国連大使、「2段階の方法」示唆 北ミサイル

2006/07/12 The Sankei Shimbun

 【ニューヨーク=長戸雅子】フランスのドラサブリエール国連大使は11日、北朝鮮のミサイル発射に対し国連安全保障理事会が取る措置として議長声明を最初に採択し、その後に決議案を採択する「2段階の方法」を検討していると述べた。英国も議長声明採択を視野に入れていることを明かした。日本はあくまで北朝鮮制裁決議案の採択を目指す方針だが、議長声明採択を軸に安保理内で交渉が進む動きが出てきた。

 安保理の7月の議長を務めるドラサブリエール大使は記者団に「最初のステップとして非常に強い内容の議長声明を得ることを検討している」と述べ、次に決議案採決を行うとの考えを明らかにした。

 英国のジョーンズパリー国連大使も「議長声明の可能性を検討するのは妥当なことと考えている」と述べ、フランスに同調する考えを示した。

 英仏両国とも日本が中心になってまとめた北朝鮮制裁決議案の共同提案国だが、ジョーンズパリー大使は「採決が行われていたら、結果が得られなかったことは明らか」と述べ、中国の拒否権行使で安保理が何のメッセージも打ち出せなかった恐れがあったとの見方を示した。

 同大使によると、中国は3度にわたって議長声明案を提示。最初の声明案は「外交プロセスの継続」を求める「弱い」ものだったが、10日に安保理に提出された最終声明案には、北朝鮮のミサイル開発に関連する物資・技術の移転阻止を加盟国に求めるなど、制裁決議案の要素が盛り込まれている。

 声明案は、制裁決議案から経済制裁を可能にする国連憲章7章や「ミサイル発射は国際の平和と安全への脅威と判断する」とした部分が削除されている。これは「脅威」の文言があることで将来の武力行使の根拠となることを中国が恐れているためだ。

 日本外交筋は「ミサイル発射は明らかな『脅威』でそれへの言及がないことは根幹にかかわる問題」として交渉の材料にはならない、との反応を示している。

説得失敗なら制裁決議採決 安倍官房長官

2006/07/11 The Sankei Shimbun

 安倍晋三官房長官は11日午後の記者会見で、中国が北朝鮮との協議でミサイル発射凍結を確約させるなどの説得に失敗した場合について「(国連安全保障理事会での)制裁決議案採決に戻るという方針に変わりはない」と強調した。

 また「中国が賛成国の切り崩しを図る懸念はないか」との質問に、安倍氏は「われわれも外交努力をしていかなければいけない」と指摘した。

中国、「制裁」でなく「非難」決議案なら支持 安保理

2006/07/11 The Sankei Shimbun

 【ニューヨーク=長戸雅子】中国の王光亜国連大使は10日、北朝鮮のミサイル発射を受け、日米英仏などが共同提出した北朝鮮制裁決議案について、制裁条項や経済制裁などを可能にする国連憲章7章に言及した部分などが削除されたものなら「(採択の)阻止はしない」と述べた。中国はこれまで、決議と違って拘束力のない議長声明の採択を主張してきたが、制裁決議案を格下げした形の「非難決議案」であれば反対しないとの姿勢を初めてほのめかした格好だ。

 日本はこの日午後に制裁決議案の採決を求める方針だったが、中国が北朝鮮説得に向けて武大偉外務次官を平壌に派遣、採決延期を求めてきたため日本もこれを受け入れ、安保理は採決延期を決めた。

 王大使はこの日午前に開かれた常任理事国と日本を含めた6カ国による大使級会合で「もし決議を望むのであれば、現在のものでなく、修正されたものでなければならない」と述べ、決議案修正の交渉に応じる姿勢があることを示唆していた。

 王大使は午後の安保理非公式協議の後、「議長声明が最善の形」であり、「決議採択は状況を悪化させる可能性がある」とする一方、制裁条項などのほか、ミサイル発射が「国際の平和と安全への脅威になると判断する」という部分が削除されれば、採択は妨げないとの認識を明らかにした。

 日本などが提出した決議案は、経済制裁などを可能にする国連憲章7章に基づき、北朝鮮のミサイル発射を非難したうえで、北朝鮮のミサイルや大量破壊兵器開発に転用されるおそれのある物資、技術の移転と北朝鮮からのミサイル開発関連物資・技術の調達を阻止するよう加盟国に義務付けている。

 【ニューヨーク=長戸雅子】中国は10日午後に開かれた国連安全保障理事会非公式協議で、北朝鮮のミサイル発射に「遺憾」の意を表明する議長声明案を安保理各理事国に提示した。

 声明案は北朝鮮のミサイル、大量破壊兵器開発計画に関連する物資、技術の移転阻止を加盟国に呼びかけ、北朝鮮に6カ国協議への即時復帰を求めているが、決議案にある経済制裁などを可能にする国連憲章7章に触れたくだりや、ミサイル発射を「国際の平和と安全への脅威と判断する」との部分が削除されている。決議案のミサイル発射への「非難」も声明案では「遺憾」に弱められた。

 声明案についてボルトン米国連大使は「現在の状況が国連憲章7章を必要としているのは明らかで、声明案の内容は明らかに不十分だ」と述べている。

小泉首相、「決議採決はサミット前が望ましい」

2006/07/11 The Sankei Shimbun

 小泉純一郎首相は11日昼、中東訪問と15日からの主要国首脳会議(サンクトペテルブルク・サミット)出席に先立ち記者団の質問に答え、国連安全保障理事会での対北朝鮮制裁決議の採択のタイミングについて「できるだけ早いほうがいい」と述べ、サミット開催前が望ましいとの考えを示した。また、中国が主張している議長声明ではなく、制裁決議の採択を目指すことを前提にしながらも、内容については「基本方針は変わらないが、若干、字句の問題については話し合いがあるだろう」と述べた。

 麻生太郎外相も閣議後の記者会見で、「採択は急いだ方がいい。1日延ばすだけで緊張感が揺らぐし、決議案ではないようにしようとする根回しや交渉が進む」と述べ、サミット開催までに採決すべきだとの認識を表明した。

 また、安倍晋三官房長官も記者会見で「決議については制裁を視野に入れるという姿勢に変わりはない」と強調した。

 安倍長官はさらに、中国が北朝鮮に対する6カ国協議への復帰などの説得に失敗した場合に、国連安保理で拒否権を発動して制裁決議を廃案にする可能性については「それはわからないが、日米をはじめ共同提案国である8カ国が中国の(採決延期の)要請に応じたわけだ。このことを中国にもよく理解してもらいたい」と指摘し、中国を牽制(けんせい)した。

対北制裁決議案、安保理での採決延期の可能性

2006年07月10日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ニューヨーク=白川義和】国連安全保障理事会は10日午後(日本時間11日午前)、北朝鮮のミサイル発射を巡り日米など8か国が共同提案している制裁決議案を巡って協議を行う。

 日米などは当初、10日にも採決を行いたい意向だったが、中国による北朝鮮の説得の行方を見守るため、採決は11日以降にずれ込む可能性も出てきた。

 議長国フランスは10日朝、「各国代表団による折衝が続いているため、安保理の協議開始は予定していた午前ではなく、午後に延期する」と各理事国に通知した。これは、中国が北朝鮮核問題を巡る6か国協議議長役の武大偉・外務次官を10日から北朝鮮に派遣し、ミサイル発射凍結や同協議への早期復帰を説得にあたらせているため。安保理としても中朝協議の行方を注視している。

 対北制裁案の採決については中露が拒否権を行使するかどうかが最大の焦点だ。日米などは中露に対し、採決に棄権または欠席することで、決議案採択を阻まないよう、最後の説得を行っている。

 採択の条件は、安保理15か国のうち9か国以上が賛成し、かつ5常任理事国の中で拒否権を行使する国がでないこと。現時点で9か国以上の賛成は確実の情勢であり、中露の投票行動が採択のカギを握る。

 中国は、北朝鮮に過度に圧力が加われば逆効果になるとして、法的拘束力のない議長声明で対応すべきだとの立場を崩していない。

 ロシアは7日の安保理非公式協議では全く発言せず、棄権または欠席への含みを持たせている。

韓国高官、制裁決議案の実効性に疑問

2006/07/09 The Sankei Shimbun

 【ソウル9日共同】韓国の宋旻淳(ソン・ミンスン)青瓦台(大統領官邸)統一外交安保政策室長は9日、北朝鮮のミサイル発射問題をめぐり、日本などが国連安全保障理事会に提出した制裁決議案について「北(北朝鮮)のミサイル計画を食い止める効果があるのか、判断が難しい」と話し、決議案の実効性に疑問を呈した。韓国の聯合ニュースの電話取材に答えた。

 宋室長は「効果があると判断すれば(対応を)検討する」としながら「現在は問題解決のために外交努力を強める時だ」と述べ、制裁よりも交渉を優先させるべきだとの姿勢を示した。

唐氏「北制裁は逆効果」 ミサイル発射問題

2006/07/09 The Sankei Shimbun

≪事前通報なしには不満≫

 【北京=福島香織】中国の唐家セン国務委員は8日、北京を訪問中の自民党の逢沢一郎幹事長代理と会談、北朝鮮のミサイル発射問題について「制裁による紛争解決を支持しない。制裁は北朝鮮のような国にとっては逆効果」として、日本が国連安全保障理事会に提出した制裁決議案に反対する姿勢を示した。

 中国が制裁決議案に拒否権を行使するかどうかについては、「中国は責任ある大国として適切な判断を行う」と述べるにとどめた。

 唐国務委員はさらに「北朝鮮から事前通報はなかった」と不満を漏らし、「中国の立場としては北朝鮮のミサイル発射を支持しない。東アジアの平和に役立つものではない。どのようなマイナスの影響があるか注視している」と懸念を示した。

 唐国務委員は10日からの武大偉外務次官の訪朝にも言及、「中国の厳しい見方を改めて伝える」と語った。しかし「中国は北朝鮮に対してコントロールしようとか君臨しようとかいう立場に立とうというのではない」とも述べた。

国連予算、半年の支出制限解除へ

2006/06/29 The Sankei Shimbun

 【ニューヨーク=長戸雅子】国連総会第5委員会(行政・予算)は28日開いた会合で、6月末までの半年間と限定されていた国連通常予算の支出制限を解除、7月以降の支出を認める決議案を採択した。

 採択は事実上、全会一致だが国連改革の進展を7月以降の支出承認の前提とする日米豪は「改革は評価できるところまで進んでいない」ことを理由に「全会一致の決定に距離を置く」と述べ、決定に参加しなかった。これにより国連の財政危機は回避された格好。

 国連の2006−07年の通常予算をめぐっては昨年末の総会で、半年分に相当する9億5000万ドル(約1100億円)の支出のみを国連事務局に認めるとする決議案が採択された。半年に制限することで「緊張状態」を作り出し、改革を進展させる狙いがあった。

 しかし4月には国連改革に消極的な途上国グループが、事務局改革の主要項目を拒否する決議案を提出。「予算に関する事項は投票でなく全会一致で決定する」という20年来の慣例を破って採決に持ち込み、130カ国以上という「数の力」を背景に採択された。

モンテネグロが国連加盟…加盟国は192か国に

2006年06月29日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ニューヨーク=白川義和】国連総会は28日、セルビア・モンテネグロからの独立を決めたモンテネグロ共和国の国連加盟を承認する決議案を全会一致で採択した。

 国連加盟国はこれで全192か国になった。

次期国連事務総長、インド人高官も出馬

2006/06/16 The Sankei Shimbun

 【シンガポール=藤本欣也】インド政府は15日、次期国連事務総長の候補者として、国連事務次長(広報局長)でインド人のシャシ・タルール氏(50)を擁立すると発表した。同氏はロンドン生まれで、インドと米国で教育を受けた。1978年から国連で勤務している。

 今年末で任期が切れるアナン事務総長の後任をめぐっては、韓国の潘基文外交通商相、タイのスラキアット副首相らが出馬を表明している。

ダルフール紛争で決議案採択

2006/05/17 The Sankei Shimbun

 【ニューヨーク=長戸雅子】国連安全保障理事会は16日、紛争が続くスーダン西部ダルフール地方での平和維持活動(PKO)展開に向け、1週間以内の評価チーム派遣を盛り込んだ決議案を全会一致で採択した。

 決議は紛争当事者に和平合意調印と合意の履行を要求、現在、ダルフールに部隊を展開しているアフリカ連合(AU)や国連などと協力するよう促している。評価チームが戻ってきてから1週間以内に必要な兵力やコストなどについて安保理に勧告するようアナン事務総長に要請した。

 また、制裁について定めた国連憲章7章に基づき、和平合意の妨害を企てた個人や集団に資産凍結や渡航禁止を検討するとしている。

 スーダン政府はこれまで国連の評価チームの現地入りを拒否しているが、15日にエチオピアで会合を開いたAUも国連部隊への移行支持を強く表明しており、決断を迫られている。

人権理事会初選挙 日本、中国など当選 イラン落選

2006/05/10 The Sankei Shimbun

 【ニューヨーク=長戸雅子】国連総会は9日、新たに創設する人権理事会(47カ国、6月発足)の理事国選挙を行い、63カ国の立候補国のうち、日本、中国、英、独、仏などが当選した。核問題を抱えるイランは落選したが、国際人権団体が人権面で問題があるとして、反対投票を呼びかけた7カ国中、イランを除いたロシアやキューバ、中国など6カ国が当選するなど、「新生・人権理」の今後の運営に疑問を抱かせるような結果となった。

 人権理設立後初めてとなる今回の選挙には、日本など計63カ国が立候補。国際人権団体「ヒューマンライツ・ウオッチ」は、このうち「人権問題を抱える国」として7カ国を名指しして反対票を投じるよう呼びかけていた。

 しかし、投票の結果、イランを除いて、中国、キューバ、ロシア、サウジアラビアなど6カ国が当選。中国、キューバなどが理事国入りしたのは、130カ国以上で構成する開発途上国グループによる相互支援があったためとみられる。

 一方、欧州・その他グループでは7つの議席に9カ国が立候補、ポルトガル、ギリシャと国際的な人権基準を満たしている国が落選した。

 前身の人権委員会は地域グループごとに事前に候補が調整されたため、人権問題で国際的に批判されるジンバブエなどが無投票でメンバー入りするなど、「人権侵害国家の聖域」(米国)と指摘されてきた。理事会への改組はこうした問題国家のメンバー入りを阻止するのが目的だったが、完全には排除できず課題を残すことになった。

 人権理事会への改組を推進しながら選出条件をめぐる対立から出馬を見送った米国のシルバーバーグ国務次官補(国際機関担当)は「改善されたとは思うが、いくつかのメンバー国はわれわれが決めた高い基準を満たしていない」と指摘した。

対イラン決議、中露が難色示し合意できず

2006/05/03 The Sankei Shimbun

 国連安全保障理事会の5常任理事国とドイツの計6カ国は2日、イラン核問題を協議する高官会合をパリで開催した。バーンズ米国務次官は会合終了後、経済制裁などを可能にする国連憲章七章に基づく安保理決議案について中国、ロシアが難色を示し、合意できなかったことを明らかにした。

 バーンズ国務次官は中ロが今後「7章決議案」に同意する見通しについて「不透明」と指摘。「国連でさらに時間をかけて協議する必要がある」と強調した。参加国代表らによると2日は、イランがウラン濃縮を拡大していると指摘した国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長の報告書などを基に協議した。中国の崔天凱外務次官補は「多くのことを協議した」と述べたが「7章決議案」については明言を避けた。(共同)

常任理事国入り支持 首脳会談でエチオピア首相

2006/05/01 中国新聞ニュース

 【アディスアベバ30日共同】小泉純一郎首相は三十日午前(日本時間同日午後)、エチオピアのメレス首相とアディスアベバの大統領府で会談した。

 両首脳は国連改革が必要との認識で一致。メレス首相は、日本が目指している国連安全保障理事会の常任理事国入りについて「世界第二の経済大国が常任理事国にならないことは妥当ではない。日本の努力を支持する」と賛成する考えをあらためて表明した。

 小泉首相はエチオピアが国連改革に関しアフリカ連合(AU)内で指導力を発揮することに期待感を表明。アフリカ支援について「自立のための支援を重点的に行っていきたい」と伝えた。

 また小泉首相は会談後の記者会見で、常任理事国入りについて「日本は核兵器を持たないし、国際社会で武力行使もしない。今までの常任理事国とは違った立場だ」と憲法などの制限を受ける日本の事情を強調。AUがアフリカに常任理事国二カ国を新たに割り当てるよう求めていることを基本的に支持する考えを示した。

 小泉首相は二十九日深夜、三カ国歴訪の最初の訪問国であるエチオピアに政府専用機で到着した。

イラン核 安保理決議の採択目指す 米欧、濃縮停止へ法的拘束

平成18(2006)年04月30日 The Sankei Shimbun 東京版朝刊

 【ベルリン=黒沢潤】国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長が二十八日、ウラン濃縮活動を継続するイランを批判する報告書を国連安全保障理事会に提出したことを受け、欧米諸国は今後、イランの濃縮活動を停止させるため、法的拘束力のある安保理決議の採択を目指す動きを本格化させることになりそうだ。一方、イランは二十九日、IAEAへの協力姿勢を示唆するなど、国際社会に揺さぶりをかけている。

 安保理常任理事国とドイツの計六カ国は五月二日、パリで高官級協議を開き、イランの核問題を協議する。英国とフランスは同日にも、イランに対し、濃縮活動停止を求める法的拘束力のある決議案を提示する構えだ。

 濃縮活動の停止を要求した三月末の安保理議長声明は順守期限を「三十日以内」としたが、新決議案の期限は「短期間となる」(米外交筋)可能性が高い。

 米欧は最終的に、経済制裁や軍事行動を可能にする国連憲章第七章に基づく決議案の作成を目指している。ただ、中国の王光亜国連大使は二十八日、「七章決議」への反対姿勢を改めて強調。ロシアも同様の立場を示しており、制裁言及までには至らないとみられる。

 安保理は五月三日の会合で決議案について具体的協議を開始し、ドイツを加えた六カ国は九日の外相会合で決議案の詳細を詰める方針だ。

 一方、イランのサイディ原子力庁次官は二十九日、「エルバラダイ事務局長の報告書は(イランにとって)否定的な内容を含んでいない」と語り、ウラン濃縮活動を継続する姿勢を示した。

 次官は一方で、「核問題の議論が(安保理ではなく)IAEAに差し戻されれば、核施設への抜き打ち査察を認める」とも語り、対イラン制裁発動をもくろむ欧米を牽制(けんせい)した。

 イランの最高指導者ハメネイ師はすでに、イランが開発した核技術を「他国に移転する用意がある」と明言しており、欧米の核政策に不満を持つ国々の切り崩し工作も開始している。

 エルバラダイ事務局長の報告書は今回、イランのアフマディネジャド大統領が表明した高性能のP2型遠心分離機の実験開始を明らかにできなかった。ウラン濃縮を行う従来のP1型機が毎秒三百五十回転の性能を持つのに対し、P2型機は毎秒五百回転する。

 サイディ次官は同日、P2型機の実験問題に関し「われわれは今、(P2型よりも)さらに高性能の分離機の実験を行っている」と言明。これが事実とすれば、欧米が懸念する核兵器開発に至る時間が一気に短縮されることになり、国際社会にとって大きな脅威となる。

イラン核問題 ウラン濃縮批判 IAEA事務局長、安保理に報告書提出

平成18(2006)年04月29日 The Sankei Shimbun 東京版朝刊

 【ベルリン=黒沢潤】国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長は二十八日、イランの核問題に関する報告書を国連安全保障理事会とIAEA理事会に提出した。国連安保理は三月末の議長声明でイランに対し、同日までにウラン濃縮活動を全面停止するよう求めたが、イランが停止期限を無視して活動を継続していることを批判した。報告書の提出を受け、欧米など国際社会は対イラン制裁の発動も視野に入れた動きを今後、本格化させることになりそうだ。

 ロイター通信などによれば、計八ページからなる報告書はイランが中部ナタンツのウラン濃縮施設で、百六十四基の遠心分離機からなる「カスケード」を稼働させ、約3・5%の低濃縮ウランを製造したことを正式に確認。また、イランが新たなカスケード二つ(遠心分離機計三百二十八基)の設置を開始したことに加え、濃縮ウランの原料となる六フッ化ウランを百十トン保有していると指摘し、イランは濃縮活動を拡大させていると警告した。

 報告書は、イランのこうした濃縮関連活動の目的について、IAEAに民生用のものだと十分に説明していないと批判、国際社会が指摘するイランの核兵器開発疑惑に懸念を表明した。

 一方、イランが従来の四倍の性能を持つとされるP2型遠心分離機の実験を実際に行っているかどうかについては、報告書で明らかにできなかった。

 イランの核問題をめぐっては、二月のIAEA緊急理事会で安保理への付託が採択され、安保理は三月二十九日に濃縮活動の即時停止を求める議長声明を出した。

 しかし、イランは今月中旬、低濃縮ウラン製造に成功したと発表。エルバラダイ事務局長がイラン入りして活動停止を求めたものの、イランは要求を無視し、IAEAとの関係停止や核拡散防止条約(NPT)からの脱退も示唆した。

 ブッシュ米大統領は二十八日、イラン核問題に関する今回の報告書を「重要な報告だ」としたうえで、「イランに核を断念させるために世界は団結している」と語った。ストロー英外相も同日、「国連安保理にイランへの圧力強化を要請する」との声明を発表した。

                ◇

【報告書骨子】

 一、イランはウラン濃縮活動の停止を求めた国連安保理議長声明の要求を無視した。

 一、イランは濃縮活動を拡大させている。

 一、イランは、濃縮活動の目的が民生用だと十分に説明していない。

 一、IAEAは、イランが中部ナタンツで百六十四基の遠心分離機を使って低濃縮ウランを製造したことを(環境サンプリングなどの)査察により確認した。(ベルリン 黒沢潤)

日本との決別条件 インドの常任理入り支持も 中国

2006/04/15 The Sankei Shimbun

 中国の孫玉璽駐インド大使は14日の講演で、あらためて日本の国連安全保障理事会常任理事国入りに反対する一方、インドが日本とたもとを分かつなら、インドの常任理事国入り支持を検討し得ると述べた。15日のインド紙タイムズ・オブ・インディア(電子版)が伝えた。

 孫大使は、日本の常任理事国入りに反対する理由として「歴史問題に正しい態度で向き合っていない」ことを挙げた上で「拡大安保理には発展途上国が必要。中国はインドが国際問題における役割を拡大することを望んでいる」と述べた。

 常任理事国入りを目指す4カ国(G4)のうち、日本以外のドイツ、インド、ブラジルは1月、安保理を25カ国に拡大する決議案を国連総会に再提出。日本は安保理を21カ国に増やす独自決議案の今春の提出を見送っており、孫大使の発言は、G4の再結束を阻む狙いがあるとみられる。(共同)

日本が国連人権理に立候補…定数47に46番目名乗り

2006年04月12日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ニューヨーク=白川義和】5月9日に行われる新設の国連人権理事会のメンバー国選挙に、日本が立候補した。

 国連のホームページにある立候補受け付けリストに11日、日本の名前が加わった。

 人権理事会は定数47か国。同日現在で英、仏、独、中国、キューバ、イランなど計46か国が立候補を表明。米国は先に、不出馬を表明している。

 人権理は、信頼性の欠如が指摘されていたジュネーブの国連人権委員会に代わるもので、6月に初会合を行う。選出には国連加盟国の過半数にあたる96か国以上の賛成が必要となる。

日本案反対の中露が修正要求 国連分担金問題

2006/04/04 The Sankei Shimbun

 【ニューヨーク=長戸雅子】2007−09年の国連通常予算の分担率交渉をめぐり、中露両国は3日までに各加盟国の提案を網羅した決議草案から日本案などの「削除」を要求する修正案を、総会第5委員会(行政・予算)に提出した。

 修正案は、両国の負担増につながる日本案などが、分担金委員会へ公式に送付されることを阻止する狙いがある。中露の要求が認められ、日本案が廃案になる可能性は低いが、中露両国の強い抵抗姿勢が浮き彫りとなった。

 複数の国連外交筋によると、中露両国は2日、「実現可能で加盟国の支払い能力の原則と一致した」分担率作成に必要な試算結果を提供するよう分担金委に要請する文書を提出した。

 分担率算定ではまず、第5委員会が、各加盟国提案に基づいた試算を行うよう分担金委に指示することを決議する。これを受けて分担金委が論議し、結果を第5委に報告。そのうえで、算定方式の論議に入るという段取り。

 これまで各国から出された提案は、日本や米国など8案あり、中露の修正案には特定の提案に対する記述はないが、「安全保障理事会の常任理事国の分担率に3%か5%の下限を設ける」という日本案の排除を意図しているのは明らかだ。

イラン、遠心分離機を新たに164基設置

2006/03/27 The Sankei Shimbun

 【ベルリン=黒沢潤】ロイター通信は24日、外交筋の話として、イランが中部ナタンツにウラン濃縮用の遠心分離機を新たに164基設置したと伝えた。 核兵器に使用可能な高濃縮ウランの原料となる6フッ化ウランはまだ注入されていないという。イランは先月15日、遠心分離機10基を連結した「カスケード」に6フッ化ウランを注入しており、国際社会が懸念を強めていた。 国際原子力機関(IAEA)は先月、イランの核問題を国連安全保障理事会に付託した。5常任理事国とドイツが現在、イランへの対応を協議している。

2週間以内の濃縮停止要求 イラン核問題で議長声明原案

2006/03/15 The Sankei Shimbun

 イラン核問題をめぐる国連安全保障理事会の初の非公式全体会合が14日、ニューヨークのフランス国連代表部で開かれ、常任理事国のフランスと英国はウラン濃縮などの核関連活動の2週間以内の全面停止をイランに求める議長声明原案を提示した。2月の核問題付託以来、15カ国の理事国がイラン核問題で一堂に会し実質協議を行ったのは初めて。

 常任理事国のうち、米英両国とフランスは今週中の議長声明採択を目指しているが、ロシアと中国は停止期限設定に難色を示し、大詰めの調整が続いている。安保理筋によると、15理事国は16日に再協議、合意が成立すれば17日にも初の公式協議を国連本部で開き、声明を採択する見通し。

 議長声明の原案はイランに対し「すべての濃縮関連・再処理活動の全面的かつ継続的な停止」を要求。国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長に対し、履行状況を声明採択から「14日後」に安保理に報告するよう求め、イランに2週間の猶予を与えた。

 しかし、報告期限については変更の余地があるとしており、より長い期間に修正される可能性もある。中国の王光亜国連大使は「外交努力を尽くすための十分な時間が必要。原案の一部は受け入れ困難だ」と記者団に語った。

 原案は、イランの核開発への疑念を指摘したIAEAの諸決議に対し「深刻な懸念」を持って受け止めると表明。実験用重水炉の建設決定の見直しや、IAEAに事実上の抜き打ち査察を認める追加議定書の即時批准をイランに要求した。(共同)

日本、国連分担金の下限設定「3%か5%」を提案

2006/03/10 The Sankei Shimbun

 外務省は10日、国連分担金について安全保障理事会常任理事国には分担率で最低3%または5%の下限設定を求める改革案を国連総会第5委員会(行政・予算)に提案したと発表した。

 常任理事国5カ国のうち分担率が現在2.1%の中国、1.1%のロシアに増額を迫った形。同時に、米国に次いで2番目に多い負担をしている日本として「地位と責任に応じた分担率」を求めることで、悲願の安保理常任理事国入りへ向けて事態打開を図る狙いだ。

 ただ中露両国の反発は必至で、日本が後押しを期待する米国も国連事務局改革を優先する立場から、安保理拡大には「米政府が支持した案は1つもない」(ボルトン国連大使)と消極的で、日本の思惑通り進むかは見通せないのが現状だ。

 現行方式では全加盟国に一律0.001%の下限を設けている。これに対し日本提案は、常任理事国への新たな下限設定により中ロ両国などの負担が増加する分、劣悪な財政事情の発展途上国に対する分担金が割引される効果もある。

 今回の分担金交渉は2007―09年の国連通常予算が対象で年末の国連総会で決定する。

 現在分担率19.5%の日本は、下限設定により中国、ロシアの分担率が3%となった場合、15.7%に低減。両国が5%になった場合には14.8%に引き下げになる。

 このほか日本提案は、分担率について3年間固定の現行方式から、1年ごとに変動する年次再計算方式への転換も求めている。

 政府が、国連安全保障理事会常任理事国の分担金について負担率の下限を3%または5%とする改革案を提案した背景には、米国に次いで2番目に多い分担金を拠出する日本として「地位と責任に応じた分担率」(外務省筋)を求めることで、悲願の常任理事国入りに向け事態打開を図る狙いがある。

 ただ現在分担率が3%に満たず、負担増を迫られた形のロシア、中国の反発は必至。日本が連携を期待する米国は国連事務局改革を優先する立場から、安保理拡大には「米政府が支持した案は1つもない」(ボルトン国連大使)と消極姿勢を崩しておらず、日本の思惑通り進むかは見通せないのが現状だ。

 現在分担率22%の米国以外の常任理事国では英国の6.1%が最高で、日本の19.5%は常任理事国以外では突出して高い。政府は「1、2%の国が常任理事国として拒否権を持っているのに、20%の国が持っていないのはおかしい」(政府筋)として、安保理拡大を求めていく立場だ。

 小泉純一郎首相は10日夕、記者団に対し「常任理事国と言うからには、権限もあるのだから、責任を負ってもらうという意味で一定の負担は必要だ」と強調した。

 日本提案は、中ロ両国などの負担が増加する分、劣悪な財政事情の発展途上国は分担金が割り引きされる効果もある。政府は「フェアに考えれば各国から理解されるはずだ」(外務省筋)と分析している。

中国国連大使、「アジア一本化」示唆 国連総長選び

2006年02月15日 asahi.com

 アナン国連事務総長の後任の選出方法をめぐる議論が熱を帯びてきた。中国の王光亜国連大使は14日、「チャンスを確実にするため、いずれかの段階でアジアグループとして、どう調整できるか考えなければならない」と述べ、候補者一本化の必要性に言及。一方、カナダは同日、地域の輪番にこだわらず透明性の高い選出方法をとるべきだとの提案書を全国連加盟国に送った。

 王大使は国連本部で記者団の質問に答えた。同日、韓国が潘基文(パン・ギムン)外交通商相の擁立を正式に公表。タイのスラキアット副首相とスリランカのダナパラ元国連軍縮局長は正式に運動を展開しており、他の候補の登場もうわさされている。

 王大使は「中国は次はアジアの番だと強く信じている。数十億の人口がおり、良い候補者がいないわけがない」と強調。「当面はさらに候補者が出るかを見守りたい」と述べた。

 カナダはこれまでの事務総長の選出を「密室で大国が決めている」(カナダ国連外交筋)と指摘。候補者の経歴や実力などをオープンに審査して、選出の過程をより透明化することを提案した。国連事務局をより効果的で、開かれた組織に改革することにつながるとしている。

国連事務総長選は様子見 政府、対韓外交でジレンマ

2006/02/15 中国新聞

 政府は、韓国の潘基文外交通商相の立候補表明を機に盛り上がり始めた国連事務総長選への対応について、当面明確な態度表明を避けて「様子見」を続け、加盟国の支持が絞られるのを待って「勝ち馬に乗る」(外務省筋)構えだ。

 政府には、小泉純一郎首相の靖国神社参拝が原因で冷却化した日韓関係を改善するカードにしたい思惑がある一方、日本の安全保障理事会常任理事国入りに反対してきた韓国の高官を国連トップに推すことには抵抗感がある。政府の対応の背景にはこうしたジレンマもある。

 小泉首相も14日、「まだ決めるのは早いのではないか」と述べ、支持、不支持の判断は時期尚早と指摘した。

外相の国連事務総長立候補表明 韓国、発言力強化狙う

2006年02月14日 asahi.com

 潘基文(パン・ギムン)・韓国外交通商相は14日、次期国連事務総長への立候補を表明した後、日本記者クラブ訪韓団(18社、団長=若宮啓文・朝日新聞論説主幹)と会見し、事務総長を目指す心境や対日関係について語った。日本の安保理常任理事国入りに関して「外相の立場」としたうえで「周辺国との信頼関係や、歴史認識への謙虚な姿勢を見せることが望ましい」と現段階では支持に慎重な考えを改めて示した。

 潘外相は一方で「国連事務総長の選考と2国間関係は分離して考えた方がいい」とも述べ、「未来志向的な韓日関係という脈絡で検討して欲しい」と自分への支持を暗に求めた。

 潘外相は、それに先立つ記者会見で「韓国は、国連の理想である平和と安定、経済発展や人権向上を成就した模範国だ」と述べ、国連の権限強化や安保理改革で、韓国の経験を生かすことができると主張した。朝鮮戦争以来、韓国は北朝鮮とともに分断国家として国連の「お荷物」だったが、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権は、韓国が国連に加盟してわずか15年とはいえ、朝鮮半島が安定しつつある今を転換期と見て、国際社会での韓国の存在力と発言力を一段階高める契機ととらえている。

 韓国政府はすでに北朝鮮や日本にも外交ルートで立候補を伝達。支持を取り付ける動きの中で南北関係や停滞する対日関係の対話促進のテコにしたいとの意欲も見える。日本記者クラブとの会見でも潘外相は、中国側から出ている「小泉政権中には関係改善が期待できない」との発言やポスト小泉の議論とは一線を画した。

次期国連事務総長選、韓国外相が立候補へ

2006/02/14 The Sankei Shimbun

 韓国の外交通商省は14日、年末で任期切れとなるアナン国連事務総長の後任事務総長選に潘基文(バン・キムン)外交通商相(61)が立候補すると正式に発表した。潘氏は同日午後の記者会見で、自ら立候補を表明する。

 事務総長ポストは世界各地域の持ち回りが慣例となっており、国連加盟国の間では「次はアジア」との認識が強いが、タイのスラキアット副首相、スリランカのダナパラ元国連軍縮局長らも既に出馬を表明。韓国政府は同国初の事務総長選出に向け、積極的に他国に支持を呼び掛ける構えだ。

 潘氏は先月、ニューヨークで国連安全保障理事会常任理事国である米国、英国、ロシア、中国の各国連大使らと会談。韓国政府も、北朝鮮などを含む国連加盟国との接触で立候補の意向を伝達したという。

 潘氏は外交官出身で外交通商次官、駐国連代表部大使、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の外交補佐官を経て2004年から現職。(共同)

ミャンマーは国際的脅威 国連総長、安保理で見解

2006/02/13 The Sankei Shimbun

 国連安全保障理事会で昨年12月、軍事政権による民主化運動指導者アウン・サン・スー・チーさんの自宅軟禁が続いているミャンマー情勢について初めて協議された際、アナン事務総長が、ミャンマーは国際平和と安全に対する脅威になり得るとの見解を示していたことが13日、分かった。関係筋が明らかにした。

 安保理の五常任理事国のうち、米国はスー・チーさんら民主化要求勢力に対する弾圧などを理由に「ミャンマーは周辺国に対する脅威」と主張し、制裁を視野に入れた非難決議案作成を模索。中国とロシアはこれに反対している。中立的立場にある事務総長の発言は、米国にとって追い風となりそうだ。

 関係筋によると、アナン事務総長は昨年12月16日に非公開で行われた安保理非公式協議で発言した。公式協議の場合は経済制裁を可能にする決議や政治的メッセージとなる議長声明を採択できるが、中ロ両国が反対したため非公式で話し合った。

 その際、同月の安保理議長を務めたパリー英国連大使が「国際平和と安全の維持を脅かす恐れのある案件について、事務総長は安保理の注意を促すことができる」との国連憲章の条項にミャンマーが当てはまるかどうかただしたところ、アナン氏は「該当する」との立場を明確に示したという。(共同)

PKO不正は3000億円超 国連安保理で追及と米大使

2006/02/02 The Sankei Shimbun

 国連平和維持活動(PKO)の物資調達などに伴う不正支出が過去6年間で総額2億6500万ドル(約313億円)を上回っていることが内部監査で判明、安全保障理事会の2月の議長国を務める米国のボルトン国連大使は1日、同月の安保理でこの問題を話し合う方針を表明した。国連本部で記者団に語った。

 国際平和と安全への脅威に関する問題を討議する安保理で、調達関係の疑惑が取り上げられるのは異例。大使は担当者を喚問、責任を厳しく追及する構えで、対イラク人道支援事業「石油・食料交換計画」に続く国連のスキャンダルとして注目を集めそうだ。

 国連内部監査部門は2000―05年に交わした500万ドル以上のPKO関連契約の31%に当たる計27件、総額10億ドルを調べた結果、2億6500万―2億9800万ドルが浪費されたり、不正に支払われたりしていた疑いがあることが分かった。

 同部門がまとめた報告書はPKO事業の調達や入札をめぐり「多くの不正の証拠」があり、国連幹部も適切な監視を怠ったと明記。国連は既に不正に関与したPKO局と行政監理局の8人の職員を停職処分にし、関連資料を米司法当局に提出している。(共同)

常任・準常任計6カ国増 日本、G4に新決議案構想説明

2006/01/28 The Sankei Shimbun

 大島賢三国連大使は27日、国連安全保障理事会(15カ国)の常任理事国入りを目指す4カ国(G4)のドイツ、インド、ブラジルの代表に対し、常任理事国と新設の準常任理事国を合わせて6カ国増やし、安保理を21カ国に拡大するとの日本の新たな国連決議案の基本構想を初めて正式に説明した。国連外交筋が明らかにした。

 基本構想は昨秋からの米国との協議を踏まえてまとめたものだが、25カ国への安保理拡大を求めるドイツなど3カ国との立場とは隔たりがある上、米国からの全面的な支持も得られていない。目標とする国連総会への今春の決議案提出に向けて、日本は困難な調整を迫られそうだ。

 国連外交筋によると、日本の基本構想は、新常任理事国に立候補した国のうち、投票で国連加盟国の3分の2(128カ国)以上の支持を得た国を常任理事国とするが、拒否権は与えない。

 それ以外の候補国については、任期2年で連続再選が認められていない非常任理事国より任期が長く、改選可能な準常任理事国を新設し、これに迎え入れる。

 6つの拡大枠の割り当てはアジア、アフリカが各2、中南米と欧州は各1とするが「こうした構想は今後のG4側との擦り合わせの過程で変更される可能性もある」(同筋)としている。(共同)

日本の分担金引き下げを 財務相、国連総長に初要請

2006/01/11 The Sankei Shimbun

 訪米中の谷垣禎一財務相は10日、アナン国連事務総長と会談し、日本が米国に次ぐ国連分担金を支払っている問題について「加盟国の権限や責任をよく踏まえた議論をしてほしい」と述べ、分担金比率の引き下げを事実上求めた。2007―09年の分担率を決める6年ぶりの交渉が3月から本格化するのを前に、財務相は初めて国連トップに直接申し入れた。

 事務総長は安保理改革に関して、多くの国が常任理事国入りを目指す日本を支持したとしても「すべての国・地域を満足させるようなパッケージとするのが大切」と指摘。日本が米国と模索している最大21カ国の安保理拡大を目指す案では十分な支持が得られないとの認識をにじませた。

 財務相は会談後、記者団に対し、分担金問題について「(現状に)何らかの割り切れなさを感じている人が多いのではないか」と述べた。事務総長は今後議論を進める意向を示したという。

 分担金について、日本は昨年の国連通常予算の約19.5%(約395億円)を負担しているのに対し、米国を除く常任理事国4カ国(英国、フランス、中国、ロシア)の合計は約15%で、特にロシアや日本の常任理事国入りに反対した中国の負担が少ないことから、負担軽減で中ロをけん制する狙いもある。

 アナン事務総長は谷垣財務相との会談で、訪日に関しては「今年中に訪日したい」との意向も示した。

 <国連分担金> 加盟国の国連通常予算分担率は国民総生産(GNP)などに基づき、国連総会が3年ごとに決定。昨年の通常予算分担率は米国22%、日本約19.5%、中国約2.1%、ロシア1.1%などで、日本の同予算分担額は約395億円。今年は2007―09年の通常予算分担率を決める年。3月の総会第5委員会(行政・予算)での議論を皮切りに夏ごろに国連分担金委員会の報告がまとまり、これに基づく多国間交渉を経て年末に総会で決定、来年から適用される見通し。(共同)

安保理拡大で政府、21理事国の新決議案作成へ

2006/01/06 The Sankei Shimbun

 政府は6日、国連安全保障理事会常任理事国入りへ向け連携してきた4カ国(G4)のうち日本を除くドイツなど3カ国が理事国を25カ国に拡大するための「枠組み決議案」(旧G4案)を再提出したのを受け、今後は米国と連携し理事国を21カ国に抑える新決議案作成の具体的作業に入る方針を固めた。

 9月に閉幕する第60回国連総会会期中の決着を目指し、3月までに新決議案を確定した上で共同提案国を募って提出したい考えだが、安保理拡大よりも国連事務局改革に関心の高い米国が日本に同調するかは「なかなか難しい」(政府筋)状況で、難航は必至だ。

 旧G4案は常任理事国を6カ国、非常任理事国を4カ国増やして全理事国を現行の15から25カ国とする決議案。政府は、同案が昨年米国や中国の反対で採決されないまま廃案となったことを踏まえ、新決議案では理事国数を米国が主張する21カ国とし、任期が長く再選可能な準常任理事国を設置することも含め詳細を詰めている。

 増やす理事国6カ国については投票数によって、常任理事国、準常任理事国、非常任理事国に3分類する方法などを検討しているが、米国との調整はついていない。

 一方、日本の常任理事国入りに反対している中国は昨年、アフリカやアジア諸国に対し阻止に向けた外交工作を展開。このため政府は、中国が容認の姿勢を見せ始めている準常任理事国も視野に入れ、中国側と接点を探る構えだ。

 ただ日本は、常任理事国入りを目指すのが基本方針であることから「準常任理事国で妥協するかは最終的には政治判断」(外務省幹部)としてあくまで「次善の策」にとどめたい考えだ。(共同)

G4分裂 独など3カ国、日本抜きで安保理拡大案提出

2006/01/06 The Sankei Shimbun

 国連安全保障理事会常任理事国入りを目指す日本など4カ国(G4)のうち、ドイツ、インド、ブラジルは5日、昨年9月に廃案となった安保理拡大のための「枠組み決議案」(旧G4案)を国連事務局に再提出した。G4のけん引役だった日本は共同提案国に加わらず、G4は事実上分裂した。

 旧G4案は100カ国近い支持を集めたが、米中両国などの強い反対で採決に至らなかった。日本はG4の枠組みを維持しながら米国の理解も得られる新決議案づくりを進めてきたが、旧G4案はなお有効として早期再提出を求めるドイツなどから「見切り」をつけられた格好だ。

 旧G4案は常任理事国を6カ国、非常任理事国を4カ国増やし現在15カ国の安保理を25カ国に拡大、新常任理事国の拒否権を15年間凍結する内容。一方、日本は大幅拡大に反対する米国の意向に沿って拡大を最大21カ国に抑える新決議案を模索している。

 この新決議案には、日本の常任理事国入りに反対する中国などに配慮し、拒否権はないが任期2年の非常任理事国より任期が長く改選可能な「準常任理事国」の新設を盛り込むことも検討、米側との協議を進めている。

 日本は今後ドイツなどとの関係について「米国との協議の成り行きを見ながら考える」(日本の国連代表部)としているが、旧G4案は現時点で採択に必要な国連加盟国の3分の2(128カ国)以上の支持を得られる見込みはない。(共同)

安保理改革でG4案支持 独新外相、日本と温度差

2005/10/29 The Sankei Shimbun

 ドイツのシュタインマイヤー新外相は28日、国連本部でアナン事務総長と会談後、国連安全保障理事会改革について、9月に廃案となった同国や日本など4カ国(G4)の安保理拡大決議案は「(交渉の対象として)テーブルの上にある」と記者団に述べ、引き続き支持する意向を示した。

 同案は100カ国近くの支持を集めたが、米中両国などが強く反対。このため日本はG4に配慮しつつ「従来より幅広い支持を得られる策」(大島賢三国連大使)を追求しており、G4案を重視するドイツのメルケル新政権との温度差が浮き彫りとなった。

 日本政府は、安保理常任理事国入りに向けて米国の支持を取り付けたい考えだが、ブッシュ政権は国連事務局改革を最優先させる意向。このため、近く訪米する麻生太郎外相がライス国務長官と会談し、事務局改革で米国と連携、後押しする意向を伝える方針。(共同)

日本の常任理入り、実現に向け日米で協議へ

2005年10月24日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 来日中のニコラス・バーンズ米国務次官(政治担当)は24日、東京の米国大使館で記者会見し、日本の国連安全保障理事会常任理事国入りを可能にする国連総会決議案を今後数か月をかけ、日米間で協議していく意向を明らかにした。

 米国は日独などの4か国グループ(G4)が策定した枠組み決議案には反対したが、人権委員会の改革など米国が懸案の処理にめどが着いたことを理由に、日本の常任理事国入りに向けて本腰を入れる姿勢を示したものだ。

 バーンズ次官は、米国が支持できる安保理拡大の幅について「安保理メンバー国の数では20〜21だ」とし、「常任理事国と非常任理事国をいくつにするか、可能性はいろいろあるが、どんな場合でも日本の常任理事国入りを米国は支持する」と明言。「今後数か月をかけ、国連総会の支持が得られる案について日本と協議する」と語った。

「ポストアナン」はや本格化 タイ副首相・ポーランド大統領名乗り

平成17(2005)年10月19日 The Sankei Shimbun

現職の退任は来年末…

 【ニューヨーク=長戸雅子】アナン国連事務総長の来年末の退任を前に、早くも後継レースが本格化してきた。アジアからはタイのスラキアット副首相ら、欧州からはポーランドのクワシニエフスキ大統領が出馬を表明している。事務総長は総会が任命するものの、安全保障理事会の推薦を必要とし、特に拒否権を持つ常任理事国の意向が左右する。このため常任理事国が誰を支持するか注目されている。

 後継を目指した活動を最も早く始めたのはスラキアット副首相だ。二年ほど前から「次はアジアから事務総長を出す番」と名乗りを上げ、今夏にはニューヨークを訪れて有力加盟国の国連大使にあいさつ回りをしている。

 事務総長の人選については、常任理事国など大国の出身者は選ばず、地域グループの持ち回りにするという非公式の合意がある。

 アジアからは、第三代のウ・タント氏(ビルマ=現在のミャンマー、在任一九六一−七一年)以来、事務総長は出ておらず、スラキアット副首相のほか、スリランカのダナパラ前国連軍縮局長や、韓国の潘基文外交通商相も意欲を見せている。

 だが、ボルトン米国連大使は十日、「地域ごとの持ち回りという考え方は受けいれられない」と述べ、アジアの動きを牽制(けんせい)した。

 米国は、米議会から批判を受けていたガリ前事務総長(一九九二−九六年)の再選に強く反対し、現在のアナン事務総長を九七年に誕生させるなど、事務総長選任に大きな影響力を行使してきた経緯がある。

 米国との関係で注目されるのがクワシニエフスキ大統領だ。

 同大統領は「東欧はこれまで事務総長を出していない」と発言し、出馬に前向きな姿勢を見せた。

 ポーランドはイラク戦争を支持した「有志連合」の一国として、米国と良好な関係を築いた。米国のみならず、英国もポーランドの意向は軽視できない立場にあろう。

 国連外交筋によると、ロシアと中国はアジア・グループを支持し、国連の大票田であるアフリカグループもアジア支持で一致しているという。

4常任理合計より高負担、許されるか…日本が改正要求

2005年10月18日 読売新聞 Yomiuri On-Linje

 【ニューヨーク=白川義和】小沢俊朗・国連3席大使は17日、国連総会第5委員会(行政・予算)で演説し、国連分担金の算定方式について、「安全保障理事会の5常任理事国の4か国(英仏中露)を足しても、その地位を拒否された一加盟国より財政負担が少ない。こうした現状を続けることが許されるのか」と述べ、来年の分担金比率の見直しで改正を求める考えを示した。国連の場で、日本が常任理事国入りと分担金問題を結びつけて発言したのは初めて。

 国連予算の分担率は原則、国民総生産をもとに3年ごとに決定される。2004〜06年の日本の分担率は19・468%(今年は3億4640万ドル)で、米国の22%に次いで多い。米国以外の4常任理事国の合計は、15・31%にすぎない。

 小沢大使は、分担金の算定方式が公正ではないとの「失望感や不満」が日本で増えていると主張。「特別な地位を持つ加盟国が、特別の責任を負うことを反映した制度」を求めていくとし、常任理事国が相応の負担をすべきだとの考えを示した。

安保理枠20カ国が限度 米大使、拡大上限示す

2005/10/15 The Sankei Shimbun

 ボルトン米国連大使は14日、ロンドンの英有力シンクタンク、王立国際問題研究所(チャタムハウス)での講演で、国連安全保障理事会拡大後の理事国数について「19―20カ国ぐらいが限度」と明言、ブッシュ米政権として初めて拡大の「上限」を示した。新たな常任理事国数についても「1―2カ国」と述べ、米政府が従来示していた「2カ国程度」という拡大枠を修正した。

 大使は「経済的実力や国連への貢献度から、日本は確実に常任理事国入りの資格がある」と述べたが、常任理事国数をより厳しく制限する意向を打ち出したことで、常任理事国入りを目指す日本など4カ国(G4)の枠組みをあらためて拒否した。

 米政府は安保理改革について「効率性」を重視しており、現在15カ国の理事国数を大幅に拡大することには消極的だ。

 ボルトン大使はこうした立場を踏まえ「害にならない(改革)というのが基本ルールだ」と強調。G4とアフリカ連合(AU)がそれぞれ主張してきた「25カ国」ないし「26カ国」の安保理拡大は「こうしたルールを侵すものだ」と述べた。(共同)

国連総会議場で雨漏りのハプニング 老朽化ぶり象徴

2005/10/14 The Sankei Shimbun

 長雨が続いているニューヨークの国連本部にある総会議場で13日、雨漏りがあり、急きょ会議場が変更された。創設60年を迎えた国連本部の老朽化ぶりを象徴するハプニングとなった。

 国連事務局によると、アフリカの開発問題に関する討議を予定していた総会議場の半球型の屋根(ドーム)の周囲に大量の雨水がたまり、議場内に漏れ始めたため、別の会議場に移動して議事を進めることになった。

 1950年代前半に完成した国連の本部ビルや総会議場は老朽化に加え、アスベスト(石綿)などの有害物質も使われており、早期改修が急務となっている。(共同)

大島大使、国連分担金の一方的削減に慎重

2005/10/14 The Sankei Shimbun

 大島賢三(おおしま・けんぞう)国連大使は13日の記者会見で、国連安全保障理事会常任理事国ではない日本が、米国に次ぐ国連通常予算の分担率を課されていることについて、2007―09年の分担率を決める今後の交渉で「過大な負担」の軽減を求めると明言する一方、不払いや一方的削減は日本への信頼を傷付け、好ましくないとの見解を示した。

 町村信孝外相は9月の国連総会演説で、日本の常任理事国入りが実現しなかった場合、分担金削減を求める可能性を示唆。これに対し、負担増を懸念する発展途上国から警戒の声が出ているため配慮を示した形だ。

 日本は現在、国連通常予算の20%近くを負担。国連では来年、2007―09年の分担率を決める交渉が始まるが、国連総会第五委員会(行政・予算)では来週、その「前哨戦」となる各国の演説が予定されており、大使は負担削減要求を中心とする日本の基本的立場を表明する。

 大使は新たな分担率について、加盟国の「地位と責任」を適切に考慮した「より公平かつ公正な」負担を求める意向を強調。しかし、常任理事国に入れなかった「腹いせ」に一方的削減や不払いを求めるような行動は「良くない」と明言した。(共同)

早期の安保理拡大は困難 米国連大使

2005/09/29 The Sankei Shimbun

 ボルトン米国連大使は28日、下院外交委員会で国連改革に関して証言し、日本が目指す安全保障理事会拡大について「先を見通すのは難しい」と述べ、早期実現は困難との認識を示した。

 また、米国内で多額の拠出に不満が高まっている国連分担金を、現行の国別割り当て方式から各国の自発的拠出へと変更することも、今後の検討対象になり得るとの考えを示唆した。

 大使は日本の安保理常任理事国入りへの支持をあらためて表明した上で、ともに常任理事国を目指す日本、ドイツなど4カ国(G4)の「次のステップが不明」と指摘。現段階で安保理拡大の行方、実現の時期は見通せないと繰り返した。

 分担金問題については、使途の徹底検証とともに、自発的拠出をより重視すべきだとの見解を表明した。しかし自発的拠出は、自国に都合の良い活動に限って各国が資金負担する事態を招く恐れがあり、国連からは反対の声が上がっている。

 分担金は国民総生産(GNP)を基に算定され、米国が加盟国中最大の22%を負担。米下院は6月、国連が改革を実行しなければ半額の拠出を凍結する法案を可決した。(共同)

国連分担金 中露増額、要求方針固める

2005/09/27 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

≪日本の負担軽減≫

 政府は26日、来春から本格的に始まる国連分担金に関する交渉で、日本の負担軽減とともに安全保障理事会常任理事国の中で大幅に低い中国とロシアの分担率引き上げなどを柱とした算出方法の見直しを求める方針を固めた。常任理事国入りが極めて困難になるなど国連内で発言権が向上していないのに、従来通りの分担金を負担するのは国内世論の理解を得られないと判断した。

 国連分担金は3年に1度、国連総会で見直すことになっており、来年は2007年から3年間の分担率を決めることになっている。

 現在は、米国が22%と最も分担率が高く、日本は約19・5%で2番目。これに対し、拒否権を持っている常任理事国のうち、米国を除く英国(約6・1%)、フランス(約6%)、中国(約2・1%)、ロシア(約1・1%)の4カ国の分担率の合計は約15・3%で、日本1カ国にも満たない。

 分担率は、各国の国民総所得(GNI)などを基礎に算出しているが、途上国には割引措置が適用され、その分を日本などの先進国が肩代わりしている。本来、中国は約4・8%の分担率となるが、途上国として扱われているため割引措置を受け、半分以下に減額されている。

 政府は国連創設60周年となった今年を最大の機会ととらえ、常任理事国入りを目指してきたが、中国の妨害工作や安保理の大幅な拡大を望まない米国の反対で挫折。このため、「『発言権は与えないが、カネは従来通り出せ』では国内に説明がつかない」(外務省幹部)との声が高まっていた。

 政府は「常任理事国は最低でも3−5%の分担率を負担すべきだ」(外務省筋)との考えで、分担金見直し交渉の中で日本の負担軽減と同時に、米国を除く常任理事国の負担増を求める方針。

 ただ、安保理改革をめぐる議論に影響を与える可能性もあり、現実には難しい対応となりそうだ。

北、常任理入りで非難 国連総会、日本も猛反論

2005/09/23 The Sankei Shimbun

 国連総会一般演説で22日、北朝鮮の崔守憲(チェ・スホン)外務次官が第2次大戦時の「侵略の歴史」などを持ち出し「日本の安全保障理事会常任理事国入りを決して容認すべきではない」と非難したのに対し、小沢俊朗・国連三席大使が「常任理事国入りは国際平和と安全維持への貢献によって判断されるべきだ」と激しく反論する一幕があった。

 崔次官は、日本は近隣諸国などに対する「過去の犯罪」の清算を拒否していると主張。これについて小沢大使は、この問題に関する日本の立場は、「植民地支配と侵略」への「痛切な反省と心からのおわび」を表明した小泉純一郎首相の8月15日の談話で詳しく説明されていると強調。

 その上で、9月19日に採択された北朝鮮の核問題をめぐる第4回6カ国協議共同声明には、日朝両国が「(2002年の)日朝平壌宣言に沿って不幸な過去を清算、国交正常化への措置を取ることを約束した」との表現が盛り込まれており、北朝鮮側はこの点を思い出すべきだと求めた。(共同)

常任理入りの決意不変 町村外相、分担金削減を示唆

2005/09/18 The Sankei Shimbun

 町村信孝外相は17日夜(日本時間18日午前)、国連総会で演説し、安全保障理事会改革について「国連全体の刷新を達成するための鍵」と重要性を指摘、「わが国は改革実現のため最大限の努力を続ける。今次総会で早期に決定に至るよう求める」と、1年以内の安保理改革実現と日本の常任理事国入りに向けた不変の決意を表明した。

 その上で、国連分担金について「加盟国の地位と責任を適切に考慮」するよう訴え、日本の安保理常任理事国入りが実現しなかった場合、現在米国に次いで2位を占める分担金の削減を求める可能性を示唆した。

 北朝鮮の核問題をめぐっては「6カ国協議で北朝鮮がすべての核兵器、核計画を迅速かつ検証可能な形で廃棄することを受け入れるよう強く期待する」と強調。ミサイル、拉致問題を含めた包括的解決が必要との考えを表明した。

 「新しい国連と日本」と題した演説で町村氏は、中東和平、イラク、アフガニスタン、スーダンなどでの平和構築支援や、政府開発援助(ODA)を今後5年間で100億ドル増額する方針など、日本の国際社会への貢献を詳しく紹介。その上で、こうした日本の貢献が「常任理事国としてより大きな役割を果たす基礎となる」とアピールした。

 また包括的核実験禁止条約(CTBT)早期発効を盛り込んだ核軍縮決議案を近く総会に提出する方針を正式表明。国連総会特別首脳会合で採択された成果文書については、「旧敵国条項」の早期削除が盛り込まれたことを歓迎した。(共同)

日本の常任理入り支持 イラン核安保理付託を

2005/09/18 The Sankei Shimbun

 国連加盟国の首脳や閣僚らが出席し、国際関係全般や国連の在り方などについて話し合う国連総会一般演説が17日午前(日本時間同日深夜)始まった。ライス米国務長官は安全保障理事会拡大と日本の常任理事国入りへの支持を公式に表明。イランの核問題に「安保理が関与すべきだ」と述べ、安保理付託が必要との考えを強調した。

 アナン国連事務総長も、安保理改革について「特定の集団のためではなく、国連という組織のために解決策を探る努力が必要」と指摘。イランや北朝鮮を念頭に「世界は核の拡散とテロの危険に直面している」と訴えた。

 ライス長官は、国連が創設された60年前と今とでは国際環境が激変したとして、「国連は現在の課題に立ち向かわなければならない」と、国連改革の必要性を繰り返した。また、「われわれが生きている間に世界のすべての市民に投票の権利が与えられるようにしたい」と、国連が民主主義の拡大に取り組むべきだと語った。一般演説は23日まで。

 日本からは町村信孝外相が出席し、17日午後に予定される演説で、安保理常任理事国入りを目指す姿勢をあらためて強調。また、核問題をめぐり米欧との対立が深まっているイランのアハマディネジャド大統領は、焦点のウラン濃縮活動について、ロシアなどとの共同事業実施を提案、兵器に転用するのではないかとの国際社会の懸念解消を図るとみられている。(共同)

改革目指し成果文書採択 安保理拡大は期限設けず

2005/09/18 The Sankei Shimbun

 国連総会特別首脳会合は16日夜(日本時間17日午前)、幅広い国連改革を盛り込んだ「成果文書」案を正式採択した。過去最大級の約190カ国の首脳らが参加、創設60年を迎えた国連の「再生」を目指した会合はテロ対策などで国際社会の結束をアピールして閉幕した。

 しかし、文書は最大の焦点である安全保障理事会改革について、常任理事国入りを目指す日本など4カ国(G4)が求める「年内決着」の期限を明記できず、多国間協調を原則とする国連の立て直しに向け多くの課題を残した。

 首脳会合に引き続き17日、各国の国連総会一般演説が23日までの日程で始まった。アナン事務総長は冒頭演説で安保理改革について「特定の集団のためではなく、国連という組織のために解決策を探る努力が必要」と改革の継続を求めた。ライス米国務長官も演説で、日本の安保理常任理事国入りを支持、イラン核問題の安保理付託の必要性を強調した。日本からは町村信孝外相が出席。

 約40ページの成果文書は、安保理の「早期改革」に支持を表明。日本などが現在も国連憲章で「敵国」とされている「旧敵国条項」削除への決意を示した。

 また、相次ぐ職員のスキャンダルを受け、内部監督・監査機能の強化など国連事務局改革を要請。自国内に人権問題を抱える国がメンバーとなっている人権委員会を改善するため、人権理事会に改組する方向となった。紛争後の和平定着を担う平和構築委員会設置も決定した。

 米中枢同時テロ後の新たな脅威に対応するため、包括テロ条約締結の必要性を強調。主権国家内の虐殺で安保理の集団行動を可能にする「保護する責任」に同意した。

 テロの温床ともいわれる貧困解消のため、国民総生産(GNP)の0.7%を政府開発援助(ODA)に充てるとした目標実現への努力を日米などの未達成国に要請。対立の解けなかった軍縮・不拡散分野の記述は文書から全文削除された。(共同)

国連安保理拡大めぐり激突 G4と反対派首脳

2005/09/16 The Sankei Shimbun

 国連総会特別首脳会合は2日目の15日、国連改革の最大の焦点である安全保障理事会改革について、常任理事国入りを狙う4カ国(G4)の日本、ブラジルなどと、これに反対する中国やイタリアなどが激突した。

 先陣を切ったのはブラジルのルラ大統領。第2次大戦に勝利した米、英、フランス、ロシア、中国が安保理常任理事国を独占している現状を踏まえ「安保理がもっと正当性を持ち、(多くの国に)代表されなければ、国連は歴史的な役割を果たせない」と述べ、早急な改革の必要性を訴えた。

 インドのシン首相も安保理は60年前の終戦当時の現実に基づいており、戦後復興を遂げ大国になった日本やドイツ、植民地支配から独立した発展途上国の声が十分に反映されていないと主張。常任理事国、非常任理事国ともに拡大する必要がある、と小泉純一郎首相に同調した。

 これに対し、中国の胡錦濤国家主席は「途上国、特にアフリカの代表を優先的に増やし、さらに中小国が安保理の決定に参加できるものでなければならない」と主張。中小国、アフリカ「優先」を強調することで、名指しを避けながらも日本の常任理事国入りに反対する姿勢をあらためて示したものとみられる。

 イタリアのベルルスコーニ首相も、パキスタンのムシャラフ大統領が「新たなエリートをつくる」としてG4の常任理事国入りに反対を表明したことを支持した。(共同)

日本の常任理入りをけん制 中国主席、国連首脳会合で

2005/09/16 The Sankei Shimbun

 中国の胡錦濤国家主席は15日、国連総会特別首脳会合で演説、安保理改革について「途上国、特にアフリカ、中小国の代表を増やすものでなければならない」と述べた。名指しを避けながらも日本の常任理事国入りに反対する姿勢をあらためて示したものとみられる。

 胡主席はまた、(1)反テロなど国際的な安全メカニズムの構築(2)発展途上国の発展促進(3)エネルギー問題での国際間協力(4)各国の社会体制の尊重―などを提案、「21世紀を世界が共に発展できる世紀にしよう」と呼び掛けた。

 これに先立ち、ロシアのプーチン大統領は演説で「テロリズムはナチスの政治思想を継承している」と強い調子で非難、国際社会が協力してテロ対策を強化するよう要請。テロを「人権、自由、持続可能な開発に対する大きな脅威」とした上で、国連はテロとの戦いにおける「国際協力の主要調整機関」であるべきだと強調した。

 イラクのタラバニ大統領は、イラク聖戦アルカーイダ組織を率いるザルカウィ容疑者らが「イラクをテロのセンターにしたいと望んでいる」と非難、国際社会の支援を要請した。(共同)

国連分担金、日本が引き下げ要求へ

2005年09月11日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 政府は、2007年以降の日本の国連分担金の引き下げを要求する方針を固めた。

 日本は現在、分担金総額の19・468%にあたる約371億円を負担している。国連安全保障理事会の常任理事国入りの見通しが立たない現状では、過重な資金負担について、日本の世論の理解が得られないと判断した。

 町村外相が19日にニューヨークで開かれる国連総会で演説し、分担金見直しの必要性を訴える予定。事実上の引き下げ要求で、政府は来年春にも、分担率を見直す決議案を国連総会に提出したい考えだ。

 分担率は原則3年ごとに改定され、07年が見直しの年にあたる。

 国連分担金は05年で総額約18億2770万ドル(約2006億円)。米国がトップの22・000%を分担しており、2位の日本と合わせ日米で全体の4割を負担している。

 政府は、「常任理事国は、地位に見合った負担をすべきだ」と判断しており、米国を除く常任理事国の分担率の大幅引き上げを求めたい考えだ。一方、多額の国家債務を抱えていたり、国民1人当たりの所得が低い途上国には、現在の軽減措置を維持するとしている。

 今後、ドイツや韓国など、比較的負担が重い先進国を中心に、決議案の共同提案国となるよう呼びかける。政府は分担金の改革とあわせ、国連の業務の合理化や、監査体制の充実なども実現したい考えだ。ただ、分担金の負担が増える中国やロシアなどの反発は必至で、見直し協議は難航する可能性もある。

 分担率の算定は、加盟国全体の国民総生産(GNP)に占める各国のGNPの比率が基礎になる。そのうえで、途上国の場合は、1人当たりの国民所得などに応じて割引が認められている。

米共和党支持者は日本びいき? 常任理入りで高支持率

2005年09月11日 asahi.com

 国連安全保障理事会の拡大問題で、日本の常任理事国入りを求める人は共和党支持者が民主党支持者より多い――。米世論調査機関ゾグビー・インターナショナルが9日に発表した国連改革に関する米国民の世論調査で、国連改革に対する両党支持者の意識の違いが明らかになった。

 調査は8月中旬に全米約1万4000人を対象に実施。どの国が常任理事国に入るべきか、との問いに、全体では日本、ドイツ、インド、ブラジル、南アフリカの順だったが、共和党支持者でみると、日本(33%)が突出。インド(15%)、ドイツ(13%)の順だった。民主党支持者は日本(24%)とドイツ(23%)がほぼ並び、インド(18%)が続いた。共和党支持者の間でドイツへの支持が低いのは、シュレーダー政権がイラク戦争に反対したためとみられる。

 ただ、国連改革の優先順位をみると、安保理拡大は(1)運営改革(2)予算や支出の再構成(3)米国の関与の再定義――に続く4番目にとどまった。

 調査機関代表のジョン・ゾグビー氏は朝日新聞記者に「概して民主党支持者の方が国際感覚を持ち、国連に好意的だ。日独への支持は財政面での貢献や経済大国であることが作用しているのだろう」と話した。

「年内決着」明記は困難 安保理改革文書で大島国連大使

2005/09/09 The Sankei Shimbun

 大島賢三国連大使は8日、ニューヨークの国連日本政府代表部で記者会見し、14日からの国連総会特別首脳会合で採択を目指す国連改革のための「成果文書」に、日本など4カ国(G4)が求める国連安全保障理事会改革の「年内決着」という表現が盛り込まれるのは極めて困難との認識を示した。

 国連総会のピン議長が6日示した成果文書の事実上の最終草案は、安保理改革の期限について「年内決着」「期限明記せず」など3案を併記した。大使は、「わずかな国でも反対すると意見の取りまとめが難しくなり、両論併記的なものは最終文書の形にはならないだろう」と述べた。(共同)

日本の軍事力欠如も要因 常任理問題で中国人専門家

2005/09/01 The Sankei Shimbun

 中国の国営通信、新華社傘下の隔週週刊誌「環球」は最新号で、経済大国の日本が国連安全保障理事会常任理事国入りへの道筋を付けられない理由の1つに、軍事力の欠如を挙げる国内研究者の論文を掲載した。

 欠如の根拠は明らかにしていないが、日本が戦力不保持を定めた憲法9条の制約を受けていることを念頭に置いた指摘とみられる。中国が目指すべき大国の条件として、経済力に加え「強大な軍事力」の保有を鮮明にしている点で注目される。

 「軍事力強化によってのみ、平和は保証される」と題する同論文を執筆したのは、中国清華大の閻学通・国際問題研究所所長。国際安全保障、米中関係の専門家として知られる。

 閻氏は「経済力など限られた分野だけを発展させた場合、国家の総合力は奇形化する」と分析。日本を例に挙げて「経済力は極めて強力だが、それに見合う国際的地位を得られていない」とした上で「(安保理入りに向けた)支持票の買収に動いたにもかかわらず、政治的地位を買い付けることはできなかった」と言い切った。

 閻氏は、この理屈を台湾問題に当てはめて「台湾統一は金では買えない」とし、軍事力強化の重要性を強調。最近の中ロ軍事演習は台湾独立派のけん制に役立ったと評価している。(共同)

安保理改革、年末先送り G4、9月までの採決断念

2005/08/30 The Sankei Shimbun

 国連安全保障理事会の常任理事国入りを目指す日本など4カ国(G4)の国連大使らは29日、国連総会のピン議長と会談、安保理拡大について、年末までに「成果」を出すよう求める意向を書面で伝えた。9月中旬の国連総会特別首脳会合までの安保理拡大決議案の採決を断念、改革を年末に先送りする方針を公式に示したことになる。

 安保理改革については、アナン国連事務総長も今月10日、当初目標の「9月決着」をあきらめ、年末に先送りせざるを得ないとの立場を示していた。今後は首脳会合での採択を目指す「成果文書」に「年末」という改革期限が盛り込まれるかどうかが焦点となる。

 しかし、米国のボルトン、中国の王光亜・両国連大使は期限設定に反対しており、G4の意向実現には困難も予想される。

 大島賢三国連大使によると、G4大使らはこの日から策定交渉が本格化した成果文書にG4の意向を反映させるよう求めた。

 7月に決議案を提出したG4は採択に必要な国連加盟国の3分の2(128カ国)以上の支持を獲得するため「大票田」のアフリカ連合(AU)との決議案一本化を目指したが失敗していた。

 G4筋によると、今後はピン議長が一部に示した「準常任理事国」新設提案も検討する。(共同)

国連改革 政府、9月に新決議案提出を検討

2005/08/17 The Sankei Shimbun

 政府は17日、国連安全保障理事会拡大のため日本など4カ国(G4)が提出した「枠組み決議案」の採択が困難な状況になっていることを受け、9月14日からの国連総会特別首脳会合前後に新たな決議案を提出し、年末まで採択の機会を探る「仕切り直し」の検討に入った。

 新決議案は、採択の鍵を握る大票田、アフリカ連合(AU、53カ国)に譲歩して非常任理事国の拡大枠を一つ増やすことも想定しているが、AU諸国から個別にどれだけ支持を集められるかは見通せない。

 さらにG4のけん引役である日本、ドイツともに国内で総選挙を控え、結果によっては国連改革にブレーキがかかる可能性もある。新決議案提出に望みをつないでも、採択への道は依然険しそうだ。

 G4決議案は、AU決議案との一本化失敗により採択の見通しが立たなくなった。G4は、国連総会の会期切れで未採決決議案が廃案となる9月12日ぎりぎりまで多数派工作の努力を続け、採択の可能性を探る方針。しかし状況が好転しなければ、政府は採決自体を断念し廃案にした後、あらためて新決議案を提出せざるを得ないとの見方を強めている。

 これに関連し、アナン国連事務総長は今月10日、当初目標とした同首脳会合前の決着について「できないなら、クリスマス前までの決着を希望する」と先送りを容認した。(共同)

国連改革 クリスマス前に決着を 事務総長、先送り視野

2005/08/11 The Sankei Shimbun

 【ニューヨーク=長戸雅子】国連のアナン事務総長は十日、安全保障理事会の改革について「(九月の)国連首脳会合前に解決ができなければクリスマス前までの決着を望む」と述べ、年末まで改革を先送りすることも視野に入れていることを明らかにした。国連本部で記者団に語った。

 安保理改革をめぐっては、常任理事国入りを目指す日独などの四カ国グループ(G4)やアフリカ連合(AU、五十三カ国)、G4に反対するイタリアなどのコンセンサス・グループがそれぞれ安保理拡大の決議案を提出。この中でもっとも有力とみられていたG4決議案がAU案との一本化に失敗したことで、どの決議案も採択に必要な加盟国の三分の二(百二十八カ国)以上の賛成票を得る見通しが立たず、アナン事務総長が当初の期限としていた九月の首脳会合前の決着は極めて困難な情勢となっている。

 国連報道官によると、アナン事務総長は九月の首脳会合で採択される予定の成果文書に、「九月前に安保理改革の合意ができない場合は年末までの決定を望む」とする文言を入れることを考えているという。

 十二月までの延期は改革機運の維持を狙ったものだが、期限設定にはG4案に反対した米中両国が強く反発しており、事務総長の提案が受け入れられるかどうかは極めて微妙だ。

安保理拡大決議案 AU・G4一本化挫折

2005/08/05 The Sankei Shimbun

 国連安全保障理事会の拡大問題で4日、アフリカ連合(AU、53カ国)が臨時首脳会議で日本やドイツなど4カ国(G4)との共同決議案策定を見送り、AUの独自決議案を推進する方針を決定。これにより国連加盟国の4分の1以上を占める「大票田」AUとの連携に失敗したG4は決議案採択に必要な加盟国数確保の見通しが立たず、採決断念を迫られる可能性が高まった。

 G4案に反対してきた中国の王光亜国連大使は4日、国連本部で「良いニュース。G4に将来はない」と歓迎。日本外交筋は「8月中の採決はなくなった」と失望感をあらわにしており、G4はニューヨークで今後の対応を協議している。

 国連外交筋によると、G4との共同決議案策定を目指していたAUのコナレ委員長は「まだドアは開かれている」と発言。両者の連携の可能性が残っていることを示唆したが、今後、安保理改革の期限とされる9月の国連総会特別首脳会合に向け、ピン国連総会議長による調停案作成などが現実味を帯びそうだ。

 AU臨時首脳会議では、G4が主張する「新常任理事国への拒否権付与の15年凍結」でなく、AU決議案でうたう「拒否権の即時付与」を支持する国が大半だった。わずか1カ月前に策定したばかりのAU決議案を破棄し、G4との共同決議案を策定することに難色を示した国も多かったという。

 AUは10カ国の首脳からなる委員会を設置し、世界各国にAU決議案の支持拡大を訴えることを決定。しかし拒否権の即時付与を求める同決議案の採択は実現困難とみられ、AU外交筋は「採択困難と判断した場合、別のコンセンサス(合意)を図ることになる」としている。(共同)

国連改革G4案反対で米中一致 採択阻止へ協調

2005/08/04 The Sankei Shimbun

 中国の王光亜国連大使は3日、AP通信に対し、国連安全保障理事会常任理事国入りを目指す日本など4カ国(G4)の決議案採択に共に反対することで米国のボルトン新国連大使と一致したことを明らかにした。

 米中両国は既に、G4案に反対の姿勢を明らかにしているが、両国の国連大使が決議案阻止に向けて協力する方針を明確に打ち出したことにより、G4の立場はさらに苦しくなった。G4との共同決議案策定への対応をめぐり、4日にアディスアベバで開かれるアフリカ連合(AU)首脳会議の行方にも影響を及ぼす可能性がある。

 王大使は2日、国連でボルトン新大使と会談。「われわれの目的はG4に反対し、(G4の決議案)採択を阻止して、国連の分裂という危険を生むことがないようにすることだ」と強調した上で「われわれの利益が守られるよう共に働くことで同意した」と語った。

 一方で、両国政府には「世界各地に異なった友人がいる」として、同決議案採択阻止のための各国への働き掛けは別々に行うと述べた。

 ボルトン新大使は3日も国連総会のピン議長や他の国連大使への表敬訪問を続けたが、具体的な会談内容に関する記者団の質問には一切答えなかった。(共同)

首相、AUと連携指示 国連改革、8月下旬採決も

2005/08/01 The Sankei Shimbun

 小泉純一郎首相は1日午前、町村信孝外相らと首相官邸で会い、国連安全保障理事会の拡大問題をめぐり、引き続き日本など4カ国(G4)とアフリカ連合(AU)の連携を模索するよう指示した。

 これに関連し、同席した逢沢一郎外務副大臣は記者団に、安保理拡大の決議案採決時期について「今月下旬が(採決の)チャンスであることは間違いない」と述べ、8月上旬の採決は事実上困難との認識を示した。

 首相は外相に「8月4日にAU首脳会議が開かれるかどうかなど情勢がいろいろ動いているので、見極めないといけない」と述べた。

 この後、首相は記者団に「まあ非常に厳しい状況です」と語った。(共同)

安保理拡大共同決議案「月内採決は困難」 町村外相

2005/07/27 The Sankei Shimbun

≪AU首脳会合後に≫

 町村信孝外相は26日、国連総会のピン議長と会談した。国連安全保障理事会拡大をめぐり、外相にアフリカ連合(AU)が8月4日にエチオピアで首脳会議を開催する方向で調整に入ったことを踏まえ、開催が確定した場合には、日本など4カ国(G4)とAUが策定作業に入ることで基本合意した新たな共同決議案の7月中の採決は困難との見方を示した。G4の複数の国連大使も同日、採決は首脳会議後になるとの意向をピン議長に伝えた。

 G4はこれにより「7月中の採択」という目標を断念する方向となった。国連外交筋によると、G4は首脳会議で成果があれば、8月8日からの週の採決要請も視野に入れているが、夏休み期間のため現実には難しく、採決は同下旬以降に大幅にずれ込み、逆風の中で採決に臨まざるを得ない可能性も出てきた。

 G4とAUは25日のロンドンでの外相会合で、共同決議案策定で基本合意。その後、AUから首脳会議開催の意向が伝えられる一方、「採決は首脳会議の後」(アルジェリア)「首脳会議を経て最終的な立場を決める」(モーリシャス)などの声が出たため、首脳会議前の採決要請を見送ることにした。

 G4とAUの調停にかかわる国連外交筋によると、G4はAU首脳会議の成果になお期待を寄せており、進展があった場合には「首脳会議直後」(ドイツのプロイガー国連大使)から8月中旬にかけての採決要請も検討している。

 しかし、ピン議長は一部記者団に「夏休み中であり、適切な時期ではない」と言明した。議長が休暇から戻り、国連の活動が再開されるのは8月22日のため、採決は同日以降にずれ込む公算が大きい。(共同)

採決はAU首脳会議後 安保理拡大、逆風強まる

2005/07/27 中国新聞ニュース

 【ニューヨーク26日共同=川北省吾】町村信孝外相は二十六日、ピン国連総会議長との会談で、国連安全保障理事会拡大に関し「新しい事態を踏まえた対応を考えなければならない」と述べ、八月四日にエチオピアで開催する方向で調整中のアフリカ連合(AU)首脳会議が終わるまでは、日本など四カ国(G4)とAUが策定作業に入ることで基本合意した新たな共同決議案の採決は困難との見方を示した。G4の複数の国連大使も同日、ピン議長に同様の意向を伝えた。

 これにより、首脳会議の八月開催が確定した場合には、G4は「七月中の採択」という目標を断念することになる。国連外交筋によると、G4は首脳会議で成果があれば、八月八日からの週の採決要請も視野に入れているが、夏休み期間のため現実には難しく、採決は同下旬以降に大幅にずれ込み、逆風の中で採決に臨まざるを得ない可能性が出てきた。

 G4とAUは二十五日のロンドンでの外相会合で、新たな共同決議案の策定で基本合意。しかし、AU各国からその後出た「採決は首脳会議の後」(アルジェリア)「首脳会議を経て最終的な立場を決める」(モーリシャス)などの声に配慮し、首脳会議前の採決要請を見送ることにした。

 G4とAUの調停にかかわる国連外交筋によると、G4はAU首脳会議の成果に期待を寄せており「首脳会議直後」(ドイツのプロイガー国連大使)から八月中旬にかけての採決要請も検討している。

 しかし、ピン議長は一部記者団に「夏休み中であり、適切な時期ではない」と言明した。議長が休暇から戻り、国連の活動が再開されるのは八月二十二日のため、採決は同日以降にずれ込む公算が大きい。

G4、アフリカ側と最終調整 月内採択へ一本化ヤマ場

2005/07/25 The Sankei Shimbun

 国連安全保障理事会を拡大するための枠組み決議案を提出している日本、ドイツ、ブラジル、インドの4カ国(G4)はナイジェリアなどアフリカ連合(AU)代表と25日昼(日本時間同日夜)、ロンドン市内の国際会議場で外相会合を開き、決議案一本化が可能か最終段階の調整に入った。しかしAU側が「内部調整を再開したい」としたため間もなく中断。同日午後(同深夜)に再開した。

 常任理事国入りを悲願とする日本などは、一本化で交渉がまとまれば29日にも国連総会での採決を求める方針。ただAU内部は、一本化に積極的な国々と、なお妥協には強硬に反対する勢力に二分されたままで「全体として合意するのは難しい」(町村信孝外相同行筋)情勢だ。

 G4、AU外相会合に先立ち、G4側外相は25日午前、ロンドン市内で会談し「今回で一本化をまとめるよう全力を挙げる」との方針を確認した。同時に、G4案が「4カ国」としている非常任理事国の拡大枠について「AUの『5カ国』確保の意思は固い」との情勢認識で一致した。

 今回、決裂など不調に終わった場合、G4側は決議案採択に必要な国連加盟国の3分の2(128カ国)の獲得が可能かどうか、AU53カ国の票の行方も含めて詰めの票読みを行う。その上で、29日にもG4独自案での採決を求めるか、8月上旬まで延期してさらに多数派工作を続行するかの判断を迫られる。(共同)

アフリカ連合、非常任理拡大で譲歩を求める G4案と「共通点多い」

2005/07/20 The Sankei Shimbun

 アフリカ連合(AU)議長国ナイジェリアのアデニジ外相は19日、共同通信と単独会見し、国連安全保障理事会の拡大をめぐり、常任理事国入りを目指す日本など4カ国(G4)とAUの決議案は共通点が多いとする一方、最大の対立点である非常任理事国の拡大幅について、G4側がAUの主張を受け入れるのに「何の問題もないはずだ」と述べ、G4に譲歩を求めた。

 安保理拡大決議案を国連総会に提出したG4とAUの合同作業部会は19日、ニューヨークで決議案一本化に向けた交渉に乗り出した。しかし、AUの取りまとめ役の1人であるアデニジ外相がG4案に歩み寄りを示さなかったことにより、22日までの交渉妥結を目指すG4は苦しい対応を迫られそうだ。

 G4とAUの決議案はいずれも常任理事国を6カ国増やすよう求めているが、非常任理事国については「4カ国増」と主張するG4と「5カ国増」のAUが対立。G4はこれについて、拒否権の扱いと併せ「修正困難」な項目と位置付けており、両決議案の一本化の障害となっている。

 一方でアデニジ外相は、双方の決議案には「共通点が非常に多い」とも強調。「いずれも単独では採択ラインに届かないが、一本化すれば採択のチャンスははるかに大きくなる」との認識を示した上で、交渉の見通しについて「非常に楽観的だ」と述べた。

 ただ「7月中の決議案採択」を目指し、交渉妥結を急ぐG4とは対照的に「今週末に世界は終末を迎えるわけではない」と指摘。国連総会が安保理改革の明確な期限を設定していないことなどから「まだ時間はある」と語った。(共同)

G4案を条件付き支持 シンガポール首相

2005/07/20 The Sankei Shimbun

 町村信孝外相は19日、シンガポールを訪問し、リー・シェンロン首相やジョージ・ヨー外相らと会談した。日本外務省筋によると、リー首相は日本など4カ国(G4)が提出した国連安全保障理事会を拡大するための「枠組み決議案」に条件付きで支持を表明した。

 リー首相は、安保理改革で新たに常任理事国入りする国に拒否権を付与することになれば、「(意思決定のスピードの上で)国連にマイナスになる」として反対の立場をとると言明。採決の際には、この立場を表明した上でG4案に賛成票を投じると述べた。

 ヨー外相との会談では、年末にマレーシアで開かれる東アジア首脳会議に向け、メンバー国の東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国と日本、中国、韓国に、参加が見込まれるインドなど3カ国を加えた計16カ国で事務レベルの準備会合を早期に開催することで一致した。(共同)

25日の一本化案決定目指す 安保理拡大で日独4カ国

2005/07/18 中国新聞ニュース

 【ニューヨーク17日共同】国連安全保障理事会を拡大する決議案を提出した日本、ドイツ、インド、ブラジルの四カ国(G4)外相は十七日午後(日本時間十八日未明)、ニューヨークでアフリカ連合(AU)の外相らと会談、作業部会を設置して二十二日までに双方の安保理改革決議案の一本化を図り、二十五日の外相会談で最終決定を目指すことで合意した。

 会談後、町村信孝外相は記者団に「二十九日に採択したい。(AUと)共同提案できる可能性は十分ある」と強調した。これにより、G4が当初想定していた二十日の決議案採決は来週以降にずれ込んだ。ただ現段階で一本化できる確実な見通しはなく、調整は難航も予想される。

 日本政府は、AU票の取り込みが「G4案採択に不可欠」(外務省幹部)と位置付けており、調整のめどが立たなければ、採決をさらに先送りする可能性もある。一方、国連全体が事実上の夏休みに入るため八月中の採決は困難とされている。

 これに先立ち、G4は外相会合を開催、四カ国が結束してAUとの調整に全力を挙げることを確認した。日本政府は、採択に十分な賛成票が確保できるか慎重に見極めた上で採決時期を判断すべきだとの立場を崩しておらず、四カ国で今後も、各加盟国の動向や獲得票について慎重な情勢分析を続ける。

町村外相NY入り、アフリカ連合代表と会議へ

2005年07月17日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ニューヨーク=白川義和】国連安全保障理事会の常任理事国入りを目指す日本、ドイツ、インド、ブラジルの4か国グループ(G4)とアフリカ連合(AU、53か国)代表の外相会議に出席するため、町村外相が16日深夜(日本時間17日午後)、ニューヨーク入りした。

 G4外相は17日午前、ピン国連総会議長(ガボン外相)と会談。その後、AU代表の外相らと昼食会を兼ねた会談を行う。

安保理拡大、拒否権巡りG4とAUの調整は難航必至

2005年07月12日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ニューヨーク=白川義和】国連総会で11日始まった安全保障理事会拡大に関する審議では、日独など4か国グループ(G4)がまとめた枠組み決議案と、アフリカ連合(AU、53か国)の独自の決議案の間で、新常任理事国の拒否権の扱いなどの相違が改めて浮き彫りになった。

 G4は20日ごろの採択に向けてAUとの調整を進めるとしているが、難航は必至だ。

 アルジェリアのバーリ国連大使は、総会での演説で、AU案を紹介し、「アフリカは、現常任理事国が今後も拒否権を保持する一方で、新常任理事国に拒否権が与えられないのは不当で、受け入れがたいと考える」と主張。拒否権保持は「妥協の余地がない」と強調した。AU案は、G4案より非常任理事国のアフリカ枠が1か国多く、拡大後の安保理を計26か国とする点でも異なっている。

 記者団に「歴史的な討議が開始された」と胸を張った大島賢三・国連大使も、「新常任理事国は拒否権を原則保持するが、15年間行使しない」としたG4案の文言は「非常に微妙なバランスの上に立っている」とし、拒否権問題での妥協の難しさを率直に認めた。

 また、拡大後の安保理理事国数も、G4案の25か国が「国連のなかで一種の相場観ができている」とし、AU案の26か国に歩み寄ることの困難さを説明した。

 大島大使によると、AUは13日に決議案を国連事務局に提出する。AU側からはナイジェリア外相がニューヨーク入りし、G4の国連大使らと協議する。

 一方、この日の総会審議で、スウェーデンは、拒否権を新常任理事国に与えることに反対。さらに、安保理改革から15年後の見直しの際に、新常任理事国が責任を果たしていなければ、加盟国の3分の2の賛成で交代させる仕組みを作るべきだと主張した。スイスもこの考えに同調した。

 総会審議は12日も継続して行われ、英国や米国などが意見表明する予定になっている。

安保理改革の突出避ける 米政府、日本支持は不変

2005/07/06 The Sankei Shimbun

 米政府は、国連安全保障理事会の常任理事国入りを目指す日本、ドイツなど4カ国(G4)による「枠組み決議案」の提出を受けた国連総会審議では、安保理改革論議の突出を避け、腐敗防止に向けた組織運営や事務局づくりなど包括的な国連改革論議を推進するよう主張する構えだ。

 日本の常任理入り支持は変わらないものの、米政府は独自案で常任理事国の拡大を「2カ国程度」とし、G4案を支持しない立場。拙速を避けながら「健全で効率的」な国連への脱皮を目指すとみられる。

 バーンズ国務次官は先月30日、米政府がG4と、常任理事国拡大に反対するコンセンサス(総意)グループの橋渡し役を担い、中国に対し、日本支持への働き掛けをしていると表明。今後、米国が仲裁者として国連総会で、どのような手腕を発揮するか注目される。(共同)

枠組み決議案、7日までに提出へ 国連総会審議は11日から

2005/07/06 The Sankei Shimbun

 インドのセン国連大使は5日、国連安全保障理事会の常任理事国入りを目指す同国と日本、ドイツ、ブラジルの4カ国(G4)が「枠組み決議案」を7日までに国連総会事務局に提出する見通しを明らかにした。国連総会での審議は11日から始まる予定。G4の国連大使による5日の会合後、一部記者団に語った。

 G4は、決議案提出後は国連総会での早期採決を求める考えを以前から明らかにしている。今月中の採択を目指すが、採択されるか否かは依然不透明で、最終的な支持固めに全力を挙げることになる。

 セン大使によると、国連総会事務局が決議案をフランス語やロシア語などの国連公用語に翻訳して各国に8日配布する予定。別の国連外交筋も日程を確認した。

 G4は5日、決議案の共同提案国となる予定のフランスなど各国の国連大使を、ニューヨークにあるドイツの国連代表部に集め、こうした日程について説明、了解を得たとみられる。

 決議案の採択には国連加盟国の3分の2(128カ国)以上の賛成票が必要。G4関係者はこれまで、採択の見通しがない場合は採決にはかけないと言明していたが、セン大使は、採択に必要な支持は獲得したと自信をのぞかせた。

 採決の日程について大使は「審議にどれだけの期間を要するかにかかっている」とした上で、予定通り7月中に行われるとの見通しを示した。また、G4外交筋は「11日の週」の採決を目指す意向を明らかにした。

 G4は7日、独自の安保理拡大決議案をまとめたアフリカ連合(AU)の関係者と会談。枠組み決議案の提出後も、AU加盟国からの支持獲得に努める。

 国連総会のピン議長が10日まで外遊中のため、当初、決議案提出は10日以降とみられていたが、G4は早期提出を優先させたとみられる。(共同)

 <枠組み決議案>国連安全保障理事会の常任理事国入りを目指す日本、ドイツ、ブラジル、インドの4カ国(G4)が、国連総会への提出を目指す安保理拡大のための決議案。常任理事国を6カ国、非常任理事国を4カ国増やし、全理事国数を現行の15カ国から25カ国に拡大する内容。新常任理事国の拒否権は15年後まで凍結する。採択には国連加盟国の3分の2、128カ国以上の賛成が必要。しかし、韓国などの「コンセンサス(総意)グループ」が反対姿勢を示し、中国とロシアも事実上反対する共同声明を発表。米国も常任理事国の拡大幅を「2カ国程度」としている。(共同)

安保理改革にらみカリブ共同体でG4など外交戦

2005年07月05日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【グロスアイレット(セントルシア北部)=中島慎一郎】カリブ海の島国セントルシアで開催されているカリブ共同体・共同市場(カリコム)首脳会議は5日に国連安保理改革への対応を巡る協議が行われる見通しだ。

 日本を含む4か国グループ(G4)や反対勢力の外交団は、激烈な外交戦を展開している。

 日本政府は今回、坂場三男・中南米局長をはじめ、加藤重信・駐トリニダード・トバゴ大使、松井靖夫・駐ベネズエラ大使ら、G4として最多の7人を、現地に送り込んだ。G4各国の外交団は互いに情報を交換しながら協力体制を取り、レセプションや食事時など会議のすき間を狙って加盟国関係者との接触を図っている。G4外交筋は、「G4の枠組み決議案支持派が多数派」との感触を語った。

 一方、G4の安保理入りに反対する勢力は、イタリアが本国などから外交団8人を投入している。また、現地に大使館を置く中国も積極的な働きかけを行っている模様だ。

 ジャマイカのパターソン首相は4日の記者会見で、「各国が個別対応を取ってもカリコム諸国に悪影響があるわけではない」と合意形成に至らない可能性を示唆した。人口や経済規模の比較的大きいジャマイカなどは、自国の非常任理事国選出の可能性が大きくなることを重視しており、G4反対派の提案で、非常任理事国の中南米枠を4か国にまで拡大するとしている点に、魅力を感じているようだ。

日本などの国連改革案に反対、上海協力機構が首脳宣言

2005年07月05日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【モスクワ=五十嵐弘一】中国、ロシアと中央アジア4か国でつくる上海協力機構(SCO)の首脳会議が5日、カザフスタンの首都アスタナで開かれ、国連改革で、安全保障理事会常任理事国入りを目指す日本など4か国(G4)の枠組み決議案に事実上反対する首脳宣言を採択した。

 地域機構がこうした決議を採択するのは異例で、日本の常任理事国入りに反対する中国の意向が通った形だ。

 宣言は、国連改革について、「最大限広範な合意が必要」とし、「改革に期限を設定すること」や、「(加盟国間で)深刻な対立の残る(改革)案を投票で決定すること」に反対するとしている。

 同機構の主要加盟国である中国とロシアは、3日に発表された両国首脳の共同声明でも、G4案への実質的反対で一致している。

メコン川流域首脳、産業と生態両立「昆明宣言」を採択

2005年07月05日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【昆明(中国雲南省)=菊池隆】中国雲南省昆明で開かれたメコン川流域6か国の首脳会議は5日、交通網など産業基盤の開発促進と、生態系を守る取り組みの両立を盛り込んだ「昆明宣言」を採択し、閉幕した。

 中国の温家宝首相は「中国の発展は10億人超の人民だけでなく、近隣国にも発展の機会を提供する」と経済協力の拡大を訴え、下流諸国の懸念に配慮して環境保護の必要性も強調した。

 今回の会議は日本も重視するインドシナ半島で、中国が一段と存在感を強めていることを浮き彫りにした。

 中国、タイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナムの6か国による経済協力体制は、アジア開発銀行(本部・マニラ)が主導して1992年に始まった。2012年の完了を予定しており、中国が関与する昆明〜バンコク間の「南北経済回廊」、日本が支援するベトナム〜ミャンマー間の「東西経済回廊」など幹線道路網の整備も進んでいる。

 中国は新市場を南方に求め、計画への関与を強めてきた。

 東南アジア諸国連合(ASEAN)にとっても中国は一大市場だ。域内の経済統合を加速するには後発加盟国であるカンボジア、ラオス、ミャンマーなどの経済力を底上げする必要があり、中国との相互依存関係を強めている。

アフリカ連合首脳会議開幕、安保理拡大問題も討議

2005年07月04日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【シルテ(リビア北部)=加藤賢治】アフリカ連合(AU、53か国)首脳会議は4日午前(日本時間同夜)当地で、2日間の日程で開幕し、国連安全保障理事会の拡大問題などで本格的な議論に入った。

 会議では、6日から英スコットランドで始まる主要国首脳会議(グレンイーグルズ・サミット)をにらみ、アフリカへの開発援助資金の増額などを、先進国に訴える見通しだ。

 安保理拡大問題で、AUは、首脳会議に先立つ外相会議で、アフリカ枠として、拒否権付きの常任理事国2、非常任理事国5を求める方針を再確認し、国連総会にAU決議案として提出することで基本合意している。首脳会議が、これをそのまま認めるのか修正を加えるのかが焦点だ。

 開会式に出席したアナン国連事務総長は、安保理拡大について「この首脳会議で好機を生かすよう期待する」と演説、AUの方針決定を促した。

 AU内は安保理拡大をめぐって、足並みが乱れつつあったが、AU決議案を取りまとめることで、団結を示したい思惑があると見られる。

 首脳会議で、AU決議案がまとまった場合、あくまで独自提出を目指すのか、日、独、インド、ブラジルの4か国グループ(G4)の枠組み決議案とのすり合わせを図るのかがポイントとなる。

 G4の枠組み決議案は、アフリカ枠(拒否権保留の常任理事国2、非常任理事国4)を明示しており、交渉の余地はある。

 首脳会議では、安保理拡大で、今後の対外交渉をどの国が担当するかについても話し合う見通しだ。

 AU内では常任理事国入りでナイジェリア、南アフリカ、エジプトの3か国が競っている。南アはナイジェリアと共同戦線を敷く意向を示しており、安保理拡大ではエジプトの影響力を排除する形でAU主導権確保を狙っている。交渉国の選出や交渉権限の内容はAU内の力関係を示すものとなる。

安保理拡大、アフリカ連合が独自案 日本「予想外の事態」

2005/07/04 The Sankei Shimbun

 アフリカ連合(AU、53カ国)は3日、リビア北部シルトで外相会合を開き、国連安全保障理事会の拡大問題をめぐり、アフリカに常任理事国2カ国を新たに割り当て、現在3カ国の非常任理事国アフリカ枠を5カ国に増やすよう求める独自決議案を国連総会に提出する方針で合意した。決議案を正式に承認するかどうかを主要議題に4日、AU首脳会議が開かれた。

 AUの独自案は、首脳会議にオブザーバー参加するため現地入りした日本外交筋が明らかにした。独自案提出は、常任理事国入りを目指す日本など4カ国(G4)にとって「予想外の事態」(日本外交筋)。G4はAUとの調整を急ぐが、7月中の「枠組み決議案」の採択を目指す戦略の見直しを迫られる可能性もある。

 首脳会議に出席した国連のアナン事務総長は「私は(国連の)改革について既に提案を行っている。この貴重なチャンスを逃さないようにしてほしい」と訴えた。

 AUの独自案は、常任理事国の全体の拡大幅を6カ国とし、枠組み決議案と近い内容。違いは、非常任理事国のアフリカ枠がG4案では計4カ国である点と、新常任理事国の拒否権についてG4案が15年後まで凍結する内容なのに対して、AU案は凍結期間を置かずに拒否権付与を求めた点にある。

 AUはG4に対して「(安保理拡大をめぐり)交渉したい」と持ち掛けているという。2つの決議案の一本化を視野に入れている可能性があるほか、G4の「枠組み決議案」をアフリカ側に有利な形で修正するのが狙いとの見方もある。

 新常任理事国のアフリカ枠には、ナイジェリアや南アフリカなど少なくとも6カ国が立候補を表明している。当初は今回の首脳会議で2カ国の選出を目指していたが、絞り込みは難航。首脳会議に先立つ外相レベルの協議でも進展は見られず、今回の会議での決着は困難視されている。(共同)

 <国連安全保障理事会常任理事国> 国際平和と安全の維持に責任を負う国連安全保障理事会の中で米国、英国、フランス、ロシア、中国の5カ国を指す。5カ国は改選の対象とならない上、安保理決議案を1カ国だけの反対で否決できる「拒否権」を付与されている。

 新たに常任理事国入りを目指す日本、ドイツ、インド、ブラジルの4カ国(G4)は、拒否権を15年凍結することなどを条件に多数派工作を展開している。安保理拡大の決議案採択には国連加盟国の3分の2、128カ国以上の賛成が必要。(共同)

枠組み決議案に事実上反対 国連改革で中露が共同声明

2005/07/04 The Sankei Shimbun

 ロシア大統領府は3日、国連の安全保障理事会常任理事国入りを目指す日本やドイツなど4カ国(G4)の枠組み決議案に事実上反対するロシアと中国の共同声明を発表した。

 声明は「(国連の)分裂を回避するため、合意の得られていない問題を決定しようと期限を押し付けることに反対する」としている。

 ロシアのプーチン大統領と胡錦涛・中国国家主席は、1日の首脳会談で調印した共同宣言の中でもG4の安保理改革案に対する慎重姿勢を表明。共同声明はこれをさらに強めたものといえ、9月の国連総会での枠組み決議案による決着を目指すG4にとってさらに不利な状況となった。

 共同声明は、胡主席のロシア訪問の成果をまとめた形で2日付で採択された。安保理改革について「(国連の)全加盟国の死活的利益にかかわる問題であり、最大限に広範なコンセンサス(合意)に基づいて決められるべきだ」と強調した。

 G4の枠組み決議案や、その採決にも反対する立場を示したものと受け取れ、日本の常任理事国入り自体には支持を表明してきたロシアが、日本の常任理入りを阻止したい中国に引きずられた形になった。(共同)

常任理入りへ理解要請 岡田氏、中国次官と会談

2005/06/25 The Sankei Shimbun

 民主党の岡田克也代表は25日午前、中国の戴秉国外務次官と都内のホテルで会談し、日中関係の現状などについて意見交換した。会談の詳しい内容は明らかにされていないが、岡田氏は日本の国連安全保障理事会常任理事国入り問題に関し「日本が常任理事国入りすることが双方の利益になる」と理解を求めたのに対し、中国側は前向きな反応を示さなかったという。

 出席者の一人は「両国間の現在の諸課題を克服し、友好的、長期的な関係構築を図るため、率直に話し合った。一部に厳しいやりとりもあった」と述べた。

 民主党が日程調整している7月の岡田氏の訪中についても意見交換。中国側は、アジア重視の姿勢を打ち出した岡田氏の「外交・安全保障政策ビジョン」を評価した。(共同)

米国案は日本に「重荷」 国連安保理拡大で独高官

2005/06/25 The Sankei Shimbun

 ドイツ政府高官は24日、国連安全保障理事会の常任理事国拡大について米国が日本を含む2カ国程度とする独自案を示したことに関し「日本にとって重荷になる」と述べ、常任理事国入りを目指す日本に逆効果をもたらす恐れがあるとの考えを示した。

 シュレーダー首相の訪米について記者団に説明した際に語った。

 同高官は、日本、ドイツ、インド、ブラジルの4カ国(G4)が掲げる改革案の方が、国連総会で加盟国の3分の2の支持を得て日本が常任理事国入りするための近道だと指摘した。その上で、米国がG4案を拒否し、日本だけを名指しで支持したことは「日本にとって大変不運だ」と強調。「米国からのプレゼントは日本の負担となっている」と述べ、米国案では多数の支持を得られないとの見方を示した。

 一方、AP通信は同日、シュレーダー首相が同通信との会見で「米国による明白なドイツ支持を望む」と述べたと伝えたが、同高官によると、27日に行われる同首相とブッシュ米大統領の首脳会談ではドイツの常任理事国入りに関する協議はない見通しという。(共同)

常任理入りの支持拡大を 町村外相、全大使に指示

2005/05/16 The Sankei Shimbun

 外務省は16日午前、世界各地に赴任している特命全権大使を一堂に集めた大使会議を同省内で開いた。町村信孝外相は冒頭、日本の国連安全保障理事会常任理事国入りを「小泉内閣の最重要課題」と強調、「圧倒的に多くの国がまだ態度不明だ。戦後60年、平和国家としてやってきた自信と誇りを持ってそれぞれの国を説得し、支持していただくよう尽力してほしい」と指示した。

 また、外相は「日本外交は曲がり角、八方ふさがりなどとの批判や意見があるが、ピンチはチャンス、どんな難しい問題も解決できないものはない」と指摘。ビジネス支援、積極的な情報公開、情報収集力の強化などを検討するよう求めた。

 大使会議は例年、地域ごとに開催しており、同時に全大使を招集するのは初めて。町村外相が「同じ思いを時間差なく伝えたい」と発案した。

 会議は18日まで3日間行われ、任地を離れられないイラク大使など数人を除く120人弱が出席する予定。経済団体幹部との意見交換会や、地域ごとの情勢分析、情報交換の分科会も予定している。(共同)

米国、拒否権付与に反対 日独など4カ国に通知

2005/05/16 The Sankei Shimbun

 15日付米紙ニューヨーク・タイムズによると、米国は同日までに、日本、ドイツ、ブラジル、インドの4カ国(G4)の国連安全保障理事会の常任理事国入りについて、拒否権保有を求めないことに合意しない限り支持しないとの立場をG4各国に伝えた。

 米政府当局者は同紙に対し、拒否権を持つ国が増えることで安保理機能がまひする可能性を指摘した。現常任理事国は安保理での発言権を弱める拒否権拡大には以前から反対とみられており、日本など各国は今後難しい対応を迫られそうだ。

 G4は、新常任理事国が「現常任理事国と同じ責任と義務」を持つとの表現で事実上、拒否権保有を主張した「枠組み決議案」の草案を、16日中に支援国に示す予定。G4の中では、インドが最も強く拒否権保有を主張している。

 同紙によると、ブラジルは、行使の権利を15年間凍結した形で拒否権を新常任理事国へ付与し、2020年に拒否権行使を認めるかどうかを国連が討議するとの折衷案の提示を検討中だ。(共同)

中国に妨害中止を働き掛け 国連常任理事国入りで米国務次官

2005/05/07 The Sankei Shimbun

 バーンズ米国務次官(政治担当)は6日、訪米中の額賀福志郎元防衛庁長官ら超党派の防衛関係議員と会談し、日本が目指す国連安全保障理事会の常任理事国入りについて、「中国に妨害しないよう働き掛けている」と述べ、日本の常任理事国入りを支援していく考えを表明した。

 米政府高官が、日本の安保理常任理事国入りに反対する中国に対し、妨害しないよう働き掛けていることを明らかにしたのは初めて。

 同国務次官は国連改革に関し「9月までに進展があるよう希望する」と述べ、9月までの合意を求めたアナン国連事務総長の勧告に沿って、米国として改革を推進していく考えを示した。

 また中国で起きた反日デモについて、中国に「懸念を示している」と述べ、日本との関係改善を促していると説明。日韓関係に関しても、両国の信頼関係維持の必要性を指摘した。

 さらに北朝鮮の核開発問題について、核問題をめぐる6カ国協議の再開に全力を挙げる考えを示す一方、北朝鮮が応じない場合に「外交的にどういう対応をするか考えている」と述べ、安保理付託などを検討していることを示唆した。(共同)

外相が国連総会議長と会談、常任理事国入りに協力要請

2005/04/30 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ニューヨーク=穴井雄治】町村外相は29日午前(日本時間30日未明)、ニューヨークの国連本部で、ピン国連総会議長と会談した。

 ピン議長は、安全保障理事会常任理事国拡大を目指す日本、ドイツなど4か国グループと、これに反対する韓国、イタリアなどのグループの意見を調整するため、両グループによる会合を来週にも開催する考えを明らかにした。

 町村外相は、日本の常任理事国入りに対する協力を要請した。ピン議長は「(常任理事国拡大に反対し)コンセンサスを主張するグループも、日本への支持は問題ない」と述べた。

拒否権なしでも安保理拡大自体が前進…アナン事務総長

2005/04/28 読売新聞 Yomiuri On-Line

 国連のアナン事務総長は28日、訪問先のニューデリーで演説し、国連安保理改革について、「拒否権なしでも安保理拡大自体が大きな前進だ」と述べ、安保理常任理事国入りを目指すインドなどが拒否権にこだわる姿勢を暗にけん制した。

 アナン氏は前進の理由として「現在、多くの国が披露できない様々な見解を、安保理は聞くことになる」と述べた。

 アナン氏はまた、記者会見で、5常任理事国が新たに拒否権を持つ国を認めることはないとの見解を示した。(ニューデリー支局)

国連安保理拡大協議 北が対日非難、中露も難色

2005/04/29 The Sankei Shimbun

 【ニューヨーク=長戸雅子】国連総会は二十七日、「国連の強化」をテーマにした非公式協議を行った。このなかで中国と北朝鮮が相次いで日本の常任理事国入りに強く反対する考えを示し、特に北朝鮮はジャカルタで行った小泉純一郎首相の過去の「おわび」演説を「ごまかし」と表現し、否定する強硬な態度に出た。

 中国の王光亜国連大使は改めて「総意」に基づく安保理の拡大を主張し、二つの拡大案をめぐって加盟国間で深い意見対立があるとして「第三の代替案の検討」に初めて言及した。

 アナン事務総長が加盟国に求めた九月までの合意に対しては、前回の演説に続いて「人為的な期限」と反対を示し、さらに「幅広いコンセンサスを欠いたまま、改革案を投票で押し通すことは拒否する」と強調した。

 先に「広範な合意形成への努力」を主張したロシアもこの日、コヌジン国連次席大使が「人為的な期限の設定は役に立たない」と述べ、中国と歩調を合わせた。

 また、北朝鮮の金昌国・国連次席大使は「北東アジア地域で常任理事国入りを公式に表明している国」として日本の名指しは避けながらも、「この国が財政的貢献を理由に常任理事国になることを許されたら、国際正義や平和、国連の信頼性について語ることができなくなる」と主張。「前世紀にこの国に侵略された近隣国は、この国のいまの世代や歪曲(わいきよく)された歴史を教え込まれた次世代による戦争虐殺の可能性を懸念し、常任理事国入りに反対している」などと激しい日本非難を展開した。

 これに対し、日本の小澤俊朗大使は答弁権を行使、「常任理事国にふさわしいか否かは、国際の平和と安全の維持に対する貢献度で判断されるべきだ」と反論し、日朝関係については正常化に向けて真剣に努力していると強調した。

 この日は十六カ国が登壇し、英国やフランスは日本の国名をあげて支持を表明した。日本と米国は二十八日に演説する。

日本の常任理事国入り 中国と北朝鮮が強い“反対”

2005/04/28 The Sankei Shimbun

 国連総会で27日から始まった国連の機構改革をめぐる非公式協議で、中国と北朝鮮が名指しは避けながらも、日本の常任理事国入りに強い反対を表明した。

 中国の王光亜・国連大使は、アナン事務総長が勧告した安全保障理事会の拡大2案に替わる第3案の必要性に初めて言及した。

 北朝鮮の金昌国・国連次席大使は日本非難を展開。「首相レベルでの謝罪はすべてごまかしで、この国の二重人格性を露呈した」と指摘。ジャカルタでのアジア・アフリカ首脳会議で小泉純一郎首相が行った過去の侵略への反省と謝罪を受け入れることを真っ向から拒否した。

 王大使は、安保理拡大について(1)途上国を優先し中小国にも意思決定参加の機会を与える(2)アナン勧告をめぐり加盟国間の対立が深刻化していることから第三の代替案の検討が必要(3)無理な期限設定と広範な合意を欠いた改革案の押しつけは拒否−などと主張した。

 北朝鮮の金大使は「国連への財政貢献に配慮した形での常任理事国拡大を認めることはできない」と主張した。

 27日の協議では計16カ国が意見表明。英国やフランスが日本などの国名を挙げて支持を表明した。日本や米国は28日に演説する。(共同)

日本の常任理事国入りに反対 北朝鮮

2005/04/04 The Sankei Shimbun

 北朝鮮の国営朝鮮中央通信は4日、日本の国連安全保障理事会常任理事国入りについて「過去の侵略に対する反省と清算を要求する周辺国への公然たる挑戦」などと、反対の立場を明確にする論評を出した。

 論評は、日本の自衛隊海外派遣や憲法改正の動きが「地域の不安定性を生み出している」と非難、「戦犯国日本の海外侵略策動を警戒すべきだ」と訴えた。

 一方、朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は同日、日本人拉致問題や6カ国協議再開に関し、日本で北朝鮮への経済制裁の可能性が示されていることに反発、「日本は本来、6カ国協議に参加する資格はない」とあらためて主張した。(共同)

首相、あす4カ国歴訪へ 常任理入りへ環境整備

2005/04/26 The Sankei Shimbun

 小泉純一郎首相は28日からインド、パキスタン、ルクセンブルク、オランダの4カ国歴訪へ出発する。国連改革が議題となる9月の国連総会特別首脳会合を控え、日本の国連安保理常任理事国入りに向けた環境整備を図るのが狙いだ。

 首相は29日にインドのシン首相と会談し、共に安保理常任理事国入りを目指す立場から国連改革での緊密な連携を確認する。インド財界との昼食会に出席し、自由貿易協定(FTA)締結の可能性や日本からの投資拡大に向けた対策をめぐり意見交換。日本語教育に力を入れている中学校や日本の円借款で建設した地下鉄を視察する予定だ。

 30日にパキスタン入りし、ムシャラフ大統領と会談、国際テロ対策強化などを協議する。パキスタンはインドとの対抗上、日本などが目指す「常任理事国6カ国増」案に反対しており、理解を求める考えだ。

 5月1日には欧州連合(EU)議長国のルクセンブルクに飛び、2日にバローゾEU委員長と会談。この後、オランダでバルケネンデ首相と会い、陸上自衛隊が活動するイラク南部サマワの治安をオランダ軍が担当していたことに謝意を伝え、3日に帰国する。(共同)

セネガルも常任理入り希望 アフリカから6カ国目

2005/04/20 The Sankei Shimbun

 西アフリカのセネガルからの報道によると、同国のガディオ外相は19日までに、国連安全保障理事会の拡大問題で日本などが推す常任理事国6カ国増案への支持を確認した上で、セネガルが常任理事国に立候補する考えを明らかにした。

 アフリカ連合(AU)は常任理事国にアフリカから少なくとも2カ国を割り当てるよう求めている。既にエジプト、リビア、ナイジェリア、ケニア、南アフリカの5カ国が立候補しており、セネガルは6番目。

 セネガルは旧宗主国フランスとの関係が密接で、サハラ砂漠以南のフランス語圏の代表格を自負しており、アフリカ代表を絞り込む作業は一層難しくなりそうだ。

 ガディオ外相は首都ダカールでの記者会見で「歴史、(自国の)外交の質の高さ、政治安定度などを考慮すると、セネガルは(常任理事国に)最もふさわしい」と説明。国連平和維持軍参加の実績なども強調した。(共同)

ODAを0.7%に増額 独、常任理入り目指し検討

2005/04/17 The Sankei Shimbun

 18日発売予定のドイツ週刊誌シュピーゲルによると、ドイツ政府は現在、国内総生産(GDP)比0.28%程度である政府開発援助(ODA)を2014年までに0.7%まで引き上げることを検討している。

 国連のアナン事務総長が3月に公表した国連改革に関する勧告で、先進国に対しODAを15年までに対国民総生産(GNP)比0.7%に増額するよう求めたことを受けた措置で、安全保障理事会常任理事国入りを目指すドイツの強い意欲を示す狙いがある。

 同誌によると、ドイツの国連大使が先週、この計画について国連の会合で表明した。(共同)

「日本の常任理事国入りは当然」 英誌、中国を批判

2005/04/16 The Sankei Shimbun

 【ロンドン=時事】十五日発売の英誌エコノミストは、日本の常任理事国入りなくして国連安保理の拡大はあり得ないと主張する社説を掲げ、中国が歴史問題を理由に日本の常任理事国入りに否定的な立場を取っていることを批判した。

 同社説は、中国での反日デモが日本の常任理事国入りへの反対を叫んでいることを紹介。その上で、常任理事国にインド、ブラジルなどを加えて日本を除外することは、日本人への侮辱であるばかりでなく、安保理拡大そのものを無意味にすると指摘した。

 そして「日本は拡大安保理に加わって当然であり、とりわけ中国が東アジアの将来を思い通りにできないことを知るようになるには、日本の参加が必要である」と述べ、日本の常任理事国入りを支持する立場を明確にした。

安保理拡大 「早急な改革反対」 会合に119カ国・機関

2005/04/12 The Sankei Shimbun

 【ニューヨーク=長戸雅子】国連安全保障理事会の常任理事国拡大に反対するイタリア、パキスタン、韓国など反対派九カ国は十一日午後、「関心国会合」をニューヨーク市内のホテルで開いた。常任理事国の米中露をはじめ北朝鮮など百十九カ国・機関の代表が参加した。

 会合には、常任理事国入りを目指して共闘する日本、ドイツ、ブラジル、インドの四カ国グループ(G4)は招待されなかった。

 主催の九カ国はそれぞれ本国から外相級の責任者が参加、イタリアのフィーニ外相は「もっとも幅広い合意を得られる改革案について柔軟に話し合っていきたいが、早急な改革には反対だ。九月の首脳会合で安保理改革が主眼になることには賛成しない」と述べた。米国が七日の総会特別会合で行った演説と同趣旨の「改革慎重論」だ。

 また、韓国の千英宇・外交通商省外交政策室長も「安保理改革という重要な問題は対決的な状況で決められるべきではない。きょうの会合のメッセージは先を急ぎすぎる国に対して向けたものでもある」と日本などの動きを強く牽制(けんせい)した。

 千氏はさらに、アナン事務総長が加盟国に促した期限設定に対して米中が反対したことを歓迎する姿勢を表明した。百九十一カ国もの総意形成が可能かどうかについては「G4次第だ」と述べ、G4側に譲歩を迫るとともに、任期四年の準常任理事国新設案が「最も民主的」とし、支持することを改めて強調した。

 G4は三月三十一日、支持拡大を目指した会合を開催し、約百三十カ国が参加した。

北朝鮮核問題、安保理付託も ボルトン氏が公聴会証言

2005/04/12 The Sankei Shimbun

 ブッシュ米大統領が次期国連大使に指名した政権内強硬派のジョン・ボルトン国務次官(56)は11日、上院外交委員会の指名公聴会で証言。北朝鮮の核問題などを国連安全保障理事会に付託することは「安保理の重要なポイントだ」と言明、同核問題の安保理付託は選択肢との認識を明確にした。

 国連改革について「国連は米国の指導力を必要としている」と強調。世界の自由と民主主義を支持する「強くて効率的」な組織づくりの必要性を訴え、ブッシュ大統領が政権2期目の目標に掲げる「自由の拡大」を国連も巻き込んで推進する方針を表明。

 日本の安保理常任理事国入りでは、日本の主張は「近年ますます説得力をもってきている」と評価した。

 ボルトン氏はイラク戦争を主導したネオコン(新保守主義)の中心人物の一人で、国連批判発言を繰り返した経緯がある。このため、野党民主党だけではなく、与党共和党の一部からも承認への慎重論が出ており、指名承認されるかどうかは微妙な情勢だ。同委員会の党別の内訳は共和党10人、民主党8人。

 ボルトン氏は、国連改革について、自由と民主主義への支持と、不拡散問題を主軸に据え「対テロ戦争」の勝利を目指す考えを表明。さらに、スマトラ沖地震と津波による被害への国際支援を例に、人道援助分野での国連の結束を訴えた。

 ボルトン氏は、イラク戦争前に大量破壊兵器に関して自らと意見が異なる情報機関スタッフに圧力をかけたとされ、関係者が公聴会で証言する可能性もある。(共同)

 ボルトン米国務次官が11日、上院外交委で証言した内容の要旨は次の通り。

 一、北朝鮮核問題などを国連安全保障理事会に付託することは重要なポイントだ。

 一、安保理常任理事国入りを求める日本の主張は、近年ますます説得力をもってきている。

 一、世界の自由と民主主義を支持し平和と安全を促進する強くて効率的な国連改革が必要だ。

 一、国連は米国の指導力を必要としている。

 一、スマトラ沖地震と津波による被害への国際支援など、人道援助分野で国連の結束を強化。(共同)

中国:日本の常任理事国入り反対署名運動

2005年3月28日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 中国の広東、湖南、河南、陝西の各省と重慶市で25日から27日にかけて、日本の国連安全保障理事会常任理事国入りに反対する市民や学生による街頭での大規模な署名運動が起き、全国に拡大しそうな勢いだ。運動はインターネット上でも展開され、中国の3大ポータルサイトで28日午後現在、合計960万人以上の署名が集まっている。

 「日本は侵略を反省しておらず、国際社会で政治大国の役割を担うのにふさわしくない」(ネット市民の声)という反日感情が背景にある。

 中国紙、南方都市報(電子版)によると、広東省広州市では26日、旧日本軍が中国を侵略した際の写真を張り付けた横断幕に1万人以上が署名。同市の日本総領事館は「活動はあったが詳細は不明。デモ計画の情報もあった」としている。

 成都商報(電子版)などによると、25日に大学生らが署名運動をした重慶市では、高齢者が旧日本軍による重慶爆撃の悲劇を語り、最近の教科書問題を批判。河南省鄭州や湖南省長沙、陝西省西安でも1000人から1万人の署名運動が起きた。

 ネット上での反対署名運動は3月中旬から盛んになり、10以上のウェブサイトが実施。24日に中国外務省報道官が「署名運動は、日本に歴史問題で正しい態度を取るよう要求している」と支持発言をしたと伝えられたことから勢いづき、街頭での署名活動に発展したようだ。(上海・共同)

労働保険、05年度から強制加入へ

2005/03/30 読売新聞 Yomiuri On-Line

 厚生労働省は30日、労働保険(雇用保険、労災保険)に未加入の事業所に対し、各都道府県にある国の出先機関の都道府県労働局が職権で強制的に加入させる措置を2005年度から始めると発表した。

 31日に全国の都道府県に通知する。

 厚労省によると、経営難の事業所を中心に、今年度は全体のおよそ2割の54万事業所が未加入だと推計している。新年度はこのうち、悪質な8万事業所を対象に強制加入を行う考えだ。

 また、従業員が失業したり事故に遭ったりした場合、加入指導に応じない事業所でも一定の給付を受けられるが、未加入の事業所には給付しない方向で検討する。これを事実上の罰則導入としたい考えだ。

大統領、日本の「常任」入り支持 日仏首脳会談

2005/03/27 The Sankei Shimbun

 小泉純一郎首相は27日夕、フランスのシラク大統領と都内の外務省飯倉公館で会談した。首相と大統領は会談で、国連改革に関するアナン国連事務総長の勧告を支持することで一致、大統領は日本の国連安全保障理事会常任理事国入りに支持を表明した。

 欧州連合(EU)が検討中の中国に対する武器輸出禁止措置の解除について、首相は北東アジアの安全保障体制に影響を及ぼしかねないとして懸念を表明した。大統領は「天安門事件に対する制裁措置を解除するだけで、対中武器輸出を増加させるわけではない」と説明、理解を求めた。

 7月に英国で開催される主要国首脳会議(グレンイーグルズ・サミット)で主要議題となるアフリカの開発支援や地球環境問題についても意見交換。イラク復興支援での協力やイランの核開発、日本とフランスで建設候補地を争っている国際熱核融合実験炉(ITER)問題も取り上げられる見通し。

 同大統領の来日は2000年7月の主要国首脳会議(沖縄サミット)以来で約5年ぶり。(共同)

豪兵死んでも日本に責任ない…来日の外相、明言

2005/03/22 読売新聞 Yomiuri On-Line

 来日中のダウナー・オーストラリア外相は22日、都内で演説し、陸上自衛隊の駐留するイラク南部ムサンナ県サマワの治安維持任務を担当するため増派される豪軍兵士の間に死傷者が出ても、「増派は豪州の決断であり、日本に責任を取らせるようなことは決してない」と述べた。

 ダウナー外相は、「イラクを見捨てて暴徒とテロリストの手に渡すわけにはいかない」と話し、約450人の豪軍増派は「安全保障と戦略分野の協力における豪州の強い決意を示すものだ」と強調した。

 豪軍は近くサマワに派遣され、英軍とともに治安維持にあたる。

 外相はまた、国連安保理常任理事国の拡大について、「日本の常任理事国入りを支持する」と明言した。

日本の常任理入りに初言及 拒否権付与は困難か

2005/03/22 The Sankei Shimbun

 国連のアナン事務総長は21日午前(日本時間22日未明)、国連改革に関する勧告をめぐり記者会見し、焦点の安全保障理事会拡大について、事務総長が勧告で示した2案のうち加盟国が常任理事国の6カ国増加で合意した場合には「アジア地域の割り当て2カ国のうち1つはもちろん日本に行く」との見通しを明らかにした。

 加盟国間の利害が対立している安保理拡大問題で、事務総長が具体的な国名を挙げるのは極めて異例で、外交筋によると、日本に直接言及したのは今回が初めて。

 また、勧告で拒否権に触れなかった点について「一般的な見方として、新たなメンバーに拒否権を与えることは受け入れられないだろうし、現在の常任理事国も拒否権を取り去られることを望んでいない」と述べ、新たに安保理に加わる国への拒否権の付与は事実上困難との考えを示した。

 事務総長は「勧告の狙いは安保理の不均衡に取り組むことだ」と強調。常任理事国6カ国増案に加盟国が合意した場合と断った上で「アフリカから2カ国、アジアから2カ国、中南米から1カ国、アジアの1カ国はもちろん日本に行く。欧州も代表を得るだろう」と語った。

 事務総長は「たとえ(新メンバー国が)拒否権を持たなくても(安保理は現在より)ずっと民主的になるだろう」と述べた。

 事務総長は会見に先立ち、国連総会に勧告内容を報告した。

 日本の大島賢三国連大使は21日、記者会見し、安全保障理事会の常任理事国入りを目指して、今月31日にニューヨーク市内で「関心国会合」を開く計画を明らかにした。

 日本の常任理事国入りに理解や支持を表明している加盟国の国連大使を招き、支持取り付けを推進する狙いで、昨年12月に国連本部で開催して以来2回目。

 日本の国連代表部によると、今回はアナン事務総長が国連改革の勧告を発表した直後でもあり、常任理事国増に向けた決議案提出など、今後活発化する外交戦の"緒戦"と位置付けている。

 また、日本、ドイツ、ブラジル、インドの4カ国グループ(G4)は今月末に各国政府外務省の局長級会合も開き、結束を強化する。

 日本などの動きに対抗して、イタリアやパキスタンなど常任理事国拡大に反対する諸国も4月にニューヨークで会合を開く予定だ。(共同)

「敵国条項」削除を明記…国連アナン報告書

2005/03/21 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ニューヨーク=勝田誠】20日に公表されたアナン国連事務総長の報告書は、国連憲章のいわゆる旧敵国条項について、「時代錯誤」だと指摘し、削除することを勧告した。

 旧敵国条項は、第2次大戦で連合国の敵だった国を「敵国」として言及しているもので、憲章第53条、第107条が該当する。

 名指しはしていないが、日、独、伊などが「敵国」にあたる。

 旧敵国条項は、国連が国際社会の現状を反映していない表れとして批判されており、日本などにとって、その削除が長年の懸案となっている。

PKO部隊の性的虐待、リベリア・ブルンジなどでも

2005/03/14 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ニューヨーク=大塚隆一】13日付の米紙ワシントン・ポストは、国連の平和維持活動(PKO)部隊がリベリア、ブルンジ、ハイチなどでも少女に対する性的虐待事件を起こしている疑いがあると報じた。

 国連は1月に発表した報告書で、コンゴ民主共和国(旧ザイール)に展開する国連コンゴ監視団(MONUC)の兵士らが食料や現金と引き換えに、避難民少女らを買春していたことを明らかにしたばかり。

 同紙が入手した国連の内部文書によると、リベリアではナミビアの兵士などが現金10ドルや食料と引き換えに買春行為を行っていた。

 ある国連当局者によると、世界に展開する17のPKO部隊のほとんどすべてで同様の性的虐待事件が起きているという。

テロ防止包括協定を提唱 国連事務総長演説

2005/03/11 The Sankei Shimbun

 アナン国連事務総長は10日、マドリードの列車同時爆破テロから1年を機にマドリードで開かれた「治安・テロ・民主主義首脳会議」で演説し「あらゆる形のテロを非合法化する包括的協定」の策定を提唱した。

 国連がテロ対策を21世紀に直面する重要課題と位置付け、封じ込めに取り組む強い決意を示したといえる。

 アナン事務総長はまた「核によるテロの危険性が現実となっている」とし「核テロが起きれば、大量の死者と破壊をもたらすだけでなく、世界経済を打ち壊し数千万人を貧困に突き落とす」と警告、テロリストの核物質入手を防ぐことが世界の安全保障にとって「最も死活的な問題だ」と述べた。

 事務総長はどんな大義もテロを正当化できないとした上で「テロとの戦いでも人権と法の支配を尊重しなければいけない」と指摘、「人権を犠牲にすることはテロリストに勝利を与えることだ」と強調した。

 テロと戦う包括的な世界戦略として(1)市民社会、宗教指導者がテロを容認しない(2)マネーロンダリング(資金の洗浄)の取り締まり強化(3)テロ支援国家に対する制裁(4)貧困国への経済援助−などの重要性を強調した。

勧告に常任理拡大明記を 日本などが国連総長に要望

2005/03/09 The Sankei Shimbun

 国連安全保障理事会の常任理事国入りを目指す日本、ドイツ、ブラジル、インドの4カ国の国連大使が8日、アナン事務総長と会談し、今月末に発表する国連改革の「事務総長勧告」に常任理事国拡大を明記するよう求めた。

 4カ国の大使が一堂に会して事務総長と会談するのは昨年末以来4度目で、「勧告」発表を前に事実上最終の申し入れとなった。

 ただ国連筋などによると、事務総長は「勧告」で、国連の高級諮問委が昨年末に提言した(1)常任理事国6カ国増(2)準常任理事国8カ国新設−の両案について明確に一方の案を支持することは避け、あくまで安保理拡大の必要性を訴えるのにとどめる見通しという。

 「勧告」の発表は当初今月半ばの予定だったが、作成作業の遅れなどで25日から月末にかけてとなる見通しが強まっている。

 日本の大島賢三国連大使は会談後、「加盟国約160カ国のうち約120カ国が国連総会の会合で安保理拡大支持を表明したことを伝え、高級諮問委が提言した『常任理事国6カ国増案』を盛り込んでほしいと申し入れた」と強調。「事務総長からは留意するとの反応を得た」と語った。(共同)

常任理6増支持を正式決定 国連改革でAU外相会合

2005/03/08 The Sankei Shimbun

 国連安全保障理事会の拡大問題についてアフリカ連合(AU、53カ国)は8日、エチオピアでの外相特別会合で、日本などが推す「常任理事国6カ国増案」への支持を正式決定する。

 AUは2月下旬、アフリカ南部スワジランドで外相特別委員会を開き、国連改革に関する高級諮問委員会が示したA案にほぼ沿う形で、常任理事国6カ国増を支持する提言をまとめていた。外交筋によると、7日に始まった外相特別会合の非公開討論で、提言への反対意見はなかった。

 提言などによると、AUはアフリカに少なくとも2カ国の常任理事国と5カ国の非常任理事国を割り当てるよう要求。安保理の拒否権は撤廃が望ましいとの立場だが、現行の常任理事国5カ国が拒否権を維持し続ける限り、新たに選出される常任理事国も拒否権を得るべきだとしている。

 AUは今回の特別会合の決定を国連のアナン事務総長に伝える予定。

 日本政府は6月にも、常任理事国枠の拡大を求める決議案を国連総会に共同提出する方針。約190カ国に上る国連加盟国の4分の1以上を占めるAUの正式決定は、常任理事国入りを目指す日本やインドとしては、全加盟国の3分の2以上の賛成が必要な国連憲章の改正に向けて前進だ。

 アフリカの常任理事国枠をめぐっては、これまでエジプト、リビア、ナイジェリア、南アフリカの4カ国が立候補。AUはここから2カ国を絞り込む必要があり、調整作業には困難が予想されている。(共同)

ODAの大幅増要請、国連総長特別顧問が外相と会談

2005/03/07 読売新聞 Yomiuri On-Line

 アナン国連事務総長の特別顧問を務めるジェフリー・サックス米コロンビア大教授は7日、外務省で町村外相と会談し、日本の政府開発援助(ODA)について「国民総生産(GNP)の0・7%の目標達成に尽力してほしい」と述べ、大幅な増額を求めた。

常任理6増案を正式支持へ 安保理改革でAU外相会合

2005/03/07 The Sankei Shimbun

 国連安全保障理事会の拡大問題について協議するアフリカ連合(AU)の外相特別会合が7日、エチオピアの首都アディスアベバで2日間の日程で開会した。AUは2月下旬、アフリカ南部スワジランドで非公開の外相特別委員会を開き、日本政府などが推す「常任理事国6カ国増案」支持で合意しており、外相特別会合で正式にAUの方針として決定する予定。

 常任理事国入りを目指す日本政府は、6月にも6カ国増案を盛り込んだ国連総会決議案を共同提案する方針。アフリカ諸国は約190カ国に上る国連全加盟国の4分の1以上を占める「大票田」で、AUの決定は国連総会の決議採択に必要な3分の2の賛成票確保に向け、大きな前進を意味する。

 6カ国増案ではアフリカ地域に2カ国を割り当てると規定。これまでエジプト、リビア、ナイジェリア、南アフリカの4カ国が常任理事国入りの意思を表明したが、アフリカの代表として2カ国をどう絞り込むかが難題とみられている。(共同)

常任理枠拡大を先行 国連改革で外相表明

2005/03/05 The Sankei Shimbun

 町村信孝外相は5日午後、国連改革をテーマに都内で開いた外務省主催の対話集会で、国連安全保障理事会の常任理事国拡大を求める決議案をまず提出し、その後に日本を含む具体国名を決める決議案を提出する「二段階方式」で調整を始めたことを明らかにした。

 外相は対話集会後の記者会見で、ドイツ、インド、ブラジルとの共同提案を目指す意向を示した上で「(日本を含めた4カ国の共同提案について)完全に合意に達しているわけではない。国によって違いがある」と指摘した。

 同時に「日本としてはまず枠を広げ、その後に具体名(国名)を挙げるのがいいのかなという感じがしている」と調整を急ぐ考えを示した。この4カ国それぞれの常任理事国入りには、近隣諸国などから反対があることから、具体的な国名を入れず、枠の拡大を先に実現させる狙いがある。

 外相は各国の支持取り付けのため、5月の連休明けにも全大使を東京に集めた会議を開く方針を明らかにした。

 対話集会で外相は、常任理事国入りの意義について「国際社会での発言力強化、平和と安定への建設的な役割、アジアの代表性を改善させられる。国益にかなうし、世界の安全と平和に役立つ」と強調した。

 国際貢献の目安とされる政府開発援助(ODA)について「できれば2006年度以降の予算を増加させたい」と述べた。(共同)

常任理事国増加案、韓国やアルゼンチンが反対表明

2005/01/30 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ニューヨーク=勝田誠】国連改革について討議する国連総会非公式会合で28日、アルゼンチン、韓国などは、安全保障理事会の常任理事国を増やす案について、反対意見を表明した。

 各地域の有力国をけん制したい二番手の国の警戒感が表れたものだ。安保理拡大については、日、独などは常任理事国(現在5か国)を6か国増やす案を支持。アルゼンチン、韓国などは、任期4年で再選可能な準常任理事国(8国)を新設する案を支持している。

英軍がサマワで活動開始 オランダ軍後の情報収集か

2005/01/30 The Sankei Shimbun

 イラク南部バスラに駐留する英軍の報道官は29日、英軍部隊がイラク国民議会選挙の治安確保のため、陸上自衛隊が駐留する南部サマワ一帯で数日前から活動を始めたことを明らかにした。

 英軍は、サマワを州都とするムサンナ州から3月に撤退するオランダ軍の治安維持任務を引き継ぎ、陸自の安全確保にも当たることを決めており、これに向けた情報収集も行っている可能性がある。

 報道官は、今回の派遣は、オランダ軍撤退後の展開と関係はないとしている。

 英軍は派遣人数は明らかにしていないが、サマワの警察当局によると、英軍車両20台がサマワ入りし、サマワ近くの基地を拠点に、陸自宿営地付近などをパトロールしながら写真撮影などを行っている。宿営地近くの住民も、英軍が宿営地周辺を度々パトロールしているのを見たと語った。

 ムサンナ州関係者によると、ハッサン州知事と英、オランダ、イタリア各軍の幹部が24日、サマワで会談した。(共同)

アチェ停戦合意できず 近く第2回開催へ

2005/01/30 The Sankei Shimbun

 インドネシア政府と独立派武装組織「自由アチェ運動」(GAM)がヘルシンキで続けていた和平協議が29日、予定より1日早く終了し、暫定停戦などの合意は実現しなかった。

 仲介したアハティサーリ前フィンランド大統領は近く第2回協議をヘルシンキで開催したい考えを表明。ロイター通信によると、政府代表団の1人は協議再開で原則合意していると述べた。

 協議は、スマトラ沖地震で最大の被害を受けたインドネシア・アチェ州で救援活動が円滑に進むよう暫定停戦で正式合意できるかが焦点だった。しかし、GAM側が独立を求める一方、政府は国家統一の堅持で譲らないなど双方の思惑の隔たりから停戦問題も先送りされた形だ。

 一方、前大統領によると、双方とも救援活動が続く間は敵対を控える姿勢も示したという。

 一昨年5月に東京で決裂して以来となった今回の和平協議は28日に始まり、当初は30日まで続く予定だった。(共同)

アフリカ支援、紛争予防に重点…4月の会議で首相表明

2005/01/23 読売新聞 Yomiuri On-Line

 政府は22日、これまで教育分野などへの無償資金協力を中心にしてきたアフリカ支援策を見直し、紛争予防などに重点を置く新たな支援策の骨格を固めた。

 今後、紛争処理の支援金を増額し、紛争予防をテーマにした閣僚級会合を開催することを検討している。小泉首相が4月にインドネシアで開かれるアジア・アフリカ会議(バンドン会議)首脳会議に出席し、表明する考えだ。

 これまで、日本はアフリカ支援について、〈1〉保健医療、教育など基礎的な生活分野への無償資金協力〈2〉経済成長への貢献〈3〉紛争や内戦処理に協力する「平和の定着」――を3本柱としてきた。

 アフリカでは今なお、紛争や内戦が頻発し、地域の発展が遅れているため、政府は紛争処理や再発防止の支援に最優先に取り組むことにした。

 背景には、日本が今年から国連安全保障理事会の非常任理事国となり、国際紛争の調停に積極的にかかわる立場となったことや、常任理事国入りに向けてアフリカ諸国の支持を取り付ける狙いもある。

 具体的には、〈1〉アフリカ連合(AU)の紛争処理への取り組みを支援するため、2005年度に前年度の倍の25万ドルを拠出する〈2〉今年夏、アフリカの十数か国に呼びかけ、紛争解決をテーマにした首脳・閣僚レベルの会議を開催する〈3〉スーダン和平に関連し、紛争地域から周辺に避難していた避難民の帰還などを支援する――などを検討している。

 アジア・アフリカ間の協力も強化する方針だ。両地域間の貿易や投資を活性化するため、関連法整備や政府開発援助(ODA)を活用した道路・港湾建設などの面で支援する考えだ。

 ◆アジア・アフリカ会議=中国、インド、インドネシアなど29か国が参加して1955年4月、インドネシア・バンドンで初めて開かれた会議。反帝国主義などをうたった「バンドン宣言」を採択した。

 今年で50周年を迎えるのを記念し、4月21日から2日間、インドネシア・ジャカルタで、約100か国が参加する首脳会議が開かれる。

安保理、日本参加し初会合

2005/01/06 The Sankei Shimbun

 国連安全保障理事会は5日、日本の大島賢三国連大使をはじめ、新たに非常任理事国となった5カ国の大使が参加し、今年初の非公式会合を開いた。

 安保理は、スマトラ沖地震の津波による犠牲者に黙とうをささげ、遺族に哀悼の意を表明。国連と国連緊急援助調整官室(OCHA)の救援・復興活動を評価し、11日にジュネーブで開催される支援国会議と18日から神戸で始まる国連防災世界会議への支持を表明した。

 大島大使は会合後、記者団に対し、日本が安保理の下部機関の1つである「平和維持活動(PKO)作業部会」の議長国になったと発表。「非常任理事国として今後、スーダン和平のあり方など紛争解決で具体的成果が出るよう努力していく」と述べた。

 日本が安保理入りしたのは1997−98年以来9回目で、任期は1月1日から2年間。デンマーク、ギリシャ、アルゼンチン、タンザニアが日本とともに非常任理事国入りした。(共同)

国連改革

:政府、憲章改正案を提出へ 十数カ国共同で2005年01月01日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 国連安全保障理事会の常任理事国入りを目指している政府は、4月にも国連憲章の改正決議案を十数カ国で共同提案する方向で調整に入った。9月に予定されている国連ミレニアム宣言に関する首脳会合の場で安保理改革が取り上げられることから、政府は05年を「安保理改革の最後のチャンス」と位置づけ、決議案採択に向け各国への働きかけを強める方針だ。

 日本は常任理入りを目指すドイツ、インド、ブラジルとともに「4カ国連合(G4)」を結成し、安保理改革に向けた戦略を組み立てている。しかし、改正決議案を提出するには「G4だけでは足りない」(外務省幹部)として、さらに10カ国程度の協力が不可欠と判断した。

 04年12月にはニューヨークで、日本の常任理事国入りを支持する68カ国が集まり「関心国会合」を開いた。政府は今後も、この種の会合を活発に開き、共同提案国を募っていきたい考えだ。

 改正決議案は、まず常任理事国と非常任理事国の枠を拡大し、具体的な国は選挙で決定するとの決議案を提出し、その後、時間をかけずに選挙を行う案が有力視されている。アナン事務総長が3月に総会に報告する改革案の内容によっては、準常任理事国を創設し任期を10年とする決議案なども検討する。

 総会で改正決議案が採択されるには、加盟191カ国の3分の2以上にあたる128カ国以上の賛成が必要。改正が発効するには、現在の常任理事5カ国すべてを含む3分の2以上の批准が必要となる。米国は日本の常任理入りしか支持しておらず、日本としては他のG4諸国とどこまで共同歩調を取るかで難しい判断を迫られることも想定される。【高塚保】

国連欧州本部に盗聴機 報道官が確認

2004/12/17 The Sankei Shimbun
 閣僚訪問などの際に使われるジュネーブの国連欧州本部の一室に盗聴機が仕掛けられていたとスイスロマンド・テレビが報じ、同本部報道官が17日、報道内容を確認した。

 今年2月、ショート英元国際開発相が英情報機関によるアナン国連事務総長の電話盗聴を暴露。英国や米国による国連幹部らへの盗聴疑惑が広がったが、国連が盗聴機の存在を公式に発表したのは初めてとみられる。

 同テレビによると、国連欧州本部1階の「サロン・フランセ」と呼ばれる部屋の壁の木製羽目板裏に、マイクと送信機が埋め込まれているのが今秋の改装工事の際に見つかった。

 同テレビが専門家に装置の映像を見せたところ、大きさなどの特徴からロシアか旧東欧圏の3、4年前の製品と鑑定された。

 この部屋は昨年9月、国連安全保障理事会の常任理事国外相がイラク情勢を協議した際、フランス代表団の控室として使われた可能性があるという。(共同)

常任理入りで支持要請 総会議長に日本など4カ国

2004/12/14 The Sankei Shimbun
 国連安全保障理事会の常任理事国入りを目指す日本、ドイツ、ブラジル、インドの4カ国の国連大使が13日午前(日本時間13日深夜)、ピン国連総会議長と会談し、支持を要請した。

 川口順子首相補佐官も同日午後(同14日未明)、国連本部を訪れ議長と会談。国連改革のための高級諮問委員会が提言した「常任理事国6カ国増案」を日本政府として支持する方針を正式に伝えた。

 4カ国大使は今月7日にアナン事務総長とも会談、初めて一堂に会して常任理事国入りの意思を表明した。安保理拡大をめぐる国連総会の協議は既に始動、これらの会談は今後の議事運営に大きな影響力を持つ総会議長の支持獲得が狙いで、日本などは外交活動を活発化させている。

 日本の国連代表部によると、川口補佐官はピン議長に「常任理事国入りに(反対するような)一部に建設的でない国もあるが、加盟国は国連の将来をもっと真剣に考えるべきだ」と語り、暗にイタリアやパキスタンなどをけん制。「日本としては常任理6カ国増案を好ましいと考えている。議長の総会運営を支持していく」と伝えた。

 議長は「4カ国の中で日本が途上国の間で最も尊敬を集めている」と答えたという。(共同)

常任理拡大の報告書を歓迎 日独首脳会談

2004/12/09 The Sankei Shimbun
 小泉純一郎首相は9日夕、シュレーダー・ドイツ首相と首相官邸で会談し、ともに国連安保理常任理事国入りを目指す立場から協力を強化することで一致、常任理事国の拡大などを提案した国連の高級諮問委員会の報告書を歓迎する共同声明を発表した。両首脳はイラクの文化財保護などでの協力でも合意した。

 国連総会は8日(日本時間9日)から報告書をめぐる協議を始めており、新常任理事国の最有力候補とされる日独両国の首脳がタイミングを合わせる形で意欲をアピールした。

 小泉首相は会談後の記者会見で「常任、非常任理事国の双方を拡大すべきだ。新常任理事国と現行常任理事国で違いがない方がいい」と、拒否権の有無で差をつけるべきではないとの考えを強調。シュレーダー首相は今後の取り組みについて「(常任理事国を目指すドイツ、日本、ブラジル、インドの)4カ国で一歩一歩進め、それぞれの2国間でも作業を進める」とし、4カ国の連携を重視する考えを示した。

 イラク復興支援に関しては、ドイツが既に実施しているイラク人警察官の教育訓練にサマワ周辺の警察官も参加させることや、ドイツが進めていたウルク遺跡保護のために日本が警備車両を供与することなどを確認した。

 また日独両国間の投資促進や、来年4月から1年間にわたりドイツの文化や芸術を紹介する「日本におけるドイツ年」の成功に協力することも確認した。

日本提案の核廃絶決議採択 国連総会、賛成史上最多に

2004/12/07 The Sankei Shimbun
 国連総会は6日までに、日本政府が提出した核兵器廃絶決議案を賛成165、反対3、棄権16で採択した。日本の国連代表部によると、日本提案の核廃絶決議採択は1994年以来11年連続で、賛成国は昨年より一カ国増え、史上最多となった。

 決議が包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効を訴えていることに批判的な米国とインド、米国と緊密な関係にあるパラオが反対票を投じた。中国や北朝鮮は棄権した。

 広島、長崎への原爆投下から60年となる来年は、5月に国連本部で核拡散防止条約(NPT)の運用再検討会議が予定されており、今回の決議は同会議の重要性を強調。インドやパキスタンなど未加盟国に対し早期かつ無条件の加盟を求めることを再確認した。

 さらに地下ネットワークによる大量破壊兵器の拡散の脅威に懸念を表明。すべての核保有国に対し、核兵器などの拡散につながる装備や資材、技術の移転阻止を要求し、テロリストが入手しないように最高水準の管理体制を維持するよう求めた。また、リビアが昨年末にすべての大量破壊兵器の廃棄を宣言したことについて歓迎した。(共同)

新常任理事国に拒否権を ロ大統領、改革論議に一石

2004年12月04日 共同通信 EXCITEニュース
 【ニューデリー4日共同】インド訪問中のロシアのプーチン大統領は4日、ニューデリーで記者団に「もし国連安全保障理事会の常任理事国を拡大するなら、拒否権も持つべきだ」と述べた。AP通信などが報じた。現常任理事国の首脳が新メンバーにも拒否権を付与すべきだとの考えを示したのは初めてとみられ、安保理改革をめぐる今後の論議に一石を投じそうだ。

 国連改革を協議してきた高級諮問委員会は先月30日、「常任理事国6カ国増」「準常任理事国8カ国新設」の2案を提言、いずれも拒否権は付与しないとしている。

ドイツ支持、日本は保留 常任理事国入りで中国

2004/12/02 The Sankei Shimbun
 中国外務省の章啓月副報道局長は2日の定例会見で、国連安全保障理事会の拡大問題をめぐり、ドイツの常任理事国入りについては「国際社会で積極的な役割を果たすよう希望する」と支持する姿勢を示したが、日本については態度を保留した。

 中国は同じく常任理事国入りを目指すブラジルについても胡錦涛主席が間接的な表現で支持する発言をしており、歴史問題を抱える日本だけは例外として慎重に扱う姿勢を示した。

 章副報道局長は、ドイツ支持の理由について「欧州で重要な影響を持つ国と認識している」と説明。日本に関しては、今後の議論の中で「高級諮問委員会の報告案の内容を真剣に研究し、すべての加盟国と十分に意見交換する」とだけ述べた。(共同)

印の常任理事国入り支持 「一番の候補」と露大統領

2004/12/03 The Sankei Shimbun
 インドを訪問したロシアのプーチン大統領は3日、ニューデリーでインドのシン首相らと会談後に共同記者会見し、国連改革について「安全保障理事会を拡大するとすればインドは一番の候補だ」と指摘。一方で新たな常任理事国への拒否権の付与については「安保理(現)メンバーの権利が侵害されることは受け入れられない。しかし柔軟性も示すべきだ」と述べ、慎重な見方を示した。

 プーチン大統領は、安保理を拡大した場合の新常任理事国メンバーには「拒否権を付与しない」とすることもやむを得ないとの立場を示したとみられる。

 同大統領のインド訪問は、インド国民会議派が主導するシン政権が発足した今年5月以降、初めて。

 両首脳は会談後、戦略的パートナーシップの強化に関する共同宣言や、エネルギー協力、宇宙の平和利用などの協定や覚書に署名した。

 大統領は5日までインドに滞在。4日にはインド情報技術産業の拠点となっている南部バンガロールを訪問し、企業関係者と会談する。

 両国は東西冷戦時代から軍備の調達などで緊密な関係にあったが、インドは近年、米国やイスラエルからの武器購入に関心を高めている。プーチン大統領の訪問には、こうした傾向に歯止めをかける狙いもあるとされる。

 インドのムカジー国防相は2日、大統領に先立ちインドを訪問していたロシアのイワノフ国防相と会談、超音速ミサイル「ブラモス」の共同開発などについて協議した。(共同)

常任理6カ国増など提言 国連改革の報告書公表

2004/12/01 The Sankei Shimbun
 21世紀の新たな脅威に対応するため抜本的改革案を協議してきた高級諮問委員会は30日、改革の具体的施策を盛り込んだ報告書を公表、最大の焦点である安全保障理事会の拡大で「常任理事国6カ国増」「準常任理事国を8カ国新設」の2案を提言した。

 具体的な国名は明記されていないが、改革がいずれの案に沿って実施されても日本がほぼ恒常的に安保理メンバーになるのは確実な情勢。一方で報告書は日本が求めていた拒否権は付与しない内容になっている。

 また国際・地域紛争の防止のため、安保理と経済社会理事会の下に「平和構築委員会」を設置するよう求めた。

 アナン国連事務総長はこの報告書を基に来年3月、創設60年を迎える国連の組織改革を加盟国に勧告し、加盟国による改革論議が本格化する。

 安保理改革についての2案はともに、理事国数を現行の15カ国(米国、英国、フランス、ロシア、中国の5常任理事国と非常任理事国10カ国)から24カ国への拡大を提言。

 その上で、内訳について(1)常任理事国を6カ国、非常任理事国を3カ国それぞれ増やす(2)現在の5常任理事国はそのままで、任期4年で改選可能な「準常任理事国」を8カ国新設、非常任理事国も1カ国増やす−としている。

 報告書は、国連が直面する脅威を(1)経済・社会問題(貧困、感染症、環境破壊など)(2)大量破壊兵器(3)テロ(4)犯罪組織(5)国内紛争(6)国際紛争−の6分野に分けて対応策をまとめた。(共同)

旧敵国条項の削除を提言 高級諮問委の報告書

2004/10/30 The Sankei Shimbun
 12月2日に発表される国連改革に向けた高級諮問委員会の報告書は、日本やドイツなどを敵国と規定した国連憲章の「旧敵国条項」の削除を提言することが29日、分かった。国連安全保障理事会の外交筋が共同通信に明らかにした。

 削除には、国連憲章の改正手続きが必要で、加盟国の3分の2および5常任理事国すべての賛成と批准が条件となる。報告書は、憲章改正が必要な安保理の理事国拡大と同時に作業を進めるよう提言した。

 国連は旧敵国条項は既に死文化したとの共通認識に立ち、1995年の国連総会で創設以来50年ぶりに早期削除を求める決議を採択した。しかしその後の作業は進まず「条項削除だけを目的とした憲章改正を協議する熱意は次第に消えていった」(外交筋)。日本やドイツなどは報告書発表を機に削除への機運が高まるよう期待している。

 旧敵国条項は、米、英、旧ソ連など第2次大戦に勝利した連合国が日本の敗戦直前に策定。敗戦国を差別した創設時の国連の性格を象徴した内容。小泉純一郎首相は今年9月の国連総会の一般演説で、早期削除を要求した。(共同)

常任理入り目指し協力確認 日本・インド外相が会談

2004/11/27 The Sankei Shimbun
 町村信孝外相は27日午後(日本時間同)、インドのシン外相とビエンチャン市内のホテルで会談し、互いに国連安保理常任理事国入りを目指す立場で緊密に協力していくことで一致した。 町村氏は「改革の実現には中国の説得が重要だ」と日本やインドの常任理事国入りに慎重姿勢を見せる中国の対応が焦点になるとの認識を示し、シン氏は「スムーズな航海ではないものの、最近では(中国に)やや前向きな動きも見られる」と述べた。町村氏はまた両国の国連担当局長による協議を定期化するよう提案した。

 両外相は投資や貿易、安全保障などの分野の連携強化を目指し、両国の有識者らによる共同研究グループの設置を確認した。(共同)

483万ドルの拠出決定 パレスチナ支援で政府

2004/11/09 The Sankei Shimbun
 政府は9日、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)に対して総額約483万ドル(約5億1000万円)の拠出を決めた。

 UNRWAの運営費などに約383万ドルを充てるほか、パレスチナ難民の増加に伴う学校増築に約40万ドル、奨学金事業に約10万ドル、多目的・コンピューター教室などの建設に50万ドルの支援を行う。

日本の常任理事国入りを高評価…緒方JICA理事長

2004/10/25 読売新聞 Yomiuri On-Line
 緒方貞子国際協力機構(JICA)理事長は25日、都内で開かれた内外情勢調査会で講演し、日本の国連安全保障理事会常任理事国入りについて、「十分資格がある。日本は上の方のトップにある国で、責任を果たしていきたいと表明したのは非常に結構なことだ」と評価した。

 緒方氏は、安保理改革などを検討しているアナン国連事務総長の諮問機関「ハイレベル委員会」のメンバー。安保理改革に対する国連内の機運については、「安保理の常任理事国が、今の世界にふさわしくない、もっと広げて、現在の責任体制を十分に反映したものでなければならないという声は(国連内に)かなりある」と指摘した。

日独の常任理入り勧告せず 国連改革で諮問委草案

2004/10/21 The Sankei Shimbun
 国連改革のための高級諮問委員会が12月にアナン事務総長あてに提出する報告書の草案に、日本やドイツを安全保障理事会の常任理事国に推薦する記述がないことが20日、草案を見た関係筋の話で明らかになった。

 同筋は今後草案が大きく変更される見込みはないとしている。先の国連総会で、来年からの非常任理事国に選出されたことを常任理事国入りの弾みとしたい日本にとって、不利な提言内容になりそうだ。

 同筋によると、各大陸を代表する拒否権のない5−8カ国による新たなグループの設置を諮問委が提案する見込み。任期は4−5年で、このグループを常任理事国と非常任理事国の間に位置付ける「三階級制度」導入を目指しているもようだという。

 草案は具体的国名には触れていないが、日本とドイツがこのグループに入ることを想定している可能性が高い。

 草案について同筋は「常任理事国を増やしたり、拒否権を持った理事国を新たにつくる考えは全くないようだ」と述べ、諮問委は単純な安保理拡大は想定していないと指摘した。

 また、欧州からは欧州連合(EU)が常任理事国入りすべきだとのイタリアの主張に米国が賛同していることなどから、ドイツの常任理事国入りは困難という。(共同)

安保理改革へ取り組み強化 非常任理事国入りで日本

2004/10/16 The Sankei Shimbun
 日本の原口幸市国連大使は、日本が国連総会で安全保障理事会の非常任理事国(2005年−06年)に選出された15日記者会見し、常任理事国入りを含めた安保理改革について「日本が国連でその地位に基づいて役割を果たすことへの支持は強まっており、積極的に関与しやすくなった」と述べ、さらに取り組みを強化する姿勢を示した。

 原口氏は、日本の非常任理事国入りについて「日本の貢献を多くの国が高く評価してくれた」と歓迎。「日本が貢献できる分野は増えている」と意欲を見せた。

 また、非常任理事国入りに向けたニューヨークにある日本の国連代表部の体制強化に言及し「安保理班」を設置して情報収集に努めるほか、要員も増強して安保理改革への動きを加速させる考えを明らかにした。

 当面の重要課題については、イラクやアフガニスタンの復興プロセスへの貢献を挙げ、特にイラクで来年1月までに予定されている国民議会選挙の実現と、その後の移行政府などに全力を挙げて協力する方針を強調した。(共同)

日本、非常任理事国に 9回目、国連総会で選出

2004/10/16 The Sankei Shimbun
 国連総会は15日、安全保障理事会の非常任理事国選挙を行い、日本など5カ国を選出した。日本は投票総数189票のうち184票を得た。10カ国のうち5カ国の改選で、任期は来年1月1日から2年間。常任理事国入りを目指す日本にとって、安保理メンバーとして存在感を示し、常任理事国にふさわしいことを訴える機会となる。

 安保理拡大を求める各国の声を追い風に、日本政府は悲願達成に向けた動きを一段と活発化させるとみられる。

 日本が安保理入りするのは1997−98年以来9回目で、非常任理事国選出回数はブラジルと並び最多。

 来年は国連創設60周年の節目に当たり、現在開会中の総会でも大きな焦点となっている安保理改革問題が、今年12月の高級諮問委員会によるアナン事務総長への報告書提出を受けて正念場を迎える。

 他の4カ国は、デンマーク、ギリシャ、アルゼンチン、タンザニア。現在の非常任理事国のパキスタン、ドイツ、スペイン、アンゴラ、チリは今年末で任期が切れる。

 日本は、96年の選挙ではインドと激しく争ったが、今回は昨年10月に開かれたアジアグループの非公式会合が日本をアジア統一候補とすることを決定していた。安保理の非常任理事国は地域別にアフリカ3カ国、アジア2カ国、中南米2カ国、西欧その他2カ国、東欧1カ国の配分となっている。(共同)

 ≪常任理入りへつなげる≫

 町村信孝外相は16日未明、日本が国連安保理非常任理事国に選出されたことについて「有力な常任理事国候補国にふさわしい非常任理事国として積極的な役割を果たすことを通じ、安保理改革の実現、常任理事国入りにつなげていく」との談話を発表した。

 談話は「わが国の長年の実績、姿勢に対する国際社会の支持と期待の表明と受け止めている」と強調。大量破壊兵器拡散、テロなど新たな脅威を挙げ「基本的に60年前の構成を維持している安保理を21世紀の国際社会の現実を反映させる形で改革することが急務だ」と訴えた。

米国務副長官「日本一国だけの常任理入り支持」

2004/10/13 The Sankei Shimbun
 アーミテージ米国務副長官は12日、都内で自民党の安倍晋三幹事長代理と会談し、国連安保理の常任理事国拡大構想について「日本一国だけの常任理事国入りを支持する」と述べ、大幅な拡大には消極的な姿勢を示した。

 副長官は北朝鮮による拉致問題に関し、米国も解決に向けて協力する意向を表明。在日米軍再編問題では、日米両国間で緊密に協議していくことを確認した。

 イラクに大量破壊兵器がなかったとする米報告書に関しては「疑惑はあり、経済制裁の効果がなかったことも書かれている」と述べ、武力行使の判断に誤りはなかったとの認識を強調した。

常任理事国入り再アピール 国連総会で日本

2004/10/12 The Sankei Shimbun
 国連総会は11日、安全保障理事会の拡大を議題とした全体会合を開催。日本の原口幸市国連大使は「日本が国際社会で果たしてきた役割は、常任理事国の責任を引き受けるのに十分な根拠を与えていると確信する」と強調、常任理事国入りの意思をあらためて表明した。

 原口大使は「ブラジル、ドイツ、インドも正当な候補国として支持する。アフリカからも常任理事国に入らねばならない」と訴えた。

 英国やフィリピンは日本支持を明確に表明したが、敵対するインドの常任理事国入りに神経をとがらせるパキスタンは「常任理事国を4−5カ国増やせば、各地域の緊張を一層増大させる」などと主張。日本、ドイツ、インド、ブラジルを指して「4カ国の集団的野望は地域の分裂を生む挑発行為」と批判した。(共同)

豪与党、日本に積極的役割促す…東アジア安保で

2004/10/05 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【シドニー=樋口郁子】オーストラリアのジョン・ハワード首相が率いる与党・保守連合は5日、東アジアの安全保障において、日本を「豪州の重要なパートナー」と位置づけ、日本に対して今後、より積極的な役割を果たすように促すことを盛り込んだ外交政策を発表した。

 9日に実施される連邦議会選挙に向け発表された。この中で、保守連合は、豪州は日本と経済、安全保障上の重要な利害をともにすると認識。「日本の安保政策における憲法、政治上の制約は緩和されつつある」として、今後、日豪の安保関係はますます重要になるとの見方を示した。

「日本に常任理事国資格なし」 北朝鮮、首相国連演説を非難

2004/10/03 The Sankei Shimbun
 北朝鮮の朝鮮中央通信は3日、小泉純一郎首相が先の国連総会の演説で、安全保障理事会常任理事国入りを宣言したことについて「日本は罪多い(植民地支配の)過去により、常任理事国進出をうんぬんする資格のない国だ」と非難する論評を出した。

 5月の第2回日朝首脳会談以降、北朝鮮メディアが小泉首相を本格的な非難の対象としたのは初めて。

 論評は「日本の現政権は、繰り返し靖国神社を参拝、平和憲法改正を企てるなど軍国化の動きを露骨に行っている」と指摘。中国政府も反対の立場を表明していると紹介しながら、「まずわが国とアジア人民に与えた過去の罪業を清算して、信頼から積み上げるべきだ」と主張した。

 内閣などの機関紙「民主朝鮮」も同日、「日本は常任理事国の一国となるには、あまりにも遠い位置にある」と述べ「過去の清算は日本政府の法的、道徳的責任だ」と訴える論評を掲載した。(共同)

日本の理事国入り「長い時間かかる」と米高官

2004/09/29 The Sankei Shimbun
 米政府高官は28日、小泉純一郎首相が国連総会で訴えた日本の国連安全保障理事会の常任理事国入りについて「困難な課題だ。実現には長い時間がかかると思う」と言明、日本の希望を支持する米政府さえ理事国入りを楽観視していないことが明らかになった。ワシントン市内で共同通信に語った。

 パウエル国務長官は先に「どの国を常任理事国に加え、どの国を加えないのかといった判断は準備していない」と述べたが、米政府高官が日本の早期の常任理事国入りは困難との見方を示したのは初めて。日本の「悲願達成」に向けては今後曲折が予想される。

 日本政府としては、アナン国連事務総長が来春ごろにまとめる安保理改革に関する勧告を待ち、国連創設60周年に当たる来年中に常任理事国入りへの弾みをつけたいとの思惑がある。

 しかし同高官は「1990年代初めにこの問題は提起され、国連50周年の95年にも取り上げられた。そして今回、また提起されている」と語り、再三提案されながら、実現のめどが立っていない現実を指摘した。

 ニューヨークでの21日の日米首脳会談では、ブッシュ大統領が日本の常任理事国入りを支持し、この問題に関する日米間の事務レベル協議開始で合意した。(共同)

常任理事国として一層貢献 高級諮問委に外相アピール

2004/09/24 The Sankei Shimbun
 川口順子外相は23日午後(日本時間24日朝)、国連改革に関する高級諮問委員会メンバーと国連本部で会談し、「日本は安全保障理事会に入り(国連の活動に)より一層の貢献をしていきたい」と常任理事国入りを目指す日本の立場を説明した。

 諮問委は国連総会の機会に各国外相らから意見聴取中で、この日はアナン議長(タイ元首相)、緒方貞子委員(国際協力機構理事長)ら16人のメンバーのうち11人が出席した。

 外相は「国際社会の平和と安定のために貢献する意思と能力を有する国が安保理の意思決定に常に参画する必要がある」と強調。さらに「今回の総会で(現時点までに)71カ国が演説した中で53カ国が国連改革の必要性を訴え、うち28カ国が常任、非常任理事国双方の拡大を支持した」と、独自の集計結果を披露した。(共同)

日本の「資格」に疑問 常任理入りで韓国メディア

2004/09/23 The Sankei Shimbun
 韓国メディアは23日、小泉純一郎首相が国連総会で日本の安全保障理事会常任理事国入りを目指す決意を表明したことに対して「日本に資格があるのか」などと疑問を示した。

 有力紙、朝鮮日報は「日本の常任理事国入りは道徳的障壁を乗り越えねばならない」と題した社説で「日本の国力や国連への金銭的な寄与だけでなく、道徳的な姿勢が問題にならざるを得ない」として小泉首相の靖国神社参拝などに疑問を投げ掛けた。

 さらに、常任理事国入りには日本侵略の被害を受けた国々が「もう日本が常任理事国になる時が来た」と日本を後押しする環境が先行しなければならないと主張した。

 このほか、ソウル新聞やハンギョレ新聞も日本の常任理事国入りに反対の立場を表明した。(共同)

「歴史問題と常任理は異質のもの」 中国の批判に細田氏反論

2004/09/22 The Sankei Shimbun
 細田博之官房長官は22日午前の記者会見で、日本の国連安全保障理事会常任理事国入りに中国外務省の報道局長が「歴史問題についてはっきりした認識を持たねばならない」と述べたことに対し「それと常任理事国入りの問題はちょっと異質のものがある」と反論した。

 現在の日本の国際的立場について「日本が今、平和国家であることは世界中が認めている。平和憲法を持ち、さまざまな国際貢献をすることで独自の国際的な安全保障への貢献ができると確信している。その点の疑問はないと思う」と述べ、日本には常任理事国の資格があると強調した。

常任理入り相互に支持 4カ国、改革へ共同歩調

2004/09/22 The Sankei Shimbun
 小泉純一郎首相は21日午後(日本時間22日朝)、国連安全保障理事会の新常任理事国候補とされるブラジル、インド、ドイツ各国の首脳と会合を開き、安保理の常任、非常任双方の議席拡大が不可欠とし、相互に常任理事国入りを支持すると明記した共同新聞発表をまとめた。

 会合には、小泉首相のほかブラジルのルラ大統領、インドのシン首相、ドイツのフィッシャー副首相兼外相が出席。4カ国は、安保理常任理事国の枠拡大を中心とする国連改革へ共同歩調をとることを確認した。

 会合では、安保理の「代表性」「正統性」を確保するため先進国、発展途上国の双方を新常任理事国とする形で、枠の拡大を図るべきだとの認識で一致。国連改革をめぐって4カ国が緊密に連携するため、早ければ今国連総会中に外相レベルの会合を開催することも決めた。(共同)

常任理事国入りへ意欲 首相、国連演説

2004/09/22 The Sankei Shimbun
 小泉純一郎首相は21日夕(日本時間22日朝)、国連総会で演説し「日本の果たしてきた役割は、安全保障理事会常任理事国となるにふさわしい確固たる基盤になる」と述べ、常任理事国入りに強い決意を宣言した。第2次大戦で連合国と敵対した日本やドイツなどを対象国とする国連憲章の旧敵国条項の削除も要求、安保理改革へ「歴史的な決断」を促した。

 これまで首相は、憲法の規定により海外で武力を行使できない日本の常任理事国入りに消極的だったが、姿勢を明確に転換。憲法前文を引用し、改憲を前提としない立場から常任理事国を目指す方針を打ち出した。

 首相は英語で演説し、国際社会の課題に積極的に取り組むためには「強くかつ効果的な国連が必要」と指摘し「国連新時代」の構築を提唱。国連改革で「核となるのは安保理改革だ」として「平和と安全に主要な役割を果たす意思と能力を有する国々は、常に安保理の意思決定過程に参加しなければならない」と述べ、常任、非常任両理事国の議席拡大を呼び掛けた。

 その上で「平和は武力のみを通じて達成できないというのが、われわれの信念だ」と指摘。自衛隊によるイラクや東ティモールでの人道復興支援を挙げ「平和の実現には包括的な取り組みが必要だ。わが国の役割は国際の平和と安全の維持に一層不可欠になっている」と訴えた。国連分担率の公平化も求めた。

 首相は大量破壊兵器問題に絡み、日本が唯一の被爆国として「核軍縮・不拡散の促進に努めている」と強調。北朝鮮問題では核・ミサイル問題と拉致問題の「包括的解決を追求していく決意」を示し、一連の問題を解決すれば「北朝鮮が手にする利益は相当なものとなる」と譲歩を促した。(共同)

 ≪首相の国連演説要旨≫

 小泉純一郎首相が国連で行った一般討論演説の要旨は次の通り。

 今日、国際社会は60年ほど前、国連の創設者たちが想像すらできなかった課題への取り組みに尽力している。テロとの闘い、大量破壊兵器の不拡散を確保するための取り組みは一例だ。

 わが国は、常に国連を中心とする国際協調を追求してきた。国際社会がこれらの新しい現実に直面する中、国連もこれに適応し、対処しなければならない。

 わが国は、われわれ自身の力でより良き世界の構築に貢献できるとの信念に基づいて、責任ある国連加盟国としての役割を果たすよう不断の努力を行ってきた。

 わが国は、イラクの人々の日常生活の改善と公的生活基盤の再建を支援している。自衛隊による人道復興活動と50億ドルの支援は、車の両輪として、そうした目的に向け機能している。

 アフガニスタンにおいて、わが国は、国家の復興に向けた取り組みを当初から率先して支援している。積極的にアフガン人による武装解除、動員解除および社会復帰プロセスへの取り組みを進めている。

 大量破壊兵器、ミサイルおよびテロは、今日の世界における国際安全保障を脅かしている。わが国は唯一の被爆国だ。わが国は、先頭に立って核軍縮・不拡散の促進に努めている。核兵器のない平和で安全な世界の実現を希望している。

 テロの跋扈(ばっこ)は許されない。わが国は、テロとの闘いにおいて、国内法制その他の措置を強化するとともに、各国と一層の協力を継続していく。

 朝鮮半島における核、ミサイルの問題は、北東アジアの平和と安定および国際社会全体に対する深刻な挑戦。わが国は、日朝平壌宣言にのっとって核・ミサイル問題、拉致問題の包括的解決を引き続き追求していく決意だ。6カ国協議の前進が必要。これらの問題の解決により北朝鮮が手にする利益は相当なものとなり得る。引き続き核計画を推進することには何らの利益もない。

 環境保全も経済発展とともに推進しなければならない。わが国は、気候変動や環境保護等の分野で、地球規模の取り組みを主導している。

 ミレニアム開発目標を含む開発の課題に対処する上で、わが国は、これらの原則を踏まえ、戦略的かつ効果的な政府開発援助(ODA)の活用に向けた、さらなる努力を行い、前進していく。

 わが国は、「人間の安全保障」の概念を提唱している。こうした考えに基づき、アフガニスタン、スリランカ、東ティモール等において、人道支援から復興支援への継ぎ目のない移行を実現すべく取り組んでいる。

 私はアフリカの問題が解決しない限り、世界に安定と繁栄はないと強く信じる。昨年、わが国は第3回アフリカ開発会議(TICADIII)を開催し、89カ国、47の国際機関の参加を得た。アフリカ諸国は、アフリカ連合を通じて地域協力を推進しており、アフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD)の実施に取り組んでいる。

 今日、アフリカにおいて、われわれは新たな人道上の危機の広がりを目の当たりにしている。ダルフールに関する国際社会の深刻な懸念を共有している。わが国は2100万ドルの人道支援を決定した。また、チャドにおけるスーダン難民に対する支援物資の供与を行う予定だ。

 東アジアにおいては、目を見張る経済発展が進んでいる。わが国は、地域の諸国とともに、経済開発に向けた彼ら自身の取り組みの基盤づくりのために取り組んでいる。

 今年、わが国は安保理非常任理事国選挙に立候補している。当選したあかつきには、グローバルな貢献を基にして、安保理において、建設的かつ創造的な役割を果たすべく努力を倍加する。

 強くかつ効果的な国連が必要だ。われわれは「国連新時代」を構築しなければならない。私は、国連事務総長による高級諮問委員会が国連改革のための大胆かつ野心的な計画を提示すると確信している。

 国連の諸機関は、効果的かつ効率的でなくてはならない。国連システム全体にわたる変革が必要。核となるのは安保理改革だ。近年、安保理の役割は、その対象範囲と性質において、劇的とも言える拡大を遂げている。安保理は、拡大した役割を国際社会の最大限の協力と参加を得て果たしていくべきだ。

 今日の世界をよりよく反映するように安保理の代表性を向上させなければならない。加えて、安保理は、課題に効果的に対処するため、十分な能力を有すべきだ。国際の平和と安全において主要な役割を果たす意思と能力を有する国々は、常に安保理の意思決定過程に参加しなければならない。そのためには、途上国・先進国の双方を新たなメンバーに含め、常任・非常任の双方で安保理を拡大する必要がある。

 国連の普遍的な目標、すなわちわれわれの共通の目標は、国際の平和と安全の維持だ。その目標に向けて、加盟国は、おのおのの能力に見合った役割を果たすべきだ。

 平和は武力のみを通じて達成することはできないというのがわれわれの信念だ。こうした信念に基づき、わが国は、積極的かつ独自の役割を果たしている。

 わが国は、平和の定着に向け取り組むため、平和構築のための復興への取り組みとともに、国連平和維持活動にも多くの資源を提供してきた。自衛隊は、東ティモール、イラクなどで人道復興支援活動を行ってきた。

 平和に向けたグローバルな貢献は、平和と繁栄に向けて尽力する国際社会において名誉ある地位を占めたいと考える日本国民が大切にしている根源的な信念に基づく。こうした貢献は国際社会から高く評価されていると私は信じる。

 平和の実現のためには、平和構築から国づくりまでを含む包括的な取り組みが必要だ。わが国の役割は、安保理の権限である国際の平和と安全の維持において、一層不可欠なものとなっている。わが国の果たしてきた役割は、安保理常任理事国となるにふさわしい確固たる基盤となるものだと信じる。

 旧敵国条項は、既に国連総会において「死文化している」と決定されており、今日の世界をよりよく反映するために、国連憲章から削除しなければならない。加盟国の国連分担率は、より衡平なものとする必要がある。

 来年、国連は創設60周年を迎える。われわれは、ミレニアム宣言のすべての約束の進ちょく状況を検証するための、ハイレベル全体会合を開催する。開発、グローバルな安全保障および国連改革は、すべて優先度の高い議題だ。すべての面において変革が必要だ。

 今こそ、国連、特に安保理を改革するとの歴史的決断を行う時だ。時間は限られている。われわれの将来、すなわち国連の将来がかかっている。私は「国連新時代」の構築に向けて共に協力し、大胆な一歩を踏み出すことを訴える。

首相、国連総会議長と会談 旧敵国条項削除に理解

2004/09/21 The Sankei Shimbun
 小泉純一郎首相は20日午後(日本時間21日未明)、ニューヨークの国連本部で、国連総会議長を務めるガボンのピン外相と会談した。ピン議長は、第2次世界大戦で連合国に敵対した日本やドイツなどを対象とする国連憲章の旧敵国条項について「憲章の修正をすることが大事だ」と述べ、削除を求める日本側の主張に理解を示した。

 首相は「国連改革は非常に大事な時期に来ている。新しい時代に国連がいかに適応していくか世界が注目している」と指摘。ピン議長は、日本が求めている安全保障理事会の拡大に関して「日本が20%の国連財政を負担しながら、安保理の意思決定に参加できない懸念を共有する」と述べた。(共同)

国連総会で小泉首相が21日演説、安保理拡大に攻勢

2004/09/20 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【ニューヨーク=勝田誠】国連総会の一般討論演説が21日から10月1日まで行われる。初日に登場する小泉首相はじめ加盟191か国の元首や首脳らによる演説では、どれだけ多くの国が安全保障理事会の拡大への支持を打ち出すかが注目される。常任理事国入りを目指す日本やドイツは、総会の「数の力」で安保理拡大への機運を高めていきたいところだ。

 日本政府は国連本部のあるニューヨークでアジア、中南米、アフリカ諸国などへの働きかけを強化。「拡大必要論」だけでなく「日本必要論」を説き回ってきた。

 日独が多くの国に外交攻勢をかけるのは、小国も常任理事国も同じ1票を持つ総会が最初の関門になるからだ。安保理拡大には〈1〉総会で加盟国の3分の2が賛成〈2〉5常任理事国を含む加盟国の3分の2で批准――が必要になる。

 常任理事国ではフランスに次いで英国が「拡大」に理解を示しているとされるが、「本音はともに新規参入を歓迎しない消極派」(外交筋)との見方もある。ロシアはさらに消極的だ。中国は「反対」とされるが、「他の4か国が拡大不可避で固まれば抵抗できない」(日本の国連代表部幹部)との読みもある。

 最大の焦点はやはり米国の動きだ。ただ、ブッシュ大統領は「米国は国連に縛られない」が持論だけに、「そもそも国連改革など念頭にないはず」(外交筋)といった懐疑論もある。

 ◆国連総会=国連の主要な審議機関。加盟全191か国で構成。国連憲章の改正のほか予算や新加盟国の承認など重要問題の表決には3分の2の多数の賛成が必要。その他の問題の表決は単純多数決による。加盟国や安保理に勧告をすることもできるが、拘束力はない。通常総会は9月から12月まで。

常任理事国入りに前向き 首相、国連総会で表明へ

2004/08/24 The Sankei Shimbun
 小泉純一郎首相は24日午前、9月の国連総会の一般演説で安保理常任理事国入りを目指す意欲を表明するかどうかについて「今までの常任理事国と違った常任理事国があってもいいのではないか。それが日本だという形で日本の考え方を述べることができれば、と検討している」と前向きに発言する方針を示した。官邸で記者団の質問に答えた。

 首相は「(常任理事国の拡大は)国連改革の大きな議題となっている。転機を迎えているので、うまくとらえようと(思う)」と指摘。常任理事国入りが実現する見通しについては「各国それぞれの考え方があるので、チャンスではあるが難しい問題だ」との認識を示した。

 細田博之官房長官は同日午前の会見で「わが国の立場は、憲法の範囲内で常任理事国として一層の責任を果たしたいということで一貫している」と指摘。パウエル米国務長官が常任理事国入りには憲法改正が必要との考えを示唆したことに触れ「外務省を通じ国務省から『米国は前提条件なしに日本の常任理事国入りを支持している』と確認している」と説明した。

外務省:安保理入り目指し「国連強化対策本部」設置

2004年8月2日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE
 外務省は2日、日本の国連安全保障理事会入りなどの実現に向けた「国連強化対策本部」(本部長・川口順子外相)を設置し、初会合を開いた。アナン国連事務総長の諮問機関「高級諮問委員会」が年末にまとめる報告書に日本の考えを反映させ、国連改革を進めるのが狙い。近く国連強化対策大使ポストを新設するなど、対策本部での議論を基に、各国への働きかけを強める方針だ。

 局長以上の主な幹部で構成する対策本部の初会合で、川口外相は「国際平和と安全に対する具体的な貢献策を議論していきたい」とあいさつ。国連改革を「日本外交の最重要課題」と位置づけることを確認した。

 第二次世界大戦の戦勝国を中心に結成された国連は来年で創設60年を迎える。この間、加盟国数は191カ国(04年)と大幅に増えたにもかかわらず、安保理常任理事国の構成は変わっていない。外務省幹部は「米露仏英中の常任理事国が既得権を放さず、国際社会の勢力地図を反映していない」と国連の現状を厳しく批判する。

 日本は来年1月から2年間、7年ぶりに9回目の非常任理事国を務める。日本としては、この機会を利用して(1)常任理事国入り(2)国連分担金の適正化(3)国連憲章・旧敵国条項の削除(4)日本人職員の増強−−の早期実現を図りたい考えだ。

 特に常任理事国入りに関しては「日本のような非核国が常任理事国に加わることが安保理の正当性を高める」(北岡伸一国連次席大使)と主張。政府は97年のラザリ国連総会議長(当時)提案をたたき台に、理事国を現在の15カ国(常任5、非常任10)を24カ国(常任10、非常任14)に拡大する案を提示しており、政府開発援助(ODA)などを通じた各国への働きかけを強める構えだ。

 ただ、ドイツやインドなど常任理事国入りを目指すライバル国も多く、イタリアやパキスタンなど安保理拡大を好まない国々が連携を深める動きもある。外務省は「首脳外交など、あらゆる機会を利用し働きかけを強める必要がある」(幹部)との認識で、当面は当選が確実視される10月の非常任理事国選挙に全力を挙げる姿勢だ。 【中澤雄大】

外務省、国連改革へ対策本部 安保理事国入り視野

2004/07/25 asahi.com
 外務省は、日本の安保理常任理事国入りを含む国連改革を進展させるため、川口外相を本部長とする国連強化対策本部(仮称)を来月中にも設置する方針を固めた。国連改革担当大使を新たに選任し、アナン事務総長が設けた国連改革をめぐる諮問委員会(アナン委員会)の報告書に、日本政府の考えが反映するよう働きかける。

 対策本部の設置については、川口外相の諮問機関「国連改革に関する有識者懇談会」が先月まとめた最終報告書に盛り込まれており、これを受けたもの。

 「アナン委員会」は年内に数回の会合を重ねた上でアナン事務総長に報告書を提出する予定。国連改革担当大使を通じて、アナン委員会の関係者に日本の改革に向けた考え方を説明していく考えだ。常任理事国入りを含む安保理改革のほか、国連分担金の合理化、旧敵国条項の削除、日本人職員の増強を主張する。

 外務省幹部は「アナン委員会の報告書に安保理改革が盛り込まれないようだと日本外交の失敗だ。委員会の議論と日本が考える国連改革の方向が重なるように持っていきたい」と話している。

日本常任理入り「軍事力の展開必要」と米国務副長官

2004/07/22 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【ワシントン=伊藤俊行】アーミテージ米国務副長官は21日、訪米中の中川秀直・自民党国会対策委員長らと国務省で会談し、日本の国連安全保障理事会常任理事国入りを支持するとの米政府の立場を改めて示したうえで、個人的見解として「常任理事国は国際社会の利益のために軍事力を展開しなければならないこともある。それができないと常任理事国入りは難しい」と語った。

 自衛隊が国連による治安維持活動などに参加できるようにすることが常任理事国入りの前提になるとの考えを示したものとみられる。

 同副長官は日本の憲法改正について「日本国民が決めることだが、憲法9条は日米同盟にとって、重要ではないが、妨げの一つとなっている」と述べた。

 日本政府が憲法上行使できないとする集団的自衛権については「サンフランシスコ講和条約や国連憲章は集団的自衛権を認めている。それらに署名したことは、既に日本国民が(集団的自衛権の行使を)承認していると考える」と指摘した。

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