TOPIC No.2-29 九州・沖縄サミット

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a. 1999年04月-2000年06月, b. 2000年06月-07月

b.2000年06月-07月


「ぜいたくサミット」批判に外務次官が反論

2000.07.24(22:41)asahi.com
 「九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)はあまりにぜいたくだ」と英国メディアが日本政府を批判したことについて、川島裕外務事務次官は24日の記者会見で「沖縄でやるということは、欧州の古い街でやるのとはインフラ整備の度合いが違う。ちっともおどおどする話ではない」と反論した。沖縄振興策としての通信回線整備などの費用も総額をかさ上げしたとの見方を示した。

 内閣外政審議室によると、九州・沖縄サミットの経費は、蔵相会合と外相会合も含めて総額約815億円。このうち警備を中心とする警察庁関係の約327億円、国際メディアセンター建設費など外務省関係の約194億円が目立つ。情報通信基盤や道路の整備に充てる沖縄開発庁や建設省関連の予算も多く、「地方開催のため、公務員の出張費もかさんだ」(同室)という。

 英国メディアはバーミンガム・サミットは約11億円、ケルン・サミットでは約7億円ですんだとして「(九州・沖縄)サミット費用で貧困国の債務が帳消しできた」などと批判した。川島次官は「(他国は)警備の費用が入っていないのではないか」として単純には比較はできないとの認識を示したうえで「きちんとした予算プロセスでやっている」と強調した。

経済界、首脳宣言のWTO新ラウンド言及など評価

2000.07.23(23:55)asahi.com
 23日閉幕した九州・沖縄サミットについて、経団連の今井敬会長は「世界貿易機関(WTO)の新ラウンドの包括的交渉開始を目指す時期が首脳宣言に盛り込まれたことを経済界として高く評価したい」と歓迎するなど、経済界は一定の評価をしている。

 経済同友会の小林陽太郎代表幹事も「米軍基地問題を抱える沖縄で開催された意義は大きい。また、サミット前に主要国首脳と発展途上国首脳との対話の場を設定するなど、我が国が果たした役割を評価したい」とのコメントを発表した。

 情報技術(IT)が主要テーマとなり、IT憲章が採択されたことについては、日本商工会議所の稲葉興作会頭が「情報格差縮小の問題は南北格差の問題もあり、容易でない。途上国への援助のあり方に対する基本原則のあり方とあわせて実行されるべきだ」と注文した。

 一方、小林代表幹事は「IT憲章や遺伝子組み換え食品、米国の本土ミサイル防衛(NMD)などでは、協力・協調というより主導権争いの様相」と指摘し、サミットのあり方を見直す時期に来ているとの意見も出ている。

九州・沖縄サミット、首脳宣言採択し閉幕

2000.07.23(14:19)asahi.com
 沖縄県名護市で開かれていた九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)は23日午前、紛争予防をはじめ世界の平和と安定などについて討議、首脳宣言を採択して閉幕した。議長を務めた森喜朗首相が同日午後1時から記者会見し、首脳宣言を発表した。

 宣言では、IT(情報技術)の推進と同時に、ITが提供する機会は万人に開かれていなければならないとした。そして、今なお12億人が1日1ドル以下の生活をしており、貧困と闘う上で力強い民間主導型経済成長が不可欠としている。

 また、世界貿易機関(WTO)新ラウンドの年内立ち上げへの努力を強調、軍備管理では、地球規模のミサイル監視システムを主要8カ国(G8)として検討していくことを明記した。

【共同宣言要旨】

2000.07.23 The Sankei Shimbu
主要国首脳会議(沖縄サミット)が採択した共同宣言の要旨は次の通り。

●…前文

 二十五年間取り組んできた平和と繁栄に関する試練と進展を振り返り、二十一世紀のG8の役割を議論。途上国、国際機関、市民社会との新たなパートナーシップが重要。安全保障理事会を含む国連改革が不可欠と確信。

●…繁栄

 ▽世界経済 ことし力強く成長する見込みで、アジア経済も回復基調。グローバリゼーション、情報技術(IT)の普及で構造変化に直面、適切なマクロ政策や構造改革が必要。

 ▽IT 機会は万人に開かれているべきで、懸念にも取り組む必要がある。

 ▽開発 政府開発援助(ODA)は貧困撲滅に不可欠で効率を高める。重債務貧困国向け債務救済の支持を歓迎。紛争による救済遅れを憂慮。感染症対策で政府や市民社会との連携を強め、二○一○年までに若年エイズ感染者二五%削減などの目標に努力。二○一五年までに皆に初等教育を。

 ▽貿易 世界貿易機関(WTO)次期多角的貿易交渉(新ラウンド)の年内立ち上げへ協力を強化。

 ▽文化の多様性 社会や経済の活力の源泉。文化遺産のデジタル化を推進、十年間で学生の交換を倍増。

●…心の安寧

 ▽犯罪および薬物 国際組織犯罪条約の年内採択を支持。ハイテク犯罪対策が重要。日本で開催される第二回官民ハイレベル会合に期待。

 ▽高齢化 コミュニティー活動、ボランティア活動への高齢者参画を推進。

 ▽生命科学 バイオテクノロジーと食品安全では、先進国と途上国が参加する政策対話が重要。関係当事者との開かれた透明性ある協議。科学的知見を国際的なコンセンサス構築に統合する方途を探求。

 ヒトゲノムでは、人間のDNA配列の基礎的生データの迅速な更なる公開を要請。遺伝子関連発明に関する均衡のとれた知的所有権保護が必要。特許政策の調和のため、関連国際フォーラムでのさらなる努力を奨励。

 ▽環境 京都議定書の早期発効のための協力。地域社会の持続可能な森林経営の実施に対する支援プロジェクトを重視。

 ▽原子力安全(略)

●…世界の安定

 ▽紛争予防 「予防の文化」を推進。武力紛争の資金源となるダイヤモンド不正取引対策の国際会議開催を提案、小型武器取り締まりの国際会議を支援。通常兵器輸出に自制必要。

 ▽軍備管理・軍縮、核拡散防止 核拡散防止条約(NPT)再検討会議の成功を歓迎。包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効、兵器用核分裂物質製造禁止(カットオフ)条約の即時交渉開始と五年以内の妥結を求める。弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約を維持、強化する中での米ロの戦略兵器削減交渉の進展を期待。ロシアの余剰プルトニウム問題は、次回サミットに向け国際的な資金調達計画や、多国間枠組みの構築目指す。ミサイル拡散抑制のためのさらなる措置の検討が必要。

 ▽テロ あらゆる形態のテロを非難、闘う。アフガニスタンのタリバンの支配領域を拠点とするテロへの懸念を強調。

●…次回会合

 次回首脳会議を来年、イタリア・ジェノバで開催。

九州・沖縄サミット閉幕、儀式化・官僚化は一層深刻に

2000.07.24(00:39)asahi.com
 九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)は最終日の23日、経済のグローバル化を受けた構造改革の必要性をうたい、情報技術(IT)格差や感染症への対策を盛り込んだ首脳宣言を採択し、閉幕した。3日間の討議は、首脳同士の率直な意見交換よりも、対立する問題を回避する姿勢や官僚による周到な事前調整が目立った。これまでも指摘されていた儀式化や官僚化の問題点が一層、深刻になった。主要8カ国(G8)が今後国際社会に対してどういう針路を示しつづけられるのか。重い課題を背負ってサミットは21世紀へと進む。

 「成功のうちに終えることができた」。議長役を務めた森喜朗首相は、閉幕後の記者会見で満足げに語った。さばきの難しい問題を避けて、サミットの「成功」を演出したことを示している。

 ITに150億ドル、感染症対策に30億ドル――日本が「単独で」表明した途上国援助は、サミットの討議を象徴した。きまじめな日本の官僚が、ITと感染症の2本柱とお金を用意して、議長国の存在感を示す。しかし、欧米の国益が激しくぶつかるテーマでは、抽象的な意欲の表明や議論の整理にとどまり、課題は先送りされる。そんな構図だ。

 米国とロシア・欧州で溝が深まる米本土ミサイル防衛(NMD)構想、21世紀の東アジアの国際秩序を左右する中台関係はともに議論されなかった。ロシアを刺激する債務問題もチェチェン問題も首脳会議では言及されず、宣言や声明にも盛り込まれなかった。

 一方、対立が際立ったのは、遺伝子組み換え(GM)食品の安全性論議だ。規制に反対の米国と、自由化に否定的な欧州勢の激しい応酬の前に、議長の森首相は、ほぼ沈黙するしかなかった。

 「サミットにアジアの声を反映させたい」「沖縄を世界に発信する」。小渕恵三前首相が沖縄開催を決定した昨年春、様々な期待が高まった。失敗に終わったものの、小渕氏は中国首脳の招待も模索した。

 しかし、首相が森氏になって迎えたサミットは、歓迎行事など社交の場面をのぞいては、沖縄の独自性はほとんど生かされないまま。長文の首脳宣言に「アジア」という単語は、世界経済の現状分析の中に1カ所出てくるだけだ。

 東アジアで最大の懸案のひとつである中台関係などの問題も取り上げられなかった。議長国日本には「アジアからの発信」に工夫を凝らすゆとりはなかったようだ。

 とはいえ、世界の主要国のリーダーが一堂に会するサミットが、様々な政治対話の機会を切り開くのも事実だ。

 クリントン米大統領は、米軍基地縮小の具体的な道筋を示さなかった点で批判を浴びたが、まがりなりにも沖縄でサミットを開いたことで、40年ぶりの大統領の沖縄訪問が実現し、県民に直接語りかけることができた。

 国際社会と縁遠かった朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)については、ロシアのプーチン大統領を中心に情報交換できた。

ITより債務問題を ジュビリーがパソコン燃やして抗議

2000.07.23(00:06)asahi.com
 貧しい国の債務帳消しに取り組むNGO「ジュビリー2000」は22日夜、沖縄県名護市で開かれている主要国首脳会議(九州・沖縄サミット)で重債務救済問題に進展が見られないとして、会場近くの砂浜でパソコンを燃やす抗議行動をした。「パソコンはIT(情報技術)の象徴。IT対策より、債務問題を優先するべきだ。私たちは、パソコンを食べることはできない」と、サミットの内容に強い不満を示した。

 パソコンは、ジュビリーのメンバーがこの日の昼まで使っていたもの。「4年間、このパソコンで一生懸命やってきたのに裏切られた気持ちだ」と言う。

 主要7カ国(G7)が21日の声明で掲げた債務帳消しの新たな目標は、年末までに対象となる国を最大11カ国追加するというもので、ケルンサミットで掲げた「30カ国程度」との目標を大きく下回った。

 ジュビリー英国のアン・ペティフォー代表は「南北間に情報革命に伴う格差があることは確かだ。しかし、債務が帳消しにされなければ、貧しい国々にはITを下支えする基盤さえ作れないことを主要国にはしっかり分かって欲しい」と語った。

感染症問題の国際会議を日本で開催へ サミット

2000.07.22(20:45) asahi.com
 政府は感染症問題を「IT(情報技術)とともに沖縄サミットの2本柱」(外務省幹部)と、位置づけてきた。22日の会議では、エイズ、マラリア、結核を「3大病」とし、数値目標をあげて撲滅活動をすることで合意。森喜朗首相は今冬に、日本で国際機関や非政府組織(NGO)を加えた国際会議を開くことを提案、了承された。

 だが、途上国が本当に望む具体策は出なかった。エイズが急拡大しているアフリカでは、治療薬の価格の高さが大きな障害になっている。

 特許権保護に関する国内法をもたなかった途上国はこれまで、先進国企業が開発した治療薬を、特許料を払わずに生産し、安価で販売してきた。だが、世界貿易機関(WTO)が、知的所有権を保護する「トリップ協定」の順守を打ち出し、途上国向けの経過措置も打ち切ったことから、生産の継続や安価な治療薬の入手が従来以上に難しくなっている。これが感染の拡大や、医療費負担増大による貧困化といった悪循環を招いている。

 結核やマラリアは、患者が途上国に集中して利益が見込めないことから、製薬業界が新薬開発や製造からほとんど手を引いている。このため、従来の薬に耐性をもつ微生物が感染源になり、先進国にも深刻な影響を及ぼし始めている。

 途上国で医療活動に従事する国際NGO「国境なき医師団」は、こうした必須(ひっす)医薬品について、必要な途上国に限って特許の例外を認めるよう働きかけている。

 森首相はG8会議で「日本は途上国に対し、5年で30億ドルの感染症対策支援をする」と説明した。だが、沖縄入りした同医師団のペクール医師は「結局、製薬会社をもうけさせることになるのではないか。政府は、単に援助額を増やすのではなく、WTOのルール見直しなど、薬の価格を下げる方策を検討してほしい。同じ10ドルが1人しか救えないのと、10人救えるのと、税金を出す日本人はどちらがいいのですか」と失望を隠さない。

遺伝子組み換え食品安全性、欧米なお溝 サミット2日目

2000.07.22(22:54)asahi.com
 九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)は22日、遺伝子組み換え(GM)食品の安全性や、国際的なコンピューター犯罪への対応など、グローバル化が社会にもたらす弊害への対応を中心に意見を交わした。欧米の主張が対立してきたGM食品の安全性では、この日も、規制に反対する米国と、自由化に否定的な欧州が、従来の考えを主張し合うにとどまり、溝は全く埋まらなかった。6月末にほぼ全容が解読されたヒトゲノム(人の全遺伝情報)については、科学の発展を阻害する情報の独占を防ぐため、「国際的に特許基準の調和を図るべきだ」との認識で一致した。遺伝子情報がプライバシー侵害につながる恐れもあることから、いたずらな生命操作を防ぐための規制を求める意見も出た。

 サミットは23日、主要8カ国(G8)首脳宣言を発表し、閉幕する。

 GM食品の論議は、約1時間半だった午後の首脳会議のほぼ半分を費やした。「科学的に安全性が証明されていないGM食品に、規制をかけるべきか否か」を巡って欧米の意見が対立し、サミットでは、事態を打開するため、途上国も交えた新しい議論の場を設けるかどうかに焦点があたった。

 米国やカナダは「GM作物は、途上国の農業発展につながる。感覚的な懸念によって経済発展の芽をつぶすべきではない」と主張、自由化を前提とした議論の場を提唱した。

 一方の欧州側は「人体や環境への影響について、途上国や非政府組織(NGO)を巻き込んだ議論を展開する場にすべきだ」と主張し、設置に向けての意見調整は、最後までかみ合わなかった。

 欧米の激しい対立の中で、森喜朗首相は「バイオテクノロジーや食品安全の問題は、難しい問題だ」と締めくくるので精いっぱいだった。

 また、この日の会議ではインターネットの普及などで、犯罪が国際化していることに強い懸念が表明された。専門家会合を通じた、麻薬や覚せい剤犯罪の取り締まり強化や、犯罪に巻き込まれる社会的弱者の救済の必要性が議論された。

 とくに、コンピューターへの不法侵入など、急増するハイテク犯罪への対策では、官民協力が必要との認識で一致。森首相は、今年5月にパリで開かれた「G8ハイテク犯罪対策政府・産業合同会議」に続き、来年早々にも、日本で専門家を集めた会議を開く用意があることを各国に伝えた。

 地球温暖化防止では、二酸化炭素などの温室効果ガスの削減目標を定めた京都議定書の推進を確認。森首相が、違法な森林伐採の取り締まり強化を提案したほか、風力や太陽光などの再生可能エネルギーの重要性を指摘する意見も出た。

国連安保理改革は次回総会に先送り 報告書に進展なく

2000.07.22(17:36)asahi.com
 国連の安全保障理事会改革に関する作業部会は21日、9月のミレニアム総会に提出する報告書をまとめ、5カ月にわたった今会期の作業を終えた。日本が強く求めている安保理常任理事国の拡大はパキスタンなどの強い反対で盛り込まれず、7年前から始まった改革論議は、進展のないまま来年の次回総会に持ち越されることになった。

 今年の作業部会での焦点は、グリラブ総会議長とスウェーデン、スリランカ代表の両副議長が今月13日に提案した改革作業に関する「概観」。

 これまでの論議をふまえ、(1)安保理改革は緊急を要する課題であるとの考えが高まっている(2)安保理拡大を実質的に支持する動きが出ている、などを盛り込んだ。

 日本政府はこの「概観」を報告書に盛り込むことで、改革論議に拍車をかけようと期待し、支持を求めた。しかし、インドの常任理事国入りへの懸念を強めるパキスタンやドイツの新規加盟を阻止したいイタリアなどが反発。報告書は合意のない「概観」を入れたものの、三たび「継続審議」で終わった。

「大名旅行」とぜいたくサミットを一斉に批判 英国

2000.07.22(21:52)asahi.com
 キャビアをさかなに貧困国の債務を協議(タイムズ紙)――英国メディアは22日、九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)の「あまりのぜいたくぶり」を批判する記事を一斉に報じた。

 報道は、サミットに合わせて工事を急いだ豪華会議場や自衛隊の護衛艦も出動した厳重な警備態勢に加え、IC式のデジタル録音機を報道陣におみやげとして配るなど、日本側のぜいたくな「もてなし」に集中。タイムズ紙は22日、首里城で開かれた政府主催夕食会のメニューまで紹介し、「まるで大名旅行」と評した。

 日本政府のサミット開催費用約800億円は、過去最大。一昨年の英国・バーミンガム、昨年のドイツ・ケルンの100倍近い。

 今回のサミットについて、英国などではアフリカなど重い債務に苦しむ国の債務帳消し問題がどう話し合われるかに関心が集まっていた。だが、非政府組織(NGO)が求めた債務帳消し拡大などは実現せず仕舞なったことへの失望も広がっていただけに、ぜいたくサミット批判が激しくなったようだ。

 「サミット費用でガンビアの債務が帳消しできた」このお金があれば貧困国の1200万人の子供を学校にやれるのに」と、NGO幹部の声も報じられた。

安室さんがサミットソングを披露 故小渕前首相の依頼

2000.07.22(20:46)asahi.com
 沖縄サミットでは、沖縄開催を決断した故・小渕恵三前首相の面影をしのぶ場面が多い。歓迎レセプションに夫人の千鶴子さんが招かれ、クリントン米大統領が発表した沖縄の若者を対象とする研修制度は、小渕氏にささげられた。

 森喜朗首相は22日夜、那覇市での歓迎レセプションで、千鶴子さんに小渕氏がサミットを記念して発行を決めた2000円札を贈った。舞台では、小渕氏の依頼で小室哲哉さんが作曲し、安室奈美恵さんが歌うイメージソングが披露された。稲嶺恵一知事もあいさつで、「一度出会い語り合った者は皆兄弟。こうした雰囲気に包まれた首脳会議こそ、小渕前首相の願いでもあった」と語った。

「G8の将来」議論せず雑談に終始 サミット昼食会談

2000.07.22(21:02)asahi.com
 主要8カ国(G8)の将来について議論するはずだった九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)の22日の昼食会談(ワーキング・ランチ)は、1時間20分をまるまる雑談に終始するという予想外の展開になった。そうでなくても重要な案件が山積しているサミットなのに、議長役の森喜朗首相が予定されていた議題を持ち出さなかったためだ。難題の先送りムードが色濃い今回のサミットを象徴する一幕だった。

 サミットは1975年のスタートから四半世紀たって、官僚のあらかじめ敷いたレールを走るだけだという儀式化を指摘する声がある。こうした批判に答えるためにも、20世紀最後のサミットの場でG8の役割を改めて議論し、再確認することが求められていた。

 ところが、昼食会談が始まると「伝統的な文化、スポーツの話題で大いに盛り上がった」(政府関係者)。相撲好きで名古屋場所を観戦して沖縄に乗り込んだシラク仏大統領が「相撲は精神性をもち、哲学的でもある」と切り出すと、森首相が柔道や合気道についても説明し始め、「『道』がつくのは、他にも華道、茶道、書道とあり、日本文化の精神性を表している」と話が広がっていった。

 森首相はさらに「西欧の庭園では噴水で水が下から上に上がるが、日本では滝をしつらえ、上から下に流れることが多い」などと、延々と説き、気が付くと昼食会談は時間切れとなっていた。

11管区海保がグリーンピース船を出港差し止め

2000.07.22(11:18)asahi.com
 
 第11管区海上保安本部(那覇市)は22日未明、那覇市の那覇新港ふ頭で、環境保護団体、グリーンピースの「虹(にじ)の戦士号」の出港を差し止めた。海上保安庁法の「罪を犯すおそれなどがある場合、船舶の運航を制限できる」との条項に基づく措置で、期限は23日午前中までの予定。

 11管によると、「虹の戦士号」は21日午後11時ごろ、同港に入港。22日午前零時ごろから同船を立ち入り検査し、同団体が「再びアピールに行く」と表明したため、出港差し止めを伝えた。

 21日に同団体の活動家4人が名護市・部瀬名岬付近の進入禁止水域に無断で入り込み、軽犯罪法違反容疑で現行犯逮捕されていた。

 同団体のミシェル・シェザーさんは「今日も記者会見などいろいろ活動を予定していたが、何もできない。いろいろ説明したが、理解してもらえず残念だ。日本の当局は厳しすぎる」と話している。

IT憲章のキーワード

2000.07.23 The Sankei Shimbun
 主要国首脳会議(沖縄サミット)で22日、“IT(情報技術)沖縄憲章”が採択された。この中に出てくるキーワード「デジタルデバイド」「デジタル・オポチュニティ」「電子商取引」について、意味や背景、現状などについてまとめた。(高原秀己)

【情報格差(デジタルデバイド)】

《教育、福祉などすべてに影響》

 パソコンや携帯情報端末、インターネットなどのコンピューターシステムを使いこなせる人と使えない人の間で生じる格差を最近、こう表現することが多い。人に対して使うのにとどまらず、会社や組織、都市、さらに拡大して国の間の格差を論じる場合も増えている。最も大きな枠組みとして懸念されているのが、すでにビジネスや社会にこうした機器やシステムが普及している先進国と、通信インフラすら十分ではない途上国との間で生じる格差だ。

 今回のIT憲章では、こうした情報格差の全般について「解消が極めて重要な課題」と強調。特にインフラについては「だれもが情報通信ネットワークへのアクセスを享受しうるべきだ」との考えを明記した。

 この問題は、教育問題にはじまり、身体障害者でも使えるパソコンを普及させるバリアフリーなどの福祉、過疎地問題からすでにある南北問題まですべてが影響する。IT憲章では、情報格差の解消を通じて、こうした諸問題の改善につなげていこうという考え方が色濃く反映された。ただし「万能薬はない」と念を押していることも見逃せない。

【IT機会(デジタル・オポチュニティ)】

《途上国では経済格差の解消も》

 デジタルデバイドの考え方の先にある言葉として最近、浮上してきた考え方。途上国の場合、情報格差の解消に向けたIT化の促進により、急成長が可能となり、先進国との経済格差を一気に詰める好機だという見方ができる。

 主要八カ国(G8)は今回の憲章で、途上国との情報格差問題を是正、解消するため「デジタル・オポチュニティ作業部会(ドット・フォース)」の設置を決めた。ここではインフラ構築、人材開発、世界的な電子商取引のネット作り−など多数の支援について検討するが、この作業部会の名前をデジタルデバイドとせず、デジタル・オポチュニティとしたことは象徴的だ。

【電子商取引】

《自由化前提に国境を越え推進》

 電子商取引(eコマース)は、コンピューターや電気通信網を使って行う商取引のことで、従来の対面型販売や有店舗型の商活動に対する言葉で、ネット販売が中心となる。内容は大きく分けて、資材調達や卸販売など企業間取引(BtoB)と、企業の個人向け販売・サービス(BtoC)がある。

 具体的なルール作りについては、進行中の世界貿易機関(WTO)での作業にゆだねたが、IT憲章では「国境を越えた電子商取引の促進」をうたった。また各国でスタンスが異なる電子商取引時の関税については、「賦課しないという慣行を継続する」と明記するなど、自由化を前提に臨むことでG8が一致した。

 途上国との情報格差の解消面でも、電子商取引は途上国側に利益をもたらす有効な方法であると憲章では位置付けている。

IT日本1兆6000億円拠出/「21世紀へ最強の力」/G8首脳会合「憲章」を採択

2000.07.22 The Sankei Shimbun
 主要国首脳会議(沖縄サミット)二日目となる二十二日午前に開かれた主要八カ国(G8)首脳会合で、「IT沖縄憲章」を採択した。G8首脳はIT(情報技術)革命が世界経済の潜在成長率を高めるとの認識で一致、「二十一世紀を形作る最強の力」と位置付けた。先進国・途上国間の情報格差(デジタルデバイド)の解消に向けて作業部会を創設することなどを盛り込み、G8各国が世界に協力を呼びかけた。

 IT憲章の正式名称は「グローバルな情報社会に関する沖縄憲章」。ITが「二十一世紀を形作る最強の力の一つで、すべての人に大いなる機会を提供する」との認識を示すとともに、デジタルデバイドの解消に向けて協力することを求めた。

 その上でIT革命の成果を最大限に得るには、民間部門が重要な役割を果たすと指摘。政府による「不当な規制的介入」を避ける必要があると訴えるとともに、各国が、電気通信や運輸、小包配達などの効率化や知的所有権保護、世界貿易機関(WTO)ルールに基づく電子商取引などを推進することで合意した。

 情報格差の解消に向けては、「各国、国際機関、非政府組織(NGO)などの草の根努力を含む、すべての利害関係者による協力が必要」との認識を示した。その実現に向けて、「デジタル・オポチュニティ作業部会(ドット・フォース)」を設立する考えを盛り込んだ。

 作業部会は、開発途上国の政策や規制、ネットワーク環境の整備を促進するほか、IT利用費用の引き下げや人材開発などの具体的な取り組み方法を検討する。その成果を次回イタリアで開かれるジェノバ・サミットで報告を求める。

 また、首脳会合では森喜朗首相が、情報格差解消のために今後五年間で百五十億ドル程度(およそ一兆六千億円)の資金を拠出する日本政府の支援策を説明し、IT普及に向けた日本の取り組みを示した。

先進国の論理先行、日本側の狙い後退 IT憲章

2000.07.22(23:56)asahi.com
 コンピューターやインターネットの発達、普及が私たちの暮らしや世界経済にどんな影響をもたらすのか――。サミットとして、初めて本格的な評価、分析に取り組んだ「IT(情報技術)憲章」は、ITの発達が社会を根本から変える可能性を、最大限に評価する内容になった。IT推進の条件として、米国が主張した競争政策や規制緩和の必要性も、強調された。だが、先進国側の論理を多く採り入れた結果、「IT化社会への漠然とした不安を取り除く」(外務省幹部)という日本政府の当初の狙いが、後退した感は否めない。

 貿易や通貨危機など、直面する経済課題を扱ってきたサミットが、まだ正体もはっきりしない「IT」を主題にすることは、一種の冒険だった。宮沢喜一蔵相も「昨年のサミットでは、ITとはだれも言っていなかった。この1年で、やはりITが重要だという雰囲気になった」と戸惑いを隠さない。

 だが、この1年で世界の雰囲気は急展開した。IT産業の躍進で「独り勝ち」を続ける米国に対し、当初はIT称賛に懐疑的だった欧州勢も、追随せざるを得なかった。閉そく感の強い日本は、ITを経済再生の起爆剤にしたい考えだ。

 先進国が「IT」一色になる中で、貧困対策に追われる途上国の危機感は一段と高まっている。IT憲章で日本は当初、主要8カ国(G8)全体で情報格差(デジタル・デバイド)解消に向けた資金援助を打ち出すことを狙っていた。だが、発表された憲章は、自国企業の活動範囲を広げるための規制緩和やルール整備にこだわった米国の意見が色濃く反映され、途上国支援は埋没気味だ。

 事前の準備会合では、各国が、ルール作りで自国が不利にならないようけん制し合うことに終始し、結局、日本は単独で「5年間で150億ドル支援」を打ち出さざるをえなかった。

 途上国にとって今後の期待は、皮肉にも、日本がIT先進国ではない点だ。サミット前のシンポジウムで、外務省の石川薫審議官は「我々はIT化が進んでいるわけではない、という謙虚な気持ちで出発したい」と話した。

 日本が「IT途上国」の自覚を持って改革に取り組み、アジアで先駆的なシンガポールやマレーシア、韓国などと協力しながらネットワーク作りや、アジアとアフリカを結ぶ「南南協力」を進めれば、大きな成果を生む可能性がある。

 IT化が先進国経済だけを押し上げ、途上国支援がかけ声倒れに終われば、世界の不均衡を一層助長しかねない。沖縄IT憲章は、格差解消への具体的な成果が問われている。

ハイテク犯罪にお寒い備えの日本 サミット

2000.07.22(00:03)asahi.com
 ネットワークを通じて政府や企業の情報システムに侵入したり、電子商取引の際に他人になりすまして個人情報を盗みだしたりするハイテク犯罪の脅威に、各国首脳は「官民協調、G8の協力強化」で立ち向かうことで一致した。

 首脳会合では、G8と世界のソフトウエア会社の代表者ら約300人が5月、パリに集まって討議した「ハイテク犯罪対策会議」を評価。森首相は「パリ会議を発展させた第2のハイレベル会合を来年早々にも日本で開く用意がある」と述べ、ハイテク犯罪防止策を具体化するため国際的な官民の協力関係を継続することになった。

 しかし、欧米に比べ日本の備えは心もとない。例えば、2月施行の不正アクセス禁止法は、犯罪の証拠になる通信記録の保存を、インターネット接続業者などに義務づけていない。ネット業界関係者は「不正を封じ込めるためにも再検討すべきだ」と指摘する。

 情報処理振興事業協会(東京)に昨年報告されたコンピューターウイルス発見総数は3645件。今年は世界中で猛威を振るったコンピューターウイルス「I LOVE YOU」問題も起き、6月までの半年で3290件の届け出があった。昨年のハイテク犯罪検挙数は357件だが、氷山の一角に過ぎないといわれる。

 5月のパリ会議に参加した米ネットワークセキュリティー会社の日本法人、シマンテック(東京)は「日本では各省庁がバラバラに取り組み始めており、官民一体より、まず政府が一つになってほしい」と手厳しい。

「IT憲章」を採択 九州・沖縄サミット2日目

2000.07.22(12:31)asahi.com
 九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)は22日午前、日本政府が今回のサミットの目玉とした情報技術(IT)革命の影響について議論し、「グローバルな情報社会に関する沖縄憲章(IT憲章)」を採択した。憲章は、ITを「21世紀を形作る最強の力の1つ」と高く評価。IT推進には民間部門の役割が重要であることを明記し、各国政府には不当な規制や介入をしないよう求めた。電子商取引の普及へ、通信や物流、税関手続き、小包配達の分野で規制緩和の必要性を指摘した。一方で、途上国との間で生じる情報格差(デジタル・デバイド)の解消に、作業部会を設置するなど、G8が協力して取り組むことでも一致した。

 憲章は、ITの利点について、生産性向上を通じて経済成長に貢献するだけではなく、情報の共有化が進むことによって、民主主義の強化や国際的な平和・安定を後押しする点も指摘した。

 IT推進の具体策としては、(1)情報技術、電気通信関連の製品、サービス市場の競争促進(2)通信や物流を円滑にするための運輸、税関手続き、小包配達の規制緩和(3)ビジネスモデル特許の国際基準作りなどの知的所有権保護(4)消費者保護のための電子認証の安全性確保、などが盛り込まれた。世界貿易機関(WTO)で議論されているソフトウエアやデジタル映像の送信にかかる関税は当面、非課税とすることで一致した。企業の新規参入を促すことでコストを下げ、電子商取引などインターネットを利用した事業の活性化を促す狙いだ。

 また、先進国と途上国との情報格差を解消するには、途上国自身が規制緩和などに主体的に取り組むことの必要性を指摘。教育も含めた基礎的な社会基盤の整備が不足していることにも触れ、G8を中心に支援を強化することで一致した。近く専門の作業部会を設け、来年の次回サミットまでに、取り組むべき優先課題について、議論を重ねることが盛り込まれた。

 日本は、森喜朗首相が途上国に対するIT支援として、5年間で150億ドル規模の資金を拠出することを表明し、各国にも協力を求めた。

 先進国内でも、地域や年齢によって情報格差が懸念されることから、過疎地でのインフラ整備や高齢者でも利用できるような端末の開発にも取り組むとしている。

日米首脳会談・要旨

2000.07.22(11:58)asahi.com
 22日午前の森喜朗首相とクリントン米大統領の会談の主な内容は次の通り。

 【沖縄基地問題】

 ◆森喜朗首相 在日米軍基地が集中する沖縄県民の負担は極めて大きい。引き続き日米で協力し、日米特別行動委員会(SACO)最終報告の着実な実施を図りたい。最近沖縄で起こった遺憾な事件の再発防止のためにも、引き続き綱紀粛正の徹底を望む。

 普天間飛行場の移設についても基本計画の策定を進めたい。代替施設の使用期限の要請は、5月の大統領との会談も含め、米政府との話し合いのなかで数回にわたり取り上げたが、今後、国際情勢の変化に対応して、代替施設を含め在沖縄米軍の兵力構成などの軍事態勢について協議したい。

 大統領が(「平和の礎」での)スピーチで「足跡を減らす」と言われたことに、沖縄の人々は自分たちの思いを受け止めたものと心から歓迎している。

 ◆クリントン大統領 在沖縄米軍に関する沖縄県民の協力に深甚な謝意を表したい。米国も米軍普天間飛行場の移設をはじめとするSACO最終合意の着実な実施に協力していく。在沖縄米軍を含む在日米軍の兵力構成などの軍事態勢はSACO最終報告と1996年の日米安保共同宣言をふまえ、日本側と緊密に協議する。

 兵士の犯罪については、私も本当に申し訳ないと思う。こうした事件は私にも苦痛であり、恥ずかしく思う。米国のプレゼンスについては、日米両国で協力していきたい。

 【思いやり予算】

 ◆首相 引き続き米軍のプレゼンスは重要であると認識している。次年度以降の思いやり予算に関する特別協定に日米間の意見が一致したことは喜ばしい。新たな協定に今秋までに署名したい。

 ◆大統領

 同感だ。

 【NTT接続料】

 ◆大統領 NTT関連の合意はよいスタートだった。合意は日本にも利益がある。

 ◆首相 NTTの問題は両国の努力で解決できた。外国企業だけでなく日本のIT関連企業にも利益をもたらす。米側から要請のあった規制緩和対話の1年継続に同意する。

 【朝鮮半島】

 ◆首相 韓国の金大中大統領は「日米韓の協力で南北対話ができた」と言っていた。来週、初の日朝外相会談があり、米朝外相会談も予定されているが、安保上の懸念、人道、人権上の問題があるので、米国の協力をお願いしたい。

 ◆大統領 すべて同感である。

 【中東和平】

 ◆首相 プーチン・ロシア大統領は北朝鮮を訪問し、クリントン米大統領は中東和平交渉を行い、内容を紹介された。サミットに大きな貢献だ。

 ◆大統領 今朝、中東和平担当者と話した結果、明日朝まで、こちらのすべての日程をこなしていくことになった。

エイズなどの感染症問題を討議 九州・沖縄サミット

2000.07.22(12:14)asahi.com
 九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)は22日午前の会議で、エイズやマラリア、結核などの感染症問題について討議した。青少年のエイズ感染率を2005年までに25%程度減らすなどの具体的目標を掲げ、撲滅に向けた協力態勢を打ち出す。

 感染症は、アフリカやアジアの途上国だけでなく先進国でも広がる勢いを見せている。治療薬の不足や治療体制の不備が感染を広げており、労働力減少や家族の崩壊など、保健・衛生面だけでなく、経済や社会の大きな不安定要因になっている。

 このため首脳らは、製薬業界や地域で活動するNGO(非政府組織)など民間を含めた対策の強化で一致。感染症の根底にある貧困削減に向けた資金援助や、保健教育の充実などの必要性を確認する。

 日本は、森喜朗首相がNGOの支援基金を含め、5年間で約30億ドルの援助を実施することを表明する。

サミット、南北対話求めるG8声明発表

2000.07.22(00:55)asahi.com
 ロシアのプーチン大統領も加わった主要8カ国(G8)首脳会議は21日夜、行われ、朝鮮半島情勢や中東和平問題などの地域情勢を中心に政治分野について討議した。終了後、南北対話の継続と進展を求める「朝鮮半島に関する声明」と、「地域情勢に関する声明」を発表した。

 「朝鮮半島に関する声明」では、南北朝鮮首脳会談を受けた緊張緩和の動きを全面的に支持したうえで、南北対話が継続し、さらに進展するよう促すとともに、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)にミサイル発射の凍結を続けるよう呼びかけた。また、核・ミサイル問題や日本人の拉致疑惑などを念頭に「安全保障、不拡散、人道、人権の諸問題をめぐる国際的な懸念に建設的な対応を期待する」とした。

 日本政府の説明によると、北朝鮮のミサイルについては「北朝鮮の意向は防衛目的で、攻撃目的ではない」との発言があったが、ミサイル開発を平和目的のロケットに転用させるべきだなどという提案も特になかった。また、宮崎の外相会合でロシアや欧州各国が批判した米国の本土ミサイル防衛(NMD)計画は、首脳会議の場では議論されなかったという。

 「地域情勢に関するG8声明」では中東和平について、イスラエルやパレスチナなど当事者の努力に強い支持を表明。平和的な解決のための継続的な関与が重要だとの考えを示した。和平進展を側面から後押しするため、水資源の確保や経済開発などに関する多国間作業部会を再開するのが重要だとも指摘した。

 バルカン半島をめぐっては、森喜朗首相が、ユーゴスラビアのミロシェビッチ大統領が再選を可能にする憲法改正をしたことに触れ、「地域の安定に与える影響を懸念する」と発言、声明では「ユーゴ政府に対し、暴力の激化につながるような行動を自制する」ことを呼びかけた。

日本に景気支援策など求める サミットG7経済討議

2000.07.22(00:16)asahi.com
 第26回主要国首脳会議(九州・沖縄サミット)は21日午後、沖縄県名護市の万国津梁(しんりょう)館を会場に始まった。最初の経済討議では、森喜朗首相をはじめ、ロシアを除く7カ国の首脳が参加、終了後にG7声明を発表した。声明では、欧米やアジアの景気が明るさを増す中で、原油価格の高騰に懸念を表明。景気回復が遅れている日本に対し、内需主導の成長を確実にするよう、景気に支援的な経済政策と、規制緩和などの構造改革の継続を求めた。途上国から早期実行を強く求められ、非政府組織(NGO)の関心も高い重債務貧困国の債務削減問題では、すでに帳消しが決定した9カ国に加え、年末までに最大11カ国の決定を目標に掲げた。夕食会(ワーキングディナー)からは、ロシアのプーチン大統領も加わり、中東和平や朝鮮半島情勢、米国の本土ミサイル防衛(NMD)などをめぐる議論が交わされた。

 声明では、世界経済について、米国の力強い成長や、欧州の堅調な回復ぶりを確認するとともに、通貨危機から3年を経て、アジアなど新興市場国・地域の経済が力強さを増していることにふれ、世界経済全体の成長見通しは「さらに改善した」と指摘した。ただ、最近の原油価格の高騰と世界経済への悪影響に懸念を表明し、原油市場の安定の必要性を強調した。

 日本経済については「不確実性も依然として残っているものの、経済は景気回復への前向きな兆しを引き続き示している」との認識が示された。そのうえで、経済政策は「内需主導の成長を確実なものとするよう、引き続き支援的なものとするべきだ。構造改革は潜在生産力の向上を促進するために、継続されるべきである」とし、積極的な財政・金融政策の継続と、競争力強化のための構造改革が求められた。

 今月8日の蔵相会合でまとめられた「国際金融システムの悪用、乱用に対する行動」「貧困削減と経済発展」の2つの報告書も公表された。アジア通貨危機の再発防止を目指す国際金融システム改革では、国際通貨基金(IMF)の融資制度見直しなど、蔵相会合の報告書を了承した。

 資金洗浄(マネーロンダリング)が疑われる国・地域に対しては、金融取引に対する制限や、国際金融機関による支援の制限も含めた制裁措置を一致してとる用意があることを明記して厳しい姿勢を打ち出した。タックスヘイブン(租税回避地)についても、早急な改善を強く促した。

 重債務貧困国の債務帳消し問題では、これまでに適用が決定された9カ国について86億ドル(約9200億円)の債務が削減される見通しを明らかにした。蔵相報告書では、2000年末までにさらに最大11カ国が適用決定される目標を設定したが、対象40カ国のうち10カ国が紛争の影響によって債務帳消しが困難になっているとも指摘した。このため、声明は紛争の終結に向けてG7側も積極的に関与する姿勢を表明した。

北朝鮮への衛星協力を提案 米ロ首脳会談でロ大統領

2000.07.22(02:09)asahi.com
 九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)は21日午後、沖縄県名護市の万国津梁(しんりょう)館を会場に始まった。同日来日したロシアのプーチン大統領は、クリントン米大統領と会談。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の長距離ミサイル開発を凍結させるため、衛星打ち上げへの協力を米ロを含む国際的な枠組みで進める計画を提唱した。米本土ミサイル防衛(NMD)への反対を続けるプーチン氏の新提案であり、米側は説明は聞くが、慎重な姿勢だ。

 ロシアのイワノフ外相によると、プーチン氏は、19日に平壌で会談した金正日総書記が「もし国際社会から年に1、2個の人工衛星打ち上げに協力を得られるなら、北朝鮮は弾道ミサイルの実験をやめる用意がある」と述べた、とクリントン氏に説明。衛星打ち上げへの協力を提唱した。

 米政府高官は「北朝鮮が国際支援の見返りにミサイル開発を凍結する方策を探るのはやぶさかではない。しかし金正日総書記の真意がはっきりしない」と述べ、22日以降もロシア側の説明を聞くことを明らかにした。

 同高官は「もし北朝鮮に国際社会が(大陸間弾道ミサイルにもなり得る)ロケット技術を与えるという案ならば、危険だ」とし、慎重な見方を示している。プーチン氏は他のサミット参加国にも同じ提案を伝え、反応を探ることにしているという。

 NMD構想についてはプーチン氏は改めて懸念を繰り返した。クリントン氏は、今月、失敗に終わったNMD迎撃実験の分析結果なども踏まえ、コーエン国防長官が数週間以内にも出す勧告を見て判断を下す、と答えるにとどまり、平行線のままだった。

 ミサイル不拡散体制の強化については、ミサイル関連技術輸出規制(MTCR)を補完する新しいメカニズムを作ることで合意した。6月の会談で、ミサイル保有国の増加に伴い、新しい質の脅威が増えているとの認識で一致したことを受けたものだ。

 このほか、両大統領は、第3国のミサイル発射情報を米ロで共有する常設の合同早期警戒センターを、年内に開設することをめざすことで一致。第3次戦略兵器削減条約(START3)の合意をめざして核軍縮交渉を強化する方針も改めて確認した。

沖縄サミット開幕へ 午後にはまずG7会合

2000.07.21(13:45)asahi.com
 九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)が21日午後、沖縄県名護市の万国津梁館を会場に3日間の日程で始まる。最初の会議はロシアを除いた7カ国(G7)会合で、経済構造改革に取り組んでいるロシアに対する支援策や国際経済情勢を話し合う。夜には、ロシアも加わり、南北首脳会談を機に緊張緩和に向けて動き出した朝鮮半島情勢や、米国の本土ミサイル防衛(NMD)などをめぐって討議する。また、イスラエルとパレスチナの最終地位交渉をはじめ中東和平への取り組みも中心議題となる。

 直前までイスラエルとパレスチナの最終地位交渉の仲介にあたっていた米国のクリントン大統領は同日午前9時過ぎ、沖縄に到着。沖縄戦の戦没者らを悼む「平和の礎」を訪れ、沖縄県民らを前に演説する。

 サミット初参加のロシアのプーチン大統領も、同日午後、沖縄に到着する予定。来日直前に中国と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を訪問し、江沢民国家主席や金正日総書記との会談で、米国のNMDへの批判を強めており、サミットの首脳会合でもNMDを積極的に取り上げるものと見られている。また、クリントン大統領とプーチン大統領は、21日夜の首脳会合に先立って個別に会談する。

 朝鮮半島情勢をめぐっては、北朝鮮の核・ミサイル問題や日本人拉致疑惑などを念頭に、「安全保障問題や人権・人道問題での建設的対応」を求めることを確認し、「特別声明」を公表する予定だ。

NGO代表が森首相に申し入れ

2000.07.21(20:40)asahi.com
 九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)で議長を務める森喜朗首相は21日、首脳会議会場の「万国津梁館(しんりょうかん)」近くのホテルで、環境や貧困などの問題に取り組む非政府組織(NGO)の代表と会った。NGO側は、G8首脳に対する要望を述べ、要請書や署名を手渡した。サミットで日本の首相がNGOと対話するのは初めて。NGOの果たす役割が国際的に認められる中で、日本も重視する姿勢を内外に示そうとしたとみられる。

 首相と会ったのは、サミットに合わせて沖縄で国際会議を開き、要請や提言をまとめた5団体の代表ら9人。

 サミット期間中に約40団体が参加、情報発信している「NGOセンター連絡会」の池原貞雄・共同代表(琉球大名誉教授)らは、「やんばる(沖縄北部)の自然を守り、ジュゴンやノグチゲラを保護したい」「沖縄は軍事基地で世界に尽くそうとは思っていない。文化で貢献したい」と訴え、16団体から託された要請書を渡した。

 これに対して森首相は、「貴重なご意見に感謝します。いずれも重要な問題で、首脳会議に反映したい」と述べた。面会は30分余りで終わった。

 面会後、池原共同代表は「限られた時間で詳しく説明できなかったが、直々に話せたことは意味があった」と話した。

中東和平交渉も沖縄で? 日本政府内で「奇策」一時浮上

2000.07.21(01:27)asahi.com
 クリントン米大統領とともに、バラク・イスラエル首相、アラファト・パレスチナ自治政府議長も沖縄に来てもらおう――。中東和平交渉の難航で危ぶまれた大統領の訪日をめぐり、こんな「奇策」を森喜朗首相が考えていた。首相自身が20日夜、沖縄へ向かう政府専用機の中で明かした。

 首相は大統領から訪日の日程を相談する電話があれば、直接持ちかけるつもりだったという。和平交渉を中断することなく、大統領が訪日でき、G8(主要8カ国)の首脳も交渉を後押しできる、と一石三鳥を狙ったようだ。

中東和平支援でサミット特別声明 政府方針

2000.07.20(23:32)asahi.com
 政府は20日、九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)で、イスラエルとパレスチナの最終地位交渉などの中東和平を支援する特別声明をまとめる方針を固めた。米国で行われていた中東和平首脳会談で、和平交渉は合意に達していない。だが、クリントン米大統領がサミット終了後も和平交渉の継続に意欲を表明していることを受け、9月13日の最終期限に向けて、主要8カ国(G8)が協調して中東和平を支援することを確認する。

 クリントン大統領は和平交渉の合意達成を目指し、訪日を1日延期するなど、仲介努力を続けてきた。議長国の日本政府としては、主要8カ国が一致して和平に積極的な姿勢を打ち出すことは「サミットが発信するメッセージとして、大きな効果が期待できる」(外務省幹部)との判断がある。

 政府は、中東和平が大きな進展を見せた際に備え、パレスチナが独立国家を樹立する場合を視野に入れ、(1)パレスチナ難民の帰還(2)パレスチナ国家の行政機構づくり(3)不足しがちな水資源の確保――などを柱にした中東支援の包括的な取り組みを盛り込んだ「行動計画」を策定する方針で調整を進めていた。

G8首脳、途上国首脳と初の「対話」

2000.07.20(22:58)asahi.com
 21日からの九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)を前に、森喜朗首相やフランスのシラク大統領、英国のブレア首相ら主要8カ国(G8)の首脳は20日、南アフリカのムベキ大統領、ナイジェリアのオバサンジョ大統領、アルジェリアのブーテフリカ大統領、タイのチュアン首相ら途上国首脳と、東京・元赤坂の迎賓館で意見交換した。  サミットの主要議題である債務問題や「情報格差(デジタル・デバイド)」、感染症などの問題をめぐって途上国側の意見を聞き、サミットに反映させるのがねらい。サミットの機会を利用したG8と途上国の首脳レベルの「対話」は初めてのことだ。

 G8側で出席した首脳はほかに、イタリアのアマート首相とカナダのクレティエン首相。米国からは、クリントン大統領の代理としてサマーズ財務長官が出席。また、ソニーの出井伸之会長や米サン・マイクロシステムズのジョン・ゲージ取締役ら情報技術(IT)関連の企業経営者も加わった。

 会合では、途上国側から「貧困や債務問題に対するG8の行動が遅い」「直接投資や政府の途上国援助(ODA)の増強が必要だ」などの意見が出され、G8や国際機関の途上国に対する一貫した政策を求める声が上がった。

 G8側からは「援助をしても、効果的に活用できなければ意味がない」「債務削減だけでは効果はなく、自助努力が必要だ」など厳しい意見も相次いだ。

森首相、英・伊・カナダ首脳と相次いで会談

2000.07.20(21:59)asahi.com
 森喜朗首相は20日、九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)に先立ち、東京・元赤坂の迎賓館で、クレティエン・カナダ首相、ブレア英国首相、アマート・イタリア首相と相次いで会談した。

 森首相は朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)情勢について、クレティエン・カナダ首相との会談で「朝鮮半島の緊張緩和は日本など周辺諸国にとって重要であり、北朝鮮に行ったプーチン・ロシア大統領からサミット中に話を聞きたい」と表明。アマート伊首相との会談では「北朝鮮との国交正常化に動いていきたい。南北の統一に向けた動きをG8としても後押ししていくべきだ」と述べた。

 また、クレティエン首相は、日本とカナダとの自由貿易協定締結問題に触れ、「対日赤字が極めて大きく、カナダ経済界が検討を待っている」と日本側の対応を促した。これに対して森首相は「2国間の大きなテーマであり、十分検討する必要がある」と応じた。

 ブレア英首相は、元英国航空の客室乗務員ルーシー・ジェーン・ブラックマンさん(21)が行方不明になっている問題で、引き続き捜してほしいと森首相に要請。英国に進出している日本企業がポンド高で業績が悪化していることに関連して「欧州通貨統合への参加については次の総選挙で立場を決めることになっている」と理解を求めた。森首相は「参加に向けて引き続き取り組む姿勢を歓迎する」と述べた。

 アマート伊首相は、国連安保理改革について「国連にいかに貢献しているかとの基準に照らせば、日本と同様にイタリアも常任理事国になる資格がある」と主張した。

NMD問題で「政府に見解はない」 中川官房長官

2000.07.20(15:30)asahi.com
 中川秀直官房長官は19日午前の記者会見で、ロシアと中国が米国の米本土ミサイル防衛(NMD)計画に反対する共同声明を発表したことに関して、NMD問題は九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)の議題にはならないとの見通しを示した。計画自体については「政府内で1つの見解を固めたということは、まだない」と述べた。また共同声明が日米両国が共同研究を進める戦域ミサイル防衛(TMD)構想にも反対していることについても「確認していない」とコメントを避けた。

サミット控え、沖縄は空前の厳戒態勢

2000.07.20(22:46)asahi.com
 21日に開幕するサミット(主要国首脳会議)に向け首脳らが20日、次々と沖縄に入った。全国から約2万2000人の警察官が動員された現地では、空前の厳戒態勢が敷かれた。沖合には海上保安庁の巡視船艇の約3割にあたる約100隻と特殊ボートなど40隻が集結し、上空には海上自衛隊のP3C哨戒機が飛ぶ。史上最大規模の警備に住民の苦情は40件を超えている。

 那覇空港では出入り口にそれぞれ警察官5人ほどが立つ。空港に入ろうとする人にボディーチェックをし、搭乗券やかばんの中身を確認することも。空港近くの道路で2度の検問にあった男性(37)は「見送りに来ただけでここまでするか。でも、仕方ないね」。

 名護市内や首脳が泊まるホテルが点在する国道58号沿いなどでは早朝から、約20カ所で検問が続いた。会場出入り口では、警官十数人が検問に立った。午前10時半ごろ、サミット用の入場許可証を忘れた清掃業者がトラックを止められて押し問答に。警察が身分を電話で確認するまで約30分待たされた業者は「厳しすぎる」。

 会場周辺には観光客のようなポロシャツ姿の私服警察官の姿も。ホテルやロビー、テラス、海辺などの要所で目を光らせ、あたりに重々しい雰囲気が漂う。

 津梁(しんりょう)館は、沖縄本島西岸の岬の突端にある。首脳らが宿泊する7つのホテルも海岸近くにあるため、海も厳戒に。

 会場の沖合には巡視船が張り付き、機動隊員2人が乗った水上バイク10台も警戒。沖合300メートルには20メートル四方の発泡スチロール製いかだの「水上交番」を浮かべ、機動隊員が24時間、双眼鏡をのぞく。

 付近の海域には、第11管区海上保安本部が特殊プラスチックとゴム製の複合艇30隻を配備した。浅瀬やサンゴ礁を時速90キロ超で走る高性能船だ。

 海保によると、サミット期間中に出漁する漁船は通常の10分の1の710隻。海保側の自粛要請を漁船側も受け入れた形だ。

 一方、那覇市の泊漁港では、所属漁船50隻のほとんどが外洋に出払った。県漁連によると、出入りが厳しくチェックされることを嫌った漁船がそろって事前に外洋に出て、サミット終了後に港に帰るという。

 船が港に帰らないため、魚市場では「マグロ不足」現象が起きている。マグロ入庫がふだんの半分以下という糸満漁協お魚センターでは「ここ数日はマグロはスズメの涙ほど。需要はあるのでもったいない」。

 警備当局によると、沖縄は過激派にとって反戦・反米闘争のシンボル的場所という。これまでに18件のゲリラ事件が起き、1975年の沖縄海洋博の際には、「ひめゆりの塔」の直下の濠(ごう)に潜んでいた過激派2人が、皇太子ご夫妻に火炎瓶を投げる事件が起きている。

 ただ、ひめゆりの濠は、平和を願う県民の「聖地」でもあり、今回は事前の捜索を見送った。

 また、沖縄には亀甲墓(かめこうばか)と呼ばれる大きな墓があちこちにある。悪用すれば格好の隠れ家になるが、住民感情に配慮して中を確認することは見送った。何かあったときは捜索できるように、念のために所有者の確認はしているという。

米大統領訪日遅れ 東京素通りに衝撃/官邸の自信一転、官房長官会見もドタバタ

2000.07.20 The Sankei Shimbun
 クリントン米大統領が東京に立ち寄らず沖縄に直行することが十九日決まったが、大きな波紋を呼んでいる。森喜朗首相ら政府首脳は十九日、表向き冷静な反応を示したが、外務省を中心に日米関係の冷却化を懸念する声が出始める一方、沖縄ではさらなる日程変更に不安感が広がっており、主要国首脳会議(沖縄サミット)は波乱含みのスタートを切ることになりそうだ。

川秀直官房長官ら首相サイドは、予定通り二十日午後に東京で日米首脳会談が開催されることに自信を示していただけに、「大統領が(中東和平に)ぎりぎりまで努力していることは理解できる」と表向き平静さを保っているものの、「情報収集が甘かった」(政府筋)と“衝撃”を隠せないでいる。

 米大統領の日程をめぐっては十九日午前六時半ごろ(日本時間)、駐米日本大使館が大統領補佐官補に「来日日程に変更はない」との確認を取ったため、中川長官は午前十時半からの記者会見で「日程に変更が生じているとは聞いていない」と断言した。

 しかし、正午前に米側から沖縄サミットでシェルパを務める外務省の野上義二外務審議官に「大詰めの中東和平首脳会談のため出発を遅らせる」との通告があり、首相官邸に急報された。

 これを受けて中川長官は午後一時ごろ、記者団に対し「大統領の出発は遅れる」と告げた。この時点では東京に立ち寄るかどうかわからず、約四十分後に「沖縄直行」を発表するドタバタぶりを露呈。

 さっそく民主党の鳩山由紀夫代表は、十九日の記者会見で「形がい化したサミットから本腰を入れたサミットに戻す役割を議長国が果たすべきなのに、お祭り的なものにしているからだ」と批判。自民党内からも「クリントン政権の森政権への姿勢がうかがえる」(閣僚経験者)との懸念も出ている。

 一方、外務省では幹部が「中東和平は今、もっともホットな国際問題だ。大統領が情熱を傾けるのは当然で、日米関係をないがしろにしたわけではない」との“公式見解”を示している。だが、同省内でも「日本は首脳会談に向けてNTT接続料問題など全力で準備を進めてきた。沖縄で短時間会談しても中身の濃いものとはならず、逆に日米関係が色あせたものになる」と不満を示す向きも少なくない。

 こうした声の背景には、オルブライト国務長官がサミット外相会合をキャンセル、同長官が六月に中国、韓国を訪問した際にも日本を素通りするなど最近のぎくしゃくした日米関係がある。「表面的には波穏やかにみえる日米関係は二十年前には考えられなかったことが起きている」(日米関係筋)との声すら出始めている。

 さらに今回のサミットでは、プーチン露大統領とシュレーダー独首相が東京での関連行事欠席を早々と通告してきたほか、首脳夫人の多くが来日しないなど、議長国・日本の権威が揺らいでいる。森喜朗首相は十九日午後、記者団に対し「(中東和平に)精力を傾けてやってらっしゃるから、十分理解できることじゃないか。会議に間に合えばいいんじゃないか」とおうようなところをみせたが、受けたダメージは小さくない。

         ◇

 クリントン米大統領の沖縄サミットをめぐる日程変更に関連し、関係筋は十九日、沖縄県糸満市の「平和の礎」で二十一日午前に予定されていた記念式典に同大統領が出席できなくなったことを明らかにした。式典を主催する沖縄県は同大統領の出席を強く望んでおり、式典は二十三日に延期される可能性が高い。

2000円札を各国首脳に贈呈へ 費用は森首相が負担

2000.07.20(07:03) asahi.com
 19日からの新2000円札発行を記念して、森喜朗首相が九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)に参加する各国首脳に新紙幣を贈ることになった。札の番号に各国の頭文字を入れたもので、22日の夕食会で首相が直接手渡す。中川秀直官房長官が19日の記者会見で明らかにした。

 贈る紙幣はすべて「Aの1番」で、末尾に各国の頭文字を入れる。フランスは「A1F」、米国は「A1U」、ドイツが「A1G」といったぐあい。イタリアは「1」と「I」が紛らわしいとの理由から、「ラテン」や通貨の「リラ」から「L」をとり、「A1L」に。日本の「A1J」は首相官邸に保管する。費用は首相が負担、少額なので「現金授受」に違法性はないという。

 新2000円札の発行は故小渕恵三前首相が決めた。前首相はサミットの成功に力を傾けてきたことから、前首相の遺族にも贈られる。

米大統領は沖縄へ直行 到着は早くて21日午前

2000.07.19(19:44)asahi.com
 日米両政府は19日、九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)出席のため来日するクリントン米大統領が当初予定していた東京への立ち寄りをやめ、首脳会議の開かれる沖縄に直行することになったと発表した。21日のサミット開幕ぎりぎりまで、自らが米キャンプデービッドで仲介に乗り出しているイスラエルとパレスチナの最終地位交渉を進展させたいためで、日本側は「事情を理解し、了解した」と受け入れた。

 米側は、大統領報道官が「大統領は20日午前に出発し、21日の主要8カ国(G8)サミット開始に間に合うように日本に到着する。大統領はこれが中東和平プロセスに最も有益であると確信している」と言明した。沖縄到着は早くても21日午前の見通し。

 これに伴い、当初は20日午後に東京の迎賓館で行われる予定だった日米首脳会談は、沖縄で開かれる見通しとなった。日程は21日を軸に再調整している。外務省は「大統領の到着は遅れてもサミット自体の日程に影響はない」としている。

米大統領、サミットで中東和平への財政支援訴える意向

2000.07.18(15:48)asahi.com
 中東和平の「キャンプデービッド会談」について、ロックハート米大統領報道官は17日、「会談で何らかの合意が達成された場合、九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)は、国際社会が中東和平プロセスを助けるために、どのような力と責任を発揮できるかを話し合う格好の機会となるだろう」と語った。クリントン大統領は、サミットの場で、財政支援を訴えたい意向とみられる。

 また、報道官は「大統領が19日に日本にたつ時には、イスラエル、パレスチナの代表団も仕事にけりをつけているよう期待している」と語った。仲介役の米国としては、大統領の出発までに何らかの共同声明をまとめ、首脳会談をいったん打ち止めにしたい考えのようだ。ただ、19日が「交渉期限」になる、との見方は重ねて否定している。

サミット警戒で東京駅などロッカー閉鎖

2000.07.17(20:51)asahi.com
 サミット(主要国首脳会議)に出席する各国首脳の来日を控え、東京駅など首都圏のJR各駅で17日、駅構内のコインロッカーが「封鎖」された。営団と都営地下鉄の一部の駅でも、18日から25日にかけてロッカーや自動販売機の利用ができなくなる。

 JRで対象となったのは、国会議事堂や迎賓館を囲む中央、山手線16駅と成田空港付近の2駅。約5600個のロッカーがある東京駅では17日午後、駅員らが使用中止を告げる紙を次々と張り、空きロッカーにかぎをかけた。ごみ箱は20日からカバーで包み、使用できないようにする。いずれも21日正午までの措置。

 大きな荷物を抱えながら、戸惑った表情で空きロッカーを探す旅行客の姿もあった。JR東日本は「東京駅には臨時の手荷物預かり所2カ所を設けた。お客様には不便をかけるが、理解してほしい」と説明している。

ヒトゲノム解読データ公開を 沖縄サミット表明へ

2000.07.16 The Sankei Shimbun
 人体の設計図といわれる人間の遺伝情報の全体図・ヒトゲノムを構成する塩基配列の「国際ヒトゲノム計画」の解読データについて、二十一日から開催される沖縄サミットで、主要八カ国首脳は、世界共通の財産として公開して今後の機能解明などに役立てるよう表明する見通しになった。

 将来の医療などに役立つヒトゲノムの解読は、国際的なプロジェクト「国際ヒトゲノム計画」で米国立衛生研究所の研究者を中心に、日欧の研究者も交えて行われ、六月には解読をほぼ完了した。

 米英両政府は三月にヒトゲノムについて解読された基本的な生データは公開すべきだとする共同声明を発表。日本や独、仏などもこの声明を支持する立場を表明している。

 また日米欧の特許庁は、遺伝子の持つ機能を特定することを特許の条件とすることで合意しており、たんに遺伝子断片の塩基配列を解読しただけでは特許としない方針を示している。

 しかし、この分野に独自に参入してきた民間のバイオベンチャー企業には、解読したデータを一定の期間、非公開とすることを主張したり、他の製薬会社に有料で公開するなどの動きも出ている。さらに、遺伝子の解明に対しては、国によっては宗教上の理由で疑念を示したり、一部の非政府組織(NGO)にも反対する動きもある。

 このため、ヒトゲノムの遺伝子を特定し、その機能を解明して医薬品の開発や治療に応用する“ポストゲノム”時代の研究に向け、解読されたデータを公開し、人類全体の財産として有効に利用することが「世界の方向性と示されている」(通産省首脳)として、沖縄サミットの場で、首脳らが一致して、公開の必要性を訴える見通しだ。

サミットIT憲章、規制緩和盛り込みへ -米、強く主張/WTO交渉、年内開始 G8宣言へ最終調整-

2000.07.16 The Sankei Shimbun
 二十一日から開かれる主要国首脳会議(沖縄サミット)で、IT(情報技術)の普及・発展を目指して八カ国首脳がまとめる「IT憲章」に情報通信と運輸、税関手続き、宅配の個別四分野の規制緩和を盛り込む方向で調整していることが十五日明らかになった。通信料金の引き下げでインターネットの利用を進めたうえで、ネットを通じた通信販売などを促進するのが狙い。一方、主要八カ国(G8)首脳宣言には、WTO(世界貿易機関)の貿易自由化交渉の年内開始を目指す方針を盛り込む方向でも最終調整に入った。

 沖縄サミットでは、ITが主要議題の一つに位置付けられており、最終日の二十三日には、G8首脳宣言とは別にITの重要性などを訴えるIT憲章を発表する。

 IT憲章には、ITが世界の経済・社会に与える影響の大きさを指摘し、先進国と途上国とのデジタル・ディバイド(情報格差)を是正する途上国向けの支援策を盛り込む一方、デジタル・オポチュニティ(情報機会)が世界経済の発展を促すとの考えなども明記し、各国がIT普及を進める方針を打ち出す。

 これに関連して参加各国は、情報通信と運輸、税関での手続き、宅配の個別四分野の規制緩和を憲章に盛り込む方向で調整に入った。インターネットを通じた電子商取引を促すのが目的で、通信市場への参入や料金の規制などから電子商取引に制約が加えられたり、電子商取引で契約が成立した商品の運送、通関手続きが、通常の商品と差別した扱いが行われたりすることのないよう「各国がIT普及に向けて取り組むべき目標」(政府筋)として位置付ける。

 この四分野の規制緩和は米国が強く主張したもので、米国企業が他のサミット参加各国に市場参入を図るための環境整備につなげたいという思惑もある。このため、首脳会議の場で、具体的な表現などをめぐって応酬があることも予想されるが、規制緩和を明記する基本的な方向は固まっている。

 一方、G8首脳宣言では、WTOの新たな貿易自由化交渉について、年内開始を目指すという方針を盛り込むことで最終的な調整を進めている。これまでは交渉の対象分野をめぐって各国の間で対立が続いており、交渉開始の時期が明示できないままだった。G8首脳宣言では、より多くの国に交渉参加を求める一方、年内に交渉を始めるという目標を盛り込むことで、早期の交渉開始につなげる。

途上国援助、IT、エイズ対策などに180億ドル

2000.07.15(01:18)asahi.com
 政府は14日、九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)の重要議題になっている情報技術(IT)とエイズなどの感染症対策について、今後5年間にそれぞれ150億ドル(約1兆6000億円)と30億ドル(約3200億円)を拠出する包括的な途上国支援策を発表した。IT分野では、情報通信基盤の整備などを中心に、デジタル・デバイド(情報格差)の解消に貢献する。感染症分野では、公衆衛生や研究活動を促し、非政府組織(NGO)活動を支援する基金も設ける。21日から始まるサミット首脳会議で日本側の積極姿勢を説明し、議長国としての存在感をアピールするのが狙いだ。

 IT支援策については、14日、内閣記者会とのインタビューで森喜朗首相が明らかにした。「ITは(貧困削減や経済成長を促す)チャンス」と位置づけ、途上国政府の政策立案や法整備▽5年間で1万人以上を対象とする人材育成▽通信技術やネットワーク整備▽遠隔教育や遠隔医療の推進、などを柱とする。

 国際協力銀行の投融資や民間企業の取引に対する信用保証が中心だが、無償資金協力や技術協力など政府の途上国援助(ODA)枠も利用する。

 ITに関係する日本のODA拠出は、これまでの5年間で約2000億円程度だった。新たに「IT枠」を設けることで「従来なら無償資金協力事業ではやりにくかった携帯電話網の整備なども取り組みやすくなる」(外務省)という。ただ、ODA予算の増額自体は、財政難から大蔵省が難色を示していることもあり、予算の中身の振り替えが中心になりそうだ。

 「沖縄感染症対策イニシアチブ」は、エイズ、結核、マラリア・寄生虫、ポリオの4分野が対象。無償資金協力や技術協力が中心だが、ワクチン製造工場の建設など、途上国の要望や返済能力によって円借款にも応じるという。NGO支援基金は、国連内部に設置する。1000万ドル程度の規模になる見通しだ。当初は参加国(G8)全体での基金づくりを模索していたが、調整がつかず、日本の単独拠出となった。

サミット首脳個別会談の日程固まる

2000.07.14(19:41)asahi.com
 九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)に出席のため日本を訪れる各国首脳と森喜朗首相との個別会談の日程が固まった。中川秀直官房長官が14日の記者会見で明らかにした。一連の会談の予定は次の通り。

 19日午前、シラク仏大統領、プロディ欧州委員長(首相官邸)▽20日午後、クリントン米大統領、ブレア英首相、アマート伊首相(迎賓館)▽23日、プーチン・ロシア大統領(沖縄)。ドイツ、カナダ両国首脳との会談日程はまだ決まっていない。

政府、武器回収基金に70万ドル拠出 外相会合閉幕

2000.07.13(18:28)asahi.com
 宮崎市で開かれていた九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)外相会合は13日昼、主要8カ国(G8)としては初めて紛争予防の具体策を網羅した「宮崎イニシアチブ」や討議の成果をまとめた「総括文書」を採択して閉幕した。日本政府は合意に基づき、自動小銃などの小型武器を紛争地域から回収するための国連基金に70万ドルを追加拠出する。ロシアや欧州が反発し、米国の孤立が際だった本土ミサイル防衛(NMD)については、オルブライト米国務長官の欠席もあって議論が進まず、文書では言及を避け、首脳会議や米ロ首脳会談に持ち越された。軍備管理をめぐる政策協調ではサミットの限界が鮮明になった。

 地域情勢では、中東和平について、イスラエルのレバノンからの撤退を歓迎するとともに、イスラエル、パレスチナ双方に交渉を加速するよう呼びかけた。国連の暫定統治下で独立への道を歩む東ティモールについては、国際社会の関心が一時より薄れている中、引き続き復興支援に力を入れることも確認した。

 ユーゴスラビアについては、ミロシェビッチ大統領の続投を可能にする憲法改正や、最近の報道規制に強い懸念を示した。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に関しては、ミサイル問題や日本人の拉致疑惑などを念頭に「安全保障や人道問題の懸念に対し建設的対応を期待する」と明記した。

 紛争予防の合意文書には、反政府武装勢力も入手しやすい自動小銃などの小型武器の拡散を抑えるため、「他国への侵略や抑圧に使われる明確なおそれがある場合」には、輸出を許可しないことを盛り込んだ。途上国に経済援助する際、軍事費への転用を防ぐため、使途を透明にするよう求めることでも一致した。

 紛争地域で児童を徴兵する例も目立っているため、こうした国や武装勢力に国際的な圧力をかけることを強調。不正なダイヤモンド取引による収益が、アンゴラやシエラレオネなどアフリカで紛争を悪化させていることにも留意し、取り締まり強化のためベルギーなど主な取引市場と協力することも掲げた。

G8外相、非同盟諸国会議の代表らと会談

2000.07.13(12:04)asahi.com
 河野洋平外相ら主要8カ国(G8)の外相は13日午前、南アフリカなど非同盟諸国会議(NAM)の前、現、次期議長国(トロイカ)や途上国グループ(G77)の議長国ナイジェリアなどの外相らと約1時間、会談した。グローバル化で深刻化している貧困や債務、情報技術(IT)革命の問題が焦点となり、途上国側から「開発援助が減っているが、援助は先進国の義務だ」「情報格差を広げないよう国際社会が協力してほしい」などの要望があった。

 これに対し、G8側からは「インドの例のように、途上国だからIT革命に乗り遅れるとは言えない」「開発を進めるためには地域の安全の確保が大切だ」などの意見が出た。来年のサミットの議長国イタリアは「グローバル化は何らかの形でコントロールすべきだ」と応じ、来年も対話の場を設ける考えを明らかにした。

NMDなど協議か 宮崎で米ロ外相級会談

2000.07.12(15:07)asahi.com
 九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)外相会合のため、宮崎市を訪れたタルボット米国務副長官とイワノフ・ロシア外相は12日、宿舎のホテルで昼食をとりながら会談した。沖縄での米ロ首脳会談に備え、対立している米本土ミサイル防衛(NMD)計画などについて意見交換した。

 クリントン米大統領とプーチン・ロシア大統領は10日の電話協議で、沖縄での会談でNMDを話し合うことを確認している。米国防総省による迎撃実験(8日)が失敗したことを受け、ロシア側は改めてNMD計画の断念を迫る見通しで、外相級会談でも技術的な問題点を指摘した模様だ。

サミット外相会合開幕 NMDめぐり米が孤立

2000.07.12(20:53)asahi.com
 九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)の外相会合が12日、宮崎市のシーガイアで2日間の日程で始まった。米国の本土ミサイル防衛(NMD)計画をめぐって、ロシア、フランス、ドイツから異論が相次ぎ、この問題で米国が孤立した状況が浮き彫りになった。国連改革では、安全保障理事会の改革を含め効率化を図ることで一致した。13日に合意内容を盛り込んだ総括文書などを採択する。

 NMDについてはロシアが「核抑止力のバランスを崩し、新たな軍拡の道を開く」と批判、ドイツも「既存の軍縮条約と矛盾しない形で進める必要がある」と指摘し、米国がNMD導入に向けて弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約の修正を目指していることを、間接的に批判した。フランスも独ロ両国に同調する見解を示した。

 米国は「ミサイル防衛という考え方は戦略的安定を維持しながら進める」と表明した。日本は米国への配慮もあり、NMD問題で特に発言しなかった。

 紛争予防については、自動小銃などの小型武器が紛争地域の末端にまで出回り、紛争を助長しているとの認識で一致。援助資金がこうした武器の入手に転用されないよう監視を強めることを確認した。文民警察の展開が紛争再発を避けるのに役立つとの見解でも一致し、訓練制度や国際的な待機制度を検討することで一致した。

ペルーの民主化支援で一致 日本・カナダ外相会談

2000.07.12(15:06)asahi.com
 河野洋平外相は12日午前、カナダのアクスワージー外相と宮崎市内のホテルで約1時間会談した。アクスワージー外相はペルーのフジモリ政権について、米州機構(OAS)の視察団として訪れたことに触れながら、「選挙改革や司法の独立などの改革を進めないと、暴力的な反乱が起きるのではないかという深刻な印象を受けた。国際世論を使い、働きかけていきたい」と述べ、ペルーの民主化進展のための協力を求めた。河野外相は「フジモリ政権のスタート時と今を比べると、法体系の整備などで前進しているが、テロや貧富の格差の問題もある」としたうえで、「日本も民主化を支援していく」と応じた。

「G8高校生サミット」のメンバーが首相に提言

2000.07.12(19:41)asahi.com
 主要8カ国(G8)各国の若者による「G8高校生サミット」(実行委員長・樋口広太郎アサヒビール名誉会長)の参加高校生3人が12日、首相官邸を訪れ、環境問題などについての提言を森喜朗首相に渡した。

 高校生サミットは6月下旬に沖縄県で開かれ、環境や平和問題などについて意見を交換し、提言をまとめた。世界規模の環境税の実施や、世界の高校の単位の共有化などを求めている。受け取った首相は「子供たちにもらったということで各国首脳と相談し、結果を報告します。来世紀の主役の提案だから、我々が実行できるよう約束しましょう」とこたえた。

最貧国救済基金などに約7億ユーロを拠出 欧州委

2000.07.08(23:20)asahi.com
 九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)で債務問題が話し合われるのを前に、欧州委員会は7日、重債務貧困国(HIPC)救済イニシアチブに、約10億8200万ユーロ(約1100億円)を拠出すると発表した。このうち、約7億3000万ユーロは世銀が監督する最貧国救済信託基金に、残りが欧州連合(EU)が持つ債権の削減に使われる。

 ニールソン欧州委員(援助・人道支援担当)は、「他の債権国が早急に貢献しない限り、この貢献は生かされない」と述べ、2国間債務の大国であるフランスや日本など主要国に、イニシアチブへの貢献を呼びかけた。

サミット蔵相会合が発表した首脳への報告書の概要

2000.07.08(22:35)asahi.com
 九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)の蔵相会合が8日発表した首脳への2つの報告書の要旨は次の通り。「金融システムの悪用、乱用」と「重債務貧困国の債務帳消し」に関する報告書は、21日から沖縄で始まる首脳会議で公表される。

 【IT革命の金融・経済面への影響】

 (1)マクロ経済への影響と政策にもたらす意義

 ITの影響は、各国の潜在成長力を上昇させる可能性がある。新たなサービスの発達を通じて、需要を拡大する効果もある。雇用にも、プラスの影響が期待できる。民間の創造性を生かすような環境の整備が政府の役割だ。健全なマクロ経済政策は一層不可欠になっている。

 IT革命は、マクロ経済政策の環境をより複雑かつ不確実にする面もある。初期段階では、投資判断も難しくなる。長期的には、金融システム全体の安定性への影響もあり得る。規制の撤廃、労働市場の適応性の強化、競争政策などの整備、開放的な貿易システムの維持、効率的な金融システムの整備が重要だ。

 (2)金融分野

 ITで、新たな金融サービスの提供、デリバティブ(金融派生商品)取引の発達や異業種から金融業への参入などの動きが生じている。他方、電子商取引の安全確保、消費者保護、プライバシー保護という課題が生じる。

 ビジネスモデル特許の取り扱いについての共通の理解を促進する観点から、現在行われている特許専門家の共同作業を歓迎する。

 (3)税及び税関手続き

 電子商取引にも、中立、公平、簡素といった課税原則が当てはまる。経済協力開発機構(OECD)で、所得課税についての既存の国際ルールをいかに適用すべきか、越境のオンライン取引への消費課税をどうすべきかを中心に検討が行われており、進展を奨励する。

 【国際金融アーキテクチャーの強化】

 (1)国際通貨基金(IMF)改革

 IMF資金の不適切な利用を防止し、効率的な利用ができるように、融資制度の手数料(金利)については、貸出期間に応じて段階的に引き上げられるべきだ。IMFの透明性や説明責任の向上は、引き続き高い優先度が置かれるべき課題である。

 各加盟国の出資比率の計算式の検討がIMFで行われている。この比率は、世界経済の変化を反映すべきものである。

 (2)国際開発金融機関改革

 (略)

 (3)ヘッジファンド、資本移動、オフショア金融センター

 ヘッジファンドなどとその取引相手によるリスク管理の改善、情報公開の強化、債権者金融機関に対する監督の強化などが重要である。

 国際基準を十分満たしていないオフショア金融センターについては、具体的な評価を早急に行うとともに、これらの国・地域自身が基準実施状況を改善するとの約束を明らかにする。

 (4)地域協力

 IMFプログラムを支援する形で、国際金融機関が供与する資金を補完するような地域レベルでの協調的資金取り決めは、危機の予防と解決に有効でありうる。アジア、北米における地域監視及び通貨スワップ協定の進展や、欧州における経済・金融統合メカニズム及び通貨統合を歓迎する。

ロシア、蔵相会合で金融犯罪対策の徹底求められる

2000.07.08(22:36)asahi.com
 8日開かれた九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)の蔵相会合で、ロシアは各国から金融犯罪への厳しい対応を求められた。独仏は、この問題を経済支援の「交換条件」とすることもにおわせ、福岡で債務減免の要求を切り出そうとしたクドリン蔵相が返り討ちにあう形となった。

 旧体制崩壊を機に金融マフィアが横行するロシアは、「資金洗浄対策に非協力的な国」のリストにも載った。クドリン蔵相は「金融犯罪一掃のための法案を年内に成立させたい」と強調したが、各国から「この問題では、善意の表明より実行が肝心」(ファビウス仏蔵相)とクギを刺された。アイヒェル独蔵相は、記者会見で「ロシアの経済発展に協力する前提は、ロシアが経済発展の全結果に責任を負うことだ」と述べた。

 ロシアは、対外債務約1600億ドルの65%を占める「旧ソ連分」の大幅減免を求めている。8日の会合でも、債務返済が経済改革の重荷にならないような配慮を求めた。各国はプーチン新政権の経済改革に一定の評価を示しつつも、具体的な債務減免論議には発展しなかった。沖縄での首脳会議では、プーチン大統領自身がこの問題を改めて持ち出す方針だ。

「日本の内需と成長の持続は確認が必要」と米財務長官

2000.07.08(21:58)asahi.com
 サマーズ米財務長官は8日開かれた蔵相会合後の記者会見で、日本の経済政策について「優先すべきは持続的な内需がリードする成長だと何度も言ってきた。現時点で内需主導の成長が持続していることを確かめる必要がある」と述べた。「ゼロ金利」を含め、景気刺激に力点を置いたいまの政策スタンスを維持するよう求めたものと見られる。

 サマーズ長官は「日本の持続的な内需を、日本の当局者以上に求めている人はいない」とも述べ、現行政策への支持をにじませた。ただ、日本銀行が1999年2月から続けているゼロ金利については「日米とも中央銀行の独立性を尊重している」とだけ述べ、直接の言及を避けた。

 一方、世界の景気にも触れ、「今年4月の主要7カ国蔵相・中央銀行総裁会議(G7)の時と比べても、楽観的な見方が広がってきた。93年の東京サミット時(の悲観論)とは大変な様変わりだ」と自信を示した。

電子商取引の国際ルール作りで合意 サミット蔵相会合

2000.07.08(22:32)asahi.com
 九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)の蔵相会合が8日、福岡市で開かれ、情報技術(IT)革命への対応など、沖縄で21日から開かれる首脳会議への4つの報告書を採択した。首脳会議でも最大のテーマとされるIT分野では、金融取引や税制、経済政策への影響を中心に議論し、急速に普及している電子商取引で、利用者保護のための国際ルール作りをする必要があることで合意した。また、ITの成果を最大にするために、新規参入を妨げる規制撤廃など、構造改革が必要との認識で一致した。

 日本経済については、宮沢喜一蔵相が、昨年度の成長率が3年ぶりにプラスに転換したことを説明。一方で、自律的な景気回復のカギを握る消費の行方には、なお注意が必要との認識を伝え、引き続き本格的な回復に向けた努力を続けていることを表明した。会合後に記者会見した宮沢蔵相によると、日本銀行が意欲をみせているゼロ金利政策の解除など、日本の経済政策について、各国からとくに注文は出なかった、という。

 ITが経済に与える影響では、生産性の向上で潜在成長率が上昇し、需要を拡大させる可能性があると分析。IT産業の育成には、労働市場の流動化や規制撤廃が必要、と強調した。

 電子商取引の安全性確保では、実態を把握しにくいインターネット銀行に対する規制や監督のあり方などの共通ルールを作ることで合意。米国で取得が進むビジネスモデル特許は、国際紛争を防ぐため、審査の国際基準を作る必要性が確認された。課税問題でも、歩調を合わせる必要性を認めた。

 通貨危機の再発防止を目指す国際金融システム改革論議では、国際通貨基金(IMF)の融資制度の一部見直しで合意。IMFへの出資比率見直しについては、経済力に合わせた見直しを強く求めている日本やアジアの主張を、初めて報告書に盛り込んだ。

 また、マネーロンダリング(資金洗浄)が疑われる国・地域やタックスヘイブン(租税回避地)を名指しして是正を求めた経済協力開発機構(OECD)などの動きに支持を表明した。

 非政府組織(NGO)の関心が高い重債務貧困国の債務削減では、昨年のケルン・サミットで合意した政府の途上国援助(ODA)の100%削減の着実な実行と、その後に各国が表明した非ODA債権の100%削減方針を確認。支援した資金が軍事費などに使われないよう、被援助国に貧困削減計画の策定を促すことでも一致した。

世界企業トップら、電子商取引促進策をサミットで提言へ

2000.07.08(17:01)asahi.com
 世界的なハイテク関連企業の経営トップらが7日、今月下旬に沖縄で開かれるサミット首脳会議を前に、電子商取引を促進するための方策を提言書としてまとめた。各国の消費者が平等に情報技術(IT)革命の恩恵を受けられるよう、関税など貿易障壁の軽減や、通信自由化、専門家による国際規格づくりなどを求めている。

 提言をまとめたのは、60人余りの最高経営責任者(CEO)や社長らで組織する「電子商取引に関する国際ビジネス協議会」(GBDe、本部・米ワシントン)。音声、映像を含むデータのやりとりが、国境をまたがる通信網上で障害なくできるよう、通信規制や投資規制の軽減、公平で簡素な税制、世界貿易機関(WTO)による電子商取引の推進計画づくりなどを要望した。

 またGBDeは、知的所有権を保護するためのルールや、消費者の苦情を受ける紛争処理機関、他人へのなりすまし、データ改ざんといった「ネット犯罪」を防ぐための情報交換組織などについても検討中で、こうした活動に対する支援を求めた。

福岡でサミット蔵相会合始まる IT・貧困、議題に

2000.07.08(12:30) asahi.com
 九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)の皮切りとなる蔵相会合が8日正午から、宮沢喜一蔵相を議長にして、福岡市博物館で始まった。急速な情報技術(IT)革命が世界経済に与える影響や、貧困の削減、通貨危機の再発防止策が主な議題で、急拡大している電子商取引に対する消費者保護のルール作りなどが話し合われる。今回の会合の成果は4つの報告書にまとめられ、21日から沖縄で開かれる首脳会議に提出される。

 最初の世界経済の現状についての議論では、3年ぶりにプラス成長になったものの、欧米に比べると景気の回復が遅れている日本に対し、内需拡大策の継続が求められる見通しだ。また、IT推進に向けて政府が果たすべき役割や、通貨危機などに対応するための国際通貨基金(IMF)改革、非政府組織(NGO)が関心を強めている重債務貧困国の債務免除、マネーロンダリング(資金洗浄)の防止といった議題が、注目を集めている。会合の後半では、主要7カ国にロシアが加わり、ロシアが引き継いだ旧ソ連時代の対外公的債務の削減などの経済支援を求める模様だ。

 日本は、国際的な発言力を高めたいアジア各国からの要望が強いIMFの出資比率見直しを、強く主張する方針だ。

景気刺激策の継続求める 日米蔵相会談で米財務長官

2000.07.08(13:15) asahi.com
 九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)の皮切りとなる蔵相会合を前に、8日午前、日独、日米の蔵相会談が福岡市で相次いで行われた。サマーズ米財務長官は、宮沢喜一蔵相に対し、「金融政策、財政政策、構造改革が重要だ」と述べ、日本は景気回復の足取りをより確かなものにするために、内需拡大のための景気刺激策を継続するべきだ、との考えを伝えた。日銀のゼロ金利政策など、現在日本がとっている経済政策の維持を遠回しに求めたものと見られる。

 これまで日銀のゼロ金利政策の解除に消極的な姿勢を示していた宮沢蔵相は「日本の金融政策は、独立した日本銀行の政策委員会が自らの判断と責任で決定する。私が決めることではない」と説明するにとどめた。日米両蔵相とも、日銀の独立性に配慮しつつ、今月17日にも予想されるゼロ金利解除に慎重な考えをにじませた。

 世界経済全体の見通しについては「明るくなっている」との点で一致。特に米国経済は、一部に減速感も見え始めたものの、引き続き堅調な成長を維持している。このため、サマーズ長官は、国際的にバランスの取れた経済成長に向けて、日本に一層の努力を促した。

 これに対し宮沢蔵相は、今年1―3月の成長率が高かったことも踏まえて、日本の景気が民需主導の自律回復に向かっていることを説明。ただ、なお低迷している個人消費の動向を注視し、4―6月の成長率が判明する9月には、IT関連などの補正予算を検討する考えも示して、景気回復を本格軌道に乗せるための政策努力を強調した。

 日米蔵相会談に先立って、宮沢蔵相はドイツのアイヒェル蔵相とも会談し、欧州と日本の景気動向や欧州連合(EU)統合の進み具合などについて意見交換した。

ロシア蔵相、債務問題で米独に理解求める

2000.07.08(13:09) asahi.com
 ロシアのクドリン蔵相(副首相)は8日午前、福岡市内のホテルでサマーズ米財務長官、アイヒェル独蔵相と個別に会談し、税制改革などプーチン政権の経済再建計画を説明した。当面の課題である対外債務問題についても触れ、理解を求めた。ロシア政府筋は「ロシアの債務問題は蔵相会合でも取り上げられるだろうが、主要テーマにはならないだろう」との見通しを示している。

「日本軽視ではない」 米国務省が釈明に必死

2000.07.07(20:49)asahi.com
 オルブライト米国務長官がワシントンでの中東和平交渉を優先し、宮崎で予定されている主要8カ国(G8)外相会合への出席を直前でキャンセルした問題について国務省のバウチャー報道官は6日の記者会見で「長官は今回、日本に行けなくなったことを残念に思っている。クリントン大統領が長官に直々に、キャンプデービッドでの中東和平交渉に参加するよう要請したのだ」と経緯を説明した。

 さらに記者団から「以前に比べ、日本はもう重視されていないことの表れではないか」と突っ込まれると、「米国の対日政策には何ら変化はない。日本は強固な同盟国であり友人だ。長官は和平交渉で重要な役割を負うので、合間に抜け出して、また戻ってくるというわけにはいかないのだ」と防戦に必死。「次の機会には、かならず日本に立ち寄る」と念押しして理解を求めた。

オルブライト国務長官、宮崎のG8外相会合を欠席

2000.07.06(12:59)asahi.com
 米国務省は5日、米、イスラエル、パレスチナの3首脳会談が米国で開かれることになったのに伴い、オルブライト国務長官が12日から宮崎で開かれる主要8カ国(G8)外相会合を欠席する、と発表した。クリントン大統領が、オルブライト氏に米国にとどまり、中東和平交渉への取り組みを優先するよう指示した。米政府は長官の代理にタルボット副長官を派遣する。

 G8外相会合では、南北朝鮮の首脳会談を受けた朝鮮半島情勢などが議題となるが、大統領は、パレスチナの最終地位交渉の妥結をはじめとする中東和平の調停を残り任期の最重要課題に掲げている。中東訪問を終えたばかりのオルブライト氏は、11日からの首脳会談の期間中、会場のワシントン郊外のキャンプデービッドに缶詰め状態となる。

 一方、クリントン大統領は、21日から沖縄で開かれるサミット(主要国首脳会議)に出席するため、19日に米国を出発する予定だ。大統領は記者会見で、3者会談の日程として「数日間」と述べたが、限られた時間に突破口を開くことができる保証はない。大統領は「(首脳会談という)行動を起こすことには危険が伴うが、手をこまぬいていても(和平プロセスの崩壊という)危険はある」と強調した。

 G8外相会合が開かれる宮崎市は、長官の外相会合出席を記念して、「市民プラザ」を「オルブライトホール」と名付け、長官の記念演説なども計画していた。

サミット主会場で大規模な警備訓練

2000.07.03(21:24)asahi.com
 九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)の主会場となる沖縄県名護市の万国津梁(しんりょう)館前の広場で3日、警察官700人、パトカーなど70台が参加して大規模な警備訓練が行われた。稲嶺恵一知事らが見守るなか、空砲の短銃を撃つなど、本番さながらの緊張感が漂った。

 刃物や短銃を持って襲ってきた暴漢をカバンを盾に取り押さえたり、群衆の中から飛び出してきた暴漢から要人を安全な場所に誘導したりする訓練などに取り組んだ。要人一行を乗せた車の通行を妨害する車両を「ミニレッカー」と呼ばれる台車で素早く排除する方法も披露された。

サミット議題を最終調整 シェルパ会合始まる

2000.06.29(22:10)asahi.com
 7月の九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)に向け、各国首脳の個人代表(シェルパ)が議題や合意文書の内容を調整する最終会合が29日から2日間の日程で、沖縄県名護市で始まった。政治分野を扱う各国の政務担当も出席した。

 これまでの折衝で(1)情報技術(IT)革命への対応や国際金融システム改革など経済問題(2)環境や食品の安全性など社会問題(3)紛争予防や地域情勢など政治課題――の3分野を話し合うことで一致しており、討議の進め方などを詰める。

外務省、サミットで名護市にNGOとの対話の場

2000.06.29(21:35)asahi.com
 外務省は29日、九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)にあわせて、7月20日から24日まで非政府組織(NGO)から意見を聞く「NGOセンター」を沖縄県名護市に設けると発表した。サミットの討議内容を説明するほか、各団体の記者会見の場としても使ってもらう。最近の国際会議で、NGOが押しかけ混乱する例が相次いでいることもあり、サミット会場から離れた場所に設けることにした。

 センターは150人程度しか入れない。利用するNGOの選定は、沖縄大学内に設けた「NGOセンター連絡会暫定事務局」に任せる。ここを通じて事前手続きをしたところだけがセンターを使える。

 問い合わせは、同事務局(電話098―832―2962)まで。

首脳会議は3回 九州・沖縄サミットの日程固まる

2000.06.27(19:09)asahi.com
 7月に沖縄県名護市で開かれる九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)の日程が27日、固まった。主要8カ国(G8)の首脳会議は22、23の両日で3回あり、情報技術(IT)革命への対応など経済課題、遺伝子組み換え食品の安全性など社会問題、朝鮮半島情勢など国際問題の順に議論する予定だ。

 <九州・沖縄サミット首脳会議の主な日程>

【7月21日午後】

●主要7カ国(G7)首脳会議

●主要8カ国(G8)ワーキング・ディナー

【22日午前】

●G8首脳集合写真撮影

●G8首脳会議

【22日午後】

●G8ワーキング・ランチ

●G8首脳会議

●サミット推進県民会議主催歓迎レセプション

●森喜朗首相夫妻主催社交夕食会

【23日午前】

●G8首脳会議

【23日午後】

●森首相(議長)記者会見

「人間の安全保障に非軍事の視点必要」国際女性サミット

2000.06.25(00:34)asahi.com
 軍隊や基地が女性にもたらす苦しみを通して「安全保障」とは何かを考えようと、東アジアとアメリカの非政府組織(NGO)関係者が24日、那覇市内で「国際女性サミット」公開シンポジウムを開いた。米国、韓国、プエルトリコ、フィリピンから訪れた40人のほか、国内から200人余りが参加。九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)での主要課題でもある「人間の安全保障」について、非軍事の視点が必要、と訴えた。

 米コロンビア大学大学院のベティ・リアドン教授は「安全保障の再定義」と題して、「本来、人間の安全保障とは、軍隊ではなく、健全な環境や文化、人権の尊重といった要素で支えられるべきもの。これは女性の視点から生まれる発想だ」と述べた。また、非軍事への転換のためには、紛争予防などに力が注がれるべきで、「沖縄の基地も、その技術や知識を再利用すれば、紛争予防を研究するセンターに生まれ変わる」と話した。

 米軍訓練施設の撤去運動が起きたプエルトリコからは、人権団体のメンバーで撤去運動にかかわったマリア・レイナート・プマレホさんが出席。「自分たちは資源も力もない弱い存在、と刷り込まれてきた住民たちが、自然資源の豊かさに気づき、それを汚す軍隊に怒った。自分たちに力があることを自覚したのが、何よりの原動力だった」と話した。

 「サミット」は、「東アジア―アメリカ国際女性ネットワーク」などが主催。1995年に沖縄で起きた米兵による暴行事件をきっかけに、米国と東アジアで反基地の運動をしているNGOが結成した。会場には、参加NGOのそれぞれの活動を説明するパネルが並び、休憩時間にはたくさんの人たちが情報交換をしていた。

ITビジネスモデル特許の認定に国際基準 -沖縄サミット 蔵相会合で協議-

2000.06.24 The Sankei Shimbun
 七月八日に福岡市で開かれる主要国首脳会議(沖縄サミット)蔵相会合で、インターネットを使った電子商取引など情報技術(IT)を駆使した事業形態「ビジネスモデル」そのものを特許として申請する動きが増えているのに対応し、国際統一基準の策定など国際協調を進めることで合意する見通しとなった。サミットではITが重要議題に位置付けられている。先進各国でビジネスモデル特許に関する認定方法などを協議し、インターネットを活用する企業の国際的な紛争を未然に防止するのが狙い。蔵相会合の成果は首脳会議に報告される。

 ビジネスモデル特許をめぐっては、米国企業が積極的に申請・取得しているのに対し、日欧企業は慎重な対応をみせている。米国で昨年十月、インターネット書籍販売大手のアマゾン・ドット・コムがネット上で簡単に注文できる「ワン・クリックシステム」特許を侵害されたとして、ライバル企業のバーンズ・アンド・ノーブルを提訴、シアトルの裁判所がバーンズ側に同技術の使用を差し止める仮決定を下して波紋を広げた。

 また、日本でもベンチャー企業が国内のインターネットのプロバイダー(接続業者)やオンライン証券会社などに対し、課金システムの特許を侵害している可能性があるとの警告書を今年四月に送付するなど、大手企業の間で関心が高まっている。

 国境のないインターネットを使った企業活動では、海外企業などから事業手法で権利侵害を訴えられる恐れもあり、「今後のインターネットビジネスの障害になりかねない」(国際金融筋)とされている。

 このため、サミット蔵相会合では、金融業を中心にしたビジネスモデル特許の認定基準などについて初めて討議し、首脳会議への報告書には国際協調の重要性を盛り込む。日米欧の特許庁による専門家会合も共同研究を始めており、ビジネスモデル特許の統一基準の策定や共同データベースの作成などが課題となる。

 サミットの首脳会議では、ITが経済・社会に与える影響などを盛り込んだ「IT憲章」を発表し、先進国と発展途上国の情報格差(デジタルデバイド)の是正に向けた支援策などを打ち出す方針。これに先立って開かれる蔵相会合では世界的なIT化の進展に関連し、インターネットを通じた音楽・ソフト配信に対する課税問題なども話し合う予定だ。

 【ビジネスモデル特許】情報技術(IT)などを活用したビジネス手法に与えられる知的所有権。工業製品や製造技術の発明などを中心とする従来の特許の概念とは違い、インターネットを使った電子商取引や金融取引の方法そのものを対象とする。一九九八年に米連邦裁判所が投資管理に関する米国企業の特許の有効性を認めたのを契機に注目されるようになり、日本企業でも金融機関や商社、小売業などでビジネスモデル特許の出願加速に向けた社内整備が始まっている。

サミットにちなみ、沖縄風味のパン発売

2000.06.21(19:39)asahi.com
 九州・沖縄サミットにちなみ、敷島製パン(名古屋市)は7月1日から8月末まで、沖縄風味のパンや洋菓子の新製品9点を関東、関西、中部各地区で販売する。蒸しパンに泡盛を染み込ませたりして、こくのある味に仕上げた。包装には2000円札の図柄にもなった守礼門をあしらった。期間中の販売目標は3億5000万円。

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