TOPIC No.2-24 景気動向

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1. '99年4-9月、2.'99年10月-2000年03月、3.2000年03-06月、4.2000年07月-


Topic No.2-24-4 2000年07月-(景気動向)


景気の谷は09年3月 後退は17カ月、内閣府判定

2010/06/07 中国新聞ニュ−ス

 内閣府は7日、景気転換の時期を見極める景気動向指数研究会を開き、2007年11月に始まった景気後退の終了時期を示す「谷」が09年3月だったと判定した。

 景気後退の期間は17カ月で、過去13回の戦後の後退局面の平均(約16カ月)とほぼ同じだった。しかし、リーマン・ショックによる金融危機と世界同時不況が直撃し、09年3月の鉱工業生産は景気後退前(07年10月)に比べ約34%減少。09年1〜3月期の実質国内総生産(GDP)が年率換算で前期比15・9%減となるなど、戦後最悪の厳しい落ち込みとなった。

 一方、日本経済は09年4月から景気の拡大期に入り、政府の相次ぐ経済対策やアジア向け輸出の増加などを受け、持ち直しの動きが続く。ただ足元の失業率が5%台に高止まりし、生産も景気後退前の約87%の水準にとどまっており、回復は道半ばといえそうだ。

 研究会座長の吉川洋よしかわ・ひろし東大大学院教授は記者会見で、世界同時不況に伴う日本からの輸出減少が景気後退を加速させたと分析。「景気後退のテンポが極めて急速だったことが特徴だ」と述べた。

 同研究会は経済学者ら有識者で構成。鉱工業生産や小売販売額など景気に敏感な指標で構成し、現状を示す「景気一致指数」が09年3月に最近の最低値となり、その後、指数が判明している10年3月まで12カ月連続で上昇していることなどを踏まえ、「谷」を特定した。

 02年2月から07年10月まで戦後最長の69カ月続いた景気拡大と、今回の景気後退を合わせ、戦後14回目の景気循環となった。

中小景況感、悪化に歯止めの兆し 東京商工会議所

2009/07/16 Fuji Sankei Business-i

 東京商工会議所は、今年4〜6月期の中小企業の景況感に関する調査の結果を公表した。業況DI(「好転」と回答した割合から「悪化」と回答した割合を引いた値)は前年同期と比べて4〜6月、7〜9月期の見通しともに前回(1〜3月期)調査よりマイナス幅が縮小した。

 調査結果によると、前年同期と比べた4〜6月期の業況DI(全業種)はマイナス57.8と前回調査より0.4ポイント改善。7〜9月期の見通し(全業種)もマイナス54.0で6.5ポイント改善した。前回調査まで8期連続でマイナス幅が拡大していただけに、東商では「悪化傾向に歯止めがかかりつつある」とみている。

 4〜6月期は前年同期と比べて小売業とサービス業でマイナス幅が縮小した半面、それ以外の業種ではマイナス幅が拡大。特に建設業は6.2ポイント悪化のマイナス51.5と厳しい状況が続く。

 一方、7〜9月期の見通しは建設業を含むすべての業種でマイナス幅が縮小し、小売業では11.5ポイント改善のマイナス50.3と先行きについては強気な見方がうかがえる。

 前年同期と比較した4〜6月期の売上DI(全業種)もマイナス61と2.9ポイント悪化、9期連続でマイナス幅が拡大したものの、7〜9月期見通しは6.3ポイント改善のマイナス56.5となっている。

 東商は「今後、省エネ家電の販売促進に向けて政府が導入したエコポイント制度の効果などが見えてくる可能性がある。景況感の回復が一過性のものか、本格的なものかはそれを見極める必要がある」としている。

 調査は東京23区の中小企業2362社を対象に実施。5月27日から6月2日までの期間、ファクスや経営指導員による聞き取りを行った。回答数は1014社で回答率は42.9%だった。

申請書47万通があて先不明 定額給付金、86%支給済み

2009/07/04 中国新聞ニュ−ス

 今年3月から全国5475万世帯を対象に支給が始まった定額給付金で、世帯主に郵送した支給申請書のうち、6月26日時点で47万1567通があて先不明で返送されていたことが3日、総務省の調べで分かった。これらの世帯は給付金を受け取れない可能性があり、同省は今後、申請呼び掛けの広報を強化する。

 一方、初めて調査した全1798市区町村の支給状況によると、6月26日時点で給付金を受け取った世帯は全体の86・0%、支給額は1兆7726億円(予算額1兆9570億円)に達した。

 支給申請書は自治体が住民基本台帳や外国人登録原票の住所地に郵送する。返送された申請書のうち分かっているのは外国人あてが7万3千通、日本人あてが23万3千通だった。住民の転出入が激しい都市部や、外国人の多い地域では転居を届け出ないケースも多く、自治体が居所を把握しきれないのが要因とみられる。

 受け付け開始から半年以内に申請しないと受給権を失うが、総務省は「世帯主が自治体に連絡するのを待つしかない」としている。

 世帯の90%以上で支給を終えた自治体は1510市区町村で、うち16町村は全世帯に支給。支給済み世帯が70%未満は15市区村だった。

 都道府県別で受給世帯の割合が高いのは島根95・8%、福井95・6%、佐賀95・2%など。70%前後にとどまっている愛知と宮城は名古屋市と仙台市の支給手続きが遅れていることが影響した。

 このほか、暴力などから逃れるため世帯主と別居しているドメスティックバイオレンス(DV)被害者に対し、給付金と同額を独自に支給したり支給を検討しているのは601市区町村で、5月25日時点の前回調査より143増えた。

 給付金支給に合わせて、買い物に使える額を販売額より多くした商品券を発行しているのは1084市区町村で、発行額は計約1348億円。地元商店街の消費拡大セールを412市区町村が実施、184市区町村が別の施策に充てるため寄付を募っていた。

日銀短観2年半ぶり改善へ 民間予測、生産持ち直しで

2009/06/20 中国新聞ニュ−ス

 共同通信社が19日まとめた民間シンクタンク20社を対象にしたアンケートによると、日銀が7月1日に発表する6月の企業短期経済観測調査(短観)は、景気の目安となる大企業製造業の業況判断指数(DI)が、生産などの持ち直しで2006年12月調査以来、2年半ぶりに改善しそうだ。

 同指数の予想平均は、過去最悪だった前回3月短観と比べ15ポイント改善のマイナス43。水準は依然、極めて低いものの、改善幅は02年6月短観の20ポイント以来の大きさになると見込んでいる。

 大幅な減産で在庫調整が進み、生産や輸出が持ち直してきたため、自動車や電機などを中心に改善するとの見方が支配的だった。

 大企業非製造業DIの予想平均は5ポイント改善のマイナス26。「雇用悪化や消費者の低価格志向が強まっている分、個人消費関連の回復感が乏しい」(第一生命経済研究所)との予想が多い。

 大企業全産業の09年度設備投資計画の予想平均は前年度比7・6%減で、3月短観の6・6%減から下方修正される見通しだ。業績が落ち込んでいる上に、景気の先行きが不透明なため設備投資の抑制が続くとの声が多かった。

GDP改定値、13・4%減予測 戦後最悪、昨年10−12月

2009年03月05日  中国新聞ニュ−ス

 第一生命経済研究所など民間シンクタンク8社は5日、2008年10−12月期の国内総生産(GDP)改定値の予測を発表した。予測の8社平均は物価変動の影響を除いた実質で前期比3・5%減、年率換算で13・4%減となっており、第1次石油危機の1974年1−3月期(年率13・1%減)を上回る戦後最悪のマイナス幅になる。

 内閣府は12日に改定値を発表する。

 2月16日発表の速報値は3・3%減、年率換算で12・7%減と戦後2番目の落ち込みとなっていた。8社すべてが下方修正を予測しており、最も厳しい見方は三菱総合研究所の年率換算13・9%減。明治安田生命保険と農林中金総合研究所の同12・8%減が最も落ち込みが小さくなっている。

 改定値は、3月5日発表の08年10−12月期の法人企業統計の結果などを盛り込んで算定する。

 同統計で設備投資が減ったことなどから内需の寄与度が下方修正される見通しで、「輸出の急減に加えて、内需の落ち込みも加速していたことが示される」(みずほ総合研究所)ことになりそうだ。

鉱工業生産、過去最大の下げ=12月、9.6%減−通年は6年ぶりマイナス

2009/01/30 時事通信社

 経済産業省が30日発表した2008年12月の鉱工業生産指数速報(05年=100、季節調整済み)は前月比9.6%低下の84.6と1953年2月に調査が始まって以来最大の下げ幅となった。この結果、2008年通年でも前年比3.4%低下の103.8(季節調整前)となり、02年以来6年ぶりのマイナスに落ち込んだ。

 世界的な景気後退の影響を受け、自動車や半導体など輸出産業を中心に、鉄鋼業や化学工業品など幅広い業種で急激な減少が続いている。1月の予想は前月比9.1%低下、2月も4.7%低下で、09年1−3月も5・四半期連続のマイナスとなる見通し。同省では「企業の生産計画がどの程度下振れるか予測がつかない」として、基調判断も「急速に低下している」で据え置いた。

景気は「急速に悪化」=4カ月連続で下方修正−月例経済報告

2009/01/20 時事通信社

 与謝野馨経済財政担当相は20日、1月の月例経済報告を関係閣僚会議に提出した。基調判断は前月の「景気は、悪化している」から「景気は、急速に悪化している」へ一段と引き下げた。世界的な不況を背景に、輸出と生産が大幅に減少し、個人消費も悪化した。下方修正は4カ月連続で、IT(情報技術)バブル崩壊後の5カ月連続(2001年2−6月)に次ぐ落ち込みとなった。

 与謝野経財相は記者会見で、「あらゆる指標は悪い方向で、企業部門は異例の速さで悪化している。日本経済、世界経済がここ数カ月で好転することはあり得ない」と語った。

 景気判断を構成する個別項目では、輸出と生産を「極めて大幅に減少」と表現を強めたほか、前月は「おおむね横ばい」としていた個人消費を「このところ弱含み」に下方修正。減少率が過去最大を記録した鉱工業生産指数など関連経済指標の急速な悪化を反映させた。市場が冷え込む住宅建設も「弱含み」から「減少」に下方修正した。

景気拡大69カ月で終わる 賃金伸び悩み、実感薄く

2009年01月09日 中国新聞ニュース

 内閣府は9日、2002年2月から続いた景気拡大の「山」は07年10月で、11月から景気後退が始まったと判定する方針を固めた。景気拡大期間は69カ月と「いざなぎ景気」の57カ月を1年上回り、戦後最長となるが、労働者の賃金は伸び悩み、家計には実感が薄いまま拡大期が終了。輸出に依存してきた反動で「谷」が深まりそうな情勢だ。

 内閣府は29日に「景気動向指数研究会」を開き、有識者の意見を聞いた上で正式決定する。全米経済研究所(NBER)によると、米国も07年12月から景気後退に入っており、日米の景気がほぼ同時期から後退したことになる。

 02年からの景気拡大は期間は長かったものの、国内総生産(GDP)実質成長率は年平均2%弱で、いざなぎの10%超、バブル景気の5%程度などと比べ低水準にとどまった。

 円安や新興国の急成長を受け輸出が増加し、景気をけん引。経済成長への輸出の寄与度は6割超と、いざなぎの8%から急上昇、自動車メーカーなど輸出企業が利益を膨らませた。

 ただ、輸出企業と主に国内で活動する中小企業などとの収益格差が拡大、企業が賃金より株主への配当を重視する傾向を強めたため、いざなぎ期間中に倍増した雇用者報酬は微減。デフレが続き、生活実感に近い名目成長率が実質成長率よりさらに低かったこともあり、消費者心理は改善せず、個人消費は盛り上がりを欠いたままだった。

日銀、0.2%利下げ 政策金利は0.1%

2008/12/19 中国新聞ニュース

 日銀は十九日、金融政策決定会合を開き、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を現行の年0・3%程度から0・2%引き下げ0・1%程度にすることを決めた。資金繰り支援のため企業の資金調達手段であるコマーシャルペーパー(CP)の買い取りと、長期国債の買い入れ増額も決定。市場や企業への資金供給を拡大し、事実上の量的緩和に踏み切った。

 白川方明総裁は決定会合後に記者会見し「企業の信用リスクを負担する世界に踏み出すのは中央銀行としては異例中の異例」と述べ、信用収縮の解消に向け非常時の対応に踏み込む考えを示した。CP以外の買い取りも幅広く検討し、資金供給を拡大していく方針だ。

 日銀は、日米の政策金利逆転による円高が景気悪化に拍車を掛けることを懸念。事実上のゼロ金利とした米連邦準備制度理事会(FRB)に追随した。即日実施で、金融危機以降、十月に続く二度目の利下げとなる。

 日銀は同日の会合で、CPを一定期間買って資金供給する金融調節の対象に日本政策投資銀行を加えて政府の資金繰り対策を支援することも決定。危機克服に向け歩調を合わせた。

 利下げを受け、三菱東京UFJ銀行など大手銀行は普通預金金利の引き下げを発表。変動型を中心とした住宅ローン金利の低下など暮らしにも影響が出る。

 日銀は同日の会合で景気判断を下方修正し、約六年半ぶりに「悪化している」とした。

 利下げには政策委員八人のうち野田忠男委員が反対した。

 長期国債の買い入れは、現在の年十四兆四千億円から年十六兆八千億円に増額。買い入れ対象に三十年債と変動利付国債、物価連動国債を加え、資金供給を拡大する。

 日銀は十月三十一日、約七年半ぶりの利下げを決め、政策金利を0・2%引き下げ。十二月二日には日銀が受け入れる担保の拡大など資金繰り支援策も決定した。しかし、先行きの回復が見込めない状況で、日銀は一段の景気下支え策が必要と判断した。

金利据え置きを決定 日銀会合、全員一致で

2008/02/15 中国新聞ニュース

 日銀は十五日、金融政策決定会合を開き、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を年0・5%程度のまま据え置くことを全員一致で決めた。

 米サブプライム住宅ローン問題による市場の混乱が続き、国内外の景気動向がはっきりしないため、情勢をなお見極める必要があると判断した。昨年二月に利上げして以降、現状維持は十二カ月連続となった。

 決定会合は九人の政策委員(総裁、副総裁二人、審議委員六人)が投票によって当面の金融政策を決める。

 九日の先進七カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)では、世界の経済成長率は今後低下する可能性があると指摘された。決定会合では、昨年十―十二月の国内総生産(GDP)の内容などを詳しく検討したとみられる。

 日銀は十五日午後に二月の「金融経済月報」を公表し、福井俊彦総裁が記者会見する。

4地域の景気を下方修正 日銀、住宅減や原油高響く

2008/01/15 中国新聞ニュース

 日銀は十五日、一月の地域経済報告(さくらリポート)を発表した。住宅着工戸数の急減や原油高の影響で経済成長に減速感が出ていることから、全国九地域のうち北海道、東北、北陸、関東甲信越の景気判断を昨年十月の前回リポートに比べ下方修正した。

 四地域の判断を同時に下げるのは、二○○五年四月にさくらリポートの公表を開始して以来初めて。

 改正建築基準法の施行に伴う住宅投資の低迷は全国に広がり、原油や素材の値上がりが各地の中小企業の経営に打撃を与えていることが鮮明になった。

 北海道は、企業が人件費を抑えようとする姿勢が強く、賃金の伸びが鈍いことから、前回の「横ばい圏内の動き」から「やや弱めの動き」に変更。二回連続の下方修正となった。

 東北は、百貨店の冬物衣料の売れ行きが低調だった。北陸は企業収益の減少が目立ち、関東甲信越は設備投資の勢いが弱まっているという。

 一方、自動車、電機といった輸出産業が多い東海、近畿などは、企業の生産水準が依然高いことから、景気判断を据え置いた。

景気は減速局面と判断 日銀、3年ぶり下方修正

2007/12/20 中国新聞ニュース

 日銀は二十日、金融政策決定会合を開き、無担保コール翌日物金利の誘導目標を現行の年0・5%程度で据え置くことを、全員一致で決めた。

 福井俊彦総裁は会合終了後の記者会見で「景気は足元で減速している。視界不良の乱気流の中にある」と述べ、日本経済は減速局面を迎えたとの見解を表明。十二月の「金融経済月報」は景気判断を二〇〇四年十一月以来、約三年ぶりに下方修正した。

 米国の信用力が低い人向け住宅ローン(サブプライムローン)問題による世界的な市場混乱や、原油、素材の高騰が国内景気に悪影響を与え始めたとみられ、〇二年から拡大が続いてきた景気の先行きに不透明感が強まった。

 日銀は超低金利からの脱却を目指し、金利の引き上げ時期を模索してきたが、利上げは当面遠のいたとみられる。

 決定会合では、投票権を持つ九人の政策委員のうち、七月の会合から利上げを主張し続けていた水野温氏みずの・あつし審議委員も今回は現状維持に賛成した。

 金融経済月報は十一月まで「景気は緩やかに拡大している」としてきたが、十二月は「景気は減速しているとみられるが、基調としては緩やかに拡大している」との表現に変更し、景気判断を弱めた。

 福井総裁は「(日本経済の)下振れリスクが高まっているのは確かだ」と話し、景気減速がしばらく続くとの見方を示した。金融市場が落ち着くにはまだ時間がかかり「世界経済には不確実性がある」と指摘した。

 国内では改正建築基準法の施行に伴う住宅投資の急減や、原油、原材料高が企業の投資意欲などに悪影響を与えていると分析した。

 ただ住宅投資の低迷は一時的とみられることから、中長期的には「息の長い景気拡大が続く」と説明。「(金融政策は)慎重な運転が続いているが方向感は失っていない」と述べ、国内景気が安定すれば、政策金利を徐々に引き上げる方針に変わりはないことを強調した。

製造業、単独決算は減益へ 07年度下半期、6年ぶり

2007/12/10 中国新聞ニュース

 東京証券取引所第一部に上場する製造業約六百社の二○○八年三月期下半期(○七年十月―○八年三月)の単独経常利益の総額が、前年同期比4・3%減の約四兆二千六百億円となる見通しであることが十日、新光総合研究所の調べで分かった。減益になれば○二年三月期の下半期以来六年ぶり。

 海外の売り上げ好調を背景に○八年三月期の連結経常利益の総額が五年連続で過去最高を更新する見通しなのとは対照的で、国内の個人消費などが低調なことがあらためて浮き彫りになった。

 下半期の製造業の単独経常利益は、海外売上高の比率が約85%を占めるホンダなど自動車が中心の輸送用機器が6・8%減。欧米、アジア向け販売の拡大に対し、国内販売が低迷していることが響く。機械(3・6%減)、ゴム製品(11・9%減)、食料品(9・7%減)なども減益の見通し。

 全産業(千五十三社)では○八年三月期の連結経常利益予想が前期比約8%増と堅調なのに対し、単独経常利益はほぼ横ばいの見通し。「連結決算は主に海外子会社の収益で押し上げられたが、単独は国内市場の苦戦が響いている」(新光総研の稲垣智博クオンツアナリスト)ためだ。

 同総研の集計によると、東証一部上場企業の連結売上高に占める海外売上高の割合は、二○○○年三月期の38・5%から○七年三月期には46・3%に上昇した。

 野村証券金融経済研究所の松浦寿雄ストラテジストは「今後は海外収益が業績を左右する傾向が一段と強まりそうだ」と話している。

欧州中央銀行、利上げ見送り 日米と国際協調

2007年09月06日 中国新聞ニュース

 【フランクフルト6日共同】欧州中央銀行(ECB)は6日、ドイツやフランスなどユーロ圏13カ国の金融政策を議論する定例理事会で、利上げを見送り、主要政策金利の短期買いオペ金利を現行の年4・0%に据え置くことを決めた。

 米住宅ローン焦げ付き問題に伴う金融市場の混乱がユーロ圏経済に与える影響を見極めるべきだと判断、当初表明していた9月の追加利上げ方針を転換した。8月に公定歩合を引き下げた米連邦準備制度理事会(FRB)や、利上げを見送った日銀に追随し、国際協調を図った形だ。

 ECBの今回の決定は、利上げ時期を模索する日銀や、臨機応変の対応を検討しているFRBの今後の政策運営に影響を与えそうだ。

1兆2000億円日銀が供給

2007年08月17日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 日本銀行は17日、短期金利の上昇を抑えようと、金融機関が資金をやりとりする短期金融市場に1兆2000億円の資金を供給する即日オペレーション(公開市場操作)を行った。午前の取引で、無担保コール翌日物金利が年0・53〜0・55%前後と、日銀の誘導目標(年0・5%)を上回ったため。日銀は16日にも4000億円を供給しており、2営業日連続となる。

日米欧、資金供給で協調 8月の利上げ観測後退

2007/08/11 中国新聞ニュース

 米国の信用力が低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題をきっかけにした金融市場の混乱を防ぐため、日銀は十日、短期金融市場に合計一兆円を即日供給した。

 欧州中央銀行(ECB)に続き、米連邦準備制度理事会(FRB)も九日、約二百四十億ドル(約二兆八千億円)の資金を供給。日米欧の金融当局が協調し、市場金利の急騰を抑え、銀行などの資金調達が難しくなる事態の回避を目指す。

 欧米金融機関の損失に対する不安から、先進国をはじめアジアなどの株式市場も軟調で、世界的な株安に陥る可能性もある。

 市場では、日銀が二十二、二十三日に開く金融政策決定会合での利上げ観測が後退。年0・5%程度としている政策金利を引き上げるのは、九月中旬の会合以降になるとの見方が広がってきた。

 十日の東京株式市場は全面安となり、日経平均株価(225種)の下げ幅は一時、五○○円を超えた。九日のニューヨーク株式市場のダウ工業株三十種平均は大幅に下落した。

 日米欧の金融当局が市場への資金供給で本格協調するのは、二○○一年九月十一日の米中枢同時テロ以来。日銀の供給規模は通常よりやや多めだった。ECBは九日に続いて十日も市場に資金を供給。市場の早期安定を目指している。

 サブプライムローンの焦げ付きが増加したことをきっかけに、米国の住宅ローン関連証券の相場が下落。証券を購入していた機関投資家や銀行などに損失が生じた。

 「日米欧が足並みをそろえて対策に乗り出したことが、住宅ローン問題の深刻さを示している」(大手銀行)との見方もある。

 国内では、野村証券や新生銀行などが米住宅ローン問題による損失を公表したが、経営に打撃を与える規模ではなかった。日銀や金融庁は大手行や中小金融機関の実態把握を急いでいる。

サブプライム危機 世界同時株安 カネ余り、忘れたリスク

2007/08/11 FujiSankei Business i.

 ■一転して信用収縮懸念

 今回の世界同時株安は、資金が必要なところに流れなくなる「信用収縮」への懸念が世界中に一気に広がったことが原因だ。世界的なカネ余りを背景にリスクを無視してジャブジャブと株式市場に流れ込んでいた資金が、サブプライム問題で欧米金融機関に多額の損失が発生したのを契機に、忘れていたリスクを思いだし、あわてて安全な国債へと逃げ込み、時計の針が逆回転を始めた。

 リスクに過剰反応し銀行が資金を回収したり、市場を通じた資金供給が縮小すれば、実体経済にも深刻な影響が及ぶ。世界的な資金の流れの変調を前に、日米欧の金融当局もついに動かざるを得なくなった。

 資金供給で日米欧が協調するのは米中枢同時テロが発生した2001年9月以来だ。もっとも、各国の金融当局は、これまでサブプライム問題を突き放してきた。

 「現段階では健全な調整といえる」(欧州中欧銀行のトリシェ総裁)

 「影響は一部にとどまっており、市場全体に大きな影響は及ぼしていない」(日銀の福井俊彦総裁)

 金融当局者にとっては、リスクを無視した資金による株高がバブル化することへの警戒感が強く、サブプライム問題による株安をむしろ、「市場規律が機能した健全な市場に戻る絶好の好機」と位置づけていた節さえうかがえる。

 しかし、9日には米投資銀行大手ゴールドマン・サックス傘下のヘッジファンド2社が運用に失敗し、多額の損失が発生していることが判明。仏BNPパリバ銀行傘下のファンドも営業停止に追い込まれ、欧州に飛び火した。

 日本でも、あおぞら銀行が10日に、サブプライム関連で07年4〜6月期に44億8000万円の評価損が発生したと発表。すでに野村ホールディングスが同1〜6月期に約720億円、新生銀行も同期に34億円の損失が発生するなど、影響が徐々に広がり始めている。

 山本有二金融担当相は10日の閣議後会見で、「断定は避けるが、現段階で国内金融機関に深刻な影響が懸念される状況にはない」と述べ、信用不安の沈静化に躍起となっている。

 サブライムローン債権は小口に証券化され、広く金融商品として販売されていることが、損失拡大の原因となっている。もっとも、一部のヘッジファンドを除けば損失額は小規模で、「金融システムが揺らぐような事態にはならない」(日銀筋)との見方が多い。

 それでも、これまで野放図に拡張してきた資金が過剰反応を示し、必要以上に萎縮(いしゅく)する懸念はぬぐえない。日米欧当局が重い腰を上げたのもこのためだ。

 第一生命経済研究所の熊野英生主席エコノミストは「これまでの対応とは、手のひらを返したような印象がある。いま動けば、不安をあおる懸念もあるが、あとあと火がついたときに後手に回るよりはマシという判断があったのではないか。事実認識の重大さが透けて見える」と指摘する。

 資金の流れが変わり、実体面では好調を持続する世界経済にも影響が波及するのか。サブプライム問題の深刻度は一段と増している。(赤堀正卓)

ゼロ金利政策:解除から1年…物価の下落傾向続く

2007年07月12日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 日銀がゼロ金利政策を解除してから、14日で1年になる。短期金利(無担保コール翌日物)の誘導目標は追加利上げを経て0.5%となり、預金金利や住宅ローン、企業向け貸出金利などが上昇した。懸念された景気の失速は起きていないものの、物価の下落傾向は続いている。一方、国際的には超低水準の金利が円安の進行を招いている。

 大手行の普通預金金利は、年0.001%から年0.2%に上昇した。200倍になったとはいえ低金利に変わりない。住宅ローン金利は変動型で0.25ポイント程度上昇し、年2.625%。預金、住宅ローンとも金利上昇は緩やかで、家計にとって、恩恵も影響も限定的だ。

 一方、消費者物価指数(生鮮食品除く)は5月に4カ月連続で下落。利上げが経済成長を抑制しているとの批判も根強く、政府のデフレ脱却宣言は先送りされたままだ。

 円相場は昨年7月の1ドル=115円台から、現在は1ドル=122円台まで円安が進んだ。内外の金利差が要因とされ、将来、この反動で急激に円高が進めば、新たな景気の懸念材料になりかねない。【松尾良】

8月利上げ、市場は織り込み済み 「日銀、引くに引けぬ状況」

2007/06/16 FujiSankei Business i.

 日銀は15日の金融政策決定会合で現状維持を決めたが、市場では追加利上げ観測が高まるばかりだ。すでに短期金融市場の水準は、「8月利上げ」を9割以上織り込んだ動きとなっている。経済の鏡とされる長期金利の上昇や米国経済の悲観論が後退していることなどを背景にアナリストの間でも「追加利上げの環境は整った」との見方が広がっている。

 1〜3月期の国内総生産(GDP)が上方修正されたほか、米国の利下げ観測が後退したことなどを背景に、長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りはほぼ1年ぶりとなる2%に近い水準にまで上昇している。

 経済指標が明るさを取り戻すなか、エコノミストの多くは、「7月の日銀短観などで景気拡大を再確認した上で、利上げに踏み切る」(三菱総合研究所の後藤康雄・主席研究員)と予測している。とくに、参院選後となる8月の利上げが有力視されている。

 短期金融市場でも、政策金利と固定金利を一定期間交換する金融派生商品は、8月までの利上げを前提に取引されている。ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次シニアエコノミストは「市場が先走って利上げを織り込んでいる」としながらも、自身も8月利上げを予想している。

 欧米との金利差を背景にした円安も「日銀の利上げ誘引となる」(第一生命経済研究所の熊野英生主席エコノミスト)との指摘もある。

 低金利の円を調達して高金利通貨で運用する「円キャリー」取引が活発化し円安が進行。15日は1ドル=123円前後で取引されたが、これ以上の円安は、円キャリー取引の急激な巻き戻しといった「将来の反動をため込む」(熊野氏)懸念があるからだ。

 一方、8月利上げで障害となりそうなのは、4月まで3カ月連続でマイナスが続く消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く)だ。ただ、福井総裁は会見で「CPIは長い目で見るとプラス基調を続けていく」と強調。市場でも「他の環境が整えば、CPIがマイナスでも利上げできる」(三菱総合研究所の後藤氏)との指摘は多い。

 利上げの時期を巡る市場の思惑に対し、福井総裁は、あくまで「予断はいっさい持っていない」との姿勢を崩さない。

 だが、仮に日銀が市場の予測に反して8月利上げを見送れば、市場の混乱を招くのは確実。日銀の信用が揺らいだ今年1月の見送りの再現も懸念されるだけに、「日銀としては引くに引けない状況へと逆に追い込まれている」(市場関係者)との声もある。

 追加利上げに向け、日銀が「市場との対話」に苦慮する場面は今後、さらに増えていきそうだ。(大柳聡庸)

長期金利上昇で、区民税ゼロに現実味!? 東京・杉並区

2007/06/16 FujiSankei Business i.

 ■年150億円基金を福利運用

 「78年後に区民税ゼロ」。日銀による利上げ観測を背景に長期金利が急上昇するなか、東京都杉並区が6月にぶち上げた「無税自治体構想」に注目が集まっている。毎年、150億円の基金を積み立て、利息収入で住民税を賄うというもの。ゼロ金利時代には夢物語だったが、長期金利は、78年後に区民税ゼロを実現する前提条件である年2%近くまで上昇。俄然(がぜん)、現実味を帯びてきた?(赤堀正卓)

 杉並区では7月に専門家らによる研究会を立ち上げ、1年間をかけて具体案を議論する。

 区によると、約1500億円の区予算の中から毎年1割を積み立て年2%の福利で運用していくと、53年後には、利息収入が現在の区民税総額約550億円の半分程度程度に達し、78年後には全額を賄えるようになると試算している。

 金利が上昇し、年3%で運用できれば、53年後には無税自治体が実現できる。

 積立金も、現在、毎年100億円程度を区債返済や基金の積み立てに支出しており、これらを振り向ければ、行政サービスの質を落とすことなく、拠出できるとしている。

 構想は、松下政経塾出身の山田宏区長が「税収の増減で右往左往しないためにも、高い目標を持つべきだ」として、打ち上げた。同塾を創設した松下電器産業の創業者、故・松下幸之助氏が提言した「税金を使い切ることなく、ためていくことで国家を経営する」という無税国家構想が下地になっている。

 もっとも、10年物の国債の利回りは2%近くまで上昇しているが、実現の条件である利息が利息を生む複利では運用できない。区財政課でも「金利上昇は追い風だが、どのような運用をしたらいいかは現時点ではまったく白紙。実現には、どんな問題をクリアする必要があるのか1年かけて検討していく」と話している。

 ■80年で3500円

 かつて1926(大正15)年に宮城県白石町(現・白石市)の町長が町の年間予算の10万円を利息で賄おうと100円を郵便局に貯金。元利金の合計が200万円を超え、利息で予算が賄えるまで、「203年間手をつけるな」と遺言したことがある。

 その貯金は度重なるインフレによる通貨価値の低下もあり、80年たった現在は、3500円ほどにしかなっていない。無税自治体の実現には、持続的な経済成長による金利上昇と物価安定が欠かせないだけに、金利や物価をつかさどる日銀の政策手腕にかかっているともいえそうだ。

長期金利低下1.940%

2007/06/14 The Sankei Shimbun

 14日午前の国債市場は、長期金利の指標である新発10年債(286回債、表面利率1・8%)の利回りが前日終値より0.025%低い1.940%で始まった。最近上昇が続いていた米長期金利が低下に転じたため、国債買いが先行し、利回りが下がった。

 東証10年国債先物の中心限月である9月きりは27銭高の131円32銭。

長期金利も上昇 一時1・985%

2007/06/14 FujiSankei Business i.

 長期金利の上昇(債券価格の下落)基調が鮮明となっている。指標となる10年物国債の利回りは13日、一時1・985%と約11カ月ぶりの水準に上昇し、ゼロ金利解除後の最高を記録した。終値は前日比0・03%高い1・96%。

 世界的な金利高に加え、日銀が第3次利上げを模索し始めたことを背景に、市場で金利先高感が強まっているためだ。大手銀各行は7月適用分の住宅ローン金利を引き上げる方向で検討に入っており、金利上昇が続けば、家計への影響が次第に強まりそうだ。

              ◇

 ■住宅ローン金利、引き上げへ

 大手銀行各行は13日、長期金利の上昇を受け、7月適用分の固定型住宅ローン金利を引き上げる方向で検討に入った。引き上げは5年以上の中期から20〜30年の超長期の金利が中心となる見通し。月末に正式決定する。

 大手銀行幹部によると「現状程度の市場金利であれば、ローン金利引き上げは小幅にとどまる」もよう。3000万円を固定10年、ボーナス時上乗せ返済なしの借り入れで、年3・90%から年4・10%への引き上げを仮定した場合、月額3458円、年間4万1496円の負担増が生じる計算だ。

 また、「長期金利が年2%を超えて上昇を続けるようなら、8月も住宅ローン金利の引き上げは不可避」とする大手銀行もある。

 ただ、ローンの申し込みはマンションの完成に合わせて秋以降に集中する傾向がある。顧客獲得競争も激化するため、「秋からは、基準金利から一定の金利を割り引く優遇制度を拡大させて顧客の負担軽減をアピールすることもあり得る」(大手信託銀行)との声も出ている。

長期金利低下1・545% 1年1カ月ぶり低水準

2007年03月22日 中国新聞ニュース

 22日の国債市場は、長期金利の指標である新発10年債(285回債、表面利率1・7%)の終値利回りが前営業日の20日より0・015%低い1・545%と1年1カ月ぶりの低水準になった。

 米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測が広がって、米長期金利が低下した影響を受けた。3月決算期末を控えた投資家による持ち高調整の買いも、利回り低下につながった。

 東証10年国債先物の中心限月である6月きりは10銭高の134円90銭。

定期預金金利 最大0.1%上げ

2007年02月24日 東京新聞

住宅ローンも

 大手銀行各行は二十三日、定期預金の金利を二十六日から引き上げると発表した。さらに三菱東京UFJ銀行は二十三日、三月分の固定型住宅ローン金利の引き上げも発表し、他行も追随する可能性がある。いずれも日銀の追加利上げに伴う措置で、利子収入増とローン金利負担増という両面の影響が家計に及ぶことになる。

 二十六日からの預金金利引き上げを発表したのは、三菱東京UFJ、みずほ、三井住友、りそな、住友信託、中央三井信託の大手六銀行など。引き上げ幅は、代表的な商品であるスーパー定期(三百万円未満)の場合、四年物以下を中心に年0・05−0・1%。

 一年物は各行とも年0・35%(税引き前)と、約十年ぶりの高水準になる。三年物は三菱東京UFJが0・35%で据え置き、他の五銀行は0・4%で並んだ。

 普通預金金利は、日銀が追加利上げを決めた二十一日に発表済みの銀行が多く、住友信託は0・25%、他の各行は0・2%とする。

 一方、三菱東京UFJ銀行は三月分の固定型住宅ローン金利を一−二十年の全期間で0・05−0・1%引き上げ、2・9−4・7%とする。

 各行は、企業向け融資の基準となる短期プライムレート(最優遇貸出金利)を現行の1・625%から、最大で0・25%引き上げる方向で検討しており、連動する変動型住宅ローンも同じ幅で上がりそうだ。

 既に融資を受けている借り手については七月から、新たに融資を申し込む利用者に関しては十月から適用される見通し。

大手行0・2%に金利上げ 普通預金、12年ぶりの水準

2007年02月21日 中国新聞ニュース

 三菱東京UFJ、みずほ、三井住友、りそなの各大手銀行は21日、日銀の追加利上げを受けて、普通預金の金利を年0・1%から0・2%に引き上げると発表した。26日から適用する。100万円の普通預金に対して税引き前で2000円の利息となる。

 引き上げはゼロ金利政策が解除された昨年7月以来、7カ月ぶり。0・2%の金利水準は1995年以来、約12年ぶりとなる。各行は定期預金の金利についても今後、引き上げを検討するとしており、歴史的な低水準が続く預金金利がわずかながら回復する。

 住友信託銀行は現在年0・2%の普通預金金利を、26日から0・25%に引き上げる。

 各行は1年未満の貸出金利の指標となる短期プライムレート(最優遇金利)も、0・25%の範囲内で引き上げる方針だ。

円安、投資過熱を防止 日銀総裁、利上げで会見

2007年02月21日 中国新聞ニュース

 日銀の福井俊彦総裁は21日の金融政策決定会合後に記者会見し、「低金利が長く続くという期待が定着すると、資金の流れにゆがみが生じる」と述べ、過度の円安や設備投資の過熱を防ぐために利上げしたことを明らかにした。

 岩田一政副総裁が反対したことに関しては「(岩田副総裁は)物価の先行きの不確実性に力点を置いた」と語り、消費者物価の上昇率が低いことを懸念したと説明。「岩田氏も今後は一丸となると決意表明した」と話した。

 決定会合で総裁、副総裁の意見が割れたのは、1998年4月の新日銀法施行以来初めて。利上げは総裁が提案しており、反対票を投じた岩田氏の存在は日銀にとって新たな波乱要因になりそうだ。

 福井総裁は記者会見で、長期の景気拡大を実現するには金利調整が必要と強調。「極めて低い金利水準を当面維持しながら、経済情勢に応じてゆっくり行う」と話し、今後も小幅な利上げを続ける姿勢を示した。

0・25%利上げ決定 日銀、政策金利0・5%に

2007/02/21 中国新聞ニュース

 日銀は二十一日の金融政策決定会合で、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を現行の年0・25%程度から、年0・5%程度に引き上げることを決めた。

 福井俊彦総裁が利上げを提案。賛成八人、反対一人で可決し、即日実施した。反対したのは岩田一政副総裁で、一九九八年四月の新日銀法施行以来、初めて日銀執行部の意見が割れた。利上げは昨年七月のゼロ金利解除以来七カ月ぶり。

 昨年十−十二月の実質経済成長率が年率換算4・8%と好調だったことから、景気拡大の持続が確認できたと判断。円安の行き過ぎや設備投資の過熱を防ぐため小幅の利上げに踏み切った。預貯金や住宅ローンなどの金利に影響を与えそうだ。

 決定会合終了後に記者会見した福井総裁は「低金利が長く続くという期待が定着すると、資金の流れにゆがみが生じる」と述べ、景気の長期拡大を目指して利上げしたことを強調した。

 今後の金融政策に関しては「極めて低い金利水準を当面維持しながら、経済情勢に応じてゆっくり行う」と話し、小幅な利上げを続ける姿勢を示した。ただ次の金利変更の時期に関しては「一定のスケジュール感は持たない」と語った。

 岩田副総裁が利上げに反対したことに関しては「(岩田氏は)物価の先行きの不確実性に力点を置いた」と語り、副総裁が消費者物価の上昇率が低い点を懸念して反対したことを明らかにした。同時に「(決定会合では)総裁、副総裁とも他の政策委員と同じ独立の立場だ」とし、今後も一体で政策運営に臨む姿勢を示した。

 日銀は翌日物金利の事実上の上限となる公定歩合も、現行の年0・4%から年0・75%に上げた。

追加利上げ21日に判断 日銀決定会合始まる

2007年02月20日 中国新聞ニュース

 日銀は20日、金融政策決定会合を2日間の日程で始めた。経済情勢を幅広く点検し、昨年7月のゼロ金利解除に続く追加利上げの是非を、21日に最終判断する。

 2006年10−12月期の実質経済成長率が高い伸びになったことから、会合では利上げを支持する意見が広がる可能性がある。ただ、消費者物価上昇率が低水準にとどまっているため慎重な見方もあり、判断は21日の投票による議決に委ねられた。

 利上げする場合は、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導水準を現行の年0・25%程度から年0・5%程度に引き上げる。

 会合初日の20日は、焦点となっている国内の個人消費や消費者物価の動向、海外の経済情勢などを分析した。21日に、福井俊彦総裁が2日間の議論をまとめる形で当面の金融政策を提案する。総裁、副総裁、審議委員の日銀政策委員9人が多数決で議決する。会合には政府代表も出席するが投票権はない。

日銀、利上げ見送り決定 時期尚早との意見大勢

2007/01/18 The Sankei Shimbun Web site

 日銀は18日、政策委員会・金融政策決定会合の2日目の協議を行い、政策短期金利の無担保コール翌日物の誘導目標を、現行の年0.25%前後で据え置くことを決めた。政策委員は「景気は拡大基調が続く」との認識でおおむね一致したものの、個人消費の動向をなお見極めるべきだとの意見が大勢を占め、今月は利上げを見送ることにした。

 前日の協議では、足元の経済・物価情勢について分析。18日午前からの2日目の協議では、日銀の福井俊彦総裁ら9人の政策委員が、今後の金融政策方針を議論した。企業から家計への景気拡大の波及が進み、全国消費者物価指数(CPI)は上昇基調を歩んでいるものの、経済指標などを分析した結果として、消費の回復がなお不鮮明との認識が大勢を占めたとみられる。

多数決の結果は6対3

 一部の政策委員からは、景気過熱リスクに備えて、早期の利上げを促す意見も出されたもようだが、今回は利上げに踏み切る根拠に乏しいとの見方が大半で、多数決の結果は6対3だった。

 政府・与党からも「利上げは時期尚早」として、日銀を牽制(けんせい)する声が目立っていた。

 日銀は今後、2月中旬に発表される平成18年10〜12月期の国内総生産(GDP)速報などの新たな経済データを含め、消費動向の点検を行う。早ければ次回の2月の決定会合で、利上げに踏み切るかどうか検討する。

月内にも追加利上げ実施、日銀が検討

2007年01月01日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 日本銀行が、1月にも追加利上げを実施する方向で検討する見通しとなったことが、31日、分かった。

 2006年末の経済指標で日本経済の底堅さが確認されたとして、利上げに向けた環境が整いつつあるとの判断を固めた模様だ。

 12日の支店長会議などで景気・物価情勢などを見極め、政府・与党との調整を経たうえで、17〜18日に開く金融政策決定会合で最終判断する。ただ、政府・与党との調整次第では利上げが2月以降にずれ込む可能性も残されている。

 06年11月の物価、消費、雇用、生産などの指標が改善したことで、金融政策を決定する9人の政策委員(正副総裁3人と審議委員6人)の中で、日本経済が日銀の描く景気拡大シナリオにおおむね沿った動きを示しているとの判断が大勢を占めている模様だ。

4年連続で経常利益最高に 東証1部上場、07年3月期

2006/10/28 中国新聞ニュース

 東京証券取引所の市場第一部に上場する企業の二○○七年三月期連結決算の経常利益が三十兆円を超え、四年連続で過去最高を更新する見通しとなったことが、新光総合研究所のまとめで二十七日分かった。四年連続の最高益更新は、バブル期の一九八八−九○年度の三年連続を上回る。

 好調な企業業績は、国内外の需要拡大に加え、人員削減などリストラを進めてきたことが背景にあり、戦後最長が期待される現在の好景気の原動力となっている。ただ、外需に依存する企業も多く、米国や中国の景気動向によっては業績が下振れする懸念もある。

 新光総研のまとめでは、継続してデータが利用できる東証一部約千二百社(金融除く)の約一割に当たる百十四社が二十六日までに、○六年九月中間決算の発表を終えた。連結経常利益の合計は前年同期比6・6%増と好調に推移。○七年三月期通期の経常利益を従来予想より上方修正した企業は三十六社に上った。

 経常利益総額は○六年三月期に二十九兆七千億円だったが、新光総研は○七年三月期は企業の従来予想と中間決算発表時の修正を基に、数%上回るとみている。大和総研も7%程度増加すると試算している。

 国内企業は、債務や過剰設備の整理が進み、財務体質の転換が進んだほか、今後も中国など海外の新興市場の成長に伴い日本製品に対する需要の高まりが期待できる。

 中間決算は、ホンダやシャープ、日立金属が売上高、純利益ともに過去最高を記録するなど好決算が相次いでいる。ただ、日産自動車が販売不振で八年ぶりに営業減益となったほか、ソニーは発火事故を起こしたパソコン向け電池の回収費用がかさみ、営業利益が大幅に減るなど、好調業種でも企業間で明暗が分かれている。

景気「いざなぎ」に並ぶ 月例報告「回復」判断維持へ

2006/10/07 The Sankei Shimbun

 平成14年2月に始まった現在の景気回復局面が、今月も続くことが確実になった。政府が12日に公表する月例経済報告の基調判断で「景気は回復している」との現状認識を維持する方針を固めたためで、景気回復の期間は戦後最長の「いざなぎ景気」(昭和40年11月から57カ月間)に並ぶことになる。また、先行き判断についても「景気回復が続くと見込まれる」との判断を維持する方向で調整している。11月まで景気回復が続けば、いざなぎを超える58カ月となる。

 「回復している」との景気認識は、今年2月から続いている。9月の月例経済報告では、個人消費などの4分野で判断が下方修正され、原油価格の動向などへの懸念が示されたものの、9月の企業短期経済観測調査(短観)では企業の好調さが改めて示された。

 8月の景気動向指数でも足元の景気の底堅さが示されており、10月の月例経済報告では基調判断の据え置きとなった。設備投資や個人消費についても、9月の判断を維持する方針。

日銀、誘導目標0.25%を維持 金融政策決定会合

2006/09/08 The Sankei Shimbun

 日銀は8日、金融政策決定会合を開き、当面の金融政策運営について、無担保コール翌日物金利を0.25%程度に誘導する現行政策の維持を全員一致で決めた。7月にゼロ金利政策を解除した影響を、さらに見極める必要があると判断した。

 7月の全国消費者物価指数は、基準が改定されたことから小幅上昇にとどまり、市場では「年内の利上げは遠のいた」との観測が広がっている。

短資会社にやっと「光」 ゼロ金利解除で市場に活気

2006/09/05 The Sankei Shimbun東京朝刊から

≪「氷河期」脱出へ正念場≫

 長らく冬の時代をすごしてきた短資会社が明るさを取り戻しつつある。日銀のゼロ金利政策が解除され、短期資金の取引が拡大しているからだ。ゼロ金利が5年以上続いた間に短期金融市場は、大きなダメージを受けた。取引の仲介機能を担う短資会社に、市場再生への期待が集まっている。(柿内公輔)

 「苦しい時代も頑張ってきたかいがあった」と、上田八木短資の守田道明社長は感慨深げに語る。平成13年から続いたゼロ金利時代は、短期市場には「氷河期」だった。コール市場を代表する無担保コール翌日物金利は0.001%前後。100億円運用しても1日約270円の利息しか生まない計算だ。

 市場に流れる金融機関の資金も細り、ピーク時に47兆円あった総取引高が一時13兆円にまで落ち込んだ。取引を仲介する短資会社も手数料収入の減少を余儀なくされ、業界再編も加速し、国内短資会社は3社に半減した。

 東京短資では5年間で社員が3割近くも減少した。加藤出・東短リサーチチーフエコノミストは「ディーリング業務は朝方でたいてい終わるので、資料整理やデータ作成で時間をつぶすこともあった」と振り返る。

 変化が出たのは昨年後半。量的緩和とゼロ金利の解除期待が市場で高まり、ピクリとも反応しなかった金利が動き出した。短資各社のディーリングルームも、金融機関の注文を取り次ぐ電話が日を追って増えた。

 無担保コール翌日物の市場残高は、量的緩和解除前はおおむね2兆円台だったが、ゼロ金利解除直前には5兆円前後に拡大。守田社長は「コール市場全体も、今の20兆円から30兆円規模に伸びるだろう」と期待する。

 市場参加者のすそ野も広がり、資金の出し手として地銀や信託に加えて、生損保が取引を拡大中。調達側では外銀の注文が目立っており、加藤氏は「海外から見た日本経済への信認の回復の表れでは」と分析する。

 ただ、守田社長は「市場の回復はまだ道半ば」と指摘する。金融機関には、ゼロ金利時代に担当部署を縮小したり、日銀の追加利上げをにらんで様子見のところも多い。守田社長も全国の地銀を訪ね、復活を遂げつつある短期市場の現状を説明して回っている。

 長いトンネルをくぐり抜けた短期金融市場だが、市場機能の回復へ向けた道のりはこれからが正念場といえそうだ。

 ■短資会社 金融機関が手元資金を融通し合うコール市場などの短期金融市場で、取引の仲介業務を主に担っている金融会社。売買の手数料を主な収益源にしている。国内短資会社は一時期6社を数えたが、現在は東京短資、上田八木短資、セントラル短資の3社に減少。

ゼロ金利解除1週間 金利の方向つかめぬ市場

2006/07/22 The Sankei Shimbun東京朝刊から

 ゼロ金利解除から21日で1週間が経過し、金融市場で神経質な展開が続く。短期金利が跳ね上がり、日銀が連日大量に資金を手当てする一方で、株式市場が乱高下を繰り返す。長くゼロ金利に慣れた市場は、今後の金利の方向感をつかみかねているようにも映る。さらに景気減速に向かう米国など海外情勢も落ち着かず、福井俊彦日銀総裁の村上ファンド拠出問題も依然、金融政策に暗い影を落としている。

≪株乱高下≫

 日銀は14日のゼロ金利解除当日から4営業日連続で、短期金融市場で金融機関に1兆円規模の資金供給を行った。短期金利の動きが日銀の思惑を上回り、しばしば誘導目標の0.25%を超えたため、金利の上昇を抑える手を打ったのだ。

 21日の短期金利はほぼ誘導金利に近い水準で、日銀幹部も「ようやく市場が落ち着いてきた」と胸をなで下ろすが、なお上昇圧力は強い。

 株式市場も不安定だ。ゼロ金利解除直後の18日の東京株式市場は全面安となり、日経平均株価が400円以上下落したが、20日は逆に上げ幅が400円を突破した。米経済が減速することで、「ずっと続いてきた金利高も、このあたりで一服」(市場関係者)との連想から日米で株が買い進まれてきたが、21日の日経平均はまたも125円安と反落した。

 福井総裁は「今のところ(中東や北朝鮮など国際紛争にかかわる)地政学的リスクの方が影響している」とあわてた様子はないものの、日米の金融市場の不透明感が背景にあるのは否めない。

 市場は日銀の追加利上げ時期に関心を寄せるが、武藤敏郎副総裁は21日都内で講演し、「経済物価情勢を丹念に点検し、金融政策を運営していく」と述べ、一部の行き過ぎた利上げ観測にくぎを刺してみせた。

≪総裁問題≫

 福井総裁の村上ファンド拠出問題も依然くすぶっている。21日の参院財政金融委員会理事懇談会で、総裁の進退問題がまたも再燃したのだ。

 福井総裁が実際に運用したファンドの投資銘柄や運用状況を明らかにした産経新聞などの報道を受け、野党側の桜井充理事(民主)が「福井総裁の疑惑は晴れていない。証人喚問も検討すべきだ」と迫ったが、与党側は「まず契約書などをよく勉強したい」と主張し、結論は持ち越された。

 福井総裁自身は「職責を全うしたい」と強気の立場を崩していないが、大手銀行幹部は「福井総裁問題で、日銀のメッセージが正しく市場に伝わらない」と嘆く。

 今後の金融政策の節目は、8月8日の米FOMC(連邦公開市場委員会)や、日銀の金融政策決定会合(8月10、11日)となりそうだが、金融市場をめぐる不透明さは当面ぬぐえそうにない。(柿内公輔)

日銀、ゼロ金利あす解除へ 誘導目標0.25%程度

2006/07/13 The Sankei Shimbun大阪夕刊から

 日銀は13日午後、金融政策決定会合を2日間の日程で開き、平成13年3月から続けてきたゼロ金利政策の解除を最終判断する。2日目の14日に解除を決定する見通し。

 福井俊彦総裁は14日に、金融政策の目安である無担保コール翌日物金利の誘導目標を現在の「おおむね0%」から「0.25%程度」へ引き上げる案を提示し、参加者の多くは賛成するとみられる。利上げは12年8月以来約6年ぶりとなる。

 初日は午後2時から、最近の景気、物価情勢や市場動向を話し合う。6月の企業短期経済観測調査(日銀短観)で好調だった設備投資の先行きについての判断が焦点となる。北朝鮮のミサイル発射が市場に与えた影響や、米国経済の成長見通しなどについても意見を交わす。

 14日は午前9時に会合を再開。福井総裁、副総裁2人、審議委員6人の計9人の投票によって、ゼロ金利を解除し利上げに踏み切るかどうか決める。総裁は同日午後、記者会見する。

新生銀、普通預金金利を引き上げ 大手行で初

2006/07/10 The Sankei Shimbun

 新生銀行は10日、現行は一律に年0.001%(税引き前)の普通預金金利を、8月から預金残高に応じて最大で0.25%に引き上げると発表した。ゼロ金利政策の解除をにらみ、大手銀行各行による定期預金金利の見直しが相次いでいるが、普通預金金利の引き上げに踏み切るのは大手行で新生銀が初めて。新金利は残高1000万円以上で0.25%。300万円以上1000万円未満は0.15%、100万円以上300万円未満0.10%、100万円未満0.01%。

大手5行、1年未満の定期預金を一斉利上げ

2006/07/07 The Sankei Shimbun

 みずほ銀行、三井住友銀行など大手5行は7日、預入期間が1年未満の定期預金の金利を約6年ぶりに引き上げると発表した。10日から適用する。日銀が来週の政策委員会・金融政策決定会合でゼロ金利政策を解除するとの観測が広まり、市場金利が上昇していることに対応した。

 利上げするのは、みずほ、三井住友、三菱東京UFJと、住友信託銀行、中央三井信託銀行の5行。りそな銀行も来週前半の利上げに向け調整中だ。城南信用金庫も引き上げる。

 みずほなど4行は、代表的なスーパー定期の6カ月物で年0.02%から0.1%に、3カ月物で0.02%から0.06%にそれぞれ引き上げる。一方、三菱東京UFJは6カ月物で0.12%、3カ月物で0.1%と、1行だけ引き上げ幅を大きくした。

消費税引き上げは09年度 自民・中川氏が見通し

2006/07/01 中国新聞ニュース

 自民党の中川秀直政調会長は三十日、金沢市で講演し、消費税率の引き上げ時期について「二○○九年度までに行う可能性が高い」との見通しを明らかにした。引き上げ幅は「少子化対策など含めて総合的に検討するべきだ」と指摘、党税制調査会で有力となっている3%以上の税率上げに含みを残した。消費税率引き上げ法案は、○八年通常国会に提出すべきだとの考えも表明した。

 ○九年度には基礎年金の国庫負担が二分の一に引き上げられるため、消費税率の引き上げを含めた財源確保策が重要課題となる。

 中川氏は税率引き上げ法案の提出時期について「来年は経済動向や歳出削減の進行状況を議論するべきだ。法案審議は早すぎる」と指摘。税率などの具体的な議論は来年夏の参院選を終えた後、年末の税制改正作業で詰めることが望ましいとの認識を強調した。

 消費税率の引き上げ幅に関しては、政府、与党合意の歳出削減策を実施した場合の財源不足額に触れ「機械的には消費税1〜2%分になる」と言及した上で、少子化対策なども挙げて上積みの必要性を示した。

 党税調は今後の抜本的税制改正について、七月七日に政府が閣議決定する「骨太の方針」に盛り込む内容をめぐり最終調整に入っている。消費税率の引き上げ幅や実施時期は明記しないものの、○九年度までの税率上げの必要性を強くにじませる表現とする方向だ。

ゼロ金利解除は「半年以内」 与謝野担当相、7月説は否定的

2006/06/26 The Sankei Shimbun

 与謝野馨金融・経済財政担当相は25日、フジテレビの「報道2001」に出演。日銀のゼロ金利政策の解除時期について「半年以内」との見通しを示した。市場などでは「7月解除説」の見方もあるが、間接的な表現ながら、直近の7月解除の可能性は低いという認識を示した発言とみられる。

 与謝野担当相は22日付の米ウォールストリート・ジャーナル紙のインタビューでも同問題に対して、「6、7月じゃないかもしれないが、数カ月先のうちに解除するだろう」と述べていた。この真意について番組では、「半年くらいの幅のある表現で答えた。2年、3年先の話ではない」と語った。

 ゼロ金利解除時期については、「7月説」は根強いが、日銀の福井俊彦総裁の村上ファンドへの資金拠出問題が持ち上がったことで、与党の一部などで先送り材料となるとの期待も出ている。これに対して、与謝野担当相は「そういうことに影響されないのが福井さんだ」と強調。資金拠出問題とは切り離した対処を求めた。

ゼロ金利維持を決定 景気回復も日銀「なお時間が必要」

2006/06/15 The Sankei Shimbun

 日銀は15日の政策委員会・金融政策決定会合で、現行のゼロ金利政策を当面維持することを全員一致で決めた。景気は着実に回復しているものの、このところの大幅な株価下落などの影響を見極める必要があると判断したとみられる。

 日銀は3月の量的金融緩和策の解除後、金融市場への資金供給の目安となる日銀当座預金残高を段階的に削減し、ほぼ利上げが可能な水準に近づいている。

 しかし、市場に余分な資金が少なくなったため短期金利の一部が急上昇する局面も少なくない。このため、日銀内にはスムーズに政策変更をこなせるようになるには「なお時間が必要」との慎重な考えが出ている。

短期金融市場、金利上昇圧力高まる

2006/05/29 The Sankei Shimbun

 金融機関が手元資金を融通し合う短期金融市場で、金利上昇圧力が高まっている。日銀が短期金利の誘導目標に置く無担保コール翌日物の金利は29日、ゼロ金利政策の上限にあたる0.1%に達した。このため、日銀は同日、短期金利の急上昇を抑制する狙いで、即日の資金供給としては過去最大の1兆5000億円に上る「公開市場操作(オペ)」を実施した。

 現行のゼロ金利政策について日銀は、代表的な短期金利の無担保コール翌日物金利を「おおむね0%に誘導する」としており、金融機関向け貸し出し金利(公定歩合)の現行水準0.1%が事実上の上限となっている。

 短期金利は3月の量的緩和解除後、4月末まで平均0.001−0.002%で推移してきたが、5月に入り上昇を続け、26日に上限の0.1%に達した。29日午前中も0.1%に達し、日銀は即日として過去最大の資金供給オペを実施。その後は0.076%程度まで低下した。

 短期金利の上昇は、金融機関の資金余剰感が薄まっているためだ。金融機関が日銀に預ける当座預金残高は3月末まで30兆円超あったが、日銀の資金供給で12兆円に減少、来月にはゼロ金利解除が可能な10兆円前後に減少する見通しだ。

 景気回復が続く中、4月の全国消費者物価指数の上昇率が前年同月比0.5%となるなど、「デフレ脱却」が近づいている。「ゼロ金利解除が近い」という観測が高まれば、短期金利の上昇圧力は「一段と強まる」(市場関係者)だけに、ゼロ金利維持に向けた日銀の難しいかじ取りが、今後も続きそうだ。

新銀行東京、5年定期1.7% 業界最高水準

2006/05/08 The Sankei Shimbun

 新銀行東京は8日、開業1周年を記念して、5月15日から8月31日まで定期預金の特別金利キャンペーンを実施すると発表した。3年物が1.5%、5年物が1.7%でいずれも業界最高水準となる。預け入れは10万円からで、中途解約は原則として認めない。新銀行東京は3月末時点で預金残高が約3200億円に到達しているが、「キャンペーンによってさらに預金を獲得するとともに、知名度のアップも図りたい」(経営企画グループ)としている。

今夏の利上げ現実味 日銀展望リポート 「景気に過熱感」警戒

平成18(2006)年04月29日 The Sankei Shimbun 東京版朝刊

 日銀は二十八日、今後二年間の経済見通しを示す「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)を発表した。実質国内総生産(GDP)の成長率は平成十八年度が2・4%。十九年度も2・0%と予測し、持続的な成長が続くとの見方を明らかにした。一方で過剰な設備投資などをきっかけとする景気過熱に警戒感を示し、金融政策について「情勢の変化に応じて、徐々に金利水準の調整を行うことになる」と、近い将来に利上げに踏み切る方針を明示した。

 福井俊彦総裁も同日の記者会見で「適切なタイミングで、適切なレベルに金利をセットしていかなければならない」と述べ、機動的に金利を引き上げる考えを強調。市場で観測が広がっている、今夏の利上げが一段と現実味が出てきた。

 リポートは、日本経済の現状について着実な景気回復が続いた結果、企業の設備や人員の過剰による「長く続いた供給超過状態」が解消したと宣言。今後は景気の「成熟化」とともに成長のスピードは鈍化するものの「息の長い拡大を続ける」と、初めて「拡大」の表現を使って先行きに強い自信を示した。

 消費者物価指数(生鮮食品を除く)の上昇率を政策委員らの予測中央値で十八年度は0・6%、十九年度は0・8%とし、物価下落が景気悪化を招くデフレスパイラルが発生するリスクは小さくなっているとした。

 日銀が景気の先行きに自信を持つのは、輸出主導で好業績を上げている企業部門の好調さが、失業率の低下や賃金の上昇という形で個人消費に波及するとみているからだ。

 リポートは、個人消費が着実に伸びて企業収益も潤す「前向きの循環メカニズムが維持されていく」としている。

 一方で、物価が上昇する局面でゼロ金利を続ければ実質金利がマイナスとなり、不動産や株式への投資が過熱する危険性も強調。金融政策の焦点がデフレ脱却から景気過熱への警戒に移りつつあることをにじませた。

 福井総裁は会見で経済の成熟期には企業の設備投資が過剰になりがちなことに触れ、「その後の調整のために、景気はいったんスローダウンせざるをえない」と指摘。こうした情勢分析のもと、リポートは金融政策の方向性について、現行のゼロ金利解除後も「極めて低い金利水準」が当面維持され、その後に「情勢変化に応じて徐々に水準調整する」という経路を示した。

 日銀は同日の政策委員会・金融政策決定会合では、ゼロ金利を維持することを全員一致で決定。福井総裁は会見でゼロ金利の解除時期について「今後の情勢次第」と言及を避けたが、金融市場では、利上げを前提とした取引が広がっており、日銀が慎重にタイミングを見計らっているのは間違いなさそうだ。

日銀、政策委員会でゼロ金利維持を決定

2006/04/28 The Sankei Shimbun

 日銀は28日、政策委員会・金融政策決定会合を開き、当面の政策運営について現行のゼロ金利を維持することを全員一致で決めた。

 利上げの前提となる日銀当座預金残高の削減が途上にあるほか、4月中旬の前回会合以降、政策変更を迫るような景気、物価情勢の変化はないと判断した。

 具体的には金融機関が日々の資金の過不足を調整する無担保コール市場の翌日物金利を「おおむね0%で推移するよう促す」とした。

 日銀はこの日の会合で、平成18―19年度の消費者物価指数や実質成長率の政策委員らによる予測値や金融政策運営の考え方を盛り込んだ、半年に一度の「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)を決定。午後に公表し、福井俊彦総裁が記者会見する。

 金融市場では今夏とも予想されているゼロ金利解除の時期に関心が集まっており、1%弱に達するとみられる19年度の消費者物価や先行きのリスク判断に関する展望リポートの記述が注目される。

「いざなぎ景気、軽く抜く」与謝野経財相が自信

2006年04月16日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 与謝野経済財政相は16日のテレビ朝日の報道番組で、景気の先行きに関して「いざなぎ景気を軽く抜くと思う」と述べ、今月で戦後2番目の4年3か月(51か月)に並んだ現在の景気拡大が11月以降も続き、高度経済成長期に4年9か月(57か月)続いた「いざなぎ」の戦後最長記録を更新するとの見方を示した。

 06年度の実質経済成長率についても「2%を超える可能性は予想できる」とし、政府経済見通し(1・9%)の上方修正を示唆した。

 与謝野氏は景気拡大の長期化が見込める理由として<1>財政出動をしないで(経済が)自分の体力で回復している<2>経営者が設備投資などに非常に慎重(で景気が過熱しにくい)――などを挙げた。

 竹中総務相の「消費税率の引き上げ幅は3%で財政赤字をなくせる」との主張については「根拠を発表するのが国民に対する責任」と指摘し、詳細な前提条件の明示を求めた

量的緩和解除1カ月 影響ジワリ 住宅ローン上昇鮮明 株・為替は波乱なし

平成18(2006)年04月08日(読売新聞)YAHOO! News

 日銀が三月九日に量的緩和策を解除してから、約一カ月。好調な企業業績を背景に平均株価は年初来高値を更新し、為替相場もほぼ横ばいで推移。一部で懸念された、株安や円高といった事態は起こっていない。ただ、日銀の緩和的な金融政策は変わっていないものの、長期金利や住宅ローン金利の上昇傾向がはっきりしてきており、企業や個人の経済活動に与える影響を見極めるまでには、もう少し時間がかかりそうだ。(小雲規生)

≪高値更新の株価≫

 二月上旬以降、伸び悩んでいた平均株価は量的緩和策解除後、再び上昇基調を取り戻した。三月二十八日には、約一カ月半にわたって超えられなかった年初来高値を更新。四月七日には、五年九カ月ぶりに一万七五〇〇円台をつけるなど、景気拡大への期待の大きさを裏付けている。

 また、ドル円相場は、解除後も日銀が超低金利政策を継続するとの見方が浸透し、直近は一ドル=一一七円台で推移してきた。三日に発表された日銀短観も企業の設備投資意欲の強さを改めて確認できる内容で、「今回の景気回復は過去最長のいざなぎ景気を超える可能性が高まってきた」(日銀幹部)との見方が広がっている。

≪長期金利0.3%上昇≫

 ただ、日銀が解除後も政策目標である無担保コールレートをほぼ0%に保っているにもかかわらず、市場金利は着実に上昇傾向を強めている。

 長期金利の代表的な指標である新発十年国債の流通利回りは七日に一時1・9%台に乗せ、解除後の上げ幅は0・3%に達した。解除に慎重姿勢を示してきた竹中平蔵総務・郵政民営化担当相は四日、長期金利の動向は予想の範囲内としながらも、「金融や実物経済の動向を注意して見守らなければならない」と発言。今後、金利の急上昇を先行きの懸念材料として指摘した。

 また、住宅ローン金利は解除前の二月末の段階から、各金融機関が引き上げを始めており、上昇基調は鮮明だ。住宅金融公庫が民間金融機関と提携して提供している長期固定住宅ローン「フラット35」の平均金利は四月、一年五カ月ぶりに3%台となった。

 こうした状況から企業経営者には金利の先高感が強まっており、「中小企業の設備投資意欲を損なう心配がある」(民間エコノミスト)との声もある。量的緩和策解除の決断は、じわじわと波紋を広げているようだ。

郵貯定額、6年8か月ぶり利上げ…10日預け入れから

2006/04/07(読売新聞)YAHOO! News

 日本郵政公社は7日、主力である定額貯金の利率を、6年8か月ぶりに引き上げると発表した。10日の新規預け入れ分から適用する。

 対象は預入期間1年以上で、上げ幅は0・01〜0・04%。預入期間3年以上は現行の年0・06%から年0・10%になる。積立貯金の利率も合わせて0・01〜0・03%引き上げる。

 郵政公社は3日、定期貯金の利率を0・03〜0・09%引き上げたが、定額貯金は民間金融機関の動向を見るため据え置いていた。銀行などの大半が、すでに預金金利を上げたため、定額貯金も引き上げることにした。 - 4月7日

定期預金の金利上昇 日銀統計

2006/04/05 The Sankei Shimbun

 日銀は5日、3月23日からの一週間に主要銀行が店頭表示した預金金利の平均値を発表した。1000万円以上の大口定期預金では、10年物の金利は前の週よりも0.12ポイント高い0.368%で、平成13年9月以来、5年7カ月ぶりの高水準となった。

 量的緩和策解除を受けて3月20日以降、大手銀行の預金金利の引き上げが相次いだことを反映した。1年物金利は前の週より0.013ポイント高い0.045%、3年物金利は0.09ポイント高い0.174%だった。

金利に息吹、慎重な戦い 量的緩和から復帰 “最前線”日銀金融市場局

平成18(2006)年03月26日 The Sankei Shimbun

短期「ゼロ」に変化なし

 日銀の量的緩和策の解除に伴って、日本の金融政策は「お金の量」から「金利の上げ下げ」の世界に五年ぶりに戻った。しかし、超低金利でお金を借りていた企業や住宅ローンの利用者は困るため、日銀は「正常化」に向けた軟着陸を目指す構えだ。その最前線に立つ実行部隊、日銀・金融市場局を追った。(渡辺浩生)

 「これから調節に当たる仕事が始まります」

 政策委員会・金融政策決定会合で量的緩和策の解除が決まった今月九日午後。日銀本店四階の金融市場局で、中曽宏局長は局員たちを前に「金利の世界」への復帰を淡々と告げた。バブル崩壊後の金融危機対応に携わった経験を持つ中曽局長には「長い道のりだった」との思いがあったが、感慨にふける暇はない。

 金融市場局は、金融機関と国債や手形を売買して資金を供給・吸収する「オペレーション」を行っている。一日など、ごく短期間に金融機関同士が必要に応じて借りたり返したりする市場(コール市場)の金利(コールレート)を誘導する役割を担う。最終的には、この市場調節が預金金利や住宅ローン金利にまで波及し、企業活動や個人の生活設計にも結びつくわけだ。

 金融市場局に政策委員会が下した指令は、「操作目標を日銀当座預金から無担保コールレート(翌日物)に変更したうえでおおむねゼロ%で推移するよう促すこと」。「三十兆から三十五兆円程度」という供給目標はなくなっても、短期金利「ゼロ」の政策に変化はない。しかし、「金利の世界」を知らない若い局員にとっては緊張の一日となった。

              ◆◇◆

 九日夕方、市場調節の担当者は「オペ先」(取引金融機関)に「懇談会のお知らせ」をファクスした。量的緩和策の解除後、日銀が「どんな市場調節を行うか」を直接説明する目的だった。

 もともと、無担保のコール市場は金融機関が日々の決済で不足する資金を余った相手から調達する場だったが、昨年末の残高は七・六兆円。十年前の四分の一の規模に縮小している。最大の資金の取り手だった大手銀行は経営統合を経て余剰資金を抱え、取り手の主役も、証券会社や外国銀行に変わった。

 量的緩和策の続いた五年間で、金融機関が「資金繰りへの緊張感を失った」(大手銀行役員)のは間違いない。市場機能の衰えで「出し手から取り手に資金がうまく回るのか」との見方もある。懇談会には、参加者の不安を鎮める狙いも込められた。

               ◆◇◆

 「市場に安心感を与えたい」。十日午前八時半すぎ、国内外の反応も分析しながら、中曽局長と市場調節の数人の担当者が解除後最初のオペを最終決定した。短期国債や手形買い入れなど三種類のオペによって、合計一兆三千億円を市場に供給した。

 先週二十四日現在の当座預金残高は、三十兆八千九百億円。無担保コールレートは平均0・002%。ひとまず市場が冷静な反応を示した中、四月からは余剰な当座預金の残高を少しずつ減らす「量的緩和策の後始末」(福井俊彦総裁)が始まる。景気回復を反映するように市場金利が上昇し「息吹を取り戻す」(中曽局長)道のりは近いようで遠い。金融市場局の「慎重な戦い」は始まったばかりだ。

                ◇

 ■中曽宏・金融市場局長 一時的に金利上昇も

 日銀の中曽宏・金融市場局長は産経新聞のインタビューに応じ、今後の市場調節などについて語った。

 −−日銀当座預金をどう減らすのか

 「三月中は三十兆円を維持し、四月から所要準備(金融機関に積み上げが義務付けられる当座預金の総額)の六兆円程度にするため、削減を本格化させる。その期間は数カ月が目安だが、状況を点検しながら行う」

 −−その過程で短期金利が上がる事態は

 「当座預金残高が所要準備を上回っていれば、おおむねゼロ%は維持されるはずだ。しかし、金融機関には、これまで日銀のオペに依存していた資金調達を市場で行う必要が出てくる。余剰資金を抱えた金融機関が市場に資金を放出しなければ取り手の金融機関が調達しにくくなり、一時的な金利上昇の可能性はある」

 −−金利上昇が市場機能の回復につながるという考えか

 「金利がある程度変動することで、資金運用のメリットが刺激される。つまり、余ったところから足りないところに適正な価格で資金が流れていく。この流れは、他の市場にも広がるはずだ」

 −−量的緩和解除に対する市場の反応は

 「金利、株価、為替相場のいずれも大きな変動がなく、市場は冷静に受け止めている。ただ、今後どんな影響が出るか、予断を持たずに注視したい」

                ◇

【用語解説】日銀当座預金

 金融機関が日銀に保有している預金口座。日々の決済に備えて預金の一定比率以上を預け入れる義務(法定準備預金制度)があり、その総額は6兆円程度。実際の残高が法定準備を下回れば短期金融市場で他の金融機関から調達する。日銀が当座預金から資金を吸収すると市場での調達ニーズが高まり、短期金利は上昇する。これが金融市場調節の仕組みだ。

日銀当座預金残高、量的緩和解除後初の30兆円割れへ

2006/03/14 The Sankei Shimbun

 日銀が14日午前に短期金融市場で行った金融調節の結果、金融機関の余裕資金である日銀当座預金の同日の残高が29兆9300億円程度になる見通しとなった。

 量的金融緩和策の目安だった当預残高の30兆円割れは、昨年8月5日以来約7カ月ぶりで、緩和解除後では初めて。

 福井俊彦日銀総裁は、本年度内は潤沢な資金供給を継続して当預残高を「30兆円前後」で推移させ、企業の3月期決算などに配慮する方針を表明している。

 このため金融市場はこの日、落ち着いた動きとなり、金融機関が手元資金を貸し借りし合う無担保コール市場では資金調達を急ぐ動きは見られず、翌日物金利は0.003%程度で推移。「おおむね0%」に誘導する日銀の方針に沿った展開となった。

 量的緩和解除までの当預残高の目安は30兆―35兆円程度。日銀はこれを3カ月程度かけ、法律などが定める必要額(所要準備)の6兆円程度に削減する方針。

 日銀はこの日午前の公開市場操作(オペ)で、即日の資金吸収を見送った。

日銀、量的緩和策を解除 ゼロ金利は当面維持

2006/03/09 中国新聞ニュース

 日銀は九日の政策委員会・金融政策決定会合で、量的金融緩和策の解除を賛成多数で決めた。消費者物価指数のプラス基調が鮮明になるなど解除条件を満たし、デフレ脱却は確実と判断した。約五年続いた異例の金融政策は幕を閉じる。日銀の政策運営は操作対象を金利に戻すが、当面はゼロ金利を継続し、景気を下支えする方針だ。

 福井俊彦総裁による解除提案の採決では、九人の政策委員のうち七人が賛成、一人が反対した。一人は欠席。債券、為替など市場の混乱を防ぐため、金融政策の行方を探る目安となる市場安定化策も決めた。中期的に望ましい物価見通しを示すインフレ参照値の導入を盛り込んだ。数値は「前年比0〜2%」とした。

 日本の金融政策が引き締め方向に転換するのは、「景気を一段と悪化させた」と批判されている二○○○年八月のゼロ金利解除を除けば、一九九○年八月以来。既に政策金利を4・5%まで引き上げた米国、利上げを開始した欧州に続く政策転換で、世界的な金融環境にも大きな転機が訪れた。

 日銀は緩和解除の条件として「全国消費者物価指数の前年比上昇率が数カ月ならして0%以上になる」などの三項目を明示していた。同指数は一月まで四カ月連続で0%以上となった。

 日銀の政策は今後、金融機関の手元の資金量を示す当座預金残高の誘導から、金利の誘導に転換する。ただ、実際に金利を上げ下げするには当座預金残高を現行の三十兆〜三十五兆円から六兆円程度に近づける必要がある。日銀は市場の混乱を避けつつ段階的に当座預金を削減する方針で、数カ月は金利が0%近辺に張り付くゼロ金利が続く見通し。

 日銀は当面の市場安定化策として、翌日物金利を0・1%以下に抑え込むとともに、毎月買い入れている長期国債の額を一兆二千億円に据え置くことで長短金利の上昇を抑える。

 量的緩和策の解除時期を探ってきた日銀は、昨年秋ごろから福井総裁らが早期解除を示唆する発言を繰り返し、市場は今年三〜四月の解除をほぼ織り込んでいた。一方、政府、与党幹部の間には「まだデフレ脱却といえない」など早期解除をけん制する発言が相次いでいた。

首相、量的緩和解除は慎重に判断 参院予算委

2006/03/06 The Sankei Shimbun

 小泉純一郎首相は6日の参院予算委員会の基本的質疑で、日銀による量的金融緩和政策の解除について「『失敗したから元に戻す』というようなことがあってはならない」と述べ、慎重に判断すべきだとの認識を示した。同時に首相は「デフレ脱却の兆しは見えてきたが、脱却と言っていいのかどうかについて慎重な立場だ」と強調した。

 日銀は8、9両日に開く金融政策決定会合で、量的金融緩和策の解除を決める方向だが、首相の発言は同会合の議論にも影響を与えそうだ。

 これに関連して福井俊彦日銀総裁は「現在の経済・物価情勢は次第にいい方向に向かう中で、大変重要な時期に差しかかっている。予断を持たずに冷静かつ客観的に判断しなければならない」と経済情勢を注意深く見極める考えを強調した。

 首相は、今国会の最重要法案と位置付ける行政改革推進法案について「簡素で効率的な政府をつくる。できるだけ政府の役割を見直していくのが趣旨だ」と意義を訴えるとともに、早期成立に理解を求めた。

 また、国・地方税制の三位一体改革に絡み地方側が目指す2007年度以降の第2期改革について安倍晋三官房長官は「これからも国から地方への税源移譲をさらに進めていきたい」と述べた。

 一方、北朝鮮による拉致問題に関して首相は「北朝鮮側は、拉致の問題は解決済みだと思っている節がある。しかし日本国民はそう思っていない」と指摘。ただ経済制裁発動については「対話なしにさまざまな問題は解決できない。懲らしめれば日本の思い通りにいくという問題でもない」と重ねて慎重な姿勢を示した。

 谷垣禎一財務相は財政再建に関し、歳出削減に加え、消費税率の引き上げが必要との認識を重ねて強調した。

 民主党の平野達男、輿石東、自民党の片山虎之助各氏への答弁。

量的緩和解除に慎重 自民、公明の政調会長代理

2006/03/05 The Sankei Shimbun

 自民党の甘利明政調会長代理は5日のNHK番組で、消費者物価指数の伸びなどを受け日銀が3月に量的緩和政策を解除する方向で調整に入ったことについて「まだもう少し見極める必要があるのではないか」と述べ、解除に慎重な姿勢を示した。

 同時に「日銀の独立性は尊重しなければならない。解除せよとか、するなとか言うことではないが、デフレ脱却にきちんとした確信が持てるという判断の下に対応してほしい」と指摘した。

 同番組に出演した公明党の山口那津男政調会長代理も「デフレ脱却しきったと言えるかどうかは、もう少し様子を見る必要がある」と強調。デフレ脱却という判断は時期尚早かとの質問に対し「そういう印象を持っている」と述べた。

9日に量的緩和解除 日銀方針

2006/03/04 中国新聞ニュース

 日銀の福井俊彦総裁ら執行部は三日、来週八日から開く政策委員会・金融政策決定会合二日目の九日に、二○○一年三月から続けている量的金融緩和策の解除を提案する方針を固めた。九人の政策委員の大半が賛成票を投じるとみられ、解除が決まるのはほぼ確実な情勢だ。一月の消費者物価指数(生鮮食品を除く)が前年比で高い伸びを示し、デフレ脱却が確実になったと判断した。

 世界でも類のない異例の金融政策は五年で幕を閉じ、金利政策に復帰する。

 ただ、日銀は市場の混乱を招かないために、銀行などの余裕資金の総額である日銀当座預金残高を、年度内は解除前とほぼ同水準の三十兆円程度に維持する方向。市場参加者が日銀の政策の先行きを読みやすくするための市場安定化策も解除と同時に公表する。

 来週の会合前に株価の急落など不測の事態が生じた場合は四月に先送りされる可能性もある。

 総務省が三日発表した一月の全国消費者物価指数(二○○○年=一○○、生鮮食品を除く)は九七・七で前年同月比0・5%上昇と、一九九八年三月以来七年十カ月ぶりの高水準となった。昨年十月以降、四カ月連続して0%以上の伸びを記録し、日銀が掲げる「物価が安定的に0%以上」など量的緩和の解除条件をほぼ満たす状況となった。

 このため日銀執行部は次回決定会合での解除を提案することで一致。解除のタイミングが三月の決算期末と重なることから、年度内は当座預金残高を緩和時とほぼ同じ水準に保つことで市場の混乱を未然に防ぐ方針だ。また、物価予想をこれまで以上に充実させるなど市場安定化策を新たに示す。

 量的緩和は民間金融機関が日々の取引に必要な資金を日銀に預ける日銀当座預金残高を目安とする政策。短期金融市場の翌日物金利などを操作目標とする通常の金融政策とは大きく異なる。バブル崩壊後の長期不況で金融緩和を続け、「ゼロ金利」にしてもデフレ不況の深刻化に歯止めがかからなかったことから導入された。

日銀、3月量的金融緩和解除へ調整

2006/03/03 中国新聞ニュース

 日銀は三日、三月八、九日に開く政策委員会・金融政策決定会合で量的緩和政策の解除を決定する方向で調整に入った。総務省が三日発表した一月の全国消費者物価指数(二○○○年=一○○、生鮮食品を除く)は九七・七で前年同月比0・5%上昇と、一九九八年三月以来七年十カ月ぶりの高水準。昨年十月以降、四カ月連続して0%以上の伸びを記録し、日銀が掲げる量的緩和の解除条件をほぼ満たす状況となった。

 小泉純一郎首相は三日午前の参院決算委で「デフレ脱却の兆しが見えてきた状況」と指摘。ただ、安倍晋三官房長官は「非情に微妙な時期」と語るなど、政府内には依然、解除に慎重な意見もあり、日銀は市場の動きなどを注視した上で最終判断する方針だ。

 一月の消費者物価の伸び率は市場予想(0・4%程度)をやや上回った。伸び率が大きかったのは、原油価格高騰を受けて石油製品への価格転嫁が進んだことなどが要因。品目別では、原油価格高騰を受けて灯油が31・3%、ガソリンなど「自動車等関係費」が2・6%の伸び率となった。

 早期解除に慎重な竹中平蔵総務相が重視する、食料とエネルギー関連を除く指数(試算値)は前年同月比0・1%の上昇となり、上昇幅は昨年十二月と同じだった。

 日銀は「物価が安定的に0%以上」などを量的緩和の解除条件としてきた。決定会合では初日八日の議論を踏まえ、九日に解除を決定、直ちに実施する方向で検討しているが、今後の株式市場や景気動向次第では、四月の決定会合に持ち越される可能性もある。

 同時に発表した東京都区部の二月の消費者物価指数(中旬速報)は、前年同月比0・2%上昇の九六・五で二カ月連続でプラス。伸び率は、九八年六月(0・3%)以来七年八カ月ぶりの高水準となった。

1月の鉱工業生産、過去最高

平成18(2006)年02月28日 The Sankei Shimbun

 経済産業省が二十八日発表した一月の鉱工業生産指数速報(平成十二年=一〇〇、季節調整済み)は、前月比0・3%上昇の一〇五・二と三カ月連続で過去最高を更新した。比較可能な十年一月以降で初めて六カ月連続のプラスとなった。

 業種別では、寒さでエアコンの販売が伸びた電気機械が2・5%増加。化学も3・5%伸びたほか、紙・パルプや窯業・土石製品なども好調だった。一方、新製品効果が一段落したため、携帯電話やパソコンなどの情報通信機械は4・0%減少。一般機械や精密機械も減った。

 経産省は業況判断を前月と同じ「緩やかな上昇傾向」に据え置いた。一月の出荷指数は0・2%上昇。在庫指数は0・1%低下した。同時に発表した製造工業生産予測調査は二月が前月比0・5%上昇、化学工場の定期修理で三月は0・7%低下を見込んでいる。

量的緩和解除 政府内にも容認論 「秒読み」市場動き活発化

平成18(2006)年02月28日 The Sankei Shimbun

 二十七日の東京外国為替市場の円相場は一時一ドル=一一五円台まで急伸し、長期金利も続伸するなど、日銀の量的緩和策解除を「秒読み段階」とみる市場の動きが鮮明となった。政府・与党内に「(解除の)判断は日銀に任せるべきだ」と事実上、容認する空気が濃厚なことも後押しした格好で、日銀に対する市場の注目度はさらに高まるとみられる。

 小泉純一郎首相は二十七日、官邸で「政府・日銀が一体となってデフレから脱却する方針に沿ってどのような対応が必要か、日銀が判断することだ」と述べた。一時は日銀法改正までちらつかせて牽制(けんせい)を繰り返した自民党の中川秀直政調会長も同日の都内の講演で、「政策手段は日銀の独自判断だ」と語り、日銀の意向を尊重する発言を行った。

 すでに二十六日には与謝野馨経済財政担当相が「条件が整ったらどうやっていただいてもいい」と話しており、週明けの市場では「政府・与党は早期解除を容認」との観測が一気に広まった。

 このため、二十七日の円相場は解除後の金利上昇を織り込んだ投機筋などの円買いが進み、一カ月ぶりに一ドル=一一五円七〇銭まで急伸。午後五時現在、一ドル=一一六円一八銭−二十銭で取引された。

 東京債券市場でも長期金利の指標となる十年国債の利回りが前週末終値比0・015%上昇(債券価格は下落)の1・610%となるなど、量的緩和の「解除」を視野に入れる動きが活発となった。

 日銀が量的緩和の解除条件に置く消費者物価指数(CPI)の前年比上昇率は昨年十月から三カ月連続でゼロ%以上を続けており、来月三日に一月の数値が発表される。

 上昇幅はより確実なものとなる公算が大きいだけに、日銀が三月八日、九日の金融政策決定会合で解除を判断する可能性が現実味を帯びそうだ。

日銀、数値目標見送りで調整 量的金融緩和策解除で

2006/02/27 The Sankei Shimbun

 日銀は27日、量的金融緩和策を解除した後の新たな政策の「目安」について、物価上昇率などの具体的な数値目標(インフレ目標など)の提示を見送る方向で調整に入った。

 量的緩和策の解除後の政策については、将来の利上げペースなど政策の先行きが予想しにくくなることから、政府、与党の一部にインフレ目標などの提示を求める声が根強い。

 しかし日銀は、こうした措置が金融政策の機動性を縛る点を重視。市場の安定と政策の透明性を確保するには、政策決定時の声明文や半年に一度公表の「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)を充実させる案を軸に検討を進める。

 解除時期については与謝野馨経済財政担当相が26日に、次回の金融政策決定会合が開かれる3月9日の解除を容認したとも受け取られる発言をするなど、政府に日銀の判断を尊重する空気が強まっている。

 3月3日に判明する1月の全国消費者物価指数で、デフレ脱却への道筋が鮮明になれば3月解除もあり得るが、日銀の企業短期経済観測調査(短観)など、重要な経済指標が出そろう4月中旬か同月末の解除がより有力とみられる。

 量的緩和策には消費者物価指数(生鮮食品を除く)が「安定的に0%以上」になるまで続けるとの明確な解除条件がある。与党などに数値目標を求める声があるのは、従来型の金利政策では目安がなく、金利の乱高下を招いて財政再建に悪影響を及ぼすなどの懸念があるためだ。

 日銀はこれまで、利上げを急がない姿勢を言葉で説明。政策の透明性確保に一定の努力をしてきたとの立場を取っている。

 解除の際には、こうした説明をさらに強化することが大きな課題となるが、日銀は「金融調節を通じて市場へメッセージを送ることが解除後の政策の基本」(幹部)との判断に傾いている。(共同)

量的緩和解除は日銀が判断 首相、「デフレ脱却まだ」

2006/02/27 The Sankei Shimbun

 小泉純一郎首相は27日、日銀が量的金融緩和解除に意欲を示す中で、与謝野馨経済財政担当相が前日のテレビ番組で「政府と日銀の景気認識に差はない」などと発言したことについて、「政府、日銀が一体となってデフレ脱却に取り組んでいるから、どういう対応が必要か日銀が判断することだと思う」と指摘した。

 デフレが続いているとの認識を見直す時期が近づいているかどうかについては「まだデフレ脱却状態とは言えないでしょうね」と答えた。

 経財相発言を受け、日銀が3月にも量的金融緩和策を解除するとの見方が市場などで広がっている。

 安倍晋三官房長官は27日午前の記者会見で、「内閣府の長、経済財政諮問会議の担当大臣として、与謝野さんの考え方は極めて重視されるべきもの」と指摘。一方で、長官は景気の現状について「デフレ脱却に向けた進展が見られるものの、緩やかなデフレが継続しているとの認識には変わりない」との慎重な見方も示した。

 政府内には、経財相発言は重いものの「政府内でもう少し議論が必要。小泉首相、竹中平蔵総務相、谷垣禎一財務相を含め総合的に判断しないといけない」(政府筋)との声がある。(共同)

日銀と景気認識に差はない 緩和解除で与謝野経財相

2006/02/26 The Sankei Shimbun

 与謝野馨経済財政担当相は26日、NHKの番組に出演し「景気見通しで、政府と日銀が言っていることにほとんど差はない。景気認識がまず一致することが金融政策には大事であり、そこに差がないというのは大きな要素だ」と述べ、日銀が量的金融緩和策を解除するための条件は整いつつあるとの見方を示した。

 その上で経財相は「ゼロ金利は異常な世界。量的緩和も各国の中央銀行が採っていない政策」と述べ、金融政策の「正常化」は、財政再建と並んで日本経済が取り組むべき重要課題だとした。

 経財相は、今回の景気回復が、かつてのような財政出動による手助けなしに成し遂げられたものであることを指摘。「今の景気には持続性がある」とした。量的金融緩和解除の条件のデフレ脱却についても「経済の縮小均衡を生むデフレスパイラルの危険はもう立ち去った。深刻なデフレは過去のものだ」とした。

 一方、竹中平蔵総務相は同日のテレビ朝日の番組で、量的金融緩和が3月中にも解除される可能性があるとの見方について「日銀は物価をいつごろ、どのくらいに保つか目標を示した上で、どうやるかは独立して決めればいい」と述べ、従来の考えをあらためて示した。(共同)


製造業の9割、鋼材の価格上昇で調達難航…経産省調査

2005/02/19 読売新聞 Yomiuri On-Line

 経済産業省は、鋼材価格の上昇による製造業への影響調査をまとめた。9割以上の企業が鋼材の調達が「困難」あるいは「やや困難」になっていると回答したほか、価格上昇分を全く転嫁できていない企業が約3割に上った。

 経産省は、全国の地方経産局に専用窓口を設置し、相談の受け付けと情報提供などを図る。

 調査によると、鋼材の調達が「困難」になっているとした企業は17・7%、「やや困難」としたのが75・5%に上った。調達が難しい理由として、納期の遅れと価格上昇の両方を挙げたのが37・3%と最も多く、価格上昇のみを理由としたのは23・5%だった。

 鋼材価格は最近3か月間で平均約13・7%上昇したが、競争激化を背景に、製品価格へ全く転嫁できない企業が31・6%にのぼったのをはじめ、価格転嫁率が20%以下にとどまる企業が全体の6割を超えた。

 調査は1月11―18日の期間に、金属製品、電気機械など鋼材を原材料とする製造業1632社にアンケート方式で実施した。


2年半ぶり全業種改善 企業景況感

2002年04月24日 The Sankei Shimbun
 内閣府が24日発表した法人企業動向調査によると、今年1−3月期の国内景気について「上昇」とみる企業経営者の割合から「下降」とみる割合を引いた判断指数(季節調整値)はマイナス37で、前期(昨年10−12月期)より22ポイント改善した。改善は2期連続で、1999年7−9月期以来2年半ぶりに全業種で改善した。

 調査は資本金1億円以上の法人約4500社を対象に3月10日時点で実施した。


現状は「デフレ」か 政府、混乱収拾のため定義見直し (2001.03.04) asahi.com

消費者物価 1.1%、最大の下落幅/2月都区部 デフレ懸念一段と

2001.03.02 The Sankei Shimbun
 総務省が二日発表した二月の東京都区部の消費者物価指数(平成七年=一〇〇、中旬速報値)は、物価変動の激しい生鮮食品を除いた総合が九九・九と前年同月に比べて一・一%低下した。十七カ月連続して前年を下回り、比較可能な昭和四十六年以降では最大の下落幅を記録した。物価の下落と景気の悪化が連続的に起こるデフレスパイラルへの警戒感が強まっている。

 一日から公定歩合の再引き下げなどを実施したばかりの日銀に対し、ゼロ金利政策への復帰や量的緩和など一段の金融緩和を求める声が高まりそうだ。

 一月の鉱工業生産指数が最大の下げ幅になるなど生産面でも景気下振れ色が濃くなっている。価格破壊による物価下落は消費者の利益になるが、企業の売上高減少と収益悪化に直結する「悪い物価下落」が拡大、デフレ懸念が一段と強まっていることを裏付けた。

 項目別では、衣料と外食がそれぞれ二・六%、一・九%下落。電話の通話料金の値下げを背景に通信料が六・一%のマイナスとなった。ゴルフのプレー料やホテルの宿泊料といった「教養・娯楽サービス」も需要減で一・五%下落した。

 半面、寒波の影響でレタスや白菜を中心とした生鮮野菜が二五・二%上昇、生鮮果物が一一・九%上昇とともに急騰した。

 同時に発表された全国の一月の消費者物価指数は、生鮮食品を除いた総合が一〇一・二で前年同月比〇・五%低下し、十六カ月連続と過去最長のマイナス記録を更新した。

 物価の下落は、技術革新や流通革命など供給側の要因に比重を置いて「良い下落」としてきた日銀も「物価は弱含みを続けており、今後、需要の弱さを反映した物価低下圧力が再び強まる懸念がある」と認めざるを得なくなっている。

東証株価、大幅続落 バブル後最安値を大幅更新 (2001.02.28) asahi.com

東証平均株価の終値、バブル後最安値寸前 (2001.02.28) asahi.com

東証の平均株価、昨年来の安値更新

2001.02.27(21:05)asahi.com

経営者の景況感、一気に後退 主要200社緊急調査 (2001.02.25) asahi.com

昨年の単身世帯消費支出、2年ぶりのマイナスに (2001.02.20) asahi.com

東証平均株価、昨年来の最安値更新 (2001.02.19) asahi.com

電気・ガス、4月の値上げ幅確定 5電力で速報より拡大 (2001.02.19) asahi.com
4月からの電気・ガス料金の値上げ幅

〈電力〉値上げ幅 現行料金
北海道  49  6015
東北   53  6592
東京   54  6764
中部   60  6724
北陸   29  6897
関西   33  7069
中国   76  6777
四国   51  6821
九州   45  6082
沖縄   85  6851

〈ガス〉値上げ幅 現行料金
東京   74  6853
大阪   74  7523
東邦   84  8422
西部    0  8086
 (確定値。4人家族の標準世帯の1カ月あたり。税込み。単位・円)

景気判断を下方修正、米経済の減速などで 月例経済報告 (2001.02.16) asahi.com

1月の景気ウオッチャー調査、現状判断は過去最悪 (2001.02.15) asahi.com
 内閣府は15日、コンビニエンスストアの店長やタクシー運転手ら、景気に敏感とされる人たちに景況感を聞く1月の景気ウオッチャー調査の結果を発表した。3カ月前と比べた景気の現状を示す判断指数は41.5と、過去最悪を更新した。横ばいを意味する50を下回ったのは6カ月連続。家計動向の指数の悪化が響いた。

野菜10品目の卸売価格、前年の2倍超/1月下旬 農水省流通統計旬報概報

2001.02.13 The Sankei Shimbun
 農水省が十三日発表した青果物流通統計旬報概報によると、一月下旬の卸売価格はキャベツが前年同期の二・九八倍、ホウレンソウは二・八三倍など野菜十品目が、前年同期の二倍以上に値上がりしたことが分かった。

 降雪などにより産地での集荷に影響が出たためだが、農水省は三月以降は「育成が遅れていた野菜が出回るため、価格は急落する」(野菜課)と指摘している。

 統計は全国の県庁所在地など主要都市にある卸売市場の動向をまとめた。

 野菜(四十四品目)全体の平均卸売価格は一キロ当たり三九%高の二百三十六円だった。前年同期の二倍以上だったのはキャベツ、ホウレンソウのほかに小松菜、パセリ、ハクサイ、レタス、ニラ、春菊、カボチャ、大根。

 農水省によると、昨年秋の降雨と日照不足で生育が遅れたほか、年末から年始にかけての大雪で集荷が遅れ、市場に品薄感が広がったのが高値の原因。

 だが、三月に降雪の影響が薄れ集荷が進むと、育成の遅れた野菜も市場に出回り始めるため「需給は大幅に改善される」(同)としている。

「景気下ぶれのリスク高まる」と指摘 日銀金融経済月報 (2001.02.13) asahi.com

東証株、全面安 一時2年4カ月ぶり1万3000円割れ (2001.02.08) asahi.com

東京ガス、15日から値下げ 標準家庭で2.51% (2001.02.01) asahi.com

市場心理の悪化に懸念、藤原日銀副総裁講演 (2001.01.31) asahi.com

消費者物価、最大の下落幅 サービス価格の低下目立つ (2001.01.26) asahi.com

企業向けサービス価格、3年連続で下落 (2001.01.24) asahi.com

貿易黒字が2年連続減 アジアからの輸入最高の17兆円 (2001.01.24) asahi.com

 電気・ガス、4月から1%前後値上げ 原油高で (2001.01.24) asahi.com
 <4月からの電気・ガス料金の値上げ幅>

 (4人家族の標準世帯の1カ月あたり。税込み。単位・円)

<電力>  値上げ幅 現行料金

北海道    47  6015
東北     48  6592
東京     54  6764
中部     60  6724
北陸     25  6897
関西     33  7069
中国     76  6777
四国     48  6821
九州     45  6082
沖縄     75  6851

〈ガス〉

東京     79  7029
大阪     74  7523
東邦     84  8422
西部      0  8086

景気判断を据え置き、1月の月例経済報告 (2001.01.19) asahi.com

東証1万4000円台回復

2001.01.19The Sankei Shimbun
 十九日の東京株式市場は、前日の米国株価が上昇したことや、自民党の株価対策への期待などから買い安心感が広がり、平均株価は六営業日続伸して一万四〇〇〇円台を回復した。一万四〇〇〇円台になったのは昨年十二月二十六日以来で、午前の終値は前日比一七九円六五銭高の一万四〇五三円五七銭。東証一部の全銘柄に連動する東証株価指数(TOPIX)も、六・二八ポイント高の一三一七・二九で午前の取引を終えた。

 米国市場はダウ工業株三十種平均、ナスダック総合指数がともに上昇し、「底入れに向かっトいる」(大手証券)と好感された。

 国内要因でも、前日の売買代金が一兆円を超えるなど市場のエネルギーが拡大し、「相場環境が好転している」(同)。また、金庫株の解禁など株価対策への期待感も投資家の買い意欲を高めた。

 このため、電機、精密、非鉄、薬品などを中心に幅広く買いが入り、平均株価は取引終了直前に二〇〇円近くまで上昇する場面もあった。

生活不安度指数が悪化、景気の先行き不透明感強まる (2001.01.16) asahi.com

経常収支の黒字額が2カ月ぶり増 昨年11月の国際収支 (2001.01.15) asahi.com

長期金利1.530% 国債相場 (2001.01.15) asahi.com

11月の消費支出、2カ月連続のマイナス 家計調査 (2001.01.09) asahi.com

消費者物価、初の2年連続下落 東京都区部 (2000.12.26) asahi.com

住宅ローン増が消費抑制 全国消費実態調査 (2000.12.26) asahi.com国消費

ITが景気けん引、ミニ経済白書が分析 (2000.12.25) asahi.com

9月末の国の長期債務467兆円 大蔵省発表 (2000.12.25) asahi.com

宮沢蔵相、今後の経済情勢に慎重な見方示す (2000.12.24) asahi.com

「物価低下のリスク要因は小さい」速水日銀総裁が講演 (2000.12.22) asahi.com

「株価は経済実態を反映していない」福田康夫官房長官 (2000.12.22) asahi.com

 東証株価下げ止まり? 前日比3円高 (2000.12.23) asahi.com

 長期金利が急低下 1年半ぶりの低水準 (2000.12.21) asahi.com

 東証株価大幅安、一時は700円超す下げ (2000.12.21) asahi.com

 東アジアの景気、2001年は減速 IT関連輸出鈍化で (2000.12.20) asahi.com 

 来年度の企業、増益率は鈍化 野村金融研・大和総研予測 (2000.12.14) asahi.com 

 9カ月連続で1500件超 11月の企業倒産 (2000.12.14) asahi.com

現状判断は最低水準に 景気ウオッチャー調査  (2000.12.14) asahi.com

マイナス修正へ/7-9月期GDP 設備投資が伸びず

2000.12.14 The Sankei Shimbun
 経済企画庁は十四日、今月四日に発表したばかりの今年七−九月期のGDP(国内総生産、季節調整値)の成長率を大幅下方修正し、来年二月発表の二次速報でマイナス成長になるとの見通しを明らかにした。一次速報では前期比〇・二%増だったが、修正されると三・四半期ぶりのマイナス成長となり、景気の足踏みが確認される形になる。

 マイナス成長になるのは一次速報で七・八%増だった設備投資の大幅下方修正が主因。十一日に大蔵省から発表された法人企業統計で設備投資の伸びが前年比〇・二%増にとどまったためだ。一次速報では経企庁が発表する法人企業動向調査をもとに設備投資を推計していたが、二次速報では法人企業統計で推計し直す。

 額賀福志郎経済財政・IT担当相(経済企画)も十二日の財政首脳会議で「七−九月期の法人企業統計で企業の設備投資の伸びが小さかったことを勘案すると、下方修正される可能性が高い」と語っていた。

 四日に発表された七−九月期の設備投資の寄与度はプラス一・二%だった。「設備投資主導型の成長」が崩れる形になるが、経企庁幹部は「年度後半に民需中心の自律的回復軌道に乗せるというシナリオに変更はない」と、今後の成長シナリオには影響しないことを強調した。ただ、二%程度で調整が進められている来年度の政府経済見通しには影響しそうで「二%台の成長を打ち出すのは難しい」と、一%台後半で調整される可能性が高くなってきた。

主要企業9月中間決算 3年ぶり増収増益へ/企業業績の改善鮮明に

2000.11.23 The Sankei Shimbun
 企業業績の改善が鮮明になってきた。二十二日までに発表した主要企業の平成十二年九月中間決算(連結ベース)は、売上高が前年同期比三・八%増加し、経常利益は五九・八%の大幅増となった。単独中間決算ベースで比較すると、九年九月中間決算以来、三年ぶりの増収増益になる見込みだ。これまでは多くの企業が売上高を減らし、人員削減などのリストラ効果で増益を確保してきたが、IT(情報技術)産業をけん引役に売上高が増加に転じたのが大きな要因。景気回復に向けて明るい兆しといえそうだ。

 中間決算は、東証上場企業の約六五%に当たる一千社以上が発表を終えた。新光総合研究所が金融機関などをのぞく約二百社を集計したところ、売上高が三・八%増、経常利益は五九・八%増、最終利益も約二倍となった。

 こうした業績改善には、売上高で七・八%増、経常利益は二・八倍となった電機や、精密機器、通信などのIT産業が大きく貢献している。

 大手電機九社では、三菱電機の一三・二%を筆頭に全社が増収となり、ソニーをのぞく八社が最終黒字を達成した。とくに半導体など電子部品事業の収益が好調で、東芝は「電子部品事業の回復が業績改善理由のすべて」(島上清明専務)と指摘した。

 構造不況の鉄鋼大手もリストラ効果や東南アジア向け輸出の伸び、主要製品の価格上昇によって大幅に業績が改善。日産自動車は「部品調達コストが約六百億円削減できた」(ムロンゲ最高財務責任者)ことなどから千七百二十億円の最終黒字を計上、企業業績全体への足かせが徐々に外れてきたことをうかがわせている。

 ただ、食中毒事件を起こした雪印乳業は、「コスト削減では、売上高の落ち込みをカバーできなかった」(西紘平社長)ため、二百四十三億円の経常赤字に転落。リコール情報隠しが発覚した三菱自動車工業も、減収減益となり、不祥事企業の業績悪化も目立った。

 今年度の下半期は上半期を上回る好業績が見込まれ、十三年三月期は五・七%増収、四二・六%経常増益と予想している。

中国、四国の景気下方修正 11月地域経済動向

2000.11.21 The sankei Shimbun
 経済企画庁は二十一日発表した十一月の地域経済動向で、全国十地域のうち中国と四国の景気判断を前回の八月調査より下方修正した。

 中国は、ユーロ安による輸出の減少で自動車生産が落ち込んだことなどから「改善の動きが強まっている」という前回の表現を「改善が続いている」に変え判断を後退。四国は、VTRの海外生産シフトなどによる鉱工業生産指数の悪化や七−九月の完全失業率が高水準だったため「緩やかな改善が続いている」から「足踏み状態」に修正した。

 他の八地域の判断は据え置かれ、「回復している」(沖縄)、「改善が続いている」(東北、東海、中国、九州)、「緩やかな改善が続いている」(関東、北陸、近畿)、「足踏み状態」(北海道、四国)の順となった。

 経企庁は、全体として企業部門の自律的回復に向けた動きが強まる一方、個人消費は、おおむね横ばいか地域によってはやや弱含んでいるとみている。

 また、企業の倒産件数が高い伸びを示していることや生命保険会社の破たん、そごう再建計画に伴う閉店で、近畿、四国、九州などでは雇用への影響がみられると指摘した。

 沖縄経済が元気、11月の地域経済動向 (2000.11.21) asahi.com

貿易黒字、4カ月連続で減少 10月の貿易統計 (2000.11.20) asahi.com

フリーターには逆風? 単身世帯の消費支出が減少 (2000.11.16) asahi.com

生活不安度の指数、10月は悪化 (2000.11.13) asahi.com 

 10月の国内卸売物価、8カ月ぶり前年比マイナス 日銀 (2000.11.09) asahi.com

ソフトウェア投資額を設備投資額に計上 日銀短観 (2000.11.07) asahi.com

全産業が景気回復を確認、4年半ぶり 法人企業動向調査 (2000.11.07) asahi.com

9月の家計消費支出、5カ月ぶりに増加 (2000.11.02) asahi.com

企業の手元資金圧縮が加速 資金繰りの先行きに余裕出て (2000.10.30) asahi.com

消費者物価、「安定」から「弱含み」に 総務庁

2000.10.27(18:47)asahi.com
 総務庁が27日発表した9月の全国の消費者物価指数は生鮮食品を除いた総合で101.8と、前年同月比で0.5%減少した。四半期ベースの下落幅は今年1―3月期0.2%、4―6月期0.3%、7―9月期0.4%と徐々に拡大していることから、経済企画庁は「このところの物価下落は一時的な要因ではない」と判断。1973年に経企庁に物価局が設置されて以来、物価水準の判断で続けてきた「安定している」の表現を初めて外し、「消費者物価はこのところやや弱含みで推移している」(物価局)との表現に変えた。

 また、全国の先行指標となっている東京都区部の消費者物価指数(中旬速報値、1995年=100)は、価格が天候に左右されやすい生鮮食品を除いた総合で10月は100.9となり、前年同月に比べ1.0%下落した。下落幅は前月に続き、71年以降で最大。前年水準割れは13カ月連続で過去最高になった。

 同庁が特に注意を払っているのが繊維製品の動向だ。99年から2000年初めにかけて東京都区部で始まったカジュアル衣料の量販店「ユニクロ」などによる価格破壊的な動きが今秋は全国に波及。アパレルメーカーや百貨店などが対抗上、値下げする動きを生み、カジュアルだけでなくスーツなどほかの衣料品にも価格低下が顕著だという。

 物価が下がるのは、生産から小売りにいたるまでの合理化や生産性の向上で価格が下がっている側面と、需要が不足している面があり、判然とは区別できない。同日記者会見した堺屋太一経企庁長官は「景気回復のシナリオの範囲内で、決して悲観的にみる必要はない」とプラス面を強調しつつも、物価の下落は企業業績の悪化につながる可能性もあり「警戒する要因ではある」とも述べた。

消費支出が5カ月ぶりプラス 9月の家計調査

2000.10.27(18:42)asahi.com
 総務庁が27日発表した9月のサラリーマン世帯の家計調査(速報)によると、1世帯当たりの消費支出は32万279円と、物価変動の影響を除いた実質で前年同月比1.0%増えた。前年水準を上回ったのは5カ月ぶり。

 世帯主の定期収入は0.9%減と8カ月ぶりにマイナスに転じ、可処分所得も前年同月に比べ1.3%減ったが、自動車の購入費を含む交通・通信関連の支出が11.6%増と大きく増えた。

 一方、同時に発表された7―9月期の平均消費支出は33万5036円と、前年同期に比べ1.9%減少した。四半期ベースのマイナスは今年4―6月期の0.0をはさみ2期ぶり。

負債総額、初めて10兆円超える 今年度上半期の倒産

2000.10.16(20:50)asahi.com
 民間の信用調査会社、帝国データバンクが16日発表した、今年度上半期の全国企業倒産集計(負債1000万円以上)によると、倒産企業の負債総額は半期としては初めて10兆円を突破し、前年同期比48.1%増の10兆9137億円に達した。東証1部上場の信販会社ライフやそごうグループなど旧日本長期信用銀行(現新生銀行)の大型融資先が相次いで倒産したことが負債総額を膨らませた。

 倒産件数は9473件で前年同期比19.6%の増加。上半期としては2年ぶりに9000件を突破し、倒産件数自体も依然高い水準が続いている。

 上半期最大の倒産となったライフの負債総額は9663億円で史上4番目の大型倒産となる。そごうは単体としては6891億円だが、グループ会社全体を含めると2兆9661億円となり、総負債額の3割近くを占めた。

 この両社を含め旧長銀の融資先では不動産賃貸・売買の日本ビルプロヂェクト、リゾート開発のイ・アイ・イ−インターナショナルなど負債1000億を超える大型倒産が続発した。全体で見ても負債額が1000億円を超えた大型倒産が21件と、半期ベースで初めて20件を超えた。

 帝国データバンクは、上半期はそごう問題など債権放棄の是非が問題とされる一方で、ゼネコンのハザマや熊谷組など、依然として当面の延命策でしかない債権放棄が流行するなど、「債権放棄によってかき乱された混乱期」と分析。結果として「不良債権処理は道半ばどころか、影響力の大きい大物企業ほど(問題処理が)先送りされた」とし、企業を巡る環境は一向に改善していないとみている。

9月の景気ウオッチャー調査、2カ月連続の50割れ

2000.10.17(22:42)asahi.com
 経済企画庁が17日発表した9月の景気ウオッチャー調査によると、3カ月前に比べた景気の現状に対する判断指数は47.8で、好不況の判断を分ける目安である50を2カ月連続で下回った。家計関連の慎重な判断が全体の足を引っ張っている。

 この調査は、小売り、飲食などの家計関連、製造業などの企業動向、雇用の3分野に分けて調べている。景気の現状について分野別にみると、家計関連の判断指数が44.7と、今年1月に調査を始めた当初の1月の43.4に次ぐ低い水準だった。

 家計で判断指数が50を上回ったのは3月、4月だけで、5月から5カ月連続で50を割っている。

 これに対し、企業動向の景気の現状に対する判断指数は53.5。雇用関連は59.4と、ともに50を上回っている。企業動向は3月以来7カ月連続、雇用は1月以来9カ月連続と好調だ。

大蔵省、預託金利を2.1%に引き上げ

2000.10.05(17:13)asahi.com
 大蔵省は5日、郵便貯金や厚生年金・国民年金の資金を資金運用部に預ける際の預託金利を、年2.0%から2.1%に引き上げると発表した。これに伴い、資金運用部が政府系金融機関に貸し付ける資金の金利(財政投融資金利)も同率に引き上げられる。いずれも12日から実施する予定。

日銀総裁が講演で「景気回復間違いない」

2000.10.05(17:44)asahi.com
 日本銀行の速水優総裁は5日、景気の認識について、「民間主導による自律的回復が起こり始めている」との見方を示した。9月の日銀短期経済観測調査(短観)で設備投資、企業収益が上方修正されていることなどを理由にあげた。都内で開かれた講演で、聴衆の質問に答えた。

 速水総裁は、企業収益が設備投資にまわり、給与の方も少しづつ上がり始めた点を指摘し、「民間主導の景気回復が進んでいくとみて間違いない」と述べた。

 また、最近の軟調な株価動向については、株の持ち合い解消や米株価の下落が背景にある、との見方を示した上で、「10月に入り、(決算前の)株の持ち合い解消の動きもなくなり、米株価も大きく下げるとは思わない。景気が自律的回復するにつれて、内外から買いが入ると期待している」と述べた。

一致指数が16カ月連続で50%超え、バブル期に迫る

2000.10.05(17:51)asahi.com
 経済企画庁が5日発表した8月の景気動向調査(速報値)によると、景気の現状を示す一致指数は85.7%となり、景気判断の分かれ目となる50%を16カ月連続で上回った。バブル期の1989年8月から90年12月までの17カ月連続に次ぐ長さ。同庁は「一致指数は明確に改善している。景気は改善の方向にある」(調査局)とする前月までの判断を継続した。

 景気の先行きを示す先行指数は71.4%と、3カ月連続で50%を上回った。ただ、新設住宅着工床面積、マネーサプライ(M2+CD)など、弱い動きを示す指標もあり、「やや不安定な動きがあることは否定できず、先行きは予断を許さない」(同)という。

 一方、景気に遅れて動く遅行指数は41.7%で、4カ月連続で50%を下回った。製造業の常用雇用指数や家計消費支出がマイナスを続けているためで、「回復の動きがなかなか家計部門に波及しない」(同)。本格的な民需主導の回復にいたっていない様子が読みとれる。

日本国土開発の更生計画 東京地裁が認可

2000.09.29(20:59)asahi.com
 1998年12月に会社更生法の適用を受けて再建中の準大手ゼネコン、日本国土開発(本社・東京)は29日、東京地裁から更生計画の認可決定を受けた、と発表した。

 同社では99年1月の会社更生手続き開始決定以来、2度にわたる希望退職者の募集をはじめとする892人の人員削減、区画整理事業やゴルフ場開発事業、リゾート開発事業などからの撤退、経費の削減などを推進した結果、更生計画案に対し債権者の95%の賛成を得たという。

 今後は同社の再建を支援するスポンサー企業を引き続き探していく一方、自主再建を前提として策定した2000年9月から2020年5月までの19年間の更生計画を達成できるよう努力するという。

 計画では、官公庁発注の土木工事を中心に受注を確保し、売上高1000億円を目標に1000人態勢を目指す。現在かかえる債務総額の約3208億円のうち、おおむね9割は債務免除を受け、残る約1割は19年間の均等分割で弁済する。

 また、現在の資本金約141億円を100%減資し、来年1月には1株の金額50円、額面50円の株式を1億株発行して、資本金約50億円を調達する。新株は従業員と取引先など関係会社に引き受けてもらうという。

会社員の給与、2年連続で減少 ボーナス落ち込み響く

2000.09.26(17:43)asahi.com
 民間企業に勤める人が昨年1年間に手にした平均給与は461万3000円で、前年に比べ0.8%(3万5000円)減少し、2年連続でマイナスとなったことが26日、国税庁が発表した「民間給与実態統計調査」で分かった。ボーナス(賞与)の平均支給額の落ち込みが給与全体の相場を引き下げている。低迷する景気がサラリーマンの家計を圧迫している実態が浮き彫りとなった形だ。

 昨年1年間を通じて民間企業に勤めた給与所得者は前年より1%少ない4498万人。これに対して、給与の総額は207兆5188億円で1.7%の減少となった。給与総額は1949年に統計を取り始めて以来、98年に初めて0.1%の減少に転じており、99年はさらに下落の幅が拡大した。

 給与を給料とボーナスに分けると、給料は平均379万8000円で0.8%増となったのに対し、景気動向を敏感に反映するボーナスは同81万6000円で7.4%減少した。給料に対するボーナスの割合は21.5%で前年より1.9ポイント落ち込んでいる。

 男女別の平均給与は、男性が567万4000円で0.8%(4万6000円)減、女性は前年とほぼ同じ279万9000円。男女の格差は287万5000円で、前年より4万5000円縮小した。

雪印の余波? 食品業界で減益予想の企業増加

2000.09.18(22:20)asahi.com
 野村証券金融研究所がこのほど調べた日本の代表的企業400社の今年度の収益見通しで、大半の業界が増益を見込む中、食品業界は逆に減益を予想する企業が拡大していることがわかった。本来、堅調な業績が見込まれていた業界だが、同研究所は「雪印の食中毒事件以降、食品がらみのトラブルが多発して減収を余儀なくされ、減益を見込む企業が多い」と見ている。

 今回の見通しでは、情報技術(IT)革命の進展でハイテク関連の企業を中心に収益改善が進んだため、電機や精密、鉄鋼、非鉄など、調査対象の19業種中、15業種が今年度増益を予想している。

 一方、前回6月の調査では増益と見られていた食品業界は一転して減益に。業種内28社の経常利益の増減益率(連結ベース)の予想はこれまで「9.4%増」だったが、乳業を中心に減益予想の企業が目立ち始め、今回調査では10ポイント近く落ち込んで「1.5%減」となった。

 同研究所は東証の業種別時価総額の構成比を参考に各業種から400社を選択。ほぼ四半期ごとに企業収益などを調べている。

ビッグマック食べるなら東京で 経済力をマックで調査

2000.09.16(00:06)asahi.com
 ビッグマックが好きな人は、東京で働こう――スイスの金融大手UBSは、米大手ハンバーガーチェーン「マクドナルド」の人気食品ビッグマックを使って各国都市の「経済力」を調べたところ、世界で最も短い労働時間でビッグマックを買えるところは東京と香港、との結果がでた。

 いわば貧富の差をビッグマックで調べた。「最も豊かな都市」ともいえる東京は9分だが、最下位のナイロビは20倍近い178分。東京は物価が高く、その分所得も高水準なので、国際的に相場が似かよっているビッグマックを容易に買える。ただ、日本のファストフードの競争が激しく、日本マクドナルドが低価格戦略をとっていることも影響しているものと見られる。

 今年4―6月にかけて世界58都市の物価や所得水準を調べ、ビッグマックを買える労働時間に換算した。最も短時間は9分で東京と香港、次は米ロサンゼルス11分、米ニューヨーク12分、豪州シドニーやカナダのトロントなどが13分だった。

 世界平均は36分だが、ファストフードがぜいたく品の途上国では長時間労働を強いられる。一番長かったのはケニアのナイロビ178分、次はインドネシアのジャカルタ146分、インドのムンバイ(ボンベイ)105分、ベネズエラのカラカス93分、ハンガリーのブダペスト82分だった。

夏のボーナス2年連続で前年割れ 労働省まとめ

2000.09.08(20:03)asahi.com
 労働省が8日まとめた従業員1000人以上の主な企業の今夏のボーナスの妥結額は、平均で前年比0.54%減の75万8804円と、2年連続で前年を下回った。マイナス幅は前年から5.11ポイント改善したが、ピークだった1998年の水準を、額にして5万1000円あまり下回っている。企業の業績回復が続く一方で、ほぼ4社に3社が、過去最低の賃上げ率となった今春闘の際に、ボーナス交渉をしており、春闘の冷え込みが夏のボーナスにまで影を落とした格好だ。

 東証、大証1部上場企業のうち、資本金20億円以上で、労組のある企業287社の妥結額を集計した。

 妥結額が最も高かったのは、建設の94万3637円(前年比2.72%減)、以下、電力87万3588円(同0.05%減)、自動車86万8645円(同0.69%増)、新聞・印刷85万7836円(同3.09%減)と続く。逆に、最低は車両の51万5518円(同7.07%減)で、鉄鋼59万401円(同3.74%減)、繊維61万3190円(同8.12%増)、卸・小売り62万8274円(同0.16%増)の順となっている。

東電も余剰発電機をGEに売却へ

2000.08.29(20:12)asahi.com
 東京電力は29日、設備余剰のため今春に稼働を止めた大井火力発電所(東京)のガスタービン1号機(出力12万7000キロワット)を製造元の米ゼネラルエレクトリック(GE)に売る契約を結んだことを明らかにした。電力需要が急増していたバブル経済後期に計画した設備で、近年の稼働率は2、3%まで落ち込んでいた。東電にとって初の発電機売却で、好景気で電力設備が不足気味の米国など海外での発電に転用されるとみられる。

 自社で廃棄した場合に比べ、負担せずにすむ撤去費用などを含め数十億円の増収効果を見込む。10月をめどに引き渡す。

 同じく春に稼働を止めた豊洲火力(東京)のガスタービン発電機2基(各4万1700キロワット)についてもGEや日立製作所に引き取りを働きかけている。

 東電は、夏の日中の最大電力の記録を1996年7月から更新しないなど、設備過剰感が高まっている。特に、ガスタービン発電機は、発電効率が悪く、重荷だった。

物価下落、良い?悪い? 見方分かれる日銀と経企庁

2000.08.27(10:52)asahi.com
 下落を続ける消費者物価指数をめぐり、政府や日本銀行の間で見方が分かれている。経済企画庁が、生産と需要のギャップによって、景気の悪化につながる「悪い価格下落」という面を否定し切れないとするのに対し、日銀は流通構造の合理化などが原因で、需要増を生む「良い価格下落」だと言い切る。先のゼロ金利の解除をめぐって浮上した物価の見方の食い違いは、景気の先行きの判断の難しさを物語ってもいる。

 「悪い価格下落」への警戒を示す経企庁は、25日に公表した8月の東京都区部の生鮮食品を除く総合指数が対前年同月比0.8%下落したことについて、為替レートの安定、原油価格の上昇を考慮すると、マイナスの幅が大きい点に注目する。しかも、下落は実質的に2年間続いている。

 堺屋太一長官は「この1カ月でさらに技術革新が進んで下がったわけはない」と指摘、中名生隆事務次官も「東京都区部の衣料品などは需給関係から値崩れして安くなっている面もある」という。

 同庁も「良い価格下落」の面があることを否定はしない。7月に出した2000年の物価リポートでは、日本の高物価構造が情報技術(IT)革命などもあって崩れる傾向にあると解説していた。

 一方、日銀は冷静だ。自らがまとめる国内卸売物価指数が7日で5カ月連続して前年水準を上回ったことを踏まえつつも、物価指数の動きだけをみても、景気との関連などは明確に理解できるわけではない、という。実際、バブルが崩壊し景気後退の始まった91年の物価上昇率は近年のピークを記録した。また、90年代で国内要因による物価上昇率が最も低かった96年は、バブル崩壊以降、最も高い成長率を記録した年だった。

 日銀は、「景気の悪化につながる需給ギャップの要素があるとすれば、企業収益が減少し、設備投資や雇用の減少をもたらすが、いまは企業収益が改善している」(幹部)と強調。現在の物価動向について、「良い物価下落」と判断する。

 例えば、営業努力などで単価を大幅に下げたマクドナルドのハンバーガーの売り上げ全体は伸びた。衣料品の低価格販売で業績をあげているユニクロの躍進なども、消費者の購買意欲を高める「良い物価下落」と日銀は位置づける。「ゼロ金利政策」を解除条件の「デフレ懸念の払しょくが展望できた状態」には変わりない、としている。

 富士総合研究所の益田安良主任研究員は「物価の下落は景気が強くないことを表しているが、潜在的な購買力はついており、総合的にはプラスではないか。雇用や年金、財政の不安を払しょくする、きちんとした道筋を政府が示せば、消費はそろそろ出てくる時期だ」と話している。

消費者物価 実質で2年連続下落

2000.08.25(12:25)asahi.com
 消費者物価が実質的に丸2年間下がり続けていることが、総務庁が25日に公表した物価指数で確認された。景気の低迷と競争激化のなか、衣料品、家電製品や家賃などが下がり続けているためで、「下げ止まる傾向はまだない」(経済企画庁物価局)との見方が支配的で、日本経済が過去に経験したことのない長期間の物価下落は、まだ続きそうだ。

 日本銀行は11日に、「デフレ懸念の払しょくが展望できた」として、ゼロ金利政策を解除したが、経企庁は、「物価の下落には技術革新に伴う生産性の向上による良い下落と、景気低迷による悪い下落があるが、各種の販売統計、企業の景況感などを総合してみても、今の段階でデフレ懸念が払しょくできているとは言えない」(物価局)と話している。

 総務庁によると、8月の東京都区部の消費者物価は、価格変動の大きい生鮮食品を除いた総合指数(中旬速報値、1995年=100)が100.7となり、前年同月に比べ0.8%下落した。

 統計上、前年同月割れは11カ月連続だが、昨年9月は前年同月比が0.0%で、この時も物価が下げ止まったとは言えず、これを含めると、前年同月比での下落は24カ月続いている計算だ。

 全国も傾向はほぼ同じで、同時に発表された7月の生鮮食品を除く総合指数は101.7と、前年同月比で0.3%下落した。前年同月割れは昨年10月から10カ月連続だが、やはり、その前の5月から9月までの5カ月が前年同月比0.0%だったため、実質的に下落傾向は25カ月連続している。

 これほどの長期間の物価下落は、戦後の日本経済では経験がなく、「異例の中にいる」(堺屋太一経企庁長官)状態だ。経企庁物価局などによると、主な要因は(1)バブル崩壊後の景気そのものの低迷(2)流通革命(3)規制緩和に伴う競争激化(4)円高――などだ。

 同局は7月に出した2000年の物価リポートでも、「崩壊しつつある高物価神話」と題して、日本の高物価構造が大きく変化したと分析。情報技術(IT)革命でさらにこの傾向に拍車がかかるとみている。

 直近の8月の東京都区部の分析でも、家賃の下落や競争激化による耐久消費財、外食費用の下落などを要因として指摘した。

単身世帯消費動向、6四半期連続で改善

2000.08.21(21:31)asahi.com
 経済企画庁が21日発表した単身世帯の消費動向調査(今年6月に実施)の結果によると、今後半年間の暮らし向きの見通しを示す消費者態度指数は44.6で、前年同期に比べ1.8ポイント上昇した。この調査は1996年3月から四半期に1度実施されており、これまでで3番目に高い水準。同指数の改善はこれで6期連続となった。ただ、今年に入ってから改善傾向がやや鈍っている。

 雇用環境や収入の増え方など、指数を導き出す5項目のうち、物価の上がり方は横ばいだったが、ほかはすべて改善していた。

大口電力需要が12カ月連続で前年超え 鉄鋼などけん引

2000.08.18(20:24)asahi.com
 電気事業連合会が18日発表した7月の産業用大口電力(契約500キロワット以上)の需要実績(速報値)は238億3500万キロワット時で、前年同月を5.2%上回った。12カ月連続の前年実績超えで、1年以上続いたのは1995年6月まで13カ月続いて以来、約5年ぶりとなる。

 業種別では鉄鋼が前年同月比9.5%増と高い伸びで、機械、非鉄金属、化学も5―6%伸びた。

飛栄産業が倒産/グループ3社負債6500億円

2000.08.14The Sankei Shimbun
 帝国データバンクが十四日、明らかにしたところによると、不動産賃貸、管理の飛栄産業(本社・東京)と、グループ会社で不動産保有、売買の飛栄建物、同金融業の飛栄ファイナンス・サービスの三社が十一日付で、東京地裁に特別清算を申請した。負債額は三社合計で約六千五百億円。内訳は、飛栄産業が約四千五百億円、他のグループ二社が約二千億円。

 飛栄産業はゼネコン飛島建設の子会社として設立。同社のデベロッパー事業を担う形で、マンションやビルの建設分譲や土地建物売買などを行った。

 バブル崩壊後は不動産市況の悪化、過大な借り入れにより経営不振に陥った。この間、親会社の飛島建設はデベロッパー事業からの撤退を進めるため、出資比率を四・九%まで引き下げた。

 十一年三月期の債務超過額が約四千八百億円に達し、解消のめどがたたないため、事業継続を断念した。

6月の消費支出、2カ月連続の減少

2000.08.03(19:46)asahi.com
 総務庁が3日発表した6月の家計調査(全世帯、速報)によると、1世帯あたりの消費支出は29万7986円で、物価変動の影響を除いた実質で前年同月に比べ1.8%減少した。マイナスは2カ月連続。前月比(季節調整済み)でも実質1.8%減少した。

 家計の消費は今年1月から4月まで1カ月ごとに増減を繰り返していた。5、6月の2カ月連続の前年実績割れは、消費動向が依然として力強さに欠けることを示している。

 支出項目別では、サラリーマン世帯を中心に自動車の購入が増え、携帯電話の普及などで通信費が増加する一方、食材や衣料品への支出が減り、全体ではマイナスとなっている。

 一方、4―6月の四半期ベースでは、消費支出の平均は31万4231円で、4期連続して前年同期に比べ実質減少。ただ、1―3月期比(季節調整済み)は2.5%増加した。総務庁は「消費は一進一退の状況を続けており、引き続き注視していく必要がある」(統計局)と話している。

百貨店、スーパーの上半期売上高はともにマイナス

2000.07.24(19:00)asahi.com
 日本百貨店協会と日本チェーンストア協会は24日、2000年上半期(1―6月)の全国の百貨店、スーパーの売上高を発表した。百貨店が前年同期比(店舗調整後)1.2%減となり、上半期ベースで3年連続マイナス、スーパーが同4.4%減(同)で4年連続のマイナスとなった。下げ幅は前年よりも縮小したが、買い控えの状況は続いている。

 百貨店は女性向けの商品が全般的に好調で、婦人服はほぼ前年並みだったほか、アクセサリーやハンドバッグなどの身の回り品は、1.4%増と前年を上回った。しかし、紳士服は7.2%減と大きく落ち込んでおり、「全体では足踏みをしている状況」(日本百貨店協会)としている。

 一方、スーパーは衣料品が9.7%減と大きく落ち込んだほか、売り上げのほぼ半分をしめる食料品も3.5%減と前年割れとなった。6月まで19カ月連続の前年同月比マイナスが続いている。

年金住宅融資で延滞と返済不能が過去最高に

2000.07.21(01:11)asahi.com
 年金住宅福祉協会がまとめた年金住宅融資調査報告によると、1999年度に年金住宅融資の返済ができなくなったケースは前年度比15.8%増の1085件で、過去最高となった。全貸付件数17万6427件に対する発生率は0.61%と前年度より0.1ポイント高くなっており、不況によるリストラなどが家計に影を落としていることを浮き彫りにしている。

 返済不能となった原因は借り入れ過多が38.4%ともっとも多く、次いで破産が30.0%、退職が12.9%、事業不振が5.7%などとなっている。

 また、今年3月末時点での融資残高のうち、4カ月以上の返済延滞の発生率は1.58%に達し、これも過去最高となった。地域別では北海道が2.58%、九州が2.44%と高かった。年収に占める返済負担額の割合をみると、35―40%の場合は延滞率が5.19%なのに対し、同30―35%の場合は2.62%で、返済負担率が高いほど延滞する割合が高くなっている。

 同協会では、増え続ける住宅ローンの延滞と返済不能について、「昇給をあてにしていたが、不況のため計画通りにいかなくなっているサラリーマン家計の姿が浮かび上がる」とみている。

中小企業の景況判断は6期連続で改善 通産省

2000.07.18(22:31)asahi.com
 通産省中小企業庁が18日発表した今年第2.4半期(4―6月)の中小企業景況調査(速報)によると、景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を引いた指数はマイナス40.5で、前年同期を7.4ポイント上回り、6期連続で改善した。電子部品、半導体など情報技術(IT)関連業界を中心に改善が進んでおり、同省は「悪化幅は依然大きいが、来期も改善傾向は続く」と予測している。

街角の景況感は足踏み 6月の景気ウオッチャー調査

2000.07.17(21:46)asahi.com
 経済企画庁が17日に発表した6月の景気ウオッチャー調査によると、3カ月前と比較した景気の現状判断指数は前月より0.1ポイント悪化し、50.1となった。かろうじて4カ月連続で景気回復局面を示す50を超えたものの、2カ月連続で下落した。景況感の足踏みは消費の回復が遅れているためで、家計動向関連指数は48.2と、2カ月連続で50を割り込んだ。6月は北海道を除いて天候が不順だったことに加え、地方のウオッチャーからは総選挙の影響で人の出足が鈍ったなどの指摘が寄せられた。

企業倒産大幅増、負債総額は戦後2番目 上半期

2000.07.14(20:23)asahi.com
 民間信用調査会社の帝国データバンクが14日発表した今年上半期(1―6月)の全国企業倒産集計によると、倒産件数は9304件で、前年同期に比べて32.2%の大幅増となった。負債総額は6兆9549億円と、戦後最悪だった前年同期に比べ24.2%減ったが、上半期としては戦後2番目の高水準になった。

 負債総額が大きくなったのは、信販大手のライフやスーパーの長崎屋など、大型倒産が相次いだため。また、販売不振などで負債額1億円未満の中小・零細企業の倒産も増加している。

 業種別の倒産件数は、建設業が前年同期比49.1%増の2825件と大幅に増加し、小売業も30.1%増の1486件と、ほぼ全業種で2ケタの増加となった。

 信用保証協会の「特別保証制度」を利用したあとに倒産した企業も1807件に及び、前年同期の2.5倍に増えた。

 今後、そごう倒産に伴う取引先の連鎖倒産が懸念されているが、帝国データバンクでは「小口の取引先は債権が保全されており、実質的な影響は限定的だ」としている。

5月の経常収支の黒字は、前年同月比で4カ月ぶり減少

2000.07.12(10:38)asahi.com

 大蔵省が12日発表した5月の国際収支(速報)によると、海外とのモノやサービスなどの取引結果を示す経常収支の黒字は、前年同月比18.2%減の8402億円で、4カ月ぶりに減少した。円高や原油高による貿易黒字の減少が主な原因だ。

 貿易黒字は、同24.1%減の7234億円。輸出、輸入とも7カ月連続で増加したが、輸入の伸び(20.5%)が輸出の伸び(8.1%)を大きく上回った。

 大蔵省は「アジアの景気回復や円高、原油高などで、輸出入とも増加基調が続いており、黒字幅の縮小傾向が続くか否かは即断できない」と説明している。

民間需要、5カ月ぶりに好転 5月の機械受注統計

2000.07.10(18:53)asahi.com
 経済企画庁が10日発表した5月の機械受注統計によると、設備投資の先行指標となる電力・船舶を除いた民間需要(季節調整値)は9406億円となり、前月を4.5%上回った。民需がプラスとなるのは5カ月ぶり。製造業が3.0%増、非製造業が3.3%増となり、ともにプラスとなるのは昨年12月以来。

 経企庁は3カ月連続で「持ち直しの動きが出ている」との判断を維持したが、通信業が2カ月連続でマイナスとなるなど情報技術(IT)関連受注に一服感も出ており、今後の動向も注視したいとしている。

製造業の景況感、2年9カ月ぶりプラスに 日銀6月短観

2000.07.04(12:48)asahi.com
 日本銀行が4日発表した6月の企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(景気が「良い」とする企業の割合から「悪い」とする割合を引いた指数)のうち、主要指標の大企業の製造業がプラス3で、1997年9月以来、2年9カ月ぶりにプラスに転じる大幅な改善となった。大企業と中小企業の製造業、非製造業ともに前回3月調査より好転した。今年度の設備投資計画では、大企業(全産業)が4年ぶりのプラスとなり、売上高や経常利益も総じて上方修正となった。景況感の改善が鮮明になり、ゼロ金利解除の条件が整ってきたといえそうだ。

 業況判断指数は、大企業の製造業がプラス3(12ポイント改善)、非製造業がマイナス12(4ポイント改善)、中小企業の製造業がマイナス21(5ポイント改善)と、それぞれ6期連続の改善となった。前回は横ばいだった中小企業の非製造業はマイナス27で、1ポイントの小幅改善にとどまった。情報技術(IT)関連分野がけん引する形で、企業収益が大幅に良くなっていることが背景にある。次回の9月予想では大企業の製造業がプラス6を見込むなど先行きの明るさも増している。

 業種別に見ると、大企業では、IT関連需要が好調な電気機械や紙・パルプ、アジア向けの輸出増に支えられた鉄鋼などが大きく改善した。中小企業では精密機械などの改善が目立つが、改善幅は大企業に比べて小幅になっている。

 今年度の設備投資計画では、大企業の製造業が前年度比11.3%増で、6月時点では90年度以来の大幅なプラスとなった。中小企業も設備投資が盛り返しつつある。製造業が前年度比1.7%減、非製造業同9.4%減と、前年度の実績を割り込んでいるものの、前回調査より上方修正された。全体を合わせた全規模全産業では前年度比0.1%減と、わずかながらマイナスとなった。

高物価構造の崩壊を指摘 経企庁がリポート

2000.07.03(21:13)asahi.com
 「崩壊しつつある高物価神話」――経済企画庁は3日発表した2000年の物価リポートで、最近の物価動向をこう結論づけた。競争の激化や流通分野を中心とする構造改革が進むなか、日本の高物価構造が大きく変化したとし、情報技術(IT)革命によって電子ショッピングが広がれば、こうした傾向に拍車がかかるとしている。

 消費者物価の上昇率は高度成長が続いた1970年代までは高止まりしていた。リポートは高度成長期は労働需給がひっ迫し、輸入障壁に守られて生産性が低い産業が残っていたために、物価は上がりやすく下がりにくい構造となっていたと分析。それが、80年代以降の円高や規制緩和で輸入品が国内市場に浸透、賃金面からのコストアップ要因も縮小したため、下落に転じたと指摘した。

 90年代にはさらに価格破壊が始まり、単なる低価格競争から卸売業を中心とした流通革命にまで発展。品質が重視されるファッション、対面販売重視の化粧品・医薬品、人件費率が高い外食などのサービス分野など、価格下落が難しいとみられた分野にまで影響が及び、「好ましい」物価下落をもたらしていると位置づけた。

個人の金融資産、1年間で58兆円増加

2000.07.01(01:00)asahi.com
 2000年3月末の国内の個人(家計部門)金融資産の合計が1368兆円に達したことが、日本銀行が30日発表した資金循環速報でわかった。この1年間の増加額は58兆円にのぼり、個人の景気の実感とは別に「金あまり」が続いているようだ。

 統計によると、資産の内訳は預金が713兆円、株式など証券が196兆円、保険・年金などが377兆円となっている。預金のうち260兆円は郵便貯金が占めている。

 対前年度伸び率の4.4%は前年度の同じ数字を1.3ポイント上回る高い伸びだ。この高い伸びを支えたのが好調な株価。時価総額が増えたことで前年度にくらべ、家計部門でも株式資産の残高が30.5%も増えた。

 資金の流れをみると、個人(家計)部門は最大の資金余剰部門で、税収不足や支出増で苦しむ政府部門(49兆円の資金不足)を支えている。資金余剰額は35兆円で前年度よりも約5兆円増えた。

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