TOPIC No.2-21 日米関係

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邦人留学生減少に危機感 米、同盟弱体化懸念し対策

2010/12/26 中国新聞ニュ−ス

 日本から米国への留学生が減少していることに対し、米政府が危機感を抱いている。内向き傾向にある日本の若者の「米国離れ」を助長、長期的に日米関係の弱体化を招きかねないからだ。在日米大使館も日本人留学生の増加を目指し、日本政府と協力しながら対策に乗り出した。

 米国際教育協会(IIE)によると、2009年秋に米国の大学に留学した外国人のうち、中国出身者は前年と比べて約30%増加し、約12万7600人でトップ。2位はインド、3位は韓国だった。

 これに対し、日本からの留学生は前年比15%減り、約2万4800人で6位。01年当時は約4万7千人が米国で学んでいたが、バブル経済崩壊後の景気低迷や若者の内向き志向などから減少傾向が続いている。

 こうした傾向が今後も続けば、日米間の人的交流が先細りし、両国関係の衰退を招きかねない。11月の日米首脳会談ではこのため、双方の人的交流拡大や、日本が進める外国青年招致事業(JETプログラム)の積極的な活用を確認した。

 ルース駐日米大使も日本人留学生の増加に向けた取り組みを強化。在日米大使館が後援し、11月に東京都内で開かれた第1回駐日米大使杯高校生英語スピーチコンテスト決勝ではビデオメッセージを寄せ、参加者を激励した。

 大使館側によると、コンテストは「米国と米国留学に関心を持ってもらう」ことが目的。上位2人に選ばれた東京都立小石川中等教育学校5年の中野広美なかの・ひろみさんと札幌市の藤女子高3年の長門真美ながと・まみさんも大会後「米国に留学してみたい」などと話していた。(共同)

【同盟弱体化】安保改定50年 第1部 美辞麗句の陰で(1)「もはや日本は極ではない」

2010.03.03 07:31 MSN産経新聞

離発着訓練に向かう海上自衛隊の哨戒機P3C=23日午後、神奈川県大和市、綾瀬市の厚木基地(松本健吾撮影)

 1月16日、米国の首都ワシントン市内のホワイトハウスから通りを隔てたウィラードホテルの会議場。日米関係に関する非公開のセミナーがあった。米側は民間の専門家に交じって国防次官補、ウォレス・グレグソンら国防総省で日本との交渉にあたっている責任者3人が顔をそろえた。グレグソンらは時折部屋を出入りしながらも、最後まで熱心に議論に耳を傾けた。だが、会場に鳩山内閣のメンバーの姿はなかった。招待状が出されたにもかかわらず参加しなかったのだ。

 参加者たちの予想に反し、米軍普天間飛行場移設問題で突っ込んだ議論はなかった。ある参加者は「欠席裁判を避ける気持ちが働いたのかもしれないが、普天間問題を詰めていくと鳩山内閣は日米同盟を守る気があるのかとなる。かえって事態の深刻さを浮き彫りにした」と振り返る。

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 昨年9月に首相に就いて以来、鳩山由紀夫は「日米同盟の深化」を強調するが、普天間問題では迷走が続く。「忍耐」してきた米政府もしびれを切らし始めた。

 「海兵隊が日本から完全に撤退すれば、機動性、実効性に影響が出る。地域の緊急時への米国の対応に遅れが生じることになる」

 駐日米大使、ジョン・ルースは1月29日の早稲田大学での講演でこう述べた。

 これを聞いた外務省幹部は「普天間問題が集約の方向に向かわない日本側を牽制(けんせい)したのだろう」と語る。東シナ海の海底ガス田問題で、中国側との交渉に関与したこの幹部は「強固な日米関係が背景にあったからこそ、中国も強気にはでなかった」と強調する。

 日中両国は平成20年6月に共同開発で合意した。しかし、ぎくしゃくし始めた日米関係を見透かすように、中国は東シナ海の「白樺」(中国名・春暁)ガス田で、天然ガスの掘削施設を完成させ、運用開始間近の状態となっている。

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 普天間移設に関する米側の交渉責任者だった元国防副次官、リチャード・ローレスは2月4日昼、ワシントン市内のレストランで訪米した前外務次官、谷内正太郎に言い切った。

 「日本では『日米中は正三角形だ』という議論があるようだが、もはや日本は米国にとって極ではない」

 ローレスはこう続けた。

 「このままだと日米同盟は50年前の安保条約改定当初に戻らざるをえない。日本の防衛に限定し米国が協力するだけの関係だ」

 谷内は深く考え込んだ。 「そうなれば米国は日本の危機に血と汗を流してくれるだろうか」

 次官当時、同盟強化のため、集団的自衛権に関する憲法解釈見直しに取り組んだ谷内だが、見直しは実現しなかった。

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 ■削られた「抑止力」

 1月29日、鳩山由紀夫の首相としての初の施政方針演説。「抑止力」という文字が“封印”された。原案では日米同盟に関する部分で「抑止力」が明記されたが、与党社民党が強い難色を示したため、削除したのだった。鳩山政権は「対等な日米同盟関係」を標榜(ひょうぼう)するものの、平成22年度予算案での日本の防衛費は約4兆7000億円で、国内総生産(GDP)比1%未満にすぎない。

 これに対して中国の国防費は2009年で約4729億元(約7兆1000億円)に達した。公表された国防費は主な支出区分を含んでおらず「実際には1・8〜2・5倍はある」(防衛省関係者)とされる。

 駐日米大使のルースは1月の講演で、「防衛費のGDP比は韓国が2・7%、中国は4・3%、米国は4%以上。隣国が世界で上位30以内に入るなかで、日本は150位だ」と述べ、暗に防衛費増額を求めた。

 では在日米軍に頼らず、防衛を自国だけで行うとどうなるか。防衛省幹部は「少なくともGDP比3%は必要ではないか」という。単純計算しても15兆円規模になる。だが、政府・与党内からは防衛費増額の声など出たことはない。

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 鳩山政権の迷走をよそに現場の自衛隊員たちは黙々と任務にあたっている。

 2月下旬のある早朝、薄曇りの空に向けて海上自衛隊の厚木航空基地(神奈川県綾瀬市、大和市)から1機のP3C哨戒機がブーンというプロペラ音を響かせながら飛び立った。日本海での監視活動にあたるためだった。ほぼ毎日みられる光景だ。

 1機が飛び立った後、基地には一瞬の静寂が訪れたが、まもなく他のP3Cも訓練飛行のため飛び立っていった。「不審船を確認したら、偵察飛行をしている1機だけでなく残りの機も直ちに監視活動に参加する」(海自幹部)という。

 訓練に参加した隊員は「大海の上を飛んでいるだけでは潜水艦を見つけるのはまず無理」と語る。事前情報が重要というわけだ。基地内の「ASWOC」(対潜水艦作戦センター)に集められた情報をもとに監視重点地域を決める。「米軍情報も当然入ってくる」(海自幹部)。

 厚木基地は海自と米海軍が共有している。米海軍は今夏までに第7艦隊の哨戒偵察航空団の司令部要員の一部を三沢基地(青森県三沢市)から厚木基地に移す方針だ。

 冷戦後にP3C部隊の縮小論もあったが、再び重要性が増している。弾道ミサイル、核実験を繰り返す北朝鮮、海軍力を増す中国から目が離せないためだ。イラク、アフガニスタン問題を抱える米軍も自衛隊の活動に期待を寄せている。

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 厚木の部隊と同様、毎日のように東シナ海を監視しているのが那覇航空基地のP3C部隊だ。隊員によると「潜水艦や艦船だけでなく、漁船の動きまで注視している」という。

 背景にあるのが2009年3月、南シナ海の公海で米軍の音響測定艦インペッカブルが漁船を含む中国側船舶に包囲された事件だ。中国船の船員らは木材を投げたほか、ソナーを取り外そうとするなど、妨害行為は激しかった。自衛隊の護衛艦にも同様の手段をとるかもしれない。

 中国は「近海防御戦略」を採用し、防御範囲を拡大している。中核となるのが日本列島から沖縄、台湾を結ぶ「第1列島線」と、小笠原諸島、グアムを結ぶ「第2列島線」だ。中国は第1列島線を越え、第2列島線に至る軍事力構築を目指し、潜水艦や大型艦艇を着々と配備している。

 特に潜水艦による活動は活発化しており、2006年10月には米空母キティホークが沖縄近海で中国の潜水艦の追尾を受けた。今後沿岸からさらに離れた地域での活動が増えることが予想されている。海自では東京、グアム、台湾を結ぶ三角形の海域を「TGT三角海域」と名付け、日本の平和と安定にとり「カギとなる海域」と位置づける。

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 日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増すなかで昨年12月、民主党幹事長、小沢一郎が総勢600人超を引き連れ訪中したことを「小沢氏のラブ・ツアー」と皮肉るローレスは、上司だった元国防長官ドナルド・ラムズフェルドがしばしば「日本が望む以上の同盟関係をわれわれが持つことはできない」と語っていたことを思いだすという。そしてローレスは痛感するのだった。いかに「同盟が脆弱(ぜいじゃく)か」と。

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 日米安保条約改定から50年。昨年11月に来日した米大統領、バラク・オバマに対し、鳩山は「建設的で未来志向の日米同盟を深めていきたい」と、「美辞麗句」を並べた。だが、インド洋からの海上自衛隊の撤退、普天間問題の混迷で日米同盟は変質しつつある。同盟のこれまでを振り返り、今後の課題を探る。(敬称略)

【同盟弱体化】第1部 美辞麗句の陰で(2)食い違うグアムの位置づけ

2010.03.04 08:06 MSN産経新聞

 「われわれは一列縦隊で攻撃する」

 「もし合図がなくても、状況を見て援護射撃する」

 敵陣を攻撃する自衛隊を、海兵隊が援護する−。これが3月1日、岡山県奈義町にある陸上自衛隊の日本原演習場で実施された日米共同訓練のシナリオだ。

 仮設テントの中では、陸自隊員と米海兵隊員たちが、地形を立体的に模した「砂盤」を囲んで、攻撃の手順を打ち合わせた。実戦では、わずかな手違いが死に直結する。隊員たちは身ぶり手ぶりを交えて質問をぶつけ合い、真剣な表情で互いの疑問点を解消していった。

 7日までの15日間の共同訓練に参加したのは、陸自第10師団第14普通科連隊(金沢市)の約300人と、第3海兵師団戦闘攻撃大隊の約120人。同大隊は米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題で渦中にあるキャンプ・シュワブ(名護市)に駐留する。

 陸自は在日米軍で唯一の地上戦部隊を抱える海兵隊と年に2、3回、国内や米国で共同訓練を実施している。実戦経験豊富な海兵隊との訓練は陸自にとって貴重な経験だ。

 ただ、日本国内での訓練の悩みの種は、訓練場の狭さによる制約。集落が隣接する日本原演習場も例外ではない。地元との取り決めで、昼食時や夜間、土曜日の午後や日曜日には騒音の出る実射訓練はできない。

 平成17年10月に日米両政府が合意した文書「日米同盟:未来のための変革と再編」には、自衛隊が長年抱えてきた訓練地の問題解決に向け、米領グアムでの「自衛隊の訓練機会の増大」も盛り込まれた。しかし、普天間問題をめぐる鳩山政権の迷走が共同訓練の行方にも影響を及ぼしている。グアムをどう位置付けるかという基本部分で米側と共通認識ができていないためだ。

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 「全党員で議論をしたが、自衛隊が違憲か合憲かの結論を出していない」

 陸自と海兵隊の隊員たちが雨でぬかるむ演習場で共同訓練に臨んでいたのと同じころ、国会では社民党党首で消費者・少子化担当相の福島瑞穂が政権担当者らしからぬ答弁をしていた。

 日米で合意した在沖縄海兵隊の司令部要員など約8000人のグアム移転だけでなく、普天間にいる海兵隊のヘリコプター部隊も含めた移転を模索する社民党は、「米軍基地を迷惑施設としか考えることができない」(自民党国防関係議員)ように映る。社民党にとって、グアムは米軍を追い出すための場所なのだ。

 だが、社民党の思惑に反して、グアム知事、フィーリックス・カマチョは2月11日、知事公舎を訪れた政府・与党の視察団に対し、「現行計画を超えた兵力移転は受け入れがたい」と断言した。

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 米国が描くグアムの将来像は社民党とは大きく異なる。

 米国防総省は2月に発表した「4年ごとの国防計画見直し」(QDR)で、グアムを「地域の安全保障活動の拠点に変革する」と明記した。グアムは日韓両国、豪州など米国の同盟国からほぼ等距離に位置する。米国はこの戦略拠点での、同盟国との共同訓練を重視している。

 米国防次官、ミシェル・フロノイは2月4日の下院軍事委員会で、グアムを「米軍の訓練の機会と地域における2国間、多国間のパートナーシップを拡大させる拠点」と位置付けた。

 本来なら日本にとっても、国内のような制約がないグアムや米自治領・北マリアナ諸島テニアンでの訓練実施は、目に見える形での日米の信頼関係の醸成につながり、「中国に対して日米同盟の強固さをみせつけることになる」(防衛省幹部)はずだ。

 しかし、カマチョからだめ押しされても社民党政審会長、阿部知子はあきらめなかった。「インフラなどの状況が整備されれば(移設の)可能性はある」と。

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 「QDRに込められた米国のシグナルは、『ワーク・ウィズ(一緒にやろう)』だ」

 防衛政務官、長島昭久は2月11日のBSフジ番組でこう解説してみせた。

 安全保障環境より連立維持に力点を置きがちな鳩山政権にあって、日米同盟強化に奮闘する長島は、日本の新たな「防衛計画の大綱」策定作業にも触れた。

 「QDRと大綱で互いの考え方を持ち寄り、日米同盟をどう深化させていくかを今年やる。非常に大事な年だ」

 熱く語る長島の発言を隣で聞いていた元国防総省日本部長、ジェームス・アワーは短く語った。

 「そう期待する」  (敬称略)

【同盟弱体化】第1部 美辞麗句の陰で(3)ぶれる日本は「蚊帳の外」

2010.03.05 08:17 MSN産経新聞

パキスタン艦船に最後の洋上補給を行う海上自衛隊の補給艦「ましゅう」=1月15日、アラビア海北部(大谷次郎撮影)

 1月25日夕、関西空港に到着したエミレーツ航空機から観光客に交じって、海上自衛隊2等海佐、尾崎拓彦が一人ひっそりと帰国した。中東・バーレーンの米海軍第5艦隊司令部に派遣されていた連絡官だ。鳩山政権が1月にインド洋での海上自衛隊による補給活動の撤収を決めたのに伴い、尾崎も約10カ月間の任務を終え、空路ドバイ経由で戻ってきたのだった。

 バーレーンの首都マナマにある第5艦隊司令部の敷地内に尾崎ら連絡官が勤務する建物がある。米国主導で行われる「不朽の自由作戦(OEF)」などに参加する各国に一部屋が割り当てられ、それぞれの国の連絡官が廊下を行き来する。

 各国とのミーティングもしばしば開かれ、国際テロの防止を目指した作戦に関する情報を共有し、連絡・調整を行っている。

 目立たない任務だが、自衛隊幹部は強調する。

 「情報はフェース・ツー・フェース(対面)、ギブ・アンド・テーク(相互のやりとり)が原則だ。一緒にいるからこそ、迅速で的確な情報が入る」

 同盟国といえども日本が何もしなければ、米国も情報を教えてはくれない。日本政府には苦い経験がある。平成19年の参院選で勝利した当時野党の民主党の反対で、旧テロ対策特別措置法が失効、一時的に海上自衛隊の補給艦がインド洋から撤収せざるを得なくなった。その間、バーレーンも連絡官不在となった。現地の生の情報は途絶えた。日本は「蚊帳の外」に置かれたのだ。

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 19年の撤収の際には応急措置として、自衛隊幹部は米フロリダ州タンパにいた連絡官に指示した。

 「どんな細かいことでもいい。撤収でどんな影響が出たかを報告してほしい」

 タンパには中東・南アジア地域を管轄する米軍中央軍司令部がある。各国は連絡官をタンパの「有志連合村」と呼ばれる建物に派遣している。そこでは毎日のように米軍がイラク、アフガニスタンでの活動に参加する国々に対し、軍事作戦や現地情報を逐一説明している。

 このときは撤収が一時的であったため、日本は情報共有の「仲間」に加わり続けることができたが、今回復帰の見通しはない。

                 × × ×

 「バーレーンに集まる情報はテロとの戦いだけでない。タンカーや貨物船の情報も含まれる」

 自衛隊関係者はこう言う。緊張が高まりつつあるイランの核開発問題での米第5艦隊の対応もいち早くわかる。中東に9割の原油を依存する日本にとって、バーレーンなどで得る情報は不可欠といっていい。

 それだけではない。

 「真珠の首飾り(String of Pearls)戦略」

 米防衛関係企業が2005年に当時の米国防長官、ドナルド・ラムズフェルドに対して作成した報告書で、中国の遠洋戦略を指摘した言葉だ。「真珠の首飾り」のようにインド洋に点々と中国はプレゼンス(存在)を広げつつある。

 これは、中国が経済成長を維持するためエネルギー資源の確保を重視しているためだ。日本だけでなく、中国にとっても、中東やアフリカの資源供給国と本国を結ぶシーレーン(海上交通路)は生命線なのだ。

 だが、インド洋からの撤収は、こうした中国の動きを見えにくくしつつある。

              × × ×

 撤収により再びバーレーンに自衛隊員がいなくなることに危機感を覚えた防衛相、北沢俊美はアフガン本土に展開する国際治安支援部隊(ISAF)の作戦本部に連絡官を派遣することを検討した。だが、首相、鳩山由紀夫は「自衛隊を派遣する発想は持ち合わせていない」とつれなかった。

 防衛省は尾崎を帰国させる一方で、もう一人の連絡官を補給活動の任務から、ソマリア沖・アデン湾での海賊対処に関する任務に切り替えることでバーレーンに残留させた。現場から日の丸の旗が消えることだけはかろうじて避けられた。

 平成19年5月、ワシントンで開かれた外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)では、「日米防衛協力を強化するうえで情報共有は重要な基礎」との認識で一致した。鳩山政権下で、いまこの基礎が揺らいでいる。

 防衛省幹部は警鐘を鳴らす。

 「テロや海賊の情報は今までどおり入っても、アフガン情勢などの情報は減るかもしれない。情報を得られないからといって直ちに支障はおきない。怖いのは徐々に情報の輪から外され、ボディーブローのように効いていることだ」(敬称略)

【同盟弱体化】第1部 美辞麗句の陰で(4)核抑止議論に“政治主導”の壁

2010.03.06 07:33 MSN産経新聞

イラク戦争 米駆逐艦ウインストーン・チャーチルから発射される巡航ミサイル「トマホーク」=2003年3月23日、地中海上(ロイター)

 「中国に対して『米国に追いつける』という誘惑を与えない水準の核抑止態勢が必要ではないか」

 先月2日から始まった外務・防衛当局の局長級による日米安全保障高級事務レベル協議(SSC)。この席で、日本側は東アジアにおける米国の「核の傘」を中心とした「拡大抑止」の維持の必要性を訴えた。

 協議は昨年中に始まる予定だったが、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)移設問題をめぐる鳩山政権の混乱で2月までずれ込んだのだった。

 日米両国当局者の間には首相、鳩山由紀夫のことを、「宇宙人」のあだ名をとって「スペース・イシュー(宇宙問題)」と呼ぶ「隠語」がある。

 「日米同盟深化」を掲げながら、「東アジア共同体構想」や「対米依存からの脱却」をぶちあげる鳩山の発言にまどわされることなく、地に足のついた議論をしようという意味だ。

 「核抑止をめぐる議論はよほどの信頼関係がないとできない。日米関係は普天間問題でも崩れていない」

 外務省当局者はこう胸を張る。

 米政府は近く発表する核計画の指針である「核戦略体制の見直し」(NPR)にあたって、日本など同盟国とも協議を行ってきた。

 日本は冷戦時代から米国の抑止力に依存してきたが、「機密性が高い核戦略の性格上、核抑止態勢の詳細を知らされたことはなかった。日本側から具体的な要求をしたこともなかった」(外務省当局者)のが実態だった。米政府もこれまで同盟国に十分な理解を求めてこなかったとの反省から、今回のNPRでは日本などとの協議を積極的に行ったのだった。

 だが、政治レベルでは抑止力強化とはほど遠い動きが出ている。

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 「特定の装備体系を貴国が保有すべきか否かについて(日本政府が)述べたことはないと理解しています。もし仮に述べたことがあったとすれば、それは核軍縮を目指す私の考えとは明らかに異なるものです」

 昨年12月24日付で外相、岡田克也が米国務長官、ヒラリー・クリントンと国防長官、ロバート・ゲーツの2人に送付した書簡だ。

 書簡は麻生前政権下で行われた核をめぐる日米協議で、巡航ミサイル「トマホーク」のうち、攻撃型原子力潜水艦発射の戦術核搭載型の退役に日本が反対した、とする報道を見た岡田が「強い不快感を示した」(外務省幹部)ために送られたものだった。

 当初は事務レベルで岡田の意向を伝えることも検討したが、岡田本人が自ら書簡を出すことにこだわったという。「核廃絶を掲げる日本が、核トマホークの退役に反対するのはおかしいとの思い」(同)からだった。退役が日本に与える影響に関し説明を希望するとの表現に落ち着いたものの、日本政府当局者の発言があったのかなかったのか特定しない奇妙な文面となった。

 岡田は書簡のなかで、「核兵器の目的を核兵器使用の抑止のみに限定する」という「唯一目的論」についても、日米間で「議論を深めたい」と呼びかけた。

 鳩山政権では米国による核抑止力の意義は認めつつも、米大統領、バラク・オバマが昨年4月のプラハ演説で「核兵器のない世界」を掲げたことを機に、米国が核軍縮に向けかじを切ったと見なし、核抑止態勢の強化よりも、「唯一の被爆国としての道義的責任」として、核軍縮に向け指導力を発揮しようとする動きが強まっている。

 外務省幹部は「『核兵器は倫理に反する』という宗教的安全保障観の表れだ。『政治主導だ』といわれれば、官僚にはどうしようもない」と自嘲(じちょう)気味に語る。

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 東京・市谷の防衛省。米政府が2月に発表した「4年ごとの国防計画の見直し(QDR)」を分析するなかで、「空軍力と海軍力を統合した新たな戦闘構想の開発」との一項目が注目を集めている。

 「これは中国を念頭に置いたものだろうか」

 「当然そうだろうね」

 省内の一室では、こんなやりとりが交わされた。

 最先端の対艦ミサイルや音を探知しにくい潜水艦などに対処するため、ともに航空戦力を持ち「縦割り」の弊害が指摘されてきた海軍、空軍に対し、連携して作戦を行う構想の策定に取り組んでほしいというのが国防長官ゲーツの指令だ。

 ある当局者はつぶやいた。

 「米国は将来を見据えて抑止力の強化に努めている。それにひきかえわが国は…」(敬称略)

【同盟弱体化】第1部 美辞麗句の陰で(5) 普天間問題、司令塔不在で同盟揺るがす

2010.03.06 20:45 MSN産経新聞

 「楽は苦の種、苦は楽の種です」

 「どういう意味ですか」 「『苦』の後に幸せがあるということです」

 2日夜、都内のホテルの一室。官房長官、平野博文が米駐日大使、ジョン・ルースと食事をともにしながらかわした会話だ。

 首相、鳩山由紀夫が掲げる5月末までの米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)移設決着に向け厳しい局面にさしかかっているものの、これを乗り切った暁には日米同盟はより緊密になる。平野はこう言いたかったようだ。

 会談が明るみに出た4日午前、首相サイドから問い合わせを受けた平野は「一般的な会談であった」と返答した。この後の記者会見で、事前にルースとの会談を鳩山に伝えていなかったかと聞かれると、「いちいち外で会う人について報告してませんから」と平野はぶっきらぼうに答えた。

 「自分の権力を見せつけようとして、余計なことを言ってしまうんだよね。首相が苦しんでいるのに」

 首相周辺は苦々しげに語る。

 不快感を示したのは首相周辺だけでなかった。上京中だった沖縄県知事、仲井真弘多は5日、「ここまで時間がたって現地に説明しようとしないのは意味不明」と平野を批判した。

 沖縄、米国、与党ー鳩山は複雑な利害が絡み合う移設問題の調整を平野に任せた。しかし、鳩山、平野ともに平成8年に普天間返還合意にこぎつけた首相、橋本龍太郎、官房長官、梶山静六(ともに故人)のような信頼関係を沖縄と築けていない。

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 米ワシントンからポトマック川を隔てた対岸にある国防総省の一室。2月1日に米政府が発表した「4年ごとの国防計画の見直し(QDR)」の事前説明の席で、同省当局者は日本政府当局者に対し、ミサイル防衛(MD)分野での一層の協力に期待感を示した。

 QDRと同時に出されたMD見直し報告書は、MD分野での日米協力を「極めて優れた例」と評価した。

 昨年11月、鳩山が米大統領バラク・オバマとの会談で提案し、2月に始まった同盟深化のための協議でもMDが主要テーマだ。

 だが、弾道ミサイルを迎撃する地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の追加配備に外相、岡田克也らから慎重論が相次いだ。鳩山は追加配備を見送った。

 「タブーに挑戦するような議論をしてほしい」

 鳩山は2月18日に開かれた有識者会議「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」の初会合で、活発な議論を求めたが、集団的自衛権の行使を禁じたとする憲法解釈の見直しに踏み込めるか疑問視する向きも強い。鳩山自身が解釈見直しについて「極めて慎重でなければいけない」と、消極的だからだ。

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 「オザワさんの安全保障観はどういうものなのですか?」

 1月上旬に訪米した自民党政調会長、石破茂は国務次官補のカート・キャンベル、国防次官補のウォレス・グレグソンら米政府高官から、決まって「ハトヤマ」ではなく民主党幹事長、小沢一郎の安保観を尋ねられた。石破が「国連を世界政府と思っているようですよ」と伝えると、ある高官は「クレイジーだ」と吐き捨てるように言った。

 日本政府は11月に予定されているオバマの再来日にあわせて、同盟深化をうたう「新安保宣言」をまとめたい考えだ。しかし、米側からは鳩山と小沢が仕切る日本の安保政策に対する懐疑的な見方から、新宣言に慎重な声も出ている。

 オバマ政権に近い米シンクタンク外交問題評議会の上級研究員、シーラ・スミスは「1996年の(米大統領ビル・クリントンと首相橋本による)日米安保共同宣言は、冷戦終結後の同盟の変質に対応しようとしたもので必要性があった。今年が安保改定50周年だからといって、いま新宣言が必要ということを意味しない」と語る。

 3日の参院予算委員会。岡田は言った。

 「約1年かけて日米同盟の深化について議論を深める。共同声明か談話かで大きな違いがあるわけではない。そういうことにこだわらず、日米同盟をしっかりやっていけばいい」

 岡田が共同声明と談話の重みの違いを知らないはずがない。これからも普天間問題で迷走が続くことを見越して予防線を張ったのかもしれない。(敬称略)

=第1部終わり

               ◇

 この連載は高橋昌之、有元隆志、赤地真志帆、大谷次郎、加納宏幸、宮下日出男、田中靖人、尾崎良樹が担当しました。

【同盟弱体化】第2部普天間問題(上)県外固執 首相の甘さ 期限目前、まとまらぬ閣内

2010.03.29 22:32 MSN産経新聞

普天間飛行場と徳之島 「県外移設、頑張りましょう」

 3月26日夜、東京・赤坂にある韓国料理店内に首相、鳩山由紀夫の声が響いた。鳩山はこの日の記者会見で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題について、「極力、鳩山としては県外に移設させる道筋を考えたい」と明言していた。秘書官らに囲まれ上機嫌の鳩山には、会見の余韻が残っていたのかもしれない。

 当面は普天間飛行場のヘリコプター部隊を米軍キャンプ・シュワブ(同県名護市)陸上部に造る600メートルのヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)に移すものの、固定翼機の離着陸機能や訓練機能を九州各地の自衛隊基地などに移転させ、「普天間の機能を沖縄から5割以上県外に出すこと」(政府高官)に鳩山の主眼が置かれている。

 3月中旬、県外移設は困難との見方が強まるなかでも、首相に近い外交専門家は「マスコミは間違っている。いまに首相は県外でやるぞ」と言い切った。米軍基地が集中する「沖縄の過重な負担」が常に鳩山の頭にあったという。鳩山周辺は「昨年の総選挙で県外を訴え勝利した。なんとか県外を形とすることに首相はこだわった」と解説する。

 食事に後から加わった官房長官、平野博文は「県外」を繰り返した鳩山の発言を苦々しげに聞いていた。県外移設で丸く収まればいいが、容易ではない。しかも抑止力維持を重視する米側を納得させるには「県内移設」も同時に追求しなければならないとの思いがあった。平野は意を決したように口を開いた。

 「あんまり、わーわー言わんとってくださいよ。真剣にがんばっているんですから…」

   × × ×

 「もし県外で移転できそうな場所があるなら、調べてくれませんか」

 政権発足後間もない昨年10月、鳩山は旧知の官僚OBや同僚議員らにこう依頼した。すぐに応えたのが静岡選出の民主党衆院議員、牧野聖修(せいしゅう)だった。後援者に鹿児島県・徳之島出身者がいたこともあり、牧野はすぐに島に足を運んだ。徳之島は沖縄に近く、他の候補地よりも移転しやすい。なんといっても「県外」といえる。鳩山が徳之島を県外移設先として本命視しているのは間違いない。

 一方で、官邸内では別な動きも進んでいた。

 「官房長官の側近」を名乗る男が昨年末、沖縄商工会議所名誉会頭、太田範雄のもとを訪れた。沖縄市で建設会社を営む太田は平成15年、うるま市の米軍ホワイトビーチ沖に3600メートル級の滑走路2本や港湾施設などを建設する巨大基地計画を構想した。平野は「那覇の基地をすべて持っていける」とホワイトビーチ沖案に飛びついた。

 平野は環境破壊や新たな基地負担の受け入れに難色を示す沖縄県側の反発を懸念する政府内の声に耳を傾けず、23日の関係閣僚による最終協議でもその持論を曲げることはなかった。

            × × ×

 「報道は必ずしも事実でない。県外案もある。官房長官を中心に検討中だが、最終的には私が決めます」

 鳩山はシュワブ陸上案が報じられていた2月下旬、与党幹部にこう漏らした。 県内移設を懸念する社民党党首、福島瑞穂からの携帯電話を受けるたびに「県外で頑張ります」と答え、期待を持たせていた。

 しかし、鳩山があいまいな態度をとる間に、移設先と報じられた自治体からは反対の火の手が上がった。しかも、鳩山は昨年、シュワブ沿岸部に移設する現行案を受け入れるかのようなメッセージを米側に送っていたのだった。

 政府は26日、外相、岡田克也が駐日米国大使のジョン・ルース、防衛相、北沢俊美が沖縄県知事の仲井真弘多(なかいま・ひろかず)とそれぞれ会談し、普天間移設の検討状況を説明した。岡田との会談を翌朝に控えた25日午後、ルースは防衛政務官、長島昭久に苦り切った表情でこう訴えた。

 「鳩山政権を傷つけるつもりは全くない。しかし、米国の立場ははっきりしているのです」

 長島はルースの言葉の端々に、キャンプ・シュワブ沿岸部(沖縄県名護市)へ移設する現行案に戻してほしいという米政府の訴えを感じ取った。

 26日の岡田との会談後、ルースは「普天間問題に関する日本政府の現在の考えについて説明を受けた。米政府はこれを慎重に検討する」というあっさりとした声明を文書で発表した。

 ルースには鳩山内閣への不信感があるとされる。きっかけは、昨年11月の米大統領、バラク・オバマとの会談での鳩山の「トラスト ミー」発言だった。

 鳩山「時間をかけてばかりはいられないことはわかっています。どうか私を信じてください」

 オバマ「もちろん信じますよ」

 米側は首相がいずれは現行案を受け入れると受け取ったという。

   × × ×

 米側の求めに反して鳩山は昨年12月、連立政権維持を優先し、普天間問題の年内決着を先送りした。

 12月15日午前、岡田と外務省で会ったルースは、同日午後、大使公邸に北沢を招いた。

 「時間はかかるが現行案で進めたい」とする岡田と、「新たな移設先を検討する」という北沢。ルースは「岡田さんと北沢さんの言っていることが違う」とつぶやき、同日夜、首相官邸に駆け込んだ。

 同席した岡田が現行案の検証を続けるという方針を説明すると、鳩山は「その方針に沿ってやりますから」と相づちを打った。

 ルースは鳩山の言葉に胸をなで下ろし、5月末までに決着させるという日本政府の約束を信じた。ところが、鳩山は現行案ではなく「県外」へと傾斜していった。

 「現行案は自民党と共和党政権が結託してできた案だ。民主党のオバマ大統領に近い人たちは、現行案でなくても受け入れるはずとの確信が首相にはある」

 首相に近い外交専門家はこう解説してみせる。

 もっとも、鳩山の「自信」とは裏腹に、政府案とりまとめが迫っても政権内はまとまっていない。

 鳩山は26日の記者会見で、「今月いっぱいに政府案をまとめる」と強調したが、「政府案」が何を意味するかについても閣僚間に共通認識はない。

 訪米中の岡田は記者団に対し、鳩山の発言について「閣僚間で確認しているわけではないので、よくわからない」と、首をかしげた。平野も29日の記者会見で「1つの方向性は3月中にまとめたいが、1つの案ではない」と語った。

 当の鳩山も29日、政府案とりまとめについて「今月中じゃなきゃならないと別に法的に決まっているわけじゃない」とトーンダウンした。

 鳩山の発言がぶれるなかで、岡田はワシントンで米国防長官、ロバート・ゲーツと会談した。鳩山の「3月中」という言葉を信じた米側の失望を意識してか、平野は正式な日米協議は始まっていないとし、岡田−ゲーツ会談をこう位置付けた。

 「担当大臣としての考え方での情報収集、事前協議という認識だ」

              × × ×

 「下地がシュワブ陸上案を言っているようだが、県内の様子はどうなんだ」

 民主党幹事長、小沢一郎は24日、沖縄県選出の衆院議員、玉城デニーに同じく同県選出の国民新党国会対策委員長、下地幹郎の動向を尋ねた。

 下地を支える地方議員らが県内で厳しい状況におかれていると、玉城が説明すると、小沢は「ああ、そうか。そうだろうな」と深くうなずいた。

 普天間をめぐり連立政権が揺れるなかで、小沢側近からは「『小沢首相』ならこんなにもたつかない。持ち前の豪腕で一気に合意に持ち込むだろう」と、小沢が問題解決に乗り出すことへの待望論もでている。

 しかし、小沢が自ら動く気配はない。鳩山と小沢が普天間問題でつっこんだ相談をしている気配もない。民主党関係者によると、小沢は3月中旬、側近にこうもらしたという。

 「自分が普天間問題に乗り出すと総理の手柄にはならない。だから黙っているんだ」

                ◇

 政府案とりまとめに向けて大詰めを迎える普天間問題。県内、県外と揺れ続ける鳩山政権の動きを検証する。(敬称略)

【同盟弱体化】第2部普天間問題 (中)普天間の議論はわずか5分

2010.03.30 23:33 MSN産経新聞

 「駐留が運用面や政治的に安定した形で続けられるよう日本政府の協力に期待する」

 米国防長官、ロバート・ゲーツは29日、国防総省で行われた外相、岡田克也との会談で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題でこう述べた。

 記者団への日本側の説明ではなぜか抜け落ちていたが、国防総省は報道発表でこの発言を明らかにした。地元自治体の了解がないまま交渉しようとする日本側への不信感の表れと言えそうだ。

 岡田は会談終了間際、「次は6月にお会いしたいですね」と語りかけた。ゲーツは国際会議出席のためシンガポールを訪れる。岡田は「帰途にぜひ日本に寄ってください」と述べた。

 普天間移設問題を「5月末までに決着させる」との首相、鳩山由紀夫の決意を伝えた岡田だが、キャンプ・シュワブ沿岸部(同県名護市)に移設する現行案の実現を求める米側との協議が難航必至であることは十分承知している。ゲーツ訪日を招請した裏には、それまでに決着を図りたいとの思いが込められていた。

 岡田はこの日、カナダの首都オタワに隣接するガティノーにある会員制高級ゴルフ施設の会議室で国務長官、ヒラリー・クリントンとも会談した。25分の会談時間で普天間問題でのやりとりは5分程度で、突っ込んだやりとりはなかった。

 会談はG8外相会合の主催者であるカナダ外相から「夕食会が始まるので早くきてほしい」とのメモが入り終了した。

            × × ×

 「日本政府が現行案以外の移設先を提示するなら、地元の反対でまず実現不可能だろう。そうなれば普天間飛行場を継続使用するしかない」

 3月中旬、国防総省関係者は親しい日本政府関係者に電話でこう語り、現状では普天間飛行場を使用し続けざるを得ないとの認識を伝えた。

 この発言に呼応するかのように米海兵隊総司令官、ジェームズ・コンウェーは17日、普天間継続使用の可能性に初めて言及した。24日には日本を含む東アジアの米軍を統括する太平洋司令官、ロバート・ウィラードが上院軍事委員会で、現行案履行に期待感を示した。

 軍高官の発言で共通するのは、部隊の一体的運用の重要性だ。海兵隊にとっては迅速性はもとより航空、地上、補給部隊の連携を担保する訓練場所が近接することが重要なのだ。

 在沖縄米海兵隊中将、テリー・ロブリングは1月、米紙ワシントン・ポストでこう指摘した。

 「ヘリコプター基地がグアムや日本本土に移転する場合を野球に例えるなら、米西海岸で練習した内野守備陣と東海岸で練習した外野守備陣が、試合当日に初めて顔を合わせて敵チームと試合をするようなものだ」

               × × ×

 訪米に先立って岡田は26日、外務省飯倉公館で駐日米大使ジョン・ルースにヘリコプター部隊の分散移転案を説明した。説明を聞き終えたルースがぽつりとつぶやいた。

 「本当に抑止力は維持できるのですか?」

 ルースの本質的な問いかけに岡田は「十分運用は可能です」と答えるのがやっとだった。

 官房長官、平野博文も30日の記者会見では「海兵隊が沖縄にいることは、わが国の安全保障、抑止力を含め現時点では必要だ。安全保障の問題を度外視して議論は成り立たない」と述べた。

 しかし、平野らの検討作業は沖縄の負担軽減に重きが置かれ、海兵隊の持つ抑止力の議論が軽視されている。地元自治体との協議、米側との交渉の行方など5月末に向けた展望は見えないが、鳩山周辺は楽観的だ。

 「首脳同士が腹を割って話せば必ず決着する」

 鳩山は4月12、13両日にワシントンで開催される世界核安全保障サミットに合わせて、米大統領バラク・オバマとの首脳会談を模索している。もっとも会談が実現しても短時間となる見通しだ。

 米国務次官補カート・キャンベルは3月5日、訪米した自民党の平沢勝栄、山本一太に厳しい表情で語った。

 「日本政府が『5月末まで』と言っているから話し合いの要望があれば聞く耳は持つが、5月を過ぎても解決できなかったら日米関係に影響が出るだろう」(敬称略)

【同盟弱体化】第2部普天間問題 (下)年間6千億円の利権争奪

2010.03.31 22:14 MSN産経新聞

「命がけでこの問題に体当たりで行動し、必ず成果を挙げる」

 首相、鳩山由紀夫は31日の党首討論で、米軍普天間飛行場=沖縄県宜野湾(ぎのわん)市=移設問題の5月末までの決着に向けた決意を表明した。

 鳩山は「私自身、ある時期において地元の皆さまのところにおじゃまし、真剣に、真摯(しんし)に対話を申し上げたい」とも述べ、「地元の理解」を重視する姿勢もアピールした。

 同じころ、沖縄では知事、仲井真弘多(なかいま・ひろかず)が衆院外務委員長、鈴木宗男と向き合っていた。

 「キャンプ・シュワブ陸上案(同県名護市)はまったく駄目。勝連半島沖案(同県うるま市)も過去、何回も候補に挙がったが、駄目になった話だ」

 党首討論で声を張り上げた鳩山に、仲井真は冷ややかだった。シュワブ沿岸部とする現行案を受け入れる姿勢を示してきた仲井真だが、鳩山は「現行案の実現は困難」と決めつけてきたからだった。

 仲井真は3月26日に県庁を訪れ、政府の検討状況を説明した防衛相、北沢俊美に対しても「県内移設反対の欲求はむしろ盛り上がりつつあります」と伝えた。

 仲井真との会談を終え、その後与那国島を訪れた北沢が乗った航空自衛隊のU4多用途支援機は帰途、沖縄中部上空で急速に高度を下げた。勝連半島沖合やシュワブ陸上を上空から視察するためだった。

 U4は同じく機能移転先候補に挙がっている鹿児島県・徳之島まで飛び、薩南諸島などの上空を飛んだ。  北沢はつぶやいた。

 「宝島(同県十島村)という島もあるんだな…」

   ×  ×  ×

 「観光客は奄美や沖縄には行くが、徳之島までなかなかこない。受け入れなら福祉特区にしてほしい」

 「積極的に誘致しているわけではないが、条件闘争にもう入っている」

 徳之島への移設を推進する地元関係者らの声だ。地元では受け入れをにらみ、土地の買い占めが行われているとのうわさも飛び交う。移転を推進する業者の間では沖縄に基地受け入れの事実上の見返りとして、多額のお金が落ちていることへの“羨望(せんぼう)”がある。

 自公政権時代、名護市が普天間の代替施設受け入れを表明したことに伴い、政府は沖縄本島北部地域への振興策として、道路、港湾の整備などのため毎年100億円を投じ、すでに770億円が使われた。

 これを民主党は「アメとムチ」と批判してきた。政権発足後、鳩山は振興策の凍結を表明したが、「北部活性化交付金」と名称を変えることで事実上、計画の2年間の延長を決めた。平成22年度予算には70億円が盛り込まれた。

 さらに、在日米軍再編特別措置法に基づく基地を抱える自治体への再編交付金も継続した。

 沖縄に4万人余いる米軍基地などの土地所有者に支払う借地料として、予算には約910億円が計上された。民主党が進める事業仕分けの対象にもなったが、削減されなかった。

 防衛省元高官は「国からさまざまな名目で、沖縄に落ちる金は他の地域の反発をおそれ、総額は公表されたことはないが、年間6千億円以上にのぼるだろう。国会議員も地元業者たちもみなこの利権が目当てなんだ」と指摘する。

 政府は今年1月、沖縄の各自治体から意見を受ける窓口として「沖縄連絡室」を設置した。すでに130件以上の要望、意見が寄せられており、「道路など社会資本整備に関する要望が多い」(同室)という。

 ある沖縄県議は憤る。

 「結局は利権の付け替えなんだ。勝連半島沖の埋め立て案を実施すると大規模工事になり、巨大な利権構造が生まれる。現政権は県民の負担軽減より、普天間移設でうまい汁を吸おうとしている」

  × × ×

 名護市辺野古の砂浜は真ん中に鉄線が張られていた。米軍キャンプ・シュワブとの境界線だ。北沢が上空から視察した26日午後、初老の男性が海岸を散歩していた。

 「もう辺野古には山も海もない。農業も漁業も無理だよ。滑走路を造っても、外から業者が来るから、おれらに仕事はこない。おれらは長くないからいいけど、若者たちはどうするのかな。人間は“現ナマ”に弱いからなあ…」(敬称略)

     ◇

 この連載は有元隆志、大谷次郎、今堀守通、赤地真志帆、加納宏幸、尾崎良樹、山本雄史、那覇・宮本雅史、ワシントン・佐々木類が担当しました。


新駐日米大使ルース氏 格落ち人事?政府困惑

2009年05月23日 東京新聞 朝刊

 政府・与党内で、オバマ米政権が新駐日米大使に弁護士事務所経営者、ジョン・ルース氏を起用することに対し、「まったく知らない人物」との困惑が広がっている。

 次期駐日大使人事は知日派のジョセフ・ナイ元国防次官補を起用するとの見方が出ていた。

 ルース氏は昨年の米大統領選挙でオバマ氏に多額の政治資金を提供。ナイ氏よりオバマ氏と近い間柄だ。ナイ氏より、ルース氏を選んだ理由はこのあたりにある。

 ただ、国務、国防総省の要職を歴任し、国際政治学者として知名度の高いナイ氏に比べれば、外交経験のほとんどないルース氏は明らかに「格落ち」に見えてしまう。ブッシュ前大統領と仲が良いというだけで起用されたシーファー前駐日大使と似たタイプといえるが、シーファー氏は駐オーストラリア大使として経験を積んだ後、日本に着任している。

 日本側は、正式発表がないとして公式のコメントは控えているが、大物のナイ氏の起用が見送られたことに日本が軽視されているとの思いもある。

 外務省幹部は「日本重視の中で、大統領と関係の深い人が選ばれたということだ。大統領にいつでも電話できるだろうし、パイプ役として期待できる」と指摘。ルース氏を歓迎する向きもなくはないが、基本的には大統領選挙の論功行賞で駐日大使を選んだオバマ政権に対する疑問の声が強い。ある政府高官は「日本と直接ルートのある人ではない。オバマの人事はこちらの想定外だった」という。

 また、自民党内にもルース氏に対し、複雑な声が出ている。山崎拓党外交調査会長は「北東アジアの不安定な情勢を考えれば、ナイ氏を起用することが、一番安心できる人事だった」と述べた。

日本「信頼」80%で過去最高 米世論調査、中国も上昇

2009/05/18 中国新聞ニュ−ス

 外務省は十八日、今年二―三月に米国で実施した対日世論調査結果を発表した。日本を「信頼できる」と答えた人が一般市民で80%(前年67%)と過去最高を記録、行政や財界などに関係する有識者でも91%(同92%)と高水準を維持した。

 一方で「アジアで最も重要なパートナー」を質問したところ、日本を挙げたのは一般市民と有識者でそれぞれ46%と44%。いずれも一位だったが、二位の中国もそれぞれ39%と42%で肉薄。中国は昨年より4―5ポイント上昇しており、世界的経済危機対応などをめぐる中国の存在感の高まりを反映した。

 外務省幹部は今回の調査結果について「オバマ米大統領らの日本重視姿勢や、ガソリン高による日本のハイブリッド車への関心の高まりが信頼感向上につながったのでは」と分析している。

 有識者だけに聞いた日本の国連安全保障理事会常任理事国入りの賛否は賛成57%で昨年より8ポイントアップ。今回、初めて設けた日米自由貿易協定(FTA)締結に関する質問では一般市民62%、有識者67%が支持した。

 調査は一九六〇年からほぼ毎年実施。一般市民は十八歳以上の男女約千五百人、有識者は約二百五十人を対象に電話で行った。

新幹線技術 海外に軌道 川重、次世代型でも北米攻勢

2009/05/05 Fuji Sankei Business i

 鉄道車両メーカーやJRが相次いで海外受注に力を入れ始めた。時速300キロにも達する高速鉄道をはじめとして、世界各国で鉄道の新線建設が活発化しているためだ。日本は高速で高密度な新幹線の運行ノウハウを含め、車両や制御などの鉄道システムで世界最高水準の技術力を誇る。地球環境問題も追い風になり、鉄道への評価が高まるなか、日本企業に大きなビジネスチャンスが到来している。

 ≪18兆円、市場増殖≫

 「2016年には18兆円に拡大」

 欧州鉄道産業連盟が試算した鉄道関連製品の世界市場推移だ。現在の世界市場は約14兆円とされ、毎年、数千億円規模が上積みされていく格好だ。

 国土交通省によると、日本の新幹線にあたる高速鉄道だけをみても、今秋に入札が予定されているブラジルや米国をはじめ、世界で建設計画がめじろ押しだ。これに加えてインドや中国などの新興国では、インフラ整備の一環として、在来線に相当する都市型鉄道プロジェクトも目立つ。このため鉄道車両メーカーは、大型受注獲得の一大好機とみて、海外シフトを強める。

 川崎重工業もそうした一社で、北米向けの鉄道事業を強化するため、主力の車両のほか、信号などのシステムを一括供給するプロジェクトチームを5倍に拡大する方針を4日明らかにした。

 鉄道車両事業の拠点となる同社兵庫工場(神戸市兵庫区)には、運行管理や信号システムなどの技術者約20人で構成する「鉄道システムプロジェクトチーム」が設けられている。これを6年後の15年までに、100人規模の体制へと拡充する。すでに鉄道会社など社外から技術者を招くなど、組織の拡充を進めており、車両製造から運行システムまで包括的に提案し、北米市場での受注拡大につなげる。

 同社は1985年に米ニューヨーク市交通局から地下鉄車両を受注したのを手始めに、これまでに同局から累計2000台を超える地下鉄車両を受注している。今年度中にはカナダのボンバルディアを抜いて、ニューヨーク市営地下鉄の車両シェアで首位となる見通しで、米国市場では圧倒的な強みを持つ。

 ≪オバマ政策追い風≫

 米国では、オバマ大統領のグリーン・ニューディール政策に基づく景気対策などでも、高速鉄道整備が予算化されるなど市場拡大が見込まれる。このため車両を製造するリンカーン工場(ネブラスカ州)では工場建屋の拡充を進めている。

 川崎重工は、北米市場が「脱石油に向けた都市交通として、次世代型路面電車システム(LRT)でも一番大きな市場になる」(幹部)と予想。自社開発した鉄道用の大型ニッケル水素電池を組み込んだ環境性能に優れたLRTでも、北米向け事業を強化し、現地の鉄道運営会社などとの提携なども検討する。

 さらに、時速350キロで走行可能な新型高速鉄道車両「efSET(イーエフセット)」の基本設計や図面上での開発作業を今年度中に終える。次年度以降は、実際の生産や高速走行実験などに乗り出す予定で、今後はインドやベトナムなど新興国に加えて、米国での受注も検討する方針だ。

                ◇

 ■JR東海・東日本 優位の日本勢

 鉄道会社も海外受注への態勢を整える。JR東海は今夏、海外で新幹線の建設計画や運行システムを手がける「海外高速鉄道プロジェクトC&C事業室」を設立する。当初は総合技術本部の技術者を中心に約10人で構成。東海道新幹線で培った設計や保守、運行指導までを一括して請け負うことを目指す。加えて車両や信号機器などメーカーの取りまとめも手がける。

 高速鉄道の受注をめぐっては、仏TGVなど欧州勢との競争が焦点。JR東海の小菅俊一技術企画部長は「踏切のない専用線で走る新幹線のシステムは運行の正確性や快適さで優位に立つ」と自信を示す。

 在来線の線路を一部使用するTGVなどと違い、専用線を走行する方式は、運行の正確性に加え、車両を軽量にできるため省エネ走行などが可能になるとされる。こうした利点を訴えていく考えだ。

 JR東日本も4月に「海外鉄道事業推進室」を開設した。これまでは政府開発援助(ODA)の一環として、海外に技術者派遣などをしてきたが、今後は人材育成や計画立案など幅広い分野で海外事業の可能性を探る。同推進室の高橋徹室長は「高速鉄道とともに都市型鉄道も視野に入れる」と意欲的だ。

 交通体系の主軸を鉄道に置いてきた日本の実力が試されそうだ。(内田博文、会田聡)


政府が初の対米報復関税発動、バード法対抗で15品目

2005年09月01日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 政府は1日、世界貿易機関(WTO)協定に違反している米国の反ダンピング(不当廉売)関税分配法(バード法)への対抗措置として、米国のベアリングや鉄鋼製品など15品目に、15%の関税を上乗せする報復関税を発動した。

 日本が貿易相手国に報復関税を発動したのは初めてだ。

 米バード法は、米政府がダンピングと認定した輸入品に課す関税収入を、ダンピング被害を申し立てた米国企業に救済金として分配する法律だ。

対日信頼度が過去最高 外務省、米国で世論調査

2005/08/26 The Sankei Shimbun

 外務省は25日、2005年2月から3月に実施した「米国における対日世論調査」結果を発表した。それによると「日本は信頼できる友邦」と回答した一般人は72%で、調査を始めた1960年以来最高となった。

 有識者でも90%が日本を「信頼できる」と回答し、良好な対日観をうかがわせた。「アジア地域の中で最も重要なパートナー」を有識者に聞いたところ日本が48%でトップとなったが、昨年調査の65%からは低下。逆に2位の中国が昨年の24%から38%と評価が上昇していることが分かった。(共同)

米カード情報流出、日米間の情報交換継続を確認

2005/07/16 The Sankei Shimbun

 米カード情報流出事件で、訪米した日本の経産省担当者が15日まで連邦取引委員会(FTC)や連邦預金保険公社(FDIC)の米当局者と意見交換し、今後も両政府間で情報交換を続けることを確認した。

 このほか、連邦準備制度理事会(FRB)や連邦捜査局(FBI)などとも意見交換。日本にも被害が及んでいる状況を説明し「国際的な広がりのある問題」との認識で事態解明に当たるよう要請した。

 米側からは、今回は業務委託した外部のデータ処理会社から情報が流出したとみられているため、委託先の情報管理が重要との指摘があった。(共同)


日本、ドイツ抜き「親密な同盟国」7位に 米世論調査

2003年09月11日 The Sankei Shimbun
 米世論調査会社ハリスの最新調査によると、日本を「親密な同盟国」と認識する米国民は前年より4ポイント増えて1982年以来の高水準の32%となり、ドイツを抜いて前年の8位から7位に浮上した。ウォールストリート・ジャーナル紙(電子版)が10日伝えた。

 イラク戦争に強く反対したフランスは8位から19位に、ドイツも6位から14位へと大幅に下がった。首位は前年と同じく英国で74%が「親密な同盟国」と認識。2位のカナダ(57%)、3位のオーストラリア(53%)を大きく引き離した。

 親密度ランクはイラク戦争への支持・不支持が色濃く反映。スペインが12位から8位に、韓国も14位から9位にそれぞれ浮上した。(共同)

米兵取り調べ時の通訳立ち会いで平行線 日米地位協定

2003年07月03日 The Sankei Shimbun
 日米両政府は3日、日本国内で重大な罪を犯した米兵容疑者の取り扱いなど、日米地位協定に基づく刑事手続きの見直しについて協議し、今月末の妥結を目標に交渉を継続することを確認した。

 ただ米側が求める捜査当局取り調べ時の米政府関係者や通訳の立ち会いをめぐって、双方の主張は平行線に終わった。「日米の司法制度の根本的相違に起因する」(外務省幹部)問題だけに、調整の難航は必至だ。次回協議は11日ごろにワシントンで行う。

 協議で米側は、政府関係者や通訳が取り調べに立ち会えるよう要求。関係者の立ち会いがない場合の供述は裁判での証拠として採用しないよう求め、こうした権利は日米地位協定で認められていると主張。日本側は「同席させる義務を負っていると解釈するには無理がある」と反論した。

 このほか日本側は、1995年の運用改善で起訴前の身柄引き渡しが可能となった犯罪の例示、明確化を要求。交渉時間が短いため、この問題は従来の日米合同委員会の枠組みで引き続き協議する方向となった。

 今回の交渉は、先の在沖縄海兵隊員による婦女暴行事件を受けて、米側が期限を区切った集中的な協議を提起。2日から都内で行われていた。日本側は外務省の長嶺安政北米局参事官や法務省、警察庁担当者が、米側はモーラー国務省日本部長、タイグ国防総省東アジア太平洋部長らが出席した。

論功行賞? 米国務省、日本人外交官に出入り自由パス発給

2003年06月25日 The Sankei Shimbun

 米国務省はこのほど、ワシントン駐在の日本人外交官に対し、省内を自由に出入りできるパスを発給した。同じ待遇を受けているのは英国とオーストラリアだけであり、イラク戦争で明確な支持表明を行った日本への「論功行賞」との見方が出ている。

 外交筋によると、パスはイラク戦争後、加藤良三大使以下、日本人外交官9人を対象に発給された。それまで省内の出入りに際しては国務省関係者の同行が必要だったが、パスがあれば基本的に出入りは自由となる。

 同筋は「ブッシュ政権というのは本当にはっきりした政権だ」と指摘し、イラク戦争での日本の対米支持が異例の「厚遇」に結び付いたと解説している。

 これに対し日本外務省も「互恵主義」として米国の外交官への同数のパス発給を決めた。(共同)

米紙が日本海の表記変える

2003年01月31日 The Sankei Shimbun
 韓国有力紙の朝鮮日報は31日、米紙ニューヨーク・タイムズが韓国政府の要請や韓国系米国人などの抗議を受け入れ、「日本海」(Sea of Japan)の表記を使用しないようになった、と報じた。

 朝鮮日報は30日、米紙USA TODAYが「日本海」の表記に加え、韓国が主張する「東海」(East Sea)を併記することになったと報道。在米韓国大使館などは米紙が相次いで表記変更したことについて「キャンペーンの成果」と喜んでいると伝えている。

 朝鮮日報によると、在ニューヨークの韓国総領事館がニューヨーク・タイムズに対し「東海」と表記するよう書簡を送ったほか、昨年12月から現地の韓国系米国人の団体などが抗議電話や投稿を繰り返した結果、最近の記事からは「日本海」が消え、「日本と韓国の間にある水域」などの表記に変わったという。

 また、USA TODAYは在米の韓国人地理学者の抗議書簡を受け、同紙の編集担当者が併記の方針を明らかにした。同大使館は、この地理学者に国政公報庁長官名の感謝の手紙を送るとともに、表彰も検討しているという。(共同)


鋼板ダンピング、日本が部分勝訴/WTOパネル最終報告

2001.03.01【ジュネーブ28日=時事】
 世界貿易機関(WTO)の紛争処理小委員会(パネル)は二十八日、日本から輸入された熱延鋼板がダンピング(不当廉売)に当たるとした米政府の決定をめぐる紛争で、ダンピング認定が「恣意(しい)的なデータに基づくもので、客観性に欠ける」などとしてきた日本の主張を一部認める部分勝訴の最終報告書を百四十の加盟国・地域に配布、公表した。

 米国が、最高裁に当たるWTO上級委員会に上訴すれば、紛争に対する最終判断は六月中にも下される見通し。しかし、上級委は最終報告の法的側面だけを議論する場であるため、日本が同紛争で部分的に勝訴する可能性が高い。

市民望み米海軍との友好関係復活決める 青森・三沢市

2001.02.26(21:40)asahi.com
 米軍三沢基地での空母艦載機による夜間発着訓練(NLP)に反発して昨年9月から米海軍と友好関係を中断していた青森県三沢市は26日、友好関係を復活させることを決めた。22日に米海軍が市に対して「NLPを硫黄島ですべて実施するため最大限努力をする」と伝えてきたためという。鈴木重令市長は「友好関係を回復しても、市がNLPを容認したわけでは決してない」と語った。

 同市では決定に先だって幹部らが約500人の市民から聞き取り調査などを実施したが、市民の9割が交流再開を望んでいたという。

 同市は「基地との共存共栄」を標ぼうしているが、三沢基地でNLPが実施された昨年9月は市民から市への騒音苦情が相次いだ。そのため米海軍との交流中断を表明し、市主催行事への米海軍関係者の招待を取りやめていた。

 同市に続いて米海軍との交流中断を表明している神奈川県大和市の基地対策課は「三沢市の判断へのコメントは控えたいが、海軍が硫黄島でNLP実施を心がけるとただ言っただけで、交流中断を見直す考えはない」と述べた。

米軍訓練の一部、グアムに移転可能か 沖縄県知事打診へ

2001.02.26(21:52)asahi.com
 沖縄県の稲嶺恵一知事は26日、在沖縄米海兵隊による訓練の一部について、「県民の基地負担を軽減する観点から、米軍基地があるグアム島への移転が可能か、日本政府に打診したい」との意向を初めて示した。県議会の代表質問に答えた。在沖米海兵隊の大部分は部隊配備計画(UDP)によりほぼ6カ月おきに入れ替わっているが、この計画で派遣される若い隊員の不祥事が目立っている。知事が移転の打診を表明したのは、この部隊による訓練が対象だ。

 稲嶺知事は答弁で、自民党の下地幹郎衆院議員(九州・比例区)が米国防総省で今月、ジョーンズ海兵隊総司令官(大将)と会談した際に、総司令官が「訓練の一部を沖縄からグアムに移す検討を指示した」と発言したことに触れ、移転の打診に言及した。

 下地氏によると、同総司令官はグアム島のアンダーセン空軍基地が広大な割に閑散としている、との認識を示し、「日米安保を強くするにはフィリピン、グアム、サイパン、沖縄、ハワイの5カ所を効率的に活用し、沖縄の負担を分散させるのがいい」という下地氏の提案に、私見として賛意を示したという。

放火や誘拐も対象に 河野外相、地位協定の運用改善方針

2001.02.25(20:17)asahi.com
 河野洋平外相は在日米軍の法的地位などを定めた日米地位協定に関し、米兵の容疑者の身柄を起訴前でも引き渡す場合について、現在の「殺人または婦女暴行」に加え、「現住建造物放火」や「営利誘拐」も加えるよう米側と話し合う方針を決めた。協定の改定ではなく、当面は運用改善をめざすとの見解を示したもので、25日、那覇市内で稲嶺恵一沖縄県知事らを招いた昼食会でのあいさつで明らかにした。

 この問題で河野外相は14日、外務省を訪れた稲嶺知事に「地位協定の改定も場合によっては検討しなければならない」と、外相として初めて地位協定の改定に言及していた。それに比べてトーンダウンする形になった。

 地位協定は容疑者の米兵の身柄が米軍にある場合、起訴までは米軍が拘束すると定めている。日米両政府は1995年の少女暴行事件を受け、「殺人または婦女暴行という凶悪な犯罪」の場合は、日本側の身柄引き渡しの要求に米軍が「好意的配慮」を払う、との運用改善で合意した。

 だが、沖縄県北谷町で発生した放火事件で県警が逮捕状を取った米兵の身柄引き渡しを米軍が拒否。地位協定の見直しを求める世論が改めて高まっている。一方、協定の改定は米国の他の同盟国に影響を及ぼしかねず、日米両政府内に慎重論も強い。

日米首脳会談、3月中旬以降の見通し

2001.02.21(10:05)asahi.com
 柳井俊二駐米大使は20日の記者会見で、森喜朗首相とブッシュ米大統領との日米首脳会談の日程調整について「3月の線で引き続きやっている」としながら、3月7日に決まった米韓首脳会談の前は「なかなか難しい」と語った。

 日本が3、4日の週末での開催を求めたのに対し、米側が難色を示している。

 首相退陣の空気が強まっている日本の政局流動化が調整作業に与える影響について、柳井大使は「今はない。我々はそういうことを考えながら動くわけにはいかない」と述べるにとどめた。しかし、日程調整が長引く背景には、米側が首相退陣の行方を見極めようとする思惑もあるとみられる。

 柳井氏は首脳会談が実現すれば「今度の原潜衝突事故は当然、話題になる」との見通しを示したうえで、「(両首脳が)早く会って最高レベルで今後のことを話し合った方が望ましいと思う」と述べた。

幹部社員にも罰金 米司法省発表/黒鉛カルテルで東洋炭素

2001.02.15【ワシントン14日=土井達士】The Sankei Shimbun
 黒鉛製品の販売価格をめぐる国際カルテル事件をめぐり、米司法省は十四日、東洋炭素(本社・大阪市)の米子会社と、同社の日本人幹部が反トラスト法(独占禁止法)違反の有罪を認め、子会社が四百五十万ドル(約五億二千二百万円)、幹部が一万ドル(約百十六万円)の罰金支払いにそれぞれ同意した、と発表した。

 司法省によると、有罪を認めたのは東洋炭素USA(米オレゴン州)と、現在は東洋炭素取締役の高木健氏。両者は一九九三年七月から九八年二月にかけて、原子炉の炉心などに使われる等方性黒鉛の販売価格をめぐって他メーカーとカルテルを結び、競争を排除していたという。

 個人が反トラスト法に違反した場合、最高三年の禁固刑が科される可能性があるが、司法省では「両者とも今後の捜査に協力することに合意した」としている。

米軍艦の小樽寄港を延期 えひめ丸事故で家族に配慮

2001.02.14(13:24)asahi.com
 在日米海軍司令部(神奈川県横須賀市)は13日深夜、北海道小樽市の小樽港に今月20日から23日まで計画していた米第7艦隊所属のミサイル駆逐艦「ジョン・S・マッケイン」(9、700トン)の寄港を延期すると発表した。ハワイ沖で米原子力潜水艦と衝突し、沈没した愛媛県立宇和島水産高校の漁業実習船えひめ丸の被害者の家族に配慮した措置としている。在日米海軍側は14日朝になって、在札幌米国総領事館を通じて小樽海上保安部に延期を電話連絡した。

 これまでに米空母が2度入港した小樽市は、今回の事故を重くみて、「市民感情を考えれば(寄港の)可否判断はできない」と寄港受け入れの表明を延期している。

 在日米海軍司令部の発表は延期の理由について、「米国民と米海軍男女水兵は、ハワイ沖のえひめ丸の沈没事故に関し、深い悲しみに包まれております」とした上で、「この悲劇的な事故にかかわる方のご家族の感情に配慮し、小樽への訪問を延期します」としている。

初の日米協議「上々の滑り出し」でも、油断は禁物

2001.01.28(12:22)asahi.com
 共和党のブッシュ新政権が発足して1週間足らず。26日、河野洋平外相や平沼赳夫経済産業相が、米閣僚やホワイトハウスの要人に次々に会った。日本政府関係者は一様に「日米関係は上々の滑り出し」と満足げだが、ある米政府高官は「日本への期待が高い分、その反動もありうる」と警告しており、油断は禁物のようだ。

 米政府が外相会談の相手としてカナダに続いて、日本を2番目に選んだのは、日本重視の表れであるのは間違いない。日米経済交渉についても、「外圧」ではなく「協調」に力点を置くことについて、パウエル国務長官やリンゼー大統領補佐官が、賛意を示している。

 ただ、「共和党政権は日米同盟関係を重視する。有事に向けた日本の対応に不満が募れば、それが経済関係にも悪影響を与える」と米政府高官は話す。経済問題に限ってみても、日本の構造改革が進展しない場合、「期待が高いだけに、裏切られた気持ちも強くなるだろう」という。

 26日の会談は、良い雰囲気で行われたとはいえ、いくつかトゲも見えた。パウエル国務長官が日本の調査捕鯨に懸念を示したことは、捕鯨が党派を超えた日米間の懸案であることを示した。平沼経済産業相に対してエバンス商務長官は「対日貿易赤字や自動車合意問題」に触れている。米景気がこのまま悪化していった場合、米側の日本歓迎ムードが続く保証はない。

経済「円卓会議」の検討を約束 米商務長官が平沼氏に

2001.01.27(10:57)asahi.com
 平沼赳夫経済産業相とエバンス米商務長官が26日、ワシントンで会談した。平沼経済産業相は、官民共同で日米間の経済関係を話し合う「日米ニューエコノミー円卓会議」の設置を提案し、エバンス商務長官は「喜んで検討させていただく。大統領や同僚とも相談する」と検討を約束した。

 会談の中で、エバンス商務長官は、閣僚承認のための議員との接触の中で「対日貿易赤字の問題や、日米自動車合意問題に言及されたこともある」と指摘。昨年末、5年の期限を終え失効した日米自動車・同部品協定の復活交渉が、日米間の課題になる可能性を示唆した。

 経済産業省が構想を温めてきた同会議は、両国から官民あわせて20人の構成を想定している。米国からの一方的な「ガイアツ」や日米摩擦を避け、対話のパイプを深めるのが狙い。

 石油業界出身のエバンス氏は「自分自身、民間に長く籍を置いていたことから、効率的でタイムリーに意思決定することは重要だと思っている」と評価した。

 また、エバンス長官との会談に先立って平沼経済産業相と会談したリンゼー大統領補佐官(経済担当)も、「率直で自由な情報交換をすることは賛成だ」と話した。

 ただ、両者とも政権が発足して間もないことから「本格的な検討は今後」との見方を示した。「円卓会議」構想については、日本側の省庁間の調整もまだ十分に進んでおらず、日米経済交渉の枠組みをめぐる折衝は、これから本格化する。

「米国も拉致疑惑、認識している」 ライス補佐官が言明

2001.01.27(12:31)asahi.com
 河野洋平外相は26日、ライス国家安全保障担当大統領補佐官とホワイトハウスで約30分間、会談した。ブッシュ政権が進める朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)政策の見直しに関連して、河野外相は「日本には北朝鮮による拉致問題がある。ぜひ米国にも理解してもらいたい」と要請。ライス氏は「米国も認識しており、今後、北朝鮮との2国間協議で適切に取り上げていきたい」と答えた。

米国務長官、沖縄の負担軽減に前向き 日米外相会談で

2001.01.27(12:07)asahi.com
 河野洋平外相は26日(日本時間27日未明)、米ブッシュ新政権のパウエル国務長官と国務省で約2時間、会談した。河野氏が沖縄の米軍基地削減を求める地元住民への理解を求めたのに対し、パウエル氏は「米軍が沖縄の人々にとって最小限の生活の妨げとなるようにしたい」と述べ、普天間飛行場の移転など日米特別行動委員会(SACO)で合意した負担軽減策の実現に取り組む姿勢を示した。また、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に対する政策について、パウエル氏はクリントン前政権の関与政策は継続するものの、「その速度は以前ほど速くない」との考えを示した。森喜朗首相とブッシュ大統領の日米首脳会談については、早期実現に向けた調整を続けることを確認するにとどまった。

 河野氏は日米同盟関係について「アジアの平和、ひいては世界全体の平和のために協力することが、同盟の真の意味だ」と述べ、さまざまなレベルでアジア太平洋をめぐる政策対話を広げることを提案。パウエル氏は「(日米同盟は)世界の手本になる。最良の友情関係を持つようになった」と評価し、提案に同意した。

 日本に駐留する米軍の果たす役割については「日本のみならずアジア太平洋地域に安定をもたらす」(河野氏)との認識で一致。河野氏は「沖縄県には海兵隊削減の声があり、県民の気持ちをよくくむ必要がある」と指摘。「『良き隣人』政策」の強化を求めた。パウエル氏は「高いレベルの接触を通じ、沖縄の人々にとって米軍が最小限の生活の妨げとなること、日本政府にとっては最小限の政治的問題となるようにしたい」と前向きに取り組む姿勢をのぞかせた。ただ、河野氏が普天間代替施設の使用期限問題を「新政権に対しても取りあげたい」と持ち出したのには「在沖米軍を含む在日米軍の兵力構成などの軍事態勢は、1996年の日米安保共同宣言を踏まえ、緊密に協議していきたい」と従来の立場を繰り返すにとどめた。

 北朝鮮への対応をめぐってパウエル氏は「冷徹な現実に基づいた政策をとる考えであり、クリントン前大統領が始めた政策を継続して北朝鮮に関与していく考えだ」とする一方、「その速度は以前ほど速くないかもしれない」とした。2国間の経済関係では「摩擦が起きてから対応する外圧型ではなく、協調や協力によって新しい時代にふさわしい日米経済関係を築く」ことで合意した。パウエル氏からは、日本が継続している調査捕鯨に対する懸念の表明もあった。

平沼経済産業相、26日に米商務長官と会談

2001.01.25(10:12)asahi.com
 平沼赳夫経済産業相とエバンス米商務長官が26日、ワシントンで会談することが固まった。同日、河野洋平外相とパウエル国務長官の会談もワシントンで予定されている。ブッシュ政権が誕生して初めて開かれる2つの閣僚級会談は、今後の日米経済関係を占う上で重要なものになりそうだ。

 平沼経済産業相は会談の席で、「日米ニューエコノミー円卓会議」の設置を提案する見通しだ。経済産業省が構想を温めてきた同会議は、両国から官民あわせ20人ほどで構成され、広く経済問題を協議する。米国からの一方的な「ガイアツ」を避け、建設的な日米関係を築くことを狙いとしている。

 米国の共和党政権は日米の同盟関係を重視するため、建設的な協議機関の設置には前向きに対応するとみられる。一方で、個別問題である日米自動車・同部品協定の復活が話題になる可能性はある。関係者によれば、自動車部品業界は、2週間ほど前に、ブッシュ政権の移行チームに同協定の必要性を訴えた。日本側は協定の復活を望んでおらず、同協定は昨年末、5年の期限を終え失効した。エバンス商務長官が、今回の会談で協定の復活を提案するかどうかが注目されている。

 外相会談でも、経済問題が話題になる見通しでパウエル国務長官は、国際経済問題について、国務省が積極的にかかわっていく方針をすでに明らかにしている。

河野外相、26日に米国務長官と会談 米が明らかに

2001.01.23(14:07)asahi.com
 米国務省のバウチャー報道官は22日の記者会見で、パウエル新長官が26日にワシントンで、河野洋平外相と会談することを明らかにした。ブッシュ政権が誕生してから初の日米間の閣僚級会談で、国務省によると「両国関係全般にわたり、幅広く意見交換し、その重要性を改めて確認することになる」という。

 バウチャー氏によると、河野外相との会談は、25日に予定されているカナダの外相との会談に次ぐもので、パウエル氏が長官に正式に就任してから2番目の会談となる。日米両国政府はともに、ブッシュ政権の日本重視の表れとしている。

 両国の関係者によると、この会談は日本側の要請を受けて設定された。26日の午前から昼食をはさんで2、3時間程度行われ、「2国間の安保・経済関係に加え、朝鮮半島などの地域問題、さらに地球規模の問題」(国務省)が話し合われる。政権交代後、初の会談とあって「技術的な細かい問題には入らず、両国関係の大枠を話し合うことになる」という。

 日本側としては、外相会談に続いて、森喜朗首相とブッシュ大統領との首脳会談も早期に実施したい考えで、その意向を伝えると見られる。

 河野外相は、パウエル長官のほか、チェイニー副大統領との会談も希望しており、米側と調整を続けている。

在沖米軍の兵力構成に関し「日米協議は必要」と橋本氏

2000.12.26(01:23)asahi.com
 橋本龍太郎沖縄開発庁長官は25日、就任後、初めて訪問した那覇市で記者会見した。1996年の日米安保共同宣言や米軍普天間飛行場の移設にかかわる昨年の閣議決定に盛り込まれた、在沖米軍の兵力構成に関する日米協議について、橋本長官は「私は必要だと思っている。クリントン米大統領との間で共同宣言をまとめた時も対話が必要だと言ってきた」と述べ、日米協議を進めるべきだとの考えを示した。

 在沖米軍の兵力構成をめぐっては、普天間飛行場の移設先を決めた昨年12月の閣議決定で、政府は「国際情勢の変化に対応して、在沖縄米軍の兵力構成等の軍事態勢につき米国政府と協議していく」ことが盛り込まれた。しかし、協議はこれまで行われていない。

 沖縄県など地元側が代替施設の使用期限を15年間と定めるよう求めている問題については、「地元の要請を重く受け止め、これまでも米政府のハイレベルに対して繰り返し取り上げてきた。国際情勢の変化に対応しながら、沖縄県の希望に沿える努力も怠らず、外交努力を積み重ねていきたい」と述べるにとどめた。

 代替施設について、沖縄側が軍民共用の施設を提案していることについては、「閣議決定でも安全と環境に配慮すると決められており、私の基本理念と違うものとは考えていない。軍民共用という中で、協議を進めていくポイントのひとつだと思う」と述べた。

「思いやり予算」削減の新協定を承認

2000.11.17(23:27)asahi.com
 在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)を初めて削減する新特別協定は、17日午前の参院本会議で採決され、自民、公明、保守の与党3党のほか、民主、自由両党などの賛成多数で承認された。共産、社民の両党は反対した。来年3月に期限切れとなる駐留経費負担に関する現行の特別協定を改定するもので、光熱水料負担の抑制により、日本側負担は来年度で33億円の削減になる。1978年度に思いやり予算が始まって以来、日本側の負担が減るのは初めて。

米軍機が空中衝突/北海道で1人不明

2000.11.13 The Sankei Shimbun
 十三日午前九時ごろ、北海道南部の松前町・大島の東約三キロの上空で、演習に参加していた米軍三沢基地(青森県)所属のF16戦闘機二機(乗員各一人)が接触、洋上に墜落した。一人が救助されたが、一人は行方不明となり、米軍と航空自衛隊などが捜索を続けている。

 自衛隊の救難ヘリコプターなどが付近海域を捜索し、午前十時すぎ、奥尻島の南約四十キロの海域で、パラシュートで緊急脱出した一人を救助した。

 防衛庁などによると、二機は今月二日から行われている日米共同統合演習に参加中で、十三日の訓練が始まる前に事故を起こした。

 同基地のロイド・アターバック司令官は同日午後、四機編隊で飛行中の戦闘機のうち二機が接触して墜落したことを明らかにした。また、行方不明になっているパイロットが脱出したかどうかは不明。同基地は今後、機体を引き揚げ、原因を詳しく調べるが、直前の交信記録では事故の兆候はなかったという。

 第一管区海上保安本部(小樽)によると、現場海域の視界は当時、良好だった。

 F16はF15とともに米空軍の主力戦闘機で、米軍三沢基地には朝鮮半島から中東・湾岸地域までの紛争に備えて約四十機(二個飛行隊)が配備されている。昨年一月に同基地のF16が訓練中に操縦ミスで岩手県釜石市の山林に墜落している。

米軍文書「公開」を答申 厚木基地煙害で神奈川県審査会

2000.11.03(03:05)asahi.com
 米海軍厚木基地(神奈川県大和市、綾瀬市)の周辺環境に絡んで、在日米海軍が神奈川県に提出していた資料について、同県情報公開審査会(会長、堀部政男中央大教授)は2日、「公開しても関係者に不利益は与えない」として、県の非公開決定を覆し、公開すべきだと答申した。公開が実現すれば異例だが、米軍は非公開を求めてきた経緯があり、米政府による公開差し止め訴訟に発展する可能性もある。

 対象となった資料は、同基地に隣接する民間産廃施設からの排煙問題で、米軍が県に施設の改善を求めた際の要望書や米軍家族の健康調査など2件。いずれも1998年に当時の厚木基地司令官が県公害防止条例などにもとづき、日米合同委員会を経由するなどして県に届けた。米軍が調査した、基地周辺の大気などのダイオキシン濃度などが報告されている。

 住民や地元マスコミが情報公開請求をしたが、県は「公開すると産廃業者に不利益を与える」「日米合同委で扱われ、公開すると国の事務実施を困難にする」などとして非公開としたため、同審査会に異議申し立てをしていた。

 審査会は「排煙問題では米政府が操業停止の仮処分申請もしており、公開しても業者に不利益にならない。政府間交渉に影響するとも考えられない」などとして個人情報を除いては公開するべきだとしている。

 県は対応を協議しているが、これまで答申を拒否したケースはないという。


米軍機の夜間発着訓練

米軍機の夜間発着訓練に悩む全国5市が29日に初協議

2001.01.14(01:36)asahi.com
 米軍基地を抱え、米軍機の夜間発着訓練(NLP)の騒音などに悩む全国の5市の市長が29日、厚木基地のある神奈川県大和市で、初めての合同協議会を開くことになった。各自治体の再三の中止要請にもかかわらず、一向に改善されないためで、情報交換などをし、歩調を合わせて政府や米軍などに問題の解決を強く迫っていく方針だ。

 大和市が13日、明らかにした。他の参加4市は、同じく厚木基地がある神奈川県綾瀬市、東京都福生市(横田基地)、青森県三沢市(三沢基地)、山口県岩国市(岩国基地)。井原勝介岩国市長が呼び掛けた。

 米軍は騒音対策としてNLPを硫黄島で暫定実施しているが、実際には本土の4基地で相変わらず続いている。

 防衛施設庁の目視観測によると、昨年は、11月までで厚木基地640回、横田基地780回、三沢基地190回、岩国基地410回。これに対して硫黄島は630回にとどまり、同島の本格利用が始まった1993年以来、最低の利用率になった。その分、本土基地周辺の騒音は悪化、三沢市や大和市が抗議して米軍との友好中断も表明した。

米軍の夜間発着訓練、国内基地で8割実施 硫黄島は敬遠

2000.10.30(15:22)asahi.com
 米海軍の空母キティホークの艦載機による夜間発着訓練(NLP)が、今年に入り三沢(青森県三沢市)、横田(東京都福生市など)、厚木(神奈川県大和市、綾瀬市)、岩国(山口県岩国市)の本州4基地で約8割実施されていることが30日までの朝日新聞社のまとめでわかった。在日米軍は数年前から「硫黄島でNLPの9割を実施している」と強調してきただけに、抜本的な解決を求める声が強まりそうだ。

 地元市による騒音測定や目視観測によると、今年1月から9月30日までのNLP実施回数は横田942回、岩国734回、厚木719回、三沢185回の計2580回だった。

 米軍から防衛施設庁への連絡によると、この間の硫黄島での訓練は630回。4基地との合計は3210回となり、比率は4基地が80.4%、硫黄島が19.6%となった。

 米軍は1993年から硫黄島でNLPのほか昼間のNLP用訓練(DLP)を本格実施している。99年までの7年間の4基地のNLP利用率(横田はDLPも含む)は、95―97年と99年の4年間が6―12%、残りの3年間も38―45%どまりだった。

 今年のDLPは9月末までに硫黄島で720回。横田で1042回。DLPの回数を含めても、4基地での実施率は72.8%になっている。

 硫黄島のNLP訓練施設は、日本政府が167億円を投じて建設し、93年に米軍に全面提供された。しかし、厚木基地から1200キロ離れていることや、多数の整備員や大量の機材を運ばなければならないことから、最近になって米軍は硫黄島の利用に難色を示し、9月に4基地で相次いでNLPを実施した。

 硫黄島の利用率低下について、防衛施設庁は「国内基地でのNLP回数は把握していないので、何ともいえない。硫黄島のNLP全面実施に米軍の協力を求める」、在日米海軍司令部(神奈川県横須賀市)は「硫黄島は遠く、すべての訓練を実施することは不可能だ。硫黄島はあくまで暫定施設であり、米軍は17年前から恒久的な施設建設を待ち望んでいる」と話している。

 9月のNLPに対しては、鈴木重令・三沢市長や土屋侯保・大和市長が米海軍との友好を中断すると表明。岡崎洋・神奈川県知事も10月に在日米海軍司令部を初めて訪ね、司令官に直接抗議した。

厚木の夜間発着訓練で、米軍が抜本的対策を協議の意向

2000.10.17(23:41)asahi.com
 米海軍厚木基地(神奈川県大和市、綾瀬市)などで9月、米艦載機の夜間発着訓練(NLP)が強行された問題で、岡崎洋・神奈川県知事は17日、横須賀市の在日米海軍司令部を訪ね、ロバート・C・チャプリン司令官に直接抗議した。

 岡崎知事によると、チャプリン司令官は抜本的な対策を日本政府と協議したいとの意向を表明するとともに、三宅島のNLP代替施設建設計画に言及、「三宅島の噴火もあって、考慮しにくい状態になっている」との認識も示したという。

 会談後、記者会見した岡崎知事によると、知事は「受忍限度を超えている」などと認定した第2次厚木基地騒音公害訴訟の控訴審判決の英訳を示しながら、硫黄島でのNLPの全面実施を求めた。チャプリン司令官は三宅島のNLP施設計画が難しいことを認め、「抜本的な解決策を日本政府と相談しながら考えたい」などと述べたという。

米海軍、厚木基地の夜間発着訓練を突然中止

2000.09.21(22:06)asahi.com
 米海軍は21日、厚木基地(神奈川県大和市、同綾瀬市)で24日までの予定で続けていた空母キティホーク艦載機の夜間発着訓練(NLP)を突然、中止した。同日夕、座間防衛施設事務所を通じて地元自治体に伝えた。

 米軍がNLPを強行したことなどについて、青森県三沢市が18日、大和市が20日に米海軍との友好関係の中断を明らかにしている。米軍側は中止の理由を明らかにしていないが、21日には、綾瀬市の見上和由市長も厚木基地を訪れて友好関係の中断を伝えており、周辺自治体からの強い抗議に配慮したと見られる。

 大和市の土屋侯保(きみやす)市長は「米軍としても地元住民との友好関係を続けたいと思っている結果が、今回の中止になったのであれば効果はあったと思う。今後のことについては様子を見守っていきたい」と話した。

 厚木基地のNLPは、当初は18日から22日までの予定だった。しかし、米軍は15日から予定されていた硫黄島での訓練が天候不良のため消化しきれなくなったとして18日に、24日まで延長すると通告。基地周辺は、離着陸を繰り返す艦載機の激しい騒音に連日さらされ、大和市などには住民からの抗議電話が殺到していた。

米軍岩国基地で突然の夜間発着訓練 事前通告の合意破り

2000.09.19(00:58)asahi.com
 米海兵隊岩国航空基地(山口県岩国市)など本土の3基地で18日、米海軍の空母キティホークの艦載機による夜間発着訓練(NLP)が始まった。同基地での実施の正式通告が在日米軍司令部から防衛施設庁などにあったのは同日午後4時前。「1週間前に通告する」との申し合わせを一方的に破り、岩国では約7カ月ぶりに強行した。

 在日米軍が防衛施設庁に通告した岩国、横田、厚木の3基地での訓練は、18、19の両日。午後2時から5時まで昼間訓練を、午後6時から9時まで夜間訓練をする。

 当初はNLP専用施設のある硫黄島(東京都)で15日から実施予定だったが、「天候不良」を理由に急きょ変更した。18日朝には、岩国基地報道部から岩国市などに非公式に連絡が入ったが、17日まで硫黄島の運用を米軍側と協議してきた防衛施設庁への通告は、18日夕方にずれ込んだ。

 米軍が8月25日に行った防衛施設庁への事前通告では、岩国基地は予備訓練施設にも挙がっていなかった。岩国市が在福岡米総領事館などに確認したところ、予備訓練施設に指定された米空軍三沢基地(青森県)も天候不良で使えなくなったため、岩国での実施を決めたという。

 NLP初日は米海軍厚木基地(神奈川県)所属のFA18戦闘攻撃機12機が飛来。同庁や外務省が情報確認に追われている間、「午後2時から」とした昼間訓練は正午前に始まった。地元自治体が申し合わせた基地北側のコンビナート群上空での飛行自粛も破られ、市基地対策課には、事情を知らない住民から苦情電話が相次いだ。

三沢市が米海軍との友好関係中断 夜間発着訓練(NLP)強行に反発

2000.09.19(00:49)asahi.com
 米空軍三沢基地を抱える青森県三沢市は18日、米海軍が今月上旬に同基地で空母艦載機による夜間発着訓練(NLP)を強行したことに反発し、同基地に駐留する米海軍との友好関係を中断すると発表した。市主催行事などへの米海軍関係者の招待を取りやめるほか、市民感情に反してNLPが繰り返された場合は基地からの米海軍撤去を要請するという、自治体としては極めて異例の方針だ。三沢防衛施設事務所を経由して米軍側に通知したという。主力の空軍ではなく海軍に限定したとはいえ、三沢市が米軍への反発姿勢を明確化したのは初めて。

 滑走路を空母の飛行甲板に見立てて海軍機が発着を繰り返すNLPは騒音被害が激しい。ほとんどが硫黄島の訓練施設に移転し、三沢基地での実施は1998年以来。5月には市などが再三、中止を要請する中で、米軍が三沢対地射爆撃場で夜間訓練を実施。周辺住民が騒音と振動を理由に集団移転を要望するなど、米軍訓練への反発が表面化していた。

 こうしたことを受け、鈴木重令市長自らが防衛施設庁や外務省を訪ねてNLP中止を要請していたが、NLPは実施された。騒音が大きいFA18戦闘攻撃機も7年ぶりに参加し、3日間の訓練で過去10年で最多となる46件の苦情が市に寄せられた。

 今回の決定について、市は「どう中止要請をしてもNLPを強行されてしまう。この際、市として姿勢を示さなければ、騒音に苦しむ住民に申し訳がない」と説明している。

 F16戦闘機約50機が配備されている三沢基地は、沖縄・嘉手納基地に次ぐ在日米空軍の主要基地。米海軍のP3C哨戒機などの支援のため海軍部隊も一部駐留している。

 三沢市は米軍との「共存共栄」を掲げてきた。鈴木市長は基地と住民との関係を「世界で1番うまくいっていると思う」と述べ、200を超す基地周辺自治体でつくる全国基地協議会の副会長も務めたことがある。

 <防衛施設庁連絡調整室の話> 騒音などの問題で、地元の首長としてNLPに反対するのは理解できる。防衛施設庁としては、米軍に対し再度、硫黄島で訓練するよう求めていきたい。

米海軍が厚木など3基地で異例の夜間発着訓練

10:09p.m. JST February 15, 2000
  米海軍横須賀基地(神奈川県)を拠点とする米空母キティホークの艦載機による夜間発着訓練(NLP)が15日、厚木(神奈川県)、横田(東京都)、岩国(山口県)の三米軍基地で始まった。17日までの予定。騒音被害の激しいNLPはほとんどが厚木から約1200キロ離れた硫黄島に場所を移し、本土の基地だけでの訓練は異例だ。地元の自治体は中止を求め、防衛施設庁も硫黄島での実施を要請したが、米軍は「小規模な訓練で、時間と労力、費用がかさむ」などとして受け入れなかった。

  訓練自体は日中から始まり、夜間は午後6時から9時までの予定だが、午後10時以降にずれ込むこともあるという。

  滑走路を飛行甲板に見立てて発着を繰り返すNLPは、空母の出港直前の実施が通例。本土基地での実施は緊急の場合が多く、1998年1月には事前通告なしで厚木、岩国など4基地で行われた後、空母はペルシャ湾に急派された。

  今回の訓練は「3月に行われる台湾総統選に絡み、中国をけん制するために空母を台湾付近に派遣する準備ではないか」(防衛庁関係者)との指摘もある。米軍関係者によると、台湾付近では現在、米空母ステニスが警戒にあたっており、海上自衛隊関係者は「キティホークが代わる可能性が強い」と指摘している。


日米規制緩和協議 日米双方が要望を提出

2000.10.13(22:14)asahi.com
 日米両国政府は13日、4年目を迎える日米規制緩和協議で取り上げる要望事項をまとめ、それぞれ提出した。日本側は米国に対して、企業に過大な訴訟負担を課す製造物責任(PL)法の緩和や、現在議会で審議中のアンチダンピング・相殺関税関連法案の廃案など約60項目を要望した。一方、米国側は、住宅・医療分野などこれまでの継続案件に加え、郵政省の「改組」や企業運営の透明性を確保するため商法の改正など、10分野53項目をあげている。

 日本政府は米国のPL法は「行きすぎた訴訟社会の代表例」として、緩和を要望した。アンチダンピング・相殺関税関連法案は、不当廉売(ダンピング)と認定された企業から受け取った懲罰関税を、米国側の生産者に分配する内容で、「分配を目的とした訴訟の増加が懸念される」としている。

 また、電気通信分野では米国の通信事業向け無線局免許の外資規制(20%以下)を撤廃することや、外国通信事業者が米国市場に参入する際の審査基準を明確化するよう求めた。

 一方、米国側が日本に要望した商法改正は、「株主総会が多数の株主の参加にとって不都合な日に開催されることがないように」することや、意思決定の迅速さを確保するため、取締役会の満場一致による企業運営を見直すよう求めている。

米国が日本政府に「郵政省改組」を要求

2000.10.13(23:54)asahi.com
 米通商代表部(USTR)は12日、日米規制緩和協議の再開に向けて、情報技術(IT)関連を含む10分野の要求を日本政府に提供した。その中で、米側は、日本の電気通信市場での競争が不十分で情報技術の進展が進まない原因を、郵政省が政治的な影響を受けやすい点にあると指摘。電気通信の監督・規制機能を産業振興の部門から分離・独立させることやNTTの完全民営化を求めている。

 対日要求は約50ページで、電気通信、医療機器・医薬品、金融サービスなど10分野に及んでいる。中でも、電気通信分野の分析と要求に、圧倒的な力を入れている。

 それによると、現在の郵政省について、「公平で独立性が要求される監督当局としての能力に欠け、NTTに便宜を図りがちな政治的な影響を受けやすい」と批判。そのために、郵政省の監督機能を独立した形に分離することを求めている。

 また、NTTの過半の株式をもつ政府としての立場と、NTTを監督する立場が利益相反をうむ可能性があるため、NTTをできるだけ早く完全民営化すべき、と提言している。

 さらに、市内回線をほぼ独占するNTT地域会社については、新電電に全面的に回線を開放するよう義務づけることなど、より強い規制が必要だとしている。

 今夏まで続いたNTTの接続料交渉では、郵政省が、NTTの経営に配慮して新電電への回線接続料の値下げに強く抵抗したことから、難航した。このため米国は「NTT寄りの郵政省」、もしくは「NTTの政治的影響力に弱い郵政省」という印象を深めており、この経験が、今回の要求につながったとみられる。

 日米規制緩和協議は1997年に3年間の予定で始まったが、今年夏、1年間の延長が決まった。来年夏までの合意をめざし、両国間で協議が始まる。

米国務長官の訪朝を歓迎 中川官房長官

2000.10.12(12:21)asahi.com
 中川秀直官房長官は12日午前の記者会見で、オルブライト米国務長官が近く朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を訪問することで米朝両国が合意したことについて「米朝関係の進展は北朝鮮をめぐる諸問題の解決、朝鮮半島の緊張緩和の促進に資する。日朝間の交渉にもよい影響を及ぼす。歓迎したい」と述べた。

「集団的自衛権」政策転換求める 米のアジア専門家ら

2000.10.12(01:18)asahi.com
 米国のアーミテージ元国防次官補ら超党派のアジア専門家のグループが11日、来年の新政権発足に向け対日政策の指針となる報告書を発表した。日本重視の姿勢を明確に打ち出す一方、日本政府が集団的自衛権の行使は現行憲法下では許されないとの立場を取っていることは「同盟協力の制約になっている」と指摘、政策転換を求めている。沖縄に駐留する海兵隊の訓練をアジア太平洋全域に分散することで、地元の負担をさらに軽減する考えも示している。

 このグループにはアーミテージ氏やウォルフォビッツ元国務次官補ら共和党系の元政府高官に加え、クリントン政権で日米安保「再定義」を手がけたナイ元国防次官補、キャンベル同代理ら民主党系の専門家も参加している。提言は大統領選の結果にかかわらず、次期政権の政策に大きな影響を与えると見られている。

 報告書はまず朝鮮半島や台湾海峡の情勢が不安定であることを指摘し、日米安保関係は「これまで以上に重要性を増している」とし、強化の必要性を強調した。

 両国の同盟関係は単に「負担の分かち合い」にとどまらず「力を共有する時が来た」とし、集団的自衛権の行使のほか、有事法制の制定、国連平和維持軍(PKF)本隊業務への参加凍結の解除、情報面での協力の強化などを提唱している。

 沖縄については、日米特別行動委員会(SACO)合意が目指す基地の「再編」「統合」「削減」に加え、海兵隊の施設や訓練を「アジア太平洋地域に分散する」という新たな目標も模索すべきだとの考えを打ち出している。この日、会見したアーミテージ氏は、最終的には駐留軍の規模削減につながると見ていることも明らかにした。

戦略対話へ協議機関設置 日米防衛首脳が合意

2000.09.13(13:30)asahi.com
 訪米中の虎島和夫防衛庁長官は12日午前(日本時間13日未明)、ワシントンでコーエン米国防長官と約50分間会談した。両首脳は、来年度からの中期防衛力整備計画(次期防)と米国が4年ごとに行う「国防計画の見直し」(QDR)について意見交換するため、防衛庁と国防総省の課長級による協議機関の設置で合意、戦略対話の本格化に乗り出すことになった。

 日本が次期防で開発を目指す哨戒機P3Cの後継機については、米側と相互運用性を追求していくことで基本的に合意した。

 日米両政府によると、虎島長官は、今年末までに策定する次期防について「米国のQDRの(検討)時期とも符合するので、双方で意見交換をしたい」と述べ、課長級の専門家による協議機関の設置を提案。コーエン長官は「日本との戦略対話を重要視している。装備などについて対話をグレードアップしたかった」と同意した。協議機関を恒常的な窓口にしたうえで、災害時や生物兵器への対応についても協議していきたい意向を示した。

 虎島長官は、P3C後継機について、搭載する潜水艦探知・識別用の電子機器も含め、米軍と自衛隊との「相互運用性」を高めたいとして米側との情報交換を打診。コーエン長官も「柔軟に対応できる」と前向きな考えを示した。

 防衛庁は現在、海上自衛隊が配備している米国ロッキード社製のP3Cの後継機を国内開発し、同じく国産化を目指す輸送機C1の後継機と機体の一部を共有化する方針だ。しかし、米軍との相互運用の中核である対潜哨戒については機器や機能の共通化が欠かせないとの考えがあり、今回の打診となった。

日米安保の「補修」に重点 日米安全保障協議委員会

2000.09.12(23:12)asahi.com
 2年ぶりの日米安全保障協議委員会(2プラス2)は、東アジア情勢が大きく動く中での開催となった。朝鮮半島には緊張緩和の兆しが見え始める一方で、台湾では中国が独立派と見なす新総統が就任。ロシアのプーチン大統領は、積極的な外交で各国の耳目を集めている。目まぐるしい変化を、日米両国は同盟関係の文脈の中でどうとらえるのか。2プラス2は、担当閣僚が様々に意見を交わす絶好の機会のはずだった。

 しかし結果は、日米安保体制の「補修」作業に終始するものに終わった。それはたとえば「思いやり予算」をいくら減らすかという話であり、在日米軍基地内外の環境汚染対策だった。「火種」は早く消しておこうというものだ。日米防衛協力のための指針(ガイドライン)に関する「調整メカニズム」の決定も、積み残されていた課題の処理だった。

 地域情勢も協議されたが、日本側の河野洋平外相や虎島和夫防衛庁長官は、従来の発言の繰り返しが目立った。一方で米側は、オルブライト国務長官が「日米両国は中国が国際社会で役割を果たすよう働きかけていきたい」と語り、コーエン国防長官は「良好な日米安保関係の恩恵を受けているのは中国だ」と述べるなど、中国に対する関心の高さを浮き彫りにした。日米同盟のほころびを繕いながら、対中戦略を組み立てている米国に対し、日本の対外戦略の乏しさは対照的にも映る。

 協議後の共同発表には「日米関係の重要性を再確認する」といった文言が何カ所にも記された。しかし、そこからは日本の構想力が見えてはこない。「同盟重視」を強調するだけでは、日米安保協議は形がい化が進むばかりになる。

日米防衛協力の体制強化 2プラス2/周辺事態などでの指揮系統統一/調整メカニズム決定

2000.09.12【ニューヨーク11日=赤地真志帆】The Sankei Shimbun
 日米両国の外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)が十一日午前(日本時間同日深夜)、ニューヨークのホテルで開かれた。日本有事や周辺事態の際に自衛隊と米軍の共同作戦行動を迅速、円滑化するため指揮系統を統一する日米共同調整所の新設など「日米調整メカニズム」を決定。また、米軍基地の環境管理基準を日本政府も関与する形で二年ごとに見直すことなどを柱とする日米地位協定の運用改善でも一致した。

 協議委には、日本側から河野洋平外相と虎島和夫防衛庁長官、米国側からは、オルブライト国務長官とコーエン国防長官が出席した。

 調整メカニズムは、新たな「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)に盛り込まれた防衛協力の運用体制強化の一環で、外務省北米局長、在日米軍副司令官らによる既存の日米合同委員会が、米軍の新たな施設・区域や空港、港湾使用などを調整し、その他の医療、輸送、警備などを関係省庁局長級で構成し新設する日米政策委員会が担当。実務は両委員会の下の課長級の合同調整グループ(ガイドライン・タスク・フォース)で行う。作戦現場での自衛隊と在日米軍の指揮系統の調整は、在日米軍司令部代表者と日本側の統合幕僚会議など制服組で構成する日米共同調整所が行う。

 また、協議委では、日米地位協定に明記がない環境問題を補うため「環境原則に関する共同発表」をまとめた。在日米軍の環境管理基準の厳格化と、在日米軍による「差し迫った、実質的脅威となる汚染」に対しては、米政府がただちに汚染浄化に取り組み、日本側が原因の汚染に対しては、日本政府が関連法令に従い、適切に対処することになった。

 朝鮮半島情勢については「不安定性と不確実性が存在している」とし、日米韓三国の連携の重要性で一致。沖縄県が強く求めている米軍普天間飛行場代替施設の十五年使用期限についてもとりあげられた。

外相と防衛庁長官、米軍駐留経費削減などの協定に署名へ

2000.09.10(12:23)asahi.com
 河野洋平外相と虎島和夫防衛庁長官は10日、ニューヨークで開かれる外務、防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)などに出席するため、訪米する。2プラス2は11日に開かれ、朝鮮半島情勢などについて意見交換するほか、来年度以降の在日米軍駐留経費の日本側負担に関する新特別協定に日米双方で署名する。訪米直前に、海上自衛隊幹部によるロシア武官への防衛機密漏えい事件が発覚。事件の推移によっては、日ロ外相会談や日米防衛首脳会談でも焦点になる可能性も出てきた。

 2プラス2開催は1998年以来、2年ぶり。前回は朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)のテポドン発射の直後で、北東アジア情勢が緊迫する中での意見交換となり、日米が戦域ミサイル防衛(TMD)の共同技術研究実施で合意した。今回は米側からオルブライト国務長官とコーエン国防長官が協議に臨む。

 在日米軍駐留経費に関する新協定については、7月に沖縄であった日米首脳会談で、現行協定の日本側負担の枠組み維持に合意。米軍住宅の光熱水料のうち、基地外の住宅については米側負担にすることなどで日本の負担を抑え、来年度は今年度より33億円削減されることが決まった。

 また、在日米軍基地内の環境汚染問題で改善策を協議するほか、日本側は、沖縄県が米軍普天間飛行場の代替施設の使用期限を15年とするよう求めていることを米側に改めて伝える意向だ。

 その後、河野外相はニューヨークでの国連ミレニアム総会に出席。11日に日米外相会談、14日に日ロ外相会談などが予定され、虎島長官は12日にワシントンでコーエン国防長官と会談する。

「在日・在韓米軍の分散を」 前米国防次官補代理が提唱

2000.09.10(11:50)asahi.com
 今年4月まで米国防次官補代理として日米安保政策を担当していた、キャンベル戦略国際問題研究所(CSIS)副所長は今月発表した論文の中で、現在日本と韓国に重点的に展開しているアジア太平洋の米軍について、今後は東南アジア諸国やオーストラリアを中心とした地域全体に分散する「前方展開の柔軟化」を提唱した。沖縄の過剰な負担を軽減しようという狙いで、兵力水準だけに注目したいわゆる「10万人体制」の見直しも求めている。

 同研究所が出版している論文集「ワシントン・クオータリー」の最新号に掲載された「米日安保パートナーシップの活性化」と題する論文。

 まず、日本と韓国を中心とした兵力の前方展開は「地域の平和と安定維持のため今後もかなめとなる」と前提条件を念押し。そのうえで、「しかし、北東アジアにある基地施設への完全に近い依存状態から脱却し、東南アジア諸国やオーストラリアを含むアジア全域で、作戦行動や訓練を実施する可能性を模索する戦略に向け、大転換を始めなければならない」と指摘した。

 この方針転換は、朝鮮半島情勢の変化だけでなく、沖縄を中心とする米軍受け入れ地域で「増大する(住民)感情」にも配慮したものだと説明。日本での訓練については「どれがフィリピンやグアム島でできるか」と移転を問題提起している。オーストラリアの新たな基地化と並んで、在日、在韓米軍の一部移駐の可能性も念頭に置いたものと見られる。

コーエン米国防長官、22日に最後の訪日

2000.09.08(12:44)asahi.com
 米国防総省のベーコン報道官は7日の記者会見で、コーエン長官がアジア諸国歴訪の一環として日本を訪れることを明らかにした。関係筋によると、全体の日程は13日から10日間。日本には22、23日の両日、滞在の予定という。虎島和夫防衛庁長官と会談する。

 会談では、沖縄の普天間飛行場の移転問題など、両国間の懸案と、中国、朝鮮半島など周辺の国際情勢について意見交換するものと見られる。

 日本以外の訪問先はインドネシア、タイ、シンガポール、フィリピン、韓国。コーエン長官にとっては、来年1月の政権交代に伴う退任を前に最後のアジア諸国歴訪となる。

政府、密約を否定 日米安保の秘密合意認めず

2000.08.30(23:05)asahi.com
 核兵器を積んだ米艦船が日本に寄港したり、朝鮮半島有事で米軍が日本国内の基地から出撃したりする場合、日米間の事前協議は必要ないとした日米安保条約に関する秘密合意が明らかになったことについて、政府は30日、「密約は存在しない」と改めて秘密合意の存在を否定し、米政府に照会するなどの調査をする考えもないことを明らかにした。また核搭載艦船の寄港や朝鮮半島有事での出撃には事前協議が必要だとする見解も示した。

 森喜朗首相は同日夕、記者団の質問に答えて「日米安保に密約は一切ない」と述べ、改めて調査するかどうかについても「そんなことをする必要はない」と答えた。中川秀直官房長官も「政府としては、こういう文書は存在しない、という立場だ。調査する考えもない」と語った。

 同日の参院決算委員会では、福島瑞穂氏(社民党)がこの問題を取り上げた。荒木清寛外務総括政務次官は「政府としてコメントする立場にない。歴代の首相、外相が繰り返し明確に述べているように、安保条約の事前協議に関してはいかなる密約も存在しない」と否定。福島氏が核搭載艦船の寄港や朝鮮半島有事での出撃に事前協議が必要かと聞くと、「ご指摘の通りだ」と答えた。

 政府は「日米安保は信頼関係のもとにある。核艦船の寄港などは事前協議が必要だが、あくまで相手方が言ってくる話だ」(高官)との姿勢を変えていない。外務省も「密約がないのに米政府に問い合わせる必要はない」(幹部)との見解を繰り返している。

沖縄・読谷村が瀬名波通信施設の移設を受け入れ

2000.08.18(23:40)asahi.com
 1996年12月の日米特別行動委員会(SACO)最終報告で合意された沖縄県読谷村の米空軍・瀬名波通信施設の返還に伴い、アンテナなどの施設を同村内の米陸軍トリイ通信施設に移設することについて、読谷村は18日、那覇防衛施設局に「やむを得ない」などと受け入れる意向を伝えた。瀬名波通信施設は2000年度末をめどに返還されることになっていた。

沖縄県が日米地位協定見直し要請案を決定

2000.08.17(21:31)asahi.com
 沖縄県は16日、臨時庁議を開き、現行の日米地位協定について、米軍基地内の環境汚染に対する米側の浄化義務を定めた環境条項の新設や日本の捜査当局が要求した場合に犯罪容疑者となった米軍人の身柄を起訴前でも引き渡せるようにすることなどを盛り込んだ11項目にわたる総合的な見直し要請案を決定した。稲嶺恵一知事は「運用の改善だけでは解決しない問題がある。協定見直しを求め、われわれの立場を強く主張していく」と話し、今月末に上京し、政府や駐日米大使に提出する方針だ。

 11項目のうち10項目は既存条文の変更、1項目は基地の環境保全に関する条項の新設。環境条項は、米軍に対し、日本国内法の適用や環境汚染後の浄化義務を求めている。

 地位協定は米軍基地の管理や米軍の活動、軍人らの法的地位などを規定するが、40年間、改定されておらず、沖縄側からは米軍人容疑者の起訴前引き渡しが認められていない点などに強い不満が出ていた。少女暴行事件が起きた5年前、県は見直しを政府に要請。日米両政府は凶悪事件についてのみ、起訴前引き渡しを認めるなど、「運用改善」で対応することで合意した。

 しかし、沖縄では基地内でのポリ塩化ビフェニール(PCB)流出など環境汚染が明らかになり、稲嶺知事も地位協定の総点検と改定を公約に1998年11月に当選。県は庁内の検討会や、駐留北大西洋条約機構(NATO)軍の環境浄化義務などを定めた協定を結んでいるドイツなどを調査し、県内市町村や県議会の意見も聴いて準備を重ねてきた。

 要請案では、米軍人と日本人女性の間に生まれた、いわゆるアメラジアンと呼ばれる子どもの養育費についても、裁判所の支払い命令があれば、米国が軍人の給与を差し押さえて日本側に支払うよう明記することを求めている。

日本製のブリキもクロ ダンピング問題で米国際貿易委

2000.08.03(10:02)asahi.com
 日本製のブリキ製品のダンピング問題を審査してきた米国際貿易委員会(ITC)は2日、米産業が被害を受けたと認める「クロ」の最終決定をした。今後、日本製ブリキ製品に対しては反ダンピング関税がかけられる。11件提訴された一連の対日鉄鋼ダンピングで最終決定が出たのは9件目で、そのうち7件が「クロ」と確定した。

 ブリキ製品は、主に缶詰の缶やビンの王冠などとして使われる。米商務省は先に、ブリキ製品のダンピング率を32%―95%と認定している。ITCの決定を受け、同率の反ダンピング関税が輸入品に課せられることが確定した。

 これに対し、日本の大手鉄鋼会社などで構成する日本鉄鋼情報センター(ニューヨーク)は「提訴した米高炉メーカーは1社だけで、米産業全体やユーザーの意見を代弁しているとはいえず、事実とかけ離れた決定だ」と強く抗議する声明を発表した。

中東和平実現に期待 米国務長官が宮崎で講演

2000.07.30(18:24)asahi.com
 オルブライト米国務長官は30日、宮崎市で講演し、クリントン米大統領が仲介しながら決裂したイスラエルとパレスチナの最終地位交渉の行方について「双方のリーダーたちはまだ平和をあきらめていない。両者が和解への道を捨て、新たな憎しみ合いへと転換するとは考えられない」と述べ、9月13日の合意期限までに和平が達成されることへの期待を示した。

 長官は「米国は(首脳会談決裂から期限までの)この期間をリーダーたちが考え直すための充電期間としてくれればと願っている。いつでも協力する用意がある」とも語り、仲介努力を続ける考えを強調した。

 バンコクで実現した初の米朝外相会談については、「過去の対立や考え方の違いは一晩で忘れ去られるものではない」としつつも、「朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が外交面で柔軟な姿勢を見せているのを歓迎する」と述べた。

オルブライト米国務長官が来日

2000.07.29(21:33)asahi.com
 オルブライト米国務長官は29日夜、特別機で羽田空港に到着した。オルブライト長官は今月、宮崎市で開かれた九州・沖縄サミットの外相会合に出席する予定だったが、米国での中東和平協議が難航していたため、直前にキャンセルした。今回は、30日に宮崎市で記念講演などを予定している。31日に東京で河野洋平外相と会談する。

日米規制緩和協議を1年延長で合意

2000.07.20(04:05)asahi.com
 日米両政府は19日、2000年3月で期限を迎えた日米規制緩和協議を1年延長することで合意した。九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)に伴い予定されている日米首脳会談で、正式に表明する。日本の一層の市場開放を求める米国と、国内の規制緩和を進める意向を表明した森政権との思惑が一致した。また、この1年間の協議で決着した内容についてまとめた「共同現状報告書」が、両首脳に提出される。

 日米規制緩和協議は、1997年のデンバー・サミット時に開かれた日米首脳会談の際、当時の橋本龍太郎首相とクリントン大統領の間で合意。電気通信、住宅、医療機器・医薬品など個別5分野と、競争政策、透明性などの横断的な分野を対象に、双方の市場開放を求めて協議を続けてきた。

 今年3月で当初予定の期限を迎えたが、NTT接続料の決着がつかないことから全体合意も遅れていた。米国側は2000年以降も協議を続けることを要望していたが、日本側としては、今秋の米大統領選後の政権の方針を見極める必要があることから、1年の延期で合意した模様だ。

「思いやり予算」30億円削減へ 日米両政府が大筋合意

2000.07.18(22:11)asahi.com
 来年3月で期限切れになる在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)に関する特別協定の改定問題で、日米両政府は18日までに、日本側負担を現在より年間30億円程度削減することで大筋合意した。「使い放題になっている」との批判が強まっている年間約300億円の光熱水料のうち、基地外にある米軍住宅の光熱水料約12億円を米側の負担とするほか、基地内分についても節約策を講じて削減する。九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)前の日米首脳会談で現行協定の大枠を維持することを確認したうえで、9月に見込まれる日米安全保障協議委員会で具体的な削減内容を盛り込んだ協定に調印する見通しだ。

 米軍基地で働く日本人従業員の人件費については、現在の約2万4000人を上限とすることで総額の増加に歯止めをかけるとともに、雇用の確保に配慮する。このうち、日本の負担は現在の約2万3000人分、約1500億円を維持し、残り約1400人分、約80億円は引き続き米側が負担する。これまでの改定では、米側負担分が新たに日本の負担となっていた。

 思いやり予算は、1978年に約62億円を支出して以降増え続け、今年度は約2755億円。このうち、日本人従業員の人件費と光熱水料、米軍の訓練場所の移転に伴う費用合わせて約1800億円は、5年ごとの特別協定に基づいて日本側が負担している。財政が危機的状況にあることを背景に、今回の改定で日本政府は「負担の内容を国民に説明できるものにすべきだ」(防衛庁幹部)として米側に協定の見直しを求めていた。

 これに対して米側は「日米同盟の極めて重要な要素であり、単なる予算上の問題ではない」と反発して現状維持を主張。日米事務レベルの協議が続いていた。

 30億円の削減で折り合ったのは、米側は現行の特別協定の大枠が維持されることを強調することにより、議会への説明が可能な範囲だと判断したとみられる。一方、日本側はこれまで事実上、上限がなかった思いやり予算について米側との協議が実現し、一定の歯止めもかけられたことで「半歩前進」(防衛庁幹部)と受け止めている。

日米強化で中国に建設的関与促す 駐日米大使

2000.07.17(20:15)asahi.com
 フォーリー駐日米大使は17日、九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)を前に朝日新聞とのインタビューに応じ、サミットを機会に米政府として沖縄県民との交流を深めるとともに、米軍の前方展開戦略を支える在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)について日本側の一層の理解を求める考えを強調した。また、経済的にも政治的にも大国として台頭しつつある中国に関しては、日米が強固な関係を持続することで、中国が国際社会に建設的に関与するよう促すことができるとの見方を示した。中東和平交渉の行方から一部に危ぶむ声が出ているクリントン米大統領のサミット出席については、予定通り来日すると明言した。

 21世紀における日米中の3国関係について、フォーリー大使は、日米両国との間で、議会制民主主義や開かれた経済体制などの価値観を共有していることを理由に、「米国にとって日米が基本的に重要な同盟関係だ」と述べた。中国については「まだ潜在的な力に過ぎない」として、「民主主義を進め、人権をもっと尊重してほしい」と注文をつけた。

NYの地下鉄に新たに日本製400車両導入

2000.07.15(17:54)asahi.com
 ニューヨークの地下鉄が、コンピューター制御のクリーンな日本製車両に置き換えられ、東京の地下鉄に近づく。川崎重工業の子会社「カワサキ・レールカー」(本社・ニューヨーク州)が来年末までに、新たに、400車両を納入する。

 新車両は、駆動装置(モーター)、ブレーキ、運転台など、すべてをコンピューターが制御する。車内では、電光表示板で行き先や時刻が分かり、「列車位置案内板」の点滅表示でどこの駅間を走っているかを知ることができる。

 1983年、「暗い」「汚い」で悪評の高かったニューヨークの地下鉄に、落書きのできないカワサキ製車両が約300両導入され、話題になった。今回は、来年末までにニューヨークを走る6000車両のうちの7%が新型に置き替わる。

米軍駐留経費、数十億円削減で最終調整

2000.07.08(03:04)asahi.com
 来年3月で期限切れになる在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)に関する特別協定の改定問題で、日米両政府は7日、(1)米軍基地の日本人従業員数は現在の2万4000人程度で維持し、米側が負担している約1400人分の人件費は引き続き米側で負担する(2)現在、日本側で負担している米軍基地外の米軍住宅の光熱水料は、米側の負担とする――などとすることで最終調整に入った。労務費などの負担をする協定の大枠については維持することで基本合意に達した。これで最終合意すれば、今年度で約2755億円計上している日本側の負担が数十億円削減される見通しだ。

 これまでの協議で、日本人従業員の労務費については、改定のたびに日本側負担が増加していた制度の見直しを検討してきた。その結果、年々増加してきた従業員数を現行水準で抑えるとともに、現行協定のもとで増えた従業員の人件費については、引き続き米側が負担することにより、日本側の財政状況への配慮を示す。

 事実上使い放題になっていると批判の強い光熱水料については、基地外の米軍住宅の分を区別して米側で負担することで、公私の区別を明確にする方向だ。負担項目のもう1つの柱である訓練移転費については、日本側からの要請で移転しているため、現状通り負担を続ける。

 こうした具体的な改定は、9月に見込まれる日米安全保障協議委員会(2プラス2)での調印に向け、さらに作業を進めることになる。米側は九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)の際の日米首脳会談で大枠維持の方向性を打ち出すことで、日米安全保障体制のきずなを再確認したい考えだ。一方、日本側には、沖縄の準強制わいせつ事件を機に抗議運動が広がりを見せているなかで、大枠維持を前面に出すと批判を浴びかねないという懸念もある。

米の対日貿易赤字、4月は過去最大に

2000.06.20(23:20)asahi.com
 米商務省が20日発表した4月の貿易赤字はモノとサービスの取引を合わせた国際収支ベース(季節調整済み、速報)で、前月比0.5%減の304億3800万ドルと高水準を維持した。対日赤字は前月比7.4%増の73億3000万ドル(通関ベース、季節調整前)に達し、過去最大を記録した。対日貿易の不均衡の広がりは、今後の日米関係の不安定要素になりそうだ。

 輸出は、866億9900万ドル、輸入は1171億3700万ドルで、それぞれ微減。

 米国の好調な消費欲に支えられ、輸入額は1998年12月以来ずっと上昇を続けてきたが、16カ月ぶりに減少に転じた。ただ、原油価格の下落要因が大きく、輸入の水準は依然として過去最高レベルだ。

 国別にみると、対日のほか、対中赤字も約58億ドルと前月比14.6%も増加したのが目立つ。


「異常なし」と報告 劣化ウラン弾薬きょう放置問題

2000.06.01 (19:16)asahi.com
 沖縄県西原町の鉄くず回収業者の敷地内に劣化ウラン弾の薬きょうが放置されていた問題で、外務省と科学技術庁、防衛施設庁による政府の調査チームが1日、現場周辺の放射線を測定し、県や西原町、業者に「環境や健康への影響はない」との結果を報告した。しかし、県は薬きょうが米軍払い下げ品に混じって流出した点を重視し、政府側に流出経緯の解明と再発防止を求めた。

 調査チームは薬きょうをためてあったドラム缶や周辺の地面、473個の薬きょうすべてに放射線測定器を当てて調べたが、異常値は検出されなかったという。

 県の親川盛一知事公室長が流出経路の解明などを求めたのに対し、水鳥真美・外務省日米地位協定室長は「米軍に照会中で、結果を報告したい」と答えた。

 薬きょうは調査後、米軍の求めにより、業者が米軍に返却した。

米海兵隊が北海道入り

2000.05.27共同
 在沖縄米海兵隊の本土移転の実弾砲撃訓練が北海道・矢臼別演習場(別海町など)で六月上旬から始まるのを前に、米海兵隊の先発隊約百人が二十七日、反対派が抗議集会を開く中、民間のチャーター機で中標津空港に到着した。

 矢臼別演習場での同訓練は九七年以降、四年連続。今年は六月四日から十五日まで米海兵隊第一二連隊第三大隊の一個中隊約二百人が参加し、一五五ミリりゅう弾砲四門を使う。射撃訓練は八日間で、夜間演習も行う。本隊約百人は今月三十日に現地入り、りゅう弾砲や弾薬なども同日、根室市の花咲港に陸揚げされる予定。

 二○○○年度は、このほか、東富士(静岡)、北富士(山梨)、日出生台(大分)で実施される。

 この日は午後一時半ごろ、空港周辺に陣取った教職員組合員などが「海兵隊は米国に帰れ」などとシュプレヒコール。到着した隊員たちは民間バス四台に分乗し演習場に向かった。

米弾薬庫に劣化ウラン弾

2000年5月24日 20時19分共同
 在日米空軍嘉手納基地(沖縄県嘉手納町など)に駐屯する第18航空団のスミス司令官は24日同基地に隣接する嘉手納弾薬庫(読谷村など)に、人体への影響が懸念されている劣化ウラン弾が保管されていることを明らかにした。

 劣化ウラン弾は、在韓米軍に配備されているA10対戦車攻撃機用の三〇ミリ機銃弾で、朝鮮半島などの有事に備え貯蔵されている。

米兵2人を窃盗で逮捕

2000年5月21日 9時31分合同
 福岡県警中央署は21日、窃盗の疑いで,長崎県佐世保市平瀬町、米海軍佐世保基地所属の3等兵曹オリバ・デビッド(21)と上等水兵ネルソン・パトリック(20)の両容疑者を逮捕した。

 調べでは、2人は1月17日午前1時ごろから同3時ごろにかけ福岡市中央区舞鶴のスナックで、客の女性アルバイト店員(22)の現金約4000円などが入ったショルダーバッグを盗んだ疑い。

店員の頭を瓶で殴った米空軍兵長を逮捕 沖縄署

11:19p.m. JST May 20, 2000 asahi.com
 沖縄県警沖縄署は20日、スーパーで同日未明、店員の頭をラムネの瓶で殴って軽傷を負わせたうえ商品を奪ったとして、米空軍嘉手納基地所属の空軍兵長ジェイムス・アイ・マックルベイン容疑者(24)を強盗致傷の疑いで逮捕した。マックルベイン容疑者は容疑を認めているという。

 マックルベイン容疑者はかなり酔っていたという。

NYで日本人女性が射殺される

01:06a.m. JST May 12, 2000 asahi.com
 長野県出身でニューヨーク市内に住む帖佐亮子(ちょうさ・りょうこ)さん(24)が10日未明、自宅近くの歩道で射殺された。ニューヨーク市警は、殺人事件と見て捜査しており、11日にも遺体を司法解剖する予定。

 市警が11日明らかにしたところによると、帖佐さんは10日午前3時過ぎ、ニューヨーク市クイーンズ区の自宅にほど近い路上で顔や首、腹を銃で撃たれた。銃声を聞いた住民数人が飛び出して、路上に倒れている帖佐さんを発見。病院に搬送したが、まもなく死亡した。

 目撃者はいなかったが、身につけていた財布や腕時計が奪われていなかったことから、市警は、路上強盗の可能性のほか、恨みによる犯行の可能性もあるとみて、帖佐さんの交友関係を調べている。

 帖佐さんは昨年春に米フロリダ州のフラグラー大学を卒業。スペイン語が専攻で、昨年暮れにニューヨークに移ってからは、日本の音楽グループを米国や中南米に売り込む仕事に就いていた。大学の教官らによると、将来は国連機関でスペイン語通訳として働きたいと話していたという。

日米首脳会談に合わせ国際団体がデモ計画

10:51a.m. JST May 05, 2000
 重債務最貧国の債務削減を主張するキリスト教系国際団体「ジュビリー2000」は4日、ワシントンで5日朝(日本時間同日夜)に行われる日米首脳会談に合わせ、20人規模の平和的なデモをホワイトハウスの前で行うと発表した。7月の九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)で議長国を務める日本の森喜朗首相に、債務削減問題で指導力を発揮するよう訴えるとしている。(時事)

ロシアの解体核処分などで協力拡充 日米が合意

9:47p.m. JST May 04, 2000 asahi.com
 米国を訪問中の中曽根弘文科学技術庁長官は3日、リチャードソン米エネルギー長官と会談し、ロシアの解体核から出るプルトニウムの処分をめぐる研究で日米がさらに協力することで合意した。また、米国は、日本が進める原子力発電所の使用済み燃料の再処理計画を認める方針に変更がないことを確認、原子力分野での日米協力をさらに進めることで意見が一致した。

 米ロ間の大きな懸案であるロシアの核兵器解体で出たプルトニウムの処分では、新たに高温ガス炉を使う方法について、日本がロシアに研究協力することになった。

 日ロ間では、プルトニウムをウランとの混合酸化物(MOX)燃料にしてロシアの高速炉BN600で燃やす共同実験が研究所レベルで始まっているが、これも拡充するため、BN600の炉心改造も視野に入れて日米の働きかけを強める。

 また、米ロが、ロシアの原発から出る使用済み燃料の再処理のモラトリアム(一時停止)に合意したことに関連して、日本などの再処理政策についても米側が厳しい方針で臨むのではないかとの憶測が広がったことから、リチャードソン長官は、米国の方針に変更のないことを確認した。

 一方、米国が離脱した国際熱核融合実験炉(ITER)の建設計画について、両国はその重要性を確認、日本側は米国の復帰を歓迎したいと述べ、将来の研究協力に含みを残した。

 今回、中曽根長官は、茨城県東海村で起こった臨界事故の際の米国からの協力に謝意を表明した。

米大統領、サミット出席で7月に訪日へ

00年4月29日 18時13分[ワシントン 28日 ロイター]
 クリントン米大統領は、日本で開かれる主要8カ国首脳会議(G8サミット)に出席するため、7月に東京、沖縄を訪問する予定。ホワイトハウスが明らかにした。

 クリントン大統領は東京で、天皇陛下が8カ国首脳のために主催する晩さん会に出席。21日には沖縄へ飛び、サミットに出席する予定。

 ホワイトハウスは声明で、大統領は沖縄の人々に会い、アジアの安全保障体制に対する沖縄県民の貢献に感謝の意を示すのを楽しみにしている、と述べた。

 クリントン大統領は4月5日、サミット参加各国を歴訪中の森喜朗首相とワシントンで会談する予定。

日本コカ・コーラが修正申告 ブランド料巡る日米合意で

1:03p.m. JST April 29, 2000
 清涼飲料水の製造販売で国内最大手の日本コカ・コーラ(東京都渋谷区)は、昨年7月までの6年半で約450億円の法人所得を増額する修正申告を28日までに行った。同社は約160億円の法人税を日本の国税当局に支払うことになる。所得の中から親会社に支払うブランドなどのロイヤルティー(使用料)の額によっては税務当局から申告漏れとみなされる可能性があるため、日米の税務当局同士が「事前確認」と呼ばれる話し合いを続けていた。

 関係者によると同社は、所得を申告した後に日本の国税当局から「申告漏れ」などの指摘を受けないようにするため、両国間で調整してもらうよう事前確認制度の適用を申し立てていた。調整の対象になったロイヤルティーは、商標や販売、経営のノウハウなど「無形資産」に対する親会社への使用料にあたる。

 同社は1994年に、ロイヤルティーの支払いが多すぎるとして、東京国税局から約380億円の申告漏れを指摘されたことがあった。今回はこうした事態を繰り返さないために、あらかじめ協議を依頼したと見られる。

 企業が海外の子会社や親会社との取引価格を操作し、所得を海外に移すのを是正する措置は「移転価格税制」と呼ばれる。関係する政府は必要に応じて話し合い、それぞれの国の税金の配分を決めている。

 日本コカ・コーラは「日米両国の合意に従い、修正申告を提出した。政府間交渉の詳細はコメントする立場にはない」とする談話を発表した。

米兵ら民間機で帰還

2000年4月27日 17時35分
 北海道帯広市の帯広空港に、米軍機が空港を管理する帯広市の許可を得ずに着陸した問題で、陸上自衛隊第5師団の施設見学を終えた在日米陸軍司令部(神奈川県座間市)の米兵ら8人は27日、悪天候のため、予定していた米軍機が使えず、羽田行きの民間機で帯広空港から帰還した。

サミット・NTTが議題に 来月5日に日米首脳会談

10:52a.m. JST April 21, 2000
 ホワイトハウスのロックハート報道官は20日の記者会見で、九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)のメンバー国を歴訪する森喜朗首相とクリントン大統領の日米首脳会談は5月5日午前(日本時間同日夜)にワシントンで行われると発表するとともに、議題について「沖縄サミットのほか、日米間の重要な問題についても話し合う」と語った。

 通商分野における最大の懸案であるNTTの接続料引き下げなども議題に上るとみられる。

 日米首脳会談をめぐっては、クリントン大統領の国内日程との絡みで、開催日や場所の調整に手間取っていたが、最終的には日本側の希望通り5日にワシントンで開催されることになった。

 森首相は28日に日本を出発し、29日にロシアでプーチン次期大統領と会談した後、欧州・カナダを歴訪。5月4日にワシントン入りし、5日にクリントン大統領と会談した後、6日に帰国する。(時事)


PCB廃棄物が横浜を出港

2000年5月13日 17時26分共同
 有毒物質のポリ塩化ビフェニール(PCB)を含んだ在日米軍の廃棄物が横浜港にUターンした問題で、米国船籍の貨物船グリーンウエーブが13日、横浜港内の米陸軍施設「横浜ノースドック」に保管されていた廃棄物計約100トンが入ったコンテナ14個を積み、同港を出港した。米国側は既に、廃棄物は太平洋上の米領ウェーク島に運び、処分まで保管する方針を明らかにしている。

PCB廃棄物、米領の島へ

2000年5月6日 19時53分共同
 カナダや米国で荷揚げを拒否され、横浜港の米軍施設に搬入された在日米軍施設の有毒物質ポリ塩化ビフェニール(PCB)を含む廃棄物の処理問題について、米国の国防兵たん庁は6日、太平洋上の米領ウェーク島に18日までに移送すると在日大使館を通じて発表した。移送は最終的な処理方法が決まるまで暫定的な措置。同島はグアム島の東方に位置し、米軍が使用している。

外相、残る有毒物質20トン

2000年4月21日 17時11分
 河野洋平外相は21日の衆院外務委員会で、在日米陸軍相模総合補給廠に保管されている有毒物質のポリ塩化ビフェニール(PCB)を含む廃棄物120トンのうち、100トンを船で搬出したとの説明を米側から受けたことを明らかにした。

 外相は「残りは20トンとみていい」と述べた。社民党の伊藤茂氏らへの答弁。

米軍PCB問題、国内陸揚げなら訴訟 米環境団体

2:30p.m. JST April 21, 2000
 在日米軍が出した有害なポリ塩化ビフェニール(PCB)を含んだ廃棄物が米国やカナダで陸揚げできずに日本国内に戻った問題で、米国の環境団体は、米国内に陸揚げされた場合には、訴訟による法廷闘争に入る方針だったことが、分かった。在日米軍は、日本国外に再搬出する方針といわれるが、米国内に運び入れるとすれば、法的問題をクリアする必要があるとみられる。

 米シアトル港で今月7日陸揚げ反対行動をした環境団体の「地球正義法的防衛基金」(本部・サンフランシスコ)などによると、陸揚げは、国防総省、港湾当局、運送会社が故意に法律を無視することになるという見解を、当局側に伝えていたという。

 同基金のパティ・ゴールドマン弁護士によると、1970年代に外国からのPCB搬入を原則的に禁じる法律が成立した。一方、米環境保護局は90年代に、焼却処分のためにPCBの米国搬入を認める規則を作ったが、環境団体側の提訴でその規則が停止になった経緯がある。

 今回の場合、PCB廃棄物の製造国が「(米国以外の)外国」とみられ、米国には搬入できないはずだという。

 同弁護士は、朝日新聞記者に対し、「(例外措置で)米国搬入を検討するというなら、極めて慎重なプロセスを重ねるべきだ」と強調した。一方で、シアトル港陸揚げをいったんは認めようとした米環境保護局の態度を「場当たり的」と批判し、今回の問題処理で、同局は厳しい態度で臨むべきだという考えを示した。

米軍のPCB廃棄物が再上陸 横浜港に陸揚げ

00:24 a.m. JST April 19, 2000
 在日米軍の有害ごみが、母国のアメリカや委託先の処理場のあるカナダで受け入れられず、さまようように日本に舞い戻ってきた。18日、環境団体などの抗議行動の中、民間の貨物船ワンヘが横浜港に入り、積み荷の米陸軍相模総合補給廠(しょう)(神奈川県相模原市)のポリ塩化ビフェニール(PCB)廃棄物約100トンのコンテナは、同日夕、次々に上陸した。この問題で日本政府は「米軍物資は国内法で規制することができない」と、有効な対策を打ち出せなかった。

 横浜の本牧ふ頭に接岸した貨物船ワンヘに乗り込んだ、環境保護団体グリーンピース女性活動家4人は、18日午後4時半ごろ船を降りた。

 その直後からコンテナは次々とクレーンで下ろされ、トレーラーで横浜市神奈川区にある米軍の港湾施設「横浜ノースドック」内の資材置き場に運び込まれた。

 米軍のPCB汚染ごみに対して、国ははっきりした対応をとれないままだ。

 厚生省によると、今月に入ってから、環境庁の呼びかけで、厚生、通産、大蔵、外務の5省庁が集まり、法律の適用について議論した。その場で、厚生省が法適用についての判断を聞いたところ、外務省が口頭で「(日米地位協定が優先されるため)国内法の廃棄物処理法は適用されないと思う」と回答したという。

 このため厚生省は「これは法令の適用問題。米軍は独立している。米軍施設内の食堂に食品衛生法が適用されないのと同じ扱いだ」として、市町村には廃棄物処理法に基づく指示を出していない。

PCB含んだ米軍の廃棄物、横浜市内の施設で一時保管へ

4:44p.m. JST April 17, 2000
 神奈川県相模原市の在日米陸軍相模総合補給廠(しょう)に保管されていたポリ塩化ビフェニール(PCB)を含む廃棄物が、カナダや米国で陸揚げできずに横浜港に戻ってくる問題で、米軍はPCB廃棄物を横浜市内の米軍施設で一時的に保管する予定でいることが17日、わかった。在京米国筋や在日米軍が明らかにした。

 在日米軍によると、PCB廃棄物の入ったコンテナ14個は、横浜港で下ろして横浜市神奈川区にある在日米軍関係施設に一時保管する。1カ月以内に、再び国外に搬出する計画だという。

 一時保管場所は横浜港の瑞穂ふ頭の一角にある米軍の資材置き場と見られる。

 廃棄物を積んだ貨物船は18日早朝に横浜港に入り、その日のうちに次の神戸港に向けて出港する予定だ。

 米軍は3月下旬、処理のために横浜港からPCB廃棄物約100トンを貨物船で運び出した。しかし、カナダや米国に陸揚げを拒否され、そのまま横浜港に向かって引き返している。

 在日米軍報道部は「このPCBは濃度が低く、危険性はない。日本国外で処理するのは、相模総合補給廠の保管能力が限られているからだ」と説明している。

PCB廃棄物がUターン

2000年4月15日 18時57分
 米陸軍相模総合補給廠(しょう)=神奈川県相模原市=に保管されていた有毒物質ポリ塩化ビフェニ−ル(PCB)を含んだ廃棄物約100トンを積み、3月に横浜港を出港した貨物船がカナダや米国で荷揚げを拒否され、18日朝、同港に再入港することが15日分かった。

 相模原市など地元自治体や市民団体は「廃棄物が再び同補給廠に戻るのでは」と反発を強めている。

在日米軍のPCD汚染廃棄物、陸揚げ拒否で立ち往生

10:32a.m. JST April 08, 2000
 在日米軍基地から回収されて海上輸送中の有機化合物のPCB(ポリ塩化ビフェニール)を含む変圧器などの廃棄物が、7日までに、米西海岸のシアトル港で陸揚げできなくなった上、処分地として予定していたカナダの施設への搬送も拒否された。米軍当局は同日、新たな処分地を探していることを明らかにした。

 沖縄などの米軍施設敷地内では、使用済み変圧器などにあるPCBによる環境汚染の恐れが指摘されている。

 こうした中、米軍は3月下旬、横浜港から民間貨物船で、PCBに汚染された器材約110トンを搬出。同船は今月5日、シアトル港入りした。外国からの汚染PCBを米国内に入れないという同国の環境保護方針や、環境団体、港湾作業員らの反対で、同港倉庫での暫定的保管もできなくなり、陸揚げが見送られた。

 さらに、米軍当局者によると、カナダ政府当局も、オンタリオ州の処分場が引き取ることについて、外国からの搬入であることを理由に認めなかったという。

米、安保理拡大枠で譲歩 日本の常任理事国入りへ前進

6:47p.m. JST April 04, 2000
 米国のホルブルック国連大使は3日開かれた国連安全保障理事会の改革作業部会で、理事国の拡大枠上限を「20から21」としてきたこれまでの主張を退け、「21よりわずかに多い数とすることを検討する」と言明した。日本を含め加盟国の多くは現在の15カ国から24カ国に増やす方向で動いている。米国がこれに同調する動きを見せたことで、日本の常任理事国入りは大きく前進した。

 改革作業部会は今年で7年目。加盟国の任意出席で、非公開で協議されているが、ホルブルック大使が出席したのは初めて。米国は1970年代から日本とドイツの常任理事国入りを支持。90年代半ばからアジア、アフリカ、ラテン・アメリカの代表を加えることに賛成し、理事国の拡大枠を20から21にするとし、それ以上のいかなる拡大にも反対するとの立場に固執してきた。

 米代表部の発表によると、席上、ホルブルック大使は「多くの加盟国と話し合ってきた結果、米国は21よりいくぶん多い数とすることを検討する用意がある」と明らかにした。

 米国と共に、21にこだわっているロシアのラブロフ大使も初めて出席し「安保理改革を呼びかけたアナン事務総長の提案を検討する用意がある」と述べ、上限枠には触れなかったが、前向きの姿勢を見せた。


NTT接続料問題で妥協点探る動き 日米規制緩和協議

03:13a.m. JST March 22, 2000
 日米規制緩和協議の次官級会合が21日から2日間の日程で東京で始まった。最大の焦点となっているNTTの接続料引き下げ問題では、日米双方で妥協点を模索する動きが強まっている。これまで2000年中の大幅な引き下げを求めていた米国は、日本が主張する段階的な引き下げを受け入れる一方、日本はインターネット向け接続料の定額制を導入することなどを提案しており、決着する可能性が出てきた。

 協議には、日本から外務省の野上義二外務審議官が、米国はフィッシャー米通商代表部(USTR)次席代表が出席した。

 これまで日本は、NTTの接続料を4年間かけて22.5%引き下げることを主張。一方、米国は2000年中に40%を超える大幅な引き下げを求めていた。

 今回の協議で米国は、4年間かけて段階的に引き下げることを認める代わりに、最初の1年目の引き下げ幅を大きくするよう提案した。日本はこれまでの主張を変えないものの、各年の引き下げ幅は話し合いに応じる考えで、歩み寄りの動きが出てきた。

米シンポで日本の原子力政策に批判

11:32a.m. JST March 02, 2000
 臨界事故を防ぐことができなかった日本の原子力政策に的を絞ったシンポジウムが29日、ワシントンで開かれた。参加者らは、原子力安全委員会の強化策は不十分で、信頼を回復するには米原子力規制委員会(NRC)のように強力な権限とスタッフを持つ独立組織が不可欠と強調。柔軟性を欠いた政策づくりへの批判も出た。

 シンポジウムは、米議会のシンクタンクであるウィルソン・センターが主催し、臨界事故のあった茨城県東海村を視察した原子力の専門家をはじめ、政治、経済、社会学者らが参加した。

 日本の原子力安全委は来年から100人体制に増強されることになっているが、ブロードベント・ミネソタ大教授(社会学)は「NRCの3000人に比べて30分の1。被爆経験を持つ日本で国民の信頼を回復するには、もっと強力な独立規制機関が不可欠だ」と指摘。国民の意思が原子力政策の決定過程に反映されていないことも、問題点として挙げた。

 マサチューセッツ工科大のリンチ博士は「日本の原子力政策は透明性に欠け、変化を嫌う」とし、原子力界の閉鎖性を批判した。

焼却施設の買収を

2000年3月27日 14時23分
 自民党の野中広務幹事長代理は27日昼の政府与党協議会で、米軍厚木基地に隣接する焼却施設からダイオキシンを含んだ排煙が流れ込んでいる問題について「(施設を)買い取るのが一番スムーズではないか」と述べ、国が焼却施設を買収することで決着を目指すべきだとの考えを示した。

防衛庁長官が米軍基地隣接の産廃施設買い取り検討を示唆

0:15p.m. JST March 15, 2000
 瓦力防衛庁長官は15日朝、神奈川県の米軍厚木基地に隣接する民間の産業廃棄物処理施設から高濃度のダイオキシンを含む排煙が出ている問題で「被害が広い範囲に及んでいるので、特別の措置が必要かもしれない。国内法を超える問題に遭遇するかもしれない」と述べ、現行の廃棄物処理法などの枠組みを超えた特別措置が必要との考えを示した。自民党内に施設の買い取りを求める声が出ているのを受けて、こうした対応も含め改善策を検討する姿勢を示唆したものだ。同基地を視察した後、記者団の質問に答えた。

 この問題は日米間の懸案になっており、15日に来日するコーエン米国防長官も被害の実態を視察する予定。瓦長官との会談でも議題になる見込みだ。

 防衛施設庁は、施設の煙突を高くし、排煙が基地内の米軍住宅にあたらないようにするための工事費11億円を新年度予算案に計上している。ただ、業者に強制できないのに加え、自民党国防部会からは「煙を拡散するだけで根本的な解決にはならない」との指摘が出ていた。

厚木基地のダイオキシン被害問題が日米関係の「トゲ」に

11:42a.m. JST February 27, 2000
 神奈川県の米海軍厚木基地周辺で、産業廃棄物処理業者の焼却炉による大気汚染が深刻化し、日米関係の新たな「トゲ」(防衛庁幹部)となっている。排煙が米軍住宅を直撃し、昨夏の環境調査では基準値の66倍のダイオキシンが検出された。しかし、政府や県の行政指導に限界があり、有効な対策が取れない状況となっている。米海軍は業者に対する操業停止の仮処分申請を検討するなど態度を硬化させている。日本側には「健康を害してまで駐留する必要があるのかという声が米国から出かねない」との見方もあり、削減をめぐって対立している在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)問題と並び、両国政府間の頭痛の種になっている。

 焼却炉を設置している業者は「エンバイロテック」。旧社名は神環保というが、いまや日米の安保関係者の間では、「シンカンポ」で通用するほどで、要人が会うたびに取り上げられている。

 今年1月、ワシントンで開かれた日米防衛首脳会談で、コーエン国防長官はこの問題を正式の議題に取り上げ、「非常にフラストレーションを感じている。いつまでも我慢はできない。議会の反発も強い」と改善を求めた。

 今月半ばに来日したスローコム米国防次官も瓦力防衛庁長官に「付近の米国人だけでなく、日本の住民にとっても問題だ」と訴えた。瓦長官は「たびたび聞かされているので、深刻な問題であることはよくわかっている」と応じた。

 米側は1992年、在日米軍に関する協議機関である日米合同委員会でこの問題を提起して以来、汚染の改善を求め続けている。昨年5月の日米首脳会談では、クリントン大統領自ら取り上げ、小渕恵三首相が、必要な施設をつくるなど責任をもって対応すると約束し、一気に政治問題化した。

 米側は、排煙が直接住宅にあたらないよう、焼却炉の煙突を高くするよう求めている。防衛施設庁は、新年度予算案にこの工事費11億円を基地周辺対策費の名目で計上したが、業者側は「設計や建設に時間がかかり、2000年度中には間に合わない」としている。また、仮に煙突を高くしてもダイオキシンが拡散するだけで、根本的な解決にはならない。

米国務省人権報告、日本の「保守性」批判

1:40p.m. JST February 26, 2000
 25日公表された米国務省の人権報告は日本の人権状況について、職場のセクハラ(性的嫌がらせ)や家庭内暴力、警官の暴力行使、刑務所の視察拒否、在日朝鮮人や外国人労働者らに対する各種差別を取り上げて、日本の“保守性”を批判した。

 報告は「女性差別やセクハラへの公共意識が高まっているにもかかわらず、差別やセクハラが減少する兆しは一切ない」とし、(1)女性労働者の6人に1人が職場の上司から性的関係を強要されている(2)企業の93%はセクハラの予防措置を講じていない(3)女性労働者の賃金は男性の賃金の63%―などと指摘した。また、横山ノック前大阪府知事のセクハラ裁判に触れ、「裁判所がセクハラ訴訟では過去最高額の賠償金支払いを命じたことが、女性グループの間で前向きに評価されている」と伝えた。

 報告は、日本の警官が捜査に際し、自白を迫るために暴力を行使したり、心理的な脅しを多用したりしていると述べ、神奈川県警の不祥事にも言及した。(時事)

「思いやり」は不適切

2000年2月24日 13時18分
  瓦力防衛庁長官は24日午前の衆院安全保障委員会で、在日米軍駐留経費負担を「思いやり予算」と呼ぶことに米政府が反発していることに関連して「思いやりという言葉を使う必要はなく、この考えにピリオドを打つべきだ」と述べ、日米同盟関係への貢献策との観点から「思いやり予算」の呼称は適切でないとの認識を示した。

米社が三菱商事など提訴

2000年2月24日 17時01分【ニューヨーク共同】
  黒鉛電極の国際カルテルで価格操作を手助けしたとして三菱商事が独占禁止法違反で起訴された事件に関連し、価格操作に関与したとされる電極世界最大手、米UCAR(ユカール)インターナショナルは23日、同社を共同経営していた三菱とユニオン・カーバイドを相手に、15億ドル(約1670億円)の損害賠償を求める訴えをニューヨーク連邦地裁に起こした。

新ラウンド早期開始で一致

2000年2月19日 10時24分【ワシントン共同】
  河野洋平外相は18日午後、ホワイトハウスでクリントン米大統領と会談、世界貿易機関(WTO)の次期多角的貿易交渉(新ラウンド)の早期開始で一致した。大統領は新ラウンドについて「7月の主要国首脳会議(沖縄サミット)前に早期に立ち上げることが極めて重要だ」と表明。それが「サミット成功を確実なものにする」との考えを初めて明らかにした。

米兵に置き去りにされた母子支援 沖縄でシンクタンク

5:29p.m. JST February 17, 2000
  米軍人や軍属の父親に置き去りにされた「アメラジアン」と呼ばれる子どもたちや母親を救おうと、沖縄の日米の弁護士や学者らが17日、シンクタンクを発足させた。扶養の義務を怠った父親に海を越えて養育費を請求するのは難しいのが実情だが、州政府が養育費を徴収する米国の制度を使って勝ち取ったケースもあることから、この制度を活用して実績を積むとともに、日米間の協定締結を働きかけていく。また、親権や国籍の問題など2国間の法の壁について電話相談も受け付ける。

  活動の中心になるのは、アメラジアンたちの養育費請求に取り組んできた沖縄でただ1人の外国法事務弁護士、アネット・キャラゲーンさん(46)。

  約2万8000人の米軍人・軍属が駐留する沖縄は、米国人と日本人の婚姻率が全国一高い。昨年の夏にも、宜野湾市のキャラゲーンさんの事務所に、沖縄本島中部に住む女性(41)が相談に訪れた。海兵隊の士官と米国で結婚式を挙げる前日、生後間もない息子と、式のために渡米した両親らとともにホテルに置き去りにされ、男性は失そうしたという。

  キャラゲーンさんは1990年から3年間、空軍の法務官として嘉手納基地に勤務し、置き去り母子の問題を知った。自身も母子家庭で育ち、ひとごととは思えなかった。退役後、95年に沖縄で開業してから、無償で相談にのってきた。軍の内情に詳しい米国人弁護士としての評判は口コミで伝わり、最近は本土からも相談にくる。

いきなり3%は難しい=米財務長官の成長率アップ要請で宮沢蔵相

00年1月22日 22時23分 時事通信社
 宮沢喜一蔵相は22日、先進7カ国蔵相・中央銀行総裁会議(G7)の終了後の記者会見で、同日午前の日米蔵相会談でサマーズ米財務長官が、日本の経済成長率を一段と高めるよう要請したことを明らかにした。蔵相によると、サマーズ長官は会談で「日本経済の昔を思えば、(2000年度の実質成長率は)1%みたいなことではないはずだ」と指摘。これに対し蔵相は「消費が改善し、設備投資が増えるなどプロセスを順番に踏んでいかないと、いきなり3%には飛び上がれないのが今の状況だ」と説明した。 

合同委で協議と米司令部

2000年1月14日 15時06分 共同通信社
沖縄県の石川秀雄副知事は14日、東京都福生市の在日米軍司令部を訪れ、沖縄本島周辺空域の航空機進入管制レーダーシステム「嘉手納ラプコン」の管制権の早期返還などを要請した。
石川副知事によると、応対したハンターチェスター中佐は「離島を抱える沖縄にとって航空はライフラインであると理解している。日米合同委員会で協議されると認識している」と答えたという。

日米建設協議は物別れ

2000年1月14日 13時08分【ロサンゼルス共同】
米政府は13日、日米建設協議の特別高級事務レベル会合で、日本の公共事業で米企業の契約額を大幅に増やすよう求めたが、具体的な合意には至らず、協議は物別れに終わった。
アーロン米商務次官は会合後、3月末までの決着を目指し、日本側と議論を続けていく方針を記者団に説明。


鉄鋼ダンピング紛争で政府が米との協議打ち切りを採択へ

0:17p.m. JST February 10, 2000
  日本からの熱延鋼板の輸出に対し、米国が反ダンピング(不当廉売)措置をとったのはルール違反だとして日本が世界貿易機関(WTO)に提訴した問題で、日本政府は米国との2国間協議を打ち切り、紛争処理小委員会に持ち込む方針を固めた。深谷隆司通産相が10日、閣議後の記者会見で明らかにした。今秋には同委員会で結論が出されるという。

  WTOに提訴した場合、一度は当事者間の協議が義務づけられており、両国は1月に2国間協議を行ったが、物別れに終わった。日本政府は「議論がかみ合わず、話し合いによる解決は無理」と判断して、紛争処理小委員会での判断を求める。

鉄鋼ダンピングで初協議

2000年1月13日 18時30分【ジュネーブ共同】
  日本が輸出した熱延鋼板に米国が反ダンピング(不当廉売)課税をするのはWTO協定違反として、日本が提訴している問題で、日米両国は13日、WTOの紛争処理手続きに基づく最初の二国間協議を行った。

  今後の2国間協議で解決できなければ、日本政府は第三者の裁定を仰ぐため紛争処理小委員会(パネル)の設置を要求する方針。


日米の沖縄「核密約文書」、米国務省が保管

03:09a.m. JST January 06, 2000
  日米両国が沖縄の「核抜き本土並み返還」に合意した1969年11月の日米首脳会談で、当時の佐藤栄作首相とニクソン米大統領が、共同声明の具体的な実施取り決めについて極秘に了解した「日米合意議事録」を2種類作成し、米国務省が現在も機密扱いのまま保管していることが、米情報公開法に基づく請求への回答で明らかになった。議事録の内容は「機密」として公表を拒んだが、沖縄返還交渉で日本側の密使を務めた若泉敬・元京都産業大教授(故人)が非常時の沖縄への核再持ち込みを認める内容だと暴露し、日本政府が存在を否定してきた「核密約文書」と考えられる。同省は「該当文書は2つある」と回答し、「核密約」以外に「もう1つの密約」があることも判明した。

  存在が確認されたのは「ニクソン米大統領と佐藤首相の共同声明に関する合意議事録」と題する文書。朝日新聞記者が96年2月に、若泉氏がこのタイトルで公表した「核密約」の草案を添えて、同じタイトルの文書の存在を問う情報公開請求をしたのに対し、東アジア・太平洋局の公文書を検索した結果、同議事録に該当する「2つの文書」を確認したと、このほど回答した。議事録については米国家安全保障局(NSA)が昨年、「関連文書の存在」を認めていたが、今回は議事録そのものの存在が保管場所を含めて、直接確認された。

  内容については「国家安全保障や外交関係上の利益を害するおそれがある文書で、現在も機密扱いを解かれていない」などとして、同法の例外規定を理由に開示を拒む判断を示した。

  しかし、若泉氏が94年に出した著書に加え、公開済みの米公文書のなかでも、日米双方が核問題をめぐる「密約」を検討していたことは明らかになっている。今回、議事録の存在が確認されたことで、日本の国是である非核三原則(核兵器を持たず、つくらず、持ち込ませず)から逸脱する「核密約」が両首脳によって実際に交わされていたことが確実となった。

  もう1つの「密約」については、返還後の沖縄基地の自由使用に関する保証だった可能性が強い。米統合参謀本部は、沖縄返還の条件として「緊急時の沖縄への核の再持ち込み」とともに、朝鮮半島有事や台湾問題をにらみ、「沖縄米軍基地の最大限の自由使用」を挙げていた。

期限15年の沖縄要望伝達へ

2000年1月5日 19時37分【ワシントン共同】
訪米中の瓦力防衛庁長官は5日午前(日本時間6日未明)、ワシントンの国防総省でコーエン国防長官と会談する。瓦長官は米軍普天間飛行場の名護市への移設を決めたことを説明。焦点の代替施設の使用期限問題について「米政府との話し合いの中で取り上げる」との閣議決定に基づき、沖縄県や名護市が代替施設の使用期限を15年とするよう要望している現状を伝達。

防衛庁長官が米調整官と会談、対北朝鮮での連携確認

10:05a.m. JST January 05, 2000
  訪米中の瓦力防衛庁長官は4日午後(日本時間5日午前)、米国の朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に対する政策の見直しを進めてきたペリー政策調整官とサンフランシスコ郊外で約50分間会談し、北朝鮮による弾道ミサイルの開発など安全保障上の脅威に対して、今後も日米韓3国による緊密な連携を続けることが重要だとの認識で一致した。ペリー調整官は村山富市元首相を団長とする超党派国会議員団の訪問をきっかけに日朝間の対話が進んでいることを評価。ただし、2国間協議では「北朝鮮による分断策を防ぐため、各段階で3国の協力関係を確認することが重要だ」とも述べた。

瓦防衛庁長官が会談のため米国へ出発

6:36p.m. JST January 04, 2000
  瓦力防衛庁長官は4日、コーエン米国防長官との会談のため、米国に向け成田を出発した。在日米軍駐留経費(思いやり予算)に関する特別協定の改定や、米軍普天間飛行場の移設問題などを話し合う。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に対する米国の政策の見直しを進めてきたペリー政策調整官らとも会談する。帰国は10日の予定。


思いやり予算削減で対立

2000年1月21日 18時55分 共同通信社
  日米両国政府は21日、都内で外交、防衛当局の審議官級会合を開き、来年3月に在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)に関する特別協定が期限切れとなることに伴い、新協定締結に向けた交渉を開始した。日本側が削減の意向を示したのに対し米側は現状維持を要請、日米間の溝があらためて浮き彫りになった。

思いやり予算を削減の意向 瓦防衛庁長官が米側に表明

1:46p.m. JST January 06, 2000
  訪米中の瓦力防衛庁長官は5日午前(日本時間6日未明)、コーエン米国防長官と国防総省で約1時間会談した。来年3月で期限切れになる在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)に関する特別協定に関連して、コーエン長官は今後も負担の水準を維持するよう求めたが、瓦長官は減額したいとの意向を表明。日米の考えが正面から対立した構図となり、今後、事務レベルでの協議に入ることになった。一方、米軍普天間飛行場の移設問題では、瓦長官は沖縄県や名護市が米軍の使用を15年に限る条件をつけていることを伝えるにとどめ、米側への配慮を強くにじませた。

  特別協定改定問題については、まず米側が「議会に日本のすぐれた貢献の例としていつも説明している」と切り出すなど、現状維持への強い期待感を示した。これに対し、瓦長官は「日米の経済情勢や財政事情などの変化を踏まえる必要がある」と応じた。思いやり予算が始まった1970年代末以降と比べ、日本の財政事情が厳しくなったのを踏まえ、減額を図りたい意向を鮮明にしたものだ。瓦長官は「国民の税金でまかなわれており、いろんな角度からの検討が必要なのは当然だ」とも強調した。

  改定交渉では、負担の具体的内容も含めて協議したいという考えも伝えた。現行特別協定は(1)基地の日本人従業員らの労務費(2)光熱水料(3)訓練移転経費――の日本側の負担を定めており、減額を図るにはこうした仕組み自体を取り上げる必要があるためだ。

  一方、地位協定に基づく負担のうち施設整備費については、日本政府はすでに圧縮の方向を打ち出しており、来年度予算では電気施設の改修を一部先送りするなど今年度より減額された。

  普天間基地の代替施設の使用期限問題では、瓦長官は「政府として重く受け止める」などとした昨年12月の閣議決定を紹介する中で、地元の要望として伝えた。同時に「将来の国際情勢を予測することは極めて困難で、これを勘案しなければならないことは承知している」とも述べ、使用期限を設けることに難色を示している米側に配慮する姿勢も示した。さらに瓦長官は会談後の記者会見で「いま結論なり方向を協議する立場にはない」として、現時点で米側と具体的な話し合いを進める考えのないことを表明。コーエン長官は会談で使用期限への直接の言及は避けた。

思いやり予算の縮小継続

2000年1月2日 16時29分 共同通信社
政府は2日までに、在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)について、2001年度予算以降も規模縮小を継続する方向で米側との協議に入る方針を固めた。日本の厳しい財政事情を踏まえ、国民の理解を得られる範囲内に抑制していく必要があると判断した。経費負担の内容を定めた5カ年の特別協定が2000年度で期限切れを迎えることから、新協定締結交渉で縮小について米側の理解を得たい考え。


板ガラス協定の延長要求

1999年12月30日 11時50分【ワシントン共同】
米通商代表部(USTR)は29日、今年末で期限が切れる日米板ガラス協定の延長に日本が応じるよう求める声明を発表した。フィッシャー次席代表は声明で、米包括貿易法スーパー301条など、強硬措置の発動も視野に、日本に圧力をかける考えを示唆した。日米板ガラス協定は、日本の大手ガラスメーカーが外国製品を締め出しているとの米国の不満を受け、1995年に締結された。

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