TOPIC No.2-156 独居老人/孤独死防止

01. 孤独死 byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
02. 孤独死問題 YAHOOニュ−ス
03. 独居老人 byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
04. 〜「対岸の火事」では済まされない〜 都会の死角!1人暮し老人の悲劇 (2005年03月01日)all about
05. 見守りほっとライン 象印マホービンによる安否確認機能付き湯沸しポット
06. みまもりネット[家の中に設置したセンサが感知した在室状況(時間・部屋名)をお知らせするもの] パナソニック電工
07. 見守りシステム カデモ 周南マリコム株式会社
08. 東京ガス みまも〜る 離れて暮らす家族の確認
09. 大阪ガス るるるコールシルバー
10. 月々の経費不要!簡単設置!一人住まい安否確認システム
11. 「おたっしゃコール(定時自動発信機能)」NPO法人 デイコールサービス協会
12. 健康・医療型緊急通報サービス 安全センター株式会社

【岐阜】県内に増える「孤独死」 10年間で2・5倍

2009年02月08日 中日新聞

 独り暮らしの人が病気などで倒れ、誰にもみとられずに自宅で死亡する「孤独死」の県内の件数が、2007年までの10年間で2・5倍に増加していることが分かった。特に高齢者の増加が顕著で、県は「高齢化率を考えると、今後増加する可能性は高い」とするが、行政の対応は遅れている。

 県警の検視資料に基づき県将来構想研究会が作成した資料によると、孤独死の総数は1998年の128件から、2007年には320件に増加。このうち65歳以上の高齢者は81件から242件と、約3倍に増加し、割合も75・6%を占めた。地域別では西濃地区と岐阜地区が多かった。

 岐阜市の三田洞団地では、08年8月に80代の女性と60代の男性が、それぞれ死後数日と数週間たった状態で発見されるなど、孤独死は特に近所付き合いが乏しい都市部で深刻化している。

 同団地や岐阜市の大洞団地、多治見市のホワイトタウンなどは、いずれも昭和30−50年代に造成された。子どもはほとんど同居せず入居者の高齢化が一斉に進んでおり、今後5−10年でこうした事例はかなり増えると見る関係者は多い。

 防止策として、飛騨市では04年から、郵便局の協力で75歳以上の独居高齢者に週2回往復はがきを送り、返信してもらうことで安否を確認する方法を取っている。ただ、行政が積極的に対策に乗り出す例はまだ少なく、多くの市町村では民間の活動団体を支援するのにとどまるのが現状だ。

 一方で、民間の動きは各地で活発化している。関市では、旧武儀町エリアの福祉サービスを行う特定非営利活動法人(NPO法人)「日本平成村」が、高齢者や障がい者など公共交通機関の利用が困難な市民を対象にした運送サービス「福祉有償運送」を実施。自治体の認可を受けて高齢者の通院や、買い物の足代わりとしての役割を請け負っている。

 料金は通常のタクシーの半額以下。09年1月現在、175人が登録している。自宅から約15キロ離れた病院で透析治療を行うため、週3回利用している土屋千代さん(86)は「みんなの助けで生かしてもらっている。ありがたい」と話す。

 高齢者福祉に詳しい中部学院大短期大学部の飯尾良英教授は「家族の結びつきが弱くなっている今、自治会などの住民組織は行政の下部組織としてではなく、さまざまな問題に取り組む主体的な組織への転換が求められている」と話す。 (中尾吟)

◆記者から 

 悲惨な孤独死を少しでも減らすには、希薄になった住民付き合いを回復させるだけでなく、結びつきを強固にできるかどうかがかぎを握っている。

 超高齢化社会に突入した日本。それに伴う問題には、家庭だけではなく、治安・防災活動と同様に、社会全体で取り組むべきだ。住民の結びつきを強める活動を支援する、何らかのシステムづくりが、行政には求められると思う。

独居高齢者地域と交流を 北九大生が提案

2009年02月05日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 高齢化率の高い八幡東区大蔵地区で、一人暮らしの高齢者の生活実態を調べた北九州市立大の学生グループが調査結果をまとめ、大蔵市民センターで町内会長ら地区の住民に報告した。

 法学部の楢原真二教授(公共政策論)のゼミ生ら約30人。地区の町内会などでつくる大蔵まちづくり協議会(芳賀茂木会長)の依頼を受けて昨年9月から、65歳以上の325人を対象に、日常生活の実態や必要な支援などを尋ねた。

 近所付き合いについては、8割が「ある」と答え、地域のつながりは確認できた。「ない」は男性34%、女性17%で、男女差も浮き彫りになった。地域の交流拠点・市民センターに関しては、7割が「ほとんど利用していない」。必要な支援としては、安否確認の「声かけ」を求める声が多かったという。

 学生グループは「会社など組織社会で生きてきた男性は、地域社会で孤立しがちな面がある」「大蔵地区は急坂が多く、高齢者には負担。市民センターに行くのも大変なようだ」などと分析。提案として〈1〉学生ボランティアらが日常生活を手助けする仕組みを作る〈2〉市民センターとは別に、空き家などを利用した交流の場を設ける――などを挙げている。

 報告を受けた町内会長の一人、松永秀樹さん(59)は「調査の視点が新鮮。高齢化が進む地区でも、若い力を取り入れた地域づくりが必要だ」と話していた。

独居高齢者、2030年には380万人

2009年01月29日 Trendwatch

 未婚人口の増加、出生率低下、同居世帯の減少など、様々な要因で、独居高齢者が増えている。

 65歳を超える独居高齢者は、2030年には380万人に達するといわれる。

 政府は1月27日の閣議で、高齢者の安定的な住宅確保に向けた高齢者居住安定確保法改正案を決めた。今通常国会に提出される。

 高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)の賃貸の対象は現在、高齢者個人となっているが、改正によって一定の社会福祉法人などへの賃貸が認められる。

 また、高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者居住安定確保法)は、これまで国土交通省の所管だったが、改正によって国土交通相と厚生労働相が、高齢者向けの賃貸住宅や老人ホームの供給目標などについて省庁を超えて基本方針を定めることができるようになる。

 本法案が可決されれば、高齢者円滑入居賃貸住宅の拡充がしやくすくなる。 たとえば、賃貸人(建物オーナー)は、福祉法人などの大口の賃借人を得ることができるため、不動産事業者などが高齢者円滑入居賃貸住宅事業への参入しやすくなる。

丹波 高齢者の緊急通報体制、独居の65歳以上全員に 丹波市

2009年01月28日 神戸新聞

 丹波市は二十七日までに、一人暮らしの高齢者が急病などの緊急時に通報用ペンダントなどで消防署へ通報できる「緊急通報体制」について、健康面や年齢の要件を緩和し、来年度から原則一人暮らしの六十五歳以上全員を対象とすることを決めた。見直しにより、対象者は現在の約四倍に拡大する。秋の運用開始を目指す。(仲井雅史)

 緊急通報体制は、事前に登録した高齢者が通報用ペンダントのボタンを押すと、自動的に市消防本部に通報され、登録者の近くに住む民生委員や近親者らの協力者を呼び出して安否確認をしてもらう仕組み。現行は、健康に問題がある一人暮らしの七十歳以上が対象で、四百六十八人が登録している。

 資格要件の見直しは、来年度に予定している市消防本部の受信システム更新に合わせて実施する。健康状態にかかわらず、六十五歳以上の一人暮らし全員を対象とするほか、家族らと同居でも日中に一人になるお年寄りも対象とする予定で、市は約二千人の利用を見込む。

 新たな対象者にはペンダントによる通報システムではなく、家庭にあるプッシュ式電話機の短縮ボタンを押すことで、消防本部に登録者のデータが表示される仕組み。ペンダントによる通報システムは順次、電話方式に切り替えていく。電話機購入の補助制度も導入する。

 市福祉部は「一人暮らしの高齢者が安心安全に暮らせる体制を拡充したい」としている。

タケシバ電機、独居高齢者の安否確認、分電盤の状況で。

2009年01月27日 日経産業新聞

 【横浜】電子機器製造のタケシバ電機(神奈川県相模原市、吉村美和子社長)は、独り暮らしの高齢者の安否確認ができる装置を開発した。二月から発売する。分電盤の電流の変化を把握して高齢者が普段通りに生活しているかどうかを判断する。誰にもみとられずに亡くなる「孤独死」防止につながりそうだ。

 商品名は「独居人ウイキャンシステム」で分電盤に接続して使う。大きさは幅十五センチメートル、奥行き十一センチメートル、高さ四センチメートル。家電製品を使えば分電盤を流れる電流が変化することに着目した。電流に一定時間、変化がなければ異常が起きた可能性が高いことから、家族や管理人などに電子メールで知らせる。

 マンション開発会社(デベロッパー)や集合住宅の管理会社、地方自治体で公営住宅を担当している部局に採用を呼びかけていく。価格は七万円を想定している。

高齢者宅の改修支援 国交省、自宅担保融資を拡充

2009年01月20日 asahi.com

 高齢者が住みやすい住宅の整備を進めるため、国土交通省は09年度から、自宅を担保にした融資「リバースモーゲージ」を活用した支援策に乗り出す。高齢者が自宅を改修してバリアフリー化する際などに、民間金融機関などのリバースモーゲージを利用しやすくするため、住宅金融支援機構が保証を引き受ける。融資拡大で、住宅整備を促進したい考えだ。(座小田英史)

 リバースモーゲージは「逆抵当融資」と訳される。借り手(高齢者)が自宅を担保にして、家にそのまま住みながら生活資金などの融資を受ける制度。死亡、転居などの契約終了時に自宅を売却して借入金を一括返済する。

 欧米では、高齢者の資金調達手段として定着している。米国では年間数万件の取り扱いがあるという。国内では自治体や中央三井信託銀行や東京スター銀行、旭化成ホームズなどが扱っている。

 ただ、海外の住宅は土地だけでなく、中古の建物も高額で取引されるため、担保価値が高い。一方、日本は住宅の寿命の短さなどから、建物の価値が低い。担保価値は土地の値段だけになりがちだ。そのため、担保の住宅は「土地の評価額が4千万円以上」などと厳しい条件がつくこともあり、普及していない。

 通常のリバースモーゲージは生活資金など使途が自由だが、今回は、高齢者が住宅の質を良くする場合に使途を限ることで、1口300万〜500万円と比較的小口の融資に絞る。住宅政策の一つとの位置づけだ。

 具体的な仕組みは、住宅金融支援機構が民間金融機関の住宅ローンに対して行っている「住宅融資保険制度」の保証対象にリバースモーゲージを加える。住宅ローンと同様に、貸し倒れが発生した場合、民間金融機関との間に結んだ保険契約に基づき、同機構は未回収金を金融機関に支払う。

 国交省は09年度予算で、同機構に50億円を出資する方針。バリアフリー化や、2世帯住宅への増築を対象に想定している。当面は約5千戸分の保証を行う予定だ。

独居高齢者悲し、孤独死が増加 県内

2009/01/09 岩手日報

 高齢者が誰にもみとられずに亡くなり、何日も発見されない「孤独死」が県内でも増えている。県警によると、独り暮らしの高齢者が死亡後に見つかった事例のうち、約40%は2日以上たっており、2008年には自宅で約2カ月後に発見されたケースもあった。高齢化や核家族化が進む中、こうした例は今後も増える可能性があり、県は地域特性などに応じた安否確認の推進を呼びかけている。

 県警捜査一課によると、独居高齢者(65歳以上)が死去後に見つかったのは04年が132人。以降、年々増えて07年は228人に達した。このうち死後2日以上たっていたケース(死後変化に基づく推定)は各年とも全体の37―40%台を占める。

 08年の場合、10月末時点で202人のうち77人(38・1%)が2日以上たってからの発見。内訳は「2―3日」37人、「1週間以内」23人、「30日以内」14人―と続く。

高齢者見守りネットづくり支援 県がマニュアル、普及へ研修会も

2008年12月16日 下野新聞

 高齢者虐待や認知症による徘徊などが社会問題化する中、高齢者を地域で見守るネットワークづくりを進めるため、県保健福祉部は十五日までに、その手法をまとめたマニュアルを策定した。主に市町が直営や委託で運営する地域包括支援センター向けのもので、地域の課題把握から立ち上げ後の支援までの取り組みを具体的に盛り込んだ。同部によると、こうしたマニュアルは全国でも珍しい。

 ネットワーク構築には、地域包括支援センターによるコーディネートが求められている。しかし取り組みに地域差があることなどから、県が基本的な手法をマニュアル化した。

 マニュアルによると、ネットワークは地域の各種団体やボランティア、関係機関、医療、介護の専門職などで構成する。高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、安否の確認や専門家への橋渡しなどの支援を行う。

 中学校区をネットワークのエリアと想定。ネットワーク立ち上げの前段として、関係者の洗い出しや情報共有化の方法、共通理解への働きかけ方など、事例を挙げ説明している。

 立ち上げのポイントでは、自治会、民生委員協議会、社会福祉協議会の三者を基礎的な構成とし、小さなネットワークから拡大することが有効と指摘している。

 また、地域包括支援センター職員の経験にばらつきがある実態を踏まえ、県がアドバイザーを派遣するとしている。県は、既に十一月から栃木市と高根沢町に派遣している。

 同部は「地域の実情に合わせ工夫しながらマニュアルを活用してほしい」と呼び掛けており、十九日には市町と同センター担当者の研修会を開くなどし、普及を図る。

孤独死ゼロ目指して 単身高齢者向けサービスに注目

2008年12月15日 NSJ日本証券新聞

 ここ数年、独り暮らし高齢者の増加に伴って、「孤独死」の増加が社会問題としてクローズアップされている。孤独死の背景には、高齢化や核家族化、また近隣地域住民との関係の希薄化、失業やリストラ、離婚の増加など、さまざまな要因が絡み合っていると考えられる。

 厚生労働省は2007年度から「孤立死ゼロ・プロジェクト」を立ち上げ、孤独死を地域福祉の観点から防止する対策を打ち上げた。ただ、防止対策が始動したばかりということもあり、いまだ抜本的な解決策はないといえる。

 各自治体や県営団地などの民間団体が主体となって、シンポジウムの開催や住まいの環境作りなど、独自の孤独死対策を実施している。超高齢化社会を迎える中、単身高齢者向けのサービスは今後さらに重要性が増してこよう。

 核家族化が定着した現在では、子どもが独り身の親を心配して同居を勧めても、「気を使うから」と敬遠されてしまうことも少なくない。

 こうした中で、親、子問わず高い評価を集めているのが「高齢者専用賃貸住宅」。入居者はそれぞれ“住居”を持つためプライベートが守られる一方、共有スペースを交流の場として過ごすこともできる。施設はバリアフリーが基本だが、そのほか介護福祉士が24時間体制で常駐していたり、福祉施設が併設されていたりなど、任意の付加的サービスも魅力の1つだ。何より、老人ホームと比較して割安なのが人気の秘訣。

 メッセージ(2400・JQ)は老人ホーム運営が主力だが、足元では「高齢者専用賃貸住宅事業」を本格展開。9月中間期の同事業の売り上げは、前年同期比3倍超と急成長している。

 こうした高齢者向け住宅には、介護福祉士の存在は不可欠といえる。ツクイ(2398・JQ)では医療・介護を中心とした人材派遣事業において、営業拠点の拡大を図っている。今上期(4―9月)は18カ所を開設、9月末現在で全国409カ所の事業所を持つ。介護サービスのケア21(2373・HC)も11日、利用者増加が寄与し計画を上回る好決算を発表した。訪問介護で24時間巡回サービスに強みを持つジャパンケアサービス(7566・JQ)にも注目だ。

 不動産情報サイトを運営するネクスト(2120・東マ)のほか、エス・エム・エス(2175・東マ)、プロトコーポ(4298・JQ)などでも高齢者住宅情報サイトを運営するなど、高齢者向け住宅ビジネスに商機を見いだす企業は少なくない。

 また、付加サービスとして位置づけられる「安否確認システム」では、シンクレイヤ(1724・JQ)、システムディ(3804・HC)も関連として挙げられる。

 一方、孤独死が高齢者だけの問題ではないことも忘れてはならない。実際に、50―60歳代の孤独死も多く発生している。熟年離婚やリストラを経験し、独りの生活・老後に不安を覚える人が増えている中、中高年のお見合いビジネスが活況を呈しているという。結婚情報サービスや交流パーティーなどを手掛けるツヴァイ(2417・2部)にも注目しておきたい。(Y)

災害時避難に一役 「孤独死」防止へ、支え合いマップ作製

2008年12月10日 琉球新報

 【浦添】一人暮らしの高齢者や障害者らに必要な支援を提供するため、浦添市の港川中校区で活動する民生・児童委員や自治会、行政などが連携した「支え合いマップ」作りが進んでいる。9日には浦添市社会福祉センターで約60人が参加して研修会が開かれ、各自治会ごとに支援が必要な人の詳しい情報を盛り込んだマップがほぼ完成した。災害時の避難に役立てたり、普段から独居高齢者を訪ねて「孤独死」防止に活用するなど、地域で高齢者らを支える。

 研修会では那覇市社協の高野大秋さんを講師に、校区内の10自治会ごとにマップを作製。地図上に支援が必要な人の住む場所に印を付けながら「高齢者で本人が病気だが、同居家族も最近入院した。別居の家族も週に一度しか訪ねられない」「目が見えにくいが、アパートの3階に住んでいる」など、参加者が情報を提供。日常的な支援や災害時の対応の在り方を詳細に書き込んでいた。

 今後はマップを基に、支援が必要な人の戸別訪問などで本人の意思を確認。マップと合わせた「個別支援台帳」を作り、一人一人に合わせた支援の方法を考える。

 港川中校区を管轄する浦添市第4民生児童委員協議会の立津美穂子会長は「要支援者の立場から優しく、ぬくもりのあるマップが作られるよう願っている」と話していた。同校区を皮切りに、残る4中学校区での支え合いマップも進める。

 マップ作りは全国民生児童委員連絡協議会の補助事業(2年間)で今年は港川中校区を含め、全国で10カ所が選ばれた。同校区のマップ作製には民生・児童委員のほか、自治会、社会福祉協議会、市の福祉関係職員も参加して、地域と行政で情報を共有するのが特徴。県内でも那覇市などで支え合いマップ作製が進んでいるが、行政との情報共有は例が少ないという。(金城潤)

NTT Comと三菱電機、独居高齢者見守り・テレビ番組リマインドなど情報家電の実証実験を開始

2008年12月04日 RBB TODAY

 NTTコミュニケーションズ(NTT Com)と三菱電機は3日、情報家電の利活用モデルのフィールド実証実験を実施することを発表した。総務省が2006年〜2008年の間に実施する「情報家電の高度利活用技術の研究開発」に基づき、情報家電の設定を簡素化する技術や高度な認証技術について、検証評価を行う。

 具体的な実験は「テレビ番組リマインドサービス『かざしてリマインダー(仮称)』」および「独居高齢者見守り・健康サポートサービス『みまもりアシスト(仮称)』」の2実験。『かざしてリマインダー』では、日本テレビと協力のもと、テレビ番組広告と番組リマインドメール登録が一体となったサービスにおいて、設置機器端末へのソフトウェア配信のシステム負荷・レスポンスタイムなどの検証・評価を実施する。実験期間中に日本テレビとNTT Comで誰でも体験可能で、対象モニターは、おサイフケータイをかざすだけの簡単な操作で、手軽にサービスの登録が可能。

 『みまもりアシスト(仮称)』では、安全センターの協力のもと、独居高齢者宅のドア、ふすま、冷蔵庫などに振動センサを取り付け、家庭内での活動情報を機器認証によるセキュアなネットワークを介して蓄積・解析する。これにより、人のアルゴリズム情報をソフトウェア配信機能により変更することでのシステム負荷・レスポンスタイムなどの検証・評価する。モニターに対しては、蓄積した情報から健康状況や安否状況を把握し、安全センターの「健康・医療型緊急通報サービス」を補完するものとなる。対象モニターは安全センター「健康・医療型緊急通報サービス」利用者のみとなる。(冨岡晶@RBB)

独居高齢者宅を訪問し耐震修繕 建労、各地で奉仕活動

2008/11/17 徳島新聞

 南海・東南海地震の発生時の被害を小さくしようと、徳島県建設労働組合徳島市内協議会(荒木清春代表)は十六日、市内で一人暮らしをする高齢者宅十七戸を訪ね、家具に転倒防止金具を取り付けた。今回で四回目。

 大工の組合員十六人が参加。同市金沢一の無職原親さん(85)宅には四人が訪れ、食器棚やたんすに金具を取り付けて固定した。原さんは「これで地震が来ても安心」と話していた。

 また、石井支部(高木望支部長)も同日、組合員二十人が石井町内の独居老人宅約三十戸で、家屋の修繕などの奉仕活動に取り組んだ。今年で二十五回目。

 玄関の段差解消に、踏み台を取り付けてもらった西岡佐代子さん(82)=石井、無職=は「段差がなくなり、とても便利」と喜んでいた。

孤独死ゼロ作戦 あいさつ運動や「いきいきサロン」 千葉・常盤平団地の実践

2008年11月02日 西日本新聞朝刊

 急速に進む高齢化、ニュータウンや団地、マンションにおける1人暮らしの増加、そして希薄化する地域社会のつながり。誰にもみとられずに最後を迎える「孤独死」がいま、深刻化している。孤独死を防ぐ、有効な手だてはあるのだろうか。住民主導でいち早く「孤独死ゼロ作戦」に取り組み、全国的に注目を浴びている千葉県松戸市の常盤平団地を訪ねた。 (東京報道部・塚崎謙太郎)

 背の高いケヤキ並木が、50年近い団地の歴史を感じさせる。平日の昼下がり、並木通りに面した商店街の一角からにぎやかな笑い声が響く。

 空き店舗を活用した「いきいきサロン」は、自治会と社会福祉協議会が取り組む孤独死予防の一環として、昨年4月にオープンした。年末年始の5日間を除き、毎日午前11時−午後6時まで、団地や近隣の中高年が訪れている。利用料は1回100円。民生委員を中心とするスタッフ16人が毎日2人ずつ常駐し、コーヒーや昆布茶を無料で提供する。

 常連の羽深徹也さん(71)は「1人暮らしは話し相手がいないのが一番つらいこと。こういう場があると安心する」と笑顔を見せる。飯倉力男さん(71)も「1人で部屋にこもりテレビを見ていても、死ぬのを待つようなもの」と話し、2日続けて姿を見せないときは、電話をもらうようにスタッフに頼んでいる。電話に出なければ、「部屋に踏み込んでほしい」とも。

 サロンには、テレビや囲碁・将棋、雑誌などの娯楽は一切置いていない。孤独死対策を率いる常盤平団地自治会長の中沢卓実さん(74)は「娯楽というモノがあっても人がいなければ、その部屋はサークル活動にしか使われない。自治体が安直に設置したサロンはどこもそういう状況だ。人と人とのつながりを取り戻す、という理念がなければ、孤独死予備軍の独居者は足を運んでくれないのです」と説明する。

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 同団地が孤独死対策に取り組んだきっかけは、2001年春、1人暮らしの男性=当時(59)=が死後3年たって白骨化して見つかったことだった。近所付き合いがなく、家賃は口座引き落としのため、誰も気付かなかった。住民に大きな衝撃が走ったが、孤独死防止に「何をすればいいのか」と分からないまま、翌年も死後4カ月の男性が見つかった。

 危機感を募らせた住民たちは02年夏から「孤独死ゼロ作戦」を開始。「最近顔を見ない」「郵便物がたまっている」などの異変を知らせる緊急通報体制「孤独死110番」を整備し、異変に対応すべく新聞販売店や鍵専門店とも協定を結んだ。住民たちは日常的に、あいさつ運動や見守り活動に取り組み、自治体や警察ともネットワークを構築している。

 これらの取り組みは一朝一夕に生まれたものではない。ピーク時には2万人、現在は約5300世帯8000人が暮らす同団地では、古くから住民自治活動が活発に行われてきた。長く培ってきた地域社会のつながりが基盤になっている。

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 現在、孤独死は全国で年間2−3万件起きていると推計されている。常盤平の実践をモデルに、厚生労働省はようやく昨年度から「孤立死防止」事業を始めた。中沢さんの精力的な講演行脚で、全国各地の住民たちも動き始めている。

 常盤平団地では、年間10件前後の孤独死があるが、3日以内には発見できるようになった。

 高齢化や近隣関係の希薄化、核家族化という従来の課題に加え、長期不況による失業者の増加、産業構造の変化、家族関係の崩壊という新たな問題は、ますます「孤独死」を増やす要因となることは間違いない。

 中沢さんは「孤独死を人ごとと思わず、自分たちの問題ととらえてほしい。死は生の鏡、住民自らが取り組むことが重要だ」と訴えている。

独居高齢者に昼食会 息長く30年 陶化ボランティアクラブ

2008年09月09日 Kyoto Shimbun

 京都市南区の陶化学区で、独り暮らしの高齢者の昼食会を毎月開いている主婦らの「陶化ボランティアクラブ」が、設立30周年を迎えた。高齢化で地域の独居老人は近年増えており、メンバーは「自宅で孤独に陥りがちなお年寄りの憩いの場を大切にしていきたい」と話している。

 クラブは民生児童委員らで1978年5月につくった。独居老人対象の昼食会としては市内で先駆けだった。「はざくら会」と名付けた昼食会は当初、地元の保育園で開き、13年前に新設されたデイサービスセンターに会場を移した。

 参加者は当初、12、3人だった。年々増え、近年は80歳以上か障害者に限っているが、50人前後に及ぶ。10年以上通う金森貞子さん(91)は「おいしくて、知らない人とも仲良くなれて楽しい」と感謝する。

 現在のメンバーは40代から80代までの約40人。3班に分かれ、当番の班が毎月の昼食会の2日前に献立を話し合い、前日に買い出しに出かけ、当日は午前8時から調理する。

 会長の名手和子さん(76)は「みなさんが毎月、心待ちにしてくれている。ボランティアも和気あいあいと楽しんでおり、これからも地道に続けていきたい」と話している。

IT機器で無事確認 見守りサービス広がる

2008年07月23日 中日新聞

 離れて住む親などの様子を、IT機器で確認する「見守りサービス」が多様化している。生活に密着した道具や、ライフラインの情報を元に高齢者の動きを伝える。高齢化でニーズは高まるが、利用の広がりを阻む問題もあるようだ。 (広川一人)

 「お茶飲むだけだからね、楽でいいよ」

 東京都豊島区で一人暮らしをする高橋包子(かねこ)さん(92)は、象印マホービンの電気ポット式見守りサービス「みまもりほっとライン」を愛用している。居間のポットから湯を注いだ時刻や電源を入れた時刻が、毎日定時に地域の医療機関の担当医師にメールで送られる。

 日ごろ高橋さん宅を訪問、ポット使用情報を受ける網野皓之医師は「日常の生活リズムが分かり無用な心配がなくなった」と効果を話す。

 同社がこのサービスを始めたのは、二〇〇一年。ポット利用情報を別居する家族や提携先の医療機関に送る。利用者は毎年五百人ずつ増え、現在三千五百人が使う。サービス加入費用が五千二百五十円、利用料は月三千百五十円かかる。

 利用拡大の背景について、同社は「宅配便で送られる設定済みポットでお茶を飲むだけという手軽さと、見守りを感じさせない『さりげなさ』」と分析する。

抵抗感、苦戦も

 一方、利用者拡大に苦戦するサービスもある。

 東京ガスが〇二年に始めた「みまもーる」はガスの使用量や使用時間を、定期的に指定したメールアドレスに通知する。使用状況から、食事の支度や入浴などの確認ができる。費用は加入料五千二百五十円、月千五百四十三円の利用料と象印のサービスに比べ割安だが、契約数は百三十三件とやや低調だ。

 LPガスの使用量を検針、通知する自動検針会社NTTテレコンの「安心テレちゃん」も状況は同じ。〇五年にサービスが始まったが、「利用は三けたに届いていない」(同社)という。

 撤退を検討する事業者もいる。松下電工ロケーションシステムズが〇二年に始めた「みまもりネット」は寝室やリビングなどにセンサーを設置。いつどこにいたか、登録したメールアドレスに送る仕組み。利用者は四百人いるが、伸び悩んでいて一二年までの事業終了を検討中だ。

 利用が伸びない理由について東京ガス広報部は「見守りたいニーズと見守られるニーズ(了解)がマッチしないため」とみる。同社のサービスはいつ食事したか、いつ入浴したかなどプライバシーに踏み込んだ状況まで分かってしまうため、見守られる高齢者に抵抗感があるようだ。

 駿河台大学の井上勝也教授(老年心理学)は「一般の高齢者はもちろんだが、特に認知症初期は、自身の体調の異変に気づいていて落ち込んでいる。その上に見守られると、『もう自分一人の力で生きていけないのでは』と不安にさせる。使い方を間違えると『監視システム』になる」と指摘する。

 その上で「逆に中期以降の認知症では、積極的な見守りが必要だろう。心臓疾患のある人も守ってほしいと思っているなど、身体・精神的ニーズを把握し、プライバシーに配慮する必要がある。見守りたい家族と見守られる高齢者がどういった見守りがいいのか事前に話し合うことが大事だ」とアドバイスする。

独居高齢者の生活守る

2008年05月26日 読売新聞 Yomiuri On-Line

コンビニ商品 移動販売1か月

 江府町などでスーパーなどを展開する安達商事(安達享司社長)が、山間地の集落を巡る移動販売車「ひまわり号」に、コンビニエンスストア大手のローソンの弁当や総菜などの商品を載せて1か月がたった。全国初の試みで、コンビニが得意とする「少量売り」など一人暮らし向け商品が、独居の高齢者世帯を中心に好評で、この1か月の売り上げは前年同期より8%増えた。一方、マイカーなどの交通手段を持たない高齢者が、移動販売に頼らなければならない過疎の課題が浮き彫りになっている。(米子支局 石原敦之)

 江府町内の山あいの集落に、週2回訪れるひまわり号が、住民からリクエストされた演歌を流しながら到着した。防災行政無線が到着を知らせると、住民が1人、2人と集まってきた。職員と談笑しながら車内の冷蔵庫や棚から商品を選び、提げてきた買い物袋いっぱいに買い込んでいく。

 客のほとんどは70、80歳代。農業女性(76)は「車を運転できず、バス停も遠い。町の中心部まで出かけるのは大変なので、近くまで来てくれる移動販売は助かる。商品を選ぶのも楽しみ」と話す。

 江府町内は65歳以上の高齢化率が約38%で県内3位。集落は谷あいに点在するうえ、町の中心部から10キロ以上も離れている所もある。交通手段を持たない高齢者にとって、移動販売は日常生活に欠かせない。

 安達社長は「農繁期と重なり、すぐに食べられる米飯類が特に好評だった。弁当の予約も入るようになるなど反響は大きく、一人暮らし向け商品の需要の高さを実感した」と手応えを感じている。

 ローソンは「地域密着の店舗経営を目指す」として移動販売に乗り出したが、続く動きは見られない。むしろ、過疎化に伴い、スーパーは統廃合の流れだ。安達商事の店舗や移動販売もJA鳥取西部などが支所を統廃合した中で引き継いだものだ。安達社長は「地域の高齢者たちの暮らしを守りたかった。このままでは地域はますます活気を失ってしまう」と振り返る。

 江府町は「なくてはならない存在」と期待をかけるが、財政が厳しく、支援は移動販売の路線の除雪を優先し、防災行政無線を無償で提供するよう自治会に呼びかけるくらいだ。

 高齢化率が40%を超える日南町では、JAスーパーの引き受け手がおらず、ここ数年で7店舗中3店舗が閉鎖された。町中心部から20キロ近く離れた集落で閉店したものもあった。町は、高齢者が買い物や通院で利用できる有償送迎の実施を検討している。

 こうした高齢者世帯の孤立は、ほとんどの山間地域に共通する課題だ。地域の危機を〈ビジネスチャンス〉に転じる安達商事のような企業を支え、育てる対策が行政には急がれる。

孤独死防止 隣人・友人、大きな役割

2008/05/26 河北新報社

 一人暮らしが増え、誰にもみとられずに亡くなる孤独死が深刻化している。全国で年間2万5000―3万人にも上る。一方で、身近な隣人や友人が、孤独死寸前の人を見つけて救助する確率が高いことを福川康之・聖徳大准教授(心理学)らが確かめた。孤独死防止に地域ぐるみで取り組む千葉県松戸市の常盤平団地の事例を調べた結果だ。

 東京近郊にある常盤平団地は、1960年から入居が始まった。国内で最も初期の公団大規模団地だ。高齢化が進んで人口は70年代から半減、約5400戸に約9000人が住む。65歳以上の高齢者は当初いなかった。今は32%も占め、約1200戸が一人暮らしだ。

 この団地で2001年から孤独死が増え始めた。見回りや一人暮らしの登録など、自治会と地区社会福祉協議会、民生委員が連携して「孤独死ゼロ作戦」に取り組んだ。

 福川准教授らは同団地に設置された「まつど孤独死予防センター」に2000年から07年まで報告のあった65のケースを分析した。

 このうち孤独死と判定されたのは31人。男性が19人で女性より多かった。年代構成は男女で大きく異なっていた。男性の孤独死は50代以下が最も多く、60、70代になるにつれ減っていた。離婚や未婚に失業も重なる一人暮らしの男性が目立つ。福川准教授は「男性の孤立化は中年から始まる」とみる。

 女性の孤独死は50代以下になく、4分の3は70代以上だった。

 孤独死を疑って通報された65例について、第一発見者(通報者)が(1)子どもやきょうだい、親せきなどの親族(2)隣人や友人など(3)民生委員や公団職員、新聞配達員など―に分けて、調べた。

 親族の発見は9例にとどまった。1人を除いて孤独死や自殺だった。隣人や友人らが発見したのは30例で、救助率は最も高く、30%に上った。民生委員らが発見したのは26例で、孤独死は42%、誤報が多かった。

 親族以外の人々の発見で12人が救助された。孤独死した場合も周りが異変に早く気付き、死後3日以内に見つかるケースがほとんど。これは住民活動の成果といえる。

 福川准教授は「孤独死防止には、暮らしぶりをよく知っている隣人や友人とのネットワーク強化が有効だ」と指摘する。

 孤独死ゼロ作戦を進める常盤平団地自治会の中沢卓実会長は「孤独死は生活習慣が原因だ。飲んだくれて、人とコミュニケーションの下手な男性が危ない」と強調する。

 同団地の孤独死予防活動では住民同士のあいさつを重視する。「向こう3軒両隣のあいさつは人と人のきずなをつくる元だ。一番安上がりで効果的対策だ」と中沢さん。

 一連の活動のおかげで「年寄りも安心して住める団地」と評判が上がって、入居希望者が多く、空き家はないという。中沢さんらが2月に出版した「孤独死ゼロ作戦」(本の泉社)はこの住民活動の貴重な記録だ。

孤立死予防…安否確認や見守り 欠かせぬ地域支援

2008年04月17日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 一人暮らしの高齢者などが、地域から孤立した状態で亡くなる「孤立死」が問題になっています。

 高齢者の孤立死は、1995年の阪神大震災の際、クローズアップされました。誰にも看取られずに亡くなるリスクは、高齢化や核家族化が進み、単身あるいは夫婦だけで暮らす高齢者世帯が広がっている現在では、ますます高まっているといえます。

 高齢になると、病気や障害などで家の中に閉じこもりがちになります。中には、死後、数か月から数年たって発見されることもあります。「老老介護」などで、介護している人が急死したために、介護を受けていた高齢者が孤立して亡くなるという痛ましいケースも報告されています。

 孤立死の危険があるのは、高齢者だけではありません。千葉県松戸市にある団地では、2001年に、離婚して一人暮らしの59歳の男性が、死後3年たって発見されました。失業で経済問題などを抱えがちな中高年男性に、孤立死の危険性が高いという指摘もあります。

 孤立死を防ぐため、厚生労働省は昨年度、「孤立死ゼロ・プロジェクト」に取り組み、全国78か所で、住民による見守り活動や、緊急時の消防通報システムなどのモデル事業が行われました。

 また、有識者による「高齢者等が一人でも安心して暮らせるコミュニティづくり推進会議」を開催し、先月末に報告書がまとまりました。

 報告書では、気軽にあいさつを交わしたり、さりげなく社会参加を促すことができるような地域社会づくりを提案しています。孤立の恐れのある人の情報を集めた台帳づくりや、電気やガスなどの使用状況を感知する安否確認システムの活用など、具体的な対策も盛り込んでいます。

 孤立死をテーマにしたシンポジウムを開催したり(東京都新宿区)、単身高齢者を対象に、絵手紙を使った安否確認を行っている自治体(岐阜県飛騨市)もあります。

 中には、孤立しても、支援を望まない人もいます。地域とのつながりを強めつつ、適度な距離をおいて見守る仕組みが必要です。高齢者自身も、地域と積極的にかかわりを持つ意識改革が求められています。(飯田祐子)

独居高齢者らの孤立防げ 全希望者に緊急発信器 諫早市 GPS付き配備開始

2008年04月08日 あんしんあんぜんトピックス

 長崎県諫早市は、市内の65歳以上のお年寄りを対象に、急病や事故の際に緊急通報ができ、衛星利用測位システム(GPS)で居場所も確認できる通信機器の配備事業を始めた。認知症のお年寄りを対象としたGPS機器の配備は全国の自治体に広がっているが、緊急時の発信機能もついた機器を希望者全員に配備する例は「全国でも聞いたことがない」(同県長寿社会課)という。

 機器は手のひらサイズで、緊急時にボタンを押すと警備会社につながり、25分以内に駆け付けることになっている。家族もパソコンなどで現在位置を確認できる。

 利用料(月額840円)と警備会社の出動料(1回1万500円)は、所得に応じて市が全額から4分の1を負担。生活保護世帯などの低所得者は5250円の機器代も市が全額負担する。

 同市内の65歳以上のお年寄りは約3万人。市は、独居や高齢者夫婦など機器が必要なお年寄りは約1000人とみており、本年度予算には約300人分の約400万円を計上。希望者が増えれば、新たな予算措置を検討する。

 市高齢介護課の古賀良一課長は「行政が機器の配備にかかわることで、高齢者の現状を素早く把握できるのが最大の利点」と話している。

(4)独居高齢者/安否確認家電が一役

2008/01/25 河北新報社

 年を取ると、住み慣れた土地を離れるのは気が進まない。遠くに暮らす子どもは心配だ。毎日の様子を自動的に伝える機器があれば、役に立つのではないか。

 「東北への進出を考えている。山間地や豪雪地帯ほど、わが社の開発したカデモの需要は大きいはずだ」

<メールで利用情報>

 山口県周南市の情報通信会社「周南マリコム」の堀信明社長(63)は東北に熱い視線を送る。カデモとは、「家電モニタリング」から名付けた同社の商品だ。家電を通して、高齢者の単身生活を遠隔地から見守るシステムで、山口県産業技術センターと共同で開発した。

 親機と子機3台の構成で、子機に家電製品のコードを挟む。子機は流れる電流を感知して家電の利用頻度を記録。その情報をNTTの回線を使い、電子メールで1日2回に分けて送る。見守る側の携帯電話やパソコンには例えば、こんなメールが届く。

 <生活状況のお知らせ>(1月24日9時現在)

▽リビングテレビ(23日19時27分―23時56分)

▽電子レンジ(23日20時―20時1分)

▽寝室テレビ(23日23時59分―24日0時8分)

 高齢者が倒れた場合を想定し、長時間未利用が続いた場合もメールが届く。堀さんは「いくら心配でも、四六時中カメラで見張るわけにはいかない。プライバシーに配慮し、互いに負担感のないようにした」と言う。家電は生活必需品。使われていれば、元気な証拠というわけだ。

<「離れても安心感」>

 機器代は12万円、使用料として月3800円掛かる。2006年1月に発売し、山口県内を中心に約70組が利用している。「遠くにいても、近くにいるような安心感がある」と好評で、さらに利用が拡大しそうだ。

 独居高齢者の見守りサービスは2000年代に本格化した。草分けは象印マホービン(大阪)が01年に全国で提供を始めた「iポット」。無線通信機を内蔵した電気ポットの利用状況が、「6時26分電源、6時45分給湯」といった具合に1日2回メール送信される。

 仙台市太白区の会社員林慶昭さん(50)は、03年春からiポットを契約している。父親が病死し、大崎市古川の母親(79)が独り暮らしを始めたのがきっかけだ。仙台での同居も誘ったが、母親は近所付き合いもある住み慣れた所を望んだ。

<生活リズムを測る>

 電話は週1回かけ、月に1度は訪ねる。母親の健康状態もほぼ良好。だが、不安は消えない。「万が一、一人で倒れたまま発見が遅れるということは避けたいんです」

 母親は毎食後のお茶が習慣で、そのたびにポットを使う。このためメールで届くポットの利用状況は、生活リズムを測るバロメーターでもある。

 林さんは「見えないけど、つながっている感じがする」と語り、母親は「いつも見てもらえてると思うと安心だ」と言う。費用は契約料5250円、利用料が月3150円。年間約500件の新規申し込みがあり、約3000組が利用する。

 05年国勢調査によると、全国の65歳以上の独居者は405万人で、2000年に比べ33%増えた。高齢者全体の15%を占め、男性の10人に1人、女性では5人に1人が独り暮らしだ。

 今後も増加が見込まれる独居者対策として、名古屋市では、東邦ガスと市水道局、NTTが、居住者のガス・水道使用量を常時把握し、安否確認に生かすシステムを開発した。10年ごろの実用化を目指す。

 家電やガス、水道。ライフラインを活用した見守りが、高齢社会の新たなセーフティーネットになりつつある。

◎記者ログ〜取材ノートから〜/従来型の制度も大事に

 独居高齢者の見守りは、民生委員の訪問や緊急通報システムの整備など、福祉行政の枠で行われることが多かった。そこに企業が参入し、利用者の選択肢が増えていることが、最近の特徴だ。高齢社会の不安の一断面といえる。

 カデモを開発した周南マリコムは、1989年に誕生したベンチャー企業だ。港湾無線局を運営する傍ら、「24時間体制で港を守るノウハウは福祉にも生かせる」と考え、独居高齢者のSOSに応じる緊急通報・生活サポート事業を99年に始めた。看護師ら相談員の電話応対が好評で、中国・九州地方で約1万人が利用する。

 企業のサービスはきめ細かくて便利だ。ただ、経済的な理由などから使えない人もいる。行政が担ってきた従来型の安否確認制度も、引き続き大事にしてほしい。(F)

孤独死防止に見守り役配置 全国100カ所に厚労省

2008.01.07 MSN産経新聞

 リストラや少子高齢化で「孤独死」は社会に広がっているとされる。こうしたなか、厚生労働省が4月から全国100カ所に配置する地域福祉の「見守り役」は、「コミュニティーソーシャルワーカー(CSW)」と呼ばれる専門員。厚労省は「孤独死ゼロ」を目標に対策を強化しており、地元住民が安心して暮らせるような支援体制の確立を目指す。

 厚労省によると、孤独死は平成16年度、東京23区内で2718人に上った。同省は、は昨年8月、孤独死防止に取り組む自治体を支援する「孤独死ゼロモデル事業」を開始。普及啓発を目的にしたシンポジウムの開催や相談窓口設置などの対策について、手をあげた自治体に事業費を補助している。

 同省の地域福祉のあり方に関する検討会でも、孤独死対策として、見守りや声かけといった地域単位のつながりの必要を指摘する意見が出されている。

 CSWは社会福祉士やケアマネジャーを要員を確保。全国で100の公立中学校の学区をモデル地区として指定、それぞれに1人ずつ配置する。具体的には空き店舗などを利用し、既存の民生委員や福祉ボランティアの活動・情報拠点として整備。そこに集まった情報から地域の課題を把握して対応策を立案することなどが想定されている。

 孤独死以外にも児童虐待などの対応も想定しており、相談内容にあう行政機関やボランティア団体などを紹介する窓口としての役割を担うことも期待されている。

 事業期間は2年間。1モデル地区ごとに、人件費や拠点施設の整備費など700万円程度の事業費を想定。自治体と折半して拠出する。厚労省は取り組み結果を全国に紹介することで、孤独死などの対策の底上げにつなげたいとしており、「全国的に根付かせていければ」としている。

孤独死、7年間で2・5倍に 都市再生機構の集合住宅

2008.01.07 MSN産経新聞

 都市再生機構が運営管理する賃貸住宅約77万戸(1806団地)で、「孤独死」が平成18年度に517人に上っていたことが分かった。平成11年度の死者数は207人で、7年間で約2・5倍となっている。独り暮らしで、誰にもみとられずに死亡する孤独死は社会問題となっており、厚生労働省は孤独死を防ごうと、今春から全国100カ所に「見守り役」を配置する新事業を始める。

 都市再生機構は自殺や他殺をのぞき、単身の居住者が誰にも気づかれないまま病死や変死したケースをまとめた。

 それによると、18年度に孤独死した517人のうち、64%に上る331人が独りで暮らす65歳以上のお年寄り。新聞がたまっていることから近所の住民が管理事務所に通報する場合や、連絡が取れずに訪れた親類などが発見する場合が多かったという。

 年度別では、平成11年度は207人だったが、15年度には300人を、16年度には400人を上回るなど、年間91〜13人増加している。

 お年寄りが占める割合も徐々に増えている。11年度が45%の94人だったが、12年度には52%(123人)と半数を上回り、15年度は60%(190人)に達している。

 同機構が行う定期調査では、運営管理する賃貸住宅では高齢化が進んでいる。12年に51・8歳だった世帯主の平均年齢は17年は54・3歳まで上昇。高齢者の割合も13・8%(12年)から20・4%(17年)まで増加しており、家族の死去などで今後一人暮らしの高齢者はさらに増える可能性がある。

 同機構の賃貸住宅は保証人が不要で、社会的弱者が利用しやすい背景があり、身寄りのない高齢者が利用しているケースもあるという。

 同機構は団地の自治会と連携し、独り暮らしのお年寄りを登録するサービスを進めているが、希望者を対象としているため効果が薄いという。

 同機構は「居住者の高齢化も進んでおり、単独での対策には限りがある。社会全体として取り組みを進めていかなければならない」と話している。

高齢者の孤独死深刻化 対策マニュアル策定へ

2007年11月19日 紀伊民報

 高齢化の進展に伴い、誰にもみとられないまま亡くなる高齢者の孤独死が深刻化していることから、県は来年度に対策マニュアルを策定するため実態調査を始めた。県が孤独死の対策に乗り出すのは初めて。まず実態を把握する必要があるとして、県の委託を受けた大学教授らが、民生委員にアンケートしたり、実際に孤独死の現場に遭遇した住民から聞き取り調査をしたりしている。

 県内の一人暮らし高齢者は、2007年3月末現在で4万8270人。前年同期の4万5069人から3201人増えた。さらに、将来推計人口(国立社会保障・人口問題研究所)によると、10年には4万8780人、15年には5万4764人、20年には5万7822人になると予測されている。

 一方で、高齢者の孤独死の実態ははっきりと分かっていない。何日以上放置された状態で見つかった場合を指すのか、自殺を含むのかなど定義づけがされていないためだ。

 県介護予防推進室によると、県内で1人暮らし高齢者が在宅で病死した件数だけでみると、06年度は167人。05年度の145人、04年度の133人から比べると増えている。孤独死防止の取り組みについては、市町村によって、しているところとしていないところとばらつきがあるという。

 このため、まず実態を把握する必要があるとして、今年8月ごろから、県内に約2500人いる民生委員にアンケートをしたり、老人クラブや各市町村、社会福祉協議会、包括支援センター、県警に問い合わせるなど調査を進めている。

 調査結果をもとに、県は、各市町村や社協などによる孤独死を防ぐためのネットワーク化や、対象世帯を見守る方法など地域の取り組みの指針となる「対策マニュアル」を作り、来年度から実践に移していく計画にしている。

「男性は交流少ない」

新聞配達員ら感想

 実態調査は花園大学大学(京都市)が委託を受けており、同大学の教授らは、和歌山県警の孤独死の統計を分析したり、民生委員などからアンケートや聞き取り調査をしたりしている。

 11月中旬には、同大学の教授らが田辺市を訪れ、新聞配達員やタクシー会社の介護タクシー運転手から、孤独死を発見した当時の状況や日ごろ感じていることなどの話を聞いた。

 配達員は、新聞がポストにたまると不審に思うので、近所の人に声を掛けることもあるというが「新聞や牛乳などの配達がない人はどうなるのだろう」と心配した。

 また、「比較的、女性は周囲との交流があるが、男性は少ない」「少し体調が悪くても、子どもらに心配をかけないようにと、言わない人が多い」「少額の年金で生活する厳しい状況の高齢者もいるようだ」とも話した。

 県介護予防推進室は「将来人口の推計をみても、総人口が減る一方で、一人暮らし高齢者は増えるばかりだ。できるだけ効果的な対策を考え、地域から孤立した高齢者や、孤立しそうな高齢者を救済していきたい」と話している。

『孤独死』を防げ 都内自治体本腰

2006年11月04日 東京新聞

 一人暮らしの高齢者らが自宅で亡くなり、気付かれない「孤独死」を防ごうと、対策に乗り出す自治体が増えてきた。東京都の六区八市一町の議会では、孤独死をめぐる問題が取り上げられた。江東区は一人で暮らす高齢者の生活実態調査に乗り出し、三鷹市や国立市などは地域ぐるみの見守り事業の拡充を計画。杉並、港、新宿の三区のように関係部署を横断する組織を設けて、縦割りの弊害をなくそうとする動きも広がりつつある。

 本年度に入って議会で孤独死についてやりとりがあったのは、新宿、江東、墨田、杉並、大田、港の六区と稲城、武蔵野、八王子、昭島、清瀬、東村山、西東京、三鷹の八市、大島町。

 杉並区の六月議会本会議では、高齢者問題に取り組む議員が質問に立ち「孤独死を社会全体の問題だと大きくしてみたり個人の問題だと小さく見て行政責任を回避したりするようなことがあってはならない。本気の施策と体制を」と迫った。

 区側は「高齢者の安全を守る事業が独立して行われ、対象となる人を総合的にとらえられていない。(医療、福祉、介護の窓口を一本化した)地域包括支援センターを中心に工夫をしたい」と答え、対策に乗り出すことを約束した。同区では、高齢者の効率的な安否確認を進めるため、来週中にも異変情報の集約と活用の在り方を話し合う「孤独死防止対策検討部会」(仮称)をつくる予定だ。

 江東区の六月議会本会議でも「団地やマンションが多い区内では、高齢者の孤立傾向が強い。一人暮らし高齢者への支援充実が求められる」と質問が出た。室橋昭区長は「十一月に一人暮らしの高齢者らを調査し、実態把握に努めたい」と答弁した。新宿区と千代田区でも新たに高齢者の実態調査を進めている。

 目黒、三鷹、国立、狛江の一区三市などは、地域住民と協力した見守りネットワークの拡充を図ることにしている。

 港区は、保健福祉支援部を中心に関係部署による検討組織を設置する方針を固めた。縦割りの弊害を乗り越えようと、全庁横断的な「孤独死対策連絡会議」を九月に設立した新宿区や近く発足する杉並区に続く試みだ。

 厚生労働省は、地域ぐるみで孤独死防止対策に取り組む市区町村をモデルに選定し、事業費の一部を助成する方針。

孤立死防止へ総合対策

2006年08月22日 読売新聞 Yomiuri On-Line

異変察知のシステム整備、介護サービスと連携…厚労省来年度

 厚生労働省は22日、一人暮らしの高齢者などが地域から孤立した状態で亡くなるのを防ぐ、「孤立死ゼロ・プロジェクト」を来年度に実施する方針を固めた。

 単身の高齢者世帯は今後増加が予想されることから、地域社会の再生を柱にした総合的な対策に本腰を入れる。国が、こうした防止策に本格的に乗り出すのは初めてで、2007年度予算の概算要求に1億7000万円を盛り込む。

 孤立死は、地域の支えを失い死亡することで、単身者が誰にもみとられることなく亡くなる孤独死や、高齢者世帯の夫婦が共に自宅で死亡するケースが大半。同プロジェクトは、「地域社会が希薄」とされているニュータウンといった都市部を中心に、高齢者や一人暮らしの中高年が地域で孤立しないための取り組みを推進するのが狙い。

 具体的には、全国のモデル自治体で、〈1〉地域社会の再生〈2〉急病などに対応するための緊急通報装置や、電気・ガスの使用を確認して異変を察知するシステムなどハード面の整備〈3〉介護サービスとの連携による安否確認――などの事業を実施したい考えだ。

 ハードとソフトを複合的に組み合わせた対策の有効性などを検証、今後の取り組みに生かす。

 東京都の都営住宅では、誰にもみとられずに死後に発見されるケースが昨年度、前年度比約5%増の327件に上り、都市部を中心に孤独死が増えているほか、夫婦が遺体で見つかる事例も目立っている。このため、孤独死の防止だけでなく、「老老介護」などで地域や行政の援助を十分に受けられないケースなどにも対応する。

 昨年実施された国勢調査の抽出速報によると、全国の一人暮らしの高齢者(65歳以上)は、高齢者全体の15・1%を占める405万人。5年前の調査と比べて102万人も増加しており、国立社会保障・人口問題研究所は2025年には680万人に達すると推計している。

「おたっしゃコール」が挑む、地域ぐるみの高齢者支援

2005年06月03日 Nikkei BP NeT

 「おたっしゃコール」。これは、自動発報機能を備えた電話機を軸にして、高齢者の安否確認、健康状態の把握などのサービスを提供する事業の総称だ。NPO法人デイコールサービス協会が手がけているが、単に個々の高齢者を対象にしたサービスに留まらず、地域ぐるみの高齢者支援サービスに発展する可能性が見えてきた。

 事業の柱の一つは、毎日の安否確認と会話。自動発報機能がついた電話機を利用者宅に設置し、利用者と相談の上で設定した時間がくると、コールセンターに自動的に電話がかかる。その際、利用者とセンターの担当者が簡単な会話を交わすことで、安否確認や健康状態の把握を行う仕組み。これまでに、大阪の守口市や交野市、枚方市などでモデル事業を実施し、現在も十数人の高齢者にサービスを提供している。

 おたっしゃコールの受信側であるコールセンターには、地域の町内会や老人会、民生委員やボランティアらも参加できる。この点が、地域ぐるみの高齢者支援サービスへの展開につながりうる。デイサービス協会は、地域コールセンターのバックアップ機能を担うわけだ。

2005.06.01

【編集委員の視点】 「おたっしゃコール」が挑む、地域ぐるみの高齢者支援

2005年06月01日 Nikkei BP NeT

 「おたっしゃコール」。これは、自動発報機能を備えた電話機を軸にして、高齢者の安否確認、健康状態の把握などのサービスを提供する事業の総称だ。NPO法人デイコールサービス協会が手がけているが、単に個々の高齢者を対象にしたサービスに留まらず、地域ぐるみの高齢者支援サービスに発展する可能性が見えてきた。

 事業の柱の一つは、毎日の安否確認と会話。自動発報機能がついた電話機を利用者宅に設置し、利用者と相談の上で設定した時間がくると、コールセンターに自動的に電話がかかる。その際、利用者とセンターの担当者が簡単な会話を交わすことで、安否確認や健康状態の把握を行う仕組み。これまでに、大阪の守口市や交野市、枚方市などでモデル事業を実施し、現在も十数人の高齢者にサービスを提供している。

 おたっしゃコールの受信側であるコールセンターには、地域の町内会や老人会、民生委員やボランティアらも参加できる。この点が、地域ぐるみの高齢者支援サービスへの展開につながりうる。デイサービス協会は、地域コールセンターのバックアップ機能を担うわけだ。

 サービスの利用者と想定されているのは、一人暮らしの高齢者や高齢者夫婦、あるいは身体障害者ら。彼らのコールを地域の町内会や老人会、民生委員やボランティアらが受けることになれば、地域コールセンターは、地域による見守りの拠点となるばかりでなく、参加者らの交流、特に世代間の交流を促す場にもなる。「地域のコミュニティを育てるきっかけにもなる」(デイコールサービス協会理事長の松本敏氏)。

 実際に、こうした地域ぐるみの高齢者支援サービスに着目する動きが出てきた。松本氏によると、ある在阪の警備会社は、今秋をめどに、自治体とのモデル事業に乗り出すという。また、来春に枚方市内に開業予定の診療所は、在宅医療サービスの一環として、おたっしゃコールを採用する計画だ。

 地域ぐるみの高齢者支援は、災害時にも威力を発揮しよう。事前に利用者から災害時の連絡先などを提示してもらい、安否が確認できないような状態に陥ったときに、どのような方法で連絡を取り合うかなどを確認することもできるからだ。昨年の集中豪雨で、一人暮らしの高齢者や高齢者夫婦らが孤立していたことが大々的に報道されたが、こうした事態を招かないためにも、地域ぐるみの高齢者支援が待ったなしであることが分かる。

 なお、おたっしゃコールの電話機にも、緊急通報機能は備わっている。従来の緊急通報装置と明らかに異なるのは、緊急事態の予防に注力している点だ。実際に、日々の会話のやり取りを機に、ひきごもりがちだった高齢者が積極的に外出するようになるなどの効果も確認されている。そこには、これまでの緊急通報装置にはなかった「介護予防」の意識が宿っているわけで、介護保険の見直しで急浮上した介護予防の考え方を先取りしていた点でも評価できるだろう。(三和護、医療局編集委員)

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