TOPIC No.2-14a-1 原油/石油/ガソリンの価格動向
(1999年04月-2000年03月)

OPECは原油増産求める米国の圧力に屈してはならない−イラク石油相=TV

2000年03月09日[ドバイ 9日 ロイター]

 イラクのラシド石油相は、石油輸出国機構(OPEC)加盟各国は、原油の増産を求める米国の圧力に屈してはならない、との考えを示した。

 カタールの衛星テレビとのインタビューで述べたもの。

 その中で、同石油相は、「OPECは、米国の圧力に基づいて行動するのではなく、自分たちの国民の利益に基づいて行動し、原油市場の安定を守らなくてはならない」と語った。

ロンドン原油が湾岸戦争以来の高値を更新

March 06, 2000

 6日のロンドン国際石油取引所の原油先物相場は、イランなど産油3カ国が「増産の必要はない」との内容の声明を発表したことから値を上げ、指標になる北海ブレントは一時、1バレル=29.56ドルをつけ、1991年の湾岸戦争後の最高値を更新した。

 声明を出したのは、イランのほかリビアとアルジェリア。イランは増産に反対する理由として「(北半球の冬が終わる)4月以降は需要が減る」ことを挙げた。

NY原油約9年ぶりの高値

2000年03月01日【ニューヨーク共同】

 2月29日のニューヨーク・マーカンタイル取引所の原油先物相場は反発し、米国産標準油種WTIの4月渡し終値は前日比0.30ドル高の1バレル=30.43ドルと、終値としては湾岸戦争直前の1991年1月16日以来、約9年1カ月ぶりの高値となった。

韓国、油価税率引き下げへ

2000年2月29日 16時44分【ソウル共同】

 韓国政府は29日、原油価格の高騰に伴う物価上昇を抑制するため、3月2日からガソリンと灯油、軽油の税率を一時的に引き下げることを決めた。

 引き下げ幅は、灯油は28.3%、軽油は11.・6%、ガソリンが4.7%で、春先には安定するとみられる原油価格の需要見通しに合わせ、2、3カ月後に再び引き上げる方針。

原油生産の拡大、長期的には産油国が利益を享受へ=米大統領

2000年02月26日 [ワシントン 25日 ロイター]

 クリントン米大統領は、複数の主要対米石油輸出国が、原油価格の高騰は長期的には産油国自身の経済に打撃を与えるということを認識しており、すでに増産を決定した、と述べた。

 石油輸出国機構(OPEC)加盟国のサウジアラビアとベネズエラ、非加盟産油国のメキシコは、現在バレル当たり30ドルで推移している原油価格を、20〜25ドルへ引き下げるために、世界的な原油供給の拡大を実施するという案を支持する意向を示している。

 同大統領は記者団に対し、「産油国は、(生産を拡大することが)長期的には自国に最大の利益をもたらすと確信しているため、生産拡大案を支持しているのだろう」と述べた。

OPECは3月総会で原油政策決定、原油需要は大幅減へ=サウジ石油相

2000年02月26日[リヤド 25日 ロイター]

 サウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相は、石油輸出国機構(OPEC)による今後の原油政策は、3月27日にウィーンで開催されるOPEC総会においてのみ決定される、と語った。

 同相は、「世界における原油の需要は、2000年第2・四半期に大幅に減少する見込みだ。通常は、日量250万〜300万バレルの間だ」と語った。

 同相は、OPECは3月の総会で原油政策を決定する前に、確固たるデータを分析しなければならない、と述べた。

原油は供給不足に陥る懸念はない−米エクソン会長=英FT紙

2000年02月15日[ロンドン 15日 ロイター]

 国際石油資メジャーの米エクソン・モービルのレイモンド会長は、世界の原油・石油製品在庫が減少していることで、原油は供給不足に陥るのではないか、との懸念を否定した。15日付の英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙が伝えたもの。

 同会長は同紙に対し、原油価格の上昇や過剰な生産能力の影響などで、利益マージンが低下しているため、製油会社が生産量を削減しているだけで、世界的に原油が不足しているという証拠はない、と強調した。

 そのうえで、原油価格はバレル当たり40ドルまでは上昇せず、技術開発により、石油の探査と生産コストが下がるので、現在の高価格も長続きはしない、との考えを示した。

NY原油が再び高騰

2000年02月12日【ニューヨーク・共同】

 11日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)の原油先物相場は続伸、米国産標準油種(WTI)の3月渡し価格は一時、1バレル=29.94ドルまで上昇した。1月20日につけた1991年の湾岸戦争時以来約9年ぶりの高値である同29.95ドルにあと1セントまで迫った。

 終値は、前日終値比0.01ドル高の29.44ドルと1月20日以来の高値。

原油減産の見直し要求

2000年02月11日【ワシントン共同】

 原油の国際相場が高騰する中、米国や欧州連合(EU)が石油輸出国機構(OPEC)に対し、原油の減産態勢の見直しに向けた圧力を強めている。日本も含む原油輸入国でガソリンや灯油が大幅に値上がりし、国民の生活に悪影響が出ている上、エネルギーの価格上昇を引き金にインフレが台頭、世界経済をかく乱する恐れもあるためだ。

主要産油国、3月以降も減産体制を継続する方針=OPEC筋

2000年01月28日[ロンドン 28日 ロイター]
 

 石油輸出国機構(OPEC)の関係筋は、主要産油国は、原油減産に関する現在の協定が3月に期限切れを迎えた後も、減産体制を継続する方針だ、と明らかにした。

 最近行われた主要産油国の協議に詳しい関係者が明らかにした。  同関係者は、産油国は、今後の市場が落ち着くよう明確なサインを送り、投機的な動きを静めるため責任ある行動をとる、とする一方、「すべては、3月の状況次第だ。3月になっても現在と同じ状況が続いていれば、われわれは何もすべきでない(減産を継続すべき)」と語った。

原油価格が9年ぶり高水準、1バレル28ドル

January 15, 2000

 国際的な指標原油であるウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)の先物価格は14日、ニューヨーク・マーカンタイル取引所で終値が前日より1.33ドル高い1バレル=28.02ドルに跳ね上がり、湾岸戦争が始まる直前の1991年1月中旬以来、ほぼ9年ぶりの高水準を記録した。

 ウィーンで開かれていた石油輸出国機構(OPEC)の担当者会議で、3月末に期限を迎える減産合意を延長する方針が明らかになり、品薄による価格上昇が続くとの見方が広がったため。市場関係者からは、「OPECが真剣に減産体制を強めたら、価格は1バレル=30ドル台後半まで跳ね上がる」と警戒する声も上がっている。

 原油高騰でインフレ圧力は高まっており、昨年12月の米ガソリン価格の上昇率は8.5%に達し、4カ月ぶりの高水準となった。年間の上昇率は80年以来最も高い76%にのぼっているため、「減産による価格上昇が深刻化すれば、米政府は緊急用の備蓄原油を放出する公算が大きい」(同)とみられている。米景気拡大に水を差すインフレ加速に神経質になっている米政府は、OPECへの圧力を高めて、過度な減産を控えるよう働きかける見通しだ。

原油価格が30ドルに上昇してもOPECの増産ない=UAE石油相

1999年12月09日[ドバイ 9日 ロイター]
 

 アラブ首長国連邦(UAE)の日刊紙アルイッティハドによると、ナシリ石油・鉱物資源相は、原油価格が一時的にバレル当たり30ドルまで上昇したとしても、平均価格が相対的に低いため、石油輸出国機構(OPEC)が生産量の引き上げを実施するようなことはない、と述べた。 同相は、「現在の原油価格は、適正水準だと思う」と述べた。

 原油価格が30ドルまで上昇した場合、世界経済は悪影響を受けるのではないかとの質問に、同相は、「1999年の平均価格がバレル当たり18ドル前後となり、1996年や1997年を下回る見通しのため原油価格が一時的にバレル当たり30ドルまで上昇したとしても、大きな影響を受けるようなことはないだろう」と述べた。

日石三菱、1円値上げ

1999年11月26日 共同通信社

 石油元売り最大手の日石三菱は26日、ガソリンなどの卸売価格を12月1日出荷分から一リットル当たり1円値上げすると発表した。11月積みの原油価格が高騰したため。卸売価格はレギュラーガソリンが一リットル当たり92円50銭、灯油が一缶(18リットル入り)870円。1996年4月からガソリンの卸売価格を原油価格や為替の変動に合わせて改定する方式に変更して以降、97年3月に次ぐ高値水準。

11月のガソリン・灯油の店頭販売価格がまた上昇

November 24, 1999

 石油情報センターは24日、11月10日現在のガソリン、灯油の店頭販売価格を発表した。原油高を受けて、ガソリン(レギュラー)価格は全国平均で1リットル当たり98円と10月より1円上昇し、6カ月連続で値上がりした。灯油価格も18リットル当たり769円で、10月より13円高くなり、7カ月連続の上昇となった。

 原油価格は、石油輸出国機構(OPEC)が来年4月以降も減産を継続するとの観測が流れたことで今月10日すぎから再び騰勢を強め、中東産ドバイ原油は一バレル当たり24ドル前後で推移している。日本の石油業界では「投機資金が流入しているので、いずれ下落する」との見方もあるが、コンピューターの2000年問題で、産油国からの原油供給が一時中断する恐れがあるとの懸念もあって、年末にかけて価格上昇が続くことを心配する声も出ている。

NY原油、ほぼ9年ぶり高値記録

November 23, 1999

 高騰が続いているニューヨーク・マーカンタイル取引所の原油先物価格は22日、湾岸戦争時の1991年1月以来ほぼ9年ぶりの高値を記録し、終値は先週末と比べて0.93ドル高い1バレル=27.07ドルに上昇した。産油国のイラクが輸出を停止した、との情報を材料に投資家が買い注文を増やした。原油減産と冬の需要期が重なって、今後の原油需給が厳しくなるとの見方が目立ち、市場関係者からは「30ドル台乗せの可能性も出てきた」との声もある。

 この日は、イラクが原油輸出で国連などとの交渉を打ち切って輸出を停止した、との情報が市場に流れた。代表的な指標のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)の先物価格の終値は、91年1月16日(1バレル=32ドルちょうど)に次ぐ水準に上昇。同価格は、昨年12月に1バレル=10.35ドルまで下がり、ほぼ12年ぶりの低水準を記録したが、その後は産油国の減産や、アジアの需要増などを背景に急ピッチで上昇中だ。

 とくに夏以降は世界的な景気回復感が強まり、97年から下落していた金属や綿、ゴムなどの主要一次産品のスポット価格指数(CRB)が今年半ばから上昇に転じたことも、「一次産品相場でインフレ観測が強まり、原油市場に投機資金が集まって、価格高騰に拍車をかけている」(商社関係者)という。

カスピ海石油「トルコ・ルート」の合意文書調印

November 19, 1999

 欧州安保協力機構(OSCE)首脳会議の場で18日、カスピ海沖の石油を欧州などに運ぶ新パイプライン「トルコ・ルート」の建設に関する合意文書が調印された。コスト高を理由にこのルートに消極的だった国際企業連合体がチェチェン紛争などを機に方針転換し、北大西洋条約機構(NATO)加盟国のトルコを後押しする米国政府との利害が一致した。イランやロシアなどの反発も予想されるが、ペルシャ湾に次ぐ石油埋蔵量があるとされるカスピ海石油の争奪戦はとりあえず決着した。

 この日、油田開発にあたる国際企業連合体AIOC(BPアモコや伊藤忠石油開発などが共同出資)の主体である米国のクリントン大統領が立ち会い、アゼルバイジャン、グルジア、トルコの大統領が調印した。

 新パイプラインは、アゼルバイジャンのカスピ海沿岸のバクーから既存のグルジア・ルートと並行して建設され、途中で曲げてトルコ南部の地中海沿岸のジェイハンへ出る。総延長約1700キロで建設費約24億ドルと推定される。この日調印した3カ国は2004年までの完成を義務づけた。パイプラインが通過する国々にとっては通過料収入を得るだけでなく、産油国の生命線を握る戦略的意味もある。

 クリントン米大統領に同行しているバーガー安全保障問題担当補佐官は調印に先立って、「(新パイプラインは)ロシアと敵対するためのものではない」と述べ、カスピ海石油の権益に関与したいロシアの反発を考慮した発言をした。

OPEC、原油減産期間の延長に原則的に合意=クウェート

1999年11月09日[クウェート 9日 ロイター]

 クウェートのサウド石油相によると、石油輸出国機構(OPEC)加盟国は、原油減産計画を2000年3月以降も続けることで原則的に合意した。 同相によると、OPEC加盟11カ国は、来年3月の会議で、減産期間の延長について決定する見通し。

原油急騰が病み上がり日本経済に与える打撃

1999/10/19 日経ビジネス)

 ---全日空100億円・住友化学210億円のマイナス要因

 原油価格が急騰している。今年3月に石油輸出国機構(OPEC)が減産を決めて以来、それまでは1バレル当たり10ドル台まで下がっていた価格が反発。9月には一時25ドルを超えた。10月に入って20〜22ドルに落ち着きつつあるが、依然として最安値からみれば約2倍の水準が続いている。

 その結果、エネルギー業界は値上げを余儀なくされている。日石三菱は主要製品の値上げを繰り返しており、10月1日からの新価格では4月時点と比較すると1リットル当たり7円80銭も価格を上げたことになる。

 ガソリンなどの特約店、垣見油化(東京・千代田区)の垣見裕司専務は、「ガソリンは小売価格にある程度転嫁できているが、トラックなどが使う軽油などは値上げがなかなか進まない。もともと利幅が薄い上、元売りや特約店の体力も弱まっており、この負担は重い」と苦境を吐露する。

 運輸業界では全日本空輸が燃料の値上げにより、年間では100億円の負担増を見込んでいる。石油を原料とする化学業界では、住友化学工業の園田隆一専務が「原料のナフサが急騰している。この水準が1年間続けば210億円程度の収益悪化要因となる」と言う。後は、これを製品価格にどの程度反映できるかが課題だ。

 塩化ビニールやほかの汎用樹脂でもメーカー側の値上げ表明が相次いでいる。しかし需要家は、「値上げの打診は受けているが全面的に受け入れるかは検討中」(塩化ビニールを使って下水道用のパイプなどを作る積水化学工業)と、すんなりいきそうにない。

 繊維業界は、もっと厳しい。東レはポリエステルの繊維やフィルムなどの値上げを試みている。しかし、9月の記録的な猛暑により秋物衣料品の出足が遅れているため、繊維業界では値上げへの抵抗も強い。

 三菱化学系の調査会社、ダイヤリサーチマーテックの川村幸雄客員研究員は「タイミング良く円高になったため、日本は原油急騰の影響の直撃は避けられた」と言う。それでもリストラの途上にある日本企業に値上げを吸収する余地は少なく、今回の原油急騰は思いの外、深刻な影響が予想されている。

 「円高、石油高は最悪の組み合わせ」

 原油は1997年のアジア経済危機の最中にOPECが増産したことから供給過剰に陥った。98年にOPECは2回減産し、今年3月に日量170万バレル、それまでの分を合わせて同430万バレルの減産を決め、やっと供給過剰が解消した。とかく足並みが揃わないOPECも今回の減産は厳守しており、市場では供給不足感が強い。

 今後の市況について、大手商社のあるトレーダーは「今回のOPEC減産合意は来年3月までの期限付きだが、今後も22ドル程度の水準が維持される可能性は高い」と言う。来年2月頃にOPECは春から実施する新石油価格体系を決める。これが加盟国の抜け駆け増産を防ぐものになれば、供給不足感は解消されない。また、米国の冬が厳しければ需要が膨れ市況は上がる。市場ではまだ強気派が主流だ。

 日本経済に与える影響は大きい。大和総研のシミュレーションによれば、99年1〜3月期の水準である1バレル11ドル35セントが2001年3月まで続けば1999年度の実質国内総生産(GDP)の伸び率は1.3%が確保されるが、10月から同25ドルに上がると0.8%となり、0.5%のマイナス要因となる。30ドルでは、GDP伸び率は0.7%に抑えられる。

 大和総研経済調査部の尾野功一課長代理は「円高は石油輸入価格を急激に上昇させないが、それよりも経済全体に与えるマイナス要因の方が大きい。円高、石油高は最悪の組み合わせだ」と語る。 (伊藤 暢人)

日石三菱、10月もガソリン卸価格を値上げ

September 27, 1999

 日石三菱は10月1日からガソリンの卸価格を1リットル当たり90銭値上げして、91円30銭にする。円高で原油の調達コストは減ったものの、これを上回る原油価格の上昇があったためで、3カ月連続の値上げになる。コスモ石油や出光興産なども1円引き上げる。今月下旬の石油輸出国機構(OPEC)総会で減産継続が決まったことで原油価格は上昇しており、各社は石油製品の価格転嫁に懸命になっている。

 日石三菱のガソリンの卸価格は3月から8円近く値上がりしているが、末端のガソリンスタンドでの販売価格の上昇分はこの半分の4円にとどまる。9月の販売価格は全国平均で95円で、同社によると、卸価格をそのまま販売価格に反映させれば99円まで上がるのが妥当、という。 <

北海原油先物、2年8カ月ぶり24ドル台 ロンドン市場

September 25, 1999

 週末24日のロンドン国際石油取引所(IPE)の原油先物相場は、米当局が石油の戦略備蓄の取り崩しに否定的な姿勢を示したことを材料に上伸、北海原油代表油種のブレント(11月きり)は、一時1バレル=24.06ドルの高値をつけた。24ドルを突破したのは2年8カ月ぶり。終値は前日(23.82ドル)比0.08ドル高の23.90ドル。(時事)

OPEC、減産継続を合意 検討委員会の設置有力視

September 23, 1999

 石油輸出国機構(OPEC)の総会が22日、ウィーンで始まり、今年3月までの総会で決めた減産を、少なくとも来年3月まで続けることで合意した。また中期的な原油生産政策の策定に向けて、検討委員会の設置が有力視されている。

 OPECは昨年3月時点に比べて日量431万6000バレルの減産を続けている。最大の産油国サウジアラビアとイラン、アルジェリアの石油担当相は13日に会談し、「現行の減産を2000年3月まで継続すべきだ」との認識で一致した。他のOPEC加盟国も減産継続を強調していた。

 OPECに加わらないメキシコやノルウェー、ロシア、オマーンもOPECとの協調減産を実施している。今回決まった減産には、4カ国も追随するとみられる。
減産の結果、9月のOPEC原油指標価格の平均は1バレル=22ドル程度になるなど、1バレル=10ドルをきった2月の水準に比べ2倍以上で高止まりしている。これまでOPECは、原油価格が上昇すると、抜け駆けで増産に走る国が出たが、いまのところ減産の達成率は7割から8割と高い水準にある。

 今後、北半球が冬の需要期を迎えるため、石油関係者の間では「OPECの減産継続で、1バレル=25ドルの水準もあり得る」との見方が出ており、消費国の物価を押し上げる懸念が強まっている。これに対しOPECは「在庫は依然として多い」として、減産の継続を決めた。

 OPEC内では、石油価格の安定化に向けた仕組みをつくる動きも本格化している。サウジが原油在庫をもとに生産量を決める方式を提案したのに対し、ベネズエラは原油価格の目標範囲を定める方法を主張している。今回の総会では、中期政策委員会を設置して、来年3月に予定している次回総会で結論を出す案が有力だ。ベネズエラは来年2月か3月にOPEC首脳会議の開催を提案している。

原油価格、上昇の可能性=石連会長

1999年09月22日 時事通信社

 石油連盟の岡部敬一郎会長(コスモ石油社長兼会長)は22日の記者会見で、石油輸出国機構(OPEC)総会が原油の減産継続を確認する見通しとなっていることについて、「現行水準の減産が合意されれば、需給環境から原油価格はさらに上がる可能性がある」と述べ、高水準で推移している原油価格が一段と上昇するとの考えを明らかにした。 

原油価格上昇さらに続くか 22日からOPEC総会

September 19, 1999

 石油輸出国機構(OPEC)が22日から、オーストリアのウィーンで開く総会で、石油減産の来年3月までの継続が決まる見通しになり、原油高がさらに進むという観測が出ている。OPECの追加減産が決まった今年3月以降、原油価格は急騰を続けており、最近はインフレ懸念も出ている。日本では大幅な景気回復が見込めないなかで、石油製品の値上がりが避けられない状態になり、関連業界は警戒を強めている。

 原油市況は昨年、アジア経済危機やイラクの生産拡大の影響で急落し、中東ドバイ原油は今年2月には1バレル=10ドルを下回っていた。ところが、こうした原油安に歯止めをかけようと3月、OPECの加盟10カ国が追加減産で合意し、非OPEC諸国も協調減産を決めた。この結果、原油価格は2倍にはねあがり、今月16日には22ドルを超えた。

 過剰だった原油在庫は解消に向かっているものの、OPEC側は、在庫水準が1996年、97年よりはまだ高いことなどを理由に、減産の継続が必要と考えているという。年末にかけては、西暦2000年問題を警戒して一時的に石油需要が増えることも予想され、石油需給のひっ迫や原油高への懸念から、OPECへの批判も高まっている。

 OPECの加盟国からは、減産枠などを変動させて、一定の「価格帯」を維持するルールをつくるという案も浮上しているが、今回の総会で実現する見込みはほとんどない。このため、石油業界では、今回の総会で減産の継続が打ち出されれば、原油価格は1バレル=25ドル程度まで上昇するとの見方が出ている。

NY原油22ドル61セントに

1999年09月08日【ニューヨーク共同通信社】

 連休明け7日のニューヨーク・マーカンタイル取引所の原油先物相場は、米国産標準油種WTIの10月渡し終値で前週末終値比0.61ドル高の1バレル=22.61ドルと、1997年10月3日以来、約1年11カ月ぶりの高値となった。
石油輸出国機構(OPEC)加盟のベネズエラで石油関連労働者がストライキに入る恐れがあることなどから一段高となった。

原油価格高騰で、ガソリン価格の値上げ続く

August 27, 1999

 石油元売り最大手の日石三菱は27日、9月出荷分のガソリンの卸価格を8月より60銭(1リットル当たり)値上げして90円40銭にする、と発表した。原油価格が高騰しているためで、ほかの元売り各社も追随する構え。末端のガソリンスタンドの販売価格も上昇しているが、まだ原油価格の高騰を十分に反映しておらず、ガソリンの値上げは当分、続く見通しだ。

 原油価格は産油国の減産で急騰し、指標となる中東産ドバイ原油は8月下旬に1バレル当たり20ドルを突破、今年2月に比べて2倍近くに上昇している。日本の元売り会社にとっては、為替相場が円高にふれたことで原油の調達コストは下がったものの、原油価格の上昇分のほうが大きい。
一方、石油情報センターの調べによると、国内のガソリンスタンドの8月の全国平均販売価格は、レギュラーガソリンが前月より1円高い94円(1リットル当たり)となり、3カ月連続で上昇した。
原油価格については、価格の上昇が続けば、増産に転じる産油国が出てくる可能性があることから、日石三菱の渡文明副社長は「当面は18ドルから20ドルで推移するのではないか」とみている。

石油製品の値上げ相次ぐ

1999年08月24日 共同通信社

 原油価格の高騰で、ガソリンや軽油、重油など石油製品の値上げが相次いでいる。しかし、石油元売り各社は、値上げが原油価格の上昇スピードに追いつけず、1999年9月中間決算は大幅減益となる公算が大きい。元売り各社とも経費圧縮に努めているが「合理化努力を超えたコスト上昇」(大沢秀次郎日石三菱社長)として、製品値上げに踏み切った。

ロンドン原油相場、一時21ドル台に上昇

August 14, 1999

 週末13日のロンドン国際石油取引所(IPE)の原油先物相場は、ナイジェリアからの供給混乱の報を受けて上伸、北海原油代表油種のブレント9月きりは、一時1バレル=21.00ドルと、1997年10月9日以来、1年10カ月ぶりに21ドル台を回復した。終値は前日終値比0.20ドル高の20.69ドル。

 米石油大手テキサコがナイジェリアでの社会不安を理由に、同国からの石油輸出の一部について、契約履行を不可能とする不可抗力条項を発動したとの報を受けて、午後に21ドル台に乗せた。市場では、石油輸出国機構(OPEC)の減産合意順守で需給ひっ迫感が出ているほか、今週発表された米国の統計で原油、ガソリン在庫が減少したことも支援材料となった。(時事)

元売り各社の収益圧迫

1999年08月04日 共同通信社

 石油輸出国機構(OPEC)の減産をきっかけとした世界的な原油価格の高騰で、石油元売り各社は「まるでミニ石油危機だ」と悲鳴を上げている。自由化が進んでガソリン市況の低迷が続いている上、長引く不況の影響で産業用の値上げ交渉難航は必至。価格急騰は元売り会社の収益を圧迫しそうだ。

原油相場上昇続く 1バレル16ドル台に

May 08, 1999

 主要産油国の4月からの減産を受け、原油価格が上昇している。中東産ドバイ原油の先物価格は今年初めに1バレル=10ドル台だったが、最近は16.29ドル(6日)で推移。各国が減産を維持できれば「年末にかけて17、18ドル台まで上がる」(出光興産海外部)との見方も出ている。

 原油価格は3月に、石油輸出国機構(OPEC)加盟国と非OPECの主要国が合計日量210万バレル(世界需要の約2.6%)の減産を打ち出したことから上昇に転じ、13ドル台に回復した。減産実施後も上がり続け、4月下旬には、1997年12月以来、初めて16ドル台をつけた。市場関係者によると、産油国はほぼ減産を守っており、原油価格は一段と上昇する方向にあるという。ただ、価格上昇で一部の産油国が増産に走ると別の国も増産に動くことも予想され、上昇は続かないとの見方もある。

NY石油、ほぼ1年半ぶりの高値

May 04, 1999

 主要原産国の減産を受けて、米原油相場が上昇を続けている。指標となるニューヨーク・マーカンタイル取引所の6月先物価格は3日、一時は前日より0.34ドル高い1バレル=19.00ドルまで上がり、1997年12月上旬以来の19ドル台をつけた。

 石油輸出国機構(OPEC)の十加盟国による減産量が、推定で1日当たり135万バレルになり、当初予想より多いことを示す調査結果が出たことなどを好感した。終値は0.19ドル高い18.85ドル。同市場の原油価格は、12年ぶりの安値をつけた昨年12月と比べて8割余り上昇している。

原油価格、1年ぶりの高価格、16ドル台

March 27, 1999

 主要産油国の減産合意を受けて米国の原油やガソリン価格が急ピッチで上昇している。26日のニューヨーク・マーカンタイル取引所では、原油価格の指標となる5月の先物価格の終値が前日より3%上がり、同50セント高い1バレル=16ドル17セントをつけ、昨年3月末に次ぐ高値を記録した。

 原油価格は昨年12月から56%も値上がりした。とくにガソリンの平均価格は、過去最低を記録した2月下旬から一転して上昇しており、小売価格は1カ月間で12%上がっている。

 この25日には、西海岸で最大級という石油大手シェブロンの精製所で火災・爆発事故が発生。ガソリン供給量が先細る可能性が強まったため、サンフランシスコの一部のガソリンスタンドでは、ガソリン価格が前日より7%高い1ガロン=1ドル59セントに跳ね上がったという。2月に他社の精製所が事故で爆発したこともあって「来月にかけてカリフォルニア州のガソリン供給量は3分の1減るだろう」(石油アナリスト)との予測も出ている。米国の物価は安定しているが、ガソリン価格上昇でインフレ再燃への懸念が募っている。

ガソリンなど石油製品の卸値引き上げ 5月から

April 27, 1999

 日石三菱は27日、5月1日出荷分より、ガソリン、軽油など石油製品の卸値を1リットル当たり2円10銭値上げする、と発表した。為替は横ばいで推移したが、原油価格が大幅に上昇し、調達コストが上がったためで、標準卸値はレギュラーガソリンで1リットル当たり87円20銭(税込み)、軽油で同65円50銭(税込み)になる。他の石油元売り各社も値上げする見通し。だが、ガソリンスタンドでは安売り競争が続き、コスト上昇分をそのまま末端価格に転嫁できるかどうか微妙になっている。

NY原油、昨年1月以来の高値 ユーゴ空爆の燃料需要増

April 17, 1999

 産油国の減産で値上がりしている原油価格が、ユーゴ空爆による燃料需要増を見込んで上昇テンポを速めている。16日のニューヨーク・マーカンタイル取引所の5月受け渡し原油の終値は前日より0.46ドル高い一バレル=17.33ドルに急上昇した。昨年1月以来の高水準で、北大西洋条約機構(NATO)によるユーゴ空爆で航空燃料などの需要が急増する見通しが強まったため。

 同市場の原油価格は12年ぶりの安値を記録した昨年12月以降は主要産油国の減産への期待から上昇に転じ、この16日までに67%値上がりした。

原油価格が1年ぶりの高値、17ドル台に

April 1, 1999

 主要産油国による減産合意を受け、原油価格が上昇しているニューヨーク・マーカンタイル取引所で31日、代表的な銘柄である5月物の価格が一時、1バレル=17ドルを超えて17ドル05セントまで上昇し、昨年3月下旬以来の高値をつけた。値上がりし始めた昨年12月と比べて6割強の上昇になる。終値は前日より4セント安の16ドル76セント。ロンドン市場でも北海産ブレントの終値が昨年5月以来初めて15ドル台に乗せ、1バレル=15ドル24セントに上がった。

「ガソリン価格は4、5円上がらないと赤字」−日石副社長

1999年3月29日 (月)日刊工業新聞

 日本石油の渡文明副社長は四月の石油製品の基準仕切り価格発表の席上、「ガソリン価格を四、五円引き上げないと、元売り、流通業者とも赤字になる」と発言、安値攻勢を仕掛けている一部元売り会社に不毛な競争を自粛するよう呼び掛けた。

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