TOPIC No.2-149 ACEANプラス3

01.「東アジア経済共同体の設立を−2004年11月開催予定のASEANプラス3首脳会議に向けた共同声明」(第30回日本・ASEAN経営者会議)

ASEANプラス3

2005年12月12日 東奥日報

 東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国に日本、中国、韓国を加えた計13カ国の協力の枠組み。欧州や北米の経済統合の動きに対抗し、東アジアの結束を訴えたマレーシアのマハティール首相(当時)が1990年代初めに東アジア経済会議(EAEC)を提唱。米国の反発でこの構想は棚上げされたが、アジア通貨危機を受けた97年12月のマレーシアでのASEAN首脳会議で、この枠組みによる初の首脳会議が実現、その後定例化した。外相、財務相会議も定期開催し、政治・安全保障や経済など幅広い協力を話し合っている。(共同)

自由貿易圏、政府間議論へ ASEAN、日中韓など16カ国

2009年08月15日 中国新聞ニュ−ス

 【バンコク共同】東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓、インドなど東アジアサミットに参加する計16カ国の経済閣僚による非公式会合が15日、バンコクで開かれ、日本が提唱する16カ国を自由貿易圏とする構想の具体化を目指し、政府間で議論を始めることに合意、共同声明を発表した。

 また、中国が後押しする、16カ国からインド、オーストラリア、ニュージーランドを除いた13カ国(ASEANプラス3)による自由貿易地域構想についても、16カ国構想と同時に政府間議論に入ることで一致した。

 会議筋によると、10月に開かれる東アジアサミットでの正式合意を経て、年内には議論がスタートする見通し。同筋は「自由貿易協定(FTA)の予備交渉や事前協議といったものではない」としており、日本の構想が具体化するまでには相当の時間を要するとの認識を示した。

資金融通枠1200億ドル ASEANと日中韓

2009/02/22  中国新聞ニュ-ス

 【プーケット(タイ南部)22日共同=植田粧子】東南アジア諸国連合と日中韓(ASEANプラス3)の財務相会議が二十二日、タイのプーケット島で開かれ、急激な資金流出に見舞われた国に外貨を融通する通貨交換協定の枠を合計千二百億ドル(約十一兆二千億円)に増額することで合意、共同声明を発表した。

 世界的な金融危機を受け、これまで計画していた八百億ドルの一・五倍に大幅拡大することで、通貨危機の再発を防ぐ効果を高める。

 声明には、各国の経済情勢を監視する独立機関(サーベイランス・ユニット)創設を明記。国際通貨基金(IMF)が支援を行わない場合でも、経済監視に基づく独自の判断で資金支援できる割合を現在の20%から引き上げることを検討。独立機関が常設されれば、国際通貨基金(IMF)の地域版「アジア通貨基金(AMF)」に近づく。

 また金融危機の打撃を緩和するため、アジア開発銀行(ADB)が重要な役割を担うとの認識を共有、加盟国と現在交渉中の増資に関し、早期合意を要請した。

 ASEANと日中韓は、緊急時に外貨を融通し合う二国間協定を結んできた。これらを一つの多国間協定に衣替えすることで、より迅速に資金支援できるようにする。資金の分担割合は日中韓が八割、ASEANが二割。今回の合意を踏まえ、五月にインドネシア・バリ島で開く次回会議で、多国間協定について詳細な包括合意を目指す。

 共同声明は、アジア地域の金融市場が不安定化していると指摘。資本流入が減少し「経済成長の下振れリスクとなりかねない」と懸念を表明し、各国に「断固たる政策行動」を促した。米国の「バイ・アメリカン条項」のような保護主義には強い反対姿勢を明示した。

 財務相に就任したばかりの与謝野馨氏は欠席、末松信介財務政務官が代理出席した。

東アジア諸国「経済統合」へ 国際研究機関ERIAが始動

2008/06/06 FujiSankei Business i.

 東南アジア諸国連合(ASEAN)を核にした「東アジア経済統合構想」実現のための国際研究機関「東アジアASEAN経済研究センター」(ERIA)が動き出した。経済協力開発機構(OECD)の東アジア版とも呼ばれ、エネルギー安全保障や環境、経済格差など地域共有の問題に関し調査、研究を行い、首脳会合である東アジアサミットに政策提言を行う。日本は運営費を拠出し、ERIAを通し東アジア経済統合の実現を後押しする。(坂本一之)

 ERIAは今月3日にインドネシアの首都ジャカルタにあるASEAN事務局で設立総会が開かれ、正式に活動がスタートした。当面の人員は研究者とスタッフ20人程度。将来的には100人規模とする。

 設立総会には、トヨタ自動車相談役の奥田碩日本経団連名誉会長が出席。奥田氏は総会の演説で、「急成長するアジアではエネルギー、環境、食糧問題の解決が急務。ERIAが描く戦略を各国が実行することが大切だ」と指摘して、ERIAの政策提言が重要になるとの考えを強調した。

 ERIAは日本が提唱して2007年11月にシンガポールで開かれた東アジアサミットで設立を決定した経緯がある。経済統合に関しては、中国がASEAN10カ国に日中韓を加えた13カ国案を主張しているのに対し、日本は同13カ国にインド、オーストラリア、ニュージーランドを含めた16カ国案を提唱している。

 ASEANは自らの経済発展に向けて地域統合で経済規模や域内の貿易・投資の拡大で生き残りを図る戦略だ。一方でASEAN10カ国を超えた東アジアによる統合構想に関しては、急成長する中国に飲み込まれる問題を警戒している。

 さらに、外交筋は「インドやオーストラリアとも一緒になれば、ASEANとしては自分たちの存在感が相対的に低下すると懸念しているようだ」と指摘。日中双方の広域な統合案に対してASEANは明確な立場は表明せず「様子見している状況」(同)で、東アジアの思惑は必ずしも一致していないのが実情だ。

 ASEANはカンボジアやラオスなど、経済発展が遅れている国も抱え域内格差が問題となっている。ERIAの事務所の設置場所に関しても各国の意見が合わず、「暫定的にASEAN事務局に設置するという形で落ち着いたもののジャカルタという場所が(最適だと)選ばれたわけではない」(関係者)という。

 このほかにも世界貿易機関(WTO)正式加盟メンバーで、経済実態としても東アジアで欠かせない立場にある台湾が、中国の反発で設立時のメンバーには加われないなど、政治問題も影を落としている。ERIAが今後、参加国側がどこまで受け入れ可能で、かつ建設的な政策を提言できるかが焦点となりそうだ。

金融安定化へ協議機関、日中韓の財務相会合で設置合意

2008年05月04日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【マドリード=佐藤千尋】日中韓財務相会合が4日、スペイン・マドリードで開かれ、3か国の金融当局が金融市場の安定化に向けた新たな協議機関を設けることで合意した。

 世界的な金融の安定化を話し合う機関「金融安定化フォーラム」のアジア版を目指す考えだ。

 新設する「マクロ経済・金融安定化ワークショップ」は、日本が提案した。3か国の財務省、中央銀行、金融監督当局の代表者が出席する。今秋にも事務レベル会合を開く。将来的には東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国にも参加を呼び掛ける方針だ。

 額賀財務相は会合後の記者会見で、「金融市場の混乱が続いており、関係当局が意見交換をする場を設けることは重要だ」と述べた。

 東南アジア諸国連合・日中韓(ASEANプラス3)の財務相会合が4日午後(日本時間4日夜)、始まった。通貨危機などの際に資金を融通する新たな枠組みについて、域内13か国が拠出額の総額を、現在の580億ドル(約6兆円)から、800億ドル(約8兆4000億円)規模に引き上げることなどで合意する見通しだ。

通貨危機防止へ800億ドル ASEANと日中韓合意へ

2008年05月04日 中国新聞ニュ-ス

 【マドリード4日共同】東南アジア諸国連合と日本、中国、韓国(ASEANプラス3)の財務相会議が4日午後(日本時間同日夜)、スペインのマドリードで開かれた。1997年からのアジア通貨危機のような混乱が再発しないように、各国の外貨準備から総額800億ドル(約8兆4000億円)以上を集め、緊急支援の資金とすることで合意、声明を採択する。

 世界の金融市場が不安定化する中で、東アジア13カ国の地域金融協力が前進。将来的に国際通貨基金(IMF)の「アジア版」創設や、アジア共通通貨の導入につながる可能性もある。

 資金の分担割合は、日中韓の3カ国が全体の8割とし、ASEAN側は残り2割を出す。経済の相互監視を強めるため、年2回開いている事務レベル会合の回数を増やす方向で検討する。

 ASEANプラス3はアジア危機後、大量の資金が外国に流出したり、自国通貨が暴落したりする緊急時に、外貨を融通し合う2国間の通貨交換協定を次々と締結。これまでに16の協定が結ばれている。

日中韓首脳、定期会談へ…「北の核」や「黄砂」議題に

2008年04月19日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 日本、中国、韓国政府は、3か国首脳会談を年1回、各国の持ち回りで定期開催する方針を固め、今秋をめどに第1回会談を日本で開く方向で調整に入った。

 福田首相が21日の李明博(イミョンバク)韓国大統領、5月初旬の胡錦濤・中国国家主席とのそれぞれの首脳会談で正式合意する。アジア地域の中心的な3か国の首脳による定期的な会談の枠組みを作ることで、地域問題の解決に主導的な役割を果たすほか、国際的なアジアの発言力の強化につなげるねらいがある。

 第1回の日中韓定期首脳会談の主な議題は、〈1〉北朝鮮の核問題〈2〉中国の黄砂による環境被害〈3〉知的財産権の保護〈4〉日中韓投資協定の締結――などとすることで調整している。首脳会談に先立ち必要な調整を行うため、3か国外相会議を日本で開く方針だ。

 日中韓首脳会談は1999年、当時の小渕首相の呼びかけで、東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議に合わせて行われてきた。

 しかし、東アジア地域の安全保障や環境問題など、日中韓の3国が緊密に協議すべき課題が増えてきたことから、昨年11月のシンガポールでの「ASEANプラス3首脳会議」の際、福田首相、中国の温家宝首相、韓国の盧武鉉(ノムヒョン)大統領(当時)が、ASEAN首脳会議とは切り離した形で、3か国の首脳会談を開く方向で基本合意した。

 日本でアジア外交重視の福田政権、韓国で対日関係改善に意欲的な李明博政権が誕生したことも追い風となり、年1回の定期開催と今秋の初会合が実現する運びとなった。

 ただ、首脳会談の枠組みができても、直ちに成果が上がるかどうかは不透明だ。北朝鮮問題で、韓国の李政権は「融和政策」を転換し、日本と連携する環境が整いつつあるが、北朝鮮支援に前向きな中国との隔たりはなお大きい。

 投資協定の締結促進など経済関係の強化も期待されるが、知的財産保護など3国の経済政策には異なる部分も多く、首脳会談の準備のための事務レベルの調整は難航も予想される。

博鰲フォーラム開幕、中国が積極外交展開(上)

2008/04/12 朝鮮日報/朝鮮日報JNS 博鰲(中国海南省)=李明振(イ・ミョンジン)特派員

 アジアの政財界リーダーらが経済、環境問題などをめぐり意見交換する「博鰲(はくごう)アジアフォーラム」の第7回年次総会が11日、中国海南島の博鰲で開幕した。中国は胡錦濤国家主席が10日、同フォーラム出席と各国首脳との会談のため現地入りし、積極的な外交を繰り広げるなど、活発な動きを見せている。

 中国政府は博鰲フォーラムに続き、8月に北京五輪、10月末にはアジア欧州会議(ASEM)を開催し、改革解放30周年の今年を「中華民族復興の年」と位置付ける意気込みを見せている。先月起きたチベット暴動に対する武力鎮圧で傷ついたイメージをばん回する狙いもある。

 チベット暴動の発生から1カ月後に開かれる今回のフォーラムは11日、厳重な警備の中で歓迎レセプションと会員総会など初日の日程をこなした。武装警察が会場のホテルの10キロ手前で関係者以外の立ち入りを規制した。

 胡主席は同日、フォーラムに出席したトンガのツポウ5世から「チベットでの事態に関し中国を支持する」との立場表明を引き出した。このように、今回のフォーラムがチベット問題に対する中国の立場を一方的に宣伝する場になるとの批判も出ている。

◆米国抜きの新秩序構築狙う中国

 今年で7年目を迎える博鰲フォーラムは、スウェーデンのラインフェルト首相ら11カ国の首脳と多国籍企業の最高経営責任者(CEO)ら39カ国から2000人余りが参加し、過去最大の規模となる。最近開催規模が膨らんでおり、スイスのダボスフォーラムに匹敵する国際会議に成長している。

 背景には中国政府の全面的な支援がある。東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟10カ国と韓国、中国、日本が参加する「ASEANプラス3」に続き、米国抜きで域内の協議体を主導し、米国中心の世界秩序を多極体制に転換することが中国の狙いだ。中国はまた、博鰲フォーラムを発展させた「アジア版国連構想」も抱いている。

博鰲フォーラム開幕、中国が積極外交展開(下)

2008/04/12 朝鮮日報/朝鮮日報JNS 博鰲(中国海南省)=李明振(イ・ミョンジン)特派員

◆中国の地位を誇示する場に

 今年の博鰲フォーラムのテーマは「グリーンアジア、変革の中での相互利益実現」だ。中国は今回のフォーラムで世界的問題の地球温暖化と米国発のサブプライム問題に関する対策などを協議テーマとして取り上げ、世界4位の経済大国に浮上した自国の地位を誇示し、立場を強調する構えだ。

 竜永図・博鰲フォーラム事務総長は11日の記者会見で、フォーラムの金融会議を6月にロンドンで開催するとの「欧州進出計画」を発表した。竜事務総長は今回のフォーラムのテーマとして、グリーン(環境保護)、変革、相互利益を挙げ、「地球の気候変化と環境悪化は経済が発達した先進国が最優先で解決する責任があり、中国は中国の責任を果たす」と述べた。

 専門家は「中国を環境破壊の主犯として名指ししてきた先進国の主張に反論し、中国式の解決方法を提示する場になる」と見通した。

 中国銀行業監督管理委員会の劉明康主席らが参加する12日の「金融改革と革新」と題した討論では、米国のサブプライム問題をきっかけとする世界の金融危機に対し、中国が「火消し役」になれるかが議題となる。

■博鰲フォーラムとは

 アジア域内の国家間協力を通じた経済発展を目的として、2001年に中国、韓国、日本、オーストラリアなど26カ国を会員国として創設された非政府、非営利のフォーラム。

 02年4月に海南島の博鰲で第1回総会が開かれた。SKグループの崔泰源(チェ・テウォン)会長ら12人の理事に最近、サウジアラビア、スウェーデン出身者も加わり、アジア以外の地域にも範囲を拡大している。フォーラム側は「アジアのためのフォーラムであって、アジアフォーラムではない」と説明している。

 当初人口1万5000人ののどかな漁村だった博鰲鎮は、毎年100余りもの国内、国際会議が開かれるコンベンション都市へと生まれ変わった。

 中国国営新華社通信によると、博鰲鎮には毎年200万人が観光と会議のために押し寄せ、その変化ぶりは天地を覆すほどだと伝えた。

森林1500万ヘクタール増目指す 東アジアサミットが宣言

2007年11月21日 中国新聞ニュ-ス

 【シンガポール21日共同】東南アジア諸国連合(ASEAN)と日本、中国、インドなど計16カ国による第3回東アジアサミットが21日、シンガポールで開かれ、地球温暖化対策として森林面積を2020年までに16カ国合計で1500万ヘクタール増やすとの目標を盛り込んだ「気候変動、エネルギー、環境に関するシンガポール宣言」を採択した。

 福田康夫首相は、公害対策で20億ドル(約2180億円)規模の資金を拠出するほか、温室効果ガスの排出抑制と経済成長の両立を目指す発展途上国を支援するため「新たな資金メカニズム」を導入することなどの環境協力策を表明した。

 宣言は、京都議定書に定めのない13年以降の温室効果ガス削減の枠組み(ポスト京都)交渉への機運を高めるもの。日本の協力策は、来年の主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)でポスト京都の議論をリードする姿勢を示したといえる。

 しかし、ASEAN地域では森林の消失が加速していると指摘されており、宣言の目標達成には、違法伐採の規制など、森林保全策の抜本的な強化が緊急課題となる。

ASEAN「共同体」創設案明確に

2007/11/17 FujiSankei Business i.

 東南アジア諸国連合(ASEAN)が2015年までの創設を目指す経済共同体の詳細な実行計画(ブループリント)の草案が16日、明らかになった。

 08年から15年まで2年ごとに、域内輸入関税や非関税障壁の撤廃、関税手続きの簡素化など各分野ごとに達成目標を設定。台頭する中国、インドに対抗し、総人口約5億人の単一市場を創設するための詳細で具体的な工程表を示した。

19日からシンガポールで開かれるASEAN首脳会議で署名される予定。

 ASEAN経済共同体は、日本、中国などアジア各国が連携を強化し共存を図る「東アジア共同体」構想の中核で、その成否は東アジアの経済統合を大きく左右することにもなる。

 安定した経済発展や貧困削減で「力強く競争力のある経済共同体を15年までに実現する」とうたい、各国は首脳の署名後、6カ月以内に批准し、市場開放や制度改革を進める。

 草案は序文を含め全3章で構成。経済力が大きく異なる国々を域内に抱えるため、シンガポール、タイなど主要6カ国の市場開放・制度改革を先行させ、カンボジア、ベトナムなど後発加盟4カ国については、例外措置を設けた上で、数年遅れのスケジュールを組んだ。

 実現に向けた「戦略的スケジュール」では「単一市場」「高い競争力の経済地域」「平等な経済発展」「グローバル経済への統合」と4項目に大別、さらに詳細な分野別に2年ごとに目標を設定した。

 域内関税、非関税障壁は、重要品目を除き、主要国が10年までに原則撤廃、後発加盟国も15年までにこれに続く。関税制度は11年をめどに統一、サービス貿易も優先分野から制限撤廃に着手し、15年までに自由化する。(マニラ 共同)

ASEANプラス3経済相会合、経済統合案を協議

2007/08/24 YONHAP News

【ソウル24日聯合】東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス3(韓日中)は26日にフィリピンで第10回経済相会合を開き、経済・通商協力や東アジア自由貿易協定(EAFTA)など東アジアの経済統合案を協議する。外交通商部が24日に明らかにした。

 会合では、昨年8月のASEANプラス3経済相会合、今年1月の同首脳会議で提起された協力事業を点検するほか、アジア欧州会合(ASEM)、世界貿易機関(WTO)、アジア太平洋経済協力会議(APEC)など多国間機関におけるASEANプラス3加盟国の協力案を話し合う。

 韓国は、ASEANプラス3自由貿易協定(FTA)の第2段階となる民間研究第1次会議の結果を報告し、充実した研究を行えるよう各国の参与と支援を求める方針だ。

韓国とASEAN、天然ガス・原子力で協力強化へ

2007/08/23 WOW!Korea(YONHAPNEWS)

産業資源部は23日、シンガポールで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス3(韓日中)のエネルギー相会議と東アジアエネルギー相会議に、同部の高廷植(コ・ジョンシク)エネルギー支援政策本部長を団長とする代表団を送り、域内のエネルギー協力策を話し合ったことを明らかにした。

 ASEANプラス3のエネルギー相会議では、国ごとにエネルギー効率の向上目標を設定し履行状況を点検する方策について意見を交わした。天然ガスの主要生産国と消費国が集まるという利点を生かし、域内のガス協力を強化する一方、急増するエネルギー需要と地球温暖化への対処として原子力活用策を話し合うということで合意している。

 韓国代表団はまた、タイ、インド、豪州、ニュージーランドの代表とも個別に協議し協力策を話し合った。韓国は原子力発電所の追加導入を検討しているタイに対し、韓国が開発した原発の優秀性を説明し、再生可能エネルギー分野でも協力を強化することにした。豪州とは、原子力とウラン、液化天然ガス(LNG)分野での協力のほか、クリーン開発と気候に関するアジア・太平洋の気候変化パートナーシップ(APP)での協力策も話し合った。

第1回「ASEAN+3メディア協力シンポジウム」が開催

2007年08月22日 「人民網日本語版」

第1回「東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス3(中日韓)メディア協力シンポジウム」が21日、天津で開催された。今回のシンポジウムは、今年1月にフィリピン・セブで開催された第10回「ASEANプラス3首脳会議」で温家宝総理が提唱したもの。ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム、日本、韓国の主要メディアの責任者と、中国の主流メディアの責任者、および天津市の指導部、中国外交部、北京五輪組織委員会、ASEAN事務局の担当者が出席した。

出席者は▽ASEANプラス3協力は東アジア各国間の相互理解と信頼を深め、域内の経済成長と社会進歩を促し、東アジアの安定と発展を促進し、本地域の国際的地位と影響力を高めた▽ASEANと中日韓の協力の深まりと広がりにともない、メディア協力強化の重要性と切迫性が高まっている▽相互疎通、相互理解、相互交流、相互協力を強化してこそ、ASEANプラス3協力の健全な発展をよりよく発展させ、アジアの声をより良い形で、より迅速に世界に伝えることができる――との認識で一致した。(編集NA)

ASEANとのFTAサービス交渉、年内妥結めざす

2007/08/13 WOW!Korea(YONHAPNEWS)

 韓国は13日から16日までシンガポールで、東南アジア諸国連合(ASEAN)と自由貿易協定(FTA)第19回交渉を行う。外交通商部が13日に明らかにしたところによると、韓国はまだ合意に至っていない全体サービス交渉について、年内妥結を目指す。

 韓国はサービス協定文の文案妥結を推し進め、サービス譲許(開放)案に対しては国別の2国間協議で多くの国と譲許表交渉を完了させたい考えだ。今回の交渉で2国間協議を終えられなかった国とは、今月中に別途に2国間協議を行う。投資交渉の場合は、ASEANとしての立場が定まっておらず、交渉期限を来年に延長する案も協議する方針だ。

ASEANプラス3が議長声明、6か国協議進展を歓迎

2007年7月31日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【マニラ=尾山宏】東南アジア諸国連合・日中韓(ASEANプラス3)外相会議が31日午後(日本時間同)、マニラで開かれ、北朝鮮の核問題をめぐる6か国協議の進展を歓迎することなどを盛り込んだ議長声明を発表した。

 声明は、北朝鮮が寧辺の核施設の稼働停止など「初期段階の措置」に着手したことや、「次の段階」ですべての核計画の申告と無能力化を実施するとしたことを評価する一方、「人道上の問題の進展が重要」との表現で、拉致問題解決の必要性に言及した。

 アフガニスタンで韓国人が拉致され、2人が殺害された事件に関しては、「深い憂慮」を示し、人質の即時・無条件解放を求めた。

 麻生外相は北朝鮮問題について、「(初期段階の措置は)朝鮮半島の非核化に向けた第一歩に過ぎない。国際社会全体が北朝鮮に具体的行動をとるよう引き続き働きかける必要がある」と強調した。日朝国交正常化作業部会に関しては「北朝鮮が誠意ある対応を示し、6か国協議と好循環になることを期待する」と述べた。

 会議では、ASEANプラス3の枠組みが1997年の創設から10年となることを踏まえ、11月にシンガポールで開く首脳会議で協力関係の深化を定めた「第二共同声明」を採択する方針も確認した。

緊急支援資金を一元化 日中韓とASEANが合意

2007年05月06日 中国新聞ニュース

 東南アジア諸国連合と日本、中国、韓国(ASEANプラス3)の財務相会議が5日、京都市で開かれた。金融危機の再発を防止するため、緊急時に外貨を融通し合う2国間の通貨交換協定を多国間協定に改め、各国が個別に準備している緊急支援資金を一元化することで合意した。

 協定に参加している国の通貨が急落したり、大量の資金流出が起きた場合に、各国が速やかに支援に乗り出す態勢を整える。

 1997年にアジア金融危機が起きた際に、日本は、アジア諸国による金融支援の仕組みとして「アジア通貨基金」(AMF)の設立構想を示したが、日本やアジア諸国が国際金融政策で独自性を強めることを警戒する米国の反対で実現しなかった。

 日中韓や東南アジア諸国は、支援資金を一元化する多国間通貨協定を結ぶことで、AMFに近い機能を整備する。

中国とASEANのFTAは第2段階へ

2007.2.20号現代中国ライブラリィ/『経済界』掲載

 東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議が、1月にフィリピンのセブで開催された。昨年12月に台風を理由に延期されていたものだ。

 会議は当初目標から5年前倒しで15年までに「ASEAN共同体」の実現を目指すことなどを盛り込んだ首脳宣言を採択している。

東アジア共同体はプラス3(日中韓)で

 同時に、一連の関連首脳会議が開催された。温家宝首相が出席した中国が関係するものを整理しておくと――、

 中国・ASEAN首脳会議では、2005年7月から実施している貨物貿易のFTA(自由貿易協定)をサービス分野に広げる協定に調印。7月1日から建築、環境、運輸、スポーツなど5分野26部門について、相手国での全額出資の現地企業の設立や合弁企業への出資比率の引き上げが許可される。

 ASEANプラス3(日中韓)首脳会議では、東アジア共同体の創設に向けて11月にシンガポールで開かれる次回首脳会議で実現への道筋を示す「第2共同声明」の採択を確認。

 日中韓首脳会談では、相互に規制を緩和して民間投資の拡大を図る「日中韓投資協定」締結に向けて早期の交渉開始で合意。

 そして、日中首脳会談では、温家宝首相が4月の訪日を表明、2001年10月以来5年余り途絶えていた首脳相互訪問の復活が決まった。中国首相の訪日は朱鎔基首相以来6年半ぶり。胡錦涛主席の訪日は首相訪日で様子見ということになる。昨年11月の胡錦涛・安倍会談で創設を検討するとした「日中経済閣僚会議」の検討を再確認。

 「第2回東アジアサミット」も開催された。参加国はASEANプラス3(日中韓)に加えて、オーストラリア、ニュージーランド、インドの16カ国。第1回サミットは2005年12月にクァラルンプールで開催されている。

 東アジアサミットをめぐっては、参加16カ国を東アジア共同体の手段とするべきと主張する日本などと、従来のASEANプラス3を重視する中国や韓国などが対立。参加16カ国は日本提案のEPA(経済連携協定)の研究を始めることで合意したが、ASEAN首脳会議の議長声明では、東アジア共同体の構築は「ASEANプラス3が主要な手段」とされた。

 すでに東アジア共同体はASEANプラス3を枠組みとする流れが固まりつつある。第2回で早くも首脳によるフォーラム化しつつある東アジアサミットは形骸化が進むのではないか。

「汎北部湾経済圏」でASEANと“海の協力”

 中国は東アジア共同体の枠組みづくりで主導権を握った形となったが、東アジア共同体の行く末には不透明な部分も多い。

 その一方で、中国とASEANが2010年に完成を目指しているFTAは順調に進展している。今回、貨物からサービスへと拡大した意味は大きい。

 FTAの進展を背景に、中国はASEANとの新しいプロジェクトを相次いで打ち出している。アジアを縦貫・横断する「汎アジア鉄道」などもその一つ。

 現在、注目されているのは「汎北部湾経済圏」構想である。北部湾とはトンキン湾のことで、同湾を囲む地域である中国、ベトナム、マレーシア、シンガポール、インドネシア、フィリピン、ブルネイを加えた新しい地域経済協力の枠組みを形成しようという構想。

 長らく対立関係にあった中国とベトナムは、すでに同湾の境界画定協定と漁業協力協定が発効、は石油天然ガス協力に関する枠組み合意にも調印、資源共同開発も進められることになった。

 汎北部湾経済圏は、2004年の温家宝首相の訪越、翌2005年のチャン・ドゥック・ルオン大統領の訪中などで、両国をつなぐ「両廊一圏」に関する合意などで現実味を帯びてきた。両廊とは、南寧−ハノイ−ハイフォンと昆明(雲南省)−ハノイ−ハイフォンの2つの経済回廊、一圏とは汎北部湾経済圏を指す。

 広西チワン族自治区は区都の南寧で「中国・ASEAN博覧会」を開催するなど、雲南省とともに対ASEAN経済交流の拠点となっているが、昨年には新たに「汎北部湾経済協力構想」を打ち出した。この地域の海上輸送の強みを生かし、資源を共同開発して臨海工業などを経済発展を促そうというもの。南寧に一大商業貿易基地を建設する計画をスタートさせるなど積極的に動いている。昨年から「環北部湾経済協力フォーラム」が南寧市で開催されている。

東アジアサミットについて 外交部

2006年12月08日 「人民網日本語版」

 外交部の秦剛報道官は7日の定例会見で、東アジアサミットについて質問を受け、次のように述べた。

 東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス1、ASEANプラス3、東アジアサミットは、いずれも域内各国が対話と交流を強化し、協力を模索し、当地域の平和・安定・繁栄を共同促進するための枠組である。東アジアサミットは1つの新たな場だ。ASEANプラス1、ASEANプラス3は開催期間が相対的に長く、ASEANは域内協力の提案、促進の双方において、一貫して主体的役割を発揮し、豊富な経験を蓄積している。

 東アジア協力においては、広範で十分な議論が行われるべきだ。特にASEAN諸国の共通認識を尊重し、ASEANプラス3協力を主要ルートとし、ASEANが主導する形で東アジア協力を促していくべきだ。われわれは東アジア協力が開放的、寛容的なものであり、当地域および当地域の利害国の関心に共に配慮し、当地域の協力問題について十分な議論を行うことを希望する。東アジア協力は長期目標であり、順を追って漸進し、一歩一歩積み重ねていくプロセスが必要だ。

 いくつかの国は、東アジアサミットの議題と成果に関し、その主張を提示した。今回の東アジアサミットは、うわべだけの交流の場とはならない。エネルギー安全保障、鳥インフルエンザ対策なども重要議題になると聞いており、関係国の指導者が、これらの問題を議論することになる。

 朝鮮半島の核問題も域内国の関心が高い問題だ。関係国、特に中日韓は6カ国協議の構成国であり、この3カ国が朝鮮半島核問題について話し合うとすれば、それがASEANプラス3であれ、ASEANプラス1であれ、東アジアサミットであれ、あるいは中日韓首脳会談であれ、ごく自然なことだ。

「多数決」「制裁」導入へ ASEAN憲章

2006/11/27 The Sankei Shimbun

 東南アジア諸国連合(ASEAN)が制定準備を進めている「ASEAN憲章」に、これまで原則としてきた「全会一致」と「内政不干渉」を見直し、多数決と制裁規定を盛り込む方向で調整を進めていることが27日までに明らかになった。2つの原則の存在をめぐっては、民主化が進まないミャンマー問題などを解決できない背景になっているとして、国際的にも批判を呼んでいた。

 憲章は、ASEANに地域機構としての法的根拠を与え、将来の「ASEAN共同体」の最高規範となる。

 フィリピンのラモス元大統領ら元首脳らで構成する有識者会議が、憲章草案作成のための指針案を12月に同国セブで開かれるASEAN首脳会議に提出。承認されれば起草チームが作業に入り、来年11月にシンガポールで開かれる予定の首脳会議までに草案を作成する。(共同)

ASEAN外相会議/中国優位の流れ定着

2006年07月26日 東奥日報
 

 クアラルンプールで開かれた外相会議で東南アジア諸国連合(ASEAN)十カ国は、将来の「東アジア共同体」構想を、中国の主張に沿ってASEANプラス3(日本、中国、韓国)を中核に進めることをあらためて確認した。これはインドやオーストラリアを交えた東アジアサミット(十六カ国)の枠組みを唱える日本の思惑とは一線を画す。ASEANにおける中国優位の流れが定着する一方、インドも独自の戦略を進めており、日本の存在感は薄くなるばかりだ。

 ▽中心

 「ASEANプラス3」は、東アジア問題を協議する場として一九九七年に発足。約十年の間に資金供与や共同プロジェクトも進み「単なるフォーラムの域を越えた枠組み」(外交筋)に成長した。だがそれも「中心に中国がドカンと座り、周りをASEANと日本、韓国が取り巻く中国中心の会議」(会議筋)の色彩を帯びつつある。

 日本側も「中国の影響力が強すぎてやりにくい」(外務省幹部)とその事実を認める。

 中国は昨年七月、ASEANと自由貿易協定(FTA)を締結、この一年の貿易総額が前年比21・6%増と順調に伸びた。さらに二〇一〇年までに貿易総額を二千億ドル(約二十三兆四千億円)に拡大する目標を掲げるなど、関係緊密化を一層促進させる構えだ。

 「アジアの平和と安定を推進させていく」。中国外務省の劉建超報道局長は李肇星外相のクアラルンプール入りに先立ちこう強調し、日本を尻目に積極外交を展開する意向を示した。

 ▽真の友人

 日本は「プラス3を将来的には東アジアサミットに昇華させるべきだ」と主張する。インドやオーストラリアを交えることで中国をけん制し、中国に対抗する軸を形成するのが狙いだ。

 二十六日にクアラルンプールで開かれた東アジアサミット参加国外相による会合では、麻生太郎外相がサミットの枠組みによる地域協力を経済産業や社会分野にも拡大することを提唱。「エネルギー問題やテロ対策などはインドやオーストラリアを入れた方が有効だ」(外務省幹部)と訴えていく考えだ。

 また日本は「東アジアFTA」構想も表明しているが、ASEAN側は「時期尚早。現実味に欠ける」と反応は鈍い。共同体構想についても「ASEANと日中韓が主導」と強調、サミットは「これを補完する話し合いの場」と位置付ける。

 一九九〇年代後半、経済危機に見舞われたASEAN諸国は、日本の支援に対し「日本こそが真の友人だ」と高く評価した。しかし今や「ASEANもサミットにあまり熱心ではなくなった」(外交筋)印象で、日本の影響力は低下している。

 ▽プラス4

 今年五月、インド南部ハイデラバードで東アジアの共通為替指標「地域通貨単位」を話し合う会議が開かれた。しかしインドはオブザーバーとしてすら招かれず、チダムバラム財務相は「ハッピーでもない。アンハッピーでもない」と、複雑な心境をのぞかせた。

 インドは将来の市場として東南アジアを強く意識する。シン政権は「ルックイースト政策」を掲げ、東アジア共同体入りで後れを取れば国益を損なうとの考えだ。その前提で、従来の枠組みにインドが加わった「ASEANプラス4」が実現できなければ、共同体入りは困難との認識もある。

 大国インドにとって「中国に対するバランス役という位置づけはうれしくない」(政府高官)が、そうした立場を度外視しては共同体の一員になるのが難しいのが現実だ。

東アジアの経済統合ーその展望と課題

2006年05月27日/日本経済新聞

 渡辺修氏 東アジアの経済統合は急速に進んできた。共同体の中心的存在である東南アジア諸国連合(ASEAN)の競争力をどう向上させるか、急速に台頭する中国をどう取り込むか、安全保障で重要な役割を担う米国との関係をどうするか――の三つの課題を中心に議論したい。

 趙晋平氏 中国の新しい経済協力戦略は2001年、ASEANに自由貿易協定(FTA)交渉を提案した時から始まった。ASEANとは実質的な成果が出ている。中国が締結済みまたは交渉中のFTAは十件、28カ国に達した。交渉段階、研究段階にあるFTAまですべて実現できれば、対外貿易の50%近く、直接投資の60%を占めることになる。制度的な経済協力の枠組みをつくることは、中国の将来の貿易や投資にとって非常に重要だ。

 韓昇洙氏 東アジアの経済統合がなし遂げられるかについて私はやや悲観的にみている。ASEANが経済統合で本当に中核的な役割を果たせるかどうかを改めて考える時期に来ていると思う。東アジアの経済統合には、現在とは別の枠組みを設けるべきだ。影響力のある韓国、中国、日本がより積極的な役割を果たしたほうがよい。

 リチャード・ボールドウィン氏 東アジアの地域主義は世界的に見てもユニークだが、ひ弱でもある。今緊急に必要なのはビジョンではなく、うまく管理するマネジメントだ。どこかの国がリーダーシップを握るというより、ASEANと日中韓でしっかり管理する必要がある。アジアではASEANを中心にFTA網が築かれているが、この地域の最も大きな貿易の流れをカバーする日中韓のFTAがないのは奇妙だ。

 渡辺氏 ASEANプラス3(日中韓)の枠組みは着実に進んでいるが、日中韓の協力が進まない。04年の日中韓首脳会議で投資ルールの透明化や投資環境の整備、維持、早期の交渉入りを掲げたものの、その後は宙に浮いている。3カ国が協力した場合の効果は計り知れない。

 韓氏 中国と日本が和解しない限り、東アジアには大きなビジョンは描けない。3カ国には政治的葛藤を解決しようとする理想主義的な政治家が必要だ。3カ国が団結して構想を進めるなら目標を容易に達成できる。時間はかかるだろうが、それは待つに値する歴史的な作業だ。

 趙氏 東アジアの地域協力を促進するうえで、3カ国の協力が重要だ。いずれも地域の大国で、経済関係も深い。東アジアの協力は「東アジア共同体」であろうとFTAであろうと3カ国の参加がなければ実現不可能だ。中日間のFTAは日中韓の中で考えていきたい。それが二国間関係の改善にも役立つ。中国は3カ国のFTAに一貫して積極的な姿勢だ。

 ボールドウィン氏 この地域は日中韓という経済大国の貿易の流れが大きい。日本など東アジアの企業が米欧市場で競争力を持つには域内貿易が円滑に機能する必要がある。

 渡辺氏 東アジアの発展はダイナミックで、今後の展開を予測するのは難しい。アジア版経済協力開発機構(OECD)のような組織を共同で設立して課題を出し合い、検討結果を各国政府に提言する仕組みをつくってはどうか。共同体構築ではASEANプラス3が中心になるはずだが、運営の方法や、そこに米国が入りたいと言ったときにどうするのかなどを議論する必要もある。

 ボールドウィン氏 アジア版OECDという渡辺氏のアイデアはすばらしい。この地域では理解がまだ不十分。ASEANに照準を合わせた機関をつくるのはいいことだ。ASEANプラス3で、交渉が行き詰まったときや第三国に差別的な自由化が進みそうなときに、解決を図る組織を設けておくのがよい。

 韓氏 渡辺氏のアイデアはいいが、それなら日中韓3カ国に共通な利益を追求する超国家的な研究所を作ってはどうか。韓国は今月末の統一地方選後に米国とのFTA交渉に入る。どれだけ深い交渉になるかわからないが、米国が関心を持っているのはよいことだ。

 趙氏 地域間の協力促進のためには対話の効果的なメカニズムをつくる必要がある。ただ東アジアについていえば、既存の枠組みを効果的に活用することが重要だ。ASEANプラス3も、中日韓3カ国も、すでに政府レベルでの研究・協議を始めている。

ASEANプラス3、共通通貨単位の創設検討で初合意

2006/05/05 The Sankei Shimbun

 東南アジア諸国連合と日中韓(ASEANプラス3)の財務相会議が4日、インドのハイデラバードで開かれ、東アジア通貨の価値を比較できる共通為替指標「地域通貨単位」の創設について検討することを合意した。同財務相会議が、通貨単位の検討で一致したのは初めて。

 アジア開発銀行(ADB)が提唱する「アジア通貨単位(ACU)」とも重なる構想。東アジアが一体となって、地域通貨単位の検討を開始することで、将来の通貨統合も視野に入れた金融協力に一歩踏み出した。

 地域通貨単位は、アジアの主要通貨の指標を念頭に置いている。実現への課題は多いが、将来的には欧州単一通貨ユーロの基礎となった欧州通貨単位(ECU)のような指標につながる可能性もある。欧州では1979年にECUを導入したことが、2002年の欧州単一通貨ユーロの流通につながった。

 谷垣禎一財務相は会議終了後、「欧州連合(EU)が長い時間をかけたように大変大きな話だ。学術的な研究をする段階で結論は未知数だが、真剣に検討していく必要がある」と語った。

 共同声明によると、ASEANプラス3はアジア地域の金融安定に向けて、地域通貨単位の創設について06―07年に調査・研究を促進することで合意した。金融危機の際に外貨を融通する通貨交換協定については、2国間から多国間へと枠組みを拡大していくことを明記。アジア債券市場育成促進でも一致した。

近隣外交 成果を生まぬ対決姿勢

2006/01/04 中国新聞

 「東アジア共同体」を目指す動きがなかなか前に進まない。その大きな原因は、政治的な日中関係の悪化と、主導権を競い合う両国の姿勢にある。両国とも地域全体の持続的な発展を考えた共存共栄的な姿勢を早く打ち出さないと、アジアの安定と発展はないと知るべきである。

 将来の地域統合構想「東アジア共同体」創設を目指して昨年十二月、初の東アジアサミットが、東南アジア諸国連合(ASEAN)に日本、中国、韓国、それにインドなども加えた十六カ国が参加して、マレーシアで開かれた。共同体構想は、ASEANプラス3(日中韓)の十三カ国の枠組みを中心に進めるべきだ、と主張する中国と、広く十六カ国を軸にした東アジアサミットを中心にすべきだ、と主張する日本とのせめぎ合いがあった。

 日本の動きの背景には、ASEANプラス3の枠組みでは中国の主導権が強くなりすぎる、と懸念する米国の意向が働いていたという。ASEAN諸国にも中国への警戒感は根強い。その分、日本の役割に期待もしているはずだった。日本の主張したサミットへのインドなど三カ国の参加は認められた。しかし、サミットに先立つASEANプラス3会議での中国の影響力は大きかった。それが結局、共同体創設の主役はASEANプラス3であり、サミットは脇役、とする宣言につながった。

 日本の発言力を弱める働きをしたのが、小泉純一郎首相の「靖国」問題だと思われる。日中首脳会談が実現しなかったばかりか、中韓首脳会談での緊密ぶりの強調は、日本の孤立を演出した。マレーシアのサイドハミド外相さえ「最近の日中関係は、東アジア共同体形成を含む地域協力に難しい影響を与えている」と苦言を呈した。隣国と良好関係が保てない日本に危うさを感じるのだ。

 小泉首相の政治的手法は、賛成か、反対か、をはっきりさせることで目に見える敵をつくり出し、軸のぶれない自分を演出して勝利を得ようとするものだ。それは国内政治には通用しても、外交ではマイナスが大きすぎる。中国や韓国の反発を強めるだけでなく、ASEAN諸国の理解も得られていないことを、今度のサミットが示している。

 平和学に「チキンゲーム理論」という考え方がある。チキン(鶏)は「憶病者」を意味する。同じ道路上を向かい合って車を発進させ、どちらが先にハンドルを切って衝突から逃れようとする憶病者か、を競うゲームのことだ。国際的な紛争時に両国がチキンゲーム状態に陥ったら危険この上ないことを、自覚させる狙いの思考法である。

 めざましい成長を続ける中国は、今は日本企業も含めた世界の工場として発展している。しかし、遠からず自前の工場化を次々進めるだろう。そのとき中国は、アジアの覇者たらんとしているのか。日本は中国と権力争いを演じているのか。お互いが対決姿勢でいる限り、東アジアという地域は、環境からもエネルギーからも、あるいは食糧問題でも破たんの坂を下っていくだろう。  いまはチキンゲームをやっている場合ではない。小泉首相も「靖国」にこだわる時期ではない。お互いが「わだかまり」を持たない状態を早くつくって、将来のアジア地域についての検討を開始したい。

「共同体主導」を宣言 ASEANと日中韓首脳

2005年12月12日 北陸中日新聞

 【クアラルンプール12日共同】東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス3(日中韓)首脳会議が12日、小泉純一郎首相が参加してクアラルンプールで開かれ、将来の「東アジア共同体」の構築で「ASEANプラス3」の枠組みが主導権を握ることをうたった「クアラルンプール宣言」に調印した。

 東アジア共同体は政治、経済、安全保障の幅広い分野の協力を目指す地域統合。宣言は、中国が影響力を行使しやすいASEANプラス3(13カ国)が共同体の中核となることを明確に打ち出し、共同体の補完的役割にとどまると位置付けられた14日の第1回東アジアサミット(16カ国)との役割の差が鮮明になった。

 ASEAN議長国マレーシアのアブドラ首相は、ASEANとASEANプラス3の両首脳会議が、東アジアサミットを毎年開催することで合意したと明らかにした。

 小泉首相は鳥インフルエンザ対策でアジア諸国向けに総額約1億3500万ドル(約163億円)の支援を提示した。

首脳会議にインドも参加へ…ASEAN外相会議で合意

2005/04/11 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【セブ(フィリピン中部)=林田裕章】東南アジア諸国連合(ASEAN)非公式外相会議は11日、12月にマレーシアで開く初の「東アジア首脳会議」への域外国の参加について〈1〉ASEANの対話国であること〈2〉東南アジア友好協力条約(TAC)に調印していること――などを具体的条件とすることで合意、閉幕した。

 両条件を満たしているのはインドだけであることから、今年の首脳会議は、ASEANプラス3(日中韓)にインドを加えた14か国で開かれる公算が大きくなった。正式には今夏、ビエンチャンで開く公式外相会議で決定する。

 シンガポールのジョージ・ヨー外相は記者会見で、対話国であるオーストラリアやニュージーランドがTACに調印すれば、インドと並んでサミットに参加する資格を得られることを示唆。日本がASEAN側に打診した米国のオブザーバー参加については、「話し合われなかった」と語った。

 一方、同外相は、ASEANの議長国が来年からミャンマーになることに米欧などから強い懸念が出ていることについて、「議長を引き受けるかどうかはミャンマーが決定することだ」と述べた。

ミャンマー議長国辞退も ASEANの利益優先

2005/04/10 usfl.com

 東南アジア諸国連合(ASEAN)非公式外相会議が10日、フィリピン中部マクタン島のホテルで始まった。最大の焦点は、欧米が反対している軍政国ミャンマーの来年夏のASEAN議長国就任問題だが、ASEAN外交筋は同日、ミャンマーが辞退する可能性があることを明らかにした。

 外交筋は、ミャンマーが辞退を検討している理由として、「ASEAN全体の利益を優先」し、同時に民主化進展などの内政問題に専念したいと軍政側が語ったことを明らかにした。軍政側は議長国就任を「延期する」意向で、将来の就任に含みを残している。

 欧米は民主化運動指導者アウン・サン・スー・チーさんの自宅軟禁継続などを理由にミャンマーの議長国就任に反対。マレーシア、フィリピンなども就任に難色を示している。

 もう一つの焦点である年末に予定される東アジア首脳会議の参加枠については、ASEANプラス3(日中韓)の13カ国でスタートした後、拡大を検討する案と、最初からオーストラリア、ニュージーランド、インドを加え16カ国で始動する両案を中心に11日協議する。

 タイ外務省報道官は10日、両案の検討結果を5月に京都で開かれるASEANプラス3外相会議に諮ることを明らかにした。

 日本は「ASEANプラス3の枠組みではテロ対策など地域協力の推進に行き詰まる」として、議長国ラオスを通じ、米国の参加を求めている。(共同)

構想は地域大、行動は2国間 東アジア「FTA競争」の行方

2002年11月29日『時事トップ・コンフィデンシャル』/RIETI上席研究員 宗像直子

 今月4日に、カンボジアのプノンペンで第8回東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議、第6回ASEAN日中韓(ASEANプラス3)首脳会議、ASEANと日中韓各(ASEANプラス1)との首脳会議、日中韓首脳会議など東アジア首脳間の一連の会議が開催され、そこで、東アジア経済統合にかかわる進展が幾つかあった。

 第1は、中国とASEANとの自由貿易協定(FTA)交渉の本格化だ。両者は昨年11月の首脳会議で、10年間でFTA交渉を完了させる旨合意していたが、今回はこれを一歩進め、交渉の枠組を定める中・ASEAN包括的経済協力枠組み協定が署名された。

 第2は、日本とASEANとの包括的経済連携構想の進展だ。首脳の共同宣言によると、10年以内のできるだけ早期の連携措置(FTAを含む)の実施完了が目指され、高級実務者の委員会がその枠組みの案を来年の首脳会議に提出する。

 第3は、東アジアFTA構想の認知だ。昨年11月の東アジアビジョングループ報告書の提案を検討していた東アジアスタディグループの報告もまとまり、東アジアFTAについて経済閣僚が検討することが正式に合意された。

 第4に、日中韓首脳会議で、朱鎔基中国首相が日中韓FTAのフィージビリティースタディーを提案した。しかし小泉純一郎首相は中国とのFTAは中長期的課題と考えているとし、それ以上の進展はなかった。

 他方、域外国の米国は、カンボジアでの一連の首脳会談に先立ち、10月26日にメキシコのロスカボスにおけるアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議の際に開催された米ASEAN首脳会議で、ASEAN諸国とのFTA締結推進の意向と手順を示す「ASEAN行動計画(Enterprise for ASEAN Initiative)」を発表。アジア通貨危機前までFTA空白地帯であった北東アジアで、今や、各国とASEAN(ないしその加盟国)とのFTA締結が同時並行的に進められている。

 また、12年前のマハティール・マレイシア首相の東アジア経済協議体(EAEC)構想に米国が強く反発した後、東アジア地域構想は一種のタブーだったが、通貨危機後にASEANプラス3首脳会議が開催され、今や東アジア・コミュニティが語られ、東アジアFTAが検討されるまでになった。

 しかし、域内両大国である日中を直接結ぶFTAの議論は盛り上がらない。構想は地域大で語られるが、行動はあくまで二国間(ないしASEANプラス1)という状況だ。東アジアには、実態としての経済統合が進展し、求心力が高まる一方で、遠心力も根強いのだ。

 その中で、北東アジアにおいて韓国とともに先陣を切ってFTAの検討を開始し、シンガポールとの協定締結も果たした日本は、ASEANをめぐる「FTA競争」において、中国の後塵を排し、さらには「高水準のFTA」を強調する米国の参入を受けて、存在感がない、という批判も強い。日本は、東アジアの経済統合において、どのような役割を果たすことができるのであろうか。まず、「FTA競争」の当事者たちの事情を概観する。

 ■自信深める中国

 中国は、1989年創設のAPECに91年から遅れて参加、「アジア通貨基金」構想に反対するなど、97年ごろまでは地域協力に消極的だった。しかし、米中関係が緊張した99年夏ごろから、中国は「多極化戦略」の一環として近隣諸国との関係強化に力を入れ始めた。また、世界貿易機関(WTO)加盟交渉中の中国は、98年以降のアジア二国間FTAの活発化を苦々しく見ており、自ら参画する必要性を感じていた。そして、域内に根強い「中国脅威論」を払拭するうえで、中国市場への特別のアクセスを認めるFTAが有効だと認識するようになった。

 こうして、中国は、WTO加盟の目途がつくや、2000年11月にASEANとのFTAの研究を提案した。早期の関税引き下げによる農産物輸入拡大の展望を示してASEAN諸国を説得し、翌2001年には10年以内の交渉完了合意にこぎつけるなど、急ピッチでASEANとのFTA交渉を準備してきた。

 さらに、アジア諸国を束ねることによって欧米に対抗できる勢力となることを目指す中国は、東アジア全体の地域統合にも積極的だ。しかし、その足元は磐石ではない。

 まず、中国はWTO加盟後、日が浅く、ルール実施のために、広い国土で抜本的な制度とその運用の変革が行われている最中だ。また、中国は、競争力の低い国有企業を抱え、日本に対しては直ちに製造業の関税撤廃をする用意がない。中・ASEANのFTA研究に携わった中国政府関係者は、「ASEANに対しては競争に勝つ自信があるからFTAを提案できたが、日本とはそうはいかない」と率直に述べている。

 その日本が、大胆な貿易自由化に動けないことから、中国は、安心して日中韓FTAや東アジアFTAを呼びかけられるという状況にある。そして、中国には、日本が国内経済を再生し、農業保護から脱却できる日が仮に来たとしても、そのときには中国の競争力は今よりずっと強くなっている、という自信があるようだ。

 ■ASEANのジレンマ、米国の回帰

 90年代半ばまで東アジアの地域協力に構想力を発揮してきたASEANは、通貨危機を契機にその求心力が低下。かねてよりASEAN域内経済統合の遅れに不満だったシンガポールは、ニュージーランド、そして日本とのFTA交渉を単独で行うようになった。シンガポールの単独行動は、他のASEAN諸国を刺激し、タイやフィリピンも域外国に二国間FTA締結を働き掛けるようになった。日・シンガポール経済連携協定の進展は中国も刺激した。

 中国はASEANとのFTAに熱心になり、ASEANは中国の影響力とのバランス上、日本、インド、米国とのFTAにも期待している。シンガポールのジョージ・ヨー貿易産業相は、9月にブルネイで開催された日・ASEAN経済閣僚会議後の記者会見で、「中国とのFTAが10年でできるなら、日本とはもっと短くできる。」と述べ、日本の対応の加速を促している。

 しかし皮肉なことに、ASEAN(各国あるいは全体)と域外国とのFTAが活発化する一方、ASEAN域内統合は必ずしも順調ではない。マレイシアの自動車やフィリピンの石油化学等の関税撤廃が困難である上、各国の基準の違いや非効率な税関手続きにより域内の取引コストがなお高い。このまま域外国とのFTAが進めば、ASEANは国家連合としての交渉力を失うおそれもある。

 東アジア地域協力の枠組は、米国の対アジア政策関心の消長により、大きく左右されてきた。米国は、日本の経済パワーを懸念した80年代末から90年代初頭には、EAEC構想に猛反発し、APECの枠組を強化してアジアの貿易自由化推進の道具として活用しようとした。その半面、米国は、94年に北米自由貿易協定(NAFTA)を発効させ、米州自由貿易協定構想を打ち出し、APECメンバーに米州とそれ以外の非対称性を意識させた。

 アジア通貨危機の際には、国際通貨基金(IMF)の伝統的緊縮政策が経済危機を深め、米国が中南米向けとは異なり二国間支援に消極的だったことが、アジア諸国の間にいわゆる「ワシントン・コンセンサス」に対する反発を生んだ。APECでは、米国は自らの関心事項である早期自主的分野別自由化(EVSL)に固執し、通貨危機への対応は議論されず、危機に翻弄される国々のAPECへの関心が決定的に低下。同時に、経済危機はアジア市場の魅力を減じ、米国の対アジア関心も退潮した。その中で、ASEANプラス3がEAECとは異なり、米国の大きな反対もないまま初の首脳会議を開催し、そして米国は中国のWTO加盟交渉に政策関心を集中した。

 しかし、その中国WTO加盟交渉の妥結後、米国もまた、アジアの二国間FTAの進展にくさびを打とうとするようになった。2001年秋、クリントン政権の残りもあとわずかという時に突然合意した米シンガポールFTA交渉開始がその端緒だ。さらに、その後の中国の積極化を受けて、ASEAN行動計画が発表された。

 「太平洋国家」米国には、東アジアへの関心を常時、域内各国と同等に維持するだけの政策資源を持たない半面、東アジアの経済統合が米国抜きのまま制度化していくことを牽制したい衝動がある。

 ■今後は競争的、重層的に展開

 このように、中国とASEANは、中国のWTO適応、ASEAN域内統合といった課題を抱え、また、中国の影響力拡大に対するASEANの懸念もあり、どこまで内実の伴ったFTAができるかよく見極める必要がある。ただし、日本は、最速の進捗を想定して、対ASEAN政策を立案すべきだ。また、米国も、地政学的考慮から順次FTAを締結していくだろう。

 東アジアには求心力と遠心力の双方が働いており、今後も一気に東アジア諸国を束ねた統合が進むのではなく、二国間FTA等がアジア域内外で同時並行的に締結されるだろう。そして、二国間、地域、グローバルの各レベルが相互に影響し合うという、競争的、重層的な協力のパターンが続くだろう。東アジア協力の単位としてはASEANプラス3の枠組みが定着しつつあるが、そのメンバーが拡大する可能性もあろうし、それが柔軟に拡大しなければ他のフォーラムが浮上する可能性もある。

 ■日本はわが道を走れ

 既述のとおり、東アジア経済統合における日本の対応の遅さを批判する声は強い。日本はどうすべきか。

 確かに日本は、長引く国内経済停滞に加え、保護主義的勢力の抵抗によって大胆な貿易自由化に動けずにいる。しかし、よく見ると、日本は、一歩一歩着実にFTA交渉を進めている。まず、農産品の輸出が殆どないシンガポールから始め、次に、農産品が対日輸出の2割を占める一方、NAFTAやEUとのFTAにより日本の輸出が受ける関税差別が大きく、FTAの利益が明確なメキシコと交渉を開始し、その次には経済発展段階が高く地政学的利益の明確な韓国との交渉開始を目指す、というように、相手国を慎重に選んで、成功の確率を高める工夫をしている。

 比較的実現可能性の高い改革の成功体験は、より困難な改革への道を開く。日本は、着実な取り組みを重ね、アジア経済統合に向けた議論を成熟させていく必要がある。「FTA競争」に不用意に参画し、着実な努力をくじくことは賢明でない。そして、交渉の決断をしたFTAの1つ1つにおいて、相手国を特定した集中的検討により、将来他国にも採用されるような優れたルールを作ることに努力を傾注すべきだ。それは、今直ちにアジアの多数の国々と一挙にFTA交渉に入れない日本が、少しでも将来の交渉力を高めるうえでも重要だ。

 また、そもそも、FTAは自己目的化されるべきでなく、あくまで手段だ。発展段階の低い国には、当面は、自由化を迫るFTAより、特恵関税と開発援助の組み合わせの方が発展の近道かもしれない。競うべきはFTAの締結速度ではなく、相手国との経済関係を緊密にし、政治資源も蓄積するうえで、効果的な政策(FTAに限らず)の中身だ。日本は中国と同じ次元の競争をしているわけではない。ただ、FTAという形はとらなくても、域内先進国たる日本の、非効率セクターも含めた市場開放が求められることに変わりない。

 そして、日本もゆっくりしてはいられない。それは、中国との「FTA競争」を強調し日本を促すASEANの期待への配慮もさることながら、中国をはじめとするアジア諸国経済が発展し、日本との競合分野が増えていく中で、日本自身が経済構造を高度化し、活力を取り戻すために残された時間があまりないからだ。

 他方、日本の急務は国内経済の建て直しであって、FTAなどにうつつを抜かしている場合ではない、という議論もある。確かに、日本経済が強くなければ、対外交渉力も保護主義を克服する力も弱まる。しかし、人口が高齢化し、内需の高成長を期待できない日本の将来は、発展するアジアの新たな機会をいかに享受できるかに左右される。日本は、競争力ある日本企業が活動しやすいよう海外の事業環境の改善を求めると同時に、非効率セクターに競争を導入して生産性を高め、海外の人材や資本を惹きつける魅力ある事業環境を作り出し、国内のイノベーションを活発にしなければならない。アジアとの経済統合は、日本の経済構造改革の一環であり、金融セクターやマクロ経済の対策と同時に進めていかなければならない。

 なお、中国とのFTAについては、農業等の自由化困難のためできないとの議論があるが、WTO上もある程度の除外は許容されており、交渉で解決可能だ。むしろ、両国国民が経済・政治関係強化を歓迎する機運が高まるような環境づくりこそが必要だ。日本がアジア諸国との経済連携に取り組む過程で、早期に改革への政治的機運が高まり、アジアの繁栄と安定に対し、より整合的な役割を果たすことができるように変わっていくことを期待したい。

ASEAN、2010年までに観光・航空を自由化

2004/11/28 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ビエンチャン=菊池隆】東南アジア諸国連合(ASEAN)が、域内の貿易や投資の自由化について定める「ASEAN枠組み協定」の最終案が27日、明らかになった。

 29日にラオスのビエンチャンで開くASEAN首脳会議で、10か国の首脳が署名する。

 協定が対象とする農水産品、自動車、電機など自由化の「優先11分野」のうち、観光や航空などサービス貿易は、自由化を2010年までに達成する目標を新たに設定する。具体的には、加盟10か国が互いに外資規制を撤廃するなどの自由化を進める。また、タイやマレーシアなどASEANの先発加盟6か国間の関税撤廃を3年前倒しし、2007年からとする。日本企業はASEAN各国に生産・輸出拠点を置き、域内で部品などを調達しており、関税撤廃の前倒しなどは、生産コスト削減をはじめとしたメリットが期待できる。

 首脳会議で協定案と同時に採択する「ビエンチャン行動計画」に6か国間の優先分野の市場統合を2010年とするなどの大方針を盛り込み、枠組み協定で具体的な目標時期を示す。

 協定案は、先発6か国間の関税撤廃を前倒しするほか、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナムの後発加盟4か国も撤廃時期を2012年からとした。

 加盟国間の投資の制限措置を撤廃する時期に関しては、先発6か国が2010年まで、ベトナムは2013年まで、カンボジア、ラオス、ミャンマーは2015年までとした。

シンポジウム「東アジア地域協力の共同設計」

2002年02月08日 asahi.com

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 宋林飛氏 中国江蘇省社会科学院長。中国・南京大教授。

 ●アジア経済危機後、東アジア各国は、地域経済協力の推進によってのみグローバル化のリスクに対応できることに気づいた。10+3(ASEANプラス3)が基本的な枠組みになるべきだ。

 AMFの設立や、アジアの単一通貨、すなわちアジアドルの創設が必要になる。これは自由貿易や自由な投資を実現して初めて可能になる。同時に日本円の国際化も重要だ。そして東アジアでFTAを結ぶ。実現させるには、日本と中国、韓国、さらにシンガポールかマレーシアが主導する必要がある。

 中国脅威論を唱える人がいる。しかし、改革・開放からもう20年余。WTO加盟で市場が開放されれば輸出入とも伸びる。中国の急成長は東アジアの大きな前進につながる。

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 クリス・ベーカー氏  タイの政治経済の論評で知られ、タイの経済危機に関する著書も。英ケンブリッジ大卒。

 ●アジア経済危機の渦中で(アジア諸国は)金融協力が重要だ、それもASEANだけでは効果が薄い、とわかった。(それで生まれた)ASEANプラス3の枠組みは奇妙だ。小さな国々が大きな3カ国を呼び込んでいる。3カ国の側も自分たちだけでは、まとまれないと考えたのだろう。

 ところで、パックスアメリカーナ(米国による平和)の終焉は間近に見ることができるのだろうか。私は、すぐには来ないと考える。また、ASEANプラス3の形態は10年ほど前に提案されたEAEC(東アジア経済会議)に似ており、米国が反対しかねない。農業の(自由化)問題も根底には欧州連合・米国の保護政策が根底にあるが、アジアで考えていかねばならないだろう。地域で交渉・解決したほうが簡単と考える。

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 平川均氏 名大教授。茨城大、東京経済大教授を歴任。アジアの経済発展、経済危機で著書多数。

 ●日本が市場を開放し、アジアの有機的な貿易圏をつくることによって発展していく。それがアジアの経済協力を高めていく時の重要なテーマだ。

 99年の奥田碩日経連会長を団長とするアジアへのミッションは、アジアを「運命共同体」と言い、自由貿易協定の推進を望む、との意見書を出した。なぜか。そういう分業構造をつくらないと、「アジア」の競争力をつけることができない、という認識だ。それにどうこたえるか、政治の問題として出ている。

 経済学には、グローバリズムがいい、リージョナリズム(地域主義)が悪い、という発想がどこかにある。しかし、いまの動きは、世界が大きく(アジア、米国、欧州の)3つに分かれるのではなく、3つの大きな自由市場が生まれることだと考えたい。

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 《解説》アジア危機と貿易自由化の枠組み

 経済危機をきっかけに、アジアでは経済を中心にした地域協力の機運が盛り上がっている。

 まず、タイの通貨危機が起きた後の97年、日本は国際通貨基金(IMF)のアジア版と言える「アジア通貨基金(AMF)」をつくり、アジア域内での相互扶助の仕組みを作ろうとした。米国の反対でとん挫したが、アジアでは依然として待望論が根強い。専門家の中には、将来アジア共通の通貨を導入すべきだとの意見もある。

 貿易や投資に関しても、2国間や多国間で関税や輸出入の制限になる障壁を撤廃する自由貿易協定(FTA)を結ぶ動きが具体化している。01年11月には中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)が今後10年以内にFTAを結ぶことで合意し、日本の小泉首相も今年1月のASEAN歴訪で、FTA締結に向けた関係強化に前向きな姿勢を表明した。

 地域協力を探る枠組みとしては、現在、アジアには米国や豪州なども含めたアジア太平洋経済協力会議(APEC)があるが、最近では米国の北米自由貿易協定(NAFTA)、欧州の欧州連合(EU)と並んで、アジアは「ASEAN(加盟10カ国)プラス3(日本、中国、韓国)」で結束を図る動きも加速している。

 シンポジウムの様子は、名大のサイトでご覧になれます。

[オピニオン]東アジアの協力と平和の道を開く

NOVEMBER 06, 2001 東亜日報

 ブルネイの首都で第5次「東南アジア諸国連合(ASEAN)+韓中日3カ国」の首脳会議(ASEANプラス3)が開かれた。この13カ国の第1次首脳会議が開かれた1997年は、あいにくにも韓国を含むアジア諸国が金融危機に見舞われた時だった。その後、毎年のように首脳会議は開かれたものの、東アジア各国は経済危機克服に専念していたため地域協力を積極的に推し進める状況ではなかったた。

 しかし、今回の「ASEANプラス3」首脳会議は、東アジア協力体の形成に新たな活力を吹き込むものと期待される。

 なかでも金大中(キム・デジュン)大統領は、ブルネイの首脳会議で「東アジア共同体」の建設を目指す東アジア・ビジョングループ(EAVG)報告内容の採択を提唱したことで、東アジア域内の協力増進において韓国が中心的役割を担う意思を明確にした。EAVGは、金大統領が98年に提言し、13の加盟国の学識者ら26人で構\成された民間レベルの機構\で、筆者も同グループの一員として報告書の作成に加わった。

 EAVGは、報告書の中で経済だけでなく政治、安保、社会、文化、教育などの諸分野での協力を目的とする「東アジア共同体(East Asian Community)」の構\成を提案した。このような共同体創設には、経済分野が牽引役を果たすことになるものと期待されている。経済協力に向けて、EAVGは、東アジア自由貿易地帯(EAFTA)、通貨基金(EAMF)、投資地域(EAIA)の設置を提案しており、そのうちEAFTAは、東アジアで世界貿易機関(WTO)やアジア太平洋経済協力体(APEC)の先を行く日程での貿易自由化を想定している。EAVG報告書は、さらに、今後「ASEANプラス3」首脳会議を「東アジアサミット」に発展させることを提案した。これは、ASEANが主導してきた東アジア13カ国の首脳会議が、今後は東北アジアでも開催されることを意味する。報告書は同時に、官民で構\成された「東アジアフォーラム」を設けるという提案も盛り込んでいる。

 東アジア協力体構\成の動きに対しては懐疑的な見方もある。現在のようなグローバル時代に、さらに地域共同体が必要かということだ。約10年前、マレーシアのマハティール首相が「東アジア経済協議体(EAEC)」を唱えた時、米国、カナダ、豪州などは、排他的な機構\となる可能\性があるうえ、APECを弱めるという理由で反対した経緯がある。

 しかし東アジアが、地域協力を強めて共同体を目指すということは、欧州連合(EU)や北米自由貿易協定(NAFTA)のような他の共同体に対応することだけのことを目的としているのではない。

 東アジア共同体を構\成する目的は、大きく5つ挙げられる。第一に、東アジア国家間の葛藤を解消して平和を増進することだ。なかでも中国と日本の協力と均衡が必要だ。例えば、欧州共同体(EC)やASEANの最も大きな成果の一つは、域内協力と平和をもたらしたことだ。第二に、交易、金融、経済発展などにおいて、域内協力を強化することだ。究極的には地域の経済共同体を目指すものといえる。第三に、経済だけではなく、環境、教育、資源などの分野で、協力し合い効率的かつ民主的な統治体制作りに共に努力しよう、ということだ。第四に、東アジアの両輪を成す東南アジアと東北アジアの協力と結束を図ることだ。最後に、相互間の交流と協力を通じて、東アジアの連帯感とアイデンティティ作りを目指すことだ。

 このような東アジア共同体作りの過程で、韓国としては特有の中心的な役割を果たすことができる。韓国は、東北アジアでは中国と日本の間で、また東アジア全体から見れば北東アジアの強国と東南アジアの中小国家との架け橋となり得る。一方、米国をはじめとするアジア太平洋地域の他のAPECメンバー国としても、韓国が先導することによって、東アジア共同体への疑念もある程度静めることができるはずだ。韓国が主要国として参加する地域共同体の誕生は、韓国としては外交上の立場を広げるだけでなく、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との関係においても役に立つはずだ。ECの存在が、東西ドイツ関係に潤滑油の役割したという事実に注目しなければならない。 韓昇洲(ハン・スンジュ)高麗大教授(政治外交学科)

ASEAN/「反テロ」の結束をばねに

2001/11/06 神戸新聞

 東南アジア諸国連合(ASEAN)の首脳会議がブルネイで始まり、ASEANとしてテロ根絶への強い姿勢を示す「反テロ共同行動宣言」を採択した。

 五日には、「ASEANプラス3」に出席するためにブルネイ入りした日本、中国、韓国の三カ国首脳が会談し、「いかなるテロにもきぜんとした態度で臨む」との方針で一致している。

 先日、上海で開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)に続き、アジア地域の各国があらためて「反テロ」での協調を確認したわけだ。米軍主導のアフガニスタン攻撃が一カ月に及び、国際的な包囲網のほころびが懸念されているときだけに、今回の結束には意味がある。

 もっとも、アフガン攻撃について、ASEAN内部の見解は同じではない。世界最多のイスラム教徒を抱えるインドネシアや、国民の六割がイスラム教徒のマレーシアは反対の姿勢を示している。

 両国内では、イスラム強硬派の抗議行動が激化しており、フィリピンでもイスラム過激派のテロなどが起きていた。

 採択された行動宣言は、加盟国間の溝には触れずに、テロ資金の封じ込めや捜査協力などをうたっている。域内に及びつつある不穏な動きに対処するには、立場の違いを超えた連携が欠かせない。

 「反テロ」という一致点が協調を促す構図は、日中韓の間でもうかがえる。

 五日の首脳会談で小泉純一郎首相は、日中韓の外相会談を提案、これを受けて三カ国の外相、財務相、経済担当相による会談の定期開催が決まった。

 首相の靖国神社参拝などで冷え込んでいた日中、日韓関係は、APEC前の首脳会談で一応の打開は図られた。今回の合意は、東アジアにおける対話の枠組みをさらに確かにするものであり、評価できる。

 ASEANを含めた、地域に及ぼす影響も小さくないだろう。アジア全体を視野に入れ、合意された各レベルの会談を有効に機能させなければならない。

 近年、地域共同体としてのASEANは岐路にあった。「奇跡」と呼ばれた高成長を遂げたものの、九七年の通貨危機とそれに続く政治危機を克服できず、傷ついたイメージの回復が進んでいないからだ。今回のテロが、各国の政治経済に、さらに悪い影響を及ぼす恐れは否定できない。

 なお残る意見や利害の対立を乗り越え、「ASEANプラス3」の共存共栄をどう探るか。わが国の担うべき役割は、きわめて重いことを十分に認識したい。

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