TOPIC No.2-146 アジア開発銀行(Asia Development Bank, ADB)

01.Asian Development Bank
02.アジア開発銀行 byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
03.アジア開発銀行(ADB)とは? by「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
04.通貨から始まったアジア統合(2006年05月09日) 田中 宇
05.【ナムトゥン2ダム・キャンペーン】第1号 世界銀行とアジア開発銀行の支援を止めよう!(2004年09月01日)メコン・ウォッチ
06.多国間開発銀行(Multilateral Development Bank)って何だ?by京大ユニセフクラブ2000年度11月祭研究発表
07.2005年のアジア債券市場と市場育成策への提言(2006.2.14)株式会社三菱総合研究所

ADB総会開幕、食料高騰でアジア向け財政支援

2008年05月03日 NIKKEI NeT

 【マドリード=遠西俊洋】アジア開発銀行(ADB)の年次総会が3日、スペインのマドリードで開幕した。黒田東彦総裁は記者会見で、コメなど食料の高騰で財政難に陥ったアジアの加盟国に緊急支援を実施すると発表。総会で規模や時期などを協議する。

 黒田総裁は「的を絞った支援策が有効だ」と指摘した。事態が深刻なバングラデシュとの間で財政支援に向けた協議を進めているほか、総会では貧困削減に向けた2020年までの長期戦略も話し合う。

 ADBは食料や原油高騰に伴うインフレ抑制を最重要課題に位置づけている。同時に開く東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス3(日中韓)財務相会合の場でも同様の議題を協議する予定。ASEANプラス3財務相会合では、通貨危機などの際の多国間の通貨融通協定やアジア債券市場の枠組みづくりも議題になる見通しだ。

アジア開発基金に1兆2000億円拠出へ、ADB合意

2008年05月03日 NIKKEI NeT

 【マドリード=御調昌邦】アジア開発銀行(ADB)は2日、途上国への無償援助や低利融資の財源となる「アジア開発基金(ADF)」について、 2009―12年の4年間の拠出総額を合計113億ドル(約1兆2000億円)とすることで合意した。08年までの4年間に比べて60%強の増額となる。

 日米をはじめとする資金拠出国などがADB年次総会を前に調整していた。

 アジア・太平洋域内には1日2ドル未満で生活する人が4億人いるとされる。同基金は主に道路や衛生、電力網などの基本的なインフラ整備などに使われる。

アジア新興国、08年に過去10年で最高のインフレに直面=ADB

2008年05月01日 REUTERS

 [マドリード 30日 ロイター] アジア開発銀行(ADB)は30日、アジアの新興諸国が2008年に、過去10年間で最高水準のインフレに直面するとの見方を示した。また、経済成長率は5年ぶりの低水準になると予想した。

 ADBのラジャット・ナグ事務総長は当地で開かれる年次総会を前に記者会見し、食品・燃料価格の大幅上昇により、アジア地域の08年の平均インフレ率が5.1%に達するとの見通しを示した。

 ADBは、世界的な信用危機の影響で08年のアジア新興国経済の成長率が07年の8.7%から7.6%に減速すると予想。09年は7.8%と予想している。

[ベトナム株]北部の高速案件でADB融資利用へ

2008/04/29 中国情報局

 交通運輸省はこのほどグエン・タン・ズン首相に対し、ハノイ市〜北部ランソン省間高速道路建設案件の投資形態変更を上申した。それによると、中国のキムトゥオン社が提案していたBOT(建設・運営・譲渡)契約方式では実現の可能性が低いため、アジア開発銀行(ADB)の融資資金を利用したいとしている。ADB側は2009〜11財政年度にかけて、同案件と他の高速道路案件2件について融資を行うことをすでに公約しているという。(提供:「VIETJO ベトナムニュース」と「ベトナム株式情報」)

来月3日からADB総会など開催 アジア各国、金融協力強化へ議論

2008/04/28 FujiSankei Business i.

 5月3日から6日までの4日間、アジア開発銀行(ADB)総会など一連の国際会議がスペインのマドリードで開かれる。米サブプライム(高金利型)住宅ローン問題に端を発する国際金融市場の混乱が続く中、通貨危機の再発を防ぐため、通貨交換協定の強化など地域金融協力を中心に議論。農産物の価格高騰を受け、食料の安定供給や、地球温暖化など環境問題への対応も焦点となる。

 4日の東南アジア諸国連合と日本、中国、韓国(ASEANプラス3)の財務相会議では、額賀福志郎財務相がベトナム代表と一緒に議長を務める。今年はサブプライム問題を受け「地域金融協力を進めようという意識が急速に高まっている」(財務省)という。

 協力の柱は、資金流出や通貨急落に見舞われた国に外貨を融通する「通貨交換」。これまで積み上げてきた16の2国間協定を一本化し、多国間協定に衣替えする検討を進めており、今回の財務相会議では、支援資金を総額800億ドル(約8兆3500億円)規模とすることで合意する見通しだ。

 アジア債券市場の育成も重要テーマ。域内の政府や企業が米ドルではなく、現地通貨建てで債券を発行し、安定的に資金調達できるようにするのが狙いだ。今年は取り組みを始めてから5年目を迎え、日本は市場育成の道筋を明らかにする「作業計画」を提示する。

 各国の通貨価値を比較する指標となる「地域通貨単位」の創設も検討中。将来的に「アジア共通通貨」の導入につなげることが念頭にあるが、道のりはまだ遠い。

 5、6日のADB総会では、食料などの価格上昇に関心が集まりそうだ。財務省幹部は「インフレ抑制と持続的成長のバランスをどう取るか、各国とも難しい選択を迫られている」と話す。

 7月の主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)を控え、額賀財務相は演説で、温暖化問題への積極的な取り組みの重要性を訴える考えだ

アジア開発銀行、インド社債市場の停滞を指摘

04/23/2008 インド新聞

 アジア開発銀行(ADB)は23日、経済の急速な発展にも関わらず、インド社債市場はまだまだ低水準であると発表した。

 インドは、ここ4年で約8.5%の平均成長率を維持し、株式市場も世界標準に達している。また、一連のサブプライムローン問題により世界市場が混乱に陥っている今でも、資金の流動性をしっかりと維持している。

 しかし、ADBはアジア債券展望4月号の中で、「インド企業が銀行融資と株式に頼り続けているため、債権市場の発展は停滞したままである」との見解を示している。

 1996年以来、インド株式市場資本のGDPに占める割合は、32.1パーセントから108パーセントに上昇した。この中で、金融部門の比率だけを見ると、46.3%から78.2%に跳ね上がっている。これとは対照的に、債券市場は21.3%から43.4%の成長にとどまっている。

 38.3%の成長を誇るインドの国債市場は、東アジア市場の中では比較的進歩しているが、社債のGDPに占める割合はわずか3.2%でしかない。インド社債市場の発展は、多くの東アジア諸国に対し遅れをとっているのが現状だ。

 ADBは「地域通貨債券市場の規制と監視構造を合理化した結果、インドは革新的な経済規模、換金性、および競争力を達成することができた。しかし、債権取引の流動性は法律によって制限されている。それは、銀行、保険会社、および年金基金などにとって、国債に占める定期預金負債の25%を維持することが必須条件だからだ。このように、従来の規制が壊されたり、様々な権威が相反する目的で動いていることにより、インド債券市場の成長が停滞している。」との見解を示している。

 現状を見てみると、ミューチュアルファンド産業の成長が債権取引の流動性に貢献している一方、企業のファンド利用は短期債権や手形に限定されているため、債権の流動性に貢献できていない。

 ADBは「収入印紙税法と情報公開法が改正されたことが、社債市場の発展に一役買うだろう」との見解を示している。

アジアのコメ備蓄、需要を満たすに十分=アジア開発銀行幹部

2008年04月22日 REUTERES

 [シンガポール 22日 ロイター] アジア開発銀行(ADB)のマネジングディレクター、ラジャット・ナグ氏は22日、アジアのコメ備蓄は過去数十年間で最も低い水準に減少したものの、依然需要を満たすに十分であるとの認識を示した。

 同氏は記者団に対し「アジアでの問題は供給ひっ迫ではなく、価格高騰だと考える」と述べた。

 アジアの各国政府は、コメ価格の急騰が買いだめや社会不安を引き起こす可能性を懸念している。

 主要なコメ輸出国は輸出を制限する動きを見せ始めており、一部の国では食料補助金の引き上げも行われている。

アジア開銀総裁、食糧高騰「サブプライムより深刻」

2008/04/18 NIKKEI NeT

 【マニラ=遠西俊洋】アジア開発銀行(ADB)の黒田東彦総裁は18日、マニラのADB本部で記者会見し、世界的なコメなど食料価格の高騰に関し「途上国を中心に、米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題より深刻だ」と述べた。アジア各国の主食であるコメの値上がりを受け「インフレ抑制が今年から来年にかけての最大の政策課題になる」とも語り、インフレ対策の必要性を強調した。

 黒田総裁は食料高騰について「中国やインド、東南アジアといったアジア地域だけでなくアフリカや中米などでも喫緊の経済課題だ」と指摘。ADBとして「アジアの加盟国が食料高騰による財政難に陥った場合、緊急融資などに応じる」と述べた。

 各国のインフレ抑制策として「一層の金融引き締め策や自国通貨高容認などに期待する」と言及。5月初旬にマドリードで開く年次総会の場などを通じ、各国の当局者と対応を協議する考えも示した。

アジア開銀、中国の水処理施設普及で新会社

2008年4月17日 The Chemical Daily

 アジア開発銀行(ADB)はこのほど、中国における浄水・排水処理施設の普及を加速するため、水処理施設の事業化調査・設計などの支援を行う半官半民の専門企業をシンガポール企業3社と共同出資で設立すると発表した。新会社はアジア・インフラストラクチャー・プロジェクト・デベロップメント・カンパニー(AIPC、アジア社会基盤開発公社)。ADBは新会の資本金のうち、40%に相当する400万米ドル、残りをシンガポールの建設大手ユナイテッド・エンジニアーズの子会社であるユナイテッド・エンジニアーズ・シンガポール、コンゼン・エンバイロメント、クレスト・スプリングの3社が出資する。

GS、クリーン・エネルギー・ファンドを創設

2008/04/18 朝鮮日報/朝鮮日報JNS 朴淳旭(パク・スンウク)記者

アジア開発銀と協力

 GSグループがエコ・エネルギー分野での海外事業に本格的に乗り出すため、アジア開発銀行(ADB)と協力してクリーン・エネルギー・ファンドを創設した。

 GSグループは17日、「アジアの発展途上国を対象に、新しいリサイクルエネルギーの開発や、エネルギー効率を高める事業の開発と拡大を目的とするアジア・クリーン・エネルギー・ファンド(ACE)にADBと協力して投資を行い、共同で運用を行うことを決めた」と発表した。今年5月に設立予定のACEファンドは、GSホールディングスと子会社、さらにADBが中心となって設立され、少なくとも1000億ウォン(約103億円)規模の資金を運用する予定だ。

 ACEファンドは化石燃料の価格上昇に伴い、その重要性が高まりつつある代替エネルギーの開発や、エネルギーの効率化事業などに集中的に投資を行う計画だ。

アジア開銀長期戦略、民間向け融資5割に上げ

2008/04/09 NIKKEI NeT

 【マニラ=遠西俊洋】アジア開発銀行(ADB)は2020年までの長期戦略を策定した。アジアの民間向け融資を新規の総融資額の50%程度にまで引き上げる政策が柱。政府や公的機関を中心としていた融資を段階的に民間へシフトする。

 ADBは昨年30億ドル(3000億円強)程度を民間向けに融資、新規融資全体の30%程度にあたる。民間融資とも合わせた例ではこれまでフランスの電力会社向けに、タイにも売電するラオスのナムトゥン第2ダム建設の資金を供給した実績などがある。

ベトナム:東西経済回廊、大きな可能性を秘めた道

2008/04/09 HOTNAM'News

 長さ1,450km、大メコン圏(Greater Mekong Subregion/GMS)のベトナム、ラオス、タイ、ミャンマーの4カ国を通る東西経済回廊(East West Economic Corridor/EWEC)に、地域経済と観光の活発化が期待されている。

 カンボジア製品を運ぶ車両がタイとの国境に停まり、カンボジアとタイの税関、入管、検疫職員がともに検査し、通行を許可する。数分後車両はタイに入り、最終目的地バンコクへと向かう――。

 これはGMS各国の高官が、国境運輸協定により描くイメージだ。現在多くの国境ゲートでは、他国へ貨物を運ぶ車両は荷を特定の場所に降ろしてから、その国の関係機関による検査を受け、他の車両に貨物を載せその後の行程に入る。この手続きには普通、数時間はかかる。

 GMS各国間の国境運輸協定はタイ、ラオス、ベトナムの3カ国が提唱し1999年に締結されたもので、2004年4月30日にはカンボジア、ベトナム、ラオス、タイ、ミャンマー、中国のGMS 6カ国の交通運輸分野の高官が、協定実現のための議定書に署名した。

 協定には、国境での検査を1回にすること、ビザ取得手続きの簡素化、国境を通過するだけの貨物の検査免除、1カ国での登録により他国での登録を不要とすることなどを規定している。

 適用が始まれば、運送コストのダウン、観光、貿易、投資機会の拡大などで大きなメリットとなる。

 日本とアジア開発銀行(ADB)の構想からなるEWECプロジェクトは、1998年10月にマニラで開催された第8回大メコン圏地域閣僚会議で採択され、同年12月にハノイで開催された第6回ASEAN首脳会議で、ASEANビジョン2020を実現するハノイ行動計画に正式に盛り込まれた。

 プロジェクトは地域の発展、貧困削減、GMS域内の格差是正、経済面での連携強化、ASEAN地域内外のパートナーとの連携のための、潜在能力や利点の開拓を目標としている。

 EWECには、東西道路の建設(2006年1月に完成)、モーラミャイン(或いはヤンゴン)とダナンでの中継港の建設、国境を越える人や貨物の運送面での条件整備、交通運輸サービスでの人材開発、エネルギー(電力)開発、エネルギー交換に関する協定の推進、通信インフラ整備、観光開発などの大型プロジェクトが含まれ、その誕生により実際的かつ長期的な利益が各国で期待されている。

 ベトナムにとって、EWECは経済発展、中部での貧困削減、ラオスとの特別な関係作り、カンボジア、タイ、ミャンマーとの協力強化、メコン川流域での経済連携強化につながり、これを通し、引き続きASEANへ深く統合しようとしている。

 ADBは、ダナンは地域の経済拠点となり、現在のベトナム中部やラオスの一部だけでなく、将来的にタイ東北部やミャンマーにおける重要貨物中継地になるだろうとしている。

 ベトナム中部各省には、世界文化遺産、澄んだ水と美しい砂浜も多く、観光開発の条件も整っている。(Tin Tuc)

アジア、08年は7.6%成長・サブプライムの影響、来年初まで

2008/04/02 NIKKEI NeT

 【マニラ=遠西俊洋】アジア開発銀行(ADB)は2日、アジア地域(日本など域内先進国を除く)の2008年の実質国内総生産(GDP)が前年比で7.6%成長するとの見通しを発表した。昨年9月に上方修正した見通しを今回0.6ポイント下方修正した。信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題に端を発した米国など先進国の景気減速や、原油や食糧価格の高騰に伴うインフレ加速などの影響を織り込んだ。中国とインドがけん引役となる形で全体としては堅調さを保つともみている。

 今回の見通しは、07年実績(8.7%)も1.1ポイント下回る。日本、米国、欧州の先進国の08年の成長率は1.5%と前年より 0.8ポイント低くなると予想。先進国経済の減速で、世界の貿易量は07年の7.5%増から7%増に鈍化する。これに伴い、アジアから先進国などへの製品輸出は13.1%と前年に比べ4ポイント伸びが低下、アジア経済の成長率に影響するとみている。サブプライム問題の影響は「09年初めまで続く」と指摘した。

東アジア、8%成長へ減速 アジア開発銀行08年予測

2007年12月13日 中日新聞

 【香港13日共同】アジア開発銀行(ADB)は13日、中国、東南アジア諸国連合(ASEAN)など東アジア地域(日本は含まず)に関する「アジア経済観測」を発表、域内総生産(GDP)成長率は2007年の8・5%から08年は8・0%に減速すると予測した。

 米サブプライム住宅ローン問題による金融市場の混乱や原油価格の高騰で、米国など先進国経済が減速、地域のけん引役の中国も景気の過熱抑制策を強化することなどが影響するとみている。

 特に、東アジア経済は米経済の動向次第で、今後より大きな減速リスクにさらされると警告。また、食料品や石油関連製品の価格上昇によるインフレ圧力が各国で高まっていると注意喚起した。

 中国は政府の景気過熱対策が奏功すれば、成長率は07年の11・4%から08年は10・5%に減速すると予想。ASEAN全体は6・3%から6・1%、香港は6・1%から5・4%にそれぞれ減速。韓国は4・8%から5・0%に上昇すると見込んだ。

中国人民銀行、国外機構による人民元債発行を引き続き推進

2007/12/14 News China

 中国人民銀行(中央銀行)の呉暁?副頭取は13日、香港金融管理局などの主催により北京で行われた「財資市場サミット」の席上、「中国の債券市場の国外への開放のテンポを絶えず加速し、国際的な影響力を次第に大きくしていく」と語った。

 同氏は「総合的な経験に基づいて、当行および関連部門は積極的な施策を採用し、国外組織が中国国内で人民元債権を発行することをさらに一歩推し進めていく。例えば、国際金融会社(IFC)とアジア開発銀行(ADB)はそれぞれ、2005年に銀行間の債券市場で20億元分の人民元債権を発行する承認を得ており、現在までにIFCは20億元分の人民元債権を、ADBは10億元分を発行し終えている」と具体例を語った。

 さらに同氏は「IFCやADBなどの国際開発機構が中国国内で人民元債権を発行することは、中国の金融市場の発展と対外開放のどちらにも重要な意義を持っている。また中国自信が世界の金融市場における影響力を高めることに有利である」と国外機構による人民元債権発行の利点について語った。(編集AH/K)

[ベトナム株]来年の対越ODAは総額54億ドル

2007/12/13(木) 中国情報局

 ハノイ市で開かれていたベトナム支援国会合(CG会合)は7日、来年の対ベトナム政府開発援助(ODA)額を今年より約10億米ドル(約1100億円)多い54億2600万米ドル(約6000億円)とすることを決めて閉幕した。

 このうち、2国間援助の総額は26億2600万米ドル(約2900億円)で、日本が11億米ドル(約1200億円)の支援を表明して引き続き最大の支援国となった。国際機関による援助は、アジア開発銀行(ADB)の13億5000万米ドル(約1500億円)、世界銀行(WB)の11億米ドルを含め、総額25億5000万米ドル(約2800億円)に上る。非政府組織(NGO)による援助は総額2億5000万米ドル(約280億円)。(提供:「VIETJO ベトナムニュース」と「ベトナム株式情報」)

マレーシア、一人当たりGDPでアジア6位=アジア開銀

2007/12/12 マレーシアナビ

 【バンコク】 アジア開発銀行(ADB・本部マニラ)は10日、「アジア太平洋地域国際比較プログラム:購買力平価(PPP)と実質支出2005」の結果を発表、マレーシアの国民一人当たりの国内総生産(GDP)はアジア太平洋地域の中で6位となった。

 同プログラムは、世界銀行が行っている世界146カ国・地域のGDP比較調査の中のアジア太平洋地域分をADBが請け負って行われたもの。マレーシアの一人当たりの年間GDPは6万5,217香港ドル(約2万7,163リンギ)で6位、現実最終消費支出(Afce)は3万5,544香港ドル(約1万4,804リンギ)だった。

 一人当たりのGDPがもっとも高かったのはブルネイで26万9,971香港ドル(約11万2,443リンギ)、以下、▽シンガポール23万 5,923香港ドル(約9万8,262リンギ)▽マカオ21万1,907香港ドル(約8万8,259リンギ)▽香港20万2,941香港ドル(約8万 4,525リンギ)一一の順となった。為替相場に対するPPPの比率である価格水準指数に基づいた場合、最も生活費が高くつくのはフィジー、次いで香港、マカオ、シンガポール、台湾となっている。(ベルナマ通信、12月10日)

不安解消「2025年までに」アジア・太平洋水サミット閉幕

2007/12/05 FujiSankei Business i.

 安全な水資源の確保や地球温暖化など、水にかかわる問題を話し合う「アジア・太平洋水サミット」は4日午後、大分県別府市で2日間の日程を終え、「安全な飲料水や(清潔なトイレなどの)衛生設備が利用できない人を2015年までに半減し、25年までになくすことを目指す」などとした議長総括を発表し閉幕した。

 議長総括はさらに目標実現のため参加国が(1)水と衛生を各国の開発計画や政治課題において最優先課題とし、資金配分を大幅に拡充する(2)気候変動の影響を受けやすい島嶼(とうしょ)国の、生命や財産を守る取り組みを早急に支援することで一致したとしている。

 午前中は水資源の確保や災害対策などのテーマで分科会が開かれ、キリバスのアノテ・トン大統領が、南太平洋の島しょ国では気候変動による海面上昇で淡水が塩水化しているのに加え、都市部に人口が集中し「水質にも悪影響が出ている」と上水の確保の難しさを訴えた。

 また、分科会に参加したアジア開発銀行(ADB)の黒田東彦総裁は、報道陣に対し「資金融資プログラムを通じた上下水道整備などで、アジア各国の取り組みをサポートしていく」と、水問題に積極的に関与する考えを強調。「アジアでは都市化が進展し、上下水道への設備投資の必要性が高まっている」として、ADBが2010年までに水関係分野への投資を年間20億ドルに倍増する計画を進めていると説明した。

 閉会式では、分科会の概要が報告された後、各国が協力して知識や経験を共有するための拠点を整備し、持続可能な範囲で天然資源を活用していくことで、市民の生活の質を高めていく方針が確認された。冬柴鉄三国土交通相は「水問題の解決に向け、ともに発展することを強く期待している」とあいさつした。

ADB、ホーチミン市地下鉄2路線の延伸を提案

2007/11/21 VIETO.JO

 アジア開発銀行(ADB)は16日、ホーチミン市人民委員会に同市で建設が予定されている地下鉄(メトロ)2号線と3号線の延伸を提案した。この提案は同日開かれたメトロ2路線の技術支援セミナーの席で明らかにされた。

 ADBは、メトロ2号線(ベンタイン〜タムルオン間)をアンスオンバスターミナルまで延伸する案と、メトロ3号線(ベンタイン〜ミエンタイバスターミナル間)を約4キロメートル延伸し鉄道駅に接続する案を提出した。これらの案は、各公共交通機関を連動させ運輸能力を強化することが期待できるとして、多くの参加者の賛同を得た。

 同市人民委のレ・ホアン・クアン主席によると、メトロ1号線(ベンタイン〜スオイティエン間)は年内着工、2号線と3号線はそれぞれ2008年と2009年の着工を目指して準備が進められているという。

アジア経済成長、08年も8%確実・アジア開銀総裁見通し

2007/11/20 NIKKEI NeT

 【シンガポール=野間潔】アジア開発銀行(ADB)の黒田東彦総裁は18日、シンガポールで日本の報道機関と会見し、日本など先進国を除くアジア大洋州諸国・地域の経済成長率について「来年も8%成長が確実だろう」と述べた。2008年まで4年連続で8%程度の高成長が続くとの見方を示した。

 高成長の背景として中国やインドの成長に加え、資源や農産物輸出の好調な中央アジアの成長が高いと指摘した。ADBは9月、今年の成長率を当初予測を8.3%に上方修正済み。ただ米経済がマイナス成長に陥ればそうはいかないとも指摘。米経済とアジア経済のデカップリング(非連動)論は否定した。

アジア開銀、ベトナム北部発電所に9億米ドル借款

2007/09/22 newsclip.be

 インドシナ【ベトナム】ロイター通信によると、アジア開発銀行(本部マニラ)は21日までに、ベトナム北部のクアンニン省に建設されるモンズオン石炭火力発電所(出力1000メガワット)に9億3100万米ドルの借款を供与することで合意した。総工費の84%に相当する額で、償還期間は25年。残る16%はベトナム電力公社が投資する。来年に着工され、2012年に完成予定。

 同発電所では第2期拡張工事も計画されており、最終的には出力は2200メガワットに達する予定。

ADB予測:インフレ懸念もベトナムの経済成長続く

2007/09/20 VIET JO

 ハノイ市で17日、アジア開発銀行(ADB)が毎年発行している、アジアの経済動向を予測する報告書の最新版「2007年アジア開発展望(ADO)」の発表会見が行われた。

 それによるとADBは、2007年のベトナムの経済成長率は8.3%、2008年には8.5%に達し、今後数年間はこのまま成長が続くと予測している。この背景には、国営企業のおよそ2倍の20.5%という高い伸び率を示している民間セクターの活動や投資・消費の拡大がある。

 一方懸念材料として、インフレ率が2005年:8.3%、2006年:7.5%、2007年(8月まで):7.3%と比較的高い水準で推移している点が指摘されている。しかしADBは2007年の通年インフレ率は7.8%、2008年には6.8%に落ち着くと予測している。

 ADBベトナム事務所の小西歩所長は、ベトナム政府はインフレ対策を早期に検討すべき、と注意を促すとともに、「改革を継続し、各種手続の簡素化により開発プロジェクトを促進することが重要」と述べた。

アジア開発銀行、中国の今年の輸出超過額は3000億ドルと予測

2007年09月20日 IB Times

 アジア開発銀行が17日に発表した「2007年アジア発展ビジョンの更新」報告によると、今年下半期の中国の輸出額が20%、輸入額が16%それぞれ増加する見通しだという。輸出と輸入の成長率の差は縮小するものの、今年通年の輸出超過額は3000億ドルに近付くと見られている。

 同報告によると、輸出超過額の持続的な増加と資本流入により、外貨準備高が大幅に増加しており、貨幣政策によるコントロールも難しくなっているという。7月末時点で、中国の外貨準備高は1兆4000億ドルに近付いた。

 また、同報告によると、経常項目差額がGDPに占める割合は、今年が予測された8.8%を上回り10.9%に達し、2008年が同8.9%を上回る10.5%に達する見通し。(日中経済通信)

アジア開銀、マレーシアの成長率予想を上方修正

2007/09/19 マレーシア ナビ

 【東京】 アジア開発銀行(ADB、本部マニラ)は17日、マレーシアの今年の国内総生産(GDP)成長率予想を5.4%から5.6%へ上方修正した。しかし来年については5.7%のまま据え置いた。政府が立てた今年の成長率予想は6.0%。

 日本など先進国を除くアジア・太平洋地域については、当初の7.6%から8.3%へ引き上げた。中国、インドなどが高成長だったためで、中国の成長率を3月時点の10%から11.2%へ、インドを8.0%から8.5%へそれぞれ上方修正した。

 アジアにおける成長は広い範囲にわたっており、ADBは、域内貿易の増加を示すものと述べた。(ニュー・ストレーツ・タイムズ、9月18日、ベルナマ通信、9月17日)

【CRI】今年の経済成長率、11.2%の見込み

2007/09/18 中国情報局

 アジア開発銀行は17日北京で発表した『2007アジア発展展望更新』報告で、急ピッチで増える輸出と投資、及び旺盛な消費力によって、中国経済の今年の成長率は11.2%となり、10%という予測値をはるかに上回る見込みを明らかにした。

 この報告は、「中国の経済成長を支える主な原動力は第2次産業で、特に鉄鋼、電力、化学工業と石油加工業である。これと同時に、企業の高い利益獲得、及び販売の大幅な向上などが投資の急成長を促した」とした上で、「中国経済の成長が予測を上回る勢いは08年まで持続するだろう」と述べ、2008年の経済成長率予測を、今年3月の9.8%から10.8%に引き上げた。

 また07年と08年の中国のインフレ率をそれぞれ4.2%と3.8%と、以前発表した値を上回る予測値を明らかにしている。

 アジア開発銀行の経済学者荘健氏は、「中国政府のマクロ調整の影響を受けて、現在、中国のインフレは相変わらず食品分野に留まっており、工業製品及びほかの分野には及ばず、短期間には、全面的なインフレが現れることはない」と指摘した。

アジア開発銀行、タイの経済成長は低調

2007/09/18 バンコク週報

 アジア開発銀行のタイ担当者、ベルビースト氏は、タイ経済の成長は、他のアジア諸国に比べると低調との見方を示した。

 同行は、タイ経済の成長予測を今年が4%、来年が5%としている。同氏は、「タイ経済は昨年から減速している。一方、他のアジアの国々は予想を上回る成長を記録している」と指摘している。

 今年上半期は、中国が11.5%と二桁成長を実現したが、タイは4.3%にすぎない。同氏はまた、「タイ経済が来年、5%成長するには、信頼の回復、民間投資の促進のため総選挙後にしっかりした経済政策を策定・実施し、生産性向上を通じて国際競争力を強化する必要がある」としている。

アジア成長加速、平均8・3%に上方修正…開発銀展望 サブプライム影響なく「中、印が牽引」

2007/09/18 FujiSankei Business i.

 米国のサブプライム(高金利型)住宅ローン問題拡大の影響で経済成長の鈍化が懸念されている欧米を尻目に、アジア経済の成長が加速する見通しとなった。アジア開発銀行(ADB)は17日発表した「アジア開発展望(ADO)」の中で、日本とオーストラリアを除くアジア・太平洋43カ国・地域の2007年の実質成長率見通しを3月時点の7・6%から0・8ポイント上方修正し、8・3%とした。中国、インド両国経済の拡大が全体を牽引(けんいん)すると予測している。

 ADBは上方修正の理由として対象地域の国内総生産(GDP)の55%を占める中国、インドなどが「力強い成長」を続けていることを挙げた。

 中国については、当局が固定資産投資、輸出抑制策をとっているにもかかわらず、07年上期に1994年に続く年率11・5%の高成長を記録したことを指摘。07年の成長予測は前回の10・0%から11・2%に、08年予測を9・8%から10・8%にそれぞれ1ポイント以上引き上げた。

 昨年、18年ぶりの高成長を記録したインドについても、製造業の成長や旺盛な投資需要などで長期的に堅実な成長を続けるとみており、07年の成長予測を前回の8・0%から8・5%に、08年は8・3%から8・5%にそれぞれ修正した。

 両国のほか、1〜6月期に過去20年で最高の7・3%を記録したフィリピンや、今年6%以上の成長が期待されるインドネシア、エネルギー価格の高止まりを背景に平均で2けた成長が見込まれる中央アジアなどの存在を挙げた。

 ADBは43カ国・地域の08年の実質成長率についても3月の7・7%から8・2%に上方修正した。この一方、サブプライム問題を端緒にした欧米金融市場での混乱などの不透明要因にも言及。

 アジア経済はこうした外部要因に左右されにくいとしながらも、アジア各国の主要輸出先である米国が景気後退に陥った場合、08年のアジアの成長率が6〜7%台に下ブレする可能性があると分析した。ただ「これまでのところ、下ブレの要因は少ない」としている。

 地域別でも、07年のアジアの平均成長率は、東アジアが8・9%(前回予測比0・9ポイントの上方修正)、南アジアが8・1%(同0・4ポイント)、東南アジアが6・1%(同0・5ポイント)、中央アジアが11・1%(同0・8ポイント)と軒並み上方修正された。

 これに対し07年の太平洋地域平均は1ポイント下方修正の3・5%となった。

2007年のアジア経済は8.3%の高成長 アジア開発銀予想

2007年09月17日 AFP BB News(発信地:マニラ/フィリピン)

【9月17日 AFP】アジア開発銀行(Asian Development Bank、ADB)は17日発表した「2007年アジア開発展望(Asian Development Outlook、ADO)改定版」で、アジア地域の2007年の実質経済成長見通しを3月時点の7.6%から8.3%に大幅に上方修正した。

 2008年の予想値についても、金融市場不安を背景にリスクが高まり、やや成長が鈍化する可能性を指摘しつつ、3月時点の7.7%から8.2%に上方修正した。

 ADBは中国、インドの力強い成長が、地域レベルでの成長を後押ししたと説明している。

 上半期の実質経済成長率が13年ぶり高水準の11.5%だった中国は、2007年と2008年の実質経済成長率見通しを11.2%(3月時点10.0%)、10.8%(同9.8%)と上方修正。「中国での巨額の投資と急速な輸出の拡大が成長を裏打ちした」とした。

 また、4−6月期の実質経済成長率が18年ぶり高水準の9.3%だったインドについても、2007年と2008年の実質経済成長率見通しを8.5%に上方修正した。(c)AFP

アジア:水問題、衛生設備の拡充が急務

2007/09/08 JANJAN

【シンガポールIPS=サハナ・シン、8月31日】

 アジアにおける水と公衆衛生の問題に関して、アジア各国政府・専門家・金融機関・国際NGOの代表者らは、協力体制の下でこの問題に取り組む意思を示している。

 水と都市整備の専門家、アジア開発銀行(Asian Development Bank: AsDB)のK.E.Seetharam氏は「水の供給に5年も10年も待てない。人々は、今すぐにでも水が必要だ」と話す。

 シンガポールでは先週、『Asian Water and Development Outlook(AWDO)』と題された文書の作成に携わっている専門家を集めた会議が開催された。この文書は、アジア諸国の政治家らの『指針』として今後重要な役割を果たすものと期待されている。

 今年12月3日と4日、日本(大分県)では『第1回アジア・太平洋水サミット (Asia-Pacific Water Summit)』が開催される。これに先立ち発表されるAWDOには、水供給と公衆衛生の問題について、各国の政策責任者らが提言する具体的な対策案が明記される予定だ。

 AsDBのArthur Mclntosh氏は「水問題の解決に向けて、各国政府が今こそ行動するべきだ。たとえ小さな取り組みであっても、大きな効果を招く可能性はある」と主張する。

 一方、AWDOの作成責任者で、2006年度『ストックホルム水大賞』を受賞したAsit Biswas博士は「水環境をめぐる問題はアジア各国で事情が異なるため、『それぞれに見合った適切な解決策』を見つけなければならない」と述べた。

 持続的な水の管理および衛生の利用を推進する国連ミレニアム開発目標(MDGs)の達成期限を2015年に控え、近年『水と衛生』の問題に益々関心が集まっている。十分な水の確保と衛生面の改善は、健康・教育・経済といった様々な方面の発展へと繋がるのである。アジアにおける基本的な衛生設備の改善を訴える専門家の諸意見を報告する。 翻訳/サマリー=松本宏美(Diplomatt)/IPS Japan浅霧勝浩 (IPSJapan)

ドンタップ省:橋建設案件の立案にADBが融資

2007/08/28 VIET JO

 アジア開発銀行(ADB)はこのほど、メコンデルタ地方ドンタップ省でのカオライン橋およびバムコン橋建設案件の立案作業に100万米ドル(約1億1500万円)の融資を行うことを明らかにした。ゴ・ティン・ドク交通運輸次官はADBの資金により、2009年までに着工する見込みと述べているが、ADBの代表者は、実際の建設はコンサルティング組織による調査結果次第だと述べている。 [2007年8月27日 ベトナム国営通信]

「アジア開発銀行」を主導する日本との関係正常化が急務

2007/8/28 The Sekai Nippo

当地の北朝鮮外交筋語る

 【ウィーン28日小川敏】米朝関係正常化作業部会が来月1日からスイス・ジュネーブで開催されるが、そこでは核無力化の第2段階の措置について協議が交される一方、北朝鮮をテロ支援国リストから削除する問題についても突っ込んだ話し合いが行われると予想される。そのため、拉致問題を抱える日本側も米国の出方に神経を尖らせている。

 それに対し、当地の北朝鮮外交筋は本紙の取材に応じ、「米国がわが国をテロ支援国家リストから削除すれば、米国が掌握する世界銀行など国際金融機関から融資を受ける道が開かれる。その意味で大歓迎だ。しかし、わが国にとってアジア開発銀行(ADB)の金融支援は不可欠だが、そこでは日本が最大の影響力を有している。米国がテロ支援国家リストから削除したとしても、日本が主導的役割を果たすADBから金融融資を受ける為には日本の同意が必要となる」と説明し、北朝鮮が、国際金融機関との関係正常化のためには対米関係だけではなく、対日関係の正常化が急務と受け取っていることを示唆した。

 なお、日朝関係正常化作業部会は来月5日、6日の2日間、モンゴルの首都ウランバートルで開催予定だ。

カシミール地震、復興の希望は屋台街

2007年08月25日 AFP BB News(発信地:ムザファラバード/パキスタン)

【8月25日 AFP】3年前の地震で大きな被害を受けたカシミール地方の、パキスタンが実効支配するアザド・カシミール(Azad Jammu Kasimir、AJK)州、州都ムザファラバード(Muzaffarabad)。

 復興にはまだ時間はかかるものの、震災を耐えた歴史的な橋の下に建ちならぶ伝統的な郷土料理の屋台が、住民たちの心の支えとなり、復興の中心となっている。

 美しい川沿いに架かるDomel橋は、1885年に造られてから何世紀にもわたっていくつもの災難を乗り越えてきた歴史的建造物で、7万4000人もの死者を出した2005年のパキスタン・カシミール地震にも耐えた。

 このDonel橋の下の屋台街には、夜ごとに地元の住民や外国の援助スタッフが集まってくる。パキスタン側カシミール地方で唯一の川沿いの飲食店街で、「死者の街」から「光の街」へと姿を変える、この地域の復興の希望を象徴する存在となっている。

 2005年10月8日、この地方を襲ったマグニチュード7.6の地震は、パキスタンで過去最大となる被害をもたらし、パキスタン北西部とアザド・カシミール州で合わせて350万人前後が家を失った。

 公式の統計によると、ムザファラバードでは家屋の約85%が損壊ないし全壊。3万4000人以上が死亡、5万6500人が負傷した。被災をまぬがれたのは市の人口90万のうちわずかだった。

 屋台の粗末なブリキのテーブルやベンチ、間に合わせの屋根などは、荒廃から立ち直るために踏み出された一歩が、まだ小さなものにすぎないことを示している。

 市内の大半の地域では、近づいてくる冬に備え、また寒い戸外で過ごさねばならない事態を避けようと、再建事業が進められている。しかし、その道のりには問題がなかったわけではない。

 今年5月、国連は被災地域における援助活動の一時停止を発表した。スタッフ2人の住居が、イスラム教徒と思われるグループにより放火された事件を受けた措置だった。先に地元の住民と聖職者は、各援助機関に対して女性スタッフの現地採用をしないよう求めていた。事件によるけが人はいなかった。

 6月には、アジア開発銀行(Asian Development Bank、ADB)がパキスタンに対する10億ドルの援助パッケージの一環として住宅再建のための4億ドル(約465億円)規模の長期低利貸付を認めた。

 橋の下の飲食店街では、夕暮れの空がベルベットブルーに変わると人々の意識は復興から賑わいへと向かうのだった。(c)AFP/Masroor Gilani

環境と開発 両立難しく アジア開銀総会

2007年05月08日 朝刊 東京新聞

 京都市で開かれていたアジア開発銀行(ADB)第四十回年次総会は七日、二日間の日程を終えて閉幕した。黒田東彦総裁は同日夕、締めくくり演説を行い、環境に配慮しながら、アジア地域の経済成長や貧困削減を目指す考えを示した。

 黒田総裁は「アジア地域の成長は持続可能なものでなければいけない、と加盟国間で合意した」と説明。具体的には、クリーンで効率的なエネルギー利用を進めるため、各国が協調していく必要性を確認した。

 各国はまた、社会資本を整備することは経済成長だけでなく、途上国の人々の教育や健康のためにも有益だとして、ADBが投資環境の改善に努めることを確認した。

 次回総会は来年五月にスペインのマドリードで開かれる予定。

 十年前に京都議定書を採択した会場で開かれた第四十回アジア開発銀行(ADB)年次総会。重要課題の地球温暖化対策は、日本が省エネ普及の基金創設を打ち出すなど一定の前進があった。一方、化石燃料によるエネルギー開発への融資も続けるADBの姿勢を、環境保護団体が「温暖化を助長する」と総会で批判するなど、開発途上のアジアでの環境保護の難しさも浮き彫りにした。

 総会ではADBの黒田東彦総裁が「環境への責任はコストではなく、未来への投資と考えるべきだ」と演説。尾身幸次財務相も、アジアのエネルギー消費量が二〇三〇年には現在の二倍に増える見通しを示し「二酸化炭素(CO2)排出削減は避けて通れない」と各国に訴えた。

 省エネ技術導入や水力、風力発電促進などADBの環境関連の融資総額は現在、年間十億ドル。今後も毎年、同額以上の融資を続ける方針だ。「専門知識のハブ」として、環境保護の知識、技術の提供にも力を入れる。

 一方でADBは、最近もインドなどの石炭火力発電所建設への融資を決めるなど、“化石燃料依存”は続く。環境保護団体「グリーンピース」によると、過去五年間の化石燃料発電所建設へのADBの融資総額は、風力などクリーンエネルギーの約六倍に上る。

 ADBの環境関連部門責任者シュアム・バジパイ氏は「非政府組織(NGO)の意見は尊重するが、開発途上国の意見も同様だ」と話す。一日一ドル未満で生活する貧困層がいまだ六億人に上り、インフラ整備も依然として必要とされるアジア。同氏は「発電で貧困を改善しなければいけない。石炭が豊富でコストも安い国なら、それに頼ることになる」と、この地域の現実を語った。 (内田康)

ロシア、アジア開銀に正式加盟の希望を表明

2007年05月07日 asahi.com

 日米両国が主導する国際機関、アジア開発銀行(ADB)にロシアが正式加盟の希望を表明し、日米に理解と支援を求めている。しかし、日本政府が消極的なため、ロシア側は6月のドイツでの主要国首脳会議(G8)に合わせて予定されている日ロ首脳会談で、加盟問題を取り上げる構えだ。

 京都市内で開催されていたADB総会にオブザーバーとして参加したロシア外務省のコンダコフ経済協力局長が、朝日新聞記者に語った。

 ロシアの加盟の意向に対し、出資金の3割以上を占める日米のうち、特に日本が消極的という。

 ADBでは「新規加盟は67の全加盟国・地域の合意による」(黒田東彦総裁)というが、実際は日米が影響力を持つ。日本の財務省幹部は「超大国のロシアが域内国として加盟したら、万一、ロシアに経済危機が起きた場合、ADBによる金融支援が必要になる。規模や影響が計り知れない」と、慎重な理由を説明している。

アジア開発銀行に基金、1億ドル拠出へ…尾身財務相が構想

2007年05月07日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 尾身財務相は6日、アジア太平洋域内での省エネ・環境対策、投資促進のため、アジア開発銀行(ADB、本部・マニラ)に二つの基金を創設し、政府として総額1億ドルを拠出することなどを柱とする「アジアの持続的成長のための日本のイニシアチブ(ESDA)」構想を表明した。

 京都市で開かれたADBの年次総会開会式での議長演説の中で明らかにした。総会は7日夕、閉幕する。

 具体的には、<1>ADBに「アジアクリーンエネルギー基金」と「投資環境整備基金」を新設し、日本政府が5年間で総額1億ドル(約120億円)を拠出する<2>国際協力銀行とADBで作成した計画に基づき、国際協力銀を通じて5年間で20億ドル(約2400億円)の円借款を行う――ことが柱となる。

 今年で40年を迎えるADBは、域内の貧困削減を目的に設立されたが、近年は地球温暖化対策や投資環境整備など、新たな課題が浮上してきている。米国と並んでADBの最大の出資国である日本政府には、こうした課題への取り組みをリードしたいとの思惑もある。

環境2基金に120億円 京都でADB総会

2007年05月06日 中国新聞ニュース

 アジア開発銀行(ADB、本部マニラ)の第40回年次総会が6日、京都市の国立京都国際会館で2日間の日程で開幕した。環境問題が主要テーマとなり、日本はADBと協力して新たな環境関連の2基金を創設し、省エネルギー促進などの資金として最大1億ドル(約120億円)を拠出することを表明した。

 アジアは高成長が続き、貧困削減が進む一方で、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出増加など環境問題が深刻化している。6日の開会式で、総会の議長を務める尾身幸次財務相は「経済成長を地球環境と両立させることが必要で、特に気候変動問題への対応が喫緊の課題」と指摘した。

 創設される基金は「アジアクリーンエネルギー基金」と「投資環境整備基金」。ADB加盟の各国・地域が省エネなど環境対策を講じる際に資金支援する。

 また尾身財務相は、国際協力銀行を通じ、今後5年で総額20億ドルの円借款を各国・地域に供与することも表明した。ADBと連携し、環境関連事業を促進する

アジア開銀、ホーチミンの鉄道網整備に技術援助

2007/05/05 newsclip.be|インドシナ

 【ベトナム】アジア開発銀行は3日、ホーチミン市に建設が予定される大量輸送鉄道(MRT)6路線のうち2路線の技術援助を行う契約をベトナム国家銀行(中央銀行)と結んだ。調印式には国家銀行のフン・カク・テー副総裁と小西歩ADBベトナム事務所長が出席した。

 対象となる2路線の総延長は20.6キロで、沿線に22駅が設置される予定。

貧困と環境対策強化

2007年05月05日 京都新聞
ADB基本方針 長期戦略見直し柱に

 アジア開発銀行(ADB)が5日から協議に入る長期戦略(2000−15年)見直しの基本方針が明らかになった。教育や保健など社会サービスを含む貧困対策の拡充や環境保全の強化などが柱で、従来の国別投資から複数の国にまたがる開発案件での支援に視野を広げる。

 アジアのGDPが世界に占める割合は、05年の35%から20年には45%に達する見通しで、経済環境の急激な変化に対応する狙い。外部の有識者六人による「賢人会議」がまとめた報告書の提言を基に、1年後の次期総会までに決定する。

 ADBの中心的課題である貧困対策は、貧困人口の絶対数削減から教育や公衆衛生、乳幼児医療などの状況改善をより重視。また環境対策では、高度成長に伴う地球温暖化や水不足などを重点課題に据え、省エネルギー対策や水資源マネジメント、産業廃棄物処理などで新規事業を展開する。

 東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓(ASEAN+3)財務相会議では、将来の通貨統合に向けた議論が始まっている。ADBはこれら主要国との連携を緊密化しつつ、中国やインドなどの巨大市場と周辺国を結ぶ社会基盤整備など広域的な開発案件を推進する。案件ごとに基金を創設する構想もあり、アジア全体の成長促進に軸足を移す。

 5日は、賢人会議議長を務めたスパチャイ・パニチャパック国連貿易開発会議事務局長が報告書を発表し、各国代表らが意見を出し合う。

温暖化防止のためにアジア開発銀行は自然エネルギーへの融資を

2007-05-04 A SEED JAPAN Ohmy News

 「地球温暖化が進行すれば最大で世界のGDP20%分の経済損失が発生する。そして、それは世界のGDP1%分の対策を講じれば回避することができる」。2006年10月に発表された「スターン・レポート」は世界に温暖化問題に取り組む経済的なメリットを知らせた。『不都合な真実』の中でアル・ゴア氏も紹介しているように、国際政治が具体的な政策を講じれば、温暖化による影響を回避することができるのだ。地球温暖化を防ぐために二酸化炭素などの温室効果ガスを出さないエコロジーなライフスタイルが広まっている。しかし、温暖化問題は一人ひとりができることを実践していくことと同時に、地球規模の視点を持つ必要がある。

 いま、アジアの途上国では、アジア開発銀行(ADB)などの多国間開発金融機関(MDBs)の支援の下、温室効果ガスを大量に発生させる石油・石炭採掘や石油・石炭発電所へのプロジェクトが急激に増加している。これらのプロジェクトは、大量のCO2を排出し、温暖化の危機を促進させるばかりか、環境汚染や地元住民の人権侵害をも引き起こしている。

 アジア開発銀行とは、1966年に日本政府の提唱で設立された多国間開発金融機関である。意思決定は出資比率に比例する。日本政府は米国政府と並んで15.7%の表決権を持ち、歴代の総裁はすべて日本人だ。日本政府による多国間開発銀行への出資金は、約2000億円にものぼる。アジア開発銀行が行ったプロジェクトの影響について、日本政府が責任を求められるのは当然のことと言える。そして、私たちが納めた税金の使途がどのようになっているかという視点に立てば、私たち市民にとっても他人事ではないのだ。

 現在稼働中のタイのメー・モウ石炭発電所では、約3万人が立ち退きを迫られ、数千人が発電所から排出される硫黄酸化物によって呼吸困難に陥り、約200人が死亡した。そして、毎年約400万トンのCO2を排出することになった。アジア開発銀行は、20年のもの間、年間約3億5000万ドルの融資を確約していた。 また、アジア開発銀行が1億ドルの融資と2億ドルの政治的リスク保証を検討しているプロジェクトとして、バングラディッシュのフルバリ石炭採掘事業がある。バングラディッシュの警察組織は、石炭採掘事業に反対する現地住民のデモンストレーション中に、無差別に発砲し、青年を含む5名を殺害した。2007年4月、現在操業開始許可がおりていないにも関わらず、アジア開発銀行は融資続投を検討している。

 このような人権侵害をともなうプロジェクトが推進される理由として、アジア開発銀行によるエネルギー政策の基本方針に対する見直し不足がある。アジア開発銀行のエネルギープロジェクト(2000〜2006年)において、石油・石炭プロジェクトへの投資割合は全体の26%を占めている。その一方で、再生可能・自然エネルギープロジェクトへの投資割合は全体の4%しかない。石炭発電所や水力発電所など、大規模な電力を供給することは必要だが、大規模発電所の設立には巨額の出資と利潤が絡み、住民の意見が圧殺されやすい側面もある。

アジア開発銀行の黒田東彦総裁 (ロイター) 2007年はアジア開発銀行のエネルギー政策のレビューの年である。世界の23億人がエネルギーにアクセスできていないという状況だ。そのような状況を打開するためには、地域住民がアクセスでき、コントロール可能な再生可能・自然エネルギーの開発へ切り替えていく必要がある。

 2005年のG8サミット(英国)で採択されたグレンイーグルス行動計画では、国際金融機関がよりクリーンで効率的なエネルギー政策を達成するためのエネルギー投資枠組みを策定すること、再生可能エネルギーおよびエネルギー効率の投資を増大することが求められた。また、2008年には北海道・洞爺湖でG8サミットが開催される。ポスト京都議定書の枠組み交渉が加熱する中、G8サミットで議長国をつとめる日本政府のリーダーシップが世界から注目されている。地球規模の対応策が必要とされる中、日本政府はアジア開発銀行の政策においても、積極的に地球温暖化への対策を講じるリーダーシップを発揮する必要がある。

 2007年5月4日から7日まで、アジア開発銀行の年次総会が京都で開催される。5日と6日にはアジア開発銀行のプロジェクトに疑問をなげかける市民フォーラムとワークショップが開催される。温暖化とお金の流れについて、世界の視点から考えてみてはいかがだろうか。

 ◆ADB京都総会・市民フォーラム 

 ◆アジアン・クール・ナイト〜地球温暖化とお金の流れを考える映像&トークセッション〜 (A SEED JAPAN 主催)

 ◇ ◇ ◇

国境を越えた環境問題とその中に含まれる社会的な不公正に注目し、より持続可能で公正な社会を目指して活動を展開。ごみ、金融CSR、食と農、メディア、エネルギー、気候変動など様々なテーマで活動中。A HREF="http://www.aseed.org">http://www.aseed.org

【CRI】アジア開発銀:対中国借款は16億ドル

2007/05/04(金) 中国情報局 News

 アジア開発銀行は、このほど最新の「2006年アジア開発銀行年度報告」をまとめた。この中で、「06年に、中国がアジア開発銀行から借款した金額は16億ドルで、これは、借款総額の21%を占めている」と述べている。

 アジア開発銀行によると、向こう数年間、アジア開発銀行が中国で展開する援助事業は、公共衛生、教育、農業、農村の発展、区域連携、インフラ整備および環境、資源保護などの分野に重点を置き、区域では中西部に集中している。

政投銀、ベトナム開発銀と提携へ

2007年05月03日 京都新聞

ADBに合わせ

 日本政策投資銀行は、京都市内で6日開幕するアジア開発銀行(ADB)年次総会に合わせ、ベトナムの政府系金融機関であるベトナム開発銀行と業務協力協定を5日に締結する。政投銀はインフラ整備や産業振興に必要な金融知識を、ベトナム開銀は自国の産業動向などの情報をそれぞれ提供し、結び付きを強化する。

 ベトナム開銀のグエン・カン・ズン総裁がADB年次総会で来日するのに合わせ、5日に京都市内で締結する。政投銀が外国の政府系金融機関と協定を結ぶのは中国、ドイツに続いて3例目。

 協定により、政投銀はベトナム開銀の人材を研修に受け入れて審査ノウハウや金融手法などを伝授。ベトナム開銀はM&Aの候補企業や工場用地、電力などのインフラについて政投銀に情報提供する。幹部会合も定期的に開く。

 ベトナムは安価な労働力などを背景に海外企業の進出が相次いでいる。政投銀は国内で培った産業金融の手法でベトナムの経済成長を後押しする一方、国内の取引先企業のベトナム進出を支援し、融資拡大につなげる。

通貨危機10年 アジアの金融協力、新段階 地域経済統合の布石

2007/05/02 FujiSankei Business i.

 ■外貨一括拠出を討議

 アジアが通貨危機に見舞われてから10年。アジア経済は急ピッチで回復し混乱の痕跡を見つけるのは難しい。京都市で5日開かれる東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓による「ASEAN+3」の財務相会議では、危機の再発を予防する新体制の方向性を討議する。アジアの金融協力は持続的成長に向け、新たな段階に入る。

 「10年前よりアジア経済は強く、通貨危機の再来はない」。アジア開発銀行(ADB)の黒田東彦総裁はこう明言する。1997年にタイから外貨が大量流出しバーツが暴落。通貨下落はインドネシアや韓国などに次々と波及し、「アジアの奇跡」と称賛された高成長は一気に失速した。

 しかし、2006年のアジア開発途上国の成長率は8・3%を達成し今年の見通しも7%台。「貯金」に相当する外貨準備高もASEANと日中韓13カ国で計2兆5000億ドル超と10年前の約5倍に膨らんだ。

 ASEANと日中韓の13カ国は通貨危機を教訓に、二国間の外貨融通協定「チェンマイ・イニシアチブ」(CMI)を00年に導入した。現在は域内8カ国がCMIを相互に締結、資金規模は総額790億ドルに達し、ヘッジファンドからの攻撃を牽制(けんせい)している。

 ただ、CMIは二国間の約束で、有事の際にそれぞれの相手国と交渉するのに時間がかかる。今回の財務相会合では二国間から全域内国が参加する一つの協定に改め、支援国が外貨を一括拠出できる「次世代CMI」を議論する。各国が外貨準備の一部を共同で融資資金として預け、「ボタン一つで発動できる協力体制を目指す」(財務省幹部)。

 通貨危機が起きた97年、日本は国際通貨基金(IMF)のアジア版とも言えるアジア通貨基金(AMF)構想を提唱した。米国などの反対で実現しなかったが、迅速に外貨を供与し危機の拡大を防ぐ次世代CMIの狙いは「AMFの考えに非常に近い」(榊原英資元財務官)とされる。

 次世代CMIでは実効性のある外貨融通の仕組みと、危機の芽を事前に摘むための経済・金融政策の相互監視の両立が課題になる。

 アジアではASEANが15年の経済共同体創設を目指すなど、地域経済統合の機運が高まっている。新たな金融協力関係の構築は将来の経済統合の布石となるだけに、日本も財政再建や構造改革の一層の推進など、地域経済の安定につながる成長への取り組みが求められている。

 アジアの安定成長は日本にも不可欠。アジア地域最大の経済国として日本が果たすべき役割は依然大きい。


アジア横断高速道路が繁栄をもたらす

2006/05/11 JanJan

【ホーチミン市IPS=トラン・ディン・タン・ラム、4月13日】

 アジア横断高速道路(TAH)は、大メコン川流域圏(GMS)諸国が構想しアジア開発銀行が支援しているプロジェクトで、未完成ではあるがすでに経済的恩恵と地域を劇的に活性化させる可能性を実証している。

 アジア開発銀行メコン局のポール・ターナー氏は「高速道路自体が投資の対象として優れた物件だ」とし、「東西経済通路(EWEC)あるいはTAHは、投資家にメコン地域がビジネスを受け入れる態勢にあることを知らせた」とホーチミン市での地域ビジネスフォーラムで語った。

 2008年完成予定の東西、南北、南部経済通路はベトナムとラオス、カンボジア、タイ、ビルマを結びつけ、全長1500kmのEWECはベトナムの主要なダナン港とビルマのアンダマン海をつなぐことになる。

 さらにアジア開発銀行はTAHをインドまで伸ばす考えだ。「3つの道路網は2008年までに完成する予定だが、ある意味ですべて完了することはない。というのも常に改善を目指して投資は拡大し続けるからである」とターナー氏は強調する。

 GMS諸国は道路が域内を物理的に結びつけ、世界市場での競争力を増し、メコン社会に平和と繁栄をもたらすことを希望している。

 「輸送インフラは、この地域の経済的発展と貧困の削減に寄与する貿易と投資の促進に不可欠である」とフォーラムを共催したベトナム商工会議所のHoang Van Dung副会頭はいい、さらに「TAHはアジア太平洋諸国とインドとの距離を縮め、経済交流のコスト引き下げに大きく貢献するだろう」と語った。

 「東方」政策を進めているインドは、東部アッサム州の州都グワハチを、将来的に中国南部の雲南省を含むメコン地域との商取引の拠点とするために開発している。インドはASEAN10カ国と年間250億ドルの貿易を行なっているが、2007年1月にインド−ASEAN自由貿易協定(FTA)を結んでその額が倍増することを期待している。

 TAHが全線開通すれば、ASEAN7カ国、ビルマ、タイ、カンボジア、ラオス、ベトナム、マレーシア、シンガポールはインドからのアクセスが容易になるだろう。その他のインドネシア、フィリピン、ブルネイも間接的な恩恵を受けると思われる。

 「TAHの開発はインドにとって非常に重要である」とインドのラジブ・シクリ外務次官は以前IPSのインタビューで語り、「この地域に数世紀にわたって存続していたが最近の歴史的経緯によって閉鎖している陸路接続の復活をインドは切望している」といった。

 EWECとダナン港をつなぐハイバントンネルは、ベトナムとラオスを結ぶ道路とともに完成している。

 ターナー氏は「5年前にはEWECに沿ったベトナムのフエ市からラオスのサバナケットまでの移動は困難で丸1日かかっていた。けれども道路が整備された今では、朝食はフエ、昼食をサバナケット、夕食をタイのコンカエンで食べられるようになった」という。「わずか数年で道路のインフラがほぼ整っただけでなく、道路沿いに多くの新しい投資が進んでいる」

 ベトナム、ラオス、タイの旅行会社はこの機会に3カ国の主要都市を巡るバスツアーの発売に乗り出した。ベトナムの新聞によるとEWECを使って1日に500人もの外国人観光客がベトナムを訪れている。

 ベトナムの国境に近いラオバオ経済地帯は投資家にとって魅力を持ち続けており、越境運送協定がダンサバン(ラオス)−ラオバオ(ベトナム)国境地点で施行されている。すでにラオスのセポン鉱山からの銅の輸出が始まり、銅はEWECを利用して輸送されている。

 これまでに60社が、ラオスとベトナムの国境のEWEC沿いにあるクアンチ省のラオバオ経済地帯に投資している。

 「大規模な鉱山の操業も始まり植林プロジェクトも進んでいる。雇用が創出され、新規生産のチャンスが生まれて、EWEC沿線では貧困が改善されている」とターナー氏は語る。

 「要するにさまざまな分野で成果が上がっていてメコン地域の人々の日常生活が改善している」

 生産コストが引き下げられて、事業の投資がさらに増えれば、EWECの近くに住む人々の雇用機会は増加する。

 「EWECの恩恵は計り知れないが、まだ始まったばかりであることを忘れないでほしい」とアジア開発銀行のターナー氏はいう。「こうした恩恵はメコン地域の人々の生活に今後数世代にわたって影響をもたらす可能性がある」

 1992年にGMS経済協力プログラムが開始されてからアジア開発銀行はメコン地域の国々に資金だけでなく技術的なアドバイスも提供してきた。

 「けれどもアジア開発銀行がEWECにもたらした最高の貢献は協調関係である。アジア開発銀行はEWECの利害関係者とメコン流域国とともに、持続可能な貧困の削減を進め、この地域の人々の生活をよりよいものにするために仕事をしてきた」とターナー氏はいう。

 「関係者の結集した努力の成果は誰の目にも明らかだ」とターナー氏はいうが、「EWECを真の経済通路にするためにはまだまだすべきことが残っている」と認める。

 EWECに沿って物流や人の流れを促進するための越境運送協定に関する作業は、最近始まったばかりであり加速させる必要がある。道路に沿った移動を効率化するために重要な、インフラの構築、情報テクノロジーの整備、国際的な道路沿いの物流や人の移動に関する法規制の簡素化の制定などが進められなければならない。

 「大きな問題のひとつは国際的な高速道路上で起こりうる、女性や子供の人身売買や違法な野生動物取引など、社会や環境へのマイナスの影響に対する十分な安全管理体制が欠けていることだ」とターナー氏はいう。翻訳=加藤律子(Diplomatt)/IPS Japan浅霧勝浩

「地域通貨単位」構想検討へ アジア版「ユーロ」への一歩

2006/05/07 FujiSankei Business i.

 ■ドル依存脱却、資金調達にも道

 アジア開発銀行(ADB)の年次総会に先だって開かれた「ASEAN+3」(東南アジア諸国連合十カ国と日中韓三カ国)の財務相会合で、「地域通貨単位」の創設を検討することが四日の共同声明に盛り込まれた。これを受けて、東アジアに地域通貨単位を創設する手順の研究が始まる見込みだ。

 各国の通貨を統合して単一化した例には、一九九九年から導入が始まった欧州連合による「ユーロ」がある。今回、打ち出された東アジアの地域通貨単位構想が、最終的に視野に入れているのもユーロだが、簡単にアジアに新通貨の誕生とはいきそうもない。

 地域通貨単位は、域内各国の通貨の価値を経済力などに応じて算出した通貨の単位。いわば計算上の通貨で、紙幣が流通することもない。あくまで通貨価値を比較するための基準となる“お金”だ。

 類似した例では、EUがユーロの前身として七九年に導入した通貨バスケット方式の計算単位「ECU」(European Currency Unit=欧州通貨単位)がある。欧州各国の通貨を経済力に応じた比率で組み込んで算出。ECUという指標により、為替の変動幅を一定の範囲に抑える効果を発揮し、資本取引の円滑化などを後押ししてきた。

 今回の合意の背景にあるのは、九〇年代後半のアジアの通貨危機。タイが投機筋による通貨の売り浴びせに対し、市場介入による買い支えに失敗。結果的にバーツの暴落により国際支援を受けざるを得ず、経済の停滞を余儀なくされた。  現在、アジア各国はドルに連動させた為替政策をとっているが、地域通貨単位が設けられればドル依存からも脱却。地域通貨単位建ての債券発行を通じた資金調達などにも道が開かれると考えられている。  また、特定の国の経済不安が発生した場合、そのままにしていれば地域通貨単位全体の下落につながりかねず、加盟各国が協力して支援を打ち出す効果も期待できる。つまり、加盟国による経済連携が一段と密になるというわけだ。  日本は九七年秋に、地域の通貨協力を促すために「アジア通貨基金」の創設を提案したが、ドルの国際的な基軸通貨としての意味合いが薄れることを懸念した米国などの反対で、進展がみられなかった経緯がある。しかし、米国が財政赤字、貿易赤字に苦しむ半面で、アジアの世界経済に占めるウエートが着実に拡大し、地域通貨単位を創設する必要性が増したとの判断だ。  ただ、現実的には難問山積。例えば地域通貨単位を算出する段階で、各国通貨をどの程度の割合で組み込むかをめぐって、各国が激しく対立するのは必至だ。  欧州が通貨を統合する構想の議論を開始してから実現までに半世紀の時間を要した。今回、東アジアが地域通貨単位の必要性で一致したものの、実現までには多くの曲折が予想される状況だ。

アジア開銀総会:貧富の格差縮小など確認し閉幕

2006年05月06日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 インドのハイデラバードで開かれたアジア開発銀行(ADB)の年次総会は6日午後、黒田東彦総裁が締めくくりの演説をし、貧富の格差縮小に最優先で取り組み、エネルギー利用の効率化など環境対策を進めることを確認、2日間の討議を終えて閉幕した。

 総会では、温室効果ガスの排出権買い取りを希望する先進国政府などの出資を募り、途上国の省エネ対策事業に資金を振り向けるADBの新たな基金の計画に関心が集中した。

 域内国には、金融危機の際に外貨を融通し合う通貨交換協定を柱とした金融協力や貿易、民間投資の活性化を後押しするよう求める声が目立った。(共同)

共通通貨単位創設を検討 ASEANと日中韓

2006年(平成18年)05月05日 山梨日日新聞社

 【ハイデラバード(インド南部)4日共同】東南アジア諸国連合と日中韓(ASEANプラス3)の財務相は4日、インドのハイデラバードで会談し、東アジア通貨の価値を比較できる共通為替指標「地域通貨単位」の創設について検討することを合意した。同財務相会議が、通貨単位の検討で一致したのは初めて。

 アジア開発銀行(ADB)が提唱する「アジア通貨単位(ACU)」とも重なる構想。東アジアが一体となって、地域通貨単位の検討を開始することで、将来の通貨統合も視野に入れた金融協力に一歩踏み出した。

 地域通貨単位は、アジアの主要通貨の指標を念頭に置いている。実現への課題は多いが、将来的には欧州単一通貨ユーロの基礎となった欧州通貨単位(ECU)のような指標につながる可能性もある。

ASEANプラス3、共通通貨単位の創設検討で初合意

2006/05/05 The Sankei Shimbun

 東南アジア諸国連合と日中韓(ASEANプラス3)の財務相会議が4日、インドのハイデラバードで開かれ、東アジア通貨の価値を比較できる共通為替指標「地域通貨単位」の創設について検討することを合意した。同財務相会議が、通貨単位の検討で一致したのは初めて。

 アジア開発銀行(ADB)が提唱する「アジア通貨単位(ACU)」とも重なる構想。東アジアが一体となって、地域通貨単位の検討を開始することで、将来の通貨統合も視野に入れた金融協力に一歩踏み出した。

 地域通貨単位は、アジアの主要通貨の指標を念頭に置いている。実現への課題は多いが、将来的には欧州単一通貨ユーロの基礎となった欧州通貨単位(ECU)のような指標につながる可能性もある。欧州では1979年にECUを導入したことが、2002年の欧州単一通貨ユーロの流通につながった。

 谷垣禎一財務相は会議終了後、「欧州連合(EU)が長い時間をかけたように大変大きな話だ。学術的な研究をする段階で結論は未知数だが、真剣に検討していく必要がある」と語った。

 共同声明によると、ASEANプラス3はアジア地域の金融安定に向けて、地域通貨単位の創設について06―07年に調査・研究を促進することで合意した。金融危機の際に外貨を融通する通貨交換協定については、2国間から多国間へと枠組みを拡大していくことを明記。アジア債券市場育成促進でも一致した。

「アジアユーロを作ろう」・・・韓中日が貨幣統合の動き

2006.05.04 中央日報

韓国・中国・日本の3カ国は4日、アジア領域内で使われるユーロのような共同通貨の導入のため、3カ国が政府レベルで共同研究を始めることに合意した。

韓悳洙(ハン・ドクス)副総理兼財政経済部(財経部)長官はこの日、インド・ハイデラバードで開かれた第39回アジア開発銀行(ADB)年次総会で中国の金人慶財政相、日本の谷垣禎一財務相と会見し、今後3カ国の長官が金融統合という長期ビジョンで共同通貨導入案を政府レベルで研究していくことに合意した、と明らかにした。

3カ国の財務長官らは特に、アジア共同通貨に関する研究をASEAN(東南アジア諸国連合)プラス3(韓中日)財務長官会談で始めることに合意した。

アジア共同通貨導入のため、まず韓中日3カ国は年内に政府官僚と国策・民間研究機関の専門家らが参加するリサーチチームを構成し、ロードマップ作成に着手することにした。

3カ国長官らはまた、3カ国の今年の経済展望が肯定的という認識で一致したが、原油高の継続や国際金融市場の利上げの動きが領域内経済の主要リスク要因になりうると指摘した。

米上院議員、中国に人民元改革促す法案提出へ=貿易不均衡是正目指し

2006年03月29日 AP/ライブドア・ニュース 平林純子記者/em

【ライブドア・ニュース 03月29日】− AP通信によると、米上院財務委員会のチャック・グラスリー委員長(共和党、アイオワ州選出)と上院財政委員会のマックス・ボーカス議員(民主党の筆頭委員)は、対外貿易不均衡、特に米中間の不均衡を是正するため、中国に対し、不公平な為替相場の見直しを求める法案を、28日夜にも議会に提出することを明らかにした。

  米国内では、中国が自国製品の対米輸出が有利になるよう人民元を対ドルで不当に安く設定していることで、米国の対中貿易赤字が急拡大し、米国内産業が圧迫されているとして反発が強まっている。

  同法案は、米財務省を通じて、外国政府やIMF(国際通貨基金)に働きかけ、外国通貨、特に人民元の対ドルレートの“不均衡”の是正を求めるとし、また、同省に、通貨や為替問題を専門とする次官補ポストを新設する。これにより、諸外国が為替相場の不均衡を是正できなかった場合は、ADB(アジア開発銀行)などからの国際的な融資やIMFへの議決権の拡大に対し、米国が反対する見通しだ。

  また、これとは別に、リンゼー・グラム上院議員(共和党、サウスカロライナ州選出)とチャールズ・シューマー上院議員(民主党、ニューヨーク州選出)は昨年、中国の人民元改革が十分に進まなかった場合、中国からの輸入品に対して一律27.5%の制裁関税を課す法案を提出し、同法案への上院での投票を31日に行う予定としていたが、28日、両議員はジョン・スノー財務長官との会談後、記者会見し、この投票予定を撤回した。両議員は9月末まで、中国側の出方を待ち、改善が見られない場合には、再度、同法案を議会に提出するとした。【了】

ADB:ア太地域のイノベーションセンター建設に融資

2006年01月31日 中国情報局

 アジア開発銀行(ADB)は30日、アジア太平洋地域の国々の知識と技術のレベルを向上させることを目的としたイノベーションセンターを同地域に建設するために、99万ドルを融資する方針だ。30日付で新華社が伝えた。

 イノベーションセンターセンターでは、天然ガス車やハイブリッド車の研究をはじめとする環境保護技術や情報技術、管理技術の育成などを研究する。

 アジア開発銀によると、今後2年間でアジア太平洋地域の4?6カ所にイノベーションセンターを設置する計画で、現在は中国、インド、タイが同計画への参画の意向をみせている。(編集担当:伊藤亜美・如月隼人)

新疆:高速道路建設でアジア開発銀から1.5億ドル借款

2006年01月13日 中国情報局

 新疆ウイグル自治区交通庁は11日、アジア開発銀行(ADB)と高速道路建設のために1.5億ドルの融資を受ける契約を締結した。新疆ウイグル自治区が、主要道路の建設にアジア開発銀行から融資を受けるのはこれが初めて。12日付で新華社が伝えた。

 融資の対象となるのは、コルラ(庫爾勅)ークチャ(庫車)間の全長296.5キロメートルの高速道路建設。総投資額は39億元。中東アジア、西アジア、欧州間の貿易に重要な作用をもたらすと期待されている。

 新疆ウイグル自治区の道路建設では、国際金融機関からの融資が主要手段となっている。1998年には世界銀行から初の融資をうけて、トルファン(吐魯番)?ウルムチ(烏魯木斉)?大黄山間の幹線道路を建設。2000年には、同自治区で1本目となる高速道路、ウルムチークイトン(奎屯)間を建設した。05年までに道路建設のために世界銀行から受けた融資は合計6億ドルに達している。(編集担当:伊藤亜美・如月隼人)

近隣外交 成果を生まぬ対決姿勢

2006/01/04 中国新聞

 「東アジア共同体」を目指す動きがなかなか前に進まない。その大きな原因は、政治的な日中関係の悪化と、主導権を競い合う両国の姿勢にある。両国とも地域全体の持続的な発展を考えた共存共栄的な姿勢を早く打ち出さないと、アジアの安定と発展はないと知るべきである。

 将来の地域統合構想「東アジア共同体」創設を目指して昨年十二月、初の東アジアサミットが、東南アジア諸国連合(ASEAN)に日本、中国、韓国、それにインドなども加えた十六カ国が参加して、マレーシアで開かれた。共同体構想は、ASEANプラス3(日中韓)の十三カ国の枠組みを中心に進めるべきだ、と主張する中国と、広く十六カ国を軸にした東アジアサミットを中心にすべきだ、と主張する日本とのせめぎ合いがあった。

 日本の動きの背景には、ASEANプラス3の枠組みでは中国の主導権が強くなりすぎる、と懸念する米国の意向が働いていたという。ASEAN諸国にも中国への警戒感は根強い。その分、日本の役割に期待もしているはずだった。日本の主張したサミットへのインドなど三カ国の参加は認められた。しかし、サミットに先立つASEANプラス3会議での中国の影響力は大きかった。それが結局、共同体創設の主役はASEANプラス3であり、サミットは脇役、とする宣言につながった。

 日本の発言力を弱める働きをしたのが、小泉純一郎首相の「靖国」問題だと思われる。日中首脳会談が実現しなかったばかりか、中韓首脳会談での緊密ぶりの強調は、日本の孤立を演出した。マレーシアのサイドハミド外相さえ「最近の日中関係は、東アジア共同体形成を含む地域協力に難しい影響を与えている」と苦言を呈した。隣国と良好関係が保てない日本に危うさを感じるのだ。

 小泉首相の政治的手法は、賛成か、反対か、をはっきりさせることで目に見える敵をつくり出し、軸のぶれない自分を演出して勝利を得ようとするものだ。それは国内政治には通用しても、外交ではマイナスが大きすぎる。中国や韓国の反発を強めるだけでなく、ASEAN諸国の理解も得られていないことを、今度のサミットが示している。

 平和学に「チキンゲーム理論」という考え方がある。チキン(鶏)は「憶病者」を意味する。同じ道路上を向かい合って車を発進させ、どちらが先にハンドルを切って衝突から逃れようとする憶病者か、を競うゲームのことだ。国際的な紛争時に両国がチキンゲーム状態に陥ったら危険この上ないことを、自覚させる狙いの思考法である。

 めざましい成長を続ける中国は、今は日本企業も含めた世界の工場として発展している。しかし、遠からず自前の工場化を次々進めるだろう。そのとき中国は、アジアの覇者たらんとしているのか。日本は中国と権力争いを演じているのか。お互いが対決姿勢でいる限り、東アジアという地域は、環境からもエネルギーからも、あるいは食糧問題でも破たんの坂を下っていくだろう。  いまはチキンゲームをやっている場合ではない。小泉首相も「靖国」にこだわる時期ではない。お互いが「わだかまり」を持たない状態を早くつくって、将来のアジア地域についての検討を開始したい。

対米ドル安定化、実情に合わず

2005年12月20日 ライブドア・ニュース 佐谷恭

アジア開発銀セミナー

 【ライブドア・ニュース 12月20日】− アジア開発銀行(本部・マニラ)総裁特別顧問の河合正弘・東京大学教授が20日、東京都千代田区の帝国ホテルで講演し、「アジア諸国が為替レートを安定させるために、対米ドル安定化を図るのは実情に合わなくなっている」と話した。河合氏は、同銀行が主催した「アジアサミット後のアジア経済統合の課題」と題するセミナーに、講師として出席した。

 欧米の地域主義の拡大により、東アジアでも自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)への関心が高まってきたことについて、河合氏は「FTA/EPAが重層的になりすぎて、複雑に絡み合う懸念がある。これらの協定は、カバーする地域が広いほどそのメリットがあるので、多数のFTA/EPAを1つにまとめていくべき」と話した。

 また、東アジア域内で、実質GDP、消費、投資など実質的な景気循環が大きな連動性、同調性を持つようになっており、マクロ経済的な相互依存の程度が大きくなっていると指摘。域内為替レートの安定化のための協調が必要で、対米ドルペック制から通貨バスケット制に移行するのが第1歩と説明した。

 日本がすべきことについて「金融市場のノウハウを提供し、手本となること。日本の貯蓄が、まだまだ潜在的に高い投資機会があるアジア市場に向かえば、日本のアジアに対する関心も高まるだろう」と述べた。

 アジアの基軸通貨に関する質問には「このまま発展すれば、中国は2010年半ばに日本経済を追い越すと言われるが、基軸通貨になるには国際的な信頼性も必要。貧困や政治体制など問題もある。日本円が基軸になるのが、アジアの中では最も現実的」と話した。【了】

鳥インフルエンザ大流行時、中国の経済損失870億ドル

2005年11月22日 中国情報局

 アジア開発銀行(ADB)の関係者は21日北京で、鳥インフルエンザが中国で大流行する可能性はあまりないが、もしも大流行した場合、中国はGDP(国内総生産)の1.7?5.3%に相当する280億?870億ドルの損失を受けるとの試算を明らかにした。22日付で東方早報が伝えた。

 ADBは11月初めにまとめた報告の中で、鳥インフルエンザが日本を除くアジア地域に与える経済損失は990億?2830億ドルに上ると予測していたが、中国のみの経済損失を試算したのは今回が初めて。

 これとは別に、復旦大学中国経済センターの張軍・主任は、「鳥インフルエンザの流行が中国経済にもたらす影響は予測可能だ。深刻な事態に陥れば、連鎖的波及による深刻な損失は免れない」との見方を示している。

 主にビジネスマンを対象に世界の安全保障や医療関連の情報を提供しているインターナショナルSOS中国区のChristianvander Walt総裁は、多国籍企業のうち4分の3の企業が、鳥インフルエンザが世界的に大流行した場合を想定した事前策や、危機管理体制に入っていることを明らかにしている。(編集担当:伊藤亜美・如月隼人)

アジア開発銀行、中国銀行に85億円出資へ

2005年10月11日 AP/ライブドア・ニュース 城塚愛也記者

 【ライブドア・ニュース 10月11日】− AP通信によると、アジア開発銀行は10日、中国の4大国有商業銀行の1つ中国銀行に対し、コーポレイトガバナンス(企業統治)の強化を支援するため、7500万ドル(約85億円)を出資することを決めた。

 アジア・太平洋地域における開発プロジェクトを資金面から援助することを目的に設立されたアジア開発銀行は、今回の出資によって、特に、中国銀行の内部リスク管理とマネーロンダリング対策の強化を支援したいとしている。

 また、中国銀行は、フランスの大手金融グループ、BNPパリバが、南京市商業銀行の株式約20%を取得する見込みだと発表した。  【了】

中国銀行、来年3−4月に香港市場上場か=リストラは完了

2005年10月10日 Xinhua Finance/ライブドア・ニュース 岩城伸也記者

 【ライブドア・ニュース 10月10日】− XFN-ASIAによると、中国2位の商業銀行、中国銀行の朱民・頭取補佐は9日、同行のリストラ計画が終了したことを明らかにした上で、来年3月か4月に香港市場に上場したいとの意向を表明した。上海証券報が10日報じたもので、同補佐は、ADB(アジア開発銀行)とスイス金融グループのUBS、英銀大手RBS(ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド)、シンガポール政府系投資会社テマセク・ホールディングスが計24%の同行株式を保有することも明らかにした。ADB以外の3社は、株式取得ですでに合意に達しており、ADBも10日に合意する見通し。

 また、上海証券報によると、中国銀行は上場後、外国人投資家にさらに14%の株式を売却する見込みとしている。【了】

外資金融機関に人民元立て債券の発行を許可

2005年10月10日 中国情報局

 中国人民銀行は9日、国際金融公社(International Finance Corporation)とアジア開発銀行(Asian Development Bank)に、中国のインターバンク(銀行間)債券市場における人民元債券11.3億元と10億元の発行を認可したことを発表した。

 中国現地では、中国の債券市場において、初めてとなる外資金融機関による発行主体が誕生したことで、市場の対外開放にとって有益な試みとなり、改革が加速されるのではないかとみられている。中国新聞社が伝えた。

 人民銀行は、外資金融機関が中国の銀行間債券市場において人民元立ての債券を発行することが、中国の金融市場の発展及び対外開放にとって非常に有益だと指摘。両機関が中国国内において人民元債券を発行することで、中国の経済及び金融の発展を促進すると同時に、インフラ整備や関連業務の発展にとって、新たな融資先になることを期待するとしている。

 また同行では、「さらに意義深いこと」として、中国は巨大な潜在力を秘めた新興の金融市場国の一つであり、中国における金融業務の展開は両機関にさらに豊富な新興市場での経験を提供することになって、結局そのことが全世界の新興金融市場における影響力の向上に対して、積極的な役割を担うことになるとしている。

 報道によれば、国際金融公社、アジア開発銀行など外資金融機関は2002年ごろから中国国内における人民元立て債券の発行を中国当局に対して打診、04年ごろ、人民銀行や財政部などが共同歩調をとって、外資金融機関による人民元立て債券の発行に関する研究に着手。05年2月、「国際金融機関の人民元債券発行に関する管理暫定規定」が公布、法整備が進められていた。(編集担当:鈴木義純)

16期5中全会開幕、「十一五」企画の制定本格化

2005年10月09日 中国情報局

 中国共産党第16期中央委員会第5回全体会議(五中全会)が10月8日に北京で開幕した。4日の会期で行われる今回の会議の焦点は第11次5カ年企画(「十一五」、2006-2010年)の大枠の制定。

 05年7月25日に開催された中国共産党中央政治局会議では、「十一五」の2006-2010年という期間は、まずまずの生活水準を示す「小康」社会建設の重要な時期であり、このガイドラインの制定作業の重要性を確認していた。

 アジア開発銀行中国代表処の湯敏・首席経済学者は、「より多くの大衆に十分に改革と発展の成果を還元でき、貧富の格差や都市と農村の格差を解消することが、社会的な協調という意味でも重要だ」と指摘。

 1人あたりGDP(国内総生産)1000ドル前後の時期は社会矛盾が激化しやすい時期に相当するとして、湯氏は、「十一五」の期間について、「今後5年、中国はまさにこの時期に差し掛かる。リスク回避に努力し、一部の国が歩んだ二の轍を踏まないことが重要で、その他の発展途上国に提供できる経験をつむことが必要だ」とした。(編集担当:鈴木義純)

アジア開発銀:中国の貧困対策などに45億ドル貸付け

2005年09月27日 中国情報局

 アジア開発銀行(ADB)は26日、2006-2008年の3年間で中国に対して45億ドルの貸付けを行うことを発表した。資金は中国沿海部と内陸部、都市部と農村部との経済格差の是正などのために使われ、主に各地の貧困地域と中国西部地区への貸付に充てられる。27日付で第一財経日報が伝えた。

 援助計画によれば、資金の具体的な用途は道路建設、鉄道建設や農業の発展、農村地域の電力設備建設、水利事業などとなっている。

 ADBではまた、腐敗が貧困の大きな原因となっているとみて、贈収賄や詐欺などを発見するための公務員教育などでも支援を行う。さらに、今後3年間で中国当局と協力し、東北地域の黄砂対策や土壌・水資源の管理、省エネ対策など、環境保護のための取り組みにも参加していく方針だ。(編集担当:恩田有紀・田村まどか)

原油高騰、中国などアジア各国経済の成長率最大1%低下も=ADB

2005年09月08日 Xinhua Finance/ライブドア・ニュース 山中泉記者

 【ライブドア・ニュース 09月08日】− XFN-ASIAによると、ADB(アジア開発銀行)は8日、アジア・太平洋地域の経済見通しを発表した。その中で、2006年末にかけて原油価格が1バレル=70ドルまで上昇すれば、アジアでは、中国とインド、タイの3カ国が最も影響を受けるとし、来年の中国とインド、タイ、インドネシアの4カ国の経済成長率は最大で1%ポイント低下する可能性があるとしている。

 ADBの報告書によると、アジア諸国の中で、原油高騰に最も弱いのは、原油純輸入国のフィリピンやシンガポール、タイ。アジアの経済成長は継続しているが、原油高の影響は、インフレや補助金支出による巨額な予算赤字という形で出始めている。中国の石油精製業界は、今年の上半期に42億元(約578億円)の損失を計上しており、その結果、中国は極度の電力不足に直面している。

 また、インドでは、2004年の1年間に、LPG(液化石油ガス)と灯油の価格上昇の影響を緩和するための補助金支出が7億7650万ドル(約854億円)に達しているが、ABDの試算では、2005年には22億ドル(約2420億円)、2006年にはインドのGDPの1.1%に当たる93億ドル(約1兆0230億円)となる。インドネシアでは、2005年4月時点で、国営石油会社プルタミナへの補助金26億ドルの支払いが滞っており、同社のキャッシュフローと輸入石油製品への支払い能力を悪化させている。【了】

ADB、中国の05年GDP伸び率予想を+9.2%に上方修正=今年後半からは成長減速へ

2005年09月08日 Xinhua Finance/ライブドア・ニュース 中西庸記者

 【ライブドア・ニュース 09月08日】− AFX通信によると、ADB(アジア開発銀行)は8日、アジア経済見通しを発表した。それによると、2005年のGDP成長率予想を従来予想(4月)の+8.5%から+9.2%に上方修正したが、中国の経済成長率は今年後半から来年にかけて鈍化するとし、来年は+8.8%に伸びがやや鈍化すると予想した。

 また、不動産投資の規制により、今年前半の固定資産投資の成長率は前年同期の+28.6%から+25.4%に減速しており、中国政府は今年後半にかけても、経済過熱の抑制政策を維持するとしている。ただ、1−7月の輸出が前年同期比32%増となるなど対外輸出は増加しており、2005年の経常黒字の成長率予想は+1.2%から+4.7%に大幅上方修正した。また、2006年は+3.6%とした。2005年の物価上昇率予測は、製造業の設備過剰や穀物生産の増加が予想されるとして、+3.6%から+2.5%に下方修正した。 【了】

ADB、日本の05年GDP伸び率+1.6%で据え置き=06年は+1.5%に上方修正

2005年09月08日 Xinhua Finance/ライブドア・ニュース 平林純子記者

 【ライブドア・ニュース 09月08日】− XFN-ASIA通信によると、ADB(アジア開発銀行)は8日、アジア経済見通しを発表し、日本の2005年のGDP(国内総生産)成長率について、国内需要の改善や輸出の増加が見られるとして、1.6%成長とする見通しを据え置いた。また、2006年については、日本が周辺諸国に比べてエネルギー効率が高く、原油高による影響は比較的小さいとして、GDPの伸び率を前回予想の+1.3%から+1.5%に引き上げた。

 日本のGDPは2003年に+1.4%、2004年に+2.7%となっており、2005年1−6月では+1.3%(年率換算)となっている。ADBは他方、日本に長期的な経済見通しについては、急速な高齢化や構造改革の停滞による悪影響を指摘している。【了】

北京周辺で272万人の「貧困層」、内陸より深刻

2005年08月21日 中国情報局

 北京市から100キロほどしか離れていない河北省では、貧困人口が272万人に達している。中には、中国西部で最も貧しいとされる山西(さんせい)省、陝西(せんせい)省、内モンゴル自治区にまたがる「三西地区」よりも、生活が困難なことを示す経済的指標もあるという。18日付で新京報が伝えた。

 河北省の経済状況について行った現地調査を元に、アジア開発銀行は、「河北省経済発展戦略研究書」をまとめた。

 この報告によると、河北省では、貧困人口が272.6万人、貧困村が3798に上ることが分かった。北京市と天津市を取り巻くように広がっていることから、同研究書では「北京・天津の貧困環状地帯」と命名。首都と隣接地域の間に、これほど大きな経済的格差があるケースは世界にも珍しいという。

 首都近郊という条件が問題を複雑にしている。北京市や天津市に清潔な水を提供するために、「貧困環状地帯」では、環境に悪影響を与える企業は操業が認められない。また、クリーンな大気環境のために、林業が優先され、農業や牧畜業が多大な損害を被っているという。

 研究書の制作に関わったスタッフは「行政当局は、経済活動に制限を加えるだけの単調な政策を執るのではなく、問題が解決するまで民衆を教え導くべきだ」「行政区分が複雑で、地方自治体ごとに政策が異なることが貧困をもたらす最大の要因」と指摘している。(編集担当:菅原大輔)

今年の中国経済8・9%の成長 アジア開発銀行が予測

2005/08/11 中華人民共和国駐日本国大使館

 アジア開発銀行(ADB)は先ごろ発表した最新の経済情勢研究報告の中で、「外部の経済環境が若干悪化し、原油価格が史上最高を更新しているため、東アジア経済は今年、成長が鈍化する。うち中国では、経済成長が8・9%にとどまり、前年の9・5%を下回る」と指摘した。

 ADBが9日発表した「アジア経済観測」によると、東アジア(東南アジア諸国連合10カ国および中国と韓国)では、今年の経済成長率が6・8%にとどまり、前年の7・6%を下回る。中国を除くと、経済成長率は4・4%にとどまり、前年の5・5%を下回る。

 「アジア経済観測」は、中国とマレーシアが米ドルに固定していた為替相場制度を、政府がバスケット通貨に基づいて為替相場を決めるより柔軟な為替相場制度に切り替えたことを歓迎し、東アジア地域でより柔軟な為替相場を育てるために踏み出した重要な一歩であると指摘した。

 中国では第1四半期の国内総生産(GDP)が昨年同期比9・4%増、第2四半期が9・5%増となっている。「アジア経済観測」の予測によると、固定資産投資の伸びが鈍化し、輸出の伸びも鈍化するとみられていることから、下半期の経済の伸びは鈍化する。

 報告は次のように指摘した。シンガポールは外部環境の悪化がもたらす影響が最も大きな国の一つになる可能性が高い。シンガポール経済は開放の度合いが高く、輸出伸び率の鈍化がもたらすマイナスの影響が比較的大きい。しかも、輸出伸び率の鈍化は、消費者と経済界の自信にも影響を与え、内需に影響が出る。今年のシンガポール経済の成長は3・7%にとどまるとみられており、昨年の8・4%を大幅に下回る。

 さらに次のように述べた。上述の予測は原油価格の上昇や世界の収支不均衡がもたらす無秩序な調整の影響を受ける可能性もある。

 ADB地域経済一体化事務室の責任者は次のように話した。経済成長が若干鈍化、インフレ圧力が徐々に上昇、米国が緊縮型の金融政策をとっている。これが我々の直面している現状だ。構造調整を進め、内需を拡大すると同時に、財政・通貨・為替相場政策を速やかに調整することが、東アジア経済が直面している最大の課題だ。

 ADB地域経済一体化事務室発表の「アジア経済観測」は、主要工業市場における経済成長の鈍化と情報技術周期の減速が、外部経済環境の悪化をもたらしている主な原因だと指摘した。

 「アジア経済観測」は次のように述べた。今年上半期、中国を除く東アジアの主要エコノミーでは、輸出の成長が鈍化し、昨年中期以降の傾向を踏襲した。しかも原油価格が上昇、これらの国家が緊縮型のマクロ経済政策を導入する傾向にあることから、大多数の東アジアのエコノミーでは、内需が鈍化し始めている。

 報告は次のように指摘した。今年上半期、東アジア株式市場では株価上昇の傾向を示したが、通貨の対米ドル為替相場は相対的に安定、ドル高傾向もみられた。金融と企業の改革は現在も東アジア地域の金融分野の健全な発展を促している。

アジア開発銀行[略]ADB

更新日2005.08.05 EICネット

【英】Asian Development Bank

 アジア太平洋地域の経済成長と経済協力を進めるとともに、開発途上国の貧困問題の解決に寄与することを目的として1966年に国連の極東経済委員会が中心になって設置。本部はマニラに置かれている。

 アジア開発銀行は、欧州、北米及びアジア太平洋の61カ国で構成されている。主な機能は、 (1)開発途上国の開発のための融資、 (2)開発プロジェクトの策定、実施などのための技術援助、 (3)公共資本及び民間資本投資の促進、 (4)開発途上国の開発政策や計画の調整についての支援要請への対応。

 世界銀行とも協力して行っており、アジア通貨危機の際には、インドネシアにおいて世界銀行は構造調整、アジア開発銀行は中小企業対策を行うなど、それぞれの得意分野を生かしながら協力して行われた。

財政部:世界規模の貧困解決に国際社会と協調

2005年05月06日 中国情報局

 中国財政部の金人慶・部長は、5日、第38回アジア開発銀行(ADB)年次総会のため訪問しているトルコのイスタンブールで、記者のインタビューに答え、「国際社会との協力関係を強化し、長期的な発展目標の実現を推進していく」と述べた。6日付で中国新聞社が伝えた。

 金・部長は、「世界最大の発展途上国として、中国は一貫して全世界で貧困層を減らすために努めてきた。中国経済が急速な発展を遂げると同時に、中国政府は大規模な貧困救済活動を実施し、2億人以上の農村貧困問題を解決してきた」と述べ、世界の発展に大きく寄与していることを強調。今後も、「発展途上国への援助を引き続き行う」とした。(編集担当:齋藤浩一)

胡錦濤主席、アジア開発銀行の黒田東彦総裁と会見

2005年04月28日「人民網日本語版」

フィリピンを公式訪問中の胡錦濤国家主席は27日、アジア開発銀行の黒田東彦総裁と宿泊先のホテルで会見した。

胡主席は、「アジア開発銀行が中国に提供した借款や技術支援は、中国の経済発展とインフラ整備をサポートした。マクロ経済管理や財政政策でも、アジア開発銀行は有益な提案をした」と述べた。

胡錦濤主席は黒田総裁に中国の経済・社会発展戦略について説明し、中国の改革開放に対する意志と、国際金融機関との協力重視を強調した。また、中国とアジア開発銀行が各自の状況と発展戦略に基づいて協力強化できる分野として、次の3つを挙げた。

(1)借款の使用範囲の拡大。現在のインフラ整備主体から、農業・公衆衛生・文化教育・環境保護などに拡大する。

(2)地域発展に向けた協力強化。メコン川流域や、東南アジア諸国連合(ASEAN)と中日韓の協力などの強化。

(3)発展途上国の発展や貧困撲滅に関するプロジェクトでの協力。貧困撲滅と発展は、途上国が取り組む共通の任務であり、中国は他の途上国の有益な経験から学んでいきたい。

黒田総裁は、アジア開発銀行と中国が優れた協力関係を保っていることを指摘。中国政府が同行傘下のアジア発展基金に寄付金3千万元を提供したほか、2千万ドルを寄付し、同行内に中国貧困減少と地域合作基金を設立したことに謝意を表した。また、「アジア開発銀行は胡錦濤主席が提起した3つの提案に同意する。中国とともに、双方の協力が一層効果を上げるよう努める」と述べた。(編集SN)

開発援助のカネの使い道は?

2005年04月14日 パブリック・ジャーナリスト

 【PJニュース 04月14日】− 財務省はこのほど、ラオスに対する開発融資の決定に伴う説明会を行った。この融資はラオス中部に建設予定の「ナムトゥン2ダム」という水力発電ダムに対するもので、世界銀行やアジア開発銀行といった国際開発金融機関などが合わせて8億ドル以上の融資を行なう。日本は世界銀行にアメリカに次いで2番目に多額の出資をしているが、その金は我々国民の税金によるものだ。

 開発援助が現地の人たちの幸せに繋がれば良いのだが、国際環境NGOからは疑問の声も上がる。例えば、現状は現地の生態系を破壊しているため、相手国住民からは迷惑がられこそすれ、感謝されない懸念もあるし、その融資が適切に使われず、ODA(政府開発援助)の2割は汚職に消えていくという統計もあるというのだ。

 そして何よりも問題なのは、我々日本国民の税金がこうやって我々の全く知らない所で使い道を決められ、それがまったくと言ってよいほど報道されず、国民の耳に届かないという事だ。

 詳しくはこのHPを参照されたい。 http://www.junkoniwa.net/mt/archives/peace/000186.html【了】 ※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJニュースはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

アジア開発銀:中国経済は05?06年に「軟着陸」

2005年04月07日 中国情報局

 アジア開発銀行(ADB)は6日、2005年版「アジア開発展望」を発表。それによると、中国経済は2005?06年にかけて「軟着陸(ソフトランディング)」に成功する可能性が高く、05?07年も引き続き高度成長を遂げるとの予測。また、今後3年間のGDP(国民総生産)成長率は8.5%、8.7%、8.9%と着実な伸びが見込まれている。6日付で中国新聞社が伝えた。

 この報告書では、中国政府が強化している引き締め政策や国内企業のコスト上昇などにより、今後数年間は中国の輸出増加が徐々に抑制されると予測。

 また、05?07年にかけて、中国の第2産業は9.3?10.1%の成長を遂げるとした。中国政府による農業政策の促進により、農業の成長率は4.1?4.6%に。さらに、今後3年間でサービス業の対外開放が加速し、平均して8%の成長率を維持するだろうとしている。

 中国は01年のWTO(世界貿易機関)加盟時の取り決めを実行しなければならない。すでに、貿易関税を下げるという目標は達成しており、05年初には、平均関税率が01年の15.6%から10.1%に引き下げられた。

 04年、外資系企業の対中直接投資の成長率は13.3%で、累計606億ドルに達した。外国人投資家が中国を選択するのは、中国が大量の廉価な労働力を擁していることや、インフレ整備が加速し、投資環境が絶えず改善されているなどの魅力があるためだとする。

 一方で、投資の再過熱の可能性や潜在的な問題の不適切な処理により、経済成長が失速するという危険性もはらんでいるという。そのため、中国は引き続き、農民の増収に注力すると同時に、中小企業の健全な発展、金融改革の加速などに対応する必要に迫られている。(編集担当:田村まどか)

ADB、中国の05年経済成長率を8.5%に上方修正=インフレ率は3.6%

2005年04月06日 中国情報局

 【ライブドア・ニュース 04月06日】− AP通信によると、ADB(アジア開発銀行)は6日、2005年の中国の経済成長率を前回予想の8.0%から8.5%に上方修正したことを明らかにした。同国の大型建設計画などに対する投資が引き続き拡大すれば、2006年には8.7%、2007年には8.9%の高い成長率が見込めるとしている。

 また、物価動向については、同国内の多くの産業で、設備過剰の傾向があり、穀物価格も安定していることから、2005年のインフレ率は3.6%に抑えられるとしており、2006年には3.3%、2007年には3.2%まで低下するとしている。中国政府は2005年の成長目標を8−8.5%に設定、同年の物価上昇率を4%以下に抑えることを目標にしている。【了】

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