TOPIC No.2-142 牛乳

01.牛乳とカルシウムで、大腸がんリスクが低下。by Tsubono Report
02.牛乳は「太る」それとも「ヤセる」? 日米売上にそれぞれの影響。by narinari.com
03.乳製品でダイエット by j-milk
04.牛乳には危険がいっぱい?
05.牛乳 byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
06.牛は何を食べたらいいのか? 牛乳は飲まないほうがいい?<「牛乳論争」の誤解を解く>
07.牛乳が毒だと誰かトクするのかな? by成層圏の向こうでは
08.カフェラテを飲もう by portal shit!
09.牛乳の問題点 by世論時報
10.牛乳は本当に健康飲料?byふみまるのおっぱいいくじはたのしいよ
11.繰り返し牛乳を飲むことで乳糖不耐症が改善される!? (2003年10月01日)j-milk
12.「月刊テーミス」11月号掲載の記事に対する農林水産省の申し入れ (平成12年11月07日)
13.「牛乳はこんなに身体に悪い」(新潮45 6月号)に対する農林水産省の申し入れについて
14.ロングライフ牛乳商品の過酸化水素含有量
15.牛乳の消費減少 (2007年04月24日) 読売新聞 Yomiuri On-Line


北海道牛乳がアジアで人気 安全重視、輸出も過去最高

2009/06/13 中国新聞ニュース

 2008年度北海道産牛乳のアジア向け輸出量が、前年度(365トン)の2倍以上になる798トンに急増し、過去最高を記録した。昨年、中国で発生した牛乳のメラミン混入事件を受け、安全と評判の道産乳の需要が高まっている。

 農林水産省によると、08年は日本全体でも過去最高を記録。このうち道産は約9割で、担当者は「アジアでは富裕層を中心に、食の安全への意識が高まっている。それ以外にも、海外でも浸透している“北海道ブランド”の強さがあるのではないか」と分析している。

 ホクレン農業協同組合連合会(札幌市)によると、輸出されているのはすべて、常温で長期保存できる北海道産「ロングライフ(LL)牛乳」。LL牛乳は、旭川市と日高町の会社が製造。通常より高い140度で殺菌し、保存性が高い紙パックに詰めているため、60日間飲用できる。

 輸出量は、1996年度には香港向けの約90トンだけだったが、現在は台湾、中国、タイ、シンガポールに販売先を拡大。香港で1リットル入りの牛乳は100〜200円が主流だが、300〜400円の道産が富裕層を中心に売れているという。

 日本国内の牛乳消費量は、少子高齢化などの影響で年々減少傾向。ホクレンは、新たな需要確保に向けてアジア各地へのPRに力を入れ、本年度の輸出量は千トンの大台突破を目指している。

牛乳:父の日に牛乳を贈ろう! 農協女性部会員、幸山・熊本市長へ贈る /熊本

2009年6月11日 毎日新聞 地方版

 ◇「毎日飲んで健康に」

 「父の日に牛乳(ちち)を贈ろう!」キャンペーンで、熊本市内の農協3団体の女性部会員らが9日、幸山政史市長に牛乳を贈った。

 キャンペーンは牛乳の消費拡大を目指し、99年度から菊池地域畜産振興協議会が始めた。01年度から県酪農業協同組合連合会や県酪農女性部協議会が主体となって県内全域で実施している。

 贈呈式で協議会役員の真鍋昇子さん(48)が「毎日飲んで健康であってほしい」とあいさつ。成分無調整牛乳や、牛乳から作った生キャラメルを試食した幸山市長は「おいしくて元気の源になる。共に消費拡大に取り組みたい」と話した。

 連合会などは17日、父の日のプレゼント用に市内3カ所の保育園で子どもたちに牛乳を贈る予定。【和田大典】

牛乳で栄養 食費も節約

2009年06月11日 読売新聞 YOMIURI On-line

 牛乳って、成分無調整とか、低脂肪とか、いろんな表示を見かける。そもそも牛乳は体にいいの?

冷蔵庫にいつも

 サッカー元日本代表の北沢豪さん(40)の家族は、大の牛乳好きだ。自宅の冷蔵庫には、1リットル入りの牛乳パックが2本、必ず入っており、中1の長男から5歳の長女まで、3人の子どももごくごく飲んでいる。

 北沢さん自身は、朝晩1杯ずつ。「寝る前に飲むと、お通じもよくなる感じがするんです」と笑う。

 北沢さんは幼いころ、牛乳が苦手だった。ところが、小学1年でサッカーを始めると、勧められて牛乳を飲むほど、なぜか技術も上達していくのを実感したそうだ。けがをしても、牛乳を飲むことで回復が早まるような気さえした。

 現在は週4日、東京・世田谷区などでサッカー教室を開いており、少年たちには、「よく練習し、よく食べる。そして、よく寝ること」に加えて、体験談を交えながら牛乳を飲むよう助言している。

 牛乳の栄養効果は、成長期の子どもに限らない。一緒にゴルフを楽しむこともある父親(67)は、プレー後のクラブハウスで、ビールではなく、牛乳を注文する。北沢さんは「父も昔から牛乳を飲む。元気なのは、やはり、体にいいからでは」と感じている。

カルシウム摂取

 女子栄養大教授の上西一弘さんは「冷蔵庫に牛乳のある家庭は、食生活全体のバランスが取れていることが多い」と話す。牛乳なら、日本人に不足しがちなカルシウムを効果的に摂取できるのが一番の特徴という。

 コップ1杯(200ミリ・リットル)のカルシウム量は227ミリ・グラム。牛乳のカルシウムの吸収率は、小魚や緑黄色野菜などより高く、「特に骨量が最大になる20歳前後までに、多く摂取すると丈夫な骨ができあがります」とも強調する。

 「牛乳を飲めば太る」という誤解が一部に広がってもいるが、上西さんは女子学生らに、折に触れては牛乳の効果を説いて、飲用を勧めている。

 ただし、「牛乳を飲んだら腹具合がおかしくなる」という人もいる。日本人には結構多い体質といわれ、それを嫌って、牛乳を口にしない人も多い。上西さんは「温めた牛乳を少しずつ飲んで慣れていくのもいいし、ヨーグルトやチーズなどの乳製品で代替してもいいでしょう」とアドバイスする。

 牛乳の効果は、栄養コストの点からも注目されている。

 管理栄養士の小山浩子さんによると、厚生労働省の栄養摂取基準を満たすような食事を作る場合、メニューに牛乳を1本加えるだけで、それに見合う栄養を持つ材料を買いそろえるより、全体で1割程度安くなるという。「料理教室では、簡単でおいしく、しかも節約できる料理に関心を持つ人が増えている。牛乳を使えば、栄養バランスを保ちつつ、食費も抑えられるわけです」とアピールする。

 牛乳は、ウイルスの侵入を抑えたり、ウイルスと闘うリンパ球を増やして免疫力を高めたりする効果のほか、便秘や不眠の悩みを緩和することも知られている。(内田健司)

種類様々 比べて

 原材料が生乳100%の商品だけが「牛乳」と表示されている。それ以外は、加工乳や乳飲料に分類され、コーヒーやイチゴ風味のものは、乳飲料に該当する。「毎日骨太」「明治ラブ」「森永カルシウムの達人」などの商品も、牛乳ではなく乳飲料だ。

 コレステロールが気になる人には、脂肪の少ないものがお薦め。カロリーは低いものの、たんぱく質やカルシウム量には差がないからだ。成分調整牛乳のうち、乳脂肪0.5〜1.5%が「低脂肪牛乳」、0.5%未満が「無脂肪牛乳」になる。

 飲み比べて自分にあった牛乳を探し出すのもおもしろい。

県産牛乳味わう 秋田

2009年06月08日 読売新聞 YOMIURI On-line

牛乳ミックスジュースの試飲は大好評(秋田拠点センター「アルヴェ」で)

 県産牛乳の消費を増やそうと、県牛乳普及協会などは7日、秋田駅東口のアルヴェ1階で「牛乳まつり」を開き、牛乳の試飲やバター作り体験などで県産牛乳をPRした。

 牛乳を飲んでいる姿を競う「牛乳飲みっぷりコンテスト」や無料骨密度測定などが行われた会場は、子供からお年寄りまで大勢の来場者で大にぎわい。牛乳にバナナや抹茶などを混ぜたミックスジュースの試飲には行列ができ、在庫が足りずに一時中断されるほどの盛況ぶりだった。

 牛乳が大好きという井川町坂本の小日山捺紀ちゃん(5)=写真=は、バナナとのミックスジュースを飲み「おいしかった。もっと飲みたーい」とスタッフにおかわりをおねだりしていた。

 牛乳普及協会の岩谷与一郎会長(61)は「地産地消を目指し、安心・安全な県産牛乳をたくさん飲んでもらいたい」と話した。

牛乳月間:父の日に“ちち”を 下京区でPR /京都

2009年06月06日 毎日新聞 地方版

乳牛の幕で「牛乳の日」をPR=下京区の京都中央郵便局ATMコーナー「展示ギャラリー」で2009年6月1日午後0時14分、橘建吾撮影

 乳製品や酪農への理解を深めてもらおうと、農林水産省近畿農政局が、下京区の京都中央郵便局ATMコーナー「展示ギャラリー」で、牛乳などに関する資料の展示会を開いている。「牛乳の日」の1日から始まった。8日までの終日開かれている(最終日は午前9時まで)。

 1日を「牛乳の日」とすることを国連食糧農業機関(FAO)が01年に提唱。日本でも関係団体が08年から制定し、6月を「牛乳月間」としている。

 乳製品を1日3回、または3品とり入れる食事を目指すことを意味する「3−A−Day」を紹介したり、牛乳を使った料理のレシピや効能を説明したパンフレットなどを置いた。製品の見本や乳牛の幕も展示し、「父の日(21日)に牛乳(ちち)を贈りませんか」と呼びかけている。【橘建吾】

花畑牧場「生キャラメルアイス」カフェが渋谷・原宿に新店

2009年06月02日 シブヤ経済新聞

ピンク色の「バス」をイメージした店内(写真=青山店の様子)。生キャラメルを使ったスイーツ、ドリンクを提供

 タレント田中義剛さんが経営する北海道「花畑牧場」(本社=北海道河西郡)が手掛けるカフェ「花畑牧場カフェ 生キャラメル&アイスクリーム」が6月4日、青山通り、原宿・竹下通りにそれぞれ出店する。

 北海道・新千歳空港内で営業してきた同カフェは今年4月、青山ベルコモンズ近くの外苑西通り沿いに都内1号店をオープン。人気商品の「生キャラメル」を使ったソースをかけたアイスクリームとドリンクを提供し、開店当初行列ができるなど話題を集めた。

 青山通り、竹下通りに開く「渋谷店」(渋谷区渋谷2)、「竹下通り店」(神宮前1)は、同日開業する銀座店と3店舗同時オープン。店舗はいずれもピンク色を基調に「バス」をイメージした内装で、店舗面積は渋谷店、竹下通り店共に約20坪。

 主力のアイスクリームは、「濃厚」なバニラアイスクリームに温かい生キャラメルソースをかけたアフォガート風。ベーシックな「ホットキャラメル・アイスクリーム」をはじめ、チョコレート入りの「ホットキャラメルチョコレート・アイスクリーム」、マンゴー風味の「ホットキャラメル宮崎マンゴー・アイスクリーム」(各480円)の3種類で、「温かさと冷たさを楽しむ商品」(同社)のため、テークアウトには対応しない。

 ドリンクは渋谷、竹下通り店のみで取り扱い、焙煎(ばいせん)石窯エスプレッソに北海道産の生キャラメル、牛乳を注いだ「花畑牧場ラテ」(ホット・アイス、S=400円、M=450円)、フォームドミルク、生キャラメル、ラテの「生キャラメルマキアート」(ホット・アイス、S=450円、M=500円)、生キャラメルと牛乳の「生キャラメルミルク」(ホット・アイス、S=370円、M=420円)などを提供する。

 営業時間は、渋谷店=10時〜23時(日曜は21時まで)、竹下通り店=10時〜21時。

「牛乳離れ」を食い止めろ! 有楽町で牛が「出張」アピール

2009/05/31 J-CASTニュース

6月1日「牛乳の日」を前に、2009年5月31日、東京の有楽町駅周辺で「MILK EXPO@有楽町」が開催された。より牛乳に親しんでもらおうと、関連団体や企業が趣向を凝らしたイベントを企画した。特に母牛1頭、子牛2頭の「搾乳・哺乳体験」や、牛乳の「飲みっぷりコンテスト」では、親子連れなど多くの客でにぎわった。

有楽町で「搾乳・哺乳」体験

国際連合食糧農業機関(FAO)は6月1日を「世界牛乳の日(World Milk Day)」にするよう提唱している。これに合わせて、日本酪農乳業協会が08年から毎年6月1日を「牛乳の日」、6月を「牛乳月間」と定めている。

そこで、「牛乳」に幅広くふれあってもらおうと開催されたのが「MILK EXPO@有楽町」。有楽町駅周辺の5会場で数多くのイベントが催された。中でも盛り上がっていたのは、実際に母牛の搾乳体験や子牛への哺乳体験ができる「モーモー広場」だ。会場が設置された有楽町マリオンスペースを通りかかる人は銀座・有楽町に牛、という一見風変わりな光景に驚いた様子だったが、主に家族連れが、普段体験できない牛との交流を楽しんでいた。世田谷区から来たという母親は「東京で乳牛なんて、なかなかない機会」と話し、お乳を搾っていた男の子も「触ったらふわふわしてあったかくて気持ちよかった。(牛乳がでると)『やった!出た!』って感じだった」と嬉しそうに話した。

牛乳の新しい「飲み方」提案

総務省が09年5月1日に発表した3月の「家計調査報告」(2人以上世帯)によると、牛乳の1世帯あたり月間支出金額は1322円で、前年同月比3.4%減、購入数量は6.51リットルで同11.3%減と、下落傾向。日本酪農乳業協会が08年6月に行った「牛乳・乳製品の消費動向に関する調査」でも、1日1人あたりの牛乳飲用量は113ミリリットルと前年(07年)の122ミリリットルを下回るなど、「牛乳離れ」が進んでいる。日本酪農乳業協会はこの原因を、少子化による小中学生の減少、清涼飲料水の多様化や牛乳小売価格の値上げが影響していると分析する。

 イベントでは、新しい牛乳の活用方法も提案されている。「おいしいコラボ・ミルクカフェ」では、食品企業7社が、牛乳の新しい「飲み方」「使い方」を提案している。中でもにぎわっていたのが、牛乳と他の飲料をミックスして飲む「混ぜ飲み」だ。青汁と牛乳の「混ぜ飲み」に江東区に住む男性は「意外とまろやか。青汁と牛乳の栄養が両方摂れていい」と話し、はちみつ酢と牛乳のミックスドリンクに文京区の女性は「最初は合うのか、と思ったがさっぱりしてて新しい。牛乳だけで飲む機会は少ないが、これならデザート感覚で楽しめる」と感心していた。

有楽町イトシア前スペースに設置された「メインステージ」では、牛乳の価値を改めて知ってもらうための「ミルククイズ」や、牛乳をおいしそうに飲むことを競う「飲みっぷりコンテスト」などのイベントが行われた。「偶然通りかかって」参加した八王子市在住の親子も、見事な「飲みっぷり」を披露し、毎朝牛乳を飲む、という男の子は「おいしかった」と満足そうだった。6月の「牛乳月間」はこの「MILK EXPO@有楽町」を皮切りに、全国各地で「牧場開放」や「工場見学会」など、多くのイベントが予定されている。

道産牛乳の輸出過去最高 昨年度800トン 「安全・安心」に評価

2009/05/29 北海道新聞

香港などアジア各地に輸出されている道産のLL牛乳

 ホクレンは二十八日、昨年度の道産牛乳の輸出量が前年度比二・二倍の八百トンに達し、過去最高になったと発表した。全量が香港をはじめとするアジア向けで、ホクレンは「安全・安心な商品づくりが評価された結果」とみている。本年度はさらにPR活動を強化し、千トンの大台突破を目指す。

 ホクレンによると、海外への道産牛乳の進出は、一九九六年度の香港向けの九十トンが始まり。すべてが、常温で長期保存できるロングライフ(LL)牛乳で、くみあい乳業(旭川)がホクレンの貿易子会社、ホクレン通商(札幌)を通じ販路を徐々に増やしていった。

 その後、日高乳業(日高管内日高町)も加わった。

 昨年度の実績をみると、香港が七百五十トンで輸出全体の94%を占め、そのほか台湾、中国、タイが各十数トン。少量ながらシンガポールでも販売された。

 道産LL牛乳の海外での価格は、国内の二倍近い一リットル三百−四百円。飲料用として百貨店やコンビニで売られているほか、アイスクリームの原料などにも活用されている。

 輸出が伸びた理由について、ホクレンは、昨年九月、中国産粉乳製品に有害物質メラミンが混入したことから、アジアでも食の安全・安心が重視されたことが追い風になったとみている。

 ホクレンによると、道産LL牛乳の全生産量に占める輸出量は約3%。今後、さらに輸出量を増やし、牛乳離れなどで伸び悩む国内消費の穴埋めにつなげたい考えだ。

 ホクレンの佐藤俊彰会長は「道産牛乳は品質が高いと、現地で評価されている」と強調。アジア各地の店頭で試飲キャンペーンを行うほか、外食産業などへの売り込みも強化する方針だ。

キリンHD、豪州子会社の一部牛乳事業を売却

2009/05/20 NIKKEI NeT

 キリンホールディングス(HD)は、同社の全額出資子会社である豪州の乳業最大手ナショナルフーズ(NFL)の一部牛乳事業を伊パルマラット社の豪州子会社に売却することを決めた。NFLが豪ニューサウスウエールズ州とサウス・オーストラリア州に保有する2工場などを売却する。NFLがデアリーファーマーズを買収したことに対応、豪の独占禁止法に抵触しないよう一部事業を売却する。


クリスマスは大丈夫だが… 「バターパニック」再燃防げるか

2008/11/24 Fuji Sankei Business-i

 不足しているはずのバターだが、年末の在庫はたっぷりあるという。緊急輸入措置や増産の一方、景気悪化による消費の冷え込みでクリスマスシーズンも需給逼迫(ひっぱく)の懸念はなさそうだ。

 スーパーなどの店頭からバターが消えた今春、日本は「バターパニック」に見舞われた。小売店のバター売り場はどこも品切れ。品薄をわびる文書だけが掲示されている光景が全国でみられた。バターなしでは最盛期のクリスマスシーズンを乗り切れないと不安を募らせていたケーキ業界もバター確保にめどがつき、ひと安心の様子だ。

 ◆根強い割高感

 年末のバター需給について、農林水産省は「小売店の売り場のバターがなくなる事態にはならないと考えています」(畜産部牛乳乳製品課)と太鼓判を押す。背景には、国内のバター不足を受けて、農水省が農畜産業振興機構を通じて、業務用のバター約5000トンの追加輸入を決め、8月以降段階的に国内に入荷。通常輸入分と追加を合わせると今年度は、欧州や豪州などから約1万3600トンのバターが輸入される。2007年度の国内バター生産量(7万5058トン)の18%に相当する量だ。

 農水省の要請で、大手乳業メーカーが増産や在庫の取り崩しを進めたのも効いている。市場価格は現在も従来比2割程度高い状態だが、バターの期末在庫は、本格需要期前の9月末に、前年同期比約10.2%増の2万2400トンを確保した。

 一方、米国の金融危機の影響が日本の経済にも強く影響、消費の冷え込みで年末商品の需要見通しが悪化。消費者の外食や菓子類の購入減少が確実な情勢で、バターの需要減少につながりそうだ。

 洋生菓子大手の不二家は「バターの調達に苦労しているという話は聞いていない」(広報室)。節約志向を強める消費者は嗜好(しこう)品であるケーキの購入を控える傾向にあるという。それだけに「クリスマスなどイベント需要に期待」(不二家)したいが、世界的な需要増と中長期的な逼迫懸念に備えた流通在庫の膨らみで、いまだバターの割高感は強く、ケーキ店にとって甘い年末にはなりそうもない。

 ◆代替商品を強化

 バターの原料となるのは、牛から絞ったままで殺菌・加工をしていない「生乳(せいにゅう)」。少子化や嗜好の多様化などを背景に、全国的に牛乳の消費低迷が続き、北海道で05年に大量の生乳が廃棄されるなど生産調整が行われた。生乳の生産量は06年度に前年度比2.4%減、07年度には同0.8%減と漸減。これに気候変動による海外の生産減少と需要増加が重なった。豪州の干魃(かんばつ)や北米の熱波などで世界的に生乳の生産量が減少。中国やインド、ロシアなどの需要増が追い打ちをかけ、内と外でバターの供給が止まった。

 世界の食料需給環境を考えると、今回の輸入拡大や一時的な増産が、短期的な対症療法でしかないことが分かる。乳業各社はバター不足の対応策として、マーガリンにバターを加えたり、バターの風味を添加するなどした“バター代替製品”を相次いで発売した。マーガリンはバターより割安なことから、景気減速で財布のひもをしめる消費者の支持を集め、バター復活後も店頭で幅を利かせている。

 これからも再燃する可能性が高いバターパニック。不測の事態に迅速に対応できるよう、メーカーと小売店にとって、代替商品の品ぞろえ強化が当面の課題となりそうだ。(佐藤哲夫、松岡朋枝)

乳価値上げ妥結せず ホクレン「年内、交渉続ける」

2008年10月18日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 ホクレンは17日、飼料価格の高騰に対応するために乳業メーカーと行っている牛乳価格の再値上げ交渉が、妥結に至らなかったと発表した。酪農家が来年の経営計画を作る年内には交渉を終えたい考えで「生産を続けるには値上げが必要」としている。

 牛乳価格の値上げ交渉を巡っては、関東地方で大手乳業メーカーが約10%の値上げを受け入れているが、道内では脱脂粉乳などの加工用牛乳が主体のために、飲用を中心とする本州とは価格帯や生産量が異なり、交渉がまとまっていないという。

 現在、受け入れの意向を示しているのは大手乳業メーカー1社のみで、ホクレンは、「赤字が続いている酪農家もいる。道内では飲用向けの牛乳は2割に過ぎず、バターやチーズ用なども含めた値上げが必要」としている。

飲用向け牛乳3月に値上げへ 生乳売り渡し価格が34年ぶりの大幅アップ

2008.10.16 MSN産経新聞

 生乳の生産者団体、関東生乳販売農業協同組合連合会は16日、大手乳業メーカーの日本ミルクコミュニティと来年3月から飲用向け生乳の売り渡し価格を1キログラムあたり10円引き上げることで合意したと発表した。明治乳業や森永乳業とも、ほぼ同様の条件で合意した。乳価の引き上げを受けて、スーパーなどで販売される牛乳の価格も来春以降、値上げされる見通し。

 乳価は4月にも同3円引き上げられており、年度内の再値上げは昭和50年以来、33年ぶり。1キロあたりの値上げ幅が10円を超えるのは49年以来、34年ぶりとなる。同連合会の合意を受けて、関東以外の生産者団体も同様の条件で交渉を進めるとみられる。

 同連合会の上部組織である中央酪農会議の門谷廣茂専務理事は同日、記者会見して「飼料となる穀物価格の高騰で酪農経営は厳しい状態が続いている。(廃業する酪農家が相次ぎ)生乳の安定供給も危機に立たされている」と値上げに理解を求めた。

 牛乳は原材料費の大半を乳価が占めるため、3月以降「上昇分を商品価格に転嫁せざるを得ない」(大手メーカー)という。

【テレビCM】「牛乳に相談だ。」キャンペーン(中央酪農会議)シュールな展開にメッセージを織り込む

2008年09月25日 日経エンタテインメント!

 女子学生が悩みを打ち明ける。「今ダイエットしてるんですけど、元気出ないんですよ」。すると男は、横に置いてある、牛乳が入ったコップに向かって問いかける。「先生、いかがですか?」。そして、バレバレの腹話術で回答。「ギュウニュウヲ、ノミナサイ」。

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学生の悩みに“先生”が答える

とあるビルに構えられた“牛乳相談”会場に、様々な悩みを抱えた学生がやってくる。「ダイエットしてるんですけど、元気出ないんです」と女子学生。すると男は、バレバレの腹話術で答える。最後の、牛乳を飲むシーンがまたシュールさを一層、際立たせる。全5バージョンある中の「相談会・先生A」編。(画像クリックで拡大)

「牛乳に相談だ。」キャンペーン「牛乳相談会」編 CD /古川裕也・澤本嘉光、CPプロデューサー/仲田繁乃、プランナー/澤本嘉光・岡野草平、コピー/細川美和子、AD /笹沼修、プロデューサー/飯田知紀・蜂谷尚由、ディレクター/八木敏幸

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 「牛乳に相談だ。」のコピーでおなじみ、牛乳消費拡大キャンペーンの新CMだ。これまでは、親子がバク転しながら牛乳を買いに出かける「ショッピング」編など、どちらかというと見た目のインパクトを重視した内容だったが、今回はちょっとテイストが異なる。

 なにしろ国内の牛乳消費量は減り続けている。健康志向をうたった新しい飲料が数多く出て、牛乳消費を駆逐しているのが、主な原因と言われている。 「飲みなさい」は初

 それを食い止めようと4年前から始まったこのキャンペーンは、中学・高校生が主なターゲット。理由は「この世代になって、牛乳離れをする人が多い」(中央酪農会議・事務局長の前田浩史氏)からだ。子どものころから身近にある牛乳は少々、野暮ったい飲み物というイメージは確かにある。

 そこで「牛乳に相談だ。」という奇抜なコピーと、とにかく目を引く映像で、“牛乳にも洒落っ気がある”というイメージを広める作戦に出た。歴代のCMは大きな注目を浴び、結果、キャンペーンの認知度は85%(東京・中高生)に到達。そして4年目を迎えた今回はそれをもう一歩推し進め、「実際に牛乳を飲む行動を促す」(同)。

 実は、「牛乳を飲みなさい」と直球のセリフを言うのは、シリーズを通じてこれが初めて。4年の歳月を経て、やっとストレートに本心を打ち明けた形だ。押し付けがましく言ったのでは、イマドキの若者に受け入れてもらえないので、シュールでコミカルな展開の中に、セリフを織り込んだ。

 キャンペーンが始まってから、牛乳消費量の減少にブレーキがかかり始めたとか。このCMも結果に結びつくか、気になるところだ。

(文/日経エンタテインメント!編集部)

※この記事は日経エンタテインメント!(10月号)より転載しました。

明治製菓・明治乳業が経営統合へ 1兆円企業の仲間入りで生き残り

2008.09.11 MSN産経新聞

 乳製品最大手の明治乳業と菓子2位の明治製菓が、来春にも経営統合する方向で最終調整していることが10日、分かった。共同持ち株会社を設立して両社が傘下に入る案が有力。連結売上高は乳業が約7000億円、製菓が約4000億円で、実現すれば、売上高1兆円を超える国内7社目の食品メーカーが誕生する。

 食品業界は、少子高齢化で市場が縮小するなか、原材料価格の高騰でコストが上昇し、価格転嫁も遅れ、経営環境は厳しさを増している。生き残りには規模拡大が不可避となっており、食品再編の動きが一段と加速しそうだ。

 両社はともに日本精製糖(現大日本明治製糖)の子会社として設立された同根会社。現在は数%の株を持ち合っているほか、商品面でも協力関係にある。乳原料や小麦など菓子原料が軒並み高騰するなか、規模拡大による効率化や経営資源の相互活用による相乗効果を目指し、統合交渉に入ったとみられる。

 統合が実現すれば、原材料の共同調達などで規模のメリットを発揮できるほか、菓子と飲料の総合メーカーとして商品開発や販路開拓でも相乗効果が期待できる。また、明治製菓は傘下のポッカコーポレーションを通じ飲料事業も展開しており、乳業との連携も可能になる。

 食品メーカー各社は、コスト上昇で業績が圧迫されているものの、消費者の節約志向に加え、再編で先行した巨大流通企業の力が強く、十分に価格転嫁できないでいる。また流通大手は低価格のプライベートブランド(PB、自主企画)商品を相次いで強化しており、メーカー商品は売り場からはじき出されている。

 食品業界では、日本たばこ産業(JT)を含めても売上高で1兆円を超える企業は、キリンホールディングスや味の素など6社しかなく、規模の面で大きく見劣りしている。

 このため、昨年10月に経営統合でマルハニチロホールディングスが発足するなど再編が相次いでいるほか、1兆円企業の各社もM&A(企業の合併・買収)による規模拡大や事業基盤強化を急いでいる。

生乳、異例の再値上げ交渉 生産者1割アップ目指す

2008.07.04 MSN産経新聞

 関東生乳販売農業協同組合連合会(関東生乳販連)など全国の生産者団体が、4月に上げたばかりの飲用生乳価格について、1キロ10円(約10%)の再値上げを求めて、大手乳業と交渉に入ったことが4日、明らかになった。年度途中の再交渉は異例。国際的な穀物高騰を受け飼料価格の高騰が続いているためで、10月からの価格引き上げを目指す。交渉がまとまればスーパーなどで売られる牛乳価格が一段と上がる可能性がある。

生乳、異例の再値上げ交渉 生産者1割アップ目指す

2008/07/04 【共同通信】47News

 関東生乳販売農業協同組合連合会(関東生乳販連)など生産者団体が、4月に上げたばかりの飲用生乳価格について、1キロ10円(約10%)の再値上げを求めて、大手乳業と交渉に入ったことが4日、明らかになった。年度途中の再交渉は異例。

 国際的な穀物高騰を受け飼料価格の高騰が続いているためで、10月からの価格引き上げを目指す。交渉がまとまればスーパーなどで売られる牛乳価格が一段と上がる可能性がある。

 関東生乳販連のほか、ホクレン農業協同組合連合会や東海の連合会も交渉入り。四国や東北の連合会は9−10%の値上げを目指し、近く交渉に入る準備を進めている。

 交渉は飲用のほか、発酵乳なども含む。生産者がメーカーに卸す生乳価格は4月、1キロ3円値上げされた。ただ、メーカーは希望通りの幅では店頭値上げができておらず、生産者の要求通りの値上げが実現するかどうかは不透明だ。

鹿児島市 「県産牛乳、飲んで健康」 県酪農協など 街頭でPR活動

2008年06月30日 西日本新聞朝刊

 県産牛乳や乳製品の消費拡大を図ろうと、県酪農業協同組合や県などでつくる「かごしま畜産の日実行委員会」は29日、鹿児島市金生町の山形屋イベント広場で街頭キャンペーンを行った。

 同実行委は毎月29日を「畜産の日」と定め、肉や牛乳などのPR活動を実施。この日はメンバー約20人がエスプレッソコーヒーに牛乳を入れた飲み物1000人分とチーズタルト600人分を親子連れなどに配った。

 県畜産課によると、県内では酪農家約350戸が、牛乳や乳製品になる生乳を年間9万6000トン生産。ヨーグルトやチーズは需要増が見込まれるが、牛乳の消費量は健康飲料の増加などの影響で減少傾向が続いているという。

アサヒビール 中国で牛乳販売 山東省に新工場

2008/05/03 FujiSankei Business i.

 アサヒビールが、中国に牛乳の新工場を建設し、今年夏から自社ブランドで発売することが分かった。中国では牛乳の消費が伸びる一方、「食の安全」への関心も高まっており、安全管理を徹底した牛乳を販売して「アサヒ」ブランドの存在感を高めることを狙う。日本の大手企業が中国で牛乳の生産から販売までを本格展開するのは初めて。

 事業主体となる新会社を、アサヒ90%、伊藤忠商事10%の共同出資で4月に設立。工場は山東省に建設中で、日本の先端的な品質管理技術を導入する。工場から各都市までは、伊藤忠の低温物流網を活用して、品質を保持したまま商品を運ぶ。

 生産した成分無調整牛乳は北京、上海、青島の大型スーパーや百貨店で販売。発売開始は、北京五輪が開幕する8月8日以前を目指す。容量は250ミリリットルから1リットルまでの3種類で、中国国内の一般的な牛乳より1・5〜2倍高い価格帯を想定。初年度は1日1トンの販売を目指し、将来はマンションなどへの宅配も検討する。

森永も値上げ、牛乳など47品目…4月出荷分から

2008年02月07日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 乳業2位の森永乳業は7日、牛乳やホイップクリームの計47品目の希望小売価格を、4月1日出荷分から値上げすると発表した。

 平均の値上げ幅は牛乳が4・7%、ホイップは6・3%で、主力の「森永のおいしい牛乳」(1000ミリ・リットル)は10円上がって240円に、「純乳脂ホイップ」は20円上がって360円になる。

 同社が牛乳を値上げするのは1978年以来、30年ぶりとなる。

 トウモロコシなど乳牛の飼料価格が上昇し、酪農家から購入する生乳の取引価格も上昇することが理由という。乳幼児用ミルクの3品目も、内容量を平均4・9%減らして実質的に値上げする。

 すでに最大手の明治乳業と3位の日本ミルクコミュニティも、4月からの牛乳値上げを発表している。

淡路島酪農農業協組、牛乳卸値を過去30年で初の値上げへ

2008年02月07日 NIKKEI NeT

 「淡路島牛乳」のブランドで知られる淡路島酪農農業協同組合(兵庫県南あわじ市)は、スーパー向けなどの牛乳の販売価格(卸値)を4月から1キロ当たり 3円(約2%)引き上げる。卸会社やスーパーと合意した。値上げは30年前に牛乳販売を始めて以来初。輸入飼料価格の高騰を理由に同10.5円の値上げを求めたが、流通側の抵抗が強く上げ幅を圧縮した。「来年度中に一段の値上げを求める」(同協組)という。

 同協組は「淡路島牛乳」を年間約3万5000トン生産。近畿での販売シェアは明治乳業などの全国ブランドに次ぐ準大手。

 乳牛の餌となるトウモロコシ価格は国際価格の上昇を背景に、1年前に比べ5割以上値上がりした。輸送費なども上昇し、「採算悪化で転廃業する酪農家が増えている」(同協組)という。

 生産量の多い北海道や関東の生産者団体はすでに4月から3%前後の卸売価格の引き上げを決めている。牛乳の店頭価格も今後、値上げが広がる可能性がある。

牛乳30年ぶり値上げ 明治乳業、3−10%

2008年02月06日 中国新聞ニュ−ス

 明治乳業は6日、牛乳と生クリームの希望小売価格を4月1日から3−10%引き上げると正式に発表した。牛乳の値上げは1978年以来、30年ぶり。

 穀物価格上昇による餌代の高騰で、国内の主要生産者団体が4月から原料となる生乳の価格引き上げを決めたため。

 値上げの対象は牛乳が16品、市販用生クリームが1品。主力商品の「明治おいしい牛乳」(1000ミリリットル)は、小売価格を250円から260円(税抜き)に引き上げる。生クリームの「明治北海道十勝フレッシュ100」(200ミリリットル)は、380円から400円(同)にする。

骨をつくる牛乳の大切さ知って 雪印乳業が上沼田小へ出張授業

2008/02/05 足立よみうり新聞

 体の成長において、牛乳や乳製品を摂取することの大切さを教える食育授業が5日、上沼田小学校の2年生を対象に行われた。

 講師には、雪印乳業の食育チームから新原恵子さんら2人の管理栄養士が招かれ、担任教諭とともに授業を実施。調理実習を交えながら、骨のはたらきや、牛乳に含まれる豊富な栄養などについて説明した。

 新原さんは、骨が日々生まれ変わって大きくなっていることを教え、「骨の材料は、牛乳に多く含まれているカルシウムやたんぱく質です。骨を丈夫で強くするためにも、毎日の給食でしっかり牛乳を飲みましょう」と児童に呼びかけた。

 また、おやつとお菓子の違いについてもふれ、お菓子はし好品で、一日三食では摂りきれない栄養を補うための間食がおやつ、と説明。健康的なおやつの例として、とろけるタイプのスライスチーズを焼くだけでできるチーズガレットを調理した。

 子どもたちは、ホットプレート上でぶくぶくとはじけながらキツネ色に変わっていくチーズを見て「生きてるみたい」「いいにおい」と大興奮。できたてのおやつをパリパリとおいしそうにほおばった。

牛乳30年ぶり値上げ 日本ミルクコミュニティ、4月から240円に

2008/01/26 FujiSankei Business i.

 乳業業界3位の日本ミルクコミュニティは25日、牛乳やヨーグルトなど全172品目を4月1日から3・8〜7・1%値上げすると発表した。牛乳の値上げは1978年以来30年ぶり。乳牛の飼料用穀物の価格高騰が続いていることが要因。主力の紙パック入り牛乳「メグミルク牛乳」(1リットル)の希望小売価格は、現行の230円から240円(ともに税抜き)に上がる。

 業界大手で牛乳の値上げ実施を発表したのは同社が初めて。すでに最大手の明治乳業と2位の森永乳業も今春に値上げする方針を固めており、同様の値上げ幅で追随する見通しだ。

 全国に10ある生産者団体と各乳業メーカーによる年度ごとの価格交渉で、牛乳の原料となる国産生乳の仕入れ価格が4月から3%程度引き上げられることが決まったほか、原油高に伴う包装材や輸送コストの上昇分なども含めて販売価格に反映させる。

 日本ミルクコミュニティでは宅配用の牛乳31品目についても出荷価格を約4%引き上げるほか、野菜飲料など一部品目も3月から値上げを先行実施する。

乳価引き上げ 飼料高対策を急がねば

2008/01/26 北海道新聞 社説

 道内産生乳の新年度売り渡し価格が平均で8%引き上げられる。ホクレンと大手・中堅乳業メーカーで妥結した。約三十年ぶりの大幅な上昇だ。

 トウモロコシなど配合飼料の高騰で酪農家は悲鳴を上げている。道内酪農家は大幅な減収、厳しい採算の中にいる。飼料高では育てられないとして、子牛の取引価格も低迷している。

 苦しい局面に立たされている道内の酪農経営を考えると、予定される牛乳・乳製品の値上げはやむを得まい。

 しかし、チーズの需要こそ伸びているものの、牛乳・乳製品の消費が全般に減る中での値上げだ。消費拡大への地道な努力は欠かせない。

 育ち盛りの中学生あたりの牛乳消費が減っているのが懸念される。栄養面を含め、消費者の心をつかむ商品の開発や販売方法を考えていくべきだろう。生産者や乳業メーカーの協力による一層の工夫が必要だ。

 トウモロコシの高騰は、原油高によるバイオエタノールの需要が拡大したためだ。チーズも国際価格の値上がりで大手乳業メーカーが二月以降、最高25%の値上げをすでに表明している。

 日本の食料自給率は39%と先進国の中で最低だ。しかも、トウモロコシや大豆など主要穀物は米国産に大きく依存している。輸入飼料に頼る日本の畜産、酪農の生産基盤が、いかにもろいものかを示している。海外事情で振り回される日本の農政のあり方も厳しく問われなければならない。

 今回の値上げでも生産経費の上昇に追いつかず、酪農家の厳しい経営が続く。もともと低いチーズ向け乳価を大きく引き上げたのは道内酪農家の生産意欲につなげるためだ。

 高騰する飼料代の経費をいかに抑えるかが、道内でも喫緊の課題だ。国内の二○○六年度の飼料自給率は25%だが、農林水産省は一五年度までに35%に引き上げる計画だ。

 輸入の配合飼料に頼らず、地元で飼料を生産・調達する仕組みを広げたい。栄養価の高いデントコーンなどで飼料の自給化を目指すとともに、共同で飼料を製造、供給する生産設備の集約化も急がれる。

 さらに、自前の牧草地で育てる放牧酪農が今後、道内酪農の進むべき道の一つではないか。

 草地が分散してはできないし、牧草の生育状況を見ながら適切に放牧地を替える経験も必要だ。しかし、放牧なら労力の軽減になり、牛の健康にもいい。道内では放牧に適した乳用種の導入も始まっている。

 酪農は道内農業生産額のほぼ三割を占める。運送、農業機械、肥料など関連産業は多く、北海道酪農が揺らげば影響は大きい。飼料高騰の影響を軽減させる酪農に向け、国や道も積極的に支援していくべきだ。

道産生乳8%値上げ ホクレンと乳業15社妥結 30年ぶり大幅

2008/01/25 北海道新聞

 ホクレンは二十四日、来年度の生乳(一キロ)の平均価格を前年度比8%増の七九・二円とすることで、大手・中堅の乳業メーカー十五社と妥結した。飼料の高騰などが原因で、10%前後の大幅値上げは約三十年ぶり。大手乳業メーカー各社は値上げ分を小売価格に転嫁するとみられ、今春から、牛乳、チーズ、バターなどの値上げは避けられない見通しだ。

 双方は通常年明けから始める交渉を昨年十一月から前倒しで開始。ホクレンは当初9%の値上げを求めていたが、消費者への影響を考慮し歩み寄った。

 メーカー側も飼料高騰による酪農家の経営難に加え、道東でチーズ工場が相次いで操業するため生乳の増産が不可欠なことから、生産現場の要望を受け入れた。

 交渉上の値上げ幅は8%だが、値上げに伴い乳価下落を補う国の補助金(約1%分)が新年度は交付されないため、酪農家の手取りは7%増にとどまる。10%前後の乳価の大幅値上げは、オイルショックが原因の高騰だった一九七五、七八年度の各12%以来。

 用途別の生乳価格(一キロ)は、牛乳など飲料用が前年度比3%増の九九・四円、バターや脱脂粉乳など加工用は同9%増の六二・九六円。中国やロシアの消費増などにより、国際価格が高騰しているチーズ向けは同24%増の五十一円となる。

 ホクレンは今後、中小メーカー約百社とも同価格で交渉する方針で、「値上げは申し訳ないが、今回の値上げでも、飼料高騰などによる酪農家の生産経費増に追いつかない」(酪農部)と理解を求める。

 一方、大手乳業メーカーは、明治乳業(東京)が乳製品の価格について「値上げを検討せざるを得ない」(広報室)と明言し、三月から順次、チーズなどを最大25%値上げする。森永乳業(東京)も「(牛乳などの)飲用向け製品で、価格改定の調整中」(広報IR部)としている。

日高乳業 来月から生乳を香港に輸出 アジア市場開拓へ

2007/01/22 北海道新聞

 【日高】乳業メーカー道内中堅の日高乳業(日高管内日高町)は二月から、香港向けの生乳輸出を始める。香港への生乳輸出は道内二社目。国内の乳製品の需要が落ち込む中、アジアの市場を開拓し、生乳の消費拡大へ弾みをつける考え。

 輸出するのは同社の主力商品のロングライフ(LL)牛乳。常温で長期保存が可能なため、輸送に適する。

 香港の日系菓子製造会社へ毎月約十トン以上を販売する。

 この製造会社は香港とマカオにアイスクリームの直営店を構え、主にアイスクリーム原料として使用するという。

 また、中国広東省へLL牛乳の卸売りも検討している。

 ホクレンの貿易子会社、ホクレン通商(札幌)を通じて輸出する。香港ではオーストラリア産やニュージーランド産の生乳のシェアが圧倒的に高いが、道内勢も一九九五年から農協系のくみあい乳業(旭川)が香港への生乳輸出を手がけ、年間二百五十トンの実績がある。

 日高乳業の香港での販売価格は、船賃などの関係で、日本国内の二倍になるが、同社は「アジアで道産生乳への信頼は厚く、食味も優れる。高値販売は可能」とみている。

森永と雪印、チーズなど値上げ

2007年12月14日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 森永乳業と雪印乳業は13日、来年2月以降に出荷される家庭用のチーズなどについて、希望小売価格の引き上げや内容量の減量を行うと発表した。

 海外から輸入しているナチュラルチーズなどの乳原料の価格が、主要産地の豪州の干ばつ被害などで高騰したのが理由という。森永乳業は、来年3月1日以降に出荷する家庭用チーズ計25品目を、実質的に9・1〜25%値上げする。「クラフト 小さなチーズケーキ」は25円高い300円(税抜き)となる。雪印乳業は、家庭用のチーズ類37品目とマーガリンなどの油脂類21品目の計58品目を来年2月1日出荷分から実質的に5・6〜25%値上げする。「スライスチーズ」(16枚入り)は70円高い450円(税抜き)となる。

明治乳業 チーズなど84品値上げ

2007年12月13日 読売新聞 Yomiuri On-Line

3月から マーガリン21年ぶり

 乳業最大手の明治乳業は12日、「明治ほほえみ」などの粉ミルクやチーズなど計84品目について、来年3月1日以降の販売分から順次、希望小売価格の引き上げや内容量の減量によって値上げすると発表した。

 海外から輸入している乳原料や、包装材の価格が高騰したためで、値上げ幅は3・4%〜25%。マーガリンの値上げは1987年春以来21年ぶりで、粉ミルクは3年ぶり、チーズは2年ぶりの値上げとなる。

 希望小売価格を引き上げるのはチーズ13品、マーガリン9品、アイスクリーム3品など計45品目。「明治北海道十勝ベビーチーズ」(4個入り)は30円高の190円(税抜き)となる。

 減量による実質値上げは「明治ほほえみ」などの粉ミルク2品やチーズ17品など計32品目。チーズ7品目で値上げと同時に減量も行う。

 明治乳業は、牛乳用の国内の生乳価格を3%強値上げすることで生産者団体と合意し、来春から牛乳の希望小売価格を3%以上値上げする方針を固めている。

牛乳30年ぶり値上げ 店頭価格転嫁には慎重

2007年12月12日 読売新聞 Yomiuri On-Line

小売り各社 客離れなど影響懸念

 明治乳業、森永乳業の乳業大手が30年ぶりに牛乳の希望小売価格の値上げを決めたことで、酪農家は飼料価格の値上がりの一部を出荷価格に転嫁できる見通しになった。しかし、大手スーパーなど小売り各社は、目玉商品の店頭価格値上げには慎重だ。(幸内康)

 全国に10ある生産者団体のうち、関東生乳販売農業協同組合連合会(関東生乳販連)が10日、明治乳業など大手3社との間で合意した出荷価格の値上げ幅は3%強。だが、11月から始まった交渉で求めていたのは10%程度の値上げだった。

 「隔たりは大きいが、今決めないと来春の値上げに間に合わない」ため、まず最低限の前進を確保した格好だ。関東生乳販連は「来年度中の再値上げを視野に入れ、今後も交渉を継続したい」と強調した。

 牛乳の原料となる生乳の価格は、生産者団体と乳業メーカーが、牛乳、ヨーグルト、チーズ、バターと主に4種類の用途別に年度ごとの価格を決める。今回合意した値上げ幅は、ほかの価格交渉の指標になる。他の用途については今後も生産者団体と乳業メーカーの交渉が続く。

 飼料価格の高騰は牛乳生産者の経営を追い詰めている。ガソリン代わりになるバイオエタノールの需要増に伴い、原料のトウモロコシ価格が急騰。酪農の生産者団体などで作る社団法人「中央酪農会議」によると、配合飼料の価格は前年より15〜25%程度上昇した。これに伴い生産コストは1割上がり、牛乳を1キロ・グラム生産すると5〜6円ずつ赤字が出るという。

 全国の酪農家の数は毎年4%程度減り、2006年は約2万6600戸になった。今年7月には、減少率が前年同月比5%と廃業ペースも加速している。

 世界の穀物価格や海上運賃は依然、高水準にあり、飼料メーカー関係者によると「配合飼料の価格は1月からまた上がる方向」で、今回の値上げ分もすぐに相殺されてしまう可能性が高い。

 「顧客は店を厳しく選ぶから、値上げには踏み切りづらい」と、あるスーパーでは牛乳の店頭価格の値上げに否定的だ。牛乳は特売のチラシに載せる目玉商品で、値上げは売り上げ全体に響きかねないからだ。

 今秋以降、相次いだ食品メーカーの値上げに対し、スーパー大手は一部の商品を除き店頭価格を引き上げていない。IT(情報技術)や物流に多額の投資を行い、需要予測の精度を高めてきたイオンは、「乳業メーカーに価格を抑えるための提案をしていきたい」と、店頭価格の値上げを避ける構えを崩していない。

牛乳離れ懸念/来春30年ぶり値上げ…酪農家、苦渋の選択

2007/12/12 FujiSankei Business i.

飼料が高騰

 【フラッシュ】乳業最大手の明治乳業と2位の森永乳業は11日までに、2008年春をめどに飲用牛乳の価格を引き上げる方針を固めた。3位の日本ミルクコミュニティも値上げを検討中で、牛乳の値上げは1978年以来30年ぶりとなる。

 値上げ幅は3%以上となる見通し。世界的なバイオ燃料の需要拡大などにより飼料穀物価格が高騰しており、生産者団体から求められていた生乳買い取り価格の引き上げに応じた上で、原油高に伴う包材や輸送コストの上昇分も含め販売価格に反映させる。

 明治乳、森永乳、日本ミルクコミュニティの3社は同日までに、最大の飲用牛乳生産者団体である関東生乳販売農業協同組合連合会(東京)との間で、来年4月から生乳買い取り価格を平均3%強引き上げることで合意。同連合会以外の全国9団体とも同様の方向で交渉している。3社の飲用牛乳市場のシェアは約4割を占める。

 飼料穀物価格の急騰を受け、零細な酪農生産者の中には廃業も相次いでいる。

◆◇◆

 世界的な穀物価格高騰の影響が、物価の優等生といわれてきた牛乳にもおよび、30年ぶりの値上げとなる。

 飲用牛乳の需要が低下する中、飼料価格の高騰は、文字通りダブルパンチとなって酪農家の経営を直撃。出荷量の8割を飲用牛乳が占める都府県の生産者にとって、乳価の引き上げは死活問題にもつながりかねないのが実情だ。

 通常なら毎年1月に行われる乳業メーカーと生産者との価格交渉が前倒しとなったのは、大手流通との交渉が長期戦になるとの読みがあったからだ。来年4月から値上げするには、流通との交渉期間を考慮すると最低3カ月以上はかかる。しかも、値上げ交渉は1回では終わらないというのが大方の見方。関東生乳販連では「(今回の)平均3%の値上げでは飼料高騰によるコスト増を吸収できる水準ではなく、10%程度の値上げが必要。メーカーとは期中の再値上げ交渉もあり得る」とし、流通の新商品投入時期の9月に再値上げを探る構えだ。

 一方、乳業メーカーの思惑も複雑だ。値上げは、消費者の牛乳離れを加速させることになりかねない。生産者の廃業が相次ぐと生乳の需給バランス自体が崩壊し、原料乳の調達が困難になる。調達価格も高騰するため、価格引き上げを受け入れざるをえない事情もある。

 流通側からは、牛乳が生活必需品だけに消費者行動への影響を懸念する声も上がっている。食品の値上げ発表が相次ぐなか「先行きに不安を覚える消費者の財布のひもが、より固くなる」(流通大手)というのだ。

 大手流通は、値上げ発表のあった大半の商品で、店頭価格を据え置いており、牛乳の値上げは消費者の価格志向に拍車をかける可能性もある。 (松岡朋枝)

牛乳30年ぶり値上げ明治・森永

2007年12月11日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 乳業最大手の明治乳業と同2位の森永乳業は11日、牛乳の希望小売価格を2008年春から3%以上値上げする方針を明らかにした。乳牛の飼料価格の高騰を理由に生産者団体が求めていた原料の生乳の値上げを一部認めるため。牛乳の希望小売価格の値上げは1978年以来、30年ぶりとなり、スーパーなどの店頭価格に影響を与えそうだ。

 生乳の価格は、全国に10ある生産者団体と各乳業メーカーが毎年、年度ごとの価格を交渉して決めている。このうち、全国の飲料用生乳の4分の1超を生産する関東生乳販売農業協同組合連合会(関東生乳販連)と、明治、森永の2社の交渉が3%強の値上げで妥結した。生産者とメーカーの大手同士が合意したことで、ほかの生産者団体やメーカーの交渉も値上げの方向でまとまる可能性が高い。

 米国のバイオ燃料の需要拡大に伴い、トウモロコシの価格が世界的に上昇し、乳牛が食べる配合飼料の価格もこの1年で25%程度上がっている。酪農家の経費の約4割は飼料代が占め、関東生乳販連はメーカーに対し10%程度の値上げを求めていた。

牛乳復権へ、知恵絞り15年…福岡の企業

2007/10/04 読売新聞 Yomiuri On-Line

 栄養価が高く、学校給食でも親しまれてきた牛乳。少子化やペットボトル飲料水の普及などで、消費量が低迷している。先行きが厳しいなか、質の高い牛乳や乳製品を生産するとともに販売法も工夫して、消費減に歯止めをかけようと踏ん張る企業がある。福岡市西区の「糸島みるくぷらんと」。設立から15年が過ぎた同社の取り組みを取材した。

搾乳機で牛の乳を搾る宮崎さん

 残暑が続く9月下旬朝、福岡県二丈町にある同社長宮崎英文さん(59)の牧場。宮崎さんと妻千代美さん(56)、長男悟さん(32)が、したたる汗をぬぐいながら、約60頭の乳牛に餌をやったり、乳搾りをしたりしていた。

 千代美さんが消毒液を含ませたタオルで、1頭ずつ尾や後ろ足をふいていく。それに続いて、宮崎さんは雑菌が乳に入らないように、手で素早く少量の乳を搾った後、4本のホースがついた搾乳機を乳首に取り付けた。

 「ジュッ、ジュッ」と音を立てて搾り取られた生乳は、真空パイプを通って牛舎奥のタンクへ集められる。タンク内では、すぐさま約4度に冷却されるため新鮮なまま出荷できるという。

 朝晩2回で搾り取る生乳は、1頭につき計27、28キロ程度。「機械だと乳房に負担をかける。搾りすぎないように気を付けないと」。宮崎さんは、搾乳量を示すメーターをじっと見つめた。四つの乳首のうち、一つだけ搾乳のペースが遅い。「この牛は、立ち上がる時に乳頭を踏んでけがをしているみたいだ」と、心配そうにつぶやいた。

 ここでとれた生乳は、九州生乳販売農協連合会(福岡市)を通して、「糸島みるくぷらんと」が購入する。同社は、1992年、同区や前原市、志摩、二丈町の30〜40歳代を中心とした酪農家34人と糸島地方酪農組合(当時)が出資して設立した。

 ◆酪農家がこだわる牛乳を

 当時、酪農家が次々に規模を拡大した結果、牛乳は生産過剰に陥った。「大手メーカーにはできない、酪農家がこだわる牛乳を届けよう」と、63度で30分間、低温殺菌する方法を採用。通常の殺菌法は120〜130度で1、2秒間だが、牛乳本来のうまみが残るやり方を選んだ。

 家庭や事業所への宅配に販路を見いだすため、酪農家自身が試飲用の牛乳と住宅地図を手に、福岡市や糸島地区を回った。当初は100軒回って、わずか1、2軒しか注文を取れなかったが、4〜5年間、地道な営業活動を続けた結果、支持を得て経営基礎を築くまでになった。

 2002年4月からは、ヨーグルト飲料の販売も開始した。高い乳質を維持している同区の中村敏彦副社長(59)の牧場でとれた生乳を使い、会社1階の工場で製造している。

 05年11月には、消費期限が17日間と牛乳よりも日持ちする利点を生かして香港への輸出を始め、主に日系のデパートで販売している。総売り上げに占める割合は決して大きくはないが、関東へ運ぶよりも輸送費が安く、時間もかからないのがメリットとなっている。

 九州生乳販連の統計によると、会員の生乳生産実績は04年度が78万トンだったが、06年度には74万5000トンに減少した。逆に、ヨーグルト飲料など発酵向けの06年度受託販売実績は、04年度に比べて4000トン伸び、6万8000トンとなった。

 日本酪農乳業協会(東京)が07年2月に消費者を対象に行った調査では、牛乳を飲まない理由として、においや味に関することよりも、「持ち歩けない」「日持ちがしない」などが多かった。さらに、牛乳の代わりとして、お茶やコーヒー、野菜ジュースを飲む機会が増えていることが分かった。

 「糸島みるくぷらんと」でも牛乳の消費低迷は例外ではなく、02年に302トンあった年間製造量が、06年には206トンと約100トンも落ち込んだ。一方で、ヨーグルト飲料は03年以降、236〜275トンと安定している。

 ◆ヨーグルト飲料やソフトクリームが人気

伊都楽でソフトクリームを受け取る女性客(右)。行列ができる日もあるという

 「消費者に必要とされる商品を考えなければならない」と宮崎さんは強調する。その第一歩として取り組んだのが、4月、前原市にある野菜や肉の大型直売所の一角に出店した「伊都楽」。牛乳の消費低迷を少しでも補おうとヨーグルト飲料のほか、牛乳を使ったソフトクリーム、プリンなどを販売し、人気を呼んでいる。

 長女(1)といちごヨーグルトを飲んだ同区の主婦田島ゆみさん(33)は「娘は普段、牛乳を飲まないのに、これはおいしそうに飲んでくれた。苦手な乳製品でも、摂取しやすいのがいいですね」。ソフトクリームをほおばっていた佐賀県基山町、農業森一則さん(59)は「あっさりしていてうまい。牛乳の新しい魅力に気付かせてくれる取り組みだ」と話していた。

 「伊都楽」の8月の売り上げは、社全体の17%を占めるほどになり、同社は今年の年間純売上高を、過去5年間で最も高い2億3000万円と見込む。同時に、牛乳自体のPRも続けており、食品関係の営業経験を持つ従業員2人が直売所や卸売店を回ったり、保育園児らに搾乳体験をしてもらったりして、すそ野を広げるのに躍起だ。

 牛乳離れが進むなか、業界では乳質を上げるとともに、消費者のニーズに応じた製品の販売が求められている。「糸島みるくぷらんと」の努力は消費者に、牛乳や乳製品の魅力を改めて感じさせるはずだ。今後も、創意工夫で逆風をはね返してほしいと思った。

<上>揺れる酪農王国

2007年09月21日 読売新聞 Yomiuri On-Line

乳製品流入に危機感

牛舎で牛の世話をする八幡さん。交渉の行方を見守る

 見渡す限りに広がる牧草地に、乳牛がのどかに草をはんでいる。釧路・弟子屈町の風景は、酪農王国・北海道を象徴する。道内の酪農家が飼う乳牛の頭数は平均57・2頭。全国平均の約1・5倍の水準にある。

 道内の酪農家は現在まで、例えばバターだと35・0%(1次税率)というように、「関税」という障壁によって海外から保護され、他府県の酪農地域には、大規模経営で優位性を保ってきた。

 しかし、このところの酪農を取り巻く厳しい逆風は、道内の酪農家にも例外なく吹き付けている。同町で約50頭の牛を飼う八幡健誠さん(34)は、その逆風をもろに受ける一人だ。

 国内消費者の「牛乳離れ」を背景に、生乳の計画減産が2年続けて行われ、八幡さんの年収は80万円近く減った。飼料価格は世界的なトウモロコシの需要増で上昇、トラクターなどを動かすための燃料代も原油価格の上昇で高止まりしたままだ。

 こういった危機を、道内の酪農家は「規模の利益」を徹底することで生き残りを図ろうとしている。八幡さんは、現在、年間約400トンの生乳を搾り、脱脂粉乳やバターなどのもとになる原料乳を出荷しているが、数千万円を投じて牛舎や搾乳施設を整備し、乳牛の頭数も30頭増やす考えだ。「豪州との経済連携協定(EPA)交渉の結果、現行の関税水準が崩れて豪州から乳製品が流入すると、どう頑張っても対抗できない」と表情を曇らせる。

 これまで、国内の酪農家は大消費地の首都圏に近い千葉県や栃木県などで飲用牛乳を、道内では原料乳を主に生産し、暗黙のすみ分けの下で共存を図ってきた。しかし、原料乳は豪州が強みを持つ分野で、「豪州からの乳製品の輸入が増えると、道内農家により打撃が及ぶ」との指摘は関係者の間で「定説」となっている。

 JA北海道中央会釧路支所は「国産の脱脂粉乳・バターとも輸入品より高く、関税がなければ勝負できない」と話す。脱脂粉乳は加工乳などに、バターはパンや菓子などにそれぞれ使われるが、鮮度が重視される飲用牛乳と違って、品質で違いを打ち出すのは難しい。

 道内の酪農関係者は「豪州から原料乳の攻勢が強まれば、我々も首都圏に飲料牛乳の『輸出』を強めざるを得ない。その結果、関東圏の酪農家にもダメージは波及し、最終的には国内で牛乳を生産する酪農家が極端に減り、消費者に悪影響が及ぶ」と予測する。

 道内の酪農地域は、根釧パイロットファームに代表されるように、畑作などの代替がきかない過酷な環境にある。八幡さんは、「酪農が立ちゆかなくなれば、この地域の仕事は無くなってしまう」と、危機感を募らせている。

マクドナルド、明乳子会社製のミルク回収・大腸菌群混入の恐れ

2007/07/18 NIKKEI NeT

 日本マクドナルドは18日、明治乳業の子会社が納入した牛乳「ミルク」に大腸菌群が混入している恐れがあるため146本を回収すると発表した。千葉明治牛乳(千葉市)が16日に製造、マクドナルドが東日本の11都県44店で、17日に販売した賞味期限が23日の商品が対象となる。

 千葉明治牛乳の出荷時の大腸菌群推定検査で陽性となり、16日生産の1万3536本の回収にあたったが、146本が販売済みだった。大腸菌が混入した原因について明治乳業は、殺菌後の貯蓄タンクのバルブのパッキンが欠損し、そこから細菌が混入した可能性があるとみている。

 問い合わせ先はマクドナルドが電話0120・010916、明治乳業が電話0120・077369。

新名所で北海道の味人気 乳製品、すし2店が初出店 東京・新丸ビル

2007/06/08 北海道新聞

 JR東京駅前の新しい顔として、四月下旬に開業した大型複合ビル「新丸の内ビルディング(新丸ビル)」に道内から出店した二店舗が人気だ。いずれも、北海道にこだわった味が客を呼んでいるようだ。

 乳製品の製造販売・町村農場(江別)による「町村農場 丸の内」とすし店「札幌 たる善」。両店とも道外初出店。

 「町村」は店内に「北海道 町村農場」の看板を掲げた。チーズをふんだんに使ったケーキなど丸の内限定商品のほか、アイスクリーム、牛乳など約三十種類の乳製品などを販売する。

 原料の牛乳は江別の農場から取り寄せる。素材へのこだわりが「北海道の農場らしくていい」(都内の二十九歳の主婦)と好評で、十五人ほどが座れる飲食コーナーは常に満席状態。町村均社長(44)は「北海道の農場のイメージが想像以上に受けた」と話す。

 たる善は魚介類の大半を留萌管内増毛町や根室市など道内から航空便で直送。「増毛のボタンエビ」などと、職人が産地を紹介しながら客に勧める。経営者の真田光保さん(56)は「お客の入りは一日二百五十人ほどで、予想を一、二割上回っている。店の個性を出すため、より北海道を前面に出していく」。

 同ビルによると、両店とも口コミなどで、道外にもファンが多いことから出店を誘致した。「北海道の本物の味を楽しむ場として、ビル全体の集客増に効果をもたらしている」という。

「生乳」カマンベールの製造を2大製造所が中止、広がる波紋

2007年06月07日 AFP BB NEWs 発信地:Lessay/フランス

【6月7日 AFP】フランスのカマンベール(Camembert)チーズの2大製造所が、「消費者の安全を考え」て「生乳カマンベール」の製造を停止した。絶大な人気を誇るカマンベールの将来が危ぶまれている。

 生乳カマンベールの国内シェアの90%を握るラクタリス(Lactalis)とイズニー(Isigny Cooperative)はこのほど、「生乳には健康被害をもたらす恐れのあるバクテリアが含まれており、加熱しなければ除去できない」として、人気ブランドの原料を安全性の高い「低温殺菌牛乳」に切り替えた。

 両社はこれに伴い、原産地呼称統制(Appellation d’Origine Controlee、AOC)制度から脱退した。AOCの認証は「製品の信頼性」にお墨付きを与えるもので、売上にも大きく影響することから、各メーカーはAOCを重要視している。AOCを脱退したのは、両社が初めてだ。

 ラクタリスのある取締役は、「生乳カマンベールの製造中止は苦渋の選択だった。消費者の安全が最優先される中、生乳カマンベールが100%安全との保証はできない。当社の歴史的ブランドが製造の不備により消えるというリスクだけは避けたかった」と語った。

■脱退は「営業的動機」と非難

 これについて、「Defence Committee for Authentic Camembert(ほんもののカマンベールを守る会)」のジラール・ロジェ(Gerard Roger)会長は、「『生乳』ではさらなる増産が難しいというのが本当の理由だろう。両社は営業的な動機だけで判断している」と非難した。

 チーズ通に言わせると、ノルマンディー(Normandie)産の生乳カマンベールとスーパーマーケットなどで売られている殺菌牛乳のカマンベールには、ビンテージワインと量販ワインほどの差があるという。先のロジェ会長は、「生乳でなければあの芳醇な味は出ない。牛乳を加熱すると、チーズはチーズでも、もはやカマンベールとは呼べない」と力説した。

 またイズニーは、AOCの規制に反した「精密ろ過」も導入しており、これにより生乳カマンベールの今年の国内生産量は、前年の1万2500トンから30%以上減の4000トンになると見られる。

■チーズ文化の衰退を懸念

 ノルマンディー地方には、半世紀前まで生乳カマンベールの製造所が林立していたが、多くがラクタリスに買収され、現在はラクタリスとイズニーを含む5社のみとなっている。

 「手作り」の伝統を80年間守ってきたギヨー(Gillot)のベルトラン・ギヨー(Bertrand Gillot)は、「機械投入により発展してきた両社は、今度は大量生産に追いつかないとの理由から殺菌牛乳を使おうとしている」と揶揄(やゆ)した。

 ギヨーは2年前、同社「Reo」ブランドのチーズに混入した有害バクテリアが原因とされる病気が子どもの間でまん延した際、チーズの製造を停止した。以来、同社は安全性テストを強化。ギヨー氏は、「生乳カマンベールを食べることは、車の運転よりもはるかに安全だ」としている。

 先のロジェ会長にしろ、ギヨー氏にしろ、ラクタリスとイズニーが「殺菌牛乳」と「精密ろ過」もAOCの認証対象とするよう原産地呼称委員会(INAO)に規制の変更を働きかけるのではと懸念している。

 ギヨー氏は、「もしそうなれば、真のカマンベールとそうでないカマンベールの線引きがなくなる。チーズに関する文化も知識も、消えてなくなるだろう」と語った。(c)AFP/Hugh Schofield

牛乳嫌いも克服!? 味つきストロー「sipahh(シッパー)」

2007/06/05 +D Style

モスフードサービスが、牛乳と合わせて飲む粒入りのストロー「sipahh(シッパー)」をモスバーガー店舗にて期間限定で販売。普通のミルクがストローを通すとイチゴ/バナナ/チョコレート風味に。

 モスバーガーを展開するモスフードサービスは6月5日、牛乳と合わせて飲む粒入りのストロー「sipahh(シッパー)」を6月22日からモスバーガー店舗にて期間限定(2007年9月下旬まで)で販売する。イチゴ風味、バナナ風味、チョコレート風味の3種類のテイストを用意し、価格は50円。

 「シッパー」は、2005年にオーストラリアで発売された商品。直径約1センチの太めのストローの中に、味のベースとなるボール状の小さな粒を封入。このストローを使って牛乳を飲むとストローの中で粒の味が牛乳と混ざり合い、イチゴ/バナナ/チョコレートのフレーバーがついたミルクの味わいが楽しめるという。「現在までに世界25カ国以上で発売されており、特に小さな子供が楽しく牛乳を飲めると高い人気を得ている」(同社)。

 商品名の「sipahh(シッパー)」は、英語の「sip(飲む)」と「ahh!(歓声のアー!)」からネーミングされたもの。

米スタバ、脂肪分2%の牛乳でカロリーカット

2007/06/01 NIKKEI NeT

 【ロサンゼルス=猪瀬聖】米スターバックスは31日、米国とカナダの全店舗で主力メニューに使っている牛乳の脂肪分を、通常の3%以上のものから2%に切り替えると発表した。肥満問題に対応するため。

 5日からニューヨーク市内の店舗で切り替えを始め、今年末までに北米全店に広げる。北米以外の市場でも脂肪分の少ない牛乳への切り替えを検討する。脂肪分の少ない牛乳の使用で、例えば人気メニューの「グランデ・ラテ」のカロリー数は、現在の260キロカロリーから190キロカロリーに減るという。(

池袋にお目見えした「牛乳バー」 人気は懐かしい「ビン入り」!

2007/05/31 J-CASTニュース

ビールもコーラもビン入りがおいしい――。そんな「ビンファン」は少なくない。でも、ビン入り牛乳やコーヒー牛乳は宅配や、一部の駅売店や銭湯でしか見かけないようになった。それが、JR池袋駅北口を出てすぐの「牛乳バー」で飲める。日本酪農乳業協会のアンテナショップとして2007年4月26日にオープンした店だ。

店の名前にバーとあるが、いわゆる「ミルクスタンド」のことで、ここに平均して1日に700人前後が立ち寄っている。かなりの盛況ぶりだ。牛乳バーには、チーズやヨーグルトなど持ち帰り商品も揃っているが、なんといっても一番人気は、ビン入りの牛乳だという。飲んだあとにビンを返さないといけないから、人通りの多い駅の通路で牛乳を飲んでいる人が目につく。一気飲みして立ち去るサラリーマンもいるし、ウマイウマイとうなずきながらゆっくり牛乳を味わう高齢の男性客もいた。

ビン入りフルーツ牛乳やコーヒー牛乳も置いてある

首都圏の駅で、たとえばキヨスクやコンビニで牛乳を買おうとすると、ビン入りのものはほとんどない。牛乳の容器でビンと紙の比率はどれくらいなのか、日本酪農乳業協会にたずねると、

「10年以上前の古い資料ですが、ビンが3割、紙パックが7割くらい」 だそうだ。ビンが3割なら多いじゃないかといえばそうでもなくて、ほとんどが学校給食や宅配用のため、市場に出回るビン入り牛乳は少ない。

牛乳バーで販売されるビン入り牛乳は小岩井乳業社製のもの。同社広報によれば「ビン入り」は宅配以外販売していないため、「バー」では特別販売ということになる。

ちなみにこの牛乳バーには、ビン入りフルーツ牛乳やコーヒー牛乳も置いてある。これらの商品にも根強いファンがいて、たとえば、「Yahoo! 知恵袋」で回答数247と白熱した「昔、大ヒットした飲み物で、今はもう無くなってしまった『懐かしい飲み物』は何?」という質問に対して、フルーツ牛乳やコーヒー牛乳を挙げる回答者が見られた。

牛乳国際価格が急騰、が日本では過剰在庫

 2007.05.31 eureka!NEWS

牛乳の国際価格がここ数ヶ月、過去にないペースで上昇している。 世界の牛乳消費量は、中国や中南米の需要増で年率3%で増加しているのに対して、米・欧で在庫がなく干ばつに見舞われたオーストラリアで輸出が減少するなど世界的に供給が減少しているため。 一方、日本は過去15年では1996年をピークに消費量の落ち込みが続いていて、牛乳生産は過剰在庫状態だが、関係者によるとそもそも国内価格が比較的高いこともあって輸出に振り向けることもできないという。

ブルームバーグ14日付によると、牛乳の世界的指標となるシカゴ商業取引所(CME)の脱脂粉乳価格は、過去半年間で60%上昇し、4日には過去最高値の1ポンド当たり1.58ドルと、過去5年平均の7倍に達した。米農務省(USDA)のエコノミストで乳製品専門家のラリー・サラテ氏は「向こう数カ月間、全品種で牛乳価格はかなりの力強さを示すだろう」と予想。生産増が価格下落につながるには「少なくとも数カ月、通常なら1−2年を要する」との見方を示した。

日本の牛乳業界関係者によると、牛乳価格の動向を注視しているが、ここ2〜3カ月で急騰したからといって、日本の酪農業界が生産を増やすことにはならないという。

日本の消費者には雪印の不祥事の記憶がまだ新しい。年々、牛乳消費量が減っているのも業界への不信感と無関係ではないかもしれない。早く消費者の信頼が回復し、貴重な牛乳が無駄にされることなく、酪農家の地道な努力が報われることを望みたい。

アサヒビール、7月から中国向け高品質牛乳の生産開始

2007/05/28 IB Times

 アサヒビールは7月から中国市場向けに高品質牛乳の生産を開始する予定。これに先立ち、明治乳業は中国で高品質牛乳の販売を開始した。アサヒビールは明治乳業と違い、中国本土で設立する農場がミルクを提供するという。

 アサヒビール、住友化学、伊藤忠商事が去年に共同で設立した農場は6月1日に開業する予定で、敷地面積は約100ヘクタール。同3社は独資の農業法人、「山東朝日緑源農業高新技術有限公司」を設立したほか、山東省政府と協力して本格的な循環型農業を展開する予定。

 同農場は今後6年間で野菜の年間供給量が約2000トン、果物が約700トン、牛乳が約7000トンに達する見通し。2011年には農業法人の黒字経営が実現できるという。(日中経済通信)

高品質牛乳で勝負 淡路島酪農農協が新戦略

2007/05/19 神戸新聞

 淡路島酪農農協(南あわじ市)は、鮮度や乳脂肪量を従来商品より高めた高品質牛乳の生産を強化するなど商品構成を再編する。消費量が減る中、牛乳の少量生産・高価格化を推進。プリンなど利益率の高い加工品の生産割合を高める。

 生産強化するのは、牛の飼料や乳脂肪量などに細かい規定を設けた高品質牛乳「匠(たくみ)」シリーズ。北海道など遠隔地の商品との差別化のため、生乳収集から二十四時間以内に出荷している。一日五百本(千ミリリットル換算)を生産しているが、阪神間に販売を拡大し、年内に五千本に増やしたい考え。千ミリリットル入り紙パックで二百四十円前後と、同農協の平均的な商品より約五十円高い。

 一方で生クリームや低脂肪牛乳など一部商品の生産を停止。牛乳を生産している洲本市と南あわじ市の計二工場のうち洲本工場を六月末で閉鎖するなど、製品全体に占める牛乳の割合(売上高ベース)を現状の八割から五年後に七割、十年後には五割に引き下げる。

 逆に加工品の割合は五割まで高める考えで、二〇〇九年南あわじ市に完成する新工場では主にプリンなどの生産を強化する。

 同農協は、南あわじ市の三原郡酪農農協と洲本市の洲本市酪農農協が合併して一月に発足。生乳の兵庫県内シェア(生産量ベース)は四割、年産量は四万九千トンで、近畿二府四県でも二割に上る。

 〇七年三月期の売上高は約六十二億円(旧二組合の合算)。商品の一部廃止で〇八年は二億円の減収を見込むが、商品構成の見直し効果で五年後には回復する見通し。

 生乳は、この十年で全国消費量が一割減少。昨年三月には北海道で余剰生乳千トンが廃棄処分となるなど生産体制の見直しが急務となっている。(西井由比子)

牛乳高騰 市場価格7倍 インド・中国で消費拡大

2007/05/19 FujiSankei Business i.

 経済発展に伴う食の西洋化や飽食化で中国やインドで牛乳消費が拡大し、供給不足から、世界の牛乳価格が過去最高水準に達している。原料コスト上昇を背景に、スイスの大手食品ネスレなどは乳製品価格の値上げを検討している。乳牛向けの飼料原料となるトウモロコシもバイオ燃料の需要増で高騰し、牛乳価格の値上げに拍車をかけており、市場では高値水準が当面続くとの見方が広がっている。(坂本一之)

 ブルームバーグによると、牛乳貿易の指標となる米シカゴ商業取引所(CME)の脱脂粉乳(スキムミルク・パウダー)価格はこの6カ月で6割近く上昇、5月4日には1ポンド当たり1・58ドルと過去最高を更新した。同価格は過去5年の平均価格の約7倍に達し「世界的な需給ひっ迫で今後の価格動向は不透明な部分がある」と国内食品メーカーは警戒している。

 牛乳高騰の背景には、伸び悩む世界の生産量とは対照的に中国やインド、中南米の消費量拡大がある。供給側では欧米政府の補助金削減で生産量が鈍化し、在庫も減少している。加えて豪の大干ばつによる輸出減少などで需要拡大に供給が追いつかず価格を押し上げている。

 特に13億人の人口を抱える中国の牛乳消費量は2000年の826万トンから04年に約2・7倍の2258万トンに急増し、世界需要の拡大を底上げしている。

 また、蘭金融機関のラボバンクは「中国政府は(子供が牛乳を飲むように)学校での支援策を開始しており、消費の急拡大を見込んでいる」と指摘。中国の1人当たり牛乳消費量の1日平均が現在の約40ミリリットルから今後3年間で最大年率15%の増加すると予想する。

 また、都市部で消費拡大が進む同国だが、官民で地方での牛乳普及も図っている。

 人民日報(電子版)によると、乳製品大手の蒙牛乳業は昨年、国家学乳弁公室や国家公衆営養発展センターと共同で牛乳の普及キャンペーンを展開。江西省の貧困地域にある小学校500校に蒙牛が1年分の牛乳を寄付している。

 中国の消費拡大などの影響で01年以降の世界消費量の増加平均はニュージーランドの年間生産量に匹敵する130億リットル規模に達し、過去7年間の需要増加は原油の13%を上回る14%に達しているという。

 ■ネスレ、乳製品値上げも

 食品メーカーはすでに牛乳の価格上昇への対応を検討。スイスの食品大手ネスレはいくつかの乳製品価格を10%近く引き上げる方針。米乳製品最大手のディーン・フーズは今月、原料コスト上昇で業績が低迷するとの見通しを発表、ピザチェーン大手のドミノ・ピザはチーズ調達費の予算を増やす方針だ。

 牛乳に関しては牛の配合飼料となるトウモロコシ価格もバイオ燃料の拡大で高騰しており、牛乳価格上昇の押し上げる要因にもなっている。関係者からは、牛乳増産に動いたとしても生産増による価格下落には1、2年の期間が必要で、当面は高値で推移するとの声も上がっている。

飲用牛乳 低迷続く/生乳4月販売実績

2007-05-17 日本農業新聞

 中央酪農会議は16日までに、生乳の4月の用途別販売実績をまとめた。飲用牛乳向け販売量は約30万8000トンで前年同月比5%の減。4年連続で前年同月比マイナスとなった。一方、発酵乳や生クリーム、チーズ向けは好調が続いており、発酵乳など向け販売量は同8.7%のプラスと高い伸びを示した。

 飲用牛乳向けの指定生産者団体別内訳は、北海道が約5万トン、都府県は約25万8000トンでそれぞれ6.7%、4.7%の減となった。 ・・・(詳しくは日本農業新聞紙面をご覧ください)

乳製品業界、広告活動を中止〜減量効果が立証されるまで

2007年05月14日 US FrontLine

 乳製品と減量を結び付けた広告活動は、その効果が立証されていないため、中止されることになった。

 ニューヨーク・タイムズによると、乳製品業界は、スローガン「Milk your diet. Lose weight!」を掲げて農務省監督の下で広告活動を実施、1日3カップの乳製品を食べると減量できると呼びかけていた。

 しかし、乳製品と減量を結び付けることについては、責任ある医療のための医師会(PCRM)が長年異議を唱えており、2005年に連邦取引委員会(FTC)に「この広告は誤解を生む」と訴えていた。

 これを受け、FTCは今月、農務省と牛乳生産者および加工業者は、さらなる研究で確固たる証拠が提示されるまで、関連広告を変更することで合意した、との書簡をPCRMに送った。

 PCRMは今後、カルシウムが高齢女性の骨折予防に効果があるという同業界の他の主張についても圧力を強める予定だ。

 連邦政府による05年の食生活指針の改正では、米国人が1日に取るべき低脂肪牛乳や乳製品の量が2カップから3カップに増やされた。同指針の作成にかかわった諮問委員会は「低脂肪の乳製品を取ることで、体重が増えるとは限らない。乳製品には消費者が食事指針を守る助けとなる特定の栄養素が含まれている」と主張している。

 ニューヨーク大学のマリソン・ネステル教授(栄養学)は、今回の動きを画期的と評価する一方で、著書「What to Eat」の中で乳製品業界による500億ドルに上るロビー活動が食事指針に影響を及ぼしていると指摘している。

売り場の蛍光灯、風味を損なうもとに=米研究者

2007/05/10 The Sekai Nippo

 5月9日、ミズーリ大のマーシャル教授は、売り場の蛍光灯が牛乳の風味を損なうもとになっていると発表。

 【シカゴ 9日 ロイター】 蛍光灯から数インチ(10センチ弱)以内で保存された牛乳は、2─4時間以内に酸化臭が、12時間以内ではっきりした異臭が出てしまうという。ミズーリ大のロバート・マーシャル教授(食物学)が声明で発表した。

 乳製品売り場の蛍光灯は、専門家が「バーント(焼け)」と呼ぶ酸化した異臭の原因となってしまう。

 同教授によると、牛乳がライトから近いほど、またライトのそばにある時間が長いほど、異臭が起こる確率が高くなるという。

 この酸化現象自体は、牛乳の栄養価にはほとんど影響がなく細菌とも関係ないものの、蛍光灯はビタミンB2とビタミンCを不活性化させる。

 また、透明なガラスの容器に入った牛乳は、半透明のプラスチック容器に入ったものより、早く異臭が起こるという。

 これらを踏まえて、マーシャル教授は牛乳を買う際には、売り場の1番奥の暗いところにあるものを選ぶようアドバイスしている。

駅でグビッと道産牛乳 東京・池袋に立ち飲みバー

2007/05/09 北海道新聞

 東京のJR池袋駅構内に、牛乳・乳製品専門の立ち飲み店「牛乳バー」が登場した。月替わりで地方乳業の製品を紹介するコーナーもあり、第一弾は新札幌乳業(札幌)。特定の牧場にこだわってつくった牛乳やソフトクリームが「おいしい」「味が濃厚」と大人気だ。

 JRグループの日本レストランエンタプライズ(東京)が日本酪農乳業協会の協力を得て大型連休前に開業。店はカウンター形式の約二十二平方メートル。瓶牛乳、ヨーグルト、チーズなど約五十品目が並ぶ。

 国内トップクラスの乗降客を誇る同駅の「エキナカ」とあって、会社員や買い物客、学生たちで連日にぎわっている。

 目玉は月替わりで紹介する地方のこだわり牛乳のカップ売り。「第一弾は、牛乳の代名詞である北海道の牛乳を」(同社)と新札幌乳業が選ばれた。首都圏でお目にかかることが少ない「北海道小林牧場 私たちが搾った牧場牛乳」は特に評判が良く、カップで味わった後、七百二十ミリリットル入りボトルを購入していく人も。同協会は「こうした形式の店は国内初。各乳業のアンテナショップになり、低迷する消費の底上げにつながる」と期待している。

日本ミルクコミュニティ▼携帯版 牛乳等製造日付検索システムをスタート

2007年05月09日 日本ミルクコミュニティー

店頭で、ご家庭で簡単に牛乳の製造日時を確認できる 携帯版 牛乳等製造日付検索システム「けんさく君」5/8(火)本日よりスタート! 携帯版けんさく君URL:www.megmilk.com/k/

 日本ミルクコミュニティ(株)(本社:東京・新宿、社長:小原 實)は、牛乳等の製造日時を携帯電話から検索できるシステム「けんさく君」を本日5月8日(火)から携帯版HPでスタートします。

 日本ミルクコミュニティ(株)は、独自の品質管理システムであるミルクコミュニティ クオリティシステム(=MCQS)に基づき、牛乳の製造工程・製品出荷履歴管理システムの構築や品質検査・監査体制の強化、情報の開示に積極的に取組んでいます。その取組みの一つとして、牛乳等の製造日時をパソコンで検索できる「けんさく君」を企業ホームページ内に2003年9月より開始しております。

 このたび、お客様により手軽にサービスをご利用いただけるように、携帯電話でも検索が可能になります。これにより、店頭での購入時や外出先等でも、手軽に商品の製造日時を検索することができます。

 今後も一層わかりやすい情報の開示に努め、お客様に安心と安全を提供してまいります。

 1.検索対象商品 メグミルク牛乳、毎日骨太3つのチカラ、アカディ

 2.牛乳製造日付検索システム「けんさく君」利用方法

 (1)メグミルク携帯版HP( www.megmilk.com/m/ )にアクセスします。 トップページの「携帯でけんさく君」をクリックします。 または直接携帯版「けんさく君」にアクセスします( www.megmilk.com/k/ )

 (2)必要情報を〔商品名〕〔容量〕〔工場〕をそれぞれ選択し〔次へ〕進みます。

 (3)続いて必要情報〔賞味期限〕〔製造ロット〕を入力し〔次へ〕進みます。

 (4)検索内容の確認画面が表示されますので、確認後〔検索〕をクリックします。

 (5)検索結果が表示されます。(西暦○年○月○日 午前/午後○時○分)

 ◆本件に関するお客様からのお問い合わせ先 日本ミルクコミュニティ株式会社 お客様センター フリーダイヤル 0120−464−369 (9:00〜17:00)

ペット30匹…おばあちゃん牛乳ドロ

2007年05月05日 スポニチ

 「ペットのご飯に」と宅配牛乳などを盗んだとして、和歌山県警御坊署は4日、窃盗の現行犯で同県御坊市の無職細川時枝容疑者(67)を逮捕した。犬や猫約30匹とともに生活していたが、年金暮らしとみられ、餌代に困窮。子犬が生まれた4月下旬から周辺では同様の被害が多発していた。

 ≪ヨーグルトは自分用?≫細川容疑者は4日午前4時半ごろ、同市内の自営業男性(57)宅の前に自転車で現れ、配達されたばかりの牛乳やヨーグルト計3点(680円相当)を盗んだ疑い。

 同市内では4月下旬から牛乳が配達される月、水、金曜日の早朝、家の住人が取りに行く前に、宅配ボックスから牛乳やヨーグルトがなくなる被害が約30件発生。男性宅は過去にも数回被害に遭っており、同署員が張り込んで警戒を続けていたところ、細川容疑者が現れたという。

 調べに対し「家で飼っているペットのご飯にしたくて盗んだ」と供述している。年金暮らしとみられ「4月に子犬が生まれて、餌代に困っていた」とも話しているという。

 被害はいずれも容疑者宅から2〜3キロ離れた場所に集中。自宅の近くでは顔を知られているためで、同署は知り合いのいないところまで自転車で“遠征”したとみている。また、1回の“遠征”で4〜5件の家を回って犯行を重ねていたとみられている。

 同署幹部は「うちの犬はヨーグルトは食べないんだけど」。別の署員も「牛乳は犬や猫に飲ませて、ヨーグルトは自分で食べたのでは」と話した。

触れ合い、即売が人気 雲仙・瑞穂で牛乳PRイベント

2007/05/05 長崎新聞

 「新緑まぶしい『みずほの森』で、うま〜い牛乳を飲モ〜飲モ〜!」をキャッチフレーズにした雲仙市瑞穂町のゴールデンウイーク恒例イベント「モーモーフェスティバル・インみずほ」が四日、同町であった。

 同町酪農組合主催で二十回目。雨にもかかわらず、大勢の家族連れらでにぎわった。

 会場では、子どもたちが牛の乳搾りや子牛の体重当てクイズなどに挑戦。島原農業高生らが設けた、ヤギやヒツジなどの動物と触れ合えるミニ牧場も人気を集めた。

 さらに牛乳の試飲、同町や近隣の酪農組合婦人部は牛乳でつくった手作りのチーズやバター、くずもち、豆腐なども振る舞った。このほか地域の野菜、お茶、花、牛肉などの即売や太鼓演奏、ニジマスのつかみ捕りなど多彩な催しがあった。

 宮本貞治郎・瑞穂町酪農組合長は「二十年前、生産過剰で余った牛乳を無料で配ったのが始まり。消費者に酪農への理解を深めてもらい、牛乳の消費拡大を図ろうと毎年続け、人気のイベントになった。これからも牛乳の良さを伝えていきたい」と話していた。

『幸せな牛から美味しい牛乳』を読んで

2007/05/02 JANJAN

『幸せな牛からおいしい牛乳』の詳細

               ◇

 思わず唸ってしまうほど、素晴らしい本である。

 この本は、日本の酪農と著者の今までの実践について書かれたものだ。しかし、単に日本の酪農の問題を個別に論じるだけではなく、人間の開発した技術がなぜこの歪んだ社会を作ったのか、その本質を見事に看破している。しかも、著者は自らその歪みに挑戦し、実績を出し、そして今後の日本における酪農の青写真まで提示しているのである。

 人間とはおかしなもので、経済効率至上主義を謳いながら、実はまったく不経済なシステムでエネルギーを無駄にしている。その原因は、人間の勝手な都合から自然の摂理を無視することにある。この本を読んでみると、日本の酪農を例にそのことがよくわかる。

 例えば、子牛は生後5〜6日しか母乳を飲まされず、すぐに母牛から引き離され人口乳で育てられる(これに肉骨粉が含まれていた)。そして、人間に危害を加えるという理由から、生後1〜2ヶ月で角を切られ、傷口を電気ごてや薬品で焼かれる。また、狭い牛舎に過密状態で生活をさせられ、乳量と脂肪分を上げるため高たんぱく高カロリーの濃厚飼料が与えられる。しかも、発情させるためのホルモン剤の注射や人工授精で常に妊娠させられて搾乳を強いられるのだ。

 そのため僅か5〜6年(本来は20年程度)で廃牛となる。牛固有の生理・習性を無視した、経済効率至上主義のこの飼育方法が、牛たちに過剰なストレスと酷い苦痛を与えている。その結果、病気、異常行動、異常出産などが頻発する。不自然なことをすれば不自然な結果が現れるのだ。

 不自然な飼育に必要なのが、海外に依存した配合飼料、飼料添加剤、各種栄養剤、大量の医薬品、高度な治療技術、人工授精師、受精卵移植、糞尿処理機などである。つまり、反自然的な行為の結果を取り繕うために、お金とエネルギーと技術が必要なのだ。しかも、これだけ多くのお金とエネルギーを使って生産した牛乳が、水やお茶よりも安いのだ(牛乳1000mlで200円、お茶500mlで200円、水500mlで250円)。加えて、このように牛を虐待して得た牛乳が本当に人間にとって体に良く栄養になるのだろうか、という疑問も出てくる。

 この日本の酪農に対して、著者の答えは明快である。「田畑にできない山地を生かして牛を自然放牧させ、人が食べられない草を餌に乳を出す。これが日本に適した酪農だ」と。実際著者は、岩手県の山間部にある牧場で、1年中牛を放牧させて酪農を営んでいる。この結果、餌の調合と給餌作業、糞尿処理などの過重な牛舎作業とそれに伴う経費から開放された。当然、牛自身も健康になり獣医の世話になることもほとんどなく、その上、自然交配・自然出産で、人工受精も助産の必要もなくなったという。

 しかし、実際は自然放牧すれば問題が片付くというわけでもない。なぜなら、農協への一元出荷体制と大手乳業メーカーを中心とした現在の流通システムの壁があるからだ。ここでは、乳脂肪分が高ければおいしい牛乳だと考えられ、それだけが価値基準となっている。このため、自然放牧を行ない安全な牛乳を生産する酪農家は生き残る術がほとんどないのだ。

 実際、著者の牛乳は買い叩かれ、一般の価格の半値になることもあったという。この後、著者は直販に挑み、食の安全性を最優先したその商品に顧客は全国に広がった。今では生産から販売まで手がける中、日本の酪農のあり方を変えるために放牧酪農家の支援を行なっている。

 「牛が幸せであれば、幸せな牛乳が作れる。そして、幸せな牛乳はおいしい牛乳だ」、この言葉に著者の考え方と生き方が込められている。真の経済性と豊かさは、いのちを尊ぶ心から生まれてくるのだ。これは私たちが21世紀を生きていくうえでの羅針盤である。(仲野忠晴)

著者:中洞正 出版社:コモンズ 定価:1700円+税

「ラクトフェリン」で内臓脂肪減 ライオン、人間への有効性を確認 世界初

2007/03/28 FujiSankei Business i.

 日用品大手のライオンは、京都府立医科大学、国立がんセンターと共同で、乳由来の多機能タンパク質「ラクトフェリン」を摂取することで内臓脂肪が低減する効果があることを、人間を対象とした試験で確認した。人間への有効性の確認は世界初という。

 被験者がラクトフェリンを2カ月間摂取したところ、腹部内臓脂肪は被験者平均で断面積比22%減少、ウエストサイズは4%減となり、有意な低減効果を示した。最も効果があった被験者は内臓脂肪が40%減少した。

 ラクトフェリンは酸などに弱く、そのまま摂取すると胃で分解されてしまう。ライオンは、胃の中で溶けず、体内に有効成分を吸収する腸にまで届いてから溶ける「腸溶加工」を施す工夫を行った。各種疾患原因のメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の予防につながる成果とみており、今夏までにラクトフェリンを含む機能性食品などを発売する計画だ。

 ラクトフェリンの人間の摂取試験は、35〜60歳の成人12人(男性8人、女性4人)を対象に、1日当たり300ミリグラムを2カ月間摂取してもらい、ウエストサイズ、CT(コンピューター断層撮影装置)による腹部脂肪面積の変化を経時的に測定した。被験者に対しては、通常通りの生活を要請した。300ミリグラムは3個の錠剤になっており、摂取する時間やタイミングなどは自由とした。ただ「最も効果的なのは就寝前」(村越倫明・研究開発本部主任研究員)という。300ミリグラムは、各種実験から最適と判断した量。人間の母乳なら約100cc、熱処理をしていないナチュラルチーズなら約100グラムに含まれる分量に相当する。

 ラクトフェリンは、母乳や牛乳など、ほ乳類の乳に多く含まれている鉄結合性タンパク質。加熱すると分解してしまうことから、市販の殺菌済みの牛乳、加熱処理したプロセスチーズなどには含まれない。健康維持にかかわる各種の役割を持つタンパク質として注目され、牛乳から取り出されたラクトフェリンは、サプリメントに配合され、市場投入されている。

「牛乳=有害」は根拠示せ…医師らが書籍著者に質問状

2007/03/28 The Sankei Shimbun

 ミリオンセラーになっている「病気にならない生き方」(サンマーク出版)に、牛乳乳製品に関し科学的根拠が疑わしい記述があるとして、医師や栄養学の専門家らでつくる牛乳乳製品健康科学会議(会長、折茂肇健康科学大学長)は27日、同書の著者、新谷(しんや)弘実・米アルバート・アインシュタイン医科大教授に質問状を送り、回答を求めた。

 新谷教授は同書で、牛乳を作る過程でホモゲナイズ(均等化)することで、乳脂肪は酸素と結びつき過酸化脂質に変化してしまうとし「市販の牛乳は『錆(さ)びた脂』ともいえる」と記述。また「牛乳のカルシウムはかえって体内のカルシウムを減らしてしまう」「牛乳の飲みすぎこそ骨粗鬆(しょう)症を招く」など健康への悪影響を述べている。

 同会議は「ホモゲナイズしても乳脂肪が酸化されることはほとんどない。牛乳を飲むことで体内のカルシウムが減ることはなく、骨粗鬆症になることもない」などと反論。質問状で、牛乳乳製品に関する記述8項目について、内容を裏付ける科学的根拠を示すよう求めた。

生産者支援の消費拡大キャンペーン実施−コープネット事業連合など3団体(3/26)

2007/03/26 農業協同組合新聞

 生協連合会コープネット事業連合(神崎幸雄理事長)、中央酪農会議(宮田勇会長)、関東生乳販売農業協同組合連合会(阿佐美昭一会長)の3団体は3月26日から、共同して牛乳の消費拡大めざす緊急キャンペーン『春休み牛乳もう一杯運動』に取り組む。期間は4月15日まで。

 春休みで学校給食が休止するこの時期は、毎年牛乳の消費が前後の月に比べて2割程度落ち込み、余乳はバターなどの乳製品に加工されている。

 しかし、今年は▽消費の落ち込みが依然とし続いている、▽暖冬の影響で搾乳が好調、などの理由により最悪の場合には関東生乳販売農協組合員5000戸の酪農家の作った牛乳を廃棄しなければならない事態になる可能性がある。同農協は傘下の生産者に子牛に通常より多く牛乳を与えるなど減産計画実践の取り組みを指導している。しかし、余乳廃棄という最悪の事態を回避するためには、春休み期間中の消費拡大が不可欠であることから、同農協と中央酪農会議はコープネット事業連合にキャンペーンを要請し、3団体で共同して牛乳の消費拡大に取り組むことになった。

 キャンペーンによって、コープネット事業連合が月に店舗、個別配送で販売している牛乳約500万本(1本1リットル)の5%増の525万本の販売をめざすとし、「余乳廃棄を防止するため、もう一杯の牛乳を飲みましょう」、「料理にもっと牛乳を使いましょう」を呼びかける。

 呼びかける方法としては、▽共同購入用の商品チラシ『ハプ・デリ!』に掲載、▽情報チラシ『よみかきコープ』で利用の呼びかけ、▽店頭(牛乳売場)にポスター掲示、▽店頭(牛乳売場)に牛乳利用促進カードを置く、▽セールスチラシによる宣伝を行うほか、店舗に置くリーフレットに牛乳を使った料理のレシピを掲載するなどとしている。

 杉森一雄コープネット事業連合常務理事は「生産者からの要請を受け、一緒にキャンペーンに取り組むのは始めてのことです。価格を下げるのではなく、生産者をみんなで支えるということの意義を消費者の方に理解してもらってキャンペーンを成功させたい」と、余乳廃棄だけは避けたいという生産者の思いに応えたいと語った。

暖冬で生産過剰牛乳もっと飲んで

2007年03月24日 読売新聞 Yomiuri On-Line
関東でキャンペーン

 もう一杯牛乳を飲みましょう――。関東の酪農団体と生協などが26日から消費拡大キャンペーン「春休み牛乳もう一杯運動」を展開する。

 暖冬で例年より牛の乳の出が良い影響もあって、関東で初めて、生産過剰になった牛乳(生乳)を捨てる「余乳廃棄」を行わなければならない可能性が出てきたためだ。

 関東地域では、1日平均約3700トンの牛乳が生産され、約2割の700トンが学校給食に回っている。学校給食がなくなる春休み期などは、バターなどに加工して調整している。しかし、今年は茶系飲料などの人気のあおりで市販の牛乳の消費量が前年比5%減で推移しているうえ、暖冬で牛の乳の出がよく、加工施設の処理能力を上回る可能性があるという。

 過去の余乳廃棄は昨年3月、北海道で1000トン(1リットルパックで約100万本)が廃棄された事例があるだけだ。

 キャンペーンは約5000戸の酪農家を抱える関東生乳販売農業協同組合連合会、1都6県で320万世帯の会員がある生活協同組合連合会コープネット事業連合、中央酪農会議の3団体が4月15日まで実施する。生協の共同購入・宅配のカタログや店舗のポスターやチラシで「もう一杯牛乳を飲みましょう」と訴え、1日あたり最大100トン(同10万本)の消費拡大を目指す。

「牛乳でたよ」と笑顔 HTBで乳搾りなど酪農体験

2007/03/22 長崎新聞

 酪農への理解を深めてもらおうと、佐世保市のハウステンボス(HTB)で二十一日、「させぼミルクツーリズム」と銘打つイベントがあった。

 消費低迷が続く牛乳の市場拡大と、市民と酪農家の交流促進を目的に、市などが開き四回目。HTB入場者約百二十人が参加した。

 市内の酪農家が「毎日乳搾りをしないと牛は病気になる。三百六十五日休みはない」と話し、一日の仕事内容などを説明。参加者は酪農家の手助けを受け、牛に聴診器を当てて心音を聞いたり、乳搾り体験などをした。

 北九州市門司区の会社員、白石京子さん(40)は「毎日午前五時に起きて働くなど、生き物を育てる仕事の大変さが分かった」と話し、娘の留菜ちゃん(5つ)は「(乳搾りは)怖かったけれど、牛乳が出てうれしかった」と笑顔を見せた。

ネスレ、パキスタンに牛乳加工工場をオープン

2007/03/17〔AFP=時事〕時事通信社

【ジュネーブ16日】スイスの食品大手ネスレは16日、パキスタンのパンジャブ州で牛乳加工工場の開所式を行ったと発表した。同工場は6700万ドル(約78億2000万円)を投じて同州のカビルワラに建設され、1日当たり200万リットルの牛乳を加工できる。今後数年で加工能力を300万リットル以上に引き上げる予定。(写真はネスレのピーター・ブラベック最高経営責任者)

 開所式にはパキスタンのムシャラフ大統領、ネスレのピーター・ブラベック最高経営責任者(CEO)が出席した。ネスレは同工場について、パキスタンで最大の牛乳収集網を持ち、14万のパンジャブ農家から牛乳を集めると説明している。

 同社は過去に、発展途上国での粉ミルクや乳児用人工乳の販売方針をめぐって厳しい批判や消費者のボイコットを受けた経験を有している。

森永乳業、「森永のおいしい牛乳」と同じ殺菌方法を採用した「森永のおいしい無脂肪乳」を首都圏と東海地区で発売

2007年03月16日 マイライフ手帳@ニュース

 森永乳業は、「森永のおいしい牛乳」と同じ殺菌方法を採用した無脂肪乳「森永のおいしい無脂肪乳」を、3月27日から首都圏(新潟・長野含む)、東海地区で発売する。

 「森永のおいしい」シリーズは、2003年9月から「森永のおいしい牛乳」、2006年4月から「森永のおいしい低脂肪牛乳」と全国で順次発売してきた。とくに主力の「森永のおいしい牛乳」は、2006年度が前年比150%以上と好調に推移しているという。今回、新た発売するシリーズ第3弾「森永のおいしい無脂肪乳」は、同社独自の製法によって従来の無脂肪乳にはない「しっかりとコクのあるおいしさ」を実現したという。

 「森永のおいしい無脂肪乳」では、「森永のおいしい牛乳」で採用している蒸気でやさしく殺菌するインフュージョン式殺菌法によって「しっかりとコクがあって、すっきりとした後味」を実現したとのこと。乳脂肪分(0.4%)をほとんど除去しながらも必要なカルシウムとたんぱく質は普通牛乳に比べ多く含まれるため、脂肪分やカロリーは気になるが栄養のある牛乳を美味しく飲みたい、と考える人にもおすすめだとしている。

 パッケージには「森永のおいしい牛乳」でおなじみの牛乳ビンをイメージしたデザインを採用。高級感のある緑を採用し、「森永のおいしい牛乳」の青、「森永のおいしい低脂肪牛乳」の水色とともに、統一感のあるパッケージが店頭で目を惹くとしている。

[小売価格]180円(税別)

[発売日]3月27日(火)

セブン−イレブン、北海道産牛乳使った商品の販売フェア

2006/09/27 The Sankei Shimbun

 北海道で消費者の「乳製品離れ」による牛乳の大量廃棄が問題となる中、セブン−イレブン・ジャパンは27日、北海道産牛乳を使った商品の販売フェアを全国展開すると発表した。道内の約830店で行っていた需要拡大キャンペーンを全国の店舗に拡大。10月6日から牛乳パンやプリンなどの3品目を売り出す。

 牛乳の消費量の減少を受け、北海道では今春、農業団体が牛乳を大量に廃棄する事態が問題となった。地元では乳製品の利用拡大を訴え、「ミルクランド北海道キャンペーン」を実施。賛同した同社も6月から、道内の店で地元乳製品の関連商品を販売していた。

“江戸前”良質ミルク 牛乳消費拡大の切り札!?

2006/09/10 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

 ■機械で搾乳「3K」無縁の都会派酪農

 「東京発」の牛乳ブランドが今月お目見えする。その名も「東京牛乳」。「低迷する牛乳消費の起爆剤に」と関係者の期待は膨らむ。(榊聡美)

 《初の「地元の味」》

 関東地区限定で12日に発売される「多摩酪農家発東京牛乳」。大手牛乳メーカーの協同乳業が東京都酪農業協同組合と共同開発した。都内の青梅市、八王子市など多摩地区の酪農家から毎日生乳を集めて同社工場で殺菌パックし、出荷される。

 都内には現在、約80軒の酪農家がある。しかし、総生産量は都内の消費量のわずか4%。ほとんどの都民が純粋な“地元の味”を知らないことになる。

 「地産地消への取り組みとあわせ、“生産者の顔が見える”ことが親近感や安心感につながり、低迷する牛乳の消費の拡大につながれば」(同社営業商品開発部)とメーカーは望みをかける。

 《牛ストレス軽減》

 東京でどんな酪農が行われているのか−。

 瑞穂町にある「清水牧場」では、放し飼い方式の牛舎に約120頭のホルスタインが飼育されている。今年3月に都内初のロボット式搾乳システムを導入。すべての搾乳作業を自動で行っている。

 以前は、朝夕に人が器具を運びながら搾乳していたが、今では乳が張ると「搾って!」とばかりに牛の方がロボットのある場所まで歩いてくる。

 まず、飼料が出てきて、食べている間に光センサーが乳頭を感知し、洗浄する。続いて搾乳機が自動的に装着され、搾乳を行う。首輪につけられたICチップで個体ごとの搾乳量などは管理されているので、食いしん坊の牛が何度もやってきても門前払いされる。

 24時間、牛が搾ってほしいときに搾乳してもらえるのでストレスが軽減し、「牛乳の質がよくなったし、1頭当たりの乳量が1、2割増えた」と、牧場主の清水陸央さん。また、清水さんらの作業も軽減され、「午後6時から一杯飲める(笑)。自由時間が増えたね」と笑顔で話す。

 《消臭ファーム》

 八王子市にある「磯沼ミルクファーム」は、約90頭の牛がいると思えないぐらい牛舎のにおいが気にならない。「焙煎(ばいせん)したコーヒー豆と、カカオ豆の皮を下に敷いているんですよ」と、牧場主の磯沼正徳さんは説明する。

 カカオ豆の硬い皮を手に取ると、ほんのりとチョコレートの甘い香りが。におい消しだけでなく、こんな効果もある。

 「食べちゃう牛もいるんですが、残っているカフェインが、体脂肪を乳脂肪に変える働きがあるんです」。さらに、良質な堆肥(たいひ)が生産でき、まさに“一石三鳥”だ。

 平成14年には「酪農教育ファーム」に認定され、一般の人たちが牛と触れ合えるイベントを行っている。

 「東京牛乳」は、磯沼さんにとっても「夢だった」とか。「東京の酪農の歴史は江戸時代後期にさかのぼります。伝統を大切にするためにも地元のおいしい牛乳を味わって、生産現場にも足を運んでもらいたい」

 住宅地が迫る東京の牧場。そこで行われている酪農はきつい、汚い、くさい、という3Kのイメージを覆すものだった。

(17)ヨーグルト“名物”に…福島市

2006年08月04日 読売新聞 Yomiuri On-Line

1世帯当たり年間購入額1万1063円

 「食後はコーヒーにしますか、ヨーグルトにしますか」。福島市内の喫茶店でランチを頼んで驚いた。食後のサービスにヨーグルトが出るという。「普通はコーヒーか紅茶だと思うのですが」と聞き返したら、「福島の“名物”なので」との答え。ちなみに隣の席の2人組の女性は「ヨーグルトにして」と即答していた。ヨーグルトが名物? 福島市の1世帯当たりのヨーグルト年間購入額(2003〜05年の平均)は、都道府県庁所在地で最も多い。でも、なぜなのだろうか。

 農水省の統計によると、福島県の酪農牛の飼育数は全国14位。福島市の1世帯当たりの牛乳購入額は県庁所在地で38位、バターは18位。牛乳がたくさん生産されるわけでも、乳製品が特に好まれる土地柄というわけでもなさそうだ。

 それなら、地元でヨーグルトを作っているメーカーに聞いてみようと、市内の福島乳業を訪ねた。

 「福島が消費量1位なのは、うちのおかげですよ」。会うなり、梅宮勇造社長(64)は豪語した。同社のヒット商品「デンマークヨーグルト」は、生乳をふんだんに使い、地方メーカーとしては初めて特定保健用食品を取得した。発売された1998年の翌年から2004年までの間、福島市は5回、1位になっている。

 梅宮社長は「講演会やキャンペーンを行い、ヨーグルトの効用をPRしたことで、『ヨーグルトは体にいい』という認識が市民に定着した」と力説する。

 同社との研究に携わった理化学研究所(埼玉県和光市)バイオリソースセンターの辨野(べんの)義己室長によると、「ヨーグルトは細菌が多い大腸の環境を整えて病気を予防するほか、花粉症などのアレルギーにも効果があります」とのこと。さらに、その味について、「酸っぱいのは乳酸菌によって作られる乳酸のせい。食べるのには、慣れが必要な味ですね」と話してくれた。

 そういえば、市内に、乳酸菌飲料の工場があったことを思い出した。ヒントがあるのではと、市内の福島ヤクルト販売を訪れた。 地元企業が「トクホ」取得 口コミで都内でも販売

 同社相談役の山田廣助さん(88)は、父親の英二さん(故人)と市内で衣料品店を経営していた。だが、終戦後の品不足から経営が難しくなり、55年に同社を作った。ちょうどヤクルト本社創業と同じ年。東北地方では初の販売会社だったという。

 そして、70年代初めには、市民の4人に1人が飲むほど普及。山田さんはヨーグルト1位の理由について「同じ乳酸菌製品のヨーグルトを食べる、味覚の下地ができたのでは」と推測する。

 さらに、このヤクルトの普及が、ヨーグルトの生産を促したとの見方もある。会津坂下町の会津中央乳業の二瓶孝也社長(60)も「牛乳メーカーがヤクルトとの競争で、ヨーグルト製品の開発を進めたからじゃないか」と話す。

 事実、福島には種類も豊富で上質のヨーグルト製品が多い。同社の「べこの乳発 会津の雪」は、口コミで都内でも販売するようになった。人気の秘密は濃厚な味。「添加物は使っていません。牛乳を濾過(ろか)して水分をなくすことで、この味を出してます。おいしいでしょ」と、二瓶社長がうれしそうに説明してくれた。

 福島から帰り、食後にヨーグルトを食べるようになったら、胃腸が軽くなった気がする。今後も“福島流”を続けてみようと思っている。(宮井寿光)

 特定保健用食品 生活習慣病の危険因子を低減する食品。通称「トクホ」。1991年に誕生した。メーカーが提出したデータを食品安全委員会などが評価し、厚生労働大臣が許可する。許可を受けると、トクホのマークとともに、健康上の効用を表示することができる。日本健康・栄養食品協会によると、6月末現在で、589品目が許可を受けており、ヨーグルトなど、乳酸菌を含むものは71品目ある。

父の日は牛乳(ちち)、PR大作戦

2006年5月27日 読売新聞 Yomiuri On-Line

「もーイライラしないで」贈り物に最適!?

 牛乳離れに歯止めをかけようと、全国各地の団体や業者があの手この手の作戦を繰り広げている。

 「父の日に牛乳を贈ろう!」をスローガンに街頭や店頭で呼びかけたり、牛ならぬ馬が活躍する競馬場で、牛乳を無料で配ったり。お茶やスポーツ飲料などの攻勢にさらされ、北海道では余った生乳を捨てる事態になっており、関係者は「新たな牛乳ファンを発掘したい」とPRに懸命だ。

 「父」と「乳」の語呂合わせに目をつけ、「父の日には牛乳(ちち)を贈ろう!キャンペーン」を初めて全国展開しているのは、全国酪農青年女性会議。「牛乳のカルシウムはイライラや血圧上昇を抑える。父親への贈り物にぴったり」と、思い付いたという。

 かわいらしい牛の親子のロゴマークを作成、6月の第3日曜日(今年は18日)の「父の日」に向け、各地の酪農家らがチラシを配布したり、試飲会を開いたりしている。子供たちに牛乳を配り、お父さんにプレゼントしてもらう計画もあり、同会議の隈部洋委員長は「牛乳を贈る習慣をバレンタインデーのように定着させたい」と意気込む。

 札幌市の札幌ロイヤルホテルとセンチュリーロイヤルホテルはこの春から、宿泊客のウエルカムドリンクとして、北海道産の牛乳を振る舞うサービスを始めた。明治乳業(本社・東京)では、牛乳や乳製品を1日3回または3品とるよう、グループ全社員と家族計1万人に、専用のウェブサイトで呼びかけている。

 日本酪農乳業協会は来月4〜11日、佐賀、札幌、名古屋など全国6か所の競馬場でイベントを開催、牛乳を使った料理を紹介する。「新鮮な牛乳も提供します。のどを潤し、気持ちを落ち着けてから、レースを見て下さい」と担当者。

 牛乳の生産量は、1994年度の435万キロ・リットルをピークに減少傾向で、2005年度は379万キロ・リットルにとどまった。それでも、北海道では3月、生産過剰になった生乳約900トンが廃棄された。これを受け、農林水産省などが生乳の一部を開発途上国などへの緊急援助に回せないかどうか検討する事態となっている。

 今月18日、東京・港区のカフェで開かれた牛乳に関するトークショー。北海道が選挙区の中川農相は、元サッカー日本代表の北沢豪さん、女優の菊川怜さんとステージに上がり、「牛乳を飲むと熟睡できる」「刻んだゴーヤーをヨーグルトに入れるとおいしい」と語り、ゴクゴクと牛乳を飲んでみせた。

栄養失調児:校長見かねて、こっそり牛乳飲ます

2006年05月22日 毎日新聞

 家で与えられる食事はコンビニエンスストアの期限切れのおにぎり、菓子パン−−。栄養失調が疑われる児童に、校長がこっそり牛乳を飲ませている小学校がある。校長は「家庭のしつけまで学校が引き受けるのはどうかと思うが、(劣悪な食事の)限度を超えている」と嘆く。食育基本法が昨年夏施行され、国は朝食を取らない小学生をなくそうと呼びかけるが、法の理念とかけ離れた現実に学校現場から悲鳴が上がっている。

 この学校は東京都内の公立小。校長によると、04年春の新入生に体がやせ細り、元気のない男児がいた。授業中きちんとした姿勢を保てず、ぼんやりしていることも少なくなかった。

 昨年4月、男子児童に話を聞くと、コンビニを営む両親から販売用のおにぎりや菓子パンを毎日のように与えられているという。校長は栄養を補うために、給食の牛乳を冷蔵庫に保管、他の児童に知られないよう校長室で毎日飲ませた。

 その後も児童の食生活に改善は見られず、賞味期限切れの食品を与えられていることも分かった。児童も好き嫌いがあり、校長がスープを与えても飲まなかった。栄養失調も疑われたため、見かねた校長は今年3月、保護者を学校に呼び出し、「今は成長期で、脳がつくられる大事な時期。きちんとした食生活をさせないと困る」と諭した。

 母親は「(食事を)作っても食べない」と戸惑った。「食べるように(食材を)小さく切るなど工夫していますか」とたたみ掛けると、両親は互いに責任をなすり合い、けんかを始めたという。

 同校には数年前、「一日の食事はおにぎり1個」という児童がいたが、栄養状態が切迫したため施設に保護してもらったという。校長は「家庭の機能低下は現場で実感している。状況は悪化の一途だ」と憂える。今も男児と別の児童計2人に牛乳を飲ませている。

 政府は食育基本法に基づき今年3月、食育推進基本計画をスタートさせた。そこでは「朝食を欠く国民の割合の減少」を目標に掲げ、10年度までに朝食を取らない小学生をゼロにするとの数値目標を盛り込んだ。

 都教委の昨年の調査で「朝食を必ず取る」と答えた小学生は79.7%、中学生は70.2%。逆に「食べない」「食べないことが多い」という小学生は5.1%、中学生は11%だった。【高山純二】

知りたい:牛乳復活へ知恵しぼり お茶代わり、ペットボトル化も

2006年05月02日 毎日新聞 東京夕刊 <2006・チャンネルYou>

 ◇消費も生産も減少傾向

 牛乳離れが進んでいる。北海道では3月、生産過剰となった集荷済みの生乳1000トンが捨てられ、酪農家は減産傾向を強めている。生産現場の努力に報いようと、牛乳をもっと飲んでもらう新たな取り組みも始まった。【坂巻士朗】

 北海道農協などが廃棄処分を決めた3月16日を境に、道庁農政部長の西山泰正さん(57)は、勤務中の習慣を変えた。「庁舎に着いたら、まず牛乳をコップに一杯。お客さんに出したら一緒に付き合うので、勤務中に5杯は飲んでいます」

 次長、局長ら同部の幹部計5人が飲んでいるため、1日に1リットル入りが5、6本は空くという。費用は自腹だ。「苦労している地元生産者のために、私たちもなんとか力になりたい。職員にも呼び掛けている」と西山さんは話す。北海道内では、牛乳を使ったアイデアラーメンの店も現れた。

 「明治乳業」(東京都江東区)は4月から、牛乳のほか、チーズやヨーグルトといった乳製品を3回の食事に合わせてとるよう、社員と家族計1万人に呼び掛けた。ヨーグルト製造「チチヤス」(広島県廿日市市)も昨秋から社員に同様の協力を求めている。

 牛乳の生産量は、94年度の435万キロリットルをピークに減少傾向となり、04年度は392万キロリットルにとどまった。牛乳離れの理由はどこにあるのか。

 日本酪農乳業協会は、▽朝食など食事の際だけに飲まれる傾向が強い▽健康や美容に良いというイメージが弱まっている−−と分析する。学校給食での消費量が全体の1割を占めるため、少子化の影響も大きい。

 同協会の本田浩次会長は「20代の2人に1人が朝ごはんを抜く現代の生活では、牛乳の消費を朝食時に過度に期待するわけにはいかない。健康面から豆乳や野菜ジュースを選ぶという人にも、牛乳の魅力を十分に伝える努力が必要」と説明する。

 厳しい状況をばん回するため、協会が取り入れようと考えている作戦がある。厚生労働省令で、ガラス瓶か紙パックに詰めるよう決められている牛乳の“ペットボトル化”だ。

 厚労省基準審査課は「省令は1951年に制定されたため、牛乳の容器としてペットボトルは想定されていない。しかし、申請があれば、食品安全の面から認められるかどうか審議する」と説明する。

 牛乳を主成分としたコーヒー牛乳などの乳飲料は02年、既にペットボトル詰めが認められている。手軽に持ち運べる利点があり、本田会長は「省令の改正に向けての話し合いを国と始めている」と前向きだ。

 ペットボトル容器で、売り上げを大きく伸ばしたのは緑茶だ。全国清涼飲料工業会によると、90年は5万5000キロリットルの生産量だったが、00年に500ミリリットル以下の小型のペットボトル容器を本格導入したところ、生産量は1・5倍に増加。その後も毎年1〜4割増を続け、05年は264万キロリットルに上った。

 同工業会は「15年で50倍以上も伸びた製品は他に聞いたことがない。お茶を、ペットボトルで飲めるようにしたことで、食事の時だけではなく、のどが渇いた際の飲み物に変えた点が広く受け入れられた」と指摘する。

 生乳廃棄といった悲しい場面を繰り返さないため、試行錯誤は続く。

牛乳有害説の根拠聞く 新谷さん「臨床データから得た」 /北海道

2006年04月29日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 ベストセラー「病気にならない生き方」(サンマーク出版)などを引用し前回、「牛乳有害説」を紹介したところ、読者の方から「データの裏付けはあるのか」などの質問を頂いた。著者で胃腸内視鏡外科医の新谷弘実さん(71)=ニューヨーク在住=に電話インタビューした。新谷さんは「牛乳が体に良くないのは私自身の膨大な臨床データから得た結論であり、確信を持って言える」と断言した。【聞き手・山田寿彦】

 −−確信の根拠は。

 ◆胃相や腸相の悪い人にがん患者が多い。そういう人の食歴を聞くと牛乳や乳製品、動物食の食べ過ぎという決まったストーリーがあります。そもそも牛乳は子牛が飲むもの。人間が飲むのは自然の摂理に反します。不自然なものを飲むから病気になるのです。

 −−30万例以上の胃腸内視鏡検査をされたそうですが、そんなに多くこなせるはずがないという疑問も元勤務医の方から寄せられました。

 ◆自分を基準に他人の技術をうんぬんしないでほしい。1968年から内視鏡検査を始め、1日に50〜60人見てきました。1人に5分以上かけないし、かからない。お疑いなら見に来て下さい。

 −−ほかにもデータはありますか。

 ◆米国人7万8000人を12年間追跡し、牛乳を飲むほど骨粗鬆(そしょう)症になる関係を明らかにしたハーバード大の研究が5、6年前に発表されました。「牛乳」「毒」のキーワードでネット検索すると700本ぐらいの文献が見つかります。

 −−日本では牛乳でカルシウムが採れると栄養士は言います。

 ◆牛乳を飲むと血中のカルシウム濃度が確かに上がる。しかし、体温や血圧などを一定に保つホメオスタシス(恒常性)という機能が人体にはある。カルシウム濃度が一時的に上がるとまず、腎臓から急激にカルシウムや他のミネラル、ビタミンまで排せつされます。牛乳のたんぱく質も問題で、分子が小さいためにアミノ酸に分解される前に異物として腸から吸収される。体が抗原と認識して抗体ができ、アレルギー体質になります。栄養士にだまされてはいけない。

 −−学校給食に牛乳は毎日出る。栄養士がお墨付きを与えています。

 ◆日本の栄養学が一番の悪です。カロリー計算が中心で、米国から見ると30年遅れている。そんなものに基づいた食育なんかない方がいい。

 −−北海道庁ではお茶代わりに牛乳をと職員に呼びかけています。

 ◆配合飼料を大量に食べさせた不健康な牛から搾り、まずかき回して均等化し、しかも120度以上で高温殺菌した「死んだ牛乳」は過酸化物質です。飲むほど老化を早めます。どうしても飲みたいなら、自然のものだけを食べさせた健康な牛から搾った牛乳(高温殺菌でないもの)を少し飲むぐらいにして下さい。

 −−牛乳がだめとなると酪農家は困ります。

 ◆酪農家は牛を飼うより大豆や野菜、米などを作り、食料自給率を上げることに貢献した方がいい。政府がそれを奨励すべきです。中国が世界の余剰穀物を買い占めるようになると、日本は食糧危機に襲われますよ。

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 ■人物略歴

 ◇しんや・ひろみ

 福岡県生まれ、順天堂大医学部卒。大腸内視鏡によるポリープ手術に世界で初めて成功。これまでに9万例以上のポリープを切除している。アルバート・アインシュタイン医科大外科教授。「病気にならない生き方」は75万部を超えるベストセラー。

妊娠中の牛乳摂取量が250mL/日以下であった女性の新生児の体重は軽い

2006-04-28 -Bio Today

 カナダのカルガリーで実施された出生前プログラムに参加した19-45歳の女性を対象にした調査で、妊娠中の牛乳の摂取量が250mL/日以下であった女性の新生児は、妊娠中に牛乳を250mL/日より多く飲んでいた女性の新生児に比べて体重が有意に軽いという結果となりました。 [この記事全文を読むには有料会員登録が必要です]

牛乳生産調整呼び掛け/県が方針 供給過剰抑制へ

2006年04月13日福島民報

 県は12日までに、県内の酪農家に牛乳の生産調整の実施を呼び掛ける方針を固めた。少子化により昨年度の学校給食での牛乳供給量が過去最低を更新したことなどを受けた初めての対応で、だぶつき防止につなげる狙いがある。

 県は生産調整の方法として8、9歳以上の高齢牛に代え、若い乳牛を導入することを想定している。産後間もない牛の場合には搾乳までの期間が1年以上かかるため、結果的に生産量の抑制につながる。子牛の哺育(ほいく)を飼料でなく生乳で行うことも検討してもらう方針で、牛乳の供給過剰による酪農家の収益減を極力防ぐ考えだ。生産者団体と連携し、県内700戸の酪農家に協力を求める。

産経抄

平成18(2006)年04月11日 The Sankei Shimbun

 イチゴの出盛りである。そのまま食べるのが一番だが、筆者の子供のころのイチゴは今ほど甘くなく、砂糖と牛乳を加えてつぶし、ピンク色に染まった「イチゴミルク」にするのが、風呂上がりの何よりの楽しみだった。その牛乳に逆風が吹いている。

 ▼ジュースや炭酸飲料、最近は緑茶やミネラルウオーターと、競合商品は増えるばかり。平成十二年に発生した雪印乳業の集団食中毒事件も「牛乳離れ」に拍車をかけた。少子化の影響で、学校給食用の需要も減っている。栄養満点が売り物なのに“有害説”を唱える専門家まで出てきた。

 ▼消費の低迷は、とうとう先月末の北海道で、千トンもの牛乳が廃棄されるという異常事態にいきついた。酪農家の無念は想像に余りある。捨てるぐらいなら、余った分を買い上げ、飢餓に苦しむ国々への緊急援助にまわすという政府のアイデアは悪くないと思っていた。

 ▼もっとも『これからの酪農と牛乳の栄養価』(幸書房)の著者、藤田哲さんに話を聞くと、納得していない様子だった。そもそも生産過剰の原因は、政府と農協が進めてきた、酪農家の経営規模の拡大だという。

 ▼乳牛の飼育頭数を増やせば増やすほど、酪農家は経営の効率化が求められる。牛は牛舎に閉じこめられ、一頭当たりの乳量を増やすために、トウモロコシなど輸入穀物を主成分とする配合濃厚飼料がせっせと与えられる。

 ▼これに対して、藤田さんは、山地や過疎地に適正規模の牛を放牧する酪農があるべき姿だと主張する。特徴のあるチーズの自家製造など、小規模経営ならではの強みもある。何より飼料用穀物の大量輸入をやめれば、その分途上国への食料増産も可能になる。異論もあろうが、傾聴すべき意見だと思う。

余剰牛乳、農水省が買い上げ海外援助に活用へ

2006/04/05 The Sankei Shimbun

 牛乳が生産過剰で生乳約1000トン(1リットルパックで100万本)が廃棄処分された問題で、農水省は余っている生乳を買い上げ、開発途上国や被災国への緊急援助に活用する方針を決めた。生産過剰による食料援助は初めて。外務、財務両省と協議の上、期間、方法などを検討し、要請のあった国に援助する。

 中川昭一農水相は「(生乳の)生産調整や廃棄処理は大変もったいない。有効利用できないか」とし、「緊急かつ例外的」に援助を行えるように小泉首相に報告。小泉首相は「もったいない。ぜひ有効活用を考えてほしい。もっと長持ちする方法はないのか」と話したという。

 北海道では1万トンを減産の生産調整を決定し、低能力牛の整理や子牛に生乳を飲ませるなどの対策をとってきたが、ホクレン農業協同組合連合会が処理しきれずに1000トンを産業廃棄物として処理。「大規模廃棄は全国で初めて」(農水省畜産部)という。地域の農協や生産農家でも廃棄されている。

 牛乳は高カロリーのイメージのため、豆乳や茶系飲料、ミネラルドリンクに押され、平成16年から前年比3%を超える消費減少が続いている。一方、生産は昨年9月から前年比増に転じ、余った生乳を脱脂粉乳などに加工する工場も処理できない状態。さらに先月下旬から春休みに入り、給食がないため、需要が落ち込んでいる。

 援助対象の物資としては、約8万トンと2倍近い過剰在庫となっている脱脂粉乳やロングライフ牛乳など、保存できる乳製品になる見込み。

 これまでに海外への乳製品の援助は、昭和45年度に東パキスタン(当時)に1100トンの脱脂粉乳が送られたほか、57年に880トンがチャドに送られるなど計6回行われている。

供給過剰で廃棄の牛乳、脱脂粉乳で最貧国などの支援へ

2006年04月04日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 中川農相は4日の閣議後会見で、国内の供給過剰で大量に捨てられている牛乳を脱脂粉乳にして、最貧国などの支援に回す方針を表明した。

 同日午前、この方針を小泉首相に報告し、首相も「もったいないな」と同意したという。

 牛乳は消費低迷で供給過剰になっており、ホクレン農業協同組合連合会(札幌)は先月、生乳約1000トンを廃棄した。

 農相は「有効利用の一つとして、世界中で栄養不足、飢餓で困っている人に緊急、かつ例外的に牛乳を活用した援助を進めていきたい」と述べた。

 政府は1970年〜82年に、脱脂粉乳の援助を行い、ベトナムやチャドなど6か国に100〜1100トンを送ったことがある。

牛乳を援助に活用検討 生産過剰対策で農水相

2006/04/04 The Sankei Shimbun

 中川昭一農水相は4日の記者会見で、北海道などで生産過剰の状態に陥った国産牛乳を、栄養不足や飢餓に苦しむ国・地域向けの緊急援助に活用する方向で検討する考えを示した。農水相は同日、小泉純一郎首相にこの方針を伝え、了承を得た。

 主産地の北海道では、飼料の出来具合が良く計画を上回る形で出荷量が増加したため、「ホクレン農業協同組合連合会」(札幌市)が3月に生乳約1000トンを廃棄処分。農相は「牛乳が余り、生産者団体自らが廃棄処理をやるのは大変もったいない」と指摘した上で、外務省などと協力して今後、援助先や数量などの具体策を詰める方針を示した。

 牛乳は脱脂粉乳などに加工しないと長持ちしない難点があることから、保存技術の開発などの取り組みも進める。

生乳減産<上>

2006年04月04日 読売新聞 Yomiuri On-Line

全国的な牛乳離れ 背景に

 道内の生乳生産量が、2006年度、13年ぶりに減産される。消費量が低迷し、3月に1000トンの廃棄が始まるなど、生乳が余る事態に陥ったためだ。豆乳やスポーツドリンク、ミネラルウオーターなどが次々と発売され、全国的に牛乳が飲まれなくなったことが背景にあり、道内の生産者やメーカーも対応に動き出した。

 「簡単には解決しない」

 「減産の苦い経験を繰り返さないよう努力してきたのに」。約210の酪農家で年間約12万トン以上の生乳を生産する中標津町農協の高橋勝義組合長は、顔をしかめる。

 前回の減産は1993年度のこと。景気低迷で消費量が落ちたことに加え、91年の牛肉輸入自由化で子牛の価格も下がった。農家が収入確保のために生乳の生産量を増やしたことも加わり、牛乳がだぶついていたという。牧場には人が飲めないように赤い色を付けた「ピンク牛乳」があふれた。高橋組合長は「今回は需要の問題だけに、簡単には解決しない」と危機感を募らせる。

 日本酪農乳業協会によると、2005年度に道内で生産される生乳は389万トンとなる見通しで、全国の830万トンの半分を占める。生産の伸びも全国の0・2%増に対し、1・9%と伸び幅が大きい。

 生乳は全国の生産量が決められ、地域ごとに割り振られる計画生産が行われている。販売は指定された団体を通じて行われる仕組みで、道内ではホクレン農業協同組合連合会が乳業メーカーに販売している。

 道内の酪農の最大の特徴は、飲用の少なさと、加工原料用の多さだ。生乳は牛乳として飲まれるほか、バターと脱脂粉乳の原料として使われる。飲用は保存できる期間が短いが、高く売れるため、消費地が近い関東地方などは飲用の割合が高い。逆に輸送コストの高い道内はほぼ半分が加工原料用だ。

 04年度の内訳を見ると、飲用が89万トン(24%)、加工原料用が176万トン(47・5%)だ。飲用のうち69万トンは道外に運ばれるため、飲用の需要が減れば、大量の生乳が道内にとどまることになる。

 模索続く生産者

 JA道中央会は「消費量の急な拡大は見込めない」と話す。そこで出てきた対応策が減産だ。06年度の生産量を前年度の97%に抑え、3年間続ける。一部の生産者が生産量を90%の水準に落とし、各農家が拠出した調整金を受け取る仕組みだ。一律の減産にしなかったのは道内酪農家は規模が大きく、多額の設備投資が必要になるため。減産で売上高が減れば、資金繰りが悪化してしまう酪農家も出てしまう。

 今のところ、応じたのは全体の1割程度。3割の酪農家が10%減産すれば、残る酪農家は従来通りの量を生産できるため、同会は来年度以降も参加を呼びかけるという。減産に応じても、応じなくても、経営を圧迫することには変わりない。高橋組合長は「厳しい。しかし、経営のムダをそぎ落とす機会と考えてほしい」と訴える。経営強化に向け、生産者の模索が続く。(深谷敏之)

生乳減産<中>

2006年04月05日 読売新聞 Yomiuri On-Line

酪農家 戸惑いの声

 広々とした牧草地の中で乳牛がのんびりと草をはむ。観光雑誌やパンフレットでよく見かける道内の風景だ。それだけに、道産牛乳はイメージも良い。品質も高く、生産の効率化も進んでいる。農家の努力の結果だが、減産という事態に戸惑いの声も聞かれる。

 品質維持に努力

 牧草地の中にサイロが点在する根室・中標津町。道内でも酪農が盛んな町だ。乳牛約170頭を飼育する高橋正一さん(42)は「酪農家は皆、おいしく飲んでもらおうと努力している。生乳を廃棄するのは本当に残念」と話す。

 高橋さんは10年ほど前に畑作と酪農から、酪農一本に切り替えた。働き手は高橋さん夫婦と両親。少人数でも効率的に働けるよう、1億円近くを投資して牛舎や搾乳施設を整えた。朝5時と夕方5時ごろの2回、90頭の牛を1時間半かけて搾り、今では年間約850トンの生乳を生産している。

 高橋さんが最も力を入れるのは品質だ。品質の目安の一つとして、生乳に含まれる細菌の数がある。高橋さんの場合、最低レベルの1ミリ・リットルあたり1000以下だ。これは、高橋さんが機器や乳首を清潔に保つことで実現した数字だ。菌が付着しやすいゴムの部分は早めに交換。機器を洗う際の温度にも気を配る。

 施設内の柱や壁にはあらゆる場所に、部品の交換時期などの情報がびっしりと書き込まれたカレンダーが掛けられている。高橋さんは「書いておかないと忘れちゃう。誰が作業しても品質が維持できるように、家中のカレンダーをかき集めている」と話す。

 餌は収穫した牧草を発酵させたものを与えている。牛は草を体内の微生物で分解し、消化するため、発酵した餌を与えることで胃の中の成分が一定になる。手間はかかるが「常に高品質の乳が得られる」という。質の高い牧草を育てるため、ふん尿も牧草地の肥料として利用する。

 さらに、牛は病気になったり、ストレスをためたりすると、乳の中の白血球が増える。そのため、細かく刻んだわらでベッドを作り、牛舎の床を常に機械で掃除して牛にストレスを与えないようにしている。

 厳しい家族経営

 それだけに「やはり、出来るだけ作りたい」と話す。大きな設備投資をしているため、償還も必要だ。そのため、10%もの減産には応じられなかったという。

 乳価が下がっても、規模を拡大すればコスト削減は可能だ。実際、道内では法人化して規模を拡大しているケースも少なくない。しかし、高橋さんは「家族経営では年間1000トンが一つのライン。それ以上は厳しい」と話す。道内で多数を占めるのも家族経営だ。減産期間は3年間。3年後に需要が増えている保証はなく、今後も厳しい状況が続く。(深谷敏之)

生乳減産<下>

2006年04月06日 読売新聞 Yomiuri On-Line

味の良さ前面に新商品

 「牛乳余り」の状態を解決する最大の方法はやはり、消費の拡大だ。そのためには、かけ声だけでなく、より高品質な牛乳、付加価値の高い乳製品が必要になってくる。道内の乳業メーカーも「牛乳復権」を目指し、模索を続けている。

 「道産」使用をPR

 「より、牛乳そのもののおいしさを味わってもらえるはず」。濃い赤色のパックを前に、日本ミルクコミュニティ札幌工場の市野文則工場長は自信を見せる。パックは同工場が今春から生産を始める新製品「牛乳が好きな人のメグミルク」で、5月9日の道内発売に向け、準備を進めている。

 牛乳は、生乳からゴミなどを取り除いた後に加熱殺菌して作る。この商品は加熱の直前、低圧にさらすことで生乳の中に含まれている酸素を取り除くことが最大の特徴だ。市野工場長は「酸素が残っていると加熱の際に成分が酸化し、味が落ちる」と話す。ライバルの明治乳業や森永牛乳業もすでに、味の良さを前面に出した商品を投入しており、満を持しての登場。市野工場長は「消費の拡大につながるのではないか」と話す。

 同工場は牛乳や加工乳、コーヒー牛乳など年間約6万6000トンを生産。岩見沢市や滝川市などから年間約4万トンの生乳を受け入れている。操業は1926年と、長い歴史を持つが、牛乳の需要減は頭の痛い問題だ。市野工場長は「牛乳に限れば、ここ2〜3年で9割程度に落ちていると思う」と話す。

 その一方で、人気を集めている商品もある。脂肪が少ない牛乳「低脂肪牛乳」だ。生乳に水と脱脂粉乳を加えた「低脂肪乳」と異なり、生乳から脂肪分である生クリームを除いたもの。味の良さとカロリーの低さが受け、道外にも出荷しているという。2月には善玉菌を使った新商品のヨーグルト「恵 megumi」も発売。牛乳製品の消費拡大に期待を寄せる。

 他社も新商品も相次いで投入する。よつ葉乳業(札幌市)は3月にニンジンやセロリ、ホウレンソウなど6種類の野菜を含んだヨーグルト商品「よつ葉サプリメントヨーグルト 野菜&食物繊維」など3商品を発売。同時に「よつ葉北海道十勝プレーンヨーグルト生乳100」で特定保健用食品の表示許可を取得した。いずれも道産生乳を使っていることを前面に出す。「道内企業として、道産牛乳の消費拡大につなげたい」と意気込む。

 チーズ生産に期待

 道内の酪農関係者が生乳の使い道として期待を寄せるのがチーズだ。チーズは生産するのに10倍の量の生乳を使う。輸入量も多く、国産品の需要拡大も見込める。2007年度末に明治乳業が十勝・芽室町に国産ナチュラルチーズの新工場を建設することも追い風になる。この工場は年間20万トンの生乳処理が可能で、年間2万トンを生産する。

 ホクレン農業協同組合連合会の板東寛之・酪農部長は「チーズは生乳の質がそのまま出る。高品質な道産生乳の利点が活用できる」と期待する。今後、消費者にどれだけ道産牛乳の味を伝えられるか、生産者やメーカーの取り組みが問われる。(深谷敏之)

知っておきたい「牛乳有害説」 胃相・腸相が悪くなる /北海道

2006年03月25日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 ◇大腸炎もできる−−米国の医科大教授・新谷氏

 牛乳が生産過剰に陥り、1000トンの廃棄処分が決まった。ホクレンなどは消費拡大に躍起だ。牛乳は健康に良い食品だと一般に信じられているが、牛乳が実は人体に害を及ぼすとの主張も根強く存在する。酪農王国・北海道には悩ましいが、消費者として「牛乳有害説」も知っておきたい。

 「病気にならない生き方」(サンマーク出版)は現在65万部のベストセラー。「胃腸は語る」(弘文堂)は98年の刊行以来11万部。著者は米国アルバート・アインシュタイン医科大外科教授で胃腸内視鏡外科医の新谷弘実氏。30万例の胃腸を診察した目で数々の“健康の常識”を覆す。その一つが牛乳神話だ。

 大部分の人の胃相・腸相は「牛乳を飲むことによって悪くなり、難病ともいえる悪性炎症性の大腸炎もできる」。牛乳が子供たちのアレルギー体質を作ることや、飲み過ぎが骨粗しょう症を招く危険性も紹介している。

 出版社や新谷氏の事務所によると、牛乳メーカーや農協から抗議などは一切ないという。

 生活習慣病予防のための「食事バランスガイド」=イラスト=を昨年作成した厚生労働省に聞いた。ガイドによると、1日に必要な牛乳・乳製品は牛乳換算で180CC。牛乳有害説の評価について「それは内閣府の食品安全委員会の所管」(生活習慣病対策室)との回答だった。

 食品安全委員会は「厚生労働省から特に要請がないのでそのような審議はしていない。見解もない」(事務局)。典型的なたらい回し。行政も牛乳批判を無視・黙殺していることが理解できた。

 道の健康増進計画の素案にもこのバランスガイドが引用されている。立案した地域保健課の担当者に新谷氏の著書を示すと、「それが正しいと言える根拠はどこにあるのか。日本人のカルシウム不足は牛乳で補うべきだと考える専門家の方がはるかに多いのではないか」。続けて「(牛乳が問題だという)国の情報はない。だから国と同じ見解です」。「地域主権」が聞いてあきれる。

 宗谷管内豊富町の酪農家でチーズやアイスクリーム作りも手掛ける久世薫嗣(しげつぐ)さん(62)は牛乳・乳製品を否定する立場ではない。しかし、日本で主流の超高温殺菌牛乳(130度、2秒殺菌)の問題点を次のように指摘する。「予備加熱(85度で15〜20分)でたんぱく質が熱変性し、発がん物質ができる可能性を指摘する学者もいる。カルシウムも熱で不溶解性のものに変化するので吸収されなくなる。これが一番大きな問題です」

 久世さんは牛乳は低温殺菌(65度で30分)で飲むことを勧める。そして、問題だらけの牛乳を生み出している効率優先の生産・加工・流通のシステムを問い直すべきだと訴える。【山田寿彦】

牛乳100万本廃棄 「太る」印象、消費者敬遠 牧草スクスク、生産過剰

平成18(2006)年03月19日[日] The Sankei Shimbun

 高カロリー・高脂肪のイメージで健康ブームに乗り遅れた形の牛乳が大量に余り、廃棄処分される異例の事態になっている。「ホクレン農業協同組合連合会」では十八日から、千トン(一リットルパック百万本相当)の廃棄を始めた。昨夏の猛暑で牧草の生育が良好で生産過剰になり、飲料として余った牛乳を加工処理する工場がフル稼働しても追いつかない状況だ。さらに今後は春休みで給食がなくなり消費が激減、合計一万トン以上が廃棄処分される可能性が高い。

 ホクレンは北海道内三カ所の工場で、月内をメドに約二千万円かけて千トンの廃棄処分を始めた。「こんなことは初めて。もったいないし、残念」と板東寛之酪農部長。農水省によると、ホクレンのような大規模生産者団体の廃棄は初めて。

 乳牛四百五十頭を抱える北海道豊頃町の「Jリード」(井下英透代表)では今月初め、二十八トンを廃棄した。一リットルパック二万八千本に相当する量だ。二月まで一日十二トンだった出荷量を今月から五トンに減らされた。「それでも廃棄処分せざるを得なかった」と井下代表は話す。ほかの農家も同様という。

 牛乳の消費量は平成十六年から、前年比3%を超える減少が続いている。栄養豊富=太るという誤ったイメージが先行、他の健康飲料に押されている。百世帯当たりの対前年同期比で、豆乳108%、茶系飲料104%、スポーツドリンク111%、ミネラルドリンク106%と他の飲料が伸びているのに対し、牛乳だけが93%と大きく落ち込んだ。

 日本酪農乳業協会では「対策が遅れたのは確か。イソフラボンやカテキンのように、大人に飲んでもらえるように健康に直結するイメージ作りで消費を拡大したい」とPR活動の必要性を訴えている。

 これに対し、生産は昨年九月から前年比増に転じた。牛乳は飲料として消費されなかった場合、脱脂粉乳やバターに加工される。現在、北海道などで一日五百トン以上の牛乳を全国の工場に分散させ、フル稼働で処理している。

 しかし、脱脂粉乳からの加工品のうち56%を占める加工乳が十二年の雪印食中毒事件以降、急減し、昨年は事件当時の七割以下。バターも用途の30%に当たるパンの需要が十三年から前年割れを続け、在庫が積み上がっている。脱脂粉乳とバターを合わせた在庫は、一月現在で十一万トンと適正の二・五カ月分を上回る六カ月分に膨らんだ。

 今後はさらに深刻だ。暖かくなるにつれ、一頭当たりの乳量が増加。北海道では三月から四月にかけ、過去最高の生産が予想され、そこに小中学校の春休みも重なる。消費量全体の10%を占める給食が二週間以上なくなり、その時期だけで四万トン以上の牛乳が余ることが予想されている。

 生産者団体のJAなどは急遽(きゅうきょ)、余った牛乳を子牛に与えたり、高齢の牛を食用に回すことなどを呼びかけたりしているが、「減産といっても、工場と違い搾乳は休むわけにはいかない。乳房炎などの病気になってしまう。牛は生き物で蛇口じゃない」(井下代表)との反発は強い。

 ホクレンでは春休み中、道内のスーパーなどで一リットルパックに二百ミリリットルパックのサービスを行う。板東部長は「厳しいのは分かっているが、これ以上の廃棄はしないよう最大限の努力をする」と話す。

 農水省生産局畜産部では「現在でも加工工場が手いっぱいで綱渡りの状態だ。今後、減産がうまくいくかは不透明で危機的状況」としている。

牛乳100万本廃棄 「太る」印象、消費者敬遠 牧草スクスク、生産過剰

2006年03月19日(日)(産経新聞)Gooニュース

 高カロリー・高脂肪のイメージで健康ブームに乗り遅れた形の牛乳が大量に余り、廃棄処分される異例の事態になっている。「ホクレン農業協同組合連合会」では十八日から、千トン(一リットルパック百万本相当)の廃棄を始めた。昨夏の猛暑で牧草の生育が良好で生産過剰になり、飲料として余った牛乳を加工処理する工場がフル稼働しても追いつかない状況だ。さらに今後は春休みで給食がなくなり消費が激減、合計一万トン以上が廃棄処分される可能性が高い。

 ホクレンは北海道内三カ所の工場で、月内をメドに約二千万円かけて千トンの廃棄処分を始めた。「こんなことは初めて。もったいないし、残念」と板東寛之酪農部長。農水省によると、ホクレンのような大規模生産者団体の廃棄は初めて。

 乳牛四百五十頭を抱える北海道豊頃町の「Jリード」(井下英透代表)では今月初め、二十八トンを廃棄した。一リットルパック二万八千本に相当する量だ。二月まで一日十二トンだった出荷量を今月から五トンに減らされた。「それでも廃棄処分せざるを得なかった」と井下代表は話す。ほかの農家も同様という。

 牛乳の消費量は平成十六年から、前年比3%を超える減少が続いている。栄養豊富=太るという誤ったイメージが先行、他の健康飲料に押されている。百世帯当たりの対前年同期比で、豆乳108%、茶系飲料104%、スポーツドリンク111%、ミネラルドリンク106%と他の飲料が伸びているのに対し、牛乳だけが93%と大きく落ち込んだ。

 日本酪農乳業協会では「対策が遅れたのは確か。イソフラボンやカテキンのように、大人に飲んでもらえるように健康に直結するイメージ作りで消費を拡大したい」とPR活動の必要性を訴えている。

 これに対し、生産は昨年九月から前年比増に転じた。牛乳は飲料として消費されなかった場合、脱脂粉乳やバターに加工される。現在、北海道などで一日五百トン以上の牛乳を全国の工場に分散させ、フル稼働で処理している。

 しかし、脱脂粉乳からの加工品のうち56%を占める加工乳が十二年の雪印食中毒事件以降、急減し、昨年は事件当時の七割以下。バターも用途の30%に当たるパンの需要が十三年から前年割れを続け、在庫が積み上がっている。脱脂粉乳とバターを合わせた在庫は、一月現在で十一万トンと適正の二・五カ月分を上回る六カ月分に膨らんだ。

 今後はさらに深刻だ。暖かくなるにつれ、一頭当たりの乳量が増加。北海道では三月から四月にかけ、過去最高の生産が予想され、そこに小中学校の春休みも重なる。消費量全体の10%を占める給食が二週間以上なくなり、その時期だけで四万トン以上の牛乳が余ることが予想されている。

 生産者団体のJAなどは急遽(きゅうきょ)、余った牛乳を子牛に与えたり、高齢の牛を食用に回すことなどを呼びかけたりしているが、「減産といっても、工場と違い搾乳は休むわけにはいかない。乳房炎などの病気になってしまう。牛は生き物で蛇口じゃない」(井下代表)との反発は強い。

 ホクレンでは春休み中、道内のスーパーなどで一リットルパックに二百ミリリットルパックのサービスを行う。板東部長は「厳しいのは分かっているが、これ以上の廃棄はしないよう最大限の努力をする」と話す。

 農水省生産局畜産部では「現在でも加工工場が手いっぱいで綱渡りの状態だ。今後、減産がうまくいくかは不透明で危機的状況」としている。

チーズ値上げ…各社9%前後

2006年01月28日 読売新聞 Yomiuri On-Line

中国やロシアでの需要増などで

 小岩井乳業(本社・東京)は27日、家庭用の加工チーズ19品目を3月1日から平均8・9%値上げすると発表した。

 雪印乳業も14品目を2月出荷分から平均9・6%値上げするほか、明治乳業も15品目を3月1日から同9・1%引き上げる。円安や原油高で輸送費や包装資材のコストが上昇したのに加え、中国やロシアなどの需要増で、国際的にチーズの原料や製品が品薄になっているため。特に中国では、所得水準の上昇で都市部を中心に洋食化が進み、ハンバーガーやピザなどを食べる人が急増している。中国の経済成長が、日本の食卓にも影響を与えた格好だ。

 チーズはバターやヨーグルトなどより長期保存や運搬がしやすい。乳製品の中では例外的に輸出入が盛んな品目で、日本は8〜9割を輸入に頼っている。このため原油高による運送費の上昇や、国際的な需給ひっ迫の影響を受けた。各社は昨年春ごろから、チーズの容量を1割程度減らすなどしてきたが、企業努力では対応しきれなくなった。バターなど国産比率が高い乳製品には値上げの予定はないという。

知ってる? チーズこっそり値上げ

2005年11月19日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 中国などで消費が拡大し、ナチュラルチーズの国際相場が急騰している。輸入ナチュラルチーズを原料として国内メーカーが生産するプロセスチーズなども値上げを余儀なくされているが、希望小売価格を抑えたまま商品の容量を少なくしている例が目立つ。“見えにくい値上げ”が行われている実態を、消費者も知っておく必要がありそうだ。

 国内メーカーなどで作る「チーズ普及協議会」(東京)によると、日本では、加工して保存性を高めたプロセスチーズなどの原料となるナチュラルチーズの大半を、海外からの輸入に依存している。オーストラリア、ニュージーランド、欧州からの輸入が多いが、最近は中国やロシアで、食生活の変化、経済発展によってチーズの需要が急増するなどして、輸入価格が2003年の上半期に比べて、現在は40%ほど上昇しているという。

 同協議会専務理事の伊藤晋治さんは、「過去に例のない高騰で、原料の値上がり分を製造段階で吸収できなくなっています」と話す。

 ところが、国内のほとんどのメーカーは、店頭での希望小売価格を高くする「値上げ」の代わりに、主力商品を中心に「容量変更」と呼ばれるサイズダウンを今年春から秋にかけて実施している。

 例えば、雪印乳業(本社・東京)の「ベビーチーズ」(4個入り80グラム、150円)は、9月から1個あたりの容量を20グラムから18グラムに1割減らし、4個入りで72グラムに変更した。希望小売価格は150円のままなので、1グラム単位で換算すると約0・2円の値上げとなっている。

 明治乳業(同)の「カマンベール入り6Pチーズ」(6個入り150グラム、300円)の場合は、10月から1個の容量を25グラムから20グラムに減らし、希望小売価格も300円から250円に下げた。だが容量が減った分の値下げにはなっておらず、1グラム単位では約0・08円の値上げとなっている。

 すべての商品について変更があったわけではなく、雪印乳業では「パッケージの大きさを変える必要がある箱入りのものなどは除外し、袋詰めの商品などを対象にしました」としている。

 新たな容量はパッケージなどに表示されているが、変更の経緯や事実上の値上げになっていることなどは、消費者向けにほとんど説明されていない。これについて六甲バター(本社・神戸市)では「ふだんの価格が変わることには抵抗感があると見られるので、容量の方を少なくする手段を採用しました」と話す。

 今後についてメーカー側は、「高騰が続くようであれば、値上げも視野に入れて検討せざるを得ない」(明治乳業)などと見ている。

 日本消費者連盟事務局長の水原博子さんは、「私もチーズを買うけれど、気付きませんでした。これは値上げ隠しです。理由や経緯を消費者にきちんと説明しないと、企業に対する信頼感は失われてしまいます」と話している。

 国内メーカーのチーズのサイズと希望小売価格(税別)の変更例

 【雪印乳業】

 ベビーチーズ(4個入り80グラム150円→同72グラム150円)

 とろけるナチュラルチーズ(クッキング用)(200グラム360円→180グラム330円)

 【六甲バター】

 QBBベビーチーズ(4個入り80グラム160円→同72グラム160円)

 QBB徳用スライス(16枚入り256グラム400円→同240グラム400円)

 【明治乳業】

 明治北海道十勝ベビーチーズ(4個入り80グラム150円→同72グラム150円)

 明治北海道十勝カマンベール入り6Pチーズ(6個入り150グラム300円→同120グラム250円)

 【森永乳業】

 クラフトカマンベール入り6P(6個入り150グラム300円→同120グラム250円)

新しい旋風を巻き起こすか?最新米国ダイエット事情。

2005/01/07 narinari.com Written by Maki K Wall@駐米特派員

 日本に帰省するたびに家族から「太ったんじゃない?」と言われて落ち込み、ダイエットするぞ!と闘志に燃えるウォール真木。ところがひとたびアメリカに帰ってくると、もうイキナリ挫折してしまいます。だって周りがビッグサイズな人達ばかり。そんな中で自分はまだまだスリムだと錯覚してしまい、思わず気を抜いてしまうんですよねー。いやはや、こりゃいかん……(汗)。

 健康に気を使い、スタイルに気を使う「ダイエット大国」として名高いアメリカ。でもそれは「肥満大国」という土台があるから生まれた、実は不名誉なステイタスなのです。近年の統計では成人した国民の6割以上が肥満体型という結果が出て、もうここまで来たかと……。もはや流行病とまで言われています。本気で国家をあげてのダイエットに取り組まないと、糖尿病や心臓疾患などで病人だらけになっちゃう!と、政府がプログラムを組んで国民に働きかけていますが、それもある意味痛ましい現実(涙)。

 そんなワケで、日常的に「いかにスリムダウンするか?」で頭を悩ますアメリカ人。毎日のようにダイエットに効果のある食生活やエクササイズがメディアで取り上げられています。食品メーカーはこぞって、自社の製品が「いかにダイエットに役立つか」ということを強調したマーケティングを展開。だって昨今の消費者には、それが一番効果のあるメッセージですから。

 そんな1例が、アメリカで認知度を上げてきた「乳製品ダイエット」。全米の牛乳製造業者がスポンサーとなって、キャンペーンをしている新しい減量方法です。その名も「24/24ミルク・ダイエット」。なんでも毎24時間に24オンス(720ml.)の低脂肪牛乳を摂取すると、体脂肪(特にお腹周りのぜい肉)を減らす効果があるんだそうで……。

 2424milk.comの公式ページによると、肥満体型の人達を集めたふたつのグループに集まってもらい実験。同様の運動量や摂取カロリーというダイエット・プランで生活してもらったそうです。ただし片方のグループには1日の食事に24オンスの低脂肪牛乳を組み入れ、もう片方には1/3の量の牛乳と、あとはカルシウム・サプリメントで……という違いで。すると牛乳を大量に摂取したグループは、もう一方に比べて明らかに体重が減っていたんだそう。平均にして24週間で10キロほどのダイエットに成功しました。

 どうやら乳製品が含む「特別」なカルシウムやたんぱく質が、体内の脂肪燃焼を助けるらしいのです。そしてカロリーにさえ注意すれば牛乳でなくてもヨーグルトやチーズなどでも同様の効果があるんだそう。

 720ml.といえば、ちょっと大きめのグラスに毎食一杯飲めばちょうどそのくらいの量になります。牛乳なら手軽に手に入るしお値段もそんなに負担にならないので、今アメリカではちょっとしたブームになっているんですね。

 ウォール真木も2度の出産でずん胴になってしまったお腹周りが悩みの種……。きゅっと引き締まったウエストを目指して、今日から牛乳を沢山飲むことにしましょうかね(笑)。

牛乳で大腸がんの危険低下 コップ2杯半で12%減

2004/07/07 Kyodo News (YAHOO!ニュース

 【ワシントン6日共同】牛乳やカルシウムには大腸がんの危険を低下させる効果があることが分かったと、米ハーバード大などのグループが7日付の米国立がん研究所雑誌に発表した。

 欧米5カ国で行われた10の疫学調査(計約53万人が参加)のデータを分析した結果、1日当たり500グラム(200ccのコップ約2杯半)の牛乳を飲むと、大腸がんの危険が12%減少することが明らかになったという。

 カルシウムの大腸がん予防効果は動物実験では指摘されていたが、人への効果が大規模調査で判明したのは初めて。

 調査は主に1980年代に行われ、6−16年にわたって追跡。牛乳とヨーグルト、チーズの摂取と大腸がんの関係を調べたところ、ヨーグルトでも予防効果を示す傾向がみられたが、統計データで予防効果が確認されたのは牛乳のみだった。

 カルシウムについては、摂取量が1日1000ミリグラム以上になると、それ以下の場合に比べ女性は15%、男性は10%、大腸がんの発生が減るとしている。(共同通信)

牛乳の「人工ホルモン不使用」表示は不当か(下)

2003/09/19 Hot wired Japan

Kristen Philipkoski [日本語版:鎌田真由子/高森郁哉]

 (9/18から続く)

 モンサント社は、rBSTを投与した牛の牛乳は、投与していない牛の牛乳と全く同じなので、rBSTを使用しているかどうかを見分ける検査方法の開発は不可能だと述べている。だが、コーネル大学のロン・ゴアウィット教授は、検査する技術があると話す。

 ゴアウィット教授は、1995年に乳または乳製品の成分を検査して、母体の動物に成長ホルモンが使用されたかどうかを判定する技術の特許を取得した。しかし、FDAが認可するような検査方法を開発しようとする試みは、企業の政略によって妨害を受けてきたとゴアウィット教授は話す。

 確かに、rBSTを投与した牛の牛乳を飲んでも人の健康には全く影響しないかもしれないが、賢い消費者が自分の飲む牛乳がどのように生産されているかを知る権利はある、というのがゴアウィット教授の意見だ。

 「人は自分たちが消費しているものについて知るべきだというのが、私の確固たる信念だ。自分が食べたり飲んだりするものは各自に選ばせようではないか」

 しかしゴアウィット教授は、FDAから承認を得られる検査方法を開発するための資金、約20万ドルをまだ調達できていない。

 コーネル大学の終身在職権を持つゴアウィット教授は、1990年代初頭にデイル・バウマン博士と協力し、モンサント社のためにrBSTを開発した。ゴアウィット教授はさらに、ホルモンを使って生産された牛乳を検知する検査方法を開発しようとしたところ、同僚たちは手を引いてしまい、上司であるバウマン博士との関係も悪化してしまった。

 バウマン博士は報道関係者にゴアウィット教授の検査方法を非難する覚書を送っている。バウマン博士にインタビューを申し込んだが、返答はなかった。一方、モンサント社も、こういった検査を開発することは無意味だと述べている。

 「牛乳の中に検知できるほどのrBSTがあったとしても、どのみち人体の中で生物学的な作用は起こらない。ポジラックを使っていてもいなくても、牛乳はつねに健康によい栄養食であることに変わりはない」とモンサント社のギャレット氏は語る。

 それでも、ゴアウィット教授は検査は必要だとの立場を崩さない。

 「rBSTの使用を判定する方法は開発可能だ。バウマン博士が信じたいかどうかはともかく、検出を行なう技術はすでに存在する」とゴアウィット教授。

 米国の科学雑誌がこの研究に背を向けたのはモンサント社を怒らせることを恐れてのことだと、ゴアウィット教授は考えている。結局ゴアウィット教授は、パキスタンの医学雑誌に研究結果を発表した(PDFファイル)。ここには、rBSTを投与した牛の乳における脂肪酸結合タンパク活動を測定する方法が詳しく書かれている。

 ホルモンを投与された牛の乳と投与されていない牛の乳の違いを検出する試験を認可していない一方で、FDAは1994年にガイドライン(PDFファイル)を出した。これは、いかなる乳製品業者も、rBSTを使っていない牛から産出されたからという理由で、自社の牛乳が優れていると主張すべきではないというものだ。オークハースト社に対する訴訟はこのガイドラインに基づくものだと、モンサント社は述べる。

 しかし、これに批判的な人々からは、1994年にマイケル・テイラー氏がこのガイドラインを書いたとき、FDAはモンサント社からヒントを得たのだという指摘がある。テイラー氏はキング&スパルディング法律事務所からFDAに入ったが、この法律事務所はオークハースト社に対する訴状を作成しており、今でもモンサント社の代理人となっている。テイラー氏は米農務省(USDA)にも勤務し、そのあとモンサント社の広報担当副社長を1年4ヵ月務めた。

 FDAに今回の記事に関して電話でコメントを求めたが、返答はなかった。

 一方で、rBST不使用を表示する動きは広がっている。大手オーガニック乳製品メーカーのホライズン・オーガニック・デアリー社(コロラド州ボールダー)と、バークレー・ファーム社(カリフォルニア州)が、やはり「rBST不使用」を表示している。アイスクリームの米ベン&ジェリーズ社、米ストーニーフィールド・ファーム社、自然食品チェーン店を展開する米ホール・フーズ・マーケット社、『オーガニック・バレー』というブランドでオーガニック製品の生産販売を行なうクロップ協同組合も同様だ。

 ベン&ジェリーズ社以下の4社は1996年、rBST不使用を自由に表示する権利を求めてイリノイ州を提訴した。この訴訟は翌年法廷外で和解が成立した。4社は今でも自社の乳製品にrBST不使用の表示をしているが、ラベルには1994年のFDAのガイドラインに従って、「FDAは組み換えホルモンを投与した牛の牛乳と投与していない牛の牛乳の間に有意の差がないことを確認しています」という文章が追加された。

 FDAは9月12日(米国時間)、乳製品メーカー数社に対して、「ホルモン不使用」という表示をやめるよう警告した。すべての牛乳は自然に分泌されるホルモンを含んでおり、こういった表示は誤解を招くというのがその理由だ。

 モンサント社がコーシャ[ユダヤ教の掟に従った食べ物]や有機食品の表示まで変えようとしているのではないかと危ぶむ声もある。モンサント社はそれは問題が別だと言う。

 「オーガニックの基準を設定するのは、オーガニックと表示された食品を市場に出すための製造および処理に関する一定の基準を確立するためだ。オーガニック食品が、現在スーパーマーケットに並んでいるものよりも『健康的』で『安全』、あるいは『高品質』だと示唆するためではない」と、モンサント社は電子メールで回答してきた。

 オークハースト社のラベルはとくにこういった主張を表明しているわけではないが、モンサント社の訴状は、ラベルにはそういった意味が含まれると述べている。

 「われわれは他の牛乳のことについては何も言っていない」とオークハースト社のベネット社長は語る。「トラックの広告や製品ラベルに書かれているのは、牛に人工の成長ホルモンを投与しないという酪農家の誓いだけだ」

 『ミルクウィード』誌の寄稿者、バンティング氏は、酪農家が酪農家として生き残り、精神状態を健全に保ちつつ、家族経営を続けていく道は、ヨーグルトやチーズなどの乳製品を店を通さずに直接販売することだと考えている。そして近いうちに、そういった事業を行なうためのライセンスを州に申請するつもりだ。

 「牛乳の価格は話にならないほど下がっているので、ただ牛乳を店に卸しているだけではやっていけない」とバンティング氏は語った。

牛乳の「人工ホルモン不使用」表示は不当か(上)

2003/09/18 Hot wired Japan

Kristen Philipkoski [日本語版:鎌田真由子/高森郁哉]

 酪農家のジョン・バンティング氏のもとには、ほぼ毎日のように困りはてた同業者からの電話がかかってくる。そして、バンティング氏は精一杯、こういった人たちに対応する。

 14人の子どもがいる母親は、夫が牛乳の販売だけでは家族を養えず、自分を落伍者だと感じていると訴える。別の酪農家は、壊れたトラクターの修理代を捻出するために牛を1頭売らなければならなかったと話す。電話をかけてくる人は皆、バンティング氏が乳しぼりをしながらコードレス電話で悩みを聞き、同情してくれることを知っている。さらにその悩みを、同氏が記事を寄稿している酪農業界の月刊レポート『ミルクウィード』誌で取り上げるかもしれない。

 ある意味で、米国の酪農家にとってこの1年半はこれまでで最悪だった。牛乳の価格がここ10年間のインフレに見合うほど上昇しなかったために、多くの家族経営の酪農家が廃業した。農家に獣医を呼ぶ余裕がないため、牛は病気になっても治療を受けられない。それどころか、前回の治療費が未納のせいで、呼んでも獣医が来てくれない。

 多くの小規模農家は、農業関連大手の米モンサント社と、同社が販売する牛成長ホルモン『ポジラック』(Posilac)が大きな元凶だと考えている。

 組換え牛ソマトトロピン(rBST)とも呼ばれるポジラックは、すでに供給過剰になっている市場にさらに牛乳を供給するだけであり、酪農家の収入は減る一方だという生産者の声もある。しかしモンサント社は、ポジラックを使えば牛の乳量を増やせるので、農家はそれによって低迷から抜け出せると主張する。

 「牛乳の生産効率を高めれば、酪農家の収入を増やせる」と、モンサント社の酪農事業部門テクニカル・サービス統括責任者のジェニファー・ギャレット氏は語る。「乳量の多い牛は高収入を生む。ポジラックはそれを可能にする製品だ」

 しかし、このホルモン剤を使わないという選択が、競争力をつける1つの道だと考える酪農家も多い。業者によっては、rBSTを使わない牛乳を特別価格で引き取るからだ。また、rBSTが人体に安全だという調査結果があっても、「100%天然」の製品を選ぶ消費者は増えている。

 rBSTを使わない酪農家たちは、自分の製品にはっきり表示したいと考えている。しかしモンサント社の幹部たちは、「rBST不使用」という表示は誤解を招くだけでなく、消費者をだます不正行為だと主張する。同社は最近、このような表示をした乳製品メーカーを訴えている。

 メイン州のオークハースト・デアリー社は自社の牛乳に「酪農家の誓い人工ホルモン不使用(写真)」と表示した。これに対しモンサント社の訴状は、この表示はオークハースト社の牛乳がrBSTを投与された牛の乳よりも優れているという印象を与え、モンサント社の事業を不当に損なうものだと述べている。

 ボストンの連邦裁判官は裁判の日を2004年1月5日に設定したが、裁判が決着するまでオークハースト社がこの表示をすることを差し止めるための公聴会を開いてほしいというモンサント社の要求は却下した。モンサント社の弁護士によると、同社はオークハースト社に対して損害賠償は求めず、ただこの表示をやめるよう求めるという。一方オークハースト社は、表示をやめるつもりはないと述べている。

 「この表示を通して、消費者に知らせるわれわれの権利を守りたい。消費者が飲む牛乳の製造過程で何が使われており、また何が使われていないかを知らせるべきだ」と、オークハースト社のスタンレー・ベネット社長(写真)は語る。

 米農務省(USDA)は、米国の酪農家の約17%がrBSTを使用し、投与されている乳牛は全体の32%にあたると発表した(PDFファイル)。その大半が、乳牛を数千頭単位で飼っている大規模農家だという。

 ポジラックは、牛が乳を分泌するときに出す成長ホルモンから分離した遺伝子で作られている。この遺伝子を大腸菌に注入し、容器内で急速に培養する。これを牛に注射すると、牛が毎日出す乳の量が増えるだけでなく、乳を出す期間も長くなる。農家によると、乳を出す期間が延びるのは平均30日ほどだが、もっと長くなる場合もあるという。1155日間も乳を出しつづけた例もある。ポジラックを投与された牛の大半は、投与されなかった牛よりも約25%乳量が増えている。

 ノース・フロリダ・ホルスタインズ農場(フロリダ州ベル)のオーナーであるドン・ベニンク氏をはじめ、大規模な畜産農家はrBSTの信奉者だ。ベニンク氏の農場には約3700頭の牛がいる。

 「(ポジラックは)確かにある程度の管理が必要だが、これまでわれわれに多大な利益をもたらしてきた」とベニンク氏。牛乳の価格は下がったが、以前よりも多い販売量を維持できているからだという。「酪農家にとっては難しい1年だったが、全体としてはかなり成功した方だと思う」

 ウィスコンシン州ボールドウィンのエメラルド酪農場とボールドウィン酪農場で2600頭の牛を飼育するジョン・ブリーズ氏は、rBSTによって牛の生命が救われるとまで言うのは言いすぎだとしても、少なくとも延命されてはきているのだと話す。搾乳の期間を延長できれば、肉として処理される時期を先延ばしにできるからだ。

 だが多くの小規模な農場は、時間を割いて1回当たり5.25ドルのポジラックを注射する方法を採っていない。ポジラックは牛が乳を出しはじめてから2週間ごとに投与しなければならない。

 小規模農場がrBSTを使わないのは、時間とコストがかかるという理由のほかに、ホルモンが牛に及ぼす副作用を嫌っているからだ。カナダ保健省が1999年に出した報告書は、rBSTを投与した牛は乳腺炎にかかる率が最大25%増加し、それによって牛の体細胞、すなわち膿が牛乳に混じる確率も高くなることを示している。

 この調査はまた、rBSTにより牛の不妊症が18%、四肢の運動障害が最大50%増加すると報告している。このデータに基づき、カナダ当局はrBSTを認可しなかった。

 欧州連合(EU)15ヵ国、オーストラリア、ニュージーランド、ノルウェーも同じ理由でrBSTを認めていない。認可しているのはブラジル、南アフリカ、パキスタン、米国など19ヵ国だ。

 また、カリフォルニア農業組合の会長を務める酪農家のホアキン・コンテント氏は、rBSTのせいで畜牛の値段が上がったと話している。

 「1993年にrBSTが登場したとき、私はこれで畜牛の価格が上がるだろうと考えた。rBSTは家畜にストレスをかけるため、牛の健康にそれほどよい影響を与えないからだ」

 牛への副作用は証明されていても、このホルモンが人体に有害だということにはならない。米食品医薬局(FDA)が1993年にrBSTを認可するまでに、このホルモンは生物学的に人体内では活動しないという多くの研究結果が発表されていた。小人症に治療効果があるのではないかという期待から、患者に直接rBSTを注射するという実験も行なわれたが、何の影響もなかった。

 FDAはこういった調査結果を根拠に、rBSTは安全だと述べている。また、モンサント社は牛乳がrBSTを投与された牛から生産されたものであるかどうかを検査する方法を提供する義務はないというのが、FDAの見解だ。

 オークハースト社は、自社の製品がrBSTと無関係だということを証明するため、乳牛にホルモンを使っていないという宣誓書を酪農家に提出させている。同社のベネット社長は、これで十分な証明になると考えている(「もしメイン州の酪農家を信用できないとすれば、ほかに誰が信用できるというのか?」と同社長は述べている)が、こういったことを検査できる手段があればもっと具体的な証明になるという意見もある。

 国際乳製品協会の一部門である『飲用牛乳財団』の広報担当者は次のように述べている。「検査方法があればどんなに便利かわからない。企業が『これは投与を受けていない牛です』と表示していても、実際にそれを確かめる方法がないというのは皮肉な話だ。根拠は農家の言葉しかないのだから」[日本語版:鎌田真由子/高森郁哉]

「大人が牛乳を飲めない」は本来の性質−−遺伝学者

[2002/02/12]日経ヘルス

 牛乳を飲むと、腹痛、下痢などが起きる乳糖不耐症という症状がある。日本人では、程度の差はあるが多くの大人に出現する症状だ。この乳糖不耐症を遺伝子の面から調べると、本来は人類の多くが持つ性質で、大人になっても大量の牛乳が飲めるのはむしろ遺伝子の突然変異に由来するという研究が発表された。

 この研究を発表したのは、カリフォルニア大学ロサンゼルス校の女性遺伝学者リーナ・ペルトネン博士ら。博士らは、フィンランド在住の9家族196人の乳糖不耐症の人を調べた。その結果、乳糖を分解する酵素に関係し、乳糖不耐症の原因になっている遺伝子を見つけた。さらに、この遺伝子についてヨーロッパ、アメリカ、アジアから、いろいろな人種、民族の血液サンプルを集めて調べたところ、遺伝的に離れた人種でも、同じ乳糖不耐症の人には共通して見つかった。このことより博士らは、乳糖不耐症の遺伝子は人類発祥の古い時期からあると結論づけた。

 乳糖不耐症の遺伝子が人類に共通している基本的な遺伝子であるとすると、大人でも牛乳を多く飲める欧米人が持つのが突然変異で得られた遺伝子ということになる。突然変異を起こした時期については、おそらく1万年から1万2000年ほど前だろうと研究者たちは推定している。

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