TOPIC No.2-136 日本国債

01. 日本国債は、なぜ暴落しないのか(2005年07月06日) by日本国財政破綻Safety Net
02. 「日本の借金1000兆円」はやっぱりウソでした〜それどころか…  橋 洋一 
 2015.12.28 by現代ビジネス プレミアム(講談社)
03. 日本の財政は破綻していない 森永卓郎氏「実質無借金に」2016.12.29 森永卓郎 
 マネーポスト2017年新春号
04. 借金まみれ扱いの日本の国家財政は「世界一健全」と森永卓郎氏 2017.01.10
 週刊ポスト2017年1月13・20日号 byNEWSポストセブン(小学館)
05. 国の借金は1071兆円??日本は財政危機か? 国の借金を企業分析の観点から考える 
 2017/08/12 ZUU online編集部
06. 日本国のバランスシート分析 政府資産世界一、徴税力も強大 2017.01.09 
 週刊ポスト2017年1月13・20日号
07. 国債 (goverment bond)  byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
08. 日本国債[にほんこくさい]by野村證券
09. 個人向け国債 by財務省JanJan
10. 超人気「個人向け国債」が優れている3つの理由 山崎 元(やまさき・はじめ)
 PRESIDENT 2016年7月18日号 byPRESIDENT online
11. 平成28年度「国の財務書類」の概要  by財務省JanJan
12. 債格付け一覧(ムーディーズ・S&P・フィッチ) 世界の主要国


昨年末時点での日本国債の保有者

2018/03/26(月) 9:52 久保田博幸YAHOO!JAPANニュ−ス

 日銀は3月19日に資金循環統計(10〜12月期速報値)を発表した。これによると個人の金融資産は12月末時点で約1880兆円となり、株価の上昇傾向などを背景に過去最高を更新した。9月末時点では約1845兆円となっていた。個人の金融資産の内訳は、現金・預金が前年比で2.5%増の約961兆円となった。株式等が同17.3%増の約211兆円、投資信託も13.1%増の約109兆円となっていた。

 この資金循環統計を基に国債(短期債除く)の保有者別の内訳を算出してみた。

 残高トップの日銀の国債保有残高は427兆2356億円、43.2%のシェアとなった。前期比(速報値)からは13兆8179億円の増加となる。

 残高2位の保険・年金基金は233兆5779億円(23.6%)、9243億円増。

 残高3位は預金取扱機関(都銀や地銀など)で166兆2632億円(16.8%)、2兆5812億円減。

 残高4位が海外投資家で59兆8048億円(6.1%)、978億円増。

 残高5位が公的年金の45兆8516億円(4.6%)、4827億円減。

 残高6位が家計の12兆3908億円(1.3%)、1793億円増。

 その他が43兆488億円(4.4%)、3兆9902億円増となっていた。

 2017年9月末に比べ国債(短期債除く)の残高は9兆5745億円増の988兆1727億円となった。 9月末に比べて大きく増加したのは、国債を大量に買い入れている日銀で、シェアは4割を上回っている。今回、前期比で減少したのは預金取機関と公的年金だけで、そのほかは増加となっていた。

 9月末に比べて大きく減少したのは、ディーラー・プローカーで2兆8845億円の減少となっていた。国内銀行の9月末は6月末に比べて9兆2008億円の減少となっていたが、今回は4530億円の減少に止まった。また、中小企業金融機関等(ゆうちょ銀行含む)も引き続き減少させており、今回は1兆4618億円の減少となった。

 短期債を含めた国債全体の数字でみると残高は約1092兆円となり、日銀が約449兆円で41.1%のシェアとなっていた。海外勢の残高は約122兆円と短期債を含めると国債全体の11.2%のシェアとなっていた。

 銀行による国債保有額の減額はそろそろ一巡してきた可能性がある。銀行は日銀担保等で一定額の国債は保有せざるをえないこともあり、ここから大きく減額させることは考えづらいか。


中国、日本国債を「爆買い」 逆に日本は中国国債購入ゼロ、そのワケは…

2016.11.11 07:00 産経ニュ−ス【経済インサイド】
 

 中国による日本国債の「爆買い」が目立っている。今年上期(1〜6月)の買越額は9兆円を超え、4月には約3兆2000億円に膨らんだ。実は、日本政府も民主党(現・民進党)政権下で中国国債の購入を検討し、中国側とも大筋合意していた経緯がある。だが、その後、自民党に政権交代する中で立ち消えになり、今では財務省幹部も「購入はない」と断言する。

昨年の4.6倍

 財務省と日銀が発表している対内証券投資(地域別)によると、中国から日本への証券投資は1〜6月で約9兆6000億円の買い越しになった。前年同期の約4.6倍に相当する規模。証券投資の大半は日本国債とされ、特に満期までの期間の短い短期債の購入が目立つ。

 こうした中国の爆買いの理由として指摘されているのは米国の利上げだ。

 中国は世界最大の米国債の保有国であり、米連邦準備制度理事会(FRB)が追加利上げを継続すれば、米国債の価格下落が想定される。このため、米国債を売却する一方、日本国債の購入を増やしているというわけだ。

 さらに、今年10月には、人民元は国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)の構成通貨に加わった。人民元の国際化に邁進(まいしん)する中国にとっては、ドルの一極集中は望ましくない。その意味で、米国債一辺倒よりも、日本国債を購入する方が理にかなっている。

「双方向も考え方」

 「中国は日本国債を保有しているが片側通行。そういう点では双方向通行できるようにするのは1つの考え方だ」

 民主党政権下の平成23年12月、安住淳財務相(当時)は、日本政府による人民元建て中国国債の購入に前向きな姿勢を示した。

 その後、野田佳彦首相(当時)が出席した日中首脳会談でも金融協力が話し合われ、24年3月には、安住氏が中国当局から650億人民元(約8450億円)相当の中国国債の購入許可を受けたと発表。「両国の経済関係の強化という目的にかんがみれば、適切な規模だ」と胸を張った。

 だが、実際に購入を開始するまでには、システム対応の事務手続などに数カ月程度の準備期間が必要だった。

 さらに、24年12月に政権交代が起き、安倍政権が誕生。尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺での中国公船の領海侵入などが続く中、政府内で中国国債購入の話は急速に聞かれなくなった。

人民元安でリスク

 今年10月に人民元がSDRの構成通貨に加わったことで、IMF加盟国の中では、外貨準備として人民元の保有や中国国債を購入する動きが出る可能性がある。

 それでも、財務省幹部は「中国国債を購入するという話は持ち上がっていない」と断言する。

 9月に安倍晋三首相と中国の習近平国家主席による日中首脳会談が行われたものの、中国が進める南シナ海の軍事拠点化などをめぐって、日中双方の意見は対立している。

 経済面でも、日本が中国に求めてきた為替・資本市場の自由化や鉄鋼などの過剰供給問題の解決などの取り組みは遅々として進んでいない。

 何より、10月下旬には人民元が対ドルで続落し、6年1カ月ぶりの安値水準になった。

 中国政府が輸出を促進するため、元安を容認していると疑われており、そんな状況の中、仮に日本が人民元建ての中国国債を購入すれば「さらに元安が進んだときに大損しかねない」(財務省幹部)。

 このため、年内に予定されている日中財務対話でも主要テーマにはならないとみられる。

円建て債券保有で中国は5位

 これまで日本国債は大部分が国内で消化され、海外投機筋が売り浴びせても暴落する可能性が少ないとされてきた。だが、今や海外投資家の保有割合は10%を超えている。

 財務省によると、日本国債など円建て債券の国別保有額で、中国は米国や英国などに続き5位に浮上しているという。

 今後、中国が爆買いを続けても、日本が“債権者”に首根っこを押さえられないためには、財政健全化などの取り組みを着実に進めることが必要になりそうだ。(田村龍彦)

外国人の日本国債投資、最大=欧州危機で資金逃避−11年

2012/01/20 時事ドットコム

 2011年の外国人投資家による日本国債投資が前年より約4割増加し、過去最大を記録したことが20日、分かった。償還までの期間が1年以内の短期国債が大半を占めており、欧州債務危機の深刻化を背景に、比較的安全とされる日本国債に投資家が資金を逃避させたことを裏付けた。

 日本証券業協会が同日発表した公社債投資家別売買高によれば、11年の外国人投資家による日本国債の買越額(購入額から売却額を引いた差)は、1〜12月の単純合算で141兆941億円と前年(101兆9737億円)を40兆円近く上回った。記録がデータベース化された1998年以降で最大だ。


日本国債の信用力低下、CDS市場で

2012/01/13 14:16 J-castニュ−ス

日本国債の信用力が低下している。債券の信用力を表すクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場で、日本国債の保証料率が2011年12月からジリジリ上昇し、直近では1.5%台を付けている。昨年12月上旬には1.2%台だった。

CDSは債券を発行する政府や企業の資金繰りが滞った場合に損失額を補填する金融商品で、発行体の信用力が低いほど保証料率が上がる。

一方、中国国債の保証料率は1.4%台で推移しており、数字のうえでは中国よりも低い信用力とみなされている。財政再建への取り組みが遅れれば、スペイン国債(4%台)やイタリア国債(5%台)などにみられる市場圧力が日本にもかかりかねない。

日本人の能天気さはギリシャに匹敵 国家財政の破綻は、ある日突然起こる

2012年01月19日 シリコンバレーで考える 安藤茂彌【第53回】 by DUIAMOND online

 ようやく2011年が去った。景気が悪い上に大震災。その上原発。踏んだり蹴ったりの一年だった。2012年は何とか良い年にしたい。特に年初には明るい記事を書きたい。だが考えれば考えるほど難しい。むしろ不吉な予感がする。2012年は日本国破綻の年になるかもしれない。

 先日、日系大手証券のニューヨーク・オフィスで国債の売買をやっている部長さんからトレーディングの現場の状況を聞く機会があった。一日に数十回、数百回の売買を行うトレーダー達は、その瞬間瞬間の相場観で売買を行う。その日に発表される経済指標が「自分の相場観」より良ければ売りに走り、悪ければ買いに走る。たとえば、自分はアメリカの失業率の数字が8.7%と予想していたのに、8.5%であれば売りに動くし8.9%であれば買いに走る。経済指標の好転→株価上昇→金利上昇と連想するからだ。

 皆が買いに走って価格が高くなりすぎたと見れば、売ってポジションをスクエア(買いのポジションと売りのポジションを同額にすること)に戻す。こういうことを一日に何回も繰り返す。彼らにとって関心があるのは、売買で儲けることだけだ。ギリシャの国債が危ないとなれば徹底的に売り込むし、EUの首脳がギリシャの救済がありうると示唆すると買い戻す。そこにはマクロ経済云々と言った理論が入り込む余地がない。彼らは単なる「相場師」である。

 筆者は質問をした。日本国債が先物取引やCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)のようなデリバティブ(金融派生商品)を使って、突然売り込まれることがあるのかと。それは「ありうる」との回答だった。「今は欧州危機に目を奪われているが、これが終焉したら目が日本に向くかもしれない」と。

 GDPに対する国家債務の比率(IMF資料、2010年時点) は、日本が220%、ギリシャが142%、イタリアが119%、米国が94%と日本がダントツの一番である。日本がいまだに標的にされていないのは、利回りが低いにもかかわらず国内の買い圧力が高いためと、減少傾向にあるとはいえ経常収支がまだ黒字だからだ。だが状況が変わり「日本国債は危ない」という相場観を持たれてしまうと、一気に売り込まれる。国債の価格は暴落し、金利は跳ね上がる。

 国債が暴落するとはどういうことか。額面1万円、金利1%で発行された国債が売り込まれて5000円になったら流通利回りは2%に上がる。5000円で購入した人は100円(1%の金利)をもらえるからである。そして一旦国債価格が落ちて利回りが上がると、それ以降に発行される国債は新しい金利水準で発行される。古い金利で発行すれば誰も買わない。既に発行されている国債のほうが流通利回りが良いからである。

 いま国債の金利は1%以下の超低金利になっているが、金利が跳ね上がったら日本政府はデフォルト(債務不履行)に追い込まれる可能性が高くなる。日本国債の発行残高は約1000兆円に達する。1%の金利上昇で10兆円の金利負担増になる。5%の金利上昇で50兆円の負担増になる。だが、発行金利を決めるのは日本政府ではない。市場である。

 新聞報道を見ていると、予算のすべての項目は日本政府が決められるような印象を与えるが、政府が決められない予算項目があることを忘れてはならない。昨年の欧州の金融危機を見ると、ギリシャは30%の金利をつけても買い手が付かなかったし、イタリアは7%でようやく買い手が付いた。その間に政権は何度も交代した。投機筋が満足できる「財政規律」を提示できなかった政権は市場からNOを突きつけられて退陣した。

 来年度予算の税収は42兆円しかない。歳出は昨年並みの90兆円を見込んでいる。その差額のほぼ全額を国債の発行で賄う計画である。今年の新規国債発行額は44兆円と前年比横ばいを見込んでいる。歳出そのものを削減する努力はカケラも見られない。

 その上、公表された歳出総額90兆円には災害復興費用3.8兆円は計上されておらず、年金関連の費用2.6兆円も計上されていない。特別会計だとか、年金交付国債だとか訳の分からない説明が出てくる。こうした小細工をした上で、政府は前年の予算規模を若干下回っていることを強調するが、実態は96兆円を超える過去最高の予算である。

 財務省は国民に安心感を与えるためにこのような粉飾予算をやっているのだろうが、これは国内では通用しても海外では通用しない。ギリシャは2010年に前年度の財政赤字額を過少計上していることがIMFの検査で発覚した。この発覚を機に投機筋から国債が売り込まれ、国債の流通利回りは30%に跳ね上がった。今回のような小細工で日本国民は騙せても、相場師は騙せない。

 海外から日本の来年度の予算編成を見ていると、際立った温度差を感じる。国家財政は火の車なのに、日本国民はいまでも国家が助けてくれると思っている。災害復興費は出て当たり前。原発事故の被害者に東電が支払えなければ国が支払って当たり前。国民が「まだ大丈夫だ」と思うのは、政府が国家財政の危機を正直に国民に語っていないからだ。

 あるとき突然国債が暴落すると、政府は国民への約束を履行できなくなる。災害復旧費は出ないし、東電も救済されずに倒産する。一部の世論は日本の国債発行残高が1000兆円になっても、国民の総貯蓄が1400兆円あるから大丈夫と見る。だが、1400兆円は国民のものであって、政府のものではない。国民の1400兆円は金融機関と年金基金に預けられている。

 国債が暴落したら、大量に日本国債を買い込んだ日本の金融機関と年金基金は、保有している国債の評価損を計上しなければならなくなる。自力で評価損を計上できない金融機関は直ちに危機に立たされる。年金基金で解散を余儀なくされるところも出てくるだろう。

 日本政府は「国債の90%は国内消化しているから大丈夫だ」と説明するが、投機の対象となったスペインでもイタリアでも国債の過半は国内消化している。それでも投機に見舞われた。先物で売られ、CDSで売られたらもはや対抗手段はない。国内消化比率の高さは国内的な説得材料にはなっても、投機筋には通じない。

 今回政府は消費税引き上げ時期を「2014年4月に8%、2015年10月に10%」とする素案を決めたが、歳出そのものの削減に取り組んでいる様子はない。消費税の引き上げに反発して民主党を離党する議員も出た。だが、国際的に見れば10%に引き上げても日本の消費税率は世界最低水準である。

 ギリシャでは23%、イタリアは20%、ポルトガルは23%、アイルランドは21%(2014年には23%)、スペインは18%。投機筋に狙われていない英国でも20%、フランスは19.6%、ユーロ圏で最強のドイツでも19%である。日本の消費税はあまりにも低い。社会保障を欧州並みにしたいのならば、20%までの引き上げを遠からず実施すべきだろう。

 消費税を1%上げれば2兆円の増収になると言われている。今の5%を20%に引き上げると30兆円の増収になる。本来の税収とあわせて70兆円を超えれば、相場師が仕掛けてくるリスクは相当減らせよう。だが、8%では6兆円、10%でも10兆円の税収増にしかならない。それも今から2年後、3年後である。投機筋が突然「売り」を仕掛けてくる余地は残っている。

 政権は国民の批判を恐れてはならない。最悪事態がありうることを素直に国民に語るべきだ。新聞報道が「政府の粉飾予算」を厳しく批判しないのは何故だ。90兆円の予算ではなくて、96兆円の史上最悪の予算なのだ。なぜ肝心なときに政府のインチキを攻め立てないのだ。

 債務問題に苦しんでいるのは日本だけではない。欧州もアメリカも苦しんでいる。欧州ではアイルランド、ギリシャ、ポルトガル、イタリア、スペインが投機筋に狙い撃ちされて国債が暴落した。国家債務のGDP比率が日本よりは低い国ばかりである。ギリシャ以外の問題国は、歳出を大幅に減らし、厳しい財政規律を導入した。ギリシャでは財政規律の受け入れを国民が拒否したために破産状態になっている。

 欧州危機が発生してからドイツには70兆円の資金が流れ込んだ。投機筋が問題国の国債を売却してドイツ国債を買ったからだ。今回ギリシャにユーロ圏各国が協調支援する総額は21兆円程度だ。ドイツ一国で支援することは十分可能なはずだ。だがドイツのメルケル首相は「財政規律」を条件にしなければ支援しないと頑として譲らない。いま、ギリシャは年金の14%削減、公務員の15万人削減を強いられている。

 アメリカは昨年8月に米国債がデフォルト(債務不履行)になる一歩寸前まで行った。日本よりははるかにマシな状況であるにもかかわらず、国家の債務限度の引き上げに議会の承認を要するという規定があり、野党共和党が時間ぎりぎりまで引き上げに反対したからだ。公務員は給料の不払いを懸念し、年金受給者は年金の不払いを恐れパニックに陥った。格付け機関はこの状況を見て米国債のAAAを剥がした。

 米国には国家の債務が増えてくると自動的にブレーキをかけるシステムがあるが、日本にはそれがない。国民皆保険はオバマの選挙公約であったが、税金を使って国民皆保険を導入したオバマ政権の母体の民主党は、2010年の下院議員選挙で大敗してしまった。オバマ大統領はそれ以降「財政規律」に十分配慮した政策を行うようになった。

 日本の政治を見ていると、与党野党ともに「財政規律」を声高に言わない。米国では民主党が国家債務を増やそうとしたら共和党がブレーキをかけた。欧州ではギリシャの安易な救済にドイツがブレーキをかけた。日本では、誰もブレーキをかけてくれるところがない。

 投機筋に狙われる理由は数え切れないほどある。国家債務のGDP比率は世界ダントツの一番。消費税を10%にするのさえ大騒ぎする政党と国民。債務規模が1000兆円に達しても危機感の乏しい政党と国民。投機筋に一旦狙われたら直ちに国家財政は破綻する。

 だが、1000兆円の債務はあまりに大きすぎて他国が支援できる範囲を超えている。欧州が危機の再発を防止するために設立した基金の規模は100兆円だ。桁がひとつ違う。IMFの指導の下に財政再建を行うにしても自力でやらざるを得ないだろう。

 1000兆円の債務は5%の利回り上昇で50兆円、10%の利回り上昇で100兆円の負担増になる。ギリシャのように30%になれば300兆円の負担増になる。利回りが大きく上昇したら、国家がどんなやり繰りをしても予算を組めなくなる。一気にギリシャ状態になる。

 日本政府は今回の予算編成で欧州危機から何も学んでいない。国内論理だけで進めている。こんな内向きの国家は世界でも例を見ないだろう。消費税の10%引き上げを実現できなかったら、「財政規律」を無視した国として相場師に狙われるだろう。この程度引き上げで国民が反対したら、ギリシャ国民以下である。ギリシャの消費税は既に23%である。

 ギリシャと同列に扱われてよいのか。日本はつい一昨年まで世界第二位の経済大国として、世界の賞賛を集めた国ではなかったのか。それがわずか二年で破綻国家になって良いのか。かつての資本主義の優等生が、世界の問題児になって良いのか。

 ドイツは戦後の荒廃から立ち直って欧州のリーダーになった。日本も戦後の荒廃の中から立ち上がった。日本人の気魄と誇りは何処へ行ったのだ。日本人はドイツ人かギリシャ人か?

 今からでも遅くない。目の前に迫った財政問題に真摯に取り組んで、「底力のある国家」であることをもう一度世界に示そうではないか。

【テーマ3】日本国債の暴落は起こるか? 2012年は財政健全化の道筋を国内外へ示す年

2012年01月04日 2012年の論点を読む

 ギリシャの次は日本――。

 そう言われても現実味は感じられないだろう。しかし、2012年、日本の財政の“超”借金依存体質が世界的に注目され、金利上昇と国債価格の暴落が始まり、金融機関や国民生活が大混乱に陥る可能性は、残念ながら否定できない。

 まず2012年度予算案を見てみよう。そこにはすでに日本の財政が危機的状況にあることが、浮かび上がっている。

 まず、歳出は増え続ける。一般会計歳出総額は90兆3339億円となっており、昨年度当初予算より2.2%減少した。しかし、歳出部分でもっとも大きな社会保障費では、基礎年金の国庫負担割合を2分の1にする財源=約2兆6000億円分を年金交付国債で賄うため計上されていないことに加え、復興関連費用=3.8兆円も特別会計化されている。これらを加味すると、歳出総額は96兆円を超えてしまい、過去最大の歳出規模である。

 歳入に関しては、国債依存度が49%と過去最悪。税収見込額の42兆3460億円を超える、44兆2440億円が新規国債発行により賄われる。国債を発行し借金を積み重ねないと、国が回らない状況は依然として変わらず、国債依存から脱却の道筋は見えない。

 新規国債に財投債や借換債、復興債を含めた国債発行総額は174兆2313億円となり過去最高を更新。これまで積み重ねてきた「国の借金」の総額(政府短期証券の発行残高や借換債などを含む)は、2012年度初頭には1000兆円超という天文学的数字に達する見込みだ。

 基礎的財政収支(プライマリーバランス=その年度の政策的な経費と税収入の比)は22兆3000億円の赤字の見通しだ。11年度当初予算と比較して、約4500億円改善している。しかし、先に述べた基礎年金の国庫負担割合を2分の1にするための年金交付国債分を含めると、赤字は拡大している。年金交付国債は歳出に計上しなくてよいため、見かけの数字は良くなっているだけだ。

 歳出は増え続けており、歳入は借金頼み。日本の財政状況は火の車である。

返せるか分からない借金を重ねても それでもニッポンが持っている理由

 2011年、日本は政府債務残高対名目GDP比は212.7%を超えている。ちなみにアメリカは101.1%、11月に国債金利の暴騰で話題になったイタリアは129%で日本よりずっと低い。

 国際的に見ても、日本の財政状況は際立って悪い。では火の車なのに、なぜ日本がギリシャやイタリアのように、国債が売られて暴落しないのか。なぜ国民の生活は平穏なのか。背景には、日本の金融機関の国内回帰による国債の国内消化率の高さと消費税率の低さがある。

 近年の日本の金融機関の運用担当者にとって、国内回帰はキーワードになっていた。例えば大手生命保険会社は、運用先を外国証券や国内株式から日本国債に振り向け、その比率を高めている。生命保険会社47社は、2011年上半期までで資産の43%を国債に投資している。2007年から急激に国債に振り向けているが、この傾向はずっと続いており、2011年は増加傾向に拍車がかかった。

 なぜなら、欧州財政危機が起こったからだ。欧州の国々の国債に投資しても、デフォルト(債務不履行)の不安から、価格が下って損失が出る危険性が高くなった。さらに円高によって為替差損のリスクもある。むりやり海外にカネを置いておく必要は薄れてしまった。

 投資先がなくなり、結果的に比較的安全な日本の国債に目が向いたのだ。カネが海外から日本へ戻ってきて原資は多くなり、日本の金融機関は日本国債をどんどん買っていたというわけだ。実際、日本の国債の国内消化率は90%を超えている。

 国内の金融機関という安心できる国債の買い手がいるため、外国勢の仕掛け売りによる金利の急騰と国債価格の暴落は、起こらないと見られている。上野泰也・みずほ証券チーフマーケットエコノミストは「過去、金利の一時的な上昇が起こったことがあったが、国内勢がすぐに買いを入れ、金利が下がったこともあり、債券市場でも特に心配する声は聞こえない。市場の関心は欧州に向いているということもあるだろう」と話す。

 また、国際的に見て日本は消費税が際立って低い。富田俊基・中央大学法学部教授(経済学博士)は「国内外の投資家は、日本は消費税を上げる余地がまだあると見ている。だから財政健全化に向けて消費税を上げて税収を伸ばし、国債償還に問題は生じないと見ている」と解説する。その期待感から、国債価格の暴落や金利の急騰が起こらないというのだ。

 野田佳彦首相は11月に開催されたG20首脳会合で、消費税を段階的に10%まで引き上げると国際社会に宣言した。これもあって、海外投資家は「日本は、ゆくゆくは消費税を上げ、税収が増加し、財政収支が改善するだろう」と思っているのだ。

歳出は減らないし歳入も増えない 消費税増税は避けられない

 白川方明・日本銀行総裁は「市場の関心は非連続的に変化する」という言葉をよく使う。この言葉を借りれば、欧州へ向いている世界の投資家の視線が、いつ日本の財政状況へ注目が移るか分からないということなのだ。

 日本の国債は国内消化率が高いが、先物を中心に海外勢が売りを強める可能性も十分に考えられる。

 欧州危機のように、金利のリスクプレミアム分が上昇し金利が上がれば、国はキャッシュフローが一気に悪化する。金利が上昇した分の利払い額が雪だるま式に増加するからだ。そうなったとき、国民生活にも大きな影響が及ぶことは避けられない。国債の償還や利払いを優先させるために、社会保障は現状維持さえできなくなるかもしれない。国債金利はすべての金利の基準だから、住宅ローンの金利も上昇する。また円安になり食料やエネルギー価格がじわりと上がり、生活が苦しくなるだろう。企業活動も金利上昇により、利払いコストが増加し、資金繰りも悪化するだろう。

 こうした最悪の状況にならないために、即効性のある歳入増加策が必要だ。そこで出てくるのが消費税増税である。

 この先、社会保障費は増え続けるし、経済成長による税収増加は見込めない。それは日本が世界最速のペースで高齢化が進み、生産年齢人口も減り続けるからだ。

 富田俊基・中央大学教授は「今、政府は社会保障費の増加について甘くなっている。政府は消費税増税の一部を社会保障の機能強化に充てると言うが、少々の消費増税ではそれは難しい。安定財源を確保して、今の社会保障をいかに持続可能にするかが問題だ」と苦言を呈する。また上野泰也・みずほ証券チーフマーケットエコノミストも「政府は高齢化によって社会保障費の自然増を認める方向だが、単純にそうあってよいものだろうか」と、疑問を呈する。

 両氏が指摘する通り、政府は歳出削減、とりわけ社会保障費の抑制について努力不足だ。その典型が70?74歳の医療費の窓口負担を1割に据え置く特例措置が来年度も継続される点だ。

 これまで取り組んできた「仕分け」も、際立った歳出削減効果は見られない。また財政収支を改善するような目ぼしい埋蔵金も見つけ出すことができなかった。名目GDPもここ近年横ばい。GDPを再び増加させるような、経済成長に向けた特効薬ははない。

 日本の財政は待った無しの状況である。

消費税増税で消費を冷え込ませるか 増税回避で将来不安を助長させるか

 消費税増税議論で必ず出て来る議論が、「消費税増税は個人消費を冷え込ませるかどうか」だ。

 しかし、これには富田俊基・中央大学法学部教授は否定する。

「消費税増税をしない場合、財政健全化への道筋がつかない。そうすると国民はかえって将来の社会保障に対する不安を持つ。金利が上がることになれば経済活動も抑制される」

 先に述べたように、財政健全化への道筋が示されなければ、海外市場からの仕掛け売りのターゲットになる可能性が高くなる。今、市場の注目が欧州に釘付けになっている間に、財政健全化への姿勢をはっきりと見せなければならない。

 企業は預金を蓄えており、それを国債買い支えの資金にすれば良いという考えもあるが、上野泰也・みずほ証券チーフマーケットエコノミストは「10年単位で長期運用する国債と、機動性が求められる企業の資金運用とではあまりにも性格が違い過ぎる」という。

 日本は、今のうちに手を打つべきである。イタリアの金利は急上昇したが、イタリアは日本よりもはるかに財政状況が良かった。EU委員会はイタリアが今年、プライマリーバランスが黒字になると予測していた。それにもかかわらず財政状況が危機的状況に陥った。翻って、日本はどうか。なにをかいわんや、である。

 日本の国債購入の原資となるのは金融機関に預けてある約1400兆円もの個人金融資産だ。しかし、人口減と少子高齢化が進み、この原資は徐々に少なくなることは目に見えている。それだけではない。国の財政危機を察知した国民が金融資産を海外へ移すかもしれない。実際に、今、日本人による海外金融機関の口座開設数が伸びている。

 政府は2011年末、「2014年4月に8%、2015年10月に10%」という消費税増税案を決定した。野田首相は3月末までに関連法案を国会に提出する方針だが、野党の抵抗は必至で、そのうえ、増税反対派が離党するなど政権与党内の足並みも揃っていない。

 しかし、残された時間はそう多くない。そもそも、政府が決定した増税時期は当初から半年遅れている。それだけ財政再建が後ろ倒しされたということだ。社会保障費などの歳出を劇的に削減する方法が無い以上、消費税増税を回避し、経済成長による税収アップを待つなどという悠長なことを言っていられない。

 2012年は財政健全化の方向性を国内外にはっきりと示さなければ“日本のギリシャ化”が現実のもとのなる可能性が出て来る。その“ギリシャ化”を避ける方法として、即効性と実現可能性がもっとも高そうなのは、残念ながら消費税増税しかなさそうだ。(ダイヤモンド・オンライン編集部 片田江康男)

藤田正美のまるごとオブザーバー:いつ来る? 日本国債の危機 日本の国債はいつまで今のような低金利で発行できるのだろうか。

2011年12月26日 by ITmedia エグゼクティブ

 「日本の国債はいつまで今のような低金利で発行できるのだろうか」

 金融の専門家と話す機会があるとき、必ずこの質問をしている。答え方はいろいろあるが、いちばん楽観的な答えでも「5年は保たないだろう」だった。ある財務省関係者の「2年かな」というのが、これまで聞いた中では最も悲観的な答えである。

 ここで言う「保つ」というのは、日本国債が安定的に発行できる、すなわち常識的な金利で国が借金することができるということだ。「保たない」というのは、要するに市場で国債の相場が値下がりし、利回りが上がっていくような状態を指している。例えばギリシャなどは10年債で30%という利回りになっている。つまり30%の金利を払うならば借金に応じてもいいというのが市場の姿勢ということだ。欧州のいわゆる「ソブリン・リスク」、国家債務危機では7%の利回りが危険水域の境界線とされ、イタリア国債の利回りが初めてその水準を超えたときは大騒ぎになった。

 金利が上がればそれだけ利払いが増える。日本国債の発行残高は2011年3月末現在で920兆円。例えば金利が1%上がるだけで利払いは年間9兆円以上も増える(すべての国債の金利がいっぺんに上がるわけではないので、これはあくまでも机上の計算である)。9兆円といえば、消費税率で約4%分。民主党政権が言っている2010年代半ばまでに5%引き上げて10%にしても、それがほとんど吹っ飛んでしまう。国債の相場がいつ下がるのか、それが大問題であることはこれで分かるだろう。

 問題はそれだけではない。国債の相場が下がるということは、国債を保有している金融機関にとっては含み損が出るということ。その含み損の金額は半端ではない。例えば地銀だけでも利回りが1%上昇するだけで、含み損は3兆円を超えるという。もしそういう事態になると二つのことが考えられる。

 一つは、国債を保有する地銀などが競って国債を売りに回ることだ。そうなると国債相場は暴落だ。利回りは急上昇して、国は新しい国債を発行することができなくなるかもしれない。そんな金利を払い続けることは不可能であるからだ。もう一つは、銀行間の資金融通が止まるということだ。実際、2008年のリーマンショックでは、銀行間の短期資金の融通が止まって、中央銀行が懸命に巨額の資金を市場に流したにもかかわらず、いくつかの銀行の経営が行き詰まった。

 ヨーロッパでもいま同じことが起きている。PIIGSと呼ばれる欧州の巨額債務国の国債を保有している銀行が、自身の債券を発行できなくなったり、金融市場から事実上締め出されたりしている。日本の国債相場が急落すれば、銀行間の取引が縮小することは間違いない。そうなると、一挙に経済が打撃を受ける。

「貸し渋り」と「貸しはがし」

 銀行間の取引が縮小すると、銀行の取る行動は決まっている。資金調達が苦しくなれば、当然、新しい融資を抑え、返済の督促を行う。「貸し渋り」と「貸しはがし」である。とりわけ貿易は甚大な影響を受ける。銀行が支払いを保証しなければ、貿易を実行できなくなるからだ。こうして実体経済は細っていく。

 このような事態になったら、打つ手はほとんど残っていない。緊急緊縮政策を発表し、とにかく歳出を減らすから、あまり高くない金利で国債を発行させて欲しいと訴えるしかない。中央銀行が国債を引き受けるという非常手段もないわけではない。実際、欧州ではECB(欧州中央銀行)がイタリアやスペインなどの国債を買い支えた。もっともこれは国債流通市場の話で、国債を直接的に引き受けたということではない。もっと無制限に買い入れたらどうかという提案に対し、ECBは中央銀行の信用に関わる問題であり、もし市場から信用されなくなったらその代償はあまりにも大きいと強硬に反対した。

 追い込まれてから財政再建をしようとすると、当然、歳出カットは大幅にならざるをえない。例えば日本の場合、2012年度予算での政策経費は71兆円であり、そのうち税収で賄えるのは40兆円強にすぎない。極端な話、税収で賄えるだけにすると言ったら30兆円の歳出カットが必要だ。国家公務員の人件費を例えゼロにしても5兆円しか減らないことを考えれば、財政再建がいかに大変か、実感できるかもしれない。

 政府は、財政をいかに時間をかけて再建するかという道筋を早く示さなければならないのだが、野田政権がやっていることは増税のロードマップを描くことだけだ。例えば社会保障でも、民主党は負担が増える部分は先送りすることにしてしまった。税収増と歳出カットを一体的に進めないと、これだけ巨額の債務を抱えてしまったのだから、二進も三進も行かないはずなのに、それができない。

 ひょっとすると政治家は、経済成長とかインフレとかに期待をかけているのかもしれない。確かにインフレは国家の債務負担を軽くする。経済成長率が上がって税収が増えれば、借金する額を減らせるわけで、その分は負担が軽くなる。しかし残念ながら、生産年齢人口が減り、老齢化率が高くなる日本は、潜在成長力も小さくなっている。しかも需要に対して供給に余裕があるため、デフレからもなかなか脱却できない。「他力本願」でも、肝心の他力がなければ望みはかなわない。

 残された時間は少ない。ギリシャにはドイツやフランスなどユーロ圏が手を貸してくれたが、日本にはそうしたパートナーはいないのである。

日本国債 利回り上昇

2011年11月29日 読売新聞 YOMIURI On-Line

独の「札割れ」受け 投資家敏感に

 欧州でイタリアなど債務の多い国の金利の高止まりが危機的な状況となる中、日本の長期金利も上昇に転じている。

 23日のドイツ国債の入札で応募額が募集額に達しない「札割れ」が起きたことをきっかけに、安全度が高いとされ投資資金の受け皿となってきた日本国債のリスクが、投資家に意識され始めたといえる。

 28日の東京債券市場は日本国債を売る動きが優勢となり、長期金利の代表的な指標となる新発10年物国債の流通利回りは、前週末比0・035%高い年1・065%と、約4か月ぶりの水準まで上昇(国債価格は下落)して取引を終えた。ドイツ国債の入札後、3営業日連続の上昇となった。

 元々、欧州の財政・金融危機の深刻化で、日本国債は比較的安全な資産とされて買われ、長期金利は11月17日、1年ぶりの水準となる0・94%まで低下(債券価格は上昇)していた。今回の金利上昇は、「金融機関が株価下落による損失の穴埋めに、値上がりした債券を売却したため」との見方が大勢だ。日本の金利水準は、「7%超え」の欧州の重債務国と比べ、依然として超低水準で、9割以上を銀行など国内投資家が保有していることもあり、ギリシャやイタリアのように国債価格が暴落に向かうと見る向きは少数派だ。

 ただ、日本より財政状態が良いドイツで国債入札が不調となったことに、投資家も敏感になっている。日本の債務残高は、国内総生産(GDP)の約2倍と諸外国と比べ大きいためだ。国際通貨基金(IMF)が23日付のリポートで、日本の公的債務が維持不可能の水準になる可能性があると指摘したことも嫌気され、「一部の国内銀行は長期債売りに踏み切った」(大手証券)との声も出始めた。

 市場の関心は、「政府が財政再建に向け、社会保障と税の一体改革を進められるかどうか」(SMBC日興証券の野村真司氏)に向かっている。

 政府・与党が消費税率引き上げの具体策などを盛り込む「社会保障・税一体改革大綱」について、野田首相は年内のとりまとめを目指す考えだが、民主党内には反対論が根強い。一体改革を担当する古川国家戦略相は「まとまるところでまとまればよろしい」(25日の閣議後記者会見)と述べ、消費税の引き上げ時期や幅などがあいまいになる可能性をにおわせた。

 消費税率引き上げの道筋を明確にできなければ、日本国債への信認が揺らぐ恐れもある。市場には「政府の取り組み次第で、相場が大きく変動する可能性がある」(みずほ証券の三浦哲也氏)との指摘が出ている。

「国の借金」2011年度末に1000兆円突破

2011/11/07 J-castニュ−ス

日本国債や借入金を合計した「国の借金」の残高が2011年度末に、1024兆1047億円に達する見通しとなった。11年度の第3次補正予算で11兆5000億円の復興債の発行を盛り込んだことで、1000兆円の突破が確実となった。

財務省はこれまで11年度末の国の借金残高を、10年度末に比べて71兆円増加の995兆9232億円と、かろうじて1000兆円に届かない見通しを立てていた。

しかし、今国会に提案されている復興債の発行や、歴史的な円高に伴う為替介入への備えとして外国為替資金証券の発行限度額を15兆円増額したこと、さらに原子力損害賠償支援機構に資金を出すための交付国債の発行枠を現行の2兆円から5兆円に増額したことで、特別会計の借金残高が増えた。

[社説]日本国債格下げと菅首相退陣の教訓

AUGUST 25, 2011 08:00 東亜日報

 米国の格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスが、日本政府の債務格付けをAa2からAa3に引き下げたことはある程度予想されていたが、世界3位の経済大国のプライドに傷をつけることとなった。ムーディーズが、日本政府の債務格付けを引き下げた決定的な原因は、財政赤字と政府債務の急増だ。日本の対国内総生産(GDP)比の政府債務の割合は、今年200%を超え、主要経済圏の中で最も高い。今年の予算では税収は半分に満たず、政府の負債で充当する割合が高い。個人部門の金融資産が多く、ギリシャやアイルランドのように国家倒産の危機に陥る可能性は低いが、徐々に困難な状況に陥っている。

 80年代までは堅実な財政を誇っていた日本が世界最悪の債務国家に転落したのには、政界の財政ポピュリズムが大きい。90年代初めに日本のバブル経済が崩壊し、成長率が下落すると、当時の自民党政権は未来の財政は考えず、借金をして景気を支える政策を乱発した。09年9月に発足した現民主党政権は、選挙過程で福祉を前面に掲げ、子ども手当の新設など「ばらまき政策」を打ち出した。今年3月に発生した東日本大地震の被害復旧に必要な莫大な追加資金も財政難を圧迫した。

 1年で首相が頻繁に交代する日本の慢性的な政治不安や政争、リーダーシップの不在も、財政悪化を加速させるのに一役買った。経済の不確実性が高まる中、退陣の圧力を受けた菅直人首相が今月末にも退陣し、新内閣が発足する予定だ。ムーディーズは、「過去5年にわたり首相が頻繁に交代したことが、一貫した政策として実行に移すうえでの妨げとなったことも、格付け引き下げの理由だ」と指摘した。民主党政権発足後2年も経たずに3人の首相が登場することになる。政権交代直前の数年間、自民党政権も1年余りの短命首相が続いた。

 菅首相はかつて、「日本初の市民団体出身の首相」、「クリーンで気さくな首相」として脚光を浴びたが、危機管理能力やリーダーシップの不在、度重なる失言で支持率が墜落した。与党民主党内のあつれきも、菅首相の足を引っ張った。菅首相の責任だけではないが、民主党が2年前の総選挙で票の獲得に汲々として打ち出した福祉ポピュリズムは、鳩山政権と菅政権にブーメランとなって戻ってきた。

 民主党は今月29日、事実上、次期首相となる党代表投票を実施する予定だ。次期首相としては、相対的に大衆の人気が高い前原誠司元外相らの名前が挙がっている。しかし、誰が次の首相になっても、問題の解決は容易ではない。日本でも、政治家が常に選挙だけを意識し、妥協よりも政争に没頭し、国益がかかった政策すら適時に実行することが難しい。政界のポピュリズムと政争が招いた財政悪化で、債務格付けが下がり、政治不安が続く日本の現状を見て、韓国の政界も他山の石として教訓にしなければならない。

日本国債格下げ、財政再建遅れに厳しい目

2011年08月25日 読売新聞

 米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが24日、日本国債の格付けを9年3か月ぶりに引き下げたのは、東日本大震災のダメージに加え、政治の混迷で財政再建が進みにくいと判断したためだ。(戸塚光彦)

 菅首相の後継者にとっては財政規律の維持への取り組みが、一段と重要性を増したと言える。

 日本国債担当アナリストのトーマス・バーン氏は同日の記者会見で、「誰が菅首相の後継になっても、長期政権を築いて経済・財政政策を貫徹することが重要」と述べ、相次ぐ首相交代が財政規律を失わせている要因だと指摘した。

 ムーディーズは5月末に日本国債の格付け見通しを引き下げる方向で見直すとし、今回の格下げを予告していた。しかし、財政再建論議は難航し、政府・与党がまとめた社会保障・税一体改革案では、消費税率を10%に引き上げる時期について「2015年まで」から「10年代半ば」とあいまいな結論に修正された。

 民主党代表選の候補者の大半は増税に消極的な立場だ。政府は10月にも震災復興策を盛り込んだ11年度第3次補正予算案を国会に提出する方針だが、財源が十分確保できなければ、財政の悪化が加速する。

 さらに、ムーディーズは国債の格下げに伴い、三菱東京UFJ銀行などほとんどの国内銀行の格付けを引き下げた。

 日本国債の格付けは、バブル崩壊後の赤字国債の大量発行で90年代末から徐々に引き下げられた。その後、2000年代半ばの景気回復による税収増などで、財政の健全性を示す基礎的財政収支の対GDP比率が改善し、引き上げに転じていた。

 日本の格付け会社「格付投資情報センター(R&I)」も同日、日本国債の格付けについて、「(現在の最上位の)トリプルAの維持はそろそろ限界」との見解を発表した。現時点でも日本国債は安全資産として買われているが、さらなる格下げなどで国債から資金が逃げ始めれば、長期金利が急騰し、日本経済への打撃が懸念されそうだ。

海外マネー日本の「短期国債」に向かう 買い手は中国、台湾、インドネシア?

2011/08/24 J-castニュ−ス

世界的なカネ余り現象のなかで、海外の投資マネーが日本の短期国債に向かっている。2011年5月には1月からの累計貸越額が50兆円に迫り上半期の過去最高を更新。米国債の格下げが取沙汰されたことで加速した。

海外投資家が「安全で一定の利回りが見込める」と買い進めているとされ、「円高の原因のひとつ」との指摘もあるなか、いったい誰が買っているのか。

米国債の格下げが引き金

短期国債は償還期間が2か月、3か月、6か月、1年の4種類。期間が1年超の中長期国債に比べて金利上昇(価格の下落)リスクが小さいので、資金の一時的な退避先になりやすい。

財務省が8月18日に発表した7〜13日の対外・対内証券投資(指定報告機関ベース)によると、海外投資家による短期国債の買越額は2兆9752億円で、統計を公表している2005年以降で過去最高となった。

この週は、5日に米格付け会社のスタンダード&プアーズが米国債の格下げを発表したことを受けて投資マネーが日本国債に一気に流れ込み、前週の8847億円の買い越しを3.3倍も上回った。

国際金融アナリストの枝川二郎氏は、「円高が続くなかで日本国債が人気なのはおかしなことではないし、最近は米国債の格下げが懸念されていたこともあり、日本国債に資金が流れ込むことは当然のこと」と話す。

米国債の格下げによって金利が上昇(米国債の価格は下落)すれば、保有している米国債は損失を被ることになる。米国債の代替資産として日本国債、なかでもリスクが少ない短期国債は「有効」というわけだ。

新興国、外貨準備高の多様化の一環

では、いったい誰が短期国債を買っているか――。その詳細は不明だが、日本の短期国債が買われている背景に、海外の中央銀行が外貨準備高の多様化を進めていて、円資産を増やしているともいわれる。

前出の枝川氏は、「外貨準備高が多い中国や台湾などは日本国債を重視しています」という。中国は世界第1位の米国債の保有国だ。今なお米国債の格下げ懸念がくすぶり、リスクを分散しておきたいと考えるのはごく自然な流れだ。

財務省も海外勢で短期国債を買っているのは「アジアの新興国」とみているし、中国やインドネシアが買っているとの見方もある。

8月24日、米格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスが日本国債を「Aa2」から「Aa3」に1段階格下げし、21段階の上から4番目にランクした。これは中国と同じ水準だ。

しかし、枝川氏は「ダブルAの水準を確保しているうちは、影響もあまりないでしょう」とみており、海外投資家の短期国債買いはしばらく続きそうだ。

東京円、小幅な値動き 国債格下げ影響は限定的

2011/08/24 18:32 【共同通信】

 24日の東京外国為替市場の円相場は、1ドル=76円台後半で取引された。

 午後5時現在は前日比01銭円高ドル安の1ドル=76円63〜65銭。ユーロは54銭円高ユーロ安の1ユーロ=110円31〜35銭。

 午前は、米格付け会社による日本国債の格下げや政府の円高対策が発表されたが、為替への影響は限定的だった。26日に米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長の講演を控え、午後も小幅な値動きとなった。

 市場には「欧米景気の好転を示す経済指標が出てこないと、円高基調の反転は期待できない」(外為ブローカー)と、政府の円高対策の限界を指摘する声もあった。

ムーディーズ:日本国債を「Aa3」に1段階下げ−見通し安定的 (2)

2011/08/24 10:12 JST Bloomberg.co,jp

 8月24日(ブルームバーグ):米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは24日、日本政府の格付けを「Aa3」に引き下げた。多額の財政赤字と政府債務の増加を背景にこれまでの「Aa2」を1段階下げた。格付けの見通しは安定的とした。

 同日付の発表資料では、日本は過去5年の頻繁な首相交代が長期的な経済・財政戦略を実行する妨げになっていると指摘。さらに東日本大震災が2009年の世界的景気後退からの回復を遅らせ、デフレを悪化させたとしている。また、11年の債務の対国内総生産(GDP)比率予想は国際通貨基金(IMF)で233%、内閣府では181%とし、今後10年で債務が抑制・削減されることはないとの両者の見方も示している。

 格付け見通しについては、日本の投資家の国内投資志向と国債選好を受けて世界で最低水準の金利で資金調達できるとして安定的とした。また、構造的な経常黒字や先進国で最大のGDP比50%超の対外純資産が強みとして「日本は強固な対外ポジションを維持する」と言う。主要国の格付けでは米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が5日に米国を「AAA」から「AA+」へ下げたばかりだった。

 みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは、ムーディーズによる日本政府の格下げについて、シングルA格のS&Pとは違いダブルA格を維持したとして、金融市場にとって「追加的な材料にはならないと思う」と予想した。同時に財政政策に市場の目が移り、財政リスクに敏感な超長期債が売られる要因にはなるとした。外為どっとコム総合研究所の植野大作主席研究員も、格下げはかなり前に警告が出ており、新鮮な驚きはないとしている。

 債務残高

 ムーディーズは2月、日本の格付け見通しを安定的からネガティブに変更、5月末に引き下げ方向で見直しの対象とした。6月のリポートでは、菅直人政権が長期的な財政再建計画を打ち出していないとし、財政健全化を支える経済成長も震災からの回復一巡後に低迷する可能性があると指摘していた。

 財務省の集計では、国債や借入金などを合わせた日本政府の債務残高は6月末現在で943兆8096億円と過去最大を更新。経済協力開発機構(OECD)のデータを基にした同省のまとめでは、政府と地方自治体の債務に社会保障基金も含めた日本の公的債務残高は11年に対国内総生産(GDP)比で212.7%に及ぶ見込み。主要7カ国では最悪の水準で、米国(101.1%)の2倍程度に達する。

 政府は、財政健全化の指標となる基礎的財政収支(プライマリーバランス)について、対GDP比の赤字を15年度までに半減、20年度までに黒字化する目標に掲げている。安定財源確保の一環として、6月にまとめた社会保障と税の一体改革では、10年代半ばまでに消費税率を10%へ引き上げることを明記。11年度中に法制化作業を進める方針だ。

 さらなる収支改善が必要

 しかし内閣府の試算では、消費税を15年度までに10%へ上げると仮定しても、同収支の赤字は20年度に対GDP比で3.1−3.3%程度残り、黒字目標の達成にはさらなる収支改善が必要としている。みずほ証券の柴崎健チーフストラテジストは8日付リポートで、消費税の引き上げ時期が明確でないと指摘した上で、15年度までの赤字半減目標の達成には「不透明感が存在する」との見方を示した。

 SMBC日興証券の野地慎シニア債券為替ストラテジストは、この日の格下げについて、ムーディーズによる「中長期的な日本の財政運営に関する警鐘だ」と強調した。民主党代表選挙前の良いタイミングに公表されたのではないかとしている。

 一方、震災の復旧・復興へ向けた財政負担も重くのしかかる。内閣府が6月にまとめた推計によると、震災の直接的被害は総額約16兆9000億円。阪神・淡路大震災(約9兆6000億円)の約1.8倍に達し、このうち、住宅や工場など「建築物等」の被害が約10兆4000億円と過半を占める。原子力発電所事故に伴う風評被害など2次的な被害は含まれていない。

 復興事業での財政負担

 政府は7月に策定した復興の基本方針で、事業期間を10年として当初5年間(15年度末まで)を特に需要が高まる「集中復興期間」と位置付けた。同期間の事業規模を少なくとも19兆円程度、10年間では23兆円以上と見込んでいる。焦点の財源は、歳出削減や国有財産売却などのほか時限的な増税措置で13兆円を確保すると明記。増税分は財源の一時つなぎのため発行する復興債償還に充てる。

 柴崎氏は「今年度下期以降の復興対策の本格化を見込むのであれば早期に大型補正予算を編成する必要がある」と指摘。ただ、その際には「国債増発に伴う長期金利への影響も想定すべきだ」としている。

 将来にわたって安定的な歳入を確保するには、経済全体のパイを増やして税収増を図ることも不可欠。日本経済は震災に伴うサプライチェーン(供給網)の寸断などで甚大な被害を被ったが、企業努力もあって生産活動は急速に復旧。鉱工業生産指数は、4−6月に連続して前月比プラスとなり、国内経済は年後半にかけて「V字」回復が見込まれている。

 先行きの「三重苦」

 だが、海外需要への依存が大きい日本経済にとって、戦後最高値の更新が続く円相場や、世界的な財政・景気懸念がリスク要因としてのしかかる。国内でも、原子力発電所の定期検査後の再稼働が全国的に遅れ先行きの電力供給不安が高まっている。

 こうした「三重苦」を背景に、企業が生産拠点を国内から海外へ移す動きが加速し、産業の「空洞化」がさらに進むとの懸念も出ている。明治安田生命の小玉祐一チーフエコノミストは8日付リポートで、政府の役割は、他国企業と競争できる環境を整え、創意工夫や技術革新の側面支援に徹することだと指摘。具体的には、法人実効税率の引き下げや米国やシンガポールなどが進める「環太平洋経済連携協定(TPP)」への参加の検討などを求めている。

記事に関する記者への問い合わせ先:東京 上野英治郎 Eijiro Ueno e.ueno@bloomberg.net 林純子 Junko Hayashi juhayashi@bloomberg.net参考画面:

日本国債格付けAAA維持に一段と厳しさ=R&I

2011年08月22日 17:22 JST REUTERS

 [東京 22日 ロイター] 格付投資情報センター(R&I)は22日、日本国債(ソブリン)格付け(AAA)について、最上格を維持する環境は一段と厳しくなっているとの認識を示した。

 日本国債格付けの方向性はネガティブ。R&Iでは、今後格下げに踏み切る確率は50%超あるとしており、下げ幅は複数ノッチ(2段階)になる可能性は低く、1ノッチにとどまる見通し。また、政府の財政再建が進むのかを見極める上で、来年度の予算編成に注目し、政府方針や概算要求、審議内容を見極めた上で格付け見直しのタイミングを模索していく方針。

 R&I・チーフアナリストの谷口仁敏氏とチーフアナリストの細田弘氏、シニアアナリストの関口健爾(けんじ)氏がロイターの取材に応じた。

 R&Iは、今年3月に発生した東日本大震災を受け、国難克服のために与野党が一丸となった取り組みを期待し、政治情勢を慎重に見守るスタンスを続けてきた。しかし、その政策運営は事前の期待を大きく下回り、国難克服とは程遠い結果となったことから、「政治情勢は震災前に戻った」(細田氏)と受け止めている。

 日本ソブリンの格付け方向性はネガティブになっている。「基本的にネガティブは格下げの確率が50%はある。さらに環境が厳しくなっているとの説明をしている以上、その確率は50%を超える」(関口氏)という。

 菅直人首相が退陣を表明したことで次期政権に期待が集まりやすいが、混迷する政治情勢の中で次期政権が経済・財政運営で経済復興と財政再建の両立という極めて難しい舵(かじ)取りを迫られるのは不可避の情勢。そのため、R&Iでは「AAA格を維持するための極めて狭いパスを通れる確実性は低下している」(細田氏)と判断しており、年内にも格付け見直しに向けたタイミングを模索したい考えだ。

 R&Iが格付け見直しの上で注目するのが来年度の予算編成作業。目先は政府方針と概算要求、予算審議などで全体像を把握することになるが、「必要な費用はしっかりと手当てし、不要不急の費用は削るなど、いかにめりはりが利いた予算編成ができるかに注目している」(関口氏)という。  (ロイターニュース 星裕康 竿代真一)

中国が日本国債「大量買い」 政治的な意図はあるのか

2011/06/15 J-CASTニュース

中国が日本国債を大量に買っている。東日本大震災のあった2011年3月が2345億円、4月はじつに1兆3300億円(いずれも、速報値)にも達した。中国が保有する日本国債の残高は4月末時点で5兆7680億円(推計)に上り、英国、米国に次ぐ第3位にある。

日本国債は、1月に米格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が最上位から3番目の「ダブルA」から「ダブルAマイナス」に1段階格下げした。多額の財政赤字を抱えているうえ、震災後の復興でさらに多くの資金の調達を国債に頼らざるを得ないため、国内外の投資家からの信用が揺らいでいるのだ。

「米国債」一辺倒からの分散投資が狙い?

そういった状況にありながら、中国は2010年10月以降の半年で5730億円の日本国債を買った。それが11年4月には、一気に1兆3300億円もの買い越しとなった。震災後の「大量買い」の真意は不明だが、専門家は「米国債からの分散投資の一環だろう」と、口を揃える。

第一生命経済研究所の主席エコノミスト、嶌峰義清氏は「巨額の外貨運用を米ドルに偏れば、ドル安の影響を受けやすい。一方でユーロもギリシャの財政不安などの問題を抱えている。貿易取引額の多い主要通貨という観点から、当然、日本円も投資先に入ってくる」と話す。

また、国際アナリストの枝川二郎氏は「いまや中国は世界トップの外貨準備国ですが、保有する外貨資産は米国債がほとんど。しかし、その米国の財務状態がよくないので、リスクを分散したいことはあるでしょう」と説明する。

ポートフォリオを考えて米国債を減らし、その分を他に分散投資したいが、金や穀物などはすでに高値圏にあって下落リスクが高い。結果的に、「消去法」で日本国債が残ったということのようでもある。

「政治的なカードに使えるほど単純ではない」

財務省は、国の債務残高が2011年末に1000兆円を超すとみており、国民一人あたりの負担は750万円を超す。それでも「国の借金」である日本国債は、95%を日本人が保有している。

枝川氏は「いまの状態はタコが自分の足を食べているようなもので、日本にとってよくない」と指摘。日本国債は中国を含む、海外投資家にもっと保有してもらったほうがよいという。

その一方で、中国の日本国債の保有が増えると、「政治的なカード」に使われることを懸念する向きがあるが、「それを気にするほどの残高ではない」(枝川氏)。

前出の嶌峰氏も、「日本でも以前、『米国債を売りたくなる』と発言して物議を醸した首相がいたが、そのひと言で米国債が暴落して円が急騰。米国債を保有していた国内の機関投資家が含み損を抱え、また輸出企業が大きな痛手を被って、結局日本にハネ返ってきたことがあった。いまのグローバルマーケットは保有国債を政治的な駆け引きに使えるほど、そんな単純なものではない」と、一蹴する。

格付け見直し 日本国債、3か月かけ判断…ムーディーズ

2011年06月01日 読売新聞

菅政権批判高まりも一因

 米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスのトーマス・バーン日本国債担当アナリストは31日、東京都内で記者会見し、東日本大震災による財政負担の増大や財政再建への対応の遅れなどを理由に、日本国債の格付けを現在の「Aa2」(21段階の上から3番目)から引き下げる方向で見直すと発表した。

 菅首相の政権運営に対する批判の高まりも一因としている。バーン氏は、菅政権の基盤が揺らぎ始めたことで「財政再建が脱線する可能性が高い」と悲観的な見方を示した。

 ムーディーズは今後3か月程度をかけ、引き下げに踏み切るかどうかを判断する。日本国債に合わせて、国内の銀行などの格付けも変更される可能性がある。

 枝野官房長官は31日の記者会見で、「極めて厳しい財政状況の中で、財政健全化に向けた努力をしっかり進めていかなければならない」と述べた。

日本国債「格下げ方向」 ムーディーズ、政策能力が不透明

2011/02/22 中国新聞ニュ−ス

 米格付け会社ムーディーズは22日、日本国債の格付け見通しを「安定的」から「格下げ方向」に引き下げた、と発表した。予算審議などをめぐる菅政権の国会運営の混乱を受け、財政再建や経済成長について与野党が有効な政策を打ち出す能力に対する不透明性が高まったことなどを理由としている。

 日本国債をめぐっては、1月に米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が上から3番目の「AA」から4番目の「AAマイナス」に1段階引き下げたばかり。長期金利は現在、低い水準で推移しているが、国債に対する厳しい見方が相次いだことで、上昇懸念が高まる恐れもありそうだ。

 ムーディーズが日本国債の格付けや見通しを引き下げたのは2002年5月以来、約8年9カ月ぶり。同社の現在の格付けは上から3番目の「Aa2」。菅政権の経済財政政策が「既に他の先進諸国の水準を大きく上回っている債務の急激な増大を抑制できるほど強固なものではない」として見通しを変更した。

 政府が6月にまとめる方針の社会保障と税の一体改革についても、「(野党が参院で過半数を占める)ねじれ国会の状況と、菅首相に対する政治的な圧力が高まる中で、政府の取り組みが行き詰まる可能性がある」と指摘している。

日本国債の格付けはなぜ引き下げられるのか

2011年02月10日(木)18時42分 NewsweekエコノMIX異論正論 池田信夫

 1月に格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)が日本国債の格付けをAAからAA−に引き下げたが、今度はムーディーズが日本国債を現在のAa2から引き下げる可能性を示唆した。この影響もあってか長期金利は上昇(国債価格は下落)し、9ヶ月ぶりに1.3%台に乗せた。

 S&Pの格付けは21段階中の4番目だが、AAのスペインより低い。この下のA+はイタリア、その下のAはアイルランド、A−はポルトガル、BB+はギリシャと、財政の破綻したPIIGS諸国が並ぶ。財務省は「日本国債は順調に消化されており、債務不履行になることはありえないので、この格付けはおかしい」と反論している。

 この反論は、短期的には正しい。格付けは一般に、その債券が債務不履行になる確率を勘案して行われるが、政府債務は増税でファイナンスできるので、原理的に債務不履行は起こらないからだ。日本の政府債務がGDP(国内総生産)の2倍近くなっても長期金利が安定しているのは政府に対する信頼があるからで、長期金利も主要国では最低だ。

 国債を引き受ける資金も余裕がある。邦銀の2010年末の預金残高は564兆円にのぼる一方、貸出残高は416兆円で、その差額は約150兆円と過去最大になった。この原因は企業の資金需要が少ないためで、その差額の大部分が国債保有に回っている。不況が続く限り銀行の資金過剰は続き、国債を買う余力はまだ大きい。

 では、なぜ格付け会社は日本国債をPIIGSと同格にしたのだろうか。これについてS&Pの幹部は「日本の政治情勢が不安定で財政再建の見通しが立たない」ことを理由に挙げている。長期的には、国債がファイナンスできなくなると見ているわけだ。

 昨年度の新規国債発行額は44兆円。財務省の見通しによると2013年には50兆円を超える見通しなので、余剰資金150兆円は3年余りで食いつぶす計算だ。したがって遠からず外債を募集しなければならない。海外の投資家は1%台という低い金利ではリスクの高い日本国債を買わないので、3年たたないうちに長期金利が上昇し始める可能性がある。

 長期金利が1%ポイント上昇すると、新発債と既発債の借り換えを合計した国債の発行額は約140兆円なので、国債費(国債の利払い)は1.4兆円増え、さらに財政が悪化する。もっと深刻な問題は、銀行の抱える金利リスクだ。長期金利が上がると、低金利で発行された国債の時価が下がって含み損が出る。日銀の調べによれば、長期金利が1%ポイント上がると銀行の保有債券(国債・社債を含む)の評価損は都市銀行で約4兆円、地方銀行で約5兆円にのぼる。これは邦銀全体の業務純益の3倍である。

 もちろん金利が上がり始めたら銀行は国債を売るので、こんな巨額の損失が実際に出るわけではない。しかし現在の低金利は邦銀が買い支えることを前提にしているので、売りが売りを呼ぶこともありうる。この場合「最後の貸し手」として日銀が国債を引き受けることが考えられる。

 日銀が国債を引き受けることは財政法で禁じられているが、国会が特別決議を行えば可能である。しかし日銀が国債を引き受けるということは「日本国債には買い手がいない」と内外に宣言する結果になり、売りがさらに増えて長期金利が上がるおそれが強い。これも日銀がすべて買い取れば債務不履行は防げるが、それによって大量の通貨が市場に供給され、大幅なインフレが起こるだろう。

 極端な話、70年代のように物価が5年で2倍になれば、政府の実質債務も半分になるので財政危機は緩和されるが、国債保有者の資産は半分になる。格付け会社が想定しているリスクは文字通り国が借金を返さないことではなく、このようなインフレによる実質的な債務不履行なのである。

 しかし実は、インフレによって財政危機は解決しない。財政危機でインフレが起こるのはありふれた出来事だが、戦後の多くのケースを見てみると、財政がかえって悪化することが多い。政府支出も名目額で決まっているので、物価上昇によって歳出も増えるからだ。日本でも年金は物価スライドになっているので、2倍のインフレになったら年金支給額も2倍になり、年金会計が破綻するおそれが強い。

 それでも通常の政策で財政破綻を回避することは、ますます困難になっている。1000兆円近い政府債務を増税だけで解決することは不可能であり、歳出削減も政権基盤の弱い民主党政権では無理だ。いちばん安易なのは法改正の必要がないインフレであり、日本も終戦直後にやったことがある。今後いよいよ財政が行き詰まると、政府がそういう「悪魔の誘惑」に負けるかもしれない。人為的にインフレを起こせという議員連盟ができたことは、その不吉な前兆である。

日本国債を格下げ 米S&P、菅政権の財政運営に懸念

2011/01/27 中国新聞ニュ−ス

 米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は27日、日本の長期国債格付けを従来の「AA」から「AAマイナス」に1段階引き下げたと発表した。国債の大量発行に依存した菅政権の財政運営に懸念を示した形で、政府に債務問題に対する一貫した戦略が欠けていることも理由とした。

 同社による日本国債の格下げは2002年4月以来、約8年9カ月ぶり。中国や台湾などと同じ格付けとなり、信用不安が高まっているスペイン(AA)より下になった。

 同社は格下げの理由について「日本の財政赤字が今後数年にわたって高止まりし、財政の柔軟性がさらに低下する」と指摘。政府は20年度までに基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化する目標を掲げているが、「大規模な財政再建策が実施されない限り、達成できない」とした。

 野田佳彦財務相は27日記者団に対し、6月に社会保障と税制の一体改革の案を打ち出すことなどにより「節目できちんと財政規律を守るというメッセージを出していくことが市場の信認を得る上で大事だ」と強調した。S&Pは一体改革について「これにより政府の支払い能力が大幅に改善する可能性は低い」と分析している。

 S&Pは01年2月から02年4月にかけて、日本国債の格付けを最高ランクの「AAA」から、上から4番目の「AAマイナス」に段階的に引き下げた。その後、構造改革が進んでいるとして「AA」に戻していた。

 日本国債をめぐっては、今年に入って債券が債務不履行(デフォルト)などになった場合のリスクを取引するクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場で保証料率が上昇するなど、海外投資家が日本の財政を不安視する動きが強まっていた。

中国、日本国債を大量売却

2010/10/12 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 東京=鮮于鉦(ソンウ・ジョン)特派員

 11日付朝日新聞は、中国が日本国債を8月に大量売却したと報じた。日本の8月の国際収支状況(速報)によると、短期債が大半を占める中国の対日証券投資は2兆182億円の売り越しだった。これは昨年8月から今年7月までの買い越し額2兆2383億円に迫る額で、1年間かけて購入した国債をわずか1カ月で売り払った計算になる。

 中国は昨年以降、米国債を売り、日本国債を大量取得し、日本の政界では日本経済に対する影響力拡大を懸念する声が上がっていた。これに対し、中国は外貨準備の多様化を図る経済的理由によるものだと説明していた。

 同紙は「政治的意図? 利益の確定?」という見出しで、「円高進行に伴い利益を確定させたのではないか」との市場関係者の分析を報じた。一方、日中関係を悪化させた尖閣諸島(中国名・釣魚島)をめぐる対立は、中国が日本国債を大量売却した翌月(9月)に表面化した。

政治的意図?利益の確定? 中国、日本国債を大量処分

2010年10月11日 asahi.com

 日本国債を買い進めてきた中国が一転して、償還期間1年以内の短期債を大量処分したことが波紋を呼んでいる。日本の財務省が公表した8月の国際収支状況(速報)によると、短期債が大半を占める中国の対日証券投資は売却・償還額(処分額)が購入額を2兆182億円上回った。昨年8月〜今年7月の買い越し額の累計2兆2383億円に匹敵する異例の水準だ。

 8月の中国の対日証券投資の内訳をみると、短期債は2兆285億円の処分超、中長期債は103億円の買い越しだった。

 中国の対日証券投資の買い越し額は4月以降、毎月約2千億〜約7千億円に達し、日本の市場関係者の間では「中国が外貨準備をドルから他の通貨に多様化する一環」との解釈が主流だった。8月に売却・償還額が購入額を大幅に上回ったのは、円高進行に伴い利益を確定させたのではないかとの見方が出ている。

 中国では、外貨準備を運用する投資家としての「正常な調整」(新京報)との反応が目立つ。日本側の「中国の政治的意図」をいぶかる一部の見方に対しては「増減は正常。威嚇ではない。政治的な解釈は不要」(証券日報電子版)などと伝えている。

 ただ、信用不安で打撃を受けたギリシャ国債について、温家宝(ウェン・チアパオ)首相が同国との首脳会談後に購入を表明するなど、中国には政治的ととられる動きもある。尖閣諸島沖の漁船衝突事件後の投資状況が明らかになる9月分の統計は再び話題を集めそうだ。(福田直之、吉岡桂子=北京)

中国が最大の日本国債売り越し−外準多様化で円投資不変か(Update3)

2010/10/08 Bloomberg

 10月8日(ブルームバーグ):財務省が8日発表した8月の国際収支状況(速報)の対内証券投資によると、中国は日本国債を8カ月ぶりに売り越した。年初来の純増額の9割近くを一気に吐き出した格好だが、市場では中国などが外貨準備の多様化を進める中で円資産の需要が高まる流れに変わりはないとの見方が出ている。

 財務省の統計によると、中国の売り越しは昨年12月以来で、額は2兆182億円と2005年1月以降では最大。内訳は短期債が2兆285億円の売り越し、中長期債は103億円の買い越しだった。短期債の売り越しは昨年11月以来。中国の対日証券投資は年初から買い越しが続き、5月には7352億円と過去最大を記録。1−7月の累計では2兆3159億円と、過去最大だった05年通年(2538億円)の約9倍に上っていた。

 みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは、今回の大量売却は「予想外」だったと指摘。5−7月に買い越しが加速した分はユーロ圏の金融不安を受けた円資産への一時的な資金退避だった面があると分析した。ただ、JPモルガン・チェース銀行の棚瀬順哉チーフFXストラテジストは、中国は「償還された短期債をまだ再投資せず、円キャッシュで持っている可能性もある」と読む。

 RBS証券の福永顕人チーフ債券ストラテジストは、8月の売り越しは「一時的なもの」で、中国が外貨準備の一部で円資産を「長い目で見て、少しずつ増やしていく」方針に変わりはないと分析した。

 ブルームバーグ・ニュースは中国の国家外為管理局(SAFE)にコメントを求めるファックスを送ったが、回答を得られていない。

          世界最大の外貨準備

 中国の外貨準備高は6月末で2兆4542億7000万ドルと世界最大。6年半ぶりの円売り介入もあり、9月に1兆1095億9100万ドルと過去最高を更新した2位の日本の倍以上だ。外準の通貨別構成は世界的な平均に近い、と中国証券報が9月に報じた。世界的な平均はドルが65%、ユーロが26%、英ポンドが5%、円が3%だという。

 中国は世界最大の米国債保有国でもある。米財務省によると、直近の7月は8467億ドル。2位は日本で8210億ドルだ。ただ、中国の保有額は09年7月に記録した過去最高の9399億ドルから今年6月末の8437億ドルまで10.2%減少した。8月分は18日に発表される。

 一方、中国は日本国債だけでなく、韓国国債の買い増しも進めている。9月末時点で5兆1500億ウォンを保有。1−9月に前年同期の2.75倍に膨らんだ。

         ドル安で外準が目減り

 ニッセイ基礎研究所の櫨浩一経済調査部長は、基軸通貨ドルの下落に伴う「外貨準備の目減りリスクを回避するために、日本債券などその他通貨のウェートを引き上げるのは合理的」と見ている。

 実際、米国の金融緩和観測と金利低下を背景に、ドル相場は下落。主要6通貨に対するドルの総合的な強弱を示すインターコンチネンタル取引所(ICE)のドル指数は7日に一時76.906と1月以来の安値をつけた。ユーロに対しては1月、対ポンドでは2月以来のドル安水準を記録し、スイス・フランに対しては過去最安値を更新した。

 ドルは対円でも7日に一時、1ドル=82円11銭に下落。1995年5月以来の安値をつけた。菅直人内閣による9月の円売り介入や日本銀行の追加金融緩和にもかかわらず、95年4月の戦後最安値79円75銭まで2円余りに迫った。5月の年初来高値94円99銭から5カ月で13.6%下落。8月24日にも83円60銭までドル安・円高が進んだ。

 中国が7月まで買い増していた日本の短期債は、内外経済の減速懸念や円高、日銀の相次ぐ金融緩和を受け、金利が低下(価格は上昇)。国庫短期証券の3カ月物、6カ月物や1年物は8月末の時点ですでに、現在の政策金利(0−0.1%)の上限に近い0.110%程度の低水準で推移していた。

 世界最大の貿易黒字国である中国は、人民元相場を元売り介入で実勢より低く抑えており、介入の結果、外貨準備高が積み上がってきた。しかし、足元では7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)を控え、ガイトナー米財務長官や欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁らから元高抑制の転換を求める声が続出している。

 中国は2005年7月、人民元相場の対ドル連動(ペッグ)制を廃止。緩やかな元高の容認に転じたが、08年7月以降は1ドル=6.8元台に抑制。世界的な金融危機の中で事実上、対ドル相場を固定していた。今年6月19日には、人民元相場の弾力性を高めると発表したが、その後も元を対ドルで小幅な上昇に抑えてきた。弾力化発表以降の上昇率は2.3%程度にとどまっている。

記事に関する記者への問い合わせ先:東京 野沢茂樹 snozawa1@bloomberg.net

中国、日本国債を買い増し 外貨準備分散化の試み

2010年07月07日「人民網日本語版」

 中国の外貨準備に占める米ドル資産の割合は確かに高すぎるし、中国が保有する米ドル資産は他国に比べても確かに多い。中国がこのほど一定量の日本の国債を買い増したことは、外貨準備を分散するための一つの試みといえる。「国際金融報」が伝えた。

 中国は昨年、日本国債800億円を売却し、今年は5410億円を購入した。中国の日本国債に対する態度は大きく変化したといえる。

 日本の経済誌「日経ビジネス」が6日(北京時間)に伝えたところによると、中国は今年、日本国債を大幅に買い増しており、1-4月だけで購入額は05年全体を超えた。1-4月の購入額は5410億円(約62億ドル)に達しており、昨年800億円を売却したことを考えれば、これは大きな方針の転換だ。報道の分析によると、こうした動きは欧州があまねく主権債務危機に陥っていることと関係があるとみられ、中国政府は日本国債購入と同時に外貨準備におけるユーロのシェアを縮小しようとしている可能性がある。

 今年4月末現在、中国は英国に次いで、世界2位の日本国債の保有国となった。日本の生命保険会社などの長期投資機関は、中国は日本国債を一層買い増すとの見方を示す。上海師範大学金融工程研究センターの孫茂輝主任は「中国は確かに近く一定数量の日本国債を継続的に買い増す可能性がある。だが全体の規模はそれほど大きくならないだろうし、中国の外貨準備資産全体における割合に大きな変化が出現することも考えられない」と話す。

 これと同時に、多くのアナリストが、日本国債の買い増しという行動から、外貨準備を多元的に配分しようとする中国政府の意図がみてとれると指摘する。

 かねてより、中国の2兆4200億ドルに及ぶ膨大な外貨準備資産の配分について、具体的なデータが公表されたことはない。現在、経済学者の間では、中国の外貨準備に占める米ドル資産の割合は65%から70%ということで見方が一致している。中国社会保障基金の戴相竜理事長が中国人民銀行(中央銀行)の刊行物「中国金融」で指摘したところによると、米ドル建て資産が外貨準備に占める割合は60%を超えている可能性がある。また米ドルの下落が中国の外貨準備の価値低下のリスクを増大させているという。

 孫主任によると、日本国債の収益率は低いが、相対的に安定しているといえるので、一定量の日本国債買い増しは外貨準備を分散するための一つの試みといえる。だが資産の流動性と安定性から出発すれば、米国債が引き続き最善の選択だ。今後も中国の外貨準備の主な買い増しの対象はやはり米国債になるとみられる。

 また一方で、日本が発表したデータによると、中国が買い増した日本国債は短期国債が中心で、中・長期のものは少ない。中国の国家外匯管理局は6日、責任ある長期的投資家として、中国の外貨準備は投資の分散化という原則を常に堅持すること、また欧州市場は過去から現在、そして未来も、外貨準備の主要投資市場の一つであり続けることを改めて強調した。(編集KS)

郵政、純利益4500億円 国内トップ水準、国債頼み

2010年05月15日 asahi.com

 日本郵政が14日発表した2010年3月期決算は、グループの連結純利益が前期比6.5%増の4502億円だった。国内企業でもトップクラスのもうけを上げた。だが、金融事業が全体を支える構図は相変わらずで、国債に偏った運用は危うさもはらむ。「薄氷」を踏むような経営が続いている。

 日本郵政グループの決算は郵便や小包を配送する郵便事業会社(日本郵便)、窓口業務の郵便局会社、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の子会社4社、持ち株会社などの業績を合わせたもの。

 売り上げは、不況や郵便離れを反映して傘下4社ともに減り、グループ連結では前期比6%減だった。日本郵便は、日本通運と共同でつくった宅配便会社の清算により、797億円の損失計上を迫られ、474億円の純損失になった。

 それでも全体でもうけを出すことができたのは、ゆうちょ銀行とかんぽ生命のおかげだ。両社は貯金や保険料として預かったお金の8割を国債で運用している。金融市場に大きな混乱がなかったため、国債や保有株式などから得られる利息や配当収入が3兆5千億円にのぼった。民間金融機関のように、企業向けの貸し出しもほとんどしていないため、融資焦げつきによる損失処理もない。

 ほかの大企業と比べてみても、日本郵政グループの純利益の大きさはNTT(4922億円)と肩を並べ、みずほフィナンシャルグループ(2394億円)の2倍近い。

 だが、日本郵政の藤本栄助専務執行役はこの日の記者会見で「この利益は、市場の危うい均衡の中で計上されている。見た目ほど経営の実態はやさしくない」と述べた。

 国債運用に偏ったいまの経営は、金利が落ち着いているときは安定した利益を生み出す。だが、ギリシャ危機のように国債の信認がひとたび失われ、価格が急落(長期金利が上昇)すれば、風景は一変する。日本郵政の場合、長期金利が1%上がるだけで、国債の評価損として16兆円超の損失を抱え込み、巨額赤字に転落するとの試算もある。そうなれば、税金投入で救済せざるを得ないというのが大方の見方だ。

■拡大路線に不安

 国債頼みの単純な運用を続けていたため、郵貯・簡保の金融商品としての魅力は乏しく、資金量が減っていくのに合わせて、利益も急減。こうした体質を改めようというのが、郵政民営化の当初の狙いだった。人員削減など組織のスリム化や運用の多様化で、収益力を上げ、国債リスクも減らそうとした。

 ところが、鳩山政権はこの考え方を転換。ゆうちょ銀行の預け入れ限度額の引き上げなどの「拡大路線」を打ち出した。非正規社員6万5千人の正社員化も進め、スリム化路線からも決別したが、これらの方針が「リスク」を日本郵政の経営にため込ませるおそれもある。

 限度額引き上げで集まったお金を、海外のインフラ投資に回す構想もあるが、日本郵政の斎藤次郎社長は「私どもには、その人材もリスク管理の能力もない」。結局、国債を買い続けるしかなく、金融市場の動揺にもっと弱い体質になる可能性がある。

 正社員化も、「会社の進むべき道として正しい」(斎藤社長)としても、非正規社員を1人正社員にすると、年間200万円のコスト増になる計算で、収益の足を引っ張りかねない。

国債安定にらみリスク選好異なる投資家必要=財務省国債課長

2010年05月12日 REUTERS

 [東京 12日 ロイター] 財務省の貝塚正彰・理財局国債企画課長は12日、都内で講演し、中長期的に日本の国債市場を安定させるには、投資家層を国内銀行に限らず、リスクアペタイト(選好度)の異なる参加者も必要との考えを明らかにした。

 国債の借り換えリスクを軽減するため、20年物国債などの超長期債市場を整備・育成するなどの選択肢も示した。

 リッキーマーケットソリューション(東京都千代田区)が主催した「マーケットコンファレンス2010」に出席し、述べた。日本国債の約95%を国内銀行などが消化している状況について、貝塚氏は「同じリスク管理がなされている分、いったんストレスがかかった場合のショックが大きくなりやすい」と指摘。「(中長期的な市場安定を目指すには)好需給が継続する前提での国債管理・運営は、適切ではない。外国人投資家とも日本国債の情報を共有するなどし、国債プレミアムを抑制することも、考える必要がある」と話した。

 国債市場をめぐっては、新規財源債や財投債、借換債を含めた市中消化額(カレンダーベース)が約144兆円に達している。貝塚氏は「ALMの観点から投資需要が見込める20年以上の市場を育成し、より長い年限で発行すれば、借り換えリスクが軽減する」と言及。

 そのうえで「デュレーションリスクもあり2倍、3倍とやみくもなやり方は考えていないが、平均償還年限は、より長期化を目指したい」と述べた。

 一方、リーマン・ブラザーズ破たん以降の金融・資本市場の混乱により、一時的に発行を見送っている10年物価連動国債の発行再開について、必要であれば元本を保証するなどの見直し措置を講じる考えを明らかにした。

日本も国の借金が過去最高の882兆円…GDP比219%(1)

2010.05.12 中央日報/Joins.com

 財政危機は南欧だけのことではない。アジアでは日本が最も深刻だ。日本財務省によると、国債や借入など日本の国家債務は3月末現在882兆9235億円で、過去最高となった。1年前に比べて36兆4265億円増えた。国民1人当たり国家債務は推定695万円になると日本経済新聞が報じた。

中央政府が発行した国債と地方自治体の地方債を合わせた日本の国家債務残額は昨年末、国内総生産(GDP)比で218.6%となり、先進国では最悪だった。米国(84.8%)と英国(68.7%)など他の先進国も財政状況はよくないが、日本は比較にならないほどだ。

日本の借金の膨張は91年から本格化し、00年代初期まで続いたバブル経済崩壊の後遺症による影響が大きかった。景気低迷で税収が減る中、日本政府は緊縮ではなく景気浮揚に乗り出し、歳出の国債依存度を大きく高めた。地方自治体も地方債を乱発した。

昨年、日本政府は102兆6000億円を支出したが、うち53兆5000億円を国債発行など借金で調達した。企業の経営不振で、税収が予想を大きく下回る36兆9000億円にとどまったからだ。不足した予算は国有地など政府財産を売って充当した。

今年も日本政府は景気浮揚と福祉のために44兆円の国債を発行する予定だ。これい地方自治体の地方債発行まで合わせると、来年は国家債務が973兆円に増えると予想される。スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は1月、日本国債を「安定的」から「否定的」に格下げした。財政悪化にもっと積極的に対応しろという警告だ。

日本も国の借金が過去最高の882兆円…GDP比219%(2)

2010.05.12 中央日報/Joins.com

 日本政府も緊張している。これまでは1450兆円にのぼる豊富な個人の余裕資金が国債を吸収したが、今後は事情が変わる見込みだ。急速な少子高齢化で労働人口が減り、国債を吸収する個人の貯蓄が増えにくいからだ。

その解決策として現在5%の消費税を10%に上げ、財政を立て直そうという声も出ている。しかし自民党に続いて民主党政権も有権者の票を意識し、消費税の引き上げには消極的だ。過去にも消費税を引き上げたことで、回復に向かっていた景気に冷や水を浴びせた経験がある。

とはいえ日本は財政破綻の危機に直面しているわけではない。財政悪化を示す数値はギリシャよりも悪いが、国債発行額の大部分を日本国内で消化しているからだ。日本国債の外国人保有比率は現在5%をやや超える水準だ。

日本の財政悪化は、最悪の場合はお金(円)を刷って解決できる‘国内問題’だ。日本が外国に借金を返せない可能性はないということだ。この点が現在世界経済を揺るがしている南欧の財政危機とは根本的に違う。日本はむしろ莫大な海外投資で対外純資産が着実に増えている。

絶壁の真上に近づいてもお金に疎い日本人

2010年05月12日 BP NeT 大前研一の「産業突然死」時代の人生論

 今年6月に改正貸金業法が完全施行されることはご承知の方も多いだろう。この法律によって、従来29.2%だった金利の上限が15〜20%に引き下げられる。同時に、借入金に総量規制がかけられ、年収の3分の1を超えて借りることができなくなる。

改正貸金業法の完全施行で事態はもっと悪化する

 この法律は本来正しいものだが、現実には悪法となる可能性がある。というのも、現状では消費者金融に貸入残高のある全利用者の42%は、借入額が年収の3分の1を超えているからだ。この42%の人々は生活費の補填や借入金の返済などに利用しており、改正貸金業法が完全施行されると新たな借り入れができなくなる。ひいては、サラ金よりも金利の高いところ、すなわち闇金業者に頼らざるを得なくなるケースも出てくるだろう。

 また今回の法改正では、妻が借りる場合には婚姻証明書が必要であったり、配偶者の承認が必要など、「未成年者の婚姻には親の承認が必要」、みたいなフレーズが随所にあり、成人をかなり国家が縛っている印象は免れない。もちろん多重債務者の問題は複雑で、こうした制限の理由も理解できないわけではない。

 しかし、そのような人間を成人として大量生産している学校教育の問題までさかのぼる事なしに本質的問題は解決しないだろう。当面は闇金業者が跋扈(ばっこ)するなり、貸し金に代わる新手の手口が登場するなどして、事態はむしろ悪化するだろう、というのが私の予想である。

 だが、この問題はとりあえずおいておこう。私はここでは「そういう法律を施行する日本政府自体の借金はどうなのだ」と問うてみたい。

ハイリスクカントリーの道を突き進む日本

 日本は世界でも突出した債務大国である。税収を日本政府の年収、国債を借金と見なせば、日本の年収は約40兆円、借金は約800兆円だ。つまり日本は「年収の3分の1」どころか、実に20倍もの借金をしていることになる。とんでもない話だ。

 国民には年収の3分の1しか借金はダメだ、と総量規制をかけながら、自分は収入の100%を超える借金を毎年新たにしている。改正貸金業法では借金の累積が年収の3分の1ということであるから、国のノー天気ぶりがひときわ目立つ。

 「悪いことに」と言うべきか、民主党が政権を取って以降、この借金のペースが加速してきた。財務省は先ごろ、2011年度から2013年度の歳出入に関する三つの試算シナリオを発表した。それによると、高めの経済成長と歳出削減努力を織り込んだシナリオであっても、歳出入の差額が2013年度には58.4兆円に達する見通しとなった。残る二つのシナリオでも、日本はかなりのハイリスクカントリーとなることがわかった。

 こういうシナリオを財務省が公表したことは評価したい。だが、日本の借金がますます膨れ上がり、歯止めがかからなくなってきたことは看過できない。民主党政権は「マニフェストで国民に約束したから」という大義名分を振りかざして、自分たちのやりたいことを全部やってしまおうとしている。国民は確かに民主党のマニフェストを支持したが、マニフェストの実現と膨大な借金が引き換えになることまでは承諾していない。

 ましてやギリシャ危機で財政秩序を求められた国がどうなるか、連日のゼネストや警察との市街戦をお茶の間で見て国民も「明日はわが身か……」と感じ始めている。日本の財政状態は年金をさかのぼって3分の1減らしたJALよりも、公務員を大幅に減らさなくてはいけないギリシャよりも、はるかに悪いのだから。

 上のグラフを見ればわかるが、2001年度から今日までの10年間、日本の歳入と歳出の差は一向に縮まる気配がない。歳入は減少傾向にあり、歳出は増える一方だ。差額が58兆円まで拡大した現在ともなると、もはや破綻状態とも言える。

国家に飼い馴らされた国民と金融機関

 民主党も「事業仕分けで税金の無駄な使い道を削る」と言っているが、あの程度(どんなにがんばってもせいぜい1兆〜2兆円)の削減では、鰹節を鉋(かんな)で削るようなもので、大きな効果は望めない。しかも、前回の仕分けで削減が決まった道路工事などを見ると、実際の予算ではほとんどが削減を免れていた。

 今回の「独立法人の廃止または削減」仕分けに関しても、実行段階では廃止よりも削減、削減といってもわずか、という結末の可能性が高い。これを「大いに評価する、もしくは評価する」が70%を超える世論調査を見ると、民主党もにんまりしているだろう。国民も「大甘」、もしくは「なめられている」のそしりは免れないだろう。実行するまでは「評価しない」という項目を作って調査し直せ!と叫びたい。

 日本の懐事情は火の車であるにもかかわらず、世界的には「日本の国債リスクはそれほど高くない」と思われている。これは「日本の金融機関は国債以外に適した投資対象、投資機会がないと考えている」からだ。その背景には「日本国民は政府の思惑通り従順に国債を買い続け、危機感を持たないだろう」という仮定がある。さらに、いざとなれば政府が預金封鎖をしても、ハイパーインフレになっても、国民はただボーとしているだけだろう、ということになっている。

 そうでもなければ、世界一の借金地獄の中で追加的に発行した50兆円もの新規国債が順調に捌(さば)けるわけがない。国民も、金融機関も、国家に飼い馴らされて「疑う」ことも、「他の投資先を探す」ことも一切していない。「嵐の前の静けさ」か、「茹(ゆ)でガエル」かはいずれ判明するだろうが、今のところ世界の投資家達の七不思議の一つが日本の強さなのである。

いざとなれば預金封鎖かハイパーインフレという恐怖

 銀行やゆうちょ銀行、生命保険など国内の金融機関が日本の国債を買っているさまを見ればそう考えるのも当然だが、しかし仮定はあくまでも仮定だ。いつまでもこの状況が続くとは限らない。ある日突然、国民が「国債だけに頼るのは危険だ」と、分散投資を始める可能性だってある。

 となると大量に国債を買っている金融機関は、預貯金を一斉に引き上げられてしまう事態も起こり得るわけだ。今は「みんなで渡れば怖くない」という日本人らしい心理で国債を買うに任せているが、誰もそういう冒険をしなくなったときはどうなるか。集団心理が人一倍強い日本人だからこそ一斉に国債から逃避するかもしれない。

 もう一つ間違った解釈を流布する学者や官僚がいる。彼らはギリシャと違って日本は買い手がほとんどすべて日本人なので、なげ売りされにくい、と言う。しかし海外の投資家も6%(44兆円)持っているから、これを一斉に売り浴びせれば、インパクトは甚大であり、ギリシャどころの比ではない。

 別な学者グループは「借金と正味資産の差で見るべきだ」という意見を述べている。個人金融資産1400兆円と個人の負債の差は1000兆円。国家の借金800兆円と資産の差は200兆円。したがってこの程度の借金ではまだ「詰まる」ことはない、という解釈だ。こうした解釈がアナリストや学者によって政治家や官僚にも伝えられ、日本国債および円に対する安心感につながっている。

 しかし、この議論の最大の問題点は、個人金融資産を国がパクることができる、という前提で話していることである。もちろん国民はそういう了承を政府に与えたわけではないが、いつまでも郵貯などを通じて国債を買っている、買う余力がある、ということは国民がそれを許容していると見なして良いのだ、という前提なのである。

 この考え方の場合には、いざとなれば国家が預金封鎖をして、国民の金を、たとえば半分取り上げるとか、ハイパーインフレにして国家の借金を棒引きにする、という戦略的打ち手があるので大丈夫なのだ、という前提である。いずれも国民は知らないし、ましてや了承したものではない。しかし現状は、その前提で予算を通し、(国債発行の)印刷機を回している、ということになる。 「破綻するかどうか」ではなく「いつ破綻するか」

 上記の楽観論でも、じっさい危機に瀕して国家が資産を売却しようとした場合、果たして換金できるものがあるのか、ということが問題となる。資源のないギリシャの場合も、美しいエーゲ海の島々をドイツに売れ!というような議論が出てきているが、実際に売るとなれば二束三文である。日本一の資産家であったコクド(旧国土計画)の堤義明さんも、西武鉄道グループが危機に瀕したときに資産売却でキャッシュを作ろうとしたが、焼け石に水であった。

 つまり国家の資産は帳簿上のもので、いざとなればほとんどキャッシュには変えられない可能性がある。その場合、国民の正味金融資産1000兆円で国の借金800兆円をカバーしなくてはいけない(国家がそれを封鎖する権限、あるいは手段があると仮定して)。

 差額の200兆円は確かに大きな額だが、年間50兆円以上の債権を発行しているわけだから、最大4年しか持たない。学者の中には「早ければ2014年に国債の破綻が起こる」と言っている人もいるが、根拠はその程度のものである。しかし、この議論は間違っている。2014年に破綻することが分かってくれば、今国債を持っている人々も売却に走る、というのが金融の世界の常識だからである。

 つまり、米櫃(びつ)がいつゼロになるのか、というのは意味がない議論で、金融の世界ではこうしたことが明らかになったときに“short(売り浴びせ)”となる。また政府がいざとなったときには当事者能力がゼロであろう、ということは“平時”の現在すでに証明されてしまった。

 金融の世界ではいくつかの先行指標がある。ギリシャの場合にはCDS(Credit default swap)という信用リスクを取り引きするデリバティブ商品のスプレッドが900ベーシス(9%)を超えたことで危機が一気に広がった。欧米のヘッジファンドなどにはこの商品を使って、ギリシャが破綻したときに儲けの出る仕組みの商品が大量に出回り、危機が一気に広がったと言われている。今後はPIGSならぬPIIGESだ、ということでポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシャ、イギリス、そしてスペインなどでも破綻の可能性に賭けた商品も出てきている。

 日本に関してもCDSスプレッドを売り物にした仕掛け商品がヘッジファンドの間では噂になり始めている。これは極めて危険な傾向で、日本に関しては「WHETHER(破綻するかどうか)」ではなく「WHEN(いつ破綻するか)」の問題だけだ、という言い方に変わってきている。人口が高齢化し、返済原資もない、急激な増税には抵抗が強い、ということで、要はきっかけだけ、という状態にあると考えた方がよい。

個人資産を避難させる三つの方法

 ここで視点を変えて、「では国民は国債から逃避した後、どこに行けばいいのか」を考えてみたい。政府の打ち手は預金封鎖とハイパーインフレの二つである。一方、生活者にとっては三つの避難場所がある、と私は考えている。一つは海外に資産を移す、あるいは外貨預金をすること。つまり国際分散である。二つ目は金融商品以外のモノに転換すること。例えば不動産とか金などだ。三つ目はタンス預金である。

 タンス預金というと「金利も付かないので投資ではない」と思われるかも知れないが、以前私は「Shall we タンス?」といって、これを奨励していた時期がある。ちょうど「平成維新」の旗を揚げていた1992年ごろだ。お金は国に預けると、国家の無駄遣いに回される(銀行に預けても国債を買うので国に預けるのと同じ)。となれば、タンス預金をするほうが国家の無駄遣い防止に役立つという理屈だ。

 タンス預金の弱点はハイパーインフレである。日本政府もいよいよ打つ手がなくなったときは、800兆円という借金が意味をなくすくらいのハイパーインフレを起こす可能性もある。それだけ貨幣価値が下がれば、当然タンスに置いてあるお金の価値もなくなってしまう。

 ハイパーインフレが起こったときに効果があるのは、投資の国際分散である。ただし国際分散も預金封鎖(引出制限)には弱い。以前にアルゼンチンやブラジルが預金封鎖を行ったことがあるが、そのときは現地の外銀のドル建て預金も対象とされた。

 日本政府が預金封鎖をするとき、どこまで対象を広げるかは不明だが、日本国外に移動したから安全というわけにはいかないだろう。ハイパーインフレ対策として国際分散するときは、むしろ足元の日本でタンスの中に外貨の形で持っているほうが有効かもしれない。

 残る一つ、金融商品以外への投資だが、これは不動産や金(貴金属)など、通貨とは異なるものに移しておくことだ。借金して不動産を買うなら固定金利にしておかないと、ハイパーインフレの時には金利も急上昇するので注意しなくてはいけない。

 いずれにせよ完璧な方法は存在しないわけで、だからこそ今もなお国債から誰も逃げ出そうとしていないわけだ。しかし、現在の状況がいつまで続くかは疑問であるのは先に記した通りである。

 2006年夏、私は本連載で「絶句するほどお金に鈍い日本人」を書いた。あれから4年、日本人はどれだけ変わったのか。状況を見ながら適した避難先を見つける力は身に付けたのか。ほぼ絶壁の真上まで来てしまった今日、そう考えると私は暗澹(たん)たる気持ちになるのである。

菅財務相:国債抑制目標 ギリシャ危機、教訓

2010年05月12日 毎日新聞 東京朝刊

 <分析>

 菅直人副総理兼財務相が11日、11年度予算の新規国債発行額を今年度(44・3兆円)以下に抑える目標を掲げた。背景には、国際金融市場で混乱を招いたギリシャの財政危機が、先進国で最悪の財政状況の日本にも飛び火しかねないとの強い危機感がある。ただ、景気が低迷する中、政府・与党内の歳出圧力は根強いうえ、増税に対する反発も強く、「国債頼み」の予算編成からの脱却は容易ではなさそうだ。【谷川貴史、坂井隆之】

 「これまで以上に『ソブリンリスク』(国の債務不履行の恐れ)が注目されている。11年度の国債発行は、今年度を超えないよう全力を挙げて努力したい」

 菅財務相は11日の閣議後会見の冒頭、記者から質問を受ける前に自ら国債抑制の方針を切り出した。ギリシャ危機をきっかけに各国の財政赤字がクローズアップされ、財政規律を緩めれば国債の暴落を招くとの懸念が市場で高まっていたためだ。

 経済協力開発機構(OECD)の09年見通しによると、日本の債務残高は国内総生産(GDP)の約1・9倍。1・1倍超のギリシャを大きく上回り、「先進国の中で断トツ」(菅財務相)の状況だ。菅財務相は、自らが出席した国際会議でギリシャ問題が議論されるのを目の当たりにし、「日本財政への危機感を新たにしている」(財務省幹部)という。

 各国の財政再建の取り組みに注目が集まる中、鳩山政権がいまだに財政健全化目標を設定していないことも大きな懸念材料だ。政府は6月までに、財政健全化の道筋を示す「財政運営戦略」と、11〜13年度の予算の骨格を示す「中期財政フレーム」の策定を目指している。

 菅財務相の発言は、財政健全化に向けた政府内の議論を加速させる狙いがあるとみられ、仙谷由人国家戦略担当相も同日の会見で、「ギリシャ問題を他山の石とし、従来よりもはるかに強い危機感で財政戦略を考える必要がある」と強調した。

 国債発行に上限を設けることで、歳出を抑制する手法は過去にもあった。小泉純一郎政権は「国債30兆円枠」を設定し、族議員の抵抗を抑えて公共事業費を中心に歳出削減を進めた。民主党は現在、今夏の参院選に向けてマニフェスト(政権公約)を策定中だが、選挙戦を見据えて「バラマキ」につながる恐れもあり、国債発行枠の設定は歳出の膨張を抑えるために先手を打つ狙いもありそうだ。

 ◇政府内、一致困難も

 11年度予算で新規国債発行額を44・3兆円以下に抑える目標の達成は容易ではない。現在の景気情勢では税収の大幅回復が見込めない一方で、鳩山政権がマニフェストで掲げた子ども手当の倍増や社会保障費の自然増などで、歳出の拡大圧力がさらに強まるためだ。

 鳩山政権で初の10年度の一般会計予算規模は、過去最大の92・3兆円に上った。しかし税収は37・4兆円にとどまり、「埋蔵金」などの税外収入で10・6兆円を捻出(ねんしゅつ)したものの、過去最大の44・3兆円の国債発行を余儀なくされた。

 11年度は、更に厳しい予算編成が予想される。マニフェストを予定通り実行した場合、10年度に半額だった子ども手当が満額支給されることで約2・5兆円が上乗せされ、年金や医療費の自然増も1兆円を超える見通し。社会保障関連だけで「6兆円の新たな財源が必要」(菅財務相)とされるからだ。しかし、税収は大幅な回復は見込めず、埋蔵金も「ほぼ底をついた状態」(財務省幹部)だ。菅氏は11日の会見で「無駄なものは大いに削る」との姿勢を示したが、事業仕分けなどによる予算削減も限界に近づいている。

 残る財源確保の手段は増税ぐらいだが、参院選を前にした与党の反発が予想され、議論は進みそうもない。鳩山由紀夫首相は11日夕記者団に対し「政府として決めている話ではない」と語るなど、現時点では政府内の目標共有すらおぼつかないのが実情だ。

ギリシャ問題 日本国債にも不安 リスク管理へ財政健全化急務

2010.05.08 SankeiBiz

世界市場の混乱を伝える証券会社の株価ボード。巨額の財政赤字を抱える日本の信用リスクは、今のところ揺らいでいないが…=7日、東京・八重洲

 ギリシャの財政危機拡大に伴う世界市場の混乱の中で、巨額の財政赤字を背負う日本国債の信用度が改めてクローズ・アップされている。日本は、政府債務残高が国内総生産(GDP)の約2倍に上る世界最大の借金大国。現在は国債利回りが低水準で、消化も国内で完結するなどギリシャと事情は異なる。だが、「将来的には国内消化は難しい」(市場関係者)との見方が支配的で、ギリシャ問題は決して対岸の火事ではない。

 「日本がギリシャのようにならないためには日本の政府と国会が他国に頼らず、自力で財政再建を進めなくてはならない」

 菅直人副総理・財務相は自身のブログでギリシャ問題を引き合いに出しつつ、日本の財政状況に対する危機感をあらわにする。ギリシャ問題を受けた各国のソブリンリスク(国家の信用リスク)への警戒感は、今やピークに達している。

 4月には格付け会社のフィッチ・レーティングスが、「財政再建が図られない場合、日本国債の信用力と格付けは中長期的に一層悪化する可能性が高い」と報告しており、海外投資家の一部も「ギリシャの次は日本」と暴落論を煽る。

 これに対し、閣僚らはそろって、「ギリシャ国債と日本国債の状況は全然違う」(亀井静香郵政改革・金融相)と“日本国債暴落説”を一蹴する。その理由は日本国債の利回りの低さと国内消化率の高さだ。

 7日の債券市場では、長期金利の指標になる新発10年物国債利回りが1.25%まで低下し、直近の最低水準を記録した。ギリシャの長期金利が一時13%台まで暴騰したのとは対照的だ。背景には94.8%という欧米に比べて高い国債の国内消化率がある。日本の個人金融資産はGDPの約3倍、約1400兆円に上るが、この多くが銀行などの金融機関を経由して、国債保有に充てられているからだ。

 だが、日本国債の「未来予想図」は極めて厳しい。三菱東京UFJ銀行の試算では、少子高齢化の進行で個人の貯蓄率が低下し、10年後の2020年度には国内消化率は60.7%(消費税率据え置き、企業の借入金は現在のペースで減少)になる。そうなれば、日本国債は現在より高い利回りを求められることは確実で、国の利払い負担が増加し、住宅ローン上昇などを通じて個人消費の低迷を招く恐れもある。

 「現政権が目指す経済政策と持続可能な財政運営を調和させるのは容易ではない」(みずほ総合研究所)。政府は財政健全化法案の準備やマニフェスト(政権公約)修正を含む財政再建を急ぐが、「日本の長期金利が跳ね上がらないのは5%という低い消費税率に増税余地があるから」(国際金融筋)と指摘され、国債暴落を回避するための大増税も現実味を帯びてくる。(田端素央)

長期金利は小幅低下=日本の財政にも懸念−債券市場

2010/05/07 時事ドットコム

 7日午前の東京債券市場では、長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りが、一時前日比0.02%低下の1.250%となった。ギリシャの財政問題をきっかけとする急激な円高・株安を受け、債券が買われて価格が上昇(金利は低下)した。ただ、日本の財政に対する懸念も根強く、金利低下は小幅にとどまった。

日本国債大丈夫? 1400兆円資産が裏付け、高齢化で将来に不安

2010.05.07 MSN産経新聞

株価ボードのガラスに写り込んだサラリーマン。頭を抱えているのは株安のせいなのか…(ロイター)

 ギリシャの財政危機が世界の金融市場を揺さぶる中、日本国債の信用度が改めて注目されている。日本は、政府債務残高が国内総生産(GDP)の2倍超に上る世界最大の“借金大国”だからだ。現在は約1400兆円に上る個人金融資産を背景に国内でほとんどが消化されており、信用は揺らいでいない。しかし、市場では「将来的に国内だけでの消化は困難」との見方は多く、危機は決して対岸の火事ではない。

 「日本がギリシャのようにならないためには日本の政府と国会が他国に頼らず、自力で財政再建を進めなくてはならない」

 菅直人副総理・財務相は自身のブログでギリシャ問題を引き合いに出しつつ、日本の財政状況に対する危機感をあらわにする。

 ギリシャ問題を受けた各国の「ソブリン(公的債務)リスク」への市場の警戒感は、今やピークに達している。

 先月には欧州系格付け会社のフィッチ・レーティングスが「財政再建が図られない場合、日本国債の信用力と格付けは中長期的に一層悪化する可能性が高い」と警告。海外投資家の一部には「ギリシャの次は日本」とあおる声もある。

 これに対し、閣僚らはそろって「ギリシャ国債と日本国債の状況は全然違う」(亀井静香郵政改革・金融相)と反論する。

 最大の理由は、国内の金融機関や投資家によって購入される「消化率」が、94.8%と高いことだ。

 日本の個人金融資産はGDPの約3倍の約1400兆円に上り、この多くが銀行や郵便貯金に預けられ、金融機関が購入している。日本の国と地方の長期債務残高は約860兆円に上るが、「その借金は国民の財産の裏付けがあるので安心」というわけだ。

 国内で安定的に消化できるため、金利も低位安定している。市場が動揺する中でも、7日の債券市場では長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが1.25%となり、直近の最低水準を記録した。

 ただ、「未来予想図」は極めて厳しい。三菱東京UFJ銀行の試算では、少子高齢化の進行で個人の貯蓄率が低下し、10年後の平成32年度には国内消化率は60.7%にまで低下するとしている。

 そうなれば現在より高い利回りでなければ、売れなくなり、国の利払い負担が膨らみ、さらに財政が悪化するという悪循環に陥る。

 みずほ総合研究所は「現政権が目指す(巨額の財政支出を伴う)経済政策と持続可能な財政運営を調和させることは容易ではない」と警告する。

 「日本の長期金利が跳ね上がらないのは増税の余地があるから」(国際金融筋)との指摘もある。市場は、日本が早急に財政再建の道筋を示すことができるのか注視している

世界経済揺さぶる3つのリスク ギリシャ危機、日米国債に波及も

2010.05.07 MSN産経新聞

ギリシャ国会前では市民による抗議活動が行われた(ロイター)

 ギリシャを震源地とする欧州の財政危機が海を越えて日米に飛び火し、世界経済を揺さぶっている。(1)実体経済の失速(2)金融システム不安の再燃(3)日米国債への波及−という3つのリスクが顕在化し、危機は対岸の火事ではなくなった。日米欧のG7(先進7カ国)当局も、2008年のリーマン・ショックを教訓に迅速な対応に向け、協議に乗り出した。

 「08年に戻ったような錯覚を覚えた」。ある市場関係者は6日、ニューヨーク株式市場でダウ平均が1千ドル近く暴落したことにこう漏らした。

 ホワイトハウスも同日の声明で、「ギリシャの安定と世界の金融システムの信任回復を助ける努力を強く支持する」(ギブズ大統領報道官)として全面協力する姿勢を表明した。

 7日の東京市場でも株価は下げ止まらず、菅直人財務相は同日中にもG7財務相による電話会談を開くことを明らかにした上で、「ギリシャに貸しているお金は少ないので、日本の金融が直接に受ける影響は極めて小さい」と指摘。一方で、日銀も2兆円の緊急資金供給を実施し沈静化に躍起となった。

 火元の欧州では7日夜(日本時間8日未明)、ブリュッセルで緊急首脳会議を開き、欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)が合意した総額1100億ユーロ(約13兆円)のギリシャ支援を決める。

 だが、連鎖的な株安が広がる市場の不安を押さえ込めるかは不透明だ。動揺が日米にも波及したのは、市場で3つのリスクが強く意識されているためだ。

 一つは、欧州景気が悪化し、金融危機の病み上がりの世界経済が再び悪化しかねないリスクだ。

 市場の混乱でユーロ圏の景気が停滞すれば、日米からの欧州向け輸出が落ち込む。さらに対ドルや対円で急激なユーロ安が進行しており、輸出採算が悪化し業績を直撃する。

 パナソニックの河井英明役員は7日の決算会見で、「予断を許さない状況だ」と述べた。同社では対ユーロで1円の円高が進むと11億円の利益が吹き飛ぶ。

 もう一つのリスクが、ジャンク(投資不適格)級に格下げされたギリシャ国債などを保有する金融機関に損失が発生し金融システム不安が再燃することだ。IMFは「デフォルト(債務不履行)はあり得ない」と強調しているが、08年の金融危機のときと同様に疑心暗鬼から信用不安が広がり、お金の流れが凍り付く可能性もある。

 そして日米当局が最も恐れるリスクが、自国国債への波及だ。米国は1・5兆ドルの過去最悪の財政赤字を抱え、日本は政府の債務残高がギリシャをはるかに上回る主要国で最悪の水準にある。

 現段階では欧州との比較で日米国債は安全資産と認識されているが、「投資家は高水準の公的債務に耐えられなくなっている」(米紙ウォールストリート・ジャーナル)。国債への信用が低下して市場で売られれば、ギリシャのように長期金利が上昇し、家計や企業を利払い負担が増え、経済を冷え込ませる。

 各国当局の間では、巨額の公的資金で危機を押さえ込んだリーマン・ショックを教訓に、欧州中央銀行(ECB)による国債の購入拡大や大規模な基金創設など大胆な措置が必要との危機感が高まっている。

長期金利、5カ月ぶり水準に上昇

2010/04/07 時事ドットヨコム

 7日の東京債券市場では、長期金利の指標となる10年物国債の流通利回りが前日比0.010%上昇し、1.405%と約5カ月ぶりの高水準となった。白川方明日銀総裁が会見で、日本経済の先行きについて明るい見通しを示したことを受け、金利上昇観測が強まったとみられる。(

日本国債の格付け見通し引き下げ 米S&P、「ネガティブ」に

2010年01月26日 中国新聞ニュ-ス

 米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は26日、日本の長期国債の格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げた。同社が日本国債の格付けや見通しを引き下げたのは約8年ぶり。国債の大量発行に依存した鳩山政権の財政運営に疑問を投げかけた形で、市場では長期金利が上昇する恐れもある。

 S&Pは格付け見通しを引き下げた理由として、財政健全化が一段と遅れそうなことや、経済成長率が今後も低水準にとどまりそうなことを挙げた。デフレ不況が深刻化すれば財政に悪影響を与えるとの見方も示した。

 S&Pは、国債の格付けそのものは「AA」に据え置いたが、将来は引き下げる可能性があるとしている。

 菅直人財務相は26日の閣議後の記者会見で「財政健全化の道筋を示す努力をすることで、市場からの信認も維持していくことができる」と述べた。

 2010年度予算案の国債の新規発行額は約44兆3千億円と、当初予算としては過去最大規模に膨らんだ。事業仕分けなどによる歳出削減が思うように運ばず、子ども手当など民主党のマニフェスト(政権公約)を実現する財源が足りなくなったためだ。

ギリシャ国債格付け引き下げ、「日本も時間の問題か」−韓国メディア

2010/04/29(木) Searchina

 米格付け会社格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は27日、ギリシャ国債の長期信用格付けを3段階引き下げ、「投機的水準」とした。同社は、ギリシャ政府は公的債務の負担軽減に取り組む必要があるとし、政治、経済、財政上の課題を再評価した結果を反映したと説明している。

 韓国のメディアは「日本がギリシャ状態になるのも時間の問題」と題し、雪だるま式に増え続ける財政赤字や、公共事業の借金などによる慢性的な赤字は、ギリシャだけではなく日本も同様だと報じている。

 ギリシャの10年物国債利回りは、財政危機のため10%に近接した。その反面、日本の国債利回りは1%のラインだ。日本の財政問題がこれまで取り上げられなかったのは、逆説的なこの国債利回りのためだった。しかし、このような低金利が持続することは難しく、金利が上昇すれば、日本はギリシャの二の舞になるとの警告が、多方面から出ているとの見方を示している。

 また、欧米の格付け会社フィッチ・レーティングスは23日、日本の公的債務残高は持続不可能なレベルに達していると警告を発した。前回の警告以後、6カ月も経たずに2度の警告が行われた。フィッチは、日本で景気回復と財政再建が図られない場合、政府の赤字はさらに増加する。そのため、信用力と格付けは中長期的に一層悪化する可能性が高いとの見解を示している、と伝えた韓国のメディアもあった。(編集担当:李信恵・山口幸治)

国の借金が973兆円に 1人当たり763万円

2010/01/25  中国新聞ニュ-ス

 国債と借入金、政府短期証券を合わせた国の債務残高が2010年度末で、973兆1625億円に上る見通しとなったことが25日、政府が国会に提出した予算関連資料で明らかになった。国民1人当たりの借金は約763万円に上る。

 10年度予算の一般会計総額が当初ベースで過去最大となる92兆2992億円に膨らむ一方で、景気低迷で税収が大きく落ち込み、国債の増発で賄うため。09年度末の国の債務残高は、900兆1377億円と初めて900兆円を突破する見込みで、財政の悪化は深刻な事態となっている。

 10年度予算案は、景気の低迷で法人税収などが大きく減り、税収は約37兆4千億円にとどまる見通し。この結果、新規国債発行は当初ベースで過去最大の約44兆3千億円に膨らんだ。

 政府は、中期財政運営をめぐる検討会の初会合を25日に開催。今年6月にも財政の健全化目標を策定する見通しだが、鳩山政権は消費税率を4年間据え置く方針を掲げており、財政健全化への道のりは険しそうだ。

国債、綱渡りの44兆円台 財源の壁、将来に返済不安

2009年12月25日 中国新聞ニュ-ス

 2010年度予算案を閣議決定し、記者会見する鳩山首相=25日夜、首相官邸

 政府は25日、政権交代後初めてとなる2010年度予算案を閣議決定した。公共事業を削り子育てに手厚く配分する予算改革に挑んだが、歳出削減は進まず、一般会計総額は92兆2992億円と過去最大に膨張。景気悪化による財源の壁を前に、マニフェスト(政権公約)の一部は実施を断念した。それでも新規国債発行額は44兆3030億円と空前の規模に達し、将来世代に借金返済への不安を引き継ぐことになった。

 企業収益の悪化が響き税収は18・9%減の37兆3960億円。戦後初めて当初予算段階から借金が税収を上回る非常事態を迎えた。13年度までに計約17兆円相当に上る新規政策を掲げた公約の完全実施も危ぶまれそうだ。

 国債発行額は09年度当初と比べると33・1%も拡大。このうち財源不足を埋める赤字国債が37兆9500億円を占める。

 鳩山由紀夫首相は記者会見で国債発行額について「ほぼ44兆円に抑えることができた。未来への責任を果たせた」と述べ、「約44兆円以内」とした政府方針を達成したとの認識を示した。

長期金利急伸 一時1・5% 企業・家計打撃 景気に懸念

2009/05/29 Fuji Sankei Bsiness-i

 東京債券市場で長期金利が急伸(国債価格は下落)し、一時半年ぶりに1.500%をつけた。日米の財政悪化懸念などから売りが膨らんだ。長期金利の上昇は金融商品の利回りの増加につながる一方、金融機関の貸出金利の上昇も促し、家計や企業の負担が増すことで景気の重しとなる懸念もある。

 長期金利の代表的指標である新発10年国債利回りは、一時前日終値より0.030ポイント高い1.500%まで上昇。取引時間中としては昨年11月以来の高水準をつけた。終値は前日より0.010ポイント高い1.480%だった。

 前日の米債券相場が財政赤字の拡大懸念などから下落したほか、日本でも事業規模56兆円超の過去最大の経済対策による財政悪化懸念で、海外の機関投資家を中心に売りが広がった。

 長期金利が上昇すると、個人向け国債や預貯金などの金融商品の利回りの上昇につながることが多く、家計の金利収入は増える。国債から株式への資金シフトが進むことで、踊り場の様相を強めている株式市場にも追い風となるとの見方もある。

 一方で、長期金利は住宅ローン金利の重要な目安になっている。大手銀行は毎月末に住宅ローン金利の見直しを行っている。三菱UFJフィナンシャル・グループなど3メガバンクの10年固定型金利は3.90〜3.95%となっているが、長期金利の上昇ピッチの速さを受け、「6月分は上昇する可能性が高い」(銀行関係者)。変動金利型ローンの場合は、借り入れが難しくなったり、より金利負担が重くなることも考えられる。

 また、長期金利の動向は企業の資金調達コストにも跳ね返る。金融機関が企業に融資する際の金利の参考にされるからで、とくに長期貸出金利の目安となる長期プライムレート(優遇貸出金利)が見直されれば、企業の新規の投資計画なども制約される懸念が出てくる。

 ただ、「日本は米国ほど国債の売り圧力が強くなく、日米の金利差も広がっている」(エコノミスト)との指摘もあり、一本調子で上昇が続くかどうかは不透明だ。(柿内公輔)

長期金利1.4%台後半レンジの中心、10年債入札1.5%クーポン見込む=来週の円債市場

2009年05月29日 REUTERS

 [東京 29日 ロイター] 来週の円債市場では、長期金利の代表的な指標となる10年最長期国債利回りは1.4%台後半がレンジの中心になる見通し。国債増発による需給不安がくすぶる中、金利上昇への警戒は続くが、入札が一巡した米債が落ち着くとの見方から、円債への金利上昇圧力も和らぐとの見方が複数聞かれる。財務省が6月2日に実施する10年利付国債(1兆9000億円、2019年6月20日償還)の入札は、前回債と同じ1.5%クーポンで決着するとみられている。長期ゾーンの地合いがやや悪化したため、消化には多少時間が必要との見方が出ている。

 国債先物6月限の予想レンジは135.80円─136.70円。

 10年物最長期国債利回りの予想レンジは1.510%─1.460%。

 27日の米債券市場で、指標10年債の利回りは一時、3.74%と前日から20ベーシスポイント(bp)近く上昇した。3月に米連邦準備理事会(FRB)が国債買い切りを決める直前の3%水準を大きく上回った。この流れを継ぎ、円債市場の長期金利は一時1.5%ちょうどとなり、2008年11月17日以来約6カ月ぶりの水準に上昇した。マーケットでは、金利上昇の主因は財政悪化への懸念とみている。円債に対する米債の影響について、RBS証券・シニアストラテジストの市川達夫氏は「(米債金利上昇の背景には)需給懸念のほかにも、格下げ懸念、モーゲージ債のヘッジなど米債特有の動きが見られる。円債も多少引きづられたとしても、感応度は低いままというのがメーンシナリオだ」と述べた。長期金利の推移について、みずほインベスターズ証券・シニアマーケットエコノミストの落合昂二氏は「1.4%台後半がレンジの中心。1.5%台乗せもあり得る」とみている。

 6月2日の10年債の入札について、ある国内証券のストラテジストは「米債金利の上昇で地合いに不安がある中、7月からの国債増発を考えると、10年債を前倒しで積極的に買う投資家は限られる可能性がある。多少消化に時間を必要とするかもしれない」とみている。翌々週に最終取引日控えている国債先物の買い戻しを警戒する見方もある。国債先物に対して10年債は割高となっている。市場では「建て玉が積み上がっている状況で、仮に買い戻された場合、10年債よりは国債先物の方が効率が良くなると思われるため、業者も在庫手当で10年債を買って、ヘッジで先物を売る取引がしづらくなる。入札に向けて10年債を調整する必要があるが、調整が不足すると、入札で好不調を示すテールが流れる可能性がある」(外資系証券)との指摘が出ていた。複数の市場関係者は、入札のときに多少上値が重くなるとみている。

 一方、表面利率(クーポン)に関しては、1.5%での決着が有力になっている。市場では「1.5%を節目と受け止める投資家は、それなりにいる。1.5%クーポンは前回債と同じだが、前回の実勢水準は1.4%台半ばだったので、多くの投資家が買えている水準ではないため、今回は買いが期待できる」(別の国内証券)との声が聞かれた。

 長短金利差の拡大が進む可能性については、見方が分かれている。市場では「国債増発による需給悪化懸念で長期ゾーンが売られやすくなる一方で、日銀の金融緩和が維持されるとの見通しから、銀行勢などが中短期ゾーンを積極的に買う構図は当面続く」(別の外資系証券)との指摘が出ていた。一方、「日銀の利下げ余地が限られる状況で、2年債金利は下がっても、すぐに0.3%台前半を付けることは考えにくい。10年債については、消費の腰折れ、雇用関連の悪化などから、一本調子で金利が上昇することはない」(国内金融機関)との見方がある。  (ロイター日本語ニュース 伊藤 武文記者)

ムーディーズ、日本国債格上げ 「経済に自律回復力ある」

2009/05/19 Fuzi sankei business-i

 米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは18日、日本国債の格付けを上から4番目の「Aa3」から、3番目の「Aa2」に引き上げたと発表した。「Aa2」は先進国ではイタリアと同じで、見通しも「安定的」とした。同社は最近、国債格付けを引き上げた例はほかにないという。

 ムーディーズの日本法人であるムーディーズ・ジャパンの北山慶社長は同日、都内のホテルで記者会見し、政府が景気刺激策の原資として今年、発行する予定の過去最大規模の国債を「市場は吸収できるとみている」と説明。格上げは妥当との見解を強調した。

 また、日本国債担当アナリストのトーマス・バーン氏は「日本経済は自律回復力を持っている」と評価。政府・与党の財政再建の関与が強く、今年度の経済成長が減速したとしても、総じて日本経済が底堅く推移するとの見方を示した。

 日本国債の格付けをめぐって、ムーディーズは2002年5月、ボツワナ以下の「A2」まで引き下げ、ほかの格付け会社の中で突出して低い評価を5年間続け、その妥当性を疑問視する声も出ていた。07年10月にこれを「A1」に変更。それ以来、段階的に格付けを引き上げ、昨年6月末に「Aa3」としていた。

 政府の大規模な財政出動に伴う国債市場の需給悪化が予想されるなかでの格上げに、市場からは、「金融危機の影響で格付け会社への規制が世界的に強化されるなか、国債の格付けを引き上げることで、日本政府に配慮をしたのでは」との見方も出ている。

 一方でムーディーズは日本国債の外貨建て格付けを「Aaa」から「Aa2」に引き下げ、日本国債と同じとした。ほかの国で別々の例はないといい、基準を今回、統一したことも格上げの理由のひとつという。(藤沢志穂子)

日本国債「Aa2」に、ムーディーズが1段階格上げ

2009年05月19日 読売新聞 Yomiuri On Line

 米大手格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは18日、日本国債(円建て)の格付けを、21段階で上から4番目の「Aa3」から、3番目の「Aa2」に引き上げたと発表した。

 引き上げ理由として、市場が国債を吸収できる力を持っていることや、投資家が安全志向を強め借り換えリスクが低下していることなどを挙げている。

 同社が日本国債の格付けを変更したのは、2008年6月に「A1」から「Aa3」に1段階引き上げて以来だ。景気対策のための国債増発で財政悪化が懸念されることについては、「財政赤字の悪化は一時的なもの」としている。

 一方、同社は、外貨建て日本国債の格付けを最上位の「Aaa」から「Aa2」に同日、引き下げ、円建ての格付けと統一した。大和証券SMBCの末沢豪謙チーフストラテジストは「金融危機を受け、ムーディーズが格付けの考え方を整理したようだ」と話している。

ムーディーズのバーン氏:来年にかけ日本国債格下げの公算は小さい

2009/05/20 Bloomber.co.jp

 5月20日(ブルームバーグ):米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスのトーマス・バーン氏は、景気刺激策の財源の裏付けとなる日本国債を投資家が引き続き購入する見通しであることや日本の景気が回復に向かう公算が大きいことから、来年にかけて日本国債の格付けが引き下げられる可能性は小さいと語った。

 バーン氏は同社のシニア・バイスプレジデントで、19日にブルームバーグ・ニュースのインタビューに応じた。同氏はこの中で、「日本経済は良くなる見通しであり、財政赤字は減るはずだ」と指摘。「日本はこうした債務を吸収する能力があり、政府のファイナンスを不安定にすることはないだろう」と述べた。

 麻生太郎首相は昨年9月の首相就任以来、総額25兆円の財政支出を組んでおり、先進国で最悪の財政状況にある日本の財政にさらに借金を積み上げている。これまでの景気刺激策は、戦後最悪の今回のリセッション(景気後退)からの脱出に効果を示し始めており、消費者マインドを高める要因にもなっている。4月の消費者態度指数(一般世帯)は10カ月ぶりの高水準になったほか、日経平均株価は3月10 日につけた26年来の安値水準から3分の1程度戻している。

 ムーディーズは18日に日本の円建て債および外貨建て債の返済リスクは同等だとして、それぞれAa2と同水準にした。これは円建て債をそれまでのAa3から1段階引き上げる一方、外貨建て債をAaa から引き下げ、見通しは引き続き安定的とした。

 バーンズ氏はまた、日本政府は向こう1、2年間、投資家が極めて高い金利を財政プレミアムとして要求することなく、財政赤字をファイナンスすることができるだろうと述べた。その理由の一つとして、大きな家計貯蓄があることや債券投資家による「強い国内選好」が緩衝要因になるとの見方を示した。

 日本国債の10年物利回りは20日午前10時3分現在、0.5ベーシスポイント低い1.415%。5月7日には1.395%まで下げ、4月3日以降の低水準に並んだ。

原題:Moody’s Unlikely to Cut Japan’s Debt Rating in 2010, Byrne Says

翻訳記事に関する翻訳者への問い合わせ先:東京 小沢 均 Hitoshi Ozawa yuyamaguchi@bloomberg.net Editor:Masaru Aoki 記事に関する記者への問い合わせ先:東京 氏兼敬子  Keiko Ujikane kujikane@bloomberg.net

日本国債格上げ、経済対策そのものが評価された=河村官房長官

2009年05月19日 REUTER

 [東京 19日 ロイター] 河村建夫官房長官は19日午前の会見で、ムーディーズ・インベスターズ・サービスが18日、日本の円建て政府債務の格付けを引き上げたことについて、「日本の経済対策そのものが評価されていると思う」と語った。

 加えて「日本の金融機関が他の先進国に比較して安定しており、これに対するセーフティーネットも用意している」ことも判断材料になったのではないかと指摘。

 経済対策に伴って新規国債の大量増発を控える中で「今後の国債発行もあり、十分に説明責任を果たし、金融機関の理解も得ながら(国債の)引き受けなどについて、しっかり対応していかなければならない」と語った。

 また、新型インフルエンザの国内感染拡大に伴い、「国内対策に重点を移していかなければならない。その面で水際対策の縮小を考えており、タイミングを検討している」ことを明らかにした。

 政府の行動計画について、新型インフルエンザの弱毒性を前提としたものに変更すべきとの指摘に関しては「今、具体的にどうするのか、本格的に行動計画を見直す作業をしているわけではない」としながらも、「感染拡大防止はもちろん必要だが、同時に国民生活、利便性とのバランスもとらなければいけない」とし、現実に即した運用が必要との認識を示した。

 厚生労働省によると、19日正午過ぎまでに自治体から報告を受けている新型インフルエンザの国内感染者数は大阪府66人、兵庫県93人の計159人。カナダから帰国して水際で確認された4人を含めると感染者は163人。

国の借金846兆円 09年度末は900兆円台へ

2009/05/08 中国新聞ニュース

 財務省は八日、国債と借入金、政府短期証券を合わせた国の債務残高が二〇〇八年度末で、八百四十六兆四千九百七十億円になったと発表した。過去最悪だった前年度に比べて二兆七千四百二十六億円減少したが、〇九年度末には、不況に伴う税収減や大規模な経済対策により九百二十四兆円と初めて九百兆円を突破する見通しで、財政の悪化傾向は続く。

 〇八年度末時点で、国民一人当たりでは約六百六十三万円の借金を抱えている計算となる。

 〇八年度の債務残高の減少は、国債のうち、政府系金融機関などへの財政投融資の財源に使う「財投債」が大量に償還期を迎えたことなどから八兆七千四十二億円減となったためだ。

 公共事業や財源の穴埋めのために発行する普通国債は四兆四千七百七十二億円増えたものの、国債全体は六百八十兆四千四百八十二億円と前年度に比べて三兆八千七百九十六億円減った。

 国債以外では、借入金が四千七十二億円増えて五十七兆五千六百六十一億円、一時的な資金不足を補う政府短期証券が七千二百九十八億円増の百八兆四千八百二十六億円だった。

 〇九年度は経済対策のための補正予算で十兆円を超える国債を追加発行することなどから、年度末の国債残高が七百二十五兆円に拡大し、債務残高全体を急増させる主因となる。

国債10.8兆円追加発行 09年度補正予算で

2009/04/19 中国新聞ニュ−ス

 政府が追加経済対策を実行するための二〇〇九年度補正予算案で十兆八千億円の国債を追加発行することが十八日、明らかになった。当初予算と合わせた〇九年度の国債発行額は四十四兆円を超え、一九九九年度の三十七兆五千億円を上回って過去最大となる。

 当初予算で四十六兆一千億円と見込んでいる税収は企業の業績悪化により四兆―五兆円下振れする可能性があり、最終的に国債発行額が戦後初めて税収を上回る公算が大きい。必要な歳入の半分以上を借金で賄うことになり、厳しい財政事情が一段と鮮明になった。

 補正で増発する国債の内訳は建設国債が七兆三千億円で、赤字国債は三兆五千億円。与謝野馨財務相は先に赤字国債が七兆―八兆円を占めるとの見通しを示していたが、経費を精査した結果、公共事業や施設費など建設国債の対象経費が想定より積み上がり、その分、赤字国債の発行額が縮小された。

 補正予算の財源には国債のほか、財政投融資特別会計の積立金三兆一千億円、経済緊急対応予備費の八千五百億円を活用する。

 一方、歳出には総額十四兆七千億円を計上。雇用対策に一兆三千億円を充てるほか、日本政策投資銀行への出資三千五百億円など金融対策に三兆円、省エネ家電や環境対応車の購入補助や、地方自治体向けの交付金計二兆四千億円などを盛り込んだ。

 追加対策の財政措置十五兆四千億円のうち、これら一般会計での支出とは別に、六千億円を特別会計で処理、一千億円は贈与税などの減税で対応する。

長期金利急上昇 企業、家計に負担 景気打撃

2009/04/10 Fuji Sankei Business-i

 長期金利が急ピッチで上昇している。追加経済対策で国債増発が見込まれるためで、9日の債券市場で代表的指標の新発10年国債利回りは、一時約5カ月ぶりの高水準をつけた。長期金利の高騰は、住宅ローン金利や企業の資金調達コストの上昇を招き、「下支えすべき景気に冷や水を浴びせる」(エコノミスト)との懸念も広がる。

 9日の新発10年債利回りは、一時1.480%まで上昇(債券価格は下落)し、終値は前日より0.020ポイント高い1.475%で、昨年11月中旬以来の高い水準をつけた。

 景気の下降局面で長期金利は下落する傾向が強い。投資家が株などのリスク商品を避けて債券への投資を増やすためだ。ただ不況下でも、国債が増発されると、国債市場の需給が緩むことを見越した売りが増え、より高い利回りが必要になる。

 今回の金利上昇の最大の要因も国債増発懸念だが、ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次主席研究員は「潜在成長率が低い日本は長期金利も当面低いとの“神話”が、投資家に強すぎた。国債市場はその反動もあって動揺している」と指摘する。

 長期金利の上昇は個人の消費生活や企業活動にも大きな影響を及ぼす。たとえば、長期金利が上がれば、個人向け国債の購入者は、金利の見直しで受取金が増える可能性も高まる。

 一方で、長期金利は金融機関の住宅ローン金利の目安になるため、とくに変動金利型の長期のローンの場合は、借り入れが難しくなったり、金利負担が重くなる。長期金利は金融機関が企業に融資する際の金利の参考にもされ、金利の上昇は企業の資金調達にマイナスに働くケースが多く、不況下ではなおさらだ。みずほコーポレート銀行や商工中金などは9日、企業向けの長期貸出金利の目安となる長期プライムレート(優遇貸出金利)を一斉に年2.3%(従来2.25%)に引き上げた。

 政府は国債増発の長期金利への影響について、「動きを見ながら慎重に対応する」(河村建夫官房長官)考えだが、株高・債券安などで金利上昇に拍車が掛かった場合、「日銀による国債買い入れ増額など政策対応を迫られる」(矢嶋氏)可能性が大きい。日銀の白川方明(まさあき)総裁は9日の国会答弁で、「(国債買い入れ増額は)市場に悪影響が出る」と早くも牽制(けんせい)したが、これまで景気対策で協調してきた政府と日銀に不協和音が高まる懸念もある。

長期金利が上昇、5カ月ぶりの水準に 国債増発懸念で

2009/04/09 Fuji Sankei Business-i

 長期金利が急ピッチで上昇している。10日に正式決定する政府の追加経済対策で国債増発が見込まれ、9日の債券市場で代表的指標の新発10年国債利回りは、一時約5カ月ぶりの高水準をつけた。長期金利の高騰は、住宅ローン金利や企業の資金調達コストの上昇を招き、「景気を下押ししかねない」(エコノミスト)との懸念も広がる。

 9日の新発10年債利回りは、一時1.480%まで上昇し、終値は前日より0.020ポイント高い1.475%で、昨年11月中旬以来の高い水準をつけた。

 景気の悪化局面で長期金利は下落する傾向が強い。投資家が株などのリスク商品を避けて債券への投資を増やすためだ。ただ不況下でも、国債が増発されると、国債市場の需給が緩むことを見越した売りが増え、高い利回りが必要になる。今回の金利上昇の最大の要因も国債増発懸念だが、ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次主任研究員は「潜在成長率が低い日本は長期金利も当面低いとの見方が投資家に強すぎた。国債市場はその反動もあって動揺している」と指摘する。

 長期金利の上昇は消費生活や企業活動にも大きな影響を及ぼす。長期金利は住宅ローン金利の目安にされ、とくに変動金利型ローンの場合は、借り入れが難しくなったり、金利負担が重くなる。長期金利は金融機関が企業に融資する際の金利の参考にもされ、金利上昇は企業の資金調達にマイナスに働くケースが多い。みずほコーポレート銀行や商工中金は9日、企業向けの長期貸出金利の目安となる長期プライムレート(優遇貸出金利)を一斉に年2.3%(従来2.25%)に引き上げた。

 政府は国債増発の長期金利への影響について、「動きを見ながら慎重に対応する」(河村建夫官房長官)構えだが、金利上昇に拍車が掛かった場合、「日銀による国債買い入れ増額など政策対応を迫られる」(矢嶋氏)可能性が高い。日銀の白川方明(まさあき)総裁は9日の国会答弁で、「(国債買い入れ増額は)市場に悪影響が出る」と牽制(けんせい)した。

長期金利 3カ月半ぶり高水準

2009/04/03 Fuji Sankei Business-i

 2日の国債市場は、長期金利の指標である新発10年債(299回債、表面利率1.3%)の終値利回りが上昇し、前日終値より0.030%高い1.370%だった。終値としては昨年12月中旬以来、3カ月半ぶりの高水準となった。財務省が同日実施した10年債入札が低調だったほか、株価が上昇したことなどを受け国債が売られた。

長期金利上昇1・310%

2009/03/05 Fuji Sankei Business-i

 5日午前の国債市場は、長期金利の指標である新発10年債(299回債、表面利率1・3%)の利回りが前日終値より0・015%高い1・310%で始まった。取引時間中では約1カ月ぶりの高水準。

 米長期金利上昇や日米株高を背景に、国債売りが先行して利回りが上がった。

 東証10年国債先物の中心限月である3月きりは48銭安の138円51銭。

特会の資産超過100兆円 融資、運用益で膨張

2009/02/12 中国新聞ニュース

 国の特別会計の資産から負債を差し引いた差額(資産超過額)が、二〇〇七年度末に二十八特会の合計で百兆円を初めて突破した。融資や資産の運用益などが積み上がり、前年度末から六兆円以上も膨らんだため。景気対策などに回せる「霞が関の埋蔵金」が眠っているとの期待から、積極活用を求める声が与野党双方で勢いづきそうだ。

 政府が国会に提出した決算書類によると、資産総額は約六百三十五兆円で負債が約五百三十四兆円。資産の内訳は現預金や有価証券のほか、道路・河川などが中心で、金利変動などで資産が目減りするリスクに対応する積立金も含まれる。

 問題は、このうち活用できるカネがどの程度あるかだ。

 約三十五兆円と資産超過が最も多い国債整理基金特会は、将来の借金返済に充てる資金で「流用」は難しい。為替介入のための外貨準備を管理する外国為替資金特会や、財政融資資金特会(現在は財政投融資特会の財政融資資金勘定)の資産超過分は、為替や金利の変動に備える積立金。財務省は「それぞれ目的があり、簡単には取り崩せない」と説明する。

 ほかの特会の資産の中にはダムや空港、森林など現在使われている公共財もある。これらは事業をやめて売却しない限り現金化できず、ハードルは高い。

 ただ元財務官僚の高橋洋一東洋大教授は「埋蔵金候補の中から取り崩しても問題のない埋蔵金を『発掘』する必要がある」と指摘、半分ぐらいは使えるとみる。かつて「埋蔵金はない」と言い切っていた財務省が、〇八、〇九の両年度に定額給付金などの財源としての活用に応じたことも「探せば出てくる」との思惑を後押しする。

 与党内では、追加景気対策の財源として埋蔵金への期待が消えない。「予算の総組み替え」で二十兆円超を調達可能と訴える民主党も、埋蔵金活用を念頭に置いている。

 財務省は、特会と一般会計を合算した国全体で見れば負債の方が大きいとして「特会だけで議論しても意味がない」と主張するが、特会の財務内容の精査や一段の情報公開が求められるのは間違いなさそうだ。

国の借金846兆円に増加 1人当たり663万円

2009/02/11 中国新聞ニュース

 財務省は十日、国債と借入金、政府短期証券を合わせた国の債務残高(借金)が二〇〇八年末時点で八百四十六兆六千九百五億円になったと発表した。前回発表の九月末に比べ三兆四千百十一億円増加した。一人当たりの借金は、〇九年一月一日時点の人口推計一億二千七百六十五万人で計算すると、約六百六十三万円となる。

 国の借金は〇八年三月末時点で過去最高の八百四十九兆二千三百九十六億円に達した後、減少が続いていたが、〇八年十月に成立した〇八年度第一次補正予算で経済対策を実行するための財源として国債を増発したことが響き、再び増加した。

 企業業績の急激な悪化で税収は著しく落ち込んでいて、第二次補正予算でさらに国債を増発。本来は余剰金を国債償還に充てる財政投融資特別会計の積立金も一般会計に繰り入れる法案が審議されており、国の借金は一段と膨らみそうだ。

 債務の中心を占める国債は、九月末に比べて一兆三千八十七億円増え、六百八十一兆五千六百五十六億円。一般会計や特別会計の借入金も二千百四十三億円増の五十六兆二千四百七十億円だった。一時的な資金不足を補う政府短期証券は一兆八千八百八十二億円増え百八兆八千七百七十九億円。

国の借金843兆円に減少 1人当たり660万円

2008/11/10 中国新聞ニュ−ス

 財務省は十日、国債と借入金、政府短期証券を合わせた国の債務残高(借金)が二〇〇八年九月末時点で八百四十三兆二千七百九十四億円になったと発表した。過去最高だった今年三月末時点に比べ五兆九千六百二億円減少した。一人当たりの借金は、十月一日時点の人口推計一億二千七百七十一万人で計算すると約六百六十万円となる。

 財務省は国の借金残高を三カ月ごとに公表しており、六月末も三月末から小幅減少したが、今回は六月末から五兆一千六百三十億円の大幅減少。国債の新規発行の抑制などを受け、借金残高の増加傾向が一段落した。

 ただ、経済対策や税収減少の補てんのため、今後は国債の増発が見込まれており、債務残高も再び増えそうだ。

 債務の中心を占める国債は今年三月末と比べて四兆七百九億円減少し、六百八十兆二千五百七十億円。財政投融資の原資を調達するために発行した財投債が四兆三十八億円の大幅減となったことが主な要因。普通国債は千八百六十七億円増えて五百四十一兆六千四百五十一億円だった。

 一般会計や特別会計の借入金は一兆一千二百六十二億円減の五十六兆三百二十七億円だった。

長期金利一時1・5%

2008.10.23 MSN産経新聞

 23日午前の国債市場は、長期金利の指標である新発10年債(296回債、表面利率1・5%)の利回りが一時、1・500%と取引時間中では約2週間ぶりの低水準となった。始値は前日終値より0・035%低い1・505%。世界的な株安が再燃したことで、安全資産の国債買いが先行して利回りが下がった。

 東証10年国債先物の中心限月である12月きりは46銭高の137円07銭。

【米金融危機】日本でも家計の将来設計にダメージ

2008.10.04 MSN産経新聞

 米国発の金融危機で相場がジェットコースターのように乱高下し、家計の生活・資産設計に影響を及ぼしている。失敗した米リーマン・ブラザーズの株式などを組み込んでいた投資信託に損失が発生するなど直接的な被害が出ているほか、世界的な株価低迷で年金資金の運用悪化も懸念される。投資家がリスクに過敏になり、「貯蓄から投資へ」の流れが逆行。国債や預貯金など安全資産に資金が流れ込んでいるが、金利は低下傾向にあり、リターンはすずめの涙だ。

 9月の日経平均株価は1日当たりの平均変動幅が9月は200円を超えた。つまり毎日200円以上、上がったり下がったりしていたことになる。リーマン破綻直後の16日は605円も急落したが、翌17日にアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)救済が決まると160円反発した。為替相場も同様に、1日で2〜3円も上げ下げする日が続いた。

 相場の方向感は見えず、ひとつ間違えば大損するリスクが高まっている。

 最初に被害を受けたのが、リーマンやAIGが発行した株式や債券を組み込んだ投信。国内で約150本に上り、関連株や債権は市場で値が付かず、換金できなくなり、一部で解約停止の措置が取られた。

 世界的な相場低迷で、その他の投信でも基準価額が値下がりし、元本割れ状態の商品も出ている。政府の「貯蓄から投資へ」のかけ声もあり、お金が流れ込んでいた投信ブームは影を潜めている。

 年金資金を運用する機関投資家も頭を抱えている。相場の乱高下でリスク管理が困難になっており、運用益が目減りするどころか、運用損を出しかねない。

 運用益の目減りが、現在の年金生活者の受給に影響を及ぼすことはないが、将来世代への影響は避けられない。

 ハイリスク・ハイリターンで人気を集める外国為替証拠金取引(FX)の投資家も翻弄された。リーマン破綻直後の15日には一気に円相場が前週末から4円近くも上昇。休日を挟んでいたため、「身動きが取れず、大損した顧客が続出した」(FX業者)という。

 こうしたリスクを嫌ったお金は安全資産といわれる国債や預貯金へと逃避。国債には、世界中の投資マネーも殺到しており、価格が上昇し債券価格と連動する長期金利は低下している。代表的な指標の新発10年物国債の利回りは6月に1・8%台で推移していたが、最近は1・4%台だ。

 世界的な景気の悪化で、日銀は超低金利政策を当面続ける見通しで、預貯金の金利は今後も低水準が続き、家計の金利収入は増えそうもない。

 米国発の金融危機は、一般家庭の将来設計にも影を落としている。

低水準の長期金利

2008/09/09 FujiSankei Business i.

 ■財政出動なら信用失う国債

 ■反転上昇の可能性も

 長期金利が低水準で推移している。国内外で景気悪化への懸念が強まり、商品先物、株式市場に向かっていた投機資金が、比較的リスクの低い国債に逃避しているためだ。国債が買われて価格が上昇すれば、利回り(長期金利)は低下する。この結果、ローンを組んで住宅を購入しようという消費者、新たな設備投資の資金調達を検討する企業には朗報となる。ただし、次期政権が景気浮揚を狙って積極的な財政出動に踏み切れば、財政再建を訴えていたはずの政府は市場の信頼を失い、同時に赤字国債の増発によって需給が崩れ、国債は一転して売られて、長期金利が反転上昇する可能性もある。(本田誠)

 ≪景気悪化の懸念台頭≫

 長期金利の代表的指標である新発10年国債の利回りは3月に年1・2%台まで下がったが、4月以降は急ピッチで上昇(国債価格は低下)、6月16日には一時1・9%近くまで上がった。原油をはじめとする原材料価格の高騰がインフレ懸念をかき立てたうえに、米国のサブプライム(高金利型)住宅ローン問題に端を発した金融市場の混乱が一服し、投機マネーが株式市場などに回帰、国債が売られる流れが鮮明化したためだ。

 だが、その後は原油価格が下落してインフレ懸念が薄らぐ一方、世界的な景気悪化への懸念が台頭。再びリスクが低い国債が買われて利回りはじりじりと低下した。8日は反発したものの、1・4%台にとどまっている。

 今年4〜6月期の実質国内総生産(GDP)が4四半期ぶりにマイナス成長となり、政府、日銀がそろって、事実上の景気後退局面入りを認めたことも、「投資家の債券(国債)買いを後押ししたのは間違いない」(みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミスト)。

 ≪上昇の“きっかけ”なし≫

 しかし、長期金利が今後も低水準で推移するかどうかは、不透明だ。

 まず世界経済の現状をみると、景気回復は望み薄とあって「積極的な債券の売り材料に乏しい」(アナリスト)のが実情で、当面、長期金利が上昇に転じる“きっかけ”が見あたらない。

 米国では、政府系金融2社の公的管理が決まり、金融不安の沈静化に向け動き出したものの、雇用など実体経済は弱い。欧州経済も失速が鮮明で、頼みの新興国も成長に息切れがみられる。内需、外需ともに牽引(けんいん)役が不在の日本経済も、景気回復の道筋が見通せない。

 7月の消費者物価指数(CPI)の上昇率は生鮮食品を除くベースで前年同月比2・4%と、実質16年ぶりの高い伸びを示した。しかも、同月の企業物価指数の上昇率は原材料価格の高騰で7・1%とCPIより一段と高く、こうしたコスト上昇分を製品価格に転嫁する動きは今後も続く可能性が大きい。

 半面、原油価格が現在の1バレル=100ドル程度で推移すれば、「年末にかけて次第に物価上昇圧力が弱まる」(第一生命経済研究所の熊野英生主席エコノミスト)との見方もあり、物価動向が金利の上昇要因とはなりにくい。

 ≪次期政権次第≫

 民間エコノミストの間では、長期金利の今後の動向は「次期政権次第」との認識が広がってきた。

 確かに、長期金利の今後の動きに「政治は無関係」(みずほ証券の上野氏)との指摘もある。とはいえ、自民党総裁選への出馬を表明している麻生太郎幹事長は、景気を下支えするための財政出動を主張。麻生政権が成立して財政支出を今まで以上に膨らませれば、内外の投資家から財政再建路線の放棄と受け止められ、日本国債は信用を失って売られるのは確実だ。

 新光証券の三浦哲也チーフ債券ストラテジストは、「麻生政権が実現してバラマキ政策に傾いた場合、長期金利は年末にかけて1・7%台まで上昇する可能性がある」と指摘する。

 「10月の衆院解散、11月の総選挙」が有力視される状況を踏まえると、与野党の立場の入れ替えを含めた今後の政治の動向は不透明きわまりなく、長期金利の方向感も定まらない。

                ◇

 ■借り入れには追い風/一部商品の魅力低下も

 金利低下は住宅ローンの借り入れや企業の資金調達には追い風となる。

 銀行は長期金利を目安に毎月、住宅ローン金利を見直すが、三菱東京UFJ銀行など大手4行は金利を一定期間据え置く「固定金利型住宅ローン」で、9月の新規融資分に適用する利率を一斉に引き下げた。期間20年以内だと、下げ幅は三菱東京UFJ銀とみずほ銀行、三井住友銀行が0・10〜0・15%、りそな銀行が0・15〜0・20%で、引き下げは2カ月連続。

 大手行幹部は「顧客の金利先高感が薄れているようだ」と話す。

 大企業向け融資の目安となる長期プライムレート(優遇貸出金利)も、長期金利を参考にして決められる。みずほコーポレート銀行、新生銀行、あおぞら銀行、三菱UFJ信託銀行、住友信託銀行、みずほ信託銀行は8月、長プラを7月から0・15%引き下げ、年2・25%にした。いずれも2カ月連続の引き下げだ。

 こうしたメリットがある半面、長期金利に連動するタイプの金融商品は魅力が薄れる。

 来月15日に発行される期間5年の個人向け国債は、表面利率が年0・99%で、前回(7月)発行時より0・23%も低下し、4月債以来の低水準となる。

 長期金利とほぼ連動する定額年金保険の利回り(積立利率)も7月以降、下落に転じた。日本生命保険の定額年金の主力商品「マイドリームプラス(5年)」は、積立利率が7月上旬の年1・41%をピークにそれ以後下げに転じ、8月下旬には0・95%にまで低下した。 

 長期金利の低下は消費・経済活動にメリットとデメリットの両面があり、注意が必要となる。

【経済が告げる】編集委員・田村秀男 「3つの安売り」日本の解

2008.08.31 MSN産経新聞

 ドルというマネーが住宅ブームで膨張し、おかげで中国などアジア新興国、それらに設備や部品を供給する日本も景気拡大を謳歌(おうか)してきたが、バブル景気は崩壊した。あぶくがとれると、それまで見えなかった地肌の荒れ具合がよく見える。日本はどうか。

 日本の生の姿はカネ、モノ、ヒト(労働)の「トリプル安」である。円は依然として超低金利。米国のヘッジファンドが大量に調達してたたき売り、より高い利回りの米国債など証券、原油・穀物で運用して荒稼ぎする。超低金利のおかげで老後に不安を抱える個人の金融資産は増えない。円高に転じると企業収益が損なわれ、株安、さらに外貨預金に賭けた消費者も打撃を受ける。

 外需に頼る日本の企業はシェア低下を恐れ、エネルギー、原材料価格が上がっても製品価格を上げられない。人件費を圧縮するために賃金を据え置くか、非正規雇用にシフトする。家計は財布のヒモを締めるので内需は減退、各社はまたもや価格を上げられない。

 こうみると危機はバブル崩壊の本家の米国よりも日本のほうがもっと深刻だ。米国では財政赤字をものともせず、オバマ民主党、マケイン共和党の両大統領候補とも財政大盤振る舞い策を競っている。中国も日本も欧州もいざとなれば基軸通貨ドルを買い支えてくれるという国際システムがあるから、米国にはゆとりがある。

 対照的に日本の政策論議は迷走している。国の特別会計などで官僚が隠している財源、「埋蔵金」を召し上げ、道路建設や燃料代高騰に苦しむ漁民らにばらまけ、という声もある。元財務官僚の高橋洋一東洋大学教授によれば、埋蔵金総額は約50兆円、すぐに取りだせる額は約15兆円。確かに、都内一等地官舎の専用テニスコートの維持に使うよりは、零細漁民や業者に配るのは社会正義にかなう。だが、埋蔵金は家計のへそくりと同じく、使えるのは一回きりである。ばらまけば景気がよくなるという時代はとっくに過ぎた。

 解は別のところにある。日本の病状が「3つの安売り」だとすれば、それをどう改めるか。金利は金融経済情勢次第だとしても、モノとヒトは国家の通貨戦略次第で価値を是正できる。欧州共通通貨ユーロを持つドイツと基軸通貨ドルの米国と日本を比べてみるとよい。日本は米独と違い、周辺地域や世界で自国通貨による貿易決済圏を持たない。過去8年間の日米独の賃金の推移をみると、米独ともほぼ一貫して賃金を上げている。ドイツは急速なユーロ高の中でも賃上げし、米国はそれをしのぐ。日本だけが賃金を据え置いている。

 自国の通貨でビジネスができれば、企業の製品価格は圏内では一律でよい。米国もドイツも企業は自国で製品を値上げすれば海外でもただちに値上げする。進出先の賃金が安い国でその製品をつくれば利益は膨らみ、母国で賃上げするゆとりが生まれる。現地企業での競争が激しければ、値下げするしかないが、それでは同一通貨の同一製品なのに価格が違い、混乱しよう。

 自国通貨でビジネスできる通貨圏を持つことは、とどのつまりはその国を豊かにし、持たざる国はひたすら他国通貨で競い、カネもモノもヒトも安くするしかない。

 政治的な軋轢(あつれき)から「円圏」が困難としても、円主導による共通の通貨圏を東アジア、相互依存度の高いアジア太平洋で持つことは、米金融危機後の日本の富の戦略なのだ。(たむら ひでお)

11年度の基礎収支黒字化困難 “日本売り”加速に懸念

2008/07/22 FujiSankei Business i.

 政府目標である2011年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化が遠のく最新の試算が22日の経済財政諮問会議(議長・福田康夫首相)で示される。経済成長率の鈍化に伴い、達成はさらに困難になる見通しだ。目標の未達は、国際的な日本経済への評価を落としかねない。“日本売り”を加速させないためにも、政府・与党には歳出歳入一体改革の確実な実行が求められる。

 米格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスは6月末に、「財政再建への取り組みが強い」と評価し、日本国債の格付けを引き上げたものの、評価通りに改革が進んでいないのが実情だ。このため、「プライマリーバランスの黒字化が中期的に達成できなければ“日本売り”につながりかねない」と、大和総研の奥原健夫・債券ストラテジストは警鐘を鳴らす。

 背景には、日本の厳しい財政状況がある。22日の諮問会議で政府が示す試算では、プライマリーバランスの赤字見通しは1月末時点の約7000億円から2兆円超に水準が引き上げられる。増税か財政再建を加速させなくては、11年度の黒字化達成は一段と厳しい状況だ。

 国の借金は07年度末で 849兆円に達しており、これを改善するには、財政収支を黒字化して、毎年少しずつ借金を返済する構造に転換する必要がある。

 プライマリーバランスの黒字化はその前段階で、借金返済を除いた経費をその年の歳入で賄うことができるということだ。単に借金が増えない財政状況になるだけで、その目標さえ達成できなければ、財政再建は緒に就かない。

 奥原氏は「日本の国債管理政策はうまくいっており、財政再建の停滞がすぐには問題にならない。ただ、例えば(11年度以降)5年間、プライマリーバランスを達成できなければ債券市場は『話が違う』と反応する」と述べる。

 政府の新しい試算では、米国の景気減速や原油価格の高騰などで日本国内の企業業績が低迷。このため、税収が落ち込み、赤字幅が拡大する見通しだ。政治の混乱が続いて増税などの歳入改革が進まなければ、達成が大幅に遅れる懸念も否定できない。

 ムーディーズは6月末、日本国債を上から5番目の「A1」から、4番目の「Aa3」に引き上げた。しかし、その日の新発10年物国債の利回りが前営業日と変わらないなど、引き上げを受けた動きは債券市場にほとんどみられなかった。

 日本国債をめぐっては、02年にムーディーズが格付けを2段階引き下げて「A2」とした。これは南アフリカやポーランドなど新興市場国並みで、ODA(政府開発援助)の相手国だったボツワナ以下だ。財務省が「低すぎる。遺憾だ」とコメントを出す騒ぎになった経緯がある。その後、07年10月に「A1」に格付けが引き上げられていた。

 今回の引き上げは、02年の引き下げを“修正”する要素が強い。このため、市場は「適正な水準に戻っただけ」とみたようだ。

 格付けを引き上げた理由について、同社は「歳出削減を通じた継続的な財政再建の取り組みにより、財政は徐々に改善する傾向にある」としており、公共事業費を毎年3%削減するなど歳出削減の政府目標が堅持されていることが評価された。

 ただ、今回の引き上げにはプライマリーバランスの黒字化も織り込み済み。達成が困難となれば、再び引き下げられる可能性もあり、政府は財政再建の手を緩めず、改革の取り組みを世界にアピールすることが求められている。(高橋寛次)

11年度、3・9兆円の赤字 基礎的収支、目標困難に

2008/07/22 中国新聞ニュ−ス

 政府の経済財政諮問会議が二十二日開かれ、その年の収入で政策経費をどれだけ賄うことができるのかを示す、国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)が、二〇一一年度に名目国内総生産(GDP)の0・7%、三兆九千億円程度の赤字になるとの試算を内閣府が提出した。

 原油価格の高騰や米景気減速を受け、国内景気が悪化し、法人税などの税収が当初想定したほど見込めないためだ。今年一月の試算では七千億円程度の赤字と見込んでいたが、大幅に拡大する。

 政府は、一一年度に基礎的財政収支を黒字化することを公約としている。しかし、現状のままでは目標を達成することは極めて困難で、一層の歳出削減や、消費税などの増税の検討が避けられない情勢となった。

 内閣府は一一年度にかけて景気が一段と減速し、政策効果が出ないケースも試算しており、その場合は基礎的財政収支の赤字が名目GDPの1・5%、七兆九千億円規模に上る。

 政府は〇六年の「骨太の方針」で一一年度の基礎的財政収支の黒字化達成を打ち出し、〇七―一一年度に歳出を最大で十四兆三千億円削減する計画を進めてきた。

 基礎的財政収支は、歳出のうち国債の償還・利払い費を除く政策経費を税収・税外収入でどれだけ賄えているかを示す指標。

長期金利1.5%を意識、世界景気減速や金融不安で国債選好の動き=今週の円債市場

2008年07月22日 ロイター

 [東京 22日 ロイター] 今週の円債市場は堅調な展開が見込まれている。世界景気の減速懸念や米欧金融機関の信用不安などを背景に相対的にリスクが小さいとされる国債を選好する動きが継続する見通し。10年最長期国債利回り(長期金利)は1.5%を目指して低下余地を模索しそうだ。もっとも、急激な相場上昇に対する警戒感も浮上している。25日発表の6月全国消費者物価指数(CPI)で物価上昇基調が強まれば、利益確定売りを誘うとの見方もある。

 国債先物9月限の予想レンジは135.80円─137.50円。

 10年物最長期国債利回りの予想レンジは1.620%─1.490%。

 <米金融機関の損失拡大懸念、信用不安増幅も>

 注目材料は米金融機関の決算を受けた米国金融市場の動向だ。米メリルリンチ(MER.N: 株価, 企業情報, レポート) が17日発表した第2・四半期決算は、純損益がモーゲージ関連などリスク資産の評価損計上などに伴い48億9000万ドルの損失となり、赤字幅が予想を上回った。「評価損拡大の背景には、焦げ付きがサブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)だけではなく、これまで比較的優良とされてきたオルトA、プライムローンにまで波及していることがある」(国内証券)といい、金融機関の損失拡大の思惑が広がっている。

 また、これまで騰勢を強めていた原油先物が一時1バレル=130ドルを割り込むなど最高値から15ドル余り急落。原油安は、新興国を中心にした世界経済の減速懸念や8月決算を控えたファンド勢の利益確定売りの影響が大きいとみられている。こうした世界景気の減速懸念や米金融機関の信用不安が増幅すれば、「質への逃避」による債券買いが加速する場面もありそうだ。

 <国債先物は安値から半値戻しを意識、利益確定売りも>

 現物債の利回りは、5年利付国債利回りが15日に1.075%と約2カ月ぶり、10年最長期国債利回りも1.530%と約3カ月ぶりの水準にそれぞれ低下した。「一段の金利低下は、日本の景気実態や信用問題で新たな材料が出てこないと難しい」(トヨタアセットマネジメントチーフファンドマネージャーの深代潤氏)との指摘がある。国債先物は今年3月高値から6月安値の半値戻し(136円98銭)に接近している。6月全国CPIで物価上昇基調が強まれば、「CPIをきっかけに利益確定売りが出やすくなる」(国内証券)との見方も出ている。

 24日の20年債入札は無難な結果が見込まれている。入札前取引の18日の引け値は2.240%(複利)であるため、現段階で表面利率は前月債(2.4%)から引き下げられ2.2%もしくは2.3%となることが有力視されている。「利率引き下げで水準的な投資妙味が薄れるものの、イールドカーブがスティープ化しやすい中で、17日に入札された30年債と同様に無難にこなすのではないか」(国内証券)とみられている。 (ロイター日本語ニュース 星 裕康記者)

海外投資家の国債保有残高、50兆円突破 3月末時点で20%増

2008年07月17日 NIKKEI NeT

 海外投資家の日本国債への投資が増えてきた。日銀の資金循環統計によると、海外投資家の保有額は今年3月末時点で前年同月末比20.6%増の50兆 2205億円となり、初めて50兆円を突破した。量的金融緩和を解除した2006年以降の金利上昇や日本国債の格上げ、ドル安の観測などを背景に、投資対象として見直されているようだ。ただ日本国債の金利が海外勢の動きに左右されやすくなるとの見方も出ている。

 海外投資家の保有額は政府短期証券(FB)を除くベースで初めて50兆円を超えた。3月末時点で比べた保有額は03年から拡大。06年は前年同月末比 13.7%増、07年3月末は同36.6%増と伸びが加速している。海外投資家の保有比率も高まっており、今年3月末は7.2%と同1.0ポイント上昇した。

日本国債:ムーディーズが格上げ

2008年07月01日 毎日新聞 東京朝刊

 米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは30日、日本国債の格付けを1段階引き上げ、上から4番目の「Aa3」にしたと発表した。ムーディーズは「政府の財政赤字削減の努力や不安定な世界経済に対して日本経済が相対的に強いことが背景」と説明している。ムーディーズによる日本国債の格上げは昨年10月以来。「Aa3」は02年5月以来、6年ぶりの水準。当時はアフリカのボツワナを下回るレベルに格下げされたが、その直前の水準を回復した。【斉藤望】

UPDATE1: ムーディーズが日本国債格上げ、継続的な財政引き締め・再建取り組みへの期待など背景

2008年06月30日 ロイター

 [東京 30日 ロイター] ムーディーズ・インベスターズ・サービスは30日、日本政府の円建て国内債券(日本国債)の格付けをA1からAa3に引き上げた。格付けの見通しは安定的。

 ムーディーズのシニア・バイス・プレジデントのトーマス・バーン氏によると、今回の格上げは、継続的な財政引き締めあるいは再建の取り組みへの期待、デフレのマイナスの効果のなだらかな低減を背景としている。ムーディーズが今回、格付け見通しのポジティブへの変更、見直しといった通常のプロセスを経ずに1ノッチの格上げを行ったのは、政府、与党の財政再建へのコミットメントが強いと考えられること、今年度の経済成長が減速したとしても、不安定な世界経済情勢に対して日本経済はその強さを維持していくとみられることに基づいている。

 バーン氏は「日本の消費者物価指数は総合ベースでもコアベースでもプラスの領域に移行しているが、その上昇ペースは他の先進諸国の例に比べて比較的緩やかで、マクロ経済の安定性を脅かしたり、日銀による予防的な引き締めにつながったりすることは考えにくい」と指摘した。日本の銀行システムについては「その再編が進み、欧米での信用危機による最悪の影響も回避しているため比較的良好な状態にある。さらに、政府系金融機関や公団などの財投セクターから多額の偶発債務が発生するリスクと、それによって既に極めて高水準にある政府債務にさらに負担が加わるという可能性も大幅に低下した」と述べた。

 バーン氏はさらに「主に公共投資、地方政府に係る歳出削減を通じた継続的な財政再建の取り組みにより、財政は徐々に改善する傾向にある。赤字削減は着実に進んでおり、旧小泉政権が設定し、福田政権に引き継がれている政府目標の2011年までの一般会計プライマリー・バランスの黒字化につながるとみられる」と指摘した。

 ムーディーズによると、政府債務は依然として、平時における先進諸国の状況に比べて高水準で、政府の歳入基盤、GDPとの対比でも他の先進諸国より高水準にあるが、政府の確固とした財政・金融政策スタンスにより、政府債務増大のペースが緩やかになっていく可能性がある。2008年における小幅な税収増の見込みや、世界の経済状況、商品価格の高騰による国内経済成長の阻害や企業収益の低下といった環境下でも、政府は一般政府赤字の規模を4期連続で縮小させる意向にある。

 政府債務の推移が引き続き改善傾向を示すことについて、バーン氏は「より高い名目GDP成長率を確保する必要がある。つまり、インフレが初期段階にあり実質・名目GDP成長率が緩やかな中では、金融緩和政策を維持していくことが必要となろう」と指摘した。

 日本は依然として多額の債務を抱えているため、日本の財政は金利の急上昇や他のマクロ経済のショックから影響を受けやすい。しかし、ムーディーズは、日本はその基礎的な構造上の強みとシステム全体の特徴により、極めて高水準の債務を維持していくことが可能とみている。

 ムーディーズによると、日本国債の格付けのさらなる引き上げは、持続的な財政再建、政府債務削減の見通しが求められる。低い出生率、急速な高齢化を背景とした社会保障費、年金支出の増大という強い向かい風の中で、政策上の選択肢は限られるとみている。

 日本の外貨建てカントリー・シーリングAaa、日本政府が保証して海外市場で発行された債券(ユーロ円債を含む)に対する格付けAaa、短期外貨建てシーリングPrime─1、自国通貨建て債務シーリングAaa、自国通貨建て預金シーリングAaaには変更はない。

ムーディーズのレポートは[nMDY030001]をダブルクリックするとご覧になれます。なお、契約によっては、ご覧頂けないこともあります。  (ロイター日本語ニュース 片山 直幸記者)

インフレ懸念、家計や企業負担ズシリ 長期金利が急上昇

2008.06.02 MSN産経新聞

 債券市場で長期金利が急ピッチで上昇している。インフレ懸念に加え、米国の低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)問題に端を発した信用不安が一服し、投機マネーが株式市場などに回帰しているためだ。ただ、長期金利の上昇で住宅ローン金利は昨夏以来の水準にまで上昇。家計や企業の負担が増すことで景気を下押しする懸念も出ている。

 長期金利の代表的指標である新発10年国債利回りは今年3月には1・2%台まで低下。だが、4月以降は急反転し、2日の終値も前週末比0・035ポイント高い1・785%だった。

 長期金利は、金融機関が住宅ローン金利を決める際の重要な目安となっている。三菱東京UFJ、みずほ、三井住友、りそなの大手銀行4行は、6月の新規融資分に適用する金利を一斉に引き上げた。固定金利型のローンでは、2年間金利を固定するタイプで0・2%、5年固定では0・35%上昇する。金利引き上げは2カ月連続で、昨年夏以来の高水準。利用者の負担は増し、「住宅購入時に金利を気にする消費者が以前より目立ってきた」(メガバンク幹部)という。

 企業向け融資も長期金利に左右される。とくに中小企業の資金繰りが逼迫(ひつぱく)しており、ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次シニアエコノミストは「今後の金利交渉の行方が業績難に追い打ちをかける可能性がある」と指摘する。

 多くのガソリンスタンドでレギュラーガソリンの価格が1リットル=170円台に上昇するなど、インフレ懸念が世界的に台頭。一方でサブプライムローン問題に伴う信用不安も一服し、日米で利下げが休止したことも金利の先高感につながっている。サブプライム問題が顕在化した後、投機マネーは比較的安全とされる債券市場に流入してきたが、ここにきて「債券を売り、株に向かう動き」(矢嶋氏)が活発になっている。

 債券が売られると、債券に対する需要が落ち込むため、より高い利回りが必要になり、長期金利の上昇につながる。市場では「長期金利の2%超えはすでに射程内」(大手銀行幹部)との声も聞かれる。

 物価高や原材料高そのものが、家計や企業を圧迫。食料品や日用品の値上げラッシュも続き、賃金上昇や需要の拡大を伴わない「悪い物価上昇」が景気を冷え込ませる懸念もぬぐえない。物価と景気の下振れリスクの綱引きが、今後の長期金利動向を見定めるかぎとなりそうだ。

07年末、対外純資産 最高の250兆円超 17年連続、債権国世界一

2008/05/24 FujiSankei Business i.

 財務省が23日発表した2007年末の対外資産負債残高によると、日本の企業や個人投資家などが海外に持つ資産から負債を差し引いた対外純資産は、前年比16・3%増の250兆2210億円と2年連続で過去最高を更新した。

 成長が見込まれる海外への投資を企業が増やしていることに加え、低金利を嫌った投資家の資金が海外へ流出した。世界一の債権国の座を17年連続で維持したもようだ。

 日本の対外資産は9・4%増の610兆4920億円。海外での積極的な事業展開を目指す日本企業の外国企業への経営参加を目的とした直接投資が15・7%増と高い伸びを示した。

 米サブプライム住宅ローン問題で金融市場は07年後半から混乱したが、外国株や外債への投資を示す証券投資も3・2%増と、有利な運用先を求めて資金が移動していることを示した。

 海外投資家の対日投資などを示す対外負債は360兆2710億円と5・0%増加。株式投資は減少したが、国債などの保有残高が増えた。対外資産、対外負債のいずれも5年連続の増加で、過去最高を更新した。

 07年末の対外純資産残高を主要国・地域別でみると、国際通貨基金(IMF)などの統計ではドイツが約107兆円で第2位。中国は06年末時点で78兆円(07年は未公表)だが、ドイツを上回った可能性がある。オイルマネーで潤う中東諸国はデータを開示していない。

長期金利、日米で上昇 世界的インフレ懸念で

2008/05/24 中国新聞ニュ−ス

 日米両国で長期金利の上昇基調が鮮明になっている。原油高騰で世界的にインフレ懸念が強まったことや、米サブプライム住宅ローン問題で欧米の金融市場に広がっていた信用不安が一服し、安全資産の国債への資金流入が弱まったためだ。

 金利上昇が続けば、企業や家計の借り入れ負担が増えて景気に悪影響を与える恐れもある

 日本では、指標となる新規発行の十年国債利回りは二十三日に一時、1・755%と約九カ月ぶりの高水準(価格は低水準)を付けた。米国の十年債利回りも4%近くまで上昇。米証券大手ベアー・スターンズの経営危機が表面化した三月半ばは3・3%程度まで低下していた。

 原油や食料品などの価格上昇を受け、国際的に大規模な資金運用を手掛ける機関投資家や投機筋の最大の関心事は、インフレに伴う金利上昇。「日本を含めて主要国の国債は利回りが上昇(価格が下落)しやすくなっている」(外資系証券)。

 米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ抑制のため年内には利上げに転じるとの見方や、海外の信用不安などで浮上していた日銀の利下げ観測が消えたことも、日米の金利上昇要因だ。

 ただ、一部では「インフレよりも両国の景気落ち込みの深刻化が今後問題になるだろう」(大手銀行)との声もあり、日米ともに国債利回りが乱高下しやすくなっているのが現状だ。

 長期金利が上がれば、住宅ローンや企業の借り入れ金利が上昇するため、家庭や中小企業の負担が増える。半面、十年物の個人向け国債の金利が上がるなど有利な資産運用ができる場合もある。

07年末、対外純資産 最高の250兆円超 17年連続、債権国世界一

2008/05/24 FujiSankei Business i.

 財務省が23日発表した2007年末の対外資産負債残高によると、日本の企業や個人投資家などが海外に持つ資産から負債を差し引いた対外純資産は、前年比16・3%増の250兆2210億円と2年連続で過去最高を更新した。

 成長が見込まれる海外への投資を企業が増やしていることに加え、低金利を嫌った投資家の資金が海外へ流出した。世界一の債権国の座を17年連続で維持したもようだ。

 日本の対外資産は9・4%増の610兆4920億円。海外での積極的な事業展開を目指す日本企業の外国企業への経営参加を目的とした直接投資が15・7%増と高い伸びを示した。

 米サブプライム住宅ローン問題で金融市場は07年後半から混乱したが、外国株や外債への投資を示す証券投資も3・2%増と、有利な運用先を求めて資金が移動していることを示した。

 海外投資家の対日投資などを示す対外負債は360兆2710億円と5・0%増加。株式投資は減少したが、国債などの保有残高が増えた。対外資産、対外負債のいずれも5年連続の増加で、過去最高を更新した。

 07年末の対外純資産残高を主要国・地域別でみると、国際通貨基金(IMF)などの統計ではドイツが約107兆円で第2位。中国は06年末時点で78兆円(07年は未公表)だが、ドイツを上回った可能性がある。オイルマネーで潤う中東諸国はデータを開示していない。

長期金利が1・7%まで上昇、7か月ぶりの高水準

2008年05月14日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 14日の東京債券市場で、長期金利の代表的な指標となる新発10年物国債の流通利回りが、前日より0・12%高い1・7%まで上昇(国債価格は下落)した。 Click here to find out more!

 2007年10月15日以来、約7か月ぶりの高水準だ。

 東京株式相場の上昇などを受け、含み損の拡大を避けて損失を確定する売りが優勢となった。

国債先物取引、初の中断措置 東証

2008/04/26 FujiSankei Business i.

 東京証券取引所は25日、上場商品の10年国債先物価格の急落を受け、取引を中断する措置を初めて実施した。

 この措置は今年1月に導入され、国債価格が前日終値に比べて上下それぞれ2円を超える幅で動いた場合、市場の混乱を緩和するために15分間取引を止める。

 この日は売りが膨らみ、中心限月の6月きりは一時前日比2円50銭安となった。

家庭の金融資産1259万円 前年より140万円増

2008年02月27日 中国新聞ニュース

 金融広報中央委員会は27日、2007年の「家計の金融行動に関する世論調査」の結果を発表した。家計の金融資産の平均額(全世帯)は1259万円と、前年より140万円増加した。調査対象の家庭が保有する金融資産の中央値は500万円と30万円増えた。

 家計の金融資産に占める預貯金の割合は38・9%と、ほぼ横ばい。定期性預貯金は24・5%と1・8ポイント増えた。日銀の利上げで預貯金金利が上昇したためとみられる。投資信託など有価証券の割合は19・0%と2・8ポイント伸びた。

 ただ、今後保有したい金融商品では、株式や投資信託などと回答する家庭はやや減少した。同委員会は「米サブプライム住宅ローン問題による株式市場の低迷が影響した」とみている。

 日常生活での決済手段を複数回答で聞いたところ、「現金を使う」との答えが半数以上を占めた。高額の支払いを中心にクレジットカードの利用も多く、決済額が1万円超5万円以下の場合は39・2%、5万円を超える場合は45・6%が「クレジットカードを使う」と答えた。

国の借金、最大の838兆 1人当たり656万円

2008年02月25日 中国新聞ニュース

 財務省は25日、国債、借入金、政府短期証券を合わせた国の債務(借金)の残高が2007年末時点で838兆50億円になったと発表した。前年末から5兆7419億円増え、過去最大を更新。国民1人当たりでは、前年末より約5万円多い約656万円の借金を抱えている計算になる。

 ただ、債務残高の増加幅は前年の19兆801億円から大幅に縮小し、現行の発表方式となった最近11年では最も低い水準だった。

 同省は、新規国債発行額が減少したことが増加幅縮小の原因と説明。08年度予算案でも新規国債を抑制し、特別会計の積立金の一部を借金返済に充てるため「債務残高の増加ペースは今後さらに緩やかになる」(理財局)とみている。

 国の借金のうち、国債は昨年9月末から3兆9639億円増の678兆6416億円。このうち普通国債は534兆5145億円。

国の借金は836兆円 6月末も過去最高に

2007/08/24 中国新聞ニュース

 財務省は二十四日、国債と借入金、政府短期証券を合わせた国の債務残高(借金)が二○○七年六月末時点で八百三十六兆五千二百十三億円になったと発表した。三月末時点に比べ二兆千四百二十七億円増加し、過去最高を更新した。

 一人当たりの借金は、八月一日時点の人口推計一億二千七百七十七万人で計算すると約六百五十五万円となる。

 債務の中心を占める国債は二兆三千二百四十六億円減少し、六百七十一兆七千九百七十五億円。このうち普通国債は五兆八千四十億円減り、五百二十五兆八千九百七十五億円。減少したのは、約六兆円の割引短期国債(TB)を政府短期証券(FB)に振り替えたことによる一時的なもの。FBは六兆六千七百八十二億円増の百七兆六千五百二十四億円となった。

 一般会計や特別会計の借入金は二兆二千百九億円減の五十七兆七百十五億円だった。

 財務省は国の借金残高を三カ月ごとに公表、借金財政が続き過去最高を更新し続けている。

日本国債、5年ぶり「AA」 S&Pが引き上げ

2007/04/24 FujiSankei Business i.

 米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は23日、日本国債の格付けを従来の「AAマイナス」から、「AA」に1段階引き上げたと発表した。格付け見通しは「安定的」。S&Pが日本国債を格上げしたのはこれが初めてで、「AA」の評価は5年ぶり。財政再建の進展などが評価された。「AA」はチリ、アイスランドなどと同格だ。

 S&Pは1992年に日本国債を最上級の「AAA」に初めて格付けしたが、それ以降、バブル崩壊後の財政状況悪化などを受け、断続的に格下げを実施していた。

チリ、香港と同等 「AA」格上げの日本国債

2007年04月23日 西日本新聞

 米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が23日、日本の長期国債の信用力を示す格付けを「ダブルA(AA)」に一段階引き上げたのは、構造改革の進展を評価したためだ。しかし先進7カ国では依然としてイタリアに次ぐ低い評価で、チリ、香港などと同格。同社は安倍政権の財政再建の取り組みが頓挫すれば「格付けには下方圧力がかかる」とも警告している。

 日本の長期格付けはこれまで「ダブルA(AA)マイナス」。S&Pは今回、日本の財政赤字の対国内総生産(GDP)比が2007年度末に5・0%へ低下する見通しになったなどとして、初めての格上げを決めた。

 先進7カ国の格付けは、米国、英国、ドイツなどが軒並み「AAA」で、日本より2段階高い。財務省の藤井秀人事務次官は23日の記者会見で「財政健全化に向けた取り組みが国際的に評価されつつある。引き続き改革に取り組みたい」と述べた。

長期金利低下1・545% 1年1カ月ぶり低水準

2007年03月22日 中国新聞ニュース

 22日の国債市場は、長期金利の指標である新発10年債(285回債、表面利率1・7%)の終値利回りが前営業日の20日より0・015%低い1・545%と1年1カ月ぶりの低水準になった。

 米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測が広がって、米長期金利が低下した影響を受けた。3月決算期末を控えた投資家による持ち高調整の買いも、利回り低下につながった。

 東証10年国債先物の中心限月である6月きりは10銭高の134円90銭。

利上げなら日本国債への関心高まる可能性=海外専門家

2007/02/21 大紀元[ニューヨーク 20日 ロイター]

 海外の専門家は、日銀が今回の金融政策決定会合で利上げしても、円を借りて日本以外の利回りの高い債券に投資するという動きは止まらないとみている。ただ、利上げがあれば、日本国債への関心がやや高まる可能性がある、との声も聞かれる。

 期間の短い日本国債は同種の米国債より利回りが4%ポイント前後低いため、(利上げがあっても)世界の投資家が円を借りて日本以外の利回りの高い債券を買うという傾向に依然として変化はないとみられている。

 米国のファンドマネジャーらは、日銀が利上げしても、円キャリートレードを積極的に行っている日本の個人投資家の反応は鈍いとみる。

 フェデレーテッド・インベスターズのイアブ・サリブ氏は「政策金利が0.25%から0.50%に上昇したら、日本の個人投資家はポジション解消に動くだろうか。答えはおそらく『ノー』だろう」と述べた。

 同氏は日銀が今回利上げすると予想しているものの、為替や債券市場への影響は当初は限定的なものにとどまるとの見方を示している。

 日銀は昨年7月にゼロ金利政策を解除。それ以降は無担保コール翌日物金利の誘導目標を0.25%に据え置いている。今回の決定会合で0.5%への利上げがあったとしても、ユーロ圏の政策金利3.50%、米国の政策金利5.25%を依然として大幅に下回っている。

 20日の市場では、2年物の日本国債利回りは0.8%程度となり、同期間の米国債の利回り4.83%を4%ポイント以上も下回った。

 7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)で円の弱さに対する直接的な言及がなかったことから、2月上旬には、円はユーロに対して最安値をつけたほか、ドルに対して4年ぶりの安値に迫った。

 円キャリーが目先、巻き戻しの動きになることはない、とみられる。

 カンバーランド・アドバイザーズのバイスプレジデント兼チーフグローバルエコノミスト、ウィリアム・ウィザール氏は「日銀が利上げしたとしても、利上げ幅とつりあわないほどの心理的な効果がない限りは、キャリートレードに大きな影響はないだろう」との見方を示している。

 「(日本と海外の)金利差が依然、キャリートレードを継続させる圧力だ。キャリートレードは、時間をかけて徐々に調整する」と述べた。

 ただ、フェデレーテッド・インベスターズのサリブ氏は、向こう3─9カ月にわたり、日本国債の利回りが上昇、キャリートレードが一部巻き戻され、円は大きく反転する、との見方を示した。フェデレーテッド・インベスターズはすでに、円と日本国債をベンチマークに対してオーバーウエイトとしている、という。同氏は、10年物の日本国債の利回りが2%を突破すれば、投資する価値があるかもしれない、と話した。

 10年物の日本国債の利回りは、20日には1.72%程度だった。

 パトナム・インベストメンツのマネジングディレクター、ビル・コリー氏は、10年・20年の日本国債への投資増を検討しているという。

 同氏は「日本国債は目先、他との比較では、買いだと思う」としている。また、日本のインフレ統計が抑制された内容であることから、それ以上の利上げは必要ないと思われる、と指摘。「日銀が今回利上げすれば、投資家は当面は利上げがないと考えるだろう」との見方を示した。

 パトナムは現在、ベンチマークに対して日本国債をニュートラルにしているが、今週にも短期・長期の日本国債持ち高を増やす方向という。

東証とロンドン証取提携へ 月内にも基本合意

2007年02月03日 asahi.com

 東京証券取引所は2日、月内にも欧州最大のロンドン証券取引所(LSE)と業務提携することで基本合意する方針を固めた。上場投資信託(ETF)などの投資商品の共同開発や相互上場などで提携する見通しだ。東証は1月末に米ニューヨーク証券取引所を運営するNYSEと業務提携で合意しており、欧米の取引所との連携を広げ、国際的な存在感を高める狙いがある。

 東証、LSEは、LSE幹部が昨秋に東証を訪れて以来、業務提携の協議を本格化させた。相互上場を検討するETFは株価指数などに連動するようにつくられている投資商品。今後も幅広く投資を呼びこむため、両者が協力して商品開発や販売促進を進める方向で検討する。資本提携は当面、検討しない。

 東証はほかに、米国最大の金融・商品先物取引所であるシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)とも提携交渉を進めている。CMEでも日本国債の先物取引などができるようにし、東証の扱う商品の流動性を高める狙いとみられる。

東証がCMEにラブコール

2007/02/03 edaioy/朝鮮日報JNS
 

 東京証券取引所が時価総額で世界1位のニューヨーク証券取引所と戦略的提携の締結を発表したのに続き、米国最大の先物取引所であるシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)にも提携を申し入れた。

 2日付のフィナンシャル・タイムズによると東証の西室泰三社長はCMEを訪問し、日本国債の先物市場での上場について協議する予定だという。現在東証で扱われている5年物と10年物の日本国債先物をCMEにも上場し、グローバルな流動性を持たせたいという考えだ。

 これは世界的に急成長している派生商品の市場で東証が一歩出遅れているとの判断によるものだ。日本だけを見ても大証に比べて株の取引きは活発だが先物取引はリードを許している。更にニューヨーク証券取引所との提携にもはずみがつくとの判断があるものとみられる。

 東証は7年前にもCMEに提携を打診したが進展はなかった。しかし最近になって先物オプション市場が急成長し、再び提携に乗り出している。

外務省が欧州で国債説明会開催へ

2007/02/02 The Sankei Shimbun WEB-site

 財務省は2日、ロンドンやパリなど欧州5都市で、日本国債の説明会を3月1日から実施すると発表した。海外投資家の国債保有率を高めるのが狙いで、初めてルクセンブルクとイタリア・ミラノでも開催する。

 説明会では、渡辺博史財務官が日本経済や財政状況などについて説明。同省の担当者が国債の商品性や海外保有者向け税制などをアピールする。海外の国債保有率は2006年9月末時点で5.1%にとどまっている。

東証、シカゴ取引所と提携交渉 西室社長が意欲示す

2007年02月01日 asahi.com

 東京証券取引所の西室泰三社長は31日夕、米国最大の先物取引所であるシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)と提携交渉を進めていることを明らかにした。同日朝にニューヨーク証券取引所を運営するNYSEグループと提携で基本合意したばかりだが、他の取引所との連携も積極的に進める方針だ。

 西室氏がニューヨーク市内で記者団に語った。1日にシカゴにCMEを訪ねる予定があるとし、「できればなるべく早く発表したい」と早期の交渉進展に意欲を見せた。CMEでも日本国債の先物取引などができるようにし、国債など東証が扱う商品の流動性を高めるのが狙いとみられる。

「円キャリートレードの快進撃は止まらない」=FT紙

2007/01/29 edaily/朝鮮日報JNS

 日本の超低金利傾向が続いていることを受け、日本の個人投資家までが円キャリートレードに積極的になっている。日本銀行は「景気活性化」と「円安」という2つの変数の狭間で、いつ利上げすべきか、ジレンマに陥っている。

 英紙ファイナンシャル・タイムズは31日、有名コラム「レックス」で、「日銀が金利を150BP(1.5%)以上引き上げなければ、円キャリートレードを行う個人投資家を国内市場に戻すのは難しいだろう」と分析した。

 日本の個人投資家は機関投資家と同じくらい円キャリートレードに積極的だ。3年満期の日本国債受益率は現在0.25%、10年ものは1.7%に過ぎない。消費者物価上昇率が0.25%なので、日本国債投資はうまくいったところで元金回収、下手すれば受益率がインフレ率より低くなり、実質的に損する可能性もある。

 その上、日本の証券市場も遅々とした状況で、投資家にとって魅力的とは言えない。個人投資家は証券市場に対する投資比率を10%未満に維持し、それ以上は市場に投資する意欲を見せていない。

 その代わり、ドル建て・ユーロ建て債券を買い進めている。特に個人投資家は機関投資家に比べ、規定による制限を受けないため、存分に投資できる。このため、金利が高いニュージーランドやオーストラリア通貨が個人投資家の間で大人気となっており、円キャリートレード資金はさらに増えている。

 ファイナンシャル・タイムズは「日本から海外に流出する資金の約3分の2は個人投資家の資金」と分析している。

 このように海外に目を向けている個人投資家を、再び国内に引き入れるには、金利引き上げが必須だが、「日銀が投資家を惹きつけるほど利上げする可能性はほとんどない」と同紙は見ている。それは回復傾向にある日本経済が、再び低調に陥るかもしれないからだ。

 日銀が今後、1年半以内に金利を150BP以上引き上げるとしても、個人投資家が海外投資で得ている受益率の魅力を失わせるほどではないとみられている。

「日本国債」買いに走る韓国の資産家たち(上)

2007/01/29 朝鮮日報/朝鮮日報JNS キム・ホンス記者

 A銀行のVIP顧客、キム・ジファンさん(60)=仮名=は先月、自身の口座から30億ウォン(約3億8700万円)を下ろし、B証券で販売する「日本国債」投資商品に投資した。証券会社社員が「日本国債に投資すれば金融所得総合課税を避けられる」と勧めたからだ。

 最近、サムスン証券など一部証券会社で販売している「日本国債」投資商品に資産家たちが多額の資金を投入している。

◆金融所得総合課税から除外されるのがメリット 

 日本国債の利率は年間0.20.5%ほどとほぼゼロに等しく、資産家たちが投資するメリットはまったくないように見える。しかし、賢い証券各社は複雑な金融工学メカニズムを駆使し、韓国と日本の金利差(約3.5%)を為替差益に変えることで年間3.74.0%の収益を生み出す金融商品にした。

 特に、為替変動とは関係なくノーリスクで収益を上げることができる点や、表向きは非課税の「為替差益」となり、金融所得総合課税対象から除外される点でメリットがある。

 例えば、10億ウォン(約1億2940万円)を3カ月間投資する場合、債券利子はたった50万ウォン(約6万5000円)だが、為替差益は875万ウォン(約113万円)に上る。

 また、債券利子に対しては15.4%の利子所得税が掛かるが、為替差益に対しては課税されず、税引き後の実質受益率は年間約3.7%になる。特に、年間金融所得が4000万ウォン(約520万円)を超える金融所得総合課税対象者(最高税率40%)なら、節税効果を考えると年間6%程度の高収益を出すのと同じことになる。

 このため、日本国債投資者のほとんどは金融所得総合課税対象者とのことだ。サムスン証券では、日本国債投資が可能な最小投資額が1億6000万ウォン(約2070万円)で、一人当たりの投資金額は多い場合で数十億ウォンになるという。

「日本国債」買いに走る韓国の資産家たち(下)

2007/01/29 朝鮮日報/朝鮮日報JNS キム・ホンス記者

◆課税の可否が論争呼ぶ可能性も

 しかし、日本国債投資商品は、かつて銀行が「非課税」として販売し政府から課税対象と判断された「円スワップ預金」とよく似た構造を持っており、課税の可否をめぐり論争が起きている。

 円スワップ預金も、韓日の金利差を為替差益に変え金融所得総合課税を回避する構造になっていた。ただ、日本国債投資商品と違う点は、最終投資対象が預金なのか債券なのか、ということだけだ。

 円スワップ預金は2002年から銀行が「非課税」を前面に押し出し販売合戦を繰り広げ、一時7兆ウォン(約9040億円)売れた。しかし2005年、政府はこの預金に対し遅まきながら「課税対象」と判断した。預金と先物為替予約が「統合された取引」として成り立つので課税対象になるという論理だ。これに投資者は強く反発、銀行も政府に課税不服訴訟を起こし、一部銀行は投資者に税金分を弁償した。

 このような前例を意識してか、サムスン証券をはじめ最近日本国債商品を販売している証券各社は、商品案内で「為替差益はのちに課税対象となることもある」と告知している。しかし、一部投資者は「例え課税対象となっても、天下のサムスンが“払わなくてもいい”と言った税金を後で払えと言うだろうか」と、多額の資金を投資している。

 これについて国税庁関係者は「日本国債に投資する過程で発生する為替差益を“類似利子”と見なし課税できるかどうかは、具体的な取引構造を分析してみなければ分からない」と、原則論を示している。

国の借金最大の約828兆円 国民1人当たり648万円

2006年12月25日 中国新聞ニュース

 財務省は25日、国債と借入金、政府短期証券を合わせた国の債務(借金)残高が今年9月末時点で、過去最大の827兆9166億円になったと発表した。国民1人当たり約648万円の借金を抱えている計算になる。

 国の借金残高は3カ月ごとに公表しており、6月末時点に比べると1218億円の増加。新規国債の発行抑制に加え、今春から過去の国債を市場から買い入れて消却処理しており、6月末に続いて1兆円を割り込む小幅な伸びにとどまった。

 普通国債の残高は532兆7297億円で、6月末時点に比べ5兆8199億円増えた。

 一般会計や特別会計の借入金は、財政投融資の規模縮小などの影響で、2537億円減の58兆2742億円だった。一時的な資金不足を補う政府短期証券は94兆6918億円で、5兆7552億円減少した。

好評となるか日本の国債 欧州機関が決済開始

2006/11/27 Iza

 国際的な証券決済機関であるドイツ取引所傘下のクリアストリーム(本部ルクセンブルク)が日本国債の決済業務を始めたことが26日までに明らかになった。同社は既に日本の税務当局から税制上の特別措置を受けるための認定を獲得。日銀からも国債振替決済制度の「外国間接参加者」として承認され、欧米などの金融機関はクリアストリームを通じて日本国債を取引できるようになる。日本国債の海外投資家の保有に拍車が掛かり、財務省が進める「国債の国際化」にも寄与しそうだ。

 日本の税務当局は欧米の証券会社など「非居住者」がクリアストリームの口座で日本国債を保有・決済する場合、国債利子に対する所得税の源泉徴収を免除する。また、日銀が国際的な証券決済機関に振替決済制度への参加を認めるのは初めて。

 日本政府は大量発行する国債の安定消化に向け、海外投資家による保有拡大を促進。1999年度には一定基準を満たす外国の機関投資家などの非居住者を対象に、国債利子課税の免除制度を創設した。

 しかし、投資家との取引記録の報告義務が課された金融機関からは「負担が重過ぎる」などと制度運営に不満が出ていた。このため、財務省は一定要件を満たす証券決済機関や証券会社・銀行に報告の簡素化を実施。これを受け、クリアストリームは日本国債の取り扱い開始を決定した。

国債発行額は3兆1210億円減額 昨年度、税収増で

2006/07/03 The Sankei Shimbun

 財務省は3日、平成17年度の税収実績と決算概要を発表した。税収は企業業績の好調に伴う法人税収や所得税収の伸びを受け、補正予算比で2兆234億円増額修正した。

 この結果、国債発行(公債金)は補正予算時からさらに2兆2000億円減る。これで17年度国債発行額は当初予算時から3兆1210億円減の31兆2690億円となり、基礎的財政収支も12兆5330億円の赤字に圧縮される。

 税収実績によると、所得税9029億円、法人税8005億円、消費税1154億円と、基幹税収がいずれも補正後予算額を上回った。これにより、一般会計税収は49兆654億円と、平成12年度の50兆7000億円に次ぐ水準に回復した。

国税収入:当初予算比約5兆円増の49兆円に 05年度

2006年07月01日毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 05年度の国の一般会計決算で、国税収入が当初予算比約5兆1000億円増の49兆1000億円程度に達することが明らかになった。財務省が3日、発表する。国税収入が49兆円を上回るのは、定額郵便貯金の大量満期による利子課税が税収を押し上げた00年度(50兆7125億円)以来5年ぶり。歳入から歳出を差し引いた剰余金は約9000億円で、半分以上を国債の償還にあてる。

 05年度当初予算では税収を44兆70億円と見込んでいた。しかし、景気回復による税収増を受け、昨年末の補正予算で税収見込みを3兆350億円上方修正。さらに、企業業績の回復による法人税収の大幅な増加や、企業が株主への配当を増やしたことで株式配当への課税額が過去最高になったことなどから、補正後の見通しも上回る結果になった。

 税収の大幅増に伴い、昨年末の補正予算で当初予算に比べ新規国債発行額を9210億円減額していたが、さらに2兆円超を減額。最終的な新規国債発行額は約31・3兆円になる。

 03、04年度と2年連続で1兆円台を突破していた剰余金は、新規国債発行の減額を優先させたため、3年ぶりに1兆円台を割り込んだ。【古田信二】

赤ちゃんも借金648万円、国の借金827兆円に

2006年06月23日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 財務省は23日、国債や借入金などを合わせた国の借金(債務)の残高が、2005年度末(06年3月末)で827兆4805億円に達したと発表した。

 税収不足を補う国債の大量発行が続いたことなどから、04年度末に比べ、5・9%増(45兆9288億円増)となり、過去最高を更新した。赤ちゃんまで含めた国民1人当たりの借金は1年前より約36万円増えて約648万円に膨らんだ計算だ。

 景気回復に伴って、05年度の税収は当初予算額より約5兆円多い49兆円台になる見通しだが、借金はその約17年分相当で、国の財政悪化の深刻さを示している。

 内訳をみると、一般会計の歳入不足を補う普通国債や、特殊法人向け資金などを調達する財政融資資金特別会計国債(財投債)などを合わせた国債残高は、前年度末比7・1%増の670兆5794億円で、全体の8割を占めた。

 一時的な資金不足を補う政府短期証券は同1・6%増の97兆6274億円。一般会計や特別会計の借入金は、同0・3%増の59兆2737億円だった。

 同時に発表した特殊法人などに対する政府保証債務の残高は、同7・8%減の53兆6051億円だった。

長期金利1・955%で取引始まる

2006/04/17 The Sankei Shimbun

 17日午前の国債市場は、長期金利の指標である新発10年債(278回債、表面利率1.8%)の利回りが前週末終値より0.005%低い1.955%で取引が始まった。

 高利回りに着目した投資家の買いが入り、国債利回りが低下(価格は上昇)した。

長期金利、5年7カ月ぶり一時1.980%

2006/04/14 The Sankei Shimbun

 14日の国債市場は、長期金利の指標である新発10年債(278回債、表面利率1.8%)の終値利回りが一時、前日より0.055%高い1.980%まで急上昇(国債価格は急落)した。平成12年9月以来、5年7カ月ぶりの高水準。終値は0.035%高い1.960%だった。

 日銀の早期利上げ観測が根強い上、米長期金利が3年10カ月ぶりに5%台に上昇した影響を受けた。その後は、高い利回りに着目した生命保険会社などから買いが入り、上昇幅は縮小した。

 東証10年国債先物の中心限月の6月きりは33銭安の132円00銭。

国の借金800兆円突破 1人当たり636万円

2006/03/24 The Sankei Shimbun

 財務省は24日、国債と借入金、政府短期証券を合わせた国の債務残高(借金)が平成17年末時点で813兆1830億円となったと発表した。17年9月末から14兆1628億円増え、初めて800兆円を超えた。国民一人当たり636万円の借金を抱えている計算だ。

 景気回復で税収は増加傾向にあるが、歳入不足の状況は変わっていない。27日に成立予定の18年度政府予算案でも新たに約30兆円の国債発行を見込む。日銀の量的緩和政策の解除で金利上昇の懸念も強まっており、政府は厳しい財政運営を迫られる。

 国の借金のうち、国債は昨年9月末から13兆6458億円増の663兆7743億円。一般会計や特別会計の借入金は59兆3494億円、一時的な資金不足を補う政府短期証券は90兆593億円だった。

 総務省によると、地方債も含めた18年3月末の地方の債務残高は204兆円となる見通しで、国と地方の借金は1000兆円を超えている。

昨年末の家計資産、初の1500兆円

2006/03/24 The Sankei Shimbun

 日銀が24日発表した昨年末時点の資金循環統計(速報)によると、家計が保有する金融資産残高は前年同期より5.2%増えて1509兆円となり、昭和54年の統計開始以来、初めて1500兆円の大台に乗せた。過去最高は3・四半期連続。現預金が減少する一方で、投資信託や債券といった“リスク性資産”が急増しており、中でも株式保有額は48.1%増の118兆円と過去最高となった。

 景気回復による収入増や投資環境の好転が残高増につながったとみられる。昨年は夏場から年末にかけて急速に株価が上昇し、家計の株式・出資金は売り越しだったが、評価益が残高をかさ上げした。

 一方、現金・預金は0.6%減の783兆円。全体に占める割合も51.9%と3.0ポイント低下し、8年以来の低水準となった。

 昨年4月のペイオフ全面解禁などの影響もあり、個人マネーの預金から市場性のある金融商品へのシフトが一段と強まっているとみられる。

今後10年は毎年平均0.8%上昇 全国消費者物価予想

2006/03/07 The Sankei Shimbun

 全国消費者物価指数が今後10年間に毎年平均で前年比0.8%程度上昇するとの予想が国債市場で大勢となっていることが、財務省が7日実施した物価連動国債(10年物)入札で分かった。

 昨年12月の前回入札時の0.7%から予想がやや上向いた。1月の消費者物価指数が3カ月連続で前年同月比プラスとなり、デフレ脱却見通しが明確になったため。長期金利(新発10年債利回り)から物価連動債の流通利回りを差し引いた数字が、予想物価上昇率となる。

 物価連動債は、消費者物価が上がると元本が増える機関投資家向けの特殊な国債。インフレ見通しが高まるほど人気が出る。今回の応募倍率は3.7倍で2004年6月の7.5倍以来の高さになった。

 市場関係者は、持続的な景気拡大に伴う物価上昇圧力のほか「将来の消費税率引き上げが、まだ予想に十分反映されていない」(野村証券)と指摘している。

外貨準備高、過去最高の8516億ドル 1月末

2006/02/06 The Sankei Shimbun

 財務省が7日発表した1月末の外貨準備高は、前月末に比べ47億6900万ドル増の8516億6600万ドルとなり、2005年8月以来、5カ月ぶりに過去最高を更新した。前月末の水準を上回るのは3カ月連続。

 ユーロの対ドル相場が上昇し、ユーロ建て資産のドル評価額が膨らんだことが要因。政府・日銀による為替介入実績は1月まで22カ月連続のゼロとなり、外貨準備の水準に大きな変動がない状態が続いている。

 日本の外貨準備高は世界1位とみられるが、中国が貿易黒字や投機資金の流入を背景に、昨年末時点で8189億ドルに達し、日本に迫っている。(共同)

10年国債、年1.6%に 1年5カ月ぶり高水準

2006/02/02 The Sankei Shimbun

 財務省は2日、長期金利の代表的な指標である10年物国債の表面利率(額面に対する利率)を、2月発行分は前月より0.2%引き上げ、年1.6%とすると発表した。表面利率の引き上げは4カ月ぶりで、2004年9月発行分(年1.6%)以来、1年5カ月ぶりの高水準となる。

 景気回復やデフレ脱却への期待から、日銀が4月にも量的金融緩和政策を解除するとの見方が市場で強まっていることが背景にある。株式市場も堅調で、流通している10年物国債の価格が下落(金利は上昇)していることを反映した。

 同日実施した入札では、平均落札価格は100円66銭(平均利回り1.523%)。1兆7100億円の入札枠に対して3兆9025億円の応募があり、1兆7049億円が落札された。(共同)

サンデー時評:どうする気だ、八〇〇兆円の借金

2006年02月01日 Mainichi INTERACTIVE

 若いころ、知人の銀行借り入れの連帯保証人になり、知人が商売に失敗してしまったので、多額の借金を抱え込んだ苦い経験がある。借財を減らすには、頑張って稼ぐか、節約するかしかない。両方やるのがいちばん効果的なのだろうが、まあ、割合単純な話である。

 しかし、個人の場合ならそれだけのことだが、国の借金となるとまことにややこしい。私は経済の専門家でないからなおさらわかりづらいが、借金のべらぼうな額は、一人の国民として気にならないはずがない。

 国・地方合わせて、なんと八〇〇兆円に達し、対GDP(国内総生産・五〇〇兆円)が一六〇%に達し、日本は先進国のなかで最悪、財政は破綻寸前だという。少しずつでも減っているならまだしも、増え続けている。一体、政府はどうするつもりなのか。

 谷垣禎一財務相は先日、通常国会冒頭の財政演説で、

「極めて厳しい状況にある。財政構造改革に対する政府の断固たる取り組み姿勢を示す必要がある。

 今年の年央をめどに、歳出・歳入一体改革の選択肢と改革工程を明らかにし、二〇〇六年度内に結論を得る。税制の抜本的改革についても、歳出・歳入一体改革の一環として国民的な議論を深めていく……」

 と述べたが、歯切れがよくない。これから策を煮詰める、ということだ。谷垣さんは昨年の人事で留任したとき、〇七年の通常国会に消費税の税率引き上げ法案を提出する、といったんは明言した。ところが、演説のなかにはその文言はない。

 まさか、中川秀直政調会長、竹中平蔵総務相、武部勤幹事長ら小泉純一郎首相のイエスマン・グループから、

「デフレ克服が先だ」

 とか、

「まず歳出カットを」

 などと寄ってたかってたたかれ、ひるんだのでもあるまいが、あるいはそうかもしれない。

 歳出・歳入一体改革というのは、出るを制して入るを図ることだろうが、そんな初歩的な原則はだれでも知っている。出入りの方法と量を早く示すのが財務省の仕事ではないか。何をモタモタしているのだ。

 毎日新聞社の『週刊エコノミスト』一月三十一日号は、

〈「巨額の財政赤字」は本当か〉

 という特集を組んでいる。そのなかで、菊池英博文京学院大教授が、

〈「借金八〇〇兆円」でも財政危機ではない〉

 というタイトルの論陣を張っている。えっ? と私のようなシロウトはびっくりするのだ。

 ◇魅力的な財政家たちの意見を聞いてみたい

 読んでみると、そう複雑な内容ではない。一国の借金は粗債務から金融資産を引いた〈純債務〉で表すべきで、昨年六月の数字は粗債務七九五兆円、金融資産(社会保障基金や内外投融資、外貨準備など)四八〇兆円だから、〈純債務〉は差し引き三一五兆円にすぎないという。従って、

〈純債務のGDP比は六〇%程度。これはドイツやユーロ地域並みで、日本の財政は危機的ではない〉

 と菊池さんはおっしゃる。にもかかわらず財務省は財政危機だと煽り、増税を実現するための政治的な演出をしている。積極財政をとれば、財政赤字は一挙に縮小し、増税はまったく必要なくなる、という論法だ。

 同じ特集で、湯元健治日本総合研究所調査部長も、

〈「財政危機」はナンセンス 増税より歳出改革こそ重要だ〉

 と言い、経済アナリストの森永卓郎さんは、

〈「増税なき財政再建」は十分可能だ。なぜか国民は、財務省の「借金減らしたい病」に付き合わされている〉

 と皮肉をこめて指摘しているのだ。みなさん財務省悪玉・増税無用論で一致している。

 一方、土居丈朗慶應大助教授は、

〈金融資産は別の目的で保有しているのだから、返済財源として当てにできない。だから、机上で相殺してよいはずがない。債務を過小に評価し、あたかも厳しい財政再建が必要ないかのように楽観的に論じることこそ、財政破綻に導く亡国論だ〉

 と菊池さんに厳しく反論した。意見の対立は構わないが、専門家の見方がこうまで一八〇度食い違うと、大増税時代の到来におびえる庶民としては、はっきりしてくれ、と叫びたくなる。

 ところで、武村正義さんがちょうど十年前の正月、村山政権の電撃退陣とともに蔵相を辞め、しばらくして『中央公論』に発表したのが、

〈このままではこの国は滅ぶ・私の財政再建論〉

 という長い論文だった。反響が大きく、このころから政界も再建論に取り組まざるをえなくなっていた。武村さんは、〈財政赤字を憂える会〉も結成し、全国会議員に趣意書を配り、入会を呼びかけたが、配って三十分もたたないうちに、最初の電話がかかってきた。

「小泉です。武村さん、いい会をつくってくれたね。さっそく入れてもらうよ」

 小泉さんは毎回会合に出席し、

「借金は麻薬だ。雪だるま式に増えていく。たがをはめようとしてもすでに外れてしまっている」

 などと発言していたという。そして、そのとおりになった。

 村山さんのあとを継いだ橋本龍太郎さん、さらに小渕恵三さんも山一証券、北海道拓殖銀行などの金融破綻に触発されるように、積極財政路線をひた走り、借金がふくらんだ。当時すでに六〇〇兆円を超えている。

 小泉さんになって、緊縮予算を組んでも借金の膨張は止まらない。小泉さんの五年間で一四〇兆円も増えた。積極財政論者の菊池さんは、

〈デフレが進んでいるときに緊縮財政をやれば、財政赤字が拡大し、債務が増加する〉

 と批判するが、はたしてそうなのか。

 魅力的な財政家だった高橋是清さん、井上準之助さん、福田赳夫さん、田中角栄さん、渡辺美智雄さんたちの意見を聞いてみたい、という衝動に駆られる。

過去最高の12兆円超 外国人投資家の日本株買い越し

2006/01/16 The Sankei Shimbun

 財務省が16日発表した2005年の対外対内証券投資(指定報告機関ベース)によると、外国人投資家による日本への株式投資の買越額は12兆6241億円となり、同種統計のある1976年以降で過去最高を記録した。

 昨年の日本の株式市場では、企業業績の拡大から、政府・日銀が景気の踊り場脱却を宣言、衆院選の圧勝で小泉自民党政権の構造改革への期待が高まった。デフレ脱却への展望も広がり、外国投資家は7月から12月まで、毎月1兆円を超える買い越しを続け相場をけん引、日経平均株価は1年間で40%余り上昇した。

 前年までと統計のベースが異なるため厳密な比較はできないが、情報技術(IT)関連投資が盛り上がった1999年の過去最高(11兆1988億円)を超え、2004年(10兆5272億円)を2兆円強も上回る水準となった。

 また日本の国債など中長期債投資での買越額は6兆2324億円で、株式と合算した証券投資の買越額は18兆8565億円となり、これも過去最高となった。

 一方、国内投資家による海外への中長期債投資は、日米の金利差拡大から米国債への投資が増加し15兆8522億円の買い越しとなり、株式は1兆4936億円の買い越しだった。

 指定報告機関は、速報のため主要な金融機関や投資信託委託業者などを対象としており、統計数値に表れるカバー率は投資額全体の9割程度になるという。(共同)

06年度政府予算案を決定 一般会計79兆6860億円

2005/12/24 The Sankei Shimbun

 政府は24日午前の臨時閣議で、2006年度予算の政府案を決定した。一般会計は79兆6860億円と、05年度当初予算比で3.0%減り、8年ぶりに80兆円を割り込む緊縮型となった。新規国債発行は30兆円を下回り、歳入不足に充てる赤字国債の発行も税収増を見込んで13.2%減の24兆4890億円と2年連続で減少。小泉改革の総仕上げ予算として「小さな政府」を目指す姿勢を鮮明にした。

 予算規模は大胆に切り込んだが、06年度末の国債残高は542兆円と過去最高を更新。定率減税全廃など家計への重圧も拡大する。財政再建を軌道に乗せるために、政府は今後、景気を維持しながら歳出削減や、消費税率引き上げを含む税制改革に取り組むという難しい政策運営を迫られることになる。

 政府は来年1月召集の通常国会に05年度補正予算案とともに提出する。

 小泉純一郎首相にとって最後となる予算は、国債発行30兆円と一般歳出減額という目標を掲げて編成作業が進み、三位一体改革による1兆5400億円の補助金削減や診療報酬の引き下げが、予算規模の大幅縮小につながった。

 しかし、公務員削減や特別会計改革など「小さな政府」を目指す取り組みは道半ば。国債依存度は37.6%となお高水準で、現在の全世代が負担すべき金額の4割近くを子孫に先送りする形となった。

 歳出面では、政策実行に使う一般歳出が1.9%減の46兆3660億円と2年連続で減少した。ただ、三位一体改革による地方への補助金削減は、同時に税源移譲で歳入も減るため、財政再建には役立っていない。私学助成は学生数減でも増額となったほか、中小企業対策費や整備新幹線などの「聖域」も残し全体の減額幅ほど歳出構造には切り込めなかった。

 歳入面では、定率減税廃止やたばこ増税、景気回復に伴う自然増で実質の税収増は3兆8000億円に達した。これを原資に国債の新規発行が抑えられ、財政赤字の縮小は一定の成果を挙げた。(共同)

新規国債30兆円が目標 2年連続で一般歳出削減

2005/12/06 The Sankei Shimbun

 政府は6日、経済財政諮問会議で2006年度予算編成の基本方針をとりまとめ、臨時閣議で決定した。徹底した歳出見直しで政策経費に充てる一般歳出を2年連続で前年度より減額。財政再建に向けて新規国債発行額を大幅に減らし「30兆円にできるだけ近づける」と明記した。一般歳出に国債費や地方交付税交付金を合わせた一般会計総額も厳しく抑制する。

 来年9月に自民党総裁の任期が切れる小泉純一郎首相にとって最後の予算編成となる可能性が高い。首相は「郵政民営化関連法成立後もさらに改革を進めるという改革続行内閣にふさわしい予算とする必要がある」とのコメントを発表、歳出削減の徹底を求めた。

 今後、財務省は基本方針に沿って、20日ごろの財務省原案の作成に向けて各省庁と折衝する。

 新規国債発行額は05年度(34兆4000億円)から大幅削減し、30兆円に近づける方針を掲げ、政権発足時に打ち出した「国債30兆円枠」に再挑戦する。一般歳出が2年連続で前年度を下回るのは、1980年代前半から後半にかけて5年連続のマイナスを記録して以来。

 教育・文化や科学技術、少子・高齢化対策などを重点分野とする一方で、公共投資事業関係費などの削減を継続。社会保障費の自然増分の抑制も明記した。政府開発援助(ODA)などその他の歳出分野も広く見直す。

 無駄が多いと指摘される特別会計は06年度予算から抜本的な統廃合を順次実施。明確な必要性がない剰余金や積立金は「国債残高の抑制」に役立てるとした。道路特定財源の見直しでは、一般財源化も含めて検討、年内に基本方針をまとめる、とした。

 地方財政についても、国と歩調を合わせた歳出抑制を明記。地方財政計画の合理化や透明化を進める。(共同)

長期金利が上昇、6か月半ぶりに一時1・5%

2005年10月03日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 30日の東京債券市場は、日本銀行による量的緩和策の早期解除観測を背景に、長期金利が上昇(債券価格は下落)し、代表的な指標である新発10年物国債の流通利回りは一時、前週末終値比0・025%高い1・500%となった。

 長期金利が1・5%台をつけたのは今年3月15日以来約6か月半ぶり。終値は同0・020%高い1・495%だった。

 量的緩和策が解除されれば、「短期金利の先高感が強まり、長期金利も連動して上昇する」(大和証券SMBCの末沢豪謙氏)として、手持ちの国債を売却する動きが強まった。

国の借金795兆円 6月末、過去最大を更新

2005/09/22 The Sankei Shimbun

 財務省は21日、国債や借入金など国の債務(借金)残高が今年6月末時点で795兆8338億円に上り、過去最大を更新したと発表した。

 歳入不足を補う国債の大量発行が続いたことが響き、今年3月末より約14兆円増えた。国の借金は2005年度の税収見込み額(約44兆円)の約18倍の規模。国民1人当たり約631万円の借金を抱えている計算になり、危機的な財政状況をあらためて裏付けた。

 今年3月末の地方の債務残高は204兆円程度と推計され、国と地方を合わせると借金残高は1000兆円規模に膨らむ。

 国の債務残高は国債と政府の借入金のほか、短期的な資金繰りに使う政府短期証券(FB)の残高を合計する。

 内訳は、国債残高が640兆4002億円と、3月末より14兆369億円増加。国債の中心になる普通国債のうち、10年以上の長期国債は324兆1447億円、2―6年の中期国債は138兆5291億円、1年以下の短期国債は47兆6512億円だった。

 一方、借入金は8480億円減って、58兆2642億円だった。(共同)

国債、投資信託が人気

2005年09月16日 読売新聞 Yomiuri On-Line

個人金融資産1433兆円 運用先選び“慎重”

 日本銀行が15日発表した資金循環統計(速報値)で、今年6月末の家計部門の個人金融資産の残高が過去最高の1433兆円を記録した。運用先を見ると、預貯金から投資へという大きな資金の流れが見られる。ただ、国債や投資信託といった比較的、運用リスクが低い商品が伸びており、株式や外貨預金は減少した。高齢化の進展と年金不信などによる将来の生活不安を背景に、運用先を慎重に選択する姿勢が強まっていると言えそうだ。

 資金循環統計は、家計や政府、企業などが手元に持っているお金の状況を示す。それによると、家計の金融資産の残高は前年比で約10兆円、0・7%増え、過去最高だった2001年6月末の1432兆円を上回り、1980年3月末の調査開始以来、最高の水準に達した。景気回復で家計の収入が増え、金融資産の残高を押し上げている。

 運用先の内訳を見ると、最も大きな割合を占めるのは、781兆円に上る「現金・預金」だが、貯金を含めた定期性預金は3・4%減の520兆円にとどまり、全体でも0・7%減少した。一方で、「国債・財投債」は、52・0%増の24兆円、投資信託も18・8%増の41兆円といずれも過去最高を記録した。

 個人向け国債は、安全で有利な運用先として人気を集め、投資信託は元本割れの危険性はあるが、リスクと利回りの組み合わせで様々な商品を選べることが人気につながっているとみられる。(岡田章裕)

家計の金融資産、1500兆円割り込む

2006/09/15 The Sankei Shimbun

 日銀が15日発表した6月末の資金循環統計(速報)によると、家計が保有する金融資産残高は3月末より3兆円減少して1499兆円となった。株価下落による評価損などが響いたが、前年同期比では64兆円増加し、過去3番目の高水準。現金・預金は774兆円と5兆6000億円減少。全体に占める割合も51.6%と2.7ポイント低下した。金融を除く民間企業の負債残高では、平成9年12月末の四半期データ開示以降初めて前年同期比で借入がプラスとなり、景気回復による企業の資金需要の活発化を裏付けた。

富裕層が81万世帯に 03年調査より9万世帯増

2006/09/09 FujiSankei Business i.

 野村総合研究所がまとめた国内の純金融資産の保有分布状況調査によると、1億円以上〜5億円未満の金融資産を持つ富裕層市場は、2005年時点で81・3万世帯、総資産規模は167兆円に達することが分かった。 03年の分布状況と比べると、富裕層市場は約9万世帯、資産規模で42兆円増加している。今後も、団塊世代の定年退職や少子高齢化に伴う遺産相続を背景に、緩やかな市場拡大が見込まれるという。

 調査は、個人の純金融資産の分布を資産規模に応じて、超富裕層(資産5億円以上)、富裕層(1億円以上〜5億円未満)、準富裕層(5000万円以上〜5億円未満)、アッパーマス層(3000万円以上〜5000万円未満)、マス層(3000万円未満)に分類した。03年の分布状況との比較では、超富裕層とマス層の世帯数・資産規模がやや減少する一方、富裕層・準富裕層・アッパーマス層の3階層の世帯数・資産規模がともに増加。広義の富裕層市場の厚みが増していることを示した。

 また、富裕層の保有資産の構成内容をみると、株式・債券、外貨、投資信託などのリスク性資産が67%を占め、預貯金の34%を大幅に上回っていることも分かった。

家計金融資産、過去最高の1506兆円

2006/06/15 The Sankei Shimbun
  

≪今年3月末の資金循環統計≫

 日銀が15日発表した今年3月末の資金循環統計によると、家計部門の金融資産残高は前年度末比5.8%増の1506兆円と、年度末としては過去最高となった。株価上昇で、家計部門が保有する株や投資信託の残高が増えた。

 内訳では、現金・預金が771兆円と過半数を占めたものの、割合は51.2%にとどまり、バブル経済期の平成元年度末に次ぐ低い水準だった。

 一方、株式・出資金と投資信託は計233兆円と残高が増え、家計の金融資産に占める割合はそれぞれ11.8%と3.6%と、元年度末以来の高さとなった。

 また、事業会社などの民間非金融法人が持つ金融負債残高のうち、銀行などからの借り入れの比率は41.1%と、昭和54年の調査開始以来の最低水準を記録。代わって株式・出資金による調達が過去最高となり、家計、企業とも銀行離れの傾向が鮮明になった。

政府、NTT株の売却完了

2005/09/07 中日新聞

総額5424億円、国債償還に充当

 財務省は六日、政府が保有する処分可能なNTT株式すべてを東京証券取引所の時間外取引で売却したと発表した。政府はNTT法で三分の一以上の保有が義務付けられており、今回でNTT株の売却は完了、旧日本電電公社の民営化は一つの区切りを迎えた。

 谷垣禎一財務相は同日の閣議後の記者会見で「NTT株(の売却資金)は、国債の償還や社会資本整備、金融安定化に貢献した。民営化は全体として大きな成果があった」と強調した。

 売却したのは、国の借金返済財源を管理する国債整理基金特別会計が保有する百十二万三千四十三株。価格は一株四十八万三千円で、総額五千四百二十四億二千九百七十六万九千円。全額国債の償還に充てる。

 政府保有株式はNTTが全額買い付ける予定だったが、NTT以外からも注文が入り六千三百株を取得したもようだ。

国債買い入れ、物価連動債も買い入れ対象に・財務省方針

2005/08/31 NIKKEI NET

 財務省は、発行済みの国債を市場から買い入れる対象に、物価動向に応じて元本が増減する「物価連動国債」を加える方針だ。年度内に詳細を詰め実施する。投資家に「保有が難しくなった場合は財務省に売却できる」という安心感を与え、低迷している物価連動債の取引を活発にするのが狙いだ。

 物価連動債は昨年3月に発行を始めたが、発行量がまだ少ないうえ、取引慣行が確立していないことなどから取引が低迷している。財務省の国債買い入れは現在、2008年度に償還する国債だけが対象だが、新たに物価連動債や30年債などを対象に加える。

東証、郵政政局で乱高下 円・国債は売られる

2005/08/08 The Sankei Shimbun

 8日の東京株式市場は、郵政民営化関連法案の採決に絡む政局への思惑から売り買いが交錯し、日経平均株価(225種)が乱高下した。参院で同法案が否決された午後は「株価が衆院解散を織り込んだ」(大手証券)との見方が台頭して急速に買い戻され、3営業日ぶりに小幅反発して取引を終了した。

 政局の混乱を背景に、外国為替市場では円が売られ、一時は1ドル=112台半ばまで円安ドル高が進行。国債も売られて長期金利が上昇したが、株価の反発で、足下の「日本売り」は回避された。

 金融市場では「悪材料が出尽くした」(大手証券)との観測がある一方、9月の総選挙で民主党政権などが誕生すれば「小泉政権の改革が減速する恐れがある」(別の証券会社)と、外国人投資家の買い意欲減退を不安視する声もあり先行きは不透明だ。

 終値は前週末比12円50銭高の1万1778円98銭。全銘柄の値動きを示す東証株価指数(TOPIX)は2・71ポイント高の1191・90。出来高は約15億4500万株。

 東証では午前中、米株安と原油高騰が下押し材料となって日経平均株価が安く寄り付いた後、約1カ月ぶりの安値水準まで下げた。午後も、同法案の否決直後に同日の安値近辺まで下げたが、その後は買い戻されて下げ幅を縮小、終値ではプラスに転じた。

 一方、小泉首相の財政改革を好感してきた国債市場は、否決後に売りが出て、長期金利(新発10年債利回り)が、約4カ月ぶりの高水準(価格は低水準)となる1・405%に上昇した。(共同)

長期金利1・165%に下落、1年10か月ぶり低水準

2005年06月30日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 30日の東京債券市場は、原油高騰などを背景とする景気先行き不透明感から、債券を買う動きが広がり、長期金利の代表的指標とされる新発10年物国債の流通利回りは、前日終値に比べ0・015%低い1・165%まで下落(国債価格は上昇)して取引を終えた。

 終値としては、2003年8月15日(1・095%)以来約1年10か月ぶりの低水準となった。

 市場で、「景気の踊り場を抜け出す時期が遅れるのではないか」(準大手証券)などの懸念が強まり、国内機関投資家が積極的に債券を買い進めたとみられる。

長期金利、1年10カ月ぶり低水準

2005/06/27 The Sankei Shimbun

 27日の国債市場は、長期金利の指標である新発10年債利回りが一時、前週末終値より0・020%低い(価格は上昇)1・185%を付けた。取引時間中としては2003年8月中旬以来1年10カ月ぶりの低水準。

 市場では、原油価格高騰で欧米景気の減速懸念が台頭し、日本の景気も踊り場脱却の時期が遠のくとの観測が広がった。景気の先行指標とされる日経平均株価が大幅続落し、金利低下を促した。(共同)

国の借金は781兆円に、国民1人あたり約612万円

2005/06/25 FujiSankei Business i.

 財務省は24日、国債や借入金など2005年3月末の「国の借金」残高が781兆5517億円になったと発表した。前年度末と比べ78兆4038億円増え、国民1人当たりでは約612万円の借金を負っている計算だ。

 内訳をみると、普通国債の残高が499兆137億円で約42兆円増。財政投融資機関向けの財投債も約30兆円増加し、国債全体では626兆3633億円と約70兆円増えた。

 政府短期証券(FB)は国庫の余裕金を償還に充てる動きが続いて残高が減少してきたが、年度末にかけて逆に国庫への償還資金調達のための発行がかさみ、年間を通じては約10兆円増の96兆762億円となった。

 同時に発表した特殊法人などに対する政府保証債務残高は58兆1271億円。

国の借金、781兆円 地方含め初の1000兆円台

2005/06/24 The Sankei Shimbun

 財務省は24日、今年3月末時点での国の借金が781兆円5517億円で、過去最高を更新したと発表した。国債や政府短期証券(FB)の発行残高、民間からの借入金を合計したもので、国と地方の借金の合計は初めて1000兆円を超えた可能性が高い。

 国の借金残高は昨年3月末に比べ、78兆4038億円増加。このうち、普通国債の残高が42兆401億円増加し、499兆137億円となった。

 国債の一種で財政投融資資金を賄う財投債は、29兆7042億円増えて121兆5532億円、為替介入資金を調達するFBは9兆9503億円増の96兆762億円だった。

 民間などからの借入金は、1兆4935億円減って59兆1122億円だった。(共同)

日本国債「安定的」へ見通し回復…欧州系格付け会社

2005/05/09 読売新聞 Yomiuri On-Line

 欧州系の大手格付け会社のフィッチは9日、日本の長期国債の格付け見通しを現在の「弱含み」から、「安定的」に引き上げたと発表した。

 見通しは格付けの方向性を示すもので、格付けそのものについては、2002年11月以来続けている「AAマイナス」に据え置いた。

 国債の格付け見通しは2001年3月に「安定的」から「弱含み」に引き下げられていたが、約4年ぶりに元に戻ることになる。

 フィッチは見通しの上方修正の理由について、日本国内の景気回復基調が続くうえに、政府の財政再建に向けた取り組みが強まる見込みになっているためだと説明している。

 財政状況については「引き続き日本の格付けの足かせ要因だ」と指摘しているが、景気回復に伴う税収増や小泉内閣による公共事業の削減など財政再建の取り組みの進展が好材料になっている、としている。

 谷垣財務相は9日、都内で開かれた財政問題に関する意見交換会後の記者会見で、今回の見通しの上方修正について、「国際的にも、不良債権処理の進展などの日本の抱える構造的な問題の改革が進んでいるという評価をいただいているのではないか。そういう認識が浸透していくよう努力していく」と述べた。

ロンドンで101年ぶり国債説明会 財務省

2005/01/19 The Sankei Shimbun

 財務省は18日、外国人に日本国債への投資を促すため、海外投資家を対象とした説明会をロンドンの金融街シティーで開いた。大量発行が続く国債を安定的に消化するため、投資家のすそ野を広げるのが狙い。

 海外への国債売り込みは、日露戦争の戦費調達のため1904年に英、米両国を訪問した高橋是清・日銀副総裁以来101年ぶりだ。

 出席した機関投資家ら約140人に対し、同省幹部が、非課税手続きの簡素化や物価連動債の海外投資家への解禁などの措置を今年4月に実施すると説明した。回復基調にある日本経済の現状にも触れ「日本国債は最上級の信用がある」として、投資を呼び掛けた。

 終了後、金融機関の運用担当者は「税制の簡素化などに財務省が取り組んでいることがよく理解できた。日本国債にリスクは感じない」と投資に前向きな姿勢を見せた。

 日本国債のほとんどは郵政公社や日銀、国内金融機関が保有、外国人の比率はわずか4%。2005年度に借換債だけで初めて100兆円を突破するなど、大量発行が続くため、保有層の多様化が課題になっている。海外での説明会は、ロンドンに続き今月20日にニューヨークでも開く。(共同)

国債募集引き受けシンジケート団、06年度廃止へ

2005/01/10 読売新 Yomiuri On-Line

 財務省は、機関投資家に国債を強制的に購入させる「シンジケート団(国債募集引受団)制度」を2006年度中に廃止する方針を明らかにした。

 廃止は同制度創設以来40年ぶりとなる。昨年10月に始まった国債市場特別参加者(プライマリーディーラー)制度による国債の入札が順調に機能しているため、同制度に全面的に移行する。

 シ団制度は1966年に始まり、現在は銀行や証券会社などの機関投資家1200社が引受団を構成している。現在は毎月行われる新発10年物国債入札にあわせ、一部を決まった割合で引き受けており、6日の新発10年物国債(第266回債、表面利率年1・4%)でも1兆9000億円の発行予定額の15%にあたる約2851億円を引き受けた。今年4月からは引き受けの割合を10%にまで引き下げる。

社説:赤字ニッポン 世代間戦争を放置するな

2005年01月03日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 この60年で日本経済は大きく変わった。最大の変化は経済の国際化だ。「グローバリズム」の波の襲来であり、「市場」が暴力的なまでの力をもつようになった。

 気がつくと戦後の重化学工業化を推進した三つの長期信用銀行が事実上消滅している。市場の力で規制金利体系が崩れ、収益源を失った長期信用銀行は退場せざるをえなくなった。

 国家もまた例外ではない。クリントン前米大統領は昨年ベストセラーになった回想録(「マイ・ライフ」朝日新聞社)で、政治の世界でも市場がのさばりだしたと嘆いている。

 クリントン大統領は勤労者階級の減税を公約した。しかし、実際には増税による財政再建にかじを切らざるをえなかった。そうしないと市場の評価を得られない。つまり、米国債が売られ長期金利がはね上がり、景気回復が絶望的になる。そう説得された大統領は、側近たちに憤まんをぶちまける。目先の利益しか頭にない「30歳そこそこの債券トレーダー(売買担当者)たち」が、普通の米国民の暮らしにそんな大きな力をもっていいのか、と。

 日本もまた、国債という借金のヤマを積み上げ、その危うい均衡の下、国家を運営している。2005年度末の国債発行残高は538兆4000億円となり、約500兆円の国内総生産(GDP)を上回る。もし、市場参加者が財政の維持可能性に不安をいだけば、暴落して長期金利は急上昇する。デフレ下の金利急騰は最悪のシナリオだ。企業も銀行も国庫もその負担に耐え切れないだろう。

貯蓄率の高さは昔話 時間はどれだけ残されているのだろうか。国債暴落のリスクを高めているのが、家計の貯蓄率の急低下である。貯蓄率は戦後復興とともに上昇を続け74年に23・2%に達した。企業の設備投資や国債の消化におおいに貢献した。

 しかし、ゼロ金利政策や貯蓄を取り崩す高齢世帯の増加で、02年は6・2%にまで下がった。ドイツやフランスは10%以上だ。日本人が貯蓄好きというのは昔話になった。これまで日本の国債はほとんど国内で消化された。外国人が買っているのは5%程度に過ぎない。しかし、高齢化と貯蓄率の低下で国債の相当部分を海外に買ってもらわねばならなくなるだろう。

 先進国で最悪の財政事情だから、かなりの高金利をつけなければなるまい。財務省の試算では国債の金利が1%上昇しただけで、利払い費は1兆2000億円増加する。国債の利払いが急膨張し、予算編成は大混乱に陥りかねない。

 戦後の民主政治は有権者の歓心をかうためのバラまき政治に堕した。その結果、戦後初めての「世代間戦争」を招きつつあるのではないか。

 国民の一生を通しての受益と負担の収支を見ると、60歳以上の高齢層は年間360万円の受益超過である(01年度経済財政白書)。ところが、20〜50歳代はいずれも負担超過だ。

 財政均衡を実現しようとすれば、将来世代(80年以降生まれ)は2100兆円の追加的な負担をしなければならない。これを消費税でまかなうと仮定すると税率を90%にしなければならないという。それはもちろん不可能である。

 いまの日本の財政は将来世代につけまわしすることで成り立っている。戦後、持てるものは保守政党が代表し、持たざるものは革新政党が守った。しかし、いま現役世代はすべての政党によって保護され、将来世代はその利益を代表する政党をもたない。われわれはよってたかって、子どもたちに負担を押しつけているのではないか。

先行世代への抗議 若い世代は高齢者の年金や医療費を負担するだけで、自分たちが高齢者になったときは支えてくれるものがいないと、不満をつのらせている。国民年金の保険料未払いは20〜24歳世代で51・4%と過半数にのぼる。破滅的手段による先行世代に対する抗議であろう。

 彼らに負担に見合う受益があることを納得させなければならない。しかし、とりあえずのツジツマあわせをしただけで、どの政党も年金抜本改革に立ち上がる様子はない。若年世代、将来世代に対する政治の責任放棄である。

 グローバリズムと市場主義の時代を迎えて、スピードが要求されるようになったのは企業経営だけではない。国家運営もぐずぐずと時を費消していてはコストがかさむだけである。それは90年代以来の相次ぐ銀行整理で身にしみ、懲りたはずではなかったか。

 戦後の経済は戦時中の膨大な戦費の後始末から始まった。終戦の翌46年、勅令による「預金封鎖」など乱暴な政策が発動された。戦争をはさんで300倍もの天文学的ハイパーインフレーションとあいまって、暴力的に政府債務を帳消しとした。

 日本の財政はまだそこまでは追い詰められていない。なにも国債発行をゼロにする必要はないのである。とりあえず、10年代の初期にプライマリーバランスを黒字にするという目標を達成することだ。来年度予算で言えばあと16兆円の歳出入のギャップ。戦後60年を乗り切ってきた日本人なら、賢明かつ迅速に処理できる金額である。

国債発行は04年度以下 05年度予算案

2004/10/06 The Sankei Shimbun

 小泉純一郎首相は5日谷垣禎一財務相と会談し、2005年度予算案で国債の新規発行を04年度の36兆6000億円以下に抑えることで合意した。国債発行額が前年度実績を下回れば、01年度以来4年ぶりとなる。国債発行の上限を設けることで、社会保障費抑制をはじめとする歳出改革の加速を目指す。

 小泉政権は発足当初、「国債発行30兆円枠」を最大の公約の1つに掲げていた。改造内閣は原点に立ち返り、財政再建路線を一段と強化する。小泉首相は記者団に対し「財政規律の維持のために大事なことだ」と述べ、発行抑制の実現に強い意欲を示した。

 ただ、税収も拡大基調に転じているため、国債発行枠の設定がどの程度歳出カットに効果があるかは不透明だ。各省庁からは概算要求で大型の公共事業が示されていることもあり、厳しい査定作業が予想される。

 この日の会談では、谷垣財務相が国債発行の抑制を提案。首相は「結構だ。ぜひその方針でやってほしい」と応じた。

 財務相は終了後、「国債発行を前年度以下にして、(財政赤字拡大の)流れを変えるきっかけにしたい」と強調。経済財政諮問会議後に記者会見した竹中平蔵経財相も「財政の健全化に向け、しっかり対応していただきたい」と語った。

 財務省は、今回の方針について「この時期に税収増はあてにできない。歳出抑制策もきちっとは決まっていない」(財務省幹部)と説明した。厳しい目標を設定し、歳出抑制への強い姿勢を打ち出すことで、今後の増税につなげる狙いもあるとみられる。

 歳出面では、(1)三位一体改革の地方向け補助金の削減(2)地方交付税の圧縮(3)介護保険、生活保護の制度改革を軸とした社会保障費の抑制−などが重点項目。歳入面では、金融不安とデフレ不況の1999年に景気対策で導入した定率減税の縮小・廃止を目指す。定率減税を全廃すると、国税で2兆5000億円程度の税収増になる。

国の“隠れ借金”残高は9兆1492億円!

2004/08/14 読売新聞 Yomiuri On-Line
 国の財政赤字を穴埋めするため、一般会計が特別会計から一時的に借り入れ、将来的に返済しなければならない“隠れ借金”の残高が9兆1492億円にのぼることがわかった。

 財務省が平岡秀夫衆院議員(民主)の質問主意書に対する答弁書の中で明らかにした。

 隠れ借金の内訳は、国民年金特会から4454億円、厚生保険特会から2兆6350億円、自動車損害賠償保障事業特会から4848億円、交付税及び譲与税配付金特会から5兆5840億円となっている。

 隠れ借金は、政府内の予算のやりくりであるため、国の長期債務には含まれないが、慢性的な財政赤字の中で返済を進めるには国債を増発する必要があり、財政を悪化させる。2005年度予算でも多額の歳入不足が見込まれるため、隠れ借金の返済は大半が先送りされる方向だ。

「今までの格付け低すぎ」と不満表明 福田官房長官

2004年03月24日 The Sankei Shimbun

 福田康夫官房長官は二十四日午前の記者会見で、米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が日本国債の格付け見通しをこれまでの「ネガティブ」から「安定的」に引き上げたことについて「あまりうれしくない。今までも(格付けが)低すぎる。日本経済の実態をよく見ていないんじゃないか」と述べ、日本経済の評価が低いことにあらためて不満を表明した。

 福田氏は、S&Pが財政改革が進まない場合や現在の金融緩和政策が転換された場合は日本国債の格付け引き下げの可能性もあるとしていることに対して「S&Pに言われるまでもなく、財政改革は進めなければいけない。(金融政策に)金融当局は適切に対応する」と述べた。

米格付け会社:日本国債の見通しを「安定的」に変更

2004年03月24日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE

 米格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は24日、日本の長期国債の格付け見通しを「ネガティブ(引き下げ方向)」から「安定的」に変更したと発表した。経済成長の見通しが名目、実質共に改善している点を評価した。格付け見通しの変更は02年4月以来。格付けそのものは据え置かれ、22段階の格付けの上から4番目のダブルAマイナスだった。

 理由として(1)企業がリストラで収益力を向上させ、負債も削減した(2)通貨政策がデフレ脱却への期待に貢献し、経済成長も支えている(3)これらが複合的な要因となり金融機関の不良債権が減少している――ことを挙げている。ただ、財政状態については、「日本の信用力上の最大の弱点」とし、先進7カ国で最も低い格付けの要因と指摘している。

 日本の長期国債の格付け見通しの変更に伴い、S&Pは東京海上火災保険や損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、プルデンシャル生命保険など7社の格付け見通しを「安定的」に変更した。【後藤逸郎】

国の債務残高643兆円 国民1人当たり500万円に

2003年09月25日 The Sankei Shimbun
 財務省は25日、国債と借入金、政府短期証券を合わせた国の債務残高(借金)が、2003年6月末現在で643兆7599億円だったと発表した。国民1人当たり約504万円の借金を抱えている計算になる。

 借金の残高は、前回発表の3月末現在に比べ約25兆円減少したが、日本郵政公社発足で49兆円程度が公社側に付け替えられたためで、この特殊事情を除外すれば国の借金は約24兆円増えて、過去最高を更新したことになる。

 借金返済のため、新たな国債発行は不可避で小泉純一郎首相が公約としていた新規国債の発行抑制が困難になったことがあらためて裏付けられた。衆院の解散総選挙では、マニフェスト(政権公約)を掲げる新・民主党との間で、郵政公社の民営化問題も絡んで国の借金が政策論争の主要争点として浮上するのは必至だ。

 借金の減少は具体的には、郵政事業特別会計と郵便貯金特別会計が廃止となり、会計処理の上で借金が公社側に継承されたためだが、実質的な国の借金であることに変わりはない。

 国の借金のうち、国債が517兆1053億円と、約13兆円も増えた。税収の低迷により大量の新規国債発行が続くほか、景気対策として過去に発行した国債を償還するため借換債を発行しているのが主因。このうち普通国債は428兆5281億円。

 一般会計や特別会計などの借入金は、58兆5907億円。政府短期証券は68兆639億円だった。

個人向け国債:487億円売れ残り 金利低下で購入意欲しぼむ

2003年04月10日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE

 財務省は10日、2回目の個人向け国債(購入単位は1万円、10年満期)を発行した。発行額は、予定額を487億円下回る3486億円にとどまった。鳴り物入りで登場した個人向け国債だが、金利低下が購入意欲をしぼませ、早くも大量の売れ残りを招いた。

 今回予定額の内訳は、銀行や証券などの民間金融機関3223億円、郵便局分750億円だったが、郵便局が746億円とほぼ完売する一方、民間は2740億円と振るわなかった。

 3月の初回の金利は年0.09%で、発行額も3835億円と完売に近かったが、今回は財務省が定める下限金利の年0.05%だった。銀行は口座手数料を取ることから、多額の国債を購入しないと手数料負担が利子収入を上回ってしまう点が敬遠された。

 財務省は「金利はこれ以上下がらず、次回発行はボーナス時期の7月なので回復が見込める」と、03年度全体の発行予定額1兆5000億円(4回に分けて発行)は変えていない。しかし、不振が続けば、発行計画の見直しを迫られそうだ。 【木村旬

国債依存度44%前後へ 2003年度予算案

2002年12月17日 The Sankei Shimbun
 20日に内示される2003年度予算案で、予算規模に占める国債の比率である国債依存度が当初予算段階で初めて40%を超え、44%前後になる見込みとなった。一般会計規模82兆円前後に対し、新規国債発行額は36兆円台となる方向で、1999年度の42・1%(決算ベース)を上回り、戦後最高となる。

 国債の償還に充てる借換債も国債発行残高の増加によって75兆円程度と前年度より約5兆円膨らむ見込み。特殊法人の資金調達のため発行する財投債を加えた国債の発行総額も本年度当初段階の約133兆円を上回り、過去最高となりそうだ。

 政府は、03年度予算編成の基本方針で「新規国債発行30兆円枠」の基本精神を受け継ぎ、国債発行を極力抑制するとした。しかし税収減に加え1兆5000億円規模に膨らんだ先行減税の影響もあり、国債の大量発行に歯止めは掛からなかった。

 国債依存度の上昇は、大幅な歳出削減が進まない中、デフレによる税収減を国債発行で補うのが理由。36兆円台の新規国債発行額は、決算ベースで最高だった99年度の37兆5000億円に迫り、当初予算段階としては過去最高となる。

 来年度の税収見通しについて、塩川正十郎財務相は、本年度より2兆円以上少ない42兆円前後との見通しを示している。

日本国債、フィッチも格下げか=最大2段階、10月にも

2002年06月21日(時事通信)YAHOO!ニュース
 【ロンドン20日時事】欧州系格付け会社フィッチのデービッド・リリー国債担当取締役は20日、時事通信とのインタビューで、日本の財政状態について「予想の範囲内だが、悪化が続いている」とし、早ければ10月にも日本国債を格下げする可能性を明らかにした。フィッチの格付けでは日本は「AA」で、イタリアと並び先進7カ国中、最低水準にあるが、格下げされると米ムーディーズ・インベスターズ・サービスの格付けと同様、単独最下位となる。

 下げ幅については、「あまりに劇的なことは起こらず、仮に格下げしても、1、2段階にとどまる」と述べた。現在、フィッチによる日本国債の格付けはムーディーズを3段階上回っているため、見直し後の格付けは最低でも、ムーディーズの「A2」を上回ることになる。 

格付け反発でエイズ差別?発言…経産相

2002年06月16日 Yomiuri On-Line
 平沼経済産業相は16日、秋田市内で講演し、米国の格付け会社「ムーディーズ・インベスターズ・サービス」が日本の長期国債格付けをアフリカのボツワナ共和国より下のランクに引き下げたことについて「人口の半分がエイズにかかっている国より下というのは、非常に意図的だと思う」と述べた。ボツワナやエイズ患者に対する差別発言とも受け取られかねず、批判を受けそうだ。

 平沼経産相は「日本ほど外貨準備高を持つ国はない」などとした上で、「けしからん話だ。一民間会社が日本はボツワナの下だと言っている。(日本は)ボツワナにはODA(政府開発援助)で援助しているんだ」と同社の格付けを批判。“エイズ発言”は、この後に飛び出した。

 同社は先月、日本の長期国債格付けを先進国で最も低い「Aa3」から、さらに2段階低い「A2」に引き下げた。その結果、「A1」のボツワナよりも低くなり、財務省などが同社に抗議している。ボツワナはアフリカ南部にあり、人口は約160万人(2000年)。

日本国債の格下げは「さほど重要ではない」=世銀

2002年06月04日(ロイター)YAHOO!ニュース
 [東京 3日 ロイター] 世界銀行のチーフエコノミスト、ニコラス・スターン氏は、格付け機関ムーディーズ・インベスターズ・サービスが先週、日本国債の格付けをAa3からA2に引き下げ、ラトビアなどと同等の水準としたことについて、「さほど重要ではない」、との見解を示した。
 同氏はロイターテレビとのインタビューで、「貯蓄や外貨準備、経常黒字などから見た日本経済の力を考慮すると、格下げが大きく影響するとは思えない」と述べた。

 スターン氏は、日本の国内総生産(GDP)に対する債務残高比率が高水準にあることなど、格付け機関が格下げに踏み切った理屈については理解するとしたうえで、「長期的にみた場合、日本経済の力強さには、ほかにポジティブな点が複数みられる」とし、技術面でのノウハウの蓄積、貯蓄率の高さ、巨額の経常黒字などを挙げた。

 そのうえで、格下げは「大きな問題ではなく、重要でもない。根本的な問題は改革と(産業構造の)再編にあり、日本は改革を進める好機を迎えている」と述べた。

ムーディーズの格下げ、市場は冷静に反応している=財務次官

2002年06月03日(ロイター)YAHOO!ニュース
 [東京 3日 ロイター] 武藤財務次官は、ムーディーズが日本国債を格下げしたことについて、市場は冷静に反応している、と述べた。

 定例会見で述べたもの。

 武藤次官は、「日本経済のファンダメンタルズは、いろいろ課題はあるが、基本的には強固なものだと思っている。少なくとも、国債がシングルAになるといったことは、考えられないと思っている。今回の決定は大変遺憾だ」と述べた。  そのうえで、「現在においては、ムーディーズの格下げでもマーケットは冷静に反応している。格下げによって、引っ張られたり、判断を間違えたりはしていない」と述べた。

 ムーディーズに対しては、財政事情以外の部分を見ず、一部分で結論を出している点や、議論が定量的なものになっていない点が不備だとし、市場に対して説明責任があるとした。ムーディーズには、反論書を出しているが、今後は、「様子を見ながら考えていきたい」とした。

 3日に出された財政制度等審議会の2003年度予算編成方針建議を受け、塩川財務相が一般歳出について、2002年度水準を上回らない精神で予算編成に臨む考えを示したことについて、武藤次官は、「基本的には、塩川財務相の気持ちと一緒だ。全く違いはない」としながらも、「2003年度予算編成の基本方針は、経済財政諮問会議でも、これから議論しようというところ。一般歳出を前年度以下にするのか、同額なのかというのは、今後の検討課題だ」と述べた。

 2001年度が歳入欠陥に陥るかどうかについて、武藤次官は、「補正後の税収確保が大変厳しいのはその通りだ。ただ、3月決算法人の法人税が残っており、数字的な感覚ははっきりしない。最終的な決算は、その他の収入や歳出面の不用もあり、何とも言えない」と述べた。

国債格付け引き下げ、首相「警鐘と受け止める」

2002年05月31日 Yomiuri On-Line
 【ソウル31日=尾山宏】小泉首相は31日夜、ソウル市内で記者団に対し、ムーディーズが日本の長期国債格付けを2段階引き下げたことについて、「確かに国債を大量発行して政府の債務は多い。しかし、国力と受け取ってもらったら困る。借金をもっと減らせという警鐘と受け止めている」と述べた。

日本国債、中級に転落

2002年05月31日 Sankei Shimbun
 米格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスは31日、日本政府が発行または保証する円建て国内債券の格付けをダブルA格最下位の「Aa3」から、シングルA格2番目の「A2」に2段階引き下げたと発表した。これにより日本国債は、投資対象ランクで「総合的に優良」から「中級上位」に転落した。

 ムーディーズは理由について「日本政府の経済政策では債務状況の持続的な悪化に対して十分に歯止めをかけられない」と指摘。日本の債務残高は「戦後の先進諸国に例を見ない『未踏の領域』に入りつつある」としている。

 日本は世界第二の経済大国でありながら初めて中級に下げられた。同社の国債格付けでは先進7カ国(G7)中で既に単独最下位となっており、格下げで一気に南アフリカやポーランド、イスラエルといった新興市場国と並ぶ水準まで低下した。

国債価格の下落、金融機関経営や実体経済に大きな影響与える可能性=日銀総裁

2002年04月17日(ロイター) YAHOO!ニュース日本国債格下げ
 速水日銀総裁は、国債価格の下落は、金融機関経営や実体経済に大きな影響を与える可能性がある、と述べた。

 衆院財務金融委員会で古川元久委員(民主)の質問に答えたもの。

 速水総裁は、米格付け会社スタンダード・アンド・プア−ズ(S&P)による日本国債格下げについて、「一方的に格下げされて、満足するわけには行かない。国債は需要があって、価格が高く、金利も低い」と述べた。そのうえで、「財政のサステ−ナビリティーに市場が厳しい目を向けていることは承知している。仮に国債価格が下落し、金利が急激に上昇することがあれば、金融機関経営や実体経済に大きな影響を与える可能性がある。国債相場の安定には、中長期的な財政構造改革に対する市場の信認を確保していくことが不可欠だ。そういう意味では、決して甘受できる気持ちにはならない」と述べた。

 さらに、総裁は、「日銀が長期国債を引き受けているということになれば、格付けが下がる。国債の引き受けには慎重だし、何とか需要を増やしていこうと、オペレーション等で国債価格の維持に努めている」と語った。

トリプル安/楽観論から目を覚まそう2002年02月24日山陰中央新報 14日

斜面2002年02月10日信濃毎日新聞

日本の資産=国富 2年連続で3000兆割れ2001年12月25日 TV Tokyo

 資産から負債を差し引いた国全体の資産を表す国富(国の富)は去年の年末の時点で前の年を0.6%下回って、3年連続で減少し、2973兆円となりました。国富が3000兆円の大台を割るのは2年連続です。国富の半分以上を占める地価の下落が続いた上、景気の低迷で製造設備など他の資産項目が伸び悩みました。

日本の格下げ件数9倍に 昨年、米格付け会社調査(2002/01/27)山陽新聞社

「円建て国債格下げ」発表、東京円110円台に下落

5:20p.m. JST February 17, 2000
 米国格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスは17日、日本政府が発行、または保証する国債や債券の格付けを引き下げる方向で見直す、と発表した。現在の格付けは最上位のひとつ下の「Aa1」だが、相次ぐ景気対策で政府の公的債務が増加し、国内総生産(GDP)に対する比率が先進国の中で最も高い水準に近づきつつあることを理由にあげている。ムーディーズの発表を受け、債券相場が急落し、長期金利が急騰した。東京外国為替市場では円売りドル買いが進み、円相場は1ドル=110円台まで下落、昨年9月10日以来およそ5カ月ぶりの円安水準となった。

 ムーディーズは1998年11月に、日本政府が発行する国債を最上級の「Aaa」から、「Aa1」に引き下げている。

 政府は2000年度当初予算案に、32兆6000億円の国債の新規発行を計上。2000年度末の国債発行残高は約364兆円に上り、国、地方を合わせた長期債務残高は計645兆円と対GDP比129.3%と先進国の中で最悪の水準になっている。大蔵省が今国会に提出した中期的な試算では、今後名目で3.5%の経済成長が続いても、2005年度まで毎年30兆円程度の国債の新規発行が必要という。

 ムーディーズは、公的債務の今後の動向や、経済が持続可能な成長に向かい財政再建が可能かどうかが、さらなる格下げをするかどうかのポイントになると指摘している。

 一方、日本政府以外の国内発行体、NTT、東京ガス、トヨタ自動車、大日本印刷、東京海上火災保険の円建て債券は「Aa1」で据え置く。

 ムーディーズの見直しを受け、17日の債券相場が急落し、長期金利は上昇した。新発10年物国債の利回りは1.850%と前日終値比で0.055ポイント上昇(価格は下落)した。

 また、東京外国為替市場も、1ドル=110円台まで下げるなど円売りドル買いが進んだ。午後5時現在では前日午後5時時点とくらべ1円12銭円安ドル高の1ドル=110円12―15銭。ムーディーズの発表について、大蔵省は「償還確実性を考えれば、日本の国債は世界一安全という事実は変わらない」(幹部)として、市場の反応を静観する姿勢を示している

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