TOPIC No.2-12 造船

Index
a.造船Topic、 b.日本の主要造船所、c1.韓国の造船所、c2.中国の造船、d.船舶事故
01. 造船ブログ 造船/海洋に関連するネタ拾い中心。
02. 造船総合スレその6 2ちゃんねる
03.  ”復活”日本−−日中韓・造船三国志 【上】 - 08/02/01 週刊東洋経済
04.  ”復活”日本−−日中韓・造船三国志 【中】 - 08/02/02 週刊東洋経済
05. ”復活”日本−−日中韓・造船三国志 【下】- 08/02/03 週刊東洋経済
06. マリタイム ニューズ ―海事業界専門通信社提供― byまぐまぐ
07. 造船データ 〜世界主要造船国新造船手持ち工事量〜 by日本海事広報協会
08. 造船産業の競争戦略まとまる 〜「造船産業競争戦略会議」最終報告〜(平成15年06月25日) by国土交通省海事局
09. 造船産業技術戦略 造船産業技術戦略
10. 造船 by財団法人日本海事広報協会
11. 日本海事新聞
12. 日刊海事通信社
13. 日刊海事プレス
14. マリンネット
15. 社団法人 日本船舶工業会
16. 社団法人 日本造船工業会

No.2-12a 日本の造船


船舶の排ガス利用し発電 三菱重工、CO2を3%削減

2010年08月23日 中国新聞ニュ−ス

 世界で初めて実用化された、船舶エンジンの排ガスを利用して発電する「ハイブリッド過給機」(三菱重工業提供)

 船舶のディーゼルエンジンの排ガスを利用して発電する「ハイブリッド過給機」を三菱重工業が開発し、23日、同社長崎造船所(長崎市)で報道陣に公開した。同社によると、エンジンの出力を上げる過給機に発電機を内蔵した装置を実用化したのは世界初。燃料と二酸化炭素(CO2)の排出量を、いずれも約3%削減できるという。

 装置の全長は約4メートル、高さ約1・2メートル、重さ約15・7トン。主に貨物船などの大型船舶に搭載し、エンジンから出た排ガスでタービンを回転させ、過給機に組み込んだ発電機を駆動させる。最大出力は約750キロワットで、照明や空調など、航海中に必要なすべての電力を賄えるという。

 日本郵船、ユニバーサル造船、日立造船と共同で開発し、来年には日本郵船が運航する貨物船に初搭載される。販売価格は未定だが、3〜5年で投資を回収できる金額が目標。三菱重工は年数十台の受注を目指すとしている。

「海の新幹線」テクノスーパーライナーは今? かさむ燃料費……決まらぬ就航先

2010年02月10日 Bisiness Media誠[産経新聞]

東京と小笠原諸島・父島を結ぶ航路に導入予定だった高速旅客船『テクノスーパーライナー』(TSL)。原油高で就航は頓挫したが、その後どうなったのか。消息をたどってみた。

 「東京と小笠原諸島・父島を結ぶ航路に導入予定だった高速旅客船『テクノスーパーライナー』(TSL)は原油高で就航が頓挫後、どうなったのですか。原油価格が下がっても、就航しないのでしょうか。また、博物館などで展示されていれば教えてください」=匿名

国費に頼った開発

東京−小笠原の就航が頓挫したテクノスーパーライナー。大海原を走る雄姿が見られるのはいつの日になるか(三井造船提供)

 「海の新幹線」と呼ばれたTSLは、大量の貨物や人員を高速で運ぶ海上交通システムとして、1989年から旧運輸省(現国土交通省)が推進した国家プロジェクトだった。しかし、現在は運用されているTSLは1隻もなく、事実上、失敗した形になっている。

 速度50ノット(時速約90キロ)、貨物積載重量1000トン、航続距離500カイリ(約930キロ)などを目標に、国から39億円の補助を受けた大手造船7社が開発に取り組んで2隻の実験船が完成したほか、2002年には実用向けの第1号船が進水した。

 この第1号船が2004年11月から東京−小笠原に就航することになっていたが、直前になって原油高による燃料費高騰などから中止に。現在まで4年以上、新たな就航先も決まらず、建造した三井造船玉野事業所(岡山県玉野市)に係留されたままになっている。

 「現役の高速船として活躍できる航路がないか、売却先などを探している」

 三井造船の担当者は、新しい就航先に期待するが、今のところ目途はたっていない。無論、2号船以降の建造もない。

 「国費に頼った開発をしたので甘えがあった。TSLは技術の歴史の中で退場していくモデルだったと思う。新たな活路を見いだすのは難しいだろう」

 TSLに詳しい東大大学院の宮田秀明教授は、厳しくTSL構想を批判する。

 従来の船舶の2倍近いスピード、航空機より格段に大きい輸送量と低いコスト。新時代の旅客船、アジア諸国から生鮮品を運ぶ輸送手段などとしても期待されたTSLは、なぜ普及しなかったのか。

燃費の悪さがネック

 「最大の難点は燃費の悪さ」

 TSLにかかわった関係者は、こう口をそろえる。多くの船舶は燃料に重油を使うが、TSLは比較的高い軽油を使う。しかも、その量は重油の3〜4倍。小笠原航路も現在の定期船なら1往復で重油約80キロリットルだが、TSLでは重油より高い軽油を3倍以上の約280キロリットルを必要とする。

 この点は、原油高の現状では大きい。当初、運賃値上げなどでTSL導入が可能と考えていた海運会社「小笠原海運」(東京都港区)も結局、燃料費高騰や都・国の支援取りやめを受けて手を引いている。

 2008年秋のリーマン・ショック以降、原油高は沈静化してきているが、それでも軽油の価格は就航が頓挫した2004年当時とほぼ同じ水準。小笠原海運は「仮に今、TSLを運航したとしてもやはり赤字になる」と話す。

 小笠原航路だけではない。2隻の実験船のうち1隻は静岡県でカーフェリーとして実用された時期があったが、やはり原油高で運航停止になり、最終的に廃船となっている。ちなみにもう1隻の実験船は現在、神戸市の神戸海洋博物館に展示されている。

 TSLの小笠原航路も推進したはずの国交省の担当者は「国としては、造船会社を補助したということ。なんとか就航先が見つかってほしい」と人ごとのような話しぶりだが、その一方で「高速船の技術開発という観点ではうまくいったと思う」とも強調する。

 確かにTSLは速い。係留中の実用1号船は、最高39ノットで航行するように設定されており、東京−小笠原の航行時間を現行の25時間半から17時間にまで縮めることができた。

 ただ、世界的な景気の悪化で、最近の造船業界にはスピードよりコストの低さが求められがち。他産業と同様に「環境志向」も強まっており、「燃費がいい」「CO2削減」などが、もてはやされる傾向にある。せっかくの「海の新幹線」も宝の持ち腐れだ。

 係留中のTSLは一般に公開されていないが、三井造船関係者によると「隠しているわけではないから、造船所の近くを運航する船に乗れば、見られると思う」と話す。「海の新幹線」が求められる時代は、再び来るのだろうか。(菅原慎太郎)

旭洋造船が自動車運搬船、風の抵抗を最大50%減

2010年01月27日 NIKKEI NeT

 中堅造船会社の旭洋造船(山口県下関市、越智勝彦社長)は省エネ型の自動車運搬船の建造を始める。新幹線の先頭車両のように、風を受ける船首部分を曲面の鋼板で構成。従来の船と比べ風の抵抗を最大50%減らし、二酸化炭素(CO2)排出量を年間約2500トン削減できるという。燃料に換算すると約800トン分、現在の価格で3600万円程度を節約可能としている。

 3月から本格的な建造を始め、12月に引き渡す。2千台の自動車を積載可能な比較的小型なタイプで、日産専用船(東京・中央)のオランダにある子会社ユーロ・マリン・キャリアーが欧州近海で利用する。

南日本造船また労災 作業員1人死亡 鉄板と切断機に挟まれ

2010年01月26日 西日本新聞夕刊大分

 25日午後10時50分ごろ、大分市西ノ洲の南日本造船大分工場内で、作業中だった下請け会社「ミナミテックス」(大分県臼杵市)社員九鬼浩一さん(34)が、鉄板と切断機の間に挟まれているのを別の作業員が見つけた。九鬼さんは大分市内の病院に搬送されたが、約9時間後に死亡した。大分中央署によると、死因は窒息死。同署は、業務上過失致死の疑いもあるとみて調べている。同署と大分労働基準監督署は26日午前、工場内の実況見分を始めた。

 大分中央署によると、9鬼さんは25日午後7時ごろから作業員計6人で、切断した鉄板にチョークで印を付けるなどの作業に従事。ほかの5人と離れた場所で作業中、鉄板(縦10メートル、横5メートル、厚さ9ミリ)と可動式の切断機(縦5.5メートル、奥行き2メートル、高さ約1メートル)の間に上半身が挟まれたとみられる。

 南日本造船をめぐっては、昨年1月23日、大在工場(大分市青崎)で建造中の船に架けたタラップ(6トン)が落下し、3人が死亡、23人が重軽傷を負う事故が発生。同9月16日には、大分工場でクレーンの部品の鋼材(5トン)が落下し、作業員=当時(51)=が下敷きになって死亡する事故が起きている。

 このため大分労働局は同10月、労働安全衛生法に基づき「総合安全衛生管理指導企業」に指定。現在も安全管理や作業内容の報告書を月1回提出させている。

09年の造船受注、71.3%減に 1997年以降で最低

2010年01月19日 NIKKEI NeT

 日本船舶輸出組合(東京・港)は19日、2009年の日本の造船受注量が前年比71.3%減の252万8526CGT(標準貨物船換算トン数)だったと発表した。世界景気の悪化に伴う海上荷動きの減少で、海運業者などの新造船意欲が減退したため。CGTで統計をとり始めた1997年以降で最低となった。

 09年に受注した船種の内訳は貨物船が6隻、ばら積み船が81隻、油送船が22隻、そのほかが2隻の合計111隻だった。いずれも景気悪化前から交渉していた案件がまとまったもので、新規の商談はほぼなかったという。

 日本の造船各社は近年の資源運搬需要の増加に伴う造船ブームで受注を大量に獲得した。09年12月末時点の受注残を示す手持ち工事量は2465万6779CGTで、建造能力の約3年分に相当する。 

三菱重工業 長崎に船舶設計集約 数年かけ700人態勢 民間向け効率化

2009年12月19日 西日本新聞朝刊

 三菱重工業(東京)は18日、船舶設計部門の技術者約700人を、長崎造船所(長崎市)に集約する方針を明らかにした。長崎市のほか山口県下関市、神戸市にある各造船所や本社に配属されている設計技術者は他造船所での仕事を終えた技術者が数年かけて順次、長崎に異動する。長崎造船所の開発拠点機能は、一段と高まることになる。

 船舶設計部門の集約は、民間向け船舶の設計を一元化して効率化を図るのが狙い。長崎は同社最大の造船所で、今年も10隻以上を建造。同部門の約6割(約400人)が勤務しているため、本社所在地の東京よりも「集約先に適している」と判断した。

 既に10月1日付で本社船舶・海洋事業本部の直轄に肩書だけ変更し、長崎への異動の組織的な準備を整えている。同社は「各造船所の垣根を越え、全社で事業別の運営を強化する組織改編の一環」と説明している。

 下関と神戸には、生産部門に直結する設計技術者の一部が残る。また、下関や神戸で新船を建造する場合は長崎から設計者を長期派遣するケースも出てくるという。自衛隊艦艇向けの設計部門の計約350人は、従来通り各造船所に配属する。

 長崎造船所は、足元では2年分の手持ち工事を抱えているが、昨秋以降の新規受注はゼロ。九州運輸局によると、九州・山口西部の56造船所の本年度上半期造船受注量は前年同期比99・5%減で、将来の受注競争を見越して各社ともコスト削減に向けた取り組みを加速している。

西芝電機、内航船向け電気推進システム拡販へ試験設備増強

2009年12月16日 日刊工業新聞

 【姫路】西芝電機は内航船市場で電気推進システムの受注を拡大するため、本社工場に約2億円を投じて試験設備を増強した。造船需要が冷え込む中でも二酸化炭素(CO2)削減効果を期待して、電気推進船需要は堅調に推移している。試験設備を倍増することで供給能力を増やし、年間20隻の受注を目指す。1システム約1億円として、約20億円の増収を見込む。

 増強したのは電動機とインバーター装置の調整を行う、各種実負荷試験装置。試験用に新たに400平方メートルを加えて従来比3倍のスペースを確保、これまでの約2倍の年間20隻の試験を可能にした。

 電気推進船は推進用動力源をディーゼルエンジンから電動機に置き換えて操作性能を高めるとともに、低振動・低騒音などを追求する「次世代内航船スーパーエコシップ」。

25年ぶりの新造船着工祝う、函館どつく室蘭製作所

2009年11月26日 室蘭民報朝刊

 函館どつく室蘭製作所(室蘭市祝津町、武田勇一所長)の25年ぶりの新造船となるスーパーエコシップ(SES、省エネ型次世代内航船)5700総トン型セメント運搬船の起工式が25日、同製作所S5工場で行われ、関係者らが工事の安全を祈った。

 起工式には岡田英雄社長、武田所長ら同社幹部、船主の太平洋汽船役員ら計20人が出席した。神事に続いて、作業員がNC自動切断機で鋼板を切断し、出席者らの拍手で工事のスタートを祝った。

 同製作所の新造船事業は昭和59年以来。建造するSESは全長115メートル、幅18・2メートル。従来船よりCO2排出量などが少ない環境に優しい船舶で、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の補助対象となっている。

 12月中旬に鋼材の本格加工を開始し、来年1月中旬から組み立て、3月中旬から乾ドックで建造。7月下旬進水、10月末引き渡しを目指す。新造船2隻目も同型のSESで、来年6月から鋼材加工の予定だ。両船建設に伴う設備投資額は数億円規模。 (山田晃司)

「造船ニッポン」を守れ! 三菱重工が船舶設計陣を長崎に集約

2009.11.22 MSN産経新聞

巨大クレーン3台が偉容を誇る三菱重工業長崎造船所。激化する船舶の受注戦争での生き残りをかけるため、設計技術者らの集約が行われた

 三菱重工業が、造船部門で設計技術者約500人を長崎造船所(長崎県飽の浦町)に集約したことが話題を集めている。平成27(2015)年に世界の造船会社の建造能力が需要の3倍以上に達するとの予測があるなか、国内3カ所に分散していた設計者を1カ所に集め、今後求められる燃費向上など船舶の設計能力を高めたい考え。激化する韓国や中国との受注競争に対し、有効な生き残り策となるか注目される。

激減する船舶受注

 同社ではこれまで、大型船舶を長崎、巡視艇など艦艇を下関(山口県)、自動車運搬船などを神戸の各造船所で建造。このため、設計技術者もそれぞれの造船所に所属していた。

 しかし、リーマンショックに見舞われた平成20年秋以降、世界の船舶発注は激減。同社でも平成21年度上期まで一般商船の新規受注はゼロ。同社がすでに発表した平成21年9月中間決算によると、船舶・海洋部門の売上高は前期比17・3%減の1054億円にとどまった。

 今後も事態の好転は望めず、少ない商談をめぐって韓国や中国の造船会社との激しい受注競争が予想されている。そういう会社の苦境打開のため、立案されたのが設計技術者の集約だった。

競争力高める作戦

 設計陣の集約は、今後需要拡大が見込まれる海洋調査船などのほか、燃費を大幅に向上させた大型船の技術力育成を目指している。

 このため、新造船の開発から基本設計を一貫して行う「船舶・海洋技術部」を今秋から本社組織として新設。勤務地を長崎造船所とし、設計技術者を集約させることになった。

 背景には、平成27年に世界の造船会社の建造能力が需要の3倍以上に達するとの予測から生じる危機感があるという。

 現在、世界の造船業は日・中・韓の寡占状態。この3カ国で世界の9割の船を建造している。3カ国の造船会社は近年、競うように建造能力を増強させたが、リーマンショック後の急速な景気悪化で需要予測が下方修正され、27年の建造総力1億3千万総トンに対し、需要予測は4千万総トンを下回っている。

 韓国ではすでに数社が破綻(はたん)・撤退。一方、中国は国内で使う船は国内の造船会社に建造させるという「国策」でバックアップしているという。

 今後もさらなる競争激化が確実視されているだけに、三菱重工が行った設計部門の集約の成否に対し、業界内外から熱い視線が注がれているのは確かだ。

低コストに打ち勝つ技術力が必要

 設計技術者の集約は、船舶技術の向上を目指すだけにとどまらない。長崎造船所の技術者たちが開発した設計支援システムを全社で共有化し、「500人の知恵を使い切る態勢を整えた」(広報・IR部)というのだ。つまり、同社のもつ最先端の技術を全社的な視点から有効活用することで、「省エネ性能の向上などで確実に受注していく」(相馬和夫・長崎造船所長)ことが可能になるという。

 ただ、事業所や子会社に分散していた技術開発部門を集約し、国際競争力を高めようという試みは、パナソニックなど電機業界がすでに実践した道でもある。

 これらの業界では、技術の「ブラックボックス化」で高付加価値商品を開発したが、結局は中国企業などとの価格競争の波に飲み込まれ、苦戦しているのが現状だ。

 人件費に代表される低コストを技術力でしのぐには、相当なレベルアップが必要となりそうだ。(小路克明)

労災続く南日本造船 「指導企業」に指定

2009年11月19日 大分合同新聞

南日本造船大在工場では今年1月、建造中の船に架けられたタラップが落下し、作業員26人が死傷した=1月23日午前、大分市青崎

 大分市青崎で今年1月、作業員26人が死傷するタラップ落下事故が起きた「南日本造船」(本社・臼杵市)の作業現場の安全管理に重大な問題があるとして、大分労働局が労働安全衛生法に基づき、労働災害の防止策を講じているか監督し、指導する「総合安全衛生管理指導企業」に同社を指定していたことが18日、労働局などへの取材で分かった。指定は10月1日付。労働面の“業務改善命令”に相当する行政処分で、県内企業では初めての適用。

 同法に基づく安全管理の改善指導は、個別の工場など「事業場」単位で指定するのが通例だが、同社ではタラップ落下事故後も複数の工場で労災事故が相次いでおり、労働局は全社的な改善指導が必要と判断、指定対象を企業そのものに拡大する特例措置を取った。

 労働局によると「企業指定」は全国でも異例。同社には、月ごとの作業内容や、下請け、孫請け業者を含む労働者の安全確保策などを盛り込んだ報告書を毎月、提出するよう命じた。

 同社では大在工場で1月、建造中の船と岸壁を結ぶタラップが落下し、2人が死亡、24人が重軽傷を負った。タラップと船体をワイヤでつなぐ強度補強を行わないなど、同社の安全管理の不備が発覚。大分労働基準監督署は大在工場を「指導事業場」に指定し、安全管理の改善を強く求めてきた。

 しかし、その後も▼大在工場=建造中の船内で、作業員1人が電線を巻くウインチに両腕を挟まれ重傷▼同=作業員1人が有機溶剤の中毒症状▼大分工場=クレーン部品の下敷きとなり作業員1人が死亡―といった労災事故がいずれも9月に起きた。

 労働局は「社会的に影響を与えた大在工場の(タラップ落下)事故の教訓が現場に生かされていない。安全管理に関して逐一報告するよう求めた。必要に応じて作業現場の検査・指導にも当たる」としている。南日本造船は「社員一丸となって労災の再発防止に取り組んでいる」としている。

発電量は陸上の1.4倍――日本郵船と新日石の太陽光エネルギー

2009年09月03日 Business Media 誠[栗田昌宜]

 日本郵船と新日本石油は9月2日、太陽光発電システムを搭載した自動車専用運搬船「アウリガ・リーダー」による実証実験の中間報告を発表した。同報告によると、2008年12月19日の竣工から7カ月間の総発電量は3万2300キロワット時で、発電量は陸上(東京)で発電した場合に比べて1.4倍程度増加したという。

 アウリガ・リーダーは日本郵船と新日本石油が共同開発した自動車専用運搬船。全長199.99メートル、全幅32.26メートル、総トン数6万213トンで、最大6200台の自動車を積載できる。太陽電池パネルはデッキ上に328枚設置されており、太陽光エネルギーで発電した電力を動力源の一部として利用している。

自動車専用運搬船「アウリガ・リーダー」の遠景(左)と太陽電池パネルを設置したデッキ部分(右)

 同船による実証実験は、航海中の過酷な環境下でも船舶推進動力へ安定した太陽光発電の電力供給を実現することを目的に実施されているもので、竣工から約2年間、塩害や風圧、振動下での耐久性と、太陽光発電と船舶電力系統との連系を検証する。

 このほど発表された実証実験の中間報告は、竣工から2009年7月13日までの4航海(全207日間)の結果をまとめたもの。それによると、太陽光発電システムの運転時間は2600時間で、総発電量は一般家庭17軒分の消費電力に相当する3万2300キロワット時を記録した。また、発電量は陸上(東京)で発電した場合に比べて1.4倍程度増加した。これは、航海域での太陽高度が東京よりも高く日差しが強かったことや、平均日照時間が長かったこと、船が受ける風によって太陽電池モジュールが冷却され、変換効率が上がったことなどが要因として考えられるとしている。

 なお、太陽光発電がアウリガ・リーダーの全動力に占める割合は0.05%、ポンプや照明など電力に占める割合も約1%と予測どおりの結果が出ており、これにより年間約14キロリットル(13トン)の燃料節減と約40トンのCO2排出量削減が見込めるとしている。

辻産業の受け皿会社設立 「相浦機械」大島造船所100%出資

2009年05月22日 長崎新聞

 大島造船所(西海市)が、会社更生手続き中の船舶用機械メーカー、辻産業と関連子会社四社(いずれも佐世保市)から事業譲渡を受けるため新会社を設立したことが二十一日、分かった。七月に譲渡を受け、五社の総従業員約四百人のうち約二百八十人を雇用する方向で調整を進めている。

 登記簿や管財人側によると、新会社は大島造船所100%出資の「相浦機械」(資本金三億円)。本店所在地は辻産業本社の現在地。取締役三人はいずれも大島造船所の取締役で、代表取締役は増田健藏氏。設立日は四月一日。

 相浦機械は七月一日に辻産業など五社から、大島造船所と取引があるハッチカバーのほか、デッキクレーンなど船舶用機械事業に特化して譲渡を受ける方針。契約に向け譲渡額などを詰めている。更生債権は引き継がない方針。

 辻産業は新会社移行に向け、五社をスリム化した組織改正と人事を五月一日付で発令。現在約四百人いる総従業員を六月末に約三百人まで減らし、いったん全員解雇。相浦機械は船舶用機械事業以外の橋梁(きょうりょう)や艦船修理、広告、人材派遣などの事業は引き継がず、五社から約二百八十人を雇用する方針。

 譲渡後の五社について管財人室は「当面存続するが、将来的には解散や売却などの選択肢がある」としている。辻産業子会社で造船事業の辻産業重機(中国・江蘇省)と辻産業重工(浙江省に建造中)は独自の営業継続策を模索中という。

辻産業、船舶用機械の専業新会社で再生へ

2009/05/21 NIKKEI NeT 九州

 会社更生法の適用を受け経営再建中の船舶設備大手、辻産業(長崎県佐世保市)が、今夏に設立する新会社の骨格が20日、明らかになった。新会社は船舶用機械専門の製造・販売会社とし、支援企業として名乗りを上げた大島造船所(同県西海市)の全額出資子会社となる。橋梁(きょうりょう)や艦船修理など不採算部門は切り離し、再生を目指す。

 関係者によると、新社名は「相浦機械」で、7月1日から事業を開始する。辻産業と子会社4社の従業員約400人のうち、約280人を新会社が再雇用する見通し。デッキクレーンやハッチカバーなどの船舶用機械を手掛ける。橋梁や艦船修理、広告や人材派遣などの事業については現在譲渡先を探しているが、6月末までに引受企業が決まらない場合は解散、それら事業にかかわる社員数十人も解雇する。

 組織体制も見直す。旧辻産業に比べ部門数を約3分の一程度に減らし、意思決定の迅速化を目指す。新会社の社長や役員は大島造船所が派遣する予定。従業員の給与体系や福利厚生については今後詰める。管財人団は、6月中旬にも大島造船所との事業譲渡に関する手続きを終える考え。譲渡額は明らかにしていない。

 新会社発足時には、大島造船所向けを中心に約1年強の受注残を確保する見込み。新体制では、受注営業を強化。当面は投資を控え、既存の製造ライン見直しなどで生産効率を高める方針だ。

 辻産業と子会社4社は昨年12月、中国で造船所の拡大に乗り出すなど多額の投資負担に耐え切れず東京地裁に会社更生法の適用を申請。同月末に更生手続きの開始決定を受けた。負債総額は約758億円と九州では戦後8番目の大型倒産となった。会社更生手続きに入った昨年末時点、辻産業と四子会社の従業員数は約480人だったが、約80人が4月末までに退職。さらに6月末には約100人の解雇が決まっている。

 管財人団らは、新会社の事業計画や不採算事業の縮小・撤退など更生計画案を今年9月末までにまとめ、東京地裁に提出する。辻産業と取引関係のある地元企業の従業員の総数は1000人弱といわれている。

滞る融資 企業悲鳴 中小企業向け2兆減 3月末

2009年05月20日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 大手行の2009年3月期決算は、世界同時不況で事業資金のやりくりに苦しむ中小企業への資金供給が一段と細っている現状を浮き彫りにした。銀行の業績悪化によって、企業向け資金の目詰まり傾向はさらに強まりかねず、産業界を下支えする金融機能の回復は依然として道半ばだ。

 09年3月末のメガバンク3行の中小企業向け融資残高は約113兆円、1年間で約2兆3600億円も減少した。メガバンク首脳は「中小企業への円滑な金融は大事な責任。営業現場への指導を強めている」(三菱UFJフィナンシャル・グループの畔柳信雄社長)とそろって銀行の貸し渋りではないと説明する。

 しかし、産業界からは企業金融の最前線では貸し渋りが発生しているとの声も聞かれる。日本銀行の3月の企業短期経済観測調査(短観)で「資金繰りが苦しい」と訴えた中小企業は全体の33%に達する一方、「金融機関の貸し出し態度が厳しい」と答えた割合は26%と1年前より9ポイント上昇した。

 不良債権の発生を恐れて融資を厳しくする銀行が企業の生き死にを決定するケースも少なくない。今年4月に会社更生法の適用申請に追い込まれた造船会社カナサシ重工(静岡市)は、09年3月期で過去最高の約150億円の売上高を計上し、700億円以上の受注残を抱えて10年3月期に黒字転換を見込んでいた。しかし、資材価格の急騰などで、税引き後利益が赤字となったことで、「メーンバンクから追加融資を受けられなくなった」(当時社長だった片上久志氏)ことが破綻の引き金を引いた。

 金融庁は「実体経済の悪化(の速さや深さ)を金融ができるだけ小さくすることが重要」(佐藤隆文長官)と見て4月から貸し渋り防止の集中検査に踏み切った。

 景気回復を引っ張る企業が活力を取り戻すには金融が経済の血液となることが必要だ。健全性を維持しながらリスクを取って前向きな融資に踏み込めるか。銀行の真価が問われる。(安江邦彦)

《経済》 4月の県内倒産23件 カナサシ破綻で負債総額281億円

2009年05月12日 中日新聞 【静岡】

 東京商工リサーチ静岡支店(静岡市葵区)が11日発表した4月の県内企業倒産動向によると、倒産件数(負債総額1000万円以上)は23件と前月比で10件減だったが、負債総額は2・47倍の281億5000万円に膨れ上がった。造船会社カナサシ重工(静岡市清水区)の倒産(負債額218億円)が総額を押し上げた。

 負債総額が100億円を超えるのは4カ月連続。4月としては1964(昭和39)年の統計開始以降、5番目の規模だった。同社は「今後も倒産は現状程度で推移する」とみている。

 地区別では、西部が前月より4件増の12件(負債総額24億1200万円)と件数で突出し、全地区の半数余を占めた。自動車関連の破綻(はたん)が目立つという。中部は12件減の3件(219億9500万円)、東部は2件減の8件(37億4300万円)。カナサシ重工の負債額は全体の8割近くを占めた。

 原因別では、販売不振など「不況型倒産」が18件。ほかに運転資金の欠乏などの「過小資本」が3件、連鎖倒産など「他社倒産の余波」が2件だった。

 静岡商工データ(駿河区)は、倒産件数を前月比17件減の22件、負債総額は2・4倍の278億3900万円とした。4月としての負債額は平成以降、4番目の規模。同社も「予断を許さない状況が続いている」としている。商工リサーチとの差は取材手法の違いによる。

造船受注量45%減 08年度国内、7年ぶり低水準

2009年04月21日 NIKKEI NeT

 日本造船工業会(東京・港)は21日、2008年度の日本の造船受注量が前年度比約45%減の約670万CGT(標準貨物船換算トン数)となったことを明らかにした。世界的な景気悪化で昨秋から海運業者などの投資意欲が減退したため。受注量は01年度以来の低水準。03年から続いた新興国の成長に伴う造船ブームが一変した。

 同日に会見した工業会の田崎雅元会長(川崎重工業会長)は「今後1―2年はこれまでのような高い水準の新規受注は見込めない」との見通しを述べた。データをまとめている日本船舶輸出組合(東京・港)によると08年度の造船受注量は670万4499CGTで前年度比45.2%減。542万7102CGTだった01年度以来、7年ぶりの低い水準となった。

 新造船市況は新興国向け資源輸送の増加などを受け、03年から好況が続いていた。このため国内造船各社は「日本の年間建造量の3年分の受注を確保」(田崎会長)しており、操業について不安はないという。

カナサシ重工、会社更生法申請 内定取り消し者の扱い白紙

2009/04/10 47News【共同通信】

 金融機関から必要な融資が受けられずに工場の操業を停止し、入社式前日に19人の新卒者の内定を取り消した静岡市の造船会社「カナサシ重工」は10日、会社更生法の適用を静岡地裁に申請し、受理されたと発表した。負債総額は約201億円。

 事業は継続する。13日には操業を再開する方針。内定取り消し者の扱いについて同社は9日、操業再開後に希望があれば採用するとしていたが、更生法の申請によって一転して「白紙」と説明を修正した。

 同社によると、金融機関から支援を受けられるように協議してきたが、融資再開には時間がかかる見通しとなったため、会社更生法の下で再建を図ることにした。静岡県庁で記者会見した片上久志社長は「このような事態となり申し訳ない」と謝罪した。

 保全管理人の弁護士は今後について「支援企業を探して再建を進めたい」と話した。同社は資材高騰などの影響で2009年3月期決算の純損益が約23億円の赤字になる見通し。

辻産業が新会社7月設立で調整 全従業員解雇し必要人員を再雇用

2009年04月10日 長崎新聞

 会社更生手続き中の船舶用機械メーカー、辻産業(佐世保市)の管財人側が、同社と関連子会社四社の全従業員を解雇し七月に新会社を設立、必要人員を再雇用する方向で調整していることが九日、関係者への取材で分かった。

 関係者などによると、新会社は、辻産業と取引があり現在金融支援もしている大島造船所(西海市)が出資する見通し。同造船所で建造する船に使うハッチカバーなどを作る辻産業の舶用機械事業に限り営業譲渡を受け、ほかの事業からは撤退するとみられる。新会社移行に伴う大幅な人員削減は避けられない情勢となっている。

 辻産業の中国の子会社、辻産業重機(江蘇省)と辻産業重工(浙江省に建造中)の造船事業をめぐっては、管財人団が東京地裁に提出した調査報告書は「二社が独自に営業継続できるよう引き続きサポートする予定」としている。

 報告書によると、十二月末現在の辻産業の役員・従業員数は百四十人。子会社四社からの出向・派遣を含めると四百八十五人。辻産業は既に国内外の五営業所閉鎖に伴い二十数人を解雇した。関係者によると、五社の管理職約二十人に対し今月末までの雇用とする通告をしているという。

 辻産業と関連子会社四社は負債総額約七百五十八億円を抱え昨年十二月、東京地裁に会社更生法の適用を申請、手続き開始の決定を受けた。管財人団は九月末までに弁済計画などを盛り込んだ更生計画案を作成。同地裁に提出する。

内定取り消しのカナサシ重工が操業再開へ

2009/04/09 Fuji Sankei Business-i

 金融機関の融資打ち切りで工場の操業を停止、入社式前日に19人の内定を取り消した造船会社「カナサシ重工」(静岡市)は9日、操業を13日に再開する方針を明らかにした。

 再開後に、内定を取り消した19人から希望があれば採用するという。

 同社の説明では、4月中旬に納期の船舶があり、引き渡し時期を極力遅らせないために操業再開を決めた。依然、資金繰りのめどは立っていないが、引き続き取引先の銀行6行と融資の交渉を続ける、としている。

 同社は今月1日から操業を一時停止。静岡市などは7日、「地域経済に与える影響が懸念される」として、取引先6行に融資継続を求める要望書を提出したほか、ハローワークと連携し、内定取り消し者への支援を検討している。

【カナサシ重工】入社直前の新卒者内定取り消し

2009/04/03 (静岡新聞) アイアール総合事務所(株式会社アイアールネットワーク/池田労務管理事務所)

 カナサシ重工 「操業再開なら雇用」 内定取り消し問題 内定者に意向 労働局、経緯を確認

 メイン銀行から必要な資金の融資が受けられなかったことを理由に4月1日から操業を一時停止し、乳紗緒全に新卒者19人の内定を取り消した静岡市清水市の造船メーカ・カナサシ重工は4月2日、内定者への説明に追われ、操業を再開した場合は雇用する考えを伝えた。

 同日、同社労働組合から支援要請を受けた静岡市や清水商工会議所は、地域経済に与える影響が深刻と受け止め、対策に乗り出す検討を始めた。

 多くの労働時間を手掛ける弁護士は、判例上、起業と内定者の間で内定通知書と誓約書が取り交わされていれば、雇用契約は成立し、前日の内定取り消しは解雇権乱用に該当する−との見解を示す。

 内定者の希望によっては、雇用開始時期を4月以降に遅らせるおtいう選択肢もあり、「内定者に十分説明をしているか疑問。4月以降に解雇した場合に課せられる「解雇予告手当」の支払を逃れようとした疑いもある」と指摘した。

造船のカナサシ重工が操業停止 静岡

2009.04.02 MSN産経新聞

 静岡市清水区三保の造船会社「カナサシ重工」は1日、金融機関からの資金繰りに窮し、操業を一時停止した。同社は「再開のめどはたっていないが、現時点で法的な整理手続きは考えていない」としている。

 同社によると、金融機関から3月末の融資を受けられず、取引先への支払いが滞っているという。同社は資材や燃料費高騰の影響で平成19年から赤字に転落。前期も23億円の赤字決算を見込んでいた。今後、新造船の受注残で相当額の売り上げを見込めるとして「3年間で100億円強の黒字化を目指し、銀行との折衝を続ける」としている。

 前身は明治36年に大阪で創業した金指造船所。昭和3年に旧清水市に工場を移転。38年に鋼製漁船建造量が日本一となったが63年に会社更生法の適用を申請。平成11年に分社化した。

辻産業、事業縮小で数百人削減か 中国の子会社は独立、事業継続へ

2009年 03月26日 長崎新聞

 会社更生手続き中の辻産業(佐世保市)が、本社や子会社の事業の縮小とそれに伴う数百人規模の人員削減を検討していることが二十五日、分かった。中国で造船事業などを展開していた子会社、辻産業重機(江蘇省張家港市)は本社から切り離し、独立して事業を継続させる見通し。

 管財人団(管財人・小杉丈夫弁護士)が同日、幹部社員数十人に対し、会社を更生させるためには事業を縮小せざるを得ないことを説明。管財人団や労働組合はいずれも「詳しいことは話せない」としているが、複数の関係者の話を総合すると、削減されるのは子会社や協力会社も含めた計約八百人の従業員のうち数百人規模になる見通し。

 本社工場の主力であるハッチカバーやデッキクレーン、ガントリークレーンなどの船舶用機械の製造を中心とした事業に特化させ、そのほかの橋や船体ブロックなどの事業は縮小、または廃止することでスリム化を図るとみられる。

 大量の従業員が解雇されることから、管財人団は再就職を支援する態勢をつくることも検討。

 辻産業と関連子会社四社は負債総額約七百五十八億円を抱え、昨年十二月、東京地裁に会社更生法の適用を申請。同地裁は同月中に会社更生の手続き開始を決定した。支援企業の選定などを進め、九月末までに更生計画案を作成。同地裁に提出する。

 本社の舶用事業部門については大島造船所(西海市)がスポンサーに名乗りを上げている。

 辻産業と関連子会社は今春採用予定だった高校や大学の新卒者ら計十九人の内定を取り消したほか、今月に入って辻産業の国内外の支社や営業所など五カ所の営業拠点を閉鎖。二十数人を解雇している。

辻産業の更生手続き開始、中国では2700人に賃金未払い

2009年01月07日 読売新聞 Yomiuri On-Line 九州発>地域版>長崎

 佐世保市の船舶用機械メーカー「辻産業」とグループ4社の会社更生法適用の申請について、東京地裁は、更生手続きの開始を決定した。

 同社管財人室によると、決定は昨年12月31日付で、管財人には保全管理人の小杉丈夫弁護士が選ばれた。9月末までに更生計画案を作成して同地裁に提出する予定で、中国にある工場の再建も含めながら計画案づくりを進める方針。

 債権者の債権届の提出期限は4月末とし、債権額の確定や資産評価を詰める。支援企業には、西海市の大島造船所があがっている。

 中国工場関連では、受注した建造船の前払い金約200億円について、中国工場側から、「日本での同社の運転資金に回ったり、一部が使途不明になったりしている」との指摘が管財人に寄せられている。

 また、今回の経営破綻(はたん)を受け、同工場の従業員約1700人と、外注先約1000人の賃金未払い分があるという。

更生手続きの開始決定 経営破たんの辻産業

2009.01.06 MSN産経新聞

 負債約741億円を抱えて、昨年12月に会社更生法の適用を申請した船舶用機械メーカー、辻産業(長崎県佐世保市)は6日までに、東京地裁から会社更生手続きの開始決定を受けた。

 決定は12月31日付で、子会社4社も同時。更生計画案の提出期限は9月末で、支援企業の候補として大島造船所(同県西海市)が挙がっているという。


太陽光活用の大型船完成 世界初、神戸でお披露目

2008/12/19 中国新聞ニュ−ス

 太陽光エネルギーを利用して動く世界初の大型船舶「アウリガ・リーダー」が完成し、神戸市の三菱重工業の神戸造船所で十九日、船のデッキに取り付けられた太陽光パネルへの通電式があった。

 太陽光利用で二酸化炭素の排出量を削減しようと、日本郵船と新日本石油が共同開発。三百二十八枚の太陽光パネルを搭載し、最大発電量は一秒間に四十キロワット。一般家庭の消費電力十二軒分に相当し、同船の動力用電力の0・3%、船内照明など生活電力の6・9%をまかなえる。

 通電式では、草刈隆郎くさかり・たかお日本郵船会長らがスイッチを押すと電光掲示板に発電量が表示され、関係者から歓声があがった。

 船は自動車運搬船で全長約二百メートル、約六〇、〇〇〇トン。愛知でトヨタ自動車の車を積んだ後、二十五日に中近東に向け出発する。今後約二年間、海上での風圧や振動に耐えられるかなどを検証し、実用化を目指す。

佐世保の辻産業が会社更生法申請/負債741億円

2008/12/12 四国新聞

 船舶用クレーン製造や造船の辻産業(長崎県佐世保市)は12日、東京地裁に会社更生法の適用を申請し、同日付で保全管理命令を受けた。負債額は約741億円。帝国データバンクによると、九州地区の企業破たんでは今年最大。

 会社更生法適用申請は辻マリンサービス(同市)など子会社4社も同時。4社を含めた負債額は758億300万円。

 辻産業は1939年の設立。船舶用クレーンをはじめとする産業用機械の製造などを手掛けていたが、2002年には中国・江蘇省に現地法人を設立して造船事業にも進出。その後、中国で造船事業を拡大していた。

 造船業界の好況を追い風に08年5月期には過去最高となる約253億1200万円の売上高を計上。しかし積極投資による多額の負債が財務を圧迫、資金繰りが悪化。先行きのめどが立たなくなった。

建造中の船爆発、1人死亡 新笠戸ドック

2008/11/25 中国新聞ニュ−ス

 二十五日午後四時ごろ、下松市笠戸島の船舶建造・修理会社「新笠戸ドック」で、建造中の貨物船内で爆発があり、福山市今津町の塗装工岡田雄一郎おかだ・ゆういちろう さん(30)が死亡した。ほかに男性三人が顔にやけどを負うなど軽いけが。

 下松署は、塗装作業中に塗料が気化し、何らかの原因で引火した可能性があるとみて原因を調べている。

 下松署や同社などによると、爆発があったのは貨物船の船首部底にあるバラストタンク部分。当時、岡田さんを含む作業員六人がタンク内部の塗装作業をしていた。けがをしたのは作業員一人と救助に向かった二人で、爆発後、火はすぐに消えたという。

JFE、造船鋼材の1割値上げ要請

2008/11/05 NIKKEI NeT

 JFEスチールは造船大手に対し、厚板鋼板を11月受注分から約1割値上げすると申し入れた。自動車向けなど鋼材需要全体には陰りが見えるが、受注残を抱える造船向けは需給が逼迫(ひっぱく)しており、値上げが受け入れられやすいと判断した。新日本製鉄など他の大手も追随する見通し。ただ造船大手の中には反発の声も強く、値上げをどこまで浸透させられるかは不透明な面もある。

 厚板は船の外板などに使われ、現在の価格は1トン10万円弱。今春の価格交渉で昨年度より3万円上昇した。さらに1万円上がれば昨年度に比べ6割近く高い同11万円前後になる。

造船向け鋼材再値上げ 鉄鋼大手が要請、業界は反発

2008年10月04日 asahi.com

 新日本製鉄など国内鉄鋼大手が、造船各社に鋼材価格の追加値上げを要請し始めた。5月に1トンあたり3万円弱値上げし10万円を超えたが、さらに1万円程度の上乗せを求めている。景気減速を受けて鋼材価格が世界的に弱含んでいる中での要請に、造船側は強く反発している。

 追加値上げは、鉄鉱石の値上がりが主因。5月の造船向け鋼材値上げは、2月にブラジル産鉄鉱石が前年度比65%値上がりしたのが前提だった。しかし、その後、豪州産鉄鉱石の価格交渉が80%の値上げで決着。鉄鋼業界のコストは250億円程度増えたとみられ、造船側に応分の負担を求めることにした。

 一方、造船側は、「世界的な景気減速で、鋼材市況は下落し始めている」(大手幹部)と再値上げに反発している。新興国の需要増で価格高騰が続いていた鋼材市場だが、中国では5月ごろから価格が下落。日本でも、電炉最大手の東京製鉄が9月分の鋼材価格を3年2カ月ぶりに全面値下げした。造船業界は08年3月期にようやく営業黒字を回復したところが多く、コスト増は少しでも避けたいのが本音だ。

 ただ、造船側は輸送会社からの船の受注を約4年分も抱えている。このため、鉄鋼側は「造船向け鋼材は当面需給が逼迫(ひっぱく)するため、値上げはご理解を頂けると思う」(幹部)と強気だ。一方、最大の需要家である自動車向けでは、主力製品の薄板の在庫が過去最高水準に積み上がるなど軟調になっていることから、再値上げは慎重に判断する構えだ。

IHIが韓国で初の就職説明会

2008-09-03 民団新聞

 航空機のエンジン製造や造船業などを主業務とするIHI(旧石川島播磨重工業)が4日までの3日間、韓国の大学・大学院の卒業生を対象に就職説明会を開いている。日本の大手企業としては初めて。

 延世大と高麗大、建国大、成均館大(水原キャンパス)の4大学から、技術職180人、事務職60人の計240人を採用する予定。

 日本で6カ月間、語学研修を行った後、来年4月1日から本社などに配属する。同社は「韓国は人材の質が高く、優秀な人材を確保できる絶好の機会だと判断した」と話している。(2008.9.3 民団新聞)

労災多発の幸陽船渠を捜索

2008/08/28 中国新聞地域ニュ−ス

 三原市の造船会社「幸陽船渠(せんきょ)」(桧垣俊幸社長)の構内で作業員男性(61)が落下したレールの下敷きになって死亡した事故で、広島県警捜査一課と三原署は28日、業務上過失致死の疑いで同社の家宅捜索を始めた。

 調べでは、事故は24日、レールの撤去作業中だった作業員男性に、クレーンでつり上げたレール(長さ約6メートル、重さ約300キロ)が落下、男性は腹部内出血で死亡した。三原署などは、複数人で作業していながらレールの下に作業員がいたなどの点から、同社の安全管理に不備があったとみている。

 同社では06年2月から07年3月にかけ、4件の事故が発生し計5人が死亡。今年5月8日には下請け会社の男性が鉄製台車に上半身を挟まれて死亡。8月4日にも下請け会社の男性が鉄板の下敷きになって死亡している。

ツネイシ、設計者技術者を海外で倍増

2008/04/15 NIKKEI NeT

 中型ばら積み船大手のツネイシホールディングス(広島県福山市、神原勝成社長)は製造拠点をもつフィリピンと中国で設計技術者を倍増する。2011年をメドにフィリピンで500人、中国で200人に増員する。海外生産の拡大にあわせ設計の現地化を加速し、品質とコスト両面で国際競争力を高める。

 フィリピンのセブ島、中国の秀山島(浙江省)と上海市の3カ所に配属する。造船関連学科をもつ現地の大学を訪問したり、現地で企業紹介セミナーの開催などを通じ、設計技術者の獲得につなげる。日本の設計部隊は100人体制を維持する。

JFE・IHI、造船統合協議入りを発表

2008/04/08 NIKKEI NeT

 JFEホールディングスとIHIは8日、造船事業統合に向け最終協議に入ることを正式発表し、統合により生産体制の再構築などを目指す方針を明らかにした。近く統合検討委員会を発足させ、統合比率や規模拡大によるコスト削減策などを詰める。韓国や中国勢の台頭で競争激化が進む造船市場で勝ち残りを目指す。

 JFE子会社で国内2位のユニバーサル造船(川崎市)とIHI全額出資子会社で同6位のアイ・エイチ・アイマリンユナイテッド(IHIMU、東京・港)が統合を目指す。JFEとIHIは共同で「経営基盤強化が必要との認識で一致した」とのコメントを発表。検討委員会はJFEホールディングスの数土文夫社長やIHIの釜和明社長、造船子会社2社のトップらで構成する。統合が実現すれば、国内最大手の今治造船を抜き、世界で6位前後の売上高になる見込み。

外国人技能実習生:月間時間外労働、造船事業所の過半数が45時間超 /広島

2008年04月08日 毎日新聞地方版 Mainichi INTERACTIVE

 外国人技能実習生を受け入れている造船業関連事業所の過半数が月45時間超の時間外労働を課していることが、広島労働局の実態調査で判明した。調査は1月、関連セミナー会場で参加企業を対象に実施した。

 県内で外国人実習生を受け入れている造船911企業(国際研修協力機構調べ)のうち、セミナーに参加した217社を対象に実施し、184社(回答率85%)から回答を得た。回答企業のうち、実習生は725人で、全体6611人の11%、1事業所当たりの平均は約4・5人だった。

 各事業所ごとに時間外労働が最長の実習生でみると、月45時間超は90事業所で56%▽そのうち月80時間超は32事業所(20%)▽さらに100時間超が16事業所(10%)−−あった。また、各事業所の賃金額が最低の実習生でみると、時給797円以下の事業所が52事業所で、全体の32%を占めた。

 同局は「造船業が業績好調の中、低賃金や長時間労働の技能実習生の存在がうかがえる。今後は、最低賃金以上の賃金が支払われているかどうかや、長時間労働をしている実習生の健康管理が適切になされているかなどを重点的に監督指導していきたい」と話している。【上村里花】

電気推進船の発注加速

2008/04/06 中国新聞地域ニュ−ス

 中国地方の内航海運会社が、電気推進船を相次ぎ発注している。ディーゼル発電機を動力にスクリューを回す構造で、水の抵抗が小さい船形にできるため、燃費が改善してコスト削減につながる上、二酸化炭素(CO2)の排出量も少ない。燃料の高騰や、大手荷主を対象にした改正省エネ法の施行が発注増の背景にある。

 セメントメーカーから製品の輸送を請け負う山機運輸(宇部市)は昨年末、15,000トンの電気推進船の建造契約を造船会社と結んだ。セメント2万トンが積める専用船。山口、福岡両県のセメント工場から需要地の関東や東海に運ぶ。起工は2010年1月。就航予定は同年秋だ。

 関東や東海など国内のコンビナート間で液体の化学原料や製品を輸送している豊晃海運(広島県大崎上島町)も、499トンの電気推進船を建造する。1000キロリットル積みのケミカルタンカーで、今年末に起工し、09年5月の就航を目指す。

 電気推進船は従来船と同じ重油を燃料に使う。従来船はエンジンを設置する船尾に大きなスペースが必要なため水の抵抗が大きくなるが、電気推進船は発電機を複数に分けて小型化できるため、水の抵抗が小さい細い形の船尾となり、省エネが実現できるという。

 省エネを目的とした電気推進船は、国土交通省と鉄道建設・運輸施設整備支援機構(横浜市)が05年度から「スーパーエコシップ」と名付けて建造を推進中。これまで全国で4隻が就航し、中国地方ではJR西日本のフェリーみやじま丸(254トン)が06年から運航している。

 建造費は従来船と比べ1―3割高いが、支援機構との共同所有や、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の補助があり、山機運輸などもこの仕組みを活用している。

地場の造船業界支え10年目

2008/04/04 中国新聞地域ニュ−ス

 地域ぐるみで造船技術者育成に取り組んでいる因島技術センター(尾道市因島土生町)が、発足から10年目を迎えた。3日には初任者研修の入校式があり、地元企業の新入社員を中心に過去最高の92人が入校した。受講者は累計633人に上り、活況を取り戻した地場の造船・舶用工業界で大きな戦力となっている。

 センターは、団塊世代の大量退職をにらみ1999年、行政や経済団体、造船会社などが運営協議会を結成して発足した。初年度の初任者研修には32 人が受講。2004年度から鋼材を曲げる撓鉄(ぎょうてつ)、05年度からは、溶接・切断と配管艤装(ぎそう)の専門技能研修も加わった。

 技能継承に欠かせないのが研修指導員。因島では造船不況で現場を退いていた元熟練工たちが買って出た。今回の指導員は過去最多の22人で、平均年齢67.4歳になる。

尾道観光に造船所見学プラス

2008/03/25 中国新聞地域ニュ−ス

 造船、海運業などで栄えてきた尾道市は新年度、海事産業の集積力を観光資源化する取り組みを強める。造船所見学を組み込んだ市内観光ツアー商品を開発した旅行会社などに、費用面で助成する。「海事都市」のアピールと「観光都市」の魅力アップを同時に狙う。

 市観光課によると、4―6月の3カ月間、旅行会社やバス会社を対象に、造船所の工場内見学を盛り込んだツアープランを募集する。市は価格や集客エリア、集客規模などを審査し、プランを選定。広告宣伝費などに使ってもらう目的で1件につき15万円を助成する。日ごろは入りにくい造船所などの観光ルート化について、中国運輸局は「中国地方でも珍しい試み」と注目する。

住友金属 溶接部の疲労強度向上の鋼板開発 川崎造船が採用

2008/03/25 FujiSankei Business i.

 住友金属工業は24日、溶接部も金属疲労への耐性が強い鋼板を開発したと発表した。

 新開発の「FCA−W鋼」は、原料の成分調整研究を重ねたことで、溶接部の金属耐性にも優れる。この鋼板用いれば、鋼構造物の設計面での自由度が増大。船舶に応用すれば船体の軽量化による燃費向上や船体寿命の長期化につながる。日本海事協会など関係団体の評価では、適用部位の疲労寿命は最大で2倍以上改善するという。

 これまでは溶接部分の疲労強度を上げることはできず、板厚を厚くしたり補強部材をつけるなどの必要があった。

 すでに川崎造船がLNG(液化天然ガス)船に採用することを決定している。球形タンクカバー銅板や、タンクカバー上の甲板裏の補強部材に用いるという。

 住友金属は、今後他の鋼構造物への適用も検討しており、将来的には年間5000トン程度の生産を見込む。

HTBで電気推進の実験船を実証試験 2、3年後の実用化目指し

2008/02/22 長崎新聞

 太陽光発電パネルを装備した電気推進旅客船の開発を進める「クリーンエナジーシップ実行化研究会」は二十一日、佐世保市のハウステンボス(HTB)で実験船を使った実証試験を始めた。軽油などの化石燃料を使わず二酸化炭素(CO2)を排出しないのが特徴で、二、三年後の実用化を目指す。

 同研究会はHTB、前畑造船所、長菱制御システム、長崎総合科学大、させぼパールシー、安田産業汽船、県工業技術センターの産学官で組織。二〇〇七年度から事業を開始。同年度の事業費二千万円のうち千五百万円を県産炭地域活性化基金が支援している。

 実験船はHTB内の運河を航行するカナルクルーザー(全長約十四メートル、十三トン)を改造。従来のディーゼルエンジンに替え電動モーターを搭載。船の屋根に載せた十二枚の太陽光パネルが動力源となる。

 カナルクルーザーは現在二十三隻運航。一隻当たり年間約二万三千百リットル(約二百十三万円)の軽油を消費、五五・四トンのCO2を排出している。実験船が実用化されれば、年間約千二百七十五トンのCO2削減が見込めるという。

 〇八年度には同パネルを約七十枚に増やす方針で、ハウステンボス港を拠点に実証試験を重ね、実用化に向けたデータを集める。

 現在実験船に使用しているのは鉛蓄電池。発案者でコンセプトデザインなどを手掛けている長崎総合科学大船舶工学科の中尾浩一准教授は「実用化の鍵は鉛蓄電池に替わるリチウムイオンバッテリーの開発」と指摘。同バッテリーは鉛蓄電池の約五分の一の重量でメンテナンスも不要。電気自動車の研究が進む中、同バッテリーの開発も進んでいるという。

 国は昨秋、HTBを太陽光発電などの新エネルギーを普及するための「次世代エネルギーパーク」に認定。県はこれを受け「長崎次世代エネルギーパーク構想」を掲げており、今回の電気推進旅客船の開発はその一環。

中韓が拡大 危機感強く JFE・IHI造船統合 生き残りへ再編加速

2008年01月12日 東京新聞朝刊

 鉄鋼大手のJFEホールディングスと、造船重機大手のIHI(旧・石川島播磨重工業)が、造船事業を年内にも統合する方向で交渉に入った背景には、「韓国や中国に対抗するには規模拡大による体制の強化が不可欠」との判断がある。アジアや南米などの資源国の台頭で造船業界は好況が続いており、生き残りをかけた再編が加速していきそうだ。 (池井戸聡)

 船舶の建造量が世界一の韓国と、日本に次いで三位の中国はここ数年、設備増強を進めるなど受注拡大に努めてきた。建造量ではまだ日本に及ばないものの、中国の二〇〇六年の受注量は前年比二倍超の二千七百三十五万総トン(総トンは船の大きさを表す単位)に急増。日本を抜き二位に浮上した。設備が整えば、建造量でも日本を脅かす存在になることは必至だ。

 ただ、世界的に造船需要が拡大する中では、日本メーカーも四−五年先までの手持ち工事を抱えており「当面、業界は安泰」との見方が多かった。しかし「これほどの活況がいつまでも続くはずがない」(造船大手)ことも確かで、世界的な設備過剰が予想される二〇一〇年代には「受注獲得競争が激化することが避けられない」との指摘もあった。

 こうした情勢を受け、JFEとIHIはコスト削減や、互いの得意分野を生かすことができる事業統合を検討し始めた。特にプラント事業などで巨額の損失を出し、〇七年三月期の決算を訂正したIHIには「経営資源の選択と集中を進めたい」(釜和明社長)との思いが強く、売上高の一割強を占める造船事業を強化する必要性があった。

 JFEとIHIが造船事業を統合させれば、造船部門の年間売上高は三千億円規模に達し、国内企業では首位の座につく。ただ、韓国メーカーには造船の売上高が一兆円規模に上る企業もあり「まだ力量には大人と子どもの差がある」(業界関係者)との声も多い。

 このため、JFEとIHIは国内他社にも合流を呼びかけるとみられ、今回の両社の動きが大型再編に発展する可能性もある。

年内にも造船事業統合 JFEとIHI、韓中に対抗

2008/01/12 FujiSankei Business i.

 JFEホールディングスとIHIが、両社の造船事業を年内にも統合する方向で調整に入ったことが11日、分かった。JFEが、日立造船と折半で出資しているユニバーサル造船(川崎市)を子会社化した上で、IHIの造船子会社、アイ・エイチ・アイマリンユナイテッド(東京)と合併させることを検討している。実現すれば、建造量で国内シェアの約20%を占め、最大手の今治造船(愛媛県今治市)を上回る業界トップに浮上する。

 国内の造船業界は、新興国の旺盛な需要を受け好調が続いているが、能力の増強を続ける韓国や中国の大手メーカーからは後れを取っている。両社は統合による規模拡大に加え、JFEからの安定的な鋼板の調達を武器に競争力の強化を目指す。

 ユニバーサル造船は、JFEの前身の旧NKKが日立造船と造船事業を統合するため、折半出資で2002年に発足させた。JFEでは、日立造船が保有する株式を取得し、出資比率を80%程度に引き上げ、子会社化する方向で、日立造船と交渉している。IHIの造船子会社との統合は合併を軸に調整する見通しだ。

 統合が実現すれば、両社の売上高は07年度見込みで約3450億円となり、建造量とともに業界首位となる。鉄鋼世界3位のJFEは、需要増で世界的に供給不足にある船舶用高級鋼板に強みを持ち、統合会社は規模とともに質でも強みを持つ効果も見込める。

 JFEは造船を中核事業の一つと位置付け、強化する一方で、IHIは、造船事業をJFEとの共同経営とすることで、航空機エンジンなどの事業に注力できる。一方、日立造船は事実上、造船事業から撤退し、環境事業に特化する方針だ。

 国内造船業は、コスト競争力で優位に立つ韓国に、建造量世界トップの座を奪われ、3位の中国の猛追を受けている。現在は各社とも数年先まで受注残を抱える活況にわいているが、中国メーカーは設備増強を加速させており、再び供給過剰で船価が下落する懸念がある。

 新会社は国内首位に立つとはいえ、規模の面で韓国大手にはまだ見劣りするのが実情で、さらなる業界再編が一気に進む可能性もありそうだ。

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【用語解説】ユニバーサル造船

 日本鋼管(現JFEホールディングス)と日立造船の船舶・海洋部門が統合して2002年10月に設立された国内2位の造船会社。津(三重県)、有明(熊本県)など5カ所に事業所があり、07年3月期の売上高は約1600億円。本社は川崎市。

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【用語解説】アイ・エイチ・アイマリンユナイテッド

 石川島播磨重工業(現IHI)の船舶海洋事業と住友重機械工業の艦艇事業を統合して2002年10月に設立され、06年8月にIHIの完全子会社となった。大型タンカーやコンテナ船の建造に高い技術力がある。国内は広島県呉市、横浜市に造船所を持つ。

造船事業統合に強い関心

2008/01/12 中国新聞ニュース

 JFEホールディングス(東京)とIHI(同)が両社の造船事業統合で交渉に入ったことは、造船所が集積する中国地方でも強い関心を集めている。空前の活況でフル稼働を続ける業界とはいえ、海外との競争で生き残れるかは不透明。コスト減と競争力強化につながる統合は現実的な選択肢の一つであるからだ。

 両社の統合交渉に関連する事業所は、中国地方にはアイ・エイチ・アイマリンユナイテッド(IHIMU、東京)の呉工場(呉市)と、ユニバーサル造船因島事業所(尾道市)がある。本社から特に連絡はないという因島事業所に対し、呉工場にはIHI本社から「ホームページにコメントを掲載した」と電話が入ったという。両事業所とも通常通り操業した。

 造船の大型再編はJFE前身の旧NKKと日立造船が2002年に統合してユニバーサル造船を発足させて以来。中国地方の造船所は、それぞれのスタンスで受け止めた。

 中堅の内海造船(尾道市)は「受注は旺盛で、両社とは船種が異なり、影響はない」。一方で幸陽船渠(三原市)や新笠戸ドック(下松市)を傘下に置く国内最大手の今治造船(愛媛県今治市)はコメントしなかった。

鉄鋼2強、鉄鉱石専用船を大型化 運賃高騰で効率輸送

2007/12/08 FujiSankei Business i.

 ■新日鉄は世界最大級

 新日本製鉄、JFEスチールの国内鉄鋼“2強”が、鉄鉱石輸送船の大型化に踏み出した。新日鉄は7日、積載重量32万トンと世界最大級の鉄鉱石専用船の引き渡しを受け、さらに来年から2010年にかけて30万トン前後の専用船3隻を建造する。JEFも来年後半に、30万トン級の鉄鉱石輸送船を導入する計画だ。

 鉄鋼2強が鉄鉱石輸送船の大型化を進める背景には、中国など新興国の需要増や原油高による海上運賃の急騰がある。運賃などの国際指標「バルチック海運指数」は、1年前の4200(1985年=1000)から3倍の12000に上昇。主産地のブラジルやオーストラリアからの運賃である1日当たりの用船料も、右肩上がりだ。

 さらに、旺盛な海運需要から入港の順番待ちも増え、発生する滞船料もコスト増につながる。このため1度に多くの原料を効率的に調達しようと、輸送船大型化に力を入れている。

 ただ、30万トン級の鉱石船が着岸するには20メートル以上の水深が必要。積み出し側はブラジル、国内では新日鉄大分の原料岸壁しかない。新日鉄は大分で鉄鉱石の一部を降ろして船を軽くし、その後、他の拠点に運搬する。JFEは積み荷を一括してフィリピンに運び、現地子会社でコークスなどを混ぜて焼き固める焼結を済ませた後、他の船で日本に輸送する。

 7日、三井造船千葉事業所で開かれた世界最大級の専用船「BRASIL MARU(ぶらじる丸)」(全長340メートル、32万トン)の命名・引き渡し式で、船名命名者にもなった新日鉄の三村明夫社長は「大型船の長期契約により、安定的な効率輸送が可能になる」と強調した。

 新日鉄は今回、商船三井と契約し、ブラジルから鉄鉱石を20年以上にわたり運搬する。来年夏就航する2隻目の同型船とも長期契約し、鉄鉱石の調達体制を強化する。

 船名のぶらじる丸は、旧海軍に徴用され沈没した初代(建造1939年)、南米移民船として活躍した2代目(同54年)を引き継いだ。新船は片道36日でブラジルと大分製鉄所などをインド洋周りで結ぶ。年間輸送量は、新日鉄がブラジルから輸入する鉄鉱石の1割弱の約140万トン。

造船・重機 9月中間決算 5社そろって増収 景気拡大、円安が奏功

2007/11/09 FujiSankei Business i.

 IHI(旧石川島播磨重工業)を除く造船・重機大手5社の2007年9月中間連結決算が8日、出そろった。全社が増収を記録し、営業利益は日立造船を除く4社が過去最高を更新した。世界的な景気拡大を背景に船舶部門や機械部門が好調で、為替相場が円安に振れたことも利益を押し上げた。

 08年3月期でも川崎重工業と住友重機械工業が業績予想を上方修正。三井造船も7月末に上方修正しており、各社とも増益を見込んでいる。世界的な旺盛な投資を背景に、当面は好調な業績が続きそうだ。

 各社の業績向上を支えたのは、船価上昇に伴う船舶部門の収益改善。三菱重工業、川崎重工業、三井造船の3社の同部門の営業損益が黒字転換し、住友重機械工業は前年同期に比べて黒字が2・5倍に拡大した。

 8日発表の日立造船も船舶関連機械を含む機械・プロセス機器部門の黒字が8割近く増え、鉄鋼・建機部門の落ち込みをカバーし、全体を牽引(けんいん)した。同部門は「高温高圧の反応器なども好調で2年分の受注残を抱え、選別受注を進めている」(小川泰雄取締役)という。この結果、連結ベースの公表を始めた2000年9月中間期以来、経常損益が初めて黒字に転換した。

 IHIは、9月末にエネルギー・プラント事業の多額損失で今期業績を大幅に下方修正。調査委員会を立ち上げて多額損失の原因究明を進めていおり、5日に予定していた中間決算発表を延期している。

日本貿易保険、日本の造船会社の輸出支援強化

2007/10/29 NIKKEI NeT

 独立行政法人の日本貿易保険は、日本の造船会社による輸出を支援する貿易保険を強化する。保険を通じ、アジア地域などの海運事業者が日本船を購入しやすい環境を整える狙いだ。

 月内にもばら積み船専業の中堅メーカー、大島造船所(長崎県西海市)の建造した船舶の購入資金に関して、保険を引き受ける。タイ大手海運事業者のTTAグループが新造船を購入する予定で、TTAがソシエテジェネラル銀行東京支店から調達する32億円返済の保険契約を受ける。

県内外の42人が修了式 OBらから技能を継承 佐伯市 大分地域造船技術センター

2007年06月23日 西日本新聞朝刊

 団塊世代が大量定年する「2007年問題」を迎える中、造船業界の熟練技能を継承していく目的で、佐伯、臼杵両市の造船関連9社が国などの支援を受けて組織する大分地域造船技術センター(佐伯市鶴谷町)の2期生42人の修了式が22日、同センターであった。

 センターでは、県内外の造船所から集った新入社員らが4月3日から3カ月にわたって、図面の見方といった基礎的な学習をはじめ、溶接やクレーンの技能などについて造船会社OBら熟練工から指導を受けてきた。

 修了式には、佐伯市の西嶋泰義市長ら関係者が出席。同センターの岩本光生会長が「日本の造船を支えていくという高い志をもって仕事に励んでもらいたい」とあいさつ。研修生を代表して臼杵造船所の伊東直人さん(22)が「貴重な体験を有意義なものとしていきたい」と謝辞を述べた。

瀬戸内海沿岸の造船所、外国人労働力の活用拡大

2007/06/23 NIKKEI NeT

 中国地方の瀬戸内海沿岸の造船所が外国人労働力の活用を拡大する。受注活況で現場の人手不足感は高まるが、大手や他業種との競争で人材難、人件費上昇が深刻なためだ。人手に負う作業が多い造船現場は今後、労働力人口が減少する国内だけでは補えなくなる恐れがあり、外国人労働力の確保・育成にかじを切る造船所が増えそうだ。

 修繕船専業の三和ドック(広島県尾道市、寺西勇社長)は昨年から初めて外国人研修生を受け入れた。ベトナムからの8人で、段階的に採用を増やし現在、30人となった。造船業界の好況は2010年ごろまでは底堅いとみて、今後も採用を増やす方針だ。

 今月初めには1億5000万円をかけ、外国人研修・実習生用の寮も完成した。全室個室の60室を備え、各室にインターネット回線を敷いた。「ベトナム人はまじめで意欲もある」(寺西社長)と、福利厚生支援も充実させ、外国人を中期的な戦力に組み込む

過去最高の494万トン−四国の造船受注量

2007/06/22 四国新聞社

 四国運輸局がまとめた2006年度の四国の造船実績によると、受注量は総トン数が前年度比23%増の494万トン、契約総船価が同42%増の5082億円となり、2年ぶりに過去最高を更新した。同局産業船舶課は「中国需要が依然好調なのに加えて、船舶の強度を上げるなどした安全基準規則改正に伴う駆け込み需要があった」としている。

 受注量は同20%増の151隻。全国シェアは36%で、前年度より1・6ポイント上昇した。今後の受注の見通しについて、同課は「工事の予定が3年以上入っている造船会社もあり、引き続き高水準で推移する」と指摘している。

 受注実績は総トン数2500トン以上、または長さ90メートル以上の船舶を対象に、建造許可実績を基に算出している。

 四県別にみると、香川が42隻(前年度比4・5%減)、223万1100総トン(同3・4%減)。隻数の全国シェアは10・0%と前年度を2・0ポイント下回った。愛媛は11隻増の81隻、高知が前年の1隻を大きく上回る27隻、徳島は10隻減の1隻だった。

 船種別には、国内船が10隻、輸出船が141隻。石炭や鉄鉱石などの貨物船が108隻で、原油や石油を運ぶ油槽船は43隻だった。

造船工業会会長に川重会長・田崎氏

2007/06/20 神戸新聞

 日本造船工業会(東京)は十九日、定時総会を開き、新会長に田崎雅元・川崎重工業会長を選任した。任期は二年。

 造船業界は世界的に活発な荷動きを背景に、高水準の需要が続いている。会見した田崎会長は「好機ととらえ、足元を固め競争力強化に取り組む必要がある」と表明。業界の課題として、需給バランスの正確な見極め▽技術・技能の継承▽環境保全をキーワードにした技術力の強化-などを挙げた。

 川重などが中国企業と合弁で進めている海外生産が業界全体に広がる可能性については、「足並みがそろうことにはならない」としつつも、「日本の少子化や人口減もあり、国際分業の時代に入った。国内生産に100%こだわるのでなく、技術や品質保証などで利益を追求する構造にならないといけない」と強調した。

 中国などとの分業に対しては技術流出の可能性が指摘されているが、「われわれが進出しなかったらよそから技術が入り込むだけ。古い技術をお金に換え、新しい研究開発に回す必要がある」と述べた。(足立 聡)

大宇造船、中国・大連の船舶ブロック工場完工

2007/06/18 朝鮮日報/朝鮮日報JNS 金徳翰(キム・ドクハン)記者

 韓国造船業界の海外進出が目覚ましい。STX造船が中国の大連に、韓進重工業がフィリピン・スビックに総合造船所を建設したのに続き、大宇造船海洋も最近、中国・烟台に大規模船舶ブロック(キーワード参照)工場を完工した。

 現在、船舶ブロックが次第に大きくなる傾向にあるが、超大型船舶でも大型ブロック数個を組み立てれば完成するシステムに変わりつつある。このため、大型ブロック工場は事実上準造船所となっている。烟台ブロック工場の完工は、韓国国内の造船所が造船基地を海外に移していることを示している。

 大宇造船海洋は15日、中国山東省烟台経済技術開発区「大宇造船海洋山東有限会社(DSSC)」で、船舶ブロック工場の完工式を行った。30万坪の敷地に荷役設備と切断・組み立て工場、岸壁2個を備え、今年だけで約3万トンの船舶用ブロックを製作、大宇玉浦造船所に供給するとしている。また2010年には年産22万トンまで増産する計画だ。

 ここ数年で、船舶の受注が相次ぎ、船舶用ブロックの確保に苦労してきた大宇造船海洋は、2005年9月にDSSCを設立し、1億ドル(約123億円)を投資、同工場を建設した。しかし依然として生産性が玉浦造船所に比べて劣る上に、運送費コストもかかるが、人件費など原価が低く、30%程価格競争力が高まるものと分析される。2010年には年間700億ウォン(約93億円)の原価削減効果がある、と大宇造船海洋側は説明する。

 今回の工場完工により、大宇造船海洋が保有する海外生産施設は、ルーマニア政府と合弁のルーマニア・大宇マンガリア造船所を含め2カ所になった。大宇造船海洋の南相兌(ナム・サンテ)社長は竣工式の後、ブロック工場を造船所に転換できることを示唆した。南社長は「中国の法律上、造船所の資本比率の51%を中国側が所有している。今のところ計画はないが、法律が改正されれば(造船所への転換を)慎重に考える。玉浦造船所の新規船舶建造の競争力が低下すれば、中国で(ブロック生産だけでなく)船舶も生産する考え」と語った。

 これにより造船業の生産基地海外建設の動きは今後さらに加速するものとみられる。つまり、韓国国内では超大型コンテナ船と液化天然ガス(LNG)船、ドリル・シップ、浮遊式原油貯蔵荷役設備(FPSO)など高付加価値船舶・海洋設備を建造し、汎用船種は中国などで建造するという地域別分業型の会社が増えるというわけだ。

 大宇造船海洋の幹部は「国内の雇用減少、船舶建築技術の流出といった懸念もあるが、1970‐80年代、造船業世界1位に君臨した日本が結局国内生産にとどまり、1位の座を奪われたことを教訓にすべき」と話した。

■キーワード:船舶ブロック

 レンガを積んで建物を造るように、巨大な船舶も部分単位に分けたブロックを陸上で造り、これをドックに移して溶接し、完成させる。このブロックを作る工場がブロック工場だ。個別ブロックが次第に大きくなる傾向にあり、3‐5個の大きなブロックを連結して船一隻を作ることもある。これにより、造船業界ではブロック工場の重要度が次第に高まっている。

新造船受注 2年ぶり増加

2007/06/16 中国新聞ニュース

 中国運輸局が15日まとめた中国地方(宇部市以西を除く)の2006年度の新造船受注量は、401万6000総トン(130隻)と、前年度比37.8%アップし、2年ぶりに増加した。

 中国などの経済成長で世界的な海運活況を受け、過去最高の1973年度(693万1000総トン)に次ぐ2番目の水準になった。海外船主からの新造船受注は、101隻と37.5%増加。ばら積み貨物船(53隻)コンテナ船(18隻)などの受注増がけん引した。

川重坂出、需要拡大に対応−LNG船生産増強へ

2007/06/20 四国新聞社

 国内造船大手が、生産能力の増強に動き始めた。中国などの経済成長を受け世界的に船舶需要が拡大しているためで、川崎重工業は液化天然ガス(LNG)船の生産能力を拡大、石川島播磨重工業も1996年から造船事業を休止している工場で操業を再開する。

 国内造船業界は、70年代後半からの造船不況を経て設備を大幅削減したが、その後は生産能力を維持してきた。約30年ぶりに能力増強に踏み切る背景には、近年の需要拡大で各社とも3、4年先まで大量の受注を抱えていることや、競合する韓国メーカーの人件費上昇と円安進行などで国際競争力が高まったことがある。

 川崎重工は、2007年度からの2年間で約100億円を投じ、坂出工場(香川県坂出市)のLNG船の生産能力を拡大する。また、中国にあるグループ企業を通じて、中国海運大手が大連市に建設する造船所に出資することも検討している。

 石川島播磨重工は、今秋、愛知工場(愛知県知多市)で造船事業を約11年ぶりに再開し、鉄鉱石などを運ぶバラ積み船を建造する計画だ。

 三菱重工業は、06年度からの4年間で神戸造船所(神戸市)や下関造船所(山口県下関市)、長崎造船所(長崎市)、横浜製作所(横浜市)に計約400億円を投資し、生産設備などを更新する。

久慈工場拡張を内定 北日本造船、50人雇用

2007.6.12 岩手日報

 県は11日、八戸市の中堅鉄鋼船メーカー北日本造船(東徹社長)の久慈工場の拡張・増設が内定したと発表した。同社は現久慈工場に隣接する県有地(工業用地)約2万8千平方メートルを取得し、タンカー胴体部の船殻ブロックを製造する建屋などを増設する。約50人の新規雇用を予定し、来年春の操業を目指す。

 工場の拡張・増設は、北日本造船が製造するケミカルタンカー(化学薬品などの運搬船)の受注増への対応。同社によると、今後5年程度で既に40隻余りの受注を確保しているという。

 増設地は、久慈港半崎地区の現久慈工場の隣接地で、東側に新たなブロック製造工場と設備、西側に緑地などを整備する。

 総投資額は約16億円。久慈工場のブロック製造能力は月1500トンだが、増設に伴い月3000トンに倍増する。

 久慈工場の5月末現在の従業員数は141人。同社は工場増設に伴い、久慈地域を中心に約50人の新規雇用を予定。

 県は20日開会の県議会6月定例会で県有地にかかる財産処分議案を提案する。

 久慈市の山内隆文市長は「雇用の確保や、市民所得の向上、税収確保にもつながり、大いに歓迎すべきことだ。安全に製品を運搬できるよう久慈湾の静穏度向上を国や県に働き掛けるとともに、市としてもできる限り支援したい」としている。

川崎造船、設備投資2年間で135億円

2007/06/06 神戸新聞

 川崎造船(神戸市中央区)は二〇〇七年度からの二年間で、神戸と坂出(香川県)の両工場に生産設備の増強など計百三十五億円を投じる。一〇年度までに毎年平均で百五十人を採用し、大量退職する団塊世代の補充に加え、建造工程で自社従業員の比率を高める。収益力の強化で、一一年三月期の収益は〇七年三月期の倍増を目指す。(段 貴則)

 世界的な海運需要の増加で受注が好調な上、船舶の価格も上昇し、〇八年三月期は三年ぶりに営業黒字となる見通し。「利益が見込める間に老朽化した設備を一新し、競争力を確保する」(谷口友一社長)として大型投資に踏み切る。

 神戸工場には三十五億円を投資。つり下げ能力八十トン級の建造用クレーン一基を二百トン級に置き換えるほか、工場内の塗装棟を拡張する。主軸の坂出工場には百億円を投資。工場棟を新設するなど、液化天然ガス(LNG)船の増産に対応させる。

 人員面は一〇年度までに年間百五十人を採用。〇五年度比三百人増の二千人体制とする。協力会社の従業員が受け持つ工程を自社従業員がこなすことで、生産効率の改善などを積極的に進める。

 中国の合弁会社でも二本目の大型ドックを新設中で、〇八年春稼働予定。合弁会社も加えた川崎造船グループ全体で、一一年三月期は売上高二千二百億円、経常利益百億円超を目指す。

船舶排水の微生物処理、三井造船が装置開発

2007/06/03 NIKKEI NeT

 三井造船や日立プラントテクノロジー、JFEエンジニアリングの大手プラント3社はそれぞれ、船体を安定させるために船底に積む海水に含まれる微生物を処理する装置を開発した。海水が本来の生息地から他国に運ばれて排出され、生態系を壊すケースが相次いでおり、2009年にも国際的な規制が導入される見通し。規制に伴う浄水装置の需要は2兆円に上るともいわれており、各社とも実用化を急ぎシェア獲得を目指す。

 船舶は空荷で運航すると不安定になるので、出港地で海水(バラスト水)を積み込み、立ち寄る港で荷物を積載する時に排出している。バラスト水に含まれる海藻、菌類が他国で排出されると、生態系が崩れることが問題化。国際海事機関(IMO)は細菌などを処理する装置の設置を新造船に義務づけることを決め、09年にも発効する。

1期生36人が修了式 長崎地域造船造機センター

2007/06/02 長崎新聞

 地場中小企業の新入社員に熟練者の技術を伝えようと、今年開設された「長崎地域造船造機技術研修センター」で、約二カ月間の研修を終えた一期生三十六人の修了式が一日、長崎市香焼町の三菱重工長崎造船所香焼工場で開かれた。

 一期生は市内十二社の十八歳から二十八歳までの新入社員。四月の開設以来、同造船所OBの講師十一人が基礎的な知識、技術を指導。同日までに資格取得など所定の研修課程を修了した。

 修了式では、同センターを開設した県内の中小造船関連三団体のうち、協同組合三菱長船協力会の坂本伸慈副理事長(エスワンコーポレーション社長)が「企業の将来は皆さんが背負っている。さらに技術に磨きをかけて」と激励。一人一人に修了証書を手渡した。

 研修生を代表し、松尾修司さん(28)は「習得した資格や心構えは貴重な経験。大きな自信になった。精いっぱい会社の仕事に生かしたい」とお礼を述べた。

 講師の一人で元造船マンの向潮さん(65)は「技術だけでなくプロ意識や気構えを教えた。先輩に好かれる人間になり、一流の技術者に育ってほしい」と話した。

 同センターは、団塊世代が大量退職する「二〇〇七年問題」で造船現場の技術力低下が懸念される中、個別対応が難しい中小企業の技術継承支援が目的。国の事業に基づく国内五カ所目のセンターとして開設され、三菱重工が訓練施設を提供した。来年以降も、新入社員を対象に研修を実施する。

造船:韓国に追い付け、追い越せ! 自信取り戻した日本

2007/05/12 朝鮮日報/朝鮮日報JNS チョン・チョルファン記者

日本の造船業界が30年ぶりに新規投資

 日本の造船業界が造船業への新規投資を中止してから30年ぶりに設備投資することを決めた。

 海外の船舶需要が大幅に伸びていることや、造船産業の構造改革による生産性向上、円安などを追い風に向上している価格競争力を土台に、「韓国に追い付け、追い越せ」というムードのようだ。

 日本経済新聞は11日、三菱重工業や石川島播磨重工業などの日本の造船大手が生産能力増強のため大型設備投資を予定していることを報じた。同紙によると、日本最大の造船メーカー・三菱重工業は現在抱えている船舶受注量を解消するため2010年までに既存の造船所に400億円の投資を実施し、現在年間156万トンの船舶生産量を10%以上増やす計画を立てたとのことだ。

 また、日本で3・4番手の造船大手・石川島播磨重工業(IHI)も愛知県内の造船所の操業を年内に再開し、日本国内だけで造船所計3カ所を運営する計画だ。IHIはしばらく生産を中止していたバラ積み船(穀物などの比重の小さい粉流体の荷役のための専用設備を持つ船舶)や液化天然ガス(LNG)タンカーの生産も検討している。バラ積み船市場は中国が割安な価格で既に市場を握っている分野。また、LNGタンカーは現代重工業・サムスン重工業・大宇造船海洋といった韓国の造船大手が得意としている。

 技術力では韓国に追い抜かれ、原価競争力では中国に追い越された日本が、新たに船舶生産力の拡大に乗り出したのは、このところ日本の造船産業が急速に競争力を回復しつつあるためだ。特に「韓国製船舶との価格競争力がほぼ同じになり、自信を取り戻したのでは」と造船業界関係者は見ている。

 同紙は、かつて日本の船舶建造費は韓国より30%以上高かったが、韓国の賃金上昇やウォン高が続いていることや、30年間続いた日本の造船業界の構造改革効果、円安も追い風となりライバルの韓国勢と対等になったと判断したと報じている。

 日本の造船業界は1970年代後半以降、旧運輸省(現国土交通省)の主導で2度にわたり大規模な設備削減を実施してきた。各社はその後も生産能力を基本的に維持したまま、生産効率を向上させる努力を続け、生産量を伸ばしてきた。

 日本の造船業界は3―4年先までの受注を確保し低ル状態で、去年の建造量は31年ぶりに過去最高を更新した。

 サムスン重工業関係者は「去年から日本の造船業が勢いを取り戻し、韓国の後を追う態勢に転じたのは事実」としながらも「韓国がさまざまなオーダーメード型船舶技術を確保しているのに比べ、日本は標準型船舶にだけ力を注いで来たため、日本の造船業が短期間に韓国を追い上げるのは難しい」と話している。

団塊の技熱く継承、元造船マンが技術を伝授…長崎市香焼町

2007年05月12日 Yomiuri On-Line 九州発

ガス溶断の講習を受ける新入社員ら(11日、長崎市の三菱重工業長崎造船所香焼工場で)=大野博昭撮影 長崎市香焼町の三菱重工業長崎造船所香焼工場で、長崎県内の造船関連企業の新入社員36人が元造船マンから技術を受け継ごうと、実習に励んでいる。

 団塊世代の大量退職時代を迎える中、技術の継承を目指す国土交通省の次世代人材育成支援事業の一環。昨年12月、県や市の補助を受けて設立された「長崎地域造船造機技術研修センター」が主催し、元造船マン10人が高校を卒業したばかりの受講生らに、図面の見方から実技など「職人のいろは」を直接指導している。

 11日は溶接・溶断実習が行われ、厚さ12ミリの鋼材をガス切断機で切る作業に新入社員らは悪戦苦闘。「酸素が足らんぞ」などとアドバイスを受けながら何度も練習を重ねた。講師の一人、脇山淳二さん(61)は「ここから将来の日本の造船業を支える技術者が出てくれたらうれしい」と話していた。

造船所が庄原でイチゴ栽培

2007/05/12 中国新聞ニュース

 庄原市をイチゴの産地にしようと、造船業の大島造船所(長崎県西海市)が、市内で栽培事業を本格的に展開することが11日、分かった。標高差の大きい地形を活用して通年栽培する。夏イチゴは既に試験栽培を開始し、冬イチゴも地元住民から協力の了解を得た。大島造船所によると、ハウスは同社が建設し、組合や個人などにリース。技術指導して、生産されたイチゴも買い取る計画。当初の投資額は約2億円。

ツネイシに過怠金支払い命令

2007/05/12 中国新聞ニュース

 福山市沼隈町、造船会社グループ「ツネイシホールディングス」(神原勝成社長)が敷地の一部2.1ヘクタールを違法に埋め立て、40年以上も未登記にしていた問題で、広島県は11日、港湾区域を営利目的で不法占用していたとして、同社に約9000万円の過怠金を支払うよう命令した。海に戻すのが困難なため県は、公有水面埋立法に基づく工場敷地の原状回復義務を11日付で免除し、国有地としたことも伝えた。

石播、愛知工場での新造船建造を再開・11年ぶり

2007/05/12 NIKKEI NeT

 石川島播磨重工業は年内に愛知工場(知多市)での新造船建造を再開する。1996年に円高による収益の悪化で生産を中止して以来、11年ぶりの建造になる。再開に備えて要員を100人増やし、600人体制とするほか、30億円の設備投資も実施する。新興国の経済成長で船舶の需要が高まっており、造船所の再開で供給能力を高める。

 愛知工場は現在、鋼鉄製橋りょうなどの大型構造物や船舶を構成する「船体ブロック」を生産している。年内に5万6000重量トンのばら積み船の建造を開始。2011年度からは造船の技術を生かした液化天然ガス(LNG)の海上貯蔵設備や、LNG船を建造する方向で検討している。

 追加する100人は協力会社を中心とする。石播の造船子会社の横浜工場(横浜市)からも社員が技術支援に出向く。設備は400トンクレーン2基を中心に既存装置を使うため、大掛かりな投資は必要ないが、30億円を投じて溶接設備などの拡充を図る。

石播、愛知の造船所再開・国内造船大手、30年ぶり増強

2007/05/12 NIKKEI NeT

 国内造船大手が約30年ぶりに生産能力の増強に踏み切る。石川島播磨重工業は愛知県にある造船所の操業を年内に再開。三菱重工業は2010年までに既存造船所に400億円の大型投資を実施する。中国などの経済成長で世界の船舶需要が急拡大、生産が追い付かない状況。為替環境の変化や生産性向上などでコスト競争力もライバルの韓国勢と対等になったと判断した。造船業界の復活は国内製造業の輸出競争力の回復を象徴するものとなる。

 日本の造船業界は1970年代後半以降、旧運輸省(現国土交通省)の主導で2度にわたり大規模な設備削減を実施。03年まで生産能力を増やさない「総量規制」が適用されてきた。各社はその後も生産能力を基本的に維持したまま、生産効率向上でここ数年の需要増に対応、06年の建造量が75年以来31年ぶりに過去最高を更新するまで生産量を引き上げてきた。それでも3―4年先まで目いっぱいの受注を抱え、需要増に追いつけない状況だ。

石川島が愛知造船所の操業再開へ、三菱重も造船に積極投資

2007年05月11日 asahi.com

 [東京 11日 ロイター] 石川島播磨重工業<7013>は、愛知県にある造船所の操業を10月から再開する。三菱重工業<7011>も、今後数年間にわたって、造船事業に積極投資を進める。関係筋が明らかにした。両社とも、足元で拡大している船舶需要に応える。

 石川島は、10月から2年間で5隻を建造。生産能力は現在の約110万総トンに対して20%程度上積みになるとみられる。既存設備を利用するため新規投資は30億円程度に収まる見通し。三菱重は、今後数年間にわたって造船事業に年間100億円規模の投資をする。すでに長崎造船所ではクレーンの増設を進めており、年内に稼動する見通し。

 中国など新興国での経済拡大にあわせて世界では船舶需要が高まっている。一方、ライバルの韓国では通貨のウォン高や人件費の上昇が進んでおり、コスト的にも競合できる環境が整ってきた。

活況の造船業界、過去最高水準 集積地の九州もフル操業

2007年05月07日 asahi.com

 造船業界が活気づいている。経済が急成長する中国を発着点に物流が活発になっているためだ。06年の世界の建造量は過去最高で、日本も1810万総トンになり、75年以来31年ぶりに過去最高を更新した。

 日本の建造量の約3割を占める九州と山口県西部の造船所も、3〜5年先までの工事を抱えてフル操業が続く。創立150年を迎える三菱重工業長崎造船所(長崎市)では、球形のタンクを載せた液化天然ガス(LNG)船などの建造が急ピッチで進む。

TSL売却を検討−三井造=小笠原航路断念受け

2007/05/07 JiJi

 三井造船の元山登雄社長は7日の記者会見で、取り扱いが宙に浮いたままになっている同社建造の超高速旅客船テクノスーパーライナー(TSL)について「海外を含め売却先や転用先を探している」と述べ、独自に売却の検討に着手したことを明らかにした。

設備投資4割増へ 川重、08年3月期

2007/04/28 神戸新聞ニュース

 川崎重工業は二十七日、二〇〇八年三月期の設備投資額(連結、工事ベース)を前年から四割増やす方針を示した。船舶、汎用機、車両などの需要増に対応し計五百六十億円を投じる。

 汎用機部門では、明石工場(明石市)の二輪車生産設備など百八十億円を投資。航空宇宙部門は大型旅客機「ボーイング777」関連などに九十億円。船舶は七十億円。子会社の川崎造船坂出工場(香川県)で二百トンクレーン二基を新設。車両は兵庫工場(神戸市兵庫区)の設備拡充など五十億円。

 〇七年三月期連結決算は売上高が前期比8・7%増の一兆四千三百八十六億一千八百万円、経常利益は58・8%増の四百九十億五千二百万円、純利益は80・7%増の二百九十七億七千百万円。いずれも過去最高だった。〇八年三月期予想は売上高一兆四千八百億円、経常利益五百三十億円、純利益三百三十億円。(大久保 斉)

ツネイシホールディングス、今後5年間で700億円投資

2007/04/25 NIKKEI NeT

 ツネイシホールディングス(広島県福山市、神原勝成社長)は24日、主力の造船事業を手がける常石造船カンパニーの設備投資計画を発表した。今後5年間で700億円を投じ、海外工場を中心に国内外計4カ所の製造拠点を増強する。世界景気の拡大が海運市況の活況を生み、地方企業の投資判断にも波及してきた典型といえそうだ。

 国内2工場に200億円、海外2工場に500億円を投資。まずフィリピンのセブ工場で220億円をかけ、3月から新船建造ドック1基の新設に着手した。中国・浙江省の秀山工場はドックや船台の増設に150億円を投資する。

 本社のある常石工場(福山市)と多度津工場(香川県多度津町)は生産効率を高める。塗装工程の機械化など、生産設備の更新で120億円をふり向ける。これにより中型ばら積み船の建造能力は約2倍の年間80―90隻に拡大する。

 現在国内外で計約1万人の工場人員も海外を増員していく計画だ。フィリピンで4200人、中国で2800人の従業員を計1万人をメドに増やしていくとみられる。

ツネイシ、フィリピンの造船工場を増強・3年間で220億円

2007/04/20 NIKKEI NeT

 ツネイシホールディングス(広島県福山市、神原勝成社長)は19日、フィリピンの造船工場を増強すると発表した。2009年までの3年間で220億円を投じ、新造船建造のドックや大型クレーンを設置する。受注量の増加に対応した能力増強。海外工場をフルに活用し、コスト競争力を強化する。

 3月から建設に着手したのはセブ島に展開する常石造船カンパニーの子会社、ツネイシ・ヘビー・インダストリー・セブ。現在、二基ある船台に加え、ドックを一基新設する。あわせて300トン規模の大型クレーン4基を据えるほか、船体を組み立てるブロック工場も建設する。

 フィリピン工場の建造能力は年間30隻(積載量5万トン級の貨物船換算)に倍増する。従来は10万トン以下の中型ばら積み船が主力だったが、ドック新設で18万トン前後のばら積み船の建造にも対応できるという。

 ツネイシは10年にフリピン工場で1000億円の売り上げを目指しており、順次、設備増強する考えを表明していた。

ツネイシHD、福岡市に船舶設計拠点を開設

2007/04/19 NIKKEI NeT

 ツネイシホールディングス(広島県福山市、神原勝成社長)は福岡市に国内外4カ所目となる船舶の設計拠点を開設した。新造船の建造増加に対応するためで、人員も2008年12月をメドに3倍の50人に増やす。海外の設計人員も10年を目標に倍増する計画で設計力を高めてコスト競争力を強化する。

 ツネイシグループの中核事業を手がける常石造船カンパニーの福岡オフィスとして、4月から17人でスタートした。本社内と中国・上海、フィリピン・セブ島に続く4カ所目の設計拠点。当面、50人を目安に採用を増やし、年間25隻の新船設計ができる体制をつくる。

 九州の要衝である福岡への進出は、人材確保と海外拠点との連携強化が狙い。九州には三菱重工業長崎造船所をはじめ造船関連メーカーや理工系大学も多く、優秀な設計スタッフの確保や造船関連機関との連携にも有利とみられる。将来は中国とフィリピンに展開するツネイシの造船所とのネットワークの中枢拠点としても位置づけていく考えだ。

東北最大級クレーン建造

2007.04.19 三陸河北新報社

石巻の造船会社ヤマニシ

年内にも着工

貨物船集中発注に対応/

 石巻市の造船会社ヤマニシ(前田英比古社長)は、七十七銀行を主幹事とする金融機関と総額十億円の協調融資契約を結び、東北最大級の一五〇トンクレーンを建造することになった。造船の効率化を図って生産性を高める設備投資で、好調な中国経済を背景とした安定した受注が下支えとなっている。同社には国際航路で運航する積載重量一九、〇〇〇トン級の貨物船の発注が商社などから集中し、二〇〇四年から〇九年初めまで計二十二隻の建造を計画。年内にもクレーン建造に着工し、建造のスピードアップを進める考えだ。

 ヤマニシが使用しているクレーンは最大六〇トン。ほかに四〇トン、三〇トンといった規模のクレーンを使用している。新たに建造する一五〇トンクレーンを設置すれば、「作業効率が高まり、納期の短縮にもつながる」(同社)とみている。

 新クレーンは石巻市西浜町にある造船所内に設置する計画で、着工時期や構造などの詳細について詰めている。東北最大のクレーンは北日本造船(八戸市)にある一五〇トンで、ヤマニシが計画している規模と同じ。

 主に漁船を建造してきた石巻の造船業界は、水産業界が二百カイリ問題の直撃を受けた影響で受注が激減し、ヤマニシも一時は経営危機に陥った。しかし、地道に経営再建を続けた結果、数年前から建造ドックは空きなしの状態が続いている。

 国内造船業界は、積載重量三三、〇〇〇トン級以上の大型を専門とする会社と、一二、〇〇〇トン程度の小型を専門にする会社に分かれ、その中間を専門にする造船会社はほとんどなかった。

 ヤマニシは〇四年、香港の投資会社からの発注で建造した一九、〇〇〇トン級バラ積み貨物船を建造。これが海運業界で「近距離でも使い勝手が良いサイズ」という評判を得て、受注を増やした。ただ、利益率は低く、社内では設備面の強化も求められていた。

 資金調達で試みた協調融資(シンジケートローン)は、主幹事が融資条件を決定し、複数の金融機関が同一条件で融資する形態。窓口を一つにしておく関係で、融資を受ける企業にとっては大口の資金調達も効率的にできるのが最大の特徴となっている。

 今回の協調融資は、主幹事の七十七銀行のほかに石巻信用金庫、石巻商工信用組合、仙台銀行、三井住友銀行の四金融機関が参加した。無担保、無保証で三月三十日に契約し、期間は十年七カ月。

三菱重工 造船事業の海外進出検討 中国、東南アジアに調査

2007/03/03 FujiSankei Business i.

 三菱重工業は2日、造船事業の海外進出に向けたプロジェクトチームを発足させ、本格的な検討を始めたことを明らかにした。中国や東南アジアを軸に現地企業との合弁などによる造船所建設の可能性について詳細な調査を行う。早ければ年内にも進出の是非や立地などについて結論を出す方針で、実現すれば、同社としては初めての海外造船所となる。

 世界的な景気拡大や新興国の成長を背景に今後も造船需要の拡大が続くと判断。賃金などコストの安い海外への進出を検討することにした。日本の造船各社は技術面での不安などから海外進出に慎重な姿勢を続けており、海外進出はごく一部にとどまっている。

 同社では、船舶・海洋事業本部内にまず5人程度のチームを設置。中国をはじめ、フィリピンやベトナムなど東南アジア、インドの現地の造船会社の建造力を調査するほか、人材確保や人件費、資材の調達コストなども調べ、合弁などによる造船所建設の可能性を探る。

 同社の新造船の受注は、2010年まで建造能力いっぱいになるなど好調。しかし、韓国メーカーとの競争激化に加え、材料費や燃料費の高騰で採算が悪化し、造船事業は07年3月期で4年連続の営業赤字となる見通し。08年3月期には黒字転換を見込んでいるが、コスト削減による採算の改善が課題となっていた。

 さらに、安い労働力などを武器に建造能力を増強し受注を急速に増やしている中国メーカーに対抗するためにも、建造能力の増強と競争力の強化が急務と判断。現在進めている国内工場の設備増強と合わせ、海外進出による事業拡大を検討することにした。

 これまで、日本メーカーは、技術面での不安のほか、造船事業が防衛産業の一面も持つことや過去に数度の造船不況を経験していることもあり、海外進出に慎重だった。現在、海外進出しているのは、造船専業大手の常石造船がフィリピンや中国に工場を設置しているほか、川崎重工業が中国で合弁による工場を設置しているだけにとどまっている。

 三菱重工が海外進出に踏み切れば、他の日本メーカーも相次いで追随し、買収や提携による世界的な造船業界の再編へと発展する可能性もある。

三菱重工 造船事業の海外進出検討 空前の活況で好機

2007/03/03 FujiSankei Business i.

 ■品質確保など課題山積

 三菱重工が海外進出へと動くのは、中国など新興諸国の急速な経済成長で、原油などエネルギー資源や自動車など工業製品の世界的な荷動きが活発化し、各国の海運会社による造船需要が急増しているためだ。2006年の日本の造船建造量は1810万総トンとなり、31年ぶりに過去最高を記録した。

 今後もインドやブラジルなどの経済成長は確実な情勢。ある海運会社幹部は、「2011年以降も数百隻規模で発注するだろう」と明かす。造船業界でも、「需要が下がる兆候は現時点で見えない」(大手造船会社幹部)との強気の見方が勢いを増している。

 日本の造船各社は、これまで合理化は進めても事業拡大には消極的だった。

 かつては世界トップの造船大国だったが、1979年の第2次石油ショック以降ほぼ10年ごとに3度の造船不況を経験。新造船建造量でも韓国に抜かれ、中国の猛追を受けている。

 しかも、ここ数年は、原材料の高騰による“利益なき繁忙”が続いた。総合重機各社は造船を不採算事業と位置付けており、再編も活発化している。

 しかし、需要の逼迫(ひっぱく)で船価が上昇に転じたうえ、最大の競合である韓国勢が、ウォン高により、「価格は日本とほぼ同じになった」(大手造船会社首脳)。中国勢も、「造船所を作りながら受注している」(同)状況で、技術力や工期など信頼性に不安を残している。

 海外進出には、人材確保や材料の品質確保など課題は山積で慎重な判断が求められるのは確か。しかし、空前の活況は、技術力を持つ日本勢が、コストの安い海外に打って出て、さらに競争力を高める千載一遇のチャンスでもある。(池誠二郎)

船体ブロック新作業場が完成

2007/02/27 中国新聞地域ニュース

 船体ブロック製造など13社でつくる因島鉄工業団地協同組合(尾道市)は26日、大幅な増設工事を進めていた新共同作業場を完成させた。船体ブロックの月産能力は1200トン増え、9200トンになる。同組合は、尾道市因島重井町にある現作業場沖の海面約3200平方メートルを埋め立て、新たな共同作業場1棟(1540平方メートル)を建設した。同時に既存の共同作業場4棟もリニューアルした。総事業費は25億円。

常石造船が中国に技術学校

2006/12/28 中国新聞地域ニュース

 常石造船(福山市)の中国の現地法人2社は、現地教育局と連携し、工場を構える浙江省の秀山島に造船技術学校を設立する。定員40人で2007年9月の開校を目指す。 設立費や学費を全面負担し、岱山県職業技術学校常石集団分校として開校する。 全寮制で日本の工業高に相当し、3年間で語学や数学に加え、溶接、ガス切断など船の建造、修繕用の技術を指導する。 常石造船は、現地で操業しており雇用増を見込む。

造船受注が好調 中国地方

2006/12/19 中国新聞地域ニュース

 中国運輸局がまとめた中国地方(宇部市以西を除く)の2006年度上半期(4―9月)の造船新規受注は、前年同期比35%増の199万2000トン(61隻)で、近年の平均的実績である約150万トンを大幅に上回った。 運輸局は「中国など世界的な粗鋼生産量の増加で、鉱物資源の輸送船の需要が伸びたのが大きい」とみている。 内訳は、輸出船が198万9000トン(50隻)で前年同期より35%増加した。

JFEが造船事業買収へ

2006/11/11 神戸新聞

 JFEグループが日立造船と折半出資している「ユニバーサル造船」(川崎市)の株式を買い取り、子会社化する方向で調整していることが11日分かった。JFEが日立造船の造船事業を買収する形となり、日立造船は創業事業の造船から事実上撤退する方向だ。

 世界的な好景気を受けた物流需要の拡大で、造船業界は大量の受注を抱えているが、韓国や中国との競争が激化。資材価格高騰による採算の悪化などもあり、国内造船業界の再編が進みそうだ。

 JFEは、ユニバーサル造船を子会社化することで、造船事業をエンジニアリング事業を立て直す柱に位置付ける。鉄鋼事業との連携も強めてグループ全体の生産コストの削減につなげる狙いがある。

 日立造船は、かつての造船事業に代わって主力になっている環境・プラント事業などに集中し、収益力を高める方針。

 ユニバーサル造船は、JFEの前身であるNKKと日立造船が、それぞれの造船部門を切り離す形で2002年に設立。05年度の売上高は1397億円。JFEによると建造量は今治造船(愛媛県今治市)に次いで国内2位。

 日立造船は、熊本県長洲町や京都府舞鶴市などに造船所を展開していたが、海外メーカーとの競争などに押されて事業を順次縮小。今年2月には保有する内海造船の株約53%のうち、約33%を投資会社に売却した。

JFE、日立造船から造船事業買収を検討

2006年11月11日 asahi.com

 JFEホールディングスが、日立造船から造船事業を買収する方向で検討していることが11日わかった。現在、両社が50%ずつ株式を保有しているユニバーサル造船(川崎市)について、JFEが日立造船の保有株を買い取り、完全子会社化する案で調整している。実現すれば、日立造船は造船事業から事実上撤退し、主力の環境事業に力を注ぐことになる。

 関係者によると、日立造船側がJFE側にユニバーサル造船株売却を打診したという。両社が合意すれば、買収額を今後詰めることになる。ユニバーサル造船は02年、NKK(現JFE)と日立造船の折半出資で設立した会社で、国内2位のシェアを持つ。

 日立造船は公共事業の減少の影響などで06年3月期には連結最終赤字に転落しており、事業分野の見直しが急務になっている。そのため、アジア勢との競争が激しい造船事業を切り離すことが得策と判断したようだ。

 一方、JFEはユニバーサル造船を完全子会社化することで、鉄鋼やエンジニアリング事業と連携を強め、コスト削減などを進める考えとみられる。

盛衰120年、名門変ぼう──日立造船が造船撤退へ、名実とも消えゆく本業

2006年11月11日 NIKKEI NeT

 日立造船が創業事業といえる造船から事実上撤退する方針を固め、JFEホールディングスに統合会社「ユニバーサル造船」の株式を売却する交渉に入った。120年を超す歴史の中で一時は国内屈指の造船会社に成長しながら、度重なる経営危機という嵐に翻弄(ほんろう)された。名門企業は名実ともにその姿を変えようとしている。

 日立造船の前身は、神戸で貿易商を営んでいた英国人エドワード・H・ハンターが1881年に大阪・安治川右岸で興した「大阪鉄工所」。戦時中に現社名に改称した同社は戦後の1954年、建造シェアで最大手の三菱造船(現三菱重工業)の19.4%に次ぐ8.7%を確保。大阪人が今も親しみを込めて「タチゾウ」と呼ぶ有力企業に育っていった。

▼水都の代表企業

 水都・大阪では元禄時代の1689年創業の藤永田造船所(後に三井造船と合併)など、近世から盛んに和船が建造されてきた。明治以降に造船所が急増し、1949年6月時点で大阪には22の造船所があり全国首位を占めたと「昭和大阪市史続編」は記す。

 創業者ハンターが将来性を確信していた「造船ニッポン」は1956年、進水量173万5000総トンを記録、英国を抜き世界のトップに立つ。

 その後の全盛期に日立造船を率いたのが永田敬生。1962―83年の21年間、社長・会長を務めた。社長就任に際し「100万人の経営」を提唱、労使協議制と労組の経営参画という先進的な労使協調路線を敷く。これが裏目に出て石油ショック後の造船不況の中、人員合理化が遅れた。

 度重なる不況と韓国造船業の台頭で、一時は会社更生法申請を覚悟したほどの危機的な状況に、メーンバンクの三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)は副会長の藤井義弘を再建役に送り込む。1988―2001年に社長・会長を務めた藤井は、銀行時代の幅広い人脈を生かし、環境機器の受注を伸ばす。一時的に黒字転換を果たし「中興の祖」と称された。

▼抜本策の機逃す

 しかし造船業分離などの抜本策を講じるタイミングを逸し、2001年3月期まで3期連続で無配。責任をとって藤井は退任、退職慰労金の受け取りも辞退した。

 2002年10月発足のユニバーサル造船に生産設備や人員を移管して以降、日立造船に往時の面影はなくなっていた。

 ユニバーサル造船の持ち株を売却すれば、環境機器や鉄構を主力とする業態と社名のかい離は決定的となる。現在のロゴである「Hitz(ヒッツ)」への社名変更が早まるのは必至。かつての隆盛をしのばせるのは創業者の名を冠した神戸の異人館「ハンター邸」の豪華な造りだけとなる。=敬称略(編集委員 竹田忍)

<厚板生産量と造船鋼材の需給展望>日本・韓国・中国が世界建造量の84.5%を占める

2006年08月 「スノウチニュース」・21

 厚板鋼材の大口消費先のひとつに造船産業がある。世界の建造量は4,020万総トン(04年、前年比11.4%増)で、10年前の94年比では2倍強の伸張である。

 そして、04年の建造量シェアでは韓国造船が約1,480万総トン(世界建造比率の36.8%)、日本造船は約1,110万総トン(同36.1%)、中国造船は約466万総トン(同11.6%)でこの3ヵ国で実に約3,400万総トン(同84.5%)を占めるところまでになっている。

 日本ミルの厚中鋼板生産量は約1,090万トン(04年)で、その約42%の約370万トンが造船向けである。韓国ミルでは生産量約580万トン(同)で、造船向けは(輸入鋼材も含め)約460万トンとなっている。中国ミルの生産量は粗鋼生産の約10%の3,000万トン規模で、そのうち造船向けは約150万トンと思われる。

 日本、韓国、中国の造船建造と厚板消費の形態は、日本・韓国は造船需要の増大したことで、厚板生産量の増加要因になっている。日本造船はほぼ100%が国内厚板を使用しているが、韓国造船は国内厚板だけでは対応できず、日本などの輸入厚板を使用している。中国造船も100%国内厚を使用しており、造船建造量が増加しても厚板の需給事情から見て何ら問題ない。

 その中国鉄鋼産業の設備投資計画では、厚板生産量を現行の3,000万トンから5,000万トン(06年)、6,000万トン(08年)と増加するとしている。日韓の3倍の生産量になり、まさに脅威な規模になる。

 また、中国造船所は大連・上海・広州を拠点に着々と新鋭設備化を図り、韓国・日本に肉薄する勢いである。その代表が、上海市・長江河口外の長興島に世界最大の造船基地を造成し、中国船舶工業集団(CSSC)が大規模な造船所を建設している。その中国造船産業は20年後を、上海地区1,200万総トン、大連地区600万総トン、広州地区300万総トンの約2,000総トンを超える規模に拡大するとの予測をしている。

 世界の建造量が現行の20%増の5,000万総トンに拡大しても韓国・日本・中国の3ヵ国のシェア争いは激化すること必至、日本鉄鋼同様、高級船舶の建造による付加価値をつけるしか解決策ないように思われる。

資料:世界の商船建造量比率   2001 2002 2003 2004 2005 2006(予測) 日 本 38.4% 35.8% 35.1% 36.1% 35.6% 33.1%   韓 国 37.1% 38.8% 37.9% 36.8% 32.3% 37.0% 中 国 5.8% 6.5% 10.4% 11.6% 13.7% 13.9% E U 10.7% 10.0% 8.8% 9.0% 9.2% 7.8% その他 7.9% 8.7% 7.8% 6.4% 9.2% 8.2% 建造量 3,129 3,338 3,613 4,017 4,767 4,912 (万総トン) (出典:日本船主協会「日本海運の現状」)

日立造船が内海造船株を売却

2006/02/11 中国新聞地域ニュース

 国内中堅で東証二部上場の内海造船(尾道市瀬戸田町)の株式について、親会社の日立造船(大阪市)は十日、保有株式53・39%のうち、32・96%を投資会社カレイド・ホールディングス(東京)に二十八日付で売却すると発表した。カレイドは内海造船の筆頭株主になり、取締役の派遣も検討する。日立造船の事業再編の一環だが、内海造船の現行の経営体制は維持する。

 カレイドが造船会社に投資するのは初めて。中国向けを中心に荷動きが活発化して活況の造船業界に着目し、幅広い船種を生産できる技術力を持つ内海造船を投資先に選んだという。株式七百二十一万九千株を三十五億八百万円で購入する。

 購入の狙いについて、カレイドは「企業価値を高めた上で将来、株式を売却し、利益を得る。時期や相手などは、内海造船自身に売ることも含め、同社と協議しながら決めたい」としている。

 昨年十二月、カレイドが日立造船に内海造船の株式購入を申し入れた。ただ、将来の売却をにらみ、事実上の経営権を握る33・4%の株式までは求めなかったという。

 日立造船は二〇〇二年、旧NKK(現JFEグループ)と共同出資で設けたユニバーサル造船(東京)に造船部門を移して本体から切り離した。本体は自治体向けの焼却施設などの環境や情報技術(IT)分野への特化を進めており、売却を了承した。

 日立造船は「売却後の内海造船の株式20・43%は保有し続ける」と説明。内海造船は「新たに筆頭株主になるカレイドと、引き続き当社の株式を保有する日立造船の両社と協力し、造船事業を拡大させたい」としている。

 企業の合併・買収(M&A)が活発となる中、活況を呈する造船業界がその対象として狙われた格好だ。(金谷明彦)

 ▽地元「地域密着継続を」

 内海造船(尾道市)の筆頭株主が、親会社の日立造船から東京の投資会社カレイド・ホールディングスに移ることが分かった十日、会社側は冷静に受け止め、地元経済界は地域を支える事業の維持を求めた。

 内海造船の前田嘉治取締役管理本部長は「カレイドは現経営陣の取り組みに全面協力すると言っており、マイナスの影響はない」と強調する。因島工場(尾道市因島土生町)では二日に、約三万トンの中型船建造に着手したばかり。前田本部長は「三年分の手持ち工事はあるが、中国や韓国との競争も激化する。一層の生産性向上に努める」と気を引き締める。

 内海造船は因島・瀬戸田地域で最大の企業。一九八〇年代後半には日立造船の事業縮小で「島が沈む」といわれるほどの不況に襲われた。因島商工会議所の村上祐司会頭は「経営形態は変わっても、地域密着は続けてほしい」と望んでいる。(下久保聖司)

 ▽クリック

 内海造船 本社は尾道市瀬戸田町。本社がある瀬戸田工場と、因島工場(尾道市因島土生町)田熊工場(同因島田熊町)の3生産拠点がある。1944年に前身の瀬戸田造船として設立し、67年に日立造船グループ入りした。昨年1月には、同じ日立造船グループだった因島のニチゾウアイエムシーを吸収合併した。従業員数は昨年9月末現在で720人。

 カレイド・ホールディングス 大手銀行出身の川島隆明社長らが2004年9月に設立した投資会社。上場会社への投資では、04年12月に自動車管理事業を手掛ける大新東(東京)の株式の80%、05年11月に総合アパレルのレナウンダーバンホールディングス(同)の株式の21%を取得している。

常石造船がISO14001の認証を取得

2006年02月09日 News2u.net 常石造船株式会社

 環境負荷低減に向けた継続的改善と汚染の予防めざす

 常石造船株式会社(本社:広島県福山市沼隈町常石1083、代表取締役:神原勝成、URL:http://www.tsuneishi.co.jp、以下常石造船)は、環境マネジメントの国際規格ISO14001/2004の認証を、審査登録機のLloyd’s Register QAの審査を経て昨年12月20日正式に取得し、この1月30日に認証式を行います。適用部門は常石工場、多度津工場、経営管理本部、企画本部と、常石造船敷地内に所在する関連会社、常石鉄工本社事業部、多度津事務所、常石林業建設クラフト工場です。

 常石造船では今回の認証取得を機に、省エネルギー、省資源活動はじめ、地球温暖化ガスの排出削減や化学物質の管理強化、産業廃棄物の削減など、継続的な改善活動を促進し、大気、海洋汚染の予防など環境保全活動を全社的に展開していきます。

 さらに、1999年に取得した品質マネジメントシステムの国際規格ISO9001/2000とあわせた総合マネジメントシステムを確立し、顧客からの品質要求に加え、環境価値の高い省エネルギー船の開発などを通じ、地球環境に与える影響を常に意識した企業活動を実施していきます。

20年ぶり新造船 因島で中型

2006/02/03 中国新聞地域ニュース

 尾道市因島地域で二日、二十年ぶりとなる約三万トンのコンテナ船建造が始まった。「島が沈む」と言われた一九八〇年代の造船不況を乗り越え、中型船の組み立てが復活した。

 因島土生町の内海造船因島工場。午前十時四十分、コンピューター制御の切断機が動き始めた。鉄板を切るプラズマの光を見ながら、現場責任者の萩原善造・内業課長(56)は「再び、船を造れるとは思わなかった。緊張と希望で胸がいっぱい」とほおを緩めた。

 建造するのは、ドイツの海運会社から受注した二千五百個積みのコンテナ船(二八、五〇〇トン)。今後、切断した鉄板に骨組みを施し、六十トンのブロックを約百三十個製造。五月下旬から船台で組み立てていく。

 因島の造船マンにとって雌伏の二十年だった。日立造船の新造船撤退後、関連会社に移り陸上機械などを手掛けてきた。川路道博工場長(55)もその一人。「ブランクはあるが、技術がさびていないことを証明する。若い社員の自信にもなる」と意気込む。「造船の島」復活のシンボル船で、九月下旬の進水式は地域住民に公開する。(下久保聖司)

丸亀の今治造船爆発事故:現場責任者など、地検に書類送検−−労基署 /香川

2006年02月01日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 丸亀労働基準監督署は31日、今治造船丸亀事業本部蓬莱工場(丸亀市蓬莱町)内の死亡事故で、下請けの船舶溶接修理業「共同工業」(同市川西町北)と同社の現場責任者を労働安全衛生法違反の疑いで高松地検に書類送検した。

 調べでは、現場責任者は05年6月28日、同工場の東岸壁に係留された台船上(縦95メートル、横32メートル)で、同法で定められた転落防止の手すりを設置せずに派遣労働者3人に作業を指示した疑い。男性労働者(当時17歳)が鋼鉄製板をガス溶断中に誤って4・4メートル下の海に転落、水死した。【内田達也】

ベトナム造船産業総公社(ビナシン)、大手外国企業2社から造船受注

2006/01/24VIET.JO

 ベトナム造船産業総公社(ビナシン、Vinashin)は、2006年1月中に、三菱重工とデンマークのRederiet M.H Simonsen ApS社が、造船発注のため、ビナシンの造船技術の視察に訪れたと発表した。

 三菱重工は、5万6300DWT(載貨重量トン)と、5万3000DWTの船舶を発注済みで、2008年〜2009年に納入される予定、一方のデンマーク企業は、3500DWTの石油・化学物質タンカーを発注した。

 2006年、ビナシンは日本の他に、ギリシャ・ドイツなどの欧州市場への進出を拡大強化していく予定とのことだ。

> ビナシンは、1996年に設立された造船・舶用機械生産の国営公社。

>傘下に独立採算制で運営される同国の主要造船関連企業約50社を有する。

>年間売上高は1億6000万ドル(2004年)。従業員数は約15,000人。

安全研修センターを開設−常石造船

2006年01月23日 四国新聞社

 常石造船(福山市)は香川県仲多度郡多度津町東港町の多度津工場(綿谷伸二工場長)に、船内を再現した体験型訓練設備を含む「常石安全研修センター」を開設した。従業員の安全意識と危険予知能力の向上が目的で、新入社員の研修や中堅社員の再教育などに活用する。

 二〇〇四年十月に多度津工場で四人が死傷した爆発事故を受け、同社が取り組んでいる安全対策の一環として開設。センターは、直方体の訓練設備(縦十二メートル、横六メートル、高さ六メートル)と学科教室、チェーンブロックやワイヤなどの不良品を並べた展示場の三区画からなる。総面積は約五百五十平方メートルで、約二千万円をかけて整備。同様の施設は国内にはないという。

 訓練設備はタンク内の暗がりでの作業を想定。落下危険個所を踏むとブザーが鳴る疑似体験スペースや手すりのない足場、不安定なはしごなどを設け、転落防止に主眼を置いた実践的な訓練が行える施設となっている。

 同工場の作業員は約八百五十人。そのうち約七百人が協力会社の従業員で、年間に五割近くが入れ替わるという。綿谷工場長は「作業員の入れ替わりが激しいので、その都度研修を行って安全意識を徹底させたい」と話している。

 安全研修センターは、福山市の本社工場にも三月末までに整備するほか、フィリピンや中国など海外工場にも順次建設していく予定。

 多度津工場では〇四年の爆発事故以来、従業員が気づいた安全衛生上の問題点や注意点を「ヒヤリハット報告メモ」として提出してもらうなど、事故の再発防止に努めている。

常石造船、2月1日付で新造船と修繕船の組織統合

2006/01/20 NIKKEI Net

 常石造船(広島県福山市、神原勝成社長)は2月1日付で、修繕船部門を新造船部門と組織統合する。同時に常石工場(同市)、多度津工場(香川県多度津町)内にそれぞれある品質管理部を一本化、新たに品質保証本部を設ける。新造船建造の需要増に対応し、生産の効率化と品質管理の強化を目指す。

 これにより同社の組織は企画、経営管理、品質保証の3本部と2工場体制となる。修繕船部門は常石工場敷地内にあるが、現在は「修繕工場」として組織上は新造船の「常石工場」とは別になっている。来月からは常石工場の修繕部などとなる。

 人材配置や工場施設の運営を柔軟にし、迅速な生産・修繕体制を築く。中国の現地法人が秀山工場(浙江省)で製造した船体ブロックを、常石工場内に運び込んで接合する作業などでも人員を確保しやすくなるという。

三井造船:国内最大級の1000トンクレーン、千葉造船所で稼働 /千葉

2006年01月18日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 造船大手の三井造船(本社・東京都)が千葉造船工場(市原市八幡海岸通1)に造船工場としては国内最大規模の1000トンクレーンを設置し、稼働させた。大型化でドックの回転率を上げ、建造能力を高めるのが狙い。17日、報道陣に公開された。

 クレーンは2年がかりで設計、工事を行った。製作費は約20億円。幅約167メートル、高さ約87メートル。クレーン本体部分が500メートルのレーンを左右に動く仕組みになっている。

 造船は大きな鋼材のブロックを組み合わせ溶接する。これまでは300トンクレーン2台で最大600キロの船体ブロックをつるして持ち上げていたが、新クレーンでは最大900トンのブロックを搭載できる。30万トンのオイルタンカーの場合、ドックでの作業に約3カ月間かかったが、新クレーンにより2、3カ月に短縮できるという。  【山縣章子】

造船技術伝えます 佐伯に「センター」17日設立

2006年01月12日 大分合同新聞社

 県南地域造船業の次世代人材を育成し、造船技術を伝承する目的で十七日、佐伯市に「大分地域造船技術センター」(仮称)が設立される。十一日、西嶋泰義市長が記者会見で明らかにした。団塊世代が大量に定年退職する「二〇〇七年問題」をにらみ、新たな技術者を養成しようというもので、同センター設立は九州で初めて。全国では因島市(広島県)と今治市(愛媛県)に次いで三番目。

 佐伯市の佐伯重工業や臼杵市の南日本造船など九社が会員企業となって運営。従業員数に応じて年会費一万円から五万円を運営費として払う。国土交通省や県、佐伯、臼杵両市の補助もある。

 同センターは佐伯市保健福祉総合センター「和楽」で設立総会を開いた後、四月に市内鶴谷町の三浦造船所野岡工場内に開設する。それまでに、会員企業などから派遣する講師の研修や、教室、実習場の整備をする。

 対象者は造船関係業務の初級者で、会員企業や下請けの協力企業の従業員。初年度は約四十人を四月から六月までの三カ月間で集中的に養成する。内容はアーク溶接やクレーン操作など。

 県南の造船業界は、かつての不況を着実に脱出、数年先まで受注がある状況になってきており、〇七年以降の技術者確保は急務となっている。佐伯市では地域の基幹産業としての造船業を安定的に発展させるために、同センター設立は若者に「ものをつくる喜びと尊さ」を伝承し、造船・船舶工業の後継者を着実に育成するものと期待している。

活況の造船業界/韓国・中国と競合時代へ/環境保全技術などで新たな需要喚起も

2006年01月01日 「スノウチニュース」・14

 長大重厚の代表である造船業界に活況が戻ってきている。半世紀前の1956年(昭和31)、日本の造船は英国を抜き建造量世界一になった。それ以来、造船業界は産業発展の過程とともに設備過剰による過当競争をはじめ幾度かの厳しい不況に見舞われ「造船は斜陽産業」といわれてきた。

 その造船が捲土重来できたのは、100万トンドックなど過剰な設備処理をはじめ企業合併、系列・再編を繰り返し、さらに大手は造船部門を本体から分離・独立するなどドラスチックな改革を遂げた結果である。そこに世界の船舶需要が復活し、多用な船舶の需要が喚起したこともあって、新たな活況を呈してきたのである。

 60年代の日本は英国など欧州造船業界と競ってきたが、造船立国を自負する70年代に入って、韓国造船業界からの技術支援の要請に応えてきた。その韓国は驚異的な経済成長と勤勉な労働力をバックに成長した韓国と皮肉にも激しく競い合うことになる。そして世界新造船受注量(03年度)の実績は、日本2,063万トン、韓国2,932万トンと韓国造船業界に抜かれたのである。

韓国に遅れること10年。80年初頭から進出してきた中国造船業界は、国家施策と豊かな造船立地や豊富な労働力によって、20年余りで世界の約10%超(新造船受注量)を確保し、欧州諸国を抜き3位の地位に上り詰めてきた。現今の受注量は日本・韓国・中国で90%超を占めている。

 日本造船業界の再編後は、三菱重工業、三井造船、ユニバーサル造船、川崎造船、IHIマリンユナイテッド、住友重機械マリンエンジニアリングといった大手造船のほか、受注量では世界4位を誇る今治造船グループをはじめ中堅・中小造船を含めると52社(日本造船工業会、日本中型造船工業会会員)が造船業界を構成している。

 一方、韓国造船業界は、現代重工業、大宇造船海洋、三星重工業、三湖重工業、韓進重工業、現代尾浦造船、STX造船など大手と中小造船も含め建造能力では世界一を擁している。

この2カ国の新造船竣工量の10年前との対比は、94年=日本865万トン、韓国424万トン(2カ国で世界比率87%)で韓国の2倍以上が、03年=同1,269万トン、同1,368万トン(同73%)の若干数で韓国に抜かれている。

 これに対して中国は、比較的大規模な国有造船所が大連市、広州市に点在しているが、大連では新たに民間による大型造船所をつくり600万総トン規模にする計画。
また、上海市は人民政府の肝いりで長江河口外の長興島に中国船舶工業集団(CSSC)が世界最大の造船所を建設している。長興島の対岸の外高橋、崇明島も造船基地があり、10年後には1,500万トンを目指している。
中国造船業界の15年後予測は、CSSCと中国船舶重工業(CSIC)の2大国営造船集団によって、上海1,200万トン、大連600万トン、広州300万トンの2,000万総トン規模になると思われる。

 また、中国には人件費高とウォン高から三星重工業など中国・浙江にブロック製造の拠点をつくるなど韓国造船の中国移転も増えつつある。
また、日本も川崎造船(南通中遠洋川崎船舶工程)、常石造船(常石集団舟山大型船体)、今治造船(大連今岡船務工程)の合弁造船所を設立するなど中国の立地と労働力を求めて進出するなど中国造船は中国・韓国・日本の3極化は必至のようである。

 日本は03、04年の高水準受注を受け、「造船業界は確固たる基盤産業で、国際競争力を持っている」(西岡喬日本造船工業会長)と語るように、技術的にも建造量とも世界の市場をリードしている。こうした自信と高水準な受注量を背景に各造船所が老朽化した設備に対して、かつて過剰ドックで苦境に追い込まれた体験を考慮しながらも付加価値を高める設備投資を積極的に行っている。

 62年当時世界最大の13万トン「日章丸」タンカーを建造した日本の造船技術は、自動車輸出の専用船、港湾荷役を合理化のコンテナ船、天然ガスエネルギーのLNG船と次々と新技術を駆使してきた日本造船業界であるが、これからの造船はNOXを削減したディーゼルエンジンから電気推進エネルギーも含めた環境保全への新技術の開発で新たな需要喚起が求められている。

 建造技術ではダブルハル化(二重船殻構造)であり、溶接高速とロボット化、さらに溶接変形予測への対応技術など船殻構造と溶接技術にかかっている。造船建造と溶接技術の進展には切っても切れない関係の溶接業界は大きな期待を寄せている。

舶用低速ディーゼルエンジン「UE機関」の技術を供与

2005年11月10日 三菱重工ニュース第4412 号

ベトナム造船産業公社(ビナシン)へ

 三菱重工業は10日、ベトナムの造船産業公社(ビナシン、Vietnam Shipbuilding Industry Corporation)と、舶用低速ディーゼルエンジン※1「UE機関」の技術供与について合意し、契約を締結した。活況を呈している国際海運市場を背景に、今後発展が予想されるベトナムの造船業において、UE機関の一層の浸透をはかるのが狙い。

 契約の内容は、UE機関のうち、シリンダ径330〜680mmの大型舶用低速ディーゼルエンジンである三菱UEC-LA、LS、LSII、LSE機関に関する製造、販売・サービスのライセンスをビナシンへ供与するというもの。適用エリアはベトナム国内で、期間は2005年から2014年までの10年間。

  ビナシンは、1996年に設立された造船・舶用機械生産の国営公社。傘下に独立採算制で運営される同国の主要造船関連企業約50社を有する。年間売上高は1億6000万ドル(2004年)。従業員数は約15,000人。

 三菱UE機関は、MAN-B&W、Wartsila Sulzerとともに、世界の大型舶用ディーゼル機関市場を分け合う3大ブランドの一つ。コンパクトな構造のほか、低シリンダ油消費など、経済性と環境保全性に優れるのが特徴で、出力1,520〜63,600馬力をカバーする幅広い製品群を持つ。

 ベトナムは、市場経済制(ドイモイ、1986年)の導入以降、アジア通貨危機の一時期を除き、順調に経済が発展。2000年以降は7%前後の成長を持続、海外からの直接投資も2004年実績で前年比14.3%アップするなど高い水準を記録している。そのような中、同国の造船受注も、日本、韓国、中国など主要造船国の船台逼迫もあって急伸の兆しを見せており、当社はビナシンとの関係を一層強化しつつ、UE機関のシェア拡大を目指していく。

※1 舶用低速ディーゼルエンジン =船舶の推進用として使用される低速(60〜300回転/分)のディーゼルエンジンで、コンテナ船、ばら積み貨物船、タンカーなどに広く搭載されている。

エコシップ 自動車運搬用 南日本造船が建造

2005年11月17日 大分合同新聞社

 南日本造船(臼杵市、吉田泰社長)は、環境負荷を抑えた自動車運搬専用船を建造した。森林バイオマス資材を使って大気汚染の原因である排ガス中の粒子状物質(PM=すす)を三分の一以下に削減する排ガス集じん機を世界で初めて搭載。合計四項目の環境対策を施した「スーパー・エコシップ」で、十八日に出航する。

 新造船は六千四百台積みの自動車運搬専用船「ユーフォニー・エース」で、船主は商船三井。南日本造船が建造し二〇〇三年度のシップ・オブ・ザ・イヤーを受賞した「カレージャス・エース」の同型船に環境対策の改良を加えた。

 排ガス集じん機は、商船三井グループの「エム・オー・シップマネジメント(MOSM)」と環境機器メーカー「ジュオン」が共同開発。国産木材の端材から抽出した溶液を排ガスが通る集じん機内で噴霧してPMを凝集させ、セラミックフィルターで吸着する。

 試験では、排ガス中のPMを71%、硫黄酸化物を67%除去できた。回収したPMは高品位の炭素を多く含むため、MOSMが新素材のカーボンナノチューブや電池の電極棒への利用を研究している。

 甲板には合計発電能力十キロワットの太陽光発電パネルを設置。貨物室の照明に利用し、燃料使用量を削減する。甲板天井には厚さ三センチの断熱発泡ウレタンを塗布。断熱性を高めて貨物室内での作業環境を改善した。

 乗組員二十三人で一日十八キロ程度発生し、これまで海洋投棄してきた食物かすを肥料化するため、生ごみ処理機も搭載している。

 南日本造船とMOSMは「米カリフォルニア州がPMの発生が少ない燃料の使用を要請するなど、船舶も環境対策が求められてきた。環境対応を先取りした船で再び、シップ・オブ・ザ・イヤーを目指したい」と話している。

長洲町の有明機械工場を増設 日立造船梶@来年6月に操業開始

2005年11月08日発行 週刊経済 No.1351

 大阪市住之江区の日立造船梶i古川実社長)は、玉名郡長洲町の有明機械工場を増設する。総投資額は6億5千万円。近く着工し、来年6月に操業を始める。10月28日に熊本県および長洲町と立地協定を調印した。

 船舶需要増に伴い、船舶用ディーゼル機関や使用済み核燃料の輸送・貯蔵容器を製造する工場を増設するもの。既存工場に隣接し、鉄骨造り、床面積2853uを増設する。なお、工場は日立造船が増設、生産運営は現地法人の日立造船ディーゼルアンドエンジニアリング梶i以下日立造船D&E、玉名郡長洲町有明、小池健夫社長)が行う。従業員は08年までに21人を増員する。出荷額は初年度が日立造船D&Eの04年度年商のおよそ15%増となる246億円、08年度には280億円を見込む。

 日立造船有明機械工場長を兼務する小池日立造船D&E社長は「当工場は97年に大阪市の桜島工場機械部門の移転により重機械工場として操業、99年には現地法人の日立造船D&Eを立ち上げた。長洲町に根を下ろした企業として、地域とともに発展に努めたい」と話している。

 日立造船D&Eは長洲町に立地する日立造船グループの中核会社で、99年10月に設立、資本金は4億9千万円、従業員は275人。05年3月期の売上高は213億7千万円。(佐藤奈)

造船活況 因島にも波

2005/11/04 中国新聞地域ニュース

 ▽大型設備投資相次ぐ

 造船業界の活況を受け、因島市の造船所や関連産業団地が大型設備投資を進めている。一九八〇年代後半の不況で「沈んだ」と言われた島が、再び「浮上」しつつある。ただ、韓国や中国との受注競争は激化する一方。「団塊の世代」の大量退職期が近づき、技術継承や労働力確保といった難題を乗り越える必要もある。(下久保聖司)

 国内中堅の内海造船(広島県瀬戸田町)は一月、同じ日立造船グループのニチゾウアイエムシー(因島市)を吸収合併した。ニチゾウが所有した因島工場(同市土生町)の大型船台で、本格的に新造船を造るのが目的。二十億円を投じ、船体ブロック工場の自動化や塗装工場の新設を進める。

 関連部品メーカー十三社が立地する因島鉄工業団地(重井町)も、二十五億円をかけ、ブロック工場を拡張している。同団地協同組合の柏原公生理事長は「日本郵船など海運大手が新船投入を表明し、好況は当面続くだろう」とみる。

 島の造船マンが口をそろえるのは、「あのどん底から、立ち直れると思わなかった」。八五―八七年、石油危機や円高の複合不況で、日立造船は因島での新造船から撤退。三千三百人の従業員は百人まで減り、「島が沈む」と言われた。

 島に再び活気を吹き込んだのは、いわゆる「中国特需」だ。日本造船工業会(東京)は「北京五輪(二〇〇八年)、上海万博(一〇年)までは高水準が続く」とみている。

 内海造船も三年分の手持ち工事を抱えるが、嶋末幸雄社長は「前回の不況で、従業員の年齢構成がいびつになった」と言う。六百八十五人のうち、五十代が三百六十二人で52・8%。五年後からの大量退職に備え、毎年三十人の新規採用を目指すが苦戦している。

 「高校生の親の世代には『造船は不安定』との先入観もあるのでは」。尾道公共職業安定所因島出張所の鳴戸敏幸所長は、背景をこうみる。

 人手不足を補っているのが、外国人労働力。鉄工業団地は九九年から東南アジア圏の研修生を受け入れ、今年は過去最多の八十五人が働く。

 ただ、法務省の指針で就労期間(最長三年)、受け入れ枠(五十人以下の企業は三人)が制限されている。市や因島商工会議所は九月、愛媛県今治市が国の構造改革特区に認定され、受け入れ枠が倍増された経緯などを調査。〇六年度に特区申請する考えだ。

 因島の造船界が、国内の先頭を走る分野がある。それは技術継承だ。九九年に官民一体で造船技術者を育成する「因島技術センター」を立ち上げた。毎春、新入社員に基礎知識や技術を教える初期コースに加え、〇四年秋には中堅者向けの専門コースも開設した。

 センター運営協議会の川路道博会長(内海造船因島工場長)は「韓国、中国との競争には高付加価値、高品質が必要。熟練技の継承を急がねばならない」と指摘。秋の専門コースは七日から三和ドックで開講する。

中国8大学で寄付講義 常石造船

2005/09/17 中国新聞地域ニュース

 <広島大と共同で 事業拡大・人材獲得狙う>

 新造船建造量で世界七位の常石造船(福山市)は十九日、造船業が急進している中国の八大学で寄付講義をスタートする。研究協力の包括協定を結んでいる広島大(東広島市)と共同で進める学術、教育交流の一環。国際分業の重要拠点として中国での事業拡大を狙うとともに、人材獲得にもつなげる考え。

 寄付講義を提供するのは、上海交通大(上海市)や大連理工大(大連市)など八大学で、期間は三年間。中国に工場を展開する常石造船と広島大、中国の八大学の三者間で、交流協定の覚書を締結する。

 初年度は八大学で十六回開講。広島大大学院工学研究科の小瀬邦治教授ら三人が講師を務め、十月十九日まで続ける。造船業の生産、設計技術や人工島「メガフロート」の開発などをテーマに、一講義二時間の集中講義をする。

 二〇〇六年、〇七年も寄付講義を継続する予定。テーマや回数はこれから決める。さらに〇六年以降は正式決定していないが、広島大に中国の学生を招く交流事業も検討している。

 常石造船は中国・秀山島に船体ブロックと居住区を製造する現地法人を持つ。〇五年春には上海市と舟山市に設計部門の拠点を設置した。二十人の現地採用者を一〇年には二百人に増やす計画。大学生や大学院生の採用は中国での今後の事業展開を大きく左右するため、八大学との交流協定で「優秀な人材獲得に弾みをつけたい」(経営企画室)としている。

 常石造船と広島大大学院工学研究科は〇四年六月、船舶設計や建造、海洋の環境保全などに関する技術開発や研究で協力する包括協定を結んだ。

常石造船と広島大学、中国の8つの船舶関連大学と造船分野における学術・教育の交流に関する覚書を締結

2005年09月14日 News2u.net 常石造船株式会社

造船大国日本 <HSBCの中国情報>

2005年08月31日 マネックス ラウンジ

 中国が世界の資源を食い尽くす、だから船が足りなくなっているなどと、大げさに騒ぎ立てるひとがいます。実際に中国の原油輸入量は伸びていますが、1993年〜2003年の原油輸入量の伸びは、アメリカの半分程度しかありません。

 [原油輸入量/日量百万バレル]      1993年  2003年   増加量  米国    8.7    12.6    +4.5・・・米国の輸入量増加が著しい 中国    0.025   2.6    +2.8

    (注)出所 BPレポート2004、輸入量=消費量−生産量

 中国だけでなく世界中で貿易が拡大しているという見方もあります。冷戦終 結後、世界の貿易量は増加しており、この間の造船竣工量の増加と似た動きになっています。

 日本は言わずと知れた造船大国、特に難易度の高い二重船底船や高級客船な どに実績があります。2004年、日本の新造船竣工量は1452万トン、韓国はこれを上回る1477万トンで世界一。韓国は2000年に世界一になって以来、2001年を除いて、世界一を維持しています。では中国は? 他の分野と同様に、中国はやはりこの分野でも急速に力を付けており、2004年では日韓の約3分の1、468万トン*に達しました。2002年にほぼ5分の1だったことからすれば、伸びの速さがうかがえます。            * 中国船舶工業経済研究センター発表では855万トン。

[造船量]     2000年  2002年  2004年  増加量(百万総トン) 日本  12.0    12.0   14.5   +2.5 韓国  12.2    13.0   14.8   +2.6 中国   1.6    2.2    4.7   +3.1・・・2000-2004年増加量は最大

   (注)出所 Lloyd's Register、日本造船工業会

 中国の造船業の中心は上海。貿易港としても有名な高橋港の外高橋造船公司 (非上場)は昨年竣工量が175万トン、さらなる設備投資が完了すると三菱重工長崎造船所(年間造船能力190百万トン)を抜き年間260万トンとなる予定です。 上海に次いで大連には、イラン向けに30万トン超大型タンカー(VLCC)を納入した大連造船重工公司(非上場)があります。

 いずれも技術的にはまだまだ進歩の余地があるようですが、大口需要家である中国海運業・台湾海運業に近く、安価な労働力、豊富な鉄鋼資材を活用し、今後の売上げ拡大が見込まれます。中国政府としても、造船業は海運業とならんで輸出入に必要な重要産業であり、今後とも重点産業として世界レベルへ育成してゆく方針と見られます。

内海・ニチゾウが1日合併 変わる造船地図

2005/01/01 中国新聞地域ニュース

 三十年ぶりの建造ラッシュを受け広島県東部の造船業界地図が変わりつつある。国内中堅の内海造船(瀬戸田町)は一日、因島市にある同じ日立造船グループのニチゾウアイエムシーを吸収合併した。グループの新造船建造量で世界七位の常石造船(沼隈町)も二〇〇四年春に韓国大手と日韓で業界初の包括提携に踏み切った。大型化、多様化が進む新造船への対応や国際戦略が本格的に動きだした。

 内海造船とニチゾウの手持ち工事量はともに過去最大の約三年分あり、「好調な受注環境に支えられ合併に踏み切った」(内海造船幹部)。〇三年に新造船建造を復活したニチゾウの因島工場に大型新造船を集約する。一九八〇年代後半の不況時には「島が沈む」と言われた因島市に活気が戻りつつある。

 引き続きトップを務める内海造船の山田弘幸社長は「将来的には新造船の売上高を倍増の約三百億円にしたい」とし、技術力向上や設備の有効活用、管理部門の効率化なども推進していく。

 常石造船が提携したサムスン重工業は世界トップクラス。日韓の造船業界はこれまで、世界トップの建造量を競うライバルだった。しかし経済の急成長を背景に、中国の造船会社が日韓の企業に対抗するなど新たな局面が生まれ、両社の得意分野を生かす「合従連衡」を決断した。

 さらに〇四年九月までに、中国・秀山島に居住区と船体ブロックを製造する現地法人二社を順次稼働。中国進出を一年前倒しした。

 戦後まれに見る造船活況は、〇八年に北京五輪を控えるなどの「中国特需」がけん引役。業界内には慎重論もあるが、日本造船工業会(東京)の緑川好浩常務理事は「工業製品の生産拠点はアジア全体に分散し荷動きは活発。当面は高水準で、新造船需要は続くのではないか」とみる。鋼板価格の高騰もようやく受注船価に反映できるようになり、各社とも〇七年ごろには収益が大幅アップすると予想される。

 《メモ》中国運輸局がまとめた中国地方(宇部市以西を除く)の2004年度上半期(4―9月)の新造船受注量は162万6千トン(60隻)で、トン数ベースは前年同期比で2・1%増え2年連続で前年を上回った。建造量は全体で251万1100トン(60隻)と36・9%増。調査対象45社のうち31社を占める建造能力3000トン未満の中小造船業者は受注が832トンと50・1%減、建造量も1375トンで33・9%減った。

「造船業界最大ライバルの日本が最大顧客に」

2004/11/07 朝鮮日報 李仁烈(イ・インヨル)記者 yiyul@chosun.com

 最大のライバルが最大の顧客に変身した。

 現代(ヒョンデ)重工業は7日、「世界最大のコンテナ運航船社である日本の日本郵船から4900TEU(TEUは全長20フィートのコンテナの大きさ)級のコンテナ船8隻を5億7000万ドル(約6800億ウォン)で受注した」と明らかにした。

 これを受け、現代重工業は今年、造船業界最大のライバルである日本からだけで、造船受注量全体(99隻、80億ドル相当)の20%を超える計22隻、18億ドル相当の受注を記録した。

 世界第2位の造船強国である日本が、現代重工業の受注量において欧州連合を除いた単一国家として最大顧客となったのである。

 昨年は現代重工業の受注量125隻中、日本からの受注量は11隻(9%)だったが、今年は2倍に増えた。現代重工業の?観洪(ユ・グァンホン)社長は「日本が韓国に造船受注をするのは極めて異例のことであり、これは韓国の技術力をそれだけ認めていることを意味する」と語った。

台湾乱獲でマグロ危機 日米など異例の減船要求

2004/08/23 The Sankei Shimbun
 台湾の漁業会社が主要漁業国間の申し合わせに反して大型漁船を次々と建造し、マグロの主要漁場の一つである太平洋中西部で大量のマグロを乱獲、この影響で日本沿岸の漁獲量が急減していることが、水産庁などの23日までの調査で分かった。

 台湾の新造船はすべて、規制逃れのためにバヌアツなどの小国に船籍を置いた便宜置籍船。同海域でマグロを漁獲する日米や韓国などの関係国は、台湾に減船と操業停止を求める異例の措置を取った。

 台湾の漁業会社が日本向けのマグロ缶詰の輸出拡大を目指す動きも乱獲の一因だとして、水産庁は、関係者に出資している日本の大手商社にも減船への協力を求める。

 太平洋中西部ではマグロ類の国際的な漁業管理機関が長く存在しなかったため、メバチマグロなどが乱獲され、資源が急減。日本や米国、韓国、台湾などの主要漁業国が1999年2月、この海域で操業する漁船の新造を自粛することで合意した。

 だが、台湾の漁業者はその後も、2000トン以上の大型漁船を25隻建造。巻き網漁で大量のカツオやマグロの漁獲を続け、昨年の漁獲量は99年の倍近い45万トンに達したとみられる。この結果、三陸沖など日本沿岸の漁場に回遊するメバチマグロなどが急減。倒産する漁業者も出た。

 こうした問題を受け、「中西部太平洋まぐろ類条約」(今年6月発効)がつくられ、加盟国と加盟予定を合わせた23カ国・地域が7月半ばに札幌市で会合を開き、合意に違反した新造船を2007年7月末までに廃船する行動計画を採択した。水産庁によると、会議には台湾も参加し採択に反対しておらず、同庁は「問題解決に向け前進」としている。

新造船受注2年ぶり増 中国特需で337万トン

2004/06/09 中国新聞地域ニュース
03年度中国地方

 中国運輸局が八日まとめた中国地方(宇部市以西を除く)の二〇〇三年度の新造船受注量は前年より十三隻多い百十五隻、三百三十七万トンとなり、総トン数で前年比53%増と二年ぶりに増加した。急成長している中国へ物資を運ぶ貨物船の増加など、海外からの受注が増えた。

 同局は「中国特需の影響で大手を中心にフル操業の状態が続いている。本年度も高水準で推移する」とみている。

 輸出船の受注は、八十九隻(前年比48%増)、三百三十五万六千トン(55%増)で、中国に資材を運ぶためのばら積み貨物船、コンテナ船、化学製品運搬船などの受注が増えた。国際海事機構(IMO)が貨物船の船底を二重化する安全対策を打ち出し、掛け込み発注もあったとみられる。

 国内船の受注は、主力の内航海運が不況で、二十六隻(38%減)、一万二千トン(72%減)といずれも前年を大きく下回った。

 建造量は、百十五隻(3%増)、三百六万トン(16%増)。今年三月末の手持ち工事量は隻数では前年と同じ百十一隻だったものの、総トン数は四百三十七万トン(7%増)で二年ぶりに増えた。

 中国特需の影響を受けているのは主に、調査対象の四十五社のうち建造能力三千トン以上の大手造船業十四社。呉市に生産拠点を構えるアイ・エイチ・アイ・マリンユナイテッド(IHIMU、東京)は、大型のコンテナ船やタンカーなどが伸びている。

 一方、建造能力三千トン未満の中小造船業三十一社の受注量は、十七隻(同37%減)、三千二百七十五トン(同21%減)で、二社に一社しか受注がない厳しい経営環境が続いている。

呉地区 新造船受注が増 中国の成長 追い風

2004/06/02 中国新聞地域ニュース
 国内でも有数の造船関連産業の集積地である呉地区で、新造船の受注が大幅な伸びを見せている。呉に主力生産拠点を構える石川島播磨重工業(IHI)の造船子会社は、二〇〇三年の受注量がIHI時代を含めて三十年ぶりに二百万トンを超えた。過去最高の三年分の仕事量を確保した中堅造船会社も出ている。

 IHIの造船子会社で、呉工場(呉市昭和町)を生産拠点とするアイ・エイチ・アイ・マリンユナイテッド(IHIMU、東京)の〇三年の受注量は二十七隻、計二百万二千トン。隻数、総トン数とも前年の約二・五倍に増えた。うち呉地区最大の造船所である呉工場で、大型のコンテナ船やタンカーなどを中心に十四隻、百五十万トンを造る。

 呉工場の受注残は「三年超」分の二十二隻に上る。「受注はかなりの高水準。中国―欧米間の貿易が急増した恩恵を受けている」と説明する。

 三万トン級の中型貨物船を建造する神田造船所(呉市川尻町)も受注残が現在は三年半分に達し「かつてないほどの仕事量」という。中国貿易の活発化に加え、タンカーの側壁の二重構造化など国際ルールの安全性強化も追い風となっている。

 一万トン級の小型貨物船の新造船を手掛ける佐々木造船(広島県大崎上島町)もここ一年、引き合いが急増し、今期の売上高は二割伸びる見通し。材料の鉄やステンレス価格が高騰しているものの古本勝広総務部長は「つらかった五、六年前がうそのようだ」と語る。

 受注増の好影響は周辺の関連部品メーカーに及んでいる。IHIMUなどに鉄製のハッチを供給する芝岡産業(呉市広多賀谷)は今年に入り、生産量が一割程度増えた。

 中国運輸局呉海事事務所(呉市)が〇三年に建造計画を許可した受注量は百三十四万六千トンと前年の三・三倍に急増。引き続き大幅な伸びを見込んでいる。

東京で国際海事展始まる 中国造船メーカーも参加

2004年04月15日 「人民網日本語版」

日本の東京で14日、世界の海事関連企業・団体が参加する日本最大の国際海事展「SEA JAPAN 2004」が開幕した。同展に出展したのは世界25カ国の325社。

中国は1994年以降、造船量世界第3位を維持している。2003年の造船量は約600万トンで世界シェアは10%を超えた。同年、日本からの船舶用鋼材の輸入量は30万トンに達した。(編集MM)


ヤマハ発動機と米フォード、マリン事業で新会社設立へ

2001.01.10(21:28)asahi.com
 米フォードとヤマハ発動機は、米国で船用エンジンの開発や販売などを行う新会社を今春までに共同出資で設立する、と発表した。ヤマハの長谷川武彦社長が10日、東京都内での会見で明らかにした。フォードが生産する自動車用エンジンをヤマハがマリン用に改造し、米国で販売する。ヤマハはトヨタ自動車にも新会社への出資を呼びかけているほか、国内ではマリン事業の統合も検討している。

 マリン事業は、国内販売で頭打ちが続いている。ヤマハのボートやヨットの販売は3年連続で前年比で減少しており、今年も前年比9.5%減を見込んでいる。

 一方、米国でのエンジン販売は好調で、米国のマリン市場に食い込みたいフォードと、米国内のフォード販売網を利用したいヤマハの思惑が一致した。トヨタも出資を検討しているが、米国での採算性などを考慮し、慎重に結論を出す方針。

 新会社が扱うのは、船内外機と呼ばれるエンジンで、中・大型のレジャー用ボートに搭載される。船内外機は、世界で年間約20万基の市場規模で、6割を米国市場が占めている。

タイタニック沈没、不可避だった? 運輸省船舶研が分析

2001.01.05(15:52)asahi.com
 1912年に北大西洋で氷山に衝突、1500人余りの犠牲者を出したタイタニック号は、この事故が起きなかったとしても、同じ季節に同じルートをとれば、「37航海に1回」の確率で氷山に衝突、370人以上が死ぬ運命だったことがわかった。運輸省船舶技術研究所が当時の航海技術などを調べ、安全評価をして推測した。

 同研究所システム技術部の松岡猛部長、三友信夫主任研究官らは、原子力施設や航空機など大規模システムに適用される「イベント・ツリー」という安全評価法を採用した。タイタニック号の出航から沈没、救助まで事故にかかわる14の出来事を分析、902通りの航海パターンで分析した。

 ツリーの第一分岐点はタイタニック号の工期。実際には工期が1カ月遅れ、出航が氷山の南下しやすい4月になった。当時、造船全般に工期は遅れがちで、予定の3月に出航できた確率は20%。氷山が事故海域に存在する確率は、3月は34%、4月は43%になった。

 港でほかの船と接触しそうになり、出航が1時間遅れたことも不運だった。氷山との衝突が1時間早ければ、近くの船が無線を切っておらず、救難信号が届いた。接触事故で出航が遅れる確率は0.06%。

 事故当夜は無風だった。風があれば、氷山にぶつかった波が白く見え、氷山を見つけやすかった。風や月明かり、双眼鏡の有無などを含め、早期発見につながる条件も考慮した。

 直前に氷山が迫ったとき、減速してかじを切った回避行動にも問題があった。減速すると方向転換しにくくなるからだ。減速せずにかじを切れば回避できた。減速したとしても、直進すれば破損区画は小さく、沈没を免れた可能性が大きい。大型船の船長経験者の意見も参考にし、回避法と確率を調べた。

 さらに、氷山に衝突後、近くにいる船の位置、無線スイッチが入っているかどうかなどの確率を計算し、犠牲者数を見積もった。死者が1500人以上になる確率は2.3%。

 三友さんは「タイタニック号は実際の事故と同じ経過をたどらなくとも、いずれ大事故を起こす可能性が大きかった」という。78年から95年の統計では、400人以上が遭難する海難事故は「1000万航海に1回」で、タイタニック号は著しく高い。

自律型無人潜水機「うらしま」の試験開始

2000.06.30(23:28)asahi.com
 人が近寄れない危険な海域でも調査できる自律型無人潜水機「うらしま」を、母船から海中に下ろす実験が30日、神奈川県横須賀市の海洋科学技術センターであった。

 3月に完成したうらしまは円筒形で全長約10メートル、深さ3、500メートルまで潜航できる。海底の障害物や潮流を自分で判断し、目標物に接近する。海底火山や北極海などの過酷な環境での調査に活躍しそうだ。

 30日の実験では、推進用のプロペラを海中で回転させ、搭載したテレビカメラなどの調子をみた。まだ母船と光ファイバーケーブルでつながった状態だが、実際の運用時には自律航行させる。「もう少し早く開発が進んでいたら、三宅島沖の火山活動調査でお役に立てたのですが……」と同センター。

飲料水を海に浮かべて輸送 日本郵船が事業進出

2000.05.28(00:29)
 日本郵船は飲料水の国際海上輸送事業に進出するため、ノルウェーの水輸送会社であるノルディック・ウォーター・サプライ社(本社・オスロ)の株式の34%を取得、経営権を獲得した。同社は「21世紀には世界的に水不足が深刻になる」とみており、海上輸送への需要が大きくなると判断した。

 ノルディック社は1991年に設立されたベンチャー企業で、1万―2万トンの水を積み込んでタグボートでえい航するための大容量バッグの研究開発に取り組み、事業化に成功している。日本郵船は出資とともに、運航などの技術支援も行う。

 将来の水不足への対策としては淡水化プラントが一般的だが、費用が高くつくうえ、環境への悪影響も指摘されている。水の余っている国から足りない国へ輸送しようにも、タンカー輸送はコストがかかりすぎるとして、80年代から大容量バッグによる輸送が研究されてきたという。

運輸省開発の超高速船、上海に到着 初の国際実験航海

10:34a.m. JST March 04, 2000 asahi.com
 運輸省などが開発を進めている超高速貨客船テクノスーパーライナー(TSL)が3日、初の国際航海実験で中国・上海に到着した。通常の船の2倍以上の速さで航行できるTSLは、2002年度に国内航路の就航が予定されている。将来はアジア各国との高速輸送手段としても期待されており、乗船していた運輸省の冨士原康一造船課長は「新幹線のようだった。国際航海にも十分耐えうるとの感触を得た」と乗り心地をアピールしていた。

 使われた船は、研究開発のため造られたものを静岡県が購入し、防災船などに利用している「希望」号。29日に静岡県を出航し、和歌山、長崎を経て、平均時速約77キロで3日午後、上海の港に到着した。

 実験航海は、2月に訪中した二階俊博運輸相が中国の黄鎮東交通相に直接提案し、承認を得ていたもの。運輸省は、TSLの国際航路の実用化は「新たな輸送需要を生み、ひいてはアジア経済圏の一層の発展に貢献する」としている。

海運大手3社は連結増益

2000年5月23日 17時58分共同
 海運大手3社の2000年3月期連結決算が23日出そろい、円高による外貨建て収入の目減りや燃料費上昇などで収益が圧迫される中、運航コスト削減や、荷動きが好調な米国やアジア航路の運賃引き上げなどが寄与して、いずれも増益となった。日本郵船は売上高が1兆1024億円、当期純利益は27.1%増の157億円。商船三井も売上高が8818億円、当期純利益は18.8%増の83億円と増収増益。

造船6年ぶり日韓首位逆転へ

1999年11月16日 19時27分 共同通信社
 日本造船工業会の亀井俊郎会長は16日の定例会見で、今年1〜12月の新造船受注量で、世界2位の韓国が日本を追い抜き1993年以来、6年ぶりに首位になる見通しを明らかにした。
 低コストとウォン安をテコに価格競争力を増した韓国勢の台頭が鮮明になったことで、不況と円高に悩む日本の造船業界は一段の再編圧力にさらされそうだ。

造船・重機6社の中間決算、赤字決算相次ぐ

8:52p.m. JST November 01, 1999 asahi.com
 造船・重機大手6社の1999年9月中間決算が1日、出そろった。国内の設備投資の冷え込みが長引いていることに加え、円高が加速したことが収益を大きく悪化させ、上位3社が赤字に転落、6社すべてが中間配当を見送った。各社は経営立て直しのため、事業計画の練り直し、人員削減を含めたリストラを打ち出し始めた。特に造船業では21世紀初頭に不況の再来が予想されるなか、運輸省の後押しもあって再編機運が高まっている。

 最大手の三菱重工業の売上高は、11年ぶりに1兆円を割り込んだ。64年にグループ3社が合併して以来初めて、上半期としては経常赤字に転落。最近の円高で、前年同期に70億円あった為替差益が、逆に161億円の差損を出した。石川島播磨重工業は11年ぶり、川崎重工業は12年ぶりとなる経常赤字になった。

 不振の構造は各社とも共通しており、(1)円高が海外プラントの採算悪化を招いた(2)造船ではウォン安を背景とした韓国との競争が激化し、販売価格が下落した(3)大型設備投資の減少で鉄を使った橋などの事業が不振(4)収益源のひとつである米ボーイング向けの航空宇宙事業などでも、利益が円高で目減りしている――ことだ。

 住友重機械工業は新造船が増えたことなどから増収となったものの、増益要因の大きなものは、保有株式の評価損が縮小したことだ。三井造船は会計制度の変更などで経常黒字を確保した状態で、本業はどこも厳しい。

 こうした中、三菱重工は決算発表と同時に、2004年3月期までの事業計画を発表。採用抑制による自然減で連結ベースで7000人を削減し、6万4000人体制を目指す。

 川崎重工も、2004年3月期には連結ベースで現在の人員を2000人減らして2万8000人にするほか、石播も2001年3月までに社員のほぼ1割にあたる1200人を削減する。

 とくに先行きが不安視されるのは、造船部門だ。運輸省が8月、業界の集約化の方向性を示した直後に、川崎重工と三井造船が商船部門の広範な業務提携を発表した。石播と住重も防衛庁向けの護衛艦の製造部門を統合する方向で検討している。業界再編がさらに加速しそうだ。

造船工業会長、集約による業界再編に消極的

5:02p.m. JST September 21, 1999 asahi.com
 日本造船工業会の亀井俊郎会長(川崎重工業社長)は21日の定例記者会見で、運輸省が先月末まとめた報告書で、日本の造船業界の競争力を高めるために、大手7社を3、4社程度に集約すべきだ、と提唱したことに対し、「規模拡大で危機を乗り切れるとは限らない」と、消極的な考えを明らかにした。

 運輸省の報告書では、大手企業が造船部門を分社化した上で、再編によって売上高2000億円前後の造船専業メーカー3、4社に集約することを提唱している。これに対し、亀井会長は「各社とも逆に、不安定な造船部門の、売上高に占める比率を下げる方向でいる」と指摘。「会社の規模が拡大すれば固定費が増え、よほど生産性を上げなければ立ちゆかない」と述べ、運輸省の提示したシナリオに否定的な考えを示した。

岐路に立つ造船業界 事業統合の動き活発

9:56p.m. JST August 04, 1999
 日本の「お家芸」とも言われた造船業界が苦しんでいる。船価が低迷しているうえ、買い替え需要が一巡する21世紀初頭には、受注減などで業界を取り巻く環境がさらに厳しくなるのは確実。ドックの休止やライバル社との事業統合の検討など、各社の動きが活発になっている。

 1998年の造船受注量は、世界全体で2674万総トン。前年に比べて約1000万総トンも落ち込んだ。需要の冷え込みは世界一の造船国、日本を直撃し、98年の受注量は前年の7割の1098万総トンにとどまった。
船価の下落幅も大きい。調査会社によれば、「VLCC」と呼ばれる大型タンカーの平均単価は97年には約8200万ドルだったが、98年は約7700万ドルに下がった。

 このため、各社は、生産能力の調整と事業部門の統合を進めている。石播と住友重機械工業は、防衛庁向けの護衛艦製造部門を統合する方向で検討に入った。

 川崎重工業は香川県坂出市にある建造ドック2本のうち、1本を9月から1年間休止する。日立造船も、主力拠点のひとつ、有明工場(熊本県長洲町)を、10月から分社化する予定だ。

 「(低コストを売り物とする)韓国との競争に勝つには、タンカー中心の姿勢を改め、高付加価値船の製造が重要だ」とする最大手の三菱重工業は最近、英国の海運会社から大型客船を受注した。

造船大手、経営統合でメガ・カンパニーを目指す必要=運輸省 99年8月31日 18時41分 [東京 31日 ロイター]
 
 運輸省の「造船業構造問題研究会」は、日本の造船業界の生き残り策として、経営統合によるメガ・カンパニー化が必要、との報告書をまとめた。
報告書では、日本の造船業界が韓国造船業の台頭により、戦略的岐路に立たされていると指摘。競争力を維持するためには、コスト競争力強化と幅広い営業展開を同時に達成し、規模のメリットが生じる経営統合を目指すべき、と提案している。 具体的には、三菱重工業、川崎重工業など大手7社の造船部門を再編し、造船事業だけで2000〜3000億円の規模を持つ数グループに再編する必要がある、としている。

船舶輸出契約が44%減少

1999年4月13日 17時51分共同通信社
 日本船舶輸出組合が13日発表した1998年度の輸出船契約実績は、 129隻、 647万総トンと前年度の 263隻、1155万総トンに比べ、トン数で44%減少した。アジアを中心に景気低迷で物流が減少し、船主が発注を手控えていることに加え、前年度の受注が70年代に建造された船の代替需要などで膨らんだことの反動もあった。

 船種別の内訳は、貨物船は29隻(前年度21隻)と増えたが、原材料運搬用などのバラ積み船は66隻(同 163隻)タンカーは32隻(同73隻)。

No.2-12b 主要造船所(日本)


IHI マリン ユナイテッド
2002年10月01日設立、石川島播磨重工業株式会社の船舶海洋事業を母体として、住友重機械工業株式会社の艦艇部門統合体制を取り込んだ会社。

石川島播磨重工業:管理職以外の賃金、1割カットへ 2004年03月15日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 石川島播磨重工業は15日、04年3月期の連結決算の最終(当期)損益が、当初予想の収支ゼロから390億円の赤字になるとの業績見通しの下方修正を発表した。造船業界は中国特需の恩恵を受けているにもかかわらず、造船やごみ焼却プラント事業で受注時の見通しが甘かったことや、鋼材価格の値上がりで多額の損失が出たためで、4年ぶりの無配に転落する。業績立て直しのため、4月から2年間全従業員の賃金・一時金を1割カットすることを決め、労組と交渉していることも明らかにした。

 連結売上高は1兆300億円から1兆200億円へ、営業利益は230億円の黒字から240億円の赤字に下方修正した。国内の海上化学プラントやごみ焼却施設などで、設計内容に関する受注時の見通しが甘く、建設途中の設計変更が相次いだため、多額の追加費用が出た。しかし、請求額には上乗せできず、200億円近い差損が出た。造船部門では、鋼材価格の値上がりで、40億〜50億円の利益が見通しよりも減った。

 造船は受注から納入まで2〜3年以上かかるのが一般的。国内造船メーカーは今年度、中国向けの海運業の好調を受け、受注が急増しているが、韓国や中国企業の安値受注による船価の低迷と、鋼材価格の急騰により「利益は伸びていない」(日本造船工業会の伊藤源嗣会長)のが実態だ。

 加えて、同社は「今期でウミを出し切る」(清水昶博副社長)ため、赤字事業についての基準を厳格化し、180億円の損失引当金を計上し、赤字額が膨らんだ。

 石播は05年3月期の業績も「かなり厳しい」(清水副社長)と予想しており、土地・株式などの資産や不採算事業の売却を検討中。人件費では、従業員の賃金1割削減のほか、退職優遇制度の適用年齢を50歳から40歳に引き下げる。賃金1割削減の対象者は同社の約8800人のうち、管理職などを除く約6200人。他社への出向者を含めれば、年間100億円の経費削減になる。役員と管理職はすでに、5〜十数%の賃金削減をしているが、今後削減幅を大きくする方針。【前川雅俊】

護衛艦、「最後の進水式」 閉鎖予定の石川島播磨工場で

2000.09.25(22:30)asahi.com
 石川島播磨重工業の造船主力工場であり、2002年に閉鎖・移転する東京第1工場(東京都江東区豊洲)で25日、同工場としては最後の防衛庁向け護衛艦の命名・進水式があり、関係者約4000人が出席した。約60年の歴史をもつ同工場最後の護衛艦は「あけぼの」と名付けられ、東京湾の満潮に合わせ船台から進水した。内装工事などを完成させ、2002年3月に引き渡される予定。

 東京第1工場が閉鎖となるのは、工場の南西側に、晴海通りが延長されて東京湾岸環状線(湾岸道路)につながって橋ができ、護衛艦が航行できなくなるため。2002年4月に閉鎖され、横浜事業所(横浜市磯子区)に移転する。ただし、閉鎖までは商船などの建造は続く。

 石播の発祥は、水戸藩主徳川斉昭らの提唱で1853年に佃島にできた江戸幕府造船所。1939年に佃島から豊洲に移転し、駆逐艦などを生産した。戦後は主に護衛艦を製造し、西の三菱重工業・長崎造船所と並ぶ東の主な艦艇製造拠点で、最新鋭の「イージス艦」も造った。また、国内初の原子力船「むつ」もここで建造された。

石播、川重、三井が商船分野の造船で業務提携

2000.09.13(19:02)asahi.com
 造船重機大手の石川島播磨重工業と川崎重工業、三井造船の3社は13日、防衛庁向け艦艇など官公庁船を除く商船分野で、業務提携の協定書に調印したと正式に発表した。市場調査や設計・資材購入の共通化、生産設備の相互活用などが柱。ウォン安などを背景に追い上げる韓国との受注競争が激化する中で、一層のコスト競争力をつけるのが狙い。3社は造船の分社化・統合について検討を開始し、1―2年以内に結論を出したい考え。

 船舶部門の1999年度の売上高(官公庁船など含む)は、石播が約1246億円、川崎重工が約880億円、三井が約959億円で合計は約3085億円となる。最大手の三菱重工業(約2689億円)を抜いて「最大手連合」となる。

 3社は今後、副社長や事業部長級で構成される協議会を設置し、統合に向けての課題などを話し合う。ドックなど過剰設備の対応についても協議する予定で、統合が実現すれば工場閉鎖なども検討する。

 今回の提携は、昨年9月に発表された川崎重工と三井造船の業務提携に石播が加わった。しかし、石播と川崎重工は一歩進んで水面下で、官公庁船分野まで含めた統合も視野に入れ、話し合っている。全体の売上高に占める船舶部門の比率では、石播は約15%、川崎重工は約9%とウエートが低く、本体から船舶部門を切り離しやすいが、三井は約29%と高い。このため、三井は分社化に慎重との見方もある。

住友重機が浦賀艦船工場閉鎖へ 石川島播磨との統合で

2000.09.13(03:25) asahi.com
 造船重機大手の住友重機械工業は、護衛艦など防衛庁向けの艦艇を中心に建造してきた浦賀艦船工場(神奈川県横須賀市)の閉鎖について最終調整に入った。住友重機は艦艇の製造部門を石川島播磨重工業と統合、石播の横浜事業所(横浜市磯子区)に移管するのに伴う措置。2003年をめどに閉鎖する方針。関係筋が12日、明らかにした。米国に出航前の「咸臨丸」を修理したことがある名門造船所も、業界再編の波にのまれたかっこうだ。

 浦賀艦船工場では、高速ミサイル艇や巡視船などを製造、修理事業も行っている。住友重機と石播は1995年、折半出資で護衛艦の設計などを一本化した「マリンユナイテッド」を設立。コスト競争力をさらに上げるため、最近製造部門も統合することを決めていた。

 住友重機は近くに大型ドックを持つ横須賀製造所があり、横須賀での商船を中心にした生産に集中する方針で、防衛庁向けの事業は今後、石播が主導権をもって進める見込み。防衛庁が99年度から護衛艦の購入を随意契約から指名競争入札に切り替え、より高いコスト競争力が求められるようになったことも背景にある。

 住友重機は、2003年3月までに引き渡す護衛艦の仕上げを浦賀艦船工場で行うため、閉鎖は引き渡し以後になる見込み。従業員は近くの横須賀製造所と合わせて約800人で、一部が横浜に移る。住友重機は雇用は維持する方針。

    ◇

 <浦賀艦船工場> 江戸幕府造船所跡地に農商務大臣だった榎本武揚らが近代的な造船所の設立を主唱して1897年に設立。戦前は日露戦争のころから主に駆逐艦などを造った。近年は1984年に大型帆船「日本丸」なども建造した。地理的に外海の太平洋に近い割に海が静かなため、船の修理に適しているほか、安全保障上の位置づけも高い。

住友重工と石川島播磨 艦艇事業を統合 来月末にも決定

2000.05.27 The Sankei Shinbun
 住友重機械工業と石川島播磨重工業が、防衛庁向け護衛艦など艦艇建造と修繕部門を事業統合することで最終合意したことが二十六日、明らかになった。両社は平成七年に艦艇設計と営業部門を一つの子会社に統合しているが、さらに建造と修繕部門も同子会社に集約し、一貫事業にすることで効率化を図る。採算悪化に苦しむ造船業界は、ライバルとの業務提携や事業統合に生き残りの道を求めている。今回の合意はそうした造船再編をさらに加速することになりそうだ。

 住重は艦艇建造と修繕事業を浦賀艦艇工場(神奈川県横須賀市)で、石播は東京第一工場(東京都江東区)で行っている。石播は平成十四年度までに東京第一工場を閉鎖し、横浜工場(横浜市磯子区)に移管することを決めている。ここに住重が浦賀艦艇工場の機能と人員約三百人を切り離して統合する見通しだ。

 艦艇建造と修繕の事業統合について「両社の首脳間で最終合意に。

石播、住重が艦艇建造部門統合へ

00年3月10日 22時7分[時事通信社]
 造船大手の石川島播磨重工業と住友重機械工業が、防衛庁向け艦艇の建造部門を2003年度にも統合する見通しであることが10日、明らかになった。石播が横浜市に持つ工場群内に設ける新工場に一本化する。両社は冷戦構造終結で迫られた同部門の規模縮小、効率化に対応する。住重は浦賀艦船工場(神奈川県横須賀市)で艦艇を建造しており、同事業に携わる200−300人は新工場に出向する見込み。 

護衛艦建造の統合検討

1999年8月3日 17時11分 共同通信社
 石川島播磨重工業は3日、護衛艦建造部門を統合する方向で、住友重機械工業と検討に入ったことを明らかにした。今後細部を詰め、年内にも結論を出す方針

石播、住友重と提携模索

1999年10月13日 21時40分 共同通信社
 石川島播磨重工業の武井俊文社長は13日夕、経営改善計画を発表し、住友重機械工業など他社と造船部門の経営統合などを模索する考えを表明した。長引く不況で石播の2000年3月期決算は1987年以来13年ぶりの経常、当期赤字に転落する見通しで、造船部門の統合によるスケールメリット(規模拡大)の追求で、最大手の三菱重工業を追撃する構えだ。

石川島播磨重工業がリストラを正式発表、1200人削減

10:23p.m. JST October 13, 1999
 造船重機大手の石川島播磨重工業は13日、1200人の人員削減などを柱とする「経営改善計画」を正式に発表した。石播は2000年3月期に13年ぶりに経常赤字に落ち込む見通しで、リストラ計画の策定を急いでいた。記者会見した武井俊文社長は、業界再編が予想されている造船部門について、分社化も検討していることを明らかにした。

 計画では、人員削減規模は社員のほぼ1割に当たり、2001年3月までに実施する。これにより総人件費(1300億円程度)を80億円減らす。連結決算対象外の関連企業への出向や、自然減で対応するほか、廃棄物処理などの環境関連事業の新会社を設立するなどして、雇用を吸収する。

 造船事業では、防衛庁向けの護衛艦を製造している東京第1工場の横浜造修部(横浜市磯子区)への移転時期を2002年3月までに完了する。課題となっていた住友重機械工業との製造部門統合についても年内に結論を出す予定。

 また、造船事業のうち商船部門の分社化も視野に入れ、資材を他社と共同購買してコストを下げることも検討する。

川崎重工業と三井造船

三井造船、プラントエンジ事業統括拠点を海外へ

2000年9月12日(火) [エンジニアリング/機械]
 
 三井造船はグローバル化の一環として、プラントエンジニアリング事業の統括拠点を3年後をめどに海外にシフトする方向で検討を進めていることを明らかにした。

 コスト競争力を高めるのが狙い。

 現在、基本設計、詳細設計は主として、玉野事業所(岡山県玉野市)の三井造船プラントエンジニアリングで実施、それらをベースに展開設計などを、フィリピン、タイ、米国2社の現地法人で実施している。これを東南アジアや米国、その地域で受注した案件の詳細設計、資機材の調達業務を海外拠点を中心に実施する。この4拠点、もしくは新規拠点の設立も視野に入れる。

 三井造船は、プラントエンジニアリング事業の関連会社として、タイ・バンコクに87年設立の設計関連の現地法人「MES・MITRプロジェクトサービス」のほか、フィリピンに九二年に設けた詳細設計の「ダッシュ・エンジニアリング・フィリピン」を、また米国にはエンジ関連会社として、ルイジアナ州バトンルージュに「エンジニアーズ・アンド・コンストラクターズ・インターナショナル(ECI)」およびテキサス州ヒューストンに「MESエンジニアリング」を持つ。

50,000重量トン型ばら積み運搬船“DESERT HAWK”を引き渡し

1999年10月15日(金) 午前 11時 Business EXpress
 三井造船は、玉野事業所で建造中だったパナマ国・GREEN SPANKER SHIPPING S.A.向け50,000重量トン型ばら積み運搬船“DESERT HAWK”をこのほど完成し、10月7日に同事業所にて船主に引き渡しを行った。

川崎重工業と三井造船が生き残りかけ業務提携

9:20p.m. JST September 22, 1999
 造船重機大手の川崎重工業と三井造船は22日、防衛庁向けなどを除く商船部門で業務提携を結んだと発表した。営業、設計、購買、生産の各分野で協力しあう幅広い協力関係を築き、コスト削減効果を狙う。造船部門の事業統合を視野に入れたものだ。川重と三井の造船部門の売上高を足すと、約2500億円となり、最大手の三菱重工業(約3000億円)に迫る規模。両社が「生き残り」を目指して手を組んだことで、業界再編を促すことになりそうだ。

 提携期間は5年間で、その後は自動延長する方針。両社は、コンピューターシステムなどを共用して連携を深め、技術力の向上や開発期間の短縮を目指す。さらに、共同設計や資材の共同購買を開始し、大量購入による規模のメリットも求める。生産拠点の相互利用も検討する。川重の坂出工場(香川県坂出市)と三井の玉野事業所(岡山県玉野市)が地理的に近いことも背景だ。

 両社の造船部門の売上高(1998年度)は、川重が1248億円で三井が1218億円。人員は川重が約1900人、三井が約1700人。現時点では、人員削減などのリストラ、生産拠点の統廃合は考えていないという。この日の会見で両社は「事業統合は将来の視野には入っているが、具体的な検討はしていない」とした。

ドック休止でコスト削減へ 川崎重工業坂出工場

8:03p.m. JST November 08, 1999
 円高や韓国との競争激化による船価の下落など、逆風が吹く国内造船業。受注も落ち込み、「第3次造船不況」も近いとの声も出始めた。各社はコストダウンの徹底で生き残り策を探る。業界中堅の川崎重工業は9月から、坂出工場(香川県坂出市)にある新船建造の2ドックのうち1ドックを休止、集約生産で無駄な経費を省く狙いだ。

 坂出工場は1967年に完成。正門の真上近くを瀬戸大橋が通る。従業員は協力企業も含めて約2000人。高橋孝夫・副工場長は「70年代初めには、9000人近くが働いていた」と話す。

 資材置き場には、対岸の川崎製鉄水島製鉄所(岡山県倉敷市)などから運ばれた茶かっ色の鋼材が並ぶ。切り刻んで溶接し、「小組材」を造る。これを複数組み合わせたうえで船の外板を取り付け、重さ150トン程度の大型の「ブロック」にする。「ブロック」をドックに運び、大型クレーンで積み上げ、船を完成させていく。

 現場では、従業員が溶接の目印を手作業で付けていた。ただ、実際の溶接は、6台の自動溶接機が担当する。「トライボン」と呼ばれるスウェーデンの造船会社が開発した3次元設計ソフトのデータを自動溶接機に送っている。材料や工程の管理にも応用できる。

 川崎重工は9月、三井造船と商船部門で広範な業務提携を結んだ。「トライボン」が2社を結び付けた。国内で「トライボン」を採用しているのはこの2社だけ。将来的に共同で設計や生産がしやすくなる。

 稼働している「第3ドック」(縦420メートル、横75メートル、深さ11メートル)は、30万トン級の大型タンカーも造れる。現在は、自動車運搬専用船など比較的小型の2隻を同時に建造中だ。高橋副工場長は「これも規制緩和のおかげ」と説明する。

三菱重工業

LNG船 年7隻体制へ 三菱重工業長崎、香焼工場を増強 「世界最強」目指し60億円

2006年06月17日 西日本新聞朝刊

 三菱重工業長崎造船所(長崎市)が、世界最大の「100万トンドック」を持つ同造船所香(こう)焼(やぎ)工場の能力増強計画を進めている。名付けて「香焼MAX(マックス)」計画。2006―07年度に約60億円を投資して液化天然ガス(LNG)運搬船の建造能力を現在の年5隻から年7隻に増やし、「世界最強」の造船所を目指す。

 香焼工場は1972年に完成したが、石油危機や造船不況の長期化で造船業を取り巻く環境が厳しくなり、投資抑制が続いていた。本格的な能力増強投資は完成以来初めて。

 同造船所は、香焼工場を高付加価値船のLNG船や液化石油ガス(LPG)船に特化する方針。香焼MAXでは、長さ990メートル、幅100メートルの「100万トンドック」に、つり下げ能力が1200トンの門型クレーンを来年秋までに追加設置し、既存の600トンクレーンとの併用で1500トンの船体ブロックを運べるようにする。鉄板の切断工場や船首・船尾の組立工場なども拡張し、生産管理体制の強化を図る。

 現在のLNG船は100個の船体ブロックを組み合わせて建造しているが、最大1000トンの重さの船体ブロックを1500トンに大型化することで、ブロック数を70に削減。ドックでの作業期間も4.8カ月から3.5カ月に短縮し、2隻を同時建造する縦列建造で、年7隻の建造を可能にするという。

 同造船所は、香焼工場の作業効率を08年度までに15%高め、5年後の13年度までに25%アップさせ、LNG船建造コストを競争相手の韓国より引き下げるという。08年度以降に1200トンクレーンをもう1基追加する計画もある。

 和仁正文所長は「造船の生き残りをかけたプロジェクト。世界トップクラスの競争力を実現する」と話している。

三菱重工と米GEが小型発電装置で提携交渉 再編加速か

2001.02.14(03:12)asahi.com

 造船重機国内最大手の三菱重工業は、米ゼネラル・エレクトリック(GE)と小型発電装置で業務提携に向けての交渉に入った。GEは世界最大のノンバンクGEキャピタルを傘下に抱えており、三菱重工は販売金融でGEキャピタルの協力を受けることも検討する。提携が実現すればライバル関係にある三菱重工とGEとが初めてコスト削減に向けて手を組むことになる。電力業界の大きな設備投資は見込めないことから、国内の重電業界では再編が進んでいるが、日米最大手同士の提携は世界的な再編を加速させる可能性もある。

 両社が交渉に入ったのは、電力の自由化によって、ビルや家庭向けなどの分散型発電の需要が世界的に高まる見込みの中、お互いに弱い商品分野で、OEM(相手先ブランドによる生産)供給などによって商品力を補完し合うためだ。三菱重工はディーゼルエンジンや天然ガスを使った小型発電機を得意とし、GEはガスタービンに強い。お互いの得意分野を利用し合った方がコスト削減で利点もある。

 分散型の小型発電では今後、小型の羽根を回すマイクロガスタービンが有力な技術のひとつになる。GEはマイクロガスタービンの技術をもつ米ハネウエルを買収、三菱重工は独自開発に取り組んでいる。両社が最新技術で協力し合う可能性もある。また、三菱重工は、グループの三菱商事が東京電力や東京ガスなどと共同で分散型発電機などの販売会社を設立しているため、ビジネスチャンスは拡大すると見ている。

 GEは、今後の火力発電の中核設備となるガスタービンですでに東芝と提携するなど同社との結び付きが強く、三菱重工とは競合関係にある。三菱重工の西岡喬社長が、GEのジャック・ウェルチ会長を訪問し、協力できるところでは助け合う「競争と協調」関係が構築できないかを話し合った。

 三菱重工はこれまで、他社との提携には一線を画してきた。しかし、電力会社の設備投資の落ち込みや円高などの影響を受け、2期連続の当期赤字になる見込みで、収益が官公需中心に頼りがちな企業体質の改善に取り組んでいる。

 製鉄機械事業でライバルの日立製作所と事業統合、フォークリフトで日産自動車との共同開発や共同購買、海外向け鉄道車両で近畿車両と提携などで、いずれも開発費削減などが狙いだ。今回のGEとの提携交渉もこうした流れの一環だ。

三菱重工業と米ボーイング、提携関係を強化

11:52a.m. JST April 08, 2000 asahi.com 
 三菱重工業は8日、世界最大の航空宇宙メーカーの米ボーイングとの提携関係を強化していく方針を明らかにした。人工衛星の共同開発・生産や衛星を使った情報通信事業での協力に加え、ジャンボ機「747」の新型機の開発や、販売網の相互活用などでも今後協力し合う。

 西岡喬社長とボーイングの民間航空機部門の責任者であるムラーリー副社長が7日、今後の協力について確認した。

 三菱重工はこれまでも、「777」型機などの開発・生産でも協力、機体の一部を下請け生産している。今年2月にはロケットエンジンを共同開発すると発表し、ボーイングとの関係強化を打ち出していた。新型機が加わることで航空宇宙事業が拡大できると判断した。また、情報技術(IT)の進化で人工衛星を使った通信サービスの需要が膨らむため、この分野でのビジネスチャンスが拡大できる見込みだ。

 経営不振の三菱重工は、ボーイングとの協力関係を強めることで成長産業である航空宇宙分野を強化し収益体質を改める。また、ボーイングは欧州企業連合のエアバス・インダストリーとの受注競争が激化する中、三菱の製造技術やコスト削減ノウハウを一層活用する狙いだ。

三菱重工業 赤字倍増、1420億円に

2000年2月29日 18時15分共同
 三菱重工業は29日、2000年3月期の連結当期純赤字が当初見込みの660億円から、2倍以上の1420億円に膨らむとの見通しを発表した。

 配当は前年度年10円から大幅減配し2円50銭とする。減配は1979年3月期以来21年ぶり。役員賞与も全額カット。原動機などの工事が遅れ売上高が減った上に、海外プラントの赤字見込み額の増加や年金積み立て不足処理などで、特別損失が2460億円に膨らんだ。

新造船の年間竣工量・進水量集計を発表

1999年12月22日(水) 午前 11時 Business EXpress
 三菱重工業は、1999年の新造船の年間竣工量と進水量を集計し、12月20日に発表した。竣工量は、国内船が6隻(154,274GT・94,141DWT)、輸出船が14隻(1,174,950GT・1,761,855DWT)で、内訳はタンカー4隻、コンテナ5隻、LPG船3隻、LNG船1隻等。また、進水量は、国内船が5隻、輸出船が17隻だった。

三菱重工業 490億円の当期損失に

1999年9月27日 20時45分 共同通信社
 造船重機最大手の三菱重工業は27日、2000年三月期単独決算の当期損益が、当初見込みのゼロから490億円の赤字に転落する大幅下方修正した業績見通しを発表した。連結決算では520億円の最終損失。

 東南アジアの経済低迷や国内設備投資の冷え込みが響いたのが要因で、単独当期赤字は1951年以来、49年ぶり。

ユニバーサル造船株式会社


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日立造船社長に古川専務、経営陣刷新で立て直し

2005/03/28 読売新聞 Yomiuri On-Line

 日立造船は28日、古川実専務(61)が社長に昇格する人事を固めた。重藤毅直社長(68)の処遇は調整中だが、安藤重寿会長(62)は留任する見通しだ。6月の株主総会後の取締役会で正式に決める。

 重藤社長は、2001年6月の就任後から取り組んだ造船部門の切り離しなどの同社の事業再編にメドを付けた。しかし、鋼材価格の高騰などから業績が回復できずにおり、経営陣を刷新して立て直しを図ることにした。

 古川氏は、経理や経営企画部門を担当し、経営全体に精通している点が評価された。

 古川 実(ふるかわ・みのる)氏 66年大阪大経卒、入社。2001年6月から専務。大阪府出身。

NKK、住友重機、日立造船が製鉄プラント事業で統合へ

2001.02.06(19:43)asahi.com
 NKK、住友重機械工業、日立造船は6日、3社の製鉄プラントの製造事業について、2年後の2003年3月をめどに全面的に事業統合すると発表した。1990年代後半になって市場が急速に縮小したことが主な理由で、3社は統合の一環として今年4月から共同販売会社を運営し、研究開発や調達などの分野で協力する。

 3社によると、90年代前半には全世界で推定1兆2000億円規模、日本の企業にも海外を中心に3000億円ほどの受注高があった。だが、市場は急速にしぼみ、現在は世界で約5000億円、日本企業の受注高も500―600億円という。

 共販会社はNKKが34%、他の2社が33%で社長はNKKから選ぶ。従業員は30人で年間の受注高300億円を目指す。中国や東南アジアを中心に鉄スクラップを利用する電気炉製造の受注を狙う。

 住友重機はグループ内の住友金属工業とはライバル関係にあるNKKと組むことになるが、同社は「NKKは機械設備が充実しており、現実的な決断だ」と説明している。

日立造船、造船部門を別会社化へ 社名変更も

2000.12.24(12:21)asahi.com
 日立造船は23日、造船部門を完全に分離し、別会社とする方針を明らかにした。昨年分社化した九州日立造船が軌道に乗っているのを受け、ほかの造船所を含めた形で造船専業メーカーをつくる。分離後の本社については「社名の変更も検討する必要がある」(同社首脳)という。日立造船はNKKの造船部門との提携に向け検討を進めており、造船部門の統合をにらんだ動きとみられる。

 日立造船は昨年10月に大型タンカーをつくる主力造船所の有明工場(熊本県長洲町)を九州日立造船として分社化した。舞鶴(京都府舞鶴市)、神奈川(川崎市)と、因島(広島県因島市)の3造船所と本社(大阪市)の営業部門が残っているが、これらをすべて切り離し、九州日立造船を吸収して新会社を設立する方針だ。ただ、労働組合との交渉が決着するめどがまだ立っていないため、時期は未定という。

 日立造船グループ全体でみると、1999年度の売上高は船舶・海洋部門が全体の27%を占めるが、最大の部門は38%を占めるゴミ処理装置など環境関連部門。

NKKと日立造船、造船事業提携を正式発表

7:55p.m. JST May 23, 2000 asahi.com
 NKKと日立造船は23日、造船事業での提携方針について正式に発表した。両社は、営業、設計、調達、製造など造船事業のすべての分野で相互協力の検討を開始するとしている。関係者によると、両社は事業統合を視野に入れた検討を始めており、今後、労働組合や防衛庁などとも話し合い、協議を進めていく見通しだ。両社が事業統合すれば、売上高は1998年度実績で約1400億円に上り、造船業界では三菱重工業の造船部門(約3000億円)に次ぐ第2位の規模になる。

 NKKは津製作所(三重県津市)、日立造船は有明工場(熊本県長洲町)がそれぞれ主力生産拠点になっている。NKKは鉱石などを運ぶバラ積み船(バルクキャリアー)の製造に強みがあり、日立造船は大型タンカー(VLCC)製造が中心になっている。製造している船種も補完関係にあることなどから、相互協力を進め、コスト競争力を高める。

 日本の造船業は56年から世界トップ水準のシェアを維持してきた。ところが、最近は、ウォン安や低賃金のメリットがある韓国企業の追い上げに苦しんでいる。今後、受注量の落ち込みも予想されることなどから、運輸省も昨年夏に業界再編の方向性を示していた。

 すでに、川崎重工業と三井造船が商船分野で事業統合も視野に入れた包括提携を発表している。

日立造船、淡水化事業でオマーンに5億円リベート

03:04a.m. JST January 04, 2000
 日立造船(本社・大阪市)が、オマーン政府から海水淡水化・発電プラントの拡張工事を受注した見返りに、1997年3月ごろ、同国側に約5億円のリベートを払っていたことが朝日新聞社の調べで分かった。偽の工事契約書を作成して工事代金を支払ったように見せかけるなどして資金をねんしゅつ、複数の代理店を通じて渡していた。入札では、より安値を提示した競合他社を押しのける形で受注した。大阪国税局は、販売手数料とする同社の主張を退け、「不透明な受注工作費」と認定。悪質な所得隠しがあったとして二億数千万円を追徴課税する方針だ。同社は、同じプラントの拡張工事を連続受注しており、その度にリベートを支払っていた疑いが持たれている。

 首都マスカットに近いグブラ地区で進められている海水淡水化・発電プラントの第5期拡張工事。海水を蒸発させて淡水を作り、水蒸気の熱を利用して発電、首都圏に飲料水と電力を供給する。

 総事業費は約100億円。うち海水淡水化プラント部分を日立造船が請け負い、発電部分を、コンソーシアム(共同企業体)を組んだ欧州最大の重電メーカーABBグループのABBパワージェネレーション(本社・ドイツ、現ABBアルストムパワー)が担当した。

 97年3月に完成、運転を開始した。1日約2万7000トンの飲料水を生産し、発電能力は4万世帯をまかなえる3万キロワット。

 発注元はオマーンの電力・水利省で、入札には日立造船のほか、イタリアの政府系企業グループ「イリテクナ」(現フィンテクナ)が参加した。応札した金額は、日立造船がイリテクナより4割以上高かったが受注に成功し、94年11月に契約した。

 関係者によると、日立造船は、架空の工事契約書や工事代金請求書を作成し、ABB社にフェンスの据え付け工事などを発注したように装う一方、実際には自社で工事を手がけて資金をひねり出した。リベートは、ABB社を経由させるなどして、複数の海外代理店に販売手数料を支払う形でオマーン側に渡したとみられている。

 リベートが最終的にだれの手に渡ったのかは明らかではないが、日立造船は、工事費を受注謝礼として使うことなどを記した念書をABB社との間で交わしていたという。

日立造船が経理を別会社化、本社の間接人員10分の1に

11:51p.m. JST December 13, 1999
 日立造船は13日、2000年4月に本社の経理部門を分離、子会社化することを明らかにした。企業戦略の決定に関与する中枢機能は本社に残すものの、手形や為替処理などの業務は外に出し、効率化を進める。日立造船は経営再建の一環として、2001年度中に間接部門をすべて別会社化する方針を掲げており、本社の間接人員を現在の10分の1の60人にまで圧縮するという。

 独立させる経理子会社は大阪市の本社内に置く。3年ほどの間に約90社あるグループ会社の経理業務も、すべて集約する方針。グループ外の企業からも経理業務を受注し、独立採算的な色合いを持たせる考えだ。

 ほかの間接部門では、総務の場合は労使交渉、人事は人員配置といった企画立案に関与する部分を残し、事務処理的な色合いが濃い業務は順次、独立させたり各分社に移したりする。

日立造船グループのプレス事業部門を統合

1999年7月5日(月) 午前 11時 Business EXpress
 日立造船は、プレス事業部門とグループ会社のプレス専門メーカー、福井機械(株)を7月1日に統合することを発表。新会社名は「株式会社エイチ アンド エフ」。この統合により大型プレス、中型プレスからプレス周辺自動化装置の生産ならびにアフターサービスの一貫体制を構築し、事業の強化・拡大を目指す。

日立造、堺工場を関連会社に売却

1999年3月23日 (火) 8時10分日刊工業新聞
 日立造船は収益改善策の一環として、橋梁、大型鉄工構造物製造の堺工場(大阪府堺市、敷地約二十一万六千平方メートル)を同社の資産管理会社のエス・エス開発(大阪市西区)に売却する。

 引き続き賃貸借契約を結んで操業は続ける。

  譲渡価格は二百三十二億円で、売却益は百六十八億円。

 三月末までに実施し、九九年三月期決算に特別利益として計上する。

 すでに決算見通しには織り込み済み。

日立造船が10年ぶりに赤字転落へ

(10:31p.m. JST March 5, 1999)
 日立造船は5日、1999年3月期決算の経常損益が、80億円の黒字予想から175億円の赤字となり、89年3月期以来10年ぶりに赤字転落すると発表した。経営再建のため、造船の主力である有明工場(熊本県長洲町、900人)の分社化や、執行役員制度の導入などを柱とした新中期計画を4月から実施することにした。

発表によると、長引く不況で造船と並ぶ主力のごみ焼却プラントなどの受注が減少し、売上高は前回(昨年10月)の予想と比べて600億円減の3900億円に低迷した。特に、海外でのごみ焼却プラント、海洋構造物など大口プロジェクトで、現地の環境・安全基準に合わせるための仕様変更などで採算が悪化したことが響き、大幅な赤字となった。このため99年3月期は無配の方針。

経営再建策としてはまず、手始めに有明工場を「九州日立造船」として別会社化する方向で、組合との交渉に入る。同所で船舶用エンジンを作る有明機械工場(350人)も同様に分社化する。分社化で賃金を見直し、競争力を回復させる。

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