TOPIC No.2-128 捜査情報漏えい問題/福岡

01.刑事局/検察庁
検察官は,刑事事件について,捜査及び起訴・不起訴の処分を行い,裁判所に法の正当な適用を請求し,裁判の執行を指揮監督するなどの権限を持っている。
02.脅迫メール事件捜査情報漏えい by九州発 読売新聞西部本社
03.福岡事件について by民主党
04.調査報告書 by最高裁判所調査委員会
05.福岡地方検察庁前次席検事による捜査情報漏えい問題調査結果 by法務省

判事捜査情報漏えい問題 不訴追

2001年04月21日 Sponichi Annex
 福岡高裁の古川龍一判事(48)の妻の脅迫事件に絡む捜査情報漏えい問題で、裁判官弾劾裁判所に訴追するよう請求があった古川判事について、国会の裁判官訴追委員会(谷川和穂委員長)は20日、不訴追とする決定をした。

 古川判事は既に辞職願を提出。訴追請求により保留されていたが、不訴追決定を受け、近く内閣の承認を経て依願退官の手続きが取られる。

 採決には衆参の国会議員計20人のうち16人が出席。各委員から「訴追」「訴追猶予」「不訴追」の3種類の意見が出され、訴追に必要な出席委員の3分の2以上の同意がなく不訴追が決まった。

古川園子容疑者、威力業務妨害容疑で再逮捕

2001.02.22(21:38)asahi.com
 福岡地検は22日、福岡市内の主婦古川園子容疑者(40)を脅迫罪で福岡地裁に起訴した。園子容疑者は容疑を否認しているとされるが、検察側は「十分な証拠がある」としている。一方、福岡県警西署は同日、園子容疑者を威力業務妨害の疑いで再逮捕した。この事件では、同地検の山下永寿(えいじゅ)・前次席検事から、園子容疑者の夫の古川龍一・福岡高裁判事(48)への捜査情報漏えいが発覚した。山下前次席や古川判事らに対する国家公務員法の守秘義務違反や証拠隠滅の容疑での告発が出ており、検察や県警が捜査している。

 起訴状によると、園子容疑者は、電話交際していた男性が別の女性と親密な関係になったとして、昨年12月14日から同22日までの間に15回、プリペイド式携帯電話から女性の夫名義の携帯電話に「殺してやる」「夜中に火に包まれて一家全滅ヒヒヒヒ」などの文言をメールで送信し、女性とその夫を脅迫したとされる。

 威力業務妨害事件での再逮捕は、昨年11月中旬から同12月28日までの間、複数のプリペイド式携帯電話で、女性の夫が勤務する会社に無言電話などを計千二百数十回繰り返し、電話交換業務を妨害した疑い。園子容疑者はこの容疑も否認しているという。

 地検の山下前次席検事の情報漏えいが事件の証拠隠滅につながった可能性も指摘されたが、福岡高検の佐竹靖幸次席検事は「高検が指揮する前も厳正公平に捜査してきた」とした。

 福岡高裁は起訴について「コメントする立場にない」とした。

 事件の被害者は弁護士を通じ、「私たち家族にとっての救いは、容疑者が罪を犯したのが事実ならば早く罪を認め、私たちが受けた苦しみを理解し更生することです」とのコメントを出した。

最高検、古川判事を参考人聴取 捜査情報漏えい問題

2001.02.21(22:14)asahi.com
 福岡地検の山下永寿(えいじゅ)・前次席検事(51)から捜査情報の漏えいを受けた古川龍一・福岡高裁判事(48)に対する最高検の参考人聴取が21日あった。古川判事に対してはすでに、福岡地検、最高裁、福岡県警西署も事情聴取しており、漏えい問題と妻の園子容疑者(40)の脅迫容疑への関与の有無についての調査は大詰めに入った。古川判事はこれまでの参考人聴取で、山下前次席検事との接触は1回だけと明言しているという。園子容疑者の容疑で証拠隠滅に関与した可能性についても否定している模様だ。

 古川判事は21日午前9時前に自宅を出て、福岡高検に入り、山下前次席検事の情報漏えい問題を調査している最高検から参考人聴取を受けた。山下前次席検事から捜査情報を受けた経緯や、園子容疑者との事件についてのやりとりなどが聴取の焦点になった模様だ。

 古川判事は21日午後5時すぎに自宅に戻り、報道陣に対して、山下前次席検事との接触は「1回だけです」と答えた。

最高検総務部長、福岡地検と高検調査 捜査情報漏えい

2001.02.20(20:55)asahi.com
 福岡地検の山下永寿(えいじゅ)・前次席検事(51)の捜査情報漏えいで、この問題を調査している最高検の町田幸雄総務部長が福岡入りし、19日と20日に同地検と福岡高検関係者から話を聴いた模様だ。

 山下前次席検事は2日の記者会見で、昨年12月28日に福岡高裁の古川龍一判事(48)に妻の園子容疑者(40)に対する脅迫容疑の捜査情報を漏らした後、同地検の渡部尚検事正と同高検の佐竹靖幸次席検事に経緯を報告したことを明らかにした。

 最高検は2月初めから東京で山下前次席検事の事情聴取を続けているが、報告を受けた渡部検事正ら地検と高検の幹部からも事情を聴く必要があると判断し、調査の責任者の町田総務部長を派遣したとみられる。

 佐竹次席検事は、最高検の調査について「きちんと調査されていると理解しており、求められたことは誠心誠意、きちんと対応する」と話した。

福岡高裁判事聴取へ/情報漏えい事件で最高裁

2001.02.17 The Sankei Shimbun
 福岡高裁の古川竜一判事(四八)の妻、園子容疑者(四〇)が脅迫容疑で逮捕された事件にからんで、捜索令状など捜査資料のコピーが福岡地裁から同高裁に報告されたことなどを現地で調べている最高裁調査委員会(委員長・堀籠幸男事務総長)は十七日、福岡地、高裁関係者からのひととおりの聴取を終えたとして、中山隆夫総務局長から白木勇刑事局長に調査を引き継いだ。

 白木局長は証拠隠滅疑惑が持たれている古川判事への聴取を行う予定で、「滞在期限を決めずに」(関係者)福岡入りした。

 聴謔フ時期については捜査機関と連絡を取り、園子容疑者の拘置期限の二十二日までには行いたいとしている。

古川裁判官の忌避認める

2001.02.16 The Sankei Shimbun
 福岡高裁の古川竜一判事(48)の妻による脅迫事件にからみ、同高裁は十六日、殺人事件の被告弁護側から出されていた古川裁判官の忌避申し立てを認める決定をした。決定理由について、同高裁は「検察官に対して中立的な立場を保持し、公平な処理を行うことは困難」などとした。

 古川判事については、昨年十二月二十八日、福岡地検の山下永寿次席検事(当時)から、妻の園子容疑者(40)に関する捜査情報の提供を受け、検察OBの弁護士を紹介されたことなどが判明している。

 このため、古川判事が所属している高裁刑事二部で審理中だった殺人事件の被告弁護側が「古川判事は地検から特別な便宜を受けた上、裁判長も早い時期にそれを知っていたとされ、判決は検察側の主張に沿ったものになる」として、二人の忌避を申し立てていた。

 裁判長の忌避申し立てについては、既に却下されている。

最高裁が本格調査/福岡地検情報漏えい 独自の「チーム」設置へ

2001.02.14 The Sankei Shimbun
 福岡高裁の古川竜一判事(四八)の妻、園子容疑者(四〇)による脅迫事件にからみ、福岡県警西署から令状請求を受けた福岡地裁が福岡高裁へ捜査関係書類のコピーを渡していた問題などで、最高裁は十四日までに、人事局を中心に調査チームを設置し、本格的な内部調査に乗り出す方針を固めた。福岡地裁も十三日に独自調査のための検討委員会を発足させたが、今回の問題では福岡地裁、同高裁が「当事者」の立場でもあり、第三者的な立場からの調査が必要と判断した。具体的なメンバーや調査方法などについては早急に詰める。

 最高裁はこれまでに福岡高裁から、県警が地裁に出した令状を地裁の書記官がコピーして高裁に報告した経緯などについて口頭で報告を受けており、「裁判所職員から令状関係の情報が古川判事側に伝わったと疑わせる事情はなかった」とする見解を公表しているが、「さらに調査が必要と判断したところもあった」と継続した調査の必要性を認めていた。

 コピー問題では福岡高裁の土肥章大事務局長自身が「コピーを受け取ったことは必ずしも適切でなく、私自身も処分を検討される立場にある」と述べていることから、同高裁による調査には限界があると判断、最高裁が直接指揮をとって真相の解明にあたることになったものとみられる。

 一方、古川判事本人については証拠隠滅疑惑がもたれていることから、最高裁でも捜査状況の進展を見ながらできるだけ早い時期に事情を聴く方針だ。

後任に石橋氏 福岡地検次席/捜査情報漏えい

2001.02.13 The Sankei Shimbun
 福岡高裁判事の妻による脅迫事件に絡み、福岡地検の山下永寿次席検事が捜査情報を漏らした問題で、法務省は十三日、更迭された山下氏の後任に石橋基耀水戸地検次席検事を充てるとともに、石橋氏の後任に伊藤敏朗長野地検次席検事、伊藤氏の後任に江幡豊秋東京高検検事を充てる人事を同日付で発令した。

 福岡地検次席検事は、同省が「次席の職務を十分遂行することは困難」として山下氏を九日付で福岡高検総務部付とした後、後任が決まっていなかった。

「地検から事前の相談ない」と福岡高検 捜査情報漏えい

2001.02.13(23:35)asahi.com
 福岡高検の佐竹靖幸次席検事は13日、福岡高裁の古川龍一判事(48)の妻の園子容疑者(40)を逮捕するとの報告を福岡地検から受けたのは、強制捜査着手直前の1月29日ごろだったことを明らかにした。山下永寿(えいじゅ)・前福岡地検次席検事(51)は脅迫事件について、判事の妻が容疑者だったことを理由に「上級庁と捜査方針を相談しないといけない事案だった」と話したが、高検は「地検から相談を受けたことはない」としている。

 佐竹次席によると、地検からは園子容疑者を同月31日に逮捕するとの報告を受けた。それまで、地検の指示で県警の捜査方針が二転三転したことについては、「高検の関与はない」と断言した。

 一方、13日付で、更迭された山下前地検次席検事の後任に石橋基耀(もとてる)・水戸地検次席検事(53)をあてる人事が発令されたが、佐竹次席検事は「本人からは連絡がなく、着任日は未定」と話した。

令状コピー問題で福岡地裁の検討委員会が初会合

2001.02.13(22:22)asahi.com
 福岡高裁の古川龍一判事(48)の妻が脅迫容疑で逮捕された事件にからみ、福岡地裁が逮捕状などの令状のコピーを福岡高裁に渡した問題で、地裁は13日、この問題を調査する「検討委員会」(委員長・小長光馨一所長)を設置し、初会合を開いた。今週中に第2回会合を開く予定だが、調査結果を出す時期は未定という。

 これまでの地裁の調べでは、県警からの令状請求を受け付けた書記官が、古川判事の妻の園子容疑者(40)の名前に気づき、地裁刑事首席書記官や事務局長の指示で計5回、令状資料のコピーを取り、1部を福岡高裁の土肥章大事務局長に渡したという。地裁の保管分は、1月31日の園子容疑者逮捕後に、「保管の必要がなくなった」として廃棄した。

 委員会は判事や書記官ら計9人で構成。国家公務員法などの法に触れるかどうかや、所長を含む関係者の処分の必要性などについて検討を進める。コピーに関与した事務局長と刑事首席書記官は委員会に入っていない。

 一方、福岡高裁の土肥事務局長も13日に記者会見し、最高裁に調査結果を報告したことで高裁としての調査を終えるとの見解を示したが、「捜査状況の推移を見て、さらなる調査の必要性も出るかもしれない」と含みを持たせた。土肥事務局長自身がコピーを受け取ったことについては、「不適切だったかもしれないが、見解の分かれる問題だ」とした。

 古川判事の証拠隠滅疑惑については、「捜査への影響も配慮しつつ、適切な時期に調査したい」と、古川判事を事情聴取する考えを明らかにした。

 この問題は、最高裁も調査しており、「コピーは不適切だった」との見解を示している。

「身内同士のかばい合い」に非難=司法への信頼揺らぐ−情報漏えい問題

[時事通信社 2001年 2月10日 07:05 ]
 福岡高裁の古川龍一判事(48)の妻が脅迫容疑で逮捕された事件をめぐり、福岡地検の山下永寿次席(51)=当時=が捜査情報を漏らした問題では、「身びいきではないか」と山下次席の行動に批判が集まった。検察庁と裁判所の関係者がかばい合う構図は、市民の司法への信頼を揺るがした。 

次席検事更迭「同情論」通用せず

2001年2月9日金曜日ODN News(YOMIURI ON-LINE)
 山下永寿・福岡地検次席検事(51)の捜査情報漏えい問題は九日、法務省が山下検事を次席検事から外す人事を発令する事態となった。二日に問題が明るみに出て一週間。「誤解を招く行為だったかもしれないが、かわいそうな面もある」と、当初、山下検事に同情的な見方が強かった法務・検察当局だが、最高検を動員した内部調査の開始に続き、異例の人事異動も余儀なくされる状況になった。

 「弁護士を紹介したとか、重箱の隅をつつくようなことはどうかと思う」

 漏えい問題が発覚した直後、検察幹部の一人は、そう語っていた。捜査機関が容疑者側に弁護士を紹介するという、民間人が対象なら決してあり得ない事態だが、「情報漏えいが捜査にどういう影響を与えたかの方が重要な問題だ」とも。

 一方、司法行政の頂点に立つ最高裁。問題が明るみに出た直後、事務総局の幹部は、山下検事から情報提供を受けたとされる古川竜一判事(48)の所属する福岡高裁から脅迫事件の概要報告をすでに受けていることを認めた。そのうえで、「捜査当局から捜査妨害や証拠隠滅の疑いを持たれないよう、捜査が一段落するまで古川判事からは直接、話を聞いたりしないよう指示した」と語った。

 ところが、福岡地裁が令状関係書類をコピーし、古川判事が所属する同高裁にも手渡していたことが発覚すると、急きょ、地・高裁は内部調査を開始。しかし、わずか一日だけ、それも一人につき二、三分間という調査で、コピーによって古川判事に情報が漏れたことはなかったと結論付けた。

 検察上層部、最高裁などの対応には、法曹関係者の中にも危機管理能力を疑問視する声や、「身内意識やなれ合いがあったのではないか」という指摘が出ている。

         ◇

 古川判事の妻、園子容疑者(40)(脅迫容疑で逮捕)の脅迫事件で、捜索令状などの請求を受けた福岡地裁が関係書類をコピーし、福岡高裁に渡していた問題で、同高裁は九日、内部調査の結果を最高裁に報告した。

 報告を受けた最高裁は「令状関係の情報に接した裁判所職員から、情報が古川判事側に伝わったと疑わせる事情はなかった」と結論付けた。

山下次席検事を更迭 情報漏えい問題で法務省

2001.02.09(21:15)asahi.com
 福岡地検の山下永寿(えいじゅ)・次席検事(51)が福岡高裁の古川龍一判事(48)に捜査情報を漏らした問題で、法務省は9日、山下次席を更迭し、同日付で福岡高検検事に異動する人事を発表した。異動の理由について同省は「最高検の調査が続いており、これ以上、福岡地検次席としての職務を遂行することが難しいため」と説明している。「調査内容を踏まえた措置ではない」とも述べており、調査結果を受けて、改めて何らかの処分が行われる見通しだ。後任の発令は、週明けになる。

 山下次席は6日の「全国次席検事会同」に出席するため、5日に上京。最高検は複数の検事によるチームを作り、同日以降、山下次席から事情を聴く一方、担当検事らを福岡に派遣して調べを進めていく方針だ。

 最高検は、(1)古川判事に対する「警告」など山下次席のとった方法が適切だったのか(2)山下次席の行為によって証拠隠滅などの結果を招いたのか――などを中心に、守秘義務を定めた国家公務員法に違反する行為や証拠隠滅行為の有無についても検討を進めるとみられる。古川判事の妻に対する脅迫容疑事件の捜査が終わり次第、調査結果を受けて処分について判断する。

 山下次席は昨年4月、東京高検検事から福岡地検次席に就任。今回の異動で、福岡高検では「総務部付」となる。

 検察幹部が更迭されたケースとしては、1994年1月、秋田地検の次席検事が女性記者にわいせつ行為をした疑いが指摘されて仙台地検検事に異動となり、その後、停職処分を受けた例がある。

パソコンデータ消去など解明へ=判事の説明と食い違い−福岡高検[時事通信社 2001年 2月 9日 07:07 ]

 福岡地検の山下永寿次席検事(51)が脅迫容疑で妻が逮捕された福岡高裁の古川龍一判事(48)に捜査情報を漏らしていた問題で、判事宅で押収されたパソコンから事件に使われた携帯電話のデータなどが消去されていたことについて、福岡高検は9日までに、「隠滅工作は一切していない」という古川判事の説明と食い違うとして、同判事から改めて事情を聴くなどして証拠隠滅の有無などを調べる方針を固めた。 

最高検、情報漏えいで検事派遣=山下次席の処分を示唆−高村法相

[時事通信社 2001年 2月 9日 07:07 ]
 高村正彦法相は9日の閣議後の記者会見で、福岡地検の山下永寿次席検事(51)が脅迫容疑で逮捕された福岡高裁の古川龍一判事(48)の妻に関する捜査情報を漏らした問題で、最高検が近く検事らを福岡に派遣し、調査することを明らかにした。

 同問題をめぐっては、脅迫事件の捜査とは別に、山下氏の捜査情報漏えい問題について最高検が調査を進めている。法相は「最高検の調査結果を見てから適切な措置を取りたい。わたしの判断はそんなに時間はかからない」と述べ、調査結果を見た上で何らかの処分に踏み切る考えを示唆した。 

情報漏えい直後、妻に指示

2001.02.09 Sponichi Annex
 福岡高裁判事の妻の脅迫事件をめぐる福岡地検の捜査情報漏えい問題で、福岡地検の山下永寿次席検事(51)から昨年12月28日、園子容疑者(40)=脅迫容疑で逮捕=についての捜査情報を知らされた夫の古川竜一判事(48)が、直後に園子容疑者に電話し、山下次席検事が紹介した弁護士に相談するよう指示していたことが8日、分かった。

 逮捕前に行われた1月24日の事情聴取の際、園子容疑者が「夫に電話する」と言って何度も外部に電話していたことも既に判明。同県警は古川判事が妻の事件への対応に積極的にかかわった可能性もあるとみて調べている。県警の調べに対し、園子容疑者も「夫から弁護士のところへ行こうと電話があった」と供述している。

「古川判事への情報漏れなし」と結論 福岡高裁・地裁

2001.02.08(20:36)asahi.com
 福岡高裁の古川龍一判事(48)の妻の園子容疑者(40)が脅迫容疑で逮捕された事件にからみ、福岡県警西署が請求した令状などの書類を福岡地裁がコピーして福岡高裁に渡した問題で、同高裁と地裁は8日、関係者への聞き取り調査を終え、古川判事側への情報漏れはなかったとの結論を出した。地裁の調査結果はすでに高裁に報告され、高裁の結果は9日にも最高裁に報告する。

 高裁の土肥章大・事務局長は「情報漏れは一切ないと確信している」と話し、「高裁は受け取っただけの立場だ」として、関係者の処分は考えていないとしている。

 一方、小長光馨一・地裁所長は「書類のコピーは適当ではなかった。あらゆることについて反省が必要だ」と述べた。自らを含め地裁関係者の処分については、「今後の検討課題」とした。

“脅迫”判事妻「身に覚えない」

2001.02.08 Sponichi Annex
 福岡地検次席検事による捜査情報漏えい問題で、福岡県警の捜査で逮捕された福岡高裁の古川竜一判事(48)の妻園子容疑者(40)が脅迫の疑いが濃厚になったにもかかわらず、同地検側が「ほかの人物が犯人の可能性がある」などとして、捜査にブレーキをかけていたことが7日、分かった。また、古川判事は園子容疑者の逮捕前、事件に関する詳細な報告書を数回にわたり同高裁に提出。妻の行動記録を列記するなどして、妻の事件への関与を否定するような内容だったことも判明した。一方、逮捕から1週間が過ぎた園子容疑者は容疑を全面否認し、徹底抗戦の構えだという。

 メールや携帯電話で三角関係の女性を脅迫して逮捕された園子容疑者。逮捕時は涙を流し反省の色を見せていたものの、最近では一転して「脅迫なんて身に覚えがない。知らない」などと容疑を全面否認。

 犯行に使ったとみられる携帯電話についても、次席検事が夫の判事に警告する前の「11月か、12月にゴミと一緒に捨てた」と供述するなど「夫の判事に想定問答集でもつくられたような口ぶり。都合の悪いことは何も話さない」(捜査関係者)という態度で「疑いが晴れるまで頑張る」とまで話しているという。

 福岡県警や弁護士らによると、博多署に新しく造られた女性専用の留置場に拘置されている園子容疑者は、食事も残さず平らげ「ここ新築なの。いいにおいね。VIPルームはないのかしら」などと話し、留置所でスキップしてみせるなど、自分の立場を全く忘れているように振る舞っている。

 古川判事と園子容疑者は1985年に結婚し、子供は女の子3人。97年に夫の転勤で福岡へ来たが、多忙の判事とすれ違いが多くなり、伝言ダイヤルやインターネットなどにのめり込みストレスを発散していたという。

 これまでの福岡西署の調べによると、園子容疑者は昨年夏ごろから12月にかけ、電話で交際していた男性(36)が別の女性(34)と付き合い始めたことに腹を立て、この女性に200回以上にわたって無言電話をかけたり「夜中に火をつけて一家全滅」などと書かれた嫌がらせのメールを送りつけていた疑い。女性の夫の勤務先にも無言電話を6000回以上かけ、女性の子供が通う小学校にも性的な中傷ビラを配るなどのストーカー的行為を繰り返していた。

 これらの行為を内偵していた福岡県警の動きを知った福岡地検の山下永寿次席検事(51)から古川判事に捜査情報が流れたものとみられている。

地検、組織ぐるみで隠ぺい工作

 福岡地検が組織ぐるみで同僚の妻の容疑を隠ぺいしようとした構図がさらに明確になった。福岡西署の調べによると、園子容疑者に脅迫された女性の被害届を受け捜査を開始したところ、園子容疑者の携帯電話の発信記録と被害者の受信記録がほぼ一致。このため、園子容疑者の犯行の疑いが強いとみた同署は地検側に強制捜査の方針を伝えた。

 しかし、地検の意向で逮捕は見送り。さらに地検関係者が園子容疑者や被害女性と三角関係にあった福岡市内の男性について「この男性が犯人の可能性もある」などとし、男性宅の家宅捜索を指示。 同署は家宅捜索をしたが、犯行につながる証拠は何もなかったという。

 また、古川判事は脅迫事件に関する詳しい報告書を数回にわたり、自発的に福岡高裁に提出していたことも判明。報告書の内容について「詳しいことは言えない」(土肥章大同高裁事務局長)としているが、園子容疑者の行動記録などを列記し、事件への関与を否定したものとみられる。

 一方、古川判事は7日、休暇願を出し担当刑事部の審理を欠席。同日予定されていた控訴審公判は別の判事が代行した。園子容疑者が福岡西署に任意の事情聴取を受けた1月24日以来、休暇は計5日となり公判に影響が出ている。高裁側は「プライバシーにかかわる」と休暇願の理由を明らかにしていない。

 ◆土本武司氏(元最高検検事)刑事司法は公平・公正が命。裁判官の妻だからといって利益を及ぼす扱いをするのは司法に携わる者としては絶対にやってはいけない基本中の基本で、誠にけしからんと言うしかない。検事、判事、弁護士は司法試験合格後に研修所で同じカマの飯を食うので仲間意識があるのは否定できないが、仕事の場面ではそれぞれの立場に徹しているはずであるし、徹するべき。国民の信頼を回復するためにも、経過を明らかにしていくべきだ。判事が報告書を提出していたことが明らかになったが、文書が捜査に圧力を与えることは全くないし、かえって不審を抱かせるだけ。せいぜい身内の犯罪を弁解するための自己満足でしかないので、裁判所側も意味がないものは受け取るべきではなかった。

捜査情報漏えい問題で福岡高裁判事を聴取へ 最高裁

2001.02.07(21:58)asahi.com
 最高裁は7日、福岡地検の山下永寿(えいじゅ)・次席検事(51)から捜査情報の漏えいを受けた福岡高裁の古川龍一判事(48)を事情聴取することを決めた。古川判事の妻の脅迫容疑にからみ、判事自身の証拠隠滅疑惑などが浮上したため、事実関係の調査に乗り出すという。最高裁が直接、古川判事を聴取するか、福岡高裁が聴取して最高裁に報告するかは未定としている。

 最高裁事務総局によると、古川判事の妻の園子容疑者(40)が脅迫容疑で逮捕された事件で、福岡県警西署が請求した「捜索差押許可状」の関係書類のコピーを、福岡地裁が福岡高裁に渡したことについても、関係者から事情を聴く。

捜査情報漏えい 露呈した身内への甘さ

'01/02/07 中国新聞
 福岡市の主婦電話脅迫事件をめぐる捜査情報漏えい問題について、一般国民は苦々しい思いで推移を見守っているのではないか。自分たちとは縁遠い特権意識から発した情報漏えい、としか映らないからだ。

 事件の構図自体は単純である。福岡高裁の判事の妻が、男性との交際をめぐって福岡市内の女性を電子メールなどで脅した容疑で逮捕された。

 問題なのは、福岡県警から捜査状況などの報告を受けた福岡地検の山下永寿次席検事が、報告の翌日、容疑者の夫の判事を地検の自室に呼び出し、脅迫行為をやめさせるよう警告―つまり捜査情報を相手側に漏らしたことである。

 国家公務員法の守秘義務違反に抵触する可能性が高い。法務省と最高検の厳正な調査を待ちたい。

 「判事だから信用して、自分の判断で警告した」「(判事という)夫の立場を考慮した」というのが山下次席検事の言い分である。語るに落ちた、と言わざるを得ない。判事に弁護士を紹介した疑いなども出ている。事件の相手が、いわば同じ司法の身内だったからこそ、一般人とは違った甘い措置を取ったことになる。

 脅迫行為は警告直後からやみ、判事の妻は一カ月後に逮捕された。捜査の指揮は同次席が執った。とはいえ、容疑者が犯行に使ったと見られるプリペイド式携帯電話五台は見つからず、パソコンのデータも消去されていた。同次席による情報の漏えいが重大な証拠隠滅につながった、と疑われても仕方がない。

 山下次席検事と判事のこうした接触は、福岡高検の次席検事と同地検の検事正にも伝わっていたという。二人の上司は、当然予測される証拠隠滅に対する防止策の指示もせず、黙認していた。「次席と判事はそれなりの適性な手続きを踏んで会ったのだろうと思った」(高検次席検事)のが理由である。ここでも、なれ合いに似た身内意識がのぞいている。

 判事の方にも問題がある。山下次席検事から、呼び出しを受けた際、「そんな話には応じられない」と拒否するのが、人を裁く立場にある判事の職責だからである。

 自分の妻の犯罪という状況の厳しさは理解できるが、それにも左右されない、き然とした姿勢こそが判事には求められている。自己保身と同時に、検察との身内意識が働いた結果が判断を間違わせた、とするのは言い過ぎだろうか。

 容疑者の妻は、逮捕直後、県警に対して脅迫容疑も証拠隠滅容疑も全面的に否認したという。判事が「徹底して闘うしかない」と妻に言ったとも伝えられる。その一方で、地検は判事を参考人として事情聴取している。証拠隠滅に関与したのかどうかの聴取と見られている。

 「容疑者が逮捕されるまで、事件がうやむやにされるのではとの不安の毎日だった」。被害者が吐露した不信感は、権力を持つ側に対する一般国民の思いを代弁している。問われているのは、事件の経緯を含めた全体像の徹底解明である。

「調査結果見て私が判断することも」地検情報漏洩で法相

2001.02.06(15:20)asahi.com
 福岡地検の山下永寿・次席検事が容疑者の夫の福岡高裁判事に捜査情報を漏らしていた問題で、高村正彦法相は6日の閣議後の記者会見で「最高検が調査に乗り出したので、極めて重大な関心を持って見守っていく。そんなに長くかかるとも思わないので、調査の結果を見て私自身が何らかの判断をする必要があるかもしれない」と述べ、調査の結果次第では処分もあり得ることを示唆した。

 「(次席の措置に)国民は不公平感を持ったのではないか」との質問に対し、自らも弁護士資格を持つ法相は「裁判官と検事、今度の件は入らないが弁護士も含めて、法曹3者が一体となって利益を守ろうとしているのではないかという漠とした国民感情は一部にあった。その中で問題が起き、そうではないかという感じを持たれているのは不幸なことだ」と答えた。

現行犯逮捕目前、地検が任意捜査指示=古川容疑者の嫌がらせ止まる−福岡

[時事通信社 2001年 2月 6日 07:07 ]
 福岡高裁判事の妻古川園子容疑者(40)が脅迫容疑で逮捕された事件をめぐり、捜査指揮に当たっていた山下永寿福岡地検次席検事が昨年12月下旬、県警西署の強制捜査方針を任意捜査に切り替えさせた際、同署では既に通信記録などの証拠を固め、古川容疑者を現行犯逮捕する目前だったことが、6日までに分かった。

 山下次席検事は昨年12月28日、この高裁判事を呼び、古川容疑者の被害女性に対する嫌がらせメールなどをやめさせるよう警告。その後、こうしたメールなどは止まり、西署は現行犯逮捕のチャンスを失うことになった。

 捜査幹部の1人は「逮捕が1カ月も延び、重要な証拠品は処分され、現行犯逮捕もできなくなってしまった」と話している。 

福岡地検次席を捜査から外す 捜査情報を漏洩で福岡高検

2001.02.05(22:24)asahi.com
 福岡地検の山下永寿(えいじゅ)次席検事(51)が脅迫事件の捜査情報を漏らした問題で、福岡高検は5日、山下次席検事を事件の捜査指揮から外し、高検の伊東正刑事部長をあてることを決めた。情報漏えい問題に対する批判に配慮した措置で、「捜査の厳正さや公平性に疑念を持たれないようにするため」と説明した。検察側は今後、山下次席検事の行為が国家公務員法の守秘義務違反にあたるかどうか確認することも含め、山下次席検事や漏えいを受けた古川龍一・福岡高裁判事(48)の参考人聴取も検討している。

 福岡県警西署に脅迫容疑で逮捕された古川園子容疑者(40)=福岡市城南区鳥飼7丁目=への捜査はこれまで、福岡地検の刑事部長ら6人の検事が担当し、山下次席検事が捜査指揮をしてきた。

 5日に記者会見した福岡高検の佐竹靖幸・次席検事によると、山下次席から5日、「捜査の公平性に疑念を持たれてはいけない。指揮から外れたい」という趣旨の申し出があり、捜査の指揮者を山下次席検事から伊東刑事部長に変更することを決めたという。直接の捜査はこれまで通り、地検の検事6人が担当する。

 佐竹次席検事は「山下次席検事の言動で、一般の人は地検がきちんと捜査するかどうか疑問視するだろう。高検刑事部長に変更するのは、きちんと捜査することを分かってもらうためだ」と説明した。

 山下次席検事が古川判事に捜査情報を漏らしたことで、犯行に使われたプリペイドカード式携帯電話などの重要な物証が隠滅された可能性がある。

 地検は、園子容疑者が逮捕された1月31日前後に、夫の古川判事から事情を聴いた。また、高検は3日から5日にかけて断続的に山下次席検事から漏えいの事実経過について事情聴取した。最高検も5日に山下次席検事から事情を聴いた模様だ。

 脅迫事件の捜査過程で、改めて2人を参考人として事情聴取することについて、高検は「必要があれば、当然聴くと思う」としている。

 一方、古川判事は福岡高裁に休暇願を出し、担当する第2刑事部の公判はほかの判事が代行した。

福岡地検次席検事、犯行手口漏らす 容疑者の夫の判事に

2001.02.04(08:16)asahi.com
 福岡地検幹部による捜査情報漏えい問題で、山下永寿(えいじゅ)・次席検事は、脅迫事件の容疑者の夫の判事に「警告」した際、犯罪の立証に向けた重要な証拠との認識がありながら、無言電話や嫌がらせメールなどの脅迫行為には「プリペイド式携帯電話が使われた」と伝えていたことがわかった。事件に使われたプリペイド式携帯電話は、容疑者宅の家宅捜索で発見できず、山下次席検事が捜査情報を漏らしたことが、証拠隠滅につながった可能性もある。

 この事件では1月31日、福岡市城南区鳥飼7丁目、主婦古川園子容疑者(40)が脅迫容疑で福岡県警西署に逮捕された。

 夫の古川龍一・福岡高裁判事(48)が2日深夜、各報道機関にファクスで送ったコメントによると、昨年12月28日に山下次席検事から福岡地検に呼び出され、古川容疑者が「被害者の女性や女性の夫の会社にプリペイド式携帯で無言電話やいたずら電話をかけているとして捜査が進められている」と知らされたという。

 西署の調べでは、被害者側への無言電話や電子メールは、3台のプリペイド式携帯電話から発信された。犯行に使われた携帯電話は古川容疑者宅近くの販売店で売られたもので、古川容疑者に似た人物が何度も同店に出入りしたことが確認されている。

 3台の電話は犯行を裏付ける有力な物証となるため、同署は同26日の福岡地検との協議で、年明けにも強制捜査による古川容疑者の逮捕と家宅捜索に踏み切る方針を伝え、担当検事も確認したとされる。

 ところが、地検は同28日の協議以降、「古川容疑者が脅迫に使われたプリペイド式携帯電話を持っていたかどうか証拠が不十分」などと慎重姿勢に転じ、1月初めに予定した逮捕状請求が延期された。

 これについて、山下次席検事は朝日新聞社の取材に対し、「あの時点で県警は携帯電話の発信記録や受信記録を押さえていなかった。それらの記録をつめないと逮捕は無理だと指示した」と説明した。

無言電話6000回、主婦を脅迫容疑で逮捕へ 福岡県警

2001.01.31(16:38)asahi.com
 電話で交際していた男性が別の女性と付き合い始めたことを恨み、中傷ビラをまいたり無言電話をかけたりしたとして、福岡県警西署は31日、福岡市城南区の主婦(40)に対し、脅迫の疑いで逮捕状を取った。同日中に逮捕する方針。中傷ビラは女性の子どもの学校にもまかれ、無言電話は女性の家族の勤務先だけで約6000回に及んだという。同署は、執ようで悪質な嫌がらせとして、異例の脅迫容疑による強制捜査に踏み切った。

 調べによると、主婦は昨年11月から12月にかけて、福岡市内の女性名義の携帯電話に二百数十回、無言電話をかけたり嫌がらせメールを送ったりした疑い。メールには女性を中傷する内容とともに、「殺してやる」などの文言もかかれていたとされる。

 関係者によると、被害を受けた女性の周辺では、昨年夏ごろから、無言電話や嫌がらせメールの頻度が増えたとされる。また、自宅や子どもの小学校に中傷ビラがまかれ、女性の夫の勤務先には約6000回に及ぶ嫌がらせや無言の電話がかかってきたという。

 この会社によると、様々な嫌がらせや無言の電話が毎日のように何回も事務所にかかり、多いときは1日700回を超えたため、被疑者不詳で告訴も考えたが、昨年末からピタリと止まったという。

 西署などの調べによると、容疑の主婦は1997年に市内の男性を知り、電話で話をしたり、メールを送ったりして交際していたが、99年ごろに男性が女性と付き合い出したことを主婦に漏らしたという。このため、同署は主婦が女性を恨んで嫌がらせや脅迫行為を始めたとみている。

 主婦と男性は面識がなく、主婦が電話をかけるときは本人名義の携帯電話、男性から電話を受けるときは身元が分からないプリペイド式の携帯電話と、使い分けていたとみられ、男性は主婦の素性はまったく知らないと話しているという。

 主婦はこの2台のほかにプリペイド式携帯電話を3台購入し、女性名義の携帯電話や女性の夫の勤務先にかけたとみられる。

 主婦は、女性の子どもの授業参観日に小学校を訪れ、知人を装って女性の電話番号を聞き出したことが確認されている。また、女性を中傷するビラは、この小学校の授業参観日に女性の子どものげた箱に入れられていた。その後の授業参観日に、女性が張り込みを依頼した知人が、学校を訪れた主婦に声をかけたところ逃げたという。

 女性から被害届を受けた同署は当初、ストーカー行為規制法違反容疑で捜査を始めたが、「嫌がらせの内容が悪質」と判断し、脅迫容疑に切り替えた。

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