TOPIC No.2-124 米たばこ訴訟/ たばこ問題

01.タバコ問題の最近の動き (2001年5-6月)
02.私のスクラップ帳から byマナベ小児科
03.ケムたい話
04.たばこ YAHOO! News

韓国初の「タバコ訴訟」、肺がん患者と遺族が敗訴

JANUARY 26, 2007 東亜日報

 7年以上続いた韓国初の「タバコ訴訟」の1審は、原告である肺がん患者と遺族が敗訴した。今回の判決結果は、裁判が進行中の他のタバコ訴訟にも影響を及ぼすこととみられる。

 ソウル中央地方裁判所民事合議13部(趙京蘭部長判事)は25日、肺がん患者の金某氏(外国航路船員・1999年死亡)と遺族など5人が、「長期間の喫煙のため肺がんにかかり、肉体的・精神的被害を受けた」として(株)KT&Gと国を相手に提訴した損害賠償請求訴訟と、別の金某氏(65・農業)など31人が同じ理由で出した2件の訴訟で、いずれも原告側の敗訴判決を下した。

 判決直後、肺がん患者側は控訴する考えを明らかにし、7年4ヵ月間続いたタバコ訴訟の攻防は、第2ラウンドを迎えることになった。

 裁判所は判決で、「肺がん患者たちは長期間タバコを吸っていたという共通点があり、彼らの喫煙と肺がん発病の間に疫学的因果関係は認められる。しかし、KT&G社が生産し販売したタバコを吸ったから肺がんにかかったという証拠はない」と述べた。

 KT&G側がタバコの有害性を隠ぺいし、有害性警告義務を違反したという原告側の主張に対しては、「KT&Gは1976年からタバコに警告文を表示して来たので、警告義務を違反したとは見なせない」とし、KT&G側の主張を認める格好となった。

 裁判所はまた、原告側が主張したKT&Gの製造・設計・表示上の欠陷を認めず、喫煙と肺がん発病の間の直接的因果関係を立証する責任も、肺がん患者側にあると説明した。

 肺がん患者と家族は1999年9月と12月、それぞれ1億ウォンと3億ウォンの損害賠償請求訴訟を出し、7年以上にわたって訴訟を進めてきた。原告側訴訟代理人の「今子(ペ・クムジャ)弁護士は、「喫煙が肺がん発病の主要原因であるのは認めながら、タバコ会社の責任を認めない判決は受け入れられない」と言い、控訴する意思を示した。

 一方、ソウル中央地方裁判所では、ユン某氏など4人が04年12月に出した訴訟と、イム某氏など2人が05年5月に提訴した2件のタバコ訴訟は進行中だ。

たばこ訴訟、米政府の請求棄却

2006/08/18 The Sankei Shimbun 大阪夕刊から

 たばこによる健康被害に絡み、米政府がたばこ各社に禁煙事業への総額100億ドル(約1兆1600億円)の拠出などを求めていた訴訟で、ワシントン連邦地裁は17日、過去の判例を基に政府の請求を棄却した。米メディアが伝えた。

しかし判決は、たばこ各社が長年にわたり、喫煙の有害性を消費者に十分に伝えないよう申し合わせていたことを違法行為と認定、広告やパッケージなどで喫煙の危険性を警告するよう命じたほか、「ライト」や「低タール」など健康への被害が少なそうな印象を抱かせる言葉の使用も禁じた。(ワシントン 共同)

喫煙で今世紀10億人死亡も 国際対がん連合が対策訴え

2006/07/11 The Sankei Shimbun

 【ワシントン=共同】喫煙を減らす強力な対策が導入されなければ、21世紀のたばこによる死者数は世界で約10億人に上り、20世紀の10倍に膨らむ恐れがあるとの推計を国際対がん連合などがまとめ、ワシントンで開催中の同連合の会議で10日発表した。

 中国をはじめとする喫煙率が高い発展途上国での人口増が主な原因。発表は、成人のたばこ消費を半減できれば今後50年間に約3億人の「不必要な死亡」を防げるとして、各国政府に早急な取り組みを求めている。

 世界の喫煙人口は現在、男性約10億人、女性約2億5000万人の計約12億5000万人。平均喫煙率は男性の場合、先進国が35%、途上国は50%で途上国が多いが、女性は先進国が22%と途上国の9%を上回っている。

 現在の傾向が変わらないと、2005年に年約500万人だった喫煙による死者は20年に年1000万人に倍増、その後も増え続ける。

禁煙治療:来年4月から公的保険適用対象に 厚労省

2005年11月09日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 厚生労働省は9日の中央社会保険医療協議会小委員会で、現在全額自己負担となっている医師による禁煙指導について、来年4月から公的保険の適用対象とする方針を示した。

 生活習慣病を予防し、医療給付費を抑制する政策の一環。「禁煙外来」の保険適用で給付費は膨らむ見通しだが、同省は「喫煙による健康被害で1兆3000億円余計に医療費がかかっているという試算もあり、喫煙者が減れば中長期的には給付費が減る」と想定している。

メディアのたばこ広告禁止 EU、今月末から

2005/07/27 The Sankei Shimbun

 欧州連合(EU)は27日、EU域内で今月31日から新聞、テレビやラジオ、インターネットなどメディアを通じたたばこの広告を全面禁止するEU指令が発効すると発表した。EU内では映画上映前の広告や街頭の看板、灰皿やグラスのロゴなど一部を除き、たばこ広告が消滅する。

 指令によると、メディアでの広告のほか、たばこ企業が2カ国以上の加盟国が参加するスポーツ大会やコンサートなど催し物のスポンサーになることも禁止される。

 キプリアヌ欧州委員(保健、消費者保護担当)は同日、「たばこの広告禁止は喫煙を減らす最も有効な手段の1つで、多くのEU市民の健康を守るだろう」との声明を発表した。

 同指令は2003年にEU首脳会議、欧州議会で承認され、加盟国が国内法を整備していた。(共同)

妊娠中の酒・たばこは危険…赤ちゃん体重減に

2005/03/26 読売新聞 Yomiuri On-Line

 妊娠中に母親がたばこをすったり、酒を飲んだりすると、赤ちゃんの出生体重が減少してしまうことが、国立健康・栄養研究所の滝本秀美・主任研究員らの分析で明らかになった。

 出生体重が少ないと、乳児期の死亡率が高まるほか、成人後も生活習慣病になる危険が高まるとされており、研究者は「妊娠中の喫煙、飲酒は控えるべきだ」と訴えている。この成果は4月4日、京都市で開かれる日本産科婦人科学会で発表される。

 研究チームは2000年に実施された国の乳幼児発育調査データをもとに、単胎(胎児1人)で順調に生まれた赤ちゃん9120人について調べた。

 その結果、妊娠中の母親の喫煙率は10・0%、妊娠中に週3回以上酒を飲む習慣のある母親の割合は1・4%で、生まれた赤ちゃんの体重と対比させると、たばこが1日1本増えるごとに9・4グラム、飲酒習慣がある場合は70・5グラム減少する計算になった。

 喫煙で血中の一酸化炭素濃度が上昇し、胎児に十分な酸素が運ばれなくなるのに加え、母体でビタミンCなどが消費され、栄養分が不足するためという。

親の喫煙、子に「害」じわり…動脈硬化のリスク高まる

2005/03/19 読売新聞 Yomiuri On-Line

 親が家庭でたばこを吸い、受動喫煙にさらされている子供は、動脈硬化を防ぐ善玉(HDL)コレステロールの値が低いことが、埼玉県熊谷市医師会の井埜利博医師(小児循環器)らの研究でわかった。

 成人後に心筋梗塞(こうそく)などを引き起こす危険が子供の時から高まることになり、特に母親の喫煙の影響が大きい。19日から横浜市で開かれる日本循環器学会で発表される。

 同医師会は、小学4年の児童に行っている生活習慣病検診の際、親が喫煙しているかどうかを尋ね、子供の尿中に含まれるニコチン代謝物質の量を調べた。その結果、両親とも喫煙している子供の6割、一方の親が喫煙者の場合は3割に、受動喫煙の証拠となるニコチン代謝物質が検出された。子供に接する時間の長い母親が喫煙者の場合は、父親に比べ約2倍の影響があった。

 尿中のニコチン代謝物質の量が多い子供ほど、血液中のHDLコレステロールが少なく、通常の子供より約1割低かった。たばこを吸うとHDLコレステロール値が低下し、心筋梗塞の恐れが高まることが知られているが、小児の受動喫煙でも同様の危険があることが裏付けられた。

たばこ規制条約が発効 受動喫煙防止、広告規制も

2005/02/27 The Sankei Shimbun

 たばこが健康や社会に及ぼす悪影響の防止を目指し、日本を含む50カ国以上が批准した「たばこ規制枠組み条約」が27日、発効した。

 公共の場所でたばこの煙にさらされないようにする受動喫煙対策や、広告の規制、禁煙指導、未成年者が自動販売機でたばこを買えないようにする措置などが柱。

 一部製品で先行実施されている包装紙の面積30%以上の「たばこの害」表示が将来は義務付けられ、広告の全面禁止も5年以内の課題となる。

 国内では2003年5月、公共施設に受動喫煙防止の努力義務を定めた健康増進法が施行され、対策が始まっているが、今後は条約の規定に沿ったさらなる取り組みが求められる。(共同)

男性医師の喫煙率、21・5%に減少…医師会調査

2004/12/07 読売新聞 Yomiuri On-Line
 「医師でも禁煙は難しい?」――。日本の男性医師の喫煙率は、以前より減少しているものの、欧米に比べ依然高い水準にあることが7日、日本医師会が行った調査で分かった。

 調査には、無作為に抽出した医師約3600人が回答した。男性医師の喫煙率は21・5%で、前回調査(2000年)の27・1%に比べ、6ポイント近くも減少した。女性は5・4%で前回(6・8%)よりわずかに減った。日医によると、男性医師の喫煙率は米国では3―5%、イギリスでは4―5%、ニュージーランドでは5%だという。

 日医は、「医師の喫煙が減少傾向にあるのは望ましいが、未回答者を含めた全体の喫煙率は調査結果よりも高いことが推測される。今後も喫煙防止運動が必要だ」と指摘している。

喫煙者率、初めて3割切る 9年連続、最低を更新 JT調査

2004/10/19 The Sankei Shimbun
 成人でたばこを吸う人の割合は6月時点で、前年比0・9ポイント減の29・4%と、9年連続で過去最低を更新、初めて30%を割り込んだことが19日、日本たばこ産業(JT)の調査で分かった。

 統計は1965年に取り始めた。今年の調査は全国の男女計1万6000人を対象に行い、1万875人(68・0%)から回答を得た。

 男女別では、男性が前年比1・4ポイント減の46・9%と13年連続減少、女性は0・4ポイント減の13・2%で3年連続減少した。

 これを基に喫煙者人口を推計すると、男性が前年比59万人減の2328万人、女性が17万人減の704万人になる。

 喫煙者率が最も高かったのは男女とも30代で、男性が56・3%、女性が21・3%。地域別では男女とも北海道が最も高かった。

 「毎日吸う」と回答した人の1日平均の喫煙本数は、男性が22・4本(前年比0・5本減)、女性が16・5本(同0・7本減)だった。

 JTは喫煙者の減少について「健康に関する意識が高まり、喫煙をめぐる規制の強化や、昨年7月のたばこ税の増税実施などが影響しているのではないか」としている。

たばこ規制条約:118カ国が署名 日本は6月に批准へ

毎日新聞 2004年5月30日 Mainichi INTERACTIVE
 【ジュネーブ大木俊治】世界保健機関(WHO)は、昨年の総会で採択された「たばこ規制枠組み条約」について、30日までに加盟192カ国のうち、日本や米国を含む118カ国が署名、16カ国が批准したことを明らかにした。条約は40カ国の批准から90日後に発効する。まだ、発効時期のめどは立っておらず、WHOは31日の「世界禁煙デー」を機に、各国に批准促進を訴える。

 批准したのはノルウェー、ハンガリー、インド、シンガポール、ニュージーランドなど。国内に大手たばこ産業を抱える日米は、交渉過程で条約強化に抵抗し、たばこの害を訴えるNGO(非政府組織)から批判を浴びたが、既に署名した。日本は国会が批准を承認済みで、6月中に閣議で正式に批准する。

 葉タバコの主要生産国では中国、ブラジルが署名したが、経済的にたばこ産業依存度が高いマラウイやジンバブエは未署名。このほか、ロシア、エジプトなどもまだ署名していない。

 WHOは28日、「全世界で6.5秒に1人がたばこに起因する病気で死亡している」と改めて注意喚起する声明を発表。途上国や貧困層で喫煙率が高く、経済発展の阻害要因にもなっていると警告した。

 同条約は▽たばこ広告の禁止・規制▽「マイルド」「ライト」など誤解を与える表現による販売を促進しない▽包装面の30%以上を警告表示にあてる▽未成年者がたばこ自販機にアクセスできない措置の確保−−などを定めている。

米たばこ訴訟が審理再開へ/巨額賠償金が焦点

2004/05/13 Shikoku News
【ニューヨーク12日共同】米フロリダ州の裁判所は12日、喫煙による健康被害を理由に米大手たばこ会社を相手取った損害賠償請求訴訟について、審理を下級審に差し戻した昨年5月の州控訴裁の決定を取り消し、今年10月に審理を再開すると発表した。

 同訴訟では2000年にフロリダ州の巡回裁判所(1審)が、米たばこ最大手アルトリア(旧フィリップ・モリス)など5社に対し1450億ドル(約16兆4000億円))もの米国裁判史上最高額の懲罰的賠償金支払いを命じており、この賠償額の行方が焦点。審理再開の決定を受け、12日の米株式市場ではたばこ銘柄が大幅下落した。

 同訴訟は、喫煙のため肺がんなどになったとしてフロリダ州の住民らが起こした。1審は原告側が求めた賠償額をほぼそのまま認める評決を下したが、03年には州の控訴裁が代表訴訟の手続きに問題があったとして、審理を差し戻していた。

NYの喫煙者11%減 大幅増税と禁煙強化で

2004/05/11 The Sankei Shimbun
 米紙ニューヨーク・タイムズは12日、ニューヨーク市の成人喫煙者が2002年から03年にかけて11%減ったとの同市の調査結果を報じた。

 同紙によると、02年の市のたばこ税大幅引き上げと、禁煙をバーにも適用し、喫煙場所を事実上、個人住居内と屋外に限定した規制強化が喫煙人口の大幅減少につながったと市当局者らは説明している。

 調査結果では、喫煙者の比率はこの間、成人の21・6%から19・3%に下がった。減少傾向はすべての市域、年齢層、人種などに共通している。

 紙巻きたばこの消費量は13%減少、喫煙者が吸う本数も減ったことを示している。市のたばこ税は02年7月、1箱8セントから1・5ドルに引き上げられた。(共同)

たばこ規制条約を採択 WHO総会

2003年05月21日 The Sankei Shimbun
 世界保健機関(WHO)総会は21日、たばこの害の警告を包装の30%以上の面積を割いて表示するよう義務付け、未成年者がたばこ自動販売機を利用できなくする措置などを求めた「たばこ規制枠組み条約」を採択した。

 公衆衛生分野での国際条約は初めて。

 40カ国の批准を経て発効し、年間490万人に達する喫煙による死者の削減を目指した国際的な枠組みが、早ければ年内にも動き出す。

 条約は「マイルド」など、健康被害が小さいとの誤解を与えかねない商品名を規制する可能性にも言及。条約支持を表明した日本政府は今後、日本たばこ産業(JT)の主力商品「マイルドセブン」などの商品名の是非をめぐり、対応を迫られることになる。

 条約は、締約国がたばこ包装の50%以上の面積を警告表示に割くよう要請。最低でも包装主要部分の30%以上を警告表示とするよう義務付けた。  また、商品名が健康への影響に対する誤解を生じさせないよう「必要な措置を講じる」と明記。規制が可能な具体例として「マイルド」や「ライト」を挙げた。自販機についても、未成年者が利用できないよう「適切な措置」を求めた。

 条約策定を目指した政府間交渉は2000年10月に開始。当初の条約案文は強制力を備えたものが主体だったが、たばこ大手を抱える日本や米国などが計6回に及ぶ交渉で次々と修正を要求し、最終的には必ずしも法的義務を負わない「努力規定」中心となった。

 採択を受けて、反たばこ非政府組織(NGO)などから規制強化圧力が高まるのは確実。日本国内には約60万台の自販機があり、政府は現行法や規則の修正が必要かどうかの検討作業に着手する予定だ。(共同)

たばこ条約を承認 WHO

2003年05月20日 The Sankei Shimbun
 世界保健機関(WHO)総会は20日、下部機関の委員会会合を開催し、たばこ規制枠組み条約の最終案を承認、総会本会合に送付した。21日の本会合で公衆衛生分野で初の国際条約として採択の見通し。

 条約案は2000年10月、年間490万人に上る喫煙関係の死者を削減することを目的に、WHO主導で交渉を開始。(1)たばこ包装の表面積の30%以上に警告表示を記載(2)「マイルド」など、健康被害が小さいとの誤解を与えかねない商品名を規制する−などとした。

 しかし、たばこ大手を抱える日本や米国、ドイツなどが交渉過程で条約の内容を次々と「骨抜き」にし、大半の項目は拘束力がない努力規定にとどまった。このため、非政府組織(NGO)の間では条約案合意を評価する半面、実効性がほとんどないとの批判もある。(共同)

たばこが子宮筋収縮を促進 流産や早産誘発する危険性

2003年04月14日 The Sankei Shimbun
 たばこを吸うと、子宮の筋肉が収縮しやすくなることを関西医大の安田勝彦助教授(産婦人科)らのグループが妊娠したラットを使った実験で突き止め、福岡市で開催中の日本産科婦人科学会で14日発表した。

 妊娠中の喫煙は流産や早産につながる危険性があると疫学調査の結果などから指摘されている。同助教授らは喫煙で子宮筋収縮が誘発、促進されることが、その一因になっている可能性があるとみて、詳しいメカニズム解明を進めている。

 同助教授らは、妊娠中のラットに、特殊な装置を使って1日当たり、たばこ7本分に相当する煙を3日間吸わせた後、子宮筋の組織を採取。妊婦の体内で出産前後に働くホルモンで、子宮筋収縮作用のある「オキシトシン」の溶液に入れて、収縮反応を調べた。

 この結果、非喫煙群に比べて、収縮反応が2倍以上に高まっていることが判明。また、このホルモンと反応する受容体がよく働いていることも分かり、喫煙がこのホルモンに対する感受性を高めると考えられるという。

 たばこのどの物質が影響しているのかは不明で、代表的なニコチンとの関連を今後調べる。同助教授は「ラットの喫煙量は、人間に換算すると相当な量になるが、作用の仕方は同じと考えられる」と話している。

1兆円超の賠償支払い決定 米たばこ訴訟

2003年03月22日 The Sankei Shimbun
 米イリノイ州の裁判所は21日、「マルボロ・ライト」など「ライト」と名がつくたばこを吸った喫煙者が米たばこ大手フィリップ・モリスUSAに健康被害の損害賠償を求めていた代表訴訟で、被告側に総額101億ドル(約1兆2100億円)の損害賠償金支払いを命じた。

 原告弁護団によると「ライト」たばこの健康被害をめぐる代表訴訟で初めての判決。今後、同様の訴訟の前例となる可能性もあり、被告側のたばこ会社にとっては厳しい内容となった。

 同弁護団は「ライト」の名をつけた商品でも、通常のたばこ同様に害があることが証明されたと主張している。

 支払い命令の内訳は、原告側の損害賠償金が71億ドル、イリノイ州が受け取る懲罰的損害賠償金が30億ドル。

 同社は「健康に対する警告のラベルを張っており、判決は誤っている」として控訴する方針を発表した。(共同)

たばこ規制条約が最終案で合意、米独中は不満表明

2003年03月01日 Yomiuri On-Line
 【ジュネーブ=大内佐紀】たばこの健康被害の防止を目指す「たばこ規制枠組み条約」の最終策定交渉は1日未明(日本時間同日午前)、たばこの広告規制や、包装の30%以上を警告表示に充てることなどを盛り込んだ最終案で合意した。5月に開かれる世界保健機関(WHO)総会で正式に採択する。40か国が署名・批准した時点から90日後に発効、公衆衛生分野で初の国際条約が誕生する。

 最後まで争点となった広告規制では、原則論として「たばこ広告の包括的規制がたばこ消費の削減につながる」ことをうたい、包括的禁止を打ち出した。ただ、「憲法などの事情により、包括的禁止ができない場合は、たばこ広告を制限する」との抜け道を残した。たばこ増税については、「課税主権を損ねることなく、適当な場合には、課税政策の実施や、免税販売の禁止・制限を検討する」ことになった。

 合意された条約案は、規制方法を各国の国内法の範囲内にとどめたり、裁量に委ねる形が大半で、今後は規制を具体化するための議定書作りが課題となる。

 また、米国は1日未明、一部条項を留保する権利が認められなかったことなどを不満とし、最終案のままでは受け入れが難しいとの考えを表明した。ドイツと中国も最終案に問題があるとしている。

米たばこ訴訟で史上最高額の 賠償金を大幅減額 ロス地裁

2002年12月20日 (毎日新聞) Mainichi INTERACTIVE
 
 【ニューヨーク佐藤由紀】ロサンゼルス地裁のエッティンガー判事は18日、同地裁の陪審団が米たばこ大手のフィリップ・モリス社に今年10月に命じた280億ドル(約3兆4000億円)の懲罰的損害賠償を「過大で違法性がある」と判断し、1000分の1の2800万ドル(約34億円)に大幅減額する判決を言い渡した。280億ドルは個人が起こした、たばこ健康被害訴訟としては史上最高額で、非現実的だとの批判が出ていた。

 訴えていたのは、17歳から喫煙を始め昨年、肺がんになったカリフォルニア在住のベティ・ブロックさん(64)。陪審団は、肺がんはたばこ会社に責任があるとの原告の訴えを認め、経済的、精神的苦痛の損害賠償85万ドルに加え、280億ドルの懲罰的損害賠償の支払いを命じる評決を下していた。

賠償金3兆円を30億円に 米たばこ訴訟

2002年12月19日 The Sankei Shimbun
 3兆円の賠償命令は法外−。肺がんを患ったのは米たばこ大手フィリップ・モリス社の責任だとして、女性患者(64)が損害賠償を求めた訴訟で、ロサンゼルス地裁は18日、同社に対し2800万ドル(約34億円)の懲罰的賠償金の支払いを命じる決定を下した。

 同地裁の陪審は10月、たばこ健康被害訴訟で過去最高の懲罰的賠償金額となる280億ドル(約3兆4000億円)の支払いを命じる評決を下した。

 この日の決定で同地裁はフィリップ・モリスの責任は明らかだとして陪審の認定事実を追認した上で「陪審評決の賠償金額は法外だ」と1000分の1に大幅減額した。

 原告の女性患者はカリフォルニア州法に基づき今月27日までに、地裁決定を受け入れるかどうかを決める必要がある。

 フィリップ・モリスは「原告はたばこのもたらす健康被害を知っていたし、地裁の決定にも事実誤認がある」として上訴する方針を明らかにした。

 女性患者は17歳で喫煙を始めた。昨年、肺がんと診断され、フィリップ・モリスがたばこの危険性を知らせなかったとして提訴に踏み切った。(共同)

EU、たばこ広告禁止へ

2002年11月21日 The Sankei Shimbun
 欧州連合(EU)の欧州議会は20日、EU域内で新聞や雑誌、インターネット、ラジオ放送、国際的なスポーツイベントでのたばこ広告を禁止する法令を採択した。たばこ会社が自動車レースのフォーミュラワン(F1)などのイベントのスポンサーになることも禁じている。

 欧州委員会のデビッド・バーン委員(保健・消費者保護担当)は採択を歓迎、EU各国の批准などにより、2005年7月には広告禁止が発効するとの見通しを示した。

 EUは以前にもたばこ広告の全面禁止を提案したが、たばこ・広告会社の支持を背景に反対したドイツ政府などが提訴。欧州司法裁判所はドイツの訴えを認めていた。

 EU圏内ではたばこのテレビ広告は既に禁止されている。(共同)

肺がん女性に「3兆4千億円払え」…米たばこ訴訟評決

2002年10月05日Yomiuri On-Line
 【ニューヨーク4日=京屋哲郎】たばこが健康に与える被害を十分に説明していなかったとして、肺がんになった米カリフォルニア州の64歳の女性が、米たばこ大手フィリップ・モリスに対し損害賠償の請求を求めていた裁判で、同州ロサンゼルス上級裁判所の陪審は4日、同社に対し280億ドル(約3兆4000億円)の損害賠償の支払いを命じる評決を下した。個人のたばこ訴訟での賠償額としては過去最高となる。

 この女性は、同社が喫煙とがんの関係などの情報を隠していたため、長期間喫煙を続け肺がんになったと主張していた。

 この評決を受け、ダウ工業株(30種)にも採用されている同社株に大量の売りが出て、株価は7・3%も急落した。

 同社は評決を不服とし、裁判所に対して新たな審理や賠償額の大幅な減額を求める方針を示している。

米たばこ訴訟、意見割れ陪審団員間で脅し 審理無効に

2001.01.27(16:53)asahi.com
 米たばこ訴訟を評議していた陪審団の間で「これ以上長引かせるなら殺すぞ」などと脅しが行われていたことがわかり、ニューヨークの連邦地裁は25日、裁判そのものを無効にした。意見が割れて評決がまとまらず、じれた陪審員が脅した。日本でも導入が検討される陪審制だが、本場の米国では陪審員のモラルの低さが問題になっている。

 アスベスト(石綿)メーカーで働いていた喫煙者と遺族が、「肺がんなどの重い病気にかかった責任の半分はたばこ会社にある」と、米たばこ大手各社に総額1億3500万ドル(約158億円)の賠償を求めた。

 地裁から無作為に選ばれた12人の陪審団は、評議に入ると、「肺疾患の主な原因はアスベストだ」と主張する10人と「たばこが存在しなければ病気にならなかった」と確信した2人に意見が割れた。

 評決には12人全員が一致することが必要だが、評議は5日連続してこう着状態に陥った。少数派の女性陪審員に多数派の男性が「もう1日評議を続けたいというなら、そっちの1人は殺されるぞ」と迫ったため、女性は裁判官に報告。裁判官は「裁判所には陪審員の生命や身体を守る義務がある」と審理の無効を宣言し、裁判は終わった。

たばこ広告全面禁止には大半が否定的 規制条約交渉

2000.10.20(12:30)asahi.com
 公衆衛生分野で初めて本格的な国際条約を目指す「たばこ規制枠組み条約」について、世界保健機関(WHO、191カ国で構成)加盟148カ国が参加した第1回の政府間交渉が20日、経済、健康、制度の各問題を扱う3つの作業部会を設置し、事実上閉幕した。討論では、最大の焦点であるたばこ広告の扱いをめぐり、タイ、トルコなど25カ国が全面禁止を主張したが、大半の国は表現の自由などを規定した憲法との絡みで全面禁止は難しいとの立場を取った。次回会合は来年春、北半球の国で開催される。

たばこ規制枠組み条約交渉がスタート

2000.10.16(19:48)asahi.com
 公衆衛生分野で初めて本格的な国際条約を目指す「たばこ規制枠組み条約」について、世界保健機関(WHO)加盟191カ国・地域による第1回の政府間交渉が16日、ジュネーブで始まった。21日まで。条約に盛り込むテーマの絞り込みを目指す。WHOは2003年までに厳しい規制を伴う条約作りを目指しており、特にたばこ広告の扱いとたばこ課税を条約上どう規定するかが争点になる。

日本、規制内容の緩和を要望 たばこ対策枠組み条約

2000.10.16(03:17)asahi.com
 世界保健機関(WHO)が2003年の採択を目指す「たばこ対策枠組み条約」について、政府は、各国の自主性を重んじる緩やかな内容にするよう求める方針を固めた。条約の必要性は支持するものの、大蔵省やたばこ産業の規制強化への抵抗が根強いことから、規制を「骨抜き」にする主張となりそうだ。16日からジュネーブで開かれる第1回政府間交渉会議で表明する。

 日本のたばこ対策は世界的にみて大きく遅れており、男性喫煙率は52%(厚生省調べ)と先進国の中で突出して高い。国内の年間たばこ販売量は約3400億本。税収は国税と地方税を合わせ年間約2兆4000億円に上る。

 条約への対応を話し合う関係省庁会議では、たばこ税率を上げて規制することについて、大蔵省などに「税率を条約で規制することは国の主権を侵す」との慎重論が強い。たばこ関連産業は警告表示、広告、自販機など新たな規制に反対している。

 厚生省は規制強化を狙っているが、政府としては、国内のたばこ対策に手をつけずに済むよう、あまり厳しい規制を課さず、多くの国に受け入れられる条約の策定を求めることにした。すでに取り組んでいる未成年者の喫煙防止や分煙の推進、密輸防止などを重視する考えだ。

 同条約の狙いは、世界で年間400万人の死亡原因になっているとされるたばこを国際的に規制し、喫煙者やたばこの消費量を減らすこと。規制の中身について加盟国間の温度差が大きく、政府間交渉は難航が予想される。

米たばこ大手に賠償命令15兆円 集団訴訟で評決

2000.07.15(14:05)asahi.com
 米フロリダ州の喫煙者3人が、州内の全喫煙者が被った健康被害に対する賠償を求めた代表訴訟で、州裁判所の陪審団は14日、1450億ドル(約15兆6600億円)の懲罰的賠償金を支払うよう米たばこ5社に命じる評決をした。評決まで至った賠償額としては、あらゆる裁判を通じ米史上最高。メーカー側は「各社の支払い能力を上回る非現実的な額。経営が破たんする」と反発、ただちに控訴する予定だ。

 裁判は、肺がんなどに苦しんだ喫煙者3人が、推定30万から70万人の同州内の全喫煙者を代表する形で1994年に起こした。

 陪審団はまず昨年7月、「たばこは有害な欠陥商品」と判断し、今年4月には原告の代表3人に1270万ドル(約13億7000万円)を支払うよう命じた。締めくくりの今回は、州内全喫煙者を対象とする賠償総額が議論された。

 「この額は米たばこ業界にとって死刑宣告に等しい」。会見した業界最大手フィリップ・モリスの弁護士はそう憤慨した。評決内容が速報されると、たばこ各社の株価は一斉に下落した。

 喫煙者側は最高1960億ドル(約21兆円)の賠償を要求。メーカー側は、5社の総資産をあわせても150億ドル(約1兆6200億円)以上は支払えないと主張した。

 たばこ業界は98年、全米50の各州当局との間で総額2460億ドル(約26兆5000億円)を支払うことで和解している。今回の訴訟で被告側は、この金額をあげて「すでに十分な懲罰を受けたはずだ」という立場をとった。

 2年に及んだ審理には157人の証人が出廷。人工発声装置をつけた元喫煙者や、遺影を抱いた家族が陣取った。「あなたは毎日人を殺している」。原告側弁護士から詰め寄られたブラウン&ウィリアムソンの経営トップ、ニコラス・ブルックス氏は「たばこは中毒物質でがんを引き起こす」と明言し、「大変申し訳ない」と謝罪した。

日本のたばこ産業への影響は必至 米の巨額賠償評決

2000.07.15(13:57)asahi.com
 米大手たばこ会社5社に巨額の損害賠償の支払いが命じられた代表訴訟について、日本たばこ産業(JT)は「外国のことであり、コメントできない」としているが、世界的な嫌煙運動が広がりをみせる中、今後、国内のたばこ事業にも影響を与えるのは確実だ。

 JTはここ数年、マナーに関するキャンペーンを積極に展開しているが、国内でも同種の訴訟が起きている。さらに今年3月には、カナダのオンタリオ州政府が世界の主なたばこ会社とともにJTも被告に含めて損害賠償を求める訴訟を起こしている。

 たばこ会社の存続にかかわる巨額の損害賠償額について、JT関係者は「陪審制度など国情の違いであり、日本に波及することは考えにくい」としている。だが、日本でも嫌煙の動きは一層強まるものと見られ、具体的な対応も求められている。

 大手たばこ会社の国際的な寡占化が進む中、JTは生き残りをかけて米大手のRJRナビスコの海外事業を巨額で買収することに踏み切っているが、こうした世界的な嫌煙運動の広がりで今後の事業展開も未知数。このためJTは、たばこ事業のほか食品や薬品などの分野の強化を急いでいる。

米たばこ5社に15兆円の支払い命令 フロリダで評決

2000.07.15(07:24)asahi.com(時事)
 米フロリダ州の喫煙による健康被害をめぐる集団訴訟で、マイアミにある州裁判所の陪審団は14日、フィリップ・モリス、RJレイノルズ・タバコなど米たばこ大手5社に対し、総額1450億ドル(約15兆6600億円)に上る米史上最大の懲罰的賠償金の支払いを命じる評決を下した。

 これに対し、5社のうちで最高の賠償額となる約740億ドル(約8兆円)の支払い命令を受けたフィリップ・モリスは直ちに控訴する方針を表明した。他社も追随する見通し。

「がんになりにくいたばこ」に猛反発

1:41p.m. JST April 20, 2000
 米国の大手たばこ会社RJレイノルズ社は19日、これまでのたばこに比べて「がんの危険性が少なく、より安全」とうたった新しいたばこの試験販売をテキサス州ダラス地区で始めた。これに対し、厚生省の長官が「重大な懸念」を表明するなど、たばこ規制派の反発が強まっている。

 エクリプスと名付けられたこのたばこは、普通のたばこのように、タバコの葉を燃やして吸うのではなく、熱するだけ。同社によれば、普通のたばこの煙の80%がタールとニコチンなのに対し、エクリプスは25%。大部分の75%は水分とグリセリンという。

 この結果、煙の中の発がん物質は80%少なく、マウスの実験でも皮膚がんの発生率は90%減ったことが、科学者によって確かめられたとしている。

 しかし、シャレーラ厚生長官はただちに「がんの危険が減るという科学的根拠は明確でなく、消費者は慎重にすべきだ」との談話を発表した。肺がん協会は「このたばこが安全だというのは、ビルの100階から落ちるより50階から落ちる方が安全というようなもの」と強く批判、販売停止を求めた。対がん協会も「信頼に足る科学的な結果ではなく、消費者を惑わす」と反発している。

 エクリプスは、インターネットか郵便による注文に応じて販売されている。

喫煙の害に警告不十分 米で2000万ドルの賠償命令

10:10a.m. JST March 28, 2000
 たばこ会社が健康への害について十分な警告をしないまま販売したたばこを吸って肺がんになったとする女性(40)が、米大手2社に損害賠償を求めていた訴訟で、サンフランシスコ上級裁の陪審は27日、会社側がこの女性と夫に計2000万ドル(約21億円)の懲罰的な賠償金を支払うべきだとする評決を下した。

 原告の女性側はさる20日、同じ訴訟で通常の賠償金170万ドルを得る評決を受けているが、さらに、たばこ会社側の責任を厳しく問う懲罰的な賠償も認定されたもの。たばこの害をめぐる訴訟は多いが、法令によって1960年代にすべての包装に健康被害への注意書きが記載された後に喫煙を始めた原告への賠償命令は初めてという。

 被告は、マールボロとRJレイノルズの2社で、控訴する構え。

 原告のレスリー・ホワイトリーさん側によると、13歳のころの72年から98年まで両社のたばこを吸い続けた。その後、肺がんと診断された。たばこ会社側は、彼女が注意書きを気にとめずに健康管理を怠った点を指摘していた。しかし、女性側は、注意書きでは、たばこの有害性の警告として不十分だったと主張していた。

米で未成年喫煙減らない場合、たばこ業界に懲罰税

0:37p.m. JST February 05, 2000
 米政府は4日、18歳未満の未成年喫煙者が2004年までに半分に減らない場合、1人当たり3000ドルの懲罰税をたばこ業界に課す方針を、発表した。ホワイトハウスは現在の未成年の喫煙者数を410万人と推計しており、減らない場合の徴税総額は123億ドル(約1兆3200億円)になる。市場占有率に応じてたばこ業界各社に負担させる方針だが、業界側は「3000ドルもの課税は資産没収に当たり、合憲性の問題も引き起こすはず」(フィリップ・モリス社)と強く反発している。

 ホワイトハウスは「毎年、40万人以上が喫煙に関連した疾病で死亡しており、90%近くが子供時代に喫煙を始めている」と未成年喫煙の弊害を強調。ロックハート報道官は、業界側の姿勢について、「(未成年の喫煙の防止に取り組むとの約束も)必ずしも言葉通りでない」と批判し、懲罰税の導入は、業界に対策を促すための手段、と説明した。

 クリントン大統領は、7日朝の予算教書の発表時に詳細を明らかにするとともに、2001会計年度(2000年10月―2001年9月)予算案には、懲罰税とは別に1箱当たり25セントの増税を盛り込む予定だ。

クリントン政権は、たばこの健康被害に厳しい姿勢で臨んでおり、昨年は1箱当たり55セントの増税を提案、議会に否決された経緯がある。

「連邦政府も提訴へ メーカーは250億ドル支払え 米たばこ訴訟」

1999.09.23 byスクラップブック(R63号 & 哲人29号 のホームページ)
 米司法省は,喫煙が原因の肺がんなどの治療のため連邦政府から支出された巨額の医療費を,大手たばこメーカーが負担すべきだとし,250億ドルにのぼる損害賠償訴訟を起こす。

 たばこ各社は昨年11月,全米50州との訴訟で和解したばかり。連邦政府が原告の場合,訴訟の成り行き次第ではたばこ産業全体が重大な打撃を被る可能性があり,メーカー側は,来年11月の大統領選挙をにらんだ政権側の政治戦略と猛反発している。

 クリントン政権は昨年,全米各州の起こした訴訟での和解と引き換えに,たばこ料金値上げと広告規制を内容とする法案を議会へ提出したが,上院共和党の反対で否決された。このため業界では,今回の連邦政府の動きを,業界がロビー活動の対象としている共和党と業界を資金面から同時に締め付ける選挙戦術,と見る向きが強い。

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