TOPIC No.2-118 日本赤軍/重信房子

01.重信容疑者逮捕 Mainichi INTERACTIVE
02.詳報 重信房子容疑者逮捕 2000.11.8 〜 京都新聞
03.日本赤軍について 文責:佐藤暁人(2000年11月17日)
04.日本赤軍の動向 (半世紀 recollection) byなんちゃって鶯教(AI)
05.日本赤軍 by人民新聞社

重信被告に無期懲役求刑 ハーグの仏大使館占拠事件

2005/09/02 The Sankei Shimbun

 1974年に起きたオランダ・ハーグのフランス大使館占拠事件に関与したほか、不正取得した旅券で出入国を繰り返したなどとして、逮捕監禁や殺人未遂、旅券法違反などの罪に問われた日本赤軍の元最高幹部、重信房子(しげのぶ・ふさこ)被告(59)の論告求刑公判が2日、東京地裁(村上博信(むらかみ・ひろのぶ)裁判長)であり、検察側は無期懲役を求刑した。

 弁護側が10月31日に最終弁論し、公判は結審する見通し。

 論告で検察側は「ハーグ事件では、パレスチナ解放人民戦線(PFLP)に武器の調達を依頼するなどまさに首謀者で、責任は共犯者の中でも群を抜いて重い。重大で典型的な国際テロ事案に厳しい姿勢で臨む必要がある」などと述べた。

 弁護側は起訴事実のうち、重信被告が不正に得た旅券で出入国していたことは認めたが、ハーグ事件などへの関与は否認し無罪を主張している。

 起訴状によると、重信被告は和光晴生(わこう・はるお)被告(57)=一審無期懲役、控訴、奥平純三(おくだいら・じゅんぞう)容疑者(56)=国際手配、西川純(にしかわ・じゅん)被告(55)=公判中=らと共謀、74年9月にハーグのフランス大使館を占拠。大使らを監禁し、警察官2人に発砲してけがをさせたほか、同年4月奥平容疑者を出国させるため他人名義で旅券の交付を受けた。

 また、旅券を不正に取得し97年―2000年の間、関西空港から出入国を繰り返した。

 今年3月の和光被告の東京地裁判決は、ハーグ事件での重信被告のかかわりを「関与は強く疑われるが共謀したとは認められない」と判断した。(共同)


重信容疑者、社民党を取り込み工作 社民党も調査へ

2000.12.09(20:53)asahi.com
 日本赤軍最高幹部の重信房子容疑者(55)が、社民党の政治力を利用して組織拡大を計画していたことが20日、警視庁公安部と大阪府警の調べで分かった。日本赤軍の影響力のある市民団体が地方選挙を同党と共闘するなどして極秘に抱き込むという構想で、社民党本部は「何も知らなかったが事実関係の調査をする」としている。

 重信容疑者が逮捕時に所持していた文書「21世紀に向けて戦略を一致しよう」の中に、「社民党は議会政党であるが、実態としては統一戦線党である」と表記。そのうえで、「社民党の国政の役割に対して、より力が発揮できるように工作していく」などとつづられていた。

 日本赤軍が、公然部隊と位置づけた市民団体「希望の21世紀」のメンバーらが、地方選挙で議員となって社民党の地区基盤の強化を図る、という趣旨の記述もあるという。

 警視庁は20日までに、この市民団体と関係があるとみられる東京都内の社民党区議宅や昨年の区議選で社民党公認で立候補して落選した男性宅などを関係先として家宅捜索し、調べを進めている。

 社民党本部は「警察の調べを軽々しく思わず、党本部として事実関係を調査する」としている。

日本赤軍の「人民革命党」 国内司令部移転めざす?

2000.12.09(16:04)asahi.com
 重信房子容疑者(55)を最高幹部とする日本赤軍が、日本国内での革命を目指す目的で設立準備をしていたとされる「人民革命党」の概要が9日までに、警視庁公安部と大阪府警警備部の合同捜査本部の調べで分かった。1991年8月に中東で結成した秘密組織で、司令部の下に軍事や宣伝などの機関を置いていた。近く国内に司令部を移し、来年4月以降に国内での活動を本格化させる計画だったという。

 重信容疑者が逮捕された際に持っていた「人民革命党綱領」や「規約」などの文書を分析した。

 それによると、党の目的は共産主義の実現で、「日本独占資本の日本人民への支配をうち破る」などとある。党の原則として、国家権力と戦うためにゲリラ戦の準備をしておくことや、逮捕された党員を何年かけても奪還することなどを掲げている。

 最高指導機関「全党司令部」の下に直轄機関が5つあり、機関紙の編集や宣伝のほか軍事作戦、革命家の教育、財政などの役割を持たせていた。全党司令部の指揮下に「地域司令部」を置いている。

 99年8月に開いた党大会で、日本赤軍の名称を使うことをやめて「人民革命党」に変え、公然化することを決めたという。だが、72年にあったテルアビブ空港乱射事件の岡本公三容疑者(53)のレバノンへの亡命が認められたことから、「日本赤軍」の国際的な知名度は依然高いと判断され、名称変更は見送られた。

 この大会で、日本への全党司令部の移転も決め、今年10月と11月に国内で会議を開く予定だった。捜査本部は、重信容疑者が国内にいた目的は、党の国内移転や綱領の改正について党員らと話し合うためとみている。

重信容疑者 綱領改正が潜入目的

2000.12.09 The Sankei Shimbun
 日本赤軍リーダーの重信房子容疑者(五五)らが設立した新組織「人民革命党」の全容が八日、警視庁公安部と大阪府警の捜査本部の調べで明らかになった。同党は一九九一年八月、日本赤軍に代わる革命組織として創設され重信容疑者が日本へ潜入した目的の一つは党の綱領改正だった。新組織でも「逮捕されたメンバーを奪還することは原則」とし、過激な革命闘争を目指していたものとみられ、捜査本部は今後、具体的な活動計画の全容解明を進める。

 捜査本部は重信容疑者を逮捕した際、フロッピーディスクなどを押収。分析を進めた結果、人民革命党の綱領はA4サイズで十七枚、規約は一章から八章までの十枚に及んだ。党員が逮捕された際には、可能な救援(奪還、弁護、大衆支援、アピールなど)を行うとして、「奪還は実際的調査と政治的妥当性の上に計画されなければならない」「何年かかろうとも、獄中同志に対する奪還は党の原則」という記述もあった。

 押収されたメモによると、綱領改正は重信容疑者が「総括」。今年十、十一月に綱領改正のための委員会を開き、来年四月までに改正綱領の草案をまとめる予定だったとされ、捜査本部は重信容疑者が国内に潜入した目的は、この綱領改正のための委員会に出席するためだったとみている。

 新組織は、日本赤軍と人民革命党の下に「機関紙編集」「隊内教育」「組織化工作」「兵站(たん)財政」「軍事作戦」の機能をもつ全党司令部を設置。海外で国際活動をになう「国際部」も含まれていた。

 また、人民革命党は結成以来、二年に一度の割合でこれまでに五回、党大会を開催していた。昨年八月十五日に開催された第五回大会では、「最大の課題は二十一世紀の革命を切り開く綱領の獲得である」「全党司令部 国内体制へ。在外国際機能の確立、国内機能確立の支援」などとして、国内重視の路線を打ち出していた。

 九七年、レバノンで日本赤軍のメンバー五人が拘束された後、名称を「人民革命党」に変更することが検討されたが、岡本公三容疑者が今年三月、亡命に成功した際、日本赤軍のネームバリューが大きいことが改めて分かり、対外的な名称変更は中止されたという。

 捜査本部では、規約の分析などから、日本赤軍は現在も過激な革命闘争方針を堅持していることを示すものとみて、今後、国内外での具体的な活動計画を追及する。

よど号事件の妻子5人、帰国へ/外務省、渡航の代理申請認める

2000.12.03 The Sankei Shimbun
 北朝鮮に在住している、よど号事件の元赤軍派メンバー妻子の帰国問題で、外務省は二日までに、支援者を通じて北京の日本大使館に提出されていた妻子五人の渡航書発給申請書を認め、代理人を通じて発給の審査手続きに入る方針を固めた。

 代理申請が実現すれば五人が平壌から北京に出国する障害がなくなり、帰国の実現性が高くなった。

 五人は、よど号事件で起訴された田中義三被告(五二)の初公判(十五日)に間に合うように帰国することを希望しているが、今後の手続きをめぐって不透明な要素も残っており、年内に帰国が実現するかどうかは、なお曲折もありそうだ。

 帰国を希望しているのは、赤木志郎容疑者(五三)の妻、恵美子容疑者(四五)=旅券法違反容疑で国際手配=と、田中被告の妻、協子容疑者(四四)=同=と長女(二一)、小西隆裕容疑者(五六)の長女(二三)、故田宮高麿・元赤軍派幹部の長女(二一)−の五人。

 五人は、有効なパスポートを持っていないため、帰国のための一時渡航書の発給を求めていたが、外務省はこれまで渡航書発給の条件として、本人確認のため、「妻子が北京まで出国してくること」としていた。

 警視庁公安部は、国際手配している二人の妻については、帰国次第、逮捕する方針。

重信容疑者、国内で大衆組織も結成 関連で市議宅捜索

2000.12.02(14:38)asahi.com
 旅券法違反などの容疑で再逮捕された重信房子容疑者(55)が最高幹部に就く日本赤軍が、日本国内で政治活動を担う組織「希望の21世紀」を結成していたことが2日、警視庁と大阪府警の合同捜査本部の調べでわかった。この組織に大阪府内の市議らがかかわっていたとみて、捜査本部は同日、関連先としてこの市議の自宅など約20カ所について家宅捜索を始めた。市議は「日本赤軍の活動をしたことがなく、重信容疑者と面識がない」と話している。

 これまでの調べでは、捜索を受けた市議は野党代議士らが結成した市民団体にも参加していたという。捜査本部は、日本赤軍関係者の国内での活動内容を調べる。

 関係者によると、「希望の21世紀」は重信容疑者が国内での革命を目指して結成準備を進めていたとみられる新党「人民革命党」の大衆政治闘争部門とされ、数年前に結成された。関西地方を中心に全国で数十人が参加しているといい、重信容疑者をかくまっていたとして犯人隠避容疑で逮捕された元病院職員の吉田守容疑者(48)らが幹部を務めているという。

旅券法違反容疑、20カ所捜索 重信容疑者再逮捕で

2000.12.02(08:09)asahi.com(時事)
 ハーグ事件の殺人未遂罪などで起訴された日本赤軍最高幹部重信房子容疑者(55)が、他人名義の不正旅券を所持していた事件で、警視庁と大阪府警の合同捜査本部は2日午前、旅券法違反、有印私文書偽造、同行使容疑で、関連先約20カ所を家宅捜索した

 調べによると、重信容疑者は1997年11月と今年3月、他人名義の旅券申請書を作成し、旅券事務所に提出。旅券に不実の記載をさせ、不正に旅券の交付を受けた。その上で、97年12月から今年9月までの間、入手した他人名義の旅券で出入国を繰り返していた疑い。同容疑者は1日、旅券法違反容疑などで再逮捕された。 

重信容疑者の全出入国記録判明 中国に7回渡航

2000.12.01(15:17)asahi.com
 日本赤軍最高幹部の重信房子容疑者(55)が、逮捕時に所有していた別人名義の旅券2通の全出入国記録の全容が1日、明らかになった。この3年で8回の海外渡航歴があった。うち7回の渡航先は北京や上海などで、中国での滞在期間は通算すると約20カ月にも及んでいた。警察当局は1日、旅券法違反などの容疑で重信容疑者を再逮捕したうえで、近く中国などに捜査員を派遣することを検討しており、海外での活動の解明を目指す方針だ。

 旅券2通は潜伏先の大阪市西成区内のマンションにあった。1997年11月と今年3月に発給されている。最初の渡航は97年12月、上海に向けて出国した。帰国は翌年8月で、この時が最も長期間の海外滞在だった。この後は、ほとんどのケースで約1カ月から3カ月ほど日本国内に滞在し、2カ月から3カ月程度の海外滞在を繰り返している。

 中国に向けては、北京が3回、上海が3回、香港が1回だった。香港の際は北京経由で帰国した。中国以外では、98年12月にベトナムのホーチミンに出国しただけだった。この際は中国経由で帰国したが、渡航先からさらに別の国に出国したケースはほとんどなかった。

 2通の旅券の写真は重信容疑者になっているが、97年に発給されたのは、重信容疑者をかくまったとして犯人隠避の容疑で逮捕された元病院職員吉田守容疑者(48)の親類の女性(51)名義だった。この旅券で今年2月までの間に6回の出入国を繰り返した。

 もう1つの旅券は今年3月、この病院の関連施設に入所している女性(45)名義で新たに取得し、2回渡航した。最後の渡航は今年7月の北京で、9月下旬に帰国している。

 いずれも10年旅券だった。重信容疑者が有効期限を大幅に残したまま、途中で旅券を切り替えたのは、同じ旅券で中国渡航を繰り返すと、警察などの関係当局のマークが厳しくなるのを警戒したためとみられるという。

 重信容疑者ら日本赤軍のグループは90年代に入り、レバノンから中国に拠点を移した可能性もある。かつて別のメンバーが中国に偽造旅券で入国したこともあり、このほかにも何通もの旅券を偽造していたとみられるという。

ハーグ事件で、重信房子容疑者を起訴 東京地検

2000.12.01(00:07)asahi.com
 東京地検は30日、日本赤軍の最高幹部重信房子容疑者(55)を1974年のハーグ事件での逮捕監禁と殺人未遂の両罪で東京地裁に起訴した。重信容疑者は事件の実行メンバーではなかったが、捜査当局は日本赤軍のリーダーであることなどの状況証拠から、実行メンバーとの共謀関係は明らかと判断した模様だ。また、大阪府警は同日、重信容疑者の逃走を助けたとして新たに京都市左京区岩倉村松町、元光愛病院職員吉田守容疑者(48)を犯人隠避容疑で逮捕した。

 起訴状によると、重信容疑者と、和光晴生被告(52)ら実行メンバーの3人は共謀し、74年9月、短銃などで武装してオランダのハーグにあるフランス大使館を占拠。警官2人に重傷を負わせ、人質に取った大使らと交換でパリで勾留(こうりゅう)されていた仲間1人を釈放させた、などとされる。

 捜査当局によると、この事件は、日本の大手商社の欧州の駐在員らを誘拐して身代金を要求する「ほんやく作戦」(暗号名)の延長にあったとされる。ハーグ事件で釈放させたのは、同作戦を準備していたメンバーだったためだ。

     ◇

 重信容疑者は弁護士を通じて談話を発表し、「私は責任ある立場にある者として、『関与していない』などと、仲間を見捨てるごとき言動はできない。このことが刑事責任を問われるべきことなのか、裁判所の判断にゆだねたい。それが私にとっての司法のけじめです」と述べた。

 弁護団は「本件起訴は何ら証拠に基づかない違法・不当なものだ」とし、全面的に争う方針だ。

重信容疑者が獄中禁煙 30年のニコチンに別れ

2000.11.22(16:13)asahi.com
 日本赤軍の最高幹部重信房子容疑者(55)が逮捕されて2週間がたった。当初はかたくなに黙秘を続けていたが、最近は「(護送時の)親指を立てるポーズは元気のサインだった」などと取調官に話しているという。

 警視庁公安部によると、重信容疑者は、逃亡中の活動内容については「立場上話すことはありません」などと黙秘を続けている。しかし雑談には応じているという。約30年間続けていたという喫煙を、逮捕後にやめた。「今はニコチンが指先から抜けるような気がする」と健康にも気を配っている様子だという。

 重信容疑者は護送時にマスコミのカメラの前で両手の親指を立てるポーズをつくった。一部には、逃走中の他の日本赤軍メンバーへの何らかのサインではないかとの見方もあった。しかし「自分が元気であることを知らせるためで、みんながよくやるポーズ。普通は片手だけでやるが、手錠をされていて両手になった」などとしているという。

重信容疑者、最初の帰国は別旅券で 押収2通は「出国」

2000.11.12(08:36)asahi.com
 日本赤軍最高幹部の重信房子容疑者(55)が逮捕監禁、殺人未遂の両容疑で逮捕された事件で、最初の帰国で重信容疑者は、潜伏先のマンションで見つかった旅券2通とは別の旅券を使っていた疑いの強いことが11日、大阪府警の調べでわかった。押収された2通は国内で発行され偽造された形跡がないことが分かっており、はじめに押されたスタンプも関西空港からの出国印だった。このことから府警は最初に帰国した際、別の偽造旅券を使ったと判断。重信容疑者が日本に戻り活動を始めた時期の特定を進めている。

 調べによると、府警が大阪市西成区のマンションで押収した2通の旅券は今年に入って大阪府パスポートセンターで発行された旅券と、数年前に別の近畿地方の旅券事務所で正規に発行されたもので、「山田」と「吉田」姓だった。2通とも最初の記録は日本からの出国記録で関西空港から出国したことを示す正規のスタンプが押されていた。重信容疑者は1974年に発生したオランダ・ハーグ事件で75年に国際手配されており、府警は、国外で日本の正規の旅券を入手するのは不可能なため偽造旅券を使った不正入国しか帰国の方法がなかったのではないかとみている。

 重信容疑者は95年ごろ、70年に起きた日航機「よど号」乗っ取り事件のリーダーの妻の真正旅券をベースにした偽造旅券を国外で使っていたという関係者の証言がある。府警は同じような偽造旅券を使って帰国した疑いが強いとみて、ここ数年の関西空港の出入国記録を調べている。

 これまでの調べによると、押収された2通の旅券の記録から、重信容疑者は中国・北京を中心に出入国を繰り返していたことがわかっている。旅券に残っていた最後の記録は今年9月末に北京から香港を経由して関西空港に戻った記録だった。これらのことから府警は、重信容疑者が国内外で支援者の協力を得て複数の旅券を入手したとみて、旅券法違反容疑などで支援者の特定を進めている。

日本赤軍の偽造旅券、「よど号」関係者の番号に酷似

2000.11.11(03:05)asahi.com
 重信房子容疑者(55)とともに中東で活動していた日本赤軍のメンバーらが1970年代に起こしたハイジャック事件などの際に使用した偽造旅券が、「よど号」事件で朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に渡ったメンバーの妻らの真正旅券を基に偽造された可能性が高いことが、警察当局の10日までの調べで分かった。重信容疑者自身も過去にこうした旅券を使っていた疑いがあるという。同じ赤軍派から分かれて国外に活動拠点を移した両グループの接点を示すものとして注目される。ともに帰国の動きを見せるなど最近の活動にも共通点があり、警察当局は両グループが急速に接近している可能性が高いとみて調べを進めている。

 調べによると、日本赤軍メンバーで逃走中の坂東国男(53)、佐々木規夫(52)の両容疑者、西川純被告(50)、泉水博(63)、丸岡修(50)の両服役囚の計5人が、77年9月に日航機をハイジャックしたダッカ事件や、東南アジアでの事件で使った偽造旅券の番号と、「よど号」事件のリーダー田宮高麿幹部(95年死亡)らメンバー3人の妻の真正旅券の番号が酷似していた。

 旅券番号は2つのアルファベットと7けたの数字で組み合わされているが、偽造旅券と真正旅券は下1けたから3けたの数字が違っているだけだった。

 偽造旅券のうち発行年月日が判明している4通は、いずれも真正旅券と同じ日付だった。警察当局が乗客名簿や出国記録などを調べて分かったという。

 また、田宮幹部に近い複数の関係者によると、重信容疑者が95年ごろに使用した偽造旅券が、田宮幹部の妻の旅券をベースに偽造されていたといい、事情を知らなかった田宮幹部が、朝鮮労働党幹部に問い合わせたこともあったという。

 「よど号」メンバーの妻らは北朝鮮に真正旅券で渡航したが、ふだんは旅券を朝鮮労働党に預けており、どのように使われるかは知らされていないという。

 警視庁は田宮幹部らの妻5人については、93年に旅券法(返納命令)違反容疑で国際手配している。

 赤軍派は69年9月に結成されたが、田宮幹部率いるグループは70年3月に日航機「よど号」乗っ取り事件で北朝鮮に渡った。一方、重信容疑者のグループは71年からレバノンに向けて順次出国し、日本赤軍を結成した。

 公安当局によると、80年代後半からは相手グループについて「革命戦士ではない」などと非難し、関係を断絶しているとみられていた。

重信容疑者をハーグ事件の殺人未遂容疑で再逮捕 警視庁

2000.11.09(21:30)asahi.com
 警視庁公安部は9日、ハーグ事件の逮捕監禁容疑で逮捕した日本赤軍の最高幹部重信房子容疑者(55)を同事件での殺人未遂容疑で再逮捕した。重信容疑者は同事件を指揮した首謀者とされており、実行メンバーの3人も逮捕監禁に加え殺人未遂罪で起訴されている。

 調べでは、重信容疑者は和光晴生被告(52)ら実行メンバー3人に指示し、1974年9月、オランダ・ハーグ市のフランス大使館に立てこもり、大使館員を人質にとってフランスで拘置中のメンバーの釈放を要求。人質の救出に来た警官2人に対して発砲し、重傷を負わせた疑い。

中国・北京を拠点に活動 逮捕の重信容疑者

2000.11.09(15:05)asahi.com
 オランダ・ハーグ事件で国際手配されていた日本赤軍最高幹部の重信房子容疑者(55)が大阪府高槻市内で逮捕された事件で、潜伏先のマンションから押収した偽造旅券から、重信容疑者がここ数年の間、中国・北京を拠点にして日本に出入国を繰り返していたことが9日、警視庁と大阪府警の調べでわかった。北京では昨年、日本赤軍の支援者の1人と密会していた疑いもあり、警視庁と大阪府警は、重信容疑者が中東から中国に拠点を移して新たな活動を計画していたとみて裏付けを進めている。

 調べによると、重信容疑者の顔写真を張った別の人物名義の偽造旅券2通は、重信容疑者が7日まで潜伏していた大阪市西成区千本南1丁目のマンションで見つかった。旅券に残っていた出入国記録によると、重信容疑者はここ数年、北京を拠点に香港やマカオなどを経由してひんぱんに海外に出国しており、うち数回は日本に入国していたという。

 偽造された2通のうち1通は有効期限が10年の旅券で、今年7月にも日本に入国した記録があった。大阪府警は同じころ、重信容疑者とみられる女性を大阪市内で発見していたが、すぐに姿を消したため、本人と確認できなかったという。最も近い記録では、北京から香港を経由して今年9月末に日本に入国。潜伏先だったマンションでは、中国の紙幣約10枚も見つかった。

 重信容疑者はパレスチナ・ゲリラの拠点になっているレバノンのベカー高原で活動していたが、4、5年前に同国内のサイダ市に移ったという情報が府警にあった。その後、足取りが途絶えていたが、日本での支援者の1人が昨年5月、北京郊外で重信容疑者に会い、今後の活動方針を話し合った、と支援者集会の場で報告していた。警視庁と府警もこの情報に基づき、日本赤軍に新たな動きが出ているとみて捜査を進めていた。

 これまでの調べによると、重信容疑者が宿泊した高槻市内のホテルに7日夜、支援者とみられる数人が出入りするのを府警の捜査員が確認。重信容疑者の部屋にはビールなどの空き缶十数本とたばこの吸い殻などが残り、複数の人物が飲食をした跡があった。重信容疑者が同日夕のチェックイン後に外出していないことから、府警は重信容疑者と支援者がホテル内で会っていたとみて支援者の特定を進めている。マンションには生活用品が残されたままだったことから府警は、重信容疑者がホテルには支援者と会う目的で宿泊し、再びマンションに戻るつもりだったとみている。

重信容疑者、9月末に帰国 新たな活動拠点模索か

2000.11.09(03:07)asahi.com
 逮捕監禁容疑で国際手配中の日本赤軍最高幹部の重信房子容疑者(55)が大阪府高槻市内で逮捕された事件で、重信容疑者は今年9月末に帰国、潜伏先の大阪府内のマンションなどで支援者らと会議を重ねていたことが8日、警察当局の調べで分かった。押収した偽造旅券の記録からここ数年間に何度か帰国していた疑いがあり、逮捕直前までいたホテルは支援者名で予約されていた。中東での影響力が弱まるなかで、日本赤軍は新たな活動拠点を求めていたといい、警察当局は重信容疑者の帰国との関連を調べる。また、大阪府警は逮捕直前まで重信容疑者が潜伏していた大阪市西成区のマンション周辺で指紋を採取、警察庁を通じて警視庁から取り寄せた重信容疑者の指紋との照合が逮捕の決め手になった。

 府警によると、逮捕される直前までいたホテルは、日本赤軍メンバーの支援者の男性(39)名で予約されていたという。府警は、重信容疑者の潜伏先とみられるマンションを別の男性が契約していたこともつかんでおり、これらの関係者から犯人蔵匿容疑で事情を聴く。

 府警は同日、重信容疑者の身柄を1975年に国際手配した警視庁に移送した。大阪府警警備部と警視庁公安部はそれぞれに捜査本部を設置した。調べに対し、重信容疑者は雑談には応じるものの、署名、なつ印は拒否。黙秘しているという。接見した弁護士によると、重信容疑者は「こうなったからには日本国民にいろいろなメッセージを伝えたい」との趣旨の話をしたという。

 府警は8日、犯人蔵匿容疑で西成区のマンションを捜索、重信容疑者の写真が張ってある偽造旅券2通とノート型パソコン2台や多数のフロッピーディスクなど計約270点を押収した。

 府警によると、重信容疑者は中国を出国し、東南アジア経由で9月末に、関西空港から入国した。その後は、大阪府内で潜伏していたとされる。潜伏先は複数のマンションで、支援者らと会議を重ねていたとみられるという。

 府警には重信容疑者とみられる女性が10月中旬ごろから同市内にいるとの情報が寄せられていたが、逮捕の約10日前に西成区のマンションで、中年の女性の出入りを確認した。

 張り込み捜査を続け、望遠レンズで顔写真を数枚隠し撮りしたり、マンション周辺で重信容疑者が捨てた飲料水の容器から指紋を採取したりした。輪郭など特徴は似ていたものの写真では断定できず、警視庁が保存していた重信容疑者の指紋と照合し、今月7日に指紋が一致した。

日本赤軍幹部の重信房子容疑者を大阪・高槻市内で逮捕

2000.11.08(21:52)asahi.com
 日本赤軍最高幹部の重信房子容疑者(55)=オランダ・ハーグ事件で国際手配=が国内に入国していることが分かり、大阪府警は8日午前10時35分、大阪府高槻市内で重信容疑者をハーグ事件の逮捕監禁容疑で逮捕した。同容疑者の身柄は8日午後2時10分新大阪発の新幹線で、1975年に指名手配した警視庁に移送された。ハーグ事件のほかイスラエル・テルアビブ空港乱射事件やバングラデシュ・ダッカ空港航空機乗っ取り事件など日本赤軍による一連のテロを指揮したとみられ、警視庁は取り調べや押収資料の分析で、入国の目的などを解明する。

 国際手配の容疑は、オランダ・ハーグ市のフランス大使館を占拠することを企て、実行メンバーに指示。メンバーは1974年9月13日午後4時20分ごろ、短銃や手投げ弾などを持って侵入し、大使ら11人を人質にして、不法に逮捕監禁した疑い。

 ハーグ事件は1974年9月13日、オランダ・ハーグ市内にあるフランス大使館に日本赤軍メンバーらが侵入し、大使らを人質に取って立てこもった。重信容疑者はこれを指揮したとされ、警視庁が75年5月に逮捕監禁容疑で指名手配していた。逮捕監禁罪の公訴時効は5年だが、重信容疑者は国外に逃亡していたため時効は中断されている。

 大阪府警などによると、重信容疑者は8日午前10時半ごろ、高槻市の「たかつき京都ホテル」を男性2人と一緒にチェックアウトし、玄関から出たところを数人の警察官に囲まれ、職務質問を受けた。旧姓で「奥平やな」と聞かれると、無言でうなずき、その場で逮捕された。コートにズボン姿でショルダーバッグを肩に掛けていたという。府警は、バッグの中にあったノート型パソコンやフロッピーディスク、メモなどを押収した。

 調べによると、重信容疑者はこのホテルで開かれた何らかの集会に参加するため、7日から偽名で泊まっていたという。府警は、一緒にいた男性2人を支援者とみて事情を聴いている。

 大阪府警は7月下旬、「大阪市内に重信容疑者に似た人物がいた」との情報を得た。大阪府内にある拠点数カ所を割り出すとともに尾行を続け、宿泊先のホテルを突き止めた。

 たかつき京都ホテルによると、重信容疑者は7日午後5時すぎ、1人でチェックインの手続きをし、8階のツインの部屋に宿泊した。ホテルの電話を使って外部と通話した記録はなく、室内冷蔵庫のビールやジュースなどは大半を飲んでいたという。宿泊費と飲食費計約2万3000円は現金で支払われた。

 今年3月には、偽造旅券使用などの罪でレバノンの刑務所に服役し、刑期を終えた日本赤軍のメンバー4人が国外追放された。岡本公三容疑者はレバノンへの政治亡命が認められた。警視庁は、国外退去になった足立正生、和光晴生、山本万里子の3容疑者をハーグ事件の逮捕監禁容疑などで逮捕。戸平和夫被告を収監状にもとづいて東京拘置所に収監した。

PLOでも重要な地位 逮捕された重信容疑者

2000.11.08(21:44)asahi.com
 逮捕された重信容疑者(55)は、日本赤軍最高幹部として1970年代から80年代にかけて、世界各地でテロ事件を起こしたとされる。一時は、日本のマスコミ取材にも応じていたが、90年代になって行方がわからなくなっていた。

 71年2月にベイルートへ出国し、日本赤軍を結成。パレスチナ解放機構(PLO)の内部組織パレスチナ解放人民戦線(PFLP)の幹部と結婚。かつてはPLO内でも重要な地位にあり、アラファト議長と直接話をする間柄とされた。

 日本赤軍は72年5月、イスラエル・テルアビブの空港でメンバー3人が自動小銃を乱射するなどして24人を死亡させた。73年7月には、パレスチナゲリラと共に日航機をハイジャックして爆破、74年1―2月、石油製油所を襲撃した。

 74年9月、初めて日本赤軍だけでオランダ・ハーグのフランス大使館を占拠したのち、75年8月、クアラルンプールのアメリカ、スウェーデン大使館を襲うなど、たて続けに事件をおこした。クアラルンプール事件で赤軍派の坂東国男、東アジア反日武装戦線の佐々木規夫両容疑者らを獄中から解放、日本赤軍に参加させている。著書に自伝風の『十年目の眼差から』(83年)がある。

日本赤軍メンバー4人が日本に到着、3人逮捕1人収監

01:20a.m. JST March 19, 2000
 偽造旅券使用などの罪でレバノンの刑務所に服役し、今月8日に刑期を終えた日本赤軍のメンバー5人について、レバノン政府は17日、岡本公三容疑者(52)の亡命を認め、足立正生(60)、和光晴生(51)、山本万里子(59)の3容疑者と戸平和夫被告(47)の4人を国外追放した。4人はヨルダンなどを経由して日本に移送され、18日夕、成田空港に到着した。警視庁は到着後、警察庁を通じて殺人未遂などの容疑で国際手配していた3容疑者を飛行機内で逮捕した。また、東京地裁で公判中の1975年に「超法規的措置」で出国した戸平被告は収監状にもとづき、東京拘置所に収監された。

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 レバノンから国外追放された足立容疑者ら4人は、アエロフロート機でヨルダン・アンマン空港から移送され、18日午後5時18分に成田空港に到着した。警視庁公安部は午後6時10分ごろ、同機内で足立、山本、和光の3容疑者を逮捕し、東京・霞が関の警視庁に身柄を移した。戸平被告は同日夜、東京・小菅の東京拘置所に収監された。

 逮捕、収監された4人と岡本容疑者は1997年2月17日、レバノンのベイルート市内で身柄を拘束され、偽造旅券行使と不法入国の罪で禁固3年の判決を受けて服役していたが、今年3月8日に刑期を終えていた。

 4人は今月17日午後、ベイルート郊外の刑務所から、レバノン内務省の車でベイルート空港に移された後、レバノン機の定期便でヨルダンのアンマン空港に到着。だが、すぐにアンマン空港に待機していた、日本政府チャーターのアエロフロート機に乗り換えて、日本に向かった。車3台に分乗した4人はパトカーに先導され、高速道路を通って都内に入った。

日本赤軍4人の容疑

01:25a.m. JST March 19, 2000
 
 18日、警視庁に逮捕された和光容疑者ら3人と、収監された戸平被告の容疑は次の通り。

 和光晴生容疑者(51) 逮捕監禁と殺人未遂。1974年9月13日、西川純被告(49)、奥平純三被告(51)ら日本赤軍メンバーとともに、ハーグのフランス大使館を占拠、大使館職員十数人を人質にとって監禁したうえ、フランス当局に逮捕、拘束されていた日本赤軍メンバーの釈放を要求した。さらに大使館占拠の際、警察官に向けて銃撃し、2人にけがをさせた疑い。

 足立正生容疑者(60) 89年9月18日、チェコスロバキア(当時)のプラハ空港に入国する際、入国審査官に架空名義の署名をした入国許可申請書を提出したとされる偽造有印私文書行使の疑い。74年6月に出国。

 山本万里子容疑者(59) 74年4月19日、日本にいた奥平被告を海外の日本赤軍に合流させるため、他人名義の旅券申請書に奥平被告の写真をはって東京都旅券課窓口に提出、旅券の交付をさせた有印私文書偽造・同行使、免状等不実記載、旅券法違反の疑い。日本を74年4月に出た。

 戸平和夫被告(47) スウェーデン・ストックホルムのレバノン大使館を調査活動中の75年3月に偽造旅券行使の疑いで逮捕され、日本に送還された。その後、有印公文書偽造・同行使の罪で起訴され公判中だったが、75年8月にあった「クアラルンプール事件」の際、出国して日本赤軍に合流した。

亡命の岡本容疑者、収監中の障害で肉体も闘争も「変質」

11:48p.m. JST March 18, 2000
 レバノン政府から政治亡命を認められた日本赤軍メンバー、岡本公三容疑者(52)は、週明けにも刑務所から出所する。1972年にイスラエル・テルアビブ空港で約100人を死傷させ、世界を揺るがした乱射事件から28年。「元ゲリラ」は、イスラエル収監中に受けた肉体的、精神的な障害が残り、介護なしでは生活できない状態だ。

 今月2日、刑務所内で開かれたイスラム改宗の認証式の際、報道陣の前に姿を見せた。ジャンパーにスニーカーというラフな格好。頭髪は逮捕時に比べさらに白くなった。肩を丸め、視線は定まらない。コーランを手に無邪気にほほ笑んだ。その好々爺(こうこうや)然とした姿は、「戦士、英雄」のイメージとはほど遠かった。戸平和夫被告がそばに寄り添い、通訳から身の回りの世話までこなしていた。

 岡本容疑者は亡命を認められたものの、自由に活動できる状況ではない。レバノン政府は、対外的に「テロ支援」のイメージを与えることは望んでおらず、隣国シリアとともにイスラエルとの和平交渉を控え、日本赤軍メンバーの国内での活動を今後、野放しにすることはありえない。日本からの支援者らによる行動にも厳しい制限をとっており、岡本容疑者も一定の監視下に置かれるものとみられる。

 さらに28年の歳月は、パレスチナ闘争も大きく変質させた。パレスチナ解放機構(PLO)がイスラエルとの暫定自治宣言(93年)で武装闘争から対話路線へと変更。岡本容疑者らに近いパレスチナ解放人民戦線(PFLP)などの反主流派は当初、和平を拒否していたが、いまは、アラファト議長率いる主流派との再合流を目指している。

 とはいえ、複雑な中東情勢は政治亡命には追い風となった。2月にイスラエル軍が、ベイルート郊外の発電所などを空爆して以来、アラブ諸国の間では、イスラエル非難とレバノンへの連帯の動きが強まった。政治亡命に関して、国内だけでなく、周辺アラブ諸国からも異論が出にくい状況が、元ゲリラをレバノンに引き留めた。

レバノン、赤軍の岡本容疑者の亡命許可 4人は国外追放

09:48a.m. JST March 18, 2000
 レバノン政府は17日、偽造旅券使用などの罪で服役していた日本赤軍メンバー5人のうち、岡本公三容疑者(52)について「反イスラエル闘争への貢献」などを理由に同国への亡命を認めた。また、足立正生(60)、和光晴生(51)、戸平和夫(47)、山本万里子(59)の4人は国外追放した。4人はヨルダン経由で日本に移送されている、との情報もある。レバノンは、日本政府が5人全員に関して求めていた日本への送還を今月1日、拒否する姿勢を示していたが、パレスチナ解放闘争の「英雄」としてレバノン国内で同情を集める岡本容疑者の立場を考慮した上での政治判断と見られる。

 レバノンからの情報によれば、同国の政治亡命委員会(委員長・ムール内相)は17日、5人が求めていた政治亡命について、岡本容疑者だけを認めた。同容疑者は1972年、パレスチナ過激派の仲間としてイスラエル・テルアビブ空港で銃乱射テロに加わり旅行客ら24人を殺害した。その後イスラエルで終身刑を言い渡され、85年にパレスチナ側との捕虜交換で釈放された。この事件に関連して日本政府は同容疑者を殺人容疑で国際手配している。

 国外追放となった4人は同日午後、ベイルート郊外の刑務所から同国内務省の車でベイルート空港に移送された後、レバノン機の定期便でヨルダンのアンマン空港に到着したが、すぐに別の定期便に乗り換えてヨルダンを離れた。岡本容疑者が刑務所にとどまっているかどうかは不明だ。

 ヨルダン政府は4人の移送に関し、「レバノン側との事前了解がなく、入国を拒否した。4人は特定できない方面に出国した」との声明を発表した。ヨルダンやレバノンの情報筋は、4人がさらに別の国を経由して日本に移送されている、との見方を強めている。

ベイルートでは同日夜、4人の国外追放に抗議する市民約300人がホス・レバノン首相の私邸があるビルの前で反政府デモを繰り広げて警察と衝突、市民十数人が負傷したもようだ。

赤軍メンバー4人が日本に到着、逮捕・収監へ

5:42p.m. JST March 18, 2000
 警視庁など公安当局によると、レバノンから国外追放された日本赤軍メンバーの4人は別の国を経由して日本に到着した。足立正生、和光晴生、山本万里子の3容疑者については、警視庁公安部が警察庁を通じて国際手配しており、逮捕される。また戸平和夫被告は、東京地裁での公判中に「超法規的措置」で出国しており、地裁から出ている収監状にもとづき、拘置所に収監される。3容疑者の公訴時効は、国外逃亡中であるため中断している。

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