TOPIC No.2-113 発泡酒/ビール/第3のビール

01. アルコール、ドリンク byYAHOO!ニュ−ス
02. 発泡酒オンライン
03. 第三のビール byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
02. SAPPORO・ビール・発泡酒図書館


88円の第三のビール発売 イオン、節約志向に対応

2010/06/22 中国新聞ニュ−ス

 イオンは22日、価格が88円と業界最低水準の「第三のビール」新商品を、ジャスコなどグループ約3千店舗で23日から発売すると発表した。ビール系飲料をめぐる価格競争は、節約志向の消費者の心をつかもうと、今夏も熱気を帯びそうだ。

 新製品は独自ブランドの「トップバリュ バーリアル」(350ミリリットル)。商品開発はイオンが行い、韓国の大手メーカーに製造を委託。イオンのグループ会社が輸入や国内での配送を担当して物流経費を削減した。大麦の原料比率を高くするなどの工夫で、ビールに近い味わいに仕上げたという。

 イオンは昨年7月、サントリー酒類と共同開発した第三のビール(350ミリリットル)を100円で発売したが、約半年で販売を打ち切った。品質を改良するとともに、さらに価格を下げて、新製品発売に踏み切った。22日記者会見したイオンの久木邦彦ひさき・くにひこ執行役は「品質、価値ある低価格、安定供給の3条件を満たす商品」と述べた。

統合比率で溝埋まらず キリン、サントリー首脳

2010/02/09 中国新聞ニュ−ス

 経営統合の断念を発表したキリンホールディングスとサントリーホールディングスの首脳が8日午後、それぞれ報道陣の取材に応じ、新会社の経営方針や統合比率をめぐり溝を埋められなかったことが白紙化の原因との見方を明らかにした。国内食品2位のサントリーは海外企業との統合を検討する姿勢も示した。

 キリンの加藤壹康かとう・かずやす社長はこの日、東京都内で記者会見し、断念理由について「統合新会社は上場公開会社を前提に、どのような経営をするか両社間の認識が一致しなかった」と、経営方針の考え方の隔たりが大きかったことを強調した。

 その上で統合後の新会社については「経営の独立性、透明性を担保することが基本と交渉してきたが、合意に至らなかった」と指摘、株式公開会社としての透明性が確保できないとの認識を示した。

 新会社の統合比率に関して、加藤社長は「トータルの価値を適正に計算したもので(サントリーの創業者一族の資産管理会社である)寿不動産の持ち株比率を3分の1未満にするためではない」と述べた。

 サントリーの佐治信忠さじ・のぶただ社長も同日、都内で記者団に対し、統合断念について「理由は統合比率で(統合交渉では)考え方が違った」と説明。今後のサントリーの経営戦略については「海外の会社と統合を検討することもあるだろう」との考えを示した。

 キリンの加藤社長が統合後の新会社の透明性について言及したことに関連し、佐治社長は「何をもって透明性がないというのか分からない」と反論した。

WRAPUP1: キリンHD<2503.T>とサントリーが経営統合断念、統合比率や新会社運営で溝埋まらず

2010年02月08日 Reuters

 [東京 8日 ロイター] キリンホールディングス(2503.T: 株価, ニュース, レポート)とサントリーホールディングス(大阪市)は8日、経営統合交渉を打ち切ったと発表した。統合比率や経営統合新会社の運営について両社の溝が埋まらなかった。昨年7月に交渉が表面化して半年で、統合交渉は白紙となった。両社は今後、海外メーカーを含めた企業との統合・提携を模索することになる。
 両社長は8日午前に会談し、交渉の打ち切りを決定。午後にはそれぞれが会見で経緯を説明した。

 サントリーの佐治信忠社長は、交渉決裂の理由について「統合比率」と断言。一方、キリンの加藤壹康社長は「上場企業となることを前提としてどのような経営を行うかで両社間で認識が一致しなかった。経営の独立性、透明性を担保し、顧客、株主、新会社の従業員から理解・賛同してもらうことにはならないと考えた」とした。

 サントリーの創業家の資産管理会社「寿不動産」がサントリー株の約90%を保有しており、経営統合新会社の筆頭株主になる可能性が高かった。サントリーは「最初から50対50を基本ベースとして統合しようということ。それに伴って寿不動産がかなり大きな株主になることは間違いなく、それが実現できなければ、統合はないということ」(佐治社長)と強い口調で語った。

 11月に両社のフィナンシャルアドバイザー(FA)が資産査定の結果に基づいて、それぞれが弾き出した統合比率を提示。サントリーが持つ文化事業や将来性を含めて50対50を基本に考えているサントリー側に対して、キリンHDが提示した統合比率は大きく隔たりがあったという。キリンの加藤社長は、自社が提示した統合比率について「両社の事業会社をひとつひとつ資産査定し、トータルの価値を適正に計算したもので、寿不動産の持ち株比率を3分の1未満にするためではない」と述べ、寿不動産の新会社の保有株比率が3分の1の保有に満たない統合比率だったことを認めた格好になった。

 キリン関係者は「株式を3分の1以上持っても、経営の透明性を確保する方法はある」と述べている一方で、サントリー側は「株式の持ち分によってある程度の発言力は出てくる。サイレントマジョリティでいて欲しいか、経営のためにいざとなれば意見を言うか、の考え方の違いはあったかもしれない」(佐治社長)としており、創業家がどのように統合新会社の経営に携わるか、という認識での溝が埋まらなかった。

 両社は、共同配送などで提携しているが、こうした協力は続けていく方針。

 今後の経営戦略について、キリンの加藤社長は「ひとつの案件にこだわって戦略展開しているわけではない。常に戦略オプションは持っている。M&Aや提携は重要な成長戦略だ」と指摘。サントリーの佐治社長も「単独でグローバルに生き残るのは必ずしも容易ではない」と指摘。そのうえで「(相手は)海外企業が良いかもしれない。プライベート企業の方がやりやすいかもしれない」と述べた。 (ロイター日本語ニュース 清水 律子記者)

〔焦点〕キリン・サントリー統合できず、広がる海外勢との競争力格差

2010年02月08日 Reuters

 [東京 8日 ロイター] キリンホールディングス(2503.T: 株価, ニュース, レポート)とサントリーホールディングス(大阪市)の経営統合交渉が決裂した。海外企業と比べると規模で見取りする日本の食品・飲料メーカーの中で「今後、グローバル展開が期待できる数少ない組み合わせ」(大手銀行首脳)との指摘もあっただけに、海外勢との競争力格差拡大に直結しかねない。両社とも次の一手に向けて、早急に歩を進める必要性に迫られそうだ。

 国内での収益基盤を強固にして、海外展開を加速させるには「強者同士の統合が必要」という点でトップ同士の意見が一致し、昨年7月に始まった両社の経営統合交渉。背景にあったのは、海外企業と対等に競争するには、縮小する国内市場で価格競争やシェア争いを激化させ、疲弊している場合ではないという考えだ。キリンとサントリーが経営統合すれば売上高規模で約4兆円、世界第5位規模の食品メーカーが誕生するはずだった。

 ビールは装置産業だけに規模が大きくなれば利益率は高まる。海外のビールメーカーにとって営業利益率10%程度は当たり前だが、日本のビールメーカーの利益率は半分程度にとどまる。サントリーの佐治信忠社長が「営業利益率10%は欲しい」と常々語っていたのはそのためだ。海外メーカーと同じ土俵で戦うためにも、経営統合は有力な選択肢だった。「キリンがパートナーとしては一番良かったし、それだけ尊敬に値する会社だった」(佐治社長)と言うように、日本のビールメーカーの中で経営統合するには、キリンとサントリーしかないというのが、両社の共通の考えだったと言える。

 <再編は必至、国内外問わずM&Aの可能性>

 「国内市場のパイが今後、縮小していくのは明らか。再編していかなければ生き残りは困難」(クレディ・スイス証券アナリストの沖平吉康氏)というのは、日本の食品メーカーを取り巻く環境として変わりようのないのない事実だ。大手銀行の大企業担当役員は「経営者は頭では理解しているが、なかなか大型M&Aに踏み切れない。競争が激しくなってもすぐに倒産するわけではないからだ」と打ち明ける。

 実際、キリンの加藤壹康社長は8日の会見で「今までの延長線上のビジネスだけを展開するわけではない」とした上で「1つの案件にこだわって戦略を展開しているわけではない。常に戦略オプションは持っている」と述べ、今後もM&Aは成長戦略の1つだと位置づけた。

 一方のサントリーの佐治社長も8日、記者団に対して「単独でグローバルに生き残るのは必ずしも容易ではない」とし、「海外の会社と統合することもあり得る。キリンもわれわれも、いろいろと考えていかなければならない」と述べた。

 今回の破談の背景については「非上場会社のオーナー会社であるサントリーと、三菱グループを出自に持つキリン。あまりにも企業風土が違いすぎた」(業界関係者)という指摘もある。

 統合が実現していれば、サントリー株の約90%を保有する創業家の資産管理会社「寿不動産」が、新会社の中で筆頭株主になるはずだった。「統合新会社の経営の独立性と透明性が担保されない」(加藤社長)という認識と「リスクを取って大株主になるのだから、サイレントマジョリティではなく、何かあれば意見を言う」(佐治社長)という差が、大きな溝となっていた。

 しかし、今回の統合決裂をもって、日本企業同士の強者連合誕生の芽がなくなったと判断することはできない。クレディ・スイス証券の沖平氏は「日本のビールメーカー同士は難しいかもしれないが、飲料業界での再編は可能性があるし、なければいけない。今回はハードルが高かっただけで、日本の食品業界全体で再編がストップしてしまうわけではない」と指摘している。(ロイター日本語ニュース 清水 律子記者;編集 田巻 一彦)

キリン:サントリーとの統合暗雲 「白紙還元」の可能性も

2010年01月27日 毎日新聞

 キリンホールディングスとサントリーホールディングスによる経営統合交渉に暗雲がたれこめている。焦点の統合比率について両社間の隔たりが大きく、歩み寄りの見通しが立たないためだ。目標だった今月中の基本合意は消え、交渉自体が白紙還元されかねないとの見方も出てきた。【大塚卓也、窪田淳】

◆火種は創業家

 両社の統合交渉が本格化したのは昨年11月。統合比率でキリン側は金融機関が行った資産などの査定結果を基準に、キリン1対サントリー0・5程度とする案を提示。これにサントリー側が強く反発した。「ブランド力や海外事業の成長性が考慮されず『対等の精神』というトップ間合意を無視している」(幹部)と、統合断念すら示唆する姿勢に転じた。

 サントリーがこだわるのは、株式未公開企業である同社株の約9割を保有する創業家の資産管理会社が、統合会社の3分の1以上の株式を持つこと。「やってみなはれ」に代表される自由な社風、多様な文化・社会貢献活動など、数字で表せない要素への自負が強い。創業家が新会社の重要決定事項に拒否権を保持し続けるため「1対0・8前後の比率がギリギリの線」(関係者)というわけだ。

◆2月中旬期限?

 上場会社のキリン側にも制約がある。加藤壹康社長は昨年7月の統合交渉入り発表後、「統合は対等の精神で」と強調したが、サントリー創業家株の扱いでどこまで合意していたかは不明。金融機関や同じ旧三菱グループ企業には「上場会社の34%の株を創業家が持てば意思決定が不透明になる」との声や「金融機関が査定した統合比率の幅を超えて譲歩すれば、既存のキリン株主による株主代表訴訟が起きかねない」との指摘がある。

 キリンは3月末に株主総会を控え、遅くとも招集通知を発送する2月中旬までに合意にこぎつけたい意向。三菱グループには、サントリー側が持ち株比率で譲歩する一方、社長ポストを一定期間、サントリーの佐治信忠社長に委ねる案などが取りざたされているが、両社が歩み寄る気配は今のところない。

◆統合前提とせず

 昨年7月の統合交渉入り公表後、両社が統合を前提としないようなM&A(企業の合併・買収)などを続けていることに違和感を持つ関係者も多い。キリンは26日、健康食品事業で新ブランド育成に取り組むと発表したが、同分野はサントリーが数多くのヒット商品を持つ。サントリーによる仏清涼飲料会社の買収やキリンの国内工場閉鎖なども、両社間で事前の調整がなかったことを加藤、佐治両社長とも強調しており「最終合意まで統合を前提とせず競争を続ける」との立場だ。

◆経営統合交渉入り発表後の両社の動き◆

<キリン>

09年10月 豪ビール会社ライオンネイサン完全子会社化

  同  中期経営計画で国内2工場の閉鎖を発表

  12月 中国の飲料合弁会社の出資比率引き上げ

  同  フィリピンの子会社サンミゲルビールが中国、ベトナムなどに工場を持つビール会社買収

<サントリー>

  7月 ニチレイのアセロラ飲料事業を買収

  11月 仏清涼飲料メーカー、オレンジーナ・シュウェップスグループを3000億円強で買収

  12月 中国のワイン輸入販売会社を買収

10年1月 米ペプシコと中国での販売委託契約に調印

09年ビール類出荷量:「第3」人気独占…節約志向を反映

2010年01月15日 毎日新聞

第3のビールがズラリと並ぶビール類売り場

 09年のビール類出荷量(課税ベース)に占める「第3のビール」のシェアは前年の23.7%から29.3%に増え、消費者の節約志向を反映する形になった。メーカー別シェアでキリンがアサヒから9年ぶりに首位を奪還したのも、アサヒが「スーパードライ」というビールの大型商品に依存しているのを尻目に、割安な「第3」に注力したことが奏功したようだ。

 キリンの稼ぎ頭は第3の「のどごし生」。07年にはビールの「一番搾り」を抜き、キリンの中で最も売れるブランドに成長、09年も前年比11.8%増の4569万ケース(1ケースは大瓶20本換算)を販売した。キリンの松沢幸一社長は15日の会見で、シェア逆転について「消費者の節約志向で新ジャンルが伸びたことが一つの要因になった」と述べた。

 一方、首位の座を奪われたアサヒビールは、「第3」の主力商品「クリアアサヒ」を09年は36.9%増の1933万ケース売ったが、「のどごし生」の4割強に過ぎなかった。消費者の外食離れが進んだのも計算違いだったようで、荻田伍(ひとし)社長は「業務用ビールがここまで減るとは思わなかった」と話した。

 ビール類に占める「第3」の割合は今後も伸び続けるとみられ、3月にはキリンが第3の新商品「キリン1000(サウザン)」、サントリーが「7種のホップ リラックス」の発売を予定。サッポロは「ドラフトワン」のリニューアルに合わせ、3月から出荷価格を数%引き下げ、価格でも勝負を挑む。【窪田淳】

 ◇販売量1位はアサヒ 出荷量ではキリン逆転

 09年の販売量ではアサヒが首位だったのに、出荷量ではキリンがアサヒを上回って首位に立つ逆転現象が起きた。出荷量は、販売量だけでなく、販売先の決まっていない倉庫の在庫分を含むためだ。

 両社が8日発表した09年の販売量は、キリンが1億7680万ケース、アサヒが1億7700万ケースで、20万ケース差でアサヒがトップだった。一方、15日発表の出荷量では、キリンが1億7799万ケース、アサヒが1億7719万ケースとキリンが80万ケース上回った。出荷量と販売量との119万ケースの差について、キリンの松沢幸一社長は「年末まで販売が好調で欠品の恐れもあった。在庫は1日分の出荷量に過ぎず、適正な水準だ」と話している。

 業界関係者によると、販売量は各社自己申告のため、実態と離れた数字を出すことも可能という。このため業界では92年以降、課税対象となり、より公平な出荷量でシェアを表すことが慣例となっている。【窪田淳】

09年ビール類出荷:9年ぶりキリン首位

2010年01月15日 毎日新聞

 ビール大手各社が15日発表したビール類(ビール、発泡酒、第3のビール)の09年年間出荷量(課税ベース)によると、キリンビールがアサヒビールを抑え、9年ぶりに首位となった。各社が既に発表している販売数量ではアサヒが小差で首位だったが、業界の公式統計で、販売先の決まっていない在庫分を含む課税数量ではキリンが上回った。

 メーカー別のシェアは、キリン37.7%▽アサヒ37.5%▽サントリー12.3%▽サッポロ11.7%の順だった。キリンは11月までトップを維持するなど好調だったことから、年末年始の需要に備え、例年より多めに在庫を抱えたという。

 業界全体の総出荷量は前年比2.1%減の4億7250万ケース(1ケースは大瓶20本換算)となり、5年連続で過去最低を更新した。ジャンル別では、ビールが同6.7%減の2億3903万ケース、発泡酒が同15.6%減の9488万ケースと98年以来11年ぶりに1億ケースを割った。割安な第3のビールは21.4%増の1億3859万ケースだった。節約志向の高まりで低価格商品へのシフトが鮮明になっている。【窪田淳】

ビール類出荷量:11月は2.4%減 飲食店も歳暮も鈍く

2009年12月10日 毎日新聞

 ビール大手各社が10日発表した11月のビール類(ビール、発泡酒、第3のビール)の出荷量(課税ベース)は、前年同月比2.4%減の3530万ケース(1ケースは大瓶20本換算)で、統計を取り始めた92年以降、11月としては過去最低だった。単月出荷量が過去最低となるのは7月以降5カ月連続。景気低迷を背景に飲食店需要の減少が続いているほか、お歳暮商戦の出足も鈍かった。

 種類別では、ビールは同6.8%減の1812万ケース、発泡酒は14.2%減の649万ケースだったが、割安な第3のビールは17.0%増の1068万ケースだった。【窪田淳】

キリン:狙いは新興国 サントリーと統合で欧米勢に対抗

2009年07月13日 毎日新聞

 国内食品トップのキリンホールディングスと同2位のサントリーホールディングスが経営統合に向けた交渉を進めていることが13日、明らかになった。最大の狙いは、海外、とりわけアジア市場での存在感を引き上げることにある。国内ではトップクラスでも、より価格競争力やブランド力が問われる新興国市場では、積極的な合併や買収(M&A)を繰り広げてきた欧米勢に両社とも大きく水をあけられている。遅れを取り戻すには規模拡大しかないとライバル同士が手を組んだ。

 「酒類、飲料、医薬を主力に、アジア・オセアニア地域のリーディングカンパニーを目指す」−−。キリンは06年にまとめた経営計画で、そう宣言した。そのうえで、売上高と利益に占める海外の比率をそれまでの2倍にあたる3割に引き上げる目標を掲げた。

 その後数年で、豪州のビール大手ライオンネイサンや乳製品大手ナショナルフーズを傘下に収め、東南アジア首位のビールメーカー、サンミゲルビール(フィリピン)への出資など大型投資を次々と決めていった。

 アジア強化はサントリーも同じ。ニュージーランド飲料大手のフルコアの買収や、中国、香港、台湾などでの「ウーロン茶」販売拡大など地道な事業展開を進めてきた。

 しかし、スピードと規模が欧米勢と違い過ぎた。ビール生産量で世界一だったインベブ(ベルギー)が08年7月に「バドワイザー」などで知られる世界3位のアンハイザー・ブッシュの買収を決めた金額は約5兆円。インベブのビールの世界販売数量はキリンの5倍以上に上っており、M&Aも有利に進めている。

 同年1月にはカールスバーグ(デンマーク)とハイネケン(オランダ)が英大手のビールメーカー、S&N社を共同買収したが、この買収金額も約1兆6000億円と巨額だった。

 一方、国内での収益環境は厳しい。キリンは今年1〜6月のビール類出荷シェアで3年ぶりにアサヒビールを抜きトップになったが、ビール類の市場規模自体は毎年縮小が続いている。ビールや飲料の大口販売業者である大手小売業者も経営の集約が進み、セブン&アイやイオン・グループなどが低価格を武器にしたプライベート・ブランド(PB)の飲料や「第3のビール」を強化し、メーカー製品にとっても大きな価格の引き下げ要因になっている。

 キリンとサントリーの経営統合交渉では、経営規模拡大によって、原材料調達先や小売業者に対する交渉力を高める狙いも大きい。ビール類で強いキリン、清涼飲料や洋酒で大きなシェアを持つサントリーという相互補完効果が期待できる側面もあり、食品業界再編の大号砲になりそうだ。【大塚卓也】

 ◇「独禁法違反」は事案ごとに判断 公取

 キリンとサントリーが経営統合すれば、ビール系飲料のシェアが49.6%となり、国内市場の寡占化が進むことになる。独占禁止法は、一定の取引分野で競争が実質的に制限される恐れがある統合や合併を禁じている。大企業の統合・合併は届け出が義務付けられており、公取が独禁法に抵触しないかどうか審査する。ただ、シェアがどれだけ高ければ独禁法違反に当たるかについての数値基準は定められていない。新規参入の状況や輸入品の比率、価格決定過程などを公取が考慮して、事案ごとに判断している。【柳原美砂子】

キリン:サントリーと経営統合へ交渉

2009年07月13日 毎日新聞

 食品最大手のキリンホールディングスと同2位のサントリーホールディングスが経営統合に向けた交渉を進めていることが13日、明らかになった。まず持ち株会社同士が合併したうえで、傘下にあるビールや飲料、食品などの事業を段階的に統合する方向で検討している模様だ。統合が実現すれば、連結売上高で約3兆8000億円と米コカ・コーラを上回る世界で有数の酒類・飲料メーカーとなる。

 ビールや清涼飲料などの国内市場は少子高齢化による市場縮小が避けられず、昨年からの景気低迷で価格競争も激しくなるなど、経営環境は厳しさを増している。このため、各社は国内を補う海外市場への進出を加速させてきた。

 キリンとサントリーは統合によって米ペプシコなど世界的な食品メーカーと肩を並べる企業規模となり、一段の効率化で収益基盤を強化。その上で、中国など海外市場でのM&A(企業の合併・買収)などを加速させたい考えだ。

 両社は物流面やアルミ缶の共通化などの事業で既に協力関係にある。関係者によると、キリンの加藤壹康社長とサントリーの佐治信忠社長がトップ会談し、経営統合を視野に入れた検討作業を加速させることで合意したという。

 08年12月期の売上高はキリンが約2兆3000億円、サントリーが約1兆5000億円で、統合後は食品3位のアサヒビールを売上高で大きく引き離す。ビール系飲料では国内シェアの約50%、清涼飲料では首位の日本コカ・コーラと並ぶ規模になる。

 世界最大のビール市場である中国では、キリンが広東省などの南部、サントリーが上海市周辺など一部地域での展開にとどまる。海外での規模をさらに拡大するには、地元有力メーカーの買収などが避けて通れず、そのための収益力確保が課題になっている。

 統合が実現すれば、1949年に大日本麦酒が現在のアサヒとサッポロに分割されて、63年にサントリーがビール事業に参入して以来続いてきた大手ビール4社体制が崩れることになり、他社にも再編の波が及ぶ可能性がある。

 ◇キリンホールディングス

 1907年創業。東証1部上場。07年7月に持ち株会社化した。傘下に国内ビール系飲料2位のキリンビール、清涼飲料3位のキリンビバレッジ、ワイン最大手のメルシャン、医薬品の協和発酵キリンなど。代表商品は「一番搾り」「キリンレモン」など。08年12月期の連結売上高は約2兆3035億円、営業利益は約1459億円。グループの従業員数は約3万6554人(08年12月末)。

 ◇サントリーホールディングス

 1899年創業。非上場。09年4月に持ち株会社化した。傘下には酒類、食品、外食などの事業会社がある。酒類はビール系が3位、ウイスキーは首位。清涼飲料は国内シェア2位。代表商品は「ザ・プレミアムモルツ」「山崎」「ボス」など。08年12月期の連結売上高は1兆5129億円、営業利益は813億円。グループの従業員は2万1845人(08年12月末)。

サントリー、セブン・イオン向けに第3のビールでPB供給

2009/07/12 週刊ビジネスガイド7月2日号

 セブン&アイ・ホールディングス(以下、セブン&アイ)とイオンは29日、プライベートブランド(PB、自主企画商品)として、第3のビールを7月下旬からそれぞれ販売すると発表した。製造はともにサントリー酒類で、価格は実質350ml缶で100円と業界最安値。大手小売業でビール類飲料のPB発売は初めてとなる。

 イオンの「トップバリュ 麦の薫り」は350mlが100円のほか、500mlは145円。 セブン&アイの「ザ・ブリュー」の場合、セブン-イレブンでの1本売りは350mlが123円だが、イトーヨーカドーなど400店舗では6缶パックを600円で売り出す。セブン-イレブンを含む取り扱い店舗は1万2,000店を超える。

 ビール大手5社のビール系飲料の5月出荷数量によると、ビールが前年同月比7.3%減、発泡酒が同11%減なのに対し、第3のビールは同13.6%増と前年同月を15ヶ月連続で上回っている。イオンもセブン&アイHDも成長分野での販売拡大を狙うわけで、イオンは年間3,000万本(350ml換算)、セブン&アイは同3,600万本を目指す。

 サントリーが流通2社に供給するPB商品は自社の第3のビール販売量の10%弱に相当するとみられ、工場の稼働率アップに大きく寄与、シェア競争でも後押しになる。自社商品との競合というリスクを抱えながらもサントリーが下した決断は他の流通各社はもちろん、ビール各社に衝撃を与える可能性が大きく、ビール業界は新たな体力勝負の戦国時代に突入しそうだ。 (参考:セブン&アイ・ホールディングス、イオン ニュースリリース 2009年6月29日などより)

ビール類、紙一重の争い キリン上期首位、アサヒ逆転に自信

2009/07/11 Fuji Sankei Business-i

 ビール大手5社が10日発表した上期(1〜6月)のビール類の課税出荷数量シェアによると、キリンビールがアサヒビールを抜き、上期としては3年ぶりに首位に返り咲いた。3月に麦芽100%に刷新したビールの「一番搾り」や第3のビール「のどごし<生>」の売れ行きが好調だったキリンが、アサヒをわずかに0.6ポイント上回り薄氷の勝利をつかんだ。ただ、ビールに強いアサヒは1年で最も需要が高まる7、8月や年末で巻き返すことが予想され、通年では9年連続となる首位の座を維持する可能性もある。下期に向けて両社のシェア争いが一段と激化するのは必至だ。

 上期のシェアは、キリンが前年同期比0.8ポイント増の37.5%、アサヒは0.6ポイント減の36.9%だった。サントリーは12.7%、サッポロビールは12.1%、オリオンビールは0.8%だった。

 アサヒは1〜3月に比べキリンとのシェアの差を1.3ポイント詰めたものの、逆転できなかった。キリンは「一番搾り」「淡麗」に加えて、第3の主力「のどごし<生>」の販売を伸ばしてシェアを押し上げた。一方のアサヒは主力の「スーパードライ」を軸に、第3のビールなどと比べて価格の高いビールの構成比が66%を占めているため、高まる消費者の節約志向を受けて販売を落とした。

 しかし、アサヒは過去の実績を見ると、例年下期に強さを発揮している。苦戦を強いられた06年は、1〜9月までキリンが0.7ポイントのシェア差で1位だったが、最終的にはアサヒが首位を奪取した。アサヒの荻田伍社長は、「今年も9年連続の首位は取れる」と強気の姿勢を崩さない。ビールでシェア約50%を握る断トツトップの地位からくる自信だ。

 とはいえ、節約志向の高まりの中でアサヒが主力とするビールは、逆風下にあることは事実だ。

 上期の全体の課税出荷に占めるビールの構成比は49.1%となり、上期としては初めて5割を下回った。第3のビールへと需要のシフトが一層進んだためだ。

 キリンはビールと発泡酒、第3のビールの構成比がほぼ3分の1ずつとバランスがとれている。さらに発泡酒と第3のビールはいずれもシェア首位という強みを持つ。

 下期は夏場に加えて、冬の忘年会需要もある。飲食店でのアサヒ「スーパードライ」人気は依然根強く、巻き返しの余地は十分ある。年間の首位争いの行方は予断を許さない。(今井裕治)

「第3のビール」シェア3割、ビール初めて5割切る

2009年07月10日 読売新聞 YOMIURI On-Line

スーパーでは、日本メーカーの商品とともに、韓国製の「第3のビール」も並ぶ(東京都目黒区のダイエー碑文谷店で) 2009年上半期(1〜6月)のビール類総出荷量で、販売低迷が続くビールのシェア(市場占有率)が初めて5割を下回り、低価格が売りの「第3のビール」が3割近くに増えた。

 ビール類市場での販売競争は、自社の「第3」をどこまで伸ばせるかがカギを握りそうだ。

 ◆主戦場◆

 09年上半期のビール類市場では、キリンビールが3年ぶりに首位に返り咲いた。その原動力は、「第3」の成長性にいち早く着目し、「のどごし<生>」をトップブランドに育てたことだ。

 アサヒビールの「クリアアサヒ」も、キリンの看板ビール「ラガー」を抜いて6位となった。今や、キリンとアサヒの首位争いは「第3」が主戦場となってきた。

 「第3」は、麦芽含有量がビールに比べて少なく酒税が低く抑えられるため、コンビニエンスストアでの350ミリ・リットル缶の価格が140円前後と、ビール(215円前後)や発泡酒(160円前後)より安い。このため、オリオンビールを除く4社が09年に発売を決めた7本のうち「第3」は4本と過半数を占める。

 サントリーは、大手流通グループのイオンとセブン&アイ・ホールディングスの自主企画商品(プライベートブランド=PB)に1缶100円の「第3」を供給する。

 海外からの「参入組」もある。ダイエーがPBとして韓国・OBビールに生産委託した「バーゲンブロー ノイヴェルト」(350ミリ・リットル=89円)は「価格の割においしいと評判で、『のどごし<生>』に次いで売れる」(ダイエー碑文谷店)という。

 ◆「定番」難しく◆

 ただ、「第3」は、ラガーやアサヒ「スーパードライ」など定番ブランドが確立されたビールと異なり「清涼飲料のように、いろいろな種類を試すお客様が多い」(田村潤・キリンビール副社長)。このため、多くの人に好まれる大ヒット商品が育ちにくいのが実情だ。

 「第3」は04年の全国発売以降、大手4社の10ブランドが姿を消すなど、淘汰(とうた)が激しい。業界では「ビール類市場に占める割合は3割前後で落ち着く」との見方が広がっている。(戸田雄)

三次麦酒が一時休業へ

2009/07/09 中国新聞地域ニュース

 三次市の地ビールメーカー、三次麦酒(三田正司社長)が13日から一時休業することが8日、分かった。出荷量や製造工場と併設するレストランの売り上げが伸び悩んだ。従業員は全員解雇する。今後、地元などと話し合いながら、再開を目指すという。

 三次麦酒は1997年、地元商工業者が出資して設立。「三次ベッケンビール」の商品名で製造販売、併設レストランの営業を行ってきた。初年度はビール、レストラン併せて約3億2千万円を売り上げた。

 しかし、全国的に地ビール業者が苦戦する中、低価格の発泡酒や「第三のビール」に押され、出荷量はピーク時の2000年度の約7割に低下。昨年度の全体の売り上げは約1億5千万円にとどまった。02年にレストランのホールを増床し、結婚披露宴や宴会客の取り込みを図るなどしてきたが、昨年秋以降の景気低迷も追い打ちをかけた。

 正社員8人とパート従業員11人は14日で解雇。ビールの出荷は予約分を含め25日ごろまで続ける。今後、残務整理をしながら、商工業者らと協議、再建策を探るという。

好きな発泡酒・第三のビールランキング

2009年07月04日 アメ−バニュ−ス

 好きな発泡酒・第三のビールランキング

 1 麒麟淡麗〈生〉/2 金麦/3 のどごし〈生〉/4 淡麗グリーンラベル/5 クリアアサヒ/6 麦とホップ/7 アサヒ本生ドラフト/8 ジョッキ生/8 ドラフトワン/10 麒麟ZERO

キリンが圧勝!? 格安なのにビール並みの美味しさ!

 発泡酒や第三のビールは格安でビールに似た味わいが楽しめることもあり、よく飲むという人も多いのではないでしょうか。相次いで新しい銘柄が登場し、テレビCMや売り場もとても賑やか。そこで「好きな発泡酒・第三のビール」を聞いたところ、1位にランク・インしたのはキリンビールの《麒麟淡麗〈生〉》でした。1998年の発売以来、累計売り上げ本数はなんと200億本を突破しているのだそう。麦芽の使用率が制限されている発泡酒は副原料に何を用いるかが大きな課題となります。この《麒麟淡麗〈生〉》では副原料に大麦を選び、独自の技術で見事なキレ味を実現。のど越しにハマる人も多いのではないでしょうか。

 2位にはサントリーの《金麦》がランク・イン。「金麦冷やして待ってるから?」というテレビCMが印象に残っている人も多いのではないでしょうか。旨味成分を多く含むとされる旨味麦芽とアロマホップ・ビターホップという2種類のホップを使用、その上天然水仕込みと第三のビールとは思えないほどの贅沢な味わいが楽しめます。3位には《のどごし〈生〉》、4位には《淡麗グリーンラベル》とキリンビール社製品がほぼ上位を占める結果となりました。

 これからどんどん暑くなり、キーンと冷えた飲み物がおいしい季節。みなさんが乾いたのどを潤すならばどの銘柄にしますか?

アサヒ キリン、露で缶ビール対決

2009年06月27日 読売新聞 Yomiuri On-Line

ウオツカ離れ 世界3位の巨大市場に投入

 キリンホールディングスは27日、同社としては初めてロシアで缶ビールを発売する方針を明らかにした。これまで飲食店向けのたるや家庭用の瓶で出荷していたが、手軽に飲める缶を投入することで急拡大する家庭のビール需要を取り込む狙いだ。

 健康志向を背景にウオツカ離れが進むロシアは今や中国、米国に次ぐ世界3位のビール大国。缶ビールで先行するアサヒビールも売り込みに躍起となっており、国内シェア(占有率)首位を争う2社がロシアでも激しい競争を展開しそうだ。

 キリンが現地メーカーに生産委託して29日から販売する「KIRIN ICHIBAN(一番搾り)」の500ミリ・リットル缶は63ルーブル(約194円)。量販店への営業を強化し、年内に4500ケース(24本入り)を販売する計画だ。

 キリンによると、2007年のロシアのビール消費量は1105万キロ・リットルと日本(628万キロ・リットル)の2倍近い。97年からの10年間で2・6倍に増え、順位も8位から3位に上昇した。

 経済発展による食の多様化や健康志向の高まりなどでアルコール度数の高いウオツカを敬遠する動きが強まったことが要因という。

 ロシア市場は国産ブランドが圧倒的なシェアを占め、輸入ビールは古くからロシアに参入しているオランダのハイネケンが健闘している。日本勢は98年にアサヒ、06年にキリンがそれぞれ本格参入したものの、価格がロシア産の3倍程度と割高なため、浸透度は今ひとつだった。

 キリンは缶投入で2008年に7万2000ケース(大瓶20本換算)だったロシアでの販売数量を15年までに3倍以上に増やす意向だ。一方、アサヒは「スーパードライ」を冷やすショーケースをスーパーに無料提供するなどして販路を拡大し、09年は前年比3割増の59万ケース(大瓶20本換算)を売る計画だ。

キリン 第3のビール7〜8月増産 節約志向強まり需要急増

2009/06/26 Fuji Sankei Business i.

 キリンビールは25日、第3のビール「のどごし〈生〉」の7〜8月の生産数量を当初計画より15%増産すると発表した。家計の節約志向が強まるなか、生活防衛策として、ビールや発泡酒から第3への需要シフトが急速に進んでおり、最需要期の夏場に向け供給体制を整える。

 のどごし〈生〉は第3の首位ブランド。キリンによると今年1〜5月の累計販売数量は前年同期比で約16%伸びた。また、2005年に発売以来、25日には累計販売本数が、第3ブランドの中では最速の60億本(350ミリリットル換算)を突破するなど“絶好調”だ。このため、1年で最も需要が盛り上がる夏場の安定供給を進めるには、増産が欠かせないと判断した。

 のどごし〈生〉は、これまで家庭用がほぼ全量を占めていたが、節約志向の高まりで居酒屋など業務用の採用もじわりと増えつつあるという。居酒屋チェーン最大手のモンテローザは、「千年の宴」と、「月の宴」「福福屋」で、6〜7月のお薦めメニューとして「のどごし〈生〉」(350ミリリットル缶)を期間限定で販売している。他の居酒屋でも第3に関心を示しているチェーンは多く、今後は業務用も含めた“第3旋風”が巻き起こる可能性もありそうだ。

韓国産格安「第3のビール」 1缶88円で人気

2009/06/25 JCASTニュ−ス

不況で消費者の「低価格志向」が進む中、韓国産の「第3のビール」が人気だ。1缶90円以下と国産より30円以上も安いだけでなく、「味も国産とそれほど変わらない」(輸入業者)とのことで、大手量販店では売上が3倍近く伸びたところもあるという。

「安いモノが売れる時代になった」

 (出荷量が倍増したという「プライムドラフト」)

韓国産の「第3のビール」はいくつか日本に入ってきている。

一部上場の商社「ドウシシャ」は08年6月に、韓国で業界2位の「OB」と協力し、第3のビール「麦之助」を発売。09年1〜5月の目標出荷8万ケースに対して、11万ケース以上出荷しており、目標を4割程度上回るペースだという。

川商フーズが2004年に発売した「プライムドラフト」も好調だ。韓国最大手のビール会社「ハイト」と共同で開発したもので、発売から5年近く経つが、ここにきて人気に火が付き、08年度の出荷量が07年度比倍増したという。

同社役員は「(不況で)安いモノが売れる時代になった」と見る。

また、洋酒輸入業を行っている「アクサス」も08年1月に韓国の第3のビールを自社ブランド「こだわり凛麦(りんむぎ)」として販売開始。こちらも、年間30万ケース出荷と「予想以上の売れ行き」だという。実勢価格は85〜100円とのことだが、同社担当者は

「安いということだけでなく、味も国産とそんなには変わらないと考えております」と話している。

09年に入ってからは、前年の2.5〜3倍のペース

大型量販店のドン・キホーテでは、店舗によっても異なるが、プライムドラフトと麦之助を1缶88円、1ケース(24缶入り)だと1980円で販売している。国産だと1缶128円、1ケース2580円くらいなのでかなり割安だ。同社では05年頃から韓国産第3のビールを取り扱いはじめ、08年から全国の店舗で販売している。広報担当者は、

「08年8月頃から伸び始め、09年に入ってからは、前年の2.5〜3倍のペースで売れています。都市部よりも郊外の店舗で好調で、主婦の方が家で飲む用に多く買って行かれるようです」と話す。

また、首都圏でスーパーを展開している「オザム」でも、扱っている「麦之助」が09年に入ってから08年の2割り増しペースで売れているとのこと。こちらも1缶88円だが、同社は、

「安いこともありますが、発売されてから2年目ということで、お客様にも認知されてきているようです」と話している。

不況追い風に好調 韓国産格安「第三のビール」

2009/06/22 神戸新聞
 

店頭に並ぶ第三のビール。6本セットをワンコインで買える=神戸市灘区水道筋5、マルハチ王子公園店

 韓国産で格安の「第三のビール」の販売が、不況を追い風に急伸している。ウォン安も追い風で、国内産の第三のビールより20〜30円安い1缶100円以下で、スーパーやディスカウントショップにずらり並ぶ。日本の商社が韓国の企業と共同開発するなど、昨年から新規参入も相次ぐ。(大月美佳)

 川商フーズ(東京)が韓国最大のビールメーカー「ハイト」と共同開発した「プライムドラフト」。韓国産の第三のビールでは国内で初めて2004年9月に発売したが、リーマン・ショックを受けて08年度から出荷量は倍増したという。

 スーパー「マルハチ」(本社・神戸市灘区)は5月中旬から17店舗でプライムドラフトを1缶89円、6缶セットを498円で販売。07年に試験的に販売したものの取引はすぐ終えた。今回は当時の1・5倍の売れ行きで、400ケース(1ケース24缶入り)を仕入れ、3週間で約8割は売れたという。バイヤーの芦田要さん(37)は「値ごろ感はインパクトがあり、満足してもらえる」。

 約3年前からプライムドラフトを販売するスーパー「かわせ」(本社・明石市)は「韓国産の方が国内産より若干、収益性が高い」と話す。

 また、総合商社「ドウシシャ」(大阪市)は韓国で業界2位の「OB」と連携して「麦之助」を08年6月に商品化。「原料、原油高による輸送費のコスト高騰が落ち着き、さらにウォン安で、1年前よりも収益改善できている」と話す。

 ドラッグストアなどを経営する「アクサス」(徳島県)も、韓国産の第三のビールを「こだわり凛麦(りんむぎ)」の銘柄で08年1月から販売。当初予想の倍の年間30万ケースを全国に出荷している。担当者は「安けりゃ売れる時代。まだまだ伸びる」と強気だ。

“第三のビール”絶好調でも 手放しで喜べないビール会社

2009年06月19日 週刊ダイヤモンド編集部【第340回】

 不況下の節約志向を受けてビール系飲料では、価格が割安な新ジャンル、いわゆる「第三のビール」の独り勝ちが続いている。

 酒税の安い新ジャンルの価格は、たとえばコンビニエンスストアなら350ミリリットル缶1本で140円前後。210円前後のビールよりも3割以上安い。この低価格が受けて、新ジャンルの売れ行きは大幅に伸びている。

 さる5月の課税数量で見れば、ビール系飲料全体では前年同月比で3.1%減。ところが、カテゴリー別ではビールが7.3%減、発泡酒11%減に対して、新ジャンルは13.6%も増えている。新ジャンルはこれで15ヶ月連続増。昨年には発泡酒を抜き、今やビール系飲料市場の29%を占める。

 縮み続けるビール系飲料市場を支える新ジャンルだが、気になるのがビールメーカー各社の収益。高価格のビールから低価格の新ジャンルにカテゴリーシフトが進めば、ビールメーカーの売上高も利益も縮む懸念が当然出てくる。

 だが、「じつはビールよりも新ジャンルのほうが儲かる」(業界関係者)のだという。というのも、350ミリリットル缶を例に取れば、ビールには77円の酒税がかかっているのに対し、新ジャンルには28円しかかかっていない。ビールと新ジャンルの価格差約70円のうち、酒税の差が約50円あるため、実際の価格差は約20円しかない。

 加えて、価格が高騰した麦芽やホップを大量に使うビールに対し、新ジャンルはそうした原料の使用を抑え、いろいろな副原料を使うことができる。やりようによってはコストを抑え、ビール以上の利益を生み出すことが可能になるわけだ。

 新ジャンル好調によって、ビール2強の明暗が分かれている。

 シェアトップのアサヒビールの場合、「新ジャンルはビールよりも儲からない」(関係者)。新ジャンルの「クリアアサヒ」が大ヒットしているが、それでも出荷量はスーパードライの5分の1以下。「スーパードライ」1ブランドだけでビール系飲料の売上高の約6割を稼ぎ出す、抜群の生産効率が今は裏目に出ている格好だ。

 一方、アサヒを猛追するキリンビールは、新ジャンルのトップブランド「のどごし」を擁しており、売上高の約3割を新ジャンルで占める。こちらは、新ジャンルが儲け頭になっていると推測できる。

 この夏商戦も、メーカー各社が新ジャンルの新ブランド投入、既存ブランドのリニューアルを計画しており、とりわけ新ジャンルが主戦場となるのは間違いない。

 だが、ビールメーカーにとって頭が痛いのは、新ジャンルの購入層のブランドロイヤリティは低く、すぐ他のブランドに乗り換えられてしまうことだ。

 トップの「のどごし」と、最近2位の座を固めつつある「クリアアサヒ」を除けば、毎月、猫の目のようにランキング上位の顔触れが入れ替わる。

 新ジャンルの新商品で翌年も生き残るのは数ブランドしかなく、その多くは開発費、宣伝費すら回収できていない。市場が伸びているからといって、おいそれと新ジャンル一本で勝負をかけるわけにもいかないわけで、手放しでは喜べないのが現実だ。 (「週刊ダイヤモンド」編集部 小出康成)

ビール首位「コク」で勝負 「第3」新風味 アサヒ、キリン追撃

2009/06/17 Fuji Sankei Business i.

 ビール類(発泡酒、第3のビール含む)の年間トップシェアをかけたアサヒビールとキリンビールの競争が、さらに激しさを増してきた。キリンが今月24日にコクを高めた第3のビール「コクの時間」を発売するのに対抗して、アサヒは16日、コクを特徴とした「麦搾り」を9月15日に発売すると発表したからだ。これまでスッキリ味が特徴だった第3のビールだが、「コク」をめぐる“秋の陣”が始まることになる。

 昨年の両社のシェアは、アサヒが37.8%、キリンが37.2%とアサヒが0.6ポイント差をつけて8年連続で首位を死守した。しかし、今年1〜3月はアサヒが35.8%だったのに対し、キリンは37.7%に上昇。第3のビールの好不調が明暗を分けた形で、キリンが四半期としては2年ぶりに逆転を果たした。

 シェアの基となる課税出荷数量は、各社が四半期ごとにしか公表しないため、1〜5月の両社の累計シェア差は不明だが、アサヒの攻勢によって1〜6月のシェアは接戦になっているとみられる。

 第3のビール市場は、節約志向を背景にビールと発泡酒市場の減少が続く一方、今年5月までに15カ月連続で伸長。「年間でも前年比20〜25%増となる」(アサヒの池田史郎商品開発第一部長)公算が大きい。

 最近はこれまでのスッキリ味と一線を画し、麦を使って本来のビールに近くした「リキュール系」の人気が急上昇。特にコクを高めた分野の市場が伸びているという。

 アサヒの「麦搾り」は、第3のビールの主力商品「クリアアサヒ」に比べて麦を1.5倍使ってコクを高めたほか、アルコール度数も6%近くとし、差別化を図った。実勢価格は350ミリリットル缶で140円前後。秋商戦の戦略商品と位置づけ、年内に310万ケース(1ケースは大瓶20本換算)の販売を狙う。

 一方、キリンの「コクの時間」は仕込み工程に2つのもろみを使うことでコクを高めたのが特徴で、人気の「のどごし〈生〉」と異なる需要層の開拓を目指す。販売目標は半年間で400万ケースだ。

 年初に両社の発表したビール類の年間販売計画は、アサヒが前年比0.8%増の1億8300万ケース、キリンは0.5%減の1億7930万ケースだった。

 ただ、第3のビールは両社の想定を上回る拡大傾向が続いており、アサヒは「まだ新商品をそろえる」(池田部長)と強気の構えを崩さない。「年間トップ」の称号の獲得には、勝負時となる年末に向けてどこまで新規顧客層を掘り起こせるかがカギを握りそうだ。(今井裕治)

麦5割増 アサヒが新「第3のビール」

2009年06月17日 読売新聞 YOMIURI On-Line

 アサヒビールは16日、「第3のビール」の新商品「麦搾り」=写真=を9月15日から発売すると発表した。

 第3の主力ブランド「クリアアサヒ」より麦を5割増やし、ビールに近い味に仕上げたのが特徴だ。さらに、アルコール分を6%前後と従来商品より高めにし、飲みごたえを感じやすくした。30〜40代の男性に照準を合わせ、12月までに310万ケース(1ケース=大瓶20本換算)の販売を目指す。

アサヒ、アルコール6%の第三のビール 飲み応えを重視

?2009年6月16日 NIKKEI NeT

 アサヒビールはアルコール分が6%前後と通常のビール系飲料より高めの第三のビール「麦搾り」を9月15日に発売する。原料の麦芽や大麦をこの分野のほかの製品の1.5倍使っており、麦の風味やしっかりとした飲み応えが楽しめるとしている。販売中の糖質が少ない製品などと合わせ、低価格が特徴の第三のビールの品ぞろえを拡充する。

 同社のビール系飲料の中ではアルコール度数が最も高いという。350ミリリットル入り缶と500ミリリットル入り缶の2種類がある。価格はオープンだが、店頭ではそれぞれ140円前後、200円前後と想定している。発売から12月末までの3カ月強で310万ケース(633ミリリットル入り大瓶20本換算)の販売を目指す。

 ビールや酎ハイなどの低アルコール飲料では、キリンビールやサントリーも昨年から相次いでアルコール度数が7〜8%と高めの製品を投入している。

ビール3位 “主戦場”互角 サッポロ・サントリー「第3」しのぎ

2009/06/11 Fuji Sankei Business i.

 サントリー酒類とサッポロビールのビール類(発泡酒、第3のビール含む)の3位争いがヒートアップしている。両社が卸店などに販売した1〜5月の累計数量は、3位のサントリーが減少する一方、4位のサッポロは第3のビールの伸長などでプラスを確保し、シェア差が縮小。課税出荷数量のシェアも、サッポロがサントリーに限りなく肉薄しているとされる。夏場に向けシェア争いが激化するのは必至だ。

 ≪5月販売は明暗≫

 両社が10日に発表した5月の販売数量はサントリーが前年同月比9%減、サッポロが3%増加した。1〜5月の販売もサントリーが前年同期比3%減、サッポロが1%増と、実数は非公表だが、課税出荷数量でのシェア差は縮まったとみられる。

 両社の今年1〜3月の課税出荷数量ベースのシェアは、サントリーが12.9%で、サッポロは12.7%。サッポロは前年0.6ポイントあったサントリーとの差を0.2ポイントまで詰めている。シェアが縮んだのは「サントリーの価格優位性が薄れたため」(業界関係者)とみられる。昨年、ビール各社が2〜4月にかけ缶ビールの値上げを実施する中、サントリーは9月まで値上げを見送った。これにより販売増加につなげ、サントリーは08年に初めて出荷で年間3位を奪取した経緯がある。

 ただ、今年は価格面では同じ土俵。それだけに、両社が真っ正面からぶつかるプレミアムビールと、第3の販売動向が勝負の行方を左右する。

 ≪夏場へ新商品激突≫

 プレミアムでは、サントリーの「ザ・プレミアム・モルツ」の1〜5月の累計販売数量が12.6%増の409万ケース(1ケースは大瓶20本換算)と大幅に伸長。対する、サッポロの「ヱビス」も、広告費を前年より3〜4割増やしたことで「前年を上回った」といい、一歩も譲らない。

 最大のカギは成長著しい第3のビールの販売動向。サッポロは昨年、同市場で大手4社中、唯一、販売が減少し、4位転落の要因となった。巻き返しに向け1月に「麦とホップ」を改良発売し、3月には新商品「冷製SAPPORO」を投じた。サッポロの1〜5月の第3のビール販売は、麦とホップが昨年6月発売だったことでかさ上げされたこともあり50%伸びた。一方、サントリーも「金麦」が好調のほか、4月に新商品「ザ・ストレート」を投入したことなどで30%弱の伸長と、互角の戦いが続いており、勝負の行方は判断できない状況だ。

5月のビール課税出荷 3カ月ぶりにマイナス 内食回帰、業務用の減少響く

2009.06.10 MSN産経新聞

 ビール大手5社が10日発表した5月のビール類(発泡酒、第3のビール含む)の課税出荷数量は、前年同月比3・1%減の3892万ケース(1ケースは大瓶20本換算)となり3カ月ぶりに減少した。

 出荷日数が前年同月より平均で2日程度短かったほか、景況感の悪化に伴い外食を控え、家庭で食事をつくる「内食回帰」が強まるなか、業務用が大幅に減少したのが響いた。

 ジャンル別では、低価格が消費者の節約需要をとらえる第3が13・6%増と15カ月連続で伸長。一方、ビールは7・3%減、発泡酒は11・0%減と苦戦した。

 メーカー別では、サッポロが3%増と唯一伸ばす一方、サントリーが9%減、アサヒは2・5%減、キリンもマイナスとなった。

サッポロ「第3のビール」リニューアル 夏商戦でサントリー追撃

2009/06/04 Fuji Sankei Business i.

夏場に向けて第3のビール「ドラフトワン」と「冷製SAPPORO」を、今月リニューアル発売

 サッポロビールは3日、第3のビール「ドラフトワン」と「冷製SAPPORO」を月内にリニューアル発売すると発表した。景況感が悪化するなか、低価格が節約志向の消費者ニーズをとらえて市場が拡大している第3のビールを強化、夏場の需要期に拡販を狙う。

 2004年発売のドラフトワンはパッケージを変え、今年3月に投入した冷製SAPPOROは、夏場に備えて冷たさを高める。リニューアル発売に伴いドラフトワンは新CMを7月中旬から放映。商品性を訴求する。

 サッポロの今年1〜4月の第3の課税出荷数量は、今年1月に改良発売した主力の「麦とホップ」の好調などから前年同期比59%増となった。今回のリニューアルで夏場に向けて上積みし、第3の2009年の販売数量を前年比30.1%増の1960万ケース(1ケースは大瓶20本換算)に引き上げる計画だ。

 サッポロは、第3の出遅れから昨年のビール出荷数量でサントリーに抜かれて初めて4位に転落しており、ラインナップの商品性を高めることで、巻き返しを図る。今年は第3の伸びなどによって、同社では09年年間のビール類(第3、発泡酒含む)の出荷数量を同3.0%増の5800万ケースに引き上げる計画で、サントリーを追撃する。

KKRが韓国ビール買収

2009.05.08 MSN産経新聞

 米投資会社大手コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)が韓国2位のビール会社「OBビール」を18億ドル(約1800億円)で買収することが8日、明らかになった。同社をめぐってはアサヒビールも韓国ロッテグループと共同で買収を検討していた。

 OBビールの親会社でビール世界最大手「アンハイザー・ブッシュ・インベブ」(ベルギー)が資金調達のため売却先を探していた。アサヒは「韓国市場は寡占が進み高い利益率が見込める」などとしていた。

第3で圧倒 キリン奪首 1〜3月出荷 本番・夏へ先手

2009/04/11 FujiSankei Business i.

 ビール大手5社が10日発表した2009年1〜3月期のビール類飲料(発泡酒、第3のビール含む)の課税出荷数量で、キリンビールがアサヒビールを抜き去り、首位に返り咲いた。キリンの首位奪還は、2007年1〜3月期以来4半期ベースでは2年ぶり。不況を背景に低価格が人気の第3のビールの好調に加え、ビールや発泡酒も堅調だったことが寄与した。ただ、年間ではアサヒが昨年まで8年連続で首位を維持しており、最需要期の夏場を控え、シェア争いが一段と激化するのは必至だ。

 ■ビール下落の影響

 ビール類飲料全体の1〜3月の出荷量は、前年同期比3.6%減の9130万ケース(1ケースは大瓶20本換算)と8四半期連続で前年実績を割り込んだ。

 キリンの出荷は1.3%増の3442万3000ケースとなり、アサヒは67%減の3271万9000ケース。この結果、ビール類のシェアはキリンが37.7%となり、アサヒを1.9ポイント上回った。サントリーとサッポロビールの3位争いは、サントリーが12.9%と同社としては過去最大のシェアを獲得し、0.2ポイント差でサッポロの追撃をかわした。

 四半期ベースながら、キリンがアサヒを突き放したのは、第3のビールの「販売の差」が大きい。第3のビールは実勢価格が140円程度とビールより80円程度安いため、1〜3月の総出荷量は29.5%増の2662万ケースと大幅に伸びた。キリンは「のどごし<生>」を中心に好調で1008万5000ケースを出荷し、シェアは37.9%と首位を維持。アサヒも「クリアアサヒ」を軸に27.5%増の574万3000ケースを出荷したが、シェアは0.3ポイント減の21.6%となり、サントリーに次ぐ3位に甘んじた。

 アサヒにとって、第3のビールへの需要シフトに伴う市場の落ち込みも痛手だった。ビールの総市場は前年比11.4%減の4383万ケースとなり、ビール類全体に占める構成比が初めて50%を割り込んだからだ。

 ビール首位のアサヒは「スーパードライ」に販売量の約6割を依存しており、その好不調に出荷数量が左右される。ビール総市場の縮小の余波でスーパードライが減った結果、アサヒの出荷数量が12.2%減少したことも影響した。

 これに対して、キリンは3月に麦芽100%にリニューアルした「一番絞り」の好調で、ビール出荷を5.3%減と最小限に食いとめ、首位奪還につながった。

 ■アサヒV9へ自信

 1〜3月期の出荷でトップを制したキリンだが、この時期は年間に占める出荷量が最も少ない“端境期”。それだけに、アサヒ幹部は「勝負はこれから」と巻き返しに余念がない。

 “ガリバー”と呼ばれるほど長年、ビール類飲料市場でトップに君臨していたキリンを01年に抜き去ったアサヒは、その後8年連続で通年トップの座を守り続けている。四半期ベースで06年の1〜3月期と7〜9月期、07年の1〜3月期に首位から陥落したものの、新製品攻勢により、通年で逆転した経験を持つ。

 景気悪化に伴う節約志向の高まりの中、第3のビールの販売動向が今年の首位争いの行方を左右しそうだ。(今井裕治)

アサヒビールが豪2位の飲料会社を買収

2009.03.12 MSN産経新聞

 アサヒビールは12日、オーストラリア2位の飲料メーカー「シュウェップス・オーストラリア」の全株式を約11億8500万豪ドル(約735億円)で取得する最終契約を結んだと発表した。

 シュウェップスの親会社、英キャドバリーグループと昨年12月に基本合意していた。買収交渉権を持っていた米コカ・コーラが2月末に交渉権を放棄したため、アサヒによる買収が正式に成立した。買収手続きは4月末までに完了する予定。アサヒによる企業買収では過去最高額となる。

「第3のビール」増税から守れ! みの「庶民の楽しみ奪わないで」

2009/03/12 JCASTテレビウオッチ

<テレビウォッチ>『第3のビール』がよく売れているようだ。竹内香苗アナが紹介する毎日新聞経済面の記事によると、2月の出荷量は前年同月比47.3%の伸びだったという。「景気悪化から、割安さで家庭に浸透して、2月の家庭向け販売の酒類別シェアはビール、発泡酒を上回った」と竹内アナが読み上げる。

聞いていたMCみのもんたが「そんなに違うのかしら?」と呟く。安い酒には関心がないのかもしれない。「そんなに違わない」と、竹内アナと高木美也子(日大教授)が口を揃える。女性2人はかなりいける口のように見受けられた。

それまで黙っていた嶌信彦(ジャーナリスト)が「何でこんなのを造るかというと、ビールだと税金が高いから。で、税金が安い発泡酒を造り、それよりもさらに安い第3のビールを造った。でも、また国税が税金を上げようとする」と、経緯を説明。高木が「ここまで企業努力をしているんだから上げないでほしい」と声を上げた。

みののファイナルコメントは「庶民の楽しみを奪わないでよ」だった。「庶民」という言葉が宙に浮いたような感じがした。

プレミアムビール“安売り”攻勢! キリンが「一番搾り」を大リニューアル

2009年01月23日 週刊ダイヤモンド編集部【第259回】

 キリンビールが3月に発売する新商品が業界に波紋を投げかけている。

 昨年3566万ケースを販売し、キリンのビールブランドのなかで最も人気がある基幹商品「一番搾り」(正式名称は「キリン一番搾り生ビール」)を大リニューアル。これまで使っていたコーンやコメといった副原料の使用を取りやめ、麦芽とホップのみでの製造に切り替える。つまり、仕様を従来のレギュラービールから、麦芽100%のプレミアムビールに変更するというわけだ。

 しかも、価格は従来のまま据え置く。つまり仕様はプレミアム、価格はレギュラーというわけだ。1990年の一番搾りの発売時、レギュラー価格にするか、プレミアム価格にするかで社内の議論が続いたのは有名な話。今回はさらに仕様をあげるのだから、まさしく実質的なプレミアムビールの安売りとなる。

 プレミアムビールといえば、サッポロビールの「エビス」とサントリーの「ザ・プレミアム・モルツ」がよく知られている。どちらもレギュラービールより、大瓶一本当たりで20円前後高いが、ともに年間1000万ケース以上を売り上げる人気商品だ。

 しかも、プレミアム戦争と呼ばれた昨年のサントリーとサッポロの戦いはサントリーの“安売り”に軍配が上がり、エビスはプレミアムモルツに逆転されてしまった。サントリーは、大手ビールメーカーが2〜4月にビール系飲料の一斉値上げに踏み切ったのに対し、8月まで缶入り商品の値段を据え置き、史上初のシェア3位の座を獲得した。その原動力となった商品がプレミアムモルツと、第三のビール「金麦」だ。

 ところが、そのプレミアムビール市場に、キリンがレギュラー価格で殴り込んでくるのだから、サントリーもサッポロもたまったものではない。キリンは一番搾りをあくまでレギュラービールとして売るが、CMでは麦芽100%使用を前面に打ち出す予定で、両社がシェアを食われるのは火を見るより明らか。今年3月、第2次プレミアムビール戦争の火蓋が切られる。 (『週刊ダイヤモンド』編集部 小出康成)

アサヒ、大豆系ビールの生産から撤退へ

2009.01.18 MSN産経新聞

 アサヒビールは17日、主原料に麦芽を使わずに大豆などの穀物で代用するビール系飲料の生産から撤退する方針を明らかにした。

 ビール、発泡酒とは別の原料で作られる、こうしたビール系飲料は「第3のビール」と呼ばれる。景気の悪化で消費者の節約志向が強まり、価格の安い第3のビール全体の販売は拡大傾向を示している。その中で特に、麦芽を加えた商品が、「本物のビールに近い」と飛び抜けて売れ行きがいい。このため、アサヒは今年3月末までに大豆系の生産を順次中止し、第3のビールを麦芽系一本に絞ることにした。

 この販売戦略の見直しは、昨年のビール系飲料の販売実績に麦芽系とそれ以外の売り上げの差が顕著に表れたからだ。

 アサヒの平成20年の第3のビール全体の出荷量は前年比24・0%増の2386万ケース(1ケースは大瓶20本換算)。内訳は麦芽系が同69・1%増だったのに対し、麦芽を使わないタイプが同73・8%減と大幅に減った。

 同社は、このデータを重視。麦芽を使わない大豆系の「新生3」「ぐびなま。」の生産中止を決断し、「クリアアサヒ」など麦芽系に生産を絞った方が全体の売り上げが拡大すると判断した。

ビール3社が強気のプラス計画 低価格「第3」に重点 21年

2009.01.09 MSN産経新聞

平成21年の酒類事業の方針説明をするアサヒビールの荻田伍社長=9日、東京都千代田区の東京商工会議所

 ビール大手4社の平成21年におけるビール類(発泡酒、第3のビール含む)の販売計画が9日、出そろった。少子高齢化や若者のビール離れで国内ビール市場が縮小するなかで、キリンビールを除く3社が前年の販売実績を上回る強気な計画を打ち出した。景気の低迷で消費者の節約意識が高まっており、各社とも新商品を大量投入する戦略を改め、低価格の第3のビールに重点を置く方針だ。

 アサヒビールは、前年比0・8%増の1億8300万ケース(1ケースは大瓶20本換算)を目標にする。「スーパードライ」などのビール、発泡酒はそれぞれ同2・3%減、同3・4%減に対し、第3のビールは同23・4%増と大幅な増加を見込む。2月に第3のビールで健康志向の新商品を投入し、第3のビールの大幅増を期待する。

 一方、キリンは同0・5%減の1億7930万ケースの計画。マイナス目標は2年連続で、計画ベースでは首位のアサヒとの差が370万ケースと前年実績の差の130万ケースより3倍近く広がる。9日に会見したキリンの三宅占二社長は「経済情勢を見据えて身の丈に合った目標にした」と説明した。

 20年の販売実績で初の3位となったサントリーは、同4・5%増の6230万ケースと、4社の中で最も強気な計画とした。4月に従来品よりアルコール度数を高めに設定した第3のビール「ザ・ストレート」を投入し、好調の高価格ビール「ザ・プレミアム・モルツ」と第3のビール「金麦」に次ぐ3本柱に育て、3位の座を固める構えだ。

 サッポロビールは、同3・0%増の5800万ケースの販売を見込む。高価格の「ヱビス」と第3のビール「麦とホップ」に経営資源を集中し、高価格品と低価格品を買い分ける消費者の「二極化」志向をとらえて巻き返す意向だ。

 ただ、ビール類の市場については、各社とも1〜3%程度の減少を予想している。アサヒの荻田伍社長は9日の会見で「個人消費は厳しいが、あえてチャレンジしたい」と述べたが、消費者の購買意欲を喚起するため、各社の販売競争は一段と激化しそうだ。


第3のビール、発泡酒抜く 年間ベースで初の逆転へ

2008.12.10 MSN産経新聞

 ビール酒造組合などが10日発表した発泡酒と第3のビールを含む1〜11月のビール類出荷量によると、価格の安い第3のビールの構成比が23・8%となり発泡酒(23・7%)を抜いた。平成20年通年でも初めて発泡酒のシェアを逆転する見通しとなった。

 15年に発売された第3のビールは、発泡酒より350ミリリットル缶で20円程度安く、低価格志向を強める消費者の人気を呼んだ。キリンビール「のどごし〈生〉」やアサヒビール「クリアアサヒ」などが好調に推移。第3のビールは今年5月から毎月、月間の出荷量では発泡酒を上回っていた。

 発泡酒は「糖質ゼロ」など健康面で特色をアピールする商品は販売を伸ばしているが、全体では苦戦が続いている。

 11月のビール類出荷量は、休日の関係で出荷日数が前年より少なかったため、前年同月比8・0%減と2カ月ぶりに減少したが、第3のビールは12・2%増となった。ビールは12・1%減、発泡酒は16・2%減だった。

プリン体99%カットの発泡酒発売 キリン、メルシャンと共同でうまみを確保

2008.11.27 MSN産経新聞

キリンビールが2009年2月10日に発売するプリン体を99%カットした発泡酒「淡麗W」=27日、東京都千代田区の東京商工会議所

 キリンビールは27日、痛風の原因とされる「プリン体」を99%カットした発泡酒「淡麗W(ダブル)」を平成21年2月10日に発売すると発表した。19年7月にグループ化したワイン大手、メルシャンと共同開発した初めてのビール類商品。

 メルシャンの研究をもとに、飲み応えのあるうま味を実現するために、ワインポリフェノールを含む赤ワインエキスを加えた。プリン体は気にする人が多い一方で、カットすることで、ビールのうまみが損なわれるという。

 価格はオープンだが、350ミリリットル缶で171円、500ミリリットル缶で233円で販売される見通し。年間400万ケース(1ケース大瓶20本換算)の販売を目指す。

“安売り”でシェア拡大のサントリーに値上げの反動

2008年11月17日 週刊ダイヤモンド編集部【第59回】

 新ジャンル、いわゆる第3のビール「金麦」の1〜9月での販売数量が対前年比で277%。ビールと発泡酒を合わせたビール系飲料全体でも対前年比113%という驚異的な販売増を達成したのがサントリーだ。

 おかげで1963年のビール事業参入以来、初めてサッポロビールを抜き、年間シェア3位の座を獲得する見込みだ。

 ただし、この販売数量急拡大の“秘訣”は単純明快。ライバル各社が原材料、製造・物流コストの高騰のためにいっせいに値上げに踏み切ったのに対し、サントリーは8月末まで缶入り商品の価格を据え置く、つまりは実質的な“安売り”で、一気に販売数量を伸ばすという作戦に打って出たのだ。

 実際、スーパーの店頭価格は、たとえば冒頭の金麦は350ミリリットル缶6本ケースで他社より30円以上、酒ディスカウントショップ(DS)では350ミリリットル缶24本ケースで120円以上、つまりは消費税相当分安いという値付けとなった。

 その結果が、市場全体では前年比マイナス2.7%と、92年の現行統計開始以来、史上最低という厳しいなかでの2ケタ増という、サントリーのひとり勝ちとなったわけである。

 だが、さすがのサントリーの“安売り”も8月末まで。9月1日出荷分からは値上げし、これで全社が値上げしたことになる。ただし、ビール業界では値上げが浸透するには2〜3ヵ月かかる。値上げ前の駆け込み発注や、流通との力関係が影響するからだ。

 そんななか、早くも値上げの影響が出ているのがコンビニエンスストアだ。スーパーや酒DSと異なり、コンビニは値引き販売が皆無のため、サントリーの店頭価格も値上げで他社と横並びになった。

この結果、大手マーケティング会社の調査によれば、サントリーのシェアは値上げ後、ほぼ半減し、“安売り”前の水準に戻りつつあるという。スーパーや酒DSでも、六本ケースで10円台、24本ケースでも50円台と、他社との価格差は縮小しており、シェア低下は必至だ。

 ライバルからは「シェア維持のための安値誘導をいつまで続けられるのか」との声も出る。サントリーが“安売り”で獲得した新規顧客をどこまでつなぎ止められるかが、今後の正念場だ。

 年間シェア3位の座は揺るぎそうにないとはいえ、圧倒的安値という武器を使えなくなったサントリーからのシェア奪還にライバルは虎視眈々(たんたん)だ。とりわけ、首位の座をめぐって争奪戦を繰り広げるアサヒビールとキリンビールにとって、市場の攪乱要因が消えたことは朗報だ。

第3四半期を終えた時点でトップのアサヒと2位のキリンのシェア差は0.5ポイントしかない。ビールの最需要期である年末年始に向けた冬商戦で、サントリーが値上げで失うシェアをより多く奪ったほうに首位の座が転がり込む。壮絶な冬商戦が始まった。(『週刊ダイヤモンド』編集部 小出康成 )

ビール市場大変動 サントリー3位/低価格志向 1〜6月出荷過去最低

2008/07/11 FujiSankei Business i.

 これから一番おいしい季節を迎えるビール類市場で大変動が起きている。大手5社が10日発表した2008年上期(1〜6月)の課税出荷数量は、2月以降の相次ぐ値上げで過去最低の水準に低迷。メーカー別シェアではサントリーが初めてサッポロビールを抜いて3位に躍進し、消費者の節約志向で5月に続き6月も単月で第3のビールが発泡酒を逆転した。酒のつまみになる話題は尽きないが、市場の冷え込みは深刻だ。

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 ■予想外

 「値上げによる数量の落ち込みが予想を上回っている」

 上期の出荷量が前年同期比4・2%減の2億1672万ケース(1ケース=大瓶20本換算)に低迷したことに、業界関係者は驚きを隠せない。

 2月のキリンビールを皮切りに各社が値上げに踏み切るなか、需要減を見込み、08年の市場全体の総出荷量はアサヒビールが3〜4%減、残る3社は2%減を予想していた。しかし実際の落ち込みは予想を超え、値上げによる消費者のビール離れの深刻さを浮き彫りにした。

 値上げ分以上に販売量が減れば、元のもくあみになりかねない。このため、各社は数量よりも利益重視の姿勢を強めている。上期に発売された新商品は前年の半分以下の6種類に絞り込まれた。下期の新商品も「量をかせぐよりも、新たな需要を開拓する商品が多い」(業界関係者)という。

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 ■明暗

 シェアでは値上げのタイミングが各社の明暗を分けた。

 「生活防衛意識の高まりで、店頭価格差の違いが予測以上に影響した」

 4位に転落したサッポロの福永勝社長は敗因をこう分析する。サッポロは4月に全商品の値上げを実施したのに対し、サントリーは缶商品の値上げを9月に先送りした。

 この結果、スーパーの店頭ではサントリーの方が6缶入り1パックで20〜30円安く、ディスカウント店では「それ以上の差がある」という。

 サントリーの相場康則常務取締役ビール事業部長は「7〜8月の最需要期に計画通り推移すれば、ビール事業の初の黒字化も視野に入る」と、してやったりの表情だ。

 アサヒとキリンの激しい首位攻防では、0・8ポイントの差でアサヒがトップを死守。その差は07年の年間の0・2ポイントから広がっており、キリンが2月に値上げで先陣を切ったことが一因になったとみられている。

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 ■逆転

 価格の安い第3のビールのシェア拡大も止まらない。増税の特殊要因以外で初めて発泡酒を抜いた5月に続き6月も逆転。上期ではビールが7・6%減、発泡酒が6・3%減に対し、7・2%増とプラスを確保し、「逆転状態が定着し、第3のビールが第2の地位を固めるのでは」との声が高まってきた。

 各社が第3のビールと並ぶ成長市場と注力してきた高価格のプレミアムビールは、消費者の節約志向で「固定ファンを除いて、購入を控える人が増えている」(大手)という。プレミアムは年初に前年比10%程度の成長が期待されていたが、前年並みに失速する見通しだ。

 各社とも「第3のビール頼み」の傾向は強まるばかり。販売競争の一段の激化は必至で、“薄利”に拍車がかかる懸念が強まっている。(松岡朋枝)

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【用語解説】ビール類の出荷量

 ビール、発泡酒、「第3のビール」の合計の出荷量。工場から運び出した時点で数えており、ビール類への課税の基になる。市場占有率(シェア)を比べる際の正式な数値として、大手ビール各社が採用。キャンペーンで配るサンプル品なども含まれるため、流通業者への販売数量とは異なる。ビール各社はビール類以外の商品も製造、販売しているが、業績の勢いを示す数字の一つとして注目されている。

サントリービール類3位 「節約志向」追い風に

2008年07月11日 読売新聞 Yomiuri On-Line

原料高の転嫁先送り 収益は圧迫

 ビール大手5社が10日発表した2008年上半期(1〜6月)のビール類総出荷量で、サントリーがサッポロビールを抜いて初めて3位に浮上した。家庭向けの缶商品の値上げを9月まで先送りし、他社よりも安く販売した戦術が、ひとまずは節約志向の消費者に支持された。ただ、原材料価格の高騰を商品に転嫁していないため、収益の圧迫につながる可能性が高い。(一言剛之、中沢謙介)

 まとめ買いの多い都内の格安酒販店「マインマート南砂店」。広報担当の佐藤栄造さんは「食品の相次ぐ値上げで消費者は価格に敏感になり、サントリーには追い風だ」と話す。

 低価格が人気の「第3のビール」で、サントリーの「金麦」24本(350ミリ・リットル缶)は2480円と、他社の第3のビールよりも300円以上安く販売されている。

 サントリーの08年上半期の出荷量は前年同期比10・8%増と、大手4社で唯一、前年実績を上回った。特に第3のビールは37・4%増と好調で、ビール4・4%減、発泡酒1・3%減という落ち込みを補った。

 サントリーは10日、「少しでも早く黒字化を実現させたい」とのビール事業部長のコメントを発表した。営業黒字を達成すれば、ビール事業に参入した1963年以来初めてとなるが、実現は微妙だ。

 シェア3位になっても、今年上半期のビール事業は数十億円の赤字という。売上高に占めるビール事業の割合は約15%にとどまり、ウイスキーなど他の酒類事業や食品部門で利益を確保する収益構造だ。

 大手4社では唯一の非上場企業で、利益よりシェアを優先する戦略をとれることもあり、ライバル各社からは「採算度外視で売っている」との観測も出ている。サントリーにとっては、値上げを予定する9月以降に顧客をどれだけつなぎとめられるかが、ビール事業を採算に乗せるカギになりそうだ。

第3のビール、発泡酒抜く 5月の出荷量

2008年06月11日 asahi.com

 ビール系飲料の中でも低価格の「第3のビール」の出荷量が5月、984万ケース(1ケースは大瓶換算で20本)となり、発泡酒(976万ケース)を抜いた。06年の増税前の駆け込み需要期を除けば初めて。食品などの値上げが広がり、消費者が生活防衛意識を強めていることが鮮明になってきた。

 11日発表された5月の出荷量では、サントリーの第3のビール(「金麦」など)が前年同月比72%増と高い伸びを示した。アサヒ、キリン、サッポロは今春値上げしたが、サントリーは家庭用缶ビール類の価格を据え置いており、価格差も売り上げの高い伸びに寄与したとみられる。

 各社のビール系飲料(発泡酒、第3のビール含む)の課税ベースの出荷量は、前年同月比1.9%減の4016万ケース。ビール、発泡酒が前年割れする一方、第3のビールは16.3%増えた。

 第3のビールは、5月の売上数量ではキリンの「のどごし〈生〉」が1割増。3月に「クリアアサヒ」を発売したアサヒも出荷量が6割増となった。サッポロは5月は前年割れだった。

「糖質ゼロ」戦争勃発! さて、どの“ゼロ発泡酒”がうまいか?

2008年02月21日 NIKKEIトレンディ−net

 ここ数年、発泡酒の缶に「糖質××%オフ」などという数字が目に付くようになった。昨年3月に「糖質ゼロ」をうたうアサヒビールの「スタイルフリー」が発売。それからおよそ1年、2月20日にキリンから「麒麟ZERO」が、3月4日にはサントリーから「ゼロナマ」が登場する。いずれも「糖質ゼロ」の発泡酒だ。また、サッポロもそれに追随するという話もあり、これで大手ビール4社がすべてこの市場に商品を投入することになったのだ。

 今年4月からの「特定健診等の義務化」、いわゆる「メタボ健診」で引っかからないよう、生活習慣を気にする人々が、この「糖質ゼロ」に注目するというのが各社の思惑だろう。ただ、各商品の特徴を見ていくと、「味」「香り」も強調しており、売り物はどうやら「糖質ゼロ」だけではないようだ。そのあたりを各社に取材してみた。

「糖質ゼロ」とは?

 その前に、まず「糖質ゼロ」の「糖質」とは何を指すのか、簡単に解説しておこう。糖質とは、食品成分からたんぱく質、脂質、食物繊維、灰分、水分を除いた残りの栄養成分のこと。栄養成分表示では、「糖質」と「食物繊維」の合計を、「炭水化物」と呼んでいるので、こちらのほうがイメージしやすいだろう。砂糖はもちろん「糖質」だが、ブドウ糖など砂糖以外の糖類、ビタミンC、ポリフェノールなども「糖質」に含まれる。

 糖質が不足すると疲れやすくなるなど生活の障害になるが、逆にとり過ぎると、肥満や生活習慣病を招く恐れがある。そのため、「メタボ」対策としての糖質カットに注目が集まっているのだ。

 栄養表示基準によると、100ミリリットルあたりの糖質が0.5グラム未満であれば「糖質ゼロ」と表示が可能。ただ、「糖質ゼロ」とうたっていてもカロリーがゼロなのではない。

 発泡酒のカロリーは、主に糖質由来のものと、アルコール由来のものがある。お酒ならば当然アルコールは入っているわけで、「糖質ゼロ」製品でも、350ミリリットル1缶で67〜84キロカロリーある。ただ、通常のビールが150キロカロリー程度(350ミリリットル缶)なので、かなりカロリーカットされているのだ。ちなみに100ミリリットルあたり20キロカロリー以下であれば「カロリーオフ」と表示できる。

糖質ゼロとは? 糖質とは、食品成分からたんぱく質、脂質、食物繊維、灰分、水分を除いた残りの栄養成分のことを言う。飲料の場合、100ミリリットル当たりの糖質が0.5グラム未満であれば「糖質ゼロ」と表示できる。

カロリーオフとは? カロリー表示のルールは、健康増進法で決められている。飲料の場合、100ミリリットルあたり20キロカロリー以下であれば「カロリーオフ」と表示することができる。「低カロリー」などの表示されることもある。
キリンの新たな柱になるか「麒麟ZERO」

 キリンの発泡酒には糖質70%オフの「淡麗グリーンラベル」が既に存在する。そこに今回、「麒麟ZERO」という新ラインを投入した。「淡麗グリーンラベル」発売直後の2002年には「次のこと」として企画、開発に着手し、糖質をゼロにできる手応えを感じたのは1年半ほど前だった。

 「糖質ゼロ」では「スタイルフリー」が先行して2007年3月に発売。ただ、同じものを作っても勝負できない。そこで、「いちばん低カロリーの発泡酒を作る」(商品開発研究所長 佐藤章氏)という指示のもと、他社製品にはない「カロリーオフ※」をうたえるような製品に仕上げてきた。「麒麟ZERO」では、キリッとした飲み口とフローラルホップの爽やかな香りを楽しむことができるという。「糖質ゼロ」に加え「カロリーオフ&爽やかな香り」という付加価値を付けて差別化を図るわけだ。

 発泡酒市場に初めてカロリーオフジャンルを作ったキリン。「淡麗シリーズ」とは別のもう一本の柱として、自ら開発したジャンルをリードしていく戦略が見えてくる。

※キリンビール発表によると、「麒麟ZERO」のカロリーは100ミリリットル当たり19キロカロリー。

本格的なうまさと飲みごたえにもこだわる「ゼロナマ」

 一方サントリーの新製品は「ゼロナマ」。こちらも「糖質ゼロ+アルファ」の特徴を持っている。それは、「『ザ・プレミアム・モルツ』にも使われている欧州産ファインアロマホップと北米産アロマホップを使った、華やかな香り」(サントリー広報)。「ホップの香り」をもうひとつの売りにすることで、「ザ・プレミアム・モルツ」に象徴されるプレステージ感が演出できるのかもしれない。

 糖質をゼロにするため、サントリーの発泡酒の中では最高発酵度を達成したという。2006年には糖質ゼロを目指す技術開発がスタートしていたとのことだから「スタイルフリー」を特に意識したわけではないのだろうが、アサヒビールの成功は開発中に刺激になったはずだ。

 特定健診も意識して開発したという「ゼロナマ」。発売時期を今年の3月にしたのは、もちろんタイミングを合わせてのことだ。

 ところで同社には「ダイエット<生>」という同傾向の商品があるが、「こちらのターゲットは、よりカロリー表示を気にする女性。その数字が目立つようパッケージもリニューアルしたばかり」なので、狙う層が分かれている。「ゼロナマ」ターゲットの30〜40代男性の嗜好(しこう)に合わせた本格的なうまさと、アルコール分4%という飲みごたえを付加することで差別化を図っていく戦略だ。
「糖質ゼロ」のパイオニアとして「スタイルフリー」の行く道は

 「糖質を0(ゼロ)にするより、うまさを残すことのほうが、むずかしかった。」は、アサヒ「スタイルフリー」新発売時のキャッチフレーズだ。開発時、味わいはそのままに糖質などを少なくしてほしいという要望が、消費者調査で浮き彫りになったという。

 「健康志向の高まりを受けて、糖質ゼロ発泡酒の開発にとりかかった。これまで『糖質70%オフ』といった製品はあったので、『糖質0(ゼロ)』というスペックありきで、スタートした」(アサヒビール広報)。味わいにもこだわり、消費者調査から導き出されたキーワード「きれいな味」を目指したという。これはつまり、他社が打ち出している「糖質ゼロ+アルファ」の先がけでもある。

 2007年3月の発売以来、当初の年間売り上げ予想600万ケースを上回り、12月末までで830万ケース(※)を売り上げるほどの人気商品となった。そして2008年、メタボ健診の義務化と他社の参入も控え、CMタレントに元アサヒビールイメージガールの井川遥を起用したり、より気軽に飲める250ミリリットル缶を発売するなど、地歩を着実に固めていくようだ。 ※1ケースは大びん×20本で換算

さらに、サッポロも参入予定

 サッポロでは「ビアファイン」という糖質50%オフのビールを2月27日に発売予定だが、ここへきて発泡酒ジャンルで「糖質ゼロ」製品を発売するというニュースが入ってきた。サッポロビール広報に確認すると、「まだ公式なリリースはない(2月18日現在)」としながらも、確かに糖質ゼロで4月頃の発売を予定している商品があるという回答を得た。

 サッポロでは新ジャンルに「SLIMS」という低カロリー・低糖質の製品もあり、「ビアファイン」も併せて3ジャンルで「健康志向の高まり」を受けたラインアップが揃うことになる。それぞれが狙うターゲットの特性に向けたすみ分けをするようだ。サッポロの参入も受け、「糖質ゼロ」市場はますます活気づきそうだ。
さて、いよいよ飲み比べ

 新製品発売を間近に控えたある日、キリン「麒麟ZERO」とサントリー「ゼロナマ」の試飲をする機会があったので、ここで飲み比べた結果をお知らせしておこう。あくまで、筆者(40歳代男性)による個人的な感想なので、参考までにとどめてほしい。

 2月20日に発売になった「麒麟ZERO」。こちらはあっさりした飲み口。スタイルフリーと比べてやや味が薄く感じ、やや酸味も感じる。「軽やか」という表現は当てはまるのかもしれないが、逆の言い方をすれば多少パンチが足りなく思う。

 次に3月4日発売の「ゼロナマ」は、「麒麟ZERO」より多少味わいがあると感じる。しかしどの「糖質ゼロ」発泡酒も後味は残らない。発泡酒ジャンルでは、スッキリ系の味が多く、特に「糖質ゼロ」製品はその傾向が強い。このすっきり感をよしとするかどうかで、好き嫌いが分かれてくるだろう。

 その意味で、ビールのようなコクや苦味などを求める、いわゆる「ビール党」にとっては、この「ゼロ」系は別のジャンルと思って飲むほうがいいかもしれない。これら「糖質ゼロ」製品は、健康志向でカロリーが気になる人、「すっきりとした味で、料理とともに楽しみたい」といった人に、新しい飲み方を提案するものなのだろう。

 いずれにせよ、この「糖質ゼロ」戦争も、味が勝負を分けることは間違いない。はたして、どの味、どの製品が好まれるのだろう? 今度は、ご自身で判定してみてはどうだろうか?(文/鳥羽山 康一郎、企画協力/クリーク・アンド・リバー社)

ビール販売、マイナス計画 大手3社が異例の目標

2008年01月10日  中国新聞ニュース

 ビール大手4社の2008年のビール類販売計画が10日出そろい、アサヒビール、キリンビール、サッポロビールの上位3社がそろって07年実績を1%前後下回る販売目標を打ち出した。激しい販売競争を繰り広げているビール大手が相次いで「前年割れ目標」を掲げるのは異例だ。

 少子高齢化を背景にビール類の消費低迷が続いていることに加え、今年は原材料高で値上げすることが響くと、各社はみている。ビール類だけでなく、自動車などの国内販売もマイナス傾向が続いており、人口減少社会の到来による「内需縮小」が顕著になってきた。

 08年の販売計画は、アサヒが前年比1・8%減の1億8400万ケース(1ケースは大瓶20本分)、キリンは0・4%減の1億8560万ケース、サッポロは1・7%減の6050万ケース。アサヒは記録が残っている1999年以降、キリンも98年以降で初めてのマイナス。サッポロも3年ぶりの前年割れ計画となった。3社を追う立場のサントリーだけが5550万ケースと1・8%増の計画を立てた。

07年上半期ビール類出荷、2年ぶり減 激烈な首位争い

2007/07/12 FujiSankei Business i.

アサヒ0・1ポイント差でキリン抑える

 ビール大手5社が11日発表した2007年上期(1〜6月)のビール類(ビール、発泡酒、第3のビール)の出荷量は、前年同期比1・9%減の2億2629万5000ケース(1ケースは大瓶20本)と2年ぶりにマイナスに転じ、1992年に各社が出荷数量の発表を開始して以来、上期として過去最低となった。

 企業別では、アサヒビールが1・5%減の8470万1000ケース、キリンビールは2・7%減の8446万4000ケース。この結果シェアは、アサヒが37・4%となり、キリンの37・3%を0・1ポイント上回りトップだった。06年上期はキリンが0・3ポイント差で5年ぶりに首位を奪取したが、06年通年ではアサヒに0・2ポイント差で逆転されていた。 

 ビールは、5社が需要喚起のため初の共同販促イベントを実施したが2・8%減の1億2205万4000ケース。発泡酒も2・7%減の5791万1000ケースと落ち込んだ。新製品投入が多かった第3のビールは1・5%増の4633万ケースとかろうじて前年実績を上回った。

 激烈な首位争いが繰り広げられるビール類市場で、2007年上期はアサヒビールが上期として2年ぶりに首位の座をキリンビールから奪回した。シェア差はわずか0・1ポイント、出荷数量にして23万7000ケース、2992キロリットル。ビール5社の1日当たりの総出荷量(約2万1000キロリットル)の約7分の1にすぎず、07年通年での首位をかけた両社のシェア争いは一段と激しさを増しそうだ。

 ≪新製品攻勢≫

 キリンは11日、国産麦芽やホップを使用したビール「ニッポンプレミアム」を発売した。三宅占二社長は「シェア優先ではないが、商品ラインアップがそろったので年間計画を遂行すれば顧客支持率ナンバーワンを取るのは難しくない」とし、首位奪取に意欲を示す。

 キリンは、3月に17年ぶりのビールの新ブランド「ザ・ゴールド」を発売したことで、上期のビール全体市場が2・8%減と2年ぶりに大きく減少したなか、同社のビールの減少幅を0・5%減に止めた。このため、ビールに限ったキリンのシェアは、上期ベースで01年以来6年ぶりに0・6ポイントアップして29・2%となった。

 一方、アサヒは発泡酒の「スタイルフリー」「本生ドラフト」を相次ぎ投入。アサヒの発泡酒の上期シェアは2年ぶりに4・2ポイントアップして28・0%となった。

 上期で新製品が出そろった観があるアサヒだが、荻田伍社長は「いつでも新製品を発売できる準備はしている」とし、年間トップの堅持に向けて、戦略を練る。

 こうした中で、サントリーは上期に、数量・販路・販売期間などを限定した商品を含めて7品目を発売。上期のシェア11・23%で、半期ベースのシェアとしては過去最高を記録した。

 昨年は通年商品が1品目だったサッポロビールも第3のビール「うまい生」や発泡酒「凄味」など一気に4品目を投入した。シェアも3年ぶりにアップした。

 ≪飲酒人口減少≫

 各社が発売した上期の新商品は限定商品も入れると合計で20種類以上にのぼる。消費者の嗜好(しこう)の多様化に対応した面もあるが、飲酒人口の減少など逆風で市場全体が縮小するなかで、新製品投入効果によるトライアル需要頼みという側面もある。

 新製品ラッシュの中で、サッポロが昨年5月に発売した発泡酒「雫[生]」のようにすでに市場から消えた製品もある。業界全体でビール類の需要喚起のための施策を考えなければ、市場全体の下降傾向に歯止めがかからない状況だ。(財川典男)

サッポロ株がストップ高 買収提案で株価上昇の思惑

2007/02/16 The Sankei Shimbun東京朝刊から

 16日の東京株式市場で、米系投資ファンドから買収提案を受けたサッポロホールディングス(HD)の株に買い注文が殺到。買い気配のまま取引が成立しなかったため、値幅制限上限(ストップ高)となる前日比100円高の891円で比例配分された。

 同社は傘下にサッポロビールを持っている。他のビール大手が経営統合を提案したとの報道もあり「株式公開買い付け(TOB)合戦などに発展し、株価が上昇するとの思惑買いが出た」(大手証券)ようだ。

 サッポロHDに前日、買収提案した米系ファンド「スティール・パートナーズ・ジャパン・ストラテジック・ファンド」はTOBの際には、買い付け価格を1株825円程度にすると説明。16日の終値はその価格を大幅に上回った。

 業界再編期待から、キリンビールが前日比77円高の1911円、アサヒビールが31円高の1982円と他のビール株も大幅高となった。

サッポロ、経営統合検討へ 他ビール大手と友好前提

2007/02/16 中国新聞ニュース

 サッポロビールの持ち株会社サッポロホールディングスは十六日、米系投資ファンドから買収提案を受けて以降、経営幹部が初めて記者会見し、他のビール大手などから友好的な資本提携や経営統合の申し入れがあった場合、具体的に検討する方針を表明した。米系ファンドの動き次第では、サッポロは他社との統合や提携に動く見通しだ。

 関係筋によると、サッポロの主力取引銀行のみずほコーポレート銀行は、サッポロと他のビール大手との提携などを模索している。一方、アサヒビールの主力行である三井住友銀行も、アサヒに対して水面下でサッポロとの提携などを打診していることが分かった。サッポロとアサヒは現時点では、主力行の提案に難色を示しているが、今後両社を軸にビール業界の再編に発展する可能性がある。

 サッポロの持田佳行取締役は記者会見で、現時点では米系ファンドの「スティール・パートナーズ・ジャパン・ストラテジック・ファンド」以外には、具体的な買収提案は寄せられていないと説明。ただ今後、新たな提案が出てくれば「具体的に考える」とし、サッポロとして必ずしも独力での経営にこだわらない考えを示した。

 持田氏はスティールの買収提案については「(内容を)分析、検討中で最終的な評価を出していない」と述べ、現時点での賛否の表明を避けた。ただサッポロ社内には、買収提案を拒否した場合にはスティールが敵対的買収を仕掛けるとの見方が強い。

 サッポロは十六日の取締役会で、スティールが撤廃を求めていた買収防衛策について、三月二十九日の定時株主総会が終了した時点でいったん廃止することを決定。株主総会の承認を条件とするよう導入手続きを見直した上で、新たな防衛策を導入することにした。


サントリー 「ビール」初の黒字化へ きめ細かな商品戦略奏功

2006/11/04 The Sankei Shimbun東京朝刊から

 サントリーのビール事業の黒字化が、射程圏内に入ってきた。平成18年12月期にも、昭和38年のビール事業への本格参入以来、初の黒字転換となる見込みという。黒字化にはまだ予断を許さないが、消費の二極化に対応した数年来のきめ細かな商品戦略が功を奏している。

 サントリーの国内ビール事業は、平成17年12月決算で2078億円、連結売上高の15%を占めている。広告宣伝費がかかる商品だけに、黒字化にはいたっていない。キリンビール、アサヒビールといった古参が牛耳る市場を切り開くため、研究開発費に資金を注ぎ込む必要もあった。

 昭和38年の参入直後のシェアは1%程度だったが、平成元年ごろには9%まで開拓。今年1〜9月期の業界シェアは10・9%と業界3位のサッポロビールに数ポイントの差まで迫っている。

 シェアアップに貢献している「ザ・プレミアム・モルツ」は、主力ビール「モルツ」のプレミアム版として平成13年に投入。じわじわと拡大してきたが今年ブレーク。1〜9月の出荷が前年比で5・7倍も伸びた。

 一方、麦芽以外の原料を使用する低価格帯の「第3のビール」では、18年2月から投入した「ジョッキ生」が牽引(けんいん)役。既存ブランドの「スーパーブルー」と合わせた第3のビールの販売は、市場間競争が激しくなる中で前年比38%の伸びを示した。

 市場参入から40年以上もたった悲願の黒字達成は、年末商戦に広告や販売促進費をどれくらい投入するかで決まるところまできているといい、佐治信忠社長も「今期にも可能性は十分にある。遅くとも来期には間違いない」と自信を示している。(若狭弘)

激安「第3のビール」販売 1缶89円でダイエー

2006/10/10 中国新聞ニュース

 ダイエーは10日、オリジナル商品の第3のビール「バーゲンブロー ノイヴェルト」(350ミリリットル缶)を、1缶89円で12日から発売すると発表した。全国のダイエー直営店と、グループのマルエツ、グルメシティで80万本限定で販売する。

 発泡酒に、大麦と米から作ったスピリッツをブレンドし、コクとキレのある味わいに仕上げたという。世界最大のビールメーカー、ベルギーのインベブ社が提携する韓国の工場で製造した。

 6缶パックは498円、1ケース(24缶)は1980円。

キリンが高級ビール強化 「ブラウマイスター」缶を通年販売

2006/09/28 The Sankei Shimbun

 キリンビールは27日、平成5年から主に業務用で販売してきた高級ビール「ブラウマイスター」を家庭向けに本格展開すると発表した。11月22日に缶商品の通年販売に踏み切る。ビール系飲料が多様化する中、高級ビール市場は拡大しており、キリンの販売強化で競争は激しさを増しそうだ。

 ブラウマイスターは3種類のホップを使用し、キリンの他のビールと比べて1.5倍の熟成時間をかけるのが特徴。業務用のたる詰めなどで販売してきたが昨年、缶商品を数量限定で発売したところ好評だったことから、通年での販売を決めた。

 高級ビールではサッポロビールの「エビス」が大きなシェア(市場占有率)を保持。今年はサントリーの「ザ・プレミアム・モルツ」が前年比約6倍で推移するなど同分野に注目が集まり、アサヒビールは6月に「プライムタイム」を発売した。キリンの高級ビールは「まろやか酵母」など、冷蔵で流通させるチルドビールが主力だったが、ブラウマイスターを強化して“2本立て”とする。

 麦芽を使わない第3のビールや発泡酒が登場するなど、ビール系飲料は多様化。「週末だけのぜいたく」といった飲み方が浸透してきたことや景気回復で、高級ビールの需要は拡大している。キリンの岩佐英史マーケティング部長は「高級ビール市場は前年比2割増で、ビール全体の7%を占める。将来は10%以上になる可能性もある」と分析する。

ビール各社が海外展開強化 中露“富裕層”に照準

2006/09/05 The Sankei Shimbun

 国内需要の伸び悩みを背景に、ビール大手各社が海外での事業展開を強化している。中国やロシアのように経済発展が続き、嗜好(しこう)の変化による消費拡大が期待できる新市場が中心だが、北米では"輸入ビール"として新たな需要拡大を狙うなど、成熟市場への攻勢も目立ってきた。現地企業に対するM&A(企業の合併・買収)の動きも活発化している。(高橋寛次)

 2002年に米国を抜いて以来、世界第1位のビール生産国となった中国に対し、日本の大手メーカーは次々と進出している。富裕層が多い上海などの沿岸部が"主戦場"だが、特需期待がかかる08年の北京五輪が迫ってきたことを受けて、アサヒビールは北京工場の生産能力を年間10万キロリットルに倍増して対応する。すでに設備の増強工事を始めており、来春には態勢が整う。

 最近、注目度が高まっているのはロシア。健康志向の高まりで、ウオツカのようにアルコール度数の高い酒からビールにシフトする動きがあるからだ。そこで、キリンビールは9月から日本メーカー初の現地生産に乗り出す。従来は英国から輸入していたが、現地企業に主力の「一番搾り」を生産委託、「鮮度などで劇的な改善が期待できる」(大島仁志・国際酒類カンパニー社長)と強調する。

 ロシアでは、サントリーも10月からウイスキーなど酒類販売を始める。経済発展で暮らしが豊かになり、富裕層を中心にウイスキーを愛飲する人が増えてくるとの見通しがあるからだ。

 一方、成熟市場である北米でも競争は熱を帯びてきた。

 キリンは8月、「バドワイザー」などのブランドを持つ米アンハイザー・ブッシュとの提携を強化した。ブッシュ社への生産委託に加え、これまでは自前の現地法人が行っていた販売も06年末を目途にブッシュ社に委託。「(米国での)輸入ビールは成長が続いている。ブッシュ社の強い販売網を生かして大きく伸ばせる」とそろばんをはじく。

 サッポロビールはカナダで第3位のスリーマンビール買収を目指し株式公開買い付け(TOB)を実施中だ。サッポロは米国では日本メーカーとして首位を確保しており、これを固めたい考え。買収によって北米での営業力を強化し、「カナダへの本格進出と米国での販売拡大につなげる」のが狙いだ。

 発泡酒や第3のビールを含めたビール系飲料の国内需要は頭打ち。全体の出荷量は平成14年に700万キロリットルを切って以来、減少傾向にあり、昨年は634万キロリットルまで落ち込んだ。このため、成長力を維持するうえで海外展開は「経営戦略のカギ」となっており、M&Aや現地企業との提携を含めた海外事業強化が加速しそうだ。

キリン、「第3のビール」の製造特許を取得

2006/09/04 The Sankei Shimbun

 キリンビールは4日、第3のビール「のどごし〈生〉」で採用している独自の製造方法「ブラウニング製法」が特許を取得したと発表した。

 食品中のアミノ酸と糖を加熱すると、うまみやコクが出る「アミノカルボニル反応」を応用。大豆タンパクから深みのある味と香りに引き出せるようにした。

 「カレーやおでんをじっくり煮込むとおいしくなるのと同じ原理」(同社)で、この製法により、同社は着色料を使わずに黄金色の液色を出しているという。

 のどごし〈生〉は昨年4月に発売。8月単月で前年同月比25%増を記録し、9月に累計20億本(350ミリリットル換算)を突破する見込み。

プレミアムビール市場が活況 夏場商戦が激化

2006/06/27 The Sankei Shimbun

 原料や製法にこだわった高級感が売りのプレミアムビールの市場拡大が続いている。アサヒビールが新商品を発売するほかサントリーも販売促進策を強化。夏場の最需要期に向けた商戦が激化している。

 アサヒビールが28日から売り出す家庭用プレミアムビールの新商品「プライムタイム」は、30歳〜40歳代の男性の支持獲得を目指す。業務用の「熟撰(じゅくせん)」などとあわせて、プレミアムで年内に225万ケース(1ケースは大瓶20本換算)の販売を計画。荻田伍社長は27日、「プレミアム市場に本格的に参入する」と意欲をみせた。

 先行する各社の販売も好調だ。サントリー「ザ・プレミアム・モルツ」は欧州のコンテストで最高金賞を2年連続で受賞。6月の販売数量は前年同月比5倍となる見込みだ。キリンビールのチルドビールも1〜5月の累計販売数量で前年同期比2.5倍を記録。プレミアム市場でシェア8割を握るサッポロビール「ヱビス」も前年を上回る勢いをみせる。

 ビール市場に占める割合は5%程度にすぎないものの、プレミアムビールは「今年も1割程度の伸びが予想される」(キリン)。一段の需要拡大を目指すには、消費者の求める「こだわりの味」に応える商品開発が大きな課題といえそうだ。

「第3のビール」はなぜ安い

2006年06月21日 All About

 庶民の味方「第3のビール」

 これからビールの美味しい季節。暑い日によく冷えたビールは最高!ですが、やはりお値段が…ということで発泡酒などを愛飲されている方も多いと思います。中でも「第3のビール」と呼ばれるものはお値段もかなりお手頃。最近ではメーカー各社が様々な種類の「第3のビール」を発売しています。

 先日増税が行われた「第3のビール」ですが、やはりビールや発泡酒に比べればまだまだお手頃。今回はそんな庶民の味方「第3のビール」ってそもそも何?というところをお話したいと思います。

 第3のビールはビールではない ビールは「麦芽」「ホップ」「水」を原料に発酵させて作られたものです。発泡酒は麦芽の比率が少ないもの。ですが、第3のビールの場合麦芽は使用されていませんので、実は全く別の飲料なのです。

 麦芽を使用していないというといったい何を使用して作られている物なのか、というのが気になるところですが、トウモロコシ、えんどう豆タンパク、大豆タンパク、大豆ペプチドなどが麦芽の代わりに原料として使われています。(例外としてサントリースーパーブルーなどは、発泡酒にスピリッツを加えて作られているので、こちらは麦芽が原料として使われています。)ひとくちに「第3のビール」といっても、このように原料は様々。なので味も様々なのです。

 またアルコール分ですが、こちらはビール、発泡酒、第3のビール共に5%〜5.5%程度(一部ダイエット系を除く)になっていますので、第3のビールだからと言ってアルコールが薄いということではありません。

 第3のビールはなぜ安い?

 結論から言ってしまえば、税金が安いから安いというのが一番の理由でしょう。まずこちらの図をご覧下さい。

 ビール 35.3%(77円)/発泡酒 32.3%(46.9円)/第3のビール 22.4%(28円)

 これは1缶(350ml)あたりいくらの税金がかかっているかを表したものです。これを見るとビールが非常に税率が高いのがわかります。 では試しに希望小売価格から税額を引いてみた場合、この3者はどのくらいの価格差があるのかを計算してみましょう。

 小売価格:ビール 218円/発泡酒 145円/第3のビール 125円

 税金  :ビール  77円/発泡酒 46.9円/第3のビール 28円

 差額  :ビール 141円/発泡酒 98.1円/第3のビール 97円

 ご覧いただいた通り、やはりビールの価格は一番高いのですが、実はそれほど大きな差はなく、発泡酒と第3のビールにいたってはほぼ同額くらいだということがわかります。

 酒税改正で第3のビールは?

 発泡酒に続いてまた増税…

 先月酒税の法改正があり、同時に種類の見直しも行われました。第3のビールは麦芽や麦を使用しない飲料のため、酒税法上ビールの類には属さず「その他の雑酒(2)」という分類になっていました。ちなみに「その他の雑種(1)」はみりんに類似するもので、第3のビールはその原料や製法からどれにも分ける事ができずに「その他の雑酒(2)」という類の仲間になってしまっていたわけです。(一部リキュール類の製品を除く)

 それが今回の改正でビール、発泡酒が属する「発泡性種類」の仲間になり、第3のビールは全て「その他の発泡性種類」という分類になったのです。この「その他に発泡性種類」のなかには缶チューハイなども入ります。

 さて、肝心の税金に付いてですが、今回の改正でビールは値下げ、発泡酒は据え置き、第3のビールは値上がりとなったわけです。と言ってもビールは缶ビール1本(350ml)あたり0.7円の減税ですから、ほんの微々たる物。価格にはほぼ反映されない程度の減税です。第3のビールは、今まで1缶あたり24.2円(リキュール類は27.8円)が、28円に値上がりしています。

 以前発泡酒の税金が値上がりした時ほどの大きな増税ではありませんでしたが、ビールに代わって発泡酒が出たり、発泡酒に代わり第3のビールが出てきた時のように、ビールの代替商品が開発されたとしても、全ては「その他の発泡性種類」という分類に入ってきてしまうために、酒税法上の抜け穴的な部分は塞がれてしまった、という状況です。ちょっと残念ですね。

 種類様々第3のビール

 前ページでお話した通り、第3のビールはそれぞれ使われている原料が違ったり、中には麦芽を使用しているものもあります。なので味も様々。色々試して飲んでみると好みの味に出会えるかもしれません。「自分は絶対ビールor発泡酒派」という方も、意外に飲まず嫌いということがあるかもしれませんよ。

「極上の時間を」…アサヒがプレミアムビール発売へ

2006/04/15 The Sankei Shimbun

 アサヒビールは8日、家庭向けプレミアムビールの新商品「プライムタイム」を6月28日に発売すると発表した。

 「プライムタイム」の意味は「極上の時間」。麦芽を100%使いながら、苦みを抑えた味わいが特徴で、普通のビールの「半分程度」(同社)のきめ細かい泡を実現したという。「週末にゆったり味わいたい」(同)30−40代男性の支持獲得を狙う。

 店頭価格は350ミリリットル缶あたり240円程度となる見通しで、初年度販売計画は100万ケース(1ケースは大瓶20本換算)。業務用として展開する「熟撰(じゅくせん)」などとあわせ、今年はプレミアム市場で前年比2.6倍の225万ケースの販売を目指す。

増税前の駆け込み需要狙う 第3のビール、商戦激化

2006/04/15 The Sankei Shimbun

 ビール大手各社は、5月1日から実施される第3のビールの増税を控え、駆け込み需要を見込んだ増産態勢を整えている。2003年5月の発泡酒増税の際に、4月に前年同月比約3割も発泡酒出荷量が増加。ビール大手各社は今回も同様に伸びると期待し、景品付きパックを用意するなど商戦が激化している。

 今回の酒税改正で第3のビールは350ミリリットルで3.8円増税され、半面、ビールは0.7円減税される。これを受け、ビール大手は第3のビールの出荷価格を3.75―4円引き上げる方針。そのまま出荷価格が小売価格に転嫁された場合、1箱(350ミリリットル缶、24本入り)で90―96円値上げとなる。

 消費者の買いだめが予想されることから、第3のビールでシェア(占有率)トップのキリンビールは「品切れがないよう適切な生産対応をする」(加藤壹康社長)方針で、全国7工場が休日返上でフル稼働。サッポロビール、アサヒビール、サントリーも生産態勢を拡充している。

1−3月ビール類出荷 キリン6年ぶり首位

平成18(2006)年04月12日 大阪版夕刊 The Sankei Shimbun

 ビール大手五社などが十二日発表した今年一−三月のビール、発泡酒、「第三のビール」出荷量(課税ベース)で、キリンビールのビール類シェア(38・4%)がアサヒビール(36・0%)を抜き、四半期ベースで六年ぶりとなるトップ返り咲きを果たした。

 キリンは一月に刷新した第三のビール「のどごし〈生〉」が好調に推移したほか、各社が苦戦する発泡酒で前年実績を上回ったことから、ビール類合計で前年同期比26・5%増の大幅プラスとなる三千七百三十一万八千ケース(一ケースは大瓶二十本換算)を出荷。一方、アサヒは主力のビールが同7・2%増だったものの、発泡酒や第三のビールが振るわず、三千四百九十四万ケースだった。

 また、三月単月のビール類出荷量(五社計)は前年同月比6・7%増の四千六十九万五千ケースで、三カ月連続のプラスとなった。

アサヒ、第3のビール新商品発売

2006/03/28 The Sankei Shimbun

 アサヒビールは28日、ビール風味アルコール飲料「第3のビール」の新商品「ぐびなま。」を5月30日に発売すると発表した。昨年4月の市場参入以来、新商品の投入は3回目。同社は成長が続く第3のビール市場で苦戦しており、品ぞろえを増やすことで巻き返しを狙う。

 新商品は主原料に大豆ペプチドを使用。ホップの使い方を工夫することで「苦味を抑えて、飲みやすさを高めた」という。また、カジュアル感を強調した缶デザインとした。店頭実勢価格は350ミリリットル缶で135円前後の見込み。初年度の販売目標は700万ケース(1ケースは大瓶20本換算)。既存の「新生3」の販売は継続する。

2月ビール類総出荷量、2か月連続でキリン首位

2006/03/13 The Sankei Shimbun

 ビール酒造組合などが13日発表した大手5社による発泡酒と「第三のビール」を含むビール類の2月の総出荷量(課税ベース)は、前年同月比11.8%増の3322万ケース(1ケースは大瓶20本分で換算)で、2カ月連続で前年実績を上回った。2けたの伸びは、約1年半ぶり。

 天候に恵まれた上、新商品の発売や第三のビールの販売が好調だった。

 シェア(占有率)は、第三のビールと新発売の発泡酒が好調だったキリンがアサヒを上回り、2カ月連続で首位となったもようだ。4位のサントリーが、新発売した第三のビールの売れ行きがよく、3位のサッポロビールを追い上げたとみられる。

 第三のビールは前年同月比約2.9倍の700万ケースで、ビール類に占める構成比は21.1%となり初めて20%を超えた。ビールは9.3%増の1671万ケースで、2カ月連続でプラス。半面、発泡酒は21.0%減の950万ケースと、19カ月連続でマイナスだった。

発泡酒不振、ビール大手3社減収 05年12月期

2006/02/17 The Sankei Shimbun【東京朝刊から】

 ビール大手3社の2005年12月期連結決算が17日、出そろった。第3のビールに押されるなどして発泡酒が大幅に減少したことが響き、3社とも売上高が前年比で減少した。

 発泡酒とビールの販売が振るわずアサヒビールとサッポロホールディングスが営業減益。これに対し、キリンビールは減収分を好調な第3のビールと医薬品部門などがカバーして、営業利益が過去最高となった。

 第3のビールにシェアを奪われた発泡酒は、サッポロで販売量が前年比37%減となるなど3社とも20%以上落ち込んだ。

 第3のビールの販売量も明暗を分けた。キリンとアサヒは昨年4月に同時に参入したが、キリンが当初計画を4割も上回りシェア首位を獲得したのに対し、アサヒは計画を下回った。

 キリンは今年1月単月で、ビール類の出荷量が約3年ぶりにアサヒを逆転するなど、販売競争が激化。06年12月期は、3社とも増収増益を予想している。(共同)

すき間2.4ミリ プルタブ開けやすく アサヒビール、早稲田大学と共同開発

2006/01/22 The Sankei Shimbun【東京朝刊から】

 アサヒビールは早稲田大学と共同で、缶のプルタブ部分を改良し「開けやすい缶」を開発した。ビールや発泡酒などビール類の缶容器3種類(500ミリリットル、350ミリリットル、250ミリリットル)に採用、2月上旬から九州地区を皮切りに6月までに全工場で新容器に切り替える。

 従来品では平らだったタブの指掛かり部分をアーチ状に盛り上げるとともに、タブ先端下部のへこみを深くした。開栓時に指先を入れるすき間の高低差は、1.5ミリ(同社従来品)から業界最大の2・4ミリに拡大。指を掛けやすくすることで缶の開けやすさを高めたという。

 平成16年4月には、飲み口部分の幅を広げ飲みやすくした缶を商品化。一方、消費者調査では「指がかからず開けにくい」「つめが傷つく」との声もあったことから、開けやすい缶の研究開発を進めていた。

攻めるキリン、守るアサヒ ビールのシェア争い激化

2006/01/12 The Sankei Shimbun

 アサヒビールとキリンビールが12日発表した2005年のビール類の販売実績は、シェア首位のアサヒが前年と比べ5.2%減少したのに対し、キリンは0.3%増加した。両社とも05年4月に第3のビール市場に参入したが、そこでの売れ行きの好不調が明暗を分けた。

 ビール業界では、長年トップを独走してきたキリンを、2001年にアサヒが抜きシェア首位に躍り出たが、今度は一転、キリンが攻め、アサヒが首位を守る立場となっている。今年も首位の座をめぐり、激しい競争が繰り広げられそうだ。

 アサヒの05年のビール類(ビール、発泡酒、第3のビールの合計)の販売実績は1億9340万ケース(一ケースは大瓶20本分で換算)で、シェアは推計で39%程度。キリンは第3のビールが好調だったため1億7850万ケースと、シェアを前年の34.4%から36%程度に伸ばした。9月には両社のシェアが0.1ポイント程度の差まで肉薄する場面もあった。

 06年のビール類の販売計画は、アサヒが前年比3.4%増の2億ケース、キリンが3.5%増の1億8480万ケースを見込む。目標ではアサヒのシェア首位が続くが、キリンは第3のビールと発泡酒を強化する方針で、荒蒔康一郎社長は「昨年の勢いをさらに加速させる。シェア奪回は大きなターゲット」と意気込む。

 アサヒの池田弘一社長は「最大の強みであるビールで集中的な取り組みを展開していく」と述べ、主力商品「スーパードライ」の販売を一層強化する方針だ。(共同)

「第3のビール」増税見送りへ 新たな節税酒には高税率か

2005/12/04 The Sankei Shimbun

 自民党税制調査会(柳沢伯夫会長)は4日、2006年度税制改正で増税案が浮上しているビール風味アルコール飲料「第3のビール」について、既存商品の税率を微調整にとどめ、本格的な増税を事実上、見送る方向で検討に入った。

 原材料を工夫して適用税率を抑え、出荷を伸ばしている「第3のビール」に対し、後追い的に課税を強化するのはビールメーカーの経営に及ぼす影響が大きいとの判断から。ただ、今後登場する低税率狙いの新商品に対しては、現在と比べ高い税率を適用する考えだ。

 財務省などが「節税酒」とみなしている「第3のビール」のような商品が、再び生まれることに歯止めをかけるのが狙いで、党税調幹部は「節税のための開発競争で、新商品が出てくる事態は防ぐ」としている。

 <第3のビール> 現行の酒税制度は、酒類を「ビール」「ウイスキー類」など原材料や製法により10種類に分け、異なる税率を適用している。この複雑さを突いて低価格を実現したのがビール風味飲料の「第3のビール」。低価格を強みに売れ行き好調だ。「第3のビール」増税は、昨年も論争になったが「個別商品への狙い撃ち」などと批判が強まり、結局は見送られた経緯がある。

 <酒税制度改革> 2005年度の与党税制改正大綱は「酒類間の税率格差縮小」と「酒類の分類簡素化」の方向を示し、06年度改正までに結論を出すとした。焦点は「ビール」や「発泡酒」に分類されない原料、製造法を用いて適用税率を抑えた「第3のビール」の扱い。例えばサッポロビールの「ドラフトワン」はエンドウ豆を原料に使用し、350ミリリットル缶の税額は約24円。「ビール」の酒税額を約50円下回る。(共同)

「第3のビール」増税に断固反対、キリン常務が表明

2005年10月19日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 2006年度の税制改正で、ビールの税率を下げて「第3のビール」の税率を上げる酒税改正が検討されていることについて、キリンビールの加藤壹康(かずやす)常務は19日の新商品発表会で、第3のビール増税に断固反対する意向を表明した。

 「売れる商品だからと増税されたら、企業の開発意欲が減退する」としている。「ビールの減税は大賛成」とした。

 ビール業界は20日に都内で集会を開き、ビール・発泡酒の税率をともに引き下げるよう求める。

味わいの高級ビールに人気、低価格組と2極化進む

2005年10月02日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 素材や製法にこだわって味わいを強調し、通常のビールより1〜2割高い「プレミアムビール」の新商品投入が相次いでいる。

 ビール類全体の市場が縮小する中、原材料の工夫で酒税を抑えた低価格の「第3のビール」が存在感を増す一方で、高級ビールも成長を続けており、市場の2極化が進みつつある。

 キリンビールは「ゴールデンホップ」を11月30日に発売する。苦み成分のホップを収穫後に低温熟成させる独自の製法で、後に苦みが残らない複雑な香りを実現したという。

 通常のビールの価格は、350ミリ・リットルで210円程度。ゴールデンホップの市場予想価格は330ミリ・リットルで250円前後と割高ではある。

 アサヒビールも、「スーパーイースト 刻刻(こくこく)の生ビール」を11月30日から東日本地域で順次発売する。334ミリ・リットル瓶で市場予想価格は220円前後。瓶詰め直前に酵母を加えて内部で発酵させるため、出荷後も時間の経過とともに味わいが変化するのが特徴だ。

 価格の安い缶チューハイや第3のビールに押されてビールの苦戦が続く中、高級ビールのシェア(市場占有率)は全体の5%程度ながら成長商品だ。2005年の出荷量は5年前に比べてビールが約4割減の見通しに対し、高級ビールは約25%増を見込む。

 高級ビールでは、7割以上のシェアを占めるサッポロビールの「ヱビス」が今年に入り、前年比で約1割伸びている。サントリーの「ザ・プレミアムモルツ」も今年7月に世界的な食品コンテストでの受賞を機に販売が急増して製造が追いつかず、一時販売を休止したほどだ。

 高級ビール人気について、キリンの荒蒔康一郎社長は「味わいのあるビールを求める人が着実に増えている」と説明する。特に、お盆や正月に売り上げが伸びることから、業界関係者は「普段は価格の安い第3のビールや発泡酒を飲み、休日や来客時などに高級ビールを奮発する傾向が強まっている」と分析している。

ビール出荷が4年連続減 「第三のビール」は3倍に

2005/07/12 The Sankei Shimbun

 ビール大手5社が12日発表した今年1―6月のビール類出荷量(課税ベース)は、前年同期比2.7%減の2億2800万ケース(1ケースは大瓶20本分で換算)と、上半期ベースで4年連続で減少した。1992年の統計の公表開始以来、5社ともに初めて前年を割り込んだ。

 景気回復が鮮明とならない中で、低価格で話題を集めたビール風味の「第三のビール」出荷が約3倍となった一方、発泡酒が振るわなかったため全体出荷が減少した。今年1月から大手が新価格制度を導入し小売店に卸売価格の引き上げを提示し、一部で店頭価格が上がったことも響いた。

 出荷に占める第三のビールのシェアは前年同期の4.4%から14.3%に急上昇。半面、人気を奪われた発泡酒の出荷数は20.2%減と3年連続でマイナス。ビールも8.0%減と9年連続でマイナスとなった。

 昨年にサッポロビールとサントリーが第三のビールを相次ぎ投入。今年4月にはキリンビール、アサヒビールも参入。大手4社が出そろったことで、第三のビールをめぐる競争が一段と激化しそうだ。

 各社のビール類のシェアは、アサヒが39.5%、キリンが34.4%、サッポロが14.6%、サントリーが10.7%、オリオンビール(沖縄県浦添市)が0.8%。(共同)

 <第3のビール> エンドウマメや大豆など麦芽以外の主原料を使ったり、発泡酒に別のアルコール飲料を混ぜていることが特徴のビール風味のアルコール飲料。酒税法上、ビールや発泡酒より税率の低い「その他の雑酒(2)」や「リキュール類」に分類される。税率アップによる発泡酒の値上げに伴い、メーカー各社が低価格の飲料を開発した。

ビール・発泡酒の出荷量4・2%減 04年

2005/01/17 The Sankei Shimbun

 ビール大手5社が17日発表した2004年のビール・発泡酒出荷量(課税ベース)は前年比4・2%減の4億9181万ケース(1ケースは大瓶20本分で換算)と、3年連続の前年割れだった。

 猛暑や暖冬が消費の追い風になったが、原材料を工夫して税金を低く抑えた「第3のビール」に市場を奪われたのが響いた。第3のビールを加えると0・7%増の5億1728万ケースとなり、わずかながら前年を上回った。

 ビールは1・6%減の3億655万ケースで8年連続で減少、発泡酒が8・1%減の1億8525万ケースと2年連続で減少した。サッポロビール、サントリーが販売した第3のビールの出荷は計2547万ケースに上り、ビール類全体の4・9%を占めた。

 各社のシェア(占有率)は、ビール・発泡酒に限ると、アサヒビールが1・8ポイント上昇の41・7%と初めて4割を超えた。キリンビールは0・5ポイント上昇の36・2%、オリオンビール(沖縄県浦添市)も0・1ポイント上昇の0・9%とシェアを上げた。一方サッポロは1・3ポイント下落の11・8%、サントリーも1・0ポイント下落の9・4%となった。

 だが第3のビールを加えると、アサヒが39・6%、キリンが34・4%にシェアを下げ、サッポロが14・8%へ上昇、サントリーは10・4%と横ばいだった。(共同)

ビール、年明け値上げへ 350ミリ缶で10円前後

2004/12/31 asahi.com

 ビール・発泡酒の店頭価格が、年明け以降、350ミリリットル缶あたりで4〜10円程度、値上がりする見通しとなった。ビールメーカーが、現在販売数量に応じて支払っている奨励金(リベート)を来年1月から廃止するため、これを値下げの原資にしていた卸会社が小売り側へ値上げを求めたため。ただ、一部の大手小売りは反発しており、当面店頭価格がばらつく可能性もある。

 値上げ幅、値上げ時期は、卸と小売業者の交渉の進み具合に違いがあるのでばらつきがでそうだが、ビールが同1本あたり6〜11円程度、発泡酒で同4〜8円程度とみられる。大手スーパーではダイエーや西友は1月20日ごろからの見込みで、中小酒店は1月上、中旬から価格を引き上げることになりそうだ。

 奨励金は、ビールの販売を促進させるため多く仕入れるほど増える。卸売業者の中には、価格競争のため奨励金を多く取って値下げの原資に回しているところが多い。ビール4社は、これがビールの値下げをあおることにつながるとして、05年から新制度を導入する。奨励金、希望小売価格を廃止しオープン価格にする。

 実質的にはメーカーから卸に販売する価格の上昇になるため、卸売業者はこれを小売りに転嫁する。ただ大手スーパーの一部は値上げを受け入れていない、という。

ビール・発泡酒、年明けに値上げ…1割程度

2004/12/19 読売新聞 Yomiuri On-Line

 量販店などでのビール、発泡酒の店頭価格が年明けから1割程度値上がりする見通しとなった。

 ビール大手4社(アサヒビール、キリンビール、サッポロビール、サントリー)が来年1月の出荷分から、安売りの原資になってきた、販売数量に比例して卸業者に支給してきたリベート(販売奨励金)を廃止するためだ。

 小売業界では、ビールや発泡酒を集客用に安売りするケースが多く、ビールなどで損が出ても、他の酒類で利益を確保できればいいとする業者も出ていた。このため、ビール・メーカーは「行き過ぎた安売り競争をなくす」ためとして、今年1月に、キリンが安売りの基準ともされてきたメーカー希望小売価格とリベートを2005年1月に廃止する方針を発表し、他の大手3社も相次いで追随した。

 ビール会社のリベート廃止に加え、安売りのために経費節減などで原資をひねり出してきた卸売業者も、卸売価格を引き上げる方向で足並みがそろい、来年1月以降は、これまで値引き販売されてきたビール・発泡酒の店頭価格が「数%から1割程度値上がりする」(大手ビール首脳)見通し。従来から値引き率が低いコンビニエンスストアでは、価格の変化は小さい見込みだ。

 酒類量販店の中には、チラシなどで「1月からビール、発泡酒が値上がりします」と、消費者に年内の買いだめを勧めている業者もある。しかし、値上げに難色を示す小売業者もあり、値上げに向けた業者間の交渉は、まだ完全には決着していない。

ビールにオープン価格、サントリーも来年導入

2004/10/13 読売新聞 Yomiuri On-Line

 サントリーは13日、2005年からビールと発泡酒にオープン価格制度を導入すると発表した。アサヒビール、キリンビールに続き3社目。2004年末までにビール券の販売も終了する。

 量販店などの安売り競争で、メーカーの希望小売価格と実際の販売価格がかけ離れているケースが多いため、実態に合った価格制度に改める。ビール券も、希望小売価格に基づいて価格設定しているため、販売をやめる。

 現在3段階ある価格のうち、メーカー出荷価格は残すが、卸が小売りに売る際の「希望卸売価格」と、小売りが店頭で売る際の「希望小売価格」を撤廃し、卸売業者と小売業者が独自に価格を決められるようにする。

発泡酒:ファミリマート実質値下げ 他社追随なら減益に

2003年04月18日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE

 コンビニエンスストア大手のファミリーマートが18日、発泡酒増税が実施される5月1日以降も、店頭価格を据え置くことで実質10円値下げすると発表した。この背景には、値下げ分を自社で負担してでも客を増やし、他の商品もついでに買ってもらって収益をあげようとする狙いがある。同社によると、発泡酒の顧客の9割は弁当などを同時購入するという。弁当などの惣菜は利幅の厚い収益源だけに、先手必勝を狙った経営戦略だが、「各社が追随した時は、減益要因だけが残る」という危険性もはらんでいる。

 ■ハムレット?

 メーカーや卸ではなく小売業界が負担して酒類の値下げを行なったのは、セブン・イレブン―ジャパンが99年11月にビールを20円値下げした例がある。ただ、これに各社が同じ幅の値下げで追随した結果、コンビニ店頭でのビール価格は20円引きの水準で定着。値を戻すきっかけを失い、現在もそのままだ。消費者には利益があったが、コンビニ側には減益要因が残った。

 ファミリーマートは「99年の値下げも販売促進効果があり、今回も効果を見込める」という。しかし、「値下げで本当に客数が伸びるのか」という疑問や、半面「追随しなければ客数が減るのでは」という恐怖も。それだけに、コンビ二大手は「まだ時間があるので検討している」(セブン・イレブン)、「以前から検討しているが、結論を出していない」(ローソン)、「対応は未定」(サンクス)などと、当面模様見の構えだ。

 ただ、スーパーの場合は、すでに酒類も希望小売価格が崩れ、日々店頭価格が変動しているのが実態。「増税分を価格転嫁しない」とうたっても、割安感を消費者にアピールすることは難しいだけに、「単純な形での追随は少ないだろう」(外資系アナリスト)との見方が強い。

 ■難しい価格戦略

 デフレ不況の時代、値下げで顧客を大幅に増加させて収益をあげようとした例は外食産業でも目立った。「平日半額バーガー」で日本マクドナルドが一時的に大成功したが、このあと値下げと値上げを繰り返し、客数減を招いた。現在、外食業界では、収益重視の「実質値上げ路線」が定着しつつある。

 ビール業界でも、大手4社が昨年6月、メーカー負担で一斉に発泡酒の希望小売価格を350ミリリットル缶で10円値下げした。値下げで売り上げ本数を伸ばして収益をあげる目論見だったが、売り上げは思うように伸びず、02年12月期決算では、業界全体で約350億円の減益要因となった。値下げしながら収益を向上させることは難しい。 【岩崎誠】

発泡酒を10円値上げへ キリン

2003年03月07日 The Sankei Shimbun

 キリンビールが、酒税改正による発泡酒の増税に伴い、現行の希望小売価格に増税分を転嫁する案をまとめたことが7日、明らかになった。350ミリリットル缶で10円、500ミリリットル缶では16円の値上げになる。キリンは同日、酒類の卸売業界に説明した。

 税制改正法案が3月中にも成立することがほぼ確実になったためだ。発泡酒のシェア第1位のキリンが増税分の転嫁を決めたことで、アサヒビールやサッポロビール、サントリーも同程度の値上げをする見通しだ。

 実施されれば、主力製品の「麒麟淡麗〈生〉」の価格は350ミリリットル缶が145円、500ミリリットル缶は201円となる。

 各社は昨年6月、350ミリリットル缶の発泡酒の価格を一斉に10円引き下げ、収益の足を引っ張る要因になっている。

 このため、キリンの荒蒔康一郎社長は1月に「(増税分の)10円の負荷は大きく、商品に転嫁せざるを得ない」と表明。アサヒビールの池田弘一社長も「値上げはやむを得ない」としていた。

 発泡酒にかかる増税分は350ミリリットル当たり10円24銭、500ミリリットルでは14円63銭の予定。キリンは350ミリリットル缶で10円の値上げについて「いろいろな価格で試算したが、1円未満を切り捨てた10円の上乗せは消費者に理解されやすい」と説明している。

冷え込み影響しビール販売低迷 発泡酒は依然好調

2001.02.13(21:06)asahi.com

 ビール酒造組合と発泡酒連絡協議会が13日に発表した1月の課税取引数量によると、ビールは2000年同月比19.3%減の28万8951キロリットルにとどまったが、発泡酒は9.6%増の7万9358キロリットルだった。ビールは関東地方の冷え込みもあって大幅な落ち込みとなったが、低価格の発泡酒は1996年6月以来、56カ月連続でプラスを記録した。

 アサヒビールを除くビール各社は1月分から、毎月発表していた出荷数量を「過当競争につながる」などとして毎月の公表は控えることにしている。アサヒが同日発表した1月のビール課税出荷数量は11.4%減の15万2312キロリットルだったが、ビール需要全体が落ち込んだため、シェアは52.7%となり、単月ながら初めて50%を超えた。

高知県とアサヒビール和解

2001.02.05 The Sankei Shimbun

 アサヒビール(東京)が発売を予定している海洋深層水を使った発泡酒をめぐり、高知県が開発に協力したのに富山県の深層水を使ったとして、同社に抗議していた問題で、アサヒビールの福地茂雄社長が五日、高知県庁に橋本大二郎知事を訪ね、この間の経緯を説明するなどして“和解”した。

 橋本知事は懇談後に「完全には納得できないが、法的な問題ではなく、これをきっかけに次の新しい仕事につなげたい」と述べ、県として今後問題にしない考えを示した。

 福地社長も「県民の皆さまに不快な思いをさせた。もっとコミュニケーションをしていれば行き違いはなかった。知事にも理解してもらったと思っている」と話した。

 発泡酒は予定通り二十一日から発売するという。

 この問題は、海洋深層水を産業資源と位置付ける高知県の協力で、同社が新しい発泡酒を開発。しかし、商品の「アサヒ本生」に富山県の深層水を使ったため、同県が「データなどを提供したのに、事前説明がないまま富山の深層水を使った」と、同社に抗議文を送っていた。

高知県がアサヒビールに「抗議文」/海洋深層水製品めぐり

2001.02.04 The Sankei Shimbun

 アサヒビール(本社・東京)が二十一日に発売予定の、富山県で採取した海洋深層水を使った発泡酒「アサヒ本生」をめぐり、高知県が「商品開発に協力したにもかかわらず、事前に説明もなく富山の水で製造するのは道義上問題だ」などとして、四日までに同社に抗議していることが分かった。橋本大二郎知事名で事実上の「抗議文」(二日付)を同社の樋口広太郎名誉会長に送付した。

 県海洋深層水対策室によると、商品開発は一九九九年十月、深層水の事業化に力を入れる高知県が持ち掛け、研究データや試作用の深層水を提供。昨年一月末に同社が開いた試作品の研究成果発表会には県職員も参加した。

 その際、同社側は「すぐ商品化はしないがカードとしてとっておきたい」としていた。しかし昨年末、県に事前説明もないまま、富山県の深層水を使用した製品の発売を発表、製造特許の出願までしたという。

 山崎義文対策室長は「これまでの経緯を考えると納得できないし、特許を取られては高知で深層水の発泡酒が作れなくなってしまう。誠意ある態度を求めたい」と話している。

 アサヒビール広報部は「お互いの認識に違いがあるので、事実関係を確認し、直接高知へ出向くなどして何らかの形で説明したい」と話している。

発泡酒が収益の柱に ビール大手4社の今年度計画

2001.01.17(23:18)asahi.com

 ビール大手4社の2001年の販売計画が17日出そろった。各社ともビールの販売数量を前年並みか微減とみているのに対し、安くて人気のビール系発泡酒は、新規参入のアサヒビールを除いて軒並み10%以上の増加とした。ビール市場全体に占める発泡酒の割合が2割を突破したことで、今後の大きな収益源とみている。

 最後発として2月に発泡酒「本生」を発売するビール首位のアサヒビールは、ビールと発泡酒の合計の販売見込みを前年比8%増と設定。これに対し、発泡酒首位のキリンビールは新商品のビールに加え、発泡酒「淡麗」を改良して販売を強化。合計で1.6%増とみている。両社の計画通りであればキリンが総合首位を守るが、激しい競争が繰り広げられそうだ。

 3、4位争いも激しい。この春に発泡酒の新商品を発売するサッポロビールは、ビールの落ち込み分を「冷製辛口」などの発泡酒で補い、合計では2%増(年度ベース)とみる。ビールを横ばいとしたサントリーは、最先発の強みもあって発泡酒を11%増(同)と読み、業界3位浮上への足がかりにしたい考えだ。

2年連続でマイナス 昨年のビール・発泡酒出荷量

2001.01.15(21:23)asahi.com

 ビール大手4社が15日に発表した2000年のビールとビール系発泡酒を合わせた出荷数量(課税ベース)は、前年に比べ0.7%減り、2年連続のマイナスとなった。夏の猛暑に加え、秋以降も好天が続いたが、消費者の節約志向は根強く、ビール市場が4.5%減少したことが響いた。一方、ビールより安価な発泡酒の構成比が初めて2割を突破。今年2月には、アサヒビールが発泡酒市場に参入することからシェア争いの激化が予想される。

 ビールと発泡酒を合わせた総市場では、アサヒとサントリーがシェアを上昇させた。アサヒは主力の「スーパードライ」が堅調に推移。ビール市場で0.2%の微増ながら1社だけ出荷量を伸ばした。サントリーは発泡酒「マグナムドライ」が好調さを維持して総市場で初めてシェア10%を超えた。

 ビール市場が4年連続して縮小する一方、発泡酒の出荷量は15.2%拡大。同市場で5割超のシェアをもつキリンの発泡酒「淡麗〈生〉」の出荷量が11.8%伸びたほか、サントリーも2ブランドで22.4%増、サッポロビールも新製品「冷製辛口」の投入効果もあり、2ブランドで14.8%増えた。

アサヒビール、ついに発泡酒市場参入 来年2月発売

2000.12.19(20:37)asahi.com

 アサヒビールは19日、ビール系発泡酒「アサヒ本生」を来年2月21日に発売すると発表した。業界内で最後まで発泡酒発売に慎重だったアサヒの市場参入で、ビール全社による発泡酒が出そろう。この数年間、ビール・発泡酒市場は伸び悩んでおり、各社によるシェア争いは一層激しくなりそうだ。

 「本生」は原料に麦芽と大麦から抽出した「大麦エキス」とミネラル分の多いとされる海洋深層水を使って「発泡酒特有のにおいや雑味を取り除いた」という。アサヒは来年、発泡酒市場は7%拡大すると予測。最低でも市場拡大分に相当する1500万箱(1箱は大瓶20本換算)の出荷を計画している。

 消費者の低価格志向が進み、ビール各社が発泡酒の新製品を相次いで発売する一方で、アサヒは「ビールまがいの発泡酒は売らない」と独自路線を打ち出していた。アサヒは方針転換の理由を「品質に自信がもてる発泡酒が開発できた」と説明するが、ライバル各社には「主力ビールの『スーパードライ』の伸びが鈍化してきたからだ」という見方が多い。

11月のビール・発泡酒出荷、3カ月連続でマイナス

2000.12.12(18:40)asahi.com

 ビール大手4社が12日発表した11月のビール・発泡酒の出荷数量(4社計)は、前年同月比1.1%減の4408万ケース(大瓶20本換算)で3カ月連続のマイナスとなった。ビールが10月の8.7%減から3.1%減とマイナス幅を縮めたものの、発泡酒の伸び率がやや鈍化してきたためだ。

 低価格が受けている発泡酒は54カ月(4年6カ月)連続してプラスだが、伸び率は10月の11.9%から7.1%にダウン。ビールと発泡酒を合わせた市場に占める発泡酒のシェアも10月の25.3%から21.6%に縮小した。新商品がほぼ出そろったことが影響した。

ビールと発泡酒 「味」めぐり議論白熱

2000.11.27(16:23)asahi.com

 「ビールと発泡酒は同じもの」「いやいや、ひとくち目は確かに違う」――。参院の財政金融委員会は27日、発泡酒のビール並み課税をねらう政府・与党と、据え置きを主張する野党との間で、お酒の「味」をめぐって議論が白熱した。

 ビールと発泡酒は味は似ているが、麦芽比率の違いから税率が異なり、価格は発泡酒の方が1缶(350ミリリットル)あたり70円ほど安い。税率改定が実現すれば年約2000億円の歳入増が見込めるとあり、宮沢喜一蔵相は「麦芽比率が違っても、技術革新によって同じものができている、というのが専門家の議論」とビールと発泡酒は同じとの発言に終始。これに対し、池田幹幸議員(共産)が「酔っぱらってくるとよく分からないが、ひとくち目の味は確かに違う。庶民はその違いを承知したうえで、安いものを飲んでいるのであって、増税はたまったものではない」とかみついた。

 議論は結局、宮沢蔵相が「本当に同じものかどうか、もう少しアチコチに聞いてみる」と引き取ったが、庶民にとってはやっぱり味は違う?!

発泡酒に続き日本酒、ワインの税率引き上げ検討 大蔵省

2000.11.23(20:13)asahi.com

 ビール系発泡酒の税率引き上げを検討している大蔵省は23日までに、日本酒(清酒)やワインなどの醸造酒についても税率を引き上げる方向で検討を始めた。ワイン(果実酒)の税率を現行の2倍とするほか、日本酒の大半を占めるアルコール添加製品の税率も焼酎(しょうちゅう)並みに引き上げる。酒の種類ごとに異なる税率格差の是正が目的。来年度の税制改正大綱に盛り込みたいとしているが、消費者や業界の反発も強く、実現するかどうかは微妙な情勢だ。

 ワインの税率(現行1キロリットル当たり4708円)は日本酒と同率(同9367円)に引き上げる方針。720ミリリットル入り瓶(アルコール分12度)では、酒税額は現行の約40円から約80円に倍増する。ワイン需要は課税ベースで29万4000キロリットル(1999年度)と焼酎乙類に迫るほど増えている。政府税調が7月の中期答申で「ワインの税負担水準はほかの酒類に比べて相当低い」と指摘したこともあり、大蔵省は「同じ醸造酒である日本酒との税率格差が無視できない」(幹部)としている。

 日本酒は純米酒などアルコールを添加しない製品は現行の税率に据え置くものの、アルコールなどを添加した製品は焼酎と同率とする。1.8リットル瓶での酒税額は約253円から十数円増える。また、焼酎を主原料とする合成清酒も主原料である焼酎の税率引き上げに対応していないなどの理由から、焼酎と同じ税率にする考えだ。

「発泡酒増税」に抗議署名1万5000件

2000.11.23(00:59)asahi.com

 安くて人気のビール系発泡酒の税率引き上げ構想をめぐり、税収増を図りたい大蔵省と、収益の「底支え役」を死守したいビールメーカーが対立している。ただ、与党内には政局の混乱で増税案には慎重な見方がある一方、メーカー側にも発泡酒の先行組と後発のライバル同士の駆け引きもあり、行方は定かではない。

 「サイレントMOF(大蔵省)が動いた」。自民党税調幹部がつぶやいた。景気最優先を掲げる政府の方針のもとで、住宅ローン減税など相次ぐ減税策の容認を余儀なくされた大蔵省が、久しぶりに発泡酒の税率引き上げという形で自ら増税方針を打ち出したからだ。

 この時期に税率引き上げを示した決め手は、アサヒビールの発泡酒市場への参入決定だ。大蔵省幹部は「税率を上げても、特定メーカー優遇という批判が回避できる環境が整った」と話す。

 酒税は6割強をビールに依存しているが、市場ではビールから発泡酒へのシフトが進み、発泡酒はビール・発泡酒を合わせた市場で4分の1のシェアを占める。課税数量ベースでは清酒を上回る存在となっており、発泡酒が無視できない存在となっている。

 ビールと発泡酒の税率の違いは麦芽比率によるものだが、こうした税制は国際的にも異例だ。政府税調も税率格差の是正を示唆する中期答申をまとめている。今年10月にウイスキーとの税率格差是正を求めた世界貿易機関(WTO)勧告に基づいた段階的な焼酎(しょうちゅう)税率引き上げが終わったため、大蔵省としてもいよいよビール・発泡酒の税率格差の是正に動き出した格好だ。

 ただ、発泡酒の増税が来年度税制大綱に盛り込めるかどうかは、今後の自民党税調での議論にかかっている。党税調には「来年の参院選を前に大衆増税など論外だ」(幹部)と強い反発がある一方、別の幹部は「ビール並みとは難しいが、格差是正は必要だ」として一定の理解を示す声もあり、今後の動向は曲折が予想される。

 「国は無駄な金をたくさん使っておきながら、庶民のささやかな楽しみを奪うなんてひどすぎる」

 発泡酒を発売しているキリンビール、サッポロビール、サントリー、オリオンビールの4社でつくる「発泡酒連絡協議会」のホームページには、消費者からの増税への反対意見が相次いでいる。17日から始めた増税反対キャンペーンに賛同する署名は22日までに1万5000件以上に達した。

 現在の酒税額は、350ミリリットル缶の場合でビールが約78円に対し、麦芽比率25%未満の発泡酒は約37円。メーカーの希望小売価格はビールが218円に対し、発泡酒は145円に抑えられている。しかし、ビールと同額に引き上げられれば、価格転嫁を通じて発泡酒の客離れは避けられない。

 一方、主要メーカーのなかで唯一、発泡酒を販売してなかったアサヒビール側も増税反対の姿勢を示すが、他社との「共同戦線」には一定の距離を置く。

 アサヒビール首脳は発泡酒に否定的な発言を繰り返してきたが、主力商品「スーパードライ」の頭打ち状況の中で、単一ブランド戦略を転換せざるを得ない状況に追い込まれてもいる。

 その一方で、増税で発泡酒の価格競争力が失われれば、「ビール首位のアサヒには好展開」(ライバル会社)との見方もあり、増税をめぐり、業界内は複雑な駆け引きが予想される。

景気配慮の一方、発泡酒の増税も 自民税調論議が本格化

2000.11.18(00:38)asahi.com

 自民党税制調査会は17日、総会を開き、来年度の税制改正に向けた論議を本格的にスタートさせた。今年は、景気最優先の政府の姿勢を反映して、住宅ローン減税の期間延長や相続税・贈与税の見直しといった景気に配慮した要望が目立っている。減税の恩恵が一部特定層に限られるものが多く、税収が伸び悩むなかで、その取り扱いが今後の焦点となりそうだ。

 総会であいさつした宮沢喜一蔵相は「着実な税収増が望める成長は期待できない」と述べ、財源確保の必要性を強調。その後の議論では、住宅ローン減税の継続や贈与税の非課税枠拡大による景気に配慮する税制改正を求める声が上がる一方、大幅な歳入欠陥に陥っている財政好転の手段として、たばこ税などの増税を求める意見も出た。

 自民党税調は週明けからこうした個別の税項目について、具体的な調整に入る。今後の議論で大きな課題となりそうなのは相続税だ。昨年は小渕前首相が相続税の税率引き下げを指示しながら、実現しなかった経緯もあって、最高税率(70%)を10ポイント程度緩和する方向で検討が進みそうだ。だが、すでにさまざまな控除制度が導入された結果、相続税の課税対象となるのは亡くなった人の5%にとどまっており、「金持ち優遇」との批判を呼びかねない。また、贈与税も、基礎控除額(年60万円)の拡大を軸に調整が進む見通しだ。

 来年6月で期限切れを迎える住宅ローン減税の延長も課題。延長した上に、控除期間を15年としている現行制度に買い替えの人にも利用しやすいように、期間10年も加えて選択できるようにする建設省案が軸となる。個人投資家を対象にした株式譲渡益課税では、来年4月に廃止される源泉分離課税を存続させる方向で党内の意向はほぼ固まっており、(1)現在の申告分離課税との事後選択制から事前選択制にする(2)申告分離方式を選択した場合の課税税率を現在の26%から20%に引き下げる案が出ている。

 減税色が強いなかで、酒税では発泡酒の税率をビール並みに引き上げる増税案が浮上している。これについては、「大衆増税との批判を招きかねず、参院選前に得策でない」という意見が自民税調内にも根強く、最終決着までには曲折が予想される。

 企業関連では、すでに企業分割税制の導入は確実になっており、連結納税制度の導入時期を経済界が主張しているように2002年度と明記できるかどうかがポイントになる。

 自民党税調は例年は12月半ばごろになる税制改正大綱の取りまとめを前倒ししたい意向だが、政局の混迷もあって先行きは不透明になっている。

「発泡酒増税」反対、ビール主要各社

2000.11.16(20:12)asahi.com

 ビール系発泡酒の税率引き上げ案に反対するキリンビール、サッポロビール、サントリーの3社社長は16日、東京都内で記者会見し、発泡酒連絡協議会会長の佐藤安弘キリンビール社長らが「ビールに似ているからといって税率を引き上げるのはこそくだ。引き上げられれば価格転嫁は避けられず、消費者の利益に反するうえ、メーカーの開発努力も無にするものだ」と批判。発泡酒の増税反対を訴えた。

 3社はすでに反対の要望書を大蔵省などに提出しているが、今月13日に大蔵省がビールと発泡酒の税率を来年度から一本化するという方針を打ち出してきたため、改めて反対の意向を表明した。今後は、オリオンビールを含めた同連絡協議会で反対の意見広告を掲載するなど、徹底抗戦していくという。

 一方、来春までの新規参入を予定しているアサヒビールは「まずはビールの高税額を是正すべきだ」としている。

発泡酒シェアが最高を更新 10月のビール出荷

2000.11.13(18:47)asahi.com

 ビール大手4社が13日に発表した10月のビール・発泡酒の出荷数量(4社計)は、前年同月比4.2%減の4018万ケース(大瓶20本換算)で4カ月ぶりのマイナスだった。発泡酒は9月に続いて過去最高記録を更新したが、ビールの落ち込みの方が大きかった。

 発泡酒は11.9%伸びて、ビールと発泡酒を合わせた総市場でのシェアは25.3%に達した。一方、ビールは8.7%の大幅減で4カ月ぶりに全社が前年割れに陥った。ビールと発泡酒を合わせた総市場の1―10月累計の伸びも0.1%減と前年を割り込んでいる。

「発泡酒増税」に反対 ビール4社が政府に要望書

2000.11.08(09:44)asahi.com

 安い価格で人気のビール系発泡酒の税率引き上げ案が政府内で浮上している問題について、発泡酒を販売しているキリンビール、サッポロビール、サントリー、オリオンビールの4社でつくる「発泡酒連絡協議会」(会長、佐藤安弘・キリンビール社長)は7日までに、増税に反対する要望書を大蔵省と国税庁に出した。発泡酒はビールを含めた市場で25%を占めるまで急成長しており、各社は「単にビールに似ているからという理由で増税するのは消費者利益に反する」と反発している。

 要望書では(1)税制の度重なる改正は企業活動の前提である法的安定性を著しく阻害し、企業経営に予見できない深刻な打撃を与える(2)発泡酒の増税は低価格の低アルコール酒類間の消費者の選択をゆがめ、税制の中立の原則に反する、などとしている。

 ビール主要4社のうち、唯一発泡酒を販売していなかったアサヒビールも来春までに新規参入することを表明している。増税については「方向性が定まっていないためコメントできない」としているが、引き続きビールの税率引き下げは働きかけていく方針という。

好調の発泡酒、増税を検討 政府・自民

2000.11.03(06:46)asahi.com

 ビールよりも税率が低く安い値段で売れ行き急増のビール系発泡酒の税率について、政府・自民党は2日、引き上げる方向で本格的な検討に入った。ビール系発泡酒は麦芽の使用量を少なくして、酒税額をビールの半分以下に抑え、低価格化をはかった。ビールを含めた市場で約4分の1のシェアを占めるまで急成長してきたが、税収不足に悩む政府が「ビールとあまり変わりないのに税率に差があるのはおかしい」と引き上げをもくろんでいる形だ。長引く不況の中、風味が少し落ちる「節税ビール」に切り替えを余儀なくされた左党からは反発の声も出そうだ。

 政府、自民党はそれぞれの税制調査会で、どの程度引き上げるかなど具体的な税率を詰め、来年度の税制改正大綱に発泡酒増税の方針を盛り込みたい考え。業績回復に向けた戦略商品と位置づけるビール大手メーカーもあり、曲折も予想される。

 通常のビールは、原料に占める麦芽使用比率が3分の2以上と規定され、350ミリリットル入り1缶あたり約78円の酒税がかけられている。これに対し、ビール系発泡酒のほとんどは、麦芽使用比率が25%未満に抑えられ、税率は同じ1缶あたり約37円と、ビールを大きく下回っている。

 大蔵省によると、最近の発泡酒では、麦芽の代わりに、芽が出る前の大麦を利用するなどして、麦芽比率を低く抑えているケースも多いという。

 ビール大手4社のなかで唯一、ビール系発泡酒の販売をしていなかったアサヒビールが、10月半ばに、来春までに新規参入する方針を発表。政府・自民党は「大手4社の足並みがそろい、発泡酒増税の環境が整った」との判断に傾いた。


キリンビール新社長に荒蒔氏

2001.01.15 The Sankei Shimbun

 キリンビールは十五日、佐藤安弘社長(六四)が代表権のある会長に就任し、荒蒔康一郎専務(六一)が社長に昇格する人事を発表した。三月末の株主総会後、正式に決定する。ビール販売量の下落を受けて進めてきたリストラ策にめどがついたことから、新体制で売り上げ回復を目指す。

 荒蒔氏は、おもに技術畑を歩み、平成七年五月には医薬事業本部長に就任し、今年一月からは医薬カンパニー社長を務めている。

 佐藤氏は八年三月に社長に就任。東京、広島、京都、高崎の四工場の閉鎖や人員削減を実行し、リストラ策を進めた。十年には発泡酒「淡麗〈生〉」を発売し、トップブランドに成長させた。

 都内で開かれた記者会見で荒蒔氏は「ビール・発泡酒をめぐる状況は厳しいが、先日発表した経営計画の路線でしっかりやれば、業界のリーディングポジションを確保できる」と話した。

 荒蒔康一郎氏(あらまき・こういちろう)東京大学農学部卒。昭和39年、キリンビール入社。平成6年3月に取締役、7年5月に医薬事業本部長に就任。常務、専務を経て、13年1月から専務医薬カンパニー社長。61歳。茨城県出身。


未成年の飲酒防止へ法案 自販機撤去、年齢確認徹底へ

2000.12.25(22:25)asahi.com

 買い手の年齢を確認できない酒の自動販売機は置いてはいけません――。未成年者の飲酒防止のため、自民党が25日、こんな法案要綱をまとめた。与党3党で協議したうえで、年明けの通常国会に議員立法で提案する方針だ。

 「酒類の販売管理に関する法案」で、(1)酒類を販売できる自販機は免許証などを読み取って年齢を確認できる「改良型」に限る(2)酒類販売業者は、販売場所ごとに研修や資格試験を受けた酒類販売管理者を置かなければならない(3)販売管理者は未成年と思われる者に身分証提示を求め、拒否された場合は販売しないことができる――などの内容。

 全国小売酒販組合中央会は1995年、未成年の飲酒を防ぐため「改良型」以外の自販機を今年5月までに撤去すると決議。国税庁もこれに沿った通達を出した。だが、期限を過ぎた6月現在で全国に約12万台が残っているのが実情。また、酒類販売業者が断っても少年らから「なぜ売れない」とすごまれるケースがあり、法に明記することで断りやすくしようという狙いがある。

 酒類販売をめぐっては、酒屋の出店規制が1月から廃止されるが、自民党内から「量販店による不当な安売りの防止策や未成年者への販売禁止措置が不十分」と異論が相次いだ経緯があり、その対策を練る過程でまとまった。

酒屋出店規制廃止は再延期せず 自民・亀井政調会長

2000.12.22(22:05)asahi.com

 自民党の亀井静香政調会長は22日、片山虎之助総務庁長官、公正取引委員会の山田昭雄事務総長らと個別に会談し、(1)来年1月からの酒屋の出店規制(距離基準)廃止を再延期しない(2)すでに人口基準を超える酒屋が集中している地域にも一定の新規出店を認めている措置を廃止する――の2点で合意した。

 自民党内では「地域の酒屋を守る」ことを目的に、公取委のガイドラインに盛られた不当廉売の基準をより明確にしなければ再延期するよう求める声が上がっていた。しかし、亀井、片山両氏らは22日の協議の結果、ガイドラインの修正は見送り、「運用経験を積み重ねて明確にする」ことで一致した。

 政府は酒屋の出店規制について、距離基準を今年9月に廃止することをいったん決めた。だが、自民党内に慎重な意見が広がったため、来年1月に先送りされていた。

規制緩和阻止へ酒販小売団体が献金攻勢 前年より倍増

2000.09.08(03:05)asahi.com

 規制緩和策として打ち出された酒屋の出店規制廃止に反対する「全国小売酒販組合中央会」の政治団体「酉(ゆう)和会」(いずれも幸田昌一会長)が昨年、国会議員53人に対し、約8500万円を献金していたことが、8日付で公表された政治資金収支報告書で分かった。今月1日からの予定だった規制廃止は、連立与党の強い要請で来年1月まで延期されたが、酉和会から献金を受けた自民党議員の多くは、廃止の先送りを主張した議員連盟に入っている。献金総額は前年の2倍以上になっており、幸田会長は延期を「我々の運動の成果」と話している。

 酉和会の政治資金収支報告書によると、昨年の寄付総額は8960万円。このうち、国会議員48人の資金管理団体と、議員が支部長を務める9つの自民党支部など計64の政党・政治団体に、計8550万円を献金していた。

 受領した議員は53人。自民党が45人と圧倒的に多いが、自由党も4人、保守党3人、民主党1人が献金を受けた。

 1998年の酉和会の寄付総額は4250万円。99年分は4710万円増え、一気に倍増した。献金先の議員も98年の35人から大幅に増えた。

 53人のうち30人は、出店規制の延期を求めて昨年11月に発足した、自民の議員連盟「規制緩和を見直す会」(現・日本経済を活性化し中小企業を育てる会)に入っている。同会は、担当の国税庁、総務庁などの省庁や自民党に対して運動しており、会長を務めている武藤嘉文・元総務庁長官は、最も多い450万円を受領。当時、幹事長だった森喜朗首相も200万円を受けていた。

 99年に新たに酉和会から献金を受けた国会議員には、森首相や加藤紘一・元幹事長、江藤隆美・元総務庁長官ら派閥領しゅうクラスが含まれている。98年にはゼロだった自民党の政治資金団体「国民政治協会」にも、99年には1650万円を寄付した。自民以外では、野田毅・保守党幹事長、鳩山由紀夫・民主党代表、藤井裕久・元蔵相らの有力議員がいる。

 今年5月に全国小売酒販政治連盟と改称した酉和会の会員は約11万人で、昨年は約2億2000万円の会費を集めた。支出総額は2億6000万円で、政治献金は約34%を占めた。

 99年の政治献金が金額、人数とも大きく増えた理由について、幸田会長は「多くの政治家にこの問題を勉強してもらうため、資料代や車代として献金した」としている。出店規制廃止の先送りについては「我々の運動が実ったと思うが、政治を金で買ったのではなく、意見広告なども載せた。今のまま自由競争になると、弱者がつぶされるだけだ。延期された期間に公正な取引ができるよう整備してもらいたい」と話している。

酒類販売の規制緩和、実施は来年1月に延期

2000.08.26(21:43)asahi.com
 

 政府・与党は26日、政府が9月1日から実施を予定していた酒屋の出店規制廃止を来年1月1日まで延期する方針を固めた。量販店による不当な安売りへの防止策や未成年者への酒類の販売禁止措置が不十分だとする与党側の意向を、政府が受け入れた形だ。26日、中川秀直官房長官が南アジア歴訪から帰国した森喜朗首相に説明し、首相が了承した。28日の政府・与党連絡会議で与党側が政府に延期を正式に求め、政府が持ち回り閣議で月内に延期を決定する見通し。政府が1度閣議決定した方針を覆すことは、「規制緩和の流れに逆行する」との批判を招きそうだ。

 政府が廃止を決めているのは、酒類販売免許を認める基準のうち、最も近い販売店からの距離によって出店を制限する「距離基準」。1998年3月に閣議決定した規制緩和推進3カ年計画で今年9月1日から廃止することとしていた。しかし、自民党を中心に「未成年者への販売禁止や不当廉売への社会的規制が十分に行われていないうちに、規制緩和だけを先行して認めるわけにはいかない」として、廃止の延期を求める声があがっていた。政府は再度延期しない方針を確認したうえで、与党側の考えを受け入れる見通しだ。

自民議連が酒販売の規制撤廃の延期を決議採択

6:42p.m. JST March 01, 2000

 政府の進める規制緩和の一部にブレーキをかけようとしている自民党の議員連盟「日本経済を活性化し中小企業を育てる会」(武藤嘉文会長、186人)は1日、党本部で総会を開き、政府が閣議決定した酒類販売免許の基準廃止を「当分の間」延期するよう求める決議を採択した。武藤会長は同日、亀井静香政調会長に伝え、党の正式機関で検討に入るよう要請、亀井氏も了承した。議連の顧問でもある亀井氏は、酒類販売の規制緩和見直しが党の方針として認められれば、政府が3月末に予定している規制緩和推進3カ年計画の改定に反映させるよう働きかける意向だ。

 決議は、地域の人口や最も近い販売店からの距離によって定められている免許基準が撤廃された場合、「弱肉強食が強まり、中小企業が転廃業に追い込まれる。町の行事の担い手がなくなり、地域社会の崩壊につながる恐れがある」と指摘。(1)未成年者に酒を売らないようにする仕組みの整備(2)未成年者飲酒禁止法の罰則強化(3)不当廉売を取り締まる公正取引委員会の機能強化――などの社会的規制が整うまでの「当分の間」、距離基準、人口基準を存続するよう求めている。

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