TOPIC No.2-10 地方分権/地方自治

「道州制導入が適当」 政府の地方制度調査会が提言

2006/02/01 The Sankei Shimbun

 政府の地方制度調査会(諸井虔(もろい・けん)会長)は28日の総会で、都道府県を廃止、統合して広域自治体に再編する「道州制の在り方に関する答申」をまとめ、小泉純一郎首相に提出した。国と地方の役割を再構築する具体策として、事務権限見直しやそれに見合う税財政制度の実現を前提に「道州制導入が適当」と提言した。

 中央省庁の地方出先機関の管轄を基に全国を9・11・13ブロックとする区域割り案3案を例示。導入時期は明示せず「国民的な論議の動向を踏まえて(判断が)行われるべきだ」とするにとどめ、機運が高まった場合に導入手続きを定めた推進法制定を提案した。総会後、記者会見した諸井会長は「少なくとも10年はかかる仕事だ」と述べた。

 1952年に設置された同調査会が道州制導入を打ち出したのは初めて。今後は政府の取り組みが焦点だが、大幅な権限移譲に対する中央省庁の抵抗は必至で、実現までの道のりは不透明だ。

 答申は、人口減少の進行など今後、広域行政による対応が必要な課題が増えることを踏まえ、都道府県制度見直しの重要性を指摘。道州制については「国は本来果たすべき役割に重点化し、内政は広く自治体が担う」新しい国と地方の姿をつくる有効策とした。

 自治体は道州と市町村の二層制とし、道州区域は都道府県の意見を尊重して国が法律で定める。全国同時移行が原則だが、関係都道府県と国の合意で先行実施も認める。

 事務見直しでは、国から道州、都道府県から市町村への大幅な権限移譲を明記。国には外交、防衛などを除き、できる限り移譲することを求め、一級河川管理や自動車登録検査など21事務の道州への移譲を例示。さらに移譲事務について「道州が企画立案から管理執行まで一貫して実施することを可能とすべきだ」とした。

 道州の長と議員は住民が選挙で選び、長の多選禁止を盛り込んだ。区域割りは3案とも東京を独立した道州とすることも想定している。(共同)


県民所得、前年度比2.9%減で初の2年連続マイナス

2001.02.27(20:12)asahi.com
 内閣府が27日発表した1998年度の県民経済計算によると、1人当たりの県民所得は310万4000円で、前年度に比べ2.9%減少した。マイナスは2年連続で、比較可能な76年以降初めて。減少幅も過去最大になった。98年は前年秋以来の金融システム不安から大手銀行が一時国有化されるなど、景気が悪化。当時の堺屋太一・経済企画庁長官は「日本列島総不況」と表現していた。

 都道府県別では、沖縄県が前年度比0.7%増となったほかは、すべて減少した。金融不安を背景にした企業業績の悪化、設備投資の減少などが影響した。

 また、県内総生産を集計した実質成長率も全県平均で2.0%減と、2年連続のマイナス。島根、沖縄、佐賀、高知をのぞく都道府県でマイナス成長だった。

さいたま市長選、大宮市長も出馬表明 新市二分の激戦に

2001.02.25(11:18)asahi.com
 埼玉県の浦和、大宮、与野の3市が合併して5月1日に誕生するさいたま市の市長選をめぐり、大宮市の新藤享弘市長(68)が24日、無所属で立候補することを明らかにした。すでに相川宗一・浦和市長(58)が無所属で立候補する方針を決めており、合併後50日以内に実施される市長選は新市を二分する激戦になりそうだ。

 1997年冬から本格化した合併協議では浦和、大宮両市の主導権争いが目立ち、新市の市長選をめぐっては両市の対立再燃を懸念する声が多かった。このため、井原勇・与野市長が「現職は立候補すべきでない」と話すなど、浦和、大宮の両市長に自重を求める動きもあった。

 この2人とは別に、共産党や市民グループが候補者擁立に向けた準備を進めている。一方、多くの政党は現職同士の対立で組織が分裂することを懸念し、表向きは静観の構えだ。

必要署名数を6分の1に 市町村合併の住民投票案

2001.02.24(07:20) asahi.com
 総務省は23日、市町村合併のための住民投票の実施に必要な署名数を、当初案の有権者の「10分の1」から「6分の1」に引き上げる方針を決めた。住民投票の導入に消極的な全国町村会や町村議会議長会などの強い反発を受け入れた。総務省は近く、住民投票の規定を盛り込んだ合併特例法改正案を国会に提出する。

 住民投票は、首長や議員がポストの確保などのために合併に消極的な姿勢をとるケースが多いことを考慮して、新たに採り入れられる。住民が合併協議会の設置を求めたにもかかわらず、議会が設置案を否決した場合に実施することができる、とされている。

都道府県債の残高70兆円超に 沖縄除き一般会計上回る

2001.02.24(00:58)asahi.com
 全国47都道府県と12政令指定市の2001年度当初予算案が、23日出そろった。税収は今年度当初より上向くものの、歳入不足を借金に頼る傾向は続いており、新年度末の都道府県債残高は70兆4000億円と初の70兆円台に乗る見通しだ。沖縄県以外はすべて、都道府県債の残高が年間の一般会計予算総額を上回ることになり、地方自治体の財政状態は一段と深刻さを増している。

 各都道府県・指定市の発表をもとに、朝日新聞社が今年度当初と比較して調べた。秋田県と千葉県は今春に知事選が予定されているため、骨格だけの暫定予算案だった。

 47都道府県の一般会計の合計は53兆3000億円で、今年度当初に比べ0.8%の伸び。法人税の伸びが見込まれ、都道府県税収入は6.2%増える見通しだ。

 一方で国から配分される地方交付税は、今年度当初よりも5000億円少ない計10兆6000億円を見込む。国の財政悪化による財源不足のため、新年度から交付額が圧縮されるためだ。この分を補うため、新年度から新たに認められた赤字地方債(臨時財政対策債)を、東京都と千葉県を除く45道府県で計6000億円発行する予定だ。

 都道府県債の発行額全体も膨らみ、5.5%増の5兆9000億円になった。前年度より発行額を減らしたのは、今年度当初では41都道府県あったが、新年度では9都県にとどまった。

 都道府県の貯金のひとつである財政調整基金も大幅に減っている。中でも茨城、千葉、神奈川、愛知、岡山の各県と京都府は新年度の取り崩しもほとんどできない状態だ。

 12政令指定市の新年度一般会計の合計は、今年度当初比0.7%増の9兆9000億円。赤字地方債は12市とも発行する予定で、総額は1000億円となる。このため市債残高も膨らみ、新年度末には一般会計の1.5倍にあたる14兆9000億円となる見通しだ。

分権推進委、6年間の活動に幕 政府、任期の再延長せず

2001.02.16(14:36)asahi.com
 政府は16日、今年7月まで1年間延長されていた地方分権推進委員会(委員長・諸井虔太平洋セメント相談役)の任期の再延長はせず、活動を6年間で終える方針を固めた。地方分権一括法の施行など一応の成果を上げたとの判断に基づくもの。ただ、国から地方自治体への財源の移譲など残された課題は多く、政府は新たな組織を作るかどうか、検討を進めることにしている。

 地方分権推進委員会は1995年、5年間の時限立法として成立した地方分権推進法に基づいて発足した。分権の実現に向けて具体的な指針を首相に勧告する機関として位置づけられ、諸井氏のほか、学者や自治体の首長ら計7人が委員に任命された。

 これまで、国が自治体に事務を代行させる「機関委任事務」の廃止や、補助金の整理合理化など5次にわたる勧告を首相に提出。これを受けた地方分権一括法が99年7月に成立し、昨年4月に施行された。

 分権委は昨年7月に任期切れの予定だったが、この際は全国知事会などの要望を受けた自治省(現・総務省)が3年間の任期延長を主張。政府内の調整で1年間の延長が決まり、市町村合併に関する意見書の提出や、分権の実施状況の監視などの活動を続けていた。

 政府は昨年12月に閣議決定した行政改革大綱で地方分権を推進する方針を掲げた。片山虎之助総務相は今年7月以降の体制について「地方自治体の税財源の見直しは避けて通れない。何らかの中立的な権威ある機関が必要」と述べている。ただ、政府部内には「地方だけでなく、国も含めた行財政改革を議論しなければならない」として、地方分権だけに限定した組織の創設に消極的な意見も強い。

市町村合併に住民投票導入 有権者の1割署名で実施に道

2001.02.08(15:14)asahi.com
 市町村合併の手続きに住民投票を取り入れるため総務省が検討していた合併特例法改正案の原案が、明らかになった。合併には対象自治体の首長らで組織する「合併協議会」が必要だが、その設置を議会や首長が拒んでも、有権者の10分の1以上の署名があれば、設置するかどうかを住民投票で問い直せるようにする。総務省は3月上旬にも法案を国会に提出し、会期中の成立を目指す。

 市町村合併では、住民が有権者の50分の1以上の署名を集め、市町村長に合併協議会の設置を求める「住民発議」制度がある。しかし、協議会設置には議会の議決が必要で、合併で議席が減ることへの抵抗などから議会が否決する例があった。このため、議会の否決後も合併手続きを進められるよう、住民投票を導入することにした。

 総務省の原案は、(1)住民発議による合併協議会の設置を議会が否決した際、市町村長は住民投票を実施するか判断する(2)市町村長が住民投票をしないことにしても、住民が有権者の10分の1以上の署名を集めれば住民投票の実施を請求できる(3)住民投票で有効投票の過半数の賛成が得られたら協議会を設ける(4)協議会は合併の青写真になる計画を1年以内に作るよう努める、などとしている。

 この問題では昨年秋、地方制度調査会(首相の諮問機関)が住民投票を合併手続きに組み込む考えを答申。政府の地方分権推進委員会も「協議会の設置を議会が否決した場合、設置を求める住民投票制度の導入を検討すべきだ」との意見書を森喜朗首相に出していた。

 合併を推進している総務省(旧自治省)は当初、住民投票で賛成が多数を占めたら、市町村長や議会に合併の実現を事実上、義務づける仕組みも検討していた。ところが、全国町村会や町村議会議長会が「自治体の意思決定は、議会の議決という代表民主制の原則を踏まえるべきだ」などと反発。このため、住民投票の対象は協議会設置の是非に限り、請求に必要な署名も住民発議の5倍とした。

 総務省は今後、全国町村会などと調整を進めるが、町村側にはなお「首長と議会で合併の賛否が分かれた時だけ住民投票を実施すればよい」「必要な署名数は、市町村長や議員の解職請求と同じ有権者数の3分の1以上にすべきだ」などの反対論が根強い。

都道府県の人件費、初めて前年比マイナスに

2001.01.23(11:02)asahi.com
 1999年度の都道府県の人件費が初めて前年を下回ったことが、総務省が23日に発表した決算集計でわかった。これまでは56年に統計を取り始めて以来、一貫して増えてきた。職員採用や給与を抑制したためだが、積み重ねてきた借金の返済に必要な額は大幅に増え、人件費をはじめ支出が義務づけられている経費全体は5000億円増え、22兆9000億円に達した。厳しい財政状態を改めて示した。

 歳出総額は54兆2000億円。人件費はその3割を占め、約15兆9000億円で、前年の決算額と比べ0.2%、約400億円減った。財政難から各自治体が人員削減を図り、47都道府県で計1万2000人の職員が減ったことや、ボーナスを減らしたり、管理職手当をカットしたりしたためとみられる。

 一方、借金の返済に充てた公債費は10.1%増の5兆6000億円。歳出総額の1割を占める。景気対策の名目で発行を重ねてきた地方債の償還時期を迎え、その重圧がじわじわとききだしている。都道府県別にみると、東京、神奈川、愛知、大阪の4都府県が2年連続で実質収支が赤字になった。

今年の知事選 宮城、千葉、岐阜、広島など9県で

2001.01.01(07:59)asahi.com
 自治省は31日、2001年中に任期満了を迎える地方自治体の首長は、知事が9人、市区長が133人、町村長が497人と発表した。知事は宮城、秋田、山形、茨城、千葉、岐阜、静岡、広島、徳島の9県。

 県庁所在地の市長は、青森、仙台、福島、水戸、千葉、長野、岐阜、名古屋、神戸、徳島の10市。都道府県議は、7月22日に任期満了を迎える東京だけだ。

市町村合併の推進要項、年内に38都道府県が提出

2000.12.25(20:41)asahi.com
 政府・与党が推進を図っている市町村合併のたたき台となる「合併推進要綱」が、都道府県から自治省に続々と提出されている。そこで示された構想が実現すれば、いま全国に約3200ある市町村は、与党が目標として掲げる1000程度になりそうだ。しかし、当の自治体側には「なぜ今、合併なのか」と冷ややかに受け止めるムードが強く、要綱通りに進むかどうかは不透明だ。

 今の合併論議は、政府の地方分権推進委員会が2次勧告(1997年7月)で合併推進を提言してから熱を帯びてきた。特例債や補助金制度の創設など、さまざまな促進策が打ち出されてきたが、現場での合併機運はなかなか盛り上がりを見せていない。

 そこで自治省は昨年、人口規模別に「目指すべき自治体」の目的を設定し、地域の実情に合った合併パターンを作成するよう都道府県に求めた。目に見える形で示すことで、市町村や住民の関心を高めてもらう狙いだ。年内に38都道府県分が提出され、年度内に出そろう予定だ。

 25日までに届いた23道府県の要綱を見ると、現在の市町村数を3分の1から5分の1に減らすのが主流だ。自治省市町村合併推進室は「合併に対する関心がだんだん高まってきているのを感じる」と話しているが、都道府県の担当者たちは「判断するのはあくまでも市町村」と一歩引いた形だ。

 推進の動きに対し、全国町村会は今月6日、(1)合併の理念と目的を明確にする(2)目標数値を設定しない(3)市町村の自主的な判断を尊重する、などを決議し、慎重な対応を求めている。

来年度から「赤字地方債」登場 自治体には戸惑いも

2000.12.25(01:09)asahi.com
 これまで公共事業費など使い道が限られていた地方債に、来年度から「赤字地方債」が登場する。24日に決まった来年度の地方債計画に盛り込まれた。地方自治体の借金が膨れあがるなか、財源の不足分はこれまで、国の特別会計が国と地方との折半で借りてきたが、一部を自治体が地方債を発行して資金を調達するように改める。自治省幹部は「各自治体の借金が明確になることで、財政健全化が進む」というが、自治体には、国の負担を押し付けられかねないという動揺が広がっている。

 「今までのやり方を続けるには限界があると判断した」。二橋正弘自治事務次官は20日の全国知事会議で、総額1兆4488億円の「臨時財政対策債」(赤字地方債)発行について理解を求めた。

 二橋氏が退席した後、浅野史郎宮城県知事は「こんな重大な問題については、事前に知事会の意向を聞くことがあっても良いのではないか」と発言。荒巻禎一京都府知事も「これまで地方債は建設事業以外などに充てていないと議会に説明してきた。赤字地方債はもろ刃の剣になる可能性がある」と指摘した。

 赤字地方債発行が浮上したのは、自治体に配分される地方交付税の借金が膨大になったためだ。

 地方交付税は、全国の自治体について自治省が算出した必要な経費の見込み額と収入の差額を補うため支給される。

 財源には、所得税や法人税など国税の一定割合を充てることにしているが、それだけでは足りないため、地方交付税を配分するために設けた特別会計が国の資金運用部などから借り入れてきた。ただ、この方式では、個々の自治体の借金という形にはなっていない。借入金残高は、来年度末で42兆円に達する見込みだ。

 来年度、自治体には人件費なども穴埋めできる赤字地方債の発行可能枠が割り当てられる。この枠いっぱいに地方債を発行するかどうかは、自治体の判断にゆだねられる。

 大蔵省主計局は「これであいまいだった地方の負担分がはっきりし、財政の透明化が進む」と期待する。自治省財政局も「将来に借金を残して良いか、それぞれの議会で真剣に審議してもらいたい」と話す。

 ただ、交付税法は財源が「著しく」不足した場合、国税から交付税に回す割合を引き上げることを定めている。法律に従えば、不足分はすべて国が負担するように制度を見直さなければならない。しかし、この点については、大蔵省も自治省も「国の財政が厳しい時に、すべて国で、というわけにはいかない」との姿勢だ。

 従来の地方債などを合わせた地方の借入金残高は、来年度末で188兆円に達する。この中には、景気浮揚のため、国が自治体に対し、地方債を発行して公共事業を実施するよう求めた分も相当含まれている。

 自治省は「赤字地方債は暫定的な措置だ。景気が上向きになった時点で、国から地方への税源移譲を進めたい」(財政局幹部)としているが、景気回復が遅れたまま、膨れ上がった赤字国債の二の舞いにならないという保証はない。

地方債発行を5年間許可 「新産・工特」制度廃止で措置

2000.12.24(09:51)asahi.com
 工業の拠点づくりを国が支援する新産業都市・工業整備特別地域(新産・工特)制度が今年度限りで廃止されることになり、それに伴う激変緩和措置が正式に決まった。今年度までに着手した道路などの事業について、(1)来年度から2005年度までの5年間、国は地方債(新産等債)の発行を許可し、10年間、利子補給する(2)市町村への国の補助率のかさ上げを来年度から5年間続ける、としている。大規模な港湾建設については、着手ずみの事業であるかどうかを問わず、市町村の費用負担を免除し、関係の道県が肩代わりする措置を来年度から5年間継続する。

 来年度予算案をめぐる国土庁と大蔵省との折衝で決まった。このほか、税制、金融上の支援制度の一部も続ける。

 1962年にできた新産・工特制度の対象になったのは24道県の349市町村。64年度から98年度までに、道路など基盤施設整備に97兆円が投じられた。65年度から98年度までの新産等債の発行は1兆862億円。その利子補給は1297億円、国の補助率のかさ上げは3248億円に上る。

予算配分、地方のため? 省庁再編で新設の地方整備局

2000.11.25(23:21)asahi.com
 国土交通省の発足に伴い全国8カ所に新設される「地方整備局」が、自治体や業界関係者の関心を集めている。建設省の地方建設局と運輸省の港湾建設局が統合される機関だが、「地方分権」の理念に沿って、補助事業予算など、本省が握っていた権限の一部が移される。焦点は、予算の決定過程や配分が本当に地方のためになるかどうか。現場では、当初の理念とはうらはらに、中央の役人の目が地域の隅々まで届くことで、「自治体の中央依存、補助金漬け行政が強化されるのでは」という懸念の声が高まっている。

 地方整備局は東北(仙台市)、関東(埼玉県大宮市)、北陸(新潟市)、中部(名古屋市)、近畿(大阪市)、中国(広島市)、四国(高松市)、九州(福岡市)に設置される。

 これまで地方建設局と港湾建設局は、重要な河川、道路、港湾などで国が直接手がける直轄事業を担当してきた。新設の整備局では、これらに加え、本省から補助事業の業務や、建設業の許可・監督などの権限が移譲される。本省から移される予定の権限と人員は、建設省分で政令22、省令38、大臣告示四の計64の権限と、100人ほどの人員。運輸省分は政令2、省令5の計7の権限で、人員はほとんど移らない。

 東北地方建設局(仙台市)では管内の出先の工事事務所などからも約40人を整備局に集めて新しい業務につかせる。同地建は、11月から管内の東北6県の県庁を回って、新しい業務の説明を重ねている。同地建の河村正人総務部長は「『地域の事情をよく知っているから、事業の許認可でも話が早い』と首長たちの評判はいい」と自賛する。

 しかし、自治体の受け止め方は違うようだ。元厚生省官僚の浅野史郎・宮城県知事は「地方整備局ができても、道路、河川、港湾といった国土交通省の縦割りの予算配分は変わらない。整備局で自由にできる予算は少なく、様々な公共事業について自治体が望むように優先順位を付けられないのでは」と疑問を投げかける。

 出雲市長を務めた岩國哲人代議士(民主党)は「権限移譲は本来、担当者と権限と財源との3点セットを地方自治体に直行させるべきだ。しかし、整備局の場合は中央省庁の中での移譲に過ぎない。整備局は自分の予算を取る応援団として自治体幹部を中央に働きかけようとしかねないから、霞が関への陳情行政はますます強化される懸念がある」という。「ミニ国土交通省」が各地に生まれるだけ、というわけだ。

中央競馬の場外発売に課税する条例案提案へ 横浜市

2000.11.25(02:35)asahi.com
 横浜市は24日、日本中央競馬会(JRA)の場外馬券売り場の売り上げに課税する新税の条例案を12月の定例市議会に提案すると発表した。市議会では成立となる見込みで、今年4月の地方分権一括法施行で自治体の課税自主権の要件が緩和されてから初めて具体化されるケースになりそうだ。全国で場外馬券売り場は25市区町村に29カ所あり、他の自治体に波及する可能性もある。

 新税は法定外普通税で、「勝馬投票券発売税」と名付けた。払戻金(配当)や国庫納付金などを差し引いた分に五%の税率を課税する。市の試算では、税収は約10億円。

 ただ、課税には自治大臣の同意が必要で、その後の自治省との協議が焦点になる。JRAや管轄の農水省も反発していて、協議は難航する可能性もある。

盛岡市が固定資産税取りすぎ 16年間、1億2千万円超

2000.11.24(23:30)asahi.com
 盛岡市が1985年度から16年間にわたって、農地の固定資産税と都市計画税、国民健康保険税の計算を誤り、617人から計1億2300万円以上を取りすぎていたことが24日、わかった。市財政部が市議会で明らかにした。対象者にはすでに通知しており、年度内に利息分を付けて返す予定だという。

 市財政部によると、市街化区域となった農地の固定資産税と都市計画税を計算する際、職員が地方税法を読み違えた。市街化区域に編入された場合、所有者の税負担を軽くするため段階的に税率を上げることになっているが、職員はすでに市街化区域になっている近くの農地の税率を参考にしたため、取りすぎになった。固定資産税をもとに算出する国民健康保険税も過分徴収していた。

 地方税法では、とりすぎた分の返還義務は過去5年分までで、それ以前は時効になる。市独自の要綱では、90年度分まで返し、年利7.3%の加算金をあわせて支払うとしているが、89年度以前の分は、返還できないという。返還額は、最も多い人で約208万円、平均で21万7400円だという。

独自課税の動き、30超す都道府県で

2000.09.26(09:39)asahi.com
 地方自治体が独自に新税を課税する動きが9月末現在で30以上の都道府県に広がっていることが、朝日新聞社の調べでわかった。来年度から、神奈川県が赤字決算をした法人にも課税する構想を明らかにしたほか、三重県では建設廃材などの産業廃棄物に課税を検討している。

 税収落ち込みによる財政危機への対応や地方分権の流れを受けて財政基盤を強める狙いがあるが、自治体が幅広い行政サービスを担う時代になったのに、財源が中央に偏っていることが構造的な財源不足の背景にあり、国と地方の財源配分見直しなどの論議にも波及しそうだ。

 2年連続で実質収支が赤字決算に陥った神奈川県は、赤字決算の企業にも課税する「臨時特例法人税(仮称)」の新税案を打ち出した。税収は年間数十億円を見込んでいる。行政サービスを受けている企業は応分の負担をすべきだという考えからで、政府が来年度に外形標準課税を導入しない場合、来年度から「当分の間の対応」として実施する構えだ。

 三重県では、建設業者らが出す廃材などを対象に来年度に向けて「産業廃棄物に係わる税(仮称)」を検討している。排出と中間処理、埋め立て処分の段階のいずれかで、事業者に課税し、年間6億円から16億円規模の税収を見込んでいる。

 大阪府は、新税ではないが、資本金1000万円を超す企業に法人府民税の均等割部分を標準額の2倍に引き上げる、都道府県で初めての超過課税案を公表した。

 火付け役となったのが、東京都の石原慎太郎知事が政府の反対を押し切って大手金融機関を対象に導入した外形標準課税だ。新税を決めるに至っていない例も含めると、自主財源を検討する研究会を設けたのは、北海道、福島県、埼玉県、東京都、新潟県から九州の宮崎県まで広がっている。

 独自課税に一気に動き出した背景には、かつてない地方財政危機に加えて、4月に地方分権一括法が施行され、課税自主権が広がったことがある。

 一方で、増税となる企業や住民らの納税側からは、「税金の無駄遣いに切り込まない安易な負担の転嫁だ」という反発が強い。自治体の合理化努力に加えて、納税者のためにいかに制度改革を進めていくかが、問われる。

温泉地ネットワークでまちづくり支援 民間活力推進機構

2000.08.17(21:32)asahi.com
 「現代の湯治場へどうぞ」――通産省の外郭団体、民間活力推進機構は、療養に適した温泉と宿泊施設、医師・専門家をネットワーク化して、情報を提供する「温泉療養アドバイスセンター」を設立した。情報はガイドブックやインターネットを通じて紹介し、友の会組織も運営する。温泉本来の療養機能に焦点をあてて再活性化を図り、地元市町村のまちづくりを支援する狙いだ。

 同機構が全国3229市町村を対象に調査したところ、温泉地への支援を求める要望が、420市町村から寄せられた。バブル経済崩壊後の観光客の減少や、企業のリストラに伴う保養所の閉鎖が低迷にに拍車をかけた温泉地も多く、地元商店街や関連産業、ひいては自治体財政にも影響が出ている、という。

 ネットワーク化事業では、温泉療養に詳しい医師らの協力で、温泉地にある1600の旅館・ホテルから218施設を「温泉療養の宿」として選定した。料金や食事など療養向けの「特別メニュー」があることや、1人でも宿泊できることなど、湯治客のニーズに合った施設だ。各地の温泉病院や医師・専門家を紹介し、入浴法や食事療法、運動などについても利用者を手助けする。

 温泉療養アドバイスセンターの内容は、ホームページや「温泉療養の手帖(てちょう)」(発行・同機構、1800円)に掲載されている。問い合わせは同機構(03―3543―8777)。


西東京市

初代の西東京市長に前保谷市長の保谷高範氏が当選

2001.02.18(23:56)asahi.com
 東京都の田無、保谷両市が合併して先月発足した西東京市の市長選は18日投開票され、無所属新顔で前保谷市長の保谷高範氏(63)が、同新顔で前田無市長の末木達男氏(70)=自民、民主、社民推薦=らを上回る2万6052票を得て、初当選した。新市の初代市長の座を目指して、合併前の両前市長が激突した選挙戦は、政党の推薦を受けられなかったことを逆手にとった保谷氏が、3党推薦の末木氏を振り切った。長野県知事選、衆院東京21区補選、栃木県知事選などに続いて、首都の合併新市でも「非政党候補」が勝利をおさめたことになる。投票率は49.64%だった。

 保谷氏は、旧保谷市長に初当選した8年前から合併を公約に掲げてきた経歴を強調し「両市合併のパイオニア」とPR。末木氏の3党相乗り推薦や田無市長4期という経歴に的を絞って、「野合」「多選で高齢」と批判を繰り返した。

 一方で保谷氏は、自民党員でありながら同党の推薦争いに敗れたことを逆手にとって、「市民派」をアピール。厚くてち密な後援会活動と相まって幅広い支持を得た。

「西東京市」設置を可決 都議会

2000.10.04(17:45)asahi.com(時事)
 東京都議会は4日の本会議で、田無市と保谷市が合併して「西東京市」とすることを賛成多数で可決した。共産党は反対した。近く都知事が新市設置を自治相に届け出、11月上旬に同相が告示する。

 2001年1月21日に発足予定の西東京市は、人口17万5000人(95年国勢調査ベース)で、都内26市中5番目の規模となる。 

「西東京市」で来年1月発足 東京・田無市、保谷市合併

2000.08.10(13:57)asahi.com
 先月末に「住民投票」の形で市民に合併への賛否を尋ね、賛成が反対を上回った東京都の田無、保谷両市の市長が10日、合併協定書に調印した。今後、両市議会の議決などを経て、来年1月21日に「西東京市」として発足する。新市の人口は約18万人、面積は約16平方キロ。

 人口と面積が小規模な両市の合併は1960年代からの懸案だった。97年に現在の両市長が合併推進を公約に掲げて当選し、動きが本格化し、地方自治法に基づく合併協議会が設置され、論議を重ねた。

 市民からは住民投票を求める声などもあがり、両市の合併協議会は先月30日、どちらか1市でも反対が上回れば合併を白紙に戻す条件で、18歳以上の市民を対象に、投票形式で賛否を問う「市民意向調査」を実施した。その結果、両市とも賛成が反対を上回り、同時に実施された新市名のアンケートで「西東京市」が最多数を集めた。

 保谷市の保谷高範市長とともに合併協定書に調印した末木達男・田無市長(両市合併協議会会長)は調印後、「幾多の困難があったが、多くの市民の理解を得て乗り越えられた」とあいさつした。


地方交付税の不交付団体、7年連続で減少

2000.07.24(19:02)asahi.com
 自治省は、今年度の普通地方交付税約20兆1000億円の各自治体への配分額を決め、24日の閣議に西田司自治相が報告した。自前の税収が一定程度あって普通交付税をもらわなくてもすむ自治体は、昨年度より7団体少ない78団体で、地方財政の悪化を反映して7年連続の減少になった。都道府県では8年連続で東京都だけが不交付団体になっている。

 自治体ごとの配分額をみると、京都府や千葉県、埼玉県など都市部を多く抱える府県への交付額が大きく増えているのが特徴だ。法人関係税の収入が減っていることが響いている。その一方で、景気対策のために地方がしてきた事業の借金の返済額が増え、交付税総額を押し上げる原因の1つになっている。

気象庁は沖縄、水産庁は北海道? 森首相が地方分散表明

2000.06.17(21:21)asahi.com
 森喜朗首相は17日、名古屋市内で講演し、行政改革の一環として、中央省庁の外局を地方に分散する案を検討していることを明らかにした。中小企業庁を愛知県か大阪府に移すなどと具体的に語ったが、総選挙向けのリップサービスの可能性もあり、実現にこぎつけるかどうかわからない。

 首相は講演で「外局を思い切って外に出してみてはどうか。例えば中小企業庁はこの愛知か大阪でもいいのではないか。2カ月ほど前から検討してもらっている」と話した。対象機関と移転先の候補地として、文化庁(京都、奈良、石川)▽林野庁(長野、岐阜、秋田)▽気象庁(沖縄)▽水産庁(北海道)▽資源エネルギー庁(福井、青森)などと具体名を挙げた。

 政府機関の地方移転は、東京への一極集中是正の観点から、竹下内閣が1987年、「1省庁1機関の地方分散」を掲げた。その後の首都機能移転論議の中でも、政府機能を1カ所ではなく複数の地域に分散させる「分都論」が一部で出ているが、実現していない。

まちの駅で協議会設立へ

2000年5月1日 15時51分
 市街地の空き店舗などを利用して地域情報の発信、受信の拠点となる「まちの駅」を設置している全国の市町村などが、一層の普及を目指し「まちの駅連絡協議会」を結成する。拠点を増やすことで都道府県の枠を超えた市町村の広域連携を強めるのが目的。今後、まちの駅から発信する情報の統一化などを図る考えだ。まちの駅は、市町村の連携によって地域を活性化させるために生まれたアイデア。

地方公務員の給与水準、25年連続で低下

5:40p.m. JST April 29, 2000
 自治省は29日、地方公務員の給与実態調査(1999年4月現在)を公表した。国家公務員の給与水準を100として地方公務員の給与を数値化した「ラスパイレス指数」は、一般行政職で前年より0.1ポイント低い101.2となった。指数は1974年の110.6から25年連続で下がっている。100未満の自治体は全体の73%、2407市町村に達した。

 自治体別の指数をみると、都道府県では東京都、神奈川県、静岡県が104.8でトップに並んだ。政令指定都市では大阪市が106.8で20年連続1位。ほかの市町村は、東京都の国分寺市(107.4)、武蔵野市(107.3)、福生市(107.2)が上位を占めた。

 一般行政職の平均給与は43万2910円(税込み、ボーナス別)で、前年より2.6%増えた。ただ、平均年齢も前年より0.4歳高い41.3歳になっている。


「さいたま市」に向け、埼玉3市議会が合併を議決

2000.09.26(01:27)asahi.com
 来年5月1日、対等合併での「さいたま市」発足をめざす埼玉県の浦和、大宮、与野3市の市議会が25日、合併手続きに必要な「廃置分合案」や、3市の財産を新市に引き継ぐ「財産処分協議案」など4議案を、賛成多数でそれぞれ可決した。3市は10月上旬に土屋義彦知事に合併を申請する。県議会での議決を経て、知事が自治大臣に申請、合併告示は来年初めごろになる見通しだ。

 3市の人口の合計は約102万人、面積は約168平方キロ。対等合併による100万都市の誕生は1963年の北九州市以来となる。合併後2年以内の政令指定都市移行を目標に掲げており、実現すれば全国で13番目となる。

「さいたま市」来年5月に誕生 人口規模で全国10位に

0:30p.m. JST April 29, 2000
 2001年春に「さいたま市」として合併し、その後2年以内に政令指定市への移行を目指す埼玉県の浦和、大宮、与野3市は29日、地方自治法に基づく法定の合併協議会(石原信雄会長)を設置し、浦和市のさいたま新都心郵政庁舎で初会合を開いた。合併時期は来年5月1日とすることを決定。3市合わせた人口は約102万人で、人口規模では全国10位の市が誕生する。
 初会合で、合併時期のほか、新市名や、新市の事務所を当面、現在の浦和市役所に置くことなど、これまで任意の合併協議会で3市が合意していた内容を正式決定した。(時事)

「さいたま市」に正式決定

2000年4月24日17時57分
 埼玉県の浦和、大宮、与野3市の合併推進協議会が24日、同県与野市のホテルで開かれ、合併後の新市名を「さいたま市」とすることを正式決定した。  また、合併期日については来年5月1日とすることで大筋で合意。懸案の市庁舎の場所については、当面、浦和市役所に置くが、将来は3市にまたがる「さいたま新都心」周辺で検討することで合意した。


地方債の発行、実質自由化

2000年4月19日13時02分
 自治省は19日までに、許可制となっている地方自治体の地方債発行を財政状況が健全な389の自治体に対して、2000年度から実質的に自由に認める事前協議制にすることを決めた。21日に各自治体に通知する。

都道府県の財産売却が約740億円に 財政難で売却加速

8:47p.m. JST April 02, 2000
 自治体の深刻な財政難を背景に、都道府県が1999年度に手がけた土地や建物の売却額が、合計で約740億円に達することが朝日新聞社の調べでわかった。2000年度も、現在計画している分だけで約730億円にのぼっている。これまではまとまった土地を地元市町村へ売却するという売り方が多かったが、最近は小規模な土地を一般向けの公募抽選や競争入札にかける例も目立っており、「すぐに使わない土地は売ってしまう」という傾向が強まっている。

 売却額が最も多いのは東京都。99年度の見込みは約200件、270億円前後で、当初目標としていた250億円を超えた。都営住宅跡地など宅地135件について公募し、8―9割が売れた。担当者は「測量にかなり手間がかかったが、土地が売れて家が建てば固定資産税も入る」と期待する。

 売却目標達成に大きく貢献したのは、銀座を取り囲んで走る高速道路施設(売却額55億円)。約2キロの道路と道路下の店舗を建設、運営してきた企業との間で、所有権をめぐり争ってきたが、昨年4月の最高裁判決で勝訴。しかし建設後30年以上たち維持補修費の負担が大きいため、結局その企業に売ることに決めた。

 神奈川県は、リース会社にいったん売り、県が借りて使用を続けるリースバックの手法を活用。第三セクターが運営する競輪場「花月園」のトラックを約43億円で売ったほか、県道路公社に貸している駐車場用地11カ所も約21億円でリース会社に売るなどして、99年度は合計約122億円を手にした。2000年度も、茅ケ崎市のゴルフ場を77億円でリースバックにかけるなど、190億円弱の収入を見込む。

地方分権一括法1日に施行、機関委任事務を廃止

00:01a.m. JST April 01, 2000
 国と地方の関係を「上下・主従」から「対等・協力」に変えることを目指す地方分権一括法が1日、施行された。地方自治法をはじめ475本の関連法を一挙に改正。自治体を国の下部機関とみなして仕事をさせる機関委任事務の廃止が大きな柱で、自治体の職員配置や資格への国の規制(必置規制)の緩和なども盛り込まれている。自治体が自らの判断と責任で施策を打ち出せる自治の範囲が広がり、地方分権は新たな段階を迎えた。

 一括法は地方分権推進委員会の勧告を受けて策定された地方分権推進計画に基づく関連法の改正だ。改正地方自治法は、国の役割を国家の存立にかかわる事務などに重点化し、住民に身近な行政は自治体が担うことを明記。機関委任事務が廃止され、自治体の裁量の利く自治事務と、国が実施方法まで定める法定受託事務とに振り分けられる。

 例えば、学級編成基準策定や都市計画の大半の事務は自治事務に、産廃施設の建設許可や児童手当支給は法定受託事務になる。自治体が独自に判断できる仕事は、都道府県で全体の2割、市町村は6割だったが、機関委任事務の廃止で都道府県で6割超、市町村では8割強に増える。

 自治体の仕事に対する要求や助言といった国の「関与」は法に定められた範囲でしかできなくなり、国が無制限に出せた「通達」も廃止される。国の関与が正当かどうか、自治体の審査申し出によって勧告を出す「国地方係争処理委員会」も新設された。自治体は勧告に不服がある場合は高等裁判所に提訴でき、国と地方のトラブル処理の仕組みが初めて設けられた。

 このほか、地方税法にない法定外普通税を新設する場合、これまで自治大臣の許可が必要だったが、事前協議制に変わり、新税がつくりやすくなる。環境保全など税収の使途を定めた法定外目的税も創設され、自治体の課税自主権も広がった。

8都県が一般職員の基本給引き下げ打ち出す

06:08a.m. JST March 26, 2000
 厳しい財政状況が続く都道府県の2000年度予算で、宮城、茨城、埼玉、東京、神奈川、静岡、愛知、福岡の8都県が独自に、管理職でない一般職員の給料(基本給)の引き下げを打ち出していることが、朝日新聞社の調査でわかった。このほか13道府県が職員手当の減額、定期昇給の停止などの給与削減策をとっており、21都道府県合計の給与削減額は2510億円になる。都道府県職員は1999年度に、年収が初めて前年度を割り込んだが、新年度はさらに厳しい状況といえそうだ。

 国家公務員の場合は一般職の給料を引き下げたケースはなく、地方自治体独自の動きといえる。

 99年度の場合は、一般職も含めた全職員の給料引き下げを打ち出したのは愛知県だけだった。同県は2年連続の引き下げとなるため県職員組合との交渉がもめ、例年ならば4、5回で終わる交渉が20回を超えた。「給料まで手をつけなければ財政危機をとても乗り切れない」と県人事管理室。

 一般職員の引き下げ率はおおむね2%台。最大は東京都の4%で、管理職まで含めた職員平均で1人年間38万9000円の減収になるという。

 一方、北海道、千葉、山梨、新潟、福井、滋賀、京都、大阪、兵庫、和歌山、広島、愛媛、沖縄の13道府県は給料の引き下げまでは実施しないものの、職員手当の減額、定期昇給の停止などを打ち出した。

 58歳以上を対象に定期昇給を停止する山梨県の場合、年間の減収額は1人数万円だが、退職金の算定に跳ね返るため、生涯賃金では300万―400万円ほど減収になるという。「組合はスト一歩手前までいきました。こちらも覚悟し、万が一争議行為に及んだ場合は処分する旨の警告文も作りましたが、最後はのんでもらえました」と県人事課は話す。

 99年度は全都道府県でベースアップが低く抑えられた上、ボーナスが減ったため、年収は初めて前年度を割り込んだ。給料の引き下げを打ち出した都県も合わせると、2000年度に期末・勤勉手当や管理職手当などのカットの実施を決めているのは20都道府県にのぼる。

 21都道府県合計の給与削減額2510億円は、退職金や共済費なども含む岐阜県(人口約210万人)の年間人件費に匹敵する。削減額が大きいのは、東京(700億円)、愛知(337億円)、大阪(292億円)、神奈川(241億円)などで、7都道府県が100億円を超えている。

 自治労の加藤孝二労働局長は「各単組とも苦渋の選択をせざるを得ない時代。決して組合が弱くなったとは思わないが、全体状況が変わったということだ」と苦い表情をみせる。

自治省が「地方環境税」検討へ 2001年度以降導入

03:00a.m. JST March 20, 2000
 自治省が、2001年度以降に「地方環境税」(仮称)を導入することを目指して、今月中に有識者で構成する「地方における環境関連税制のあり方に関する研究会」を設置する。具体的な課税方法は、研究会で詰めるが、二酸化炭素の排出量抑制のためにガソリンなどの化石燃料に課税する「炭素税」のほか、環境汚染を発生させる製品への課税、なども検討する方針だ。税収は、廃棄物処理や地球温暖化対策など自治体の環境保全対策の財源に充てる。地方分権が進む中、地方税財源を充実させる狙いもある。研究会は年内に報告をまとめ、これをうけて自治省が具体的な内容を固め、来年度以降の税制改正での実現を目指す。

 自治省によると、地方自治体が1997年度に、下水道や廃棄物処理施設の整備など環境保全対策に支出したのは約6兆円。うち政府からの補助金を除いた地方自治体独自の出費は約4兆7000億円にのぼった。同省は「環境保全意識の高まりを受け、温暖化対策など今後も増加が見込まれる経費の財源を確保する必要がある」としている。

 環境税は、環境汚染の原因になるモノやサービスの税金を重くし、逆に環境保全につながる場合は税金を軽くすることで、経済的に環境汚染を抑制する効果があるとされる。化石燃料に課税する「炭素税」が代表的で、北欧諸国などで導入されている。

学者ら約230人が地方分権一括法案の見直し求め、声明

7:12p.m. JST April 30, 1999
 行政学などの学者、研究者226人がつくる「分権型システム確立を求める研究者の会」(代表、佐藤竺・成蹊大名誉教授)は30日、政府が国会に提案している地方自治法改正案などの地方分権一括法案の見直しを求める声明を出した。(1)機関委任事務の廃止後、自治体が自らの裁量で行える自治事務への国の是正要求が自治体に履行が義務づけられているのは、現行の地方自治法の規定より改悪であり、削除する(2)地方議会の議員定数は人口別に上限数を定めるようになるが、住民の自己決定に属する問題なので、自治体が条例で自主的に決めるように直す――などが柱。

地方分権一括法案を閣議決定

0:04p.m. JST March 26, 1999
 政府は26日午前の閣議で、国と地方を従来の上下の関係から対等なものに見直すことを主眼とした「地方分権一括法案」を決定した。29日にも国会に提出する。骨格となる地方自治法をはじめ475の関連法の一挙改正を目指す。自治体を国の下部機関とみなして仕事をさせる機関委任事務の廃止や、自治体職員の資格や定数に関する国の規制(必置規制)の見直しなどを盛り込んだ。分権社会実現への一歩として、今国会で成立させ来年4月からの施行を目指している。

 政府・自民党は一括法案と、今後提出する中央省庁再編関連法案をもとに衆院行政改革特別委員会で審議したい意向だ。

 一括法案は地方分権推進委員会の1次から4次までの勧告を受けて作られた地方分権推進計画に基づく関連法の改正案だ。そのうち地方自治法改正案には、国の役割を国家としての存立にかかわる事務などに重点化し、住民に身近な行政は自治体が担うことを明記した。今後の自治体にかかわる立法に、地方の自主性や自立性への配慮を求めている。

 具体的な分権改革の中心として、機関委任事務が廃止され、その事務はすべて、自治体の裁量が利く自治事務と、国が実施方法まで定める法定受託事務に振り分けられる。例えば、都市計画や学級編成基準作成などの仕事は自治事務に、産廃施設の建設許可、児童手当の支給などは法定受託事務になる。自治体行政への要求や助言といった国の「関与」は法に定められ、ルール化された。国からの「通達」も廃止される。

政府が公共事業の2次地方分権推進計画を閣議決定

10:15a.m. JST March 26, 1999
 政府は26日午前の閣議で、国の直轄公共事業を削減し地方に移管することを柱にした2次地方分権推進計画を決めた。地方分権推進委員会の第5次勧告に基づき、河川、道路、砂防、海岸、港湾、土地改良、治山の7公共事業について、直轄事業の範囲を現状より限定して、法令に明示する。来年4月から実施する。

 具体的には、砂防事業では直轄の採択基準を事業費でいまは5億円であるのを100億円に引き上げて、直轄事業を減らす。これで、自治体の事業が増える分は地方税、地方交付税などで必要な財源を確保することが明記された。河川、道路事業の直轄の見直しだけは自治体と調整のうえ実施する。

地方分権推進委員会事務局

HOME