TOPIC No. 2-106 田中 元長野県知事

01.ヤスキチ 田中康夫HP
02.田中康夫 byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
03.田中県政 信濃毎日新聞
04.長野支局発 田中知事ダイアリー by The Sankei Shimbun
05長野県政 YAHOO!ニュース
06K嬢の長野県政ウォチング日記
07長野知事選 by Mainichi On-Line
08「田中康夫応援団県民ネットワーク」公式ホームページ
09.がんばれ!長野県! 田中康夫サポートサイト Produced by digivo
10.2002知事選挙 by 信濃毎日新聞
11.2000知事選挙 by 信濃毎日新聞
12.長野県知事選関係 怪文書図書館

長野県名を「信州」へ 田中康夫知事が改称検討

2004年01月06日 The Sankei Shimbun
 長野県の田中康夫知事は5日、仕事始め式のあいさつで「長野県という名称を信州という新たな名称に変更しよう」と述べ「信州」への改称を検討していることを明らかにした。

 「信州」という名称が「長野県」よりも認知されているのが理由。市町村の名称変更はあるが、実現すれば都道府県としては異例の改称となる。

 田中知事はあいさつで「長い歴史を持つ長野県にとって『信州』という言葉は1つの大事なキーワードだ」と指摘。

 その上で「この長野県こそが信州自治共和国ではないか。この形を全国に広く宣言すべきではないか」と呼び掛けた。

 変更のための具体策としては「自治体名称変更特区か、そのほかの手法を用いることで可能ではないか」と話し、構造改革特区などを活用する考えを示した。

 都道府県の名称変更は、地方自治法の第3条で特別法の制定などを必要としている。

 田中知事は人工ぼうこう手術のため入院中で、あいさつは録画ビデオを放映。1月中旬に公務復帰の予定。

 <都道府県の名称変更> 地方自治法第3条により、名称を変更するには特別法が必要になる。法案が国会に提出され、衆参両院(参院は緊急集会を含む)のうち後に可決した方の議長が首相に通知する。さらに首相から通知を受けた総務相が当該都道府県知事に内容を通知するとともに関係書類を送付。当該都道府県で賛否を問う住民投票を実施し、過半数が賛成した場合、先の国会の議決が確定、法律として成立する。

住基ネット:総務省実験に長野県知事が「疑問」

2003年10月20日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)を運用・管理する総務省の外郭団体「地方自治情報センター」が東京都品川区で侵入実験を行い「侵入できなかった」と発表したことについて、長野県の田中康夫知事は20日の会見で「一自治体で侵入できなかったといって、住基ネットの安全性が十分確認できたという演繹(えんえき)はできないんじゃないか」と述べ、同省の“安全宣言”に疑問を呈した。

 田中知事は、同センターの実験について、インターネットを経由した外部からの侵入実験が行われていない▽単時間での実験で満足のいく結果が得られるのか▽専門的知識を持つ第三者が評価を加えたか――などの疑問を指摘し、「(同省側の)一方的な大本営発表だ」と批判した。また、長野県が行っている侵入実験の結果については「慎重に分析して、第三者の評価を加えて公表したい」と述べた。【西田進一郎】

田中知事が従来の公共事業厳しく批判

2003年09月23日 The Sankei Shimbun
 長野県の田中康夫知事は23日午後、高松市内で講演し「大きな(公共)事業は結局、一部の大きな会社と政治家のところにお金が行っていた」と従来の公共事業の進め方を厳しく批判した。

 講演には、お年寄りや家族連れなど約900人が来場。田中知事は、パソコンを使い、会場に設けられたスクリーンにデータを示しながら、これまでの事業の無駄を細かく指摘した。

 また、「(構造改革で公共事業が減るなら)土木建設業の人がどういう産業に行くのか、計画をつくってこそ改革になる」と小泉純一郎首相の政策を批判。「まじめに働いている人が勇気や希望を持てる真の構造改革を」と強調した。

 また田中知事は同日夕、JR徳島駅前で、次期衆院選に出馬表明している民主党員3人の応援演説を行い、政権交代の必要性を訴えた。

 田中知事は「徳島県の県民1人あたりの公共事業費は全国上位なのに、道路の歩道の普及率や小学校のプールの整備率は極めて低い」と、ここでも公共事業の在り方の見直しを求めた。

田中知事、関西で信州野菜をPR 売れ行きは好調とか

2003年09月20日 The Sankei Shimbun

 田中康夫・長野県知事は20日、信州特産の果物や野菜を関西の消費者にPRするため、兵庫県伊丹市の「ジャスコ伊丹店」を訪れ、黄色い法被姿で「(体にいい)ポリフェノールのたっぷり入った巨峰はいかが」などと買い物客にアピールした。

 田中知事は、JA長野(長野市)の要請を受け、JA長野が販売促進のためジャスコ伊丹店で行った「信州農産物フェア」に協力。自ら販売ブースに立ち「とれたばかりのレタスが一玉100円ですよ」と売り込み。

 「長野は大阪空港から飛行機でわずか60分。新鮮な野菜や果物がたくさんとれるので、ぜひ関西の皆さんに来てほしい」と呼び掛けた。

 売り場には、田中知事を見ようと買い物客が詰めかけ、JA長野の担当者は「知事のおかげで、多くの人が来てくれた。エノキタケや巨峰、レタスがどんどん売れている」と話していた。

県施設全面禁煙、即日実施 長野県

2003年09月09日 The Sankei Shimbun
 長野県の田中康夫知事は9日、県の公共施設すべてを全面禁煙とすることを正式に決定した。同日午後に発表し、即日実施する。田中知事は県議会にも足並みをそろえるよう申し入れた。

 県衛生部によると、佐賀、山口両県が県庁舎などを禁煙にしているが、教育機関や警察も含めた県の公共施設の全面禁煙化は全国初。健康増進法の施行で対策を強化する自治体が増えたが、周知期間をほとんど置かずに実施するのは極めて異例だという。

 公共施設では今後、屋外や屋上でしか喫煙できなくなる。ただ、県の宿泊施設や県立病院、介護老人保健施設のほか、県警の取調室や宿直室、駐在所などは条件付きで対象外とする。

 長野県は13年12月から喫煙室を設置するなど分煙化を進め、田中知事は8月29日、全面禁煙化の方針を表明した。

 職員からは「方針が及ばない外郭団体に出向したい」「精神不安定で仕事が手につかない」と反発の声も上がっていた。

住基ネット:「県独自のシステム検討すべき」 田中長野県知事

2003年08月17日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE

 田中康夫・長野県知事は17日、テレビ朝日系列で放映された番組「サンデープロジェクト」に生出演し、住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)について「(県として)独自のシステムを積極的に検討すべきだ」などと主張し、総務省の外郭団体「地方自治情報センター」が個人情報を一元管理する住基ネットから離脱し、県が独自に情報を管理・運用する方針を明確に示した。田中知事は15日の会見でも離脱の方針を示していたが、番組では独自システムの構築についても触れるなど、一歩踏み込んだ発言を行った。

 田中知事は「全部、情報は中央集権で、総務省が集めますよ。だけど情報漏えいがあった場合の責任は、市町村が行って下さいと(同省は)言っている。維持費も自治体が負担していく」などと、住基ネットの仕組みを批判した。

 その上で、県は同センターを経由しなくても別の回線を使ったり、フロッピーディスクで、個人情報を渡すといった方法でも、国などに情報提供は出来ると指摘。県が市町村から送られてきた個人情報を同センターに、そのまま送らず、国などから照会があった際は、別回線の利用やフロッピーディスクなどの方法で必要な情報を提供するシステム作りが念頭にあることを示唆した。

 一方、個人情報をやり取りするネットワークについて、市町村は同センターや他の地方自治体とも直接つながっていると説明し、「(県が離脱し)センターとつながらなくなっても、県内の市町村は直接『自分も離脱する』と言わない限り(センターと)つながっているから、不利益は被らない」と述べた。【西田進一郎】

住基ネットへの侵入実験を実施へ 長野県

2003年08月15日 The Sankei Shimbun

 長野県の田中康夫県知事は15日の記者会見で、県内の市町村の協力を得て、近く住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)への侵入実験を実施すると発表した。

 田中知事は実験の方法について「プライバシーを保護した上で、客観的な第三者が立ち会って行う」と説明。報道機関には非公開とし、実験で判明した事実について内容を公開するとした。

 時期について「複数の市町村から実験への同意をいただいており、可及的速やかに行う」と述べたが、具体的な市町村名は明らかにしなかった。

 長野県本人確認情報保護審議会と総務省が今月5日に開いた公開討論会では、審議会側は「ネットワークへ侵入できるか公開実験をして確かめればいい」と提案。総務省側は侵入実験の必要性は認めたが「公開実験はできない」と拒絶している。

水田、ため池…ダム代替対策 長野県

2003年07月28日 The Sankei Shimbun
 長野県は28日、計画を中止した浅川(長野市)の浅川ダム、砥川(下諏訪町)の下諏訪ダムの代替案の一部として、水田のあぜのかさ上げやため池など新しい治水手法を盛り込んだ「流域対策」をまとめた。

 水田の貯水機能で、河川への雨水の流入を抑え、ダム機能の一部を代替させるが農家らの協力や国の理解を得られるかなど実効性に疑問の声も上がりそうだ。

 田中康夫知事は28日の記者会見で、代替案について「国も『脱ダム』宣言と同じベクトル上にあると思っている。理解されるように説明したい」と話した。

 長野県によると、浅川は、流域内の水田のあぜや30カ所ある農業用ため池の堤防を可能な限りかさ上げし、遊水地を3カ所設置する。砥川も、遊水地を7カ所設ける。

 これらの手法で、両河川とも、洪水時の河川の最大流量を示す「基本高水」の2割を減らすという。「緑のダム」と呼ばれる森林は定量化が難しく、2割分の数値への盛り込みは見送った。

 田中知事は昨年の6月議会で両ダムの計画中止を発表。基本高水の8割を河川改修、残りを流域対策とする代替案の枠組みを表明したが、議会側が「実現性が乏しい」などと反発、昨年7月の知事不信任となった。

 流域対策は今後、住民らでつくる流域協議会や地元首長、国が検討。長野県は28日から地元への説明を始める。

教育相談:自殺した息子の父親をアドバイザーに 長野県教育委

2003年07月02日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 長野県教育委員会は2日、97年に長男(当時13歳)が「いじめられていた」との遺書を残して自殺した同県須坂市の団体職員、前島章良さん(48)を非常勤の「教育相談アドバイザー」に委嘱した。

 前島さんについては、田中康夫知事が県教育委員にする人事案を議会に提出したが、2度にわたって不同意となった。同アドバイザーは、県議会の同意が必要でない新設ポスト。就任は1日付で、来年3月まで、週1回勤務する。子どもの悩みなどを聞く小中学校の相談員に助言したり、学校での研修などに参加して助言などを行う。

 前島さんは「責任は重いが、少しでもお役に立てたらと思い引き受けた。(息子が亡くなってからの)6年半の経験をきちっと伝えたい」と話した。【西田進一郎】

TOPIC No.2-26 住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)

さらに2河川で「脱ダム」答申 諮問のすべて 長野

2003年06月24日 The Sankei Shimbun
 田中康夫知事の「脱ダム」宣言を契機に置かれた「長野県治水・利水ダム等検討委員会」(委員長・宮地良彦信州大名誉教授)は24日、駒沢川(同県辰野町)、角間川(同県山ノ内町)で計画中の2つの県営ダムについて計画を凍結または中止すべきだ、と答申した。

 検討委は既に7河川で「ダムなし案」を答申済み。諮問された全9河川で宣言に沿った内容となった。

 今後は、県が作る具体案と、河川ごとに設置される流域協議会での論議が焦点となる。

 答申では、駒沢川はダムを凍結し再検討。角間川は、現行のダムを中止し河川改修と井戸開発などを求めた。水不足が深刻な場合に限り、利水ダムの検討は可能とした。

 知事は13年2月「脱ダム」宣言を発表。県議会は同年3月、ダムを検討対象とする委員会設置条例を可決した。検討委は14年6月、浅川(長野市)、下諏訪(同県下諏訪町)両ダムで「ダムなし案」を答申、知事不信任のきっかけとなった。

田中知事の人事案また否決

2003年05月21日 The Sankei Shimbun
 長野県議会は21日、いじめ被害を訴える遺書を残して1997年に自殺した同県須坂市の中学1年、前島優作君=当時(13)=の父親、前島章良さん(48)を県教育委員に選任する人事案を再び否決した。

 2月県議会で否決されたが、この日の本会議で田中康夫知事が再提案した。採決結果は賛成17人、反対39人。2月より賛成は8人増えたが、田中知事の議会基盤の弱さがあらためて浮き彫りとなった。

 本会議で県議2人は、前島さんが須坂市を相手に損害賠償請求訴訟を起こしている点を取り上げ「須坂市教委を指導する立場の県教委の教育委員になることで、裁判などに影響しないのか」と追及した。

 田中知事は「県教委と市教委は法律上、独立している。教育委員会は合議制でもあり、影響はない」と反論。文教委員会で審議するよう求める動議が知事支持派から出されたが、自民党県議団などの反対で認められず、採決となった。

 田中知事は本会議後「県議選を経てもなお、孤独な戦いが続くなあ」と報道陣に語った。

IT浸透度トップは長野県

2002年12月12日 The Sankei Shimbun
 情報技術(IT)市場調査会社のガートナー ジャパンなどでつくる新電子自治体共同研究会がこのほどまとめた地方自治体職員の都道府県別IT浸透度ランキングによると、総合順位では長野県が昨年調査時の10位から1位に浮上。2〜5位には石川、富山、三重、岡山の各県が並んだ。

 調査は全国の3286(8月時点)都道府県市町村を対象に(1)自治体職員のパソコン(PC)習熟度(2)インターネット接続率(3)PC普及率−を調べ、1551件(47・2%)の回答を集計した。

 それによると、新たにトップテン入りしたのは昨年の16位から7位に躍進した沖縄、29位から8位に急上昇した長崎、13位から9位となった岐阜の各県。このほか6位が鳥取県、10位が岩手県。

 項目別では、長野県がPC習熟度でトップ。富山県はネット接続率とPC普及率で首位を独占した。

 全体では「ワープロや表計算ソフトを十分に使える習熟者が職員の何%か」を示すPC習熟度が、昨年の55・4%から67・0%に、ネット接続率は同39・6%から55・0%に、PC普及率も59・5%から81・9%に、それぞれ上昇した。

 第一法規出版、価値総合研究所(旧長銀総研コンサルティング)も参加する同研究会は電子自治体の将来像提言などが設立目的。

業者の「名刺営業」禁止 長野県

2002年12月12日 The Sankei Shimbun
 長野県が発注する土木設計・測量業務の入札で談合が繰り返されていた疑いがあるとして公正取引委員会が3つの県建設事務所に立ち入り検査に入った12日、同県は建設事務所長会議を開き、業者が個々の職員に直接名刺を渡して営業活動する「名刺営業」は癒着につながるとして禁止することを申し合わせた。

 談合には発注者側が関与した「官製談合」の疑いもあることから、小市正英土木部長は会議の冒頭、「極めて遺憾な事態。談合ができない新たな入札制度に、自らを律する意識改革をもって積極的に取り組んでほしい」とあいさつした。

 会議では名刺営業を廃止する一方、執務室の入り口付近に「名刺入箱」を設置。業者からの新技術の提案などには課長職以上の職員が窓口で対応。打ち合わせは職員の執務机では行わず会議室などで複数の職員で行うことを確認した。

田中知事がカジノに意欲

2002年12月11日 The Sankei Shimbun
 長野県の田中康夫知事は11日、県内でのカジノ建設について「雇用対策や税収の点で、市町村の町づくりを支援することになる」と県議会本会議で答弁し、意欲的な姿勢を見せた。

 同知事はヨーロッパの観光地の小規模なカジノを例に挙げ「機械化が行われる前のパチンコが持っていた一般市民のささやかで健全な楽しみの形」と評価。「そうした存在を目指すなら青少年や住環境への影響も軽微にとどめることができる」とした。

本給最大12%カット提案 財政再建で田中知事

2002年11月13日 The Sankei Shimbun
 財政再建を進める長野県の田中康夫知事は12日、来年4月から3年間、県人事委員会が既に勧告した2%の削減分を含め、一般職員の本給を役職に応じて8−12%減らす方針を決め、組合側に提示した。

 県警と県教育委員会の職員も含まれ、約2万9600人が対象。年間約130億円の削減となる。

 県によると、現在一般職員の給与削減を実施しているのは9都県。長野県の案は鳥取県の4−6%を上回る最も厳しい内容という。

 素案では、人事委員会の勧告分を除くと部長級が10%、課長級が8%、そのほかの職員が6%のカット。県は来年の2月定例議会に給与条例の改正案を提出したい考えで、13日から田中知事が組合と直接交渉に入る予定。

 県人事課によると、本年度の一般職員の年収は、平均モデル(43歳、係長級)で約750万円。削減が実施されると、年間約50万円の減収になる。

 一方、特別職はこれまで本給を一律10%削減していたが、今後知事は30%、副知事、出納長ら5人は20%の削減とする。

 県は約1兆6千億円の借金を抱え、起債制限比率は全国ワースト2。03年度に基金が枯渇、04年度には、財政再建団体に転落する恐れがあるという。

 長野県職員労働組合の鈴木長治委員長は「職員の士気と生活に多大な影響を与える。人事委員会の勧告をなぜ上回る給与カットなのか。本当に財政が再建されるのか、いろいろな角度から追及する」としている。

反田中県議が正式辞職

2002年10月31日 The Sankei Shimbun
 長野県の出直し知事選で、田中康夫知事が再選されれば議員辞職すると表明していた浜康幸県議(52)が31日、辞表を宮沢勇一議長(71)に提出、受理された。

 浜氏は知事選翌日の9月2日、「後援会の判断や補欠選挙による税金負担も視野に入れなければならない」と述べ、9月定例議会後に辞職する意向を示した。30日に後援会が了承したのを受け、正式辞任を決めたという。

 浜氏は田中知事が中止した2県営ダムの1つ下諏訪ダム(同県下諏訪町)の地元選出で、反田中の急先ぽう。

 浜氏は9月議会で、もう1つの浅川ダム(長野市)をめぐり「田中知事が中止表明後のマスコミ取材に、治水代替案をまじめにはやる気がない趣旨の発言をしたテープがある」と追及。知事は「記憶にない」と突っぱねた。

 浜氏は辞職後、あいさつに知事室を訪れ「プレゼントです」と問題のテープを応接机の上に置いた。田中知事はテープを無視して「まだバッジは付けているのですか」と問い、両者は最後まで火花を散らせた。

田中長野知事が県議会の本会議場で“所信表明”

2002年09月26日 Yomiuri On-Line
 長野県の9月定例県議会が26日開会し、田中康夫知事が再選後初の“所信表明演説”となる議案説明を行った。

 7月5日の不信任可決以来、83日ぶりに本会議場に戻った田中知事は、「車の両輪たる県議会議員や、市町村長と胸襟を開いた対話を行う」と対話姿勢を強調。しかし一方で、「(県議会は)一連の総括を代表質問及び一般質問の中で行われるでありましょう」とも述べ、皮肉交じりに“反省”を求めた。また、不信任のきっかけとなった県営2ダムの「完全中止」を改めて明言した。

 一方、県議は、対立が激化していた6月議会までとは打って変わってヤジもなく聞き入り、演説終了後には、まばらながら拍手も。半年後の県議選を意識してか、知事との融和姿勢を打ち出している会派も多く、「対話姿勢には好感が持てる」(最大会派・創新会の井出公陽会長)との受け止め方が目立った。

 しかし、不信任を主導し、知事選後に会派解散に追い込まれた旧県政会団長・下崎保県議は「言葉では『車の両輪』と言うが、本当に実行されるのかが問題。うのみにはできない」と懐疑的な様子。知事も本会議後、「表層で現れる拍手やヤジによって、心の奥底まで推し量ることは完璧にはできない」と話し、“対立の余韻”も垣間見せた。

脱ダム:田中・長野県知事が浅川ダムの工事契約を解除

2002年09月25日 Mainichi INTERACTIVE
 田中康夫・長野県知事は25日、建設中止の方針を示していた県営浅川ダム(長野市)について、本体工事を請け負う共同企業体(JV)との契約を解除した。「脱ダム」を掲げる田中知事には、JV側への賠償問題など事後処理が残るとともに、代替治水策の早期策定が迫られる。

 契約額は約130億円で、県とJV(前田建設工業、フジタ、北野建設)の契約書では、県が解約でJV側に損害を与えた場合には賠償しなければならない。同日、同市内のJV事務所を訪れて解約を通知した田中知事は、「JV側に何らかの考えがあれば連絡があるはず」と述べたが、JV代表者の前田建設工業は「契約が履行されると確信してきたので誠に残念」とコメント。賠償面では「県側から賠償額を提示してもらいたい」としており、今後の協議は難航しそうだ。

 さらに、県には既にダム建設のために使った国の補助金返還を求められる恐れもある。国がダム中止で返還を求めた例はないが、県の諮問機関は、懲罰的加算金を含め最大で406億円に上ると試算する。 【木村健二】

長野県議会「県政会」3グループに再編

2002年09月10日 The Sankei Shimbun
 長野県知事に田中康夫氏が再選されたのを受け、会派解散の方針を決めた県議会最大会派「県政会」は、自民党籍を持つ県議や民主党の羽田孜特別代表に近い県議など3グループが新会派結成に向け調整していることが、10日分かった。

 県政会は長野冬季五輪を控え1995年、政党とは一線を画した県政の安定を目的に、自民党系と羽田氏に近い議員が合流して発足。99年には議員定数の約7割を占める42人を擁したが、田中康夫知事一期目の今年3月に9人が離脱するなどして29人まで減少した。

 態度保留の議員が数人いるため、各派の人数は流動的だが、自民党系と羽田氏系が10人前後。もう1つの当選2回グループは6人とみられる。羽田氏系グループは「無党派的な集まりにしたい」として、無所属議員も加える。県政会の解散を11日の総会で正式決定後、結成を表明する見込み。

長野県議・市長ら田中知事に歩み寄りの姿勢

2002年09月06日 Yomiuri On-Line
 田中康夫知事が再選された長野県知事選で知事との対決姿勢を貫いた県議や市長らの間に歩み寄りの兆しが出始めている。不信任を突きつけた県議会各会派が、知事が批判していた公費海外視察の廃止などを打ち出せば、市長は「一緒に食事でも」と対話路線をアピール。知事が82万票を獲得して圧勝したことを受け、来春の統一地方選もにらみ、「対立関係を続けていてはマイナス」との判断が働いているようだ。

 知事選後の県議会の雰囲気についてある県議は「不信任は正義感からだったが、県民に理解してもらえず、みんな戦意喪失状態だ」と話す。知事選で知事が「税金を使った海外旅行」と批判していた公費海外視察について、第2会派の政信会が「廃止の方向で検討する」との方針を打ち出したほか、「領収書なしで使い切り」と批判された政務調査費についても、第3会派の県民クラブが、使途を会派のホームページで公表することを決定するなど、批判を受け入れる姿勢。

 6日午前、田中知事から就任あいさつを受けた宮沢勇一議長は「県議の中には知事室を訪れたことのない者もいた。(知事と話もしない)そういう点で欠けていた面もあったと思う。歩み寄りを各会派に呼びかける」と述べた。

 また、知事批判の急先ぽうだった同県市長会長の有賀正・松本市長は5日の市長会総会で、報道陣に対し、「知事と一杯飲んだり、軽く食事でもしながら話し合いの場を持ちたい」と笑顔を作ってみせた。多くの市長は、知事の公約である、市町村長訪問の「お出かけ知事室」も受け入れる構えだ。

長野県議会「県政会」、知事選大敗受け解散決める

2002年09月06日 Yomiuri On-Line
 長野県議会の最大会派「県政会」が6日、知事選で大敗したことを踏まえ、会派の解散を決めた。知事選後、会派内に設置した刷新委員会が「県政会の役割は終わった。解散すべきだとの結論に達した」と同日の団会議に報告。「解散はやむを得ない」との声が大勢を占めた。

 県政会は、田中知事の県政運営について「手法が独善的で資質にも欠ける」と批判、不信任の際に主導的役割を果たしていた。県議定数62のうち、29人が所属している。

ガラス張り知事室が復活 長野県庁

2002年09月04日 The Sankei Shimbun
 長野県知事選で再選された田中康夫氏の初登庁を5日に控え、県職員が4日午後、県庁一階の知事室にロッカーやついたてなどを運び入れ「ガラス張りの知事室」が復活した。

 同室は田中氏が「開かれた県政の象徴」として前回知事選の公約に基づき設置。新たな観光名所になるとともに、アンチ田中の県議は「動物の縫いぐるみが数多く置かれて子どもの部屋のようだ」と皮肉るなど、話題となった。しかし失職後は閉鎖され、田中氏は縫いぐるみを含む私物を持ち帰っていた。

 部屋のレイアウトは以前と同じ。30分ほどの運び入れ作業の後、失職前に使っていた残りの名刺と顔写真入りの職員証を執務机などの上に置き、かつてのあるじを再び迎える準備が整った。田中氏があらためて縫いぐるみを持ち込むかどうかは未定。

田中康夫氏に当選証書交付

2002年09月03日 The Sankei Shimbun
 長野県知事選で再選された田中康夫氏(46)に3日、県選挙管理委員会から当選証書が交付され、田中氏の後援会「しなやか会」会長の穂苅甲子男氏(78)が代理人として受け取った。任期は1日から4年間。

 田中氏は、テレビ番組出演や文芸賞の審査のため東京都内に滞在しており、5日に初登庁の予定。

 一方、田中氏の不信任決議を主導した県議会最大会派の「県政会」は3日夕、議員総会を開き、幹部の責任問題などについて話し合った。

 不信任決議の採決の際、議場を退席し、県政会を除名された島田基正(57)、小林忠司(76)両氏は同日、「知事選で示された民意を正しく県政に反映させる」として、新会派「無所属の会」を結成した。これで、田中氏を支持する県議会会派は、共産党を含め2つになった。

「反田中」県議が辞意 2人目

2002年09月02日 The Sankei Shimbun
 田中康夫氏が長野県知事に再選されたことを受け、ダム建設推進派で「反田中氏」の急先ぽうだった長野県議の浜康幸氏(51)が2日、長野市内で記者会見し、辞意を表明した。県議の辞意表明は1日の小田切行雄氏(88)に続き2人目。

 浜氏は田中氏への不信任決議案提出や議決で、小田切氏とともに議会内での主導役を務めた。辞職の時期については「後援会などと協議して決めたい」と話した。

 長野県庁では、大半の職員が普段と変わりなく淡々と業務をこなした。

 ダム事業に替わる治水案の具体化を担当する土木部の幹部職員は「(田中氏勝利の)結果は予想できた。これまで通りの姿勢で臨むだけ」と平常心を強調。

 田中氏に批判的な別の部局の職員は「再選で慢心しなければいいが」と声を潜めた。

 田中氏の失職期間中、知事の職務代理者を務めた阿部守一副知事は「(田中氏が)新しい公約を掲げて当選した。実現に向かって最大限努力する」と語った。

欧米通信社も詳報 長野県知事選

2002年09月02日 The Sankei Shimbun
 長野県知事選で田中康夫前知事が再選されたことについて、欧米の通信社は1日、現地発で詳しく報じた。

 AP通信は「日本の有権者は、経済成長を支えてきた公共事業に対し疑問を感じ始めた。政策よりも候補者の個性を重視している」と伝えた。

 ロイター通信は専門家の見方として「政治的アウトサイダーの田中氏の勝利は、自民党内で改革反対派の抵抗に遭っている小泉純一郎首相への追い風になるだろう」と報じた。

 また「日本ではここ数年、地方の最も保守的な有権者でさえ変化を望む傾向がある」と選挙結果の背景を分析した。(共同)

投票率73%、田中氏得票82万余 長野県知事選

2002年09月02日 The Sankei Shimbun
 「知事の政治手法」を争点に、6人が激戦を展開した長野県知事選の最終投票率は、「官対民」の構図が明確で田中康夫氏が初当選した前回を4・21ポイントも上回る73・78%と1980年の知事選以降では、最高を記録した。男女別の投票率は、男性73・02%、女性74・49%だった。

 長野県選挙管理委員会によると、田中氏の最終得票数は82万2897票だった。

無党派7割強が田中氏に投票…長野知事選出口調査

2002年09月01日 Yomiuri On-Line
 長野県知事選で、1日の投票を終えた直後の有権者を対象に実施した読売新聞の出口調査では「支持政党なし」との回答が有権者の半数を占め、このうち4分の3が田中康夫氏に投票していたことが明らかになった。長谷川敬子氏は無党派層の2割しか獲得しておらず、無党派層の投票行動が大量得票差につながった。

 田中氏に投票したと答えた人は全県で70%で、長谷川氏の27%を大きく上回った。

 政党支持別では、自民党支持層は田中、長谷川両氏にほぼ2分されたが、民主党支持層の4分の3などが田中氏に投票。特に今回、独自候補擁立を見送って田中氏支援に回った共産党支持層は9割が田中氏に投票した。県レベルで長谷川氏を支援した公明党の支持層は半数弱が田中氏に流れた。

 だれに投票するか決めた際に重視した点は「県政の変革」との答えが半数弱で、「政策や公約」「人柄や実績」などを上回った。「県政の変革」と答えた人の4分の3が田中氏に、4分の1が長谷川氏に投票しており、有権者が引き続き田中氏に「変革者」としての期待を寄せている実態が浮き彫りとなった。

田中康夫氏が再選 出直し長野県知事選

2002/09/01 中国新聞
 田中康夫前知事(46)の不信任と失職に伴い、県政の手法や知事と県議会の関係を争点にした長野県知事選は一日投票、即日開票の結果、無所属の田中氏が弁護士長谷川敬子氏(50)らいずれも無所属の五新人を破り、再選を果たした。

 有権者は強いリーダーシップに基づく改革への期待から田中氏を信任。「脱ダム」宣言は主要候補が理念を肯定し信任を得た形で、争点からは後退した。田中氏は中止を表明した県営ダム二事業に代わる治水策の具体化など、改革実現に重い責任を負った。

 県議会は四四対五で不信任を可決した経緯があり、九月議会の論戦などを通じた民意のねじれ解消が今後の焦点になる。主要会派で幹部の責任問題に発展するのは必至だ。

 田中氏は県議の事務所を訪ねて協力関係を築くことを表明する一方、「四月には県議選がある」と「反田中」の議員に対抗する用意があることも示唆しており、和戦両様の構えで対処するとみられる。

 選挙戦は「破壊から創造への転換」をアピールした田中氏と、多くの県議や首長、自民党、連合長野の支援を受け「対話による改革」を掲げた長谷川氏の事実上の一騎打ちだった。

 田中氏は一年八カ月の実績を強調しながら各地をくまなく遊説。圧倒的な知名度を生かし、県内全域で支持を集めた。

 長谷川氏は当初、市民運動型選挙を目指したが、県議の後援会などを動員する組織選挙に転換。しかし「脱ダム」宣言の理念を肯定したことから、政策面で田中氏との違いを強調できず、浸透しなかった。

 対立候補の準備など戦略を欠いたまま田中氏に退場を促し、曲折の末擁立した長谷川氏への支援も中途半端に終始した議会の主要会派には、厳しい結果になった。一部県議は当初から「田中氏が再選されれば辞職する」と公言していた。

反田中の長野県議が辞職

2002年09月01日 The Sankei Shimbun
 最年長の長野県議で、田中康夫氏の不信任決議を主導した小田切行雄氏(88)が1日夜、田中氏の当選を受けて、県議辞職を表明した。

田中氏が圧勝、再選 長野県知事選

2002年09月01日 The Sankei Shimbun

長野県知事選:投票始まる 6氏が立候補

2002年09月01日 Mainichi INTERACTIVE
 知事失職に伴う長野県知事選は1日、投開票日を迎えた。午前7時(一部地域は午前8時)県内1722カ所で投票が始まった。知事不信任―失職―再出馬という異例の経過をたどった出直し選の結果は「知事VS県議会」という「民意のねじれ」の行方を左右する。午後8時以降、120市町村で順次開票が始まり、大勢は同夜判明する。

 再選を目指す田中康夫氏(46)に、多くの県議や首長から支援を受ける長谷川敬子氏(50)ら「反田中」5新人が挑んだ。田中氏が建設中止を表明し、県議会の不信任決議のきっかけになった県営2ダムの是非は、主な新人が棚上げし、争点から遠のいた。その一方で、田中氏の政治手法を巡る論戦が際立った。

 有権者は14日現在、176万7797人。 【西田進一郎】

長野県知事選:選挙戦も手法の違い「独歩」と「組織」

2002年08月31日 Mainichi INTERACTIVE
 長野県知事選は31日が選挙戦最終日。告示から17日間、本州最多の120市町村を駆け回ってきた候補たちは「最後のお願い」に声をからした。農山村を中心に一人で歩いた田中康夫氏。事実上の組織選を展開した長谷川敬子氏。一騎打ちの様相を見せる2人には選挙戦でも「手法」の違いが表れた。県民はどんな審判を下すのか。1日、投開票される。 【宍戸護、冨所卓也】

 田中氏は午後7時から、松本市の公園に約600人を集めて最後の訴え。「私がやってきた1年8カ月の改革を進めることが長野だけでなく、全国の市民に希望を与えること」と強調した。

 田中氏は選挙戦で日中、人口の少ない町村を回り、夜は市部で集会というパターンを繰り返し、“効率”の悪い町村部に比重を置いた。「住民の数の多い少ないを考えて選挙をしたくない」(田中氏)という。

 町村部では山道を歩きながら、つえをついたお年寄りに声をかけたり、「(畑作業で)手が汚れているから」と遠慮する女性の手を握り締めた。

 窓から手を振る人がいたら、目の前には誰もいないのに、その場で演説を始めるなどのパフォーマンスも見せ、県民一人一人に語りかけるという姿勢を強調。選挙カーにも女性アナウンス係を乗せず、自分でマイクを握った。

 長谷川氏のフィナーレはJR長野駅前。午後6時40分すぎ、長谷川氏は約300人を前に「(知事と県議会の)対立状態に終止符を打ち、長野に議会制民主主義を取り戻したい」と訴えた。

 「組織なし」を強調して出馬した長谷川氏だが、陣営は選挙戦3日目、県議や市町村長に公然支援を要請。以降は県議の後援会や業界団体が主催する集会への出席が中心で、1日で18回の集会をこなした日も。ただ「私の後ろに大きな組織がついているとか、操り人形だとか言う人がいるが、大きな間違いだ」とも訴え続けた。

 パフォーマンスも嫌っていたが選挙戦後半、観光客でにぎわう長野市の善光寺を訪問。メディアが取り上げそうな「絵になる光景」も演出。キャッチフレーズ「台所からの発想」も途中で「きっちりと長野県。みんなで長野県。」に変更した。

長野県知事選:田中氏支持広げる 長谷川氏追う展開 本紙調査

2002年08月26日 Mainichi INTERACTIVE
 田中康夫氏(46)の知事失職に伴う長野県知事選(9月1日投開票)について毎日新聞社は23〜25日、県内の有権者を対象に電話世論調査を実施した。その結果と取材を総合すると、再選を目指す田中氏が県内全域、全年代に支持を広げ、長谷川敬子氏(50)が追う展開となっている。

 「『開かれた県政改革』の継続」を掲げる田中氏は郡部を中心に草の根選挙を展開、共産党の「勝手連的」な支援も受ける。20代の6割強、30〜50代の6割弱に浸透し、特に女性からの支持は50%台半ばに上る。民主支持層の6割弱、共産支持層の9割弱を固め、自民支持層の一部にもくい込む。無党派層でも6割弱に浸透している。

 「対話による真の改革」を唱える長谷川氏は、「反田中」の自民、民主系県議や市長らが前面に出て支援。自民支持層の約6割、公明支持層の5割強を固めたが、民主支持層で4割弱、無党派層で2割強にとどまる。男性の4割弱が支持するが女性は3割弱。出身地の県南部以外では十分浸透していない。

 だが投票する候補者名を挙げない人も1割強おり、終盤の戦い次第で情勢は変わる可能性がある。 【西田進一郎】

 調査方法 長野県の電話帳から1000世帯の電話番号を無作為抽出して23〜25日、電話で調査し、有権者656人から回答を得た。回答率66%。世帯電話番号の電話帳への掲載率は推定76%。集計の際、世帯ごとの有権者数や電話の本数などを考慮して補正した。

長野県知事選:長谷川氏を組織支援へ 県議と市町村長

2002年08月18日 Mainichi INTERACTIVE
 田中康夫氏(46)の知事失職に伴う長野県知事選で、県内の主な市町村長と県議会4会派(共産党を除く)が「反田中」候補の長谷川敬子氏(50)を、公然と組織的に支援する見通しとなった。17日、後援会の要請を受け、県議会会派幹部と有力首長らが「心を一つにした積極支援」の方針で一致した。選挙戦3日目。「個人の立場で支援」からの戦術転換で、「前知事VS県議会・首長」の構図が選挙戦の前面に躍り出そうだ。

 17日、長谷川氏後援会の代表世話人、市川隆司・連合長野会長が呼びかけ、鷲沢正一・長野市長、県市長会長の有賀正・松本市長、県町村会(103町村長)会長の唐沢彦三・小布施町長、県議会最大会派・県政会の石田治一郎名誉団長らが長野市内に集まった。

 席上、市川会長が積極的支援を求め、参加者は組織、団体の結集を了承した。連合長野と県議、首長らが共闘して応援演説などをする意向だ。

 17市のうち16市長は了承する見通しで、県議会4会派は18日に、町村長有志も週明けにそれぞれ会合を開いて確認する。

 県議、首長らは前回00年、副知事出身候補を組織的に推し「翼賛選挙」と批判を浴びたため、今回は個人的に支援する立場を取ってきた。だが「街頭演説で人の集まりが悪い」(遊説責任者)「全く選挙にならない」(市川会長)との危機感が要請の背景にある。市川会長は自民、民主、社民各党の県選出国会議員にも同様の要請をした。

 長谷川氏自身は17日午後6時、報道陣から指摘されるまでこの事実を知らず、約2時間後に「私からは要請しない。勝手に支援してくださるということ」と語った。

 県議らの動きに、田中氏は「(自分に)民主主義を教えてくれた人たち(県議、市長ら)がお考えになったこと。大変に深い理念に根付いているお考えでありましょう」と皮肉を込めた。 【西田進一郎、木村健二】

長野県知事選:「失職・再出馬」是非も 「不信任」の正当性は

2002年08月15日 Mainichi INTERACTIVE
 今回の長野県知事選は、ともに選挙で選ばれた知事と県議という「二つの民意」のねじれに端を発している。ねじれの解消を、議会との調整ではなく出直し選挙に委ねた田中康夫前知事の判断については、「地方自治制度の趣旨に反する」との考え方がある一方、県議会の知事不信任決議そのものを不当とする識者の意見もある。地方自治法が想定していなかった「失職・再出馬」の是非も争点となる。

 県議会が7月5日に不信任決議案を可決したことを受け、田中氏は同15日、議会の解散ではなく自らの失職、再出馬を表明し、改めて県民の信を問う選択をした。議会を解散しても、県内各地の有力なボスである県議の顔ぶれがほとんど変わらず、むしろ議会側が「選挙の洗礼を受けた」として勢いづくことを懸念したからにほかならない。

 しかし、「首長は不信任議決の通知から10日以内に議会を解散できる。解散しないときは職を失う」と定めた地方自治法178条の規定については、「失職は不信任決議に至った失政を自ら認めたということ。失職する知事が再出馬することは通常は考えられない」(総務省行政課)との考え方が前提にある。このため、不信任を受けた首長は、自分が正しいと考えるならば、失職ではなく議会の解散を選ぶべきだとの意見は根強い。

 これに対して、北海道大大学院の山口二郎教授(行政学)は「議院内閣制の首相とは異なり、選挙で直接選ばれた知事が責任を負っているのは県議会ではない。不信任は、よほどの非行や公約違反などに限られるべきで、今回のケースがそれに当たるとは思えない」と指摘し、議会側の不信任決議にこそ問題があるとの立場に立っている。 【鈴木直】

長野県知事選:争点は「田中康夫氏」 政策論争影うすく

2002年08月15日 Mainichi INTERACTIVE
 田中康夫前知事(46)の失職に伴う長野県知事選が15日、スタートした。ダム問題をはじめ政策論争がかすむ中、「反田中」候補は、こぞって田中氏の「資質」に的を絞り始め、「独善的な田中氏では、県議会とのねじれは解消できない」と批判。一方、「ウルトラ無党派」を自任する田中氏は、「今回も組織を持たない挑戦者」と強調、選挙戦の争点は、「田中氏その人」へと収れんしそうな雲行きだ。異例ずくめの選挙戦は9月1日投開票。告示日のこの日、見えてきた選挙戦の対決構図は――。 【西田進一郎、木村健二】(後略)

長野県知事選が告示

2002年08月15日 The Sankei Shimbun
 県議会から不信任決議された田中康夫前知事(46)が「民意を問い直す」として失職したことに伴う長野県知事選が15日、告示された。投開票日は9月1日。

 再選を目指す無所属の田中氏に挑む形で立候補を予定しているのは、いずれも無所属新人で、弁護士の長谷川敬子氏(50)、経営コンサルタントの市川周氏(51)、元会社員の中川暢三氏(46)、会社社長の三上誠三氏(52)の4氏。

 一度は出馬を正式表明した元産経新聞論説副委員長の花岡信昭氏(56)は、反田中票の分散防止を理由に出馬を辞退した。長谷川氏と政策協定を結んで同氏を支援する。

 田中氏以外の主要な立候補予定者は「脱ダム」の理念を「時代の流れ」と評価しながらも、県議や市町村長と衝突することが多かった田中流の改革手法を激しく批判。また、公共事業に代わる経済対策も争点となりそうだ。

 前回の知事選でこぞって田中氏の対立候補を支援し「大政翼賛」と批判を浴びた県議会各会派や市町村長、各政党は、無党派層の反発を恐れ、ほとんどが自主投票を決めているが、大半が長谷川氏を水面下で支援する見通し。

 長野県選管によると、14日現在の県内の有権者数は176万7797人。

長野知事選:15日告示 田中VS反田中の構図鮮明

2002年08月13日 Mainichi INTERACTIVE
 長野県知事選は15日、告示される。ダム問題や政治手法を巡って県議会から不信任された田中康夫知事(46)の失職に伴う。共に県民から直接選ばれた「知事―県議会」の対立という「民意のねじれ」を背景に、改めて民意を問う選挙は、「反田中」を掲げる5新人が前知事に挑む構図となる。投開票は9月1日。

 新人側は「議会との対話」などを訴え、「田中VS反田中」の構図は政治手法では鮮明だ。その半面、主な新人は「脱ダムの理念は尊重する」立場で、建設中止を田中氏が唱える県営浅川、下諏訪2ダムへの判断は棚上げし、政策的な争点は見えにくい。

 一方、田中氏を含め6人とも無所属で政党の推薦・支持も受けない意向で、異例の総「無党派」の戦いとなる。ただ、共産党は「勝手連」的に田中氏を支援。自民党県連は事実上、長谷川敬子氏(50)を推す。田中氏と確執を深めた県議や市長の多くは「個人の立場」で長谷川氏を支援する。

 00年10月に初当選した田中氏は、オール野党だった議会と当初から対立。「脱ダム」宣言に基づき今年6月、2ダムの中止を表明して、両者の溝は決定的になった。不信任決議(7月)を受けた田中氏は議会解散権を行使せず、失職を選んだ。 【西田進一郎】

長野知事選:無党派、戦後派、初もの尽くし 6候補予定者

2002年08月13日 Mainichi INTERACTIVE
 立候補予定者6人が全員「無党派」を掲げるのが初めてなら、6人とも戦後生まれも初めて。15日、告示される長野県知事選。告示日が終戦記念日というのも国政選挙や知事選では過去に例がない。お盆のさなか、長野では予想のつかない初もの尽くしの選挙がスタートする。

 今回の知事選は6人全員が政党の推薦・支持を受けない無党派で「草の根選挙」を展開するのが特徴。このため、各陣営からは一様に「選挙用ポスターを張る人手がない」という嘆きがもれる。

 「まだ、ポスターを張るめどが立っていない所がいっぱいあるんです」。前知事の田中康夫氏(46)は13日、長野県松本市で開いた集会で呼びかけた。長野県は面積約1万3585平方キロと47都道府県中、4番目の広さ。ポスター掲示板は1万1473カ所に上る。過去の知事選では、ほとんどの候補が告示日1日間で全掲示板にポスターを張り終えた。

 田中氏の選挙戦は後援会「しなやかな長野県をはぐくむ会」が担うが会員は約1400人。あとはボランティアが頼りだ。

 弁護士の長谷川敬子氏(50)も連合長野(約14万5000人)の推薦を受けたが、夏休み中の組合員が多いうえ、自らの選挙組織はやっと役員を決めた程度で選挙期間中の遊説日程さえできていない。

 経営コンサルタント会社社長、市川周氏(50)▽元会社員、中川暢三氏(46)▽前産経新聞論説副委員長、花岡信昭氏(56)も既存組織の支援はなく、10人程度の学生ボランティアや出身高校のOBたちが応援する。

 総務省によると、会社社長、三上誠三氏(52)を含め、立候補を予定する6人全員が戦後生まれという知事選は例がない。8月の知事選は50年8月に知事が辞職した香川県などがあるが、15日告示というケースもない。同日「平和安全県民祭」を開く松本市の護国神社は「できるだけ静粛に進めたい」と選挙カーの“騒音”を心配する。 【木村健二】

「羽柴誠三秀吉」さん 長野知事選出馬を正式表明

2002年08月05日 The Sankei Shimbun
 青森県の観光会社社長、三上誠三氏(52)が5日、長野県庁で記者会見し、田中康夫前知事の失職に伴う県知事選への出馬を正式表明した。立候補を明らかにしたのは6人目。

 三上氏はこれまで「羽柴誠三秀吉」の名前で東京都や大阪府の知事選などに出馬しており、今回は「羽柴秀吉」での立候補を希望している。長野県選管は「戸籍上の氏名に代わる名前として通用しているかを判断するので資料などの提示を求める」としている。

知事選出馬 長谷川氏が正式表明

2002年08月03日 信濃毎日新聞
 知事失職に伴う十五日告示、九月一日投開票の知事選で、弁護士の長谷川敬子氏(50)=飯田市=が二日、松本市と長野市で集会を開き、立候補を正式表明した。「県政にさまざまな問題があるのに、対立候補が出ずに前知事が再選されるのは長野県にとって大変なことだ。県内の女性たちと話をして、傍観者ではいられないと思うようになった」と述べた。政策は八日に発表する。これで知事選立候補表明者は五人となり、選挙構図がほぼ固まった。

 長谷川氏は田中前知事の「脱ダム」方針について「前知事固有の理念ではなく、多くの人が考えている。治水を論じずに宣言しただけで、解決になっていない」と批判。県営浅川ダム(長野市)などについては「県は工事中断で賠償金を支払っており、期限を切って早い時期に結論を出さないといけない」と述べ、建設の是非には踏み込まなかった。

 「前知事が理念として示した改革は後退させるつもりはない。そうした理念を対話によって実現させていく」と強調。女性の社会参加をさらに進める考えも表明した。

 長谷川氏は下伊那郡泰阜村出身で、静岡大卒、一橋大大学院修了。県弁護士会副会長、日本弁護士連合会「両性の平等に関する委員会」委員、県公共事業評価監視委員などを歴任。飯田女子短大非常勤講師などを務めている。

 知事選ではこれまでに、前職の田中康夫氏(46)=長野市=と、いずれも新人で、長野市出身で前産経新聞論説副委員長の花岡信昭氏(56)=東京都江東区=、元会社員で信大大学院生の中川暢三氏(46)=同大田区=、木曽郡南木曽町出身で経営コンサルタント会社代表の市川周氏(50)=同多摩市=が立候補を表明。観光会社社長三上誠三氏(52)=青森県金木町=も、五日に立候補表明する見通しだ。

都知事のブレーンが出馬表明 長野知事選

2002年07月29日 The Sankei Shimbun
 田中康夫前知事の失職に伴う長野県の出直し知事選に、同県出身で石原慎太郎東京都知事が主宰する政策シンクタンク「一橋総合研究所」理事の市川周氏(50)が29日午後、県庁で記者会見し出馬を正式表明した。青森県の会社社長も同日出馬を表明、立候補予定者は6人となった。

 市川氏は一橋大経済学部を卒業。三井物産に勤務した後、コンサルタント会社を設立した。

 既に田中氏、元産経新聞論説副委員長の花岡信昭氏(56)、元会社員中川暢三氏(46)の3人が正式に出馬を表明。長野県飯田市の弁護士長谷川敬子氏(50)も出馬への意向を固めている。

 この日、観光会社社長羽柴誠三秀吉氏(52)も出馬を明らかにした。

長野県知事選、長谷川敬子氏が出馬へ

2002年07月27日The Sankei Shimbun
 田中康夫前知事の失職に伴う長野県知事選に出馬を検討していた同県飯田市の弁護士、長谷川敬子氏(50)は27日午前記者会見し、「身近な人から応援されて気持ちが高まってきている。(8月)2日に表明します」と述べ、立候補する意思を明らかにした。

不信任決議後も高い田中氏の支持率から、対立候補は出にくいともみられたが、既に元産経新聞論説副委員長の花岡信昭氏(56)、元会社員で信州大大学院生の中川暢三氏(46)が出馬を表明。東京都の経営コンサルタント市川周氏(50)も29日に公式に表明する予定で、計5人の候補による争いとなる。

 今後「脱田中」候補の一本化の動きが出ることも予想される。

 長谷川氏は長野県公共事業評価監視委員会の委員も務め「脱ダム」宣言による田中前知事の政治手法に批判的な見解を持つ。一橋大大学院を修了。県内初の女性弁護士で、女性問題にも詳しい。

 長谷川氏は市民団体から相次いで出馬を要請されており、26日夜の集会の際も「皆さんと一緒に頑張りたいという気持ちは高まってきている」と述べていた。

長野知事選に花岡氏が出馬へ

2002年07月24日The Sankei Shimbun
 田中康夫前長野県知事の失職に伴う出直し知事選について、前産経新聞論説副委員長の花岡信昭氏(56)=東京都江東区=が24日、立候補の意向を明らかにした。

 また市民団体から出馬要請を受けている長野県飯田市の弁護士、長谷川敬子氏(50)も「あるとき踏み込んで決断することになると思う」と、名前が挙がって以来初めて前向きな姿勢を示した。

 世論調査などで圧倒的人気を誇る田中前知事だが「脱ダム」が焦点の一つとなる長野知事選に対立候補がそろってきた。

 花岡氏は「脱ダムの理念はいい。ただ、田中前知事は、議会や県職員、市町村長と議論を尽くしておらず、本当の民主主義とは言えない。田中前知事は公的な役職には向かないのではないか」と立候補の理由を話した。25日に長野市内で会見し発表する予定。花岡氏は無所属で立候補。推薦などは決まっていないという。

 長谷川氏は飯田市の事務所で「(出馬に)前向きになったのは間違いない。(可能性は)50%より少し動いている」と記者団に話した。

 花岡氏は長野市出身で長野高校、早大政経卒、1969年、産経新聞入社。編集局政治部長などを歴任。24日、同社が辞表を受理した。

 長谷川氏は一橋大大学院修了。長野県公共事業評価監視委員会の委員を務め「脱ダム宣言」による田中前知事の政治手法を批判していた。

共産など田中氏を勝手連的に支援 【長野県知事選】

2002年07月23日The Sankei Shimbun
 共産党長野県委員会など38団体で作る「明るい県政をつくる県民の会」は23日、田中康夫氏の知事失職に伴う長野県知事選に独自候補を擁立せず、田中氏を勝手連的に支援していくことを決めた。

 同会は新日本婦人の会長野県本部、長野県労連などで構成。田中氏への不信任決議では、共産党県議団が会派として唯一反対票を投じていた。

 同会は田中氏への不信任決議を「公共事業の見直しという公約を守っているのが気に入らないという理由で、多数の力で押し切った暴挙」と批判し、「田中前知事が選挙に勝利することこそ県民的審判になると確信する」としている。

知事選の準備本格化 田中知事、失職・出馬

2002年07月15日The Sankei Shimbun
 長野県の田中康夫知事が15日、失職を選択するとともに出直し知事選に出馬を表明したことを受け、同氏の後援会やアンチ田中氏の県議会側は、それぞれ知事選の準備を本格化させた。

 昨年8月に発足した田中氏の後援会「しなやかな長野県をはぐくむ会」(会員数約1100人)の穂苅甲子男会長は「県土が広いので知事の支援の輪をどう広げるかなど、これから相談を始める」と話す。

 同会は企業経営者らが中心で、近く後援会活動を休止し、選挙用の政治団体に衣替えする予定だ。前回の知事選で、「勝手連」として田中氏を支援した住民団体との連携も模索する。

 一方の県議会側は対立候補探しに苦闘中。最大会派県政会は、長野市出身の元経企庁長官田中秀征氏に出馬要請するはずだったが、要請する前に断られ、地元の市長ら別候補の擁立工作にも全力を挙げる。

 第2会派の政信会も、同じ長野市出身の作家猪瀬直樹氏に打診したが、受諾は難しいとの認識を示した。今後、複数の人にアプローチする中で「県政会などと一本化させたい」という。

 知事も県議も信を問い直すべきとの世論が強いことなどから県政会が模索した「自主解散」は、他会派に反対があるため可能性は極めて低い。

田中知事、失職して再選目指す公算強まる

2002年07月14日 Yomiuri On-Lite
 今月5日に県議会から不信任を受けた長野県の田中康夫知事は、議会を解散せず、失職して出直し知事選で再選を目指す公算が強まった。13日夜、知事と懇談した後援会の穂苅甲子男会長が「知事が直接言ったわけではないが、(知事は失職して)単独の知事選をやる覚悟のようだ」と語った。しかし、知事自身は「15日にお話します」と、同日午後に予定されている会見で態度を明らかにすることを、改めて報道陣に強調した。

 田中知事は、県議会側の知事選候補者の擁立作業が進んでいない現状や、不信任後の世論調査で高い支持率が明らかになったことなどから、知事選になれば再選は確実と見て、「失職、再出馬」を選択するとみられる。

 地方自治法では、不信任を受けた首長は10日以内に議会を解散しないと失職するため、田中知事は16日午前零時で失職。その後50日以内に知事選が行われる。

不信任退席議員を除名 長野の県政会

2002年07月08日The Sankei Shimbun
 長野県議会の最大会派県政会(31人)は8日、田中康夫知事の不信任決議案の採決の際、投票せずに議場を退席した同会派所属の3人のうち、退団届を出している2人を除名処分にしたと発表した。残る1人は直接事情を聴いた上で処分を決定する。

 同会派の佐藤良男統制委員長は処分理由を「(不信任に賛成で)統一行動をすると確約をしていたはず。統制を乱す許しがたい行為」と述べた。

 県政会所属議員はこれで計29人。現在、全議員は60人のため、これまで占めていた過半数を割ることになった。

 除名処分になった2人は議場を退席した際「(田中知事を選んだ)県民の意向を重んじなければならない」などと語っていた。

田中知事、結論は「県民の声に耳を澄ませて」

2002年07月05日 Yomiuri On-Line
 田中康夫・長野県知事は7日、テレビ朝日の報道番組に出演し、不信任を受けて県議会を解散するか、知事を失職するかの選択について、「(期限である)15日深夜までに、県民の声に耳を澄ませて判断する」と述べ、結論までにはなお時間がかかることを示唆した。

 知事はこの後、熊本県錦町で講演し、「脱ダム」の持論を展開。同県の川辺川ダム建設計画が「安楽死することを願って」と、自ら音頭を取って聴衆と1本締めをした。

田中知事の不信任案可決 長野県議会

2002年07月05日The Sankei Shimbun
 「脱ダム」宣言に代表される田中康夫知事の政策や政治手法に反発している長野県議会(60人)の最大会派県政会など主要三会派は、6月議会最終日の5日、「稚拙ともいえる政治手法によって県政の停滞と混乱を招いた」などとする田中知事の不信任決議案を本会議に共同提出、賛成多数で可決した。49人が投票し、賛成は44、反対は共産党の5だった。

 知事不信任案の可決は、記録がある1957年以降、汚職事件に絡む76年の岐阜県知事の1件だけ。政治手法をめぐる知事不信任は初めてとなる。

 田中知事は今後(1)10日以内に議会を解散(2)10日経過後に自動的に失職(3)10日以内に辞職(4)10日以内に議会を解散し自らも辞職−のいずれかを選ぶ。知事は辞職や失職による出直し知事選に出馬、引き続き県政運営に意欲を持っているとされる。

田中知事の不信任案提出決定 主要3会派

2002年07月04日The Sankei Shimbun
 田中康夫知事に対する不信任決議案について長野県議会の主要3会派は4日午後の代表者会議で、6月議会最終日にあたる5日の本会議に共同で提出することを決めた。

 提出を決めたのは、民主系と自民系が同居する最大会派の県政会31人、県政会から飛び出た政信会9人、民主・公明系の県民クラブ8人。

 地方自治法によると不信任案の可決には議員の3分の2以上が出席し、出席者の4分の3以上の賛成が必要になる。

 長野県議60人のうち、知事を事実上支持している共産党5人は反対に回るが、田中知事の政治手法に批判的な社民党系の社会県民連合7人は、採決では議場を退出する構え。これにより40人の賛成で可決でき、3派の議員数は計48人のため、多少の脱落者が出ても可決される公算が大きい。

長野県議会:田中知事の不信任決議案 提出する方向で調整

2002年06月26日 Mainichi INTERACTIVE
 長野県議会は、田中康夫知事の県営ダム建設の中止決定をめぐって紛糾し、最大会派の県政会(31人)は28日、知事に対する不信任決議案を開会中の6月定例県議会に提出する方向で他会派との調整に入った。提案時期は、会期末の7月5日の提案を目指しているが、これまで統一歩調を取ってきた主要4会派の中では提案に慎重な議員もおり、現在60人の議会に決議案が提出されても可決されるかどうかは微妙だ。

 田中知事は就任後、01年2月の「脱ダム」宣言などをめぐり、ダム推進派が多数を占める県議会の主要4会派と対立を続けてきた。対立は、田中知事が25日に2県営ダムの建設中止を発表したことから一気に高まり、26、27の両日には田中知事の答弁などをめぐって再三議会が中断。27日夕には、田中知事が議長の制止を振り切って「脱ダム」宣言の理念や4会派への批判を述べたため、議長が休会にし、ほとんどの議員が退場しても答弁し続けるなど混乱していた。

 県政会は、28日の一般質問の中で団長の下崎保議員が「知事をどうするか、考える時期にきている」と主張。「これ以上の県政の停滞と混乱が続くことは、真の県民の利益につながらない」(下崎議員)として不信任決議案を提出する方針を固めた。

 こうした動きについて田中知事は「承知しているが、現実に今日は不信任案は出なかった。私たちが提出した議案を来週の委員会でご審議なさるということですから、車の両輪として県政を一緒に運営していこうというお気持ちが、いまだ強くあられるととらえている」と話し、議会混乱の収拾に自信を示した。

 地方自治法では、不信任案の可決には議員数3分の2以上の出席で、その4分の3以上の賛成が必要。可決されると、知事は10日以内に議会を解散しなければ失職する。 【西田進一郎、木村健二】


田中長野県知事側近の杉原特別秘書が4月初めに辞任へ

2001.03.09(21:11)asahi.com
 田中康夫・長野県知事が就任時に選任した「側近」の杉原佳堯(よしたか)特別秘書(35)が4月上旬に辞任する考えを固め、田中知事に伝えた。杉原秘書が9日、朝日新聞に明らかにした。

田中知事の「脱ダム宣言」めぐり厳しい論戦 長野県議会

2001.02.28(22:15)asahi.com
 長野県議会2月定例会の会派の代表質問が28日始まり、田中康夫知事が表明した「脱ダム宣言」をめぐり、激しい論戦が展開された。

田中知事、「脱ダム宣言」反映した予算案提出

2001.02.22(22:55)asahi.com
 未着工ダムの建設を原則中止する方針を表明した長野県の田中康夫知事は22日、下諏訪町に計画されている下諏訪ダムの建設費約2億3000万円分を減額した県の新年度一般会計予算案を2月定例県議会に提出した。「脱ダム宣言」は直前まで担当職員にすら知らされず、唐突に発表されたため、県議会内には「独断専行だ」と知事を追及する動きもあり、新年度予算案の審議は波乱含みだ。

未着工ダムの原則建設中止に疑問 扇国土交通相

2001.02.20(12:36)asahi.com
 扇千景国土交通相は20日の閣議後の記者会見で、田中康夫長野県知事のダム中止の方針について、「何でもやめればいいというものではなくて、利水、治水の面から本当に検討されたのかどうか。少なくとも私たちは、ただ公共事業をしたいからしているのではなく、国民の財産、生命を守るという基本姿勢のうえにたって計画したことだ」と話し、未着工ダムの原則建設中止に疑問を示した。

 ただ、「利水量については工業地帯がなくなったから少し必要ないのでは、ということも時代とともに精査している。私どもが昨年暮れに公共事業を見直し、ダムを中止したのもかなりある。私はかねがね、真に国民のためになる公共事業と言っているから、それに適合するかどうかは精査しなければならない」とも述べた。

田中長野県知事、「脱ダム宣言」 新治水策を模索

2001.02.20(13:28)asahi.com
 長野県の田中康夫知事は20日、記者会見を開き、「長野県においてはコンクリートのダムを造るべきではない」とする「脱ダム宣言」を発表し、県が建設を計画している11のダム事業のうち、本体工事に着工していない8カ所程度のダムの建設を原則中止すると正式に表明した。代わりに、森林整備で自然の保水力を高める新たな治水策を模索する考えを示した。これまでダム建設を重要な選択肢にしてきた国内の治水事業のあり方に一石を投じる一方、今回の決定について、県庁内の部局との調整はなく、今後、議会や流域住民との間で議論となりそうだ。

田中知事、皇太子ご夫妻に「やっしー」と名刺プレゼント

2001.02.18(22:06)asahi.com

田中知事の予算案説明をネットで中継 長野県議会から

2001.02.13(01:18)asahi.com
 中継を見る場合は、長野朝日放送のホームページ(http://www.abn-tv.co.jp/)から、「インターネット中継」をクリックする。

田中康夫・長野知事と県民との直接対話始まる

2001.01.19(20:03)asahi.com
 長野県の田中康夫知事がガラス張りの知事室で県民から県政への要望を聞く懇談会「ようこそ知事室へ」が19日、初めて開かれた。田中知事が選挙公約の1つに掲げていたもので、応募のあった87組から田中知事自らが抽選で10組24人を選び、1組15分ずつ面会した。今後も月2回のペースで開く。

長野県庁で阪神大震災への黙とう中止 田中知事の指示で

2001.01.17(19:52)asahi.com
 中止の理由について田中知事は同日午後の定例記者会見で「1月17日だけ黙とうを行うことで、災害の防止に対して真しであるように見せるのは、ポーズ以外の何ものでもない」と中止の理由を説明した。

 田中知事はまた、「天災は100パーセントは防げない。いかに被害を最小限にくい止め、いかに精神的な意味での再生を行うかが大切。お金をさほどかけずに出来ることもあるのに、行政のリーダーは大震災から、そうした姿勢を学び取っていないのではないか」と国や神戸市の震災後の対応を批判した。

 また、神戸市が同日から60億円を費やして始めた「神戸21世紀・復興記念事業」についても、「空虚なセレモニーをやるような街に未来はないと思う」と批判した。

田中知事が年頭あいさつ

2001.01.04 The Sankei Shimbun
 田中康夫長野県知事は四日の仕事始めのあいさつで「精神的豊かさを実感できるよう(予算案で)外科手術を施す」と述べ、二月定例議会に提案する二○○一年度予算案で独自色を出したいとの意気込みを示した。

 また同知事は記者会見で「県職員と企業、市町村など(各自治体)と人事交流を行う」などと組織改革の必要性を訴えた。

田中・長野県知事の冬休み、欧州旅行など計15日

2000.12.28(20:55)asahi.com

知事選違反事件で、長野県が土木部幹部らを31人処分

2000.12.26(19:03)asahi.com
 
 10月の長野県知事選で落選した池田典隆前副知事への支援をあっせんしたとして、県土木部幹部らが公職選挙法違反に問われた事件で、同県は26日、県職員101人が事件に関与し、このうち31人を処分した、と発表した。残る70人は池田氏の支持者カードなどを受け取っただけで、働きかけはしなかったとして処分しなかった。

「部下を実名で批判」田中知事のコラムに県議かみつく

2000.12.14(21:27)asahi.com
 指摘されたのは、知事が今週発売の週刊誌「SPA!」(扶桑社)に執筆したコラム「田中康夫の愛の大目玉」。光家部長を、知事が中止を打ち出したダム事業に異論を差し挟んでいると評した。

名刺折り曲げ局長の教育長起用を撤回 田中・長野県知事

2000.12.11(20:29)asahi.com
 長野県の田中康夫知事は11日、辞職の意向を示している県教育長の後任含みで、田中知事から渡された名刺を折り曲げて批判を受けた藤井世高(ときたか)企業局長(59)を県教育委員に起用する方針を撤回し、代わりに県教育次長を教育委員とする人事案件を開会中の県議会に追加提案すると発表した。「名刺事件」が全国的な批判を浴びたことから、田中知事の起用方針後、県議会などから強い反発の声が上がっていた。

長野県知事室、1階に 「総ガラス張り」は県政の象徴?

2000.12.07(21:17)asahi.com
 広さ8.4メートル四方の正方形。工事費は、ドアの設置や床の張り替えなどで計246万円。知事と秘書3人分の机や、ソファなどはこれまで使っていたものを運び込んだ。田中知事は8日朝から、新知事室で執務を行う。

 3階にある旧知事室は閉鎖せずに、賓客の応接や重要な会合などで使用する予定だ。

名刺折り局長の教育長起用、認めぬ 長野県議会最大会派2000.12.06(09:28)asahi.com

名刺事件の企業局長を県教育長に起用 長野県の田中知事

2000.12.02(03:04)asahi.com
 長野県の田中康夫知事は1日、知事から受け取った名刺を折り曲げて批判を浴びた藤井世高(ときたか)企業局長(59)を、近く辞職する予定の県教育長の後任に起用する意向を固めた。8日から始まる12月県議会に藤井氏を県教育委員とする人事案を提出する。教育長は6人の教育委員から互選されるが、知事の意向が大きく働くため、人事案が承認されれば教育長に選任されることは間違いないという。

 藤井氏は、田中知事が初登庁した10月26日、知事が手渡した名刺を、「部下に名刺を配るものではない」として折り曲げた。その映像がテレビで放映されたため、全国から抗議の電話などが県庁に殺到。責任を取って辞表を提出したが、知事に慰留された。

 藤井氏は東京教育大教育学部出身で、企業局長になる前は教育次長を4年間務めていた。

田中長野知事の初議会に高い関心 スクリーン傍聴も用意 2000.12.01(20:14)asahi.com

塩尻市の管理職39人行政処分へ 長野知事選の選挙違反

2000.11.28(21:34)asahi.com
 長野県知事選をめぐり、当時の助役や部長ら8人が公職選挙法違反容疑で逮捕・書類送検された長野県塩尻市は28日、職員賞罰委員会を開き、刑事処分を受けていない部課長級の管理職計31人も事件に関与したとして、停職や減給などの行政処分が適当とする答申をまとめ、三沢光広市長に提出した。刑事処分を受けた管理職を含めると行政処分を受ける管理職は39人に上り、市の部課長級職員66人の半数以上を占める。

 答申によると、▽逮捕されて略式命令を受けた松村公夫・前総務部長が停職1カ月▽書類送検されて略式命令を受けた企画財政部、民生部、生涯学習部、経済部、建設部の5部長と水道局長が減給10%2カ月▽事件に関与したとして課長級以上の職員31人と、監督責任のある庶務課長の計32人が文書による訓告。12月1日付で処分を求めている。

田中・長野県知事、副知事を1人に絞り広く公募へ

2000.11.27(10:58)asahi.com
 長野県の田中康夫知事は27日、現在空席になっている副知事を県職員を含めて、広く一般から募集し1人選ぶことを決めた。田中知事は選挙中から、副知事を2人置く公約を掲げていたが「特別秘書が期待以上に仕事をしてくれている。さらに2人の副知事がいると迅速な判断が滞る恐れがある」と方針転換の理由を説明した。

 知事は先月26日の就任日に、神戸空港建設の是非を問う住民投票条例の制定を求める運動を通じて知り合った杉原佳堯(よしたか)氏(35)を特別秘書として採用している。

 選挙中「県職員から1人、もう1人は公募制で」と、副知事を2人置くことを公約に掲げていた。それを1人に絞り、県職員も含めて、広く一般に公募する方針。公募の方法などは早急に決めたいとしている。

 長野県の副知事は今年3月、前職の池田典隆氏が知事選出馬準備のため辞職して以来、空席になっている。

田中知事が「車座集会」、長野・川上村で

2000.11.25(21:11)asahi.com
 長野県の田中康夫知事は25日、公約だった県民と自由に対話する1回目の「車座集会」を同県川上村で開いた。山梨や埼玉との県境に接する人口5000人弱の山あいの村での集会に、周辺町村も含め住民ら約400人が出席。公共事業から教育、老人介護の問題まで、注文や要望が次々と出され、一つ一つに知事が回答した。

 発言者は約30人。公共事業を巡っては「地元の同意を得ないままダム建設を進めないで」との注文が出る一方、地域の県道や橋について「積極的に整備して」との要望が相次いだ。中には「僕は生まれた村に誇りを持っています」と宣言する高校生や、「来てくださってありがとう」とマイクを握って感謝するお年寄りもいた。

 田中知事は一人ひとりに「早急に検討します」「非常に参考になります」などと真剣な表情で回答した。同村が全国一のレタス産地であることについて、知事は「農家の活力は何より大切」と訴えた。集会は2時間の予定が3時間近くにも及び、知事は最後に「アマチュアの意識を持ったまま、プロに近づいていきたい」と語った。

 県民との直接対話は、選挙戦で「長野県に自由闊達(かったつ)な議論を復活させよう」と訴えた田中知事の公約。今後も月に2回、県内各地で開く計画にしている。

田中康夫・長野知事、大仏ダム建設中止の意向

2000.11.07(20:59)asahi.com
 「懸案の公共事業を白紙に戻す」ことを公約に掲げていた長野県の田中康夫知事は15日の記者会見で、25年前から同県松本市に建設が計画されている大仏(おおぼとけ)ダムについて「ダムという選択肢ではない形で、治水という観点から新しい方策を考えていきたい」と語り、ダム建設を中止する意向を明らかにした。大仏ダムは与党3党による公共事業の中止勧告を受け建設省から検討を求められていたが、県は田中知事が就任前の10月初め、事業継続の方針を決め建設省に伝えていた。

 田中知事は14日に現地視察し、住民との対話集会を開いた。15日の会見で「ダムを続行する理論というのは見いだし得ない」「25年間、県は人々の命を守るために何をしてきたのか」と述べ、中止の意向を、県の土木部に伝えた。

 大仏ダムは1975年に松本、塩尻両市の飲料水確保と薄(すすき)川の治水を兼ねた多目的ダム事業として計画が始まった。その後、両市が水利用への不参加を決めたため、事業目的は治水利用だけになったが、なお着工のめどは立っていない。総事業費は約396億円。これまで調査費など約11億5000万円が費やされている。

田中長野県知事がマンション入居 知事公舎は有効活用へ

2000.11.07(19:59)asahi.com
 長野県の田中康夫知事が、長野市中心部の賃貸マンションに入居することを決めた。今週末に引っ越しする予定で、知事が入居しない知事公舎は県民に一般公開したのち、施設と土地の有効活用を検討するという。田中知事は知事選の公約で「知事公舎には入居しない」とし、これまでホテルに仮住まいを続けていた。

 新居は善光寺に近いマンション9階の5LDK。玄関はオートロック式で、警備上も問題はなく、県警も特別な警備は行わないという。県庁までは歩いて10分もかからない。

 知事公舎は県庁のそばにあり、現在はまだ前知事の吉村午良氏が住んでいる。敷地は約2400平方メートルあり、私邸部分は5DK。公邸部分には応接室や査定室、ロビーなどを備えている。

 田中氏は選挙期間中から、「独身者の私に広い公舎は必要ない」「敷地に県政が変わったことを象徴するような施設をつくりたい」などと話していた。吉村氏が今月中に引っ越した後、いったん県民の見学を受け付ける計画だ。

 他の都道府県では東京都の石原慎太郎知事も「知事公館」を利用せず、以前からの自宅に住んでおり、都は公館を民間に月300万円で賃貸している。神奈川県には知事公舎はなく、岡崎洋知事は自宅から通っている。

田中人気にあやかり「なんとなくトリスタル丼」登場

2000.11.07(19:42)asahi.com
 田中康夫・長野県知事の小説「なんとなく、クリスタル」の名前にあやかった「なんとなくトリスタル丼(どんぶり)」が、長野市の県庁に近い食堂の出前メニューに登場した。

 田中知事も7日、秘書に勧められて昼食に注文し、「なかなかおいしいね」と平らげた。ご飯の上にキャベツの千切りととりの空揚げ、タルタルソースがかかっている。名前は材料の「とり」「酢」「タル」で「トリスタル丼」。

 11月いっぱい、毎週火曜日の日替わりメニューとして、県庁周辺へ出前する。初日の7日は、この日替わり出前メニューが県庁だけで通常の3倍、約50食の注文があった。思いがけない「田中効果」に食堂経営者もニンマリ。

長野県土木部ナンバー2技監も逮捕 前副知事支援を要請

2000.11.04(03:13)asahi.com
 長野県知事選をめぐる選挙違反事件で、県警は3日深夜、上司の地位を利用し、落選した池田典隆前副知事への支援を部下らに依頼したとして、県土木部土木技監の竹中照輝容疑者(57)=更埴市杭瀬下=を公職選挙法違反(公務員の地位利用)容疑で逮捕した。竹中容疑者は、同容疑で2日に逮捕された同部監理課長の小林淑朗容疑者(54)の上司。一連の事件で逮捕された県職員は4人目となり、県警は県庁内で組織ぐるみの違法行為がなかったか、さらに調べを進める。

 調べでは、竹中容疑者は9月下旬、すでに同容疑で逮捕されている県長野建設事務所長の中村実容疑者(59)と共謀し、中村容疑者の部下に対して同事務所内で池田氏の支持者カードを手渡し、投票を依頼した疑い。さらに、同じころ、県庁土木部監理課内で小林容疑者と共謀して、小林容疑者の部下に池田氏の後援会申込書を手渡し、投票を依頼した疑い。

 竹中容疑者は部長級の幹部職員で、同部では部長に続くナンバー2の地位にある。1965年の採用で、土木部都市計画課長などを経て、98年から土木技監に就いていた。

   ◇

 田中康夫・長野県知事の話 逮捕された人たちは容疑者であると同時に被害者でもある。彼らを追い込んでしまった2人(吉村午良前知事と池田氏)は、記者会見を開き、県民に説明する責任がある。

長野県土木部監理課長を逮捕 知事選選挙違反

2000.11.03(01:55)asahi.com
 長野県知事選で、落選した池田典隆前副知事への支援を、上司の地位を利用して部下に依頼したとして、同県警は2日深夜、県土木部監理課長の小林淑朗容疑者(54)=長野市平柴台=を公職選挙法違反(公務員の地位利用)容疑で逮捕した。今回の知事選で逮捕された県職員は、長野建設事務所長と同事務所次長に続き3人目だが、県庁本体からの逮捕者は初めて。

 調べによると、小林容疑者は9月下旬、部下の監理課職員に池田氏の後援会入会申込書を手渡し、投票を依頼した疑い。

 監理課は、土木部全体の予算の編成や建築業の許可・監督などを行う主要部署で、県内の各県建設事務所との連絡調整も行っている。県警は2日朝から同課職員約50人のうち、小林容疑者を含む約20人から任意で事情を聴いていた。

 知事選の選挙違反事件ではこれまで、塩尻市の助役と総務部長も地位利用の疑いで逮捕されている。

「名刺折り曲げ」長野県局長が復帰 知事へ期待空回り?

2000.11.01(16:54)asahi.com
 長野県の田中康夫知事から受け取った名刺を折り曲げ、抗議が殺到した責任を取って退職願を出したものの、知事の慰留を受け入れた藤井世高(ときたか)・県企業局長が1日、職場に復帰した。「事件」から6日間で県庁に寄せられた抗議は一万数千件。飯沢清・県公営企業管理者が藤井局長の退職願を公表したことに対する批判も寄せられ、相次ぐ騒動に県庁職員は戸惑いを隠せない。

 出勤した藤井局長は記者会見に応じた。「一連の言動に厳しい批判をいただき、自分のいたらなさを心からおわび申し上げます」。うつむき加減で陳謝した後、「知事は県民の代表であると同時に我々の最高の上司でもある。わざわざ部下に名刺を配るようなことをして、知事はどういう考えなのか。もっと知事らしくしてほしいという気持ちがあった」と期待感が間違った形で表れたと釈明した。

 実際、藤井局長を知る県職員たちは、なぜ名刺を折り曲げるような行動を取ったのか首をかしげた。知事選で県幹部の多くが池田典隆・前副知事を支持していた中で、藤井局長は「中立」を保ったと受け止められていたからだ。「田中知事に期待する思いが空回りしてしまったのでは」といった推測がもっぱらだった。

 名刺事件の前に行われた初の部局長会議。藤井局長が質問の口火を切り、田中知事がキャッチフレーズにしている「しなやか」という表現について、「抽象的でわかりにくい」と問いかけた。これが名刺事件の伏線となったと見ることもできる。

 この会議で発言した別の幹部2人も、知事選では中立的だったとされる。逆に、池田前副知事支持に動いたとされる幹部らは押し黙り、質問をしなかった。

 県庁に寄せられた抗議の中には、「県民が選んだ知事に逆らうのか」「県庁の古い体質を浮き彫りにした」といった批判のほかに、藤井局長あての弔電や、「死ね」「辞めろ」など脅迫的なものも目立った。

 インターネットの掲示板には藤井局長の住所や電話番号まで掲載され、自宅にも匿名や無言の電話がかかるなど、掲示板上でも「やりすぎ」と議論になっている。

 休日返上で出勤し抗議の電話を受けた県職員は「県民の中にある県庁への不満をひしひしと感じた。でも県庁イコール悪と言われると切ない」と話している。

上司が企業局長の慰留決定 長野の名刺折り曲げ騒動落着

2000.10.31(20:11)asahi.com
 長野県の田中康夫知事が差し出した名刺を藤井世高(ときたか)企業局長が折り曲げ、県庁に苦情が殺到した問題で、田中知事は31日、県庁内で記者会見し、責任を取って藤井局長が提出した退職願について「受理せず、藤井局長もこれを受け入れた」と発表した。田中知事のあいさつ回りに端を発した「名刺問題」は決着することになった。

 この日朝、藤井局長の任命権者の飯沢清・県公営企業管理者らと県庁内で話し合い、慰留を決定。飯沢氏から説明を受けた田中知事は「局長には県民の利益のため、これからもまい進してほしい」と話した。知事から直接、慰留された藤井局長は「新たに任命されたと思って、着実に仕事をしたい」と答えたという。

 藤井局長は29日、田中知事を訪ねて、謝罪。知事は「長野県を思う気持ちが粗削りな形で出た」として、藤井局長を慰留する意向を示していた。

 テレビニュースが「名刺事件」を放映した26日夜以降、県内外から抗議の電話やファクス、電子メールが県庁に相次ぎ、31日朝までに抗議は1万件を超える騒ぎに発展した。

 一方、飯沢公営企業管理者が30日の記者会見で、藤井局長の退職願の中身を報道陣に公表したことで、田中知事は「(退職願は)人生を左右するもので、(退職願の公表は)私が申し上げている情報公開とは全く逆だ。ショックを受けている」として、飯沢公営企業管理者に直接口頭で注意した。飯沢氏は「軽率だった」と陳謝した。

あいさつ回りも「田中流」、長野県知事が東京で

2000.10.30(12:52)asahi.com
 長野県の田中康夫知事が30日朝、上京し、官公庁へ就任のあいさつ回りをした。国会議員や政党訪問の慣行を取りやめるなど今回も「田中流」。県庁内のあいさつ回りでは幹部職員に名刺を折られる一幕もあったが、この日は相手方と和やかに名刺を交換した。

 午前9時すぎ、長野新幹線でJR東京駅に到着した田中知事は、その足で県内に高速道路網を持つ日本道路公団へ。藤井治芳総裁らとの名刺交換の際には観光県であることを強調し、「トンネル内で携帯が切れないようにしたい」と、協力を求めた。

 同県ではこれまで、知事の就任・再任のあいさつ回りの際は決まって県選出の国会議員や自民党などを訪れていた。今回も、秘書課が訪問先としてリストアップしていたが、田中知事が「必要性を感じない」と取りやめた。約40カ所あった立ち寄り先も20カ所に減らした。

 この日は午前中、自治省や建設省など霞が関を中心に回った。「すぐに交代する大臣ではなく、継続的に仕事に取り組む事務方に会いたい」と、事務次官らと面会。自治省では二橋正弘事務次官が「知事や市町村長は身内のようなもの。いろいろ相談して下さい」と激励。田中知事は「ヒヨッコですので厳しく育てて下さい」とにこやかに答えた。 建設省では小野邦久事務次官らと面会。田中知事は「私は公共事業ノーなどということは、1度も言ったことはありません。公共工事のあり方を考えていきたい」と述べ、同席した小川忠男官房長が「建設事業は時間のかかるものなので、いろんな方の話を聴いて慎重に進めていきましょう」と応じた。

藤井局長が退職願を提出 田中知事の名刺折り曲げ問題で

2000.10.30(11:19)asahi.com
 長野県知事に就任した田中康夫氏が県庁内を回った際、差し出した名刺を藤井世高(ときたか)県企業局長が折り曲げ、県庁に苦情の電話などが殺到している問題で、30日、藤井局長の任命権者である飯沢清・県公営企業管理者が記者会見を開き、藤井局長が29日夜に退職願を提出した、と発表した。飯沢公営企業管理者は「知事と相談したい」と退職願を預かり、近く田中知事と相談することにしている。

 この問題では、29日午後、藤井局長が長野市内のホテルで、田中知事に謝罪。藤井局長が退職願を出す意向を示していたが、田中知事は慰留する考えを表明している。

 29日までに、企業局だけで抗議の電話やファクス、Eメールが約7500件にのぼった。知事への謝罪後も「本当に辞めるのか」といった内容の電話が県庁に相次いでいる。

長野県企業局長が田中知事に「名刺折り曲げ」謝罪

2000.10.29(22:23)asahi.com
 長野県の田中康夫知事(44)が差し出した名刺を藤井世高(ときたか)・県企業局長(59)が折り曲げ、県庁に苦情の電話などが殺到した問題で、藤井局長は29日、田中知事を滞在中のホテルに訪ねて謝罪した。知事は「雨降って地固まる、まあ、雨の降り方は多少、谷崎潤一郎的な(しとしとした)降り方ではなかったかもしれないが、地を固める雨だったと理解している」と話し、この問題の収束を願う考えを示した。藤井局長はけじめをつけるため、30日に退職願を提出するが、知事はこれを受け取らない意向だ。

 藤井局長は27日に謝罪の申し入れをしていたが、田中知事が「きのうのきょうでは冷静になれないでしょうし、話し合いには十分な時間も欲しい」として、この日に設定された。

 約2時間にわたる会談の終了後、藤井局長と並んで記者会見した田中知事は「(局長の行動は)長野県を思う気持ちが粗削りな形で出たが、長野県を良くしていこうという点では一致している。今回の件にひるむことなく、互いに建設的な、創造的な緊張関係のある議論を交わしあえるような長野県をつくっていくことが、県民や国民にこたえる唯一の方策だ」と話した。

 一部インターネットの掲示板で藤井局長の住所や電話番号が公表されていることについては、「内容は職員名簿に掲載されている範囲。ネット社会では(掲載も削除も)しなやかに自立した個人個人が判断すること」と話し、知事として削除などの申し入れをする意思のないことを示した。

 一方、藤井局長は「私自身の至らなさで、求めていた方向と違った非常識な方向に行ってしまった」と改めて陳謝。「知事からは『求めているものが同じなら一緒にやるほうが良い』と言われたが、任命権者に進退の伺いを出す気持ちは変わらない」として、退職願を出して「けじめ」をつけることを強調した。

 藤井局長は26日に初登庁した田中知事が名刺を差し出した際、「社長が部下に名刺を配るような会社は倒産してしまう」と言って名刺を折り曲げた。こうした言動がテレビニュースなどで流れた同日夕方から、県庁に抗議の電話やファクス、Eメールが殺到し、28日までに5000件を超えた。

何かと話題の「田中流」 警備に気をもむ長野県警

2000.10.28(14:25)asahi.com
 「知事公舎には入らない」「県民が予約なしに会える日を月2回つくる」「知事室を1階に移す」――。26日に就任した田中康夫長野県知事(44)が次々と打ち出す方針に、知事の警備を担当する県警が「知事にもしものことがあったら」と頭を抱えている。

 長野市内では選挙期間中から、田中氏を非難する右翼団体の街宣車が市中心部を走り回り、知事就任後も県庁周辺で街宣活動を続けている。これまで、右翼団体と知事の間にトラブルは起きていないが、中には「県民として予約なし会見に臨みたい」という右翼団体メンバーもいる。

 知事公舎に住まないというのも、県警にとってはやっかいだ。知事公舎なら塀も高く、警備しやすい造りになっているからだ。

 田中知事は現在、県庁から車で10分ほどの市内のホテルに滞在し、公用車には乗らずに支援者の車で登庁している。県警は、県秘書課から毎日、知事日程を受け取り、外出時には警備の警察官2人を同行させたり、夜間は2時間ごとにホテル周辺を巡回したりしている。

 警察内部には「何かあってからでは遅い。知事公舎に入ってほしい」と困惑した声もある。だが、田中知事がそれを受け入れるとは思えない。県警は、必要な時には警察官十数人を警備にあたらせることも検討している。

「しなやかな県政を」 ー 田中知事インタビュー 10月28日(土) by広報文書課

田中新知事の名刺折り曲げに県民から抗議殺到 長野

2000.10.27(20:48)asahi.com
 長野県知事に就任した田中康夫氏が26日午後、県庁内をあいさつ回りした際、藤井世高県企業局長が田中知事から受け取った名刺を目の前で折り曲げた。この光景をテレビニュースで見た県民らから県庁へ27日夕までに電話やファクス、Eメールで2000件を超える抗議が殺到した。

 田中知事が県企業局にあいさつに訪れ、藤井局長に名刺を渡そうとした時の一幕。藤井局長が「社長が部下に名刺を配るような会社は倒産してしまう」と受け取りを拒否。それでもと、田中知事から渡されると、名刺の「長野県知事」と書かれた部分を折り曲げて手にした。

 このシーンが、夕方に放映されると、企業局への抗議の電話が鳴り始め、職員ら3人が庁内に残り、深夜1時まで電話の対応に追われた。27日もひっきりなしにかかってきて、藤井局長自身も電話に応対した。

 ファクスには「あなたは長野県の恥です」「県民に選ばれた知事に逆らうなんて、あなたこそ辞めなさい」などとあり、中には「バカヤロー」などとば声だけを浴びせる電話や、藤井局長あての弔電まで届いた。

 藤井局長は「職員にへりくだるのではなく、田中知事には知事らしく振る舞ってほしいと思い、あんな行為に出てしまった。私が至らず、あのような表現になってしまい、申し訳ない。知事にもおわびしたい」と釈明した。

田中康夫新知事が長野県庁に初登庁

2000.10.26(14:06)asahi.com
 15日に長野県知事選で当選した作家の田中康夫氏(44)が26日、知事に就任し、同日朝、長野市の県庁に初登庁した。現役知事の中では全国最年少。長野県としては41年ぶりの民間出身知事の誕生となった。登庁式では、慣行だった花束贈呈を取りやめるなど派手さを控え、初日から「田中スタイル」を実践した。

 午前9時ごろ、滞在先の長野市内のホテルから支援者の車で約10分ほどの県庁に到着した田中氏は、一般市民や県庁職員、選挙を手伝った勝手連のメンバーら1000人近くが見守る中、正面玄関へ足早に向かった。人垣の中には「田中康夫新知事がんばりましょっ!」と書かれたポスターを持つ人もいた。

 選挙を手伝った長野市の宮沢美千代さん(37)は「初登庁のときに、『康夫ちゃん』と手を振るのを楽しみにして、ボランティアをしてきた。今後も私たちみたいな一般県民と対話する知事になってほしい」とエールを送った。

 続いて、県庁内の講堂で職員約600人を前に真剣な顔つきで、30分以上にわたってあいさつ。原稿は用意せずに「知事は県民に仕える立場であるということを心に秘めてやっていきたい」「職員や県議会、県民とも良い意味での緊張関係を持ち、建設的な意見を交わし合いたい」と熱っぽく訴えた。

 午前10時過ぎには吉村午良前知事とともに、事務引き継ぎ書にサイン。吉村前知事は「財政状況は厳しいが、将来にわたって長野県に希望が持てるよう、新知事には奮闘をお願いしたい」。田中氏は「長野県民であることにしなやかな誇りを持てるようにしたい。よろしくしった激励をお願いします」とこたえた。

 知事就任後初の記者会見では、長野冬季五輪での帳簿問題に触れ、「調査する」と言明した。

橋本大二郎知事、高知県訪問の田中康夫氏を激励

2000.10.24(13:19)asahi.com
 長野県知事選で初当選した田中康夫氏が24日午前、高知県庁に橋本大二郎知事を訪ねた。「非官僚で、草の根選挙で当選した橋本知事を目標にしたい」とする田中氏の求めに橋本知事が応じ、2人は9月に東京都内で対面し、橋本知事は「挑戦は高く評価する。がんばってほしい」と激励していた。橋本知事が「当選おめでとう。お忙しいでしょう」とねぎらうと、田中氏は「いろいろ教えて下さい」と述べた。

 橋本知事は選挙応援で現地入りは控えたが、田中氏の知事選出発式に「今回の選挙は、長野県だけでなく日本全国から注目をされています。勇気ある決断そして挑戦に心からエールを送ります」とする激励文を寄せていた。

 田中氏の当選について、多くの首長選挙で政党と一部の関係者による候補者選びが長年続いてきた仕組みを指摘し、「こうした仕組みに長野県民がノーと意思表示した」と評価。「こうした仕組みづくりに携わってきた人々は、新しい流れをぜひ敏感に感じ取ってほしい」と述べていた。

田中氏支持の会頭にNO 長野商工会議所

2000.10.21(00:15)asahi.com
 長野県知事選で田中康夫氏を支持した県商工会議所連合会会長の仁科恵敏・長野商工会議所会頭に対し、解任を求める動きが一部の商議所議員から出ている。仁科氏に辞める考えはないが、激しかった知事選の後遺症はしばらく続きそうだ。

 仁科氏は長野市の食品卸会社の社長で、1998年12月から県の連合会長と商議所の会頭を務める。

 連合会の政治団体「信州商工政治連盟」は落選した前副知事の池田典隆氏を推薦していたが、この会長も務める仁科氏は告示前の9月中旬、「8月に田中氏に会ってから、個人的には田中氏が知事にふさわしいと思う」と発言し、政治連盟の会長と池田氏の後援会の副会長を退いた。

 仁科氏のこうした行動に対し、17日に開かれた長野商工会議所・中小企業委員会の席上、池田氏を支持した議員たちから「仁科氏に会って直接、釈明を聞きたい」との意見が出るなど、会頭としての責任を追及する声が相次いだ。「田中氏が勝ったからといってみそぎが済んだわけではない。本来は辞任すべきだ」と解任を求めて臨時議員総会を開く動きもある。

 仁科氏はこれまで、「池田氏に対しては政治献金など政治連盟の会長としてやるべきことはやった。田中氏を推す個人の気持ちを抑えることはできなかった」と話している。

 仁科氏を擁護する議員は「負けた腹いせだろう。全国的に注目された選挙で仁科氏の決断を高く評価する人も多く、商工会議所までごたごたしていたら笑われる」と批判。一方、責任を追及する側の1人は「組織のトップとして池田氏支援の旗振り役をやってきて、個人的には田中氏支援では筋が通らない」と話している。

田中康夫氏、衆院東京21区補選で呼びかけ

2000.10.20(22:09)asahi.com
 22日に投開票が行われる衆院東京21区(立川、昭島、日野市)補選に、大物の応援が相次いでいる。20日も、長野県知事に当選した田中康夫氏や社民党の土井たか子党首、民主党の鳩山由紀夫代表らが選挙区入り。雨の中、それぞれの威信をかけて支持を訴えた。

 田中氏は無所属で立候補している元東京HIV訴訟原告団副代表、川田悦子氏(51)の陣営の招きで訪れた。JR立川駅前に、川田氏の次男龍平さんらと立つと約300人が足をとめた。「この社会に生きて良かったと思えるしなやかな一歩を踏み出そう。長野県を変えねばと立ち上がった私と同じ気持ちで、投票日を迎えてほしい」と訴えた。

 社民党の工藤てい子氏(51)には、土井たか子党首が告示後2回目の応援。日野市の京王高幡不動駅前とJR立川駅北口で街頭に立ち、「お金と政治家の汚い関係を正すのではなくフタをしてしまおうという自民党政治を変えていくためにも、社民党にもう1つの議席を」と訴えた。

 民主党は菅直人幹事長が早朝に、鳩山由紀夫代表が午後から入った。「自民党政治を打破しようじゃありませんか。民主党の若さを信じてください」。両氏とも前日に続く「連投」で、長島昭久氏(38)の選挙カーなどから支持を訴えた。告示日以降、選挙区入りした回数は、鳩山氏と羽田孜特別代表がそれぞれ4回、菅幹事長は5回に及ぶ。

 自民党はこの日、鳩山邦夫代議士が昭島市などで街頭演説をした。18日には、亀井静香政調会長がJR立川駅前で「長野と同じように有名だからといって代表を選んだら、立川は日本の恥ですよ、恥」。同党の加藤積一氏(43)にはすでに野中広務幹事長、加藤紘一元幹事長をはじめ延べ約100人以上の国会議員が駆けつけている。

田中康夫氏に当選証書 26日に初登庁

2000.10.18(19:39)asahi.com
 15日に投開票された長野県知事選で当選した作家の田中康夫氏(44)に18日午前、長野県選挙管理委員会から当選証書が付与された。新知事となる田中氏の初登庁は26日となる。

 田中氏は午前11時過ぎ、グレーのスーツ姿で県庁議会棟4階の会議室に現れた。中村幸枝選挙管理委員長から「おめでとうございます。がんばって下さい」と証書を手渡されると、緊張した面持ちで当選の重みを実感した様子だった。

 当選証書を手にした田中氏は「県民の声なき声を反映し、速やかに一緒に行動し、県民の公僕としてお仕えする覚悟です」と抱負を語った。

 田中氏が県庁の建物の中に足を踏み入れるのは、小学生の時の社会科見学以来という。

五輪招致委の会計帳簿焼却疑惑を調査へ 田中康夫氏

2000.10.16(13:39)asahi.com
 長野県知事選で当選した作家の田中康夫氏(44)は16日の記者会見で、長野冬季五輪招致委員会の会計帳簿が焼却されたとされ、招致にかかった経費の詳細が不透明なままとなっている問題について、「明らかに倫理観、道徳観を欠いた問題。客観的な事実関係を早急に調べたい」と述べ、知事就任後に再調査に乗り出す考えを明らかにした。

 田中氏は「現実にそれに携わった人に話を聞かなければならない。県民が納得いく調査が必要だと思う」と強調した。

田中康夫氏、一夜明け余裕の表情 「実質のある変化を」

2000.10.16(13:38)asahi.com
 当選から一夜明けた16日、田中氏は午前6時過ぎに長野市内のホテルの1階ロビーに黒いセーターとズボン姿で現れた。「目覚めは全くふつうでした」と笑みを浮かべながら話し、新聞各紙に目を通す。疲れたようすは隠せないが、「実質のある変化を県民のみなさんとご一緒に実現していきたい」とかれた声で語った。

 15日夜は当選報告会に続き、テレビや雑誌の取材を終え、ホテルに戻ったのは日付が変わった午前2時半。約250通の当選祝いや激励などの電子メールにすべて目を通して寝たため、睡眠時間は1時間ほどだったという。

 午前6時半からまず、電話でラジオに生出演。その後もテレビや新聞社などの取材が立て続けに入った。

 午前9時過ぎからは、地元記者との記者会見。黒の背広の上下、オフホワイトのワイシャツにストライプのネクタイで現れ、「手ごたえは十分感じていたので、それが具体的な記号として選挙結果に表れたということ」と余裕の表情を見せた。

 「初登庁後1週間以内に、県庁全職員に『今の長野県をどうとらえているか』をeメールや手紙で出してもらい、教えを請うべきものについては直接会って話を聞きたい」

 新知事にとってまず難関になりそうな副知事人事については「構想がすべて固まった段階で公表したい」。

 知事公舎には住まないことはすでに表明ずみで、この日は、「民間住宅のいい不動産情報があったら教えてほしい」と話した。

 相手陣営から攻撃の的になった月刊誌に連載中の、女性関係も含めた私生活をつづった日記。

 「落選したら、神戸の震災の時は、あの人はどうだったとか書けたが、220万県民の県民益を損ねるようなことは書けない。ただ、来月号から再開する」と、執筆を続けることを明らかにした。

「オール野党」の厳しい船出 田中長野県政

2000.10.16(13:38)asahi.com
 長野県知事に作家の田中康夫氏(44)が当選したことで、池田氏を支持していた県議会(定数62)の3会派(計57人)が知事の与党だった時代は終わり、中野氏を推薦した共産党(5人)とともに全会派が野党になるとみられる。今月26日にスタートする田中県政は「オール野党」という荒海へ船出することになりそうだ。

 自民党系と民主党系などの県議42人が所属する最大会派・県政会の団長で、池田氏を全面的に支援してきた石田治一郎県議は、「田中さんには倫理的に問題な部分がある。議会としては政策に対して是々非々で臨むしかない」と、厳しい対応をしていく意向を明らかにした。

 8人が所属する第2会派・県民クラブの小田切行雄会長も「県の政策決定に遅れが出てくるようになるかも知れない」と今後の県政運営を危ぶんだ。

 県幹部の多くも困惑を隠せない。課長職のある幹部は「ゼロからのスタートという感じだ」。別の幹部は「行政の仕組みを知らない田中さんに対しては、全部最初からお話ししなければならないかも知れない」と戸惑いを見せる。「とはいえ、職員も県民の声を聴く意識改革が必要だ」と、自戒を込めて話した。

田中康夫氏が初当選 長野県知事選

2000.10.16(00:45)asahi.com
 長野県知事選は15日投票され、即日開票の結果、作家の田中康夫氏(44)が、「政官業」の支持をバックにした前副知事の池田典隆(ふみたか)氏(58)、共産党推薦の中野早苗氏(52)らを大差で破って初当選した。田中氏は、副知事経験者が40年余りトップを務めてきた県政に変革を求める一部の経済人らの要請を受けて立候補。知名度を生かし、県民の間にくすぶっていた「官僚主導県政」への不満をすくい取る形で、無党派層を中心に支持を広げた。東京都知事選などで見られた既成の政党や政治手法に対する有権者の強い不満が、大都市圏だけでなく地方にも及んでいることを示した。投票率は69.57%で、総選挙と同日だった前回の70.71%を下回ったが、同知事選単独では1979年の74.07%以来の高さとなった。

 今回の知事選は、5期20年務めて引退する吉村午良(ごろう)知事の事実上の後継者として、共産党を除く県議やほとんどの市町村長、業界団体などからいち早く推薦を取り付けた池田氏と、こうしたやり方で副知事経験者が知事職を引き継ごうとする流れに反発する経済人、文化人らに擁立された田中氏が激しく競り合い、「官」対「民」、「組織」対「個人」という構図が鮮明になった。

 当選した田中氏は、小学2年から高校卒業まで長野県に住み、一橋大在学中に書いた小説「なんとなく、クリスタル」で文芸賞を受賞した。

 過去の知事選では、複数の政党が相乗りで現職や副知事経験者を推薦したが、今回は支持基盤の対応が割れたことなどから、民主、公明、社民の各党が自主投票。池田陣営が自民党だけの推薦を嫌ったため、共産党以外が候補者を推薦しない異例の選挙となった。

 田中氏は、長野五輪招致活動費の会計帳簿が焼却されたとされる問題や、県の情報公開度が低いことなどを指摘して官僚主導の県政を批判。阪神大震災での独自のボランティア活動や、神戸空港建設反対の市民運動を展開した実績を強調し、「県民が自由に発言でき、参加できる県政を目指したい。長野県をみんなで変えよう」と訴えた。

 立候補の正式表明が告示の約3週間前と出遅れたが、小学校から高校まで県内で過ごしたつながりや、知名度の高さも手伝い、勝手に支持を表明して運動する「勝手連」が各地に誕生。若年層を中心に急速に支持を広げ、都市部で圧倒的な強さを見せた。

 これに対し、今年3月まで副知事を務めた池田氏は、「40年の行政経験を生かし、新しい信州を創造する」と吉村県政の継続とともに改革を訴えた。県議62人のうち57人、120市町村長のほとんど、業界団体など約3500の個人、団体から推薦を受けたが、当初の楽観ムードから動きが鈍かった。終盤に入って危機感を抱き、組織内の支持を徹底させるなど締めつけを強化したが、県政に対する不満は予想以上に根深く、組織も十分に動かなかった。

 長野五輪で公共事業を前倒しした影響で、目立ったプロジェクトがなくなったことや、長引く不況による県内の閉そく感も池田氏に不利に作用したとみられる。

 中野氏は「公共事業を見直し、生活密着型の予算に変える」などと訴えたが、及ばなかった。

組織、金、時間なし 田中知事誕生支えたボランティア

2000.10.16(00:13)asahi.com
 田中康夫氏(44)が、クラッカーを持った。「220万の県民のみなさん。ありがとう」。クラッカーの音が鳴り響き、銀色の紙吹雪が舞った。長野市中心部にある長野バスターミナル会館の国際ホール。続いて「クリスタル」というシャンパンの栓を自ら開け、隣の支持者に注いだ。そして自分にも。「乾杯」。喜びが爆発した。

 当選が決まり、あいさつする田中氏の声は、長い遊説でしわがれていた。「クリスタルなシャンパンと同じ、包み隠しごとのない政治をします。そして長野モデルと言われるような、しなやかな形の地方自治をつくり、全国に広げます」。静かに語りかけた。

 会場には、勝手連を中心とした約200人の支持者が詰めかけていた。インタビューが一段落すると、田中氏は「支援して下さった方と交流したいので」と支持者の輪の中に入っていった。

 進行役を務めた木下豊さん(41)は、小布施町で編集業を営む。県民をよそに、副知事だった池田典隆氏(58)が知事選に向けた組織を作っていた。モヤモヤしていたところに、田中氏の名前が浮上した。「震災ボランティアとして住民の中に入った田中氏ならば」

 知人と立候補を求める署名集めに奔走した。選挙が始まると、各地の集会の調整役に。「これからは建設的な批判も含め、県民の提言を聞き、行政経験の不足など、自らの足りない部分を補ってほしい」。そう話しながら、当選の実感がわかないようだった。

 会場で受付をしていた長野市の主婦、内田和子さん(49)は、今回が初めての選挙へのかかわりだった。きっかけは、昨年発覚した長野冬季五輪の招致活動費の会計帳簿焼却事件。「五輪の時、ボランティアとして外国人の案内係を務めた。五輪は長野にとっても私にとっても誇りだったのに、最後に汚れた。県にはきちんと事情説明してほしかった」

 神戸からも選挙期間中、空港建設問題に一緒に取り組んだ人たちが応援に来た。神戸市垂水区の会社員平賀忠元さん(60)は、休日にやってきては、ビラを配り、この日も会場に駆けつけた。神戸では結局、住民投票もなく、空港は着工された。「これから、日本の政治や地方自治を変える大きな風が吹きますよ」

ネットで連携、「官」破る 田中知事誕生に「IT選挙」

2000.10.16(00:09)asahi.com
 「動員や締め付けはまっぴらごめん」という田中氏の口癖通り、選挙運動自体が実験的だった。15日に投開票された長野県知事選では、県内各地で雨後のタケノコのように芽を出した田中氏支持の「勝手連」や個人支援者が、インターネットや電話を通じて結ばれ、手探りで新しい連携を作り上げた。見えないネットワークが、前副知事の「組織」を破った。

 長野市近郊の須坂市に住む元NTT社員の三石浩之さん(59)は1カ月ほど前、ゴルフ場で偶然一緒になった初対面の人から、田中陣営のホームページ(HP)の話を聞いた。

 「結構、面白いらしいですよ」

 それがきっかけだった。田中氏の事務所にすぐ連絡し、ボランティアに加わった。それまでは知事選に関心がなかった。「どうせ池田さんが当選すると思っていたが、HPを見たら、自分でも何かを変えられるんだと思った」

 これまで組合活動で何度か選挙を手伝ったことはあるが、後ろめたい気がしていた。しかし今回は、自ら進んで通行人にも道路工事中の作業員にもビラを配り、声をかけて歩いた。理由はよくわからないが、わくわくした。

    ■

 田中氏が立候補を決意した8月下旬以降、地元の文化人や主婦、農業従事者ら数十人規模の後援会がHPを開いた。米国大統領選や国政選挙で注目される「IT(情報技術)選挙」。正式な事務所もない時期に「何か手伝えないか」「私の町で集会を開きたい」と各地からメールが寄せられた。

 田中氏自身もメールアドレスを公開し、意見を募った。一時は連日、100通以上のメールが届いた。県政への不満や、「ぜひ立候補して」と働きかける内容がほとんどだった。そうしたメンバーたちが、県内各地で続々と勝手連を立ち上げた。

 後援会は、大勢で同時に情報をやり取りできるメーリングリストも開設した。519人が登録した。受信者が知人に転送し、ネットワークが広がった。

 全県120市町村のうち、都市部を中心に40市町村を勝手連がカバー。残りは、唯一組織として推薦した連合長野が受け持った。

    ■

 先月23日午後7時すぎ、同県松本市内の寺院本堂で、田中氏の後援会と、支援を買って出た各地の勝手連の代表者ら約70人が集まった。顔の見えない支持の広がりが、初めて目に見えた瞬間だった。議論は、夜中まで続いた。

 「始まりはメールだった。各自が各地域で活動していたため全体像が見えなかったが、集会で顔を合わせて『1人ではない』と確認でき、みんな自信がわいた」。後援会でボランティアや勝手連の窓口役を務めた長野市の農業野池元基さん(42)は話す。

 選挙戦に入ると、田中氏は、各地の支持者をつないでいくように縦横無尽に動いた。どんな小さな集会でも足を運ぶ田中氏を、陣営では「康夫ちゃん宅配便」と呼んだ。

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