TOPIC No.2-100 米海兵隊員わいせつ事件/在沖縄米軍 等

放火や誘拐も対象に 河野外相、地位協定の運用改善方針

2001.02.25(20:17)asahi.com
 河野洋平外相は在日米軍の法的地位などを定めた日米地位協定に関し、米兵の容疑者の身柄を起訴前でも引き渡す場合について、現在の「殺人または婦女暴行」に加え、「現住建造物放火」や「営利誘拐」も加えるよう米側と話し合う方針を決めた。協定の改定ではなく、当面は運用改善をめざすとの見解を示したもので、25日、那覇市内で稲嶺恵一沖縄県知事らを招いた昼食会でのあいさつで明らかにした。

 この問題で河野外相は14日、外務省を訪れた稲嶺知事に「地位協定の改定も場合によっては検討しなければならない」と、外相として初めて地位協定の改定に言及していた。それに比べてトーンダウンする形になった。

 地位協定は容疑者の米兵の身柄が米軍にある場合、起訴までは米軍が拘束すると定めている。日米両政府は1995年の少女暴行事件を受け、「殺人または婦女暴行という凶悪な犯罪」の場合は、日本側の身柄引き渡しの要求に米軍が「好意的配慮」を払う、との運用改善で合意した。

 だが、沖縄県北谷町で発生した放火事件で県警が逮捕状を取った米兵の身柄引き渡しを米軍が拒否。地位協定の見直しを求める世論が改めて高まっている。一方、協定の改定は米国の他の同盟国に影響を及ぼしかねず、日米両政府内に慎重論も強い。

米兵の深夜外出禁止を 沖縄市が抗議決議

2001.02.21(14:29)asahi.com
 沖縄県駐留の米海兵隊員による連続放火容疑事件など米軍人らの不祥事が続いているなか、米軍嘉手納基地などを抱える沖縄市の市議会は21日、臨時議会を開き、午前0時以降の米兵らの外出禁止などを求める抗議決議と意見書を全会一致で可決した。22日には北谷(ちゃたん)町議会も同様の決議をする見通しだ。これまでの夜間外出禁止は米軍が綱紀粛正策として講じてきたが、米兵相手の飲食店などへの影響が大きいため、地元住民らが解除を求めるケースが多かった。地元から外出禁止を求めるのは異例で、米兵犯罪への反発の強さを示している。

 抗議決議と意見書は、駐日米国大使や在日米軍司令官らあて。午前0時以降の外出禁止のほか、日米地位協定の改定や在沖米海兵隊を含む全兵力の削減、綱紀粛正の徹底、被害者への補償などを求めている。

 特に北谷町で起きた連続放火事件で、米軍が日米地位協定の規定から、容疑者の身柄を起訴前に県警に引き渡すのを拒否したことについて、「断じて許せず、日本の国内法が全面適用できるよう同協定の早期改定が必要」と指摘している。

 これとは別に、北谷町は20日、国や県、関係市町村と米軍が米兵による事件・事故防止策を話し合う会合の席上で、米軍に深夜の外出を禁止するよう要求した。米軍は「持ち帰って検討する」と答えるにとどまったという。

連続放火で起訴・勾留中の米海兵隊員、別の放火で逮捕

2001.02.19(21:34)asahi.com
 沖縄県北谷(ちゃたん)町の飲食店街で火をつけ、営業中の居酒屋やバーを含む5軒を全半焼させたとして、沖縄県警は19日、米海兵隊キャンプ・ハンセン所属の兵長カート・ビリー容疑者(23)=非現住建造物等放火罪で起訴、勾留(こうりゅう)中=を現住建造物等放火などの疑いで逮捕した。

 調べでは、ビリー容疑者は1月20日午前2時20分ごろ、北谷町北前1丁目の屋台村「がちまい村」にある閉店中の小料理店「やえさん」に侵入。壁にライターで火をつけ、隣接するバー「レッド・クラウド」など人がいた店舗を含む計5軒(4軒は木造平屋、1軒は木造2階建て)、延べ234平方メートルを焼いた疑い。うっぷん晴らしで火をつけた、と供述しているという。

 「やえさん」と「レッド・クラウド」は同15日にも放火され、県警は2月13日にビリー容疑者の逮捕状を取ったが、身柄が米軍側にある時は起訴前の拘禁ができないとする日米地位協定を理由に、米軍側は引き渡しを拒否。同16日の起訴で身柄は那覇拘置支所に移った。那覇地検は今回の逮捕に伴い、身柄を同支所から沖縄署に移した。

連続放火の米海兵隊員、日本側に引き渡し

2001.02.16 The Sankei Shimbun(共同)
 沖縄県北谷町で一月十五日に起きた連続放火事件で、那覇地裁は十六日、米海兵隊キャンプ・ハンセン所属の上等兵カート・ビリー被告(23)=非現住建造物放火罪で起訴=の拘置を認めた。これに伴い、米軍側は日米地位協定に基づき、同被告の身柄を日本側に引き渡した。

 この事件をめぐっては、米軍側が同県警の逮捕同意請求を拒否したことから、県議会が早期の身柄引き渡しを求める決議を行うなど、県内で反発が起きた。稲嶺恵一知事は同日、「県などが求めていた起訴前の引き渡しが実現しなかったことは残念」とのコメントを発表した。

米海兵隊員を起訴、異例のスピード処理 那覇地検

2001.02.16(18:03)asahi.com
 沖縄県北谷(ちゃたん)町で起きた飲食店の連続放火事件で、那覇地検は16日、在沖米海兵隊キャンプ・ハンセン所属の兵長カート・ビリー容疑者(23)を非現住建造物等放火罪で那覇地裁に起訴した。県警による書類送検の2日後という異例の早さで、地検は日米地位協定に基づいてビリー容疑者を那覇拘置支所に勾留(こうりゅう)した。

 起訴状によると、ビリー容疑者は1月15日午前2時50分ごろ、北谷町北前1丁目の小料理屋「やえさん」に侵入して壁紙などに放火、壁や天井を焼いたほか、同6時ごろには近くのバー「レッド・クラウド」に入り込んで壁などを焼いた、とされる。

 同地検によると、異例のスピード起訴に踏み切れたのは、当初から容疑者の逮捕による拘束が難しいことを前提に、県警と密接に連絡を取り合いながら捜査を進めたためという。県警は10日までに10回に及ぶ任意の事情聴取などを重ね、送検段階で十分な証拠類と供述調書をそろえていた。身柄を拘束していた米軍も捜査には協力した。

 1998年10月に北中城(きたなかぐすく)村で、女子高校生が酒気帯びの海兵隊員にひき逃げされた事件でも、米軍は容疑者の身柄引き渡しを拒否したが、同地検は書類送検の翌日に起訴へ持ち込んで身柄を日本側へ移した。

本国が米兵の引き渡しを判断 在沖縄総領事が示唆

2001.02.14(20:43)asahi.com
 米海兵隊員による連続放火容疑事件で、自民党沖縄県連(会長・仲村正治衆院議員)の幹部らが14日、在沖縄米国総領事館などを訪ね、容疑者の身柄引き渡しを要請した。ベッツ総領事は、引き渡しの判断が米本国にゆだねられていることを示唆したという。県議会野党の最大会派「護憲ネットワーク」も同日、県に引き渡しへの働きかけを求めた。

 自民党県連の西銘恒三郎幹事長によると、ベッツ総領事は13日に米国務省に事件の取り扱いを問い合わせたが、明確な返事が来ていないと説明。「要望に速やかに応じたいが、日米地位協定がある限り、それを逸脱するのは難しい」と述べた。一方、外務省沖縄事務所の野村一成大使は同県連に対し、米兵の綱紀粛正策を検討するワーキングチームの会合を緊急に招集する意向を示した。

 同県連の具志孝助政調会長は「地位協定の改正は県議会が全会一致で可決している。党本部に強く働きかけ、政治決着を目指す」と述べた。

 護憲ネットワークの兼城賢次団長は親川盛一知事公室長と会い、「県民はもう我慢できない。限界にきている」と、県の強い姿勢を求めた。

米兵の身柄引き渡し、運用厳格化の方針 放火事件で外相

2001.02.14(13:52)asahi.com
 河野洋平外相は14日午前の衆院予算委員会で、沖縄県警が放火容疑で逮捕状をとった米海兵隊員の引き渡しを米軍が拒否している問題について「この事件をいい加減なことにするつもりはまったくないし、問題の処理に強い態度で臨みたい。日米地位協定及びその運用の改善、いわゆる『特別の場合』のくだりについても、はっきり決着をつけなくてはいけないということまで考えたい」と述べ、身柄引き渡しに関する運用を厳格にしたいとの考えを示した。

 地位協定では、容疑者の米兵の身柄が米軍側にある場合、起訴までは米軍が拘束すると定めている。しかし、1995年の沖縄県での少女暴行事件をうけて、日米両国政府は「殺人または婦女暴行という凶悪な犯罪の特定の場合」には日本側からの身柄引き渡し要求に米側が「好意的配慮」をはらうこととの運用改善で合意した。ただ、「特定の場合」や「好意的配慮」の内容が抽象的であることなどから、沖縄県は日本の捜査当局が要求した場合に容疑者の身柄引き渡しを受けられるように協定改正を求めているが、これまでのところ日本政府としては協定改正までは踏み込めないスタンスだ。

 白保台一氏(公明)の質問に答えた。また外相は、今回の事件について「正直またかという感じで憤りを禁じ得ない。沖縄米軍の所業に、どうすることが一番いいのかということを高いレベルでも話をしなければならないと考えている」と述べ、今後、米兵の犯罪について政治レベルで話し合うことが必要との認識を示した。

放火容疑の米兵、書類送検 沖縄署

2001.02.14(12:55)asahi.com
 沖縄県駐留の海兵隊員による連続放火容疑事件で、沖縄署は14日、非現住建造物放火の疑いで逮捕状を取っていた米海兵隊キャンプ・ハンセン(同県金武町など)所属の兵長カート・ビリー容疑者(23)を那覇地検に書類送検した。米軍側は依然として県警の身柄引き渡し要求に応じていない。フォーリー米駐日大使の離任に伴う会合出席などで同日朝に上京した稲嶺恵一知事は、身柄引き渡しについて直接要請するため、急きょ河野洋平外相などに会談を申し入れた。

 調べによると、ビリー容疑者は1月15日午前2時55分ごろ、同県北谷町北前1丁目の小料理屋「やえさん」に侵入して壁紙などに放火し、壁や天井を焼いた疑い。同6時15分ごろには近くのバー「レッド・クラウド」で壁などを焼いた疑い。

 一方、県議会米軍基地関係特別委員会(宮平永治委員長)は、15日午後に臨時の委員会を開く方向で調整に入った。在沖縄米軍の最高幹部アール・ヘイルストン四軍調整官が知事らを中傷するメールを部下に出した問題に加え、今回の身柄引き渡し拒否問題について集中的に論議する見通しだ。

 稲嶺知事の上京は以前から決まっていたが、身柄引き渡し問題で外相のほか、防衛庁長官、官房長官、沖縄・北方対策相に会談を申し入れた。

放火容疑の米兵に逮捕状、米軍は身柄引き渡し拒否 沖縄

2001.02.14(00:48)asahi.com
 沖縄県北谷(ちゃたん)町で1月、2軒の飲食店が焼ける火事があり、沖縄署は13日、米海兵隊キャンプ・ハンセン(同県金武(きん)町など)所属のカート・ビリー容疑者(23)に対し、非現住建造物等放火の疑いで逮捕状を取ったが、米軍側は身柄の引き渡しを拒否した。同県警は早期の起訴による身柄引き渡しを実現するため、14日にもビリー容疑者を那覇地検に書類送検する。米軍人の犯罪について、県は日本の捜査当局が要求した場合に容疑者の身柄引き渡しを受けられるよう、日米地位協定の改正を国などに求めている。稲嶺恵一知事は13日、謝罪のため急きょ県庁を訪れた在沖米軍の最高幹部アール・ヘイルストン4軍調整官に抗議し、身柄引き渡しを強く要請した。

 在沖海兵隊報道部によると、ビリー容疑者は通信部隊に所属する兵長。

 沖縄署の調べでは、ビリー容疑者は1月15日午前2時55分ごろ、北谷町北前1丁目の屋台村「がちまい村」の中にある小料理屋「やえさん」に侵入し、壁紙などに火をつけて木造平屋建て店舗の壁や天井を焼いた疑い。同6時15分ごろには、同じ屋台村にあるバー「レッド・クラウド」に侵入し、店舗の壁などを焼いた疑い。

 ビリー容疑者は前夜、「レッド・クラウド」で酒を飲んでいた。調べに対し、うっ憤を晴らそうとした、との趣旨の供述をしている、という。

 「がちまい村」は1月20日未明に再び燃え、5店舗計約160平方メートルが全半焼した。同署は現場で消火活動をしていたビリー容疑者から任意で事情聴取。その後も米軍を通じて出頭を求め、10日まで約10回にわたって事情を聴いたところ、「ライターで放火した」などと3件の放火を認めたため、裏付けのとれた15日の2件について逮捕状を取った。

 同署は在沖米海兵隊基地司令官に署長名の文書で身柄の引き渡しを要求したが、米軍はその場で拒否したという。20日の火事については、身柄の引き渡しを受けた後に放火容疑で逮捕して調べる方針だった。

 米軍人らによる犯罪の取り扱いを定めた日米地位協定は、米軍人・軍属が容疑者となった刑事事件の起訴前拘禁について、「身柄が米国の手中にあるときは、日本国により公訴が提起されるまで米国が行う」(17条)と定めている。

 しかし、沖縄県で米兵による少女暴行事件が起きた直後の1995年10月、日米合同委員会は「殺人や強姦(ごうかん)という凶悪事件」に限り、起訴前でも身柄の移管で米側が「好意的配慮を払う」との運用で合意。そのほかの事件でも、「日本国が重大な関心を有するときは同委員会で(起訴前拘禁を)提起する」と定めた。

 政府はこの点に関し、国会答弁で「事件の悪質性、結果の重大性、社会的影響、捜査上の必要性を総合的に勘案した上で、適当なものは起訴前引き渡しが可能」としている。

 最近の沖縄では98年10月、米兵による女子高校生のひき逃げ死亡事件で、身柄引き渡しを米軍が拒否した例がある。

 県警の伊良波幸臣(いらはこうしん)捜査一課長は「凶悪な事件で連続性もある。野放しにすると同じような事件が発生する可能性がある。(拒否されて)非常に残念だ」と話した。

                 ◇

 在沖米海兵隊報道部は朝日新聞の取材に対し、「(容疑者は)まだ正式に罪を問われたわけではない。海兵隊の法務当局は容疑者への事情聴取を含め、沖縄の当局の捜査に全面的に協力したし、今後も協力を続ける。米国政府は起訴前の身柄の引き渡し要求には好意的配慮を払う。それが直ちにできなくても、起訴時に速やかに身柄を移管する。それまでの間、容疑者の身柄をキャンプ・ハンセンで拘禁する」との回答を寄せた。

中傷メール問題 沖縄県議会が辞任要求決議案審議へ

2001.02.09(19:46)asahi.com
 沖縄県議会米軍基地関係特別委員会は9日、在沖縄米軍の最高幹部アール・ヘイルストン4軍調整官が稲嶺恵一知事らを中傷する電子メールを部下に出した問題をめぐる緊急協議会を開いた。野党4会派から調整官の辞任や県民への謝罪を求める抗議決議案の審議が提案され、来週にも正式な委員会に諮られる公算が大きくなった。ただ、与党内は決議案の可決に否定的な意見が大勢で、本会議への提案・可決は微妙だ。


 委員会は招集が急だったため、与党を中心に欠席が多く、協議会として開かれた。野党委員からは「知事が調整官に強く抗議すべきだった」「電子メールは私信ではなく、幹部への公的命令だ」といった意見が出た。与党は「知事への謝罪で問題は終わった」との意見が多い。

中傷メールの米軍調整官が沖縄知事に謝罪

2001.02.08(21:47)asahi.com
 在沖縄米軍の最高幹部アール・ヘイルストン4軍調整官が、沖縄県の稲嶺恵一知事らを「頭の悪い腰抜けども」と中傷する電子メールを部下に出していた問題で、同調整官は8日、県庁で同知事らと面会し、「不適切な言葉だった。深くおわびしたい」と謝罪した。口を真一文字に結び、握手も求めなかった知事は「あなたには(沖縄が味わってきた)56年の歴史への配慮が欠けていた。大変遺憾だ」と、認識に強い不満を表した。謝罪を受け入れる意思表示はなく、和解とは程遠い対面だった。

 知事応接室に調整官を迎え入れた石川秀雄副知事は、メールで名指しされていただけに硬い表情。ほどなく現れた稲嶺知事も軽く会釈はしたが、「見たことのない厳しい表情」(県職員)で席についた。

 調整官は左手に「HAVE NO EXCUSE」(言い訳はしない)と書いたメモを握り、知事の入室までじっと見つめていた。「言い訳の余地がない言葉であり、深くおわびしたい。真意ではなく、知事や副知事、吉田(勝広)金武町長、県民には深い敬愛の念を抱いており、尊敬している」。声は低く、神妙な面持ちだった。

 一呼吸おいて、知事が口を開いた。「あなたから2日に、申し訳ない、との連絡があったと副知事を通して聞いたが、メールの内容は承知してなかった」。知事は在沖米軍のトップを肩書で呼ぶのが通例で、「あなた」と呼びかけたことはなかった。

 知事は調整官から再三にわたって電話による謝罪を打診され、それを断っていたことも明らかにし、「直接会いに来るのが適切だ」と、電話で済まそうとした態度を暗に批判した。

 その上で、「一番大事なのは56年の歴史を私も、県民も、そしてあなたも背負っていることだと思う。沖縄はマグマの上に乗っている。蓄積されたものは小さな穴を開ければ飛び出してくる」と諭すように話した。「これまでの努力は評価している」とも付け加え、基地負担の逓減に努めるよう求めた。

知事中傷メールの米軍調整官更迭求め決議 沖縄市議会

2001.02.07(22:04)asahi.com
 沖縄県に駐留する米軍の最高幹部、アール・ヘイルストン四軍調整官(中将)が部下にあてた電子メールの中で稲嶺恵一知事らを中傷した問題に絡み、空軍嘉手納基地などを抱える沖縄市の市議会(新里八十秀<やそひで>議長)は7日の臨時議会で、同調整官の更迭と県民に対する直接謝罪を求める抗議決議を全会一致で可決した。米国防総省は調整官を処分しない考えを明らかにしているが、米軍幹部の更迭要求にまで踏み込む議会の決議は極めて異例だ。

 決議は米大統領や駐日米国大使、在日米軍司令官、調整官あてで、問題の電子メールについて、「私信とはいえ、在沖米軍の最高責任者という立場を考えると、暴言と言わざるを得ず、米軍当局に対する県民の不信感は頂点に達している」と指摘。「県民の(基地負担に伴う)苦しみを理解するどころか、県民感情を逆なでし、占領意識丸出しの発言に対し、激しい憤りを覚える」と厳しく批判している。

 調整官は、海兵隊員が女子高校生のスカートをめくって写真を撮影したとして逮捕された事件で、県議会が海兵隊など米軍兵力削減を要求する抗議決議と意見書を可決した直後の1月23日、部下の司令官らにあてて綱紀粛正の徹底を命じる電子メールを送信。その中で、稲嶺知事らが決議を黙って見過ごしたとして、「頭の悪い腰抜けどもだ」と中傷していた。

「ばか、腰抜け」在沖縄米軍トップが知事中傷メール

2001.02.06(20:54)asahi.com
 在沖縄米軍のトップであるアール・ヘイルストン4軍調整官(第3海兵遠征軍司令官)が、十数人の部下にあてた電子メールの中で、沖縄県議会が1月19日に全会一致で可決した、海兵隊削減を求める決議を批判し、稲嶺恵一知事らを卑しい俗語で中傷していたことが6日、明らかになった。米軍側は県に謝罪の意を伝えたが、事実関係を確認した稲嶺知事は記者団に対し「個人的には不快だ」と強い憤りを示した。

 県によると、メールは県議会が海兵隊削減決議を可決した後の23日、在沖海兵隊の指揮官クラス十数人にヘイルストン調整官が送信した。稲嶺知事のほか、副知事やわいせつ事件を起こした米兵が所属するキャンプ・ハンセンを抱える金武町の吉田勝広町長を名指しし、「決議の可決を何もせずにやり過ごした」とした上で「all nuts and a bunch of wimps」(みんなばかで、腰抜けども)という言葉で中傷した。

 在沖米軍側からは県知事公室あてに6日朝、「内部のメールではあったが、ご迷惑をかけて申し訳ない」と謝罪するファクスが届いた。稲嶺知事は記者団に「スラング(卑俗な語)を使っており、個人的に不快だ。(行政の長が議会の議決に関与できない)日本のシステムや議会の民主主義を理解していないのではないか」とヘイルストン調整官を批判した。

 決議を可決した与党の最大会派、自民党の西銘恒三郎・県議団長は「事件を起こした米兵も米兵なら、上司も上司だ。おそらく本音が出たもの。怒りを通り越している」と語った。

表現は不適切と森首相 在沖縄米軍の沖縄知事中傷メール

2001.02.06(20:55)asahi.com
 在沖縄米軍トップのアール・ヘイルストン4軍調整官が部下にあてた電子メールで稲嶺恵一知事らを中傷した問題で、森喜朗首相は6日の衆院本会議で「私的な電子メールの中のものとしても表現は適切でないと考えている。調整官は本日発表した声明で、おわびを表明していると承知している」と答弁した。ただ、政府の対応については「事件事故の防止に取り組み、良き隣人関係が発展していくよう努力する考えだ」と述べるにとどめた。

 同日夜、政府の対応を改めて記者団に問われた首相は「訂正されたじゃないですか。それでいいじゃないですか」と答え、解決済みという見方を示した。


内閣府、沖縄・在日米軍への発言権を明確化

2001.02.01(18:49) asahi.com
 仲村正治内閣府副大臣は1日、沖縄駐留の米兵による事件・事故に対し、内閣府としても在日米軍や在日米大使館に申し入れをする方針を決めたと発表した。省庁再編で沖縄開発庁が内閣府に格上げされたのに伴うもので、外務省や防衛庁と連携のうえ対応する。

 沖縄開発庁時代も3省庁で協議していたが、これまで申し入れは外務省、防衛庁が行い、沖縄開発庁は沖縄の振興開発に重点を置いてきた。内閣府になったことで在日米軍への発言権を明確に位置づけ、両省庁とともに内閣府も申し入れに名を連ねることができるようにする。

 1月に沖縄駐留の米海兵隊員による女子高生への強制わいせつ事件が発生したのを受けて、橋本龍太郎沖縄担当相は「内閣府は不祥事にそのつど対応するのではなく、沖縄の意見を反映できるように外務省、防衛庁との協議をルール化するべきだ」と主張していた。

沖縄駐留の海兵隊削減など異例の要求 沖縄県議会が決議

2001.01.19(13:14)asahi.com
 米海兵隊員による女子高校生への強制わいせつ容疑事件などをめぐり、沖縄県議会は19日の臨時議会で、海兵隊など沖縄に駐留する米軍兵力の削減を求める意見書と抗議決議を全会一致で可決した。県議会が海兵隊を名指しして、兵力削減に踏み込んだ要求をするのは極めて異例で、森喜朗首相や関係閣僚、米国大使、在日米軍司令官らに申し入れる。

 決議と意見書は「米軍人による事件に対し、厳重に抗議してきたにもかかわらず、またしてもこのような事件が発生したことは断じて許せるものではない」とした上で、「海兵隊を含む兵力の削減」を明記している。綱紀粛正や兵員教育の徹底、再発防止も求めた。

 提出者を代表して宮平永治県議(自民)は「綱紀粛正だけでなく、兵力削減を求める必要がある」と提案理由を説明した。

 県内では今月9日、沖縄本島北部でキャンプ・ハンセンに所属する海兵隊員が、道端の花壇に座っていた女子高校生のスカートをまくり上げ、写真を撮影したとして強制わいせつ容疑で逮捕された。14日には国頭村で、海軍兵がスナック経営者への傷害容疑で逮捕され、事情聴取を受けていた軍属も交番のテーブルを壊したとして器物損壊容疑で逮捕された。

米兵事件で具体策要望 沖縄県知事が防衛施設庁長官に

2001.01.19(13:13)asahi.com
 沖縄県の稲嶺恵一知事は19日、就任後初めて沖縄を訪れている伊藤康成・防衛施設庁長官と県庁で会談し、強制わいせつ事件など県内で続いている米兵による事件について、「再発防止のため、実効ある対策を取ってほしい」と要請した。伊藤長官は「繰り返されてはならないことだ。知恵を借り、いい方向にもっていきたい」と答えた。

 稲嶺知事はこのほか、米軍基地の整理・縮小、日米地位協定の見直しも併せて要望した。

 伊藤長官は会談後に記者会見し、「(兵力削減を求めた)県議会の決議は深刻に受け止めている。内閣府と相談して、さらなる策を取りたい」と語った。

「兵力削減問題は国際情勢に応じて」と斉藤防衛庁長官

2001.01.19(12:55)asahi.com
 沖縄県議会が米軍兵力の削減を求める意見書を可決したことについて、斉藤斗志二防衛庁長官は19日の記者会見で「一連の事件は極めて残念で、米軍は良き隣人としての責任を全うしてほしい」と述べた。ただ、兵力削減については「国際安保情勢に応じて日本での米軍の兵力構成を含む軍事態勢を協議する」とした1996年の日米安保共同宣言の中で論議されるべきだとの考えを示した。

「再発防止の具体策を」と沖縄担当相 沖縄県議会決議で

2001.01.19(12:32)asahi.com
 橋本龍太郎沖縄担当相は19日午前の閣議後の記者会見で、沖縄県議会が米軍の兵力削減を含む抗議決議を可決したことについて「県民の現時点での気持ちを率直に表されたのだと思う。再発防止に向けて具体的な対応策を協議しないといけない」と述べた。

 橋本氏は同日、河野洋平外相と会談し、米兵による不祥事で被疑者が否認した場合、両国の政府レベルで対応策を協議できるルールを検討していく考えを伝えた。今後、橋本、河野両氏に、沖縄担当の内閣府副大臣と外務省副大臣を加えた協議機関を設け、具体化に取り組むことで一致した。

米兵がスナック店長に傷害 沖縄・国頭

2001.01.14The Sankei Shimbun
 沖縄県警名護署は十四日未明、同県国頭村辺土名のスナックで女性経営者(59)にけがを負わせたとして、傷害の現行犯で米海軍一等兵曹クリストファー・シュビスキー容疑者(33)を逮捕。また、交番のテーブルを壊したとして器物損壊の現行犯で米海軍軍属のロバート・ギャロップ容疑者(30)を逮捕した。

 調べではシュビスキー容疑者は在沖縄米海軍病院勤務で、十四日午前零時二十五分ごろ、スナック内で経営者に暴行し右手人さし指に打撲傷を負わせた疑い。

 ギャロップ容疑者は米軍普天間飛行場所属だが、同日午前一時二十五分ごろ、シュビスキー容疑者の傷害事件の参考人として同署辺土名交番で事情を聴かれている際に、テーブルをたたいて壊した疑い。

「政治家が宣伝」沖縄の米兵わいせつ事件で退役司令官

2001.01.13(06:28)asahi.com
 沖縄駐留の米海兵隊員による女子高校生への強制わいせつ容疑事件をめぐり、沖縄で司令官を務めて退役した経歴のある元海兵隊大佐が「海兵隊員の犯罪率が特に高いとは思わない。米軍の駐留に反対する政治家によって宣伝されている」と述べた談話が、11日付の米ワシントン・ポスト紙に掲載された。沖縄県では、保守系の稲嶺恵一知事でさえ米軍に抗議し、県議会では12日、在沖米軍の兵力削減を求める決議が超党派で提出されることが決まるなど、一向になくならない米兵犯罪への怒りが広がっており、元大佐の発言は波紋を広げそうだ。

 海兵隊員は9日、沖縄本島北部の路上で、女子高校生のスカートをまくり上げて写真を撮った、として逮捕された。容疑を否認している。

 同紙には、事件の中身を報じた東京発の記事のほか、米兵がらみの事件が沖縄で続発する背景事情を説明したワシントン発の関係記事も掲載され、そこに談話が載った。談話を寄せたのは、この海兵隊員が所属しているキャンプ・ハンセンで、1996年から98年まで司令官を務めたゲーリー・アンダーソン氏。「(沖縄では基地が)米国人を好まない人々の政治課題になっているために、広く知られることになる」とも述べている。

 しかし、日米安保条約を認める立場を取っている稲嶺知事は「過去の教訓が十分に生かされていない」との談話を出し、12日には副知事が在沖米軍のトップに直接、面会を求めて抗議した。

 県議会は12日、米軍基地関係特別委員会を開き、海兵隊など米軍兵力の削減を求める意見書と抗議決議を本会議に提出することを全会一致で決めた。19日にも可決される見通しだ。

 全会派がそろって、真っ向から兵力削減を求める決議をするのは極めて異例。「事件のたびに米軍は再発防止を約束するが、全く改善されていない」「綱紀粛正を求めるだけでは、解決しない」といった意見が委員会で相次いだためだ。

 「米軍人・軍属による事件被害者の会」代表の村上有慶さん(51)は元大佐の発言について、「米軍はこの5年間、綱紀粛正と言い続けているが、昨年は米兵による凶悪犯罪が増えた。(元大佐は)沖縄の住民が1人ぐらい殺されても、性犯罪の被害に遭っても、大したことはないと考えているのではないか。だから事件はなくならないし、基地がある限り問題は解決しない」と反発している。

 沖縄県の山田義人・基地対策室長も「地元が宣伝しているというのは事実に反する。そもそも(犯罪が)多い、少ないの問題ではない。平和と安全を守るために駐留しているはずの米軍が、日常生活の安全を脅かしているのが問題なのだ」と話している。

米海兵隊員を強制わいせつ容疑で逮捕 沖縄県警

2001.01.10(19:58)asahi.com
 沖縄県警は10日、沖縄本島北部の路上で女子高校生のスカートをめくって写真を撮ったとして、米海兵隊キャンプ・ハンセン所属の伍長レイバン・ゴーゴル容疑者(21)を強制わいせつの疑いで緊急逮捕した、と発表した。同容疑者は容疑を否認しているという。沖縄では主要国首脳会議(サミット)の直前だった昨年7月にも、海兵隊員が女子中学生への準強制わいせつ容疑で逮捕される事件があり、米軍は飲食店への夜間立ち入り禁止などの措置を取っていたが、今月5日に解除したばかりだった。

 調べでは、ゴーゴル容疑者は9日午後7時半ごろ、道端の花壇に座っていた女子高校生(16)のスカートをめくって、デジタルカメラで撮影した疑い。

 近くにいた男子高校生ら数人が追いかけ、引きとめているところを、110番通報を受けて駆けつけた警察官が逮捕した。

 福田康夫官房長官は10日午後の記者会見で、「外務省を通じて、米側に強い遺憾の意を表するとともに、綱紀粛正の徹底と再発防止の申し入れをした」と述べた。

 沖縄県も在沖米軍に再発防止などを申し入れた。稲嶺恵一知事は「これまでの努力や過去の教訓が十分に生かされていないと言わざるを得ず、極めて遺憾」との談話を出した。

72歳女性ひき逃げされ、死亡 米兵を取り調べ

2000.09.09(14:56)asahi.com
 9日午前2時35分ごろ、東京都立川市泉町の都道で、道路を横断していた同市上砂町1丁目、無職中村千代子さん(72)が乗用車にはねられ、車はそのまま逃げた。中村さんは病院に運ばれたが、頭の骨が折れるなどして間もなく死亡した。警視庁立川署は、約1時間半後に事故現場に戻ってきた米軍横田基地内に住む空軍上等兵(24)を、道路交通法違反(ひき逃げ)と業務上過失致死の疑いで取り調べている。容疑が固まり次第、逮捕する方針。

 上等兵は羽村市の知人女性(25)に付き添われて現場に戻り、「車に何かがぶつかったが、人とは思わなかった」などと話しているという。

準強制わいせつ容疑の在沖縄米海兵隊員に2年拘禁の判決

2000.09.06(23:56)asahi.com
 沖縄県沖縄市で7月、女子中学生への準強制わいせつ容疑で県警に逮捕され、米軍に身柄が引き渡されていた在沖米海兵隊員(19)に対し、米海兵隊の軍事法廷は6日、軍の規律に違反したとして、2年間の身柄拘禁の判決を言い渡した。

 海兵隊員は7月3日未明、酒に酔って沖縄市内のアパートに入り込み、寝ていた女子中学生の体に触ったとして、県警に逮捕され、那覇地検に身柄送検された。同地検は海兵隊員が未成年だったことや、被害者の感情などを配慮して立件を見送り、米軍に身柄を引き渡していた。

 事件をめぐっては、沖縄の住民の反発が強まり、米軍や米政府が県に謝罪したほか、抗議の県民大会なども開かれた。

裁判権を行使せず/米海兵隊員の準強制わいせつ事件

2000.07.23 The Sankei Shimbun
 女子中学生にわいせつな行為をしたとして準強制わいせつ容疑などで逮捕、送検された在沖縄の米海兵隊員に対し那覇地検は二十三日、裁判権を行使しないことを決め、海兵隊員の身柄を米軍に引き渡した。

米大統領、沖縄駐留米軍兵士に綱紀粛正求める

2000.07.23(01:07)asahi.com
 沖縄県訪問中のクリントン米大統領は22日夜、同県北谷町にある海兵隊キャンプ瑞慶覧で海兵隊員ら数千人を前に演説した。沖縄に在日米軍の大部分が集まっている事実を指摘し、「沖縄県民はすでに平和を維持するための代償を支払っている」と述べ、沖縄県民が負っている大きな負担を強調した。そのうえで大統領は「だからこそ私たちは良き同盟国であることにとどまらず、良き隣人とならなければならない。我々一人一人が友好関係を強化する個人的責任を負っており、それを傷つけるようなことはいかなることもしてはならない」と語り、最近の海兵隊員や空軍兵士による事件には直接触れなかったものの、綱紀の粛正を求めた。

日米首脳会談、クリントン大統領が米兵事件で陳謝

2000.07.22(11:59)asahi.com
 森喜朗首相は22日朝、九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)が開かれている沖縄県名護市内のホテルでクリントン米大統領と約40分間会談した。両首脳は来年3月で期限切れになる在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)に関する特別協定の改定問題で、日本側負担を大枠で維持し、年間で現在の1%強にあたる約33億円削減することで合意した。今秋までに両政府間で細部を詰め、新しい協定に署名する。また、大統領は沖縄で相次いでいる米兵の事件について「本当に申し訳ないと思う。苦痛であり、恥ずかしい」と正式に陳謝した。

 在日米軍駐留経費の日本側負担に関する特別協定の改定について、両首脳は(1)現在の日本側負担の上限労働者数の2万3055人を据え置く(2)基地外の米軍住宅の光熱水料は米側の負担とするが、引き続き日本が負担する基地内の分については新たな上限を設ける(3)訓練移転費は日本が負担する現在の枠組みを維持する――ことなどで合意。日本政府の試算では、2001年度で約33億円の負担削減になるという。

 沖縄県が「15年の使用期限」などの条件をつけて県内移設の受け入れを決めた米軍普天間飛行場の移設問題については新たな進展はなかった。首相は「これまでの会談で数回にわたり取り上げた。国際情勢の変化に対応し、米軍の兵力構成など軍事体制について協議したい」と述べたるにとどまった。日米交渉で使用期限問題を「取り上げる」とするだけの従来の政府の立場を繰り返したもので、「15年」の期限には直接触れなかった。大統領は「日米特別行動委員会(SACO)の合意の着実な実施に協力していく」と答えた。

 一方、首相は、大統領が沖縄到着後、糸満市の平和祈念公園にある「平和の礎(いしじ)」を訪れ、沖縄県民に向けて「この島での我々の足跡を減らしていくためにできることをしていく」と演説したことについて、「沖縄の人々は自分たちの思いを受け止めたものとして歓迎している。今後2人で平和のために協力し、沖縄の人々の気持ちにこたえていきたい」と評価した。

 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)をめぐる情勢について、首相は「安全保障上や人道上の問題があり、米国の協力をお願いしたい」と述べ、引き続き日米韓3カ国が緊密な連携をとることを確認した。

 NTTの接続料引き下げ問題についても、2000年末から3年間で22.5%引き下げ、うち最初の2年間で全体の引き下げ幅の9割にあたる約20%を前倒しして引き下げるとする日米規制緩和協議の最終合意を改めて確認するとともに、協議全体を1年延長することで合意した。

クリントン米大統領が沖縄「平和の礎」で演説

2000.07.21(14:05)asahi.com
 クリントン米大統領は21日午前、九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)出席のため専用機で沖縄に到着し、糸満市摩文仁(まぶに)の平和祈念公園にある「平和の礎(いしじ)」で沖縄県民に向けて演説した。米大統領の沖縄訪問は1960年のアイゼンハワー大統領以来で、72年の本土復帰後では初めて。大統領は日米同盟の意義を強調し、そのかなめを担う沖縄は「死活的に重要な役割を果たしてきた」と述べ、引き続き沖縄の基地を維持していく姿勢を示した。沖縄戦の激戦地だった摩文仁での歴史的な演説だが、米軍基地の整理・縮小を求めて、今も揺れ続けている沖縄の実情との落差も浮き彫りにした。

 「我々の同盟関係の強さ、そして友情の深さは、20世紀の偉大なストーリーの一つだ」。大統領はそう述べ、日米安保体制を最大限に評価した。大統領が中東和平交渉を残したまま沖縄入りしたこと自体が、米側にとっては日米同盟と沖縄の基地の存在重視を体現するものでもある。

 大統領は沖縄戦の悲惨さや「平和の礎」の意義も語り、日米両国が戦後、ともに平和を希求してきたことを強調。「日米同盟があってこそ、今日のアジアの平和がある」と語った。ただ、米軍普天間飛行場の移設問題には直接触れることはなかった。

 沖縄側の事情は複雑だ。稲嶺恵一知事は日米安保を容認し、米軍普天間飛行場の県内移設をやむを得ない選択としているが、移設をめぐって県民の意見はなお大きく割れている。稲嶺知事は「移設先の米軍使用は15年」との条件もつけたが、移設に反対する県民の全面的な理解を得ているわけでもない。

 そうした県側にすれば、日米安保の評価で完全に歩調を合わせるわけにはいかない。稲嶺知事は大統領の演説に先立つあいさつで、大統領の沖縄訪問を「願いがかない感無量だ」と歓迎しながらも、日米安保にはまったく言及しなかった。

 一方で稲嶺知事は、沖縄戦については「沖縄は焦土と化し、一般住民を含む20万人余の生命と財産を失った」と指摘。さらに「米軍基地が整理・縮小されることを心から望んでいる」と訴えた。

 大統領は日米同盟の役割の評価を前提に、在日米軍基地の75%が集中している沖縄の基地負担にも言及。「削減していくために、できることを続けていく。『良き隣人』となるべく、真剣に責任を果たしていきたい」と述べた。

 96年12月に、日米特別行動委員会(SACO)で合意された沖縄の基地返還などを着実に進めていく一方で、地域住民との関係を改善することで、米軍の駐留を引き続き維持していくという従来の方針を踏襲した発言だ。

 大統領はまた、米国企業が沖縄に進出していることを「喜ばしい」としたうえで、「ここは素晴らしい場所であり、沖縄の将来を築くのに手を貸してほしい」と語り、沖縄経済発展に協力する姿勢を見せた。72年まで沖縄を統治していた米軍が、琉球大学を創設したり、沖縄の学生を米国に留学させたりしたことにも触れて、「誇りにしている」と、米軍の沖縄に対する貢献を強調した。

嘉手納基地を2万7000人が「人間の鎖」で包囲

2000.07.20(23:01) asahi.com
 主要国首脳会議(サミット)の開幕を翌日に控えた沖縄で20日、基地撤去を求める市民らでつくった「人間の鎖」が、米空軍嘉手納基地を包囲した。主催者の発表で約2万7100人が参加。アジア最大の基地の外周約17キロを取り囲んだ。終了後、実行委員会は「沖縄から世界へ、平和のメッセージ」を発表、基地のない沖縄の実現のほか、サミットで「軍事によらない人間のための安全保障の確立を議論すること」などを訴えた。メッセージは日米両政府にも届ける。

 沖縄平和運動センターをはじめ、地元の市民団体や労組のほか、本土や海外からも市民団体などが加わった。

 共同代表の一人、中村文子さんは「五十何年も基地から派生するさまざまな問題を背負わされてきた沖縄の住民の基地はいらないという思いが表せた」。佐久川政一・沖縄大学教授も「サミットという千載一遇の機会に平和を願う心を伝えることができた。『力によらない安全保障』を沖縄から発信していきたい」と話した。

米兵事件で法相、「場合によっては政治的な判断も」

2000.07.18(23:11)asahi.com
 沖縄の米海兵隊員(19)が起こした女子中学生への準強制わいせつ容疑事件で日本の裁判権(処罰する権利)を行使するかどうかについて、保岡興治法相は18日の閣議後の会見で、「検察の対処の仕方を信頼しているので見守る姿勢に徹している」としたうえで、「沖縄サミットやそれをめぐる周辺事情を考慮し、場合によっては政治的な判断も考えないわけではない。官房長官等と相談すべき側面が出てくれば話は別だ」と述べた。

 法務省などによると、今回の事件は一次的には日本側に裁判権があるが、行使しない場合は「主権の放棄」にあたり、政府に判断権限がある。権限を受け持つのは法相になるが、実務的には検事正に判断をゆだねている。

 海兵隊員は19歳のため日本では家裁に送致されるが、アメリカの軍事裁判では成人として扱われるため、日本より厳しい扱いを受けることが予想される。こうした状況を踏まえ、検察側は、裁判権を行使せずに米側に処分をゆだねるかどうかを検討しているとみられる。

あっせん利得罪法制化求める声、与野党から相次ぐ

2000.07.18(23:33)asahi.com
 森喜朗首相は18日、与野党各党の党首と個別に会談した。各党首からは、国会議員が公務員に口利きして報酬を得ることを禁じる「あっせん利得罪」の法制化に早急に取り組むよう求める声が相次いだ。首相は「具体的にどうするかは与党同士の話を始めたところだ」と述べるにとどめた。

 公明党の神崎武法代表は「政治家と金の問題が大きな焦点となっている。政府・与党挙げて取り組み、国民の目に見える形で、一定の成果を上げたい」と述べ、保守党の扇千景党首も「腰を引かないでやってほしい」と同調した。同席した自民党の野中広務幹事長は「腰は引けていない。ちゃんとやるから」と応じた。

 野党党首との会談でも、民主党、社民党などが「臨時国会(での法制化)を目指してほしい」(民主党の鳩山由紀夫代表)と、28日召集の臨時国会での処理を求めた。

 会談は九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)を前に設定された。

米兵事件に抗議、沖縄県民総決起大会に7000人

2000.07.15(21:42)asahi.com
 米兵によるわいせつ事件など悪質な犯罪が相次ぐ沖縄で15日、抗議の緊急県民総決起大会が同県宜野湾市の海浜公園で開かれた。約7000人(主催者発表)が集まり、「何度、このような集会を繰り返さなければならないのか」「米軍に撤退してもらうしかない」などと訴えた。サミット(主要国首脳会議)への影響を心配する日本政府や、大会出席を見合わせた稲嶺恵一知事に対して「弱腰だ」などと批判の声が向けられた。

 連合沖縄や基地の撤去を求める市民団体が主催した。大会決議では、今回の事件を「1995年の少女暴行事件の悪夢を呼び覚まし、全県民に激しいショックを与えた」として、日米両政府に「口先だけの綱紀粛正や再発防止策ではなく、基地の整理・縮小を含む具体的な対応を」と要求した。

 主催者代表であいさつした連合沖縄の玉城清会長は「世論の沈静化に躍起になるのはやめてほしい。再発防止は限界にあると分かっているはずだ」と、政府の姿勢を批判した。

 5年前の県民大会では、県経営者協会の会長として出席した稲嶺知事は、主催者側が出席を要請したものの、サミット開催などに配慮して欠席した。

緊急県民総決起大会に稲嶺知事欠席へ

2000.07.15(00:39)asahi.com
 沖縄で続発する米兵による事件に抗議するため、連合沖縄や市民団体が15日、宜野湾市で「緊急県民総決起大会」を開くが、参加を要請されていた沖縄県の稲嶺恵一知事は14日、主催者側に出席しないことを伝えた。県議会与党や知事の支持母体である県経営者協会が不参加を決めたことが主な理由。九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)への影響を懸念した面も大きいようだ。

 県は14日、三役らが知事出席の是非について最終調整をした。与党や県経営協が出席しないうえに、市民団体が20日に米軍嘉手納基地を包囲する反基地行動を計画していることから、県政の方向性と相いれないと判断した。県は「各界各層を網羅した県民的な大会」になっていない点を挙げ、不参加を伝えるファクスを主催者側に送った。

 「サミットを間近に控えた時期だけに影響を懸念せざるをえない」(県幹部)。さらに、基地の県内移設を容認する現県政への批判も恐れている。

 大会の事務局長を務める狩俣吉正・連合沖縄事務局長は「事件が頻発する今こそ、沖縄としての声を上げるべきだと考え、知事が参加しやすい環境づくりをしたのに残念だ。サミットを過剰に意識しすぎている」と話している。

米大使に事件再発防止を改めて要請 防衛庁長官

2000.07.14(20:09)asahi.com
 虎島和夫防衛庁長官は14日、防衛庁でフォーリー駐日米大使と会談し、沖縄県で米海兵隊員による事件が相次いだことについて「今日も沖縄県知事らからの要請を受けた。事件の再発防止のため、今後も有効な措置を継続していただきたい」と求めた。これに対しフォーリー大使は「河野洋平外相に公式の深い遺憾の意を申し上げたが、可能な限りの措置をとったので再発が防止できると確信している」と強調した。

 また、虎島長官は「クリントン大統領の沖縄訪問が実現するよう要望してほしいと地元から要請を受けている」と大統領の沖縄訪問を改めて要請。フォーリー大使は「大統領は戦時中に沖縄戦で亡くなった両国の将兵の慰霊を行いたいとの希望を持っているが、全体のスケジュールは決まっていない」と述べた。(20:09)

米兵事件に抗議の申し入れ 沖縄県副知事が官房長官に

2000.07.14(20:08)asahi.com
 沖縄県の石川秀雄副知事は14日、首相官邸に中川秀直官房長官を訪ね、今月に入って相次いだ在沖縄米兵による準強制わいせつ容疑事件やひき逃げ容疑事件について「極めて遺憾であり、強い憤りを感じる」などと抗議し、隊員の綱紀粛正や教育の徹底を求める稲嶺恵一県知事名の要請書を渡した。中川長官は「事件が起こると同時に、外務省を通じて恒常的な綱紀粛正策などを求め、対応してきた。事件を深刻に受け止め、しっかりと対応する」と述べた。

連合、米兵事件抗議大会への知事参加を要請

2000.07.12(21:25)asahi.com
 沖縄で続発する米兵による事件に抗議しようと、連合沖縄や市民団体が15日に計画している「緊急県民総決起大会」で、連合沖縄の玉城清会長らは12日、県庁を訪ねて稲嶺恵一知事の参加を要請した。しかし、応対した親川盛一知事公室長は「大会決議の内容などを吟味しなければいけない」と慎重な姿勢に終始した。九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)でのクリントン米大統領の沖縄訪問を前に、自民党などの間に、慎重な対応を求める声も広がっており、こうした意見への配慮があるとみられる。

 大会への参加について、稲嶺知事は「構成団体などを見ながら検討する」との考えを示していた。このため実行委員会は今回の大会を超党派の大規模なものにする狙いから、大会では日米安保の是非には触れず、事件の被害者への謝罪や基地の整理・縮小などを求める方針を確認。知事や県経営者協会などの参加を求めることにした。

 しかし、自民党県議の間で、総決起大会に対して、20日に市民団体が予定している嘉手納基地の包囲計画につなげる意図があるとして、参加に慎重な意見が出たほか、県経営者協会からも、大統領訪問への影響を懸念する声が出た。12日の県議会の質疑では、野党側が「安保容認でも事件は許せないはず」と知事の参加を求めたが、親川室長は「サミットが終わった後に出来ないか、検討してほしい」と押し返した。

フォーリー大使「暗雲漂わぬよう努力」 米兵事件で

2000.07.10(21:54)asahi.com
 フォーリー駐日米大使は10日、河野洋平外相を外務省に訪ね、沖縄の米兵が起こした準強制わいせつ事件やひき逃げ事件について、「事件について言い訳できない。深い遺憾の念を表明したい」と陳謝した。その上で「沖縄返還後、初めて米大統領が沖縄を訪問する直前に事件が起き、特に残念だ。大統領の沖縄訪問にこれ以上、暗雲が漂わないよう努力したい」と語った。

 大使は同日から在沖米軍全軍を対象に、午前0時以降の外出禁止や飲酒制限などの綱紀粛正措置をとったことを説明した。これに対し、河野外相は「サミットが開催されるこの時期に、事件が沖縄県民の気持ちを複雑にし、怒りを生んでいることは残念だ」と強調、「強い措置が決められたことは評価する。米軍の措置が効果を上げ、事件が再発しない状況になって欲しい」と述べた。

米兵ひき逃げ容疑で政府が抗議

2000.07.10(17:41)asahi.com
 中川秀直官房長官は10日午前の記者会見で、沖縄県で9日に起きた米空軍兵によるひき逃げ事件について、政府が在沖縄米軍幹部らに抗議したことを明らかにした。また、沖縄の米海兵隊が打ち出した九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)期間中の綱紀粛正策について、サミット後も何らかの対応をすべきだとの考えを示した。

 中川氏は、野村一成沖縄担当大使が9日、スミス在沖米空軍司令官とヘイルストン在沖米4軍調整官に「米側に規律強化措置を強く求めているなかで、このような事件が発生したことは極めて遺憾だ」と抗議し、空軍でも具体的な再発防止策を早急に検討するよう求めたと説明。東京でも外務省が米国大使館に同様の申し入れをした。

 さらに中川氏は、米海兵隊が発表した綱紀粛正策について「サミット期間中の措置は発表されたが、サミット後の綱紀粛正策についても、ごく近いタイミングで取られるのではないか。政府としては重大な関心を持って深刻に受け止めており、フォローしていく」と述べ、米側への働きかけを続ける考えを示した。

 事件がサミットに与える影響については「県民の皆さんには、こういう事件が続発することについて大きな憤りがあるが、サミットをなんとしても成功させたいという気持ちも持っている。直接影響を受けないように、サミットはサミットとして必ず成功に導くことが必要だと思う」と語った。

在沖米軍、事件再発防止で深夜外出と飲酒を禁止に

2000.07.10(19:26)asahi.com
 沖縄で米兵による準強制わいせつやひき逃げなどの事件が相次ぎ、県民の反発が強まるなか、沖縄の在日米軍は10日、再発防止策として、深夜零時以降の外出、飲酒を同日から禁止すると発表した。ヘイルストン在沖米4軍調整官が全軍に命じた。期間は「追って連絡があるまで」として決めていない。

 すでに海兵隊は九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)の期間前後に限って、深夜外出や飲酒を制限する綱紀粛正策を決めたが、事件の続発で日本政府や沖縄県が恒常的な措置を取るよう米側に求めていた。

 県内の議会による抗議は10日も続いた。沖縄本島中北部の石川市や具志川市、北谷町の各議会が駐日米大使や在日米軍司令官、日本政府などに再発防止と謝罪、被害補償、日米地位協定の抜本的改正などを求める決議や意見書を可決した。

沖縄で米兵をひき逃げ容疑で逮捕 知事は抗議のコメント

2000.07.09(23:56)asahi.com
 沖縄県警沖縄署は9日、乗用車で会社員をはねて足にけがをさせ、そのまま逃げたとして、在沖米空軍嘉手納基地所属の3等軍曹ジョニー・S・ミラー容疑者(21)を道交法違反(ひき逃げ)の疑いで緊急逮捕した。沖縄県では米兵の女子中学生に対する準強制わいせつ事件が起きたばかりで、米軍のトップが稲嶺恵一知事に謝罪し、綱紀粛正を約束していた。今回の事件に対して、稲嶺知事は「米軍に一層の綱紀粛正の徹底を図るよう強く求める」とするコメントを出した。

 同署の調べによると、ミラー容疑者は9日午前3時過ぎ、沖縄市園田の国道で、横断歩道を渡っていた同県読谷村楚辺の会社員比嘉武也さん(27)を車ではね、そのまま逃げた疑い。比嘉さんは病院に運ばれたが、両足打撲のけがをした。

 逃走後、間もなく、ミラー容疑者は現場に戻り、捜査中の警察官に「車は私のものだが、名前を知らない海兵隊員が運転していて、車を置いて逃げてしまった」と報告した。しかし、同署員がさらに事情を聴いたところ、同日朝になって容疑を認めたため、逮捕した。

 同署によると、ミラー容疑者は事故前の8日深夜から、ビールを飲んでいたといい、赤信号を見落として、比嘉さんをはねたとみている。

 沖縄市では今月3日、米海兵隊員による準強制わいせつ事件が起き、ヘイルストン在沖米4軍調整官が稲嶺知事に謝罪。米軍では14日からサミット終了時までの兵士の深夜外出や飲酒を制限する綱紀粛正策を打ち出していた。

 今回の事件で、嘉手納基地は9日、「事件を心からおわびする」との談話を発表した。一方、稲嶺知事は「米軍に強い不信感を抱かざるを得ず、厳重に抗議する。米軍全体で一層の綱紀粛正の徹底を図るよう強く求める」とのコメントを発表した。

米兵がひき逃げ、逮捕 沖縄

2000.07.09 The Sankei Shimbun
 沖縄県警沖縄署は九日、沖縄市園部一丁目の国道330号で横断歩道を歩行中の同県読谷村楚辺、会社員、比嘉武也さん(27)をひき逃げしたとして、業務上過失致傷などの疑いで米軍嘉手納基地所属の三等軍曹、ジョニー・ミラー容疑者(21)を逮捕した。比嘉さんは両足打撲などの軽傷。

 調べによると、ミラー容疑者は九日午前三時五分ごろ、仲間三人と遊びに行く途中、赤信号を見落とし、横断歩道を小走りで渡っていた比嘉さんをはねて、そのまま逃走した疑い。

 ミラー容疑者は約二十分後に事故現場に戻り、捜査中の警察官に「私の車が事故を起こした。運転していたのは、名前の知らない海兵隊員で逃走している」と虚偽申告。その後、同乗者らから事情を聴いたところ、ミラー容疑者が運転していたことが判明した。

 飲酒検査をしたところ、酒気帯び運転の基準には満たないが、微量のアルコール反応が出た。

 主要国首脳会議(沖縄サミット)を目前とした沖縄では米兵による事件事故など不祥事が続発。三日未明には沖縄市で米海兵隊員の女子中学生わいせつ事件が発生し、在沖縄米軍トップのアール・ヘイルストン中将が六日、県庁を訪れて異例の謝罪をしたばかりだった。

米海兵隊の綱紀粛正策はサミット後も継続を 官房長官

2000.07.08(20:18)asahi.com
 中川秀直官房長官は8日、那覇市内で記者会見し、沖縄の米海兵隊員が起こした準強制わいせつ容疑事件を受けて米海兵隊が発表した「綱紀粛正策」について、九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)期間中にとどめず、サミット後も継続するように働きかける考えを明らかにした。また、大手百貨店そごうグループの債権放棄に国費をつぎ込む可能性のある救済策について与党内で見直し論が広がっているため、救済策についての政府見解を近く発表し、広く理解を求める考えを改めて示した。

 米海兵隊が発表した綱紀粛正策はサミット期間中に限っている。中川氏は「米側はサミット後の綱紀粛正策も真剣に検討していると交渉の過程で承知している。政府もそれがしっかり行われるように重大な関心を持ってフォローしていく」という考えを強調した。

 森喜朗首相が事件への対応について「政府がどうこうという話じゃない」と消極的ともとれる発言をしたことについては、「首相に直接電話で確かめたが、(政府の対応についての)消極的発言と受け取られたのは真意ではない、ということだった。首相も重大な関心を持って積極的に抗議していく考えだ」と首相に代わって釈明した。

「サミット期間だけの米軍綱紀粛正」に市民団体が反発

2000.07.08(23:14)asahi.com
 「サミットの間だけ、守ればいいのか」。沖縄の米海兵隊が7日に発表した九州・沖縄サミット期間中の綱紀粛正策に対し、地元の市民団体から強い反発の声が上がっている。沖縄県警の調べでは、今年に入ってから5月末までの米軍人・軍属の検挙者数は22件、27人にのぼり、前年同期比で8件、13人も増えている。

 県警によると、1986年から99年の14年間で、県内で起きた米軍構成員などによる凶悪事件の件数は70件にのぼり、全国の件数の半数を占めるという。

 今回の事件に抗議する緊急集会を15日に開くことを決めた沖縄平和運動センターなどの市民団体は7日、那覇市内で記者会見し、米軍の綱紀粛正策を厳しく批判した。

 メンバーは、被害者が届け出ていない被害がほかにもあり、「事件は氷山の一角」と指摘。さらに「軍隊は人を人間と思わせない組織であり、綱紀粛正などできるわけがなく、基地の撤去しかない」と述べ、県に対し、基地被害の実態をサミットでも強く訴えるべきだと主張した。

 また、米海兵隊のサミット期間前後の「綱紀粛正策」については「サミット期間中だけ守ればいいのか、兵士の数を減らさない限り、犯罪は減らない」と批判した。

 現在は解除されたが、米軍は少女暴行事件後の95年10月に、沖縄市の中心繁華街の一部を対象にした米軍人・軍属の深夜、未明の立ち入り禁止を実施するなど、事件のたびに粛正策を出している。

「政府がどうこういう話でない」 沖縄米兵問題で森首相

2000.07.08(01:33) asahi.com
 森喜朗首相は7日、沖縄の米海兵隊員が起こした女子中学生への準強制わいせつ容疑事件について、「基本的にはとんでもないことだ」としたうえで、政府の対応については「政府がどうこうという話じゃない。これ以上、政府として罰することはできないので、どう処理していくかは海兵隊が考えることだろう。事件そのものは残念で遺憾だ。何度もこういうことがあると、海兵隊には綱紀粛正をしてもらいたい。それでも守れないなら、規則とかもっと厳しくしてもらわないと」と語った。首相官邸で記者の質問に答えた。

 5年前の少女暴行事件の際も、容疑者を日本側が拘束できない日米地位協定の見直しを求める沖縄県に対し、当時の河野洋平外相が「議論が走り過ぎている」と述べ、批判を浴びた。沖縄県内では今回の事件でも政府の対応の鈍さが指摘されている。今後の対策については米側にゆだね、日本政府としては消極的とも取れる首相の発言は、一層の反発を招きそうだ。

 首相は海兵隊に対しては「もっと自覚してもらわないと、という思いだ。若いからいいということにはならない。ちゃんと教育してもらわないと」と述べた。

米海兵隊員の準強制わいせつ事件で沖縄に外務次官を派遣

2000.07.06(22:45)asahi.com
 政府は6日、沖縄の米海兵隊員が起こした女子中学生への準強制わいせつ事件に対応するため、浅野勝人外務政務次官を沖縄県に派遣した。浅野氏は沖縄の米軍トップのヘイルストン4軍調整官に会った後、夜になって県庁で稲嶺恵一知事と面談。「サミットで県民に全面的な協力をいただいている中、事件が水を差すのは残念だ」と述べ、政府として米側に再発防止策などの対応を求めていく考えを強調した。知事は「外務省にもぜひフォローを願いたい」と要請した。  浅野氏は知事に対し、ヘイルストン調整官に「強い遺憾の意を伝えた」と報告し、「これは『抗議』と受け取っていただいて結構だ」と述べた。知事が「与野党とも、あってはならないことだと主張している」と事件への反発の強さを語ると、「県民の思いは十分理解する。知事の言葉を肝に銘じて承らせていただく」と応じた。

米海兵隊員のわいせつ事件 サミット直前に広がる波紋

2000.07.05(21:35)asahi.com
 九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)が21日から始まるのを目前に控え、沖縄の米海兵隊員が起こした女子中学生へのわいせつ事件の波紋が、広がっている。政府は、基地反対運動が激化した5年前の少女暴行事件の「再現になりかねない」(外務省幹部)として、鎮静に躍起だが、沖縄では米軍に対する反発が広がる兆しもあり、対応に苦慮しそうだ。

 3日の事件発生後、政府は直ちに在沖米軍や在日米大使館に対し、「極めて遺憾である」と伝えた。沖縄県議会は5日、日米両政府への「抗議」と、米政府への「謝罪要求」決議を全会一致で可決。市民団体なども相次いで県庁を訪れ、海兵隊の撤去を要求した。米軍基地を容認している稲嶺恵一県政も、「人間社会の基本にかかわる問題だ」(幹部)と、強く反発している。

 政府はこれまで、サミット成功へ向け、沖縄との協調関係を維持しながら、準備を進めてきた。懸案の米軍普天間飛行場の移設問題も、サミットが終わるまでは、事実上の凍結状態になっている。それだけに、「事件を機に反発が広がると最悪のサミットになりかねない」(外務省幹部)との不安もつきまとっている。

 こうした中、在沖米軍のヘイルストン4軍調整官は5日、「県民に謝罪申し上げるとともに、皆様方にふさわしい隣人となるよう努力していく」とする声明を発表した。県民の反発がどこまで広がるか、現時点でははっきりしないが、20日に予定される米軍嘉手納基地の包囲計画について、県からは「サミットがあることが、包囲網に参加しにくい理由にはならなくなった」との見方も出ている。

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