超絶プラモ道
創造のプラモデル!!
男なら誰でも一度はプラモデルを作った事があるだろう。
今の子供にとってはそれほどでもないようだが、わしと同世代、あるいはわしよりも上の世代にとってはプラモは大きな存在だった。
かくいうわしも、チビの頃から、そりゃあもういろんなプラモを作って作って作りまくったものである。なにしろあの「ヤマト」を経て、その後に「ガンプラブーム」の直撃を受けたもんだから、プラモ屋へ通うようになるのも当たり前だ。
とはいっても、そういう「メジャー」なプラモばかり作ってきたのかというと、決してそんな事はない。
コンピュータゲームには、「マスコミなどに取り上げられる事はあまりないが、超メジャーなヒット作の影で多くの人の支持を受けていて、誰もがその名を知っている作品」がたくさんあるし、「奇ゲー」「怪ゲー」「妖ゲー」「バカゲー」「クソゲー」などと呼ばれながらも、「妙な魅力」「異様な存在感」を放っていて、一部に熱狂的なファンを持っている作品もたくさんある。
それと同じようにプラモにも「表向きはマイナーだが誰もが作った事のあるプラモ」だとか、「奇プラモ」「怪プラモ」「妖プラモ」とでも呼ぶべき商品が数多く存在したのである。
この、「超絶プラモ道」という本は、そういった「今まで日のあたらなかった、誰もが知ってるあのプラモ」や「誰も知らないけれども、強烈なオーラを放つ妙なプラモ」にスポットを当てたイカス本なのだ!!
著者のはぬまあん氏はマンガ家として活躍される一方、B級プラモに関しても造詣が深く、今までも同人誌「電動天国」などでその研究成果の一部を発表されてきた方である。まるまる一冊この手のネタで固めた本が商業出版物で出るとは驚いたが、執筆者としてこれほど適した人は他にいないだろうと思う。
岡田斗司夫氏の「絶滅プラモ大百科」も面白かったが、ネタに対する掘り下げの深さでは圧倒的にこちらのほうが上だ。
超絶なプラモデル達の饗宴!
わしと同世代の人ならば、キチンと組み上げてキレイに塗装までしてあるアトランジャーとザ・アニメージが並んでるイカした表紙を見ただけでのけぞってしまう事だろう。だが、本を開いて中を見てみれば、それを上回る衝撃が次々と襲ってくるぞ!
第一章では「ザ・アニメージ 超銀河伝説バイソン」の全貌が明かされる!
アニメージシリーズの全商品の解説が読めるなんてそれだけでスゴイが、脱力必至のオマケコミックもダイジェストではあるが大々的に収録されているぞ!これは嬉しい。カラーを10ページも使って実質40ページ分も収録されているのが凄すぎ。しかも白黒ページにも16ページ分収録されているのだから恐れ入る。
第二章はリアルロボ旋風吹き荒れる模型店で暴れまわったロボットプラモ群を大紹介だ!
あの「太陽系戦隊ガルダン」や「モビルフォース ガンガル」をはじめとして「ウォーカースーツ」「メガロ・ザマック」などの勇姿が見られるぞ!!箱替え再販モノの商品は流用される前の姿にも目を向けているのが、他とは一味違った深いところだ。
第三章は皆さんお待ちかね、「アオシマ合体マシン」の大特集だ!!
あまりにも膨大で、その全貌をとらえる事が困難な「合体」にここまで肉薄した商業出版物は前代未聞!必見だ。
タイガーシャーク、合体巨艦ヤマト、宇宙空母レッドホークにレッドホークヤマトなどの合体艦艇!戦艦の輪切りメカなんてそうそう見られるもんじゃない。ド迫力にシビレルぜ!!
そしておなじみアトランジャーやゴダイガーなどのアオシマオリジナルロボ!アトランジャーは冗談抜きでカッコイイぞ!
さらにマッハバロンや鋼鉄ジーグの金型を改修、再発売された「ドライガー」や「ガイガンダー」などの通称「アイコラロボ」軍団!
凄まじいイマジネーションの嵐はまさに「創造のプラモデル」!その迫力に圧倒されることは間違いなし!!
第四章は色々なメーカーから発売されたオリジナルSFプラモが大集結!
ドリルやパラボラをそなえたスーパー戦車、水上や水中を行く潜水艦艇、秘密兵器に超絶カー、様々な傑作やケッサクがこれでもかとばかりに紹介されていて、ページをめくるたびにスリルと興奮の連続!目が離せないゾ!!
「合体ミニモデル カウンタック」なんかは、アイアンドリルでも穿孔しようかと思っていたので、先を越されてしまってちょっと悔しかったりする(でも、ウチでやるよりもうまく紹介されているので嬉しかったりする)。
第五章は資料館だ。
コミックの紹介やアオシマ開発者インタビュー、著者のはぬまあん氏とオタキング岡田斗司夫氏の対談など、読みごたえのある記事が満載だ!!唐沢なをき氏のマンガもイカス!!
実は合体マシンの商品リストなどの労作も密かに凄かったりする。
「超絶プラモ」の数々を単なる懐古趣味で懐かしむだけでなく、かといって安直に笑い者にしてオシマイというわけでもないところが、この本のステキな所だ。それらのいい所もトホホな所も、その両方を積極的に評価して楽しむ姿勢が、なにより素晴らしいと思う。
とにかく、20代後半よりも上の世代ならば、まず買って損はない一冊だ。さあ、本屋へゴー!発行は竹書房だ、忘れるな!
そして……土星の矢に気をつけろ!!