TOP SECRET

ワイヤーアクションでよじ登れ!!

 

 

ストーリー

大規模な世界戦争から十数年。奴は巨大ミサイルを手に甦った。
旧連邦軍は、奴の計画の全容を知ろうと特殊部隊を編成、敵基地へ送り込む事に成功した。若い彼らに課せられた使命は、敵の国際的陰謀を探る事。そして巨大ミサイルを破壊する事であった。
潜入成功の彼らを待ち受ける敵とは、そして彼らが見たトップシークレットとは…。

 

ジャンプできない!?

このゲームの最大の特徴は、やはり操作方法であろう。
一見、普通の横スクロールアクションに見えるが、実はこのゲームにはジャンプボタンというものが無いのである。

パネルはよくある1レバー2ボタンだ。左ボタンが銃を発射して敵を攻撃するショットボタンなのは普通だが、右ボタンは主人公の腕に装着されたカギ付きのワイヤーを発射する「ワイヤーガン」ボタンなのである。

ただ単にワイヤーボタンを押すだけだと真横にワイヤーを発射するのだが、レバーを真上あるいは斜め上に入れてボタンを押すと、レバーを入れた方に向けて発射する。その先に木の枝などがあると、ワイヤーの先端についたフックが引っ掛かる。そこでもう一度ボタンを押すと、ワイヤーを巻き取ってぶらさがり、主人公は上によじ登る事が出来る、というわけだ。
ワイヤーを斜めにかけた場合には、上に登るだけでなくターザンのように谷を渡る事も出来るし、身体をふって敵を蹴り飛ばす事も出来る。
その他にも、敵兵に向かってワイヤーを発射して転ばせたり、遠くにあるアイテムに引っかけて手繰り寄せたりと、色々な使い方が出来るのだ。

「トップシークレット」は普通のアクションゲームでは絶対に出来ない、一風変わったアクションが楽しめる独特のゲームなのだ。豪快に敵の攻撃をかわしたりできる割には、ジャンプという当り前の行動が出来ないので、真横から普通に弾を撃たれただけで、なぜか大ピンチになったりするのも変わっていて面白い。

ただ、特殊な操作を要求される為、慣れないうちは必要以上に難しく感じられるかもしれない。ゲーム自体の難易度は決して必要以上に高くはないのだが、いまだに誤解している人が少なくないのは残念である。
かつて、あるゲーム誌でライターがこのゲームを「インチキ」だ、「サギ」だなどといって散々こき下ろしておきながら、その次のページで「ギャラクシーフォース2」を誉めちぎっていたのには激怒したものだ。
本当は決してサギなどではない。慣れれば誰でも一周くらいはできるようになる。絶対に。

 

らしくない?

このゲームは、カプコンらしくないなどと言われる事が時々ある。
キャラクターが3頭身で「コミカルアクションゲーム」などと銘打たれていた事からなのだろうが、じっくりやり込んでいけば、まぎれもないカプコン色のゲームなのがわかる。

のどかな森の中をヒョイヒョイ進んでいく姿は確かにコミカルだ。
だが、設定も舞台も、とことんハードでシリアスなものであり、一見コミカルに見えても、よくみると実は非常に凝ったもので、いかにもカプコンといった感じなのである。

ステージ1は、森が舞台だ。
のどかに見えるが、スタート地点にある看板が進入禁止の軍事施設である事を表現している。汚れ具合が妙にリアルだ。おそらくは手前が金網か鉄柵などで囲ってあるのだろう。
基地だけでなく、その周囲に大きく距離をとって広い森までも立入り禁止区域にしている所が、これから侵入する基地に隠された秘密の大きさを感じさせる。

 

ステージ2は、基地の外縁だ。森を抜けた主人公は基地内部への突入を敢行する。
敵兵だけでなく、高圧電流の流れる床や自動砲台などの進入者阻止装置が次々に現れ、プレイヤーを飽きさせない。またそれが同時に、難攻不落の大要塞における警戒の厳重さも表現している。
ステージのはじめは昼間だったのに、外壁を登っていくうちにいつしか夜となり、やがてサーチライトの光条が主人公を探して右に左にと動きだすあたりが絶品である。

 

ステージ3。ついに基地内への侵入に成功した主人公だが、地下の下水道から迂回していく。下水を抜けると工場施設へと出る。建造中の巨大なロボット兵器が主人公を襲う。
下水では敵兵はほとんど出ず、静かな地形トラップになっているのだが、工場へ出ると一転して、多くの兵士が待ち構えており、それに加えてロボットやクレーンなどの大仕掛けが派手に登場する。メリハリのきいた構成が楽しませてくれる。

 

ステージ4はコントロールタワーだ。
分厚いシャッターが何枚もあって、この先が重要施設である事を物語っている。同時に、スイッチを破壊する為に昇り降りさせられたり、スイッチまでワイヤーを伸ばしたりと、このゲームならではのアクションが要求されるのだ。
やがてリフトにのって塔へと辿り着くと敵の攻撃もいよいよ激しくなる。足場も狭いし、主人公は大ピンチだ!!

 

ステージ5は、遂に辿り着いた巨大ミサイルの発射施設だ。
だが、無情にもミサイル発射のカウントダウンは始まってしまった!!
敵は、妨害させるまいと必死の抵抗を続ける。ミサイルのガントリーで繰り広げられる一大決戦!!

果して、ミサイル発射を止める事は出来るのか?

そして、その先には何が待ち受けているのか?

 

変化に富み、説得力もあり、ゲームシステムにもマッチし、しかもドラマチックな、いかにもこの時期のカプコンらしいステージ構成ではないか。
「ストライダー飛竜」の原点と言っていいだろう。
このゲームを「カプコンらしくない」などとぬかす奴は、カプコンファンを名乗る資格はない。

ただ、広大なステージ内を自由に移動でき、決まったルートというものが存在しない為に、どっちへ向かったらいいのかわからず、迷子になってしまう人が結構いた。
それから「上に登っていくゲーム」だと言う事がわかりにくかった為、余計に混乱したようだ。普通のゲームのようにひたすら右へ歩いていってハマる人を当時よく見かけたものだ。
非常に面白いと思うのだが、特殊な内容にプレイヤーがついてこれなかったのは、少々残念である。

 

ワイヤーによるアクションは斬新で、また楽しいものであった。
この作品の後、同じ趣向のゲームでは、「ヒットラーの復活」や「海腹川背」などの超傑作が生まれている。
それらの作品に比べれば、この作品のワイヤーアクションにはまだ制限も多く、物足りない部分もあるのだが、後の傑作を生み出したもとになったのが、この「TOP SECRET」である事は間違いない。
取っ付きにくいかもしれないが、ぜひ遊んでみて欲しい。

 

 

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