妖星ゴラス

怪星ゴラス地球に激突か!

 

一発目は東宝宇宙特撮映画の傑作から行こう!

大ヒットした「アルマゲドン」の他にも「ディープインパクト」など「遊星が地球に衝突」ネタの映画は昔からいろいろあったが、この「妖星ゴラス」に比べれば、どれもこれもはっきりいってたいしたことはない。
なにしろ、スケールの大きさが根本的に違うのだ。もうこの映画を超えるものは、恐らく二度と出る事はないと思う。嘘ではない。みればわかる。

お話は1980年代の地球が舞台(公開は1962年)。太陽系内に地球の6000倍の質量を持つ怪遊星が接近してきた事が判明し、「ゴラス」と命名されたところから始まる。

土星探検のために航行中の日本の宇宙船「JX−1隼号」は、ゴラス観測のために進路を変更、太陽系の果てへと向かう。しかし、ゴラスは質量こそ6000倍だが、その直径は地球よりも小さい星だったのだ。
それが解った時、隼号はすでにゴラスの重力圏に捕まり、脱出不能となっていた!刻一刻と死が迫りつつある中で隼号は地球へ向けてゴラスの観測データを送り続けた……。

くぅ〜!カッコイイじゃありませんか!!
この「JX−1隼号」ってのもカッコイイ。補助推進ロケットを使って加速したり、方向転換したりするのがイカス!そんでまたその噴射炎が火薬じゃなくって合成で表現されてるので先っちょがメラメラしたり宇宙で煙が上へ立ち昇ったりしないぞ!!
とても1962年の映画とは思えない!!
だがしかし、この映画の真のすごいところはそんな事ではない。

隼号が死と引き換えに送ったデータから、ゴラスが地球に衝突するという事が判明した!
ここで普通の映画なら、ミサイルや爆弾で爆破しようとか、地球を脱出して新天地を目指すとかいうお話になってしまうところなのだが……この映画は違っていた!
そんなありふれたみみっちい考えとは全然違っていたのだ!!

なんと!海水から取り出した重水素を燃料とした核融合ロケットで
地球そのものを動かして危機を回避する」
というのだ!!「向こうがぶつかってくるんならこっちが動いて逃げる」というあまりに当たり前、かつ豪快な発想に頭がクラクラしそうだ。それも乗り物に乗って人間だけ逃げるんならともかく、地球ごと動いて逃げるなんてのは少なくとも映画では他に無いだろう。

かくして、地球の6000倍の質量をもつ「妖星ゴラス」から逃れるために南極に直径2kmの原子力ジェットパイプを1089本建設し、660億メガトンの推力で地球を40万km以上動かそうという「南極計画」がスタートする。
全世界の科学力を南極に結集し、地球を救う一大プロジェクト!!
カッコイイじゃありませんか!!

人類の科学が地球を動かし、地球を、全人類を救う!!
そんな映画に当時の金で三億円以上という巨額の制作費をかけて、一流の役者をつかって本気も本気、大真面目に作る。
もうこんな映画は二度と出ないだろう。

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