隊長指令ガッツウィット
「WIT」とはウルトラマンダイナに登場する特捜チーム、スーパーGUTSのメンバーが所持している携帯用通信装置である。
最近の携帯電話なんかに比べると、携帯というには正直いってかなり大きいような気がする。厚みがあるのではっきりいって持ち歩くには結構ジャマだ。
しかし、劇中では山奥だろうが外国だろうが火星だろうが平気で通じてるところを見ると、本部へ、各通信機へ、飛行機へ、通信衛星へ……といった具合に超長距離まで中継アンテナなどを経ずに直接電波を飛ばす事が出来るのだと考えられる。また、単なる通信だけでなく高性能のノートパソコンのような機能も兼ねた万能コミュニケーションツールであるらしい。
それだけの能力を持ちながらこの大きさで済んでいるのなら、これは尋常ではない超小型メカだという事になる。
本編でそれを生かした場面があまりなかったのは残念だが。
男の声を聞け!!
さて、バンダイから発売された玩具は「隊長指令 ガッツウィット」という商品名がついている。その名の通り、スーパーGUTSのヒビキ隊長の声が聞けるようになっているのだ。
この手の玩具では主人公の声が出るのが普通なのだが、そこをあえて隊長の声にしたところがミソだ。
スーパーGUTSの隊員達に指令を下すのはウルトラマンに変身する新入り隊員アスカ・シンではない。あくまでヒビキ隊長なのだ。それに、もしも変身アイテム「リーフラッシャー」の玩具も持っているのなら、子供は自分がアスカ隊員になったつもりで遊ぶわけだから、通信機からアスカ隊員の声が出るのは具合が悪い。
変則的なようだが、遊ぶ側の事を考えれば自然な流れだといえるだろう。
では大人の場合はどうかというと……これはやはりヒビキ隊長の男らしい熱い呼びかけにシビれるのが正しい楽しみ方だろう。
カッコイイぞ!木之元亮!!
これがガッツウィットだ!!
外見はアルファベットの「G」をモチーフにしたデザインで(スーパーGUTSのメカはすべてアルファベットをモチーフにしている)、正直いってあまりリアルさを感じさせるものとは言い難い。だが、シルバーの部分は塗装やメッキパーツではなく、極薄のアルミ素材を貼りつけてあり、黒の成形色ともあわせて渋い雰囲気を漂わせている。なかなかいい感じだ。中央にゴールドメッキのエンブレムを配しているのも効果的。
裏側にある電源スイッチをオンにすると、一定間隔で「ピッ……ピッ……」と作動音が鳴るようになる。この状態でカバーを閉じると待機モードとなる。
待機モードでしばらく待つと、呼び出し音が鳴る。隊長からの指令を聞いてみよう。
左側面にはボタンがふたつ付いている。
下のボタンを押すと、カバーの外周部分がスプリングで上方向に開く。
上のボタンを押すと、カバーの中央部分がスプリングで右方向へ開き、同時に内蔵されたヒビキ隊長のセリフがランダムに再生される。
カバーが開いたディスプレイモードでは、中央にある四つのLEDが上、左、下、右の順に点灯するようになっている。ボタンを押した瞬間には四つ同時に点灯、ボイス再生中は点灯スピードが速くなる。
また、ディスプレイモードでは隊長からコールしてくる事はない。
隊長から呼び出しが無くても、下のボタンを押せばいつでも何度でも声を聞く事が出来る。上のボタンだけを押して、外周部分のカバーを閉じたままにすると、スピーカが塞がれる形になるので、少し小さい音で声を聞く事も出来る。
ボタンを押すと、「ザッ!」とノイズが入り、離すとしゃべり始めるようになっているのも、なかなか凝っていていい。
ガッツウィットのいいところは、とにかく内蔵ボイスが豊富な事だ。
大量のセリフが内蔵されていて、そのうえ文節ごとの組み合わせでさらにパターンが多くなっているので、大変に楽しい。向こうから呼び出してきた時には大抵、まず「こちら、ヒビキ!」といってからしゃべり出すようになっているなど、細かい気配りもさすがだ。
また、指令以外のセリフもいろいろ用意されているあたりに、開発者の意気込みを感じる。ちょっと例を挙げてみると……
「それがスーパーGUTSの使命だ!」
「なんだとォ?いいかげんにしないか!!」
「それでもスーパーGUTSの隊員か!!」
……とまあこんな感じで、説教されたり怒られたりするのがなんともたまらない。
やっぱりヒビキ隊長はこうでないとね。
気分はもうすっかりスーパーGUTS隊員だ。
ガッツウィットの弱点
しかし、実際に遊んでみると、作動音がうるさいうえに10秒ごとに呼び出してくるので、どうにもこうにもうっとおしくてしょうがない。
たまらないのでどうしてもスイッチを切ってその辺に放りだしてしまう。
向こうから呼び出してくるというのは大変面白いと思うが、物事には限度というものがある。話したければボタンを押せばいいのだから、呼び出しは程々にして欲しい。
作動音も、電源切り忘れ防止のためなのだろうが、電源を入れたまま気軽に持ち歩くという事が出来ないのは問題だと思う。
戦隊の変身ブレスも、近年は必ずこの仕様になっているが、出来れば改めて頂きたい。
それに、ただでさえ音の出る玩具はお父さんお母さんがうるさいと怒るものなのに、家の中で常にピーピーやかましいとその怒りはさらに倍増する事だろう。何とかして欲しい。
もうひとつの弱点は、高価な事だ。
驚くべき事に定価ではなんと3980円もする。それだけの値段のものを買ってもらうのなら、普通の子供は別のものを選ぶだろう。結構気に入ってるわしでさえ定価で買う気にはならなかった。
同時期のライオコンボイなんかは最強の司令官なのに2980円だぞ。
凝ったつくりである以上、仕方の無い事だとは思うが……。
逆に言えばそのおかげで、売れ残りが安売りで見付かる事もあるだろう。
男らしいヒビキ隊長に怒られてみたい人はぜひどうぞ。