仮面ライダーBLACK
テレビパワーDX変身ベルト
テレビで変身!光る!!回る!!
ポピー(現バンダイ)から発売された「仮面ライダー」の「変身ベルト」はそうとうな大ヒットだったらしい。
それは、その後様々なヒーローのベルト玩具が次々に発売された事でもよくわかる。
キカイダーやキョーダインなどといったヒーローは仮面ライダーと違ってベルトで変身するわけではないし、そのヒーローにとって必要不可欠な能力を秘めているというわけでもない。別に特徴的なアクションを見せるわけでもない。
それでもベルトが発売されて、しかも本編とは無関係に、とにかく光って回った。「とにかく光って回るベルトさえ出せばいい」という感じで、今の目で見ると何とも微笑ましいが、子供だった当時は、本編に登場しないギミックにかなり違和感をおぼえたものである。
変身ブームが下火になってくると、さすがにコンドールマンやマッハバロンまでもベルトが発売されるといったようなムチャな状況はなくなってしまったのだが、そのようななかでも本家本元の「仮面ライダー」の仲間だけは、一部の例外を除いて、ほとんどの場合に変身ベルトが発売された。
とはいえ、新しい商品が登場してもギミックは基本的に光って回るだけで、あまりかわりばえのしないものであった。
棒が付いたり、シャッターが開いたりするぐらいがせいぜいで、ビックリするような新ギミックが付加される事はあまりなかった。
しかし、「仮面ライダースーパー1」が終了してから6年のブランクをはさんで久々に登場した「仮面ライダーBLACK」の変身ベルトには、技術の進歩によっていままでは不可能だった、信じられないようなギミックが備わっていたのだ。
それが「テレビパワー」である。
テレビパワーとは何か?
その名のとおりテレビの力でギミックを作動させる機構の事である。
「光る!回る!」のギミックは、本体についているスイッチをオンにする事で作動する。しかし、カッコイイ変身ポーズをキメた後、おもむろにスイッチを操作するのは、いかにもカッコワルイ。TVの主人公はポーズをとるだけで、自動的にベルトが回り出すのに……。
そうはいってもスイッチ操作をせずにギミックをスタートさせるなんて、そんな事出来るわけはない……だが、その不可能を可能にするギミックが、実はあるのだ!!不可能を可能にする夢の機構、それがテレビパワーだ。
TV番組「仮面ライダーBLACK」の劇中で、主人公の南光太郎が変身する時、光太郎が身に付けている変身ベルトが輝いてTV画面が連続的に白く光る。玩具のベルトについているセンサーがこの光を感知すると、ビビビビビビ…という作動音と共にベルトの中央部分が赤く光って回るのだ!
あらかじめ、テレビパワーの受信スイッチをオンにしておけば、あとはTVの光太郎と一緒に変身ポーズをとるだけでいい。ベルトに触る必要さえないのだ!!
TVのなかで、光太郎が変身すれば、自分も一緒に変身できる……実に楽しいギミックである。
なにせ、本人からパワーをもらって変身するのだ。この独特の一体感は他の玩具では絶対に味わえない楽しさだろう。TVのなかの出来事が、見ている人に影響を与え、架空と現実が交錯する不思議な瞬間だ。
また、変身シーンだけでなく、ライダーが気合を入れてパワーをチャージするシーンや、必殺のライダーパンチ、ライダーキックを繰り出すシーンでもテレビパワーが作動する。
ライダーのパワーを自分自身で実感できるというのが、何とも面白い。
もちろん、普通にスイッチを押してギミックを作動させる事も出来る。また、現在では番組が放送されていないのだが、ビデオでもギミックを作動させる事が出来るので、今でも同じように遊べる。
この「テレビパワー」は、ベルトだけでなく、他にもいくつかの商品が発売されていた。
テレビパワーを受けると自動的に変身ポーズをとる仮面ライダー人形や、テレビパワーで自動的に走り出すバイクなどだ。
ベルトには、これらを作動させるためのフラッシュが装備されている。テレビの放送時間でなくとも、ベルトからライダーパワーを送りこんでバイクを走らせたり出来る、というわけである。
ライダーがバイクを呼べば、バイクがひとりでに走り出すのだから、これは楽しい。
試してみた事がないのでわからないが、ベルトを持っている友達がもう一人いれば、お互いに遠隔操作でベルトを作動させる事も出来るのだろうか。もしそうなら、ちょっと楽しいかもしれない。
とにかく、何もしなくても勝手にベルトが光って回るというこの革命的機構「テレビパワー」は本当にすごい。
現在ではあの「ポケモン事件」のために、TV映像で連続発光するような効果を使うのは各局とも自粛するようになってしまったので、このような機構を組み込んだ玩具が発売される事はないだろう。残念な事だ。