コンプリートセレクション 仮面ライダー新1号変身ベルト

追憶を形にした渾身の変身ベルト!!

 

 

今まで「仮面ライダー」の名を持ったヒーローは色々登場してきたが、それらの中でも仮面ライダー1号と仮面ライダー2号は「元祖・仮面ライダー」とでも言うべき存在だけに人気が高い。当然、いろいろな形で商品化される機会も多い。もちろん変身ベルトも、玩具やレプリカなど、色々な商品が何度も発売されている。
だが、それにもかかわらず、心から満足出来るような変身ベルトは、今までにひとつも無かったのである。

ゼネプロが発売していたガレージキットや東映ヒーローネットのレプリカベルトなど、マニア向けに発売された商品は、外観については良く出来ているものの、ギミックの面でどうしても不満があった。ギミック大好き人間としては、「光る!回る!!」というのはどうしても外せない大事なポイントだ。
ギミックが搭載されているもの、となると子供向けの玩具として発売されている商品という事になるわけだが、こちらは形状が大きくデフォルメされていて、やはり不満だった。
それから、平成ライダーのベルト玩具みたいに、「劇中と同じように変身サウンドが鳴るベルト」が欲しい、とも思っていた。
しかし、変身アイテム玩具がリアルサウンドを搭載するようになってきたのは1990年代なかばあたりからで、それ以前に発売されたものは基本的に音声ギミック無しか、あるいは単純な電子音のみ、というものがほとんどだった。

2005年の1月、旧作品の変身ベルトを低価格で発売しているバンダイの玩具、「ライダー変身ベルトシリーズ」の第3弾として1号のベルトが発売された。変身サウンドが鳴る1号のベルトは今まで存在しなかったので、その点についてはかなり嬉しかった。形状のデフォルメもそれほどひどくなく、値段のことを考えれば、そこそこ良く出来たものであった。
しかし、低価格なだけあって、不満な点も多かった。中途半端に出来が良い分、細かいところがよけいに気になってしまい、なんだかかえってフラストレーションがたまってしまった。

そして2006年。仮面ライダー生誕35周年の年、ギミックと外観、両方の面で満足出来る究極のベルトがついに登場した。
それが「コンプリートセレクション 仮面ライダー新1号変身ベルト」だ!!

 

「コンプリートセレクション」とは、わかりやすく言えば「大人向けの変身ベルト」を発売しているシリーズだ。
これまでにも、仮面ライダー555の「ファイズドライバー」や仮面ライダー龍騎の「Vバックル」が発売されている。定価は3万円と高額だが、大人のファンが満足出来るように、細かいところまで凝ったつくりになっているのがウリだ。
しかし、それらの商品については、あまり心が動かなかった。欲しいかといわれれば、そりゃもちろん欲しい。とはいえ、放送当時に発売されていた変身ベルトの玩具をすでに持っているし、内蔵ギミックがそれとほとんど同じなんだったら、別に無理してまで買ってもなあ、というのが正直な気持ちだった。

だが、1号ライダーのベルトとなれば話は別だ。
なにしろ、今までに発売された商品では満足できなかったのだから。
リアルな外観、劇中と同じ変身サウンド、発光ギミック、回る風車。
個人的に「コレは絶対に外せない!!」と考えている大事なポイントを全てクリアーしている、まるで夢のような1号ライダーの変身ベルト…死ぬほど欲しいに決まっている!!

その、夢のようなベルトと対面する時がやってきた。実物を目にした瞬間…!!

 


でかい!何だこのでかい箱は!!

 

実物を目にした瞬間、箱があまりにもでかいので仰天した。
ある程度大きいだろうとは思っていたが、ここまででかいとは思わなかったからだ。ベルトを取りに行くつもりで出かけたのに、みかん箱よりもでかいダンボールの箱が出てきたら、誰だって驚くだろう。
輸送用のダンボール箱がでかいだけで、中身はもう少し小さいのかとも思ったが、中身もほとんど同じ大きさだったので二度びっくり。
入手する時には、持ち運びの手間や置き場所のことをあらかじめ考えておいたほうが良いと思う。

 


パッケージは上蓋を外すとそのままディスプレイ可能。

 

ダンボール箱の中にある緩衝用の発泡スチロールが寸法ピッタリできついため、中身を取り出すのには少々苦労する。
出してみると、高額商品だけあって、パッケージもごつくて高級感あふれるつくりになっている。箱だけでもけっこう重い。
上蓋をとると、そのままディスプレイ台として使えるのは、なかなか良いアイデアだ。

 

 

外観はさすがに良く出来ている。
ギミックを内蔵するための都合もあり、バックル部分の大きさや厚み、各部のディテールなど、細かい点を見ていくと撮影用の小道具とは完全に同じではなく、異なる部分もある。
全てにおいて厳密に再現したレプリカではないので、ディープなマニアにとっては色々と気になるかもしれない。
だが、個人的には許容範囲内だ。
形状を精密再現したレプリカよりも、光って回るほうが重要だと思っているような人間なので、多少は形が違っていても、それを上回る魅力的なギミックを内蔵しているのなら、そちらのほうがずっと嬉しい。
実際、普段は劇中の小道具とかなり違っているような子供向けのDX玩具でも(サイズ以外は)特に気にせず楽しんでいるし、個人的な好みで言うなら、ここまで出来ていれば充分満足だ。

ベルト部分には本革を、飾りボタンなどにはダイキャストパーツを使用するなど、素材にもこだわっている。
中央のバックルと左右の腰にある「エナージコンバータ」部分がプラ製なのが少々残念だが、塗装によって雰囲気は出しているので、見た目は結構いい感じだ。

サイズは、30〜40歳台をターゲットにしているだけあって85〜110cmとかなり大きめだ。
無改造でも余裕で巻けるのが嬉しい。むしろ、大きすぎるくらいである。
痩せている人は、ゆるくて逆に困ってしまうかもしれない。
しかし、ズボンに通すベルトとは違い、服の上から着用するものなので、ある程度はどうにかなるだろう。
厚手の上着を着て、その上から身に付ければいいのだから。

 

 

 

右腰のコンバータは電池ボックス、左はスイッチとスピーカを内蔵している。
無理にバックル部分へ全てを組み込まず、分散させる事で自然な外観を保っているのだ。
ダイヤルは特にギミックとは関係の無いダミーだが、一応可動するようになっているのがちょっと嬉しい。
左腰のコンバータについているスライドスイッチを下へ動かすと電源がONになる。この状態で上面にある大きなボタンを押すと、おなじみの変身サウンドが鳴る!そして同時にタイフーンが光る!回る!!

腰のところにある大型のスイッチを上から押すことで作動するようになっているので、右腕を伸ばし、左の腰に拳を当てて変身ポーズをキメると、それだけで自然にギミックがスタートする。実にニクイ仕掛けだ。
仮面ライダークウガの「ソニックウェーブDX変身ベルト」も、同じように腰のスイッチで作動するようになっていた。以前、クウガのベルトを紹介した時に「1号ライダーのポーズでも作動する」と書いたが、その時は、まさか現実に同じ機構を搭載した1号の変身ベルトが発売されるとは思わなかった。いい時代になったものである。

嬉しいのはやはり、劇中と同じ変身サウンドが出るところだ。
ボタンを押すと、まず「ピュイーン!ギュルルルルルン!ガガーン!!」という変身ポーズのサウンドが鳴り、続いて「ヒュイーン!シュパパパパパ…ピッキュィーン!!」というジャンプと変身シーンのサウンドが鳴る!!

発光ギミックも凄い。
ボタンを押した瞬間、「ピュイーン!」の音と同時にまず風車が回転をはじめ、続いて全体が赤く回転発光する。見方によっては、8枚ある風車の羽根が漫画のように流線を引きながら回っているようにも見える。
そして、ジャンプした時の「ヒュイーン!」の音と同時に発光パターンが切り替わって、今度は赤、青、緑の三本の光の帯が回るようなスタイルになる。劇中の変身シーンで印象的だった、変身ベルトがアップで映るカットを思わせる光り方で、まさにテレビのイメージそのまま!
しかも、とどめに中央から外側へ向けて、閃光が広がるようにフラッシュLEDが輝く!!

 


まずは風車が回転!


続いて赤く回転発光!!


とどめに3色に発光!!さらにフラッシュが広がる!!

 

光って鳴る玩具は大好きなので、今まで色々な変身アイテム玩具や武器アイテム玩具を見てきたが、ここまで凝った発光を見せてくれる玩具は全く無かった。単純に回して光らせるだけではなく、残像の効果を利用して独特のパターンで見えるように工夫されているのだ。おどろくべき凝りようである。
発光用のLEDは、風車の羽根と羽根の隙間に配されており、目立たないよう工夫されている。
回転させるためのモーター音が少々大きいが、これはどうしようもない。変身サウンドの音量が割と大きいので、音が出ている間はそれほど気にならないだろう。

静止画の写真では実際の見え方とはだいぶ違う。写真の技術があればもっときれいに撮影できるのだろうが、どうも上手くいかないので動画を用意する事にした。動画を見たい人はここをクリックだ!!
これでもまだ実際の見え方とは少々違うので、機会があれば、ぜひ一度実物が動作するところを見て欲しい。

 

このベルト、風車回転に発光、さらに変身サウンドと、そのギミックは本当に素晴らしい。
ただし、全く不満が無いわけではない。サウンドと発光のタイミングが、実際の劇中の描写とは少々異なるからだ。
劇中での、本郷猛の変身シーンでは「らいっだああ〜…変身!!」という具合に、ちょっとひっぱり気味にポーズをキメている印象が強い。それに比べると、このベルトのサウンドは次の音へと切り替わるタイミングが少々早すぎるように感じる。それと、変身ポーズをキメた後、「トォー!!」とジャンプに移る前にも、一呼吸欲しいところだ。
もう一言付け加えるなら、変身ポーズの開始と同時に風車が回るのではなく、変身ポーズが完了してから回転を始めるようにして欲しかった。
技術的、コスト的に色々難しい面はあるのだろうが…。

とはいえ、ここまで派手でカッコイイ発光ギミックを込みこんだ変身ベルト玩具は前代未聞。まさに感動モノだ。単に派手なだけでなく、劇中のイメージを上手く再現しているのもナイスだ。ライダーファンでなくとも、その素晴らしい輝きに目を奪われる事は間違いない。

 


やたらとでかくてごついパッケージ。高級感満点。

 

まだ小さかったあの頃、強くてカッコイイ仮面ライダーは憧れの存在だった。仮面ライダーに憧れなかった男の子なんていただろうか?
そして、ライダーの肉体の一部、ライダーパワーの源である変身ベルトもまた、憧れだった。
ポピーから発売されていた「変身ベルト」は今の目で見ても感心するほど良く出来ていた。当時の子供の目には、まさに本物そっくり、実物と全く同じに見えた。それほどの説得力があったのである。
大ヒット商品となったポピーの変身ベルトには、人それぞれ、様々な思い出があることだろう。
買ってもらって嬉しかった感動。ベルトを身に付け遊んだ楽しい記憶。あるいは欲しくてたまらなかった願い。

そして…30年以上の時を経て、我々の前に再び「本物」が姿をあらわした。
かつてライダーに憧れた者ならば、このベルトを手にした時、胸に熱い想いが駆け巡る事だろう。

 

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