生活障害とは何ですか。
生活の仕方や人づきあいが下手になることです。精神分裂病では、生活障害が生じてくることが1つの特徴とも言えます。すなわち、基本的な日常生活、たとえば、清潔にする、整理整頓をする、お金を計画的にうまく使う、電気製品が使える、公共機関を使うといったことがうまくできなくなります。また、対人関係上の技術が乏しくなります。あいさつがうまくできない、気がきいたことが言えない、突飛な場違いなことを言う、考え方に柔軟性がなくしつこく同じ事を言い相手を不快にさせる、話題が貧困で何を話していいのかわからない、人の輪にとけこめない、秘密が保てない、うまく断れないといったことです。さらに、たとえ仕事についても疲れやすく、集中力を欠き、なかなか続かないといったことです。以上のような障害は、時として薬のせいと誤解されがちですがそうではありません。病状が良くなり薬の量が十分減っても続き、病気の本質的な思考障害とも関連があるとされます。分裂病の患者さんは生活障害のために、一般の人とのやりとりがうまくいかず、また社会の中で違和感を与えてしまいます。このような生活障害を改善させるために、SST(生活技能訓練)や通院型リハビリテーションの一形態であるデイケアが意味を持ってきます。日常のさまざまな生活上のできごとを具体的にとりあげ、何が問題かを明らかにし、具体的にさまざまな解決法を皆で考え、それぞれに対しその長所・短所を検討し、最も良い方法を選び実際に実行するといった「問題解決技能訓練」の技法を持ったSST(生活技能訓練)が、私にとっては魅力的です。分裂病の患者さんだけではなく一般の方にとってもとても参考になる技術がたくさん出てきます。